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特表2023-501348バルーンアセンブリおよびそれを含む医療機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】バルーンアセンブリおよびそれを含む医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20230111BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20230111BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61M25/10 510
A61M25/10 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526041
(86)(22)【出願日】2020-08-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2020108088
(87)【国際公開番号】W WO2021103650
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911164659.X
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010525747.4
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522176469
【氏名又は名称】啓維医療技術(深▲せん▼)有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Qiwei medical technology (Shenzhen) Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Room 1419, building 1, shuimuyifang building, No. 286, Nanguang Road, dawangshan community, Nantou street, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong, 518052, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丁 海雁
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD55
4C160DD65
4C160DD66
4C160MM33
4C267AA08
4C267AA09
4C267AA74
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB06
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB28
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267BB63
4C267CC19
4C267GG02
4C267GG07
4C267GG23
4C267GG34
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
バルーンアセンブリおよびそれを含む医療機器を提供し、バルーンアセンブリは、バルーンカテーテル(1)と、バルーンカテーテル(1)に設けられたバルーン(2)とを含み、バルーン(2)は、縦方向に前端部(22)および後端部(23)を有し、前端部(22)と後端部(23)とのうちの少なくとも一方の外面には医薬組成物(4)が設けられており、該医薬組成物(4)が塗られたバルーンアセンブリは、従来の機器と組み合わせて瘻孔を処置すると、心房中隔瘻孔を持続的開放可能とし、心房中隔瘻孔が短期間内に自然に閉鎖することを防止し、心臓の前負荷を長期的に低下させて、心不全を治療するような効果を果たす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンアセンブリであって、
バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、縦方向に前端部および後端部を有し、前記前端部と後端部との少なくとも一方の外面には医薬組成物が設けられている、バルーンアセンブリ。
【請求項2】
前記前端部と後端部とのうちの一方だけの外面に前記医薬組成物が設けられている、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項3】
前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項4】
前記バルーンは前記バルーンカテーテルの前部に設けられ、バルーンカテーテル前端からのバルーン前端の距離は約5~20mmである、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項5】
医薬組成物が設けられた外面において、半径が2mmよりも大きい部分だけに前記医薬組成物が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物が設けられていない、請求項1または2に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項6】
医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面が、凹弧形状、アーチ形状、楕円弧形状、放物線形状、直線形状、折線形状、不規則な曲線形状、またはこれらの2種もしくは複数の組み合わせである、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項7】
前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項8】
前記バルーンの拡張時の径方向サイズは、6~25mm、例えば8~20mm、10~20mm、12~20mm、14~20mm、16~20mm、18~20mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項9】
前記バルーンはノンコンプライアントバルーン、コンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンである、請求項1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む、医療機器、特に経皮心房中隔造瘻術による介入療法に用いられる医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術分野に関し、特に、大幅変径部分に薬物が塗られたバルーンアセンブリおよびそれを含む医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
心房中隔造瘻術は小児先天性心臓病、肺動脈高圧末期患者においてすでに成熟した技術である。拡張機能不全心不全およびPCWPが持続的に上昇する収縮機能不全患者に応用する場合にも、顕著な効果が得られたが、臨床上で正式に行っていなかった。現在の研究により、心房中隔造瘻後、瘻孔にステントを留置するか否かにかかわらず、瘻孔は6ケ月後に自然に癒合し、結果として手術効果が大きく低下することを発見した。そのため、どのように瘻孔が短期間内に自然に閉鎖することを避けるかは心房中隔造瘻術の最終的な治療効果を実現するキーポイントである。
【発明の概要】
【0003】
心臓薬物コーテッドバルーンは、パクリタキセルがコーティングされた専用バルーンを植え込むことで血管壁に薬物を均一に分布させることにより、血管内皮や平滑筋の過形成を抑制し、再狭窄を予防する新技術である。心臓薬物コーテッドバルーンはステントを植え込まずに血管狭窄の問題を解決することができ、新しい治療方法である。しかし、現在の薬物コーテッドバルーンはすべて冠動脈、末梢大血管内皮の過形成を予防するために設計されており、特に厚さ2~3mmの心房中隔瘻孔の癒合に対応するバルーンは存在しない。
【0004】
本出願は、薬物送達用バルーンアセンブリを開示し、従来の機器と組み合わせて瘻孔を処置すると、心房中隔瘻孔を持続的開放可能とし、心房中隔瘻孔が短期間内に自然に閉鎖するという問題を解決し、心臓の前負荷を長期的に低下させて、心不全を治療するような効果を果たす。
【0005】
本出願で開示された技術的解決手段は下記の実施形態を含む。
【0006】
実施形態1、バルーンアセンブリであって、バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、縦方向に前端部および後端部を有し、前記前端部と後端部との少なくとも一方の外面に医薬組成物が設けられる。
【0007】
