(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】薬液流量調節装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20221228BHJP
A61M 39/22 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
A61M5/168 504
A61M5/168 506
A61M39/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525393
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2020014901
(87)【国際公開番号】W WO2021086048
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0138896
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0041584
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520139848
【氏名又は名称】キム ヨンヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンヒョン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC08
4C066DD07
4C066DD12
4C066EE06
4C066EE14
4C066GG01
4C066GG06
4C066GG19
4C066JJ04
4C066LL07
4C066QQ14
4C066QQ15
4C066QQ27
(57)【要約】
本開示の一側面による実施例は、薬液流量調節装置に関連する。薬液の流れを案内する薬液流路を有する薬液流量調節装置100において、薬液流路は、薬液が流入する流入流路、流入流路から分岐する複数の分岐流路、及び複数の分岐流路から合流して薬液が流出する流出流路を含む。代表的な実施例による薬液流量調節装置100は、複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ複数の分岐流路のうち、対応するいずれかの少なくとも一部を構成する毛細流路を形成する複数の移送管110;及び複数の分岐流路を選択的に開閉することによって流出流路を介して流出する薬液の流量を調節するように構成されるバルブ部材120を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液の流れを案内する薬液流路を有する薬液流量調節装置であり、前記薬液流路は、前記薬液が流入する流入流路、前記流入流路から分岐する複数の分岐流路、及び前記複数の分岐流路から合流して前記薬液が流出する流出流路を含み、
前記複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ前記複数の分岐流路のうち、対応するいずれかの少なくとも一部を構成する毛細流路を形成する複数の移送管、及び
前記複数の分岐流路を選択的に開閉することによって前記流出流路を介して流出する前記薬液の流量を調節するように構成されるバルブ部材を含む薬液流量調節装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の移送管は、前記薬液が互いに異なる流量で流れるように構成された少なくとも2つの移送管を含む、
薬液流量調節装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材をさらに含み、
前記バルブ部材は、前記加圧部材が移動するにつれ加圧されるか加圧解除され、前記複数の分岐流路を選択的に開閉するように構成される、
薬液流量調節装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記加圧部材を移動させるように構成される作動部材をさらに含む、
薬液流量調節装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記作動部材には、前記複数の加圧部材が収容されるように互いに離隔されて形成される複数のリセスが形成され、
前記バルブ部材は弾性復元して前記加圧部材を前記リセスの陥没した方向に加圧するように構成される、
薬液流量調節装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記作動部材は、前記リセスが前記リセスの陥没した方向を横切る方向に移動して作動するように構成され、
前記作動部材が作動するにつれ前記複数の加圧部材が前記複数のリセスに選択的に収容される、
薬液流量調節装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記バルブ部材は、前記加圧部材が前記リセスに収容された状態で対応する前記分岐流路を開放するように構成される、
薬液流量調節装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記バルブ部材と前記複数の加圧部材の間に配置され、前記複数の加圧部材の移動をガイドするガイド部材をさらに含む、
薬液流量調節装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材、
前記加圧部材を移動させるように構成される作動部材、及び
前記作動部材に分離可能に噛み合わされ、前記作動部材と噛み合わさった状態で前記作動部材を作動させるように構成される操作部材をさらに含む、
薬液流量調節装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記操作部材には噛合部が形成され、
前記作動部材には、前記噛合部が収容される対応噛合部が形成される、
薬液流量調節装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記バルブ部材は加圧されて弾性変形し、加圧解除されて弾性復元するように構成される、
薬液流量調節装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記バルブ部材によって覆われ、それぞれ前記複数の分岐流路のうち、対応する1つの一部を構成する複数のバルブ空間が形成されるバルブハウジングをさらに含む、
薬液流量調節装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記バルブハウジングには、前記複数のバルブ空間と前記複数の移送管の前記毛細流路のそれぞれを連通する複数のバルブ孔が形成される、
薬液流量調節装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材をさらに含み、
前記バルブ部材は、前記加圧部材によって加圧されると前記バルブ孔を閉鎖するように構成される、
薬液流量調節装置。
【請求項15】
請求項12において、
前記複数のバルブ空間のいずれかには、前記流出流路の一部を構成する連結孔が形成される、
薬液流量調節装置。
【請求項16】
請求項12において、
前記複数のバルブ空間のうち、互いに隣接する2つのバルブ空間を連通する連通流路が形成される、
薬液流量調節装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記複数のバルブ空間のいずれかには、前記流出流路の一部を構成する連結孔が形成され、
