(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】切削インサート及びこれを含む切削工具組立体
(51)【国際特許分類】
B23C 5/20 20060101AFI20230111BHJP
B23C 5/22 20060101ALI20230111BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B23C5/20
B23C5/22
B23C5/10 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522027
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2020012981
(87)【国際公開番号】W WO2021096056
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508151781
【氏名又は名称】デグテック エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】パク,チャンギュ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,スジン
(72)【発明者】
【氏名】ベク,キュヨル
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022KK03
3C022KK06
3C022KK12
3C022KK14
3C022KK23
3C022MM06
(57)【要約】
切削インサートは、仮想基準面と、仮想基準面から上方に傾斜するように延長する上部傾斜面を含む上面と、上面の下方に位置し仮想基準面に対して傾斜するように延長する下部傾斜面を含む下面と、上面と下面を連結する複数の側面と、を含む。仮想基準面に対して垂直である中心軸に沿って上面と下面を貫通するようにインサートボアが形成される。上部傾斜面と複数の側面のいずれか1つの側面が会う辺には主切削エッジが形成される。主切削エッジが形成された側面と上部傾斜面の間の第1角度は、中心軸と下部傾斜面の間の第2角度より大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想基準面と、前記仮想基準面から上方に傾斜するように延長する上部傾斜面を含む上面と、
前記上面の下方に位置し前記仮想基準面に対して傾斜するように延長する下部傾斜面を含む下面と、
前記上面と前記下面を連結する複数の側面と、
を含み、
前記仮想基準面に対して垂直である中心軸に沿って前記上面と前記下面を貫通するようにインサートボアが形成され、
前記上部傾斜面が前記複数の側面のいずれか1つの側面と会う辺には主切削エッジが形成され、
前記主切削エッジが形成された前記側面と前記上部傾斜面の間の第1角度は前記中心軸と前記下部傾斜面の間の第2角度より大きい、切削インサート。
【請求項2】
前記側面は、
前記上部傾斜面に対して前記第1角度を有する第1側部傾斜面と、
前記第1側部傾斜面から延長して前記上部傾斜面に対して第3角度を有する第2側部傾斜面を含み、
前記第3角度は前記第1角度と異なる、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記第1角度は65度超で85度未満の範囲である、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記第2角度は50度超で65度未満の範囲である、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項5】
前記下部傾斜面は前記上部傾斜面に対して平行な、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項6】
前記下部傾斜面は、第1下部傾斜面と第2下部傾斜面を含み、
前記第1下部傾斜面と第2下部傾斜面は、前記中心軸に対して前記第2角度の2倍の夾角を有する、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項7】
前記上面と前記複数の側面は前記中心軸に対して180度回転対称である、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項8】
前記主切削エッジが形成された前記側面には、前記中心軸に向かうようにリセスが形成される、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項9】
前記複数の側面は、
前記主切削エッジが形成される第1側面と、
前記第1側面に対向する第2側面と、
前記第1側面と前記第2側面を連結する第3側面と、
前記第1側面と前記第2側面を連結し前記第3側面に対向する第4側面と、を含む、請求項1に記載の切削インサート。
【請求項10】
前記主切削エッジは前記第1側面及び前記第2側面のうち少なくとも1つの側面と前記上部傾斜面の間に形成される、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記第3側面及び前記第4側面のそれぞれは、前記仮想基準面に対して垂直に配置される、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項12】
複数のインサートポケットが形成されるカッターボディーと、
前記複数のインサートポケットに装着される複数の切削インサートと、
