(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】骨ステープル抽出システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/92 20060101AFI20221228BHJP
A61B 17/58 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
A61B17/92
A61B17/58
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022525224
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 IB2020060339
(87)【国際公開番号】W WO2021090185
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102019000020392
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ビアンキ,リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】ベルベリッヒ,サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL30
4C160LL42
(57)【要約】
抽出システムは抽出装置(1)および骨ステープル(G)を備え、骨ステープルは第1の要素(G1)および第2の要素(G2)を備え、抽出装置(1)は近位端(2p)および遠位端(2d)を有する主把持本体(2)を備える。抽出装置(1)は近位端(3p)および遠位端(3d)を備える中央ロッド(3)を備え、遠位端(3d)は、ステープルの第1の要素と結合するように適合されている。中央ロッド(3)は、適切な移動手段によって、第1の位置と第2の位置との間で、主把持本体(2)の内部で軸方向にスライドする。抽出装置(1)は主把持本体(2)の遠位端(2d)から軸方向に突出し且つ中央ロッド(3)の周りに円周方向に配置された複数の当接要素(5)を備え、複数の当接要素(5)は、ステープルの第2の要素に作用して、中央ロッド(3)の動きと協力して、ステープル(G)の第2の要素(G2)のステープル(G)の第1の要素(G1)からの分離およびその除去を得るように適合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨ステープル抽出装置であって、
骨ステープルは、中央に穴が開けられたプレートであって、当該プレートから4つの先端(P)が延びるプレートを備える第1の要素(G1)と、中央に穴が開けられた第2の要素(G2)であって、前記第1の要素(G1)の前記プレートの下に接触した状態で且つ前記4つの先端(P)によって規定されるボリュームの内側に収容されるように配置できる第2の要素(G2)と、を備え、前記抽出装置は、
近位端(2p)および遠位端(2d)を有する主把持本体(2)と、近位端(3p)および遠位端(3d)を備える中央ロッド(3)と、を備え、前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)は、前記ステープルの前記第1の要素と結合するように適合されており、前記中央ロッド(3)は、第1の位置と第2の位置との間で、前記主把持本体(2)の内部で軸方向にスライドすることができ、前記抽出装置はまた、
前記中央ロッド(3)を動かすための移動手段(4)と、前記主把持本体(2)の前記遠位端(2d)から突出し且つ前記中央ロッド(3)の周りに円周方向に配置された複数の当接要素(5)とを備え、前記複数の当接要素(5)は、前記ステープルの前記第2の要素に作用して、前記中央ロッド(3)の動きと協力して、前記ステープル(G)の前記第2の要素(G2)の前記ステープル(G)の前記第1の要素(G1)からの分離およびその除去を得るように適合されている、骨ステープル抽出装置。
【請求項2】
前記中央ロッド(3)の前記移動手段(4)は、第1のレバーアクチュエータ(8)と、前記レバー(8)を前記中央ロッド(3)に接続する機構(9)とを備え、前記機構(9)は、前記レバー(8)の回転運動を前記中央ロッド(3)の並進運動に変換するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記機構(9)は、前記中央ロッド(3)上に形成されたラック(10)および前記レバー(8)に関連付けられたピニオン(11)を備え、これにより、前記レバー(8)の動きが前記ピニオン(11)を回転させ、前記ピニオン(11)が前記ラック(10)と係合して、前記中央ロッド(3)の軸方向の並進を促進する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記レバー(8)は、打ち付け面(8b)であって、それに対して衝撃が加えられる打ち付け面(8b)を有し、前記衝撃は前記レバー(8)を動かして前記レバー(8)を下げる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記移動手段(4)は、前記中央ロッド(3)のさらなる並進を促進するために、前記中央ロッド(3)の前記近位端(3d)に配置された第2のアクチュエータ(12)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記中央ロッド(3)は第1の位置と第2の位置との間をスライドし、前記第1の位置では、前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)が前記複数の当接要素(5)によって規定されたボリューム(V)内に含まれており、前記第2の位置では、前記遠位端(3d)は前記複数の当接要素(5)によって規定された前記ボリューム(V)および前記本体(2)の両方から完全に引き出されており、前記中央ロッド(3)は、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の中間位置に配置することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記中央ロッド(3)の前記第1の位置では、前記レバー(8)が下降位置にあり、前記複数の当接要素(5)に接近しており、前記中央ロッド(3)の前記中間位置では、前記レバー(8)は上昇位置にあり、前記複数の当接要素(5)から離れるように移動している、請求項2および6に記載の装置。
【請求項8】
前記レバー(8)が前記複数の当接要素(5)から離れた前記上昇位置にあるとき、前記レバー(8)の前記回転運動を前記中央ロッド(3)の並進運動に変換するように設計された前記機構(9)は、動作を停止されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記アクチュエータ(12)は、前記中央ロッド(3)の前記近位端(3d)に配置されたスラスト面(13)であって、前記中央ロッド(3)に作用して、前記レバー(8)が前記上昇位置にあるときに、前記中央ロッド(3)が前記中間位置から前記第2の位置に移行するスラスト面(13)を備える、請求項5および8に記載の装置。
【請求項10】
