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特表2023-501107連続型湿式造粒におけるバインダーとしてのオクテニルコハク酸ナトリウムデンプンの使用
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  • 特表-連続型湿式造粒におけるバインダーとしてのオクテニルコハク酸ナトリウムデンプンの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】連続型湿式造粒におけるバインダーとしてのオクテニルコハク酸ナトリウムデンプンの使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/28 20060101AFI20230111BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230111BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20230111BHJP
   B01J 2/20 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B01J2/28
A61K9/16
B01J2/00 A
B01J2/20
A61K9/20
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523204
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2020081387
(87)【国際公開番号】W WO2021089848
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】19306456.5
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ホイスラー、オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデヴィヴェール、リーゼ
【テーマコード(参考)】
4C076
4G004
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076EE38
4C076FF02
4C076FF05
4C076GG12
4G004AA02
4G004LA00
4G004NA01
(57)【要約】
本発明は、二軸造粒におけるバインダーとしての、特に医薬固体剤形のための、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプンの使用、及びその方法によって得られる顆粒に関する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続型湿式造粒によって1つ又は複数の原料を含む顆粒を調製するための方法であって、
a)原料粉末を連続型湿式造粒機に供給するステップと、
b)造粒液を前記連続型造粒機に供給するステップと、
c)前記原料粉末を、オクテニルコハク酸デンプンからなるバインダーの存在下、前記造粒液で湿潤させることにより、前記顆粒を得るステップと、
d)前記顆粒を乾燥するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記連続型湿式造粒が、押出造粒、好ましくは二軸造粒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a1)原料粉末を前記バインダーの粉末と混合するステップと、
a2)前記粉末混合物を連続型湿式造粒機に供給するステップと、
b)溶媒からなる造粒液を前記連続型湿式造粒機に供給するステップと、
c)前記粉末混合物を前記溶媒で湿潤させることにより、前記顆粒を得るステップと、
d)前記顆粒を乾燥するステップと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
a)前記原料粉末を連続型湿式造粒機に供給するステップと、
b)前記バインダーを含む造粒液を、前記連続型湿式造粒機に供給するステップと、
c)前記原料粉末を前記造粒液で湿潤させることにより、前記顆粒を得るステップと、
d)前記顆粒を乾燥するステップと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記オクテニルコハク酸塩が、10~10g/mol、好ましくは10~10g/mol、より好ましくは10~10g/molに含まれる重量平均分子量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記オクテニルコハク酸塩が、100000~500000g/mol、好ましくは100000~400000g/mol、更に好ましくは100000~300000g/mol、更に好ましくは100000~200000g/molに含まれる、更にまたより好ましくは150000g/molに含まれる重量平均分子量を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オクテニルコハク酸塩が、300000~10g/mol、より好ましくは400000~900000g/mol、更に好ましくは500000~800000g/mol、更に好ましくは550000~750000g/molに含まれる、より好ましくは600000g/molに含まれる重量平均分子量を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
