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特表2023-500973UPSモジュール及びそのUPSモジュールの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】UPSモジュール及びそのUPSモジュールの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527179
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 KR2020003677
(87)【国際公開番号】W WO2021095999
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0145256
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】イ,ユンミン
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015FA02
5G015GB03
5G015GB06
5G015JA52
5G015JA60
(57)【要約】
本発明は、商用電源の電流を変換する交流-直流コンバータと、バッテリの電流を変換する直流-直流コンバータと、前記交流-直流コンバータの出力端と前記直流-直流コンバータの出力端が、所定のバス電圧を有するリンクコンデンサを介して接続される共通出力端と、前記共通出力端と負荷間の電路を開路又は閉路する第1遮断部と、前記商用電源と前記交流-直流コンバータ間の電路を開路又は閉路する第2遮断部と、前記バッテリと前記直流-直流コンバータ間の電路を開路又は閉路する第3遮断部と、UPSモジュールの起動時に前記共通出力端と負荷を接続し、前記リンクコンデンサを充電し、前記バス電圧が形成されると、前記第2遮断部及び前記第3遮断部を順次閉路する制御部とを含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UPS(Uninterruptible Power Supply)モジュールであって、
商用電源の交流電流を直流電流に変換する交流-直流コンバータと、
バッテリの直流電流を異なる電圧の直流電流に変換する直流-直流コンバータと、
前記交流-直流コンバータの出力端と前記直流-直流コンバータの出力端が、所定のバス電圧を有するリンクコンデンサを介して接続される共通出力端と、
前記共通出力端と負荷間に形成され、前記共通出力端と負荷間の電路を開路又は閉路する第1遮断部と、
前記商用電源と前記交流-直流コンバータ間の電路を開路又は閉路する第2遮断部と、
前記バッテリと前記直流-直流コンバータ間の電路を開路又は閉路する第3遮断部と、
前記リンクコンデンサを充電する初期充電部と、
前記UPSモジュールの起動時に前記第1遮断部を閉路して前記共通出力端と負荷を接続し、前記初期充電部を制御して前記リンクコンデンサを充電し、前記リンクコンデンサの充電により前記バス電圧が形成されると、前記第2遮断部及び前記第3遮断部を順次閉路する制御部とを含むことを特徴とするUPSモジュール。
【請求項2】
前記初期充電部は、
交流電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電する第1充電部と、
直流電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電する第2充電部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のUPSモジュール。
【請求項3】
前記第1充電部は、
前記商用電源から供給される多相の交流電流のいずれか1相の電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電するように形成され、
前記第2充電部は、
前記負荷に接続される前記UPSモジュールの出力端のうち正極電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電するように形成されることを特徴とする、請求項2に記載のUPSモジュール。
【請求項4】
前記制御部は、
前記UPSモジュールの起動時に、負荷に供給される直流電流がある状態であるか否かによって異なる充電部により前記リンクコンデンサが充電されるように前記初期充電部を制御することを特徴とする、請求項2に記載のUPSモジュール。
【請求項5】
前記制御部は、
前記UPSモジュールの起動時に、
他のUPSモジュールから前記負荷に供給される電流がない場合は、前記第1充電部により前記リンクコンデンサが充電されるように前記初期充電部を制御し、
他のUPSモジュールから前記負荷に供給される電流がある場合は、前記第2充電部により前記リンクコンデンサが充電されるように前記初期充電部を制御することを特徴とする、請求項4に記載のUPSモジュール。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2遮断部が閉路されて前記商用電源と前記交流-直流コンバータ間の電路が接続されると、前記第3遮断部が閉路される前に前記初期充電部をオフ(off)にしてリンクコンデンサの電流供給を中断し、
前記初期充電部がオフになると、前記第3遮断部を閉路して前記バッテリと前記直流-直流コンバータ間の電路を接続することを特徴とする、請求項1に記載のUPSモジュール。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1遮断部と前記第2遮断部が両方とも閉路された場合、前記直流-直流コンバータを待機状態に駆動し、
前記第1遮断部が閉路された状態で前記第2遮断部が開路された場合、前記バッテリの直流電流を変換して前記バス電圧を有する直流電流にするように前記直流-直流コンバータを制御することを特徴とする、請求項1に記載のUPSモジュール。
【請求項8】
前記リンクコンデンサの充電電圧を放電する放電部をさらに含み、
前記制御部は、
前記第1遮断部~前記第3遮断部が全て開路されると、前記放電部を前記リンクコンデンサに接続して前記リンクコンデンサに充電された電流を放電させることを特徴とする、請求項1に記載のUPSモジュール。
【請求項9】
UPSモジュールの制御方法であって、
前記UPSモジュールの起動時に、前記UPSモジュールの出力端と負荷間に形成される第1遮断部を制御し、前記UPSモジュールの出力端と前記負荷を接続するステップと、
リンクコンデンサを充電する初期充電部を制御し、前記リンクコンデンサを所定のバス電圧まで充電するステップと、