前記主把持本体(2)の内部に配置され且つ前記中央ロッド(3)と前記主把持本体(2)の前記遠位端(2d)の内側部分との間で動作する弾性スプリングバック要素(14)を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3p)は、前記中央ロッド(3)の側壁(3L)に接続するための接続部分(7)で、前記側壁(3L)から少なくとも部分的に突出する縁部(6)を有し、前記縁部(6)は、前記骨ステープル(G)の前記第1の要素(G1)の下で、前記ステープル(G)の前記第1の要素(G1)と前記第2の要素(G2)との間に中央に形成されたアンダーカット(S)に接続するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第3の中間位置では、前記中央ロッド(3)の前記側壁(3L)と前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)の前記縁部(6)との間の前記接続部分(7)は、前記複数の当接要素(5)の自由遠位スラスト端(5d)を含む平面(X)と実質的に重なるか、または前記複数の当接要素(5)によって規定される前記ボリューム(V)内に含まれ、一方で、前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)は、前記ボリューム(V)の外部にある、請求項6および11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨ステープル抽出装置に関する。特に、本発明は、共に結合された第1および第2の要素を含むタイプの骨ステープル抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨ステープルは、靭帯または軟組織一般を骨構造に固定できるようにするインプラントである。
【0003】
インプラント(靭帯ステープル)は、チタンプレート(好ましくは円形)からなる第1の要素であって、そこから4つの先端が骨に突き出て靭帯を固定する第1の要素と、軟組織を骨により良く固定でき、接触面全体に軸方向の負荷を分散させる、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)層からなる第2の要素と、で構成される。第1の要素は、突き出た先端によって規定されたボリューム内に含まれる第2の要素と接触して重なる。
【0004】
オッセオインテグレーションプロセスにより、インプラントは骨組織に結合し、再置換術の際にインプラントを除去することを困難にする。
【0005】
現在、再置換術の際に骨ステープルまたはインプラントを除去することを可能にする市場で入手可能なツールは、抵抗力を骨に直接伝達することによってレバーとして機能し、したがって、骨破壊の危険因子を増加させる。
【0006】
現在知られているそのようなインプラントのための除去ツールは、実際には、二重のフォーク状の先端を備えた鋭い側を持つ湾曲したステンレス鋼の棒からなる。
【0007】
ステンレス鋼のハンドルに沿って、支点として機能する湾曲した突出要素がある。
【0008】
この器具は、インプラントと骨との間に挟まれ、支点でレバーとして機能することにより、インプラントを持ち上げて引き抜くことを可能にする。
【0009】
この器具は、外科医によって加えられる抽出力全体を一点に集中させるので、患者にとって骨折やその他の外傷性の結果のリスクをもたらす。さらに、オッセオインテグレーションの結果として、インプラントの除去は困難であり、したがって、患者の体から骨ステープルを除去するのにかなり長い時間がかかる。
【0010】
既知のタイプの骨ステープル抽出装置の別の例は、米国文書2009/0264900に示されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、従来技術において現在知られ且つ存在する骨ステープル除去装置に見られる欠点を克服することである。
【0012】
したがって、本発明の目的は、骨ステープルの改善された、容易な且つ迅速な抽出を可能にする骨ステープル抽出装置を創出することである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、偶発的な破損または過度の負荷が患者の骨の一部にのみ加えられることを回避するために、ステープルの除去中に加えられる負荷をステープル全体に均一に分散させることを可能にする骨ステープル抽出装置を創出することである。
【0014】
最後に、本発明の目的は、外科医が使用するのが容易且つ迅速である骨ステープル用の抽出装置を提案することである。
【0015】
これらおよび他の目的は、請求項1に記載されているような骨ステープル抽出装置で達成される。
概要
特に、第1の態様によれば、本発明は、第1および第2の重なり合う要素を備えたタイプの骨ステープル抽出装置に関する。
【0016】
典型的には、本発明が関係する装置が相互作用する骨ステープルは、プレートによって規定される第1の要素であって、そこから骨を貫通して靭帯を固定する4つの先端が放射状に広がる第1の要素を備える。ステープルはまた、本体によって規定される第2の要素であって、第1の要素のプレートの下に接触して配置することができ且つ4つの突出した先端によって規定されるボリューム内に収容される第2の要素を備える。第1の要素と第2の要素の両方に中央穴がある。抽出装置は、近位端および遠位端を有する主把持本体と、第1の位置と第2の位置との間で主把持本体の内部で軸方向にスライドする中央ロッドとを備える。
【0017】
中央ロッドは、近位端と遠位端を備え、遠位端は、特にステープルの第1の要素の穴の内側で、ステープルの第1の要素に結合されるように設計されている。中央ロッドの軸方向のスライドは、骨ステープルの、そのシートからの遊離を促進する。これは、中央ロッドとステープルの第1の要素との間の係合と、ステープルの急速な上方への並進によって引き起こされる後続の引き裂き(ripping)との結果として発生する。抽出装置はまた、中央ロッドを移動させるための移動手段と、主把持本体の遠位端から突出し且つ中央ロッドの周りに円周方向に配置されたいくつかの当接要素とを備える。これらの当接要素は、骨ステープルの第2の要素に作用して、中央ロッドの軸方向の動きと協力して、ステープルの第1の要素からのステープルの第2の要素の分離、したがってその除去を決定する。ステープルの第2の要素は、実際にはその位置に維持されているので、抽出装置を患者の骨に向けて押す外科医と当接要素によって加えられる圧力の結果として、患者の骨と接触している。一方、中央のロッドは、第1の要素を引っ掛けてその上向きの並進の際に第1の要素を引き離し、一方で、第2の要素は当接要素によって依然として保持されている。このようにして、ステープルの第1の要素は骨から引き離され、第2の要素は骨とのみ接触したままであるが、骨との結合はない。骨ステープルの2つの要素が分離し、ステープル全体をそのシートから除去することができる。
【0018】
中央ロッドの移動手段は、第1のアクチュエータ、好ましくはレバーと、第1のアクチュエータを中央ロッドに接続する機構とを備える。この機構は、第1のアクチュエータの回転運動を中央ロッドの並進運動に変換するように設計されている。
【0019】
この機構は、中央ロッドに形成されたラックと、第1のアクチュエータの一端に形成されたピニオンと、を備えており、その結果、第1のアクチュエータの動きによってピニオンが回転し、ラックと噛み合うことによって中央ロッドの軸方向の並進を促進する。
【0020】
移動手段はまた、中央ロッドの追加の並進を促進するために中央ロッドの遠位端に配置された第2のアクチュエータを備える。この第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータがオフになっているときに作動する。
【0021】
中央ロッドは、遠位端がいくつかの当接要素によって規定されたボリューム内に含まれる第1の位置と、遠位端がいくつかの当接要素によって規定されたボリュームおよび本体の両方から完全に引き出された第2の位置との間をスライドする。中央ロッドはまた、第1の位置と第2の位置との間の第3の中間位置を取ることができる。
【0022】
