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特表2023-501081エストロゲン関連受容体アルファ(ERRα)モジュレーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】エストロゲン関連受容体アルファ(ERRα)モジュレーター
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20230111BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C07D471/04 106C
C07D471/04 CSP
A61K31/437
A61P35/00
A61P35/02
A61P3/10
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022522032
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2020079166
(87)【国際公開番号】W WO2021074365
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】19204189.5
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】517419629
【氏名又は名称】リード ファーマ ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】レンメルス,ヤープ ヘーラルト ヘンリクス
(72)【発明者】
【氏名】デレテイ,オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】クロンプ,ヨハネス ペトルス ヘーラルト
(72)【発明者】
【氏名】カルス,ジョゼフ マリア へーラルト
(72)【発明者】
【氏名】オーブリー,アルトゥール
【テーマコード(参考)】
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH04
4C065HH08
4C065JJ04
4C065KK01
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP07
4C065PP19
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB262
4C084ZB272
4C084ZC352
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC35
4C086ZC42
(57)【要約】
本発明は、下記の式Iに従う化合物又はその医薬的に許容される塩に向けられている。該化合物は、エストロゲン関連受容体アルファー(ERRα)のモジュレーターとして使用されることができ、且つERRα介在性疾病又はERRα介在性状態の処置において有用性を有する。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに従う化合物又はその医薬的に許容される塩
【化1】
ここで、
Yは炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合であり、ただし、Yが炭素-炭素二重結合である場合に、R’15及びR16は存在しない;
3つの位置A1~A3のうちの1つが、S又はNRAのいずれかであり、位置A1~A3のうちの残りの2つがそれぞれ、N又は、CR1、CR2、CR3であり;
RAは、H又はメチルであり;
R1~R3は独立して、H、メチル、アミノ、又はハロゲン原子であり;
A4~A7はそれぞれ、CR4、CR5、CR6及びCR7であり;
A8~A12はそれぞれ、N又は、CR8、CR9、CR10、CR11及びCR12であり、但し、5つの位置A8~A12のうちの2つより多くが同時にNであってはならない;
R4~R7は独立して、H、ハロゲン原子、C(1~3)アルコキシ、C(1~3)アルキルであり;
R8~R12は独立して、H、ハロゲン原子、C(1~3)アルコキシ、C(1~4)アルキル、シアノ、ニトロ、-C(=O)OR17、ヒドロキシル、C(3~6)シクロアルキル、ベンジル、フェニル、-SF5、ビシクロ[1.1.1]ペンタンであり;
或いは、R9と、R8又はR10のいずれかとは、縮合されて、2~7個の炭素原子と0~3個のヘテロ原子とを含む、5~7員の芳香族又は非芳香族環を形成し、但し、全ての炭素原子は、1以上のメチル、ハロゲン原子又はヒドロキシルで置換されていてもよい;
R13は、H又はメチルであり;
R14は、NH、O又はSであり;
R15及びR’15は独立して、H、ハロゲン原子、C(1~4)アルキル、-C(=O)OR17又は-C(=O)NR17R17であり;
R16はHであり;並びに、
R17は、H、メチル又はエチルである。
【請求項2】
A1がNであり、A2がNRAであり、且つA3がCR3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
A1がNであり、A2がNHであり、且つA3がCHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R5がC(1~3)アルコキシであり、且つR4、R6及びR7がHである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R5がメトキシであり、且つR4、R6及びR7がHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
A8~A12がそれぞれ、CR8、CR9、CR10、CR11及びCR12である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R8~R12が独立して、H、C(1~4)アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシル、又はC(1~3)アルコキシである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R9及びR11がC(1~4)アルキルであり、且つR8、R10及びR12がHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R9及びR11がCF3であり、且つR8、R10及びR12がHである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R13がHである、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R14がOである、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
R15及びR’15がHである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Yは炭素-炭素単結合である、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
4-[3-メトキシ-4-(3-メチルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-3-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
4-[3-メトキシ-4-(2-ニトロフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[2-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-ブロモフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[3-メトキシ-4-(2-メチルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
2-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ベンゾニトリル;
4-[4-(2-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-クロロフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[2-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[3-メトキシ-4-(2-メトキシフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(3-ブロモフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(3-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(3-クロロフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[3-メトキシ-4-(3-メトキシフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
3-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)安息香酸メチル;
4-[4-(2-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(3-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[3-メトキシ-4-(2-プロピルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[2-(プロパン-2-イル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[3-メトキシ-4-(2-フェニルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-シクロペンチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-ベンジルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-シクロプロピルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[3-(プロパン-2-イル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(3-シクロプロピルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-tert-ブチル-4-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(4-ブロモ-2-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
3-tert-ブチル-4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)安息香酸メチル;
4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ナフタレン-1-カルボン酸メチル;
4-[4-(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-メトキシ-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
3-tert-ブチル-4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ベンゾニトリル;
4-{3-メトキシ-4-[2-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
3-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-5-(トリフルオロメチル)安息香酸メチル;
4-{4-[3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(3,5-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-{ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}フェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ナフタレン-1-カルボニトリル;
4-[4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イルオキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{4-[(2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)オキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルオキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
8-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)キノリン-5-カルボン酸メチル;
4-(3-メトキシ-4-フェノキシフェニル)-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-ブロモ-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
3-tert-ブチル-4-(4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ベンゾニトリル;
4-{4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
3‐tert‐ブチル‐4‐(2‐メチル‐4‐{6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐4‐イル}フェノキシ)ベンゾニトリル;
