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特表2023-500937ネック認証を実施するためのテスト振り子装置とテスト振り子装置の操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ネック認証を実施するためのテスト振り子装置とテスト振り子装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
G01M7/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526372
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2020080733
(87)【国際公開番号】W WO2021089497
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102019129721.4
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522178016
【氏名又は名称】アーテーデー-ラブテック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ATD-LABTECH GMBH
【住所又は居所原語表記】Dieselstrasse 1 63843 Niedernberg Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】ファイファー、ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ジングスニス、クリストフ
(57)【要約】
衝突試験ダミー認証を行うためのテスト振り子装置(2)のための制動装置システム(14、18、22)であって、制動装置(14、18、22)は衝突試験ダミーの頭頸部アセンブリ(10)を配置することができる移動振り子(4)を下部制動領域(B)で制動し、ここで、制動装置(14)は、定義された制動領域(B)において振り子(4)と接触し、プランジャ(30)によって及ぼされる制動力(FB)によって振り子(4)を制動するように設計されているモーター装置(32)によって軸方向に作動可能なプランジャ(30)を有すことを説明する。また、テスト振り子装置(2)およびテスト振り子装置(2)を操作する方法についても説明する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突試験ダミー認証を行うためのテスト振り子装置(2)のための制動装置システムであって、
衝突試験ダミーの頭頸部アセンブリ(10)を配置できる移動振り子(4)を下部制動領域(B)で制動するための制動装置(14)を備え、
前記制動装置(14)は、定義された制動領域(B)において前記振り子(4)と接触しおよびプランジャ(30)によって及ぼされる制動力(FB)によって前記振り子(4)を制動するように設計されているモーター装置(32)によって軸方向に作動可能な前記プランジャ(30)を有する、制動装置システム。
【請求項2】
前記振り子(4)の瞬間的な位置を決定するために前記振り子(4)に配置する位置センサー(22)を備える制動装置システムであって、
前記位置センサー(22)および前記制動装置(14)に結合されるコントローラ(18)が設けられ、
前記コントローラ(18)は、前記位置センサー(22)からの信号に応じて前記モーター装置(32)を制御するように適合されている、請求項1に記載の制動装置システム。
【請求項3】
前記モーター装置(32)は、少なくとも2つのリニアモーター(46.1、46.2、46.3、46.4、46.5、46.6)を備え、
前記プランジャ(30)は、モーターキャリッジ(40)に固定され、
前記モーターキャリッジ(40)は、前記リニアモーター(46.1、46.2、46.3、46.4、46.5、46.6)にガイドされ、
前記リニアモーター(46.1,46.2,46.3,46.4,46.5,46.6)は、前記モーターキャリッジ(46.1,46.2,46.3,46.4,46.5,46.6)の横方向に配置される、請求項1または請求項2に記載の制動装置システム。
【請求項4】
プランジャ(30)は、点支持されるおよび/または、交換可能な先端(38)を備える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の制動装置システム。
【請求項5】
前記制動装置(14)は、前記プランジャ(30)の底付きを防止するためのダンパ(54)を有す、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の制動装置システム。
