(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】少なくとも1つの直接染料及び/又は1つの酸化染料前駆体を含む、コーティングされた着色固体粒子
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20230111BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230111BHJP
B01J 13/00 20060101ALI20230111BHJP
B01J 13/22 20060101ALI20230111BHJP
D06P 3/08 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C09B67/20 F
A61Q5/10
A61K8/02
B01J13/00 B
B01J13/22
D06P3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525060
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2020080194
(87)【国際公開番号】W WO2021083903
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ゲラン
【テーマコード(参考)】
4C083
4G005
4G065
4H157
【Fターム(参考)】
4C083AB012
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4H157BA07
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4H157BA43
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4H157DA28
(57)【要約】
本出願は、1つ又は複数の直接染料及び/又は1つ又は複数の酸化染料前駆体を含有するコアと、前記コアを被覆し、且つ1つ又は複数のセルロースエーテルを含有する上部コーティング層とを含む、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための、着色固体粒子に関する。本出願は、1つ又は複数の着色固体粒子を含む染料組成物を調製するためのプロセス、得られた組成物の前記繊維への適用を含むケラチン繊維の酸化染色のためのプロセス、及びケラチン繊維を染色するためのこの組成物の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25mm
3~125mm
3の体積を有し、並びに
a.直接染料及び/又は酸化染料前駆体から選択される1つ又は複数の染料を含有するコア(2)と、
b.前記コア(2)を被覆し、及び1つ又は複数のセルロースエーテルを含有する上部コーティング層(3)と
を含む、着色固体粒子(1)。
【請求項2】
前記コア(2)中に存在する前記染料が、酸化染料前駆体から選択され、好ましくは、酸化性塩基及び酸化カプラーから選択され、より優先的には、酸化性塩基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記コア(2)が、1つ又は複数の酸化性塩基、好ましくは1つのみの酸化性塩基を含有し、より優先的には、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルトアミノフェノール及び複素環式塩基、並びに対応する付加塩から選択され、さらにより好ましくは、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、パラ-アミノフェノール、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノプラゾロ[1,5-a]ピリジン及びその付加塩から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
前記コア(2)が、1つ又は複数の酸化カプラー、好ましくは1つのみの酸化カプラーを含有し、より優先的には、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤、複素環カップリング剤、及びその対応する付加塩又はその溶媒和化合物から選択され、より好ましくは、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、3-アミノフェノール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、6-ヒドロキシインドール、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、α-ナフトール、2-[3-アミノ-4-メトキシフェニル]アミノ)エタノール及びその添加塩から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項5】
染料の全含有量が、それを含有する前記固体粒子の全重量と比較して、0.001質量%~50質量%、好ましくは、0.1質量%~50質量%、より優先的には、0.3質量%~25質量%、さらにより優先的には、0.4質量%~22質量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
前記上部コーティング層(3)に存在する前記セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)及びその混合物から選択され、より良好には、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びその混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項7】
前記上部コーティング層(3)に存在するセルロースエーテルの全含有量が、前記上部コーティング層(3)の全重量と比較して、30質量%~99質量%、好ましくは、40質量%~90質量%、より優先的には、45質量%~80質量%、及びさらにより優先的には50質量%~70質量%を表すことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項8】
前記コア(2)が、好ましくは、糖類及びその誘導体、オリゴ糖類及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)及びその混合物から選択され;より優先的には、特に無水又は水和型のラクトース、ポリビニルアルコール(PVA)、特に無水又は水和型の微結晶セルロース(MCC)、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにその混合物から選択される、少なくとも1つのバインダーを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
前記コア(2)が、少なくとも1つの崩壊剤、好ましくは、ポリマー崩壊剤、さらにより好ましくは、少なくとも1つの崩壊剤ポリマー、より優先的には、少なくとも1つの超崩壊剤ポリマー、さらにより良好には、ビニルピロリドン及びその誘導体並びにその混合物の架橋されたポリマーから選択される少なくとも1つの超崩壊剤ポリマー、さらに良好には、架橋されたポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルの架橋されたコポリマー、並びにその混合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
前記コア(2)が、好ましくは、(a)アスコルビン酸、その塩及びその誘導体、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、パルミチン酸アスコルビル又はラウリン酸アスコルビル、(b)サリチル酸、その塩及びその誘導体、例えば、サリチル酸ナトリウム、(c)メルカプタン及び無機スルファイト、例えば、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及びチオグリコール酸、並びにその混合物から選択され、より優先的には、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム及びその混合物から選択される少なくとも1つの酸化防止剤を含み、さらにより優先的には、それを含有する前記固体粒子の全重量と比較して、0.1質量%~15質量%、より良好には、0.3質量%~12質量%、さらにより良好には、0.4質量%~10質量%、又は0.5質量%~5質量%の前記コア中の全含有量で含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項11】
前記上部コーティング層(3)が、1つ又は複数の顔料、より優先的には、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンピンク、クロム水和物及び紺青から選択される1つ又は複数の顔料、並びにその混合物、さらにより優先的には、酸化チタン、例えば二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、特にグリーン酸化クロムから選択される1つ又は複数の顔料、並びにその混合物を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項12】
無水であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項13】
30~90mm
3、より優先的には、45~65mm
3の体積を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項14】
2~15kPa、好ましくは2~11kPaの硬度を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項15】
他方の前記コア(2)の全質量に対する前記粒子(1)の全質量の質量比が、1.001~1.1、好ましくは、1.005~1.1、より優先的には、1.01~1.05であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の1つ又は複数の着色固体粒子(1)と、少なくとも1つの水性組成物Aとを混合することを含む、水性染料組成物Mの調製方法。
【請求項17】
前記水性組成物Aが、1つ又は複数の化学酸化剤を含む酸化水性組成物、A1及び/又は1つ又は複数のアルカリ性剤、好ましくはアルギニンを含むアルカリ性水性組成物A2、及び/又は1つ又は複数の濃厚化ポリマーを含む水性組成物A3から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載の1つ又は複数の着色固体粒子(1)が、1つ又は複数の化学酸化剤を含む酸化水性組成物A1と、それらのモノマー中に、α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸、並びにα,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルを含むコポリマー、好ましくはアクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマーなどの少なくとも1つのアニオン性会合性ポリマーを含む水性組成物A3と少なくとも混合されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか一項に記載の水性染料組成物Mを調製する少なくとも1つのステップと、次に前記水性染料組成物Mを前記ケラチン繊維に適用する少なくとも1つのステップとを含む、ケラチン繊維を染色する方法。
【請求項20】
ケラチン繊維を染色するための、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法によって得られる水性染料組成物Mの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、1つ又は複数の直接染料及び/又は1つ又は複数の酸化染料前駆体を含有するコアと、前記コアを被覆し、且つ1つ又は複数のセルロースエーテルを含有する上部コーティング層とを含む、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための着色固体粒子に関する。
【0002】
本出願は、1つ又は複数の着色固体粒子を含む染料組成物を調製するためのプロセス、得られた組成物の前記繊維への適用を含むケラチン繊維を染色するためのプロセス、及びケラチン繊維を染色するためのこの組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
酸化性塩基、特にオルト-又はパラ-フェニレンジアミン、オルト-又はパラ-アミノフェノール及び複素環化合物などの酸化染料前駆体を含有する染料組成物によって、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色することは公知の慣習である。これらの酸化性塩基は、無色の、又はわずかに着色した化合物であり、酸化用製品と組み合わせた場合、酸化縮合プロセスによって着色化合物を発生させることが可能である。
【0004】
また、これらの酸化性塩基を用いて得られる色合いは、これらをカプラー又は調色剤と組み合わせることによって変化し得ることも知られている。調色剤は、特に、芳香族メタ-ジアミノベンゼン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、及びいくつかの複素環式化合物、例えばインドール化合物から選択される。
【0005】
酸化性塩基及びカプラーとして使用される分子の多様性により、広範な色を得ることが可能になる。
【0006】
現在のところ、ケラチン繊維の永久的な染色をカスタマイズすることは困難である。特に、自身の毛髪を染色することを望む使用者は、それぞれが、あらかじめ定義された含有量で酸化性塩基及び酸化カプラーのセット混合物を一般に含む、あらかじめ定義された染料組成物のカタログからの選択肢を有するのみである。
【0007】
したがって、これらの染料組成物のそれぞれは、1つの色合いのみを得ることを可能にし、そして使用者は、製造業者によってあらかじめ選択される限られた数の色合いのみからの選択肢を有するが、それは本人の望みに必ずしも相当しないものである。
【0008】
さらにまた、あらかじめ定義された染料組成物は、天然の色合い(より明るいか若しくは暗い、又はより明るくないか若しくは暗くない)及び使用者の毛髪の条件(より損傷を受けるか若しくは敏感である、又はより損傷を受けないか若しくは敏感でない)に応じて、対応するあらかじめ選択された色合いの製造を必ずしも導かない。また、着色の解釈は、使用者一人一人によって実質的に異なる。
【0009】
したがって、現行の酸化染料組成物では、使用者のケラチン繊維の既存の色合いに応じてか又は本人の希望に従ってカスタマイズされた着色を迅速に(例えば、ヘアサロンにおいて使用者の予約の間に)得ることが可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、可能な色合いの非常に幅広い選択肢を染色直前に使用者に提供することを可能にし、本人が、例えば、ヘアサロンで、デフォルトとしてではなく、最も近い入手可能な色合いとして所望する色合いを選択することを可能にする、ケラチン繊維を染色するための組成物を調製する新規解決策を開発することに、真の必要性がある。
【0011】
特にケラチン繊維の既存の色合い及び性質などの各使用者の特異性を考慮して、カスタマイズされた染料組成物を染色直前に調製するための解決策にも必要性もある。
【0012】
