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特表2023-501075フュージョンガラスシステム及び方法のレーザ厚さ制御のためのエネルギ送達の最適化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】フュージョンガラスシステム及び方法のレーザ厚さ制御のためのエネルギ送達の最適化
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
C03B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521988
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020054341
(87)【国際公開番号】W WO2021080766
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/924,312
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ガイ,マイケル ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン,マシュー ミアコメット ウィンター
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,フィリップ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ,ロバート アーサー
(72)【発明者】
【氏名】タンバー,レミー
(57)【要約】
ガラスシートの生産中にガラスの厚さを制御するための装置及び方法を記載する。上記装置及び方法は、レーザビームを用いて、溶融ガラスの特定の部分を加熱する。いくつかの例では、レーザビーム制御システムは上記レーザビームを制御することによって、ガラスシート全体にわたってより一定したガラス厚さを生成する。いくつかの例では、上記レーザビーム制御システムは上記レーザビームを多重化して、上記ガラスの様々な部分を、例えば同時に加熱する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令を記憶するメモリデバイス;及び
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記命令を実行するよう構成された、コントローラ
を備える、装置であって、
前記命令は、前記コントローラに:
ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択すること;
レーザ生成器からのレーザビームを、前記溶融ガラスの予め選択された前記部分へと反射させるように、反射装置を構成すること;
前記溶融ガラスの前記予め選択された部分に対する前記レーザビームの入射角に基づいて、前記レーザビームに関する出力密度を決定すること;
前記レーザ生成器を作動させて、決定された前記出力密度の前記レーザビームを生成することにより、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分を加熱すること
を実行させる、装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分に対する前記レーザビームの前記入射角を、前記反射装置の位置に基づいて決定するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは:
前記溶融ガラスの前記予め選択された部分から反射させるべき前記レーザビームのレーザエネルギの量を、前記入射角に基づいて決定し;
前記レーザビームに関する前記出力密度を、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分から反射させるべき前記レーザビームの前記レーザエネルギの量に基づいて決定する
よう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは:
前記レーザビームが少なくとも1つの窓を通るように配向される際に受けることになる側方変位を決定し;
決定された前記側方変位に基づいて、前記レーザビームを前記レーザ生成器から前記溶融ガラスの前記予め選択された部分へと反射させるように、前記反射装置を構成する
よう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは:
前記レーザビームが前記反射装置から前記溶融ガラスの前記予め選択された部分まで移動する経路長を決定し;
前記溶融ガラスの前記予め選択された部分に位置決めされたビームウエストを有する前記レーザビームを生成するように、前記レーザ生成器を構成する
よう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは:
前記レーザビームを前記レーザ生成器から前記溶融ガラスの別の予め選択された部分へと反射させるように、前記反射装置を構成し;
前記レーザビームが前記反射装置から前記溶融ガラスの前記別の予め選択された部分まで移動する経路長を決定する
よう構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記レーザビームを複数のビーム走査デバイスに向けるように多重化器を構成するよう構成され、前記複数のビーム走査デバイスはそれぞれ、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分の各部分を、前記レーザビームで加熱できる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
レーザビームを生成するよう動作可能なレーザ生成器;
前記レーザビームを前記レーザ生成器からガラス成形装置の溶融ガラスへと反射させるように構成された、反射装置;並びに
前記レーザ生成器及び前記反射装置に通信可能に連結された、コントローラ
を備える、装置であって、
前記コントローラは:
前記ガラス成形装置の前記溶融ガラスの一部分を予め選択するよう構成し;
前記レーザビームを前記レーザ生成器から前記溶融ガラスの予め選択された前記部分へと反射させるように、前記反射装置を構成し;
前記レーザビームに関する出力密度を、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分に対する前記レーザビームの入射角に基づいて決定し;
前記レーザ生成器を作動させて、決定された前記出力密度の前記レーザビームを生成することにより、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分を加熱する
よう、構成される、装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分に対する前記レーザビームの前記入射角を、前記反射装置の位置に基づいて決定するよう構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、多重化器及び複数のビーム走査デバイスを備え、
前記コントローラは、前記レーザビームを複数のビーム走査デバイスに向けるように前記多重化器を構成するよう構成され、前記複数のビーム走査デバイスはそれぞれ、前記溶融ガラスの前記予め選択された部分の各部分を、前記レーザビームで加熱できる、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は動的フォーカスデバイスを備え、前記レーザ生成器は、生成された前記レーザビームを前記動的フォーカスデバイスに向けるよう構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記動的フォーカスデバイスを前記複数のビーム走査デバイスと同期させるよう構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は少なくとも1つのビームスプリッタを備え、前記少なくとも1つのビームスプリッタは、前記レーザビームを前記複数のビーム走査デバイスのうちの少なくとも1つに向けるよう構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は第2のビームスプリッタを備え、前記少なくとも1つのビームスプリッタは、前記レーザビームを前記第2のビームスプリッタに向けるよう構成され、前記第2のビームスプリッタは、前記複数のビーム走査デバイスのうちの少なくとも第2のものに向けるよう構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は第2の反射装置を備え、前記第2のビームスプリッタは、前記レーザビームを前記第2の反射装置に向けるよう構成される、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2019年10月22日出願の米国仮特許出願第62/924312号の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願は依拠され、その全体が参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラスシートの生産、より詳細にはガラスシートの生産中にガラスの厚さを制御するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートは多様な用途に使用される。例えばガラスシートは、移動体デバイス、ラップトップ、タブレット、コンピュータモニタ、及びテレビディスプレイといった、ガラスディスプレイパネルに使用できる。ガラスシートはフュージョンダウンドロープロセスで製造でき、このプロセスでは、溶融ガラスがガラス成形装置上でドロー加工される。多様な用途に関して、製造されたガラスの厚さの精密な制御が重要となり得る。ガラスリボンをフュージョンダウンドロープロセスで成形しているとき、熱機械的条件及びガラス流動条件は、ガラスリボンの幅の全体又は一部分にわたって不均一である場合がある。例えば、ガラスリボンを成形しているときのガラスリボンの表面張力は、ガラスリボンの厚さ内に発生し得るばらつきを完全に回避するには不十分であり得る。いくつかの例では、ガラス厚さのばらつきは数マイクロメートルのサイズであり得るものの、結果が重大なものとなる可能性があるため、このようなばらつきは望ましくない。従って、ガラスシートの生産の改善の見込みが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で開示される特徴により、ガラス成形装置内における、レーザによって送達されるエネルギを用いたガラス(例えばリボン)の厚さの制御が可能となる。例えば本明細書で開示される特徴は、レーザによって送達されるレーザエネルギの均一性、精度、速度、及び制御を改善して、相対的により均一なガラスを生産できる。様々な利点の中でも特に、実施形態は、溶融ガラスのシートに沿った一定のレーザエネルギの送達を可能にすることができる。また実施形態は、レーザで窓を走査する際のビーム位置偏差及び出力損失の自動的な補償も可能にすることができる。いくつかの例では、実施形態は、例えばレーザビーム形状の修正を提供することによって、ドロー方向に対して下向きの方向(down‐the‐draw)のばらつきの軽減を可能にすることができる。いくつかの実施形態は、溶融ガラスの加熱に複数のレーザビームを採用することもでき、これによって溶融ガラスのより迅速な走査を可能にすることができる。これらの実施形態はまた、単一の走査システムを用いて、溶融ガラスのより大きなエリアを走査できるようにすることもできる。本開示の利益を享受する当業者は、他の利益も同様に認識できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの例では、レーザ制御システムは、ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択できる。上記レーザ制御システムは、レーザ生成器からのレーザビームを、上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成できる。上記レーザ制御システムは、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて、上記レーザビームに関する出力密度を決定できる。上記レーザ制御システムはまた、上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱できる。
