(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】交通参加者と少なくとも1人の他の交通参加者との間の通信のための通信ネットワークでメッセージを伝送するための方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20221228BHJP
H04W 4/46 20180101ALI20221228BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20221228BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/09 F
H04W4/46
H04W92/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525737
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020076923
(87)【国際公開番号】W WO2021089237
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102019216916.3
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】リャツェル・マルティ,イグナシオ
(72)【発明者】
【氏名】シエック,フロリアン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ドルゴフ,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ビルトシュッテ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】フックス,ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャルケ,トーマス
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL06
5H181LL09
5K067DD51
5K067EE02
5K067EE25
5K067HH22
(57)【要約】
本発明は、交通参加者(103)と少なくとも1人の他の交通参加者(101、102、104)との間の通信のための通信ネットワークでメッセージ(114)を伝送するための方法(300)に関する。交通参加者と他の交通参加者(101、102、104)とがそれぞれ、通信ネットワークを介してメッセージを伝送するための評価ユニット(108)を含む。この方法は、評価ユニット(108)で第1のメッセージを受信するステップ(301)であって、第1のメッセージが、それぞれ1つの優先度値(p1、p2、p3、p4、p5)を有するメッセージセグメント(S1、S2、S3、S4、S5)を含む、ステップ(301)と、通信ネットワークの現在の利用率を決定するステップ(304)と、優先度値(p1、p2、p3、p4、p5)と通信ネットワークの現在の利用率とに基づいて、第1のメッセージから、伝送すべきメッセージセグメント(S4、S5)をフィルタリング抽出するステップ(306)と、伝送すべきメッセージセグメント(S4、S5)をもとに第2のメッセージ(114)を生成し(307)、通信ネットワークを介して第2のメッセージ(114)を送信するステップ(307)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通参加者(103)と少なくとも1人の他の交通参加者(101、102、104)との間の通信のための通信ネットワークでメッセージ(114)を伝送するための方法(300)であって、前記交通参加者(103)と前記他の交通参加者(101、102、104)とがそれぞれ、前記通信ネットワークを介してメッセージ(114)を伝送するための評価ユニット(108)を有し、
前記評価ユニット(108)で第1のメッセージを受信するステップ(301)であって、前記第1のメッセージが、それぞれ1つの優先度値(p
1、p
2、p
3、p
4、p
5)を有するメッセージセグメント(S
1、S
2、S
3、S
4、S
5)を含む、ステップ(301)と、
前記通信ネットワークの現在の利用率を決定するステップ(304)と、
前記優先度値(p
1、p
2、p
3、p
4、p
5)と前記通信ネットワークの現在の利用率とに基づいて、前記第1のメッセージから、伝送すべきメッセージセグメント(S
4、S
5)をフィルタリング抽出するステップ(306)と、
前記伝送すべきメッセージセグメント(S
4、S
5)をもとに第2のメッセージ(114)を生成し(307)、前記通信ネットワークを介して前記第2のメッセージ(114)を送信するステップ(307)と
を含む、方法(300)。
【請求項2】
前記通信ネットワークの前記現在の利用率に応じて、伝送すべきメッセージ(114)の最大メッセージサイズ(M
max)を決定し(305)、前記通信ネットワークの前記現在の利用率に応じておよび/または最後に伝送されたメッセージセグメントの優先度値に基づいて、優先度閾値(p
th)を決定するステップ(305)と、
前記最大メッセージサイズ(M
max)と前記優先度閾値(p
th)とに基づいて、前記伝送すべきメッセージセグメント(S
4、S
5)を前記第1のメッセージからフィルタリング抽出するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
フィルタリング対象のメッセージセグメント(S
1、S
2、S
3、S
4、S
5)のフィルタリスト(L
1)が作成され、
