(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】二枚貝を飼育するためのケース、カラムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01K 61/54 20170101AFI20230111BHJP
A01K 61/60 20170101ALI20230111BHJP
【FI】
A01K61/54
A01K61/60 321
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500523
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2020068535
(87)【国際公開番号】W WO2021001430
(87)【国際公開日】2021-01-07
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522004265
【氏名又は名称】アール カムボン エ フィス
【氏名又は名称原語表記】EARL CAMBON & FILS
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】カムボン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】カムボン,クリストフ
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA25
2B104CC06
2B104CC08
2B104CC13
2B104CC17
2B104CC34
2B104DB04
2B104DB13
2B104DB16
2B104DB23
(57)【要約】
本発明は、潜水可能な本体(2)を備える二枚貝のための飼育ケース(1)に関し、飼育ケース(1)は、潜水可能な本体(2)内に提供され、かつ少なくとも1つの二枚貝を受容および保護することができる、少なくとも1つのハウジング(3)を備え、潜水可能な本体(2)が、骨組み(20)を有する。本発明によると、骨組み(20)は、2つの互いに垂直な軸(B-B)および(C-C)に沿ってそれぞれ延在する2つの分岐(21)によって形成されており、分岐(21)は、決定された数のハウジング(3)を区切り、各ハウジング(3)は、底部(30)と、ハウジング(3)の底部(31)から潜水可能な本体(2)の上部分(22)に配設された上縁(32)まで延在する、保護壁(31)と、を備える。ケース(1)は、少なくとも1つの移動スライド(6)と、移動スライド(6)と係止位置で連通する並進摺動する係止手段(4)と、を備え、係止手段(4)は、2つの飼育ケース(1)が、重ね合わせによって入れ子にされることを可能にしつつ、移動スライド(6)が、一方で、吊り軸(A-A)に沿って並進移動可能な2つの入れ子になった飼育ケース(1)を作製することと、他方で、下部飼育ケース(1)に対する上部飼育ケース(1)の傾斜移動を可能にすることと、に寄与する。本発明はまた、一方が他方の頂部上で入れ子になった、決定された数の飼育ケース(1)から構成された二枚貝飼育カラムに関する。二枚貝飼育カラムと関連した二枚貝飼育のための方法もまた、本発明の一部である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープがねじ込まれ得る少なくとも1つのオリフィス(24)を含む潜水可能な本体(2)を備える二枚貝のための飼育ケース(1)であって、前記飼育ケース(1)が、前記潜水可能な本体(2)内に提供され、かつ少なくとも1つの二枚貝を受容および保護することができる、少なくとも1つのハウジング(3)を備え、前記潜水可能な本体(2)が、前記潜水可能な本体(2)の上部分(22)を画定する上部リム(211)から、少なくとも1つの側壁(212)の下端(213)に向かって延在する、骨組み(20)を有し、前記側壁(212)の前記下端(213)が、前記潜水可能な本体(2)の下部分を画定し、前記骨組み(20)が、2つの互いに垂直な軸(B-B)および(C-C)に沿ってそれぞれ延在する2つの分岐(21)によって形成されており、前記2つの分岐(21)は、前記分岐(21)の2つの径方向軸(B-B、C-C)によって形成された平面に垂直である吊り軸(A-A)が通過するオリフィス(24)に対応する点で交差しており、前記分岐(21)が、決定された数のハウジング(3)を区切り、各ハウジング(3)が、一方で、前記潜水可能な本体(2)の前記下部分(23)を画定する底部(30)を備え、他方で、前記ハウジング(3)の前記底部(30)から前記潜水可能な本体(2)の前記上部分(22)に配設された上縁(32)まで延在する保護壁(31)を備え、前記飼育ケース(1)が、少なくとも1つの移動スライド(6)および前記移動スライド(6)と係止位置で連通する並進摺動する係止手段(4)を備え、前記係止手段(4)は、2つの飼育ケース(1)が、重ね合わせによって入れ子にされることを可能にしつつ、前記移動スライド(6)が、一方で、前記吊り軸(A-A)に沿って並進移動可能な2つの入れ子になった飼育ケース(1)を作製することと、他方で、前記下部飼育ケース(1)に対する前記上部飼育ケース(1)の傾斜移動を可能にすることと、に寄与することを特徴とする、二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項2】
前記係止手段(4)は、
-前記潜水可能な本体(2)の前記上部分(22)内に配設された少なくとも1つの雌部材(40)であって、前記少なくとも1つの雌部材(40)が、前記径方向軸(B-B)を通過する平面に位置する少なくとも1つの開口部(400)を備え、前記開口部(400)が、前記径方向軸(B-B)に平行な係止スライド(401)と連通している、少なくとも1つの雌部材(40)と、
-前記潜水可能な本体(2)の前記下部分(23)内に配設された少なくとも1つの雄部材(41)であって、前記少なくとも1つの雄部材(41)が、前記潜水可能な本体(2)のオフセットセグメント(410)、および前記オフセットセグメント(410)の自由端(412)に配設された停止部(411)を備える、少なくとも1つの雄部材(41)と、を有し、
-前記少なくとも1つの雄部材(41)が、前記少なくとも1つの雌部材(40)を補完するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項3】
前記係止手段(4)は、
-前記潜水可能な本体(2)の前記下部分(23)内に配設された少なくとも1つの雌部材(40)であって、前記少なくとも1つの雌部材(40)が、前記径方向軸(B-B)を通過する平面に位置する少なくとも1つの開口部(400)を備え、前記開口部が、前記径方向軸B-Bに平行な係止スライドと連通している、少なくとも1つの雌部材(40)と、
