(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】分注装置及び製品の包装及び分注するための組立体
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20221228BHJP
B65D 47/18 20060101ALI20221228BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20221228BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B65D47/20
B65D47/18
B65D83/00 G
A61J1/05 313B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525869
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2020080865
(87)【国際公開番号】W WO2021089575
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516250524
【氏名又は名称】オリュス・ファルマ
(71)【出願人】
【識別番号】519157750
【氏名又は名称】サンテン エス ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レンゾ・エステ
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
4C047
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PB08
3E014PC03
3E014PC04
3E014PD15
3E014PE02
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3E014PF06
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
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3E084AB01
3E084AB05
3E084AB09
3E084BA02
3E084CA01
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3E084DC05
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3E084GB16
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3E084LD25
3E084LE01
3E084LE02
3E084LE06
4C047BB12
4C047BB14
4C047BB16
4C047BB17
4C047BB20
4C047BB21
4C047BB24
4C047BB26
4C047CC04
4C047CC24
(57)【要約】
本発明は、流体製品を分注するための分注装置に関する。装置は、分注端と、取付端と、取付端と分注端との間に設けられ、可撓性部材と剛性部材とによって形成された分注弁とを含む。分注弁は、可撓性部材と剛性部材との間に分注チャネルが形成される開位置と、分注チャネルが閉じられる閉位置との間で作動可能である。分注弁は、第1の弁部分と第2の弁部分とを含む。第2の弁部分は、第1の弁部分よりも分注端の近くに位置する。分注弁は、分注弁が閉位置にあるときに、第2の弁部分においてよりも第1の弁部分において、より大きな付勢力が可撓性部材によって剛性部材に加えられるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を分注するための分注装置(10)であって、
前記製品が通過して分注される分注端(14)と、
前記製品を収容する容器(110)に取り付けられる取付端(12)と、
前記取付端(12)と前記分注端(14)との間に設けられ、可撓性部材(28、30)と剛性部材(26、32)とによって形成された分注弁(16)であって、分注チャネル(34)が前記可撓性部材(28、30)と前記剛性部材(26、32)との間に形成されて前記製品が前記分注端(14)に向かって流れることを可能にする開位置と、前記分注チャネル(34)が閉じられる閉位置と、の間で作動可能に構成された、分注弁(16)と、
を備え、
前記分注弁(16)は、第1の弁部分(36)と第2の弁部分(38)とを備え、
