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特表2023-501351複雑なワークフローのためにロボット機器を使用するマルチプロセスの自動制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】複雑なワークフローのためにロボット機器を使用するマルチプロセスの自動制御
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20230111BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20230111BHJP
   B25J 9/16 20060101ALI20230111BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230111BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230111BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20230111BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G01N35/00 E
B25J9/16
C12M1/34 Z
C12M1/00 C
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526071
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020059191
(87)【国際公開番号】W WO2021092232
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】16/674,704
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522177008
【氏名又は名称】バイオセロ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ダンブマン,ジョナサン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ,コーリー
(72)【発明者】
【氏名】セント イブズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,プラバカール
(72)【発明者】
【氏名】バーグ,ウィリアム
【テーマコード(参考)】
2G058
3C707
4B029
5L049
【Fターム(参考)】
2G058CF16
2G058GE01
3C707AS01
3C707BS09
3C707JS02
3C707JU02
3C707LS15
3C707LS20
3C707LV10
3C707LV14
3C707LW11
3C707LW12
3C707LW15
3C707NS02
4B029AA01
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB01
4B029FA15
5L049AA06
(57)【要約】
実験室ワークフローでのロボットデバイスの使用を全自動化するための手法は、そのようなワークフローに関係するタスク及び機器を自動化するためのシーケンスを定義することと、ゲット、ハンドオフ、及び配置プロシージャを決定する各シーケンスのパスを計算することを含む。この手法は、各デバイス内及び各デバイス間で決定された経路を実行するスケジュールを作成する。この手法は、ユーザがデバイスをドラッグアンドドロップすることでそれらを自動的に構成し、これらのデバイスによって実行される動作を定義し、次いで、実験室ワークフローを実行することを可能にする、使いやすいインターフェースを提供する。インターフェースはまた、ワークフローの進行を監視し、必要に応じて変更及び調整を行う機能を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
入力データとして、ワークフローの実行における1つ以上のタスクを定義するオペレーショナルデータと、前記ワークフローの実行における1つ以上のタスクの実行のための自動化された機器の少なくとも1つのピースを定義する機器データを受信することと、
複数のデータ処理モジュールが少なくとも1つの専用に構成されたプロセッサと組み合わせて実行されるコンピューティング環境内で、前記複数のデータ処理モジュール内で前記入力データを分析することであって、前記データ処理モジュールは、
1)前記自動化された機器の少なくとも1つのピースと、前記ワークフローの実行における1つ以上のタスクを構成し、2)前記1つ以上のタスクにおけるタスクの実行での自動化された機器の各ピースについて少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを定義し、3)前記自動化された機器の少なくとも1つのピースの起点、終点、及びネスト特徴を評価し、前記少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスのためのロボットの数を決定し、前記1つ以上のタスクにおける各タスクについてアイテムのステーション間移送に優先順位を付けることによって、前記1つ以上のタスクにおける各タスクについて複数のタスクパラメータを分析し、前記パスを実行するための1つ以上のセグメントを識別するべく、1つ以上のパスリゾルバを実行することによって、前記少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを実行するためのパスを計算し、4)各パスを実行するためのワークフローを定義するパス決定プロファイルを生成すること
によって、ワークフローの実行における1つ以上のタスクを統合し、ワークフローの実行をスケジュールするように構成されることと、
前記パス決定プロファイルからワークフローの自動実行を行うためのスケジュールを作成することであって、前記ワークフローは前記スケジュールに基づいて実行されることと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記ワークフローの実行に関連する出力データをユーザに提供するように構成されたサポートツールに前記パス決定プロファイルを適用することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワークフローの実行を行うために前記スケジュールを開始することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ユーザインターフェース上に前記スケジュールを表示することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記機器データ及び前記オペレーショナルデータは、前記ユーザインターフェースでユーザによって選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記自動化された機器の少なくとも1つのピースは、ロボットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記機器データは、デバイスドライバ及びデバイス仕様を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記オペレーショナルデータは、前記ワークフローを実行する際の1つ以上のタスクの識別を含み、前記1つ以上のタスクのコンテンツを定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記オペレーショナルデータは、前記1つ以上のタスクの実行の際に用いられる配置ネスト、ステーション、及び輸送モードの識別と、前記1つ以上のタスクの実行に用いられる特定のアイテムの識別をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテンツは生体材料である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記入力データは、前記1つ以上のタスクが前記ワークフロー内でいつ実行されるかを定義するタイミングデータをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを実行するためのパスを計算するべく、1つ以上の優先順位付けルールを調整することであって、前記ユーザは、前記サポートツールで前記1つ以上の優先順位付けルールの調整を実行することをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
方法であって、
コンピュータプロセッサと、前記コンピュータプロセッサに動作可能に結合され、プログラム命令が格納されている少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体で構成されるコンピューティング環境内で、前記コンピュータプロセッサは、ワークフローの実行の際にアイテムの移送に優先順位を付けることによって1つ以上のタスクにおける各タスクについてゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを実行するための1つ以上のパスを決定し、