-前記潜水可能な本体(2)の前記上部分(22)内に配設された少なくとも1つの雄部材(41)であって、前記少なくとも1つの雄部材(41)が、前記潜水可能な本体(2)のオフセットセグメント(410)、および前記オフセットセグメント(410)の自由端(412)に配設された停止部(411)を備える、少なくとも1つの雄部材(41)と、を有し、
-前記少なくとも1つの雄部材(41)が、前記少なくとも1つの雌部材(40)を補完するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項4】
前記移動スライド(6)が、前記上部リム(211)に配設されたトグル停止部(60)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項5】
二枚貝飼育ケース(1)が、前記吊り軸(A-A)に対して径方向に、かつ前記骨組み(20)の2つの分岐(21)の間にそれぞれ配設された4つの二枚貝ハウジング(3)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項6】
各分岐(21)が、互いに対向し、かつ前記潜水可能な本体(2)の前記上部分(22)を画定する上部リム(211)の各端にそれぞれ接続されている、2つの側壁(212)を備える、断面を有し、前記2つの側壁(212)が、前記分岐(21)の中央長手方向平面に対してフレア状、かつ対称的な様式で延在していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項7】
前記保護壁(31)が、ネットを有し、前記ネットのメッシュが、前記ハウジング(3)の前記底部(30)から前記上縁(32)まで増大する寸法を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項8】
二枚貝飼育ケース(1)が、前記径方向軸(B-B)および/または前記径方向軸(C-C)上に前記潜水可能な本体(2)の外側に延在する少なくとも2つのアーム(7)を備え、各アーム(7)が、前記骨組み(20)に接続されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項9】
前記潜水可能な本体(2)は、少なくとも1つの二枚貝の成長を、それを決定された形状で成長させるために、抑制するための手段(8)を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の二枚貝飼育ケース(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に従って定義された、決定された数の飼育ケース(1)を備える、吊られた二枚貝飼育のためのカラム(5)であって、各飼育ケース(1)が、それぞれ、前記吊り軸(A-A)に沿って下方および/または上方の重ね合わせによって入れ子になっており、2つの入れ子になった飼育ケース(1)は、一方で、前記飼育ケース(1)が互いに重ねて載置されているコンパクト状態と、前記飼育ケース(1)が、係止されている間に互いに距離をおく伸長状態との間で、互いに対して移動可能であり、他方で、前記下部飼育ケース(1)に対して前記上部飼育ケース(1)の径方向軸(B-B、C-C)を中心として傾斜することを可能にするように構成されていることを特徴とする、カラム(5)。
【請求項11】
請求項10に記載の少なくとも1つの二枚貝飼育カラム(5)を備える、吊られた二枚貝飼育のための方法であって、前記飼育方法が、
-少なくとも1つの飼育カラム(5)をコンパクト状態で沈める工程であって、各飼育ケース(1)の各ハウジング(3)が、少なくとも1つの二枚貝を含む、沈める工程と、
-二枚貝飼育工程であって、その間、飼育カラム(5)が展開状態で沈められて保たれている、二枚貝飼育工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝類養殖の分野内に収まり、より具体的には、カキ、アサリ、ホタテ、ムール貝などの二枚貝養殖の分野内に収まる。
【背景技術】
【0002】
テーブルの下に吊られた二枚貝、より具体的には吊られたカキを飼育するための現在の技術は、顕著な作業、したがって、高い人件費を伴う、いくつかの工程を含む。
【0003】
干満のない水域または低潮時の海洋域内で二枚貝を飼育するための3つの主な技術が存在する。
【0004】
第1の技術では、稚貝状態の二枚貝が、セメントを使用してロープ上に直接固定される。次いで、二枚貝を支えるロープが、稚貝の発育段階に対応する6~18か月で変動する期間の間、テーブルの下に吊られる。二枚貝がそれらの成体サイズに達したとき、ロープが水中から取り出され、取り外し工程が実行される。取り外し工程は、二枚貝をロープから、および互いに分離することから構成される。この飼育プロセスの間、稚貝固定および取り外し工程は、顕著かつコストのかかる労働力の採用を必要とする。
【0005】
加えて、網の存在下でも、捕食者は、二枚貝のコロニーを深刻に破壊する。捕食は、寄生および/または微生物現象と組み合わせられて、低い生産収率につながり、生産収率は、大抵の場合、50%未満である。
【0006】
ロープに固定される前に、稚貝は、任意選択的に、6か月間、ランタン内で事前成長段階を経てもよいことに留意されたい。事前成長段階は、貝類養殖業者が再び大規模な労働力を必要とすることを意味する。次いで、セメントを使用して、事前成長された二枚貝がロープに固定される。
【0007】
加えて、二枚貝を固定するために使用されるセメントが別の問題である。一般的に、セメントは、水中にあり、貝類養殖場をホストするラグーンまたは水域を汚染する。
【0008】
2つの他の技術は、捕食から稚貝を保護するための代替手段を提供する。
【0009】
これらは、成体サイズの二枚貝が得られるまで、T15稚貝の二枚貝が飼育されることを可能にするランタン飼育技術である。しかしながら、これらの技術は、ランタンの内側に蓄積する藻類を除去するために定期的な露出を必要とする。加えて、貝類養殖場が収益を上げるためには、多数のランタンの購入により多額の投資を行うことに同意しなければならない。
【0010】
一般に、現在の技術は、大規模な労働力の使用および/または設備への多額の投資に起因して、低い生産収率および高い運用コストを示す。
【0011】
これらの問題に対処するために、特許文献FR3 032860では、出願人は、動的ケース内で二枚貝を飼育するための技術を説明している。
【0012】
この技術は、水中に沈むように潜水可能な本体を備える二枚貝飼育ケースを使用する。潜水可能な本体は、飼育テーブルの下に吊るされるようにロープに固定されるように設計されている。
【0013】