前記複数の切削インサートを前記カッターボディーに固定する複数のクランピングスクリューと、
を含み、
前記複数の切削インサートのそれぞれは、
仮想基準面と、前記仮想基準面から上方に傾斜するように延長する上部傾斜面を含む上面と、
前記上面の下方に位置し前記仮想基準面に対して傾斜するように延長する下部傾斜面を含む下面と、
前記上面と前記下面を連結する複数の側面と、
を含み、
前記仮想基準面に対して垂直である中心軸に沿って前記上面と前記下面を貫通するようにインサートボアが形成され、
前記上部傾斜面が前記複数の側面のいずれか1つの側面と会う辺には主切削エッジが形成され、
前記主切削エッジが形成された前記側面と前記上部傾斜面の間の第1角度は前記中心軸と前記下部傾斜面の間の第2角度より大きい、切削工具組立体。
【請求項13】
前記インサートポケットは前記下面の前記下部傾斜面に当接する傾斜壁を含む、請求項12に記載の切削工具組立体。
【請求項14】
前記下部傾斜面は、第1下部傾斜面と第2下部傾斜面を含み、
前記第1下部傾斜面と前記第2下部傾斜面は、前記中心軸に対して前記第2角度の2倍の夾角を有する、請求項13に記載の切削工具組立体。
【請求項15】
前記傾斜壁は、
前記第1下部傾斜面が当接する第1傾斜壁と、
前記第2下部傾斜面と当接する第2傾斜壁と、を含む、請求項14に記載の切削工具組立体。
【請求項16】
仮想基準面と、前記仮想基準面の反対側から上方に傾斜するように延長する第1及び第2上部傾斜面を含む上面と、
前記上面の下方に配置され、上方に傾斜し、及び対向する方向において外側に傾斜するように延長する第1及び第2下部傾斜面を含むV-字状の下面と、
前記上面と前記下面を連結し、対向する第1及び第2切削の側面と、対向する第3及び第4非切削の側面を含む複数の側面と、
前記仮想基準面に対して垂直である中心軸に沿って前記上面と前記下面を貫通するインサートボアと、
前記中心軸を含み、前記上面及び前記下面を貫通し、前記対向する第3及び第4非切削の側面に対して垂直である第1垂直面と、
前記上部傾斜面が前記第1切削の側面と会う辺に形成される主切削エッジと、
を含み、
前記第1切削の側面と前記第1上部傾斜面の間の第1角度は、前記第1垂直面と前記第1下部傾斜面の間の第2角度より大きい、切削インサート。
【請求項17】
前記第1角度は65度超で85度未満の範囲で、
前記第2角度は50度超で65度未満の範囲である、請求項16に記載の切削インサート。
【請求項18】
前記切削インサートは前記中心軸を中心に180度回転対称である、請求項18に記載の切削インサート。
【請求項19】
前記第1切削の側面には前記中心軸に向かうようにリセスが形成され、
前記リセスは、前記主切削エッジを互いに離隔された第1主切削エッジ及び第2主切削エッジに分ける、請求項16に記載の切削インサート。
【請求項20】
前記リセスは、予め定められた形状を有する突起を被削材に加工するように構成される1つ以上のリセス切削エッジを含み、
前記互いに離隔された第1及び第2主切削エッジは、互いに形状が異なって前記リセスの各側部に形成され、前記被削材において前記突起の各側部に他の形状の表面輪郭を同時に加工するように構成される、請求項19に記載の切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミーリング用の切削インサート及びこれを含む切削工具組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミーリングマシンは、ミーリングカッターを回転させてテーブルを通じて線状的に移送される被削材を切削するのに用いられる工作機械である。多様な種類のミーリングカッターがミーリングマシンに装着され、平面切削、溝切削、切断等の多様な種類のミーリング加工が行われ得る。ミーリングカッターは、カッターボディーとカッターボディーに装着される複数の切削インサートを含む。複数の切削インサートは、カッターボディーの回転軸を中心に周方向に沿って互いに離隔されるようにカッターボディーに装着される。
【0003】
カッターボディーは、被削材の切削加工時に発生する切削抵抗に耐えられるように適切な機械的強度を有する。このために、カッターボディーは適切な直径を有し得る。カッターボディーに装着され得る切削インサートの最大の個数は、カッターボディーの直径に比例して増加し得る。同一の直径を有するカッターボディーにおいて、カッターボディーに装着される切削インサートの個数が多くなるに伴い、生産性が増大する。即ち、カッターボディーに装着される切削インサートの個数は生産性に正比例する。特に、非常に小さい直径を有するカッターボディーの場合、切削インサートの個数はきわめて制限される。例えば、ただ1つまたは2つの切削インサートがカッターボディーに装着され得る。従って、1つ以上の切削インサートが非常に小さい直径を有する同一のカッターボディーに追加で装着されれば、生産性が大きく増大し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のミーリングカッターにおいて、カッターボディーの機械的強度が満たされれば、カッターボディーに装着される切削インサートの個数が減少する。従って、生産性が低くなり得る。一方、生産性を向上させるために多くの個数の切削インサートがカッターボディーに装着されれば、カッターボディーの機械的強度が弱くなり得る。このように、カッターボディーの機械的強度と生産性の向上をいずれも満たすことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の多様な実施例は、従来のミーリングカッターの少なくとも一部問題点を改善または解決する。このために、本開示の多様な実施例は切削インサート及びこれを含む切削工具組立体を提供する。