4-{4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メチルフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{3-フルオロ-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{4-[2-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェノキシ]-3-(トリフルオロメトキシ)フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-{4-[2-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[3-(トリフルオロメトキシ)-4-[2-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
3-tert-ブチル-4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)安息香酸;
3-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-5-(トリフルオロメチル)安息香酸;
4‐{3‐メトキシ‐4‐[3‐メチル‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
4‐[4‐(3,5‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
4‐{3‐メトキシ‐4‐[2‐メチル‐4‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
4‐[4‐(2,4‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
4-[4-(2-tert-ブチル-4-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(2-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-[4-(4-ブロモ-2-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-3-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボン酸メチル;
4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボン酸エチル;
4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐N,N‐ジメチル‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボキサミド;
4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐N,N‐ジエチル‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボキサミド;
4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐1H,2H,3H,4H,6H‐ピロロ[3,4‐b]ピリジン‐2‐オン;
4‐{4‐[3‐(ジフルオロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
4‐{4‐[2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
(+)-4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
(-)-4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;
(+)-4‐[4‐(3,5‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
(-)-4‐[4‐(3,5‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
(+)-4‐{3‐メトキシ‐4‐[3‐メチル‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
(-)-4‐{3‐メトキシ‐4‐[3‐メチル‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;
(+)-4‐{4‐[3‐(ジフルオロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン;及び
(-)-4‐{4‐[3‐(ジフルオロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
(+)-4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン;又は
(-)-4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項17】
治療において使用する為の、請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
ERRα介在性の疾病又は状態の治療的及び/又は予防的処置の為の、請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項19】
ERRα介在性癌の処置の為の、請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項20】
肺癌、黒色腫、子宮内膜癌、及び急性骨髄性白血病から選択される少なくとも1つの状態の処置の為の、請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項21】
乳癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、及び卵巣癌から選択される少なくとも1つの処置の為の、請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩
【請求項22】
II型糖尿病の処置の為の、請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項23】
請求項1~15のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩と、1以上の医薬的に許容される添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項24】
治療的に活性な、少なくとも1つの追加の剤をさらに含む、請求項23に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エストロゲン関連受容体アルファ(ERRα:Estrogen-related receptor alpha)は、核内受容体(NR:nuclear receptor)スーパーファミリーに属する45.5キロダルトン(kDa)、423個のアミノ酸残基のタンパク質である。この核内受容体ファミリーは48個の遺伝子で構成されており、多様な機能、とりわけ恒常性、再生、発達及び代謝を包含する多様な機能、の調節に関与するDNA結合転写因子をコードする。ERRファミリー、すなわちNR3Bサブグループ、は、ERRα、ERR-β、及びERR-γで構成されている:これまで、どのERRアイソフォームについても内因性リガンドは同定されていないため、それらはオーファン受容体(orphan receptors)と見なされている。
【0002】
Bookout等,Anatomical profiling of nuclear receptor expression reveals a hierarchical transcriptional network,Cell.126:789-99(2006)において、3つのERRアイソフォームの有機体全体(organism-wide)の発現プロファイリングが、ERRαが広く分布されており、ほとんどの成体組織において有意なタンパク質発現が見られることを決定した。ERRファミリーメンバーのノックアウト研究は、各受容体が、全身レベルでのエネルギーストレスへの適応の為に重要である組織及び機能に固有の代謝表現型を有することが明らかになった。ノックアウト研究はまた、ERRファミリーメンバーの間で限られたイン・ビボ補償を示した。とりわけ、Tremblay等,The NR3B subgroup: an overview,Nuclear Receptor Signaling,5:e009 (2007)が、この文脈において注目されうる。
【0003】
ゲノム研究は、ERRαが多数の遺伝子を調節することを示していた。下記の参考文献は、この点で有益である:Puigserver等,A cold-inducible coactivator of nuclear receptors linked to adaptive thermogenesis,Cell.92(6):829-839 (1998); Yoon等,Control of hepatic gluconeogenesis through the transcriptional coactivator PGC-1,Nature 413 (6852):131-138 (2001);Huss等,Estrogen-related receptor alpha directs peroxisome proliferator-activated receptor at signaling in the transcriptional control of energy metabolism in cardiac and skeletal muscle,Mol.Cell Biol.24(20):9079-9091 (2004);及び、Mootha等,ERRα and Gabpa/b specify PGC-1alpha-dependent oxidative phosphorylation gene expression that is altered in diabetic muscle,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101(17):6570-6575 (2004)。
【0004】
これらの参考文献は、エネルギー代謝の調節における、特にミトコンドリア生合成、トリカルボン酸回路、酸化的リン酸化、脂肪酸酸化及び脂質代謝の為に必要とされる遺伝子の転写調節における、ERRα機能の生理学的モデルをサポートする。特に、ERRαは、(NRF1:Nuclear Respiratory Factor 1)、GA結合タンパク質アルファ(GABPα:GA-binding protein alpha)、及びペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα:Peroxisome Proliferator-activated Receptor alpha)の発現を誘導する。核内受容体コアクチベーターペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマコアクチベーター1-アルファ(PGC-1α:Peroxisome Proliferator-activated Receptor gamma coactivator 1-alpha)、PGC-1β及びペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマコアクチベーター関連タンパク質1(PPRC-1:Peroxisome Proliferator-activated Receptor gamma Coactivator-related protein 1)は、これらの遺伝子の調節に且つERRαの発現の自動調節(auto-regulation)に関与する。PGC-1αは低い基礎レベルで発現されるが、絶食及び他の代謝ストレスによって誘発される。PGC-1β、すなわち関連する活性化補助因子(related coactivator)、が同様の機能を有するが、その発現はエネルギー需要における変動によってそれほど急激に調節されない可能性がある。逆に、ERRに結合するコリプレッサー(co-repressors)、例えばコリプレッサー核内受容体相互作用タンパク質140(RIP140:Receptor Interacting Protein 140)、は、ERR活性化補助因子と競合して、ERR依存性遺伝子発現を負に調節する。
【0005】
エネルギー代謝に対するERRα活性の多面的効果は、代謝障害又は修飾が、中心的な役割を果たす疾病、例えば2型糖尿病、進行性心不全、骨粗鬆症及び癌、の為の新しい治療法の発見の為の標的であることに本発明者等は関心を有している。特に興味深いことは、腫瘍微小環境内のエネルギーストレスに関連付けられた腫瘍細胞のエネルギー代謝の調節への影響を介した、腫瘍治療の為の新しい標的としてのERRαである。そして特に興味深いことは、幹細胞のような特性を持つ癌-癌幹細胞(CSC:Cancer Stem Cells)、腫瘍開始細胞(TIC:Tumor Initiating Cells)及び(CTC:Circulating Tumor Cells)-(それらは、それらのエネルギー要件の為のミトコンドリア呼吸に依存する)の治療的処置の為の新規な標的としてのERRαである。
【0006】
特に、癌の発生と展開は主要な代謝変化に関連付けられていることが知られており、及びミトコンドリアは腫瘍形成において重要な役割を果たす。ワールブルク効果(Warburg effect)と呼ばれている多くの種類の癌において観察される一般的な異常は、酸化的リン酸化から好気性解糖へのグルコース代謝におけるシフトであり、且つ酸素量に関係なく、乳酸排泄率の高められた比によって達成されるグルコース消費の劇的な増加によって特徴付けられる。好気性解糖は、十分なエネルギーを提供し且つ同化反応の前駆体の蓄積を提供することを包含する、高度に増殖性の細胞の代謝ニーズを満たす。LeBleu等,PGC-1alpha mediates mitochondrial biogenesis and oxidative phosphorylation in cancer cells to promote metastasis.Nat.Cell Biol.16(10):992-1 (2014)は、腫瘍細胞が、腫瘍環境及び癌進行中のそれらの増殖又は転移表現型に応じて、解糖又は酸化的リン酸化のいずれかに関与する代謝可塑性を示すことを実証した。従って、転移性前駆細胞及び耐性腫瘍細胞の標的化は、解糖経路を介してだけでなく、ミトコンドリアの酸化的リン酸化を介してまた生じるはずであることは明らかである。
【0007】
