(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】血管内装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20230111BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/32 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022526026
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2020081386
(87)【国際公開番号】W WO2021089847
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2019/080449
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521193304
【氏名又は名称】ヴァーソノ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VERSONO MEDICAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】SSL BUILDINGS, PARKMORE WEST BUSINESS PARK, GALWAY,H91 HP4F, IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ドラン,フィンバー
(72)【発明者】
【氏名】オドナヒュー,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ムーニー,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】コノリー,パット
(72)【発明者】
【氏名】スメッドリー,ジム
(72)【発明者】
【氏名】タルピー,ブライアン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ14
4C160JJ43
4C160MM36
(57)【要約】
血管内の障害物を横断するための血管内装置は、ワイヤなどの細長い血管内要素と、その障害物を横断することを容易にするように、血管内要素の遠位先端部分を超音波によって励振するための、その血管内要素に機械的に結合された超音波トランスデューサと、遠位先端部分から離れた位置において、血管内要素の横方向の変位を減衰させるように、その血管内要素に機械的に結合された1つ以上の抑制特徴と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の障害物を横断するための血管内装置であって、前記装置が、
-ワイヤなどの細長い血管内要素と、
-前記障害物を前記横断することを容易にするように、前記血管内要素の遠位先端部分を超音波によって励振させるための、前記血管内要素に機械的に結合された超音波トランスデューサと、
-前記遠位先端部分から離れた位置において、前記血管内要素の横方向の変位を減衰させるように、前記血管内要素に機械的に結合された1つ以上の抑制特徴と、を備える、血管内装置。
【請求項2】
前記1つ以上の抑制特徴が、前記超音波トランスデューサと前記遠位先端部分との間の位置において、前記血管内要素の横方向の変位を減衰させるように、前記血管内要素に機械的に結合されている、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサが、トランスデューサハウジング内に含まれる、請求項1または2に記載の血管内装置。
【請求項4】
前記トランスデューサハウジングが、前記1つ以上の抑制特徴のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項3に記載の血管内装置。
【請求項5】
前記1つ以上の抑制特徴のうちの少なくとも1つが、前記トランスデューサハウジングの外側の前記血管内要素に機械的に結合されている、請求項3または4に記載の血管内装置。
【請求項6】
前記超音波トランスデューサは、前記血管内要素が、前記超音波トランスデューサから近位にならびに遠位に延在するように、前記血管内要素に結合されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項7】
前記1つ以上の抑制特徴が、前記超音波トランスデューサの近位の位置において、前記血管内要素の変位を減衰させるように、前記血管内要素に機械的に結合されている、請求項6に記載の血管内装置。
【請求項8】
前記超音波トランスデューサが、前記血管内要素を保持するための管腔を備え、前記1つ以上の抑制特徴が、前記血管内要素と前記管腔の内面との間に設けられた、弾性材料の少なくとも1つの抑制リングまたは抑制スリーブを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項9】
前記トランスデューサハウジングが、前記血管内要素を保持するための管腔を備え、前記抑制特徴が、前記血管内要素と前記管腔の内面との間に設けられた、液体抑制媒体を備える、請求項3~8のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項10】
前記トランスデューサハウジングが、遠位開口部を備え、前記血管内要素が、前記遠位開口部を通って延在しており、前記抑制特徴が、前記血管内要素と前記遠位開口部の内面との間に設けられた、抑制リングまたは抑制スリーブを備える、請求項3~9のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項11】
コレットをさらに備え、前記コレットが、前記血管内要素を取り囲み、前記コレットの近位端が、前記超音波トランスデューサに取り外し可能に結合されており、前記抑制特徴が、前記血管内要素の周りに、かつ前記コレットの遠位端内に設けられている抑制リングまたは抑制スリーブを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項12】
前記抑制特徴が、前記トランスデューサハウジング内に設けられ、かつ前記血管内要素自体に垂直な方向において、前記血管内要素の横方向の動きを防止するように、前記血管内要素の反対側と直接接触するように配置された複数のガイド形成部を備える、請求項3~9のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項13】
前記複数のガイド形成部が、前記トランスデューサハウジングを通る略直線の経路を画定する、請求項12に記載の血管内装置。
【請求項14】
前記複数のガイド形成部が、前記トランスデューサハウジングを通る屈曲または起伏する経路を画定する、請求項12に記載の血管内装置。
【請求項15】
前記ガイド形成部が、前記血管内要素に向かってばね付勢されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項16】
コレットをさらに備え、前記コレットが、前記血管内要素を取り囲み、前記コレットの近位端が、前記超音波トランスデューサに取り外し可能に結合されており、前記ガイド形成部が、前記コレットの内側に設けられている、請求項12~16のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項17】
前記トランスデューサハウジングの遠位に設けられ、かつ前記血管内要素を取り囲む、剛性管をさらに備える、請求項3~16のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項18】
前記剛性管が、前記トランスデューサハウジングに取り外し可能に取り付けられている、請求項17に記載の血管内装置。
【請求項19】
前記剛性管が、圧縮可能部分を備える、請求項17または18に記載の血管内装置。
【請求項20】
前記圧縮可能部分が、前記剛性管の遠位先端に設けられている、請求項19に記載の血管内装置。
【請求項21】
前記抑制特徴が、前記トランスデューサハウジングの近位に少なくとも部分的に設けられた、可撓性かつ弾性の管状スリーブを備え、前記可撓性かつ弾性の管状スリーブが、前記血管内要素の一部分を取り囲み、かつ保持する、請求項5~20のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項22】
前記抑制特徴が、前記可撓性かつ弾性の管状スリーブの一部分を選択的に締め付けるための調整可能な締め付け具をさらに備える、請求項21に記載の血管内装置。
【請求項23】
前記抑制特徴が、前記可撓性かつ弾性の管状スリーブの一部分を選択的に締め付けるための調整可能なコレットをさらに備える、請求項21または22に記載の血管内装置。
【請求項24】
前記トランスデューサハウジングが、遠位開口部を備え、前記血管内要素が、前記遠位開口部を通って延在し、前記トランスデューサハウジングが、前記遠位開口部において、前記血管内要素を空気圧式に締め付けるための空気圧式マイクロチャックをさらに備える、請求項3~23のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項25】
前記抑制特徴が、一組の2つの回転可能に調整可能なオフセットカムの間に前記血管内要素を締め付けるための前記オフセットカムを備え、前記オフセットカムが、前記トランスデューサの近位の前記トランスデューサハウジングの内側に設けられている、請求項3~24のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項26】
