(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】整形外科的処置を計画するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/10 20160101AFI20230111BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525653
(86)(22)【出願日】2020-11-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 SE2020051143
(87)【国際公開番号】W WO2021086260
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522173538
【氏名又は名称】オルトマ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ペッテション,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】モリニュー ,ピーター
(57)【要約】
整形外科的処置を計画するための方法及び装置が開示される。方法は、医療撮像データを検索することと、医療撮像データに含まれる第1の骨の部分における少なくとも1つの第1のランドマーク及び第2の骨の部分における少なくとも1つの第2のランドマークを含む複数のランドマークを識別することとを含む。第1の骨の部分及び第2の骨の部分は、第1の骨の前記部分が第2の骨の前記部分に対して移動可能であるようにセグメント化し得る。第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得された情報に基づいて、第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方をデータベース内の複数のインプラント構成要素から選択することができる。第1のインプラント構成要素及び/又は第2のインプラント構成要素は、第1のランドマーク及び第2のランドマークによって少なくとも部分的に画定される空間に適合させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の骨の部分及び第2の骨の部分を含む医療撮像データを検索することであって、前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分はセグメント化されない、検索することと、
前記第1の骨の前記部分における少なくとも1つの第1のランドマーク及び前記第2の骨の前記部分における少なくとも1つの第2のランドマークを含む複数のランドマークを識別することと、
を含む、整形外科的処置を計画するコンピュータ実施方法であって、
前記第1の骨の前記部分が前記第2の骨の前記部分に対して移動可能であるように、前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分をセグメント化することと、
前記第1のランドマーク及び前記第2のランドマークから取得された情報に基づいて、データベース内の複数のインプラント構成要素の中から第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を選択することと、
前記第1のランドマーク及び前記第2のランドマークによって少なくとも部分的に画定される空間に前記第1のインプラント構成要素及び前記第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を適合させることと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分をセグメント化した後、前記複数のランドマークのうちの少なくとも1つのランドマークに基づいて、又は前記第1の骨の前記セグメント化された部分の輪郭及び/又は前記第2の骨の前記セグメント化された部分の輪郭に基づいて、前記第2の骨の前記部分に対して前記第1の骨の前記部分を移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素を選択する前、前記第1の骨の前記部分は前記第2の骨の前記部分に対して移動させて、前記第2のランドマークの位置に対する前記第1のランドマークの所望の位置を取得する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記情報は、前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分をセグメント化した後且つ前記第1の骨の前記部分が前記第2の骨の前記部分に対して移動した後、取得される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のランドマーク及び前記第2のランドマークは、前記第1の骨の前記部分又は前記第2の骨の前記部分のランドマークである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のランドマークは前記第1の骨の前記部分のランドマークであり、前記第2のランドマークは前記第2の骨の前記部分のランドマークである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分の少なくとも1つの第3のランドマークを識別することと、前記第1のランドマーク、前記第2のランドマーク、及び前記第3のランドマークの基づく前記情報を取得することとを更に含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のランドマーク及び前記第2のランドマークから前記情報を取得することは、少なくとも1つの寸法を取得することを含み、前記少なくとも1つの寸法は、直径、長さ、幅、及び角度の少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
各インプラント構成要素を前記データベースにインプラント情報と共に記憶することを含み、前記インプラント情報は任意選択的に直径、長さ、幅、及び角度の少なくとも1つを含み得る、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のインプラント構成要素及び前記第2のインプラント構成要素の少なくとも1つを選択することは、前記第1のランドマーク及び前記第2のランドマークから取得される前記情報に最良に適合するインプラント情報を有するインプラント構成要素を選択することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プログラム命令が内部に記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラム命令は、プロセッサによって実行されると、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
整形外科的処置を計画する装置であって、
メモリにアクセスして、第1の骨の部分及び第2の骨の部分を含む医療撮像データを検索することであって、前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分はセグメント化されない、アクセスして検索することと、
