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特表2023-500797水性環境における半透膜を介したガス交換を改善する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】水性環境における半透膜を介したガス交換を改善する装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A61M1/16 190
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522827
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020078987
(87)【国際公開番号】W WO2021074267
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】102019007144.1
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522152463
【氏名又は名称】プロメドテック ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シュタンゲ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クライバー、ヤン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB06
4C077DD07
4C077EE01
4C077EE03
4C077GG14
4C077HH02
4C077HH03
4C077HH07
4C077HH12
4C077KK23
(57)【要約】
【課題】両側水性環境中で半透膜を介してガスを簡単かつ大きな速度で除去すること。
【解決手段】生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中における酸素及び/又は二酸化炭素のようなガスの濃度に影響を与える方法。一方の側では非対称半透膜に沿って前記物質混合物又は前記溶液が導かれ、同じ膜の他方の側では、酸素化装置を含む閉回路において酸素供給される透析液が導かれる。影響が与えられるべき物質混合物又は溶液は、粒子状ガスキャリアを含み、及び、前記透析液は、前記閉回路において、影響が与えられるべきガスの少なくとも1つのためのガスキャリアを含み、そのため、前記影響が与えられるべきガスは、前記材料混合物又は前記溶液の可及的近くへ運搬される。再生のために、酸素の新たな新導入によって及び/又は二酸化炭素の除去によって、前記透析液が再生される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中における酸素(O2)及び/又は二酸化炭素(CO2)のようなガスの濃度に影響を与える方法であって、
一方の側では非対称半透膜に沿って前記物質混合物又は前記溶液が導かれ、同じ膜の他方の側では、酸素化装置を含む閉回路において酸素供給される透析液が導かれる方法において、
影響が与えられるべき物質混合物又は溶液は、粒子状ガスキャリア(赤血球)を含み、及び、前記透析液は、前記閉回路において、影響が与えられるべきガスの少なくとも1つのためのガスキャリアを含み、そのため、前記影響が与えられるべきガスは、前記材料混合物又は前記溶液の可及的近くへ運搬されること、
再生のために、酸素(O2)の新たな新導入によって及び/又は二酸化炭素(CO2)の除去によって、前記透析液が再生されること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
ガスキャリアとして、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質が使用されること
を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記ガスキャリアは、透析液側に50μm未満までの、好ましくは1μm未満までの、最も好ましくは100nm未満までの開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達するが、前記ガスキャリアは10%以下、好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.01%未満が該膜を通過し、そのため、酸素(O2)は可及的に短い距離を介して前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素(CO2)は可及的に短い距離を介して拡散によって前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液中へ除去されるが、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないこと
を特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の方法において、
透析液側において、前記ガスキャリアの濃度は、血中ヘモグロビンの濃度よりも大きくなるよう調節され、かくして、CO2及び酸素の物質輸送は付加的に増強されること
を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の方法において、
受容又は放出したガスキャリアは、閉再循環回路において、ガスの受容及び/又は放出を用いる装置によって二次的に再生されること
を特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記透析液中の前記ガスキャリアの再生は、前記酸素化装置によって行われ、該酸素化装置は、二酸化炭素(CO2)の除去及び/又は酸素(O2)の新たな新導入によってキャリア運搬透析液を再生すること
を特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の方法において、
膜として、120~1KDの間に、好ましくは60~10KDの間に、とりわけ好ましくは20~50KDの間にカットオフを有する非対称高流束透析膜が使用されること
を特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
前記透析液は、1メガダルトン(凡そ20個のヘモグロビン四量体、架橋型)未満の、好ましくは500kD(キロダルトン)(凡そ10個のヘモグロビン四量体、架橋型)未満の、最も好ましくは60kD(1つの四量体)未満の、分子量を有する分子ヘモグロビンを含有すること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項2又は8に記載の方法において、
前記透析液は、電解質、緩衝剤、糖、分子単量体又は多量体ヘモグロビン及び/又はアルブミンを成分として含有する血液の体外処理に使用されること、
前記電解質、緩衝剤及びグルコースは、市場で入手可能な濃縮物の濃度の範囲内で変化すること、
前記分子ヘモグロビンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、好ましくは30g/l超の、とりわけ好ましくは70g/l超の、濃度に濃縮され、及び、アルブミンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、好ましくは50g/l超の、とりわけ好ましくは200g/l超の、濃度に濃縮されること
を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記透析液は、一方では前記膜の開放孔性の透析液側への通過を可能にするために、前記膜の狭孔側では前記影響が与えられるべき物質混合物又は溶液への通過を少なくとも80%で、好ましくは95%で、理想的には99%超で阻止するために、単量体として又は機能的に架橋された二量体又は多量体として存在する炭酸脱水酵素を含有すること
を特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の方法において、
前記膜は、同時に、透析による従来技術に応じた血液の浄化法又はアフェレーシス法に従う透析又は濾過による有害物質除去のために使用されること
を特徴とする、方法。
【請求項12】
生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中における酸素(O2)及び/又は二酸化炭素(CO2)のようなガスの濃度に影響を与える装置であって、