ケースの潜水可能な本体は、少なくとも1つの二枚貝を受容および保護するためのハウジングを有する。この技術によると、二枚貝は、それが稚貝状態にあるとき、受容および保護ハウジングに挿入され、受容および保護ハウジングは、格納位置と展開位置との間で移動可能な花弁部を備える。格納位置では、花弁部は、稚貝を覆うことによって捕食者から保護する。展開位置では、花弁部は、成体サイズの二枚貝が容易にプランクトンを濾過することを可能にする。花弁部は、二枚貝の成長加速現象下で展開することが予期されることに留意されたい。
【0014】
一組のケースが、吊られたロープに固定されているとき、この技術は、垂直ロープ吊り飼育の利点を保持する。実際、ロープに固定された一組の飼育ケースは、水柱の全高を占め、したがって、各二枚貝の濾過空間を最適化する。しかしながら、各ケースをロープに固定することもまた、顕著な労力を必要とする。さらに、このケースの工業生産は、特に、二枚貝の成長の圧力下で展開されることができる可撓性花弁部の設計に起因して、高価であることが証明されている。
【0015】
特許文献US5,515,813およびFR2893229によって説明されている他の技術的飼育文献は、飼育カラムを形成する区画化された二枚貝支持トレイを提案している。支持トレイは、別の支持トレイと上下に入れ子になるように、減少区分を含むトレイの中心に配設されたカニューレを通して固設される。カニューレは、吊りロープがそれを通って延在して、テーブルから飼育カラムを吊ることができるように構成されている。これらの2つの文献は、ロープに吊られた垂直飼育の原理を使用する利点を有する技術を説明している。しかしながら、それらは、実装するのに実用的ではなく、特に、二枚貝を保護するために、カラムの全高にわたって管状ネットの使用を必要とする。加えて、一旦、カラムが稚貝を積載すると、飼育カラムが3~5メートルの高さになる可能性があるため、飼育テーブルへの輸送が複雑化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
出願人は、当技術分野で識別された問題を軽減するために、二枚貝を飼育する技術を改善することを目的とした技術的解決策を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明の第1の態様は、ロープがねじ込まれ得る少なくとも1つのオリフィスを含む潜水可能な本体を備える二枚貝のための飼育ケースに関し、飼育ケースが、潜水可能な本体内に提供され、かつ少なくとも1つの二枚貝を受容および保護することができる、少なくとも1つのハウジングを備え、潜水可能な本体が、潜水可能な本体の上部分を画定する上部リムから、少なくとも1つの側壁の下端に向かって延在する、骨組みを有し、側壁の下端が、潜水可能な本体の下部分を画定し、骨組みが、2つの互いに垂直な軸B-BおよびC-Cに沿ってそれぞれ延在する2つの分岐によって形成されており、2つの分岐は、分岐の2つの径方向軸B-B、C-Cによって形成された平面に垂直である吊り軸A-Aが通過するオリフィスに対応する点で交差しており、分岐が、決定された数のハウジングを区切り、各ハウジングが、一方で、潜水可能な本体の下部分を画定する底部を備え、他方で、ハウジングの底部から潜水可能な本体の上部分に配設された上縁まで延在する保護壁を備える。
【0018】
この意味では、飼育ケースは、二枚貝を捕食者から保護し、病原菌伝染のリスクを低減する培養培地であるという利点を有する。これは、全て、二枚貝の生産収率を最適化することを可能にする。
【0019】
有利には、飼育ケースは、少なくとも1つの移動スライドと、移動スライドと係止位置で連通する並進摺動する係止手段と、を備え、係止手段は、2つの飼育ケースが、重ね合わせによって入れ子にされることを可能にしつつ、移動スライドが、一方で、吊り軸A-Aに沿って並進移動可能な2つの入れ子になった飼育ケースを作製することと、他方で、下部飼育ケースに対する上部飼育ケースの傾斜移動を可能にすることと、に寄与することを特徴とする。
【0020】
特に、係止手段は、2つの飼育ケースが下方および/または上方の重ね合わせによって組み立てることを可能にする。この特徴は、決定された数の飼育ケースで構成される二枚貝飼育カラムを形成することを可能にする。
【0021】
加えて、係止手段はまた、少なくとも1つの移動スライドと協働し、上側ケースの係止手段が、下側ケースの移動スライド内で摺動し、下側ケースの係止手段が、上側ケースの移動スライド内で摺動する。
【0022】
さらに、移動スライドはまた、2つの飼育ケースが重ね合わせによって入れ子にされるときに、上部飼育ケースが、下部飼育ケースに対して傾斜することを可能にする。傾斜現象を増幅するために、また、2つのケースが係止解除することを防止するために、移動スライドは、上部リムに配設されたトグル停止部を備え得る。
【0023】
より正確には、本発明の第1の態様の第1の特徴によると、係止手段は、
-潜水可能な本体の上部分内に配設された少なくとも1つの雌部材であって、少なくとも1つの雌部材が、径方向軸B-Bを通過する平面に位置する少なくとも1つの開口部を備え、開口部が、径方向軸B-Bに平行な係止スライドと連通している、少なくとも1つの雌部材と、
-潜水可能な本体の下部分内に配設された少なくとも1つの雄部材であって、少なくとも1つの雄部材が、潜水可能な本体のオフセットセグメント、およびオフセットセグメントの自由端に配設された停止部を備える、少なくとも1つの雄部材と、を有し、
-少なくとも1つの雄部材が、少なくとも1つの雌部材を補完するように構成されている。
【0024】
より具体的には、雄部材は、雌部材内で摺動し、かつ係止位置に到達するように構成されている雄部材である。同様に、係止位置では、雄部材は、移動スライド内で摺動するように構成されている。重ね合わせによって入れ子になっている2つのケースに関して、この構成は、互いに対する移動性を提供する。
【0025】
第1の特徴の第2の変形例は、雄部材および雌部材の位置を反転させることから構成される。この変形例によると、雌部材は、下部分に配設されるが、一方、雄部材は、潜水可能な本体の上部分に位置付けられる。
【0026】
本発明の第1の態様の第2の特徴によると、飼育ケースは、それぞれ、吊り軸A-Aに対して径方向に、かつ骨組みの2つの分岐の間に配設された4つの二枚貝ハウジングを備える。
【0027】
本発明の第1の態様の第3の特徴によると、各分岐が、互いに対向し、かつ潜水可能な本体の上部分を画定する上部リムの各端にそれぞれ接続されている、2つの側壁を備える、断面を有し、2つの側壁が、分岐の中央長手方向平面に対してフレア状、かつ対称的な様式で延在している。
【0028】
分岐のフレア状の性質は、一方の他方への重ね合わせによる2つの飼育ケースの入れ子に関与する広がりを形成する。
【0029】