前記抑制特徴が、前記血管内要素に対して半径内側方向に押し付けられ得る押しボタン抑制機構を備え、前記押しボタン抑制機構が、前記トランスデューサの近位の前記トランスデューサハウジングの内側に設けられている、請求項3~24のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項27】
前記抑制特徴が、横方向にオフセットされた螺旋状形成部を、前記血管内要素と抑制接触するように回動され得る、回転可能に調整可能な近位キャップを備え、前記回転可能に調整可能な近位キャップが、前記トランスデューサの近位にある前記トランスデューサハウジングの内側に設けられている、請求項3~24のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項28】
前記抑制特徴が、調整可能な摩擦力を前記血管内要素に加えるために、前記血管内要素を取り囲む、制御可能な摩擦カラーを備え、前記制御可能な摩擦カラーが、前記トランスデューサの近位にある前記トランスデューサハウジングの内側に設けられている、請求項3~24のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項29】
前記トランスデューサハウジングが、前記摩擦力を調整するための前記制御可能な摩擦カラーに動作可能に結合された遠位トグルをさらに備える、請求項28に記載の血管内装置。
【請求項30】
前記抑制特徴が、前記トランスデューサハウジングに沿って長手方向に延在するレバーを備え、前記レバーが、前記トランスデューサの近位の位置において、前記血管内要素と抑制接触するようにばね付勢されている、請求項3~24のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項31】
前記トランスデューサハウジングが、前記血管内要素を取り囲み、かつ前記血管内要素に調整可能な締め付け力を加えるように構成された回転可能なツイストロックをさらに備える、請求項3~30のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項32】
前記回転可能なツイストロックが、前記トランスデューサハウジングの近位端および/または遠位端に設けられている、請求項31に記載の血管内装置。
【請求項33】
前記抑制特徴が、前記トランスデューサハウジングの近位の位置において、前記血管内要素を取り囲み、かつ前記トランスデューサハウジングの近位開口部の中に嵌合するように構成されたグロメットを備える、請求項3~32のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項34】
前記抑制特徴が、前記血管内要素を保持するための管腔を有する管状構造を備え、前記管状構造が、流体ポケット、および前記管腔から前記流体ポケットを分離する可撓性内壁を備え、前記流体ポケットが、前記管腔の直径を減らすために膨張可能か、または拡張可能である、請求項1~33のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項35】
前記抑制特徴が、前記トランスデューサの遠位にある前記血管内要素の少なくとも一部分を取り囲むシースおよび/またはコーティングを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の血管内装置。
【請求項36】
前記シースおよび/またはコーティングが、前記血管内要素の連続的な被覆を形成する、請求項35に記載の血管内装置。
【請求項37】
前記シースおよび/またはコーティングが、前記血管内要素の螺旋状の被覆を形成する、請求項35に記載の血管内装置。
【請求項36】
前記シースおよび/またはコーティングが、前記血管内要素の不連続的な被覆を形成する、請求項35に記載の血管内装置。
【請求項37】
血管内の障害物を横断するための血管内装置であって、前記装置は、
-細長い血管内要素と、
-超音波トランスデューサを含む超音波エネルギーソースと、
-使用中に、前記ソースから前記血管内要素の遠位端の活性先端部分まで、前記血管内要素に沿って前記超音波エネルギーを伝達するための結合と、を備え、前記結合が、前記活性先端部分への前記超音波エネルギーの伝達のために、前記血管内要素の長さに沿って、複数の個別に動作可能な位置のいずれかにおいて、前記血管内要素に前記ソースを結合するように配置され、前記結合は、前記動作可能な位置のいずれかにおいて、前記血管内要素が前記結合および前記ソースを通って延在し、前記結合および前記ソースからそれぞれ近位および遠位に延在する部分を有するときに、前記血管内要素を締め付けるようにさらに配置されており、
前記血管内装置が、前記トランスデューサの前記遠位先端部分から近位および/または遠位に離れた位置において、前記血管内要素の横方向の変位を減衰させるように、前記血管内要素に機械的に結合されている抑制特徴をさらに含む、血管内装置。
【請求項38】
請求項1~36のいずれか一項に記載の特徴のうちの1つ以上をさらに備える、請求項37の記載の血管内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波で活性化されたワイヤまたは他の細長い要素を使用して、血管内の障害物を横断し、後続の治療装置の導入を容易にすることによる虚血の治療に関する。
【0002】
先行特許出願
本発明は、国際公開第2020/094747号として公開された当社の国際特許出願、およびその内容が参照により本明細書に組み込まれる未公開の英国特許出願第2006665.0号に記述された概念を発展させる。
【背景技術】
【0003】
血管内処置では、脈管系へのアクセスを得るのに使用するための動脈が選択され、採用される。選択は、標的部位への目的の診断または治療デバイスの通過に対応する動脈の能力、ならびに組織および患者の外傷を最小限に抑えることができる程度に基づいている。
【0004】
例えば、末梢動脈または静脈における血管再生処置では、アクセスは、大腿骨、膝窩、脛骨、および/または足動脈への外科的な切開および穿刺によって行われることが多く、これは、医学用語では、セルディンガー法として一般に知られている。アクセスが行われると、イントロデューサワイヤおよびイントロデューサシースが脈管内へ挿入され、部位に固定される。このシースは、装置の導入、引き抜き、および交換のためのポートとして作用し、動脈組織の擦過傷を最小限に抑えるように機能する。次いで、ガイドカテーテルおよびガイドワイヤが、動脈内に導入されて、さらなる保護を提供し、標的部位への装置ナビゲーション、および治療の提供を支援する。
【0005】
ガイドワイヤは、脈管壁に外傷を引き起こさないように注意深く脈管の内腔に沿って押され、障害物の部位にナビゲートされる。成功した処置では、ガイドワイヤは、次に、障害物の向こう側へ、または障害物を通って押され、その場に保持されて、バルーンカテーテルおよびステントなどの診断または治療デバイスが閉塞の部位までその上をトラックされるガイドとして機能する。ガイドワイヤは、他の低侵襲処置において、他のデバイスおよび器具を脈管または体内の他の空洞内へ導入して、検査、診断、および異なるタイプの治療を可能にするために使用される。
【0006】
ガイドワイヤは、例えば、バルーン血管形成術、胃腸、泌尿器、および婦人科の処置のために使用される。そのような処置のすべては、病変の部位、または体内の病変の遠位にある、標的にされる他の組織にとってより大きくて、かつより扱いにくい場合が多い装置の通過を容易にするために、閉塞を通って形成される通路を必要とする。
【0007】
ガイドワイヤは、治療の介入にとって重要であり、様々な材料、最も典型的には、ステンレス鋼、およびNiTi(ニチノール)を含む様々な合金から製造され、多くの様々な設計を伴う。それらの製造には、多くの場合、例えば、その材料をワイヤに形成しながら冷間加工し、次いで、そのワイヤを様々な寸法設計に機械加工し、様々な熱処理を適用して所望の性能を生じさせることによる、材料の化学成分の改変、および微細構造形態学が伴う。一例として、ワイヤの長さにわたって特定のテーパを機械加工して、ワイヤの長さに沿って示差的な度合いの可撓性を生じさせることができる。したがって、その遠位端では、ワイヤは、脈管の形状に適合するのに十分な可撓性、および先端(「先端剛性」)への力、または病変を通って横断する力を伝達するための強度を有することになる。
【0008】
従来のガイドワイヤでは、テーパセグメントは、コイルを介してワイヤの遠位先端への力の伝達を可能にしながら、テーパを通って可撓性を可能にする、コイルまたはジャケット材料に封止される。以下に説明されるように、本発明のワイヤでは、ワイヤがコーティングまたはジャケットに被覆されていない場合であっても、管腔を掘削するための力が超音波エネルギーによって伝達されるため、そのようなコイルまたはジャケット材料は、必須ではない。
【0009】
血管内の処置で使用されるワイヤの長さは、それらのワイヤが動作する可能性が高いと思われる距離に応じて変動する。一例として、通常、750mm~最大900mmの長さのワイヤが、大腿骨または膝窩の解剖学的構造に導入され得るか、または同側の腸骨大腿膝窩および膝窩下動脈内の遮断物までトラックし、遮断物を通る必要がある多くの末梢用途で使用される。同側および冠状動脈の用途で使用されるワイヤの長さは、およそ1200mm、1500mm、または1700mmの長さである傾向がある。実際、反横方向に突き止められ得るワイヤの長さは、さらに長く、おそらく、2000mm~2250mmまたは2500mmもしくは3000mmであり得る。市場で最も一般的なワイヤ長は、1750mm、1950mm、および3000mmである。