【0006】
本開示の一側面による実施例は、切削インサートに係る。例示的な実施例による切削インサートは、仮想基準面と、仮想基準面から上方に傾斜するように延長する上部傾斜面を含む上面と、上面の下方に位置し仮想基準面に対して傾斜するように延長する下部傾斜面を含む下面と、上面と下面を連結する複数の側面と、を含む。仮想基準面に対して垂直である中心軸に沿って上面と下面を貫通するようにインサートボアが形成される。上部傾斜面が複数の側面のいずれか1つの側面と会う辺には主切削エッジが形成される。主切削エッジが形成された側面と上部傾斜面の間の第1角度は中心軸と下部傾斜面の間の第2角度より大きい。
【0007】
一実施例において、側面は、上部傾斜面に対して第1角度を有する第1側部傾斜面と、第1側部傾斜面から延長して上部傾斜面に対して第3角度を有する第2側部傾斜面と、を含んでもよい。第3角度は、第1角度と異なる。
【0008】
一実施例において、第1角度は65度超で85度未満の範囲であってもよい。
【0009】
一実施例において、第2角度は50度超で65度未満の範囲であってもよい。
【0010】
一実施例において、下部傾斜面は上部傾斜面に対して平行でもよい。
【0011】
一実施例において、下部傾斜面は、第1下部傾斜面と第2下部傾斜面を含んでもよい。第1下部傾斜面と第2下部傾斜面は、中心軸に対して第2角度の2倍の夾角を有してもよい。
【0012】
一実施例において、上面と複数の側面は中心軸に対して180度回転対称であってもよい。
【0013】
一実施例において、主切削エッジが形成された側面には、中心軸に向かうようにリセスが形成されてもよい。
【0014】
一実施例において、複数の側面は、主切削エッジが形成される第1側面と、第1側面に対向する第2側面と、第1側面と第2側面を連結する第3側面と、第1側面と第2側面を連結し第3側面に対向する第4側面と、を含んでもよい。
【0015】
一実施例において、主切削エッジは、第1側面及び第2側面のうち少なくとも1つの側面と上部傾斜面の間に形成されてもよい。
【0016】
一実施例において、第3側面及び第4側面のそれぞれは、仮想基準面に対して垂直に配置されてもよい。
【0017】
本開示の一側面による実施例は、切削工具組立体に係る。例示的な実施例による切削工具組立体は、複数のインサートポケットが形成されるカッターボディーと、複数のインサートポケットに装着される複数の切削インサートと、複数の切削インサートをカッターボディーに固定する複数のクランピングスクリューと、を含む。複数の切削インサートのそれぞれは、仮想基準面と、仮想基準面から上方に傾斜するように延長する上部傾斜面を含む上面と、上面の下方に位置し仮想基準面に対して傾斜するように延長する下部傾斜面を含む下面と、上面と下面を連結する複数の側面と、を含む。
【0018】
仮想基準面に対して垂直である中心軸に沿って上面と下面を貫通するようにインサートボアが形成される。上部傾斜面が複数の側面のいずれか1つの側面と会う辺には主切削エッジが形成される。主切削エッジが形成された側面と上部傾斜面の間の第1角度は中心軸と下部傾斜面の間の第2角度より大きい。
【0019】
一実施例において、インサートポケットは下面の下部傾斜面に当接する傾斜壁を含んでもよい。
【0020】
一実施例において、下部傾斜面は、第1下部傾斜面と第2下部傾斜面を含んでもよい。第1下部傾斜面と第2下部傾斜面は、中心軸に対して第2角度の2倍の夾角を有してもよい。
【0021】
一実施例において、傾斜壁は、第1下部傾斜面が当接する第1傾斜壁と、第2下部傾斜面と当接する第2傾斜壁と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
一実施例による切削インサート及び切削工具組立体によれば、下面が下部傾斜面を含み、切削インサートの主切削エッジが形成された側面と上部傾斜面の間の第1角度が中心軸を含む第1垂直面と下部傾斜面の間の第2角度より大きい。従って、同一の直径を有するカッターボディーにおいて、カッターボディーに装着される切削インサートの個数が増大し得るだけでなく、カッターボディーの最大コア直径が確保され得る。その結果、生産性が向上し得るだけでなく、カッターボディーの機械的強度が満たされ得る。即ち、生産性の向上及びカッターボディーの機械的強度の充足が同時に満たされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
ここに含まれ、かつ明細書の一部を構成する添付の図面は、上述した一般的な説明及び後述する実施例の詳細な説明と共に本開示の実施例を示し、本開示の原理を説明する。
【0024】
【
図1】本開示の一実施例による切削インサートを示す斜視図である。
【0025】
【
図2】
図1に示された切削インサートを示す平面図である。
【0026】
【
図3】
図1に示された切削インサートの底面を示す斜視図である。
【0027】
【
図4】
図1に示された切削インサートを示す正面図である。
【0028】
【
図5】
図2に示されたV-V線に沿って取った断面図である。
【0029】
【
図6】
図2に示されたVI-VI線に沿って取った断面図である。
【0030】
【
図7】本開示の他の実施例による切削インサートを示す斜視図である。
【0031】
【
図8】
図7に示されたVIII-VIII線に沿って取った部分断面図である。
