(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】圧縮破壊に適応したプランジャロッドおよびシリンジ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A61M5/315 514
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526101
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 SE2020051062
(87)【国際公開番号】W WO2021091462
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522177466
【氏名又は名称】クルイ メディカル アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】クヌートソン ペール
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066DD08
4C066HH02
4C066HH12
4C066HH17
(57)【要約】
シリンジバレル(102)に関連して使用するためのプランジャロッド(104)が提供される。プランジャロッド(104)は、近位底面(113)を有する遠位プランジャ頂部(105)と、近位の細長いシャフト(106)と、を備え、近位の細長いシャフト(106)は、軸(1000)に沿って加えられた力を受けるように適合された近位端(107a)と、前記の軸(1000)に沿って前記の加えられた力を伝達するように適合された遠位端プレート(107b)と、を備える。プランジャロッド(104)は、軸(1000)に沿って延在するシリンジ(100)のバレル(102)内に挿入されるようになっている。遠位プランジャ頂部(105)と近位の細長いシャフト(106)とは、解放可能な接続部(115)によって互いに接続される。解放可能な接続部(115)は、近位底面(113)上の軸(1000)から偏心して配置された少なくとも1つの遠位頂部リブ(125a)を備える遠位頂部破壊手段(116)と、遠位端プレート(107b)上の軸(1000)から偏心して配置された少なくとも1つの近位シャフトリブ(125b)を備える近位シャフト破壊手段(117)と、を備える。前記の少なくとも1つの遠位頂部リブ(125a)の各々は、対応する少なくとも1つの近位シャフトリブ(125b)に接続され、前記のリブ(125a、125b)は、接触領域(118)で接続され、前記の遠位頂部破壊手段(116)は、遠位プランジャ頂部(105)がバレル(102)の遠位端(110)に押し込まれたときに、圧縮破壊により近位シャフト破壊手段(117)から切り離すように構成される。シリンジも提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジバレル(102)に関連して使用するためのプランジャロッド(104)であって、前記プランジャロッド(104)は、近位底面(113)を有する遠位プランジャ頂部(105)と、近位の細長いシャフト(106)と、を備え、前記近位の細長いシャフト(106)は、軸(1000)に沿って加えられた力を受けるように適合された近位端(107a)と、前記軸(1000)に沿って前記加えられた力を伝達するように適合された遠位端プレート(107b)と、を備え、
前記プランジャロッド(104)は、前記軸(1000)に沿って延在するシリンジ(100)の前記バレル(102)に挿入されるように適合され、
前記遠位プランジャ頂部(105)と前記近位の細長いシャフト(106)とは、解放可能な接続部(115)によって互いに接続され、前記解放可能な接続部(115)は、
近位底面(113)上の軸(1000)から偏心して配置された少なくとも1つの遠位頂部リブ(125a)を備える遠位頂部破壊手段(116)と、
前記遠位端プレート(107b)上の軸(1000)から偏心して配置された少なくとも1つの近位シャフトリブ(125b)を備える近位シャフト破壊手段(117)と、
を備え、
前記少なくとも1つの遠位頂部リブ(125a)の各々は、対応する少なくとも1つの近位シャフトリブ(125b)に接続され、前記リブ(125a、125b)は、接触領域(118)で接続され、前記遠位頂部破壊手段(116)は、前記遠位プランジャ頂部(105)が前記バレル(102)の遠位端(110)に押し込まれたときに、圧縮破壊により前記近位シャフト破壊手段(117)から切り離すように構成される、プランジャロッド。
