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特表2023-501299高塩石膏から石膏壁板を調製する方法および関連製品
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  • 特表-高塩石膏から石膏壁板を調製する方法および関連製品 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】高塩石膏から石膏壁板を調製する方法および関連製品
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20230111BHJP
   C04B 28/14 20060101ALI20230111BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B28B1/30
C04B28/14
E04C2/26 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525767
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 US2020058092
(87)【国際公開番号】W WO2021091778
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/930,965
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/904,729
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】3084937
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】リー、チンホア
(72)【発明者】
【氏名】ヘンフィル、マーク ケイ.
【テーマコード(参考)】
2E162
4G052
4G112
【Fターム(参考)】
2E162CA16
2E162CC06
4G052DA01
4G052DB14
4G052DC06
4G112PE02
(57)【要約】

複合石膏ボードおよびボードを調製する方法。ボードは、2枚のカバーシートの間に挟まれた凝結石膏層を含む。凝結石膏層は、少なくともスタッコおよび水から形成される。凝結石膏層は、ボードコアおよび1つ以上のスキムコート層を含む。凝結石膏コアは、すべての石膏層の総厚のかなりの厚さを構成する。第1のスキムコート層が、第1の(面)カバーシートに面したコアの片側に含まれる。第2のスキムコート層が、第2の(裏側)カバーシートに面したコアの他方の側に含まれる。少なくとも第2のスキム層は、デンプンを含有するスラリーから形成されている。スタッコ材料は、例えば、スタッコが低品質の合成石膏の特定の供給源から焼成される場合、一般に高塩不純物含有量を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合石膏ボードであって
(a)水と、高塩不純物含有量を含有するスタッコと、を含む、第1のスラリーから形成された凝結石膏を含むボードコアであって、前記コアが、第1および第2のコア面を画定する、ボードコアと、
(b)第1および第2のスキムコート面を画定するスキムコート層であって、前記スキムコートが、水と、前記スタッコと、スキムコートデンプンと、を含む、第2のスラリーから形成され、前記スキムコートが、前記第1のコア面に対して結合関係で配置されている、スキムコート層と、
(c)裏側カバーシートであって、前記スキムコート層の第1の面が、前記裏側カバーシートに面しており、前記スキムコート層の第2の面が、前記ボードコアに面しており、前記スキムコートデンプンが、前記ボードコアと前記裏側カバーシートとの間の結合を強化する、裏側カバーシートと、を含む、複合石膏ボード。
【請求項2】
前記ボードが、面カバーシートをさらに含み、前記ボードコアの前記第2の面が、前記面カバーシートに面している、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項3】
前記ボードが、
第1および第2の面を画定する第2のスキムコート層をさらに含み、
前記第2のスキムコート層が、水と、前記スタッコと、前記スキムコートデンプンと、を含む、第3のスラリーから形成されており、
前記第2のスキムコート層の前記第1の面が、前記ボードコアの前記第2の面に面しており、前記第2のスキムコート層の前記第2の面が、前記第2のカバーシートに面しており、
前記スキムコートデンプンが、前記ボードコアと前記面カバーシートとの間の結合を強化し、前記第2および第3のスラリーが、同じであり得るか、または異なり得る、請求項2に記載の複合石膏ボード。
【請求項4】
前記第1および/または第2のスキムコート層が、約0.125インチ(1/8インチ)~約0.016インチ(1/64インチ)、例えば、約0.08インチ(1/12インチ)~約0.03インチ(1/32インチ)の乾燥厚さを有する、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項5】
前記スキムコートデンプンが、前記スタッコの約0.3重量%~約8.0重量%、例えば、前記スタッコの約1.0重量%~約4.0重量%の量で、前記第2および/または第3のスラリーに存在する、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項6】
前記高塩不純物が、前記硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり少なくとも約150ppmの塩化物アニオンを含む、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項7】
前記塩不純物が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、または塩化カルシウムなどの塩化物塩を含む、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項8】
前記第1のスラリーが、アルファ化デンプンおよび/または約6,000ダルトン以下の分子量を有する移動性デンプンを含むコアデンプンを含む、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項9】
15%固形のデンプン濃度の水を有するスラリーにデンプンを入れ、かつ75rpmおよび700cmgに設定されたViscopraph-E機器を使用することによって粘度が測定され、その際、前記デンプンが、3℃/分の速度で25℃~95℃に加熱され、前記スラリーが、95℃で10分間保持され、前記デンプンが、-3℃/分の速度で50℃に冷却されている場合、前記スキムコートデンプンが、(i)高温水粘度アッセイ法(HWVA法)に従って約20BU~約300BUの高温水粘度、および/または(ii)約120BU~1000BUの中間範囲ピーク粘度を有する未調理デンプンを含む、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項10】
前記スキムコートデンプンは、前記デンプンがVMA法に従う条件に曝されている間に粘度が測定される場合、約20センチポアズ~約700センチポアズ(例えば、約20センチポアズ~約300センチポアズまたは約30センチポアズ~約200センチポアズ)の粘度を有するアルファ化デンプンを含む、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項11】
複合石膏ボードを作製する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも水と、高塩不純物含有量を含むスタッコとを混合して、コアスラリーを形成することと、
(b)少なくとも水と、スタッコと、任意選択でスキムコートデンプンとを混合して、面スキムコートスラリーを形成することと、
(c)前記面スキムコートスラリーを面カバーシートに対して結合関係で配置して、スラリー表面およびカバーシート表面を有する面複合材料を形成することと、
(d)前記コアスラリーを前記面複合材料に対して結合関係で配置して、コア複合材料を形成することであって、前記コアスラリーが、第1および第2の面を有するボードコアを形成し、前記第1の面が、前記面複合材料の前記スラリー表面に面する、形成することと、
(e)水と、スタッコと、スキムコートデンプンとを混合して、裏側スキムコートスラリーを形成することであって、前記面および裏側スキムコートスラリーが、同じであり得るか、または異なり得る、形成することと、
(f)前記裏側スキムスラリーを裏側カバーシートに対して結合関係で配置して、スラリー表面およびカバーシート表面を有する裏側複合材料を形成することと、
(g)前記裏側複合材料を前記コア複合材料に対して結合関係で配置して、ボード前駆体を形成することであって、前記裏側複合材料の前記スラリー表面が、前記コアの前記第2の面に面する、形成することと、
(h)前記ボード前駆体を乾燥させて、ボードを形成することであって、前記スキムコートデンプンが、前記ボードコアと前記裏側カバーシートとの間、および任意選択で前記ボードコアと前記第1のカバーシートとの間の結合を強化する、形成することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記コアデンプンが、前記スタッコの約0.5重量%~約1.5重量%の量のアルファ化デンプンであり、前記スキムコートデンプンが、前記スタッコの約1.5重量%~約5重量%の量の未調理デンプンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および/または第2のスキムコート層が、0.125インチ(1/8インチ)~約0.016インチ(1/64インチ)、例えば、約0.083インチ(1/12インチ)~約0.031インチ(1/32インチ)の乾燥厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記スキムコートデンプンが、前記スタッコの約0.3重量%~約8.0重量%、例えば、前記スタッコの約1.0重量%~約4.0重量%の量で、前記第2および/または第3のスラリーに存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のスラリーが、前記硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり少なくとも約150ppmの塩化物アニオンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記塩不純物が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、または塩化カルシウムなどの塩化物塩である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記コアデンプンが、アルファ化デンプンおよび/または約6,000ダルトン以下の分子量を有する移動性デンプンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
15%固形のデンプン濃度の水を有するスラリーに前記デンプンを入れ、かつ75rpmおよび700cmgに設定されたViscograph-E機器を使用することによって測定され、その際、前記デンプンが、3℃/分の速度で25℃~95℃に加熱され、前記スラリーが、95℃で10分間保持され、前記デンプンが、-3℃/分の速度で50℃に冷却されている場合、前記スキムコートデンプンが、(i)高温水粘度アッセイ法(HWVA法)に従って約20BU~約300BUの高温水粘度、および/または(ii)約120BU~1000BUの中間範囲ピーク粘度を有する未調理デンプンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記スキムコートデンプンは、前記デンプンがVMA法に従う条件に曝されている間に粘度が測定される場合、約20センチポアズ~約700センチポアズ(例えば、約20センチポアズ~約300センチポアズまたは約30センチポアズ~約200センチポアズ)の粘度を有するアルファ化デンプンを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
建物の建設において、建設および改造のためのより一般的な建築要素の1つは、しばしば乾式壁、石膏ボード、石膏パネル、石膏パネリング、および天井タイルとして公知の石膏壁板である。化学用語では、石膏は、硫酸カルシウム二水和物(のCaSO・2HO)である。
【0002】
凝結石膏(硫酸カルシウム二水和物)は、そのような製品に使用されるよく知られた材料である。凝結石膏を含むパネルは、しばしば石膏ボードと呼ばれ、石膏ボードは、2枚のカバーシート、特に紙カバーシートの間に挟まれたボードコア(凝結石膏コア)を含む。このようなパネルは、建物の内壁および天井の乾式壁の建設に一般的に使用される。しばしば「スキムコート」と呼ばれる1つ以上のより密度の高い領域が、ボードコアのいずれかの面、通常はボードコアと、カバーシートまたはその上のコーティングの内面との間の境界面に層として含まれる場合がある。より密度の高い領域は、石膏ボードの石膏コア層を提供する石膏層のより密度の低い領域と隣接している場合がある。
