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特表2023-501118改良された集塵機用モータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】改良された集塵機用モータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/44 20060101AFI20230111BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20230111BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20230111BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20230111BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20230111BHJP
   B28D 7/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B01D46/44
B01D46/42 A
B24B55/06
B24B49/10
B23Q11/00 M
B23Q11/00 P
B28D7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523571
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 SE2020051053
(87)【国際公開番号】W WO2021096409
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】1951311-8
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】エルメストランド、カール
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C047
3C069
4D058
【Fターム(参考)】
3C011BB03
3C011BB15
3C034AA07
3C034AA15
3C034BB94
3C034CA26
3C034CB14
3C047FF07
3C047FF11
3C047HH12
3C069AA01
3C069AA04
3C069BA01
3C069BA09
3C069CA07
3C069DA07
3C069EA01
4D058JA01
4D058NA01
4D058NA03
4D058NA04
4D058PA04
4D058PA05
4D058QA08
4D058SA20
4D058UA06
(57)【要約】
集塵機の動作を制御する方法であって、集塵機に流入する気流(240)に関するセンサデータ(235)を取得すること(S1)と、センサデータ(235)に基づいて、集塵機が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定すること(S2)と、集塵機が高風量作動範囲で作動している場合、気流(240)を、所定風量レベル(340)以上かつ取得可能流量レベル(310)未満の減少流量レベル(330、3301)まで減少させるように集塵機のファンモータ(210)を制御すること(S3)、とを含み、所定風量レベル(340)は、集塵機(100)の粉塵捕集性能に対応している、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高耐久性の集塵機(100)の動作を制御するための方法であって、
前記集塵機(100)に流入する気流(240)に関するセンサデータ(235)を取得すること(S1)と、
前記センサデータ(235)に基づいて、前記集塵機(100)が高風量作動範囲(350、360)で作動しているか否かを判定すること(S2)と、
前記集塵機(100)が前記高風量作動範囲で作動している場合、前記気流(240)を、所定風量レベル(340)以上かつ取得可能流量レベル(310)未満の減少流量レベル(330、330’)まで減少させるように前記集塵機(100)のファンモータ(210)を制御すること(S3)、とを含み、
前記所定風量レベル(340)は、前記集塵機(100)の粉塵捕集性能に対応している、方法。
【請求項2】
前記集塵機(100)は、サイクロン装置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサデータ(235)は、前記集塵機(100)に流入する前記気流(240)に対応する負圧レベルまたは真空レベルを示す圧力センサ値(S11)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサデータ(235)は、前記集塵機(100)に流入する前記気流(240)に対応する風量センサ値(S12)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記センサデータ(235)は、前記ファンモータ(210)によって消費される電流量を含む(S13)、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記センサデータ(235)は、前記集塵機(100)に流入する前記気流(240)を感知するように構成されたピトー管センサ構成からの圧力データ(S14)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
推定される現在の風量レベルと風量値または風量値範囲(350)とを比較することによって、前記集塵機(100)が前記高風量作動範囲で作動しているか否かを判定する(S21)ことを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
