(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】緑膿菌のバイオフィルム形成を標的とする二価のLecA阻害薬
(51)【国際特許分類】
C07H 15/203 20060101AFI20230111BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230111BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20230111BHJP
G01N 33/58 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C07H15/203 CSP
A61P31/04
A61K31/7034
G01N33/58 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525928
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2020081182
(87)【国際公開番号】W WO2021089729
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517334160
【氏名又は名称】へルムホルツ-ツェントルム・フューア・インフェクツィオーンスフォルシュング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Helmholtz-Zentrum fur Infektionsforschung GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】592236245
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LARECHERCHE SCIENTIFIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ティッツ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ザホルスカ,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ミネルヴィーニ,サヴェーリオ
(72)【発明者】
【氏名】インバーティ,アン
(72)【発明者】
【氏名】クハウドムラルプ,サコンワン
【テーマコード(参考)】
2G045
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
2G045CB01
2G045DA80
2G045GC15
4C057AA03
4C057BB02
4C057CC01
4C057DD01
4C057JJ23
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA08
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、LecAと結合する二価化合物に関する。当該化合物は、緑膿菌のバイオフィルム形成を阻止するのに有用である。また、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびにこれらの化合物の治療方法および使用、特に対象体における緑膿菌感染の処置のための治療方法および使用に関する。さらに、本発明は、これらの二価化合物を用いることによる、緑膿菌により生成されるバイオフィルムなどの感染のイメージングに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般構造(I):
R
2-A
1-R
4-B
1-R
1-B
2-R
4'-A
2-R
2' (I)
または一般構造(II)
R
2-A
1-R
4-B
1-R
5 (II)
[構造中、
R
2およびR
2'は互いに独立して、ガラクトース、GalNAc、2-デオキシ-ガラクトース、およびガラクトヘプトースのエポキシドからなる群より選択され、ここで、R
2とA
1間の結合を形成する-O-基および/またはR
2'とA
2間の結合を形成する-O-基は、互いに独立して、-S-基、-NH-基、または-CH
2-基に置き換えられてもよく;
A
1およびA
2は互いに独立して、下記(a)および(b)からなる群より選択され、
(a)C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアレーンジイル基、および
(b)C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアレーンジイル基;
R
4は、-CO-NH-N=CH-;-CH
2-CH
2-CO-NH-;E-またはZ-体-CO-NH-CH=CH-、E-またはZ-体-CH=CH-CO-NH-;-CO-NH-CH
2-CH
2-;-NH-CO-CH
2-CH
2-;E-またはZ-体-CH=CH-NH-CO-;E-またはZ-体-NH-CO-CH=CH-;および-CH
2-CH
2-NH-CO-からなる群より選択され;
R
4'は、-CH=N-NH-CO-;-NH-CO-CH
2-CH
2-;E-またはZ-体-CH=CH-NH-CO-;E-またはZ-体-NH-CO-CH=CH-;-CH
2-CH
2-NH-CO-;-CH
2-CH
2-CO-NH-;E-またはZ-体-CO-NH-CH=CH-;E-またはZ-体-CH=CH-CO-NH-;および-CO-NH-CH
2-CH
2-からなる群より選択され;
B
1およびB
2は互いに独立して、下記(a)~(d)からなる群より選択され、
(a)C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアレーンジイル基、
(b)C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアレーンジイル基;および
(c)ハロゲン、-CN、-NH
2、-NR
11R
12、-NH-CO-R
11、-NH-SO
2-R
11、-OR
11、-SR
11、-SO
2R
11、-COOR
11、-NO
2、-トリアゾール-R
11、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-CH
2-R
11Hからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC
3-C
7シクロアルカンジイル基;ここで
R
12は、C
1-C
4アルキル基であり;そして
R
11は、下記
- 水素、
- C
1-C
4アルキル基、
- C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基、および
- C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基
からなる群より選択される、
(d)ハロゲン、-CN、-NH
2、-NR
11R
12、-NH-CO-R
11、-NH-SO
2-R
11、-OR
11、-SR
11、-SO
2R
11、-COOR
11、-NO
2、-トリアゾール-R
11、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-CH
2-R
11Hからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC
1-C
6アルカンジイル基;ここで
R
12は、C
1-C
4アルキル基であり;そして
R
11は、下記
- 水素、
- C
1-C
4アルキル基、
- C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基、および
- C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基
からなる群より選択される;
R
1は、-O-、-S-、-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、-C(O)-、-X
1(CH
2)
nX
2-からなる群より選択され、ここで、nは、1、2、3、4または5であり;そして、X
1およびX
2は互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、および-C(O)-からなる群より選択され;ここで、
(CH
2)
n基は、アルキル基、ヘテロアルキル基、アリール-アルキル基、ヘテロアリール-アルキル基、アリール-ヘテロアルキル基またはヘテロアリール-ヘテロアルキル基により(CH
2)
n基と結合した標識を有してもよく、これらの基のいずれかが置換されていてもよく;そして
R
5は、-O-C
1-6アルキルである]
で示される化合物、またはその塩またはその溶媒和物またはそのプロドラッグ。
【請求項2】
R
2およびR
2'が互いに独立して、式(III)~(VI):
【化1】
[式中、Zが、O、S、NH、およびCH
2からなる群より選択される]
からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
A
1およびA
2が互いに独立して、
(i)フェニレン基;
(ii)ナフタレンジイル基;
(iii)環原子の1、2、3または4個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、5員の芳香族単環式環;
(iv)環原子の1、2、3、4または5個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、6員の芳香族単環式環;および
(v)環原子の1、2、3、4、5または6個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、8~12員の芳香族二環式環;
からなる群より選択され、
上記の基(i)~(v)の各々が、C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
4およびR
4'が、下記組合せ:
(a)R
4が-CO-NH-N=CH-であり、R
4'が-CH=N-NH-CO-である;
(b)R
4が-CH
2-CH
2-CO-NH-であり、R
4'が-NH-CO-CH
2-CH
2-である;
(c)R
4がE-体-CO-NH-CH=CH-であり、R
4'がE-体-CH=CH-NH-CO-である;
(d)R
4がZ-体-CO-NH-CH=CH-であり、R
4'がZ-体-CH=CH-NH-CO-である;
(e)R
4がE-体-CH=CH-CO-NH-であり、R
4'がE-体-NH-CO-CH=CH-である;
(f)R
4がZ-体-CH=CH-CO-NH-であり、R
4'がZ-体-NH-CO-CH=CH-である;
(g)R
4が-CO-NH-CH
2-CH
2-であり、R
4'が-CH
2-CH
2-NH-CO-であり;
(h)R
4が-NH-CO-CH
2-CH
2-であり、R
4'が-CH
2-CH
2-CO-NH-である;
(i)R
4がE-体-CH=CH-NH-CO-であり、R
4'がE-体-CO-NH-CH=CH-である;
(j)R
4がZ-体-CH=CH-NH-CO-であり、R
4'がZ-体-CO-NH-CH=CH-である;
(k)R
4がE-体-NH-CO-CH=CH-であり、R
4'がE-体-CH=CH-CO-NH-である;
(l)R
4がZ-体-NH-CO-CH=CH-であり、R
4'がZ-体-CH=CH-CO-NH-である;または
(m)R
4が-CH
2-CH
2-NH-CO-であり、R
4'が-CO-NH-CH
2-CH
2-である
の1つを形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
B
1およびB
2が互いに独立して、
(i)フェニレン基;
(ii)ナフチレン基;
(iii)環原子の1、2、3または4個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、5員の芳香族単環式環;
(iv)環原子の1、2、3、4または5個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、6員の芳香族単環式環;および
(v)環原子の1、2、3、4、5または6個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、8~12員の芳香族二環式環;
(vi)C
3-C
7シクロアルカンジイル基;および
(vii)C
1-C
6アルカンジイル基;
からなる群より選択され、
上記の基(i)~(v)の各々が、C
1-C
4アルキル基、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル基、-OH、C
1-C
4アルコキシ基、-NH
2、-NHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-NR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、-NO
2、-CN、-COOH、-COOR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-SO
3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく;そして
上記の基(vi)~(vii)の各々が、ハロゲン、-CN、-NH
2、-NR
11R
12、-NH-CO-R
11、-NH-SO
2-R
11、-OR
11、-SR
11、-SO
2R
11、-COOR
11、-NO
2、-トリアゾール-R
11、-CONH
2、-CONHR
13(R
13は、C
1-C
4アルキル基である)、-CONR
13R
14(R
13およびR
14は、互いに独立してC
1-C
4アルキル基である)、および-CH
2-R
11からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;ここで、R
12が、C
1-C
4アルキル基であり;そして、R
11が、水素およびC
1-C
4アルキル基からなる群より選択される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
下記構造(VII)
【化2】
(VII)
または下記構造(VIII)
【化3】
(VIII)
[構造中、
R
2が、メタ位またはパラ位であり、そして
R
2'が、メタ位またはパラ位である]
を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
化合物が、500nM以下のK
D値でLecAに対する結合親和性を示す、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
(CH
2)
n基が標識を有し、(CH
2)
n基が下記構造:
【化4】
[構造中、
mが、0、1、2または3であり、
oが、0、1、2または3であり、
m+oの合計が、4以下であり、そして
リンカーが、アルキル基、ヘテロアルキル基、アリール-アルキル基、ヘテロアリール-アルキル基、アリール-ヘテロアルキル基またはヘテロアリール-ヘテロアルキル基であり、これらの基のいずれかが置換されていてもよい]
を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
(CH
2)
n基が、該標識を有し、該標識が、蛍光分光法、陽電子放出断層撮影法(PET)または磁気共鳴画像法(MRI)により検出可能な化学基である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
蛍光分光法により検出可能な標識が、フルオレセインである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物を含み、医薬的に許容される担体、希釈剤、添加剤および抗菌治療薬からなる群より選択される1つ以上の成分を含んでもよい、医薬組成物。
【請求項12】
医薬における使用のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
- 患者における緑膿菌感染の予防または処置における使用のための、または
- 嚢胞性線維症に罹患している患者における緑膿菌関連気道感染の予防または処置における使用のための、
1つ以上の抗菌治療薬と組み合わせてもよい、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
インビボ感染イメージングにおける使用のための、請求項8~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
インビトロバイオフィルムイメージングおよびインビトロスクリーニングアッセイのための、好ましくは緑膿菌により生成されるバイオフィルムのイメージングのための、請求項8~10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LecAと結合する二価化合物に関する。当該化合物は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のバイオフィルム形成を阻止するのに有用である。また、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびにこれらの化合物の治療方法および使用、特に対象体における緑膿菌感染の処置のための治療方法および使用に関する。さらに、本発明は、これらの二価化合物を用いることによる、緑膿菌により生成されるバイオフィルムなどの感染のイメージングに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
緑膿菌は、グラム陰性の日和見ESKAPE病原菌であり、慢性感染症および抗菌薬耐性の特徴であるバイオフィルムを形成する。緑膿菌(P. aeruginosa)の4量体D-ガラクトース特異的レクチンであるLecAは、付着およびバイオフィルム形成において重要な役割を果たす(Diggle et al., Environ Microbiol 8 1095-104 (2006))。したがって、LecAと細菌付着およびバイオフィルムの完全性の阻害は、AMRを破るための別の処置戦略である。
【0003】
糖レクチンの相互作用は、通常、親和性が低い。阻害薬活性を向上させる1つのアプローチは、多価結合によるものである(Cecioni et al., Chem Rev, 2015, 115(1), 525-61)。多価阻害薬は、それらの一価の類似体より桁違いに強力であり得る。多価リガンドの結合親和性は、特にリンカーの長さおよび柔軟性を最適化して、注意深くリンカーを設計することにより微調整できる。しかしながら、多価分子は、免疫原性であり、それらの意図に反しており、むしろバイオフィルム形成を増加させ、所望の逆である可能性がある。Pietersラボは、LecAにおける2つの隣接する分子に同時に適合するため、バイオフィルムを架橋することはできないが、代わりにLecAの機能をシャットダウンできる、二価分子を設計した((F. Pertici & R.J. Pieters, Chem Commun (Camb) 48 4008-10 (2012); G. Yu, R. J. Pieters et al., J Org Chem 84 2470-2488 (2019))。
【0004】
Yuらにより製造された分子は、12nMに至るまで優れた効力を示すが、合成が複雑で薬開発に不利であるオリゴ糖リンカーの性質のため、合成可能性および薬物様特性を欠く。
【0005】
上記を要約すると、Pietersによる複雑な分子(多価)および他の多価構造は、合成の複雑さ、および自然免疫タンパク質(PRR、レクチンなど)に対する非特異的作用の欠点がある。薬物様特性は、現在多価リガンドに存在しない。また、二価のPietersの分子は、薬物らしさを欠く。
【発明の概要】
【0006】
(本発明の根底にある技術的課題)
従来技術の二価および多価の化合物のこれら欠点を考慮すると、容易に合成でき、薬物様特性を示すことができるLecA阻害薬が当該技術分野で未だ必要とされている。
【0007】
本発明者らは、リンカーの単純性および入手可能性に焦点を合わせて、一連の二価LecA阻害薬を設計、合成および評価した。長さを最適化したビスアルデヒドリンカーのアシルヒドラジドを用いることにより、容易に入手可能なガラクトースとリンカーの構成要素の簡単なワンステップコンジュゲート法が得られる。新規分子は、合成可能性が改善されたPietersの分子と等効力であることが証明された。下記実施例のセクションは、SPRによりLecAに対して2桁のナノモル活性を示す。さらに、本発明者らは、バイオフィルムイメージングのための色素の結合およびビスアシルヒドラジドの溶解性を高めるための溶解性タグの結合のためのクリックケミストリーハンドルを用いて、最良の二価LecAリガンドを修飾する合成を考案する。本発明者らはまた、アシルヒドラゾン結合モチーフを置換して、分子の薬物様特性および合成可能性をさらに改善することを想定する。
【0008】
標的に対する極めて高い親和性を維持しながら、本明細書に開示する分子は、合成の容易さ、単純さ、薬物らしさに関して有利な特性(MW、H結合ドナーおよびアクセプターなど)を有する。
【0009】
上記の概要は、必ずしも本発明によって解決されるすべての課題および達成される利点を説明するものではない。
【0010】
(発明の概要)
第1態様において、本発明は、一般構造(I):
R2-A1-R4-B1-R1-B2-R4'-A2-R2' (I)
または一般構造(II)
R2-A1-R4-B1-R5 (II)
[構造中、
R2およびR2'は互いに独立して、ガラクトース、GalNAc、2-デオキシ-ガラクトース、およびガラクトヘプトースのエポキシドからなる群より選択され、ここで、R2とA1間の結合を形成する-O-基および/またはR2'とA2間の結合を形成する-O-基は、互いに独立して、-S-基、-NH-基、または-CH2-基に置き換えられてもよく;
A1およびA2は互いに独立して、下記(a)および(b)からなる群より選択され、
(a)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアレーンジイル基、および
(b)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアレーンジイル基;
R4は、-CO-NH-N=CH-;-CH2-CH2-CO-NH-;E-またはZ-体-CO-NH-CH=CH-、E-またはZ-体-CH=CH-CO-NH-;-CO-NH-CH2-CH2-;-NH-CO-CH2-CH2-;E-またはZ-体-CH=CH-NH-CO-;E-またはZ-体-NH-CO-CH=CH-;および-CH2-CH2-NH-CO-からなる群より選択され;
R4'は、-CH=N-NH-CO-;-NH-CO-CH2-CH2-;E-またはZ-体-CH=CH-NH-CO-;E-またはZ-体-NH-CO-CH=CH-;-CH2-CH2-NH-CO-;-CH2-CH2-CO-NH-;E-またはZ-体-CO-NH-CH=CH-;E-またはZ-体-CH=CH-CO-NH-;および-CO-NH-CH2-CH2-からなる群より選択され;
B1およびB2は互いに独立して、下記(a)~(d)からなる群より選択され、
(a)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアレーンジイル基、
(b)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアレーンジイル基;および
(c)ハロゲン、-CN、-NH2、-NR11R12、-NH-CO-R11、-NH-SO2-R11、-OR11、-SR11、-SO2R11、-COOR11、-NO2、-トリアゾール-R11、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-CH2-R11Hからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC3-C7シクロアルカンジイル基;ここで
R12は、C1-C4アルキル基であり;そして
R11は、下記
- 水素、
- C1-C4アルキル基、
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基、および
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基
からなる群より選択される、
(d)ハロゲン、-CN、-NH2、-NR11R12、-NH-CO-R11、-NH-SO2-R11、-OR11、-SR11、-SO2R11、-COOR11、-NO2、-トリアゾール-R11、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-CH2-R11Hからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルカンジイル基;ここで
R12は、C1-C4アルキル基であり;そして
R11は、下記
- 水素、
- C1-C4アルキル基、
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基、および
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基
からなる群より選択される;
R1は、-O-、-S-、-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、-C(O)-、-X1(CH2)nX2-からなる群より選択され、ここで、nは、1、2、3、4または5であり;そして、X1およびX2は互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、および-C(O)-からなる群より選択され;ここで、
(CH2)n基は、アルキル基、ヘテロアルキル基、アリール-アルキル基、ヘテロアリール-アルキル基、アリール-ヘテロアルキル基またはヘテロアリール-ヘテロアルキル基により(CH2)n基と結合した標識を有してもよく、これらの基のいずれかが置換されていてもよく;そして
R5は、-O-C1-6アルキルである]
で示される化合物、またはその塩またはその溶媒和物またはそのプロドラッグに関する。
【0011】
第2態様において、本発明は、第1態様による化合物を含み、医薬的に許容される担体、希釈剤、添加剤および抗菌治療薬からなる群より選択される1つ以上の成分を含んでもよい、医薬組成物に関する。
【0012】
第3態様において、本発明は、医薬における使用のための、第1態様による化合物に関する。
【0013】
第4態様において、本発明は、
- 患者における緑膿菌感染の予防または処置における使用のための、または
- 嚢胞性線維症に罹患している患者における緑膿菌関連気道感染の予防または処置における使用のための、
1つ以上の抗菌治療薬と組み合わせてもよい、第1態様による化合物に関する。
【0014】
第5態様において、本発明は、インビボ感染イメージングにおける使用のための、第1態様による化合物に関する。
【0015】
第6態様において、本発明は、インビトロバイオフィルムイメージングおよびインビトロスクリーニングアッセイのための、好ましくは緑膿菌により生成されるバイオフィルムのイメージングのための、第1態様による化合物の使用に関する。
【0016】
本発明の概要は、必ずしも、本発明のすべての特徴を記載するものではない。他の実施態様は、以下の詳細な説明の総説から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ビス-ベンズアルデヒドリンカーA~EおよびモノベンズアルデヒドFの構造。LecAを有し、PDB 4YWAを重ねたA~E6pのMOEモデル。
【
図2】競合結合アッセイに用いたリポーターリガンド8の構造(Joachim et al., 2016)を示す。
【
図3】LecAを有する二価の阻害薬の競合結合アッセイ。エラーバーを1つのプレート上の3つから計算する。
【
図4】リガンドF6mおよびF6pを有するLecAの等温滴定マイクロカロリメトリー。代表的な滴定を示す。
【
図5】CM5チップに固定化したLecAへのB6pの直接結合の表面プラズモン共鳴分析。
【
図6】計画したビスアシルヒドラゾンのイソスター(isoster)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(定義)
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコルおよび試薬に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0019】
好ましくは、本明細書で用いる用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Koelbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerlandに記載されているように定義される。
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の必要がない限り、「を含む(comprise)」という語および「を含む(comprises)」、「を含むこと(comprising)」などのその変形は、記載された整数もしくはステップまたは複数の整数もしくはステップのグループを含むが、他の整数もしくはステップまたは複数の整数もしくはステップの他のグループを除外しないことを意味すると理解される。
【0020】
いくつかの文書(例えば、特許、特許出願、科学文献、製造者の仕様書、説明書、GenBankアクセッション番号の配列提出等)は、本明細書の本文全体に引用されている。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような開示よりも先行する資格がないと認めるものと解釈されるべきではない。本明細書で引用される文書のいくつかは、「出典明示により本明細書の一部を構成する」ものとして特徴付けられる。そのような組み込まれた参考文献の定義または教示と、本明細書に記載されている定義または教示との間に矛盾が生じた場合、本明細書の本文が優先される。
【0021】
本明細書で用いる第1化合物(例えば本発明の化合物)は、1mM以下、好ましくは100μM以下、好ましくは50μM以下、好ましくは30μM以下、好ましくは20μM以下、好ましくは10μM以下、好ましくは5μM以下、より好ましくは1μM以下、より好ましくは900nM以下、より好ましくは800nM以下、より好ましくは700nM以下、より好ましくは600nM以下、より好ましくは500nM以下、より好ましくは400nM以下、より好ましくは300nM以下、より好ましくは200nM以下、さらにより好ましくは100nM以下、さらにより好ましくは90nM以下、さらにより好ましくは80nM以下、さらにより好ましくは70nM以下、さらにより好ましくは60nM以下、さらにより好ましくは50nM以下、さらにより好ましくは40nM以下、さらにより好ましくは30nM以下、さらにより好ましくは20nM以下、およびさらにより好ましくは10nM以下の、第2化合物への解離定数Kdを有する場合、第2化合物(例えば、LecAなどの標的タンパク質)と結合するとみなされる。
【0022】