【0006】
いくつかの例では、上記レーザ制御システムは、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの上記入射角を、上記反射装置の位置に基づいて決定できる。
【0007】
いくつかの例では、上記レーザ制御システムは、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームのレーザエネルギの量を、上記入射角に基づいて決定できる。上記レーザ制御システムは続いて、上記レーザビームに関する上記出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームの上記レーザエネルギの量に基づいて決定できる。
【0008】
いくつかの例では、上記レーザ制御システムは、上記レーザビームが少なくとも1つの窓を通って前進する際に受けることになる側方変位を決定できる。上記レーザ制御システムは続いて、決定された上記側方変位に基づいて、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分へと反射させるように、上記反射装置を構成できる。
【0009】
いくつかの例では、上記レーザ制御システムは、上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分まで移動する長さを決定できる。上記レーザ制御システムは続いて、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に位置決めされたウエストを有する上記レーザビームを生成するように、上記レーザ生成器を構成できる。いくつかの例では、上記レーザ制御システムは、上記レーザ生成器の作動を停止して、上記レーザビームを無効化できる。上記レーザビーム制御システムは続いて、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの別の予め選択された部分へと反射させるように、上記反射装置を構成できる。上記レーザ制御システムはまた、上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記別の予め選択された部分まで移動する長さを決定でき、上記溶融ガラスの上記別の予め選択された部分に位置決めされたウエストを有する上記レーザビームを生成するように、上記レーザ生成器を構成できる。上記レーザ制御システムは続いて、上記レーザ生成器を再び作動させて、上記レーザビームを有効化できる。いくつかの例では、上記レーザ制御システムは、上記レーザ制御システムが、上記レーザビームを上記溶融ガラスの様々な部分へと反射させるように上記反射装置を構成する際に、上記レーザ生成器を有効状態に維持する。例えば、上記レーザ制御システムはレーザ出力を変調するものであり、上記ガラスに熱エネルギを供給する必要がない場合(例えば既に十分に薄いセクション)に、上記レーザ出力を極めて低い調節点(例えば略ゼロの出力)へと変更できる。上記レーザ制御システムは続いて、薄くすることが望まれるガラスセクションをカバーする際に、レーザビーム出力を上昇させる。
【0010】
いくつかの例では、回折光学素子(diffractive optical element:DOE)又は空間光変調器(spatial light modulator:SLM)等のビーム成型素子を、上記レーザ制御システムが使用できる。上記ビーム成型素子は、上記溶融ガラス上に投射されるレーザビームパターンが所定のエネルギ分布を有するように、入射するレーザビームを変調(例えば成型)する。上記レーザ制御システムは、上記レーザによって供給される上記エネルギの空間分布を、用途のニーズ(例えば、輪郭を考慮した上記溶融ガラス全体にわたって均一なエネルギ等)を満たすように調整できる。
【0011】
いくつかの例では、装置は、レーザビームを生成するよう動作可能なレーザ生成器を備える。上記装置は、上記レーザビームを上記レーザ生成器からガラス成形装置の溶融ガラスへと反射させるように構成された、反射装置も備えることができる。上記装置は、上記レーザ生成器及び上記反射装置に通信可能に連結された、コントローラも備えることができる。上記コントローラは、上記ガラス成形装置の上記溶融ガラスの一部分を予め選択するよう構成できる。上記コントローラはまた、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、上記反射装置を構成するよう、構成できる。上記コントローラは、上記レーザビームに関する出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて決定するよう構成できる。上記コントローラはまた、上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱するよう、構成できる。
【0012】
ある実施形態では、本開示は:命令を記憶するメモリデバイスと;少なくとも1つのプロセッサを備え、上記命令を実行するよう構成された、コントローラとを備える、装置を説明する。上記命令が実行されると、上記コントローラは:ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択し;レーザビームをレーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成し;上記レーザビームに関する出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて決定し;上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱する。
【0013】
別の実施形態では、本開示は:レーザビームを生成するよう動作可能なレーザ生成器;上記レーザビームを上記レーザ生成器からガラス成形装置へと反射させるよう構成された、反射装置;並びに上記レーザ生成器及び上記反射装置に通信可能に連結された、コントローラを備える、装置を説明する。上記コントローラは:上記ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択し;レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、上記反射装置を構成し;上記レーザビームに関する出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて決定し;上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱するよう、構成されていてよい。
【0014】
また別の実施形態では、本開示は、ガラス成形装置の溶融ガラスを加熱するための方法を説明し、上記方法は:ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択するステップ;レーザビームをレーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成するステップ;上記レーザビームに関する出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて決定するステップ;及び上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱するステップを含む。
【0015】
更なる実施形態では、本開示は、ガラス成形装置の溶融ガラスを加熱するための方法を説明し、上記方法は:ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択するステップ;レーザビームをレーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成するステップ;上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分まで移動する長さを決定するステップ;及び上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に位置決めされたウエストを有する上記レーザビームを生成するように、上記レーザ生成器を構成するステップを含む。
【0016】
また更なる実施形態では、本開示は、ガラス成形装置の溶融ガラスを加熱するための方法を説明し、上記方法は:ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択するステップ;レーザビームをレーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成するステップ;上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分まで移動する長さを決定するステップ;上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に位置決めされたウエストを有する上記レーザビームを生成するように、上記レーザ生成器を構成するステップ;及び上記レーザ生成器を作動させて、上記レーザビームを生成するステップを含む。
【0017】
更なる実施形態では、本開示は、ガラス成形装置の溶融ガラスを加熱するための方法を説明し、上記方法は:レーザビームによる加熱対象の溶融ガラスに対する、反射装置の位置を決定するステップ;上記反射装置から上記溶融ガラス上へと反射する上記レーザビームの予想入射角を決定するステップ;上記レーザビームに関する出力密度を、計算された入射角に基づいて計算するステップ;及び計算された上記出力密度を有する上記レーザビームを生成するように、レーザ生成器を構成するステップを含む。
【0018】
いくつかの例では、多重化レーザ制御システムは:レーザビームを生成するためのレーザ生成器;動的フォーカスデバイス;多重化器;及び複数のビーム走査デバイスを備える。上記レーザ生成器は、レーザビームを生成し、上記動的フォーカスデバイスを通して上記レーザビームを供給するよう構成される。上記動的フォーカスデバイスは、少なくとも1つの動的集束操作を上記レーザビームに適用し、集束させた上記レーザビームを上記多重化器へと配向する。上記多重化器は、上記レーザビームを上記複数のビーム走査デバイスに、順次(例えば時間ベースで)、又は同時に、供給する。各上記ビーム走査デバイスは、上記レーザビームを、ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分に供給してよい。
