(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】イミド含有ポリエステルポリオールおよび膨張性硬質フォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20230111BHJP
C08G 18/46 20060101ALI20230111BHJP
C08G 63/685 20060101ALI20230111BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20230111BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G18/46 015
C08G18/00 H
C08G63/685
C08G18/76 057
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526099
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 US2020059000
(87)【国際公開番号】W WO2021092100
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591066100
【氏名又は名称】ステパン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リスキー, カール ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】カプラン, ウォーレン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヨシウス, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4J029
4J034
【Fターム(参考)】
4J029AE18
4J029BA02
4J029BA03
4J029BH01
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4J034QB16
4J034QB19
4J034RA10
(57)【要約】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム、それらを生成するために使用されるポリエステルポリオール、およびそのフォームを配合するための方法が開示される。フォームは、ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールと、水と、界面活性剤と、触媒と、任意選択的な成分との反応生成物を含む。ポリエステルポリオールは、フタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせを含む。このポリエステルポリオールから生成された硬質フォームは、他のポリエステルポリオールから作製されたフォームと比較した場合、より高い熱安定性および/またはより高い膨張性を示す。フタルイミド含有ポリエステルポリオールは、配合者が難燃剤のレベルを下げ、かつ/またはインデックスを低下させて、硬質フォームの可燃性性能を改善することを可能にし、より薄い断熱パネルの生産を容易にするはずである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームであって、
(a)ポリイソシアネートと、
(b)ポリエステルポリオールであって、
(i)フタルイミド含有ポリ酸、
(ii)フタルイミド含有ポリオール、または
(iii)(i)および(ii)の組み合わせ、の反復単位を含み、
前記ポリエステルポリオールが、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する、ポリエステルポリオールと、
(c)水と、
(d)界面活性剤と、
(e)ウレタン触媒、イソシアヌレート触媒、またはそれらの両方と、
(f)任意選択的に、発泡剤と、
(g)任意選択的に、難燃剤と、の反応生成物を含む、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、ポリマーMDIである、請求項1に記載の硬質フォーム。
【請求項3】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、トリメリット酸無水物と、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、およびスレオニンからなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物である、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項4】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、フタル酸無水物またはトリメリット酸無水物と、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物である、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項5】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、構造:
【化1】
を有する二酸であり、式中、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシであり、nは、0~4の値を有する、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項6】
前記フタルイミド含有ポリオールが、脂肪族アミノアルコール、グリコール、またはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物である、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項7】
前記アミノアルコールが、エタノールアミンまたは2-(2-アミノエトキシ)エタノールである、請求項6に記載の硬質フォーム。
【請求項8】
前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の硬質フォーム。
【請求項9】
前記フタルイミド含有ポリオールが、ビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物である、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項10】
前記ビス(無水物)が、ピロメリット酸二無水物である、請求項9に記載の硬質フォーム。
【請求項11】
前記ビス(無水物)が、式:
【化2】
を有し、式中、Lは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-C
2-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(CF
3)
2-、-C(Ph)(CH
3)-、および-CH(Ph)-から選択される構造を有する任意選択的な二価の連結基である、請求項9に記載の硬質フォーム。
【請求項12】
前記フタルイミド含有ポリオールが、構造:
【化3】
を有するジオールであり、式中、mおよびnの各々は、独立して、1~5の平均値を有する、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項13】
前記ポリエステルポリオールに組み込まれる、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールの量が、ポリエステルポリオールの量に基づいて、10~50重量%の範囲内である、請求項1~12のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項14】
前記ポリエステルポリオールが、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の反応物の反復単位をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項15】
前記ポリエステルポリオールが、ジエチレングリコールの反復単位をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項16】
1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された厚さにおいて、少なくとも5%の増加によって証明される、他のポリエステルポリオールから調製された類似のフォームの膨張性と比較して、改善された膨張性を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項17】
1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後の質量損失(%)において、少なくとも5%の改善によって証明される、他のポリエステルポリオールから調製された類似のフォームの熱安定性と比較して、改善された熱安定性を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項18】
ポリエステルポリオールであって、
(a)テレフタル酸と、
(b)ジエチレングリコールと、
(c)フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールと、
(d)任意選択的に、ポリエステルポリオールの量に基づいて、2~20重量%の天然油と、
(e)任意選択的に、無水物、ジエステル、またはテレフタル酸以外の二酸と、
(f)任意選択的に、ジエチレングリコール以外のジオールまたはポリオールと、の反復単位を含み、
前記ポリエステルポリオールが、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する、ポリエステルポリオール。
【請求項19】
