(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】X842の経口製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20221228BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20221228BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221228BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221228BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20221228BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20221228BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20221228BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K47/20
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/14
A61P1/04
C07D471/04 108E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526056
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2020080877
(87)【国際公開番号】W WO2021089580
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522176768
【氏名又は名称】シンクルス・ファーマ・ホールディング・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シェル・アンデション
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・スプリングフェルター
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエッラ・ユーセフ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA03
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH08
4C065KK02
4C065LL07
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4C076BB01
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4C076DD05E
4C076DD29
4C076DD47C
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4C076DD67A
4C076EE32B
4C076FF01
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4C076FF09
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4C076FF33
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA12
4C086NA15
4C086ZA68
(57)【要約】
本発明は、限られた量のみの界面活性剤を含むX842の即時放出経口製剤に関する。本発明はまた、消化管炎症性疾患又は胃酸関連疾患、特にびらん性胃食道還流疾患(eGERD)の処置における経口製剤の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
即時放出のためのX842の経口製剤であって、
a)治療有効量のX842、及び
b)X842の量に対して約1.0から約12.0%(w/w)の量の界面活性剤
を含む経口製剤。
【請求項2】
界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項3】
界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載の経口製剤。
【請求項4】
X842の量に対して約11.0%(w/w)の界面活性剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項5】
賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤からなる群から選択される1つ又は複数の添加剤を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項6】
ラクトース一水和物である賦形剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項7】
クロスカルメロースナトリウムである崩壊剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項8】
フマル酸ステアリルナトリウムである滑沢剤を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の経口製剤であって、
a)治療有効量のX842;
b)X842の量に対して約1.0から約12.0%(w/w)の量のドデシル硫酸ナトリウム;
c)ラクトース一水和物;
d)クロスカルメロースナトリウム;及び
e)フマル酸ステアリルナトリウム
を含む経口製剤。
【請求項10】
流動促進剤を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項11】
微結晶セルロースを含まない、請求項1から10のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項12】
欧州薬局方2.9.3溶解装置2(パドル)を使用して測定した場合、30分以内に少なくとも70%の溶解を示す、請求項1から11のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項13】
欧州薬局方2.9.3溶解装置2(パドル)を使用して測定した場合、10分以内に少なくとも85%の溶解を示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項14】
