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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】クイックコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/088 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
F16L37/088
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520944
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2019074316
(87)【国際公開番号】W WO2021069047
(87)【国際公開日】2021-04-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514052379
【氏名又は名称】オエティカ シュヴァイツ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】ライマン・モーガン
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BA02
3J106BB01
3J106BC04
3J106BC09
3J106BD01
3J106BE32
3J106CA19
3J106EA03
3J106EB02
3J106EC01
3J106EC07
3J106ED14
3J106EE02
(57)【要約】
本発明は、流体接続システムの管状のオス部(50)とメス部(40)との間のスナップ接続を確立するためのクイックコネクタを提供する。コネクタは、メス部(40)の口部(41)内に配置されるように構成された保持手段(10)を有しており、保持手段10は、軸方向おける定位置で保持手段10に保持されていて、オス部50とのスナップ係合により径方向に伸ばされたときにオス部50の肉厚部52およびメス部40の口部41内の環状溝42の双方とスナップ係合するための弾性部材20を有している
【選択図】FIG.1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のオス部(50)をメス部(40)に接続するためのクイックコネクタであって、
前記メス部(40)の口部(41)内に配置されて前記オス部(50)と前記メス部(40)との間をシールするように構成されたシール手段(30)と、
前記口部(41)内に配置されて前記シール手段(30)を保持するように構成された保持手段(10)と、
軸方向における定位置に前記保持手段(10)により保持されて、前記コネクタの軸方向を横切る径方向のバネ力を及ぼす、オス部(50)とスナップ係合するための弾性部材(20)と、を備え
前記弾性部材(20)は、前記弾性部材(20)が径方向に伸ばされたときに前記メス部(40)に係合するように構成されている
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のクイックコネクタであって、
前記弾性部材(20)は、前記保持手段(10)の外周に形成された環状凹部(11)内に配置されて保持されており、
前記環状凹部(11)は開口(11a)を有し、当該開口(11a)を介して前記弾性部材(20)が径方向内側に向かって突出している
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のクイックコネクタであって、
前記弾性部材(20)は、スプリング、好ましくはヨークスプリングであることを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のクイックコネクタであって、
前記弾性部材(20)は、湾曲形状を有し、
前記弾性部材(20)の少なくとも1つの第一部分(21)は、前記保持手段(10)の内径よりも径方向内側に延び、前記オス部(50)の外周とスナップ係合可能であり
前記弾性部材(20)の少なくとも1つの第二部分(22)は、前記弾性部材(20)が径方向に伸ばされたときに前記保持手段(10)の前記外径よりも径方向外側に伸びて前記メス部(40)の内周とロック係合可能である
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のクイックコネクタであって、
前記弾性部材(20)の前記少なくとも1つの第二部分(22)は、前記弾性部材(20)が、伸ばされていない状態にあるときでも、前記保持手段(10)の前記外径を越えて延びていて、前記メス部(40)の内周とプリロック係合可能であることを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のクイックコネクタであって、
クイックコネクタのロック状態で前記シール手段(30)が前記オス部(50)および前記メス部(40)の両方に接触するように、前記保持手段(10)は、軸方向において前記保持手段(10)に隣りあうが重なりはしないシーリング位置で前記シール手段(30)を保持するように構成されている、
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のクイックコネクタであって、
前記コネクタが組み込まれていない状態で前記保持手段(10)および前記シール手段(30)を保持するためのプラグ(60)をさらに備え、