本発明による用語「結合」は、好ましくは、特異的結合に関する。「特異的結合」は、化合物(例えばタンパク質リガンド)が、別の標的への結合と比較して特異的である標的(例えば標的タンパク質または標的エピトープ)へより強く結合することを意味する。化合物は、第2標的の解離定数(Kd)より低い解離定数の第1標的に結合する場合、第2標的と比較して第1標的により強く結合する。好ましくは、化合物が特異的に結合する標的の解離定数(Kd)は、化合物が特異的に結合しない標的の解離定数(Kd)より、10倍超、好ましくは20倍超、より好ましくは50倍超、さらにより好ましくは100倍、200倍、500倍または1000倍超低い。
【0023】
本明細書で用いる用語「Kd」(通常「mol/L」で測定され、「M」と省略されることもある)は、化合物(例えば本発明の化合物)と標的分子間の特定の相互作用の解離平衡定数を指すことを意図する。
【0024】
化合物の結合親和性を決定する、すなわち解離定数Kdを決定するための方法は、当業者に知られており、例えば当業者に知られている以下の方法より選択され得る:表面プラズモン共鳴(SPR)ベースの技術、バイオレイヤー干渉法(BLI)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、フローサイトメトリー、等温滴定カロリメトリー(ITC)、分析超遠心分離、ラジオイムノアッセイ(RIAまたはIRMA)および強化化学発光(ECL)。典型的に、解離定数Kdは、20℃、25℃、30℃または37℃にて決定される。他に明確に断らない限り、Kd値は、25℃にてSPRおよびITCにより、特に25℃にてSPRにより決定される。
【0025】
以下の段落において、次の用語を定義する:アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、脂環式系、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、およびアルキニル。これらの用語は、明細書の残りの部分におけるその使用の各場合において、それぞれ定義された意味および好ましい意味を有する。それにもかかわらず、明細書全体にわたって使用されるいくつかの場合には、これらの用語の好ましい意味が示される。
【0026】
以下に示す定義は、1つの自由結合だけでなく、2つの自由結合を有する基に対し完全に類似した方法で適用される。したがって、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニルおよびアルキニルという用語について提供した定義は、それぞれアルカンジイル、ヘテロアルカンジイル、ハロアルカンジイル、シクロアルカンジイル、ヘテロシクロアルカンジイル、アレーンジイル、アラルカンジイル、ヘテロアレーンジイル、ヘテロアラルカンジイル、アルケンジイル、シクロアルケンジイル、ヘテロアルケンジイル、ヘテロシクロアルケンジイルおよびアルキンジイルの用語に対し完全に類似した方法で適用される。
【0027】
用語「アルキル」は、直鎖状または分枝状飽和炭素鎖を指す。好ましくは、該鎖は、1~10個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含み、例えば、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルまたはiso-プロピル)、ブチル(n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルである。アルキル基は置換されていてもよい。
【0028】
用語「ヘテロアルキル」は、直鎖状または分枝状飽和炭素鎖を指す。好ましくは、該鎖は、1~9個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8または9個の炭素原子を含み、例えば、同一または異なるヘテロ原子で、1回以上、例えば、1、2、3、4、5回中断されている、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルである。好ましくは、該ヘテロ原子は、O、SおよびNより選択され、例えば、-(CH2)n-X-(CH2)mCH3(ここで、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8または9、m=0、1、2、3、4、5、6、7、8または9、X=S、OまたはNR'(ここで、R'=Hまたは炭化水素(例えば、C1~C6アルキル)))である。特に、「ヘテロアルキル」は、-O-CH3、-OC2H5、-CH2-O-CH3、-CH2-O-C2H5、-CH2-O-C3H7、-CH2-O-C4H9、-CH2-O-C5H11、-C2H4-O-CH3、-C2H4-O-C2H5、-C2H4-O-C3H7、-C2H4-O-C4H9などを指す。ヘテロアルキル基は置換されていてもよい。
【0029】
用語「ハロアルキル」は、1個以上の水素原子が、ハロゲン原子に、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素に置き換えられている、直鎖状または分枝状飽和炭素鎖を指す。好ましくは、該鎖は、1~10個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含んでいる。特に、「ハロアルキル」は、-CH2F、-CHF2、-CF3、-C2H4F、-C2H3F2、-C2H2F3、-C2HF4、-C2F5、-C3H6F、-C3H5F2、-C3H4F3、-C3H3F4、-C3H2F5、-C3HF6、-C3F7、-CH2Cl、-CHCl2、-CCl3、-C2H4Cl、-C2H3Cl2、-C2H2Cl3、-C2HCl4、-C2Cl5、-C3H6Cl、-C3H5Cl2、-C3H4Cl3、-C3H3Cl4、-C3H2Cl5、-C3HCl6および-C3Cl7を指す。ハロアルキル基は置換されていてもよい。
【0030】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それ自体でまたは他の用語と組み合わせて、他に断らない限り、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状バージョンを表し、それぞれ、好ましくは3、4、5、6、7、8、9または10個の環形成原子を有し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどである。用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」はまた、その二環式、三環式および多環式バージョンを包含することも意味する。二環式、三環式または多環式環が形成される場合、各環がお互いに隣接する2個の炭素原子で結合していることが好ましいが、代わりに、2つの環は同じ炭素原子によって結合している、すなわち、それらはスピロ環を形成するか、それらは「架橋」環系を形成し、好ましくは三環[3.3.1.13,7]デカンを形成する。用語「ヘテロシクロアルキル」は、好ましくは、少なくとも1個の構成要素がN、OまたはS原子であり、さらに1個のO原子またはさらに1個のN原子を含有していてもよい、5個の構成要素を有する飽和環;少なくとも1個の構成要素がN、OまたはS原子であり、さらに1個のO原子またはさらに1個のN原子またはさらに2個のN原子を含有していてもよい、6個の構成要素を有する飽和環;または、少なくとも1個の構成要素がN、OまたはS原子であり、さらに1、2または3個のN原子を含有していてもよい、9または10個の構成要素を有する飽和二環式環を指す。「シクロアルキル」基および「ヘテロシクロアルキル」基は、置換されていてもよい。さらに、ヘテロシクロアルキルについては、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残りの部分と結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、スピロ[3,3]ヘプチル、スピロ[3,4]オクチル、スピロ[4,3]オクチル、スピロ[3,5]ノニル、スピロ[5,3]ノニル、スピロ[3,6]デシル、スピロ[6,3]デシル、スピロ[4,5]デシル、スピロ[5,4]デシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびアダマンチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、1,8-ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、1,7-ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、1,6-ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、2,8-ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、2,7-ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、2,6-ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、1,8-ジアゾ-スピロ[5,4]デシル、1,7-ジアゾ-スピロ[5,4]デシル、2,8-ジアゾ-スピロ[5,4]デシル、2,7-ジアゾ-スピロ[5,4]デシル、3,8-ジアゾ-スピロ[5,4]デシル、3,7-ジアゾ-スピロ[5,4]デシル、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ-2-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニルおよび2-ピペラジニルなどが挙げられる。
【0031】
用語「脂環式系」は、少なくとも1つの二重結合および/または三重結合を含むシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルの単環、二環式、三環式または多環式バージョンを指す。しかしながら、脂環式系は、芳香族系またはヘテロ芳香族系ではなく、すなわち、共役二重結合/自由電子対の系を持たない。したがって、脂環式系において最大限許容される二重結合および/または三重結合の数は、環原子の数によって決定され、例えば、最大5個の環原子を有する環系においては、脂環式系は最大1つの二重結合を含み、最大6個の環原子を有する環系においては、脂環式系は、最大2つの二重結合を含む。したがって、以下で定義する「シクロアルケニル」は、脂環式環系の好ましい実施態様である。脂環式系は置換されていてもよい。
【0032】
用語「アリール」は、好ましくは、6個の炭素原子を含有する単環式芳香環、10個の炭素原子を含有する二環式芳香環系または14個の炭素原子を含有する三環式芳香環系を指す。例としては、フェニル、ナフチルまたはアントラセニルが挙げられる。アリール基は置換されていてもよい。
【0033】
用語「アラルキル」は、アリールで置換されているアルキル部分を指す(ここで、アルキルおよびアリールは上記で概略記載した意味を有する)。一例としてはベンジル基が挙げられる。好ましくは、この文脈において、該アルキル鎖は、1~8個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含み、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルである。該アラルキル基は、該基のアルキルおよび/またはアリール部分が置換されていてもよい。好ましくは、アルキルと結合したアリールは、フェニル、ナフチルまたはアントラセニルを意味する。
【0034】
用語「ヘテロアリール」は、好ましくは、少なくとも1個の炭素原子が好ましくはO、NおよびSより選択される、1、2、3または4個(5員環の場合)または1、2、3、4または5個(6員環の場合)の同一または異なるヘテロ原子に置き換えられている5員または6員単環式芳香環;8、9、10、11または12個の炭素原子のうち1、2、3、4、5または6個の炭素原子が、好ましくはO、NおよびSより選択される、同一または異なるヘテロ原子に置き換えられている、8~12個の構成要素を有する二環式芳香環系;または、13、14、15または16個の炭素原子のうちの1、2、3、4、5または6個の炭素原子が、好ましくはO、NおよびSより選択される、同一または異なるヘテロ原子に置き換えられている、13~16個の構成要素を有する三環式芳香環を指す。例えば、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1-ベンゾフラニル、2-ベンゾフラニル、インドイル、イソインドイル、ベンゾチオフェニル、2-ベンゾチオフェニル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、インドキサジニル、2,1-ベンゾソオキサゾイル(2,1-benzosoxazoyl)、ベンゾチアゾリル、1,2-ベンゾイソチアゾリル、2,1-ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、2,3-ベンゾジアジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、キノリニル、1,2,3-ベンゾトリアジニルまたは1,2,4-ベンゾトリアジニルである。
【0035】
用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されているアルキル部分を指す(ここで、アルキルおよびヘテロアリールは上記で概略記載した意味を有する)。一例としては、2-アルキルピリジニル、3-アルキルピリジニルまたは2-メチルピリジニル基が挙げられる。好ましくは、この文脈において、該アルキル鎖は、1~8個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含み、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルである。該ヘテロアラルキル基は、該基のアルキルおよび/またはヘテロアリール部分が置換されていてもよい。好ましくは、アルキルに結合したヘテロアリールは、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1-ベンゾフラニル、2-ベンゾフラニル、インドイル、イソインドイル、ベンゾチオフェニル、2-ベンゾチオフェニル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、インドキサジニル、2,1-ベンゾソオキサゾイル(2,1-benzosoxazoyl)、ベンゾチアゾリル、1,2-ベンゾイソチアゾリル、2,1-ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、2,3-ベンゾジアジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、キノリニル、1,2,3-ベンゾトリアジニルまたは1,2,4-ベンゾトリアジニルを意味する。
【0036】
用語「アルケニル」および「シクロアルケニル」は、1つ以上の二重結合を有するオレフィン不飽和炭素原子含有鎖または環を指す。例えば、プロペニルおよびシクロヘキセニルである。好ましくは、該アルケニル鎖は、2~8個の炭素原子、すなわち、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含み、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、iso-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、iso-ブテニル、sec-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルである。好ましくは、該シクロアルケニル環は、3~8個の炭素原子、すなわち、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含み、例えば、1-シクロプロペニル、2-シクロプロペニル、1-シクロブテニル、2-シクロブテニル、1-シクロペンテニル、2-シクロペンテニル、3-シクロペンテニル、1-シクロヘキセニル、2-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルである。
【0037】
用語「ヘテロアルケニル」および「ヘテロシクロアルケニル」は、それぞれ、「ヘテロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」の不飽和バージョンを指す。したがって、用語「ヘテロアルケニル」は、直鎖状または分枝状不飽和炭素鎖を指す。好ましくは、該鎖は、同一または異なるヘテロ原子で1回以上、例えば1、2、3、4、5回中断されている1~9個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9個の炭素原子を含む。好ましくは、ヘテロ原子は、O、SおよびNより選択される。中断するヘテロ原子の1個以上がNである場合、このNは、-NR'-部分(ここで、R'は、水素または炭化水素(例えば、C1~C6アルキル)である)として存在することができるか、または、=N-または-N=基として存在することができ、すなわち、該窒素原子は、隣接するC原子または隣接するさらなるN原子と二重結合を形成することができる。「ヘテロアルケニル」基は置換されていてもよい。用語「ヘテロシクロアルケニル」は、好ましくは3、4、5、6、7、8、9または10個の環形成原子を有する、「ヘテロアルケニル」の環式バージョンを表す。用語「ヘテロシクロアルケニル」はまた、その二環式、三環式または多環式バージョンを包含することも意味する。二環式、三環式または多環式環が形成される場合、各環がお互いに隣接する2個の炭素原子で結合していることが好ましい。これらの隣接する2個の原子は、ともに炭素原子であり得るか;または1個の原子が炭素原子であり得て、他の原子がヘテロ原子であり得るか;またはこの隣接する2個の原子はともにヘテロ原子であり得る。しかしながら、代わりに、この2つの環は、同一の炭素原子によって結合し、すなわち、それらはスピロ環系を形成するか、または、それらは、「架橋」環系を形成する。用語「ヘテロシクロアルケニル」は、好ましくは、少なくとも1個の構成要素がN、OまたはS原子であり、さらに1個のO原子またはさらに1個のN原子を含有していてもよい、5個の構成要素を有する不飽和環;少なくとも1個の構成要素がN、OまたはS原子であり、さらに1個のO原子またはさらに1個のN原子またはさらに2個のN原子を含有していてもよい、6個の構成要素を有する不飽和環;または、少なくとも1個の構成要素がN、OまたはS原子であり、さらに1、2または3個のN原子を含有していてもよい、9または10個の構成要素を有する不飽和二環式環を指す。「ヘテロシクロアルケニル」基は置換されていてもよい。さらに、ヘテロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニルについては、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残りの部分と結合している位置を占めることができる。
【0038】
用語「アラルケニル」は、アリールで置換されているアルケニル部分を指す(ここで、アルケニルおよびアリールは上記で概略記載した意味を有する)。
【0039】
用語「ヘテロアラルケニル」は、ヘテロアリールで置換されているアルケニル部分を指す(ここで、アルケニルおよびヘテロアリールは上記で概略記載した意味を有する)。
【0040】
用語「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を有する不飽和炭素原子含有鎖または環を指す。好ましくは、該アルキニル鎖は、2~8個の炭素原子、すなわち、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含み、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルである。
【0041】
用語「ヘテロアルキニル」、「シクロアルキニル」および「ヘテロシクロアルキニル」は、それぞれ、基本的には上記で定義した「ヘテロアルケニル」、「シクロアルケニル」および「ヘテロシクロアルケニル」に対応する部分を指すが、少なくとも1つの二重結合が三重結合に置き換えられている点で「ヘテロアルケニル」、「シクロアルケニル」および「ヘテロシクロアルケニル」と異なる。
【0042】
一実施態様において、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル基中の炭素原子または水素原子は、互いに独立して、O、S、Nからなる群より選択される1個以上の元素、または1個以上の元素を含有する基、すなわち、O、SおよびNからなる群より選択される1、2、3、4、5、6個またはそれ以上の元素を含有する基で置換され得る。一実施態様としては、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アルキニルオキシ,アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルケニルチオ、アルキニルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルケニルアミノ、シクロアルケニルアミノ、アルキニルアミノ基が挙げられる。他実施態様としては、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシアラルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシシクロアルケニル、ヒドロキシアルキニル、メルカプトアルキル、メルカプトシクロアルキル、メルカプトアリール、メルカプトアラルキル、メルカプトアルケニル、メルカプトシクロアルケニル、メルカプトアルキニル、アミノアルキル、アミノシクロアルキル、アミノアリール、アミノアラルキル、アミノアルケニル、アミノシクロアルケニル、アミノアルキニル基が挙げられる。
【0043】
別の実施態様において、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、脂環式系、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル基中の1個以上の水素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7または8個の水素原子は、互いに独立して、1個以上のハロゲン原子、例えば、Cl、FまたはBrで置換され得る。一の好ましい基は、トリフルオロメチル基である。
【0044】
2個以上の基が互いに独立して選択され得る場合、用語「独立して」は、これらの基が同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
【0045】
用語「置換されていてもよい」は、各場合において、さらに特定されない場合、ハロゲン(特に、F、Cl、BrまたはI)、-NO2、-CN、-OR'''、-NR'R''、-COOR'''、-CONR'R''、-NR'COR''、-NR''COR'''、-NR'CONR'R''、-NR'SO2E、-COR''';-SO2NR'R''、-OOCR'''、-CR'''R''''OH、-R'''OHおよびEを指し;
R'およびR''は、各々独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキルおよびヘテロアリールからなる群より選択されるか、または一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルを形成し;
R'''およびR''''は、各々独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびNR'R''からなる群より選択され;
Eは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキル、脂環式系、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;置換されていてもよい。
【0046】
本明細書で用いる「(CH2)n基が標識を有してもよい」という表現は、(CH2)n基の1個または複数の水素原子が、「標識」を含む化学基で置き換えられてもよいことを意味する。水素原子を置き換える化学基は、(CH2)n基を「標識」に接続するリンカーを含み得る。
【0047】
本明細書で用いる「標識」は、化学的または生物学的手段によって検出可能な任意の化学基を指す。本発明を実施するのに特に適している「標識」は、分光技術、例えば蛍光分光法、陽電子放出断層撮影法(PET)または磁気共鳴画像法(MRI)により検出可能な化学基である。
【0048】
「r.t.」は、室温の略語である。
【0049】
「iPr」は、イソプロピル基、すなわち-CH(CH3)2の略語である。
【0050】
「医薬的に許容される」は、連邦政府もしくは州政府の監督官庁によって認可されたことを意味するか、または米国薬局方(United States Pharmacopeia-33/National Formulary-28 Reissue, published by the United States Pharmacopeial Convention, Inc., Rockville Md., publication date: April 2010)もしくは他の一般的に認識されている動物用、特にヒト用の薬局方に挙げられていることを意味する
【0051】
用語「医薬的に許容される塩」は、本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物の適切な医薬的に許容される塩は、例えば、本明細書に記載の化合物またはその誘導体の溶液と塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの医薬的に許容される酸の溶液を混合することによって形成され得る酸付加塩を包含する。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その適切な医薬的に許容される塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩);アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩);および適切な有機リガンドで形成された塩(例えば、アンモニウム、4級アンモニウム、ならびにハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、アルキルスホネートおよびアリールスルホネートなどのカウンターイオンを用いて形成されるアミン陽イオン)を包含し得る。医薬的に許容される塩の例示としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、エデト酸カルシウム、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クランブラン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二塩酸塩、ドデシル硫酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メチレート、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(pamoate、embonate)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩(subacetate)、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジド、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Berge, S. M., et al, "Pharmaceutical Salts", Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照)。本発明のある特定の化合物は、該化合物を塩基付加塩または酸付加塩に転換させることができる塩基性および酸性の両方の官能基を含有する。
【0052】
化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を慣用の方法で単離することによって再生することができる。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解性などの特定の物理的特性において様々な塩形態とは異なるが、そうでなければ、塩は、本発明の目的のための化合物の親形態と同等である。
【0053】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて、式I、II、VIIまたはVIIIで示される化合物を提供する化合物である。プロドラッグは、該プロドラッグを患者へ投与した後に、加水分解および代謝などのインビボ生理学的作用によって本発明の化合物に化学的に修飾される活性または不活性化合物である。さらに、プロドラッグは、エクスビボ環境において化学的または生化学的方法によって本発明の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素と共に経皮パッチリザーバーに入れたとき、本発明の化合物にゆっくりと変換することができる。プロドラッグの製造および使用に関与する適合性および技術は、当業者に周知である。エステルを含むプロドラッグの一般的な議論については、Svensson L.A. and Tunek A. (1988) Drug Metabolism Reviews 19(2): 165-194およびBundgaard H. "Design of Prodrugs", Elsevier Science Ltd. (1985)を参照。マスクされたカルボイキシレートアニオンの例としては、アルキル(例えば、メチル、エチル)、シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)、アラルキル(例えば、ベンジル、p-メトキシベンジル)、およびアルキルカルボニルオキシアルキル(例えば、ピバロイルオキシメチル)などの種々のエステルが挙げられる。アミンは、遊離薬物およびホルムアルデヒドを放出するインビボにおけるエステラーゼによって切断されるアリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスクされている(Bundgaard H. et al. (1989) J. Med. Chem. 32(12): 2503-2507)。また、イミダゾール、イミドおよびインドールなどの酸性NH基を含む薬物は、N-アシルオキシメチル基でマスクされている(Bundgaard H. "Design of Prodrugs", Elsevier Science Ltd. (1985))。ヒドロキシ基はエステルおよびエーテルとしてマスクされている。EP0039051A2には、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、それらの製造および使用が開示されている。
【0054】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、および個々の異性体(例えば別個のエナンチオマー)はすべて、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子の1つ以上に、不自然な割合の原子同位体を含み得る。例えば、化合物は、例えばトリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)などの放射性同位体で放射性標識され得る。本発明の化合物のすべての同位体変化物は、放射性であるか否かにかかわらず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0055】