前記優先度値(p
1、p
2、p
3、p
4、p
5)がそれぞれ前記優先度閾値(p
th)と比較され、
優先度値(p
1、p
3)が前記優先度閾値(p
th)を下回るメッセージセグメント(S
1、S
3)を削除することによって、前記フィルタリスト(L
1)が短縮され、
前記最大メッセージサイズ(M
max)を考慮して、前記伝送すべきメッセージセグメント(S
4、S
5)が前記短縮されたフィルタリスト(L’
1)から選択される、
請求項2に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記短縮されたフィルタリスト(L’
1)から、最も高い優先度値(p
2、p
4、p
5)を有するメッセージセグメント(S
2、S
4、S
5)を選択するステップ(310)と、
前記選択されたメッセージセグメント(S
2、S
4、S
5)のメッセージセグメントサイズ(M)を算定するステップ(311)と、
前記メッセージセグメントサイズ(M)と前記最大メッセージサイズ(M
max)とを比較するステップ(312)と、
前記メッセージセグメントサイズ(M)が前記最大メッセージサイズ(M
max)よりも小さい場合、前記選択されたメッセージセグメント(S
2、S
4、S
5)を、伝送すべきメッセージセグメントの伝送リスト(L
2)に追加するステップ(313)と、
前記選択されたメッセージセグメント(S
2、S
4、S
5)を、前記短縮されたフィルタリスト(L’
1)から削除するステップ(314)と、
前記最大メッセージサイズ(M
max)を前記メッセージセグメントサイズ(M)だけ減少させるステップ(315)と、をさらに含み、
前記選択するステップ(310)、前記算定するステップ(311)、前記比較するステップ(312)、前記追加するステップ(313)、前記削除するステップ(314)、および前記減少させるステップ(315)が、前記メッセージセグメントサイズ(M)が前記最大メッセージサイズ(M
max)以下になるまで、および/またはすべてのメッセージセグメント(S
1、S
2、S
3、S
4、S
5)が前記短縮されたフィルタリスト(L’
1)から削除されるまで循環的に繰り返され、
次いで、前記伝送リスト(L
2)から前記第2のメッセージ(114)を生成し(307)、前記通信ネットワークを介して前記第2のメッセージ(114)を送信するステップ(307)
をさらに含む、請求項3に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記伝送リスト(L
2)が少なくとも1つのメッセージセグメント(S
1、S
2、S
3、S
4、S
5)を含むかどうかを検査するステップ(316)と、
前記伝送リスト(L
2)が少なくとも1つのメッセージセグメント(S
1、S
2、S
3、S
4、S
5)を含む場合、前記伝送リスト(L
2)をもとに前記第2のメッセージ(114)を生成し(307)、前記通信ネットワークを介して前記第2のメッセージ(114)を送信するステップ(307)と
をさらに含む、請求項4に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記優先度閾値(p
th)がチャネル占有率(CBR)から計算され、前記優先度閾値(p
th)が前記チャネル占有率(CBR)と共に増加および/もしくは減少し、ならびに/または最後に伝送されたメッセージセグメントの前記優先度値から少なくとも1つの統計パラメータが計算され、前記統計パラメータから前記優先度閾値(p
th)が計算される、
請求項2から5のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記通信ネットワークの前記現在の利用率が、前記通信ネットワークに割り当てられた無線チャネルの現在利用可能なデータ伝送速度(R
a)として、前記無線チャネルのチャネル占有率(CBR)およびデータ伝送速度(R)から
R
a=(1-CBR)・R
と計算される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記最大メッセージサイズ(M
max)が、
M
max=R
a・T
と計算され、
Tが、前記無線チャネルを介したメッセージ(114)の最後の伝送からの時間を示す
請求項2に従属する場合の請求項7に記載の方法(300)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(300)を実施するように構成された評価ユニット(108)。
【請求項10】
プロセッサで実行される場合に、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(300)を実施するコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通参加者と少なくとも1人の他の交通参加者との間の通信のための通信ネットワークでメッセージを伝送するための方法、評価ユニット、コンピュータプログラム、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
路車間通信(V2I)および車車間通信(V2V)は、まとめて車車間・路車間通信(V2X)とも呼ばれ、車両といわゆるロードサイドユニット(RSU)とが無線で相互に通信することを可能にする。ここで、例えば、位置や速度などのドライビングダイナミクスデータ、または車両の周辺に関する情報を交換することができる。
【0003】