前記第2の弁部分(38)は前記第1の弁部分(36)よりも前記分注端(14)の近くに配置され、前記分注弁(16)は、前記分注弁(16)が前記閉位置にあるときに、前記第2の弁部分(38)においてよりも前記第1の弁部分(36)において、より大きな付勢力が前記可撓性部材(28、30)によって前記剛性部材(26、32)に加えられるように構成されることを特徴とする、分注装置。
【請求項2】
前記可撓性部材(28、30)は、前記第2の弁部分(38)においてよりも前記第1の弁部分(36)において、より高い剛性を有する、請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記可撓性部材(28、30)及び前記剛性部材(26、32)は、前記第2の弁部分(38)においてよりも前記第1の弁部分(36)において、大きな干渉を有するように構成される、請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項4】
前記可撓性部材(28、30)は前記第1の弁部分(36)において補強部材(56)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項5】
前記可撓性部材(28、30)は、前記第2の弁部分(38)においてよりも前記第1の弁部分(36)において、より大きい厚さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項6】
前記可撓性部材(28、30)は、前記分注端(14)に向かって先細になるテーパ形状を少なくとも部分的に有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項7】
前記第1の弁部分(36)における前記可撓性部材(28、30)が作られる材料は、前記第2の弁部分(38)における前記可撓性部材(28、30)が作られる材料よりも剛性が高い、請求項1から6のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項8】
前記可撓性部材(28、30)は、前記剛性部材(26、32)に面する表面を有し、前記表面が、前記第2の弁部分(38)においてよりも前記第1の弁部分(36)において、より高い凹凸度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項9】
前記剛性部材(26、32)は、前記可撓性部材(28、30)に面する表面を有し、前記表面が、前記第2の弁部分(38)においてよりも前記第1の弁部分(36)において、より高い凹凸度を有する、表面を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項10】
前記分注弁(16)内の前記可撓性部材(28、30)は、前記剛性部材(26、32)に面する表面に形成された1以上の溝(70)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項11】
前記分注弁(16)内の前記可撓性部材(28、30)は、前記剛性部材(26、32)に面する前記表面に複数の溝(70)を備え、溝の深さは、前記分注端(14)に近くに位置する隣接する溝よりも大きい、請求項10に記載の分注装置。
【請求項12】
前記分注弁(16)内の前記剛性部材(26、32)は、前記可撓性部材(28、30)に面する表面に1以上の突出部(72)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項13】
前記分注弁(16)内の前記剛性部材(26、32)は、複数の突出部(72)を備え、突出部は、前記分注端(14)に近くに位置する隣接する突出部よりも高く突出する、請求項12に記載の分注装置。
【請求項14】
前記分注弁(16)と前記取付端(12)との間に設けられ、一定量の前記製品を貯蔵するように構成された用量チャンバ(24)をさらに備え、前記用量チャンバ(24)は、前記剛性部材(26)と前記剛性部材(26)から外側に離間した前記可撓性部材(28)との間に画成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項15】
前記用量チャンバ(24)は、前記分注弁(16)に向かって少なくとも部分的に先細形状を有する、請求項14に記載の分注装置。
【請求項16】
前記用量チャンバ(24)を画成する前記可撓性部材(28、30)は、前記分注弁(16)に向かって先細になる内側テーパ部分を備える、請求項15に記載の分注装置。
【請求項17】
前記用量チャンバ(24)を画成する前記剛性部材(26)は、前記分注弁(16)に向かって先細になる外側テーパ部分を備える、請求項14または15に記載の分注装置。