中央ロッドの第1の位置では、第1のアクチュエータは下降位置にあり、いくつかの当接要素に接近しており、中央ロッドの中間位置では、第1のアクチュエータは上昇位置にあり、いくつかの当接要素から離れるように移動している。
【0023】
この装置はまた、第1のアクチュエータが上昇位置にあるとき、第1のアクチュエータの回転運動を中央ロッドの並進運動に変換するように設計された機構が動作を停止され、したがって、ピニオンおよびラックが互いに離される。
【0024】
第2のアクチュエータは、中央ロッドの近位端に配置されたスラスト面であって、第1のアクチュエータが上昇位置にあり、したがって機能していないときに、中央ロッドに作用して中央ロッドは中間位置から第2の位置に移動するスラスト面を備える。
【0025】
この装置はまた、ロッドが第2の位置から第3の中間位置に戻るのを促進するために、主把持本体の内部にあり且つ中央ロッドと主把持本体の遠位端との間で動作する弾性スプリングバック要素を備える。
【0026】
中央ロッドの遠位端は、側壁に接続する接続部分で、ロッドの側壁から少なくとも部分的に突き出ている縁部を有する。縁部は、骨ステープルの第1の要素の中央穴の内側縁部に沿って中央に形成されたアンダーカットに接続するように設計されている。このアンダーカットは、骨ステープルの第1の要素と第2の要素の間、特に第1の要素の下に形成されている。
【0027】
第3の中間位置では、中央ロッドの側壁と中央ロッドの遠位端の縁部とを接続する接続部分は、本質的に、当接要素の自由スラスト遠位端を含む平面に含まれるか、あるいは、当接要素によって規定されたボリューム内に含まれ、一方で、中央ロッドの遠位端は当接要素によって規定されたボリュームの外側にある。
【0028】
第1のアクチュエータを規定するレバーはまた、打ち付け面であって、それに対して衝撃力が加えられてレバー、すなわち第1のアクチュエータを下げる打ち付け面を備え、第1のアクチュエータは、中央ロッドを第3の中間位置から第1の位置に急並進させ、したがって、骨ステープルのアンダーカットとの干渉により、中央ロッドの遠位端が係合したときに、ステープルの第1の要素を第2の要素から分離する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、例としてのみ提供される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明によってより明確になるであろう。
【
図1】本発明による骨ステープル抽出装置の斜視図を示す。
【
図3】第1の動作位置における、本発明が関係する装置の断面図を示す。
【
図4】第2の動作位置における、本発明が関係する装置の断面図を示す。
【
図5】第3の動作位置における、本発明が関連する装置の断面図を示す。
【
図6】本発明が関係する装置で取り外し可能な骨ステープルの斜視図を示す。
【
図7A-7C】
図6に示される骨ステープルと本発明が関係する装置との間の引っ掛けシーケンスを拡大された形で示す。
【
図8】骨ステープルを除去する前の、その後の中間動作ステップにおける、骨ステープルに関連付けられた除去装置の斜視図を示す。
【
図9】骨ステープルの除去後の骨ステープルに関連付けられた除去装置の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上記の図において、番号1は全体として本発明による骨ステープル抽出装置を示す。
【0031】
特に、この装置が除去できるG字型の骨ステープル(
図6)は、2つの要素で構成されている。すなわち、チタンプレート(好ましくは円形)からなる第1の要素G1であって、チタンプレートから4つの先端Pが突き出て骨を貫通して靭帯を固定する第1の要素G1、および、平板状の本体、ひいてはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)層からなる第2の要素G2であって、第1の要素のプレートの下に接触して配置され且つ4つの突出した先端Pによって規定されるボリューム内に収容される第2の要素G2である。PEEK層により、軟組織をより良く骨に固定し、接触面全体に軸方向の負荷を分散させることができる。軸方向位置において各要素G1およびG2の中心に、骨ステープルGは、以下に説明されるように抽出装置1との結合を可能にするための貫通穴Fを有する。
【0032】
第1の要素の中央穴および第2の要素の中央穴は一致している。
【0033】
以下では、明示的な言及が「近位」という用語に対してなされ、「近位」という用語は、ユーザの体に近接した、つまり装置を保持している外科医に近接した装置の部分を意味する。「遠位」とは、ユーザの体から、したがって外科医からより離れている装置の部分を指す。
【0034】
装置1は、遠位端2dおよび近位端2pを有する主把持本体2と、軸2aに沿って中央把持本体2の内部でスライドする中央ロッド3とを備える。
【0035】
中央ロッド3はまた、対応する近位端3pおよび遠位端3dを備え、遠位端3dは、ステープルG1の第1の要素、特に骨ステープルに形成された中央穴と結合するように設計されている。
【0036】
さらに、抽出装置1は、以下に説明するように、中央ロッド3が第1の位置と第2の位置との間で主把持本体2の内部で軸方向にスライドすることを可能にする中央ロッド3の移動手段4を備える。
【0037】
主把持本体2は、遠位端2dから突出して中央ロッド3の周りに円周方向に配置されたいくつかの当接要素5を有する。これらの当接要素5は、本体2の遠位端2dから軸方向に突出しており、ステープルの第2の要素に作用して、中央ロッド3の動きと協力して、ステープルの第1の要素からのステープルの第2の要素の分離およびその除去を決定する自由遠位端5dを有する。これらの当接要素5の自由遠位端5dは、好ましくは同一平面上にあり且つ同じ平面Xに属する。
【0038】
詳細には、骨ステープルGの中央穴Fは、第1の要素G1に形成された第1の中央穴F1によって、および骨ステープルGの第2の要素G2に形成された第2の中央穴F2によって規定される。第1の中央穴F1および第2の中央穴F2は重なり合い、2つの要素G1およびG2が結合されている場合に、骨ステープルGの第1の要素G1の穴Fの周縁部の下に配置されるアンダーカットSを作り出す。
【0039】
中央ロッド3の遠位端3dは、中央ロッド3の側壁3Lとの接続部分7の近くで、ロッド3の側壁3Lから少なくとも部分的に突出している縁部6を有する(
図6)。
【0040】
縁部6は、干渉によって、骨ステープルGの第1の要素G1の中央に形成された上記のアンダーカットSと接続するように設計されている。
【0041】
有利には、中央ロッド3の遠位端3dの縁部6は、楕円形にすることができるか、またはこの縁部6の周囲の残りの部分よりもさらに突出する少なくとも2つの部分を有することができる。
【0042】
第1の要素G1の穴は、中央ロッド3の遠位端3dの挿入を可能にするために、中央ロッド3の遠位端3dから突出する縁部6の外周外形と反対の形状になっている。
【0043】
中央ロッド3の遠位端3dは、中央本体2の軸2aと一致する軸方向Z(
図7B)に沿って骨ステープルGの中央穴Fの内側に挿入され、中央ロッド3の遠位端3dの縁部6がアンダーカットSと係合するまで、したがって、中央ロッド3を骨ステープルGに引っ掛けるまで、装置1全体がこの軸2a周りに回転する(
図7Cの矢印Rを参照)。
【0044】
骨ステープルGの第1の要素G1は、下に配置された第2の要素G2の部分Eが露出したままになるように形作られている。
【0045】
当接要素5は、これらの部分Eに当接し、特に自由遠位端5dは、第2の要素G2を適切な位置に静止した状態に維持し、一方、骨ステープルGの第1の要素G1と係合した中央ロッド3は軸方向に上方にスライドし、第1の要素G1を引っ張って第2の要素G2から分離し、ひいては患者の体から骨ステープルGを除去することを可能にする。
