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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】関節炎の処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/415 20060101AFI20221228BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221228BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20221228BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
A61K31/415
A61P19/02
A61P19/06
A61P29/00 101
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526156
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020081291
(87)【国際公開番号】W WO2021089783
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】1916237.9
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520004395
【氏名又は名称】インフレイゾーム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】オーネイル,ルーク
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA10
4C086NA14
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZC31
(57)【要約】
本発明は、関節炎の処置または予防における使用のための、式(I):
【化1】
の化合物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節炎の処置または予防における使用のための、式(I):
【化1】
の化合物またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項2】
前記関節炎が、痛風である、請求項1に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項3】
前記関節炎が、偽痛風である、請求項1に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項4】
前記関節炎が、関節リウマチである、請求項1に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項5】
前記関節炎が、変形性関節症である、請求項1に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項6】
前記処置または予防が、炎症の処置または予防を含む、いずれかの前記請求項に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項7】
前記処置または予防が、前記化合物または前記その塩の経口投与を含む、いずれかの前記請求項に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項8】
前記化合物または塩が、ナトリウム塩である、いずれかの前記請求項に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項9】
前記化合物または塩が、一ナトリウム塩である、いずれかの前記請求項に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項10】
前記化合物または塩が、一水和物である、いずれかの前記請求項に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項11】
前記化合物または塩が、結晶性である、いずれかの前記請求項に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項12】
前記化合物または塩が、結晶性一ナトリウム一水和物塩である、任意の前記請求項に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項13】
4.3°2θ、8.7°2θ、および20.6°2θ(全て±0.2°2θ)にピークを含むXRPDスペクトルを有する、請求項12に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項14】
XRPDスペクトルを有しその中の10個の最も強いピークが4.3°2θ、6.2°2θ、6.7°2θ、7.3°2θ、8.7°2θ、9.0°2θ、12.1°2θ、15.8°2θ、16.5°2θ、18.0°2θ、18.1°2θ、20.6°2θ、21.6°2θ、および24.5°2θ(全て±0.2°2θ)から選択される2θ値を有する5個以上のピークを含む、請求項12または13に記載の使用のための化合物または塩。
【請求項15】
医薬的に許容できる賦形剤といずれかの前記請求項に記載の使用のための化合物または塩とを含む医薬組成物。
【請求項16】
経口投与に適する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
それを必要とする患者における関節炎の処置または予防のための方法であって、式(I):
【化2】
の化合物またはその医薬的に許容できる塩の治療的または予防的に効果的な量を前記それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項18】