実施形態2、前記前端部と後端部とのうちの一方だけの外面に医薬組成物が設けられる、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
【0008】
実施形態3、前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
【0009】
実施形態4、前記バルーンは前記バルーンカテーテルの前部に設けられ、バルーンカテーテル前端からのバルーン前端の距離は約5~20mmである、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
【0010】
実施形態5、医薬組成物が設けられた外面において、半径が2mmよりも大きい部分だけに前記医薬組成物が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物が設けられていない、実施形態1または2に記載のバルーンアセンブリ。
【0011】
実施形態6、医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面が、凹弧形状、アーチ形状、楕円弧形状、放物線形状、直線形状、折線形状、不規則な曲線形状、またはこれらの2種もしくは複数の組み合わせを有する、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
【0012】
実施形態7、前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
【0013】
実施形態8、前記バルーンの拡張時の径方向サイズは、6~25mm、例えば8~20mm、10~20mm、12~20mm、14~20mm、16~20mm、18~20mmである、実施形態1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【0014】
実施形態9、前記バルーンはノンコンプライアントバルーン、コンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンである、実施形態1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【0015】
実施形態10、実施形態1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む医療機器、特に経皮心房中隔造瘻術による介入療法に用いられる医療機器。
【0016】
実施形態11、バルーンアセンブリであって、バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、十分に拡張させたときに、縦方向の中央部に窪み領域を有し、前記窪み領域の外面に医薬組成物が設けられている。
【0017】
実施形態12、前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している、実施形態11に記載のバルーンアセンブリ。
【0018】
実施形態13、前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む、実施形態11に記載のバルーンアセンブリ。
【0019】
実施形態14、前記バルーンの拡張時の径方向サイズは、6~25mm、例えば8~20mm、10~20mm、12~20mm、14~20mm、16~20mm、18~20mmである、実施形態11~13のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【0020】
実施形態15、前記窪み領域の最小径方向サイズは、6mm未満、例えば5mm以下である、実施形態14に記載のバルーンアセンブリ。
【0021】
実施形態16、前記窪み領域の外面において、半径が2mmよりも大きい部分だけに前記医薬組成物が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物が設けられていない、実施形態15に記載のバルーンアセンブリ。
【0022】
本出願で開示された技術的解決手段はさらに、下記態様を含む。
【0023】
態様1、薬物送達用バルーンアセンブリであって、バルーンカテーテルと、カテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、十分に拡張させたときに、縦方向断面が凹弧形状輪郭を有する。いくつかの態様では、前記凹弧形状輪郭を有する領域の外面に医薬組成物または医薬組成物層が設けられる。前記医薬組成物層の厚さが、1μm~100μm、例えば10~75μmである。
【0024】
態様2、前記凹弧形状輪郭は、バルーンの縦方向前部、縦方向後部および縦方向中央部のうちの少なくとも1つに形成される、態様1に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。
【0025】
態様3、前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している、態様1に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。
【0026】
態様4、前記バルーンは前記バルーンカテーテルの前部に設けられ、バルーンカテーテル前端からのバルーン前端の距離は約5~20mmである、態様1に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。
【0027】
態様5、前記凹弧形状輪郭は、バルーンの縦方向前部および/または縦方向後部に形成され、前記凹弧形状輪郭は、径方向におけるバルーンカテーテル接近部からバルーンの径方向中央部までである、態様1に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。
【0028】
態様6、前記バルーンの縦方向サイズは、その径方向サイズの2/3以下(1/2以下)であり、これにより、前記バルーンが折り畳まれたときに、前記凹弧形状輪郭を有する領域の大部分が内部に折り畳まれ、前記バルーンアセンブリの押し込みにおける薬物の損失を回避する、態様1に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。
【0029】
態様7、前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む、態様1に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。前記医薬担体は親水性医薬担体を含む。
【0030】
態様8、前記バルーンアセンブリは2つのバルーンを含み、一方のバルーンの前記凹弧形状輪郭はバルーンの縦方向前部に形成され、他方のバルーンの前記凹弧形状輪郭はバルーンの縦方向後部に形成される、態様1~7のいずれか1項に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。
【0031】
態様9、前記バルーンはノンコンプライアントバルーン、コンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンである、態様1~8のいずれか1項に記載の薬物送達用バルーンアセンブリ。
【0032】
態様10、態様1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む、医療機器、特に経皮心房中隔造瘻術による介入療法に用いられる医療機器。
【0033】
本出願で開示された技術的解決手段はさらに、下記例を含む。
【0034】
例1、バルーンアセンブリであって、バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンの展開時の外面には少なくとも1つの大幅変径部分を有し、前記変径の部分のうちの少なくとも1つに医薬組成物が設けられる。
【0035】
例2、前記直径可変部分の1つにのみ前記医薬組成物が設けられている、例1に記載のバルーンアセンブリ。
【0036】
例3、前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、中前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している、例1に記載のバルーンアセンブリ。
【0037】
例4、前記バルーンは前記バルーンカテーテルの前部に設けられ、バルーンカテーテル前端からのバルーン前端の距離は約5~20mmである、例1に記載のバルーンアセンブリ。
【0038】
例5、医薬組成物が設けられた直径可変部分において、半径が2mmよりも大きい領域にのみ前記医薬組成物が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物が設けられていない、例1または2に記載のバルーンアセンブリ。
【0039】