【0046】
ステープルの引き離しによる除去を伴うロッドの軸方向のスライドは、迅速且つ瞬間的であり、移動手段4に対する能動的な衝撃力によって生成される。
【0047】
中央ロッド3の軸方向のスライドは、一方の方向および他方の方向の両方で起こり、したがって、ここで詳細に説明される上記の移動手段4によって生じる。
【0048】
中央ロッド3のこれらの移動手段4は、第1のアクチュエータ8、好ましくはレバー、および第1のアクチュエータ8を中央ロッド3に接続する機構9を備える。この機構9は、第1のアクチュエータ8、したがってレバーの回転運動を中央ロッド3の並進運動に変換するように設計されている。
【0049】
具体的には、この機構9は、中央ロッド3上に直接形成されたラック10と、第1のアクチュエータ8を規定するレバーの一端に形成されたピニオン11とを備え、これにより、第1のアクチュエータの動き、したがってレバーの動きはピニオン11を回転させ、ピニオン11はラック10と係合して、中央ロッド3の軸方向の並進を引き起こす。
【0050】
中央ロッド3は、中央ロッド3の遠位端3dが複数の当接要素5によって規定されるボリュームV内に含まれる第1の位置(
図3に示される)と、遠位端3dが複数の当接要素5によって規定されるボリュームVおよび本体2の両方から完全に引き出された第2の位置(
図4に示される)との間でスライドすることができる。ロッド3はまた、第1の位置と第2の位置との間の第3の中間位置(
図5に示される)をとることができる。
【0051】
図9に示されるように、第1のアクチュエータまたはレバー8は打ち付け面8bを有し、それに対して衝撃が加えられ、当該衝撃がそれを動かし、特にそれを下げる(
図3および9)。第1のアクチュエータ8の打ち付け面8bに強制的に加えられた衝撃(矢印Kを参照)は、中央ロッド3が第1の要素G1に係合したときに、中央ロッド3を急激なスナップで持ち上げ(矢印J)、第1の要素G1を骨から引き離すのに十分である。
【0052】
図3に見られるように、第1の位置では、第1のアクチュエータ8は下降位置にあり、複数の当接要素5に接近しており、第3の中間位置では、
図5に見られるように、第1のアクチュエータ8は上昇位置にあり、複数の当接要素5から離れるように移動している。
【0053】
第1のアクチュエータ8を持ち上げると(
図8の矢印Y)、中央のロッド3が第1の位置から中間位置に部分的に下げられる(
図8の矢印W)。第1のアクチュエータ8が完全に上昇したとき、中央ロッド3は、第2または第3の中間位置にあることができる。
【0054】
実際、第1のアクチュエータ8が完全に上昇した場合(
図4、5および8、矢印Y)、中央ロッド3は第3の中間位置にあり(
図5)、第1のアクチュエータの回転運動を中央ロッドの並進運動に変換するように設計された機構9は動作を停止されている。これは、ピニオン11とラック10が互いに切り離され、したがって、中央ロッド3が自由にスライドして、第2の位置(
図4)に移動することが可能になることを意味する。特に、ロッドの軸方向のスライドは、第2のアクチュエータ12によって可能になる(
図4)。
【0055】
対照的に、第1のアクチュエータまたはレバー8が完全に下げられ(
図3)、したがって、中央ロッド3が第1の位置にあるとき、ピニオン11とラック10が互いに係合しているので、第2のアクチュエータ12の作動は抑制されない。したがって、ロッドは、ピニオン11がラック10と係合することによってブロックされて自由にスライドすることができない。
【0056】
したがって、移動手段4はまた、中央ロッド3の追加の並進を促進するために、中央ロッド3の近位端3pに配置された第2のアクチュエータ12を備える。
【0057】
第2のアクチュエータ12は、中央ロッド3の近位端3pに配置されたスラスト面13を備え、下向きの軸方向のスラスト力で中央ロッド3に対して作用して、中央ロッド3は中間位置から第2の位置に移行する。これは、レバー8が上昇位置にあり且つピニオンとラックが切り離されている場合に、可能である。
【0058】
装置1は、さらに、弾性スプリングバック要素14、好ましくは螺旋ばねを備え、弾性スプリングバック要素14は、主把持本体2の内部にあり、中央ロッド3と主把持本体2の遠位端2dとの間、特に中央ロッド3の一方の肩部15と中央ロッド2の遠位端2dの内側との間で動作する。この弾性要素14は、中央ロッド3の近位端3pのスラスト面13に加えられた力の解放に続いて、中央ロッド2が上方に戻ることを可能にする。
【0059】
したがって、中央ロッド3の遠位端3dが当接要素5によって規定されるボリュームVから完全に引き出された第2の位置(
図4)は、骨ステープルGが引っ掛けられる位置であり、遠位端3dは、完全に自由で且つ露出している。この位置でさえ、レバー8が上昇しており、本体2の近位端2pに接近している。
【0060】
対照的に、第3の中間位置(
図5)は、レバー8が上昇しており且つ中央ロッド3の側壁3Lと中央ロッド3の遠位端3dの縁部6との間の接続部分7が、基本的に、当接要素5の自由スラスト遠位端5dを含む平面Xと重なるすなわち一致するか、または当接要素5によるボリュームVの内側に含まれ、一方で中央ロッド3の遠位端3dがこのボリュームVの外部にある位置に対応する。
【0061】
使用時に、上記のタイプの骨ステープルGを患者の体から取り外す必要がある場合、レバー8を完全に上昇させて、中央ロッド3を第3の中間位置(
図5)に持って行き、したがって、ピニオン11とラック10を切り離す。
【0062】
第2のアクチュエータ12に作用して、このようにして、中央ロッド2の近位端3pに配置されたスラスト面13に下向きのスラストを加えることにより、遠位端3dは、当接要素5によって規定されるボリュームVから中央ロッド3を出させる。この構成では、遠位端3dを骨ステープルGの穴Fに挿入することにより、装置1をステープルGに引っ掛けることが可能である。縁部6が、干渉によって、骨ステープルGの第1の要素G1と第2の要素G2との間に中央に形成された上記のアンダーカットSに接続され係合されるまで、装置は回転される。
【0063】
この時点で、スラストは第2のアクチュエータ12で解放され、その結果、弾性スプリングバック要素14は中央ロッド3を持ち上げ、こうして当接要素5をステープルGの第2の要素G2の露出部分Eと接触させる。したがって、中央ロッド3は第3の中間位置に配置され、第3の中間位置では、ステープルGと係合した中央ロッド3の遠位端3dは、基本的に、前述のように、当接要素5の自由遠位端5dにあり、自由遠位端5dは、したがって、ステープル、特にステープルGの露出部分Eと接触させられる。
【0064】
この時点(第2および第3の位置)まで、レバー8は上昇位置にある。この時点で、力が打ち付け面8bに加えられて、レバー8に衝撃を加え、当該衝撃は、レバー自体を下げ、中央ロッド3を軸方向に上方に持ち上げて、第1の要素G1を骨から引き離す。したがって、中央ロッド3は、第1の位置(
図3)にもたらされ、第1の位置では、中央ロッド3の遠位端3dは、当接要素5によって規定されるボリュームVに完全に含まれる。中央ロッド3は、ステープルGの第1の要素G1に牽引力を加え、それを上方に沿って引きずり、一方で第2の要素G2は、当接要素5によって露出部分Eに加えられる圧力を受けて、患者の体と接触した位置に維持される。
【0065】
第1の要素G1が引き離されたら、第2の要素G2を他のツールで取り外すことができる。
【0066】
本発明は、力をステープル全体に均等に分散させることにより、骨ステープルの迅速且つ完全な抽出を可能にするので、その意図された目的を達成する。これにより、抽出力が一点に集中した場合に発生する可能性のあるステープル自体の偶発的な破損および患者への損傷を防止する。
