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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】積層グレイジング
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20230111BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20230111BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20230111BHJP
   H05B 3/84 20060101ALI20230111BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20230111BHJP
   H05B 3/18 20060101ALI20230111BHJP
   H05B 3/12 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C03C27/12 M
B32B17/10
B32B7/12
H05B3/84
H05B3/20 392B
H05B3/18
H05B3/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525541
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020082210
(87)【国際公開番号】W WO2021099246
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】19209800.2
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ゲルヴェルメイヤー, ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘヴェシ, カドサ
【テーマコード(参考)】
3K034
3K092
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
3K034AA03
3K034AA04
3K034AA16
3K034BA02
3K034BA15
3K034BB05
3K034BB14
3K034BC16
3K034HA09
3K034JA10
3K092PP15
3K092QA05
3K092QB04
3K092RF03
3K092RF12
3K092RF17
3K092RF26
4F100AA17
4F100AA17E
4F100AB01
4F100AB01E
4F100AG00
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AK01
4F100AK01D
4F100AK42
4F100AK42D
4F100AK45
4F100AK45D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00
4F100CB00B
4F100DC11
4F100DC11E
4F100EH46
4F100GB07
4F100GB31
4F100JD10
4F100JG05
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4F100JJ06
4F100JL11
4F100JL11B
4G061AA23
4G061AA25
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CB19
4G061CB20
4G061CD02
4G061CD18
4G061CD19
(57)【要約】
本発明は、積層グレイジング、前記積層グレイジングの製造方法、及び積層グレイジングのシート抵抗を減少させる方法に関する。本発明は、輸送手段のための加熱可能なグレイジングとしての前記積層グレイジングの使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-それぞれが内部及び外部表面を有する、第1及び第2のガラスシートと、
-前記第1のガラスシートの内部表面と前記第2のガラスシートの内部表面を結合するために役立つ接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと、
-積層グレイジングの少なくとも第1の部分を加熱するように構成されている第1の加熱回路と、
-前記積層グレイジングの少なくとも第2の部分を加熱するように構成されている第2の加熱回路
を含み、前記第1及び第2の部分が、前記積層グレイジング全体表面の重複領域で少なくとも部分的に重複する、積層グレイジング。
【請求項2】
前記第1の加熱回路が、少なくとも1つの電気伝導性の層を含む多層コーティングを含む、請求項1に記載の積層グレイジング。
【請求項3】
前記接着剤中間層材料が、ポリビニルブチル(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、イオノマー、シクロオレフィンのポリマー、イオノプラストポリマー、キャストインプレイス(CIP)液体樹脂から選択される、請求項1又は2に記載の積層グレイジング。
【請求項4】
前記第2の加熱回路が金属メッシュを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項5】
前記金属メッシュが、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
のいずれか1つによって特徴づけられる、請求項4に記載の積層グレイジング。
【請求項6】
第1の表面、及び前記第1の表面の反対側の第2の表面を有するポリマー基材をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項7】
前記ポリマー基材が、前記接着剤中間層材料とは異なり、且つポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラル(PVB)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)及びアセチルセルロイドから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項8】
前記第1の加熱回路が、前記第1又は第2のガラスシートの一方の内部表面の少なくとも第1の部分上に存在し、且つ前記第2の加熱回路が、同一ガラスシートの少なくとも第2の部分上に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項9】
前記第1の加熱回路が、前記第1のガラスシートの内部表面の少なくとも一部分上に存在し、且つ前記第2の加熱回路が、前記第2のガラスシートの内部表面の少なくとも一部分上に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項10】
前記第1の加熱回路が、前記第1又は第2のガラスシートの少なくとも一方の内部表面の少なくとも一部分上に存在し、且つ前記第2の加熱回路が、前記ポリマー基材の前記第1又は第2の表面の一方の少なくとも一部分上に存在する、請求項6又は7に記載の積層グレイジング。
【請求項11】
前記第1の加熱回路が、前記ポリマー基材の前記第1の表面の少なくとも一部分上に存在し、且つ前記第2の加熱回路が、前記ポリマー基材の前記第2の表面の少なくとも一部分上に存在する、請求項6又は7に記載の積層グレイジング。
【請求項12】
前記第1の加熱回路が、前記ポリマー基材の前記第1の表面の少なくとも第1の部分上に存在し、且つ前記第2の加熱回路が、前記ポリマー基材の同一表面の少なくとも第2の部分上に存在する、請求項6又は7に記載の積層グレイジング。
【請求項13】
前記第1の加熱回路及び前記第2の加熱回路が両方とも金属メッシュを含む、請求項1に記載の積層グレイジング。
【請求項14】
前記重複領域が、
-前記積層グレイジング全体表面の10%未満、又は
-前記積層グレイジング全体表面の10~50%、又は
-前記積層グレイジング全体表面の51~90%
のいずれか1つを示す前記積層グレイジング全体の表面パーセントを表す、請求項1~13のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項15】
ガラスシートを2枚より多く有する積層グレイジングを提供するために、少なくとも1つの追加のガラスシート、及び少なくとも1つの追加の中間層材料のシートをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項16】
前記積層グレイジングが、前記ガラスシートのいずれかの少なくとも1つの未コーティング表面上に少なくとも1つの他の多層コーティングをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項17】
少なくとも1枚のガラスシートが、アニール化、熱処理、強化、又は化学強化されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の積層グレイジング。
【請求項18】
積層グレイジングの製造方法であって、前記方法が、
1)
-それぞれが内部及び外部表面を有する、第1及び第2のガラスシートと、
-前記第1のガラスシートの内部表面と前記第2のガラスシートの内部表面を結合するために役立つ接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと、
-積層グレイジングの少なくとも第1の部分を加熱するように構成されている第1の加熱回路と、
-前記積層グレイジングの少なくとも第2の部分を加熱するように構成されている第2の加熱回路
を提供するステップと、
2)前記第1及び第2のガラスシートを、前記接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと積層するステップと
を含み、前記第1及び第2の部分が、前記積層グレイジング全体表面の重複領域で少なくとも部分的に重複する、方法。