e)前記乾燥した顆粒を粉砕するステップ、を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オクテニルコハク酸デンプンが、もちトウモロコシオクテニルコハク酸デンプンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記オクテニルコハク酸デンプン含有量が、前記顆粒の総乾燥重量の1~50重量%、好ましくは1~15重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記原料が、医薬活性剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
医薬錠剤を調製するための方法であって、請求項1~11のいずれか一項に記載の顆粒を調製するステップと、前記顆粒を圧縮することにより、錠剤を得る最終ステップと、を含む、方法。
【請求項13】
1つ又は複数の原料と、10~10g/mol、好ましくは10~10g/mol、より好ましくは10~10g/molに含まれる重量平均分子量を有するオクテニルコハク酸デンプンと、を含む、顆粒。
【請求項14】
前記オクテニルコハク酸塩が、100000~500000g/mol、好ましくは100000~400000g/mol、更に好ましくは100000~300000g/mol、更に好ましくは100000~200000g/molに含まれる、更にまたより好ましくは150000g/molの重量平均分子量を有する、請求項13に記載の顆粒。
【請求項15】
前記オクテニルコハク酸塩が、300000~10g/mol、より好ましくは400000~900000g/mol、更に好ましくは500000~800000g/mol、更に好ましくは550000~750000g/molに含まれる、より好ましくは600000g/molの重量平均分子量を有する、請求項13に記載の顆粒。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか一項に記載の顆粒を含む、医薬錠剤。
【請求項17】
連続型湿式造粒のためのバインダーとしての、オクテニルコハク酸の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続型湿式造粒におけるバインダーとしての、特に医薬固体剤形のための、オクテニルコハク酸デンプンの使用、特にオクテニルコハク酸ナトリウムデンプンの使用、及びその方法によって得られる顆粒に関する。
【背景技術】
【0002】
湿式造粒は、所望の顆粒特性を得ることにおける、その汎用性及び信頼性により、医薬産業で広く使用されている。湿式造粒は全ての薬物に適用することができ、錠剤を製造するための一般的な方法と見なされている。
【0003】
湿式造粒は、造粒用の液体を添加することによって粉末を凝集させ、顆粒を形成するプロセスである。湿式造粒により、流動性、錠剤を形成するための成形性、含有量均一性が改善され、均一な粒子サイズ及び形状が生じ、製剤原料及び添加物特性のわずかな変化による影響が最小限に抑えられる。
【0004】
湿式造粒は、元々は、低剪断技術としてバッチプロセスにて、又は流動床造粒で、実施していた。次いで、高剪断プロセスを導入し、湿式造粒を連続型技術とした。この技術は、はるかに速く、より効率的である。
【0005】
この技術を工業規模で適用可能なものとするまでには、連続型二軸造粒プロセス、特に、顆粒特性に影響を及ぼす製剤パラメータとプロセスパラメータとの間の関係を十分に理解するための研究が必要とされた。連続型二軸湿式造粒に関する研究の主要な焦点は、異なるプロセスパラメータの評価に当てられていた。しかしながら、バインダーのタイプもまた、顆粒の特性及び摩損度などの錠剤の製品品質に大きな影響を及ぼすことがある。したがって、製剤の開発の際、異なるバインダーを幅広くスクリーニングすることは必須である。したがって、連続型湿式造粒プロセスで使用するのに好適な良好なバインダーを特定することが尚も必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、連続型湿式造粒によって製造した顆粒の特性に、様々なバインダータイプが与える効果を試験した。オクテニルコハク酸デンプンナトリウムをバインダーとして使用すると、良好な顆粒品質(顆粒摩損度及びサイズ)を得るために必要とされる造粒液の量がより少なくなることがそれらの試験により実証された。この挙動は、バインダーの湿潤特性によって説明することができる。顆粒のより速い乾燥プロセス及び顆粒の質のため、必要とされる造粒液を少なくすることは有益である。
【0007】