【0019】
別の実施形態では、本開示は、ガラス成形装置の溶融ガラスを加熱するための方法を説明し、上記方法は:レーザビームを複数のビーム走査デバイスに供給するように、多重化器を構成するステップ;動的フォーカスデバイスを上記複数のビーム走査デバイスに同期させるステップ;上記レーザビームを生成するようにレーザビーム生成器を構成するステップであって、上記レーザビームは、上記レーザ生成器から上記多重化器へ、そして上記多重化器から上記複数のビーム走査デバイスへと前進する、ステップ;及び上記複数のビーム走査デバイスのうちの少なくとも1つからの上記レーザビームを用いて、上記溶融ガラスの一部分を加熱するステップを含む。
【0020】
以上の概要、及び以下の例示的実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことができる。これらの図面は、本明細書に記載の例示的実施形態のうちのいくつかを図示している。以下で更に説明するように、特許請求の範囲は、これらの例示的実施形態に限定されない。分かり易さ及び読み易さのために、図面では特定の特徴の図を省略する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】いくつかの例による、レーザビーム制御システムを備えた例示的なガラス成形装置の概略図
図2】いくつかの例による、例示的なレーザビーム制御システムのブロック図
図3A】いくつかの例による、ガラスの一部分に入射する、図1のガラス成形装置によって生成されたレーザビーム
図3B】いくつかの例による、ガラスの一部分に入射する、図1のガラス成形装置によって生成されたレーザビーム
図4】いくつかの例による、様々な入射角における、図1のガラス成形装置によって生成されたレーザビームからの反射レーザ光の強度
図5】いくつかの例による、窓を通って前進するレーザビームが受ける側方変位
図6A】いくつかの例による、図2のレーザビーム制御システムによるレーザビームの成型
図6B】いくつかの例による、図2のレーザビーム制御システムによるレーザビームの成型
図7A】いくつかの例による、図2のレーザビーム制御システムによるレーザビームの伸長
図7B】いくつかの例による、図2のレーザビーム制御システムによるレーザビームの伸長
図8】いくつかの例による、図2のレーザビーム制御システムによるガラス上でのレーザビームのウエストの位置決め
図9A】いくつかの例による、ガラスに到達する前にレーザビームがある角度で移動する長さ
図9B】いくつかの例による、ガラスに到達する前にレーザビームが別の角度で移動する長さ
図10A】いくつかの例による、ガラスに到達する前にレーザビームがある角度で移動する長さを示すチャート
図10B】いくつかの例による、ガラスに到達する前にレーザビームが様々な角度で移動する長さを示すチャート
図11】いくつかの例による、例示的な多重化レーザビーム制御システムの概略図
図12】いくつかの例による、例示的な多重化レーザビーム制御システムの概略図
図13】いくつかの例による、例示的な多重化レーザビーム制御システムの概略図
図14】いくつかの例による、例示的な多重化レーザビーム制御システムの概略図
図15】いくつかの例による、例示的な多重化レーザビーム制御システムの概略図
図16】いくつかの例による、レーザビーム制御システムによって実行できる例示的な方法
図17】いくつかの例による、レーザビーム制御システムによって実行できる別の例示的な方法
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願は、例示的な実施形態を開示する。本開示は、これらの例示的実施形態に限定されない。従って、特許請求の範囲の多くの実装形態は、これらの例示的実施形態とは異なるものとなる。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を特許請求の範囲に加えることができる。特許請求の範囲は、このような修正を伴う実装形態を包含することを意図している。
【0023】
本出願はしばしば、読者に図面を見る際の文脈を与えるために、方向に関する用語(例えば「前(front)」、「後(back)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「右(right)」、「左(left)」等)を使用する。しかしながら特許請求の範囲は、図面に示されている配向に限定されない。いずれの絶対的な用語(例えば「高い(high)」、「低い(low)」等)は、対応する相対的な用語(例えば「比較的高い(higher)」、「比較的低い(lower)」等)を開示しているものとして理解されるものとする。
【0024】
本開示は、ガラス成形プロセス中にレーザによって送達されるエネルギを用いてリボンの厚さを制御するための、装置及び方法を提示する。いくつかの例では、レーザによってガラスリボンに送達されるレーザエネルギの均一性、精度、速度、及び/又は制御が改善される。
【0025】
様々な利点の中でも特に、実施形態は、溶融ガラスのシートに沿った一定のレーザエネルギの送達を可能にすることができる。また実施形態は、レーザで窓を走査する際のビーム位置偏差及び出力損失の自動的な補償も可能にすることができる。いくつかの例では、実施形態は、例えばレーザビーム形状の修正を提供することによって、ドロー方向に対して下向きの方向のばらつきの軽減を可能にすることができる。いくつかの実施形態は、溶融ガラスの加熱に複数のレーザビームを採用することもでき、これによって溶融ガラスのより迅速な走査を可能にすることができる。これらの実施形態はまた、単一の走査システムを用いて、溶融ガラスのより大きなエリアを走査できるようにすることもできる。本開示の利益を享受する当業者は、他の利益も同様に認識できる。
【0026】
いくつかの例では、レーザビーム制御システムによって、レーザビームを溶融ガラスリボンの、例えば基部(root)の高さより上に向けて、配向する。このレーザビーム制御システムは粘度の低下を引き起こし、可能であればこれは、溶融ガラスリボン内に新たな表面張力の平衡状態を生成し、また冷却済みのガラスにおいて例えばガラスの厚さの減少として現れる。
【0027】
上記レーザビーム制御システムは、いくつかの例では、粘度の低下によって引き起こされたガラスの厚さの変化を補償できる。可能であれば、この粘度の低下は、溶融ガラスリボン内に新たな表面張力の平衡状態を生成し、また冷却済みのガラスにおいて例えばガラスの厚さの減少として現れる。
【0028】
いくつかの例では、上記レーザビーム制御システムは、レーザビームの入射角及びレーザビームの反射(例えばフレネル反射)によって引き起こされる誤差(例えばレーザビームエネルギの損失)を補償する。いくつかの例では、レーザビーム制御システムは、ガラス成形システムの窓(例えばガラス又はプラスチック窓)といった部分を通るレーザビームの透過損失を補償する。上記レーザビーム制御システムは、溶融ガラスリボン(例えばガラスシート)にわたって一定のエネルギプロファイルを印加できるようにすることができる。
【0029】
いくつかの例では、上記レーザビーム制御システムは、ガラス成形プロセス中に溶融ガラスに向けられるレーザビームのビーム形状を修正することによって、ガラスの厚さの一貫性を改善する。いくつかの例では、上記レーザビーム制御システムは、ガラスに対するレーザビームの角度、及びレーザビーム源から溶融ガラスリボンの標的エリアまでの長さに基づいて、レーザビームのウエストの配置を調整することにより、ガラスの厚さの一貫性を改善する。
【0030】
いくつかの例では、上記レーザビーム制御システムは:ガラスをより迅速に走査するため;単一の走査システムを用いて、より広いガラスのエリアをカバーするため(即ちスケーラビリティのため);及び/又は固定(又は経時変化する)レーザビームパターンをガラス上により容易に生成するために、複数のレーザビームを用いて溶融ガラスのリボンを走査する。いくつかの例では、上記レーザビーム制御システムは、回折光学素子、音響光学変調器、又は他の光学的及び電子的手段を用いて、1つのレーザビームを、溶融ガラスのリボンに同時に又は順次向けられる複数のレーザビームへと分割する。
【0031】
図1を参照すると、ガラス成形装置20は成形用ウェッジ22を含み、これは、壁25及び26によってその長手方向側部を囲まれた開放チャネル24を有する。壁25及び26の上方向の範囲はそれぞれ、長手方向に延在する、対向するオーバーフロー堰27及び28で終端する。オーバーフロー堰27及び28は、対向する略垂直な成形面30のペアと一体であり、これらはまた、対向する、下向きに傾斜して集束する成形面32のペアと一体となっている。下向きに傾斜して集束する成形面32のペアは、成形用ウェッジ22の基部34を構成する、略水平な下側頂点で終端する。下向きに傾斜して集束する成形面32はそれぞれ、いくつかの例では、縁部方向決定器50のペアを含む。1つの下向きに傾斜して集束する成形面32と、これに対応する縁部方向決定器のペアとが、図1に示されている。
【0032】
溶融ガラスは、開放チャネル24と流体連通した送達通路38によって、開放チャネル24内へと送達される。ダム40のペアを、開放チャネル24の各端部に隣接させて、オーバーフロー堰27及び28の上に設け、これにより、オーバーフロー堰27及び28を越えた溶融ガラスの自由表面42のオーバーフローを、溶融ガラスの別個の複数の流れとして配向する。送達通路38に隣接する開放チャネル24の端部に配置されたダム40のペアのみが、図1に示されている。溶融ガラスの上記別個の複数の流れは、対向する略垂直な成形面30のペアと、対向する、下向きに傾斜して集束する成形面32を越えて、基部34まで流れ落ち、ここで、図1に破線で示されているように、溶融ガラスの別個の複数の流れが集束して、ガラスリボン44を形成する。縁部方向決定器50の各ペアは、溶融ガラスが基部34に到達するまで、溶融ガラスを、下向きに傾斜して集束する成形面32それぞれに沿うように維持する。
【0033】
牽引ロール46は、成形用ウェッジ22の基部34の下流に位置し、ガラスリボン44の両側の側縁部48に係合して、ガラスリボン44に張力を印加する。牽引ロール46を基部34から十分に下方に位置決めすることによって、その位置においてガラスリボン44の厚さを略固定できる。牽引ロール46は、基部34においてガラスリボンが成形される際のガラスリボンの厚さを確立する所定の速度で、ガラスリボン44を下向きに引っ張ることができる。
【0034】
図1はまた、レーザビーム13を生成及び放出するよう構成されたレーザ生成器12を含むことができる、例示的なレーザビーム制御システム10を示す。ある実施形態では、レーザビーム13は、基部34の下方(例えば直下)の溶融ガラスに向けられ、ここで、レーザビーム13によって供給されるレーザビームエネルギは、溶融ガラスを横切る複数の入射点において均一である。図1の態様に示されているように、レーザビーム13をレーザ生成器12によって、例えば反射装置14を介して溶融ガラスに向けることができる。反射装置14に対してレーザビーム13を生成する1つのレーザ生成器12が図示されているが、いくつかの例では、追加のレーザビーム制御システム10が、追加のレーザ生成器12及び/又は反射装置14を使用することもできる。例えばレーザビーム制御システム10は、第2のレーザ生成器12を使用して、反射装置14を介してレーザビームを溶融ガラスに向けることができる。別の例では、レーザビーム制御システム10は第2のレーザ生成器12を使用して、第2の反射装置14を介してレーザビームを溶融ガラスに向けることができる。