該装置は、プール(3)に結合可能であり、かつ、2つの循環回路を含んで構成されており、
第1の循環回路は、一方では非対称半透膜の狭孔側に沿った、前記プール(3)からのチューブ及びポンプを介した前記物質混合物又は前記溶液の供給に使用されること、但し、該物質混合物又は前記溶液は、その後、チューブを介して前記プール(3)へ戻るよう導かれること、
第2の循環回路は、他方では非対称半透膜の開放孔側に沿った、チューブ及びポンプを介した透析液の供給に使用されること、但し、該透析液は、影響が与えられるべきガスのための、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質の形でのガスキャリアを含有し、その後、チューブを介して再循環回路へ、ガスの受容及び/又は放出を行う再生装置を介して戻るよう導かれること、
前記再生装置において、酸素(O2)の新たな新導入及び/又は二酸化炭素(CO2)の除去によって、前記透析液は再生されること
を特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
前記ポンプは、ローラポンプ、インペラーポンプ又はメンブレンポンプであり、前記非対称半透膜は、平膜又は中空糸膜であること
を特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置において、
前記半透膜は、透析液側において、50μm未満までの、好ましくは1μm未満までの、最も好ましくは100nm未満までの開放孔を有する非対称気孔構造を有し、前記ガスキャリアは、10%以下の、好ましくは0.1%未満で、最も好ましくは0.01%未満が前記膜を通過し、
そのため、酸素(O2)は可及的に短い距離にわたって前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素(CO2)は拡散によって可及的に短い距離を通って前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液へと除去され、他方、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないこと
を特徴とする、装置。
【請求項15】
請求項12に記載の装置において、
前記再生装置は、市場で入手可能な酸素化装置であること
を特徴とする、装置。
【請求項16】
請求項12~15の何れかに記載の装置において、
前記物質混合物又は前記溶液は、血液又は血漿であること、及び、
前記血液又は血漿からの半透膜を介した透析液への孔通過性の分子の拡散による輸送を可能にする透析装置が含まれていること
を特徴とする、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
閉回路における血液又は血漿の体外処理のために、前記透析液は、前記再生装置の作動によっても、物質除去又は導入のための付加的吸着及び/又は透析及び/又は濾過によっても再生されること
を特徴とする、装置。
【請求項18】
請求項12~17の何れかに記載の装置において、
前記再生装置は、光合成に基づき光の作用下で二酸化炭素と水をグルコースと酸素に変換可能な生物学的同化システムを含むこと
を特徴とする、装置。
【請求項19】
請求項12~17の何れかに記載の装置において、
前記再生装置は、酸素生成のための電気化学的方法を使用すること
を特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性環境中における半透膜を介したガスの交換を改善するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複雑な(複合的な)及び/又は生物学的液体への酸素の導入ないし該液体からの二酸化炭素の除去は、例えば血液の処理の際に行われる。
【0003】
従来技術は、その場合、疎水性多孔質材料製の半透膜からなるいわゆる酸素化(酸素付加)装置(ないし人工肺装置:Oxygenatoren)を基礎とする。一般的に、酸素化装置の気孔は血液細胞に対して非通過性である。この場合、血液は、一方の側に沿って導かれ、他方の側では、ガス、例えば空気、酸素又は他の混合ガスが導かれる。ガス交換は、まず、血液水(Blutwasser)と気相の間の界面において行われるが、この場合、ガスは、まず、血液水中に物理的に溶解した状態で存在し、赤血球と交換を行う状態にある。
【0004】
上記材料は疎水性であるため、初めのうちは、血液側からの血液水の侵入(通過)は妨げられるが、血液の場合、例えば膜の表面(外面)及び内面への両親媒性タンパク質の堆積によって、時間の経過より親水性になる。かくして、ガスが液相に物理的に溶解した状態で進行する必要がある経路は拡大される。従って、大抵の場合に使用される中空糸膜の場合、血液もまた、市場で入手可能な人工腎臓の場合の透析の場合と同様に中空糸の内面においてではなく、外面において導かれる。なぜなら、それによって、酸素化装置についての血液側における圧力低下は、流体断面がより大きいため、より小さいからである。かくして、血液透析と比べても、血液中により大きな乱流が生じ、この乱流は凝固過程を加速する。
【0005】
既存のエクモ(Ecmo:体外式膜型人工肺)膜の不十分な血液適合性及び抗凝固の必要性は、今日においてもなお、深刻かつ生命に関わり得る合併症をもたらす。
【0006】
この方法は、現在、酸素供給及びCO2除去のための最も頻繁に使用される方法である。酸素の導入が必要な場合、十分な効率のために、しばしば(5l/minまでの)大きな血流が必要になるが、肺を介した酸素供給が十分であるが、CO2の呼気による吐出が過度に小さい場合には、血流がより緩慢な場合でも、CO2を効率的に除去することができる。これは、一般的に500ml/min未満である透析療法のための体外循環路(体外回路)の使用を、並行的CO2除去にとって魅力的なものにする。
【0007】
人工呼吸が施された患者の10~30%は、同時に透析も行われる。なぜなら、感染症及び敗血症による肺機能不全の際の二次的(副次的)腎機能不全は集中治療室において極めて頻繁にみられる合併症だからである。
【0008】
人工呼吸の場合、O2を血液中に人工呼吸を介してもたらすだけではなく、CO2を効率的に除去可能にするために、非生理的過圧が肺に形成されなければならないため、ウィーニング(人工呼吸器を外して自発呼吸に戻す過程)を遅延させかつ静養期間を長くする人工呼吸器誘発性肺胞障害が比較的急速に生じる。このため、高額な費用を要する人工呼吸器使用病床日数は増加し、罹患率も、更には死亡率も上昇する。伝統的な人工肺によるCO2除去は、連続透析に使用される場合のように、比較的小さい血流でも、可能であることが、これまでに示されている。この方法では、血液は順次的に透析器及び酸素化装置を通して導かれ、酸素化装置はCO2を除去する。この技術は高額であり、血液とポリマプラスチック表面との接触を大きくする。この技術は、マーケットリーダーであるバクスター(Baxter)社によってPrismaLungという商標(商品名)で国際的に宣伝されかつ使用されている。
【0009】
透析器を同時にCO2除去のために使用するというアイデアは、Hepawash社によって初めて提案された。しかしながら、Hepawashの技術は、透析液のpH値の増大を基礎としており、そのため、CO2の溶解度は増大し、血液中の呼吸性アシドーシスは平衡化(補償)可能であるとされている。更に、水酸化ナトリウム性アルカローシスの危険があるため、その使用範囲(Spielraum)は制限されている。この方法は、これまでのところ、対照臨床試験ではCO2除去手段として証明されていない。
【0010】
CO2除去が透析と並行して行われる場合、透析の際、腎機能不全の代謝性アシドーシスを平衡化(補償)するために、一般的に重炭酸ナトリウムが透析液緩衝剤(Dialysatpuffer)として使用されるという点でも問題がある。この場合、重炭酸ナトリウムは、CO2及び水酸化ナトリウムと溶解平衡の状態にあり、そのため、CO2の負荷は増大する。更に、連続透析の場合、クエン酸ナトリウムが局所的抗凝固剤として使用されることが増えているが、その代謝により、一層多くの重炭酸ナトリウムが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE 102017216689 A1
【特許文献2】DE 2607706 C3
【特許文献3】US 2019/0030232 A1
