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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】半導体デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20221228BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552997
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2021078959
(87)【国際公開番号】W WO2021258771
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】202010593852.1
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522184383
【氏名又は名称】広東致能科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】黎 子蘭
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GC05
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GL07
5F102GQ01
5F102GR01
5F102GR04
5F102HC02
5F102HC15
(57)【要約】
本開示は、半導体デバイスおよびその製造方法を提供する。前記半導体デバイスは、基材と、前記基材に形成される凹溝と、前記凹溝構造の制限下で成長され、前記基材の上表面から露出するチャネル層構造と、露出したチャネル層構造を覆う障壁層と、在前記チャネル層構造の第2面および第1面にそれぞれ形成される二次元電子ガスおよび二次元正孔ガスと、前記チャネル層構造の第1面または第2面に形成されるソース、ゲートおよびドレインと、前記チャネル層構造の第2面または第1面に形成される下部電極とを含む。前記半導体デバイスは、ゲートの漏れ電流を減少させることができ、閾値電圧が高く、パワーが高く、信頼性が高く、低オン抵抗およびデバイスのノーマリオフ状態を実現することができ、安定な閾値電圧を提供することができ、したがって、半導体デバイスが良いスイッチング特性を有し、局所電界強度を効果的に低下させることができ、デバイスの全体的性能および信頼性を向上させることができ、前記半導体デバイスは、構造および製造プロセスが比較的に簡単であり、生産コストを効果的に削減することができる。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を用意するステップ100と、
前記基材に、側面が六方対称性の格子構造を有する凹溝を形成するステップ200と、
前記凹溝における前記側面に単結晶シード層を形成するステップ300と、
前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿ってチャネル層を成長させるステップ400と、
前記基材をエッチングして、前記チャネル層をエッチングがされた基材の上表面から突出させるステップ500と、
露出したチャネル層に障壁層を形成し、そして、前記チャネル層の第1面に二次元電子ガスおよび移動できないバックグラウンド正電荷を形成し、および/または前記チャネル層の第2面に二次元正孔ガスおよび移動できないバックグラウンド負電荷を形成するステップ600と、
前記チャネル層の第1面または第2面にソース、ゲートおよびドレインを形成し、前記チャネル層の第2面または第1面に下部電極を形成するステップ700と、を含む
ことを特徴とする半導体デバイス電界分布を調整する方法。
【請求項2】
ステップ400の代わりに、前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿って第1チャネル層、第1調整層および第2チャネル層を成長させるステップ401を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ400の代わりに、前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿って第1チャネル層、第2調整層および第2チャネル層を成長させるステップ402を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ400の代わりに、前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿って第1チャネル層、第1調整層、第2調整層および第2チャネル層を成長させるステップ403を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿ってチャネル層を成長させる場合、前記下部電極が前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続し、
前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿って第1チャネル層、第1調整層および第2チャネル層を成長させる場合、前記下部電極が前記第1調整層と、前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続し、
前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿って第1チャネル層、第2調整層および第2チャネル層を成長させる場合、前記下部電極が前記第2調整層と、前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続し、
前記単結晶シード層を核として前記凹溝の制限下で前記凹溝に沿って第1チャネル層、第1調整層、第2調整層および第2チャネル層を成長させる場合、前記下部電極が前記第1調整層と、第2調整層と、前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
下部電極が前記チャネル層の第2面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がP型ドーピングを有し、または下部電極が前記チャネル層の第1面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がN型ドーピングを有する
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1調整層におけるドーピング濃度が5E18/cm未満であり、第2調整層におけるドーピング濃度が1E17~5E19/cmである
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ソース、前記ゲートおよび前記ドレインは、同一面に設置されまたは異なる面に設置される
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ソース、前記ドレインが前記チャネル層に直接または間接に形成され、前記ゲートが前記障壁層に直接または間接に形成される
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記チャネル層を成長させる前に、前記シード層にバッファ層を成長させる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記シード層が、前記ソースと対応する位置、前記ドレインと対応する位置または前記ゲートと前記ドレインとの間の位置と対応する位置に設置される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記シード層が前記ドレインと対応する位置に設置される場合、前記シード層に電流遮断層をさらに形成する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
HEMTデバイスを形成する場合、前記ソース領域およびドレイン領域に対してN型ドーピングを行い、HHMTデバイスを形成する場合、前記ソース領域およびドレイン領域に対してP型ドーピングを行う
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記凹溝の側面および底表面に媒体層を形成する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
六方対称性の格子構造の側面を有する基材と、
単結晶シード層と
前記シード層を核として成長され、前記基材の上表面から突出したチャネル層と、
前記突出したチャネル層に形成された障壁層と、