【請求項6】
前記制動装置(14)は、変形部材を固定するための留め具(50)を備える、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の制動装置システム。
【請求項7】
衝突試験ダミー認証を行うためのテスト振り子装置であって、
上側回転軸(Z)を中心として第1端(4・1)に回転可能に配置され、第2端(4・2)に衝突試験ダミーの頭頸部アセンブリ(10)を配置するための受け部(9)を有する剛性振り子(4)を備え、
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の制動装置(14)が設けられる、テスト振り子装置。
【請求項8】
少なくとも1つの駆動部(12)が、前記振り子(4)を上方の開始位置から加速させるために設けられている、請求項7に記載のテスト振り子装置。
【請求項9】
前記位置センサー(22)は、振り子軸(Z)に配置されている、請求項7または請求項8に記載のテスト振り子装置。
【請求項10】
前記振り子(4)を開始位置に持ち上げるための持ち上げ装置(28)が設けられ、
前記持ち上げ装置(28)は、制動領域(B)に入ると前記振り子(4)が自由に旋回するように、切断可能な駆動部(24)を備える、
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のテスト振り子装置。
【請求項11】
前記振り子(4)は、少なくとも1つの駆動部(24)の助けによって上方の開始位置に偏向され、上方の開始位置から加速され、制動装置(14)によって下方制動領域(B)でモーターによって制動される、請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のテスト振り子装置(2)を動作させるための方法。
【請求項12】
プランジャ(30)を伸長位置にし、前記振り子(4)の位置に応じて、最初に振り子方向(P)に加速し、次にモーター力を加えることによって前記振り子(4)と共に前記振り子方向に対して減速する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プランジャ(30)が、前記振り子方向(P)への加速と前記振り子方向(P)に対する減速との間で前記振り子方向(P)への移動を実行する、請求項12に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、テスト振り子装置の制動装置システム、ネック認証を行うためのテスト振り子装置、およびテスト振り子装置の操作方法について説明する。テスト振り子装置は、衝突試験用ダミーの認定に使用されている。
【背景技術】
【0002】
自動車業界では、事故時の乗員保護に関する自動車の安全性を試験するために、衝突試験用ダミーが使用されている。そのために、前面衝突、側面衝突、後面衝突、ロールオーバーテストなど、さまざまな標準化された衝突試験が行われている。衝突試験用ダミーは、試験対象の自動車に設置されるなどして、適切な衝突試験が実施される。
【0003】
使用される衝突試験用ダミーには、衝突試験用ダミーへの衝突の衝撃を測定できるように、多くのセンサーが搭載されている。多くの場合、使用されるセンサーは、力センサー、変位センサー、加速度センサーである。衝突試験中に発生する加速度、貫通力、力をこれらのセンサーで測定し、記録する。その後、測定データを査定し、負荷の検証を行う。
【0004】
衝突試験用ダミーは、その特性上、人間を模して作られている。これは寸法、可動性、重量などを指す。そのため、衝突試験用ダミーの取り扱いは難しい。
【0005】
衝突試験用ダミーは、信頼性の高い値を返すために、定期的に認証を受けなければならない。衝突試験用ダミーのメカニクスセンサーで構成される計測チェーンは、認証のためにチェックされなければならない。そのためには、数多くのさまざまな試験が必要である。
【0006】
いくつかの試験では、幾何学的形状、質量、重心位置が規定されたテスト振り子を、頭部および頸部のアセンブリを伸ばした状態でアルミニウムハニカム構造体に衝突させる。この振り子は、既知の質量と精密に定義された振り子の運動とにより、衝撃時の運動量が精密に定義される。この精度を利用して、衝突試験用ダミーの頭部および頸部のアセンブリが、正確に定められた衝撃に対してどのような応答をするかを試験する。狭い範囲の数値に収まらない挙動があれば、衝突試験用ダミーの頭頸部アセンブリに欠陥があると判断し、欠陥のある機構部品を交換する。衝突試験用ダミーの認証は、衝突試験用ダミー測定システムが正しい値を提供することを保証し、車両承認試験の実施や適切な拘束システムの目標開発を可能にする。