【0003】
石膏ボードの製造中に、水性石膏スラリーを形成するために、スタッコ(硫酸カルシウム半水和物を含む)、水、および必要に応じて他の成分が、通常はミキサにおいて混合される場合がある。水性石膏スラリーまたは水性スラリーまたは石膏スラリーという用語は、通常、硫酸カルシウム半水和物が硫酸カルシウム二水和物に変換される前および後の両方のスラリーに使用される。石膏スラリーは、形成され、ミキサから、任意でスキムコートを有する第1のカバーシートを運ぶ移動コンベヤ上へ排出される。存在する場合、スキムコートは、石膏スラリーが第1のカバーシート上に排出される場所の上流において適用される。石膏スラリーを第1のカバーシートに適用した後、所望の厚さを有するサンドイッチアセンブリを形成するために、やはり任意でスキムコートを有する第2のカバーシートが石膏スラリーに適用される。成形プレート、ローラーなどが、所望の厚さを設定するのを助ける場合がある。次に、石膏スラリーは、結晶性水和石膏(すなわち、凝結石膏としても知られる硫酸カルシウム二水和物)のマトリックスを形成するために、焼石膏と水との反応を介して、凝結(すなわち、再水和)石膏を形成することによって、硬化させられる。焼石膏の所望の水和は、凝結石膏結晶のインターロッキングマトリックスの形成を促進し、これにより、石膏ボードに強度を付与する。残りの遊離(すなわち、未反応)水を追い出し、乾燥生成物を得るために、(例えば、窯内で)熱が加えられる場合がある。次に、所望の長さを有する石膏ボードを形成するために、凝結石膏製品が切断される。
【0004】
壁板での使用に適した石膏(硫酸カルシウム二水和物および不純物)は、天然資源と合成資源の両方から入手される場合があり、その後、さらに処理される。
【0005】
天然石膏は、半水和物の形態を生成するために、その硫酸カルシウム二水和物をか焼することによって使用される場合がある。天然資源からの石膏は天然に存在する鉱物であり、岩の形態で採掘することができる。天然に存在する石膏は、古い塩湖層、火山堆積物、および粘土層に通常見られる鉱物である。採掘されるとき、生の石膏は一般に二水和物の形態で発見される。石膏は、硫酸カルシウム二水和物、テラアルバまたはランドプラスターとしても知られている。この材料は、様々な工業プロセスの副産物としても生成される。例えば、合成石膏は、発電所からの排煙脱硫プロセスの副産物である。石膏には、硫酸カルシウムの各分子に関連する約2つの分子の水が存在する。
【0006】
プラスター・オブ・パリスは、焼石膏、スタッコ、硫酸カルシウムセミ水和物、硫酸カルシウムハーフ水和物、または硫酸カルシウム半水和物としても知られている。
【0007】
いずれかの供給源からの硫酸カルシウム二水和物が、焼成またはか焼と呼ばれるプロセスにおいて十分に加熱されると、水和水は少なくとも部分的に追い出され、温度と曝露時間に応じて、硫酸カルシウム半水和物(CaSO・1/2HO)(一般に「スタッコ」と呼ばれる材料において提供される)または硫酸カルシウム無水物(CaSO)を形成することができる。本明細書で使用される場合、「スタッコ」および「焼石膏」という用語は、そこに含まれる場合がある硫酸カルシウムの半水和物および無水物の両方の形態を指す。半水和物形態を生成するための石膏のか焼は、次の式によって行われる。
CaSO・2HO→CaSO・0.5HO+1.5H
【0008】
焼石膏は、水と反応して硫酸カルシウム二水和物を形成することができ、この硫酸カルシウム二水和物は、剛性製品であり、本明細書では「凝結石膏」と呼ばれる。
【0009】
石膏はまた、例えば、発電所からの排煙脱硫などの工業プロセスの副産物として合成的に得られる場合がある(当技術分野では「シンジプ」と呼ばれる)。天然石膏または合成石膏を、典型的には150℃より高い高温でか焼することができ、これにより、スタッコ(すなわち、硫酸カルシウム半水和物および/または硫酸カルシウム無水物の形態の焼石膏)を形成し、スタッコは、引き続き、ボードなどの所望の形状に凝結石膏を形成するために再水和される場合がある。
【0010】
発電所から得られる合成石膏は、通常、建設プロジェクト向けの石膏パネルでの使用に適している。合成石膏は、発電所からの排煙脱硫プロセスの副産物である(脱硫石膏またはデサルフォジプサムまたはDSGとしても知られる)。特に、二酸化硫黄を含む排煙は、石灰または石灰石で湿式洗浄され、石灰または石灰石は、次の反応において亜硫酸カルシウムを生成する。
CaCO+SO→CaSO+CO
次に、亜硫酸カルシウムは次の反応で硫酸カルシウムに変換される。
CaSO+2HO+1/2O→CaSO・2H
次に、半水和物の形態は、天然石膏に使用されるのと同様の方法でか焼によって生成される場合がある。
【0011】
しかし、多くの従来の石炭火力発電所は、より環境に優しいエネルギー源を優先して閉鎖されている。石炭火力発電所の閉鎖により、石膏パネルの製造に適した合成石膏がますます不足している。低品質の合成石膏は、発電所やその他の供給源から入手できるが、この代替的な供給源からの石膏はしばしば、かなり高い濃度の外来塩、特にマグネシウムまたはナトリウム塩、特に塩化マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む。少量の塩化カリウムおよび塩化カルシウムも、代替的な供給源からの合成石膏に存在する場合がある。外来塩は、ボードコアと、カバーシート、特に裏側紙カバーシートとの間の接着力を低下させる傾向があるため、問題となる可能性がある。
【0012】
この背景技術の記載は、読者を補助するために発明者らによってなされており、従来技術の引用でも、示された課題のうちのいずれもそれ自体が当該技術分野において認識されたことを示すものでもないことが認識されるであろう。記載される原理は、いくつかの点および実施形態では、他のシステムに固有の問題を軽減できるが、保護される技術革新の範囲は、本明細書に記述された任意の特定の問題を解決する請求された発明の能力によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、石膏ボードと、ボードが石膏層とボードのカバーシートとの間に良好な接着性を示す石膏ボードの方法とに関する。本発明は、高含有量の塩不純物を含むスタッコから形成されたボードに特に適用可能である。一般的に、スタッコは、天然または合成の供給源からの石膏をか焼することによって形成される。自然界では、それは地球から採掘することができる一般的な豊富な鉱物である。合成形態の石膏は、高硫黄石炭を燃焼する石炭火力発電所に関連する排煙脱硫(FGD)プロセスからの副産物として得ることができる。発電所では、二酸化硫黄の排出は湿式洗浄プロセスによって除去される。石灰石スラリーを注入すると、フライアッシュを除去した後に合成石膏が沈殿する。例えば、合成石膏のいくつかの形態は、高含有量の塩不純物を含み、それはその後、焼石膏として形成されたスタッコに残る。合成石膏中の塩不純物は、例えば高塩石炭に起因する可能性がある。これらの塩不純物は、カバーシート(例えば、紙から形成される)とボード内の石膏層(例えば、ボードコア)との間の結合に悪影響を与えることが見出されている。
【0014】
石膏ボードは、2枚のカバーシートの間に配置された石膏層を含むように形成されている。石膏層は、一般に、コア層、ならびにコアの第1の主面とカバーシートとの間のスキムコート層を含む。いくつかの実施形態では、コアの第2の主面と、第1のカバーシートの反対側の第2のカバーシートとの間に第2のスキムコート層があり、この配置は当技術分野で理解されている。少なくとも1つのスキムコートはコアに比べて非常に薄く、カバーシートとボードコアの間の結合を強化するためにデンプンを含んでいる。好ましい実施形態では、デンプンは天然デンプンであり、ボードコアと裏紙カバーシートとの間のスキムコート層に含まれる。このようにして、本発明は、ボードコアおよび/または他の石膏層が、例えば、以前に紙とコアの結合を妨げることがわかっていたNaCl、KCl、MgCl、および/またはCaClなどの塩化物塩を含む望ましくない外来塩を含む、低品質の合成石膏に由来するスタッコから形成される場合でさえ、改善された接着を可能にする。
【0015】
複合石膏ボードおよび複合石膏ボードの調製方法が開示されている。ボードは、2枚のカバーシートの間に挟まれた凝結石膏層を含む。凝結石膏層は、少なくともスタッコおよび水から形成される。凝結石膏層は、ボードコアおよび1つ以上のスキムコート層を含む。凝結石膏コアは、すべての石膏層の総厚の実質的な厚さ(例えば、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、または少なくとも約97%)を構成する。第1のスキムコート層が、第1の(面)カバーシートに面したコアの片側に含まれる。第2のスキムコート層が、第2の(裏側)カバーシートに面したコアの他方の側に含まれる。少なくとも第2のスキム層は、デンプンを含むスラリーから形成されている。スタッコ材料は、例えば、スタッコが低品質の合成石膏の特定の供給源から焼成される場合、一般に高塩不純物含有量を含む。例えば、いくつかの実施形態では、塩は、塩化物塩、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、および/または塩化カルシウム(CaCl)である。
【0016】
したがって、一態様では、本発明は、複合石膏ボードを提供する。石膏ボードはボードコアを含む。ボードコアは、第1のスラリーから形成された凝結石膏を含む。第1のスラリーは、水と、高塩不純物含有量を含むスタッコとを含む。第1のスラリーは、発泡剤、コアデンプン、分散剤、促進剤、遅延剤、ポリホスフェートなど、必要に応じて他の成分を含むことができる。コアは、互いに反対の第1および第2のコア面を画定する。ボードは、第1および第2のスキムコート面を画定する第1の(面)スキムコート層を含む。第1のスキムコート層は、水、スタッコ、およびスキムコートデンプンを含む第2のスラリーから形成される。第1のスキムコート層は、第1のコア面に対して結合関係で配置されている。ボードは、第1の(面、マニラと呼ばれることもある)カバーシートも含む。第1のスキムコート層の第1の面は第1のカバーシートに面し、スキムコート層の第2の面はボードコアに面する。ボードはさらに、第2の(裏側、ニュースラインと呼ばれることもある)カバーシートを含む。ボードコアの第2の面は、第2のカバーシートに面する。ボードはさらに、第1および第2の面を画定する第2のスキムコート層を含む。第2のスキムコート層は、水、スタッコ、およびデンプンを含む第3のスラリーから形成される。デンプンは、好ましくは天然デンプンであり、ボードコアと第1のカバーシートとの間の結合を強化する。第2のスキムコート層の第1の面は、ボードコアの第2の面に面し、第2のスキムコート層の第2の面は、第2のカバーシートに面する。第2および第3のスラリーは同じであり得るか、または異なり得る。
【0017】
別の態様では、本発明は、複合石膏ボードを製造する方法を提供する。この方法は、少なくとも水と、高塩不純物含有量を含むスタッコとを混合してコアスラリーを形成することを含む。コアスラリーは、発泡剤、コアデンプン、分散剤、促進剤、遅延剤、ポリホスフェートなど、必要に応じて他の成分を含むことができる。この方法はまた、少なくとも水、スタッコ、および任意選択でスキムコートデンプンを混合して面スキムコートスラリーを形成することを含む。面スキムコートスラリーは、面カバーシートに対して結合関係で配置され、スラリー表面およびカバーシート表面を有する面複合材料を形成する。コアスラリーは、面複合材料に対して結合関係で配置されて、コア複合材料を形成する。コアスラリーは、第1および第2の面を有するボードコアを形成し、第1の面は、面複合材料のスラリー表面に面している。水、スタッコ、およびスキムコートデンプンを混合して、裏側スキムコートスラリーを形成する。面スキムコートと裏側スキムコートのスラリーは同じであり得るか、または異なり得る。裏側スキムスラリーは、裏側カバーシートに対して結合関係で配置され、スラリー表面とカバーシート表面とを有する裏側複合材料を形成する。裏側複合材料は、コア複合材料に対して結合関係で配置され、ボード前駆体を形成する。裏側複合材料のスラリー表面は、コアの第2の面に面する。ボード前駆体を乾燥させてボードを形成する。スキムコートデンプンは、ボードコアと裏側カバーシートとの間の結合、および任意選択でボードコアと第1のカバーシートとの間の結合を強化する。
【0018】
