IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特表2023-501089音声制御によるインサートヘッドホンの通気
<>
  • 特表-音声制御によるインサートヘッドホンの通気 図1
  • 特表-音声制御によるインサートヘッドホンの通気 図2
  • 特表-音声制御によるインサートヘッドホンの通気 図3
  • 特表-音声制御によるインサートヘッドホンの通気 図4
  • 特表-音声制御によるインサートヘッドホンの通気 図5
  • 特表-音声制御によるインサートヘッドホンの通気 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】音声制御によるインサートヘッドホンの通気
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522908
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2019081764
(87)【国際公開番号】W WO2021098949
(87)【国際公開日】2021-05-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パカリネン、ジリ
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA09
5D005BA14
(57)【要約】
インサートヘッドセット装置(200)が、ユーザ自身の声などの、ユーザにより生成された音信号を利用して、閉塞解除を制御し、ユーザ自身の声音を普通にする。ユーザまたは近くにいる人がいつ話しているかを検出するのに、音声加速度計またはマイクが用いられる。ユーザまたは近くにいる人の声が検出された場合、バルブ(216)が開く。バルブ(216)によって、外耳道の通気が可能になり、閉塞解除がもたらされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および第2面を有するハウジングであって、前記第1面が外耳道に挿入されるように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジングに配置されている音感知デバイスと、
前記ハウジングに配置されているバルブであって、前記バルブが前記ハウジングの前記第1面と前記ハウジングの前記第2面とを流体的に接続するように構成されている、バルブと、
前記音感知デバイスに接続されているコントローラであって、前記コントローラが前記音感知デバイスからのオーディオ信号を検出して前記バルブを開き、前記ハウジングの前記第1面と前記第2面との間の空気の流れを可能にするように構成されている、コントローラと
を備えるインサートヘッドセット装置。
【請求項2】
前記コントローラが、
ユーザにより生成された音信号の検出、
ユーザ以外により生成された音信号の検出、または
所定のノイズレベルより低いバックグラウンドノイズレベルの検出
のうちの1つまたは複数によって前記オーディオ信号を検出するように構成されている、請求項1に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項3】
前記ユーザにより生成された音信号が、前記インサートヘッドセット装置の前記ユーザにより生成されたスピーチ信号であり、前記音感知デバイスにより感知される、請求項2に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項4】
前記ハウジング内にあって前記バルブに接続されているチャネルをさらに備えており、前記バルブが開いた状態にあるときに、前記チャネルが前記第1面と前記第2面とを接続するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項5】
前記コントローラがさらに、
前記インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信を決定し、
前記オーディオ信号を検出し、
前記コンテンツ信号の前記配信を中断し、
前記バルブを開き、
所定期間が終了すると、前記コンテンツ信号の前記配信を再開する
ように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項6】
前記コントローラがさらに、
前記インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信の中断を検出し、
前記コンテンツ信号の前記配信の前記中断からの所定期間の終了を判定し、
前記コンテンツ信号の前記配信が前記所定期間の前記終了までに再開していない場合、前記バルブを開く
ように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項7】
前記バックグラウンドノイズレベルが前記所定のノイズレベルを上回ることが検出された場合、前記バルブを閉じた状態に維持するように構成されている前記コントローラをさらに備える、請求項2または3に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項8】
前記音感知デバイスが音声加速度計またはマイクのうちの一方または両方を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項9】
前記ハウジングがイヤーバッドを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のインサートヘッドセット装置。
【請求項10】
インサートヘッドセット装置の音感知デバイスでオーディオ信号を検出する段階と、
前記インサートヘッドセット装置のハウジングの第1面と前記インサートヘッドセット装置の第2面との間の空気の流れを可能にするために、前記インサートヘッドセット装置のバルブを開く段階と
を備える方法。
【請求項11】