前記リンクコンデンサが前記バス電圧まで充電されると、商用電源と前記商用電源から入力される交流電流を直流電流に変換する交流-直流コンバータ間に形成される第2遮断部を制御し、前記商用電源と前記交流-直流コンバータを接続するステップと、
前記商用電源と前記交流-直流コンバータが接続されると、前記初期充電部をオフにし、前記リンクコンデンサへの電流供給を中断するステップと、
前記交流-直流コンバータを制御し、前記商用電源の交流電流を変換して前記バス電圧に相当する電圧を有する直流電流にするステップと、
バッテリと前記バッテリから入力される直流電流を変換して前記バス電圧に相当する電圧を有する直流電流にする直流-直流コンバータ間に形成される第3遮断部を制御し、前記バッテリと前記直流-直流コンバータを接続するステップと、
前記直流-直流コンバータと前記バッテリが接続されると、前記直流-直流コンバータを待機状態に駆動するステップとを含むことを特徴とするUPSモジュール制御方法。
【請求項10】
前記リンクコンデンサを所定のバス電圧まで充電するステップは、
負荷に供給される直流電流があるか否かを判断するステップと、
前記判断の結果、前記負荷に供給される直流電流がある場合、前記負荷に供給される直流電流から前記リンクコンデンサを充電するように前記初期充電部を制御し、前記負荷に供給される直流電流がない場合、前記商用電源から供給される交流電流から前記リンクコンデンサを充電するように前記初期充電部を制御するステップとを含むことを特徴とする、請求項9に記載のUPSモジュール制御方法。
【請求項11】
前記第2遮断部が開路されて前記商用電源が遮断されると、前記バッテリの直流電流を変換して前記バス電圧を有する直流電流にするように前記直流-直流コンバータを制御するステップと、
前記直流-直流コンバータによりバッテリの電流が異なる電圧の直流電流に変換されると、前記商用電源が復旧したか否かをさらに検出するステップと、
前記商用電源が復旧すると、前記第1遮断部を閉路して前記商用電源と前記交流-直流コンバータを接続するステップと、
前記直流-直流コンバータを待機状態に復元するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のUPSモジュール制御方法。
【請求項12】
前記商用電源が復旧したか否かをさらに検出するステップは、
前記バッテリの放電状態をさらに検出するステップと、
前記バッテリの放電状態に応じて前記第1遮断部を開路し、前記UPSモジュールの出力端を前記負荷から遮断するステップと、
前記第1遮断部が開路されると、前記第3遮断部を開路し、前記バッテリを前記直流-直流コンバータから遮断するステップと、
前記第3遮断部が開路されると、少なくとも1つの抵抗又は接地を有する放電部を前記リンクコンデンサに接続し、前記リンクコンデンサに充電された電圧を放電させるステップとを含むことを特徴とする、請求項11に記載のUPSモジュール制御方法。
【請求項13】
前記商用電源と前記交流-直流コンバータを接続するステップは、
前記商用電源が復旧すると、前記初期充電部を制御し、前記リンクコンデンサを所定のバス電圧まで充電するステップと、
前記リンクコンデンサが前記バス電圧まで充電されると、前記第2遮断部を制御し、前記商用電源と前記交流-直流コンバータを接続するステップとを含むことを特徴とする、請求項11に記載のUPSモジュール制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源供給モジュール(UPS(Uninterruptible Power Supply) Module)及びその無停電電源供給モジュールの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在は、技術の発達につれて産業システムが高度化する傾向にあり、そのような高度化した産業システムに応じて自動化及び高速化した産業機器が運用されている。
【0003】
このような産業機器の自動化及び高速化により、前記産業機器の電力を供給する電力系統に問題が生じると、停電による莫大な被害が発生する。また、前記電力系統の問題は電力が供給される産業機器自体の損傷をもたらすことがあるので、その被害はさらに大きくなる。
【0004】
よって、このような突然の停電や異常電流などの電力系統の問題が生じた場合に、所定量の電流が充電されたバッテリを用いて、負荷、すなわち産業機器に代替電力を供給するUPSモジュールを導入することにより、商用電源の電力系統に異常が発生しても安定した電力を供給することができる。
【0005】
通常、このようなUPSモジュールにおいては、商用電源に接続されて商用電源から供給される電流を負荷に供給する商用電源モジュールと、バッテリ電源に接続されてバッテリから供給される電流を負荷に供給するバッテリモジュールの二元化された構造を有するのが一般的である。このように二元化された構造を有するUPSモジュールにおいて、商用電源モジュールとバッテリモジュールは、それぞれ独立した制御部により制御される。
【0006】
しかし、このように二元化されたモジュールが統合された形態で制御される場合、UPSモジュールの構造及び制御が複雑になるという問題がある。また、このように複雑な構造及び制御は、商用電源に問題が生じると、UPSモジュールが代替電源(バッテリ)に接続されるのに要する時間の遅延を誘発し、無瞬断電源供給を阻害する要素になるという問題がある。
【0007】
上記問題を解決するために、UPSモジュールを一元化してUPSモジュールの構造及び制御を単純化する研究が現在盛んに行われている。
【0008】
一方、1つのUPSモジュールを用いる場合、1つのUPSモジュールが負荷に供給する電流を全て負担するので、電流負荷が高くなる。それだけでなく、1つのUPSモジュールのみを用いる場合、UPSモジュールの整備又は故障時にはUPS機能を維持できないという問題がある。
【0009】