別の態様では、本発明は、硫酸カルシウム半水和物(スタッコ)および高含有量の塩不純物、ならびに本明細書で論じられるようなコアデンプンおよび他の成分などの所望の他の成分を含む水性スラリーから形成された石膏ボードにおける石膏層と裏側カバーシートとの間の接着を強化する方法を提供する。いくつかの実施形態では、塩不純物は、NaCl、KCl、MgCl、および/またはCaClなどの塩化物塩の形態である。例えば、水性スラリーは、硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり少なくとも約150ppmの塩化物アニオンを含むことができる。この方法は、少なくとも水、コアデンプン、および高塩不純物含有量を含むスタッコを混合して、第1のスラリーを形成することを含む。第2のスラリーは、少なくとも水、スタッコ、および任意選択でスキムコートデンプンから形成され、それが混合される。第2のスラリーは、第1の(面)カバーシートに結合関係で塗布されて、スキムコート層を形成する。スキムコート層は、第1の面および第2の面を有する。スキムコート層の第1の面は、第1のカバーシートに面する。第1のスラリーは、スキムコート層に結合関係で塗布されて、第1の面および第2の面を有するボードコアを形成する。ボードコアの第1の面は、スキムコート層の第2の面に面する。第2の(裏側)カバーシートは、ボードコア面の第2の面に結合関係で適用されて、ボード前駆体を形成する。水、スタッコ、およびスキムコートデンプンを含む第3のスラリーが、第2のカバーシートの第1の表面に塗布されて、第2のカバーシートとボードコアとの間に配置される第2のスキムコート層を形成する。スキムコートデンプンは、ボードコアと第2(裏側)のカバーシートの間の結合を強化する。第2および第3のスラリーは同じであり得るか、または異なり得る。ボード前駆体を乾燥させてボードを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本発明の実施形態による、スキムコートを備えた壁板の断面の概略図(実寸で描かれていない)である。
図1B】本発明の実施形態による、スキムコートを備えた壁板の断面の概略図(実寸で描かれていない)である。
図2図2Aおよび図2Bは、実施例1で論じられる結合試験後の2枚のボードの写真である。
図3図3Aおよび図3Bは、実施例1で論じられる結合試験後の3枚のボードの写真である。
図4図4Aおよび図4Bは、実施例1で論じられる結合試験後の3枚のボードの写真である。
図5図5A図5Cは、実施例1で論じられる結合試験後の3枚のボードの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、少なくとも部分的に、石膏層とカバーシート(例えば、紙で構成される)との間の接着を強化することに基づいている。本発明は、かなりの量の外来塩を含むスタッコスラリーから形成された1つ以上の石膏層を含む石膏ボードに特に有用である。例えば、いくつかの実施形態では、塩は、塩化物塩、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、および/または塩化カルシウム(CaCl)である。
【0021】
そのような塩は、例えば、スタッコが低品質の合成石膏に由来するスタッコスラリーに見出すことができる。この点で、通常、ボード製造施設は石膏を調達し、石膏はその後焼成されてスタッコを形成する。次に、スタッコを水と反応させて、所望の寸法の石膏(すなわち、硫酸カルシウム二水和物)層を形成する。低品質の合成石膏にかなりの量の塩不純物が含まれている場合、そのような塩はか焼後にスタッコに残り、したがってスタッコスラリーに存在することがわかっている。いくつかの実施形態では、スタッコスラリーは、高品質の塩、例えば、当該硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり約150ppm~約2000ppmなどの、当該硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり少なくとも約150ppmの塩化物アニオンを含む。かなりの量の塩不純物の存在は、ボードコアと紙カバーシートの間の接着を妨げることがわかっている。
【0022】
好ましい実施形態では、スキムコート層は、一般に、より高密度であり、ボードコアに比べて非常に薄い。ボードコアを形成する層は、累積的に石膏層の厚さ、およびボード全体に最も大きく寄与するため、主要な石膏層である。凝結石膏コアは、すべての石膏層の総厚の実質的な厚さ(例えば、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、または少なくとも約97%)を構成する。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のスキムコート層は、約0.125インチ(1/8インチ)~約0.016インチ(1/64インチ)の乾燥厚さを有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのスキムコート層(好ましくは、裏側カバーシートに隣接するスキムコート層)は、約0.08インチ~約0.02インチ、例えば、約0.08インチ~約0.03インチ、約0.07インチ~約0.02インチ、約0.07インチ~約0.03インチ、約0.06インチ~約0.02インチ、約0.06インチ~約0.03インチ、約0.05インチ~約0.02インチ、約0.05インチ~約0.03インチ、約0.04インチ~約0.02インチ、または約0.04インチ~約0.03インチの厚さを有する。驚くべきことに、かつ予想外に、非常に薄い裏側スキムコートにスキムコートデンプンを含めると、コアと裏側カバーシートの間の結合が強化されることがわかった。特定の理論によって見出されることを望まないが、薄いスキムコート中のスキムコートデンプンの存在は、デンプンが紙繊維とコア中の石膏結晶とをしっかりと結合する接着剤として作用すると考えられているため、カバーシート-石膏コア結合を強化するのに効果的である。
【0023】
複合石膏ボードは、第1のスラリーから形成された凝結石膏からなるボードコアを含む。第1のスラリーは、水と、高塩不純物含有量を含むスタッコとを含む。第1のスラリーは、発泡剤、コアデンプン、分散剤、促進剤、遅延剤、ポリホスフェートなど、必要に応じて他の成分を含むことができる。コアは、反対の第1および第2のコア面を画定する。複合石膏ボードは、第1および第2のスキムコート面を画定するスキムコート層を含む。スキムコートは、水、スタッコ、およびスキムコートデンプンを含む第2のスラリーから形成される。スキムコートは、第1のコア面に対して結合関係で配置されている。複合石膏ボードは、第1のカバーシートを含む。スキムコート層の第1の面は第1のカバーシートに面し、スキムコート層の第2の面はボードコアに面する。デンプンは、ボードコアと第1のカバーシートの間の結合を強化する。いくつかの実施形態では、ボードは、第2のカバーシートをさらに含む。ボードコアの第2の面は、第2のカバーシートに面する。好ましい実施形態では、スキムコートデンプンは裏側カバーシートに存在する。特定の理論に拘束されることを望まないが、乾燥プロセス中に塩不純物が裏紙に向かって移動する傾向があるため、裏紙は、塩不純物の存在下では、ボードコアへの不十分な接着を特に受けやすいと考えられている。
【0024】
例示するために、図1A図1Bは、複合石膏ボード10が示されている本発明の実施形態を概略的に示している。ボード10は、面カバーシート12および裏側カバーシート14を含む。面カバーシート12は、第1の面16と、概してボード10が取り付けられたときに見える表面である第2の面18とを有する。裏側カバーシート14は、第1の面20と、概して、取り付けられたときにスタッド、ジョイストなどに内向きに面するボード10の外面である第2の面22とを有する。
【0025】
裏側スキムコート層24は、第1の面26と、裏側カバーシート14の第1の面20に面する第2の面28とを有する。ボードコア30は、2枚のカバーシート12と14の間に配置されている。一般に、スキムコート層は、ボードコア30よりも比較的高密度で薄い石膏層である。ボードコア30は、第1の面32および第2の面34を有する。ボードコア30の第1の面32は、裏側カバーシート14の第1の面20に面している。裏側スキムコート層24は、カバーシート14へのコア30の接着を強化するためのスキムコートデンプン35(図1A図1Bにドットとして示されている)を含む。図1A図1Bに示すように、面スキムコート層36は、好ましくは、面カバーシート12とボードコア30との間に提供されている。
【0026】
含まれる場合、面スキムコート層36は、図1A図1Bに見られるように、ボードコア30に面する第1の表面38と、面カバーシート12に面する第2の表面40とを有する。面スキムコート層36が存在する場合、いくつかの実施形態では、それは、例えば、図1Aに示されるように、スキムコートデンプンではなくコアデンプンを含むように、ボードコアを形成するために使用される同じスラリーから形成される。あるいは、図1Bに見られるように、いくつかの実施形態では、面スキムコート層36は、スキムコートデンプン35を含むスラリーから形成される。
【0027】
壁アセンブリでは、ボードを基板、通常はフレーミング構造のスタッドに取り付けることができる。壁アセンブリでは、使用中に取り付けたときにボードがぶら下がっているとき、ボードの裏面(つまり、裏側カバーシートの外面)がスタッドに向かって内側を向いているのに対し、ボードの面表面(つまり、面カバーシートの外面)は見えている。
【0028】
本発明は、複合石膏ボードを製造する方法も提供する。この方法は、少なくとも水と、高塩不純物含有量を含むスタッコとを混合して第1のスラリーを形成することを含む。第1のスラリーは、発泡剤、コアデンプン、分散剤、促進剤、遅延剤、ポリホスフェートなど、必要に応じて他の成分を含むことができる。この方法は、少なくとも水、スタッコ、およびスキムコートデンプンを混合して第2のスラリーを形成することを含む。この方法は、第1のカバーシートに結合関係で第2のスラリーを塗布して、スキムコート層を形成することを含む。スキムコート層は、第1の面と第2の面とを有し、スキムコート層の第1の面は、第1のカバーシートに面している。この方法は、第1のスラリーをスキムコート層に結合関係で塗布して、第1の面および第2の面を有するボードコアを形成することを含む。ボードコアの第1の面は、スキムコート層の第2の面に面する。第3のスラリーが調製される。この方法は、ボードコア面の第2の面に結合関係で第2のカバーシートを適用して、ボード前駆体を形成することを含む。第3のスラリーは、水、スタッコ、およびスキムコートデンプンを含み、それは、例えば、第2のカバーシートの第1の表面に塗布されて、第2のカバーシートとボードコアとの間に配置される第2のスキムコート層を形成する。第3のスラリー中のデンプンは、ボードコアと第2のカバーシートとの間の結合を強化する。第2および第3のスラリーは同じであり得るか、または異なり得る。第2および第3のスラリーは、スキムコートデンプン以外のコアデンプンを有することができる。スキムコートデンプンは、ボードコアと第1のカバーシートとの間の結合を強化する。この方法は、ボード前駆体を乾燥させてボードを形成することを含む。
【0029】
石膏ボードコアを形成するために使用される一次スラリーはコアデンプンを含むことができ、一方、裏側スキムコート層および任意選択で面スキムコート層は、スキムコートデンプンを含むスラリーから形成される。いくつかの実施形態において、スキムコートデンプンは、ボードコアを形成するためのスラリー中のコアデンプンの量と比較して、スキムコート層を形成するためのスラリーにおいてより高い相対濃度で提供される。本明細書で論じられるように、スキムコートデンプンは、望ましくない塩不純物の存在下でさえ、驚くべきことに、かつ予想外に、対応する(隣接する)カバーシートの接着を強化する。いくつかの実施形態では、コアデンプンは、塩不純物が存在する場合にカバーシートの接着を助けるのに効果的であるとは考えられていない。
【0030】
コアデンプンは、例えば、米国特許第9,540,810号、米国特許第9,828,441号、米国特許第10,399,899号、および米国出願第15/934,088号において論じられているように、強度を高めるために提供される。いくつかの実施形態では、当技術分野で知られている移動性デンプンをコアスラリーにさらに含むことができる。移動性デンプンは通常、鎖長が短く(例えば、酸または酵素による修飾のため)、コアの強度に大きな影響を与えることなく、コアとカバーシートとの界面に移動してさらに結合を強化する。
【0031】
好ましい実施形態では、コアデンプンは、アルファ化デンプンの形態であり、デンプンがVMA法による条件に曝されている間に粘度を測定した場合、例えば、約20センチポアズ~約700(例えば、約20センチポアズ~約300センチポアズまたは約30センチポアズ~約200センチポアズなど)の粘度を有する。いくつかの実施形態では、コアデンプンは天然デンプンである。いくつかの実施形態では、コアデンプンは、15%固形のデンプン濃度の水を有するスラリーにデンプンを入れ、75rpmおよび700cmgに設定されたViscograph-E機器を使用することによって、粘度が測定され、その際、デンプンは、3℃/分の速度で25℃~95℃に加熱され、スラリーは、10分間95℃に保持され、デンプンは、-3℃/分の速度で50℃に冷却された場合、(i)高温水粘度アッセイ法(HWVA法)に従って約20BU~約300BUの高温水粘度、および(ii)約120BU~1000BUの中間範囲ピーク粘度を有する未調理デンプンを含む。いくつかの実施形態において、コアデンプンは、約6,000ダルトン以下の分子量を有する移動性デンプンを含む。