【0035】
ある実施形態では、反射装置14は反射表面15を含むことができ、これは、レーザ生成器12によって生成及び放出されたレーザビーム13を受けて、溶融ガラスの少なくとも所定の部分へと反射させるよう構成される。反射装置14は例えば、レーザ生成器12からのレーザビームを偏向させるよう構成された、鏡であってよい。従って反射装置14は、ビームステアリング及び/又は走査デバイスとして機能できる。図1では、レーザビーム13は反射装置14によって、溶融ガラスの複数の予め選択された部分に向かって、反射されたレーザビーム17として前進させられるものとして図示されている。
【0036】
ある例では、反射表面15は金でコーティングされた鏡で構成できるが、他の例では他のタイプの鏡を使用してもよい。金でコーティングされた鏡は、特定の用途において、例えば赤外線レーザよりも優れた一定の反射率を提供するために望ましい場合がある。更に、金でコーティングされた鏡の反射率は、レーザビーム13の入射角には実質的に依存しないため、金でコーティングされた鏡は、走査用又はレーザビームステアリング用の鏡として特に有用である。
【0037】
図1に示されている実施形態の反射装置14はまた、調節機構16(例えば検流計又はポリゴンスキャナ)も含んでよく、これは、レーザビーム13の受光に対する反射装置14の反射表面15の姿勢、及び縁部方向決定器50の予め選択された部分の位置を調整するよう構成される。例えば反射装置14は、反射表面15を回転又は傾斜させることができ、これによって例えば、レーザビーム13を縁部方向決定器50の所定の部分に、反射されたレーザビーム17として向けることができる。
【0038】
ある例によると、調節機構16は検流計を備えることができ、これは反射表面15と動作可能に関連付けられており、これにより、反射表面15を上記検流計によって、ガラスリボン44に対して軸に沿って回転させることができる。例えば、反射表面15は回転シャフト18に取り付けることができ、この回転シャフト18は、検流計のモータによって駆動されて、二重矢印19で示されているように軸18aの周りで回転させられる。
【0039】
図2は、例示的なレーザビーム制御システム10の複数の部分を示し、ここで、矢印のついた実線はレーザビーム(例えばレーザビーム13、反射されたレーザビーム17)を表し、破線は電気制御信号を表す。この例では、レーザビーム制御システム10は、レーザ出力制御ユニット55及び制御用コンピュータ52を含むことができる。レーザ出力制御ユニット55及び制御用コンピュータ52はそれぞれ、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(field‐programmable gate array:FPGA)、1つ以上の特定用途向け集積回路(application‐specific integrated circuit:ASIC)、1つ以上の状態機械、デジタル回路、又は他のいずれの好適な回路構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、レーザ出力制御ユニット55及び制御用コンピュータ52のうちの1つ以上は、いずれの好適なハードウェア、又はハードウェア及びソフトウェア(例えばメモリに記憶された命令を実行する1つ以上のプロセッサ)として実装されていてよい。例えば、読み出し専用メモリ(read‐only memory:ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read‐only memory:EEPROM)、フラッシュメモリ、リムーバブルディスク、CD‐ROM、いずれの不揮発性メモリ、又は他のいずれの好適なメモリ等を例とする、非一時的コンピュータ可読媒体は、本明細書に記載の機能のうちの1つ以上を実行するために、レーザ出力制御ユニット55及び制御用コンピュータ52のいずれの1つ以上のプロセッサが取得して実行できる、命令を記憶できる。
【0040】
レーザ出力制御ユニット55は、レーザ生成器12で生成されたレーザビーム13のパルスエネルギ、ビーム幅、出力レベル、及び/又は波長が所定の値を有するように、レーザ生成器12の動作を制御できる。更に、レーザ出力制御ユニット55は、レーザ生成器12がレーザビーム13を生成する時間間隔を制御できる。そして制御用コンピュータ52は、レーザ出力制御ユニット55の動作を制御するために設けることができ、これにより、レーザ出力制御ユニット55はレーザ生成器12に、予め選択された時間間隔の間に、予め選択された波長及び出力特性を有するレーザビーム13を生成させることができる。同時に制御用コンピュータ52を、反射装置14に動作可能に関連付けることができ、これにより、調節機構16の、また検流計を採用する特定の例では検流計のモータの、機能を制御できる。従って制御用コンピュータ52は、反射表面15によるレーザビーム13の受光に対する反射表面15の姿勢及び位置決め、並びに溶融ガラスの予め選択された部分の位置を、調整できる。
【0041】
例えば制御用コンピュータ52は、事前に選択された期間の間、反射装置14の反射表面15におけるレーザビーム13の受光及びレーザビームの反射に対する複数の異なる姿勢に、反射装置14の反射表面15を調整する(例えば傾斜又は回転させる)ように、調節機構16を構成できる。その結果、図1の反射されたレーザビーム17によって示されているように、それぞれ予め選択された期間の間に、溶融ガラスの複数の予め選択された部分へとレーザビーム13を配向でき、これによって溶融ガラスの厚さを制御できる。
【0042】
いくつかの例では、以下で更に説明されるように、レーザビーム制御システム10は、レーザビームを多重化器に向ける、動的フォーカスモジュールを含んでよい。上記多重化器は例えば、時間多重化器又は分割多重化器であってよい。上記多重化器はレーザビームを1つ以上のビームスプリッタに向けることができる。上記ビームスプリッタはこのレーザビームを複数のレーザビームを分割でき、これらは溶融ガラスに向けることができる。いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、レーザビームを溶融ガラスに向けるための、追加の反射表面15及び/又は対応する調節機構16を含んでよい。いくつかの例では、制御用コンピュータ52は、上記多重化器、ビームスプリッタ、及び調節機構のうちの1つ以上を構成できる。
【0043】
図3A及び3Bは、レーザビーム制御システム10によって生成されるもののようなレーザビーム302を示し、これは、このレーザビームが溶融ガラス上にレーザビーム形状304を形成するように、溶融ガラスの一部分に入射する。溶融ガラスは、図3A及び3Bの対向する矢印の位置に位置決めされる。図3Aでは、溶融ガラスの上記部分に対するレーザビーム302の入射角は0°である(即ち溶融ガラスの上記部分に対して垂直である)。図3Bでは、溶融ガラスの上記部分に対するレーザビーム302の入射角は0°より大きく(即ち溶融ガラスの上記一部分に対して斜めであり)、これによりレーザビーム302に、溶融ガラス上にレーザビーム形状306を形成させる。図3Aのレーザビーム形状304及び図3Bのレーザビーム形状306によって示されているように、溶融ガラスの上記部分にわたるレーザビーム302の出力密度は、図3Aに比べて図3Bのほうが、入射角の増大によって低くなっている。従って、レーザビーム302の入射角が増大すると、溶融ガラスの部分にわたるレーザビーム302の出力密度が低下するため、溶融ガラスにわたるレーザエネルギ密度の不均一な分布が発生する。
【0044】
いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、溶融ガラス上へのレーザビーム302の入射角によるレーザエネルギ密度の低下を補償する。例えば制御用コンピュータ52は、レーザビーム302をある入射角度で溶融ガラスに向けるために、反射装置14の反射表面15を調整する(例えば傾斜又は回転させる)よう、調節機構16を構成できる。反射表面15に対する調整に基づいて、制御用コンピュータ52は、レーザビーム302の入射角に基づくレーザビーム302の予想出力密度を計算できる。例えば、反射表面15がレーザビーム302を溶融ガラスの中心から離れた位置に向けているとき(図1に示されているように、反射表面が溶融ガラスの中心と一直線上にあると仮定)、制御用コンピュータ52はレーザ出力制御ユニット55に、生成されるレーザビーム302の出力を上昇させてよい。従って、レーザビーム制御システム10は、レーザビームで溶融ガラスを走査する際に、同一の出力密度を維持する。
【0045】
図4は、溶融ガラスに入射するレーザビーム反射強度を示すチャートを示す。図示されているように、反射されたレーザビームの強度は、ブリュースター角を超える入射角において、増大する傾向がある。上記強度はまた、様々な曲線によって示されているように、レーザビームの偏光にも基づいて変化する。この例では、曲線Rpは、溶融ガラスからのP偏光レーザビームの反射に関する強度を特定するものであり、曲線Rsは、溶融ガラスからのS偏光レーザビームの反射に関する強度を特定するものである。
【0046】
いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、溶融ガラス上へのレーザビーム302の入射角によるレーザエネルギ反射の増大を補償する。例えば制御用コンピュータ52は、レーザビーム302をある入射角度で溶融ガラスに向けるために、反射装置14の反射表面15を調整する(例えば傾斜又は回転させる)よう、調節機構16を構成できる。反射表面15に対する調整に基づいて、制御用コンピュータ52は、レーザビーム302の入射角に基づくレーザビーム302の予想出力密度を計算できる。例えば、反射表面15がレーザビーム302を溶融ガラスの中心から離れた位置に向けているとき(図1に示されているように、反射表面が溶融ガラスの中心と一直線上にあると仮定)制御用コンピュータ52はレーザ出力制御ユニット55に、生成されるレーザビーム302の出力を上昇させてよい。従って、レーザビーム制御システム10は、レーザビームで溶融ガラスを走査する際に、同一の出力密度を維持する。
【0047】
図5は、窓504を通って前進するレーザビーム502が受ける、「d」で表される側方変位を示す。この変位はスネルの法則に関連する物理学の原理によって引き起こされ、少なくともいくつかの例では、図に示されている等式に従って計算できる。この等式において、「n」は窓504の材料に関する屈折率を表し、「n」は、上記窓の外側の環境、例えば空気に関する屈折率を表す。いくつかの例では、窓の積層物が使用されるか、又は窓と窓との間に水冷層が使用される。これらの例では、上記等式は、窓の光学的積層体に応じて修正される。
【0048】
いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、窓504等の窓を通って前進する際にレーザビーム502に対して発生する側方変位を補償する。例えば制御用コンピュータ52は、窓を通って前進する際のレーザビーム502の予想側方変位を、例えばスネルの法則(例えば図5に示されている等式)に基づいて計算できる。制御用コンピュータ52は、レーザビーム502を溶融ガラスに向けるために、窓によって引き起こされる予想側方変位に基づいて、反射装置14の反射表面15を調整する(例えば傾斜又は回転させる)よう、調節機構16を構成できる。例えば、レーザビーム502は、溶融ガラスの標的部分に到達する前に窓を通って前進すると仮定する。また、制御用コンピュータ52は、0°超の(例えば窓に対して垂直でない)角度で窓を通って前進する際のレーザビームの予想側方変位を計算すると仮定する。制御用コンピュータ52は、レーザビーム502が反射装置14から反射したときに、予想側方変位の量だけオフセットした位置において、窓に入射するように、反射装置14の反射表面15を調整するよう、調節機構16を構成できる。従ってレーザビーム502は、窓を通って前進した後、(例えば計算された側方変位の量だけオフセットされるのではなく)溶融ガラスの標的位置に到達できる。
【0049】
図6A及び6Bは、レーザビーム制御システム10によるレーザビームの成形を示す。図6Aは、レーザビームプロファイル604を有するレーザビーム602を示す。レーザビーム制御システム10は、例えば1つ以上のビーム成型素子を使用して、図6Bに示されているようにレーザビームを成形できる。各ビーム成型素子は例えば、回折光学素子(DOE)又は空間光変調器(SLM)であってよい。いくつかの例では、スリット、ピンホール、レンズ、及び/又は鏡のうちの1つ以上を使用して、レーザビームを成形する。
【0050】
例えば図6Bに示されているように、レーザビーム608を1つ以上のビーム成型素子によって成形できる。図示されているように、レーザビーム608は、レーザビーム602よりも急峻なエッジを有する。例えばレーザビーム602に比べて、レーザビーム608は「トップハット(top hat)」により類似した形状に成形される。レーザビーム608を生成した結果として、加熱されたガラスの厚さの特徴は、より明確に定義された(例えばより鋭い)縁部を有することができる。よって、ガラスに対するレーザビーム608からの影響は、より狭い範囲に局在化でき、その結果、より高い空間周波数の厚さの特徴を形成できる。図8はまた、レーザビーム608に関するレーザビームプロファイル610も示す。レーザビーム608が溶融ガラスに入射すると、溶融ガラス上に熱影響ゾーンが生じ得る。レーザビーム608によって発生した熱影響ゾーンは、レーザビーム602によって発生する熱影響ゾーンよりも狭い範囲に画定できる。従って、レーザビーム608を生成することにより、レーザビーム制御システム10は、溶融ガラス上のどこに熱を生成するかをより正確に制御できる。例えばレーザビーム制御システム10は、より鋭いエッジをトップハットビームに生成でき、従ってガラス上のどこに熱を向けるかをより精密に制御できる。更に、従来のガウシアンビームに比べてより均一な加熱を、ビームプロファイルに沿って提供できる。
【0051】
いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は例えば、1つ以上のビーム成型素子を用いて、レーザビームを伸長させることができる。例えば図7Aは、一定の高さで溶融ガラスを走査した場合に、この走査にギャップ(例えばレーザビームが「当たる(hit)」ことのない溶融ガラスのエリア)を可能にすることができる公称(例えば小型で対称な)ビーム形状を有する、レーザビームを示す。この例では、ギャップは、ガラスがスキャナからの前後方向の走査動作に対して垂直に移動する結果として、走査パターン内に存在する。しかしながら図7Bは、(例えば1つ以上のビーム成型素子を備える)レーザビーム制御システム10によって伸長されたレーザビームを示す。この例では、レーザビームを伸長させることにより、レーザビーム制御システム10は、(例えば溶融ガラスがスキャナからの前後方向の走査動作に対して垂直に移動する際の)溶融ガラスの走査のギャップを削減又は排除する。いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、溶融ガラスへのレーザビームの印加におけるギャップを最小限に抑えるか又は排除するために、レーザビームをドロー方向に伸長させる。いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、溶融ガラスへのレーザビームの印加におけるギャップを最小限に抑えるか又は排除するために、レーザビームを走査方向に伸長させる。
【0052】
図8は、レーザビーム制御システム10による、溶融ガラス804上での、レーザビーム802のレーザビームウエストの位置決めを示す。例えば、レーザビーム802で溶融ガラス804を走査する際、レーザビーム源810(例えば反射装置14)から溶融ガラス804までの距離「L」は変化するが、レーザビーム802のレーザビームウエスト806は、レーザビーム源810まで距離「R」の位置のままである。例えば図示されているように、溶融ガラス804への垂直な入射(例えばθ=0°)における、レーザビーム802の(対向する弧によって表されている)レーザビームウエスト806は、溶融ガラス804の背後で発生し得る。同様に、0°でない角度で入射する(例えばθ>0°)こと以外は同一のレーザビーム802の、レーザビームウエスト806は、溶融ガラス804の前で発生し得る。
【0053】
レーザ生成器12からレーザビーム源810を介して溶融ガラス804までレーザビーム802を送達するために、固定された光学素子を使用する場合等のいくつかの例では、制御用コンピュータ52は、(例えば図8に示されているように)レーザビーム802のウエストが、溶融ガラス上でのレーザビーム802の入射角に関係なく、レーザビーム源810から同一距離で発生するように、レーザ出力制御ユニット55にレーザビーム802を生成させる。この例では、制御用コンピュータ52は、レーザビーム802が垂直な角度(例えばθ=0°)で溶融ガラス804に入射する場合には、レーザビーム802のウエストが溶融ガラス804の背後のある距離(例えば「h」)において発生するように、レーザビーム802を生成するよう、レーザ出力制御ユニット55を構成する。この距離は、レーザビーム802が最大角度で溶融ガラス804に入射する(例えばθが、レーザビーム802が溶融ガラス804の縁部で受け止められるようなものである)場合に、レーザビーム802のウエストが溶融ガラスの前にある距離と同一の距離とすることができる。
【0054】
図9Aは、レーザビームが溶融ガラス804に対して、垂直から角度θとなっている場合に、レーザビーム802がレーザビーム源810から溶融ガラス804まで移動する更なる距離(「ΔL」で示される)を示す。換言すれば、図9Aは、レーザビーム802で、ガラスに対して垂直な角度に関して対称に±θだけ走査するアプローチを示す。ここでレーザビーム802は、ガラスに対して名目上まっすぐに向けられている。図10Aは、レーザビーム802が移動する必要がある追加の距離の、元の距離(「L」で示される)に対するパーセンテージを示す曲線を伴うチャートを示す。図9Bは、レーザビーム802がレーザビーム源810から溶融ガラス804までに移動する別の追加の距離(「ΔL’」で示される)を示す。この例では、レーザビーム802は名目上、ガラスに対して角度φだけ傾斜している。更に、溶融ガラス804は対称に±θだけ、レーザビーム802によって走査される。図10Bは、レーザビーム802が移動する必要がある追加の距離の、元の距離に対するパーセンテージを示す様々な曲線を伴うチャートを示し、ここで各曲線は、初期の角度の移動θを表すものである。
【0055】
いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、レーザビームウエストの変化する位置を補償する。例えば制御用コンピュータ52は、レーザビーム302をある入射角度で溶融ガラスに向けるために、反射装置14の反射表面15を調整する(例えば傾斜又は回転させる)よう、調節機構16を構成できる。制御用コンピュータ52は、レーザビーム802が反射表面15から溶融ガラス804までに移動する距離(例えば距離「L」)を(例えば反射表面15から溶融ガラス804までの既知の距離、及び溶融ガラス804に対するレーザビームの入射角に基づいて)計算できる。いくつかの例では、レーザビーム制御システム10は、レーザビーム802のウエストが発生する場所を制御できる。例えばレーザビーム制御システム10は、レーザ生成器12と反射装置14との間に光学素子を追加することによって、又は(以下で更に説明される)動的フォーカスデバイス1102等の調整可能な光学モジュールを使用することによって、レーザビーム802のウエストが発生する場所を光学的に制御できる。例えば、反射表面15がレーザビーム802を溶融ガラス804の中心から離れた位置に向けているとき(図1に示されているように、反射表面が溶融ガラスの中心と一直線上にあると仮定)、制御用コンピュータ52はレーザ出力制御ユニット55に、(例えばレーザビーム802が溶融ガラス804の中心に向けられている場合と比較して)レーザビーム802のウエストが反射表面15からより長い距離において発生するように、レーザビーム802を生成させてよい。従って、レーザビーム制御システム10は、レーザビーム802で溶融ガラス804を走査する際に、レーザビーム802のウエストの発生を、溶融ガラス804又はその付近に維持する。いくつかの例では、制御用コンピュータ52は、(以下で更に説明される)動的フォーカスデバイスを制御して、走査全体にわたってレーザビーム802のウエストが溶融ガラス804に沿って位置決めされるように、レーザビーム源810から溶融ガラス804までの距離の変化を補正する。
【0056】
図11は多重化レーザビーム制御システム1100を示し、これは:(いくつかの例ではレーザ出力制御ユニット55を含んでよい)レーザ生成器12;動的フォーカスデバイス1102;多重化器1104(例えばレーザビーム多重化デバイス);及びレーザビーム1101をレーザ生成器12から溶融ガラス1150に向けるための、複数のビーム走査デバイス1106を含む。この例では、ガラスは名目上、レーザ走査の平面に対して垂直な(即ちページ内に入る/ページから出る)方向に流れている。溶融ガラス1150は例えば、図1のガラス成形装置20によって供給できる。図示されていないが、多重化レーザビーム制御システム1100は制御用コンピュータ52も含んでよい。いくつかの例では、制御用コンピュータ52は、レーザ生成器12、動的フォーカスモジュール1102、多重化器1104、及びビーム走査モジュール1106のうちの1つ以上に、通信可能に連結される。
【0057】
この例では、動的フォーカスデバイス1102は、レーザ生成器12からレーザビーム1101を受光するものであり、また、受光したレーザビーム1101の独立した焦点を(例えば集束レンズを介して)提供するよう動作可能である。例えば制御用コンピュータ52は、動的フォーカスデバイス1102に、受光したレーザビーム1101の焦点を調整させることができる。動的フォーカスデバイス1102は、集束したレーザビームを多重化器1104に向ける。
【0058】
多重化器1104は、時間多重化器であってもよく(例えばレーザビームを様々な経路間に時間ベースでルーティングしてよく)、又は空間多重化器であってもよい(例えばレーザビームを様々な経路間に同時にルーティングしてよい)。多重化器1104は例えば、時間的、空間的、又は時空間的に動作してよい。いくつかの例では、制御用コンピュータ52は、レーザビームを様々な経路間に、例えばビーム走査デバイス1106へ、ルーティングするように、多重化器1104を構成する。レーザビームの多重化により、大型のドローのためのレーザビーム制御システム1100のスケーリングが、単一のレーザ生成器12を用いて可能となる等の、1つ以上の利点を提供できる。