【0010】
多くの例では、延長ワイヤを使用して、特定の治療装置の展開を容易にすることができる。この例では、ワイヤの近位端は、特定の特徴を必要とする場合がある。
【0011】
従来の多くの血管内ワイヤは、能動部品を備えない受動機械装置である。受動ワイヤは、臨床医によって加えられるエネルギー以外、何も伝達しない。それらの受動ワイヤは、それらの近位端が押し付けられ、引っ張られ、かつトルクを与えられることによって操作されて、閉塞部位にナビゲートされ、次いで、閉塞を通ってまたはその周りで押し付けられる。それらは、異なる解剖学的構造内の病変のアクセスおよび横断を容易にするために、および異なるデバイスのために、様々な構造および設計になっている。しかしながら、非常に多くの場合、閉塞は従来のワイヤが横断するには難しすぎる。これらの受動ワイヤは、その場合、ガイドワイヤが意図したようには機能しないか、または著しく石灰化されていることもある、ほとんどもしくは完全に閉鎖された閉塞を横断しようとするときには、制限される。受動ワイヤが閉塞の周りで突き止められる状況では、例えば、内膜下の状況では、そのようなワイヤは、真の管腔に再入させることにおいて不成功に終わることが多い。
【0012】
本発明は、閉塞を横断するための、ワイヤに沿って伝達された超音波振動の使用に関する。直径の小さいカテーテルおよびアセンブリに沿った超音波振動の伝達については、米国特許第3433226号明細書に開示されている。米国特許第5971949号明細書は、異なる構成および先端形状の導波路を介した超音波エネルギーの伝達について説明している。米国特許第5427118号明細書は、超音波ガイドワイヤシステムについて説明しているが、ワイヤの近位の形状、またはそれがどのようにオーバー・ワイヤ方法を介して後続のデバイスを容易にするかについては詳細に論じていない。
【0013】
現在の多くの単一トランスデューサシステムは、超音波によって活性化されるガイドワイヤではないが、代わりに、材料を激しく動かして焼灼するためのワイヤ部材を含む、超音波によって活性化されるカテーテルである。米国特許第6855123号明細書および米国特許第4979939号明細書に、そのようなシステムが説明されている。これらのカテーテル自体は、それらがナビゲートするのを助けるために別個のパッシブガイドワイヤを必要とし、したがって、遮断物を横断する別個のガイドワイヤを容易にするためのツールである。米国特許第9629643号明細書は、様々な遠位先端構成を有するシステムを示しているが、すべてアクセスのために別個のガイドワイヤが必要である。
【0014】
これらの装置は、血管再新生の代替方法を送達することを対象にし、アテローム切除装置、横断装置、または脈管調製装置として説明されることが多い。例外はわずかにあるが、それらの装置は、装置送達システムとして機能する目的で病変を横断することと同一であるとは見なされない。本技術では、これらの超音波装置および再疎通ワイヤ装置は、血管再新生を強化し、病変を形成する血小板を除去することによって病変を減量することによるアテローム切除術を提供するか、またはそれに影響を及ぼす。
【0015】
初期、その後、および現在の設計では、超音波発生器システムは、使用される音響効果のために大きくなり、複数の周波数を生成し、パルス波を制御するようにスケール変更された大きなユニットになっている。また、実用的有用性の考慮事項は、既知のシステムが一般に別個の要素を含むことを意味する。例えば、多くのシステムは、トランスデューサとは別個のユニットに収容される信号発生器を用いて設計されており、一部は、臨床環境でかなりのスペースを占める大型のトロリーユニット、コンソール、又はスタンドに取り付けられている。米国特許第6450975号明細書、米国特許出願公開第2008/0228111号明細書、および米国特許第9282984号明細書のすべてに、そのようなシステムが説明されている。
【0016】
超音波でアクティブ化されるカテーテルおよびワイヤシステムは、過去にアテローム切除術の方法として、および血管形成術治療のための脈管を準備するために考慮されてきている。いくつかの製品が過去に市販され、一部は引き続き市場に出回っており、いくつかの新しいシステムが最近市場に出ている。そのようなカテーテルおよびワイヤシステムは、超音波発生器および超音波トランスデューサを含む場合が多い。超音波発生器は、主電源を、その電圧振幅、電流、および周波数によって定義される超音波波形に変換する。超音波トランスデューサ、および多くの場合の増幅ホーンは、電気エネルギーを、振動の周波数および振幅によって定義される高周波の機械的振動に変換する。
【0017】
小さい直径のワイヤ導波管は、トランスデューサに直接、または任意のホーンを介して、その近位端において結合され、その機械的振動をワイヤの遠位先端に伝達する。これにより、ワイヤ導波管の遠位先端が、所望の振幅および周波数で振動することを引き起こし、材料を掘削し、最終的に身体全体にわたって脈管および解剖学的構造の血管再新生または再疎通を容易にすることを目的とする。遠位先端の近くの組織および材料は、先端の超音波による動きとその直接的な機械的剥離との組み合わせ、圧力波成分からの焼灼およびキャビテーション、ならびに先端の周りのゾーンから焼灼された材料を除去する音響ストリーミングによって影響を受ける。
【0018】
超音波によって活性化される既知の血管内ワイヤシステムでは、ガイドワイヤの近位端は、トランスデューサに接続される。国際公開第2020/094747号として公開された本発明者らの特許出願では、ワイヤは、トランスデューサを介して進み、そこから遠位に延在するだけでなく、近位にも延在する。これにより、ユーザが任意の所望の位置でトランスデューサをワイヤに結合し、ワイヤの遠位部分の全長を、それを切断する必要がなく、調整することが可能になる。ワイヤの遠位部分の調整可能な全長は、例えば、ワイヤ先端が患者の体内を移動する必要がある経路の予想される長さに適合するための実用的な目的に非常に有用であり得る。また、ワイヤの制御は、活性化ソースを調整または再接続している間、脈管の管腔内のその場でその配置を保持する際に増強される。さらに、ワイヤの長さの調整可能な遠位部分は、任意の所望の周波数で遠位先端における共振を達成および最適化するのに役立つ。
【0019】
超音波エネルギーを使用してワイヤを励振する場合、ワイヤの遠位先端における変位振幅を最大にして、病変を掘削することが望ましい。逆に、トランスデューサから近位に延在するガイドワイヤの場合、ワイヤのその近位部分の変位または動きを最小限に抑えることが望ましく、その近位部分は、患者の身体の外側にあり、実際に、活性化ユニットの近位側から自由に垂れ下がることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第3433226号明細書
【特許文献2】米国特許第5971949号明細書
【特許文献3】米国特許第5427118号明細書
【特許文献4】米国特許第6855123号明細書
【特許文献5】米国特許第4979939号明細書
【特許文献6】米国特許第9629643号明細書
【特許文献7】米国特許第6450975号明細書、
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/0228111号明細書
【特許文献9】米国特許第9282984号明細書
【特許文献10】国際公開第2020/094747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、先行技術に関連する1つ以上の欠点に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の概要
この目的を達成するために、血管内の障害物を横断するための血管内装置が提供される。この血管内装置は、細長い血管内ワイヤ、超音波トランスデューサ、および1つ以上の抑制特徴を備える。超音波トランスデューサは、細長い血管内ワイヤに機械的に結合または接触して、その遠位先端を超音波によって励振し、障害物を横断することを容易にする。1つ以上の抑制特徴は、細長い血管内ワイヤに機械的に結合されて、遠位先端から離れた特定の位置における、細長い血管内ワイヤの横方向の変位を減衰させる。例えば、抑制は、トランスデューサへの結合の近位に加えられるか、または引き起こされて、近位の波動伝達を減衰させ、その結合の遠位で、脈管系の外側に残るワイヤ部分の横方向の変位を抑制することができる。
【0023】
本発明による血管内装置を用いて、エネルギー効率のよい方法で、ワイヤの遠位先端における変位振幅を最大化することが可能である。最適な効率を得るためには、トランスデューサによって提供される電力の大部分が、ワイヤを通る長手方向の波動によって遠位先端に伝わることが重要である。したがって、ワイヤの横方向の振動によるエネルギーのどんな損失も、最小限に抑えられる。本発明による抑制特徴を用いて、そのような横方向の変位が低減され、血管内装置のエネルギー効率が改善される。ワイヤの破損に対する耐性もまた、改善される。
【0024】
本発明による血管内装置の一実施形態では、1つ以上の抑制特徴は、細長い血管内ワイヤに機械的に結合されて、超音波トランスデューサと遠位先端との間の1つ以上の位置において、細長い血管内ワイヤの横方向の変位を減衰させる。長手方向の変位への結合を改善し、横方向の変位を制限し、かつワイヤの寿命を改善しようと試みる場合、血管内ワイヤの遠位部分の横方向運動を抑制すること、すなわち、ワイヤがトランスデューサに結合されている場所から遠位に延在することにより、最良の結果をもたらすことが見出されている。この中で複雑にしている要因は、遠位部分の大部分が、患者の体内に挿入されていることである。しかしながら、以下に説明されるように、本発明者らは、装置の機能性を損なうことなく、かつ実際に増強することなく、ワイヤの遠位セクションが現れるトランスデューサ結合点の近くで、ワイヤの所望の抑制を達成する様々な方法を見出した。
