(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】宿主細胞タンパク質が減少し、ポリソルベート-80安定性が増加した、抗CTLA4モノクローナル抗体を含む方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20221228BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
C07K16/28
C07K1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518012
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020051355
(87)【国際公開番号】W WO2021061504
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(72)【発明者】
【氏名】チミエロフスキー,レベッカ・エー
(72)【発明者】
【氏名】インサイドー,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジャスティン・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ロウシュ,デイビッド・ジェー
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,ジョン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ダーシニ
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本明細書では、クロマトグラフィープロセスにおいて生成タンパク質から宿主細胞リパーゼを分離する方法、およびクロマトグラフィープロセスを使用して生成タンパク質から宿主細胞リパーゼを分離することによって、生成タンパク質製剤内のポリソルベート-80安定性を改善する方法が提供される。本明細書ではまた、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む組成物も提供される。別の態様では、そのような組成物は、低下したレベルの宿主細胞タンパク質および/または増加したレベルのポリソルベート-80(PS-80)安定性をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、
(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、
(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、
(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および
(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤
(vi)ここで、PLBL2、LPLA2およびLPLのレベルが、CTLA4抗体1ml当たり≦1ngである、を含む組成物。
【請求項2】
(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、
(vii)約5mM~約20mMの緩衝液、
(viii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、
(ix)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および
(x)約1mM~約20mMの抗酸化剤、
(xi)宿主細胞リパーゼの残存量であって、宿主細胞リパーゼの前記残存量が、2ppm未満である、
を含む、組成物。
【請求項3】
抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、宿主細胞リパーゼの残存量、および、ポリソルベート-80を含む組成物であって、前記組成物が、安定なポリソルベート-80濃度を含み、ここで、前記安定なPS80濃度が、10%以下のPS-80分解のままである組成物。
【請求項4】
前記リパーゼが、ホスホリパーゼB様2(PLBL2)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、リソソームホスホリパーゼA2(LPLA2)、ホスホリパーゼA2 VII(LP-PLA2)およびリソソーム酸リパーゼA(LAL)からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
PLBL2、LPLA2およびLPLのレベルが≦1ng/mgである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のPLBL2を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLPLA2を含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLPLを含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLP-PLA2を含む、請求項3~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLALを含む、請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記PS-80分解が、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、インタクトなPS-80分子の量によって測定される、請求項3~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記PS-80分解が、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、分解生成物の量によって測定される、請求項3~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項3~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、25mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項3~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物が、50mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項3~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%のPS-80、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含む、請求項3~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記PS-80濃度が、時間0の結果と比較して±0.02mg/mLのままである、請求項3~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記PS-80分解が、25℃で少なくとも6ヶ月間にわたって10%以下のままである、請求項3~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記緩衝液が、L-ヒスチジン緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液である、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記非還元糖がスクロースである、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗酸化剤が、メチオニンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記抗CTLA4抗体が、
i.配列番号14、15および16に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、
ii.配列番号14、15および17に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、または
iii.配列番号14、15および18に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記抗CTLA4抗体が、重鎖可変領域
a.配列番号19に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号20に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
b.配列番号21に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号22に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
c.配列番号23に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号24に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
d.配列番号25に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号24に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
e.配列番号26に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号27に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
f.配列番号28に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号29に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、または
g.配列番号30に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号31に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
組成物が、第1のプロテインAクロマトグラフィー工程、第2のアニオン交換クロマトグラフィー工程および第3のカチオン交換工程を含むプロセスによって精製され、それによって、精製された組成物を生成する、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ホスホリパーゼB様2(PLBL2)の残存量、および、ポリソルベート-80を含む組成物であって、ここで、前記組成物が、安定なポリソルベート-80濃度を含み、ここで、前記安定なPS80濃度が10%以下のPS-80分解のままである、組成物。
【請求項26】
組成物が、1ng/mg未満のPLBL2を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記PS-80分解が、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、インタクトなPS-80分子の量によって測定される、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
前記PS-80分解が、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、分解生成物の量によって測定される、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
組成物が、25mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項25~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
組成物が、50mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
組成物が、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%のポリソルベート-80、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルが≦1ng/mgであり、そして、6ヶ月後の平均ポリソルベート-80分解が10%以下である、請求項25~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記ポリソルベート-80濃度が、時間0の結果と比較して±0.02mg/mLのままである、請求項25~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
PS-80分解が、25℃で少なくとも6ヶ月間にわたって10%以下のままである、請求項25~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記緩衝液が、L-ヒスチジン緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液である、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
前記非還元糖がスクロースである、請求項32に記載の組成物。
【請求項37】
前記抗酸化剤が、メチオニンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
前記抗CTLA4抗体が、
iv.配列番号14、15および16に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、
v.配列番号14、15および17に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、または
vi.配列番号14、15および18に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、を含む、請求項32~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記抗CTLA4抗体が、
a.配列番号19に記載のアミノ酸の配列、および配列番号20に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
b.配列番号21に記載のアミノ酸の配列、および配列番号22に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
c.配列番号23に記載のアミノ酸の配列、および配列番号24に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
d.配列番号25に記載のアミノ酸の配列、および配列番号24に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
e.配列番号26に記載のアミノ酸の配列、および配列番号27に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
f.配列番号28に記載のアミノ酸の配列、および配列番号29に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、または
g.配列番号30に記載のアミノ酸の配列、および配列番号31に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、を含む重鎖可変領域を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
第1のプロテインAクロマトグラフィー工程、第2のアニオン交換クロマトグラフィー工程および第3のカチオン交換工程を含むプロセスによって精製され、それによって、精製された組成物を生成する、請求項32~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
精製された抗CTLA4モノクローナル抗体組成物であって、ここで、前記組成物は、第1のプロテインAクロマトグラフィー工程、第2のアニオン交換クロマトグラフィー工程および第3のカチオン交換工程を含むプロセスによって精製され、それによって、精製された組成物を生成し、ここで、ハムスターPLBL2の量が1ng/mg未満であり、前記組成物が、安定なポリソルベート-80濃度を含み、ここで、前記安定なPS80濃度が10%以下のPS-80分解のままである、精製された抗CTLA4モノクローナル抗体組成物。
【請求項42】
組成物内のPS-80安定性を改善する方法であって、ここで、前記組成物は、プロテインA、アニオン交換およびカチオン交換からなる3つのクロマトグラフィー工程を含む精製プロセスによって精製され、ここで、前記組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルが抗CTLA4抗体1mg当たり≦1ngである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、クロマトグラフィープロセスにおいて生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)から宿主細胞タンパク質(HCP)(例えばリパーゼ)を分離する方法が提供される。本明細書ではまた、クロマトグラフィープロセスを使用して生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を分離することによって、生成タンパク質製剤(例えば、医薬物質製剤または医薬品製剤)内のポリソルベート-80(PS-80)安定性を改善する方法も提供される。本明細書ではまた、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む組成物も提供される。別の態様では、PS-80安定性のレベルが増加したそのような組成物は、低下したレベルの宿主細胞タンパク質をさらに含む。
【背景技術】
【0002】
生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)のバイオプロセスおよび製造では、HCP(例えばリパーゼ)は、生成タンパク質から除去することが多くの場合困難な不純物の一部を構成する。そのような不純物は、バイオ医薬品の安全性および有効性に対して様々な問題を引き起こす可能性がある。世界中の規制当局は、バイオ医薬品が、不純物のレベル、ならびに不純物の検出および定量のための試験を含む特定の許容基準を満たすことを要求している。したがって、生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を除去するための効率的かつ効果的なプロセスを開発することが望ましい。
【0003】
CTLA4 mAbまたはCTLA4リガンドは、CTLA4がその天然のリガンドに結合するのを防ぎ、それによって、CTLA4によるT細胞負調節シグナルの伝達を遮断し、様々な抗原に対するT細胞の応答性を高めることができる。この局面では、インビボ試験およびインビトロ試験からの結果は実質的に一致している。CTLA-4は、黒色腫の単剤療法として、または黒色腫、腎癌、マイクロサテライト不安定性を伴う結腸直腸癌に対する抗PD-1抗体ニボルマブとの併用療法の一部として、ヒトに使用するためのイピリムマブのFDA承認後の免疫療法標的として検証された。(Zhang,P.,et al.Mechanism and Immune Landscape Based ranking of Therapeutic Responsiveness of 22 Major Human Cancers to Next Generation Anti-CTLA-4 Antibodies,Cancers,12(2),284)。前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、消化管の癌、肝癌、悪性黒色腫などを治療するための臨床試験では、いくつかのCTLA4 mAbが試験されている(Grosso et al.,CTLA-4 blockade in tumor models:an overview of preclinical and translational research.Cancer Immun.13:5(2013))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zhang,P.,et al.Mechanism and Immune Landscape Based ranking of Therapeutic Responsiveness of 22 Major Human Cancers to Next Generation Anti-CTLA-4 Antibodies,Cancers,12(2),284
【非特許文献2】Grosso et al.,CTLA-4 blockade in tumor models:an overview of preclinical and translational research.Cancer Immun.13:5(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、クロマトグラフィープロセスにおいて生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を分離する方法、並びに、クロマトグラフィープロセスを使用して生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を分離することによって、生成タンパク質製剤(例えば、医薬物質製剤または医薬品製剤)内のPS-80安定性を改善する方法を提供する。本開示は、HCP(例えばリパーゼ)と生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)とが、2つのタンパク質間の分離係数(α)および/またはHCP(例えばリパーゼ)の分配係数(KP)が特定の数値範囲に達する操作条件下で十分に分離され得るという発見に少なくとも部分的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、生成タンパク質は抗CTLA4抗体である。
【0007】
一態様では、クロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)ローディング操作条件下で、リパーゼと抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体(load fluid)をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、および
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収することを含み、
ここで、分離係数(α)は、リパーゼの分配係数(KP)と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αが、ローディング操作条件下で0.5よりも大きい。
【0008】
特定の実施形態では、log αは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。
【0009】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.5よりも大きい。
【0010】
特定の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0011】
別の態様では、クロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、および
(b)溶出操作条件下で溶出溶液を用いて、クロマトグラフィー樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、αが、リパーゼのKPと抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αは、溶出操作条件下で0.5よりも大きい。
【0012】
特定の実施形態では、log αは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。
【0013】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.5よりも大きい。
【0014】
特定の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、溶出操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0015】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、リパーゼは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞リパーゼである。
【0016】
特定の実施形態では、リパーゼは、ホスホリパーゼB様2(PLBL2)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、リソソームホスホリパーゼA2(LPLA2)、ホスホリパーゼA2 VII(LP-PLA2)およびリソソーム酸リパーゼA(LAL)からなる群から選択される。一実施形態では、リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、リパーゼはLALである。また別の実施形態では、リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるリパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるリパーゼを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0017】