前記バルブ部材が前記バルブ孔を開放した状態と前記バルブ部材が前記バルブ孔を閉鎖した状態で、前記連結孔及び前記連通流路は開放された状態を維持するように構成される、
薬液流量調節装置。
【請求項18】
請求項12において、
前記バルブ部材は、前記複数のバルブ空間に向かって突出し、それぞれ対応する前記分岐流路を閉鎖可能に構成される複数の突出部を含む、
薬液流量調節装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材をさらに含み、
前記バルブ部材には、前記複数の突出部の反対側に配置され、前記複数の加圧部材が安着する複数の安着部が形成される、
薬液流量調節装置。
【請求項20】
請求項1において、
前記流入流路または前記流出流路に配置される空気通過フィルタをさらに含む、
薬液流量調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬液の流量調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に薬品を供給するために、患者に液状の薬液(例えば、注射液)を注入する薬液注入装置が知られている。このような薬液注入装置を用いて、所定の貯蔵空間内にある薬液が患者と連結される通路(例えば、薬液注入管及び注射針の内部空間)を通過して、患者の体内に流入する。
【0003】
医療目的上、患者の体内に一度に薬液が注入されることを防止し、相当時間の間、徐々に体内に薬品が注入されるように毛細流路を形成する薬品移送管が含まれた装置が知られている。薬液を薬品移送管を通過させることで、この薬液注入装置の通路に沿って流れる薬液の時間当りの流量を減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
毛細流路が形成された従来の薬液注入装置は薬液の流量を減少させるように構成されるが、患者に投与される薬液の流量を調節するように構成されていない。従って、患者の状態や病気の種類に応じて患者に投与される薬液の流量を調節し難い。
【0005】
本開示の各実施例は、従来の薬液注入装置の少なくとも一部の問題点を改善または解決する。このために、複数の実施例は、薬液を人体に注入する際、薬液の流量を調節するように構成される薬液の流量調節装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面による各実施例は、薬液流量調節装置に関連する。薬液の流れを案内する薬液流路を有する薬液流量調節装置において、薬液流路は、薬液が流入する流入流路、流入流路から分岐する複数の分岐流路、及び複数の分岐流路から合流して薬液が流出する流出流路を含む。代表的な実施例による薬液流量調節装置は、複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ複数の分岐流路のうち、対応するいずれかの少なくとも一部を構成する毛細流路を形成する複数の移送管;及び複数の分岐流路を選択的に開閉することによって流出流路を介して流出する薬液の流量を調節するように構成されるバルブ部材を含む。
【0007】
一実施例において、複数の移送管は、薬液が互いに異なる流量で流れるように構成された少なくとも2つの移送管を含み得る。
【0008】
一実施例において、薬液流量調節装置は、複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材をさらに含み得る。バルブ部材は、加圧部材が移動するにつれ加圧されるか加圧解除され、複数の分岐流路を選択的に開閉するように構成され得る。
【0009】
一実施例において、薬液流量調節装置は、加圧部材を移動させるように構成される作動部材をさらに含み得る。
【0010】
一実施例において、作動部材には、複数の加圧部材が収容されるように互いに離隔されて形成される複数のリセスが形成され得る。バルブ部材は弾性復元して加圧部材をリセスの陥没した方向に加圧するように構成され得る。
【0011】
一実施例において、作動部材は、リセスがリセスの陥没した方向を横切る方向に移動して作動するように構成され得る。作動部材が作動するにつれ複数の加圧部材が複数のリセスに選択的に収容され得る。
【0012】
一実施例において、バルブ部材は、加圧部材がリセスに収容された状態で対応する分岐流路を開放するように構成され得る。
【0013】
一実施例において、薬液流量調節装置は、バルブ部材と複数の加圧部材の間に配置され、複数の加圧部材の移動をガイドするガイド部材をさらに含み得る。
【0014】
一実施例において、薬液流量調節装置は、複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材;加圧部材を移動させるように構成される作動部材;及び作動部材に分離可能に噛み合わされ、作動部材と噛み合わさった状態で作動部材を作動させるように構成される操作部材をさらに含み得る。
【0015】
一実施例において、操作部材には噛合部が形成され、作動部材には、噛合部が収容される対応噛合部が形成され得る。
【0016】
一実施例において、バルブ部材は加圧されて弾性変形し、加圧解除されて弾性復元するように構成され得る。
【0017】
一実施例において、薬液流量調節装置は、バルブ部材によって覆われ、それぞれ複数の分岐流路のうち、対応する1つの一部を構成する複数のバルブ空間が形成されるバルブハウジングをさらに含み得る。
【0018】
一実施例において、バルブハウジングには、複数のバルブ空間と複数の移送管の毛細流路のそれぞれを連通する複数のバルブ孔が形成され得る。
【0019】
一実施例において、薬液流量調節装置は、複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材をさらに含み得る。バルブ部材は、加圧部材によって加圧されるとバルブ孔を閉鎖するように構成され得る。
【0020】
一実施例において、複数のバルブ空間のいずれかには、流出流路の一部を構成する連結孔が形成され得る。
【0021】
一実施例において、複数のバルブ空間のうち、互いに隣接する2つのバルブ空間を連通する連通流路が形成され得る。
【0022】
一実施例において、複数のバルブ空間のいずれかには、流出流路の一部を構成する連結孔が形成され得る。バルブ部材がバルブ孔を開放した状態とバルブ部材がバルブ孔を閉鎖した状態で、連結孔及び連通流路は開放された状態を維持するように構成され得る。
【0023】
一実施例において、バルブ部材は、複数のバルブ空間に向かって突出し、それぞれ対応する分岐流路を閉鎖可能に構成される複数の突出部を含み得る。
【0024】
一実施例において、薬液流量調節装置は、複数の分岐流路に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材をさらに含み得る。バルブ部材には、複数の突出部の反対側に配置され、複数の加圧部材が安着する複数の安着部が形成され得る。
【0025】
一実施例において、薬液流量調節装置は、流入流路または流出流路に配置される空気通過フィルタをさらに含み得る。
【発明の効果】
【0026】
本開示の一実施例によると、患者に投与される薬液の流量(即ち、flow rate)を医師などの医療スタッフが簡便に調節することができる。
【0027】
本開示の一実施例によると、患者に投与される薬液の流量(即ち、flow rate)を多様な値で調節することができる。
【0028】
