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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】逐次抗CD19治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230111BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230111BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230111BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230111BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230111BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230111BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20230111BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00 ZNA
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K47/68
A61K38/00
A61K35/17 Z
A61P35/02
A61K31/4439
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/725
C12N5/10
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525255
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020080502
(87)【国際公開番号】W WO2021084064
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】19206488.9
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316005432
【氏名又は名称】モルフォシス・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】エンデル,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フリック,シュテファニー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA17
4C084AA19
4C084BA03
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC202
4C085AA13
4C085AA16
4C085AA21
4C085BB11
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC23
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C087AA01
4C087BB37
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ヒトCD1gに結合する治療薬を用いたヒト患者におけるがんの逐次処置のための治療組成物及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬であって、前記患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、前記先行処置は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する抗CD19抗体を含む、前記治療薬。
【請求項2】
前記治療薬は、抗体、抗体薬物複合体、二重特異性抗体、代替足場タンパク質、またはキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用するためのCD19を指向する治療薬。
【請求項3】
前記治療薬は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞である、請求項2に記載の使用するためのCD19を指向する治療薬。
【請求項4】
前記CAR-T細胞は、アキシカブタゲン・シロロイセル、チサゲンレクルユーセル、リソカブタゲン・マラルユーセル、またはUCART19である、請求項3に記載の使用するためのCD19を指向するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞。
【請求項5】
前記がんは、血液癌であり、非ホジキンB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、B細胞白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、または急性リンパ芽球性白血病(ALL)から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用するためのCD19を指向する治療薬。
【請求項6】
前記血液癌は、再発または難治性血液癌である、請求項5に記載の使用するためのCD19を指向する治療薬。
【請求項7】
前記再発または難治性血液癌は、R/R-DLBCLである、請求項6に記載の使用するためのCD19を指向する治療薬。
【請求項8】
患者においてがんの治療に使用するための抗CD19抗体であって、前記患者は、前記抗CD19抗体治療後、CD19を指向するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞で治療され、ならびに前記抗CD19抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する、前記抗CD19抗体。
【請求項9】
がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を含む、逐次治療併用。
【請求項10】
前記抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び前記患者で再発が生じた後または前記患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、前記患者に投与される、がんの治療に使用するための請求項9に記載の逐次治療併用。
【請求項11】
前記抗CD19抗体は、1種または複数の追加医薬作用剤と併用して投与される、がんの治療に使用するための請求項10に記載の逐次治療併用。
【請求項12】
前記医薬作用剤は、治療抗体もしくは抗体断片、ナイトロジェンマスタード、プリン類似体、サリドマイド類似体、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤、BCL-2阻害剤、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、またはそれらの薬学上許容される塩である、がんの治療に使用するための請求項11に記載の逐次治療併用。
【請求項13】
前記医薬作用剤は、レナリドミドまたはその薬学上許容される塩である、がんの治療に使用するための請求項12に記載の逐次治療併用。
【請求項14】
前記抗CD19抗体は、最大12サイクルのレジメンで投与され、サイクル1~3の間、前記抗CD19抗体は毎週投与され、サイクル4以降、前記抗CD19抗体は、14日ごとに投与され、及びレナリドミドは毎日投与される、がんの治療に使用するための請求項13に記載の逐次治療併用。
【請求項15】
前記抗CD19抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する、請求項9から14のいずれか1項に記載の逐次治療併用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトCD19に結合する治療薬を用いた、ヒト患者においてがんを逐次処置するための免疫治療組成物及び方法に関する。詳細には、CAR-T細胞などの免疫治療レジメンが記載され、このレジメンは、抗CD19抗体タファシタマブ(tafasitamab)を用いた先行する処置の後の患者において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)をはじめとする非ホジキンリンパ腫(NHL)などのB細胞悪性腫瘍、ならびに慢性リンパ性白血病(CLL)の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
B細胞受容体の共受容体であるCD19は、B細胞が分化して最終的に形質細胞になるまでのB細胞発達全体を通じて発現されることから、B細胞系統のマーカーである(Wang, Exp Hematol Oncol. 2012)。CD19は、健康B細胞及び悪性B細胞の両方の表面に存在する。大部分のB細胞腫瘍は、CD19を発現し、例として、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及びB細胞リンパ腫が挙げられる。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の約90%が、CD19抗原を発現し(Kimura et al International Journal of Hematology 2007)、ALL症例では約80%である。一部の腫瘍はCD19を発現しないという事実は、CD19がB細胞生存にとって重大ではないことを示す。このことは、CD19ノックアウトマウスから得られたデータによって支持され、このデータは、CD19欠損が、骨髄中の初期前駆B細胞の数にも、B細胞の大きさ及び形態にも影響を及ぼさないことを明らかにした。CD19-/-マウスは、その代わりに、末梢B細胞の総数及び頻度の減少を示す。すなわち、CD19は、体液性、抗原誘導型応答と耐性誘導の間のバランスに寄与し、したがって、最適免疫応答の開始において極めて重要な役割を果たす(Wang, Exp Hematol Oncol. 2012)。
【0003】
悪性B細胞の偏在性故に、CD19は、免疫療法に適した標的である。CD19発現は、B系譜の細胞に限定され、多能性血液幹細胞でも、他の大部分の正常組織でも見つからない(Scheuermann, Leuk Lymphoma. 1995)。CD19を標的とする治療薬市場に寄与している主要な薬物クラスとして、モノクローナル抗体(例えば、MOR208、タファシタマブ;MEDI-551、イネビリズマブ)、抗体薬物複合体(例えば、SAR3419、コルツキシマブ・ラブタンシン(coltuximab ravtansine))、二重特異性抗体(例えば、ブリナツモマブ、BLINCYTO(登録商標))、またはキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)アプローチ(例えば、アキシカブタゲン-シロロイセル、YESCARTA(登録商標);チサゲンレクルユーセル、KYMRIAH(登録商標))が挙げられる。
【0004】
タファシタマブは、CD19を標的とするFc増強、ヒト化、モノクローナル抗体であり、これは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び直接細胞毒性を通じてその抗腫瘍効果を発揮することが示されている(Awan FT et al. Blood. 2010 Feb 11;115(6):1204-13)(WO2008022152)。タファシタマブは、FDA画期的治療法の指定を最近受けた。現在、タファシタマブは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に関して、免疫調節剤レナリドミド(L-MIND)及び化学療法薬ベンダムスチン(B-MIND)との併用における、第II相及び第III相臨床試験の試験中である。L-MIND(NCT02399085)は、再発/難治性(R/R)DLBCLであり自家幹細胞移植(ASCT)不適格である患者における、タファシタマブ(TAFA)+レナリドミド(LEN)の非盲検、シングルアーム、第II相試験である。B-MIND(NCT02763319)は、(R/R)DLBCLであり高用量化学療法(HDC)及びASCT不適格である患者における、リツキシマブと対比させたベンダムスチン(BEN)との併用におけるタファシタマブの非盲検、ツーアーム、第II/III相有効性及び安全性試験である。
【0005】
ex vivoで遺伝子操作して腫瘍抗原を標的とするようにした自家T細胞を利用する養子細胞移植は、CD19陽性血液悪性腫瘍の治療にとって有望な治療アプローチである。CD19指向型キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、B細胞リンパ腫及び急性リンパ芽球性白血病において顕著な活性を示しており、2種の抗CD19 CAR-T療法が、2017年、FDAにより承認された。これらの抗CD19 CAR-T細胞は、再発、難治性B細胞リンパ系腫瘍の患者(Maude S et al, N Engl J Med. 2018, 378:439-48)、例えば2回以上の全身療法の失敗後のR/R DLBCL患者(Neelapu S et al, N Engl J Med. 2017, 377:2531-44)の治療において、顕著な有効性を実証した。これらの試験は前例のない有効性を実証したものの、全ての患者が抗CD19 CAR-T細胞に反応するわけではなく、さらに最初は反応した患者でも反応期間には限界があることも明らかとなった。患者のCAR-T細胞療法に反応する能力は、例えば、先行治療レジメンの回数または種類、CAR-T細胞周囲の阻害シグナル(例えばPD-L1、これは抑制を引き起こす)の発現増加、標的抗原発現の変化、あるいはエピトープ消失により、影響を受ける可能性がある。