【0032】
【
図9】本開示の一実施例による切削工具組立体を示す斜視図である。
【0033】
【
図10】
図9に示された切削工具組立体を示す部分拡大図である。
【0034】
【
図11】
図9に示された切削工具組立体を示す底面図である。
【0035】
【
図12】本開示の一実施例による切削インサートを示す概略的な底面図である。
【0036】
【
図13】比較例による切削インサートを示す概略的な底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が、以下に提示される実施例やこれら実施例に関する具体的説明に限定されるわけではない。
【0038】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、特に定義されない限り、本開示の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示の全ての用語は、本開示をさらに明確に説明する目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたわけではない。
【0039】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等の表現は、当該表現が含まれる語句または文章において特に言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)として理解されるべきである。
【0040】
本開示で記述された単数型の表現は異なって言及しない限り複数形の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0041】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するわけではない。
【0042】
本開示において、「半径方向(RD)」は、切削工具組立体のカッターボディーの回転軸(RA)(rotational axis)から遠くなるか、または回転軸(RA)に向かう方向を意味するものと定義されてもよい。「周方向(CD)」は、回転軸(RA)を中心に取り囲む方向を意味するものと定義されてもよい。
【0043】
本開示で用いられる「上方」、「上」等の方向指示語は、添付の図面において上面が下面に対して位置する方向を基準とする。「下方」、「下」等の方向指示語は「上方」または「上」の反対方向を意味する。添付の図面に示す切削インサートは異なって配向することもあり、この方向指示語は、それに合わせて解釈されてもよい。
【0044】
以下、添付した各図面を参照して、本開示の実施例を説明する。添付の図面で、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものとして意図されるわけではない。
【0045】
図1は、本開示の一実施例による切削インサートを示す斜視図である。
【0046】
図1に示された通り、本開示の一実施例による切削インサート(100)は、上面(110)、下面(120)、及び複数の側面(130)を含む。上面(110)、下面(120)、及び複数の側面(130)は、説明の便宜上、区分されるが、これらの用語が一実施例による切削インサートの絶対的な構成要素を定義するものではない。切削インサート(100)は、金属の炭化物粉末を焼結して形成された高い硬度を有する超硬合金(hard metal)を用いて製造されてもよい。例えば、切削インサート(100)は高い耐摩耗性を有する炭化タングステンとコバルトの焼結合金(sintered alloy)からなってもよい。
【0047】
図2は、
図1に示された切削インサートを示す平面図である。
【0048】
図2に示された通り、上面(110)は略四角形の平面形状を有する。上面(110)は仮想基準面(111)と上部傾斜面(112)を含む。上部傾斜面(112)は仮想基準面(111)から上方に傾斜するように延長する。仮想基準面(111)は上面(110)の中央に配置される。一実施例において、仮想基準面(111)は扁平な面を含み得、他の実施例で若干屈曲した面であってもよい。例えば、上部傾斜面(112)は仮想基準面(111)の両端で互いに対向するように配置されてもよい。一実施例において、仮想基準面(111)と上部傾斜面(112)の間には、上部傾斜面(112)の概ねの長手方向に沿って凹面(113)が形成されてもよい。凹面(113)は仮想基準面(111)より下面(120)側にくぼむように形成される。被削材の切削時に生成されるチップ(chip)が凹面(113)に沿って円滑に排出され得る。
【0049】
図3は、
図1に示された切削インサートの底面を示す斜視図である。
【0050】
図3に示された通り、下面(120)は上面(110)の下方に位置する。下面(120)はカッターボディー(200)の一部分(例えば、インサートポケットの傾斜壁)に当接するように配置される。従って、カッターボディー(200)が回転する際、下面(120)はカッターボディー(200)により支持される。下面(120)は仮想基準面(111)に対して傾斜するように延長する下部傾斜面(121)を含む。
【0051】
図4は、
図1に示された切削インサートを示す正面図である。
【0052】
図4に示された通り、複数の側面(130)は上面(110)と下面(120)を連結する。上面(110)が略四角形のような平面形状を有するので、複数の側面(130)は4つの側面を含んでもよい。例えば、複数の側面(130)は上面(110)の仮想基準面(111)に対して垂直に配置される各側面と仮想基準面(111)に対して傾斜して配置される側面を含んでもよい。
