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特表2023-500770硬膜外腔内の針の検出及び配置のための硬膜外デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】硬膜外腔内の針の検出及び配置のための硬膜外デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A61M25/00 690
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022512757
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 CA2020051147
(87)【国際公開番号】W WO2021035341
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/891,313
(32)【優先日】2019-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,951
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522070215
【氏名又は名称】ガイドスター メディカル デバイシズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドルフィン,マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】キャレルス,ブリアナ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】クーク,サイモン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘリウェル,ジェイムズ エー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267EE08
(57)【要約】
硬膜外針が硬膜外腔に入った後の硬膜外針の更なる進行を抑制し或いは実質的に又は完全に防止するように構成された硬膜外デバイスが提供される。針が患者の背中の靭帯に挿入されると、デバイスは、圧力を維持するために密な靭帯の抵抗を用いて流体で加圧され得る。この加圧は、押込機構を使用して針を前進させることができるように、押込機構を針に対して所定の位置にロックすることがある。ひとたび硬膜外空間に到達すると、流体(例えば、生理食塩水又は空気)は硬膜外腔に入り、圧力の解放は、トリガ機構を摺動プッシャから係合解除させて、プッシャが構造の本体に沿って摺動することを可能にする。よって、デバイスは、圧力損失を用いて硬膜外腔を検出する一方で、ひとたび硬膜外腔に到すると、針が硬膜内に進入するのを防止する能力を提供することがある。好ましい態様において、デバイスは、硬膜外針から周囲組織への流体のゆっくりとした流れがあるときに、早期のトリガを防止することがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸を備える細長い本体と、入口と、出口とを有する、硬膜外デバイスであって、
前記本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、
前記本体に画定され、流体を受け入れるように構成される、第1のチャンバと、
前記本体に画定され、前記流体を前記出口まで運ぶように構成される、第2のチャンバであって、前記出口は、硬膜外針に取り外し可能に取り付け可能である、第2のチャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の流体連通を提供するための前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の流量制限器であって、前記出口の直径よりも小さい直径を有する、流量制限器と、を含み、
前記第1のチャンバは、前記第1のチャンバを加圧するために前記第1のチャンバの内に位置付けられる第1のバイアス機構を有し、
前記第2のチャンバは、前記第2のチャンバの内に設けられるピストンを有し、該ピストンは、
前記ピストンが前記流量制限器から離れて移動され、前記流体が前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間を進むことができる、プライミングされた位置と、
前記ピストンが前記流量制限器を覆い、前記流体が前記出口を介して前記第2のチャンバから出ることができる、トリガされた位置と
の間で移動可能であり、
前記プライミングされた位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動することを抑制するために、前記ピストンの延長部によって係合可能であり、
前記トリガされた位置において、前記スリーブは、前記ピストンの前記延長部によって係合可能でなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
硬膜外デバイス。
【請求項2】
前記第1のチャンバは、前記入口から前記流体を受け入れるように構成され、前記流量制限器とは反対のその内に開口を有し、当該硬膜外デバイスは、前記開口を通じて前記チャンバ内に延びるプランジャを更に含み、該プランジャは、
前記入口と前記第1のチャンバとの間で流体連通を提供するために前記プランジャの内に画定される流れポートと、
前記第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、
前記チャンバの外側に位置付けられ、前記入口と係合するように構成される、近位端とを有する、
請求項1に記載の硬膜外デバイス。
【請求項3】
前記第1のチャンバは、前記流量制限器との反対のその内に開口を有し、当該硬膜外デバイスは、前記開口を通じて前記チャンバ内に延びるプランジャを更に含み、該プランジャは、
前記第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、
前記チャンバの外側に位置付けられる近位端と、を有する、
請求項1に記載の硬膜外デバイス。
【請求項4】
前記第1のバイアス機構は、前記プランジャの前記遠位端及び前記チャンバの前記開口の中間の前記プランジャの周囲で前記チャンバ内に設けられるバネである、請求項2又は3に記載の硬膜外デバイス。
【請求項5】
前記第1のチャンバを満たすための充填ポートが、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に延在し、前記充填ポートは、前記第2のチャンバから前記第1のチャンバへの流れを許容する一方向弁を含む、請求項3又は4に記載の硬膜外デバイス。
【請求項6】
前記流量制限器は、当該硬膜外デバイスが前記プライミングされた位置にあるときに、前記流体の少なくとも一部が、当該硬膜外デバイスをトリガすることなく、前記出口を通じて前記第2のチャンバから出ることができる、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項7】
第2のバイアス機構が第2のチャンバ内に配置され、前記第2のバイアス機構は前記第1のバイアス機構よりも弱い、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項8】
前記第2のバイアス機構は、バネである、請求項7に記載の硬膜外デバイス。
【請求項9】
前記ピストンは、前記ピストンから半径方向に延びるディスクを含み、該ディスクは、前記第1のチャンバをトリガチャンバとリザーバチャンバとに分割し、前記トリガチャンバ及び前記リザーバチャンバに第1及び第2の環状面をそれぞれ有し、前記リザーバチャンバは、前記リザーバチャンバと前記第1のチャンバとの間に延在する流動チャネルを介して前記第1のチャンバと流体連通することができ、
当該硬膜外デバイスが前記プライミングされた位置にあるときに、前記ディスクは、前記流動チャネル及び前記流量制限器の中間に位置付けられ、前記トリガチャンバは、前記第1のチャンバ及び前記出口と流体連通することができ、
当該硬膜外デバイスが前記トリガされた位置にあるときに、前記ディスクは、前記流量制限器を覆い。前記トリガチャンバは、前記第1のチャンバと流体連通することができない、
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項10】
前記トリガチャンバと前記リザーバチャンバとの間に力の差が作り出されるように、前記第1の環状面は、前記第2の環状面の表面積よりも大きい表面積を有する、請求項9に記載の硬膜外デバイス。
【請求項11】
前記ピストンは、前記延長部とは反対のその端に、当該硬膜外デバイスをプライミングするために前記延長部に向かう方向にユーザによって押圧可能なボタンを含む、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項12】
前記スリーブは、当該硬膜外デバイスの前記本体に向かって前記スリーブから延びる突起を含み、該突起は、前記スリーブが前記ピストンの上を摺動するときに前記ピストンのボタンを押圧することによって当該硬膜外デバイスをプライミングするように構成され、前記ボタンは、前記延長部とは反対の前記ピストンの端に取り付けられる、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項13】
長手軸を備える細長い本体と、入口と、出口とを有する、硬膜外デバイスであって、
前記本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、
前記本体に画定され、前記入口から流体を受け入れるように構成される、流体通路と、
前記本体に画定され、前記流体を前記出口まで運ぶように構成される、圧力チャンバであって、前記出口は、硬膜外針に取り外し可能に取り付け可能である、圧力チャンバと、
前記流体通路と前記圧力チャンバとの間で流体連通を提供するための、前記流体通路と前記圧力チャンバとの間の流量制限器であって、前記出口の直径よりも小さい直径を有する、流量制限器と、を含み、
前記圧力チャンバは、その内に設けられるピストンを有し、該ピストンは、
前記ピストンが前記流量制限器から離れて移動され、前記流体が前記流体通路と前記圧力チャンバとの間を進むことができる、プライミングされた位置と、
前記ピストンが前記流量制限器を覆い、前記流体が前記出口を介して前記圧力チャンバから出ることができる、トリガされた位置と
の間で移動可能であり、
前記プライミングされた位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記ピストンの延長部によって係合可能であり、
前記トリガされた位置において、前記スリーブは、前記ピストンの前記延長部によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
硬膜外デバイス。
【請求項14】
長手軸を備える細長い本体と、入口と、出口とを有する、硬膜外デバイスであって、
前記本体の外面に摺動可能に配置されるスリーブであって、
前記本体は、前記入口と前記出口との間で流体を連通するために前記本体の内に画定されるチャンバを有し、前記出口は、硬膜外針に取り外し可能に取り付け可能である、
スリーブと、
前記チャンバを加圧するためのバイアス機構と、
前記スリーブと係合するためのトリガ機構とを含み、該トリガ機構は、前記チャンバ内に少なくとも部分的に収容され、前記チャンバ内の圧力減少によって第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記トリガ機構によって係合可能であり、
前記第2の位置において、前記スリーブは、前記トリガ機構によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
硬膜外デバイス。
【請求項15】
前記トリガ機構は、第1の端と、第2の端とを有する、少なくとも1つのピストンを含み、前記第1の端は、前記バイアス機構によって前記第1の端を作用させることができるように、前記チャンバ内に位置付けられ、前記第2の端は、前記本体を通じて半径方向に外向きに延び、