前記バルブを開く前記段階がさらに、圧力放出を可能にし、且つ装着者の外耳道につながる、前記ハウジングの前記第1面と、前記外耳道の外側にある環境につながる、前記ハウジングの前記第2面との間の空気の流れを可能にするように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記オーディオ信号がユーザにより生成された信号、ユーザ以外により生成された信号、またはバックグラウンドノイズ信号のうちの1つまたは複数であるかどうかを判定する段階をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信を決定する段階と、
前記オーディオ信号を検出する段階と、
前記コンテンツ信号の前記配信を中断する段階と、
前記バルブを所定期間の間、開く段階と、
前記所定期間の終了を判定する段階と、
前記コンテンツ信号の前記配信を再開する段階と
をさらに備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信の中断を検出する段階と、
所定期間の終了を判定する段階と、
前記所定期間の前記終了までに前記コンテンツ信号の前記配信が再開していない場合、前記バルブを開く段階と
をさらに備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
バックグラウンドノイズレベルが所定のノイズレベルを上回ることを検出する段階と、前記バルブを閉じた状態に維持する段階とをさらに備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の諸態様は概してインサート型ヘッドホンに関し、より具体的には、インサート型ヘッドホンの閉塞ノイズ効果を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドホンを聴いているとき、外部環境からのある程度の遮音が、楽しいリスニング体験には好ましい。この分離は、インサート型ヘッドホンを用いて実現することができる。通常は左右のヘッドホンデバイスを含むインサート型ヘッドホンは、ヘッドホンデバイスの先端を外耳道に挿入または押し込むヘッドホンである。インサート型ヘッドホンの別の利点は、外耳道と周囲空気との間のより十分な遮断により、低周波音がより顕著になり、より優れた低音レスポンスがもたらされることである。
【0003】
これらの利点により、インサート型ヘッドホンは非常に人気がある。しかしながら、インサート型ヘッドホンの欠点は、閉塞により、装着者の声またはユーザにより生成される他の音が、低音が強調されすぎて聞こえることがあるということである。インサート型ヘッドホンの別の欠点は、外耳道が発汗することがあり、通気不足によってかゆみや炎症を起こすことがあるということである。閉塞状態では、ユーザの声が骨伝導によって外耳道に自然に伝わるが、外耳道への入口がインサート型ヘッドホンによって塞がれているので、低周波音は外耳道から出ることができない。
【0004】
閉塞効果は、外耳道内で低周波音を低減する際にアクティブノイズコントロールを実施することで軽減することができる。こうした方法は一般に、閉塞解除手法と呼ばれている。アクティブノイズコントロールは閉塞効果をある程度まで軽減し得るが、通気不足を改善するものは何もなく、結果として外耳道は発汗することになる。したがって、アクティブノイズコントロールは、インサート型ヘッドセットにより引き起こされる問題を解決するに良くない解決手段である。さらに、現時点の閉塞解除の実装例では、ユーザは様々な状況でこれらの実装例を有効にするのか、しないのかを手動で選択する必要があり、これは認知的負荷を増大させるので、一般に厄介なことである。
【0005】
したがって、上記に示した問題の少なくとも一部に対処するインサート型ヘッドホン装置を提供できることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
インサート型ヘッドホン装置についての閉塞効果を低減することが、開示する実施形態の目的である。この目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項では、さらなる有利な変更を見いだすことができる。
【0007】
第1態様によれば、上記の目的および利点ならびにさらなる目的および利点が、インサートヘッドセット装置などの装置によって取得される。一実施形態において、本装置は、第1面および第2面を備えたハウジングを有する。第1面は、インサートヘッドセット装置のユーザまたは装着者の外耳道に挿入されるように構成されている。ハウジングには、音感知デバイスが配置されている。ハウジングにはバルブが配置されており、バルブはハウジングの第1面とハウジングの第2面とを流体的に接続するように構成されている。音感知デバイスおよびバルブにはコントローラが接続されている。コントローラは、音感知デバイスからのオーディオ信号を検出してバルブを開き、外耳道につながるハウジングの第1面と、周囲空気などの外部環境につながるハウジングの第2面との間の空気の流れを可能にするように構成されている。開示される実施形態の諸態様は、ユーザ自身の声などのオーディオ信号を用いてバルブの開放を制御することにより、インサート型ヘッドセット装置の閉塞効果を低減する。バルブによって、圧力放出、空気の流れ、外耳道と周囲環境との間の通気が可能になる。
【0008】
インサートヘッドセット装置の第1の実行可能な実装形態では、コントローラは、ユーザにより生成された音の検出、ユーザ以外により生成された音の検出、または所定のノイズレベルより低いバックグラウンドノイズレベルの検出のうちの1つまたは複数によってオーディオ信号を検出するように構成されている。バルブは、インサートヘッドセットまたはヘッドホンを装着しているときに、耳障りと感じられ得る音が検出されると開くようにプログラムすることができる。
【0009】
インサートヘッドセット装置の実行可能な一実装形態では、ユーザにより生成された音は、ヘッドセット装置のユーザにより生成されたスピーチ信号であり、音感知デバイスで感知される。バルブは、ユーザが話しているときに開くようにプログラムされてよく、バルブが開かなければ、インサート型ヘッドセットまたはイヤーバッドを装着しているときに耳障りと感じられる可能性がある。
【0010】