【0025】
好ましい実施形態では、超音波トランスデューサは、トランスデューサハウジング内に含まれる。抑制特徴の少なくともいくつかは、トランスデューサハウジング内またはトランスデューサハウジングに提供することができる。他の抑制特徴は、トランスデューサハウジングの外側の細長い血管内ワイヤに機械的に結合することができる。ワイヤの長さに沿った個別の抑制場所において、選択的な抑制が存在し得る。
【0026】
好ましい実施形態では、超音波トランスデューサは、細長い血管内ワイヤが超音波トランスデューサから近位ならびに遠位に延在するように、その細長い血管内ワイヤに結合される。そのような実施形態では、1つ以上の抑制特徴は、細長い血管内ワイヤに機械的に結合されて、超音波トランスデューサの近位の1つ以上の位置において、細長い血管内ワイヤの横方向および/または長手方向の変位を減衰させることができる。
【0027】
血管内ワイヤの近位部分の長手方向および横方向の運動を抑制させることによって、そのような抑制特徴は、患者の身体の外側にあり、かつ実際に活性化ユニットの近位側から自由に垂れ下がり得るワイヤの端部の変位または動きを最小限に抑える。近位ワイヤ部分のそのような望ましくない横方向の運動を低減し、またはさらには回避することは、ユーザの安全を確保し、ワイヤ自体を含む、高価で敏感な機器に損傷を与えることを回避するために重要である。
【0028】
より一般的には、本発明は、任意の方向への、ワイヤの活性化の選択的または優先的な制御を可能にする装置を提供する。ワイヤは、導波路または波動送達システムとして使用することができる細長い血管内要素の一例である。例えば、その要素は、ワイヤおよびカテーテルの混成物とすることができる。特に、要素の近位部分、例えば、近位端からその要素の約1メートルの部分は、カテーテルまたはコーティングと似たように被覆されたワイヤを有する場合があり、その一方で、遠位端に向かって延在するその要素の遠位部分は、被覆されていないワイヤである場合がある。本発明のワイヤまたは他の要素は、全体的な波動送達システムの内部構成要素とすることができる。
【0029】
上記の遠位および近位の両方の抑制特徴の、多くの特定の実施形態、特に、トランスデューサの近位、および結合場所近くのトランスデューサの遠位の両方の抑制については、図を参照して、以下に説明される。いくつかのタイプの抑制特徴は、トランスデューサハウジングの内側に提供され、他のタイプの抑制特徴は、ハウジングの外側のワイヤ部分に沿って提供される。いくつかの抑制特徴は、主に、遠位または近位のワイヤ部分の横方向の運動を抑制するのに適しており、これに対して、他の抑制特徴は、ワイヤとトランスデューサとの間の結合の両端または両側で使用することができる。ワイヤに沿って、連続的な抑制、または選択的、段階的、もしくは断続的な抑制とすることができる。抑制はまた、1つ以上の個別の場所において、ワイヤに重量を追加することによっても達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
ここで、以下の添付図面を参照して、本発明の実施形態が、例として説明されるであろう。
【
図1】本発明による超音波ワイヤシステムの概略斜視図である。
【
図2】
図1に示された超音波活性化ユニットの長手方向断面の概略図である。
【
図3】
図2に対応するが、そのユニットのハウジング内のトランスデューサに結合された音響ホーンを示す。
【
図4】
図2に対応するが、そのユニットのトランスデューサからのガイドワイヤの横方向の出口を示す。
【
図5】
図4に対応するが、そのユニットのハウジング内のトランスデューサに結合された音響ホーンを示す。
【
図6】
図1に示された超音波活性化ユニットの変形例の長手方向断面の概略図であり、空気圧式作動による締め付けが動作可能である。
【
図7】本発明の超音波活性化ユニットの長手方向断面の概略図であり、そこでは、超音波対ワイヤコネクタ、および結合機構が、トルクを加えるためのコレットおよびばね式キャップを備える。
【
図8】
図7に示された遠位抑制器の代替構成を示す。
【
図9】トランスデューサの遠位にある凹部の内側の単一テーパコレットを示し、近位および遠位の抑制を伴う。
【
図10】トランスデューサの遠位にある凹部の内側の二重テーパコレットを示し、近位の抑制を伴う。
【
図11】近位ワイヤを抑制するためのハウジング内の内部特徴を示す、手持ち式超音波活性化ユニットの長手方向断面図である。
【
図12】近位ワイヤの活動を打ち消すための媒体を含む手持ち式超音波活性化ユニットの長手方向断面図である。
【
図14】ワイヤを係合および抑制するためのカム配置の端面図である。
【
図15】押しボタン式ワイヤ抑制機構を備える手持ち式超音波活性化ユニットの長手方向断面図である。
【
図16a】螺旋状ワイヤ抑制機構を備える手持ち式超音波活性化ユニットの長手方向断面図である。
【
図17】別のワイヤ抑制機構を備える手持ち式超音波活性化ユニットの長手方向断面図である。
【
図18】別のワイヤ抑制機構を備える手持ち式超音波活性化ユニットの長手方向断面図であり、そのワイヤ抑制機構は、ワイヤの再配置を可能にするために必要に応じて、取り外すことができる。
【
図19】ワイヤの近位励振を抑制するように配置された、長手方向に分割されたコレットの側面図である。
【
図20】取り付け場所マーカーの例を示すワイヤの概略図である。
【
図21】取り外し可能な遠位の安全具およびストレインリリーフ特徴と嵌合された、本発明の超音波活性化ユニットの斜視図である。
【
図22】処置中に使用する
図21の配置の長手方向断面図である。
【
図24】処置中に使用する
図21の配置を示す別の斜視図である。
【
図25】本発明を用いて使用するための保護シースの概略図である。
【
図26】近位抑制特徴を備える超音波活性化ユニットを示す。
【
図27】近位抑制特徴を備える、別の超音波活性化ユニットを示す。
【
図28】近位抑制特徴を備える、さらに別の超音波活性化ユニットを示す。
【
図29】血管内ワイヤを2つの点で締め付けるための近位および遠位ツイストロックを備える超音波活性化ユニットを示す。
【
図30a】血管内ワイヤの横方向の動きを低減するための突起の3つの配置を示す。
【
図30b】血管内ワイヤの横方向の動きを低減するための突起の3つの配置を示す。
【
図30c】血管内ワイヤの横方向の動きを低減するための突起の3つの配置を示す。
【
図31】超音波活性化ユニットの近位抑制器のさらなる例を示す。
【
図32】近位抑制特徴を備える、さらに別の超音波活性化ユニットを示す。
【
図33】遠位抑制特徴を備える超音波活性化ユニットを示す。
【
図34a】ワイヤの選択的または断続的な被覆または周囲を介して、選択的または断続的な抑制を提供する運動抑制ワイヤシースの3つの例を示す。
【
図34b】ワイヤの選択的または断続的な被覆または周囲を介して、選択的または断続的な抑制を提供する運動抑制ワイヤシースの3つの例を示す。
【
図34c】ワイヤの選択的または断続的な被覆または周囲を介して、選択的または断続的な抑制を提供する運動抑制ワイヤシースの3つの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面のうちの
図1は、本発明によるシステムの全体的な構成を示し、このようなシステムのいくつかの主要な構成要素を例示している。この例は、手持ち式超音波活性化ユニット2を特徴とし、これを通って、可撓性伝達部材が、血管内ワイヤ4の形態で、中心に位置合わせされて延在する。
【0032】
ワイヤ4は、患者の脈管系内に挿入および横断されて、その遠位端を病変の場所に持って行くことができる。患者の脈管系を横断するワイヤ4に抵抗する複雑な病変に遭遇すると、活性化ユニット2は、好適な長手方向の場所でワイヤ4に結合することができる。活性化されると、活性化ユニット2は、ワイヤ4に、かつワイヤ4に沿って超音波振動を伝達させ、ワイヤ4の能力を増強して、焼灼および他のメカニズムを介して病変を横断させる。それによって、ワイヤ4は、血管内の閉塞を通って横断するための横断ワイヤとしての役割を果たし、次いで、その場に残り、後続の治療装置を送達してその病変を治療するためのガイドワイヤとしての役割を果たすことができる。
【0033】
典型的には、ワイヤ4の長さは、例えば、2mを上回り、最大3mとすることができる。例えば、足の中または足を通って病変にアクセスするには、同側、反横方向、または半径方向のアプローチが選択されるかどうかに応じて、脈管系内では通常1200mm~2000mmの距離を移動するワイヤが必要であり得る。この点について、その先端における細いワイヤに遠位にテーパしているワイヤ4は、足動脈に、および背側動脈と足底動脈との間の足の土踏まずの周りにナビゲートすることができる。ただし、本発明は、足または他の末梢用途に限定されず、例えば、冠状動脈の用途に使用することができ、その場合、蛇行した小径の動脈にナビゲートしてその内部で掘削するワイヤ4の能力もまた、有益である。
【0034】
ワイヤ4の遠位セクションの直径は、ワイヤ4の可撓性、およびワイヤが通過することが意図されている解剖学的構造の形状に容易に適合するワイヤの能力を決定するであろう。したがって、例えば、蛇行した(足または冠状動脈の)解剖学的構造では、例えば、直径が、0.005インチ~0.007インチの適切な長さの遠位セクションは、適切な可撓性を、特定のニチノールの、閉塞性材料を掘削する能力と組み合わせる。
【0035】