【請求項2】
請求項1に記載のプランジャロッドであって、前記リブ(125a、125b)は、前記遠位端プレート(107b)から、および前記近位底面(113)から、それぞれ、前記軸(1000)に沿って延在する、プランジャロッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプランジャロッドであって、前記プランジャロッド(104)は、空洞(114)をさらに備え、前記空洞(114)は、前記遠位端プレート(107b)の前記近位シャフトリブ(125b)と前記近位底面(113)との間に形成され、前記力が、前記軸(1000)に沿って前記遠位プランジャ頂部(105)に伝達されて、前記遠位頂部リブ(125a)と前記近位シャフトリブ(125b)とを互いに解放させるときに、前記近位シャフトリブ(125b)を受け入れるように構成される、プランジャロッド。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記遠位頂部リブ(125a)は、前記近位シャフトリブ(125b)に対して径方向に変位する、プランジャロッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記遠位リブ(125a)と前記近位シャフトリブ(125b)とが互いに分離されたときに、前記遠位リブ(125a)は、遠位リブ破壊面(135)を有し、前記近位シャフトリブ(125b)は、近位シャフトリブ破壊面(136)を有し、前記軸(1000)に対して、中心および横方向を、それぞれ、向いている、プランジャロッド。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記遠位頂部リブ(125a)および前記近位シャフトリブ(125b)は、前記近位底面(113)および前記遠位端プレート(107b)の直径に沿って直線的に並べられる、プランジャロッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記リブ(125a、125b)は、前記軸(1000)に沿って延在し、各遠位頂部リブ(125a)の中心に面する側は、対応する近位シャフトリブ(125b)の横方向に面する側に接続され、またはその逆である、プランジャロッド。
【請求項8】
請求項7に記載のプランジャロッドであって、前記遠位頂部リブ(125a)は、前記軸(1000)から離れるように角度が付けられ、前記近位シャフトリブ(125b)は、前記軸(1000)に向かって角度が付けられ、またはその逆である、プランジャロッド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記リブ(125a、125b)は、前記軸(1000)から見て外方に向く前記遠位頂部リブ(125a)の側部に垂直な前記遠位頂部リブ(125a)の側縁が、前記軸(1000)から見て外方に向く前記近似シャフトリブ(125b)の側部に垂直な前記近似シャフトリブ(125b)の側縁に接続されるように、配置される、プランジャロッド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記遠位頂部リブ(125a)および前記近位シャフトリブ(125b)は、実質的に、ピラミッド、立方体、直方体、プリズム、円錐、四面体、円筒、または前記遠位頂部リブ(125a)と前記近位シャフトリブ(125b)との間の接続を可能にする任意の他の幾何学的3次元形状、の形状である、プランジャロッド。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記遠位頂部リブ(125a)および近位シャフトリブ(125b)は、少なくとも1つの遠位リブ突出部(123a)および近位リブ突出部(123b)をそれぞれ備える、プランジャロッド。
【請求項12】
請求項11に記載のプランジャロッドであって、各遠位頂部突出部(123a)は、対応する近位シャフト突出部(123b)に面し、対応する近位シャフト突出部(123b)の向かいに配置され、前記突出部(123a、123b)は、前記遠位頂部リブ(125a)と前記近位シャフトリブ(125b)との間の接続を形成する、プランジャロッド。
【請求項13】