(a)と(e)との合計量に基づいて、少なくとも35重量%のテレフタル酸反復単位を含む、請求項18に記載のポリエステルポリオール。
【請求項20】
(b)と(f)との合計量に基づいて、少なくとも55重量%のジエチレングリコール反復単位を含む、請求項18または19に記載のポリエステルポリオール。
【請求項21】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、トリメリット酸無水物と、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、およびスレオニンからなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物である、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項22】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、フタル酸無水物またはトリメリット酸無水物と、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物である、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項23】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、構造:
【化4】
を有する二酸であり、式中、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシであり、nは、0~4の値を有する、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項24】
前記フタルイミド含有ポリオールが、脂肪族アミノアルコール、グリコール、またはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物である、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項25】
前記アミノアルコールが、エタノールアミンまたは2-(2-アミノエトキシ)エタノールである、請求項24に記載のポリエステルポリオール。
【請求項26】
前記フタルイミド含有ポリオールが、ビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物である、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項27】
前記ビス(無水物)が、ピロメリット酸二無水物である、請求項26に記載のポリエステルポリオール。
【請求項28】
前記ビス(無水物)が、式:
【化5】
を有し、式中、Lは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-C
2-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(CF
3)
2-、-C(Ph)(CH
3)-、および-CH(Ph)-から選択される構造を有する任意選択的な二価の連結基である、請求項26に記載のポリエステルポリオール。
【請求項29】
前記フタルイミド含有ポリオールが、構造:
【化6】
を有するジオールであり、式中、mおよびnの各々は、独立して、1~5の平均値を有する、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項30】
前記ポリエステルポリオールに組み込まれる、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールの量が、ポリエステルポリオールの量に基づいて、10~50重量%の範囲内である、請求項18~29のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項31】
ブレンドであって、請求項18~30のいずれか一項に記載のポリエステルポリオールと、前記ブレンドの量に基づいて、1~20重量%の非イオン性界面活性剤と、を含む、ブレンド。
【請求項32】
1~10重量%の前記非イオン性界面活性剤を含む、請求項31に記載のブレンド。
【請求項33】
方法であって、フタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせの反復単位を含むポリエステルポリオールを、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームに、他のポリエステルポリオールから調製された類似のフォームと比較して、前記フォームの膨張性または熱安定性を改善するのに有効な量で組み込むことを含む、方法。
【請求項34】
前記フォームの前記改善された膨張性が、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された厚さにおいて、少なくとも5%の増加によって証明される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記フォームの前記改善された熱安定性が、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された質量損失(%)において、少なくとも5%の改善によって証明される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
方法であって、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを、
(a)ポリイソシアネートと、
(b)ポリエステルポリオールであって、
(i)フタルイミド含有ポリ酸、
(ii)フタルイミド含有ポリオール、または
(iii)(i)および(ii)の組み合わせ、の反復単位を含み、
前記ポリエステルポリオールが、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する、ポリエステルポリオールと、
(c)水と、
(d)界面活性剤と、
(e)ウレタン触媒、イソシアヌレート触媒、またはそれらの両方と、
(f)任意選択的に、発泡剤と、
(g)任意選択的に、難燃剤と、を反応させることによって、配合することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フタルイミド含有ポリエステルポリオール、ならびに耐熱性および膨張性を改善させた硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを生成するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタン(PU)またはポリイソシアヌレート(PIR)フォームは、一般的な断熱材である。フォームは、明確に定義された地域固有の可燃性試験に合格しなければならない。可燃性を低減するために、難燃剤がフォームに組み込まれる。しかしながら、一般的な難燃剤はコストが高く、特に、ハロゲン化難燃剤の多くは規制圧力が高まっている。さらに、難燃剤であっても、可燃性要件を達成するには難しい場合がある。
【0003】
ポリエステルポリオールは、一般的に、硬質PUまたはPIRフォームを生成するために使用される。一部のポリオールは、フォームに望ましい可燃性特性を付与する点で他のポリオールよりも優れており、望ましい特性としては、低い質量損失、発煙の低減、およびより良いチャー形成(すなわち、より良好な膨張性)が挙げられる。場合によっては、フォームの可燃性を改善するために、テレフタレートポリエステルが使用されている。
【0004】
ポリエステルポリオールに起因する可燃性能のさらなる改善が望ましい。これらの改善により、配合者は、難燃剤のレベルを下げ、ポリイソシアネートの割合を低減して、許容可能な可燃性特性を実現することができる。また、難燃性に優れたより薄い硬質フォームの断熱パネルを作製することができる。
【0005】
ポリイミド、すなわち、例えば、二無水物(ピロメリット酸二無水物など)を芳香族ジアミンまたはジイソシアネートと反応させることによって作製されるポリマーは、高い熱安定性を必要とする用途で使用される。ポリイミドは、コストが高く、断熱特性が比較的低いため、建物の断熱に広く使用されていない。代わりに、それらは主に、高い熱安定性、耐薬品性、および優れた誘電特性が必要とされる電子機器などの特殊な用途に使用されている。
【0006】
建設業界は、改善された熱安定性を有するポリエステルポリオールの利用可能性と、改善された可燃性特性を有する硬質PUおよびPIRフォームを生成する能力とから恩恵を得るであろう。望ましいポリオールにより、硬質フォームの配合者は、業界標準の可燃性試験に合格するための、従来の難燃剤および高ポリイソシアネート含有量への依存を低減することができるようになる。理想的には、ポリオールは経済的で、容易に入手可能な出発物質から合成するのが楽であろう。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームに関する。フォームは、ポリイソシアネート、ポリエステルポリオール、水、界面活性剤、触媒、および任意選択的な成分の反応生成物を含む。ポリエステルポリオールは、フタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせの反復単位を含む。
【0008】
他の態様では、本発明は、ポリエステルポリオールを含み、テレフタル酸、ジエチレングリコール、およびフタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせの反復単位を含む。一部の態様では、ポリエステルポリオールは、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する。
【0009】
本発明は、上記のポリイソシアネートおよびポリエステルポリオールを水、界面活性剤、触媒、および任意選択的な成分と反応させることによって、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを配合することを含む、方法を含む。