特定の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLALである。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるCHO細胞リパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるCHO細胞リパーゼを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0018】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー樹脂はイオン交換(IEX)樹脂である。他の実施形態では、クロマトグラフィー樹脂は疎水性相互作用(HIC)樹脂である。一実施形態では、IEX樹脂はカチオン交換(CEX)樹脂である。別の実施形態では、CEX樹脂は混合モードCEX樹脂である。さらに別の実施形態では、IEX樹脂はアニオン交換(AEX)樹脂である。また別の実施形態では、AEX樹脂は混合モードAEX樹脂である。
【0019】
CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.0未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約5.5未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の他の実施形態では、操作条件のpHは約5.0未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のさらに他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.5である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のまた他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.0である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約5.0~約5.5である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約4.9~約5.3である。
【0020】
AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.5を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約6.9を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のさらに他の実施形態では、操作条件のpHは約6.9~約7.9である。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のまた他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2~約7.5である。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約7.5~約7.8である。
【0021】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度および/または導電率を調節することをさらに含む。一実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度を調節することをさらに含む。別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液の導電率を調節することをさらに含む。さらに別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度および導電率を調節することをさらに含む。いくつかの実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αを達成することである。他の実施形態では、塩を加える効果は、リパーゼの所望のlog KPを達成することである。さらに他の実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αと、リパーゼの所望のlog KPとを達成することである。
【0022】
いくつかの実施形態では、操作溶液中の塩は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムおよびTris-HClからなる群から選択される。一実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。別の実施形態では、塩は酢酸ナトリウムである。さらに別の実施形態では、塩はリン酸ナトリウムである。また別の実施形態では、塩は硫酸アンモニウムである。一実施形態では、塩は硫酸ナトリウムである。別の実施形態では、塩はTris-HClである。
【0023】
具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約100mM~約225mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0024】
別の具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約150mM~約180mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0025】
さらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の酢酸ナトリウムの濃度は約100mM~約200mMであり、クロマトグラフィー樹脂はAEXであり、そして、操作条件のpHは約6.9~約7.8である。
【0026】
また別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約500mM~約620mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、そして、操作条件のpHは約7である。
【0027】
またさらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約510mM~約560mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、そして、操作条件のpHは約7である。
【0028】
さらに別の態様では、混合モードAEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離し、PS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体を混合モードAEX樹脂に通過させること、および
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収することを含み、
ここで、ロード流体のpHが約pH7.2~約pH7.6であり、そしてここで、ロード流体が塩を含まない。
【0029】
また別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離し、PS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHが約pH4.9~約pH5.3であり、そしてここで、溶出溶液が、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0030】
一実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離し、PS-80安定性を改善する方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0031】
さらに別の実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離し、PS-80安定性を改善する方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約165mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0032】
また別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離し、PS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHが約pH5.0~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液が、約150mM~約275mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0033】
一実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離し、PS-80安定性を改善する方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0034】
別の実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離し、PS-80安定性を改善する方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約200mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0035】
さらに別の実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離し、PS-80安定性を改善する方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約250mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0036】
本明細書で提供される様々な方法のさらなる実施形態では、ロード流体は、事前のクロマトグラフィープロセスから得られる溶出液である。一実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィーを含む。別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィー、それに続く非アフィニティークロマトグラフィーを含む。さらに別の実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーはプロテインAクロマトグラフィーである。また別の実施形態では、非アフィニティークロマトグラフィーはAEXクロマトグラフィーである。またさらに別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、プロテインAクロマトグラフィー、それに続くAEXクロマトグラフィーを含む。
【0037】
またさらに別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)ローディング操作条件下で、宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収すること、
(c)追加的に、宿主細胞リパーゼを含むフロースルー生成物を追加のクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(d)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を回収すること、および
(e)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含むように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、分離係数(α)が、リパーゼの分配係数(KP)と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αは、ローディング操作条件下で0.5よりも大きい。
【0038】
またさらに別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(f)ローディング操作条件下で、PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(g)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収すること、
(h)追加的に、PLBL2を含むフロースルー生成物を追加のクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(i)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を回収すること、および
(j)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含むように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、分離係数(α)が、リパーゼの分配係数(KP)と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αは、ローディング操作条件下で0.5よりも大きい。
【0039】
また別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片組成物内のPS-80分解を減少させる方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)ローディング操作条件下で、宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収すること、
(c)宿主細胞リパーゼを含むフロースルー生成物を追加のクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(d)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を回収すること、および
(e)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含むように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含む。
【0040】
特定の実施形態では、log αは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。
【0041】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.5よりも大きい。
【0042】
特定の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0043】
別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(b)溶出操作条件下で溶出溶液を用いて、クロマトグラフィー樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、αが、リパーゼのKPと抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αは、溶出操作条件下で0.5よりも大きい。
【0044】
特定の実施形態では、log αは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。
【0045】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.5よりも大きい。
【0046】
特定の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、溶出操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0047】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、リパーゼは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞リパーゼである。
【0048】
特定の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、リパーゼはLALである。また別の実施形態では、リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるリパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるリパーゼを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0049】
特定の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLALである。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるCHO細胞リパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるCHO細胞リパーゼを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0050】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー樹脂はIEX樹脂である。他の実施形態では、クロマトグラフィー樹脂はHIC樹脂である。一実施形態では、IEX樹脂はCEX樹脂である。別の実施形態では、CEX樹脂は混合モードCEX樹脂である。さらに別の実施形態では、IEX樹脂はAEX樹脂である。また別の実施形態では、AEX樹脂は混合モードAEX樹脂である。
【0051】
CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.0未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約5.5未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の他の実施形態では、操作条件のpHは約5.0未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のさらに他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.5である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のまた他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.0である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約5.0~約5.5である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約4.9~約5.3である。
【0052】
AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.5を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約6.9を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のさらに他の実施形態では、操作条件のpHは約6.9~約7.9である。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のまた他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2~約7.5である。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約7.5~約7.8である。
【0053】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度および/または導電率を調節することをさらに含む。一実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度を調節することをさらに含む。別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液の導電率を調節することをさらに含む。さらに別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度および導電率を調節することをさらに含む。いくつかの実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αを達成することである。他の実施形態では、塩を加える効果は、リパーゼの所望のlog KPを達成することである。さらに他の実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αと、リパーゼの所望のlog KPとを達成することである。
【0054】
いくつかの実施形態では、操作溶液中の塩は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムおよびTris-HClからなる群から選択される。一実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。別の実施形態では、塩は酢酸ナトリウムである。さらに別の実施形態では、塩はリン酸ナトリウムである。また別の実施形態では、塩は硫酸アンモニウムである。一実施形態では、塩は硫酸ナトリウムである。別の実施形態では、塩はTris-HClである。
【0055】
具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約100mM~約225mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0056】
別の具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約150mM~約180mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0057】
さらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の酢酸ナトリウムの濃度は約100mM~約200mMであり、クロマトグラフィー樹脂はAEXであり、そして、操作条件のpHは約6.9~約7.8である。
【0058】
また別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約500mM~約620mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、そして、操作条件のpHは約7である。
【0059】
またさらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約510mM~約560mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、操作条件のpHは約7である。
【0060】
さらに別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体を混合モードAEX樹脂に通過させること、
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、ロード流体のpHは、約pH7.2~約pH7.6であり、そしてここで、ロード流体は、塩を含まない。
【0061】
また別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.3であり、そしてここで、溶出溶液は、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0062】
一実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0063】
さらに別の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約165mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0064】
また別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH5.0~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mM~約275mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0065】
一実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は約200mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0066】
別の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80含有溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約250mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0067】
本明細書で提供される様々な方法のさらなる実施形態では、ロード流体は、事前のクロマトグラフィープロセスから得られる溶出液である。一実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィーを含む。別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィー、それに続く非アフィニティークロマトグラフィーを含む。さらに別の実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーはプロテインAクロマトグラフィーである。また別の実施形態では、非アフィニティークロマトグラフィーはAEXクロマトグラフィーである。またさらに別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、プロテインAクロマトグラフィー、それに続くAEXクロマトグラフィーを含む。
【0068】
またさらに別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液の導電率は、約15mS/cm~約21mS/cmである。
