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特表2023-501087前十字靭帯にかかる生体内力を計算する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】前十字靭帯にかかる生体内力を計算する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20230111BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61B5/00 101L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522805
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 AU2019051129
(87)【国際公開番号】W WO2021072474
(87)【国際公開日】2021-04-22
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1 Computer Methods and Programs in Biomedicine,2020,Volume 184,pages 1-8,’Modelling the loading mechanics of anterior cruciate ligament’,27 September 2019 (コンピューター メソッド アンド プログラム イン バイオメディシン,2020,ボリューム184,1~8頁,「モデリング ザ ローディング メカニクス オブ アンテリア クルシエイト リゲメント」,2019年9月27日)
(71)【出願人】
【識別番号】522151824
【氏名又は名称】グリフィス大学
(71)【出願人】
【識別番号】522151835
【氏名又は名称】クイーンズランド大学
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド サックスビー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロイド
(72)【発明者】
【氏名】アザデハ ナセリ
(72)【発明者】
【氏名】ハーミド カタイ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038VA02
4C038VA04
4C038VB14
4C038VC05
4C117XB01
4C117XD34
4C117XE19
4C117XE26
4C117XE27
4C117XE43
4C117XH11
4C117XJ17
(57)【要約】
生体力学的スクリーニングタスク中に1つまたは複数の生体力学的特性を測定して、測定された1つまたは複数の生体力学的特性から1つまたは複数の生体力学的データを得て、1つまたは複数の生体力学的データをACL力モデルへの入力として使用して、ACL力モデルから前十字靭帯にかかる総負荷を計算することによって、前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算する方法。ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)、矢状-横断(ST)、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の相互作用関係であり、ここでj=SF、ST、FTである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算するための方法であって、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することと、
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前記1つまたは複数の生体力学的特性の前記監視から1つまたは複数の生体力学的データを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として前記1つまたは複数の生体力学的スクリーニングデータを受け取ることと、
前記コンピュータ実装ACL力モデルから前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前十字靭帯にかかる生体内力を計算することを含み、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは前記ACLにかかる総力であり、
CTは矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)、および前頭-横断(FT)面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
方法。
【請求項2】
であり、式中、α=1.8x10-4±5.6x10-7,α=0.02±0.1x10-4,α=1.16±0.005,α=32.15±0.02,α=3.9x10-5±1.8x10-4,およびα=-0.022±2.3x10-5であり、FADは前方力引き出しであり、θは、膝関節屈曲角度であり、
であり、
式中、内反モーメントではb=-0.0014±0.1x10-3,b=0.18±0.01,b=-6.8±0.21,b=23.85±2.03,b=-0.14±0.03であり、外反モーメントではc=-0.001±3.6x10-8,c=0.08±3.2x10-6,c=2.5±5.2x10-5,c=-3.3±0.6x10-5,c=-0.04±6.7x10-7,c=29.3±0.3x10-4,およびc=0.02±3x10-7であり、
は、膝関節内反モーメントであり、
は、膝関節外反モーメントであり、θは、膝関節屈曲角度であり、
であり、
式中、内回転モーメントではm=-0.005±2.4x10-7,m=0.63±0.2x10-4,m=-20.03±3.8x10-3,m=36.6±3.4x10-2,m=-0.04±7.1x10-6であり、外回転モーメントではn=0.001±2x10-3,n=-0.16±0.02,n=7.8±0.4,n=23.3±2.5,n=-0.06±0.01であり、
は、膝関節の内回転モーメントであり、
は、膝関節の外回転モーメントであり、θは、膝関節屈曲角度であり、
であり、
式中、内反モーメントではp=-0.84±8.2x10-6,p=-0.004±6.9x10-8,p=2.9±1.3x10-5,およびp=-0.041±1.02x10-7であり、外反モーメントではq=39.1±1.4x10-4,q=0.002±9.7x10-10,q=8.7±1.9x10-6,およびq=-0.03±3.4x10-9であり、
であり、
式中、内回転ではv=6.8x10-3±1.1x10-9,v=-32.2±3.6x10-3,およびv=0.01±1.8x10-7であり、外回転ではw=-0.81±2.8x10-6,w=-0.003±1.3x10-7,w=-67.9±4.3x10-4,およびw=-0.001±1.8x10-7であり、CTFT=0である
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被験者の前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力のコンピュータモデルを作成するための方法であって、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、前記被験者は靴を履いていない、監視することと、
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前記1つまたは複数の生体力学的特性の前記監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第1のセットを生成することと、;
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的スクリーニングデータの前記第1のセットを受け取ることと、
前記コンピュータ実装ACL力モデルから、前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前十字靭帯にかかる第1の生体内力を計算することを含み、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTであり、
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、前記被験者は靴を履いている、監視することと、
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前記1つまたは複数の生体力学的特性の前記監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第2のセットを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的スクリーニングデータの第2のセットを受け取ることと、
前記コンピュータ実装ACL力モデルから、前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前十字靭帯にかかる第2の生体内力を計算することを含み、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および矢状-前頭(FT)面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
方法。
【請求項4】
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前記前十字靭帯にかかる前記第1の生体内力と、前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前記前十字靭帯にかかる前記第2の生体内力との間の差を計算することをさらに含む
請求項3に記載の前十字靭帯にかかる生体内力を計算する方法。
【請求項5】
異なる対の靴を着用して動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力のコンピュータモデルを作成するための方法であって、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、前記被験者は、第1の対の靴を着用している、監視することと、
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前記1つまたは複数の生体力学的特性の前記監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第1のセットを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的スクリーニングデータの前記第1のセットを受け取ることと、