前記プラグ(60)は、
前記保持手段(10)および前記シール手段(30)を通って延びるように構成されたシャフト部(61)と、
前記保持手段(10)の内径よりも大きな外径を有し、前記保持手段(10)から軸方向外側に突き出してユーザにより把持されるようにされたグリップ部(64)と、を有することを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載のクイックコネクタであって、
前記シャフト部(61)は、
前記保持手段(10)内に挿入されたときに、前記弾性部材(20)が第一伸長状態に達するまで前記弾性部材(20)を伸ばすように構成された、外径が徐々に増加するテーパー部(62)、および/または
前記プラグ(60)が前記保持手段(10)に完全に挿入されかつ前記プラグ(60)が前記保持手段(10)に対して第一回転位置から第二回転位置に回転したときに前記弾性部材(20)が前記第一伸長状態から第二伸長状態に弛緩できるように前記弾性部材(20)を受けるための溝部(63)を有する
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項9】
流体接続システムであって、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のクイックコネクタと、
好ましくはスピゴットである管状のオス部(50)、好ましくはスピゴット、および/または、
好ましくはコネクタブロックに穴として形成されたメス部(40)と、
を備えることを特徴とする流体接続システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、
前記管状のオス部(50)は、
前記保持手段(10)に挿入された場合に前記弾性部材(20)を伸ばすために外径が徐々に増加するテーパー部(51)、および/または
前記オス部(50)が前記保持手段(10)との係合位置にあるときに、前記弾性部材(20)を径方向外側に向けて押圧するように構成された肉厚部(52)を備える
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項9または10に記載のシステムであって、
前記メス部(40)は、その口部(41)内の周囲に形成された環状溝(42)を有し、
前記弾性部材(20)は、前記オス部(50)が前記保持手段(10)との係合位置にあるときに前記環状溝(42)内に突き出すように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記口部(41)は、前記メス部(40)の軸方向隣接部(44)よりも大きな内径を有し、
前記口部(41)は、前記シール手段(30)を受けるための段部(43)を有する
ことを特徴とするシステム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
クイックコネクタまたはスナップコネクタは、パイプソケット、スピゴットまたはニップルなどのオス部とメス部(特に流体伝導システムのブロック部の穴部)とを簡単に接続可能とするために広く用いられている。従来、コネクタは、メス部にねじ込まれるネジ部と、ねじ部がねじ込まれた後にそこからから延びるスリーブ部と、を備えており、スリーブ部は、オス部の凹部とスナップ係合するために径方向のバネ力を及ぼすヨークスプリング形の弾性部材を有している。
【0002】
従来のコネクタのデメリットは、その軸方向の延長部が比較的長いこと、および、漏出可能性がある位置が2か所存在することである。第一の漏出部は、第一のOリングがコネクタとメス部との間にシールを形成するネジ部にあり、第二の漏出部は、第二のOリングがコネクタとオス部との間にシールを形成するスリーブ部の内周内にある。
【0003】
米国特許出願公開第2015/0145240号明細書には、ネジ部が省略されたクイックコネクタが開示されており、コネクタは、メス部にねじ止めされないが、取り外しできない方法でメス部にクリンチ、ステークまたはスエージされている。この従来のソリューションにより、コネクタとメス部との間をシールする第一のOリングが不要になるが、それには、クイックコネクタがメス部に永久接続されるというデメリットがある。また、クイックコネクタは、メス部に永久接続されてもメス部の外側面から突き出しており、このことは、特にe-モビリティの自動車システムに必要なバッテリ冷却等の分野において、省スペースのコネクタソリューションには好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0145240号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コネクタの構造的配置(constructional setup)を簡略化すること、その軸方向の延長部を短縮すること、および、漏出可能性のある箇所を減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本願の請求項1に定義されたコネクタにより達成される。従属請求項は、好ましい実施形態に関連しており、さらに、コネクタと、互いに接続されるオス部およびメス部とを備える接続システムを要求する。
【0007】
本発明のコネクタには、メス部とコネクタとのネジ接続用のねじ部がない。その代わりに、弾性部材は、オス部とのスナップ係合機能を提供するだけでなく、オス部とのスナップ係合によって、軸方向を横切るラジアル面内で伸ばされたときにメス部とも係合可能にするように、二重機能を有するように構成されている。