よって、電流負荷を低くし、いずれかのUPSモジュールの故障又は整備時にもUPS機能が実現されるように、複数のUPSモジュールが共に接続されるようにする研究が現在盛んに行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、商用電源モジュールとバッテリモジュールが一元化されたUPSモジュール、及びそのUPSモジュールの制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、負荷に他のUPSと共に接続されるUPSモジュール、及びそのUPSが他のUPSに接続されるようにする、UPSモジュールの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的又は他の目的を達成するための本発明の一態様によれば、本発明の実施形態によるUPSモジュールは、商用電源の交流(AC: Alternating Current)電流を直流電流に変換する交流-直流コンバータと、バッテリの直流電流を異なる電圧の直流電流に変換する直流-直流コンバータと、前記交流-直流コンバータの出力端と前記直流-直流コンバータの出力端が、所定のバス電圧を有するリンクコンデンサを介して接続される共通出力端と、前記共通出力端と負荷間に形成され、前記共通出力端と負荷間の電路を開路又は閉路する第1遮断部と、前記商用電源と前記交流-直流コンバータ間の電路を開路又は閉路する第2遮断部と、前記バッテリと前記直流-直流コンバータ間の電路を開路又は閉路する第3遮断部と、前記リンクコンデンサを充電する初期充電部と、前記UPSモジュールの起動時に前記第1遮断部を閉路して前記共通出力端と負荷を接続し、前記初期充電部を制御して前記リンクコンデンサを充電し、前記リンクコンデンサの充電により前記バス電圧が形成されると、前記第2遮断部及び前記第3遮断部を順次閉路する制御部とを含むことを特徴とする。
【0013】
一実施形態において、前記初期充電部は、交流電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電する第1充電部と、直流電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電する第2充電部とを含むことを特徴とする。
【0014】
一実施形態において、前記第1充電部は、前記商用電源から供給される多相の交流電流のいずれか1相の電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電するように形成され、前記第2充電部は、前記負荷に接続される前記UPSモジュールの出力端のうち正極電流が入力されて前記リンクコンデンサを充電するように形成されることを特徴とする。
【0015】
一実施形態において、前記制御部は、前記UPSモジュールの起動時に、負荷に供給される直流電流がある状態であるか否かによって異なる充電部により前記リンクコンデンサが充電されるように前記初期充電部を制御することを特徴とする。
【0016】
一実施形態において、前記制御部は、前記UPSモジュールの起動時に、他のUPSモジュールから前記負荷に供給される電流がない場合は、前記第1充電部により前記リンクコンデンサが充電されるように前記初期充電部を制御し、他のUPSモジュールから前記負荷に供給される電流がある場合は、前記第2充電部により前記リンクコンデンサが充電されるように前記初期充電部を制御することを特徴とする。
【0017】
一実施形態において、前記制御部は、前記第2遮断部が閉路されて前記商用電源と前記交流-直流コンバータ間の電路が接続されると、前記第3遮断部が閉路される前に前記初期充電部をオフ(off)にしてリンクコンデンサの電流供給を中断し、前記初期充電部がオフになると、前記第3遮断部を閉路して前記バッテリと前記直流-直流コンバータ間の電路を接続することを特徴とする。
【0018】
一実施形態において、前記制御部は、前記第1遮断部と前記第2遮断部が両方とも閉路された場合、前記直流-直流コンバータを待機(Stand by)状態に駆動し、前記第1遮断部が閉路された状態で前記第2遮断部が開路された場合、前記バッテリの直流電流を変換して前記バス電圧を有する直流電流にするように前記直流-直流コンバータを制御することを特徴とする。
【0019】
一実施形態において、前記リンクコンデンサの充電電圧を放電する放電部をさらに含み、前記制御部は、前記第1遮断部~前記第3遮断部が全て開路されると、前記放電部を前記リンクコンデンサに接続して前記リンクコンデンサに充電された電流を放電させることを特徴とする。
【0020】
上記目的又は他の目的を達成するための本発明の一態様によれば、本発明の実施形態によるUPSモジュールの制御方法は、前記UPSモジュールの起動時に、前記UPSモジュールの出力端と負荷間に形成される第1遮断部を制御し、前記UPSモジュールの出力端と前記負荷を接続する第1ステップと、リンクコンデンサを充電する初期充電部を制御し、前記リンクコンデンサを所定のバス電圧まで充電する第2ステップと、前記リンクコンデンサが前記バス電圧まで充電されると、商用電源と前記商用電源から入力される交流電流を直流電流に変換する交流-直流コンバータ間に形成される第2遮断部を制御し、前記商用電源と前記交流-直流コンバータを接続する第3ステップと、前記商用電源と前記交流-直流コンバータが接続されると、前記初期充電部をオフにし、前記リンクコンデンサへの電流供給を中断する第4ステップと、前記交流-直流コンバータを制御し、前記商用電源の交流電流を変換して前記バス電圧に相当する電圧を有する直流電流にする第5ステップと、バッテリと前記バッテリから入力される直流電流を変換して前記バス電圧に相当する電圧を有する直流電流にする直流-直流コンバータ間に形成される第3遮断部を制御し、前記バッテリと前記直流-直流コンバータを接続する第6ステップと、前記直流-直流コンバータと前記バッテリが接続されると、前記直流-直流コンバータを待機状態に駆動する第7ステップとを含むことを特徴とする。
【0021】
一実施形態において、前記第2ステップは、負荷に供給される直流電流があるか否かを判断する第2-1ステップと、前記判断の結果、前記負荷に供給される直流電流がある場合、前記負荷に供給される直流電流から前記リンクコンデンサを充電するように前記初期充電部を制御し、前記負荷に供給される直流電流がない場合、前記商用電源から供給される交流電流から前記リンクコンデンサを充電するように前記初期充電部を制御する第2-2ステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
一実施形態において、前記第2遮断部が開路されて前記商用電源が遮断されると、前記バッテリの直流電流を変換して前記バス電圧を有する直流電流にするように前記直流-直流コンバータを制御する第8ステップと、前記直流-直流コンバータによりバッテリの電流が異なる電圧の直流電流に変換されると、前記商用電源が復旧したか否かをさらに検出する第9ステップと、前記商用電源が復旧すると、前記第1遮断部を閉路して前記商用電源と前記交流-直流コンバータを接続する第10ステップと、前記直流-直流コンバータを待機状態に復元する第11ステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0023】