【0006】
B細胞悪性腫瘍の治療のための他のCD19指向型様式、例えば、モノクローナル抗体及び二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTe)が登場してきたが、適切な治療シークエンスという問題は、まだ解決されていない。そのため、タファシタマブなどのモノクローナル抗体でCD19を標的とすることが、後続治療において、CD19標的指向CAR-Tの抗腫瘍効果を発揮する能力に干渉するかどうかは不明である。
【0007】
免疫療法の高い可能性には、概して、腫瘍エスケープの警告が付随しており、腫瘍エスケープでは、クローン腫瘍細胞は、特定の療法に抵抗することを可能にする機構を発達させる。最初期に同定された耐性機構の中には、腫瘍細胞の表面のCD19の下方制御があった(Grupp SA et al, N Engl J Med. (2013) 368:1509-18, Ruella M Comput Struct Biotechnol J. (2016) 14:357-62)。治療化合物は、腫瘍及び悪性クローンに選択圧をかけるが、治療化合物に対する耐性を発達させたクローンは、増殖することができる。例えば、CD19/CD3二重特異性T細胞エンゲージャー(ブリナツモマブ)治療下の急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者の約10%~20%に、CD19陰性(CD19-)再発が生じる。そのような免疫エスケープは、複数の機構により促進される可能性があり、機構としては、例えば、細胞系統スイッチング、免疫編集、エピトープ消失、スプライスバリアントもしくはエキソンバリアント、及び点変異などがあり、CD19を非機能性にする二次CD19変異の獲得が含まれる。免疫エスケープは、ALLの患者に関して治療抵抗性の主要な形態である(Braig F et al., 2017 Blood. 129(1):100-104;Grupp SA et al. N Engl J Med. 2013 Apr 18;368(16):1509-1518)。腫瘍細胞表面の特定抗原をモノクローナル抗体により標的とすることにより、抗体により認識されない、または抗体の結合による影響を受けないクローンを選択することができる。
【0008】
そのような場合、標的指向型免疫療法時代において解決すべき重要な問題は、以下である:同じ抗原に対する先行療法に続いて病勢進行した後、異なるがん免疫療法様式で同じ腫瘍抗原を標的とすることが可能であるかどうか?そのような臨床シナリオにおいて、先行治療レジメンからくる抗原遮断の持続に関する懸念が存在する。また、特定抗原を標的としていた先行治療の選択圧が、当該抗原を発現しないクローンの増悪を可能にし、同じ標的を指向する後続治療を無効にする(抗原エスケープ)ことに関する懸念が存在する。したがって、抗原消失によるエスケープを減弱する、阻止する、もしくは除去する新規アプローチ、または同じ抗原を指向する先行治療レジメンとどのような干渉も持たない新規アプローチの開発は、この分野において進歩であると思われる。
【0009】
先行技術から、CD19は、Ab結合に際して容易に内部移行することができること(Pulczynski S Blood. 1993, 81(6):1549-57)、及び腫瘍細胞のCD19発現の喪失は、CD19標的指向型T細胞で治療された患者において頻発するエスケープ機構であること(Grupp SA, N Engl J Med. 2013 Apr 18;368(16):1509-1518)が知られている。CD19及びCD123による二重標的指向が、CD19指向型免疫療法後の抗原喪失再発を阻止することが記載されている(Ruella et al. J Clin Invest. 2016 Oct 3;126(10):3814-3826)が、この概念は、複数の標的の組み合わせを用いる。
【0010】
本発明は、CD19が、モノクローナル抗CD19抗体タファシタマブ(MOR208)を用いた治療後に、依然として標的となり得るという驚くべき知見に基づく。したがって、別の、任意選択で異なる、抗CD19部分を、タファシタマブ治療後に投与することが可能である。詳細には、本開示の発明者らは、驚いたことに、タファシタマブとCD19指向型CAR-T細胞(CART19)の間に機能的干渉が存在しないことを見出した。この知見は、L-MIND臨床試験の一部としてのタファシタマブを用いた先行する処置後、抗CD19 CAR-T細胞療法により達成された、再発及び難治性DLBCL患者において寛解の持続が示されるという未発表の症例研究により支持される。
【発明の概要】
【0011】
開示されるのは、患者に自家T細胞を含む組成物を投与することを含む、血液癌を治療するための方法及び組成物であり、この自家T細胞は、この血液癌に特異的である抗原に対して特異的に結合する組換え受容体を発現し、この患者は、以前に抗CD19抗体を含む組成物で治療されており、この抗体は、以下を含む
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0012】
より詳細には、1つの実施形態は、CD19+血液癌を治療するための方法及び化合物に関する。詳細には、この血液癌に特異的な抗原は、ヒトCD19である。好ましくは、CD19+血液癌は、DLBCLである。別の好適な実施形態において、DLBCLは、再発または難治性(R/R)DLBCLである。
【0013】
1つの実施形態において、組換え受容体を発現する自家T細胞は、CAR-T細胞である。1つの実施形態において、CAR-T細胞は、CD20またはCD19を指向する。好適な実施形態において、CAR-T細胞は、CD19を指向する。より詳細には、CAR-T細胞は、CD19を指向し、アキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))、チサゲンレクルユーセル(KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017)、及びUCART19の群から選択される。
【0014】
詳細には、患者においてがん治療に使用するためのCD19を指向するCAR-T細胞が開示され、この患者は、抗CD19抗体で先行して治療された。
【0015】
より詳細には、1つの実施形態は、患者においてがん治療に使用するためのCD19を指向するCAR-T細胞に関し、この患者は、タファシタマブを含む組成物で先行して治療された。特定の実施形態において、患者においてがん治療に使用するためのチサゲンレクルユーセルCAR-T細胞が開示され、この患者は、タファシタマブを含む組成物で先行して治療された。特定の実施形態は、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのCD19を指向するCAR-T細胞に関し、この患者は、タファシタマブを含む組成物で先行して治療された。別の態様は、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのCD19を指向するCAR-T細胞に関し、この患者は、タファシタマブ及びレナリドミドを含む併用療法で先行して治療された。ある特定の実施形態において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのチサゲンレクルユーセルCAR-T細胞が開示され、この患者は、タファシタマブを含む組成物で先行して治療された。別の態様において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのチサゲンレクルユーセルCAR-T細胞が開示され、この患者は、タファシタマブ及びレナリドミドを含む併用療法で先行して治療された。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ナチュラルキラー(NK)細胞あり及びなしの場合のJeko-1細胞株(A)に対するタファシタマブの細胞毒性。NK細胞の存在下または不在下、CD19+、ルシフェラーゼ+Jeko細胞を様々な濃度のタファシタマブとともにインキュベートして24時間後に、細胞毒性を評価した。NK細胞の存在下、タファシタマブは、有意に高くなった抗腫瘍細胞毒性を実証する。活性は、24時間後の生物発光撮影により特定した。(n=3の独立実験、データは、Nalm-6細胞株及びLy7細胞株(B及びC)を標的とするものと一致ししていた。
図2】クローンFMC63(CART19のCD19結合ドメイン)とタファシタマブは、CD19結合について競合する。Jeko細胞を2または0.5mg/mLのタファシタマブで4時間処理した後、FMC63抗CD19抗体を用いてフローサイトメトリーを行った。大幅に低下したCD19シグナルがフローサイトメトリーにより観察され、タファシタマブとFMC63が結合に関して直接競合することを示す。
図3】CART19は、モノクローナル抗CD19抗体タファシタマブの存在下、強力な抗原特異的細胞毒性を示す。ルシフェラーゼ陽性、CD19+Jeko細胞(A)を、様々な濃度のタファシタマブとともにインキュベートし、次いで、3時間後にCART19細胞を、示されるとおりの様々なE:T比で加えた。活性は、24時間後の生物発光撮影により特定した(n=3の独立実験)。Ly7またはNalm-6細胞株(B及びC)を用いた場合と一致した結果が得られた。
図4】CART19細胞は、抗CD19抗体タファシタマブの存在下、顕著な抗原特異的脱顆粒化及びサイトカイン産生を示し続ける。CART19細胞または形質導入していないT細胞(UTD)を、1:5比でJekoとともに(タファシタマブを用いた前処理ありまたはなしで)、ならびにCD28、CD49d、及びモネンシンの存在下で(標準脱顆粒化法に従って)インキュベートする場合、CART19は、CD19がモノクローナル抗体と結合するにもかかわらず同様なレベルの脱顆粒化及びサイトカイン産生を示し続ける(n=2の独立実験)。GM-CSF、INFγ、IL-2、及びMIP1bサイトカイン産生レベルは、タファシタマブの有無の間で差がなかった(データは示さず)。
図5】CART19細胞は、タファシタマブの存在によって損なわれることのない顕著な抗原特異的増殖を示す。タファシタマブの存在下または不在下、CART19またはUTDを、1:1比でCD19+Jeko細胞と同時培養した場合、CART19は、CD19がタファシタマブによりブロックされた場合と差がない顕著な抗原特異的増殖を示したが、UTDは示さなかった。
図6】DLBCL症例研究:抗CD19 CAR-T細胞療法は、タファシタマブ+レナリドミド後に実行可能である
図7】-14日目、NGSマウスにJeKo-1細胞を注射して、腫瘍を誘導した。-8日目、マウスを、タファシタマブ群(10匹)とPBS群(4匹、Δ)に無作為に分けた。タファシタマブ群には、10mg/kgで3回/週間のタファシタマブをi.p.注射で投与した。-1日目、タファシタマブを投与されたマウスを、タファシタマブ継続(○)またはタファシタマブ中止(□)群に無作為に分けた。0日目、3群の全てのマウスに、2.5×10のCART19細胞を投与した(IV)。タファシタマブ継続群は、タファシタマブ中止群またはPBS対照に比べて低下した生存度を示した(**p=0.005、ログランク検定、継続対中止、または継続対PBS、PBS群とタファシタマブ中止群の間には有意差なし)。
図8】-14日目、NGSマウスにJeKo-1細胞を注射して、腫瘍を誘導した。-8日目、マウスを、タファシタマブ群(10匹)とPBS群(4匹、Δ)に無作為に分けた。タファシタマブ群には、10mg/kgで3回/週間のタファシタマブをip注射で投与した。-1日目、タファシタマブを投与されたマウスを、タファシタマブ継続(○)またはタファシタマブ中止(□)群に無作為に分けた。0日目、3群の全てのマウスに、2.5×10のCART19細胞を投与した(IV)。(A)タファシタマブ継続群は、タファシタマブ中止群またはPBS対照に比べて高い腫瘍量を示した(****p<0.0001、二元配置分散分析、継続対中止、または継続対PBS)。(B)タファシタマブ中止群とPBS群の間に差は観察されなかった(n.s.有意ではない、二元配置分散分析、中止対PBS)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
「抗体」という用語は、任意のアイソタイプ、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEを含むモノクローナル抗体を意味する。IgG抗体は、2本の同一重鎖及び2本の同一軽鎖で構成され、これらはジスルフィド結合により結合している。重鎖及び軽鎖はそれぞれ、定常領域及び可変領域を有する。各可変領域は、「相補性決定領域」(「CDR」)または「超可変領域」と呼ばれるセグメントを3つ有し、これらが、抗原のエピトープとの結合を主に担っている。これらセグメントは、N末端から順に番号付けて、CDR1、CDR2、及びCDR3と称する。CDR外側の可変領域のより高度に保存された部分は、「フレームワーク領域」と呼ばれる。「抗体断片」は、Fv、scFv、dsFv、Fab、Fab’、F(ab’)2断片、または他の断片を意味し、断片は少なくとも1本の可変重鎖または軽鎖を含んでおり、各鎖は、CDR及びフレームワーク領域を有する。
【0018】
「VH」は、抗体または抗体断片の免疫グロブリン重鎖の可変領域を示す。「VL」は、抗体または抗体断片の免疫グロブリン軽鎖の可変領域を示す。
【0019】
「CD19」という用語は、CD19として知られるタンパク質を示し、この用語には以下の同義語が存在する:B4、B-リンパ球抗原CD19、B-リンパ球表面抗原B4、CVID3、分化抗原CD19、MGC12802、及びT-細胞表面抗原Leu-12。ヒトCD19(UniProt-P15391)は、以下のアミノ酸配列を有する:
MPPPRLLFFLLFLTPMEVRPEEPLVVKVEEGDNAVLQCLKGTSDGPTQQLTWSRESPLKPFLKLSLGLPGLGIHMRPLAIWLFIFNVSQQMGGFYLCQPGPPSEKAWQPGWTVNVEGSGELFRWNVSDLGGLGCGLKNRSSEGPSSPSGKLMSPKLYVWAKDRPEIWEGEPPCLPPRDSLNQSLSQDLTMAPGSTLWLSCGVPPDSVSRGPLSWTHVHPKGPKSLLSLELKDDRPARDMWVMETGLLLPRATAQDAGKYYCHRGNLTMSFHLEITARPVLWHWLLRTGGWKVSAVTLAYLIFCLCSLVGILHLQRALVLRRKRKRMTDPTRRFFKVTPPPGSGPQNQYGNVLSLPTPTSGLGRAQRWAAGLGGTAPSYGNPSSDVQADGALGSRSPPGVGPEEEEGEGYEEPDSEEDSEFYENDSNLGQDQLSQDGSGYENPEDEPLGPEDEDSFSNAESYENEDEELTQPVARTMDFLSPHGSAWDPSREATSLGSQSYEDMRGILYAAPQLRSIRGQPGPNHEEDADSYENMDNPDGPDPAWGGGGRMGTWSTR(配列番号13)。ヒトCD19のバリアント(例えば、スプライスバリアント、遺伝子多型、及びSNP)も、本出願に包含される。
【0020】
「MOR00208」、「MOR208」、「XmAb5574」、または「タファシタマブ」とは、抗CD19抗体である。VH及びVLドメインのアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号7及び配列番号8に示す。MOR208重鎖Fc領域のアミノ酸配列は、以下のとおりである:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号9)。
MOR208軽鎖Fc領域のアミノ酸配列は、以下のとおりである:
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号10)。MOR208抗体は、米国特許出願番号第12/377,251号(これは、そのまま全体が参照として援用される)に、4G7 H1.52 Hybrid S239D/I332E/4G7 L1.155という名の抗体として記載されており(その後、MOR00208と命名)、配列は以下のとおりである:
>4G7 H1.52 Hybrid S239D/I332E
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGYTFTSYVMHWVRQAPGKGLEWIGYINPYNDGTKYNEKFQGRVTISSDKSISTAYMELSSLRSEDTAMYYCARGTYYYGTRVFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号11)
>4G7 L1.155
DIVMTQSPATLSLSPGERATLSCRSSKSLQNVNGNTYLYWFQQKPGQSPQLLIYRMSNLNSGVPDRFSGSGSGTEFTLTISSLEPEDFAVYYCMQHLEYPITFGAGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号12)
【0021】
「投与された」または「投与」は、注射可能な形式、例えば、静脈内、筋肉内、皮内、もしくは皮下経路による、または粘膜経路、例えば、鼻スプレーもしくは吸入用エーロゾルとしての、または経口摂取可能な液剤、カプセル剤、もしくは錠剤としての薬物送達を含むが、これらに限定されない。好ましくは、投与は、注射可能な形式による。
【0022】
「キメラ抗原受容体(CAR)」という用語は、本明細書中使用される場合、例えば、改変T細胞受容体、キメラT細胞受容体、またはキメラ免疫受容体を示すことができ、定義された特異性を特定の免疫エフェクター細胞上に接合した改変受容体を包含することができる。CARを用いることで、モノクローナル抗体の特異性をT細胞に付与し、それにより、例えば、養子細胞療法で使用するため、多数の特異的T細胞を生成させることを可能にできる。具体的実施形態において、CARは、細胞の特異性を、例えば、腫瘍関連抗原に指向させる。一部の実施形態において、CARは、細胞内活性化ドメイン、膜貫通ドメイン、及び腫瘍関連抗原結合領域を含む細胞外ドメインを含む。一部の態様において、CARは、モノクローナル抗体由来のFMC63一本鎖可変断片(scFv)がヒンジリンカーCD8h、膜貫通ドメインCD8TM、及びシグナル伝達エンドドメイン41BBζと融合した融合物を含む。CAR設計の特異性は、抗体断片(例えば、scFv、Fab、VHH、scFab)、受容体のリガンド(例えば、ペプチド)、またはデクチンに由来する場合がある。具体的実施形態において、B細胞系統分子、CD19に特異的なCARを用いることにより、T細胞の特異性を再指示することにより、悪性B細胞を標的とすることができる。ある特定の場合において、CARは、さらなる共刺激シグナル伝達用ドメインを含み、ドメインは、例えば、CD3ζ、FcR、CD27、CD28、CD137、DAP10、41BBζ、及び/またはOX40であるが、これらに限定されない。場合によっては、分子を、CARと同時発現させることができ、そのような分子として、共刺激分子、撮影用レポーター遺伝子(例えば、ポジトロン断層撮影用)、プロドラッグの添加に際しT細胞を条件に応じて切除する遺伝子産物、ホーミング受容体、サイトカイン、及びサイトカイン受容体が挙げられる。
【0023】
化合物または併用物の「治療上有効量」は、所定の疾患または障害及びその合併症の臨床病態を、治癒、軽減、または部分的に抑止するのに十分な量を示す。特定の治療目的に関して有効である量は、疾患または損傷の重篤度、ならびに対象の体重及び全般的な状態に依存することになる。当然ながら、適切な投薬量の決定は、常用実験を用いて、値の行列を構築し及び行列の異なる時点で検査することにより達成可能であり、これらは全て、熟練した医師または臨床科学者の通常技能の範囲内にある。
【0024】
「血液癌」という用語は、造血起源の組織における異常細胞成長及び/または増殖が関与する血液由来の腫瘍及び疾患または障害、例えば、リンパ腫、白血病、及び骨髄腫を含む。
【0025】
非ホジキンリンパ腫(「NHL」)とは、リンパ球を起源とする不均質悪性腫瘍である。米国では、その発生率は65,000例/年、及び死亡数は約20,000と推定されている(American Cancer Society, 2006;及びSEER Cancer Statistics Review)。この疾患は、全ての年代で生じる可能性があるが、一般的な発症は、40歳を超えた成人で始まり、発生率は年齢とともに上昇する。NHLは、リンパ節、血液、骨髄、及び脾臓において蓄積するリンパ球のクローン増殖を特徴とするが、主要な臓器はどれでも関与する可能性がある。病理学者及び医師が使用している現在の分類体系は、世界保健機構(WHO)腫瘍分類であり、これは、NHLを、前駆体及び成熟したB細胞またはT細胞新生物で整理する。PDQは、現在、NHLを臨床試験への参加に関して緩徐進行性または侵襲性に分けている。緩徐進行性NHL群は、主に、濾胞性サブタイプ、小リンパ球性リンパ腫、MALT(粘膜関連リンパ組織)、及び辺縁帯で構成される;緩徐進行性は、新規に診断されたB細胞NHL患者の約50%を占める。侵襲性NHLは、原発性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBL、「DLBCL」、またはDLCL)(新規に診断された患者全体のうち40%はびまん性大細胞型リンパ腫を有する)、バーキット、及びマントル細胞リンパ腫(「MCL」)という組織学的診断を受けた患者を含む。併用化学療法に最も一般的に使用される作用剤として、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン(CVP);またはシクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾン(CHOP)が挙げられる。患者の約70%~80%は、彼らの最初の化学療法に反応し、寛解期間は約2~3年間継続する。最終的に、患者の大半は、再発する。抗CD20抗体であるリツキシマブの発見及び臨床使用は、反応及び生存率に大幅な改善をもたらしてきた。大部分の患者について現在の標準治療は、リツキシマブ+CHOP(R-CHOP)またはリツキシマブ+CVP(R-CVP)である。リツキシマブ療法は、複数種のNHLにおいて有効であることが示されてきており、現在、緩徐進行性(濾胞性リンパ腫)及び侵襲性NHL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の両方について第一選択処置として承認されている。しかしながら、抗CD20モノクローナル抗体(mAb)には顕著な制限が存在し、制限として、一次耐性(再発型緩徐進行性患者において50%の反応)、獲得耐性(再治療に際して50%の反応率)、希な完全奏功(再発集団において2%の完全奏功率)、及び連続パターンの再発が挙げられる。最後に、多くのB細胞は、CD20を発現せず、したがって、多くのB細胞障害は、抗CD20抗体療法を用いて治療することができない。
【0026】
慢性リンパ性白血病(lymphocytic leukemia)(別名「慢性リンパ性白血病(lymphoid leukemia)」または「CLL」)は、Bリンパ球の異常蓄積により引き起こされる成人白血病の1種である。CLLでは、悪性リンパ球は、正常かつ成熟しているように見える場合があるが、それらは感染に有効に対処することができない。CLLは、成人における白血病の最も一般的な形態である。男性は女性の2倍、CLLを発症する可能性が高い。しかしながら、重要なリスクファクターは、年齢である。新規症例の75%超は、50歳を超える患者で診断される。10,000を超える症例が、毎年診断され、死亡率は、1年で約5,000例である(American Cancer Society, 2006;及びSEER Cancer Statistics Review)。CLLは、不治の病であるが、その進行はほとんどの場合緩徐である。CLLである人の多くは、長年にわたり正常で活動的な人生を送る。その発症が緩徐であるため、初期段階のCLLは、一般に、治療されない。初期CLL介入が生存期間も生活の質も改善しないと考えられているためである。その代わり、状態が経時的にモニタリングされる。初期CLL治療は、正確な診断及び疾患の進行に応じて変化する。CLL治療に使用される作用剤は多数存在する。併用化学療法レジメン、例えば、FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブ)、ならびにBR(イブルチニブ及びリツキシマブ)は、新規診断CLL及び再発CLLの両方に有効である。同種骨髄(幹細胞)移植は、そのリスクを理由に、第一選択処置として使用されることは希である。
【0027】
別の種類の白血病は、小リンパ球性リンパ腫(「SLL」)であり、これは、CLL診断に必要とされるクローンリンパ球増加症を欠いているが、それ以外の病理学的及び免疫表現性特徴は共通する変異型CLLとみなされる(Campo et al., 2011)。SLLの定義は、リンパ節腫大及び/または脾腫の存在を必要とする。その上、末梢血中のBリンパ球数は、5E+09/Lを超えてはならない。SLLでは、診断は、いつでも可能な限りリンパ節生検の病理組織学的評価により確認されなければならない(Hallek et al., 2008)。SLLの発生率は、米国においてCLLの約25%である(Dores et al., 2007)。
【0028】
別の種類の白血病は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、別名急性リンパ性白血病である。ALLは、骨髄における悪性及び未熟白血球(別名リンパ芽球)の過剰産生及び連続増殖を特徴とする。「急性」は、循環リンパ球(「芽球」)が未分化、未熟状態であること、及び疾患が急速に進行し、未処置で放置された場合に平均余命が数週間~数ヶ月であることを示す。
【0029】
「対象」または「患者」は、本文脈で使用される場合、任意の哺乳類を示し、哺乳類として、齧歯類、例えば、マウスまたはラット、及び霊長類、例えば、カニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル(Macaca mulatta)、またはヒト(Homo sapiens)が挙げられる。好ましくは、対象または患者は、霊長類、特に好ましくはヒトである。
【0030】
「併用」または「薬学的併用」という用語は、1つの治療を別の治療に加えて投与することを示す。そのため、「と併用して」は、同時(例えば、同時発生的)及び任意の順序での連続投与を含む。限定ではなく例として、第一治療(例えば、抗CD19抗体などの作用剤)を、第二治療(例えば、レナリドミドなどの薬学的作用剤)の投与の前(例えば、1分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間前)、同時に、または後(例えば、1分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間、またはそれより後)に、患者に投与することができる。
【0031】
「逐次併用」または「逐次治療併用」という用語は、先行治療が完了した後に異なる治療を投与することを示す。追加治療を、2つの治療の間に含めることが可能である。例として、及び本明細書中開示されるとおりの実施形態として、逐次併用は、本明細書中開示されるとおりの抗CD19抗体を含む先行治療から患者が再発を生じた後またはそのような先行治療に対して患者が治療抵抗性である場合に、当該患者を、CD19を指向するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞で治療することを示す。ある実施形態において、逐次併用の先行治療または第一治療は、第二の異なる治療が投与される、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間前、あるいはそれより前に完了している。
【0032】