【0069】
別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含むように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液の導電率は、約15mS/cm~約21mS/cmである。
【0070】
またさらに別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液は、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0071】
別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含むように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液は、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0072】
本明細書に記載される様々な方法の特定の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、治療用タンパク質である。
【0073】
本明細書に記載される様々な方法のいくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体はモノクローナル抗体である。
【0074】
別の態様では、治療用タンパク質と、1ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。一実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.1ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.2ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.3ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.4ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。またさらに別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.5ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。一実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.6ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.7ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.8ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.9ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。
【0075】
本明細書に記載される医薬組成物の様々な実施形態では、宿主細胞リパーゼのレベルは、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によって測定される。
【0076】
別の態様では、PS-80安定性が増加した治療用タンパク質を含む医薬組成物が本明細書で提供され、ここで、PS-80分解は、減少している。
【0077】
特定の実施形態では、医薬組成物は、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、CEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、
(a)約4.9~約5.3のpHを有し、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(b)約5.1のpHを有し、約150mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(c)約5.1のpHを有し、約165mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(d)約4.9~約5.4のpHと、約15mS/cm~約21mS/cmの導電率とを有する溶出溶液、
(e)約4.9~約5.4のpHを有し、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(f)約pH5.0~約pH5.4のpHを有し、約150mM~約275mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(g)約5.1のpHを有し、約200mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、および
(h)約5.1のpHを有し、約250mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、からなる群から選択される溶出溶液を使用する。
【0078】
一実施形態では、医薬組成物は、約4.9~約5.3のpHを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含む。
【0079】
別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、約150mMの塩化ナトリウムと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含む。
【0080】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、約165mMの塩化ナトリウムと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含む。
【0081】
また別の実施形態では、医薬組成物は、約4.9~約5.4のpHと、約15mS/cm~約21mS/cmの導電率とを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0082】
一実施形態では、医薬組成物は、約4.9~約5.4のpHを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含む。
【0083】
別の実施形態では、医薬組成物は、約pH5.0~約pH5.4のpHを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、約150mM~約275mMの塩化ナトリウムと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含む。
【0084】
また別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、約200mMの塩化ナトリウムと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含む。
【0085】
またさらに別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液であり、約250mMの塩化ナトリウムと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含む。
【0086】
医薬組成物のいくつかの実施形態では、CEXクロマトグラフィーの前に、フロースルーモードで操作されるAEXクロマトグラフィーが先行する。
【0087】
医薬組成物の特定の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、リパーゼはLALである。また別の実施形態では、リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるリパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるリパーゼを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0088】
医薬組成物の他の実施形態では、治療用タンパク質は、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片である。
【0089】
本発明において有用な抗CTLA4抗体および抗原結合断片
本明細書ではまた、10~200mgの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む組成物も提供される。
【0090】
本明細書ではまた、10~100mgの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む組成物も提供される。
【0091】
本明細書ではまた、(1)10mgの抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、(2)25mgの抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、(3)50mgの抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、(4)75mgの抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、または(5)100mgの抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片からなる群から選択される抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む組成物も提供される。
【0092】
本明細書ではまた、25mgの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む組成物も提供される。
【0093】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブとして現在知られており、Yervoy(商標)として市販されているヒトモノクローナル抗体10D1であり、ヒトモノクローナル抗体10D1は、米国特許第6,984,720号およびWHO Drug Information 19(4):61(2005)に開示されている。別の実施形態では、抗CTLA-4抗体は、CP-675,206としても知られているトレメリムマブであり、トレメリムマブは、米国特許出願公開第2012/263677号またはPCT国際出願公開第WO2012/122444号もしくはPCT国際出願公開第WO2007/113648号に記載されているIgG2モノクローナル抗体である。
【0094】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用のさらなる実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、2および3に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDRと、配列番号4、5および6に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDRとを含む。
【0095】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の他の実施形態では、抗CTLA4抗体は、ヒトCTLA4に結合し、(a)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【表1】
【0096】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA-4抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含むモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、配列番号9および/または配列番号10の抗原結合断片であり、抗原結合断片は、CTLA4に特異的に結合する。
【0097】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA-4抗体は、国際出願公開第WO2016/015675号に開示されている抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片のいずれかである。一実施形態では、抗CTLA4抗体は、以下のCDRを含むモノクローナル抗体である:
アミノ酸配列GFTFSDNW(配列番号11)を含むCDRH1;
アミノ酸配列IRNKPYNYET(配列番号12)を含むCDRH2;
アミノ酸配列TAQFAY(配列番号13;)を含むCDRH3
および/または
アミノ酸配列ENIYGG(配列番号14)を含むCDRL1;
アミノ酸配列GAT(配列番号15)を含むCDRL2;および
QNVLRSPFT(配列番号16);QNVLSRHPG(配列番号17);またはQNVLSSRPG(配列番号18)から選択されるアミノ酸配列を含むCDRL3。
【0098】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA4抗体は、8D2/8D2(RE)もしくはその変異体、8D2H1L1もしくはその変異体、8D2H2L2もしくはその変異体、8D3H3L3もしくはその変異体、8D2H2L15もしくはその変異体、または8D2H2l17もしくはその変異体である。
【表2】
【0099】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の別の実施形態では、抗CTLA4抗体は、8D2/8D2(RE)の変異体、8D2H1L1の変異体、8D2H2L2の変異体、8D2H2L15の変異体または8D2H2L17の変異体であり、ここで、VH鎖アミノ酸配列内の18位のメチオニン(Met)は、ロイシン(Leu)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)またはアラニン(Ala)から選択されるアミノ酸によって独立して置換されている。本発明の実施形態では、抗CTLA4抗体は、上記の表に記載の8D2H2L2変異体1の配列を含む。
【0100】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の別の実施形態では、抗CTLA4抗体は、配列番号32に記載の完全重鎖アミノ酸配列と、配列番号33に記載の完全軽鎖配列とを有する8D2H2L2変異体1である。
【表3】
【0101】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA4抗体は、2018年3月1日に公開された国際出願公開第WO2018/035710号に開示されている抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のいずれかである。
【0102】
本発明の精製方法、治療方法、組成物、キットおよび使用の別の実施形態では、抗CTLA-4抗体は、ヒトCTLA-4への結合について、8D2/8D2(RE)もしくはその変異体、8D2H1L1もしくはその変異体、8D2H2L2もしくはその変異体、8D3H3L3もしくはその変異体、8D2H2L15もしくはその変異体、8D2H2L17を含む上記の抗体のいずれかと交差競合するか、または、8D2/8D2(RE)もしくはその変異体、8D2H1L1もしくはその変異体、8D2H2L2もしくはその変異体、8D3H3L3もしくはその変異体、8D2H2L15もしくはその変異体、8D2H2L17を含む上記の抗体のいずれかと同じヒトCTLA-4のエピトープ領域に結合する抗体またはその抗原結合断片である。
【0103】
一実施形態では、組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、約5mM~約20mMの緩衝液、約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および、約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2、LPLA2およびLPLのレベルは、CTLA4抗体1ml当たり≦1ngである。
【0104】
別の実施形態では、組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、約5mM~約20mMの緩衝液、約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および約1mM~約20mMの抗酸化剤、宿主細胞リパーゼの残存量を含み、ここで、宿主細胞リパーゼの残存量は、2ppm未満である。
【0105】
一実施形態では、組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2、LPLA2およびLPLのレベルは≦1ng/mgである。
【0106】
さらなる実施形態では、非イオン性界面活性剤はPS-80である。
【0107】
別の実施形態では、組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%のポリソルベート80(PS80)、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2、LPLA2およびLPLのレベルは≦1ng/mgであり、そして、6ヶ月後の平均PS80分解は10%以下である。別の実施形態では、PS-80分解とは、一般的な貯蔵条件下で物理的、化学的および/または生物学的に安定なままであるPS-80の状態を指す。
【0108】
別の実施形態では、PS-80分解は、限定するものではないが、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、インタクトなPS-80分子の量および/または分解生成物の量によって測定され得る。
【0109】
一実施形態では、組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルは≦1ng/mgである。
【0110】
一実施形態では、組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%のPS80、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルは≦1ng/mgであり、そして、6ヶ月後の平均PS80分解は10%以下である。一実施形態では、組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%のPS80、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルは≦1ng/mgであり、そして、6ヶ月後の平均PS80分解は10%以下であり、そしてここで、PS80分解は、限定するものではないが、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、インタクトなPS-80分子の量および/または分解生成物の量によって測定される。
【0111】
一実施形態では、組成物は、(i)約50mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約10mMの緩衝液、(iii)約7%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.02%の非イオン性界面活性剤、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルは≦1ng/mgである。
【0112】
一実施形態では、組成物は、(i)約50mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約10mMの緩衝液、(iii)約7%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.02%のPS80、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルは≦1ng/mgであり、そして、6ヶ月後の平均PS80分解は10%以下である。
【0113】
一実施形態では、製剤は、4.5~6.5のpHを有する。特有の実施形態では、製剤のpHは、約pH5.0~約pH6.0である。さらなる実施形態では、製剤のpHは、約pH5.3~約pH5.8である。別の実施形態では、pHは5.3である。別の実施形態では、pHは5.4である。一実施形態では、pHは5.5である。一実施形態では、pHは5.6である。さらなる実施形態では、pHは5.7である。一実施形態では、pHは5.8である。
【0114】
製剤の一実施形態では、緩衝液は、L-ヒスチジン緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液であり、非還元糖はスクロースであり、非イオン性界面活性剤はポリソルベート80であり、そして、抗酸化剤は、メチオニンまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態では、抗酸化剤はL-メチオニンである。別の実施形態では、抗酸化剤は、L-メチオニンの薬学的に許容される塩、例えば、メチオニンHClである。
【0115】
一実施形態では、組成物内のPS-80濃度は、時間0の結果と比較して±0.02mg/mLのままである。
【0116】
別の実施形態では、上記の方法のいずれかによる組成物、組成物は、患者に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図1A】ある範囲の典型的なAEX条件に対するPLBL2(
図1A~
図1C)またはLPLA2(
図1D~
図1F)log K
P値を示す。
図1Aおよび
図1Dは、Trisおよびアセテート緩衝液中でのローディングに典型的な条件を示す。
【
図1B】ある範囲の典型的なAEX条件に対するPLBL2(
図1A~
図1C)またはLPLA2(
図1D~
図1F)log K
P値を示す。
図1Bおよび
図1Eは、Tris緩衝液による平衡化または洗浄に典型的な条件を示す。
【
図1D】ある範囲の典型的なAEX条件に対するPLBL2(
図1A~
図1C)またはLPLA2(
図1D~
図1F)log K
P値を示す。
図1Aおよび
図1Dは、Trisおよびアセテート緩衝液中でのローディングに典型的な条件を示す。
【
図1E】ある範囲の典型的なAEX条件に対するPLBL2(
図1A~
図1C)またはLPLA2(
図1D~
図1F)log K
P値を示す。
図1Bおよび
図1Eは、Tris緩衝液による平衡化または洗浄に典型的な条件を示す。
【
図2A】ある範囲の典型的なCEX条件に対するPLBL2(
図2Aおよび
図2B)またはLPLA2(
図2C)log K
P値を示す。
図2Aおよび
図2Cは、塩を主に変化させることによる結合の調節の条件を示す。
【
図2B】ある範囲の典型的なCEX条件に対するPLBL2(
図2Aおよび
図2B)またはLPLA2(
図2C)log K
P値を示す。
図2Bは、pHを主に変化させることによる結合の調節の条件を示す。
【
図2C】ある範囲の典型的なCEX条件に対するPLBL2(
図2Aおよび
図2B)またはLPLA2(
図2C)log K
P値を示す。
図2Aおよび
図2Cは、塩を主に変化させることによる結合の調節の条件を示す。
【
図3】塩濃度による結合の調節に典型的なHIC条件の範囲に対するPLBL2またはLPLA2 log K
P値を示す。
【
図4A】マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂に典型的なpHおよび塩条件の範囲に対するPLBL2 log K
P値を示す。
図4Aは、マルチモーダルアニオン交換体Capto adhereの条件を示す。
【
図4B】マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂に典型的なpHおよび塩条件の範囲に対するPLBL2 log K
P値を示す。
図4Bは、マルチモーダルカチオン交換体Capto MMCの条件を示す。
【
図5】非常に少ないmAb3がAEX樹脂に結合したことを示している、指定された条件下でフロースルーモードで操作されたAEXプロセスのクロマトグラムを示す。
【
図6A】CEXクロマトグラフィーに典型的なpHおよび塩条件の範囲でのmAb3およびPLBL2(
図6Aおよび
図6B)またはmAb3およびLPLA2(
図6C)のlog α分離係数値を示す。
図6Aおよび
図6Cは、塩濃度を主に変化させることによって結合が調節される分離条件の最適化を示す。
【
図6B】CEXクロマトグラフィーに典型的なpHおよび塩条件の範囲でのmAb3およびPLBL2(
図6Aおよび
図6B)またはmAb3およびLPLA2(
図6C)のlog α分離係数値を示す。
図6Bは、pHを主に変化させることによって結合が調節される条件の最適化を示す。黒色の枠は、分離が最大になる領域を表す。
【
図6C】CEXクロマトグラフィーに典型的なpHおよび塩条件の範囲でのmAb3およびPLBL2(
図6Aおよび
図6B)またはmAb3およびLPLA2(
図6C)のlog α分離係数値を示す。
図6Aおよび
図6Cは、塩濃度を主に変化させることによって結合が調節される分離条件の最適化を示す。
【
図7】PLBL2、LPLA2ならびに2つの異なるmAb、mAb2およびmAb3に関するHIC樹脂上のlog K
P値の比較を示す。mAb3はPLBL2およびLPLA2に対して非常に類似した結合を有するが、mAb2はmAb3、PLBL2およびLPLA2よりも弱く結合し、mAb3よりもmAb2からの方がPLBL2およびLPLA2の分離ポテンシャルが高い。
【
図8A】マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂のための典型的な操作条件でのmAb3およびPLBL2のlog α値を示す。
図8Aは、マルチモーダルアニオン交換体Capto adhereの分離条件の最適化を示す。
【
図8B】マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂のための典型的な操作条件でのmAb3およびPLBL2のlog α値を示す。
図8Bは、マルチモーダルカチオン交換体Capto MMCの分離条件の最適化を示す。黒色の枠は、分離が最大になる領域を表す。