処理ユニットを使用して、前記第1の骨の前記部分における少なくとも1つの第1のランドマーク及び前記第2の骨の前記部分における少なくとも1つの第2のランドマークを含む複数のランドマークを識別することと、
前記処理ユニットを使用して、前記第1の骨の前記部分が前記第2の骨の前記部分に対して移動可能であるように、前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分をセグメント化することと、
前記処理ユニットを使用して、前記第1のランドマーク及び前記第2のランドマークから取得された情報に基づいて、データベース内の複数のインプラント構成要素の中から第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を選択することと、
前記処理ユニットを使用して、前記第1のランドマーク及び前記第2のランドマークによって少なくとも部分的に画定される空間に前記第1のインプラント構成要素及び前記第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を適合させることと、
を行うように構成される装置。
【請求項13】
前記処理ユニットは、前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分をセグメント化した後、前記複数のランドマークのうちの少なくとも1つのランドマークに基づいて、又は前記第1の骨の前記セグメント化された部分の輪郭及び/又は前記第2の骨の前記セグメント化された部分の輪郭に基づいて、前記第2の骨の前記部分に対して前記第1の骨の前記部分を移動させるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記処理ユニットは、前記第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素を選択する前、前記第1の骨の前記部分を前記第2の骨の前記部分に対して移動させて、前記第2のランドマークの位置に対する前記第1のランドマークの所望の位置を取得するように構成される、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記処理ユニットは、前記第1の骨の前記部分及び前記第2の骨の前記部分をセグメント化した後且つ前記第1の骨の前記部分が前記第2の骨の前記部分に対して移動した後、前記情報を取得するように構成される、請求項12~14のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的には股関節、膝、脊椎、肩、外傷、又は四肢の整形外科的処置等の整形外科の分野に関する。より具体的には、本発明は、整形外科的処置を計画するためのコンピュータ実施方法及び装置に関する。方法は、第1の骨の部分及び第2の骨の部分を含む医療撮像データを検索することを含む。検索された医療撮像データにおいて、第1の骨の部分及び第2の骨の部分はセグメント化されず、とりわけ、第1の骨の部分及び第2の骨の部分は、別個に識別し得るように医療撮像データにおいてラベリングされない。第1の骨の部分及び第2の骨の部分は、第1の骨の分部分が第2の骨の部分の部分に対して移動可能であるようにセグメント化される。第1の骨の部分における少なくとも1つの第1のランドマーク及び第2の骨の部分における少なくとも1つの第2のランドマークを含む複数のランドマークを識別し得る。これは、セグメント化の前又は後、又はセグメント化を実行せずに行われてよい。第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得された情報に基づいて、第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方をデータベース内の複数のインプラント構成要素の中から選択し得る。第1のインプラント構成要素及び/又は第2のインプラント構成要素は、第1のランドマーク及び第2のランドマークによって少なくとも部分的に画定される空間に適合させることができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
股関節、膝、脊椎、肩、外傷、又は四肢の整形外科的処置等の整形外科的処置は、デジタル医療撮像データを使用してデジタルで計画し得る。例えば、医療撮像データに対するインプラント構成要素のタイプ、サイズ、及び位置を術前、即ち、患者が手術室に入る前、又は術中、即ち患者が手術室に入っているとき、計画することができる。医療撮像データに対するインプラント構成要素のタイプ、サイズ、及び位置を計画することは、テンプレーティングとも呼ばれる。従来、これは2D撮像データを使用して実行されたが、より最新の手法は整形外科的処置の計画に3D撮像データを使用する。
【0003】
医療撮像データは、X線、蛍光透視、CT(コンピュータトモグラフィ)、CBCT(コーンビームコンピュータトモグラフィ)、超音波、及びMRI(磁気共鳴撮像)等の種々のソースから供給し得る。
【0004】
整形外科的移植処置の計画に伴う課題は、患者をスキャンして医療札像データを生成する際の患者の種々の骨の相対位置が、それらの骨が術中に有する相対位置又はインプラントが移植された場合、それらの骨が術後に有する相対位置に対応しない可能性があることである。例えば、患者の生物力学の回復を含むTHA(人工股関全置換術)等の股関節手術は、脚の伸長/短縮、種々のオフセットの調整等を含み得る。例えば、よりよい生物力学を得るために、患者の骨盤に対して大腿骨を移動させることが望ましいことがある。これは、所望の生物力学を達成するのに適切なタイプ及びサイズのインプラント構成要素を選択することによって行うことができる。しかしながら、処置の望ましい結果を達成するのに正しいインプラント構成要素を選択することは、セグメント化されていない場合、大腿骨及び骨盤が医療撮像データでは固定された位置関係を有し、望まれる生物力学を得るために望まれる相対位置を表さないため、困難である。これは、撮像データの非セグメント化特性に鑑みて、術後と同様に計画実行時、画面上で同じ関係を有さない複数の構成要素が選択される場合、一層困難になる。同様の課題が、例えば、骨の相対位置が整形外科的処置の一環として変わるTKA(人工膝関節全置換術)又はPKA(人工膝関節部分置換術)処置、肩処置等でも該当する。
【0005】
幾つかのタイプの処置では、医療撮像データが捕捉される医療撮像スキャナ内での患者の位置は、手術台上の患者の位置に対応しないことがある。これは例えば、医療撮像データがCT又はMRIスキャナで術前、患者が背臥位の状態で捕捉されるが、術中、患者は側臥位又は腹臥位である脊椎手術の場合である。脊椎の椎骨は種々の位置において異なる相互関係を有する。例えば、椎弓根スクリュー固定の場合、固定されるべき椎骨の相対位置は、患者が手術台に横になっているときに取得される。例えば脊椎のエントリーレベルを識別するため及び/又は術中画像データを術中画像データとマッチングさせて、ナビゲーション又はロボット手術に向けて術前計画データを使用するために、術中、2D又は3D Cアームが使用され得る。しかしながら、椎骨は2つのデータセットで異なる相互関係を有するため、そのようなマッチングは難しいか、又は不可能であり得る。この結果として、術前に計画することは可能ではなく、又は最適未満のインプラント又はインプラント位置が計画されることになる。