【特許文献4】US 2006/0019385 A1
【特許文献5】US 3212498 A
【特許文献6】DE 102015107269 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
DE 102017216689 A1は、透析器と、例えば、共通の体外血液回路に直列に配置されているガス交換器のような、更なる体外血液治療のための血液処理エレメントを記載している。
【0013】
DE 2607706 C3には、水溶性高分子架橋ヘモグロビン、その製造方法及びその使用が記載されている。
【0014】
US 2019/0030232 A1は、一般的に、体外式肺支援に適する方法に関する。該方法は、血液と、半透膜によって分離されている透析液との接触を含む。血液と透析液を接触させる前に、酸素が血液中に及び/又は透析液中に導入され、そのため、酸素は、透析液に物理的に溶解した状態で透析器の透析液側へ到達する。CO2とO2の交換は、水性溶液における物理的溶解によってのみ膜を介して行われる。US 2019/0030232 A1は、体外接触工程においてホールデン(Haldan)効果を利用する。
【0015】
US 2006/0019385 A1は、高密度までの細胞の成長(増殖)のための装置及び方法、その生産物及びその使用を記載している。特定の好ましい実施形態では、更なる酸素供給手段が含まれている。代替的に又は付加的に、酸素供給手段は、細胞培養液中への酸素及び/又は酸素源ないし酸素キャリアの導入を、単独で又は1つ以上の他のガス及び/又はガス源ないしガスキャリア(の導入)との組み合わせで、含むことができる。
【0016】
US 3212498 Aには、細胞が2つの別個の(分離された)膜によって別々に酸素供給されかつ透析される細胞培養装置が記載されている。
【0017】
DE 102015107269 A1は、簡単かつコンパクトな構造で血液からの親水性物質及び疎水性物質の除去に適する、血液回路を備えた透析装置を記載している。透析装置は、ただ1つの駆動装置を有しかつその第1ポンプユニットが透析液ポンプであるダブルポンプユニットであって、透析液回路の透析液中に含まれる毒素を検出するための1つ以上のセンサと、透析装置の運転データ及び/又はセンサによって検出された透析液回路の透析液中に含まれる毒素のデータを表示するための表示ユニットとを備えたものを含む。透析液は、血液から親水性物質も疎水性物質も除去可能にするアルブミンである(を含む)。
【0018】
本発明の課題は、両側水性環境中において半透膜を介してCO2又は酸素のようなガスを簡単にないしより大きな速度で除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
【0021】
本発明は、水性透析液中の酸素を血液側の可及的近くに運搬することが可能な可溶性酸素キャリアが透析液側に存在する場合、酸素は市場で入手可能な透析器を通る水性透析液からも高効率で半透膜を介して血液中へ運搬されることができるという驚くべき観察に基づいている。驚くべきことに、疎水性透析膜の場合でさえも、本来的に疎水性のガスが、該透析膜が溶解したヘモグロビンに対して実用上(実質的に)非通過(透過)性であるにも拘らず、高速で血液中に到達することを観察することができた。内部多孔質構造体中に存在するヘモグロビンはこの輸送を加速する。
【0022】
審査されるべき発明の特徴は、影響が与えられるべき物質混合物又は溶液が、例えば赤血球のような粒子性(>1μm径)ガスキャリアを含有すること、及び、透析液中のガスキャリアとして、それ自体は膜を通過しない(例えばヘモグロビン又は関連(類似)タンパク質のような)分子性ガスキャリアが使用されることである。
【0023】
血液側に到着すると直ちに、酸素はそこで赤血球内に到達し、それによって、赤血球のヘモグロビンに貯蔵(受容)されていたCO2は大きな速度でアクティブに(aktiv)排除され、強制的に血液の水相へもたらされ、そこから、水との反応によって炭酸になり、この炭酸は再び水素イオンと重炭酸イオンに変換される。この反応は、付加的に、炭酸脱水酵素(Carboanhydrase)によって促進されることができる。いずれにせよ、炭酸イオンも、重炭酸イオン及び水素イオンも、透析によって透析液中に簡単に除去されることができる。透析液中の酸素キャリアがヘモグロビン自体である場合、輸送効果(作用)は増強される。なぜなら、いまや透析液側ではCO2はヘモグロビンによって受容され、他方、透析液(中)ヘモグロビンからの酸素の放出は「排除(ないし押出し:Verdraengung)」によって加速されるからである。従って、O2とCO2の交換は、水性環境中の透析膜を介してごく簡単に行うことができる。そして、透析液ヘモグロビンによるないし透析液ヘモグロビンからの酸素及びCO2の受容ないし放出は、例えば電気分解又は光合成による場合のように、血液中のような複雑な生物学的液体中においては簡単には可能ではないであろうな種々の方法によって二次的に行うことができる。何れにせよ、ヘモグロビン透析液中において、伝統的な酸素化装置の使用が可能であり、この場合も、血液中酸素供給の場合よりもより効率的な交換が可能になる。なぜなら、遥かにより小さいヘモグロビン(10~20nm径)は、赤血球(凡そ7μm径で楕円体)よりも、酸素化装置の気相のより近くへ到達することができるからである。付加的に、透析液側では、ヘモグロビンの濃度は、血液ヘモグロビンの濃度よりもより大きくなるように調節されることができ、それによって、CO2と酸素の物質輸送は付加的に増強される。この改善(イノベーション)は、勿論、CO2からO2への及びその反対の交換に限定されず、ヘモグロビンにも限定されない。一方の輸送分子から他方の輸送分子への膜移行の類似の効果(作用)は、例えば高濃度ヘモグロビンによって除去可能であるはずの一酸化炭素の除去の場合に予期し得るであろう。酸素は、例えばレグヘモグロビンのような関連(類似)タンパク質によっても輸送及び交換可能であろう。(本発明に応じた)機能のための条件は、血液と透析液タンパク質との間の可及的に薄い分離層(例えば非対称透析膜の場合、部分的に数ナノメートル。なお、この場合、透析液中のキャリアタンパク質が小さければ小さい程、近さ(の程度)はより大きくなるが、本質的な程度(Ausmass)としては(実質的には)膜を(貫通)通過できないことが望ましいであろう。)及びガスと1又は複数種のキャリアタンパク質との可逆的結合である。更に、本発明は、血液のガス供給又はガス除去に制限されておらず、一般的に、生物学的又は複雑な化学的液体(流体)のガス供給又はガス除去に及ぶ。
【0024】
物質混合物又は溶液中の酸素(O2)及び/又は二酸化炭素(CO2)のようなガスの濃度に影響を与える(を変化させる)ための本発明に応じた方法のために、物質混合物又は溶液は、一方の側で、非対称半透膜に沿って導かれる。透析液は、同じ膜の他方の側において閉回路中で導かれ、この場合、透析液は、少なくとも1つの影響が与えられるべきガスのためのガスキャリアを含有する。閉回路には、酸素化装置(Oxygenator)が含まれている。
【0025】
影響が与えられるべき物質混合物又は溶液は、粒子性(粒子状:korpuskulaer)ガスキャリア、例えば赤血球を含有し、少なくとも1つの影響が与えられるべきガスのためのガスキャリアは、分子ヘモグロビン又は他の関連(類似)タンパク質である。
【0026】
ガスキャリアは、透析液側に50μm未満までの、好ましくは1μm未満までの、最も好ましくは100nm未満までの開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って物質混合物又は溶液の近くへ到達するが、この際、ガスキャリアは10%以下、好ましくは0.1%未満で、最も好ましくは0.01%未満が膜を通過する。そのため、酸素(O2)は可及的に短い距離を介して物質混合物又は溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素(CO2)は可及的に短い距離を介しての拡散によって物質混合物又は溶液から透析液中へ除去されるが、ガスキャリア自身は膜を通過しない。
【0027】
受容又は放出したガスキャリアは、閉再循環回路(Rezirkulationskreislauf)において、ガスの受容及び/又は放出を用いる装置によって二次的に再生される。透析液中のガスキャリアの再生は、酸素化装置によって行われ、酸素化装置は、二酸化炭素(CO2)の除去及び/又は酸素(O2)の新たな新導入(erneuten Neueintrag)によって、キャリア運搬(含有)透析液を再生する。