【請求項18】
前記分注チャネル(34)及び前記分注端(14)は、前記分注チャネル(34)に対して実質的に直角に延在するガイドチャネル(54)によって接続される、請求項1から17のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項19】
前記ガイドチャネル(54)は、前記剛性部材(26、32)にまたは前記剛性部材(26、32)内に形成された少なくとも1つの溝または少なくとも1つの開口部によって画成される、請求項18に記載の分注装置。
【請求項20】
前記可撓性部材(28、30)は、前記剛性部材(26、32)の周りに同軸に設けられ、
前記可撓性部材(28、30)は、前記剛性部材(26、32)を越えて延びる軸方向延長部(50)と、前記軸方向延長部(50)から径方向内側に延びて前記分注端(14)に分注開口部(48)を画成する径方向延長部(52)と、を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の分注装置。
【請求項21】
流体製品を包装及び分注するための組立体(100、200)であって、
前記製品を収容するように構成された容器(110)と、
請求項1から20のいずれか一項に記載の分注装置(10)と、
を備える、組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、半流体または懸濁液である流体製品を分注するための分注装置に関し、特に、清浄かつ無菌状態に保つ必要があるような装置に関する。本発明はまた、そのような分注装置を備える組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
流体製品を包装及び分注するための様々な装置が知られている。それらの装置は、医薬品、特に眼科、化粧品または食品の分野で使用することができる。例えば、特許文献1は、一般に流体製品を包装及び分注するための装置を開示している。そこに開示されている装置には、装置の作動可能部分に圧力が加えられたときに製品を分注することを可能にするように設計された逆止弁が設けられている。圧力が解放されると逆止弁は元の位置に戻り、それによって外気が分注チャネルに入るのを防ぐ。
【0003】
既知の装置は、その分注開口部から分注チャネルへの細菌の侵入を防止するのに有用であることが分かっている。しかしながら、汚染のない分配器に対する需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/124844号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、分注装置の内容物の汚染につながり得る細菌または他の物質のない分注装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、添付の請求項1及び対応する従属請求項に定義される分注装置によって達成される。
【0007】
具体的には、流体製品を分注するための分注装置が開示され、分注装置は、
製品が通過して分注される分注端と、
製品を収容する容器に取り付けられる取り付け端と、
取り付け端と分注端との間に設けられ、可撓性部材と剛性部材とによって形成された分注弁であって、分注チャネルが可撓性部材と剛性部材との間に形成されて製品が分注端に向かって流れることを可能にする開位置と、分注チャネルが閉じられる閉位置との間で作動可能に構成された、分注弁と、
を備え、
分注弁は、第1の弁部分と第2の弁部分とを備え、第2の弁部分は第1の弁部分よりも分注端の近くに配置され、分注弁は、分注弁が閉位置にあるときに、第2の弁部分においてよりも第1の弁部分において、より大きな付勢力が可撓性部材によって剛性部材に加えられるように構成される。
【0008】
可撓性部材は、第2の弁部分においてよりも第1の弁部分において、より高い剛性を有してもよい。
【0009】
可撓性部材及び剛性部材は、第2の弁部分においてよりも第1の弁部分において、大きな干渉を有するように構成されてもよい。
【0010】
可撓性部材は第1の弁部分において補強部材を有してもよい。
【0011】
可撓性部材は、第2の弁部分においてよりも第1の弁部分において、より大きい厚さを有してもよい。
【0012】
可撓性部材は、分注端に向かって先細になるテーパ形状を少なくとも部分的に有してもよい。
【0013】
第1の弁部分における可撓性部材が作られる材料は、第2の弁部分における可撓性部材が作られる材料よりも剛性が高くてもよい。
【0014】