【請求項19】
陸上、空中、又は水上の移動のための輸送手段、特に自動車のための加熱可能なグレイジングとしての、請求項1~17のいずれか一項に記載の積層グレイジングの使用。
【請求項20】
積層グレイジングにおける、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
のいずれか1つによって特徴づけられる、金属メッシュの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層グレイジング(laminated glazing)、前記積層グレイジングの製造方法、及び積層グレイジングのシート抵抗を減少させる方法に関する。本発明は、輸送手段のための加熱可能グレイジングとしての前記積層グレイジングの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に接触している回路及び母線を加熱することによって電気的に加熱可能な積層グレイジングは、多数の異なる構造において知られている。加熱回路としては、中でも、ガラス上又はポリマー基材上の導電性コーティング、ワイヤー抵抗加熱回路、ミクロリソグラフィ導体、埋込ワイヤー回路が含まれる。積層グレイジングの加熱は、典型的に、防霜又は防氷目的のために役立ち得る。
【0003】
日射調整グレイジングは、広範囲の様々な構造及びレイアウトで知られている。そのような日射調整グレイジングは典型的に、車両又は建築物の内部と外部の間での光及び熱交換の制御を助け、すなわち、それらは典型的に、例えばガラス上に適用される日射調整コーティングによって、断熱の作用をもたらす。
【0004】
いくつかの例においては、そのような日射調整コーティングは、積層グレイジング中で加熱回路として機能することが可能である少なくとも1層の導電性材料を含む。
【0005】
ワイヤー抵抗加熱回路は、典型的に、10~100μmの厚さを有する、すなわち、40~120μmのヒトの毛髪繊維と類似の範囲の厚さのワイヤーをベースとする。例としては、厚さ15~25μmのタングステンワイヤー、又は60~90μmの銅ワイヤーが含まれる。これらのワイヤーのいくつかは、積層グレイジングの視野領域に配置され得るが、それらはまだヒトの眼によって認識され得る。
【0006】
輸送機関応用では、日射調整グレイジングは、車両の内部が加熱される時に、それらが外部への熱損失を低減することを補助しながらも、赤外線放射線が車両に入ることを妨げることによって空調の必要条件に関する要求を低減させ得る。
【0007】
輸送機関及び建築物用途の温度調節システムは、多くのエネルギーを必要とする。電気駆動車両の増加によって、前記車両の種々の機能に効率的且つ急速に集中するために利用可能な電力の最適使用が必要とされる。駆動エネルギーは、ほとんどの場合、充電式蓄電池及び充電式電池の形態で自動車中で常に携帯されるか、又は燃料電池によって自動車自体中で発生する。電気モーターは、電気エネルギーを移動のための機械エネルギーに変換する。電気自動車の搭載電圧は、典型的に12V~400Vである。蓄電池又は充電式電池の限定的なエネルギー貯蔵密度のため、電気自動車の運転範囲は非常に限定される。内部燃焼機関を有する自動車のグレイジングと同一の必要条件が電気自動車のグレイジングに課される。窓ガラスの視野のサイズ及び構造安定性に関して、以下の法規制が適用される:ECE R 43:“Uniform Provisions concerning the Approval of Safety Glazing and Composite Glass Materials”、並びにTechnical Requirements for Vehicle Components in the Design Approval Test§22 a StVZO[German Regulation Authorizing the Use of Vehicles for Road Traffic],No.29“Safety Glass”。これらの規制は、一般に、複合窓ガラスによって満たされる。
【0008】
自動車窓ガラスの視界は、氷及び結露がない状態でなければならない。内部燃焼機関による自動車の場合、一般に、空気流を加熱するために、エンジンの熱が使用される。次いで、暖められた空気流を窓ガラスに向ける。電気自動車はエンジン熱を有さないため、この方法は電気自動車には不適切である。電気エネルギーからの温風の発生は非常に非効率的である。或いは、窓ガラスに電気加熱機能を持たせることができる。したがって、電気エネルギーの効率的な使用は、電気自動車に関して特に重要である。
【0009】
必要な電力消費を増加させることなく、需要に応じて均一な加熱又は選択的な加熱、透明性などの優れた光学特性、及び電気の需要に適応可能である改善された伝導性を提供する、改良された加熱可能な積層グレイジングが必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、
-それぞれが内部及び外部表面を有する、第1及び第2のガラスシートと、
-前記第1のガラスシートの内部表面と前記第2のガラスシートの内部表面を結合するために役立つ接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと、
-積層グレイジングの少なくとも第1の部分を加熱するように構成されている第1の加熱回路と、
-積層グレイジングの少なくとも第2の部分を加熱するように構成されている第2の加熱回路
を含み、第1及び第2の部分は、積層グレイジング全体表面の重複領域で少なくとも部分的に重複する、積層グレイジングに関する。
【0011】
そのような積層グレイジングを得る方法も提供される。
【0012】
最後に、輸送手段における本発明の積層グレイジングの使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1及び第2のガラスシートのそれぞれは、独立して、ソーダライム-シリカ、アルミノシリケート又はボロシリケート型などのガラスであり得る。典型的に、ガラスシートは、0.5~25mmの厚さを有するフロートガラスである。0.5mm~4mmの範囲のガラスシートの厚さは、自動車ガラス用に適切であり得、そして4mm~25mmの範囲のガラスシートの厚さは、家具、デバイス及び建築物用に適切であり得る。前記グレイジングが車両の窓用に適切であることを条件として、グレイジングの組成は本発明の目的に関して重要でない。
【0014】
ガラスは、所望の効果の作用として1つ以上の成分/着色剤を適切な量で含む、透明ガラス、超透明ガラス、マットガラス又は色ガラスであり得る。
【0015】
色ガラスの例としては、それらの組成次第で色調及び色合いを変更することによる、グリーンガラス、グレーガラス、ブルーガラスが含まれる。
【0016】
本発明の作用が損なわないことを条件として、ガラスシートは、独立して、アニールされ、熱処理され、強化され、化学強化される。ガラスの強化方法は既知であり、本明細書ではさらに説明されない。しかしながら、熱処理は、熱処理の種類及びガラスシートの厚さ次第で、約3、4、6、8、10、12又は15分間さえも、ガラスシートを空気中で少なくとも560℃、例えば560℃~700℃、特に約640℃~670℃の温度まで加熱することを含む。この処理は、衝撃時に、いわゆる強化ガラスシートが安全に小断片に分解するように、ガラスの表面とコアとの応力差を導入するために、加熱ステップの後に急速冷却ステップを含み得る。冷却ステップが強くない場合、ガラスは単に熱強化され、いずれにせよ、より良好な機械抵抗を提供する。
【0017】
それぞれのガラスシートは、内部及び外部表面を有する。本発明の範囲において、シートの内部表面は、接着剤中間層の方へ配向される表面である。シートの外部表面は、接着剤中間層から離れて配向される表面である。典型的に、2つのガラスシートの隣接する内部表面は、接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートによって一緒に接着される。
【0018】
いくつかの例において、接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートは、接着剤中間層材料の1つ以上の個々のサブシートを含み得る。それらの例において、サブシートを構成する接着剤中間層材料は、同一であっても、又は異なっていてもよい。
【0019】
接着剤中間層材料の例としては、ポリビニルブチル(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、イオノマー、シクロオレフィンのポリマー、イオノプラストポリマー、キャストインプレイス(CIP)液体樹脂が含まれる。
【0020】
接着剤中間層には、中でも、消音性、日射調整又は光吸収などの接着剤以上の強化された性能が提供され得る。そのようなさらなる特性は、それらが本発明を損なわないことを条件として追加され得る。
【0021】
接着剤中間層は、典型的に、0.30~1.2mmの範囲の厚さを有し、典型的な例は、0.38mm及び0.76mmである。
【0022】
第1及び第2の加熱回路は、少なくとも1つの導電性層、ナノチューブ、ナノワイヤネットワーク、金属格子、金属メッシュ、ワイヤー抵抗加熱回路、ミクロリソグラフィ導体、埋込ワイヤー回路などを含む多層コーティングから独立して選択され得る。
【0023】
第1の加熱回路
第1の加熱回路は、少なくとも1つの導電性層を含む多層コーティングであり得る。導電性層は、金属機能層又は導電性酸化物層、典型的にドープされた金属酸化物であり得る。
【0024】
そのような多層コーティングは、ISO9050:2003に従って測定した場合、典型的に透明フロートガラス上で60%より高い、或いは70%より高い光透過率を有する。フロントガラスとして使用される積層グレイジングの視野では、コーティングされたガラスの光透過率は、70%より高い、或いは75%より高い。
【0025】