【0032】
スキムコートデンプンは、少なくとも1つのスキムコート層に含まれる(および任意選択で、いくつかの実施形態では両方のスキムコート層に含まれる)。スキムコート層の製造に使用されるデンプンは、スキムコート層を形成するためのスラリー中にデンプンなしで製造されたボードと比較して、コアとそれが隣接するカバーシートとの間の結合を強化するのに効果的である。好ましい実施形態では、デンプンは天然デンプンである。いくつかの実施形態では、スキムコートデンプンは、15%固形のデンプン濃度の水を有するスラリーにデンプンを入れ、75rpmおよび700cmgに設定されたViscograph-E機器を使用することによって、粘度が測定され、その際、デンプンは、3℃/分の速度で25℃~95℃に加熱され、スラリーは、10分間95℃に保持され、デンプンは、-3℃/分の速度で50℃に冷却された場合、(i)高温水粘度アッセイ法(HWVA法)に従って約20BU~約300BUの高温水粘度、および(ii)約120BU~1000BUの中間範囲ピーク粘度を有する未調理デンプンを含む。あるいは、必要であれば、スキムコートデンプンは、アルファ化デンプンの形態であることができ、デンプンがVMA法による条件に曝されている間に粘度を測定した場合、例えば、約20センチポアズ~約700(約20センチポアズ~約300センチポアズまたは約30センチポアズ~約200センチポアズなど)の粘度を有する。いくつかの実施形態において、スキムコートデンプンは、約6,000ダルトン以下の分子量を有する移動性デンプンを含む。HWVA法は、例えば、米国特許出願公開第2019/0023612A1号に記載されており、VMA法は、例えば、米国特許出願公開第2012/0113124号に記載されており、これらの方法論は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
いくつかの実施形態では、スキムコートデンプンは、第2および/または第3のスラリー中の、スタッコの約0.3重量%~約8.0重量%の量、例えば、スタッコの約1.0重量%~約4.0重量%の量で、スキムコート層の少なくとも1つ、好ましくは裏紙に隣接する少なくともスキムコート層に存在する。いくつかの実施形態では、スキムコートデンプンは、裏側カバーシートに隣接する第2のスキムコート層に含まれるが、面カバーシートに隣接する第1のスキムコート層を作製するためのスラリーは、例えば、コアデンプンを含むように、コアを作製するための同じスラリーから形成される。第2および/または第3のスラリーにおける総スキムコートデンプン使用量は、第1のスラリーにおけるコアデンプン使用量よりも多い。好ましい実施形態では、コアデンプンの使用量は、スタッコの約0.1~約1.5重量%であるのに対し、スキムコートデンプンの使用量は、スタッコの約1.5~約4.0重量%である。いくつかの実施形態において、コアデンプンはアルファ化デンプンであり、スキムコートデンプンは未調理のデンプンであり、移動性デンプンは、さらに、コアデンプンおよび/またはスキムコートデンプンにおいて任意選択的である。
【0034】
面カバーシートおよび裏側カバーシートは、任意の適切な坪量および厚さを有することができる。一般に、面カバーシートおよび裏側カバーシート(例えば、紙で構成される)の厚さは、(例えば、紙の)重量によって決定される。例えば、いくつかの実施形態では、面カバーシートおよび裏側カバーシートは、約10lb/msf~約55lb/msf、例えば、約20lb/msf~約55lb/msf、約20lb/msf~約50lb/msf、約20lb/msf~約40lb/msf、約30lb/msf~約55lb/msf、約30lb/msf~約50ls/msf、約30lb/msf~約40lb/msfなどの坪量を有することができる。いくつかの実施形態では、面カバーシートおよび裏側カバーシートのうちの一方または両方は、約15lb/msf~約35lb/msf、例えば、約20lb/msf~約33lb/msf、約20ls/msf~約31lab/msf、約20lb/msf~約29lb/msf、約20lb/msf~約27lb/msf、約15lb/msf~約31lb/msfなどの重量を有する。そのような重量の紙は、約0.005インチ~約0.015インチ、例えば、0.007~約0.03インチ(例えば、約0.01インチ)の公称厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のカバーシートは、約0.008インチ~約0.013インチの厚さを有する紙の形態であり得る。任意選択で、いくつかの実施形態では、ボードは、米国特許出願第16/581,070号に記載されているような中間シートを含むことができる。
【0035】
石膏層(ボードコアおよびスキムコート層)は、少なくとも水およびスタッコを含むスラリーから形成される。本明細書全体を通して言及されるように、スタッコは、硫酸カルシウムアルファ半水和物、硫酸カルシウムベータ半水和物、および/または硫酸カルシウム無水物の形態であり得る。スタッコおよび水に加えて、ボードコアは、低密度フィラー(例えば、パーライト、低密度骨材のような)などの、低密度に寄与する薬剤、または発泡剤から形成される。様々な発泡剤レジームが当技術分野でよく知られている。発泡剤は、凝結石膏の連続結晶マトリックス内に空隙分布を形成するために含むことができる。いくつかの実施形態において、発泡剤は、不安定な成分の主要な重量部分、および安定した成分のわずかな重量部分を含む(例えば、不安定なものと、安定した/不安定なもののブレンドが組み合わされる場合)。不安定な成分と安定した成分の重量比は、凝結石膏コア内に空隙分布を形成するのに効果的である。例えば、米国特許第5,643,510号、米国特許第6,342,284および米国特許第6,632,550号を参照されたい。いくつかの実施形態において、発泡剤は、アルキルサルフェート界面活性剤を含む。
【0036】
GEO Specialty Chemicals(Ambler,PA)からの石鹸製品のHYONICライン(例えば、25AS)など、多くの商業的に知られている発泡剤が利用可能であり、本開示の実施形態に従って使用することができる。他の市販の石鹸には、Stepan Company(Northfield,Illinois)からのポリステップB25が含まれる。本明細書に記載の発泡剤は、単独で、または他の発泡剤と組み合わせて使用することができる。泡を事前に生成してから、スタッコスラリーに加えることができる。事前生成は、水性発泡剤に空気を挿入することによって行うことができる。泡を生成するための方法および装置はよく知られている。例えば、米国特許第4,518,652号、米国特許第2,080,009号および米国特許第2,017,022号を参照されたい。
【0037】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、少なくとも1つのアルキルサルフェート、少なくとも1つのアルキルエーテルサルフェート、またはそれらの任意の組み合わせを含むか、それからなるか、または本質的になるが、オレフィン(例えば、オレフィンサルフェート)および/またはアルキンを本質的に含まない。オレフィンまたはアルキンを本質的に含まないということは、発泡剤が(i)スタッコの重量に基づいて0重量%を含むか、またはオレフィンおよび/もしくはアルキンを含まないか、または(ii)無効な量または(iii)重要でない量のオレフィンおよび/もしくはアルキンを含むことを意味する。無効な量の例は、当業者が認めるように、オレフィンおよび/またはアルキン発泡剤を使用するという意図された目的を達成するための閾値量を下回る量である。当業者が認めるように、重要でない量は、スタッコの重量に基づいて、例えば、約0.001重量%未満、例えば、約0.0005重量%未満、約0.001重量%未満、約0.00001重量%未満などである場合がある。
【0038】
本開示の実施形態による、いくつかのタイプの不安定な石鹸は、様々な鎖長および様々なカチオンを有するアルキルサルフェート界面活性剤である。適切な鎖長は、例えば、C~C12、例えば、C~C10、またはC10~C12であり得る。適切なカチオンには、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、またはカリウムが含まれる。不安定な石鹸の例には、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸カリウム、デシル硫酸カリウム、オクチル硫酸ナトリウム、デシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸アンモニウム、それらのブレンド、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0039】
本開示の実施形態による、いくつかのタイプの安定した石鹸は、様々な(一般により長い)鎖長および様々なカチオンを有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化)アルキルサルフェート界面活性剤である。適切な鎖長は、例えば、C10~C14、例えば、C12~C14、またはC10~C12であり得る。適切なカチオンには、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、またはカリウムが含まれる。安定した石鹸の例には、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウレス硫酸マグネシウム、ラウレス硫酸アンモニウム、それらのブレンド、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、これらのリストからの安定した石鹸と不安定な石鹸の任意の組み合わせを使用することができる。
【0040】
発泡剤の組み合わせおよび発泡石膏製品の調製におけるそれらの添加の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,643,510号に開示されている。例えば、安定した泡を形成する第1の発泡剤と不安定な泡を形成する第2の発泡剤とを組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、第1の発泡剤は、例えば、8~12個の炭素原子のアルキル鎖長および1~4単位のアルコキシ(例えば、エトキシ)基鎖長を有するアルコキシル化アルキルサルフェート石鹸を有する石鹸である。第2の発泡剤は、任意選択で、6~20の炭素原子、例えば、6~18または6~16の炭素原子のアルキル鎖長を有する非アルコキシル化(例えば、非エトキシル化)アルキルサルフェート石鹸である。いくつかの実施形態によれば、これらの2つの石鹸のそれぞれの量を調整することにより、約100%安定石鹸または約100%不安定石鹸に達するまで、ボードフォーム構造の制御が可能になると考えられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、米国特許公開第2017/0096369A1号、同第2017/0096366A1号、および同第2017/0152177A1号に記載のように、脂肪アルコールは、任意選択で、発泡剤とともに、例えば、泡を調製するためのプレミックスに含むことができる。これにより、フォームの安定性が向上し、泡(空気)の空隙サイズと分布をより適切に制御できるようになる。脂肪アルコールは、任意の適切な脂肪族脂肪アルコールであり得る。本明細書全体で定義されるように、「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルを指し、置換または非置換、分岐または非分岐、および飽和または不飽和であることができ、いくつかの実施形態に関して、本明細書に記載の炭素鎖、例えば、C~Cによって表され、ここで、xおよびyは整数である。したがって、脂肪族という用語は、基の疎水性を維持するヘテロ原子置換を有する鎖も指す。脂肪アルコールは、単一の化合物であり得るか、または2つ以上の化合物の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、任意選択の脂肪アルコールは、C~C20脂肪アルコール(例えば、C~C18、C~C116、C~C14、C~C12、C~C10、C~C、C~C16、C~C14、C~C12、C~C10、C10~C16、C10~C14、C10~C12、C12~C16、C12~C14、またはC14~C16脂肪族脂肪アルコールなど)である。例には、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0042】