【0053】
切削インサート(100)には、仮想基準面(111)に対して垂直である中心軸(CA)に沿って上面(110)と下面(120)を貫通するようにインサートボア(140)が形成される。例えば、インサートボア(140)の中心軸(CA)は、上面(110)の重心及び下面(120)の重心を通る直線と定義されてもよい。インサートボア(140)は上面(110)の中央(即ち、仮想基準面(111)の中央)に形成される。
図2、5、及び6に示された通り、中心軸(CA)は上面(110)、下面(120)、及び2つの側面(130)を通る第1垂直面(P1)に含まれてもよい。
【0054】
切削インサート(100)には、上部傾斜面(112)が複数の側面(130)のいずれか1つの側面と会う辺には主切削エッジ(150)が形成される。カッターボディー(200)が回転することにより、被削材は主切削エッジ(150)により切削される。主切削エッジ(150)はカッターボディー(200)の外側円筒面より外側半径方向に突出するように配置される。主切削エッジ(150)の形状は、加工される被削材の形状に応じて定められてもよい。例えば、主切削エッジ(150)は上部傾斜面(112)が側面(130)と会う辺に沿って連続的に(continuously)、または断続的に(intermittently)形成されてもよい。
【0055】
一実施例において、主切削エッジ(150)が形成される側面(130)(例えば、第1側面(131))は、第1切削部(151)と主切削エッジ(150)の長手方向に沿って第1切削部(151)から離隔される第2切削部(152)を含んでもよい。また、主切削エッジ(150)は、第1切削部(151)に形成される第1主切削エッジ(151a)と第2切削部(152)に形成される第2主切削エッジ(152a)を含んでもよい。第1切削部(151)の形状は、第2切削部(152)の形状と同一であってもよく、互いに異なってもよい。第1切削部(151)及び第2切削部(152)は、被削材の最終の加工形状に応じて多様に変形されて実施されてもよい。第1切削部(151)及び第2切削部(152)には、上部傾斜面(112)が仮想基準面(111)に対して同一の角度を有するように傾斜して形成されている。以下の説明において、第2主切削エッジ(152a)と記載されず、単に「主切削エッジ(150)」と記載された用語は、第1主切削エッジ(151a)を指すと理解されてもよい。
【0056】
図5は、
図2に示されたV-V線に沿って取った断面図である。
【0057】
図5に示された通り、主切削エッジ(150)が形成された側面(130)と上部傾斜面(112)の間の第1角度(α)は、中心軸(CA)と下部傾斜面(121)の間の第2角度(β)より大きい。ここで、第1角度(α)は、第1切削部(151)において側面(130)と上部傾斜面(112)の間の角度である。第1角度(α)が第2角度(β)より大きいので、切削インサート(100)がカッターボディー(200)に装着される際、カッターボディー(200)は後述する最大コア直径を有してもよい。第1角度(α)が第2角度(β)より大きいので、カッターボディー(200)に装着される切削インサート(100)の個数も増加し得る(例えば、最大個数の切削インサート(100)が装着され得る)。即ち、生産性の向上及びカッターボディーの機械的強度の充足が同時に満たされ得る。また、第1角度(α)が第2角度(β)より大きい場合の主切削エッジ(150)の強度は、第1角度(α)が第2角度(β)と同じか、またはそれより小さい場合の主切削エッジ(150)の強度より大きい。従って、切削インサート(100)の強度も改善され得る。
【0058】
一実施例において、側面(130)は、第1側部傾斜面(130a)と第2側部傾斜面(130b)を含んでもよい。第1側部傾斜面(130a)は上部傾斜面(112)に対して第1角度(α)を有する。第2側部傾斜面(130b)は、第1側部傾斜面(130a)から延長し、上部傾斜面(112)に対して第3角度(γ)を有する。第3角度(γ)は、第1角度(α)と異なる。一実施例において、第2側部傾斜面(130b)は仮想基準面(111)に対して垂直であるか、またはインサートボア(140)の中心軸(CA)に対して平行でもよい。上部傾斜面(112)と第1側部傾斜面(130a)の間の第1角度(α)が上部傾斜面(112)と第2側部傾斜面(130b)の間の第3角度(γ)より大きい。第3角度(γ)は下部傾斜面(121)の第2角度(β)の対角と理解されてもよい。上部傾斜面(112)が第2側部傾斜面(130b)と直接的に会うように構成される場合、上部傾斜面(112)と第2側部傾斜面(130b)の間の辺に形成される主切削エッジは鋭利になる。上部傾斜面(112)と第1側部傾斜面(130a)の間の辺に形成される主切削エッジ(150)の強度は、第1角度(α)と第3角度(γ)の差だけ高くなることができる。即ち、上部傾斜面(112)が第1側部傾斜面(130a)に対して第1角度(α)を有することによって、主切削エッジ(150)の強度を補強することができる。
【0059】
一実施例において、第1角度(α)は65度超で85度未満の範囲であってもよい。第1角度(α)が65度以下である場合、主切削エッジ(150)の傾斜角(rake angle)が大きくなり得る。従って、主切削エッジ(150)の強度が弱くなり、切削インサート(100)の耐久性が低下する。第1角度(α)が85度以上である場合、主切削エッジ(150)の傾斜角(rake angle)が小さくなり得る。従って、切削インサート(100)に加えられる切削抵抗が増加する。