欧州薬局方2.9.3溶解装置2(パドル)を使用して測定した場合、15分以内に少なくとも95%の溶解を示す、請求項1から13のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項15】
製剤の単位用量が、ヒトに経口製剤を投与してから22時間後に少なくとも約240nmol/Lの前記ヒトにおけるリナプラザンC
minをもたらす、請求項1から14のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項16】
消化管炎症性疾患又は胃酸関連疾患の処置又は予防に使用するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の経口製剤。
【請求項17】
胃炎、胃食道還流疾患(GERD)、びらん性胃食道還流疾患(eGERD)、ヘリコバクター・ピロリ感染症、ゾリンジャーエリソン症候群、消化性潰瘍疾患(胃潰瘍及び十二指腸潰瘍を含む)、出血性胃潰瘍、胃食道還流疾患の症状(胸やけ、逆流、及び吐き気を含む)、ガストリノーマ及び急性上部消化管出血の処置又は予防に使用するための、請求項1から15のいずれか一項に記載の経口製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限られた量のみの界面活性剤を含むX842の即時放出経口製剤に関する。本発明はまた、消化管炎症性疾患又は胃酸関連疾患、特にびらん性胃食道還流疾患(eGERD)の処置における経口製剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物5-{2-[({8-[(2,6-ジメチルベンジル)アミノ]-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル}カルボニル)-アミノ]エトキシ}-5-オキソペンタン酸(X842;以下に示される構造)は、WO2010/063876で開示されている。これはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であり、壁細胞において胃水素カリウムポンプ(H+/K+ ATPase)を競合的に阻害する。したがって、X842は、胃において胃酸分泌を制御するために使用することができる。
【0003】
【0004】
X842はリナプラザンのプロドラッグであり、これはWO99/55706で開示されており、第I及びII相試験ですでに研究された。これらの研究では、リナプラザンは十分に耐容性を示し、作用の開始が早く、最初の用量で十分な効果があることを示した。しかし、リナプラザンは身体から素早く消失し、酸抑制の持続期間があまりにも短かった。比較すると、X842は身体における半減期が長く、リナプラザンと比較して長い時間胃酸産生の完全な制御を示す。臨床的第I相試験は、X842の単回用量の投与が、pH4を上回る胃内酸性度を24時間維持できることを示した。したがって、X842は、重度のびらん性胃食道還流疾患(eGERD)を呈する患者に適合する。
【0005】
X842の溶解度は非常に低い。X842は、pH6.8の水中で特に不溶性であるが、pH1.0の水中での溶解度も同様に低く、約0.113mg/mLと決定されている。この低溶解度は固体経口製剤、特に活性成分が短時間でのみ溶解するべきである固体即時放出製剤に関して問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2010/063876
【特許文献2】WO99/55706
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、経口投与後、胃において急速に溶解するX842製剤が必要とされている。そのような製剤は、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の根絶及び胃酸還流疾患の処置、特に重度のびらん性胃食道還流疾患の処置に好適であるはずである。そのような製剤が1日1回の投与を可能にすれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
X842の固体製剤は、製剤が限られた量の薬学的に許容される界面活性剤を含む場合に水溶液中で急速に溶解できることが発見されている。したがって第1の態様において、本発明は、即時放出のためのX842の経口製剤であって、
a)治療有効量のX842;及び
b)X842の量に対して約12.0%(w/w)以下の量の界面活性剤
を含む経口製剤に関する。
【0009】
界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤であってもよい。カチオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、セチルトリメチルアンモニウム臭化物(セトリモニウム臭化物)及びセチルピリジニウム塩化物がある。アニオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)及びドデシル硫酸アンモニウム(ラウリル硫酸アンモニウム)がある。非イオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、モノオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、ポリオキシルヒマシ油(Cremophore EL)、ポロキサマー(例えば、poloxamer 407又は188)、ポリソルベート80及びソルビタンエステル(Tween)がある。好ましい実施形態において、界面活性剤はアニオン性界面活性剤である。更なる好ましい実施形態において、アニオン性界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムである。
【0010】