いくつかの実施形態では、任意の泡安定剤は脂肪アルコールを含み、脂肪酸アルキロアミドまたはカルボン酸タウリドを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、任意の泡安定剤は本質的にグリコールを含まないが、いくつかの実施形態では、例えば、より高い界面活性剤含有量を可能にするために、グリコールを含むことができる。前述の成分のいずれも本質的に含まないということは、泡安定剤が(i)これらの成分のいずれかの重量に基づいて0重量%、または(ii)これらの成分のいずれかの無効な量または(iii)重要でない量のいずれかを含むことを意味する。無効な量の例は、当業者が認めるように、これらの成分のいずれかを使用するという意図された目的を達成するための閾値量を下回る量である。当業者が認めるように、重要でない量は、スタッコの重量に基づいて、例えば、約0.0001重量%未満、例えば、約0.00005重量%未満、約0.00001重量%未満、約0.000001重量%未満などである場合がある。
【0043】
適切な空隙分布と壁厚(独立して)は、特に低密度のボード(例えば、約35pcf未満)で強度を高めるのに効果的であり得ることがわかっている。例えば、US2007/0048490およびUS2008/0090068を参照されたい。一般に、直径約5μm以下の空隙を有する蒸発水空隙もまた、前述の空気(泡)空隙とともに総空隙分布に寄与する。いくつかの実施形態では、孔径が約5ミクロンを超える空隙と、孔径が約5ミクロン以下の空隙との体積比は、約0.5:1~約9:1、例えば、約0.7:1~約9:1、約0.8:1~約9:1、約1.4:1~約9:1、約1.8:1~約9:1、約2.3:1~約9:1、約0.7:1~約6:1、約1.4:1~約6:1、約1.8:1~約6:1、約0.7:1~約4:1、約1.4:1~約4:1、約1.8:1~約4:1、約0.5:1~約2.3:1、約0.7:1~約2.3:1、約0.8:1~約2.3:1、約1.4:1~約2.3:1、約1.8:1~約2.3:1などである。
【0044】
本明細書で使用される場合、空隙サイズは、コア内の個々の空隙の最大直径から計算される。最大直径はフェレット径と同じである。定義された各空隙の最大直径は、サンプルの画像から取得することができる。画像は、2次元画像を提供する走査型電子顕微鏡(SEM)などの適切な技術を使用して撮影することができる。空隙の断面(孔)のランダム性が平均直径を提供できるように、空隙の多数の孔径をSEM画像において測定することができる。サンプルのコア全体にランダムに配置された複数の画像における空隙を測定すると、この計算を改善することができる。さらに、いくつかの2次元SEM画像に基づいてコアの3次元立体モデルを構築することで、空隙サイズの計算を改善することもできる。別の技術は、3次元画像を提供するX線CTスキャン分析(XMT)である。別の技術は光学顕微鏡法であり、光の対比を使用して、例えば、空隙の深さを決定するのを助けることができる。空隙は、手動で、またはNIHによって開発されたImageJなどの画像分析ソフトウェアを使用して測定することができる。当業者は、画像からの空隙サイズおよび分布の手動決定を、各空隙の寸法の視覚的観察によって決定することができることを理解するであろう。サンプルは、石膏ボードを切断することによって取得することができる。
【0045】
発泡剤は、例えば、所望の密度に応じて、任意の適切な量でコアスラリーに含めることができる。発泡剤の溶液は、例えば、約0.5%(w/w)で調製される。適切な量の空気を適切な量の発泡剤の溶液と混合し、スラリーに加える。必要な空気の量に応じて、発泡剤の溶液の濃度は、約0.1%~約1%(w/w)に変化することができる。スキムコート層はより高密度であるため、スキムコート層を形成するためのスラリーは、より少ない泡で(または全く泡なしで)作製することができる。
【0046】
脂肪アルコールは、含まれる場合、任意の適切な量でコアスラリー中に存在することができる。いくつかの実施形態において、脂肪アルコールは、スタッコの約0.0001重量%~約0.03重量%、例えば、スタッコの約0.0001重量%~約0.025重量%、スタッコの約0.0001重量%~約0.02重量%、またはスタッコの約0.0001重量%~約0.01重量%の量でコアスラリー中に存在する。スキムコート層のスラリーは、より少ない泡を有するかまたは泡を有さないことができるため、脂肪アルコールはスキムコート層において必要とされないか、またはスタッコの約0.0001重量%~約0.004重量%、例えば、スタッコの約0.00001重量%~約0.003重量%、スタッコの約0.00001重量%~約0.0015重量%、またはスタッコの約0.00001重量%~約0.001重量%などのより少ない量で含むことができる。
【0047】
例えば、促進剤、遅延剤などを含む、当技術分野で知られている他の成分もまた、ボードコアスラリーに含めることができる。促進剤は、様々な形態であり得る(例えば、湿式石膏促進剤、耐熱性促進剤、および気候安定化促進剤)。例えば、米国特許第3,573,947号および同第6,409,825号を参照されたい。促進剤および/または遅延剤が含まれるいくつかの実施形態では、促進剤および/または遅延剤はそれぞれ、スタッコの約0~約10重量%(例えば、約0.1%~約10%)、例えば、スタッコの約0~5重量%(例えば、約0.1%~約5%)などの固形分ベースの量で、ボードコアを形成するためのスタッコスラリー中に存在することができる。
【0048】
さらに、ボードコアは、いくつかの実施形態において流動性を高めるために、少なくとも1つの分散剤からさらに形成することができる。分散剤は、他の乾燥成分を含む乾燥形態で、および/またはスタッコスラリー中の他の液体成分を含む液体形態で含まれる場合がある。分散剤の例には、ポリナフタレンスルホン酸およびその塩(ポリナフタレンスルホネート)などのナフタレンスルホネート、およびナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物である誘導体、また、ポリカルボン酸エーテルなどのポリカルボン酸分散剤、例えば、PCE211、PCE111、1641、1641F、またはPCE2641タイプの分散剤、例えば、MELFLUX2641F、MELFLUX2651F、MELFLUX1641F、MELFLUX2500L分散剤(BASF)、およびCoatex、Inc.から入手可能なCOATEX Ethacryl M、および/またはリグノスルホネートまたはスルホン化リグニンが含まれる。リグノスルホネートは、水溶性のアニオン性高分子電解質ポリマーであり、亜硫酸パルプを使用した木材パルプの製造からの副産物である。本開示の実施形態の原理の実施に有用なリグニンの一例は、Reed Lignin Inc.から入手可能なMarasperse C-21である。
【0049】
より低分子量の分散剤が一般的に好ましい。ナフタレンスルホネート分散剤の場合、いくつかの実施形態では、それらは、約3,000~約10,000(例えば、約8,000~約10,000)の分子量を有するように選択される。いくつかの実施形態では、例えば、分子量が10,000を超える、より高い水需要のナフタレンスルホネートを使用することができる。別の例として、PCE211タイプの分散剤の場合、いくつかの実施形態では、分子量は約20,000~約60,000であることができ、これは、分子量が60,000を超える分散剤よりも遅延が少ない。
【0050】
ナフタレンスルホネートの一例は、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なDILOFLOである。DILOFLOは45%のナフタレンスルホン酸水溶液であるが、例えば固形分が約35重量%~約55重量%の範囲の他の水溶液も容易に入手できる。ナフタレンスルホネートは、例えば、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なLOMAR Dなどの乾燥固体または粉末形態で使用することができる。ナフタレンスルホネートの別の例は、GEO Specialty Chemicals(Ambler,PA)から入手可能なDAXADである。
【0051】
含まれている場合、分散剤は任意の適切な量で提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、分散剤は、ボードコアスラリー中に、例えば、スタッコの約0重量%~約0.5重量%、例えば、約0.01重量%~約0.7重量%、例えば、約0.01重量%~0.4重量%、約0.1%~約0.2%などの量で存在することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ボードコアは、必要に応じて、少なくとも1つのホスフェート含有化合物からさらに形成されて、グリーン強度、寸法安定性、および/またはたるみ耐性を高めることができる。例えば、いくつかの実施形態において有用なホスフェート含有成分は、水溶性成分を含み、それぞれが2つ以上のリン酸単位を含むイオン、塩、または酸、すなわち凝縮されたリン酸;それぞれが2つ以上のホスフェート単位を含む凝縮されたホスフェートの塩またはイオン;ならびにオルトホスフェートおよび水溶性非環式ポリホスフェート塩の一塩基塩または一価イオンの形態であり得る。例えば、米国特許第6,342,284号、同第6,632,550号、同第6,815,049号、および同第6,822,033号を参照されたい。
【0053】
いくつかの実施形態で添加された場合、ホスフェート組成物は、グリーン強度、永久変形(例えば、たるみ)に対する耐性、寸法安定性などを高めることができる。グリーン強度は、製造中にまだ湿っている間のボードの強度を指す。製造プロセスの厳しさのために、十分なグリーン強度がないと、ボード前駆体が製造ラインで損傷する可能性がある。
【0054】
例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウム、およびトリメタリン酸アンモニウムを含むトリメタホスフェート化合物を使用することができる。トリメタリン酸ナトリウム(STMP)が好ましいが、例えば、テトラメタリン酸ナトリウム、約6~約27の繰り返しリン酸単位を有しかつn=6~27の分子式Nan+23n+1を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式Kのピロリン酸四カリウム、分子式Na10の三リン酸二カリウム三ナトリウム、分子式Na10の三リン酸ナトリウム、分子式Na4PO7のピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(PO3)3の三メタリン酸アルミニウム、分子式NaH2P2O7の酸性ピロリン酸ナトリウム、1000~3000の繰り返しリン酸単位を有しかつn=1000~3000の分子式(NHn+23n+1を有するポリリン酸アンモニウム、または2つ以上の繰り返しリン酸単位を有しかつn=2以上の分子式Hn+23n+1のポリリン酸を含む、他のホスフェートが適している場合がある。
【0055】
含まれる場合、ポリホスフェートは任意の適切な量で存在することができる。例示するために、いくつかの実施形態において、ポリホスフェートは、例えば、スタッコの約0.1重量%~約1重量%、例えば、約0.2重量%~約0.4重量%、約0重量%~約0.5重量%、例えば、スタッコの約0%~約0.2%の量でスラリー中に存在することができる。したがって、分散剤およびポリホスフェートは、任意選択で、コアスラリー中に任意の適切な量で存在することができる。
【0056】
ボードコアは、例えば、約16pcf(約260kg/m)~約40pcf、例えば、約18pcf~約40pcf、18pcf~約38pcf、18pcf~約36pcf、18pcf~約32pcf、20pcf~約40pcf、20pcf~約36pcf、20pcf~約32pcf、22pcf~約40pcf、22pcf~約36pcf、22pcf~約32pcf、26pcf~約40pcf、26pcf~約36pcf、または26pcf~約32pcfのコア密度などの所望の合計複合ボード密度に寄与するのに有効な任意の適切な密度を有することができる。いくつかの実施形態では、ボードコアは、さらに低い密度、例えば、約30pcf以下、約29pcf(約460kg/m)以下、約28pcf以下、約27pcf(約430kg/m)以下、約26pcf以下などを有する。例えば、いくつかの実施形態では、コア密度は、約12pcf(約190kg/m)~約30pcf、約14pcf(約220kg/m)~約30pcf、16pcf~約30pcf、16pcf~約28pcf、16pcf~約26pcf、16pcf~約22pcf(約350kg/m)、18pcf~約30pcf、18pcf~約28pcf、18pcf~約26pcf、18pcf~約24pcf、20pcf~約30pcf、20pcf~約28pcf、20pcf~約26pcf、20pcf~約24pcf、22pcf~約28pcfなどである。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示に従って作製された複合ボードは、ASTM規格C473-07による試験プロトコルを満たす。例えば、いくつかの実施形態では、ボードが1/2インチの厚さで成形される場合、乾燥したボードは、ASTM C473-07(方法B)に従って決定されるような少なくとも約67lb、例えば、少なくとも約68lb、少なくとも約70lb、少なくとも約72lb、少なくとも約74lb、少なくとも約75lb、少なくとも約76lb、少なくとも約77lbなどのくぎ抜き抵抗を有する。