一実施形態において、前記第9ステップは、前記バッテリの放電状態をさらに検出する第9-1ステップと、前記バッテリの放電状態に応じて前記第1遮断部を開路し、前記UPSモジュールの出力端を前記負荷から遮断する第9-2ステップと、前記第1遮断部が開路されると、前記第3遮断部を開路し、前記バッテリを前記直流-直流コンバータから遮断する第9-3ステップと、前記第3遮断部が開路されると、少なくとも1つの抵抗又は接地を有する放電部を前記リンクコンデンサに接続し、前記リンクコンデンサに充電された電圧を放電させる第9-4ステップとを含むことを特徴とする。
【0024】
一実施形態において、前記第10ステップは、前記商用電源が復旧すると、前記初期充電部を制御し、前記リンクコンデンサを所定のバス電圧まで充電する第10-1ステップと、前記リンクコンデンサが前記バス電圧まで充電されると、前記第2遮断部を制御し、前記商用電源と前記交流-直流コンバータを接続する第10-2ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以下、本発明によるUPSモジュール及びそのUPSモジュールの制御方法の効果について説明する。
【0026】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、1つの制御部により負荷が商用電源又はバッテリに接続されるように制御されるので、UPSモジュールの構造が単純になり、制御が容易になるという効果がある。
【0027】
また、本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、複数のUPSモジュールが負荷に接続されるようにし、UPSモジュールが容易に着脱されるようにするので、いずれかのUPSモジュールの故障又は整備時にもUPS機能が実現されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態によるUPSモジュールの各構成について説明するためのブロック図である。
図2図1に示す本発明の実施形態によるUPSモジュールの回路構造を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態によるUPSモジュールにおいて初期起動が行われる動作過程を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態によるUPSモジュールにおいて商用電源が遮断される場合の動作過程を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態による複数のUPSモジュールが負荷に共に接続される回路構造を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本明細書に開示される実施形態について詳細に説明するが、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号を付し、その説明は省略する。以下の説明で用いる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。また、本明細書に開示される実施形態について説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示される実施形態の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。なお、添付図面は本明細書に開示される実施形態を容易に理解できるようにするためのものにすぎず、添付図面により本明細書に開示される技術的思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物が本発明に含まれるものと理解されるべきである。
【0030】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるが、前記構成要素を限定するものではない。上記用語は一構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
【0031】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」又は「接続されている」と言及される場合、他の構成要素に直接連結又は接続されていることもあり、中間にさらに他の構成要素が存在することもあるものと解すべきである。それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されている」又は「直接接続されている」と言及される場合、中間にさらに他の構成要素が存在しないものと解すべきである。
【0032】
単数表現には、特に断らない限り複数表現が含まれる。
【0033】
本発明における「含む」、「有する」などは、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせが存在することを示すものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はそれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除するものではない。
【0034】
まず、図1は、本発明の実施形態によるUPSモジュールの各構成について説明するためのブロック図である。
【0035】
図1に示すように、本発明の実施形態によるUPSモジュール10は、制御部100と、制御部100に接続され、制御部100により制御されるDC遮断部110と、AC遮断部120と、バッテリ遮断部130と、初期充電部140と、放電部150と、AC-DCコンバータ160と、DC-DCコンバータ170とを含む。
【0036】
まず、DC遮断部110は、本発明の実施形態によるUPSモジュール10から負荷にDC(Direct Current)電流が出力される出力端に形成される遮断部である。DC遮断部110は、UPSモジュールに異常が発生した場合に、その異常が発生したUPSモジュールを負荷から遮断して負荷及び内部回路を保護するための直流遮断器を少なくとも1つ含む。
【0037】
一方、AC遮断部120は、商用電源から入力される交流電流(三相(R,S,T)の交流電流)に短絡などの異常状態が発生した場合に、前記商用電源を遮断して過電流やアークなどから内部回路を保護するための交流遮断器を少なくとも1つ含む。
【0038】
一方、バッテリ遮断部130は、バッテリに異常状態が発生した場合に、前記バッテリを遮断して過電流やアークなどから内部回路を保護するための直流遮断器を少なくとも1つ含む。
【0039】