本明細書で用いる「患者」は、本明細書に記載の化合物による処置から利益を得ることができるあらゆる哺乳類または鳥類を意味する。好ましくは、「患者」は、実験動物(例えば、マウスまたはラット)、飼育動物(例えば、モルモット、ウサギ、ニワトリ、七面鳥、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウシ、ウマ、ロバ、ネコまたはイヌを含む)、またはチンパンジーおよびヒトを含む霊長類からなる群より選択される。「患者」はヒトであることが特に好ましい。
【0056】
本明細書で用いる、疾患または障害の「処置する」、「処置すること」または「処置」は、以下の1つまたは複数を達成することを意味する:(a)障害の重症度を軽減する;(b)処置される障害の特徴である症状の発症を制限または予防する;(c)処置される障害の特徴である症状の悪化を阻害する;(d)障害を以前に有していた患者における障害の再発を制限または防止する;および(e)以前に障害の徴候があった患者における症状の再発を制限または防止する。
【0057】
本明細書で用いる、疾患または障害の「予防する」、「予防すること」、「予防(prevention)」または「予防(prophylaxis)」は、一定時間、障害が対象体において生じることを防止することを意味する。例えば、本明細書に記載の化合物が、疾患または障害を予防する目的で対象体に投与される場合、該疾患または障害は、少なくとも投与日に、好ましくは投与日から1日以上(例えば、1~30日;または2~28日;または3~21日;または4~14日;または5~10日)後に起こることが防止される。
【0058】
本発明による「医薬組成物」は、異なる活性成分および希釈剤および/または担体が互いに混合されている組成物の形態で存在してもよく、または活性成分が部分的または完全に異なる形態で存在する組合せ製剤の形態を取ってもよい。そのような組合せまたは組合せ製剤の例は、キットオブパーツである。
【0059】
「有効量」は、意図された目的を達成するのに十分な治療薬の量である。所与の治療薬の有効量は、薬物の性質、投与経路、治療薬を投与される動物のサイズおよび種、ならびに投与の目的などの因子によって変化する。個々の場合における有効量は、当該技術分野で確立された方法に従って当業者によって経験的に決定され得る。
【0060】
本明細書で用いる用語「担体」は、治療薬と一緒に投与される希釈剤、アジュバント、添加剤またはビヒクルを指す。そのような医薬的担体は、無菌液体、例えば生理食塩水溶液、ならびに石油、動物、植物または合成起源のもの、例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱油およびゴマ油などであり得る。生理食塩水は、医薬組成物が静脈内投与される場合に好ましい担体である。生理食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液はまた、特に注射液用の、液体担体として使用し得る。適切な医薬的添加剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、シュークロース、ゼラチン、麦芽、米粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水およびエタノールなどが挙げられる。組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、散剤および徐放性製剤などの剤形を取り得る。組成物は、伝統的な結合剤および担体、例えばトリグリセリドを用いて坐剤として製剤化し得る。本発明の化合物は、上記の中性形態または塩形態として製剤化し得る。医薬的に許容適切な医薬的担体の例は、E.W.Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、患者への適正な投与のための剤形を提供するために、治療上有効量の化合物を、好ましくは精製された形態で、適切な量の担体と共に含む。製剤は投与様式に適合すべきである。
【0061】
発明の実施態様
以下、本発明をさらに説明する。以下の節では、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。以下に定義される各態様は、反対するものと明確に断らない限り、他の1つまたは複数の態様と組み合わせてもよい。特に、好ましいまたは有利であると示される特徴は、好ましいまたは有利であると示される他の1つまたは複数の特徴と組み合わせてもよい。
【0062】
第1態様において、本発明は、一般構造(I):
R2-A1-R4-B1-R1-B2-R4'-A2-R2' (I)
または一般構造(II)
R2-A1-R4-B1-R5 (II)
[構造中、
R2およびR2'は互いに独立して、ガラクトース、GalNAc、2-デオキシ-ガラクトース、およびガラクトヘプトースのエポキシドからなる群より選択され、ここで、R2とA1間の結合を形成する-O-基および/またはR2'とA2間の結合を形成する-O-基は、互いに独立して、-S-基、-NH-基、または-CH2-基に置き換えられてもよく;
A1およびA2は互いに独立して、下記(a)および(b)からなる群より選択され、
(a)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアレーンジイル基、および
(b)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアレーンジイル基;
R4は、-CO-NH-N=CH-;-CH2-CH2-CO-NH-;E-またはZ-体-CO-NH-CH=CH-、E-またはZ-体-CH=CH-CO-NH-;-CO-NH-CH2-CH2-;-NH-CO-CH2-CH2-;E-またはZ-体-CH=CH-NH-CO-;E-またはZ-体-NH-CO-CH=CH-;および-CH2-CH2-NH-CO-からなる群より選択され;
R4'は、-CH=N-NH-CO-;-NH-CO-CH2-CH2-;E-またはZ-体-CH=CH-NH-CO-;E-またはZ-体-NH-CO-CH=CH-;-CH2-CH2-NH-CO-;-CH2-CH2-CO-NH-;E-またはZ-体-CO-NH-CH=CH-;E-またはZ-体-CH=CH-CO-NH-;および-CO-NH-CH2-CH2-からなる群より選択され;
B1およびB2は互いに独立して、下記(a)~(d)からなる群より選択され、
(a)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアレーンジイル基、
(b)C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアレーンジイル基;および
(c)ハロゲン、-CN、-NH2、-NR11R12、-NH-CO-R11、-NH-SO2-R11、-OR11、-SR11、-SO2R11、-COOR11、-NO2、-トリアゾール-R11、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-CH2-R11Hからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC3-C7シクロアルカンジイル基;ここで
R12は、C1-C4アルキル基であり;そして
R11は、下記
- 水素、
- C1-C4アルキル基、
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基、および
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基
からなる群より選択される、
(d)ハロゲン、-CN、-NH2、-NR11R12、-NH-CO-R11、-NH-SO2-R11、-OR11、-SR11、-SO2R11、-COOR11、-NO2、-トリアゾール-R11、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-CH2-R11Hからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1-C6アルカンジイル基;ここで
R12は、C1-C4アルキル基であり;そして
R11は、下記
- 水素、
- C1-C4アルキル基、
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいアリール基、および
- C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基
からなる群より選択される;
R1は、-O-、-S-、-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、-C(O)-、-X1(CH2)nX2-からなる群より選択され、ここで、nは、1、2、3、4または5であり;そして、X1およびX2は互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、および-C(O)-からなる群より選択され;ここで、
(CH2)n基は、アルキル基、ヘテロアルキル基、アリール-アルキル基、ヘテロアリール-アルキル基、アリール-ヘテロアルキル基またはヘテロアリール-ヘテロアルキル基により(CH2)n基と結合した標識を有してもよく、これらの基のいずれかが置換されていてもよく;そして
R5は、-O-C1-6アルキルである]
で示される化合物、またはその塩またはその溶媒和物またはそのプロドラッグに関する。
【0063】
第1態様の一実施態様において、R
2およびR
2'は互いに独立して、式(III)~(VI):
【化1】
[式中、Zは、O、S、NH、およびCH
2からなる群より選択される]
からなる群より選択される。
【0064】
第1態様の一実施態様において、A1およびA2は互いに独立して、
(i)フェニレン基;
(ii)ナフタレンジイル基;
(iii)環原子の1、2、3または4個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、5員の芳香族単環式環;
(iv)環原子の1、2、3、4または5個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、6員の芳香族単環式環;および
(v)環原子の1、2、3、4、5または6個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、8~12員の芳香族二環式環;
上記の基(i)~(v)の各々は、C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよい
からなる群より選択される。
【0065】
第1態様の一実施態様において、R4およびR4'は、対称な組合せを形成する、すなわち、R4'基を形成する原子は、R4基を形成する原子の逆の順序で配置される。より具体的には、R4およびR4'が、下記組合せ:
(a)R4が-CO-NH-N=CH-であり、R4'が-CH=N-NH-CO-である;
(b)R4が-CH2-CH2-CO-NH-であり、R4'が-NH-CO-CH2-CH2-である;
(c)R4がE-体-CO-NH-CH=CH-であり、R4'がE-体-CH=CH-NH-CO-である;
(d)R4がZ-体-CO-NH-CH=CH-であり、R4'がZ-体-CH=CH-NH-CO-である;
(e)R4がE-体-CH=CH-CO-NH-であり、R4'がE-体-NH-CO-CH=CH-である;
(f)R4がZ-体-CH=CH-CO-NH-であり、R4'がZ-体-NH-CO-CH=CH-である;
(g)R4が-CO-NH-CH2-CH2-であり、R4'が-CH2-CH2-NH-CO-であり;
(h)R4が-NH-CO-CH2-CH2-であり、R4'が-CH2-CH2-CO-NH-である;
(i)R4がE-体-CH=CH-NH-CO-であり、R4'がE-体-CO-NH-CH=CH-である;
(j)R4がZ-体-CH=CH-NH-CO-であり、R4'がZ-体-CO-NH-CH=CH-である;
(k)R4がE-体-NH-CO-CH=CH-であり、R4'がE-体-CH=CH-CO-NH-である;
(l)R4がZ-体-NH-CO-CH=CH-であり、R4'がZ-体-CH=CH-CO-NH-である;または
(m)R4が-CH2-CH2-NH-CO-であり、R4'が-CO-NH-CH2-CH2-である
の1つを形成することが好ましい。
【0066】
第1態様の一実施態様において、B1およびB2は互いに独立して、
(i)フェニレン基;
(ii)ナフタレンジイル基;
(iii)環原子の1、2、3または4個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、5員の芳香族単環式環;
(iv)環原子の1、2、3、4または5個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、6員の芳香族単環式環;および
(v)環原子の1、2、3、4、5または6個が、同じまたは異なるヘテロ原子であり、該ヘテロ原子が、O、NまたはSより選択される、8~12員の芳香族二環式環;
(vi)C3-C7シクロアルカンジイル基;および
(vii)C1-C6アルカンジイル基
からなる群より選択され;ここで、
上記の基(i)~(v)の各々は、C1-C4アルキル基、ハロゲン、C1-C4ハロアルキル基、-OH、C1-C4アルコキシ基、-NH2、-NHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-NR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、-NO2、-CN、-COOH、-COOR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-SO3Hからなる群より互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく;そして
上記の基(vi)~(vii)の各々は、ハロゲン、-CN、-NH2、-NR11R12、-NH-CO-R11、-NH-SO2-R11、-OR11、-SR11、-SO2R11、-COOR11、-NO2、-トリアゾール-R11、-CONH2、-CONHR13(R13は、C1-C4アルキル基である)、-CONR13R14(R13およびR14は、互いに独立してC1-C4アルキル基である)、および-CH2-R11からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;ここで、R12は、C1-C4アルキル基であり;そして、R11は、水素およびC1-C4アルキル基からなる群より選択される。
【0067】
第1態様の一実施態様において、化合物は、下記構造(VII)
【化2】
(VII)
または下記構造(VIII)
【化3】
(VIII)
[構造中、
R
2は、メタ位またはパラ位であり、そして
R
2'は、メタ位またはパラ位である]
を有する。
【0068】
第1態様の一実施態様において、化合物は、500nM以下、好ましくは400nM以下、より好ましくは300nM以下、より好ましくは200nM以下、より好ましくは100nM以下、さらにより好ましくは90nM以下、さらにより好ましくは80nM以下、さらにより好ましくは70nM以下、さらにより好ましくは60nM以下、さらにより好ましくは50nM以下、さらにより好ましくは40nM以下、さらにより好ましくは30nM以下、さらにより好ましくは20nM以下、および最も好ましくは10nM以下のKD値でLecAに対する結合親和性を示す。
【0069】
第1態様の一実施態様において、(CH
2)
n基(R
1の1つの可能な定義である-X
1(CH
2)
nX
2-基内の(CH
2)
n基)は、標識を有し、(CH
2)
n基は、下記構造:
【化4】
[構造中、
mは、0、1、2または3であり、
oは、0、1、2または3であり、
m+oの合計は、4以下であり、そして
「リンカー」は、アルキル基、ヘテロアルキル基、アリール-アルキル基、ヘテロアリール-アルキル基、アリール-ヘテロアルキル基またはヘテロアリール-ヘテロアルキル基であり、これらの基のいずれかが置換されていてもよい]
を有する。
【0070】
第1態様の更なる実施態様において、(CH2)n基は、標識を有し、該標識は、蛍光分光法、陽電子放出断層撮影法(PET)または磁気共鳴画像法(MRI)により検出可能な化学基である。
【0071】
第1態様の更なる実施態様において、蛍光分光法により検出可能な標識は、フルオレセインである。
【0072】
PETにより検出可能な適切な標識は、18F置換基を有する基を含む。
【0073】
MRIにより検出可能な適切な標識は、キレート剤または酸化鉄ナノ粒子を有するGd-IIIを含む。
【0074】
第2態様において、本発明は、第1態様による化合物を含み、医薬的に許容される担体、希釈剤、添加剤および抗菌治療薬からなる群より選択される1つ以上の成分を含んでもよい、医薬組成物に関する。
【0075】
第3態様において、本発明は、医薬における使用のための、第1態様による化合物に関する。
【0076】
第4態様において、本発明は、
- 患者における緑膿菌感染の予防または処置における使用のための、または
- 嚢胞性線維症に罹患している患者における緑膿菌関連気道感染の予防または処置における使用のための、
1つ以上の抗菌治療薬と組み合わせてもよい、第1態様による化合物に関する。
【0077】
第4態様のいくつかの実施態様において、1つ以上の抗菌治療薬は、β-ラクタム抗生物質(ペニシリン、セファロスプロリン、カルバペネム、およびモノバクタムを含む)、フルオロキノロン、テトラサイクリン、マクロライド抗生物質、アミノグリコシド、ペプチド抗生物質、リンコサミド、およびストレプトグラミンからなる群より選択される。
【0078】
第5態様において、本発明は、インビボ感染イメージングにおける使用のための、第1態様による化合物に関する。
【0079】
第6態様において、本発明は、インビトロバイオフィルムイメージングおよびインビトロスクリーニングアッセイのための、好ましくは緑膿菌により生成されるバイオフィルムのイメージングのための、第1態様による化合物の使用に関する。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、当業者に、本発明の化合物、組成物および方法を製造および使用する方法の完全な開示および説明を提供するために提示されており、発明者が発明とみなしますものの範囲を限定することを意図しない。使用される数値に関して正確性を確保するための努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差を考慮する必要がある。他に断らない限り、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはその近傍である。
【0081】
(材料および方法)
【0082】
(化学合成)
(全体的実験の詳細)1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルを、Bruker Avance III 500 UltraShield 分光計で500MHzおよび126MHzにて記録した。化学シフトを(δ)をppmで示し、残留溶媒ピークで較正した:クロロホルム-d1(1H-NMR δ = 7.26 ppm、13C-NMR δ = 77.0 ppm)、メタノール-d4(1H-NMR δ = 3.31 ppm、13C-NMR δ = 49.0 ppm)、ジメチルスルホキシド-d6(1H-NMR δ = 2.50 ppm、13C-NMR δ = 39.51 ppm)[1]。重水素化溶媒をSigma-Aldrichから購入した。多重度は、s = シングレット、d = ダブレット、t = トリプレット、q = カルテット、m = マルチプレットとして特定されている。スペクトルを、1H、1H-COSY;1H、13C-HSQCおよび1H、13C-HMBC実験により割り当てた。
【0083】
薄層クロマトグラフィー(TLC)を、Merck(Merck KGaA、Darmstadt、Germany)の指示薬を含むシリカゲル60アルミニウムプレートを用いて実施し、UV光(254 nm)およびモリブデン酸溶液(10%H2SO4水中(NH4)4Ce(SO4)4・2H2Oおよび(NH4)6Mo7O24・4H2Oの0.02M溶液)または過マンガン酸カリウム溶液(5mLの5%NaOHおよび300mLの水中、3gのKMnO4、20gのK2CO3)下で加熱しながら展開した。
【0084】
中速液体クロマトグラフィー(MPLC)を、Macherey-Nagel(C18 ec、endcapped)の、セルフパックシリカゲルカラム(60Å、400メッシュ粒径、Fluka)またはプレパッシリカゲル60Åカラムを用いて、Teledyne Isco Combiflash Rf200システムで実施した。
分析用HPLC-MSを、固定相としてRP-18 カラム(100/2 Nucleoshell RP18plus、2.7μM、Machery Nagel、Germany)を用いて、254nmにてUV検出を備えたBruker amaZon SL質量分析計に接続したThermo Dionex Ultimate 3000 HPLCで実施した。
【0085】
高分解能質量分析(HRMS)を、HESI源(Thermo Fisher、Dreieich、Germany)を備えたQ Exactive Focus Orbitrapシステムに接続したUltimate 3000 UPLCシステムで実施した。UPLCを、C18カラム(EC 150/2 Nucleodur C18 Pyramid、3μm、Macherey-Nagel、Germany)を用いて作動させた。
【0086】
分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、RP-18 カラム(250/21 Nucleodur C18 Gravity SB、5μM、Macherey-Nagel、Germany)を用いて、Waters 2489 UV/Vis検出器を備えたWaters 2545バイナリーグラジエントモジュールで実施した。
【0087】
市販の化学物質および溶媒を、さらに精製することなく用いた。
【0088】
(化合物の合成)
β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(2)
β-D-ガラクトピラノースペンタアセテートを、Cohenら[2]の手順に従い得た。D-ガラクトース(100g、0.56mol)、無水酢酸(600mL、6.35mol)および無水酢酸ナトリウム(50.08g、0.61mol)を、100℃まで20分間加熱した。混合物を、室温まで冷却し、1600mLの氷水に注ぎ、1時間撹拌した。生成物を、ジクロロメタンで抽出し、水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、シロップまで蒸発させた。粗生成物を、エタノールから結晶化させて精製した(81.3g、0.21mol、38%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.70 (d, J = 8.3 Hz, 1H, H-1), 5.42 (d, J = 3.4, 1H, H-4), 5.33 (dd, J = 10.4, 8.3 Hz, 1H, H-2), 5.07 (dd, J = 10.4, 3.3 Hz, 1H, H-3), 4.19 - 4.08 (m, 2H, H-6), 4.05 (t, J = 6.5 Hz, 1H, H-5), 2.16 (s, 3H, CH3), 2.12 (s, 3H, CH3), 2.04 (d, J = 0.7 Hz, 6H, CH3), 1.99 (s, 3H, CH3)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 170.50 (C=O), 170.27 (C=O), 170.11 (C=O), 169.57 (C=O), 169.13 (C=O), 92.30 (C-1), 71.85 (C-5), 70.99 (C-3), 67.96 (C-2), 66.94 (C-4), 61.18 (C-6), 20.97 (CH3), 20.82 (CH3), 20.81 (CH3), 20.78 (CH3), 20.70 (CH3)。
HPLC-MS:[C16H22O11 + Na]+ 計算値413.11、実測値413.05。
【0089】
m-メトキシカルボニルフェニル2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノシド(3m)
β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(1、2.72g、6.97mmol)およびメチル-3-ヒドロキシベンゾエート(3.09g、20.4mmol)を、乾燥ジクロロメタン(20mL)中に溶解させた。反応混合物を、0℃まで冷却し、BF3・OEt2(2.5mL、20.3mmol)を滴下した。混合物を、室温まで温め、一晩撹拌した。反応物を、氷冷飽和NaHCO3に注ぎ、ジクロロメタンで希釈した。有機相を、飽和NaHCO3および食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。生成物を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、5~50%酢酸エチル)により精製した。3mを、白色の固体として得た(2.34g、4.84mmol、69%)。[3]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.75 (d, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 7.66 (dd, J = 2.3, 1.5 Hz, 1H, ArH), 7.37 (t, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.19 (ddd, J = 8.2, 2.5, 0.8 Hz, 1H, ArH), 5.51 (dd, J = 10.4, 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.47 (d, J = 3.3 Hz, 1H, H-4), 5.12 (dd, J = 10.3, 3.6 Hz, 1H, H-3), 5.11 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 4.24 - 4.15 (m, 2H, H-6), 4.11 (t, J = 6.2 Hz, 1H, H-5), 3.91 (s, 3H, OCH3), 2.18 (s, 3H, CH3), 2.07 (s, 3H, CH3), 2.07 (s, 3H, CH3), 2.01 (s, 3H, CH3)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 170.62 (CH3
C=O), 170.37 (CH3
C=O), 170.24 (CH3
C=O), 169.53 (CH3
C=O), 166.50 (C=O), 156.99 (ArC), 131.85 (ArC), 129.74 (ArCH), 124.59 (ArCH), 122.00 (ArCH), 117.50 (ArCH), 99.49 (C-1), 71.37 (C-5), 70.91 (C-3), 68.67 (C-2), 67.03 (C-4), 61.62 (C-6), 52.44 (OCH3), 20.89 (CH3), 20.81 (CH3), 20.73 (CH3), 20.73 (CH3)。
HPLC-MS:[C22H26O12 + Na]+ 計算値505.13、実測値505.12。
【0090】
p-メトキシカルボニルフェニル2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノシド(3p)
β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(1、4.18g、10.71mmol)およびメチル-4-ヒドロキシベンゾエート(4.8g、31.2mmol)を、乾燥ジクロロメタン(20mL)中に溶解させた。反応混合物を、0℃まで冷却し、BF3・OEt2(2.5mL、20.3mmol)を滴下した。混合物を、室温まで温め、一晩撹拌した。反応物を、氷冷飽和NaHCO3に注ぎ、ジクロロメタンで希釈した。有機相を、飽和NaHCO3および食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。3pを、エタノールからの結晶化により精製した(2.45g、5.08mmol、47%)。[4]
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.06 - 7.95 (m, 2H, ArH), 7.08 - 6.96 (m, 2H, ArH), 5.51 (dd, J = 10.4, 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.47 (d, J = 3.4 Hz, 1H, H-4), 5.17 - 5.07 (m, 2H, H-1, H-3), 4.25 - 4.14 (m, 2H, H-6), 4.10 (t, J = 6.5 Hz, 1H, H-5), 3.90 (s, 3H, CH3), 2.19 (s, 3H, CH3), 2.07 (d, J = 2.9 Hz, 6H, CH3), 2.02 (s, 3H, CH3), 1.59 (s, 3H, CH3)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 170.50 (CH3
C=O), 170.34 (CH3
C=O), 170.24 (CH3
C=O), 169.49 (CH3
C=O), 166.60 (C=O), 160.36 (ArC), 131.72 (2C, ArCH), 125.19 (ArC), 116.29 (2C, ArCH), 98.92 (C-1), 71.40 (C-5), 70.87 (C-3), 68.60 (C-2), 66.94 (C-4), 61.54 (C-6), 52.21 (OCH3), 20.86 (CH3), 20.81 (CH3), 20.79 (CH3), 20.72 (CH3)。
HPLC-MS:[C22H26O12 + Na]+ 計算値505.13、実測値505.12。
【0091】
m-メトキシカルボニルフェニルβ-D-ガラクトピラノシド(4m)