例6、医薬組成物が設けられた前記直径可変部分は前記バルーンの前端面、後端面または中央部であり、前記直径可変部分の縦方向断面が、凹弧形状輪郭、アーチ形状、楕円弧形状、放物線形状、直線形状、折線形状、不規則な曲線形状、またはこれらの2種もしくは複数の組み合わせを有する、例1に記載のバルーンアセンブリ。
【0040】
例7、前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む、例1に記載のバルーンアセンブリ。
【0041】
例8、前記バルーンの拡張時の径方向サイズは、6~25mm、例えば8~20mm、10~20mm、12~20mm、14~20mm、16~20mm、18~20mmである、例1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【0042】
例9、前記バルーンはノンコンプライアントバルーン、コンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンである、例1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【0043】
例10、例1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む、医療機器、特に経皮心房中隔造瘻術による介入療法に用いられる医療機器。
【0044】
例11、心房中隔瘻孔の処置方法であって、例1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリのうち前記医薬組成物が設けられた直径可変部分を心房中隔瘻孔と接触させることで、心房中隔瘻孔およびその周辺へ薬物を送達する。
【0045】
例12、心房中隔瘻孔の処置方法であって、例1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリのうち前記医薬組成物が設けられた直径可変部分を心房中隔瘻孔の両側と接触させることで、心房中隔瘻孔およびその両側の周辺へ薬物を送達する。
【0046】
本出願の技術的解決手段は、従来の機器(例えばカッティングバルーンなど)と組み合わせて瘻孔を処置すると、心房中隔瘻孔およびその周辺部分へ薬物を送達することができ、特に心房中隔瘻孔を持続的開放可能とし、心房中隔瘻孔が短期間内に自然に閉鎖するという問題を解決し、心臓の前負荷を長期的に低下させて、心不全を治療するような効果を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本開示実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本開示のいくつかの実施例にかかるものに過ぎず、本開示を制限するものではない。
図1】実施例1の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図2】実施例1の前記バルーンアセンブリの前端部に医薬組成物が設けられたときの模式図を示す。
図3】実施例2の前記バルーンアセンブリの後端部に医薬組成物が設けられたときの模式図を示す。
図4】実施例4の前記バルーンアセンブリの前端部に医薬組成物が設けられたときの模式図を示す。
図5】実施例5の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図6】実施例6の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図7】実施例7の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図8】実施例8の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図9】実施例9の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図10】実施例10の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図11】実施例11の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図12】実施例11の前記バルーンアセンブリの折り畳み形態の模式図を示す。
図13】実施例11の前記バルーンアセンブリの凹弧形状輪郭への薬物塗り模式図を示す。
図14】実施例12の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
図15】実施例12の前記バルーンアセンブリの折り畳み形態の模式図を示す。
図16】実施例14の前記バルーンアセンブリの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示の実施例の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照して、本開示の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明する実施例は本開示の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。当業者が、説明する本開示の実施例に基づいて、創造的な努力を必要とせずに得る全ての他の実施例は、本開示の特許範囲に属する。
【0049】
本出願では、以下の用語は特定の意味を有する。
【0050】
本出願では、カテーテルに沿った方向は「縦方向」、カテーテルに垂直な方向は「径方向」として定義され、バルーンは主として径方向に沿って拡張する。
【0051】
本出願では、使用の際に最初に処置対象領域に到達する部分は「前」として定義され、「前」と反対する方位は「後」として定義される。
【0052】
本出願では、「端」、「部」、および「端部」は、バルーンおよびバルーンカテーテルの様々な部位を表し、このうち、「端」とは、特定の1つの端点または端面、「部」は一定の範囲にある領域、「端部」は端面における一定の範囲内の領域を表す。
【0053】
例えばバルーンカテーテルの「前端」とは、操作の際に最初に処置対象領域に到達する前記バルーンカテーテルの端点または端面を指し、一方、バルーンの「前端」とは、操作の際に最初に処置対象領域に到達する前記バルーンの端点または端面を指す。
【0054】
例えばバルーンカテーテルの「前部」とは、操作者に対して遠位端となる前記バルーンカテーテルの一定の範囲を指し、バルーンの「縦方向前部」、「縦方向中央部」、「縦方向後部」は、順次、前記バルーン本体において前記バルーンカテーテル方向における操作者に対する遠位端から近位端までの一定の範囲内の3つの領域を指し、例えば前部は前部の1/4、後部は後部の1/4、中央部は前部の1/4と後部1/4との間を指す。
【0055】
例えばバルーンの「前端部」とは、操作の際に最初に処置対象領域に到達する前記バルーンの端面、即ち、バルーン前端点からバルーンが拡張する径方向の最遠位端点までの範囲内の領域を指す。バルーンの「後端部」とは、「前端部」と反対する部位、即ち、バルーンが拡張する径方向の最遠位端点からバルーン後端点までの範囲内の領域を指す。
【0056】
本出願では、特に明示していない、または文脈からそれ以外の定義が得られない限り、各用語は当該分野で一般的に理解する意味である。
【0057】
本出願は、大幅変径部分薬物塗りバルーンアセンブリおよびそれを含む医療機器を開示し、本出願では、「大幅変径部分」とは、バルーンが展開したときに、その外面の径方向のサイズが、縦方向のサイズの変化に応じて顕著に変化する領域を指し、例えば、縦方向のサイズに対する径方向のサイズの変化の変化率が、0.1よりも大きく、0.2よりも大きく、0.3よりも大きく、0.5よりも大きく、0.6よりも大きく、0.7よりも大きく、0.8よりも大きく、0.9よりも大きく、1よりも大きいなどである。一般には、本出願では、「大幅変径部分」はバルーンの前端部および後端部、バルーンの縦方向中央部の窪み領域のうちの1つまたは複数を含む。
【0058】