前記関節炎が、痛風である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記関節炎が、偽痛風である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記関節炎が、関節リウマチである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記関節炎が、変形性関節症である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記処置または予防が、炎症の処置または予防を含む、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記処置または予防が、前記化合物または前記その塩の経口投与を含む、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物または塩が、ナトリウム塩である、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物または塩が、一ナトリウム塩である、請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物または塩が、一水和物である、請求項17~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物または塩が、結晶性である、請求項17~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物または塩が、結晶性一ナトリウム一水和物塩である、請求項17~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記結晶性一ナトリウム一水和物塩が、4.3°2θ、8.7°2θ、および20.6°2θ(全て±0.2°2θ)にピークを含むXRPDスペクトルを有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記結晶性一ナトリウム一水和物塩が、XRPDスペクトルを有しその中の10個の最も強いピークが4.3°2θ、6.2°2θ、6.7°2θ、7.3°2θ、8.7°2θ、9.0°2θ、12.1°2θ、15.8°2θ、16.5°2θ、18.0°2θ、18.1°2θ、20.6°2θ、21.6°2θ、および24.5°2θ(全て±0.2°2θ)から選択される2θ値を有する5個以上のピークを含む、請求項28または29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節炎の処置または予防における使用のための、式(I):
【化1】
の化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
関節炎は、痛風、偽痛風、関節リウマチおよび変形性関節症を含む。
【0003】
NLRP3は、痛風および偽痛風の病原性に関連づけられている(Wen et al., Nature Immunology, 13: 352-357, 2012; Duewell et al., Nature, 464: 1357-1361, 2010; Strowig et al., Nature, 481: 278-286, 2012;およびKluck et al., The Lancet Rheumatology, 2(5): E270-E280, 2020)。痛風は、比較的一般的な疾患であり、欧州では1~2%、および米国では3~4%の有病率である。現行の薬物療法は、抗炎症的/鎮痛的処置および血清尿酸塩濃度の低下に重点を置いている。慢性処置相では、最大処置に適切に応答しない患者の下位集団が存在する。これは、薬物への過敏症または有害事象が原因である可能性がある。「難治性痛風患者」と呼ばれるこれらの患者は、著しいアンメットニーズを有する。偽痛風は、NLRP3を活性化するピロリン酸カルシウム結晶により介在されると考えられる。
【0004】
変形性関節症(OA)は、世界の関節炎の最も一般的な形態であり、人口のおよそ3.5%が冒されている。変形性関節症は、炎症性タンパク質およびプロテアーゼが関節破壊を引き起こすと、引き起こされる。NLRP3活性化は、炎症成分を駆動することが示されており、その阻害は、疾患進行を停止し得る(Jin et al., PNAS, 108(36): 14867-14872, 2011; Guo et al., Clin Exp Immunol, 194(2): 231-243, 2018; Braddock et al., Nat Rev Drug Disc, 3: 1-10, 2004; McAllister et al., Osteoarthritis and Cartilage, 26(5): 612-619, 2018;およびRidger et al., New England J Medicine, 377: 1119-1131, 2017)。
【0005】
関節リウマチ(RA)もまた、比較的一般的であり、人口のおよそ1%が冒されており、関節リウマチもまた、NLRP3に関与することが示されている(Masters, Clin Immunol, 147(3): 223-228, 2013; Braddock et al., Nat Rev Drug Disc, 3: 1-10, 2004; Inoue et al., Immunology, 139: 11-18, 2013; Scott et al., Clin Exp Rheumatol, 34(1): 88-93, 2016; Guo et al., Clin Exp Immunol, 194(2): 231-243, 2018;およびDong et al., Cellular & Molecular Immunology, 17: 261-271, 2020)。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式(I)の化合物が、最も特別には経口経路を介して、関節炎の処置において特に効果的である、という発見に基づく。
【0007】
本発明の第一の態様において、関節炎の処置または予防における使用のための、式(I):
【化2】
の化合物またはその医薬的に許容できる塩が提供される。
【0008】
一実施形態において、関節炎は、難治性痛風などの痛風である。別の実施形態において、関節炎は、偽痛風である。別の実施形態において、関節炎は、関節リウマチである。別の実施形態において、関節炎は、変形性関節症である。
【0009】
一実施形態において、処置または予防は、炎症の処置または予防を含む。典型的には、炎症の処置または予防は、NLRP3阻害を介して実現される。本明細書で用いられる用語「NLRP3阻害」は、NLRP3の活性レベルの完全な、または部分的な低減を指し、例えば活性NLRP3の阻害および/またはNLRP3活性化の阻害を包含する。