【0067】
機械的応力は、PEEKで作られた骨ステープルの第2の要素によって吸収される。ステープルには運動量が与えられないが、鋭い打撃を伴う軸方向の引っ張りにより、第1の要素が第2の要素から即座に分離する。ステープルはオッセオインテグレーションを受けるので、第1のアクチュエータに加えられる衝撃力が必要である。
【0068】
この装置はまた、外科医にとって使いやすく且つ扱いやすく、患者にとって安全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【手続補正書】
【提出日】2022-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出装置(1)および骨ステープル(G)を備える抽出システムであって、
前記骨ステープル
(G)は、
中央貫通穴(F1)を有するプレートであって、当該プレートから4つの先端(P)が延びるプレートを備える第1の要素(G1)と、
中央貫通穴(F2)を有する第2の要素(G2)であって、前記第1の要素(G1)の前記プレートの下に接触した状態で且つ前記4つの先端(P)によって規定されるボリュームの内側に収容されるように配置できる第2の要素(G2)と、を備え、前記抽出装置
(1)は、
近位端(2p)および遠位端(2d)を有する主把持本体(2)と、近位端(3p)および遠位端(3d)を備える中央ロッド(3)と、を備え、前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)は、前記ステープルの前記第1の要素と結合するように適合されており、前記中央ロッド(3)は、第1の位置と第2の位置との間で、前記主把持本体(2)の内部で軸方向にスライドすることができ、前記抽出装置
(1)は
さらに、
前記中央ロッド(3)を動かすための移動手段(4)と、前記主把持本体(2)の前記遠位端(2d)から
軸方向に突出し且つ前記中央ロッド(3)の周りに円周方向に配置された複数の当接要素(5)とを備え、前記複数の当接要素(5)は、前記ステープルの前記第2の要素に作用して、前記中央ロッド(3)の動きと協力して、前記ステープル(G)の前記第2の要素(G2)の前記ステープル(G)の前記第1の要素(G1)からの分離およびその除去を得るように適合されている、
抽出システム。
【請求項2】
前記中央ロッド(3)の前記移動手段(4)は、第1のレバーアクチュエータ(8)と、前記レバー(8)を前記中央ロッド(3)に接続する機構(9)とを備え、前記機構(9)は、前記レバー(8)の回転運動を前記中央ロッド(3)の並進運動に変換するように適合されている、請求項1に記載の
抽出システム。
【請求項3】
前記機構(9)は、前記中央ロッド(3)上に形成されたラック(10)および前記レバー(8)に関連付けられたピニオン(11)を備え、これにより、前記レバー(8)の動きが前記ピニオン(11)を回転させ、前記ピニオン(11)が前記ラック(10)と係合して、前記中央ロッド(3)の軸方向の並進を促進する、請求項2に記載の
抽出システム。
【請求項4】
前記レバー(8)は、打ち付け面(8b)であって、それに対して衝撃が加えられる打ち付け面(8b)を有し、前記衝撃は前記レバー(8)を動かして前記レバー(8)を下げる、請求項3に記載の
抽出システム。
【請求項5】
前記移動手段(4)は、前記中央ロッド(3)のさらなる並進を促進するために、前記中央ロッド(3)の前記近位端(3d)に配置された第2のアクチュエータ(12)を備える、請求項1に記載の
抽出システム。
【請求項6】
前記中央ロッド(3)は第1の位置と第2の位置との間をスライドし、前記第1の位置では、前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)が前記複数の当接要素(5)によって規定されたボリューム(V)内に含まれており、前記第2の位置では、前記遠位端(3d)は前記複数の当接要素(5)によって規定された前記ボリューム(V)および前記本体(2)の両方から完全に引き出されており、前記中央ロッド(3)は、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の中間位置に配置することができる、請求項1に記載の
抽出システム。
【請求項7】
前記中央ロッド(3)の前記移動手段(4)は、第1のレバーアクチュエータ(8)と、前記レバー(8)を前記中央ロッド(3)に接続する機構(9)とを備え、前記機構(9)は、前記レバー(8)の回転運動を前記中央ロッド(3)の並進運動に変換するように適合されており、
前記中央ロッド(3)の前記第1の位置では、前記レバー(8)が下降位置にあり、前記複数の当接要素(5)に接近しており、前記中央ロッド(3)の前記中間位置では、前記レバー(8)は上昇位置にあり、前記複数の当接要素(5)から離れるように移動している、請求項
6に記載の
抽出システム。
【請求項8】
前記レバー(8)が前記複数の当接要素(5)から離れた前記上昇位置にあるとき、前記レバー(8)の前記回転運動を前記中央ロッド(3)の並進運動に変換するように設計された前記機構(9)は、動作を停止されている、請求項7に記載の
抽出システム。
【請求項9】
前記移動手段(4)は、前記中央ロッド(3)のさらなる並進を促進するために、前記中央ロッド(3)の前記近位端(3d)に配置された第2のアクチュエータ(12)を備え、
前記アクチュエータ(12)は、前記中央ロッド(3)の前記近位端(3d)に配置されたスラスト面(13)であって、前記中央ロッド(3)に作用して、前記レバー(8)が前記上昇位置にあるときに、前記中央ロッド(3)が前記中間位置から前記第2の位置に移行するスラスト面(13)を備える、請求項
8に記載の
抽出システム。
【請求項10】
前記主把持本体(2)の内部に配置され且つ前記中央ロッド(3)と前記主把持本体(2)の前記遠位端(2d)の内側部分との間で動作する弾性スプリングバック要素(14)を備える、請求項9に記載の
抽出システム。
【請求項11】
前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3p)は、前記中央ロッド(3)の側壁(3L)に接続するための接続部分(7)で、前記側壁(3L)から少なくとも部分的に突出する縁部(6)を有し、前記縁部(6)は、前記骨ステープル(G)の前記第1の要素(G1)の下で、前記ステープル(G)の前記第1の要素(G1)と前記第2の要素(G2)との間に中央に形成されたアンダーカット(S)に接続するように適合されている、請求項1に記載の
抽出システム。
【請求項12】
前記中央ロッド(3)は第1の位置と第2の位置との間をスライドし、前記第1の位置では、前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)が前記複数の当接要素(5)によって規定されたボリューム(V)内に含まれており、前記第2の位置では、前記遠位端(3d)は前記複数の当接要素(5)によって規定された前記ボリューム(V)および前記本体(2)の両方から完全に引き出されており、前記中央ロッド(3)は、前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の中間位置に配置することができ、
前記第3の中間位置では、前記中央ロッド(3)の前記側壁(3L)と前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)の前記縁部(6)との間の前記接続部分(7)は、前記複数の当接要素(5)の自由遠位スラスト端(5d)を含む平面(X)と実質的に重なるか、または前記複数の当接要素(5)によって規定される前記ボリューム(V)内に含まれ、一方で、前記中央ロッド(3)の前記遠位端(3d)は、前記ボリューム(V)の外部にある、請求項