本出願の一態様は、バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、縦方向に前端部および後端部を有し、前記前端部と後端部との少なくとも一方の外面に医薬組成物が設けられる、端部薬物塗りバルーンアセンブリを開示する。これにより、前記端部が心房中隔瘻孔およびその周辺の領域と接触すると、薬物は処置対象領域に直接作用し、瘻孔へ薬物を簡便に投与し、良好な処置効果を果たす。本出願では、前記バルーンカテーテルの長さは当該分野で一般的なパラメータを採用し、前記バルーンカテーテルの直径は一般に1.8F~2.0Fであるが、いくつかの場合、1.0F~6.0Fの範囲内で選択してもよい。ここでの単位Fは当業者が通常理解する意味であり、1Fはカテーテルの周長が1mmである、1.8Fはカテーテルの周長が1.8mmである、2.0Fはカテーテルの周長が2.0mmであることを表す。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記前端部と後端部とのうちの一方だけの外面に医薬組成物が設けられる。バルーンが心臓内で拡張したときに、1つだけの端部の外面に薬物が担持されており、この薬物担持端部は瘻孔に作用し、2つの端部の外面のいずれにも医薬組成物が設けられる場合に比べて、このような構成では、薬物放出量を最大限に減らし、毒性や副作用を低減させることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している。ガイドワイヤ貫通孔が設けられることによって、前記バルーンカテーテルは、ガイドワイヤによりガイドされながら、ガイドワイヤに沿って選択された処置対象領域に到達して治療を施すことができる。加圧液体チャネルは前記バルーンへ加圧液体を注入または抽出するものであり、前記バルーンが目的領域に到達すると、前記加圧液体チャネルへ加圧液体を注入し、前記バルーンは液体圧力の作用を受けて拡張させられ、成薬物送達処置が終了した後、加圧液体を抽出し、前記バルーン内で負圧が生じ、前記バルーンの収縮や折り畳まれは負圧の作用下で行われる。通常、位置を正確に特定するために、前記バルーンの内部にはマーカー(標識材料)がさらに設けられ、前記マーカーは、外部機器によって患者体内での前記バルーンの位置を検出することに寄与する。本出願では、バルーンの位置マーカーの選択には特に制限がなく、バルーン位置を正確に特定すればよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記バルーンは前記バルーンカテーテルの前部に設けられ、バルーンカテーテル前端からのバルーン前端の距離は約5~20mmである。
【0062】
いくつかの実施形態では、医薬組成物が設けられた外面において、半径が2mmよりも大きい部分だけに前記医薬組成物が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物が設けられていない。ここで、前記「半径が2mmよりも大きい部分」とは、前記前端部および/または後端部の特定の外面領域を指し、この特定の外面領域内のいずれか1つの点からカテーテルの中心線までの垂直方向距離は2mmよりも大きい。医薬組成物はこの特定の外面領域にのみ設けられ、この特定の外面領域は処置対象瘻孔の薬物送達領域と重なり、最大限に接触し、これにより、薬物の送達効率が向上し、薬物が全て瘻孔に作用し、最少量の薬物塗りが実現され、非目的領域への薬物放出による毒性が低減する。なお、上記の医薬組成物の塗布範囲は本発明で開示されたバルーンの端部薬物塗り範囲を限定するものではなく、当業者であれば、必要に応じて医薬組成物を設けるのに適切な範囲を選択することができ、例えば、瘻孔の直径に応じて適切な端部外面の薬物塗り半径の範囲を選択し、例えば2.5mmよりも大きく、3mmよりも大きく、3.5mmよりも大きく、4mmよりも大きくする。心房中隔造瘻による介入療法では、3つの面にブレードが固定されたカッティングバルーンの場合、瘻孔の拡張直径が約5mmであり、他のバルーンと組み合わせると最大で12mmに達し、先天性心疾患の臨床経験によれば、瘻孔直径が約5~8mmであると、必要なサイズが満たされ、左心房圧が効果的に低下し得る。
【0063】
医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面の形状には特に制限がなく、いくつかの実施形態では、医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面が、凹弧形状輪郭、アーチ形状、楕円弧形状、放物線形状、直線形状、折線形状、不規則な曲線形状、またはこれらの2種もしくは複数の組み合わせを有する。本出願では、「縦方向断面」とは、カテーテル方向に沿った断面であり、「凹弧形状」とは、前記バルーンが拡張したときに前記バルーンの拡張方向と反対する円弧面である。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記凹弧形状輪郭はバルーンの縦方向前部、縦方向後部、および縦方向中央部のうちの少なくとも1つに形成される。上記の凹弧形状輪郭の構成によって処置効果が異なる。凹弧形状輪郭がバルーンの縦方向前部に形成される場合、医薬組成物が設けられた領域は瘻孔での心房中隔の1つの面を処置することができ、凹弧形状輪郭がバルーンの縦方向後部に形成されたバルーンアセンブリと連携すると、瘻孔での心房中隔の2つの面を処置することができる。凹弧形状輪郭がバルーンの縦方向中央部に形成された場合、凹弧形状領域は瘻孔に対応し、瘻孔での心房中隔の2つの面を同時に処置することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記凹弧形状輪郭は、前記バルーンの縦方向前部および/または縦方向後部に形成されるか、前記凹弧形状輪郭は径方向のバルーンカテーテル接近部からバルーンの径方向中央部までである。本出願では、「バルーンカテーテル接近部」とは、バルーンカテーテルの表面から、バルーンカテーテルの中心線に対して径方向第1距離だけ離れた範囲であり、前記径方向第1距離は約1.5mm~約2.5mmである。前記凹弧形状輪郭が前記バルーンの縦方向前部に形成された場合、前記バルーンカテーテル接近部から前記バルーンカテーテル前端までの縦方向における距離は、好ましくは20mm以下であり、前記バルーンカテーテル接近部から前記バルーン前端までの縦方向における距離は、好ましくは5mm~20mmである。本出願では「径方向中央部」とは、前記バルーンが十分に拡張したときに、前記カテーテル中心線に対する垂直方向での距離が、前記バルーン半径の1/4以上~前記バルーン半径3/4以下の特定の範囲内の領域である。本出願では、「バルーン半径」とは、前記バルーンが十分に拡張したときに、拡張する径方向の最遠位端点から引いた、前記バルーンカテーテル中心線に垂直な垂直線の長さである。なお、前記凹弧形状輪郭が、径方向バルーンカテーテル接近部からバルーンの径方向中央部までであることにより、前記凹弧形状輪郭の範囲が限定され、該範囲は薬物送達目的領域の範囲によるものであり、心房中隔造瘻による介入療法では、3つの面にブレードが固定されたカッティングバルーンの場合、瘻孔の拡張直径が約5mmであり、他のバルーンと連携すると、最大で12mmに達し、先天性心疾患の臨床経験によれば、瘻孔の直径が約5~8mmであると、必要なサイズが満たされ、左心房圧が効果的に低下する。ただし、上記のサイズは本発明で開示されたバルーンアセンブリのサイズを制限するものではなく、当業者は必要に応じて適切な前記凹弧形状輪郭の範囲を決定することができ、例えば、瘻孔の直径に応じて適切な径方向第1距離を決定し、さらに、薬物送達目的領域に応じて適切な径方向中央部サイズを決定し、これにより、最良な薬物送達効果が果たされる。
【0066】
好ましい一実施形態では、前記径方向第1距離は2.5mmであり、前記バルーンカテーテルの中心線からの前記径方向中央部の径方向距離は6.25mm以上、例えば6.25mm~10mmであり、上記のサイズは、本発明が技術的課題を解決し、最適な治療効果を達成させるのに好ましいサイズであり、発明内容を制限するものではない。
【0067】
いくつかの実施形態では、前記バルーンの縦方向サイズは、それに対応する径方向サイズの2/3以下(1/2以下)である。本出願では、前記バルーンが十分に拡張したときに、前記バルーンの顕著な部分の縦方向の両端点の間の距離は縦方向サイズであり、前記バルーンの径方向の両端点の間の距離は径方向サイズであり、通常、バルーン半径の2倍である。ここでは、前記顕著な部分とは、バルーンの径方向距離がバルーン半径の1/4よりも大きい部分であり、一方、前記バルーンの顕著な部分の縦方向の両端点の間の距離は、バルーンの径方向距離が、バルーン半径の1/4よりも大きい部分の前端と後端との間の距離である。このようなサイズに設計すると、前記バルーンが折り畳まれる際に、前記凹弧形状輪郭を有する領域のほとんど、または全部が内部に折り畳まれ、これにより、前記バルーンアセンブリを押し込むプロセスにおいて薬物が溶解して損失されることを回避する。一方、本出願で開示されたバルーンアセンブリは主に、心房中隔瘻孔が自然に閉鎖するという技術的課題を解決し、処置対象領域は瘻孔の周辺の一定の範囲内にある1つの平面であり、このようなサイズに設計すると、前記バルーンは、十分に拡張すると縦方向において扁平状になり、このように、心臓の内部空間に対応することができ、しかも、薬物送達に十分な領域が生じる。本発明の一般的な構成としては、前記バルーンの縦方向サイズは一般に5mm~16mm、例えば7.5mm~13mmである。本発明の一般的な構成としては、前記バルーンの径方向サイズは一般に10mm~25mm、例えば15mm~20mmである。
【0068】