【0007】
上記のテスト振り子を使用する一般的な認証装置は、テスト振り子を中心に設計されている。そのため、天井の低い部屋では、基準点の高さが人間工学的に好ましくない低さになる。また、1体の衝突試験用ダミーを認定するためには、テスト振り子で数回の試験を行う必要がある。この実施には多くの経験が必要で、非常に正確でなければならない。この作業には時間がかかるため、1日に完了できる認証の数はわずかである。また、認証の際に衝突試験を行うためのダミーが用意できない。認証試験所の運営は必要だが、不経済である。
【0008】
衝突試験用ダミーの認定に必要な試験装置、特に使用する振り子は、大きな距離でたわませる必要があるため、スペース要求が高い。そのため、対応する衝突試験用ダミー認証施設の建設・運用は複雑なものとなる。一方では、十分な広さの部屋を用意し、他方では、動作中の事故、特にスイングするテスト振り子との衝突に対する機器の安全性を確保しなければならない。
【0009】
衝突試験用ダミーの頸椎の認証では、剛体振り子に頸椎を固定し、これに衝突試験用ダミーの頭頚部アセンブリを取り付けることが適用規格として定められている。振り子は上方に偏向し、そこから重力によって加速され、振り子は変形可能なアルミニウムハニカムに衝突し、その勢いは衝突試験用ダミーの頭頸部アセンブリの頸椎を振り切る。頭頸部アセンブリのスイングスルーをもとに、衝突試験用ダミーの頸椎が要求を満たしているかどうかを確認することが可能である。振り子の上方へのたわみは、アルミニウムハニカムの領域にある基準点に対して最大125°までとなる。現行規格では、振り子の回転軸と中心軸とから衝撃面(ハニカムの取り付け面)までの114.3mmが基準点となっている。これはおよそ、圧縮されたハニカムを定義する位置である。つまり、頭頸部アセンブリを十分に加速させるためには、水平より上に偏向させる必要がある。これは、一方ではコストがかかり、他方では従来の建築物では困難な構造的要件が要求される。
【0010】
DE 10 2015 006 507 A1から、衝突試験ダミー認証を実施するためのテスト振り子装置が知られており、これは、第1の端部に上部回転軸を中心に回転可能に配置され、第2の端部に衝突試験ダミーの頭部および頸部アセンブリ用の受け部を有する剛性振り子を備え、少なくとも一つの水平駆動および少なくとも一つの垂直駆動が設けられており、水平駆動および垂直駆動は、振り子を加速するために設けられている。
【0011】
テスト振り子が当たるアルミニウムハニカムは、認証に必要な全ての振り子試験でブロックから切り出し、試験前に交換する必要がある。必要な遅延パルスは、ハニカムの数、予備圧縮、配置位置に影響され、各試験で適切なハニカムを繰り返し見つける必要がある。対応する試験用分配装置の操作は、非常に熟練したオペレーターを必要とし、非常に時間がかかるため、高価なものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、課題は、対応するテスト振り子装置が従来のテスト振り子装置よりもセットアップを必要としないように、上記のタイプのテスト振り子装置およびテスト振り子装置を操作する方法をさらに開発することである。
【0013】
この目的は、請求項1によるテスト振り子装置のための制動装置システム、独立する請求項7によるテスト振り子装置、および独立する請求項11によるテスト振り子装置を操作するための方法によって解決される。テスト振り子装置のさらなる実施形態、ならびにテスト振り子装置を操作するための方法は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
衝突試験ダミー認証を行うためのテスト振り子装置のための制動装置システムであって、衝突試験ダミーの頭頸部アセンブリを配置できる移動振り子を下部制動領域で制動するための制動装置を備え、制動装置は、定義された制動領域において振り子と接触しおよびプランジャによって及ぼされる制動力によって振り子を制動するように設計されているモーター装置によって軸方向に作動可能なプランジャを有す、制動装置システムに関する記載がなされている。
【0015】
従来のテスト振り子は、冒頭に述べたように、振り子の侵入によって変形し、衝突試験用ダミーの頭頸部アセンブリが位置する移動振り子の運動エネルギーを消散させるアルミニウムハニカム構造体を備えているのが一般的である。このため、個々の認証毎にアルミニウムハニカム構造体を交換する必要がある。そのため、セットアップにかかる費用と時間とが膨大になり、単位時間当たりの試験実施可能回数が減少してしまう。
【0016】