前記コンピュータ実装ACL力モデルから、前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前十字靭帯にかかる第1の生体内力を計算することを含み、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、前記被験者は、第2の対の靴を着用している、監視することと、
前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前記1つまたは複数の生体力学的特性の前記監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第2のセットを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的スクリーニングデータの前記第2のセットを受け取ることと、
前記コンピュータ実装ACL力モデルから、前記動的運動タスクを実行する前記被験者の前十字靭帯にかかる第2の生体内力を計算することを含み、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
方法。
【請求項6】
1つまたは複数の電子プロセッサを動作させて前十字靭帯にかかる生体内力を計算する方法であって、
1つまたは複数の生体力学的データをACL力モデルに入力することと、
前記1つまたは複数の入力された生体力学的データを使用して、前記ACL力モデルから前十字靭帯にかかる総負荷を計算することを含み、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)平面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の電子プロセッサにアクセス可能な電子記憶装置アセンブリから前記1つまたは複数の生体力学的データを取得することをさらに含む
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ACL力モデルを実行するように構成されたソフトウェアプログラムであって、
前記ソフトウェアプログラムは、
1つまたは複数の生体力学的データをデータ入力として受け取り、
前記ACL力モデルおよび前記ACL力モデルへのデータ入力とする前記1つまたは複数の生体力学的データを使用して、1つまたは複数の電子プロセッサの動作を介して、前十字靭帯にかかる生体内力を計算するように動作可能であり、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTjは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)平面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
ソフトウェアプログラム。
【請求項9】
前記ソフトウェアプログラムが、前記1つまたは複数の生体力学的データを、前記ソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータのディスプレイ上のグラフィカルユーザインターフェースを介して受け取るようにさらに動作可能である
請求項8に記載のソフトウェアプログラム。
【請求項10】
前記ソフトウェアプログラムが、前記1つまたは複数の生体力学的データを、前記プログラムされたソフトウェアがインストールされた前記コンピュータのデータベースまたはメモリから前記ソフトウェアプログラムにアップロードされた入力ファイルとして受け取るようにさらに動作可能である
請求項9に記載のソフトウェアプログラム。
【請求項11】
前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算するためのシステムであって、
被験者が動的運動タスクを含む生体力学的スクリーニングタスクを実行するように構成された生体力学的スクリーニングシステムであって、前記生体力学的スクリーニングシステムが、前記動的運動タスクを実行する前記被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視するための1つまたは複数の生体力学的特性監視装置を備え、前記1つまたは複数の生体力学的監視装置が、1つまたは複数の生体力学的データを生成する、生体力学的スクリーニングシステムと、
1つまたは複数の電子機器を有し、ソフトウェア製品がインストールされたコンピュータであって、前記ソフトウェア製品は、
前記1つまたは複数の生体力学的データをデータ入力として受け取り、
ACL力モデルと、前記ACL力モデルへの入力とする前記1つまたは複数の生体力学的データからの前記データ入力とを使用して、前記1つまたは複数の電子プロセッサの動作を介して、前十字靭帯にかかる生体内力を計算することによって、前記ACL力モデルから前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算するために前記コンピュータの前記1つまたは複数の電子プロセッサを動作させるように構成される、コンピュータとを備え、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)平面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
システム。
【請求項12】
前記ソフトウェア製品が、前記コンピュータのディスプレイ上に前記計算された総負荷のグラフィカル表現を生成するように構成される
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記動的運動タスクが、ドロップ着地試験を含む
請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記生体力学的スクリーニングシステムの前記1つまたは複数の生体力学的特性監視装置が、
前記被験者に取り付けるための少なくとも1つの筋電図(EMG)センサ、
複数のモーション・キャプチャ・カメラと、前記被験者に取り付けるための複数の再帰反射マーカとを備えるモーション・キャプチャ・システムであって、前記複数のモーション・キャプチャ・カメラが、前記再帰反射マーカを追跡するように構成される、モーション・キャプチャ・システム、および
前記被験者の3次元地面反力負荷を測定するように構成された少なくとも1つの地面埋め込み力プラットフォームのうちの少なくとも1つを備える
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記生体力学的スクリーニングシステムの前記1つまたは複数の生体力学的特性監視装置が、
前記被験者に取り付けるための少なくとも1つの筋電図(EMG)センサと、
複数のモーション・キャプチャ・カメラと、前記被験者に取り付けるための複数の再帰反射マーカとを備えるモーション・キャプチャ・システムであって、前記複数のモーション・キャプチャ・カメラが、前記再帰反射マーカを追跡するように構成される、モーション・キャプチャ・システムと、
前記被験者の3次元地面反力負荷を測定するように構成された少なくとも1つの地面埋め込み力プラットフォームとを備える
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記再帰反射マーカのマーカ軌道が、6Hzのローパスカットオフ周波数を有する二次のゼロ遅延バターワースフィルタによってフィルタリングされる
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記地面埋め込み力プラットフォームからの地面反力データが、6Hzのローパスカットオフ周波数を有する二次のゼロ遅延バターワースフィルタによってフィルタリングされる
請求項15または請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記EMGセンサからの信号が、バンドパスフィルタ(30~300HZの間)によってフィルタリングされ、全波整流され、複数のEMG線形包絡線を生成する6HZのカットオフ周波数を有する二次のバターワース・ローパス・フィルタで平滑化される
請求項15から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記EMG線形包絡線が、対応する筋肉の最大線形包絡線値に正規化される
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記生体力学的スクリーニングシステムの前記1つまたは複数の生体力学的特性監視装置が、モーション・キャプチャ・システムを備える
請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
前記モーション・キャプチャ・システムが、
複数の慣性測定ユニット、
電磁測定システム、および
人工知能ベースのシステムの1つまたは複数を備える
請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算する方法であって、
によって定義されるACL力モデルから前十字靭帯上にかかる総負荷を計算することを含み、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断面(ST)面、および前頭-横断(FT)面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
方法。
【請求項23】
前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算する方法であって、
生体力学的スクリーニングタスク中に1つまたは複数の生体力学的特性を測定して、前記測定された1つまたは複数の生体力学的特性から1つまたは複数の生体力学的データを得ることと、
前記1つまたは複数の生体力学的データをACL力モデルへの入力として使用して、前記ACL力モデルから前十字靭帯にかかる総負荷を計算することとを含み、
前記ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、前記ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断面(ST)面、および前頭-横断(FT)面における前記ACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである
方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、侵襲的な技術または手順なしに被験者の前十字靭帯にかかる生体内力を計算する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の方法、装置または文書へのいかなる言及も、それらが共通の一般知識の一部を形成した、または形成するという証拠または承認を構成するものととらえられるものではない。