本発明の第1の態様の第4の特徴によると、保護壁が、ネットを有し、そのメッシュが、ハウジングの底部から上縁まで増大する寸法を有する。この特徴は、各ハウジングの底部内に見つけられた稚貝状態の二枚貝をより良好に保護することを可能にする。
【0030】
本発明の第1の態様の第5の特徴によると、二枚貝飼育ケースが、径方向軸B-Bおよび/または径方向軸C-C上に潜水可能な本体の外側に延在する少なくとも2つのアームを備え、各アームが、骨組みに接続されている。2つのアームは、同じ軸に沿った重ね合わせによって組み立てられた2つの飼育ケースを保つことを助ける。
【0031】
本発明の第1の態様の第6の特徴によると、潜水可能な本体は、少なくとも1つの二枚貝の成長を、それを決定された形状で成長させるために、抑制するための手段を備える。
【0032】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に従って定義された、決定された数の飼育ケースを備える吊られた二枚貝飼育カラムに関する。
【0033】
二枚貝飼育カラムは、各飼育ケースが、それぞれ、吊り軸A-Aに沿って下方および/または上方の重ね合わせによって入れ子になっており、2つの入れ子になった飼育ケースは、一方で、飼育ケースが互いに重ねて載置されているコンパクト状態と、飼育ケースが、係止されている間に互いに距離をおく伸長状態との間で、互いに対して移動可能であり、他方で、下部飼育ケースに対して上部飼育ケースの径方向軸B-B、C-Cを中心として傾斜することを可能にするように構成されていることを特徴とする。
【0034】
有利には、吊り軸A-Aに沿った入れ子になった飼育ケースの移動性は、沈められた飼育カラムがその展開状態からそのコンパクト状態に移ることを可能にする。この可能性は、底層水の酸素欠乏の問題が検出されたときに特に有用である。酸素欠乏は、いくつかの塩水ラグーンで観察される現象である。酸素欠乏は、ラグーン水中の酸素飽和度の減少に対応する。この現象は、例外的な暑さ、無風などの、特定の気候条件に起因する。この酸素飽和度の低下は、水柱の底部または基部から表面まで広がることが観察されている。いわゆる底層水の酸素欠乏は、その伝播様式から命名されている。しかしながら、水柱の地下部、つまり、地表から約2メートル下は、一般的に、酸素欠乏を免れている。底層水の酸素欠乏は、底部付近の水柱の基部に配設されている二枚貝の死亡率を増加させる。後者は、窒息死する。実際には、コンパクト状態の飼育カラムは、地下のみに延在し、次いで、二枚貝は、酸素飽和度がそれらの生存を可能にするのに十分である水柱のエリア内に保たれる。
【0035】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様による、少なくとも1つの二枚貝飼育カラムを備える、吊られた二枚貝飼育方法から構成される。
【0036】
本発明によると、飼育方法は、
-少なくとも1つの飼育カラムをコンパクト状態で沈める工程であって、各飼育ケースの各ハウジングが、少なくとも1つの二枚貝を含む、沈める工程と、
-二枚貝飼育工程であって、その間、飼育カラムが展開状態で沈められて保たれている、二枚貝飼育工程と、を含む。
他の特徴および利点は、添付の
図1~
図10によって例示される、本発明の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明に現れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態による二枚貝飼育ケースの上面図である。
【
図2】
図1の飼育ケースの側面図の例示であり、飼育ケースの各ハウジングが、二枚貝を収容する。
【
図3】
図1の飼育ケースの入れ子部材の斜視図である。
【
図4】2つの飼育ケースの一方の他方に対する入れ子作用の側面図である。
【
図5】
図1の飼育ケースに準拠した一組の2つの飼育ケースの斜視図であり、2つの飼育ケースは、入れ子になっており、吊られた位置にある。
【
図6】
図1の飼育ケースに準拠した一組の2つの飼育ケースの斜視図であり、2つの飼育ケースは、入れ子になっており、格納位置にある。
【
図8】上部飼育ケースの傾斜位置における
図7の飼育ケースアセンブリの側面図である。
【
図9】
図1による飼育ケースの上面図であり、飼育ケースは、二枚貝の成長を抑制する手段を備えている。
【
図10】
図1による飼育ケースの上面図であり、飼育ケースは、吊りロープを備えている。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、カキ、アサリ、ホタテ、ムール貝などの二枚貝を飼育するために好適な飼育ケース1に関する。飼育ケース1は、いわば、二枚貝を飼育するための支持体のようなものである。
【0039】
飼育ケース1は、海における飼育ラインに使用される浮遊支持体に接続されたテーブルの下またはロープの下に吊られた貝類養殖を可能にするように構成されている。この技術は、二枚貝が取り付けられたロープを、水柱全体を占めるように所定の距離だけ離間されている、決定された段数で吊るすことから構成される。
【0040】
この目的のために、飼育ケース1は、飼育ケース1が水中に沈められることを可能にするように、潜水可能な本体2を備える。好ましくは、環境に配慮したアプローチでは、潜水可能な本体2は、水生環境内で生物学的に中性であるように設計される。加えて、依然としてこのアプローチでは、潜水可能な本体2は、バイオベースおよび/またはリサイクルされる、ポリマーおよび/または複合材料で作製され得る。
【0041】
図1~
図10に例示されるように、飼育ケース1は、潜水可能な本体2に提供された少なくとも1つのハウジング3を備える。ハウジング3は、少なくとも1つの二枚貝を受容および保護するために好適である。好ましくは、ハウジング3は、単一の二枚貝を受容および保護するために好適である。
【0042】
この例では、潜水可能な本体2は、骨組み20を備える。好ましくは、骨組み20は、飼育ケース1の潜水可能な本体2の浸漬および出現を容易にするために穿孔されている。
【0043】
骨組み20は、決定された数のハウジング3を区切る。これらの目的のために、骨組み20は、互いに垂直な2つの径方向軸B-BおよびC-Cに沿ってそれぞれ延在する2つの分岐21によって形成される。2つの分岐21は、2つの側方端210の間に延在する。2つの分岐21は、一点で交差する。したがって、骨組み20は、
図1、
図3、
図5、
図6および
図9に見える十字の形状の断面を有する。骨組み20のこの特定の構成は、潜水可能な本体2を強化する。
【0044】
図1~
図10に例示されるように、各分岐21は、分岐21の各側方端210の間に延在する上部リム211を備える。上部リム211は、潜水可能な本体2の上部分22を画定する。分岐21は、上部リム211から下端213に向かって延在する側壁212を備える。側壁212の下端213は、潜水可能な本体2の下部分23を画定する。好ましくは、各側壁212は、穿孔されている。