第1の実施形態では、本発明は、連続型湿式造粒によって1つ又は複数の原料を含む顆粒を調製するための方法であって、a)原料粉末を連続型湿式造粒機に供給するステップと、b)造粒液を当該連続型湿式造粒機に供給するステップと、c)原料粉末を、オクテニルコハク酸デンプンからなるバインダーの存在下、造粒液で湿潤させることにより、顆粒を得るステップと、d)当該顆粒を乾燥するステップと、を含む、方法に関する。当該連続型湿式造粒は、好ましくは押出造粒、より好ましくは二軸造粒である。特定の実施形態では、方法は、a1)原料粉末を当該バインダーの粉末と混合するステップと、a2)当該粉末混合物を連続型湿式造粒機に供給するステップと、b)溶媒からなる造粒液を当該連続型湿式造粒機に供給するステップと、c)粉末混合物を当該溶媒で湿潤させることにより、当該顆粒を得るステップと、d)当該顆粒を乾燥するステップと、を含む。別の特定の実施形態では、方法は、a)当該原料粉末を連続型湿式造粒機に供給するステップと、b)当該バインダーを含む造粒液を、当該連続型湿式造粒機に供給するステップと、c)原料粉末を造粒液で湿潤させることにより、当該顆粒を得るステップと、d)当該顆粒を乾燥するステップと、を含む。好ましくは、前述の方法は、e)乾燥した顆粒を粉砕するステップ、を更に含む。好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸塩は、10~10g/mol、好ましくは10~10g/mol、より好ましくは10~10g/molに含まれる重量平均分子量を有する。第1の好ましい実施形態では、オクテニルコハク酸塩は、100000~500000g/mol、好ましくは100000~400000g/mol、更に好ましくは100000~300000g/mol、更に好ましくは100000~200000g/mol、更にまたより好ましくは150000g/molの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸塩は、300000~10g/mol、より好ましくは400000~900000g/mol、更に好ましくは500000~800000g/mol、更に好ましくは550000~750000g/molに含まれる、より好ましくは600000g/molの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸デンプンは、もちトウモロコシ(waxy maize)オクテニルコハク酸デンプンである。当該オクテニルコハク酸デンプン含有量は、当該顆粒の総乾燥重量の1~50重量%、好ましくは1~15重量%である。好ましい実施形態では、当該原料は、医薬活性剤である。
【0008】
別の実施形態では、本開示は、医薬錠剤を調製するための方法であって、上記開示のように顆粒を調製するステップと、顆粒を圧縮することにより、錠剤を得る最終ステップと、を含む、方法に関する。
【0009】
本開示はまた、1つ又は複数の原料と、10~10g/mol、好ましくは10~10g/mol、より好ましくは10~10g/molに含まれる重量平均分子量を有するオクテニルコハク酸デンプンと、を含む、顆粒、及び当該顆粒を含む医薬錠剤、に関する。第1の好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸塩は、100000~500000g/mol、好ましくは100000~400000g/mol、更に好ましくは100000~300000g/mol、更に好ましくは100000~200000g/mol、更にまたより好ましくは150000g/molの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸塩は、300000~10g/mol、より好ましくは400000~900000g/mol、更に好ましくは500000~800000g/mol、更に好ましくは550000~750000g/molに含まれる、より好ましくは600000g/molに含まれる重量平均分子量を有する。
【0010】
別の態様では、本開示は、連続型湿式造粒のためのバインダーとしての、オクテニルコハク酸デンプンの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
他の特徴、詳細、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面に示される。
図1】乾燥バインダーで製造した顆粒の粒径の中央値を、L/S比に対して示す。
図2】乾燥バインダーで製造した顆粒の摩損度を、L/S比に対して示す。
図3】異なるバインダーで得た錠剤の硬度及び崩壊時間である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、異なる変性を施したデンプンタイプ及び従来のバインダーの、連続型湿式造粒におけるバインダー効率を評価した。評価により、デンプン、特にオクテニルコハク酸ナトリウムデンプンでは、良好な顆粒品質を得るために必要とされる造粒液が少なくなることが実証された。この挙動は、バインダーの湿潤特性によるものである。
【0013】
本発明は、連続型湿式造粒によって1つ又は複数の原料を含む顆粒を調製するための方法であって、
a)原料粉末を連続型湿式造粒機に供給するステップと、
