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特表2023-501170老化防止と変色防止効果を有する化合物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】老化防止と変色防止効果を有する化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 251/70 20060101AFI20230111BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230111BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C07D251/70 D CSP
C08L21/00
C08K5/3492
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525000
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2020125100
(87)【国際公開番号】W WO2021088721
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】201911066120.0
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ジップロック
(71)【出願人】
【識別番号】319000517
【氏名又は名称】セニックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオ, シアンユン
(72)【発明者】
【氏名】シン, チンクオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, イェンシアン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ホイ
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】タン, チーミン
(72)【発明者】
【氏名】チュー, ハイポー
(72)【発明者】
【氏名】チー, チー
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC011
4J002EU186
4J002GN01
(57)【要約】
本発明は、老化防止と変色防止効果を有する化合物及びその製造方法を提供する。上記の化合物は、以下の式(I)の構造を有し、ただし、R、R1とR2は、本明細書で定義される通りである。既存の老化防止剤製品と比較し、本発明の化合物は、より長期的な老化防止性能および変色防止性能を有し、ゴム製品、特にゴムタイヤの老化防止剤として使用でき、使用中の光、熱、酸素、疲労等によるゴム製品またはゴムタイヤの老化および劣化を防ぐことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I)で表される化合物:
【化1】
ただし、Rは、C3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキルに置換されたC3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC3~C16アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキルである;
1とR2は、同じでも異なってもよく、それぞれに独立に、C3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC6~C14アリールに置換されたC3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキル、C6~C14アリールおよびC3~C10アルキルに置換されたC6~C14アリールから選ばれる。
【請求項2】
Rは、C3~C10アルキル又はC3~C10シクロアルキルであり、好ましいのはC3~C10分岐アルキル又はC3~C10シクロアルキルであり、より好ましいのはイソプロピル、tert-ブチル、tert-オクチル又はシクロヘキシルであることを特徴とする請求項1に記載された化合物。
【請求項3】
1とR2は、同じでも異なってもよく、それぞれに独立に、C3~C10アルキル又はフェニルであり、好ましいのはそれぞれに独立に、C3~C10分岐のアルキル又はフェニルであり、より好ましいのはそれぞれに独立に、イソプロピル、1,4-ジメチルペンチル又はフェニルであることを特徴とする請求項1に記載された化合物。
【請求項4】
上記の化合物は、以下から選ばれることを特徴とする請求項1に記載された化合物。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項5】
以下を含むことを特徴とする請求項1-4のいずれか一つに記載された化合物を製造する方法:
(1)シアヌル酸クロリドを、NH2Rと反応し、下式に示される中間体Aを製造して得ること:
【化6】
(2)中間体Aを、N-R1-p-フェニレンジアミンと反応し、下式に示される中間体Bを製造して得ること:
【化7】
(3)中間体Bを、N-R2-p-フェニレンジアミンと反応し、式(I)化合物を製造して得ること:
【化8】
ただし、中間体A、中間体Bと式(I)化合物のR、R1とR2は、請求項1-4のいずれか一つに定義される通りである。
【請求項6】
上記の方法は、以下の一つ又は複数の特徴を有することを特徴とする請求項5に記載された方法:
(A)ステップ(1)の反応にアルカリ性固体粉末を添加し、反応温度は、0~35℃である;
(B)ステップ(2)の反応に、アルカリ液を添加し、反応温度は、50~100℃である;及び
(C)ステップ(3)の反応温度は、80~180℃である。
【請求項7】
1とR2は、同じであり、上記のステップ(2)とステップ(3)を、ステップ(2’)に合併する:中間体Aを、N-R1-p-フェニレンジアミンと反応し、式(I)化合物を製造して得る;
好ましいのは、ステップ(1)の反応に、アルカリ性固体粉末を添加し、反応温度は、0~35℃である;
好ましいのは、ステップ(2’)の反応に、アルカリ液を添加し、反応は、まず50~100℃で行い、その後、80~180℃で行う;
ことを特徴とする請求項5に記載された方法。
【請求項8】
請求項1-4のいずれか一つに記載された化合物を含有するゴム組成物。
【請求項9】
請求項8に記載されたゴム組成物をゴム組分として採用し製造して得るゴム製品;好ましいのは、上記のゴム製品は、タイヤである。
【請求項10】
ゴム又はゴム製品の老化防止性能及び/又は変色防止性能を向上することにおける請求項1-4のいずれか一つに記載された化合物の用途;好ましいのは、上記のゴム製品は、タイヤである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム助剤分野に属し、具体的に老化防止と変色防止効果を有する化合物及びその製造方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
現在、ゴム製品、特にタイヤ製品には、一般的に、p-フェニレンジアミン系化合物を老化防止剤として使用する。ただし、ジアルキルp-フェニレンジアミン、アルキルアリールp-フェニレンジアミンとジアリールp-フェニレンジアミンなどの誘導体は、広く使用され、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニルp-フェニレンジアミン(単に6PPD又は4020という)、N-イソプロピル-N’-フェニルp-フェニレンジアミン(単にIPPDという)、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)p-フェニレンジアミン(単に77PDという)、ジフェニルp-フェニレンジアミン系混合物(単に老化防止剤3100又はDTPDという)などを含む。
【0003】
既存の老化防止剤製品は、タイヤなどの分野の老化防止に、比較的著しい効果を有するが、ゴム製品又はタイヤ中の老化防止剤は、使用中の自身の変色により、ゴム製品またはタイヤの表面に急速に移動し、さらにゴム製品やタイヤの表面に変色や損傷を与える;同時に、タイヤなどのゴム製品の表面への老化防止剤の急速な移動のために、製品中の老化防止剤の含有量が急速に減少し、その持続的な保護性能は比較的劣る。
【0004】
近年、グリーンで持続可能な経済発展の要望に伴い、ユーザーは、タイヤの耐老化性と表面の変色などの問題にも注目が集まっている。したがって、既存の老化防止剤製品よりも長期的な老化防止性能と変色防止を備える老化防止剤を開発することがより緊急に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する上記の問題に基づいて、本発明は、一連の老化防止と変色防止効果を有する化合物及びその製造方法を提供する。本発明の化合物は、より長期的な老化防止性能および変色防止性能を有し、ゴム製品、特にゴムタイヤの老化防止剤として使用でき、使用中の光、熱、酸素、疲労等によるゴム製品またはゴムタイヤの老化および劣化を防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
具体的に、本発明は、下式(I)に示された化合物を提供する:
【0007】