【0045】
さらに、潜水可能な本体2は、飼育テーブルなどの支持体から吊るされるのに好適である。この目的のために、骨組み20は、2つの分岐21の交点に配設されている少なくとも1つの貫通オリフィス24を備える。オリフィス24が位置付けられている軸は、飼育ケース1の吊り軸A-Aに対応する。吊り軸Aは、分岐21の2つの径方向軸B-B、C-Cによって形成された平面に垂直である。加えて、オリフィス24は、ロープが透過性本体2の骨組み20を通ってねじ込まれ得るように構成されている。
【0046】
加えて、分岐21は、決定された数のハウジング3を区切る。特に、分岐21は、潜水可能な本体2を互いに離間された4つの別個のハウジング3に区画化する。この例では、潜水可能な本体2は、吊り軸A-Aに対して、および骨組み20の2つの隣接する分岐21の間にそれぞれ径方向に配設された4つの二枚貝ハウジングを備える。
【0047】
この例では、骨組み20は、各ハウジング3を決定された距離だけ間隔を空ける。各二枚貝の間隔を空けることはまた、細菌ビブリオスプレンディダスなどの、病原菌、ウイルス、および/または細菌の拡散を低減することも助ける。
【0048】
この観点から、各分岐21は、互いに対向し、かつ同じ上部リム211の各側部にそれぞれ接続された、2つの側壁212を備える断面を有する。より具体的には、2つの側壁212は、分岐21の中央長手方向平面に対してフレア状、かつ対称的な様式で延在する。好ましくは、2つの側壁212は、上部リム211の上端における間隔に対して、下端213において、より大きい間隔を有する。したがって、各分岐21は、下方に開口し、かつ別の飼育ケース1の分岐21との重ね合わせによって入れ子を可能にすることを助ける跨ぎ空間214を画定する、フレア状中空構造を備える。跨ぎ空間214は、骨組み20の下部分23において開口され、一方では、分岐21の各側壁212の内面によって横方向に区切られており、他方では、上部リム211によって上方に区切られている。
【0049】
なお、上部リム211は、150mmと200mmとの間の距離にわたって、2つの側方端210の間に長手方向に延在する。同時に、またなお、上部リム211は、15mm~25mmの距離にわたって、その側部の各々の間に幅広く延在する。さらに、同じ分岐21の各側壁212の2つの下端213の間の中心距離は、30mm~40mmである。
【0050】
図1および
図2に例示されるように、各ハウジング3は、潜水可能な本体2の下部分23を画定する底部30を備える。底部30は、2つの異なる分岐21に属する隣接側壁212の下端213から延在する。さらに、ハウジング3は、ハウジング3の底部30から上縁32に長手方向に延在する保護壁31を有する。上縁32は、潜水可能な本体2の上部分22に配設されている。
【0051】
保護壁31は、各分岐21に固設され、かつハウジング3を側方に区切ることに寄与する、前部分および2つの側部分を備える。
【0052】
この例では、保護壁31は、ハウジングの底部30からカラー34まで長手方向に延在する下部分33を備える。好ましくは、下部分33は、吊り軸A-Aに平行である法線Nに対して傾斜している。この例では、法線Nに対する下部分33の傾斜角度αiは、15°~30°であり、好ましくは、法線Nに対する傾斜角度αiは、20°である。
【0053】
ハウジング3の内側の稚貝状態で二枚貝を設置するとき、二枚貝またはその背面部のヒンジは、ハウジングの底部30に対して位置付けられている。したがって、二枚貝濾過膜は、下部分33の傾斜によって、ハウジング4の外側に向かって配向される。この特徴は、より良好な濾過を確保し、保護壁31の配向に従って、二枚貝の成長を配向する。
【0054】
カラー34は、保護壁31に収められ、その側縁の各々の間に横方向に延在する。保護壁31はまた、カラー34から上端32に長手方向に延在する上部分35を備える。
【0055】
保護壁31は、ハウジング3のための側方保護を提供する。実際、それは、2つの異なる分岐21の2つの隣接側方端210から側方に延在する。この側方保護は、鯛などの捕食者によるハウジング3の側方からのアクセスを防止することを可能にする。さらに、ハウジング3はまた、潜水可能な本体2の内部に隣接する2つの分岐21の間に延在する後壁310を備え得る。好ましくは、ハウジング3は、一方では、保護壁31および後壁310によって側方に区切られ、他方では、底部30によって下方に区切られる。
【0056】
さらに、保護壁31は、ハウジング3を生成し、ハウジング3の深さは、70mm~100mmで変化し得る。ハウジング3の深さは、ハウジング3の底部30と保護壁31の上縁32との間の距離によって画定される。この深さのハウジング3は、稚貝段階における二枚貝、および成体サイズの二枚貝の両方を収容し得る。
【0057】
有利には、ハウジング3の底部30および保護壁31は、ネットタイプの穿孔された構造によって形成される。ハウジング3の底部30および保護壁31のネットは、決定された寸法のメッシュを有する。
【0058】
有利には、この例では、ネットは、ハウジング3の底部30から上縁32まで増大する寸法のメッシュを備える。なお、ハウジングの底部30におけるネットのメッシュは、2.5mm×2.5mm~6mm×6mmの寸法を含み得る。逆に、上部分35におけるネットのメッシュは、12mm×12mm~25mm×25mmの寸法を含み得る。ネットのメッシュは、多角形、平行四辺形、円形などの、任意の形状とすることができることに留意されたい。
【0059】
有利には、底部30のネットは、より緊密なメッシュを含んでもよい。次いで、各ハウジングは、アサリ、カックル、テリン、ホタテなどの潜行二枚貝の飼育を促進するために、小さい砂利または砂を収容してもよい。
【0060】
好ましくは、後壁310は、保護壁31のものと同じ特性を有するネットを含み得る。
【0061】
ハウジング3、特にネットの特質は、一方では、飼育ケース1の潜水可能な本体2の浸漬および出現を容易にすることに寄与し、他方では、ハウジング3の良好な酸素化およびハウジング3内に収容された二枚貝への餌の良好な供給を保証する、水および植物プランクトンの循環を確保することに寄与する。ネットは、貝類養殖業者が、保護ネットを使用せずにその二枚貝生産を保護することを可能にする。
【0062】
さらに、保護壁31の下部分33の傾斜した性質は、カラー34の下のハウジング3の容積が低減されることを可能にし、これは、2つの飼育ケース1の重ね合わせによって入れ子を最適化することを助ける。
【0063】