本発明の範囲において、「下(below)」、「下(underneath)」、「下(under)」という用語は、基材から出発した層の配列の範囲内で多層コーティング中の次の層に対する層の相対的な位置を示す。本発明の範囲において、「上(above)」、「上(upper)」、「上(on top)」、「上(on)」という用語は、基材から出発した層の配列の範囲内で多層コーティング中の次の層に対する層の相対的な位置を示す。
【0026】
本発明の範囲において、多層コーティング内の層の相対的な位置が、直接接触を必ずしも示すわけではない。すなわち、第1及び第2の層の間に、いくつかの中間層が提供され得る。いくつかの例において、層は、いくつかの複数の個々の層(又は副層)から実際に構成され得る。いくつかの例において、相対的な位置は直接接触を示し得、明記される。
【0027】
多層コーティングは、nの金属機能層及びn+1の誘電体層を含み得、それぞれの金属機能層が誘電体層によって包囲されている。そのような多層コーティングにおいて、金属機能層は、赤外線反射層として知られ得る。赤外線反射特性を有するそのような多層コーティングは、日射調整コーティング又は低放射率コーティングとして役立ち得る。
【0028】
金属又は金属機能層又は赤外線反射層は、銀、金、パラジウム、白金又はそれらの合金から製造され得る。機能層は、2~22nm、或いは5~20nm、或いは8~18nmの厚さを有し得る。機能層の厚さ範囲は、多層コーティングの伝導率、放射率、抗日射機能及び光透過率に影響する。
【0029】
誘電体層は、典型的に、Zn、Sn、Ti、Zr、In、Al、Bi、Ta、Mg、Nb、Y、Ga、Sb、Mg、Si及びその混合物の酸化物、窒化物、オキシ窒化物又はオキシ炭化物を含み得る。これらの材料は最終的にドープされ得る。ドーパントの例としては、アルミニウム、ジルコニウム又はその混合物が含まれる。ドーパント又はドーパントの混合物は、15重量%までの量で存在し得る。誘電材料の典型的な例としては、限定されないが、ケイ素ベースの酸化物、ケイ素ベースの窒化物、酸化亜鉛、酸化スズ、混合亜鉛-スズ酸化物、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、窒化アルミニウム、酸化ビスマス、混合ケイ素-ジルコニウム窒化物及びその少なくとも2つの混合物、例えば、チタン-ジルコニウム酸化物が含まれる。
【0030】
コーティングは、少なくとも1つの機能層の下にシード層を含み得、及び/又はコーティングは、少なくとも1つの機能層の上にバリア層を含み得る。所与の機能層には、シード層、又はバリア層、又は両方が提供され得る。第1の機能層には、シード及びバリア層のいずれか一方又は両方が提供され得、そして第2の機能層には、シード及びバリア層のいずれか一方又は両方が提供され得る。これらの構造は互いに排除的でない。シード及び/又はバリア層は、0.1~35nm、或いは0.5~25nm、或いは0.5~15nm、或いは0.5~10nmの厚さを有し得る。
【0031】
コーティングは、少なくとも1つの機能層の上及びそれと接触して提供され、チタン、亜鉛、ニッケル、クロム及びその混合物を含む群から選択され得る、15nm未満、或いは9nm未満の厚さを有する犠牲材料の薄層も含み得る。
【0032】
コーティングは、その下のスタックを損傷から保護することが意図される、最後の層として、トップコート又はトップ層を任意選択的に含み得る。そのようなトップコートとしては、Ti、Zr、Si、Al又はその混合物の酸化物;Si、Al又はその混合物の窒化物;炭素ベースの層(例えば、グラファイト又はダイヤモンド様炭素)が含まれる。
【0033】
多層コーティングのさらなる例としては、少なくとも1つの銀層及び配列:基材/MeO/ZnO:AlSi/Ag/AlSi-MeO(式中、MeOは、SnO、TiO、In、Bi、ZrO、Ta、SiO若しくはAlなどの金属酸化物、又はその混合物である)を含む低放射率コーティングが含まれる。
【0034】
多層コーティングのさらなる例としては、
*第1、及びNiCrOを含む第2の層と接触し、それらの間に挟まれた赤外線(IR)反射層を含み、且つ
*前記赤外線(IR)反射層の付近の前記第2の層の第1の部分が、前記赤外線(IR)反射層から遠い前記第2の層の第2の部分よりも酸化されないように、NiCrOを含む少なくとも前記第2の層が酸化等級化される、コーティングが含まれる。
【0035】
多層コーティングの例としては、誘電体層と、誘電体層上に位置する酸化亜鉛を含む第1の層と、酸化亜鉛を含む第1の層上に位置し、且つそれと接触している銀を含む赤外線(IR)反射層と、IR反射層上に位置し、且つそれと接触しているNiCrの酸化物を含む層と、NiCrの酸化物を含む層上に位置し、且つそれと接触している酸化亜鉛を含む第2の層と、酸化亜鉛を含む第2の層上に位置する別の誘電体層とを含むコーティング、又は第1の誘電体層と、少なくとも第1の誘電体層上に位置する、銀を含む第1の赤外線(IR)反射層と、少なくとも第1のIR反射層及び第1の誘電体層上に位置する酸化亜鉛を含む第1の層と、酸化亜鉛を含む第1の層上に位置し、且つそれと接触している銀を含む第2のIR反射層と、第2のIR反射層上に位置し、且つそれと接触しているNiCrの酸化物を含む層と、NiCrの酸化物を含む層上に位置し、且つそれと接触している酸化亜鉛を含む第2の層と、少なくとも第2の層上に位置し、且つそれと接触している酸化亜鉛を含む別の誘電体層とを含むコーティングも含まれる。
【0036】
多層コーティングのさらなる適切な例としては、
・少なくともベース誘電体下層と、ベース誘電体上層とを含むベース誘電体層であって、ベース誘電体上層がベース誘電体下層とは異なる組成を有し、ベース誘電体上層が、酸化亜鉛、又はZn及び少なくとも1つの追加材料Xの混合酸化物のいずれか一方を含み、ベース誘電体上層中の重量比X/Znが0.02~0.5であり、且つXが、Sn、Al、Ga、In、Zr、Sb、Bi、Mg、Nb、Ta及びTiを含む群から選択される1つ以上の材料である、ベース誘電体層、
・銀、金、白金又はその混合物などの第1の赤外線反射層、
・第1のバリア層、
・少なくとも中央誘電体下層と、中央誘電体上層とを含む中央誘電体層であって、中央誘電体上層が中央誘電体下層とは異なる組成を有し、中央誘電体下層が第1のバリア層及び中央誘電体上層と直接接触し、中央誘電体上層が、酸化亜鉛、又はZn及び少なくとも1つの追加材料Yの混合酸化物のいずれか一方を含み、ベース誘電体上層中の重量比Y/Znが0.02~0.5であり、且つYが、Sn、Al、Ga、In、Zr、Sb、Bi、Mg、Nb、Ta及びTiを含む群から選択される1つ以上の材料である、中央誘電体層、
・銀、金、白金又はその混合物などの第2の赤外線反射層、
・第2のバリア層、
・トップ誘電体層
を含む日射調整コーティングが含まれる。
【0037】
適切な多層コーティングのなおさらなる例としては、
・少なくともベース誘電体下層と、ベース誘電体上層とを含むベース誘電体層であって、ベース誘電体上層がベース誘電体下層とは異なる組成を有し、ベース誘電体上層が、酸化亜鉛、又はZn及び少なくとも1つの追加材料Xの混合酸化物のいずれか一方を含み、ベース誘電体上層中の重量比X/Znが0.02~0.5であり、且つXが、Sn、Al、Ga、In、Zr、Sb、Bi、Mg、Nb、Ta及びTiを含む群から選択される1つ以上の材料である、ベース誘電体層、
・銀、金、白金又はその混合物などの第1の赤外線反射層、
・第1のバリア層、
・少なくとも第2の誘電体下層と、第2の誘電体上層とを含む第2の誘電体層であって、第2の誘電体上層が第2の誘電体下層とは異なる組成を有し、第2の誘電体下層が第1のバリア層及び第2の誘電体上層と直接接触し、第2の誘電体上層が、酸化亜鉛、又はZn及び少なくとも1つの追加材料Yの混合酸化物のいずれか一方を含み、第2の誘電体上層中の重量比Y/Znが0.02~0.5であり、且つYが、Sn、Al、Ga、In、Zr、Sb、Bi、Mg、Nb、Ta及びTiを含む群から選択される1つ以上の材料である、第2の誘電体層、
・銀、金、白金又はその混合物などの第2の赤外線反射層、
・第2のバリア層、
・少なくとも第3の誘電体下層と、第3の誘電体上層とを含む第3の誘電体層であって、第3の誘電体上層が第3の誘電体下層とは異なる組成を有し、第3の誘電体下層が第1のバリア層及び第3の誘電体上層と直接接触し、第3の誘電体上層が、酸化亜鉛、又はZn及び少なくとも1つの追加材料Yの混合酸化物のいずれか一方を含み、第3の誘電体上層中の重量比Y/Znが0.02~0.5であり、且つYが、Sn、Al、Ga、In、Zr、Sb、Bi、Mg、Nb、Ta及びTiを含む群から選択される1つ以上の材料である、第3の誘電体層、
・銀、金、白金又はその混合物などの第3の赤外線反射層、
・第3のバリア層、
・トップ誘電体層
を含む日射調整コーティングが含まれる。
【0038】
そのような多層コーティングにおいて、ベース誘電体上層は、第1の赤外線反射層と直接接触し得る。中央誘電体上層は、第2の赤外線反射層と直接接触し得る。ベース誘電体層及び中央、第1及び第2の誘電体層の上層は、独立して、約3~20nmの範囲内の幾何学的厚さを有し得る。追加材料X及びYの一方又は両方がSn及び/又はAlであり得る。ベース誘電体上層を形成する及び/又は中心誘電体上層を形成する混合酸化物中のZnの割合は、重量比X/Zn及び/又は重量比Y/Znが約0.03~0.3であるようなものであり得る。第1及び/又は第2及び/又は第3のバリア層は、Tiを含む及び/又はTiの酸化物を含む層であり得、それらはそれぞれ独立して、0.5~7nmの幾何学的厚さを有し得る。ベース誘電体上層及び/又は中央及び/又は第2及び/又は第3の誘電体上層は、独立して、<20nm、或いは<15nm、或いは<13nm、或いは<11nm、及び>3nm、或いは>5nm、或いは>10nmの幾何学的厚さを有し得る。赤外線反射層は、それぞれ独立して、2~22nm、或いは5~20nm、或いは8~18nmの厚さを有し得る。トップ誘電体層は、Zn及び少なくとも1つの追加材料Wの混合酸化物を含み、層中の重量比W/Znが0.02~2.0であり、且つWが、Sn、Al、Ga、In、Zr、Sb、Bi、Mg、Nb、Ta及びTiを含む群から選択される1つ以上の材料である、少なくとも1つの層を含み得る。
【0039】