一方、DC遮断部110、AC遮断部120又はバッテリ遮断部130に含まれる交流又は直流電流遮断器は、MCCB(Molded CirCuit Breaker)又はACB(Air Circuit Breaker)を少なくとも1つ含む。また、以下の説明において、各遮断部は、オン(on)になると電路を閉路して電路を接続し、オフになると電路を開路して電路を短絡又は遮断するものとする。
【0040】
一方、AC-DCコンバータ160は、商用電源に接続され、商用電源から入力される三相の交流電流を直流電流に変換するコンバータである。AC-DCコンバータ160は、整流素子が複数接続されるブリッジ(bridge)整流回路を含む。前記整流素子は、ダイオード(diode)又はシリコン制御整流素子(SCR: Silicon Controlled Rectifier)である。以下の説明では、説明の便宜上、前記整流素子がダイオードであると仮定して説明する。
【0041】
また、DC-DCコンバータ170は、バッテリに接続され、バッテリから入力される1次電圧の直流電流を2次電圧の直流電流に変換するコンバータである。前記2次電圧は、1次電圧より高い電圧であり、AC-DCコンバータ160から出力される直流電圧と同じ電圧である。この場合、AC-DCコンバータ160の出力端電圧は、所定のバスリンク電圧であり、DC-DCコンバータ170は、バッテリから出力される高電圧電流を前記バスリンク電圧の電流に変換することにより、AC-DCコンバータ160の出力端とDC-DCコンバータ170の出力端が互いに接続されるように形成される。
【0042】
一方、前記バスリンク電圧によりAC-DCコンバータ160の出力端とDC-DCコンバータ170の出力端が互いに接続されるように、本発明の実施形態によるUPSモジュールは、DCリンクコンデンサを含む。
【0043】
前記DCリンクコンデンサの充電のために、本発明の実施形態によるUPSモジュール10は、初期充電部140を備える。初期充電部140は、コンデンサの安全な充電のために少なくとも1つの抵抗を含み、前記少なくとも1つの抵抗により前記DCリンクコンデンサが充電される速度を調節し、前記コンデンサが安全に充電されるようにする。
【0044】
また、放電部150は、前述したように充電されたDCリンクコンデンサの電流を放電する。放電部150は、制御部100の制御に応じる少なくとも1つの抵抗又は接地を含み、前記抵抗又は接地により前記DCリンクコンデンサに充電された電流を安全に放電させる。
【0045】
一方、制御部100は、接続される各構成部を順次制御してUPSモジュール10が負荷に接続されるようにし、商用電源及びバッテリを接続し、接続した商用電源又はバッテリから入力される交流電流又は直流電流を特定電圧の直流電流に変換して負荷に出力させる。
【0046】
このために、制御部100は、初期充電部140を制御し、特定電圧に達するまで備えられるDCリンクコンデンサを充電し、前記DCリンクコンデンサに充電された電圧に基づいてバッテリと商用電源が共に負荷に接続されるように、AC遮断部120及びDC遮断部110、並びにAC-DCコンバータ160及びDC-DCコンバータ170を制御する。
【0047】
図2は、図1に示す本発明の実施形態によるUPSモジュール10の回路構造を示す回路図である。
【0048】
図2に示すように、本発明の実施形態によるUPSモジュール10は、DC出力端DC+、DC-を介して、負荷又は前記負荷に接続される電力変換部に、商用電源200又はバッテリ201から供給される直流電流を供給する。また、供給された直流電流は、前記負荷に入力されるか、又は前記負荷に接続される電力変換部を介して再び交流電流に変換され、前記負荷の駆動源となる。
【0049】
前記負荷の駆動源となる直流電流を供給するために、UPSモジュール10は、商用電源200と、商用電源200から入力される三相(R相,S相,T相)の交流電流を所定の電圧の直流電流に変換するAC-DCコンバータ160とを含む。また、AC-DCコンバータ160と商用電源200間には、商用電源200の異常時にAC-DCコンバータ160及び内部回路を保護するAC遮断部120を含む。
【0050】
AC遮断部120は、商用電源200とAC-DCコンバータ160間の電路を閉路して商用電源200とAC-DCコンバータ160を接続したり、開路して商用電源200とAC-DCコンバータ160間の接続を遮断する。
【0051】
一方、AC-DCコンバータ160の出力端には、少なくとも1つのDCリンクコンデンサ210が形成される。ここで、DCリンクコンデンサ210は、初期充電部140に接続され、初期充電部140から供給される電流により特定電圧に達するまで充電される。
【0052】
一方、初期充電部140には、商用電源200の三相交流電流のいずれか1相の電流(第1相の電流,例:R相電流)が入力される。また、前記第1相の電流をDCリンクコンデンサ210に供給してDCリンクコンデンサ210を充電する。
【0053】
より詳細には、初期充電部140は、スイッチと、少なくとも1つの整流素子(例:ダイオード)とを含み、前記商用電源(第1相)とDCリンクコンデンサ210間の電路を制御部100の制御に応じて閉路又は開路することにより、前記整流素子により整流された前記第1相の電流をDCリンクコンデンサ210に供給するか、又は前記第1相電流がDCリンクコンデンサ210に供給されるのを遮断する。
【0054】
ここで、DCリンクコンデンサ210は、放電部150をさらに含む。放電部150は、DCリンクコンデンサ210に接続され、少なくとも1つの抵抗又は接地を含む。また、制御部100の制御に応じてDCリンクコンデンサ210と前記抵抗又は接地間の電路を閉路し、DCリンクコンデンサ210と前記抵抗又は接地を接続すると、DCリンクコンデンサ210に充電された電流を前記抵抗又は接地により放電する。
【0055】
さらに、本発明の実施形態によるUPSモジュール10は、バッテリ201と、バッテリ201から入力される第1電圧の直流電流を所定の第2電圧の直流電流に変換するDC-DCコンバータ170とを含む。さらに、DC-DCコンバータ170とバッテリ201間には、バッテリ201の異常時にDC-DCコンバータ170及び内部回路を保護するバッテリ遮断部130を含む。
【0056】
バッテリ遮断部130は、バッテリ201とDC-DCコンバータ170間の電路を閉路してバッテリ201とDC-DCコンバータ170を接続したり、開路してバッテリ201とDC-DCコンバータ170間の接続を遮断する。
【0057】
一方、DC-DCコンバータ170の出力端は、DCリンクコンデンサ210(又は放電部150が備えられるDCリンクコンデンサ210)が形成されるAC-DCコンバータ160の出力端に接続され、共通出力端を形成する。
【0058】