【0008】
本発明の特定の実施形態では、クイックコネクタが、その外周に形成された環状凹部を有する保持手段を備え、そのなかで、弾性部材(好ましくはヨークスプリング)が、軸方向における定位置(axially fixed position)で保持される。環状凹部は放射状の開口を有しており、この開口を介して弾性部材の少なくとも1つの第一部分が径方向内側に向かって突出する。弾性部材がオス部とのスナップ係合によって径方向に伸ばされた場合、弾性部材の少なくとも1つの第二部分が、メス部の内径にある対応部分に係合して、保持手段を、接続された状態でロックするように、保持手段の外径を越えて広がる。
【0009】
より詳細には、弾性部材は、オス部の挿入前、例えば搬送中の落下防止のため、メス部に挿入されたときにはすでにプリロック状態であるようにサイズおよび形状が設計されている。このプリロックされた係合位置において、弾性部材の少なくとも1つの第二部分は、メス部の内径にある対応位置(例えば環状溝)内に、保持手段をメス部に取り付けたままにしておくのに十分に突き出している。その後、オス部が挿入されたときにロック係合位置で完全にかみ合わされてロックされる。
【0010】
シーリング手段、好ましくはOリング、Xシールまたはリップシールは、メス部の口部内の保持手段の軸方向前方に配置される。クイックコネクタがロック状態にあるときにシーリング手段がオス部およびメス部の双方に接触することができるように、シーリング位置は、軸方向において保持手段とは重ならない。これにより、オス部とメス部との結合にはシーリング位置が1つだけで十分であり、漏出可能性がある位置が1つだけであるようにする。
【0011】
本発明は、好ましくは、保持手段およびシーリング手段をそれらが組み込まれていない状態で保持するためのプラグをさらに備えている。保持手段およびシーリング手段は、プラグの、グリップ部よりも外径が小さなシャフト部で受けられる。プラグは、オス部のプレースホルダーとして機能するとともに、コネクタの製造および搬送中も、特に自動車産業における流体接続システム内でのその後のそれの組み立て中と同様に、コネクタを迅速かつ安全に取り扱うのに役立つ。
【0012】
シャフト部は、好ましくは、弾性部材を徐々に伸ばすためのテーパー部、および/または、弾性部材を、それが伸ばされた状態で受けるための溝部を有している。このため、弾性部材は、伸ばされてメス部に係合して、プラグがオス部に置き換わるまで、コネクタを、ロックかつシールされた状態に維持することができる。溝部は、プラグの周方向隣接部分よりも径が小さいため、弾性部材を、メス部およびプラグの双方に係合するように、径方向のそのバネ力により収縮させることができる。この状態は、安全な搬送または組み込み前の圧力試験に有益である。
【0013】
プラグを取り外すため、弾性部材の少なくとも1つの第一部分がもはやプラグの溝部に係合しないようにプラグをその長手方向軸周りに回転させ、少なくとも1つの第二部分がメス部との係合のためにさらに径方向に突出するように弾性部材がさらに伸びる。この状態において、プラグをオス部に置き換えることができるように、メス部に係合したままのコネクタからプラグを取り出すことができる。要約すると、プラグは、第二回転位置において、メス部の口部を、完全にシールされた状態で閉じることができるとともに、プラグがオス部に置き換わるときに、プラグは、第一回転位置において取り外しすることができる。
【0014】
プラグが流体接続システムのオス部(好ましくはスピゴット)に置き換わると、弾性部材は、プラグと同様な方法でオス部により径方向に伸ばされて、コネクタを、完全にロックされた状態になるようにする。メス部は、その口部の内周に形成された溝を有する。溝は環状あるいは他の適当な形状を有していてもよい。それが有する内径は、オス部の挿入により弾性部材がそのバネ力に逆らって伸ばされるときに溝へロックできるように、口部の軸方向隣接部分よりも大きい。これにより、弾性部材は、保持手段とオス部またはプラグとをスナップ接続させるだけなく、メス部の口部の内周に形成された溝へスナップすることにより、保持手段とメス部との間もスナップ接続させるという二重の機能性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付の図面を参照しながら、本発明の詳細およびその実施形態を説明する。
FIG.1は、本発明の実施形態に係る、接続されていない状態の流体接続システムコンポーネントの斜視図、
FIG.2は、完全に接続された状態の流体接続システムの断面図、
FIG.3は、本発明の実施形態に係る、接続されていない状態の、コネクタ、メス部およびプラグの斜視図、
FIG.4は、本実施形態に係るコネクタによってメス部に接続されたプラグの側面図、
FIG.5は、FIG.4のA-A線に沿った断面図、を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
FIG.1に示された流体接続システムの斜視図では、メス部40がブロックの穴として形成されている。従来の流体接続システムでは、コネクタのネジ部をねじ込むために穴にめねじが形成されていたが、メス部40の口部41は、そのようなねじ部なしで、コネクタを完全に受けて係合するようになっている。FIG.1は、リング形状の保持手段10、弾性部材20、シーリング手段30およびスピゴット50を、メス部40への接続前の分解組み立て図で示している。スピゴット50の挿入方向は、この図において下向きに延びており、以下、前方方向と呼ぶ。反対方向は後方方向と呼ぶ。