前記チャネル層の第1面に形成された二次元電子ガスおよび移動できないバックグラウンド正電荷、および/または前記チャネル層の第2面に形成された二次元正孔ガスおよび移動できないバックグラウンド負電荷と、
前記チャネル層の第1面または第2面に形成されたソース、ゲートおよびドレイン、前記チャネル層の第2面または第1面に形成された下部電極と、を備え
前記チャネル層の第2面に下部電極が形成された場合、HEMTデバイスとして形成され、前記チャネル層の第1面に下部電極が形成された場合、HHMTデバイスとして形成される
ことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項16】
前記チャネル層の代わりに、第1チャネル層、第1調整層および第2チャネル層が用いられる
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記チャネル層の代わりに、第1チャネル層、第2調整層および第2チャネル層が用いられる
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記チャネル層の代わりに、第1チャネル層、第1調整層、第2調整層および第2チャネル層が用いられる
ことを特徴とする請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記シード層を核として成長されるチャネル層を含む場合、前記下部電極が前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続し、
前記チャネル層の代わりに、第1チャネル層、第1調整層および第2チャネル層が用いられる場合、前記下部電極が前記第1調整層と、前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続し、
前記チャネル層の代わりに、第1チャネル層、第2調整層および第2チャネル層が用いられる場合、前記下部電極が前記第2調整層と、前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続し、
前記チャネル層の代わりに、第1チャネル層、第1調整層、第2調整層および第2チャネル層が用いられる場合、前記下部電極が前記第1調整層と、前記第2調整層と、前記二次元電子ガスまたは前記二次元正孔ガスと接続して、前記デバイスの電界分布を調整するように構成される
ことを特徴とする請求項15~18のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記下部電極が前記チャネル層の第2面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がP型ドーピングを有し、または前記下部電極が前記チャネル層の第1面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がN型ドーピングを有する
ことを特徴とする請求項19に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記第1調整層におけるドーピング濃度が5E18/cm未満であり、前記第2調整層におけるドーピング濃度が1E17~5E19/cmである
ことを特徴とする請求項20に記載の半導体デバイス。
【請求項22】
前記ソース、前記ゲートおよび前記ドレインは、同一面に設置されまたは異なる面に設置される
ことを特徴とする請求項19に記載の半導体デバイス。
【請求項23】
前記シード層にバッファ層がさらに形成される
ことを特徴とする請求項15~18のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項24】
前記シード層が、前記ソースと対応する位置、前記ドレインと対応する位置または前記ゲートと前記ドレインとの間の位置と対応する位置に設置される
ことを特徴とする請求項15~18のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項25】
前記シード層が前記ドレインと対応する位置に設置され、前記シード層に電流遮断層がさらに形成される
ことを特徴とする請求項15~18のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項26】
HEMTデバイスとして形成される場合、前記ソースおよびドレイン領域がN型ドーピングをさらに有し、HHMTデバイスとして形成される場合、前記ソースおよびドレイン領域がP型ドーピングをさらに有する
ことを特徴とする請求項15~18のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項27】
前記基材に凹溝が形成され、前記凹溝の側壁および底表面に媒体層がさらに形成される
ことを特徴とする請求項15~18のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【請求項28】
請求項15~27のいずれか1項に記載の半導体デバイスを含む
ことを特徴とする相補型半導体デバイス。
【請求項29】
請求項15~28のいずれか1項に記載の半導体デバイスを含む
ことを特徴とする無線周波数設備。
【請求項30】
請求項15~28のいずれか1項に記載の半導体デバイスを含む
ことを特徴とする電気パワー設備。
【発明の詳細な説明】
【関係出願の相互参照】
【0001】
本開示は、2020年6月23日に中国専利局に提出された、出願番号が202010593852.1であり、名称が「半導体デバイスおよびその製造方法」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本開示に参照として取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、半導体分野に属し、より具体的に、電界分布を調整できる半導体デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
III族窒化物半導体は、重要な新型半導体材料であり、主にAlN、GaN、InNおよびこれらの材料の化合物であるAlGaN、InGaN、AlInGaNなどを含む。前記III族窒化物半導体の、直接バンドギャップ、ワイドバンドギャップ、高破壊電界強度などの利点を利用し、デバイス構造およびプロセスを最適化に設計することで、III族窒化物半導体がパワーデバイスおよび無線周波数デバイスの分野で応用の見込みがある。高電子移動度および高正孔移動度トランジスタは、III族窒化物半導体を応用する重要なデバイスであり、耐電圧が高く、パワーが高く、オン抵抗が低く、信頼性が高いなどの高性能をもつ高電子移動度および高正孔移動度トランジスタが望まれている。
【0004】
III族窒化物半導体材料の高臨界破壊電界特性を利用してデバイスの耐圧を向上させるため、多くの研究が行われ、例えば、縦方向にチャネル層の厚さまたは品質を増加させ、横方向にドリフト領域の長さを増加させていた。しかし、上記の改良案であれば、デバイスの面積が増加し、コストが高く、デバイスのオン抵抗が大きくなり、消費電力が増加し、スイッチング速度が低くなることもあり、または採用する案による耐圧効果に限界がある。
【発明の概要】
【0005】
上記の状況に鑑みて、本開示は、半導体デバイス構造およびその製造方法を提供する。
【0006】
本開示のいくつかの形態に対する基本的な理解を提供するため、以下、本開示の簡略内容を提供する。なお、この内容は、本開示のすべての内容ではないことを理解すべきである。これは、本開示の重点または重要な部分を特定するためのものでもないし、本開示の範囲を限定するためのものでもなく、いくつかの概念を簡略に提出してその後のより詳細な説明の前書きとされるものにすぎない。
【0007】
本開示の内容の一局面において、半導体デバイスの製造方法を提供し、該半導体デバイスの製造方法は、
基材を用意するステップと、
前記基材に側面が六方対称性の格子構造を有する凹溝を形成するステップと、
前記凹溝における前記側面に単結晶シード層を形成するステップと、
前記凹溝の制限下で前記単結晶シード層を核として前記凹溝に沿ってチャネル層を成長させるステップと、
前記基材をエッチングして、前記チャネル層をエッチングがされた基材の上表面から突出させるステップと、
前記露出したチャネル層に障壁層を形成し、そして、前記チャネル層の第1面に二次元電子ガスおよび移動できないバックグラウンド正電荷を形成し、および/または前記チャネル層の第2面に二次元正孔ガスおよび移動できないバックグラウンド負電荷を形成するステップと、
前記チャネル層の第1面または第2面にソース、ゲートおよびドレインを形成し、前記チャネル層の第2面または第1面に下部電極を形成するステップと、を含む。
【0008】
任意選択で、ステップ400の代わりに、前記凹溝の制限の下で前記単結晶シード層を核として前記凹溝に沿って第1チャネル層、第1調整層および第2チャネル層構造を成長させるステップ401を含む。