一方、DC-DCコンバータ170の出力電圧である前記第2電圧は、初期充電部140により充電が行われるDCリンクコンデンサ210の充電電圧と同じ電圧である。この場合、DCリンクコンデンサ210の充電電圧がDCバス電圧となり、DC-DCコンバータ170の出力電圧が前記DCバス電圧に達すると、DC-DCコンバータ170の出力端とAC-DCコンバータ160の出力端が互いに接続される。よって、共通出力端を介して商用電源200とバッテリ201が負荷に同時に接続される。
【0059】
一方、前記共通出力端とDC出力端DC+、DC-間には、DC遮断部110が備えられる。DC遮断部110は、UPSモジュール10の異常時に、UPSモジュール10の出力端(DC出力端:DC+,DC-)と負荷間を遮断し、負荷及び内部回路を保護する。
【0060】
DC遮断部110は、共通出力端とDC出力端DC+、DC-間の電路を閉路して前記共通出力端とDC出力端DC+、DC-を接続したり、開路して前記共通出力端とDC出力端DC+、DC-間の接続を遮断する。
【0061】
図3は、図2に示す回路構造を有する本発明の実施形態によるUPSモジュール10において、初期起動により商用電源200とバッテリ201がどちらも負荷に接続される動作過程を示すフローチャートである。
【0062】
図3に示すように、本発明の実施形態によるUPSモジュール10の制御部100は、商用電源200とバッテリ201がどちらも負荷から分離された状態で、まずDC遮断部110をオンにする。そうすると、DCリンクコンデンサ210が形成されるAC-DCコンバータ160の出力端とDC-DCコンバータ170の出力端が接続される共通出力端が、負荷又は前記負荷の電力変換部に接続されるDC出力端DC+、DC-に接続される(S300)。
【0063】
一方、ステップS300により共通出力端が前記DC出力端に接続されると、制御部100は、まず初期充電部140をオンにし、商用電源200(第1相)とDCリンクコンデンサ210間の電路を接続する。そうすると、前記第1相の電流がDCリンクコンデンサ210に供給され、DCリンクコンデンサ210が充電される(S301)。
【0064】
そして、DCリンクコンデンサ210の充電電圧が所定の電圧、すなわちDCリンクバス電圧に達すると、制御部100は、まずAC遮断部120をオンにする(S302)。そうすると、AC遮断部120により商用電源200とAC-DCコンバータ160が互いに接続されるので、商用電源200の電流、すなわち三相の交流電流がAC-DCコンバータ160に供給される。
【0065】
そして、AC-DCコンバータ160に商用電源200の電流が供給されると、制御部100は、初期充電部140をオフにし、DCリンクコンデンサ210と商用電源200(第1相)間の接続を遮断する。そうすると、DCリンクコンデンサ210への電流供給が中断される。
【0066】
そして、制御部100は、AC-DCコンバータ160を制御し、商用電源200から入力される電流を所定の電圧の直流電流に変換する(S303)。ここで、前記所定の電圧は前記DCリンクバス電圧であり、この場合、DCリンクコンデンサ210を介して前記DCリンクバス電圧と同じ電圧を有する直流電流が出力される。そして、AC-DCコンバータ160から出力されるDCリンクバス電圧の電流は、DC遮断部110を介してDC出力端DC+、DC-に導通する。そして、DC出力端DC+、DC-を介して負荷又は負荷の電力変換部に供給される。
【0067】
一方、AC-DCコンバータ160が駆動されると、制御部100は、バッテリ遮断部130をオンにする(S304)。そうすると、バッテリ遮断部130を介してバッテリ201とDC-DCコンバータ170が互いに接続されるので、バッテリ201の直流電流がDC-DCコンバータ170に供給される。
【0068】
そうすると、制御部100は、DC-DCコンバータ170が待機状態に駆動されるように、DC-DCコンバータ170を制御する(S305)。そして、制御部100は、商用電源200からの電流供給が遮断されているか否かに応じて、DC-DCコンバータ170が電流変換を行うように制御する。
【0069】
すなわち、制御部100は、商用電源200から異常なく電流が供給されている場合は、DC-DCコンバータ170を待機状態に駆動し、商用電源200の異常や障害などにより商用電源200からの電流供給が遮断されている場合は、DC-DCコンバータ170を駆動し、バッテリ201の電流(1次電圧を有する電流)を変換して前記DCリンクバス電圧を有する電流にする。
【0070】
そうすると、DC-DCコンバータ170で変換された直流電流は、共通出力端及びDC遮断部110を介してDC出力端DC+、DC-に導通し、DC出力端DC+、DC-を介して負荷又は負荷の電力変換部に供給される。
【0071】
一方、図4は、図3の初期起動により本発明の実施形態によるUPSモジュール10が駆動され、その後異常又は障害により商用電源200が遮断される場合の動作過程を示すフローチャートである。
【0072】
例えば、過電流などの電力異常が発生したり、商用電源200の系統に障害が発生した場合、AC遮断部120は、オフになり、商用電源200とAC-DCコンバータ160間の接続を遮断する。そうすると、制御部100は、DC-DCコンバータ170を駆動し、バッテリ201から供給される直流電流をDCリンクバス電圧の電流に変換する(S400)。そうすると、前述したように、DC-DCコンバータ170で変換された直流電流は、DC遮断部110を介して負荷又は負荷の電力変換部に供給される。
【0073】
このように、負荷に供給される電流がバッテリ201から供給される場合、制御部100は、バッテリ201の残余電力を検出する。例えば、制御部100は、バッテリ201の電圧を測定し、測定した電圧に基づいてバッテリ201の放電状態を判断する(S401)。
【0074】
ステップS401の判断の結果、バッテリ201の残余電圧が所定のレベルを超えると、制御部100は、バッテリ201から供給される電流が負荷に供給されている状態で、商用電源200が復旧したか否かを検出する(S402)。例えば、制御部100は、AC遮断部120の入力端に備えられる電流センサにより商用電源200から入力される電流を検出し、その検出した電流に基づいて商用電源200が復旧したか否かを判断する。
【0075】
一方、ステップS402の検出の結果、商用電源200が復旧していない場合(商用電源200が遮断された状態の場合)、制御部100は、ステップS400からステップS402までを繰り返す。よって、バッテリ201の電流が負荷に供給されている状態が続けて維持される。
【0076】