推定される現在の負圧レベルと負圧値または負圧値範囲(360)とを比較することによって、前記集塵機(100)が前記高風量作動範囲で作動しているか否かを判定すること(S22)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記高風量作動範囲は、前記集塵機(100)と接続された粉塵発生機(410)から取得したデータに応じて定義される(S23)、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記高風量作動範囲は、リモートサーバ装置(430)から取得したデータに応じて定義される(S24)、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記高風量作動範囲は、手動入力装置(450)から取得したデータに応じて定義される(S25)、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記気流(240)を前記取得可能流量レベル未満に減少させるため、前記ファンモータ(210)の供給電圧を低下させるように前記ファンモータ(210)を制御すること(S31)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記気流(240)を前記取得可能流量レベル未満に減少させるため、前記ファンモータ(210)のエンジン速度を低下させるように前記ファンモータ(210)を制御すること(S32)を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記気流(240)を前記取得可能流量レベル未満に減少させるため、前記ファンモータ(210)によって駆動される前記ファンのブレードピッチを調整するように前記ファンモータ(210)を制御すること(S33)を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ファンブレードの先端と、前記ファンモータ(210)によって駆動される前記ファンのファンハウジング、との間の距離を調整するように前記ファンモータ(210)を制御すること(S34)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ファンハウジングは、前記ファンの軸方向に沿って円錐形を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記気流(240)を前記取得可能流量レベル未満に減少させるため、前記ファンモータ(210)によって駆動される前記ファンへの吸気を規制するように前記ファンモータ(210)を制御すること(S35)を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記集塵機(100)が前記高風量作動範囲(350、360)で作動しているとき、一定の所定風量レベル(340)で動作を維持するように前記集塵機(100)の前記ファンモータ(210)を制御すること(S36)を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記所定風量レベル(340)は、150~2000m/h、好ましくは、150~700m/hである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記気流(240)を減少させるように前記集塵機(100)の前記ファンモータ(210)を制御することは、前記気流をピーク風量レベル(320)の20~30%、好ましくは、25%低下させること(S37)を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
現在の作動場面を判定すること(S4)、および、前記作動場面に応じた風量レベルになるように前記集塵機(100)の前記ファンモータ(210)を制御することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
現在の風量レベルが風量レベル閾値(370)よりも低いことを示すセンサデータ(235)を取得すると、警告を作動させること(S5)を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
コンピュータまたは制御部(160)の処理回路(610)によって実行されるときに、請求項1~22のいずれか一項に記載の工程を実行するためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム(720)。
【請求項24】
集塵機(100)の動作を制御するための制御部(160)であって、
前記制御部は処理回路(610)を備え、
前記処理回路(610)は、
前記集塵機(100)に流入する気流(240)に関するセンサデータ(235)を取得するように構成され(S1x)、
前記センサデータ(235)に基づいて、前記集塵機(100)が高風量作動範囲(350、360)で作動しているか否かを判定するように構成され(S2x)、
前記集塵機(100)が前記高風量作動範囲で作動している場合、前記気流(240)を、所定風量レベル(340)以上かつ取得可能流量レベル(310)未満の減少流量レベル(330、330’)まで減少させるように前記集塵機(100)のファンモータ(210)を制御するように構成されており(S3x)、
前記所定風量レベル(340)は、前記集塵機(100)の粉塵除去性能に対応している、制御部。
【請求項25】
請求項24に記載の制御部(160)を備える、集塵機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建設機械とともに使用する高耐久性の集塵機に関し、集塵機に含まれるファンモータを制御するための方法および制御部を開示する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートやレンガ、その他の硬い建設資材を切断、穴あけ、研削、および/または破壊すると、粉塵やスラリーが発生する。粉塵およびスラリーは、集塵機によって制御下で捕集され、建設現場から取り除かれる。集塵機は、ファンまたはインペラとモータ構成によって負圧を発生させ、掃除機のように、粉塵とスラリーを捕集する真空装置である。集塵機は、プレフィルタまたはセパレータと、それに続く高性能微粒子空気(HEPA)フィルタなどのフィルタを備えている。
【0003】
集塵機は、電源から電力を供給される電気モータを備えることが多いため、電源の容量よる制限がある。そこで、消費エネルギーやピーク電力を抑えて、電源に負荷をかけすぎないようにすることが望ましい。たとえば、メインの電力網でのヒューズの利用に制限がかかっているような建設現場では、起動時に高い電力を消費する集塵機が問題になることがある。
【0004】