前記第1の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能である程度まで、前記本体から半径方向に突出し、
前記第2の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能ではないように、当該硬膜外デバイスが前記第1の位置にあるときよりも前記本体により近く位置付けられる、
請求項14に記載の硬膜外デバイス。
【請求項16】
前記トリガ機構は、前記バイアス機構によって膨張させられることができる膨張可能な膜を含み、
前記第1の位置において、前記膨張可能な膜は、前記スリーブが前記膜によって係合可能である程度まで膨張させられ、
前記第2の位置において、前記膨張可能な膜は、前記スリーブが前記膜によって係合可能ではない程度まで収縮される、
請求項14に記載の硬膜外デバイス。
【請求項17】
前記トリガ機構は、前記バイアス機構によって拡張させられることができるコンプライアントなコンポーネントを含み、
前記第1の位置において、前記コンプライアントなコンポーネントは、前記スリーブが前記コンポーネントによって係合可能である程度まで拡張され、
前記第2の位置において、前記コンプライアントなコンポーネントは、前記スリーブが前記コンプライアントなコンポーネントによって係合可能ではない程度まで収縮される、
請求項14に記載の硬膜外デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、本明細書では硬膜外デバイス(epidural devices)と呼ぶ、硬膜外処置において使用されるデバイスに関する。より具体的には、以下は、硬膜外腔(epidural space)内の硬膜外針(epidural needle)の検出及び配置を容易にするための硬膜外デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
硬膜外麻酔は、分娩/出産、下肢及び骨盤手術並びに疼痛緩和のためのステロイド注射中に広く用いられている。硬膜外腔に薬剤を注入するために、単回注入技法及びカテーテル技法の両方を使用することができる。硬膜外カテーテルの配置後に持続麻酔を維持する能力は、硬膜外を長期間の手術に適したものにし、無痛覚のために術後期間において有用である。
【0003】
典型的には、針を正しい位置に配置する方法は、硬膜外腔を検出するために(すなわち、硬膜外針が腔内に入ったときを決定するために)抵抗の喪失に依存する。ひとたび針先端が背中の厚い靭帯に入ると、麻酔科医は、空気又は生理食塩水を充填した注射器のプランジャに、一定の又は断続的な圧力を加える。麻酔科医は、一般的には、ガラス注射器又は低抵抗プラスチック注射器を使用する。硬膜外腔に至る靭帯(棘上靭帯、棘間靭帯及び黄色靭帯)は緻密で線維性の性質の故に、生理食塩水又は空気は、組織内に容易に注入されず、注射器は、その加圧状態を維持する。正確な技法は異なり得るが、一般的には、硬膜外針は一方の手で前進させられる一方で、注射器のプランジャに対する圧力は他方の手で維持される。硬膜外針先端が硬膜外腔に入ると、麻酔科医は、注射器のプランジャを押し下げることによって圧力の喪失を感知する。硬膜外腔の場所を確認するために、追加の生理食塩水を容易に硬膜外腔に注入することができる。この時点で、注射器を取り除き、薬剤を注入することができ、或いは針を通じてカテーテルを給送することができる。代替的な「インクリメンタル(incremental)」法では、針を1~2mm前進させ、次に、プランジャを押して、針先端がまだ靭帯内にあることを確認する。これはプランジャが容易に押し下げられるまで繰り返し起こり、生理食塩水又は空気を硬膜外腔に放出する。
【0004】
インクリメンタル法を使用するときには、確認の間に硬膜外腔を通じて針を有意に前進させ、硬膜(dura)を穿刺することが可能である。上述の処置は、麻酔科医に依存して、圧力損失を観察又は感知し、その情報を処理し、針の偶発的な前方移動を伴わないで針の前方進行を停止させる。注射器壁に対するプランジャの不注意な角度付けのような不適切な技法は、望ましくない摩擦を引き起こして、硬膜外空間を検出するために必要とされる圧力の小さな変化を認識することを困難にする。更に、ガラス注射器は、典型的には、非常に低い摩擦を有するが、時には固着して、医師に誤った負の信号を生成し、針は遠くに進められ過ぎることになる。
【0005】
硬膜外処置のリスクは、硬膜の偶発的な穿刺である。硬膜が穿刺されると、患者は、硬膜穿刺後頭痛、脊髄膿瘍、脊髄血腫、又は重症事例では永続的な神経学的損傷に苦しみ得る。更に、これらの合併症が生じると、追加コストが生じる。
【0006】
現在の診療は、麻酔科医が硬膜外腔の検出を観察し、硬膜穿刺を引き起こし得る前進(advancement)を防止するために針の進行(progression)を同時に止めることを必要とする。ユーザに圧力の喪失を警告する視覚的又は聴覚的手がかりを提供し、それによって、硬膜外腔の検出において開業医を支援する装置が開発されている。しかしながら、それらのデバイスは、ひとたび針が硬膜外腔に達すると、針の更なる前進を自動的に抑制又は防止するように構成されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑みて、改良された硬膜外デバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下は、硬膜外腔内への硬膜外針先端の進入を検出して、進入後の更なる進行を抑制又は防止するように構成される、硬膜外デバイスを記載する。デバイスは、流体(例えば、生理食塩水又は空気)で満たされることがあり、硬膜外針が患者の背中に挿入され、針先端が黄色靭帯内に位置付けられるときに、硬膜外針に接続されることがある。緻密な靭帯の抵抗を用いてデバイスを加圧して、針からの流体流を防止することができる。加圧は、麻酔科医がその後にプッシャを使用して針を前進させることができるように、(構造の本体及びそれに接続された針に対して)所定の場所に摺動プッシャをロックする機構によって使用されることがある。ひとたび硬膜外腔に達すると、流体は硬膜外腔に入り、圧力の解放は、デバイス内の機構をトリガして、プッシャを構造の本体から係合解除させる。この時点で、摺動プッシャが押されるならば、摺動プッシャは、針の有意な又は如何なる更なる前進を伴わずに、デバイス上を摺動することがある。デバイスは、圧力損失を用いて硬膜外腔を検出し且つデバイスが硬膜外腔に入った後の針の更なる進行を自動的に実質的に又は完全に防止する能力の両方を提供することがある。
【0009】
1つの態様において、長手軸を備える細長い本体と、入口と、出口とを有する、硬膜外デバイスが提供され、硬膜外デバイスは、本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、本体に画定され、流体を受け入れるように構成される、第1のチャンバと、本体に画定され、流体を前記出口まで運ぶように構成される、第2のチャンバであって、出口は、硬膜外針に取り外し可能に取り付け可能である、第2のチャンバと、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の流体連通を提供するための第1のチャンバと第2のチャンバとの間の流量制限器であって、出口の直径よりも小さい直径を有する、流量制限器と、を含み、第1のチャンバは、第1のチャンバを加圧するために第1のチャンバの内に位置付けられる第1のバイアス機構を有し、第2のチャンバは、第2のチャンバの内に設けられるピストンを有し、ピストンは、ピストンが流量制限器から離れて移動され、流体が第1のチャンバと第2のチャンバとの間を進むことができる、プライミングされた位置と、ピストンが流量制限器を覆い、流体が出口を介して前記第2のチャンバから出ることができる、トリガされた(又はプライミングされた)位置との間で移動可能であり、プライミングされた位置において、スリーブは、スリーブが出口に向かって軸方向に移動することを抑制するために、ピストンの延長部によって係合可能であり、トリガされた位置において、スリーブは、ピストンの延長部によって係合可能でなく、スリーブは、出口に向かって軸方向に移動可能である。
【0010】
ある実装において、第1のチャンバは、入口から流体を受け入れるように構成され、流量制限器とは反対のその内に開口を有し、硬膜外デバイスは、開口を通じてチャンバ内に延びるプランジャを更に含み、プランジャは、入口と第1のチャンバとの間で流体連通を提供するためにプランジャの内に画定される流れポートと、第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、チャンバの外側に位置付けられ、入口と係合するように構成される、近位端とを有する。
【0011】
別の実装において、第1のチャンバは、流量制限器との反対のその内に開口を有し、硬膜外デバイスは、開口を通じてチャンバ内に延びるプランジャを更に含み、プランジャは、第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、チャンバの外側に位置付けられる近位端とを有する。
【0012】
更に別の実装において、第1のバイアス機構は、プランジャの遠位端及びチャンバの開口の中間のプランジャの周囲でチャンバ内に設けられるバネである。
【0013】
更に別の実装では、第1のチャンバを満たすための充填ポートが、第1のチャンバと第2のチャンバとの間に延在し、充填ポートは、第2のチャンバから第1のチャンバへの流れを許容する一方向弁を含む。
【0014】
更に別の実装において、流量制限器は、硬膜外デバイスがプライミングされた位置にあるときに、流体の少なくとも一部が、硬膜外デバイスをトリガすることなく、出口を通じて第2のチャンバから出ることができる。
【0015】
更に別の実装では、第2のバイアス機構が第2のチャンバ内に配置され、第2のバイアス機構は第1のバイアス機構よりも弱い。
【0016】
更に別の実装において、第2のバイアス機構は、バネである。
【0017】
更に別の実装において、ピストンは、ピストンから半径方向に延びるディスクを含み、ディスクは、第1のチャンバをトリガチャンバとリザーバチャンバとに分割し、トリガチャンバ及びリザーバチャンバに第1及び第2の環状面をそれぞれ有し、リザーバチャンバは、リザーバチャンバと第1のチャンバとの間に延在する流動チャネル(flow channel)を介して第1のチャンバと流体連通することができ、硬膜外デバイスがプライミングされた位置にあるときに、ディスクは、流動チャネル及び流量制限器の中間に位置付けられ、トリガチャンバは、第1のチャンバ及び出口と流体連通することができ、硬膜外デバイスがトリガされた位置にあるときに、ディスクは、流量制限器を覆い。トリガチャンバは、第1のチャンバと流体連通することができない。
【0018】
更に別の実装において、トリガチャンバとリザーバチャンバとの間に力の差が作り出されるように、第1の環状面は、第2の環状面の表面積よりも大きい表面積を有する。
【0019】
更に別の実装において、ピストンは、延長部(extension)とは反対のその端に、硬膜外デバイスをプライミングするために延長部に向かう方向にユーザによって押圧可能なボタンを含む。
【0020】
更に別の実装において、スリーブは、硬膜外デバイスの本体に向かってスリーブから延びる突起を含み、突起は、スリーブがピストンの上を摺動するときにピストンのボタンを押圧することによって硬膜外デバイスをプライミングするように構成され、ボタンは、延長部とは反対のピストンの端に取り付けられる。
【0021】