界面活性剤は、X842の量に対して約1.0%(w/w)から、X842の量に対して、例えば約2.0から約12.0%(w/w)、例えば約4.0から約12.0%(w/w)、例えば約6.0から約12.0%(w/w)、例えば約8.0から約12.0%(w/w)、又は例えば約10.0から約12.0%(w/w)の量で製剤中に存在していてもよい。製剤中の界面活性剤の量は、可能な限り低いことが好ましい。したがって、別の実施形態において、製剤は、X842の量に対して約1.0から約11.0%(w/w)、例えば約1.0から約10.0%(w/w)、例えば約1.0から約9.0%(w/w)、例えば約1.0から約8.0%(w/w)、又は例えば約1.0から約7.0%(w/w)の界面活性剤を含む。別の実施形態において、製剤は、X842の量に対して約2.0から約11.0%(w/w)、例えば約2.0から約10.0%(w/w)、例えば約2.0から約9.0%(w/w)、例えば約2.0から約8.0%(w/w)、又は例えば約2.0から約7.0%(w/w)の界面活性剤を含む。更に別の実施形態において、製剤は、X842の量に対して約4.0から約11.0%(w/w)、例えば約4.0から約10.0%(w/w)、例えば約4.0から約9.0%(w/w)、例えば約4.0から約8.0%(w/w)、又は例えば約4.0から約7.0%(w/w)の界面活性剤を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、製剤は、X842の量に対して約11.0%(w/w)以下の量の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、X842の量に対して約10.0%(w/w)以下の量の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、X842の量に対して約9.0%(w/w)以下の量の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、X842の量に対して約8.0%(w/w)以下の量の界面活性剤を含む。
【0012】
経口製剤は、賦形剤、崩壊剤、及び滑沢剤からなる群から選択される1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤を更に含んでいてもよい。
【0013】
好適な賦形剤の例としては、これらに限定されるものではないが、リン酸二カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース(例えばラクトース一水和物)、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、微結晶セルロース、乾燥デンプン、加水分解デンプン及びアルファ化デンプンがある。ある特定の実施形態において、賦形剤は、ラクトース、例えばラクトース一水和物である。
【0014】
好適な崩壊剤の例としては、これらに限定されるものではないが、乾燥デンプン、変性デンプン(例えば(部分)アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム及びカルボキシメチルデンプンナトリウム)、アルギン酸、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、及び低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC))及び架橋ポリマー(例えばカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及び架橋PVP(クロスポビドン))がある。ある特定の実施形態において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0015】
好適な滑沢剤の例としては、これらに限定されるものではないが、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、コロイド状無水シリカ、水性二酸化ケイ素、合成ケイ酸マグネシウム、微粒化酸化ケイ素、デンプン、ラウリル硫酸ナトリウム、ホウ酸、酸化マグネシウム、ワックス(例えばカルナウバワックス)、硬化油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、及び鉱油がある。ある特定の実施形態において、滑沢剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0016】
別の実施形態において、経口製剤は、
a)治療有効量のX842;
b)X842の量に対して約12.0%(w/w)以下の量のアニオン性界面活性剤;及び
c)少なくとも1つの賦形剤;
d)少なくとも1つの崩壊剤;及び
e)少なくとも1つの滑沢剤
を含む。
【0017】
別の実施形態において、経口製剤は、
a)治療有効量のX842;
b)X842の量に対して約12.0%(w/w)以下の量のドデシル硫酸ナトリウム;
c)ラクトース一水和物;
d)クロスカルメロースナトリウム;及び
e)フマル酸ステアリルナトリウム
を含む。
【0018】
1つの実施形態において、経口製剤は流動促進剤を更に含む。好適な流動促進剤の例としては、これらに限定されるものではないが、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイド状無水シリカ、合成ケイ酸マグネシウム、微粒化酸化ケイ素がある。ある特定の実施形態において、流動促進剤はコロイド状無水シリカである。
【0019】
別の実施形態において、製剤は微結晶セルロースを含まない。
【0020】
製剤の成分は、好ましくは、均質な混合物に混合され、次いで錠剤又はカプセル剤として製剤化される。成分の均質な混合物は、従来技術、例えば回転式打錠機を使用して錠剤に圧縮してもよい。或いは、混合物は、液体、例えば水及び/又は適切な有機溶媒(例えば、エタノール又はイソプロパノール)を添加することによって湿らせ、その後造粒し、乾燥してもよい。次いで得られた顆粒は、従来技術を使用して錠剤に圧縮してもよい。カプセル剤は、成分の粉末混合物又は小さな多粒子(例えば顆粒、押し出しペレット又はミニ錠剤)を含んでいてもよい。好ましい実施形態において、製剤は錠剤の形態である。
【0021】
投与されることになるX842の量は、処置されることになる患者によって異なることになり、1日あたり約0.5mg/kg~約5mg/kg体重、例えば、1日あたり約1.0mg/kg、又は1日あたり約1.5mg/kg、又は1日あたり約2.0mg/kg、又は1日あたり約2.5mg/kgに変更してもよい。投与されることになるX842の量は、患者に適切な投薬量レベルを決定する場合に、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、並びに担当医によって通常考えられる他の因子に依存することになる。
【0022】
1つの実施形態において、製剤の単位用量は、約25~約250mgのX842、例えば約50~約250mgのX842、例えば約50~約200mgのX842、又は例えば約50~150mgのX842を含む。例えば、製剤の単位用量は、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、又は約200mgのX842を含んでいてもよい。1日用量を単回用量として、又は2つ、3つ以上の単位用量に分割して投与してもよい。
【0023】