「サリドマイド類似体」として、サリドマイド自身、レナリドミド(CC-5013、Revlimid(商標))、ポマリドミド(CC4047、Actimid(商標))、ならびにWO2002068414及びWO2005016326に開示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。WO2002068414及びWO2005016326は、そのまま全体が参照として援用される。この用語は、骨格としてサリドマイド構造を用いる化学合成化合物(例えば、側鎖が付加されている、またはそのような基が親構造から削除されてしまっている)を示す。類似体は、例えば、アルキル鎖の長さ、分子断片、1つまたは複数の官能基、またはイオン化の際の電荷における違いなどにより、サリドマイド及びその代謝産物化合物とは、構造が異なっている。「サリドマイド類似体」という用語は、サリドマイドの代謝産物も含む。サリドマイド類似体は、それぞれの化合物のS及びR鏡像異性体のラセミ混合物、ならびに個別のS鏡像異性体またはR鏡像異性体を含む。ラセミ混合物が好適である。サリドマイド類似体は、レナリドミドなどの化合物を含み、レナリドミドは、以下の構造を有する:
【化1】
【0033】
「再発」という用語は、本明細書中使用される場合、例えばある治療を用いた先行処置、例えば、がん治療後の初期反応期間(例えば、完全奏功または部分奏功)後の疾患(例えば、がん)の再出現を示す。より一般的には、ある実施形態において、反応(例えば、完全奏功または部分奏功)には、検出可能なMRD(微小残存病変)の不在が関与する可能性がある。ある実施形態において、初期反応期間は、少なくとも1、2、3、4、5、または6日間;少なくとも1、2、3、または4週間;少なくとも1、2、3、4、6、8、10、または12カ月間;あるいは少なくとも1、2、3、4、または5年間継続する。
【0034】
「難治性」は、本明細書中使用される場合、治療に反応しない疾患、例えば、がんを示す。複数の実施形態において、難治性がんは、治療前からまたは治療の開始時において、治療に対して耐性である可能性がある。他の実施形態において、難治性がんは、治療中に耐性になる可能性がある。難治性がんは、耐性がんとも呼ばれる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0035】
様々な態様において、本発明は、本明細書中記載されるとおりの患者においてがんの治療に使用するための、開示される抗体またはCARのいずれかをコードする核酸配列に関する。
【実施例
【0036】
実験に使用したCART19細胞は、第二世代CD19CAR構築物(CD19結合ドメインとしてクローンFMC63、FMC63-CD8h-CD8TM-41BBζ、チサゲンレクルユーセルに使用されるFDA承認構築物と同様)を用いて健康なドナーT細胞にレンチウイルス形質導入を行うことで生成させた。正常ドナーから単離したT細胞を、Cell Therapy Systems Dynabeads CD3/CD28(Life Technologies、Oslo、Norway)を1:3の比(細胞:ビーズ)で用いて刺激し、次いで、刺激から24時間後に、MOI3.0で、レンチウイルス粒子を用いて形質導入した。6日目に、磁気ビーズの除去及びフローサイトメトリーによるT細胞のCAR19発現の評価を行った。8日目に、CART細胞を収集し、将来の実験用に凍結保存した。CART細胞は、各実験で指定されるとおり、それらを実験で使用する6~12時間前にT細胞培地中で解凍及び安置した。
【0037】
実施例1
タファシタマブまたはCART19細胞の機能活性を、CD19陽性標的細胞株、Jeko(マントル細胞リンパ腫)、Ly7(DLBCL)、及びNalm-6(ALL)で試験した。細胞株は、元はATCCまたはDSMZから入手したものであった。細胞株に、ルシフェラーゼ(ホタル/EGFP、CBG/EGFP、またはCBR/EGFP)を形質導入し、次いで選別して、99%超の陽性の集団を得た。24時間ADCCアッセイ(タファシタマブ漸増+ナチュラルキラー(NK)細胞;図1)及びT細胞細胞毒性アッセイ(CART19、E:T漸増;データは示さず)では、試験した全ての細胞株で、両治療について明確な活性が観察された。殺傷アッセイは、標準プロトコルに従って行った(CaoL-F et al. Cytometry A, 2010, vol. 77 6 (pg.534-545)。手短に述べると、NK細胞存在下または不在下で、CD19+のルシフェラーゼ+標的細胞に、様々な濃度のタファシタマブを加えたインキュベーションの24時間後に、細胞毒性を評価した。
【0038】
実施例2
タファシタマブとCARの間に直接CD19結合競合がある場合に、観察されたCART19活性がタファシタマブによる影響を受けている可能性があるかどうかを調べた。最初にその様な結合競合について試験するため、CD19+細胞株であるNalm-6またはJekoを、2または0.5mg/mLのタファシタマブとともにインキュベートして、受容体を飽和させた。その後のFMC63抗体(CART19と同じCD19結合ドメインを保有)を用いたフローサイトメトリー分析では、CD19発現を検出することができなかったので、FMC63とタファシタマブの間の直接結合競合が示された(図2)。CART19細胞エフェクター機能に対するその様な結合競合の潜在的影響が何かあるかを調べるため、タファシタマブを、濃度を上げながら、標的細胞(CD19+細胞株、Jeko、Ly7、またはNalm-6)とともにインキュベートし、次いでCART19細胞を、異なるエフェクター:標的比(0.1:1~10:1)で加え、他のエフェクター細胞は細胞培養物に加えなかった。タファシタマブ、すなわちCD19抗原との結合の存在は、抗原特異的殺傷(図3)、脱顆粒化(図4)、CART19細胞のサイトカイン産生または抗原特異的増殖(図5)などの重要なCART細胞エフェクター機能に影響を及ぼさなかった。
【0039】
要約すると、データは、タファシタマブの存在及びそのCD19結合に関する競合にも関わらず、CART19細胞が強力な抗原特異的エフェクター機能を示し続けることを示す。すなわち、タファシタマブによりCD19を標的とすることは、CD19指向型キメラ抗原受容体(CAR)T細胞活性をin vitroで損なわない。
【0040】
実施例3
最初に8cm腸間膜腫瘤が存在していた58歳の女性患者の症例研究において、精密検査から、濾胞性リンパ腫から生じたステージIIIの胚中心B細胞様(GCB)DLBCL、Ki-67増殖指数80%、及びIGH/BCL2融合が明らかとなった。患者には、6サイクルで、用量調節されたR-EPOCHが投与された。この最先端の治療で完全寛解(CR)が達成されたものの、患者は、2年以内に再発を経験した。続いて、患者は、リツキシマブ+イホスファミド、カルボプラチン、及びエトポシド(RICE)化学療法を受け、これにより2回目のCRが達成された。患者は、ASCTを拒否した。2回目の再発は、約2年後に生じた。適格性基準を満たした後、患者は、L-MIND臨床試験に登録され、TAFA+LENを6サイクル投与された(1サイクル=28日間;TAFAを12mg/kgで静脈内、週に1回×3サイクル、その後は2週に1回;LENを25mgで毎日、各サイクルの1日目~21日目)。TAFA/LENは、十分に忍容性であった。この治験レジメンで病勢安定が達成されたが、6カ月後に進行した。4つ目の治療は、リツキシマブ、ゲムシタビン、オキサリプラチン、(R-GEM-OX)からなるものを4サイクル投与し、これに対し患者は部分奏功を示した。その後まもなく、患者は、CD19を指向するCART治療を受けた(アキシカブタゲン・シロロイセル[YESCARTA(登録商標)])(図6)。治療過程は、グレード2のサイトカイン放出症候群を併発した。治療の1カ月後、完全奏功が達成され、それ以降、完全奏功を維持した。現在のデータの時点で、患者には、再発の臨床的エビデンスがないままである。すなわち、再発及び難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R/R-DLBCL)の患者において、タファシタマブを用いた先行処置に関わらず、CD19を指向するCAR-T細胞治療で持続的寛解が達成されている。
【0041】
タファシタマブの半減期は、約16日間であり、このことは、5カ月後のCART細胞点滴前に、タファシタマブが排出されたことを示唆する。TAFA後の進行に際して生検は行わなかったものの、CD19抗原エスケープが再発の主な原因とはなっていなかったと考えられる。なぜなら、患者は、その後のCD19を指向するCART治療で持続的寛解を達成したからである。したがって、抗CD19モノクローナル抗体タファシタマブを用いた治療後に病勢進行したからといって、患者をCD19を指向するCAR-T治療から排除することは、以前に同じ抗原を標的としていようとも、ない。
【0042】
実施例4
-14日目、NSG(NOD scidガンママウス、免疫不全実験マウス)マウスに、1×10のルシフェラーゼ+JeKo-1細胞を注射した。-8日目、生物発光撮影(BLI)で腫瘍量を評価し、マウスを、タファシタマブ群(10匹)とPBS群(4匹)に無作為に分けた。タファシタマブ群には、10mg/kgを3回/週間でタファシタマブをip注射で投与した。-1日目、BLIで腫瘍量を評価し、マウスを、タファシタマブ継続またはタファシタマブ中止群に無作為に分けた。0日目、3群の全てのマウスに、2.5×10のCART19細胞を投与した(IV)。タファシタマブ継続群のマウスは、CART19細胞と並行して、タファシタマブ治療を続けた。全てのマウスについて、腫瘍量をモニタリングするためのBLIを毎週行い、マウスの生存をモニタリングした。マウスは、屠殺した。
【0043】
タファシタマブ継続群でCD19競合が観察され、生存期間が短くなることが実証された(p=0.005、ログランク検定、継続対中止または継続対PBS)。しかしながら、タファシタマブ中止群では、マウスに寛解がもたらされ、生存期間の減少は見られなかった。全体的に見て及び全生存に関して、PBS群とタファシタマブ中止群の間に差はなかった(ログランク検定)(図7)。
【0044】
そのうえさらに、タファシタマブ継続群は、中止群またはPBS対照群に比べて高い腫瘍量を示した(****p<0.0001、二元配置分散分析、継続対中止または継続対PBS)。タファシタマブ中止群とPBS群の間に差は観察されなかった(n.s.有意ではない、二元配置分散分析、中止対PBS)(図8)。
【0045】
したがって、これらのin vivoデータは、CD19を指向するCAR-T細胞治療が、先行タファシタマブ処置により損なわれることはないことを示す。先行タファシタマブ治療は、CD19を指向するCAR-T細胞治療から患者を排除しないと結論づけることができる。
【0046】
しかしながら、これらのデータは、CD19抗体とCD19 CARTが、同じまたは重複するCD19エピトープに関して競合する場合、当該CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞治療の併用並行治療が、当該療法の有効性に負の影響を及ぼす可能性があることも示す。
【0047】
実施形態
1つの実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、抗CD19抗体を含む組成物で先行して治療されたことがあり、この抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する。
【0048】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する抗CD19抗体を含む。
【0049】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、以下の配列
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGYTFTSYVMHWVRQAPGKGLEWIGYINPYNDGTKYNEKFQGRVTISSDKSISTAYMELSSLRSEDTAMYYCARGTYYYGTRVFDYWGQGTLVTVSS(配列番号7)
を含む可変重鎖を有する、及び/または以下の配列
DIVMTQSPATLSLSPGERATLSCRSSKSLQNVNGNTYLYWFQQKPGQSPQLLIYRMSNLNSGVPDRFSGSGSGTEFTLTISSLEPEDFAVYYCMQHLEYPITFGAGTKLEIK(配列番号8)
を含む可変軽鎖を有する抗CD19抗体を含む。
【0050】
1つの実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、この抗体は、配列番号7の可変重鎖及び/または配列番号8の可変軽鎖と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を持つ可変重鎖及び/または可変軽鎖を有する。
【0051】
好適な実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、この抗体は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を有する。
【0052】
別の好適な実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体タファシタマブを含む。
【0053】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、ヒトCD19との結合に関して、このCD19を指向する治療薬と競合する抗CD19抗体を含む。
【0054】
他の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、及びこのCD19を指向する治療薬は、抗体、抗体薬物複合体、二重特異性抗体、代替足場タンパク質、またはキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の群から選択される。
【0055】