別の態様では、長手軸を備える細長い本体と、入口と、出口とを有する、硬膜外デバイスが提供され、硬膜外デバイスは、本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、本体に画定され、入口から流体を受け入れるように構成される、流体通路(fluid passage)と、本体に画定され、流体を出口まで運ぶように構成される、圧力チャンバであって、出口は、硬膜外針に取り外し可能に取り付け可能である、圧力チャンバと、流体通路と圧力チャンバとの間で流体連通を提供するための、流体通路と圧力チャンバとの間の流量制限器であって、出口の直径よりも小さい直径を有する、流量制限器とを含み、圧力チャンバは、その内に設けられるピストンを有し、ピストンは、ピストンが流量制限器から離れて移動され、流体が流体通路と圧力チャンバとの間を進むことができる、プライミングされた位置と、ピストンが流量制限器を覆い、流体が出口を介して圧力チャンバから出ることができる、トリガされた位置との間で移動可能であり、プライミングされた位置において、スリーブは、スリーブが出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、ピストンの延長部によって係合可能であり、トリガされた位置において、スリーブは、ピストンの延長部によって係合可能ではなく、スリーブは、出口に向かって軸方向に移動可能である。
【0022】
更に別の態様では、長手軸を備える細長い本体と、入口と、出口とを有する、硬膜外デバイスが提供され、硬膜外デバイスは、本体の外面に摺動可能に配置されるスリーブであって、本体は、入口と出口との間で流体を連通するために本体の内に画定されるチャンバを有し、出口は、硬膜外針に取り外し可能に取り付け可能である、スリーブと、チャンバを加圧するためのバイアス機構と、スリーブと係合するためのトリガ機構とを含み、トリガ機構は、チャンバ内に少なくとも部分的に収容され、チャンバ内の圧力減少によって第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、第1の位置において、スリーブは、スリーブが出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、トリガ機構によって係合可能であり、第2の位置において、スリーブは、トリガ機構によって係合可能ではなく、スリーブは、出口に向かって軸方向に移動可能である。
【0023】
ある実装において、トリガ機構は、第1の端と、第2の端とを有する、少なくとも1つのピストンを含み、第1の端は、バイアス機構によって第1の端を作用させることができるように、チャンバ内に位置付けられ、第2の端は、本体を通じて半径方向に外向きに延び、第1の位置において、第2の端は、スリーブが第2の端によって係合可能である程度まで、本体から半径方向に突出し、第2の位置において、第2の端は、スリーブが第2の端によって係合可能ではないように、硬膜外デバイスが第1の位置にあるときよりも本体により近く位置付けられる。
【0024】
別の実装において、トリガ機構は、バイアス機構によって膨張させられる(inflated)ことができる膨張可能な膜を含み、第1の位置において、膨張可能な膜は、スリーブが膜によって係合可能である程度まで膨張させられ、第2の位置において、膨張可能な膜は、スリーブが膜によって係合可能ではない程度まで収縮される(deflated)。
【0025】
更に別の実装において、トリガ機構は、バイアス機構によって拡張させられる(expanded)ことができるコンプライアントなコンポーネントを含み、第1の位置において、コンプライアントなコンポーネントは、スリーブがコンポーネントによって係合可能である程度まで拡張され、第2の位置において、コンプライアントなコンポーネントは、スリーブがコンプライアントなコンポーネントによって係合可能ではない程度まで収縮される。
【0026】
更に別の実装において、本明細書では、流体を満たされ、内部バネによって加圧されることができる、硬膜外処置のためのデバイスが提供される。デバイスは、デバイスの外側フレームにある摺動プッシャと、2つの位置を有するように構成される機構とを更に含む。1つの位置において、摺動プッシャは、デバイスの長さに沿って自由に移動することができる。他の位置において、流体の圧力は、機構を所定の位置に保持し、摺動プッシャは、機構と干渉するときに、移動が制限されて、ユーザが、摺動プッシャで前方に押すことによって針を前進させることを可能にし、例えば、針先端が硬膜外腔に入るときのように、減圧されるときに、機構は、前記他の位置に戻り、摺動プッシャから係合解除されて、ユーザが針を更に前進させることができないように、プッシャがデバイスの本体に沿って移動することを可能にする。
【0027】
ある実装において、機構は、ピストンで構成され、ピストンは、デバイス内で垂直に移動可能であり、その第1の位置にある間に、摺動プッシャが自由に動くことを可能にする一方で、その第2の位置にある間に、プッシャと係合するピストンの一端によってプッシャコンポーネントを抑制することがある。ピストンは、バネによってその第1の位置においてバイアスされることがあり、デバイス内の流体圧力によって第2の位置に保持されることがある。
【0028】
ある実装において、摺動プッシャコンポーネントは、針を前進させるときに押圧面を提供するために、その前方端から延びるフランジ又はウイング(翼)を有する。
【0029】
別の実装において、フランジ又はウイングは、延長部によってプッシャに接続されて、押込面が患者により近いことを可能にし、デバイス及びユーザのための手配置の安定性を向上させる。
【0030】
更に別の実装において、ピストン機構は、プッシャを(患者に向かって)前方に摺動させることによって、その第2の位置に移動可能である。プッシャが前進させられると、プッシャ内のランプがピストン機構を押し下げることがある。減圧されると、ピストンは、プッシャ内の空間に移動して、プッシャが自由に修道することを可能にすることができる。
【0031】
更に別の実装において、ピストン機構は、プッシャを(患者から離れて)後方に摺動させることによってその第2の位置に移動可能である。プッシャが引き戻されると、プッシャ内のランプがピストン機構を押し下げることができる。減圧されると、ピストンは、プッシャ内の空間に移動して、プッシャが自由に摺動することを可能にする。
【0032】
更に別の実装において、デバイスは、デバイスのプランジャ内でコネクタを使用することによって、流体で満たされてよい。プランジャ内の一方向弁が、流体が同じ経路(path)によってチャンバから出るのを防止する。
【0033】
更に別の実装において、デバイスは、トリガ機構と流体リザーバとの間に一方向弁を含む流体経路を通じて、デバイスの前方から流体で満たされてよい。
【0034】
更に別の実装において、デバイスは、トリガ機構を所定の位置に押し込んで、流体が通り、トリガ機構を充填手順中にこの位置に保持することによって、デバイスの前方から流体で満たされてよい。
【0035】
更に別の実装において、トリガ機構は、バネを含まない。この態様において、トリガピストンは、ピストンを下方又は上方に駆動するか或いはピストンを所定の位置に(下又は上に)保持するために、2つの面に加圧された圧力からの差動力を使用することがある。2つの面は、差動力を強化するために、異なるサイズであってよい。硬膜外腔に入るときのように、減圧されるときに、ピストン機構の2つの面は、異なる力を受けることがあり、それはピストンを上に駆動させ、プッシャが自由に摺動するのを可能にすることができる。
【0036】
更に別の実装において、トリガ機構は、摺動プッシャと干渉することがある少なくとも1つのピン、好ましくは2つのピン又は2つのピストンを使用し、更に別の実装において、2つのピストンは、摺動プッシャに等しくバランスの取れた力を提供することがある。
【0037】
別の実装において、デバイスは、膜が加圧されるときに摺動プッシャと係合するためのフレキシブルな又は膨張可能な膜を更に含む。硬膜外腔に入るときのように、減圧されるときに、膜は収縮して、摺動プッシャが自由に摺動するのを可能にすることがある。
【0038】
更に別の実装において、デバイスは、機構が加圧されたときに摺動プッシャと係合するための、コンプライアントな又はフレキシブルな機構を更に含む。硬膜外腔に入るときのように、減圧されるときに、コンプライアントな機構は後退して(retract)、摺動プッシャから外れて、プッシャが自由に摺動することを可能にすることがある。
【0039】
次に、添付図面を参照して実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】リザーバ、プランジャ、トリガ機構及びバネの内部動作を示す硬膜外デバイスの側断面図を示している。
【0041】
図1B】硬膜外針に取り付けられた、充填されてプライミングされていない(unprimed)状態における、図1Aに示すデバイスの側断面図を示している。
【0042】
図1C】硬膜外針に取り付けられた、充填されてプライミングされた(primed)状態における、図1Aに示すデバイスの断側断面図を示している。
【0043】
図1D】硬膜外針に取り付けられた、(硬膜外腔に入った後のような)、部分的に充填されてトリガされた(triggered)状態における、図1Aに示すデバイスの側断面図を示している。
【0044】
図1E図1A図1Dに示すデバイスの断面分解図を示している。
【0045】
図1F図1A図1Dに示すデバイスの分解図を示している。
【0046】
図1G図1A図1Fに示すデバイスの注釈付き等角図を示している。
【0047】
図2】デバイスの前方に向かって延びるプッシャのウイングのためのフランジを備える、図1に示すものに類似するデバイスの注釈付き等角図を示している。
【0048】
図3A】トリガ機構が、プッシャをデバイスの針端に向かって摺動させることによって摺動プッシャ内のランプによって係合可能である、デバイスの一実施形態の等角断面図を示しており、そのプライミングされていない状態にあるデバイスを示しいる。
図3B】トリガ機構が、プッシャをデバイスの針端に向かって摺動させることによって摺動プッシャ内のランプによって係合可能である、デバイスの一実施形態の等角断面図を示しており、そのプライミングされた状態におけるデバイスを示している。
図3C】トリガ機構が、プッシャをデバイスの針端に向かって摺動させることによって摺動プッシャ内のランプによって係合可能である、デバイスの一実施形態の等角断面図を示しており、そのトリガされた状態にあるデバイスを示している。
【0049】
図4A】トリガ機構が、プッシャをデバイスの針端から引き離すことによって摺動プッシャ内のランプによって係合可能である、デバイスの一実施形態の断面図を示しており、そのプライミングされていない状態にあるデバイスを示している。
図4B】トリガ機構が、プッシャをデバイスの針端から引き離すことによって摺動プッシャ内のランプによって係合可能である、デバイスの一実施形態の断面図を示しており、そのプライミングされた状態にあるデバイスを示している。
図4C】トリガ機構が、プッシャをデバイスの針端から引き離すことによって摺動プッシャ内のランプによって係合可能である、デバイスの一実施形態の断面図を示しており、そのトリガされた状態にあるデバイスを示している。
【0050】
図5】デバイス内の一方向弁が、デバイスの前面を通じるリザーバチャンバの充填を可能にすることがある、デバイスの一実施形態の断面図を示している。
【0051】
図6A】差圧がトリガピストン機構を上下に駆動させることがあるデバイスの一実施形態の等角断面図を示しており、そのプライミングされていない状態にあるデバイスを示している。
図6B】差圧がトリガピストン機構を上下に駆動させることがあるデバイスの一実施形態の等角断面図を示しており、そのプライミングされた状態にあるデバイスを示している。
図6C】差圧がトリガピストン機構を上下に駆動させることがあるデバイスの一実施形態の等角断面図を示しており、そのトリガされた状態にあるデバイスを示している。
【0052】
図7A】摺動プッシャをデバイスと係合させるために、デバイスの頂にある1つのトリガピン及びデバイスの底にある別のトリガピンの2つのトリガピンを使用するデバイスの一実施形態を示しており、そのプライミングされていない状態にあるデバイスを示している。
図7B】摺動プッシャをデバイスと係合させるために、デバイスの頂にある1つのトリガピン及びデバイスの底にある別のトリガピンの2つのトリガピンを使用するデバイスの一実施形態を示しており、そのプライミングされた状態にあるデバイスを示している。
図7C】摺動プッシャをデバイスと係合させるために、デバイスの頂にある1つのトリガピン及びデバイスの底にある別のトリガピンの2つのトリガピンを使用するデバイスの一実施形態を示しており、そのトリガされた状態にあるデバイスを示している。