請求項12に記載のプランジャロッドであって、前記リブ(125a)上の各遠位リブ突出部(123a)と前記リブ(125b)上の各対応する近位リブ突出部(123b)との間に形成された接続部は、砂時計のような形状を有する前記軸(1000)に沿った長手方向断面を有する、プランジャロッド。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記遠位プランジャ頂部(105)は、ワッシャ(103)を備え、前記ワッシャ(103)は、前記バレル(102)の管状壁(101)と流体密封係合するように適合され、前記ワッシャ(103)は、前記バレル(102)内で前記軸(1000)に沿って変位可能である、プランジャロッド。
【請求項15】
請求項14に記載のプランジャロッドであって、前記ワッシャ(103)がOリングシールである、プランジャロッド。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記遠位プランジャ頂部(105)は、端部突出部(731)をさらに備え、前記端部突出部(731)は、前記端部突出部(731)の内部保持凹部(732)と係合するように構成された保持部分(733)を備えるプランジャ頂部(105)上に遠位に配置される、プランジャロッド。
【請求項17】
請求項16に記載のプランジャロッドであって、前記遠位プランジャ頂部(705)は、前記端部突出部(731)の近位端に配置された遠位端面(739’)を有する隆起ソケット(738’)を備え、前記プランジャ頂部(705)が前記遠位端(710’)に押し込まれたときに、前記遠位端面(739’)が前記バレル(702)の遠位端(710’)と直接接触するようになっている、プランジャロッド。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記突出部(123a、123b)は、実質的に、ピラミッド、立方体、直方体、プリズム、円錐、四面体、または前記遠位頂部突出部(123a)と前記近位シャフト突出部(123b)との間の接続を可能にする任意の他の幾何学的3次元形状、の形状である、プランジャロッド。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記接触領域(118)は、弱化部(122、124)を備え、前記弱化部(122、124)は、好ましくは、前記接触領域(118)の遠位に向く側に配置された、溝(124)または鋭利な縁部(122)である、プランジャロッド。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記接触領域(118)は、補強部(121、427)を備え、前記補強部(121、427)は、好ましくは、前記接触領域(118)の近位に向く側に配置される、曲げ部(121)または過剰の材料(427)の形態である、プランジャロッド。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載のプランジャロッドであって、前記近位底部プレート(113)は、前記バレル(102)の内壁に形成された円周フランジ(119)の直径よりも小さい直径を有する、プランジャロッド。
【請求項22】
バレル(102)を備えるシリンジ(100)であって、前記バレル(102)の遠位端(110)に配置されたシリンジ先端(111)を有し、前記バレル(102)は、薬剤を収容するように適合され、前記バレル(102)は、前記遠位端(110)から近位に延在する管状壁(101)を有し、前記バレル(102)は、軸(1000)に沿って延在し、
前記バレル(102)は、前記バレル(102)の近位端(112)に配置された開口部(109)を備え、
前記シリンジ(100)は、前記軸(1000)に沿って延在する請求項1から19のいずれか1項に記載のプランジャロッド(104)をさらに備える、シリンジ(100)。
【請求項23】
請求項22に記載のシリンジ(100)であって、前記シリンジ(100)は、前記薬剤を含む、シリンジ(100)。
【請求項24】
請求項22または23に記載のシリンジ(100)であって、前記バレル(102)は、プラスチックまたはガラスから作られる、シリンジ(100)。
【請求項25】
請求項22から24のいずれか1項に記載のシリンジ(100)であって、前記シリンジ先端(111)が針(840)を備える、シリンジ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来のシリンジと同様のコストで製造することができる、シリンジの再使用を防止するためのシリンジのプランジャロッドに関する。本発明はさらに、前記のプランジャロッドを備えるシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