そのような日射調整コーティングの具体例を以下の表に示す。表中、ZnSnOxは、酸素の存在下で、Zn及びSnの合金又は混合物である標的を反応スパッタリングすることによって堆積したZn及びSnを含有する混合酸化物である。或いは、混合酸化物層は、特にアルゴンガス又はアルゴンリッチ酸素含有雰囲気中で、酸化亜鉛及び追加材料の酸化物の混合物である標的をスパッタリングすることによって形成されてもよい。
【0040】
Tiバリアは、完全には酸化されないバリアを堆積するために、アルゴンリッチ酸素含有雰囲気中にあるTi標的をスパッタリングすることによって堆積される。ベース、中央及びトップZnSnO誘電体層のそれぞれにおける酸化状態は、必ず同一である必要はない。同様に、Tiバリアのそれぞれにおける酸化状態は、同一である必要はない。それぞれの上位バリアは、その上位ZnSnO酸化物層のスパッタリング堆積の間に、その下位銀層を酸化から保護する。これらのバリア層のさらなる酸化は、それらの上位酸化物層の堆積の間に生じ得るが、これらのバリアの一部分は金属形態、又はグレイジングパネルのその後の熱処理のために、及びそれの間にバリアを提供するために完全には酸化していない酸化物の形態で残り得る。
【0041】
最適日射調整コーティングは、以下の連続層:
・ベース誘電体下層と、ベース誘電体上層とを含むベース誘電体層であって、ベース誘電体上層がベース誘電体下層とは異なる組成を有する、ベース誘電体層、
・0.5~2の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含むベース誘電体下層、
・0.02~0.5の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含むベース誘電体上層、
・金属銀を含む第1の赤外線反射層、
・第1のバリア層、
・中央誘電体下層と、中央誘電体上層とを含む中央誘電体層であって、中央誘電体上層が中央誘電体下層とは異なる組成を有し、中央誘電体下層が第1のバリア層と直接接触し、且つ0.5~2の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含む、中央誘電体層、
・0.02~0.5の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含む中央誘電体上層、
・金属銀を含む第2の赤外線反射層、
・第2のバリア層、
・トップ誘電体層
を含み得る。
【0042】
本発明によるさらなる最適日射調整コーティングは、以下の連続層:
・ベース誘電体下層と、ベース誘電体上層とを含むベース誘電体層であって、ベース誘電体上層がベース誘電体下層とは異なる組成を有する、ベース誘電体層、
・0.5~2の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含むベース誘電体下層、
・0.02~0.5の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含むベース誘電体上層、
・金属銀を含む第1の赤外線反射層、
・第1のバリア層、
・第2の誘電体下層と、第2の誘電体上層とを含む第2の誘電体層であって、第2の誘電体上層が第2の誘電体下層とは異なる組成を有し、第2の誘電体下層が第1のバリア層と直接接触し、且つ0.5~2の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含む、第2の誘電体層、
・0.02~0.5の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含む第2の誘電体上層、
・金属銀を含む第2の赤外線反射層、
・第2のバリア層、
・第3の誘電体下層と、第3の誘電体上層とを含む第3の誘電体層であって、第3の誘電体上層が第3の誘電体下層とは異なる組成を有し、第3の誘電体下層が第2のバリア層と直接接触し、且つ0.5~2の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含む、第3の誘電体層、
・0.02~0.5の範囲の重量比Sn/Znを有するZn及びSnの混合酸化物を含む第3の誘電体上層、
・金属銀を含む第3の赤外線反射層、
・第3のバリア層、
・トップ誘電体層
を含み得る。
【0043】
少なくとも1層の導電性酸化物を含む多層コーティングは、日射保護、光透過性、電気伝導性、低放射性などの利点をもたらすために、これらの導電性酸化物を含む。金属酸化物の例は、酸化インジウム、酸化亜鉛又はその混合物であって、任意選択的にフッ素、アンチモン、アルミニウム、ガリウム又はハフニウムによってドープされたものの少なくとも1つを含む。
【0044】
そのような多層コーティングは、交互の配列で、より高いか又はより低い屈折率(n)の材料を含み得る。例えば、多層コーティングは、n<1.8を有する材料の層、n>1.8を有する材料の層、n<1.8を有する材料の層、及びn>1.8を有する材料の層の上又は下に導電性層を有し得る。
【0045】
多層コーティングの別の例は、n>1.8を有する材料の層、n<1.8を有する材料の層、n<1.8を有する材料の第2の層、及びn<1.8を有する材料の層の間の導電性層を有し得る。透明導電性酸化物の例としては、SnO:F、SnO:Sb又はITO(酸化インジウムスズ)、ZnO:Al、ZnO:Ga、ZnO:Hfが含まれる。
【0046】
多層コーティングのさらなる例は、n層の銀、及びn+1層の酸化インジウムを有するもの;n層の銀、及びn+1層の混合亜鉛-スズ酸化物、及びガリウム、インジウム及びスズの混合酸化物のトップコートを有するもの;n層の銀、及び酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、酸化スズ、酸化ニオブから選択される誘電体のn+1層を有するもの;基材と直接接触する窒化ケイ素のベース層を有するもの;窒化ケイ素又はオキシ窒化ケイ素のトップ層を有するものが含まれる。
【0047】
基材上の多層コーティングの典型的な堆積方法には、CVD、PECVD、PVD、導電管スパッタリング、湿式コーティングなどが含まれる。種々の技術を使用して、種々の多層コーティングの層が堆積され得る。
【0048】
基材の例には、ガラス、PVC、アクリル、ポリスチレン、発泡ポリスチレン(エアロボード)、人工ゴム、ポリオレフィン、ナイロン、ポリマー基材が含まれる。適切なポリマー基材は、80%より高い可視光透過率を有し、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラル(PVB)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)及びアセチルセルロイドが含まれる。本ポリマー基材は、接着剤中間層とは異なる。好ましい基材としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル(EVA)が含まれる。
【0049】
多層コーティングは、典型的にガラス上に堆積された熱処理可能なコーティングであり得る。コーティングされたガラスシートの熱処理は、上記のものと同一であり得る。いくつかの例において、多層コーティングは熱処理可能である必要はない。
【0050】
多層コーティングは、ガラス上で0.5~15オーム/スクエアのシート抵抗を有し得る。
【0051】
多層コーティングがnの金属機能層及びn+1の誘電体層を含む場合、それぞれの金属機能層は誘電層によって包囲され、多層コーティングは、ガラス上で0.5~8オーム/スクエア、或いは0.5~6オーム/スクエア、或いは0.5~4オーム/スクエア、或いは0.5~2.5オーム/スクエアのシート抵抗を有し得る。
【0052】
多層コーティングが少なくとも1層の導電性酸化物を含む場合、多層コーティングは、ガラス上で10~15オーム/スクエア、或いは11~14オーム/スクエア、或いは12~14オーム/スクエアのシート抵抗を有し得る。
【0053】
第2の加熱回路
第2の加熱回路は、金属メッシュであり得る。そのような金属メッシュは、ミクロメッシュ、金属網、金属格子、ナノワイヤ、金属箔などとしても記載され得る。
【0054】
金属メッシュの金属は、銀、金、パラジウム、白金、銅、アルミニウム、タングステン又はそれらの合金であり得る。金属メッシュは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)又はグラフェンのような導電性ポリマーなどの一次金属とともに使用される添加剤材料によって補足されてもよい。
【0055】
本発明の範囲において、金属メッシュは、線及び交差を有し、2つの隣接した交差の間の距離が、0.1~500μm、或いは0.1~400μm、或いは0.1~350μmで変動し得るパターンによって特徴づけられ得る。2つの隣接した交差の間の最大距離は100~500μmの範囲であり得るが、交差の間の最短距離は、0.1~100μm、或いは0.1~70μmの範囲であり得る。そのようなより短い距離によって、0.1~5μmの範囲の導電路を有する金属メッシュを提供することが可能である。
【0056】
金属メッシュは、1~800nm、或いは1~500nm、或いは5~500nmの範囲の厚さを有し得る。典型的な厚さとしては、55nm、100nm、200nmが含まれる。したがって、本金属メッシュの厚さは<1μmであり、そのため、高い透明性が可能であり、且つヒトの眼によってわずかに認識可能である。
【0057】
金属メッシュのパターンは、組織化されていても、又は組織化されていなくてもよい。組織化されたパターンとしては、Voronoi又はDelaunayパターンが含まれる。自己組織化パターンとしては、予測され得るパターン、又は予測され得ないパターンが含まれ、動物皮革パターン又はフラクタルのような物理的又は生物学的システムで見られる種々の空間パターンが含まれる。
【0058】
金属メッシュは、>70%、或いは>80%、或いは>90%の(550nmの波長における)ガラス上での光透過率によって特徴づけられ得る。前記光透過率は、金属メッシュの厚さから独立している。金属メッシュの曇りは、<10%、或いは<5%、或いは<1%であり得る。
【0059】