【0028】
一実施形態のために、膜として、120~1KDの間に、好ましくは60~10KDの間に、とりわけ好ましくは20~50KDの間にカットオフを有する非対称高流束透析膜が使用される。
【0029】
一実施形態では、透析液は、1メガダルトン(凡そ20個のヘモグロビン四量体、架橋型)未満の、好ましくは500kD(キロダルトン)(凡そ10個のヘモグロビン四量体、架橋)未満の、最も好ましくは60kD(1つの四量体)未満の、分子量を有する分子ヘモグロビンを含有する。
【0030】
本方法の一実施形態のために、透析液は、電解質、緩衝剤、糖、分子単量体又は多量体ヘモグロビン及び/又はアルブミンを成分として含有する血液の体外処理に使用される。この場合、アルブミンは、ヘモグロビンの安定剤として及びイオンの緩衝剤として役立つ。電解質、緩衝剤及びグルコースは、市場で入手可能な(標準的な)濃縮物の濃度の範囲内で変化し、分子ヘモグロビンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、好ましくは30g/l超の、とりわけ好ましくは70g/l超の、濃度に濃縮され、及び、アルブミンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、好ましくは50g/l超の、とりわけ好ましくは200g/l超の、濃度に濃縮される。
【0031】
更なる一実施形態のために、透析液は、一方では膜の開放孔性の透析液側への通過を可能にするために、膜の狭孔側で影響が与えられるべき物質混合物又は溶液への通過を少なくとも80%で、好ましくは95%で、理想的には99%超で阻止するために、単量体として又は機能的に架橋された二量体又は多量体として存在する炭酸脱水酵素を含有する。
【0032】
膜は、同時に、透析による従来技術に応じた血液の浄化法又はアフェレーシス法に従う透析又は濾過による有害物質除去(解毒ないし無害化)のために使用される
【0033】
物質混合物又は溶液中における酸素(O2)及び/又は二酸化炭素(CO2)のようなガスの濃度に影響を与える(変化させる)装置は、2つの循環回路(以下「回路」ともいう。)を含んで構成されており、第1の回路は、一方では(一方の側で)非対称半透膜の狭孔側に沿った、プールからのチューブ及びポンプを介した物質混合物又は溶液の供給に使用される。物質混合物又は溶液は、その後、チューブを介してプールへ戻るよう導かれる。第2の回路は、他方では(他方の側で)非対称半透膜の開放孔側に沿った、チューブ及びポンプを介した透析液の供給に使用される。透析液は、影響が与えられるべきガスの少なくとも1つのための、分子ヘモグロビン又は他の関連(類似)タンパク質の形でのガスキャリアを含有し、その後、チューブを介して再循環回路へ、ガスの受容及び/又は放出を行う再生装置を介して戻るよう導かれる。
【0034】
ポンプは、ローラポンプ(蠕動ポンプ)、インペラーポンプ又はメンブレンポンプであり、非対称半透膜は、平膜又は中空糸膜である。
【0035】
再生装置は、市場で入手可能な酸素化装置である。
【0036】
閉回路中の透析液は、分子ヘモグロビンのようなガスキャリアが添加されており、再生装置において、酸素(O2)の新たな新導入及び/又は二酸化炭素(CO2)の除去によって、透析液は再生される。
【0037】
物質混合物又は溶液は血液又は血漿である。本装置には、血液又は血漿からの半透膜を介した透析液への孔通過性の分子の拡散による輸送を可能にする透析装置が含まれている。
【0038】
一実施形態のために、閉回路における血液又は血漿の体外処理のために、透析液は、再生装置の作動(スイッチオン)によっても、物質除去又は導入のための付加的吸着及び/又は透析及び/又は濾過によっても再生される。
【0039】
再生装置は、光合成に基づき光の作用下で二酸化炭素と水をグルコースと酸素に変換可能な生物学的同化システム、例えば単離された葉緑体を含む。
【0040】
更なる一実施形態のために、再生装置は、例えば電気分解のような、酸素生成のための電気化学的方法を使用する。
【0041】
CO2の除去は、例えば塩基性透析液に対する透析又は水酸化カルシウム中での沈殿のような、物理化学反応によって行われる。
【0042】
本方法及び本装置は、治療外で、例えば研究、提供(臓器移植ないし輸血)又は生産目的のための、例えば高密度細胞培養物(例えばELADカートリッジ)の又は単離されたないし相互に結合された器官の生命維持の場合に、使用されることが好ましい。これらは、一般的に、血液液体又は血液類似生物液体によって提供されるが、これらについて、二次的に透析又は酸素供給又はその両方が必要になることは稀ではない。簡潔に言えば、透析液の再生が問題であり、これは実験室で実行可能である。本装置におけるプールは、バイオリアクタ又は(1つ以上の)器官である。
【0043】
本発明の利点(複数)は、とりわけ、生物学的液体、とりわけ血液のガス受容及びガス放出の際に、ガス交換時に液相/気相界面が存在しないという点にあり、このことは、生物学的(生体)適合性ないし血液適合性に関して利点(複数)を有する。タンパク質は、空気又はガスに接触すると、変性し得るが、これにより、とりわけ血液中では、例えば凝固及び補体活性化が引き起こされる。
【0044】
この方法では、中空糸システムは、血液とのガス交換のために、外側において灌流が行われる必要はないが(様々な従来技術では、その際、付加的な凝固及び補体活性化を伴う乱流が生じる)、中空糸システム内部での血液灌流は、より良好なレオロジ及びより少ない凝固誘導を可能にする。
【0045】
本方法の大きな一利点は、複数のプロセスが同時に実行可能になることである(例えば付加的なアルブミン透析によるもののような、水溶性及び/又は脂溶性毒物の解毒(無害化)ないし除去は、「ガス交換」と同じ膜を介して行うことが可能であり、付加的に、栄養物質が透析液側から導入されることができ、電解質及びそのpH値が平衡化(補償)されることができる)。かくして、生体材料に対する曝露(Exposition)は削減され、生物学的液体ないし血液に対するストレスはより少なくなる。従来技術は、多くの場合(vielerorts)、複数の生体材料を1つの循環回路へ連鎖的に(順次的に)導入するものであるか又は複数の並行的循環回路を有する装置である。
【0046】
不活性タンパク質混合物(Hb(ヘモグロビン)/alb(アルブミン)/透析液)中における酸素供給及びHbのCO2除去(Abreicherung)は体外で(外因的に:koerperfremd)(間接的に)実行可能であるため、電気分解、水酸化カルシウム中での沈殿又は塩基性透析液に対する透析又は同化型(同化作用を有する)オルガネラ(例えば葉緑体)のような、代替的なガス交換技術が実際的である。本方法は、極限的な条件下で使用可能であり、場合によっては、例えば宇宙空間の場合のように、ガスが利用可能でないが、電流又は光は利用可能ところで、使用可能である。
【0047】
以下に、幾つかの実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明に応じた閉循環回路の一例の構造。この循環回路には、酸素導入のための及びCO2除去のための酸素化装置が設けられている。
図2】CO2クリアランスの一例についてのグラフ。
図3】血液の酸素飽和度の一例についてのグラフ。
図4】対照実験の一例。
図5】システム全体についてのCO2クリアランスに対する伝統的(従来の)血液酸素供給の一例のグラフ。
図6】血液の酸素飽和の一例のグラフ。
【実施例
【0049】
第1実施例では、CO2濃厚血液は200ml/minの速度で(理想的には、例えばフレゼニウスFX1000Cordiax(TM)のポリスルフォンのような非対称膜を有する)透析器の中空糸を通過するようポンピングされ、その透析液側に沿って凡そ30g/lヘモグロビンを含む透析液が導かれるが、透析液は同様に閉回路において200ml/minで再循環される。この回路(循環回路)には、酸素導入のための及びCO2除去のための酸素化装置が設けられている。その構造は図1に示されている。最初は、酸素化装置には酸素の流入はない。ヘモグロビン透析溶液が循環するにも拘らず、CO2クリアランスは、透析液ヘモグロビンがCO2を富化(受容)するため、時間の経過と共に減少する。2.5分後に、酸素化装置に酸素が600ml/minで供給される。CO2クリアランスに対する効果(作用)は図2に示されている。
【0050】