【0009】
任意選択で、ステップ400の代わりに、前記凹溝の制限下で前記単結晶シード層を核として前記凹溝に沿って第1チャネル層、第2調整層および第2チャネル層構造を成長させるステップ402を含む。
【0010】
任意選択で、ステップ400の代わりに、前記凹溝の制限下で前記単結晶シード層を核として前記凹溝に沿って第1チャネル層、第1調整層、第2調整層および第2チャネル層構造を成長させるステップ403を含む。
【0011】
任意選択で、前記下部電極が、少なくとも前記第1調整層、第2調整層、前記二次元電子ガスおよび二次元正孔ガスのうちの一方と接続する。
【0012】
任意選択で、下部電極が前記チャネル層の第2面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がP型ドーピングを有し、または下部電極が前記チャネル層の第1面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がN型ドーピングを有する。
【0013】
任意選択で、前記第1調整層におけるドーピング濃度が5E18/cm未満であり、第2調整層におけるドーピング濃度が1E17~5E19/cmである。
【0014】
任意選択で、前記ソース、前記ゲートおよび前記ドレインは、同一面に設置されまたは異なる面に設置される。
【0015】
任意選択で、前記ソース、前記ドレインが前記チャネル層に直接または間接に形成され、前記ゲートが前記障壁層に直接または間接に形成される。
【0016】
任意選択で、前記チャネル層を成長させる前に、前記シード層にバッファ層を成長させる。
【0017】
任意選択で、前記シード層が、前記ソースと対応する位置、前記ドレインと対応する位置または前記ゲートと前記ドレインとの間の位置と対応する位置に設置される。
【0018】
任意選択で、前記シード層が前記ドレインと対応する位置に設置される場合、前記シード層に電流遮断層をさらに形成する。
【0019】
任意選択で、HEMTデバイスを形成する場合、前記ソース領域およびドレイン領域に対してN型ドーピングを行い、HHMTデバイスを形成する場合、前記ソース領域およびドレイン領域に対してP型ドーピングを行う。
【0020】
任意選択で、前記凹溝の側面および底表面に媒体層を形成する。
【0021】
本開示の内容の他の局面として、半導体デバイスを提供し、半導体デバイスが、
六方対称性の格子構造の側面を有する基材と、
単結晶シード層と、
前記シード層を核として成長され、前記基材の上表面から突出したチャネル層と、
前記突出したチャネル層に形成された障壁層と、
前記チャネル層の第1面に形成された二次元電子ガスおよび移動できないバックグラウンド正電荷、および/または前記チャネル層の第2面に形成された二次元正孔ガスおよび移動できないバックグラウンド負電荷と、
前記チャネル層の第1面または第2面に形成されたソース、ゲートおよびドレイン、前記チャネル層の第2面または第1面に形成された下部電極と、を備え、
前記チャネル層の第2面に下部電極が形成された場合、HEMTデバイスとして形成され、前記チャネル層の第1面に下部電極が形成された場合、HHMTデバイスとして形成される。
【0022】
任意選択で、前記チャネル層構造の代わりに、第1チャネル層、第1調整層および第2チャネル層構造が用いられる。
【0023】
任意選択で、前記チャネル層構造の代わりに、第1チャネル層、第2調整層および第2チャネル層構造が用いられる。
【0024】
任意選択で、前記チャネル層構造の代わりに、第1チャネル層、第1調整層、第2調整層および第2チャネル層構造が用いられる。
【0025】
任意選択で、前記下部電極が、前記第1調整層、第2調整層、前記二次元電子ガスおよび二次元正孔ガスのうちの少なくとも一方と接続して、前記デバイスの電界分布を調整する。
【0026】
任意選択で、前記下部電極が前記チャネル層の第2面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がP型ドーピングを有し、または前記下部電極が前記チャネル層の第1面に形成され、前記第1調整層または第2調整層がN型ドーピングを有する。
【0027】
任意選択で、前記第1調整層におけるドーピング濃度が5E18/cm未満であり、第2調整層におけるドーピング濃度が1E17~5E19/cmである。
【0028】
任意選択で、前記ソース、前記ゲートおよび前記ドレインは、同一面に設置されまたは異なる面に設置される。
【0029】
任意選択で、前記シード層にバッファ層がさらに形成される。
【0030】
任意選択で、前記シード層が、前記ソースと対応する位置、前記ドレインと対応する位置または前記ゲートと前記ドレインとの間の位置と対応する位置に設置される。
【0031】
任意選択で、前記シード層が前記ドレインと対応する位置に設置され、前記シード層に電流遮断層が形成される。
【0032】
任意選択で、HEMTデバイスとして形成される場合、前記ソースおよびドレイン領域がN型ドーピングをさらに有し、HHMTデバイスとして形成される場合、前記ソースおよびドレイン領域がP型ドーピングをさらに有する。
【0033】
任意選択で、前記凹溝の側壁および底表面に媒体層がさらに形成される。
【0034】
本開示の内容の他の局面として、上記のいずれか1種の半導体デバイスを含む相補型半導体デバイスを提供する。
【0035】
本開示の内容の他の局面として、上記のいずれか1種の半導体デバイスを含む無線周波数設備を提供する。
【0036】
本開示の内容の他の局面として、上記のいずれか1種の半導体デバイスを含む電気パワー設備を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本開示の上記の目的および他の目的、特徴および利点をより容易に理解するため、図面を参照しながら本開示の具体的な内容を説明する。図面は、本開示の原理を示すものにすぎず、図面において、ユニットの寸法および相対位置を比例で描くとは限らない。
図1-15】一実施形態による半導体デバイス構造およびその製造方法の模式図である。
図16-19】選択可能な半導体デバイス構造およびその製造方法の模式図である。
図20-23】選択可能な半導体デバイス構造およびその製造方法の模式図である。
図24-28】選択可能な半導体デバイス構造およびその製造方法の模式図である。
図29-31】選択可能な半導体デバイス構造およびその製造方法の模式図である。
図32】選択可能な半導体デバイス構造およびその製造方法の模式図である。
図33】選択可能な半導体デバイス構造およびその製造方法の模式図である。
図34】選択可能な半導体デバイス構造の製造方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な内容を説明する。明瞭および簡単のため、明細書において、本開示の内容を実現するすべての特徴を説明するのではない。しかしながら、開発者の具体的な目標を実現するように、本開示を実現する過程において本開示の内容を実施できる多くの方式を採用してもよく、そして、本開示の内容によってはこれらの方式が変更することもある。
【0039】
ここで、必須でない細部で本開示の内容が複雑になることを避けるため、図面において、本開示の案に深く関わっているデバイス構造のみを示し、いくつかの細部を省略する。
【0040】
なお、以下、図面を用いて本開示の内容を説明したが、本開示の内容は、説明された実施形態に限定されない。本開示の内容において、実施可能である限り、異なる実施形態の間で特徴を置き換えまたは組合せてもよく、または、1つの実施形態において1つまたは複数の特徴を省略してもよい。
【0041】
下記の具体実施形態について図面を参照することができ、図面は、本開示の一部を示すとともに例示的な実施形態を示す。なお、保護しようとする主題の範囲から逸脱しない限り、他の実施形態により構造の形成および/または論理の変更を行ってもよい。また、方向および位置(例えば、上、下、頂部、底部など)は、図面に示される特徴を理解するためのものにすぎず、限定的に以下の具体的な実施形態のみを採用することを意味しない。
【0042】
本開示の明細書および特許請求の範囲に使用される用語について、特に断りがない限り、「一」、「1つ」および「前記」は、複数のものを指すことも可能である。なお、本明細書に使用される用語の「および/または」は、該当列挙項目のうちの1つまたは複数の項目の任意の1つおよびそのすべての可能な組合せを含む。
【0043】
具体的に、本開示に係る半導体デバイスは、窒化物半導体材料を含む化合物半導体デバイスであり、窒化物半導体デバイスとも呼ばれ、窒化物半導体デバイスがIII族窒化物半導体デバイスである。さらに、III族窒化物半導体デバイスは、ウルツ鉱(Wurtzite)III族窒化物半導体材料を用いるトランジスタを含む。さらに、トランジスタは、GaN半導体材料のGaNトランジスタである。特に、GaNトランジスタは、ノーマリオフ型のトランジスタGaN-HEMTおよび/またはGaN-HHMTである。