ERRαは、PGC1α/βとともに、トリカルボン酸(TCA)回路及び酸化的リン酸化における酵素をコードする遺伝子の調節を制御する。Ariazi等,Estrogen-related receptor alpha and estrogen-related receptor gamma associate with unfavorable and favorable biomarkers,respectively,in human breast cancer,Cancer Res.62(22):6510-8 (2002)において議論されている通り、ERRαは、乳癌細胞及び前立腺癌細胞を包含する様々な癌細胞において発現されており、且つこれらの癌の両方のタイプにおいて、より侵襲性の高い疾患と再発のより高いリスクに関連付けられる。
【0008】
Chang等,The metabolic regulator ERRa,a downstream target of HER2/IGF-1R,as a therapeutic target in breast cancer,Cancer Cell 20,500-510 (2011)、及びFujimoto等,Clinical implication of estrogen-related receptor (ERR) expression in ovarian cancers,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.104,301-304 (2007)は、ERRαがほとんどの癌において発現されていること、及びこの受容体の増加された活性は乳癌と卵巣癌との両方において否定的な結果に関連付けられていることを文書化している。これらの参考文献のうちの最初のものでは、転写因子がミトコンドリアの生合成及び酸化的リン酸化の調節においてまた関与していることが確認されている。この後者の点は、膵臓癌におけるKRAS経路の阻害に対する耐性、黒色腫におけるBRAF阻害剤、及び結腸癌におけるオキサリプラチン及び5-フルオロウラシルがまた、酸化的代謝へのシフトに関連付けられている為に、重要であると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故に、本発明者等は、ERRαの活性の阻害が、癌において、特に前述されたタイプの癌において、ミトコンドリア機能の選択的破壊を可能にするであろうとの意見を述べた。この目的の為に、しかし他のERRα介在性疾病及びERRα介在性状態(ERRα mediated diseases and conditions)の処置における有用性の為に、本発明者等は非共有、非ステロイド性のERRαインバースアゴニストを開発した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点に従うと、下記の式Iに従う化合物又はその医薬的に許容される塩が提供される。
【化01】
ここで、
Yは炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合であり、ただし、Yが炭素-炭素二重結合である場合に、R’15及びR16は存在しない;
3つの位置A1~A3のうちの1つが、S又はNRAのいずれかであり、位置A1~A3のうちの残りの2つがそれぞれ、N又は、CR1、CR2、CR3であり;
RAは、H又はメチルであり;
R1~R3は独立して、H、メチル、アミノ、又はハロゲン原子であり;
A4~A7はそれぞれ、CR4、CR5、CR6及びCR7であり;
A8~A12はそれぞれ、N又は、CR8、CR9、CR10、CR11及びCR12であり、但し、5つの位置A8~A12のうちの2つより多くが同時にNであってはならない;
R4~R7は独立して、H、ハロゲン原子、C(1~3)アルコキシ、C(1~3)アルキルであり;
R8~R12は独立して、H、ハロゲン原子、C(1~3)アルコキシ、C(1~4)アルキル、シアノ、ニトロ、-C(=O)OR17、ヒドロキシル、C(3~6)シクロアルキル、ベンジル、フェニル、-SF5、ビシクロ[1.1.1]ペンタンであり;
或いは、R9と、R8又はR10のいずれかとは、縮合されて、2~7個の炭素原子と0~3個のヘテロ原子とを含む、5~7員の芳香族又は非芳香族環を形成し、但し、全ての炭素原子は、1以上のメチル、ハロゲン原子又はヒドロキシルで置換されていてもよい;
R13は、H又はメチルであり;
R14は、NH、O又はSであり;
R15及びR’15は独立して、H、ハロゲン原子、C(1~4)アルキル、-C(=O)OR17又は-C(=O)NR17R17であり;
R16はHであり;並びに、
R17は、H、メチル又はエチルである。
【0011】
一つの実施態様において、本発明は、A1がNであり、A2がNRAであり、且つA3がCR3であるところの、式Iに従う化合物に関する。
【0012】
他の実施態様において、本発明は、A1がNであり、A2がNHであり、且つA3がCHであるところの、式Iに従う化合物に関する。
【0013】
他の実施態様において、本発明は、R5がC(1~3)アルコキシであり、且つR4、R6及びR7がHであるところの、式Iに従う化合物に関する。
【0014】
他の実施態様において、本発明は、R5がメトキシであり、且つR4、R6及びR7がHであるところの、式Iに従う化合物に関する。
【0015】
他の実施態様において、本発明は、A8~A12がそれぞれ、CR8、CR9、CR10、CR11及びCR12であるところの、式Iに従う化合物に関する。
【0016】
他の実施態様において、本発明は、R8~R12が独立して、H、C(1~4)アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシル、又はC(1~3)アルコキシであるところの、式Iに従う化合物に関する。例えば、R8~R12が独立して、H、C(1~4)アルキル、又はハロゲン原子でありうる。R9及びR11が独立して、C(1~4)アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシル又はC(1~3)アルコキシであり、且つR8、R10及びR12がHである場合に、良好な結果が得られた。そして、特に注目すべきは、R9及びR11が独立して、C(1~4)アルキルであり、且つR8、R10及びR12がHである。
【0017】
他の実施態様において、本発明は、R9及びR11がCF3であり、且つR8、R10及びR12がHであるところの式Iに従う化合物に関する。
【0018】
他の実施態様において、本発明は、R13がHであるところの式Iに従う化合物に関する。
【0019】
他の実施態様において、本発明は、R14がOであるところの式Iに従う化合物に関する。
【0020】
他の実施態様において、本発明は、R15及びR’15がHであるところの式Iに従う化合物に関する。
【0021】
他の実施態様において、本発明は、Yが炭素-炭素単結合であるところの式Iに従う化合物に関する。
【0022】
式(I)の異なる置換基の好ましい形態に関連する上記の実施態様は、互いに相互に排他的であることを意図されていない。むしろ、これらの実施態様の組み合わせは、本発明の範囲内で想定され、且つ、或る状況において、そのような組み合わせは、式Iの化合物についての好ましい構造を表す。その点に関して、A1がNであり、A2がNHであり且つA3がCHであり;A4~A7がそれぞれ、CR4、CR5、CR6及びCR7であり、ここで、R5はC(1~3)アルコキシであり、且つR4、R6及びR7がHであり;A8~A12がそれぞれ、CR8、CR9、CR10、CR11及びCR12であり、ここで、R9及びR11が独立して、C(1~4)アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシル又はC(1~3)アルコキシであり、且つR8、R10及びR12がHであり;R13がHであり;R14がOであり;R15及びR’15が両方ともHであり;Yが炭素-炭素単結合であり;且つ、R16がHであるところの、式Iに従う化合物について特に言及されうる。
【0023】
A1がNであり、A2がNHであり、且つA3がCHであり;A4~A7がそれぞれ、CR4、CR5、CR6及びCR7であり、ここで、R5はC(1~3)アルコキシであり、且つR4、R6及びR7がHであり;A8~A12がそれぞれ、CR8、CR9、CR10、CR11及びCR12であり、ここで、R9及びR11が独立して、C(1~4)アルキルであり、且つR8、R10及びR12がHであり;R13がHであり;R14がOであり;R15及びR’15が両方ともHであり;Yが炭素-炭素単結合であり;且つ、R16がHである。
【0024】
定義
【0025】
本明細書において使用される場合、単数形「一つ(a)」、「一つ(an)」及び「該(the)」は、文脈が明らかに他のことを指示していない限り、複数の指示対象を包含する。
【0026】
本明細書において使用される場合、語「含んでいる」(comprising)、語「含む」(comprises)及び語「含まれている」(comprised of)は、「包含している」(including)、「包含する」(includes)、「含有している」(containing)又は「含有する」(contains)と同義であり、且つ包括的又はオープンエンド(open-ended)であり、且つ追加の、引用されていないメンバー、要素、又は方法の工程を除外しない。本明細書において使用される場合、句「からなる」(consisting of)は、クロースドであり(closed)、且つ全ての追加の要素を除外する。さらに、句「本質的に~からなる」(consisting essentially of)は、追加の重要な要素を除外するが、本発明の性質を実質的に変更しない非重要な要素を含めることができる。
【0027】
量、濃度、寸法、及び他のパラメーターが、範囲、好ましい範囲、上限値、下限値、又は好ましい上限値と下限値との形で表す場合、得られた範囲が文脈において明確に言及されているかどうかに関係なく、任意の上限又は好ましい値を任意の下限又は好ましい値と組み合わせることによって得られる任意の範囲がまた具体的に開示されていることが理解されるべきである。
【0028】
語「好ましい」、語「好ましくは」、語「望ましくは」及び「特に」又はそれらの同義語は、或る状況下で特定の利益をもたらしうる本開示の実施態様を云う為に本明細書において頻繁に使用されうる。しかしながら、1以上の好ましい、好まれる、望ましい、又は特定の実施態様の列挙は、他の実施態様が有用ではないことを意味するものでなく、且つそれらの他の実施態様を本開示の範囲から除外することを意図するものでない。
【0029】
本出願を通じて使用される場合、語「しうる」は、必須的な意味でなく、すなわち、許容的な意味で使用され、すなわち、可能性があることを意味する。
【0030】
本明細書において使用される場合、「室温」は、23℃±2℃である。
【0031】
特に明記しない限り、本明細書において使用される場合、語「ハロ」又は語「ハロゲン原子」又は語「ハロゲン化物」は、それ自体で、又は別の置換基の一部として使用され、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましいことが示されている。
【0032】
本明細書において使用される場合、語「ヘテロ原子」は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
【0033】
本明細書において使用される場合、「C(1~n)アルキル」基は、1~n個の炭素原子を含む一価の基を云い、これは、アルカンのラジカル(radical)であり、且つ直鎖及び分岐の有機基を包含する。従って、「C1~C30アルキル」基は、1~30個の炭素原子を含む一価の基を云い、これは、アルカンのラジカル(radical)であり、且つ直鎖及び分岐の有機基を包含する。本発明において、そのようなアルキル基は、非置換であってもよく又は本明細書において以下に言及されている基で置換されていてもよい。炭化水素ラジカル(radical)のハロゲン化誘導体は特に、適切な置換されたアルキル基の例として言及されうる。
【0034】
本明細書において使用される場合、語「C(1~4)アルキル」は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、すなわち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル、を意味する。全ての炭素原子は、1以上のハロゲン原子又はヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0035】
本明細書において使用される場合、語「C(1~3)アルキル」は、1~3個の炭素原子を有するアルキル基、すなわち、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピル、を意味する。全ての炭素原子は、1以上のハロゲン原子又はヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0036】
本明細書において使用される場合、語「C(3~6)シクロアルキル」は、3~6個の炭素原子を有する飽和環状炭化水素、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル、を意味する。全ての炭素原子は、1以上のハロゲン原子又はメチルで置換されていてもよい。
【0037】
語「C(1~3)アルコキシ」は、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、アルキル部分は、分岐又は非分岐である。全ての炭素原子は、1以上のF又はヒドロキシルで置換されていてもよい。
【0038】
本明細書において使用される場合、語「シアノ」は、式-CNの基を表す。
【0039】
本明細書において使用される場合、「ニトロ基」又は「ニトロ」は-NO2を云う。
【0040】
語「置換された」は、指定された1以上の原子上の1以上の水素が、指定された基からの選択によって置き換えられることを意味する。但し、既存の状況下で指定された原子の通常の原子価は超えない。そして、該置換は安定した化合物を結果としてもたらす。置換基の組み合わせはまた、そのような組み合わせが安定した化合物を結果としてもたらす場合にのみ許容される。語「安定な化合物」又は「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度までの単離と有効な治療薬への処方との両方に耐えるのに十分に頑強である化合物又は構造を云う。
【0041】
語「置換されていてもよい」は、特定の基、ラジカル(radicals)又は部分による任意の置換を意味する。
【0042】
本明細書において使用される場合、「保護基」は、望ましくない反応を防ぐ為に官能基に付着された部分を云う。好ましくは、官能基の保護がもはや必要とされなくなった後、該保護基は容易に除去されうる。