【0010】
ポリエステルポリオールから生成された硬質PUおよびPIRフォームは、一般的に使用されるポリエステルポリオールから調製された硬質フォームと比較して、改善された難燃性、より高い熱安定性、および/またはより高い膨張性を示す。これにより、フォームは、難燃剤のレベルが下がり、ポリイソシアネートの必要性が減り(低いNCO/OHインデックス)、可燃性試験に合格することができる。また、許容可能な難燃性を有する、より薄い断熱パネルの生産を容易にする。ポリオールは、容易に入手可能な出発物質から合成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.硬質PUおよびPIRフォーム
一部の態様では、本発明は、硬質ポリウレタン(PU)またはポリイソシアヌレート(PIR)フォームに関する。PUフォームは、主にウレタン結合を有するが、わずかな割合の尿素および/または三量体化イソシアネート含有量を有し得、一方、PIRフォーム(一般に、ポリウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームまたは「PU-PIRフォーム」とも称される)は、主に三量体化イソシアネート含有量を有し、わずかな割合のウレタンおよび/または尿素基を有し得る。
フォームは、ポリイソシアネート、ポリエステルポリオール、水、界面活性剤、触媒、および任意選択的な成分の反応生成物を含む。
【0012】
1.ポリイソシアネート
使用に好適なポリイソシアネートは、よく知られており、多くは、Dow Chemical(PAPI(商標)、ISONATE(登録商標)、およびVORONATE(商標)の名称で)、Evonik(VESTANAT(登録商標))、BASF(LUPRANATE(登録商標))、Covestro(MONDUR(登録商標)およびDESMODUR(登録商標))、Huntsman(RUBINATE(登録商標))、ならびにポリウレタン中間体の他のサプライヤーから市販されている。使用に好適なポリイソシアネートは、2.0~3.0の範囲内の平均NCO官能性を有する。ポリイソシアネートは、芳香族または脂肪族であり得る。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、またはポリマージイソシアネート(p-MDI)などが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化MDI、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルまたはテトラメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。芳香族ポリイソシアネート、特に、2.3~3.0の範囲内のNCO官能性を有するポリマーMDIが好ましい。好適なポリマーMDIとしては、例えば、BASFの製品であるLUPRANATE(登録商標)M10(平均NCO機能性=2.3)、LUPRANATE(登録商標)M20(平均NCO機能性=2.7)、およびLUPRANATE(登録商標)M70L(平均NCO機能性=3.0)、ならびにCovestroの製品であるMONDUR(登録商標)489(変性ポリマーMDI、平均NCO機能性=2.9)が挙げられる。異なるポリイソシアネートの混合物を使用することができる。二量体化および三量体化されたポリイソシアネートを使用することができる。一部の態様では、芳香族ポリイソシアネート、例えば、p-MDIが好ましい。
【0013】
硬質フォームは、広範囲のインデックス範囲にわたって配合され得る。本明細書で使用される場合、「インデックス」は、100を乗じたイソシアネート対ヒドロキシル当量の比率を意味する。硬質PUフォームは、比較的低いインデックス(例えば、90~150)で生成されるが、硬質PIRフォームは、通常、比較的高いインデックス(例えば、180~350)で作製される。
【0014】
2.フタルイミド含有反応物を含むポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールは、フタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせの反復単位を含む。
【0015】
a.フタルイミド含有ポリ酸
好適なフタルイミド含有ポリ酸は、2つ以上(好ましくは、2つまたは3つ)のカルボン酸基を有する。一部の態様では、フタルイミド含有ポリ酸は、フタルイミド含有二酸である。
【0016】
一部の態様では、フタルイミド含有ポリ酸は、トリメリット酸無水物とアミノ酸との反応生成物である。一部の態様では、アミノ酸は、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、またはスレオニンである。
【0017】
他の態様では、フタルイミド含有ポリ酸は、フタル酸無水物またはトリメリット酸無水物と、アスパラギン酸およびグルタミン酸から選択されるアミノ酸との反応生成物である。これらの態様では、フタル酸無水物を使用する場合、フタルイミド含有ポリ酸は、二酸であり、トリメリット酸無水物を使用する場合、フタルイミド含有ポリ酸は、三酸である。
【0018】
一部の態様では、フタルイミド含有ポリ酸は、以下の構造を有する二酸であり、
【化1】
式中、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシであり、nは、0~4の値を有する。他の態様では、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、メチル、メトキシ、または2-ヒドロキシエチルである。他の態様では、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素またはメチルである。
【0019】
b.フタルイミド含有ポリオール
フタルイミド含有ポリオールは、2つ以上、または2~7個、または2~3個のヒドロキシル基を有し得る。異なるヒドロキシル官能性を有するポリオールの組み合わせを使用することができる。一部の態様では、フタルイミド含有ポリオールは、フタルイミド含有ジオールまたはトリオールである。
【0020】
一部の態様では、フタルイミド含有ポリオールは、脂肪族アミノアルコール、グリコール、またはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物である。好適な脂肪族アミノアルコールは、第一級アミノ基およびヒドロキシル基を有する。一部の態様では、脂肪族アミノアルコールは、2~20個の炭素、または2~10個の炭素、または2~4個の炭素を有する。例としては、エタノールアミン(EA)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(AEE)、2-[2-(2-(アミノエトキシ)エトキシ]エタノールなど、およびそれらの混合物が挙げられる。一部の態様では、アミノアルコールは、エタノールアミンまたは2-(2-アミノエトキシ)エタノールである。
【0021】
好適なグリコールおよびポリオールは、2つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐鎖の脂肪族化合物である。場合によっては、ヒドロキシル基は、ビシナル(vicinal)炭素上に位置する。好適なグリコールおよびポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、250~1000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、スクロース、ソルビトールなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。一部の態様では、グリコールまたはポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせである。
【0022】
一部の態様では、フタルイミド含有ポリオールは、ビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物である。ビス(無水物)は、同じ分子内に2つの無水物基を有する。好適なビス(無水物)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビフタル酸無水物、3,4’-ビフタル酸無水物、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸2,3:6,7-二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物など、およびそれらの混合物が挙げられる。一部の態様では、ビス(無水物)は、ピロメリット酸二無水物である。他の態様では、ビス(無水物)は、以下の式を有し、
【化2】
式中、Lは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-C
2-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(CF
3)
2-、-C(Ph)(CH
3)-、および-CH(Ph)-から選択される構造を有する任意選択的な二価の連結基である。
【0023】
他の態様では、フタルイミド含有ポリオールは、以下の構造を有するジオールであり、
【化3】
式中、mおよびnの各々は、独立して、1~5の平均値を有する。
【0024】
ポリエステルポリオールに組み込まれるフタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールの量は、変化し得、他の配合成分、インデックス、性能の利点、コストの考慮事項、および他の要因に依存する。一部の態様では、量は、ポリエステルポリオールの量に基づいて、10~50重量%、12~30重量%、または15~25重量%の範囲内であろう。
【0025】