インサートヘッドセット装置の実行可能な一実装形態では、ハウジング内のチャネルがバルブに接続されている。チャネルは、バルブが開いた状態にあるときに、外耳道につながるハウジングの第1面と外部環境につながるハウジングの第2面とを流体的に接続するように構成されている。開示される実施形態の諸態様は、ユーザ自身の声を用いてバルブの開放を制御し、圧力放出を可能にする且つ外耳道と外部環境または周囲空気との間の通気または空気の流れを可能にすることにより、インサート型ヘッドセット装置の閉塞効果を低減する。
【0011】
インサートヘッドセット装置の実行可能な一実装形態では、コントローラはさらに、インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信を決定し、音感知デバイスからのオーディオ信号を検出し、コンテンツ信号の配信を中断し、所定期間の間はバルブを開き、所定期間が終了するとコンテンツ信号の配信を再開するように構成されている。開示される実施形態の諸態様は、ユーザにより生成されたノイズを検出すると、バルブを開いて圧力放出を可能にする且つ外耳道と外部環境または周囲空気との間の空気の流れを可能にすることにより、インサート型ヘッドセット装置における閉塞効果を低減する。他の音または他の音の効果を抜いている間は、ユーザの耳へのコンテンツの配信を中断することができる。
【0012】
本装置の実行可能な一実装形態では、コントローラはさらに、インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信中断を検出し、コンテンツ信号の配信中断からの所定期間の終了を判定し、所定期間の終了までにコンテンツ信号の配信が再開していない場合にはバルブを開くように構成されている。開示される実施形態の諸態様では、インサートヘッドセット装置が耳に挿入されたままであり且つ実際の通話も、他のプログラム素材がイヤーチップに配信されることもない場合、通気が可能になる。これにより、外耳道をより涼しくして発汗しないように保つことができる。
【0013】
インサートヘッドセット装置の実行可能な一実装形態では、コントローラは、バックグラウンドノイズレベルが所定の閾値より小さいこと、およびユーザがプログラム素材を聴いていないことを検出すると、バルブを開くように構成されている。これにより、インサートヘッドセットが使用位置にあるが、現時点でリスニングにも、環境ノイズを受動的に遮断するのにも用いられていない状況において、外耳道の通気が可能になる。バックグラウンドノイズレベルが所定の閾値を下回る場合にこの通気が行われるのを可能にすることで、そうしなければインサートヘッドセットの遮断による発汗から生じる可能性がある外耳道の不快さを低減することができる。
【0014】
インサートヘッドセット装置の実行可能な一実装形態では、コントローラは、バックグラウンドノイズレベルが所定のノイズレベルを上回っていることを検出し、バルブを閉じた状態に維持するように構成されている。開示される実施形態の諸態様は、風または他のノイズ状態を検出し、そのような状態ではバルブを開くのを回避することができる。この状態でバルブを開いたらネガティブに感じられ得るさらなる妨害を引き起こす可能性がある。
【0015】
インサートヘッドセット装置の実行可能な一実装形態において、音感知デバイスは音声加速度計またはマイクのうちの一方または両方である。開示される実施形態の諸態様は、音声加速度計またはマイクを用いて、例えば、ユーザまたは近くにいる人がいつ話しているかを検出し、それを受けてバルブを開くことができる。
【0016】
インサートヘッドセット装置の実行可能な一実装形態では、ハウジングがイヤーバッドを含んでいる。イヤーバッドは、インサート型ヘッドセット装置の例示的な一実装例である。開示される実施形態の諸態様は、ユーザにより生成された音を検出すると、バルブの開放を制御して圧力放出を可能にする且つ外耳道と周囲環境との間の空気の流れを可能にすることにより、イヤーバッドの使用による閉塞効果を低減する。
【0017】
第2態様によれば、上記の目的および利点ならびにさらなる目的および利点が、方法によって取得される。一実施形態において、本方法は、インサートヘッドセット装置の音感知デバイスによってオーディオ信号を検出する段階と、インサートヘッドセット装置のバルブを開く段階とを含む。バルブの開放によって、圧力放出が可能になり、且つユーザの外耳道につながるインサートヘッドセット装置の一方の面と外部環境または周囲空気につながるインサートヘッドセット装置のもう一方の面とを接続することによる空気の流れが可能になる。開示される実施形態の諸態様は、ユーザにより生成された音またはノイズの検出に基づいて、バルブの開放を制御することにより、インサート型ヘッドセット装置の閉塞効果を低減する。
【0018】
本方法の実行可能な一実装形態では、本方法はさらに、オーディオ信号がユーザにより生成された音、ユーザ以外により生成された音、またはバックグラウンドノイズ信号のうちの1つまたは複数であるかどうかを判定する段階を備える。開示される実施形態の諸態様は、インサートヘッドセット装置を用いているときに、ユーザまたは近くにいる人により生成された、閉塞効果を引き起こし得るか、そうでなければ耳障りと感じられる可能性があるオーディオ信号または音信号を検出するように構成されている。そのような音が検出されると、バルブを制御して開く。
【0019】
本方法の実行可能な一実装形態では、本方法は、ユーザにより生成された音がインサートヘッドセット装置のユーザにより生成されたスピーチ信号であることを検出する段階を含む。バルブは、ユーザが話している且つインサートヘッドセットを装着しているときに開くようにプログラムすることができる。
【0020】
本方法の実行可能な一実装形態では、本方法はさらに、インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信を決定する段階と、オーディオ信号を検出する段階と、コンテンツ信号の配信を中断する段階と、バルブを所定期間の間、開く段階と、所定期間の終了を判定する段階と、プログラム素材の配信を再開する段階とを含む。開示される実施形態の諸態様は、バルブの開放を制御することにより、インサート型ヘッドセット装置の閉塞効果を低減する。閉塞効果を生成し得る一定の音またはノイズが検出されると、バルブが開く。聴いている素材との干渉を最小化するためにバルブを開いている間は、ユーザの耳へのコンテンツの配信を中断することができる。