可撓性部材は、第2の弁部分においてよりも第1の弁部分において、より高い凹凸度をもって剛性部材に面する表面を有してもよい。
【0015】
剛性部材は、第2の弁部分においてよりも第1の弁部分において、より高い凹凸度をもって可撓性部材に面する表面を有してもよい。
【0016】
分注弁内の可撓性部材は、剛性部材に面する表面に形成された1以上の溝を備えてもよい。
【0017】
分注弁内の可撓性部材は、剛性部材に面する表面に複数の溝を備えてもよく、溝の深さは、分注端に近くに位置する隣接する溝よりも大きい。
【0018】
分注弁内の剛性部材は、可撓性部材に面する表面に1以上の突出部を備えてもよい。
【0019】
分注弁内の剛性部材は、複数の突出部を備えてもよく、突出部は、分注端に近くに位置する隣接する突出部よりも高く突出する。
【0020】
分注装置は、分注弁と取り付け端との間に設けられ、一定量の製品を貯蔵するように構成された用量チャンバをさらに備えてもよく、用量チャンバは、剛性部材と剛性部材から外側に離間した可撓性部材との間に画成される。
【0021】
用量チャンバは、分注弁に向かって少なくとも部分的に先細形状を有してもよい。
【0022】
用量チャンバを画成する可撓性部材は、分注弁に向かって先細になる内側テーパ部分を備えてもよい。
【0023】
用量チャンバを画成する剛性部材は、分注弁に向かって先細になる外側テーパ部分を備えてもよい。
【0024】
分注チャネル及び分注端は、分注チャネルに対して実質的に直角に延在するガイドチャネルによって接続されてもよい。
【0025】
ガイドチャネルは、剛性部材にまたは剛性部材内に形成された少なくとも1つの溝または少なくとも1つの開口部によって画成されてもよい。
【0026】
可撓性部材は、剛性部材の周りに同軸に設けられてもよく、可撓性部材は、剛性部材を越えて延びる軸方向延長部と、軸方向延長部から径方向内側に延びて分注端に分注開口部を画成する径方向延長部と、を含む。
【0027】
さらに、流体製品を包装及び分注するための組立体が開示され、組立体は、
製品を収容するように構成された容器と、
上記請求項のいずれか一項に記載の分注装置と、
を備える。
【0028】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】分注装置を備える組立体を示す縦断面図である。
【
図2】用量チャンバが圧縮されて一用量の流体製品を分注するときの
図1の組立体を示す縦断面図である。
【
図3】分注端の周りの
図1の組立体の一部を示す拡大図である。
【
図4】弁座に形成されたガイドチャネルを示す図である。
【
図5】補強部材が設けられた弁部材を示す図である。
【
図6】分注装置を備える別の組立体を示す縦断面図である。
【
図7】分注装置の分注端の周りの
図6の組立体の一部を示す拡大図である。
【
図8】分注装置の分注端の周りの別の組立体の一部を示す拡大図である。
【
図9】環状溝が設けられた弁部材を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、例として、本発明が適用可能な分注及び包装組立体100を示す。組立体100は、流体製品を包装及び分注するために使用することができる。流体製品は、例えば、液体形態、半液体または懸濁液であってもよい。
【0031】
組立体100は、容器110及び分注装置10を備えることができる。容器110は、流体製品を収容するための貯蔵チャンバ112を画成する。容器110は、流体製品を清潔で無菌状態に保つための任意の適切な材料で作られてもよい。例えば、容器110は、ガラスまたはプラスチックで作られてもよい。容器10に使用されるプラスチック材料は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーを含むことができるが、これらに限定されない。容器110は、貯蔵チャンバ112と流体連通する開口部114を画成することができる。
【0032】
分注装置10は、取付端12と、分注端14と、取付端12と分注端14との間に設けられた分注弁16とを備える。
【0033】
分注装置10は、限定はしないが、嵌合もしくは螺着または接着剤を含む既知の手段によって、取付端12で容器110に直接または間接的に取り付けられてもよい。取付端12と容器110との間には、貯蔵チャンバ110に収容された流体製品の漏れ及び流体製品の汚染を防止するために、既知の封止部材が設けられてもよい。
【0034】