一部の態様では、ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールを生成するために一般的に使用される別の二酸、ジエステル、または無水物の反復単位をさらに含む。これらの反応物は、当業者に周知であり、例えば、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、DMTボトム、C2-C9脂肪族二酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸など)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一部の態様では、他の二酸、ジエステル、または無水物は、フタル酸無水物、テレフタル酸、もしくはアジピン酸、またはそれらの組み合わせである。
【0026】
ポリエステルポリオールは、150~800mg KOH/g、または180~450mg KOH/g、または200~300mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。ポリエステルポリオールは、0.1~5mg KOH/g、または0.2~3mg KOH/g、または0.3~2mg KOH/gの範囲内の酸価を有する。
【0027】
一部の態様では、ポリエステルポリオールは、ブレンドまたは反応成分として、大豆油、ヒマワリ油、紅花油、菜種油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ココナッツ油、トール油、ヤシ油、オリーブ油、植物油、亜麻仁油、ヒマシ油などの天然油が組み込まれる。ポリエステルポリオールに組み込まれる天然油の量は、意図された用途に応じて変化し得る。一部の態様では、使用される場合、天然油の量は、ポリエステルポリオールの量に基づいて、2~20重量%、または4~15重量%、または5~10重量%の範囲内である。
【0028】
一部の態様では、ポリエステルポリオールは、ポリオールを使用して硬質フォームを生成する前に、非イオン性界面活性剤とブレンドされる。好適な非イオン性界面活性剤は、当該技術分野において既知であり、市販されている。例としては、アルコールアルコキシレート、アルカノールアミド、エトキシル化アルカノールアミド、EO/POコポリマー、アルコキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アミン、ポリアルキレングリコールの脂肪ジエステルなどが挙げられる。一部の態様では、非イオン性界面活性剤の量は、使用される場合、ブレンドの量に基づいて、1~20重量%、1~10重量%、または1~5重量%の範囲内である。
【0029】
3.水
本発明に従って生成された硬質PUおよびPIRフォームは、反応物として水を含む。使用される水の量は、いくつかの要因に依存し、ポリイソシアネートの量、所望のインデックス、ポリエステルポリオールの性質および量(触媒、界面活性剤、および発泡剤が使用される)、ならびに他の要因が含まれる。一般に、水は、硬質フォーム配合物中のポリエステルポリオールの量に基づいて、0.1~3重量%、0.2~1重量%、または0.2~0.6重量%の範囲内の量で使用される。
【0030】
4.界面活性剤
PUおよびPIRフォームの作製における使用に好適な界面活性剤は、よく知られている。例としては、Evonik、Dow Chemical、Siltech、Momentive Performance Materialsなどから市販されている製品が挙げられる。したがって、好適な界面活性剤としては、TEGOSTAB(登録商標)Bシリコーン界面活性剤(Evonik)、SILSTAB(登録商標)シリコーン界面活性剤(Siltech)、VORASURF(商標)界面活性剤(Dow)、NIAX(登録商標)界面活性剤(Momentive)などが挙げられる。多くの好適な界面活性剤は、ポリシロキサンまたは他のシリコン系界面活性剤である。一般に、界面活性剤は、独立気泡硬質フォームを生成するのに役立つはずである。
【0031】
5.触媒
硬質フォームは、ウレタン触媒、イソシアヌレート触媒、またはその両方の存在下で生成される。
【0032】
使用に好適な触媒としては、イソシアネートと水との反応を触媒する化合物(「発泡触媒」)、ならびにウレタン、尿素、またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する化合物(「PU触媒」、「PIR触媒」、または「三量体化触媒」)が挙げられる。
【0033】
アミン触媒は、一般に、三級アミンまたはアルカノールアミン、およびそれらの希釈剤(典型的には、ジプロピレングリコールなどのグリコール)との混合物である。例としては、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジエタノールアミン、N-エチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、1,4-ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタンなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例としては、POLYCAT(登録商標)5またはPOLYCAT(登録商標)8(Evonik)、およびNIAX(登録商標)A-1またはNIAX(登録商標)A-99(Momentive)が挙げられる。
【0034】
他の触媒としては、カルボキシレート(例えば、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム)、有機スズ化合物(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ)、四級アンモニウム化合物(例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムクロリド)など、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
好適な触媒は、Evonik(TEGOAMIN(登録商標)アミン触媒、KOSMOS(登録商標)金属触媒、DABCO(登録商標)TMR触媒、DABCO(登録商標)K-15触媒、およびPOLYCAT(登録商標)触媒)、Huntsman(JEFFCAT(登録商標)触媒)、King Industries(K-KAT(登録商標)触媒)、Momentive(NIAX(登録商標)触媒)、Galata Chemicals(FOMREZ(登録商標)有機スズ触媒)などから入手可能である。
【0036】
6.発泡剤
任意選択的に、1つ以上の発泡剤(水以外)が含まれる。使用に好適な発泡剤は、よく知られており、脂肪族または脂環式C4-C6炭化水素、水、モノおよびポリカルボン酸ならびにそれらの塩、三級アルコール、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハロゲン化炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好適な発泡剤のさらなる例については、米国特許第6,359,022号を参照されたい(その教示は、参照により本明細書に援用される)。
【0037】
ペンタン発泡剤、すなわち、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、およびそれらの混合物が好ましい。一部の態様では、シクロペンタンは、望ましい低温R値を達成するために、C5発泡剤の中で最も効果的であり得る。しかしながら、シクロペンタンは、n-ペンタンまたはイソペンタンよりも高価であり得、フォームの寸法安定性に悪影響を及ぼす場合があるため、コストおよび性能の点でトレードオフが生じ得る。使用するために好ましい特定のC5発泡剤(または組み合わせ)および量は、多くの要因に依存し、全体的なコスト、所望のフォーム密度、フォームの特性、加工上の考慮事項、および当業者の裁量の範囲内である他の要因が含まれる。
【0038】
7.難燃剤
任意選択的に、硬質フォームは、1つ以上の難燃剤を含む。好適な難燃性添加剤としては、リン、塩素、臭素、ホウ素、またはこれらの元素の組み合わせを含む固体または液体化合物が挙げられる。例えば、臭素化フタル酸ジオール、ポリリン酸アンモニウム、リン酸トリエチル、リン酸トリス(2-クロロイソプロピル)、二リン酸テトラキス(2-クロロエチル)エチレン、リン酸トリス(β-クロロエチル)、リン酸トリス(2,3-ジブロモプロピル)などが挙げられる。
【0039】
8.他のポリオール
フタルイミド含有反応物から生成されるポリエステルポリオールに加えて、硬質フォームは、任意選択的に、他のポリオール(ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、マンニッヒポリオール)、特に、他の芳香族ポリエステルポリオールが組み込まれる。
【0040】
好適な芳香族ポリエステルポリオールは、よく知られており、多くが市販されている。ポリエステルポリオールは、芳香族ジカルボン酸またはそれらの誘導体、特に、1つ以上のフタル酸系化合物または組成物(例えば、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、DMTボトム、フタル酸無水物、イソフタル酸など)、および1つ以上のグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)から、任意選択的に、いくつかの脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、コハク酸)を含有して、生成され得る。好ましい一態様では、芳香族ポリエステルポリオールは、フタル酸無水物およびジエチレングリコールからの反復単位を含む。
【0041】