活性化ユニット2は、ユーザ制御部6を含み、任意選択的に表示部も含む。活性化ユニット2は、ユーザがユニット2およびワイヤ4の中心長手方向軸の周りを回動させることができる遠位手動式トグル8をさらに含む。特に、活性化ユニット2は、ワイヤ4上でスライドすることができ、トルクを加えてトグル8を回動させることによって、長手方向に間隔を空けた複数の場所でワイヤ4に結合することができる。後の図面で示されるように、結合を生じさせるために、トグル8は、ワイヤ4を取り囲み、かつそれと同軸である、活性化ユニット2内のコレットなどの結合に作用する。トグル8が締められると、コレットは、ワイヤ4を把持して、任意選択的に、トランスデューサに結合されるか、またはそれと一体化している増幅器ホーンを介して、活性化ユニット2内の一体化された超音波トランスデューサから超音波エネルギーを伝達する。ワイヤ4は、いくつかの実施形態では、トランスデューサに直接結合することができ、その場合、ホーンは、省略することができる。
【0036】
トグル8は、ワイヤ4から活性化ユニット2を可逆的に解放する。それによって、様々な目的のために、様々な寸法、構成、または材料のワイヤ4を交換する準備が行われる。活性化ユニット2内のトランスデューサまたはホーンを交換する可能性もある。
【0037】
図1は、超音波信号発生器10が活性化ユニット2とは別個である分離された配置を示している。この例では、超音波信号発生器10は、コネクタケーブル12によって活性化ユニット2に接続されている。代替的な配置では、超音波信号発生器10は、活性化ユニット2のハウジングの中に組み込むことができる。
図1に示した例は、外部から電力供給される超音波信号発生器10を有し、したがって、外部の電力ソースに接続する電力ケーブル14を含む。代替的な実施形態では、内部バッテリーによって電力供給されてもよく、その内部バッテリーは、例えば、超音波信号発生器ユニット10の中、または活性化ユニット2の中に組み込むことができる。
【0038】
一般に、システムの構成要素は、ポータブル式が好ましく、手持ち式がさらに好ましい。それらの構成要素は、無線式、充電式、再利用可能、およびリサイクル可能であってもよい。電力または信号を搬送するための任意の外部ケーブル12、14は、スリップリングを介して結合されて、ケーブル12、14の自由な回転を可能にし、ワイヤ4との絡み合いを回避することができる。
【0039】
ここで、
図2~
図5に移動すると、これらの図面は、長手方向断面における活性化ユニットの様々な配置を示している。同様の数字は、同様の特徴に使用される。これらの例の各々において、活性化ユニット2は、外部から電力供給され、任意選択的に、ケーブル12を介して超音波信号とともに供給されるが、上述したように、自己内蔵型バッテリーで電力供給される変形例も可能である。
【0040】
図2は、ユニット2のハウジング18が超音波トランスデューサ20を収容していることを示し、その超音波トランスデューサは、中央ポートまたは管腔22によって貫通されて、ワイヤ4の貫通路を可能にしている。トランスデューサ20の遠位部分は、コレット24の係合を可能にするためのねじ切りセクションを有する。様々なコレットの概念が、後で説明されるであろう。ワイヤ4は、トランスデューサ20の全長を通って延在し、この例では、ハウジング18から近位に現れている。圧縮可能な制動リング45が、コレット24の近位に設けられて、ワイヤ4の近位部分の動きを最小限に抑えるのを助ける。この制動リング45は、ポリマーまたはポリマー混合物などの弾性材料(すなわち圧縮可能で、かつ弾力性がある)で作製することができる。
【0041】
図3は、音響ホーン26がトランスデューサ20の遠位面に取り付けられている本発明の別の実施形態を示している。これらのような音響ホーンを使用して、トランスデューサ20の遠位面からの変位を増幅することができる。この目的のために、図に示すように、ホーン26は、連続的なテーパ構成で、または階段状の構成で遠位にテーパすることができる。
【0042】
図3に示す例では、ワイヤ4は、コレット24を介して、ホーン26の遠位端または遠位面に結合されている。このホーン26は、超音波トランスデューサ20内の管腔22と位置合わせおよび連通する中央管腔22またはチャネルを有する。これにより、ワイヤ4がそれらの共通の長手方向軸に沿ってホーン26およびトランスデューサ20の中心を移動することが可能になる。
【0043】
図4は、
図2と類似の構成を示しているが、この場合、ワイヤ4は、超音波トランスデューサ20の全長の中心を通って横断しない。代わりに、ワイヤ4は、圧電セラミックスタック28と、コレット24が位置しているトランスデューサ20の遠位端または前部の塊30との間の場所で、トランスデューサ20から横方向に現れている。
【0044】
同様に、
図5は、
図3と類似の構成を示しているが、この場合、ワイヤ4は、超音波トランスデューサ20およびホーン26の全体の中心を通って横断しておらず、代わりに、コレット24と、トランスデューサ20の遠位面との間において、ホーン26の長さに沿った場所で、ホーン26から横方向に現れている。したがって、
図4および
図5では、ワイヤ4は、トランスデューサ20またはホーン26の中心の長手方向軸から鋭角で偏向して、トランスデューサ20またはホーン26の側面を通って横方向に出ていく。
【0045】
図2~
図5に例示された本発明の配置が、電気モータ、およびカムまたはスピンドルを使用し回転運動を直線運動に変換してワイヤの振動を駆動する先行技術とは異なることに留意されたい。代わりに、本発明は、圧電セラミックスタック28、ならびに前部および後部(または遠位および近位)の塊を含む超音波トランスデューサ20を使用する。これは、圧電セラミックスタック28の圧電効果を採用し、そこでは、電気エネルギーが、高周波の軸直線振動に変換される。
【0046】
さらに、先行技術とは異なり、本発明により、ワイヤ4が活性化ユニット2を通って延在し、さらにトランスデューサ20の遠位端に結合されることが可能になり、この表現は、任意選択的にトランスデューサ20の遠位端に結合することができる音響ホーン26を含む。先行技術は、超音波トランスデューサを使用する場合、ワイヤがトランスデューサの少なくとも遠位端の中心を通って移動するのを可能にすることに対応していない。本発明のこの特徴により、活性化ユニット2がワイヤ4に沿って移動され、次いで結合されて、ワイヤ4に沿って長手方向に間隔の空いた複数の場所のいずれかで、超音波エネルギーをワイヤ4に伝達することが可能になる。
【0047】
図6は、活性化ユニット2を示しており、これは、
図2に示した配置と同様であり、ワイヤ4の直線貫通路を可能にする中央管腔22を有する超音波トランスデューサ20を収容する。ただし、この場合、トランスデューサの遠位端は、ワイヤ4の係合および解放を可能にする空気圧式マイクロチャック32を含む。このチャック32は、斜めに間隔を空けた顎部、例えば、3つまたは4つの顎部を有し、これらは、ワイヤ4に直接、またはコレット24を介して作用して、一定の力を伴ってワイヤ4を締め付けおよび解放する。
【0048】
具体的には、チャックシステムの空気圧式活性化は、チャック32を、ワイヤ4上に、またはワイヤ4の周りに配設されたコレット24上に圧縮して、トランスデューサ20から発出する超音波エネルギーを結合するのに必要な圧力でワイヤ4を締め付ける。送気圧力を使用して、チャック32によって加えられる力を調整し、一定の必要な把持力を加えることができる。ソレノイドを使用して、ワイヤ4の捕捉および解放を制御し、ワイヤ4が活性化ユニット2に対して長手方向に移動または索引付けされることが可能になり得る。これにより、ワイヤ4をその場でロックすることが可能になり、調整された空気圧が変動する可能性を克服する。
【0049】
この例では、チャックと連通する圧縮空気送達ポートが分岐して、二次チャネルを画定する。この二次チャネルは、一般に活性化機構2を、また特に結合領域を冷却するための冷却空気流を提供する。
【0050】
図6に示した空気圧式チャック32の原理はまた、
図3~
図5に示したものと同様に、音響ホーン26を採用するか、または、ワイヤ4がトランスデューサ20もしくはホーン26から横方向に出ていく配置にも適用することができることが明らかであろう。簡潔にするため、この説明におけるトランスデューサ20への参照は、トランスデューサ20の前部もしくは遠位の塊30、またはトランスデューサの遠位面に取り付けられている音響ホーン26を指してもよく、したがって、事実上、トランスデューサ20の一体部分になることに留意されたい。
【0051】
次に、図面のうちの
図7を見ると、活性化ユニット2のハウジング18は、管状であり、超音波トランスデューサ20の前部の塊を同軸状に取り囲む。トランスデューサ20は、ハウジングの遠位端の近くまで遠位に延在する。この例では、ワイヤ4は、中央管腔22を介して、トランスデューサ20に沿ってかつそれを通って軸方向に延在するが、ワイヤ4は、代わりに、
図4および
図5のように、ハウジング18を横方向に出ていくことができる。また、
図3および
図5のように、トランスデューサ20の前部の塊は、音響ホーン26によって置き換えることができる。
【0052】
ハウジング18の遠位端は、トグル8によって閉鎖されている。トグル8は、ワイヤ4の中心長手方向軸の周りを回動することができ、また、ハウジング18内のばね42の遠位付勢に抵抗して近位方向の軸方向に押し付けることもできる。ばね42は、コイルばねなどの個別ばねであってもよく、または、ハウジング18および/もしくはトグル8に取り付けられているか、もしくはそれらと一体化した螺旋状部材などの弾力性形成部によって形成されてもよい。トグル8は、ここでは、トランスデューサ20の遠位端から離間したばね42によって付勢された遠位位置に示されている。より一般的には、コレット24に対するトグル8の回転および/または軸方向の動きは、カムまたはスプライン形成部によって誘導または決定することができる。