【化1】
【0008】
ただし、Rは、C3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキルに置換されたC3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC3~C16アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキルである;
【0009】
1とR2は、同じでも異なってもよく、それぞれに独立に、C3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC6~C14アリールに置換されたC3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキル、C6~C14アリールおよびC3~C10アルキルに置換されたC6~C14アリールから選ばれる。
【0010】
一つ又は複数実施の形態において、Rは、C3~C10アルキル又はC3~C10シクロアルキルであり、好ましいのはC3~C10分岐アルキル又はC3~C10シクロアルキルであり、より好ましいのはイソプロピル、tert-ブチル、tert-オクチル又はシクロヘキシルである。
【0011】
一つ又は複数実施の形態において、R1とR2は、同じでも異なってもよく、それぞれに独立に、C3~C10アルキル又はフェニルであり、好ましいのはそれぞれに独立に、C3~C10分岐のアルキル又はフェニルであり、より好ましいのはそれぞれに独立に、イソプロピル、1,4-ジメチルペンチル又はフェニルである。
【0012】
一つ又は複数実施の形態において、上記の化合物は、以下から選ばれる。
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
本発明は、さらに、本発明のいずれか一つの実施の形態に記載された化合物を製造する方法を製造し、当該方法は、以下を含む:
【0018】
(1)シアヌル酸クロリドを、NH2Rと反応し、下式に示される中間体Aを製造して得ること:
【0019】
【化6】
【0020】
(2)中間体Aを、N-R1-p-フェニレンジアミンと反応し、下式に示される中間体Bを製造して得ること:
【0021】
【化7】
【0022】
(3)中間体Bを、N-R2-p-フェニレンジアミンと反応し、式(I)化合物を製造して得ること:
【0023】
【化8】
【0024】
ただし、式A、式Bと式(I)化合物におけるR、R1とR2は、本発明のいずれか一つの実施の形態に定義される通りである。
【0025】
一つ又は複数実施の形態において、ステップ(1)の反応に、アルカリ性固体粉末を添加し、反応温度は、0~35℃である;
【0026】
一つ又は複数実施の形態において、ステップ(2)の反応に、アルカリ液を添加し、反応温度は、50~100℃である;
【0027】
一つ又は複数実施の形態において、ステップ(3)の反応温度は、80~180℃である。
【0028】
一つ又は複数実施の形態において、R1とR2は、同じであり、上記のステップ(2)とステップ(3)を、ステップ(2’)に合併する:中間体Aを、N-R1-p-フェニレンジアミンと反応し、式(I)化合物を製造して得る。
【0029】
一つ又は複数実施の形態において、ステップ(2’)の反応に、アルカリ液を添加し、反応は、まず50~100℃で行い、その後、80~180℃で行う。
【0030】
本発明は、さらに、本発明のいずれか一つの実施の形態に記載された化合物を含有するゴム組成物を提供する。
【0031】
本発明は、さらに、本発明のいずれか一つの実施の形態に記載されたゴム組成物をゴム組分として採用し製造して得るゴム製品;好ましいのは、上記のゴム製品は、タイヤである。
【0032】
本発明は、さらに、ゴム又はゴム製品の老化防止性能及び/又は変色防止性能を向上することにおける本発明のいずれか一つの実施の形態に記載された化合物の用途;好ましいのは、上記のゴム製品は、タイヤである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
当業者が本発明の特徴および効果を理解するために、本明細書および特許請求の範囲で言及される用語および用語の以下の一般的な説明および定義のみが行われる。特に明記しない限り、本文で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明の当業者によって理解される通常の意味を有し、矛盾する場合には、本明細書の定義が採用される。
【0034】
本明細書に記載および開示される理論またはメカニズムは、真であろうと偽であろうと、いかなる方法でも本発明の範囲を制限するべきではない;すなわち、本発明は、特定の理論またはメカニズムによって制限されることなく実施され得る。
【0035】
本明細書では、数値範囲またはパーセンテージ範囲として定義された全ての特徴(例えば、値、量、含有量、濃度など)は、簡潔さと便宜上のものである。したがって、数値範囲またはパーセンテージ範囲の説明は、すべての可能なサブ範囲と範囲内の個々の数値(整数と分数を含む)を具体的に開示・含有することと見なす。
【0036】
本明細書では、説明を簡潔にするために、様々な実施形態または例における様々な技術的特徴のすべての可能な組み合わせが説明されているわけではない。したがって、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、各実施形態または例における様々な技術的特徴を任意に組み合わせることができ、すべての可能な組み合わせは、説明の範囲内であると見なされるべきである。
【0037】
本明細書には、アルキルとは、直鎖又は分岐の一価飽和炭化水素基を指し、一般的に、1~16個の炭素原子(C1~C16アルキル)を含有し、好ましいのは、3~16個の炭素原子(C3~C16アルキル)を含有する。
【0038】
アルキルの例は、メチル、エチル、N-プロピル、イソプロピル、N-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、1,4-ジメチルペンチルおよびtert-オクチルを含むが、これらに限定されない。本明細書には、アルキルは、任意的にアリール又はシクロアルキルに置換されてもよく、一般的に、置換基の数は、1つである。置換されたアルキルの例は、シクロヘキシルメチル、フェニルメチルとフェニルエチルを含むが、これらに限定されない。本明細書には、アルキレンとは、直鎖又は分岐の二価飽和炭化水素基を指し、一般的に、1~16個の炭素原子(C1~C16アルキレン)を含有し、好ましいのは、3~16個の炭素原子(C3~C16アルキレン)を含有する。アルキレンの例は、メチレン、エチレンおよび1,3-プロピレンを含むが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書には、シクロアルキルとは、3~10個の炭素原子を含有し、好ましいのは、3~8個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素環を指す。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびアダマンチルを含むが、これらに限定されない。本明細書には、シクロアルキルは、任意的にアルキルに置換されてもよい。置換基の数は、1つ又は2つであっても良い。置換されたシクロアルキルの例は、メチルシクロヘキシルを含むが、これに限定されない。
【0040】
本明細書には、シクロアルキレンとは、3~10個の炭素原子を含有し、好ましいのは、3~8個の炭素原子を含有する二価飽和炭化水素環を指す。シクロアルキレンの例は、1,2-シクロペンタンジイルおよび1,2-シクロヘキサンジイルを含むが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書には、アリールとは、芳香族炭化水素分子の芳香族核炭素から1つの水素原子を除去した後に残る一価基を指す。アリールの環炭素原子の数は、通常に6~14個である。例示的なアリールには、フェニルおよびナフチルを含む。アリールは、任意的に、アルキル、シクロアルキル及び/又はアリールに置換されてもよい。置換基の数は、1つ又は2つであっても良い。例示的な置換されたアリールの例は、2-メチルフェニル、4-シクロヘキシルフェニル、4-(2-メチルシクロヘキシル)フェニルおよび4-ビフェニルを含むが、これらに限定されない。
【0042】
本発明は、式(I)に示された構造を有する化合物が、従来の老化防止剤よりも優れた耐候性、耐久性および耐変色性を提供できることを見出し、その特定の構造は以下の通りである:
【0043】
【化9】
【0044】
ただし、Rは、C3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキルに置換されたC3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC3~C16アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキルである;
【0045】
1とR2は、同じでも異なってもよく、それぞれに独立に、C3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC6~C14アリールに置換されたC3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキル、C6~C14アリールとC3~C10アルキルに置換されたC6~C14アリールから選ばれる。