【
図9】残存HCP(ng/mg)に関するモデルパラメータ(因子)のランク付けされた統計的有意性を要約するパレート図を示す。
【
図10A】26週間にわたる5℃(
図10A)、25℃(
図10B)および40℃(
図10C)でのプラセボ、mAb4アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)プール医薬物質(AEXP DS)およびmAb4カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)プール医薬物質(CEXP DS)のPS-80濃度を示す。
【
図10B】26週間にわたる5℃(
図10A)、25℃(
図10B)および40℃(
図10C)でのプラセボ、mAb4アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)プール医薬物質(AEXP DS)およびmAb4カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)プール医薬物質(CEXP DS)のPS-80濃度を示す。
【
図10C】26週間にわたる5℃(
図10A)、25℃(
図10B)および40℃(
図10C)でのプラセボ、mAb4アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)プール医薬物質(AEXP DS)およびmAb4カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)プール医薬物質(CEXP DS)のPS-80濃度を示す。
【
図11A】2カラムクロマトグラフィー(プロテインAおよびAEX、
図11A)または3カラムクロマトグラフィー(プロテインA、AEXおよびCEX、
図11B)によって精製されたmAb4を含有する製剤内のPS80分解の割合を示す。
【
図11B】2カラムクロマトグラフィー(プロテインAおよびAEX、
図11A)または3カラムクロマトグラフィー(プロテインA、AEXおよびCEX、
図11B)によって精製されたmAb4を含有する製剤内のPS80分解の割合を示す。
【
図12】mAb4の残存リパーゼを完全に除去するために3カラムクロマトグラフィーが必要であることを示す。
【
図13】5±3℃および25±3℃で24週間および16週間にわたって組合せCEXP実行で行われたPS-80安定性試験を示す。
【
図14】AEXに関するPLBL2スパイクの結果を示す。
【
図15】CEXに関するPLBL2スパイクの結果を示す。
【
図16】AEXに関するLPLスパイクの結果を示す。
【
図17】CEXに関するLPLスパイクの結果を示す。
【
図18】CEXに関する塩基性変異体スパイクの結果を示す。
【
図19】CEXに関する総高分子量種スパイクの結果を示す。CEXの総HMW容量は約10.8%であった。
【発明を実施するための形態】
【0118】
1.定義
特定の技術用語および科学用語を以下に具体的に定義する。本明細書の他の箇所で具体的に定義されていない限り、本明細書で使用される他のすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。
【0119】
用語「操作条件(operating condition)」、「操作条件(operation condition)」、「処理条件(processing condition)」または「処理条件(process condition)」は交換可能であり、本明細書で使用される場合、クロマトグラフィープロセスを操作するための条件を指す。操作条件は、平衡化条件、ローディング条件、洗浄条件および/または溶出条件などであり得る。操作条件には、限定するものではないが、クロマトグラフィー樹脂の種類、樹脂骨格、樹脂リガンド、操作溶液のpH、操作溶液の組成、操作溶液の各成分の濃度、操作溶液の導電率、操作溶液のイオン強度、操作溶液のカチオン強度、操作溶液のアニオン強度、または2つ以上の上記因子の組合せが含まれる。
【0120】
用語「操作溶液」は、クロマトグラフィープロセスを操作する際に使用される溶液を指す。操作溶液は、平衡化溶液、ローディング溶液または供給溶液、洗浄溶液、および/または溶出溶液などであり得る。
【0121】
本明細書で使用される用語「分配係数」または「KP」は、クロマトグラフィー樹脂に結合したタンパク質の濃度(Q)と、特定の操作条件下で平衡状態にある溶液中に残っているタンパク質の濃度(C)との比を指す。特定のタンパク質の分配係数は、以下のように計算することができる:KP=Q/C。
【0122】
本明細書で使用される用語「分離係数」または「α」は、第1のタンパク質の分配係数(KP、タンパク質1)と、第2のタンパク質の分配係数(KP、タンパク質2)との比を指す。分離係数は、特定の操作条件下で、2つのタンパク質間のクロマトグラフィー樹脂の選択性を定量する。これを使用して、その操作条件下でのクロマトグラフィー樹脂による2つのタンパク質の分離の程度を予測することができる。2つのタンパク質間の分離係数は、以下のように計算することができる:α=KP、タンパク質1/KP、タンパク質2;またはlog α=log KP、タンパク質1-log KP、タンパク質2。
【0123】
本明細書で使用される「生成タンパク質」は、バイオプロセスの意図された生成物である任意のタンパク質を指す。生成タンパク質の非限定的な例には、治療用タンパク質、抗体(例えば、モノクローナル抗体二重特異性抗体またはその抗原結合断片など)、ホルモン、サイトカイン、酵素、増殖因子、凝固因子、またはそのイムノコンジュゲート、その融合タンパク質もしくはその断片を含む。生成タンパク質の一例には、限定するものではないが、抗CTLA4抗体を含む。
【0124】
本明細書で使用される「治療用タンパク質」は、動物(例えば、ヒト、ウシ、ウマ、イヌなど)に対する治療効果を有する任意のタンパク質を指す。治療用タンパク質の非限定的な例には、抗体(例えば、モノクローナル抗体、二重特異性抗体またはその抗原結合断片など)、ホルモン、サイトカイン、酵素、増殖因子、凝固因子、またはそのイムノコンジュゲート、その融合タンパク質もしくはその断片を含む。
【0125】
本明細書で使用される「リパーゼ」は、一般に、(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)発現系については、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含め、宿主細胞リパーゼおよび関連するタンパク質/酵素を指す。
【0126】
本明細書で使用される「溶出液」は、クロマトグラフィーを通過する液体を指す。いくつかの実施形態では、溶出液は、ローディング溶液のフロースルーである。他の実施形態では、溶出液は、クロマトグラフィーを通過する溶出溶液と、クロマトグラフィーから溶出される任意の追加の成分とを含む。
【0127】
「混合モード」または「マルチモーダル」は、クロマトグラフィー樹脂とともに使用される場合、樹脂が複数のモード、機能または機構、例えば、イオン交換および疎水性相互作用によって分子を分離することができることを意味する。いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィー樹脂またはマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂は、カチオン交換および疎水性相互作用の両方によって分子を分離することができる。他の実施形態では、混合モードクロマトグラフィー樹脂またはマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂は、アニオン交換および疎水性相互作用の両方によって分子を分離することができる。
【0128】
本明細書で使用される「ポリソルベート-80安定性」または「PS-80安定性」は、一定期間(例えば、1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、2年など)にわたって一般的な貯蔵条件下(例えば、5℃±3℃、25℃±3℃、60%±5%相対湿度(RH)、40℃±2℃、75%±5%相対湿度(RH))で、物理的、化学的および/または生物学的に安定なままであるPS-80の状態を指す。PS-80安定性は、限定するものではないが、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、インタクトなPS-80分子の量および/または分解生成物の量によって測定され得る。
【0129】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「mAb」もしくは「Mab」は、実質的に均一な抗体の集団を指し、すなわち、その集団を含む抗体分子は、少量存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いてアミノ酸配列が同一である。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.(1991)Nature 352:624-628およびMarks et al.(1991)J.Mol.Biol.222:581-597に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
【0130】
一般に、基本的な抗体構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含み、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)と、1つの「重」鎖(約50~70kDa)とを有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100~110個以上のアミノ酸の可変領域を含む。重鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を規定し得る。典型的には、ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖として分類される。さらに、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプを、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEと規定する。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989)を参照されたい。
【0131】
各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、インタクトな抗体は2つの結合部位を有する。二機能性抗体または二重特異性抗体を除いて、2つの結合部位は一般に同じである。典型的には、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの超可変領域を含む。CDRは、通常、フレームワーク領域によって整列され、特定のエピトープへの結合を可能にする。一般に、N末端からC末端に向かって、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方が、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabat,et al.;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabat,et al.,(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothia,et al.,(1987)J Mol.Biol.196:901-917またはChothia,et al.,(1989)Nature 342:878-883の定義に従う。
【0132】
「抗CTLA-4抗体」は、ヒトCTLA-4に結合して、CTLA-4とヒトB7受容体との相互作用を妨害する抗体またはその抗原結合断片を意味する。CTLA4は、B7に結合した後、マウスT細胞およびヒトT細胞の活性化を阻害し、T細胞の活性化に対して負の調節役割を果たすことができる。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、上記B7は、B7-1および/またはB7-2を指し、それらの特定のタンパク質配列は、当技術分野で公知の配列を指す。文献またはGenBankに開示されている配列、例えば、B7-1(CD80、NCBI Gene ID:941)、B7-2(CD86、NCBI Gene ID:942)を参照することができる。抗CTLA4抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得、ヒト定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域およびIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1定常領域またはIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFvおよびFv断片からなる群から選択される。
【0133】
「CDR」または「CDRs」は、特に明記しない限り、Kabatナンバリングシステムを使用して定義される、免疫グロブリン可変領域内(類)の相補性決定領域を意味する。
【0134】
「含む(comprising)」または変形例、例えば、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」もしくは「から構成される(comprised of)」は、本明細書および特許請求の範囲を通して包括的な意味で、すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の実施形態のいずれかの動作または有用性を実質的に高めることができるさらなる特徴の存在または追加を排除しないように使用されるが、文脈上、明示的な文言または必要な含意のためにそうでないことが必要な場合は除く。
【0135】
数値的に定義されたパラメータ(例えば、pH、濃度など)を修正するために使用される場合の「約」は、パラメータが、そのパラメータについて記載された数値または範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内またはそれ以下であることを意味し;適切な場合、記載されたパラメータは、最も近い整数に丸められてもよい。
【0136】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、単語の単数形、例えば、「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、それらの対応する複数の言及を含む。文脈上他に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0137】
本明細書で使用される場合、用語「少なくとも1つの」項目または「1つ以上の」項目はそれぞれ、一覧から選択された単一の項目、および一覧から選択された2つ以上の項目の混合を含む。
【0138】
用語「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」に続く任意の例(1または複数)は、網羅的または限定的であることを意味しない。
【0139】
そうではないと明示的に述べられていない限り、本明細書に引用されるすべての範囲は包括的であり;すなわち、範囲は、範囲の上限および下限の値、ならびにその間のすべての値を含む。一例として、本明細書に記載の温度範囲、割合、等価物の範囲などは、範囲の上限および下限、ならびにそれらの間の連続体における任意の値を含む。すべての範囲はまた、含まれるすべての部分範囲を含むことが意図されているが、必ずしも明示的に記載されているわけではない。例えば、pH4.0~5.0の範囲は、pH4.0、4.1、4.13、4.2、4.1~4.6、4.3~4.4、および5.0を含むことが意図される。さらに、本明細書で使用される用語「または」は、適切な場合には組み合わせることができる代替物を示し;すなわち、用語「または」は、別個に列挙された各代替物、およびそれらの組合せを含む。
【0140】
用語「患者」(本明細書では「対象」または「個体」とも呼ばれる)は、本発明の組成物を用いて治療することができる哺乳動物(例えば、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ)、最も好ましくはヒトを指す。いくつかの実施形態では、患者は成人患者である。他の実施形態では、患者は小児患者である。
【0141】
本開示の態様または実施形態がマーカッシュグループ、または代替物の他のグループ分けに関して記載される場合、本開示は、全体として列挙されたグループ全体だけでなく、グループの各メンバーを個別に、およびメイングループのすべての可能なサブグループを包含するだけでなく、グループメンバーのうちの1つ以上が存在しないメイングループも包含する。本開示はまた、特許請求の範囲におけるグループメンバーのいずれかのうちの1つ以上の明示的な除外を想定する。
【0142】
例示的な方法および材料が本明細書に記載されているが、本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の方法および材料も、本開示の実施または試験に使用することができる。材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0143】
2.クロマトグラフィープロセス
本明細書で提供される様々な方法は、不純物からの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片の分離のために、本明細書に開示されるまたは当業者によって理解される任意のクロマトグラフィープロセスとともに使用することができる。クロマトグラフィープロセスの非限定的な例には、IEX、AEX、CEX、HIC、混合モードAEX、混合モードCEX、アフィニティーおよびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAC)プロセスなどを含む。一実施形態では、クロマトグラフィープロセスはIEXクロマトグラフィープロセスである。別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスはAEXクロマトグラフィープロセスである。さらに別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスはCEXクロマトグラフィープロセスである。また別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスはHICクロマトグラフィープロセスである。一実施形態では、クロマトグラフィープロセスは、混合モードIEXクロマトグラフィープロセスである。別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスは混合モードAEXクロマトグラフィープロセスである。さらに別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスは混合モードCEXクロマトグラフィープロセスである。また別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスはアフィニティークロマトグラフィープロセスである。一実施形態では、クロマトグラフィープロセスはプロテインAクロマトグラフィープロセスである。別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスはプロテインGアフィニティークロマトグラフィープロセスである。さらに別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスは固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)プロセスである。また別の実施形態では、クロマトグラフィープロセスはHACプロセスである。
【0144】
IEXクロマトグラフィーは、分子の正味電荷に基づいて分子を分離する。分離は、目的の荷電分子と、IEXクロマトグラフィー樹脂上の反対に荷電したリガンド基の対イオンとの間の競合の結果として起こる。IEX樹脂への分子の結合の強度は、pHおよびイオン強度などの操作条件によって影響を受ける、分子の正味電荷に依存する。IEX樹脂には、AEX樹脂およびCEX樹脂が含まれる。AEX樹脂は、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、トリメチルアミノエチル(TMAE)基、第四級アミノエチル(QAE)基および第四級アミン(QA)基のような置換基を含み得る。CEX樹脂は、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、ホスフェート(P)およびスルホネート(S)のような置換基を含み得る。DE23、DE32、DE52、CM-23、CM-32およびCM-52のようなセルロース系IEX樹脂は、Whatman Ltd.Maidstone,Kent,U.K.から入手可能である。Sephadex系IEX樹脂および架橋IEX樹脂も知られている。例えば、DEAE-、QAE-、CM-およびSP-Sephadex、およびDEAE-、Q-、CM-およびS-Sepharose、ならびにSepharoseはいずれも、GE Healthcare,Piscataway,NJから入手可能である。さらに、DEAEおよびCMの両方から誘導されるエチレングリコール-メタクリレートコポリマー、例えば、TOYOPEARL(商標)DEAE-650SまたはM、およびTOYOPEARL(商標)CM-650SまたはMは、Toso Haas Co.,Philadelphia,PAから入手可能である。POROS(商標)HS、POROS(商標)HQ、POROS(商標)XSは、Thermo Fisher Scientific,Waltham,MAから入手可能である。
【0145】
HICクロマトグラフィーは、分子の疎水性に基づいて分子を分離する。目的の分子内の疎水性領域は、疎水性相互作用を介してHIC樹脂に結合する。相互作用の強度は、pH、イオン強度および塩濃度のような操作条件に依存する。一般に、HIC樹脂は、疎水性リガンド(例えば、アルキル基またはアリール基)が結合したベースマトリックス(例えば、架橋アガロースまたは合成コポリマー材料)を含有する。HIC樹脂の非限定的な例には、Phenyl SEPHAROSE(商標)6 FAST FLOW(商標)(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Phenyl SEPHAROSE(商標)High Performance(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Octyl SEPHAROSE(商標)High Performance(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Fractogel(商標)EMD PropylまたはFRACTOGEL(商標)EMD Phenyl(E.Merck,Germany);MACRO-PREP(商標)MethylまたはMACRO-PREP(商標)t-Butyl Supports(Bio-Rad,CA);WP HI-Propyl(C3)(商標)(J.T.Baker,NJ);TOYOPEARL(商標)エーテル、フェニルまたはブチル(TosoHaas,PA);およびTosoh-Butyl-650M(Tosoh Corp.,Tokyo,Japan)を含む。
【0146】
HACクロマトグラフィーは、式[Ca10(PO4)6(OH)2]の不溶性ヒドロキシル化リン酸カルシウムをマトリックスおよびリガンドの両方として使用する。HAC樹脂の官能基は、正に帯電したカルシウムイオン(C部位)と負に帯電したホスフェート基(P部位)との対を含む。C部位は、タンパク質表面上のカルボキシレート残基と相互作用することができるのに対して、P部位は、塩基性タンパク質残基と相互作用することができる。タンパク質とHAC樹脂との間の結合の強度は、pH、イオン強度、溶液の組成、組成物の各成分の濃度、pHの勾配、成分濃度の勾配などを含む操作条件に依存する。CHT(商標)Ceramic HydroxyapatiteおよびCFT(商標)Ceramic Fluoroapatiteなどの様々なHAC樹脂が市販されている。
【0147】
アフィニティークロマトグラフィーは、目的の分子と樹脂の官能基との間の高度に特異的な相互作用、例えば、抗原と抗体、酵素と基質、受容体とリガンド、またはタンパク質と核酸などとの間の相互作用に基づいて分子を分離する。いくつかの一般的に使用されるアフィニティークロマトグラフィー樹脂には、抗体を精製するためのプロテインA樹脂またはプロテインG樹脂、ビオチン/アビジンおよびそれらの誘導体を精製するためのアビジンビオチン樹脂、GSTタグ付き組換えタンパク質を精製するためのグルタチオン樹脂、血漿凝固タンパク質を分離するためのヘパリン樹脂、金属イオンと特異的に相互作用するタンパク質を精製するためのIMAC樹脂などが含まれる。各アフィニティークロマトグラフィーの操作条件は、相互作用の機構、および相互作用に影響を及ぼす因子に依存する。市販のアフィニティークロマトグラフィー樹脂には、限定するものではないが、MabSelect Sure、UNOsphere SUPrA(商標)、Affi-Gel(登録商標)およびAffi-Prep(登録商標)が含まれる。
【0148】
特定の実施形態では、本明細書で使用されるクロマトグラフィー樹脂は、複数の機能または機構に基づいて、すなわち、混合モードで分子を分離することができる。混合モードは、上記のまたは当業者によって理解される任意の2つ以上の機能または機構の組合せ、例えば、IEXとHICとの組合せ(例えば、AEX/HICまたはCEX/HIC)、AEXとCEXとの組合せ(AEX/CEX)、またはHIC、AEXおよびCEXの組合せ(HIC/AEX/CEX)などであり得る。例示的な混合モードクロマトグラフィー樹脂には、限定するものではないが、OminPac PCX-500、Primesep、Obelisc R、Oblisc N、Acclaim Trinity P1、Acclaim Trinity P2、Capto Adhere、Capto Adhere Impres、Capto MMC、Capto MMC Impres、Capto Core 700、PPA Hypercel、HEA Hypercel、MEP Hypercel、Eshmuno HCX、Toyopearl MX-Trp-650M、Nuvia C Prime、CHT Type IおよびCHT Type IIが含まれる。