自動運転のための運転支援システムに関連するV2X通信の利用は、特に有望と考えられている。集合的知覚(Collective Perception)などの技術、すなわち、車両の車載センサシステムによって検出されたオブジェクトに関する情報を隣接する車両と共有し、予想される車両軌道の交換に基づいて車両操縦を調整することにより、安全レベル、走行快適性、交通効率を向上させることができる。Laurens Hobert他“Enhancements of V2X communication in support of cooperative autonomous driving(協調自律運転の支援におけるV2X通信の向上)”,IEEE Communications Magazine 53(12),64-70頁,2015年.も参照のこと。
【0004】
協調走行機能は、欧州電気通信標準化機構(ETSI)委員会が現在標準化を提案している集合的知覚メッセージ(CPM)および操縦調整メッセージ(MCM)などの新たなタイプのV2Xメッセージの伝送を必要とする。これらのメッセージは通常、ヘッダなど各メッセージに含まれる必要がある必須のフィールドと、特定の規則に従ってメッセージに含めることができるいくつかの任意選択のフィールドとを含む。これは、例えば、CPMにおいて検出されたオブジェクト、またはMCMにおける車両軌道に関する。
【0005】
協調走行のためのV2Xメッセージの伝送は、V2X無線チャネルの負荷を増加させる可能性がある。欧州連合(EU)においてV2X通信に関して標準化されているITS-G5技術を使用する場合、チャネルの過負荷により、通信性能の低下、すなわちパケットエラー率の増加および待ち時間の延長が生じる可能性がある。
【0006】
V2X無線チャネルの過負荷を防ぐために、いわゆるDCCプロトコル(DCC=分散輻輳制御)をメッセージ伝送に使用することができる。DCCプロトコルの目的は、ネットワーク安定性、スループットパフォーマンス、および関連するネットワークステーションへのリソースの割当てを最適化することである。
【発明の概要】
【0007】
上記のような背景のもと、本明細書の手法によって、独立請求項による、交通参加者と少なくとも1人の他の交通参加者との間の通信のための通信ネットワークでメッセージを伝送するための方法、評価ユニット、コンピュータプログラム、およびコンピュータ可読媒体が提示される。本明細書の手法の有利な発展形態および改良形態は、本明細書から明らかであり、従属請求項に記載されている。
[発明の利点]
本発明の実施形態は、有利には、関与する車両または交通参加者に関するそれぞれの重要性を考慮に入れて、および現在のネットワーク利用率を考慮に入れて、V2X通信ネットワークでメッセージを伝送することを可能にする。メッセージ内容に応じて伝送が制御されることにより、高速道路を逆走する車両の位置および速度など、低い優先度を有するメッセージが伝送される一方で、例えば歩行者と衝突する可能性が差し迫っていることの警告など、高い優先度を有するメッセージが破棄されるのを防止することができる。したがって、言い換えると、ネットワーク利用率が高い場合、より高い優先度を有するより多数のメッセージを伝送することができ、それと同時に、低い優先度を有するより少数のメッセージを伝送する。
【0008】
本発明の第1の態様は、交通参加者と少なくとも1人の他の交通参加者との間の通信のための通信ネットワークでメッセージを伝送するための方法に関する。交通参加者と他の交通参加者とがそれぞれ、通信ネットワークを介してメッセージを伝送するための評価ユニットを有する。この方法は、特に提示する順序で実行され得る以下のステップ、すなわち、評価ユニットで第1のメッセージを受信するステップであって、第1のメッセージが、それぞれ1つの優先度値を有するメッセージセグメントを含む、ステップと、通信ネットワークの現在の利用率を決定するステップと、優先度値と通信ネットワークの現在の利用率とに基づいて、第1のメッセージから、伝送すべきメッセージセグメントをフィルタリング抽出するステップと、伝送すべきメッセージセグメントをもとに第2のメッセージを生成し、通信ネットワークを介して第2のメッセージを送信するステップとを含む。
【0009】
交通参加者とは、例えば、乗用車、トラック、バス、もしくはオートバイなどの自動車、ロードサイドユニットとも呼ばれる交通インフラストラクチャの要素、自転車、スクータ、または歩行者を意味し得る。
【0010】
通信ネットワークとは、車車間(V2VまたはCar2Car)、車路間(V2R)、路車間(V2I)、車対ネットワーク(V2N)、歩車間(V2P)などの交通ネットワーク用のネットワークを意味し得る。例えば、WLAN、Bluetooth、またはセルラ接続などの無線通信接続を介して、通信ネットワークの参加者間でメッセージが伝送され得る。
【0011】
交通参加者がそれぞれ、自分の周辺を検知するためのセンサシステムを有することが可能である。センサシステムは、例えば、カメラ、レーダセンサ、またはライダセンサを含み得る。ここで、評価ユニットは、センサシステムによって生成されたセンサデータに基づいてオブジェクトを検出するように、ならびに/または検出されたオブジェクトに対応する車両など関連の交通参加者を制御する、すなわち対応するアクチュエータシステムの始動によって操舵、制動、および/もしくは加速するように作られていてもよい。例えば、評価ユニットは、他の交通参加者によって提供され、通信ネットワークを介して受信されたメッセージに基づいて交通参加者を制御するように作られていてもよい。
【0012】
検出されるオブジェクトは、例えば隣接する交通参加者の軌道であり得、または、例えば、交通参加者の少なくとも1つの取り得る軌道および/もしくは少なくとも1人の隣接する交通参加者の少なくとも1つの取り得る軌道に基づく操縦情報であり得る。
【0013】