b)造粒液を当該造粒機に供給するステップと、
c)原料粉末を、オクテニルコハク酸デンプンからなるバインダーの存在下、造粒液で湿潤させることにより、顆粒を得るステップと、
d)当該顆粒を乾燥するステップと、
を含む、方法に関する。
【0014】
「顆粒」という用語は、一次粒子から作製された凝集物を指す。異なる方法によって、特に造粒において、顆粒を得ることができる。造粒液を使用して粉末を凝集させる、湿式造粒によって、顆粒を得ることができる。未粉砕顆粒は、任意の好適なサイズ、好ましくは0.1~2mmの範囲のサイズを有してよい。
【0015】
「原料」という用語は、対象となる任意の化合物を指す。化合物の特有の性質は重要ではなく、任意の原料を用いることができる。特定の実施形態では、当該原料は、活性原料である。
【0016】
本明細書で用いる活性原料は、非医薬の剤及び医薬の剤を含む。「活性」という用語は、典型的には、対象となる任意の原料、例えば、医薬、獣医学品、食品、栄養補助食品、化粧品、又は農薬を指すために使用される。このような活性原料の例は、医薬活性成分、着色剤、香味料である。好ましくは、本発明の活性原料は、医薬活性剤、好ましくはヒト用を意図した医薬活性剤である。医薬活性剤は、化学分子であってもよいが、また、例えば、タンパク質、DNA若しくはRNAに由来するものなどの核酸、細胞、又はウイルスに基づく、又はそれに由来する活性原料での場合のように、いわゆる「生物学的」活性成分であってもよい。
【0017】
原料を最初に粉砕することにより、原料粉末として言及する均一な分布の原料を製造することができる。また、原料を、粉末形態で直接購入することもできる。
【0018】
添加物の粉末を用い原料粉末を均質化することもできる。当該添加物は、好便な単位剤形での一貫した量の原料、特に活性原料の送達を確保するように、並びに生産プロセスのコスト、容易性、及び信頼性を最適化するように選択される。添加物は、充填剤(又は希釈剤)、崩壊剤、滑沢剤、抗接着剤、滑剤、湿潤及び表面活性剤、安定剤、顔料、香味剤、甘味料、吸着剤、及び味マスク剤であってもよい。
【0019】
本発明によるバインダーは、オクテニルコハク酸デンプン、好ましくはオクテニルコハク酸ナトリウムデンプンである。
【0020】
バインダーは、湿式造粒プロセスにおける顆粒中の原料粉末間の接着及び凝集を確保するために適切な表面湿潤を有する、重要な製剤成分である。本開示によるバインダーは、高い表面湿潤性を有する。好ましい実施形態では、バインダー溶液(8%w/w)は、20kNの圧力により好ましくは直径10mmのパンチで圧縮した無水リン酸二カルシウム(CAS番号7757-93-9)の表面に当該バインダーが触れたときに、45°未満、好ましくは40°未満の接触角を有する。特に、当該表面接触角は、好ましくは、本開示の実施例に記載のように測定する。
【0021】
本開示のオクテニルコハク酸デンプンは、デンプン質材料である。「デンプン質材料」という表現は、標準的には、デンプンから得られた原料を指す。「デンプン」という表現は、標準的には、当業者に公知の任意の技術によって、トウモロコシ、タピオカ、大麦などの任意の好適な植物素材から単離したデンプンを指すことについて、念頭に置かれたい。単離したデンプンは、典型的には、3重量%以下の不純物を含有する。当該パーセンテージは、単離したデンプンの総乾燥重量に対する不純物の乾燥重量で表されている。これらの不純物は、典型的には、タンパク質、コロイド状物質、及び繊維状残渣を含む。好適な植物素材としては、例えば、マメ科植物、穀物、及び塊茎が挙げられる。
【0022】
オクテニルコハク酸デンプンは、当業者に公知である。オクテニルコハク酸デンプンは、典型的には、エステル化によって、例えば、デンプン質材料とオクテニルコハク酸無水物との反応から得られる。
【0023】
好ましい実施形態では、本開示によるオクテニルコハク酸デンプンを、好ましくはアルファ-アミラーゼで更に部分的に加水分解する。
【0024】
好ましい実施形態では、本開示によるオクテニルコハク酸デンプンは、デンプンの総乾燥重量に対する乾燥重量として表される、50重量%超のアミロペクチンを含むデンプンに由来する。このアミロペクチン含有量を、標準的には、複合体を形成するようアミロースによって吸収されたヨウ素の電位差分析によって、当業者が決定することができる。好ましい実施形態では、本開示によるオクテニルコハク酸デンプンは、少なくとも60%、更に好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%のアミロペクチン含有量を示すデンプンに由来する。
【0025】
好ましい実施形態では、本開示によるオクテニルコハク酸デンプンは、もち種デンプン(waxy starch)、更により好ましくはもちトウモロコシデンプンに由来する。
【0026】
好ましい実施形態では、本開示によるオクテニルコハク酸デンプンは、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプンである。
【0027】
好ましい実施形態では、本開示によるオクテニルコハク酸デンプンは、1%~10%の範囲内で選択される、好ましくは1.5%~5%の範囲内で選択される臨界凝集濃度を有する。