【0006】
まとめると、医療撮像データにおける骨の相互関係は、計画及び/又は手術の実行に最適ではないことがあり、不正確性を計画若しくは手術に導入し得、更には最適未満のインプラントの選択に繋がることさえあり得る。最悪の場合、インプラントは最適未満の位置に配置され、患者にとって危険でさえあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、整形外科的処置を計画するための改良された方法が有利であり、特に精度、柔軟性、費用効率性、及び/又は患者完全性の改善が有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
したがって、本発明の実施形態は好ましくは、整形外科的処置を計画するための方法、装置、及びコンピュータプログラム製品を提供することにより、上記識別された等の当技術分野における1つ又は複数の欠点、不利点、又は課題を単独又は任意の組み合わせで軽減、緩和、又はなくそうとする。本発明の実施形態は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0009】
幾つかの実施形態は、整形外科的処置を計画するためのコンピュータ実施方法を含む。本方法は、第1の骨の部分及び第2の骨の部分を含む医療撮像データを検索することを含み、第1の骨の部分及び第2の骨の部分はセグメント化されない。第1の骨の部分における少なくとも1つの第1のランドマーク及び第2の骨の部分における少なくとも1つの第2のランドマークを含む複数のランドマークが識別される。
【0010】
第1の骨の部分及び第2の骨の部分は、第1の骨の部分が第2の骨の部分に対して移動可能であるようにセグメント化され得る。
【0011】
第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得された情報に基づいて、データベース内の複数のインプラント構成要素の中から第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を選択し得る。
【0012】
第1のランドマーク及び第2のランドマークによって少なくとも部分的に画定される空間に第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を適合させ得る。
【0013】
幾つかの実施形態では、本方法は、第1の骨の部分及び第2の骨の部分をセグメント化した後、複数のランドマークのうちの少なくとも1つのランドマークに基づいて第2の骨の部分に対して第1の骨の部分を移動させることを含む。これに代えて又はこれに加えて、本方法は、第1の骨のセグメント化された部分の輪郭及び/又は第2の骨のセグメント化された部分の輪郭に基づいて、第2の骨の部分に対して第1の骨の部分を移動させることを含む。
【0014】
幾つかの実施形態では、第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素を選択する前、第1の骨の部分は第2の骨の部分に対して移動して、第2のランドマークの位置に対する第1のランドマークの所望の位置を取得する。
【0015】
第1の骨の部分及び第2の骨の部分から取得される情報は、第1の骨の部分及び第2の骨の部分をセグメント化した後且つ第1の骨の部分が第2の骨の部分に対して移動した後、取得し得る。
【0016】
第1のランドマーク及び第2のランドマークは、第1の骨の部分又は第2の骨の部分のランドマークであり得る。代替的には、第1のランドマークは第1の骨の部分のランドマークであり、第2のランドマークは第2の骨の部分のランドマークである。
【0017】
本方法の実施形態は、第1の骨の部分及び第2の骨の部分の少なくとも1つの第3のランドマークを識別することと、第1のランドマーク、第2のランドマーク、及び第3のランドマークの基づく情報を取得することとを含み得る。
【0018】
第1のランドマーク及び第2のランドマークから情報を取得することは、少なくとも1つの寸法を取得することを含み得、少なくとも1つの寸法は、直径、長さ、幅、及び角度の少なくとも1つを含む。
【0019】
実施形態は、各インプラント構成要素をデータベースにインプラント情報と共に記憶することを含み得、インプラント情報は任意選択的に直径、長さ、幅、及び角度の少なくとも1つを含み得る。
【0020】
第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも1つを選択することは、第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得される情報に最良に適合するインプラント情報を有するインプラント構成要素を選択することを含み得る。
【0021】
実施形態は、プログラム命令が内部に記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を含み、プログラム命令は、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載の実施形態の方法を実行する。
【0022】
実施形態は、整形外科的処置を計画する装置を含む。本装置は、メモリにアクセスして、第1の骨の部分及び第2の骨の部分を含む医療撮像データを検索することであって、第1の骨の部分及び第2の骨の部分はセグメント化されない、アクセスして検索することと、処理ユニットを使用して、第1の骨の部分における少なくとも1つの第1のランドマーク及び第2の骨の部分における少なくとも1つの第2のランドマークを含む複数のランドマークを識別することと、処理ユニットを使用して、第1の骨の部分が第2の骨の部分に対して移動可能であるように、第1の骨の部分及び第2の骨の部分をセグメント化することと、処理ユニットを使用して、第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得された情報に基づいて、データベース内の複数のインプラント構成要素の中から第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を選択することと、処理ユニットを使用して、第1のランドマーク及び第2のランドマークによって少なくとも部分的に画定される空間に第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を適合させることと、を行うように構成される。
【0023】
処理ユニットは、第1の骨の部分及び第2の骨の部分をセグメント化した後、複数のランドマークのうちの少なくとも1つのランドマークに基づいて、及び/又は第1の骨のセグメント化された部分の輪郭及び/又は第2の骨のセグメント化された部分の輪郭に基づいて、第2の骨の部分に対して第1の骨の部分を移動させるように構成し得る。
【0024】
処理ユニットは、第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素を選択する前、第1の骨の部分を第2の骨の部分に対して移動させて、第2のランドマークの位置に対する第1のランドマークの所望の位置を取得するように構成し得る。