注射は、最も一般的な医療処置の1つであり、毎年世界中で少なくとも160億回の注射が施される。同じシリンジを複数の人に注射するために複数回使用すると、いくつかの感染症が広がる原因となる。シリンジの誤用により、毎年200万人以上の患者および使用者が、HIV、B型肝炎、C型肝炎などの重症血液伝染性疾患に感染していると、推定されている。これらの注射の大半は、市販されている従来のシリンジまたは予め充填された従来のシリンジを使用して行われる。
【0003】
2015年、世界保健機関(WHO)は、2020年までに、世界中の全てのシリンジが自動無効(AD)シリンジなどのいわゆる「スマートシリンジ」と交換されるべきであるという期限を設定した。
【0004】
市場で入手可能なADシリンジは、いくつかの欠点を有する。ほとんどのスマートシリンジは、プランジャロッドとシリンジバレルとの間のロック機構に基づいている。プランジャロッドが、シリンジのシリンダバレルの前部に挿入されて到達すると、ロック機構が作動する。プランジャロッドを後退させようとしている間、引張破壊が生じ、プランジャロッドが2つの別々の部分に分割される。従って、シリンジの再使用が防止される。そのようなADシリンジは、例えば、特許文献1に記載されている。
【0005】
しかしながら、これらのタイプのシリンジは、複雑な設計を有する。例えば、バレルの内壁は、フランジを備えてよく、ピストンロッドは、フランジと係合するように対応して設計される。そのような困難な設計は、従来のシリンジの製造コストよりも実質的に高い製造コストをもたらす。
【0006】
別のタイプのADシリンジは、鋭利物保護機能(SIP)および再使用防止機能(RUP)を有するシリンジである。SIP+RUPシリンジは、手動または自動バージョンとして入手可能である。手動バージョンでは、ユーザは、安全機能を手動で作動させる。自動格納式モデルは、本質的には手動バージョンと類似しているが、それは、プランジャロッドがバレルの底部に当たると、自動的に針をプランジャに引き入れるスプリングなどの装置を含む。圧力がプランジャロッドに加えられると、シリンジ内のスプリング機構が作動し、針をシリンジバレル内に後退させる。従って、1回使用した後、追加の注射は不可能になる。例えば廃棄プロセスにおける針との接触による負傷の危険性は、多かれ少なかれ除去される。しかしながら、この設計は、多くの異なる構成要素および複数の実装工程を含む。これは、次に、非常に高い製造コストをもたらす。
【0007】
従って、従来技術の不都合な点および欠点に対処し、費用効率の高い方法で製造することができる、自動無効シリンジが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0110044号明細書
【発明の概要】
【0009】
従って、本発明は、好ましくは、単独でまたは任意の組み合わせで、当技術分野における上記の欠陥および不都合な点の1つ以上を軽減、緩和、または除去しようとし、添付の独立請求項による解決策を提案することによって、少なくとも上記の問題を解決する。有利な実施形態は、添付の従属請求項に定められている。
【0010】
第1の態様では、シリンジバレルに関連して使用するためのプランジャロッドが提供される。プランジャロッドは、近位底面を有する遠位プランジャ頂部と、近位の細長いシャフトとを備え、近位の細長いシャフトは、軸に沿って加えられた力を受け取るように適合された近位端と、前記の軸に沿って前記の加えられた力を伝達するように適合された遠位端プレートとを備える。プランジャロッドは、軸に沿って延在するシリンジのバレル内に挿入されるように適合される。遠位プランジャ頂部と近位の細長いシャフトとは、解放可能な接続部によって互いに接続され、解放可能な接続部は、近位底面上の軸から偏心して配置された少なくとも1つの遠位頂部リブを有する遠位頂部破壊(rupture)手段と、遠位端プレート上の軸から偏心して配置された少なくとも1つの近位シャフトリブを有する近位シャフト破壊(rupture)手段とを備える。各少なくとも1つの遠位頂部リブは、対応する少なくとも1つの近位シャフトリブに接続され、リブは、接触領域で接続される。遠位頂部破壊手段は、遠位プランジャ頂部がバレルの遠位端に押し込まれると、圧縮破壊により近位シャフト破壊手段から切り離すように構成される。
【0011】