本開示の一実施例によると、薬品移送管内の気泡によって薬液の流動が止まったり流速が予め設定された水準より顕著に遅くなったりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1は、本開示の一実施例による薬液流量調節装置の斜視図である。
【0030】
図2は、
図1に示された薬液流量調節装置の平面図である。
【0031】
図3は、
図2に示されたIII-III線に沿って切り取った断面図であって、薬液が流れる方向の一例を示す。
【0032】
図4は、
図2に示されたIII-III線に沿って切り取った断面図であって、薬液が流れる方向の他の例を示す。
【0033】
図5は、
図1に示された薬液流量調節装置の分解斜視図である。
【0034】
図6は、
図3に示された薬液流量調節装置を他の角度で示す分解斜視図である。
【0035】
図7は、
図3に示された薬液流量調節装置をさらに他の角度で示す分解斜視図である。
【0036】
図8は、
図2に示されたVIII-VIII線に沿って切り取った断面を示す斜視図である。
【0037】
図9は、
図2に示されたVIII-VIII線に沿って切り取った断面図である。
【0038】
【0039】
【0040】
図12は、本開示の一実施例による薬液流量調節装置の操作による流量調節の例を示す図である。
【0041】
図13は、
図12の薬液流量調節装置の操作による流量調節の他の例を示す図である。
【0042】
図14は、
図12の薬液流量調節装置の操作による流量調節のさらに他の例を示す図である。
【0043】
図15は、
図12の薬液流量調節装置の操作による流量調節のさらに他の例を示す図である。
【0044】
図16は、
図12の薬液流量調節装置の操作による流量調節のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。従って、本開示による権利範囲が以下に提示される実施例やこれら実施例に対する具体的説明に限定されるわけではない。
【0046】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、別に定義されない限り、本開示の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示をさらに明確に説明する目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたわけではない。
【0047】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」などの表現は、当該表現が含まれる語句または文章において別に言及されない限り、異なる実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)として理解されるべきである。
【0048】
本開示で記述された単数形の表現は異なって言及しない限り複数形の意味を含むことができ、これは特許請求の範囲に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0049】
本開示で用いられる「第1」、「第2」などの表現は、複数の構成要素を相互区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するわけではない。
【0050】
本開示で、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された場合、ある構成要素が他の構成要素に直接的に連結され得るか、または接続され得ると、或いは、新たな他の構成要素を媒介として連結され得るか、または接続され得ると理解されるべきである。
【0051】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施例を説明する。添付の図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述するのが省略され得る。しかし、構成要素に関する技術が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものと意図されるわけではない。
【0052】
図1は、本開示の一実施例による薬液流量調節装置の斜視図である。
図2は、
図1に示された薬液流量調節装置の平面図である。
【0053】
図1及び
図2に示されたとおり、本開示の一実施例による薬液流量調節装置(100)は薬液の流れを案内する薬液流路(10)を有する。ここで、薬液は、患者の治療のために患者に投与され得る薬品であり、液体からなる。薬液流量調節装置(100)は、 患者に投与される薬液の流量を調節するように構成される。
【0054】
薬液流量調節装置(100)はケース(20、30)を含み得る。薬液流量調節装置(100)は薬液流路(10)の少なくとも一部を形成するハウジング(181、170)を含み得る。ケース(20、30)は互いに結合される第1ケース(20)と第2ケース(30)を含み得る。ハウジング(181、170)は互いに結合される流路形成ハウジング(181)とバルブハウジング(170)を含み得る。ハウジング(181、170)には、薬液流路(10)の一端であるホール(11a)と薬液流路(10)の他端であるホール(13a)が形成される。
【0055】
図3は、
図2に示されたIII-III線に沿って切り取った断面図であって、薬液が流れる方向の一例を示す。
図4は、
図2に示されたIII-III線に沿って切り取った断面図であって、薬液が流れる方向の他の例を示す。
【0056】
図3に示されたとおり、薬液流路(10)は、第1流路(11)、第2流路(13)、及び第1流路(11)と第2流路(13)の間を連結する複数の分岐流路(12)を含む。
図3に示された実施例において、第1流路(11)は薬液が流入する流入流路であり、第2流路(13)は薬液が流出する流出流路である。
図3に示された矢印のように、薬液は、第1流路(11)を介して流入して複数の分岐流路(12)の少なくとも1つを経て第2流路(13)を介して流出する。
図4に示された実施例において、第2流路(13)は薬液が流入する流入流路であり、第1流路(11)は薬液が流出する流出流路である。
図4に示された矢印のように、薬液は、第2流路(13)を介して流入して複数の分岐流路(12)の少なくとも1つを経て第1流路(11)を介して流出する。即ち、薬液が流入する流路が流入流路と理解され、薬液が流出する流路が流出流路と理解され得る。複数の分岐流路(12)は流入流路から分岐し、流出流路を介して複数の分岐流路(12)から合流した薬液が流出する。
【0057】
ここで、複数の分岐流路の個数は、n個であってもよい。本説明全体で言及する「n」は、「2以上の自然数」を意味する。後述する複数の加圧部材(130)の個数は、n個であってもよく、複数の分岐流路は、それぞれの加圧部材(130)により開閉され得る。
【0058】
図3~
図7を参照して、流路形成ハウジング(181)の外部に形成されたホール(11a)は、第1流路(11)の一部を構成し得る。後述するフィルタ機構(180)により第1流路(11)が構成され得る。本実施例で、第1流路(11)はホール(11a)及びフィルタ機構(180)に形成された流路が順次連結されて形成される。
【0059】
図3~
図7を参照して、バルブハウジング(170)の外部に形成されたホール(13a)は、第2流路(13)の一部を構成し得る。後述する連結孔(173)は、第2流路(13)の一部を構成し得る。本実施例で、第2流路(13)は連結孔(173)とホール(13a)が順次連結されて形成される。