【0025】
処理ユニットは、第1の骨の部分及び第2の骨の部分をセグメント化した後且つ第1の骨の部分が第2の骨の部分に対して移動した後、情報を取得するように構成し得る。
【0026】
本発明の更なる実施形態が従属クレームに規定される。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態は、整形外科的処置の効率的で正確な計画を提供する。骨の部分はセグメント化されるため、骨の部分の実際の位置を消耗の相対への位置に移動させて、処置の所望の結果をシミュレートするように互いに対して骨の部分を移動させることが可能になる。これが行われた後、インプラント構成要素が選択され得る。これは、手術開始前であっても、手術の所望の結果に合うインプラント構成要素の選択を最適化する。さらに、セグメント化された骨の部分は異なる色でレンダリングし得、これも処置の計画に役立ち得る。また、骨の部分におけるランドマークを識別し得る。ランドマークは、インプラント構成要素の選択に使用し得る。さらに、ランドマークは、処置を計画するために、骨の部分を互いに対して移動させるのに使用し得る。例えば、ランドマークは、骨の部分を移動させることによって生物力学的対称性又は生物力学的回復に向けて計画するのに使用することができる。これは、骨の部分のセグメント化との組合せに起因して可能である。したがって、ランドマークの識別は、整形外科的処置の効率的で正確な計画にも寄与する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「含む/含んでいる」という用語が、述べられた特徴、完全体、ステップ、又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、完全体、ステップ、構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を除外しないものと解釈されることが強調されるべきである。
【0029】
図面の簡単な説明
本発明の実施形態が可能なこれら及び他の態様、特徴、及び利点は、本発明の実施形態の以下の説明から明らかになり、解明され、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】整形外科的処置を計画するための方法の実施形態のフローチャートである。
【
図2】整形外科的処置を計画するための装置のブロック図である。
【
図3】医療撮像データのランドマーク例が識別される、ユーザ入力及び操作のためのユーザインターフェースの実施形態の概略図である。
【
図4】医療撮像データのランドマーク例が識別される、ユーザ入力及び操作のためのユーザインターフェースの実施形態の概略図である。
【
図5】医療撮像データのランドマーク例が識別される、ユーザ入力及び操作のためのユーザインターフェースの実施形態の概略図である。
【
図6】医療撮像データのランドマーク例が識別される、ユーザ入力及び操作のためのユーザインターフェースの実施形態の概略図である。
【
図7】インプラント構成要素がランドマークによって画定された空間に適合し、互いに対して移動した骨の部分を示すユーザインターフェースの実施形態概略図である。
【
図8】インプラント構成要素がランドマークによって画定された空間に適合し、互いに対して移動した骨の部分を示すユーザインターフェースの実施形態概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施形態の説明
本発明の具体的な実施形態について添付図面を参照してこれより説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で実施し得、本明細書に記載の実施形態に限定されるとして解釈されるべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示が完璧で完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。添付図面に示される実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明の限定を意図しない。図面中、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0032】
以下の説明は、THA(人工股関節全置換術)の計画によって例示される整形外科的処置を計画するために適用可能な本発明の実施形態に焦点を合わせる。しかしながら、本発明がこの用途に限定されず、特に整形外科用インプラントが使用される膝、脊椎、肩、四肢、及び外傷の整形外科的処置等を含め、多くの他の処置に適用可能なことが理解されよう。
【0033】
図1及び
図2は、整形外科的処置を計画するためのコンピュータ実施方法及び装置10の実施形態を示す。
【0034】
図1に示す方法によれば、医療撮像データが検索される(1)。医療撮像データは、第1の骨の部分及び第2の骨の部分を含み得る。更なる骨部分も包含し得る。第1の骨の部分及び第2の骨の部分は、記憶媒体から等の検索時、セグメント化されていなくてよい。次いで、少なくとも1つのランドマーク100~121(
図3~
図6に示される)、好ましくは複数のランドマークが識別される(2)。ランドマーク100~121は、第1の骨の部分における少なくとも1つのランドマーク及び第2の骨の部分における少なくとも1つの第2のランドマークを含み得る。ランドマークが識別されると、ランドマーク100~121を含む撮像データはメモリに記憶し得、又は画面に提示し得る。
【0035】
ランドマーク100~121を識別すること(2)は、画面に提示されたとき、医療撮像データ上の部分又はエリアを選択することによってユーザが入力をコンピュータに提供することによって実行し得る。これに代えて又はこれに加えて、ランドマーク100~121はコンピュータ実施し得る解析モデルによって識別し得る。そのような解析モデルは、反復学習プロセスを介してトレーニングされた機械学習モデルを使用してセットアップし得る。例えば、解析モデルは、撮像データにおけるパターンをクラスタ化し認識することができるニューラルネットワークを使用してセットアップし得る。学習プロセスでは、ランドマーク100~121が定義され、次でユーザがユーザ対話を介して、撮像データ内のどこにランドマークがあるかを定義する。徐々に、解析モデルは連続して学習し得、医療撮像データにおいてランドマーク100~121をより精密に識別するように改良され得る。十分にトレーニングされると、解析モデルは、人間の相互作用がない状態でランドマーク100~121を高精度で認識し得る。それでもなお、更に以下考察するように、人間の確認又は精度強化が望ましいことがある。
【0036】
撮像データは、X線、蛍光透視、CT(コンピュータトモグラフィ)、CBCT(コーンビームコンピュータトモグラフィ)、超音波、及びMRI(磁気共鳴撮像)の少なくとも1つを含み得、医療撮像デバイスによって生成し得る。生成時、医療撮像データは分類又はラベル付けされておらず、したがって、患者のある骨を患者の別の骨と区別することはできない。したがって、更なる処理なしでは、患者のある骨を別の骨に対して移動させることはできない。ある骨を別の骨から区別するプロセスは一般に、セグメント化と呼ばれている。