化合物3m(2.32g、4.81mmol)を、乾燥メタノール(40mL)中に懸濁させ、1Mメトキシドナトリウム(0.5mL、0.50mmol)を加えた。反応混合物を、室温にて一晩撹拌した。Amberlite IR 120/H+を用いて、反応混合物をpH7に中和し、その後ろ過した。溶媒を除去して、4mを白色の粉末として得た(1.49g、4.75mmol、定量的)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.61 - 7.57 (m, 2H, ArH), 7.45 (t, J = 7.9 Hz, 1H, ArH), 7.32 (ddd, J = 8.3, 2.5, 0.9 Hz, 1H, ArH), 5.21 (d, J = 5.1 Hz, 1H, OH-2), 4.89 (d, J = 5.7 Hz, 1H, OH-3), 4.86 (d, J = 7.7 Hz, 1H, H-1), 4.66 (t, J = 5.5 Hz, 1H, OH-6), 4.53 (d, J = 4.6 Hz, 1H, OH-4), 3.85 (s, 3H, OCH3), 3.72 - 3.68 (m, 1H, H-4), 3.62 - 3.52 (m, 3H, H-2, H-5, H-6a), 3.51 - 3.46 (m, 1H, H-6b), 3.45 - 3.40 (m, 1H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 165.96 (C=O), 157.65 (ArC), 130.91 (ArC), 129.95 (ArCH), 122.58 (ArCH), 121.32 (ArCH), 116.96 (ArCH), 101.36 (C-1), 75.59 (C-5), 73.13 (C-3), 70.29 (C-2), 68.07 (C-4), 60.29 (C-6), 52.28 (OCH3)。
HPLC-MS:C14H17O8
- [M - H]- 計算値313.09、実測値313.16。
【0092】
p-メトキシカルボニルフェニルβ-D-ガラクトピラノシド(4p)
化合物3p(2.39g、4.95mmol)を、乾燥メタノール(40mL)中に懸濁させ、1Mメトキシドナトリウム(0.5mL、0.5mmol)を加えた。反応混合物を、室温にて一晩撹拌した。Amberlite IR 120/H+を用いて、反応混合物をpH7に中和し、その後ろ過した。溶媒を除去して、4pを白色の粉末として得た(1.55g、4.93mmol、定量的)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.90 (d, J = 8.5 Hz, 2H, ArH), 7.12 (d, J = 8.5 Hz, 2H, ArH), 5.22 (d, J = 5.1 Hz, 1H, OH-2), 4.95 (d, J = 7.6 Hz, 1H, H-1), 4.90 (d, J = 5.6 Hz, 1H, OH-3), 4.66 (t, J = 5.5 Hz, 1H, OH-6), 4.54 (d, J = 4.6 Hz, 1H, OH-4), 3.82 (s, 3H, OCH3), 3.71 (t, J = 4.0 Hz, 1H, H-4), 3.65 - 3.45 (m, 4H, H-2, H-5, H-6), 3.42 (dt, J = 9.1, 4.2 Hz, 1H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 165.85 (C=O), 161.25 (ArC), 131.08 (2C, ArCH), 122.86 (ArC), 116.03 (2C, ArCH), 100.41 (C-1), 75.62 (C-5), 73.21 (C-3), 70.17 (C-2), 68.07 (C-4), 60.28 (C-6), 51.91 (OCH3)。
HPLC-MS:C14H17O8
- [M - H]- 計算値313.09、実測値313.10。
【0093】
m-ヒドラジンカルボニルフェニルβ-D-ガラクトピラノシド(5m)
化合物4m(1.46g、4.66mmol)のメタノール(40mL)中の懸濁液に、NH2NH2・H2O(1.60mL、32.98mmol)を加えた。反応物を、還流下70℃にて72時間撹拌した。溶媒を除去して、粗生成物5mを灰色の固体として得た(1.63g、純度約70%、収率約80%)。
HPLC-MS:[C13H18N2O7 + H]+ 計算値315.12、実測値315.12。
【0094】
p-ヒドラジンカルボニルフェニルβ-D-ガラクトピラノシド(5p)
化合物4p(1.70g、5.41mmol)のメタノール(60mL)中の懸濁液に、NH2NH2・H2O(2.52mL、51.95mmol)を加えた。反応物を、還流下72時間撹拌した。溶媒を除去し、生成物を、冷メタノールで洗浄した。純粋な化合物5pを、白色の固体として得た(1.60g、5.09mmol、94%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.63 (s, 1H, NH), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 7.05 (d, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 5.19 (d, J = 5.2 Hz, 1H, OH-2), 4.93 - 4.86 (m, 2H, H-1, OH-3), 4.66 (t, J = 5.5 Hz, 1H, OH-6), 4.52 (d, J = 4.6 Hz, 1H, OH-4), 4.42 (s, 2H, OH-5), 3.70 (t, J = 4.0 Hz, 1H, H-4), 3.63 - 3.44 (m, 4H, H-2, H-5, H-6), 3.44 - 3.38 (m, 1H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 166.01 (C=O), 160.06 (ArC), 129.02 (ArCH), 127.01 (ArC), 116.09 (ArCH), 101.00 (C-1), 76.03 (C-5), 73.72 (C-3), 70.66 (C-2), 68.59 (C-4), 60.83 (C-6)。
HPLC-MS:[C13H18N2O7 + H]+ 計算値315.12、実測値315.00。
【0095】
(ビス-ベンズアルデヒドB~Eの合成の基本手順)
対応するジハロゲン化炭化水素(1当量)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(4当量)および炭酸カリウム(3当量)を、乾燥ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させた。反応バイアルを密閉し、マイクロ波で最大出力300W、予め選択した70℃にて3~10時間照射した。冷却後、反応物を、ジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO3および食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。純粋な生成物をさらに精製することなく得た。[5]
【0096】
ビス(4-ホルミルフェノキシ)メタン(B)
化合物B(99.6mg、0.39mmol、83%)を、ビス-ベンズアルデヒドの基本手順に従い、ジクロロメタン(30μL、0.47mmol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(228mg、1.86mmol)および炭酸カリウム(138mg、1.42mmol)から合成した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.92 (s, 2H, CHO), 7.89 - 7.85 (m, 4H, ArH), 7.25 - 7.22 (m, 4H, ArH), 5.88 (s, 2H, CH2)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 190.87 (2C, CHO), 161.40 (2C, ArC), 132.09 (4C, ArCH), 131.66 (2C, ArC), 116.49 (4C, ArCH), 89.96 (CH2)。
HPLC-MS:[C15H12O4 + H]+ 計算値257.08、実測値257.09。
【0097】
1,2-ビス(4-ホルミルフェノキシ)エタン(C)
化合物C(34.1mg、0.13mmol、40%)を、ビス-ベンズアルデヒドの基本手順に従い、1,2-ジクロロエタン(25μL、0.32mmol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(165.2mg、1.35mmol)および炭酸カリウム(133.4mg、0.97mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.90 (s, 2H, CHO), 7.89 - 7.84 (m, 4H, ArH), 7.08 - 7.03 (m, 4H, ArH), 4.45 (s, 4H, CH2)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 190.90 (2C, CHO), 163.53 (2C, ArC), 132.17 (4C, ArCH), 130.54 (2C, ArC), 115.01 (4C, ArCH), 66.63 (2C, CH2)。
HPLC-MS:[C16H14O4 + H]+ 計算値271.10、実測値271.11。
【0098】
1,3-ビス(4-ホルミルフェノキシ)プロパン(D)
化合物D(102.0mg、0.36mmol、85%)を、ビス-ベンズアルデヒドの基本手順に従い、1,3-ジクロロプロパン(40μL、0.42mmol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(227.1mg、1.86mmol)および炭酸カリウム(192.6mg、1.39mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.88 (s, 2H, CHO), 7.85 - 7.81 (m, 4H, ArH), 7.04 - 6.99 (m, 4H, ArH), 4.26 (t, J = 6.0 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 2.34 (m, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 190.89 (2C, CHO), 163.87 (2C, ArC), 132.14 (4C, ArCH), 130.22 (2C, ArC), 114.87 (4C, ArCH), 64.65 (2C, CH2CH2
CH2), 29.10 (CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C17H16O4 + H]+ 計算値285.11、実測値285.15。
【0099】
1,4-ビス(4-ホルミルフェノキシ)ブタン(E)
化合物E(111.0mg、0.37mmol、89%)を、ビス-ベンズアルデヒドの基本手順に従い、1,4-ジブロモブタン(50μL、0.42mmol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(211.5mg、1.73mmol)および炭酸カリウム(138.2mg、1.29mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.88 (s, 2H, CHO), 7.87 - 7.80 (m, 4H, ArH), 7.03 - 6.96 (m, 4H, ArH), 4.17 - 4.10 (m, 4H, CH
2CH2CH2CH
2), 2.06 - 2.00 (m, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 190.92 (2C, CHO), 164.08 (2C, ArC), 132.15 (4C, ArCH), 130.08 (2C, ArC), 114.84 (4C, ArCH), 67.88 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 25.93 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C18H18O4 + H]+ 計算値299.13、実測値299.17。
【0100】
(ビス-アシルヒドラゾンの合成の基本手順)
対応するビスベンズアルデヒドA~E(1当量)およびヒドラジド5(3当量)を、1~10mLのジメチルスルホキシド(ほかに断らない限り)中に溶解させ、100μLのギ酸を加えた。4時間後、反応を、NH4OHでpH8にクエンチし、真空乾燥した。生成物を、C18カラムクロマトグラフィー(水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリル)により精製した。
【0101】
二価のリガンドA6m
化合物A6m(11.5mg、0.01mmol、23%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドA(13.9mg、0.06mmol)およびヒドラジド5m(62.3mg)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.81 (s, 2H, NH), 8.45 (s, 2H, N=CH), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 4H, ArH), 7.54 (m, 4H, ArH), 7.45 (t, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 7.26 (d, J = 7.5 Hz, 2H, ArH), 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 4H, ArH), 5.22 (d, J = 5.0 Hz, 2H, OH-2), 4.92 - 4.91 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.69 (t, J = 5.3 Hz, 2H, OH-6), 4.55 (d, J = 4.4 Hz, 2H, OH-4), 3.72 (t, J = 3.9 Hz, 2H, H-4), 3.62 - 3.54 (m, 6H, H-2, H-5, H-6a), 3.52 - 3.48 (m, 2H, H-6b), 3.44 - 3.43 (m, 2H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.75 (2C, C=O), 157.69 (2C, ArC), 157.52 (2C, ArC), 147.17 (2C, C=N), 134.79 (2C, ArC), 130.05 (2C, ArC), 129.64 (2C, ArCH), 129.13 (4C, ArCH), 120.96 (2C, ArCH), 119.46 (2C, ArCH), 119.17 (4C, ArCH), 115.73 (2C, ArCH), 101.15 (2C, C-1), 75.61 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.32 (2C, C-2), 68.10 (2C, C-4), 60.34 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C40H42N4O15 + H]+ 計算値819.27、実測値819.34。
【0102】
二価のリガンドA6p
化合物A6p(38.5mg、0.05mmol)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 11.74 (s, 2H, NH), 8.45 (s, 2H, N=CH), 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 7.78 (d, J = 7.9 Hz, 4H, ArH), 7.15 (d, J = 7.6 Hz, 8H, ArH), 5.23 (s, 2H, OH-2), 4.95 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.91 (s, 2H, OH-3), 4.69 (s, 2H, OH-6), 4.55 (s, 2H, OH-4), 3.71 (s, 2H, H-4), 3.66 - 3.41 (m, 10H, H-2, H-3, H-5, H-6)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.52 (2C, C=O), 160.10 (2C, ArC), 157.62 (2C, ArC), 146.61 (2C, C=N), 130.16 (2C, ArC), 129.38 (4C, ArCH), 129.05 (4C, ArCH), 126.53 (2C, ArC), 119.15 (2C, ArCH), 115.82 (2C, ArCH), 100.47 (2C, C-1), 75.63 (2C, C-5), 73.30 (2C, C-3), 70.24 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 60.38 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C40H42N4O15 + H]+ 計算値819.27、実測値819.34。
HRMS:[C40H42N4O15 + H]+ 計算値819.2719、実測値819.2724
【0103】
二価のリガンドB6m
化合物B6m(1.2mg、1.4μmol、1%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドB(25.6mg、0.10mmol)およびヒドラジド5m(106.4mg)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.74 (s, 2H, NH), 8.40 (s, 2H, N=CH), 7.71 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 7.52 - 7.53 (m, 4H, ArH), 7.44 (t, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 7.25 (dd, J = 8.3, 1.4, 2H, ArH), 7.21 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 5.98 (s, 2H, CH2), 5.22 (d, J = 4.9 Hz, 2H, OH-2), 4.90 - 4.92 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.68 (t, J = 5.1 Hz, 2H, OH-6), 4.55 (d, J = 4.3 Hz, 2H, OH-4), 3.71 (t, J = 3.8 Hz, 2H, H-4), 3.61 - 3.53 (m, 6H, H-2, H-5, H-6a), 3.51 - 3.47 (m, 2H, H-6b), 3.44 - 3.42 (m, 2H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.71 (2C, C=O), 157.70 (2C, ArC), 157.50 (2C, ArC), 147.46 (2C, N=C), 134.86 (2C, ArC), 129.62 (2C, ArCH), 128.78 (4C, ArCH), 128.59 (2C, ArC), 120.93 (2C, ArCH), 119.40 (2C, ArCH), 116.43 (4C, ArCH), 115.69 (2C, ArCH), 101.13 (2C, C-1), 89.66 (CH2), 75.60 (2C, C-5), 73.31 (2C, C-3), 70.31 (2C, C-2), 68.09 (2C, C-4), 60.33 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C41H44N4O16 + H]+ 計算値849.29、実測値849.35。
【0104】
二価のリガンドB6p
化合物B6p(26.8mg、0.03mmol、49%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドB(16.6mg、0.06mmol)およびヒドラジド5p(51.3mg、0.16mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.68 (s, 2H, NH), 8.39 (s, 2H, N=CH), 7.88 (d, J = 8.5 Hz, 4H, ArH), 7.71 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 7.20 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 7.13 (d, J = 8.7 Hz, 4H, ArH), 5.97 (s, 2H, CH2), 5.24 (s, 2H, OH-2), 4.98 - 4.87 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.70 (s, 2H, OH-6), 4.56 (s, 2H, OH-4), 3.71 (d, J = 3.4 Hz, 2H, H-4), 3.65 - 3.43 (m, 10H, H-2, H-3, H-5, H-6)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.54 (2C, C=O), 160.09 (2C, ArC), 157.64 (2C, ArC), 146.95 (2C, N=CH), 129.38 (4C, ArCH), 128.74 (4C, ArCH), 126.62 (2C, ArC), 116.46 (4C, ArCH), 115.83 (4C, ArCH), 100.50 (2C, C-1), 89.73 (CH2), 75.65 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.27 (2C, C-2), 68.18 (2C, C-4), 60.41 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C41H44N4O16 + H]+ 計算値849.29、実測値849.38。
HRMS:[C41H44N4O16 + H]+ 計算値849.2825、実測値849.2835。
【0105】
二価のリガンドC6m
化合物C6m(4.6mg、5.3μmol、6%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ジメチルスルホキシド/アセトニトリル(11mL:1mL)中のビスベンズアルデヒドC(22.3mg、0.08mmol)およびヒドラジド5m(100.4mg)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.71 (s, 2H, NH), 8.40 (s, 2H, N=CH), 7.69 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 7.54 - 7.53 (m, 4H, ArH), 7.44 (t, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 7.25 (d, J = 7.1 Hz, 2H, ArH), 7.10 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 5.22 (d, J = 4.3 Hz, 2H, OH-2), 4.90 - 4.92 (m, 4H, OH-3, H-1), 4.69 (s, 2H, OH-6), 4.55 (d, J = 3.8 Hz, 2H, OH-4), 4.41 (s, 2H, CH2), 3.72 (s, 2H, H-4), 3.62 - 3.54 (m, 6H, H-2, H-5, H-6a), 3.52 - 3.48 (m, 2H, H-6b), 3.43 (d, J = 9.2 Hz, 2H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.65 (2C, C=O), 159.93 (2C, ArC), 157.51 (2C, ArC), 147.73 (2C, N=C), 134.92 (2C, ArC), 129.62 (2C, ArCH), 128.79 (4C, ArCH), 127.17 (2C, ArC), 120.93 (2C, ArCH), 119.37 (2C, ArCH), 115.68 (2C, ArCH), 114.95 (4C, ArCH), 101.13 (2C, C-1), 75.61 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.32 (2C, C-2), 68.10 (2C, C-4), 66.48 (2C, CH2), 60.34 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C42H46N4O16 + H]+ 計算値863.30、実測値863.37。
【0106】
二価のリガンドC6p
化合物C6p(18.1mg、0.021mmol、33%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ジメチルスルホキシド/ジメチルホルムアミド(1mL:1mL)中のビスベンズアルデヒドC(18.9mg、0.06mmol)およびヒドラジド5p(50.2mg、0.16mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.65 (s, 2H, NH), 8.39 (s, 2H, N=CH), 7.92 - 7.82 (m, 4H, ArH), 7.68 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 7.13 (d, J = 8.4 Hz, 4H, ArH), 7.09 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 5.24 (s, 2H, OH-2), 4.95 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.70 (s, 2H, OH-6), 4.57 (s, 2H, OH-4), 4.40 (s, 4H, CH2), 3.72 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.66 - 3.41 (m, 10H, H-2, H-3, H-5, H-6)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.45 (2C, C=O), 160.05 (2C, ArC), 159.85 (2C, ArC), 147.19 (2C, N=CH), 129.34 (4C, ArCH), 128.72 (4C, ArCH), 127.31 (2C, ArC), 126.66 (2C, ArC), 115.81 (4C, ArCH), 114.96 (4C, ArCH), 100.49 (2C, C-1), 75.64 (2C, C-5), 73.31 (2C, C3-), 70.26 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 66.50 (2C, CH2), 60.38 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C42H46N4O16 + H]+ 計算値863.30、実測値863.40。
HRMS:[C42H46N4O16 + H]+ 計算値863.2982、実測値863.2991。
【0107】
二価のリガンドD6m
化合物D6m(0.4mg、0.5μmol、1%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドD(28.7mg、0.08mmol)およびヒドラジド5m(101.8mg)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.69 (s, 2H, NH), 8.38 (s, 2H, N=CH), 7.67 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 7.53 - 7.52 (m, 4H, ArH), 7.44 (t, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 7.25 (dd, J = 8.2, 1.2 Hz, 2H, ArH), 7.06 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 5.22 (d, J = 4.8 Hz, 2H, OH-2), 4.91 - 4.90 (m, 4H, OH-3, H-1), 4.69 (t, J = 5.0 Hz, 2H, OH-6), 4.55 (d, J = 3.4 Hz, 2H, OH-4), 4.21 (t, J = 6.0 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 3.71 (s, 2H, H-4), 3.61 - 3.54 (m, 6H, H-2, H-5, H-6a), 3.51 - 3.47 (m, 2H, H-6b), 3.44 - 3.41 (m, 2H, H-3), 2.22 (t, J = 5.9, 2H, CH2CH
2CH2)。
HPLC-MS:[C43H48N4O16 + H]+ 計算値877.32、実測値877.38。
【0108】
二価のリガンドD6p
化合物D6p(17.3mg、0.20mmol、31%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドD(18.3mg、0.06mmol)およびヒドラジド5p(55.7mg、0.18mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.63 (s, 2H, NH), 8.38 (s, 2H, N=CH), 7.87 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 7.66 (d, J = 8.4 Hz, 4H, ArH), 7.12 (d, J = 8.7 Hz, 4H, ArH), 7.05 (d, J = 8.5 Hz, 4H, ArH), 5.23 (s, 2H, OH-2), 4.97 - 4.88 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.69 (s, 2H, OH-6), 4.55 (s, 2H, OH-4), 4.21 (t, J = 5.8 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 3.71 (s, 2H, H-4), 3.65 - 3.41 (m, 10H, H-2, H-3, H-5, H-6 ), 2.26 - 2.18 (m, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.41 (2C, C=O), 160.03 (4C, ArC), 147.20 (2C, N=CH), 129.32 (4C, ArCH), 128.69 (4C, ArCH), 127.10 (2C, ArC), 126.67 (2C, ArC), 115.79 (4C, ArCH), 114.89 (4C, ArCH), 100.48 (2C, C-1), 75.63 (2C, C-5), 73.30 (2C, C-3), 70.24 (2C, C-2), 68.14 (2C, C-4), 64.43 (2C, CH2CH2