【0003】
前十字靭帯(ACL)は、膝関節の安定性において重要な役割を果たし、最も一般的に損傷を受ける膝靭帯である。
【0004】
ACL負荷パターンは特定の条件下(すなわち、死体実験、検証されていないモデル、または新しい条件への拡張性のないモデル)で調査されているが、ACLに伝達される膝関節負荷間の相互作用は不明のままであり、ACL損傷を防ぐための取り組みを阻害する。
【0005】
ACLは、主要な関節内膝靭帯であり、膝関節の安定性において重要な役割を果たす。非接触ACL破裂は、特にスポーツ選手の間で共通する消耗性の傷害であり、通常、運動選手間の接触なしに起こる。これらの非接触ACLの破裂は、早期発症変形性膝関節症などの深刻で長期的な健康上の影響をもたらすことが多い。
【0006】
非接触ACL損傷のビデオ分析および関節内損傷パターンの医用画像は、着地、方向転換、および旋回運動タスクが非接触ACL損傷に関連することを示唆する。
【0007】
3つの運動面(すなわち、矢状面、前頭面および横断面)に加えられる外部膝関節負荷がACLの破裂および損傷の原因となることが分かっている。しかし、外部膝関節負荷が動的運動タスク中に筋肉、接触する関節体、および他の軟組織の相互作用を介してACLに伝達される仕組みは、解明されていない。
【0008】
いくつかの以前の研究では、ACL力(すなわち、ACLに加えられる力)をモデル化したが、単純な負荷条件によって制限されており、実験的に観察されたACL力を正確に予測することができなかったか、または限られたサンプルデータに基づいてしか開発されなかった。例えば、いくつかの以前のモデルは、複数平面の外部膝関節負荷に応答するACL力が、複数の独立した単平面負荷によって及ぼされる力の合計に等しいと仮定している。しかし、実験は、ACL力が各平面における力の純粋な合計によっては定義されないという証拠をもたらした。
【0009】
いくつかの以前の研究は、全身解剖学的モデル内のACLの明示的な表現、および力学的最適化を使用して筋力を導き出す。しかし、これらのアプローチには2つの重大な欠点がある。第1に、ACLの明示的な表現は、膝関節および過剰な関節組織(すなわち、軟骨、半月板、およびカプセル)の被験者特異的な解剖学的情報、ならびにACL、他の膝靭帯、および関節組織の力学的特性を必要とする。これらのデータを取得することは、生来の膝関節組織の被験者固有の力学的特性を測定するための認められた非侵襲的方法がないため、簡単ではない。
【0010】
さらに、もし存在しても、そのような非侵襲的技術はリソースを集中的に要する可能性が高く、したがって適合する臨床用途が限定的である。
【0011】
第2に、筋力を決定するために典型的に使用される力学的最適化は、筋肉協調のいくつかの経験的に観察される特徴を予測する可能性は低く、タスク特異的な制御目的および病理学に影響を与えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、侵襲的な技術または手順なしに、被験者特異的ベースでACL力を定量化するためのモデルを特定する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの形態では、前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算する計算方法であって、
生体力学的スクリーニングタスク中に1つまたは複数の生体力学的特性を測定して、測定された1つまたは複数の生体力学的特性から1つまたは複数の生体力学的データを得ることと、
1つまたは複数の生体力学的データをACL力モデルへの入力として使用して、ACL力モデルから前十字靭帯にかかる総負荷を計算することとを含む、方法が、提供される。
【0014】
一実施形態では、神経筋骨格モデルが、1つまたは複数の生体力学的データから計算される。
【0015】
一実施形態では、方法は、1つまたは複数の生体力学的データから神経筋骨格モデルを構築することを含む。
【0016】
1つの実施形態では、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係であり、ここでj=SF、ST、FTである。
【0017】
一実施形態では、
であり、式中α=1.8x10-4±5.6x10-7,α=0.02±0.1x10-4,α=1.16±0.005,α=32.15±0.02,α=3.9x10-5±1.8x10-4,およびα=-0.022±2.3x10-5であり、FADは、前方引き出し力であり、θは、膝関節屈曲角である。
【0018】
一実施形態では、
であり、
式中 内反モーメントではb=-0.0014±0.1x10-3,b=0.18±0.01,b=-6.8±0.21,b=23.85±2.03,b=-0.14±0.03であり、外反モーメントではc=-0.001±3.6x10-8,c=0.08±3.2x10-6,c=2.5±5.2x10-5,c=-3.3±0.6x10-5,c=-0.04±6.7x10-7,c=29.3±0.3x10-4,およびc=0.02±3x10-7であり、
は膝内反モーメントであり、
は膝外反モーメントであり、θは、膝関節屈曲角である。
【0019】
一実施形態では、
であり、
式中、内回転モーメントではm=-0.005±2.4x10-7,m=0.63±0.2x10-4,m=-20.03±3.8x10-3,m=36.6±3.4x10-2,m=-0.04±7.1x10-6であり、外回転モーメントではn=0.001±2x10-3,n=-0.16±0.02,n=7.8±0.4,n=23.3±2.5,n=-0.06±0.01であり、
は膝の内回転モーメントであり、
は膝の外回転モーメントであり、θは、膝関節屈曲角である。
【0020】
一実施形態では、
であり、
式中、内反モーメントではp=-0.84±8.2x10-6,p=-0.004±6.9x10-6,p=2.9±1.3x10-5,およびp=-0.041±1.02x10-7であり、外反モーメントではq=39.1±1.4x10-4,q=0.002±9.7x10-10,q=8.7±1.9x10-6,およびq=-0.03±3.4x10-9である。
【0021】
一実施形態では、
であり、
式中、内回転ではv=6.8x10-3±1.1x10-9,v=-32.2±3.6x10-3,およびv=0.01±1.8x10-7であり、外回転ではw=-0.81±2.8x10-6,w=-0.003±1.3x10-7,w=-67.9±4.3x10-4,およびw=-0.001±1.8x10-7である。
【0022】
一実施形態では、CTFT=0である。
【0023】
一実施形態では、方法は、3つの運動面のそれぞれにおいて前十字靭帯にかかる負荷を計算することを含む。
【0024】
一実施形態では、1つまたは複数の生体力学的データは、三次元で測定される。
【0025】
一実施形態では、三次元は、3つの運動面によって定義される。一実施形態では、3つの運動面は、
矢状面と、
横断面と、
前頭面とを備える。
【0026】
別の形態では、前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算する方法であって、
によって定義されるACL力モデルから前十字靭帯上にかかる総負荷を計算することを含み、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断面(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、方法が、提供される。
【0027】
一実施形態では、方法は、計算された総負荷のグラフィカル表現をコンピュータのディスプレイ上に生成することを含む。
【0028】
さらに別の形態では、1つまたは複数の電子プロセッサを動作させて前十字靭帯にかかる生体内力を計算する方法であって、
前記プロセッサにアクセス可能な電子記憶装置アセンブリ内の1つまたは複数の生体力学的データを取得することと、
1つまたは複数の生体力学的データと組み合わされたACL力モデルから前十字靭帯にかかる総負荷を計算することであって、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACL上の総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、方法が、提供される。
【0029】
さらに別の形態では、1つまたは複数の電子プロセッサを動作させて前十字靭帯にかかる生体内力を計算する方法であって、
1または複数の生体力学的データをACL力モデルに入力することと、
1つまたは複数の入力された生体力学的データから組み合わされたACL力モデルから前十字靭帯にかかる総負荷を計算することであって、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)平面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、方法が、提供される。
【0030】
さらに別の形態では、ACL力モデルを実行するように構成されたソフトウェアプログラムであって、ソフトウェアプログラムは、
1つまたは複数の生体力学的データをデータ入力として受け取り、
ACL力モデルと、ACL力モデルへのデータ入力とする1つまたは複数の生体力学的データとを使用して、1つまたは複数の電子プロセッサの動作を介して、前十字靭帯にかかる生体内力を計算するように動作可能である、ソフトウェアプログラムが、提供される。
【0031】
一実施形態では、ソフトウェアプログラムは、ソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータのディスプレイ上のグラフィカルユーザインターフェースを介して、1つまたは複数の生体力学的データを受け取る。代替的または追加的に、ソフトウェアプログラムは、1つまたは複数の生体力学的データを、プログラムされたソフトウェアがインストールされたコンピュータのデータベースまたはメモリからソフトウェアプログラムにアップロードされた入力ファイルとして受け取る。
【0032】
別の形態では、前十字靭帯(ACL)に対する生体内力を計算するためのシステムであって、
被験者が動的運動タスクを実行するように構成された生体力学的スクリーニングシステムであって、生体力学的スクリーニングシステムが、動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視するための1つまたは複数の生体力学的特性監視装置を備え、1つまたは複数の生体力学的監視装置が、1つまたは複数の生体力学的データを生成する、生体力学的スクリーニングシステムと、
1つまたは複数の電子機器を有し、ソフトウェア製品がインストールされたコンピュータであって、ソフトウェア製品は、