好適な実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬、この患者は、抗CD19抗体を含む先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じている、は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞である。ある特定の実施形態において、CAR-T細胞は、好ましくは、アキシカブタゲン-シロロイセル(KTE-C19、Axi-cel、YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(CTL019、KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017、臨床試験:例えば、NCT02631044、NCT03310619)、またはUCART19(S68587、NCT02808442)のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせである。別の態様において、CAR-T細胞は、KITE037、welgenaleucel、ICTCAR-003、IM-19、CTX-110、SSCAR-010、ICTCAR-011として知られるCAR-T細胞構築物のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせである。
【0056】
他の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための治療薬は、B細胞系統マーカーを指向し、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含む。好ましくは、患者においてがんの治療に使用するための治療薬は、CD19及び/またはCD20を指向し、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体タファシタマブを含む。
【0057】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCAR-T細胞は、CD19及び/またはCD20を指向し、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体タファシタマブを含む。
【0058】
好適な実施形態において、当該治療薬は、医薬組成物において使用するためのものである。他の実施形態において、当該治療薬は、医薬組成物に含まれている。
【0059】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する治療薬が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、及びこのがんは、血液癌である。ある特定の実施形態において、血液癌は、非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、バーキットリンパ腫、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または急性骨髄性白血病(AML)などから選択される。好適な実施形態において、血液癌は、DLBCLである。他の実施形態において、このがんは、再発または難治性(R/R)癌、好ましくは再発または難治性血液癌である。R/R血液癌は、R/R非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、R/R濾胞性リンパ腫(FL)、R/R小リンパ球性リンパ腫(SLL)、R/Rバーキットリンパ腫、及びR/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、R/Rワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、R/R白血病、例えば、R/R慢性リンパ性白血病(CLL)、R/R急性リンパ芽球性白血病(ALL)、またはR/R急性骨髄性白血病(AML)から選択される。好適な実施形態において、R/R血液癌は、再発または難治性(R/R)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0060】
特定の実施形態において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのCD19を指向するCAR-T細胞が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体、好ましくは以下を有する抗体を含む
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0061】
特定の実施形態において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのCD19を指向するCAR-T細胞が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、タファシタマブとレナリドミドの併用を含む。
【0062】
別の実施形態において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのCD19を指向するCAR-T細胞が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、タファシタマブとベンダムスチンの併用を含む。
【0063】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、CD19を指向するCAR-T細胞で治療され、及びこの抗CD19抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する。
【0064】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、CD19を指向するCAR-T細胞で治療され、及びこの抗CD19抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0065】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、CD19を指向するCAR-T細胞で治療され、及びこの抗CD19抗体は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を有する。
【0066】
特定の態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、CD19を指向するCAR-T細胞で治療され、及びこの抗CD19抗体は、タファシタマブを含む。
【0067】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する。
【0068】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0069】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を有する。
【0070】
特定の態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、タファシタマブを含む。
【0071】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体とレナリドミドまたはベンダムスチンを併用した治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する。
【0072】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体とレナリドミドまたはベンダムスチンを併用した治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0073】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体とレナリドミドまたはベンダムスチンを併用した治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を有する。
【0074】
特定の態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体とレナリドミドまたはベンダムスチンとを併用した治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、タファシタマブを含む。
【0075】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有し、ならびにこのCD19を指向するCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017)、またはUCART19(S68587)のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせを含む。
【0076】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有し、ならびにこのCD19を指向するCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017)、またはUCART19(S68587)のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせを含む。
【0077】
1つの態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を有し、ならびにこのCD19を指向するCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017)、またはUCART19(S68587)のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせを含む。
【0078】
特定の態様において、患者においてがんの治療に使用するため、抗CD19抗体が本明細書中開示され、当該患者は、当該抗CD19抗体治療後、治療抵抗性であるまたは再発を生じており、及びCD19を指向するCAR-T細胞で治療され、ならびにこの抗CD19抗体は、タファシタマブを含み、ならびにこのCD19を指向するCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017)、またはUCART19(S68587)のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせを含む。
【0079】
他の態様において、CAR-T細胞は、KITE037、welgenaleucel、ICTCAR-003、IM-19、CTX-110、SSCAR-010、ICTCAR-011として知られるCAR-T細胞構築物のうちの1種、またはこれらのうちの2種以上の組み合わせである。
【0080】
別の態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を含む、逐次治療併用が開示される。
【0081】
ある特定の態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与される。
【0082】
別の態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、少なくとも2週に1回投与される。
【0083】
さらなる態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、1種または複数の追加医薬作用剤と組み合わせて投与される。
【0084】
別の態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、少なくとも2週に1回がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、1種または複数の追加医薬作用剤と組み合わせて投与される。
【0085】
1つの態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、1種または複数の追加医薬作用剤と組み合わせて投与され、当該医薬作用剤は、生物学的作用剤もしくは化学療法作用剤またはその薬学上許容される塩である。
【0086】
さらなる態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、1種または複数の追加医薬作用剤と組み合わせて投与され、当該医薬作用剤は、治療抗体もしくは抗体断片、ナイトロジェンマスタード、プリン類似体、サリドマイド類似体、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤、BCL-2阻害剤、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、またはそれらの薬学上許容される塩である。
【0087】
さらなる態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、1種または複数の追加医薬作用剤と組み合わせて投与され、ならびにこの医薬作用剤は、リツキシマブ、R-CHOP、シクロホスファミド、クロラムブシル、ウラムスチン、イホスファミド、メルファラン、ベンダムスチン、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、フルダラビン、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イデラリシブ、デュベリシブ、コパンリシブ、イブルチニブ、ベネトクラクス、またはそれらの薬学上許容される塩の群から選択される。
【0088】
好適な態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、1種または複数の追加医薬作用剤と組み合わせて投与され、この医薬作用剤は、レナリドミドまたはその薬学上許容される塩である。
【0089】