【0053】
図8A】フレキシブル膜機構とトリガリングとを使用して摺動プッシャをデバイスの本体と係合させるするデバイスの一実施形態を示しており、そのプライミングされた状態にあるデバイスを示している。
図8B】フレキシブル膜機構とトリガリングとを使用して摺動プッシャをデバイスの本体と係合させるするデバイスの一実施形態を示しており、そのトリガされた状態にあるデバイスを示している。
【0054】
図9A】コンプライアント機構又は撓み(flexture)機構を使用して摺動プッシャをデバイスの本体と係合させるデバイスの一実施形態を示しており、そのプライミングされた状態にあるデバイスを示している。
図9B】コンプライアント機構又は撓み機構を使用して摺動プッシャをデバイスの本体と係合させるデバイスの一実施形態を示しており、そのトリガされた状態にあるデバイスを示している。
図9C】コンプライアント機構又は撓み機構を使用して摺動プッシャをデバイスの本体と係合させるデバイスの一実施形態を示しており、そのプライミングされた状態において摺動プッシャと係合されたコンプライアント機構の拡大図を示している。
図9D】コンプライアント機構又は撓み機構を使用して摺動プッシャをデバイスの本体と係合させるデバイスの一実施形態を示しており、そのトリガされた状態において、摺動プッシャが自由に動くことを可能にする、引っ込められたコンプライアント機構の拡大図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0055】
「垂直な(vertical)」、「垂直に(vertically)」、「水平な(horizontal)」、「水平に(horizontally)」、「頂(top)」、「底(bottom)」、「上向き(upward)」、「下向き(downward)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「前方(forward)」及び「後方(backward)」という用語の1つ以上が、本明細書を通じて使用される。これらの用語は、限定的であることを意図することが理解されるであろう。これらの用語は、便宜上使用され、例えば、添付の図面に例示するような、本明細書中の構成を記載する際の助けとして使用される。
【0056】
硬膜外デバイス(epidural device)の作動に関して本明細書中で使用されるような「流体(fluid)」という用語は、デバイスを充填して加圧するための液体又は気体、例えば、生理食塩水又は空気を指す。
【0057】
以下の目的は、硬膜外腔(epidural space)への針の進入を検出し、同時に針の更なる前方運動を抑制又は実質的に防止することができる硬膜外デバイスを提供することである。そのような機能性は、従来の抵抗消失(loss of resistance)技法を実施する間に生じ得る硬膜穿刺(dural puncture)の可能性を減少させることがある。好ましい態様において、デバイスは、硬膜外針(epidural needle)から周囲組織への流体のゆっくりとした流れがあるときに、早期のトリガを防止するように構成される。
【0058】
(圧力損失の設計)
図1図5を参照して記載する硬膜外デバイスは、バネ力とトリガバレル内のチャンバ圧力からの力との間の差動力(differential forces)に依存するトリガ機構を含む。これらのデバイスは、「プライミングされた(primed)」位置又は状態と「トリガされた(triggered)」(すなわち、プライミングされていない(unprimed))位置又は状態の間で設定可能(configurable)である。デバイスは、患者の背中に位置付けられる針に取り付けられ、引き続き、硬膜外腔内への硬膜外針の進入後に自動的にトリガされるときに、医師のようなユーザによって手動でプライミングされる(すなわち、プライミングされていない状態からプライミングされた状態にシフトされる)ことができる。プライミングされていない(トリガされた)状態は、硬膜外デバイスのデフォルト状態である。これらのデバイスの段階的な動作が、それらの構成の以下の記述に続いて記載される。
【0059】
図1Aは、第1の端又は開放端106と第2の端又は針コネクタ端130とを有する注射器本体101を含む硬膜外デバイス100を示している。注射器本体101は、図1Aに示すように、矩形断面を有する実質的に均一な形状を有することができる。注射器本体101は、異なる形状であってよい。例えば、注射器本体101は、異なる(すなわち、矩形ではない)多角形断面、例えば、六角形を有する細長い本体であってよい。図1Aにおいて、硬膜外デバイス100は、リザーバが流体(図示せず)で部分的に充填された、プライミングされていない位置において示されている。注射器本体101は、リザーバチャンバ144を含んでよく、リザーバチャンバ144は、リザーバチャンバ144を充填して加圧するためのプランジャ138を摺動可能に受け入れて保持するように成形される。リザーバプランジャ138は、プランジャ138を通じて延びる充填ポート140の長手軸に対して平行に移動可能であることができる。注射器本体101は、リザーバチャンバ144とトリガバレル131との間に延びる流体流量制限器146(fluid flow restrictor)を含んでよい。制限器146は、流体流がリザーバチャンバ144とトリガバレル131との間で生じるときに、それらの間で圧力降下を誘発することがある。制限器146の直径は、出口ポート132の直径よりも小さいことがある。図1Aに示すプライミングされていない位置において、リザーバチャンバ144とトリガバレル131との間の流体流は、一対のディスクシール126及び128によって遮断されることがある。デバイスは、ユーザが針コネクタ端130に接続される硬膜外針147(図1Bを参照)を前進させることができるスリーブ又はプッシャ111(pusher)を更に含む。プッシャ111は、注射器本体101上に摺動可能に配置されることができる。プッシャ111は、任意に、人間工学的な目的のために、外部フランジ又はウイング112、及び/又はテクスチャ又は形状を有することができる。以下に更に議論するように、プッシャ111は、デバイス100のトリガ機構と相互作用するように構成されることができる。
【0060】
充填ポート140は、充填コネクタ102とリザーバチャンバ144との間に流体連通を提供することがある。一方向弁104が、充填ポート140内に設けられて、逆流を防止又は実質的に防止し、リザーバチャンバ144が後端から充填されることを可能にし、それによって、充填中にデバイスを手でプライミング位置に保持しなければならないことを必要とすることがある出口ポート132を通じて針コネクタ端130からリザーバチャンバ144を充填する必要を除去する。プランジャ138の広がった部分141が、シール142と、環状ショルダ103とを含んでよい。
【0061】
デバイス100は、トリガバレル131内の流体の圧力に応答するように設計されたトリガ機構149を更に含み、トリガ機構149は、次いで、リザーバチャンバ144内の流体の圧力によって影響される。バイアス機構(付勢機構)、特にリザーババネ136が、開放端106を覆うことがあるリザーバキャップ109と環状ショルダ103との間に形成される空間137内で、プランジャ138の周囲に配置される。バネの代わりに、フレキシブルなゴム(例えば、弾性バンド)又は圧縮空気のような他のバイアス機構が実装されることができる。リザーバキャップ106に対して固着されるリザーババネ136は、リザーバプランジャ138を制限器146に向かう方向にバイアスすることができ、それによって、リザーバチャンバ144内の流体を加圧することができる。
【0062】
トリガ機構149は、その中にトリガピストンコア127を有するトリガピストン133を含んでよい。トリガピストン133は、トリガバレル131内に設けられてよく、第1の又は下方ディスクシール126及び第2の又は上方ディスクシール128が、トリガピストン133の外周に設けられてよい。トリガピストンコア127は、これらのコンポーネントが一緒に調和して移動し得るように、トリガピストン133に直接的に接続されることができる。第3の円周方向プライミングシール134が、トリガピストン133の周囲に配置されてよい。プライミングシール134、ディスクシール128、及びトリガバレルの壁145とトリガピストン133との間によって画定される空間を、トリガチャンバ150と呼ぶことがある。トリガピストンコア127は、プライミング又はトリガボタン114と、トリガバレル131の上面及び下面からそれぞれ延びるトリガピン122とを有してよい。トリガピストン133は、トリガバレル131内で摺動可能である。プライミングシール134及びディスクシール128は、トリガチャンバ150の頂端及び底端からの流体の漏出を実質的に防止することがある。トリガピストン133の2つのディスクシール126及び128は、トリガバレル壁145とトリガピストン133との間に摺動シールを作り出すことがある。プライミングシール134は、トリガピストン133とトリガバレル壁145のより狭い区画との間に摺動シールを作り出すことがある。トリガキャップ123は、トリガバレル131の開放端に接続して、閉じることができる。
【0063】
出口ポート132は、トリガバレル131の「前方」端(すなわち、デバイス100の針コネクタ端130の付近)に設けられてよい。出口ポート132は、硬膜外針147(図1B)に接続するために針コネクタ148(図1B)に取り外し可能に取り付け可能であることができる針コネクタ端130に至る。出口ポート132は、流体がトリガバレル131から出て、最終的に、針147を通じてデバイス100から出ることを可能にする。
【0064】
トリガバネ124は、トリガピン122と同心状に、トリガピン122の周囲に位置付けられることができ、トリガピストン133をトリガキャップ123から離すようにバイアスすることがある。トリガキャップ123は、トリガピン穴121と、通気穴120とを含んでよい。通気穴120は、任意であることができる。何故ならば、トリガピン穴121は、通気穴として二重にされることがあるからである。トリガキャップ123にある通気穴120は、トリガキャップ123とトリガバレル131とトリガピストン133との間に詰まった空気がトリガ機構149の摺動運動を妨げるのを実質的に防止することがある。よって、トリガピストンコア127及びトリガピン122は、トリガピン122がトリガピン穴121を通じて垂直に摺動することができるように、トリガピストン133及びトリガバレル131の内側に嵌合することができる。
【0065】
図1B図1Gは、様々な状態又は代替的な図における硬膜外デバイス100を示している。明瞭性のために、図1Aと比較して、より少ない要素が図1B図1Gに印されている。図1Bは、リザーバプランジャ138が、リザーバチャンバ144内の流体によって制限器146から離れて保持される、プライミングされていない充填状態にあるデバイス100を示している。図示のように、充填状態において、リザーババネ136は、少なくとも部分的に圧縮され、よって、リザーバチャンバ144内の流体を加圧することがある。この状態において、トリガチャンバ150とリザーバチャンバ144との間の流体連通は、上方ディスクシール128によって抑制されることができ、好ましくは実質的に防止されることができる。下方ディスクシール126は、流体がトリガキャップ123を通じてトリガバレル131の底から漏出するのを防止することがある。
【0066】
図1Cは、ボタン114が手で押し下げられて、トリガピストン133をトリガキャップ123に対して移動させ、それによって、トリガピン122がトリガピン穴121から延出するようにトリガピン122をシフトさせる、充填されてプライミングされた位置にあるデバイス100を示している。デバイスがプライミングされた位置にあるとき、摺動プッシャ111の軸方向の移動は、トリガピン122によって制限されることができる。より具体的には、針コネクタ端130に向かって軸方向に前進させられると、プッシャ111は、特定の点で、トリガピン122に当接し、それによって、本体101に対するプッシャ111の更なる摺動を実質的に防止する。プッシャ111がトリガピン122に当接すると、殆どの又は実質的に全ての力が、プッシャ111からデバイス100を通じて硬膜外針147に伝達されることができる(動作に関する以下の議論を参照)。