【0053】
トランスデューサ20の遠位端の遠位に開いた、近位にテーパ状のソケットまたは凹部44は、トランスデューサ20の管腔22と一直線になってワイヤ4を取り囲む、近位にテーパ状のコレット24を収容する。コレット24は、トランスデューサ20の遠位の凹部において、相補的な雌ねじと係合する雄ねじを有する。
【0054】
コレット24は、トランスデューサ20の凹部にねじ込まれ、次いで、トグル8を操作するユーザによって解放される。具体的には、ユーザは、最初、トグル8を近位方向の軸方向に押し付けてコレット24と係合させ、次いで、トグル8を回動させて、コレット24を、凹部内のねじ山に沿って近位に前進させ、したがって、コレット24を介してトランスデューサ20をワイヤ4と結合させる。ユーザによって解放されると、トグル8は、遠位に跳ね返って、コレット24から解除され、その結果、ワイヤ4に沿ったトランスデューサ20からの超音波エネルギーの伝達を妨げない。
【0055】
この目的のために、コレット24の遠位端部分は、トランスデューサ20の遠位端から遠位に突出する。トグル8がばね42の付勢に抵抗して近位に押されると、トグル8は、相補的な界面形成部を介して、コレット24の突出遠位端部分と係合する。トグル8とコレット24との間のこの係合により、トルクがトグル8からコレット24に伝達されることが可能になり、したがって、凹部内のねじ山に沿ってコレット24を近位に前進させる。
【0056】
このようにして、コレット24がトランスデューサ20の凹部にねじ込まれると、コレットの相補的な近位テーパ面、および凹部は、ワイヤ4に沿って締め付け力を分散し、かつポイント荷重を回避するように、コレット24に、ワイヤ4に対する締め付けを厳しくさせる。コレット24の材料の適切な選択と併せたこの締め付け方法は、優れた嵌合および超音波伝達を可能にする。トランスデューサ20およびコレット24のアセンブリ全体は、最適な共振応答のために調整される。
【0057】
ワイヤ4が活性化ユニット2から解放することができる場合、コレット24は、トグル8を再度近位に押し付けてコレット24と係合させ、次いでトグル8を反対方向に回動させて、トランスデューサ20の凹部内のねじ山に沿ってコレット24を遠位に引き戻すことによって、解放することができる。これは、ワイヤ4上のコレット24のグリップを弛緩させて、ワイヤ4を活性化ユニット2から引き抜くことができる。
【0058】
任意選択的に、
図7に示すように、内部抑制器46は、コレット24の近位端に配設することができる。この抑制器46は、
図2~
図5に示した制動リング45と機能上同様である。この例では、内部抑制器46は、トランスデューサ20の管腔22内のワイヤ4を取り囲む超弾性材料の環状カラーである。コレット24がトランスデューサ20の遠位の凹部にねじ込まれると、抑制器46は、軸方向に圧縮され、半径方向に厚くなり、したがって、ワイヤ4の周りで変形して、ワイヤ4に押し付けられる。それによって、抑制器46は、トランスデューサ20によって、コレット24を介して、ワイヤ4に分け与えられた超音波エネルギーの近位伝達を抑制または減衰させる。
【0059】
図7はまた、管腔22内のワイヤ4の周りに配設された任意選択可能な内部保護スリーブ48も示している。スリーブ48は、低摩擦で耐摩耗性の高い材料でできており、ワイヤ4を管腔22内の中心に位置決めし、トランスデューサ20の周辺壁からワイヤ4を遮蔽する。スリーブ48は、抑制器46と同様に、トランスデューサ20によってワイヤ4に分け与えられた超音波エネルギーの近位伝達に対する抑制または減衰効果を有する材料でできていることが好ましい。同様のスリーブ49、51は、コレット24の遠位部分、およびトグル8とワイヤ4との間に配設されて、ワイヤ4がコレット24から遠位に現れるときに、ワイヤ4を中心に位置決めおよび支持することができる。トグル8とワイヤ4との間のスリーブ51は、そこから部分的に遠位に延在することができる。トランスデューサ20とワイヤ4との間に設けられたスリーブ48と同様に、コレット24およびトグル8内に設けられたスリーブ49、51は、ワイヤ4に分け与えられた超音波エネルギーの近位伝達に対して抑制または減衰効果を有するように構成されることが好ましい。
【0060】
図7に示した別の任意選択の特徴は、トグル8がコレット24と係合すると、トグル8の外部と、コレット24との間で作用する、トグル8内のトルクリミッタ50である。このトルクリミッタ50は、例えば、ユーザによってトグル8に加えられたトルクが所定の限界を上回る場合に、トグル8および/またはコレット24の可撓性または弾性界面形成部の変形によって、トグル8をコレット24に対して滑らせる。これは、ユーザがあまりに多くのトルクをトグル8に加えることによってコレット24を締め付け過ぎることを防止し、さもなければ、コレット24が圧縮し過ぎ、したがって、過大な応力を与え、ワイヤ4の破損の危険にさらす可能性がある。
【0061】
図7に示したトグル8はまた、ワイヤ周辺の遠位テーパ形成部によってここに例示されているストレインリリーフ特徴も含む。この特徴は、ワイヤ4が活性化ユニット2のハウジング18からトグル8を通って現れる場合に、ワイヤ4のねじれおよび起こり得る過大応力負荷を軽減する。
【0062】
図8は、
図7に示した遠位抑制器のうちの2つの代替構成を示している。ここで、コレットベースのワイヤスリーブ49は、コレット24から部分的に遠位に延在し、トグルベースのワイヤスリーブ51は、トグル8から近位に延在する。このトグルベースのワイヤスリーブ51は、トグル8からも遠位に延在することができる。トグルベースのワイヤスリーブ51の近位端は、コレットベースのワイヤスリーブ49の遠位端を密閉し、好ましくは締め付け、その結果、両者の間に連続的な接続が得られ、活性化ユニット2の遠位抑制特性は、さらに改善される。あるいは、コレットベースのワイヤスリーブ49の遠位端は、トグルベースのワイヤスリーブ51の近位端を密閉するように構成することができ、同様の効果を有する。
【0063】
図9は、コレット24の近位端のみがテーパ加工されて、トランスデューサ20の遠位凹部44のベースにある相補的なテーパに着座する単一のテーパコレット24を示している。逆に、
図10は、コレット24の遠位端もまた遠位にテーパになっている二重テーパコレット24を示している。
【0064】
本発明で使用されるコレット24の主な目的は、ワイヤ4と、システムの残りとの間の優れた音響結合を達成することである。この点において、トランスデューサ20および結合方法は、調和して機能する必要がある。特に、トランスデューサ20は、任意選択的に音響ホーンを含む結合インターフェース構成要素を用いて、システムの駆動周波数で共振するように設計される。
【0065】
トランスデューサ20の形状および寸法は、システムがその動作共振周波数の近辺のままであることを確実にしながら、増幅利得を達成するように選択される。さらに、コネクタを収容するための、トランスデューサ20の遠位駆動面への任意の修正が、共振応答に関して考察および説明される必要がある。
【0066】
図9は、単一テーパの雄ねじ型コレット24で嵌合されたトランスデューサ20を示している。コレット24は、トルクがコレット24に加えられてコレット24を凹部44中に前進させるときに、トランスデューサ20の遠位端に相補的なねじ付きボアまたは凹部44内にワイヤ4を固定する。次いで、凹部44の近位ベースにある相補的なテーパが、コレット24を半径方向に圧縮して、ワイヤ4を把持する。
図4に示すように、コレット24が凹部44の中に完全に前進すると、コレット24の遠位端部分は、トランスデューサ20の遠位端から遠位に突出したままとなる。凹部44の近位端にある抑制器46、および
図7に示したコレットベースのスリーブ48と同様の抑制スリーブ48が、トランスデューサ20によってワイヤ4に分け与えられる超音波エネルギーの近位伝達を抑制または減衰させるために提供される。
【0067】
図10は、二重テーパコレット24およびキャップねじ54を用いて嵌合されたトランスデューサ20を示している。コレット24の近位テーパは、トランスデューサ20の遠位端面における、皿もみされた遠位凹部44で受容される。キャップねじ54は、同様に、コレット24の遠位端にあるテーパを受容および補完する。キャップねじ54に加えられたトルクは、キャップねじ54を前進させて、コレット24を長手方向に圧縮し、かつコレット24を半径方向に圧縮して、ワイヤ4を把持する。
【0068】
図7に示した配置と同様に、内部抑制器46が、コレット24の近位端でトランスデューサ20内に配設されている。この抑制器46は、トランスデューサ20の管腔22内のワイヤ4を取り囲む超弾性材料の環状カラーである。コレット24がトランスデューサ20の遠位凹部44に近位に強制されると、抑制器46は、軸方向に圧縮されて半径方向に厚くなり、したがって、ワイヤ4の周辺で変形されて、ワイヤ4に対して押し付けられる。それによって、抑制器46は、トランスデューサ20によって、コレット24を介して、ワイヤ4に分け与えられた超音波エネルギーの近位伝達を抑制または減衰させる。この配置、および
図7の配置では、複数の抑制器46または1つのより長い抑制器46は、トランスデューサ本体20内の長さにわたって展開することができる。
【0069】