【0060】
図3~
図7を参照して、シーラ(14)のn個のホール(14a、14b、14c)は、それぞれn個の分岐流路のうち、対応するいずれかの一部を構成し得る。n個の移送管(110a、110b、110c)の毛細流路(110p)は、それぞれn個の分岐流路のうち、対応するいずれかの一部を構成し得る。連結管(175)のn個のホール(175a、175b、175c)は、それぞれn個の分岐流路のうち、対応するいずれかの一部を構成し得る。
図10を参照して、n個のバルブ孔(172a、172b、172c)は、それぞれn個の分岐流路のうち、対応するいずれかの一部を構成し得る。n個のバルブ空間(171a、171b、171c)は、それぞれn個の分岐流路のうち、対応するいずれかの一部を構成し得る。後述するn-1個の連通流路(174a、174b)は、それぞれ「n個の分岐流路の一部であるn-1個の分岐流路」のうち、対応するいずれかの一部を構成し得る。
【0061】
本実施例で、複数の分岐流路(12)は、第1分岐流路、第2分岐流路、及び第3分岐流路を含む。例えば、第1分岐流路は、シーラ(14)の第1ホール(14a)、第1移送管(110a)に形成される毛細流路(110p)、連結管(175)の第1ホール(175a)、第1バルブ孔(172a)、第1バルブ空間(171a)、及び第1連通流路(174a)が順次連結されて形成され得る。第2分岐流路は、シーラ(14)の第2ホール(14b)、第2移送管(110b)に形成される毛細流路(110p)、連結管(175)の第2ホール(175b)、第2バルブ孔(172b)、及び第2バルブ空間(171b)が順次連結されて形成され得る。第3分岐流路は、シーラ(14)の第3ホール(14c)、第3移送管(110c)に形成される毛細流路(110p)、連結管(175)の第3ホール(175c)、第3バルブ孔(172c)、第3バルブ空間(171c)、及び第2連通流路(174b)が順次連結されて形成され得る。流路形成ハウジング(181)内で複数のホールが形成される実施例において、シーラ(14)の第1ホール(14a)、第2ホール(14b)、及び第3ホール(14c)のそれぞれに対応する流路形成ハウジング(181)の複数のホールのそれぞれは、第1分岐流路、第2分岐流路、及び第3分岐流路のそれぞれの一部を構成し得る。
【0062】
薬液流量調節装置(100)は、第1流路(11)と分岐流路(12)の間に配置されるシーラ(14)をさらに含み得る。シーラ(14)はゴムなどの材質から形成され得る。例えば、シーラ(14)はゴムパッキングであってもよく、シーラ(14)内には、第1流路(11)から分岐流路(12)に分岐する流路が形成され得る。薬液はシーラ(14)を介して分岐流路(12)の毛細流路(110p)を通過するように誘導され得る。
【0063】
図5は、
図1に示された薬液流量調節装置の分解斜視図である。
図6は、
図3に示された薬液流量調節装置を他の角度で示す分解斜視図である。
図7は、
図3に示された薬液流量調節装置をさらに他の角度で示す分解斜視図である。
【0064】
図5~
図7に示されたとおり、本開示の一実施例による薬液流量調節装置(100)は、複数の移送管(110)及びバルブ部材(120)を含む。
【0065】
複数の移送管(110)は、複数の分岐流路(12)に対応して構成される。複数の移送管(110)は複数の分岐流路(12)のうち、対応するいずれかの少なくとも一部を構成する毛細流路(110p)を形成する。移送管(110)は高分子マイクロチューブ(microtube)を含み得る。複数の移送管(110)は、n個であってもよい。n個の移送管(110)は互いに異なる内径(または、断面積)を持つ毛細流路(110p)を有し得る。複数の移送管(110)の個数は薬液流量調節装置(100)の流量調節の精度により多様に定められ得る。また、複数の移送管(110)に対応する毛細流路(110p)のそれぞれの長さ及び/又は内径は、薬液流量調節装置(100)の流量調節の精度により互いに異なって定められ得る。例えば、複数の移送管(110)は、約0.04mm~0.08mmの内径を有し得る。従って、互いに異なる流量に設定された複数の毛細流路(110p)を選択的に開閉することによって流量調節が容易になり、多様な流量で調節され得る。一実施例において、複数の移送管(110)は薬液が互いに異なる流量で流れるように構成された少なくとも2つの移送管を含み得る。以下で説明する実施例において、複数の分岐流路(12)が第1分岐流路、第2分岐流路、及び第3分岐流路で構成され、複数の移送管(110)が第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)を含む。例えば、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)は、それぞれ時間当り1.5cc、1.0cc、及び0.5ccの薬液が通過するように構成され得る。
【0066】
バルブ部材(120)は複数の分岐流路(12)を選択的に開閉することによって、第2流路(13)を介して流出する薬液の流量を調節するように構成される。例えば、バルブ部材(120)は分岐流路(12)と第2流路(13)を連結するバルブ機構として機能する。
【0067】
図8は、
図2に示されたVIII-VIII線に沿って切り取った断面を示す斜視図である。
図9は、
図2に示されたVIII-VIII線に沿って切り取った断面図である。
【0068】
図8及び
図9に示されたとおり、一実施例において、薬液流量調節装置(100)は複数の分岐流路(12)に対応して構成され、それぞれ移動可能に構成される複数の加圧部材(130)をさらに含み得る。加圧部材(130)は球状を有し複数の移送管(110)(即ち、分岐流路)の長手方向(RL)に対して垂直な方向(例えば、
図3で上下方向(UD))に沿って移動するにつれバルブ部材(120)に対する相対的な距離が変わるように構成される。他の例として、加圧部材(130)は両端部が半球状の棒状を有することもある。例えば、複数の加圧部材(130)は、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)のそれぞれに対応する第1加圧部材(130a)、第2加圧部材(130b)、及び第3加圧部材(130c)を含み得る。
【0069】
一実施例において、薬液流量調節装置(100)は複数の加圧部材(130)を移動させるように構成される作動部材(140)をさらに含み得る。作動部材(140)は加圧部材(130)を基準としてバルブ部材(120)の反対側に位置し得る。作動部材(140)は板状を有し複数の移送管(110)の長手方向(RL)に対して垂直な方向(例えば、上下方向(UD))に沿う回転中心に沿って回転するように構成される。作動部材(140)が回転するにつれ複数の加圧部材(130)の少なくとも1つがバルブ部材(120)に対して相対的に移動し得る。この実施例では、作動部材(140)が円板状を有するものとして説明され示されているが、作動部材(140)は多角形の板状を有することもある。
【0070】
【0071】