【0021】
本方法の実行可能な一実装形態では、本方法はさらに、インサートヘッドセット装置へのコンテンツ信号の配信中断を検出する段階と、コンテンツ信号の検出された配信中断からの所定期間の終了を判定する段階と、所定期間の終了までにコンテンツ信号の配信が再開していない場合にバルブを開く段階とを含む。開示される実施形態の諸態様では、インサートヘッドセット装置が耳に挿入されたままであり且つ実際の通話も、他のプログラム素材がイヤーチップに配信されることもない場合、通気が可能になる。これにより、外耳道をより涼しくして発汗しないように保つことができる。
【0022】
本方法の実行可能な一実装形態では、コントローラは、バックグラウンドノイズレベルが所定の閾値より小さいこと、およびユーザがプログラム素材を聴いていないことを検出すると、バルブを開くように構成されている。これにより、インサートヘッドセットが使用位置にあるが、現時点でリスニングにも、周囲ノイズの受動的減衰にも用いられていない状況において、外耳道の通気が可能になる。バックグラウンドノイズレベルが所定の閾値を下回る場合にこの通気が行われるのを可能にすることで、そうしなければインサートヘッドセットの遮断による発汗から生じる可能性がある外耳道の不快さを低減することができる。
【0023】
本方法の実行可能な一実装形態では、本方法は、バックグラウンドノイズレベルが所定のノイズレベルを上回っていることを検出して、バルブを閉じた状態に維持する段階を含む。開示される実施形態の諸態様では、風または他のノイズ状態を検出し、バルブを開くのを回避することができる。そうではなく、風の強い状態またはノイズの多い状態でバルブを開くと、さらなる妨害を引き起こしてネガティブに感じられる可能性がある。
【0024】
これらおよび他の態様、実装形態、ならびに例示的な実施形態の利点は、添付図面と共に検討されると、本明細書で説明される実施形態から明らかになるであろう。しかしながら、こうした説明および図面は例示のみを目的に用意されており、開示する発明の範囲の定義として用意されているわけではなく、その定義については、添付した特許請求の範囲が参照されるはずであることを理解されたい。本発明のさらなる態様および利点が、続く説明に記載されることになり、部分的にはこの説明から明らかになるか、または本発明の実施により分かることがある。さらに、本発明の態様および利点は、添付した特許請求の範囲で具体的に指摘される手段および組み合わせを用いて実現され、取得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の以下の詳細な部分では、以下に挙げる図面に示される例示的な実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
図1】開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的な装置の概略ブロック図を示している。
【0027】
図2】開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的な装置の概略断面図を示している。
【0028】
図3】開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的な方法の態様を示すフローチャートである。
【0029】
図4】開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的な方法の態様を示すフローチャートである。
【0030】
図5】開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的な方法の態様を示すフローチャートである。
【0031】
図6】開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的な方法の態様を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1を参照すると、開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的な装置100の概略ブロック図が示されている。開示される実施形態の諸態様は、インサート型ヘッドホン装置100の閉塞効果を低減することに関する。ユーザの声などのオーディオ信号が、バルブ104の開放を制御するのに用いられてよく、このバルブによって、圧力放出が可能になり、且つインサート型ヘッドホン装置のユーザまたは装着者の外耳道と周囲空気などの外部環境との間の空気の流れが可能になる。この圧力放出で、そうしなければ装置100の装着者によってネガティブに感じられ得る閉塞効果が低減されることになる。
【0033】
図1に示すように、例示的なインサート型ヘッドホン装置100はハウジング102を含む。本明細書での説明のために、インサート型ヘッドホン装置100はインサートヘッドセット装置またはイヤーバッドと呼ばれることになる。ハウジング102は、第1面または部分120と、第2面または部分122とを有する。本明細書で用いる場合の用語「第1面」および「第2面」は、ハウジング102の形状がインサート型ヘッドホンまたはこれらのデバイスが一般に呼ばれるイヤーバッドに用いられる可能性がある任意の好適な幾何学的形状であってよいので相対的な用語である。
【0034】
ハウジング102の第1面120は、ユーザの外耳道に挿入されるか、または別の方法でそこに配置されるように構成されている。この第1面120は通常、外耳道に挿入されるイヤーインプラントまたはイヤークッションを含むことになり、またユーザが聴くことができる音を生成するためのスピーカを含むことになる。ハウジング102の第2面122は、音またはオーディオを感知するデバイス106(本明細書では概して音感知デバイス106と呼ばれる)を含む空洞108を画定している。音感知デバイス106は、一般に理解されていることだが、オーディオ信号とも呼ばれる音信号を受信して感知するように構成されている。
【0035】