特定の態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するCAR-T細胞が、当該患者に投与され、ならびにこの抗CD19抗体は、レナリドミドまたはその薬学上許容される塩と組み合わせて投与され、ならびに当該抗CD19抗体は、1用量あたり12mg/kgの量で少なくとも2週に1回投与され、及びレナリドミドは25mgの量で毎日投与される。
【0090】
ある特定の態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、逐次治療併用が開示され、この抗CD19抗体は、がん患者に投与され、及び当該患者が再発を生じた後または当該患者が治療抵抗性である場合に、CD19を指向するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞が、当該患者に投与され、この抗CD19抗体は、レナリドミドまたはその薬学上許容される塩と組み合わせて投与され、ならびに当該抗CD19抗体は、1用量あたり12mg/kgの量で少なくとも2週に1回投与され、及びレナリドミドは25mgの量で毎日投与され、ならびに当該抗CD19抗体は、最高12回のサイクルのレジメンで投与され、サイクル1~3の間、当該抗CD19抗体は、毎週投与され、サイクル4以降、当該抗CD19抗体は、14日間ごとに投与され、及びレナリドミドは毎日投与される。
【0091】
好適な態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、本明細書中開示される逐次治療併用の中の、抗CD19抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する。
【0092】
他の態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、本明細書中開示される逐次治療併用の中の、抗CD19抗体は、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する。特定の態様において、本明細書中開示される逐次治療併用は、がんの治療に使用するための抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含み、この抗CD19抗体は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を有する。一部の態様において、本明細書中開示される逐次治療併用は、がんの治療に使用するためのタファシタマブ及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0093】
好適な態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、本明細書中開示される逐次治療併用の中の、抗CD19抗体は、以下を有し
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ、
ならびにCD19を指向するCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル(KTE-C19、Axi-cel、YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(CTL019、KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017)、またはUCART19(S68587)のうち1種、あるいはこれらのうち2種以上の組み合わせを含む。別の態様において、CAR-T細胞は、KITE037、welgenaleucel、ICTCAR-003、IM-19、CTX-110、SSCAR-010、ICTCAR-011として知られるCAR-T細胞構築物のうちの1種、またはこれらの2種以上の組み合わせである。
【0094】
好適な態様において、がんの治療に使用するための、抗CD19抗体及びCD19を指向するCAR-T細胞を含む、本明細書中開示される逐次治療併用の中の、このがんは、非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、バーキットリンパ腫、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または急性骨髄性白血病(AML)などから選択される血液癌である。好適な実施形態において、血液癌は、DLBCLである。他の実施形態において、このがんは、再発または難治性(R/R)癌、好ましくは、再発または難治性血液癌である。R/R血液癌は、R/R非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、R/R濾胞性リンパ腫(FL)、R/R小リンパ球性リンパ腫(SLL)、R/Rバーキットリンパ腫、及びR/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、R/Rワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、R/R白血病、例えば、R/R慢性リンパ性白血病(CLL)、R/R急性リンパ芽球性白血病(ALL)、またはR/R急性骨髄性白血病(AML)などから選択される。好適な実施形態において、R/R血液癌は、再発または難治性(R/R)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0095】
1つの好適な態様において、逐次治療併用は、患者においてDLBCLの治療に使用するための、タファシタマブ及びアキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))CAR-T細胞を含み、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じている。
【0096】
1つの好適な態様において、逐次治療併用は、患者においてDLBCLの治療に使用するための、タファシタマブ及びアキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))CAR-T細胞を含み、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、タファシタマブを含む。
【0097】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための抗CD19抗体が開示され、この患者は、以前にCD19を指向する治療薬を含む組成物で治療された。ある特定の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための抗CD19抗体が開示され、この患者は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む組成物で先行して治療された。
【0098】
好適な実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0099】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための、配列番号7を含む可変重鎖及び/または配列番号8を含む可変軽鎖を有する抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0100】
1つの実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための、配列番号7の可変重鎖及び/または配列番号8の可変軽鎖と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%配列同一性を持つ可変重鎖及び/または可変軽鎖を有する抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0101】
ある特定の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖を有する抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0102】
特定の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための、タファシタマブを含む抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0103】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含み、これらCAR-T細胞のうち、キメラ抗原受容体は、ヒトCD19との結合に関してこの抗CD19抗体と競合する。
【0104】
他の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19治療薬を含み、及びこの治療薬は、抗体、抗体薬物複合体、二重特異性抗体、代替足場タンパク質、またはCAR-T細胞の群から選択される。
【0105】
好適な実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19 CAR-T細胞を含み、及びこの抗CD19抗体は、タファシタマブを含む。ある特定の実施形態において、CAR-T細胞は、好ましくは、アキシカブタゲン-シロロイセル(KTE-C19、Axi-cel、YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(CTL019、KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017、臨床試験:例えば、NCT02631044、NCT03310619)、またはUCART19のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせである。別の実施形態において、CAR-T細胞は、KITE037、welgenaleucel、ICTCAR-003、IM-19、CTX-110、SSCAR-010、ICTCAR-011として知られるCAR-T細胞構築物のうちの1種、またはこれらの2種以上の組み合わせである。
【0106】
他の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するため、抗体は、B細胞系統マーカーを指向するものであり、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、治療用抗CD19作用剤を含む。
【0107】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するため、抗体は、CD19及び/またはCD20を指向するものであり、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、治療用抗CD19作用剤を含む。
【0108】
他の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するため、抗体は、B細胞系統マーカーを指向するものであり、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0109】
別の実施形態において、患者においてがんの治療に使用するため、抗体は、CD19及び/またはCD20を指向するものであり、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0110】
好適な態様において、B細胞系統マーカー(例えば、CD19及び/またはCD20)を指向する当該抗体は、医薬組成物に使用するためのものである。他の態様において、B細胞系統マーカー(例えば、CD19及び/またはCD20)を指向する当該抗体は、医薬組成物に含まれている。
【0111】
1つの実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための抗CD19抗体が開示され、この患者は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む組成物で先行して治療されており、及びこのがんは、血液癌である。ある特定の実施形態において、血液癌は、非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、バーキットリンパ腫、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または急性骨髄性白血病(AML)などから選択される。好適な実施形態において、血液癌は、DLBCLである。他の実施形態において、このがんは、再発または難治性(R/R)癌、好ましくは、再発または難治性血液癌である。R/R血液癌は、R/R非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、R/R濾胞性リンパ腫(FL)、R/R小リンパ球性リンパ腫(SLL)、R/Rバーキットリンパ腫、及びR/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、R/Rワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、R/R白血病、例えば、R/R慢性リンパ性白血病(CLL)、R/R急性リンパ芽球性白血病(ALL)、またはR/R急性骨髄性白血病(AML)などから選択される。好適な実施形態において、R/R血液癌は、再発または難治性(R/R)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。
【0112】
特定の実施形態において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するための抗CD19抗体が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含み、この抗CD19抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0113】