【0059】
いくつかの例では、動的フォーカスデバイス1102は(例えば多重化器1104が時間多重化器である場合のように)レーザ生成器12と多重化器1104との間に位置決めされるのではなく、動的フォーカスデバイス1102は、多重化器1104から各ビーム走査デバイス1106への経路に沿って位置決めされる。
【0060】
各ビーム走査デバイス1106は、例えば反射装置14であってよい。いくつかの例では、各ビーム走査デバイス1106は、回折光学素子、音響光学変調器、又は他の光学及び電子走査デバイスであってよい。各ビーム走査デバイス1106は、多重化器1104からレーザビームを受光して、このレーザビームで溶融ガラス1150の一部分を走査することにより、溶融ガラスの各部分を加熱できる。この例では、各ビーム走査デバイス1106が溶融ガラス1150のおよそ1/4をカバーしているが、いくつかの例では、あるビーム走査デバイス1106がカバーする溶融ガラスの部分は、別のビーム走査デバイス1106がカバーする溶融ガラスの部分と重なっていてもよい。
【0061】
いくつかの例では、各ビーム走査デバイス1106は、動的フォーカスデバイス1102に通信可能に連結される。動的フォーカスデバイス1102は、どのビーム走査デバイス1106がアクティブであるかに基づいて、レーザビームの焦点を再調整できる。例えば、多重化器1104が、様々なビーム走査デバイス間でレーザビームを同時に分割している場合等には、各ビーム走査デバイス1106を動的フォーカスデバイス1102と同期させることができる。
【0062】
いくつかの例では、各ビーム走査デバイス1106は、多重化器1104に対して既知の距離及び角度に位置決めされる。例えば制御用コンピュータ52は、多重化器から各ビーム走査デバイス1106までの距離及び角度を、例えばユーザ入力に基づいて、又はデータベースからのデータの取得に基づいて、決定してよい。制御用コンピュータ52は、多重化器からアクティブなビーム走査デバイス1106それぞれへの距離及び角度に基づいて、レーザビームの出力密度を構成してよい。
【0063】
例えば制御用コンピュータ52は、溶融ガラス1150に対するレーザビームの入射角に基づいて、レーザビームの出力密度を調整するように、レーザ生成器12を構成してよい。例えば多重化レーザビーム制御システム1100は、溶融ガラス1150へのレーザビームの入射角を原因とする、溶融ガラス1150に供給されるレーザビームの出力密度の低下を補償できる。別の例として、多重化レーザビーム制御システム1100は、溶融ガラス1150へのレーザビームの入射角を原因とする、レーザエネルギの吸収の減少を補償できる。従って、多重化レーザビーム制御システム1100は、各ビーム走査デバイス1106がレーザビームで溶融ガラス1150を走査する際に、同一の出力密度を維持する。
【0064】
いくつかの例では、多重化レーザビーム制御システム1100は、図5の窓504のような窓を通って前進する際にレーザビームに発生するいずれの側方変位を補償する。いくつかの例では、多重化レーザビーム制御システム1100は、生成されたレーザビームを、急峻なエッジを有するように成形する。いくつかの例では、多重化レーザビーム制御システム1100は、各ビーム走査デバイス1106がレーザビームで溶融ガラス1150を走査する際に、いずれのギャップを最小限に抑えるか又は排除するために、生成されたレーザビームを(例えばドロー方向に)伸長させる。いくつかの例では、多重化レーザビーム制御システム1100は、溶融ガラス1150へのレーザビームの印加におけるギャップを最小限に抑えるか又は排除するために、レーザビームを走査方向に伸長させる。いくつかの例では、多重化レーザビーム制御システム1100は、レーザビームの経路をレーザビーム(例えば1つ以上の多重化器を介して)方向転換することによって、レーザビームのウエストが発生する場所を調整する。
【0065】
いくつかの例では、多重化レーザビーム制御システム1100は、溶融ガラス1150の部分を加熱するための追加のレーザビームを生成するために、追加のレーザ生成器12を含んでよい。例えばレーザビーム制御システム1100は、第2のレーザ生成器12、第2の動的フォーカスデバイス1102、及び第2の多重化器1104を用いて、第2の動的フォーカスデバイス1102によって生成されたレーザビームを、ビーム走査デバイス1106を介して、溶融ガラス1150の部分に向けることができる。追加のレーザ生成器12の使用により、溶融ガラス1150の部分(例えば全体)を加熱するために必要な時間を短縮できる。
【0066】
図12は、レーザビーム1101を溶融ガラス1150に向けるための、複数のビームスプリッタ1108、複数の反射装置1110、複数の経路補償器1114(この例では任意)、及び複数のビーム走査デバイス1106を含む、多重化レーザビーム制御システム1200の複数の部分を示す。レーザビーム1101は、例えばレーザ生成器12によって供給できる。図示されていないが、多重化レーザビーム制御システム1200は制御用コンピュータ52を含んでもよい。
【0067】
各経路補償器1114は、例えば静的経路補償器であっても、動的経路補償器であってもよい。各経路補償器1114は、経路補償器を通過するレーザビームを遅延させることができる。例えば制御用コンピュータ52は、ある時間の長さだけレーザビームを遅延させるように、各経路補償器1114を構成できる。
【0068】
各ビームスプリッタ1108は、2つ以上の経路間でレーザビームを分割できる。例えばビームスプリッタ1108は1つのレーザビームを、別のビームスプリッタ1108への1つの経路に沿って、及び反射装置1110への別の経路に沿って、分割できる。いくつかの例では、1つのビームスプリッタ1108は、(例えば複数の源から同時に又は時間多重化された様式で)複数のレーザビームを受光して、受光したレーザビームを別の経路に沿って供給できる。例えばあるビームスプリッタ1108は、反射装置1110から及び別のビームスプリッタ1108から、レーザビームを受光して、受光したレーザビームをビーム走査デバイス1106に供給できる。
【0069】
この例では、6つのビーム走査デバイス1106が、溶融ガラス1150の各部分にレーザビームを供給している。いくつかの例では、制御用コンピュータ52は、レーザビームを溶融ガラス1150の各部分に向けるように、上記6つのビーム走査デバイス1106それぞれを構成する。いくつかの例では、制御用コンピュータ52は、レーザビームを溶融ガラス1150の重なっていない各部分に向けるように、上記6つのビーム走査デバイス1106それぞれを構成する。いくつかの例では、制御用コンピュータ52は、レーザビームを溶融ガラス1150の複数の重なった部分に向けるように、上記6つのビーム走査デバイス1106のうちの少なくとも2つを構成する。
【0070】
図13は、レーザビーム1101を溶融ガラス1150に向けるための、多重化器1112、複数の反射装置1110、複数の経路補償器1114(この例では任意)、及び複数のビーム走査デバイス1106を含む、多重化レーザビーム制御システム1300の複数の部分を示す。集束経路補償器等の経路補償器1114を使用して、光経路の焦点距離を、レーザビームが依然としてガラス上に集束するように再調整できる。レーザビーム1101は、例えばレーザ生成器12によって供給できる。図示されていないが、多重化レーザビーム制御システム1300は制御用コンピュータ52を含んでもよい。
【0071】
この例では、レーザビーム1101は任意に、第1の経路補償器1114を通って前進した後、時間多重化器であっても分割多重化器であってもよい多重化器1112に到達する。多重化器1112の構成に基づいて、レーザビームは1つの経路又は2つの経路に沿って前進し得る。ある1つの経路に沿って、レーザビームは、(制御用コンピュータ52によって構成できる)反射装置へと、第2の経路補償器1114を通って前進した後、ビーム走査デバイス1106に到達する。ビーム走査デバイス1106は、レーザビームを溶融ガラス1150の部分に提供する。他の経路に沿って、レーザビームは(制御用コンピュータ52によって構成できる)反射装置へと前進した後、ビーム走査デバイス1106に到達する。ビーム走査デバイス1106は、溶融ガラス1150の異なる複数の部分にレーザビームを供給する。
【0072】
図14は、(例えば図示されていないレーザ生成器12からの)レーザビーム1101を溶融ガラス1150に向けるための、複数のビームスプリッタ1108、複数の反射装置1110、複数の経路補償器1114(この例では任意)、及び複数のビーム走査デバイス1106を含む、多重化レーザビーム制御システム1400の複数の部分を示す。図示されていないが、多重化レーザビーム制御システム1400は制御用コンピュータ52を含んでもよい。
【0073】
この例では、多重化レーザビーム制御システム1400の構成に応じて、レーザビーム1101は、複数の反射装置1110を含む1つの経路に沿って前進でき、反射装置1110はそれぞれ制御用コンピュータ52によって構成できる。更に、各ビーム走査デバイスは、レーザビームを溶融ガラス1150の異なる複数の部分に向けるよう構成されていてよい。いくつかの例では、溶融ガラスの複数の上記部分は、互いに重なっていてもよい。
【0074】
図15は、(例えば図示されていないレーザ生成器12からの)レーザビーム1101を溶融ガラス1150に向けるための、複数のビームスプリッタ1108、複数の反射装置1110、複数の経路補償器1114、及び複数のビーム走査デバイス1106を含む、多重化レーザビーム制御システム1500の複数の部分を示す。図示されていないが、多重化レーザビーム制御システム1500は制御用コンピュータ52を含んでもよい。
【0075】
この例では、多重化レーザビーム制御システム1500の構成に応じて、レーザビーム1101は、複数の反射装置1110を含む1つの経路に沿って前進でき、反射装置1110はそれぞれ制御用コンピュータ52によって構成できる。いくつかの例では、上記経路は経路補償器1114を含む。更に、各ビーム走査デバイスは、レーザビームを溶融ガラス1150の異なる複数の部分に向けるよう構成されていてよい。いくつかの例では、溶融ガラスの複数の上記部分は、互いに重なっていてもよい。いくつかの例では、複数のビーム走査デバイス1106は同時にアクティブとなり、これによって溶融ガラス1150を様々な部分において加熱する。いくつかの例では、ビーム走査デバイス1106のサブセットをいずれの1つの時点においてアクティブにする。例えば制御用コンピュータ52は、1つおきのビーム走査デバイス1106を一度にアクティブにするように、多重化レーザビーム制御システム1500を構成できる。
【0076】
図16は、制御用コンピュータ52等の1つ以上の計算デバイスによって実施できる、例示的な方法を示す。この方法を実施することによって、溶融ガラスリボンの厚さを調整できる。いくつかの例では、上記方法は、レーザビームでガラスを走査する際に継続的に実施される。例えば、レーザビームでガラス表面を走査する際に計算を継続的に実施して、ガラスの成形時にレーザビーム出力(及び/又はレーザビーム形状、焦点等)を継続的に調整できる。まずステップ1602では、レーザビームで加熱されることになる溶融ガラスに対する、ガラス成形装置20の反射装置14の位置を決定できる。ステップ1604では、反射装置14から溶融ガラス上へと反射するレーザビームの予想入射角を決定する。ステップ1606では、レーザビームに関する出力密度を、計算された入射角に基づいて計算する。例えば制御用コンピュータ52は、溶融ガラスに関する標的厚さプロファイル又は標的温度プロファイル、及び入射角に基づいて、レーザビームに関する出力密度を決定してよい。ステップ1608に進むと、レーザ生成器12は、上記計算された出力密度を有するレーザビームを生成するように構成される。ステップ1610では、溶融ガラスの一部分を、所定の時間量にわたって、生成された上記レーザビームを用いて加熱する。いくつかの例では、走査中、上記レーザビームを、その出力を動的に調整しながら連続的に移動させる。