制動装置の助けにより、アルミニウムハニカム構造体の制動効果を正確に再現することができるので、従来のテスト振り子装置よりも単位時間当たりの対応するテスト振り子装置をはるかに多く使用することができ、アルミニウムハニカム構造体のためのコストを回避することができる。また、アルミニウムハニカム構造体は一度に一回しか使用できないため、検定時に発生する廃棄物を減らすことができる。
【0017】
一実施形態によれば、定義された制動領域は、従来のテスト振り子装置におけるアルミニウムハニカム構造体によって占められる領域である。この領域では、頭頸部アセンブリが取り付けられた振り子が短い距離で減速され、これにより、慣性によって、頭頸部アセンブリのネックが揺れ、弾性的に曲がる。曲げ量はダミー毎に標準化または定義されており、頭頸部アセンブリに備えられたセンサーによって正しく記録されなければならない。これをテスト振り子装置で確認し、必要に応じてセンサーの調整を行い、頭頸部アセンブリの認定を行う。センサーが許容範囲外の測定値を示した場合、欠陥がある可能性があり、修理やメンテナンスの必要性がある。
【0018】
既存のテスト振り子装置をより効率的に運用するために、対応する制動装置システムを従来のテスト振り子装置に後付けすることができる。
【0019】
特に、振り子は、例えば、管、特に角管からなる剛体振り子であってもよい。
【0020】
頭頸部アセンブリを配置するために、頭頸部アセンブリ受け部が振り子に設けられてもよい。このような頭頸部アセンブリ受け部は、規範化または標準化されてもよい。頭頸部アセンブリ受け部は、さらに、異なる頭頸部アセンブリのタイプの仕様を可能にすることができる。
【0021】
第1のさらなる実施形態では、振り子の瞬間位置を決定するために振り子に配置される位置センサーが設けられ、位置センサーおよび制動装置に結合されるコントローラが設けられ、コントローラは、位置センサーからの信号に応答してモーター装置を制御するように配置されている。
【0022】
振り子の角度位置を監視し、それをコントローラに送信するために、対応する位置センサーを特に振り子の上部回転軸に配置することができる。位置センサーは、特に、デジタル位置センサー、例えば、光学式位置センサーでもよい。アナログの位置センサーも可能で、分解能は高いが、定期的に調整する必要があり、ノイズの挙動により環境条件に対する要求が高くなる。
【0023】
位置センサーとコントローラとの助けにより、振り子の現在の位置に応じてモーター装置を制御することが可能で、例えば、時間内に制動力を加えることができるようにすることができる。
【0024】
このためには、制動装置のプランジャの位置も把握しておく必要がある。これは、位置センサーの助けを借りて行うことができる。
【0025】
より高度な実施形態では、このような位置センサーは、ガイド、例えばボールレールガイドに組み込まれた測定システムによって提供されることができる。これにより、振り子とプランジャの動きを同期させることができる。
【0026】
さらに、いくつかの実施形態では、より高度な機能、例えば、騒音、振動、および衝撃を低減するために、振り子とプランジャとが比較的スムーズに接触するようにプランジャを振り子の方向に始動させることが可能である。特に後者では、衝撃が頭頸部アセンブリの測定装置で確認できる可能性があるため、試験手順の精度を向上させることができる。振り子方向は、振り子が揺れる方向、すなわち制動装置の方向である。
【0027】
別のさらなる実施形態では、モーター装置が少なくとも2つのリニアモーターを有し、プランジャがモーターキャリッジに固定され、モーターキャリッジがリニアモーターにガイドされ、リニアモーターがモーターキャリッジの横方向に配置され得る。
【0028】
リニアモーターを2台以上使用することで、リニアモーターの力を加算することができるため、非常に大きな力を発生させ、振り子と頭頸部アセンブリとを非常に短い距離で減速させることが可能である。リニアモーターは力のカーブを定義することができるため、アルミニウムハニカム構造体の挙動を十分な精度で再現することが可能である。
【0029】
より高度な実施形態では、モーターキャリッジがプランジャの両側に配置され得る。
【0030】
これにより、駆動によるプランジャの横方向のモーメントを回避し、ジャミングを防止することができる。
【0031】
別のより高度な実施形態では、4つ以上のリニアモーターが設けられ、リニアモーターがプランジャの両側に配置され、少なくとも2つのリニアモーターが互いに積み重ねて配置され得る。
【0032】
これにより、リニアモーターを非常にコンパクトに(振り子方向から見て)プランジャの左右に配置し、プランジャと結合させることができる。結合には、例えば、プランジャが固定され、振り子方向に移動できるように配置されたモーターキャリッジを設けることができる。モーターキャリッジは、スタックを有するリニアモーターに結合される。