【0046】
好ましいRは、C3~C10アルキル又はC3~C10シクロアルキルである。ある実施の形態において、Rは、C3~C10アルキルであり、好ましいのは、C3~C10分岐アルキル又はC3~C10シクロアルキルであり、例えばイソプロピル、tert-ブチル、tert-オクチル又はシクロヘキシルである。
【0047】
好ましいR1とR2は、それぞれに、独立にC3~C10アルキル又はフェニルである。好ましい実施の形態において、R1とR2は、それぞれに、独立にC3~C10の分岐のアルキル又はフェニルである。ある実施の形態において、R1とR2は、それぞれに、独立にイソプロピル、1,4-ジメチルペンチル又はフェニルである。
【0048】
ある実施の形態において、Rは、tert-ブチル又はtert-オクチルであり、R1とR2は、それぞれに独立に1,4-ジメチルペンチル又はフェニルである。
【0049】
本発明の式(I)に示された構造の化合物は、3つのステップで調製することができる。
【0050】
第一のステップは、シアヌル酸クロリド(TCT)とNH2Rを、反応原料とし、中間体Aを製造する;ただし、Rは、C3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキルに置換されたC3~C16アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC3~C16アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキルである;
【0051】
【化10】
【0052】
第二のステップは、中間体Aを、さらにN-R1-p-フェニレンジアミンと反応し、中間体Bを製造する;ただし、R1は、C3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC6~C14アリールに置換されたC3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキル、C6~C14アリール又はC3~C10アルキルに置換されたC6~C14アリールである;
【0053】
【化11】
【0054】
第三のステップは、中間体Bを、さらにN-R2-p-フェニレンジアミンと反応し、標的産物である式(I)化合物を製造する;ただし、R2は、C3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル又はC6~C14アリールに置換されたC3~C10アルキル、C3~C10シクロアルキル、C3~C10アルキルに置換されたC3~C10シクロアルキル、C6~C14アリール又はC3~C10アルキルに置換されたC6~C14アリールである;
【0055】
【化12】
【0056】
ただし、中間体A、中間体Bと式(I)化合物の好ましいR、R1とR2は、本明細書のいずれか一つ実施の形態に記載された通りである。
【0057】
第一のステップでは、シアヌル酸クロリドの変換率を向上させるために、過剰なNH2Rを使用できる。シアヌル酸クロリドに対して、NH2Rは、一般に10%以下の過剰を有しても良い。ある実施の形態において、NH2Rの過剰は、8%以下又は5%以下である。この明細書では、特に明記しない限り、特定の物質の過剰とは、その物質の添加量が、シアヌル酸クロリドの添加量よりも多いことを意味する。この明細書では、物質の量に基づく過剰パーセンテージ値を表し、たとえば、1 molのシアヌル酸クロリドを使用する場合、10%以下のNH2Rの過剰は、1 mol~1.1molのNH2Rを使用できることを意味する。
【0058】
第一のステップの反応は、一般的に、アルカリ性固体粉末を、反応過程に生成されるHClを中和するための酸受容体として使用する。本発明に適したアルカリ性固体粉末は、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等のうちの1つ又は複数であっても良い。一般的に、HClをよりよく中和するために、第一のステップ反応に過剰のアルカリ性固体粉末を添加しても良い。シアヌル酸クロリドに対して、アルカリ性固体粉末の過剰値は、特に限定されなく、例えば、80%以下の過剰であってもよい。
【0059】
第一のステップの反応温度は、一般的に、0~35℃に制御される。第一のステップの反応は、一般的に、非極性溶媒中で行われ、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの非極性溶媒中で行われる。第一のステップの反応の時間は、反応の進行を検出することによって確定できる。本明細書には、反応の進行を検出する方法は、本分野の既知の方法であっても良く、例えばガスクロマトグラフィー(GC)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、シアヌル酸クロリドが完全に反応しまうかどうかを検出する。反応後、固体を濾別し、中間体Aの溶液を得る。
【0060】
第二のステップでは、中間体Aの変換率を向上させるために、過剰のN-R1-p-フェニレンジアミンを使用することができる。シアヌル酸クロリドに対して、N-R1-p-フェニレンジアミンは、一般的に、20%以下の過剰を有しても良い。ある実施の形態において、N-R1-p-フェニレンジアミンは、10%以下の過剰を有する。
【0061】
第二のステップの反応には、一般的に、アルカリ液を酸受容体とする。第二のステップに、一般的に、過剰のアルカリ液を添加し、例えば、シアヌル酸クロリドに対して、アルカリ液におけるアルカリは、20%以下又は10%以下の過剰を有しても良い。本発明に適したアルカリ液は、特に限定されなく、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N-イソプロピルジエチルアミン、N、N-ジイソプロピルエチルアミンなどのうちの一つ又は複数であっても良い。本発明には、アルカリ液は、無機アルカリの水溶液(水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液など)である場合、その濃度は、特に限定されなく、一般的に、10wt%~50wt%であり、例えば25wt%であっても良い。
【0062】
第二のステップの反応温度は、一般的に、50~100℃に制御される。第二のステップの反応は、一般的に、非極性溶媒中で行われ、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの非極性溶媒中で行われる。第二のステップの反応の時間は、反応の進行を検出することによって確定でき、GC又はHPLCによってN-R1-p-フェニレンジアミンの含有量が減少し続けるかどうかを検出する。反応後、精製(例えば、静置、水相の分離、または水での洗浄)により、中間体Bの溶液が得られる。
【0063】
第三のステップでは、中間体Bの変換率を向上させるために、過剰のN-R2-p-フェニレンジアミンを使用することができる。シアヌル酸クロリドに対して、N-R2-p-フェニレンジアミンは、一般的に、20%以下の過剰を有しても良い。ある実施の形態において、N-R2-p-フェニレンジアミンは、10%以下の過剰を有する。
【0064】
第三のステップの反応温度は、一般的に、80~180℃に制御される。第三のステップの反応は、一般的に、非極性溶媒中で行われ、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの非極性溶媒中で行われる。第三のステップの反応の時間は、反応の進行を検出することによって確定でき、GC又はHPLCによってN-R2-p-フェニレンジアミンの含有量が減少し続けるかどうかを検出する。反応が完了したら、アルカリ液(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム溶液など)を加えて中和し、HClを除去する。中和後、精製(例えば、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、有機物を溶媒から蒸留して粗生成物を得、粗生成物を再結晶化および精製し、乾燥する)により、式(I)の化合物を得る。
【0065】
式(I)の化合物のR1とR2が同じである場合、上記の調製方法の第二のステップと第三のステップを合併しても良く、すなわち、中間体Aを、N-R1-p-フェニレンジアミンと反応し、式(I)の化合物を調製する。
【0066】
第二のステップと第三のステップを合併する実施の形態(以下、合併反応と呼ぶ)では、合併反応におけるN-R1-p-フェニレンジアミンの添加量は、上記の第二のステップ反応におけるN-R1-p-フェニレンジアミンの添加量と第三のステップ反応におけるN-R2-p-フェニレンジアミンの添加量の和である。合併反応は、一般的に、段階的な温度制御の方式で行い、つまり、まず50~100℃で反応を行い、その後、80~180℃で反応を行う。反応温度の切り替えのタイミングは、反応の進行状況を検出することで判断でき、たとえば、GCまたはHPLCでN-R1-p-フェニレンジアミンの含有量が添加量の半分に減少したことを検出すると、温度を50~100℃から、80~180℃へ切り替える。合併反応は、一般的に、非極性溶媒中で行われ、例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンなどの非極性溶媒中で行われる。合併反応の総時間は、反応の進行を検出することによって確定でき、例えば、GC又はHPLCによってN-R1-p-フェニレンジアミンの含有量が減少し続けるかどうかを検出する。合併反応には、アルカリ液(例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N-イソプロピルジエチルアミン、N、N-ジイソプロピルエチルアミンなどのうちの一つ又は複数)を、酸受容体とする。反応が完了した後、アルカリ液の添加で中和し、HClを除去し、精製(例えば、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、有機物を溶媒から蒸留して粗生成物を得、粗生成物を再結晶化および精製し、乾燥する)により、式(I)の化合物を得る。