【0077】
ステップ1612では、溶融ガラスの所定の長さが加熱されたかどうかに関する判断を行う。例えば、全長から測縁部48を差し引いた部分が加熱されたかどうかに関する判断を行う。溶融ガラスの所定の長さが加熱されていた場合、上記方法は終了する。そうでなく、溶融ガラスの所定の長さが加熱されていなかった場合、上記方法はステップ1614に進み、ここで反射装置14の位置が調整される。例えば、生成されたレーザが、溶融ガラスの異なる一部分を加熱するように、反射装置14を調整する。そして上記方法はステップ1604に戻るように進む。
【0078】
図17は、制御用コンピュータ52等の1つ以上の計算デバイスによって実施できる、例示的な方法を示す。まずステップ1702では、レーザビームを複数のビーム走査デバイス1106に供給するように、多重化器1104を構成する。ステップ1704では、動的フォーカスデバイスを複数のビーム走査デバイス1106に同期させる。ステップ1706では、レーザビームを生成するようにレーザ生成器12を構成し、上記レーザビームは、レーザ生成器12から多重化器1104へ、そして多重化器1104から複数のビーム走査デバイス1106のうちの少なくとも1つへと前進する。ステップ1708では、溶融ガラスの一部分を、複数のビーム走査デバイス1106のうちの上記少なくとも1つからのレーザビームによって加熱する。そして上記方法は終了する。
【0079】
上述の方法は、図示されているフローチャートを参照したものであるが、上記方法に関連する行為を実施する他の多数の方法を使用できることが理解されるだろう。例えば、いくつかの操作の順序は変更してもよく、また上述の操作のうちのいくつかは任意のものである場合がある。
【0080】
更に、本明細書に記載の方法及びシステムは、少なくとも部分的に、コンピュータ実装型プロセス、及びこれらのプロセスを実行するための装置の形態で具現化できる。本開示の方法はまた、少なくとも部分的に、コンピュータプログラムコードで符号化された、有形の非一時的機械可読記憶媒体の形態で具現化してもよい。例えば、上記方法のステップは、ハードウェアで;プロセッサによって実行される実行可能な命令(例えばソフトウェア)で;又はこれら2つの組み合わせで、具現化できる。上記媒体としては例えば、RAM、ROM、CD‐ROM、DVD‐ROM、BD‐ROM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、又は他のいずれの非一時的機械可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータプログラムコードをコンピュータがロードして実行すると、そのコンピュータは、上記方法を実行するための装置となる。上記方法はまた、少なくとも部分的に、コンピュータプログラムコードをロード又は実行できるコンピュータの形態で具現化してもよく、これにより上記コンピュータは、上記方法を実行するための専用コンピュータとなる。汎用プロセッサ上に実装される場合、コンピュータプログラムコードのセグメントは、特定の論理回路を作成するように上記プロセッサを構成する。あるいは上記方法は、少なくとも部分的に、上記方法を実施するための特定用途向け集積回路で具現化してもよい。
【0081】
以上は、本開示の実施形態の例示、説明、及び記述を目的として提供されている。これらの実施形態に対する修正及び適合は当業者には明らかであり、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく行うことができる。
【0082】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0083】
実施形態1
命令を記憶するメモリデバイス;及び
少なくとも1つのプロセッサを備え、上記命令を実行するよう構成された、コントローラ
を備える、装置であって、
上記命令は、上記コントローラに:
ガラス成形装置の溶融ガラスの一部分を予め選択すること;
レーザ生成器からのレーザビームを、上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成すること;
上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて、上記レーザビームに関する出力密度を決定すること;
上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱すること
を実行させる、装置。
【0084】
実施形態2
上記コントローラは、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの上記入射角を、上記反射装置の位置に基づいて決定するよう構成される、実施形態1に記載の装置。
【0085】
実施形態3
上記コントローラは:
上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームのレーザエネルギの量を、上記入射角に基づいて決定し;
上記レーザビームに関する上記出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームの上記レーザエネルギの量に基づいて決定する
よう構成される、実施形態1に記載の装置。
【0086】
実施形態4
上記コントローラは:
上記レーザビームが少なくとも1つの窓を通るように配向される際に受けることになる側方変位を決定し;
決定された上記側方変位に基づいて、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分へと反射させるように、上記反射装置を構成する
よう構成される、実施形態1に記載の装置。
【0087】
実施形態5
上記コントローラは:
上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分まで移動する経路長を決定し;
上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に位置決めされたビームウエストを有する上記レーザビームを生成するように、上記レーザ生成器を構成する
よう構成される、実施形態1に記載の装置。
【0088】
実施形態6
上記コントローラは:
上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの別の予め選択された部分へと反射させるように、上記反射装置を構成し;
上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記別の予め選択された部分まで移動する経路長を決定する
よう構成される、実施形態5に記載の装置。
【0089】
実施形態7
上記コントローラは、上記レーザビームを複数のビーム走査デバイスに向けるように多重化器を構成するよう構成され、上記複数のビーム走査デバイスはそれぞれ、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分の各部分を、上記レーザビームで加熱できる、実施形態1に記載の装置。
【0090】
実施形態8
レーザビームを生成するよう動作可能なレーザ生成器;
上記レーザビームを上記レーザ生成器からガラス成形装置の溶融ガラスへと反射させるように構成された、反射装置;並びに
上記レーザ生成器及び上記反射装置に通信可能に連結された、コントローラ
を備える、装置であって、
上記コントローラは:
上記ガラス成形装置の上記溶融ガラスの一部分を予め選択するよう構成し;
上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、上記反射装置を構成し;
上記レーザビームに関する出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて決定し;
上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱する
よう、構成される、装置。
【0091】
実施形態9
上記コントローラは、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの上記入射角を、上記反射装置の位置に基づいて決定するよう構成される、実施形態8に記載の装置。
【0092】
実施形態10
上記装置は、多重化器及び複数のビーム走査デバイスを備え、
上記コントローラは、上記レーザビームを複数のビーム走査デバイスに向けるように上記多重化器を構成するよう構成され、上記複数のビーム走査デバイスはそれぞれ、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分の各部分を、上記レーザビームで加熱できる、実施形態8に記載の装置。
【0093】
実施形態11
上記装置は動的フォーカスデバイスを備え、上記レーザ生成器は、生成された上記レーザビームを上記動的フォーカスデバイスに向けるよう構成される、実施形態8に記載の装置。
【0094】
実施形態12
上記コントローラは、上記動的フォーカスデバイスを上記複数のビーム走査デバイスと同期させるよう構成される、実施形態11に記載の装置。
【0095】
実施形態13
上記装置は少なくとも1つのビームスプリッタを備え、上記少なくとも1つのビームスプリッタは、上記レーザビームを上記複数のビーム走査デバイスのうちの少なくとも1つに向けるよう構成される、実施形態8に記載の装置。
【0096】
実施形態14
上記装置は第2のビームスプリッタを備え、上記少なくとも1つのビームスプリッタは、上記レーザビームを上記第2のビームスプリッタに向けるよう構成され、上記第2のビームスプリッタは、上記複数のビーム走査デバイスのうちの少なくとも第2のものに向けるよう構成される、実施形態13に記載の装置。
【0097】
実施形態15
上記装置は第2の反射装置を備え、上記第2のビームスプリッタは、上記レーザビームを上記第2の反射装置に向けるよう構成される、実施形態14に記載の装置。
【0098】
実施形態16
溶融ガラスを加熱するための方法であって、上記方法は:
上記溶融ガラスを成形装置からドロー加工するステップ;
上記溶融ガラスの一部分を予め選択するステップ;
レーザビームをレーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成するステップ;
上記レーザビームに関する出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて決定するステップ;及び
上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱するステップ
を含む、方法。
【0099】
実施形態17
上記入射角は上記反射装置の位置に基づく、実施形態16に記載の方法。
【0100】
実施形態18