【0028】
臨界凝集濃度については、Wilhelmyプレートを備えた張力計KRUESS K12を用いて、バインダーの表面張力(γLV、mN/m)を異なる濃度で測定することによって決定した。表面張力のバインダー濃度に対する対数表現では、臨界凝集濃度より下及び上の2つの線形領域がある。臨界凝集濃度は、表面張力曲線上で、バインダー濃度と関連して勾配の急激な変化が生じる点が相当する。それぞれの回帰線の外挿により、交点で臨界凝集濃度が得られる。
【0029】
好ましい実施形態では、本開示によるオクテニルコハク酸デンプンは、10~1000mPa.sの範囲内で選択されるブルックフィールド粘度を有し、当該粘度は、溶液の総重量に対して24乾燥重量%の当該オクテニルコハク酸デンプンを含む溶液に対してブルックフィールド粘度計RVTの1番スピンドルを使用して、20℃、60rpmにて20分後に決定されるものである。より好ましくは、この粘度は、20~300mPa.sの範囲内、更に好ましくは50~150mPa.sで選択される。
【0030】
本開示によるオクテニルコハク酸デンプンは、とりわけ最終粉末の安全性及び性能の観点から、所望の特性を妨げないものである限り、以前にさらされた好ましいもの以外の化学的及び/又は物理的変性を経てもよい。しかしながら、この変性は、本発明において必須ではないとみられるので、本発明のオクテニルコハク酸デンプンを、好ましくは更に変性しない。
【0031】
市販の好適なオクテニルコハク酸デンプンの例として、CLEARGUM(登録商標)CO01、CLEARGUM(登録商標)COA1、又はCLEARGUM(登録商標)CO03(Roquette)の名称で販売されているものを挙げることができる。好ましい実施形態では、CLEARGUM(登録商標)CO01は、90~200mPa.sの範囲内で選択されるブルックフィールド粘度を有し、CLEARGUM(登録商標)CO03は、20~100mPa.sの範囲内で選択されるブロックフィールド粘度を有する。
【0032】
バインダーとしての、10~10g/mol、好ましくは10~10g/mol、より好ましくは10~10g/molに含まれる重量平均分子量を有するオクテニルコハク酸塩の使用により、ごく少量の造粒液で良好な顆粒品質が得られる。
【0033】
本発明によれば、当該オクテニルコハク酸デンプンは、10~10g/mol、好ましくは10~10g/mol、より好ましくは10~10g/molに含まれる重量平均分子量を有する。第1の好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸塩は、100000~500000g/mol、好ましくは100000~400000g/mol、更に好ましくは100000~300000g/mol、更に好ましくは100000~200000g/mol、更にまたより好ましくは150000g/molの重量平均分子量を有する。別の好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸塩は、300000~10g/mol、より好ましくは400000~900000g/mol、更に好ましくは500000~800000g/mol、更に好ましくは550000~750000g/molに含まれる、より好ましくは600000g/molの重量平均分子量を有する。
【0034】
好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸塩は、CLEARGUM(登録商標)CO03(CASN°66829-29-6、Roquette)、CLEARGUM(登録商標)CO01(CASN°66829-29-6)、又は(登録商標)COA1(CASN°52906-93-1)である。
【0035】
重量平均分子量については、0.02マイクロメートルのフィルターで濾過した、0.02%のアジ化ナトリウム(Aldrich ref.19.993-1)を含有する0.1mol/Lの硝酸ナトリウム水(脱気済みHPLCグレード水)溶液(Merck ref:6546)からなる溶出溶液中にサンプルを溶解し、MALS検出器を備えるサイズ排除クロマトグラフィーで分析することによって、当業者が決定することができる。MW分布を記録し、完全な重量分布の平均値を計算する。非限定的な例として、高速液体クロマトグラフィユニットは、高圧イソクラティックポンプ(WATERS515型)、オートサンプラー(WATER717+型)、示差屈折率計(WATERS2414型)、カラムオーブン、多角静的光散乱(MALS)検出器(DAWN HELEOS II(Wyatt))を備えている。好ましい実施形態では、分析を、110分の間、100μLの注入量及び0.5mL/分の移動相出力、40℃の温度で実施する。10mLの溶出溶媒を40mgのPullulan P50 Shadex標準キットP82(Waters-ref.WATO34207)に添加し、ゆっくりと攪拌しながら100℃で30分間インキュベートすることにより、正規化サンプルを調製して、正規化ステップを行う。100μLの得られた溶液を、当該サイズ排除クロマトグラフィーで分析する。次いで、10mLの溶出溶媒を100mgのサンプルに添加し100℃で30分間インキュベートすることによってサンプルを調製し、当該サイズ排除クロマトグラフィーで分析する。分子量を、Astraソフトウェアで計算する。