様々な実施形態において、くぎ抜き抵抗は、約67lb~約100lb、約67lb~約95lb、約67lb~約90lb、約67lb~約85lb、約67lb~約80lb、約67lb~約75lb、約68lb~約100lb、約68lb~約95lb、約68lb~約90lb、約68lb~約85lb、約68lb~約80lb、約70lb~約100lb、約70lb~約95lb、約70lb~約90lb、約70lb~約85lb、約70lb~約80lb、約72lb~約100lb、約72lb~約95lb、約72lb~約90lb、約72lb~約85lb、約72lb~約80lb、約72lb~約77lb、約72lb~約75lb、約75lb~約100lb、約75lb~約95lb、約75lb~約90lb、約75lb~約85lb、約75lb~約80lb、約75lb~約77lb、約77lb~約100lb、約77lb~約95lb、約77lb~約90lb、約77lb~約85lb、または約77lb~約80lbであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、複合石膏ボードは、ASTM C473-07、方法Bに従って決定される、少なくとも約11lb、例えば、少なくとも約12lb、少なくとも約13lb、少なくとも約14lb、少なくとも約15lb、少なくとも約16lb、少なくとも約17lb、少なくとも約18lb、少なくとも約19lb、少なくとも約20lb、少なくとも約21lb、または少なくとも約22lbの平均コア硬度を有することができる。いくつかの実施形態では、ボードは、約11lb~約25lb、例えば、約11lb~約22lb、約11lb~21lb、約11lb~約20lb、約11lb~約19lb、約11lb~約18lb、約11lb~約17lb、約11lb~約16lb、約11lb~約15lb、約11lb~約14lb、約11lb~約13lb、約11lb~約12lb、約12lb~約25lb、約12lb~約22lb、約12lb~約21lb、約12lb~約12lb、約12lb~約19lb、約12lb~約18lb、約12lb~約17lb、約12lb~約16lb、約12lb~約15lb、約12lb~約14lb、約12lb~約13lb、約13lb~約25lb、約13lb~約22lb、約13lb~約21lb、約13lb~約20lb、約13lb~約19lb、約13lb~約18lb、約13lb~約17lb、約13lb~約16lb、約13lb~約15lb、約13lb~約14lb、約14lb~約25lb、約14lb~約22lb、約14lb~約21lb、約14lb~約20lb、約14lb~約19lb、約14lb~約18lb、約14lb~約17lb、約14lb~約16lb、約14lb~約15lb、約15lb~約25lb、約15lb~約22lb、約15lb~約21lb、約15lb~約20lb、約15lb~約19lb、約15lb~約18lb、約15lb~約17lb、約15lb~約16lb、約16lb~約25lb、約16lb~約22lb、約16lb~約21lb、約16lb~約20lb、約16lb~約19lb、約16lb~約18lb、約16lb~約17lb、約17lb~約25lb、約17lb~約22lb、約17lb~約21lb、約17lb~約20lb、約17lb~約19lb、約17lb~約18lb、約18lb~約25lb、約18lb~約22lb、約18lb~約21lb、約18lb~約20lb、約18lb~約19lb、約19lb~約25lb、約19lb~約22lb、約19lb~約21lb、約19lb~約20lb、約21lb~約25lb、約21lb~約22lb、または約22lb~約25lbのコア硬度を有することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、一方または両方のスキムコート層は、ボードコアの平均乾燥コア硬度よりも少なくとも約1.5倍、例えば、少なくとも約2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍など大きい平均乾燥コア硬度を有し、平均コア硬度は、ASTM C-473-07に従って測定され、これらの範囲のそれぞれは、例えば、8、7、6、5、4、3、または2などの数学的に適切な上限を有することができる。
【0060】
曲げ強度に関して、いくつかの実施形態では、1/2インチの厚さのボードに成形された場合、乾燥ボードは、ASTM規格C473-07に従って決定される、横方向における少なくとも約36lb(例えば、少なくとも約38lb、少なくとも約40lbなど)の曲げ強度および/または横方向における少なくとも約107lb(例えば、少なくとも約110lb、少なくとも約112lbなど)の曲げ強度を有する。様々な実施形態において、ボードは、約36lb~約60lb、例えば、約36lb~約55lb、約36lb~約50lb、約36lb~約45lb、約36lb~約40lb、約36lb~約38lb、約38lb~約60lb、約38lb~約55lb、約38lb~約50lb、約38lb~約45lb、約38lb~約40lb、約40lb~約60lb、約40lb~約55lb、約40lb~約50lb、または約40lb~約45lbの縦方向における曲げ強度を有することができる。様々な実施形態において、ボードは、約107lb~約130lb、例えば、約107lb~約125lb、約107lb~約120lb、約107lb~約115lb、約107lb~約112lb、約107lb~約110lb、約110lb~約130lb、約110lb~約125lb、約110lb~約120lb、約110lb~約115lb、約110lb~約112lb、約112lb~約130lb、約112lb~約125lb、約112lb~約120lb、または約112lb~約115lbの横方向における曲げ強度を有することができる。
【0061】
有利には、本明細書に記載の様々なボード密度での様々な実施形態において、乾燥複合石膏ボードは、少なくとも約170psi(1170kPa)、例えば、約170psi~約1,000psi(6,900kPa)約170psi~約900psi(6200kPa)、約170psi~約800psi(5500kPa)、約170psi~約700psi(4800kPa)、約170psi~約600psi(4100kPa)、約170psi~約500psi(3450kPa)、約170psi~約450psi(3100kPa)、約170psi~約400psi(2760kPa)、約170psi~約350psi(2410kPa)、約170psi~約300psi(2070kPa)、または約170psi~約250psi(1720kPa)の圧縮強度を有することができる。いくつかの実施形態では、ボードは、少なくとも約450psi(3100kPa)、少なくとも約500psi(3450kPa)、少なくとも約550psi(3800kPa)、少なくとも約600psi(4100kPa)、少なくとも約650psi(4500kPa)、少なくとも約700psi(4800kPa)、少なくとも約750psi(5200kPa)、少なくとも約800psi(5500kPa)、少なくとも約850psi(5850kPa)、少なくとも約900psi(6200kPa)、少なくとも約950psi(6550kPa)、または少なくとも約1000psi(6900kPa)の圧縮強度を有する。さらに、いくつかの実施形態では、圧縮強度は、前述の点のいずれか2つによって制限することができる。例えば、圧縮強度は、約450psi~約1,000psi(例えば、約500psi~約900psi、約600psi~約800psi)であり得る。本明細書で使用される圧縮強度は、Applied Test Systems(Butler,PA)から、ATS machine model 1610として市販されている材料試験システムを使用して測定される。負荷は1インチ/分の速度で衝撃なしに継続的に加えられる。
【0062】
本開示の実施形態による複合石膏ボードは、典型的な石膏壁板製造ラインで作製することができる。例えば、ボード製造技術は、例えば、米国特許第7,364,676号、米国特許出願公開第2010/0247937号、および米国特許出願第16/581,070号に記載されている。簡単に言えば、このプロセスは通常、移動するコンベヤにカバーシートを排出することを伴う。石膏ボードは通常「下向き」に形成されるので、このカバーシートはそのような実施形態では「面」カバーシートである。
【0063】
ボードコアを形成するためのおよびスキムコート層を形成するためのスラリーは、任意の適切な方法で形成することができる。例えば、1つのミキサを使用して両方のスラリー流を展開させることができる。ミキサは、例えば、原料が攪拌される場合、必要に応じて「ピンミキサ」または「ピンレスミキサ」の形態であり得る。または、2つの別々のミキサを使用することもできる。ミキサは直列にすることも、接続しないこともできる。ミキサの例は、欧州特許第1637302B1号、欧州特許第2929996B1号、欧州特許出願第3342571A1号、および米国特許出願第2017/0008192A1号に記載されている。効率のために望まれる場合、スキムコート層に使用されるミキサは、いくつかの実施形態においてより小さな混合体積容量を有することができ、これはスキムコート層に適用される必要のあるスラリーの量は、ボードコアを形成するために適用されるスラリーの量よりも少ないためである。「メイン」ミキサ(すなわち、ボードコアスラリーを形成するための)は、本体および排出導管(例えば、当技術分野で知られているゲート・キャニスター・ブーツ構成、または米国特許第6,494,609号および同第6,874,930号記載されている修正出口設計(MOD)構成)を含む。発泡剤および/またはコアデンプンは、ミキサの排出導管において(例えば、米国特許第5,683,635号および同第6,494,609号に記載されているようなゲートに)加えることができる。
【0064】
シングルミキサの実施形態では、スキムコート流は、ミキサの本体のポートおよび出口を通って、すなわち、排出導管の上流に出ることができる。スキムコート出口には、1つ以上の入口が設けられており、スキムコートデンプンおよびミキサの排出導管を出るボードコアスラリーとは異なる他の任意の所望の成分の導入を可能にする。発泡剤が排出導管に挿入される場合、発泡剤の量は、スキムコート流において減じられるまたは回避され、これはスキムコート流は、発泡剤が添加される場所の上流で除去されるためであり、それにより、必要に応じてスキムコート層の密度を高めることができる。発泡剤がスキムコート流に存在する場合、それは当技術分野で知られている技術によって打ち消すことができる。好ましい実施形態では、裏側スキムコート層は、スキムコート流から形成される。必要に応じて、スキムコート流から面スキムコート層を形成することもできる。しかしながら、いくつかの実施形態では、面スキムコート層は、排出導管を出るスラリー流から形成することができ、この流れは、ボードコアを形成するためにも使用される。ボードコアに対する面スキムコート層の密度を高めるために、必要に応じて、その中の任意の泡を打ち消すことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、排出導管は、例えば、米国特許出願公開第2012/0168527号(出願第13/341,016号)および米国特許出願公開第2012/0170403号(出願第13/341.209号)に記載されているものなど、単一の供給入口または複数の供給入口のいずれかを備えたスラリー分配器を含むことができることが理解されよう。それらの実施形態では、複数の供給入口を備えるスラリー分配器を使用する場合、排出導管は、米国特許出願公開第2012/0170403号に記載のような適切なフロースプリッタを含むことができる。
【0066】
当技術分野で理解されるように、ボードは、通常は同時にかつ連続的にサンドイッチ構造で形成される。面カバーシートは、移動するコンベヤ上を連続したリボンとして移動する。ミキサから排出された後、スキムコート層スラリーが、移動する面カバーシートに塗布される。このスラリーは、本明細書に記載されるようなスキムコートデンプンを含むことができる。また、当技術分野で知られているように、必要に応じて、便宜のために、例えば、スキムコート層(例えば、裏側スキムコート層)を形成する同じスラリー流からハードエッジを形成することができる。
【0067】
次に、ボードコアスラリーがスキムコート層上に塗布され、第2のカバーシート(通常は「裏側」カバーシート)で覆われて、最終製品のボード前駆体であるサンドイッチ構造の形態のウェットアセンブリを形成する。裏側(下側)カバーシートは、裏紙とボードコアとの間の結合を強化するために本明細書に記載される本発明のデンプンを含む第2のスキムコート層を有する。第2のスキムコート層は、第1のスキムコート層と同じまたは異なる石膏スラリーから形成することができる。いくつかの実施形態では、スキムコート層は、ボードの裏側に、すなわち、下側カバーシートに対して結合関係で適用されるが、コアと上側カバーシートとの間にスキムコート層は適用されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、(ボードマシンのウェットエンドにおいて下向きの)面紙を、最終ボード製品の幅よりもわずかに幅広に形成することができる。なぜならば、ボードエンベロープを形成するために裏側紙(ボードマシンのウェットエンドにおいて上向きである)に接合されるように、紙のエッジをボードのエッジ上に折り曲げることができるからである。例えば、公称48インチ幅のボードの場合、面紙は、約50インチ以上(例えば、約50~約52インチ、例えば、約50.375インチ)の幅を有することができる。それに対応して、いくつかの実施形態では、裏紙は、ボードの幅よりも狭くすることができる。したがって、公称48インチ幅のボードの場合、裏紙は、約48インチ未満(例えば、約46.5インチ~約47.5インチ、例えば、約47.125インチ)の幅を有することができる。