例えば、検出されたオブジェクトに優先度値を割り当てることができ、優先度値は、関連する交通参加者および/または他の交通参加者に対する検出されたオブジェクトの重要性を示す。この割当ては、例えば、周辺におけるオブジェクトをオブジェクトモデルとして記憶し、センサデータに基づいて継続的に更新する周辺モデルによって遂行することができる。例えば、周辺モデルは、オブジェクトの位置、場所、速度、軌道、またはオブジェクトクラスに基づいてオブジェクトの重要性を決定し、対応する優先度値の計算によってこの重要性を定量化することができる。
【0014】
通信ネットワークで伝送すべきメッセージは、CPMやMCMなどの協調走行用のV2Xメッセージと理解され得る。そのようなメッセージは、ヘッダに加えて1つまたは複数のメッセージセグメントを含むことができる。メッセージセグメントは、ヘッダとは異なり、任意選択であり得る。例えば、各メッセージセグメントは、検出されたオブジェクトを表し、例えばその位置、場所、速度、サイズ、オブジェクトクラスなどを表し、検出されたオブジェクトの優先度値によって特徴付けられることが可能である。メッセージの個々のメッセージセグメントは、優先度値が互いに異なることがある。さらに、メッセージは、交通参加者の予想される軌道、操舵角、位置、方向、または速度に関する情報を含み得る。さらに、センサシステムの視野または測定範囲をメッセージで表すことができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、前述および後述されている方法を実施するように作られている評価ユニットに関する。前述および後述されている方法の特徴は、評価ユニットの特徴でもあり得る。
【0016】
本発明のさらなる態様は、プロセッサで実行される場合に、前述および後述されている方法を実施するコンピュータプログラム、ならびにそのようなコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読媒体に関する。
【0017】
コンピュータ可読媒体は、例えば、ハードディスク、USBメモリデバイス、RAM、ROM、EPROM、またはフラッシュメモリでよい。コンピュータ可読媒体は、インターネットなど、プログラムコードのダウンロードを可能にするデータ通信ネットワークでもよい。コンピュータ可読媒体は、一時的でも非一時的でもよい。
【0018】
前述および後述されている方法の特徴は、コンピュータプログラムおよび/またはコンピュータ可読媒体の特徴にもなり得る。
本発明の実施形態に関する着想は、とりわけ以下に述べられている考えおよび認識に基づくものと目され得る。
【0019】
V2X通信に現在使用されているDCCプロトコルは、主にメッセージ伝送速度、すなわち、測定されたチャネル占有率に基づくメッセージの伝送を制御する。これについては以下の文献も参照のこと:ETSI TS 102 687 V1.2.1,Intelligent Transport Systems(ITS);Decentralized Congestion Control Mechanisms for Intelligent Transport Systems operating in the 5GHz range;Access layer part(高度道路交通システム(ITS);5GHz範囲で動作する高度道路交通システム用の分散輻輳制御メカニズム;アクセス層パート)。ETSI TS 103 175 V1.1.1,Intelligent Transport Systems(ITS);Cross Layer DCC Management Entity for operation in the ITS G5A and ITS G5B medium(高度道路交通システム(ITS);ITS G5AおよびITS G5B媒体で動作するためのクロスレイヤDCC管理エンティティ)。ETSI TR 101 612 V1.1.1,Intelligent Transport Systems(ITS);Cross Layer DCC Management Entity for operation in the ITS G5A and ITS G5B medium;Report on Cross layer DCC algorithms and performance evaluation(高度道路交通システム(ITS);ITS G5AおよびITS G5B媒体で動作するためのクロスレイヤDCC管理エンティティ;クロスレイヤDCCアルゴリズムおよび性能評価に関するレポート)。
【0020】
このDCCプロトコルの主要コンポーネントは、アクセス層と、伝送すべきメッセージをそれらの優先度に従ってキューに並べ、測定されたチャネル占有率に応じてメッセージ伝送速度を制限するネットワーク層との間にあるゲートキーパである。ここで、メッセージ伝送速度は、メッセージのそれぞれのタイプおよびそれぞれの内容に関係なく制限される。
【0021】
各V2Xメッセージをブラックボックスとする現在のDCCアルゴリズムとは対照的に、本明細書で述べられる手法によれば、伝送優先度を有するメッセージセグメントのリストが生成される。このリストは、例えば、集合的知覚サービスまたは操縦調整サービスによって提供され得る。メッセージセグメントは、例えば、後で触れられるメッセージの任意選択のフィールドに対応する。例えば、DCCプロトコルによって、メッセージで伝送されるメッセージセグメントと伝送されないメッセージセグメントとを決定することができる。
【0022】
メッセージセグメントの伝送優先度は、例えば、メッセージセグメントの機能的有用性に基づいてアプリケーションによって計算され、DCCプロトコルのための入力として提供され得る。機能的に有用なメッセージセグメントに関する例は、高いダイナミクスまたは優先される車両軌道を有する検出されたオブジェクトである。