【0043】
式Iの化合物は、塩を形成し得、それはまた本発明の範囲内である。本明細書における式Iの化合物への言及は、他に示されない限り、その塩への言及を含むと理解される。
【0044】
語「医薬的に許容される塩」は、当技術分野におけるその標準的な定義に従って、医学的判断の範囲内で、特に過度の毒性、刺激及び/又はアレルギー反応なしに、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用する為に適している塩を表す為に使用される。その使用は、リスクに対する合理的な利益の比に見合ったものでなければならない。医薬的に許容される塩は当技術分野において周知である。それらは、本発明の化合物の最終的な単離及び精製中に得られうるか、又はそれらは遊離塩基官能基を下記のものと反応させることによって別々に得られうる:塩酸、リン酸又は硫酸を包含するがこれらに限定されない適切な鉱酸;又は、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、コハク酸、プロピオン酸、酢酸又はメタンスルホン酸を包含するがこれらに限定されない有機酸。本発明の化合物の酸官能基は、有機塩基若しくは無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム若しくは水酸化リチウム、と反応させることができる。完全を期すために、有機塩基は、一般的なヒドロカルビル及び複素環式アミン塩、例えば、ジエチルアミノ、モルホリン及びピペリジン塩、を包含する。
【0045】
式Iの化合物は、不斉又はキラル中心を含み得、それ故に、異なる立体異性体の形態において存在する。式Iの化合物の全ての立体異性体形態、並びにラセミ混合物を包含するそれらの混合物が、本発明の一部を形成することが意図されている。特に、命名法のカーン・インゴルド・プレローグ系(Cahn-Ingold-Prelog system)に従って、5員複素環の隣のキラル中心のS配置にある式Iの化合物の立体異性体は、本発明の一部を明確に形成する。
【0046】
当業者によって理解されるであろう通り、エナンチオマーは、下記によって分離されることができる。適切な光学活性化合物、例えば、キラル補助剤、例えばキラルアルコール又はモッシャー酸クロリド(Mosher’s acid chloride)、との反応によって、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に転化すること;該ジアステレオマーを分離すること;そして、例えば加水分解によって、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに転化すること。エナンチオマーはまた、キラルHPLCカラムの使用によって分離されることができる。
【0047】
式Iの化合物の様々な互変異性体が可能でありうることがさらに認識されるであろう。それ故に、式Iの化合物の全ての互変異性体形態が本発明の一部を形成することが意図されている。完全を期すために、本明細書において使用される場合、語「互変異性体」は、隣接する単結合と二重結合との間のプロトンの移動を云う。互変異性化プロセスは可逆的である。互変異性体は一般的に平衡状態に達し、ここで、該二重結合は2つの結合長の間で共鳴的に共有される。
【0048】
本発明はまた、医薬的に許容される賦形剤及び任意的に、治療的に活性な他の剤と混合された一般式Iを有する化合物又はその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。該添加剤は、該組成物の他の成分と適合性があり、且つそのレシピエント(recipients)に有害であってはならないという意味で「許容される」でなければならない。
【0049】
本発明はさらに、1以上の他の薬剤と組み合わせれた式Iの化合物を含む。
【0050】
組成物は、経口、舌下、皮下、静脈内、筋肉内、経鼻、局所、又は直腸投与の為に適したものを包含するが、これらに限定されず、投与の為の全ての単位剤形である。経口投与の場合、有効成分は、個別の単位、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液、懸濁液等、として提示されうる。
【0051】
非経口投与の場合、本発明の医薬組成物は、単位用量又は複数用量の容器、例えば密封されたバイアル及びアンプルで提示される、所定量の注射液、で提示されうる。該医薬組成物はまた、使用前に、滅菌液体担体、例えば水、の添加のみを必要とするフリーズドライされた(凍結乾燥)状態で保存されることができる。
【0052】
そのような薬学的に許容される助剤と混合されて、該活性剤は、固体投与単位、例えばピル、錠剤、に圧縮されうる、又はカプセル若しくは坐剤に処理されうる。薬学的に許容される液体によって、該活性剤は、流体組成物として、例えば、溶液、懸濁液又は乳濁液の形態で、適用することができ、それらは、注射剤の調製において、又はスプレー、例えば点鼻薬、において包含されうる。
【0053】
固体投与単位を作製する為に、慣用的な添加剤、例えば充填剤、着色剤、ポリマー結合剤等、の使用が企図されている。一般的に、活性化合物の機能を妨害しない任意の薬学的に許容される添加剤が使用されることができる。本発明の活性剤が固体組成物として投与されることができる適切な担体は、適切な量で使用される場合、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体等、又はそれらの混合物を包含する。非経口投与の場合、水性懸濁液、等張食塩水、及び滅菌注射可能溶液が使用され得、それらの懸濁液又は溶液は、医薬的に許容される分散剤及び/又は湿潤剤、例えばプロピレングリコール又はブチレングリコール、を含みうる。
【0054】
本発明はさらに、上記組成物の為に適した包装材料と組み合わされて、本明細書において前述された医薬組成物をさらに含み、ここで、上記包装材料は、本明細書において前述された目的の為の組成物の使用の為の指示書を含む。
【0055】
活性成分又はその医薬組成物の正確な投与量及び投与計画は、特定の化合物、投与経路、及び薬剤が投与されるべき個々の対象の年齢及び状態によって変わりうる。
【0056】
一般的に、非経口投与は、吸収にさらに依存する他の投与方法よりも低い投与量を必要とする。それはさておき、ヒトの為の投与量は好ましくは、体重1kg当たり0.0001~100mgを含む。所望の用量は、1日を通して適切な間隔で投与される1回の用量又は複数のサブ用量として提示されうる。
【0057】
本発明に従う化合物又はその医薬的に許容される塩は、治療における薬剤として使用されることができる。
【0058】
本発明の別の観点は、ERRα介在性疾病又はERRα介在性状態の治療的及び/又は予防的処置の為の一般式Iを有する化合物又はその医薬的に許容される塩の使用にある。特に、本発明は、ERRα介在性癌(ERRα-mediated cancer)の処置の為の、一般式Iを有する化合物又はその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
【0059】
一般式Iを有する化合物又はその医薬的に許容される塩は、肺癌、黒色腫、子宮内膜癌、及び急性骨髄性白血病から選択される少なくとも1つの状態を処置する為の治療において使用されることができる。本発明のこの観点を限定する意図なしに、一般式Iを有する化合物又はその医薬的に許容される塩は特に、表在拡大型黒色腫(superficial spreading melanoma)、悪性黒子(lentigo maligna)、末端黒子型黒色腫(acral lentiginous melanoma)、結節型黒色腫(nodular melanoma)、無色素性黒色腫(amelanotic melanoma)、眼黒色腫(ocular melanoma)、外陰部の黒色腫、又は膣黒色腫を処置する為の治療において使用されうる。
【0060】
他の観点において、一般式Iを有する化合物又はその医薬的に許容される塩は、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、及び卵巣癌から選択される少なくとも1つの状態を処置する為に治療において使用されることができる。
【0061】
他の観点において、一般式Iを有する化合物又はその医薬的に許容される塩は、II型糖尿病を処置する為に使用されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0062】
下記の実施例において示されている通り、或る例示的な実施形態において、化合物は、下記の一般的な手順に従って調製される。一般的な方法は本発明の或る化合物の合成を描写するが、下記の一般的な方法及び当業者に知られている他の方法は、本明細書において記載されている通り、これらの化合物のそれぞれの全ての化合物及びサブクラス及び種に適用されることができることが理解されるであろう。
【0063】
調製の一般的な方法
【0064】
本明細書に記載の化合物、例えば一般式I、ビルディングブロックI及びビルディングブロックIIの化合物、は、以下に示されている反応スキームによって調製される。その上、特定の酸、塩基、試薬、カップリング剤、触媒、溶媒等が言及されている下記のスキームにおいて、他の適切な酸、塩基、試薬、カップリング剤、触媒、溶媒等が使用されうること、且つ本発明の範囲内に含まれることが理解される。反応条件に対する変更、例えば、温度、反応の持続時間又はそれらの組み合わせ、は、本発明の一部として想定される。
【0065】
一般的な反応シーケンスを使用することによって得られる化合物は、不十分な純度でありうる。該化合物は、有機化合物の精製方法、例えば結晶化又はシリカゲル若しくはアルミナカラムクロマトグラフィーを使用して、適切な比で異なる溶媒を使用することによって精製されることができる。全てのありうる立体異性体は、本発明の範囲内で想定される。
【0066】
下記の反応スキーム及び実施例において使用される材料についての略語は下記の通りでである:
AcOH:酢酸;ACN:アセトニトリル;DAST:(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド;DCM:ジクロロメタン;DDQ:2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン;DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;DiBAl-H:ジイソブチルアルミニウムヒドリド;DMAP:4-ジメチルアミノピリジン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;Et2O:ジエチルエーテル;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;HPLC:高性能液体クロマトグラフィー;MeOH:メタノール;PhSCu(I):フェニルスルファニル銅;PPh3:トリフェニルホスフィン;SFC:超臨界流体クロマトグラフィー;tBuOK:カリウムtert-ブトキシド;tBuONO:tert-ブチルニトリル;TEMPO:2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシル;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;TOSMIC:トシルメチルイソシアニド。
【0067】
化学名は、Marvin Sketch17.24.1を使用することによって生成された優先IUPAC名である。化合物が化学構造及び化学名の両方を使用して参照され、構造と名前との間にあいまいさが存在する場合には、該構造が優勢する。
【0068】
【化02】
【0069】
条件:
i) メルドラム酸,MeOH
【0070】
スキーム1に示されている通り、R14が酸素原子であり、R15、R’15及びR16がHであり、並びにYが炭素-炭素単結合であるところの式Iを有する本発明の誘導体の一般的合成である。該誘導体は、有機化学の当技術分野において知られている方法によって調製されることができる。本発明の化合物は、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11及びA12が前述されている意味を有するところのビルディングブロックIのベンズアルデヒド誘導体と、R13、A1、A2及びA3が前述されている意味を有するところのビルディングブロックIIの誘導体と、メルドラム酸との反応によって得られることができる。
【0071】
R14が硫黄原子であるところの式Iの誘導体を得る為に、R14が酸素原子であるところの式Iの誘導体が例えば、ローソン試薬(Lawesson’s reagent)と反応させることができる。
【0072】
R14が窒素原子であるところの式Iの誘導体を得る為に、R14が硫黄原子であるところの式Iの誘導体が、例えばMeOH中のアンモニアと反応させることができる。
【0073】
【化03】
【0074】
条件:
i) DDQ,1,4-ジオキサン
【0075】
スキーム1bは、Yが炭素-炭素二重結合であり、R15がHであり、並びにR13、R14、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11及びA12が前述されている意味を有するところの式I類似体の調製の為の一般的な経路を示す。
【0076】
Yが炭素-炭素単結合であり且つR15、R’15及びR16がHであるところの式Iの誘導体は、例えば、適切な溶媒中でDDQを使用して酸化されて、Yが炭素-炭素二重結合であるところの式Iの誘導体を得ることができる。
【0077】
【化04】
【0078】
条件:
i) K2CO3,DMF
【0079】
スキーム2は、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11及びA12が前述されている意味を有するところのベンズアルデヒドビルディングブロックI誘導体を調製する為の一般的な方法を示す。
【0080】
110℃でDMFにおけるK2CO3を使用して、4-フルオロベンズアルデヒド1をフェノール2で芳香族置換することにより、ビルディングブロックI誘導体を与える。A4~A12における一部の置換について、4-ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体とフルオロベンゼン誘導体との使用により、芳香族置換を実施することが有益でありうる。
【0081】
【化05】
【0082】
条件:
i) K2CO3,DMF;
ii) DAST,DCM;
iii) DiBAl-H,トルエン。
【0083】