市販されている芳香族ポリエステルポリオールとしては、STEPANPOL(登録商標)の名称でStepan Companyから入手可能な製品、特に、STEPANPOL(登録商標)PSシリーズの製品、例えば、STEPANPOL(登録商標)PS-1812、STEPANPOL(登録商標)PS-1912、STEPANPOL(登録商標)PS-1952、STEPANPOL(登録商標)PS-2002、STEPANPOL(登録商標)PS-2080、STEPANPOL(登録商標)PS-2352、STEPANPOL(登録商標)PS-2412、STEPANPOL(登録商標)PS-2520、STEPANPOL(登録商標)PS-2602、STEPANPOL(登録商標)PS-3021、STEPANPOL(登録商標)PS-3422、STEPANPOL(登録商標)PS-3524などが挙げられる。好適な芳香族ポリエステルポリオールは、Huntsman(TEROL(登録商標)ポリオール)、Coim(ISOEXTER(商標)ポリオール)、およびINVISTA(TERATE(登録商標)ポリオール)からも入手可能である。
【0042】
芳香族ポリエステルポリオールは、ASTM E-222によって測定された場合、150~400mg KOH/g、160~350mg KOH/g、または、一部の態様では、200~300mg KOH/g、もしくは230~250mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価(hydroxyl number)を有する。ポリオールは、一部の態様では、280~1100g/mol、または300~700g/molの数平均分子量を有する。芳香族ポリエステルポリオールは、好ましくは、5mg KOH/g未満、または2mg KOH/g未満、または1mg KOH/g未満の酸価を有する。ポリオールは、25℃で25,000cP未満、25℃で10,000cP未満、または25℃で5,000cP未満の粘度を有する。一部の態様では、粘度は、25℃で100cP~10,000cP、または25℃で500cP~5,000cPの範囲内である。
【0043】
好適なポリエーテルポリオールは、2.7~8.0の範囲内の平均ヒドロキシル官能性を有する。これらのポリオールは、ヒドロキシおよび/またはアミン官能性開始剤の存在下で、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合物の開環重合によって容易に合成される。場合によっては、反応は、塩基(例えば、KOH)、遷移金属触媒(例えば、複合金属シアン化物触媒)、ルイス酸(例えば、BF3触媒)などによって触媒される。ポリオールの平均ヒドロキシル官能性が2.7~8.0である限り、様々なジオール、トリオール、およびより高い官能性の開始剤を、単独でまたは組み合わせて使用することができる。一部の態様では、スクロース、ソルビトール、または別の高官能性開始剤は、単独で使用されるか、またはジオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール)、トリオール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン)、もしくはアミン(例えば、エチレンジアミン)開始剤と組み合わせて使用され、目標の高い官能性を達成する。
【0044】
2.7~8.0の範囲内の平均ヒドロキシル官能性を有する多くの好適なポリエーテルポリオールが市販されている。例としては、CovestroからのMULTRANOL(登録商標)製品(例えば、MULTRANOL(登録商標)4030、MULTRANOL(登録商標)4034、MULTRANOL(登録商標)4035、MULTRANOL(登録商標)4050、MULTRANOL(登録商標)4063、MULTRANOL(登録商標)6501、MULTRANOL(登録商標)8162、MULTRANOL(登録商標)8164、MULTRANOL(登録商標)9138、MULTRANOL(登録商標)9181、およびMULTRANOL(登録商標)9196)、CarpenterからのCARPOL(登録商標)製品(CARPOL(登録商標)GP-700、CARPOL(登録商標)GP-5015、CARPOL(登録商標)GSP-280、CARPOL(登録商標)GSP-355、CARPOL(登録商標)GSP-520、CARPOL(登録商標)SP-477、CARPOL(登録商標)SPA-357、CARPOL(登録商標)SPA-530、CARPOL(登録商標)EDAP-770、およびCARPOL(登録商標)EDAP-800)、Dow ChemicalからのVORANOL(登録商標)製品(例えば、VORANOL(登録商標)270、VORANOL(登録商標)280、VORANOL(登録商標)370、およびVORANOL(登録商標)490)、ならびにHuntsmanからのJEFFOL(登録商標)製品(例えば、JEFFOL(登録商標)S-490、JEFFOL(登録商標)SA-499、JEFFOL(登録商標)SD-361、JEFFOL(登録商標)SD-441、JEFFOL(登録商標)SG-360、およびJEFFOL(登録商標)SG-522)が挙げられる。
【0045】
マンニッヒポリオールも使用することができる。好適なマンニッヒポリオールは、フェノール(典型的には、アルキル化フェノール)、ホルムアルデヒド、およびアルカノールアミンの反応生成物であり、これらは、通常、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドでアルコキシル化されて、所望の分子量および目標の親水性/疎水性バランスを提供する。例えば、米国特許第6,495,722号を参照されたい。マンニッヒポリオールは、Huntsman(例えば、JEFFOL(登録商標)R-425-X、JEFFOL(登録商標)R-470X)、Carpenter(CARPOL(登録商標)MX-425、CARPOL(登録商標)MX-470)、Cardolite(GX-9101、GX-9102、NX-9001)、および他のサプライヤーから市販されている。
【0046】
好適なポリオール組成物では、ポリエーテルまたはマンニッヒポリオールは、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。一部の態様では、ポリエーテルポリオールは、150~550mg KOH/gの範囲内、または150~400mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。
【0047】
ポリエーテルまたはマンニッヒポリオールは、2.7~8.0の範囲内の平均ヒドロキシル官能性を有する。一部の態様では、ポリエーテルまたはマンニッヒポリオールは、3.0~7.0または4.0~7.0の範囲内の平均ヒドロキシル官能性を有するであろう。
【0048】
9.フォーム特性
一部の態様では、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールから作製されたポリエステルポリオールから生成された硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームは、1立方フィート当たりポンド数(pcf)が2未満(1.4~1.8pcfまたは1.5~1.7pcfの範囲内)の比較的低い密度を有する。他の態様では、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールから作製されたポリエステルポリオールから生成された硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームは、2~3pcf、または2.0~2.5pcf、または2.2~2.4pcfの範囲内の比較的高い密度を有する。
【0049】
一部の態様では、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールから作製されたポリエステルポリオールから生成された硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームは、他のポリエステルポリオール(すなわち、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールから作製されたもの以外のポリエステルポリオール)を使用して調製された類似のフォームの熱安定性と比較して、改善された熱安定性を有する。熱安定性は、以下に記載されている15分または1時間のホットプレート試験を使用して評価することができる(表3~5を参照)。一部の態様では、改善された熱安定性は、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された質量損失(%)において、少なくとも5%の改善、または他の態様では、5~50%の改善によって証明される。
【0050】
他の態様では、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールから作製されたポリエステルポリオールから生成された硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームは、他のポリエステルポリオール(すなわち、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールから作製されたもの以外のポリエステルポリオール)を使用して調製された類似のフォームの膨張性と比較して、改善された膨張性を有する。膨張性は、以下に記載される15分または1時間のホットプレート試験を使用して評価することができる(表3~5を参照)。一部の態様では、改善された膨張性は、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された厚さにおいて、少なくとも5%の増加、または他の態様では、5~50%の増加によって証明される。
【0051】
B.ポリエステルポリオール
一部の態様では、本発明は、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールを組み込んだポリエステルポリオールを含む。したがって、いくつかの本発明のポリエステルポリオールは、テレフタル酸、ジエチレングリコール、およびフタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールの反復単位を含む。フタルイミド含有反応物は、上記のセクションA.2に既に記載されている。
【0052】