【0067】
図1Dは、硬膜外腔に入ることによって硬膜外針147が「遮断解除(unblocked)」され、その結果、制限器146に亘る圧力降下及びプライミングされていない状態に戻るトリガピストン133の引き続きの上向きの移動の後に予想されるような、部分的に充填されたトリガされた位置にあるデバイス100を示している。このトリガされた状態において、トリガピン122は、プッシャ111の摺動を防止せず、好ましくは、プッシャの摺動を全く妨げない。よって、(軸方向における)力伝達は、プッシャ111と本体101との間の摩擦力を除いて、実質的に減少されることがあり、好ましくは、プッシャ111と針147との間で防止され、それによって、硬膜外腔内への針147の更なる前進を防止することがある。
【0068】
図1E及び図1Fは、デバイス100のコンポーネント部の分解図を示しており、図1Eは、断面分解図を示している。
【0069】
図1Gは、組み立てられたデバイス100の等角図を示している。
【0070】
図2図5に示すデバイスは、図1に示すデバイス100と機能的に類似している。よって、類似の要素は、同じ参照番号を保持する。
【0071】
図2は、組み立てられた状態における類似の硬膜外デバイス200の等角図であり、プッシャ211は、延びたウイング212を有する。この構成において、ウイングは、針コネクタ(148、この画像には示されていない)と密接に整列させられ、ユーザのための改良された取扱いを提供することがある。
【0072】
図3は、デバイス100と類似の硬膜外デバイス300を示しているが、デバイス300は、プッシャを使用してトリガピストンを押し下げてデバイスをプライミングすることができるという点で、異なってプライミングされることができる。図3Aは、プライミングされていない位置にあるデバイス300を示している。デバイス300は、この例示的な実施形態において単一のコンポーネントであるトリガピストン352と、プライミングランプ351とリセットランプ353とを有するプッシャ311(pusher)とを含む。トリガピストン352は、上記トリガ機構149と同様に機能することがある。デバイス300は、プッシャ311を前方に摺動させることによってプライミングされることができ、それによって、プライミングランプ351は、トリガピストン352のプライミングボタン315と係合し、それによって、図3Bに示すように、プライミングボタンをプライミングされた状態に押し下げることがある。上述のように、トリガピン122は、トリガ穴121から延出し、プッシャ311の前方摺動を防止することがあり、よって、プッシャ311から力をデバイス300を通じて硬膜外針147(図示せず)に伝達することがある。図3Cは、トリガされた状態にあるデバイスを示しており、トリガピストン352は、上向きに移動することが許容され、よって、トリガピン122は、プッシャ311と係合されず、プッシャ311が、針147を有意に前進させずに或いは好ましくは全く前進させずに、前方に摺動することを可能にする。デバイスは、リセットランプ353を利用して必要に応じてトリガピストン352を操作して、トリガ機構を横切ってプッシャを摺動させることによってリセットされることができる。
【0073】
図4A図4Cは、デバイス100及び300に類似する別の硬膜外デバイス400を示している。デバイス400は、この場合には、摺動プッシャ411を針コネクタ端130から引き離すことによって、トリガピストン452をプライミングするために使用することができる、プッシャ411を含む。図4Aは、摺動プッシャ411が引き戻され、プライミングランプ451がトリガピストン452のプライミングボタン415と係合してプライミングボタン415をプライミング状態に押し下げ、それによって、トリガピン122がプッシャ411に画定されたショルダ413に当接することができるように、トリガピン122をトリガピン穴121から外向きに延出させる瞬間の、プライミングされた位置にあるデバイスを示している。図4Bもプライミングされた状態にあるが、摺動プッシャ411は、針コネクタ端130へのプッシャ411の更なる移動が抑制又は防止されるように、トリガピン122がショルダ413でプッシャ411と係合する程度まで、前方に押し出されている。この状態では、押込力の大部分が、プッシャ411からデバイス400を通じて硬膜外針147(図示せず)に伝達されることができ、それによって、針147を硬膜外腔に向かって前進させることを可能にする。図4Cは、トリガピン122がもはやショルダ413と係合しないことがあるように、硬膜外腔内への針147の進入に起因する圧力の低下がピン452を上向きに移動させる、トリガされた状態にあるデバイスを示している。その結果、プッシャ411は、針コネクタ端130に向かって更に摺動することがあり、よって、針147の前進は、抑制又は防止される。図4Cにおいて、プッシャ411は、その全範囲まで針コネクタ132に向かって移動させられている。
【0074】
上述のデバイスは、それぞれ、リザーバチャンバ内のバイアス機構によって加圧することができる流体で充填することができるリザーバチャンバを含む。リザーバチャンバは、制限器の前に流体を加圧するために必要とされないことがある。代わりに、例えば、充填ポート140は、バルブ104から制限器146まで延び、本体101と物理的に一体化されることができる(すなわち、ポート140は、本体101の長さを通じて制限器146まで延びることができる)。充填ポート140は、例えば、加圧流体ラインに接続されることによって加圧されることができる(すなわち、一方向弁104に通じる)。これはリザーバチャンバ144の必要性をなくすことができる。
【0075】
図5は、デバイス100に類似する別の硬膜外デバイス500を示している。このバージョンにおいて、リザーバチャンバは、図1Aに関して記載したように、充填ポート140を通じる代わりに、デバイスの前部にあるポート132を通じて充填される。よって、デバイス500は、プランジャ538を含むことができ、プランジャ538は、プランジャに画定されるそのような充填ポート140を有さない。従って、一方向弁104及び充填コネクタ102は、デバイス500において必要とされない。流体は、リザーバプランジャ538上に引き戻す手段によって、トリガチャンバ150を通じて並びに一方向弁555を通じてリザーバ144に入ることがある。機能的には、このデバイスは、他の点ではデバイス100に類似する。
【0076】
(差圧設計)
図6A図6Cは、差圧トリガ機構649を利用することができるが、他の点ではデバイス100に類似する、別の硬膜外デバイス600を示している。この例示的な実施形態において、トリガバネは、比較的広いリザーバコネクタ666によって注射器リザーバチャンバ144に接続されるトリガリザーバ665と置換されている。トリガピストン652は、垂直に移動可能であり、底でトリガキャップ623によって制約されることがある。デバイス100と同様に、トリガチャンバ650は、プライミングシール634及び上方ディスクシール628によって拘束されて(bound)よい。トリガリザーバ665は、下方ディスクシール626及びトリガリザーバシール668ならびにトリガキャップ623及びその関連するトリガキャップシール667によって拘束されてよい。
【0077】
差圧デバイス600の動作は、トリガチャンバ650及びトリガリザーバ665からのトリガピストン652に対する差動力に依存する。トリガピストン652上の水平面のサイズは、トリガチャンバ面660に対して比較的大きく、トリガリザーバ面661に対して比較的より小さいことができ、それはチャンバ650及び144が同じ又はほぼ同じ圧力にあるときに差動力を作り出すことができる。このデバイスの動作の詳細が以下に説明される。
【0078】
(追加的な設計)
図7A図7Cは、図1に示すデバイス100と機能的に類似するが、2つのピストンピン772を使用し、2つのピストンピン772は、加圧されると、デバイス700の頂及び底の両方から外向きに移動することができ、ひとたびプッシャ711がピン772に当接すると、プッシャ711の前方移動を抑制又は実質的に防止することができる、別の硬膜外デバイス700を示している。ピンとプッシャとの間の接触角は、ピストンピンがチャンバ内の圧力変化に応答して上下に移動し得るような角度であってよい。硬膜外腔に達すると、デバイスは減圧されることができ、ピストンピン772が内向きに摺動し、プッシャ711が前方に摺動することを可能にする。
【0079】
図7Aは、ピストンピン772が引っ込められた(retracted)、プライミングされていない状態にあるデバイス700を示している。図7Bは、ピストンピン772が延出され、プッシャ711の前方移動を停止する、プライミングされた状態にあるデバイス700を示している。図7Cは、プッシャが完全に前方に摺動された、トリガされた状態にあるデバイス700を示している。(例えば、硬膜外腔内への硬膜外針147(図示せず)の進入に起因して)、プライミングされたデバイスが遮断されていないとき、内部チャンバ内の圧力は減少されることがあり、ピストンピン772は内向きに移動して、プッシャ711が前方に移動することを可能にすることができる。
【0080】
図8A及び図8Bは、デバイス100と機能的に類似する別の硬膜外デバイス800を示している。硬膜外デバイス800は、注射器本体801を含み、注射器本体801は、その中に画定されたスリット881を有する。本体801は、その中に同軸に設けられたチューブ882を有する。スリット881は、本体801内に少なくとも部分的に収容されるプッシャ811の長手方向の移動を許容することがある。プッシャ811は、チューブ882の外周に設けられたリング883を含む。リング883は、チューブ882に沿って軸方向に摺動可能であり、リング883に接続される2つのウイング812を有することがあり、2つのウイングは、スリット881を通じて本体801から外に延出する。プッシャ811は、ウイング812に力を加えることによって、本体801内で本体801と同軸に摺動可能である。チューブ882は、チューブ882を出て、穴を囲む膜885に入ることができる、間の流体連通を許容するために、チューブに画定された少なくとも1つの穴884を有することができる。膜は、加圧に応答して膨張及び収縮することができ、図8Aにその膨張(加圧)状態で示されている。
【0081】
硬膜外針147(図示せず)が硬膜外腔に入ると、圧力の喪失は、膜885が収縮させ、それによって、リング883、よって、プッシャ811の移動を可能にする。プッシャ811が、図8Bに示すように、収縮した膜の上を摺動すると、プッシャ811に加えられる力の大部分は、針147に伝達されず、よって、針147の更なる前進は、抑制されることができる。
【0082】
図9A図9Dは、硬膜外デバイス900の更に別の例示的な実施形態を示している。デバイス800と同様に、デバイス900は、注射器本体901を含み、注射器本体901は、その中に画定されたスリット981を有する。本体901は、その中に同軸的に設けられたチューブ982を有する。スリット981は、本体901内に少なくとも部分的に収容されるプッシャ911の長手方向の移動を許容することがある。プッシャ911は、チューブ982の外周に摺動可能に配置されたスリーブ992を含む。スリーブ992は、チューブ982に沿って軸方向に摺動可能であり、スリーブ992に接続される2つのウイング912を有し、2つのウイング912は、スリット981を通じて本体901から延出する。プッシャ911は、ウイング912に力を加えることによって、本体901内に本体901と同軸に摺動可能である。チューブ982は、少なくとも1つの穴984を有してよく、流体は、少なくとも1つの穴984を通じて、チューブ982から出て、穴を取り囲むチューブ982のフレキシブル区画又はコンプライアント区画991に向かうことができる。フレキシブル区画991は、プラスチック又は別のフレキシブル材料から作られることができ、流体圧の上昇に曝されるときに、屈曲して外向きに曲がることがある。従前の例示的な実施形態に関して議論したように、デバイス900が流体で充填され、針147(図示せず)から流出する流体又は実質的な抵抗がないとき、チューブ982内の圧力は増加し得る。加圧されると、フレキシブル区画991は、フレキシブル区画991を取り囲むプッシャスリーブ992に押圧するように膨張し、それによって、プッシャスリーブ992とフレキシブル区画991との間に摩擦接合(frictional bond)を形成することができ、それはプッシャ911から半径方向に延びるウイング912への力の適用に応答して針の前進を可能にすることができる。この状態は、図9Aに示されており、図9Cに詳細に見ることができる。