第2の態様では、バレルの遠位端に配置されたシリンジ先端を有するバレルを備えるシリンジが提供される。バレルは、薬物を収容するように適合され、前記の遠位端から近位に延在する管状壁を有し、バレルは、軸に沿って延在する。バレルは、バレルの近位端に配置された開口部を備え、シリンジは、軸に沿って延在するプランジャロッドをさらに備える。
【0012】
さらなる利点は、詳細な説明ならびに添付の従属請求項から明らかになるであろう。
【0013】
本発明が可能であるこれらのおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態の以下の説明から明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】一例によるシリンジの長手方向図およびプランジャロッドの等角図である。
【
図1B】
図1Aの例によるシリンジおよびプランジャロッドの長手方向図である。
【
図2】第2の例によるシリンジおよびプランジャロッドの長手方向図および前記のプランジャロッドの等角図である。
【
図3】第3の例によるシリンジおよびプランジャロッドの長手方向図および前記のプランジャロッドの等角図である。
【
図4】第4の例によるシリンジおよびプランジャロッドの長手方向図および前記のプランジャロッドの等角図である。
【
図5】第5の例によるシリンジおよびプランジャロッドの断面図および前記のプランジャロッドの等角図を示す。
【
図6】第6の例による
図4に示されるシリンジおよびプランジャロッドの代替例を示す。
【
図7】第7の例による
図4に示されるシリンジおよびプランジャロッドのさらに別の代替例を示す。
【
図7B】
図7のシリンジのさらなる実施形態を示す。
【
図8】第8の例による事前充填シリンジおよびプランジャロッドの長手方向図および等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、当業者が本発明を実施できるように、添付図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全になるように提供され、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるであろう。実施形態は、本発明を限定するものではないが、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によってのみ限定される。さらに、添付の図面に示される特定の実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することを意図していない。
【0016】
図1を参照すると、本明細書の教示によるシリンジ100およびプランジャロッド104の一例が示されている。シリンジ100は、遠位端110および近位端112を有するバレル102を備える。遠位端110は、針が取り付けられ得る遠位先端111を備える。シリンジ100のバレル102は、薬剤を含有するのに適した任意の材料から作製されてよいが、プラスチックから作製されることが好ましい。プラスチックは、好ましくは透明である。バレル102は、薬剤を収容するように構成される。薬剤は、患者またはユーザに注射される液体形態であってよい。さらに、バレル102は、管状壁101を有する。
【0017】
シリンジ100は、軸1000に沿って延び、その軸は、バレル102が延びる方向を定め、例えば、バレル102は、軸1000に沿って延びる。
【0018】
図1のシリンジ100は、バレル102内に配置されたプランジャロッド104をさらに備える。プランジャロッド104は、管状壁101および軸1000に沿って延在する。ワッシャ103は、プランジャロッド104の遠位プランジャ頂部105に配置される。遠位プランジャ頂部105は、近位底部プレート113を備える。プランジャロッド104は、近位端107aおよび遠位端プレート107bを有する細長い近位シャフト106をさらに備える。
【0019】
ワッシャ103は、バレル102の管状壁101と流体密封係合するように適合される。バレル102の管状壁101と液密に係合することによって、バレル102内に収容された薬剤または液体は、バレル102の遠位端110で遠位先端111(または前記の遠位先端に取り付けられた針)を通る以外の任意の他の方向にシリンジ100から漏出することを妨げられる。
【0020】
遠位プランジャ頂部105と細長い近位シャフト106とは、解放可能な接続部115によって互いに接続される。