ポリエステルポリオールに組み込まれるフタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールの量は、変化し得、他の配合成分、インデックス、性能の利点、コストの考慮事項、および他の要因に依存する。一部の態様では、量は、ポリエステルポリオールの量に基づいて、10~50重量%、12~30重量%、または15~25重量%の範囲内であろう。
【0053】
任意選択的に、本発明のポリオールは、ブレンドまたは反応成分として、天然油を組み込む。ポリエステルポリオールに組み込まれる天然油の量は、意図された用途に応じて変化し得る。一部の態様では、ポリオールは、天然油のポリエステルポリオールの量に基づいて、2~20重量%、または4~15重量%、または5~10重量%を含む。好適な天然油としては、例えば、大豆油、ヒマワリ油、紅花油、菜種油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ココナッツ油、トール油、ヤシ油、オリーブ油、植物油、亜麻仁油、ヒマシ油などが挙げられる。
【0054】
任意選択的に、ポリオールは、テレフタル酸以外の反応物、例えば、無水物、二酸、もしくはジエステル(例えば、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、DMTボトム、C2-C9脂肪族二酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸など))、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
任意選択的に、ポリオールは、ジエチレングリコール以外のジオールまたはポリオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)を含む。
【0056】
一部の態様では、ポリエステルポリオールは、テレフタル酸と、テレフタル酸以外の任意選択的な無水物、二酸、またはジエステルとの合計量に基づいて、少なくとも35重量%、または40~95重量%のテレフタル酸反復単位を含む。
【0057】
一部の態様では、ポリエステルポリオールは、ジエチレングリコールと、ジエチレングリコール以外の任意選択的なジオールまたはポリオールとの合計量に基づいて、少なくとも55重量%、または60~90重量%のジエチレングリコール反復単位を含む。
【0058】
一部の態様では、ポリエステルポリオールを生成するために使用されるフタルイミド含有ポリ酸は、トリメリット酸無水物とアミノ酸との反応生成物である。一部の態様では、アミノ酸は、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、またはスレオニンである。
【0059】
他の態様では、ポリエステルポリオールを生成するために使用されるフタルイミド含有ポリ酸は、フタル酸無水物またはトリメリット酸無水物と、アスパラギン酸およびグルタミン酸から選択されるアミノ酸との反応生成物である。
【0060】
他の態様では、ポリエステルポリオールを生成するために使用されるフタルイミド含有ポリ酸は、以下の構造を有する二酸であり、
【化4】
式中、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシであり、nは、0~4の値を有する。他の態様では、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、メチル、メトキシ、または2-ヒドロキシエチルである。他の態様では、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素またはメチルである。
【0061】
一部の態様では、ポリエステルポリオールを生成するために使用されるフタルイミド含有ポリオールは、脂肪族アミノアルコール、グリコール、またはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物である。好適な脂肪族アミノアルコールおよびグリコールまたはポリオールは、上記のセクションA.2.bに記載されている。一部の態様では、アミノアルコールは、エタノールアミンまたは2-(2-アミノエトキシ)エタノールである。
【0062】
他の態様では、ポリエステルポリオールを生成するために使用されるフタルイミド含有ポリオールは、ビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物である。好適なビス(無水物)および脂肪族アミノアルコールは、上記のセクションA.2.bに記載されている。一部の態様では、ビス(無水物)は、ピロメリット酸二無水物である。他の態様では、ビス(無水物)は、以下の式を有し
【化5】
式中、Lは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-C
2-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(CF
3)
2-、-C(Ph)(CH
3)-、および-CH(Ph)-から選択される構造を有する任意選択的な二価の連結基である。
【0063】
さらに他の態様では、ポリエステルポリオールを生成するために使用されるフタルイミド含有ポリオールは、以下の構造を有するジオールであり、
【化6】
式中、mおよびnの各々は、独立して、1~5の平均値を有する。
【0064】
一部の態様では、ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールを生成するために一般的に使用される別の二酸、ジエステル、または無水物の反復単位をさらに含む。これらの反応物は、当業者に周知であり、上記のセクションA.2.bに既に記載されている。
【0065】
本発明は、ブレンドを含み、セクションBに記載の本発明のポリエステルポリオールと、ブレンドの量に基づいて、1~20重量%、1~10重量%、または1~5重量%の非イオン性界面活性剤と、を含む。
【0066】
ポリエステルポリオールは、150~800mg KOH/g、または180~450mg KOH/g、または200~300mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。ポリエステルポリオールは、0.1~5mg KOH/g、または0.2~3mg KOH/g、または0.3~2mg KOH/gの範囲内の酸価を有する。
【0067】
C.方法
一部の態様では、本発明は、フタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせの反復単位を含むポリエステルポリオールを、他のポリエステルポリオール(すなわち、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールから作製されたポリエステルポリオール以外のポリエステルポリオール)から調製された類似のフォームと比較して、フォームの膨張性または熱安定性を改善するのに有効な量で、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームに組み込むことを含む方法に関する。
【0068】
一部の態様では、フォームの改善された膨張性は、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された厚さにおいて、少なくとも5%の増加、または一部の態様では、5~50%の増加によって証明される。
【0069】
一部の態様では、フォームの改善された熱安定性は、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された質量損失(%)において、少なくとも5%の改善、または一部の態様では、5~50%の改善によって証明される。
【0070】
他の態様では、本発明は、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを配合することを含む方法に関する。本方法では、ポリイソシアネート、ポリエステルポリオール、水、および界面活性剤は、ウレタン触媒、イソシアヌレート触媒、またはその両方の存在下で、任意選択的に、発泡剤の存在下で、任意選択的に、難燃剤の存在下で、反応される。ポリエステルポリオールは、フタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせの反復単位(recurring units)を含む。ポリエステルポリオールは、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する。
【実施例】
【0071】
以下の実施例は、本発明を単に例示するものであり、当業者は、本発明の趣旨および特許請求の範囲内の多くの変形を認識するであろう。
【0072】
実施例1
フタルイミド含有ジオールからのポリエステルポリオール(ポリオール1)
機械的撹拌、加熱マントル、充填精留塔、冷却器、および受器、温度制御器、および窒素流入口を備えたフラスコに、トリメリット酸無水物(353g)およびジエチレングリコール(975g)を充填する。2-(2-アミノエトキシ)-エタノール(193g)を、室温で撹拌しながらゆっくりと添加する。添加速度を制御して、反応温度を80℃未満に維持する。水を除去して反応温度を170℃に上げ、イミド形成を促進する。理論的な量の水が回収され、混合物が均一になるまで、加熱を継続する。テレフタル酸(463g)およびフタル酸無水物(222g)を撹拌しながら添加し、混合物を、220℃に4時間加熱する。酸価、ヒドロキシル価、および含水量は、目標ヒドロキシル価に達するまで監視される。大豆油(173g、7.5重量%)を添加し、混合物を、220℃に8時間加熱し、エステル交換を促進する。得られた生成物は、ヒドロキシル価:249mg KOH/g、酸価:0.4mg KOH/gを有する。硬質フォームを作製するためのポリオール成分として使用する前に、生成物を非イオン性界面活性剤(5重量%)と組み合わせる。
【0073】
実施例2
フタルイミド含有ジオールからのポリエステルポリオール(ポリオール2)