上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームのレーザエネルギの量を、上記入射角に基づいて決定するステップ;及び
上記レーザビームに関する上記出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームの上記レーザエネルギの量に基づいて決定するステップ
を更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0101】
実施形態19
上記レーザビームが少なくとも1つの窓を通って前進する際に受けることになる側方変位を決定するステップ;及び
決定された上記側方変位に基づいて、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分へと反射させるように、上記反射装置を構成するステップ
を更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0102】
実施形態20
上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分まで移動する経路長を決定するステップ;及び
上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に位置決めされたビームウエストを有する上記レーザビームを生成するように、上記レーザ生成器を構成するステップ
を更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0103】
実施形態21
上記反射装置を構成する上記ステップは、上記レーザビームを上記ガラス成形装置の上記予め選択された部分に印加するためのラスターパターンを決定するステップを含み、上記方法は、決定された上記ラスターパターンに従って上記レーザ生成器を作動させるステップを更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0104】
実施形態22
上記反射装置を構成する上記ステップは、上記反射装置の位置を特定する位置センサから、位置データを受信するステップを含み、上記方法は、受信した上記位置データに基づいて、上記反射装置の反射表面の回転又は傾斜の少なくとも一方を実施するステップを更に含む、実施形態16に記載の方法。
【0105】
実施形態23
溶融ガラスの加熱を制御するための方法であって、上記方法は:
ガラス成形装置の上記溶融ガラスの一部分を予め選択するステップ;
レーザビームをレーザ生成器から上記溶融ガラスの予め選択された上記部分へと反射させるように、反射装置を構成するステップ;
上記レーザビームに関する出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に対する上記レーザビームの入射角に基づいて決定するステップ;及び
上記レーザ生成器を作動させて、決定された上記出力密度の上記レーザビームを生成することにより、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分を加熱するステップ
を含む、方法。
【0106】
実施形態24
上記入射角は上記反射装置の位置に基づく、実施形態23に記載の方法。
【0107】
実施形態25
上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームのレーザエネルギの量を、上記入射角に基づいて決定するステップ;及び
上記レーザビームに関する上記出力密度を、上記溶融ガラスの上記予め選択された部分から反射させるべき上記レーザビームの上記レーザエネルギの量に基づいて決定するステップ
を更に含む、実施形態23に記載の方法。
【0108】
実施形態26
上記レーザビームが少なくとも1つの窓を通って前進する際に受けることになる側方変位を決定するステップ;及び
決定された上記側方変位に基づいて、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分へと反射させるように、上記反射装置を構成するステップ
を更に含む、実施形態23に記載の方法。
【0109】
実施形態27
上記レーザビームが上記反射装置から上記溶融ガラスの上記予め選択された部分まで移動する経路長を決定するステップ;及び
上記溶融ガラスの上記予め選択された部分に位置決めされたビームウエストを有する上記レーザビームを生成するように、上記レーザ生成器を構成するステップ
を更に含む、実施形態23に記載の方法。
【0110】
実施形態28
上記反射装置を構成する上記ステップは、上記レーザビームを上記ガラス成形装置の上記予め選択された部分に印加するためのラスターパターンを決定するステップを含み、上記方法は、決定された上記ラスターパターンに従って上記レーザ生成器を作動させるステップを更に含む、実施形態23に記載の方法。
【0111】
実施形態29
上記反射装置を構成する上記ステップは、上記反射装置の位置を特定する位置センサから、位置データを受信するステップを含み、上記方法は、受信した上記位置データに基づいて、上記反射装置の反射表面の回転又は傾斜の少なくとも一方を実施するステップを更に含む、実施形態23に記載の方法。
【0112】
実施形態30
レーザビームを制御して溶融ガラスシートの厚さを変更するための方法であって、上記方法は:
少なくとも1つのプロセッサを備え、命令を実行するよう構成された、コントローラを提供するステップ;
上記コントローラを、レーザ生成器、動的フォーカスモジュール、多重化器、第1のビーム走査モジュール、及び第2のビーム走査モジュールに、通信可能に連結するステップ;
上記コントローラにおいて第1の命令を受信して、上記コントローラに:
上記溶融ガラスシートの第1の標的エリアを選択すること;
上記第1のビーム走査モジュールを通って上記第1の標的エリアまでの、上記レーザビームの第1の経路長を決定すること;
上記第1の経路を介して上記第1の標的エリアへと上記レーザビームを反射させるように、上記多重化器を構成すること;
上記第1の経路長に基づいて、上記レーザビームに関する第1の焦点を提供するように上記動的フォーカスモジュールを調整すること;及び
上記レーザ生成器を作動させて、第1のレーザビームパルスを放出することにより、上記第1の標的エリアを加熱すること
を実行させる、ステップ;並びに
上記コントローラにおいて第2の命令を受信して、上記コントローラに:
上記溶融ガラスシートの第2の標的エリアを選択すること;
上記第2のビーム走査モジュールを通って上記標的エリアまでの、上記レーザビームの第2の経路長を決定すること;
上記第2の経路を介して上記第2の標的エリアへと上記レーザビームを反射させるように、上記多重化器を構成すること;
上記第2の経路長に基づいて、上記レーザビームに関する第2の焦点を提供するように上記動的フォーカスモジュールを調整すること;及び
上記レーザ生成器を作動させて、第2のレーザビームパルスを放出することにより、上記第2の標的エリアを加熱すること
を実行させる、ステップ
を含む、方法。
【0113】
実施形態31
上記第1の標的エリア及び上記第2の標的エリアは、少なくとも部分的に重なっている、実施形態30に記載の方法。
【0114】
実施形態32
上記コントローラにおける上記第1の命令は、上記コントローラに、上記溶融ガラスシートの上記第1の標的エリアに対する上記レーザビームの第1の入射角に基づいて、上記レーザビームに関する第1の出力密度を決定させ、上記コントローラにおける上記第2の命令は、上記コントローラに、上記溶融ガラスシートの上記第2の標的エリアに対する上記レーザビームの第2の入射角に基づいて、上記レーザビームに関する第2の出力密度を決定させる、実施形態30に記載の方法。
【0115】
実施形態33
上記コントローラにおける上記第1の命令は、上記コントローラに、上記溶融ガラスシートの上記第1の標的エリアに位置決めされた第1のビームウエストを有する上記第1のレーザビームパルスを生成するように上記レーザ生成器を構成させ、上記コントローラにおける上記第2の命令は、上記コントローラに、上記溶融ガラスシートの上記第2の標的エリアに位置決めされた第2のビームウエストを有する上記第2のレーザビームパルスを生成するように上記レーザ生成器を構成させる、実施形態30に記載の方法。
【0116】
実施形態34
上記コントローラにおける上記第1の命令は、上記コントローラに、上記動的フォーカスモジュールを上記第1のビーム走査モジュールと同期させ、上記コントローラにおける上記第2の命令は、上記コントローラに、上記動的フォーカスモジュールを上記第2のビーム走査モジュールと同期させる、実施形態30に記載の方法。
【0117】
実施形態35
上記コントローラにおける上記第1の命令は、上記コントローラに、第1のビームスプリッタを通って上記第1の標的エリアまでの、上記レーザビームの上記第1の経路長を決定させ、上記コントローラにおける上記第2の命令は、上記コントローラに、第2のビームスプリッタを通って上記第2の標的エリアまでの、上記レーザビームの上記第2の経路長を決定させる、実施形態30に記載の方法。
【0118】
実施形態36
上記コントローラを反射装置に通信可能に連結するステップを更に含み、
上記コントローラにおける上記第1の命令は、上記コントローラに:
上記レーザビームが第1の窓を通って前進する際に受けることになる第1の側方変位を決定すること;及び
決定された上記第1の側方変位に基づいて、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記第1のビーム走査モジュールへと反射させるように、上記反射装置を構成すること
を実行させ、
上記コントローラにおける上記第2の命令は、上記コントローラに:
上記レーザビームが第2の窓を通って前進する際に受けることになる第2の側方変位を決定すること;及び
決定された上記第2の側方変位に基づいて、上記レーザビームを上記レーザ生成器から上記第2のビーム走査モジュールへと反射させるように、上記反射装置を構成すること
を実行させる、実施形態30に記載の方法。
【符号の説明】
【0119】
10 レーザビーム制御システム
12 レーザ生成器
13、302、502、602、608、802、1101 レーザビーム
14、1110 反射装置
15 反射表面
16 調節機構
17 反射されたレーザビーム
18 回転シャフト
18a 軸
20 ガラス成形装置
22 成形用ウェッジ
24 開放チャネル
25、26 壁
27、28 オーバーフロー堰
30 略垂直な成形面
32 下向きに傾斜して集束する成形面
34 基部
38 送達通路
40 ダム
42 溶融ガラスの自由表面
44 ガラスリボン
46 牽引ロール
48 側縁部
50 縁部方向決定器
52 制御用コンピュータ
55 レーザ出力制御ユニット
304、306 レーザビーム形状
504 窓
604、610 レーザビームプロファイル
804、1150 溶融ガラス
806 レーザビームウエスト
810 レーザビーム源
1100、1200、1300、1400、1500 多重化レーザビーム制御システム
1102 動的フォーカスデバイス、動的フォーカスモジュール
1104、1112 多重化器
1106 ビーム走査デバイス、ビーム走査モジュール
1108 ビームスプリッタ
1114 経路補償器、第1の経路補償器、第2の経路補償器
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A-6B】
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】