図10に示されたとおり、一実施例において、作動部材(140)には、複数の加圧部材(130)が収容されるように互いに離隔されて形成される複数のリセス(141)が形成され、バルブ部材(120)は弾性復元して加圧部材(130)をリセス(141)の陥没した方向(例えば、上側方向)に加圧するように構成され得る。複数のリセス(141)は作動部材(140)の底面に形成され、加圧部材(130)を基準としてバルブ部材(120)の反対方向(例えば、上側方向)にくぼむように形成される。複数のリセス(141)は回転中心に沿って周方向に沿って互いに離隔されるように配列され得る。複数のリセス(141)の個数及び形成位置は、複数の移送管(110)の個数及び薬液流量調節装置(100)の流量調節の精度によって定められ得る。
【0072】
一実施例において、作動部材(140)はリセス(141)がリセス(141)の陥没した方向を横切る方向に移動して作動するように構成され、作動部材(140)が作動するにつれ複数の加圧部材(130)が複数のリセス(141)に選択的に収容され得る。リセス(141)の陥没した方向は、上下方向(UD)のうち、上側方向を意味し、リセス(141)の陥没した方向を横切る方向は、長手方向(RL)と複数の移送管(110)が配列される前後方向(FR)により形成される平面に沿う方向を意味し得る。即ち、板状の作動部材(140)は回転中心に沿って回転するにつれ、複数の加圧部材(130)が複数のリセス(141)に選択的に収容されることによって複数の分岐流路(12)を開閉するように構成され得る。
【0073】
一実施例において、バルブ部材(120)は加圧部材(130)がリセス(141)に収容された状態で対応する分岐流路(12)を開放するように構成され得る。即ち、バルブ部材(120)は複数の加圧部材(130)のうち、リセス(141)に収容された加圧部材(130)に対応する分岐流路(12)を開放するように構成される。逆に、バルブ部材(120)は加圧部材(130)がリセス(141)に収容されていない状態でリセス(141)に収容されていない加圧部材(130)に対応する分岐流路(12)を閉鎖するように構成される。例えば、加圧部材(130)がリセス(141)に収容された状態ではバルブ部材(120)が加圧解除されて分岐流路(12)が開放され、加圧部材(130)がリセス(141)に収容されていない状態ではバルブ部材(120)が加圧されて分岐流路(12)が閉鎖される。
【0074】
一実施例において、薬液流量調節装置(100)はバルブ部材(120)と複数の加圧部材(130)の間に配置され複数の加圧部材(130)の移動をガイドするガイド部材(150)をさらに含み得る。ガイド部材(150)はバルブ部材(120)を覆うように構成され、バルブハウジング(170)に結合される。ガイド部材(150)は、加圧部材(130)が上下方向(UD)に移動することをガイドし、複数の加圧部材(130)を前後方向(FR)に沿って互いに離隔する役割をする。このために、ガイド部材(150)には、前後方向(FR)に沿って互いに離隔されて配置され、複数の加圧部材(130)が保有される複数のガイドホール(151)が形成される。ガイド部材(150)は複数の加圧部材(130)がバルブ部材(120)を加圧状態及び加圧解除状態の間で上下方向(UD)に移動する距離と同じか、またはその距離より大きい上下方向(UD)に沿った厚さを有し得る。複数のガイドホール(151)は、n個であってもよい。例えば、複数のガイドホール(151)は、第1加圧部材(130a)、第2加圧部材(130b)、及び第3加圧部材(130c)のそれぞれに対応する第1ガイドホール(151a)、第2ガイドホール(151b)、及び第3ガイドホール(151c)を含み得る。
【0075】
一実施例において、薬液流量調節装置(100)は作動部材(140)と操作部材(160)をさらに含み得る。上述したとおり、作動部材(140)は加圧部材(130)を移動させるように構成されたりバルブ部材(120)を作動させるように構成されたりし得る。操作部材(160)は作動部材(140)と噛み合わさった状態で作動部材(140)を作動させるように構成される。例えば、操作部材(160)は作動部材(140)を回転させることによって薬液の流量調節を行うように構成され得る。作動部材(140)の中央には、作動部材(140)の回転を支持するためのシャフトホール(140a)が形成される。
【0076】
一実施例において、操作部材(160)には、噛合部(161)が形成され、作動部材(140)には、噛合部(161)が収容されて噛み合わさる対応噛合部(142)が形成され得る。即ち、対応噛合部(142)は噛合部(161)が収容されるようにくぼんで形成され得る。噛合部(161)と対応噛合部(142)は互いに相補的な形状を有し得る。例えば、噛合部(161)は星型または多角形の平面形状を有し、対応噛合部(142)は噛合部(161)の平面形状に対応するように下方にくぼむように形成され得る。操作部材(160)は噛合部(161)から上方に突出する取っ手部(162)をさらに含み得る。ユーザは取っ手部(162)を把持して回転させることによって作動部材(140)を容易に回転させることができる。
【0077】
一実施例において、操作部材(160)は薬液流量調節装置(100)の作動部材(140)の一部から分離可能に結合され得る。例えば、担当医師または担当看護師は、操作部材(160)を携帯していたり、一定の場所に保管しているうちに薬液の流量調節が必要な場合に薬液流量調節装置(100)に結合して用いることができる。従って、患者または権限のないユーザが操作部材(160)を任意に操作して薬液の流量を調節することを防止することができる。即ち、操作部材(160)は薬液の流量調節が必要な場合に、薬液流量調節装置(100)に結合されて作動部材(140)を回転させるように構成される鍵(key)として機能することができる。
【0078】
一実施例において、バルブ部材(120)は加圧されて弾性変形し、加圧解除されて弾性復元するように構成され得る。例えば、バルブ部材(120)はゴム材質のように弾性変形及び弾性復元が可能な材質からなり得る。この実施例において、バルブ部材(120)は、加圧部材(130)の加圧によって弾性変形され、対応する分岐流路(12)を閉鎖するように構成され、加圧部材(130)が作動部材(140)のリセス(141)に収容されるとき加圧部材(130)を上方に移動するように弾性復原力を提供して対応する分岐流路(12)を開放するように構成され得る。
【0079】
【0080】
図11に示されたとおり、一実施例において、薬液流量調節装置(100)は複数のバルブ空間(171)が形成されるバルブハウジング(170)をさらに含み得る。複数のバルブ空間(171)はバルブ部材(120)により覆われるように構成される。バルブ部材(120)はバルブ空間(171)内に保有される薬液が上方に流れないように防止する蓋またはシーリング部材として機能する。複数のバルブ空間(171)は、それぞれ複数の分岐流路(12)のうち、対応する1つの一部を構成する。複数のバルブ空間(171)は垂直方向(UD)のうち、下側方向にくぼむように形成され、前後方向(FR)に一列に配列される。即ち、くぼむように形成される複数のバルブ空間(171)は、シーリング部材としてのバルブ部材(120)により閉鎖された空間を形成して複数の分岐流路(12)のうち、対応する分岐流路(12)の一部に含まれると理解できる。複数のバルブ空間(171)は、n個であってもよい。例えば、複数のバルブ空間(171)は、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)のそれぞれに対応する第1バルブ空間(171a)、第2バルブ空間(171b)、及び第3バルブ空間(171c)を含み得る。
【0081】