CH2), 60.37 (2C, C-6), 28.57 (CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C43H48N4O16 + H]+ 計算値877.32、実測値877.40。
HRMS:[C43H48N4O16 + H]+ 計算値877.3138、実測値877.3145。
【0109】
二価のリガンドE6m
化合物E6m(5.0mg、5.6μmol、7%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドE(25.6mg、0.09mmol)およびヒドラジド5m(84.2mg)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.69 (s, 2H, NH), 8.38 (s, 2H, N=CH), 7.66 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 7.54 - 7.52 (m, 4H, ArH), 7.44 (t, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 7.24 (d, J = 7.2 Hz, 2H, ArH), 7.04 (d, J = 8.6 Hz, 4H, ArH), 5.23 (s, 2H, OH-2), 4.91 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.70 (s, 2H, OH-6), 4.56 (s, 2H, OH-4), 4.11 (s, 4H, CH
2CH2CH2CH
2), 3.71 (d, J = 2.6 Hz, 2H, H-4), 3.61 - 3.54 (m, 6H, H-2, H-5, H-6a), 3.49 (m, 2H, H-6b), 3.43 (dd, J = 9.5, 2.9 Hz, 2H, H-3), 1.91 (s, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.69 (2C, C=O), 160.25 (2C, ArC), 157.49 (2C, ArC), 147.77 (2C, N=C), 135.06 (2C, ArC), 129.57 (2C, ArCH), 128.74 (4C, ArCH), 126.88 (2C, ArC), 120.93 (2C, ArCH), 119.30 (2C, ArCH), 115.68 (2C, ArCH), 114.86 (4C, ArCH), 101.14 (2C, C-1), 75.60 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.32 (2C, C-2), 68.09 (2C, C-4), 67.33 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 60.33 (2C, C-6), 25.36 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C44H50N4O16 + H]+ 計算値891.33、実測値891.39。
【0110】
二価のリガンドE6p
化合物E6p(11.0mg、0.01mmol、19%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドE(18.9mg、0.06mmol)およびヒドラジド5p(50.2mg、0.16mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.63 (s, 2H, NH), 8.37 (s, 2H, N=CH), 7.87 (d, J = 8.5 Hz, 4H, ArH), 7.66 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 7.12 (d, J = 8.7 Hz, 4H, ArH), 7.03 (d, J = 8.5 Hz, 4H, ArH), 5.24 (s, 2H, OH-2), 4.93 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.71 (s, 2H, OH-6), 4.56 (s, 2H, OH-4), 4.10 (s, 4H CH
2CH2CH2CH
2), 3.71 (s, 2H, H-4), 3.66 - 3.48 (m, 10H, H-2, H-3, H-5, H-6), 1.90 (s, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.50 (2C, C=O), 160.24 (2C, ArC), 160.07 (2C, ArC), 147.34 (2C, N=CH), 129.36 (4C, ArCH), 128.74 (4C, ArCH), 126.97 (2C, ArC), 126.69 (2C, ArC), 115.85 (4C, ArCH), 114.91 (4C, ArCH), 100.51 (2C, C-1), 75.66 (2C, C-5), 73.33 (2C, C-3), 70.28 (2C, C-2), 68.19 (2C, C-4), 67.40 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 60.43 (2C, C-6), 25.41 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C44H50N4O16 + H]+ 計算値891.33、実測値891.45。
HRMS:[C44H50N4O16 + H]+ 計算値891.3295、実測値891.3306。
【0111】
二価のリガンドF6m
化合物F6m(26.5mg、0.06mmol、42%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドF(20μL、0.15mmol)およびヒドラジド5m(88.5mg)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.69 (s, 1H, NH), 8.39 (s, 1H, N=CH), 7.67 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ArH), 7.53 - 7.52 (m, 2H, ArH), 7.44 (t, J = 8.1 Hz, 1H, ArH), 7.25 (dd, J = 8.2, 1.1 Hz, 1H, ArH), 7.03 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ArH), 5.22 (d, J = 5.1 Hz, 1H, OH-2), 4.92 - 4.90 (m, 2H, OH-3, H-1), 4.68 (t, J = 5.3 Hz, 1H, OH-6), 4.54 (d, J = 4.4 Hz, 1H, OH-4), 3.81 (s, 3H, CH3), 3.72 (t, 1H, H-4), 3.62 - 3.54 (m, 3H, H-2, H-5, H-6a), 3.52 - 3.49 (m, 1H, H-6b), 3.45 - 3.41 (m, 1H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.63 (C=O), 160.89 (ArC), 157.50 (ArC), 147.79 (C=N), 134.93 (ArC), 129.61 (ArCH), 128.74 (2C, ArCH), 126.89 (ArC), 120.91 (ArCH), 119.35 (ArCH), 115.68 (ArCH), 114.39 (2C, ArCH), 101.13 (C-1), 75.60 (C-5), 73.32 (C-3), 70.32 (C-2), 68.11 (C-4), 60.35 (C-6), 55.34 (CH3)。
HPLC-MS:[C21H24N2O8 + H]+ 計算値433.16、実測値433.10。
【0112】
二価のリガンドF6p
化合物F6p(64mg、0.15mmol、82%)を、ビス-アシルヒドラゾンの基本手順に従い、ビスベンズアルデヒドF(30μL、0.24mmol)およびヒドラジド5p(50.9mg、0.16mmol)を用いて合成した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.63 (s, 1H, NH), 8.38 (s, 1H, N=CH), 7.88 (d, J = 8.6 Hz, 2H, ArH), 7.67 (d, J = 8.5 Hz, 2H, ArH), 7.13 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ArH), 7.02 (d, J = 8.6 Hz, 2H, ArH), 5.23 (d, J = 5.2 Hz, 1H, OH-2), 4.95 (d, J = 7.7 Hz, 1H, H-1), 4.91 (d, J = 5.5 Hz, 1H, OH-3), 4.68 (t, J = 5.5 Hz, 1H, OH-6), 4.55 (d, J = 4.6 Hz, 1H, OH-4), 3.81 (s, 3H, CH3), 3.71 (t, J = 3.8 Hz, 1H, H-4), 3.65 - 3.46 (m, 4H, H-5, H-6), 3.46 - 3.40 (m, 1H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 162.37 (C=O), 160.78 (ArC), 160.01 (ArC), 147.20 (N=C), 129.30 (2C, ArCH), 128.65 (2C, ArCH), 127.01 (ArC), 126.66 (ArC), 115.77 (2C, ArCH), 114.37 (2C, ArCH), 100.45 (C-1), 75.62 (C-5), 73.29 (C-3), 70.22 (C-2), 68.14 (C-4), 60.36 (C-6), 55.33 (CH3)。
HPLC-MS:[C21H24N2O8 + H]+ 計算値433.16、実測値433.20。
HRMS:[C21H24N2O8 + H]+ 計算値433.1605、実測値433.1608。
【0113】
4-(ジクロロメチル)-N-(プロパ-2-イン-1-イル)ベンズアミド(10)
4-ホルミル安息香酸(9、283.0mg、1.89mmol)を、塩化チオニル(6mL、82.21mmol)中に溶解させた。反応物を、80℃にて20時間撹拌した。溶媒を除去した。粗製4-(ジクロロメチル)ベンゾイルクロリド(98.0mg)を、ジクロロメタン中に溶解させた。反応物を、0℃まで冷却し、トリエチルアミン(183μL、1.32mmol)およびプロパルギルアミン(56μL、0.88mmol)を滴下した。混合物を、室温まで温め、3時間撹拌した。反応物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を、飽和NaHCO3および食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。生成物を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、5~60%酢酸エチル)により精製した。10を、白色の固体として得た(17.2mg、0.07mmol、2工程で16%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.82 (d, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 7.65 (d, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 6.73 (s, 1H, CHCl2), 6.33 (s, 1H, NH), 4.27 (dd, J = 5.0, 2.3, 2H, CH2), 2.30 (s, 1H, C≡CH)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.21 (C=O), 143.69 (ArC), 135.22 (ArC), 127.74 (2C, ArCH), 126.69 (2C, ArCH), 79.30 (C≡CH), 72.31 (C≡CH), 70.89 (CHCl2), 30.04 (CH2)。
HPLC-MS:[C11H9Cl2NO + H]+ 計算値242.02、実測値241.89。
【0114】
4-(ビス(4-ホルミルフェノキシ)メチル)-N-(プロパ-2-イン-1-イル)ベンズアミド(11)
化合物10(17.2mg、0.07mmol)、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(51.2mg、0.43mmol)および炭酸カリウム(37.5mg、0.27mmol)を、乾燥ジメチルホルムアミド中に溶解させ、48時間還流下撹拌した(下記スキーム2参照)。反応物を、酢酸エチルで希釈し、水、飽和NaHCO3および食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。生成物を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、10~70%酢酸エチル)により精製した。11を、白色の固体として得た(17.6mg、0.04mmol、60%)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.89 (s, 2H, CHO), 7.86 (d, J = 7.8 Hz, 2H, ArH), 7.81 (d, J = 8.4 Hz, 4H, ArH), 7.70 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 7.13 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 6.93 (s, 1H, CH), 6.41 (s, 1H, NH), 4.25 (dd, J = 4.6, 2.1 Hz, 2H, CH2), 2.28 (s, 1H, C≡CH)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 190.88 (O=CH), 166.51 (C=O), 160.20 (ArC), 139.22 (ArC), 135.24 (ArC), 132.05 (4C, ArCH), 131.74 (ArC), 127.85 (2C, ArCH), 127.16 (2C, ArCH), 117.58 (4C, ArCH), 98.92 (CH), 79.26 (C≡CH), 72.29 (C≡CH), 30.04 (CH2)。
HPLC-MS:[C25H19NO5 + H]+ 計算値414.14、実測値414.10。
【0115】
(LecAの発現および精製)
LecAおよび蛍光偏光による競合結合の発現および精製をJoachimらによる記載(Org. Biomol. Chem. 2016)のとおり実施した。マイクロカロリメトリーをセル内で可能な限り最高のLecA濃度(典型的には200~400μM)にてITC200(GE Healthcare)を用いて実施し、25℃にて同じ緩衝液中でリガンドを滴定した。
【0116】
(表面プラズモン共鳴)
すべての実験をBIACORE X100装置(GE Healthcare)で25℃および10μL/分の流速にて実施した。LecAの固定化のために、システムを、PBS緩衝液(10mMリン酸緩衝液、pH7.4、2.7mM KCl、137mM NaCl、100μM CaCl2、0.05%ツイーン20)を用いて予め平衡化し、続いて、CM5チップ表面を、結合応答が800RUを超えるまで、チャンネル1および2上に(接触時間540秒)、1:1のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)/1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)混合物を3回注入することにより活性化した。LecAを10mM酢酸pH4.5(100μg/mL)中に溶解させ、約4000RUの応答に達するまで、チャンネル2上に(接触時間540秒)活性化表面チップに注入した。過剰な遊離アミン基を、1Mエタノールアミンの注入(接触時間540秒)でキャップした。二価化合物を100%DMSO中に溶解させ、続いてランニング緩衝液(10mMリン酸緩衝液、pH7.4、2.7mM KCl、137mM NaCl、100μM CaCl2、0.05%ツイーン20、5%DMSO)中で必要な濃度に希釈した。二価の分析物を、固定化LecAにおいて0、10、50、100および200nMの分析物を注入することからなる単回サイクル速度分析(接触時間120秒および解離時間120秒)に供した。チップ表面を、100μMの4-ニトロフェニル-β-D-ガラクトースの5回の注入(接触時間120秒)により再生した。KDの決定を、BIACORE X100評価ソフトウェア(バージョン2.0)を用いて、1:1の結合モデル対実験データを適用することにより実施した。
【0117】
[1] H. E. Gottlieb, V. Kotlyar, A. Nudelman, J. Org. Chem. 1997, 62, 7512-7515.
[2] M. Seligman, J. Biol. Chem. 1952, 195, 239-249.
[3] S. T. Xue, W. Y. He, L. L. Ma, H. Q. Wang, B. Wang, G. H. Zheng, X. Y. Ji, T. Zhang, Y. H. Li, J. D. Jiang, et al., Molecules 2013, 18, 3789-3805.
[4] Y. Li, H. Mo, G. Lian, B. Yu, Carbohydr. Res. 2012, 363, 14-22.
[5] F. Yang, F. Xie, Y. Zhang, Y. Xia, W. Liu, F. Jiang, C. Lam, Y. Qiao, D. Xie, J. Li, et al., Bioorganic Med. Chem. Lett. 2017, 27, 2166-2170.
【0118】
(合成スキームおよび生物物理アッセイの結果)
4-ニトロフェニルβ-D-ガラクトピラノシドとLecA(PDB:3ZYF)の結晶構造は、2つの隣接する結合部位におけるフェニル間の2つのC4原子間の距離が約24Åであることを示す。したがって、この位置におけるヒドラジド基の導入により、2つのガラクシドがビス-アルデヒドリンカーを用いて2つの結合部位と架橋することができる。
【0119】
リンカーを、約24Åのこの距離を架橋するように設計した。m/p-ベンゾヒドラジド-β-D-ガラクトピラノシド(5)および5つのビスベンズアルデヒド(A~E、
図1)を二価のアシルヒドラゾンLecAリガンド(A~E6)の合成の構成要素として選択した。MOEを用いて、二価のリガンドをモデル化し、既存の極めて強力な二価のPietersリガンド(PDB:4YWA)の結晶構造と比較した(
図1参照)。
【0120】
二価のリガンドの5工程合成(下記スキーム1参照)は、D-ガラクトースの酢酸保護(1→2)、メチルm/p-ヒドロキシベンゾエートのグリコシル化(2→3)、その後Zemplen脱保護(3→4)およびヒドラジド5の形成で開始した。5をベンズアルデヒドスペーサーA~Fと上手く結合し、アシルヒドラゾンA~F6を形成させた。
【化5】
スキーム1:ビス-アルデヒドB~Eおよび二価のLecAリガンドの合成。試薬および条件:(i) NaOAc、Ac
2O;100℃、1時間;(ii) メチルm/p-ヒドロキシベンゾエート、BF
3・Et
2O、CH
2Cl
2、0℃~室温、一晩;(iii) NaOMe、MeOH、室温、一晩;(iv) NH
2NH
2、MeOH、70℃、一晩;(v) A~F、ギ酸、DMSO、室温、4時間、6mについて、CのときDMSO/MeCN中、EのときH
2O/MeCN中;(vi) 4-ヒドロキシベンズアルデヒド、K
2CO
3、DMF、70℃、マイクロ波、3~10時間;o.n.=一晩。
【0121】
その後、すべての合成した分子、一価のコントロールならびにメタおよびパラシリーズのビス-ガラクトシドを、一連の生物物理アッセイを用いて評価した(表1)。
【表1】
【0122】
リガンドのLecAへの結合を、蛍光偏光に基づく競合アッセイで評価した。アッセイの下限に二価のリガンドA~E6で到達し、これは急な滴定勾配で示されている(
図3)。これは、7.4μMのLecAに対する蛍光トレーサー8(
図2参照)の固有の親和性に起因する(Joachim et al., Org Biomol Chem 14 7933-48 (2016))。この競合結合実験では、トレーサーのKdの近くまたは上になければならない20μMのLecAが存在するため、トレーサー/タンパク質システムのはるか下にある競合する試験化合物の活性を測定できない。そのため、SPRを用いた直接結合に移行した。SPRでは、このような制限はなく、実際のKdsを決定でき、リンカーの長さの関数として二価の化合物に対して2桁のナノモルの親和性が明らかにされた。
【0123】
更なる改善として、二価のリガンドを12のように側鎖で修飾することができ、色素、プローブまたは溶解度向上剤にクリックすることができる(スキーム2)。他の架橋(CH
2基により伸長)および分岐官能基(アリールをアルキルまたは他の官能基に置き換える)が、それらの適合性を評価するために計画される。フルオレセインへのコンジュゲート(13、スキーム2)により、より高い感度を有する改善された競合結合アッセイでの使用が可能になり、さらに、化合物をバイオフィルムイメージングの有用性について評価できる。
【化6】
スキーム2:二価の蛍光LecAリガンドの合成。試薬および条件:
(i) SOCl
2、還流、1日;(ii) プロパルギルアミン、Et
3N、CH
2Cl
2、0℃~室温、3時間;(iii) 5p、ギ酸、DMSO、室温、6時間;(iv) FITC-PEG
3-アジド、CuSO
4、アスコルビン酸ナトリウム、DMF/H
2O/DMSO、室温、2日。
【0124】
分子の特性をさらに改善するために、アシルヒドラジド部分を等配電子的に置き換えて、溶解性、安定性および薬物らしさを改善することが可能である。これは、トリアゾール、アミド、逆アミド、シンアミドまたは逆シンアミドのセットを用いて行うことができる(
図6)。シンアミドイソスターの合成をスキーム2で考案する。
【化7】
スキーム3:シンアミド類似体の合成。
【0125】
参考文献
Joachim et al., Org Biomol Chem 14 7933-48 (2016)
Diggle et al., Environ Microbiol 8 1095-104 (2006)
Cecioni et al., Chem Rev, 2015, 115(1), 525-61)
F. Pertici & R.J. Pieters, Chem Commun (Camb) 48 4008-10 (2012)
G. Yu, R. J. Pieters et al., J Org Chem 84 2470-2488 (2019)
【0126】
【化8】
スキーム4:二価の蛍光LecAリガンドの完全合成。試薬および条件:(i) SOCl
2、還流、1日;(ii) プロパルギルアミン、Et
3N、CH
2Cl
2、0℃~室温、3時間;(iii) 4-ヒドロキシベンズアルデヒド、K
2CO
3、DMF、還流、2日;(iv) 5p、ギ酸、DMSO、室温、2.5時間;(v) 19
[1]、CuSO
4、アスコルビン酸ナトリウム、DMF/H
2O/DMSO、室温、7.5時間。
【0127】
二価のリガンド(12)
化合物11(15.1mg、36.5μmol)およびヒドラジド5p(51.6mg、164μmol)を、1.5mLのジメチルスルホキシド中に溶解させ、20μLのギ酸を加えた。2.5時間後、反応物を凍結乾燥した。化合物12を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物12(32.3mg、32.1μmol、83%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.70 (s, 2H, N-NH), 9.03 (t, J = 5.6 Hz, 1H, CONH), 8.38 (s, 2H, N=CH), 7.94 (d, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 4H, ArH), 7.80 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 7.68 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 7.37 (s, 1H, CH), 7.23 - 7.03 (m, 8H, ArH), 5.25 (s, 2H, OH-2), 5.03 - 4.85 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.70 (s, 2H, OH-6), 4.57 (s, 2H, OH-4), 4.06 (dd, J = 5.6, 2.6 Hz, 2H, CH2), 3.72 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.67 - 3.47 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.47 - 3.41 (m, 2H, H-3), 3.14 (t, J = 2.5 Hz, 1H, C≡CH)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 165.59 (1C, C=O), 162.48 (2C, C=O), 160.09 (2C, ArC), 156.85 (2C, ArC), 146.82 (2C, N=CH), 139.73 (1C, ArC), 134.93 (1C, ArC), 129.40 (4C, ArCH), 128.92 (2C, ArC), 128.71 (4C, ArCH), 127.75 (2C, ArCH), 127.01 (2C, ArCH), 126.56 (2C, ArC), 117.26 (4C, ArCH), 115.81 (4C, ArCH), 100.45 (2C, C-1), 98.09 (1C, CH), 81.27 (1C, C≡CH), 75.65 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 73.06 (1C, C≡CH), 70.25 (2C, C-2), 68.18 (2C, C-4), 60.40 (2C, C-6), 28.61 (1C, CH2)。
HPLC-MS:[C51H51N5O17 + H]+ 計算値1006。34、実測値1006.44。
【0128】
ビス-ベンズアルデヒド蛍光リンカー(20)
アジド修飾FITC(19[1]、16.9mg、27.8μmol)およびプロパルギル化ビス-ベンズアルデヒド11(10.3mg、24.9μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させた。硫酸銅(II)溶液(75μL、H2O中100mM、7.5μmol)およびアスコルビン酸ナトリウム溶液(75μL、H2O中100mM、7.5μmol)を加えた。反応物を室温にて2日間撹拌し、真空乾燥した。生成物20を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、30~60%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物20を黄色の固体として得た(16.7mg、16.4μmol、66%)。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.14 (s, 2H, OH-フルオレセイン), 10.05 (s, 1H, NH-チオウレア), 9.87 (s, 2H, CHO), 9.11 (t, J = 5.7 Hz, 1H, NH-チオウレア), 8.27 (s, 1H, ArH-フルオレセイン), 8.10 (s, 1H, CONH), 7.98 - 7.91 (m, 3H, ArH, CH-トリアゾール), 7.87 (d, J = 8.7 Hz, 4H, ArH), 7.79 (d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH), 7.73 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH-フルオレセイン), 7.57 (s, 1H, CH), 7.25 (d, J = 8.7 Hz, 4H, ArH), 7.17 (d, J = 8.3 Hz, 1H, ArH-フルオレセイン), 6.67 (d, J = 2.2 Hz, 2H, ArH-フルオレセイン), 6.62 - 6.53 (m, 4H, ArH-フルオレセイン), 4.53 - 4.44 (m, 4H, CH2), 3.78 (t, J = 5.2 Hz, 2H, CH2), 3.67 (s, 2H, CH2), 3.57 (t, J = 5.4 Hz, 2H, CH2), 3.54 - 3.44 (m, 8H, CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 191.50 (2C, O=CH), 180.53 (1C, C=S), 168.55 (1C, C=O, フルオレセイン), 165.60 (1C, C=O), 159.96 (2C, ArC), 159.51 (2C, ArC-フルオレセイン), 151.90 (2C, ArC-フルオレセイン), 147.16 (2C, ArC-フルオレセイン), 144.86 (1C, C=CH-トリアゾール), 141.33 (1C, ArC-フルオレセイン), 138.66 (1C, ArC), 135.48 (1C, ArC), 131.81 (4C, ArCH), 131.10 (2C, ArC) 129.44 (1C, ArC-フルオレセイン), 129.08 (4C, ArCH-フルオレセイン), 127.81 (2C, ArCH), 126.91 (2C, ArCH), 126.58 (1C, ArC-フルオレセイン), 124.11 (1C, ArCH-フルオレセイン), 123.33 (1C, C=CH-トリアゾール), 117.01 (4C, ArCH), 116.37 (1C, ArCH-フルオレセイン), 112.61 (1C, ArCH-フルオレセイン), 109.72 (2C, ArC-フルオレセイン), 102.25 (2C, ArCH-フルオレセイン), 97.59 (1C, CH), 69.73 (1C, CH2), 69.64 (2C, CH2), 69.54 (1C, CH2), 68.75 (1C, CH2), 68.41 (1C, CH2), 49.29 (1C, CH2), 43.71 (1C, CH2), 34.90 (1C, CH2)。