さらに、良好な色の蓄積を伴う、強力な、急速な、選択性が低く、及び有色の(クロマティック、chromatic)様式でケラチン繊維を染色することが可能であり、且つ悪天候、洗浄及び汗などの、繊維が受け得る種々の攻撃因子に対して耐性を有する着色を与えることが可能であるプロセスも求められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、25mm3~125mm3の体積を有し、且つ以下:
a.直接染料及び/又は酸化染料前駆体から選択される1つ又は複数の染料を含有するコアと、
b.前記コアを被覆し、且つ1つ又は複数のセルロースエーテルを含有する上部コーティング層と
を含む、その1つの主題が特に着色固体粒子である、本発明によって達成される。
【0014】
本発明による着色固体粒子は、ケラチン繊維のパーソナライズされた着色を得ることを可能にすることが見出された。
【0015】
特に、着色固体粒子によって、使用ごとに、使用者が所望する正確な色合いを得るように特に選択される染料の正確な量を含有する特定の染料組成物を調製することが可能となる。
【0016】
特に、着色固体粒子によって、異なるそれぞれの含有量で、非常に多数の異なる染料を組み合わせることが可能である組成物を調製すること、したがって、各使用者の繊維の性質及び特定の条件を考慮すると同時に、非常に幅広い可能な色合いでケラチン繊維を染色することが可能になることが特に見出された。
【0017】
本発明による着色固体粒子によって、ケラチン繊維を満足に染色することも可能となり、特に強力で、急速で、クロマティックで、選択性が低く着色及び/又は良好な着色蓄積を伴う着色が生じる。
【0018】
さらに、本発明による着色固体粒子は、悪天候、光、洗浄及び汗などのケラチン繊維が受け得る種々の攻撃因子に対して抵抗する着色を導く。
【0019】
さらに、本発明による着色固体粒子は、何度も再現可能な染色結果を与え、この固体粒子は、貯蔵において非常に良好な安定性を有する1つ又は複数の直接染料及び/又は1つ又は複数の酸化染料前駆体を含有する。さらにまた、本発明による固体粒子は、それらが少なくとも1つの水性組成物と混合される時に、迅速に分散し、そして急速且つ容易に均質な混合物をもたらす。
【0020】
さらにまた、直接圧縮プロセスによって得られる本発明による粒子は、水性組成物中で良好な溶解を示すことが見出された。
【0021】
本発明の主題は、少なくとも1つの水性組成物との本発明による1つ又は複数の着色固体粒子の混合を含む、水性染料組成物を調製するためのプロセスでもある。
【0022】
本発明の主題は、以下:
- 本発明の調製プロセスによる水性染料組成物の調製と、次いで、
- 前記ケラチン繊維への前記調製された組成物の適用と
を含む、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するためのプロセスでもある。
【0023】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための、本発明による調製プロセスによって得られる水性染料組成物の使用でもある。
【0024】
本発明の他の主題、特徴、態様及び利点は、下記の説明及び実施例を読むことにより、さらにより明確に明らかになるであろう。
【0025】
本明細書中、別途指定されない限り、
- 「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と均等であり、それに置き換えられ得、
- 「~(between)」という表現は、「の範囲」という表現と均等であり、それに置き換えられ得、且つ限界が含まれることを示唆し、
- 「ケラチン繊維」という用語は、本出願によると、好ましくは、ヒトケラチン繊維、特に毛髪を意味する。
【0026】
固体粒子
本発明による着色固体粒子は、直接染料及び/又は酸化染料前駆体から選択される1つ又は複数の染料を含有するコアと、前記コアを好ましくは全体的に被覆し、且つ1つ又は複数のセルロースエーテルを含有する上部コーティング層とを含む。
【0027】
コアにおいて、前記直接染料及び/又は酸化染料前駆体は、同一粒子のコア中で且つ1つの固体粒子から別の固体粒子とで、同一であり得るか又は異なり得る。
【0028】
特定の実施形態によると、粒子は、1つ又はいくつかの直接染料のみを含む。別の実施形態によると、粒子は、1つ又はいくつかの酸化染料前駆体のみ、好ましくは1つの酸化染料前駆体のみを含む。第3の実施形態によると、粒子は、1つ又は複数の直接染料及び1つ又は複数の酸化染料前駆体、好ましくは1つの酸化染料前駆体のみを含有する。
【0029】
特定の実施形態によると、粒子は同一であるか、又は異なるが、上記される種々の実施形態に相当する。
【0030】
有利には、染料は酸化染料前駆体から選択され、好ましくは、酸化性塩基及び酸化カプラーから選択され、さらにより優先的には、酸化性塩基から選択される。
【0031】
本発明の目的に関して、「固体粒子」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(1.013×105Pa)で固体状態である粒子を意味する。
【0032】
有利には、直接染料及び/又は酸化染料前駆体は、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.001質量%~50質量%、好ましくは、0.1質量%~50質量%、より優先的には、0.3質量%~25質量%、さらにより優先的には、0.4質量%~22質量%である。
【0033】
好ましくは、本発明による着色固体粒子は、コア中に1つのみの酸化染料前駆体を含み、そしてより優先的には、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.1質量%~50質量%、さらにより優先的には0.3質量%~25質量%、より良好には0.4質量%~22質量%の含有量で含む。
【0034】
添付の図面は概略図である。図面は、必ずしも一定の比率ではなく、それらは、特に本発明の原理を示すように意図される。これらの図面中で、
図1から
図2まで、同一である要素(又は要素の一部)は、同一参照記号によって特定される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による球形の着色固体粒子の横方向の断面図を表す。
【
図2】本発明の別の実施形態による回転楕円体形の別の着色固体粒子の縦方向の断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付の図面に関して、着色固体粒子の実施例を以下に詳細に説明する。これらの実施例は、本発明の特徴及び利点を示す。しかしながら、本発明がこれらの実施例に限定されないことは留意される。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態による球形の着色固体粒子1の横方向の断面図を表し、これは、染料を含有するコア2と、セルロースエーテルを含有し、且つ前記コア2を全体的に被覆する上部コーティング層3とを含む。
【0038】
例えば、前記染料は、酸化染料前駆体であり得る。
【0039】
図1中で表される長さDは、着色固体粒子1の高さに相当する。
【0040】
図2は、本発明の別の実施形態による回転楕円体形の別の着色固体粒子の縦方向の断面図を表し、これは、染料を含有するコア2を含む。
【0041】
例えば、前記染料は、酸化染料前駆体であり得る。
【0042】
図2中の本発明による粒子1は、前記コア2を全体的に被覆し、且つセルロースエーテルを含有する上部コーティング層3も含む。
【0043】
図2中で表される長さDは、着色固体粒子1の高さに相当する。
【0044】
酸化染料前駆体
好ましくは、酸化染料前駆体は、酸化性塩基及び酸化カプラーから、より優先的には、酸化性塩基から選択される。
【0045】
好ましくは、本発明による着色固体粒子の前記コア中に存在する酸化染料前駆体の全含有量は、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.1質量%~50質量%、より優先的には、0.3質量%~25質量%、さらにより優先的には、0.4質量%~22質量%を表す。
【0046】
例として、酸化性塩基は、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール及び複素環式塩基、並びに対応する付加塩から選択される。
【0047】
言及され得るパラ-フェニレンジアミンは、例えば、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-メトキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4’-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン及び3-ヒドロキシ-1-(4’-アミノフェニル)ピロリジン並びに酸との相当する付加塩である。
【0048】
上述したパラ-フェニレンジアミンの中でも、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、及び酸との対応する付加塩が特に好ましい。
【0049】
言及され得るビス(フェニル)アルキレンジアミンの中でも、例えば、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4’-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N’-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’-ビス(エチル)-N,N’-ビス(4’-アミノ-3’-メチルフェニル)エチレンジアミン及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、及び対応する付加塩を挙げることができる。
【0050】
言及されるパラ-アミノフェノールは、例えば、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール並びに酸との対応する付加塩を挙げることができる。
【0051】
言及され得るオルト-アミノフェノールの中でも、例えば、2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、及び対応する付加塩を挙げることができる。
【0052】
言及され得る複素環式塩基の中には、例えば、ピリジン、ピリミジン及びピラゾール誘導体が含まれる。
【0053】
言及され得るピリジン誘導体の中には、例えば、英国特許第1026978号明細書及び英国特許第1153196号明細書に記載される化合物、例えば、2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン及び3,4-ジアミノピリジン、及び対応する付加塩が含まれる。
【0054】
本発明に有用な他のピリジン酸化性塩基は、例えば、仏国特許出願第2801308号に記載されている3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化性塩基又は対応する付加塩である。言及され得る例としては、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-(モルホリン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン及び2-(4-ジメチルピペラジニウム-1-イル)-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、並びに対応する付加塩が挙げられる。
【0055】
より詳細には、本発明に有用な酸化性塩基は、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジンから選択され、好ましくは炭素原子2上で、以下によって置換されている:
a)(ジ)(C1~C6)(アルキル)アミノ基(式中、前記アルキル基は、少なくとも1つのヒドロキシル、アミノ又はイミダゾリウム基で置換されている可能性がある)、
b)1つ又は複数の(C1~C6)アルキル基によって任意選択的に置換された、1~3つのヘテロ原子を含む、任意選択的に陽イオン性の5~7員のヘテロシクロアルキル基、例えば、ジ(C1~C4)アルキルピペラジニウム基、或いは
c)1つ又は複数のヒドロキシル基によって任意選択的に置換された(C1~C6)アルコキシ基、例えばβ-ヒドロキシアルコキシ基、及び対応する付加塩。
【0056】
言及され得るピリミジン誘導体の中でも、例えば、独国特許第2359399号明細書、日本国特許第88-169571号公報、日本国特許第05-63124号公報、欧州特許第0770375号明細書又は国際公開第96/15765号パンフレットに記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリジミン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリジミン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリジミン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリジミン、2,5,6-トリアミノピリミジン及びその付加塩、並びに、互変異性平衡が存在する場合、その互変異性型を挙げることができる。
【0057】
言及され得るピラゾール誘導体の中には、独国特許第3843892号明細書、独国特許第4133957号明細書並びに特許出願国際公開第94/08969号パンフレット、国際公開第94/08970号パンフレット、仏国特許第A-2733749号明細書及び独国特許第19543988号明細書に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4’-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4’-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2’-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール並びに対応する付加塩がある。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールも使用され得る。
【0058】
好ましくは4,5-ジアミノピラゾールが使用され、さらにより優先的には、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0059】
同様に言及され得るピラゾール誘導体としては、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に仏国特許第A-2886136号明細書に記載されているもの、例えば以下の化合物及び対応する付加塩:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン及び2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンが挙げられる。
【0060】
好ましくは、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又は対応する塩が使用されるであろう。
【0061】