【0017】
シーリング手段としてのOリング30は、口部41の前方端部に形成された環状の段部43(FIG.2参照)に配置される。FIG.1には、Oリング30と、コネクタの他の部分すなわち保持手段10および弾性部材20とが、口部41から軸方向に離れて示されており、オス部としてのスピゴット50が、そこからさらに後方に軸方向に間隔をおいて配置されている。FIG.2に示された流体接続システムの完全な接続状態を確立するために、FIG.2に示すように、まず、シーリング手段30が、メス部40の段部43の位置で口部41内に配置され、弾性部材20が、リング形状の保持手段10の環状凹部11にスナップ留めされて、その後、弛緩したバネの状態で、軸方向後方にシーリング手段30に隣接して配置される。コネクタは、口部41に挿入されたときすでに、プリロックされた係合状態になっている。これは、弾性部材20が口部41に入るときにある程度圧縮され、その後、その4つの第二部分22がメス部40の環状溝42にスナップ留めされるからである。これにより、搬送中等に、口部41からの弾性部材20および保持手段10の脱落が防止される。
【0018】
最終的に、オス部50は、弾性部材20の径方向内側に向かって突き出した3つの第一部分21がオス部50とのスナップ係合を形成するまで、保持手段10およびシーリング手段30を介して押し込まれる。より具体的には、まず、弾性部材20がオス部50のテーパー部51によって伸ばされて、その後、弾性部材20の3つの第一部分21がテーパー部51の後方の肉厚部52上にのる。これにより、弾性部材20は、その4つの第二部分22がメス部40の環状溝42と係合するように、その外径が伸ばされる。
【0019】
このことは、ロックされた状態の流体接続システムを示すFIG.2に基づき最もよく理解することができる。ここにでは、メス部40がブロックの穴として形成されている。穴は、オス部50の前方部の外径よりわずかに大きな標準径部44を有している。標準径部44から後方には、標準径部44よりも大きな内径を有する口部41がある。口部41は、シーリング手段30を受けるための段部43と、保持手段10をメス部40から軸方向外側に突き出させずに受ける、段部43よりも大径の部分と、を有している。口部41は、口部41の後方隣接部分よりも大径の環状溝42をさらに有しており、弾性部材20が、管状のオス部50によってそのロック状態に伸ばされあるいはスパンされるときに環状溝42内に突き出すことができるようになっている。
【0020】
管状のオス部50は、その最も前方の部分で標準外径を有しており、それは、オス部50が保持手段10を通って押し込まれるときに弾性部材20を徐々に伸ばすために配置されたテーパー部51においてその後徐々に増加する。テーパー部51から後方には、弾性部材20(より具体的には、その4つの第二部分22)を環状溝42内でロックされた状態に保つのに十分大きな外径を有する肉厚部52がある。FIG.2は、接続システムを断面で示しており、第二部分22が環状溝42内にわずかに突き出している。ここでは示していない他の断面では、突出部の高さはより大きくなる。
【0021】
保持手段10は、弾性部材としてヨークスプリング20を受けるためにその外周に形成された環状凹部11を有している。環状凹部11は、細長い貫通穴として形成された放射状の開口11aを有し、弾性部材20の少なくも3つの第一部分21がそこを通って広がることを可能とする。さらに、環状凹部11から前方にファネル部12があり、そこでは、保持手段10の内径が、オス部50の最前方部にある標準外径より徐々に小さくなり、オス部50の挿入のための停止位置を形成する。
【0022】
本実施形態において、弾性部材は、オス部50のテーパー部51および肉厚部52との係合用の3つの第一部分21とメス部40の口部41内の環状溝42との係合用の4つの第二部分22とを有する湾曲形状を有するヨークスプリング20として形成されている。第一および第二部分21、22の数は任意に選択してもよい。また、全く異なる、弾性部材20の設計、形状および寸法が可能であり、本開示に包含される。
【0023】
保持手段10および弾性部材20はいずれも、好ましくは金属、特にステンレス鋼で形成される。しかし、それらの一方または両方を適切な品質および柔軟性のプラスチック材料、特にいくつかのガラス繊維強化ポリマー材料で形成することもできる。
【0024】
FIG.3は、シーリング手段30と、接続システムのメス部40への挿入前にプラグ60上に配置される弾性またはバネ部材20が取り付けられた保持手段10と、を分解組み立て図で示している。最終な組み立て工程の前に製造の容易化および処理の効率化を可能とするために、プラグ60上にクイックコネクタの部品を事前に組み付けておくことがしばしば有益である。FIG.4およびFIG.5は、コネクタを介してメス部40に完全に接続されたときのプラグ60を示す。
【0025】
FIG.5の断面図において最もよく示されているように、プラグ60のシャフト部61は、それがプレースホルダーとして機能するオス部50の外径と一致する標準外径を有している。また、テーパー部62は、オス部50のテーパー部51に実質的に対応しており、プラグ60が保持手段10およびシーリング手段30を通って押し込まれるときに弾性部材20を伸ばすために役立つ。弾性部材20は、第一回転位置でプラグ60をメス部40の穴開口から再度取り外すためにこの最大伸長状態で維持されてもよい。