HPLC-MS:[C54H48N6O13S + 2H]2+ 計算値511.16、実測値511.15。
HRMS:[C54H48N6O13S + 2H]2+ 計算値511.1573、実測値511.1572。
【0129】
二価の蛍光リガンド(13)
化合物20(4.4mg、4.3μmol)およびヒドラジド5p(5.8mg、18.5μmol)を、450μLのジメチルスルホキシド中に溶解させ、40μLのギ酸を加えた。7.5時間後、反応物を凍結乾燥した。生成物13(2.9mg、1.5μmol、純度35%、85%)を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により黄色の粉末として得た。
HPLC-MS:[C80H80N10O25S + 2H]2+ 計算値807.2581、実測値807.78。
HRMS:[C80H80N10O25S + 2H]2+ 計算値807.2581、実測値807.2589。
【0130】
【化9】
スキーム5:クマル酸に基づく二価のLecAリガンドの合成。(i) 4-ニトロベンズアルデヒド、K
2CO
3、DMF、70℃、マイクロ波、11時間~4日(Hについては10日、照射なし);(ii) H
2、Pd/C、CH
2Cl
2、室温、一晩;(iii) H
2SO
4、MeOH、還流、3時間;(iv) 臭化ベンジル、Na
2CO
3、DMF、室温、一晩;(v) β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(2)、BF
3・OEt
2、CHCl
3、0℃-室温、一晩;(vi) NaOH、H
2O/MeOH(1:1)、室温、1時間;(vii) HBTU、DIPEA、DMF、室温、1時間~3日;o.n.=一晩。
【0131】
(ビス-アニリンH-Kの合成の基本手順)
対応するジハロゲン化炭化水素(1当量)、4-ニトロフェノール(4当量)および炭酸カリウム(3当量)を、乾燥ジメチルホルムアミド(6mL、Iについては9mL)中にマイクロ波反応バイアルにおいて溶解させた。バイアルを密閉し、マイクロ波照射(Discover SP Sequential Microwave Synthesis System、CEM Corporation、North Carolina、USA)下で最大出力300W、70℃にて11時間~4日間照射した(Hについては10日間油浴中、照射なし)。冷却後、反応物を、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。ビス-ニトロ中間体を、順相MPLC(1%酢酸エチルおよび1%トリエチルアミンを含むトルエン、定組成)により、Jの場合、C18カラムMPLCクロマトグラフィー(0.1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、40~75%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。その後、純粋なビス-ニトロ中間体を、ジクロロメタン/メタノール(3:1、Hについては2:1)中に溶解させ、10%Pd/C(0.1当量)を加えた。3回の真空/H2サイクル後、反応物をH2雰囲気(1atm)下で一晩撹拌した。反応物をセライトでろ過し、真空濃縮した。純粋な生成物をさらに精製することなく得た。化合物H-Kの分析データは文献と一致する。[2][3][4]
【0132】
ビス(4-アミノフェノキシ)メタン(H)
ジクロロメタン(192μL、3.0mmol)、4-ニトロフェノール(1.67g、12mmol)および炭酸カリウム(1.24g、9.0mmol)を、ビス-アニリンの合成の基本手順に従い用いて、化合物H(326mg、1.42mmol、2工程で47%)を淡褐色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 6.91 - 6.84 (m, 4H, ArH), 6.74 - 6.68 (m, 4H, ArH), 5.52 (s, 2H, CH2)。
13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δ 151.77 (2C, ArC), 142.80 (2C, ArC), 118.98 (4C, ArCH), 118.07 (4C, ArCH), 94.31 (1C, CH2)。
HPLC-MS:[C13H14O2 + H]+ 計算値231.11、実測値231.04。
HRMS:[C13H14O2 + H]+ 計算値231.1128、実測値231.1125。
【0133】
ビス(4-アミノフェノキシ)エタン(I)
1,2-ジクロロエタン(181μL、2.3mmol)、4-ニトロフェノール(1.11g、8mmol)および炭酸カリウム(829mg、6.0mmol)を、ビス-アニリンの合成の基本手順に従い用いて、化合物I(182mg、0.75mmol、2工程で33%)を褐色-灰色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 6.81 - 6.71 (m, 4H, ArH), 6.70 - 6.54 (m, 4H, ArH), 4.12 (s, 4H, CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 150.95 (2C, ArC), 139.66 (2C, ArC), 116.45 (4C, ArCH), 115.44, (4C, ArCH) 66.93 (2C, CH2)。
HPLC-MS:[C14H16O2 + H]+ 計算値245.13、実測値245.05。
HRMS:[C14H16O2 + H]+ 計算値245.1285、実測値245.1281。
【0134】
ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン(J)
1,3-ジクロロプロパン(190μL、2.0mmol)、4-ニトロフェノール(1.11g、8mmol)および炭酸カリウム(829mg、6.0mmol)を、ビス-アニリンの合成の基本手順に従い用いて、化合物J(342mg、1.32mmol、2工程で67%)を褐色-灰色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 6.84 - 6.67 (m, 8H, ArH), 4.06 (t, J = 6.2 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 2.18 - 2.07 (m, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δ 154.21 (2C, ArC), 140.39 (2C, ArC), 118.73 (4C, ArCH), 116.67 (4C, ArCH), 66.38 (2C, CH2CH2
CH2), 30.67 (1C, CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C15H18O2 + H]+ 計算値259.14、実測値259.06。
HRMS:[C15H18O2 + H]+ 計算値259.1441、実測値259.1438。
【0135】
ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン(K)
1,4-ジブロモブタン(236μL、2.0mmol)、4-ニトロフェノール(1.11g、8mmol)および炭酸カリウム(829mg、6.0mmol)を、ビス-アニリンの合成の基本手順に従い用いて、化合物K(562mg、2.1mmol、2工程で定量的)を褐色-灰色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 6.77 (s, 8H, ArH), 4.04 - 3.89 (m, 4H, CH
2CH2CH2CH
2), 2.00 - 1.78 (m, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δ 153.35 (2C, ArC), 137.81 (2C, ArC), 117.78 (4C, ArCH), 115.24 (4C, ArCH), 67.96 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 25.85 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C16H20O2 + H]+ 計算値273.16、実測値273.07。
HRMS:[C16H20O2 + H]+ 計算値273.1598、実測値273.1594。
【0136】
メチル4-(2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル)-β-D-ガラクトピラノシルクマレート(24)
メチルp-クマレートを、Menonら[5]と同様に合成した。p-クマル酸(21、1.5g、9.3mmol)を、メタノール(30mL)中に溶解させた。H2SO4(濃、1mL)を加え、反応物を3時間還流した(65℃)。反応混合物を真空濃縮し、水で希釈し、飽和NaHCO3溶液で中和した。生成物22を酢酸エチルに抽出し、合わせた有機層を、半飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空乾燥した。純粋なメチルp-クマレート(22、1.7g、9.3mmol、定量的)を、さらに精製することなく得た。β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(2、510.8mg、1.31mmol)およびメチルp-クマレート(22、466.4mg、2.62mmol)を、乾燥クロロホルム(20mL)中に溶解させた。反応混合物を、0℃まで冷却し、BF3・OEt2(1mL、7.85mmol)を滴下した。混合物を、室温まで温め、5時間撹拌した。反応物を、氷冷飽和NaHCO3に注ぎ、ジクロロメタンで希釈した。有機相を、飽和NaHCO3溶液および食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。生成物24を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、15~50%酢酸エチルのグラジェント)により精製した。化合物24(162.8mg、0.32mmol、24%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.64 (d, J = 16.0 Hz, 1H, CH=CHCOOCH3), 7.50 - 7.44 (m, 2H, ArH), 7.03 - 6.97 (m, 2H, ArH), 6.34 (d, J = 16.0 Hz, 1H, CH=CHCOOCH3), 5.49 (dd, J = 10.4, 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.46 (dd, J = 3.5, 1.1 Hz, 1H, H-4), 5.12 (dd, J = 10.5, 3.5 Hz, 1H, H-3), 5.09 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 4.26 - 4.13 (m, 2H, H-6), 4.08 (td, J = 6.6, 1.2 Hz, 1H, H-5), 3.80 (s, 3H, CH=CHCOOCH
3), 2.18 (s, 3H, CH3), 2.06 (s, 6H, CH3), 2.01 (s, 3H, CH3)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 170.48 (1C, C=O), 170.35 (1C, C=O), 170.26 (1C, C=O), 169.49 (1C, C=O), 167.63 (1C, C=O), 158.43 (1C, ArC), 144.04 (1C, CH=CHCOOCH3), 129.75 (2C, ArCH), 129.71 (1C, ArC), 117.18 (2C, ArCH), 116.88 (1C, CH=CHCOOCH3), 99.25 (1C, C-1), 71.30 (1C, C-5), 70.89 (1C, C-3), 68.64 (1C, C-2), 66.93 (1C, C-4), 61.47 (1C, C-6), 51.84 (1C, COOCH3), 20.86 (1C, CH3), 20.80 (2C, CH3), 20.72 (1C, CH3)。
HPLC-MS:[C24H28O12 + NH4]+ 計算値526.19、実測値526.14。
HRMS:[C24H28O12 + NH4]+ 計算値526.1919、実測値526.1923。
【0137】
ベンジル4-(2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル)-β-D-ガラクトピラノシルクマレート(25)
ベンジルp-クマレート23を、Guoら[6]と同様に合成した。p-クマル酸(21、1.0g、6.2mmol)を、ジメチルホルムアミド(30mL)中に溶解させ、Na2CO3(1.5g、14.5mmol)を加えた。臭化ベンジル(1.5mL、12.5mmol)を滴下し、一晩撹拌した。反応物を真空濃縮し、水で希釈し、生成物を酢酸エチルに抽出し、半飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。反応粗製物を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、10~40%酢酸エチルのグラジェント)により精製して、純粋なベンジルp-クマレート(23、1.3g、5.0mmol、80%)を得た。β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(2、1.0g、2.6mmol)およびベンジルp-クマレート23(1.3g、5.0mmol)を、粉末化活性化分子篩(3Å)を用いて、丸底フラスコ内で乾燥クロロホルム(20mL)中に溶解させた。反応混合物を、0℃まで冷却し、BF3・OEt2(1.9mL、15.2mmol)を滴下した。混合物を、室温まで温め、一晩撹拌した。反応物を、氷冷飽和NaHCO3溶液に注ぎ、ジクロロメタンで希釈した。有機相を、飽和NaHCO3溶液および半飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。生成物25を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、20~40%酢酸エチルのグラジェント)により精製した。化合物25(1.1g、2.0mmol、76%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.68 (d, J = 16.0 Hz, 1H, CH=CHCOOBn), 7.50 - 7.44 (m, 2H, ArH), 7.44 - 7.32 (m, 5H, Bn), 7.02 - 6.97 (m, 2H, ArH), 6.39 (d, J = 16.0 Hz, 1H, CH=CHCOOBn), 5.50 (dd, J = 10.5, 7.9 Hz, 1H, H-2), 5.46 (dd, J = 3.5, 1.1 Hz, 1H, H-4), 5.24 (s, 2H, Bn), 5.11 (dd, J = 10.4, 3.4 Hz, 1H, H-3), 5.08 (d, J = 7.9 Hz, 1H, H-1), 4.26 - 4.12 (m, 2H, H-6), 4.08 (ddd, J = 7.2, 6.2, 1.2 Hz, 1H, H-5), 2.19 (s, 3H, CH3), 2.06 (s, 6H, CH3), 2.02 (s, 3H, CH3)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 170.51 (1C, C=O), 170.37 (1C, C=O), 170.28 (1C, C=O), 169.52 (1C, C=O), 167.01 (1C, C=O), 158.43 (1C, ArC), 144.35 (1C, CH=CHCOOBn), 136.14 (1C, Bn), 129.79 (2C, ArCH), 129.63 (1C, ArC), 128.75 (2C, Bn), 128.47 (2C, Bn), 128.43 (1C, Bn), 117.12 (2C, ArCH), 116.88 (1C, CH=CHCOOBn), 99.16 (1C, C-1), 71.26 (1C, C-5), 70.86 (1C, C-3), 68.57 (1C, C-2), 66.89 (1C, C-4), 66.51 (1C, Bn), 61.47 (1C, C-6), 20.89 (1C, CH3), 20.83 (2C, CH3), 20.75 (1C, CH3)。
HPLC-MS:[C30H32O12 + NH4]+ 計算値602.22、実測値602.17。
HRMS:[C30H32O12 + NH4]+ 計算値602.2232、実測値602.2234。
【0138】
4-O-β-D-ガラクトピラノシルtrans-p-クマル酸(26)
化合物24(124.3mg、0.24mmol)を、メタノール(6.2mL)中に溶解させた。水(4.1mL)および水酸化ナトリウム溶液(2.1mL、1M、1.96mmol)を加えた。反応混合物を、室温にて1時間撹拌し、その後Amberlite IR 120/H+で中和し、真空濃縮した。生成物25を、順相MPLC(1%ギ酸を含むジクロロメタン/メタノール、1~20%メタノールのグラジェント)により精製した。化合物26(66.1mg、0.20mmol、83%)を、白色の固体として得た。
化合物25(1.1g、2.0mmol)を、メタノール(48mL)中に懸濁させた。水(32mL)および水酸化ナトリウム溶液(16mL、1M、16mmol)を加えた。反応混合物を、50℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応物を、Amberlite IR 120/H+で中和し、真空濃縮した。生成物25を、順相MPLC(1%ギ酸を含むジクロロメタン/メタノール、1~20%メタノールのグラジェント)により精製した。化合物26(554.2mg、1.7mmol、76%)を、白色の固体として得た。
化合物26の合成は、Takadaら[7]により最初に記載された。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 7.61 (d, J = 15.9 Hz, 1H, CH=CHCOOH), 7.57 - 7.51 (m, 2H, ArCH), 7.16 - 7.11 (m, 2H, ArCH), 6.37 (d, J = 16.0 Hz, 1H, CH=CHCOOH), 4.92 (d, J = 7.8 Hz, 1H, H-1), 3.93 - 3.90 (m, 1H, H-4), 3.84 - 3.69 (m, 4H。H-2, H-5, H-6), 3.59 (dd, J = 9.7, 3.4 Hz, 1H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δ 171.24 (1C, COOH), δ 160.82 (1C, ArC), 145.43 (1C, CH=CHCOOH), 130.63 (2C, ArCH), 130.05 (1C, ArC), 118.00 (3C, ArCH, CH=CHCOOH), 102.49 (1C, C-1), 77.07 (1C, C-5), 74.81 (1C, C-3), 72.18 (1C, C-2), 70.20 (1C, C-4), 62.40 (1C, C-6)。
HPLC-MS:[C15H18O8 + HCOO]- 計算値371.10、実測値370.94。
HRMS:[C15H18O8 + HCOO]- 計算値371.0984、実測値371.0982。
【0139】
二価のリガンドG18
4,4'-オキシジアニリン(G、10.1mg、0.05mmol)、化合物26(38.2mg、0.12mmol)、HBTU(53.1mg、0.14mmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(50μL、0.29mmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後真空乾燥した。生成物を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、20~35%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物G18(28.3mg、34.6μmol、69%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.18 (s, 2H, NH), 7.73 - 7.67 (m, 4H, ArH), 7.60 - 7.50 (m, 6H, ArH, CH=CHCONH), 7.11 - 7.04 (m, 4H, ArH), 7.02 - 6.95 (m, 4H, ArH), 6.68 (d, J = 15.7 Hz, 2H, CH=CHCONH), 4.90 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 3.81 - 3.35 (m, 12H, H-2, H-3, H-4, H-5, H-6)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.64 (2C, C=O), 158.75 (2C, ArC), 152.55 (2C, ArC), 139.74 (2C, CH=CHCONH), 135.00 (2C, ArC), 129.24 (4C, ArCH), 128.36 (2C, ArC), 120.82 (4C, ArCH), 120.15 (2C, CH=CHCONH), 118.85 (4C, ArCH), 116.63 (4C, ArCH), 100.66 (2C, C-1), 75.62 (2C, C-5), 73.29 (2C, C-3), 70.24 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 60.38 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C42H44N2O15 + H]+ 計算値817.28、実測値817.33。
HRMS:[C42H44N2O15 + H]+ 計算値817.2814、実測値
【0140】
二価のリガンドH18
ビス(4-アミノフェノキシ)メタン(H、7.9mg、0.03mmol)、化合物26(25.3mg、0.08mmol)、HBTU(32.7mg、0.09mmol)を、ジメチルホルムアミド(3mL)中に溶解させ、DIPEA(9μL、0.05mmol)を加えた。反応物を室温にて2日間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物H18を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、25~45%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物H18(6.9mg、8.1μmol、24%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.07 (s, 2H, NH), 7.67 - 7.60 (m, 4H, ArH), 7.59 - 7.54 (m, 4H, ArH), 7.52 (d, J = 15.6 Hz, 2H, CH=CHCONH), 7.12 - 7.02 (m, 8H, ArH), 6.67 (d, J = 15.6 Hz, 2H, CH=CHCONH), 5.77 (s, 2H, CH2), 5.19 (d, J = 5.2 Hz, 2H, OH-2), 4.92 - 4.84 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.66 (t, J = 5.5 Hz, 2H, OH-6), 4.52 (d, J = 4.6 Hz, 2H, OH-4), 3.71 (t, J = 4.1 Hz, 2H, H-4), 3.64 - 3.45 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.42 (ddd, J = 9.3, 5.3, 3.2 Hz, 2H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.49 (2C, C=O), 158.68 (2C, ArC), 152.19 (2C, ArC), 139.52 (2C, CH=CHCONH), 134.09 (2C, ArC), 129.14 (4C, ArCH), 128.38 (2C, ArC), 120.59 (4C, ArCH), 120.23 (2C, CH=CHCONH), 116.60 (4C, ArCH), 116.59 (4C, ArCH), 100.68 (2C, C-1), 90.81 (1C, CH2), 75.58 (2C, C-5), 73.27 (2C, C-3), 70.22 (2C, C-2), 68.12 (2C, C-4), 60.36 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C43H46N2O16 + H]+ 計算値847.29、実測値847.33
HRMS:[C43H46N2O16 + H]+ 計算値847.2920、実測値847.2924。
【0141】
二価のリガンドI18
ビス(4-アミノフェノキシ)エタン(I、7.3mg、0.03mmol)、化合物26(21.6mg、0.07mmol)、HBTU(25.2mg、0.07mmol)を、ジメチルホルムアミド(4mL)中に溶解させ、DIPEA(7μL、0.04mmol)を加えた。反応物を室温にて2日間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物I18を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を添加した水/アセトニトリル、25~45%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物I18(4.5mg、5.2μmol、17%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.04 (s, 2H, NH), 7.65 - 7.60 (m, 4H, ArH), 7.58 - 7.54 (m, 4H, ArH), 7.52 (d, J = 15.5 Hz, 2H, CH=CHCONH), 7.08 (d, J = 8.7 Hz, 4H, ArH), 7.01 - 6.91 (m, 4H, ArH), 6.67 (d, J = 15.7 Hz, 2H, CH=CHCONH), 4.89 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.28 (s, 4H, CH2), 3.70 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.63 - 3.46 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.42 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 4H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.41 (2C, C=O), 158.67 (2C, ArC), 154.29 (2C, ArC), 139.39 (2C, CH=CHCONH), 132.85 (2C, ArC), 129.16 (4C, ArCH), 128.43 (2C, ArC), 120.64 (4C, ArCH), 120.32 (2C, CH=CHCONH), 116.61 (4C, ArCH), 114.65 (4C, ArCH), 100.67 (2C, C-1), 75.60 (2C, C-5), 73.28 (2C, C-3), 70.23 (2C, C-2), 68.14 (2C, C-4), 66.51 (2C, CH2), 60.37 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C44H48N2O16 + H]+ 計算値861.31、実測値861.36。
HRMS:[C44H48N2O16 + H]+ 計算値861.3077、実測値861.3083。
【0142】
二価のリガンドJ18
ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン(J、11.2mg、43.3μmol)、化合物26(30.8mg、94.4μmol)、HBTU(38.1mg、0.10mmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(20μL、0.11mmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後真空乾燥した。生成物J18を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、20~50%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物J18(25.9mg、29.6μmol、68%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.02 (s, 2H, NH), 7.63 - 7.58 (m, 4H, ArH), 7.58 - 7.53 (m, 4H, ArH), 7.51 (d, J = 15.6 Hz, 2H, CH=CHCONH), 7.10 - 7.05 (m, 4H, ArH), 6.96 - 6.91 (m, 4H, ArH), 6.66 (d, J = 15.7 Hz, 2H, CH=CHCONH), 5.21 (s, 2H, OH-2), 4.89 (d, J = 7.7 Hz, 4H, H-1, OH-3), 4.68 (s, 2H, OH-6), 4.55 (s, 2H, OH-4), 4.10 (t, J = 6.2 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 3.70 (d, J = 3.2 Hz, 2H, H-4), 3.63 - 3.46 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.41 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 2H, H-3), 2.20 - 2.11 (m, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.39 (2C, C=O), 158.67 (2C, ArC), 154.47 (2C, ArC), 139.36 (2C, CH=CHCONH), 132.70 (2C, ArC), 129.16 (4C, ArCH), 128.43 (2C, ArC), 120.63 (4C, ArCH), 120.34 (2C, CH=CHCONH), 116.61 (4C, ArCH), 114.60 (4C, ArCH), 100.67 (2C, C-1), 75.61 (2C, C-5), 73.28 (2C, C-3), 70.23 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 64.37 (2C, CH2CH2