【0067】
本発明の化合物が、ゴム組成物に対してより良い老化防止性能と変色防止性能を提供することができる。したがって、本発明は、さらに本明細書に記載された式I化合物の一つ又は複数を含有するゴム組成物を提供する。一般的に、ゴム組成物は、さらにジエンエラストマー、強化フィラーおよび架橋剤を含有する。
【0068】
ジエンエラストマーとは、そのモノマーがジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン)を含むエラストマーを指す。本発明に適したジエンエラストマーは、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ネオプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレン/ブタジエン共重合体、イソプレン/スチレン共重合体、イソプレン/ブタジエン/スチレン共重合体など当分野に既知の様々なジエンエラストマーを含むが、これらに限定されない。ある実施の形態において、本発明のゴム組成物において、ジエンエラストマーは、天然ゴム(SCR5など)およびシス-ブタジエンゴム(BR9000など)から構成される;天然ゴムおよびシス-ブタジエンゴムの質量比は、1:9から9:1、たとえば2:8から8:2、3:7から7:3、4:6から6:4、または1:1であっても良い。
【0069】
通常、ジエンエラストマーの100質量部に基づいて、ゴム組成物中の式Iの化合物の使用量は、0.1~5質量部、例えば、1~5質量部、1.5~3.5質量部、2~3部質量部である。
【0070】
ゴム組成物はまた、強化フィラー、助剤、架橋剤、促進剤など他の一般的に使用される成分を含んでも良いが、これらに限定されない。本発明には、強化フィラー、助剤、架橋剤と促進剤の使用量は、本分野の通常使用量であっても良い。
【0071】
強化フィラーは、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、粘土またはタルクなどであっても良い。一般的に、ジエンエラストマー100質量部あたり、40~60質量部の強化フィラーが使用される。
【0072】
助剤は、例えば、加工性を改善するために使用される軟化剤である。軟化剤は、アロマオイル、加工油、潤滑油、パラフィン、液体パラフィン、石油ビチューメン、ペトロラタムなどの石油ベースの軟化剤、またはヒマシ油、亜麻仁油、菜種油、ココナッツ油、ワックス(ミツバロウ、カルナウバロウ、ラノリンなど)、トール油、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪油ベースの軟化剤であっても良い。助剤はまた、酸化亜鉛などの活性剤であっても良く、これは、加硫速度を加速し、ゴムの熱伝導率、耐摩耗性、耐引裂性などを改善することができる。通常、ジエンエラストマー100質量部あたり5~20質量部の補助剤が使用され、たとえば、アロマオイル2~8質量部、酸化亜鉛2~8質量部、ステアリン酸1~4質量部が使用される。
【0073】
架橋剤は硫黄であっても良い。一般的に、ジエンエラストマー100質量部あたり、1~3質量部の架橋剤が使用される。
【0074】
促進剤は、通常に加硫促進剤であり、スルホンアミド、チアゾール、チウラム、チオ尿素、グアニジン、ジチオカルバメート、アルダミン、アルデヒドアミン、イミダゾリンおよびキサントゲン酸塩加硫促進剤の少なくとも1つであっても良い。例えば、促進剤は、促進剤NS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)であっても良い。一般的に、ジエンエラストマー100質量部あたり、0.5~1.5質量部の促進剤が使用される。
【0075】
さらに、必要に応じて、可塑剤、たとえば、DMP(フタル酸ジメチル)、DEP(フタル酸ジエチル)、DBP(フタル酸ジブチル)、DHP(フタル酸ジヘプチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)、DINP(フタル酸ジイソノニル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DWP(フタル酸ジラウリル)、DCHP(フタル酸ジシクロヘキシル)などをゴム組成物に使用することもできる。可塑剤の使用量は、当分野の通常使用量である。
【0076】
本発明のゴム製品は、従来の方法で製造することができる。例えば、2段階混合法で調製し、第1段階で内部ミキサーで、ジエンエラストマー、強化フィラー、補助剤、老化防止剤を混合して、排出温度は110℃以上である;第2段階第オープンミキサーで、ガムと硫黄および促進剤を混合する。
【0077】
通常、まず、熱機械式ミキサー(内部ミキサーなど)に、ジエンエラストマーを添加し、一定時間の練りの後に、強化フィラー、助剤、酸化防止剤を添加し、均一まで練りを続ける;強化フィラー、助剤、酸化防止剤をバッチで加え、練り中の温度は110℃から190℃、好ましいのは150℃から160℃に制御される;次に、混合物を100℃以下に冷却し、架橋剤と促進剤を加えて再度混合し、練りながら、温度を110℃以下(70℃など)に制御し、最後に加硫を行い、加硫ゴムを得る。任意的に、加硫の前に、得られるゴム組成物を、錠剤化する。加硫ゴム組成物は、従来の方法で加硫して加硫ゴムを得られる;加硫(硬化)温度は、通常、130℃~200℃で、例えば145℃である;加硫時間は、加硫温度、加硫システム、加硫速度によって異なり、通常、15~60分間で、例えば30分間である。
【0078】
本発明の化合物が、ゴム製品、特にゴムタイヤに使用される場合、ゴム製品またはゴムタイヤにより優れた老化防止特性を与えることができる;また、既存の老化防止剤製品と比較して、本発明の化合物を含むゴム製品またはゴムタイヤは、表面の汚染や変色が少なく、耐変色性に優れている。したがって、本発明は、さらに、本発明に記載されたゴム組成物をゴム組分として採用し製造して得るゴム製品を提供する。ゴム製品として、タイヤ、ゴム靴、ウェザーストリップ、断熱ボード、ショックパッドなどであっても良い。特定の実施形態において、ゴム製品は、タイヤであり、例えば、タイヤトレッド、ベルト層、およびサイドウォール。タイヤのベルト層として、本明細書に記載されたゴム組成物に加えて、ゴム製品は、当分野で従来から使用されている補強材を含むことができる。本発明は、さらにゴム又はゴム製品の老化防止性能及び/又は変色防止性能を向上することにおける本明細書に記載されたゴム組成物の応用を提供する。
【実施例
【0079】
以下、本発明を具体例として説明する。これらの実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。実施例で使用される方法、試薬および材料は、特に明記しない限り、当技術分野における従来の方法、試薬および材料である。調製例の原料化合物は、市販から購入することができる。
【0080】
製造例1:2-イソプロピルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-1)の調製
【0081】
(1)中間体A1の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gトルエンに溶解し、74.2g炭酸ナトリウム固体粉末を加え、10℃の激しい攪拌条件下で、39.6gイソプロピルアミンのトルエン溶液(0.67molイソプロピルアミン+80gトルエン)を1.5h滴下し、滴下し完了した後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A1の無色透明溶液を得た。
【0082】
(2)中間体B11の合成
142.6g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.77mol)を計量し、180gトルエンに溶解し、65℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A1のトルエン溶液を滴下し、同時に、112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B11を含むトルエン溶液を得た。
【0083】
(3)化合物I-1の合成