図1には、蠕動ポンプ1によって駆動され、中空糸の内側において透析器を通って流れる血液回路(ヘマトクリット値、約40%)が示されている。透析器は、市場で入手可能な非対称ポリスルフォン高流束透析器(アルブミンについてのふるい係数<10%、好ましくは<1%)であるが、ポリアミド、ポリエーテルスルフォン等のような他の材料も使用可能である。膜は、中空糸膜である必要はなく、平膜型透析器も使用可能である。透析器の前後(上流側及び下流側)の検査点(センサ)SH1及びSH2において血液(血中)ガスが測定される。内因性のCO2汚染ないし有毒化(Vergiftung)のシミュレーションをするために、センサSH2の後側(下流側)の、物質混合物又は溶液、この実施例では血液のためのプール3の直前において、ガス交換器(例えば酸素化装置)を介してCO2が「吹き込まれる」。透析液としては、ヘモグロビン溶液が使用される。このヘモグロビン溶液は、凡そ30g/lヘモグロビンを含有し、同様に、ポンプ2、例えば蠕動ポンプによって駆動される。付加的に、炭酸脱水酵素(Carboanhydrase)を透析液中に使用することは可能である。これは必ずしも不可欠ではないが、作用を増強することができる。ヘモグロビン溶液の分子は、非対称膜が使用されているため、透析液側から膜構造体内に侵入して、血液の赤血球のより近くに到達することができる。透析液側では更に、SH4の前側でかつSH3の後側において、透析器について血液ガス分析が行われる。この場合、流れ方向に見てセンサSH4の前側(上流側)でO2が吹き込まれ、CO2と交換されるが、これは単純な酸素化装置の場合と同様である。透析液は、同流(平行流)又は逆流(対向流)で駆動可能であるが、逆流が有利であり得る。透析器のCO2クリアランスに対するO2が増加されCO2が減少されたヘモグロビン透析液による「オキシ・カルボ・透析(Oxy-Carbo-Dialyse)」の効果は図2に示されている。血液の酸素飽和度に対する効果は図3に示されている。
【0051】
図2は、図1のセンサSH1とSH2の間の透析器を介したCO2濃度の減少について計算された、透析器を介したCO2クリアランス(黒点)と、血液流(200ml/min)の推移と、流入する透析液の酸素分圧を示す。この場合、ヘモグロビンを含む透析液(200ml/min)自体がCO2クリアランスを増強するのではなく(ガス交換器(GE)におけるCO2導入200ml/min)、酸素化装置2においてヘモグロビン含有透析液への酸素の導入によって初めて透析器におけるCO2クリアランスは急速に増大し、実用上血液流のほぼ100%に達することが明らかになる。
【0052】
図3は、図1の実施例における透析器の後側(下流側)SH2における酸素飽和度を示す。最初の8分間は図2の最初の8分間に対応する。この場合も、ヘモグロビンを伴う循環流のみが酸素飽和度に対する実質的な効果を有するのではなく、4分後に開始されるヘモグロビン含有透析液の酸素化(酸素付加)(酸素化装置2を介した1l(1リットル)O2)が極めて急速な血液の酸素飽和と結びついていることが明らかになる。この効果を明らかにするために、酸素流と透析液を一旦停止すると、その結果、SH2検査点において(その値が)、ガス交換器(GE)における200ml/minのCO2の導入によって血液において著しく低減されている(<20%)SH1における値へと急速に低下する。酸素が15分後に(600ml/minで)再開され、透析液が200ml/minで再び導入されると、血液中においてガス交換器GEを介した200ml/minCO2による「有毒化(ないし汚染:Vergiftung)」が行われているにも拘らず、SH2におけるO2飽和度は急速に改善する。20分後、この「有毒化(ないし汚染)」は停止され、物質混合物又は溶液のための、例えば血液のための、プール3も、全体として、酸素飽和度と共に改善し続ける。
【0053】
対照実験
図4は、蠕動ポンプ1によって駆動され、中空糸の内側において透析器を通って流れる血液回路(ヘマトクリット値、約40%)の一例を示す。透析器は、図1の場合と同様に、市場で入手可能な非対称ポリスルフォン高流束透析器(アルブミンについてのふるい係数<10%、好ましくは<1%)であるが、ポリアミド、ポリエーテルスルフォン等のような他の材料も使用可能である。膜は、中空糸膜である必要はなく、平膜型透析器も使用可能である。透析器の前後(上流側及び下流側)の検査点SH1及びSH2において血液(血中)ガスが測定される。内因性のCO2汚染ないし有毒化のシミュレーションをするために、センサSH2の後側(下流側)の、血液のためのプール3の直前において、ガス交換器(例えば酸素化装置)を介してCO2が「吹き込まれる」。
【0054】
流れ方向に見てセンサSH1の後側(下流側)において、伝統的な(従来の)酸素化(酸素付加)ないしCO2除去が血液酸素化装置(Haemooxygenator)によって実行される(単純な酸素化装置の場合と同様に、O2が吹き込まれ、CO2と交換される)。酸素化装置と透析液(透析)の組み合わせの効果は、透析器の後側(下流側)のSH2において測定される。
【0055】
透析液としては、市場で入手可能な透析液が使用されるが、この透析液も同様にポンプ2、例えば蠕動ポンプによって駆動される。透析液側でも、SH4の前側かつSH3の後側において、透析器について血液ガス分析が行われる。
【0056】
透析液は、同流(平行流)又は逆流(対向流)で駆動可能であるが、逆流が有利であり得る。システム全体についてのCO2クリアランスに対するこの伝統的(従来の)血液酸素供給の効果は図5に示されている。血液の酸素飽和度に対する効果は図6に示されている。
【0057】
血液中の酸素/CO2キャリアの重要性を追加的に示すために、追加の対照実験として、透析液プールからのヘモグロビンフリー(ヘモグロビン不含有)透析液の酸素化(酸素付加)の手段(可能性)が直列に接続されるが、そのために、透析液においても、同じ共働(Synergy)酸素化装置が導入されている。これは実験の第2の部分で最初に作動(実行)される。
【0058】
図5は、図4のセンサSH1とSH2の間の酸素化装置及び透析器を介した(経由した)CO2濃度の低下について計算した酸素化装置及び透析器を介した(経由した)CO2クリアランス(黒点)と、血液流(200ml/min)の推移と、システムを支配する(全体にわたる)O2の分圧に相当する、SH3における流出する透析液の酸素分圧を示す。従来技術によれば、組み合わされた(組み込まれた)酸素化と200mlでの透析によって、良好な酸素化が達成されるが、この場合、共働(Synergy)透析器は、本来的に完全酸素化のために5l(5リットル)/minで使用される高効率透析器である。
【0059】
図6は、図4に応じた対照実験における透析器SH2の後側(下流側)における酸素飽和度を示す。4分後に開始される酸素化装置(共働:Synergy)による1l(1リットル)O2での完全酸素化(Volloxygenierung)を行うと、従来技術に応じて、完全酸素化が達成される。CO2「有毒化フロー」及び血液酸素化装置における酸素化の停止後、酸素飽和度はゆっくりと低下し始め、ヘモグロビンフリー透析液の末端に導入された酸素化も、酸素飽和度を図3における場合のようにはSH2において急速に上昇させることはできない。
【0060】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中におけるガスとしての酸素(O2)及び/又は二酸化炭素(CO2)の濃度に影響を与える方法であって、
一方の側では非対称半透膜に沿って前記物質混合物又は前記溶液が導かれ、同じ膜の他方の側では、酸素化装置を含む閉回路において酸素供給される透析液が導かれる方法において、
影響が与えられるべき物質混合物又は溶液は、粒子状ガスキャリアを含み、及び、前記透析液は、前記閉回路において、影響が与えられるべきガスの少なくとも1つのためのガスキャリアを含み、そのため、前記影響が与えられるべきガスは、前記材料混合物又は前記溶液の可及的近くへ運搬されること、
前記ガスキャリアは、透析液側に開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達し、そのため、酸素(O2)は可及的に短い距離を介して前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素(CO2)は可及的に短い距離を介して拡散によって前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液中へ除去されるが、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないこと
再生のために、酸素(O2)の新たな新導入によって及び/又は二酸化炭素(CO2)の除去によって、前記透析液が再生されること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
ガスキャリアとして、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質が使用されること
を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記ガスキャリアは、透析液側に50μm未満までの、又は1μm未満までの、又は100nm未満までの開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達するが、前記ガスキャリアは10%以下、又は0.1%未満、又は0.01%未満が該膜を通過し、そのため、酸素(O2)は可及的に短い距離を介して前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素(CO2)は可及的に短い距離を介して拡散によって前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液中へ除去されるが、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないこと
を特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の方法において、
透析液側において、前記ガスキャリアの濃度は、血中ヘモグロビンの濃度よりも大きくなるよう調節され、かくして、CO2及び酸素の物質輸送は付加的に増強されること
を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の方法において、
受容又は放出したガスキャリアは、閉再循環回路において、ガスの受容及び/又は放出を用いる装置によって二次的に再生されること
を特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記透析液中の前記ガスキャリアの再生は、前記酸素化装置によって行われ、該酸素化装置は、二酸化炭素(CO2)の除去及び/又は酸素(O2)の新たな新導入によってキャリア運搬透析液を再生すること
を特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の方法において、
膜として、120~1KDの間に、又は60~10KDの間に、又は20~50KDの間にカットオフを有する非対称高流束透析膜が使用されること
を特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
前記透析液は、1メガダルトン未満の、又は500kD(キロダルトン)未満の、又は60kD未満の、分子量を有する分子ヘモグロビンを含有すること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項2又は8に記載の方法において、
前記透析液は、電解質、緩衝剤、糖、分子単量体又は多量体ヘモグロビン及び/又はアルブミンを成分として含有する血液の体外処理に使用されること、
前記電解質、緩衝剤及びグルコースは、市場で入手可能な濃縮物の濃度の範囲内で変化すること、
前記分子ヘモグロビンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、又は30g/l超の、又は70g/l超の、濃度に濃縮され、及び、アルブミンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、又は50g/l超の、又は200g/l超の、濃度に濃縮されること
を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記透析液は、一方では前記膜の開放孔性の透析液側への通過を可能にするために、前記膜の狭孔側では前記影響が与えられるべき物質混合物又は溶液への通過を少なくとも80%で、又は95%で、又は99%超で阻止するために、単量体として又は機能的に架橋された二量体又は多量体として存在する炭酸脱水酵素を含有すること
を特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の方法において、
前記膜は、同時に、透析による従来技術に応じた血液の浄化法又はアフェレーシス法に従う透析又は濾過による有害物質除去のために使用されること
を特徴とする、方法。
【請求項12】
生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中におけるガスとしての酸素(O2)及び/又は二酸化炭素(CO2)の濃度に影響を与える装置であって、
該装置は、プール(3)に結合可能であり、かつ、2つの循環回路を含んで構成されており、
第1の循環回路は、一方では非対称半透膜の狭孔側に沿った、前記プール(3)からのチューブ及びポンプを介した前記物質混合物又は前記溶液の供給に使用されること、但し、該物質混合物又は前記溶液は、その後、チューブを介して前記プール(3)へ戻るよう導かれること、
第2の循環回路は、他方では非対称半透膜の開放孔側に沿った、チューブ及びポンプを介した透析液の供給に使用されること、但し、該透析液は、影響が与えられるべきガスのための、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質の形でのガスキャリアを含有し、前記ガスキャリアは、透析液側に開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って該膜を通過可能であり、前記非対称膜のより狭くなる孔により該通過が妨げられる前に、前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達し、溶解したガスの交換が行われ、その後、前記透析液は、チューブを介して再循環回路へ、ガスの受容及び/又は放出を行う再生装置を介して戻るよう導かれること、
前記再生装置において、酸素(O2)の新たな新導入及び/又は二酸化炭素(CO2)の除去によって、前記透析液は再生されること
を特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
前記ポンプは、ローラポンプ、インペラーポンプ又はメンブレンポンプであり、前記非対称半透膜は、平膜又は中空糸膜であること
を特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置において
前記ガスキャリアは、透析液側に50μm未満までの、又は1μm未満までの、又は100nm未満までの開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達するが、前記ガスキャリアは10%以下、又は0.1%未満、又は0.01%未満が該膜を通過し、
そのため、酸素(O2)は可及的に短い距離にわたって前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素(CO2)は拡散によって可及的に短い距離を通って前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液へと除去され、他方、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないこと
を特徴とする、装置。
【請求項15】
請求項12に記載の装置において、
前記再生装置は、市場で入手可能な酸素化装置であること
を特徴とする、装置。
【請求項16】
請求項12~15の何れかに記載の装置において、
前記物質混合物又は前記溶液は、血液又は血漿であること、及び、
前記血液又は血漿からの半透膜を介した透析液への孔通過性の分子の拡散による輸送を可能にする透析装置が含まれていること
を特徴とする、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
閉回路における血液又は血漿の体外処理のために、前記透析液は、前記再生装置の作動によっても、物質除去又は導入のための付加的吸着及び/又は透析及び/又は濾過によっても再生されること
を特徴とする、装置。
【請求項18】
請求項12~17の何れかに記載の装置において、
前記再生装置は、光合成に基づき光の作用下で二酸化炭素と水をグルコースと酸素に変換可能な生物学的同化システムを含むこと