11に記載の
抽出システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨ステープル抽出システムに関する。特に、本発明は、共に結合された第1および第2の要素を含むタイプの骨ステープル抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨ステープルは、靭帯または軟組織一般を骨構造に固定できるようにするインプラントである。
【0003】
インプラント(靭帯ステープル)は、チタンプレート(好ましくは円形)からなる第1の要素であって、そこから4つの先端が骨に突き出て靭帯を固定する第1の要素と、軟組織を骨により良く固定でき、接触面全体に軸方向の負荷を分散させる、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)層からなる第2の要素と、で構成される。第1の要素は、突き出た先端によって規定されたボリューム内に含まれる第2の要素と接触して重なる。
【0004】
オッセオインテグレーションプロセスにより、インプラントは骨組織に結合し、再置換術の際にインプラントを除去することを困難にする。
【0005】
現在、再置換術の際に骨ステープルまたはインプラントを除去することを可能にする市場で入手可能なツールは、抵抗力を骨に直接伝達することによってレバーとして機能し、したがって、骨破壊の危険因子を増加させる。
【0006】
現在知られているそのようなインプラントのための除去ツールは、実際には、二重のフォーク状の先端を備えた鋭い側を持つ湾曲したステンレス鋼の棒からなる。
【0007】
ステンレス鋼のハンドルに沿って、支点として機能する湾曲した突出要素がある。
【0008】
この器具は、インプラントと骨との間に挟まれ、支点でレバーとして機能することにより、インプラントを持ち上げて引き抜くことを可能にする。
【0009】
この器具は、外科医によって加えられる抽出力全体を一点に集中させるので、患者にとって骨折やその他の外傷性の結果のリスクをもたらす。さらに、オッセオインテグレーションの結果として、インプラントの除去は困難であり、したがって、患者の体から骨ステープルを除去するのにかなり長い時間がかかる。
【0010】
既知のタイプの骨ステープル抽出装置の別の例は、米国文書2009/0264900に示されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、従来技術において現在知られ且つ存在する骨ステープル除去装置に見られる欠点を克服することである。
【0012】
したがって、本発明の目的は、骨ステープルの改善された、容易な且つ迅速な抽出を可能にする骨ステープル抽出装置を創出することである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、偶発的な破損または過度の負荷が患者の骨の一部にのみ加えられることを回避するために、ステープルの除去中に加えられる負荷をステープル全体に均一に分散させることを可能にする骨ステープル抽出装置を創出することである。
【0014】
最後に、本発明の目的は、外科医が使用するのが容易且つ迅速である骨ステープル用の抽出装置を提案することである。
【0015】
これらおよび他の目的は、請求項1に記載されているような骨ステープル抽出装置で達成される。
概要
特に、第1の態様によれば、本発明は、抽出装置および骨ステープルを備える抽出システムに関する。骨ステープル抽出装置は、第1および第2の重なり合う要素を備えたタイプである。
【0016】
典型的には、本発明が関係する装置が相互作用する骨ステープルは、プレートによって規定される第1の要素であって、そこから骨を貫通して靭帯を固定する4つの先端が放射状に広がる第1の要素を備える。ステープルはまた、本体によって規定される第2の要素であって、第1の要素のプレートの下に接触して配置することができ且つ4つの突出した先端によって規定されるボリューム内に収容される第2の要素を備える。第1の要素と第2の要素の両方に中央穴がある。抽出装置は、近位端および遠位端を有する主把持本体と、第1の位置と第2の位置との間で主把持本体の内部で軸方向にスライドする中央ロッドとを備える。
【0017】
中央ロッドは、近位端と遠位端を備え、遠位端は、特にステープルの第1の要素の穴の内側で、ステープルの第1の要素に結合されるように設計されている。中央ロッドの軸方向のスライドは、骨ステープルの、そのシートからの遊離を促進する。これは、中央ロッドとステープルの第1の要素との間の係合と、ステープルの急速な上方への並進によって引き起こされる後続の引き裂き(ripping)との結果として発生する。抽出装置はまた、中央ロッドを移動させるための移動手段と、主把持本体の遠位端から突出し且つ中央ロッドの周りに円周方向に配置されたいくつかの当接要素とを備える。これらの当接要素は、骨ステープルの第2の要素に作用して、中央ロッドの軸方向の動きと協力して、ステープルの第1の要素からのステープルの第2の要素の分離、したがってその除去を決定する。ステープルの第2の要素は、実際にはその位置に維持されているので、抽出装置を患者の骨に向けて押す外科医と当接要素によって加えられる圧力の結果として、患者の骨と接触している。一方、中央のロッドは、第1の要素を引っ掛けてその上向きの並進の際に第1の要素を引き離し、一方で、第2の要素は当接要素によって依然として保持されている。このようにして、ステープルの第1の要素は骨から引き離され、第2の要素は骨とのみ接触したままであるが、骨との結合はない。骨ステープルの2つの要素が分離し、ステープル全体をそのシートから除去することができる。
【0018】
中央ロッドの移動手段は、第1のアクチュエータ、好ましくはレバーと、第1のアクチュエータを中央ロッドに接続する機構とを備える。この機構は、第1のアクチュエータの回転運動を中央ロッドの並進運動に変換するように設計されている。
【0019】
この機構は、中央ロッドに形成されたラックと、第1のアクチュエータの一端に形成されたピニオンと、を備えており、その結果、第1のアクチュエータの動きによってピニオンが回転し、ラックと噛み合うことによって中央ロッドの軸方向の並進を促進する。
【0020】
移動手段はまた、中央ロッドの追加の並進を促進するために中央ロッドの遠位端に配置された第2のアクチュエータを備える。この第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータがオフになっているときに作動する。
【0021】
中央ロッドは、遠位端がいくつかの当接要素によって規定されたボリューム内に含まれる第1の位置と、遠位端がいくつかの当接要素によって規定されたボリュームおよび本体の両方から完全に引き出された第2の位置との間をスライドする。中央ロッドはまた、第1の位置と第2の位置との間の第3の中間位置を取ることができる。
【0022】
中央ロッドの第1の位置では、第1のアクチュエータは下降位置にあり、いくつかの当接要素に接近しており、中央ロッドの中間位置では、第1のアクチュエータは上昇位置にあり、いくつかの当接要素から離れるように移動している。
【0023】
この装置はまた、第1のアクチュエータが上昇位置にあるとき、第1のアクチュエータの回転運動を中央ロッドの並進運動に変換するように設計された機構が動作を停止され、したがって、ピニオンおよびラックが互いに離される。
【0024】
第2のアクチュエータは、中央ロッドの近位端に配置されたスラスト面であって、第1のアクチュエータが上昇位置にあり、したがって機能していないときに、中央ロッドに作用して中央ロッドは中間位置から第2の位置に移動するスラスト面を備える。
【0025】