ガラス上の光透過率(Tv)は、方法ISO9050に従って、(2°の角度において)発光物Aを使用して測定され得る。
【0060】
金属メッシュは、その厚さ及び組成に依存するシート抵抗によってさらに特徴づけられ得る。例えば、金属メッシュは、個々の金属の種類に関して、100nmの厚さで7~100オーム/スクエアのシート抵抗を有し得るが、300nmの厚さでは0.5~10まで低下した。例えば、銀の金属メッシュは、55nmの厚さの10オーム/スクエアのシート抵抗を有し、200nmの厚さで2.7オーム/スクエアまで低下する。したがって、他の金属も、それらの厚さに応じて異なるシート抵抗を有し、厚さが薄いほどシート抵抗が高く、したがって、金属メッシュ厚さを増加させると、シート抵抗は低下する。そのような金属メッシュの最小シート抵抗は、300nmの厚さに関して0.5~10オーム/スクエアの範囲であり得る。
【0061】
シート抵抗測定は、層と接触するピンを有さないStratometer Gを使用して、帰納的測定を使用して実行され得る(Nagy Instruments, Germany)。
【0062】
シート抵抗測定のための別の方法は、測定される材料の平面上に4つの鋭利なプローブ(通常亜鉛コーティングされた先端を有する)を配置し、2つの外部電極を通して電流を通過させ、内部対を通して測定される場合は浮遊電位がある、4-プローブ試験方法である。
【0063】
金属メッシュは、その厚さが1μm未満であるにもかかわらず、効率的な伝導率を可能にする。
【0064】
金属メッシュは、リソグラフィー、直接印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷、シートツーシート(sheet to sheet)印刷、グラビアオフセット技術、フレキソ印刷、ローラーコーティング、スプレー、カーテンコーティング、デカール塗布、ロールツーロール(roll to roll)印刷、クラッキング又は他のいずれの既知の方法などの種々の方法によって調製され得る。
【0065】
金属メッシュは、典型的にポリマーテンプレートからのクラッキングによって調製され得る。そのような金属メッシュの調製プロセスは、
1)基材上でコロイド状ポリマー懸濁液を適用するステップと
2)前記コロイド状懸濁液を乾燥させることによってクラック層を調製するステップと
2)クラック層上で金属を堆積させるステップと
3)乾燥クラック層を洗浄除去するステップと
4)金属メッシュを得るステップと
を含む。
【0066】
コロイド状懸濁液の例としては、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(エチルアクリレート)(PEA)、ポリ(ブチルアクリレート)(PBA)、ポリ(アリルメタクリレート)(PAMA)、ポリ(2-エトキシエチルメタクリレート)、ポリ(塩化アリル)、ポリウレタン、エポキシ、ポリアクリルアミド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチルメタクリレート-co-メチルアクリレート)、ポリ-α-メチルスチレン及びポリ(メチルメタクリレート-co-ブチルメタクリレート)、シリカナノ粒子又はその混合物の懸濁液が含まれる。本金属メッシュを得るために有用な典型的なコロイド状懸濁液は、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(エチルアクリレート)(PEA)、ポリ(ブチルアクリレート)(PBA)、ポリ(アリルメタクリレート)(PAMA)、ポリ(2-エトキシエチルメタクリレート)を含む(メタ)アクリルベース材料から得られるものである。
【0067】
基材の例には、ガラス、PVC、アクリル、ポリスチレン、発泡ポリスチレン(エアロボード)、人工ゴム、ポリオレフィン、ナイロン、ポリマー基材が含まれる。適切なポリマー基材は、80%より高い可視光透過率を有し、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラル(PVB)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)及びアセチルセルロイドが含まれる。本ポリマー基材は、接着剤中間層とは異なる。
【0068】
金属メッシュのための基材の典型的な例としては、ガラス及びポリマー基材、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラル(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)などが含まれる。ポリエチレンフィルムの金属メッシュの(550nmの波長における)光透過率は、>70%、或いは>75%であり得る。好ましい基材としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル(EVA)が含まれる。
【0069】
ポリマー基材は、第1の表面、及び第1の表面の反対側の第2の表面を有する。
【0070】
ポリマー基材の厚さは、12.5~500μm、或いは30~150μm、或いは40μm~80μmの範囲であり得る。
【0071】
コロイド状懸濁液の乾燥は、15~100℃、或いは15~70℃、或いは15~30℃の範囲の温度で実行され得る。乾燥は、金属網を調製するためのテンプレートとしてのポリマー層の自然発生的なクラッキングを典型的に誘導する。
【0072】
クラック層上での金属の堆積は、化学蒸着(CVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、物理的蒸着(PVD)、導電管スパッタリング、真空蒸発、湿式コーティング、印刷、スプレーなどを含む、いずれかの既知の堆積技術によって実行され得る。適切な方法の例は、化学蒸着、導電管スパッタリング、真空蒸発を含む。
【0073】
乾燥クラックポリマーの洗浄除去は、選択されたポリマーを溶解することが可能ないずれかの溶媒を使用して実行され得る。溶媒の例としては、アセトン、ベンゼン、クロロホルム、水、メチルエチルケトン、ブチルヒドロキシトルエン、キシレン、テトラリン、デカリンが含まれる。乾燥クラックポリマーの除去は、超音波などの物理的手段によっても実行され得る。
【0074】
得られた金属メッシュは、ポリマークラック内で高度に相互連結した金属線の形態であり、1~4μmの構造的幅を有し、>20%のフィルファクターによって特徴づけられ得る。任意の(arbitrary)自己組織化構造は、Moireパターンの排除を可能にする。
【0075】
プロセスは、ロールツーロール印刷によって実行され得る。
【0076】
したがって、第2の加熱回路の金属メッシュは、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
のいずれか1つによって特徴づけられ得る。
【0077】
これらのパラメーターのそれぞれによって、積層グレイジングの表面上に効率的且つ均質な透明ウェブ分布を有する、金属メッシュの形態の第2の加熱回路を提供することが可能である。したがって、そのような金属メッシュはヒトの眼には透明であり、すなわち、ヒトの眼によって実質的に感知不可であり、積層グレイジングを通して明瞭な視界が可能となる。そのような金属メッシュの透明性のため、積層グレイジングのいずれか、又は全ての表示領域上での配置が可能であり、すなわち、第2の加熱回路の存在は、積層グレイジングのエナメル又はペイント領域でマスクされるか又は隠される必要がない。
【0078】
さらにまた、本金属メッシュの形態のそのような第2の加熱回路の構造は、積層グレイジング領域におけるその均質な分配によって、局所的領域における過熱を防止する。
【0079】
狭い導電路又はシート抵抗は、金属メッシュの伝導率効率を独立して暗示する。
【0080】
或いは、いくつかの例において、第2の加熱回路の金属メッシュは、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
の2つ以上によって特徴づけられ得る。
【0081】
例えば、金属メッシュは、0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び0.1~5μmの範囲の導電路;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路;又は1~800nmの範囲の厚さ、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は1~800nmの範囲の厚さ、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は0.1~5μmの範囲の導電路、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~5μmの範囲の導電路、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、及び300nmの厚さ又は他の任意の可能な組み合わせに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲によって特徴づけられ得る。
【0082】
1μm未満の厚さを有する金属メッシュによって、優れた伝導率と一緒に、明瞭な視界、加熱の均質な分配、積層グレイジングの局所的領域における過熱の防止が可能となる。
【0083】
実施形態
したがって、本積層グレイジングは、
-それぞれが内部及び外部表面を有する、第1及び第2のガラスシートと、
-前記第1のガラスシートの内部表面と前記第2のガラスシートの内部表面を結合するために役立つ接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと、
-積層グレイジングの少なくとも第1の部分を加熱するように構成されている第1の加熱回路と、
-積層グレイジングの少なくとも第2の部分を加熱するように構成されている第2の加熱回路
を含み、第1及び第2の部分は、積層グレイジング全体表面の重複領域で少なくとも部分的に重複する。
【0084】