ステップ(2)で得られた中間体B11のトルエン溶液に、132.5g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.72mol)を加え、80℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6gの水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、水相を分離し、有機相を水で洗浄し、次にトルエンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、289.2g(収率90%)の2-イソプロピルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-1)を得た。
【0084】
【化13】
【0085】
化合物I-1の特性:青色の固体。
1H-HMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.71(s, 2H), 7.93(s, 2H), 7.64(br, 4H), 7.17(t, 4H), 6.99(q, 8H), 6.73(t, 2H), 6.31(s, 1H), 3.4(s, 1H), 1.41(s, 6H)。
【0086】
製造例2:2-イソプロピルアミン-4,6-ジ(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-2)の調製
【0087】
(1)中間体A1の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gキシレンに溶解し、71.2g超微細炭酸カルシウム固体粉末を加え、10℃の激しい攪拌条件下で、38.4gイソプロピルアミンのキシレン溶液(0.65molイソプロピルアミン+80gキシレン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A1の無色透明溶液を得た。
【0088】
(2)中間体B12の合成
152.4g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.74mol)を計量し、180gキシレンに溶解し、70℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A1のキシレン溶液を滴下し、同時に、157.6g水酸化カリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B12を含むキシレン溶液を得た。
【0089】
(3)化合物I-2の合成
ステップ(2)で得られた中間体B12のキシレン溶液に、152.5g N-1,4-ジメチルペンチルp-フェニレンジアミン(0.74mol)を加え、110℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6gの水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、有機相を水で洗浄し、次にキシレンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、283g(收率81%)2-イソプロピルアミン-4,6-ジ(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-2)を得た。
【0090】
【化14】
【0091】
化合物I-2の特性:紫褐色の固体。
1H-HMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.39(s, 2H), 7.32(d, 4H), 6.48(d, 4H), 6.09(S, 1H), 4.92(t, 3H), 3.31-3.21(m, 2H), 1.56-1.43(m, 4H), 1.42-1.13(m, 12H), 1.06(d, 6H), 0.85(q, 12H)。
【0092】
製造例3:2-tert-ブチルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-3)の調製
【0093】
(1)中間体A2の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gトリメチルベンゼンに溶解し、71.2g超微細炭酸マグネシウム固体粉末を加え、15℃の激しい攪拌条件下で、49.1gtert-ブチルアミンのトリメチルベンゼン溶液(0.67moltert-ブチルアミン+80gトルエン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A2の無色透明溶液を得た。
【0094】
(2)中間体B21の合成
131.5g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.71mol)を計量し、180gトリメチルベンゼンに溶解し、65℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A2のトリメチルベンゼン溶液を滴下し、同時に、71.1gトリエチルアミンを1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、水で洗浄し、中間体B21を含むトリメチルベン溶液を得た。
【0095】
(3)化合物I-3の合成
ステップ(2)で得られた中間体B21のトリメチルベンゼン溶液に、123.3g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.67mol)を加え、105℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために71.1gトリエチルアミンを加え水で洗浄し、次にトリメチルベンゼンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、280g(收率85%)2-tert-ブチルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-3)を得た。
【0096】
【化15】
【0097】
化合物I-3の特性:紺色の固体。
1H-NMR (400MHz, DMSO-D6, δ PPm):8.71(s, 2H), 7.93(s, 2H), 7.64(br, 4H), 7.17(t, 4H), 6.99(q, 8H), 6.73(t, 2H), 6.31(s, 1H), 1.41(s, 9H)。
【0098】
製造例4:2-tert-ブチルアミン-4,6-ジ(4-イソプロピルアミンアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-4)の調製
【0099】
(1)中間体A2の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gクロロベンゼンに溶解し、64g酸化カルシウム固体粉末を加え、15℃の激しい攪拌条件下で、49.1gtert-ブチルアミンのトルエン溶液(0.67moltert-ブチルアミン+80gクロロベンゼン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A2の無色透明溶液を得た。
【0100】
(2)中間体B22の合成
105g N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gクロロベンゼンに溶解し、60℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A2のクロロベンゼン溶液を滴下し、同時に、100.5gトリイソプロピルアミンを1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-イソプロピル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、水で洗浄し、中間体B22を含むクロロベンゼン溶液を得た。
【0101】
(3)化合物I-4の合成
ステップ(2)で得られた中間体B22のクロロベンゼン溶液に、114g N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(0.76mol)を加え、80℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-イソプロピル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、有機相を水で洗浄し、次にクロロベンゼンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、258g(收率90%)2-tert-ブチルアミン-4,6-ジ(4-イソプロピルアミンアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-4)を得た。
【0102】
【化16】
【0103】
化合物I-4の特性:紫褐色の固体。
1H-HMR(400MHz, DMSO- D6, δ ppm):8.29(s, 2H), 7.33(d, 4H), 6.44(d, 4H), 6.02(S, 1H), 4.92(d, 2H), 3.4(d, 2H), 1.42-1.13(m, 9H), 0.85(q, 12H)。
【0104】
実施例5:2-tert-ブチルアミン-4,6-ジ(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-5)
【0105】