それに対して、ステップS402の判断の結果、商用電源200が復旧した状態であれば、制御部100は、AC遮断部120をオンにして商用電源200を接続する(S403)。例えば、制御部100は、前記電流センサにより商用電源200から入力される電流があると判断されると、AC遮断部120をまずオンにして商用電源200を接続する。この場合、商用電源200から供給される電流が正常電流であれば、AC遮断部120がオン状態を維持するので、商用電源200がAC-DCコンバータ160に接続される。しかし、商用電源200から供給される電流に問題があれば(例:過電流)、AC遮断部120が再びオフになり、この場合、商用電源200が再び遮断される。
【0077】
一方、AC遮断部120がオンになると、商用電源200とAC-DCコンバータ160が再び接続される。そうすると、制御部100は、AC-DCコンバータ160を制御し、商用電源200から供給される三相の交流電流がDCリンクバス電圧に相当する電圧の直流電流に変換されるようにAC-DCコンバータ160を駆動する(S404)。そうすると、AC-DCコンバータ160から出力される直流電流がDC遮断部110を介して負荷又は負荷の電力変換部に供給される。
【0078】
そして、制御部100は、DC-DCコンバータ170を再び待機状態に切り替える(S405)。よって、DC-DCコンバータ170は、バッテリ201からの電流の変換を中止するので、バッテリ201の電力消費が中断される。
【0079】
一方、上記説明においては、DCリンクコンデンサ210が充電された状態をそのまま維持すると仮定して説明したが、商用電源200が遮断されると、DCリンクコンデンサ210に充電された電圧の少なくとも一部が放電されることは言うまでもない。よって、制御部100は、ステップS403でAC遮断部120をオンにする前に、DCリンクコンデンサ210を先に充電する過程を行ってもよい。
【0080】
この場合、ステップS403は、ステップS402で商用電源200が復旧すると、まず初期充電部140をオンにしてDCリンクコンデンサ210を充電する過程を含んでもよい。そして、DCリンクコンデンサ210が所定の電圧、すなわちDCリンクバス電圧まで充電されると、AC遮断部120をオンにして商用電源200とAC-DCコンバータ160を接続し、AC遮断部120がオンになってから初期充電部140をオフにし、商用電源200とDCリンクコンデンサ210間の接続を遮断する過程をさらに含んでもよい。
【0081】
一方、ステップS401の検出の結果、バッテリ201の残余電圧が所定のレベル以下であれば、制御部100は、DC遮断部110をオフにしてUPSモジュール10を負荷から遮断する(S410)。よって、商用電源200に異常が発生して負荷又は負荷に接続される電力変換部への電流供給が遮断された状態で、バッテリ201の放電によりUPSモジュール10からそれ以上の電流供給が不可能な場合、他の電源(例えば、予備電源)に接続される電源供給モジュールから負荷に電流が供給される。
【0082】
一方、ステップS410でDC遮断部110によりUPSモジュール10が負荷から遮断された場合、制御部100は、バッテリ遮断部130をオフにし、放電されたバッテリ201とDC-DCコンバータ170間の接続を遮断する(S411)。
【0083】
そして、制御部100は、放電部150をオンにし、DCリンクコンデンサ210と放電部150に含まれる少なくとも1つの抵抗又は接地を接続させる(S412)。よって、DCリンクコンデンサ210に充電された電流が順次放電されるので、DCリンクコンデンサ210の充電電圧も低くなる。
【0084】
一方、DCリンクコンデンサ210の放電によりDCリンクコンデンサ210の電圧が所定の安全電圧(例:0V又は0Vに近い電圧)まで放電されると、制御部100は、放電部150をオフにする(S413)。よって、放電部150とDCリンクコンデンサ210間は短絡する。
【0085】
このように、本発明の実施形態によるUPSモジュール10は、UPSモジュール10の駆動が停止する際にDCリンクコンデンサ210に充電された高電圧を放電させることにより、DCリンクコンデンサ210の高電圧による損傷又は事故を未然に防止することができる。
【0086】
一方、図1図4においては、本発明の実施形態による1つのUPSモジュール10が負荷又は負荷の電力変換部に接続される構成を示したが、それとは異なり、本発明の実施形態による複数のUPSモジュールが負荷に共に接続されてもよいことは言うまでもない。
【0087】
図5は、この場合に本発明の実施形態による複数のUPSモジュールが負荷に共に接続される回路構造を示す回路図である。
【0088】
図5には、1つのDC出力端DC+、DC-に接続される複数のUPSモジュールの一部500、501の例を示しており、各UPSモジュールの共通出力端は、各UPSモジュール500、501に形成されるDC遮断部512、552を介して接続されている。ここで、前記共通出力端は、各UPSモジュールにおいてAC-DCコンバータの出力端とDC-DCコンバータの出力端が互いに接続されて形成されるものである。
【0089】
このように、複数のUPSモジュールが共に負荷に接続される場合、前記負荷から要求される電流、すなわち電流負荷は、前記複数のUPSモジュールに分担される。よって、複数のUPSモジュールが共に駆動されると、電流負荷を低くし、より安定した電源を供給することができる。
【0090】
一方、このように複数のUPSモジュールが駆動される場合、少なくとも1つのUPSモジュールの故障又は整備の際に、そのためにその接続を解除する。
【0091】
例えば、図5に示すように、第1モジュール500と第2モジュール501が共通してDC出力端DC+、DC-に接続された状態で、第1モジュール500の整備又は故障の際に、そのために接続が解除される場合、まず第1AC遮断部518及びバッテリ遮断部522が順次オフになり、商用電源510及びバッテリ511からの電流供給が中断される。
【0092】
そうすると、第1モジュール500の制御部(図示せず)は、図4のステップS410からステップS413までの過程と同様に、まず第1DC遮断部512をオフにし、第1モジュール500をDC出力端DC+、DC-から遮断する。そうすると、第1モジュール500を除く他のUPSモジュール、すなわち第2モジュール501をはじめとする他のUPSモジュールにより負荷に電流が供給される。
【0093】
一方、第1モジュール500の制御部(図示せず)は、第1DC遮断部512がオフになると、放電部526をオンにし、放電部526に備えられる少なくとも1つの抵抗又は接地を第1モジュール500の第1DCリンクコンデンサ516に接続させる。そうすると、第1DCリンクコンデンサ516に充電された電流が放電される。