【0010】
一実施形態において、処置または予防は、化合物またはその塩の経口投与を含む。
【0011】
一実施形態において、化合物または塩は、一ナトリウム塩などの、ナトリウム塩である。一実施形態において、化合物または塩は、一水和物である。一実施形態において、化合物または塩は、結晶性である。一実施形態において、化合物または塩は、結晶性一ナトリウム一水和物塩である。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、4.3°2θ、8.7°2θ、および20.6°2θ(全て±0.2°2θ)にピークを含むXRPDスペクトルを有する。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、XRPDスペクトルを有し、その中の10個の最も強いピークは、4.3°2θ、6.2°2θ、6.7°2θ、7.3°2θ、8.7°2θ、9.0°2θ、12.1°2θ、15.8°2θ、16.5°2θ、18.0°2θ、18.1°2θ、20.6°2θ、21.6°2θ、および24.5°2θ(全て±0.2°2θ)から選択される2θ値を有する5個以上のピークを含む。XRPDスペクトルは、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載された通り得られてよい。
【0012】
一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載される通りである。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載される多形体を有する。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載される方法に従って調製される。
【0013】
本発明の第二の態様において、医薬的に許容できる賦形剤と、本発明の第一の態様の化合物または塩とを含む医薬組成物が提供される。一実施形態において、医薬組成物は、経口投与に適する。
【0014】
本発明の第三の態様において、それを必要とする患者における関節炎の処置または予防のための方法であって、式(I):
【化3】
の化合物またはその医薬的に許容できる塩の治療的または予防的に効果的な量を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。
【0015】
一実施形態において、関節炎は、難治性痛風などの痛風である。別の実施形態において、関節炎は、偽痛風である。別の実施形態において、関節炎は、関節リウマチである。別の実施形態において、関節炎は、変形性関節症である。
【0016】
一実施形態において、処置または予防は、炎症の処置または予防を含む。典型的には、炎症の処置または予防は、NLRP3阻害を介して実現される。
【0017】
一実施形態において、処置または予防は、化合物またはその塩の経口投与を含む。
【0018】
一実施形態において、化合物または塩は、一ナトリウム塩などの、ナトリウム塩である。一実施形態において、化合物または塩は、一水和物である。一実施形態において、化合物または塩は、結晶性である。一実施形態において、化合物または塩は、結晶性一ナトリウム一水和物塩である。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、4.3°2θ、8.7°2θ、および20.6°2θ(全て±0.2°2θ)にピークを含むXRPDスペクトルを有する。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、XRPDスペクトルを有し、その中の10個の最も強いピークは、4.3°2θ、6.2°2θ、6.7°2θ、7.3°2θ、8.7°2θ、9.0°2θ、12.1°2θ、15.8°2θ、16.5°2θ、18.0°2θ、18.1°2θ、20.6°2θ、21.6°2θ、および24.5°2θ(全て±0.2°2θ)から選択される2θ値を有する5個以上のピークを含む。XRPDスペクトルは、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載された通り得られてもよい。
【0019】
一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載される通りである。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載される多形体を有する。一実施形態において、結晶性一ナトリウム一水和物塩は、全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2019/206871号に記載される方法に従って調製される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】膝径(Knee Diameters)の変化
図2】疼痛感受性尺度(フォン・フライの毛)
図3】膝径の変化
図4】疼痛感受性尺度(フォン・フライの毛)
【発明を実施するための形態】
【0021】
実験 - 予防的有効性
目的
雄ウィスターラットのげっ歯類モデルMSU誘発膝炎症(痛風)において式(I)の化合物での予防的処置の経口抗炎症的および抗侵害受容的有効性を決定することである。
【0022】
プロトコル
A.MSU結晶の調製
1.4gの尿酸を、0.03N NaOH 800mlに溶解し、60℃に加熱した。NaOHを、必要に応じて添加して、pH8.9を維持した。溶液を、4~8℃で一晩貯蔵した。
2.結晶を、濾過し、洗浄し、乾燥させた。
3.結晶を、使用の直前に、滅菌生理食塩水に懸濁した。
【0023】
B.有効性試験:
1.ラットを、各群が類似の平均体重を有するように、群あたり10匹で5群に分配した。
2.-1日目。ベースラインの読み取りを行った。ベースラインの膝径(knee diameters)を、デジタルキャリパーにより測定した。フォン・フライファイバーにより測定される、機械的アロディニアへのベースライン応答を、記録した。
3.0日目:
a.ラットを、体重測定し、ビヒクル、プレドニゾロン(10mg/kg)または式(I)の化合物(1、3または10mg/kg)での強制経口投与により投薬した。
b.投薬の1時間後に、群1~5のラットに、麻酔をかけ、生理食塩水50μl中の2mgのMSUを左膝にIA注射した。
4.1日目:
a.ラットを、0日目と同様に体重測定し投薬した。
b.投薬の1時間後に、機械的アロディニアおよび膝径を、測定し記録した。
5.2日目:
a.ラットを、0日目と同様に体重測定し投薬した。
b.投薬の1時間後に、機械的アロディニアおよび膝径を測定し記録した。
c.最終投薬の4時間後に、終末血を収集した。
【0024】
結果(図1および2)
疾患の発症
1mg/kgのPBSの1日1回の経口投与は、動物の健康状態に影響を有しなかった。罹患したラットにおいて、左膝への2mgのMSUの関節内注射は、0日目の12.2mmから2日目の15.8mmへの有意な左膝径増加をもたらした。罹患したラットにおける機械的アロディニアヘの応答は、0日目の圧力13.0gから2日目の圧力4.8gに降下し、疼痛応答の増加を示した。
【0025】
プレドニゾロンでの処置の影響
2mgのMSUでの関節内チャレンジの1時間前に開始した、10mg/kgプレドニゾロンの1日1回経口投与は、動物の体重への有意な影響を有しなかった。この処置は、MSU刺激による膝浮腫の有意な52%阻害をもたらした。この処置レジメンはまた、応答の誘起に必要とされる圧力量の有意な増加により反映される通り、疼痛への有意な非感受性をもたらした。
【0026】
式(I)の化合物での処置の影響
2mgのMSUでの関節内チャレンジの1時間前に開始した、PBS中の式(I)の化合物(ナトリウム塩)の1日1回経口投与は、動物の体重への有意な影響を有しなかった。この処置レジメンは、MSU刺激による応答の有意な用量依存的阻害をもたらした。高用量(10mg/kg、群3)では、MSU刺激による膝浮腫が、プレドニゾロンで観察された影響と類似して49%低減された。式(I)の化合物のこの用量はまた、MSU刺激による膝浮腫に関連した疼痛の完全な遮断をもたらした。式(I)の化合物の中間用量(3mg/kg、群4)と高用量の間に、有意差はなかった。低用量(1mg/kg、群5)では、膝浮腫が有意に34%低減され、疼痛応答が66%低減された。過去の試験では、式(I)の化合物の30mg/kg経口用量が、10mg/kg用量と類似の有効性を与えた。
【0027】
結論
式(I)の化合物の連日経口投与は、MSU誘発浮腫および疼痛の有意な用量依存的低減をもたらした。3mg/kgおよび10mg/kgでは、その影響は、10mg/kgプレドニゾロンでの観察と類似していた。
【0028】
実験 - 治療的有効性
目的
雄ウィスターラットのげっ歯類モデルMSU誘発膝炎症(痛風)において式(I)の化合物での治療的処置の経口抗炎症的および抗侵害受容的有効性を決定することである。
【0029】
プロトコル
0日目
300mgのMSU結晶を、7.5mlのPBS(Sigma、Cat.D8662、lot.RNBG0405、exp.4/2019)に懸濁して、40mg/ml懸濁液を調製した。材料を、音波処理中の水浴の中に保持して、注射間隔での均質な懸濁を維持した。ラットを、体重測定した。
【表1】
【0030】
ラットに、麻酔をかけ(SOP 1810)、膝を剃毛し、1mlシリンジに取り付けた25G針を用いて、左膝に50μlのMSU(2mg)結晶を注射した。
【0031】
1~3日目 連日投与
群1=PBS(Sigma、Cat.D8662、lot.RNBG0405、exp.4/2016)。1mg/kg,POで投薬。
群2=アナキンラ(100mg/0.67ml、Sobi、lot31301-1B、exp.3/2020)。0.335ml/kg,IPで投薬。
群3=37mgの式(I)の化合物を、3.7mlのPBSに溶解して、10mg/ml溶液を調製した。1mg/kg,POで投薬。
【0032】
テスト材料を、毎日新たに調製した。全てのラットを、体重測定し、腹腔内注により、または経口的に投薬した。機械的アロディニア応答および膝径を、投薬の1時間後に記録した。
【0033】
3日目の投薬の4時間後に、ラットに、麻酔をかけ、予備冷却されたKEDTAバキュテーナチューブ(Becton Dickinson、Cat.367844、lot 6253682、exp.01/31/2018)中に放血した。血液を、血漿へと処理し、穏やかに混合し、血液収集の10分以内に4℃、1800gで10分間遠心分離し、これを2つの90μl最小容量で貯蔵し、4つの20μlの分割量を、ラベル表示されたエッペンドルフ管で調製し、直ちに-80℃で凍結貯蔵した。死骸を、適宜処分した。
【0034】
結果(図3および4)
疾患の発症
1、2および3日目の1mg/kgのPBSの1日1回の経口投与は、動物の健康状態に影響を有しなかった。罹患したラットにおいて、左膝への2mgのMSUの関節内注射は、ベースラインの12.2mmから3日目の15.0mmへの有意な左膝径増加をもたらした。罹患したラットにおける機械的アロディニアヘの応答は、ベースラインでの圧力14.6グラムから3日目の圧力5.8グラムに降下し、疼痛応答におけるより高い感受性を示した。
【0035】
アナキンラでの処置の影響(群2)
1、2および3日目の50mg/kgのアナキンラの1日1回の腹腔内投与は、動物の健康状態に影響を有しなかった。アナキンラ処置ラットにおいて、左膝への2mgのMSUの関節内注射は、ベースラインの12.4mmから3日目の14.0mmへの左膝径増加をもたらした。アナキンラ処置ラットにおける機械的アロディニアヘの応答は、ベースラインでの圧力13.9グラムから3日目の圧力9.0グラムに増加し、疼痛応答におけるより高い感受性を示した。群2と群1(疾患-ビヒクル)の間に、統計学的有意差がある。
【0036】
式(I)の化合物での処置の影響(群3)
1、2および3日目の10mg/kgの式(I)の化合物の1日1回の経口投与は、動物の健康状態に影響を有しなかった。式(I)の化合物で処置されたラットにおいて、左膝への2mgのMSUの関節内注射は、ベースラインの12.3mmから3日目の13.6mmへの左膝径増加をもたらした。式(I)の化合物での処置ラットにおける機械的アロディニアヘの応答は、ベースラインでの圧力14.5グラムから3日目の圧力12.5グラムに増加し、疼痛応答におけるより高い感受性を示した。群3と群1(疾患-ビヒクル)の間に、統計学的有意差がある。
【0037】
結論
10mg/kgでの式(I)の化合物の経口連日投与および50mg/kgでのアナキンラの腹腔内注射による連日投与は、MSU誘発浮腫および疼痛の有意な低減をもたらした。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】