前記アイテムの優先順位付けは、前記1つ以上のタスクにおける各タスクについて複数のタスクパラメータを分析し、自動化された機器の少なくとも1つのピースの起点、終点、及びネスト特徴を評価し、少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスのためのロボットの数を決定し、前記1つ以上のタスクにおける各タスクについてアイテムのステーション間移送を識別することによって決定されることと、
前記ワークフローにおける1つ以上のパスを実行するための少なくとも1つのセグメントを定義するパス決定プロファイルを生成し、前記パス決定プロファイルからのワークフローの自動実行を行うためのスケジュールを作成することであって、ワークフローは前記スケジュールに基づいて実行されることと
によって、前記ワークフローの実行における自動化された機器の少なくとも1つのピースを使用する1つ以上のタスクを統合し、ワークフローの実行をスケジュールするためのプログラム命令を実行するように動作可能であること
を備える、方法。
【請求項14】
前記ワークフローの実行に関連する出力データをユーザに提供するように構成されたサポートツールに前記パス決定プロファイルを適用することをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ワークフローの実行を行うために前記スケジュールを開始することをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ユーザインターフェース上に前記スケジュールを表示することをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記機器データ及び前記オペレーショナルデータは、前記ユーザインターフェースでユーザによって選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記自動化された機器の少なくとも1つのピースは、ロボットを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記ワークフローの実行における1つ以上のタスクは、前記ワークフローの実行における1つ以上のタスクを識別する、前記1つ以上のタスクのコンテンツを指定する、前記1つ以上のタスクの実行の際に用いられる配置ネスト、ステーション、及び輸送モードを識別する、及び前記1つ以上のタスクの実行に用いられる特定のアイテムを識別する、オペレーショナルデータによって定義される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記コンテンツは生体材料である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上のパスを決定するための1つ以上の優先順位付けルールを調整することであって、前記ユーザは、前記サポートツールで前記1つ以上の優先順位付けルールの調整を実行することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
システムであって、
ワークフローの実行における自動化された機器の少なくとも1つのピースを使用する1つ以上のタスクを統合し、複数のデータ処理モジュール内のワークフローの実行をスケジュールするためのプログラム命令が格納されている少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体と、前記プログラム命令を実行するように動作可能なコンピュータプロセッサとを含むコンピューティング環境を備え、前記複数のデータ処理モジュールは、
前記ワークフローの実行における1つ以上のタスクを定義するオペレーショナルデータと、前記ワークフローの実行における1つ以上のタスクの実行のための自動化された機器の少なくとも1つのピースを定義する機器データを取得するように構成されたデータ受信及び初期化コンポーネントと、
1)自動化された機器の少なくとも1つのピースと、前記ワークフローの実行における1つ以上のタスクを構成し、2)前記1つ以上のタスクにおけるタスクの実行での自動化された機器の各ピースについて少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを定義し、3)自動化された機器の少なくとも1つのピースの起点、終点、及びネスト特徴を評価し、前記少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスのためのロボットの数を決定し、前記1つ以上のタスクにおける各タスクについてアイテムのステーション間移送に優先順位を付けることによって、前記1つ以上のタスクにおける各タスクについて複数のタスクパラメータを分析し、前記パスを実行するための1つ以上のセグメントを識別するべく、1つ以上のパスリゾルバを実行することによって、前記少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを実行するためのパスを計算し、4)各パスを実行するためのワークフローを定義するパス決定プロファイルを生成するように構成された1つ以上のコンポーネントと、
前記パス決定プロファイルから前記ワークフローの自動実行を行うためのスケジュールを作成するように構成されたスケジューリングモジュールであって、前記ワークフローは前記スケジュールに基づいて実行される、スケジューリングモジュールと、
を備える、システム。
【請求項23】
前記パス決定プロファイルは、前記ワークフローの実行に関連する出力データをユーザに提供するように構成されたサポートツールに適用される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ワークフローの実行を行うために前記スケジュールを開始するように構成されたワークフロー実行コンポーネントをさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記スケジュールは、ユーザインターフェース上に表示される、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記機器データ及び前記オペレーショナルデータは、前記ユーザインターフェースでユーザによって選択される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記自動化された機器の少なくとも1つのピースは、ロボットを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記機器データは、デバイスドライバ及びデバイス仕様を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
前記オペレーショナルデータは、前記ワークフローを実行する際の1つ以上のタスクの識別を含み、前記1つ以上のタスクのコンテンツを定義する、請求項22に記載のシステム。
【請求項30】
前記オペレーショナルデータは、前記1つ以上のタスクの実行の際に用いられる配置ネスト、ステーション、及び輸送モードの識別と、前記1つ以上のタスクの実行に用いられる特定のアイテムの識別をさらに含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記コンテンツは生体材料である、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記入力データは、前記1つ以上のタスクが前記ワークフロー内でいつ実行されるかを定義するタイミングデータをさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項33】
前記1つ以上のコンポーネントは、前記少なくとも1つのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを実行するためのパスを計算するべく、前記1つ以上の優先順位付けルールをユーザが調整することを可能にするようにさらに構成され、前記ユーザは、前記サポートツールで前記1つ以上の優先順位付けルールを調整する、請求項22に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この一部継続出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる2019年11月5日に出願された米国非仮特許出願第16/674,704号の優先権の利益を主張し、合衆国法典第35編第120条に従ってその出願日の利益を受ける権原を有する。
【0002】
分野
本発明は、ロボット工学及びロボットプロセスの統合の分野に関する。具体的には、本発明は、特にライフサイエンスの分野での実験室タスク及び実験の実行におけるロボット機器に関係するワークフローを自動制御するために、ロボット機器によって実行される複数のプロセスを統合し、統合されたプロセスをスケジュールするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ロボット機器に関係する、実験室タスク及び実験などの行為を自動化するための多くの既存の手法が存在する。これらの既存の手法は、一般に、単一のワークセル又は単一のロボットのパフォーマンスの自動化に焦点をあてており、その行為が1つ以上のロボットデバイスに関係しているかどうかに関係なく、難しいセットアッププロセスによって制約される。これらの既存の手法は、複数のデバイスの統合、及び、異なるタイプのロボットによって行われる異なるワークステーションに関係する高度なワークフロー又はプロセスを実行するためにそれに沿ってロボット行為が達成される必要がある複数のパスの識別及びスケジューリングを考慮に入れていないため、スケーラビリティが制限される。これらの既存の手法は、ロボット機器をプールすること、及び、同時に実行される複数のメソッドで器具のセットを共有することができる完全にインターリーブされたプロセスを可能にすることの難しさによってさらに制約される。