【0083】
硬膜外腔に達すると、デバイス900内の圧力は低下して、フレキシブル区画991を崩壊させ、それによって、スリーブ992を係合解除する。このトリガされた状態におけるデバイス900は、図9Bに示されており、図9Dに詳細に見ることができる。スリーブ992、よって、プッシャ911は、いまや係合解除され、針147から自由に移動することができ、よって、針の更なる前進は停止される。
【0084】
取り外し可能に取り付け可能であるよりもむしろ、針147は、本開示のデバイスのいずれかと物理的に一体化されることができる。
【0085】
(圧力損失設計の動作(図1-5))
硬膜外デバイス100の動作が以下に記載される。上記のように、デバイス100、300、400及び500は、多数の類似の構成を有し、よって、それらの動作は類似する。デバイス300、400及び500の議論は、デバイス100に含まれない構成に限定される。
【0086】
トリガピストン133がトリガバレル131の上方端にあるときに、トリガピン122は、トリガキャップ123の外面内に引っ込められ、よって、プッシャ111の摺動を妨げないことがある。これはプライミングされていない或いはトリガされた位置であり、デバイスのためのデフォルト状態である。この位置において、制限器146は、トリガピストン133の2つのディスクシール126及び128の間の空間に実質的に整列させられ、リザーバチャンバ144とトリガチャンバ150との間の流体流は、実質的に又は完全に防止されることがある。
【0087】
トリガピストン133がトリガバレル131の底にあるときに、トリガピン122は、トリガキャップ123の外面を越えて延出し、プッシャ111の前方摺動運動を妨げることがある。これは、本明細書において、プライミングされた位置(primed position)と呼ばれる。トリガピストン133をデバイス100及び500内のこの位置に移動させるために、プライミングボタン114を押すことによってトリガバネ124を圧縮することがある。ピストンは、プッシャを前方に移動させ、プッシャを後方に摺動させることによって、デバイス300及び400内のそのような位置に移動させることができる。この位置において、制限器146は、トリガチャンバ150と整列させられて、リザーバ144とトリガチャンバ150との間の流体連通をそれぞれ可能にする。
【0088】
デバイスが殆ど又は完全に流体で充填され、針コネクタ端130で出口ポート132に取り付けられた硬膜外針147が遮断されるか或いは流体の流出に対して十分に抵抗を有するときに(例えば、針147が緻密な靭帯内にあるときに)、制限器146を通じる流体は殆ど又は全くないことがあり、従って、リザーバチャンバ144からトリガチャンバ150への圧力降下はない。この状態において、トリガチャンバ150内のチャンバ圧力に起因する力は、トリガ機構149をプライミングされた位置に維持することがある。硬膜外針147が「遮断されない(unblocked)」ときに(すなわち、流体の流出に対する抵抗が十分に減少するときに)、制限器を通じる流れが生じ、制限器146に亘る対応する圧力降下を引き起こして、リザーバチャンバ144に対するトリガチャンバ150内の圧力を減少させることがある。トリガチャンバ150内の圧力が、トリガバネ124を圧縮状態に並びにトリガピストン133をプライミングされた位置に維持するのに必要な圧力より下に降下すると、トリガバネ124は、トリガピストン133をトリガされた位置に押すことができる。そのような位置において、トリガピン122は、摺動プッシャ111と係合解除することがある。これは、ひいては、硬膜外腔内への硬膜外針147の更なる前進を自動的に抑制又は防止することがある。
【0089】
好ましくは、制限器146は、針147からの流体のゆっくりとした流出がデバイスをトリガすることなく起こり得るようなサイズにされる。これは、針147が硬膜外腔に入る前に、デバイス100がトリガされることを防止することがある。
【0090】
(差圧硬膜外デバイスの動作(図6))
ひとたびデバイス600が流体で充填されて、プライミングされると、そして、硬膜外針147が、例えば、靭帯内にある針先端によって、上述のように少なくとも部分的に遮断されると、制限器146に亘る流れが全く又は殆どなく、よって、圧力降下がない(或いは圧力降下は無視できる)ので、トリガリザーバ665及びトリガチャンバ650の圧力はほぼ等しい。チャンバ(665及び650)の圧力が等しいとき、トリガチャンバ面660のより大きな面積の故に、トリガピストン652のトリガチャンバ650側に対してより大きな力があることがあり、よって、デバイス600は、プライミングされた位置に留まることがある。この位置において、トリガピン622は、プッシャの軸方向の移動を妨げることがある。デバイスが流体で満たされているか或いは殆ど満たされている間に、硬膜外針が「遮断されない」とき(すなわち、流体の流出に対する抵抗が十分に減少するとき)、制限器146に亘る流体の流動及び圧力降下があることがあるので、トリガリザーバ665の圧力は、トリガチャンバ650の圧力よりも大きいことがある。圧力差が十分に大きいならば、トリガピストンのより小さな面661(トリガリザーバ)に対する力は、より大きな面660(トリガチャンバ)に対する力に打ち勝ち、トリガピストン652は、トリガされた位置に移動することができ、トリガされた位置で、トリガピン622は、プッシャが軸方向に針コネクタ端130に向かって摺動するのを妨げないことがある。
【0091】
しかしながら、硬膜外針147から(例えば、筋肉組織内への)十分にゆっくりとした流体の流れがあるならば、制限器に亘る圧力低下は、無視できることがあり、トリガピストン652に対する結果として生じる力は、早期のトリガを引き起こさないことがある。硬膜外針147が再び「遮断され」、リザーバ144内に依然として加圧された流体があるならば、トリガピストン652は、プライミングボタン614を押すことによってプライミングされた位置に戻されてよい。デバイスが流体を使い果たすならば、トリガピストンの面の各々に対する力は、両方ともゼロに減少することができ、トリガピストン652は、その最後の位置又は最新の位置に留まることがある。何故ならば、トリガピストン652をいずれかの方向に駆動する流体圧力がないからである。この場合、針147が硬膜外腔に達するとしても、デバイス600はトリガされないことがある。これは、リザーバ144が流体を使い果たすときに、ピストン652を上向きに押すようにピストン652と相互作用することができる傾斜ピン(図示せず)をリザーバプランジャ138内に組み込み、それによって、トリガピン622をプッシャ111から係合解除することによって克服されることがある。
【0092】
デバイス700、800及び900の各々は、トリガ機構及びプッシャ構成に対する変形を使用して、上述したのと類似の態様で操作される。図示しないが、デバイス700、800及び900におけるトリガ機構は類似のトリガ応答を達成するために、例えば、出口ポートから患者内への流体の流出を制限して、早期トリガの可能性を減少させるために、図1A図1D及び図3A図5を参照して記載したものと類似の構成と組み合わされることができる。
【0093】
本明細書に記載する硬膜外デバイスの自動係合解除機構は、上記で議論していない他の用途を有することがある。如何なる理論にも拘束されることなく、本開示に従った係合解除機構を含む針及び注射器デバイスは、他の医療用途のために構成されることができると考えられる。より一般的には、本明細書に記載する自動係合解除機構は、針を針からの流出に対する比較的高い抵抗を有する1つ以上の材料を通じて針からの流出に対する比較的低い抵抗を有する材料内に進めること及び最終的に低抵抗材料を越えた針の望ましくない前進を抑制又は防止することが望ましいときに適用されてよい。本記述は、押込手段を硬膜外針から係合解除させるための如何なる特定のトリガ機構にも限定されない。
【0094】
例示の簡潔性及び明瞭性のために、適切と考えられる場合には、対応する又は類似の要素を示すために、図の間で参照番号を繰り返すことがある。加えて、本明細書に記載する例の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本明細書に記載する例がこれらの特定の詳細なしに実施されることがあることが、当業者によって理解されるであろう。他の例において、周知の方法、手順及びコンポーネントは、本明細書に記載する例を曖昧にしないように詳細には説明されていない。また、本記述は、本明細書に記載する例の範囲を限定するものとして考えられてならない。
【0095】
本明細書で使用される例及び対応する図は、専ら例示の目的のためであることが理解されるであろう。本明細書に表現される原理から逸脱することなく、異なる構成及び用語を使用することができる。例えば、これらの原理から逸脱することなく、コンポーネント及びモジュールを、異なる接続で追加、削除、修正又は配置することができる。
【0096】
特定の具体的な例を参照して上記原理を記載したが、添付の特許請求の範囲に概説されているように、それらの様々な修正が当業者に明らかであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A.9C】
図9B.9D】
【手続補正書】
【提出日】2021-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能である出口と
記本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、
前記本体に画定され、流体を受け入れるように構成される、第1のチャンバと、
前記本体に画定され、前記流体を前記出口まで運ぶように構成される、第2のチャンバと
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の流体連通を提供するための前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の流量制限器であって、前記出口の直径よりも小さい直径を有する、流量制限器と、を含み、
前記第1のチャンバは、前記第1のチャンバを加圧するために前記第1のチャンバの内に位置付けられる第1のバイアス機構を有し、
前記第2のチャンバは、前記第2のチャンバの内に設けられるピストンを有し、該ピストンは、
前記ピストンが前記流量制限器から離れて移動され、前記流体が前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間を進むことができる、プライミングされた位置と、
前記ピストンが前記流量制限器を覆い、前記流体が前記出口を介して前記第2のチャンバから出ることができる、トリガされた位置と
の間で移動可能であり、
前記プライミングされた位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動することを抑制するために、前記ピストンの延長部によって係合可能であり、
前記トリガされた位置において、前記スリーブは、前記ピストンの前記延長部によって係合可能でなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
硬膜外デバイス。
【請求項2】
前記第1のチャンバは、前記入口から前記流体を受け入れるように構成され、前記流量制限器とは反対のその内に開口を有し、当該硬膜外デバイスは、前記開口を通じて前記チャンバ内に延びるプランジャを更に含み、該プランジャは、
前記入口と前記第1のチャンバとの間で流体連通を提供するために前記プランジャの内に画定される流れポートと、