【0023】
例えば、DCCプロトコルは、メッセージセグメントのリストおよびチャネルステータスに基づいて、伝送されるべきメッセージセグメント(存在する場合)を選択し、結果をアプリケーションに返すことが考えられる。次いで、アプリケーションは、伝送のために選択されたメッセージセグメントに基づいてV2Xメッセージを作成し、V2Xメッセージをネットワーク層に転送する。
【0024】
協調走行に必要なV2Xメッセージが同一のチャネルで伝送される限り、現在のDCCアルゴリズムでは効率的なチャネル使用はほぼ達成され得ない。これについては、Hendrik-Jorn Guenther他“Collective perception and decentralized congestion control in vehicular ad-hoc networks(車両アドホックネットワークでの集合的知覚および分散輻輳制御)”,IEEE Vehicular Networking Conference(VNC) 2016.も参照のこと。
【0025】
例えば、現在のDCCプロトコルはメッセージの内容を考慮していない。その結果、重要なメッセージを重要性の低いメッセージから区別する、または特定のメッセージを他のメッセージよりも優先して伝送することができない。現在のDCCプロトコルについては以下の文献も参照のこと:M.Sepulcre、J.Mittag、P.Santi、H.HartensteinおよびJ.Gozalvez,“Congestion and Awareness Control in Cooperative Vehicular Systems(協調車両システムでの輻輳およびアウェアネス制御)”,in Proceedings of the IEEE,Vol.99,No.7,1260-1279頁,2011年,7月。Bengi Aygun、Mate Boban、Alexander M.Wyglinski,“ECPR:Environment-and context-aware combined power and rate distributed congestion control for vehicular communications(車両通信用の、周辺およびコンテキストアウェア複合出力ならびにレート分散輻輳制御)”,Computer Communications,Vol.93,3-16頁,2016年。C.B.Math、A.Ozgur、S.H.de GrootおよびH.Li,“Data Rate based Congestion Control in V2V communication for traffic safety applications(交通安全性用途に関するV2V通信でのデータレートベースの輻輳制御)”,2015 IEEE Symposium on Communications and Vehicular Technology in the Benelux(SCVT),Luxembourg City,2015年,1-6頁。
【0026】
それに対し、本明細書で述べられる手法は、機能的有用性とチャネル負荷との良好な妥協点を実現するために、伝送すべきメッセージセグメントの優先度に基づいた選択を可能にする。ここで、メッセージごとに、高い優先度を有するメッセージセグメントが優先的に選択される。同時に、無線チャネル負荷が特定の閾値を下回ったままであることを保証することができる。
【0027】
一実施形態によれば、この方法は、通信ネットワークの現在の利用率に応じて、伝送すべきメッセージの最大メッセージサイズを決定し、通信ネットワークの現在の利用率に応じておよび/または最後に伝送されたメッセージセグメントの優先度値に基づいて、優先度閾値を決定するステップと、最大メッセージサイズと優先度閾値とに基づいて、伝送すべきメッセージセグメントを第1のメッセージからフィルタリング抽出するステップとをさらに含み得る。言い換えると、優先度閾値はメッセージごとに異なり、伝送すべきメッセージごとに、1つまたは複数の前のメッセージに基づいて新たに計算され得る。それにより、優先度閾値は、交通参加者の周辺での状況の変化、およびネットワーク利用率の時間的変動に継続的に適応させることができる。
【0028】
一実施形態によれば、フィルタリング対象のメッセージセグメントのフィルタリストが作成されてもよい。ここで、メッセージセグメントの優先度値が、それぞれ優先度閾値と比較されてもよい。優先度値が優先度閾値を下回るメッセージセグメントを削除することによって、フィルタリストが短縮されてもよい。最大メッセージサイズを考慮して、伝送すべきメッセージセグメントが短縮されたフィルタリストから選択されてもよい。それにより、フィルタリング抽出は2段階で遂行することができ、方法の効率が高められ得る。
【0029】