代表的なインサート型ヘッドホンは左用のインサートヘッドセット装置および右用のインサートヘッドセット装置を含み、これらは左用のイヤホンデバイスおよび右用のイヤホンデバイスとも呼ばれ得ることが一般に理解されるであろう。本明細書では説明のために、1つのインサートヘッドセット装置100だけに言及するが、開示する実施形態のインサートヘッドセット装置100は、左用のインサートヘッドセット装置および右用のインサートヘッドセット装置のうちの一方または両方を有してよく、また有線デバイスおよび無線デバイスを含んでよいことが理解される。
【0036】
本明細書では、音感知デバイス106が空洞108に関して説明されているが、開示される実施形態の諸態様はそのように限定されることはない。代替実施形態において、音感知デバイス106は、ハウジング102に関して任意の好適な場所の中にまたはその場所に配置されてよく、空洞の中に配置される必要はない。一実施形態において、音感知デバイス106は、インサートヘッドセット装置100に取り付けられるワイヤループに、またはその一部に取り付けられる場合がある。例えば、有線式のインサートヘッドホンデバイスでは、イヤホンに接続されるワイヤケーブルがマイクアセンブリを含むことになり、これが音感知デバイス106を有するかまたは含むことができる。
【0037】
一実施形態では、ハウジング102の中にバルブ104が配置されている。バルブ104は、ハウジング102の第1面120と、ハウジングの第2面122に接する、本明細書では外部環境とも呼ばれる周囲空気とを接続するように構成されている。バルブ104が開いた状態にあるとき、バルブ104の側面に蓄積されたあらゆる圧力を放出することができ、ハウジング102の第1面120とハウジング102の第2面122との間の空気の流れが可能になる。
【0038】
バルブ104は、任意の好適な種類のバルブ、例えば、アクティブ制御バルブまたは電子制御バルブであってよい。例えば、一実施形態では、小型ソレノイドバルブを用いて電気制御アクティブバルブを実装することができる。バルブ104を制御して、開いた状態と閉じた状態とを切り替えることができる。
【0039】
一実施形態において、装置100はコントローラ110も含む。コントローラ110は概して、音感知デバイス106およびバルブ104のうちの一方または両方に接続されている。コントローラ110は、音感知デバイス106からの信号を受信して、受信した信号に応じて、バルブ104の開いた状態と閉じた状態とを制御する、または切り替えるように構成されている。
【0040】
一実施形態において、コントローラ110は、オーディオ信号を検出して、検出したオーディオ信号に応じて、バルブ104の状態を制御するように構成されている。開示される実施形態の諸態様によれば、オーディオ信号は、音感知デバイス106により感知または検出される信号である。音感知デバイス106からの信号は、コントローラ110に送られる。一実施形態において、コントローラ110は、オーディオ信号がユーザにより生成された音信号もしくはオーディオ信号のうちの一方または両方であるか、またはユーザと無関係の周囲環境からのノイズもしくは他の信号であるかを判定するように構成されている。
【0041】
ユーザにより生成されたオーディオ信号には、限定はしないが、スピーチ、発話、そしゃく音、物を食べる音、せき払いもしくはくしゃみ、ユーザの足音、またはユーザがインサートヘッドセット装置100を装着したときに閉塞効果を生み出す可能性がある何らかの他のノイズのうちの1つまたは複数が含まれ得る。これらの種類の音は通常、ユーザがイヤーバッド型デバイスを装着しているときに、ブーミング効果を生み出す可能性がある。オーディオ信号には、風または他の環境ノイズなどの外部ノイズも含まれ得る。
【0042】
一実施形態において、検出されたオーディオ信号には、近くにいる人のスピーチも含まれ得る。例えば、ユーザがインサートヘッドセット装置100を装着している場合、イヤーバッドが片方の耳または両耳に挿入されている状態では、周囲ノイズ、例えば他の人が話しているかどうかを聞き取ることが困難になり得る。場合によっては、本明細書でさらに言及されるように、ユーザは、周囲ノイズまたは環境ノイズを受動的に遮断するまたは減衰させるインサートヘッドセット装置を用いることができる。こうした状況においても、ユーザは近くで話している人の声を聞けることを望む場合がある。
【0043】
この例では、コントローラ110は、近くで話す人のスピーチを検出し、それを受けてバルブ104を開くように構成されてよい。一実施形態において、音感知デバイス106は、音声加速度計を有してよい。音声加速度計は、ユーザのスピーチを検出して、近くにいる他の誰かの会話と区別するのに用いられ得る。例えば、ユーザが話している場合、音声加速度計は、近くで話す人が引き起こす振動よりもかなり多く、またはより高い強度で振動することになる。一実施形態において、近くで話す人のスピーチは、音声加速度計の振動強度が所定の閾値以下であることに基づいて検出することができ、バルブが開かれる。代替実施形態では、音声加速度計を含むこと以外の任意の好適な音感知デバイスを用いて、近くにいる1人または複数の人の会話を検出することができる。「近く」という用語は、例えば、1メートルと10メートルとの間、または10メートル未満~15メートル未満といった、任意の好適なまたは所望の範囲を含んでよい。場合によっては、例えば、この範囲は5メートル未満になる可能性がある。一実施形態において、この範囲は選択的に設定することができる。この状況でバルブ104を開くことにより、ユーザは近くで行われている会話を容易に聞き取ることが可能になり得る。
【0044】
一実施形態において、コントローラ110は概して、プロセッサおよびメモリを有している。プロセッサは概して、非一時的機械可読命令を実行するように構成されており、これらの命令は、実行されると、本明細書で説明されるプロセスのうちの1つまたは複数を行うように構成されている。コントローラ110は、プロセッサがバルブ104の動作を制御し、オーディオ信号の検出に応じて、バルブ104の状態を開位置または開いた状態と閉位置または閉じた状態とに切り替えることができるように構成されている。
【0045】