バルブハウジング(170)は毛細流路(110p)を形成する複数の移送管(110)が連結される複数の連結管(175)を含み得る。複数の移送管(110)が複数の連結管(175)に挿入されるか、または複数の連結管が複数の移送管(110)に挿入されるように連結され得る。複数の連結管(175)は、n個であってもよい。例えば、複数の連結管(175)は、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)のそれぞれが挿入される第1ホール(175a)、第2ホール(175b)、及び第3ホール(175c)を含み得る。
【0082】
一実施例において、バルブハウジング(170)には、複数のバルブ空間(171)と複数の移送管(110)の毛細流路(110p)のそれぞれを連通する複数のバルブ孔(172)が形成され得る。複数のバルブ孔(172)は対応する複数のバルブ空間(171)の底部に形成され得る。複数のバルブ孔(172)は複数の連結管(175)のそれぞれに連通する。複数の連結管(175)を介して流入する薬液がバルブ孔(172)を介してバルブ空間(171)内に一時的に保有されるか、またはバルブ空間(171)内に一時的に保有された薬液がバルブ孔(172)を介して複数の連結管(175)に流れ得る。複数のバルブ孔(172)は、n個であってもよい。例えば、複数のバルブ孔(172)は、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)に連通する第1バルブ孔(172a)、第2バルブ孔(172b)、及び第3バルブ孔(172c)を含み得る。この場合、バルブ部材(120)の弾性変形によって、第1バルブ孔(172a)、第2バルブ孔(172b)、及び第3バルブ孔(172c)のそれぞれが開放されたり閉鎖されたりし得る。これにより、薬液流路(10)内を流れる薬液の流量が調節され得る。
【0083】
一実施例において、バルブ部材(120)は加圧部材(130)により加圧されるとバルブ孔(172)を閉鎖するように構成され得る。例えば、バルブ部材(120)がゴムのような弾性変形可能な材質からなる場合、加圧部材(130)が下方に移動してバルブ部材(120)を下方に加圧すると、バルブ部材(120)がバルブ空間(171)内で弾性変形される。従って、バルブ部材(120)の弾性変形された部分がバルブ孔(172)に当接してバルブ孔(172)を閉鎖させることができる。
【0084】
一実施例において、複数のバルブ空間(171)のいずれかには、第2流路(13)が連結される連結孔(173)が形成され得る。複数のバルブ空間(171)は連結孔(173)を介して第2流路(13)と連通し、複数の分岐流路(12)は連結孔(173)を介して合流する。第2流路(13)から流入する薬液が連結孔(173)を介してバルブ空間(171)内に一時的に保有されるか、またはバルブ空間(171)内に一時的に保有された薬液は連結孔(173)を介して第2流路(13)に流れる。
【0085】
一実施例において、複数のバルブ空間(171)のうち、互いに隣接する2つのバルブ空間(171)を連通する連通流路(174)が形成され得る。複数のバルブ孔(172)と連結孔(173)は連通流路(174)を介して互いに連通している。即ち、連結孔(173)が形成されていないバルブ空間(171)のバルブ孔(172)は、連通流路(174)を経由して連結孔(173)に連通し、連結孔(173)が形成されたバルブ空間(171)のバルブ孔(172)は、連通流路(174)を経由せずに直接連結孔(173)に連通する。複数の連通流路(174)は、n-1個であってもよい。本実施例で連通流路(174)がバルブハウジング(170)に形成された溝をバルブ部材(120)が覆って形成されるが、図示されていない他の実施例で連通流路(174)がバルブハウジング(170)に形成されたホールで構成されることもある。n個のバルブ空間(171a、171b、171c)のそれぞれに位置した薬液は、連通流路(174)により1つのバルブ空間(171b)に集まり得る。本実施例で、連通流路(174)は、第1バルブ空間(171a)と第2バルブ空間(171b)の間を連結するように形成される第1連通流路(174a)及び第2バルブ空間(171b)と第3バルブ空間(171c)の間を連結するように形成される第2連通流路(174b)を含み得る。
【0086】
一実施例において、バルブ部材(120)がバルブ孔(172)を開放した状態とバルブ部材(120)がバルブ孔(172)を閉鎖した状態で、連結孔(173)及び連通流路(174)は開放された状態を維持するように構成され得る。即ち、バルブ部材(120)がバルブ孔(172)を開放した状態、または閉鎖した状態とは関係なく、連結孔(173)及び連通流路(174)は常に開放された状態を維持するように構成される。従って、連結孔(173)が形成されていないバルブ空間(171)のバルブ孔(172)が閉鎖され、連結孔(173)が形成されていないバルブ空間(171)のバルブ孔(172)が開放された状態でも、連結孔(173)が形成されていないバルブ空間(171)のバルブ孔(172)は、連通流路(174)を介して連結孔(173)に連通し得る。その結果、薬液は連通した経路に沿って流れることができる。
【0087】
一実施例において、バルブ部材(120)は複数のバルブ空間(171)に向かって突出し、それぞれ対応する分岐流路(12)を閉鎖可能に構成される複数の突出部(121)を含み得る。複数の突出部(121)の少なくとも一部は、複数のバルブ空間(171)に向かって突出してバルブ空間(171)に収容される。従って、加圧部材(130)の上下方向(UD)に沿った移動距離を縮小することで、薬液流量調節装置(100)の小型化を達成することができる。また、複数の突出部(121)によりバルブ空間(171)が一時的に保有する薬液の流量を少なく維持できるので、薬液を投与する初期時間を短縮することができる。また、薬液の投与が終了した後、薬液流量調節装置(100)内に残留する薬液の流量を減少させ、用いられずに廃棄される薬液の量を減らすことができる。複数の突出部(121)は、n個であってもよい。例えば、複数の突出部(121)は、第1加圧部材(130a)、第2加圧部材(130b)、及び第3加圧部材(130c)のそれぞれに対応する第1突出部(121a)、第2突出部(121b)、及び第3突出部(121c)を含み得る。この場合、第1突出部(121a)、第2突出部(121b)、及び第3突出部(121c)のそれぞれは、第1バルブ孔(172a)、第2バルブ孔(172b)、及び第3バルブ孔(172c)のそれぞれを開放したり閉鎖したりするように構成され得る。
【0088】
一実施例において、バルブ部材(120)には、複数の突出部(121)の反対側に配置されて複数の加圧部材(130)が安着する複数の安着部(122)が形成され得る。複数の加圧部材(130)が複数の安着部(122)に安着することによって、複数の加圧部材(130)のそれぞれが複数のバルブ空間(171)のそれぞれに正確に位置して、バルブ孔(172)を確実に閉鎖するように構成される。複数の安着部(122)は下側方向にくぼむように形成され得る。複数の加圧部材(130)が複数の安着部(122)に正確に安着するように、複数の加圧部材(130)の曲率半径が複数の安着部(122)の曲率半径に一致するように構成され得る。複数の安着部(122)は、n個であってもよい。例えば、複数の安着部(122)は、第1加圧部材(130a)、第2加圧部材(130b)、及び第3加圧部材(130c)のそれぞれに対応する第1安着部(122a)、第2安着部(122b)、及び第3安着部(122c)を含み得る。