集塵機は、フィルタ構成を使って、粒子を含んだ空気の流れから、細かい塵埃粒子を捕集して保持する。このようなフィルタは、定期的に清掃および/または交換の必要がある。通常、フィルタの保守中は作業を停めなければならないため、フィルタ交換により運用コストが押し上げられる。よって、フィルタの交換間隔を延ばすことが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、上記の問題を改善するための方法、制御部、および、高耐久性の集塵機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、集塵機の動作の制御方法によって達成される。この方法は、集塵機に流入する気流に関するセンサデータを取得することを含む。さらに、この方法は、センサデータに基づいて、集塵機が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定することと、集塵機が高風量作動範囲で作動している場合、気流を、所定風量レベル以上かつ取得可能流量レベル未満の減少流量レベルまで減少させるように集塵機のファンモータを制御することとを含む。所定風量レベルは、集塵機の粉塵捕集性能に対応している。
【0007】
以下でも説明するが、モータは、実際に必要な場合にのみ最大出力で使用される。また、風量を減少させた場合でも、その場の集塵用途に十分なレベルの粉塵捕集能力が維持される。このように、モータの起動時のピーク電力を低下させることができる。空気の流れがより安定すると、サイクロンやプレフィルタの最適化が容易になる。また、開示された方法によると、より多くの粉塵や破片を空気フィルタによる分離前の段階で捕集することができる。
【0008】
いくつかの態様によれば、センサデータは、集塵機に流入する気流に対応する負圧レベルまたは真空レベルを示す圧力センサ値、集塵機に流入する気流に対応する風量センサ値、ファンモータによって消費される電流量、集塵機に流入する気流を感知するように構成されたピトー管センサ構成からの圧力データ、のいずれかを含む。このように、開示された構成や方法は、さまざまな態様によって実現できる。より高い効果を得るために、異なる種類のセンサやセンサデータを個別に、または組み合わせて使用してもよい。
【0009】
本明細書には、集塵機と粉塵発生機とが協働して集塵作業を可能にしたり改良したりする集塵機および集塵機のアセンブリも開示されている。ここでは、粉塵発生機は、現在の使用場面に関する情報を集塵機に送信するように構成されている。これにより、集塵機は作動場面に合わせて集塵作業を調整できる。
【0010】
任意の使用場面に適した動作パラメータは、たとえば、粉塵発生機との無線接続、リモートサーバ装置、または手動データ入力手段を介して操作者から取得することができる。
いくつかの態様によれば、高風量作動範囲は、集塵機と接続された粉塵発生機から取得したデータに応じて定義される。
【0011】
いくつかの別の態様によれば、高風量作動範囲は、リモートサーバ装置から取得したデータに応じて定義される。
いくつかのさらに別の態様によれば、高風量作動範囲は、手動入力装置から取得したデータに応じて定義される。
【0012】
いくつかの態様によれば、たとえば、推定される現在の風量レベルと風量値範囲とを比較すること、および/または、推定される現在の負圧レベルと負圧値範囲とを比較することによって、集塵機が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定できる。
【0013】
本明細書は、上記の効果を有する制御部および集塵機も開示している。
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で別段の定めがない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ」などの用語は、特に明記がない限り、要素、装置、コンポーネント、手段、ステップなどの少なくとも1つを指すものとして広く解釈されたい。ここに開示されている方法の工程は、特に明記がない限り、開示されている厳密な順序で実行されなくてもよい。本発明の特徴および効果は、添付の特許請求の範囲および以下の説明を参照することにより明らかになるであろう。本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、本発明の異なる特徴を組み合わせて、以下に記載されるもの以外の実施形態を構成できることはいうまでもない。
【0014】
本開示は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】集塵機の一例を示す図である。
図2】ファンモータの制御構成を模式的に示す図である。
図3】風量と負圧または真空レベルを示すグラフである。
図4】集塵機と粉塵発生機のアセンブリを概略的に示す図である。
図5】方法を表すフローチャートである。
図6】制御部の一例を示す図である。
図7】コンピュータプログラム製品を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して、本発明の詳細を以下に説明する。ただし、本発明は、さまざまな異なる態様で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態および態様に限定されない。これらの実施形態は、本開示を詳細で包括的なものとすることで、当業者が本発明の範囲を十分に理解するための一例である。明細書全体で、同様の符号は同様の要素を指す。
【0017】
本発明は、本明細書に記載され、図面に示されている実施形態に限定されない。添付の特許請求の範囲内で変更および修正が行われる可能性があることは、当業者にとって明らかである。
【0018】
図1は、集塵機100の一例を示す。集塵機は、ホースを介して、コアドリル、フロアグラインダー、コンクリートカッターなどの粉塵発生機(図1に不図示)に接続可能である。ホースは、付属のロック機構130によって固定される。粉塵発生機から出た粉塵やスラリーは、吸入口110を介して集塵機内に入る。プレフィルタ120が、吸入口の後ろ、すなわち、気流方向の下流側に配置される。プレフィルタ120は、たとえば、吸入口110から流入した粒子を含んだ気流から、比較的大きな破片粒子を分離するためのサイクロン装置を含んでもよい。本明細書に開示される技術は、プレフィルタユニットの有無にかかわらず、集塵機に適用可能である。