【0060】
一実施例において、第2角度(β)は50度超で65度未満の範囲であってもよい。第2角度(β)が50度以下である場合、主切削エッジ(150)の傾斜角(rake angle)が大きくなり得る。従って、主切削エッジ(150)の強度が弱くなり、切削インサート(100)の耐久性が低下する。第2角度(β)が65度以上である場合、主切削エッジ(150)の傾斜角(rake angle)が小さくなり得る。従って、切削インサート(100)に加えられる切削抵抗が増加する。また、下部傾斜面(121)が緩やかになるので、同一の直径を有するカッターボディー(200)に装着され得る切削インサート(100)の個数が減り得る。
【0061】
一実施例において、下部傾斜面(121)は上部傾斜面(112)に対して平行でもよい。下部傾斜面(121)が上部傾斜面(112)に平行な場合、主切削エッジ(150)に作用する切削力のうち、上部傾斜面(112)に垂直である分力が下部傾斜面(121)に当接するカッターボディー(200)の傾斜壁(231)(
図10参照)により安定的に支持され得る。
【0062】
図6は、
図2に示されたVI-VI線に沿って取った断面図である。
【0063】
図6に示された通り、側面(130)と上部傾斜面(112)の間には、第4角度(δ)が形成され、下部傾斜面(121)と中心軸(CA)を含む第1垂直面(P1)の間には、第5角度(ε)が形成される。ここで、第4角度(δ)は、第2切削部(152)において側面(130)と上部傾斜面(112)の間の角度である。
図5に示された第1角度(α)と第2角度(β)の間の大きさ関係、第1角度(α)の最適範囲、及び第2角度(β)の最適範囲は、
図6に示された第4角度(δ)と第5角度(ε)の間の大きさ関係、第4角度(δ)の最適範囲、及び第5角度(ε)の最適範囲に同一または類似に適用されてもよい。第2切削部(152)の側面(130)(
図6参照)は、第1切削部(151)の側面(130)(
図5参照)と異なって、第2側部傾斜面を含まずに上部傾斜面(112)から下部傾斜面(121)まで傾斜して延長する。
【0064】
一実施例において、下部傾斜面(121)は、第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)を含んでもよい。第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)は中心軸(CA)に対して第2角度(β)の2倍の夾角を有してもよい。第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)は略V-字断面形状またはの側面形状を有する。
図5及び
図6に示された通り、第1下部傾斜面(121a)と中心軸(CA)の間に第2角度(β)が形成され、第2下部傾斜面(121b)と中心軸(CA)の間にも第2角度(β)が形成されてもよい。例えば、第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)は中心軸(CA)に対して180度回転対称である。即ち、
図5及び
図6を参照すると、第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)は中心軸(CA)に対し鏡対称である。従って、切削インサート(100)がカッターボディー(200)に最初に装着される際、切削インサート(100)は切削インサート(100)の方向性に関係なく速かに装着され得る。また、第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)が中心軸(CA)に対して同一の角度を有するように配置されるので、被削材が切削される際、切削インサート(100)が内側半径方向または外側半径方向に移動することを効果的に抑制したり防止したりすることができる。
【0065】
一実施例において、上面(110)及び複数の側面(130)は中心軸(CA)に対して180度回転対称であってもよい。上面(110)と複数の側面(130)が中心軸(CA)に対して180度回転対称である場合、1つの切削インサート(100)に2つの第1切削部(151)及び2つの第2切削部(152)が形成される。従って、1つの第1切削部(151)及び1つの第2切削部(152)が摩耗する場合、残りの第1切削部(151)及び残りの第2切削部(152)が切削に用いられ得る。従って、被削材の切削に要されるコストが節減され得る。
【0066】
一実施例において、複数の側面(130)は主切削エッジが形成される第1側面(131)、第1側面(131)に対向する第2側面(132)、第1側面(131)と第2側面(132)を連結する第3側面(133)、及び第1側面(131)と第2側面(132)を連結し、第3側面(133)に対向する第4側面(134)を含んでもよい。第2側面(132)は中心軸(CA)を中心に第1側面(131)に対して180度回転対称である。従って、第2側面(132)に形成される上部傾斜面と主切削エッジに関する詳細な説明は省略する。第3側面(133)は
図4に示されており、
図5に示された断面図と類似の外観形状を有する。また、第4側面(134)は中心軸(CA)を中心に第3側面(133)に対して180度回転対称である。
【0067】