本発明の範囲内に含まれる積層グレイジングの種々の構成が存在し、それは種々のガラスシート、接着剤中間層の少なくとも1つのシート、並びに第1及び第2の熱回路を組み立てることを含み、第1及び第2の加熱回路によって被覆された積層グレイジングの部分は、少なくとも部分的に重複する。
【0085】
本発明の範囲において、「上に存在する」という用語は、その基材に対する加熱回路の相対的な位置が必ずしも直接接触を暗示するというわけではないことを示す。しかしながら、典型的な例において、「上に存在する」という用語は、直接接触を暗示する。
【0086】
第1の構成において、第1の加熱回路は、第1又は第2のガラスシート(P2又はP3)の少なくとも一方の内部表面の少なくとも第1の部分上に存在し、そして第2の加熱回路は、同一ガラスシートの少なくとも第2の部分上に存在し、第1及び第2の部分は少なくとも部分的に重複し得る。第1の加熱回路は、ガラス基材上で最初に堆積され得、そして第2の加熱回路は、同一ガラス基材上で第2ステップにおいて堆積され得るか、又は第2の加熱回路は、ガラス基材上で最初に堆積され得、そして第1の加熱回路は、同一ガラス基材上で第2ステップにおいて堆積され得る。すなわち、重複の部分において、第2の加熱回路が第1の加熱回路上に位置し得るか、又は第1の加熱回路が第2の加熱回路上に位置し得る。いくつかの例では、第1及び第2の加熱回路の間に接触があり、他の例では、それらの間には接触がなくてもよいが、それらのそれぞれの被覆部分が重複部分において物理的に重複する。
【0087】
そのような第1の構成において、第1のガラスシート及び第2のガラスシートは、積層グレイジングを提供するために少なくとも1つの接着剤中間層材料によって組み立てられる。
【0088】
第2の構成において、第1の加熱回路は、第1のガラスシート(P2又はP3)の内部表面の少なくとも第1の部分上に存在し、そして第2の加熱回路は、第2のガラスシート(P2又はP3)の内部表面の少なくとも第2の部分上に存在し、第1のガラスシート及び第2のガラスシートが、積層グレイジングを提供するために少なくとも1つの接着剤中間層材料によって組み立てられる場合、第1及び第2の部分は少なくとも部分的に重複し得る。
【0089】
第3の構成において、第1の加熱回路は、第1又は第2のガラスシート(P2又はP3)の少なくとも一方の内部表面の少なくとも第1の部分上に存在し、そして第2の加熱回路は、上記のものなどのポリマー基材の第1又は第2の表面の一方の少なくとも一部分上に存在する。したがって、ポリマー基材は、その表面の一方の少なくとも一部分上に第2の加熱回路が提供され、コーティングされたポリマー基材CS3として記載され得る。前記コーティングされたポリマー基材CS3は、接着剤中間層材料の2つのシート間で組み立てられ得、そして複数シート接着剤中間層材料を形成し得る。
【0090】
そのような第3の構成において、第1のガラスシート及び第2のガラスシートは、(ガラスシート上の)第1の部分及び(コーティングされたポリマー基材CS3上の)第2の部分が少なくとも部分的に重複するように、積層グレイジングを提供するために少なくとも複数のシート接着剤中間層材料によって組み立てられる。
【0091】
そのような第3の構成において、第2の加熱回路は第1のガラスシートに面し得るか、又は第2のガラスシートに面し得る。そのような構成において、(P2又はP3上の)第1又は第2のガラスシートの少なくとも一方の内部表面上の第1の加熱回路は、(それぞれ、P2’又はP3’上の)コーティングされたポリマー基材CS3上に存在する第2の加熱回路に面し得る(構成3a)か、或いは(それぞれ、P’又はP2’上の)それに面していなくてもよい(構成3b)。
【0092】
第4の構成において、第1の加熱回路は、上記されたものなどのポリマー基材の第1の表面の少なくとも一部分上に存在し、そして第2の加熱回路は、上記されたものと同一のポリマー基材の第2の表面の少なくとも一部分上に存在する。したがって、ポリマー基材は、第1及び第2の部分が少なくとも部分的に重複するように、その反対表面上で第1及び第2の加熱回路が提供され、コーティングされたポリマー基材CS4として記載され得る。前記コーティングされたポリマー基材CS4は、接着剤中間層材料の2つのシート間で組み立てられ得、そして複数シート接着剤中間層材料を形成し得る。
【0093】
そのような第4の構成において、第1のガラスシート及び第2のガラスシートは、積層グレイジングを提供するために少なくとも複数のシート接着剤中間層材料によって組み立てられ、第1の部分及び第2の部分は少なくとも部分的に重複する。
【0094】
そのような第4の構成において、コーティングされたポリマー基材CS4は、第1の加熱回路が第1のガラスシート又は第2のガラスシートの方に配向して、したがって、第2の加熱回路が第2のガラスシート又は第1のガラスシートの方に配向するように配置され得る。
【0095】
第5の構成において、第1の加熱回路は、上記されたものなどのポリマー基材の第1の表面の少なくとも一部分上に存在し、そして第2の加熱回路は、上記されたものと同一のポリマー基材の同一表面の少なくとも一部分上に存在する。したがって、ポリマー基材は、第1及び第2の部分が少なくとも部分的に重複するように、同一表面上で第1及び第2の加熱回路が提供され、コーティングされたポリマー基材CS5として記載され得る。第1の加熱回路が、ポリマー基材上で最初に堆積され得、そして第2の加熱回路が、ポリマー基材の同一表面上で第2ステップにおいて堆積され得るか、又は第2の加熱回路が最初に堆積され得、そして第1の加熱回路が第2ステップにおいて堆積され得る。すなわち、重複の部分において、第2の加熱回路が第1の加熱回路上に位置し得るか、又は第1の加熱回路が第2の加熱回路上に位置し得る。いくつかの例では、第1及び第2の加熱回路の間に接触があり、他の例では、それらの間には接触がなくてもよいが、それらのそれぞれの被覆部分が重複部分において物理的に重複する。前記コーティングされたポリマー基材CS5は、接着剤中間層材料の2つのシート間で組み立てられ得、そして複数シート接着剤中間層材料を形成し得る。
【0096】
そのような第5の構成において、第1のガラスシート及び第2のガラスシートは、積層グレイジングを提供するために少なくとも複数のシート接着剤中間層材料によって組み立てられ、第1の部分及び第2の部分は少なくとも部分的に重複する。
【0097】
そのような第5の構成において、コーティングされたポリマー基材CS5は、コーティングされた表面が外部ガラスシート又は内部ガラスシートの方に配向するように配置され得る。
【0098】
そのような第5の構成によって、製造コスト減少がもたらされる。
【0099】
これらの種々の構成において、第1及び第2の加熱回路は同一であっても、又は異なっていてもよい。典型的に、第1の加熱回路は多層コーティングであり得、そして第2の加熱回路は、上記の通りに調製された金属メッシュであり得る。これらの種々の構成において、第1の加熱回路は、好ましくは、nの金属機能層及びn+1の誘電体層を含み、それぞれの金属機能層が誘電体層nによって包囲されている多層コーティング、又は導電性酸化物の少なくとも1つの層を含む多層コーティングである。これらの種々の構成において、第2の加熱回路は、好ましくは、上記の通りに特徴づけられる金属メッシュである。
【0100】
しかしながら、いくつかの例において、第1及び第2の加熱回路は両方とも上記の通りに調製された、同一の又は異なる金属メッシュであると想定され得る。それらの例において、第1及び第2のガラスシートの部分には、それぞれ同一又は異なる金属メッシュが提供され得るか、又はポリマー基材の部分には、それぞれ同一又は異なる金属メッシュが提供され得るが、ただし、前記部分は少なくとも部分的に重複していることを条件とする。
【0101】
本発明の範囲において、積層グレイジングが組み立てられる時、第1及び第2の加熱回路は、積層グレイジング全体表面の重複領域において少なくとも部分的に重複する。すなわち、積層グレイジングの少なくとも一部分では、ガラス及び接着剤中間層材料の層、並びに周囲及び/又は中間の任意選択的なポリマー基材と重ね合わさった位置において第1及び第2の加熱回路の両方が提供される。
【0102】
重複領域は、
-積層グレイジング全体表面の10%未満の積層グレイジングの小範囲領域、又は
-積層グレイジング全体表面の10~50%を表す中サイズ領域、又は
-積層グレイジング全体表面の51~90%を表す大サイズ領域
のいずれか1つによる積層グレイジング全体の表面パーセントを表す。
【0103】
全体重複領域は、単一領域、又は複数の区分及び領域であり得る。重複領域のサイズは、積層グレイジングの最終使用を考慮して変更される。
【0104】
それぞれが高い透明性を有する、この2つの加熱回路の組み合わせによって、重複領域を積層グレイジングの透明な表示領域とすることが可能である。そのような透明な表示領域は、車両フロントガラス又は窓として使用される積層グレイジングに関して典型的に必要とされる。
【0105】
したがって、第1及び第2の加熱回路が透明であるため、それらを積層グレイジングの一部又は全部の表示領域上に配置してもよい。上記の通り、第2の加熱回路の存在は、第2の加熱回路の存在は、積層グレイジングのエナメル又はペイント領域でマスクされるか又は隠される必要がない。
【0106】
いくつかの例では、絶縁領域が、積層グレイジング範囲内に設計され得るか、積層グレイジングの全体表面内に設計され得るか、又は重複領域において設計され得る。これは、第1及び/又は第2の加熱回路のいずれも絶縁領域中に存在しないことを意味する。1つ以上の絶縁領域は、電圧が適用された時に電流がその中を実質的に流れない、したがって、実質的に導電性であり得ないように電気抵抗を有し得る。
【0107】
1つ以上の絶縁領域は、第1及び/又は第2の加熱回路を堆積させて、その後、前記加熱回路によって被覆されたマスキング剤を除去する前に、パターン状にマスキング剤を基材に適用することによって提供され得る。或いは、1つ以上の絶縁領域は、堆積後に第1及び/又は第2の加熱回路の除去によって提供され得る。
【0108】
そのような絶縁領域は、特定の電磁波又は信号が積層グレイジングを通過して、第1及び/又は第2の加熱回路のいずれか一方によって損なわれない必要がある例において有用であり得る。