【0036】
特定の実施形態では、当該オクテニルコハク酸デンプンは、当該顆粒の総乾燥重量の1~50重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは5重量%に含まれる濃度で存在する。
【0037】
特定の実施形態では、原料を、バインダーの乾式添加方法を用いて造粒する。この特定の実施形態では、これまでに開示したオクテニルコハク酸デンプンからなる粉末形態のバインダーを、原料粉末と混合する。次いで、得られた粉末混合物を連続型造粒機内に供給する。造粒液を、当該連続型造粒機内に供給する。この場合、造粒液は、好ましくは、水、有機溶媒、例えば、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン、及びそれらの混合物、好ましくは少なくとも50%の水を含む混合物からなる群から選択される溶媒であり、より好ましくは、当該造粒液は、水である。当該造粒液は、乾燥によって容易に除去される揮発性のものである必要がある。粉末混合物を造粒液で湿潤させることにより、顆粒を得る。したがって、バインダーの乾式添加の場合、原料粉末を、バインダー粉末と混合した後、連続型湿式造粒機内に供給する。造粒液をその後、連続型造粒機のバレル内に供給する。次いで、原料及びバインダー粉末混合物を、造粒液で湿潤させる。
【0038】
別の特定の実施形態では、原料を、バインダーの湿式添加を用いて造粒する。この特定の方法では、原料粉末を、連続型湿式造粒機内に供給する。前述のオクテニルコハク酸デンプンからなるバインダーを含む造粒液を、当該連続型湿式造粒機内に供給する。次いで、原料粉末を、バインダーを含む造粒液で湿潤させる。
【0039】
この特定の実施形態では、前述のようにオクテニルコハク酸デンプンを溶媒中に溶解することによって、当該バインダーを含む当該造粒液を調製する。当該溶媒は、乾燥によって容易に除去される揮発性のものである必要がある。好ましくは、当該溶媒は、エタノール、水、イソプロパノール、メタノール、アセトン、及びそれらの混合物、好ましくは少なくとも50%の水を含む混合物からなる群から選択され、より好ましくは、当該溶媒は、水である。
【0040】
好ましい実施形態では、当該オクテニルコハク酸デンプンを含む造粒液は、50~300mPa.s-1、好ましくは50~150mPa.s-1に含まれる、より好ましくは、74mPa.sの、25℃でのブルックフィールド粘度を有する。粘度は、回転速度を100rpmとしたBrookfieldデジタル粘度計DV-Iで測定したものである。
【0041】
当該造粒を、連続型湿式造粒機で実施する。連続型湿式造粒機は、湿式造粒プロセスステップを1つの機器で組み合わせることが可能であり、好ましくは、粉末は、造粒機バレルの長さに沿って、核形成及び湿潤、圧密及び破壊を経る。特に、当該造粒を、5~20秒以内に行う。当該造粒機は、好ましくは、バレルの端部に配置されたダイのない、押出機である。
【0042】
好ましい実施形態では、当該造粒を、二軸造粒機で実施する。概して、二軸造粒機は、閉じたバレル内部に2つの共回転軸を備えており、バレルは、複数の異なる部分、特に供給ゾーンと、搬送ゾーン及び混合ゾーンを含む2つの移送ゾーンとに分かれている。粉末混合物を、フィーダーを通して供給し、様々な混合ゾーン及び搬送ゾーンを有するバレルに通す。凝集は、造粒液を造粒機のバレルに添加した後に起きる。搬送ゾーンが材料を輸送する一方で、混練ゾーンでは材料の高密度化が起きる。
【0043】
より好ましい実施形態では、当該二軸造粒を、100~1500rpm、200~900rpmに含まれる軸速度で行う。
【0044】
別の好ましい実施形態では、当該二軸造粒を、5~20kg/時に含まれるスループットで行う。
【0045】
別の特定の実施形態では、当該連続型湿式造粒を、4~100℃、好ましくは30℃の温度で行う。
【0046】
最後に、顆粒を、当業者に公知の一般的な技術を用いて、適切な水分含有量で、好ましくは、水の0~20重量%、より好ましくは水の1~3重量%の乾燥減量値で乾燥することができる。
【0047】
乾燥を、好ましくは、流動床において、20~120℃に含まれる、好ましくは60℃の温度で、10~180分間行う。水含有量を、自動モードにより120℃の乾燥温度でSartorius水分分析器MA150を用いて測定する。
【0048】
次いで、乾燥した顆粒を、その後のプロセスに適切な粒径分布を得るように、好ましくは動的画像解析によって測定される150~1400μmの範囲内の顆粒サイズを得るように、粉砕ステップに供することができる。好ましくは、サイズ決めステップを、低剪断スクリーニングミル、例えば、U5Comilを用いて為す。
【0049】
次いで、乾燥した顆粒を、例えば経口投与のために、固体剤形で調製することができる。固体剤形としては、錠剤、カプセル、丸剤、トローチ、カシェなどが挙げられる。
【0050】