スキーム2bは、A8がC-CF2であり、且つA4、A5、A6、A7、A9、A10、A11及びA12が前述されている意味を有するところのベンズアルデヒドビルディングブロックI誘導体を調製するための一般的な方法を示す。塩基性条件下で、例えばK2CO3を使用して、フルオロベンズアルデヒド4を4-ヒドロキシベンゾニトリル3で芳香族置換することにより、対応するベンゾニトリル5を与える。アルデヒド部分は、フッ素化剤、例えばDAST、を使用してCF2基に変換されることができる。例えばトルエン中のDiBAl-Hを使用したニトリルのその後の還元を介して、ベンズアルデヒドビルディングブロックI誘導体が調製されることができる。スキーム2bにおいて、これはR8について例示されており、これらの変換はまた、位置R4~R12のいずれかの位置におけるアルデヒド部分に適用されることができる。R4~R12の一部の置換について、ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体とともに4-フルオロベンゾニトリルを使用して、芳香族置換を実行することが有益でありうる。
【0084】
【化06】
【0085】
条件:
i) メルドラム酸,MeOH;
ii) ROH,DIAD,PPh3,THF;及び、
iii) R2NH,EDC,DMAP,DCM。
【0086】
スキーム3は、Yが炭素-炭素単結合であり、R14が酸素原子であり、R15がCOOHであり、並びにR'15及びR16のそれぞれがHであるところの式I類似体の調製の為の一般的な経路を示す。本発明の化合物は、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11及びA12が前述されている意味を有するところのビルディングブロックIの誘導体と、R13、A1、A2、A3が前述されている意味を有するところのビルディングブロックIIの誘導体と、メルドラム酸との、室温での反応によって得られることができる。
【0087】
R15がCOOHである場合、このカルボン酸部分は、例えばTHF中の、アルコール、DIAD及びPPh3を使用して、エステルに向けて官能基化されることができ、又は、それは、例えばDCM中の、第一級又は第二級アミン、EDC及びDMAPを使用して、アミドに向けて官能基化されることができる。
【0088】
【化07】
【0089】
条件:
i) CH3CH2OCOCH2P(Ph)3Br,tBuOK,Et2O;
ii) CH2CHMgBr,PhSCu(I),THF;
iii) TEMPO,tBuONO,1,4-ジオキサン;
iv) TOSMIC,tBuOK,THF;及び、
v) Zn,AcOH。
【0090】
スキーム4は、A1及びA3がCHであり、A2がNHであり、Yが炭素-炭素単結合であり、R14が酸素原子であり、R13がHであり、R15、R'15及びR16のそれぞれがHであり、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11及びA12は、前述されている意味を有するところの式I類似体の形成の一般的な経路を示す。
【0091】
中間体6は、例えば、Et2O中の、CH3CH2OCOCH2P(Ph)3Br及びtBuOKを使用して、ビルディングブロックIをウィッティヒ反応に付し、続いて、例えば、THF中のビニルマグネシウムブロミド及びPPhSCu(I)とを反応させることを介して得られることができる。その後のE-立体配座(E-confirmation)におけるニトロ基の導入は、例えば、1,4-ジオキサン中の、TEMPO及びtBuONOを使用することによって、達成されることができる。ピロール中間体8は、例えば、THF中の、TOSMIC及びtBuOKを使用して、中間体7の[3+2]環化付加を介して、得られた。ニトロの還元、続いて閉環して、式I類似体を得ることが、例えばAcOH中の亜鉛末を使用することによって、単一の工程で実行された。
【0092】
実施例
【0093】
使用される全てのビルディングブロックは、商業的に入手可能であり、当業者に知られおり、又は当業者に知られている方法に従って調製される。
【0094】
実施例1~86
【0095】
実施例1:4-[3-メトキシ-4-(3-メチルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0096】
【化08】
【0097】
i) DMF(4mL)中のメタクレゾール(44μL)の溶液に、K2CO3(175)及び4-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド(65mg)が添加された。反応混合物が110℃に加熱され、そして一晩撹拌された。室温まで冷やされた後、溶媒が減圧下で除去された。結果として得られた油がDCMと水とで分配された。水層がDCMでさらに2回抽出され、そして、一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、ろ過され、そして濃縮された。水中、10%~100%のACNのグラジエントを使用した逆相フラッシュクロマトグラフィーの後、3-メトキシ-4-(3-メチルフェノキシ)ベンズアルデヒド(66mg)が得られた。
【0098】
ii) 前の工程で得られた生成物(66mg)が4mLのMeOH中に溶解された。メルドラム酸(39mg)及び3-アミノピラゾール(23mg)が添加され、そして、該反応物が65℃で6時間撹拌された。反応物が室温まで冷やされ、セライトが添加され、そして、溶媒が蒸発された。逆相クロマトグラフィー後、固体ローディングを使用して、4-[3-メトキシ-4-(3-メチルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン(25mg)が得られた。MS(ES+) m/z 350.2 (M+H)+
【0099】
適切な出発物質を使用して、実施例1に記載された手順と類似の手順に従って、以下の化合物が調製された。
【0100】
実施例2:4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-3-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0101】
【化09】
【0102】
MS(ES+) m/z 429.2 (M+H)+
【0103】
実施例3:4-[3-メトキシ-4-(2-ニトロフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0104】
【化10】
【0105】
MS(ES+) m/z 381.2 (M+H)+
【0106】
実施例4:4-{3-メトキシ-4-[2-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0107】
【化11】
【0108】
MS(ES+) m/z 404.2 (M+H)+
【0109】
実施例5:4-{3-メトキシ-4-[4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0110】
【化12】
【0111】
MS(ES+) m/z 404.2 (M+H)+
【0112】
実施例6:4-{3-メトキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0113】
【化13】
【0114】
MS(ES+) m/z 404.2 (M+H)+
【0115】
実施例7:4-[4-(2-ブロモフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0116】
【化14】
【0117】
MS(ES+) m/z 414.2 (M+H)+
【0118】
実施例8:4-[3-メトキシ-4-(2-メチルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0119】
【化15】
【0120】
MS(ES+) m/z 350.2 (M+H)+
【0121】
実施例9:2-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ベンゾニトリル
【0122】
【化16】
【0123】
MS(ES+) m/z 361.2 (M+H)+
【0124】
実施例10:4-[4-(2-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0125】
【化17】
【0126】
MS(ES+) m/z 392.2 (M+H)+
【0127】
実施例11:4-[4-(2-クロロフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0128】
【化18】
【0129】
MS(ES+) m/z 370.2 (M+H)+
【0130】
実施例12:4-{3-メトキシ-4-[2-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0131】
【化19】
【0132】
MS(ES+) m/z 420.2 (M+H)+
【0133】
実施例13:4-[3-メトキシ-4-(2-メトキシフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0134】
【化20】
【0135】
MS(ES+) m/z 366.2 (M+H)+
【0136】
実施例14:4-[4-(3-ブロモフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0137】
【化21】
【0138】
MS(ES+) m/z 414.2 (M+H)+
【0139】
実施例15:4-[4-(3-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0140】
【化22】
【0141】
MS(ES+) m/z 392.2 (M+H)+
【0142】
実施例16:4-[4-(3-クロロフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0143】
【化23】
【0144】
MS(ES+) m/z 370.2 (M+H)+
【0145】
実施例17:4-{3-メトキシ-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0146】
【化24】
【0147】
MS(ES+) m/z 420.2 (M+H)+
【0148】
実施例18:4-[3-メトキシ-4-(3-メトキシフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0149】
【化25】
【0150】
MS(ES+) m/z 366.2 (M+H)+
【0151】
実施例19:3-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)安息香酸メチル
【0152】
【化26】
【0153】
MS(ES+) m/z 394.2 (M+H)+
【0154】
実施例20:4-[4-(2-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0155】
【化27】
【0156】
MS(ES+) m/z 364.2 (M+H)+
【0157】
実施例21:4-[4-(3-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0158】
【化28】
【0159】
MS(ES+) m/z 364.2 (M+H)+
【0160】
実施例22:4-[3-メトキシ-4-(2-プロピルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0161】
【化29】
【0162】
MS(ES+) m/z 378.2 (M+H)+
【0163】
実施例23:4-{3-メトキシ-4-[2-(プロパン-2-イル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0164】
【化30】
【0165】
MS(ES+) m/z 378.2 (M+H)+
【0166】
実施例24:4-[3-メトキシ-4-(2-フェニルフェノキシ)フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0167】
【化31】
【0168】
MS(ES+) m/z 412.2 (M+H)+
【0169】
実施例25:4-[4-(2-シクロペンチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0170】
【化32】
【0171】
MS(ES+) m/z 404.2 (M+H)+
【0172】
実施例26:4-[4-(2-ベンジルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0173】
【化33】
【0174】
MS(ES+) m/z 426.2 (M+H)+
【0175】
実施例27:4-[4-(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0176】
【化34】
【0177】
MS(ES+) m/z 422.2 (M+H)+
【0178】
実施例28:4-[4-(2-シクロプロピルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0179】
【化35】
【0180】
MS(ES+) m/z 376.2 (M+H)+
【0181】
実施例29:4-[4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0182】
【化36】
【0183】
MS(ES+) m/z 408.2 (M+H)+
【0184】
実施例30:4-{3-メトキシ-4-[3-(プロパン-2-イル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0185】
【化37】
【0186】
MS(ES+) m/z 378.2 (M+H)+
【0187】
実施例31:4-[4-(3-シクロプロピルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0188】
【化38】
【0189】
MS(ES+) m/z 376.2 (M+H)+
【0190】
実施例32:4-[4-(2-tert-ブチル-4-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0191】
【化39】
【0192】
MS(ES+) m/z 420.2 (M+H)+
【0193】
実施例33:4-[4-(4-ブロモ-2-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0194】