【0019】
1つまたは複数の空気フィルタ150が、プレフィルタ120の下流側に配置される。このような空気フィルタ150は、たとえば、高性能微粒子空気(HEPA)フィルタであってもよく、他の空気フィルタが使われてもよい。HEPAは、高性能粒子吸収や高性能粒子捕集としても知られる空気フィルタの性能規格である。HEPA規格を満たすフィルタは、一定の性能レベルである必要がある。HEPAは、1950年代に商品化され、登録商標となった後に高性能フィルタの総称となった。本明細書に開示される技術は、異なる種類の空気フィルタの組み合わせを含む、任意の数の空気フィルタ150を備えた集塵機に適用可能である。
【0020】
ファンおよびモータのアセンブリが、1つまたは複数の空気フィルタ150の下流側の空間170に配置される。ファンおよびモータのアセンブリが発生させる吸引力によって、粒子を含んだ気流は吸入口110を介して吸い込まれ、プレフィルタ120を通り、1つまたは複数の空気フィルタ150を通過する。上流方向は吸入口に向かう気流の方向であり、下流方向は吸入口から遠ざかる方向である。
【0021】
集塵機100は、図1に模式的に示す制御部160をさらに備える。制御部160は、ファンを駆動するためにモータを作動させるなど、集塵機のさまざまな動作を制御するように構成される。以下、この制御部について詳しく説明する。
【0022】
図2は、制御部160を備えるファンおよびモータのアセンブリの一例を模式的に示す。制御部は、粒子を含んだ気流240を集塵機へ吸い込むファンモータ210に対し制御225を実行するように構成される。センサ装置230は、気流240に対して配置され、たとえば、大気圧下の圧力レベル(kPa、真空レベルとも呼ばれる)、および/または、風量レベル(通常、m/hで測定)などの気流に関するセンサデータ235を取得するように構成される。
【0023】
真空装置で使用されるファンは、インペラと呼ばれることもある。本明細書内で、「ファン」と「インペラ」という用語は、互換的に使用される。プレフィルタ120および空気フィルタ150を含む真空装置は一般に知られており、本明細書では詳細に説明しない。
【0024】
本開示は、空気フィルタ150が目詰まりするほど、空気フィルタ150を通じて空気を吸引するときにかかるモータの負荷が大きくなるという認識に基づいている。しかし、実際には、空気フィルタ150を通して空気を吸引するときの抵抗が増加するほど、ファンモータ210にかかる負荷は低下する。すなわち、空気フィルタ150を通して空気を吸引するのが困難になるほど、モータがファンを回転させやすくなる。これは、空気フィルタ150の下流側の真空レベルが高くなるほど空気圧が低下し、ファンブレードがより回転し易くなるためである。実際、完全な真空状態では、ファンブレードに空気摩擦や空気抵抗が全くかからない。
【0025】
これは、空気フィルタ150が新しく、かつ、風量が大きいとき、すなわち、必要とされる吸引力が最も小さい高風量作動範囲で集塵機が作動しているとき、通常のファンモータが消費する電力は高いことを意味する。
【0026】
また、空気フィルタ150が完全に詰まっているとき、すなわち、高風量作動範囲外で集塵機が作動していて、大きな吸引力が必要とされるとき、通常のファンモータが消費する電力は低いことを意味する。
【0027】
この認識に照らして、本明細書では、集塵機100が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定し、集塵機が高風量作動範囲で作動しているとき、すなわち、空気フィルタ160が過度に詰まっていないときは、気流240を減少させることを提案する。このように風量を減少させて、モータ始動時の電流要求を下げることにより、集塵機100の動作の全体的な最適化を図る。
【0028】
集塵機100に流入する気流240に関するセンサデータ235を取得するためのセンサ装置230は、たとえば、ピトー管構成などの圧力センサを備え、気流240に対応する負圧レベルまたは真空レベルを検出してもよい。風量センサを使用して、集塵機100に流入する気流240に対応する風量レベルを、たとえば、m/hの単位で検出してもよい。集塵機100に流入する気流240に関するセンサデータ235は、ファンモータ210によって消費される電流量などの、さまざまな関連情報から間接的に取得してもよい。空気フィルタが目詰まりしてモータにかかる負荷が少ないときよりも、ファンモータ210が高負荷で作動するときの方が、ファンモータはより大きい電流を消費する。通常、モータ軸にかかるトルクが高いほど、モータが消費する電流は大きくなる。
【0029】
装置の種類によって、気流240に沿ったセンサ装置230の位置が決められる。負圧レベルを検出するように構成された圧力センサは、ファンと空気フィルタ150との間で負圧が発生する部分に配置されることが好ましい。負圧は、気流240の別の位置でも測定できる。風量センサは、気流240に沿ったさまざまな位置に配置することができる。複数の風量センサで、より精密なセンサデータ235を取得してもよい。モータが消費する電流量を検出するように構成されたセンサは、モータの電源に接続されている必要がある。
【0030】
ここで、負圧値は、気流240内の圧力が大気圧などの基準となる圧力レベルからどれだけ低いかを示す。負圧を真空レベルということもある。
風量は、さまざまな方法で測定できる。たとえば、風量は、1時間(h)などの単位時間あたりにシステム内の所定ポイントを(所定の基準圧力で)通過する空気の体積量(m)で測定できる。
【0031】
本明細書で開示される技術は、負圧や風量の厳密な条件に依存しない。開示された方法を調整することで、たいていの条件下や基準値で使用することができる。
図3は、負圧(kPa)と風量(m/h)のグラフであり、提案される技術の一例を表す。気流は、図2に示されている気流240である。圧力(kPa)はグラフの右側に向かって減少し、気流240はグラフの上側に向かって増加する。負圧の上昇は、空気圧の低下を意味する。新しくて目詰まりのない空気フィルタを備えた集塵機100は、ピーク風量レベル320以下である高風量値範囲350で気流240を発生させることができる。そして、最大取得可能流量レベル310は、空気フィルタに粒子状物質が溜まるにつれて減少し、最終的に低風量値範囲351に入る。風量が低下すると、負圧は低負圧値範囲360から高負圧値範囲361へ上昇する。これは、空気フィルタ150を介して空気を吸引するときの抵抗が増加し、その抵抗が負圧を高めるためである。