図1Aの解放可能な接続部115は、遠位頂部破壊(rupture)手段116、および近位シャフト破壊(rupture)手段117を備える。遠位頂部破壊手段116は、遠位プランジャ頂部105の近位底面113に配置される。近位シャフト破壊手段117は、細長い近位シャフト106の遠位端プレート107に配置される。底面113にある遠位頂部破壊手段116は、3つの遠位頂部リブ125aを備える。遠位端プレート107bにある近位シャフト破壊手段117は、3つの近位シャフトリブ125bを備える。遠位頂部リブ125aは、近位シャフトリブ125bに対して中央に配置される。従って、近位シャフトリブ125bは、遠位頂部リブ125aに対して横方向に配置される。遠位頂部リブ125aと近位シャフトリブ125bとの間の接続を、
図1Bを参照してさらに説明する。
【0021】
図1A-
図8の各例は、遠位端頂部105をプランジャロッド104の近位の細長いシャフト106に接続する解放可能な接続部115の異なる非限定的実施形態を示す。全ての実施形態において、軸1000は、遠位端および近位端を有する、シリンジおよびプランジャロッドの長手方向を定める。軸1000は、シリンジの中心に沿って延びる。プランジャロッドおよびシリンジバレルの外周は、横方向外周を画定する。
【0022】
本明細書に開示される解放可能な接続部115の遠位頂部リブ125aおよび近位シャフトリブ125bは、互いに対しておよび軸1000に対して、偏心して配置される。解放可能な接続部115の破壊は、プランジャロッド104が軸1000に沿って加えられた力を受け、遠位プランジャ頂部105をバレル102の遠位端110内に押し込むときに生じる。遠位プランジャ頂部105が到達し、さらに遠位端110に向かって押圧されると、遠位頂部破壊手段116と近位シャフト破壊手段117との間に圧縮破壊が生じ、それは互いに係合解除する。従って、ユーザがプランジャロッド104を引き抜くとき、遠位プランジャ頂部105はバレル102内に残り、細長い近位シャフト106のみがバレル102から引き抜かれる。明らかに、シリンジ100は、再使用することができない。
【0023】
図1Bは、
図1Aに開示されるプランジャロッド104の使用位置A-Eの断面を示す。
【0024】
位置A(取り付け位置):プランジャロッド104は、バレル102内に配置される。解放可能な接続部115は、遠位プランジャ頂部105をプランジャロッド104に接続する。
【0025】
この実施形態では、解放可能な接続部115は、位置Aの拡大図で示されている。遠位端プレート107bおよび近位底面113は、それぞれ、3つの別々に配置された近位シャフト125b、および3つの別々に配置された遠位頂部125aを備える。しかしながら、
図1Bの縦断面図により、2つの遠位頂部リブ125aと2つの近位シャフトリブ125bのみが見える。底面113に配置された各遠位頂部リブ125aは、対になっており、遠位端プレート107bに配置された対応する近位シャフトリブ125bに接続される。遠位頂部リブ125aは、接触領域118において近位シャフトリブ125bに接続される。遠位頂部リブ125aおよび近位シャフトリブ125bの長手方向断面は、円錐状の形状またはピラミッド状の形状を有する。
【0026】
遠位頂部破壊手段116の遠位頂部リブ125aおよび近位シャフト破壊手段117の近位シャフトリブ125bは、軸1000の延在に沿って互いに接続される。各遠位頂部リブ125aは、対応する近位シャフトリブ125bに接続される。2つの連結された遠位頂部リブ125aおよび近位シャフトリブ125bは、互いに対しておよび軸1000に対して、偏心して配置される。(軸1000に向いている)1つの近位シャフトリブ125bの中央対向面は、接触領域118で(軸1000から見て外方に向いている)遠位頂部リブ125aの横方向対向面と接続される。従って、遠位頂部リブ125aの表面の法線は、中心から外側に横方向を指す。近位シャフトリブ125bの表面の法線は、中心軸1000に向かって中心を指す。これにより、横/中央方向(軸1000に垂直)に大きな安定性が得られる。遠位頂部破壊手段116は、近位シャフト破壊手段117に対して、軸1000により近い中央に配置される。
【0027】