【0033】
また、より高度な実施形態として、プランジャが点支持されている、および/または、先端が交換可能であり得る。
【0034】
これにより、モーター装置に横方向の力がかかるのを避け、振り子とプランジャとの接触条件を定義しやすくなる。
【0035】
交換可能な先端部により、主にプランジャで発生する摩耗が発生した場合に、ブレーキ装置を簡単に修理できる。
【0036】
別のより高度な実施形態では、制動装置が、プランジャの打ち抜きを防止するためのダンパを有することが提供され得る。
【0037】
これにより、緊急停止や故障の際の制動装置の破損を防ぐことができる。
【0038】
また、より高度な実施形態として、プランジャが伸長状態でバネにより予圧されてもよい。
【0039】
これにより、制動装置の操作上の安全性をさらに高めることができる。例えば、バネは、停電時にプランジャを可能な限り後退させて、制動装置から突出するプランジャの自由長を減少させ、制御不能な振り子衝撃の間にプランジャが折れるのを防止することができる。
【0040】
別のより高度な実施形態では、制動装置が、変形要素を取り付けるための取付装置を備え得る。
【0041】
これは、アルミニウムハニカム構造が必須である特定の試験において有用である可能性がある。さらに、制動装置は、最初に同じセンサーを使用してアルミニウムハニカム構造体を用いた試験を実施し、そのように制動装置を使用してセンサーがアルミニウムハニカム構造体を用いた場合と同じ信号を検出するまで制動装置を調整することによって、調整することができる。
【0042】
第1の独立主題は、衝突試験用ダミー認証を行うためのテスト振り子装置であって、第1の端部に上部回転軸を中心に回転可能に配置され、第2の端部に衝突試験用ダミーの頭頸部アセンブリを配置するための受け部を有する剛性振り子を含み、先に述べたタイプの制動装置が設けられる。
【0043】
このようなテスト振り子装置により、少ないセットアップコストと時間で効率的な運用が可能になる。
【0044】
振り子は、該当する規格に準拠することができ、例えば、長方形管として設計することができる。重量、長さ重心なども該当する規格に準拠することができる。
【0045】
しかしながら、より高度な実施形態では、対応する力および減速曲線は、適用規格を満たすように振り子の特性から独立して制動装置によって再現され得る為、振り子の規格から逸脱し、代わりに最適化された振り子を使用することも可能である。これにより、例えばテスト振り子の慣性質量および/または振動挙動を最適化した場合、試験品質の向上を達成することができる。
【0046】
頭頸部アセンブリを固定するために、頭頸部アセンブリ受け部を振り子に設けてもよい。このような頭頸部アセンブリ受け部は、規範化または標準化されてもよい。頭頸部アセンブリ受け部は、さらに、異なる頭頸部アセンブリのタイプの仕様を可能にすることができる。
【0047】
第1の、より高度な実施形態において、振り子を上方の開始位置から加速するための少なくとも1つの駆動部が設けられ得る。
【0048】
駆動部は、振り子の上端、特に回転軸に係合することができる。
【0049】
駆動部の助けにより、剛体振り子は重力のみによるよりも加速することができ、これにより、振り子と頭頸部アセンブリとを意図した速度まで加速させるのに必要な時間を短縮することができる。125°の偏向の代わりに、より小さな偏向、例えば90°または90°未満を設けることができる。駆動部は、制動領域(基準点)に到達したときに、頭頸部のアセンブリが正確に正しい速度になるようにする。この駆動部は、振り子を開始位置まで上昇させ、上部の開始位置への移動を容易にするために使用することも可能である。
【0050】
また、より高度な別の実施形態として、位置センサーが振り子軸上に配置されてもよい。
【0051】
これにより、振動軸上で直接位置測定を行うことができるため、位置センサーのコンパクトな設計を実現することができる。
【0052】
また、制動装置システムの場合、対応する位置センサーを簡単に後付けすることができる。
【0053】
別のより高度な実施形態では、振り子を開始位置に持ち上げるための持ち上げ装置が設けられ、この持ち上げ装置は、制動領域に入ると振り子が自由にスイングするように、切断可能な駆動部を有し得る。
【0054】
そのため、振り子を手で持ち上げる必要がなく、肉体的な負担が軽減され、認証の実行速度が速くなる。
【0055】
さらなる独立した目的は、上述のタイプのテスト振り子装置を操作するための方法に関し、振り子が、少なくとも1つの駆動部の助けによって上方開始位置に偏向され、上方開始位置から加速され、制動装置によって下方制動領域でモーターによって制動される。