1つまたは複数の生体力学的データをデータ入力として受け取り、
ACL力モデルと、ACL力モデルへの入力とする1つまたは複数の生体力学的データからのデータ入力とを使用して、1つまたは複数の電子プロセッサの動作を介して、前十字靭帯にかかる生体内力を計算することによって、ACL力モデルから前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算するために、コンピュータの1つまたは複数の電子プロセッサを動作させるように構成される、コンピュータとを備える、システムが、提供される。
【0033】
一実施形態では、動的運動タスクは、ドロップ着地試験を含む。
【0034】
一実施形態では、生体力学的スクリーニングシステムの1つまたは複数の生体力学的特性監視装置は、モーション・キャプチャ・システムを備える。一実施形態では、モーション・キャプチャ・システムは、複数の慣性測定ユニット、電磁測定システム、および人工知能ベースのシステムの1つまたは複数を備える。
【0035】
一実施形態では、生体力学的スクリーニングシステムの1つまたは複数の生体力学的特性監視装置は、
被験者に取り付けるための少なくとも1つの筋電図(EMG)センサ、
複数のモーション・キャプチャ・カメラと、被験者に取り付けるための複数の再帰反射マーカとを備えるモーション・キャプチャ・システムであって、複数のモーション・キャプチャ・カメラは、再帰反射マーカを追跡するように構成される、モーション・キャプチャ・システム、および
被験者の3次元地面反力負荷を測定するように構成された少なくとも1つの地面埋め込み力プラットフォーム、の少なくとも1つを備える。
【0036】
一実施形態では、再帰反射マーカのマーカ軌道は、6Hzのローパスカットオフ周波数を有する二次のゼロ遅延バターワースフィルタによってフィルタリングされる。
【0037】
一実施形態では、地面埋め込み力プラットフォームからの地面反力データは、6Hzのローパスカットオフ周波数を有する二次のゼロ遅延バターワースフィルタによってフィルタリングされる。
【0038】
一実施形態では、EMGセンサからの信号は、バンドパスフィルタ(30~300HZの間)によってフィルタリングされ、全波整流され、複数のEMG線形包絡線を生成する6HZのカットオフ周波数を有する二次のバターワース・ローパス・フィルタで平滑化される。一実施形態では、EMG線形包絡線は、対応する筋肉の最大線形包絡線値に正規化される。
【0039】
別の形態では、前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算するための方法であって、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することと、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性の監視から1つまたは複数の生体力学的データを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的データを受け取ることと、
コンピュータ実装ACL力モデルから動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯にかかる生体内力を計算することであって、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLはACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、計算することとを含む、方法が、提供される。
【0040】
別の形態では、被験者の前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力のコンピュータモデルを作成するための方法であって、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、被験者が靴を履いていない、監視することと、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性の監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第1のセットを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的データの第1のセットを受け取ること、
コンピュータ実装ACL力モデルから、動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯にかかる第1の生体内力を計算することであって、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、計算することと、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、被験者は靴を履いている、監視することと、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性の監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第2のセットを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的データの第2のセットを受け取ることと、
コンピュータ実装ACL力モデルから、動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯にかかる第2の生体内力を計算することであって、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および矢状-前頭(FT)面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、計算することとを含む、方法が、提供される。
【0041】
一実施形態では、方法は、動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯にかかる第1の生体内力と、動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯にかかる第2の生体内力との間の差を計算することをさらに含む。
【0042】
別の形態では、異なる対の靴を着用して動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力のコンピュータモデルを作成するための方法であって、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、被験者は、第1の対の靴を着用している、監視することと、;
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性の監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第1のセットを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的データの第1のセットを受け取ることと、
コンピュータ実装ACL力モデルから、動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯にかかる第1の生体内力を計算することであって、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、計算することと、
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性を監視することであって、被験者は、第2の対の靴を着用している、監視することと、;
動的運動タスクを実行する被験者の1つまたは複数の生体力学的特性の監視から、1つまたは複数の生体力学的データの第2のセットを生成することと、
前十字靭帯にかかる生体内力を計算するためのコンピュータ実装ACL力モデルへのデータ入力として1つまたは複数の生体力学的データの第2のセットを受け取ることと、
コンピュータ実装ACL力モデルから、動的運動タスクを実行する被験者の前十字靭帯にかかる第2の生体内力を計算することであって、ACL力モデルは、
によって定義され、式中、FACLは、ACLにかかる総力であり、
CTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係であり、ここで、j=SF、ST、FTである、計算することとを含む、方法が、提供される。
【0043】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本開示による実施形態は、例として、当業者が本発明を実施するのに十分な情報を提供する以下の好ましい実施形態の詳細な説明において説明される。好ましい実施形態の詳細な説明は、決して前述の概要セクションの範囲を限定するものと見なされるべきではない。詳細な説明は、例として、添付の図面を参照する。
【0045】
図1】3つの運動面における膝関節負荷を示す図である。
【0046】
図2】本発明の一実施形態による、ACL力モデルからACL力を計算するための方法のステップのフローチャートである。
【0047】
図3】生体力学的スクリーニングシステムおよび生体力学的データを取得するために動的運動タスクを実行する被験者を示す図である。
【0048】
図4】ACL力モデルから生体内ACL力を計算するように特別にプログラムされたコンピュータの形態の計算装置のブロック図である。
【0049】
図5】単平面ACL力をモデル化する一連のグラフである。
【0050】
図6】総ACL力対膝関節屈曲をモデル化する一連のグラフである。
【0051】
図7】ACL力モデルの検証を実証する一連のグラフである。
【0052】
図8】ドロップ着地タスクの立脚期にわたる単平面ACL力をモデル化する一連のグラフである。
【0053】
図9】ドロップ着地タスクの立脚期にわたる総ACL力および単平面ACL力をモデル化するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
添付の図面を参照して、本開示による、侵襲的な技術または手順なしに被験者の前十字靭帯にかかる生体内力を計算するための方法の実施形態をここで説明する。
【0055】
本開示は、ACL力を定量化するためのモデル(典型的には、コンピュータ実装モデル)に関する。すなわち、侵襲的な手順または技術を必要とせずに、生きている被験者の前十字靭帯が動的運動タスク中に受ける力を正確かつ簡単に計算する計算モデルである。
【0056】
本発明者らは、総ACL力FACLが、それぞれの矢状面、前頭面、および横断面における単平面ACL力(すなわち、
)の単純な合計ではないことを見出した。実際、本発明者らは、純粋な合計が、膝関節屈曲角度θおよび外部負荷(