【0109】
さらにまた、絶縁領域を透過するそのような電磁波は、第1及び/又は第2の加熱回路のいずれか一方の部分的マスキング又は部分的除去によっても得られ得る。
【0110】
第1及び第2の加熱回路は積層グレイジングの内部に配列されて、したがって、外部及び内部ガラス枠によって、例えば腐食から、機械的に、並びに化学的に保護される。
【0111】
全ての構成において、トリプルグレイジング、耐火性グレイジング又は安全性グレイジングなどの3つ以上のガラスシートを有する積層グレイジングを提供するために、積層グレイジングが、少なくとも1つの追加的なガラスシート、及び少なくとも1つの追加的な中間層材料のシートをさらに含むことが想定され得る。そのような場合、追加的なガラスシート及び接着剤中間層は、本発明の積層グレイジングの両側に配置される。
【0112】
いくつかの例において、3つ以上のガラスシートを有する複数の積層グレイジングを提供するために、内部及び外部ガラスシートの間に配置される、さらなるガラスシート及び/又は接着剤中間層材料を加えることが想定され得る。そのような構成において、第1又は第2の加熱回路は、接着剤中間層の範囲内で、積層グレイジングの範囲内に位置し得、そして第2又は第1の加熱回路は、2つのガラスシートを結合する接着剤中間層の範囲内ではないが、第3のガラスシートに積層グレイジングを結合する接着剤中間層の間で、積層グレイジングの外側に適用され得、前記第3のガラスシートは、例えば、0.1~1.8mmの厚さを有するガラスから構成され得る。
【0113】
全ての構成において、積層グレイジングがその機能に関して適切なままであることを条件として、積層グレイジングが、光触媒コーティング、反射防止コーティングなどの第1又は第2の加熱回路のいずれも有さない異なるガラスシートの少なくとも1つの表面上で少なくとも1つの他の多層コーティングスタックをさらに含むことが想定され得る。前記「他」の多層コーティングは、上記の第1の加熱回路として有用である多層コーティング同一の又は異なる構造の層を有し得る。
【0114】
全ての構成において、上記の通り、積層グレイジングの少なくとも1枚のガラスが熱処理されることが想定され得る。
【0115】
上記の構成において、ガラスシートは、曲ガラス又は成形ガラスを提供するために、曲げ型の熱処理を個々に受けてもよい。曲げプロセスは当該技術分野において既知であり、本明細書では説明されない。
【0116】
積層プロセスは当該技術分野において既知であり、本明細書では説明されない。
【0117】
積層グレイジングは、積層グレイジングを加熱するために必要とされる電力供給に提供するための母線及び必要な手段をさらに含み得る。第1及び第2の加熱回路は、互いに接触している必要はないが、電力供給はそれらの機能が損なわれないように適応される。本積層グレイジングの機能が損なわれないように、電気絶縁のための手段が提供及び適応されてもよい。
【0118】
本発明のさらなる態様は、
1)
-それぞれが内部及び外部表面を有する、第1及び第2のガラスシートと、
-前記第1のガラスシートの内部表面と前記第2のガラスシートの内部表面を結合するために役立つ接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと、
-積層グレイジングの少なくとも第1の部分を加熱するように構成されている第1の加熱回路と、
-積層グレイジングの少なくとも第2の部分を加熱するように構成されている第2の加熱回路
を提供するステップと、
2)第1及び第2のガラスシートを、接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと積層するステップと
を含み、第1及び第2の部分が、積層グレイジング全体表面の重複領域で少なくとも部分的に重複する、本発明による積層グレイジングの製造方法を含む。
【0119】
第1の加熱回路が多層コーティングである場合、それは、CVD、PECVD、PVD、導電管スパッタリング、湿式コーティングを含む、基材上の多層コーティングの典型的な堆積方法によって提供され得る。
【0120】
第2の加熱回路が金属メッシュである場合、それは、
1)基材上でコロイド状ポリマー懸濁液を適用するステップと
2)前記コロイド状懸濁液を乾燥させることによってクラック層を調製するステップと
2)クラック層上で金属を堆積させるステップと
3)乾燥クラック層を洗浄除去するステップと
4)金属メッシュを得るステップと
を含む上記金属メッシュ調製プロセスによって提供され得る。
【0121】
本プロセスは、上記の通り、ヒトの眼では感知不可能な、導電性であり、信頼性が高い金属メッシュの効率的且つ確固たる調製を可能にする。
【0122】
本発明は、陸上、空中、又は水上移動のための輸送手段、特に自動車のための加熱可能グレイジングとしての本積層グレイジングの使用を提供する。そのような加熱可能な車両グレイジングとしては、フロントガラス、リアウインドウ、サイドウインドウ、サンルーフ、パノラマルーフ又は車両若しくは輸送手段において有用な他のいずれかの窓が含まれる。
【0123】
本発明による積層グレイジングは、電気エネルギーの変換によって駆動される自動車、特に電気自動車の自動車窓として使用され得る。電気エネルギーは、蓄電池、充電式電池、燃料電池又は内部燃焼機関駆動発電器から誘導される。
【0124】
本発明による積層グレイジングは、電気エネルギーの変換の他に別のエネルギー形態の変換によって駆動されるハイブリッド電気モーター車両の自動車窓として使用され得る。他のエネルギー形態は、好ましくは、内部燃焼機関、特にディーゼルエンジンである。
【0125】
本発明による積層グレイジングは、機能的な個々の断片として、建築上の応用、構造上の応用におけるビルトイン部品として、家具若しくはデバイスのビルトイン成分として、例えば電気ヒーターとしても使用され得る。
【0126】
典型的に、電気伝導性コーティングを有する従来のヒーターは、12V~14VのDC電圧、又はより高い熱出力が必要とされる場合、最高42VまでのDC電圧を用いて、慣習的な搭載電圧によって運転され得る。75Vより高い(最高450Vまでの)DC電圧に関して、安全性予防措置が含まれる必要がある。AC電圧を用いて運転されるヒーターに関して、安全性予防措置は、25Vより高い(最高450Vまでの)AC電圧から含まれる必要がある。
【0127】
典型的に、シート抵抗は、入手可能な電圧及び必要な熱出力次第で、0.5オーム/スクエア~5オーム/スクエアの範囲であり得る。これらの条件下で、冬季、氷結したフロントガラスの氷を5~10分で取り除くことができる。
【0128】
第1及び第2の加熱回路が提供される本積層グレイジングの構造は、互いに独立して、前記加熱回路のそれぞれの独立した制御を可能にする。したがって、各加熱回路は、互いに独立して電力が供給されてもよく、調節され得、需要に応じて加熱機能が提供され得る。2つの加熱回路は、同時に、電力が供給されてもよく、調節され得る。したがって、積層グレイジングの第1及び第2の部分は独立して加熱され得、そして重複領域においては、積層グレイジングは、第1及び第2の両方の加熱回路の加熱力から利益を得てもよい。
【0129】
そのような適応は、バッテリー中に残る電力の量を管理するために有用であり、そして電流分布が最も適切である場所及び時間が可能となる。すなわち、電力供給の加熱及び他の機能に関する電力消費の選択は、最も必要とされるように割り当てられ得る。例えば、冬季の脱氷時に、第1及び第2の両方の加熱回路は、車両の点火時に、それらの加熱機能に関し得る。脱氷が終了したら、軽度の量の加熱が必要とされ、第1又は第2の加熱回路の1つのみに電力が供給され得、調節され得る。したがって、最初に必要とされるエネルギーは、次いで節約され得るか、又は別の機能に割り当てられ得る。他の状況においては、第1又は第2の加熱回路のいずれか一方が故障した場合に、他方が、まだ独立して機能し得、積層グレイジングの安全な機能を確実にし得る。
【0130】
典型的な状況において、3層以上の銀層を含む多層コーティングに関して、ガラス上又はポリマー基材上の多層コーティングは、0.5~1.0オーム/スクエアの範囲のシート抵抗を有し得る。3以上の銀層を含むそのような多層コーティングは、特にそれらの日射調整特性のため有益である。他の典型的な状況において、2層の銀層を含む多層コーティングに関して、ガラス上又はポリマー基材上の多層コーティングは、2.0~3.0オーム/スクエアの範囲のシート抵抗を有し得る。他の典型的な状況において、1層の銀層を含む多層コーティングに関して、ガラス上又はポリマー基材上の多層コーティングは、4.0~6.0オーム/スクエアの範囲のシート抵抗を有し得る。他の典型的な状況において、導電性酸化物機能層を含む多層コーティングに関して、ガラス上又はポリマー基材上の多層コーティングは、11.0~15.0オーム/スクエアの範囲のシート抵抗を有し得る。
【0131】
典型的な状況において、金属メッシュは、さらに上記されるように考察された導電性金属次第で、2~90オーム/スクエアの範囲のシート抵抗を有し得る。金属メッシュが銀金属である場合、金属メッシュは、1~10オーム/スクエア、或いは1~5オーム/スクエアのシート抵抗を有し得る。
【0132】
本発明の第1の利点は、必要とされる電圧を増加させることを必要とせずに、したがって、非常に高い電圧(Dcにおいて>75V、又はACにおいて>25V)を使用することの安全性のリスクを増加させることを必要とせずに、特定の必要条件に従って、第1及び第2の加熱回路が、同時に、又は互いに依存して電力供給され得、調節され得るという事実にある。加熱回路のシート抵抗が低いほど、それが発生させることが可能な加熱力は低い。したがって、特に3層以上の銀層を含む多層コーティングなどの低いシート抵抗を有する第1の加熱回路を、例えば上記の金属メッシュなどの追加的な加熱力を提供する第2の加熱回路と組み合わせることは、特に有利である。
【0133】
別の利点は、第1の加熱回路が多層コーティングであり、且つ第2の加熱回路が金属メッシュである場合、前記加熱回路の少なくとも1つをポリマー基材上で堆積させてもよく、製造コストが削減され得るということである。