【0149】
3.分配係数(KP)および分離係数(α)
分配係数(KP)および分離係数(α)は、クロマトグラフィープロセスの操作条件に特有の2つの熱力学的パラメータであり、操作条件下でのプロセスを通して達成することができる分離を定量するために使用することができる。
【0150】
分配係数KPは、既知の液体濃度のタンパク質(または目的の他の分子)を既知の体積のクロマトグラフィー樹脂と混合し、樹脂に結合したタンパク質と平衡状態にある液体中に残っているタンパク質との比を計算することによって決定される:KP=q/c=[結合]/[遊離]。
【0151】
分配は、一般に、log KPについて報告されており、log KPは、本明細書に記載のUV法を使用して約0~2まで正確に定量することができる。log KPスクリーニングの通則は、以下の通りである:
log KP≧1.5、樹脂への強い結合;
log KP<1、結合溶出様式について溶出が予測される条件;
0.5<log KP<1、いくらかの結合を示す弱い相互作用条件;
log KP<0.5、結合がほとんどまたは全くない。
【0152】
異なる種間のlog KP値の差を使用して、分離係数αを以下のように計算することによって、種の分離を予測することができる:α=KP、タンパク質1/KP、タンパク質2;log α=log KP、タンパク質1-log KP、タンパク質2、ここで、log αが0から遠いほど、さらに良好な分離を示す。特定の実施形態では、0.2よりも大きいlog αの絶対値は、2つの種の間の良好な分離を示す。いくつかの実施形態では、0.3よりも大きいlog αの絶対値は、2つの種の間の良好な分離を示す。他の実施形態では、0.5よりも大きいlog αの絶対値は、2つの種の間の良好な分離を示す。他の実施形態では、1.0よりも大きいlog αの絶対値は、2つの種の間の良好な分離を示す。
【0153】
4.HCPおよび生成タンパク質
本明細書で提供される様々な方法は、多種多様なHCP、並びに多種多様な生成タンパク質に適用される。
【0154】
HCPは、宿主細胞内で発現される生成タンパク質のバイオプロセス中の宿主細胞(例えばCHO細胞)に由来する任意の内因性タンパク質であり得る。HCPの非限定的な例には、構造タンパク質、機能性タンパク質、分泌タンパク質、酵素、例えば、リパーゼ、プロテイナーゼおよびキナーゼを含む。いくつかの実施形態では、HCPは構造タンパク質である。特定の実施形態では、HCPは機能性タンパク質である。他の実施形態では、HCPは分泌タンパク質である。さらに他の実施形態では、HCPは酵素である。一実施形態では、HCPはリパーゼである。別の実施形態では、HCPはプロテイナーゼである。さらに別の実施形態では、HCPはキナーゼである。
【0155】
特定の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、リパーゼはLALである。また別の実施形態では、リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるリパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるリパーゼを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0156】
宿主細胞は、外因性タンパク質を発現させるために使用される任意の細胞であり得る。バイオ医薬品の製造に使用される一般的な宿主細胞には、限定するものではないが、CHO細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK21)細胞、マウス骨髄腫NS0細胞、マウス骨髄腫Sp2/0細胞、ヒト胚腎臓293(HEK293)細胞、線維肉腫HT-1080細胞、PER.C6細胞、HKB-11細胞、CAP細胞、HuH-7細胞、マウスC127細胞およびその天然に生成された変異体または遺伝子改変変異体が含まれる。特定の実施形態では、宿主細胞はCHO細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はベビーハムスター腎臓(BHK21)細胞である。他の実施形態では、宿主細胞はマウス骨髄腫NS0細胞である。さらに他の実施形態では、宿主細胞はマウス骨髄腫Sp2/0細胞である。また他の実施形態では、宿主細胞は、ヒト胚腎臓293(HEK293)細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は線維肉腫HT-1080細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はPER.C6細胞である。他の実施形態では、宿主細胞はHKB-11細胞である。さらに他の実施形態では、宿主細胞はCAP細胞である。また他の実施形態では、宿主細胞はHuH-7細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞はマウスC127細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、上記宿主細胞の天然に生成された変異体である。他の実施形態では、宿主細胞は、上記宿主細胞の遺伝子改変変異体である。
【0157】
特定の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLALである。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるCHO細胞リパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるCHO細胞リパーゼを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0158】
生成タンパク質は、バイオ医薬品を生成するという目的では、宿主細胞内で発現される目的の任意のタンパク質であり得る。生成タンパク質の非限定的な例には、治療用タンパク質、モノクローナル抗体、ホルモン、サイトカイン、増殖因子、凝固因子、酵素、その融合タンパク質、そのイムノコンジュゲートおよびその断片を含む。特定の実施形態では、生成タンパク質は治療用タンパク質である。いくつかの実施形態では、生成タンパク質はモノクローナル抗体である。他の実施形態では、生成タンパク質はホルモンである。さらに他の実施形態では、生成タンパク質はサイトカインである。また他の実施形態では、生成タンパク質は増殖因子である。特定の実施形態では、生成タンパク質は凝固因子である。いくつかの実施形態では、生成タンパク質は酵素である。他の実施形態では、生成タンパク質は、上記生成タンパク質の融合タンパク質である。さらに他の実施形態では、生成タンパク質は、上記生成タンパク質のイムノコンジュゲートである。また他の実施形態では、生成タンパク質は、上記生成タンパク質の断片である。
【0159】
いくつかの実施形態では、生成タンパク質は、限定するものではないが、PD-1、PD-L1、CTLA-4、LAG3、TIM3、TIGIT、GITR、TNF-α、HER2、GPIIb/IIIa、CD52、PCSK9、IL-2Rα、BLyS、VEGF、クロストリジウム・ディフィシーレ毒素B、CD19、CD30、IL-1β、IL17Rα、PSMA、EGFR、IL-2R、IL-2Rβγ、CD38、RANKL、GD2、IL-4Rα、補体成分5、CD20、SLAMF7、ダビガトラン、IL-5、α-4インテグリン、PDGFRα、VEGFR1、VEGFR2、RSVのFタンパク質、IL-6、IL-6R、IL-12、IL-23およびCD33を含む、抗原に特異的なモノクローナル抗体である。一実施形態では、生成タンパク質は抗PD-1モノクローナル抗体である。別の実施形態では、生成タンパク質は抗CTLA-4モノクローナル抗体である。別の実施形態では、生成タンパク質は、抗CTLA-4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。さらに別の実施形態では、生成タンパク質は抗LAG3モノクローナル抗体である。また別の実施形態では、生成タンパク質は抗TIGITモノクローナル抗体である。一実施形態では、生成タンパク質は抗GITRモノクローナル抗体である。
【0160】
具体的な実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ペンブロリズマブである。別の実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブである。さらに別の実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ピディリズマブ(米国特許第7,332,582号)である。また別の実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、AMP-514(MedImmune LLC,Gaithersburg,MD)である。別の実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、PDR001(米国特許第9,683,048号)である。さらに別の実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、BGB-A317(米国特許第8,735,553号)である。また別の実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、MGA012(MacroGenics,Rockville,MD)である。
【0161】
一実施形態では、抗LAG3モノクローナル抗体は、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb,New York,NY)である。別の実施形態では、抗LAG3モノクローナル抗体は、REGN3767(Regeneron,Tarrytown,NY)である。さらに別の実施形態では、抗LAG3モノクローナル抗体は、LAG525(Novartis,Basel,Switzerland)である。また別の実施形態では、抗LAG3モノクローナル抗体は、GSK2813781(GlaxoSmithKline,Brentford,UK)である。
【0162】
一実施形態では、抗TIGITモノクローナル抗体は、BMS-986207(Bristol-Myers Squibb,New York,NY)である。別の実施形態では、抗TIGITモノクローナル抗体は、OMP-313M32(OncoMed Pharmaceuticals,Redwood city,CA)である。さらに別の実施形態では、抗TIGITモノクローナル抗体は、MTIG7192A(RG6058としても知られる、米国特許公開第2017/0088613号)である。また別の実施形態では、抗TIGITモノクローナル抗体は、PTZ-201(Potenza Therapeutics,Cambridge,MA;ASP8374としても知られる、Astellas Pharma,Tokyo,Japan)である。
【0163】
5.生成タンパク質から宿主細胞リパーゼを分離するための操作条件をスクリーニングする方法
本開示は、クロマトグラフィープロセスによって生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を分離するための操作条件をスクリーニングする方法を提供する。
【0164】
スクリーニングは、バッチ結合試験、ミニカラム結合試験、または当業者が理解するであろう任意の他の方法によって行うことができる。クロマトグラフィー樹脂と、溶液中の塩の有無でのpH、塩の種類、塩濃度、他の成分(例えば対イオン)、各成分の濃度、またはロードタンパク質濃度を含む操作条件との多数の組合せを、HCP(例えばリパーゼ)または生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)について、設計し検討することができる。HCP(例えばリパーゼ)および生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)のKP値は、本明細書に開示される方法、または当業者によって一般的に理解される方法によって決定される。HCP(例えばリパーゼ)と生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)との間のlog α値は、本明細書に記載の方法を使用して計算される。一般に、HCP(例えばリパーゼ)と生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)との間の良好な分離のために、0.5よりも大きいlog αの絶対値が望ましい。
【0165】
スクリーニングされるクロマトグラフィー樹脂は、HCP(例えばリパーゼ)および生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)の特性に基づいて生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を分離し得る任意のクロマトグラフィー樹脂であり得る。スクリーニングされる操作条件は、選択された各樹脂について一般的に使用される処理条件、例えば、平衡化条件、ローディング条件、洗浄条件、溶出条件またはストリッピング条件などであり得る。
【0166】
一実施形態では、スクリーニングは、Welsh et al.,Biotechnol Prog.30(3):626-635(2014)に開示されているように、樹脂スラリープレート法を使用して行われる。例えば、pH、塩および供給物の異なる組合せの混合物を、96ウェルフィルタープレート(例えば、P/N MSBVN1250、Millipore Sigma,Burlington,MA)に加える。クロマトグラフィー樹脂体積は2~50μLであり、液体供給体積は200μLである。いくつかの実施形態では、各樹脂について16~32の条件が試験される。他の実施形態では、各樹脂について24~96の条件が試験される。樹脂と液体との分離は、真空濾過によって達成される。まず、樹脂を平衡化緩衝液と10分間インキュベートし、平衡化工程を3回繰り返す。次に、樹脂を供給物とともに60分間インキュベートする。次いで、樹脂をストリップ状態で10分間インキュベートし、2回繰り返す。平衡化工程は、初期樹脂スラリー緩衝液からの緩衝液交換を可能にする。供給物混合のための60分の時間は、所与の条件セットで樹脂リガンドとタンパク質との間の擬似平衡化を可能にする。供給工程からの濾液を280~320nmでのUV吸光度によって測定して、タンパク質の最終液体濃度cを決定した。タンパク質の結合濃度qは、cと既知の供給物濃度c0との物質収支によって決定される。
【0167】
別の実施形態では、スクリーニングは、Welsh et al.,Biotechnol Prog.30(3):626-635(2014)またはPetroff et al.,Biotech Bioeng.113(6):1273-1283(2015)に開示されているように、ミニカラム法を使用して行われる。例えば、pH、塩および供給物の異なる組合せの混合物を、3cmのベッド高さを有する0.6mLカラムフォーマットでスクリーニングする。最大8本のカラムを並行してスクリーニングする。ミニチュアカラムでは、典型的なカラムの約300cm/hからミニチュアカラムフォーマットの約45cm/hまで線形流速を減少させることによって、約4分の典型的な滞留時間が維持される。クロマトグラフィースクリーニングのための他のあらゆる典型的なパラメータが保存される。溶出液画分を96ウェルプレートに収集することによって、プールとしてまたは画分として収集して、実験室規模の試験と同様のクロマトグラムを生成することができる。
【0168】
生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を分離するための操作条件が決定されると、それに応じてロード流体および/または樹脂の条件を調整することができる。例えば、必要な操作条件にする溶液を用いて樹脂を洗浄することによって、樹脂を平衡化することができる。
【0169】
6.生成タンパク質から宿主細胞リパーゼを分離する方法
本開示はさらに、クロマトグラフィープロセスによって生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からHCP(例えばリパーゼ)を分離する方法を提供する。
【0170】
一態様では、クロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)ローディング操作条件下で、リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、および
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収することを含み、
ここで、分離係数(α)が、リパーゼの分配係数(KP)と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αはローディング操作条件下で0.5よりも大きい。
【0171】
特定の実施形態では、log αは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。
【0172】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.5よりも大きい。
【0173】
特定の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0174】
別の態様では、クロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、および
(b)溶出操作条件下で溶出溶液を用いて、クロマトグラフィー樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
αが、リパーゼのKPと抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、log αが、溶出操作条件下で0.5よりも大きい。
【0175】
特定の実施形態では、log αは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。
【0176】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.5よりも大きい。
【0177】
特定の実施形態では、溶出操作条件下でlog αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、溶出操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0178】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、リパーゼはCHO細胞リパーゼである。
【0179】
特定の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、リパーゼはLALである。また別の実施形態では、リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるリパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるリパーゼを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0180】
特定の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLALである。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるCHO細胞リパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるCHO細胞リパーゼを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0181】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー樹脂はIEX樹脂である。他の実施形態では、クロマトグラフィー樹脂はHIC樹脂である。一実施形態では、IEX樹脂はCEX樹脂である。別の実施形態では、CEX樹脂は混合モードCEX樹脂である。さらに別の実施形態では、IEX樹脂はAEX樹脂である。また別の実施形態では、AEX樹脂は混合モードAEX樹脂である。
【0182】
CEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.0未満である。いくつかの実施形態では、操作条件のpHは約5.5未満である。他の実施形態では、操作条件のpHは約5.0未満である。さらに他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.5である。また他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.0である。特定の実施形態では、操作条件のpHは約5.0~約5.5である。いくつかの実施形態では、操作条件のpHは約4.9~約5.3である。
【0183】
混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.0未満である。いくつかの実施形態では、操作条件のpHは約5.5未満である。他の実施形態では、操作条件のpHは約5.0未満である。さらに他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.5である。また他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.0である。特定の実施形態では、操作条件のpHは約5.0~約5.5である。いくつかの実施形態では、操作条件のpHは約4.9~約5.3である。
【0184】
AEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.5を超える。いくつかの実施形態では、操作条件のpHは約6.9を超える。他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2を超える。さらに他の実施形態では、操作条件のpHは約6.9~約7.9である。また他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2~約7.5である。特定の実施形態では、操作条件のpHは約7.5~約7.8である。
【0185】
混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.5を超える。いくつかの実施形態では、操作条件のpHは約6.9を超える。他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2を超える。さらに他の実施形態では、操作条件のpHは約6.9~約7.9である。また他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2~約7.5である。特定の実施形態では、操作条件のpHは約7.5~約7.8である。
【0186】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによってイオン強度および/または導電率を調節することをさらに含む。一実施形態では、操作条件は、塩を加えることによってイオン強度を調節することをさらに含む。別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって導電率を調節することをさらに含む。さらに別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによってイオン強度および導電率を調節することをさらに含む。いくつかの実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αを達成することである。他の実施形態では、塩を加える効果は、リパーゼの所望のlog KPを達成することである。さらに他の実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αとリパーゼの所望のlog KPとを達成することである。したがって、一実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって所望のlog αを達成することをさらに含む。別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによってリパーゼの所望のlog KPを達成することをさらに含む。さらに別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって、所望のlog αとリパーゼの所望のlog KPとを達成することをさらに含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、操作溶液中の塩は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムおよびTris-HClからなる群から選択される。一実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。別の実施形態では、塩は酢酸ナトリウムである。さらに別の実施形態では、塩はリン酸ナトリウムである。また別の実施形態では、塩は硫酸アンモニウムである。一実施形態では、塩は硫酸ナトリウムである。別の実施形態では、塩はTris-HClである。
【0188】
具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約100mM~約225mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0189】
別の具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約150mM~約180mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0190】
さらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の酢酸ナトリウムの濃度は約100mM~約200mMであり、クロマトグラフィー樹脂はAEXであり、そして、操作条件のpHは約6.9~約7.8である。
【0191】
また別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約500mM~約620mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、そして、操作条件のpHは約7である。
【0192】
またさらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約510mM~約560mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、そして、操作条件のpHは約7である。
【0193】
さらに別の態様では、混合モードAEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体を混合モードAEX樹脂に通過させること、および
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収することを含み、
ここで、ロード流体のpHは約pH7.2~約pH7.6であり、そしてここで、ロード流体は塩を含まない。
【0194】
そのような方法の特定の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、治療用タンパク質である。
【0195】
そのような方法のいくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体である。
【0196】
また別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH4.9~約pH5.3であり、そしてここで、溶出溶液は、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0197】
一実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離する方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0198】
さらに別の実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からPLBL2を分離する方法は、
(a)PLBL2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約165mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0199】
また別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.0~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液は約150mM~約275mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0200】
一実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離する方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0201】
別の実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離する方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約200mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0202】
さらに別の実施形態では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片からLPLA2を分離する方法は、
(a)LPLA2と、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約250mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0203】
本明細書で提供される分離方法は、本明細書に記載されるまたは当技術分野で一般的に使用される1つ以上の分離工程と組み合わせて使用され得る。一実施形態では、1つ以上の分離工程は、本明細書に記載の方法に先行する。別の実施形態では、1つ以上の分離工程は、本明細書に記載の方法に続く。さらに別の実施形態では、1つ以上の分離工程は、本明細書に記載の2つの方法の合間に行われる。また他の実施形態では、1つ以上の分離工程は、本明細書に記載の方法の前、後および/または合間に行われる。いくつの分離工程もしくは方法を組み合わせることができるか、または組み合わせる分離工程もしくは方法の順序に制限はない。
【0204】
本明細書で提供される様々な方法のさらなる実施形態では、ロード流体は、事前のクロマトグラフィープロセスから得られる溶出液である。一実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィーを含む。別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィー、それに続く非アフィニティークロマトグラフィーを含む。さらに別の実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーはプロテインAクロマトグラフィーである。また別の実施形態では、非アフィニティークロマトグラフィーはAEXクロマトグラフィーである。またさらに別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、プロテインAクロマトグラフィー、それに続くAEXクロマトグラフィーを含む。
【0205】
またさらに別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH4.9~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液の導電率は、約15mS/cm~約21mS/cmである。
【0206】
そのような方法の特定の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、治療用タンパク質である。
【0207】
そのような方法の他の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体である。
【0208】
また別の態様では、CEXクロマトグラフィープロセスによって、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片から宿主細胞リパーゼを分離する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、および
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出することを含み、
溶出溶液のpHが、約pH4.9~約pH5.4であり、溶出溶液が、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0209】
7.生成タンパク質製剤内のPS-80安定性を改善する方法
本開示はさらに、生成タンパク質(例えばモノクローナル抗体)からクロマトグラフィープロセスを使用してHCP(例えばリパーゼ)を分離することによって、生成タンパク質製剤(例えば、医薬物質製剤または医薬品製剤)内のPS-80安定性を改善する方法を提供する。
【0210】
またさらに別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)ローディング操作条件下で、宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含むように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、分離係数(α)は、リパーゼの分配係数(KP)と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αは、ローディング操作条件下で0.5よりも大きい。
【0211】
特定の実施形態では、log αは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。
【0212】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、ローディング操作条件下で1.5よりも大きい。
【0213】
特定の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、ローディング操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0214】
別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)宿主細胞リパーゼと、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とを含むロード流体をクロマトグラフィー樹脂に通過させること、
(b)溶出操作条件下で溶出溶液を用いて、クロマトグラフィー樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片がPS-80を含有する溶液中にあるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、αは、リパーゼのKPと抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のKPとの比であり、そしてここで、log αは、溶出操作条件下で0.5よりも大きい。
【0215】
特定の実施形態では、log αは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。
【0216】
いくつかの実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.0よりも大きい。他の実施形態では、リパーゼのlog KPは、溶出操作条件下で1.5よりも大きい。
【0217】
特定の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。いくつかの実施形態では、溶出操作条件下で、log αは0.5よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.0よりも大きい。さらに他の実施形態では、溶出操作条件下で、log αは1.0よりも大きく、リパーゼのlog KPは1.5よりも大きい。
【0218】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、リパーゼは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞リパーゼである。
【0219】
特定の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、リパーゼはLALである。また別の実施形態では、リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるリパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるリパーゼを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0220】
特定の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、CHO細胞リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼはLALである。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるCHO細胞リパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるCHO細胞リパーゼを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、CHO細胞リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0221】
本明細書で提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー樹脂はイオン交換(IEX)樹脂である。他の実施形態では、クロマトグラフィー樹脂は疎水性相互作用(HIC)樹脂である。一実施形態では、IEX樹脂はカチオン交換(CEX)樹脂である。別の実施形態では、CEX樹脂は混合モードCEX樹脂である。さらに別の実施形態では、IEX樹脂はアニオン交換(AEX)樹脂である。また別の実施形態では、AEX樹脂は混合モードAEX樹脂である。
【0222】
CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.0未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約5.5未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の他の実施形態では、操作条件のpHは約5.0未満である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のさらに他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.5である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のまた他の実施形態では、操作条件のpHは約4.5~約5.0である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約5.0~約5.5である。CEX樹脂または混合モードCEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約4.9~約5.3である。
【0223】
AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約6.5を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のいくつかの実施形態では、操作条件のpHは約6.9を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2を超える。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のさらに他の実施形態では、操作条件のpHは約6.9~約7.9である。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法のまた他の実施形態では、操作条件のpHは約7.2~約7.5である。AEX樹脂または混合モードAEX樹脂を使用する様々な方法の特定の実施形態では、操作条件のpHは約7.5~約7.8である。
【0224】
本明細書で提供される様々な方法の特定の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度および/または導電率を調節することをさらに含む。一実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度を調節することをさらに含む。別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液の導電率を調節することをさらに含む。さらに別の実施形態では、操作条件は、塩を加えることによって操作溶液のイオン強度および導電率を調節することをさらに含む。いくつかの実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αを達成することである。他の実施形態では、塩を加える効果は、リパーゼの所望のlog KPを達成することである。さらに他の実施形態では、塩を加える効果は、所望のlog αと、リパーゼの所望のlog KPとを達成することである。
【0225】
いくつかの実施形態では、操作溶液中の塩は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムおよびTris-HClからなる群から選択される。一実施形態では、塩は塩化ナトリウムである。別の実施形態では、塩は酢酸ナトリウムである。さらに別の実施形態では、塩はリン酸ナトリウムである。また別の実施形態では、塩は硫酸アンモニウムである。一実施形態では、塩は硫酸ナトリウムである。別の実施形態では、塩はTris-HClである。
【0226】
具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約100mM~約225mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0227】
別の具体的な実施形態では、操作溶液中の塩化ナトリウムの濃度は約150mM~約180mMであり、クロマトグラフィー樹脂はCEXであり、そして、操作条件のpHは約5.0~約6.0である。
【0228】
さらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の酢酸ナトリウムの濃度は約100mM~約200mMであり、クロマトグラフィー樹脂はAEXであり、そして、操作条件のpHは約6.9~約7.8である。
【0229】
また別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約500mM~約620mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、そして、操作条件のpHは約7である。
【0230】
またさらに別の具体的な実施形態では、操作溶液中の硫酸ナトリウムの濃度は約510mM~約560mMであり、クロマトグラフィー樹脂はHICであり、そして、操作条件のpHは約7である。
【0231】
さらに別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体を混合モードAEX樹脂に通過させること、
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、ロード流体のpHは、約pH7.2~約pH7.6であり、そしてここで、ロード流体は塩を含まない。
【0232】
別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤を作製するためのプロセスが本明細書で提供され、該プロセスは、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体を混合モードAEX樹脂に通過させること、
(b)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片をフロースルー中で回収すること、および
(c)PS-80を含む溶液中で、工程(b)から得られる抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、ここで、6ヶ月後の平均PS80分解は10%以下である。
【0233】
さらに別の実施形態では、PS80分解は、限定するものではないが、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、インタクトなPS-80分子の量および/または分解生成物の量によって測定される。
【0234】
また別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.3であり、そしてここで、溶出溶液は、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0235】
一実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0236】
さらに別の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約165mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0237】
また別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH5.0~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液は、約150mM~約275mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0238】
一実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約200mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0239】
さらに別の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは約pH5.1であり、そしてここで、溶出溶液は、約250mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0240】
本明細書で提供される様々な方法のさらなる実施形態では、ロード流体は、事前のクロマトグラフィープロセスから得られる溶出液である。一実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィーを含む。別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、アフィニティークロマトグラフィー、それに続く非アフィニティークロマトグラフィーを含む。さらに別の実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーはプロテインAクロマトグラフィーである。また別の実施形態では、非アフィニティークロマトグラフィーはAEXクロマトグラフィーである。またさらに別の実施形態では、事前のクロマトグラフィープロセスは、プロテインAクロマトグラフィー、それに続くAEXクロマトグラフィーを含む。
【0241】
別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液の導電率は、約15mS/cm~約21mS/cmである。
【0242】
別の態様では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤内のPS-80安定性を改善する方法が本明細書で提供され、該方法は、
(a)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含むロード流体をCEX樹脂に通過させること、
(b)溶出溶液を用いて、CEX樹脂から抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を溶出すること、および
(c)抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片製剤がPS-80を含む溶液であるように、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を製剤化することを含み、
ここで、溶出溶液のpHは、約pH4.9~約pH5.4であり、そしてここで、溶出溶液は、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムをさらに含む。
【0243】
8.医薬組成物
本開示はまた、治療用タンパク質(例えばモノクローナル抗体)と、少量のHCP(例えばリパーゼ)とを含む医薬組成物(例えば、医薬物質または医薬品)を提供する。
【0244】
特定の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、1ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。一実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.1ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.2ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.3ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.4ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。またさらに別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.5ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。一実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.6ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.7ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.8ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、治療用タンパク質と、0.9ppm未満の宿主細胞リパーゼとを含む。
【0245】
本明細書に記載される医薬組成物の様々な実施形態では、宿主細胞リパーゼのレベルは、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によって測定される。
【0246】
特定の実施形態では、医薬組成物は、
(a)約4.9~約5.3のpHを有し、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(b)約5.1のpHを有し、約150mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(c)約5.1のpHを有し、約165mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(d)約4.9~約5.4のpHと、約15mS/cm~約21mS/cmの導電率とを有する溶出溶液、