分注装置10は、一用量充填弁18を備えてもよい。一用量充填弁18は、取付端12によって支持され、常閉逆止弁として構成されてもよい。容器110の開口部114は、分注装置10の取付端12の一部及び一用量充填弁18によって覆われている。一用量充填弁18は、流体製品が容器110から分注装置10に流れることを可能にするが、反対方向には流れないように構成される。したがって、貯蔵チャンバ112に収容された流体製品は、一用量充填弁18が開いているときに一用量充填弁18を通って分注装置10に流入することができるが、流体製品は、逆方向に、すなわち分注装置10から貯蔵チャンバ112に流れることが禁止される。
【0035】
分注装置10はまた、空気充填弁20及びフィルタ要素22を備えてもよい。空気充填弁20及びフィルタ要素22もまた、分注装置10の取付端12によって支持されてもよい。取付端12には、フィルタ要素22及び空気充填弁20を介して貯蔵チャンバ112と組立体100の外部の雰囲気とを互いに接続する空気充填通路(図示せず)を設けることができる。空気充填弁20は、常閉弁であり、貯蔵チャンバ112内の圧力が低下すると開く。フィルタ要素22の助けにより、空気充填弁20が開いていると、一用量の流体製品が分注されたときの貯蔵チャンバ112内の圧力降下を補償するために、清浄で新鮮な空気を貯蔵チャンバ112に導入することができる。
【0036】
分注装置10は、用量チャンバ24を備えてもよい。用量チャンバ24は、当接部26及び変形可能部28によって画成される。当接部26は、剛性材料で作られ、取付端12と分注弁16との間に延在する。当接部26に使用される剛性材料は、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことができるが、これらに限定されない。変形可能部28は、可撓性材料からなる。変形可能部28に使用される可撓性材料は、熱可塑性エラストマーまたはシリコンを含むことができる。変形可能部28は、当接部26の外面と変形可能部28の内面との間に環状隙間を形成するように、当接部26の上に径方向に離間して延在してもよい。用量チャンバ24は、一用量の流体製品に対応する所定の容積を画成することができる。
【0037】
用量チャンバ24は、分注端14に向かって先細形状を有してもよい。あるいは、用量チャンバ24は、軸方向の全長にわたってテーパ形状を有してもよい。用量チャンバ24の先細形状は、分注弁16に向かって先細になる変形可能部28に形成された内側テーパ部分によって、及び/または分注弁16に向かって先細になる当接部26に形成された外側テーパ部分によって画成されてもよい。当接部26の外側テーパ部分は、変形可能部28の内側テーパ部分に少なくとも部分的に面してもよい。
【0038】
分注弁16は、弁部材30及び弁座32により形成される。弁部材30は可撓性材料からなり、弁座32は剛性材料からなる。分注装置10が用量チャンバ24を備える場合、弁座32は用量チャンバ24と分注端14との間に延在してもよい。弁部材30は、変形可能部28から分注端14に向かう方向に延びる略管状の形状を有してもよい。
【0039】
弁部材30の一部は、分注端14に向かって先細になるテーパ形状を有してもよい。あるいは、弁部材30は、弁座32に沿った、または軸方向における全長にわたってテーパ形状を有してもよい。
【0040】
分注弁16は、開位置と閉位置との間で作動可能に構成される。開位置では、弁部材30と弁座32との間に分注チャネル34が形成され(
図3を参照)、それによって流体製品が分注端14に向かって流れることを可能にする。閉位置では、弁部材30が弁座32上に載置され、それによって分注チャネル34を閉じる。
【0041】
分注弁16は、常閉弁として構成される。弁部材30の内径(内面の直径)は、弁座32の直径(外面の直径)よりも小さく構成される。これにより、弁部材30が弁座32に対して付勢力を付与するように、弁部材30が弁座32に圧入される。これにより、常閉弁が形成される。閉位置では、分注弁16は、分注チャネル34への細菌の侵入を確実に防止するか、または残留製品が分注装置10の内側に流れるのを防止する。
【0042】
分注弁16は、第1の弁部分36と第2の弁部分38とを備える。第1の弁部分36は、弁部材30の一部、または「第1の弁要素40」と、弁座32の一部、または「第1の弁座42」とによって形成される。第2の弁部分38は、弁部材30の残部、または「第2の弁要素44」と、弁座32の対応部、または「第2の弁座46」とによって形成される。第2の弁部分38は、第1の弁部分36よりも分注端14の近くに位置する。
【0043】
弁部材30は、分注弁16が閉位置にあるとき、第2の弁要素44によって第2の弁座46に加えられる付勢力よりも大きい付勢力が第1の弁要素40によって第1の弁座42に加えられるように構成されてもよい。その結果、第1の弁要素40は、対応する弁座42または46から離れる方向に作用する力に対して、第2の弁要素44よりも強い抵抗を示す。言い換えると、第1の弁要素44は、第2の弁要素46よりも剛性が高い。