したがって、本開示はまた、医薬錠剤を調製するための方法であって、前述の方法によって得られた顆粒を錠剤に圧縮する、方法に関する。別の実施形態では、顆粒を、カプセル内に封入する。
【0051】
圧縮ステップの前に滑沢剤を添加し、錠剤を取り出しやすくすることができる。本明細書で使用するとき、「滑沢剤」という用語は、表面摩擦を低減し、顆粒の表面を滑沢にし、静電気の蓄積の傾向を減少させ、及び/又は顆粒の摩損を低減する、任意の医薬的に許容される剤を指す。好ましくは、当該滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0052】
好ましくは、圧縮ステップを、例えば、シングル式パンチプレス機又はロータリー式錠剤プレス機による、好ましくはロータリー式錠剤プレス機による、錠剤プレスによって行い、好ましくは、圧縮ステップを、典型的には、スチールダイキャビティ内に2つのスチールパンチを備える機械で実施する。錠剤を形成する際、キャビティ内でのパンチによって、乾燥した顆粒に圧力をかける。
【0053】
本開示はまた、前述の顆粒を調製するための方法によって得られる、顆粒に関する。当該顆粒は、前述のように、1つ又は複数の原料と、バインダーとを含む。
【0054】
別の態様では、本発明は、前述の錠剤を調製するための方法によって得られる、医薬錠剤に関する。当該医薬錠剤は、前述の顆粒を含む。別の実施形態では、当該医薬錠剤は、前述のように、1つ又は複数の原料と、バインダーとを含む。
【0055】
好ましくは、本発明による医薬錠剤は、5%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは5~1%の摩損度を有する。摩損度は、Eur.Ph.(PTF E Pharma Test,Hainburg,Germany)に記載の方法に従って、25rpmの速度で4分かけて、当業者が測定することができる。重量減少百分率を、錠剤の摩損度として表した。
【0056】
本発明の他の特徴及び利点は、以下に示す実施例を読むことで明確に把握される。以下の実施例は、本発明を例示するものであり、限定するものではない。
【実施例
【0057】
1.顆粒の摩損度及び粒径
造粒実験を、粉末から錠剤までのラインの連続型二軸造粒機(ConsiGma(商標)-25システム、GEA Pharma Systems)を用いて行った。
【0058】
粉末を、フィーダーを通して20kg/時のフィーダー速度で供給した。
【0059】
二軸構成には、食い違い角60°で搬送エレメント(1.5L/D)により区切られた、6個の混練エレメントからなる2つのブロックが存在している。別の構成では、各混練ゾーンの最後の混練エレメントを90°の角度で食い違いにし、試験した。加工温度は30℃とし、軸速度は300rpmとする。
【0060】
無水リン酸二カルシウム(DCP)を、バイダーの乾式(事前ブレンドにおいて乾燥粉末として)及び湿式(水溶液として)の両方の添加を用いて造粒した。乾燥バインダーの濃度は、当該粉末混合物の総乾燥重量の5乾燥重量%であった。湿式添加では、顆粒中のバインダーの濃度は、当該顆粒の総乾燥重量の1.44乾燥重量%であった。加えて、バインダー溶液の粘度に応じて、特定のバインダーでは高濃度(3%及び/又は5%)を達成することができた。添加方法(湿式及び乾式)及び異なるバインダー(cleargumCO01(600000g/mol)、cleargumCO03(150000g/mol)、Glucidex2、Glucides6、HPMC E5、HPMC E15、Lycatab DSH、Lycatab PGS、Lycoat RS720、PVP K12、PVP K30、PVP K90)の、顆粒特性(顆粒摩損度及び粒径分布)に対する効果を、評価した。顆粒の摩損を、研磨ドラムを備えた摩損試験器(PTFE Pharmatest)を用いて評価した。顆粒の粒径を、QICPIC粒径分析器(Sympatec,Germany)を用いた動的画像解析によって解析した。
【0061】
全般的に、水又は液体含有量を、液体対固体比(L/S)として表す。液体対固体(L/S)比を、0.105から0.225まで変化させた。1~3重量%の乾燥減量を得るまで、顆粒をトレイ乾燥した。
【0062】
乾式添加方法
5%の一定のバインダー濃度を用いる乾式添加方法では、L/S比が高くなるほど顆粒が大きくなることから、粒径分布はL/S比による影響を大きく受けた。CleargumCO01では、他のバインダーと比べ低いL/S比(0.155)で、非常に大きな中央粒径(d50)(4026μm)を有する顆粒を製造した。この製造は、このバインダーの両親媒性特性に起因し得る。乾式添加したバインダーで得た顆粒のd50値を、図1に示す。
【0063】
L/S比が高くなるほど、各バインダーについてあまり摩損のない顆粒が得られることから、L/S比は摩損度にも強く影響を及ぼした。より多量の造粒液を添加した場合、より多くのバインダーが流体と接触することから、バインダーの大部分が相互作用に寄与可能である。乾燥バインダーで製造した顆粒の摩損度を、図2に示す。
【0064】