有利には、数個の飼育ケースを重ね合わせることは、テーブルの下に吊られた貝類養殖を想定することを可能にする。目的は、二枚貝生産量を最適化するために、全ての利用可能な水深を使用することである。実際、いくつかの二枚貝の生育場所は、数メートルの水位を含み得る。なお、フランスでは、トーラグーンは、3m~9mの水位を有し得る。そのような水柱上における養殖を最適化するために、飼育ケース1は、他の飼育ケース1との下方および上方の重ね合わせによって入れ子になるように構成されている。
【0064】
好ましくは、飼育ケース1は、ハウジング3の各底部30が、上部および/または下部飼育ケース1のハウジング3の底部30から、40mm~120mmの距離で分離されるように構成されている。これは、1メートル当たり8~15個の飼育ケースを得ることを可能にする。
【0065】
図1~
図10に例示されるように、飼育ケース1は、並進摺動する係止手段4を備える。係止手段4は、2つの飼育ケース1が、下方または上方の重ね合わせによって入れ子になることを可能にする。係止手段4はまた、2つの入れ子になった飼育ケース1の間の可逆的な結合を確保する。
【0066】
特に、係止手段4は、少なくとも1つの雌部材40および少なくとも1つの雄部材41を備える。雄部材41は、雌部材40に相補的である。第1の飼育ケース1の係止手段4は、第1の飼育ケース1(
図4~
図8に示される)に対して下方および/または上方に重ね合わせられた別の飼育ケース1の係止手段4と協働するように構成されている。
【0067】
特に、
図2および
図3に特に例示されるように、係止手段4は、潜水可能な本体2の上部分22に配設された少なくとも1つの雌部材40を有する。
【0068】
この例では、雌部材40は、径方向軸B-Bを通過する平面内に位置する少なくとも1つの開口部400を備える。開口部400は、分岐21の第1の側方端210に配設されている。雌部材40の開口部400は、径方向軸B-Bに平行な軸に沿って上部リム211の下に延在するスライド401と連通する。雌部材40を係止するために、雄部材41がスライド401内で摺動するように構成されていることが指定されるべきである。
【0069】
別の重ね合わせられた飼育ケース1の雌部材40と協働するために、雄部材41は、潜水可能な本体2の下部分23に配設されている。
【0070】
説明されていない本発明の一実施形態によると、雄部材41および雌部材40のそれぞれの位置は、反転されてもよい。この配置によると、雌部材40は、潜水可能な本体2の下部分23に配設される。逆に、雄部材41は、次いで、潜水可能な本体2の上部分22に配設される。
【0071】
好ましくは、雄部材41は、潜水可能な本体2に対してオフセットセグメント410を備える。オフセットセグメント410は、オフセットセグメント410の自由端に位置する停止部411をオフセットすることを可能にする。この例では、停止部411は、フックによって形成されている。
【0072】
図1~
図10に例示される例では、飼育ケース1は、4つの雌部材40および4つの雄部材41を備える。ここで、雌部材40および雄部材41は、径方向軸B-BおよびC-Cに対して対称的に各分岐21上に対になって分布している。
【0073】
この意味で、例示された例によると、径方向軸B-Bに沿って延在する雌分岐21bと、径方向軸C-Cに沿って延在する雄分岐21cとの2つのタイプの分岐21を区別することができる。雌分岐21bと雄分岐21cとの間のこの区別は、それらが備える部材40、41のタイプによって行われる。
【0074】
この例によると、雄分岐21cは、分岐21、21b、21cの間の交点の両側に2×2の対で分布する雄部材41のみを備える。
図1および
図2に例示される例では、雄部材41は、跨ぎ空間214内に配設されている。より正確には、雄部材41は、側壁212の下端213の跨ぎ空間214に配設されている。
【0075】
図1に例示されるように、一対の雄部材41は、雌分岐21bに平行である平面Pに配設されている。
【0076】
雄分岐21cは、2つの分岐21、21b、21cの交点から所定の距離に配設されている2つの対の雄部材41を備える。好ましくは、2つの対の雄部材41は、2つの分岐21、21b、21cの交点から等しい距離に配設される。
【0077】
図1から
図10に例示される例によると、雌分岐21bは、分岐21、21b、21cの間の交点の両側に2×2の対で分布する雌部材40のみを備える。
図1および
図2に例示される例では、雌部材41は、雌分岐21bの側壁212の上に延在する。
【0078】
雌分岐21bは、雄分岐21cに対して対称的に対で延在する2つの対の雌部材40を備える。雌部材40の各対は、雄分岐21cの両側に延在する。一対を構成する2つの雌部材40は、雌分岐21bに平行に延在する。
【0079】
係止手段4は、第1の飼育ケース1の径方向軸B-Bが第2の飼育ケース1の径方向軸C-Cと重ね合わせられたとき、2つの飼育ケース1を重ね合わせによって入れ子にすることを可能にする、特定の構成を有する。これは、雌部材40および雄部材41が、2つの別個の分岐21、21b、21cにわたって対称的に分布している事実に起因する。したがって、2つの飼育ケース1を組み立てるために、第1の飼育ケース1を、第2の飼育ケース1に対して吊り軸A-Aに沿って90°回転させることが推奨される。
【0080】
この組み立て方法によると、飼育ケース1のカラム5は、各飼育ケース1が上方/下方に入れ子になっている飼育ケース1に対して90°オフセットされている飼育ケース1のアセンブリを有する。カラムの各飼育ケース1は、少なくとも1つの他の飼育ケース1と共に、吊り軸A-Aに沿って、下方および/または上方に、それぞれ、入れ子になっている。
【0081】
図1および
図3の例に例示されるように、飼育ケース1は、潜水可能な本体2に提供される少なくとも1つの移動スライド6を備える。この例では、潜水可能な本体2は、4つの移動スライド6を備える。各移動スライド6は、それぞれ、係止手段4の雌部材40の係止スライド401と連通する。
【0082】
各移動スライド6は、吊り軸A-Aに平行な軸に沿って延在する。したがって、雄部材41が移動スライド内に係止されたとき、吊り軸A-Aに平行な方向に移動スライド6内で摺動し得る。
【0083】
図4に例示されるように、2つの飼育ケース1が前後移動に応じて2段階に係止されているとき。この意味で、上部飼育ケース1の第1の雄部材の対41は、下部飼育ケース1の第1の雌部材の対40において、第1の方向に並進移動で摺動することによって係止される。上部飼育ケース1の第1の雄部材の対41は、上部飼育ケース1の第2の雄部材の対41が下部飼育ケース1の第2の雌部材の対40内に係止されることを可能にするために、下部飼育ケース1の雄部材21cと隣接させられる。第1の並進方向とは反対の第2の方向に第2の並進移動が存在する。第2の並進移動は、上部飼育ケース1の2つの対の雄部材41を係止位置に運ぶ。
【0084】
係止位置は、
図5および