【化40】
【0195】
MS(ES+) m/z 470.1 (M+H)+
【0196】
実施例34:4-[4-(2-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0197】
【化41】
【0198】
MS(ES+) m/z 406.2 (M+H)+
【0199】
実施例35:3-tert-ブチル-4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)安息香酸メチル
【0200】
【化42】
【0201】
MS(ES+) m/z 450.2 (M+H)+
【0202】
実施例36:4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ナフタレン-1-カルボン酸メチル
【0203】
【化43】
【0204】
MS(ES+) m/z 444.1 (M+H)+
【0205】
実施例37:4-[4-(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0206】
【化44】
【0207】
MS(ES+) m/z 448.3 (M+H)+
【0208】
実施例38:4-{3-メトキシ-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0209】
【化45】
【0210】
MS(ES+) m/z 434.1 (M+H)+
【0211】
実施例39:3-tert-ブチル-4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ベンゾニトリル
【0212】
【化46】
【0213】
MS(ES+) m/z 417.2 (M+H)+
【0214】
実施例40:4-{3-メトキシ-4-[2-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0215】
【化47】
【0216】
MS(ES+) m/z 462.1 (M+H)+
【0217】
実施例41:3-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-5-(トリフルオロメチル)安息香酸メチル
【0218】
【化48】
【0219】
MS(ES+) m/z 462.1 (M+H)+
【0220】
実施例42:4-{4-[3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0221】
【化49】
【0222】
MS(ES+) m/z 482.0 (M+H)+
【0223】
実施例43:4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0224】
【化50】
【0225】
MS(ES+) m/z 472.1 (M+H)+
【0226】
実施例44:4-[4-(3,5-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0227】
【化51】
【0228】
MS(ES+) m/z 448.3 (M+H)+
【0229】
実施例45:4-[4-(2-{ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}フェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0230】
【化52】
【0231】
MS(ES+) m/z 402.2 (M+H)+
【0232】
実施例46:4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ナフタレン-1-カルボニトリル
【0233】
【化53】
【0234】
MS(ES+) m/z 411.1 (M+H)+
【0235】
実施例47:4-[4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イルオキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0236】
【化54】
【0237】
MS(ES+) m/z 376.2 (M+H)+
【0238】
実施例48:4-{4-[(2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)オキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0239】
【化55】
【0240】
MS(ES+) m/z 406.2 (M+H)+
【0241】
実施例49:4-[4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルオキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0242】
【化56】
【0243】
MS(ES+) m/z 376.2 (M+H)+
【0244】
実施例50:8-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)キノリン-5-カルボン酸メチル
【0245】
【化57】
【0246】
MS(ES+) m/z 445.1 (M+H)+
【0247】
実施例51:4-(3-メトキシ-4-フェノキシフェニル)-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0248】
【化58】
【0249】
MS(ES+) m/z 336.1 (M+H)+
【0250】
実施例52:4-{3-ブロモ-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0251】
【化59】
【0252】
MS(ES+) m/z 482.0 (M+H)+
【0253】
実施例53:3-tert-ブチル-4-(4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)ベンゾニトリル
【0254】
【化60】
【0255】
MS(ES+) m/z 387.2 (M+H)+
【0256】
実施例54:4-{4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0257】
【化61】
【0258】
MS(ES+) m/z 404.1 (M+H)+
【0259】
実施例55:3‐tert‐ブチル‐4‐(2‐メチル‐4‐{6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐4‐イル}フェノキシ)ベンゾニトリル
【0260】
【化62】
【0261】
MS(ES+) m/z 400.2 (M+H)+
【0262】
実施例56:4-{4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メチルフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0263】
【化63】
【0264】
MS(ES+) m/z 418.1 (M+H)+
【0265】
実施例57:4-{3-フルオロ-4-[3-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0266】
【化64】
【0267】
MS(ES+) m/z 422.1 (M+H)+
【0268】
実施例58:4-{4-[2-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェノキシ]-3-(トリフルオロメトキシ)フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0269】
【化65】
【0270】
MS(ES+) m/z 516.1 (M+H)+
【0271】
実施例59:4-{4-[2-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェノキシ]フェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0272】
【化66】
【0273】
MS(ES+) m/z 432.1 (M+H)+
【0274】
実施例60:4-[3-(トリフルオロメトキシ)-4-[2-(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル]-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0275】
【化67】
【0276】
MS(ES+) m/z 458.1 (M+H)+
【0277】
実施例61:3-tert-ブチル-4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)安息香酸
【0278】
【化68】
【0279】
MS(ES+) m/z 436.2 (M+H)+
【0280】
実施例62:3-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-5-(トリフルオロメチル)安息香酸
【0281】
【化69】
【0282】
MS(ES+) m/z 448.1 (M+H)+
【0283】
実施例63:4‐{3‐メトキシ‐4‐[3‐メチル‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0284】
【化70】
【0285】
MS(ES+) m/z 418.4 (M+H)+
【0286】
実施例64:4‐[4‐(3,5‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0287】
【化71】
【0288】
MS(ES+) m/z 364.4 (M+H)+
【0289】
実施例65:4‐{3‐メトキシ‐4‐[2‐メチル‐4‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0290】
【化72】
【0291】
MS(ES+) m/z 418.4 (M+H)+
【0292】
実施例66:4‐[4‐(2,4‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0293】
【化73】
【0294】
MS(ES+) m/z 364.4 (M+H)+
【0295】
実施例67:4-[4-(2-tert-ブチル-4-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0296】
【化74】
【0297】
i) 実施例32の化合物(32mg)が1.5 mLの1,4-ジオキサン中に溶解され、そして、DDQ(17mg)が加えられた。反応物が50℃に加熱され、そして、1時間撹拌された。溶媒が蒸発され、そして飽和NaHCO3溶液が添加されて、懸濁物を与えた。懸濁物が超音波処理され、そして、固形物が濾別され、そして、水で3回洗われた。固体物が真空オーブンで乾燥されて、4-[4-(2-tert-ブチル-4-エチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン(23mg)を与えた。MS(ES+) m/z 418.2 (M+H)+
【0298】
適切な出発物質を使用して、実施例67に記載された手順と類似の手順に従って、以下の化合物が調製された。
【0299】
実施例68:4-[4-(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0300】
【化75】
【0301】
MS(ES+) m/z 420.2 (M+H)+
【0302】
実施例69:4-[4-(2-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0303】
【化76】
【0304】
MS(ES+) m/z 404.2 (M+H)+
【0305】
実施例70:4-[4-(4-ブロモ-2-tert-ブチルフェノキシ)-3-メトキシフェニル]-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0306】
【化77】
【0307】
MS(ES+) m/z 468.1 (M+H)+
【0308】
実施例71:4-(2-メトキシ-4-{6-オキソ-2H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル}フェノキシ)-3-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0309】
【化78】
【0310】
MS(ES+) m/z 427.1 (M+H)+
【0311】
実施例72:4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボン酸メチル
【0312】
【化79】
【0313】
i) 適切な出発物質を使用して、実施例1、工程i)に記載された手順と類似の手順に従って、4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシベンズアルデヒドが得られた。
【0314】
ii) 前の工程で得られた生成物(211 mg)、メルドラム酸(39 mg)及び3-アミノピラゾール(48mg)が、MeOH(5 mL)中に溶解された。反応混合物が、室温で3.5時間撹拌され、そして、溶媒が窒素の流れによって蒸発された。これにより、4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボン酸(200mg)を結果として与えた。
【0315】
iv) DIAD(23μL)が、窒素雰囲気下、PPh3(31.4mg)、MeOH(40μL)、及び無水THF(1mL)中、前の工程で得られた生成物(50mg)中に滴下された。反応物が室温で一晩撹拌された。水が加えられ、そして、生成物がDCMで3回抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、そして、濃縮された。粗生成物が、水中、40~75%のACN(0.1%のTFAを含む)のグラジエントを使用した逆相クロマトグラフィーによって精製されて4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボン酸メチル(16.6mg)を得た。MS(ES+) m/z 530.4 (M+H)+
【0316】
適切な出発物質を使用して、実施例72に記載された手順と類似の手順に従って、以下の化合物が調製された。
【0317】
実施例73:4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボン酸エチル