【0056】
当該手法を用いることで、アルミニウムハニカム構造体を用いた従来のテスト振り子装置を、より効率的な手法に置き換えることが可能となる。
【0057】
さらに高度な別の実施形態では、プランジャを伸長位置に持っていき、振り子の位置に応じて、まず振り子方向に加速し、次に振り子とともにモーター力を加えることによって振り子方向に対して減速することができる。
【0058】
これにより、プランジャは振り子に軽く接触するため、振動や衝撃を避け、制動装置やプランジャにかかる機械的ストレスを軽減することができる。
【0059】
また、より高度な別の実施形態として、プランジャが、振り子方向への加速と振り子方向への減速との間で振り子方向の移動を行ってもよい。
【0060】
これにより、制動装置を安定させることができ、振り子がプランジャに無秩序に衝突することによる衝撃を防ぐことができる。
【0061】
また、より高度な実施形態として、振り子の負加速度が350m/秒でもよい。
【0062】
本発明の更なる目的、特徴、および有利な応用可能性は、図面に基づく実施形態例の以下の説明から得られる。それにより、それらの有意義な組み合わせで説明および/または図示されたすべての特徴は、特許請求の範囲およびその参照文献とは無関係に、本発明の主題を形成するものでもある。模式的に示す:
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、テスト振り子装置を示す透視図である。
図2図2は、図1のテスト振り子装置の断面を示す。
図3図3は、図1のテスト振り子装置のさらなる断面を示す。
図4図4は、テスト振り子装置の制動装置を様々な表現で示す。
図5図5は、テスト振り子装置の制動装置を様々な表現で示す。
図6図6は、テスト振り子装置の制動装置を様々な表現で示す。
図7図7は、テスト振り子装置の制動装置を様々な表現で示す。
図8図8は、テスト振り子装置の制動装置を様々な表現で示す。
図9図9A-Eは、衝突試験用ダミーの頭頸部アセンブリの認証実行における様々な段階での図1のテスト振り子装置の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下の実施形態例では、読みやすさを考慮して、同一または類似の作用をする構成要素には同一の参照番号を付す。
【0065】
図1は、テスト振り子装置2の透視図である。
【0066】
テスト振り子装置2は、回転中心Zを中心として上端4.1でサスペンション6から回転可能に吊り下げられた振り子4を有し、サスペンション6はフレーム装置8内に配置されている。フレーム装置8は、テスト振り子装置2を閉鎖ユニットとして設計することを可能にする。
【0067】
振り子の下端4.2には、衝突試験用ダミー(図示せず)の頭頸部アセンブリ10(図3参照)用の受け部9が設けられている。頭頸部アセンブリ10は、頸椎10.1と、それに固定された頭部10.2とを含む。
【0068】
図1による説明では、振り子4は中間位置にある。
【0069】
振り子4は、駆動部12によってモーターで動かすことができる。一実施形態では、駆動部12は、振り子4を上方の開始位置まで移動させ、そこに保持する役割を果たし得る。
【0070】
解放された後、振り子4は、重力によって加速されて自由に振り下ろすことができる。別の実施形態では、駆動部12が、例えば全体の高さを節約するために、振り子を下方に加速させてもよい。この実施形態では、振り子4が自由にスイングできるように、アクティブな加速段階の後、駆動部12が振り子4から切り離されてもよい。
【0071】
振り子4を制動するために制動装置14が設けられており、この制動装置14については以下の図でより詳細に説明する。振り子4は、制動装置14と接触し、これによってモーターで制動される。
【0072】
テスト振り子装置を操作するためのエネルギー供給装置16とコントローラ18とがさらに設けられている。
【0073】
図2は、図1のテスト振り子装置2の断面、特に駆動部を示している。
【0074】
振り子4は、サスペンション20によって規定される回転中心Zを中心に回転するようにその上端部に配置されている。
【0075】
位置センサー22は、振り子4に結合されるサスペンション20上に配置される。結合は、特にサスペンション20の軸において、直接的または間接的であることができる。
【0076】
本実施例では、位置センサー22は、デジタルロータリーエンコーダであり、振り子の現在の角度位置を検出する。位置センサー22は、コントローラ18に接続されており、振り子4のそれぞれの現在位置を記述したデータをコントローラ18に送信する。
【0077】