特定の実施形態において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのタファシタマブとレナリドミドとの併用が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0114】
別の実施形態において、患者においてR/R DLBCLの治療に使用するためのタファシタマブとベンダムスチンとの併用が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0115】
治療法
1つの実施形態において、患者においてCD19を指向するCAR-T細胞を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含む。
【0116】
1つの実施形態において、患者においてCD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含む。
【0117】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてCD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は、先行治療レジメンに対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行レジメンは、抗CD19抗体を含む。
【0118】
別の実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてCD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は、先行治療レジメン(複数可)のうち少なくとも1つにおいて、抗CD19抗体を含む医薬組成物を投与された。
【0119】
別の実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてCD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は、先行治療レジメン(複数可)のうち少なくとも1つにおいて、抗CD19抗体を含む医薬組成物を投与されたことがあり、及びこの患者は、先行治療レジメン(複数可)のうち少なくとも1つの後、治療抵抗性であるまたは再発を生じている。
【0120】
別の実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてCD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を用いて血液癌を治療する方法が開示され、この患者は、先行治療レジメン(複数可)のうち少なくとも1つにおいて、タファシタマブを含む医薬組成物を投与された。
【0121】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)抗CD19抗体を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、この抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する、ならびに
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、CD19を指向する治療薬を含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0122】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)抗CD19抗体を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、この抗体は、配列番号7の可変重鎖及び/または配列番号8の可変軽鎖を有する、ならびに
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、CD19を指向する治療薬を含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0123】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)抗CD19抗体を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、この抗体は、配列番号11の重鎖及び/または配列番号12の軽鎖を有する、ならびに
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、CD19を指向する治療薬を含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0124】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)抗CD19抗体タファシタマブを含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、CD19を指向する治療薬を含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0125】
ある特定の実施形態において、工程(ii)における2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンのCD19を指向する治療薬は、モノクローナル抗体、抗体薬物複合体、二重特異性抗体、代替足場タンパク質、またはキメラ抗原受容体(CAR)T細胞である。好ましくは、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンの医薬組成物の、CD19を指向する治療薬は、CAR-T細胞である。
【0126】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)抗CD19抗体タファシタマブを含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、CD19を指向するCAR-T細胞を含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0127】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)抗CD19抗体タファシタマブを含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、CD19を指向するCAR-T細胞を含むさらなる医薬組成物を投与すること、このCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル、チサゲンレクルユーセル、リソカブタゲン・マラルユーセル、及び/またはUCART19のうちの1種、あるいはこれらの組み合わせから選択される。
【0128】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで患者においてR/R DLBCLを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)抗CD19抗体タファシタマブを含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、CD19を指向するCAR-T細胞を含むさらなる医薬組成物を投与すること、このCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル、チサゲンレクルユーセル、リソカブタゲン・マラルユーセル、及び/またはUCART19のうちの1種、あるいはこれらの組み合わせから選択される。
【0129】
一部の実施形態において、治療用抗CD19作用剤を用いて再発または難治性CD19+血液癌を治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含み
a)再発または難治性CD19+血液癌の患者を同定すること、及び
b)当該患者に、CD19を指向する治療薬を有効量で投与すること、
この患者は、工程a)の前に、抗CD19抗体を含む医薬組成物で治療されたことがあり、この抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0130】
特定の実施形態において、CD19を指向するCAR-T細胞を用いて再発または難治性CD19+血液癌を治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含み
a)再発または難治性CD19+血液癌の患者を同定すること、及び
b)当該患者に、CD19を指向するCAR-T細胞を有効量で投与すること、
この患者は、工程a)の前に、抗CD19抗体を含む医薬組成物で治療されたことがあり、この抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0131】
特定の実施形態において、CD19を指向するCAR-T細胞を用いて再発または難治性DLBCLを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含み
a)再発または難治性DLBCLの患者を同定すること、及び
b)当該患者に、CD19を指向するCAR-T細胞を有効量で投与すること、
この患者は、工程a)の前に、抗CD19抗体を含む医薬組成物で治療されたことがあり、この抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0132】
一部の態様で提供されるのは、以下が関与する治療法である:(1)がんを有する患者に、抗CD19抗体を含む組成物を投与すること、この抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ、
ならびに(2)この患者が再発または難治性である場合に、この患者に、患者にとって自家でありCD19に特異的に結合する組換え受容体を発現するT細胞を含む組成物を、逐次投与すること。
【0133】
好適な実施形態において、患者においてがんの治療に使用するための、CD19を指向する自家T細胞は、この患者が抗CD19抗体を含む組成物で先行して治療された場合において、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞である。ある特定の実施形態において、CAR-T細胞は、好ましくは、アキシカブタゲン-シロロイセル(KTE-C19、Axi-cel、YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(CTL019、KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017、臨床試験:例えば、NCT02631044、NCT03310619)、またはUCART19のうちの1種、あるいはこれらの2種以上の組み合わせである。別の実施形態において、CAR-T細胞は、KITE037、welgenaleucel、ICTCAR-003、IM-19、CTX-110、SSCAR-010、ICTCAR-011として知られるCAR-T細胞構築物のうちの1種、またはこれらの2種以上の組み合わせである。
【0134】
1つの実施形態において、患者において抗CD19抗体を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0135】
1つの実施形態において、患者において抗CD19抗体を含む組成物を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
【0136】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者において抗CD19抗体を含む医薬組成物を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は治療抵抗性であるまたは再発を生じており、先行治療レジメンにおいてCD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある。
【0137】
別の実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者において抗CD19抗体を含む医薬組成物を用いてがんを治療する方法が開示され、この患者は治療抵抗性であるまたは再発を生じており、先行治療レジメン(複数可)のうちの1つにおいてCD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある。
【0138】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)CD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、抗CD19抗体を含むさらなる医薬組成物を投与すること、この抗体は、配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域を有する。
【0139】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)CD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、抗CD19抗体を含むさらなる医薬組成物を投与すること、この抗体は、配列番号7の可変重鎖及び/または配列番号8の可変軽鎖を有する。
【0140】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)CD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、抗CD19抗体を含むさらなる医薬組成物を投与すること、この抗体は、配列番号11の重鎖及び/または配列番号12の軽鎖を有する。