図1の例において、コントローラ110は、本明細書ではタイマ118と呼ばれる1つまたは複数のタイマも含んでよい。タイマ118は概して、期間をカウントするまたは監視するように構成されている。例えば、一実施形態において、タイマ118は、バルブ104が開いているまたは閉じている時間の長さを測定するのに用いられてよい。代替実施形態において、タイマ118は、検出された音信号またはオーディオ信号の持続時間を監視するように構成されている。図1にはタイマ118が別個のデバイスであるように示されているが、開示される実施形態の諸態様は、そのように限定されることはない。代替実施形態において、タイマ118は、コントローラ110の一部であり、任意の好適な種類の計時デバイスまたは時計デバイスを含んでよい。
【0046】
開示される実施形態の諸態様は、ユーザにより生成された音の検出を利用して、バルブ104の開放を制御し、閉塞効果を除去するまたは低減することに関する。バルブ104を開くと、圧力を放出することができ、ハウジング102の第1面120に接する外耳道と、外耳道の外側にある、ハウジング102の第2面122に接する環境との間で空気の流れが可能になる。本明細書では概して空気の流れに言及するが、開示される実施形態の諸態様はそのように限定されることはない。バルブ104の開放により、音波が第1面120および第2面122に進行する、ならびにその間を進行することも可能になり得ることが理解されるであろう。
【0047】
本明細書では説明のために、バルブ104の開放は「通気」とも呼ばれ得る。ユーザのスピーチなどのオーディオ信号が検出されたときにバルブ104を開くことで、より代表的な閉塞効果であるブーミング音が聞こえるのではなく、本明細書で開示する通気は、ユーザの声がより普通に聞こえることを可能にする。したがって、例えば、インサートヘッドセット装置100がユーザの耳に装着されている間にユーザが何か話した場合、コントローラ110は反応してバルブ104を開き、閉塞解除に切り替えることができる。同様に、インサートヘッドセット装置100がユーザの耳に装着されている間に、ユーザが、例えば、そしゃくする、物を食べる、せき払いをする、くしゃみをする、または歩行するなどの、何らかの他の1つまたは複数の音を生成した場合、コントローラ110は、ユーザにより生成されたこの種類のオーディオ信号またはノイズ信号に反応して、バルブ104を開くことができる。オーディオ信号の形で検出された音には、インサート型ヘッドセットを装着しているときに耳障りと感じられる可能性がある任意の種類の音またはノイズが含まれ得る。開示する実施形態の閉塞解除または通気によって、そうしなければインサートヘッドセット装置100の装着者に聞こえる可能性があるブーミング効果が除去される、または低減される。
【0048】
音感知デバイス106は、本明細書において一般に説明されているような声または他のオーディオ信号を検出するのに用いられ得る任意の好適な音または声を感知するデバイスであってよい。例えば、一実施形態において、音感知デバイス106は、ユーザがいつ会話しているか、または何らかの他の可聴音もしくはノイズをいつ生成したかを感知する音声加速度計である。ユーザが何らかの可聴音を生成したことを音感知デバイス106が感知すると、コントローラ110は、バルブ104を開放させるように構成されている。これにより、チャネル112内の圧力軽減と空気または音の流れとが可能になる。図1には、音感知デバイス106およびコントローラ110が別個のデバイスとして示されているが、開示される実施形態の諸態様はそのように限定されることはない。一実施形態において、音感知デバイス106およびコントローラ110は、1つのデバイスで構成されてよい。
【0049】
一実施形態において、音感知デバイス106により検出されたバックグラウンドノイズレベルが特定の閾値または所定の閾値より低い場合、バルブ104は開くようにプログラムされても、コントローラ110により制御されてもよい。例えば、ユーザがインサートヘッドセット装置を装着しているが、いかなるコンテンツもプログラム素材も聴いていない場合、バルブを開いて外耳道を通気することが望ましいかもしれない。開示される実施形態の諸態様は、ヘッドセットが装着されているが現時点でリスニングにも、周囲の音またはノイズの受動的減衰にも用いられていないという状況において、外耳道の通気を可能にする。バックグラウンドノイズレベルが所定の閾値を下回る場合にこの通気が行われるのを可能にすることで、そうしなければインサートヘッドセットの遮断による発汗から生じる可能性がある外耳道の不快さを低減することができる。
【0050】
図1の例では、ハウジング102内に空気の通路112が配置されている。空気の通路112は、第1面120と第2面122との間の空気および/または音の流れを可能にする任意の好適な通気経路または流路で構成され得る。図1の空気の通路112は、第1の端部または開口部114と、第2の端部または開口部116とを含む。バルブ104は、チャネル112の第1の端部114と、チャネル112の第2の端部116とをつなぐ、または接続する。第1の端部114はユーザの外耳道(図には示されていない)と連通しており、第2の端部116は、インサートヘッドセット装置100の外側にある周囲空気などの外部環境と連通している。この一例は図2に関しても示されており、これについては後述する。
【0051】
図1にはチャネル112とバルブ104とが1つしか示されていないが、開示される実施形態の諸態様はそのように限定されることはない。代替実施形態において、ハウジング102は、本明細書において概して説明されているように、ハウジング102の第1面120および第2面122への空気の流れ、ならびにその間の空気の流れを可能にするチャネル102およびバルブ104を任意の数だけ含んでよい。例えば、一実施形態では、インサートヘッドセット装置100の異なる面または部分に、1つより多くのまたは異なる流路もしくはチャネルを含むことが望ましい場合がある。他の実施形態では、通気効果および閉塞解除効果を高めるために、複数の開口部114、116と1つまたは複数のチャネル112との1つまたは複数の組み合わせを有することが望ましい場合がある。例えば、1つまたは複数の開口部114、116は、さらに流入および流出の流れを提供するために、1つの場所だけではなく様々な場所において、ハウジング102のそれぞれの面120、122の表面あたりに配置される場合がある。本明細書で説明されているように、1つまたは複数の開口部114と116との間に1つのバルブ104が接続されてよい。