【0004】
既存の手法は、それらの制限されたスループット又はボリューム機能、大がかりな人間による監視が必要とされることに起因した長いウォークアウェイ時間、及び上記のように面倒なセットアップ時間と限られた拡張機能によって制限される。そのような手法が特定のライフサイエンス用途で用いられる場合、それらは、使用される実験室サンプル及び機器の追跡、液体の取り扱い、及び複雑な要件を伴うアッセイの簡略化の際の制限によってさらに阻まれる。さらに、ライフサイエンス用途では、機密性の高い資料の取り扱いが伴うことが多く、信頼性のある正確なプロセスを維持するのに監視及び注意が必要なため、ワークフローの自動化は難しくなる。さらに、ワークフローが上手く自動化されている場合、輸送パスは単一のパスに固定され、パスの動的なジャスト・イン・タイムの計算及び優先順位の付け直しをサポートしない。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の1つの目的は、ロボット機器に関係するワークフローを統合するためのシステム及び方法を提供することである。本発明の別の目的は、そのようなワークフローの実行において統合されたタスクをスケジュールするシステム及び方法を提供することである。さらに別の目的は、ロボット機器のタイプ又は製造業者などのハードウェアデバイスに依存しない複雑なプロセスの実行においてワークステーションを自動制御するためのシステム及び方法を提供することである。本発明のまたさらに別の目的は、ユーザがプロセスを迅速に設計及び変更し、そのようなワークフローに関連する分析データにアクセスすることを可能にするインターフェースを含む、そのようなワークフローの実行を統合及びスケジュールするシステム及び方法を提供することである。
【0006】
本発明のまたさらに別の目的は、実験室タスクの実行に関係するライフサイエンス用途でのワークフローの実行を統合及びスケジュールするシステム及び方法を提供することである。本発明のまた別の目的は、そのような実験室タスク及びロボット機器に関係するワークフローの複雑な液体処理プロトコルをユーザが管理することを可能にすることであり、またさらに別の目的は、化合物管理、ハイスループット及びコンテンツのスクリーニング、細胞及び組織の培養、ゲノム配列決定、及びイムノアッセイの追跡及びコンパイルを含む様々なライフサイエンス用途のためにそのようなワークフローを自動化することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、ライフサイエンス分野以外の用途のためのロボットワークフローの統合及びスケジューリングを自動化することである。そのような非ライフサイエンス用途の例としては、消費財の梱包及び出荷、安全で効果的な人の輸送の促進、並びに飛行機、自動車、及び商用船などの非常に複雑なマルチパートの工業製品の製造管理が挙げられるがこれらに決して限定されない。
【0008】
本発明は、実験室ワークフローの実行における複数のロボットデバイスの統合と、そのようなワークフローを実行するプロセスを共に備えるタスク又はワークセルのスケジューリングとの両方を全自動化するための手法を提供する。この手法は、そのようなワークフローを含む複数のタスク又はワークセルで実行される機器及び動作をユーザが定義することを可能にする1つ以上のシステム及び方法で実行される。したがって、本発明は、デバイスの制御を自動化し、そのような実験室ワークフローを定義する動作を実行する経路を決定するためのツールである。本発明は、単一の又は複数のロボット構成で用いることができ、単一のパス又は複数のパスでのワークセルタスクの決定を含み得る。
【0009】
本発明はまた、ユーザがデバイス又はロボットをドラッグアンドドロップすることでそれらを自動的に構成し、これらのデバイスによって実行される動作を定義し、次いで、これらの動作を含むプロセスを実行することを可能にする、使いやすいインターフェースを提供する。このインターフェースはまた、プロセスの進行を監視し、実行中に必要に応じて変更及び調整を行う能力を提供する。
【0010】
本発明はまた、複雑なライフサイエンスタスクの完了に関係する行為以外の行為におけるロボットワークフローに広く適用可能である。例えば、本発明のスケジューリング及び統合の態様は、マルチピースのロボット機器又はそのような機器によって実行される消費財の梱包及びカスタマイズされた注文に応じて出荷するためのパッケージの準備及び発送などのプロセスに関係するあらゆる産業活動の実行に又は人の輸送システムに適用され得る。
【0011】
本発明の他の目的、実施形態、特徴、及び利点は、本発明の原理を単なる例として示す添付の図面と併せてなされる以下の実施形態の説明から明らかとなるであろう。
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を例示し、説明とともに、本発明の原理を解説するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一態様に係る、ロボット機器によって実行される複数のタスク又はワークセルを統合するための、及び、ワークフローのスケジューリング及び自動制御のためのプロセスのシステム図表である。
図2】本発明の一態様に係る、ロボット機器によって実行される複数のタスク又はワークセルを統合するための、及び、ワークフローのスケジューリング及び自動制御のためのプロセスで実行されるステップのフローチャートである。
図3】本発明の別の態様に係る、ロボット機器によって実行される複数のタスク又はワークセルを統合するための、及び、ワークフローのスケジューリング及び自動制御のためのプロセスで実行されるステップのフローチャートである。
図4】本発明の一態様に係る、パスを決定し、ワークフローの実行の際に移送に優先順位を付けるためのプロセスで実行されるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の以下の説明では、本発明の原理及びそれがどのように実施されるかを示す例示的な実施形態への言及がなされる。本発明を実施するために他の実施形態が用いられ、本発明の範囲から逸脱することなくそれらに構造的及び機能的変更が加えられる。
【0015】
図1は、ロボット機器112によって実行される複数のタスク又はワークセル102を統合するための、及び、そのような統合されたワークセル102に関係するワークフロー104の制御及び実行をスケジュール及び自動化するためのプロセス100のシステム図表である。本発明のプロセス100は、いくつかのコンポーネントを含む1つ以上のシステム及び/又は方法内で実行され、各コンポーネントは、複数のタスク及び実験に関係する複雑な実験室ワークフロー104の実行に関係する様々なデバイス及び動作の別個の行為及び機能を定義する。
【0016】
プロセス100は、ロボット106によって行われるワークフロー104の統合、スケジューリング、及び実行に関連する複数のタイプの情報を含む入力データ110を受信する、取り込む、要求する、又は他の方法で取得する。入力データ110は、ロボットワークフロー102の実行のための自動化された機器112のピースを定義及び識別する機器データ111を含み得る。機器データ111は、デバイスドライバ113及びデバイス仕様114をさらに含み得る、又は、機器データ111が受信され、プロセス100が開始されたときにそのような情報を取得するためのプロセス100の参照マーカを提供し得る。入力データ110はまた、ワークフロー104の実行に必要とされる1つ以上の特定のタスク、ワークセル、又はワークステーション102を定義するオペレーショナルデータ115を含み得る。オペレーショナルデータ115は、1つ以上のタスク102のそれぞれに用いられる及び/又はワークフロー104の各段階で用いられる機器112のピースに関連する1つ以上のパラメータの識別をさらに含み、また、1つ以上のタスク102の実行に用いられる配置ネスト、ステーション、及び輸送モード又は車両(人間を含む)の識別、1つ以上のタスク102の実行に用いられる実験器具又は他のアイテムの識別、配置ネストにおけるプレート荷重配向の識別、及び配置ネスト、ステーション、及び輸送モード間での実験器具又は他のアイテムの移送のためのグリップ仕様の識別を含み得る。入力データ110はまた、コンテンツ又は材料の仕様117を含み得る生物学的データ又は他のコンテンツデータ116を含み得る、又は、コンテンツデータ116が受信され、プロセス100が開始されたときにそのような情報を取得するためのプロセス100の参照マーカを提供し得る。単なる例として、そのようなコンテンツデータ116は、組織、血液、尿、又はサンプル、又は試験される他のタイプの生体材料を備えるものなどのサンプル識別情報を含む。コンテンツ116が実験室又はライフサイエンスのワークフロー104に関連する場合、任意のタイプの生物学的コンテンツ又は材料を識別することができ、したがって、本発明は、本明細書に記載のどの特定のタイプのコンテンツ又は材料にも限定されないことが理解される。