【0032】
集塵機は、風量が比較的大きく、かつ、負圧が比較的小さい高風量作動範囲350、360に対応付けることができる。
現在の風量と、任意の閾値または任意の風量値範囲とを比較することにより、集塵機が高風量作動範囲で作動しているか否かを検出できる。
【0033】
また、現在の負圧と、任意の閾値または任意の負圧値の範囲とを比較することによっても、集塵機が高風量作動範囲で作動しているか否かを検出できる。
ここに記載の集塵機は、集塵機が高風量作動範囲350、360で作動している場合、取得可能流量レベル310よりも量331、331’だけ低い減少流量レベル330、330’に、気流240を減少させ、所定風量レベル340以上の風量を維持するよう構成される。上記のように、空気フィルタ150に粒子状物質が過度に溜まっていない場合、集塵機システムを通る気流を発生させることは比較的容易である。所定風量レベル340は、十分な吸引力が生成されるレベルに設定されている。言い換えると、所定風量レベル340は、集塵機100の粉塵除去性能に対応している。したがって、その場の用途に十分な風量を維持しながら、モータの電力を下げることができる。
【0034】
気流240は、所定風量レベル340のような一定のレベルまで、量331だけ減少させることができる。あるいは、気流240は、取得可能流量レベル310と所定風量レベル340の間の中間風量レベル330’まで、量331より少ない量331’だけ、減少させることができる。所定風量レベル340は、その場の集塵用途に十分な吸引力を発生させるのに適切な風量である。そのため、風量が減少しても、所定風量レベル340をはるかに下回るレベルまで低下させない限り、粉塵捕集能力は維持される。いくつかの例では、集塵機の所定風量レベルは、150~2000m/hであり、好ましくは、150~700m/hである。ただし、このレベルは用途や機器の種類によって異なり、実験やコンピュータシミュレーションなどの分析方法によって設定することができる。
【0035】
たとえば、米国特許出願公開第2013/0019901号に開示されている従来の集塵機は、不使用状態を検出する機構と、不使用状態が検出されると風量を減少させる機構を備え、これにより、エネルギーを節約したり、騒音の発生を抑制したりしている。これは、たとえば、マウスを備えた家庭用集塵機において、マウスが床から持ち上げられて吸引力が必要とされなくなること(不使用状態)が多く起きるような場合に有効である。本明細書に開示される機構は、その場の用途に十分な風量を維持するように設定された所定風量レベル340と同じ、もしくはそれより高いレベルにのみ風量レベルを低下させるので、上記の機構とは根本的に異なるものである。言い換えると、風量が減少しても、集塵機の粉塵捕集能力は維持される。また、風量を減少させた状態でも集塵機は作動し続けているため、不使用状態の検出に応じて風量を減少させることはない。粒子状物質が空気フィルタに溜まるほど、風量を所定風量レベル340に維持することは難しくなる。図3に示すように、点Aにおいて、減少流量レベル330、330’は最大取得可能流量レベル310に近づく。この時、集塵機100は、モータの電力を低下させてもその場の用途に十分な風量を確保できる高風量作動範囲350、360では作動しなくなる。集塵機が高風量作動範囲350、360から出たとき、その場の集塵作業の要求を満たすのに十分な風量を確保するには、モータを最大出力で稼働させる必要がある。
【0036】
また、集塵機100は、それを下回ると十分な吸引力を確保できなくなる風量レベル閾値370に対応付けられる。図3に示される点Bにおいて、粒子を溜めた空気フィルタ150を掃除する必要がある。この空気フィルタの清掃は、フィルタに逆向きの空気を一時的に強く吹きつけること、フィルタを保守または清掃すること、空気フィルタ150を交換することなどを含んでもよい。
【0037】
図4は、制御部160を含む集塵機100を備える集塵機システム400を示す。集塵機100は、たとえば、図1に示す吸入口110を介して、粉塵発生機410に接続される。ほとんどの集塵機は、さまざまな粉塵発生機に接続できる。ある種類の機器は、その他の種類の機器より多くの粉塵を発生させる。同じ種類の機器であっても、どのように使用されるかに応じて、異なる風量で、粒子を含む気流240を発生させる。さらに、集塵作業には、最大限の粉塵を捕集および除去する必要がある場合や、発生した粉塵の量をある程度減らすことだけが望まれる場合がある。したがって、図3に示す集塵機のさまざまな動作レベルは、その場の集塵作業に応じて設定される。
【0038】
集塵機100は、たとえば、ケーブルまたは無線接続420によって、粉塵発生機410と接続されてもよい。このとき、粉塵発生機は、たとえば、予測される粉塵の量を集塵機に通知してもよい。粉塵発生機は、たとえば、フォトダイオード装置を使用して、発生した粉塵量をリアルタイムで監視し、通信接続420を介して発生した粉塵量を集塵機に通知してもよい。そして、集塵機100に接続された粉塵発生機410から得たデータに応じて、高風量作動範囲350、360を設定できる。また、減少流量レベル330および所定風量レベル340も、粉塵発生機から得たデータに基づいて設定できる。
【0039】
たとえば、リモートサーバ装置430は、集塵機の作動場面に応じた設定をする際にアクセス可能であり、リモートサーバ装置430上にデータベースを設けてもよい。このように、リモートサーバ装置430から取得されたデータ440に応じて、高風量作動範囲を設定できる。たとえば、粉塵発生機の製品コードなどから、集塵機が粉塵発生機を特定した場合、集塵機は、リモートサーバ装置との接続440を使用して、所定風量レベル340や風量レベル閾値370などの適切な動作パラメータの設定値をダウンロードすることができる。
【0040】