【0044】
以下、図1図15を参照しながら、一実施形態による半導体デバイスおよびその製造方法を説明する。
【0045】
図1図15に示すように、該半導体デバイスは、基材100を備える。基材100の材質は、実際のニーズに応じて選択することができ、本開示では、基材100の具体的な材料が限定されなく、形成された、基材の表面に垂直な垂直凹溝の側面が六方対称性の格子構造を有する基材材料であればよい。例示的に、基材100の材料は、Si、Al、SiC、GaNなどであってもよい。
【0046】
シリコン基材は、安価で、加工性が良いなどの利点を有するため、本開示において、Si基材を例にして説明する。例示的に、単結晶シリコン基材は、(110)または(112)面を採用するシリコン基材であってもよい。図1に示すように、第1表面1001を有する基材100を用意し、基材100の第1表面1001に第1媒体層101を形成し、例示的に、第1媒体層101が、熱酸化処理または気相成長により形成されるSiO層であり、例示的に、第1媒体層101の厚さが約0.5μmである。なお、本発明に記載の数値範囲などは、例示するためのものにすぎず、本開示を限定するものではない。第1媒体層101は、基材の第1表面1001に平行な第1表面1011を有する。一部の第1媒体層101およびその下方の基材100をエッチングして、複数の垂直の凹溝を形成し、具体的に、凹溝が、間隔をあけて並んでいる第1凹溝102および第2凹溝102’を含み、第1凹溝および第2凹溝は、構造および寸法が同じである。例示的に、第1凹溝および第2凹溝は、深さが約5μmである。各凹溝の第1表面1021および第2表面1022の下部は、それぞれ基材の露出した第2表面1002および第3表面1003からなり、基材の第2表面1002および第3表面1003が、六方対称の格子構造を有し、例えば、Si(111)面を有する。なお、基材の第2表面および第3表面は、Al(0001)面、SiC(0001)面、SiC(0001)面、GaN(0001)面、またはGaN(0001 ̄)などであってもよい。各凹溝の第1表面1021および第2表面1022の上部は、それぞれ第1媒体層101の第2表面1012および第3表面1013からなる。図5図6に示すように、各凹溝の第3表面1023に第2媒体層103を形成し、例示的に、第2媒体層103が、酸化により形成される二酸化ケイ素層であり、例示的に、その厚さが約500nmである。図7に示すように、各凹溝の第1表面1021および第2表面1022に第4媒体層105を形成し、例示的に、第4媒体層の厚さが約100nmである。該第4媒体層によれば、エピタキシャル成長するときのシリコン基材とGa含有前駆体との相互作用を避けることができるとともに、エピタキシャル成長するときの選択性の向上に寄与できる。さらに、図8図9に示すように、第1凹溝の第2表面および第2凹溝の第1表面のそれぞれに形成される第4媒体層105の一部を除去し、第1凹溝に露出する基材100の第3表面1003および第2凹溝に露出する基材100の第2表面1002のそれぞれに単結晶シード層106を形成する。例示的に、単結晶シード層がALN層であり、ALN結晶は、成長方向が<0001>方向であり、表面が(0001)面である。例示的に、単結晶シード層の位置が、後のデバイスのソースの形成する位置と対応する。後で形成されるデバイス構造は、ソースを参照点とする場合に半導体デバイス構造が対称の構造と形成されかつソース領域の電圧が非常に低いため、結晶品質の影響を受け難く、核生成領域の結晶品質の劣りによる影響を最小限に抑える。図10に示すように、シード層106を核としてチャネル層201を選択的に成長させ、チャネル層201が窒化物であってもよく、例示的に、真性GaN(i-GaN)または非意図的にドープされたGaN層である。凹溝102の存在により、チャネル層201がシード層から凹溝102に沿って成長し、成長が、凹溝に沿った第1方向における成長および凹溝に垂直な第2方向における成長を含み、また、チャネル層201が凹溝の外にも成長してもよく、この場合、平坦化またはエッチング技術により凹溝の外のチャネル層201を除去する。
【0047】
図11に示すように、チャネル層の両側に対してエッチングを行い、第1媒体層101および一部の基材100を除去して、チャネル層201を、エッチングがされた基材100の第4表面1004から突出させる。チャネル層201の、自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第1面2013、およびそれに対向する、自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第2面2014について、チャネル層がGaNである場合、第1面2013が(0001)面であり、第2面2014が(0001 ̄)面である。図12に示すように、エッチングがされた基材100に第3媒体層107を形成して、露出したシリコン基材を隔離する。例示的に、図13に示すように、第3媒体層が二酸化ケイ素層である。そして、チャネル層201を覆うように障壁層202を形成し、障壁層がAlN層またはAlGaN層であり、チャネル層の第1面2013および第2面2014にそれぞれ二次元電子ガス2DEGおよび二次元正孔ガス2DHGが形成され、相応に界面で、移動不能なバックグラウンド正電荷およびバックグラウンド負電荷も存在し、バックグラウンド正電荷が二次元電子ガス2DEGを吸引し、バックグラウンド負電荷が二次元正孔ガス2DHGを吸引し、つまり、相補型垂直チャネルデバイス構造が形成される。
【0048】
そして、図14に示すように、チャネルの長手方向に沿って障壁層202にソース401、ゲート402、ドレイン403および下部電極404のそれぞれを形成する。なお、形成されるデバイスがHEMTである場合、ソースおよびドレインを二次元電子ガスの伝送方向に沿ってチャネル201に形成し、下部電極と二次元正孔ガスとを電気的に接触させる。形成されるデバイスがHHMTである場合、ソースおよびドレインを二次元正孔ガスの伝送方向に沿ってチャネル201に形成し、下部電極と二次元電子ガスとを電気的に接触させる。下部電極は、独立して制御する電極であってもよく、ソースまたはゲートと電気的に接続してもよい。下部電極は、ゲートとドレインとの間に位置してもよく、ソースとゲートとの間に位置してもよく、ゲートの下方に位置してもよい。
【0049】
凹溝の存在により、チャネル層が横方向にエピタキシャル成長するとき、非常にストレートに成長することができ、そして、チャネル層を含む半導体デバイスの垂直表面が凹溝により非常にストレートに成長することができ、したがって、比較的に高いアスペクト比が容易に実現される。より具体的に、チャネル層201が垂直チャネルとして使用するとき、単位面積でより高いチャネル密度を実現し、デバイスの抵抗を低下させ、デバイスの性能を向上させることができる。
【0050】
ここで、HEMT(高電子移動度トランジスタ)を例にして説明する。下部電極404が設置されたあと、デバイスがオンにされるとき、図15に示すように、電流がドレイン403からソース401へ流れ(電子がソース401からドレイン403へ流れる)、このとき、下部電極404の設置は、電流の流れにほとんど影響しない。デバイスがオフにされるとき、ドレイン403が高電圧にあり、このとき、チャネルが閉じられ、ゲート402からドレイン403への二次元電子ガスがドレイン403の高電圧により空乏化され、バックグラウンド正電荷だけが残される。また、下部電極の設定した電圧がドレインの電圧よりはるかに低く、下部電極に接続される2DHGが電界作用で部分的に空乏化されるため、バックグラウンド負電荷が残され、バックグラウンド負電荷が電界を発生させて2DEGにおける一部の電界を相殺することができ、これらのバックグラウンド負電荷と上記の残されたバックグラウンド正電荷とにより、電界の分布がより均一で、局所電界強度を低下させる目的を達する。HHMT(高正孔移動度トランジスタ)デバイスである場合、HEMTデバイスと類似し、デバイスがオンにされるとき、電流がドレインからソースへ(正孔がドレインからソースへ)流れ、このとき、下部電極の設置は、電流の流れにほとんど影響しない。デバイスがオフにされるとき、ドレインが高負圧にあり、このとき、チャネルが閉じられるため、ゲートからドレインへの2DHGが空乏化され、バックグラウンド負電荷だけが残される。このとき、下部電極の電圧がドレイン電極の電圧よりはるかに高いため、下部電極に接続される2DEGが電界の作用で部分的に空乏化されるため、バックグラウンド正電荷が残される。これらのバックグラウンド正電荷は、2DHGチャネル層バックグラウンド負電荷の電界の一部を相殺することができ、これによって、電界の分布をより均一にすることができる。