実施例1の手順が、一般に、2-(2-アミノエトキシ)エタノールの代わりにエタノールアミン(76g)を使用して行われる。他の反応物の量:トリメリット酸無水物(238g)、ジエチレングリコール(1096g)、フタル酸無水物(276g)、テレフタル酸(574g)、大豆油(176g)。ヒドロキシル価:250mg KOH/g、酸価:0.6mg KOH/g。硬質フォームを作製するためのポリオール成分として使用する前に、生成物を非イオン性界面活性剤(5重量%)と組み合わせる。
【0074】
実施例3
フタルイミド含有二酸からのポリエステルポリオール(ポリオール3)
フタルイミド含有二酸中間体を生成するために、実施例1の手順が、一般に、2-(2-アミノエトキシ)エタノールの代わりにアラニン(90g)を使用して行われる。他の反応物の量:トリメリット酸無水物(195g)、ジエチレングリコール(991g)、フタル酸無水物(263g)、テレフタル酸(379g)、大豆油(150g)。ヒドロキシル価:238mg KOH/g、酸価:0.6mg KOH/g。硬質フォームを作製するためのポリオール成分として使用する前に、生成物を非イオン性界面活性剤(5重量%)と組み合わせる。
【0075】
実施例4
フタルイミド含有二酸および
フタルイミド含有ジオールからのポリエステルポリオール(ポリオール4)
それぞれ、フタルイミド含有二酸中間体およびフタルイミド含有ジオール中間体を生成するために、実施例1の手順が、一般に、アラニン(59g)およびエタノールアミン(54g)を使用して行われる。他の反応物の量:トリメリット酸無水物(296g)、ジエチレングリコール(938g)、アジピン酸(129g)、テレフタル酸(476g)、および大豆油(150g)。ヒドロキシル価:245mg KOH/g、酸価:0.3mg KOH/g。硬質フォームを作製するためのポリオール成分として使用する前に、生成物を非イオン性界面活性剤(5重量%)と組み合わせる。
【0076】
実施例5
フタルイミド含有二酸からのポリエステルポリオール(ポリオール5)
フタルイミド含有ジオール中間体を生成するために、実施例1の手順が、一般に、2-(2-アミノエトキシ)エタノールの代わりにエタノールアミン(100g)を使用して行われる。他の反応物の量:トリメリット酸無水物(169g)、ジエチレングリコール(938g)、フタル酸無水物(197g)、テレフタル酸(574g)、アジピン酸(78g)、大豆油(150g)。ヒドロキシル価:245mg KOH/g、酸価:0.3mg KOH/g。硬質フォームを作製するためのポリオール成分として使用する前に、生成物を非イオン性界面活性剤(5重量%)と組み合わせる。
【0077】
比較例6
STEPANPOL(登録商標)PS-2352(芳香族ポリエステルポリオール、ヒドロキシル価:約240mg KOH/g)が、硬質フォームを作製するためのポリオール成分として使用される。
【0078】
比較例7
硬質フォームを作製するためのポリオール成分として、公称ヒドロキシル価250mg KOH/gを有する7.5重量%の大豆油を含む、テレフタル酸/フタル酸無水物(65/35モル比)、ジエチレングリコール/トリエチレングリコール(80/20モル比)を含む芳香族ポリエステルポリオールを使用する。
【0079】
比較例8
硬質フォームを作製するためのポリオール成分として、STEPANPOL(登録商標)PS-2602(変性フタル酸無水物系芳香族ポリエステルポリオール、ヒドロキシル価:約260mg KOH/g)を使用する。
【0080】
実施例9
フタルイミド含有二酸からのポリエステルポリオール(ポリオール9)
機械的撹拌、加熱マントル、充填精留塔、冷却器、および受器、温度制御器、および窒素流入口を備えたフラスコに、フタル酸無水物(497g)、アスパラギン酸(112g)、およびジエチレングリコール(719g)を充填する。添加速度を制御して、反応温度を80℃未満に維持する。反応混合物を220℃に10時間加熱する。酸価、ヒドロキシル価、および含水量は、目標のヒドロキシル価に達するまで監視される。大豆油(113g)を添加し、混合物を、220℃に2時間加熱し、エステル交換を促進する。得られた生成物は、ヒドロキシル価:249mg KOH/g、酸価:2.7mg KOH/g。硬質フォームを作製するためのポリオール成分として使用する前に、生成物を非イオン性界面活性剤(5重量%)と組み合わせる。
【0081】
低密度硬質PIRフォーム
低密度(1.6pcf)の硬質ポリイソシアヌレートフォームを調製する。表1に、B液(B-side)ブレンド(ポリエステルポリオール、難燃剤、触媒、界面活性剤、水、および発泡剤)を示す。B液およびMONDUR(登録商標)489(ポリマーMDI、Covestroの製品、インデックスが260)を、フォーム調製前に、70℃で1時間、定温浴中で平衡化する。ポリマーMDIを、1クォートカップに秤量する。B液成分を急速に添加し、反応物を>2500ppmで6秒間混合し、混合物を1ガロンの紙コップに注ぐ。クラウン(crown)を90秒で切断する。
【0082】
高密度硬質PIRフォーム
低密度PIRフォームを作製するために、上述の手順は、一般に、インデックス300で良好な高密度(2.3pcf)PIRフォームが得られるように調整された配合で行われる(配合の詳細については、表2を参照)。
【0083】
ホットプレート試験
フォーム試料を4インチ×4インチ×1.25インチに切断し、質量、厚さ、および密度を測定する。試料を、予熱した(1200℃)ホットプレート上に15分間置き、その間、温度を1000℃に徐々に低下させる。高密度フォーム試料もまた、1時間試験に供する。試料を秤量し、厚さを決定するために半分に切断し、チャーリング特性を分析する。表3~5に、結果を示す。
【0084】
熱重量分析による熱安定性
熱重量分析(TGA)は、Discovery TGA機器(TA Instruments)を使用して実施する。ポリオール試料(30~40mg)またはPIRフォーム試料(3~4mg)を、25mL/分で空気中で試験する。温度を、10℃/分で、周囲温度(25℃)から700℃に上げる。データは、質量保持(%)対温度としてプロットされる。所与の温度で、より高い質量保持は、より高い熱安定性を示す。表6および7に、結果を示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0085】
表3に示されるように、フタルイミド含有ポリオールまたはフタルイミド含有ポリ酸を使用して作製されたポリエステル由来の低密度(260インデックス)の硬質PIRフォームは、他の芳香族ポリエステルポリオールから作製された硬質フォームと比較した場合、15分間のホットプレート試験において、より優れた熱安定性(より低い質量損失)および大幅に改善された膨張性(より大きな厚さの増分)を示す。同様の傾向は、15分(表4)または1時間(表5)のホットプレート試験のいずれかにおいて、高密度(300インデックス)の硬質PIRフォームについて明らかである。
【0086】
表6は、高密度(300インデックス)の硬質PIRフォームの空気中での熱重量分析(TGA)からの結果を示す。フタルイミド含有ポリオールまたはフタルイミド含有ポリ酸を組み込んだポリエステルポリオールから作製された硬質フォームは、他のポリエステルポリオールから作製された硬質フォームと比較した場合、より高い割合でそれらの質量を保持する(すなわち、より高い熱安定性を有する)。表7は、フォームの改善された熱安定性が、少なくとも部分的には、フタルイミド含有ポリエステルポリオールのより良好な熱安定性に起因し得ることを示す。400℃での質量保持の違いは、特に顕著である。
【表6】
【表7】
【手続補正書】
【提出日】2022-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームであって、
(a)ポリイソシアネートと、
(b)ポリエステルポリオールであって、
(i)フタルイミド含有ポリ酸、
(ii)フタルイミド含有ポリオール、または
(iii)(i)および(ii)の組み合わせ、の反復単位を含み、
前記フタルイミド含有ポリ酸が、トリメリット酸無水物と、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物であり、
前記フタルイミド含有ポリオールが、脂肪族アミノアルコール、グリコール、もしくはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物であるか、またはビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物であり、
前記ポリエステルポリオールが、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する、ポリエステルポリオールと、
(c)水と、
(d)界面活性剤と、
(e)ウレタン触媒、イソシアヌレート触媒、またはそれらの両方と、
(f)任意選択的に、発泡剤と、
(g)任意選択的に、難燃剤と、の反応生成物を含む、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、ポリマーMDIである、請求項1に記載の硬質フォーム。
【請求項3】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、構造:
【化1】
を有する二酸であり、式中、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシであり、nは、0~4の値を有する、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項4】
前記アミノアルコールが、エタノールアミンまたは2-(2-アミノエトキシ)エタノールである、請求項
1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項5】
前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせである、請求項
1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項6】