(1)中間体A2の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gジクロロベンゼンに溶解し、38.4g超微細酸化マグネシウム固体粉末を加え、20℃の激しい攪拌条件下で、51.3gtert-ブチルアミンのジクロロベンゼン溶液(0.7moltert-ブチルアミン+80gジクロロベンゼン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A2の無色透明溶液を得た。
【0106】
(2)中間体B23の合成
144.2g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gジクロロベンゼンに溶解し、70℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A2のジクロロベンゼン溶液を滴下し、同時に、157.6g水酸化カリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B23を含むジクロロベンゼン溶液を得た。
【0107】
(3)化合物I-5の合成
ステップ(2)で得られた中間体B23のジクロロベンゼン溶液に、148.4g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.72mol)を加え、150℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、286.7g(收率80%)2-tert-ブチルアミン-4,6-ジ(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-5)を得た。
【0108】
【化17】
【0109】
化合物I-5の特性:濃紫色の固体。
1H-NMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.29(s, 2H), 7.33(d, 4H), 6.44(d, 4H), 6.02(S, 1H), 4.92(d, 2H), 3.31-3.21(m, 2H), 1.56-1.43(m, 4H), 1.42-1.13(m, 15H), 1.06(d, 6H), 0.85(q, 12H)。
【0110】
製造例6:2-tert-ブチルアミン-4-(4-アミノフェニルアニリン)-6-(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-6)
【0111】
(1)中間体A2の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gメチルシクロヘキサンに溶解し、71.2g超微細水酸化マグネシウム固体粉末を加え、20℃の激しい攪拌条件下で、49.1gtert-ブチルアミンのメチルシクロヘキサン溶液(0.67moltert-ブチルアミン+80gメチルシクロヘキサン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A2の無色透明溶液を得た。
【0112】
(2)中間体B21の合成
124.0g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.67mol)を計量し、180gメチルシクロヘキサンに溶解し、50℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A2のメチルシクロヘキサン溶液を滴下し、同時に、157.6g水酸化カリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、水で洗浄し、中間体B21を含むメチルシクロヘキサン溶液を得た。
【0113】
(3)化合物I-6の合成
ステップ(2)で得られた中間体B21のメチルシクロヘキサン溶液に、131.9g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.64mol)を加え、160℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6g水酸化ナトリウム(25wt%)を加え、水で洗浄し、次にメチルシクロヘキサンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、261.7g(收率76%)2-tert-ブチルアミン-4-(4-アミノフェニルアニリン)-6-(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-6)を得た。
【0114】
【化18】
【0115】
化合物I-6の特性:濃紫色の固体。
1H-NMR(400MHz, DMSO-D6, δPPm):8.56(d, 2H), 7.90(s, 1H), 7.68(d, 2H), 7.39(d, 2H), 7.21(t, 2H), 7.02(t, 4H), 6.79(t, 1H), 6.52(d, 2H), 6.22(s, 1H), 5.0(d, 1H), 3.37(m, 1H), 1.6-1.45(m, 2H), 1.43(s, 9H), 1.31-1.18(m, 3H), 1.11(d, 3H), 0.89(q, 6H)。
【0116】
実施例7:2-tert-オクチルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-7)
【0117】
(1)中間体A3の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gトリクロロベンゼンに溶解し、71.2g炭酸ナトリウム固体粉末を加え、30℃の激しい攪拌条件下で、86.5gtert-オクチルアミンのトリクロロベンゼン溶液(0.67moltert-オクチルアミン+80gトリクロロベンゼン)を1.5h滴下し、滴下し完了した後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A3の無色透明溶液を得た。
【0118】
(2)中間体B31の合成
129.6g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gトリクロロベンゼンに溶解し、70℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A3のトリクロロベンゼン溶液を滴下し、同時に、157.6g水酸化カリウム(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B31を含むトリクロロベンゼン溶液を得た。
【0119】
(3)化合物I-7の合成
ステップ(2)で得られた中間体B31のトリクロロベンゼン溶液に、136.2g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.74mol)を加え、105℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、水相を分離し、有機相でトリクロロベンゼンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、322.1g(收率88%)2-tert-オクチルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-7)を得た。
【0120】
【化19】
【0121】
化合物I-7の特性:青茶色の固体。
1H-NMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.6(d, 2H), 7.95(s, 2H), 7.63(s, 4H), 7.16(t, 4H), 6.99(q, 8H), 6.72(t, 2H), 6.17(br, 1H), 1.9(s, 2H), 1.42(s, 6H), 0.96(s, 9H)。
【0122】
実施例8:2-tert-オクチルアミン-4,6-ジ(4-イソプロピルアミンアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-8)
【0123】
(1)中間体A3の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gジメチルシクロヘキサンに溶解し、71.2g超微細炭酸ナトリウム固体粉末を加え、30℃の激しい攪拌条件下で、86.5gtert-オクチルアミンのジメチルシクロヘキサン溶液(0.67moltert-オクチルアミン+80gジメチルシクロヘキサン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A3の無色透明溶液を得た。
【0124】
(2)中間体B32の合成
105g N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gジメチルシクロヘキサンに溶解し、65℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A3のジメチルシクロヘキサン溶液を滴下し、同時に、112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B32を含むジメチルシクロヘキサン溶液を得た。
【0125】
(3)化合物I-8の合成