(e)約4.9~約5.4のpHを有し、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(f)約pH5.0~約pH5.4のpHを有し、約150mM~約275mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、
(g)約5.1のpHを有し、約200mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、および
(h)約5.1のpHを有し、約250mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液、からなる群から選択される溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0247】
一実施形態では、医薬組成物は、約4.9~約5.3のpHを有し、約120mM~約175mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0248】
別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有し、約150mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0249】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有し、約165mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0250】
また別の実施形態では、医薬組成物は、約4.9~約5.4のpHと、約15mS/cm~約21mS/cmの導電率とを有する溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0251】
一実施形態では、医薬組成物は、約4.9~約5.4のpHを有し、約135mM~約195mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0252】
別の実施形態では、医薬組成物は、約pH5.0~約pH5.4のpHを有し、約150mM~約275mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0253】
また別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有し、約200mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0254】
またさらに別の実施形態では、医薬組成物は、約5.1のpHを有し、約250mMの塩化ナトリウムを含む溶出溶液を使用するCEXクロマトグラフィーから得られる溶出液である。
【0255】
医薬組成物のいくつかの実施形態では、CEXクロマトグラフィーの前に、フロースルーモードで操作されるAEXクロマトグラフィーが先行する。
【0256】
医薬組成物の特定の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される。一実施形態では、リパーゼはPLBL2である。別の実施形態では、リパーゼはLPLである。さらに別の実施形態では、リパーゼはLPLA2である。一実施形態では、リパーゼはLP-PLA2である。別の実施形態では、リパーゼはLALである。また別の実施形態では、リパーゼは、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なるリパーゼを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALからなる群から選択される2つ、3つ、4つまたは5つの異なるリパーゼを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLPLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLP-PLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLPLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPLおよびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、LPLA2およびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、LP-PLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLPLA2を含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLP-PLA2を含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLおよびLALを含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLP-PLA2を含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。一実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLP-PLA2を含む。別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2およびLALを含む。さらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LP-PLA2およびLALを含む。また別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。またさらに別の実施形態では、リパーゼは、PLBL2、LPL、LPLA2、LP-PLA2およびLALを含む。
【0257】
医薬組成物の他の実施形態では、治療用タンパク質はモノクローナル抗体である。
【0258】
[実施例]
このセクション(セクションVI)の実施例は、限定ではなく例示として提供されている。
【0259】
[実施例1]:異なる種のKPを決定する方法
分配係数KPは、既知の液体濃度のタンパク質(または目的の他の分子)を既知の体積のクロマトグラフィー樹脂と混合し、樹脂に結合したタンパク質と液体中に残っているタンパク質との比を計算することによって決定される:
KP=q/c=[結合]/[遊離]。
【0260】
その後の全実施例について、クロマトグラフィー体積は20μLであり、液体体積は200μLであり、タンパク質濃度は0.5mg/mLであった。これらの体積は、5mg/mLの有効樹脂ローディングに対して10:1の相比を提供する。
【0261】
スクリーニングは、96ウェルフィルタープレート(P/N MSBVN1250、Millipore Sigma,Burlington,MA)内で樹脂と液体とを激しく混合し、真空濾過によって樹脂と液体とを分離することによって行った。工程の順序は以下の通りであった:
(a)3回の平衡化(供給物を含有しない緩衝液)、各工程10分間のインキュベーション;
(b)1回の供給物混合、60分間のインキュベーション;および
(c)2回のストリップ条件、各工程10分間のインキュベーション
平衡化工程は、初期樹脂スラリー緩衝液からの緩衝液交換を可能にする。供給物混合のための60分の時間は、所与の条件セットで樹脂リガンドとタンパク質との間の擬似平衡化を可能にする。供給工程からの濾液を280~320nmでのUV吸光度によって測定して、タンパク質の最終液体濃度cを決定した。タンパク質の結合濃度qは、c付近と、既知の供給物濃度c0(0.5mg/mL)との物質収支によって決定した。
【0262】
分配は、一般に、log KPに関して報告されており、log KPは、本明細書に記載のUV法を使用して約0~2まで正確に定量することができる。log KPスクリーニングの通則は、以下の通りである:
log KP≧1.5、樹脂への強い結合;
log KP<1、結合溶出様式について溶出が予測される条件;
0.5<log KP<1、いくらかの結合を示す弱い相互作用条件;
log KP<0.5、結合がほとんどまたは全くない。
【0263】
異なる種のlog KPはまた、分離係数αを以下のように計算することによって、異なる種の分離を予測するために使用される:α=KP、タンパク質1/KP、タンパク質2;log α=log KP、タンパク質1-log KP、タンパク質2、ここで、log αが0から遠いほど、さらに良好な分離を示す。以下の実施例では、α=KP、リパーゼ/KP、mAb;log α=log KP、リパーゼ-log KP、mAbである。log αが0.5よりも大きいことは、リパーゼとモノクローナル抗体との分離が良好であることを示す。
【0264】
[実施例2]:典型的な処理条件でのPLBL2およびmAbのK
P値の比較
K
Pおよびαを決定するための方法を使用して、2つのモノクローナル抗体mAb1およびmAb2のための操作条件で、様々なクロマトグラフィープロセスを通して、既知のリパーゼ不純物PLBL2を分離する能力を評価した。表1は、mAb1のためのいくつかの処理条件でのmAb1およびPLBL2のlog K
P値およびlog α値を要約している。
【表4】
【0265】
表1は、クロマトグラフィープロセスによってmAB1からPLBL2を分離するための潜在的な操作条件を示す。
【0266】
プロテインAプロセスの場合、PLBL2は親和性を有しないため、PLBL2の大部分は、ローディング工程または洗浄工程中にプロテインA樹脂を通って流れると予測される。プールに存在する唯一のPLBL2は、不十分な洗浄によるものであるか、またはmAb1と関連している可能性が高い。
【0267】
mAb1のためのフロースルーモードで操作されるAEXプロセスでは、PLBL2は、ローディング条件および洗浄条件でmAb1よりも強い結合(高いlog KP)を示す。これにより、これらの条件で1.0よりも大きいlog αがもたらされ、PLBL2がこれらの条件で樹脂に結合したままであるのに対して、mAb1が流れ抜けることが示される。
【0268】
CEXプロセスの場合、PLBL2は、mAb1と比較して、塩調節に対する感受性が低く、塩範囲の比較的高い末端で比較的高いlog KPを有する。中央点および高塩限度で1.0よりも大きいlog αは、PLBL2が、mAb1溶出中に結合したままであることを示す。低塩限度は、mAb1からPLBL2を分離するためのはるかに好ましくないlog αをもたらし、これは、これらの条件でいくらかの結合を保持すると予測される(1.5のlog KP、mAb1)。
【0269】
表2は、mAb2のためのいくつかの処理条件でのmAb2およびPLBL2のlog K
P値およびlog α値を要約している。
【表5】
【0270】
表2は、クロマトグラフィープロセスによってmAb2からPLBL2を分離するための潜在的な操作条件を示す。
【0271】
プロテインAプロセスおよびCEXプロセスに対するmAb2の傾向は、mAb1の傾向と非常に類似しており、mAb2の方が、プロテインA溶出中にわずかに強い結合を示し、CEX溶出中に弱い結合を示す。CEXプロセスでは、mAb2の方が、低い塩で低い結合を有するため、塩範囲全体にわたって堅牢なlog αを有する。
【0272】
[実施例3]:異なる樹脂のためのある範囲の条件でのPLBL2およびLPLA2のK
P値のマッピング
下流処理で使用される可能性がある緩衝液および条件が異なる多種多様な樹脂について、PLBL2およびLPLA2の分配係数を決定するために広範囲なマッピングを行った(表3)。塩条件およびpH条件を組み合わせて試験した。PLBL2およびLPLA2のK
Pの包括的マッピングは、既知のmAb精製条件または調査される条件でのPLBL2またはLPLA2の分離を予測するための基礎を提供することができる。
【表6】
【0273】
3.1 AEXクロマトグラフィー
AEXクロマトグラフィーのための一連の条件を表3に列挙し、PLBL2については
図1A~
図1Cに、POROS 50 HQ樹脂を用いたLPLA2については
図1D~
図1Fに示す。第1の緩衝液の組合せは、プロテインA工程および低pH保持工程に続くフロースルーモードのAEXローディング工程では一般的に見られ得る範囲の緩衝液の混合物を表す(
図1Aおよび
図1D)。これらの条件下で、アセテートは対イオンとして作用して結合について競合し、Tris塩基を適切な量で加えてpHを制御した。PLBL2は、>100mMのアセテートを加えても強い相互作用を示し、約140mMのアセテートでは約1のlog K
Pが観察され、log K
Pは、さらに高いアセテート濃度では低下し続けると推定される(
図1A)。pH7.0~7.5の範囲にわたって差はほとんど観察されなかった(
図1A)。LPLA2は、アセテートと同様の傾向を示したが、さらに高いpHでは、さらに強い結合が見られ、pHに対するさらに強い依存性も示した(
図1D)。
【0274】
他の2つのAEX条件は、AEX平衡化工程および洗浄工程に使用され得る緩衝液(Trisおよびホスフェート)を表す。NaCl塩調節の使用は、事前の塩溶出(例えば、CEXから)後のAEXプロセスのための可能な条件を提供する。Tris緩衝液(
図1Bおよび
図1E)では、PLBL2は約50mMのNaClを加えるまで強く結合したままであり(log K
P>1.5)、log K
Pは、約100mMのNaClを超えて1未満に低下する。LPLA2は同様に挙動するが、最大約30mMのNaClまでlog K
P>1.5、および、約75mM超のNaClではlog K
P<1であり、あまり強く保持されない。ホスフェート緩衝液(
図1Cおよび
図1F)は、Trisよりも強力にPLBL2およびLPLA2の相互作用を妨げ;いずれのリパーゼを用いてスクリーニングした条件もlog K
P>1.5をもたらさず、log K
Pは、いずれの場合も約40mMのNaClで1未満に低下した。pHは、試験した範囲にわたっていずれの緩衝液にもほとんど影響を及ぼさなかった。
【0275】
3.2 CEXクロマトグラフィー
CEXクロマトグラフィーのための一連の条件を表3に列挙し、POROS 50 HS樹脂については
図2A~
図2Cに示す。
【0276】
第1の組合せは、溶出のためにNaCl調節を使用する、mAbの結合および溶出に典型的に使用され得るpHおよび塩範囲を表す(
図2Aおよび
図2C)。この場合、NaClは強い効果を有し、250mMを超えるNaClでは結合は見られず、PLBL2では約150mMのNaClでlog K
P値は1であった(
図2A)。pHはまた、比較的低いpH、特にpH5.0に近いpHでlog K
Pの増加に顕著な影響を及ぼした。LPLA2は、pHおよび塩調節について同様の傾向を示したが、顕著に比較的強い保持を有し、200~250mMのNaClではlog K
P値は1であった(
図2C)。
【0277】
第2の組合せは、典型的にははるかに低い塩条件で、pHを使用して結合を調節する条件を表す(
図2B)。この場合、1.5のlog K
Pを超える強いPLBL2結合は、pH5.5未満でのみ見られ、log K
P値は、約pH5.8を超えると1未満に低下した。ここで試験した塩条件は、これらのpH値では分配にほとんど影響を及ぼさなかった。アセテート緩衝液をpH6.0まで使用し、ホスフェート緩衝液を使用してさらに高いpH条件を緩衝した。
【0278】
3.3 HIC
20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)の緩衝条件で硫酸ナトリウム濃度を調節することによって、HIC樹脂、Tosoh Butyl-650MへのPLBL2およびLPLA2の分配試験を行った(表3、
図3)。両リパーゼは、高塩では強い結合を有する典型的なHIC挙動を示し(log K
P>1.5、PLBL2については250mMを超える硫酸ナトリウム、およびLPLA2については400mM硫酸ナトリウム)、低塩では分配を減少させた(log K
P<1、PLBL2については150mM未満の硫酸ナトリウム、およびLPLA2については200mM硫酸ナトリウム)。
【0279】
3.4 マルチモーダルクロマトグラフィー
また、2つのマルチモーダルクロマトグラフィー樹脂、すなわち、マルチモーダルAEX樹脂、Capto adhere、およびマルチモーダルCEX樹脂、Capto MMCを用いて、PLBL2の分配を試験した(表3、
図4Aおよび
図4B)。Capto adhereでは、log K
P値は、試験したいずれの条件でも1.9よりも大きく、広範囲の操作条件にわたって強い結合を示した(
図4A)。Capto MMCでは、結合は、はるかに広い塩範囲にわたるpH変化によって主に調節された(
図4B)。1.5を超えるlog K
Pを有する強い結合範囲が、約pH5.8未満で観察された。1未満のlog K
Pを有するそれよりも弱い結合範囲が、高塩添加によって約5.9のpHを超えた場合にのみ観察された。
【0280】
[実施例4]:IgG1 mAb、mAb3からPLBL2を分離するための条件の最適化
実施例3のPLBL2について提供された分配マップを使用して、IgG1 mAb、mAb3からのPLBL2の分離を最適化した。mAb3の性能は、プロテインAプロセスに対するmAb1の性能と同様であった。プロテインAローディング条件下では、mAb3の強い結合が観察された(データは示さず)。
【0281】
4.1 AEXクロマトグラフィー
使用したカラムは、POROS HQ樹脂では、ベッド高さ20cmで約7mLの体積であった。mAb3供給物は、約110mMのアセテート対イオンを有する、pH7.5のTrisおよびアセテート混合物中で13.5mg/mLの濃度であった。この条件でのmAb3 log K
Pは0に近いのに対して、PLBL2 log K
Pは約1.4であり(
図1A)、mAb3は樹脂に結合しないが、PLBL2はある程度樹脂に結合することを示している。プロセスをフロースルーモードで実行し、クロマトグラムは、カラムに結合したmAb3がほとんどないことを示す(
図5)。濃度を較正するために使用される既知のPLBL2ペプチドを用いて、QE HF-Xシステムを用いて質量分析法を使用して、異なる画分中のPLBL2を定量した。供給物中のPLBL2の濃度は77ppmであった。フロースルー中のPLBL2の濃度は9ppmであった。ストリップ中のPLBL2の濃度は3841ppmであった。検出された量は、85%を超えるPLBL2が、フロースループール中のmAb3から除去されたことを示している。ストリッププール中のPLBL2の量が多いことは、log K
P値1.4によって予測されるように、リパーゼが、フロースルー条件下で樹脂に結合し、log K
P値0によっても予測される1M NaCl高塩ストリップ条件下で溶出したことを示す。
【0282】
したがって、プロテインAおよびAEXは、一般的な操作条件でPLBL2を除去する有望な工程であり、log α値は、プロテインAローディング中に-2であり、フロースルーモードでAEXローディング中に約1.5である。同様のα値が、ProAについてはLPLA2によって達成することができ、フロースルーモードでのAEXローディングについては約1.7までのさらに良好な分離を達成することができる。
【0283】
mAb3については、プロテインAプロセスおよびAEXプロセスを超える追加のクリアランスも所望されたため、実施例3のPLBL2およびLPLA2に使用したものと同様の条件でlog KPマップを作成した。次いで、これらのlog KP値を使用して、スクリーニングした範囲にわたってlog αを計算して、最大分離条件を同定した。
【0284】
4.2 CEXクロマトグラフィー
POROS 50 HS樹脂を用いたCEXクロマトグラフィーを使用した分離条件を、表3に列挙した条件でPLBL2については
図6Aおよび
図6Bに、LPLA2については
図6Cにlog α値として示す。塩との結合を調節するためには、PLBL2の最良の分離条件は、pH5~5.2、および200~225mMのNaClであり、ここで、log α値は約0.4であった(
図6A、黒色の枠)。log αが正であるため、mAb3はPLBL2よりも弱く結合し、このことは、これらの条件下では、mAb3が樹脂から溶出するのに対して、PLBL2は結合したままであり得ることを示している。最適化された面積は、幾分狭いpHおよび塩範囲を表し、特に高いlog αを有しない。このプロセスでは、従来のカラムクロマトグラフィーを使用した確認を依然として行う必要がある可能性が高い。
【0285】
これらのCEX条件に対するLPLA2およびmAb3の分離は、
図6Cに示すようにはるかに大きい。最適化された範囲はPLBL2と同様であるが、LPLA2およびmAb3のα値は、200~250mMのNaClおよび5.0~5.3のpHの条件では1よりも大きい。
【0286】
塩調節とは対照的に、pHによる結合の変化は、約-0.6の負のlog α値をもたらした(
図6B、黒色の枠)。約pH6.0~6.6および20mM未満のNaClを包含する領域は、mAb3がPLBL2よりも強く樹脂に結合する条件を表す。したがって、これらの条件は、比較的高いpH(および/または比較的高い塩)でmAb3を溶出する前にPLBL2を除去することができる中間洗浄として使用され得る。
【0287】
追加のCEXプロセスが、実施例4.1で指定されたローディング操作条件下でフロースルーモードで操作されたAEXプロセス後にmAb3からPLBL2およびLPLA2をさらに分離することができるかどうかを評価するために、pH5.1および165mM NaClでの溶出条件で結合溶出モードで操作される、POROS HS樹脂を含むCEXカラムに、AEXフロースループールをロードした。この溶出操作条件下でのlog αは、PLBL2(
図6A)については0.2であり、LPLA2(
図6C)については0.9である。これらのlog α値は、約200mM NaClの最適範囲の値よりも小さいが、正の値は、特にLPLA2について、この溶出条件下でリパーゼが樹脂に比較的強く結合することを依然として示している。質量分析により、CEX供給物中のPLBL2は5ppmであったが、CEX溶出プール中のPLBL2は0.3ppmに低下したことが示された。溶出プール中のLPLA2は、検出限界未満であった(データは示さず)。これらの結果は、AEXプロセスがフロースルーモードで実行された後、指定された溶出操作条件下で追加のCEXプロセスがmAb3からPLBL2をさらに分離することができることを実証している。
【0288】
4.3 HIC
表3に列挙した条件で、HIC樹脂、Tosoh Butyl-650M(
図7)を用いて、mAb3およびリパーゼの分配も比較した。硫酸ナトリウム濃度を変化させても、mAb3とPLBL2との間の分離はほとんどもたらされず、この条件では、300mMの硫酸ナトリウムのみが約0.3のlog αで何らかの分離をもたらす。LPLA2は、300~400mMの硫酸ナトリウムで約0.5のlog αで幾分良好な分離をもたらす。対照的に、mAb2は、mAb3、PLBL2またはLPLA2よりもはるかに疎水性が低く、したがって、硫酸ナトリウムが600mMを超えるまで、1.5のlog K
Pを超えるHIC樹脂への強い結合に移行しない。mAb2およびPLBL2の場合、1.5~2.0のlog α値が300~500mMの硫酸ナトリウムで達成され得、これは、その中で操作するための有望な分離能力を有する非常に広い塩範囲である。LPLA2についても同様に、この同じ塩範囲では、1よりも大きいlog α値が見られる。
【0289】
4.4 マルチモーダルクロマトグラフィー
表3に列挙した条件で、異なるマルチモーダル樹脂、マルチモーダルAEX樹脂、Capto adhere(
図8A)およびマルチモーダルCEX樹脂、Capto MMC(
図8B)について、mAb3およびPLBL2の分配を最終的に比較した。
【0290】
Capto adhereでは、PLBL2はいずれの条件でも強く結合したのに対して(
図4A)、mAb3は、さらに高い塩でさらに強い分配を伴う疎水性相互作用を示した。得られたlog αプロットは、mAb3結合が最も低かった低塩でのpH7.3~7.6の条件下で最も高い分離係数(log α>0.8)を示す(
図8A)。これらの条件は、Capto adhere樹脂へのPLBL2の結合を維持しながら、mAb3溶出またはフロースルーに利用することができる。
【0291】
Capto MMCは、スクリーニングされた条件では、Capto adhereと同じレベルのmAb3およびPLBL2の分離をもたらさない。最良の条件は、pH5.9~6.0および300mM超のNaClで見られ、0.3までのlog α値が観察された。log αが0よりも大きいため、これらの条件は、PLBL2結合を維持しながらmAb3溶出に使用され得る(
図8B)。このスクリーニングでは両因子の上限で最適範囲が見られたため、さらに高いpHおよび/またはさらに高い塩で、さらに広いまたはさらに好ましい一連の分離条件が可能であり得る。
【0292】
[実施例5]:モノクローナル抗体mAb4(MK-1308、抗CTLA4抗体)のためのCEX操作条件の最適化
表4に示すように、実験のCEX設計(DoE)では5つの因子を試験した。可変量の酢酸ナトリウム三水和物、4M酢酸および塩化ナトリウムを使用して、溶出緩衝液のpHおよび導電率を調整した。1M Tris、1M酢酸および1M塩化ナトリウムを使用して、ロードpHおよび導電率を調整した。
【表7】
【0293】
表5に示すように、DoE設計は合計40回の実行に達した。各溶出緩衝液を2回調製し、中央点溶出緩衝液を3回調製した。
【表8】
【0294】
7mLクロマトグラフィーカラムを用いて、表6の工程に従って、各実行を操作した。収率および品質分析のために、各実行の溶出プールおよびストリップを収集した。
【表9】
【0295】
各実行の溶出プールおよびストリップを、残存HCP ELISA分析に供した。溶出緩衝液のpHおよび導電率は、残存HCP ELISAの結果に対して最大の効果を有することが分かった(
図9)。
【0296】
そのため、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によって、溶出緩衝液条件に基づく特定の実行をさらに分析した(表7を参照)。材料の制限により、同じ溶出緩衝液条件でのいくつかの実行のプールおよびストリップを組み合わせた(例えば、以下の10および13)。