好ましく使用される複素環式塩基としては、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン/又は2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン及び/又は対応する塩が挙げられる。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明による着色固体粒子のコアは、1つ又は複数の酸化性塩基、好ましくは1つのみの酸化性塩基を含有し、より優先的には、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルトアミノフェノール及び複素環式塩基、並びに対応する付加塩から選択され、さらにより優先的には、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、パラ-アミノフェノール、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン及びその付加塩から選択される。
【0063】
好ましくは、本発明による着色固体粒子のコア中に存在する酸化染料前駆体が酸化性塩基である場合、酸化性塩基は、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.1質量%~50質量%、より優先的には、0.3質量%~25質量%、さらにより優先的には、0.4質量%~22質量%を表す。
【0064】
一例として、酸化カプラーは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤及び複素環カップリング剤から選択され得、また、本発明のその幾何又は光学異性体、その互変異性体、対応する付加塩又はその溶媒和化合物からも選択され得る。
【0065】
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンゾイミダゾール、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール及び2-[3-アミノ-4-メトキシフェニル]アミノ)エタノール、並びに酸との対応する付加塩を挙げることができる。
【0066】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明による着色固体粒子のコアは、1つ又は複数の酸化カプラー、好ましくは1つのみの酸化カプラーを含有し、より優先的には、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤、複素環カップリング剤、その対応する付加塩又はその溶媒和化合物から、より優先的には、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、3-アミノフェノール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、6-ヒドロキシインドール、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、α-ナフトール、2-[3-アミノ-4-メトキシフェニル]アミノ)エタノール及びその添加塩から選択される。
【0067】
好ましくは、本発明による着色固体粒子のコア中に存在する酸化染料前駆体が酸化カプラーである場合、酸化カプラーは、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.1質量%~50質量%、より優先的には、0.3質量%~25質量%、さらにより優先的には、0.4質量%~22質量%を表す。
【0068】
一般的に、本発明に関連して使用され得る酸化性塩基又は酸化カプラーの付加塩は、特に酸との付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、スルフェート、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ホスフェート及びアセテートから選択される。
【0069】
直接染料
本発明による固体粒子のコアが1つ又は複数の直接染料を含む場合、これらの直接染料は、カチオン性、アニオン性、非イオン性及びその混合物であり得、より優先的には、直接染料は、カチオン性及び非イオン性直接染料、並びにその混合物から選択される。
【0070】
直接染料は合成されても、又は天然であってもよい。
【0071】
言及され得る適切な直接染料の例としては、単独での又は混合物の形態におけるアゾ直接染料、(ポリ)メチン染料、例えばシアニン、ヘミシアニン及びスチリル、カルボニル染料、アジン染料、ニトロ(ヘテロ)アリール染料、トリ(ヘテロ)アリールメタン染料、ポルフィリン染料、フタロシアニン染料、天然の直接染料が挙げられ得る。
【0072】
一例として、国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている染料が言及され得る。
【0073】
特に、有用な直接染料は、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー87、及びベーシックオレンジ31並びに対応する誘導体から選択され得る。
【化1】
【0074】
本発明において使用することが可能な天然直接染料の中では、以下:ヘンノタンニン酸(hennotannic acid)、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、及びオルセインが挙げられてよい。これらの天然染料を含有する抽出物又は浸出液、特にヘンナベースのパック剤又は抽出物もまた使用されてもよい。
【0075】
特に、直接染料が本発明による着色固体粒子のコア中に存在する場合、直接染料は、前記固体粒子の全質量と比較して、有利には0.001質量%~10質量%、より優先的には0.005質量%~5質量%を表す。
【0076】
バインダー
本発明による固体粒子のコアは、好ましくは少なくとも1つのバインダーも含む。
【0077】
本発明に関して、「バインダー」という用語は、固体粒子の結合の方向に寄付する化合物を意味する。バインダーは、特に固体粒子を構成する種々の構成要素の凝集を可能にする。
【0078】
特に言及され得るバインダーの例としては、タンパク質(ゼラチンなど)、特にその無水又は水和型の二糖類(サッカロース及びラクトースなど)、並びに糖アルコール(キシリトール、ソルビトール及びマルチトールなど)を含む、糖類及びその誘導体、オリゴ糖類及びその誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、多糖類及びその誘導体(例えば澱粉、セルロース及び/又は変性セルロース)、アルギナート、並びにガム(例えばアカシアガム又はグアーゴム)が挙げられ得る。
【0079】
適切な変性セルロースの例としては、特にその無水又は水和型の微結晶セルロース(MCC)、並びにセルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が挙げられ得る。
【0080】
好ましくは、バインダーは、糖類及びその誘導体、オリゴ糖類及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)及びその混合物から、より優先的には、特に無水又は水和型のラクトース、特に無水又は水和型の微結晶セルロース(MCC)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにその混合物から選択される。
【0081】
好ましくは、バインダーが本発明による固体粒子のコア中に存在する場合、前記コア中のバインダーの全含有量は、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、30質量%以上、より優先的には50質量%以上、さらにより優先的には、50質量%~99.9質量%、より良好には60質量%~99.9質量%、さらに良好には70質量%~99.9質量%である。
【0082】
崩壊剤
本発明による固体粒子のコアは、好ましくは、少なくとも1つの崩壊剤を含む。
【0083】
本発明の目的に関して、「崩壊剤」という用語は、固体粒子(例えば、タブレット)の崩壊を誘導するために特に有効である薬剤の種類、好ましくはポリマーの種類を指す。一般に低濃度で有効であるため、崩壊剤の1つの特定の区分は「超崩壊剤」として知られる。
【0084】
崩壊剤は、それらが媒体(例えば水性媒体の水)と接触して配置される場合に媒体の液体を吸収することによって作用する吸湿性化合物であり得る。次いで、そのような吸収によって、崩壊剤のかなりの膨潤がもたらされること及び/又は毛管作用を強化することによって、崩壊が誘導され得る。外部又は放射方向で膨潤する崩壊剤によって加えられる膨潤圧力により、固体粒子(例えばタブレット)の分割をもたらすことができる。
【0085】
特に言及され得る崩壊剤、又は超崩壊剤の例としては、架橋されたセルロース、例えば、クロスカルメロース(又は、一般にナトリウム塩型で使用される架橋されたカルボキシメチルセルロース)及びその誘導体、例えば、参照Ac-Di-Sol(登録商標)、Explocel(登録商標)、Nymcel ZSX(登録商標)、Pharmacel(登録商標)XL、Primellose(登録商標)、Solutab(登録商標)及びVivasol(登録商標)で販売されるもの、クロスポビドン(又は架橋されたポリビニルピロリドン)及びその誘導体、例えば、参照Crospovidone M(登録商標)、Kollidon(登録商標)及びPolyplasdone(登録商標)で販売されるもの、架橋された澱粉、例えば、ナトリウム澱粉グリコレート、例えば、参照Explotab(登録商標)、Explotab(登録商標)CLV、Explosol(登録商標)、Primojel(登録商標)、Tablo(登録商標)及びVivastar(登録商標)で販売されるもの、架橋されたアルギン酸、例えば、参照Satialgine(登録商標)で販売されるもの、架橋されたポリアクリル化合物、例えば、イオン交換樹脂、例えば、参照Indion(登録商標)414、Tulsion(登録商標)339及びAmberlite(登録商標)IRPで販売されるもの、並びに特定の多糖類、例えばダイズ多糖類、例えば、参照Emcosoy(登録商標)調崩壊剤で販売されるものが挙げられる。
【0086】
好ましくは、崩壊剤はポリマーであり、より優先的には、固体粒子は、少なくとも1つの崩壊剤ポリマー、より良好には、少なくとも1つの超崩壊剤ポリマー、さらにより優先的には、ビニルピロリドン及びその誘導体並びにその混合物の架橋されたポリマーから選択される少なくとも1つの超崩壊剤ポリマー、さらに良好には、架橋されたポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルの架橋されたコポリマー、並びにその混合物を含む。
【0087】
好ましくは、崩壊剤が本発明による固体粒子のコア中に存在する場合、前記コア中の崩壊剤の全含有量は、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.5質量%~15質量%、より優先的には、1質量%~12質量%、より優先的には、2質量%~10質量%である。
【0088】
酸化防止剤
本発明による固体粒子のコアは、好ましくは、少なくとも1つの酸化防止剤を含む。
【0089】
特に言及され得る酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、その塩及びその誘導体(アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、パルミチン酸アスコルビル又はラウリン酸アスコルビルなど)、サリチル酸、その塩及びその誘導体(サリチル酸ナトリウムなど)、メルカプタン及び無機スルファイト(亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及びチオグリコール酸など)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、亜ジチオン酸ナトリウム、並びにその混合物が挙げられる。
【0090】
好ましくは、酸化防止剤は、アスコルビン酸、その塩及びその誘導体(アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、パルミチン酸アスコルビル又はラウリン酸アスコルビルなど)、サリチル酸、その塩及びその誘導体(サリチル酸ナトリウムなど)、メルカプタン及び無機スルファイト(亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及びチオグリコール酸など)、並びにその混合物から選択され、より優先的には、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム及びサリチル酸ナトリウム並びにその混合物から選択される。
【0091】
好ましくは、酸化防止剤が本発明による固体粒子のコア中に存在する場合、前記コア中の酸化防止剤の全含有量は、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.1質量%~15質量%、より優先的には、0.3質量%~12質量%、さらにより優先的には、0.4質量%~10質量%、さらにより良好には、0.5質量%~5質量%である。
【0092】
潤滑剤及び/又は非粘着性剤
本発明による固体粒子のコアはまた、好ましくは、少なくとも1つの潤滑剤及び/又は非粘着性剤を含む。
【0093】
本発明の目的に関して、「潤滑剤及び/又は非粘着性剤」という用語は、(特に圧縮ステップの間の)接着を減少するため、且つ/又は成分の間の摩擦及び結合を減少させることによって固体粒子の成分のフローを改善するための、固体粒子の成分の凝集を低下させる又はさらには防止する化合物を意味する。
【0094】
好ましくは、潤滑剤及び/又は非粘着性剤は、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、シリカ、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム及びその混合物から、より優先的には、シリカ、ステアリン酸マグネシウム及びその混合物から選択される。
【0095】
好ましくは、潤滑剤及び/又は非粘着性剤が本発明による固体粒子のコア中に存在する場合、前記コア中の潤滑剤及び/又は非粘着性剤の全含有量は、それを含有する固体粒子の全質量と比較して、0.1質量%~10質量%、より優先的には、0.3質量%~8質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~5質量%である。
【0096】
上部コーティング層
本発明による固体粒子は、好ましくは全体的にコアを被覆する上部コーティング層(上部フィルム層としても知られる)を含む。
【0097】
本発明による上部コーティング層は、上記されるものなどの1つ又は複数のセルロースエーテルを任意選択的に含み得る。
【0098】
本発明による上部コーティング層は、任意選択的に、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、そのコポリマー(例えば、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールPVA/PEGのコポリマー)、キサンタンなどの糖などの1つ又は複数の他の化合物、及びその混合物を含み得る。
【0099】
好ましくは、上部コーティング層は、少なくとも2つの異なるセルロースエーテルを含む。
【0100】
本発明の好ましい実施形態によると、上記の通り、上部コーティング層は少なくとも1つのセルロースエーテル、より優先的には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)及びその混合物から選択されるセルロースエーテル、より良好には、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びその混合物から選択されるセルロースエーテルを含む。
【0101】