【0089】
一実施例において、薬液流量調節装置(100)は複数の移送管(110)及びバルブ部材(120)を覆うように構成される第1ケース(20)及び第2ケース(30)を含み得る。第1ケース(20)と第2ケース(30)は互いに結合されるように構成され得る。第1ケース(20)には、複数の移送管(110)及びバルブハウジング(170)が固定されるように構成される。第1流路(11)及び第2流路(13)は、第1ケース(20)及び第2ケース(30)から外側に突出するように構成され、第1ケース(20)及び第2ケース(30)により固定され得る。第2ケース(30)には、操作部材(160)が露出するように操作ホール(30a)が形成され得る。操作ホール(30a)を介して操作部材(160)を挿入して操作部材(160)を作動部材(140)と結合した後、作動部材(140)の位置を変更させることができる。例えば、作動部材(140)は、回転してその位置が変更されるように構成され得、回転ではない他の移動(例えば、スライディング)を通じてその位置が変更されるように構成されることもある。
【0090】
一実施例において、薬液流量調節装置は、第1流路(11)に配置される空気通過フィルタ(例えば、フィルタ機構(180))をさらに含み得る。フィルタ機構(180)は薬液流路(10)に沿って流れる薬液に含まれた気体及び薬液に溶解した残留気体を除去する。これにより、微細気泡による毛細流路の詰まり現象を防止することができる。
【0091】
図5~
図7を再び参照すると、一実施例によるフィルタ機構(180)は流路形成ハウジング(181);境界フィルタ(182);フィルタキャップ(183);少なくとも1つの空気通過フィルタを含む。フィルタ機構(180)が備えられる一実施例で、流路形成ハウジング(181)はフィルタハウジングと称され得る。
【0092】
流路形成ハウジング(181)は薬液流路(10)上に配置され、第1流路(11)の少なくとも一部を形成し得る。第1流路(11)を介して流入する薬液(例えば、
図3の実施例)、または第1流路(11)を介して流出する薬液(例えば、
図4の実施例)は流路形成ハウジング(181)を介して流れるように構成される。流路形成ハウジング(181)には、インナーホール(181b)が形成され得る。インナーホール(181b)の内部にはn個の分岐流路が始まる部分が形成されることもあり、n個の分岐流路が始まる部分はシーラ(14)により形成されることもある。シーラ(14)がインナーホール(181b)に挿入される。
【0093】
第1流路(11)はフィルタ流路(181c)を含み得る。フィルタ流路(181c)は流路形成ハウジング(181)の内部に配置され得る。この場合、薬液はホール(11a)とフィルタ流路(181c)を順に流れるか、またはフィルタ流路(181c)及びホール(11a)を順に流れ得る。
【0094】
境界フィルタ(182)は、第1流路(11)上に配置され得る。境界フィルタ(182)は流路形成ハウジング(181)に配置され得る。境界フィルタ(182)は親水性(hydrophilic)材質からなり得る。境界フィルタ(182)は薬液で濡れた場合、境界フィルタ(182)を基準として上流側の流路部分と下流側の流路部分の圧力境界面として作用するように構成される。境界フィルタ(182)により上流側の流路部分と下流側の流路部分が互いに異なる内圧を有し得る。例えば、境界フィルタ(182)は網構造及びファイバー(fiber)構造のうち、少なくとも1つの方式で構成され得る。境界フィルタ(182)は不純物をフィルタリングする機能を追加で有し得る。
【0095】
フィルタキャップ(183)は流路形成ハウジング(181)に気密(air-tight)で、水密(water-tight)に結合される。フィルタキャップ(183)は、第1流路(11)を介して流入する薬液に含まれた空気が流出する通路を形成する。フィルタキャップ(183)は空気の通路が外部空間と連結される地点に位置する少なくとも1つのベント(vent)ホール(図示せず)を形成し得る。
【0096】
少なくとも1つの空気通過フィルタは疎水性(hydrophobic)材質からなり、薬液流路(10)内の空気をフィルタリングするように構成される。空気通過フィルタは薬液の通過を遮断し、空気を通過させる役割をする。空気通過フィルタはフィルタキャップ(183)に配置され得る。空気通過フィルタは空気の通路とフィルタ流路(181c)の境界に配置される第1空気通過フィルタ(184)を含み得る。空気通過フィルタは空気の通路上に配置される第2空気通過フィルタ(185)をさらに含み得る。
【0097】
例えば、空気通過フィルタは流路形成ハウジング(181)からフィルタキャップ(183)に向かう空気の通路上に順次配置される第1空気通過フィルタ(184)と第2空気通過フィルタ(185)を含み得る。第1空気通過フィルタ(184)はフィルタキャップ(183)の内部に配置され、第2空気通過フィルタ(185)はフィルタキャップ(183)を基準として第1空気通過フィルタ(184)の反対側に配置され得る。第2空気通過フィルタ(185)は、第1空気通過フィルタ(184)を通過した空気が通過するように構成される。従って、第2空気通過フィルタ(185)は、第1空気通過フィルタ(184)の気孔や接着部位などが損傷した場合にも内部の薬液が外部に流れ出ることを防止する役割をする。
【0098】
第2空気通過フィルタ(185)は、第1空気通過フィルタ(184)と同一の材質または多孔質のプラスチック素材が加工されて形成され得る。一例として、第2空気通過フィルタ(185)は疎水性の多孔質のプラスチック樹脂材料が空気の通路を一部の断面積を満たすように形成され得る。例えば、第2空気通過フィルタ(185)の材料は、米国ジョージア州フェアバーン(Fairburn、GA 30213)所在のポレックスコーポレーション(Porex Corporation)(ウェブサイト:https://www.porex.com)から入手することができる。ポレックスコーポレーションのポレックスハイドロフォビックベント(Porex Hydrophobic Vents)という名称の製品を用いることができるが、この製品はポリエチルポリテトラフルオロエチレン(polyethyle polytetrafluoroethylene)の材料で作ったものである。
【0099】
フィルタスペーサ(186)は、第1空気通過フィルタ(184)と接触するようにフィルタキャップ(183)の内部に配置される。フィルタスペーサ(186)は、第1空気通過フィルタ(184)が薬液の圧力によって流路形成ハウジング(181)側に曲がる現象を抑制したり防止したりするように構成される。フィルタスペーサ(186)が第1空気通過フィルタ(184)に対向する面(例えば、流路形成ハウジング(181)に向かう面)には、多数の突起部が形成され得る。従って、第1空気通過フィルタ(184)を通過した空気が多数の突起部の間の隙間を介して流れることができる。例えば、フィルタスペーサ(186)の突起部は、エンボシング状またはシワ状を有し得る。また、フィルタスペーサ(186)が第1空気通過フィルタ(184)に対向する面の反対側の面(例えば、フィルタキャップ(183)に向かう面)にもエンボシング状またはシワ状を有する多数の突起部が形成され得る。
【0100】