図11は、活性化ユニット2のハウジング18内の内部抑制特徴を示しており、そこでは、トランスデューサ20から近位に現れているワイヤ4の部分が、蛇行した一連の屈曲部94を通過している。これらの曲がりくねった屈曲部94を通ってワイヤ4を誘導することは、超音波エネルギーを減衰させ、したがって、近位伝達を減少させる。ワイヤ4の近位部分はまた、高い摩擦係数を有する管96を通って延在することもできる。その場合、屈曲部94の効果により、ワイヤ4と、周辺の管96との間の摩擦力を増加させて、超音波エネルギーのさらなる減衰を引き起こす。ワイヤ4と、屈曲部94を画定する横方向ピン98などの特徴との間にもまた、摩擦が生じる。
【0070】
さらに、ワイヤ4の近位部分は、例えば、シリコーンなどの超弾性管材を通ってスライドさせることができ、その管材の内径は、ワイヤの外径以下である。この前者の可能性を例示するために、
図12および
図13は、
図6の空気圧式締め付け配置に対応するが、空気圧式マイクロチャック32の近位側のワイヤの周りに配設された抑制媒体100を示している。
【0071】
また、ワイヤ4の近位部分は、主なユーザトグル8とは独立しているか、またはそれに連結されている機構によって、積極的に締め付けられるか、または中心から外れて屈曲され得る。例えば、
図14は、ワイヤ4の近位部分が活性化ユニット2内のオフセットカム102間にどのように捕捉され得るかを示している。
図15は、活性化ユニット2内のワイヤ4の近位部分に対して半径方向に、内部方向に押し付けることができる押しボタン式抑制機構104を示している。この押しボタン式抑制機構104は、ワイヤ4上に圧力を加え、したがって、ワイヤ4の変位を抑制するように構成されている。
【0072】
図16aでは、活性化ユニット2のハウジング18は、近位キャップを備えるその近位端で抑制機構105と嵌合され、その抑制機構は、回動して、横方向にオフセットされた螺旋状形成部を、ワイヤ4の近位部分と抑制接触させることができる。
図16bは、抑制機構105を通る断面図を示している。
【0073】
図15および
図16aにおいて、ワイヤ4の近位部分が、ハウジング18から近位に延在するストレインリリーフ特徴によって取り囲まれており、これがまた、ワイヤ4の横方向の抑制にも影響を及ぼすことに留意されたい。
【0074】
図17は、近位振動の変動が、遠位トグル8を回動させるユーザによって、どのように自動的に達成することができるかを例示している。トグル8が回動すると、活性化ユニット2のハウジング内のガイドケーブル106が変位する。これにより、ばね式要素108が引っ張られ、そのばね式要素は、ワイヤ4の近位部分が延在する摩擦カラー110を介して、ワイヤ4のその部分上で作用する。ワイヤ4に対する摩擦力を増加させてその振動を抑制することによって、これにより、そうでなければ活性化ユニット2から近位に向けられるであろう超音波エネルギーが減衰する。他の実施形態では、摩擦カラー110は、電子的に制御することができる。次いで、同様の遠位トグル8を使用して、遠位トグル8と摩擦カラー10との間の電子的な結合を介して、摩擦力を調整することができる。
【0075】
図18は、ワイヤ4の近位部分が締め付けられて超音波振動を抑制することができる別の方法を示している。ここで、活性化ユニット2のハウジング18は、ハウジング18に沿って長手方向に延在するレバー112を支持する。このレバー112の近位端は、ばね114によって付勢されて、ワイヤ4の近位部分と抑制接触する。活性化ユニット2からワイヤ4を取り外したい場合、レバー112の遠位端は、押し下げられて、レバー112によってワイヤ4の近位部分に加えられた圧力を解放することができる。
【0076】
抑制特徴はまた、コレット24内に組み込むこともできる。例えば、
図19は、分割コレット24を示しており、そこでは、ワイヤ4の近位部分は、コレット24の対向する面内の対向するガイド形成部76によって画定された曲がりくねった経路に強制されている。具体的には、長手方向に互い違いに配置された突起76が、コレット24の対向する部分の間で交互に起こり、それらの間に起伏経路を画定する。突起76は、励振を効果的に抑制するための、順応性のある材料で作製することができる。
【0077】
図20は、トランスデューサまたはホーンの内腔が発泡体または弾性ポリマー材料を用いて注入されて、結合および活性化ユニットから近位に延在するワイヤの近位部分での活動をどのように打ち消すことができるかを示している。
【0078】
次に、
図21~
図24を見ると、これらの図面は、活性化ユニット2の遠位端から遠位に突出する剛性管176がワイヤ4の遠位部分を取り囲み、かつ保護する安全特徴を示している。管176の主な目的は、手持ち式活性化ユニット2が、処置中に患者に向かってはるか遠位に前進するのを防止することであり、すなわち、ワイヤ4が壊れた場合、ワイヤ4が患者の体内で紛失する危険があり得ることを防止することである。この管176は、ストレインリリーフおよび横方向の抑制をワイヤ4の遠位部分に提供するという二次的な利益を有する。
【0079】
特に、
図22に示すように、管176は、ユーザが活性化ユニット2をカテーテル入口ポート178の最後まで前進させるのを防止するスペーサとしての役割を果たし、このカテーテル入口ポートは、一般に当技術分野では「ルアー」と呼ばれる。管176の長さは、活性化ユニット2と入口ポート178との間に離隔距離を課す。管176の遠位端は、図に示すように、球状ないし拡大形状とすることができ、その管が入口ポートに入るのを防止する終端停止または挿入リミッタとして機能し得る。
【0080】
管176の長さは、ワイヤ4が壊れた場合でも、ワイヤ4のセクションが常に患者の体外に留まることを確実にする。具体的には、ワイヤ4が活性化ユニット2内のトランスデューサ20とのその結合点近くで破損した場合、ワイヤ4の長さは、少なくとも管176と同じ長さであり、通常、管176よりも多少長いが、常に入口ポート178の外側に留まるであろう。この場合、ワイヤ4と管176との管の摩擦は、ワイヤ4が管176に沿ってかつ患者の体内に遠位に滑り込むことを防止するのに役立つであろう。
【0081】
図23および
図24は、管176が、万一の破損時に、ユーザの指の間で半径方向に圧縮可能であるというさらなる特質を有して、管176内のワイヤ4を把持することができることを示している。これは、ユーザがワイヤ4の破壊された端部が患者の体内に引き込まれることを防止するのに役立つ。管176は、このようにして、その近位端、またはその長さに沿った任意の点で圧縮可能であり得るが、図に示すように、その遠位端またはその近くで圧縮可能であることが好ましい。
【0082】
有利なことに、管176はまた、活性化ユニット2から容易に取り外して、ワイヤ4にすばやくアクセスすることもできる。この目的のために、管176は、トグル8の遠位側から管176の近位端にある着脱可能なコネクタ180を解放することによって、活性化ユニット2の遠位端から容易に取り外し可能である。そこでは、管176は、例えば、ねじ切りまたは押し付け/引っ張り配置によって、活性化ユニット2から取り外すことができる。
【0083】
したがって、ユーザは、管176を強く締め付けて、破損したワイヤ4を把持することができ、次いで、ユーザは、ワイヤ4を依然として把持しながら、管176を活性化ユニット2から引き離して、ワイヤ4が患者の体外に留まることを確実にすることができる。
【0084】
ここで、続けて
図25に移動すると、これは、可撓性管状保護カテーテルまたはシース182を示している。処置の開始時に、シース182は、活性化ユニット2と、患者の身体に導入する入口ポート178を画定するルアーまたはイントロデューサとの間に延在するワイヤ4の遠位部分に沿ってかつその周囲に延在する。シース182の目的は、この長さのワイヤ4を取り囲み、かつ保護することであり、そうでなければ、患者の体内に前進する前に露出されるであろう。ワイヤ4は、緩いシース182を容易に通過することができ、一方、シース182は、ワイヤ4が、ワイヤ4を汚染するか、またはワイヤ4の振動を変更し、特に抑制する可能性のある、任意の材料に接触するようになることを防止することができる。
【0085】
シース182は、例えば、遠位脛骨または足部動脈内の閉塞を横断するために、長いワイヤ4を患者の体内に挿入しなければならない場合に、特に有用である。特に、管材182は、活性化ユニット2が代わりにワイヤ4に繰り返し締め付けられてワイヤ4から解放される場合のように、そのような実質的な長さのワイヤ4が、より短い動きの連続で断続的にではなく、単一の連続的な動きで挿入されることを支援する。
【0086】
したがって、イントロデューサ178の近くに保持されるのではなく、活性化ユニット2は、イントロデューサ178から遠く離れた場所でワイヤ4に結合され、したがって、ワイヤ4の全長を標的脈管内に導入する準備が整う。その結果、ユーザは、活性化ユニット2を、患者の身体から1メートル以上の近位場所でワイヤ4に単純に締め付けることができ、次いで、ワイヤ4の長いセクションを活性化し、単一の絶え間ない作用で体内に送達することができる。
【0087】
シース182は、活性化ユニット2およびワイヤ4の、イントロデューサ178への遠位の動きを妨げてはならない。したがって、シース182は、活性化ユニット2およびワイヤ4が遠位に前進するにつれて、その長さまたは蛇腹に沿って折り畳まれることができる。別のアプローチでは、ここに示すように、シース182は、その長さに沿って、長手方向のスリット184、溝チャック、または他のクロージャを有し、それは、長手方向に切れ目が入り、次いで、ワイヤ4から引きはがして、活性化ユニット2およびワイヤ4がシース182を通って遠位にともに前進するにつれて、隙間を与える。
【0088】