一実施形態によれば、この方法は、好ましくは提示された順序で実行され得る以下のステップ、すなわち、短縮されたフィルタリストから、最も高い優先度値を有するメッセージセグメントを選択するステップと、選択されたメッセージセグメントのメッセージセグメントサイズを算定するステップと、メッセージセグメントサイズと最大メッセージサイズとを比較するステップと、メッセージセグメントサイズが最大メッセージサイズよりも小さい場合、選択されたメッセージセグメントを、伝送すべきメッセージセグメントの伝送リストに追加するステップと、選択されたメッセージセグメントを、短縮されたフィルタリストから削除するステップと、最大メッセージサイズをメッセージセグメントサイズだけ減少させるステップとをさらに含むことができる。選択するステップ、算定するステップ、比較するステップ、追加するステップ、削除するステップ、および減少させるステップは、メッセージセグメントサイズが最大メッセージサイズ以下になるまで、および/またはすべてのメッセージセグメントが短縮されたフィルタリストから削除されるまで循環的に繰り返されてもよい。その後、伝送リストからの第2のメッセージを生成し、通信ネットワークを介して第2のメッセージを送信するステップが遂行される。追加されたメッセージセグメントのサイズが最大メッセージサイズに達したなどの理由で伝送リストの更新が中断された場合、この時点までに追加されたメッセージセグメントを含むメッセージが生成され得る。したがって、メッセージサイズが制限されている場合でも、各場合に最も高い優先度を有するメッセージセグメントをメッセージが含むことを保証することができる。
【0030】
一実施形態によれば、この方法は、伝送リストが少なくとも1つのメッセージセグメントを含むかどうかを検査するステップをさらに含んでもよい。「はい」の場合、伝送リストをもとに第2のメッセージを生成し、通信ネットワークを介して第2のメッセージを送信するステップが遂行され得る。したがって、例えば、メッセージセグメントを含まないメッセージの送信を回避することができる。
【0031】
一実施形態によれば、優先度閾値は、チャネル占有率(チャネルビジー率、CBR)から計算され得る。ここで、優先度閾値は、チャネル占有率と共に増加および/または減少し得る。チャネル占有率とは、一般に、通信ネットワークに割り当てられた無線チャネルが使用される期間と、チャネル占有率が測定される測定期間との比として理解され得る。例えば、優先度閾値は、チャネル占有率に比例することがある。追加または代替として、最後に伝送されたメッセージセグメントの優先度値から少なくとも1つの統計パラメータが計算され得る。次いで、統計パラメータから優先度閾値が計算され得る。そのような統計パラメータは、例えば算術平均値または中央値でよい。統計パラメータと共に優先度閾値が増加および/または減少することがあり得る。例えば、優先度閾値は統計パラメータに比例することがある。それにより、優先度閾値の計算時のランダムな変動を補償することができる。
【0032】
一実施形態によれば、通信ネットワークの現在の利用率は、通信ネットワークに割り当てられた無線チャネルの現在利用可能なデータ伝送速度(Ra)として、無線チャネルのチャネル占有率(CBR)およびデータ伝送速度(R)から、Ra=(1-CBR)・Rと計算される。データ伝送速度とは、無線チャネルの理論上の帯域幅、または伝送に必要な帯域幅を意味し得る。例えば、必要な帯域幅は、理論上の帯域幅の約3分の2であり得る。したがって、通信ネットワークの利用率を非常に簡単に算定することができる。
【0033】
一実施形態によれば、最大メッセージサイズは、Mmax=Ra・Tと計算され得る。ここで、Tは、無線チャネルを介したメッセージの最後の伝送からの時間を表す。したがって、最大メッセージサイズは、伝送頻度に応じて決定することができる。例えば、伝送頻度が少ないほど、メッセージサイズを大きく選択することができ、その逆も成り立つ。
【0034】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を述べるが、図面も本明細書も本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の例示的実施形態による、それぞれが評価ユニットを備える互いにネットワーク化された車両を含む交通シナリオを概略的に示す図である。
【
図2】メッセージセグメントが
図1の評価ユニットによってどのようにフィルタリングされるかを概略的に示す図である。
【
図3】本発明の例示的実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面は概略にすぎず、正しい縮尺では描かれていない。図面中、同一の参照符号は、同一の特徴または同一の機能を備える特徴を表す。
図1は、例として4台の車両101、102、103、104を示し、これらの車両はそれぞれ、周辺を検知するためのセンサシステム106と、センサシステム106によって生成されたセンサデータ110を評価するための評価ユニット108と、アクチュエータシステム112とを備える。評価ユニット108は、4台の車両101、102、103、104が互いにネットワーク化されている無線V2X通信ネットワークを介して、センサデータ110に基づいてメッセージ114を送信および/または受信するようにさらに構成されている。評価ユニット108は、例えばアクチュエータシステム112を制御するために、受信されたメッセージ114を評価することができる。したがって、例えば、車両101、102、103、104の個々の走行操縦を自動的に相互に調整することが可能であり、これは、協調走行とも呼ばれ得る。
【0037】
図1では、3台の車両101、103、104が高速道路115を走行しており、車両102が高速道路115に進入しようとしている。
例えば、センサシステム106は、カメラとして実現されている。しかし、センサシステム106は、複数の異なるタイプのセンサユニットを含むこともできる。したがって、センサシステム106は、カメラに加えてまたはカメラの代替として、例えば少なくとも1つのレーダセンサ、ライダセンサ、もしくは超音波センサ、またはレーザスキャナを有することができる。
【0038】
アクチュエータシステム112は、例えば操舵もしくは制動アクチュエータ、またはエンジン制御用のアクチュエータを含んでもよい。評価ユニット108は、特に例えばそれぞれ他の車両の予想される軌道を考慮に入れて、対象の車両を自動的に制御するために、すなわち操舵する、制動する、加速する、またはデジタルマップでの所定のルートに対応してナビゲートするために、センサデータ110および/またはメッセージ114に基づいてアクチュエータシステム112を起動するための制御信号116を生成するように作られていてもよい。