【0069】
それによって提供されるウェットアセンブリは、(例えば、成形プレートを介して)製品が所望の厚さにサイジングされる成形ステーション、およびそれが所望の長さに切断される1つ以上のナイフセクションに運ばれる。ウェットアセンブリを硬化させて、凝結石膏のインターロックする結晶マトリックスを形成し、乾燥プロセスを使用して(例えば、アセンブリを窯を通して搬送することによって)過剰な水を除去する。
【0070】
石膏ボードの製造では、堆積したスラリーから大きな空隙やエアポケットを取り除くために振動を使用することも一般的である。上記の各ステップ、ならびにそのようなステップを実行するためのプロセスおよび機器は、当技術分野で知られている。
【0071】
以下の典型的な条項により本発明をさらに例示する。しかしながら、本発明は、以下の条項によって制限されない。
【0072】
(1)複合石膏ボードは、(a)水と、高塩不純物含有量を含有するスタッコと、を含む、第1のスラリーから形成された凝結石膏を含むボードコアを含み、コアは、第1および第2のコア面を画定する。第1のスラリーは、発泡剤、コアデンプン、分散剤、促進剤、遅延剤、ポリホスフェートなど、必要に応じて他の成分を含むことができる。(b)スキムコート層は、第1および第2のスキムコート面を画定し、スキムコートは、水と、スタッコと、デンプンと、を含む、第2のスラリーから形成され、スキムコートは、第1のコア面に対して結合関係で配置されている。(c)裏側カバーシートであって、スキムコート層の第1の面が、裏側カバーシートに面しており、スキムコート層の第2の面が、ボードコアに面しており、デンプンが、ボードコアと裏側カバーシートとの間の結合を強化する。
【0073】
(2)ボードが、面カバーシートをさらに含み、ボードコアの第2の面が、面カバーシートに面している、条項1に記載の複合石膏ボード。
【0074】
(3)ボードが、第1および第2の面を画定する第2のスキムコート層をさらに含み、第2のスキムコート層は、水と、スタッコと、スキムコートデンプンと、を含む、第3のスラリーから形成されており、第2のスキムコート層の第1の面は、ボードコアの第2の面に面しており、第2のスキムコート層の第2の面は、第2のカバーシートに面しており、スキムコートデンプンは、ボードコアと面カバーシートとの間の結合を強化し、第2および第3のスラリーは、同じであり得るか、または異なり得る、条項2に記載の複合石膏ボード。
【0075】
(4)第1および/または第2のスキムコート層は、約0.125インチ(1/8インチ)~約0.016インチ(1/64インチ)、例えば、約0.08インチ(1/12インチ)~約0.03インチ(1/32インチ)の乾燥厚さを有する、条項1~3のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0076】
(5)スキムコートデンプンは、スタッコの約0.3重量%~約8.0重量%の量、例えば、スタッコの約1.0重量%~約4.0重量%の量で、第2および/または第3のスラリーに存在する、条項1~4のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0077】
(6)高塩不純物が、当該硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり少なくとも約150ppmの塩化物アニオンを含む、条項1~5のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0078】
(7)塩不純物が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、または塩化カルシウムなどの塩化物塩を含む、条項1~6のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0079】
(8)第1のスラリーが、アルファ化デンプンおよび/または約6,000ダルトン以下の分子量を有する移動性デンプンを含むコアデンプンを含む、条項1~7のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【0080】
(9)15%固形のデンプン濃度の水を有するスラリーにデンプンを入れ、かつ75rpmおよび700cmgに設定されたViscograph-E機器を使用することによって粘度が測定され、その際、デンプンが、3℃/分の速度で25℃~95℃に加熱され、スラリーが、95℃で10分間保持され、デンプンが、-3℃/分の速度で50℃に冷却されている場合、スキムコートデンプンが、(i)高温水粘度アッセイ法(HWVA法)に従って約20BU~約300BUの高温水粘度、および/または(ii)約120BU~1000BUの中間範囲ピーク粘度を有する未調理デンプンを含む、条項1~8のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0081】
(10)スキムコートデンプンが、デンプンがVMA法に従う条件に曝されている間に粘度が測定される場合、約20センチポアズ~約700センチポアズ(例えば、約20センチポアズ~約300センチポアズまたは約30センチポアズ~約200センチポアズ)の粘度を有するアルファ化デンプンを含む、条項1~9のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0082】
(11)複合石膏ボードを作製する方法であって、方法は、(a)少なくとも水と、高塩不純物含有量を含むスタッコとを混合してスラリーを形成することを含む。第1のスラリーは、必要に応じて、発泡剤、コアデンプン、分散剤、促進剤、遅延剤、ポリホスフェートなどの他の成分を含むことができる。(b)水と、スタッコと、任意選択でスキムコートデンプンとを混合し、面スキムコートスラリーを形成する。(c)面カバーシートに対して結合関係で面スキムコートスラリーを配置し、スラリー表面とカバーシート表面とを有する面複合材料を形成する。(d)面複合材料と結合関係でコアスラリーを配置し、コア複合材料を形成し、コアスラリーは、第1および第2の面を有するボードコアを形成し、第1の面は、面複合材料のスラリー面に面している。(e)水と、スタッコと、スキムコートデンプンとを混合し、裏側スキムコートスラリーを形成し、面および裏側スキムコートスラリーは、同じであり得るか、または異なり得る。(f)裏側カバーシートと結合関係で裏側スキムスラリーを配置し、スラリー表面と、カバーシート表面とを有する裏側複合材料を形成する。(g)コア複合材料と結合関係で裏側複合材料を配置し、ボード前駆体を形成し、裏側複合材料のスラリー表面は、コアの第2の面に面する。(h)ボード前駆体を乾燥させてボードを形成し、スキムコートデンプンが、ボードコアと裏側カバーソートとの間の結合、任意選択で、ボードコアと第1のカバーシートとの間の結合を強化する。
【0083】
(12)コアデンプンが、スタッコの約0.5重量%~約1.5重量%の量のアルファ化デンプンであり、スキムコートデンプンが、スタッコの約1.5重量%~約5重量%の量の未調理デンプンである、条項11に記載の方法。
【0084】
(13)第1および/または第2のスキムコート層は、0.125インチ(1/8インチ)~約0.016インチ(1/64インチ)、例えば、約0.08インチ(1/12インチ)~約0.03インチ(1/32インチ)の乾燥厚さを有する、条項11または12に記載の方法。
【0085】
(14)スキムコートデンプンは、スタッコの約0.3重量%~約8.0重量%、例えば、スタッコの約1.0重量%~約4.0重量%の量で、第2および/または第3のスラリーに存在する、条項11~13のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
(15)第1のスラリーが、当該硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり少なくとも約150ppmの塩化物アニオンを含む、条項11~14のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
(16)塩不純物が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、または塩化カルシウムなどの塩化物塩である、条項11~15のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
(17)コアデンプンが、アルファ化デンプンおよび/または約6,000ダルトン以下の分子量を有する移動性デンプンを含む、条項11~16のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
(18)15%固形のデンプン濃度の水を有するスラリーにデンプンを入れ、かつ75rpmおよび700cmgに設定されたViscograph-E機器を使用することによって粘度が測定され、その際、デンプンが、3℃/分の速度で25℃~95℃に加熱され、スラリーが、95℃で10分間保持され、デンプンが、-3℃/分の速度で50℃に冷却されている場合、スキムコートデンプンが、(i)高温水粘度アッセイ法(HWVA法)に従って約20BU~約300BUの高温水粘度、および/または(ii)約120BU~1000BUの中間範囲ピーク粘度を有する未調理デンプンを含む、条項11~17のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
(19)スキムコートデンプンが、デンプンがVMA法に従う条件に曝されている間に粘度が測定される場合、約20センチポアズ~約700センチポアズ(例えば、約20センチポアズ~約300センチポアズまたは約30センチポアズ~約200センチポアズ)の粘度を有するアルファ化デンプンを含む、条項11~18のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
前述の条項は例示的なものであり、限定的なものではないことに留意されたい。他の例示的な実施形態は、本明細書の記載全体から明らかである。これら各実施形態が、本明細書で提供される他の実施形態との様々な組み合わせにおいて使用される場合があることも、当業者に理解されるであろう。
【0092】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0093】
実施例1
この実施例は、高塩分を含有するスタッコスラリーを使用して調製された石膏壁板のカバーシートと石膏層の間の結合に対する石膏層におけるデンプンの存在の影響を実証する。
【0094】
表1~4に示す配合に従って、12インチ×12インチの寸法を有する16個の石膏壁板サンプルを調製した。サンプルボードの厚さは1/2インチであった。対照ボード(スタッコスラリーに高塩分を含まない)を比較として使用した。高塩(塩化物)スタッコから調製されたボードは、石膏層にデンプンがある場合とない場合の両方で試験された。塩化物アニオン(Cl)の供給源は、表に示されているように、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、および塩化カルシウム(CaCl)のうちの1つである。
【0095】
表中の「HRA」は耐熱促進剤である。「アルファ化デンプン」とは、冷水粘度が90センチポアズのアルファ化コーン小麦粉デンプンを指す。「未調理のデンプン」とは、180BUの熱水粘度を有する未調理の酸変性コーンデンプンを指す。「移動性デンプン」とは、ADMから市販されている小鎖デンプンLC211を指す。特に明記されていない限り、すべての量はグラム単位である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0096】
12インチ×12インチ×1/2インチのエンベロープが、マニラ紙(46lb/msf)を表紙として、ニュースライン紙(40lb/msf)を裏紙として使用して作製された。スラリーは、乾燥粉末を溶液に10秒間浸漬し、ホバートミキサで10秒間混合し、続いて、泡を5.5秒間注入し、さらに2秒間混合することによって調製した。スラリーを12インチ×12インチ×1/2インチのエンベロープに注入した。スラリーが固まって硬化した後、紙テープを使用してエンベロープを密封した。密封されたボードを450°Fで15分間乾燥させた後、350°Fのオーブンに移した。350°Fで20分間乾燥させた後、ボードを110°Fで16時間さらに乾燥させた。
【0097】