より優先的には、上部コーティング層は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。
【0102】
好ましくは、本発明の本実施形態によれば、上部コーティング層に存在するセルロースエーテルの全含有量は、上部コーティング層の全質量と比較して、30質量%~99質量%、より優先的には、40質量%~90質量%、さらにより優先的には、45質量%~80質量%、そしてより良好には50質量%~70質量%を表す。
【0103】
本発明による別の好ましい実施形態によると、上部コーティング層は、上記されるものなどの少なくとも1つの潤滑剤及び/又は非粘着性剤、より優先的には、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、シリカ及びその混合物から選択される少なくとも1つの潤滑剤及び/又は非粘着性剤を含み、より優先的には、潤滑剤及び/又は非粘着性剤はタルクである。
【0104】
好ましくは、本実施形態によれば、上部コーティング層に存在する潤滑剤及び/又は非粘着性剤の全含有量は、上部コーティング層の全質量と比較して、1質量%~40質量%、より優先的には、2質量%~30質量%である。
【0105】
好ましくは、本発明による上部コーティング層は、1つ又は複数の顔料も含む。
【0106】
一例として、顔料は、白色であり得るか又は着色されていてもよく、鉱物及び/又は有機であり得、そしてコーティングされていても、又は未コーティングであってもよい。言及され得る鉱物顔料の中でも、金属酸化物、特に、任意選択的に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛又は酸化セリウム、並びに酸化鉄、酸化チタン又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンピンク、クロム水和物及び紺青(ferric blue)、並びにその混合物が挙げられる。言及され得る有機顔料の中でも、カーボンブラック、顔料D&C型、コチニールカルミン、或いはバリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウム及びその混合物に基づくレーキである。
【0107】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明による上部コーティング層は、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンピンク、クロム水和物及び紺青から選択される1つ又は複数の顔料、並びにその混合物、より優先的には、酸化チタン、例えば二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、特にグリーン酸化クロムから選択される1つ又は複数の顔料、並びにその混合物を含む。
【0108】
上部コーティング層が1つ又は複数の顔料を含む場合、顔料は、有利には、上部コーティング層の全質量と比較して、1質量%~50質量%、より優先的には、5%~40質量%の範囲の全含有量を表す。
【0109】
好ましくは、本発明による着色固体粒子は無水である。
【0110】
「無水着色固体粒子」という用語は、固体粒子が、固体粒子の全質量と比較して、2質量%未満の水、好ましくは、1質量%未満の水、さらに優先的には、0.5質量%未満の水を含有するか、又はさらには前記固体粒子は水を含まないことを意味する。特に、存在し得る水は、固体粒子の調製の間に添加されないが、混合された成分によって提供される残留水に相当する。
【0111】
本発明による固体粒子は、有利には球形又は回転楕円体形であり得、より優先的には、ビーズ形などの球形であり得る。
【0112】
本発明による着色固体粒子は、25mm3~125mm3、好ましくは、30~90mm3、さらにより優先的には、45~65mm3の体積を有する。
【0113】
本発明の目的に関して、本発明による固体粒子の体積Vは、以下:
V=(1/6).π.D3
の方程式によって特に算出され得る。式中、Dは本発明による固体粒子の高さを表す。
【0114】
本発明による粒子の高さDは、特に
図1及び2に示される。それは、定規、ノギス、又は長さを測定するために従来から使用されている他のいずれかの測定機器を使用して、特に測定され得る。
【0115】
好ましくは、本発明による固体粒子の高さDは、ノギスを使用して測定される。
【0116】
加えて、本発明による固体粒子の集団、特に少なくとも10個の粒子の平均体積Vmは、以下の方程式:
Vm=(1/6).π.Dm
3
によって特に算出され得る。式中、Dmは、本発明による固体粒子の平均高さを表す。
【0117】
本発明による固体粒子の平均高さDmは、少なくとも10個の異なる着色固体粒子上で測定された、少なくとも10個の高さDの平均を決定することによって算出され得る。
【0118】
好ましくは、本発明による前記着色固体粒子の平均体積は、25~125mm3、より優先的には、30~90mm3、さらにより優先的には、45~65mm3である。
【0119】
好ましくは、本発明による着色固体粒子は、30~120mg、より優先的には、40~80mg、さらにより優先的には、50~70mgの質量を有する。
【0120】
加えて、本発明による着色固体粒子の平均質量は、30~120mg、より優先的には、40~80mg、さらにより優先的には、50~70mgである。
【0121】
本発明による固体粒子の平均質量は、少なくとも10個の異なる着色固体粒子の少なくとも10個の質量の平均を決定することによって算出され得る。
【0122】
好ましくは、本発明による着色固体粒子の硬度は、2~15kPa、より優先的には、2~11kPaである。
【0123】
固体粒子の硬度は、例えば、薬品分野で一般に使用される半自動式タブレット試験システムを使用して、そして特にPharmatron ST50デバイスを使用して測定され得る。
【0124】
加えて、本発明による着色固体粒子の平均硬度は、好ましくは、2~15kPa、より優先的には、2~11kPaである。
【0125】
本発明による固体粒子の平均硬度は、少なくとも10個の異なる着色固体粒子上で測定される少なくとも10個の硬度の平均を決定することによって算出され得る。
【0126】
好ましくは、固体粒子は、25mLの過酸化水素水溶液(6質量%のH2O2を含有する)中、25℃において、大気圧で、60秒未満、より優先的には、40秒未満、より良好には、1~30秒の平均崩壊時間を有する。
【0127】
一例として、平均崩壊時間は、以下の方法によって測定され得る:
1)6質量%の過酸化水素を含む水性酸化組成物25mlを50mlのビーカーに注ぎ入れ、次いで、
2)本発明による10個の同一着色固体粒子を一回で添加するが、ビーカーの内容物を撹拌せず、次いで、
3)クロノメーターを開始し、
4)全ての固体粒子が視覚的に完全に崩壊したら、すなわち、固体粒子が、堅いコアをもはや含有していない柔らかい質量を形成することが観察されたら、クロノメーターを停止し、そして最後に、
5)クロノメーターの平均崩壊時間を記録する。
【0128】
好ましくは、本発明による上部コーティング層は、固体粒子の全質量と比較して、0.1質量%~10質量%、より優先的には、0.5質量%~10質量%、より良好には、1質量%~5質量%を表す。
【0129】
好ましくは、他方の前記固体粒子のコアの全質量に対する一方の本発明による着色固体粒子の全質量の質量比は、1.001~1.1、より優先的には、1.005~1.1、さらにより優先的には、1.01~1.05である。
【0130】
本発明による固体粒子は、特に乾式方法による、又は湿式粒状化による、製薬業界で使用されるプロセスなどの、フィルムコーティングされていてもよいタブレットを調製するための従来のプロセスによって有利に調製される。
【0131】
特に、本発明による固体粒子は、以下のステップ:
- 直接染料及び/又は酸化染料前駆体、並びに固体粒子の他の任意選択的な成分のミル加工、次いで、
- 得られた粉末のスクリーニング、次いで
- 前記粉末の混合、次いで
- 着色固体粒子として得られた混合物の直接圧縮、次いで
- 以前に得られた固体粒子上でのコーティング組成物の噴霧
による乾式方法によって調製され得る。
【0132】
ミル加工ステップは、特に、ミル、例えば、U5 Quadro(登録商標)Comil(登録商標)を使用して実行され得る。
【0133】
スクリーニングステップは、特に、造粒機、例えば、Roto P50(Zanchetta)又はHigh Shear Mixer P/VAC-10(Diosna)を使用して実行され得る。
【0134】
混合ステップは、特に、ブレンダー、例えば、MB015 Blender(Pharmatech)を使用して実行され得る。
【0135】
混合物の直接圧縮ステップは、特に、圧縮テーブル、例えば、PR-1500(PTK)を使用して実行され得る。
【0136】
前記粒子をコーティングするステップは、特に、フィルムコーティングステーション、例えば、LDCS-Pilot Hi-Coater(登録商標)(Freund-vector)を使用して実行され得る。
【0137】
本発明による固体粒子をコーティングするためのコーティング組成物は、上部コーティング層に関して上記される1つ又は複数のセルロースエーテルを含む。
【0138】
好ましくは、前記コーティング組成物も、上記の上部コーティング層の好ましい成分の1つ又はそれ以上を、より優先的には、上部コーティング層において上記された含有量で含む。
【0139】
より優先的には、前記コーティング組成物も、水、C1~C6アルコール及びその混合物から選択される1つ又は複数の溶媒を含み、さらにより優先的には、水、エタノール及びその混合物から選択される。
【0140】
一例として、コーティング組成物は、特に上記の1つ又は複数の溶媒から、そしてヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含有する混合物から調製され得る。この例によると、コーティング組成物は、25℃及び大気圧において好ましくは液体である1つ又は複数の脂肪物質、例えば、1つ又は複数の脂肪アルコール、脂肪エステル及び/又はトリグリセリド、例えば、オクチルドデカノール、イソプロピルミリステート、植物油及び/又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択されるものを任意選択的に含有し得る。
【0141】
組成物は、コーティングを着色するためにタルク及び/又は顔料、好ましくは、タルク及び二酸化チタンなどの顔料も任意選択的に含有し得る。
【0142】
別の特定の調製方法によると、本発明による固体粒子は、以下のステップによる湿式粒状化によって調製され得る:
- バインダー(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、ポリビニルアルコール(PVA))と直接染料及び/又は酸化染料前駆体とを予混合すること、次いで
- 所望の粒状体の製造のために、コーティング組成物に関する上記の段落で記載されるものなどの1つ又は複数の溶媒中、特に水中に溶解された崩壊剤(例えば、架橋されたポリビニルピロリドン)を、予混合物に噴霧することと、次いで
- 粒状体の乾燥と、次いで
- 固体粒子の他の成分のミル加工と、次いで
- ミル加工によって得られた粉末及び粒状体のスクリーニングと、次いで
- スクリーニングによって得られる粉末の混合と、次いで
- 固体粒子として得られる混合物の直接圧縮と、任意選択的に
- 得られた固体粒子のコーティング。
【0143】
特に、直接圧縮プロセスによって得られる固体粒子が、押出成形プロセスによって得られる粒子よりも水性組成物中でより良好な溶解(より急速及びより容易)を示すことが観察された。
【0144】
実際に、押出成形プロセスによって得られる粒子は、直接圧縮によって得られるものより高密度である。したがって、押出成形プロセスによって得られる粒子は、直接圧縮によって得られる粒子よりも、水性組成物中で溶解するためにより長い時間がかかり、それは特に有利でない。
【0145】
本発明による粒子を調製するためのプロセスは、有利には直接圧縮によるプロセスである。
【0146】
加えて、直接圧縮によるプロセスは、本発明による前記粒子の製造において、押出成形プロセスよりも良好な繰り返し性及び再現性を示す。
【0147】
水性染料組成物Mを調製するためのプロセス
本出願の主題は、少なくとも1つの水性組成物Aとの上記1つ又は複数の着色固体粒子の混合を含む、水性染料組成物Mを調製するためのプロセスでもある。
【0148】
好ましくは、前記水性組成物Aは、1つ又は複数の化学酸化剤を含む酸化水性組成物A1及び/又は1つ又は複数のアルカリ性剤、好ましくはアルギニンを含むアルカリ性水性組成物A2及び/又は1つ又は複数の増粘性ポリマーを含む水性組成物A3から選択される。
【0149】
前記水性組成物A1、A2及びA3は、互いに異なっていても、又は異なっていなくてもよい。好ましくは、前記水性組成物A1、A2及びA3は、互いに異なる。
【0150】
水性酸化組成物A1:
本発明による水性染料組成物Mを調製するためのプロセスは、1つ又は複数の化学酸化剤を含む水性酸化組成物A1を使用し得る。
【0151】
好ましくは、水性酸化組成物A1の含水量は、水性酸化組成物A1の全質量と比較して、30質量%~99質量%、より優先的には、50質量%~99質量%、さらにより良好には50質量%~90質量%である。
【0152】
化学酸化剤
水性酸化組成物A1は、少なくとも1つの化学酸化剤を含む。
【0153】
本発明に関して、「化学酸化剤」という用語は、大気中酸素以外の酸化剤を意味する。
【0154】
本発明で使用され得る化学酸化剤(又は脱色剤)は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸塩、例えば過ホウ酸塩及び過硫酸塩、特に過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム、過酸及びオキシダーゼ酵素(その任意の共同因子と)から選択され得、その中でも、ペルオキシダーゼ、2-電子酸化還元酵素、例えば、ウリカーゼ及び4-電子オキシゲナーゼ、例えば、ラッカーゼ及びその混合物が挙げられてよく、より優先的には、化学酸化剤は、過酸化水素、過酸塩及びその混合物から選択される。
【0155】
好ましくは、本発明による調製プロセスに組成物A1が使用される場合、水性酸化組成物A1中に存在する化学酸化剤の全含有量は、水性酸化組成物A1の全質量と比較して、0.1質量%~35質量%、より優先的には、0.1質量%~30質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~25質量%、より良好には、2質量%~12質量%である。
【0156】
水性アルカリ性組成物A2
本発明による水性染料組成物Mを調製するためのプロセスは、1つ又は複数のアルカリ性剤を含む水性アルカリ性組成物A2を使用し得る。
【0157】
好ましくは、アルカリ性組成物A2はアルギニンを含む。
【0158】
好ましくは、水性アルカリ性組成物A2の含水量は、水性アルカリ性組成物A2の全質量と比較して、30質量%~99質量%、より優先的には、50質量%~99質量%、さらにより良好には50質量%~90質量%である。
【0159】
アルカリ性組成物A2がアルギニンを含む場合、アルギニン含有量は、水性アルカリ性組成物A2の全質量と比較して、0.05質量%~25質量%、より優先的には、0.1質量%~15質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~10質量%、又は1質量%~5質量%である。
【0160】
本発明による水性アルカリ性組成物A2は、アルギニン以外の少なくとも1つのアルカリ性剤を含み得る。
【0161】
アルギニン以外のアルカリ性剤