【0037】
方法は、医療撮像データをセグメント化すること(3)を含み得る。撮像データをセグメント化すること(3)は、ランドマーク100~121を識別すること(2)の前又は後、実行し得る。幾つかの実施形態では、セグメント化はランドマーク100~121の識別から独立して実行することさえ可能である。実施形態によれば、医療撮像データをセグメント化すること(3)は、その医療撮像データを少なくとも2つのデータセットに分けることを含み得る。これは、後述の実施形態に更に示すように、第2の骨部分の部分に対して第1の骨の部分を移動させるのに使用し得る。セグメント化はユーザによって手動で実行し得る。代替又は追加として、例えばランドマークを識別するモデルと同様の機械学習を使用した解析モデルを実施し得る。解析モデルがまず、示唆されたセグメントを準備し、骨の特定の部分に属するものとして特定の医療撮像データをタグ付けすることによってユーザはこれを修正し得る組合せ手法を使用することもできる。最も詳細なレベルにおいて、1組の医療撮像データにおける各ボクセルは、特定の骨に属するものとしてタグ付けすることができる。
【0038】
実施形態によれば、方法は、第1のランドマーク及び第2のランドマーク等の少なくとも1つのランドマークから取得された情報に基づいて、少なくとも1つのインプラント構成要素201、202(
図7及び
図8)を選択すること(4)を含むこともできる。幾つかの実施形態は、複数のインプラント構成要素の中から、少なくとも1つの第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素等の複数のインプラント構成要素を選択すること(4)を含む。インプラント構成要素201、202は、第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得された情報に基づいて、データベース内の複数のインプラント構成要素から選択し得る1。少なくとも1つのランドマーク100~121から取得された情報に基づいてデータベースからインプラント構成要素201、202を選択すること(4)は、上述したセグメント化3あり又はなしで実行し得る。
【0039】
適切な1つのインプラント構成要素又は複数のインプラント構成要素201、202が選択された(4)後、第1のインプラント構成要素201及び第2のインプラント構成要素202等のインプラント構成要素は、後述する実施形態に関して更に例示するように、ランドマークによって少なくとも部分的に画定された空間に適合し得る(5)。したがって、選択すること(4)に使用された少なくとも1つのランドマークは、ランドマークによって画定される空間にインプラント構成要素201、202を適合させる(5)のに使用することもできる。
【0040】
図2は、整形外科的処置を計画するための装置10の実施形態を示す。装置10はコンピュータシステムを含み得、医療撮像データを検索してコンピュータシステムに入力し得、外科処置を計画し得る。撮像データが術中に生成される場合、装置10は術中に使用することもできる。計画の結果は、ナビゲーションシステム、ロボットシステム等の他の医療デバイス及びシステム又は患者固有のインプラントを生成するために提供され得る。例えば、ナビゲーション又は手術システムでは、医療撮像データに対するインプラント構成要素の位置情報を使用して、ディスプレイを介して外科医を視覚的にガイドし得、又はロボットアームを制御し得る。装置10は、CPU/プロセッサ又はデータ処理ユニット11、1つ又は幾つかのメモリ12、通信ユニット13、ユーザ対話のためのマウス及び/又はキーボード等の入力デバイス14、医療撮像データ、ランドマーク等をレンダリングし得る出力ユニット15を備え得る。撮像データ、インプラント構成要素のモデル、並びに撮像データ及びインプラント構成要素に関する情報は、データベース16及び/又はメモリ12等の記憶媒体に記憶し得る。データベース16は、本発明による複数の装置10がアクセスすることができるローカルデータベース又はネットワークリソースであり得る。医療撮像データは、データが生成される医療スキャナから記憶媒体にアップロードすることができる。処理ユニットはメモリにアクセスして、計画セッション全体を通して必要に応じて、ユーザ入力に基づいてデータを検索し得る。
【0041】
CPU11によって実行されると本発明が実施されるコンピュータソフトウェアはCADシステムを含み得、CADシステムにおいて、外科物品の3Dモデル又はスキャンデータの3Dボリューム及び/又は医療撮像データの3Dボリュームから生成された、MRI又はCTデータ等のスキャンデータの複数の2Dビュー等の医療撮像データをレンダリングすることができる。インプラント構成要素の2D/3Dモデル及び医療撮像データの2Dビューも同時にレンダリングされ、部分的に重ねられて、情報を増大させ得る。
【0042】
図3~
図6は、CT、CBCT、MRI、又は超音波データ等の3D医療撮像データのボリュームレンダリングを複数のビューにおいて示す。ランドマークは上述したように識別し得(2)、画面又はディスプレイに複数の2Dビューで提示し得る。2Dビューは、例えば、3Dボリュームの断面図又は投影であり得る。医療撮像データのボリュームの直交ビューから生成されたデータを複数のビューでレンダリングすることにより、ユーザ対話を促進する。各ビューにおいて、ユーザは、1つ又は2つの次元でのみランドマーク100~121の位置を調整することができる。同じランドマーク100~121はビューの幾つかにおいて各ビューで異なる角度でレンダリングされるため、ランドマーク100~121を再位置決めすることによる少なくとも2つのビューにおけるユーザ対話は、医療撮像データに関して三次元における位置を再定義し得る。複数の2Dビューにおける医療撮像データのレンダリングのより詳細な説明は国際公開第2014062125号パンフレットに説明されており、これは参照により本明細書に援用される。したがって、ランドマークを識別することは、医療撮像データに対するランドマークの厳密な場所を識別するユーザ入力を含み得る。したがって、ユーザ入力は識別を微調整し得、識別をより正確にし得る。これは、ランドマーク100~121を識別するためのプロセスをより信頼性の高いものにする。安全対策として、計画が最終的に承認可能になる前、ユーザは各ランドマークの部分を確認する必要があり得る。
【0043】
上述したように、本発明の実施形態は、医療撮像データの骨部分の解剖学的ランドマーク等の複数のランドマーク100~121を識別すること(2)を含み得る。
図3~
図6は複数の2Dビューにおける種々の解剖学的ランドマークを示す。ランドマークは例示的な実施形態である。他の実施形態では、
図3~
図6に示すランドマークの幾つかが識別される(2)。他の実施形態では、整形外科的処置のタイプ及び計画されるインプラント構成要素のタイプに応じて、人体の追加又は他のランドマークを識別し得る。
【0044】
図3は、左右の大腿骨の少なくとも一部分を含む骨の部分の複数のランドマーク100~106の識別を示し、ランドマークは以下を含む:
-右大腿骨骨頭100(左図、左上ランドマーク;右上図、左ランドマーク;2番目の右下図、上部ランドマーク);
-左大腿骨骨頭102(左図、右上ランドマーク;右上図、右ランドマーク;1番目の右下図、上部ランドマーク);
-右近位大腿骨幹103(左図、中央左ランドマーク;2番目の右上図、左ランドマーク;2番目の右下図、中央ランドマーク);右近位大腿骨幹103は、大腿骨小転子の高さにおける大腿管において識別し得る;
-左近位大腿骨幹104(左図、中央右ランドマーク;2番目の右上図、右ランドマーク;1番目の最初の右下図、中央ランドマーク);左近位大腿骨幹104は、大腿骨小転子の高さにおける大腿管において識別し得る;
-右遠位大腿骨幹105(左図、左下ランドマーク;3番目の右上図、左ランドマーク;2番目の右下図、下ランドマーク);右遠位大腿骨幹105は、右近位大腿骨幹103から予め定義された距離において識別し得る;
-左遠位大腿骨幹106(左図、右下ランドマーク;3番目の右上図、右ランドマーク;1番目の右下図、下ランドマーク);左遠位大腿骨幹106は、左近位大腿骨幹104から予め定義された距離において識別し得る。
【0045】
図4は、左右大腿骨及び左右脛骨の少なくとも一部分を含む骨の部分の複数のランドマークの識別を示し、ランドマークは以下を含む:
-右外側後顆107(左上図、上ランドマーク;右上図、左上ランドマーク):
-108右外側後顆(左上図、下ランドマーク;右上図、左下ランドマーク);
-109右内側後顆(左上図、上ランドマーク;右上図、右上ランドマーク);
-110右内側遠位顆(上中央図、下ランドマーク;右上図、右下ランドマーク);
-111左外側後顆(左下図、上ランドマーク;右下図、左上ランドマーク);
-112左外側後顆(左下図、下ランドマーク;右下図、右下ランドマーク);
-113左内側後顆(下中央図、上ランドマーク;右下図、左上ランドマーク);
-114左内側遠位顆(下中央図、下ランドマーク;右下図、左下ランドマーク)。
【0046】
図5は、左右脛骨及び左右脛骨の少なくとも一部分を含む骨の部分の複数のランドマークの識別を示し、ランドマークは以下を含む:
-115左脛骨(右上図及び右下図);
-116右脛骨(左上図及び左下図)。
【0047】
図6は、骨盤の少なくとも一部分を含む骨の部分の複数のランドマークの識別を含み、ランドマークは以下を含む:
-右寛骨臼切痕117(左図、左ランドマーク);
-左寛骨臼切痕118(左図、右ランドマーク);
-恥骨結節の中央119(左図、中央ランドマーク;右上図、中央ランドマーク);
-右SIAS(上前腸骨棘)120(右上図、右ランドマーク;右下図、上ランドマーク)、
-左SIAS121(右上図、左ランドマーク)。
【0048】
ランドマーク100~121は、予め定義された形状を有し得るインジケータを使用して、画面上のビューにおける医療撮像データに示され得る。形状は例えば円、十字、線等であり得る。インジケータは十字又は点等の一定のサイズを有して、骨の部分上の特定の点によって定義されるランドマークを示し得る。そのような点は例えば、回転中心又は骨の部分の表面における特定の点であり得る。ランドマーク107~121は、一定のサイズを有するようなインジケータである。ユーザが円形状のインジケータの1つをクリックする場合、十字が円の中心に出現して、高精度でインジケータを位置決めするのを促進する。したがって、インジケータは複数の形状を有し得る。代替的には、インジケータのサイズは、ランドマーク101~106を識別するインジケータによって例示される等、調整可能であり得る。例えば、大腿骨骨頭101及び102を識別するインジケータは、直径が調整可能な円を含み得る。円の輪郭を使用して、大腿骨骨頭の輪郭を識別することができる。同時に、円の中心における十字は、大腿骨骨頭の回転中心を識別することができる。つまり、1つのインジケータは1つの骨の部分の複数のランドマークを識別し得る。調整可能なサイズを有するインジケータの他の例は、大腿骨幹103~106のインジケータである。これらのランドマークは寸法及び位置を含み得る。図示の例では、近位大腿骨幹は小転子におけるランドマークであり、そこで、大腿骨幹の直径を示すことができる。インジケータの中心は大腿骨幹内の位置を識別子、一方、インジケータの直径は特定の位置における大腿骨幹の直径を識別する。同様に遠位大腿骨幹105、106を示すことができ、位置は近位大腿骨幹ランドマーク103、104から予め定義される位置に定義される。円の直径は、医療撮像データの特定の値に基づいて設定することができる。医療撮像データのそのような値は、例えば皮質骨又は硬い骨と軟らかい骨との間の境界線を識別するグレー値を含み得る。したがって、ランドマークは、骨の部分の特定の形状状況に基づいて識別し得る。追加又は代替として、ランドマークは、比較的軟らかく比較的高密度の骨等の骨の状況、ステータス、又は品質に基づいて識別し得る。
【0049】
ランドマークのインジケータの位置調整は、ユーザ対話/入力によって実行し得る。解剖学的モデルを使用して、ランドマーク100~121の位置を提案し得る。ユーザは、例えばマウス又はキーボード等の入力デバイスを使用して、画面上の骨の部分に対してインジケータを移動させることによってランドマークのインジケータの位置を調整し得る。これは例えば、
図3ではランドマーク101に示され、
図4ではランドマーク112に示され、
図115ではランドマーク115に示され、
図6ではランドマーク117に示される。さらに、ユーザは、ランドマーク100~121が最終的に、安全措置及び全てのランドマークが解析モデルにより正しく識別されたことの検証として正しく識別されたことを確認し得る。
【0050】
上述したように、骨部分をセグメント化し得、サブボリュームを生成し得る。各サブボリュームは骨の1つ又は幾つかの部分を含み得る。セグメント化後、骨部分は別個のエンティティとして又は別個のサブボリュームとして記憶し得る。サブボリュームは別個に操作し得る。例えば、サブボリューム上は個々に、別のサブボリュームに対して移動し得る。さらに、あるサブボリュームは別のサブボリュームと比較して異なる色でレンダリングし得る。これは、骨部分の区別及びセグメント化の精度の検証をより容易にする。関節炎に起因して人工股関節全置換術での正確性の検証が困難であり得る状況では。そのような状況では、壊れた部位(kaput)(大腿骨骨頭)が寛骨臼に直接当接することが一般的である。これは、セグメント化が成功したか否かをユーザが判断するのを難しくする。セグメント化後、骨部分(この例では大腿骨及び骨盤)を異なる色でレンダリングすることは、この判断をより容易にする。
【0051】
図7及び
図8は、複数のランドマークの少なくとも1つのランドマーク101~121に基づいて、大腿骨によって例示される第2の骨の一部分に対する、骨盤によって例示される第1の骨の一部分を移動させることを含む実施形態を示す。これらの実施形態は上述した実施形態と組合せ得る。骨部分の移動は、上記第1の骨の部分及び第2の骨の部分をセグメント化した後、行われ得る。さらに、骨の複数の部分を一体として、骨の1つ又は他の部分に対して移動し得る。
図7及び
図8の例では、大腿骨及び脛骨は骨盤に対して移動されている。
図7及び