図6に例示されており、この位置では、上部飼育ケース1の各雄部材41は、移動スライド6に係止されている。係止位置では、2つの飼育ケース1は、各移動スライド6を通して吊り軸A-Aに沿って互いに対して並進して移動可能である。
【0085】
そのような結果を得るために、移動スライド6は、雄分岐21cに平行である平面Q内に対に配設されている。好ましくは、移動スライド6および雄部材41は、2つの分岐21、21b、21cの交点から同一の距離に配設される。
【0086】
係止位置では、2つの飼育ケース1は、2つの状態である、コンパクト状態と展開状態との間で移動可能である。コンパクト状態では、上部飼育ケースの各雄部材41は、下部飼育ケースの移動スライド6の下端に位置する。コンパクト状態では、上部飼育ケース1は、次いで、下部飼育ケース1上に載置される(
図6に例示される)。逆に、展開状態では、上部飼育ケース1の各雄部材41は、下部飼育ケース1の雌分岐21bの上部リム211と隣接している。展開状態では、2つの飼育ケース1は、係止されたまま互いに距離をおく(
図5に例示される)。
【0087】
当然ながら、互いに対して係止された2つの飼育ケース1のこの移動性は、飼育ケース1のカラム5に転移され得、カラムは、アクチュエータの影響下でコンパクト状態から展開状態に進むことができる。なお、アクチュエータは、カラム5を構成する各飼育ケース1のオリフィス24にねじ込まれたロープであり得る。このロープを上昇させることは、展開状態からコンパクト状態にカラム5を遷移させることを可能にし、逆に、ロープを緩めることは、コンパクト状態から展開状態に進むことを可能にする。
【0088】
コンパクト状態は、飼育ケース1のカラムを、カラム5の飼育ケース1が二枚貝を積載する陸上の場所から、水域に位置する飼育テーブルに輸送するのに有用であり得る。加えて、コンパクト状態は、二枚貝飼育カラム5が進水されるときに、稚貝状態の二枚貝を保護すること、および/または各ハウジング内にそれらを保つことを可能にする。これはまた、より大きい直径の二枚貝にも適用される。
【0089】
展開状態は、二枚貝の吊られた飼育中に使用され得、実際、飼育ケース1の間の間隔は、二枚貝の成長を促進する。加えて、展開状態はまた、二枚貝をカラム5に積載するとき、および二枚貝が食用に成熟したときにカラム5を荷降ろしするときに、養殖前に使用され得る。
【0090】
なお、展開状態またはコンパクト状態のいずれにおいても、飼育ケース1がカラム5内に組み立てられているとき、カラム5内の飼育ケース1は、その下に入れ子になっている飼育ケース1のハウジング3へのアクセスを制限することに寄与する。この意味で、カラム5の頂部にある飼育ケースは、捕食者によって引き起こされる損失を回避するために、二枚貝が積載されなくてもよい。
【0091】
図1および
図3に例示されるように、飼育ケース1のカラム5の組み立て中の任意の誤りを回避するために、潜水可能な本体2は、少なくとも1つの誤り防止手段25を備える。例示される例によると、誤り防止手段25は、2つの雄部材41に共通する平面Pの雄分岐21c上に配設されている。好ましくは、潜水可能な本体2は、4つの誤り防止手段25を備える。各誤り防止手段25は、停止部を含まないスライドによって形成され、したがって、2つの飼育ケース1が重ね合わせによって係止されることを可能にしない。
【0092】
図8に例示されるように、2つの飼育ケース1が一方で入れ子になっているとき、潜水可能な本体の枠組み20の構造は、上部飼育ケース1が下部飼育ケース1に対して傾斜することを可能にする。ここで、この傾斜は、径方向軸B-Bを中心として起こる。
【0093】
傾斜は、その雄分岐21cの一方側に位置する上部飼育ケース1の一部を持ち上げることによって得られる。2つの異なる対の2つの雄部材41は、下部ケース1の雌分岐21bの上部リム211と隣接するようにされるが、一方で、上部飼育ケースの2つの他の雄部材41は、移動スライド6内で傾斜する。
【0094】
この傾斜現象を改善するために、移動スライド6は、上部リム211に配設されたトグル停止部60を備える。トグル停止部60は、移動スライド6の延長部に配設されている。トグル停止部60は、移動スライド6と同じ軸上に配設されている。この例では、トグル停止部60は、上部リム211内に作製されたスロットによって形成される。スロットは、径方向軸B-Bに沿って長手方向に延在する。
【0095】
有利には、雄部材41のフックは、トグルストップ60のスロットと上部リム211の縁表面との間で係合し、上部飼育ケースの揺動を生成する。トグル停止部60は、上部飼育ケース1の係合解除を防止しながら傾斜することを可能にする。
【0096】
傾斜することは、進水前に、決定された数の飼育ケース1を用いて組み立てられたカラム5に二枚貝を積載することを可能にする。逆に、傾斜させることは、成熟した二枚貝が、水産養殖環境における養殖後に荷降ろしされることを可能にする。この傾斜現象によって、飼育ケース1のカラムからの積載および荷降ろしの操作が容易になる。さらに、2つの連続した飼育ケース1は、90°の径方向オフセットに応じて入れ子になるため、同じカラムの2つの連続した飼育ケースもまた、90°の径方向オフセットで傾斜している。
【0097】
図1、
図2および
図4~
図8に例示されるように、潜水可能な本体2は、径方向軸B-Bまたは径方向軸C-C上に潜水可能な本体2の外側に延在する少なくとも2つのアーム7を備え、各アーム7は、骨組み20に接続されている。この例では、各アームは、径方向軸B-Bおよび/または径方向軸C-Cのいずれかの側部に位置するハウジング3の保護壁31を通して骨組み20に接続されている。各アーム7は、雄部材41と同じ平面R内に配設されている。平面Rは、飼育ケース1の潜水可能な本体2の下に延在する。平面Rは、径方向軸B-BおよびC-Cによって形成された平面に平行である。
【0098】
潜水可能な本体2はまた、2つの径方向軸B-BおよびC-C上に位置する4つのアーム7を備え得る(
図7に例示される)。
【0099】
この例では、アーム7は、フックを有する自由端70と、潜水可能な本体2の構造の少なくとも1つのオフセットセグメント71と、を備える。フックは、吊り軸A-Aの方向に配向される。フックは、径方向軸C-Cの同じ側部に位置する雄部材41と同じ配向を有する。
【0100】
アーム7は、決定された数の飼育ケース1を備えるカラム5の結合を維持することを助ける。実際、アーム7は、構造の外側に延在しており、下部飼育ケース1を上部飼育ケース1の軸に保つことを可能にする。これは、周期的なうねりを受ける水産養殖場所において有用であり得る。
【0101】
加えて、アーム7はまた、傾斜状況における2つの連続した飼育ケースの係止解除を防止することにも寄与する(