)の大きさに応じて、FACLの過大評価および過小評価をもたらすことを見出した。その含意は、複数の単平面ACL力間の相互作用が、ACLに伝達される総力に影響を及ぼすことである。したがって、本発明者らは、総ACL力を以下の式(式(1))によってモデル化することができることを見出した。
【0057】
ここで、
j=SF、ST、FTの場合のCTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係を表す。
【0058】
各面における膝関節の負荷の例示的な図を図1(A)~(C)で見ることができる。具体的には、図1(A)は、矢状面における膝関節負荷を示し、図1(B)は、前頭面における膝関節負荷を示し、図1(C)は、横断面における膝関節負荷を示す。
【0059】
ここで図2を参照すると、前十字靭帯(ACL)にかかる生体内力を計算する例示的な方法(例えば、以下に説明するコンピュータシステム33に実装することができる)のブロック図が、示されている。図示の実施形態では、方法200の機能ステップ203において、1つまたは複数の生体力学的特性が、生体力学的スクリーニングタスクから測定される。これらの測定から、1つまたは複数の生体力学的データを得ることができる。この例を図3a~図3cに示し、以下に説明する。
【0060】
機能ステップ205に移れば、方法200は、数学的モデルへの入力として1つまたは複数の生体力学的データを使用して、ACL力モデル(
によって定義される)から前十字靭帯にかかる総負荷を計算することを含む。
【0061】
ここで図3(a)~(c)を参照して、生体力学的データを得るために生体力学的タスクを実行する被験者の生体力学的特性の測定の一例を説明する。
【0062】
最初に図3(a)を参照すれば、生体力学的スクリーニングタスクを実行することを可能にする生体力学的スクリーニングシステム300が、示されている。生体力学的スクリーニングシステム300を使用して生体力学的スクリーニングタスクを実行するのは、身体に取り付けられた多数のセンサを有する被験者310である。見て分かるように、被験者310は、後述する目的でボックス320の上に立っている。
【0063】
ストリップとして示すいくつかの無線EMGセンサ330が、被験者310の着地脚311上の大腿直筋、外側広筋、内側広筋、前脛骨筋、外側腓腹筋、内側腓腹筋、外側膝関節および内側膝関節の筋肉の上に固定される。この例では、EMGセンサ330は着地脚311のみに置かれ、EMGセンサ330の信号は2400Hzで測定される。しかし、将来の用途において側面間の比較を行うために、EMGセンサを両脚(すなわち、着地および非着地)に置くことができる。さらに、EMGセンサ330の信号は、1000Hzを超える任意の速度で測定することができる。
【0064】
再帰反射マーカ340~344が、頭部312、胴体313、骨盤314、ならびに非着地脚316および着地脚311の両方の大腿部、すね、および足を含む下半身315上で被験者310にそれぞれ取り付けられる。これらの再帰反射マーカ340~344は、被験者310の周囲に配置された12個のモーション・キャプチャ・カメラ350a~350l(以下、まとめてモーション・キャプチャ・カメラ350と呼ぶ)を備えるモーション・キャプチャ・システムによって監視されて、再帰反射マーカ340~344の3D位置をキャプチャし、120Hz(または100Hzより大きい任意の速度)において収集された運動学的データを測定する。モーション・キャプチャ・カメラ・システムについて説明したが、任意のモーション・キャプチャ・システムを使用できることが理解されよう。例えば、慣性測定値、電磁システム、または人工知能ベースのシステムのうちの1つまたは複数を含むモーション・キャプチャ・システムを使用して、動作データをキャプチャすることができる。
【0065】
生体力学的スクリーニングシステム300はまた、2400Hzにおいて三次元地面反力負荷を測定する地面埋め込み力プラットフォーム360を含む。三次元地面反力負荷は、1000Hzから2400Hzの間のどこでも測定することができることを理解されたい。
【0066】
生体力学的スクリーニングシステム300を使用して被験者310によって実行される生体力学的スクリーニングタスクは、被験者310がボックス320(被験者310の下肢の長さの30%に設定されている)から飛び降りて片脚(着地脚311)で着地し、すぐに反対側の脚(非着地脚315)で90°横方向にジャンプして着地することを含む。
【0067】
再帰反射マーカ340~344のマーカ軌道および地面埋め込み力プラットフォーム360からの地面反力データは、6Hzのローパスカットオフ周波数を有する二次のゼロ遅延バターワースフィルタを使用してフィルタリングされている。
【0068】
無線EMGセンサ330からのEMGデータは、バンドパスフィルタリング(30~300HZの間)され、全波整流され、6HZのカットオフ周波数を有する二次のバターワース・ローパス・フィルタで平滑化されて線形包絡線を生成する。次いで、EMG線形包絡線は、すべての利用可能な運動試行からの対応する筋肉の最大線形包絡線値に正規化されている。これらの試行は、等尺的または動的に行われる専用の最大努力収縮を含むことができる。
【0069】
上記で説明したこのフィルタリングは、生体内ACL負荷を計算するためにACL力モデルに入力することができる生体力学的データを提供する。
【0070】
使用時に、被験者は、別のタイプの靴を履くまたは靴を履かない状態と比較して、着用者のACL力を低下させると考えられる靴の対を着用することができる。被験者は、最初に上記で説明したドロップ着地試験を実行し、次いで再び靴の対を着用する。いずれの場合も、生体力学的スクリーニングシステム300は、被験者を監視して、関連する膝関節の運動学的および動的データ、ならびに試験の場合の筋肉データを決定する。
【0071】
続いて、関連データをACL力モデルに入力して、各試験(すなわち、靴を履かないおよび靴を履く)に対する総生体内ACL力FACLを計算する。次いで、総生体内ACL力の異なる出力を比較および対比することができ、重要なことに、靴の対(またはACL力を低減するか、またはACLを支援するように設計または主張する任意の他の製品)が設計者によって主張されていることを達成することを科学的および経験的に検証するために、使用することができる。
【0072】
別の例では、ACL力モデルを使用して、トレーニング器具またはジム器具の使用中にACL力を計算することができる。説明した例と同様に、トレーニング器具の使用中に被験者を監視し、それによって使用中のACL力を計算することができる。次いで、これらの計算を使用して、傷害後にリハビリテーションを行っている可能性があり、リハビリテーション過程の間に特定の負荷を超えることができないユーザを評価し、このユーザに助言することができる。これに関して、ACL力モデルは、リハビリテーションおよび傷害防止ツールとして特に有用である。
【0073】
加えて、ACL力モデルを使用して、異なる動きおよび運動中にACLが受ける異なる負荷を研究することができる。
【0074】
ここで図4を参照すると、後述する本発明の一実施形態による、上記で説明した方法200などの方法を実施するための例示的なコンピュータシステム33のブロック図が、示されている。
【0075】
コンピュータシステム33は、少なくとも一つのオンボード中央処理装置(CPU)125に電力供給しインターフェース接続するための回路を含むメインボード123を含む。1つまたは複数のオンボードプロセッサ125は、2つまたはそれ以上の個別のプロセッサまたは複数の処理コアを有するプロセッサを備えることができる。
【0076】
メインボード123は、CPU125と二次メモリ記憶装置127との間のインターフェースとして機能する。二次メモリ記憶装置127は、1つまたは複数の光学または磁気または固体のドライブを備えることができる。二次メモリ記憶装置127は、オペレーティングシステム129のための命令を記憶する。
【0077】
メインボード123は、CPUがランダムアクセスメモリ(RAM)131、読み取り専用メモリ(ROM)133およびさまざまな周辺回路と通信することができるバスを含む。ROM133は、典型的には、起動時にCPU125がアクセスし、オペレーティングシステム129をロードするためにCPU125を準備する基本入出力システム(BIOS)のための命令を記憶する。
【0078】
メインボード123はまた、グラフィックスプロセッサユニット(GPU)135とインターフェース接続する。いくつかのシステムでは、グラフィックスプロセッサユニット135がメインボード123に統合されることが理解されよう。GPU135は、ピクセルのアレイを備える矩形スクリーンを含むディスプレイ137を駆動する。
【0079】
メインボード123は、典型的には、コンピュータシステム33をポート143を介してインターネット31などのコンピュータネットワークとデータ通信させることができる、通信アダプタ、例えば有線または無線のLANアダプタまたはモデムを含む。
【0080】
コンピュータシステム33のユーザ134は、キーボード139、マウス141、およびディスプレイ137によってこれとインターフェース接続することができる。
【0081】
コンピュータシステム33は、プログラミングを介して、オペレーティングシステム129にソフトウェア製品149をロードするように自動的に命令し、このソフトウェア製品は、コンピュータシステム33が、CPU125、およびいくつかの実施形態ではGPU135の動作によって、(以下でより詳細に説明する)生体力学的スクリーニングから収集された生体力学的データに基づいてACL力モデル計算を実行するための命令を含む。CPU125と組み合わせてソフトウェア製品149によって実行される計算は、(上記で論じたように)メモリに記憶されてもよく、またはユーザ134による即時の(すなわちリアルタイムの)検討のためにグラフィック方式でディスプレイ137に出力されてもよい。
【0082】
生体力学的データは、キーボード139、マウス141およびディスプレイ137などのコンピュータシステム33のインターフェース機構のうちの1つによって入力され得る。ソフトウェア製品149は、ディスクリーダ/ライタ142による読み取りのために、光ディスク147などのコンピュータ可読媒体上に担持された有形の命令として提供され得る。あるいは、ソフトウェア製品149は、データネットワーク145を介してリモートデータソースからポート143を介してダウンロードされてもよい。
【0083】
ソフトウェア製品149はまた、ACL力モデルの可変入力である生体力学的データを二次メモリ記憶装置127から読み取る命令を含むことができる。代替的または追加的に、ソフトウェア製品149はまた、すべてのACL力モデル計算と、計算から生成されたデータとを含むデータベース20を確立するための命令を含むことができる。あるいは、ACL力モデルデータは、コンピュータシステム33にアクセス可能な別のデータ記憶装置内に記憶され得る。