いくつかの実施形態では、医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面が凹弧形状輪郭を有さず、例えば医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面がアーチ形状、楕円弧形状、放物線形状、直線形状、折線形状、不規則な曲線形状、またはこれらの2種もしくは複数の組み合わせを有する。本出願では、前記アーチ形状、楕円弧形状、放物線形状は、全て、前記バルーンが拡張したときの前記バルーンの拡張方向と同じ凸起形状であり、凹弧形状を含まない。医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面の輪郭形状を同じではないものとすることにより、バルーン端部と瘻孔および瘻孔の周辺の領域との密着効果が多様化する。当業者は瘻孔および瘻孔の周辺領域の表面形状に応じて、さまざまなバルーンを選択してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む。前記医薬担体は、好ましくは、親水性医薬担体および/または疎水性医薬担体を含む。いくつかの実施形態では、前記親水性医薬担体はイオパミドールおよびイオプロミドから選ばれる少なくとも1種である。従来の薬物コーティングバルーン(DCB)による介入療法技術は、細胞増殖を抑制する薬物をバルーンの表面に付着し、バルーンを拡張させることにより、薬物面を心房中隔瘻孔およびその周辺に密着させることで、薬物を標的に送達させることにより、平滑筋過形成を抑制する効果を果たす。パクリタキセルおよびラパマイシンは、いずれも、細胞増殖を抑制する作用を有し、臨床的には冠状動脈および末梢介入療法の分野に広く使用されており、この2種の薬物は全て親油性薬物であり、前記親油性薬物であるパクリタキセルおよび/またはラパマイシンは、前記親水性医薬担体であるイオパミドールおよび/またはイオプロミドと任意に組み合わせて前記医薬組成物を形成し、前記親水性医薬担体は、親油性薬物分子と血管壁との間に、高度接触表面を有する多孔性コーティングを形成し、親油性薬物分子の溶解や放出を強化させ、また、薬物の輸送および組織との相互作用を変えることもできる。前記医薬組成物は、バルーンコーティングとして本出願で開示されたバルーンアセンブリの前記前端部および/または後端部の表面上に担持され、前記バルーンを拡張させると、前記医薬組成物が担持された前記前端部および/または後端部は処置対象領域と完全に接触し、標的薬物は用量が均一であり、迅速に放出でき、臨床経験によれば、30秒~70秒と短い時間だけ接触させると、細胞増殖を抑制し、周囲内皮のクロールや瘻孔の自然癒合を防止することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、前記バルーンの拡張時の径方向サイズは、6~25mm、例えば8~20mm、10~20mm、12~20mm、14~20mm、16~20mm、18~20mmである。本出願では、前記バルーンの拡張時に、径方向の両端点の間の距離は径方向サイズであり、径方向サイズの大きさは薬物担持領域の大きさを左右し、当業者は瘻孔周辺の処置対象領域の範囲に応じて、適切な径方向サイズを選択することができる。また、径方向サイズを大きくすると、バルーン端部に担持された医薬組成物は、バルーンが折り畳まれたときに内側に包まれ、これにより、前記バルーンアセンブリを押し込むプロセスにおいて薬物が溶解して損失されることを回避する。
【0071】
いくつかの実施形態では、前記バルーンはノンコンプライアントバルーン、コンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンである。本出願では、前記バルーンのコンプライアント(compliance)とは、前記バルーンを充填する際に、1大気圧(atm)を増加するごとに、バルーンの外形または体積がその分変化するような特性であり、バルーンの引張能力の指標である。本出願で使用される3種類のタイプのバルーンは、コンプライアントバルーンのバルーンの直径が圧力の増加に伴い増加する、コンプライアントバルーンは拡張圧力を分散させるような異なる特性を備え、ノンコンプライアントバルーンとは、圧力の大きさにかかわらず、バルーンの直径が所定のサイズに達すると、一定に保持されるものであり、ノンコンプライアントバルーンは拡張圧力を主に処置部位に作用させ、このため、血管に対する適応性が悪く、セミコンプライアントバルーンは、広い作動範囲を有し、サイズを柔軟に変化することができ、一般的には予備拡張されている。実際に使用する際には、当業者は、必要に応じて、最適な技術的効果を果たすために、さまざまなバルーンを使用してもよい。前記バルーンアセンブリを製造する材料および方法には特に制限がなく、当業者は必要に応じて決定してもよい。
【0072】
本出願の別の態様は、本出願の前記他の実施形態のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む医療機器を提供する。具体的には、本出願の別の態様は、本出願の前記他の実施形態のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む、経皮心房中隔造瘻術による介入療法に用いられる医療機器を提供する。
【0073】
本出願はまた、バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、十分に拡張させたときに、縦方向の中央部に窪み領域を有し、前記窪み領域の外面に医薬組成物が設けられる、バルーンアセンブリを開示する。本出願では、縦方向中央部に窪み領域が設けられ、前記窪み領域の外面に医薬組成物が設けられることにより、前記バルーンの窪み領域をもって瘻孔と接触させることによって、前記医薬組成物を処置対象領域に直接作用させ、瘻孔への施薬を容易なものとし、良好な処置効果を果たす。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記バルーンアセンブリの前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している。ガイドワイヤ貫通孔が設けられることにより、前記バルーンカテーテルは、ガイドワイヤによりガイドされながら、ガイドワイヤに沿って選択された処置対象領域に到達して治療を施すことができる。加圧液体チャネルは前記バルーンへ加圧液体を注入または抽出するものであり、前記バルーンが目的領域に到達すると、前記加圧液体チャネルへ加圧液体を注入し、前記バルーンは液体圧力の作用を受けて拡張させられ、薬物送達処置が終了した後、加圧液体を抽出し、前記バルーン内で負圧が生じ、前記バルーンの収縮や折り畳まれは負圧の作用下で行われる。通常、位置を正確に特定するために、前記バルーンの内部にはマーカー(標識材料)がさらに設けられ、前記マーカーは、外部機器によって患者体内での前記バルーンの位置を検出することに寄与する。本出願では、バルーンの位置マーカーの選択には特に限定がなく、バルーン位置を正確に特定すればよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記バルーンアセンブリの前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む。前記医薬担体は、好ましくは、親水性医薬担体および/または疎水性医薬担体を含む。いくつかの実施形態では、前記親水性医薬担体は、イオパミドールおよびイオプロミドから選ばれる少なくとも1種である。従来の薬物コーティングバルーン(DCB)による介入療法技術は、細胞増殖を抑制する薬物をバルーンの表面に付着し、バルーンを拡張させることにより、薬物面を心房中隔瘻孔およびその周辺に密着させることで、薬物を標的に送達させることにより、平滑筋過形成を抑制する効果を果たす。パクリタキセルおよびラパマイシンは、いずれも、細胞増殖を抑制する作用を有し、臨床的には冠状動脈および末梢介入療法の分野に広く使用されており、この2種の薬物は全て親油性薬物であり、前記親油性薬物であるパクリタキセルおよび/またはラパマイシンは、前記親水性医薬担体であるイオパミドールおよび/またはイオプロミドと任意に組み合わせて前記医薬組成物を形成し、前記親水性医薬担体は、親油性薬物分子と血管壁との間に、高度接触表面を有する多孔性コーティングを形成し、親油性薬物分子の溶解や放出を強化させ、また、薬物の輸送および組織との相互作用を変えることもできる。前記医薬組成物は、バルーンコーティングとして本出願で開示されたバルーンアセンブリの前記前端部および/または後端部の表面上に担持され、前記バルーンを拡張させると、前記医薬組成物が担持された前記前端部および/または後端部は処置対象領域と完全に接触し、標的薬物は用量が均一であり、迅速に放出でき、臨床経験によれば、30秒~70秒と短い時間だけ接触させると、細胞増殖を抑制し、周囲内皮のクロールや瘻孔の自然癒合を防止することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、前記薬物送達用バルーンアセンブリの前記バルーンの拡張時の径方向サイズは、6~25mm、例えば8~20mm、10~20mm、12~20mm、14~20mm、16~20mm、18~20mmである。