【0051】
図1図14を参照しながら、該半導体デバイスを製造する製造方法を詳細に説明する。図1図2図6図10は、断面図であり、図3図5図7図9図11図14は、平面図である。
【0052】
ステップ1は、図1に示すように、1つの基材100を用意し、基材が(110)または(112)面を採用するシリコン基材であり、基材100の第1表面1001に第1媒体層101を形成し、例示的に、第1媒体層101が熱酸化処理または気相成長により形成されるSiO層である。例示的に、第1媒体層101の厚さは約0.5μmである。
【0053】
ステップ2は、図2に示すように、第1媒体層101に間隔をあけてフォトエッチングして第1媒体層101の内部の一部を露光し、そして、フォトエッチング位置で第1媒体層101およびその下方の基材100をエッチングして、垂直の凹溝を形成し、凹溝が、間隔をあけて並んでいる第1凹溝102および第2凹溝102’を含む。各凹溝の2つの側面、すなわち、第1表面1021および第2表面1022の下部は、それぞれエッチングがされた基材の露出した第2表面1002および第3表面1003からなる。基材の第2表面1002および第3表面1003が、六方対称の格子構造を有し、例えば、Si(111)面を有する。基材の第2表面および第3表面は、Al(0001)面、SiC(0001)面、SiC(0001 ̄)面、GaN(0001)面またはGaN(0001 ̄)面などであってもよい。
【0054】
ステップ3は、図3に示すように、ステップ2で形成した構造をもとに、同一面蒸着により犠牲層104を形成し、例示的に、犠牲層104が、窒化ケイ素層であり、その厚さが約100nmである。なお、第1媒体層および犠牲層の選択について、両者が高エッチング選択比を有すればよく、例えば、犠牲層をエッチングするとき、エッチング剤が第1媒体層に対してほとんどエッチングしなく、または非常にゆっくりとエッチングする。
【0055】
ステップ4は、図4に示すように、ドライエッチングを行い、第1媒体層101の第1表面1011における犠牲層104と凹溝102102’の第3表面1023における犠牲層104とを除去し、各凹溝102(102’)の第1表面1021および第2表面1022のそれぞれにおける犠牲層104を残す。
【0056】
ステップ5は、図5に示すように、酸化工程により、各凹溝の第3表面1023に第2媒体層103(二酸化ケイ素層)を形成し、凹溝の第1表面および第2表面が、残された犠牲層104の保護で酸化されなく、第2媒体層により、後で窒化物半導体が成長するときにガリウム原子とシリコン基材との不適合を避け、メルトバック(melt-back)現象の発生を避けることができる。そして、該第2媒体層により、窒化物半導体とシリコン基材との間の漏れ電流を効果的に遮断し、シリコン基材による寄生容量を効果的に低減することができる。
【0057】
ステップ6は、図6に示すように、犠牲層104および第2媒体層103(二酸化ケイ素層)のエッチング選択比を利用して、選択的ウェットエッチングにより、各凹溝の第1表面および第2表面における犠牲層104を除去する。
【0058】
ステップ7は、図7に示すように、酸化工程により、各凹溝102の第1表面および第2表面のそれぞれに比較的に薄い第4媒体層105(二酸化ケイ素層)を形成し、後で第4媒体層が除去されたとき、基材を保護できる十分厚い第1媒体層および第2媒体層が依然として存在するように、第4媒体層の厚さを第1媒体層、第2媒体層の厚さと異なって設定する。これらの媒体層により、後で窒化物半導体が成長するときにガリウム原子とシリコン基材との不適合を避け、メルトバック(melt-back)現象の発生を避けることができる。
【0059】
ステップ8は、図8に示すように、フォトレジストを塗布し、第1凹溝と第2凹溝との間にフォトエッチングパターンを形成して第1凹溝と第2凹溝との間の一部の第1媒体層101を露光する。なお、フォトエッチングパターンにより、第1凹溝と第2凹溝との間の全部の第1媒体層101を露光してもよい。
【0060】
ステップ9は、図9に示すように、露光された、第1凹溝の第2表面および第2凹溝の第1表面のそれぞれにおける第4媒体層105を除去し、第1媒体層の厚さが第4媒体層の厚さよりはるかに大きいため、一部の第4媒体層を除去する過程において、露光された第1媒体層部分は、完全に除去されず、非常に薄くエッチングされ、そして、フォトレジストを除去し、これによって、第1凹溝において一部の基材100の第3表面1003を露出し、第2凹溝において一部の基材100の第2表面1002を露出する。
【0061】
ステップ10は、図9に示すように、シリコン基材とガリウムとのメルトバック(melt-back)効果のため、シリコン基材にGaNを直接成長させることができなく、一般的に、AlNのシード層を先に成長させ、そしてそれをもとに後の窒化物半導体構造を形成し、したがって、露出された、第1凹溝における基材100の第3表面1003、および、露出された、第2凹溝における基材100の第2表面1002のそれぞれに単結晶AlNシード層106を形成し、単結晶AlN結晶の成長方向が<0001>であり、その表面が(0001)面である。なお、AlNの選択性が非常に低く、通常のプロセス条件下で媒体層にも多結晶または非晶質のAlNを生成しやすいため、所望の構造の形成に不利である。したがって、シード層が形成されたあと、二酸化ケイ素層におけるAlNを別途除去する必要がある。または、AlNシード層を成長させるとき、AlNシード層をシリコン基材だけで成長させ、二酸化ケイ素層で成長させないことを保証するように、塩素含有ガスを導入する。
【0062】
なお、他の基材、例えば、Alを採用する場合、シード層がGaNであってもよい。このとき、プロセス調整により露出された基材の表面だけで核を形成することを容易に実現できる。
【0063】
ステップ11は、図10に示すように、シード層106を核としてチャネル層201を側方にエピタキシャル成長させ、凹溝102の存在により、チャネル層201がシード層から凹溝102に沿って側方にエピタキシャル成長し、成長が、凹溝に沿った第1方向における成長および凹溝に垂直な第2方向における成長を含み、また、チャネル層201が凹溝の外にも成長してもよく、この場合、平坦化またはエッチング技術により凹溝の外のチャネル層201を除去する。側方エピタキシャルによれば、側方エピタキシャル領域の窒化物半導体結晶の品質を効果的に向上させ、デバイスの電気的性能を向上させることができる。凹溝の外のチャネル層を除去することによれば、デバイスが形成する過程において制限される状態に保たれ、特定の構造および寸法の形成に有利であり、アスペクト比の比較的に高いデバイスの形成に寄与でき、成長プロセスパラメータの調整以外の、アスペクト比の比較的に高いデバイスを実現できる手段が提供され、そして、凹溝でのチャネル層の成長が凹溝の第1表面および第2表面に制限されるため、チャネル層の成長過程において、完全垂直に保つことができなくまたは成長面が同一平面に位置しない状況、多くかつ複雑の成長面が形成される状況が避けられ、デバイスに対する制御およびその電気的性能の向上の実現に寄与できる。なお、凹溝の外に成長したチャネル層201を除去せず、凹溝から突出した部分として形成してもよい。
【0064】
ステップ12は、図11に示すように、フォトエッチングパターンを形成して隣接する第1凹溝と第2凹溝との間の全部の領域を露光し、該領域における第1媒体層101および一部の基材100の材料をエッチングして、凹溝102における、第4媒体層で覆われるチャネル層を、エッチングがされた基材の第4表面1004から突出させる。
【0065】
ステップ13は、図12に示すように、エッチングがされた基材100の第4表面1004に第3媒体層107を形成し、例示的に、第3媒体層が酸化により形成される二酸化ケイ素層であり、そして、チャネル層201を覆う第4媒体層を除去して、チャネル層201の、自発分極効果およびピエゾ効果を有する第1面2013、および、それに対向する自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第2面2014を露出する。
【0066】
ステップ14は、図13に示すように、チャネル層201に覆うように障壁層202を形成し、障壁層がAlN層またはAlGaN層であり、チャネル層の第1面2013および第2面2014にそれぞれ二次元電子ガス2DEGおよび二次元正孔ガス2DHGが形成される。
【0067】
なお、チャネル層を成長させる前に、バッファ層を先に成長させてもよい。
【0068】