コントローラ18はまた、制動装置14に接続され、後述するように、振り子4の現在の位置に応じて制動装置14を制御する。コントローラ18は、さらに、頭頸部アセンブリ10の特性を考慮してもよい。このように、子供の頭部は大人の頭部10.2とは異なる特性を有し、これは振り子4の加速度、ひいてはエネルギーだけでなく衝撃速度にも影響を与える。同じダミータイプであっても、異なる検体は許容誤差の範囲内で異なる物理的特性を有する場合がある。
【0078】
振り子4を上昇させるために、駆動部12は、エンベロープ駆動部26を介してドライバ28を動かすモーター24を有している。エンベロープ駆動部26は、例えば、歯付きベルトまたはチェーンとすることができる。ドライバ28は、振り子4と接触しているため、振り子方向Pに対して振り子4に力を生じさせることができる。ドライバ28は、振り子4の自由落下中に振り子4と緩く接触しているか、振り子4より先に(振り子方向に)移動して自由落下をシミュレートすることが可能である。また、制動装置14によって振り子4が制動されると、振り子4は揺れ続けることができる。
【0079】
ここに示すより高度な実施形態では、利用可能なヘッドルームが低すぎる場合、ドライバ28は、振り子4を加速させることができる。この目的のために、ドライバ28は、振り子4に結合することができる電磁石29を備えている。そして、ドライバ28は、モーター24によって振り子4を能動的に加速させることができる。振り子4が所定の地点で意図した速度に達するとすぐに、電磁石29のスイッチを切り、ドライバ28を振り子4から切り離すことができる。
【0080】
図3は、図1のテスト振り子装置2の別の断面図である。
【0081】
振り子4の受け部9には、認証対象となる頭頸部アセンブリ10が取り付けられており、衝突試験用ダミーの頸椎10.1および頭部10.2から構成されている。
【0082】
この目的のために、振り子4および頭頸部アセンブリ10は、適用される規格に従って定義される制動領域B(破線で囲む)において制動される。従来のテスト振り子装置にアルミニウムハニカム構造が設けられている場合、制動装置14のプランジャ30がテスト振り子装置4においてこのタスクを実行する。
【0083】
制動装置14は、駆動ユニット32をさらに備え、これにより、プランジャ30は、振り子4の振り子方向Pに対して直線的に作動される。プランジャ30は、駆動ユニット32を介して振り子4および頭頸部アセンブリ10に制動力を及ぼし、その結果、頭部10.2および頸椎10.1に測定可能な力がかかり、その結果、頸椎10.1に測定可能な変形が生じる可能性がある。
【0084】
バッフル板34は振り子4に配置されている。振り子4が上方から偏向されて軸36を中心に振動し、プランジャ30によって減速されると、プランジャ30との接触により、プランジャ30に経時的な機械的変形が発生する。プランジャ30は、安価に摩耗を除去するための摩耗部品として構成された交換可能な先端部38を含む。さらに、例えば減速曲線、減衰特性および耐久性の最良の妥協点を達成するために、その形状、材料および/または物理的特性の点で異なる、異なる適用目的のための異なるプランジャを使用することが可能である。
【0085】
図4から図8は、テスト振り子装置2の制動装置14を様々な表現で示している。制動装置14は、ハウジングなしで示されている。
【0086】
プランジャ30は、それぞれが互いに積み重ねられた2対のリニアモーター46.1~46.6の上下に配置された3つのアクチュエータ44.1~44.4と両側で相互作用するリニアガイドされたモーターキャリッジ40によって保持される。(図では、アクチュエータの2つは見えない)。
【0087】
両側に配置されたリニアモーター46.1~46.6により、大きな力と力のカーブとを発生させることができるので、アルミニウムハニカム構造体に対する従来のテスト振り子試験の変位時間カーブを正確にシミュレートすることができる。
【0088】
制動装置14のフロントプレート48には、アルミニウムハニカム構造体や減衰要素などの他の構成要素を固定するための留め具50が設けられている。本実施形態では、留め具は、ねじ穴50として設計されている。
【0089】
モーターキャリッジ40は、2本のレール52.1、52.2上を転がり軸受(ボールレールガイド)でガイドされる。
【0090】
制動装置14は、障害発生時にモーターキャリッジ40が底付きすることを防止するためのダンパ54を含む。
【0091】
さらに、一方ではフロントプレート48に、他方ではプランジャ30またはモーターキャリッジに、システム障害時にプランジャを制動装置14のハウジング内に能動的に引き込むスプリング55が配置されている。
【0092】