を特徴とする、装置。
【請求項19】
請求項12~17の何れかに記載の装置において、
前記再生装置は、酸素生成のための電気化学的方法を使用すること
を特徴とする、装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の第1の視点により、生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中におけるガスとしての酸素及び/又は二酸化炭素の濃度に影響を与える方法であって、
一方の側では非対称半透膜に沿って前記物質混合物又は前記溶液が導かれ、同じ膜の他方の側では、酸素化装置を含む閉回路において酸素供給される透析液が導かれる方法が提供される。該方法において、
影響が与えられるべき物質混合物又は溶液は、粒子状ガスキャリアを含み、及び、前記透析液は、前記閉回路において、影響が与えられるべきガスの少なくとも1つのためのガスキャリアを含み、そのため、前記影響が与えられるべきガスは、前記材料混合物又は前記溶液の可及的近くへ運搬されること、
前記ガスキャリアは、透析液側に開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達し、そのため、酸素は可及的に短い距離を介して前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素は可及的に短い距離を介して拡散によって前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液中へ除去されるが、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないこと
再生のために、酸素の新たな新導入によって及び/又は二酸化炭素の除去によって、前記透析液が再生されることを特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中におけるガスとしての酸素及び/又は二酸化炭素の濃度に影響を与える装置が提供される。
該装置は、プールに結合可能であり、かつ、2つの循環回路を含んで構成されており、
第1の循環回路は、一方では非対称半透膜の狭孔側に沿った、前記プールからのチューブ及びポンプを介した前記物質混合物又は前記溶液の供給に使用されること、但し、該物質混合物又は前記溶液は、その後、チューブを介して前記プールへ戻るよう導かれること、
第2の循環回路は、他方では非対称半透膜の開放孔側に沿った、チューブ及びポンプを介した透析液の供給に使用されること、但し、該透析液は、影響が与えられるべきガスのための、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質の形でのガスキャリアを含有し、前記ガスキャリアは、透析液側に開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って該膜を通過可能であり、前記非対称膜のより狭くなる孔により該通過が妨げられる前に、前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達し、溶解したガスの交換が行われ、その後、前記透析液は、チューブを介して再循環回路へ、ガスの受容及び/又は放出を行う再生装置を介して戻るよう導かれること、
前記再生装置において、酸素新たな新導入及び/又は二酸化炭素の除去によって、前記透析液は再生されることを特徴とする(形態12)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
以下に、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の方法において、
ガスキャリアとして、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質が使用されることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の方法において、
前記ガスキャリアは、透析液側に50μm未満までの、又は1μm未満までの、又は100nm未満までの開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達するが、前記ガスキャリアは10%以下、又は0.1%未満、又は0.01%未満が該膜を通過し、そのため、酸素は可及的に短い距離を介して前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素は可及的に短い距離を介して拡散によって前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液中へ除去されるが、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないことが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの方法において、
透析液側において、前記ガスキャリアの濃度は、血中ヘモグロビンの濃度よりも大きくなるよう調節され、かくして、CO2及び酸素の物質輸送は付加的に増強されることが好ましい
(形態5)形態1~4の何れかの方法において、
受容又は放出したガスキャリアは、閉再循環回路において、ガスの受容及び/又は放出を用いる装置によって二次的に再生されることが好ましい。
(形態6)形態5の方法において、
前記透析液中の前記ガスキャリアの再生は、前記酸素化装置によって行われ、該酸素化装置は、二酸化炭素の除去及び/又は酸素の新たな新導入によってキャリア運搬透析液を再生することが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかの方法において、
膜として、120~1KDの間に、又は60~10KDの間に、又は20~50KDの間にカットオフを有する非対称高流束透析膜が使用されることが好ましい。
(形態8)形態2の方法において、
前記透析液は、1メガダルトン未満の、又は500kD(キロダルトン)未満の、又は60kD未満の、分子量を有する分子ヘモグロビンを含有することが好ましい。
(形態9)形態2又は8の方法において、
前記透析液は、電解質、緩衝剤、糖、分子単量体又は多量体ヘモグロビン及び/又はアルブミンを成分として含有する血液の体外処理に使用されること、
前記電解質、緩衝剤及びグルコースは、市場で入手可能な濃縮物の濃度の範囲内で変化すること、
前記分子ヘモグロビンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、又は30g/l超の、又は70g/l超の、濃度に濃縮され、及び、アルブミンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、又は50g/l超の、又は200g/l超の、濃度に濃縮されることが好ましい。
(形態10)形態1の方法において、
前記透析液は、一方では前記膜の開放孔性の透析液側への通過を可能にするために、前記膜の狭孔側では前記影響が与えられるべき物質混合物又は溶液への通過を少なくとも80%で、又は95%で、又は99%超で阻止するために、単量体として又は機能的に架橋された二量体又は多量体として存在する炭酸脱水酵素を含有することが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの方法において、
前記膜は、同時に、透析による従来技術に応じた血液の浄化法又はアフェレーシス法に従う透析又は濾過による有害物質除去のために使用されることが好ましい。
(形態12)上記本発明の第2の視点参照。
(形態13)形態12の方法において、
前記ポンプは、ローラポンプ、インペラーポンプ又はメンブレンポンプであり、前記非対称半透膜は、平膜又は中空糸膜であることが好ましい。
(形態14)形態12の方法において、
前記ガスキャリアは、透析液側に50μm未満までの、又は1μm未満までの、又は100nm未満までの開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達するが、前記ガスキャリアは10%以下、又は0.1%未満、又は0.01%未満が該膜を通過し、
そのため、酸素は可及的に短い距離にわたって前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素は拡散によって可及的に短い距離を通って前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液へと除去され、他方、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しないことが好ましい。