【0044】
分注端14は、組立体100が動作しているときに流体製品が通過して分注される開口部48またはチャネルを画成することができる。
【0045】
図3に示すように、分注装置10(
図1参照)は、弁座32を越えて延在する弁部材30から延在する軸方向延長部50と、軸方向延長部50から径方向内側に延在して開口部48を画成する径方向延長部52とを備えることができる。
【0046】
動作中、変形可能部28は、
図2の矢印A1によって示されるように内側に押圧されて、用量チャンバ24(
図1参照)を圧縮する。一用量充填弁18が貯蔵チャンバ112への流体製品の逆流を防止することにより、圧力下の流体製品は分注弁16に強制的に流入し、そこで流体製品は付勢力に抗して弁部材30を弁座32から離して変位させ、それによって弁部材30と弁座32との間に分注チャネル34を形成する。変形可能部28が最大限に押圧されると、または変形可能部28が当接部26と接触すると、用量チャンバ24内に収容された流体製品の一定量が、例えば液滴Dの形態で、開口部48を通って分注端14から排出される。
【0047】
分注動作が完了し、変形可能部28に加えられた圧力が解放されると、分注弁16は、弁部材30が弁座32に載って分注チャネル34を閉じる閉位置に戻る。
【0048】
第1の弁部分36は、閉位置において第2の弁部分38よりも大きな付勢力を受けるため、第1の弁部分36は、第2の弁部分38よりも早く閉位置に戻る。第1の弁部分36が元の位置に戻ると、第1の弁部分36は残留製品を第1の弁部分36から第2の弁部分38に押し込む。その後、第2の弁部分38が閉位置に戻ると、残留製品は分注装置10から押し出され、分注弁16内に残留製品はまったくまたはほとんど残らない。同時に、分注チャネル34内に存在していた細菌または望ましくない物体も分注装置10から排出される。
【0049】
このようにして、分注装置10は、さもなければ分注弁16に入るか、または第2の弁部分38から第1の弁部分36に逆流する可能性がある任意の望ましくない物体から保護されることができる。これは、流体製品内の細菌汚染がユーザの目に重大な結果を引き起こす可能性がある眼科分野において特に有利である。
【0050】
図3を参照すると、分注弁16は、流体製品が分注チャネル34からガイドチャネル54を介して開口部48に流れるように構成されてもよい。ガイドチャネル54は、分注チャネル34と分注端14とを互いに接続し、分注チャネル34に対して実質的に直角に延在する。この構成によれば、流体製品は流れ方向を変化させ、したがってその速度を低下させ、それによって目の中での噴出を回避し、確実に液滴が分注端14に形成される。
【0051】
また、このようなガイドチャネル54を開口部48と分注チャネル34との間に設けることにより、開口部48は分注チャネル34よりも小径となる。これにより、分注装置10からの液滴の放出が容易になる。ガイドチャネル54は、弁座32の先端に形成された1以上の溝によって画成することができる(
図3及び
図4を参照)。溝は、径方向に延在し、開口部48の位置に対応する中心で交わるように形成されてもよい。あるいは、弁座32には、ガイドチャネル54を画成する径方向チャネル(図示せず)が形成されてもよい。径方向溝または径方向チャネルがなくても、ガイドチャネル54はまた、径方向延長部52と弁座32の先端との間に形成されてもよい。
【0052】
上述したように、分注弁16が閉位置にあるとき、第1の弁要素40によって第1の弁座42に加えられる付勢力は、第2の弁要素44によって第2の弁座46に加えられる付勢力よりも大きい。この構成は、様々な方法で実施することができる。
【0053】
例えば、
図1に示すように、変形可能部28を形成する可撓性部材及び弁部材30は、中空の切頭円錐形状を有するように構成されてもよい。可撓性部材はまた、分注端14に向かって徐々に減少または増加する厚さを有してもよい。
【0054】
代替的または追加的に、分注弁16は、第1の弁要素40の厚さが第2の弁部材44の厚さよりも大きくなるように構成されてもよい。弁部材30の厚さは、弁部材30と弁座32との接触面に対して接線方向(平坦な接触面の場合は接触面に対して垂直方向)に測定される弁部材30の寸法によって規定される。
【0055】