【0094】
その後、第1モジュール500の点検又は整備が完了すると、第1モジュール500は、第1DC遮断部512をオンにし、第1モジュール500の出力端とDC出力端DC+、DC-を再び接続する。
【0095】
しかし、前述したように、本発明の実施形態によるUPSモジュールは、DCリンクコンデンサを介して形成されるDCリンクバス電圧に応じてバッテリの出力電流と商用電源の出力電流が互いに接続される。よって、DCリンクコンデンサによりDCリンクバス電圧が形成されていない状態で商用電源の交流電流が入力されると、AC-DCコンバータを介してDCリンクバス電圧に達していない電圧が出力される。
【0096】
よって、前記DCリンクバス電圧に達していない電圧を有する直流電流が出力されるのを防止するためには、商用電源が接続される前に、DCリンクコンデンサの充電が先に行われなければならない。
【0097】
このために、第1モジュール500は、負荷に接続されるDC出力端DC+、DC-の正極端DC+に接続される初期充電部の構成をさらに含む。この場合、商用電源510の交流電流のいずれかの相電流(第1相交流電流)が供給される初期充電部は、第1モジュール500の制御部(図示せず)の制御により、前記第1相交流電流を整流して第1DCリンクコンデンサ516に供給し、DC出力端DC+、DC-の正極端DC+に接続される他の初期充電部は、第1モジュール500の制御部(図示せず)の制御により、前記正極端の直流電流を第1DCリンクコンデンサ516に供給する。
【0098】
以下、商用電源510の交流電流を第1DCリンクコンデンサ516に供給する初期充電部514をAC初期充電部といい、DC出力端DC+、DC-の正極端DC+の直流電流を第1DCリンクコンデンサ516に供給する初期充電部515をDC初期充電部という。
【0099】
このように、本発明の実施形態によるUPSモジュール500、501の初期充電部は、AC初期充電部514だけでなく、DC初期充電部515を含む構成を有する。この場合、前述したように、点検又は整備のために第1モジュール500と負荷の接続が解除され、その後再び接続されると、第1AC遮断部518及びバッテリ遮断部522がオフになった状態であるので、DC出力端DC+、DC-の方が電圧が高くなる。
【0100】
この場合、第1モジュール500の制御部は、DC初期充電部515をオンにし、DC出力端DC+、DC-の正極端DC+と第1DCリンクコンデンサ516間の電路を閉路する。そうすると、正極端DC+と第1DCリンクコンデンサ516が接続され、正極端DC+から直流電圧が第1DCリンクコンデンサ516に供給される。
【0101】
一方、第1DCリンクコンデンサ516が所定のDCリンクバス電圧まで充電されると、第1モジュール500の制御部は、第1AC遮断部518をオンにし、商用電源510をAC-DCコンバータ520に接続する。そうすると、AC-DCコンバータ520は、第1DCリンクコンデンサ516を介して前記DCリンクバス電圧を有する直流電流になるように、商用電源510から入力される交流電流を変換して出力する。
【0102】
一方、第1AC遮断部518がオンになると、第1モジュール500の制御部は、DC初期充電部515をオフにする。そして、第1バッテリ遮断部130をオンにし、バッテリ511の電流が第1DC-DCコンバータ524に入力されるようにし、第1DC-DCコンバータ524を待機状態に駆動する。そうすると、再び第1モジュール500を含む複数のUPSモジュールが、負荷から要求される電流、すなわち電流負荷を分担する。
【0103】
このように、本発明の実施形態によるUPSモジュールは、DCリンクコンデンサを介して形成されるDCリンクバス電圧に応じてバッテリの出力電流と商用電源の出力電流が互いに接続されるようにすることにより、前記UPSモジュールの内部構造を一元化することができる。一方、このような一元化された構造のために、本発明の実施形態によるUPSモジュールは、商用電源が接続される前に、前記DCリンクコンデンサが先に充電される。
【0104】
一方、前記DCリンクコンデンサは、前記DCリンクコンデンサに電流を供給する初期充電部を介して充電され、前記初期充電部は、UPSモジュールが、負荷に供給される電流がない状態で行われる初期起動であるか、他のUPSモジュールが負荷に接続された状態、すなわち負荷に供給される直流電流がある状態で行われる再起動であるかに応じて、異なる電流供給源から電流が供給されて前記DCリンクコンデンサを充電する。例えば、UPSモジュールの制御部は、負荷に接続される他のUPSモジュールから供給されるフィードバック信号、又はDC出力端DC+、DC-に形成される電流センサなどにより、前記負荷に電流を供給する他のUPSがあるか否か、すなわち負荷に供給される電流があるか否かを判断する。
【0105】
より詳細には、本発明の実施形態によるUPSモジュールは、前記初期起動時には、商用電源から電流が供給されて前記DCリンクコンデンサを充電し、前記再起動時には、前記負荷に入力される電流が供給されて前記DCリンクコンデンサを充電する。このために、前記初期充電部は、前記商用電源の交流電流を整流する少なくとも1つの整流素子を備え、前記DCリンクコンデンサを充電する充電部(AC初期充電部)と、前記負荷に入力される電流が供給され、前記DCリンクコンデンサを充電する充電部(DC初期充電部)とを含む構成を有する。
【0106】
前述した本発明は、プログラム記録媒体にコンピュータ可読コードで実現することができる。コンピュータ可読媒体には、コンピュータシステムにより読み取り可能なデータが記録されるあらゆる種類の記憶装置が含まれる。コンピュータ可読媒体には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Disk)、SDD(Silicon Disk Drive)、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などが含まれ、かつ搬送波(例えば、インターネットによる送信)状に実現されるものも含まれる。
【0107】
さらに、前記コンピュータは、制御部100を含んでもよい。よって、前述した詳細な説明はあらゆる面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されるべきである。本発明の範囲は請求の範囲の合理的解釈により定められるべきであり、本発明の等価的範囲内でのあらゆる変更が本発明に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】