ステップ15は、図14に示すように、絶縁層を堆積させ、絶縁層に対してフォトエッチングを行い、そして、その上に金属を堆積させる。HEMTである場合、二次元電子ガスの伝送方向に沿ってチャネル層201の第1面でソース401、ドレイン403を形成し、二次元電子ガスの伝送方向に沿って障壁層202にゲート402を形成し、ゲートがソースとドレインとの間に位置する。任意選択で、ソース、ゲートおよびドレインがいずれも二次元電子ガスの伝送方向に沿った障壁層202に形成される。二次元正孔ガスが存在する第2面で下部電極404を形成する。HHMTである場合、チャネル層201において、二次元正孔ガスの伝送方向に沿って第2面でソース、ドレインを形成し、二次元正孔ガスの伝送方向に沿って障壁層202にゲートを形成し、ゲートがソースとドレインとの間に位置する。任意選択で、ソース、ゲートおよびドレインがいずれも二次元正孔ガスの伝送方向に沿った障壁層202に形成される。二次元電子ガスが存在する第1面で下部電極404を形成する。
【0069】
図16図19を参照しながら、選択可能な半導体デバイスおよびその製造方法を説明する。図16図19は、いずれも平面図である。
【0070】
任意選択で、凹溝内においてチャネルの第1表面および第2表面の方向に沿ってチャネル層の第1サブ層2011、第1調整層2013、チャネル層の第2サブ層2012が形成され、チャネル層の第1サブ層2011、第1調整層2013およびチャネル層の第2サブ層2012により凹溝が完全に埋められ、それらの各層がチャネル層の第1表面に平行であるとともに同一面に揃えられている。なお、第1調整層においてP型ドーピングを有し、またはN型ドーピングを有し、例示的に、P型ドーピングがP型GaNであり、N型ドーピングがN型GaNである。例示的に、ドーピング濃度が5E18/cm未満である。具体的にP型ドーピングを行うか、N型ドーピングを行うかは、後のデバイスの具体的なタイプによって決められ、HEMTデバイスである場合、P型ドーピングを行い、HHMTデバイスである場合、N型ドーピングを行う。なお、ドーピングがグレーデッドドーピングであってもよい。第1調整層のチャネル層の第1面における投影は、ゲートとドレインとの間に位置し、またはゲートの該方向における投影と部分的に重なり合う。
【0071】
ドーピングされた第1調整層は、チャネル層の側面に対して垂直または傾斜して設置され、設計されたドーピング分布により、デバイスがオフにされるときに印加電界に対して反応して電界分布を変化させ、したがって、局所電界強度を効果的に低下させることができ、特にドレインに近いゲート端の電界ピーク値を低減させることができる。ここで、調整層は、側方エピタキシャル成長によるものが好ましく、イオン注入の方式に比べて、イオン注入による損傷などの問題が生じなく、電気的性能が優れる。
【0072】
デバイスがオフ状態にあるとき、下部電極が第1調整層と電気的に接続されるため、電界を調整する、ゲートとドレインとの間のドーピング層(電界調整ドーピング層)の電位の不安定が避けられる。なお、下部電極を設置せずに、フローティングにした状態の電界調整ドーピング層だけにより局所電界強度を低下させてもよい。
【0073】
なお、下部電極が二次元電荷キャリアガスおよび第1調整層のそれぞれと電気的に接続されるため、第1調整層のドーピング、および、相補型チャネルにおける1種のタイプのバックグラウンド電荷と他のタイプの二次元電荷キャリアにおける一部の電界の作用を相殺することにより、局所電界強度を低下させる。
【0074】
以下、該半導体デバイスを製造する製造方法を具体的に説明する。
【0075】
ステップ11’は、図16図19に示すように、シード層106を形成したあと、シード層106を核としてチャネル層の第1サブ層2011を選択的に成長させ、凹溝102の存在により、第1サブ層2011がシード層から凹溝102に沿って側方にエピタキシャル成長し、成長が、凹溝の第1表面または第2表面に沿った第1方向における成長および凹溝の第3表面に垂直する成長を含む。そして、第1サブ層2011を核として、ドーピングされた第1調整層2013を成長させ、第1調整層2013の成長が、凹溝の第1表面または第2表面に沿った第1方向における成長、凹溝の第1表面または第2表面に垂直な第2方向における成長および凹溝の第3表面に垂直する成長を含む。第1調整層2013のチャネル層の第1面における投影は、ゲートとドレインとの間に位置し、またはゲートの該方向における投影と部分的に重なり合う。
【0076】
さらに、第1調整層2013を核としてチャネル層の第2サブ層2012を成長させ、チャネル層の第2サブ層が真性GaN層または非意図的にドープされたGaN層であってもよい。チャネル層の第2サブ層2012の成長方向は、第1サブ層または第1調整層の成長方向と同じである。最後、平坦化またはエッチング技術により凹溝の第3表面に垂直に成長するとともに第1サブ層、第1調整層および第2サブ層の、凹溝の外に位置する部分を除去し、これによって、第1サブ層、第1調整層および第2サブ層がいずれも凹溝内に位置し、同一面に揃えられた構造として形成される。同一面に揃えられた構造によれば、デバイスが形成する過程において制限される状態に保たれ、特定の構造および寸法の形成に有利であり、アスペクト比の比較的に高いデバイスの形成に寄与でき、成長プロセスパラメータの調整以外の、アスペクト比の高いデバイスを実現できる手段が提供され、そして、凹溝でのチャネル層および第1調整層の成長が凹溝の第1表面および第2表面に制限されるため、チャネル層および第1調整層の、成長過程において、完全垂直に保つことができなくまたは成長面が同一平面に位置しない状況、多くかつ複雑の成長面が形成される状況が避けられ、デバイスに対する制御およびその電気的性能の向上の実現に寄与できる。
【0077】
図20図23を参照しながら、選択可能な半導体デバイスおよびその製造方法を説明する。図20図23は、平面図である。
【0078】
任意選択で、凹溝内においてチャネルの第1表面および第2表面の方向に沿ってチャネル層の第1サブ層2011、第2調整層2014、チャネル層の第2サブ層2012が形成され、第1サブ層、第2調整層2014および第2サブ層2012により凹溝が完全に埋められ、それらの各層がチャネルの第1表面に平行であるとともに同一面に揃えられている。第2調整層は、閾値電圧を制御することに用いられる。なお、第2調整層においてP型ドーピングを有し、またはN型ドーピングを有し、例示的に、P型ドーピングがP型GaNであり、N型ドーピングがN型GaNである。例示的に、第2調整層2014のドーピング濃度は、1E17~5E19/cmであり、1E+18/cm~5E+19/cmがより好ましい。P型GaN層は、チャネル層の第1面の二次元電子ガスを空乏化することができ、N型GaN層は、チャネル層の第2面の二次元正孔ガスを空乏化することができ、これによって、デバイスがノーマリオフ状態を有する。具体的にP型ドーピングを行うか、N型ドーピングを行うかは、後のデバイスの具体的なタイプによって決められ、HEMTデバイスである場合、P型ドーピングを行い、HHMTデバイスである場合、N型ドーピングを行う。なお、ドーピングがグレーデッドドーピングであってもよい。第2調整層のチャネル層の第1面における投影は、ゲートの範囲内に位置する。第2調整層のドーピング濃度、サイズのパラメータなどは、デバイスのパラメータに基づいて設置することができ、その上の二次元電子ガスまたは二次元正孔ガスの95%~100%を空乏化できればよく、二次元電荷キャリアガスの濃度が高いほど、相応にドーピング濃度をそれに応じて上げることができる。
【0079】
デバイスがオフ状態にあるとき、下部電極が第2調整層および二次元キャリアガスと接続し、または二次元キャリアガスだけと接続し、HEMTデバイスを形成する場合、下部電極が二次元正孔ガスと接続し、HHMTデバイスを形成する場合、下部電極が二次元電子ガスと接続する。下部電極の接続方式によれば、第2調整層と二次元キャリアとが協働して機能し、または二次元キャリアが単独して機能し、電界調整ドーピング層の電位の不安定が避けられる。
【0080】
以下、該半導体デバイスを製造する製造方法を具体的に説明する。
【0081】
ステップ11’は、図20図23に示すように、シード層106を形成したあと、シード層106を核としてチャネル層の第1サブ層2011を選択的に成長させ、凹溝102の存在により、第1サブ層2011がシード層から凹溝102に沿って側方にエピタキシャル成長し、成長が、凹溝の第1表面または第2表面に沿った第1方向における成長および凹溝の第3表面に垂直する成長を含む。そして、第1サブ層2011を核として、ドーピングされた第2調整層2014を成長させ、第2調整層2014の成長が、凹溝の第1表面または第2表面に沿った第1方向における成長、凹溝の第1表面または第2表面に垂直な第2方向における成長および凹溝の第3表面に垂直する成長を含む。第2調整層2014は、後のデバイスの投影方向におけるゲートの投影範囲内に位置する。
【0082】