図8に例示される)。この状況は、二枚貝が飼育ケース1のカラム5の各ハウジング3に積載されるときに生じ得る。水の外のこの状況では、カラム5は、それを二枚貝で満たすために吊られ、アーム7は、平面R内のそれらの位置およびそれらの配向に起因して、カラム5を直立させて保つことに寄与する。
【0102】
図9に例示されるように、飼育ケース1は、少なくとも1つの二枚貝の成長を抑制するための手段8を備え得る。抑制手段8は、二枚貝が決定された形状で成長することを可能にする。
【0103】
この例では、抑制手段8は、軸に沿って二枚貝の成長を妨げるように配設されたロープ80によって形成され得る。したがって、二枚貝の前部に適用される抑制は、二枚貝3にハート形状シェルを形成させ得る。この例では、ロープ80の位置付けは、保護壁31のカラー34上に提供されている孔36を通して選択される。潜水可能な本体2の穿孔された性質に起因して、ロープ80は、1つのハウジング3から別のハウジング3に伸びて、各ハウジング3内にそれぞれ収容された二枚貝を抑制し得る。
【0104】
抑制手段8はまた、爪またはロッドによっても形成され得ることに留意されたい。
【0105】
図10に例示されるように、飼育テーブルから吊られるために、飼育ケース1のカラム5は、このテーブルへの取り付けの手段を必要とする。
図10に例示されるように、カラム5の上部飼育ケース1は、上部飼育ケース1に対する4つの取り付け点を有する吊りロープ9を通してテーブルに接続され得る。ここで、吊りロープ9は、各分岐21の下にねじ込まれるように4つに分割される。4点の取り付けは、カラム5をバランスのとれた様式で吊られた状態に保つことを可能にする。
【0106】
アタッチメントを固設するために、飼育ケース1のカラム5は、したがって、4つの取り付け点で吊られる。取り付け点は、少なくとも1つの分岐21、21b、21cの側方端210に形成されているオリフィス215に対応し得る。各オリフィス215は、それが形成される分岐21の径方向軸に沿って延在する(
図2、
図3および
図5に例示される)。
【0107】
さらに、
図10に例示されているように、吊りロープ9はまた、依然として吊られた構造を安定させる目的で、2つの対向アーム7を通過し得る。
【0108】
本発明はまた、決定された数の飼育ケース1を備える少なくとも1つの二枚貝飼育カラム5を備える、吊られた二枚貝を飼育するための方法に関する。
【0109】
飼育方法は、カラム5の各飼育ケース1のハウジング3を積載する工程を含む。有利には、二枚貝を配置するためにハウジング3へのアクセスを容易にするために、飼育ケース1の径方向軸B-Bを中心とした傾斜移動を使用することができる。好ましくは、ハウジング3毎に1つのみの二枚貝が挿入される。一般に、二枚貝は、大きいサイズ(T20)または小さいサイズ(T6、T8)にかかわらず、稚貝状態で挿入される。
【0110】
例えば、飼育場所における深さ5メートル~6メートルのカラム養殖栽培を最適化するために、50個の飼育ケース1のカラムが組み立てられる。有利には、そのコンパクト状態では、50個の飼育ケースのカラム1は、1.5メートル未満の高さを有する。この低い高さは、カラム5が、積載場所から飼育テーブルにコンパクト状態で容易に輸送されることを可能にする。
【0111】
進水前に、カラム5は、各カラム5を飼育場所に運ぶ目的で、そのコンパクトな状態に配置される。展開状態からコンパクト状態への通路は、各飼育ケース1の吊り軸A-Aに沿って延在するロープを通して管理される。
【0112】
飼育方法は、少なくとも1つの飼育カラム5をコンパクト状態で沈める工程を含む。潜水時に、各飼育ケース1の各ハウジング3は、少なくとも1つの二枚貝を含む。しかしながら、カラム5の頂部に飼育ケース1のハウジング3を積載することができない。
【0113】
方法は、飼育カラム5がそのコンパクト状態で決定された期間、沈められて保たれている間の事前培養工程を含み得る。この持続時間は、主にハウジング3に積載された稚貝のサイズに依存する。この工程は、稚貝が水を吸収し、それらのハウジング3の底部30に保たれるように、稚貝を保存および保護することを可能にする。実際、それらが各ハウジング3に積載されるとき、稚貝は、潜水中に各ハウジング3の底部30に残るために水を十分に装填されない。事前培養段階の持続時間は、大きい直径の稚貝(T20)に対する1分以下から、小さい直径の稚貝(T6、T8)に対する7~30日まで変化し得る。潜水が大きなうねりの存在下で行われる場合、好ましくは、うねりが収まるまで、事前培養工程の持続時間が延長される。
【0114】
飼育方法は、飼育ケース1のカラム5を展開する工程を含む。この工程は、吊り軸A-Aに沿って延在する、ロープの上端を解放することから構成され、飼育ケース1は、次いで、重力の影響下で、コンパクト状態から展開状態に移る。
【0115】
地中海タイプおよび/または温帯の水産養殖ゾーンでは、カラム5を展開する工程は、好ましくは、二枚貝成長期間中に行われる。すなわち、春および/または秋に行われる。成長期間は、主に、水産養殖の飼育環境中のプランクトンの存在に起因する。
【0116】
飼育方法は、二枚貝飼育工程を含み、その間、飼育カラム5は、展開状態で沈んだ状態に保たれる。展開状態は、二枚貝2の最適な成長を確保する。この例では、飼育段階は、6~18か月であり得、好ましくは、発育段階は、10~14か月であり得る。
【0117】
飼育方法は、塩沼を模擬するための1つ以上の曝露期間を含み得る。曝露技術は、貝類養殖業者に周知であり、ストレスの期間を生成することによって二枚貝を強化することを可能にし、強く成長した花弁部に続く。
【0118】
飼育方法は、二枚貝2がそれらの成体サイズに達したときの一組の飼育ケース1のための出現操作を含む。出現は、吊りロープ9を上げることによって行われる。
【0119】
方法はまた、二枚貝を抽出する操作も含む。この工程は、各飼育ケース1から二枚貝を分離することで構成されている。これは、出現中に直接行われ得る。通常、出現は、持ち上げマットを使用して行われる。有利には、カラム5の各飼育ケース1の傾斜移動は、出現中の成人サイズの二枚貝の抽出を可能にする。
【0120】
さらに、方法はまた、有効な販売基準に従って、二枚貝の処理段階を含み得る。例として、二枚貝は、市販される前に精製および貯蔵浴に供され得る。
【符号の説明】
【0121】
1 飼育ケース
2 本体
3 ハウジング
4 係止手段
5 カラム
6 移動スライド
7 アーム
20 骨組み
21 分岐
22 上部分
23 下部分
24 オリフィス
30 底部
31 保護壁
32 上縁
40 雌部材
41 雄部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3032860号明細書
【特許文献2】米国特許第5515813号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2893229号明細書
【国際調査報告】