水性アルカリ性組成物A2は、アルギニン以外の少なくとも1つの追加的なアルカリ性剤を含み得る。
【0162】
好ましくは、アルギニン以外のアルカリ性剤は、有機アルカリ性剤及び無機のアルカリ性剤から選択され得る。
【0163】
好ましくは、有機アルカリ性剤は、25℃におけるpKbが12未満、より好ましくは10未満、より優先的に6未満である有機アミンから選択される。これは、最も高い塩基性度を有する官能基に対応するpKbであることに留意すべきである。加えて、有機アミンは、10個を超える炭素原子を含むアルキル又はアルケニル脂肪鎖を含まない。
【0164】
有機アルカリ性剤は、好ましくは、アルカノールアミン、例えば、1~3個の同一若しくは異なるC1~C4ヒドロキシアルキル基を含む、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミンから選択される。
【0165】
「アルカノールアミン」という用語は、第1級、第2級又は第3級アミン官能基及び1つ又は複数のヒドロキシル基を保持する、1つ又は複数の直鎖状又は分枝状C1~C8アルキル基を含む有機アミンを意味する。
【0166】
モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンから選択されるアルカノールアミンは、本発明を実行するために特に適切である。アルカノールアミンの中でもモノエタノールアミンを使用することが最も好ましい。
【0167】
使用され得るアルギニン以外のアミノ酸は、それらのL、D又はラセミ体で天然又は合成由来であり、特にカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸及びリン酸官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む。アミノ酸は、中性又はイオン型であり得る。
【0168】
本発明で使用され得るアルギニン以外のアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが特に挙げられてよい。
【0169】
有利には、アルギニン以外のアミノ酸は、環中又はウレイド官能基中に任意選択的に含まれる追加的なアミン官能基を含む塩基性アミノ酸である。
【0170】
有機アミンは、複素環式タイプの有機アミンからも選択され得る。アミノ酸で既に挙げたヒスチジンに加えて、特にピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びベンゾイミダゾールを挙げることができる。
【0171】
有機アミンは、アミノ酸ジペプチドからも選択され得る。本発明で使用できるアミノ酸ジペプチドとして、特にカルノシン、アンセリン及びバレニンを挙げることができる。
【0172】
有機アミンは、グアニジン官能基を含む化合物からも選択され得る。本発明で使用され得るこの種類のアミンとしては、クレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、N-アミジノアラニン、3-グアニジノプロピオン酸、4-グアニジノ酪酸及び2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸が挙げられる。
【0173】
本発明によるプロセスに使用され得る追加的な無機アルカリ性剤の中でも、鉱物水酸化物が挙げられてよい。
【0174】
鉱物水酸化物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及びアンモニウムの水酸化物から選択され得る。言及され得る鉱物水酸化物の例としては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化マンガン及び水酸化亜鉛が含まれる。
【0175】
鉱物水酸化物の中でも、アンモニア水としても知られる水酸化アンモニウムが好ましい。
【0176】
無機アルカリ性剤は、尿素、アンモニウム塩、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム又は硝酸アンモニウム、並びにアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びバリウム及びその混合物のケイ酸塩、ホスフェート又は炭酸塩から、好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のケイ酸塩、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のメタケイ酸塩、例えば、メタケイ酸ナトリウムから選択され得る。
【0177】
好ましくは、本発明において有用であるアルギニン以外のアルカリ性剤は、アンモニア水、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のメタケイ酸塩、アルカノールアミン、中性又はイオン型のアミノ酸、特に塩基性アミノ酸、グアニジン官能基を含む化合物から、好ましくはアンモニア水、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のメタケイ酸塩及びアルカノールアミンから選択される。
【0178】
好ましくは、水性組成物A2のアルカリ性剤の全含有量は、0.1質量%~25質量%、優先的には、1質量%~20質量%、より良好には、5質量%~15質量%の範囲である。
【0179】
本発明の好ましい実施形態によると、アルカリ性水性組成物A2は、アルギニン、及びアルギニン以外の1つ又は複数の追加的なアルカリ性剤、より優先的には、アンモニア水、アルカノールアミン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のメタケイ酸及びその混合物から、さらにより優先的には、アンモニア水、モノエタノールアミン、メタケイ酸ナトリウム及びその混合物から選択されるアルギニン以外の1つ又は複数の追加的なアルカリ性剤を含む。
【0180】
好ましくは、水性アルカリ性組成物A2がアルギニン及びアルギニン以外の1つ又は複数の追加的なアルカリ性剤を含む場合、アルギニン以外の追加的なアルカリ性剤は、アルカリ性水性組成物A2の全質量と比較して、0.05質量%~25質量%、より優先的には、0.1質量%~20質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~15質量%の全含有量を表す。
【0181】
有利には、本発明によるアルカリ性水性組成物A2のpHは、一般に、8~13、好ましくは9~12.5、より良好には10~12.5の範囲である。
【0182】
水性組成物A3
本発明による水性染料組成物Mを調製するためのプロセスは、1つ又は複数の増粘性ポリマーを含む水性組成物A3を使用し得る。
【0183】
好ましくは、水性組成物A3の含水量は、水性組成物A3の全質量と比較して、30質量%~99質量%、より優先的には、50質量%~99質量%、さらにより良好には、50質量%~90質量%である。
【0184】
増粘性ポリマー
本発明による水性組成物A3は、1つ又は複数の増粘性ポリマーを含む。
【0185】
好ましくは、増粘性ポリマーは、会合性ポリマー、より好ましくは、アニオン性、ノニオン性、カチオン性又は両性会合性ポリマー及びその混合物、さらにより優先的には、アニオン性会合性ポリマー、より良好には、アクリルアニオン会合性ポリマーから選択される。
【0186】
「会合性ポリマー」とは、水性媒体中で、互いに又は他の分子と可逆的に会合することができるポリマーであることを想起されたい。
【0187】
それらの化学構造は、より特定すると、少なくとも1つの親水性ゾーン及び少なくとも1つの疎水性ゾーンを含む。
【0188】
「疎水性ゾーン」という用語は、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には18~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0189】
優先的には、炭化水素をベースとする基は、単官能基化合物から誘導される。例として、疎水基は、脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール、ドデシルアルコール又はデシルアルコールに由来し得る。また、炭化水素ベースのポリマー、例えばポリブタジエンを示してもよい。
【0190】
本発明の目的に関して、「脂肪アルコール」という用語は、Rが、任意選択的に置換された飽和又は不飽和、直鎖又は分枝状の炭化水素ベースの鎖を意味し、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には18~30個の炭素原子を含む、式R-OHの化合物を意味する。
【0191】
本発明の目的に関して、「脂肪酸」という用語は、Rが、任意選択的に置換された飽和又は不飽和、直鎖又は分枝状の炭化水素ベースの鎖を意味し、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には18~30個の炭素原子を含む、式R-COOHの化合物を意味する。
【0192】
言及され得るアニオン性会合性ポリマーの中でも、次に示すものを挙げることができる:
-(a)少なくとも1つの親水性単位及び少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位を含むもの、より具体的には、親水性単位がアニオン性エチレン性不飽和モノマーから形成されているもの、より具体的には、ビニルカルボン酸から形成されているもの、最も具体的には、アクリル酸又はメタクリル酸又はこれらの混合物から形成されているもの。
【0193】
これらのアニオン性会合性ポリマーの中で、本発明によって特に好ましいものは、20質量%~60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%~60質量%の低級(メタ)アクリル酸アルキル、2質量%~50質量%の脂肪鎖アリルエーテル及び0~1質量%の架橋剤(周知の共重合可能な不飽和ポリエチレン性モノマー、例えばフタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート又はメチルビスアクリルアミドである)から形成されるポリマーである。
【0194】
後者のポリマーの中でも、特に、メタクリル酸と、アクリル酸エチルと、ポリエチレングリコール(10EO)ステアリルアルコールエーテル(Steareth-10)との架橋ターポリマー、特に、Ciba社からSalcare SC 80(登録商標)及びSalcare SC 90(登録商標)の名称で販売されている、メタクリル酸と、アクリル酸エチルと、steareth-10アリルエーテルとの架橋ターポリマー(40/50/10)の水性30%エマルジョンが最も好ましい。
【0195】
-(b)i)少なくとも1種の不飽和オレフィン性カルボン酸型の親水性単位と、ii)少なくとも1種の不飽和カルボン酸型の(C10~C30)アルキルエステルの疎水性単位と、を含むもの。
【0196】
本発明において有用な不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルは、例えば、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル及び対応するメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルを含む。
【0197】
この種類のアニオン性ポリマーは、例えば、米国特許第3915921号明細書及び米国特許第4509949号明細書によって説明及び調製される。
【0198】
この種類のアニオン性会合性ポリマーの中でも、95質量%~60質量%のアクリル酸(親水性単位)、4質量%~40質量%のC10~C30アルキルアクリレート(疎水性単位)及び0~6質量%の架橋重合性モノマーからなるもの、又は上記されるものなどの、98質量%~96質量%のアクリル酸(親水性単位)、1質量%~4質量%のC10~C30アルキルアクリレート(疎水性単位)及び0.1質量%~0.6質量%の架橋重合性モノマーからなるものがより特に使用されるであろう。
【0199】
上記の前記ポリマーの中でも、本発明によると最も特に好ましいものは、Pemulen TR1(登録商標)、Pemulen TR2(登録商標)、Carbopol 1382(登録商標)、さらにより優先的には、Pemulen TR1(登録商標)の商品名でGoodrich社によって販売されている製品、及びCoatex SX(登録商標)の名称でSEPPIC社から販売されている製品である。
【0200】
ISP社からAcrylidone LMの名称で販売されているアクリル酸/メタクリル酸ラウリル/ビニルピロリドンターポリマーも挙げることができる。
【0201】
-(c)無水マレイン酸/C30~C38α-オレフィン/マレイン酸アルキルターポリマー、例えば、Newphase Technologies社からPerforma V1608(登録商標)の商品名で販売されている製品である(無水マレイン酸/C30~C38α-オレフィン/マレイン酸イソプロピルコポリマー)、
【0202】
-(d)次に示すものを含むアクリル系ターポリマー:
i)約20質量%~70質量%のα,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸[A]、
ii)[A]以外の、約20質量%~80質量%のα,β-モノエチレン性不飽和非界面活性剤モノマー、
iii)1つの水酸基を有する界面活性剤とモノエチレン性不飽和1価イソシアネートとの反応生成物である、約0.5質量%~60質量%の非イオン性モノウレタン、例えば、欧州特許出願公開第0173109A号明細書に記載されているもの、より具体的には実施例3に記載されているターポリマー、すなわち、メタクリル酸/アクリル酸メチル/ベヘニルアルコールジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートエトキシル化物(40OE)のターポリマーの水性25%分散液。
【0203】
-(e)モノマーとして、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸と、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルと、を含むコポリマー。
【0204】
優先的には、これらの化合物は、モノマーとして、α,β-モノエチレン性不飽和カルボン酸及びC1~C4アルコールのエステルも含む。
【0205】
この種類の化合物の例として、メタクリル酸/アクリル酸エチル/メタクリル酸ステアリルオキシアルキレン化ターポリマーである、Roehm & Haas社によって販売されるAculyn 22(登録商標)(INCI名:アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、及びRoehm & Haas社によって販売されるAculyn 88(INCI名:アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー)又はAculyn 28(INCI名:アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)が挙げられてよい。
【0206】
-(f)遊離形態又は一部若しくは全部が中和された形態にあるスルホン酸を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを含み、且つ少なくとも1種の疎水性部分を含む、両親媒性ポリマー。これらのポリマーは、架橋していても又はしていなくてもよい。これらは、好ましくは、架橋している。
【0207】