対向する第1及び第2側面(131、132)は、各主切削エッジが上部傾斜面(112)との交差地点に形成されているので、「切削用の側面」である。対向する第3及び第4側面(133、134)は、主切削エッジが上面(110)との交差地点に形成されていないので、「非切削用の側面」である。
【0068】
図2、
図5、及び
図6に示された通り、第1垂直面(P1)は上面及び下面(110、120)を通り、第3及び第4非切削の側面(133、134)に垂直である。
図4~
図6に示された通り、インサートの下面(120)は実質的に全部ではないものの、インサート深さの大部分に対して、即ち、切削の側面(131、132)に概ね平行な方向にV-字状である。
【0069】
一実施例において、主切削エッジ(150)は、第1側面(131)及び第2側面(132)の少なくとも1つの側面と上部傾斜面(112)の間に形成されてもよい。即ち、主切削エッジ(150)は上部傾斜面(112)と第1側面(131)の間、または上部傾斜面(112)と第2側面(132)の間に形成されてもよい。また、主切削エッジ(150)は上部傾斜面(112)と第1側面(131)の間及び上部傾斜面(112)と第2側面(132)の間に形成されてもよい。
【0070】
一実施例において、第3側面(133)及び第4側面(134)のそれぞれは仮想基準面(111)に対して垂直に配置されてもよい。従って、切削インサート(100)は、第3側面(133)または第4側面(134)がカッターボディー(200)の底面(210)と同一平面上に位置するようにカッターボディー(200)に装着されてもよい。
【0071】
一実施例において、主切削エッジ(150)が形成された側面(130)には、中心軸(CA)に向かうようにリセス(135)が形成されてもよい。即ち、リセス(135)は、第1側面(131)及び第2側面(132)の少なくとも1つの側面に形成されてもよい。例えば、リセス(135)は、第1切削部(151)と第2切削部(152)の間に位置してもよい。リセス(135)は被削材の最終加工形状に応じて多様な多角形、半楕円形、半円形等のような様々な平面形状を有してもよい。従って、リセス(135)は予め定められた形状を有する突起を被削材に加工(mill)するように構成された1つ以上のリセス切削エッジ(160)を備えてもよい。同様の方式で、第1及び第2主切削エッジ(152a、152b)は互いに異なる形状を有して、突起の各側部に異なって形成された表面輪郭を加工することができる。突起と表面輪郭は1つのミーリング作業で同時に加工され得ると理解されることができる。
【0072】
図7は、本開示の他の実施例による切削インサートを示す斜視図である。
図8は、
図7に示されたVIII-VIIIに沿って取った部分断面図である。
【0073】
図7及び
図8に示された通り、本開示の他の実施例による切削インサート(100a)は主切削エッジ(150)が形成された側面(130)に形成されたリセスを含まなくてもよい。即ち、第1側面(131)及び第2側面(132)には、リセスが形成されない。例えば、第1切削部(151)はリセスなしで第2切削部(152)に直接的に連結される。この実施例において、
図5に示された第1角度(α)と第2角度(β)の間の大きさ関係、第1角度(α)の最適範囲、及び第2角度(β)の最適範囲は、
図8に示された切削インサート(100a)に同一または同様に適用されてもよい。
【0074】
図9は、本開示の一実施例による切削工具組立体を示す斜視図である。
【0075】
図9に示された通り、本開示の一実施例による切削工具組立体(500)はカッターボディー(200)、複数の切削インサート(100)、及び複数のクランピングスクリュー(300)を含む。この実施例による複数の切削インサート(100)のそれぞれは、
図1~
図6に示された切削インサート(100)と同一または同様に構成され得るので、複数の切削インサート(100)のそれぞれに関する詳細な説明は省略する。従って、以下では、カッターボディー(200)及び複数のクランピングスクリュー(300)を重点的に説明する。
【0076】
図10は、
図9に示された切削工具組立体を示す部分拡大図であり、1つの切削インサートと1つのクランピングスクリューが分解された状態を示す図面である。
【0077】
図10に示された通り、カッターボディー(200)は底面(210)と円筒部(220)を含んでもよい。底面(210)はカッターボディー(200)の回転軸(RA)に対して概ね平行に配置される。円筒部(220)は底面(210)から垂直方向に延長する。カッターボディー(200)の回転軸(RA)に沿う底面(210)の反対の側には、切削工具の回転駆動部が配置される。回転駆動部はカッターボディー(200)に直接結合されてもよく、他の部材を通じて間接的に結合されてもよい。カッターボディー(200)には、複数のインサートポケット(230)が形成される。複数のインサートポケット(230)のそれぞれは、底面(210)と円筒部(220)に底面(210)と円筒部(220)にかけてくぼむように陥没して形成される。
【0078】
図1~
図6に示された実施例を通じて詳細に説明した通り、複数の切削インサート(100)のそれぞれは、上面(110)、下面(120)、及び複数の側面(130)を含んでもよい。複数の切削インサート(100)のそれぞれには、インサートボア(140)及び主切削エッジ(150)が形成される。複数の切削インサート(100)は1つの側面(例えば、第3側面(133)または第4側面(134))がカッターボディー(200)の底面(210)と同一の平面をなすようにカッターボディー(200)に装着される。
【0079】