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記薬物送達用バルーンアセンブリの前記窪み領域の最小径方向サイズは6mm未満、例えば5mm以下である。本出願では、前記窪み領域には前記医薬組成物が担持されており、その最小径方向サイズは瘻孔直径以下でなければならず、当業者は、最適な薬物送達効果を果たすために、瘻孔の直径に応じて、適切な径方向サイズを決定してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、前記薬物送達用バルーンアセンブリの前記窪み領域の外面において半径が2mmよりも大きい部分だけに前記医薬組成物が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物が設けられていない。ここで、前記「半径が2mmよりも大きい部分」とは、前記縦方向中央部に備える特定の外面領域を指し、この特定の外面領域内のいずれか1つの点から、カテーテル中心線までの垂直方向距離は2mmよりも大きい。医薬組成物は、この特定の外面領域にのみ設けられ、この特定の外面領域は処置対象瘻孔の薬物送達領域と重なり、最大限に接触し、これにより、薬物送達効率が向上し、薬物が全て瘻孔に作用し、最少量の薬物塗りが可能になり、非目的領域への薬物放出による毒性が低減する。なお、上記の医薬組成物が設けられた範囲は、本発明で開示されたバルーンの縦方向中央部の薬物塗り範囲を制限するものではなく、当業者であれば、必要に応じて医薬組成物を設けるのに適切な範囲を選択することができ、例えば、瘻孔の直径に応じて適切な縦方向中央部の窪み領域の外面薬物塗り半径の範囲を選択し、例えば2.5mmよりも大きく、3mmよりも大きく、3.5mmよりも大きく、4mmよりも大きくする。
【0079】
本出願では、バルーンアセンブリを製造する材料および方法には特に制限がなく、具体的な操作の要件を満たせばよい。
【0080】
前記バルーンおよびバルーンカテーテルは、ポリアミド(例えばナイロン66、ナイロン12など)、ポリエーテルアミドブロック共重合体を用いて製造されてもよい。バルーンカテーテルを製造する方法としては、従来技術に公知の各種の方法が使用されてもよい。バルーンの成形にはブロー成形が使用されてもよい。バルーン内のカテーテルに標識材料が設けられ、前記標識材料は通常プラチナイリジウム合金を用いる。バルーンとカテーテルは熱熔融により結合されてもよく、適切なバインダで粘着されてもよい。
【0081】
本出願はまた、本出願の前記バルーンアセンブリのバルーンを心房中隔瘻孔と接触させることで、心房中隔瘻孔およびその周辺へ薬物を送達するステップを含む心房中隔瘻孔の処置方法を開示する。ここで、瘻孔との接触位置はバルーンの薬物塗り位置である。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記方法はまた、心房中隔瘻孔の両側に薬物を送達するステップをさらに含む。例えば、1つの前端部薬物塗りバルーンアセンブリおよび1つの後端部薬物塗りバルーンアセンブリによって心房中隔の両側へ薬物を送達する。
【0083】
前記範囲は、単独で使用されてもよく、または組み合わせて使用されてもよい。以下の実施例によって、本出願をより理解しやすくする。
【0084】
実施例
実施例1(アーチ形状、前端部薬物塗り)
図1に示すように、本出願で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは、バルーンカテーテル1と、バルーン2とを含み、前記バルーン2はバルーンカテーテルの前部12に設けられ、バルーンカテーテル前端11からのバルーン前端21の距離は5mmである。前記バルーン2は、縦方向に前端部22および後端部23を有し、前記前端部22および後端部23の外面の縦方向断面はアーチ形状である。前記バルーン2の拡張時の径方向サイズは18mmであり、前記バルーンカテーテル1の直径は1.8Fであり、前記バルーンカテーテル1はガイドワイヤ貫通孔13と加圧液体チャネル14を有し、前記加圧液体チャネル14は前記バルーン2の内部と連通している。
図2に示すように、前記バルーン2の前端部22の外面に医薬組成物4が設けられ、前記医薬組成物4はパクリタキセルおよびイオプロミドである。前記医薬組成物4は、厚さが約50μmの医薬組成物層として形成される。
治療において、まず、ガイドワイヤを設けて、心臓の心房中隔にガイドワイヤを通して、心臓中隔にサイズの適切な瘻孔を形成するようにする。次に、ガイドワイヤに沿って前記瘻孔に前記端部薬物塗りバルーンアセンブリをセットし、PTCA技術によって前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端へ目的領域まで押した後、加圧液体チャネル14を介して前記バルーン2へ加圧液体を注入し、液体圧力の作用により前記バルーン2を十分に拡張させ、前記バルーン2の内圧を維持し、前記バルーン前端部22の領域表面は、処置対象瘻孔で心房中隔の一面に十分に接触され、かつ薬物を接触領域に迅速に放出し、所定の拡張時間に達した後、加圧液体を引き出し、前記バルーン2を完全に収縮させかつバルーンアセンブリを引き抜いて、治療を完了する。
【0085】
実施例2(アーチ形状、後端部薬物塗り)
本実施例で開示された端部薬物塗りバルーンアセンブリは図3に示され、前記前記バルーン2の後端部23の外面に医薬組成物4が設けられていない以外、その構造は実施例1と同様である。
治療において、まず、ガイドワイヤを設けて、ガイドワイヤが心臓の心房中隔を通過して、心臓中隔にサイズの適切な瘻孔を形成するようにする。次に、ガイドワイヤに沿って、前記瘻孔に前記端部薬物塗りバルーンアセンブリを設け、PTCA技術を使用して、前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端に押して、瘻孔を通過させて目的領域に到達した後、加圧液体チャネル14を介して、前記バルーン2に加圧液体を注入し、液体圧力の作用下で前記バルーン2を十分に拡張させ、前記バルーン2の内圧を維持し、前記後端部23の外面は処置対象瘻孔の一面に十分に接触され、かつ薬物を目的領域に迅速に放出し、所定の拡張時間に達した後、加圧液体を引き出し、前記バルーン2を完全に収縮させバルーンアセンブリを引き抜いて、治療を完了する。
【0086】
実施例3(アーチ形状、両端薬物塗り、実施例1と実施例2の組み合わせ)
本実施例で開示された端部薬物塗りバルーンアセンブリは、実施例1と実施例2で開示された2種の前記バルーンアセンブリを組み合わせたものであり、ここで、前記バルーンアセンブリ1の前端部22の外面に医薬組成物4(即ち実施例1のアセンブリ)が設けられ、前記バルーンアセンブリ2の後端部23の外面に医薬組成物4(即ち実施例2のアセンブリ)が設けられ、前記医薬組成物4は、パクリタキセル、ラパマイシンおよびイオパミドールである。
治療において、実施例1と同様にして、前記バルーンアセンブリ1の前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端に押して、瘻孔を通過させて目的領域に到達し、前記前端部22の領域表面は、処置対象瘻孔で心房中隔の一面に十分に接触され、処置完了後、前記バルーンアセンブリ1を引き抜き、次に、実施例2と同様にして、前記バルーンアセンブリ2の前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端に押して、瘻孔を通過していない目的領域に到達し、前記後端部23の領域表面は、処置対象瘻孔で心房中隔の別の面に十分に接触され、処置完了後、前記バルーンアセンブリ2を引き抜く。これにより、瘻孔での心房中隔の両面を順次処置して治療する。なお、処置するたびに、瘻孔そのものも薬物で処置される。
【0087】
実施例4(アーチ形状、部分前端部薬物塗り)
本実施例で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは図4に示され、前記医薬組成物4は前端部22の外面のうち半径が3mmよりも大きい部分にのみ設けられる以外、その構造は実施例1と同様である。
本実施例で開示されるバルーンアセンブリの操作方法は実施例1と同じであり、本実施例で開示された端部薬物塗り領域は、処置対象瘻孔の薬物送達領域と異なり、最大限に接触し、これにより、薬物送達効率が向上し、薬物が全て瘻孔に作用し、最少量の薬物塗りが実現され、非目的領域への薬物放出による毒性が低減する。
【0088】
実施例5(前端部の縦方向断面が直線形状である、後端部の縦方向断面が楕円弧形状である、部分前端部薬物塗り)
本実施例で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは図5に示され、前記前端部22の外面の縦方向断面が直線形状であり、前記後端部23の外面の縦方向断面が楕円弧形状である以外、その構造は実施例1とほぼ同様である。前記医薬組成物(未図示)は、前端部22の外面において半径が3mmよりも大きい部分にのみ設けられる。