代替または追加の構成として、分注弁16は、第1の弁部分36と第2の弁部分38との間に干渉量の差を有するように構成されてもよい。具体的には、第1の弁部分36は、第2の弁部分38よりも大きな干渉を有するように確保されてもよい。例えば、干渉は、第1の弁部分36では0.15 mm~0.30 mmの範囲であってもよく、第2の弁部分38では0.05 mm~0.20 mmの範囲であってもよい。この構成によれば、第1の弁部分36は、第2の弁部分38よりも締まり嵌めされ、より迅速に閉位置に戻り、それによって分注装置10を清潔で無菌状態に保つ。
【0056】
別の代替または追加の構成として、分注弁16は、第1の弁要素40が、第2の弁要素44が作られる材料よりも剛性の材料で作られるように構成されてもよい。この構成も、分注弁16による分注チャネル34の逐次的な閉鎖に寄与する。
【0057】
図5は、弁部材30が第1の弁部分36に1以上の補強部材56を備える別の可能な構成を示す。補強部材56は、弁部材30から径方向外側に離間して延びる。このような補強部材56は、第1の弁部分36の剛性を第2の弁部分38よりも高めることに寄与する。補強部材54は、所望の剛性に対応して、互いに同一の形状を有していてもよいし、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0058】
図6及び
図7は、流体製品を包装及び分注するための別の例示的な組立体200を示す。組立体200は、容器110及び分注装置10を備える。組立体200は、分注装置10が用量チャンバ24を含まず、弁部材30を形成する可撓性部材が弁座32を形成する剛性部材の径方向内側に配置されるという点で、
図1に示す組立体100とは異なる。
【0059】
この実施形態では、容器110は可撓性材料で作られており、したがって、容器110に圧縮力が加えられると容器110内の流体圧力が変化する。容器110の貯蔵チャンバ112が圧縮されると、容器110に収容された流体製品は、分注弁16に強制的に導入されて分注チャネル34を開く。
【0060】
図7の矢印に示すように、流体製品は、ベースプレートに形成された貫通孔60を通ってガイドチャネル54に流入する。加圧下の流体製品は、弁部材30を弁座32から離して変位させ、分注チャネル34を形成する。流体製品は、
図7の矢印にも示すように、分注チャネル34に導入され、分注端14で排出される。
【0061】
上記で説明した実施形態と同様に、この実施形態の分注弁16は、分注弁16が閉位置にあるときに、第2の弁部分38よりも第1の弁部分36に大きな付勢力が加えられるように構成されてもよい。
【0062】
したがって、容器110に加えられた圧力が解放されると、第1の弁部分36は元の位置に戻り、第1の弁部分36は残留製品を第1の弁部分36から第2の弁部分38内に押し出す。その後、第2の弁部分38が閉位置に戻ると、残留製品は分注装置10から押し出され、分注弁16内に残留製品はまったくまたはほとんど残らない。同時に、分注チャネル34内に存在していた細菌または望ましくない物体も分注装置10から排出される。
【0063】
このようにして、分注装置10は、さもなければ分注弁16に入るか、または第2の弁部分38から第1の弁部分36に逆流する可能性がある任意の望ましくない物体から保護されることができる。
【0064】
図8は、流体製品を包装及び分注するための別の例示的な組立体300を示す。この実施形態による組立体300は、分注チャネル34が分注端14の開口部48に垂直な方向または径方向に形成されるという点で、
図6及び
図7に示す組立体200とは異なる。
【0065】
この実施形態によれば、容器110の貯蔵チャンバ112が圧縮され、流体製品は、弁部材30を形成する可撓性部材に形成された貫通孔62を介してガイドチャネル54に流入するように強制される。ガイドチャネル54は、弁部材30と弁座32との間に形成された分注チャネル34に対して垂直に延びている。上述の実施形態と同様に、流体製品の圧力は、弁部材30を弁座32から離して分注チャネル34を形成するのに十分である。
【0066】
上述した実施形態と同様に、この実施形態の分注弁16は、分注弁16が閉位置にあるときに第2の弁部分よりも第1の弁部分でより大きな付勢力が加えられるように構成されてもよい。
【0067】
したがって、容器110に加えられた圧力が解放されると、第1の弁部分36は元の位置に戻り、第1の弁部分36は残留製品を第1の弁部分36から第2の弁部分38内に押し出す。その後、第2の弁部分38が閉位置に戻ると、残留製品は分注装置10から押し出され、分注弁16内に残留製品はまったくまたはほとんど残らない。同時に、分注チャネル34内に存在していた細菌または望ましくない物体も分注装置10から排出される。
【0068】