この装置はまた、ロッドが第2の位置から第3の中間位置に戻るのを促進するために、主把持本体の内部にあり且つ中央ロッドと主把持本体の遠位端との間で動作する弾性スプリングバック要素を備える。
【0026】
中央ロッドの遠位端は、側壁に接続する接続部分で、ロッドの側壁から少なくとも部分的に突き出ている縁部を有する。縁部は、骨ステープルの第1の要素の中央穴の内側縁部に沿って中央に形成されたアンダーカットに接続するように設計されている。このアンダーカットは、骨ステープルの第1の要素と第2の要素の間、特に第1の要素の下に形成されている。
【0027】
第3の中間位置では、中央ロッドの側壁と中央ロッドの遠位端の縁部とを接続する接続部分は、本質的に、当接要素の自由スラスト遠位端を含む平面に含まれるか、あるいは、当接要素によって規定されたボリューム内に含まれ、一方で、中央ロッドの遠位端は当接要素によって規定されたボリュームの外側にある。
【0028】
第1のアクチュエータを規定するレバーはまた、打ち付け面であって、それに対して衝撃力が加えられてレバー、すなわち第1のアクチュエータを下げる打ち付け面を備え、第1のアクチュエータは、中央ロッドを第3の中間位置から第1の位置に急並進させ、したがって、骨ステープルのアンダーカットとの干渉により、中央ロッドの遠位端が係合したときに、ステープルの第1の要素を第2の要素から分離する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、例としてのみ提供される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明によってより明確になるであろう。
【
図1】本発明による骨ステープル抽出装置の斜視図を示す。
【
図3】第1の動作位置における、本発明が関係する装置の断面図を示す。
【
図4】第2の動作位置における、本発明が関係する装置の断面図を示す。
【
図5】第3の動作位置における、本発明が関連する装置の断面図を示す。
【
図6】本発明が関係する装置で取り外し可能な骨ステープルの斜視図を示す。
【
図7A-7C】
図6に示される骨ステープルと本発明が関係する装置との間の引っ掛けシーケンスを拡大された形で示す。
【
図8】骨ステープルを除去する前の、その後の中間動作ステップにおける、骨ステープルに関連付けられた除去装置の斜視図を示す。
【
図9】骨ステープルの除去後の骨ステープルに関連付けられた除去装置の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本説明は、骨ステープル抽出装置1および骨ステープルGを備える骨ステープル抽出システムに関する。上記の図において、番号1は全体として本発明による骨ステープル抽出装置を示す。
【0031】
特に、この装置が除去できる
骨ステープルG(
図6)は、2つの要素で構成されている。すなわち、チタンプレート(好ましくは円形)からなる第1の要素G1であって、チタンプレートから4つの先端Pが突き出て骨を貫通して靭帯を固定する第1の要素G1、および、平板状の本体、ひいてはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)層からなる第2の要素G2であって、第1の要素のプレートの下に接触して配置され且つ4つの突出した先端Pによって規定されるボリューム内に収容される第2の要素G2である。PEEK層により、軟組織をより良く骨に固定し、接触面全体に軸方向の負荷を分散させることができる。軸方向位置において各要素G1およびG2の中心に、骨ステープルGは、以下に説明されるように抽出装置1との結合を可能にするための貫通穴Fを有する。
【0032】
第1の要素の中央穴および第2の要素の中央穴は一致している。
【0033】
以下では、明示的な言及が「近位」という用語に対してなされ、「近位」という用語は、ユーザの体に近接した、つまり装置を保持している外科医に近接した装置の部分を意味する。「遠位」とは、ユーザの体から、したがって外科医からより離れている装置の部分を指す。
【0034】
装置1は、遠位端2dおよび近位端2pを有する主把持本体2と、軸2aに沿って中央把持本体2の内部でスライドする中央ロッド3とを備える。
【0035】
中央ロッド3はまた、対応する近位端3pおよび遠位端3dを備え、遠位端3dは、ステープルG1の第1の要素、特に骨ステープルに形成された中央穴と結合するように設計されている。
【0036】
さらに、抽出装置1は、以下に説明するように、中央ロッド3が第1の位置と第2の位置との間で主把持本体2の内部で軸方向にスライドすることを可能にする中央ロッド3の移動手段4を備える。
【0037】
主把持本体2は、遠位端2dから突出して中央ロッド3の周りに円周方向に配置されたいくつかの当接要素5を有する。これらの当接要素5は、本体2の遠位端2dから軸方向に突出しており、ステープルの第2の要素に作用して、中央ロッド3の動きと協力して、ステープルの第1の要素からのステープルの第2の要素の分離およびその除去を決定する自由遠位端5dを有する。これらの当接要素5の自由遠位端5dは、好ましくは同一平面上にあり且つ同じ平面Xに属する。
【0038】
詳細には、骨ステープルGの中央穴Fは、第1の要素G1に形成された第1の中央穴F1によって、および骨ステープルGの第2の要素G2に形成された第2の中央穴F2によって規定される。第1の中央穴F1および第2の中央穴F2は重なり合い、2つの要素G1およびG2が結合されている場合に、骨ステープルGの第1の要素G1の穴Fの周縁部の下に配置されるアンダーカットSを作り出す。
【0039】
中央ロッド3の遠位端3dは、中央ロッド3の側壁3Lとの接続部分7の近くで、ロッド3の側壁3Lから少なくとも部分的に突出している縁部6を有する(
図6)。
【0040】
縁部6は、干渉によって、骨ステープルGの第1の要素G1の中央に形成された上記のアンダーカットSと接続するように設計されている。
【0041】
有利には、中央ロッド3の遠位端3dの縁部6は、楕円形にすることができるか、またはこの縁部6の周囲の残りの部分よりもさらに突出する少なくとも2つの部分を有することができる。
【0042】
第1の要素G1の穴は、中央ロッド3の遠位端3dの挿入を可能にするために、中央ロッド3の遠位端3dから突出する縁部6の外周外形と反対の形状になっている。
【0043】
中央ロッド3の遠位端3dは、中央本体2の軸2aと一致する軸方向Z(
図7B)に沿って骨ステープルGの中央穴Fの内側に挿入され、中央ロッド3の遠位端3dの縁部6がアンダーカットSと係合するまで、したがって、中央ロッド3を骨ステープルGに引っ掛けるまで、装置1全体がこの軸2a周りに回転する(
図7Cの矢印Rを参照)。
【0044】
骨ステープルGの第1の要素G1は、下に配置された第2の要素G2の部分Eが露出したままになるように形作られている。
【0045】
当接要素5は、これらの部分Eに当接し、特に自由遠位端5dは、第2の要素G2を適切な位置に静止した状態に維持し、一方、骨ステープルGの第1の要素G1と係合した中央ロッド3は軸方向に上方にスライドし、第1の要素G1を引っ張って第2の要素G2から分離し、ひいては患者の体から骨ステープルGを除去することを可能にする。
【0046】
ステープルの引き離しによる除去を伴うロッドの軸方向のスライドは、迅速且つ瞬間的であり、移動手段4に対する能動的な衝撃力によって生成される。
【0047】
中央ロッド3の軸方向のスライドは、一方の方向および他方の方向の両方で起こり、したがって、ここで詳細に説明される上記の移動手段4によって生じる。
【0048】
中央ロッド3のこれらの移動手段4は、第1のアクチュエータ8、好ましくはレバー、および第1のアクチュエータ8を中央ロッド3に接続する機構9を備える。この機構9は、第1のアクチュエータ8、したがってレバーの回転運動を中央ロッド3の並進運動に変換するように設計されている。