さらに、第2調整層2014を核としてチャネル層の第2サブ層2012を成長させ、チャネル層の第2サブ層が真性GaN層または非意図的にドープされたGaN層であってもよい。チャネル層の第2サブ層2012の成長方向は、第1サブ層または第2調整層の成長方向と同じである。最後、平坦化またはエッチング技術により凹溝の第3表面に垂直に成長するとともに第1サブ層、第2調整層および第2サブ層の、凹溝の外に位置する部分を除去し、これによって、第1サブ層、第2調整層および第2サブ層がいずれも凹溝内に位置し、同一面に揃えられた構造として形成される。同一面に揃えられた構造によれば、デバイスが形成する過程において制限される状態に保たれ、特定の構造および寸法の形成に有利であり、アスペクト比の比較的に高いデバイスの形成に寄与でき、成長プロセスパラメータの調整以外の、アスペクト比の高いデバイスを実現できる手段が提供され、そして、凹溝でのチャネル層および第2調整層の成長が凹溝の第1表面および第2表面に制限されるため、チャネル層および第2調整層の、成長過程において、完全垂直に保つことができなくまたは成長面が同一平面に位置しない状況、多くかつ複雑の成長面が形成される状況が避けられ、デバイスに対する制御およびその電気的性能の向上の実現に寄与できる。
【0083】
図24図28を参照しながら、選択可能な半導体デバイスおよびその製造方法を説明する。図24図28は、平面図である。
【0084】
任意選択で、凹溝内においてチャネルの第1表面および第2表面の方向に沿ってチャネル層の第1サブ層2011、第2調整層2014、第1調整層2013およびチャネル層の第2サブ層2012が形成され、チャネル層の第1サブ層、第2調整層2014、第1調整層2013およびチャネル層の第2サブ層により凹溝が完全に埋められ、それらの各層がチャネルの第1表面に平行であるとともに同一面に揃えられている。第2調整層は、閾値電圧を制御することに用いられ、第1調整層は、電界分布、特に、ゲート電極の縁部の電界分布を調整することに用いられる。なお、第1調整層、第2調整層においてP型ドーピングを有し、またはN型ドーピングを有し、例示的に、P型ドーピングがP型GaNであり、N型ドーピングがN型GaNである。例示的に、第2調整層2014のドーピング濃度は、1E17~5E19/cmであり、1E+18/cm~5E+19/cmがより好ましい。P型GaN層は、チャネル層の第1面の二次元電子ガスを空乏化することができ、N型GaN層は、チャネル層の第2面の二次元正孔ガスを空乏化することができ、これによって、デバイスがノーマリオフ状態を有する。具体的にP型ドーピングを行う、N型ドーピングを行うかは、後のデバイスの具体的なタイプによって決められ、HEMTデバイスである場合、P型ドーピングを行い、HHMTデバイスである場合、N型ドーピングを行う。なお、ドーピングがグレーデッドドーピングであってもよい。第2調整層のチャネル層の第1面における投影は、ゲートの範囲内に位置し、第1調整層のチャネル層の第1面における投影は、ゲートとドレインとの間に位置し、またはゲートの該方向における投影と部分的に重なり合う。第2調整層のドーピング濃度、サイズのパラメータなどは、デバイスのパラメータに基づいて設置することができ、その上の二次元電子ガスまたは二次元正孔ガスの95%~100%を空乏化できればよく、二次元電荷キャリアガスの濃度が高いほど、相応にドーピング濃度をそれに応じて上げることができる。例示的に、第1調整層のドーピング濃度は、5E18/cm未満である。
【0085】
ドーピングされた第1調整層および第2調整層は、チャネル層の側面に対して垂直または傾斜して設置され、設計されたドーピング分布により、デバイスがオフにされるときに印加電界に対して反応して電界分布を変化させ、したがって、局所電界強度を効果的に低下させることができ、特にドレインに近いゲート端の電界ピーク値を低減させることができる。ここで、調整層は、側方エピタキシャル成長によるものが好ましく、イオン注入の方式に比べて、イオン注入による損傷などの問題が生じなく、電気的性能が優れる。
【0086】
デバイスがオフ状態にあるとき、下部電極が第1調整層、第2調整層および二次元キャリアガスと各種の電気的な接続を行うことができ、例えば、下部電極が第1調整層および/または第2調整層と接続してもよく、第1調整層および二次元キャリアガスと接続してもよく、第1調整層、第2調整層および二次元キャリアガスと接続してもよい。第1調整層、第2調整層および二次元キャリアの各種の形式の単独作用または協働作用により、電界調整ドーピング層の電位の不安定が避けられる。
【0087】
以下、該半導体デバイスを製造する製造方法を具体的に説明する。
【0088】
ステップ11’は、図24図28に示すように、シード層106を形成したあと、シード層106を核としてチャネル層の第1サブ層2011を選択的に成長させ、凹溝102の存在により、第1サブ層2011がシード層から凹溝102に沿って側方にエピタキシャル成長し、成長が、凹溝の第1表面または第2表面に沿った第1方向における成長および凹溝の第3表面に垂直する成長を含む。そして、第1サブ層2011を核として、ドーピングされた第2調整層2014を成長させ、第2調整層2014の成長が、凹溝の第1表面または第2表面に沿った第1方向における成長、凹溝の第1表面または第2表面に垂直な第2方向における成長および凹溝の第3表面に垂直する成長を含む。第2調整層2014は、後のデバイスの投影方向におけるゲートの投影範囲内に位置する。
【0089】
さらに、第2調整層2014を核としてドーピングされた第1調整層2013を成長させ、第1調整層2013の成長が、凹溝の第1表面または第2表面に沿った第1方向における成長、凹溝の第1表面または第2表面に垂直な第2方向における成長および凹溝の第3表面に垂直する成長を含む。第1調整層2013は、後のデバイスの投影方向におけるゲートとドレインとの間に位置し、またはゲートの投影と部分的に重なり合う。
【0090】
さらに、第1調整層2013を核としてチャネル層の第2サブ層2012を成長させ、第2サブ層が真性GaN層または非意図的にドープされたGaN層であってもよい。第2サブ層2012の成長方向は、第1サブ層または2つの調整層の成長方向と同じである。最後、平坦化またはエッチング技術により凹溝の第3表面に垂直に成長するとともに第1サブ層、2つの調整層および第2サブ層の、凹溝の外に位置する部分を除去し、これによって、第1サブ層、2つの調整層および第2サブ層がいずれも凹溝内に位置し、同一面に揃えられた構造として形成される。同一面に揃えられた構造によれば、デバイスが形成する過程において制限される状態に保たれ、特定の構造および寸法の形成に有利であり、アスペクト比の比較的に高いデバイスの形成に寄与でき、成長プロセスパラメータの調整以外の、アスペクト比の高いデバイスを実現できる手段が提供され、そして、凹溝でのチャネル層および2つの調整層の成長が凹溝の第1表面および第2表面に制限されるため、チャネル層および2つの調整層の、成長過程において、完全垂直に保つことができなくまたは成長面が同一平面に位置しない状況、多くかつ複雑の成長面が形成される状況が避けられ、デバイスに対する制御およびその電気的性能の向上の実現に寄与できる。
【0091】
図29図31に示すように、任意選択で、チャネル層の片側をエッチングして、第1媒体層101および一部の基材100を除去し、基材が、第1表面および第1表面より低いとともに第1表面に平行な第5表面を有するようにされる。HEMTデバイスを形成する場合、チャネル層201の自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第1面2013を露出し、チャネル層がGaNである場合、第1面2013が(0001)面である。このとき、第1面2013に対向する自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第2面2014が依然として基材および第1媒体層により覆われ、第2面2014がGaNの(0001 ̄)面である。HHMTデバイスを形成する場合、チャネル層201の自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第2面2014を露出し、チャネル層がGaNである場合、第2面2014が(0001 ̄)面である。このとき、第2面2014に対向する自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第1面2013が依然として基材および第1媒体層により覆われ、第1面2013がGaNの(0001)面である。エッチングがされた基材100に第3媒体層107を形成することにより露出したシリコン基材を隔離する。例示的に、第3媒体層が二酸化ケイ素層であってもよい。そして、チャネル層201の第1面2013または第2面2014に障壁層202を形成し、障壁層がAlN層またはAlGaN層であり、これによって、チャネル層の第1面2013に二次元電子ガス2DEGを形成し、またはチャネル層の第2面2014に二次元正孔ガス2DHGを形成する。