図8では、大腿骨及び脛骨は、患者(インプラント計画が例で実行される患者)の左脚の長さが患者の左脚の長さに等しい長さを有するように移動されている。これは
図7の左窓の下にある表においても示されている。第2の骨の部分に対して第1の骨の部分を移動させる前、脚長差(LLD)は-5mm(
図7)及び-4mm(
図8)であり、移動後、LLDは0mmである。脚の長さはランドマーク101~121を使用して特定し得る。脚の長さは、寛骨臼切痕117、118、膝の1つ又は幾つかのランドマーク107~117(膝の中心を特定するのに使用し得る)及び足首におけるランドマーク115、116を使用して計算し得る。本事例では、患者の脚の長さに差があり、インプラントが配置される脚を長くすべきであることを意味する。このために、足首115、116におけるランドマーク及び/又は膝におけるランドマークを使用し得る。例えば、大腿骨は、左膝の中心が右膝と同じ横断面にあるように移動させることができる。述べたように、膝の中心はランドマーク107~117によって特定し得る。これに加えて又はこれに代えて、右大腿骨及び右脛骨等の骨の複数の部分は、左足首におけるランドマーク115が右足首116のランドマークにおける横断面に移動するように一体として移動させ得る。ランドマークに基づく骨盤に対する大腿骨の移動、即ち第2の骨の部分に対する第1の骨の部分の移動の結果は、
図7及び
図8における黒いシルエット200、300として見ることができる。シルエットは、大腿骨を移動させる前、使用された大腿骨が場所を示す。同様に、骨部分は患者のコロナル面及び/又はサジタル面において移動し得る。
【0052】
骨の1つ又は幾つかの部分に対して骨の1つ又は幾つかの部分を移動させることは、インプラント構成要素201、202が選択され、構成要素の位置が計画される前、生物力学の回復、即ち処置の所望の結果を計画するのに有用であり得る。したがって、手術が実際に開始される前、術後の解剖学的構造の所望の位置を計画することができる。これは、手術で何が起こるか、骨の部分が最初に所望の場所に位置決めされる場所をより密に辿り、次いでインプラント構成要素201、202がその所望の場所に一致するように挿入される。
図7及び
図8では、インプラント構成要素は、人工股関節全置換術のカップ/シェル201及び大腿骨構成要素202によって例示されている。
【0053】
これに代えて又はこれに加えて、ランドマークに基づいて第2の骨の部分(又は複数の部分)に対して第1の骨の部分を移動させるよりもむしろ、第1の骨のセグメント化された部分の輪郭及び/又は第2の骨のセグメント化された部分の輪郭を使用して骨の部分を移動させ得る。例えば、これは、患者の第1の組の医療撮像データがCT又はMRスキャナ等の第1の医療撮像デバイスを用いて生成され、患者の1つ又は幾つかの組の医療撮像データが蛍光透視又はX線スキャナ等の第2の医療撮像デバイスを用いて生成される3D-2Dマッチング手順で有用であり得る。好ましくは3Dの第1の組の医療撮像データは術前に生成することができ、3D又は2Dの第2の組の医療撮像データは術中に生成することができる。幾つかの状況では、術前に3D医療撮像データを生成するための医療撮像データにおける患者の位置は、手術台上の患者の位置と同じではない。1つのそのような例は脊椎手術である。3D医療撮像データは、術前、患者が背臥位で横になった状態でCT又はMRスキャナ等の3D医療撮像デバイスで生成することができる。患者が背臥位で横になっているときの互いに対する椎骨の位置は、患者が腹臥位又は側臥位で横になっているときと同じではない。したがって、術前に生成される3D医療撮像データでの骨の部分の位置は、術中に生成される2D/3D医療撮像データにおける骨の部分の位置と完全には一致しない。
【0054】
本発明によれば、術前に手術を計画することがなお可能である。これに代えて又はこれに加えて、手術は術前に計画することができる。術前に計画される場合、インプラント構成要素の位置は、術前に生成される3D医療撮像データに関して計画される。3D医療撮像データにおける骨部分の位置は、術中に生成される2D/3D医療撮像データにおける骨部分の一に一致させることができる。したがって、術前に生成される3D医療撮像データにおける骨の部分は移動させることができる。これは、術前に生成される3D医療撮像データ及び術中に生成される2D/3D医療撮像データに現れる骨の部分の輪郭に基づき得る。必要な場合、術前に生成される3D医療撮像データに関して計画されたインプラント構成要素201、202の位置は、その移動を辿ることができ、及び/又は必要な場合、調整することができる。例えば、脊椎手術の場合、有茎ネジを骨(椎骨)の複数の部分に関して計画することができる。ネジが1つのみの椎骨に配置される場合、ネジは移動を辿ることができる。しかしながら、椎骨を互いに対して固定するために有茎ネジ間に配置されるロッドは術中に計画することができる。これに代えて又はこれに加えて、ロッドは術前であることができ、術中、骨の部分の任意の移動に基づいて調整することができる。
【0055】
骨の部分が異動する場合、例えば膝手術の場合の他の実施形態は、適切なインプラント構成要素と脛骨及び/又は大腿骨におけるそれらの相対位置とが決定される前に、脛骨が大腿骨に対して移動する。膝インプラント手術のランドマークは大方、股関節インプラント手術のランドマークに対応する。追加のランドマークは例えば、脛骨管の管を含み得る。腰椎手術の場合、有茎ネジの挿入点は、4つの線のいずれかの合流点として定義し得る:椎間関節部、乳頭突起、上関節窩の外側面、及び/又は中横突起(mid transverse process)。ランドマークを識別して、これらの線を定義することができる。胸椎手術の場合、遠位胸節(distal thoracic segment)の有茎ネジの挿入点は、椎間関節の中間点と横突起の上縁部との交点を特定した後、決定し得る。具体的な挿入点は、この交点の真横及び尾側であることができる。挿入点は、近位の胸髄レベルほどより頭側である傾向を有する。ランドマークは、上面の外側面、下面の外側面、及び/又は椎間関節部及び横突起の突起部を含み得る。これら及び他のランドマークランドマークを使用して、最適な長さ、直径、ネジタイプ、及び/又はネジピッチを有する有茎ネジ等の最適なインプラント構成要素を選択することができる。
【0056】
したがって、実施形態によれば、第1の骨の部分は第2の骨の部分に対して移動させることができる。これは、第2のランドマーク又は第2の組のランドマークの位置に対する第1のランドマーク又は第1の組のランドマークの所望の位置を取得するために行うことができる。さらに、第1の骨の部分及び第2の骨の部分のセグメント化は、複数のインプラント構成要素の中から第1のインプラント構成要素の少なくとも1つを選択する前、行われ得る。これは、骨の部分を所望の相対位置に移動させることによって定義される手術の所望の結果を達成するために最適なインプラント構成要素を選択するのを促進する。
【0057】
上述した実施形態等の幾つかの実施形態では、第1のランドマーク及び上記第2のランドマークから取得される情報は、第1の骨の部分及び第2の骨の部分をセグメント化した後且つ第1の骨の部分を第2の骨の部分に対して移動させた後、取得し得る。例えば、第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得される情報は、少なくとも1つの寸法を取得することを含み得、少なくとも1つの寸法は直径、長さ、幅、及び角度の少なくとも1つを含む。例示的な一実施形態として、