【0049】
具体的には、この機構9は、中央ロッド3上に直接形成されたラック10と、第1のアクチュエータ8を規定するレバーの一端に形成されたピニオン11とを備え、これにより、第1のアクチュエータの動き、したがってレバーの動きはピニオン11を回転させ、ピニオン11はラック10と係合して、中央ロッド3の軸方向の並進を引き起こす。
【0050】
中央ロッド3は、中央ロッド3の遠位端3dが複数の当接要素5によって規定されるボリュームV内に含まれる第1の位置(
図3に示される)と、遠位端3dが複数の当接要素5によって規定されるボリュームVおよび本体2の両方から完全に引き出された第2の位置(
図4に示される)との間でスライドすることができる。ロッド3はまた、第1の位置と第2の位置との間の第3の中間位置(
図5に示される)をとることができる。
【0051】
図9に示されるように、第1のアクチュエータまたはレバー8は打ち付け面8bを有し、それに対して衝撃が加えられ、当該衝撃がそれを動かし、特にそれを下げる(
図3および9)。第1のアクチュエータ8の打ち付け面8bに強制的に加えられた衝撃(矢印Kを参照)は、中央ロッド3が第1の要素G1に係合したときに、中央ロッド3を急激なスナップで持ち上げ(矢印J)、第1の要素G1を骨から引き離すのに十分である。
【0052】
図3に見られるように、第1の位置では、第1のアクチュエータ8は下降位置にあり、複数の当接要素5に接近しており、第3の中間位置では、
図5に見られるように、第1のアクチュエータ8は上昇位置にあり、複数の当接要素5から離れるように移動している。
【0053】
第1のアクチュエータ8を持ち上げると(
図8の矢印Y)、中央のロッド3が第1の位置から中間位置に部分的に下げられる(
図8の矢印W)。第1のアクチュエータ8が完全に上昇したとき、中央ロッド3は、第2または第3の中間位置にあることができる。
【0054】
実際、第1のアクチュエータ8が完全に上昇した場合(
図4、5および8、矢印Y)、中央ロッド3は第3の中間位置にあり(
図5)、第1のアクチュエータの回転運動を中央ロッドの並進運動に変換するように設計された機構9は動作を停止されている。これは、ピニオン11とラック10が互いに切り離され、したがって、中央ロッド3が自由にスライドして、第2の位置(
図4)に移動することが可能になることを意味する。特に、ロッドの軸方向のスライドは、第2のアクチュエータ12によって可能になる(
図4)。
【0055】
対照的に、第1のアクチュエータまたはレバー8が完全に下げられ(
図3)、したがって、中央ロッド3が第1の位置にあるとき、ピニオン11とラック10が互いに係合しているので、第2のアクチュエータ12の作動は抑制されない。したがって、ロッドは、ピニオン11がラック10と係合することによってブロックされて自由にスライドすることができない。
【0056】
したがって、移動手段4はまた、中央ロッド3の追加の並進を促進するために、中央ロッド3の近位端3pに配置された第2のアクチュエータ12を備える。
【0057】
第2のアクチュエータ12は、中央ロッド3の近位端3pに配置されたスラスト面13を備え、下向きの軸方向のスラスト力で中央ロッド3に対して作用して、中央ロッド3は中間位置から第2の位置に移行する。これは、レバー8が上昇位置にあり且つピニオンとラックが切り離されている場合に、可能である。
【0058】
装置1は、さらに、弾性スプリングバック要素14、好ましくは螺旋ばねを備え、弾性スプリングバック要素14は、主把持本体2の内部にあり、中央ロッド3と主把持本体2の遠位端2dとの間、特に中央ロッド3の一方の肩部15と中央ロッド2の遠位端2dの内側との間で動作する。この弾性要素14は、中央ロッド3の近位端3pのスラスト面13に加えられた力の解放に続いて、中央ロッド2が上方に戻ることを可能にする。
【0059】
したがって、中央ロッド3の遠位端3dが当接要素5によって規定されるボリュームVから完全に引き出された第2の位置(
図4)は、骨ステープルGが引っ掛けられる位置であり、遠位端3dは、完全に自由で且つ露出している。この位置でさえ、レバー8が上昇しており、本体2の近位端2pに接近している。
【0060】
対照的に、第3の中間位置(
図5)は、レバー8が上昇しており且つ中央ロッド3の側壁3Lと中央ロッド3の遠位端3dの縁部6との間の接続部分7が、基本的に、当接要素5の自由スラスト遠位端5dを含む平面Xと重なるすなわち一致するか、または当接要素5によるボリュームVの内側に含まれ、一方で中央ロッド3の遠位端3dがこのボリュームVの外部にある位置に対応する。
【0061】
使用時に、上記のタイプの骨ステープルGを患者の体から取り外す必要がある場合、レバー8を完全に上昇させて、中央ロッド3を第3の中間位置(
図5)に持って行き、したがって、ピニオン11とラック10を切り離す。
【0062】
第2のアクチュエータ12に作用して、このようにして、中央ロッド2の近位端3pに配置されたスラスト面13に下向きのスラストを加えることにより、遠位端3dは、当接要素5によって規定されるボリュームVから中央ロッド3を出させる。この構成では、遠位端3dを骨ステープルGの穴Fに挿入することにより、装置1をステープルGに引っ掛けることが可能である。縁部6が、干渉によって、骨ステープルGの第1の要素G1と第2の要素G2との間に中央に形成された上記のアンダーカットSに接続され係合されるまで、装置は回転される。
【0063】
この時点で、スラストは第2のアクチュエータ12で解放され、その結果、弾性スプリングバック要素14は中央ロッド3を持ち上げ、こうして当接要素5をステープルGの第2の要素G2の露出部分Eと接触させる。したがって、中央ロッド3は第3の中間位置に配置され、第3の中間位置では、ステープルGと係合した中央ロッド3の遠位端3dは、基本的に、前述のように、当接要素5の自由遠位端5dにあり、自由遠位端5dは、したがって、ステープル、特にステープルGの露出部分Eと接触させられる。
【0064】
この時点(第2および第3の位置)まで、レバー8は上昇位置にある。この時点で、力が打ち付け面8bに加えられて、レバー8に衝撃を加え、当該衝撃は、レバー自体を下げ、中央ロッド3を軸方向に上方に持ち上げて、第1の要素G1を骨から引き離す。したがって、中央ロッド3は、第1の位置(
図3)にもたらされ、第1の位置では、中央ロッド3の遠位端3dは、当接要素5によって規定されるボリュームVに完全に含まれる。中央ロッド3は、ステープルGの第1の要素G1に牽引力を加え、それを上方に沿って引きずり、一方で第2の要素G2は、当接要素5によって露出部分Eに加えられる圧力を受けて、患者の体と接触した位置に維持される。
【0065】
第1の要素G1が引き離されたら、第2の要素G2を他のツールで取り外すことができる。
【0066】
本発明は、力をステープル全体に均等に分散させることにより、骨ステープルの迅速且つ完全な抽出を可能にするので、その意図された目的を達成する。これにより、抽出力が一点に集中した場合に発生する可能性のあるステープル自体の偶発的な破損および患者への損傷を防止する。
【0067】
機械的応力は、PEEKで作られた骨ステープルの第2の要素によって吸収される。ステープルには運動量が与えられないが、鋭い打撃を伴う軸方向の引っ張りにより、第1の要素が第2の要素から即座に分離する。ステープルはオッセオインテグレーションを受けるので、第1のアクチュエータに加えられる衝撃力が必要である。
【0068】
この装置はまた、外科医にとって使いやすく且つ扱いやすく、患者にとって安全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【国際調査報告】