集塵機100は、ディスプレイおよびタッチスクリーンまたはキーボードなどの手動入力装置450をさらに備え、これにより、操作者が、所定風量レベル340および/または風量レベル閾値370を設定できるようにしてもよい。このとき、高風量作動範囲は、手動入力装置450から取得したデータに応じて設定される。たとえば、操作者は、集塵機100に接続されている粉塵発生機410の種類を入力してもよい。その場合、集塵機100は、内部メモリにアクセスして、接続された粉塵発生機に合わせた動作パラメータを設定してもよい。このように、集塵機の動作を最適化することができるため、集塵処理がより効率的になる。操作者は、手動入力装置450によって集塵レベルを入力してもよい。この集塵レベルは、たとえば、1から10で表され、捕集する粉塵と破片の量を示してもよい。ある建設現場は、他の建設現場よりも大きい集塵要求と対応付けられる。このようにして、操作者は、建設現場に合わせて動作を調整できる。
【0041】
要約すると、図4は、1つまたは複数の通信接続420、440を使用して、現在の作動場面に応じて集塵機の動作設定をする集塵機システム400を示す。この構成において、たとえば、所定風量レベル340および/または風量レベル閾値370などの風量レベルを設定してもよい。この構成は、手動入力装置450への操作者の手動入力によって実行されてもよいし、集塵機100と粉塵発生機410との間の通信接続、および/または、集塵機100とリモートサーバ装置440との間の通信接続440を介して自動的に実行されてもよい。
【0042】
図5は、集塵機100による動作例をまとめたフローチャートである。この方法のいくつかの側面は、制御部160によって実行され、他のいくつかの側面は、粉塵発生機および/または図4のリモートサーバ装置430と共に実行される。
【0043】
図5は、集塵機100の動作を制御するための方法を示す。この方法は、集塵機100に流入する気流240に関するセンサデータ235を取得すること(S1)を含む。気流に関するセンサデータを取得する主な目的は、集塵機が用途要件を満たすための風量よりも高い高風量作動範囲で作動しているか否か、また、いつ高風量作動範囲で作動しているのかを検出するためである。
【0044】
この目的のために、さまざまな種類のセンサまたはセンサの組み合わせを使用してもよい。たとえば、センサデータ235は、集塵機100へ流入する気流240に対応する負圧レベルまたは真空レベルを示す圧力センサ値S11を含んでもよい。この読み取り値は、たとえば、図3のx軸である負圧軸に沿った点を示す。よって、制御部160は、気流の圧力を監視することによって、集塵機100が低負圧値範囲360で作動しているか否かを判定できる。
【0045】
さらに、センサデータ235は、集塵機100に流入する気流240に対応する風量センサ値S12を含んでもよい。このセンサの読み取り値は、図3のy軸である風量軸に沿った点に対応する情報を含む。したがって、制御部は、風量センサからのデータを監視することによって、集塵機100が高風量値範囲350で作動しているか否かを判定できる。
【0046】
モータにかかる負荷は、集塵機が現在どの作動範囲にあるか、つまり、高風量作動範囲にあるか否かを示す。よって、いくつかの態様によれば、センサデータ235は、ファンモータ210によって消費される電流量S13を含む。
【0047】
ピトー管またはピトー管構成を使用して、気流の圧力を検出してもよい。いくつかの態様によれば、センサデータ235は、集塵機100に流入する気流240を感知するように構成されたピトー管センサ構成からの圧力データS14を含む。ピトー管またはピトー管は、ピトープローブとも呼ばれる流量測定装置であって、流体の流速を測定するために使用される。基本的なピトー管は、直接流体の流れに向けられた管を備え、この管に流体が入ることで圧力を測定する。流体が流れ出るための出口がないため、流体は静止(停滞)する。このときの圧力は、流体のよどみ圧であり、全圧(特に航空分野)またはピトー管圧とも呼ばれる。
【0048】
また、本実施形態の方法は、センサデータ235に基づいて、集塵機100が高風量作動範囲350、360で作動しているか否かを判定すること、および、集塵機100が高風量作動範囲で作動している場合、気流240を、取得可能流量レベル未満の減少流量レベル330まで減少させるように集塵機100のファンモータ210を制御すること、を含む。このように、集塵機が集塵作業のために必要な風量より大きな気流を発生させている場合、モータの電力を低下させる。これにより、エネルギーを節約できる。また、風量を下げることにより、空気フィルタの効率が向上して、より安定した気流を実現できる。その結果、集塵処理全体の最適化を図れる。
【0049】
上述のように、集塵機が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定するには、さまざまな選択肢がある。たとえば、本実施形態の方法は、推定される現在の風量レベルと風量値範囲350とを比較することによって、集塵機100が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定すること(S21)を含んでもよい。別の態様によれば、この方法は、推定される負圧レベルと負圧値範囲360とを比較することによって、集塵機100が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定することを含んでもよい。いくつかの選択肢を一緒に使用して、集塵機が高風量作動範囲で作動しているか否かを検出してもよい。また、集塵機が高風量作動範囲外で作動していることを検出してもよい。
【0050】
高風量作動範囲は、集塵機100に接続された粉塵発生機410から取得したデータに応じて定義すること(S23)ができる。よって、相対的な用語である「高」の定義は、集塵用途に対応する。集塵用途が大量の重い破片の捕集を含む場合、比較的大きな風量が必要になる。このとき、高風量範囲は小さく、集塵機の最大取得可能風量に近い。粉塵や破片を十分に捕集するために必要な風量が比較的小さい用途では、高風量範囲は、比較的広い範囲の風量値350および/または比較的広い範囲の負圧値360にまたがる。粉塵発生機410は、任意の風量値または負圧値の範囲に対応する要件や要求を示す情報を、集塵機に伝達するように構成されてもよい。
【0051】
図4に示すように、本実施形態の方法は、現在の作動場面を判定し(S4)、作動場面に応じた風量レベルになるように集塵機100のファンモータ210を制御することを含んでもよい。
【0052】