CH2), 60.38 (2C, C-6), 28.77 (1C, CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C45H50N2O16 + H]+ 計算値875.32、実測値875.40。
HRMS:[C45H50N2O16 + H]+ 計算値875.3233、実測値875.3223。
【0143】
二価のリガンドK18
ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン(K、11.7mg、43.0μmol)、化合物26(33.3mg、102μmol)、HBTU(37.1mg、97.8μmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(20μL、0.11mmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後真空乾燥した。生成物K18を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、25~45%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物K18(22.8mg、25.6μmol、60%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.00 (s, 2H, NH), 7.62 - 7.58 (m, 4H, ArH), 7.58 - 7.54 (m, 4H, ArH), 7.51 (d, J = 15.6 Hz, 2H, CH=CHCONH), 7.08 (d, J = 8.7 Hz, 4H, ArH), 6.94 - 6.89 (m, 4H, ArH), 6.67 (d, J = 15.7 Hz, 2H, CH=CHCONH), 5.19 (d, J = 5.2 Hz, 2H, OH-2), 4.93 - 4.84 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.67 (t, J = 5.5 Hz, 2H, OH-6), 4.52 (d, J = 4.6 Hz, 2H, OH-4), 4.00 (d, J = 5.7 Hz, 4H, CH
2CH2CH2CH
2), 3.71 (t, J = 4.2 Hz, 2H, H-4), 3.63 - 3.46 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.45 - 3.39 (m, 2H, H-3), 1.90 - 1.80 (m, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.36 (2C, C=O), 158.65 (2C, ArC), 154.61 (2C, ArC), 139.31 (2C, CH=CHCONH), 132.55 (2C, ArC), 129.11 (4C, ArCH), 128.44 (2C, ArC), 120.64 (2C, ArC), 120.36 (2C, CH=CHCONH), 116.61 (4C, ArCH), 114.57 (4C, ArCH), 100.69 (2C, C-1), 75.59 (2C, C-5), 73.28 (2C, C-3), 70.23 (2C, C-2), 68.14 (2C, C-4), 67.29 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 60.37 (2C, C-6), 25.50 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C46H52N2O16 + H]+ 計算値889.34、実測値889.42。
HRMS:[C46H52N2O16 + H]+ 計算値889.3423、実測値889.3383。
【0144】
多価のリガンドL18
4-メトキシアニリン(L、20.8mg、169μmol)、化合物26(33.9mg、104μmol)、HBTU(51.4mg、136μmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(30μL、172μmol)を加えた。反応物を室温にて1時間撹拌し、その後水で希釈し、凍結乾燥した。生成物L18を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物L18(15.9mg、37μmol、35%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.00 (s, 1H, NH), 7.63 - 7.58 (m, 2H, ArH), 7.58 - 7.53 (m, 2H, ArH), 7.51 (d, J = 15.7 Hz, 1H, CH=CHCONH), 7.11 - 7.05 (m, 2H, ArH), 6.94 - 6.86 (m, 2H, ArH), 6.66 (d, J = 15.7 Hz, 1H, CH=CHCONH), 4.89 (d, J = 7.7 Hz, 1H, H-1), 3.73 (s, 3H, OCH3), 3.71 (d, J = 3.0 Hz, 1H, H-4), 3.63 - 3.47 (m, 4H, H-2, H-5, H-6), 3.44 - 3.40 (m, 1H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.37 (1C, C=O), 158.65 (1C, ArC), 155.23 (1C, ArC), 139.31 (1C, CH=CHCONH), 132.58 (1C, ArC), 129.11 (2C, ArCH), 128.43 (1C, ArC), 120.65 (2C, ArCH), 120.34 (1C, CH=CHCONH), 116.61 (2C, ArCH), 113.95 (2C, ArCH), 100.69 (1C, C-1), 75.59 (1C, C-5), 73.28 (1C, C-3), 70.23 (1C, C-2), 68.13 (1C, C-4), 60.37 (1C, C-6), 55.19 (1C, OCH3)。
HPLC-MS:[C22H25NO8 + H]+ 計算値432.17、実測値432.13。
HRMS:[C22H25NO8 + H]+ 計算値432.1653、実測値432.1652。
【0145】
【化10】
スキーム6:フェニルプロパン酸に基づく二価のLecAリガンドの合成。(i) β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(2)、BF
3・OEt
2、CH
2Cl
2、0℃~室温、一晩;(ii) NaOH、H
2O/MeOH(1:1)、室温、1時間;(iii) HBTU、DIPEA、DMF、室温、1時間~3日;o.n.=一晩。
【0146】
3-メチル4-フェニル(2',3',4',6'-テトラ-O-アセチル)-β-D-ガラクトピラノシルプロパノエート(28)
β-D-ガラクトピラノースペンタアセテート(2、1.5g、3.9mmol)およびメチル3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(27、1.4g、7.8mmol)を、粉末化活性化分子篩(3Å)を用いて、丸底フラスコ内で乾燥クロロホルム(20mL)中に溶解させた。反応混合物を、0℃まで冷却し、BF3・OEt2(2.4mL、19.5mmol)を滴下した。混合物を、室温まで温め、一晩撹拌した。反応物を、氷冷飽和NaHCO3溶液に注ぎ、ジクロロメタンで希釈した。有機相を、飽和NaHCO3溶液および半飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。生成物28を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、15~50%酢酸エチルのグラジェント)により精製した。化合物28(1.8mg、3.4mmol、86%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.15 - 7.08 (m, 2H, ArH), 6.95 - 6.89 (m, 2H, ArH), 5.50 - 5.43 (m, 2H, H-2, H-4), 5.09 (dd, J = 10.5, 3.4 Hz, 1H, H-3), 5.00 (d, J = 8.0 Hz, 1H, H-1), 4.26 - 4.12 (m, 2H, H-6), 4.04 (td, J = 6.7, 1.2 Hz, 1H, H-5), 3.66 (s, 3H, CH2CH2COOCH
3), 2.90 (t, J = 7.7 Hz, 2H, CH
2
CH2COOCH3), 2.60 (dd, J = 8.2, 7.2 Hz, 2H, CH2CH
2COOCH3), 2.18 (s, 3H, CH3), 2.06 (s, 3H, CH3), 2.06 (s, 3H, CH3), 2.01 (s, 3H, CH3)。
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 173.37 (1C, C=O), 170.50 (1C, C=O), 170.40 (1C, C=O), 170.29 (1C, C=O), 169.53 (1C, C=O), 155.60 (1C, ArC), 135.63 (1C, ArC), 129.50 (2C, ArCH), 117.20 (2C, ArCH), 99.97 (1C, C-1), 71.10 (1C, C-5), 70.99 (1C, C-3), 68.79 (1C, C-2), 67.01 (1C, C-4), 61.48 (1C, C-6), 51.78 (1C, CH2CH2COOCH3), 35.92 (1C, CH2CH2COOCH3), 30.25 (1C, CH2
CH2COOCH3), 20.88 (1C, CH3), 20.81 (2C, CH3), 20.73 (1C, CH3)。
HPLC-MS:[C24H30O12 + NH4]+ 計算値528.21、実測値528.21。
HRMS:[C24H30O12 + NH4]+ 計算値528.2074、実測値528.2080。
【0147】
4-(β-D-ガラクトピラノシルオキシ)ベンゼンプロパン酸(29)
化合物28(179.8mg、0.35mmol)を、メタノール(8.5mL)中に溶解させた。水(5.6mL)および水酸化ナトリウム溶液(2.8mL、1M、2.82mmol)を加えた。反応混合物を、室温にて1時間撹拌し、その後Amberlite IR 120/H+で中和し、真空濃縮した。生成物29を、順相MPLC(1%ギ酸を含むジクロロメタン/メタノール、1~20%メタノールのグラジェント)により精製した。化合物29(107.5mg、0.33mmol、93%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ, 7.15 - 7.09 (m, 2H, ArH), 6.95 - 6.89 (m, 2H, ArH), 4.75 (d, J = 7.6 Hz, 1H, H-1), 3.69 (d, J = 3.3 Hz, 1H, H-4), 3.57 - 3.44 (m, 4H, H-2, H-5, H-6), 3.38 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 1H, H-3), 2.75 (t, J = 7.6 Hz, 2H, CH
2CH2COOCH3), 2.47 (t, J = 7.6 Hz, 2H, CH2CH
2COOCH3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 174.09 (1C, C=O), 155.85 (1C, ArC), 134.16 (1C, ArC), 129.05 (2C, ArCH), 116.15 (2C, ArCH), 101.17 (1C, C-1), 75.46 (1C, C-5), 73.33 (1C, C-3), 70.30 (1C, C-2), 68.13 (1C, C-4), 60.38 (1C, C-6), 35.80 (1C, CH2CH2COOH), 29.69 (1C, CH2
CH2COOH)。
HPLC-MS:[C15H20O8 - H]- 計算値327.11、実測値326.95。
HRMS:[C15H20O8 - H]- 計算値327.1085、実測値327.1087。
【0148】
二価のリガンドG30
4,4'-オキシジアニリン(G、10.2mg、50.9μmol)、化合物29(40.1mg、0.12mmol)、HBTU(50.9mg、0.14mmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(25μL、0.14mmol)を加えた。反応物を室温にて3時間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物G30を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物G30(10.2mg、12.4μmol、24%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.91 (s, 2H, NH), 7.58 - 7.52 (m, 4H, ArH), 7.17 - 7.12 (m, 4H, ArH), 6.96 - 6.88 (m, 8H, ArH), 4.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 3.68 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.56 - 3.44 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.38 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 2H, H-3), 2.84 (t, J = 7.6 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.56 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH2CH
2CONH)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 170.23 (2C, C=O), 155.88 (2C, ArC), 152.38 (2C, ArC), 134.80 (2C, ArC), 134.34 (2C, ArC), 129.11 (4C, ArCH), 120.71 (4C, ArCH), 118.70 (4C, ArCH), 116.19 (4C, ArCH), 101.11 (2C, C-1), 75.47 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.31 (2C, C-2), 68.18 (2C, C-4), 60.42 (2C, C-6), 38.21 (2C, CH2CH2CONH), 30.12 (2C, CH2
CH2CONH)。
HPLC-MS:[C42H48N2O15 + H]+ 計算値821.31、実測値821.30。
HRMS:[C42H48N2O15 - H]- 計算値819.2982、実測値819.2981。
【0149】
二価のリガンドH30
ビス(4-アミノフェノキシ)メタン(H、11.6mg、50.4μmol)、化合物29(41.5mg、0.13mmol)、HBTU(48.7mg、0.13mmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(25μL、0.14mmol)を加えた。反応物を室温にて3時間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物H30を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリル)により精製した。化合物H30(39.3mg、46.2μmol、92%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.83 (s, 2H, NH), 7.54 - 7.47 (m, 4H, ArH), 7.17 - 7.11 (m, 4H, ArH), 7.04 - 6.96 (m, 4H, ArH), 6.96 - 6.89 (m, 4H, ArH), 5.72 (s, 2H, OCH2O), 4.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 3.68 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.57 - 3.43 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.38 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 2H, H-3), 2.83 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.58 - 2.52 (m, 4H, CH2CH
2CONH)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 170.11 (2C, C=O), 155.87 (2C, ArC), 152.03 (2C, ArC), 134.38 (2C, ArC), 133.97 (2C, ArC), 129.10 (4C, ArCH), 120.53 (4C, ArCH), 116.48 (4C, ArCH), 116.19 (4C, ArCH), 101.12 (2C, C-1), 90.78 (1C, OCH2O), 75.47 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.31 (2C, C-2), 68.18 (2C, C-4), 60.42 (2C, C-6), 38.20 (2C, CH2CH2CONH), 30.14 (2C, CH2
CH2CONH)。
HPLC-MS:[C43H50N2O16 + H]+ 計算値851.32、実測値851.32。
HRMS:[C43H50N2O16 - H]- 計算値849.3088、実測値849.3085。
【0150】
二価のリガンドI30
ビス(4-アミノフェノキシ)エタン(I、14.6mg、59.8μmol)、化合物29(47.2mg、144μmol)、HBTU(34.9mg、92.0μmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(16μL、91.9μmol)を加えた。反応物を室温にて2日間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物I30を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、25~45%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物I30(6.1mg、7.1μmol、12%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.76 (s, 2H, NH), 7.51 - 7.45 (m, 4H, ArH), 7.18 - 7.11 (m, 4H, ArH), 6.96 - 6.86 (m, 8H, ArH), 4.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.24 (s, 4H, CH2), 3.68 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.56 - 3.44 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.38 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 2H, H-3), 2.84 (t, J = 7.6 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.58 - 2.52 (m, 4H, CH2CH
2CONH)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 169.94 (2C, C=O), 155.84 (2C, ArC), 154.08 (2C, ArC), 134.39 (2C, ArC), 132.67 (2C, ArC), 129.06 (4C, ArCH), 120.59 (4C, ArCH), 116.19 (4C, ArCH), 114.50 (4C, ArCH), 101.14 (2C, C-1), 75.45 (2C, C-5), 73.31 (2C, C-3), 70.30 (2C, C-2), 68.16 (2C, C-4), 66.48 (2C, CH2), 60.40 (2C, C-6), 38.16 (2C, CH2CH2CONH), 30.14 (2C, CH2
CH2CONH)。
HPLC-MS:[C44H52N2O16 + H]+ 計算値865.34、実測値865.37。
HRMS:[C44H52N2O16 + H]+ 計算値865.3390、実測値865.3389。
【0151】
二価のリガンドJ30
ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン(J、11.7mg、45.3μmol)、化合物29(34.3mg、104μmol)、HBTU(46.1mg、122μmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)中に溶解させ、DIPEA(40μL、227μmol)を加えた。反応物を室温にて24時間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物J30を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、20~45%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物J30(16.6mg、18.9μmol、42%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.74 (s, 2H, NH), 7.49 - 7.44 (m, 4H, ArH), 7.17 - 7.12 (m, 4H, ArH), 6.96 - 6.91 (m, 4H, ArH), 6.90 - 6.85 (m, 4H, ArH), 5.11 (d, J = 5.1 Hz, 2H, OH-2), 4.83 (d, J = 5.6 Hz, 2H, OH-3), 4.75 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.63 (t, J = 5.3 Hz, 2H, OH-6), 4.47 (d, J = 4.6 Hz, 2H, OH-4), 4.07 (t, J = 6.3 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 3.68 (t, J = 4.1 Hz, 2H, H-4), 3.57 - 3.43 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.41 - 3.36 (m, 2H, H-3), 2.83 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.56 - 2.51 (m, 4H, CH2CH
2CONH), 2.16 - 2.08 (m, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 169.91 (2C, C=O), 155.83 (2C, ArC), 154.25 (2C, ArC), 134.39 (2C, ArC), 132.52 (2C, ArC), 129.05 (4C, ArCH), 120.59 (4C, ArCH), 116.18 (4C, ArCH), 114.45 (4C, ArCH), 101.14 (2C, C-1), 75.44 (2C, C-5), 73.31 (2C, C-3), 70.29 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 64.34 (2C, CH2CH2
CH2), 60.39 (2C, C-6), 38.15 (2C, CH2CH2CONH), 30.14 (2C, CH2
CH2CONH), 28.74 (1C, CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C45H54N2O16 + H]+ 計算値879.35、実測値879.39。
HRMS:[C45H54N2O16 + H]+ 計算値879.3546、実測値879.3538。
【0152】
二価のリガンドK30
ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン(K、36.5mg、0.13mmol)、化合物29(104mg、0.32mmol)、HBTU(142mg、0.37mmol)を、ジメチルホルムアミド(3mL)中に溶解させ、DIPEA(60μL、0.34mmol)を加えた。反応物を室温にて2時間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物K30を、C18カラムMPLC(1%ギ酸を含む水/アセトニトリル、20~35%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物K30(13.7mg、15.3μmol、11%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.77 (s, 2H, NH), 7.49 - 7.43 (m, 4H, ArH), 7.18 - 7.11 (m, 4H, ArH), 6.95 - 6.89 (m, 4H, ArH), 6.89 - 6.82 (m, 4H, ArH), 5.16 (d, J = 5.2 Hz, 2H, OH-2), 4.91 (d, J = 5.5 Hz, 2H, OH-3), 4.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.68 (t, J = 5.3 Hz, 2H, OH-6), 4.54 (d, J = 4.6 Hz, 2H, OH-4), 3.97 (d, J = 5.4 Hz, 4H, CH
2CH2CH2CH
2), 3.68 (t, J = 4.0 Hz, 2H, H-4), 3.57 - 3.42 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.41 - 3.37 (m, 2H, H-3), 2.83 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.56 - 2.51 (m, 4H, CH2CH
2CONH), 1.88 - 1.78 (m, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 169.93 (2C, C=O), 155.86 (2C, ArC), 154.41 (2C, ArC), 134.40 (2C, ArC), 132.43 (2C, ArC), 129.10 (4C, ArCH), 120.60 (4C, ArCH), 116.18 (4C, ArCH), 114.43 (4C, ArCH), 101.12 (2C, C-1), 75.47 (2C, C-5), 73.33 (2C, C-3), 70.31 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 67.24 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 60.40 (2C, C-6), 38.20 (2C, CH2CH2CONH), 30.19 (2C, CH2
CH2CONH), 25.52 (2C, CH2
CH2CH2
CH2)。
HPLC-MS:[C46H56N2O16 + H]+ 計算値893.37、実測値893.43。
HRMS:[C46H56N2O16 + H]+ 計算値893.3736、実測値893.3691。
【0153】
多価のリガンドL30
4-メトキシアニリン(L、12.1mg、98.1μmol)、化合物29(36.4mg、111μmol)、HBTU(47.1mg、124μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させ、DIPEA(20μL、115μmol)を加えた。反応物を室温にて3時間撹拌し、その後真空乾燥した。生成物L30を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を添加した水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物L30(36.7mg、84.7μmol、86%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.73 (s, 1H, NH), 7.50 - 7.44 (m, 2H, ArH), 7.18 - 7.11 (m, 2H, ArH), 6.96 - 6.91 (m, 2H, ArH), 6.88 - 6.82 (m, 2H, ArH), 4.75 (d, J = 7.7 Hz, 1H, H-1), 3.71 (s, 3H, CH3), 3.68 (d, J = 3.3 Hz, 1H, H-4), 3.57 - 3.43 (m, 4H, H-2, H-5, H-6), 3.38 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 2H, H-3), 2.83 (t, J = 7.7 Hz, 2H, CH
2CH2CONH), 2.54 (dd, J = 8.6, 6.8 Hz, 2H, CH2CH