【0084】
上記で説明した方法およびシステムは、本発明者らによって導出されたACL力モデル
を使用して、動的運動タスクにおける生体内ACL負荷を正確に予測する。以下は、式(1)が導出および検証された方法の記述および説明である。
【0085】
総ACL力(FACL)を定量化する際に、3つの運動面(すなわち、矢状、前頭および横断)における外側膝関節負荷からの合力ACLをモデル化した。
【0086】
一連の代数方程式を実験データ[19~21]に適合させ、この実験データは、特定の外部膝関節負荷の存在下で膝関節屈曲角度0~45°にわたる合力ACLを測定したものである。
【0087】
矢状面において、ACL力
は、データ[19~21]に以下の式(2)を適合させることによって、膝関節前方引き出し力FADおよび膝関節屈曲角度θの関数としてモデル化される。
【0088】
ここで、適合パラメータは、α=1.8x10-4±5.6x10-7,α=0.02±0.1x10-4,α=1.16±0.005,α=32.15±0.02,α=3.9x10-5±1.8x10-4,およびα=-0.022±2.3x10-5である(図1(A)および図5(A)参照)。パラメータ値は、平均±標準誤差に対応する。
【0089】
前頭面において、ACL力
は、データ[20]に以下の式(3)を適合させることによって、膝関節内反または外反モーメント(
)および膝関節屈曲角度θの関数としてモデル化される。
【0090】
ここで、適合パラメータは、内反モーメントではb=-0.0014±0.1x10-3,b=0.18±0.01,b=-6.8±0.21,b=23.85±2.03,b=-0.14±0.03であり、外反モーメントではc=-0.001±3.6x10--,c=0.08±3.2x10-6,c=2.5±5.2x10-5,c=-3.3±0.6x10-5,c=-0.04±6.7x10-7,c=29.3±0.3x10-4,およびc=0.02±3x10-7である(図1(B)および図5(B)、図5(C)を参照)。
【0091】
横断面において、ACL力
は、データ[20]に下記の式(4)を適合させることによって、膝関節の内回転モーメント(
)または膝関節の外回転モーメント(
)および膝関節屈曲角度θの関数としてモデル化された。
【0092】
ここで、適合パラメータは、内回転モーメントではm=-0.005±2.4x10-7,m=0.63±0.2x10-,m=-20.03±3.8x10-3,m=36.6±3.4x10-2,m=-0.04±7.1x10-6であり、外回転モーメントではn=0.001±2x10-3,n=-0.16±0.02,n=7.8±0.4,n=23.3±2.5,n=-0.06±0.01である(図1(C)および図5(D)、図5(E)を参照)。
【0093】
クロスタームCT(ここで、j=SF、ST、FTの場合のCTは、矢状-前頭(SF)面、矢状-横断(ST)面、および前頭-横断(FT)面におけるACL力の関係を表す)は、[19、21]からの多平面ACL力データへのカーブフィッティングによって定式化される。本発明者らは、[19]のすべてのデータと、各運動面(すなわち、矢状、前頭および横断)を通る異なる負荷の大きさ(すなわち、低い方から高い方へ)をカバーする[21]からのデータの11個のデータ点サブセットとを使用した。これにより、すべての運動面において実験的に測定された負荷の全範囲、ならびにこれらの負荷の組み合わせを考慮することによってモデルが開発されることが保証される。
【0094】
矢状面と前頭面との間の相互作用(SFクロスターム)は、以下の式(5)によってモデル化されることが見出されている。
【0095】
ここで、内反モーメントではp=-0.84±8.2x10-6,p=-0.004±6.9x10-8,p=2.9±1.3x10-5,およびp=-0.041±1.02x10-7であり、外反モーメントではq=39.1±1.4x10-,q=0.002±9.7x10-10,q=8.7±1.9x10-6,およびq=-0.03±3.4x10-9である(図6(A)、6(B)を参照)。
【0096】
矢状面と横断面との間の相互作用(STクロスターム)は、以下の式(6)によってモデル化されることが見出されている。
【0097】
ここで、内回転ではv=6.8x10-3±1.1x10-9,v=-32.2±3.6x10-3,およびv=0.01±1.8x10-7であり、外回転ではw=-0.81±2.8x10-6,w=-0.003±1.3x10-7,w=-67.9±4.3x10-4,およびw=-0.001±1.8x10-7である(図6(C)、6(D)を参照)。
【0098】
本発明者らは、前頭面と横断面との間の相互作用(すなわちCTFT)が、矢状面と前頭面との間の相互作用(CTSF)および矢状面と横断面との間の相互作用(CTST)と比較して無視できており、したがって前頭面と横断面との間の相互作用がゼロであると仮定できる(すなわちCTFT=0)ことを見出した。
【0099】
動的検査室ベースの動的運動タスク中の生体内ACL力を推定するために式(4)においてACL力モデルを使用できるようにするために、式(4)のモデルが、下肢の神経筋骨格モデルと組み合わせられる。標準的なドロップ着地タスクを実行する女性の実験室試験からの三次元(3D)モーションキャプチャ、地面反力負荷、および表面筋電図(EMG)データ、ならびに以前に検証された神経筋骨格モデル[8、22、23]を使用して、膝関節の筋肉および体節間負荷(すなわち、
)ならびに膝関節屈曲角度θを計算する。次いで、これらのパラメータを使用して、
(以下の式(7)および(8)を参照)を計算して、上記の式(1)~(4)から総生体内ACL力を計算する。
【0100】
ここで、図5図9のグラフをより詳細に説明する。
【0101】
図5を参照すると、単平面ACL力が示されている。図5(A)には、異なる膝関節前方引き出し力FADでの矢状面におけるACL力
対膝関節屈曲角度θのグラフが、示されている。FAD=0および100Nの記号は、[19、20]からの実験データである。残りの記号は、[21]からの実験データである。連続曲線は、式(2)から導かれるフィットである。
【0102】
図5(B)および図5(C)に移れば、異なる膝関節屈曲角度θでの前頭面におけるACL力
対膝関節内反および外反モーメント(それぞれ
)が、示されている。記号は、[20]からの実験データを表し、連続曲線は、式(3)から導出されたフィットである。
【0103】
ここで図5(D)および図5(E)を参照すれば、異なる膝関節屈曲角度θでの横断面におけるACL力
対膝関節内外回転モーメント(それぞれ
)が、示されている。記号は、[20]からの実験データを表し、連続曲線は、式(4)から導出されたフィットである。
【0104】
図6に移れば、総ACL力FACL対膝関節屈曲角度θのグラフが、示されている。
【0105】
図6(A)には、組み合わされた前方引き出し力FADおよび内反モーメント
に応答するFACが、示されている。示す記号は、[19]からの実験データであり、連続曲線は、式(1)および(5)から導出されたフィットである。
【0106】
図6(B)には、組み合わされたFADおよび外反モーメント
に応答するFACLが、示されている。白丸記号は、[19]からの実験データであり、残りの記号は、[21]からの実験データを表し、連続曲線は、式(1)および(5)から導出されたフィットである。
【0107】
図6(C)に移れば、組み合わされたFADおよび膝関節内回転モーメント
に応答するFACLが、示されている。左向きの三角記号は、[19]からの実験データであり、残りの記号は、[21]からの実験データであり、連続曲線は、式(1)および(6)から導出されたフィットである。
【0108】
最後に、図6(D)には、組み合わされたFADおよび膝関節外回転モーメント
に応答するFACLが、示されている。ダイヤモンド記号は、[19]からの実験データであり、残りの記号は、[21]からの実験データであり、連続曲線は、式(1)および(6)から導出されたフィットである。
【0109】
ここで図7に移れば、ACL力モデル検証統計が、示されている。
【0110】
図7(A)を参照すると、式(1)から導出された死体実験ACL力(指数関数的力)とシミュレートされたACL力(シミュレートされた力)との比較があることが分かる。実線は、回帰直線(r=0.96、RMSE=55.04N、P<0.001)であり、これは、同一性の線(点線)と大きく異ならない。
【0111】
図7(B)には、実験および予測されたACL力のブランド-アルトマン(Bland-Altman)プロットが、示されている。実線は、平均差(バイアス44NおよびP=0.01)を表し、破線は、95%の一致限界(平均差±1.96標準偏差、n=14データ点)である。
【0112】
図8では、ドロップ着地タスクの立脚期にわたる単平面ACL力が、モデル化されている。概略図の上部に沿って示す骨格タイプの図を参照すると、これは、 タスクの立脚期中の1人の参加者を表す。最初(左端)および最後(右端)の概略図は、それぞれ立脚の前後であり、明瞭にするために示されている。
【0113】
図8(A)は、立脚に対する膝関節屈曲角度θを示す。図8(B)は、矢状面膝関節負荷および矢状面ACL力を示す。左軸には、神経筋骨格モデルから得られた筋力および体節間力(
)、ならびに正味の前方引き出し力FADが、示されている(式(7)を参照)。右軸は、式(2)から得られた矢状面におけるACL力
が、示される。
【0114】
図8(C)および図8(D)では、前頭および横断面の膝関節負荷およびACL力が、モデル化されている。左軸には、筋肉および体節間モーメント(
)、ならびに正味の内反または外反モーメント(
)および内回転または外回転モーメント(
)が、示されている(式(8)を参照)。右軸には、式(3)および(4)から得られたACL力
がある。影付き領域は、力およびモーメントの標準偏差を示す。矢状面膝関節負荷の方向は、以下のように理解することができる:前方引き出し(+)および後方引き出し(-);前頭面膝関節モーメント:内反(+)および外反(-);横断面膝関節モーメント:内回転(+)および外回転(-)。
【0115】
ここで図9に移れば、ドロップ着地タスクの立脚期にわたるACL力のグラフが存在する。概略図の上部に沿って示す骨格タイプの図を参照すると、これは、タスクの立脚期中の1人の参加者を表す。最初(左端)および最後(右端)の概略図は、それぞれ立脚の前後であり、明瞭にするために示されている。
【0116】
のそれぞれを通るACL力が、示されている(式(1)を参照)。影付き領域は、力の標準偏差を示す。
【0117】
標準的なドロップ着地および横方向ジャンプ運動(図8(A)~(D)参照)の立脚期を分析する際に、本発明者らは、ACL力が主に矢状面を通って駆動され、体節間負荷ではなく主に筋肉の作用に起因するものであることを見出した(図8(B)を参照)。
【0118】