【0017】
入力データ110は、例えばタイミングデータ118などの、ワークフロー104の実行に付随する他のアイテムをさらに含み得る。タイミングデータ118は、例えば、ワークフロー104の結果がもはや有効ではなくなるほどコンテンツ116が劣化する前にコンテンツ116が確実に分析されるように、1つ以上のタスクがワークフロー100内でいつ実行されるかを定義するために含まれ得る。タイミングデータ118は、インターフェース190上でユーザが入力することができる、又は、他のタイプの入力データ110のうちの1つ以上から、例えばコンテンツ又は材料の仕様117から導出することができる。
【0018】
他の入力データ110は、LIMS(実験室情報管理システム)データ119及びELN(電子実験室ノートブック)データ120などのサードパーティデータを含み得る。プロセス100は、本明細書でさらに説明するように、そのようなサードパーティソースから入力データ110をインポートする、並びに、そのようなサードパーティソースに出力データ170をエクスポートするように構成され得る。
【0019】
入力データ110は、1つ以上のプロセッサ132、複数のソフトウェア及びハードウェアコンポーネント、及び特定の処理機能を実行するように構成された1つ以上のモジュラソフトウェア及びハードウェアパッケージも含む、コンピューティング環境130内の複数のデータ処理コンポーネント140に適用される。1つ以上のプロセッサ132、複数のソフトウェア及びハードウェアコンポーネント、及び1つ以上のモジュラソフトウェア及びハードウェアパッケージは、本明細書で詳細に説明されるプロセス100内の様々な機能のためのアルゴリズムを実行するプログラム命令を実行するように構成され、1つ以上のデータ処理モジュール140で具体化される。
【0020】
複数のデータ処理コンポーネント140は、前述のように入力データ110を受信する、取り込む、要求する、又は他の方法で取得するように、及び、プロセス100を初期化するように構成された、データ受信及び初期化コンポーネント141を含む。複数のデータ処理コンポーネント140はまた、ワークフロー104内でワークセル102を実行するためのデバイス情報及び動作情報をコンパイルし、特定のロボット(又は複数のロボット)106がワークフロー104の実行においてどのように動作するかを一緒に定義するゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143を生成するように構成された統合コンポーネント142を含む。統合コンポーネント142は、各ロボット106の起点、終点、及びアイテム識別子157を指定する輸送要求145を作成することによってこれらのシーケンス143の生成を開始する実行エンジン144を含む。
【0021】
複数のデータ処理コンポーネント140は、パス決定コンポーネント146をさらに含み、その中で、統合コンポーネント142からの起点情報及び終点情報が、各ワークステーション又はワークセル102及びロボット106について評価される。パス決定コンポーネント146は、統合コンポーネント142から輸送要求145を受信し、輸送要求145を解決するためのデータセットのクエリを含む1つ以上のパスリゾルバ158を実行し、パスリゾルバ158からの結果とデータセットクエリから得られた情報を分析して、ゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143を備える最適パス147及びそのセグメント148を決定する。パスリゾルバ158は、単一のロボット106又は複数のロボット106に関連するデータを含み、さらに後述するように、ロボット106間のハンドオフプロトコルを定義するとともに、ロボットトラック、ロボットの移動性、人間の関与などの特徴を考慮し得る。
【0022】
パス147は、本発明では、統合コンポーネント142と共にパス決定コンポーネント146によって、決定され、優先順位付けされ、評価される。パス147は、そのような機器112を備える器具で始まり及び終わり、パス決定コンポーネント146は、輸送要求145を実行するためのゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143のセットに到達するべく、様々なステップを使用してパスの決定、優先順位付け、及び評価を達成するために、パスリゾルバ158を実行することが理解される。これは、パス147で識別される各機器112の特性を照会して、もしあればどのロボット106がネストへのアクセスを有するか、並びに、もしあればどのステーションがロボット106に直接アクセス可能又は他のロボットを介してアクセス可能であるかを判定することに関係する。ステーションは、器具以外のピックアップ/ドロップオフの場所を指し、パスセグメント148間で実験器具を受け渡しするためのパス147の一部であるトラック又はコンベヤシステム、自律車両、他のロボット、又は人間によって用いられる。
【0023】
パス147は、利用可能パスリゾルバ158のコレクションによって決定され、これらは、ゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143において1つの器具又は機器112のピースから次の器具又は機器のピースにアイテムを移送するためにとることができる利用可能なパス147を分析するように構成されたアルゴリズムである。これらのパスリゾルバ158は、単一のロボットパスリゾルバを含み、ここで、両方の機器112のピースにアクセスするために単一のロボット移送を用いることができるかどうかを判定するべく、起点器具と終点器具がチェックされる。用いることができる場合、パス決定コンポーネント146は、そのロボット106のシーケンス143の単純な組み合わせとして定義されたパス147を返す。これは、輸送要求145を実行する際の最適な移送時間を提供し、したがって、本発明は、そのようなパス147をパス決定プロファイル150において優先する。
【0024】
パスリゾルバ158はまた、マルチロボットパスリゾルバを含み、これは、複数のロボット間ハンドオフセグメント148を使用してパス147を作成することができるかどうかを判定する。有効なパスを決定するために、起点ロボット106は、それぞれ、終点へのすべての可能なパスが見つかるまで、他のロボットがアクセス可能なハンドオフステーションに基づいて、バックトラッキングなしに再帰的に評価される。次いで、利用可能なすべてのパスが考慮され、Aなどのパス発見アルゴリズムを適用することによって優先順位で順序付けられ、パス決定コンポーネント146は、パス決定プロファイル150のための優先順位付けされたパス147を返す。
【0025】
パスリゾルバ158はまた、マルチロボットパスリゾルバの同じロボット移送能力を評価する高度な移送リゾルバを含み、さらに、トラック/コンベヤ輸送(線形のトラックベースのシステムを使用して実験器具をステーションからステーションへ移送することができる)、実験器具をステーションからステーションに移送するのに用いられる自律車両、及びステーションからステーションへの実験器具の移送を指示することができる人間によるステーション間移送を含む。そのような高度な移送リゾルバでは、デフォルトの優先順位付けは、次のように順序付けられる。トラック/コンベヤパス147は、より少ないロボット移送を必要とする場合、マルチロボットパス147よりも優先される(ビジープラットフォームでのスループットを最大にするために、この輸送の成功のためにロックされる必要があるロボット106の数は最小にされる)。ロボット及びトラック/コンベヤパス147は、自律車両又は人間に関係する他のどのパス147よりも優先される。また、人間に関係しないパス147は、人間に関係するパス147よりも優先される。このように、パス決定コンポーネント146は、パスリゾルバ158を適用することによって、決定されたパス147に優先順位を付けることができる。これらの優先順位付けルールは、例えばサポートツール191及び/又はユーザインターフェース190を使用して、特別な場合のために又は独自の構成のために、修正、調整、追加、又は破棄され得ることが理解される。
【0026】
前述のように、パス決定コンポーネント146は、例えば、グラフ及びツリーノード、又はツリー検索アルゴリズムなどの可能な最短パス147をモデル化するべく1つ以上のアルゴリズムを適用することによって、パス決定プロファイル150のための優先順位付けされたパス147を返す。パスリゾルバによって用いられ得る、そのようなアルゴリズムの例は、A、Dijkstraのアルゴリズム、その変形、及び特に時間的制約がモデル化されている場合に制約の下でパスを決定する他の同様の手法を含む。本発明での制約は、時間的特徴の優先順位付けを含み、この場合、ロボット間の物理的距離などの空間的制約よりも、タスクを最短時間で実行するパス147内のロボットに、優先順位に関してより大きな重みが割り当てられる。これらのアルゴリズムは、必要なロボットの数に関する上記のデフォルトの優先順位付けルールに従ってパスを決定し、これにより、単一のロボットパスはマルチロボットパス147よりも優先され、マルチロボットパス147はトラック/コンベヤパス147よりも優先されるが、これはマルチロボットパスが2つを超えるロボット移送を必要とする場合に限る。マルチロボットパス147とトラック/コンベヤパス147は、どちらも、自律型地上車両(AGV)又は人間に関係する他のどのパス147よりも優先される。例えば、必要なロボットの数を考慮したデフォルトの優先順位付けに関して、パス決定コンポーネント146は、開始点から終了点まで達するのに必要とされるロボットハンドオフの数によって測定される最短距離を計算する。制約として時間的測定が追加される場合、プロセス100は、各ロボット106がプレートを移送するのに要する時間を表すヒストリカルなタイムレコードを取り込んで分析し、それらの時間を合計し、必要なロボット106の数と併せて各パス147の長さを評価し得る。