【0092】
さらに、下部電極404が第1調整層2013と接続しまたは下部電極が第1調整層2013および第2調整層2014と接続し、これによって、デバイスがオフにされるときに印加電界に対して反応して電界分布を変化させ、したがって、局所電界強度を効果的に低下させることができ、特にドレインに近いゲート端の電界ピーク値を低減させることができる。
【0093】
以下、図29図31を参照しながら上記の製造方法を利用して該HEMT半導体デバイスを製造する製造方法を例示的に説明する。
【0094】
ステップ12’は、図29に示すように、フォトエッチングパターンを形成してチャネル層の第1面2013側の領域を露光し、該領域における第1媒体層101および一部の基材100をエッチングして、チャネル層201の自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第1面側の第4媒体層を露出する。第1面2013に対向する自発分極効果およびピエゾ分極効果を有する第2面2014が依然として第4媒体層、基材および第1媒体層により囲まれている。
【0095】
ステップ13’は、図30に示すように、エッチングがされた基材100に第3媒体層107’を形成し、例示的に、第3媒体層が酸化により形成される二酸化ケイ素層である。露出したシリコン基材を該第3媒体層により隔離する状態で、チャネル層201の第1面2013を覆う第4媒体層を除去する。
【0096】
ステップ14’は、図31に示すように、チャネル層201の第1面2013に化学成長により第2半導体層202を形成し、第2半導体層がAlN層またはAlGaN層であり、したがって、チャネル層の第1面2013に二次元電子ガス2DEGを形成することができる。
【0097】
なお、HHMT半導体デバイスの製造方法は、類似するため、ここで説明を省略する。
【0098】
なお、いくつかの実施形態において、フォトエッチングパターンの形成方式を変更してもよく、隣接する第1凹溝と第2凹溝との間の全部の領域を上から露光し、該領域における第1媒体層101および一部の基材100をエッチングして、凹溝102における、第4媒体層で覆われるチャネル層をエッチングがされた基材の第4表面から突出させ、そして、チャネル層の第1面または第2面側の領域だけに対してさらにエッチングし、その具体的な方法は、上記の実施形態を参照することができ、ここで説明を省略する。
【0099】
任意選択で、単結晶シード層の位置が、後のデバイスの第3電極(ドレイン)の形成位置と対応する。このとき、核生成領域の結晶品質が劣り、漏れ電流が比較的に大きいなどの問題を防止するため、図32に示すように、単結晶シード層に電流遮断層を加えてもよく、電流遮断層は、例えば、CまたはFe元素で高濃度にドープされたものであり、CまたはFeのドーピング濃度が1E17~1E20/cmであってもよい。
【0100】
任意選択で、単結晶シード層は、ソース電極とドレイン電極との間の領域に設置されてもよい。例示的に、シード層の位置と後のドレイン電極領域の位置とを間隔をあけて設置することにより上記の技術的問題を克服するようにしてもよい。
【0101】
任意選択で、単結晶シード層が設置される領域に対して、フォトエッチングにより相応の第1凹溝および第2凹溝の領域を露光するようにしてもよい。
【0102】
電流遮断層は、単結晶シード層を核としてエピタキシャル成長を行うときに相応のドーピングを行うことにより形成されてもよい。
【0103】
任意選択で、図33に示すように、ソース領域およびドレイン領域でドーピングを行って接触抵抗を低下させる。なお、HEMTデバイスを形成する場合、ソース領域およびドレイン領域のドーピングはN型であり、HHMTデバイスを形成する場合、ソース領域およびドレイン領域のドーピングはP型である。
【0104】
任意選択で、HEMTデバイスにおいて、障壁層を除去してソースおよび/またはドレインを、チャネル層と物理的に接触させるとともに二次元電子キャリアガス(2DEG)とオーミック接触を形成し、ドーピングされたソース領域およびドレイン領域が存在するため、プロセスおよび構造の設計により、このような、チャネル層と直接物理的に接触する方式が、オーミック接触抵抗の低減により有利である。
【0105】
任意選択で、HHMTデバイスにおいて、P型オーミック接触の形成がより難しいため、障壁層を除去してソース(および/またはドレイン)を、チャネル層と物理的に接触させるとともに二次元正孔キャリアガス(2DHG)とオーミック接触を形成する場合、ドーピングされたソース領域およびドレイン領域が存在するため、プロセスおよび構造の設計により、このような、チャネル層と直接物理的に接触する方式が、オーミック接触抵抗の低減により有利である。
【0106】
上記の製造方法を参照しながら、該半導体デバイスを製造する製造方法を例示的に説明する。
【0107】
シード層とソース領域とが対応する状況を例としてソース領域およびドレイン領域のドーピングを説明する。シード層とドレイン領域とが対応する状況、またはシード層がゲートとドレイン領域との間に位置する状況は、シード層とソース領域とが対応する状況と類似するため、ここで説明を省略する。図25に示すように、シード層を形成したあと、シード層を核とするチャネル層201の成長を行う過程において、ソース領域で相応のP型ドーピングまたはN型ドーピングを行う。
【0108】
任意選択で、シード層を核とするチャネル層201の成長を行う過程において、相応のドーピングを行う前に、真性(アンドープ)チャネル層または非意図的にドープされたチャネル層を先に成長させ、そしてドーピングされたソース領域の成長を行う。
【0109】
そして、ドーピングされたソース領域が形成されたあと、真性チャネル層または非意図的にドープされたチャネル層のエピタキシャル成長を行ってチャネル領域を形成する。なお、チャネル領域で相応のドーピングを行って第1調整層および/または第2調整層を形成する。
【0110】
そして、そのうちの後の、チャネル層のエピタキシャル成長過程において、ドレイン領域で相応のP型ドーピングまたはN型ドーピングを行う。
【0111】
なお、ドレイン領域およびソース領域のドーピングと調整層のドーピングとを同時に行ってもよく、ドレイン領域のドーピング、ソース領域のドーピングおよび調整層のドーピングを前後して行ってもよい。
【0112】
なお、デバイスは、HHMTとHEMTとがともに存在する相補型半導体デバイスとして形成されてもよい。
【0113】
上記の半導体デバイスのいずれか1種を備える電源装置を提供する。電源装置は、一次回路、二次回路および変圧器などを備え、一次回路および二次回路のそれぞれにスイッチ素子を備え、スイッチ素子が上記の半導体デバイスのいずれか1種を採用する。
【0114】
上記の半導体デバイスのいずれか1種を備える携帯電話を提供する。携帯電話は、ディスプレイおよび充電ユニットなどを備え、充電ユニットが上記の半導体デバイスのいずれか1種を備える。
【0115】
携帯電話基地局、光通信システムなどの分野における電力増幅器に使用される増幅器を提供する。前記電力増幅器は、上記の半導体デバイスのいずれか1種を備える。
【0116】
本開示に係る案は、少なくとも下記の効果を実現することができる。前記半導体デバイスは、ゲートの漏れ電流を減少させることができ、閾値電圧が高く、パワーが高く、信頼性が高く、低オン抵抗およびデバイスのノーマリオフ状態を実現することができ、安定な閾値電圧を提供することができ、したがって、半導体デバイスが優れるスイッチング特性を有することができる。
【0117】
本開示に係る案は、下記の効果をさらに実現することができる。局所電界強度を効果的に低下させることができ、デバイスの全体的性能および信頼性を向上させることができ、前記半導体デバイスは、構造および製造プロセスが比較的に簡単であり、生産コストを効果的に削減することができる。
【0118】
具体的な実施形態を用いて本開示の内容を説明したが、当業者であればわかるように、これらの説明は、例示的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定するものではない。当業者が、本開示の精神および原理を逸脱しない限り、本開示に対して行った各種の変形および変更も本開示の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示に係る半導体デバイスおよびその製造方法は、プロセスが簡単で、コストが低く、省エネで、比較的に高いアスペクト比を有し、単位面積でより高いチャネル密度を実現することができ、耐電圧が高く、パワーが高く、オン抵抗が低いなどの高い性能を有する。
図1
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【国際調査報告】