【0141】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)CD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、抗CD19抗体タファシタマブを含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0142】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者においてがんを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)CD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、このCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル、チサゲンレクルユーセル、リソカブタゲン・マラルユーセル、及び/またはUCART19のうちの1種、あるいはこれらの組み合わせから選択される、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、抗CD19抗体タファシタマブを含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0143】
1つの実施形態において、2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、患者においてR/R DLBCLを治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
i)CD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物を投与されたことがある患者を同定すること、このCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル、チサゲンレクルユーセル、リソカブタゲン・マラルユーセル、及び/またはUCART19のうちの1種、あるいはこれらの組み合わせから選択される、及び
ii)当該2番目、3番目、4番目、または任意の他の複数番目の治療レジメンで、この患者に、抗CD19抗体タファシタマブを含むさらなる医薬組成物を投与すること。
【0144】
一部の実施形態において、抗CD19抗体を用いて再発または難治性CD19+血液癌を治療する方法が開示され、本方法は以下の工程を含む
a)再発または難治性CD19+血液癌の患者を同定すること、及び
b)当該患者に抗CD29抗体を有効量で投与すること、この患者は、工程(a)の前に、CD19を指向するCAR-T細胞を含む医薬組成物で治療されたことがあり、及び工程(b)の抗CD19抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0145】
一部の態様で提供されるのは、以下が関与する治療法である:(1)がんを有する患者に、この患者にとって自家でありこのがんに関連したCD19に特異的に結合する組換え受容体を発現するT細胞を含む組成物を、投与すること、及び(2)この患者が治療抵抗性であるまたは再発を生じている場合に、この患者に、抗CD19抗体を含む組成物を逐次投与すること、この抗体は、以下を含む
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0146】
好適な実施形態において、患者においてがんの治療に使用するためのCD19を指向する自家T細胞は、この患者が治療抵抗性であるまたは再発を生じている場合及びこの患者が抗CD19抗体を含む組成物で逐次治療される場合に、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞である。ある特定の実施形態において、CAR-T細胞は、好ましくは、アキシカブタゲン-シロロイセル(KTE-C19、Axi-cel、YESCARTA(登録商標))及び/またはチサゲンレクルユーセル(CTL019、KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル(JCAR017、臨床試験:例えば、NCT02631044、NCT03310619)、またはUCART19のうちの1種、あるいはこれらの2種以上の組み合わせである。別の実施形態において、CAR-T細胞は、KITE037、welgenaleucel、ICTCAR-003、IM-19、CTX-110、SSCAR-010、ICTCAR-011として知られる(CAR)T細胞構築物のうちの1種、あるいはこれらのうちの2種以上の組み合わせである。
【0147】
反応の予測方法
別の実施形態において、患者が、タファシタマブを用いた治療に後続するCD19を指向したCAR-T細胞治療に対して、反応する可能性が高いか、それとも反応する可能性が低いかを判定する方法が開示され、本方法は、以下の工程を含み
a)患者から単離した腫瘍試料を、有効量の、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する抗CD19抗体と接触させて、in vitroで抗原を飽和させること、
b)様々なエフェクター:標的比で、CD19を指向するCAR-T細胞を添加すること、及び
c)CAR-T細胞エフェクター機能(例えば、抗原特異的殺傷、脱顆粒化、サイトカイン産生、または増殖)を評価すること、
この場合、CAR-T細胞エフェクター機能の存在は、この患者が抗CD19 CAR-T細胞治療に反応する可能性が高いことを示し、CAR-T細胞エフェクター機能の不在は、この患者が抗CD19 CAR-T細胞治療に反応する可能性が低いことを示す。
【0148】
別の実施形態において、治療抵抗性であるまたは再発を生じた患者が、タファシタマブを用いた治療に後続するCD19を指向したCAR-T細胞治療に対して、反応する可能性が高いか、それとも反応する可能性が低いかを判定する方法が開示され、本方法は、以下の工程を含み
a)患者から単離した腫瘍試料を、有効量の、配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖を有する抗CD19抗体と接触させて、in vitroで抗原を飽和させること、
b)様々なエフェクター:標的比で、CD19を指向するCAR-T細胞を添加すること、及び
c)CAR-T細胞エフェクター機能(例えば、抗原特異的殺傷、脱顆粒化、サイトカイン産生、または増殖)を評価すること、
この場合、CAR-T細胞エフェクター機能の存在は、この患者が抗CD19 CAR-T細胞治療に反応する可能性が高いことを示し、CAR-T細胞エフェクター機能の不在は、この患者が抗CD19 CAR-T細胞治療に反応する可能性が低いことを示す。
【0149】
特定の実施形態において、様々なエフェクター:標的(E:T)比とは、0:1、0.3125:1、0.625:1、1.25:1、2.5:1、5:1、及び10:1である。1つの実施形態において、抗CD19 CAR-T細胞は、フォーマットFMC63-CD8h-CD8TM-41BBζのCAR構築物を含む。
【0150】
患者において血液癌を治療するための医薬の製造における、CD19を指向する治療薬の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、この抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0151】
患者において血液癌を治療するための医薬の製造における、CD19を指向するCAR-T細胞の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、この抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0152】
患者において血液癌を治療するための医薬の製造における、CD19を指向するCAR-T細胞の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、この抗体は、以下を有し
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ、
ならびにこのCD19を指向するCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))、チサゲンレクルユーセル(KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル、またはUCART19の群から選択される。
【0153】
患者において血液癌を治療するための医薬の製造における、CD19を指向するCAR-T細胞の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体を含み、この抗体は、以下を有し
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ、
ならびにこの血液癌は、非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、バーキットリンパ腫、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または急性骨髄性白血病(AML)など、再発または難治性(R/R)非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、R/R濾胞性リンパ腫(FL)、R/R小リンパ球性リンパ腫(SLL)、R/Rバーキットリンパ腫、及びR/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、R/Rワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、R/R白血病、例えば、R/R慢性リンパ性白血病(CLL)、R/R急性リンパ芽球性白血病(ALL)、あるいはR/R急性骨髄性白血病(AML)などから選択され、好ましくはR/R DLBCLである。
【0154】
患者においてR/R DLBCLを治療するための医薬の製造における、CD19を指向するアキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))CAR-T細胞の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、抗CD19抗体タファシタマブを含む。
【0155】
患者において血液癌を治療するための医薬の製造における、抗CD19抗体の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含み、及びこの抗CD19抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0156】
患者において血液癌を治療するための医薬の製造における、抗CD19抗体の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含み、及びこの抗C19抗体は、以下を有し
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ、
ならびにこのCD19を指向するCAR-T細胞は、アキシカブタゲン-シロロイセル(YESCARTA(登録商標))、チサゲンレクルユーセル(KYMRIAH(登録商標))、リソカブタゲン・マラルユーセル、またはUCART19の群から選択される。
【0157】
患者において血液癌を治療するための医薬の製造における、抗CD19抗体の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含み、及びこの抗体は、以下を有し
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ、
ならびにこの血液癌は、非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫(FL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、バーキットリンパ腫、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、または急性骨髄性白血病(AML)など、再発または難治性(R/R)非ホジキンB細胞リンパ腫、例えば、R/R濾胞性リンパ腫(FL)、R/R小リンパ球性リンパ腫(SLL)、R/Rバーキットリンパ腫、及びR/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)など、R/Rワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、R/R白血病、例えば、R/R慢性リンパ性白血病(CLL)、R/R急性リンパ芽球性白血病(ALL)、あるいはR/R急性骨髄性白血病(AML)などから選択され、好ましくはR/R DLBCLである。
【0158】
患者においてR/R DLBCLを治療するための医薬の製造における、抗CD19抗体の使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含み、及びこの抗体は、以下を有する
i)配列SYVMH(配列番号1)を含むHCDR1領域、配列NPYNDG(配列番号2)を含むHCDR2領域、配列GTYYYGTRVFDY(配列番号3)を含むHCDR3領域、配列RSSKSLQNVNGNTYLY(配列番号4)を含むLCDR1領域、配列RMSNLNS(配列番号5)を含むLCDR2領域、及び配列MQHLEYPIT(配列番号6)を含むLCDR3領域、または
ii)配列番号7の可変重鎖及び配列番号8の可変軽鎖、または
iii)配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖、または
iv)タファシタマブ。
【0159】
患者においてR/R DLBCLを治療するための医薬の製造における、タファシタマブの使用、この患者は、先行処置に対して治療抵抗性であるまたは再発を生じており、この先行処置は、CD19を指向するCAR-T細胞を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2023501211000001.app
【国際調査報告】