【0027】
各パス147について、本発明はまた、シーケンス143を完了し、輸送要求145を実行して、パス決定プロファイル150を構築するためのさらなる態様を決定するべくいくつかの評価を行う。これらは、パス147に沿った各ロボット移送について実験器具パラメータを評価することを含む。識別された各実験器具又はアイテムタイプについて実験器具パラメータを評価する際に、本発明はグリップ力を決定する。グリップ力が指定され、ロボット106はグリップ力の調整が可能である場合、シーケンス143での各グリップ動作は、デフォルトのロボットグリップ力ではなく指定されたグリップ力でパラメータ化される。決定されるさらなるパラメータは、各実験器具又はアイテムタイプのグリップオフセットである。シーケンス143中に、実験器具を正しい位置で適正にグリップすることができるように、任意の指定されたグリップオフセットが関連するポイントに追加される。ほとんどの実験器具では、これは単にグリップの高さの違いであるが、ワークセル102に必要な特定のグリップを実施するために、全デカルトのx、y、z、ヨー、ピッチ、ロールポイントも指定され得る。
【0028】
特定のグリップオフセットがネストごとに定義され、グリップオフセットが起点ネストと終点ネストで異なる場合、標準の又は事前定義されたピックアンドプレイスシーケンスではなく、シーケンス143における再グリップシーケンスが計算され、使用される。再グリップシーケンスが必須の場合、再グリップネストの利用可能性が判定され、利用可能な場合、以下の再グリップステップがキューに入れられる:ソースネスト実験器具グリップオフセットがある状態で起点ネストからピックし、ソースネスト実験器具グリップオフセットがある状態で再グリップネストに配置し、終点再グリップオフセットがある状態で再グリップネストからピックし、終点再グリップオフセットがある状態で終点ネストに配置する。それ以外で、再グリップネストがなく、一致する配向がない場合、パス147は不可能であると判定され、パス決定プロファイル150での実行に利用できなくなる。
【0029】
本発明はまた、ネストのプレート荷重配向の評価を行う。起点ネスト配向(例えば、ポートレート、ランドスケープ、逆ポートレート、逆ランドスケープ)が識別され、終点配向と比較される。起点又は終点のいずれかが複数の配向をサポートし、利用可能な一致する配向がある場合、これらの一致する配向は、再グリップの必要性をなくすために用いられる。起点と終点が一致せず、利用可能な再グリップネストがある場合、グリッパー内のプレート配向を変化させるために、標準的なピックアンドプレイスステップではなく以下の再グリップステップがキューに入れられる:起点配向の起点からピックし、起点配向の再グリップに配置し、再グリップネスト終点配向からピックし、終点配向の終点ネストから配置する。それ以外で、再グリップネストがなく、一致する配向がない場合、パス147は不可能であると判定され、パス決定プロファイル150での実行に利用できなくなる。
【0030】
パス決定コンポーネント146は、パス実行マネージャ149をさらに含み、これは、必要なデバイス(ネスト、ステーション、及び車両/デバイス間の実験器具及び他のアイテムの輸送及び運搬に関係するロボット106、車両、又は他のデバイスなど)を予約又はロックし、パス決定プロファイル150内のワークフロー104内で実行するためのパス147の1つ以上のセグメント148を定義する。パス決定プロファイル150は、パス決定コンポーネント146で計算された最適パス147及びセグメント148に従ってワークフロー104がどのように実行されるかを定義する。パス決定プロファイル150は、各ワークセル102についての及びパス147に関係する各ロボット106間の、ゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143を指定することによって、関連する輸送要求145を満たすために用いられる。
【0031】
パス決定プロファイル150は、プロセス100内の1つ以上の輸送要求145でのワークセル102のゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143並びに他の出力データ170の生成を実行するワークフロー104の実行のための命令160を含み得る。パス決定プロファイル150は、スケジューリングコンポーネント151に送られ、スケジューリングコンポーネント151は、ワークフロー実行コンポーネント153でのワークフロー104の実行160のためのスケジュール152を準備する。
【0032】
パス決定コンポーネント146は、各ワークセル102のゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを可能にするべく輸送要求145を評価し、スループットを改善するべくワークセル102及びロボット106間のハンドオフの遅延を最小にする同時輸送を提供する。図2は、輸送要求145に応答してパス決定コンポーネント146によって定義される例示的なゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス200の段階を示している。図2では、ステップ210で輸送要求145がキューに入れられ、ステップ220でロボット106又はワークステーション102の評価が開始される。ステップ230で、パス決定コンポーネント146が各ワークステーション102及びロボット106を評価し、パス147を決定する。次いで、ステップ240でワークフロー実行コンポーネント153が起点からプレート又は他のアイテムをゲットし、ステップ250でワークステーション102間のアイテムの輸送に関係するアクションを開始することによって、パス決定プロファイル150に従ってワークフロー104を実行する。ワークフロー104中に、ステーション102間の各ハンドオフで、プロセス100は、ステップ260で前のワークステーション102からアイテムを撤収し、ステップ270で終点にアイテムが到着するのを待つ。次いで、ステップ280で、プロセス100はアイテムを次の又は終点ワークステーション102の定位置にプットする。
【0033】
複数のデータ処理コンポーネント140は、ワークフロー104又は他の出力データ170の実行に関連する情報171をユーザインターフェース190に提供するようにさらに構成され得る。例えば、本発明は、器具の設定、液体の取り扱い状況、エラーデータ、シミュレーション結果、ログファイル、LIMS及びELNデータ、ワークフロー実行ステータス、プレートの位置、アッセイの詳細などの情報171をユーザインターフェース190上に表示することができる。そのような情報171はまた、サードパーティ又は他のユーザにエクスポートされ得る。
【0034】
複数のデータ処理コンポーネント140はまた、ゲット、ハンドリング、及びプットシーケンス143の決定と、異なるワークセル102及びロボット106に関係する異なるタイプのワークフロー104のパス147の決定を改善するために、ワークセルの統合及びロボット106の使用をシミュレートするように構成されたシミュレーションコンポーネント155を含み得る。
【0035】
複数のデータ処理コンポーネント140はまた、ゲット、ハンドリング、及びプットシーケンスの理解を向上させ、パス147を予測するために、プロセス100内に1つ以上の機械学習技術を適用するように構成された人工知能エンジン156を含み得る。人工知能エンジン156によって作成された予測は、シミュレーション結果と、ゲット、ハンドリング、及びプットシーケンスの決定と、パス147の決定を改善するために、シミュレーションコンポーネント155に適用され得る。本発明は、その範囲内で多くの異なるタイプの人工知能が使用され得ることを企図しており、したがって、人工知能エンジン156は、そのようなタイプの人工知能のうちの1つ以上を含み得る。人工知能エンジン156は、k近傍法(KNN)、ロジスティック回帰、サポートベクトルマシン又はネットワーク(SVM)、及び1つ以上のニューラルネットワークを含むがこれらに限定されない技術を適用し得る。とにかく、本発明のプロセス100での人工知能の使用は、ワークセル102とロボット106との間に必要とされる相互作用、及び、ワークフロー104の実行のためのそれらの間の最適パス147の決定に関連する数学的又はその他の適切な関係性を自動的にヒューリスティックに構築することによって、出力データ170の有用性を高める。
【0036】