【0318】
【化80】
【0319】
MS(ES+) m/z 544.4 (M+H)+
【0320】
実施例74:4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐N,N‐ジメチル‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボキサミド
【0321】
【化81】
【0322】
i) 実施例72、工程ii)で得られた生成物(50mg)、DMAP(20mg)及びジメチルアミンHCl(12mg)がDCM(1mL)中に溶解された。EDC(30mg)が添加され、そして、反応物が室温で一晩撹拌された。水が加えられ、そして、生成物がDCMで3回抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、そして、濃縮された。粗生成物が、水中、40~75%のACN(0.1%のTFAを含む)のグラジエントを使用して、逆相クロマトグラフィーによって精製されて、4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐N,N‐ジメチル‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボキサミド(9.3mg)を得た。MS(ES+) m/z 543.4 (M+H)+
【0323】
適切な出発物質を使用して、実施例74に記載された手順と類似の手順に従って、以下の化合物が調製された。
【0324】
実施例75:4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐N,N‐ジエチル‐6‐オキソ‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐5‐カルボキサミド
【0325】
【化82】
【0326】
MS(ES+) m/z 571.5 (M+H)+
【0327】
実施例76:4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐1H,2H,3H,4H,6H‐ピロロ[3,4‐b]ピリジン‐2‐オン
【0328】
【化83】
【0329】
i) 適切な出発物質を使用して、実施例1、工程i)に記載された手順と類似の手順に従って、4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシベンズアルデヒドが得られた。
【0330】
ii) (エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(3.54g)が、Et2O(30mL)中のtBuOK(1.03g)の懸濁物に添加された。結果として得られた混合物が、50℃で30分間撹拌され、そして次に、室温に冷やされた。前の工程で得られた、Et2O(10mL)中に溶解された化合物(1.50g)が、反応混合物に添加された。反応物が一晩撹拌され、次に、水でクエンチされ、そして、水層がEt2Oで3回抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、そして、減圧下で濃縮された。粗生成物が、ヘプタン中、0~20%のEtOAcのグラジエントを使用して、シリカカラムで精製されて、エチル(E)‐3‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}プロプ-2-エノエート(1.42g)を得た。
【0331】
iii) 臭化ビニルマグネシウム(THF中1.0M,9.67mL)が、窒素雰囲気下、-40℃で、無水THF(15mL)中のフェニルスルファニル銅(558mg)の懸濁物に滴下された。反応が-25℃に到達され、そして、再び-40℃に冷やされた。前の工程で得られた、無水THF(15mL)中の化合物(1.4g)が滴下され、そして、反応物が-40℃で30分間撹拌された。反応が、混合物を飽和NH4Cl溶液中に注ぐことによってクエンチされた。得られた固形物が濾別され、濾液がEtOAcで2回抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、そして、減圧下で濃縮された。粗生成物が、ヘプタン中、0~30%のEtOAcののグラジエントを使用して、シリカカラムにおいて精製されて、エチル3‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}ペント‐4‐エノエート(279mg)を得た。
【0332】
iv) 前の工程で得られた生成物(275mg)、TEMPO(38mg)及びtBuONO(157μL)が、1,4-ジオキサン(5mL)中で溶解され、80℃で加熱され、そして、一晩撹拌された。水が反応に加えられ、そして、水層がDCMで3回抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、そして、減圧下で濃縮された。粗生成物が、ヘプタン中、0~30%のEtOAcのグラジエントを使用して、シリカカラムにおいて精製されて、エチル(E)‐3‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐5‐ニトロペント‐4‐エノエート(95mg)を得た。
【0333】
v) TOSMIC(37mg)が、-78℃で、無水THF(1mL)中、tBuOK(42mg)の溶液に加えられ、そして、10分間撹拌された。前の工程で得られた化合物(95mg)が無水THF(4mL)中に溶解され、そして、反応混合物に滴下された。-78℃で10分間撹拌された後、反応物が飽和NH4Cl水溶液中に注がれ、そして、水層がEtOAcで3回抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、そして、減圧下で濃縮された。粗生成物が、ヘプタン中、0~70%のEtOAcのグラジエントを使用して、シリカカラムにおいて精製されて、3‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐3‐(4‐ニトロ‐1H‐ピロール‐3‐イル)プロピオン酸エチル(48 mg)を与えた。
【0334】
vi) 前の工程で得られた、AcOH(1.5mL)中の化合物(45mg)の溶液に、亜鉛粉(54mg)が加えられた。反応物が50℃に加熱され、そして、30分間撹拌された。反応混合物がセライトで濾過され、そして、フィルターケーキがEtOAcですすがれた。ろ液が、飽和NaHCO3水溶液、そして水で洗われ、そして次に、MgSO4で乾燥され、そして、減圧下で濃縮された。粗生成物が、水中、40~90%のCANのグラジエントを使用して、逆相クロマトグラフィーによって精製されて、4‐{4‐[3,5‐ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐1H,2H,3H,4H,6H‐ピロロ[3,4‐b]ピリジン‐2‐オン(8.7mg)を得た。MS(ES+) m/z 471.4 (M+H)+
【0335】
実施例77:4‐{4‐[3‐(ジフルオロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0336】
【化84】
【0337】
i) 4-フルオロ-3-メトキシ-ベンゾニトリル(250mg)、3-ドロキシ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(0.23mL)及びK2CO3(457mg)が、DMF(10mL)中に懸濁された。反応物が90℃に加熱され、一晩撹拌された。反応物が室温に冷やされ、そして、水とEtOAcに分配された。水層がEtOAcでさらに2回抽出され、そして、一緒にされた有機層が塩水で洗われ、MgSO4で乾燥され、そして、濃縮された。粗生成物が、水中、10~100%のCANのグラジエントを使用して、逆相クロマトグラフィーによって精製されて、4-[3-ホルミル-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシ-ベンゾニトリル(46mg)を得た。
【0338】
ii) 前の工程で得られた生成物(96mg)が、窒素雰囲気下、DCM(6mL)中に溶解された。DAST(0.14mL)が滴下され、そして、反応物が室温で一晩撹拌された。反応物が水浴上に置かれ、そして、飽和NaHCO3溶液(15mL)が加えられた。混合物が、10分間激しく撹拌された。水層がDCMで2回抽出された。一緒にされた有機層がMgSO4で乾燥され、そして、濃縮されて4-[3-(ジフルオロメチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシ-ベンゾニトリル(102mg)を与えた。
【0339】
iii) 前の工程で得られた化合物(101mg)が、窒素雰囲気下、トルエン(4.5mL)中に溶解され、そして、0℃に冷やされた。トルエン中の1.2MのDiBAl-H溶液(0.37mL)が滴下され、そして、反応物が1.5時間撹拌された。6Nの水性HCl(1.5mL)が加えられ、そして、混合物が、泡立ちが止まるまで撹拌された。混合物が室温まで温められ、そして、EtOAcと半飽和NaHCO3水溶液とで分配された。水層がEtOAcで2回さらに抽出され、そして、一緒にされた有機層が塩水で洗われ、MgSO4で乾燥され、そして、濃縮された。粗生成物が、ヘプタン中、0~25%のEtOAcのグラジエントを使用して、シリカカラムで精製されて、4-[3-(ジフルオロメチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシ-ベンズアルデヒド(71mg)を得た。
【0340】
iv) 実施例1、工程ii)に記載された手順と類似の手順に従って、前の工程において得られた化合物が、4‐{4‐[3‐(ジフルオロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン(28mg)に転化された。MS(ES+) m/z 454.4 (M+H)+
【0341】
実施例78:4‐{4‐[2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0342】
【化85】
【0343】
i) 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゾニトリル(250mg)、2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(322mg)及びK2CO3(463mg)が、DMF(8mL)中に懸濁され、そして、90℃で、2.5時間撹拌された。反応物が室温に冷やされ、そして、水とEtOAcとに分配された。水層がEtOAcで2回さらに抽出され、そして、一緒にされた有機層が塩水で洗われ、MgSO4で乾燥され、濃縮された。粗生成物が、ヘプタン中、0~30%のEtOAcのグラジエントを使用して、シリカカラムで精製されて、4-[2-ホルミル-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシ-ベンゾニトリル(402mg)を得た。
【0344】
ii) 適切な出発物質を使用して、実施例77、工程ii)~工程iv)に記載された手順と類似の手順に従って、前の工程において得られた化合物が、4‐{4‐[2‐(ジフルオロメチル)‐4‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン(78mg)に転化された。MS(ES+) m/z 454.4 (M+H)+
【0345】
実施例43の単一のエナンチオマーは、キラル分離によって得られることができる。2gのラセミの実施例43がEtOH(50mg/mL)中に溶解された。溶液が、IGカラム(Daicelから入手可能,アミロース トリス(3-クロロ-5-メチルフェニルカルバメート)キラル固定相)及び30%のEtOH、70%の液体CO2のアイソクラティックグラジエントを使用して、キラルSFCに何度も注入されて、99.6%の鏡像異性体過剰率で0.9gの(+)エナンチオマー(実施例79)、及び99.0%の鏡像異性体過剰率で0.9gの(-)エナンチオマー(実施例80)を得た。エナンチオマーの光学純度は、キラルHPLCによって決定された。
【0346】
実施例79~86の化合物の絶対配置は知られていない。これらの化合物はDMSO(10mg/mL)中に溶解され、そして、下記の構成を有するJasco P-2000旋光計を使用して、それらの光回転によって特徴づけられた:タングステンハロゲン(WI)光源;グランテイラープリズムポラライザー(Glan-Taylor Prism Polarizer);クォーツファラデーセル(Quartz Faraday Cell);及び、589nmのモニター波長。
【0347】
実施例79:(+)-4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0348】
実施例80:(-)-4-{4-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]-3-メトキシフェニル}-2H,4H,5H,6H,7H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-オン
【0349】
適切な出発物質及びHPLC方法を使用して、実施例79及び80に記載された手順と類似の手順
【0350】
実施例81:(+)-4‐[4‐(3,5‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0351】
実施例82:(-)-4‐[4‐(3,5‐ジメチルフェノキシ)‐3‐メトキシフェニル]‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0352】
実施例83:(+)-4‐{3‐メトキシ‐4‐[3‐メチル‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0353】
実施例84:(-)-4‐{3‐メトキシ‐4‐[3‐メチル‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]フェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0354】
実施例85:(+)-4‐{4‐[3‐(ジフルオロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0355】
実施例86:(-)-4‐{4‐[3‐(ジフルオロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)フェノキシ]‐3‐メトキシフェニル}‐2H,4H,5H,6H,7H‐ピラゾロ[3,4‐b]ピリジン‐6‐オン