【0039】
評価ユニット108は、特に、センサデータ110から周辺のオブジェクト、例えば隣接する車両またはそれらの取り得る軌道を抽出するように構成されている。したがって、例えば、車両103の評価ユニット108は、3台の車両101、102、104を検出する。検出時、評価ユニット108は、検出されたオブジェクトのそれぞれに、車両103に対する検出されたオブジェクトの重要性を定量化する優先度値を割り当てる。例えば、この例では、2つの車両101、104は、軌道が車両103の軌道と交差すると予想される進入する車両102よりも低い優先度値を得る。
【0040】
さらに、評価ユニット108は、車両101、102、103、104が互いに通信する無線チャネルの現在のチャネル利用率を算定する。次に、現在のチャネル利用率およびそれぞれの優先度値に基づいて、評価ユニット108は、検出されたオブジェクトの中から特に重要なオブジェクト、ここでは例えば検出された車両102を選択し、例えば検出された車両102の位置、速度、軌道に関する関連情報を含むメッセージ114を生成して送信する。ここで、無線チャネルに不要な負荷をかけないようにするために、より重要性の低いオブジェクトはメッセージ114から除外される。車両101、104など他の車両はメッセージ114を受信することができる。
【0041】
チャネル利用率を考慮に入れたそのような優先度ベースのメッセージ生成の個々のステップを、車両103の評価ユニット108を例として以下でより詳細に述べる。しかし、以下の記述は、同一または同様に、他の車両101、102、104の評価ユニット108にも当てはめることができる。
【0042】
図2は、センサデータ110に基づいて評価ユニット108によって生成された、様々なメッセージセグメントS
1、S
2、S
3、S
4、S
5を含むフィルタリストL
1を示し、メッセージセグメントS
1、S
2、S
3、S
4、S
5はそれぞれ、車両103の周辺で検出されたオブジェクト、とりわけ例えば車両101、102、104を表す。メッセージセグメントS
1、S
2、S
3、S
4、S
5はそれぞれ、そのメッセージセグメントにおいて表されるオブジェクトのそれぞれの優先度を示す優先度値p
iでマークされている。
【0043】
第1のステップで、評価ユニット108は、閾値比較に基づいて、低い優先度値p
1、p
3をそれぞれ有するメッセージセグメントS
1、S
3をフィルタリストL
1から削除し、それにより、フィルタリストL
1が、短縮されたフィルタリストL’
1となる。第2のステップで、評価ユニット108は、短縮されたフィルタリストL’
1に含まれるメッセージセグメントS
2、S
4、S
5から伝送リストL
2を作成し、伝送リストL
2は、ここでは特に高い優先度値p
2、p
4をそれぞれ有するメッセージセグメントS
2、S
4を含む。伝送リストL
2は、所定の最大メッセージサイズを超えないように作成される。この例では、メッセージサイズは、例えば、2つのメッセージセグメントS
2、S
4に加えてメッセージセグメントS
5も伝送リストL
2に含めるのには十分でない。
図3に基づいて以下でより詳細に述べるように、評価ユニット108は、例えば現在のチャネル利用率から最大メッセージサイズを決定する。
【0044】
最終的に、評価ユニット108は、伝送リストL2からメッセージ114を生成する。メッセージ114は、伝送リストL2からの伝送すべきメッセージセグメントS2、S4に加えて、とりわけ例えば車両103およびそのセンサシステム106についての必須データを有するヘッダHを含む。
【0045】
図3は、メッセージ114を伝送するための方法300のフローチャートを示す。方法300は、例えば
図2による評価ユニット108によって実施することができる。
第1のステップ301で、別の交通参加者101、102、104によって送信されたメッセージが評価ユニット108で受信され、メッセージは、フィルタリング対象のメッセージセグメントS
1・・・S
5および関連の優先度値p
1・・・p
5を含む。
【0046】
次のステップ303で、フィルタリング対象のメッセージセグメントS1・・・S5および関連の優先度値p1・・・p5を含むフィルタリストL1が作成される。
代替として、第1のステップ301で、任意選択でセンサデータ110が評価ユニット108で受信される。任意選択の次のステップ302で、センサデータ110の適当な処理および評価によって、車両103の周辺のオブジェクト101、102、104が検出される。ここで、オブジェクト101、102、104には、重要性に応じて異なる優先度値piが割り当てられる。次いで、ステップ303で、オブジェクト101、102、104を表すフィルタリング対象のメッセージセグメントS1・・・S5および関連の優先度値p1・・・p5を含むフィルタリストL1が作成される。
【0047】
次のステップ304で、通信ネットワークに割り当てられた無線チャネルの現在利用可能なデータ伝送速度Raが決定される。
次のステップ305で、現在利用可能なデータ伝送速度Raから、伝送すべきメッセージの最大メッセージサイズMmax、および優先度閾値pthが計算される。
【0048】