例えば、人工知能エンジン156は、ゲット、ハンドリング、及びプットシーケンス143の理解を向上させ、前の既知のパスの結果を調べてそれらの結果に基づいて未知のパス147を識別するモデルを構築することによってパス147を予測するために用いられ得る。人工知能エンジン156は、本発明の一実施形態では、パスリゾルバ158を備える特定のアルゴリズムを実行する(及びそれらの精度を高める)ために入力データ110をさらに評価し、パス決定コンポーネント146及びシミュレーションコンポーネント155のうちの1つ以上と併せて、前の既知のパスの結果を分析することによって未知のパス147の予測を生成するようにインスタンス化される1つ以上のニューラルネットワークで構成され得る。したがって、人工知能エンジン156は、前のインスタンスに基づいて輸送要求145に応答して最も適切なパス147を決定するために優先順位付けルールを適用することができ、これらのルールにより、同様のワークセル102、ワークフロー104、及びロボット106(及びそれらの数)、並びに、適用可能な場合は同様の時間的制約について最も適切なゲット、ハンドリング、及びプットシーケンス143を生成する結果が得られる。
【0037】
ニューラルネットワークは、一般にノードで構成され、ノードは、何らかの方法での入力と出力接続を結合する伝達(又は活性化)関数である1つ以上のバイアスされた入力/出力接続を有する計算ユニットである。次いで、ノードは、ニューラルネットワークを形成するレイヤに編成される。多くのタイプのニューラルネットワークが存在し、それらは、例に基づいてタスク固有のルールをプログラムされることなく、輸送要求145の解決及びパス147の決定などのタスクを実行することを「学習する」コンピューティングシステムである。ニューラルネットワークは、一般に、接続を介して複数のレイヤで相互にシグナルを送る、接続された集約ノード(又は「ニューロン」)のアレイに基づいている。上記の接続は、これらのノードを「発火」させ、数式又は式に従って入力を結合する活性化関数又は伝達関数である。異なるタイプのニューラルネットワークは、一般に、接続された集約ノードのこれらのレイヤの構成が異なるが、それらは一般に、入力レイヤ、中間又は「隠れ」レイヤ、及び出力レイヤとして説明することができる。これらのレイヤは、異なる数学的計算又は関数を使用して、それらの様々な入力に対して異なる変換を実行し得る。シグナルは、これらのレイヤ間で、入力レイヤから中間レイヤを経由して出力レイヤに移動し、レイヤ及びノードを複数回通過し得る。
【0038】
シグナルは、接続を介してノード間で送られ、各ノードの出力は、そのノードへのすべての入力を合計する非線形関数で計算される。重みマトリックス及びバイアスは、通常、各ノード及び各接続に適用され、これらの重み及びバイアスは、ニューラルネットワークが入力を処理し、それらをノード及び接続を介して送る際に調整される。これらの重みは、特定の接続でのシグナルの強度の増加又は減少を表す。さらに、ノードは、そのノードでの集約された出力がその閾値と交わる場合にのみシグナルが送られるような閾値を有し得る。重みは、一般に、活性化関数にかかる時間を表し、バイアスは、そのような関数がいつ開始するかを表し、共に、それらは時間ととも勾配を最小にする一助となる。少なくとも重みの場合、システムが重みをどうであるべきか及びどのように調整するべきかを学習するので、重みは、初期化され、時間とともに変化(すなわち減衰)し得る。言い換えれば、ニューラルネットワークは、学習するにつれて進化し、ニューラルネットワーク設計を備える数式及び関数は、システムが自身を改善するにつれて時間とともに変化し得る。
【0039】
特に、最短時間でのタスクの実行に関連した時間的特徴などの制約が、優先順位を評価するための重みを決定して割り当てることに関係する場合に、人工知能エンジン156の一部としてインスタンス化されたニューラルネットワークは、プロセス100の統合コンポーネント142、パス決定コンポーネント146、及びシミュレーションコンポーネント155のうちの1つ以上に適用可能であり得る。例えば、各ロボットがプレートを移送するのに要する時間を表すヒストリカルなタイムレコードでトレーニングされたニューラルネットワークは、そのような時間的制約に関係する優先順位付けルールに従って将来のパス147を適正に決定し、各パス147の長さを計算するために必要とされる結果的な処理を改善し得る。これは、速い正確な応答を必要とする時間に敏感な状況でパス147を決定しなければならない場合に特に重要であり得る。
【0040】
人工知能エンジン156はまた、ワークセル102、ワークフロー104、又はロボット106の他の態様を評価するために適用され得る。ロボット106はグリップ力の調節が可能である場合に、例えばグリップ力を決定するべく、ロボット106のヒストリカルな実行を評価し、パス147に沿った各ロボット移送について実験器具パラメータをモデル化するように1つ以上のニューラルネットワークがインスタンス化される。ニューラルネットワークは、指定されたグリップ力でシーケンス143の各グリップ動作をモデル化するために適用することができる。ニューラルネットワークはまた、実験器具を正しい位置で適正にグリップすることができるように、各実験器具又はアイテムタイプについてグリップオフセットを評価するために適用され得る。例えば、ワークセル102に必要なグリップが適正に適用されるように、x、y、z、ヨー、ピッチ、ロールポイントもモデル化され得る。
【0041】
データ処理コンポーネント140は、多くの異なる形態をとり得る出力データ170を生成するように構成される。出力データ170は、前述の実行命令160及び視覚化された情報171に加えて、ラベル172、コンプライアンスレポート173、監査レポート174、LIMS175への出力、ELN176への出力、及びデッドロック検出177を含み得る。出力データ170はまた、ライブストリームとして又は時間的に固定された、実行されるワークフロー104のビデオ178を含み得る。出力データ170はまた、例えば、ワークフロー104の実行でインシデント又は問題が検出されていること、又はワークフロー104が上手く完了していることを示すために、口頭、視覚、聴覚、又は他の表示などの警報179を含み得る。
【0042】
本発明は、前述のように、ユーザインターフェース190を含む。インターフェース190は、ワークフローが実行される際に、ユーザがワークフロー104並びにサンプル及び実験器具を追跡することを可能にする。インターフェース190はまた、情報171を視覚化し、ワークフロー104の実行を制御するため、並びにワークフロー104が実行されている間にワークフロー104に修正及び調整を行うために用いられ得る。インターフェース190は、プロセス100内の特定の機能にアクセスする又は制御するための1つ以上のサポートツール191を含み得る。とにかく、インターフェース190は、ウィジェット、ドロップダウン又はプルダウンメニュー、及びユーザがワークフロー104の実行に付随する機能を選択及び実行することを可能にするグラフィカル表示を介して提示される他の表示を含み得る。ユーザは、デスクトップ、ラップトップ、及びメインフレームコンピューティングシステムから、並びに、モバイルテレフォニー、タブレット、ウェアラブルコンピューティングデバイス、拡張現実又はバーチャルリアリティデバイスを使用することによって、そのようなデバイス上の専用アプリケーションを介して又はインターネットを介して直接、インターフェースにアクセスすることができる。
【0043】
前述のように、プロセス100は、各ワークセル102についての及び各ロボット106間のゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143の統合されたセットを表すパス147に従ってワークフロー104がどのように実行されるかを定義するために用いられるプロファイル150を作成する。したがって、パス決定プロファイル150は、マップとして作用し、ワークフロー104の実行のための命令160を含む。プロファイル150はまた、ワークフロー104をスケジュールするためにプロセス100で用いられ、したがって、プロセス100が本発明内で実行される際にスケジューリングコンポーネント151及びワークフロー実行コンポーネント153によって用いられる。
【0044】
図3は、本発明の別の態様に係る、自動化されたワークフロー104を実行するためのプロセス100のステップ300を例示するフローチャートである。ステップ310で、ユーザは、インターフェース190を介して、特定のタスク、実験、ワークステーション、又は他のワークセル102のためのデバイス又はロボット106をドラッグアンドドロップすることによって、ワークフロー104のための機器を選択する。次いで、ステップ320で、プロセス100は、それらの関連するデバイスドライバ113、デバイス仕様114、及びプロセス100を開始するのに必要な他の任意の情報を通じて、これらのロボット106を自動的に構成する。代替的に、プロセス100は、ワークフロー104が実施される実験室の名前をユーザが単に選択し、そのような選択に従ってロボット情報をアップロードする場合に、既存の機器を自動的に認識し得る。
【0045】
図3は、ステップ330に続き、ここで、ユーザは、選択されたデバイス又はロボット106を使用する、ワークフロー104で実行される動作を定義する。これは、事前に識別された動作をドラッグアンドドロップすることによって、又はユーザインターフェース190を介して動作のテキスト指示をタイプすることによって達成され得る。とにかく、ユーザは、ワークフロー104を構成する動作を定義及びカスタマイズすることができる。ステップ340で、ユーザは、ワークフロー104を実行するための実行機能を選択し、ステップ350で、プロセス100は、ユーザによる修正、調整、又は他のコマンドに応答することができ、ユーザは、インターフェース190を介してワークフロー104の進行を監視することができる。