図7及び
図8に示すように、長さは所望の脚長、所望のオフセット距離(長さ)、大腿管の長さ、大腿管の幅、寛骨臼の直径、横断面に対する大腿管の角度等であり得る。脚長は、左右の脛骨ランドマーク115、116を同じ横断面に配置することによって上述したように特定することができる。これに代えて又はこれに加えて、右脚(
図7及び
図8における左側の健康な側)の長さは、健康な側のランドマークを使用して特定することができる。左脚(
図7及び
図8における右側の計画された処置を受ける側)の長さは、治療側の対応するランドマークを使用して特定することができる。不一致がある場合、治療側の骨の部分を移動させて、所望の脚長を達成することができる。
図7では、治療する脚は伸ばされ、これはシルエット201として見ることができる。さらに、近位大腿骨幹におけるランドマーク103、104から大腿骨骨頭101、102までの長さ及び/又は角度を特定し得る。また、近位大腿骨幹のランドマーク101、104及び/又は遠位大腿骨幹のランドマーク105、105における大腿骨幹の直径を特定することができる。これらは全て、
図7に示すように、第1の骨の部分及び第2の骨の部分が移動される相対位置に合う最適な大腿骨構成要素201、202を選択するために使用することができる値である。また、大腿骨骨頭のランドマークは、適切なカップ/シェル201を選択するために使用することができる。例えば、大腿骨骨頭の直径は、所望の解剖学的構造に合う適切なカップ/シェル201を選択するために使用することができる。したがって、骨の部分がセグメント化された後及び骨の部分が所望の相対位置に移動した後、寸法が特定される場合、最適なインプラント構成要素201、202及び相対位置の選択が促進される。
【0058】
上述した実施形態を用いて明らかになるように、少なくとも1つのインプラント構成要素201、202は、第1のランドマーク及び第2のランドマーク100~121から取得される情報に基づいてデータベース内の複数のインプラント構成要素の中から選択することができる。また、第2のインプラント構成要素等のあらなるインプラント構成要素201、202は、第1のランドマーク及び第2のランドマークから取得される情報に基づいて選択することができる。上記選択に使用されるランドマークは、第1の骨を有し得絵の部分又は第2の骨の部分のランドマークであることができる。これに代えて又はこれに加えて、第1のランドマークは第1の骨の部分のランドマークであり、第2のランドマークは第2の骨のランドマークである。さらに、第1の骨の部分の部分及び第2の骨の部分の少なくとも1つの第3のランドマーク及び識別され、
図7及び
図8に示す実施形態において説明したように、上記第1のランドマーク、上記第2のランドマーク、及び上記第3のランドマークに基づく情報を取得することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、計画に利用することができる各インプラント構成要素は、インプラント情報と共にデータベース16に記憶することができる。インプラント情報は、サイズ、直径、長さ、幅、角度、材料タイプ、表面処理等の少なくとも1つを含み得る。
【0060】
上述した実施形態等の実施形態によれば、第1のインプラント構成要素及び第2のインプラント構成要素の少なくとも一方を選択することは、第1のランドマーク及び上記第2のランドマークから取得される情報に最良に適合するインプラント情報を有するインプラント構成要素を選択することを含み得る。したがって、直径、長さ、幅等をランドマーク100~121から取得することができ、これらの寸法を使用して、ランドマークに基づいて特定された寸法に最も密に一致する寸法を有するインプラント構成要素を検索することができる。これは、計画を実行する人がどのインプラント構成要素が最良に適合するかを試みる必要がなく、むしろ、互いに対して骨の部分を移動させることによって手術の所望の結果を得ることにフォーカスすることができることを意味する。次いで、骨の部分を移動させた後、ランドマークから取得される寸法に基づいて最適な構成要素が決定される。ユーザ入力は、術後の骨の部分の所望の場所の許諾であり得る。これはランドマークの位置を決定し得る。ランドマークのこれらの場所を使用して、寸法を決定し得、そしてこれを使用して最適なインプラント構成要素を選択することができる。
【0061】
幾つかの実施形態は、プログラム命令が内部に記憶されたコンピュータ可読記憶媒体12を含み、プログラム名理恵は、プロセッサ11によって実行されると、上述した方法を実行する。
【0062】
明らかになるように、先に開示された具体的な実施形態の特徴及び属性は、様々な方法で組み合わせられて追加の実施形態を形成し得、それらの全ては本開示の範囲内に入る。
【0063】
とりわけ「することができる」、「することができた」、「し得る(might)」、「し得る(may)」、「例えば」等の条件語は、別記される場合又は他の方法で使用される文脈内で理解されるように、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を含み、一方、他の実施形態がそれらの特定の特徴、要素、及び/又は状態を含まないことを伝えることを意図する。したがって、そのような条件語は一般に、特徴、要素、及び/又は状態が決して1つ若しくは複数の実施形態にとって要求されないこと又は1つ若しくは複数の実施形態が必ずしも、オーサ-入力又はプロンプトあり又はなしで、これらの特徴、要素、及び/又は状態が任意の特定の実施形態に含まれるか否か若しくは実行されるか否かを決定するための論理を含むことを暗示することを意図しない。
【0064】
本明細書に記載され、及び/又は添付図に示される流れ図における任意のプロセス記述、要素、又はブロックは、プロセスにおける特定の論理機能又はステップを実施するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの部分を潜在的に表すものとして理解されたい。当業者にならば理解されるように、関わる機能に応じて、要素又は機能が削除され得、略同時又は逆順を含め、図示又は考察されたものとは異なる順序で実行し得る代替の実施態様が、本明細書に記載の実施形態の範囲内に含まれる。
【0065】
多くの変形及び改変を上記実施形態に対して行い得ることが強調されるべきであり、その要素は許容可能な例の中の1つとして理解されるべきである。そのような改変及び変形は全て、本明細書において本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0066】
本発明について具体的な実施形態を参照して上述した。しかしながら、上記以外の実施形態も本発明の範囲内で等しく可能である。本発明の範囲内で、上述したものと異なる方法ステップを提供してよい。本発明の異なる特徴及びステップは、記載される以外の組合せで組み合わせてよい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【国際調査報告】