【表10】
【0297】
LC-MSの結果は、既知のペプチド配列のデータベース検索に基づいて試験した全試料のCEXプールにリパーゼが存在しないことを示した。500amole~50pmoleの範囲の48の異なるヒトタンパク質(6kDa~83kDa)をスパイクインすることによって、1mg DS中のLC-MSの検出限界を評価した。少なくとも2つの固有のペプチドが、0.6ppm程度の低いスパイクインタンパク質として同定された(データは示さず)。
【0298】
各CEXストリップ試料では、ホスホリパーゼB様2(PLBL2)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、ホスホリパーゼA2 XV(LPLA2)、ホスホリパーゼA2 VII(LP-PLA2)およびリソソーム酸リパーゼA(LAL/LIPA)を含む5つのリパーゼを同定し、相対定量した(表8を参照)。これらの結果は、試験した溶出緩衝液範囲では、リパーゼがCEX樹脂に強く結合することを示唆している(pH4.9~5.4、導電率15~21mS/cm、これは135~195mMの塩化ナトリウム濃度に相当する)。
【表11】
【0299】
溶出緩衝液設計空間におけるPS-80安定性の改善を確認するために、PS-80安定性試験を行った。安定性試験に十分なmAb質量を有するために、表5の異なる実行から得られたCEXP(ただし、同じ溶出緩衝液条件)を等しいmAb質量比(1:1)によって組み合わせ、製剤化した。それぞれ24週間および16週間にわたる5±3℃および25±3℃での組合せCEXP実行で、PS-80安定性試験を行った(
図13)。この試験では、試験した全CEXP試料について試験期間中に安定なPS-80が示されたが(<20%のPS-80分解)、陽性対照であるAEXPは、25±3℃で16週間後に約30%分解した。CEX溶出緩衝液pH5.1±0.2および導電率18±2mS/cmの操作空間は、CEXP、ひいてはDS中のPS-80安定性を改善するために明らかに堅牢である。
【0300】
[実施例6]:宿主細胞リパーゼが除去されるにつれてPS-80安定性が増加した
PS80を含有する溶液のPS-80濃度を特定の温度で特定の時間にわたって測定することによって、PS-80安定性を評価した。PS-80濃度の顕著な変化は、時間0の結果と比較して、±0.02mg/mLのPS-80濃度範囲外(すなわち、アッセイ変動性)の2つの連続した結果として定義される。
【0301】
mAb4医薬物質(DS)は、製剤化工程によって作製されたPS-80含有溶液であり、PS-80含有溶液は、10mMヒスチジン緩衝液(pH5.5)、10mMメチオニン、7%(w/v)スクロースおよび0.02%(w/v)PS-80中50mg/mL mAb4の最終DS濃度を達成するために、49%(w/w)スクロースおよび85mMメチオニン原液ならびに10%(w/w)PS-80原液を別個に加えることを必要とする。
【0302】
PS-80安定性を、2カラムおよび3カラム精製スキームから生成した2つのmAb4 DS試料の間で比較した。2カラム精製スキームには、プロテインAおよびAEXを含めた。得られたAEXプール(AEXP)をDSに製剤化し、「AEXP DS」と呼ぶ。3カラム精製スキームには、プロテインA、AEXおよびCEXを含めた。得られたCEXプール(CEXP)をDSに製剤化し、「CEXP DS」と呼ぶ。さらに、タンパク質を含まない同じDS製剤を含有するプラセボを、試験全体を通して陰性対照として使用した。
【0303】
プラセボ、AEXP DSおよびCEXP DSを別個のガラスバイアルに2.2ml充填容量で充填し、ゴム栓を用いて蓋をして、医薬品の貯蔵を模倣した。バイアルを以下の安定チャンバに入れた:
・5℃±3℃
・25℃±3℃、60%±5%相対湿度(RH)
・40℃±2℃、75%±5%相対湿度(RH)
試料を取り出し、12週間および6ヶ月(26週間)まで2週間間隔でPS-80濃度について試験した。
【0304】
図10Aに示すように、AEXP DS中のPS-80濃度は、5℃で0.21(0週)から0.18mg/mL(12週)まで低下した。PS-80の分解は、貯蔵温度が高くなるにつれて増加した。例えば、25℃では、AEXP DS中のPS-80濃度は、0.21(0週間)から0.18mg/mL(4週間)および0.15mg/mL(26週間)まで低下した(
図10B);40℃では、AEXP DS中のPS-80濃度は、0.21(0週間)から0.17mg/mL(2週間)および0.09mg/mL(26週間)まで低下した(
図10C)。一方、CEXP DS中のPS-80濃度は、3つの異なる温度いずれの下でも経時的に顕著に変化せず、これはプラセボとほぼ同等である。
【0305】
このPS-80安定性試験と並行して、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によるリパーゼ同定について、対応するクロマトグラフィーストリップ試料とともに、同じバッチのインプロセス中間体を試験した(表9)。PLBL2およびLPLは、AEXP中に見出されたが、CEXPには存在しなかった。PLBL2およびLPLの両方がAEXストリップおよびCEXストリップに存在し、樹脂へのリパーゼの強い結合が示唆された。したがって、AEXP中のPLBL2およびLPLの存在は、AEXP DS中の5~40℃でのPS-80濃度低下の1つの潜在的原因であり得ると仮定される。第3のCEXカラムを加えることにより、これらのリパーゼを効果的に除去し、CEXP DS中のPS-80安定性を改善することができる。
【表12】
【0306】
2つのクロマトグラフィー工程(プロテインAおよびAEX)のみを利用する4つのmAb4精製バッチから得られたDSを、-40℃、5℃および25℃で最大6ヶ月間にわたる安定性試験に供した(
図11A)。25℃での平均PS80分解は、わずか1ヶ月後に約20%であり、6ヶ月後に約45%であった。3つのクロマトグラフィー工程(プロテインA、AEXおよびCEX)を利用する3つのmAb4精製バッチから得られたDSを、-40℃、5℃および25℃で最大6ヶ月間にわたる安定性試験に供した(
図11B)。25℃での平均PS80分解は、6ヶ月後に10%を超えなかった。これらの結果は、CEXが、不純物(リパーゼなど)を除去し、PS-80安定性を改善するという主張をさらに裏付ける。
【0307】
AEX工程がプロセス全体で省略され得るかどうかを決定するために、プロテインA工程後の材料、具体的には、濾過中和ウイルス不活化プール(FNVIP)をCEXカラムにロードした。得られたCEXプールをDSに製剤化し、「FNVIP-CEXP DS」と命名した。さらに、CEXストリップ中で同定されたリパーゼの1つであるLPLA2を、陽性リパーゼ対照として5ppmおよび50ppmの2つの濃度でDSにスパイクした。これらのDS試料を、プロテインAプール(PAP)、FNVIP、AEXP、プラセボ(DSを含まない同じ製剤)および3カラム精製プロセス(プロテインA、AEXおよびCEX)から得られたDSとともに、5℃および40℃での安定性試験に供した(
図12)。40℃で12週間後、PAP DS、FNVIP DSおよび両LPLA2スパイクDS試料には50%を超えるPS80分解が認められたが、プラセボDSおよび標準的な3カラムプロセスDSは10%以下のPS80分解のままであった。これらの結果は、LPLA2などのリパーゼが、PS80分解を引き起こし、精製プロセスのPAPおよびFNVIPではさらに濃縮されることを示している。AEXP DSおよびFNVIP-CEXP DS PS80は40℃で12週間後に約30~40%分解し、mAb4 DSから残存リパーゼを完全に除去するには、3カラム精製プロセス(プロテインA、AEXおよびCEX)が必要であることが示唆された。
【0308】
リパーゼがCEXによって除去されることをさらに検証するために、500L HCCFバッチ(19K-1308-19002)および2000L HCCFバッチ(W18-MK1308-010)から得られたプロセス中間体試料を液体クロマトグラフィー多重反応モニタリング(LC-MRM)に供した。LC-MRMを行って、3つのリパーゼ、すなわち、ホスホリパーゼB様2(PLBL2)、ホスホリパーゼA2 XV(LPLA2)およびリポタンパク質リパーゼ(LPL)を定量した。以下の表7の分析の結果を参照されたい。
【表13】
【0309】
[実施例7]:リパーゼスパイク試験-MK-1308、抗CTLA4抗体を使用したPLBL2、LPLおよび塩基性変異体のクリアランス
この例示的な目的は、プロセス関連不純物および生成物関連不純物を除去する個々のユニット操作の能力を理解することであった。それぞれの工程についてAEX濃縮ストリップおよびCEX濃縮ストリップを用いて供給物をスパイクすることによって、PLBL2およびLPLのクリアランスを評価した。多重反応モニタリング質量分析(MRM-MS)リパーゼアッセイを使用して、リパーゼレベルを決定した。
【0310】
アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)では、POROS HQ50樹脂を利用する。樹脂1L当たり200gの生成物の標的に、抗CTLA4抗体をロードする。抗体はカラムを通って流れるが、宿主細胞タンパク質、HMWおよびDNAなどの不純物はカラムに結合する。AEXストリップの一部を、体積比1:1の20mM酢酸ナトリウムpH5.1を使用して希釈し、30kDaの再生セルロース限外濾過膜を使用して濃縮し、透析濾過し、1M tris塩基を使用してpHを7.5の標的pHに調整した。濃縮および透析したAEXストリップをAEXLにスパイクして、AEX工程にわたるrHCP、リパーゼおよびHMWのクリアランスを評価した。AEX工程にわたるrDNAクリアランスを評価するために、CHO DNA濃縮物をAEXLにスパイクした。
【0311】
カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)では、POROS HS50樹脂を利用する。樹脂1L当たり40gの生成物の標的に、抗CTLA4抗体をロードする。HCP、HMWおよびrProAリガンドなどの不純物は、溶出緩衝液中の塩化ナトリウム濃度によって分離される。CEXストリップの一部を、体積比1:1の20mM酢酸ナトリウムpH5.1を使用して希釈し、30kDaの再生セルロース限外濾過膜を使用して濃縮し、透析濾過した。CEX工程にわたるrHCP、リパーゼ、塩基性変異体およびHMWのクリアランスを評価するために、濃縮および透析したCEXストリップをCEXLにスパイクした。
【0312】
CEX工程にわたるrProAリガンドクリアランスを評価するために、Mabselect SureプロテインAリガンドをGE Healthcareから購入し、DI水中で0.2g/Lに希釈し、CEXLにスパイクした。試験したrProAリガンドレベル(最大79ppm)はいずれも、CEXPではLOQ未満(0.3mg/ml)をもたらした。
【0313】
AEXをさらに低い供給物pHおよびさらに高い供給物導電率で実行し、一方、CEXを中央点条件で実行した。AEXの中央点条件は、ロード:pH7.5、≦5mS/cm、200g/L、洗浄:25mM Tris-HCl、pH7.5である。CEXの中央点条件は、ロード:pH5.1、≦6mS/cm、40g/L、洗浄:20mM酢酸ナトリウム、pH5.1、および溶出:20mM酢酸ナトリウム、pH5.1、165mM NaClを加えることによって達成される18mS/cmである。
【0314】
各スパイクレベルに対する供給物および生成物のPLBL2の結果を
図14~
図15に示す。CEXにわたるほぼあらゆるスパイクレベルについて、PLBL2は、1.0ppmの定量限界(LOQ)未満でクリアされた(
図15)。CEXの最大PLBL2容量は約62ppmであった(
図15)。AEXでは、AEXP中のPLBL2レベルは、AEXL中のPLBL2スパイクレベルが増加するにつれて指数関数的に増加した(
図14)。AEXの最大PLBL2容量は約350~400ppmであった(
図14)。
【0315】
各スパイクレベルに対する供給物および生成物のLPLの結果を
図16~
図17に示す。CEXにわたるあらゆるスパイクレベルについて、両LPLは、1.0ppmのLOQ未満でクリアされた(
図17)。CEXの最大LPL容量は約94.6ppmであった(
図17)。AEXでは、AEXP中のLPLレベルは、AEXL中のLPLスパイクレベルが増加するにつれて指数関数的に増加した(
図16)。AEXの最大LPL容量は約300~350ppmであった(
図16)。
【0316】
様々なレベルのCEX濃縮ストリップによって供給物をスパイクし、HP-IEXを使用して、得られた塩基性変異体レベルを測定することによって、中央点条件でCEXにわたって塩基性変異体のクリアランスを試験した。各スパイクレベルに対する供給物および生成物の塩基性変異体の結果を
図18に示す。塩基性変異体レベルは、最初の2つの不純物スパイクレベルについてCEXPでは一定のままであり(
図18)、これは、約6.4%の最大HMWレベルに相当した(
図19)。塩基性変異体は、CEXPでは、第3および第4のスパイクレベルで線形に増加した(
図18)。CEXでは塩基性変異体の最大容量は30.9%であるが(
図18)、CEXP中のHMWレベルは5.0%であり(
図13)、これは、約2%という予測される市販のDS仕様を満たさない。したがって、CEXの塩基性変異体の最大容量は21.5%であった(
図18)。
【0317】
本明細書に引用されるすべての参考文献は、あたかも各個々の刊行物、データベースエントリ(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリ)、特許出願または特許が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、参照により組み込まれる。参照による組込みのこの陳述は、個々のあらゆる刊行物、データベースエントリ(例えば、Genbank配列またはGeneIDエントリ)、特許出願、または特許に関する37C.F.R.§1.57(b)(1)に従うことが出願人によって意図されており、これらはそれぞれ、そのような引用が、参照による組込みに関する特別の陳述にすぐに隣接していないとしても、37C.F.R.§1.57(b)(2)に従って明らかに認識される。参照による組込みに関する特別の陳述の包含は、あったとしても、参照による組込みのこの大まかな陳述をいかなる形であれ弱めない。本明細書における参考文献の引用は、その参考文献が適切な先行技術であることの承認として意図されておらず、これらの刊行物または文献の内容または日付に関するいかなる承認も構成しない。
【表14】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、
(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、
(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、
(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、
(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤、および
(vi)PLBL2、LPLA2およびLPLのレベルが、CTLA4抗体1ml当たり≦1ngである、を含む組成物。
【請求項2】
(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、
(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、
(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、
(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、
(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤、および
(vi)宿主細胞リパーゼの残存量であって、宿主細胞リパーゼの前記残存量が、2ppm未満である、
を含む、組成物。
【請求項3】
抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、宿主細胞リパーゼの残存量、および、ポリソルベート-80を含む組成物であって、前記組成物が、安定なポリソルベート-80(PS-80)濃度を含み、ここで、前記安定なPS80濃度が、10%以下のPS-80分解のままである組成物。
【請求項4】
前記リパーゼが、ホスホリパーゼB様2(PLBL2)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、リソソームホスホリパーゼA2(LPLA2)、ホスホリパーゼA2 VII(LP-PLA2)およびリソソーム酸リパーゼA(LAL)からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
PLBL2、LPLA2およびLPLのレベルが≦1ng/mgである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、
(i) CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のPLBL2、
(ii) CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLPLA2、
(iii) CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLPL、
(iv) CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLP-PLA2、または、
(v) CTLA4抗体1mg当たり1ng未満のLAL、
を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記PS-80分解が、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、インタクトなPS-80分子の量によって測定される、請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記PS-80分解が、質量分析(MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、または帯電エアロゾル検出器(CAD)を有するHPLCシステムを用いた固相抽出(SPE)を含む様々な方法を使用して、分解生成物の量によって測定される、請求項3~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項3~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が、25mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項3~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、50mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項3~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%のPS-80、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、前記抗酸化剤が、メチオニンである、請求項3~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記PS-80濃度が、時間0の結果と比較して±0.02mg/mLのままである、請求項3~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記PS-80分解が、25℃で少なくとも6ヶ月間にわたって10%以下のままである、請求項3~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記緩衝液が、L-ヒスチジン緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液であり、前記非還元糖がスクロースである、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗CTLA4抗体が、
i.配列番号14、15および16に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、
ii.配列番号14、15および17に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、または
iii.配列番号14、15および18に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号11、12および13に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖CDR、を含む、請求項3~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗CTLA4抗体が、
a.配列番号19に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号20に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
b.配列番号21に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号22に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
c.配列番号23に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号24に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
d.配列番号25に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号24に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
e.配列番号26に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号27に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、
f.配列番号28に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号29に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、または
g.配列番号30に記載のアミノ酸の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号31に記載のアミノ酸の配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が、第1のプロテインAクロマトグラフィー工程、第2のアニオン交換クロマトグラフィー工程および第3のカチオン交換工程を含むプロセスによって精製され、それによって、精製された組成物を生成する、請求項3~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、1ng/mg未満のPLBL2を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリソルベート-80濃度が、時間0の結果と比較して±0.02mg/mLのままである、請求項3~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
PS-80分解が、25℃で少なくとも6ヶ月間にわたって10%以下のままである、請求項3~18及び20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
精製された抗CTLA4モノクローナル抗体組成物であって、ここで、請求項1に記載の組成物が、第1のプロテインAクロマトグラフィー工程、第2のアニオン交換クロマトグラフィー工程および第3のカチオン交換工程を含むプロセスによって精製され、それによって、精製された組成物を生成し、ここで、ハムスターPLBL2の量は、1ng/mg未満であり、前記組成物が、安定なポリソルベート-80濃度を含み、ここで、前記安定なPS80濃度が10%以下のPS-80分解のままである、精製された抗CTLA4モノクローナル抗体組成物。
【請求項23】
組成物内のPS-80安定性を改善する方法であって、ここで、請求項1に記載の組成物が、プロテインA、アニオン交換およびカチオン交換からなる3つのクロマトグラフィー工程を含む精製プロセスによって精製され、ここで、前記組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルが抗CTLA4抗体1mg当たり≦1ngである、方法。
【請求項24】
精製された抗CTLA4モノクローナル抗体組成物であって、ここで、請求項2に記載の組成物が、第1のプロテインAクロマトグラフィー工程、第2のアニオン交換クロマトグラフィー工程および第3のカチオン交換工程を含むプロセスによって精製され、それによって、精製された組成物を生成し、ここで、ハムスターPLBL2の量は、1ng/mg未満であり、前記組成物が、安定なポリソルベート-80濃度を含み、ここで、前記安定なPS80濃度が10%以下のPS-80分解のままである、精製された抗CTLA4モノクローナル抗体組成物。
【請求項25】
組成物内のPS-80安定性を改善する方法であって、ここで、請求項2に記載の組成物が、プロテインA、アニオン交換およびカチオン交換からなる3つのクロマトグラフィー工程を含む精製プロセスによって精製され、ここで、前記組成物は、(i)約10mg/ml~約200mg/mlの抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片、(ii)約5mM~約20mMの緩衝液、(iii)約6%~8%重量/体積(w/v)の非還元糖、(iv)約0.01%~約0.10%の非イオン性界面活性剤、および、(v)約1mM~約20mMの抗酸化剤を含み、ここで、PLBL2のレベルが抗CTLA4抗体1mg当たり≦1ngである、方法。
【国際調査報告】