治療においる操作方法は、実施例1と同様である。
【0089】
実施例6(前端部の縦方向断面が楕円弧形状である、後端部の縦方向断面がアーチ形状である、部分前端部薬物塗り)
本実施例で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは、図6に示され、前記前端部22の外面の縦方向断面が楕円弧形状であり、前記後端部23の外面の縦方向断面がアーチ形状である以外、その構造は実施例1とほぼ同様である。前記医薬組成物(未図示)は、後端部23の外面において半径が3mmよりも大きい部分にのみ設けられる。
治療における操作方法は実施例2と同様である。
【0090】
実施例7(前端部および後端部の縦方向断面が全て楕円弧形状である)
本実施例で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは、図7に示され、前記前端部22および後端部23の外面の縦方向断面が全て楕円弧形状である以外、その構造は実施例1とほぼ同様である。
前記医薬組成物(未図示)を設ける方式および治療方法は、実施例1~実施例4のいずれかの方式を採用してもよい。
【0091】
実施例8(前端部および後端部の縦方向断面が全て直線形状とアーチ形状を組み合わせたものである)
本実施例で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは、図8に示され、前記前端部22および後端部23の外面の縦方向断面が全て直線形状とアーチ形状とを組み合わせたものである以外、その構造は実施例1とほぼ同様である。
前記医薬組成物(未図示)を設ける方式および治療方法は、実施例1~実施例4のいずれかの方式を採用してもよい。
【0092】
実施例9(前端部および後端部の縦方向断面が全て段差状である)
本実施例で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは、図9に示され、前記前端部22および後端部23の外面の縦方向断面が全て段差状である以外、その構造は実施例1とほぼ同様である。
前記医薬組成物(未図示)を設ける方式および治療方法は、実施例1~実施例4のいずれかの方式を採用してもよい。
【0093】
実施例10(前端部および後端部の縦方向断面が全て折線形状である)
本実施例で開示される端部薬物塗りバルーンアセンブリは、図10に示され、前記前端部22および後端部23の外面の縦方向断面が全て折線形状である以外、その構造は実施例1とほぼ同様である。
前記医薬組成物(未図示)を設ける方式および治療方法は、実施例1~実施例4のいずれかの方式を採用してもよい。
【0094】
実施例11(凹弧形状がバルーン縦方向の前部にある)
本実施例で開示される薬物送達用バルーンアセンブリは、バルーンカテーテル1と、バルーン2とを含み、図11は、十分に拡張させた前記バルーンアセンブリの構造を示し、前記バルーン2は、バルーンカテーテルの前部12に設けられる。前記バルーンカテーテル1は、直径1.8Fであり、内部にはガイドワイヤ貫通孔13および加圧液体チャネル14が設けられ、前記加圧液体チャネル14は前記バルーン2の内部と連通している。前記バルーン2は、縦方向前部241、縦方向中央部242、および縦方向後部243を含む。
前記バルーン2は、十分に拡張させたときに、縦方向サイズ10mm、径方向サイズ15mmであり、その縦方向断面において前記縦方向前部241に凹弧形状輪郭25を有する。前記凹弧形状輪郭25は、径方向バルーンカテーテル接近部251から、バルーンの径方向中央部252までである。前記バルーンカテーテル1の中心線からの前記バルーンカテーテル接近部251の径方向距離は2mmであり、前記バルーンカテーテル1の中心線からの前記径方向中央部252の径方向距離は3.75mmである(ここで、径方向サイズ15mm、バルーン半径7.5mm)。前記バルーンカテーテル接近部251から前記バルーンカテーテル前端までの縦方向距離は20mmであり、前記バルーンカテーテル接近部251から前記バルーン前端までの縦方向距離は10mmである。
図12に示すように、折り畳む際には、凹弧形状輪郭25の領域の裏側から内径5mmのスリーブ3を套設する(覆うようにして設ける)とともに、前記バルーン2の内部に充填された流体(気体または液体)をすべて吸引し、これにより、凹弧形状輪郭25の領域も折り畳まれたバルーン2に包埋され、大部分の凹弧形状輪郭25の領域は内部に折り畳まれる。
図13に示すように、前記凹弧形状輪郭25の領域表面に医薬組成物4が設けられ、前記医薬組成物4はパクリタキセルおよびイオプロミドである。前記医薬組成物は、厚さが約50μmの医薬組成物層4を形成する。治療において、まず、ガイドワイヤを設けて、ガイドワイヤが心臓の心房中隔を通過して、心臓中隔に適切なサイズの瘻孔を形成するようにする。次に、ガイドワイヤに沿って、前記瘻孔に前記薬物送達用バルーンアセンブリを設け、PTCA技術を使用して、前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端に押して目的領域に到達した後、加圧液体チャネル14を介して、前記バルーン2に加圧液体を注入し、液体圧力の作用下で前記バルーン2を十分に拡張させて、前記バルーン2の内圧を維持し、前記凹弧形状輪郭25の領域表面は、処置対象瘻孔で心房中隔の一面に十分に接触され、かつ薬物を接触領域に迅速に放出し、所定の拡張時間に達した後、加圧液体を引き出し、前記バルーン2を完全に収縮させバルーンアセンブリを引き抜いて、治療を完了する。
【0095】
実施例12(凹弧形状がバルーン縦方向後部にある)
図14は、別の実施例における十分に拡張させた前記バルーンアセンブリの構造を示しており、この構造は、バルーンカテーテル1と、バルーン2とを含み、前記バルーン2は、バルーンカテーテルの前部12に設けられる。前記バルーンカテーテル1は、直径1.8Fであり、内部にはガイドワイヤ貫通孔13および加圧液体チャネル14が設けられ、前記加圧液体チャネル14は前記バルーン2の内部と連通している。前記バルーン2は、縦方向前部241、縦方向中央部242、および縦方向後部243を含む。
図15に示すように、折り畳む際には、凹弧形状輪郭25の領域の裏側から内径5mmのスリーブ3を套設する(覆うようにして設ける)とともに、前記バルーン2の内部に重点された流体(気体または液体)をすべて吸引し、これにより、凹弧形状輪郭25の領域も折り畳まれたバルーン2に包埋され、大部分の凹弧形状輪郭25の領域は内部に折り畳まれる。前記バルーン2は、十分に拡張させたときに、縦方向サイズが10mm、径方向サイズが15mmであり、その縦方向断面において前記縦方向後部242に凹弧形状輪郭25を有する。前記凹弧形状輪郭25は、径方向バルーンカテーテル接近部251から、バルーンの径方向中央部252までである。前記バルーンカテーテル1の中心線からの前記バルーンカテーテル接近部251の径方向距離は2mmであり、前記バルーンカテーテル1の中心線からの前記径方向中央部252の径方向距離は3.75mmである(ここで、径方向サイズ15mm、バルーン半径7.5mm)。
前記凹弧形状輪郭25の領域表面に医薬組成物4が設けられる。前記医薬組成物4はラパマイシンおよびイオパミドールである。前記医薬組成物は、厚さが約50μmの医薬組成物層4を形成する。治療において、まず、ガイドワイヤを設けて、ガイドワイヤが心臓の心房中隔を通過して、心臓中隔にサイズの適切な瘻孔を形成するようにする。次に、ガイドワイヤに沿って、前記瘻孔に前記薬物送達用バルーンアセンブリを設け、PTCA技術を使用して、前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端に押して、瘻孔を通過させて目的領域に到達し、加圧液体チャネル14を介して前記バルーン2に加圧液体を注入し、液体圧力の作用下で前記バルーン2を十分に拡張させて、前記バルーン2の内圧を維持し、前記凹弧形状輪郭25の領域表面は、処置対象瘻孔の一面に十分に接触され、かつ薬物を目的領域に迅速に放出し、所定の拡張時間に達した後、加圧液体を引き出し、前記バルーン2を完全に収縮させバルーンアセンブリを引き抜いて、治療を完了する。
【0096】
実施例13(実施例11と実施例12の組み合わせ)
本出願の実施例13における前記バルーンアセンブリは、実施例11および実施例12で開示された2つの前記バルーンアセンブリを組み合わせたものであり、前記バルーンアセンブリ1は、前記縦方向後部243に凹弧形状輪郭25を有する前記バルーンを採用し(即ち実施例12のアセンブリ)、バルーンアセンブリ2は、前記縦方向前部241に凹弧形状輪郭25を有する前記バルーンを採用する(即ち実施例11のアセンブリ)。前記凹弧形状輪郭25の領域表面に医薬組成物層4が設けられ、前記医薬組成物4はパクリタキセル、ラパマイシン、およびイオパミドールである。