【0052】
図1の例において、バルブ104は、チャネル112のほぼ中間に配置されている。代替実施形態において、バルブ104は、チャネル112に関して、任意の好適な場所に配置されてよい。例えば、一実施形態において、バルブは、第1の端部114または第2の端部116に配置されても、どちらかの端部のより近くに配置されてもよい。開示される実施形態の諸態様では、ハウジング102およびチャネル112に関して、バルブ104の位置で限定されることは意図していない。
【0053】
図2を参照すると、開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的なインサート型ヘッドセット装置200の一実装例が示されている。この例では、インサートヘッドホン装置200は、イヤーチップまたはヘッドホンデバイスとも呼ばれることがあるイヤーバッドデバイスを備えている。上述したように、代表的なインサート型ヘッドホンは、そのようなイヤーバッドを2つ含み、1つは左耳用であり、もう1つは右耳用である。
【0054】
図2の例では、装置200の第1面はイヤーチップ220を含む。イヤーチップ220は、ユーザまたは装着者の外耳道に挿入される、またはその外耳道に関連して配置されるように構成されている。イヤーチップ220は概して、スピーカまたは音を生成する他のデバイスを含むことになる。バルブ204が閉じている場合、チャネル212に空気の流れはない。バルブ204が開いている場合、第1面の開口部214またはイヤーチップ220と、第2面222の開口部216との間の空気の流れが可能になる。バルブ204の開放と、対応する圧力放出とによって、開口部214および開口部216への空気の流れならびにその間の空気の流れが可能になり得るので、閉塞効果が減少して、外耳道領域の通気が改善されることになる。
【0055】
図2の例には示されていないが、インサートヘッドセット装置200は、図1に関して説明されているように、音感知デバイス106または他の音感知デバイスを含むことになる。一実施形態において、音感知デバイス106は、バルブ204またはコントローラ210のうちの一方または両方のコンポーネントであってよく、図1のバルブ104およびコントローラ110への言及が対応している。代替実施形態において、音感知デバイス106は、本明細書で説明されているように、ユーザにより生成されたノイズまたはバックグラウンドノイズを音感知デバイスが検出できる方式で、装置200の任意の好適な場所に、またはその中に配置されてよい。
【0056】
図3は、開示される実施形態の諸態様を組み込んだ例示的なプロセスフロー300を示している。この例では、302で音感知デバイス106からの信号が検出される。信号は、例えば、ユーザにより生成された音信号、近くにいるユーザからのスピーチ信号、またはバックグラウンドノイズ信号といった任意の好適な音信号またはオーディオ信号であっても、それを表してもよく、これについては本明細書で別途説明する。信号がユーザにより生成されたノイズ信号かどうかが、304で判定される。もしそうであれば、306でバルブが開く。
【0057】
図4の例において、プロセス400は、404で再生されるか、またはインサートヘッドセット装置を装着したユーザの耳に別の方法で出力されるコンテンツ信号またはプログラム素材を、ユーザが聴いているか、または402で別の方法で受信している場合を示している。本明細書では、コンテンツ信号またはプログラム素材という用語は概して、インサートヘッドセット装置のイヤーチップを介してユーザの耳に送られるオーディオを指すのに用いられている。例えば、ユーザは、電話をしている、音楽またはスピーチを聴いている可能性がある。そのようなコンテンツを聴きながら、ユーザが話す場合、または本明細書で概して説明されるようなユーザに基づく他の音を生成した場合、対応するスピーチ示唆信号が406でコントローラにより検出される、または受信される。一実施形態において、コンテンツ信号の配信は、408で中断または停止されてよい。一実施形態において、これには、配信されたコンテンツ信号の音量を下げる調整が含まれる場合がある。例えば、ユーザが音楽を聴いていて、次に会話をすることがある。音量を下げて、バックグラウンドで再生することができる。このように、コンテンツが引き続き再生されているが、会話を妨げないために、低いまたは静かな音量レベルで再生している。代替的に、音楽または他のコンテンツ信号の音質が、例えば、主にスピーチ周波数範囲からコンテンツを除去するために調整される場合がある。
【0058】
次にバルブ104が、閉塞解除のために410で開く。バルブ104の開放および対応する通気を用いて、例えば、低音が強調された声音と感じられる閉塞効果につながる、ユーザのスピーチの過度な低音成分を下げる。
【0059】
一実施形態において、バルブ104が開いている場合、図1のタイマ118などのタイマが410で始動する。所定期間が終了したかどうかが、412で判定される。所定期間は概して、代表的なユーザの発話またはユーザにより生成される他の音の持続時間に対応するように構成されている。一実施形態において、例示的な発話の正確な時間は、装置100の調整段階において実験的に発見することができる。そのような一実施形態において、装置100またはコントローラ110は、タイマ118を調整できるように、またはタイマ118に所定の時間を設定できるように構成することができる。代替実施形態において、所定期間は、任意の好適なまたは所望の持続時間であってよい。
【0060】
412で所定期間が終了した場合、コンテンツ信号の配信が414で再開される。これは、プログラム素材がインサートヘッドセット装置100からユーザの耳に送られることを意味している。バルブ104または204などのバルブも、この時点で閉じてよい。一実施形態において、バルブが閉じており、プログラム素材が配信される音量はバルブの開放前に設定された元のレベルに調整されている。
【0061】