前頭面では、ACL力に対する筋肉および体節間負荷の寄与は反対の符号の同様の大きさのものであり、小さいACL力をもたらす-図8(C)を参照。
【0119】
横断面では、筋肉負荷は、体節間負荷よりもACLに大きく寄与する-図8(D)を参照。
【0120】
図9を観察すれば、多平面負荷からの総ACL力FACLは、矢状面(
)を通して加えられる力が、横断面および前頭面(
)を通して加えられる力と比較して、FACLに大きく寄与することを示していることが分かる。ACL力がドロップ着地タスクの立脚期の約17.5%および80%でその2つの局所ピークに達したとき、ACL力に対する矢状面を通した寄与は94%を超えたが、前頭および/または横断面からの寄与は8%未満である(以下の表1を参照)。
【0121】
ACL力の最初のピークは、最初の足から地面への接触(75±24ms)の直後に生じ、これは、死体ACL断裂リミング(54±24ms)の分析に匹敵する[24]。特に、単平面力の相対的寄与は、式(1)、(5)および(6)のクロスタームによって表される、他の関節軟組織(すなわち、靭帯およびメニスカス)の作用ならびに大腿骨と脛骨との間の剛体接触に起因して合計100%にならない。これは、正味ACL力が複数の単平面力の純粋な総和として定式化されている既存のモデルとは対照的である。前述したように、複数の単平面ACL力のこの単純な合計は、総ACL力FACLの過大評価および過小評価をもたらす。
【0122】
推定された総ACL力および単平面ACL力は、推定値が不連続性または急速な変動を示さないことに基づいて生理学的に妥当であると考えられる-図9を参照。
【0123】
加えて、単一の参加者データを使用し、ドロップ着地タスクにおける下限ACL力をモデル化した[13]の計算(ピークACL力は約0.4BWであった)とは対照的に、本明細書に開示する方法を使用した推定総ACL力は、若齢ACL標本の平均故障負荷を下回っており、これは約2160Nであった[25]。
【0124】
[13]では、予測ACL力は急激な変動を示し、ここでは、初期の足と地面との接触直後にACL力がゼロに低下し、次いでそのピークまで急激に増加し、その後すぐにゼロに戻った。ACL力のそのような変動は、高い連続的な筋力の存在下での着地中に生理学的に実現可能ではない。したがって、本発明者らは、総ACL力が主に筋肉負荷(
)に起因して矢状面(
)を通して主に発生すると結論付けた。矢状面を通る高い筋力負荷は、それぞれ着地および蹴り出し期中の大きな外部膝関節屈曲および伸展モーメントを支持するために採用される(recruited to)四頭筋の(膝蓋靭帯を介した)前方に向けられた作用線に起因する。さらに、多くの膝関節にまたがる筋肉は、後方に傾斜した脛骨を介した正味の矢状面膝関節負荷に寄与する脛骨大腿骨圧縮を作り出す作用線を有する。
【0125】
ACL力モデルを開発および検証するために、ロボットリグを介して単平面および多平面の外部負荷を死体膝関節に加えた2セットの実験データ[19-21]を使用した。膝関節負荷に対する筋肉の寄与を計算するために、[21]の死体実験を、OpenSimモデリング環境で筋骨格モデルを実装することによって模倣した。人工的に供給された四頭筋および膝関節の筋力(すなわち、それぞれ1200Nおよび800N)をシミュレートするために、これらの筋力は各グループの個々の筋肉間に均等に分布していると仮定した(すなわち、各四頭筋について300N、半腱、半膜、大腿二頭筋の短頭および大腿二頭筋の長頭について200N)。次いで、いずれも25°で膝を曲げ、骨盤-地面関節を傾けることによって、筋骨格モデルを[21]の報告された膝関節の姿勢に設定した。死体標本を[21]のように逆さまに取り付けたので、モデル化された骨盤を最小質量(すなわち0.1kg)に調整し、重力加速度定数の符号を負から正に変更した。[21]において膝関節に加えられるロボット負荷の効果を組み込むために、筋骨格モデルに圧縮力および前方引き出し力ならびに内反/外反および内側/外側脛骨回転モーメントを加えた。死体実験筋力の寄与も、最初に筋肉モーメントアームおよび作用線を計算することによってモデル化した。前方引き出し力、圧縮力、内反または外反モーメント、および内回転または外回転モーメントに対する筋肉の寄与を、脛骨に対して定義された、動作平面に応じた筋力(人工的に供給される-[21]を参照)×筋肉作用線(またはモーメントアーム)によって推定した。これらの筋肉寄与から、各運動面における正味の負荷を計算する。矢状面において、正味の前方引き出し力FAD(式(7))は、
である。
【0126】
ここで、
は、筋力であり、
は、実験的およびロボット的に加えられた力を表す体節間力であり([21]を参照)、
は、後方に傾斜した脛骨上への筋圧縮の積である膝関節接触力である。
【0127】
前頭面および横断面において、それぞれ正味の内反モーメントおよび外反モーメントならびに正味の内回転モーメントまたは外回転モーメント(式(8))は、以下の通りである。
【0128】
ここで、
は、j=内反/外反または内回転/外回転の場合の筋肉および分節間のモーメントである。
【0129】
[19-21]からの死体データにわたるACL応答の測定を統合するために、[21]からの測定されたACL歪みを以下のようにACL力に変換した:力=(CSA×E×歪み)、ここで、線形弾性を有する典型的なACLについては、平均ACL断面積(CSA)は、約65mmであり、ヤング率Eは約113MPaである。合わせて、この変換データを本明細書に説明するモデルの開発に使用する。
【0130】
モデルを検証する際に、モデル開発に含まれなかった[21]からの25個の多平面ACL力データ転のうちの14個を使用して、本明細書に説明するACL力モデルの精度を評価した。精度は、RMSE、ピアソンの二乗相関係数r、およびブランド-アルトマン分析によって評価した。
生体内実験
【0131】
本明細書に説明するモデルの有効性を試験するために、オーストラリアのUniversity of MelbourneのCentre for Health,Exercise and Sports Medicineにおいて実験室条件下で標準化されたドロップ着地タスクを実行する健常成人女性を含む生体内実験を行った。
【0132】
この実験では、(既知のACLダメージまたは損傷を有していなかったという点で)13人の健康な成人女性(年齢=22.99±2.57歳;体重=62.11±9.19Kg;身長=1.67±0.07cm)が、靴を履かずに標準化されたドロップ着地タスクの試行を少なくとも3回完了した。
【0133】
タスクは、(下肢の長さの30%に設定された)ボックスから飛び降りて一方の脚で着地し、すぐに反対側の脚で90°横方向ジャンプ着地することを含んだ。
【0134】
実験を測定するために、地上埋め込み力プラットフォーム(米国マサチューセッツ州、AMTI)を使用して2400Hzで三次元地面反力負荷を収集し、12カメラ・モーション・キャプチャ・システム(英国オックスフォードのVicon Motion Systems)を使用して120Hzにおいて運動学的データを収集した。モーション・キャプチャ・システムは、[39]に説明するように、下肢および頭腹部の特定の部位に置かれた再帰反射マーカの3D位置を測定した。
【0135】
無線表面EMGセンサ(Noraxon、AZ、米国)を、着地した脚の大腿直筋、外側広筋、内側広筋、前脛骨筋、外側腓腹筋、内側腓腹筋、外側膝腱、および内側膝腱筋上に固定した。
【0136】
非侵襲的評価(Non-lnvasive Assessment of Muscle)(SENIAM)ガイドラインの表面筋電図法(Surface Electro MyoGraphy)に従ってセンサを配置し、2400HZにおいてEMG信号を記録した。
【0137】
マーカ軌跡および地面反力データを、6Hzのローパスカットオフ周波数を有する二次のゼロ遅延バターワースフィルタを使用してフィルタリングした。
【0138】
EMGデータをバンドパスフィルタリング(30~300HZの間)し、全波整流し、6HZのカットオフ周波数を有する2次のバターワース・ローパス・フィルタで平滑化して、線形包絡線を生成した。次いで、EMG線形包絡線を、すべての利用可能な運動試行からの対応する筋肉の最大線形包絡線値に正規化した。
【0139】
運動面周りに作用する体節間関節モーメントおよび力を計算するために、筋骨格モデリングを実行した。そのために、OpenSim筋骨格モデリング環境に80個の筋腱ユニット(MTU)アクチュエータを備えた一般的な37自由度(DOF)全身モデルを実装した。膝関節、足首、および股関節での6つの一般化された負荷(3つの運動面のそれぞれにおけるモーメントおよび力)を計算するために、一般モデルを修正した。
【0140】
膝関節では、無視できる質量/慣性のダミー体および関連するユニバーサル関節を一般的なモデルトポロジに追加した。しかし、外転/内転、内回転/外回転、上下並進、および膝関節屈曲の関数として規定された前方/後方並進を伴う屈曲/伸展を含む元の膝関節可動性は保存した。
【0141】
足首および股関節において、一般的な関節を6つのDOFに拡張したが、新たに拡張したDOFは、0の可動域を有する。これは、足首の可動性が足底/背屈に制限され、股関節の可動性が屈曲/伸展、内転/外転、および内回転/外回転に制限されたことを意味する。
【0142】
この修正された筋骨格モデルを線形にスケーリングして、参加者の体重および総寸法を近似するようにした。
【0143】
このスケーリングは、顕著な骨ランドマークおよび股関節中心を使用した。股関節中心は、Harrington回帰方程式を使用して推定した。スケール係数を、顕著な解剖学的ランドマークの上に配置された実験的モーション・キャプチャ・マーカの特定の対とそれらの対応するモデル仮想マーカとの間の距離の商として計算した。モデル体の幅、高さおよび深さを調整するためのスケール因子を計算するために使用されるマーカの対を以下の表2に示す。複数のマーカ対が列挙されている任意の寸法において、対応するスケール因子は、各マーカ対から計算されたスケール因子の平均である。
【0144】
スケーリング後、各MTUAの腱の弛みおよび最適な繊維長を最適化して、無次元の力長の操作曲線を保存したが、これは、これらが線形スケーリングによって保存されないためである。各筋肉の最大等尺性強度を、質量、身長および四肢の長さから個人の筋肉量および長さを推定する[32、48]において以前に実行したように更新および実施した。
【0145】
スケーリングされた筋骨格モデルは、角度、関節モーメント、および筋肉動態を決定するための入力として実験データを使用した。逆運動学解析を使用して3D関節角度を決定し、次いでこれらを地面反力データと組み合わせて逆動力学解析を実行し、各DOFについてのモデルの体節間関節負荷(すなわち、
)を決定した。式(7)および(8)を参照。次いで、OpenSim筋肉分析を実行して、MTU動態(すなわち、瞬間長さ、モーメントアーム、および作用線)を決定した。
【0146】