(形態15)形態12の方法において、
前記再生装置は、市場で入手可能な酸素化装置であることが好ましい。
(形態16)形態12~15の何れかの方法において、
前記物質混合物又は前記溶液は、血液又は血漿であること、及び、
前記血液又は血漿からの半透膜を介した透析液への孔通過性の分子の拡散による輸送を可能にする透析装置が含まれていることが好ましい。
(形態17)形態16の方法において、
閉回路における血液又は血漿の体外処理のために、前記透析液は、前記再生装置の作動によっても、物質除去又は導入のための付加的吸着及び/又は透析及び/又は濾過によっても再生されることが好ましい。
(形態18)形態12~17の何れかの方法において、
前記再生装置は、光合成に基づき光の作用下で二酸化炭素と水をグルコースと酸素に変換可能な生物学的同化システムを含むことが好ましい。
(形態19)形態12~17の何れかの方法において、
前記再生装置は、酸素生成のための電気化学的方法を使用することが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
以下に、幾つかの実施例について説明する。なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
以下に、本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中における酸素及び/又は二酸化炭素のようなガスの濃度に影響を与える方法であって、一方の側では非対称半透膜に沿って前記物質混合物又は前記溶液が導かれ、同じ膜の他方の側では、酸素化装置を含む閉回路において酸素供給される透析液が導かれる方法。
影響が与えられるべき物質混合物又は溶液は、粒子状ガスキャリア(赤血球)を含み、及び、前記透析液は、前記閉回路において、影響が与えられるべきガスの少なくとも1つのためのガスキャリアを含み、そのため、前記影響が与えられるべきガスは、前記材料混合物又は前記溶液の可及的近くへ運搬される。
再生のために、酸素の新たな新導入によって及び/又は二酸化炭素の除去によって、前記透析液が再生される。
[付記2]上記の方法において、
ガスキャリアとして、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質が使用される。
[付記3]上記の方法において、前記ガスキャリアは、透析液側に50μm未満までの、好ましくは1μm未満までの、最も好ましくは100nm未満までの開放孔を有する膜の非対称気孔構造を通って前記物質混合物又は前記溶液の近くへ到達するが、前記ガスキャリアは10%以下、好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.01%未満が該膜を通過し、そのため、酸素は可及的に短い距離を介して前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素は可及的に短い距離を介して拡散によって前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液中へ除去されるが、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しない。
[付記4]上記の方法において、
透析液側において、前記ガスキャリアの濃度は、血中ヘモグロビンの濃度よりも大きくなるよう調節され、かくして、CO2及び酸素の物質輸送は付加的に増強される。
[付記5]上記の方法において、
受容又は放出したガスキャリアは、閉再循環回路において、ガスの受容及び/又は放出を用いる装置によって二次的に再生される。
[付記6]上記の方法において、
前記透析液中の前記ガスキャリアの再生は、前記酸素化装置によって行われ、該酸素化装置は、二酸化炭素の除去及び/又は酸素の新たな新導入によってキャリア運搬透析液を再生する。
[付記7]上記の方法において、
膜として、120~1KDの間に、好ましくは60~10KDの間に、とりわけ好ましくは20~50KDの間にカットオフを有する非対称高流束透析膜が使用される。
[付記8]上記の方法において、
前記透析液は、1メガダルトン(凡そ20個のヘモグロビン四量体、架橋型)未満の、好ましくは500kD(キロダルトン)(凡そ10個のヘモグロビン四量体、架橋型)未満の、最も好ましくは60kD(1つの四量体)未満の、分子量を有する分子ヘモグロビンを含有する。
[付記9]上記の方法において、
前記透析液は、電解質、緩衝剤、糖、分子単量体又は多量体ヘモグロビン及び/又はアルブミンを成分として含有する血液の体外処理に使用される;
前記電解質、緩衝剤及びグルコースは、市場で入手可能な濃縮物の濃度の範囲内で変化する;
前記分子ヘモグロビンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、好ましくは30g/l超の、とりわけ好ましくは70g/l超の、濃度に濃縮され、及び、アルブミンは、0g/l超から溶解度の技術的限界までの間の、好ましくは50g/l超の、とりわけ好ましくは200g/l超の、濃度に濃縮される。
[付記10]上記の方法において、
前記透析液は、一方では前記膜の開放孔性の透析液側への通過を可能にするために、前記膜の狭孔側では前記影響が与えられるべき物質混合物又は溶液への通過を少なくとも80%で、好ましくは95%で、理想的には99%超で阻止するために、単量体として又は機能的に架橋された二量体又は多量体として存在する炭酸脱水酵素を含有する。
[付記11]上記の方法において、
前記膜は、同時に、透析による従来技術に応じた血液の浄化法又はアフェレーシス法に従う透析又は濾過による有害物質除去のために使用される。
[付記12]生物学的又は複雑な化学的液体の物質混合物又は溶液中における酸素及び/又は二酸化炭素のようなガスの濃度に影響を与える装置。
該装置は、プールに結合可能であり、かつ、2つの循環回路を含んで構成されている。
第1の循環回路は、一方では非対称半透膜の狭孔側に沿った、前記プールからのチューブ及びポンプを介した前記物質混合物又は前記溶液の供給に使用される、但し、該物質混合物又は前記溶液は、その後、チューブを介して前記プールへ戻るよう導かれる。
第2の循環回路は、他方では非対称半透膜の開放孔側に沿った、チューブ及びポンプを介した透析液の供給に使用される、但し、該透析液は、影響が与えられるべきガスのための、分子ヘモグロビン又は他の類似タンパク質の形でのガスキャリアを含有し、その後、チューブを介して再循環回路へ、ガスの受容及び/又は放出を行う再生装置を介して戻るよう導かれる。
前記再生装置において、酸素の新たな新導入及び/又は二酸化炭素の除去によって、前記透析液は再生される。
[付記13]上記の装置において、
前記ポンプは、ローラポンプ、インペラーポンプ又はメンブレンポンプである。
前記非対称半透膜は、平膜又は中空糸膜である。
[付記14]上記の装置において、
前記半透膜は、透析液側において、50μm未満までの、好ましくは1μm未満までの、最も好ましくは100nm未満までの開放孔を有する非対称気孔構造を有し、前記ガスキャリアは、10%以下の、好ましくは0.1%未満で、最も好ましくは0.01%未満が前記膜を通過し、
そのため、酸素は可及的に短い距離にわたって前記物質混合物又は前記溶液中に拡散し、同時に、二酸化炭素は拡散によって可及的に短い距離を通って前記物質混合物又は前記溶液から前記透析液へと除去され、他方、前記ガスキャリア自身は前記膜を通過しない。
[付記15]上記の装置において、
前記再生装置は、市場で入手可能な酸素化装置である。
[付記16]上記の装置において、
前記物質混合物又は前記溶液は、血液又は血漿である。
前記血液又は血漿からの半透膜を介した透析液への孔通過性の分子の拡散による輸送を可能にする透析装置が含まれている。
[付記17]上記の装置において、
閉回路における血液又は血漿の体外処理のために、前記透析液は、前記再生装置の作動によっても、物質除去又は導入のための付加的吸着及び/又は透析及び/又は濾過によっても再生される。
[付記18]上記の装置において、
前記再生装置は、光合成に基づき光の作用下で二酸化炭素と水をグルコースと酸素に変換可能な生物学的同化システムを含む。
[付記19]上記の装置において、
前記再生装置は、酸素生成のための電気化学的方法を使用する。
【国際調査報告】