経口製剤における少量の界面活性剤(例えばアニオン性界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム)の存在は、活性成分(X842)が水性環境中に、例えば胃内容物中に素早く溶解することを可能にする。X842の溶解速度は、欧州薬局方9.0、モノグラフ2.9.3に基づいた方法を使用して、例えば実験の項において記載されているようにin vitroで容易に決定し得る。したがって、1つの実施形態において、本明細書において開示される製剤は、欧州薬局方2.9.3溶解装置2(パドル)を使用して測定した場合、30分以内に少なくとも70%の溶解を示す。より好ましい実施形態において、製剤は、欧州薬局方2.9.3溶解装置2(パドル)を使用して測定した場合、10分以内に少なくとも85%の溶解を示す。別の好ましい実施形態において、製剤は、欧州薬局方2.9.3溶解装置2(パドル)を使用して測定した場合、15分以内に少なくとも95%の溶解を示す。
【0024】
血流に吸収された後、X842は、X842の活性代謝産物であるリナプラザンに素早く代謝される。X842の血漿濃度は非常にわずかにすぎず、決定するには困難であるが、代わりにリナプラザンの血漿濃度を決定してもよい。第I相試験では、X842の特定の用量は、投与後24時間は4超の胃内pHを維持可能であるべきであるということが示されている。これは、22時間後、少なくとも約240nmol/Lのリナプラザン最小血漿濃度(Cmin)を必要とすることを推測させる。そのような用量であれば、製剤は1日1回の投与で十分であろう。その結果、別の実施形態において、本発明は、本明細書において開示される製剤であって、前記ヒトに経口製剤を投与してから22時間後に少なくとも約240nmol/LのヒトにおけるリナプラザンCminをもたらす製剤に関する。好ましい実施形態において、本発明は、本明細書において開示される製剤であって、製剤の単位用量が、前記ヒトに経口製剤を投与してから22時間後に少なくとも約240nmol/LのヒトにおけるリナプラザンCminをもたらす製剤に関する。
【0025】
特定の実施形態において、製剤は以下の組成を有する。
【0026】
【0027】
本明細書において使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、対象に投与後、処置されている疾患又は状態の症状のうちの1つ又は複数をある程度軽減することになる十分なX842の量を指す。結果としては、疾患の兆候、症状、若しくは原因の減少及び/若しくは緩和、又は生物学的システムのその他の所望の変化がある。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患症状の臨床的に顕著な減少をもたらすために必要とされるX842の量のである。任意の個々の症例における適切な「有効」量は、任意の好適な技術、例えば用量漸増研究を使用して決定される。
【0028】
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、その値又はパラメーター自体を対象とする実施形態を含む(及び記載する)、本明細書における値又はパラメーターを指す。例えば、「約20」を指す記述は、「20」の記述を含む。数値範囲は範囲を定義する数を含む。一般的に、「約」という用語は、変数の指示値、及び指示値の実験誤差の範囲内(例えば、平均に関する95%信頼区間内)又は指示値の10パーセント以内にあって、いずれか大きい方以内にある、変数の全ての値を指す。
【0029】
本明細書において開示される経口製剤は、胃酸分泌の抑制が必要な又は望ましい疾患又は状態の処置又は予防において、例えばヘリコバクター・ピロリの根絶において使用してもよい。そのような疾患及び状態の例としては、消化管炎症性疾患及び胃酸関連疾患、例えば胃炎、胃食道還流疾患(GERD)、びらん性胃食道還流疾患(eGERD)、ヘリコバクター・ピロリ感染症、ゾリンジャーエリソン症候群、消化性潰瘍疾患(胃潰瘍及び十二指腸潰瘍を含む)、出血性胃潰瘍、胃食道還流疾患の症状(胸やけ、逆流、及び吐き気を含む)、ガストリノーマ及び急性上部消化管出血がある。したがって、1つの態様において、本発明は、消化管炎症性疾患又は胃酸関連疾患の処置又は予防に使用するための本明細書において開示される経口製剤に関する。別の態様において、本発明は、消化管炎症性疾患又は胃酸関連疾患を処置又は予防するための本明細書において開示される経口製剤の使用に関する。更に別の態様において、本発明は、対象、例えばヒトにおける消化管炎症性疾患又は胃酸関連疾患を処置又は予防する方法であって、本明細書において開示される治療有効量の経口製剤をそのような処置又は予防を必要とする対象に投与することを含む方法に関する。特定の実施形態において、GERDの処置はGERDのオンデマンド処置である。
【0030】
本発明は、以下の例を用いて更に示され、この例はいかなる点においても本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
製剤の調製
X842 50mgを含む錠剤を以下の表に示す量を使用して2kg規模で調製した。
【0032】
【0033】
コロイド状無水シリカ及びX842を予混合し、ステンレス鋼メッシュに通して混合容器中にふるいにかけた。ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムをステンレス鋼メッシュに通してふるいにかけ、混合容器に添加した。およそ20分間混合容器中で混合を行った。
【0034】
フマル酸ステアリルナトリウムを粉末ブレンドのごく一部と予混合し、ステンレス鋼メッシュを通過させ、混合容器に添加した。およそ5分間混合容器中で混合を行った。
【0035】
次いで、粉末ブレンドを、回転式錠剤プレスで円形の550mg錠剤に圧縮した。圧縮錠剤をプラスチックボトル中に包装し、ラベルを貼付した。
【0036】
(実施例2)
溶解試験
実施例1の錠剤に関する溶解特性を、欧州薬局方9.0、モノグラフ2.9.3に記載されている溶解装置2(パドル)を使用して決定した。錠剤1錠を、0.2%SDSを含有する酢酸緩衝液(pH4.5)900mLを含む容器に添加し、内容物を37±0.5℃で撹拌した。溶液の試料を異なる時点で取り出し、溶解したX842の量を、UV分光光度計を使用して302nmにおいて定量化した。各実験を6回繰り返し、平均値を計算した。実施例1の錠剤に関する溶解特性を以下の表に示す。
【0037】
【0038】
(実施例3)
安定性試験
X842錠剤のバッチを、開封されたHDPEボトル中25℃及び60%相対湿度で、又はLDPE/HDPEキャップで蓋をされたHDPEボトル中、25℃及び60%相対湿度(長期貯蔵条件)若しくは40℃及び75%相対湿度(加速条件)のいずれかで貯蔵した。X842、分解生成物、及び水の各量、並びに溶解特性は、選択した時間間隔で決定することになる。
【国際調査報告】