【0356】
実施例87
【0357】
ERRαアルファースクリーンアッセイ(AlphaScreen Assay)
このアッセイは、核内受容体(nuclear receptors)がリガンド依存性物質における補因子と相互作用するという知識に基づいた。相互作用の部位は、活性化補助因子(co-activator)配列中に存在するLXXLLモチーフにマッピングされている。該LXXLLモチーフを含む短いペプチド配列は、全長活性化補助因子の挙動を模倣する。
【0358】
本明細書に記載されている該ERRαアルファースクリーンアッセイは、活性化補助因子ペプチドと、精製された細菌発現ERRαリガンド結合ドメイン(ERRα-LBD:ERRα ligand binding domain)との相互作用に依存し、リガンドが結合すると、ERRαタンパク質はコンフォメーション変化を起こす可能性があり、活性化補助因子結合の喪失を結果として生じる。
【0359】
本発明の化合物は、AlphaScreen(登録商標)テクノロジー(Perkin Elmer)を使用して、活性化補助因子ペプチドへのERRα-LBDタンパク質の結合を破壊するそれらの能力について試験された。ERRα-LBDタンパク質は、6xHis 小さなユビキチン様修飾因子(SUMO:Small Ubiquitin-like Modifier)融合体として大腸菌において発現された。細菌で発現した6His-SUMO-ERRα-LBDタンパク質は、アフィニティークロマトグラフィーを使用して精製された。全ての実験は、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、100mM NaCl、0.1% Pluronic F-127、0.05%BSA、及びバッファーとして5mM TCEPを使用して、384個のウェルの白色非結合プレート(white non-binding plates)(Greiner)において室温で実施された。アッセイにおける最終DMSO濃度は1%であった。化合物が3回アッセイされ、そして0.81nMのERRα-LBDタンパク質と10μg/mLのストレプトアビジンドナービーズ及び10μg/mLのNi-キレートアクセプタービーズと、室温で、1時間インキュベートされ、続いて、アミノ酸202~220に対応する15nMのビオチン-PGC1α-3ペプチド(QRRPCSELLKYLTTNDDPP)と2時間インキュベートされた。
【0360】
AlphaScreenシグナルが、Envision Xciteプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して測定された。データは正規化され、そして、カーブフィッティング分析が、4つのパラメーター用量応答フィット(four-parameter dose-response fit)を使用してGraphPad Prism7において実行された。
【0361】
式Iの全ての例示された化合物(実施例1~86)は、5以上の平均pIC50値を有することがわかった。
【0362】
実施例1、2、4、5、6、7、14、17、20、21、22、24、25、26、49、59、60、65、66、71、72、79、81、83、及び85、平均pIC50値が、6以上7未満であることがわかった。
【0363】
実施例10、12、15、23、28、30、31、40、41、42、43、44、45、46、47、48、52、53、54、55、56、57、58、61、64、76、77、7、及び82は、平均pIC50値が、7以上8未満であることがわかった。
【0364】
実施例27、29、32、33、34、35、36、37、38、39、63、67、68、69、70、80、84、及び86は、平均pIC50値が、8以上であることがわかった。
【0365】
実施例88
完全長ERRαレポーター遺伝子アッセイ
実施例の阻害剤 1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、17、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、及び86が、完全長ERRαレポーター遺伝子アッセイにおけるERRα活性を阻害するそれらの能力について試験された。
【0366】
ヒト種の核内受容体ERRαに対する逆アゴニスト活性を有する化合物の効力を定量的にスクリーニングする為の方法が確立された。このアッセイは、完全長ERRαをコードする過剰発現コンストラクト(over-expression construct)と、ERRα応答エレメント(RE:Response Element)、及び読み取り用のルシフェラーゼ遺伝子とを含むレポーターコンストラクト(reporter construct)を使用して、SK-BR-3細胞におけるERRαインバースアゴニストの細胞内スクリーニングを可能にする。該活性はlogIC50値で表され、且つ化合物ファミリーのSARを決定する為に又は化合物の選択を解除する為に使用されることができる。
【0367】
このアッセイにおいて、レポーター細胞は、標準的なトランスフェクション技術を使用して、SK-BR-3細胞における2つのコンストラクトの一過性コトランスフェクションによって得られる。第1のコンストラクトには、核内受容体ERRαの応答エレメントを含む(プラスミドpLP2175,レポーターコンストラクトERRα-RE/luc2P,ERRa_v2_synthREのクローニングされた変異体,Switchgear Genomics,カタログ番号S900089)。この配列は、2番目のコンストラクトによってコードされるERRαタンパク質の結合に応答してルシフェラーゼレポーター遺伝子の転写を駆動する(プラスミドpLP2124:バックグラウンドとしてpcDNA3.1/Hygro(+)を使用する完全長ERRα発現コンストラクト,Invitrogenカタログ番号V87020)。過剰発現された全長ERRαは構成的に活性であり、それ故に、ルシフェラーゼの発現が、核内受容体ERRαのインバースアゴニストによって低下される。
【0368】
トランスフェクションの翌日、細胞が96ウェルプレート内に播種され、試験化合物が添加され、そしてプレートが一晩インキュベートされた。続いて、ホタルルシフェラーゼ活性が、ルシフェラーゼ検出試薬と発光の読み取りを使用して定量化された。
【0369】
詳細なアッセイの説明
トランスフェクションは、T175フラスコ内の事前に播種されたSK-BR-3細胞において実行される。トランスフェクションされた細胞のコンフルエンシーに依存して、翌日3~4個のMW96プレートを播種する為には1つのトランスフェクションされたT175フラスコで十分である。
【0370】
2つの異なる培地が、このプロトコルにおいて、細胞処理の為に使用される:1)培地、すなわち、フェノールレッドを含むマッコイの5a(McCoy’s 5a)(BioWhittakerサプライヤー番号12-688F)、10%FBS、及びPenstrep.;及び、2)アッセイ培地、Penstrep.;2%チャコールストリップド(Charcoal Stripped)FBS及び1xPenstrep.を有する、マッコイの5a培地フェノールレッドフリー(HyCloneの製品コードSH30270.01)。化合物の希釈液が、アッセイ培地において調製される。
【0371】
トランスフェクションの前に細胞をフラスコに十分に接着させることを可能にする為に、細胞が少なくとも2日前に播種される。トランスフェクションの日、細胞は50~80%コンフルエントである必要がある。
【0372】
SKBR3細胞は、転写レポーターコンストラクトpLP2175及びERRα発現コンストラクトpLP2124でトランスフェクションされた(上記された通り)。
【0373】
68μLのLipofectamineLTXトランスフェクション試薬(Invitrogenカタログ番号15338-100)が、8.9mlのOpti-MEM I還元血清培地(Gibcoカタログ番号51985-026)に滴下され、そして、室温で、5~20分間インキュベーションされた。8.9mlのこの試薬混合物が22μgのpLP2175+22μgのpLP2124(比率1:1、及び総量10ml)に添加され、そして、室温で25分間インキュベーションされた。
【0374】
T175フラスコ内のSKBR3細胞にトランスフェクションミックスを加える10分前に、該培地が、20mLの培地でリフレッシュされた。続いて、10mLのDNA-Opti-MEM-Lipofectamine混合物が細胞に穏やかに添加され、続いて、37°C及び5%CO2で一晩(16~24時間)インキュベーションされた。
【0375】
T175フラスコからSKBR3細胞を収穫する為に、最初に培地が除去された。続いて、細胞がリン酸緩衝生理食塩水(PBS:Phosphate Buffered Saline)(Lonza)で洗われ、その後、該PBSが除去された。細胞を分離するために、2mlのTrypLE Express(Invitrogen)がフラスコに加えられ、引き続き、37℃で5分間インキュベーションされた。細胞が底から外れるまでフラスコが軽くたたかれた。細胞が8mLの培地(マッコイの5a,10%のFBS,penstrep)に回収され、単一細胞懸濁液を達成した。細胞数が数えられた後、細胞が300gで5分間スピンダウンされた。次に、細胞ペレットが25000細胞/80μLアッセイ培地(マッコイの5aフェノールレッドフリー,2%チャコールストリップドFBS、penstrep.)に再懸濁された。
【0376】
化合物スクリーニングの為に、細胞が収穫された(上記された通り)。80μLの細胞懸濁液(25,000細胞)が、ウェルごとに、白色の、平底の組織培養処理された、96ウェルスクリーニングプレート(Greiner)に播種された。
【0377】
試験化合物が、10mMジメチルスルホキシド(DMSO)原液から開始して、3つの希釈ステップで希釈された。最初の希釈ステップは、DMSOで4倍の12ポイント段階希釈であった。これらの希釈液は、2%チャコールストリップドFBSとpenstrep.を含むフェノールレッドフリーのアッセイ培地でさらに10倍に希釈された。最後のステップは、アッセイ培地でさらに20倍希釈されて、DMSO濃度が0.5%の5倍濃縮希釈液を得ることであった。最後のステップとして、化合物の希釈液がセルプレート内で5倍に希釈された。
【0378】
DMSO希釈系列が12の濃度で構成され、該セルプレートの最終濃度は10μM~2.4fMの範囲であった。
【0379】
該プレートが37℃及び5%CO2で一晩(16~24時間)インキュベーションされた。
【0380】
ルシフェラーゼを読み取る為に、ルシフェラーゼ試薬(BriteLite Plus,Perkin Elmer)が室温に戻された。スクリーニングプレートの各テストウェルに、2.5倍希釈されたBriteLite Plus試薬100μLが添加され、室温で5分間インキュベーションされた。ルシフェラーゼ発光シグナルは、Wallac Victor Microplate Reader(Perkin Elmer)を使用して測定された。
【0381】
試験化合物についての最大阻害濃度の半分の値(IC50)は、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software)を使用してルシフェラーゼシグナルから計算された。
【0382】
式Iの例示された化合物から、実施例10、29、32、33、34、35、37、38、39、40、41、43、63、67、68、69、70、84、及び86は、平均pIC50値は6.5以上であることがわかった。
【0383】
実施例89
B16F10黒色腫同系マウスモデル
実施例の阻害剤80が、B16F10黒色腫同系マウスモデルにおいて、腫瘍増殖を阻害するその能力について試験された。
【0384】
細胞株及び腫瘍モデル:C57BL/6マウスにおけるB16F10黒色腫細胞株由来の同種移植モデル(allograft model)。
【0385】
マウスB16F10黒色腫細胞が、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC:American Type Culture Collection)(米国)から供給された。細胞が、10%FBS(Invitrogen,カタログ番号10438-026)及び1%ペニシリンストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific,カタログ番号15140-122)を添加されDMEM(Invitrogen,カタログ番号31600-034)で培養された。同種移植片(allografts)を確立する為に、細胞が約70~80%のコンフルエンスに達したときにトリプシン処理によって細胞が収穫され、そして、10万個のB16F10細胞が50μLの無血清培地中に懸濁され、そして、マトリゲル(matrigel)と1:1の比で混合されてから、24ゲージの針に取り付けられた1mLのBDシリンジを使用して、マウスの背側右脇腹に皮下移植された。
【0386】
B16F10腫瘍移植片(tumor grafts)は、それらが触知可能になってから5日間の細胞接種後に測定された。各グループの平均腫瘍体積がグループ間で同じに保たれるように、腫瘍体積と動物の数を維持しながら、動物を異なる治療グループに無作為化した後に、平均腫瘍体積が約58mm3に達したときに動物に投与された。投与は、キログラム当たりの体重に基づいて、口から(経口(per os)、すなわちp.o.)、1日1回(quaque die、すなわちq.d)で行われた。
【0387】
腫瘍の大きさ(長さ(l:length)と幅(b:breadth))は、腫瘍の体積に基づいて動物が無作為化された日に(1日目)、そして、その後は研究が終了するまで、週に3回、ノギスで測定された。腫瘍体積は、式b2*l*0.52(ここで、l=長さ、b=幅)を使用して計算された(Dusan Djokovic et al.,BMC Cancer,2010,10:641)。腫瘍増殖阻害は、所与の日の腫瘍体積を1日目の腫瘍体積に正規化した後に計算された。
【0388】
腫瘍体積が平均58mm3に達したときに、試験項目の投与が開始された。
【0389】
試験項目の投与は14日目まで実施され、そして、腫瘍体積の測定が、腫瘍増殖阻害(TGI:tumor growth inhibition)のパーセントを計算する為に、13日目まで実施された。該研究の結果が、下記の表1にリストされている。
【0390】
【表1】
【0391】
前述の説明及び実施例を考慮すると、当業者は、特許請求の範囲から逸脱すること無しに、その同等の修正が行われることができることが明らかであろう。
【国際調査報告】