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーは、特に、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、N-(C1~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸(ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸など)に加えて、これらの一部又は全部が中和された形態から選択される。
【0208】
(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えばアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸及びまたその部分的又は完全に中和された形態がより優先的には使用される。
【0209】
より特定すると、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及びまたその部分的又は完全に中和された形態を使用する。
【0210】
この系統のポリマーは、特にC6~C22n-モノアルキルアミン又はジ-n-アルキルアミンとの反応によって変性されたランダム両親媒性AMPSポリマー及び例えば国際公開第00/31154号パンフレット(記載内容の不可欠な部分を形成する)に記載されているものから選択され得る。これらのポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、そのβ-置換アルキル誘導体若しくはモノアルコールによって得られるそのエステル又はモノ若しくはポリアルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸又はマレイン酸又はこれらの化合物の混合物から選択される他のエチレン性不飽和親水性モノマーも含有し得る。
【0211】
この系統の好ましいポリマーは、AMPS及び少なくとも1種のエチレン性不飽和疎水性モノマーの両親媒性コポリマーから選択される。
【0212】
これらの同一コポリマーは、脂肪鎖を含まない1種又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、そのβ-置換アルキル誘導体若しくはモノアルコールによって得られるそのエステル又はモノ若しくはポリアルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸若しくはマレイン酸又はこれらの化合物の混合物も含有し得る。
【0213】
これらのコポリマーは、欧州特許出願公開第A750899号明細書、米国特許第5089578号明細書及びYotaro Morishimaからの下記の公開資料において特に記載されている:
- Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures,Chinese Journal of Polymer Science,Vol.18,No.40,(2000),323-336;
- Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering-Macromolecules,Vol.33,No.10(2000),3694-3704;
- Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte::salt effects on rheological behavior-Langmuir,Vol.16,No.12,(2000)5324-5332;
- Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers-Polym.Preprint,Div.Polym.Chem.,40(2),(1999),220-221。
【0214】
これらのポリマーの中で、以下が言及され得る:
- ポリマーに対して15質量%~60質量%のAMPS単位と、40質量%~85質量%の(C8~C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位又は(C8~C16)アルキル(メタ)アクリル酸単位とを含む、架橋又は非架橋の中和又は非中和コポリマー、例えば、欧州特許出願公開第A750899号明細書に記載されているもの、
- 10モル%~90モル%のアクリルアミド単位、0.1モル%~10モル%のAMPS単位及び5モル%~80モル%のn-(C6~C18)アルキルアクリルアミド単位を含むターポリマー、例えば米国特許第5089578号明細書に記載されているもの。
【0215】
完全に中和されたAMPS及びメタクリル酸ドデシルのコポリマー並びにまたAMPS及びn-ドデシルメタクリルアミドの架橋及び非架橋のコポリマー、例えば上記のMorishima論文において記載されているものについても言及し得る。
【0216】
カチオン性会合性ポリマーの中で、以下が言及され得る:
(a)カチオン性会合性ポリウレタン、
(b)Noveon社からAqua CCの名称で販売されている、INCI名:Polyacrylate-1 Crosspolymer(ポリアクリレートクロスポリマー-1)に相当する化合物。
【0217】
ポリアクリレート-1クロスポリマーは、以下を含むモノマー混合物の重合の生成物である:
- ジ(C1~C4アルキル)アミノ(C1~C6アルキル)メタクリレート、
- (メタ)アクリル酸の1種又はそれ以上のC1~C30アルキルエステル、
- ポリエトキシ化C10~C30メタクリル酸アルキル(20~25モルの酸化エチレン単位)、
- 30/5ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールアリルエーテル、
- ヒドロキシ(C2~C6アルキル)メタクリレート、及び
- エチレングリコールジメタクリレート。
【0218】
(c)少なくとも8個の炭素原子を含む少なくとも1種の脂肪鎖、例えばアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基又はこれらの混合物を含めた基で修飾されている四級化された(ポリ)ヒドロキシエチルセルロース。上記の四級化されたセルロース又はヒドロキシエチルセルロースによって担持されたアルキル基は、好ましくは、8~30個の炭素原子を含む。アリール基は、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、又はアントリル基を表す。示され得るC8~C30脂肪鎖を含む4級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例としては、Aqualon社から販売されている製品であるQuatrisoft LM 200(登録商標)、Quatrisoft LM-X 529-18-A(登録商標)、Quatrisoft LM-X 529-18-B(登録商標)(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(登録商標)(C18アルキル)並びにCroda社から販売されている製品であるCrodacel QM(登録商標)、Crodacel QL(登録商標)(C12アルキル)及びCrodacel QS(登録商標)(C18アルキル)並びにAqualon社から販売されている製品であるSoftcat SL 100(登録商標)を挙げることができる。
【0219】
(d)カチオン性ポリビニルラクタムポリマー。
【0220】
このようなポリマーは、例えば、国際公開第00/68282号パンフレットに記載されている。
【0221】
本発明によるカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーとして、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ドデシルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ココイルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレート又はクロリドターポリマーが特に使用される。
【0222】
両性会合性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1個の非環状カチオン性単位を含むものから選択される。さらにより特定すると、モノマーの総モル数に対して1~20モル%、好ましくは1.5~15モル%及びさらにより特定すると1.5~6モル%の脂肪鎖モノマーから調製されるか又はこれらを含むものが好ましい。
【0223】
本発明による両性会合性ポリマーは、例えば、国際公開第98/44012号パンフレットにおいて説明され、調製される。
【0224】
本発明による両性会合性ポリマーの中で、好ましいものは、アクリル酸/(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/メタクリル酸ステアリルターポリマーである。
【0225】
本発明に従って使用され得る非イオン性型の会合性ポリマーは、好ましくは次に示すものから選択される:
(a)ビニルピロリドンと疎水性脂肪鎖モノマーとのコポリマー。その例として、以下を挙げることができる:
- ISP社によって販売される製品Antaron V216(登録商標)又はGanex V216(登録商標)(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、
- ISP社によって販売される製品Antaron V220(登録商標)又はGanex V220(登録商標)(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)、
(b)C1~C6アルキルメタクリレート又はアクリレート及び少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーのコポリマー、例えばGoldschmidt社によって名称Antil 208(登録商標)で販売されているオキシエチレン化アクリル酸メチル/アクリル酸ステアリルコポリマー、
(c)親水性メタクリレート又はアクリレート及び少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーのコポリマー、例えばポリエチレングリコールメタクリレート/メタクリル酸ラウリルコポリマー、
(d)それらの鎖中に、通常ポリオキシエチレン化の性質の親水性ブロックと、脂肪族配列単独並びに/又は脂環式及び/若しくは芳香族配列であり得る疎水性ブロックとの両方を含むポリウレタンポリエーテル、
(e)アミノ樹脂(aminoplast)-エーテル骨格を有し、少なくとも1種の脂肪鎖を含むポリマー、例えば、Sud-Chemie社によって販売される化合物Pure Thix(登録商標)、
(f)少なくとも1個の脂肪鎖、例えばアルキル、アリールアルキル若しくはアルキルアリール基又はこれらの混合物を含む基によって変性されたセルロース又はその誘導体であって、アルキル基がC8のもの、特に以下のものであるもの:
* 非イオン性アルキルヒドロキシエチルセルロース、例えば、Aqualon社から販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS及びPolysurf 67(C16アルキル)、
* 非イオン性ノノキシニルヒドロキシエチルセルロース、例えば、Amerchol社から販売されている製品Amercell HM-1500、
* 非イオン性アルキルセルロース、例えば、Berol Nobel社から販売されている製品Bermocoll EHM100、
(g)会合性グアー誘導体、例えば、脂肪鎖で変性されたヒドロキシプロピルグアー、例えば、Lamberti社から販売されている製品Esaflor HM 22(C22アルキル鎖で変性)、Rhodia Chimieから販売されている製品Miracare XC 95-3(C14アルキル鎖で変性)及び製品RE 205-146(C20アルキル鎖で変性)。
【0226】
好ましくは、ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロックによって分離された6~30個の炭素原子を含有する少なくとも2個の炭化水素ベース親油性鎖を含み、炭化水素ベースの鎖は、場合により、側鎖又は親水性ブロックの末端における鎖である。特に、1つ又は複数の側鎖が予想されることが可能である。さらに、ポリマーは、親水性ブロックの1つの末端又は両方の末端において炭化水素鎖を含み得る。
【0227】
ポリウレタンポリエーテルは、マルチブロック、特にトリブロック形態であり得る。疎水性ブロックは、鎖のそれぞれの末端において存在するか(例えば、親水性中央ブロックを担持するトリブロックコポリマー)又は末端及び鎖中の両方に分布し得る(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらの同じポリマーは、グラフトポリマー又は星形ポリマーでもあり得る。
【0228】
非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルは、トリブロックコポリマーであり得、その親水性ブロックは、50~1000個のオキシエチレン基を含むポリオキシエチレン鎖である。非イオン性ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロック間のウレタン結合を含み、それが名称の起源である。
【0229】
その延長として、非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの中でも、親水性ブロックが他の化学結合を介して親油性ブロックに結合しているものも包含される。
【0230】
本発明に使用することができる非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルの例としては、Rheox社から販売されている尿素基を含むRheolate 205(登録商標)又はRheolate(登録商標)208、204若しくは212に加えて、Acrysol RM 184(登録商標)も使用可能である。
【0231】
AkzoからのC12~C14アルキル鎖を担持する製品Elfacos T210(登録商標)及びC18アルキル鎖を担持する製品Elfacos T212(登録商標)についても言及し得る。
【0232】
水中の20%の固体含量で販売されているRoehm&HaasからのC20アルキル鎖及びウレタン結合を担持する製品DW1206B(登録商標)も使用され得る。
【0233】
特に、水又は水性アルコール媒体中の、これらのポリマーの溶液又は分散体も使用され得る。この種のポリマーとしては、例えば、Rheox社によって販売されるRheolate(登録商標)255、Rheolate(登録商標)278及びRheolate(登録商標)244が挙げられてよい。Roehm & Haas社によって販売されるDW 1206F及びDW 1206Jという製品も使用されてもよい。
【0234】
本発明に従って使用され得るポリウレタンポリエーテルは、特に、G.Fonnum,J.Bakke and Fk.Hansen-Colloid Polym.Sci 271,380.389(1993)による論文に記載されるものである。
【0235】
(i)150~180モルの酸化エチレンを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコール又はデシルアルコールと、(iii)少なくとも1種のジイソシアネートとを含む少なくとも3種の化合物の重縮合によって得られ得るポリウレタンポリエーテルを使用することがさらにより特に好ましい。
【0236】