クランピングスクリュー(300)は複数の切削インサート(100)のそれぞれをカッターボディー(200)に固定する。クランピングスクリュー(300)とのネジ結合のためにインサートポケット(230)には、スクリューホール(232)が形成される。スクリューホール(232)の中心軸は、インサートボア(140)の中心軸(CA)及びクランピングスクリュー(300)の回転軸と一致する。切削インサート(100)がインサートポケット(230)に置かれた後、クランピングスクリュー(300)は切削インサート(100)のインサートボア(140)を貫通してカッターボディー(200)にネジ結合される。クランピングスクリュー(300)は切削インサート(100)の仮想基準面(111)に対して垂直に配置される。
【0080】
図11は、
図9に示された切削工具組立体を示す底面図である。
【0081】
図11に示された通り、一実施例において、インサートポケット(230)は下面(120)の下部傾斜面(121)に当接する傾斜壁(231)を含んでもよい。一実施例において、下部傾斜面(121)は、第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)を含む。第1下部傾斜面(121a)と第2下部傾斜面(121b)は中心軸(CA)に対する第2角度(β)の2倍の夾角を有してもよい。この実施例において、傾斜壁(231)は、第1下部傾斜面(121a)と当接する第1傾斜壁(231a)及び第2下部傾斜面(121b)と当接する第2傾斜壁(231b)を含んでもよい。V-字状の凹部を形成する第1傾斜壁(231a)及び第2傾斜壁(231b)は、V-字状の凸部を形成する第1下部傾斜面(121a)及び第2下部傾斜面(121b)にか係合する。V-形状の凹部と凸部の相互係合によって、切削インサート(100)はカッターボディー(200)のインサートポケット(230)により安定的に支持され得る。その結果、被削材の切削により切削インサート(100)に切削抵抗が作用しても、切削インサート(100)が回転軸(RA)に対して外側半径方向または内側半径方向に移動することを効果的に抑制したり防止したりすることができる。
【0082】
図12は、本開示の一実施例による切削インサートを示す概略的な底面図である。
図13は、比較例による切削インサートを示す概略的な底面図である。
図12及び
図13において、図示の明確化のために、詳細な構成は省略し、一実施例による切削インサート及び比較例による切削インサートが枠線で示されている。
【0083】
図12は、本開示の一実施例による切削インサート(100)がクランピングスクリュー(300)を通じて直径(D)を有するカッターボディー(200)に装着された例を示す。
図13は、比較例による切削インサート(10)がクランピングスクリュー(300)を通じてカッターボディー(200)の直径(D)と同一の直径(D)を有するカッターボディー(400)に配置される例を示す。
図12に示された通り、一実施例による切削インサート(100)の下面(120)は、下部傾斜面(121)を含む。
図13に示された通り、比較例による切削インサート(10)の下面(12)は傾斜面を含まない。一実施例による切削インサート(100)において、回転軸(RA)から主切削エッジ(151a)までの半径(R1)は、比較例による切削インサート(10)において回転軸(RA)から主切削エッジ(11)までの半径(R2)と同一である。
図13に示された通り、切削インサート(10)の下面(12)が傾斜面を含まない場合、切削インサート(10)は回転軸(RA)に近接するようにカッターボディー(200)に結合される。従って、一実施例によるコア直径(D1)が比較例によるコア直径(D2)より大きい。ここで、コア直径は、切削インサートがカッターボディーに装着された状態で、切削工具組立体の底面で切削インサートと重畳しないカッターボディーの中央領域を意味する。同一の直径を有するカッターボディーにおいて、コア直径が大きくなるほど、切削インサートを安定的に支持するためのカッターボディーの強度が大きくなる。その結果、一実施例によるカッターボディーの機械的強度が比較例によるカッターボディーの機械的強度より高い。
【0084】
また、
図13において、1つの切削インサートと他の隣接する切削インサートの間の干渉を回避して切削インサート(10)を支持するための最小限の強度を満たすために、カッターボディーに装着される切削インサート(10)の個数が制限されざるを得ない。従って、一実施例によるカッターボディー(200)に装着される切削インサート(100)の最大個数は、比較例によるカッターボディー(200)に装着される切削インサート(10)の最大個数より多い。従って、本開示の一実施例によれば、生産性を向上させることができる。
【0085】
以上、一部実施例と添付の図面に示す例により本開示の技術的思想を説明したものの、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な変形及び変更がなされ得るという点を知るべきであろう。また、そのような変形及び変更は、添付の請求の範囲内に属するものと考えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項18
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項18】
前記切削インサートは前記中心軸を中心に180度回転対称である、請求項
16に記載の切削インサート。
【国際調査報告】