図26では、ワイヤ4の近位端の変位または動きが、ワイヤ4の近位部分を取り囲む可撓性管状スリーブ71によって軽減され、そこでは、その変位または動きは、活性化ユニット2のハウジング18から出ていく。この可撓性管状スリーブは、例えば、弾性ポリマー材料でできており、ワイヤ4に対して耐性があり、それによって、ワイヤの動きを抑制する。
【0089】
図27は、活性化ユニット2の同様の実施形態を示している。既に
図26に示したものに加えて、この実施形態は、可撓性管状スリーブ71をワイヤ71上に圧搾する締め付け具72をさらに含む。この締め付け具72は、スリーブ71に沿って、最良の抑制効果をもたらす位置まで、長手方向に移動可能とすることができる。
図28では、締め付け具72は、スリーブ71に沿って移動することもできるコレット73によっても置き換えられている。さらに、コレット73は、締め付け具が、管状スリーブ71、およびそれを通って延在するワイヤ4を締め付ける締め付け力を制御するように、適合されることができる。二重コレット73は、ワイヤを軸方向または長手方向に圧縮し、ワイヤ4を2つ以上の点で締め付けることができる抑制特徴を提供する。さらなる実施形態では、
図27の締め付け具72、および
図28のコレット73は、組み合わせることができる。
【0090】
図29では、活性化ユニット2は、ワイヤ4の近位部分の変位または動きを抑制するために、ワイヤ4の近位部分に対して締め付け、かつその近位部分を活性化ユニット2のハウジング18に結合させる近位ツイストロック74を備える。この近位ツイストロック74は、ワイヤ4を取り囲み、かつ近位ツイストロック74を動作させることによってしっかり締め付けられるコレット74aまたは管状スリーブを備えることができる。それに加えて、活性化ユニット2は、トランスデューサをワイヤ4の遠位部分に結合するコレット75aを備えた同様の遠位ツイストロック75を備えることができる。ツイストロック74、75のどちらか一方または両方、ただし、好ましくは、少なくとも遠位ツイストロック75は、
図1、および上記の他の図のうちの多くに開示されたように、ユーザトグル8と組み合わせることができる。次いで、そのようなユーザトグル8は、同じ長手方向軸の周りで、ツイストロック74、75とは独立して回転可能であるように構成されるであろう。別の機構、または操作者は、ロックする前にワイヤ4を張力または圧縮下に置くか、またはロックする前にワイヤ4をニュートラルの状態のままにすることができる。
【0091】
図30a、30b、および30cは、ワイヤ保持形成部76の3つの異なる配置を示しており、それらの配置は、活性化ユニット2のハウジング18の内側に、好ましくは少なくともその近位端に設けることができるため、ワイヤ4を堅固に保持し、それによって、ワイヤの近位部分の変位または動きを減衰させることができる。これらのワイヤ保持形成部76は、すでに
図19に示したように、コレット24の内側に、またはワイヤ4を取り囲み、かつハウジング18の内側に堅固に取り付けられた任意の他の要素に提供することができる。ワイヤ保持形成部76は、ばね付勢されることが可能であり、ワイヤ4の近位部分に対して耐性があり、その近位部分の振動を抑制する。
図30aでは、4つのワイヤ保持形成部76がともに、ワイヤ4との2つの接触点を提供している。
図30bでは、3つのワイヤ保持形成部76が、3つの接触点を提供している。
図30cでは、3つのワイヤ保持形成部76は、ワイヤ4が、
図19に示した経路と同様に、長手方向に互い違いに配置された接触点を通って曲がりくねった経路を採るように配置されている。
図30a、30b、および30cに示された配置の組み合わせおよび変形は、当業者にとって明らかであろう。
図11の実施形態では、同様の配置が、横方向ピン98について使用することができることにさらに留意されたい。
【0092】
図31の実施形態では、ハウジング18を通って延在する中央ポート22の近位端に押し込むことができ、かつそのハウジングを通って延在するワイヤ4の近位部分に対して耐性がある、弾性プラグ77またはグロメットが設けられている。このプラグ77は、ワイヤ4が延在する中央ポート22の開口部内にしっかりと嵌合されるように設計されている。好ましくは、プラグ77は、ゴム、または異なるが同様の成形可能および/もしくは弾性材料でできている。プラグ77を中央ポート22に押し込むと、弾性プラグ77が圧縮され、かつワイヤ4が締め付けられ、それによって、ワイヤ4の近位部分の横方向の動きをさらに抑制する。
【0093】
図32では、管状の可撓性メンブレン78が、ハウジング18の中央ポート22内に設けられている。この管状の可撓性メンブレン78は、チャンバと連通する、ハウジング18内のポート79を介して流体圧力を印加することによって、拡張または膨張させることができる環状チャンバを画定する。ポート79は、外部流体リザーバに接続され得、ポンプが、流体を管状可撓性メンブレン78にポンプ注入して、メンブレン78をワイヤ4の近位部分に対して半径内部の方向に押し付けて、ワイヤ4のその部分の振動を抑制することができる。流体圧力が緩和されると、可撓性メンブレン78は、収縮し、中央ポート22は、再度開き、それによって、ワイヤ4の調整、挿入、または取り外しのための、活性化ユニット2に対するワイヤ4の動きが可能になる。この流体は、水などの、任意のタイプの液体であってもよい。あるいは、流体は、空気であってもよく、その場合、メンブレン78は、空気圧で動作する。
図32に示したポート79は、外部の流体リザーバに接続するように配置されているが、代替的な実施形態は、ハウジング18内に一体化されている流体リザーバを使用することができる。
【0094】
上記の実施形態のほとんどは、主にユーザの安全のため、ならびに高価で敏感な機器、および実際にはワイヤ自体の損傷を回避するために、ワイヤ4の近位端の動きを抑制するための手段を示している。しかしながら、特定のワイヤの動きの抑制はまた、活性化ユニット2の遠位端においても望ましい場合がある。適切な遠位抑制は、途中でワイヤ4の横方向の動きにエネルギーを不必要に失うことなく、主に長手方向の波動によりトランスデューサからワイヤ4の活性遠位先端部分にエネルギーを輸送することによって、血管内装置の効率および有効性を高める。
【0095】
図33は、ワイヤ4の遠位抑制を達成することができる1つの方法を示している。この図では、薄いシース81が、活性化ユニット2のハウジング18の遠位端から現れて、ワイヤ4の遠位部分の横方向振動を抑制するワイヤ4の一部分を取り囲んでいる。シース81の外径は、そのシースが、ワイヤ4を支持するカテーテル内に嵌合されることを可能にするのに、十分小さい。一実施形態では、シース81は、塗装された層などの、ワイヤ4のコーティングとして実現することができる。
【0096】
図34a、34b、および34cは、近位および/または遠位の抑制を提供するように構成されたカテーテルまたはシースの3つの変形例を提供する。これらのシースの各々は、
図33を参照してすでに説明されたように、個別のスリーブとすることができる。そのような個別のスリーブは、ワイヤ4の周りに堅固または緩慢に嵌合することができる。あるいは、シースは、ワイヤ4上にコーティングまたは塗布することができる。シース、スリーブ、またはコーティングは、
図34aに示されるような連続シース82、
図34bに示されるような螺旋または螺旋状シース83、または
図34cに示されるような不連続もしくは階段状シース84とすることができる。シースは、その長さに沿って切り欠きのある窓を有する場合がある。したがって、選択的または断続的な抑制は、ワイヤ4の選択的または断続的な被覆または周囲を通じて達成することができる。断続的な被覆は、ワイヤの外径よりも大きい外径の個別のセクションを作成することができる。
【0097】
シース82、83、84のすべては、ワイヤ4の重量および慣性を増加させ、それによって、ワイヤ4の被覆部分の動きを制限するという効果を有する。ワイヤ4の変位が不連続または窓付きシースの抑制壁セクションと一致する場所でその最大値になる場合、
図34cに示すように、これは、ワイヤ4の抑制運動にプラスの影響を与えることができる。
【0098】
ワイヤの遠位端において、シースは、その近位端よりも薄くてもよく、その結果、ワイヤ4の遠位部分は、ワイヤ4を支持するカテーテル内に嵌合することができる。ワイヤに沿って活性化ユニット2を並進させる可能性を維持するために、近位端のシースは、ワイヤ4に沿って移動可能であり得る。あるいは、被覆のセクションは、必要に応じて、取り外し可能であるように構成されている。一実施形態では、同じコーティングまたは塗布された被覆は、ワイヤ4全体に沿って提供され得、取り外し可能または移動可能な追加の被覆は、近位端においてのみである。
【0099】
図35aおよび
図35bは、遠位抑制機構の変形例を示し、そこでは、レバー85が、ハウジング18に対して枢動可能であり、ハウジング内のトランスデューサ20の音響ホーン26から遠位に突出しているワイヤ4に対して持ちこたえている。このレバー85は、ホーン26と、ハウジング18の遠位端との間のハウジング18内に配設されたワイヤ4の一部分に対して持ちこたえている。ワイヤ4の周りのストレインリリーフ特徴は、ハウジング18のその端部から遠位に延在している。レバー85は、
図35aに示すように直接的に、または、
図35bに示すように、レバー85とワイヤ4との間に介在された中間パッド86を介して間接的に、ワイヤ4に対して持ちこたえている。
【0100】
上記の様々な実施形態の多くの特徴は、それらの特定の実施形態のみに限定されるものではないことに留意されたい。当業者は、これが技術的に可能であり、実用的な観点から意味をなす場合は必ず、1つの実施形態からの特徴を、他の実施形態の特徴と組み合わせることができるであろう。
【国際調査報告】