【0046】
図4は、本発明の別の態様に係る、ワークフローの実行の際にアイテムの移送に優先順位を付けるために、1つ以上のタスクにおける各タスクについてゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンスを実行するためのパスを決定するプロセス400のステップを例示するフローチャートである。このプロセス400は、本発明が各タスクについて複数のタスクパラメータを分析するステップ410で始まる。タスクパラメータは、前述のように、グリップ力、グリップオフセット、及びネストのプレート荷重配向などのタスクを実行する特徴を含み、さらに、ロボットの仕様及びステーションの特徴を含み得る。
【0047】
ステップ420で、本発明のこの態様に係るプロセス400は、機器112の起点、終点、及びネスト特徴を評価し、ステップ430で、各機器112の特性を照会して、もしあればどのロボット106がネストへのアクセスを有するか、並びに、もしあればどのステーションがロボット106に直接アクセス可能又は他のロボットを介してアクセス可能であるかを判定することを含み得るゲット、ハンドオフ、及びプットシーケンス143を実行するのに必要なロボットの数を決定する。ステップ440で、プロセス400は、1つ以上のタスクにおける各タスクについてアイテムのステーション間移送を識別する。
【0048】
特徴、ロボット、及び移送の識別が評価されると、本発明は最適パス147の最終決定を進める準備ができている。ステップ450で、プロセス400は、ワークフロー104でのパス147を実行するためのセグメント148を定義し、これらのセグメント148でパス決定プロファイル150を生成する。次いで、ステップ460で、本発明は、パス決定プロファイル150からワークフロー104の自動実行を行うためのスケジュール152を作成する。次いで、スケジュール152に基づいてワークフロー104が制御及び実行され得る。
【0049】
ユーザインターフェース190は、ユーザがアドバンストモードで複数の追加機能にアクセスすることを可能にするように構成され得る。そのような機能は、オフラインの器具アクセス、リカバリ特徴、及びスクリプト機能を含み得る。さらに、ユーザは、本発明を、データをインポート又はエクスポートするための任意の外部LIMS/インフォマティクス又はELNプラットフォームとシームレスに統合し、リアルタイムのポジティブサンプルトラッキングを実行し、他のユーザ、器具、及び他のプロセスデータを追跡し、上記のように人工知能と機械学習機能の統合などの高度な特徴を可能にするように構成することができる。
【0050】
本発明は、実行されるどの特定のタイプのワークフロー104にも限定されず、本発明のプロセス100は、ロボット106及び/又はタスク102の自動制御が望まれるどの分野にも適用され得ることが理解される。したがって、入力データ100のコンテンツ116は、自動化されたプロセス100が適用される任意の主題を含み得る。例えば、コンテンツ116は梱包であり、自動化されたプロセス100は、出荷されるアイテムを識別し、パッケージに入ったアイテムを準備し、パッケージの出荷をスケジュールするためのワークフローであり得る。したがって、多くのタイプのワークフロー104が可能であり、本発明の範囲内である。
【0051】
本発明のシステム及び方法は、多くの異なるコンピューティング環境130で実装され得る。例えば、それらは、特殊用途コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ及び周辺集積回路要素、ASIC又は他の集積回路、デジタルシグナルプロセッサ、ディスクリート要素回路などの電子又は論理回路、プログラマブルロジックデバイス、又はゲートアレイ、例えばPLD、PLA、FPGA、PAL、GPU、及び任意の同等の手段と組み合わせて実装され得る。一般に、本明細書に例示される方法論を実装する任意の手段を、本発明の様々な態様を実装するために用いることができる。本発明に用いることができる例示的なハードウェアは、コンピュータ、ハンドヘルドデバイス、電話(例えば、セルラー、インターネット対応、デジタル、アナログ、ハイブリッドなど)、及び他のそのようなハードウェアを含む。これらのデバイスのうちのいくつかは、プロセッサ(例えば、単一の又は複数のマイクロプロセッサ又は一般的な処理ユニット)、メモリ、不揮発性ストレージ、入力デバイス、及び出力デバイスを含む。さらに、分散処理、並列処理、仮想マシン処理、又はクラウド処理を含むがこれらに限定されない代替的なソフトウェア実装も、本明細書に記載の方法を実行するように構成することができる。
【0052】
本発明のシステム及び方法はまた、コントローラ及びメモリ、特殊用途コンピュータ、マイクロプロセッサなどと協働して、プログラムされた汎用コンピュータ上で実行される、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体上に格納することができるソフトウェアで全体的に又は部分的に実装され得る。これらの例では、本発明のシステム及び方法は、アプレット、JAVA(登録商標)、又はCGIスクリプトなどの媒体を通じてモバイルデバイス又はパーソナルコンピュータに組み込まれたプログラムとして、1つ以上のサーバ又はコンピュータワークステーション上に存在するリソースとして、専用の測定システム、システムコンポーネントなどに組み込まれたルーチンとして、実装することができる。システムはまた、システム及び/又は方法をソフトウェア及び/又はハードウェアシステムに物理的に組み込むことによって実装することができる。
【0053】
さらに、本明細書で開示されるデータ処理機能は、そのようなメモリに格納された又はそのようなメモリによって実行される1つ以上のプログラム命令によって実行され、さらに、それらのプログラム命令を実行するように構成された1つ以上のモジュールによって実行され得る。モジュールは、本明細書に記載のデータ処理機能を実行することができる任意の公知の又は後で開発されるハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、機械学習、人工知能、ファジー論理、エキスパートシステム、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを指すことを意図している。
【0054】
締めくくりとして、本明細書の態様は具体的な実施形態を参照することによって強調されることが理解されるが、これらの説明された実施形態が本明細書で開示される主題の原理の単なる例証であることを当業者はすぐに理解するであろう。具体的な実施形態は、網羅的となること又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図していない。したがって、開示される主題は、そのように明示的に述べられていない限り、本明細書に記載の特定の化合物、組成物、物品、装置、方法論、プロトコル、及び/又は試薬などに決して限定されないことを理解されたい。さらに、本明細書の精神から逸脱することなく、本明細書での教示に従って、特定の変更、修正、置換、改造、追加、減算、及びそれらのサブの組み合わせを行うことができることを当業者は認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されないことが意図されている。さらに、以下の付属の請求項及び後で導入される請求項は、それらの真の精神及び範囲内にあるものとして、すべてのそのような変更、修正、置換、改造、追加、減算、及びサブの組み合わせを含むと解釈されることが意図されている。
【0055】
本発明を実施するために本発明者らには既知のベストモードを含む本発明の特定の実施形態が本明細書で説明されている。もちろん、これらの説明された実施形態の変形は、上記の説明を読めば、当該技術分野の当業者には明らかとなるであろう。本発明者は、熟練者がこうした変形を適宜採用することを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されたもの以外で実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって許可される付属の請求項に列挙された主題のすべての修正及び等価物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における前述の実施形態のあらゆる組み合わせは、本明細書で特に指定のない限り又は特に文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0056】
本発明の代替的な実施形態、要素、又はステップのグループ分けは、制限するものとして解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に又は本明細書で開示されるグループの他のメンバーとのあらゆる組み合わせで言及及び特許請求することができる。便宜及び/又は特許性の理由で、1つ以上のグループメンバーがグループに含められる又はグループから削除される場合があることが予想される。こうした包含又は削除が行われるとき、本明細書は、修正されたグループを含むとみなされ、したがって、付属の請求項において用いられるすべてのマーカッシュグループの書かれた説明を満たすものである。