前記第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、
前記チャンバの外側に位置付けられ、前記入口と係合するように構成される、近位端とを有する、
請求項1に記載の硬膜外デバイス。
【請求項3】
前記第1のチャンバは、前記流量制限器との反対のその内に開口を有し、当該硬膜外デバイスは、前記開口を通じて前記チャンバ内に延びるプランジャを更に含み、該プランジャは、
前記第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、
前記チャンバの外側に位置付けられる近位端と、を有する、
請求項1に記載の硬膜外デバイス。
【請求項4】
前記第1のバイアス機構は、前記プランジャの前記遠位端及び前記チャンバの前記開口の中間の前記プランジャの周囲で前記チャンバ内に設けられるバネである、請求項2又は3に記載の硬膜外デバイス。
【請求項5】
前記第1のチャンバを満たすための充填ポートが、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に延在し、前記充填ポートは、前記第2のチャンバから前記第1のチャンバへの流れを許容する一方向弁を含む、請求項3又は4に記載の硬膜外デバイス。
【請求項6】
前記流量制限器は、当該硬膜外デバイスが前記プライミングされた位置にあるときに、前記流体の少なくとも一部が、当該硬膜外デバイスをトリガすることなく、前記出口を通じて前記第2のチャンバから出ることができる、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項7】
第2のバイアス機構が第2のチャンバ内に配置され、前記第2のバイアス機構は前記第1のバイアス機構よりも弱い、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項8】
前記第2のバイアス機構は、バネである、請求項7に記載の硬膜外デバイス。
【請求項9】
前記ピストンは、前記ピストンから半径方向に延びるディスクを含み、該ディスクは、前記第1のチャンバをトリガチャンバとリザーバチャンバとに分割し、前記トリガチャンバ及び前記リザーバチャンバに第1及び第2の環状面をそれぞれ有し、前記リザーバチャンバは、前記リザーバチャンバと前記第1のチャンバとの間に延在する流動チャネルを介して前記第1のチャンバと流体連通することができ、
当該硬膜外デバイスが前記プライミングされた位置にあるときに、前記ディスクは、前記流動チャネル及び前記流量制限器の中間に位置付けられ、前記トリガチャンバは、前記第1のチャンバ及び前記出口と流体連通することができ、
当該硬膜外デバイスが前記トリガされた位置にあるときに、前記ディスクは、前記流量制限器を覆い。前記トリガチャンバは、前記第1のチャンバと流体連通することができない、
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項10】
前記トリガチャンバと前記リザーバチャンバとの間に力の差が作り出されるように、前記第1の環状面は、前記第2の環状面の表面積よりも大きい表面積を有する、請求項9に記載の硬膜外デバイス。
【請求項11】
前記ピストンは、前記延長部とは反対のその端に、当該硬膜外デバイスをプライミングするために前記延長部に向かう方向にユーザによって押圧可能なボタンを含む、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項12】
前記スリーブは、当該硬膜外デバイスの前記本体に向かって前記スリーブから延びる突起を含み、該突起は、前記スリーブが前記ピストンの上を摺動するときに前記ピストンのボタンを押圧することによって当該硬膜外デバイスをプライミングするように構成され、前記ボタンは、前記延長部とは反対の前記ピストンの端に取り付けられる、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の硬膜外デバイス。
【請求項13】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能である出口と
記本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、
前記本体に画定され、前記入口から流体を受け入れるように構成される、流体通路と、
前記本体に画定され、前記流体を前記出口まで運ぶように構成される、圧力チャンバと
前記流体通路と前記圧力チャンバとの間で流体連通を提供するための、前記流体通路と前記圧力チャンバとの間の流量制限器であって、前記出口の直径よりも小さい直径を有する、流量制限器と、を含み、
前記圧力チャンバは、その内に設けられるピストンを有し、該ピストンは、
前記ピストンが前記流量制限器から離れて移動され、前記流体が前記流体通路と前記圧力チャンバとの間を進むことができる、プライミングされた位置と、
前記ピストンが前記流量制限器を覆い、前記流体が前記出口を介して前記圧力チャンバから出ることができる、トリガされた位置と
の間で移動可能であり、
前記プライミングされた位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記ピストンの延長部によって係合可能であり、
前記トリガされた位置において、前記スリーブは、前記ピストンの前記延長部によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
硬膜外デバイス。
【請求項14】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能である出口と
前記本体の外面に摺動可能に配置されるスリーブであって、前記本体は、前記入口と前記出口との間で流体を連通するために前記本体の内に画定されるチャンバを有する、スリーブと、
前記チャンバを加圧するためのバイアス機構と、
前記スリーブと係合するためのトリガ機構とを含み、
前記トリガ機構は、前記チャンバ内に少なくとも部分的に収容され、前記チャンバ内の圧力減少によって第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記トリガ機構によって係合可能であり、
前記第2の位置において、前記スリーブは、前記トリガ機構によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
硬膜外デバイス。
【請求項15】
前記トリガ機構は、第1の端と、第2の端とを有する、少なくとも1つのピストンを含み、前記第1の端は、前記第1の端が前記バイアス機構によって作用されることができるように、前記チャンバ内に位置付けられ、前記第2の端は、前記本体を通じて半径方向に外向きに延び、
前記第1の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能である程度まで、前記本体から半径方向に突出し、
前記第2の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能ではないように、当該硬膜外デバイスが前記第1の位置にあるときよりも前記本体により近く位置付けられる、
請求項14に記載の硬膜外デバイス。
【請求項16】
前記トリガ機構は、前記バイアス機構によって膨張させられることができる膨張可能な膜を含み、
前記第1の位置において、前記膨張可能な膜は、前記スリーブが前記膜によって係合可能である程度まで膨張させられ、
前記第2の位置において、前記膨張可能な膜は、前記スリーブが前記膜によって係合可能ではない程度まで収縮される、
請求項14に記載の硬膜外デバイス。
【請求項17】
前記トリガ機構は、前記バイアス機構によって拡張させられることができるコンプライアントなコンポーネントを含み、
前記第1の位置において、前記コンプライアントなコンポーネントは、前記スリーブが前記コンプライアントなコンポーネントによって係合可能である程度まで拡張され、
前記第2の位置において、前記コンプライアントなコンポーネントは、前記スリーブが前記コンプライアントなコンポーネントによって係合可能ではない程度まで収縮される、
請求項14に記載の硬膜外デバイス。
【請求項18】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能である出口と、
前記本体によって画定され、前記入口と前記出口との間で流体を連通するためにある、チャンバと、
前記本体の周りに取り付けられ、前記長手軸に沿って選択的に移動可能である、保持可能な表面と、
前記保持可能な表面と選択的に係合するためにあり、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である、係合解除機構であって、
前記第1の位置において、前記係合解除機構は、前記保持可能な表面と係合して、前記保持可能な表面が前記出口に向かって軸方向に移動することを抑制し、それによって、前記保持可能な表面の前進による前記針の前進を促進し、
前記第2の位置において、前記保持可能な表面は、前記出口に向かって軸方向に移動可能であり、前記保持可能な表面の前進による前記針の前進が抑制される、
前記係合解除機構と、
前記チャンバを加圧するためのバイアス機構と、を含み、
前記保持可能な表面は、前記本体の外面に摺動可能に配置されるスリーブを含み、前記係合解除機構は、前記スリーブと係合するトリガ機構を含み、該トリガ機構は、前記チャンバ内に少なくとも部分的に収容され、前記チャンバ内の圧力減少によって前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記トリガ機構によって係合可能であり、
前記第2の位置において、前記スリーブは、前記トリガ機構によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
硬膜外デバイス。
【請求項19】
前記トリガ機構は、第1の端と、第2の端とを有する、少なくとも1つのピストンを含み、前記第1の端は、前記第1の端が、前記バイアス機構によって作用され得るように、前記チャンバ内に位置付けられ、前記第2の端は、前記本体を通じて半径方向に外向きに延び、
前記第1の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能である程度まで、前記本体から半径方向に突出し、
前記第2の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能ではないように、当該硬膜外デバイスが前記第1の位置にあるときよりも前記本体により近く位置付けられる、
請求項18に記載の硬膜外デバイス。
【請求項20】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能な出口と、
前記本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、
前記本体に画定され、流体を受け入れるように構成される、第1のチャンバと、
前記本体に画定され、前記流体を前記出口まで運ぶように構成される、第2のチャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間で流体連通を提供するための、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間の流量制限器と、を含み、該流量制限器は、前記出口の直径よりも小さい直径を有し、
前記第1のチャンバは、前記第1のチャンバを加圧するためにその内に位置付けられる第1のバイアス機構を有し、
前記第2のチャンバは、その内に設けられるピストンを有し、該ピストンは、
前記ピストンが前記流量制限器から離れて移動され、前記流体が前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間を通ることができる、プライミングされた位置と、
前記ピストンが前記流量制限器を覆い、前記流体が前記出口を介して前記第2のチャンバから出ることができる、トリガされた位置と
の間で移動可能であり、
前記プライミングされた位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記ピストンの延長部によって係合可能であり、