この種のポリウレタンポリエーテルは、特に、Roehm&Haas社によってAculyn 46(登録商標)及びAculyn 44(登録商標)の名称で販売されている[Aculyn46(登録商標)はエチレンオキシドを150又は180molを含むポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物であり、マルトデキストリン(4%)及び水(81%)のマトリックス中に15質量%含まれ、Aculyn 44(登録商標)は、エチレンオキシドを150又は180molを含むポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物であり、プロピレングリコール(39%)及び水(26%)の混合物中に35質量%含まれる)]。
【0237】
有利には、会合性ポリマーは、アクリル及び/又はメタクリル単位を有する会合性ポリマー、並びに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸単位及び/又はその塩化型を有するポリマーから選択される。
【0238】
本発明の好ましい実施形態によると、増粘性ポリマーは、会合性ポリマーから、より優先的には、アニオン性会合性ポリマーから、さらにより優先的には、アクリルアニオン性会合性ポリマーから、より良好には、上記の種類(a)、(b)、(d)及び(e)のアクリルアニオン会合性ポリマーから、さらにより良好には、それらのモノマーの中でも、α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸、並びにα,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルを含むコポリマーから選択される。
【0239】
好ましくは、水性組成物A3中に存在する増粘性ポリマーの含有量は、水性組成物A3の全質量と比較して、0.01質量%~15質量%、より優先的には、0.05質量%~10質量%、さらにより優先的には、0.1質量%~5質量%である。
【0240】
好ましくは、1つ又は複数の会合性ポリマーが水性組成物A3中に存在する場合、会合性ポリマーの全含有量は、水性組成物A3の全質量と比較して、0.01質量%~10質量%、より優先的には、0.05質量%~5質量%、さらにより優先的には、0.1質量%~2質量%である。
【0241】
本発明による調製プロセスに使用される水性組成物Aは、任意選択的に、真珠層、脂肪物質、増粘性ポリマー、特に上記の会合性ポリマー以外のカチオン性ポリマー、ビタミン又はプロビタミン、界面活性剤、特にノニオン性界面活性剤、pH安定剤、保存剤、芳香剤などの1つ又は複数の添加剤を含み得る。
【0242】
当業者は、それらが本発明のプロセス及び組成物の特性に悪影響を及ぼさないように任意選択的な添加剤及びその量を選択するように注意する。
【0243】
これらの添加剤は、一般に、それらが存在する場合、それを含有する水性組成物の全汁量に対して、それぞれ、0~20質量%の範囲の量で水性組成物A中に存在する。
【0244】
本発明による調製プロセスに使用される水性組成物Aは、任意選択的に1つ又は複数の有機溶媒を含み得る。
【0245】
言及され得る有機溶媒の例としては、直鎖又は分枝状C2~C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール、グリセロール、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル、そのうえ、芳香族アルコール又はエーテル、例えば、ベンジルアルコール又はフェノキシエタノール及びその混合物が挙げられる。
【0246】
有利には、本発明による調製プロセスは、水性組成物Aと、着色固体粒子が同一である場合は数N、又は着色固体粒子が異なる場合は同一若しくは異なり得るいくつかの数Nxの着色固体粒子との混合を含む。前記固体粒子は、25mm3~125mm3の体積を有する。
Nは2以上の整数であり、
及びNxは1以上の整数であり、且つxは1~nの範囲の指数であり、nは、異なる種類の着色固体粒子の数である。
【0247】
N及びNxは、使用者が望む色合い及び/又は使用者の特異性、例えばケラチン繊維の既存の色合い及び/又は性質の作用として、水性染料組成物Mの使用前に定義される。
【0248】
好ましくは、数N及びNxはコンピューターソフトウェアによって定義される。
【0249】
本発明の好ましい実施形態によると、水性染料組成物Mを調製するためのプロセスは、以下:
- 25mm3~125mm3の体積を有し、1つのみの酸化染料前駆体C1を含有する、第1の種類P1の1つ又は複数の固体粒子、及び
- 25mm3~125mm3の体積を有し、1つのみの酸化染料前駆体C2を含有する、第2の種類P2の1つ又は複数の固体粒子と、
- 上記の少なくとも1つの水性組成物Aと
の混合を含み、酸化染料前駆体C1が酸化染料前駆体C2とは異なることが理解される。
【0250】
酸化染料前駆体C1及びC2は、好ましくは上記の酸化染料前駆体から選択される。
【0251】
より優先的には、本発明による調製プロセスは、上記の第1の種類P1の数N1の着色固体粒子と、上記の第2の種類P2の数N2の着色固体粒子との混合を含み、N1及びN2は、使用者が望む色合い及び/又は使用者の特異性、例えばケラチン繊維の既存の色合い及び/又は性質の作用として、染料組成物Mの使用前に定義される、1以上の整数である。
【0252】
さらにより優先的には、数N1及びN2は、コンピューターソフトウェアによって定義される。
【0253】
好ましくは、本発明による調製プロセスは、ケラチン繊維への前記染料組成物Mの適用の2時間よりも前、より優先的には1時間よりも前、さらにより優先的には30分よりも前に実行される。
【0254】
本発明の別の好ましい実施形態によると、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための水性組成物Mを調製するためのプロセスは、以下:
a)
(i)25mm3~125mm3の体積を有し、それぞれが上記の1つ又は複数の酸化染料前駆体を含有する、1つ又はそれ以上の同一若しくは異なる固体粒子を、
(ii)好ましくは、上記のものから、より優先的には、過酸化水素、過酸塩及びその混合物から選択される、1つ又は複数の化学酸化剤を含む酸化水性組成物A1と
混合するステップと、次いで
a’)任意選択的に、前記ステップa)に従って得られた組成物を、好ましくは会合性ポリマーから、より優先的には上記の会合性ポリマーから、さらにより優先的には、上記のアニオン性会合性ポリマー、特にアクリルアニオン性会合性ポリマー、例えば、それらのモノマーの中でも、α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸、並びにα,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルを含むコポリマーから選択される、少なくとも1つの増粘性ポリマーを含む水性組成物A3と混合するステップと、次いで
b)上記で得られた組成物を、アルギニン、及び任意選択的に1つ又はそれ以上の上記のアルギニン以外の追加的なアルカリ性剤を含むアルカリ性水性組成物A2と混合するステップ
を含む。
【0255】
好ましくは、本実施形態によると、酸化水性組成物A1中に存在する化学酸化剤の全含有量は、酸化水性組成物A1の全質量と比較して、0.1質量%~35質量%、より優先的には、0.1質量%~30質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~25%質量%、より良好には、2質量%~12質量%である。
【0256】
好ましくは、本実施形態によると、アルカリ水性組成物A2中に存在するアルギニンの含有量は、アルカリ性酸化水性組成物A2の全質量と比較して、0.05質量%~25質量%、より優先的には、0.1質量%~15質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~10質量%、より良好には、1質量%~5質量%である。
【0257】
好ましくは、本実施形態によると、アルギニン以外の追加的なアルカリ性剤がアルカリ水性組成物A2中に存在する場合、アルギニン以外の追加的なアルカリ性剤の全含有量は、アルカリ性酸化水性組成物A2の全質量と比較して、0.05質量%~25質量%、より優先的には、0.1質量%~20質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~15質量%である。
【0258】
好ましくは、本実施形態によると、水性組成物A3が添加される場合、水性組成物A3中に存在する増粘性ポリマー、より優先的には会合性ポリマーの全含有量は、水性組成物A3の全質量と比較して、0.01質量%~10質量%、より好ましくは、0.05質量%~5質量%、さらにより優先的には、0.1質量%~2質量%である。
【0259】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によると、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための組成物を調製するためのプロセスは、以下:
a)
(i)上記の1つ又は複数のP1型の固体粒子及び1つ又は複数のP2型の固体粒子と
(ii)好ましくは、上記のものから、より優先的には、過酸化水素、過酸塩及びその混合物から選択される、1つ又は複数の化学酸化剤を含む酸化水性組成物A1と
混合するステップと、次いで
a’)任意選択的に、前記ステップa)に従って得られた組成物を、好ましくは会合性ポリマーから、より好ましくは上記の会合性ポリマーから、さらにより優先的には、上記のアニオン性会合性ポリマー、特にアクリルアニオン性会合性ポリマー、例えば、それらのモノマーの中でも、α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸、並びにα,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルを含むコポリマーから選択される、少なくとも1つの増粘性ポリマーを含む水性組成物A3と混合するステップと、次いで
b)上記で得られた組成物を、アルギニン、及び任意選択的に1つ又はそれ以上の上記のアルギニン以外の追加的なアルカリ性剤を含むアルカリ性水性組成物A2と混合するステップ
を含む。
【0260】
好ましくは、本実施形態によると、酸化水性組成物A1中に存在する化学酸化剤の全含有量は、酸化水性組成物A1の全質量と比較して、0.1質量%~35質量%、より優先的には、0.1質量%~30質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~25%質量%、より良好には、2質量%~12質量%である。
【0261】
好ましくは、本実施形態によると、アルカリ水性組成物A2中に存在するアルギニンの含有量は、アルカリ性酸化水性組成物A2の全質量と比較して、0.05質量%~25質量%、より優先的には、0.1質量%~15質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~10質量%、より良好には、1質量%~5質量%である。
【0262】
好ましくは、本実施形態によると、アルギニン以外の追加的なアルカリ性剤がアルカリ水性組成物A2中に存在する場合、アルギニン以外の追加的なアルカリ性剤の全含有量は、アルカリ性酸化水性組成物A2の全質量と比較して、0.05質量%~25質量%、より優先的には、0.1質量%~20質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~15質量%である。
【0263】
好ましくは、本実施形態によると、水性組成物A3が添加される場合、水性組成物A3中に存在する増粘性ポリマー、より優先的には会合性ポリマーの全含有量は、水性組成物A3の全質量と比較して、0.01質量%~10質量%、より優先的には、0.05質量%~5質量%、さらにより優先的には、0.1質量%~2質量%である。
【0264】
ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための水性組成物Mを調製するためのプロセスの別の好ましい実施形態によると、1つ又はそれ以上の上記の着色固体粒子を、1つ又はそれ以上の化学酸化剤を含む酸化水性組成物A1と、それらのモノマーの中でも、α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸、並びにα,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルを含むコポリマー、より優先的にはアクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマーなどの少なくとも1つのアニオン性会合性ポリマーを含む水性組成物A3と少なくとも混合する。
【0265】
上記の調製プロセスの種々の混合物は、機械式撹拌器、磁気撹拌器を使用して、及び/又は手で、例えば、着色用ブラシを使用して、調製され得る。
【0266】
本発明の目的に関して、本発明による水性染料組成物Mを調製するためのプロセスが、少なくとも1つの水性組成物A中での前記固体粒子の溶解を含むことは理解される。
【0267】
本発明の一実施形態によると、染料組成物Mを調製するためのプロセスでも、染料を含まないコアと、1つ又はそれ以上の上記セルロースエーテルを含有し、且つ好ましくは全体的に前記コアを被覆する上部コーティング層とを含む1つ又は複数の固体粒子が使用され得る。
【0268】
染料組成物M
本発明による調製プロセスを実行した後、染料組成物M、又はすぐに使える(ready-to-use)組成物、又は最終組成物が得られる。
【0269】
好ましくは、前記染料組成物Mの含水量は、前記染料組成物Mの全質量と比較して、30質量%~99質量%、より優先的には、50質量%~99質量%、より良好には、50質量%~90質量%である。
【0270】
好ましくは、前記染料組成物M中に存在するアルギニンの含有量は、前記染料組成物Mの全質量と比較して、0.001質量%~20質量%、より優先的には、0.05質量%~10質量%、さらにより優先的には、0.1質量%~5質量%、より良好には、0.5質量%~3質量%の範囲である。
【0271】
好ましくは、前記染料組成物M中に存在するアルカリ性剤の全含有量は、前記染料組成物Mの全質量と比較して、0.001質量%~30質量%、より優先的には、0.05質量%~20質量%、さらにより優先的には、0.5質量%~10質量%、より良好には、1質量%~5質量%の範囲である。
【0272】
好ましくは、前記染料組成物M中に存在する化学酸化剤の全含有量は、前記染料組成物Mの全質量と比較して、0.001質量%~30質量%、より優先的には、0.05質量%~20質量%、さらにより優先的には、0.1質量%~15質量%、より良好には、1質量%~10質量%の範囲である。
【0273】
好ましくは、前記染料組成物M中に存在する増粘性ポリマー、より優先的には会合性ポリマーの全含有量は、前記染料組成物Mの全質量と比較して、0.001質量%~8質量%、より優先的には、0.005質量%~4質量%、さらにより優先的には、0.01質量%~1質量%の範囲である。
【0274】
好ましくは、他方の固体粒子の全質量に対する一方の染料組成物Mの全質量の質量比は、1~22、より優先的には、2~15であり、さらにより優先的には、5~12である。
【0275】
染料組成物Mは、液体、クリーム若しくはゲル、又はケラチン繊維、特にヒト毛髪を染色するために適切である他のいずれかの形態などの種々の形態であり得る。
【0276】
本発明の主題は、以下:
- 上記の調製プロセスによってケラチン繊維を染色するための水性染料組成物Mを調製することの少なくとも1つのステップと、次いで
- 前記水性染料組成物Mを前記ケラチン繊維に適用することの少なくとも1つのステップと
を含む、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するためのプロセスでもある。
【0277】