【0057】
現在公知の又は後で考案される、当業者によって見られる、特許請求される主題からの実質的でない変更は、同等に請求項の範囲内にあることが明確に企図される。したがって、当業者に現在公知の又は後で公知となる明らかな置換えは、定義された要素の範囲内にあると定義される。
【0058】
特に指定のない限り、本明細書及び請求項で用いられる特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、期間などを表わすすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解される。本明細書で用いられる場合の「約」という用語は、そのように修飾された特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、又は項が、記載された特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、又は期間の値の上又は下の+又は-10パーセントの範囲を包含することを意味する。したがって、それと反対の記載のない限り、本明細書及び付属の請求項に記載の数値パラメータは、変化し得る近似値である。例えば、質量分析機器は、所与の分析物の質量を決定する際に僅かに変動する可能性があるため、イオンの質量又はイオンの質量/電荷比との関連での「約」という用語は、+/-0.50原子質量単位を指す。最低限でも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値表示は、普通の丸め技術を適用することによって、少なくとも報告された有効数字の数に照らして解釈されるべきである。
【0059】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及び値は近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載の数値範囲及び値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値範囲又は値にも、必然的に、それらのそれぞれの試験測定において見つかった標準偏差に起因するある程度の誤差が本質的に含まれている。本明細書での値の数値範囲の列挙は、単に、該範囲内にある各々の別個の値を個々に参照する簡潔な方法として役立つことを意図している。本明細書で特に指定のない限り、数値範囲の各々の個々の値は、本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0060】
実施形態又は実施形態の態様に関する「~得る」又は「できる」という用語の使用はまた、「~得ない」又は「できない」という代替的な意味を伴う。したがって、実施形態又は実施形態の態様が本発明の主題の一部として含まれ得る又は含むことができることを本明細書が開示する場合、実施形態又は実施形態の態様が本発明の主題の一部として含まれ得ない又は含むことができないという否定的な限定又は排他的条件も明示的に意味する。同様の様態で、実施形態又は実施形態の態様に関する「随意的に」という用語の使用は、そのような実施形態又は実施形態の態様が本発明の主題の一部として含まれ得る又は本発明の主題の一部として含まれ得ないことを意味する。そのような否定的な限定又は排他的条件が適用されるかどうかは、否定的な限定又は排他的条件が特許請求される主題において列挙されるかどうかに基づく。
【0061】
本発明を説明する文脈において(特に以下の請求項の文脈において)用いられる「一」、「一つ」、「その」という用語及びそれに類似の言及は、本明細書で特に指定のない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈される。さらに、例えば、識別された要素についての「第1の」、「第2の」、「第3の」などの通常の表記は、要素を区別するために用いられ、そのような要素の必要数又は限られた数を示す又は暗示するものではなく、特に明記されていない限り、そのような要素の特定の位置又は順序を示すものではない。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で特に指定のない限り又は特に文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されるあらゆるすべての実施例、又は例示的な言葉(例えば「などの」)の使用は、単に本発明をより良く解明することを意図されており、別途特許請求される本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書にない文言でも、本発明の実施に不可欠な特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきである。
【0062】
出願時の又は補正により追加された請求項で用いられるときの制限のない移行用語「備え」、例えば「備える」及び「備えて」などのその変形、並びに、「含み」、「包含し」、及び「有し」のようなその同等の制限のない移行句は、すべての明示的に列挙された要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴を単独で、又は列挙されていない主題と組み合わせて包含し、名前付きの要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴は不可欠なものであるが、他の名前なしの要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴を追加することができ、依然として請求項の範囲内で構造をなし得る。本明細書で開示される具体的な実施形態は、「備え」の代わりに又はその修正として、制限のある移行句「から成り」又は「から本質的に成り」(又は、例えば、「から成る」、「から成って」、「から本質的に成る」、及び「から本質的に成って」などのその変形)を使用して請求項でさらに限定され得る。出願時の又は補正により追加された請求項で用いられるときの制限のある移行句「から成り」は、請求項に明示的に列挙されていないどのような要素、制限、ステップ、整数、又は特徴も除外する。制限のある移行句「から本質的に成り」は、請求項の範囲を、明示的に列挙された要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴、並びに、特許請求される主題の基本的な新規な特徴に本質的に影響を及ぼさない他の任意の要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴に限定する。したがって、制限のない移行句「備え」の意味は、具体的に列挙されているすべての要素、制限、ステップ、及び/又は特徴、並びに、任意の随意的な追加の不特定のものを包含するものとして定義される。制限のある移行句「から成り」の意味は、請求項に具体的に列挙されている要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴のみを含むものとして定義され、一方、制限のある移行句「から本質的に成り」の意味は、請求項に具体的に列挙されている要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴、並びに、特許請求される主題の基本的な特徴及び新規な特徴に本質的に影響を及ぼさない要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴のみを含むものとして定義される。したがって、制限のない移行句「備え」(及びその同等の制限のない移行句)は、その意味の範囲内で、限定的な場合として、制限のある移行句「から成り」又は「から本質的に成り」によって指定される特許請求される主題を含む。したがって、本明細書で説明される、又は文言「備え」で特許請求される実施形態は、文言「から本質的に成り」及び「から成り」の説明、有効化、及びサポートを明示的に明確に提供する。
【0063】
本明細書で言及及び識別されるすべての特許、特許公開、及び他の刊行物は、例えば、このような刊行物に記載される本発明と組み合わせて用いられ得る構成要素及び方法論を説明及び開示する目的で参照によりそれらの全体が本明細書に個々に明示的に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためにのみ提供されている。これに関して、先発明のために又はあらゆる他の理由で発明者にこうした開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるものは何もない。これらの文書の日付についてのすべての記述又は内容についてのすべての表現は、出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付又は内容の正確性についてのどのような承認も構成しない。
【0064】
最後に、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、請求項によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図していない。したがって、本発明は、正確に示され説明されているものに限定されない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】