次のステップ306で、最大メッセージサイズMmaxおよび優先度閾値pthをフィルタ基準として用いて、フィルタリストL1がフィルタリングされる。ここで、優先度閾値pthを下回る優先度値p1、p3をそれぞれ有するメッセージセグメントS1、S3は、フィルタリストL1から削除される。優先度閾値pthを超える優先度値p2、p4、p5をそれぞれ有するメッセージセグメントS2、S4、S5から、最大メッセージサイズMmaxに達するまで、伝送リストL2のためのメッセージセグメントが選択される。これは、ここでは、メッセージセグメントS2、S4が伝送リストL2に引き継がれた後の状況である。
【0049】
最終的に、ステップ307で、伝送リストL2からメッセージ114が生成され、通信ネットワークでの無線チャネルを介して伝送される。
前述された方法300は、さらに前に述べたETSI-DCCプロトコルの拡張とされてもよい。ここで、フィルタリストL1を例えばアプリケーション層によって提供し、その下にある層、例えばDCCプロトコルによって受信することができる。例えば、フィルタリストL1の受信時、DCCプロトコルによって以下の6つの主要なステップを実行することができる。しかし、6つのステップのうちの最初の2つだけがDCCプロトコルによって実行され、残りのステップはアプリケーション層によって実行されることも可能である。このようにすると、メッセージセグメントのリストがアプリケーション層とDCCプロトコルとの間で交換されるのを回避することができる。
【0050】
1.まず、ステップ304で、伝送のために現在利用可能なデータ伝送速度Raが推定される。このために、例えば、現在のチャネル占有率CBR(CBR=チャネルビジー率)を測定することができる。チャネル占有率CBRは、無線チャネルが他のステーションによって使用される時間の割合を表す(0≦CBR≦1)。無線チャネルの測定されたチャネル占有率CBRおよび利用可能なデータレートRに基づいて、利用可能なスループットRaが以下のように計算される。
【0051】
Ra=(1-CBR)・R[Mbit/s]
ここで、利用可能なデータレートRは、全データレートから好適に評価することができ、例えば全データレートの3分の2であり得る。
【0052】
2.次いで、ステップ305で、利用可能なスループットRaと、最後のメッセージ伝送から経過した時間Tとに基づいて、最大メッセージサイズMmaxが以下のように計算される。
【0053】
Mmax=Ra・T[bit]
3.さらに、ステップ305で、チャネル占有率CBRの関数として優先度閾値pthが計算され、より高いチャネル占有率CBRは、より高い優先度閾値pthをもたらし、逆もまた同様である。代替または追加として、優先度閾値pthは、伝送のために最後に選択されたすべてのメッセージセグメントSiの優先度値piの統計分布に基づいて、例えば算術平均値または中央値に基づいて計算され得る。ここで、最後に選択されたメッセージセグメントSiの優先度値piが大きいほど優先度閾値pthが大きくなり、その逆も同様である。
【0054】
4.次に、ステップ308で、それぞれ優先度値p1、p3が優先度閾値pthを下回るすべてのメッセージセグメントS1、S3がフィルタリストL1から破棄される。したがって、それに応じてフィルタリストL1が短縮される。フィルタリストL1が最初から優先度閾値pthよりも低い優先度値piを有するメッセージセグメントSiのみを含む場合、例えばフィルタリストL1全体が破棄され、方法はステップ309で中止される。
【0055】
5.ステップ310で、伝送リストL2が、新たな空のリストとして作成される。次に、短縮されたフィルタリストL’1のメッセージセグメントS2、S4、S5から、伝送リストL2のためのメッセージセグメントが選択される。
【0056】
6.このために、フィルタリストL1が段階的に処理される。まず、ステップ310で、最も高い優先度値p2を有するメッセージセグメントS2が選択される。ステップ311で、選択されたメッセージセグメントS2のメッセージセグメントサイズMが算定される。ステップ312で、メッセージセグメントサイズMが最大メッセージサイズMmaxと比較される。M<Mmaxである場合、選択されたメッセージセグメントS2がステップ313で伝送リストL2に追加され、ステップ314でフィルタリストL’1から削除される。それから、ステップ315で、後続の反復操作のために最大メッセージサイズMmaxが以下のように減少される。
【0057】
Mmax,new=Mmax-M
次の反復操作で、フィルタリストL’1に残っているメッセージセグメントS4、S5に関してステップ310~315が繰り返される。この時点では、最も高い優先度値を有するメッセージセグメントはメッセージセグメントS4である。
【0058】
ステップ310~315は、一般に、フィルタリストL’1が空になるまで周期的に繰り返される。それから、ステップ307で、完成した伝送リストL2をもとに、メッセージ114が生成されて送信される。
【0059】
一方、ステップ312で、例えばここでのメッセージセグメントS5のように、伝送リストL2に引き継ぐべきメッセージセグメントSiが最大メッセージサイズMmax以上であることが判明した場合、例えば、追加のステップ316で、メッセージ114の生成前に、伝送リストL2が少なくとも1つのメッセージセグメントSiを含む、または所定の最小数を超えるメッセージセグメントSiを含むかどうかを検査することができる。含んでいる場合には、ステップ307で、メッセージ114が生成されて送信される。含んでいない場合には、メッセージ114は生成されず、方法300が中止される。
【0060】
最後に、「備える」や「含む」などの用語は他の要素またはステップを除外せず、単数表記は複数を除外しないことを指摘しておく。特許請求の範囲内の参照符号は、限定を与えるものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】