好ましくは、ケラチン繊維を染色するための前記水性染料組成物Mの調製は、ケラチン繊維への前記水性染料組成物Mの適用の2時間よりも前、より優先的には、1時間よりも前、さらにより優先的には、30分よりも前に実行される。
【0278】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維を染色するための、本発明による調製プロセスによって得られる前記水性染料組成物Mの使用でもある。
【0279】
以下の実施例は、本発明の特性を制限することなく、本発明を説明するために有用である。
【実施例】
【0280】
本発明による以下の固体粒子及び組成物は、固体粒子又は組成物の全質量と比較した活性材料の質量百分率として表される含有量が以下の表に示される成分を使用して調製された。
【0281】
粒子の実施例
上部コーティング層のない固体粒子
【0282】
【0283】
上部コーティング層の実施例
【0284】
【0285】
上部コーティング層を有する固体粒子の例
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
上記の表1及び4~8中の本発明による粒子の体積は、45~65mm3である。
【0292】
酸化組成物
【0293】
【0294】
アルカリ性組成物1
【0295】
【0296】
アルカリ性組成物2
【0297】
【0298】
増粘性組成物
【0299】
【0300】
ケラチン繊維を染色するためのプロセス
以下のステップに従って、ボウル中でケラチン繊維を染色するための組成物(M)を調製する。
(1)上記の表4による100個のコーティングされた固体粒子(すなわち、6g)、上記の表6による58個のコーティングされた固体粒子(すなわち、3.48g)、上記の表5による22個のコーティングされた固体粒子(すなわち、1.32g)、上記の表7による21個のコーティングされた固体粒子(すなわち、1.26g)、及び上記の表8による14個のコーティングされた固体粒子(すなわち、0.84g)を、上記の表9による12gの酸化組成物及び36gの安定化された水と混合し、そしてpH 2.2に調整し、次いで、少なくとも30秒後、
(2)ステップ(1)で得られた混合物を、上記の表12による24gの増粘性組成物、上記の表10による28.8gのアルカリ性組成物1、及び上記の表11による19.2gのアルカリ性組成物2と混合する。
【0301】
そのようにして、コーティングされた固体粒子が組成物中に分散している、均質な水性組成物(M)が得られる。
【0302】
次いで、得られた組成物(M)を、毛髪1gあたり10gの組成物(M)の割合で白髪を90%含有する天然のコーカサス人の毛髪の房(NG毛髪の房)に適用する。27℃で30分間の放置時間後、毛髪の房をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再びすすぎ、次いで乾燥させる。
【0303】
L、a、b結果:
次いで、毛髪の房のそれぞれのための比色データを、Data Color SF600X分光光度計(発光物D65、角度10°及び鏡の構成要素が含まれる)を備えたCIELabシステムで測定する。このL*a*b*系において、L*は、明度を表し、a*は、緑色/赤色軸を示し、b*は、青色/黄色軸を示す。L*の値が高いほど、明るくなるか又は色の強度が低くなる。逆に、L*の値が低いほど、暗くなるか又は色の強度が高くなる。a*の値が高いほど色合いがより赤くなり、b*の値が高いほど色合いが黄色くなる。
【0304】
したがって、毛髪の色付着は、染色されたNG毛髪の房、及び未染色の(即ち未処理の)NG毛髪の房の間の色の変化に対応し、これは以下の式に従って(ΔE)によって求められる。
【数1】
【0305】
この式において、L*、a*及びb*は、NG毛髪を染色した後に測定された値を表し、そしてL0*、a0*及びb0*は、未処理のNG毛髪に関して測定された値を表す。ΔE値が高いほど、色の付着が優れている。
【0306】
結果を以下の表に示す。
【0307】
【0308】
表の結果から、本発明による固体粒子を使用して調製された組成物(M)によって処理されたケラチン繊維が強力に染色され、色付着が良好であることが分かる。
【0309】
組成物(M)は、調製が容易であり、特にいずれの流出も生じずに、毛髪の房上に広げることが容易であることも分かった。
【0310】
コーティングされた固体粒子の物理的特徴
上記の表8によるコーティングされた固体粒子の物理的特徴を測定した。
【0311】
ノギスを使用して、このコーティングされた固体粒子の高さを測定したところ、4.9mmであった。
【0312】
精密秤を使用して、このコーティングされた固体粒子の質量を測定したところ、56.6mgであった。
【0313】
Pharmatron ST50機を使用して、このコーティングされた固体粒子の硬度を測定したところ、3kPaであった。
【0314】
これらの粒子の25℃及び大気圧での25mLの過酸化水素水溶液(6質量%のH2O2を含有する)中の平均崩壊時間は、上記方法によると、30秒未満(約10秒)である。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25mm
3~125mm
3の体積を有し、並びに
a.直接染料及び/又は酸化染料前駆体から選択される1つ又は複数の染料を含有するコア(2)と、
b.前記コア(2)を被覆し、及び1つ又は複数のセルロースエーテルを含有する上部コーティング層(3)と
を含む、着色固体粒子(1)。
【請求項2】
前記コア(2)中に存在する前記染料が、酸化染料前駆体から選択され、好ましくは、酸化性塩基及び酸化カプラーから選択され、より優先的には、酸化性塩基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記コア(2)が、1つ又は複数の酸化性塩基、好ましくは1つのみの酸化性塩基を含有し、より優先的には、パラ-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルトアミノフェノール及び複素環式塩基、並びに対応する付加塩から選択され、さらにより好ましくは、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、パラ-アミノフェノール、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-β-ヒドロキシエトキシ-3-アミノプラゾロ[1,5-a]ピリジン及びその付加塩から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
前記コア(2)が、1つ又は複数の酸化カプラー、好ましくは1つのみの酸化カプラーを含有し、より優先的には、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフタレンベースのカップリング剤、複素環カップリング剤、及びその対応する付加塩又はその溶媒和化合物から選択され、より好ましくは、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、3-アミノフェノール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、6-ヒドロキシインドール、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、α-ナフトール、2-[3-アミノ-4-メトキシフェニル]アミノ)エタノール及びその添加塩から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項5】
染料の全含有量が、それを含有する前記固体粒子の全重量と比較して、0.001質量%~50質量%、好ましくは、0.1質量%~50質量%、より優先的には、0.3質量%~25質量%、さらにより優先的には、0.4質量%~22質量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
前記上部コーティング層(3)に存在する前記セルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)及びその混合物から選択され、より良好には、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びその混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項7】
前記上部コーティング層(3)に存在するセルロースエーテルの全含有量が、前記上部コーティング層(3)の全重量と比較して、30質量%~99質量%、好ましくは、40質量%~90質量%、より優先的には、45質量%~80質量%、及びさらにより優先的には50質量%~70質量%を表すことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項8】
前記コア(2)が、好ましくは、糖類及びその誘導体、オリゴ糖類及びその誘導体、多糖類及びその誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)及びその混合物から選択され;より優先的には、特に無水又は水和型のラクトース、ポリビニルアルコール(PVA)、特に無水又は水和型の微結晶セルロース(MCC)、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにその混合物から選択される、少なくとも1つのバインダーを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
前記コア(2)が、少なくとも1つの崩壊剤、好ましくは、ポリマー崩壊剤、さらにより好ましくは、少なくとも1つの崩壊剤ポリマー、より優先的には、少なくとも1つの超崩壊剤ポリマー、さらにより良好には、ビニルピロリドン及びその誘導体並びにその混合物の架橋されたポリマーから選択される少なくとも1つの超崩壊剤ポリマー、さらに良好には、架橋されたポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルの架橋されたコポリマー、並びにその混合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
前記コア(2)が、好ましくは、(a)アスコルビン酸、その塩及びその誘導体、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、パルミチン酸アスコルビル又はラウリン酸アスコルビル、(b)サリチル酸、その塩及びその誘導体、例えば、サリチル酸ナトリウム、(c)メルカプタン及び無機スルファイト、例えば、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及びチオグリコール酸、並びにその混合物から選択され、より優先的には、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム及びその混合物から選択される少なくとも1つの酸化防止剤を含み、さらにより優先的には、それを含有する前記固体粒子の全重量と比較して、0.1質量%~15質量%、より良好には、0.3質量%~12質量%、さらにより良好には、0.4質量%~10質量%、又は0.5質量%~5質量%の前記コア中の全含有量で含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項11】
前記上部コーティング層(3)が、1つ又は複数の顔料、より優先的には、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンピンク、クロム水和物及び紺青から選択される1つ又は複数の顔料、並びにその混合物、さらにより優先的には、酸化チタン、例えば二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、特にグリーン酸化クロムから選択される1つ又は複数の顔料、並びにその混合物を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項12】
無水であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項13】
30~90mm
3、より優先的には、45~65mm
3の体積を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項14】
2~15kPa、好ましくは2~11kPaの硬度を有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項15】
他方の前記コア(2)の全質量に対する前記粒子(1)の全質量の質量比が、1.001~1.1、好ましくは、1.005~1.1、より優先的には、1.01~1.05であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の1つ又は複数の着色固体粒子(1)と、少なくとも1つの水性組成物Aとを混合することを含む、水性染料組成物Mの調製方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載のいくつかの異なる着色固体粒子(1)と、少なくとも1つの水性組成物Aとを混合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記着色固体粒子(1)の前記コア(2)中の前記染料が、着色固体粒子(1)同士で互いに異なる、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの水性組成物Aと、
(i)1つのみの酸化染料前駆体C1を含有する第1の種類P1の、請求項1~15のいずれか一項に記載の1つ又は複数の着色固体粒子、及び
(ii)1つのみの酸化染料前駆体C2を含有する第2の種類P2の、請求項1~15のいずれか一項に記載の1つ又は複数の着色固体粒子と、
の混合を含み、
前記酸化染料前駆体C1が前記酸化染料前駆体C2とは異なることが理解される、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記水性組成物Aが、1つ又は複数の化学酸化剤を含む酸化水性組成物、A1及び/又は1つ又は複数のアルカリ性剤、好ましくはアルギニンを含むアルカリ性水性組成物A2、及び/又は1つ又は複数の濃厚化ポリマーを含む水性組成物A3から選択されることを特徴とする、請求項16
~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか一項に記載の1つ又は複数の着色固体粒子(1)が、1つ又は複数の化学酸化剤を含む酸化水性組成物A1と、それらのモノマー中に、α,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸、並びにα,β-モノエチレン系不飽和カルボン酸及びオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルを含むコポリマー、好ましくはアクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマーなどの少なくとも1つのアニオン性会合性ポリマーを含む水性組成物A3と少なくとも混合されることを特徴とする、請求項16
~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項16~
21のいずれか一項に記載の水性染料組成物Mを調製する少なくとも1つのステップと、次に前記水性染料組成物Mを前記ケラチン繊維に適用する少なくとも1つのステップとを含む、ケラチン繊維を染色する方法。
【請求項23】
ケラチン繊維を染色するための、請求項16~
21のいずれか一項に記載の方法によって得られる水性染料組成物Mの使用。
【国際調査報告】