ガイドレール52.2には、モーターキャリッジ40の位置を測定するための測定システム58が設けられている。測定システム58は、プランジャ30に関する位置情報が常にこれに利用できるように、コントローラ18に結合される。
【0093】
図9A~Eはそれぞれ、衝突試験用ダミーの頭頸部アセンブリ10の認証手順の異なる段階における、図1のテスト振り子装置2の断面を示す図である。
【0094】
図9Aでは、制動装置システム56の構成要素も模式的に示されている(破線の枠で囲まれている)。制動装置システム56は、制動装置14、コントローラ18、および位置センサー22を含むが、これらに限定されるものではない。制動装置システム56は、既存のテスト振り子装置のための後付けシステムとして提供されてもよい。
【0095】
図9Aに示す段階において、振り子4は頭頸部アセンブリ10と共に振り子方向Pに対して偏向され、開始位置まで持ってこられる。振り子4の位置は、位置センサー22によって登録され、コントローラ18によって処理される。
【0096】
また、プランジャ30は、揺動方向に対して制動領域Bを越えて伸長され、開始位置(加速位置)にもたらされる。プランジャの位置は、測定システム58によって決定される。
【0097】
図9Bに示す段階では、振り子4は加速され、プランジャ30に向かって振り子方向に移動する。このとき、プランジャ30は静止している。
【0098】
図9Cに示す次の段階では、プランジャ30は、振り子4の瞬間速度vPと実質的に等しい瞬間速度vSまで加速しているので、振り子4は、制動領域Bに達する直前にプランジャ30と軽く接触している。
【0099】
振り子の位置は位置センサー22によって登録され、プランジャの位置は測定システム58によって決定され、図9Dに示すように滑らかな接触を実現するためにコントローラ18によって処理される。
【0100】
図9Eに示す段階では、振り子4とプランジャ30とが接触しており、制動装置14が振り子4とそれにプランジャ30を介して固定された頭頸部アセンブリ10とに制動力FBを作用させ、結果として作用する慣性力FKにより頭部10.2を中立位置からたわませ、頸椎10.1を屈曲させる。
【0101】
制動装置14は、コントローラ18に記憶された力および減速曲線によってアルミニウムハニカム構造の挙動をシミュレートすることができるので、頭頸部アセンブリ10の認証は、ここに提示されたテスト振り子装置2または制動装置システム56の助けを借りて正確にシミュレートすることができる。
【0102】
さらに、いくつかの実施形態では、標準的な振り子と比較して振り子4を修正することができ、安定性などの面でより良い特性を提供するために、振り子4と制動装置14とを互いに一致させることが可能である。
【0103】
本発明は、例示的な実施形態によってさらに詳細に図示され説明されたが、本発明は開示された実施例によって限定されるものではなく、本発明の保護範囲から逸脱することなく当業者によってそこから他の変形例が導出される可能性がある。したがって、広い範囲の変形例が存在することは明らかである。また、例示的な実施形態は、実際には例示に過ぎず、例えば、本発明の保護範囲、使用の可能性または構成を限定するものとして、いかなる意味でも理解されるべきでないことは明らかである。むしろ、先の明細書および図の説明は、当業者が例示的な実施形態を具体的に実施することを可能にし、当業者は、開示された発明思想を認識しながら、明細書におけるさらなる説明など、請求項およびその法的同等物によって定義される保護範囲を離れることなく、例えば、例示的実施形態において言及された個々の要素の機能又は装置に関して様々な変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0104】
2:テスト振り子装置
4:振り子
4.1:上端
4.2:下端
6:サスペンション
8:フレーム装置
9:受け部
10:頭頸部アセンブリ
10.1:頸椎
10.2:頭部
12:駆動部
14:制動装置
16:エネルギー供給
18:コントローラ
20:サスペンション
22:位置センサー
24:モーター
26:エンベロープ駆動部
28:ドライバ
29:電磁石
30:プランジャ
32:駆動ユニット
34:バッフル板
36:軸
38:先端
40:モーターキャリッジ
44.1~44.4:アクチュエータ
46.1~46.6:リニアモーター
48:フロントプレート
50:留め具
52.1,52.2:レール
54:ダンパ
55:スプリング
56:制動装置システム
58:測定システム

B:制動領域
FB:制動力
FK:頭部10.2の慣性力
P:振り子の方向
vP:振り子の瞬時速度
vS:プランジャの瞬時速度
Z:回転中心

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
【国際調査報告】