ステップ(2)で得られた中間体B32のジメチルシクロヘキサン溶液に、108g N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(0.72mol)を加え、90℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-イソプロピル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、有機相を水で洗浄し、次にジメチルシクロヘキサンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、293.5g(收率91%)2-tert-オクチルアミン-4,6-ジ(4-イソプロピルアミンアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-8)を得た。
【0126】
【化20】
【0127】
化合物I-8の特性:紫褐色の固体。
1H-HMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.29(s, 2H), 7.33(d, 4H), 6.44(d, 4H), 6.02(S, 1H), 4.92(d, 2H), 3.4(d, 2H), 1.9(s, 2H), 1.42-1.13(m, 18H), 0.96(s, 9H)。
【0128】
実施例9:2-tert-オクチルアミン-4-(4-アミノフェニルアニリン)-6-(4-イソプロピルアミンアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-9)
【0129】
(1)中間体A3の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gトリメチルシクロヘキサンに溶解し、71.2g炭酸ナトリウム固体粉末を加え、35℃の激しい攪拌条件下で、86.5gtert-オクチルアミンのトリメチルシクロヘキサン溶液(0.67moltert-オクチルアミン+80gトリメチルシクロヘキサン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A3の無色透明溶液を得た。
【0130】
(2)中間体B31の合成
129.6g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gトリメチルシクロヘキサンに溶解し、70℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A3のトリメチルシクロヘキサン溶液を滴下し、同時に、157.6g水酸化カリウム(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B31を含むトリメチルシクロヘキサン溶液を得た。
【0131】
(3)化合物I-9の合成
ステップ(2)で得られた中間体B31のトリメチルシクロヘキサ溶液に、105g N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を加え、100℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-イソプロピル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、有機相を水で洗浄し、次にトリメチルシクロヘキサンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、296.7g(收率85%)2-tert-オクチルアミン-4-(4-アミノフェニルアニリン)-6-(4-イソプロピルアミンアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-9)を得た。
【0132】
【化21】
【0133】
化合物I-9の特性:紫褐色の固体。
1H-HMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.47(q, 2H), 7.93(s, 1H), 7.6(s, 2H), 7.38(s, 2H), 7.17(t, 2H), 6.9(t, 4H), 6.77(t, 1H), 6.45(d, 2H), 6.14(d, 1H), 4.95(d, 1H), 3.29(m, 1H), 1.50(m, 2H), 1.41-1.31(m, 12H), 0.95(s, 9H)。
【0134】
実施例10:2-tert-オクチルアミン-4-(4-アミノフェニルアニリン)-6-(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-10)
【0135】
(1)中間体A3の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gキシレンに溶解し、71.2g炭酸ナトリウム固体粉末を加え、35℃の激しい攪拌条件下で、86.5gtert-オクチルアミンのキシレン溶液(0.67moltert-オクチルアミン+80gキシレン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A3の無色透明溶液を得た。
【0136】
(2)中間体B31の合成
129.6g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gキシレンに溶解し、80℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A3のキシレン溶液を滴下し、同時に、157.6g水酸化カリウム(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、HPLC検出のためにサンプルを取って、中間体A3が検出されない場合は、反応を停止し、水で洗浄して、中間体B31を含むキシレン溶液を得た。
【0137】
(3)化合物I-10の合成
ステップ(2)で得られた中間体B31のキシレン溶液に、131.9g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.64mol)を加え、110℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6gの水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、水で洗浄して、キシレンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、288.9g(收率76%)2-tert-オクチルアミン-4-(4-アミノフェニルアニリン)-6-(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-10)を得た。
【0138】
【化22】
【0139】
化合物I-10の特性:濃紫色の固体。
1H-NMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm): 8.49(q, 2H), 7.91(s, 1H), 7.64(s, 2H), 7.34(s, 2H), 7.17(t, 2H), 6.98(t, 4H), 6.73(t, 1H), 6.48(d, 2H), 6.04(d, 1H), 4.95(d, 1H), 3.29(m, 1H), 1.89(s, 1H), 1.50(m, 2H), 1.40(s, 6H), 1.31-1.18(m, 4H), 1.07(d, 3H), 0.95(s, 9H), 0.86(q, 6H)。
【0140】
実施例11:2-tert-オクチルアミン-4-(4-イソプロピルアミンアニリン)-6-(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-11)
【0141】
(1)中間体A3の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gキシレンに溶解し、71.2g炭酸ナトリウム固体粉末を加え、35℃の激しい攪拌条件下で、86.5gtert-オクチルアミンのキシレン溶液(0.67moltert-オクチルアミン+80gキシレン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A3の無色透明溶液を得た。
【0142】
(2)中間体B32の合成
105g N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gキシレンに溶解し、65℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A3のキシレン溶液を滴下し、同時に、112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、中間体A3が検出されない場合は、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B32を含むキシレン溶液を得た。
【0143】
(3)化合物I-11の合成
ステップ(2)で得られた中間体B33のキシレン溶液に、144.2g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を加え、120℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6gの水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、有機相を水で洗浄し、キシレンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、286.7g(收率80%)2-tert-オクチルアミン-4-(4-イソプロピルアミンアニリン)-6-(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-11)を得た。