図5を参照すると、この例において、コンテンツ信号のインサートヘッドセット装置110への配信は中断されている。しかしながら、ユーザは、インサートヘッドセット装置100を自分の耳のうちの一方または両方につけたままにしている。例えば、ユーザが通話中である場合、通話が終了しているかもしれないが、イヤーバッドは片方の耳または両耳についたままになっている。別の例として、音楽が終了しているかもしれないが、イヤーバッドはまだ耳についている。この場合、開示される実施形態の諸態様による通気は、不快さにつながる場合がある外耳道の発汗を防止するために、一定の期間が終了した後に可能になるはずである。
【0062】
図5の例において、504でインサート型ヘッドセット装置のイヤーバッドのうちの一方または両方においてコンテンツ信号が受信されていることが、502で判定される。コンテンツ信号の配信が中断または別の方法で途切れているかどうかが、506で判定される。肯定の場合、タイマ118などのタイマが508で始動する。このタイマは、図1で言及されたタイマ118、または異なるタイマを有してよい。一実施形態において、図1のタイマ118は、複数の時計または計時モジュールを含んでよい。したがって、複数の期間を監視することができる。
【0063】
コンテンツ信号の配信が再開されているかどうかが、510で判定される。否定の場合、所定の時間が終了したかどうかが、512で判定される。一実施形態において、所定の時間とは、タイマに予め設定されている時間である。この所定の時間は、例えば、インサート型ヘッドセット装置のアルゴリズムの調整または設定の段階における発見で判定されてよい。代替実施形態において、所定期間は、任意の好適なまたは所望の期間であってよい。
【0064】
所定の時間が終了した場合、バルブを起動するかまたは開いて、通気を可能にする。通気によって、外耳道と外部環境(すなわち、外耳道の外側にある周囲空気)との間の空気の通過が可能になる。これにより、イヤーバッド型デバイスが耳に挿入されたままになっている場合に、生じる可能性がある発汗の促進または他の不快さを防止するのに役立つことになる。
【0065】
開示される実施形態の諸態様は、特定の状況においてバルブ104を開いて通気を可能にするが、バルブ104を開くのが望ましくない状態があり得る。例えば、バックグラウンドノイズが一定のレベルを上回る場合、バルブ104を開くのは、より多くのノイズまたは音が外耳道に入ることが可能になり得るので望ましくないかもしれない。図6に示すように、一実施形態において、本方法は、602でバックグラウンドノイズレベルを判定するまたは検出する段階も含み得る。バックグラウンドノイズレベルが所定のレベルを上回るかどうかが、604で判定される。バックグラウンドノイズレベルが所定のレベルを上回る場合、バルブ104、204などのバルブは開かれることはなく閉じている、または他の方法で閉じた状態に維持されている。
【0066】
図6に示すようなバックグラウンドノイズの判定は、図3図5において言及されているプロセスのどの時点でも行われてよい。例えば、一実施形態において、バルブ104を通気のために開くべきであると図3図5のプロセスが決定した場合、バックグラウンドノイズレベルを確認して、バルブを開くのに好適であるかどうかを判定することができる。あるいは、このバックグラウンドノイズの確認は、プロセスの間中、またはバルブ104が開いた状態にある間のどの時点でも行うことができる。
【0067】
一実施形態において、バックグラウンドノイズ信号の検出は、プログラム素材が再生されていない場合、またはコンテンツ信号が検出されていない場合に限り、適用され得る。例えば、ユーザはヘッドセットまたはイヤーバッドを装着できるが、コンテンツはイヤーバッドに配信されていない。このように、装置100は、プログラム素材を再生している間にバックグラウンドノイズレベルを分析しないので、バッテリ寿命を節約することができる。
【0068】
好適なバックグラウンドノイズレベルを決定するために、一実施形態において、インサート型ヘッドセット装置の調整段階は、バルブ104の開放を回避するためのバックグラウンドノイズレベルを確認するためにさらなる制御策を含んでよい。開示される実施形態の諸態様では、本明細書で説明した通気をノイズの多い環境で行うのを防止するために、このさらなる確認を提供することができる。こうしたノイズは、ユーザによってネガティブに感じられる場合がある。
【0069】
開示される実施形態の諸態様により、ユーザは自分自身の自然な声を、インサートヘッドセットを装着している場合でも体験することが可能になり、閉塞効果を低減するために、いかなるボタンを押す必要も、いかなるメニューを閲覧する必要もない。アクティブノイズコントロールの代わりに実際のバルブを用いると、必要な電力が少なく、通常は優れた音質が可能になる。また、開示される実施形態の諸態様により、既存のヘッドセットと違って、十分な外耳道の通気が確実に行われ、これが装着時の快適さの増大につながり得る。この利点は、アクティブノイズコントロールではなく、提供される実際の通気によってもたらされる。
【0070】
したがって、本発明の基本的な新規の特徴が本発明の例示的な実施形態に適用されるものとして示され、説明され、指摘されているが、示されたデバイスおよび方法の形態および詳細ならびにその動作の様々な省略、置き換え、および変更が、現在開示されている発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって行われてよいことが理解されるであろう。さらに、同じ結果を実現するために実質的に同じやり方で実質的に同じ機能を行うこれらの要素のあらゆる組み合わせが、本発明の範囲内にあることが特に意図されている。さらに、任意の開示された本発明の形態または実施形態に関連して示され且つ/または説明された構造および/または要素は、任意の他の開示されたまたは説明されたまたは示唆された形態もしくは実施形態に、設計選択の一般事項として組み込まれてよいことを認識されたい。したがって、本明細書に添付した特許請求の範囲によって示されるとおりにしか限定されないことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】