Cleargumはより低いL/S比で加工可能であるため、このバインダーのバインダー特性を活性化するために必要とされる水はより少ない。したがって、連続型プロセスにおけるCleargumに固有のバインダー性能は、より多くの液体を必要とする他のバインダーと比べてより高いと考えられると言うことができる。得られた顆粒の摩損度は低い(<30%)。
【0065】
湿式添加方法
湿式添加したバインダーの顆粒サイズ分布は、L/S比及び乾燥した顆粒におけるバインダー含有量の両方に応じて異なった。L/S比を高くし、乾燥した顆粒におけるバインダー濃度を高くすることで、顆粒を大きくした。しかしながら、最も高いL/S比のCleargumCO03で操作したときに、特に高い中央粒径を有する過湿潤顆粒が観察された(>10000μm)。
【0066】
注目すべきことに、CleargumCO03及びCleargumCO01を加工することができるL/S比範囲は、他のバインダーと比べてより低く、これらのバインダーの活性化に必要とされる造粒液がより少ないことが示されている。
【0067】
2.バインダーの特性評価:バインダーの湿潤性
液滴法を適用して、Drop Shape Analyzer(DSA30、KRUSS GmbH、Hamburg,Germany)を用いた表面接触角測定によりバインダーの湿潤性を測定した。2つの異なるタイプの実験を行った。(i)無水リン酸二カルシウム(DCP)(Calipharm(登録商標)A,Innophos,Chicago Height,USAから入手)を、圧縮シミュレータ(Styl’One Evolution,Medelpharm,Lyon,France)を用いて、20kNの圧力により直径10mmのパンチで圧縮した。純DCPの錠剤化により、強い力を加えることのない高い排出力が得られた。これにより、錠剤の空隙率が高くなった。水性バインダー分散液を調製し(8%w/w)、5μLの各分散液をDCP錠剤上に置いた。液滴が錠剤(CADCP)の表面に触れたときに、接触角(°)を測定した。空隙率の高さに起因して、30秒(30 s)の角度を得ることはできなかった。5回の反復測定を行った。(ii)各バインダー分散液の液滴(8%w/w)を、ポリテトラフルオロエチレン(PFTE)表面上にも置いた。PETEは不活性物質であるため、経時的な角度の差は観察されなかった。したがって、接触角(°)は、液滴が表面(CAPFTE)に触れたときにのみ測定した。測定を3回行った。
【0068】
【表1】
【0069】
表1:液滴がCADCP及びCAPFTEの表面に触れたときに測定された異なるバインダーの接触角(°)。
【0070】
疎水性ポリテトラフルオロエチレン(PFTE)表面のオクテニルコハク酸デンプン溶液での湿潤により、最小の接触角が得られた。したがって、オクテニルコハク酸デンプンは、PFTEの良好な湿潤特性を示す(表1)。
【0071】
これらの値は、高密度化した無水リン酸二カルシウム錠剤(CADCP)に基づいて、具体的なモデル(concrete model)を用いることによって確認している。本発明者らは、試験した全てのバインダー間で大きな差を見出している。オクテニルコハク酸デンプンによるバインダーは、32.8°の接触角を示す(表1)。
【0072】
乾燥バインダー及び湿潤バインダーの特性評価は、Cleargumが特定の湿潤挙動を有することを示した。Cleargum溶液(オクテニルコハク酸デンプン)をDCPに対して測定した場合、低い接触角が観察された。これにより、他のバインダーと比べて、より低いL/S比での加工性を示すことができる。
【0073】
3.錠剤の特性評価
マンニトールを、バインダーの乾式添加を用いて造粒した。乾燥バインダーの濃度は、当該粉末混合物の総乾燥重量の5乾燥重量%であった。粉砕した顆粒を、1.2%w/wのステアリン酸マグネシウムと、タンブルブレンダー(T2F,W,A.Bachofen、Basel、Switzerland)内で混合した後で、錠剤化した。錠剤を、Styl’One圧縮シミュレータを用いて、10mmのパンチにより調製した。錠剤を、5つの異なる主圧縮力:5kN、10kN、15kN、20kN、25kNで圧縮し、37±0.1℃の脱塩水900mL中での崩壊時間について、n=5で試験した(Pharmatest,Hainburg,Germany)。錠剤の硬度(n=5)も、硬度試験機(Type HT10,Sotax,Basel,Switzerland)を用いて測定した。
【0074】
CleargumCO01で造粒したマンニトールの錠剤は、高硬度及び短い崩壊時間を示す(図3)。
【0075】
結論
二軸造粒により製造した顆粒の品質に対する、異なるバインダーのタイプ及び添加方法の効果を評価した。この試験は、異なるバインダーのタイプ及び添加方法が、顆粒特性に異なる影響を及ぼしたことを実証した。産業上の観点から、バインダーの乾式添加は、製造の容易性から好ましい。
【0076】
CleargumCO01及びCleargumCO03バインダーでは、良好な顆粒品質を得るために必要とされるL/S比は低かった。良好な顆粒品質を得るのに必要とされる造粒液が少ないことは、顆粒の乾燥に都合がよい。この低L/S比は、これらのバインダーによる、粉末床の効率的な湿潤によって説明することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】