【0026】
しかし、FIG.5は、第二回転位置にあるプラグ60を示しており、第二回転位置では、弾性部材20の第一部分21が溝部63と係合するという事実により弾性部材20が第二伸長状態に弛緩する。第二回転位置にある3つの第一部分21と一致する円周方向の位置を有するようにシャフト部61の外周に沿って断続的に形成された3つの溝部63がある。溝部63の位置におけるプラグ60の外径は、オス部50の肉厚部52の外形と実質的に一致する。これにより、弾性部材20は、径方向に作用するバネ力でその第二伸長状態に弛緩することができる。第二伸長状態は、第一伸長状態と比べて小さな弾性部材20の径方向寸法を含み、完全ロック係合の状態に対応する。この状態では、プラグ60が口部41を閉じるとともにコネクタを完全ロック状態に保つように第二部分22とメス部40の環状溝42とが完全に係合しており、これは、搬送中あるいは最終的な組み込み前の圧力試験を行うときに特に有用である。
【0027】
プラグ60は回転して第一回転位置に戻り、最終組み立て工程でのオス部50との置き換えのために後方方向に取り外すことができる。弾性部材20は、その後、もはやその第一部分21が溝部63内に留まらないが、第二部分22がロック状態よりもさらに環状溝42内に突き出す。プラグ60の取り外し後、コネクタは、メス部40内でプリロックされた状態のままである。
【0028】
要約すると、弾性部材20には実質的に3つの異なる状態がある。すなわち、(1)弛緩状態:弛緩状態では、保持手段10に接続され、その第二部分22が、メス部40の溝42内にスナップするのに十分に径方向に突出してプリロック係合を確立する、(2)第一伸長状態:オス部50のテーパー部51またはプラグ60のテーパー部62により弾性部材20が第一伸長状態に広げられ、プラグ60が第一回転位置にあるとき弾性部材20が第一伸長状態に保たれる、(3)第二伸長状態:完全ロック係合の状態であり、第一部分21が肉厚部52上で停止するようにオス部50がさらに前方方向に押されたとき、あるいは第一部分21が溝63と係合する第二回転位置にプラグ60を至らせたときに弾性部材20が第一伸長状態から第二伸長状態にスナップバックする。
【0029】
プラグ60は、軸方向に延びた停止リッジ(ridge)65をさらに有し、停止リッジ65により、プラグ60が完全に挿入された位置にあるときに保持手段10に対する当接を停止するための、拡大された外径がプラグ60に設けられている。プラグ60のグリップ部64は、停止リッジ65とディスク部66とを備える。停止リッジ65は、ユーザが手でプラグ60を容易に回転可能にするとともに、プラグの直径を十分に拡大してプラグがコネクタに押し込まれすぎるのを防止する。それらはさらに、プラグ60のどの円周部分に溝部63が形成されているのかをユーザに示し、それらは、最も後方部分にプラグ60の末端エッジを形成するディスク部66まで伸びている。
【0030】
弾性部材20の形状および材料は、第二部分22が環状溝42内にロックするまでコネクタ付きのプラグ60をメス部40に挿入するのに十分な柔軟性を弾性部材20が有するように選択することができる。その後、プラグ60を、その長手方向軸周りに第一回転位置から第二回転位置に回転させて、プラグ60を取り外すことができる。コネクタは、オス部50との最終組付けの準備が整ったプリロック係合状態でメス部40に留まる。
【0031】
要約すると、本発明は、流体接続システムの管状オス部50とメス部40との間のスナップ接続を確立するためのクイックコネクタを提供する。コネクタは、メス部40の口部41に配置されるように構成された保持手段10を有しており、保持手段10は、軸方向おける定位置で保持手段10に保持されていて、オス部50とのスナップ係合により径方向に伸ばされたときにオス部50の肉厚部52およびメス部40の口部41内の環状溝42の双方とスナップ係合するための弾性部材20を有している。
【符号の説明】
【0032】
10:保持手段 44:標準径部
11:環状凹部 50:管状のオス部
11a:開口 51:テーパー部
12:ファネル部 52:肉厚部
20:弾性部材 60:プラグ
21:第一部分 61:シャフト部
22:第二部分 62:テーパー部
30:シーリング手段 63:溝部
40:メス部 64:グリップ部
41:口部 65:停止リッジ
42:環状溝 66:ディスク部
43:段部

図1
図1A
図1B
図1C
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図4B
図5
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正2
【補正方法】追加
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
図1】FIG.1は、本発明の実施形態に係る、接続されていない状態の流体接続システムコンポーネントの斜視図を示す。
図2】FIG.2は、完全に接続された状態の流体接続システムの断面図を示す。
図3】FIG.3は、本発明の実施形態に係る、接続されていない状態の、コネクタ、メス部およびプラグの斜視図を示す。
図4】FIG.4は、本実施形態に係るコネクタによってメス部に接続されたプラグの側面図を示す。
図5】FIG.5は、FIG.4のA-A線に沿った断面図示す。
【国際調査報告】