このようにして、分注装置10は、そうでなければ分注弁16に入るか、または第2の弁部分38から第1の弁部分36に逆流する可能性がある任意の望ましくない物体から保護されることができる。
【0069】
可撓性材料で作られた弁部材の剛性が増加するほど、常閉弁を開いて弁部材と対応する弁座との間に分注チャネルを形成するために、より大きい圧力が必要とされる。分注装置の封止と容易な分注動作との間の適切なバランスを見出すことは、分注装置にとって重要である。
【0070】
弁部材を弁座から上昇させるのに必要な力を低減するために、弁部材30には、弁座32に面する表面に形成された環状溝70などの、1以上の溝が設けられてもよい。
図9に示すように、弁部材30が管状形態である場合、複数の環状溝70を設けることができる。弁部材30の表面が弁座32と平行に延在する場合(例えば、
図8を参照)、弁部材30に1以上の細長い溝を形成することができる。このような溝の深さは、最大で0.10mmであってもよい。0.10mmまでの深さの溝70は、弁部材30が弁座32から離れるのを支援し、同時に溝内に残留製品が蓄積するのを回避する。
【0071】
あるいは、溝70は、40mmまでの深さを有してもよい。この場合、弁部材30は、溝70が形成されている部分において、弁座32と接触していなくてもよい。
【0072】
複数の溝70が設けられる場合、溝の深さは、分注端14の近くに位置する隣接する溝よりも深く形成されてもよく、それにより、第1の弁部分36を開くのに必要な力が低減される。
【0073】
さらに、1以上の溝70のおかげで、流体製品は円周方向に、すなわち弁座32の周りに均等に分配され、分注弁16が開位置に移動するのを助ける。
【0074】
弁部材30に設けられた1以上の溝に代えて、または加えて、弁座32の弁部材30と対向する面に1以上の突出部72が設けられてもよい。
図10は、弁座32に複数の突出部72が設けられる実施形態を示す。複数の突出部72が設けられる場合、突出部は、分注端の近くに位置する隣接する突出部よりも高く突出してもよい。
【0075】
これらの溝及び/または突出部は、弁部材30と弁座32との間の気密性を調整するのに寄与することができる。したがって、弁部材30を弁座32から離すために必要な力が少なくなり、それによって分注チャネル34の形成が容易になる。
【0076】
図示しないが、一実施形態によれば、弁部材30の表面は、第1の弁要素40の方が第2の弁要素44よりも、弁座32に面する表面の凹凸度が高い。凹凸度は、第1の弁部分36において3ミクロン~5ミクロンの範囲内であってもよい。第2の弁部分38の凹凸度は、細菌が第2の弁部分38に付着するのを避けるために、0.3~3ミクロンの範囲内であってもよい。対照的に、弁座32は、平滑な表面を有してもよい。
【0077】
また、弁座32は、第1の弁部分36と第2の弁部分38とで弁部材30に面する表面の凹凸度が異なっていてもよい。具体的には、弁座32は、第1の弁部分36の方が第2の弁部分38よりも大きな凹凸度を有してもよい。この場合、弁部材30は、平滑な表面を有していてもよい。
【0078】
弁座32と弁部材30との間の粗面及び平滑面の対のおかげで、弁部材30を弁座32から離れるように移動させるために必要な力が少なくなり、それによって分注チャネル34の形成が容易になる。
【0079】
また、弁部材30及び/または弁座32の表面に所定の凹凸度がある場合、弁部材30及び/または弁座32の粗面と平滑部分とが交互になっていてもよい。
【0080】
さらに、用量チャンバ24は、
図1に示すように、分注弁16に向かってテーパ形状を有してもよい。用量チャンバ24がテーパ形状を有することにより、用量チャンバ24に収容された流体製品が分注弁16に流入すると、圧力下の流体は径方向外側に押す力を及ぼし、弁部材30が弁座32から離れやすくなる。したがって、分注チャネル34を確実かつ容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 分注装置、12 取付端、14 分注端、16 分注弁、18 一用量充填弁、20 空気充填弁、22 フィルタ要素、24 用量チャンバ、26 当接部、28 変形可能部、30 弁部材、32 弁座、34 分注チャネル、36 第1の弁部分、38 第2の弁部分、40 第1の弁要素、42 第1の弁座、44 第2の弁要素、46 第2の弁座、48 分注開口部、50 軸方向延長部、52 径方向延長部、54 ガイドチャネル、56 補強部材、60,62 貫通孔、70 溝、72 突出部、100 分注・包装組立体、110 容器、112 貯蔵チャンバ、114 開口部、200 組立体、300 組立体
【国際調査報告】