治療において、実施例12と同様にして、前記バルーンアセンブリ1の前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端に押して、瘻孔を貫通させて目的領域に到達し、前記凹弧形状輪郭25の領域表面は、処置対象瘻孔で心房中隔の一面に十分に接触され、処置完了後、前記バルーンアセンブリ1を引き抜く。次に、実施例11と同様にして、前記バルーンアセンブリ2の前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端に押して、瘻孔を通過していない目的領域に到達し、前記凹弧形状輪郭25の領域表面は、処置対象瘻孔で心房中隔の他方の面に十分に接触され、処置完了後、前記バルーンアセンブリ2を引き抜き、これにより、瘻孔での心房中隔の両面を順次処置して治療する。なお、処置するたびに、瘻孔そのものも薬物で処置される。
【0097】
実施例14(縦方向中央部に窪みがある)
図16は、本出願の実施例における十分に拡張させた前記薬物送達用バルーンアセンブリの構造を示し、この構造は、バルーンカテーテル1と、バルーン2とを含み、前記バルーン2はバルーンカテーテルの前部12に設けられる。前記バルーンカテーテル1は、直径2.0Fであり、内部にはガイドワイヤ貫通孔13および加圧液体チャネル14が設けられ、前記加圧液体チャネル14は前記バルーン2の内部と連通している。前記バルーン2は、縦方向前端部22、縦方向中央部242、および後端部23を含む。
前記バルーン2では、その縦方向断面において前記縦方向中央部242に窪み領域26を有し、前記窪み領域26の外面に医薬組成物4が設けられ、前記医薬組成物4はパクリタキセル、ラパマイシン、イオプロミド、およびイオパミドールである。治療において、PTCA技術を使用して、前記バルーンカテーテルの前部12を遠位端へ目的領域まで押して、前記窪み領域26を瘻孔に位置させ、次に、加圧液体チャネル14を介して前記バルーン2へ加圧液体を注入し、液体圧力の作用下で前記バルーン2を十分に拡張させ、前記バルーン2の内圧を維持し、前記窪み領域26の表面は処置対象瘻孔に十分に接触され、かつ薬物を目的領域に迅速に放出し、所定の拡張時間に達した後、加圧液体を引き出し、前記バルーン2を完全に収縮させかつバルーンアセンブリを引き抜いて、瘻孔に対する処置治療を完了する。
【0098】
本出願はまた、以下の内容を含む。
実施形態1、端部薬物塗りバルーンアセンブリであって、バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、縦方向に前端部および後端部を有し、前記前端部と後端部との少なくとも一方の外面に医薬組成物または医薬組成物層が設けられ、前記医薬組成物層の厚さは1μm~100μm、例えば10~75μmである。
実施形態2、前記前端部と後端部とのうちの一方だけの外面に前記医薬組成物層が設けられている、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態3、前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態4、前記バルーンは前記バルーンカテーテルの前部に設けられ、バルーンカテーテル前端からのバルーン前端の距離は約5~20mmである、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態5、医薬組成物が設けられた外面において、半径が2mmよりも大きい部分だけに前記医薬組成物層が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物層が設けられていない、実施形態1または2に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態6、医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面が凹弧形状輪郭を有さず、例えば医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面がアーチ形状、楕円弧形状、放物線形状、直線形状、折線形状、不規則な曲線形状、またはこれらの2種もしくは複数の組み合わせを有する、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態7、前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む、実施形態1に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態8、前記バルーンの拡張時の径方向サイズは、6~25mm、例えば8~20mm、10~20mm、12~20mm、14~20mm、16~20mm、18~20mmである、実施形態1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態9、前記バルーンはノンコンプライアントバルーン、コンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンである、実施形態1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
実施形態10、実施形態1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む、医療機器、特に経皮心房中隔造瘻術による介入療法に用いられる医療機器。
【0099】
前記は本開示の例示的な実施形態に過ぎず、本開示の特許範囲を制限するものではなく、本開示の特許範囲は添付の請求項により定められる。
【符号の説明】
【0100】
1 バルーンカテーテル
11 バルーンカテーテル前端
12 バルーンカテーテルの前部
13 ガイドワイヤ貫通孔
14 加圧液体チャネル
2 バルーン
21 バルーン前端
22 前端部
23 後端部
241 縦方向前部
242 縦方向中央部
243 縦方向後部
25 凹弧形状輪郭
251 バルーンカテーテル接近部
252 径方向中央部
26 窪み領域
3 スリーブ
4 医薬組成物または医薬組成物層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンアセンブリであって、
バルーンカテーテルと、前記バルーンカテーテルに設けられたバルーンとを含み、前記バルーンは、縦方向に前端部および後端部を有し、前記前端部と後端部との少なくとも一方の外面には医薬組成物が設けられており、ここで、前記バルーンの縦方向サイズは、それに対応する径方向サイズの2/3以下である、バルーンアセンブリ。
【請求項2】
前記前端部と後端部とのうちの一方だけの外面に前記医薬組成物が設けられている、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項3】
前記バルーンカテーテルはガイドワイヤ貫通孔と加圧液体チャネルを有し、前記加圧液体チャネルは前記バルーンの内部と連通している、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項4】
前記バルーンは前記バルーンカテーテルの前部に設けられ、バルーンカテーテル前端からのバルーン前端の距離は約5~20mmである、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項5】
医薬組成物が設けられた外面において、半径が2mmよりも大きい部分だけに前記医薬組成物が設けられ、前記バルーンの他の外面には前記医薬組成物が設けられていない、請求項1または2に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項6】
医薬組成物が設けられた外面の縦方向断面が、凹弧形状、アーチ形状、楕円弧形状、放物線形状、直線形状、折線形状、不規則な曲線形状、またはこれらの2種もしくは複数の組み合わせである、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項7】
前記医薬組成物は、パクリタキセルおよびラパマイシンのうちの少なくとも1種と、必要に応じて医薬担体とを含む、請求項1に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項8】
前記バルーンの縦方向サイズは、5mm~16mmであり、前記バルーンの径方向サイズは、10mm~25mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項9】
前記バルーンの縦方向サイズは、それに対応する径方向サイズの1/2以下であり、前記バルーンの縦方向サイズは、7.5mm~13mmであり、前記バルーンの径方向サイズは、15mm~20mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のバルーンアセンブリを含む、医療機器、特に経皮心房中隔造瘻術による介入療法に用いられる医療機器。
【国際調査報告】