【0144】
【化23】
【0145】
化合物I-11の特性:紫褐色の粘稠な固体。
1H-HMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.32(d, 2H), 7.39(s, 4H), 6.49(d, 4H), 6.04(br, 1H), 4.99(t, 3H), 3.21-3.32(m, 2H), 1.36-1.15(m, 15H), 1.08-1.13(d, 6H), 1.02(s, 9H), 0.91(q, 6H)。
【0146】
実施例12:2-tert-オクチルアミン-4,6-ジ(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-12)
【0147】
(1)中間体A3の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gキシレンに溶解し、71.2g炭酸ナトリウム固体粉末を加え、25℃の激しい攪拌条件下で、86.5gtert-オクチルアミンのキシレン溶液(0.67moltert-オクチルアミン+80gキシレン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A3の無色透明溶液を得た。
【0148】
(2)中間体B33の合成
144.2g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gキシレンに溶解し、90℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A3のキシレン溶液を滴下し、同時に、112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、中間体A3が検出されない場合は、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B33を含むキシレン溶液を得た。
【0149】
(3)化合物I-12の合成
ステップ(2)で得られた中間体B33のキシレン溶液に、152.4g N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン(0.74mol)を加え、180℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6gの水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、有機相を水で洗浄し、キシレンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、295.6g(收率75%)2-tert-オクチルアミン-4,6-ジ(4-(1,4-ジメチルペンチルアミノ)アニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-12)を得た。
【0150】
【化24】
【0151】
化合物I-12の特性:濃紫色の粘稠な液体。
1H-NMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.30(d, 2H), 7.38(s, 4H), 6.51(d, 4H), 5.94(br, 1H), 4.99(d, 2H), 3.21-3.32(m, 2H), 1.91(s, 2H), 1.58-1.44(m, 4H), 1.38(s, 6H), 1.36-1.15(m, 6H), 1.08-1.13(d, 6H), 0.99(s, 9H), 0.91(q, 12H)。
【0152】
実施例13:2-シクロヘキシルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3,5-トリアジン(化合物I-13)
【0153】
(1)中間体A4の合成
118.1gシアヌル酸クロリド(0.64mol)を計量し、360gトルエンに溶解し、71.2g炭酸ナトリウム固体粉末を加え、25℃の激しい攪拌条件下で、66.4gシクロヘキシルアミンのトルエン溶液(0.67molシクロヘキシルアミン+80gトルエン)を1.5h滴下し、滴下完了後に、続いて1.5h反応し、GC検出のためにサンプルを取って、シアヌル酸クロリドを検出できなくなったら、反応を終了し、固体を濾過して取り除き、中間体A4の無色透明溶液を得た。
【0154】
(2)中間体B43の合成
128.8g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.7mol)を計量し、180gトルエンに溶解し、100℃まで昇温し、激しく攪拌しながら、ステップ(1)で得られた中間体A4のトルエン溶液を滴下し、同時に、112.6g水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を1~2h滴下し、1h保温し、GC検出のためにサンプルを取って、中間体A4が検出されない場合は、反応を停止し、放置し、水相を分離して、中間体B43を含むトルエン溶液を得た。
【0155】
(3)化合物I-13の合成
ステップ(2)で得られた中間体B43のトルエン溶液に、132.5g N-フェニル-p-フェニレンジアミン(0.72mol)を加え、140℃まで昇温し、反応を行い、GCで検出を行い、N-フェニル-p-フェニレンジアミンの含有量が減少しなくなったら、冷却して反応を停止し、中和のために112.6gの水酸化ナトリウム溶液(25wt%)を加え、有機相を水で洗浄し、次にトルエンを蒸留して粗生成物を得た。その後、石油エーテルで再結晶し、乾燥し、277.5g(收率80%)2-シクロヘキシルアミン-4,6-ジ(4-アミノフェニルアニリン)-1,3-5-トリアジン(化合物I-13)を得た。
【0156】
【化25】
【0157】
化合物I-13の特性:濃い茶色の固体。
1H-NMR(400MHz, DMSO-D6, δ ppm):8.63(s, 2H),7.82(s, 2H),7.64(br, 4H),7.19(t, 4H),6.89(q, 8H),6.65(t, 2H),6.21(s, 1H),3.2-3.4(m, 5H),2.41(br, 6H)。
【0158】
試験例:
試験実施例1~6のゴム組成物は、表1に示される配合に従って調製され、具体的に、以下のステップを含む。
1.天然ゴムSCR5と合成ゴムBRを内部ミキサーに加え、一定時間練り込んだ後、カーボンブラックN550、アロマオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤(6PPD、化合物I-5、化合物I-3、化合物I-6、化合物I-10または化合物I-12)を加え、均一になるまで練り続けた;練り中の温度は150℃から160℃の間で制御された。
2.混合物全体を100℃以下に冷却し、次に架橋システム(硫黄Sおよび促進剤NS)を加え、混合物全体を練り、練りながら110℃を超えないように温度を制御した。
3.得られたゴム組成物を、板状(厚さ2~3mm)に圧延加工した後、加硫し、加硫温度は145℃、時間は30分である。
【0159】
表1の成分の由来は次のとおり。
SCR5:シーサンパンナ中化ゴム有限会社 天然ゴムSCR5;
BR:南京揚子石油化学ゴム有限会社 合成ゴムBR9000;
N550:CABOT会社 カーボンブラックN550;
アロマオイル:上海タイタンテクノロジー有限会社 一般試薬;
ステアリン酸:上海タイタンテクノロジー有限会社 一般試薬 ステアリン酸(AR);
酸化亜鉛:上海タイタンテクノロジー有限会社 一般試薬 酸化亜鉛(AR);
NS: Sennics会社 加硫促進剤NS;
S:シノファームグループ化学試薬会社 昇華硫黄(AR);
6PPD:Sennics会社 老化防止剤SIRANTOX 6PPD;
化合物I-5:実施例5に合成された化合物;
化合物I-3:実施例3に合成された化合物;
化合物I-6:実施例6に合成された化合物;
化合物I-10:実施例10に合成された化合物;
化合物I-12:実施例12に合成された化合物。
【0160】
【表1】
【0161】
試験例1~6の加硫ゴムシートの耐オゾン性および耐変色性を、以下の方法で評価し、結果を表3に示す。
【0162】
(1)耐オゾン性の評価方法
温度40℃、オゾン濃度50μm、伸び20%の条件下で、様々なゴム組成物の試験シートをオゾン劣化試験にかけた。39時間後、試験シートの劣化状態を調べた。耐オゾン性の評価は、形成された亀裂の密度に基づいており、次のように判断される:
0:亀裂なし
1:少量の亀裂(亀裂密度<10個/cm)
2:亀裂が多い(10個/cm≦亀裂密度<40個/cm)
3:多数の亀裂(亀裂密度≧40個/cm)
【0163】
(2)耐変色性の評価方法
加硫ゴムシートをジップロックバッグに入れ、ゴムシートをバッグに当てて、屋外条件で2週間晒した後のバッグの色の変化を観察する。耐変色性グレードの評価基準を表2に示する。
【0164】
【表2】
【0165】
【表3】
【0166】
表1および表2から、従来の老化防止剤を含むゴム組成物と比較して、本発明の化合物を含むゴム材料の耐オゾン性は同等以上であり、かつ本発明の化合物を含むゴム材料の変色が、明らかに抑制されていることが分かる。

【国際調査報告】