乾燥した12インチ×12インチ×1/2インチのボードを、6インチ×5インチ×1/2インチの4つの小片にカットた(5インチは生産ライン方向にある)。1つの8インチの深さの直線的なスコアを、ボードサンプルの表面に、6インチのエッジの1つから2.5インチで、6インチのエッジの1つに対して平行に作製した。次に、ボードを75°F、50%相対湿度(RH)で24時間コンディショニングし、90°F、90%相対湿度(RH)の部屋に配置した。加湿結合は、以下の加湿ボード試験に従って、それぞれ3時間および16時間後に試験された。
【0098】
加湿されたボードは、ボードの裏側の紙を壊したり、ストレスをかけたりすることなく、スコアに沿ってスナップされ、ボードサンプルの大きい方(2.5’’×6’’)の部分を回転させ、表面を上にして下向きにさせ、ボードの裏側にある裏紙を強制的に大きな部分から剥がそうとした。2つのボードピースが完全に離れるまで力を増大した。次に、大きい方のピースの裏面を調べて、コアから完全に引き離された裏面紙の表面のパーセンテージを決定した(「失敗率」と呼ばれる)。
【0099】
サンプル2A、2Bおよび2Cについては、ウェット結合を測定した。成形されたボードを450°Fで15分間乾燥させた後、ボードを6インチ×5インチ×1/2インチの4つの小片に切断した。6インチ×5インチ×1/2インチの小片のうちの2つの小片のウェット結合をすぐに測定し、他の2つを350°Fで20分間、110°Fで16時間さらに乾燥させた。
【0100】
表5は、サンプル1Aおよび1Bの3時間加湿結合を示す。図2は、試験後の結合を示す画像である。図2に見られるように、サンプル1Aおよび1Bは、紙の剥離が観察されない、良好な紙と石膏層の結合を示し、一方、表5に示したように、サンプル1Bは、対照サンプル1A(13.1lbs)よりも高い加湿結合(18.6lbs)を有していた。
【表5】
【0101】
表6Aおよび6Bは、サンプル2A、2B、および2Cのウェット結合と16時間加湿結合の結果を示している。図3は、ウェット結合および16時間加湿結合試験後のボードを示す画像を含む。サンプル2Bは、高濃度の塩(2000ppm Cl)のために、不十分なウェット結合と16時間の加湿結合を示した。サンプル2Cは、サンプル2Bと比較して、より高いウェット結合および16時間加湿結合を示し、未調理のデンプンの添加が、紙と石膏層との間の結合を改善したことを示している。図3に見られるように、サンプル2Aおよび2Cでは紙の剥離は観察されないが、紙の破損の50%がサンプル2Bで見られる。
【表6】
【表7】
【0102】
表7は、サンプル3A、3B、3C、3D、および3Eからの3時間の加湿結合に対する様々なデンプン(未調理のデンプン vs 移動性デンプン)の影響を示している。図4は、3時間の加湿結合試験後のボードを示す画像を含む。サンプル3Bは、高濃度の塩(600ppm Cl)が原因で、3時間の加湿結合が不十分であることを実証した。サンプル3C、3D、および3Eは、紙と石膏層の間の良好な結合を示した。これは、未調理のデンプンまたは移動性デンプンのいずれかを添加すると、紙と石膏層の間の結合を改善できることを示している。図4に見られるように、サンプル3A、3C、3Dおよび3Eからは紙の剥離は観察されないが、サンプル3Bでは不十分な紙の剥離が観察される。
【表8】
【0103】
表8は、サンプル4A、4B、4C、4D、4Eおよび4Fの3時間加湿結合に対する様々な塩の影響を示している。図5は、3時間の加湿結合試験後の結合を示す画像を含む。サンプル4A、4C、および4Eは、異なる塩NaCl、CaCl、MgClの存在のため、3時間の加湿結合が不十分であった。サンプル4B、4D、および4Fは良好な結合を示し、未調理のデンプンまたは移動性デンプンのいずれかを添加すると、紙と石膏層の間の結合が大幅に改善されたことを示している。図5に見られるように、サンプル4B、4Dおよび4Fにデンプンを添加することにより、明らかな紙の剥離は観察されない。ただし、サンプル4A、4C、および4Dは、紙の剥離が不十分であることを示している。
【表9】
【0104】
様々な実施形態において、デンプンは、天然デンプン、アルファ化デンプン、または天然デンプンとアルファ化デンプンの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、上部スキムコート層、および/または下部スキムコート層にデンプンを添加することが好ましい。ただし、デンプンをコアに加えることもできる。
【0105】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別かつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
本発明を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」、および「an」、および「the」、および「少なくとも1つ」という用語、ならびに同様の指示語の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するよう解釈されるものである。1つ以上の項目のリストが後に続く「少なくとも1つ」という用語(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択された1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)のうちの2つ以上の任意の組み合わせを意味するよう解釈されるものである。「備えること」、「有すること」、「含むこと」、および「含有すること」という用語は、特に断りのない限り、非限定的な用語(すなわち、「含むがこれに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内にある各個別の値を個々に参照する簡単な方法として役立つことを単に意図し、各個別の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図し、特許請求の範囲に別途記載されない限り、本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における用語は、特許請求の範囲に記載されていない要素を本発明の実施にとって不可欠であるとして示すものと解釈されるべきではない。
【0107】
本発明を実施するための本発明者らに既知の最良の様式を含む、本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載されている。それらの好ましい実施形態の変形は、上記の記載を読むことで当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を必要に応じて用いることを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用される法律により許容される、本明細書に添付の特許請求の範囲において列挙される主題のすべての修正物および同等物を含む。さらに、すべての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合石膏ボードであって、
(a)水と、高塩不純物含有量を含有するスタッコと、を含む、第1のスラリーから形成された凝結石膏を含むボードコアであって、前記コアが、第1および第2のコア面を画定する、ボードコアと、
(b)第1および第2のスキムコート面を画定するスキムコート層であって、前記スキムコートが、水と、前記スタッコと、スキムコートデンプンと、を含む、第2のスラリーから形成され、前記スキムコートが、前記第1のコア面に対して結合関係で配置されている、スキムコート層と、
(c)裏側カバーシートであって、前記スキムコート層の第1の面が、前記裏側カバーシートに面しており、前記スキムコート層の第2の面が、前記ボードコアに面しており、前記スキムコートデンプンが、前記ボードコアと前記裏側カバーシートとの間の結合を強化する、裏側カバーシートと、を含む、複合石膏ボード。
【請求項2】
前記ボードが、
面カバーシートであって、前記ボードコアの前記第2の面が前記面カバーシートに面している、面カバーシートと、
第1および第2の面を画定する第2のスキムコート層と、をさらに含み、
前記第2のスキムコート層が、水と、前記スタッコと、前記スキムコートデンプンと、を含む、第3のスラリーから形成されており、
前記第2のスキムコート層の前記第1の面が、前記ボードコアの前記第2の面に面しており、前記第2のスキムコート層の前記第2の面が、前記第2のカバーシートに面しており、
前記スキムコートデンプンが、前記ボードコアと前記面カバーシートとの間の結合を強化し、前記第2および第3のスラリーが、同じであり得るか、または異なり得る、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項3】
前記第1および/または第2のスキムコート層が、約0.125インチ(1/8インチ)~約0.016インチ(1/64インチ)、例えば、約0.08インチ(1/12インチ)~約0.03インチ(1/32インチ)の乾燥厚さを有する、請求項1または2に記載の複合石膏ボード。
【請求項4】
前記スキムコートデンプンが、前記スタッコの約0.3重量%~約8.0重量%、例えば、前記スタッコの約1.0重量%~約4.0重量%の量で、前記第2および/または第3のスラリーに存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項5】
前記高塩不純物が、硫酸カルシウム半水和物の1,000,000重量部当たり少なくとも約150ppmの塩化物アニオンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項6】
前記塩不純物が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、または塩化カルシウムなどの塩化物塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項7】
前記第1のスラリーが、アルファ化デンプンおよび/または約6,000ダルトン以下の分子量を有する移動性デンプンを含むコアデンプンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項8】
15%固形のデンプン濃度の水を有するスラリーにデンプンを入れ、かつ75rpmおよび700cmgに設定されたViscograph-E機器を使用することによって粘度が測定され、その際、前記デンプンが、3/分の速度で25℃~95℃に加熱され、前記スラリーが、95℃で10分間保持され、前記デンプンが、-3/分の速度で50℃に冷却されている場合、前記スキムコートデンプンが、(i)高温水粘度アッセイ法(HWVA法)に従って約20BU~約300BUの高温水粘度、および/または(ii)約120BU~1000BUの中間範囲ピーク粘度を有する未調理デンプンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項9】
前記スキムコートデンプンは、前記デンプンがVMA法に従う条件に曝されている間に粘度が測定される場合、約20センチポアズ~約700センチポアズ(例えば、約20センチポアズ~約300センチポアズまたは約30センチポアズ~約200センチポアズ)の粘度を有するアルファ化デンプンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項10】
複合石膏ボードを作製する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも水と、高塩不純物含有量を含むスタッコとを混合して、コアスラリーを形成することと、
(b)少なくとも水と、スタッコと、任意選択でスキムコートデンプンとを混合して、面スキムコートスラリーを形成することと、
(c)前記面スキムコートスラリーを面カバーシートに対して結合関係で配置して、スラリー表面およびカバーシート表面を有する面複合材料を形成することと、
(d)前記コアスラリーを前記面複合材料に対して結合関係で配置して、コア複合材料を形成することであって、前記コアスラリーが、第1および第2の面を有するボードコアを形成し、前記第1の面が、前記面複合材料の前記スラリー表面に面する、形成することと、
(e)水と、スタッコと、スキムコートデンプンとを混合して、裏側スキムコートスラリーを形成することであって、前記面および裏側スキムコートスラリーが、同じであり得るか、または異なり得る、形成することと、
(f)前記裏側スキムスラリーを裏側カバーシートに対して結合関係で配置して、スラリー表面およびカバーシート表面を有する裏側複合材料を形成することと、
(g)前記裏側複合材料を前記コア複合材料に対して結合関係で配置して、ボード前駆体を形成することであって、前記裏側複合材料の前記スラリー表面が、前記コアの前記第2の面に面する、形成することと、
(h)前記ボード前駆体を乾燥させて、ボードを形成することであって、前記スキムコートデンプンは、前記ボードコアと前記裏側カバーシートとの間、および任意選択で前記ボードコアと前記第1のカバーシートとの間の結合を強化する、形成することと、を含む、方法。

【国際調査報告】