いくつかの態様によれば、高風量作動範囲は、リモートサーバ装置430から取得されたデータに応じて定義(S24)されてもよい。リモートサーバ装置は、たとえば、さまざまな使用場面に対応した集塵機の設定を表にしてもよい。集塵機は、リモートサーバ装置にアクセスし、現在の使用場面を送信して、所定風量レベル340や風量レベル閾値370などの適切な動作パラメータに関するデータを受信してもよい。
【0053】
さらなる態様によれば、高風量作動範囲は、手動入力装置450から取得したデータに応じて定義(S25)される。集塵機100は、上記の動作パラメータを手動で構成するための手段を備えてもよい。たとえば、操作者が、集塵機が作動している現在の使用場面を入力してもよい。詳しくは、集塵機に接続されている粉塵発生機の種類や、集塵の要件などである。次に、制御部160は、手動入力されたデータを処理して、所定風量レベル340や風量レベル閾値370などの適切な動作パラメータを生成する。
【0054】
風量を所定風量レベル340まで低下させるには、別々にまたは組み合わせて実行されるさまざまな方法でファンモータ210を制御することができる。
たとえば、本実施形態の方法は、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210の供給電圧を低下させるようにファンモータ210を制御すること(S31)を含んでもよい。供給電圧を低下させることは、モータの電力を減らして風量を下げるための直接的な方法である。これに代えてまたは組み合わせて、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210のエンジン速度を低下させるようにファンモータ210を制御すること(S32)をさらに含んでもよい。
【0055】
風量とモータの負荷を調整するために、ファンを利用してもよい。たとえば、本実施形態の方法は、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210によって駆動されるファンのブレードピッチを調整するようにファンモータ210を制御すること(S33)を含んでもよい。これにより、集塵機100が高風量作動範囲で作動しているときに、ブレードピッチを調整することによって、風量を低減されたレベルまで下げることができる。このように、ブレードにかかる負荷を変化させることで、所定風量レベル340での動作を維持できる。
【0056】
同様に、ファンブレードの先端と、ファンモータ210によって駆動されるファンのファンハウジング、との間の距離を調整するようにファンモータ210を自動制御する(S34)ための構成を含んでもよい。このような場合、ファンハウジングは、ファンの軸方向に沿って円錐形を有してもよい。ファンをハウジング内で上下に動かすことで、ファンブレードの先端と、ファンモータ210によって駆動されるファンのファンハウジングとの間の距離を調整できる。
【0057】
さらなる態様では、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210によって駆動されるファンへの吸気を規制するようにファンモータ210を制御すること(S35)が含まれる。この規制は、プレフィルタ120の手前、すなわち、プレフィルタ120の上流側、または、プレフィルタ120の下流側に設けることができる。この規制は、1つまたは複数の空気フィルタ150の上流側と下流側とのどちらに設けられてもよい。
【0058】
いくつかの態様によれば、集塵機100が高風量作動範囲350、360で作動しているとき、一定の所定風量レベル340で動作を維持するように集塵機100のファンモータ210を制御すること(S36)をさらに含む。よって、レベル340は、図3に示すように一定のレベルになる。ただし、別の態様によれば、このレベルは一定ではなく、たとえば、風量レベルまたは負圧レベルの関数として定義される。たとえば、所定風量レベル340は、傾斜していてもよく、二次関数などの負圧レベルの任意の関数であってもよい。
【0059】
一例では、所定風量レベル340は、150~2000m/h、好ましくは、150~700m/hである。
さらなる態様によれば、気流240を減少させるように集塵機100のファンモータ210を制御することは、気流をピーク風量レベル320の20~30%、好ましくは、ピーク風量レベルの25%減少させること(S37)を含む。
【0060】
本実施形態の方法は、現在の風量レベルが風量レベル閾値370未満であることを示すセンサデータ235を取得すると、低風量警告やフィルタ目詰まり警告などの警告を作動させること(S5)をさらに含んでもよい。このように、上記の風量センサは、ファンモータの動作の制御や、作動要件を下回る風量の検出など、複数の目的で使用できる。
【0061】
図6は、機能的ユニットとして、制御部160の主な構成要素を概略的に示す。処理回路610は、たとえば、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)などのうちの1つまたは複数の組み合わせを使うことにより、コンピュータプログラム製品である記憶媒体630に格納されたソフトウェアの指令を実行可能である。さらに、処理回路610は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であってもよい。
【0062】
処理回路610は、図5および上記方法の一連の処理または工程を、デバイス160に実行させるように構成される。たとえば、記憶媒体630が一連の処理を記憶し、処理回路610が記憶媒体630から一連の処理を読みだしてデバイスに実行させる。一連の処理は、一連の実行可能な指令であってもよい。これにより、処理回路610は、本開示に示される方法を実行する。
【0063】
記憶媒体630は、永続記憶装置をさらに含んでもよい。永続記憶装置は、たとえば、磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、および離れた場所に設けられたメモリのうちの1つまたは組み合わせであってもよい。
【0064】
デバイス160は、少なくとも1つの外部デバイスと通信するためのインターフェース620をさらに備えてもよい。インターフェース620は、1つまたは複数の送信機および受信機含み、アナログおよびデジタル部品や、有線または無線通信のための適切な数のポートを備えてもよい。
【0065】
処理回路610は、たとえば、データや制御信号をインターフェース620および記憶媒体630に送信し、インターフェース620からデータやレポートを受信し、記憶媒体630からデータや指令を読み出したりする。これにより、制御部160の全体的な動作を制御する。