ドロップ着地タスク中のすべての下肢筋肉に対する力を、較正されたEMG情報付き神経筋骨格モデリング(CEINMS)ツールボックスを使用して推定した。CEINMSは、EMG信号およびMTUパラメータを使用してヒル型筋肉モデルを駆動し、筋肉励起、筋力および関節モーメントを予測する既知のOpenSimプラグインである。CEINMSによって予測された筋力の精度を検証するために、筋力のCEINMS予測によって生成された下肢関節モーメントを、OpenSim(rは、0.99±0.01、0.94±0.05、0.93±0.04であり、RMSEは、膝関節、股関節および足首についてそれぞれ7.04±3.99、11.32±6.22、12.41±4.9Nmである)から得られたそれらの対応する逆動力学値と比較した。
【0147】
この神経筋骨格モデリング手法は、本明細書に説明するACL力モデルで使用された筋肉および体節間負荷(すなわち、式(7)および(8)の
)を予測する。
【0148】
本明細書に開示する方法およびシステムを使用して計算された総ACL力FACLの計算は、最近の死体実験データ[21](図7参照)と計算を比較することによって検証され、他の既知の方法と比較して非常に正確であることが見出された。本明細書に開示する方法を使用して計算された死体データと予測ACL力との間の二乗平均平方根誤差(RMSE)は低く(約55N)、相関は強い(r=0.96)-図7(A)を参照。
【0149】
ブランド-アルトマン分析により、死体データと予測ACL力との良好な一致が明らかになり、狭い一致限界は約100N(12%)であり、負荷の大きさにわたるバイアスは無視できる(約44N)(図7(B)を参照)。この一致は、本明細書に開示するACL力モデルおよび計算が、異なる膝関節負荷の大きさおよび組み合わせに応じてACL力を正確に推定することを示す。したがって、筋肉動態の神経筋骨格モデルと組み合わせて、ACL力モデルを使用して生体内ACL負荷を正確に予測できることが分かった。
【0150】
有利には、本明細書に開示する方法は、膝関節組織の解剖学的構造および力学的パラメータの明示的な表現に依存しない。むしろ、本開示の教示は、リアルタイム評価を提供する代数式のセットに基づいている。これは、損傷の防止、訓練、およびリハビリテーションのためのバイオフィードバックパラダイムにおいてACL力を使用することを可能にするので、特に重要である。
【0151】
加えて、本開示は、筋肉興奮の被験者特異的およびタスク特異的の経験的測定値(例えば、筋電図)とモデル化筋腱単位動態(すなわち、長さおよびモーメントアーム)とを組み合わせた生体力学的スクリーニングからの神経筋骨格モデリングを使用して、筋肉動態を推定する。
【0152】
さらに、本開示の教示は、ACL破裂および日常活動に関連する動的スポーツタスクで観察されるものを表す広範囲のACL力の大きさにわたる包括的な死体実験データ[19-21]に基づいて、開発および検証されるモデルを提供する。
【0153】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られている)は、コンパイル言語またはインタプリタ言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして含んで任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステムにおけるファイルに対応しているとは限らない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部、問題のプログラム専用の単一のファイル、または複数の協調ファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトに位置するか、もしくは複数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0154】
本開示に説明するプロセスおよび論理フローは、入力データを操作して出力を生成することによって機能を実行するために1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。プロセスおよび論理フローはまた、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によって実行することもでき、装置はまた、専用論理回路として実装することもできる。
【0155】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、もしくは光ディスクを含むか、またはこれらデバイスからデータを受け取るか、もしくはこれらデバイスにデータを送信するか、もしくはその両方を行うように動作可能に結合される。しかし、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオプレーヤ、全地球測位システム(GPS)受信機に組み込むことができる。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として半導体メモリデバイス、たとえばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、たとえば内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完され得るか、または専用論理回路に組み込まれ得る。
【0156】
ユーザとの対話を提供するために、本発明の実施態様は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えばCRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス、例えばマウスまたはトラックボールとを有するコンピュータ上で実施することができる。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックなどとすることができ、ユーザからの入力を音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。
【0157】
本開示の実装形態は、例えばデータサーバとしてのバックエンド構成要素を含む、または例えばアプリケーションサーバなどのミドルウェア構成要素を含む、またはフロントエンド構成要素、例えばユーザが本開示の実装形態と対話することができるグラフィカルユーザインターフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含む、または1つまたは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェアもしくはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含むコンピュータシステム内で実現することができる。システムの構成要素は、任意の形態または媒体のデジタルデータ通信、例えば通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えばインターネットを含む。
【0158】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、通常、互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0159】
本開示は多くの詳細を含むが、これらは本開示の範囲または特許請求され得るものに対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ本開示の特定の実施態様に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施態様の文脈で本開示に説明する特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて提供することもできる。逆に、単一の実施態様の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実施態様において別々に、または任意の適切な副組み合わせで提供することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、最初にそのように特許請求され得るが、特許請求される組み合わせからの1つまたは複数の特徴を場合によっては組み合わせから削除でき、特許請求される組み合わせは、副組み合わせまたは副組み合わせの変形を対象としてもよい。
【0160】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序で、または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスク処理および並列処理が有利であり得る。さらに、上記で説明した実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、説明するプログラム構成要素およびシステムは、通常、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0161】
こうして、本開示の特定の実施態様について説明してきた。他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に記載の作用は、異なる順序で実行することができ、それでもなお望ましい結果を達成することができる。
【0162】
制定法に従って、本発明は、多かれ少なかれ構造的または体系的な特徴に特有の言語で説明されている。「備える(comprises)」という用語および「備えている(comprising)」および「からなる(comprised of)」などのその変形は、包括的な意味で使用され、追加の特徴を排除するものではない。本明細書に説明する手段は本発明を実施する好ましい形態を含むので、本発明は図示するかまたは説明する特定の特徴に限定されないことを理解されたい。
【0163】
したがって、本発明は、当業者によって適切に解釈される添付の特許請求の範囲の適切な範囲内のその形態または改変形態のいずれかで特許請求される。
【0164】
本明細書および特許請求の範囲(存在する場合)を通して、文脈がそうでないことを要求しない限り、「実質的に」または「約」という用語は、それらの用語によって限定される範囲の値に限定されないと理解される。
【0165】
本発明のいずれの実施形態も、例示のみを意図しており、本発明を限定することを意図していない。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明する任意の実施形態に対して様々な他の変更および改変を行うことができることを理解されたい。
【0166】
以下の文献のそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
【国際調査報告】