前記ビス(無水物)が、ピロメリット酸二無水物である、請求項
1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項7】
前記ビス(無水物)が、式:
【化2】
を有し、式中、Lは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-C
2-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(CF
3)
2-、-C(Ph)(CH
3)-、および-CH(Ph)-から選択される構造を有する任意選択的な二価の連結基である、請求項
1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項8】
前記フタルイミド含有ポリオールが、構造:
【化3】
を有するジオールであり、式中、mおよびnの各々は、独立して、1~5の平均値を有する、請求項1または2に記載の硬質フォーム。
【請求項9】
前記ポリエステルポリオールに組み込まれる、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールの量が、ポリエステルポリオールの量に基づいて、10~50重量%の範囲内である、請求項
1~8のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項10】
前記ポリエステルポリオールが、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の反応物の反復単位をさらに含む、請求項
1~9のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項11】
前記ポリエステルポリオールが、ジエチレングリコールの反復単位をさらに含む、請求項
1~10のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項12】
1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された厚さにおいて、少なくとも5%の増加によって証明される、他のポリエステルポリオールから調製された類似のフォームの膨張性と比較して、改善された膨張性を有する、請求項
1~11のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項13】
1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後の質量損失(%)において、少なくとも5%の改善によって証明される、他のポリエステルポリオールから調製された類似のフォームの熱安定性と比較して、改善された熱安定性を有する、請求項
1~12のいずれか一項に記載の硬質フォーム。
【請求項14】
ポリエステルポリオールであって、
(a)テレフタル酸と、
(b)ジエチレングリコールと、
(c)フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールであって、
前記フタルイミド含有ポリ酸が、トリメリット酸無水物と、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物であり、
前記フタルイミド含有ポリオールが、脂肪族アミノアルコール、グリコール、もしくはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物であるか、またはビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物である、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールと、
(d)任意選択的に、ポリエステルポリオールの量に基づいて、2~20重量%の天然油と、
(e)任意選択的に、無水物、ジエステル、またはテレフタル酸以外の二酸と、
(f)任意選択的に、ジエチレングリコール以外のジオールまたはポリオールと、の反復単位を含み、
前記ポリエステルポリオールが、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する、ポリエステルポリオール。
【請求項15】
(a)と(e)との合計量に基づいて、少なくとも35重量%のテレフタル酸反復単位を含む、請求項
14に記載のポリエステルポリオール。
【請求項16】
(b)と(f)との合計量に基づいて、少なくとも55重量%のジエチレングリコール反復単位を含む、請求項
14または15に記載のポリエステルポリオール。
【請求項17】
前記フタルイミド含有ポリ酸が、構造:
【化4】
を有する二酸であり、式中、R
1およびR
2の各々は、独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、またはアルコキシであり、nは、0~4の値を有する、請求項
14~16のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項18】
前記アミノアルコールが、エタノールアミンまたは2-(2-アミノエトキシ)エタノールである、請求項
14~16のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項19】
前記ビス(無水物)が、ピロメリット酸二無水物である、請求項
14~16のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項20】
前記ビス(無水物)が、式:
【化5】
を有し、式中、Lは、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-、-C(=O)-、-C
2-、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(CF
3)
2-、-C(Ph)(CH
3)-、および-CH(Ph)-から選択される構造を有する任意選択的な二価の連結基である、請求項
14~16のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項21】
前記フタルイミド含有ポリオールが、構造:
【化6】
を有するジオールであり、式中、mおよびnの各々は、独立して、1~5の平均値を有する、請求項
14~16のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項22】
前記ポリエステルポリオールに組み込まれる、フタルイミド含有ポリ酸またはフタルイミド含有ポリオールの量が、ポリエステルポリオールの量に基づいて、10~50重量%の範囲内である、請求項
14~21のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
【請求項23】
ブレンドであって、請求項
14~22のいずれか一項に記載のポリエステルポリオールと、前記ブレンドの量に基づいて、1~20重量%の非イオン性界面活性剤と、を含む、ブレンド。
【請求項24】
1~10重量%の前記非イオン性界面活性剤を含む、請求項
23に記載のブレンド。
【請求項25】
方法であって、フタルイミド含有ポリ酸、フタルイミド含有ポリオール、またはそれらの組み合わせの反復単位を含むポリエステルポリオールを、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームに、他のポリエステルポリオールから調製された類似のフォームと比較して、前記フォームの膨張性または熱安定性を改善するのに有効な量で組み込むことを
含み、
前記フタルイミド含有ポリ酸が、トリメリット酸無水物と、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物であり、
前記フタルイミド含有ポリオールが、脂肪族アミノアルコール、グリコール、もしくはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物であるか、またはビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物である、方法。
【請求項26】
前記フォームの前記改善された膨張性が、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された厚さにおいて、少なくとも5%の増加によって証明される、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
前記フォームの前記改善された熱安定性が、1000℃~1200℃の範囲内の温度で行われる15分間のホットプレート試験後に測定された質量損失(%)において、少なくとも5%の改善によって証明される、請求項
25または26に記載の方法。
【請求項28】
方法であって、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを、
(a)ポリイソシアネートと、
(b)ポリエステルポリオールであって、
(i)フタルイミド含有ポリ酸、
(ii)フタルイミド含有ポリオール、または
(iii)(i)および(ii)の組み合わせ、の反復単位を含み、
前記フタルイミド含有ポリ酸が、トリメリット酸無水物と、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸との反応生成物であり、
前記フタルイミド含有ポリオールが、脂肪族アミノアルコール、グリコール、もしくはポリオールと、トリメリット酸無水物との反応生成物であるか、またはビス(無水物)と、2モル当量の脂肪族アミノアルコールとの反応生成物であり、
前記ポリエステルポリオールが、150~800mg KOH/gの範囲内のヒドロキシル価、および0.1~5mg KOH/gの範囲内の酸価を有する、ポリエステルポリオールと、
(c)水と、
(d)界面活性剤と、
(e)ウレタン触媒、イソシアヌレート触媒、またはそれらの両方と、
(f)任意選択的に、発泡剤と、
(g)任意選択的に、難燃剤と、を反応させることによって、配合することを含む、方法。
【国際調査報告】