【0066】
要約すると、図6は、図1~3を参照して、集塵機100の動作を制御するための制御部160を概略的に示す。制御部は、処理回路610を備える。処理回路610は、
集塵機100に流入する気流240に関するセンサデータ235を取得する(S1x)ように構成され、
センサデータ235に基づいて、集塵機100が高風量作動範囲350、360で作動しているか否かを判定する(S2x)ように構成され、
集塵機100が高風量作動範囲で作動している場合、
気流240が、取得可能流量レベル310を下回るように、集塵機100のファンモータ210を制御(S3x)するように構成される。
【0067】
別の態様によれば、制御部160は、図5に関連した別の方法を実行するように構成されてもよい。
本明細書は、上記の方法を実行するように構成された集塵機100も開示する。たとえば、集塵機は、制御部160を備え、上記の別の方法を実行するように構成されている。
【0068】
いくつかの態様によれば、集塵機100は、気流240に関するセンサデータ235を伝達するように構成された1つまたは複数のセンサ装置230を備える。センサ装置は、たとえば、センサデータ235に基づいて集塵機100を制御する制御部160に通信可能に接続される。センサデータ235は、集塵機100に流入する気流240に対応する負圧レベルまたは真空レベルを示す圧力センサ値を含む。
【0069】
いくつかの態様によれば、1つまたは複数のセンサ装置230によって得られるセンサデータ235は、集塵機100に流入する気流240に対応する風量センサ値を含む。
いくつかの態様によれば、1つまたは複数のセンサ装置230によって得られるセンサデータ235は、ファンモータ210によって消費される電流量を含む。電気モータによって消費される電流は、さまざまな既知の方法で測定できる。したがって、測定装置については、これ以上詳細に説明しない。
【0070】
いくつかの態様によれば、1つまたは複数のセンサ装置230によって得られるセンサデータ235は、集塵機100に流入する気流240を感知するように構成されたピトー管センサ構成からの圧力データを含む。ピトー管センサの構成も既知である。
【0071】
集塵機100は、推定される現在の風量レベルと風量値または風量値範囲350とを比較することによって、集塵機100が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定するように構成されてもよい。この高風量作動範囲は、たとえば図3に関連して、上記で例示および説明されている。
【0072】
集塵機100は、推定される現在の負圧レベルと負圧値または負圧値範囲360とを比較することによって、集塵機100が高風量作動範囲で作動しているか否かを判定するように構成されてもよい。この高風量作動範囲は、たとえば図3に関連して、上記で例示および説明されている。
【0073】
高風量作動範囲は、集塵機100と接続された粉塵発生機410から取得したデータに応じて定義してもよい。この特徴の効果は、図4に関連して説明されている。また、高風量作動範囲は、少なくとも部分的に、リモートサーバ装置430から取得したデータ、および/または、手動入力装置450から取得したデータに応じて定義されてもよい。
【0074】
集塵機100は、ファンモータをさまざまな方法で制御することができ、そのうちのいくつかを組み合わせてもよい。たとえば、集塵機は、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210の供給電圧を低下させるようにファンモータ210を制御するように構成されてもよい。また、集塵機100は、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210のエンジン速度を低下させるようにファンモータ210を制御するように構成されてもよい。ファンモータを制御する方法は、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210によって駆動されるファンのブレードピッチを調整ことと、ファンブレード先端とファンモータ210によって駆動されるファンのファンハウジングとの間の距離を調整することを含む。このファンハウジングは、ファンの軸方向に沿って円錐形を有していてもよい。さらに、ファンモータ210は、気流240を取得可能流量レベル未満に減少させるため、ファンモータ210によって駆動されるファンへの吸気を規制するように制御されてもよい。
【0075】
上記の制御方法の組み合わせによって、ファンモータ210を効果的に制御できる。たとえば、ファンモータの風量を微調整するように電圧を制御しつつ、ファンブレードの先端とファンモータ210によって駆動されるファンのファンハウジングとの間の距離を調整することで、さまざまなバリエーションの風量を発生させることができる。
【0076】
集塵機のいくつかの態様において、集塵機100は、高風量作動範囲350、360で作動しているときに、一定の所定風量レベル340で動作を維持するように集塵機100のファンモータ210を制御する構成されている。これにより、風量は目標の風量レベルに近づくように調整される。この所定風量レベル340は、150~2000m/hであり、好ましくは、150~700m/hであってもよい。
【0077】
別の態様の集塵機100は、現在の作動場面を判定し、作動場面に応じた風量レベルになるように集塵機100のファンモータ210を制御するように構成されている。
さらに、集塵機100は、現在の風量レベルが風量レベル閾値370よりも低いことを示すセンサデータ235を取得すると、警告を作動させるように構成されてもよい。
【0078】
本明細書に提示された概念を明確にするため、集塵機および制御部のその他の構成要素や関連する機能は省略する。
図7は、コンピュータ可読媒体710を示す。コンピュータ可読媒体710は、コンピュータプログラムを備え、コンピュータプログラムは、コンピュータで実行されることで、図5に示される方法を実行するためのプログラムコード手段720を含む。コンピュータ可読媒体とコード手段は、合わせてコンピュータプログラム製品700を構成してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】