フィルタキャップ(183)には、フィルタスペーサ(186)が挿入される配置溝が形成され得る。フィルタキャップ(183)はフィルタスペーサ(186)の側面をフィルタキャップ(183)の内側面から離隔させる突起を含み得る。フィルタキャップ(183)はフィルタスペーサ(186)の背面をフィルタキャップ(183)の内側面から離隔させる突起を含み得る。これを通じて、フィルタスペーサ(186)とフィルタキャップ(183)の内側面の間に空気が円滑に流れることができる。フィルタキャップ(183)には、空気の通路の一部を構成する空気ホールが形成され得る。
【0101】
一実施例において、薬液流量調節装置(100)はシャフト(190)をさらに含み得る。シャフト(190)は作動部材(140)がバルブハウジング(170)及び流路形成ハウジング(181)に対して回転するように支持する役割をする。このために、バルブハウジング(170)には、第1シャフトガイド部(176)が形成され、流路形成ハウジング(181)には、第2シャフトガイド部(181a)が形成され得る。第1シャフトガイド部(176)と第2シャフトガイド部(181a)は互いに結合されて円形のグルーブ(groove)を形成する。シャフト(190)の一部が作動部材(140)のシャフトホール(140a)を貫通して第1シャフトガイド部(176)と第2シャフトガイド部(181a)に結合されるように構成される。第1シャフトガイド部(176)及び第2シャフトガイド部(181a)は互いに噛み合わさって相対的に回転可能に相補的な形状を有し得る。
【0102】
図12~
図16は、本開示の一実施例による薬液流量調節装置の操作による流量調節の例を示す図である。
図12~
図16は、薬液流量調節装置の操作による平面図及び断面図を共に示し、作動部材(140)の底面に形成された複数のリセス(141)を操作部材(160)の周辺に隠れた線で示している。
【0103】
以下では、
図12~
図16を参照して、本開示の一実施例による薬液流量調節装置の流量調節方法を説明する。また、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)は、それぞれ時間当り1.5cc、1.0cc、及び0.5ccの薬液が通過するように構成される場合を例に挙げて説明する。
【0104】
図12に示されたとおり、操作部材(160)が位置する場合、第1加圧部材(130a)が作動部材(140)のリセス(141)内に収容され、第2加圧部材(130b)及び第3加圧部材(130c)が作動部材(140)の底面(143)に当接する。第1突出部(121a)が第1バルブ孔(172a)から離隔され、第1バルブ孔(172a)が開放される。第2加圧部材(130b)及び第3加圧部材(130c)がバルブ部材(120)の第2突出部(121b)及び第3突出部(121c)を弾性変形させ、第2バルブ孔(172b)及び第3バルブ孔(172c)が閉鎖される。従って、第1移送管(110a)が開放された第1バルブ孔(172a)を介して連結孔(173)に連通する。その結果、薬液流量調節装置(100)を介して流れ得る薬液の流量は、第1移送管(110a)の流量に該当する時間当り0.5ccとなる。
【0105】
図13に示されたとおり、操作部材(160)が位置する場合、第2加圧部材(130b)が作動部材(140)のリセス(141)内に収容され、第1加圧部材(130a)及び第3加圧部材(130c)が作動部材(140)の底面(143)に当接する。バルブ部材(120)の第2突出部(121b)が第2バルブ孔(172b)から離隔され、第2バルブ孔(172b)が開放される。第1加圧部材(130a)及び第3加圧部材(130c)がバルブ部材(120)の第1突出部(121a)及び第3突出部(121c)を弾性変形させ、第1バルブ孔(172a)及び第3バルブ孔(172c)が閉鎖される。従って、第2移送管(110b)が開放された第2バルブ孔(172b)を介して連結孔(173)に連通する。その結果、薬液流量調節装置(100)を介して流れ得る薬液の流量は、第2移送管(110b)の流量に該当する時間当り1.0ccとなる。
【0106】
図14に示されたとおり、操作部材(160)が位置する場合、第3加圧部材(130c)が作動部材(140)のリセス(141)内に収容され、第1加圧部材(130a)及び第2加圧部材(130b)が作動部材(140)の底面(143)に当接する。バルブ部材(120)の第3突出部(121c)が第3バルブ孔(172c)から離隔され、第3バルブ孔(172c)が開放される。第1加圧部材(130a)及び第2加圧部材(130b)がバルブ部材(120)の第1突出部(121a)及び第2突出部(121b)を弾性変形させ、第1バルブ孔(172a)及び第2バルブ孔(172b)が閉鎖される。従って、第3移送管(110c)が開放された第3バルブ孔(172c)を介して連結孔(173)に連通する。その結果、薬液流量調節装置(100)を介して流れ得る薬液の流量は、第3移送管(110c)の流量に該当する時間当り1.5ccとなる。
【0107】
図15に示されたとおり、操作部材(160)が位置する場合、第1加圧部材(130a)及び第3加圧部材(130c)が作動部材(140)のリセス(141)内に収容され、第2加圧部材(130b)が作動部材(140)の底面(143)に当接する。バルブ部材(120)の第1突出部(121a)及び第3突出部(121c)のそれぞれが第1バルブ孔(172a)及び第3バルブ孔(172c)のそれぞれから離隔され、第1バルブ孔(172a)及び第3バルブ孔(172c)が開放される。第2加圧部材(130b)がバルブ部材(120)の第2突出部(121b)を弾性変形させ、第2バルブ孔(172b)が閉鎖される。従って、第1移送管(110a)及び第3移送管(110c)のそれぞれが開放された第1バルブ孔(172a)及び第3バルブ孔(172c)のそれぞれを介して連結孔(173)に連通する。その結果、薬液流量調節装置(100)を介して流れ得る薬液の流量は、第1移送管(110a)及び第3移送管(110c)の合計流量に該当する時間当り2.0ccとなる。
【0108】
図16に示されたとおり、操作部材(160)が位置する場合、第1加圧部材(130a)、第2加圧部材(130b)、及び第3加圧部材(130c)が作動部材(140)のリセス(141)内に収容される。バルブ部材(120)の第1突出部(121a)、第2突出部(121b)、及び第3突出部(121c)のそれぞれが第1バルブ孔(172a)、第2バルブ孔(172b)及び第3バルブ孔(172c)のそれぞれから離隔され、第1バルブ孔(172a)、第2バルブ孔(172b)及び第3バルブ孔(172c)が開放される。従って、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)、及び第3移送管(110c)のそれぞれが開放された第1バルブ孔(172a)、第2バルブ孔(172b)、及び第3バルブ孔(172c)のそれぞれを介して連結孔(173)に連通する。その結果、薬液流量調節装置(100)を介して流れ得る薬液の流量は、第1移送管(110a)、第2移送管(110b)及び第3移送管(110c)の合計流量に該当する時間当り3.0ccとなる。
【0109】
以上、一部実施例と添付の図面に示された例により、本開示の技術的思想が説明されたが、本開示の属する技術分野において通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形及び変更がなされ得るという点に留意すべきである。また、そのような置換、変形及び変更は添付の特許請求の範囲内に属すると考えられなければならない。
【国際調査報告】