【0134】
他の例において、第1の加熱回路が多層コーティングであり、第2の加熱回路が、1μm未満の厚さを有する金属メッシュである場合、それら両方とも、ポリマー基材又はガラス基材のいずれかである同一支持体上に提供され得る。それらの例において、製造コストは有意に削減され得る。
【0135】
すなわち、金属メッシュは、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
のいずれか1つによって特徴づけられ、上記の通り、上記の構造のいずれかにおいて、積層グレイジングにおいて使用され得る。
【0136】
特に、上記の通り1~800nmの厚さによって特徴づけられる金属メッシュは、上記の構造のいずれかにおいて、積層グレイジングにおいて使用され得る。
【0137】
本発明は、以下の条項によって記載され得る。
【0138】
条項1は、
-それぞれが内部及び外部表面を有する、第1及び第2のガラスシートと、
-前記第1のガラスシートの内部表面と前記第2のガラスシートの内部表面を結合するために役立つ接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと、
-積層グレイジングの少なくとも第1の部分を加熱するように構成されている第1の加熱回路と、
-積層グレイジングの少なくとも第2の部分を加熱するように構成されている第2の加熱回路
を含み、
-第1及び第2の部分が、積層グレイジング全体表面の重複領域で少なくとも部分的に重複する、積層グレイジングに関する。
【0139】
条項2は、第1の加熱回路が、少なくとも1つの電気伝導性の層を含む多層コーティングを含む、条項1の積層グレイジングに関する。
【0140】
条項3は、接着剤中間層材料が、ポリビニルブチル(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、イオノマー、シクロオレフィンのポリマー、イオノプラストポリマー、キャストインプレイス(CIP)液体樹脂から選択される、上記条項のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0141】
条項4は、第2の加熱回路が金属メッシュを含む、上記条項のいずれか一項の積層グレイジングに関する。
【0142】
条項5は、金属メッシュが、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
のいずれか1つによって特徴づけられる、上記条項のいずれか1つ及び条項4の積層グレイジングに関する。
【0143】
別の条項5は、金属メッシュが、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
の2つ以上によって特徴づけられる、上記条項のいずれか1つ及び条項4の積層グレイジングに関する。
【0144】
条項6は、第1の表面、及び第1の表面の反対側の第2の表面を有するポリマー基材をさらに含む、上記条項のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0145】
条項7は、ポリマー基材が接着剤中間層材料とは異なり、且つポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラル(PVB)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)及びアセチルセルロイドから選択される、条項1~6のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0146】
条項8は、第1の加熱回路が、第1又は第2のガラスシートの一方の内部表面の少なくとも第1の部分上に存在し、且つ第2の加熱回路が、同一ガラスシートの少なくとも第2の部分上に存在する、条項1~5のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0147】
条項9は、第1の加熱回路が、第1のガラスシートの内部表面の少なくとも一部分上に存在し、且つ第2の加熱回路が、第2のガラスシートの内部表面の少なくとも一部分上に存在する、条項1~5のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0148】
条項10は、第1の加熱回路が、第1又は第2のガラスシートの少なくとも一方の内部表面の少なくとも一部分上に存在し、且つ第2の加熱回路が、ポリマー基材の第1又は第2の表面の一方の少なくとも一部分上に存在する、条項6又は7のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0149】
条項11は、第1の加熱回路が、ポリマー基材の第1の表面の少なくとも一部分上に存在し、且つ第2の加熱回路が、ポリマー基材の第2の表面の少なくとも一部分上に存在する、条項6又は7のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0150】
条項12は、第1の加熱回路が、ポリマー基材の第1の表面の少なくとも第1の部分上に存在し、且つ第2の加熱回路が、ポリマー基材の同一表面の少なくとも第2の部分上に存在する、条項6又は7のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0151】
条項13は、第1の加熱回路及び第2の加熱回路が両方とも金属メッシュを含む、条項1の積層グレイジングに関する。
【0152】
条項14は、重複領域が、
-積層グレイジング全体表面の10%未満、又は
-積層グレイジング全体表面の10~50%、又は
-積層グレイジング全体表面の51~90%
のいずれか1つによる積層グレイジング全体の表面パーセントを表す、上記条項のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0153】
条項15は、3つ以上のガラスシートを有する積層グレイジングを提供するために、少なくとも1つの追加的なガラスシート、及び少なくとも1つの追加的な中間層材料のシートをさらに含む、上記条項のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0154】
条項16は、積層グレイジングが、ガラスシートのいずれかの少なくとも1つの未コーティング表面上に少なくとも1つの他の多層コーティングをさらに含む、上記条項のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0155】
条項17は、少なくとも1つのガラスシートが、アニール化、熱処理、強化、又は化学強化される、上記条項のいずれか1つの積層グレイジングに関する。
【0156】
条項18は、積層グレイジングの製造方法であって、
1)
-それぞれが内部及び外部表面を有する、第1及び第2のガラスシートと、
-前記第1のガラスシートの内部表面と前記第2のガラスシートの内部表面を結合するために役立つ接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと、
-積層グレイジングの少なくとも第1の部分を加熱するように構成されている第1の加熱回路と、
-積層グレイジングの少なくとも第2の部分を加熱するように構成されている第2の加熱回路
を提供するステップと、
2)第1及び第2のガラスシートを、接着剤中間層材料の少なくとも1つのシートと積層するステップと
を含み、第1及び第2の部分が、積層グレイジング全体表面の重複領域で少なくとも部分的に重複する、方法に関する。
【0157】
条項19は、陸上、空中、又は水上移動のための輸送手段、特に自動車のための加熱可能グレイジングとしての、条項1~17のいずれか1つの積層グレイジングの使用に関する。
【0158】
条項20は、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
のいずれか1つによって特徴づけられる金属メッシュの、積層グレイジングにおける使用に関する。
【0159】
条項21は、1~800nmの範囲の厚さによって特徴づけられる金属メッシュの、積層グレイジングにおける使用に関する。
【0160】
条項22は、
-0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、又は
-1~800nmの範囲の厚さ、又は
-0.1~5μmの範囲の導電路、又は
-(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、又は
-300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲
の2つ以上によって特徴づけられる金属メッシュの、積層グレイジングにおける使用に関する。
【0161】
条項23は、0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び0.1~5μmの範囲の導電路;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路;又は1~800nmの範囲の厚さ、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は1~800nmの範囲の厚さ、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は0.1~5μmの範囲の導電路、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~5μmの範囲の導電路、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%;又は0.1~500μmの範囲の2つの隣接した交差間の距離、及び1~800nmの範囲の厚さ、及び0.1~5μmの範囲の導電路、及び(550nmの波長における)ガラス上での光透過率>70%、及び300nmの厚さに関して、0.5~10オーム/スクエアの最小シート抵抗範囲又は他の任意の可能な組み合わせによって特徴づけられる金属メッシュの、積層グレイジングにおける使用に関する。
【国際調査報告】