前記トリガされた位置において、前記スリーブは、前記ピストンの前記延長部によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
注射器デバイス。
【請求項21】
前記第1のチャンバは、前記入口から前記流体を受け入れるように構成され、前記流量制限器とは反対のその内に開口を有し、当該注射器デバイスは、前記開口を通じて前記チャンバ内に延びるプランジャを更に含み、該プランジャは、
前記入口と前記第1のチャンバとの間で流体連通を提供するためにその内に画定される流れポートと、
前記第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、
前記チャンバの外側に位置付けられ、前記入口と係合するように構成される、近位端と、を有する、
請求項20に記載の注射器デバイス。
【請求項22】
前記第1のチャンバは、前記流量制限器とは反対のその内に開口を有し、当該注射器デバイスは、前記開口を通じて前記チャンバ内に延びるプランジャを更に含み、該プランジャは、
前記第1のチャンバ内に位置付けられる遠位端と、
前記チャンバの外側に位置付けられる近位端と、を有する、
請求項20に記載の注射器デバイス。
【請求項23】
前記第1のバイアス機構は、前記プランジャの前記遠位端及び前記チャンバの前記開口の中間の前記プランジャの周囲で前記チャンバ内に設けられるバネである、請求項21又は22に記載の注射器デバイス。
【請求項24】
前記第1のチャンバを満たす充填ポートが、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に延在し、前記充填ポートは、前記第2のチャンバから前記第1のチャンバへの流れを許容する一方向弁を含む、請求項22又は23に記載の注射器デバイス。
【請求項25】
前記流量制限器は、当該注射器デバイスが前記プライミングされた位置にあるときに、前記流体の少なくとも一部が、当該注射器デバイスをトリガすることなく、前記出口を通じて前記第2のチャンバから出るような、サイズとされる、請求項20~24のうちのいずれか1項に記載の注射器デバイス。
【請求項26】
第2のバイアス機構が、前記第2のチャンバ内に配置され、前記第2のバイアス機構は、前記第1のバイアス機構よりも弱い、請求項20~25のうちのいずれか1項に記載の注射器デバイス。
【請求項27】
前記第2のバイアス機構は、バネである、請求項26に記載の注射器デバイス。
【請求項28】
前記ピストンは、前記ピストンから半径方向に延びるディスクを含み、該ディスクは、前記第1のチャンバをトリガチャンバとリザーバチャンバとに分割し、前記トリガチャンバ及び前記リザーバチャンバ内に第1の環状面及び第2の環状面をそれぞれ有し、前記リザーバチャンバは、前記リザーバチャンバと前記第1のチャンバとの間に延びる流れチャネルを介して前記第1のチャンバと流体連通することができ、
当該注射器デバイスが前記プライミングされた位置にあるときに、前記ディスクは、前記流れチャネル及び前記流量制限器の中間に位置付けられ、前記トリガチャンバは、前記第1のチャンバ及び前記出口と流体連通することができ、
当該注射器デバイスが前記トリガされた位置にあるときに、前記ディスクは、前記流量制限器を覆い、前記トリガチャンバは、前記第1のチャンバと流体連通することができない、
請求項20~25のうちのいずれか1項に記載の注射器デバイス。
【請求項29】
前記第1の環状面は、力の差が前記トリガチャンバと前記リザーバチャンバとの間に作り出されるように、前記第2の環状面の表面積よりも大きい表面積を有する、請求項28に記載の注射器デバイス。
【請求項30】
前記ピストンは、前記延長部とは反対のその端に、当該注射器デバイスをプライミングするために前記延長部に向かう方向においてユーザによって押圧可能なボタンを含む、請求項20~29のうちのいずれか1項に記載の注射器デバイス。
【請求項31】
前記スリーブは、当該注射器デバイスの前記本体に向かって前記スリーブから延びる突起を含み、該突起は、前記スリーブが前記ピストンの上を摺動するときに、前記ピストンのボタンを押し下げることによって、当該注射器デバイスをプライミングするように構成され、前記ボタンは、前記延長部とは反対の前記ピストンの端に取り付けられる、請求項20~29のうちのいずれか1項に記載の注射器デバイス。
【請求項32】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能である出口と、
前記本体の外面の周りに摺動可能に配置されるスリーブと、
前記本体に画定され、前記入口から流体を受け入れるように構成される、流体通路と、
前記本体に画定され、前記流体を前記出口まで運ぶように構成される、圧力チャンバと、
前記流体通路と前記圧力チャンバとの間で流体連通を提供するための、前記流体通路と前記圧力チャンバとの間の流量制限器であって、前記出口の直径よりも小さい直径を有する、流量制限器と、を含み、
前記圧力チャンバは、その内に設けられるピストンを有し、該ピストンは、
前記ピストンが前記流量制限器から離れて移動され、前記流体が前記流体通路と前記圧力チャンバとの間を進むことができる、プライミングされた位置と、
前記ピストンが前記流量制限器を覆い、前記流体が前記出口を介して前記圧力チャンバから出ることができる、トリガされた位置と
の間で移動可能であり、
前記プライミングされた位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記ピストンの延長部によって係合可能であり、
前記トリガされた位置において、前記スリーブは、前記ピストンの前記延長部によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
注射器デバイス。
【請求項33】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能である出口と、
前記本体の外面に摺動可能に配置されるスリーブであって、前記本体は、前記入口と前記出口との間で流体を連通するために前記本体の内に画定されるチャンバを有する、スリーブと、
前記チャンバを加圧するバイアス機構と、
前記スリーブと係合するトリガ機構とを含み、該トリガ機構は、前記チャンバ内に少なくとも部分的に収容され、前記チャンバ内の圧力減少によって第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記トリガ機構によって係合可能であり、
前記第2の位置において、前記スリーブは、前記トリガ機構によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
注射器デバイス。
【請求項34】
前記トリガ機構は、第1の端と、第2の端とを有する、少なくとも1つのピストンを含み、前記第1の端は、前記第1の端が前記バイアス機構によって作用され得るように、前記チャンバ内に位置付けられ、前記第2の端は、前記本体を通じて半径方向に外向きに延び、
前記第1の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能である程度まで、前記本体から半径方向に突出し、
前記第2の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能ではないように、当該注射器デバイスが前記第1の位置にあるときよりも前記本体により近く位置付けられる、
請求項33に記載の注射器デバイス。
【請求項35】
前記トリガ機構は、前記バイアス機構によって膨張させられることができる膨張可能な膜を含み、
前記第1の位置において、前記膨張可能な膜は、前記スリーブが前記膜によって係合可能である程度まで膨張させられ、
前記第2の位置において、前記膨張可能な膜は、前記スリーブが前記膜によって係合可能ではない程度まで収縮される、
請求項33に記載の注射器デバイス。
【請求項36】
前記トリガ機構は、前記バイアス機構によって拡張させられることができるコンプライアントなコンポーネントを含み、
前記第1の位置において、前記コンプライアントなコンポーネントは、前記スリーブが前記コンプライアントなコンポーネントによって係合可能である程度まで拡張され、
前記第2の位置において、前記コンプライアントなコンポーネントは、前記スリーブが前記コンプライアントなコンポーネントによって係合可能ではない程度まで収縮される、
請求項33に記載の注射器デバイス。
【請求項37】
長手軸を備える細長い本体と、
入口と、
貫通する通路を有する針に取り外し可能に取り付け可能である出口と、
前記本体によって画定され、前記入口と前記出口との間で流体を連通するためにある、チャンバと、
前記本体の周りに取り付けられ、前記長手軸に沿って選択的に移動可能である、保持可能な表面と、
前記保持可能な表面と選択的に係合するためにある係合解除機構であって、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である係合解除機構と、を含み、
前記第1の位置において、前記係合解除機構は、前記保持可能な表面と係合して、前記保持可能な表面が前記出口に向かって軸方向に移動することを抑制し、それによって、前記保持可能な表面の前進による前記針の前進を促進し、
前記第2の位置において、前記保持可能な表面は、前記出口に向かって軸方向に移動可能であり、前記保持可能な表面の前進による前記針の前進が抑制される、
注射器デバイス。
【請求項38】
前記保持可能な表面は、前記本体の外面に摺動可能に配置されるスリーブを含み、前記係合解除機構は、前記スリーブと係合するためのトリガ機構を含み、該トリガ機構は、前記チャンバ内に少なくとも部分的に収容され、前記チャンバ内の圧力減少によって前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動可能であり、
前記第1の位置において、前記スリーブは、前記スリーブが前記出口に向かって軸方向に移動するのを抑制するために、前記トリガ機構によって係合可能であり、
前記第2の位置において、前記スリーブは、前記トリガ機構によって係合可能ではなく、前記スリーブは、前記出口に向かって軸方向に移動可能である、
請求項37に記載の注射器デバイス。
【請求項39】
前記チャンバを加圧するためのバイアス機構を更に含む、請求項37又は38に記載の注射器デバイス。
【請求項40】
前記トリガ機構は、第1の端と、第2の端とを有する、少なくとも1つのピストンを含み、前記第1の端は、前記第1の端が、前記バイアス機構によって作用され得るように、前記チャンバ内に位置付けられ、前記第2の端は、前記本体を通じて半径方向に外向きに延び、
前記第1の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能である程度まで、前記本体から半径方向に突出し、
前記第2の位置において、前記第2の端は、前記スリーブが前記第2の端によって係合可能ではないように、当該注射器デバイスが前記第1の位置にあるときよりも前記本体により近く位置付けられる、
請求項39に記載の注射器デバイス。
【請求項41】
当該注射器デバイスは、硬膜外デバイスであり、前記針は、硬膜外針である、請求項20~40のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項42】
請求項37~40のうちのいずれか1項に記載の注射器デバイスを用いて患者の身体内の空間に針を選択的に前進させる方法であって、前記針は、前記針を通じる通路を有し、当該方法は、
前記チャンバを流体で少なくとも部分的に満たすことと、
前記保持可能な表面を把持することと、
前記針を前記患者の身体に挿入することと、
前記保持可能な表面の引き続きの軸方向の移動を介して、前記患者の身体を通じて前記医療針を、前記空間に達するまで前進させることと、を含み、
前記係合解除機構は、前記空間への前記針の曝露によって誘発される前記チャンバ内の圧力降下に応答して、前記第1の位置から前記第2の位置に移動し、それによって、前記保持可能な表面の前進による前記針の前進が抑制される、
方法。
【請求項43】
前記注射器デバイスは、硬膜外デバイスであり、前記針は、硬膜外針である、請求項42に記載の方法。
【国際調査報告】