2CONH)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 169.91 (1C, C=O), 155.84 (1C, ArC), 155.04 (1C, ArC), 134.39 (1C, ArC), 132.42 (1C, ArC), 129.05 (2C, ArCH), 120.62 (2C, ArCH), 116.18 (2C, ArCH), 113.80 (2C, ArCH), 101.14 (1C, C-1), 75.44 (1C, C-5), 73.31 (1C, C-3), 70.30 (1C, C-2), 68.15 (1C, C-4), 60.40 (1C, C-6), 55.14 (1C, CH3), 38.14 (1C, CH2CH2CONH), 30.15 (1C, CH2
CH2CONH)。
HPLC-MS:[C22H27NO8 + H]+ 計算値434.18、実測値434.08。
HRMS:[C22H27NO8 + H]+ 計算値434.1809、実測値434.1809。
【0154】
【化11】
スキーム7:ピリジンベースの二価のLecAリガンドの合成。反応条件:(i) 2-クロロ-5-ニトロピリジン、NaH、室温、DMF、1時間~2日(MについてはK
2CO
3、65℃、DMF、5日);(ii) Pd/C、H
2、室温、3~4時間;(iii) 対応するガラクトシド(26または29)、HBTU、DIPEA、DMF、室温、一晩。
【0155】
(ビス-アミノピリジンM-Oの合成の基本手順)
対応するジオール(1当量)、2-クロロ-5-ニトロピリジン(2~3当量)および水素化ナトリウム(3当量、鉱油中60%)を、乾燥ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させ、室温にて1時間~2日間撹拌した(Mについては3.5当量の炭酸カリウムを使用、T=65℃、5日間)。反応物を、氷冷水およびジクロロメタンで希釈した。有機相を、半飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。ビス-ニトロ中間体を、順相MPLC(石油エーテル/酢酸エチル、5~20%酢酸エチルのグラジェント)により精製した。その後、純粋なビス-ニトロ中間体を、ジクロロメタン/メタノール(2:1)中に溶解させ、10%Pd/C(0.2当量)を加えた。3回の真空/H2サイクル後、反応物をH2雰囲気(1atm)下で3~4時間撹拌した。反応物をセライトでろ過し、真空濃縮した。純粋な生成物をさらに精製することなく得た。
【0156】
1,2-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)エタン(M)
エチレングリコール(50μL、0.89mmol)、2-クロロ-5-ニトロピリジン(436mg、2.75mmol)および炭酸カリウム(438mg、3.5mmol)を、ビス-アミノピリジンの合成の基本手順に従い用いて、化合物M(69.0mg、0.28mmol、2工程で31%)を淡褐色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 7.61 (dd, J = 2.9, 0.7 Hz, 2H ArH), 7.17 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 2H, ArH), 6.65 (dd, J = 8.7, 0.7 Hz, 2H, ArH), 4.44 (s, 4H, CH2)。
13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δ 158.46 (2C, ArC), 139.63 (2C, ArC), 133.72 (2C, ArCH), 129.40 (2C, ArCH), 111.82 (2C, ArCH), 65.88 (2C, CH2)。
HPLC-MS:[C12H14N4O2 + Na]+ 計算値269.10、実測値269.05。
HRMS:[C12H14N4O2 + H]+ 計算値247.1190、実測値247.1187。
【0157】
1,3-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)プロパン(N)
プロパン-1,3-ジオール(50μL、0.89mmol)、2-クロロ-5-ニトロピリジン(279mg、1.76mmol)および水素化ナトリウム(83mg、2.1mmol)を、ビス-アミノピリジンの合成の基本手順に従い用いて、化合物N(111.4mg、0.43mmol、2工程で62%)を褐色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 7.60 (d, J = 2.8 Hz, 2H, ArH), 7.17 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 2H, ArH), 6.64 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ArH), 4.29 (t, J = 6.3 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 2.16 (p, J = 6.3 Hz, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δ 158.76 (2C, ArC), 139.35 (2C, ArC), 133.81 (2C, ArCH), 129.48 (2C, ArCH), 111.65 (2C, ArCH), 64.18 (2C, CH2CH2
CH2), 30.21 (1C, CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C13H16N4O2 + H]+ 計算値261.13、実測値261.07。
HRMS:[C13H16N4O2 + H]+ 計算値261.1346、実測値261.1340。
【0158】
1,4-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)ブタン(O)
ブタン-1,4-ジオール(50μL、0.56mmol)、2-クロロ-5-ニトロピリジン(284mg、1.79mmol)および水素化ナトリウム(72mg、3.2mmol)を、ビス-アミノピリジンの合成の基本手順に従い用いて、ビス-ニトロ中間体(143mg、0.43mmol、76%)を得た。ビス-ニトロ中間体(125mg、0.38mmol)を還元して、純粋な化合物O(104mg、0.38mmol、2工程で76%)を褐色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 7.60 (d, J = 2.9 Hz, 2H, ArH), 7.17 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 2H, ArH), 6.62 (d, J = 8.7 Hz, 2H, ArH), 4.22 - 4.16 (m, 4H, CH
2CH2CH2CH
2), 1.93 - 1.85 (m, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, メタノール-d4) δ 158.86 (2C, ArC), 139.36 (2C, ArC), 133.78 (2C, ArCH), 129.47 (2C, ArCH), 111.62 (2C, ArCH), 67.09 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 27.05 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C14H18N4O2 + H]+ 計算値275.15、実測値275.10。
HRMS:[C14H18N4O2 + H]+ 計算値275.1503、実測値275.1497。
【0159】
二価のリガンドM31
1,2-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)エタン(M、12.1mg、49.1μmol)、化合物29(46.4mg、141μmol)、HBTU(60.2mg、159μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させ、DIPEA(50μL、287μmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後凍結乾燥した。生成物M31(19.6mg、22.6μmol、46%)を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を添加した水/アセトニトリル、15~30%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物M31(19.6mg、22.6μmol、46%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.93 (s, 2H, NH), 8.32 (d, J = 2.6 Hz, 2H, ArH), 7.88 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 2H, ArH), 7.18 - 7.12 (m, 4H, ArH), 6.97 - 6.91 (m, 4H, ArH), 6.81 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH), 4.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.51 (s, 4H, CH2), 3.68 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.57 - 3.44 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.38 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 2H, H-3), 2.85 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.57 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH2CH
2CONH)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 170.47 (2C, C=O), 158.88 (2C, ArC), 155.86 (2C, ArC), 137.33 (2C, ArCH), 134.24 (2C, ArC), 131.48 (2C, ArCH), 130.30 (2C, ArC), 129.06 (4C, ArCH), 116.20 (4C, ArCH), 110.35 (2C, ArCH), 101.12 (2C, C-1), 75.45 (2C, C-5), 73.31 (2C, C-3), 70.30 (2C, C-2), 68.16 (2C, C-4), 64.05 (4C, CH2), 60.40 (2C, C-6), 37.98 (2C, CH2CH2CONH), 30.03 (2C, CH2
CH2CONH)。
HPLC-MS:[C42H50N4O16 + H]+ 計算値867.33、実測値867.35。
HRMS:[C42H50N4O16 + H]+ 計算値867.3295、実測値867.3296。
【0160】
二価のリガンドN31
1,3-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)プロパン(N、14.7mg、56.5μmol)、化合物29(40.7mg、124μmol)、HBTU(49.8mg、131μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させ、DIPEA(50μL、287μmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後凍結乾燥した。生成物N31を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を添加した水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物N31(20.2mg、22.9μmol、41%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.91 (s, 2H, NH), 8.30 (d, J = 2.7 Hz, 2H, ArH), 7.86 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 2H, ArH), 7.15 (d, J = 8.3 Hz, 4H, ArH), 6.99 - 6.89 (m, 4H, ArH), 6.78 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH), 5.12 (d, J = 5.2 Hz, 2H, OH-2), 4.84 (d, J = 5.6 Hz, 2H, OH-3), 4.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.63 (t, J = 5.2 Hz, 2H, OH-6), 4.48 (d, J = 4.6 Hz, 2H, OH-4), 4.33 (t, J = 6.3 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 3.68 (t, J = 4.0 Hz, 2H, H-4), 3.60 - 3.43 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.41 - 3.37 (m, 2H, H-3), 2.84 (t, J = 7.6 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.57 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH2CH
2CONH), 2.12 (p, J = 6.3 Hz, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 170.45 (2C, C=O), 159.14 (2C, ArC), 155.87 (2C, ArC), 137.48 (2C, ArCH), 134.25 (2C, ArC), 131.40 (2C, ArCH), 130.12 (2C, ArC), 129.07 (4C, ArCH), 116.20 (4C, ArCH), 110.23 (2C, ArCH), 101.13 (2C, C-1), 75.45 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.30 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 62.49 (2C, CH2CH2
CH2), 60.40 (2C, C-6), 37.97 (2C, CH2CH2CONH), 30.05 (2C, CH2
CH2CONH), 28.35 (1C, CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C43H52N4O16 + H]+ 計算値881.35、実測値881.33。
HRMS:[C43H52N4O16 + H]+ 計算値881.3451、実測値881.3446。
【0161】
二価のリガンドO31
1,4-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)ブタン(O、10.5mg、38.3μmol)、化合物29(46.5mg、142μmol)、HBTU(45.5mg、120μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させ、DIPEA(40μL、230μmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後凍結乾燥した。生成物O31を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を添加した水/アセトニトリル、15~45%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物O31(16.2mg、18.1μmol、47%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.90 (s, 2H, NH), 8.29 (d, J = 2.7 Hz, 2H, ArH), 7.86 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 2H, ArH), 7.17 - 7.12 (m, 4H, ArH), 6.96 - 6.91 (m, 4H, ArH), 6.76 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 5.11 (d, J = 5.1 Hz, 2H, OH-2), 4.83 (d, J = 5.6 Hz, 2H, OH-3), 4.76 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.63 (t, J = 5.3 Hz, 2H, OH-6), 4.47 (d, J = 4.6 Hz, 2H, OH-4), 4.24 (q, J = 4.4, 3.0 Hz, 4H, CH
2CH2CH2CH
2), 3.68 (t, J = 4.1 Hz, 2H, H-4), 3.57 - 3.43 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.42 - 3.36 (m, 2H, H-3), 2.84 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.60 - 2.54 (m, 4H, CH2CH
2CONH), 1.84 - 1.77 (m, 4H, CH2CH
2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 170.43 (2C, C=O), 159.28 (2C, ArC), 155.86 (2C, ArC), 137.51 (2C, ArCH), 134.25 (2C, ArC), 131.39 (2C, ArCH), 130.01 (2C, ArC), 129.06 (4C, ArCH), 116.19 (4C, ArCH), 110.17 (2C, ArCH), 101.12 (2C, C-1), 75.45 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.30 (2C, C-2), 68.15 (2C, C-4), 65.14 (2C, CH2CH2CH2
CH2), 60.40 (2C, C-6), 37.97 (2C, CH2CH2CONH), 30.04 (2C, CH2
CH2CONH), 25.38 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C44H54N4O16 + H]+ 計算値895.36、実測値895.36。
HRMS:[C44H54N4O16 + H]+ 計算値895.3608、実測値895.3601。
【0162】
二価のリガンドM32
1,2-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)エタン(M、14.8mg、60.1μmol)、化合物26(51.7mg、158μmol)、HBTU(60.1mg、158μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させ、DIPEA(55μL、316μmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後凍結乾燥した。生成物M32を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を添加した水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物M32(37.9mg、43.9μmol、73%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.19 (s, 2H, NH), 8.46 (d, J = 2.9 Hz, 2H, ArH), 8.02 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 2H, ArH), 7.60 - 7.52 (m, 6H, ArH, CH=CHCONH), 7.11 - 7.05 (m, 4H, ArH), 6.87 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH), 6.66 (d, J = 15.7 Hz, 2H, CH=CHCONH), 4.90 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 4.56 (s, 4H, CH2), 3.71 (d, J = 3.8 Hz, 2H, H-4), 3.63 - 3.46 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.42 (dd, J = 9.5, 3.3 Hz, 2H, H-3)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.85 (2C, C=O), 158.99 (2C, ArC), 158.78 (2C, ArC), 140.02 (2C, CH=CHCONH), 137.36 (2C, ArCH), 131.42 (2C, ArCH), 130.53 (2C, ArC), 129.25 (4C, ArCH), 128.25 (2C, ArC), 119.61 (2C, CH=CHCONH), 116.62 (4C, ArCH), 110.48 (2C, ArCH), 100.67 (2C, C-1), 75.59 (2C, C-5), 73.27 (2C, C-3), 70.22 (2C, C-2), 68.13 (2C, C-4), 64.11 (4C, CH2), 60.36 (2C, C-6)。
HPLC-MS:[C42H46N4O16 + H]+ 計算値863.30、実測値863.34。
HRMS:[C42H46N4O16 + H]+ 計算値863.2982、実測値863.2977。
【0163】
二価のリガンドN32
1,3-ビス((5-アミノピリジン-2-イル)オキシ)プロパン(N、14.8mg、56.9μmol)、化合物26(40.4mg、124μmol)、HBTU(51.4mg、136μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に溶解させ、DIPEA(50μL、287μmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後凍結乾燥した。生成物N32を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(1%ギ酸を添加した水/アセトニトリル、15~40%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物N32(22.7mg、25.9μmol、46%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.18 (s, 2H, NH), 8.44 (d, J = 2.6 Hz, 2H, ArH), 8.00 (dd, J = 8.9, 2.7 Hz, 2H, ArH), 7.61 - 7.50 (m, 6H, ArH, CH=CHCONH), 7.08 (d, J = 8.5 Hz, 4H, ArH), 6.83 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 6.66 (d, J = 15.7 Hz, 2H, CH=CHCONH), 5.20 (s, 2H, OH-2), 4.95 - 4.82 (m, 4H, H-1, OH-3), 4.67 (s, 2H, OH-6), 4.53 (s, 2H, OH-4), 4.37 (t, J = 6.4 Hz, 4H, CH
2CH2CH
2), 3.71 (d, J = 3.0 Hz, 2H, H-4), 3.64 - 3.45 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.45 - 3.39 (m, 2H, H-3), 2.16 (p, J = 6.4 Hz, 2H, CH2CH
2CH2)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 163.82 (2C, C=O), 159.26 (2C, ArC), 158.77 (2C, ArC), 139.97 (2C, CH=CHCONH), 137.51 (2C, ArCH), 131.32 (2C, ArCH), 130.35 (2C, ArC), 129.24 (4C, ArCH), 128.26 (2C, ArC), 119.65 (2C, CH=CHCONH), 116.62 (2C, ArCH), 110.35 (2C, ArCH), 100.67 (2C, C-1), 75.60 (2C, C-5), 73.27 (2C, C-3), 70.22 (2C, C-2), 68.13 (2C, C-4), 62.54 (2C, CH2CH2
CH2), 60.36 (2C, C-6), 28.38 (1C, CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C43H48N4O16 + H]+ 計算値877.31、実測値877.32。
HRMS:[C43H48N4O16 + H]+ 計算値877.3138、実測値877.3138。
【0164】
【化12】
スキーム8:スルホン化二価のLecAリガンドの合成。反応条件:(i) ラネーNi、H
2、室温、H
2O、6日;(ii) ガラクトシド29、PyBOP、N-メチルモルホリン、DMF、室温、一晩。
【0165】
6,6'-(エタン-1,2-ジイル)ビス(3-アミノベンゼンスルホン酸)(34)
化合物34を、Bazanovaら[8]に従い合成した。4,4'-ジアミノスチルベン-2,2'-ジスルホン酸(33、235.5mg、0.64mmol)を、1滴の飽和NaOH水溶液の添加後、水(10mL)中に溶解させ、ラネーNiを加えた。3回の真空/H2サイクル後、反応物をH2雰囲気(1atm)下で4日間撹拌した。反応物をセライトでろ過し、凍結乾燥した。変換は完全でなかった;そのため、反応粗製物を、水(5mL)および1滴の飽和NaOH水溶液中に再溶解させた。ラネーNiを加え、3回の真空/H2サイクル後、反応物をH2雰囲気(1atm)下でさらに2日間撹拌した。反応物をセライトでろ過し、凍結乾燥した。反応粗製物を、水(10mL)中に再溶解させ、純粋な生成物34(150.6mg、0.40mmol、64%)を、HClで(2M)酸性化した後、白色の固体として沈殿させた。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 7.28 (dd, J = 2.4, 0.9 Hz, 2H, ArH), 7.13 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 6.85 (ddd, J = 8.1, 2.5, 0.9 Hz, 2H, ArH), 3.15 (s, 4H, CH2)。
13C NMR (126 MHz, D2O) δ 144.12 (2C, ArC), 141.07 (2C, ArC), 132.63 (2C, ArCH), 130.22 (2C, ArC), 119.20 (2C, ArCH), 114.50 (2C, ArCH), 33.46 (2C, CH2)。
HPLC-MS:[C14H16N2O6S2 - H]- 計算値371.0377、実測値370.93。
【0166】
二価のリガンド35
スルホン化リンカー34(21.6mg、58.0μmol)、ガラクトシド29(59.0mg、198μmol)およびPyBOP(74.3mg、143μmol)を、ジメチルホルムアミド(1.5mL)中に懸濁させ、N-メチルモルホリン(50μL、455μmol)を加えた。反応物を室温にて一晩撹拌し、その後凍結乾燥した。生成物35を、C18カラム分取HPLCクロマトグラフィー(5mM炭酸水素アンモニウム(pH7)/アセトニトリル、5~20%アセトニトリルのグラジェント)により精製した。化合物35(30.4mg、29.6μmol、51%)を、白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.88 (s, 2H, NH), 7.85 (d, J = 2.3 Hz, 2H, ArH), 7.59 (dd, J = 8.2, 2.3 Hz, 2H, ArH), 7.19 (d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH), 7.17 - 7.13 (m, 4H, ArH), 6.98 - 6.89 (m, 4H, ArH), 4.77 (d, J = 7.7 Hz, 2H, H-1), 3.67 (d, J = 3.3 Hz, 2H, H-4), 3.57 - 3.44 (m, 8H, H-2, H-5, H-6), 3.38 (dd, J = 9.8, 3.6 Hz, 2H, H-3), 3.18 (s, 4H, ArCH2CH2Ar), 2.84 (t, J = 7.7 Hz, 4H, CH
2CH2CONH), 2.55 (t, J = 7.6 Hz, 4H, CH2CH
2CONH)。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 170.26 (2C, C=O), 155.88 (2C, ArC), 146.15 (2C, ArC), 135.89 (2C, ArC), 135.24 (2C, ArC), 134.48 (2C, ArC), 130.49 (2C, ArCH), 129.13 (4C, ArCH), 119.37 (2C, ArCH), 117.98 (2C, ArCH), 116.24 (4C, ArCH), 101.17 (2C, C-1), 75.46 (2C, C-5), 73.32 (2C, C-3), 70.36 (2C, C-2), 68.21 (2C, C-4), 60.41 (2C, C-6), 38.34 (2C, CH2CH2CONH), 33.77 (2C, ArCH2CH2Ar), 30.24 (2C, CH2
CH2
CH2CH2)。
HPLC-MS:[C44H52N2O20S2 - 2H]2- 計算値495.12、実測値495.11。
HRMS:[C44H52N2O20S2 - H]- 計算値991.2482、実測値991.2531。
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
参考文献
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【国際調査報告】