位置B(引き出し位置):プランジャロッド104が引き出されており、バレル102内の内腔108を露出させている。位置Bの拡大図では、解放可能な接続部115は、無傷であり、遠位プランジャ頂部105を細長いシャフト106に接続する。さらに、バレル102は、バレル102の開口部109からバレル102の内壁に形成された円周フランジ119に延在する平坦化された角度120を備える。これは、ワッシャ103が、実装中にバレル102の内壁とのより早い接触を確立することができることに、寄与する。さらに、この設計は、ワッシャ103が円周フランジ119を通過するときの摩擦の蓄積を防ぐ。さらに、近位底部プレート113は、角度のある側縁128を有し、角度のある側縁128は、また底部プレート113が周方向フランジ119を通過するときに摩擦を減少させる。
【0028】
近位底部プレート113は、円周フランジ119の直径よりも小さい直径を有し、その間の接触を回避し、それは、実装中に解放可能な接続部115を損傷し得る。遠位端プレート107bは、内腔108内への薬剤の採取後に、ピストンロッド104がバレル102から引き出されることができないことを確実にする。
【0029】
位置C(前方位置-圧力負荷なし):プランジャロッド104が、バレル102の遠位端110に押し出された。加えられた圧力負荷は、シリンジ100から内腔108の含有量を押し出すのに十分であったが、解放可能な接続部115の圧縮破壊を可能にするのに十分な力は加えられていなかった。従って、解放可能な接続部115は無傷である。遠位頂部破壊手段116の遠位頂部リブ125aと近位シャフト破壊手段117の近位シャフトリブ125bとの間の遠位接触面は、鋭利な縁部122の形態の弱化部を備える。遠位頂部破壊手段116と近位シャフト破壊手段117との間の近位接触面は、曲げ部121の形態の補強部を備える。鋭利な縁部122は、位置Dに関連してさらに記載されるように、プランジャロッド104が遠位に押されるときに、解放可能な接続部115の弱化部として働き、圧縮破壊を、加速し、容易にする。逆に、曲げ部121は、位置Bに示されるように、プランジャロッド104の引き出し中の望ましくない引張破壊を防ぐ。
【0030】
位置D(前方位置-加えられた圧力負荷):プランジャロッド104は、軸1000に沿ってさらに力を受け、従って、バレル102の遠位端110に向かっておよび中にさらに押圧されている。これは、解放可能な接続部115の作動および破壊を引き起こす。圧縮破壊が生じ、遠位頂部リブ125aと近位シャフトリブ125bとは、互いから切り離される。空洞114は、遠位プランジャ頂部105が遠位端110に到達して遠位端110と接触しているけれども、近位シャフトリブ125bが前方に押され、圧縮破壊が起こることを可能にする。位置Dの拡大部分に示すように、遠位頂部リブ125aと近位シャフトリブ125bとの間にはもはや直接接触はない。破壊が起こると、遠位リブ125aは遠位リブ破壊面135を有し、近位シャフトリブ125bは近位シャフトリブ破壊面136を有する。遠位リブ面135は、中心を向いている。近位シャフトリブ破壊面136は、横方向を向いている。
【0031】
位置E(遠位プランジャ頂部取り外し):ユーザがバレル102内のプランジャロッド104を引き抜くと、遠位プランジャ頂部105が、プランジャロッド104から切り離される。従って、シリンジ100は、再使用することができない。各遠位頂部リブ125aおよび近位シャフトリブ125bは、互いに向かって角度が付けられている(位置AおよびDの拡大図に示されている)。リブ125bの中央に面する表面と遠位端プレート107bとの間の角度は、90度未満である。リブ125aの横方向に面する表面と近位底面113との間の角度は、90度よりも大きい。これは、遠位プランジャ頂部105がプランジャロッド104から解放されるときに、遠位頂部破壊手段116および近位シャフト破壊手段117が互いに係合する危険性を減少させる。
【0032】
図2-
図8を参照すると、7つのプランジャロッド204、304、404、504、604、704、804の追加の実施形態が示されている。
図2-7に示される実施形態におけるプランジャロッドの使用は、全て位置A-Eを含む。
図8の例は、予め充填されたADシリンジ800に関するので、
図8は位置Aを含まない。位置Aは、実装位置である。位置Bは、バレル102の内腔108が薬剤で満たされる引き出し位置である。位置Cは、内腔108の内容物が空になっているが、過剰な力がプランジャロッド104に加えられていない、前方位置である。従って、解放可能な接続部115、215、315、415、515、615、715、815は、依然として無傷である。位置Dは、圧力負荷が加えられ、解放可能な接続部の圧縮破壊が起こった、前方位置である。脱離位置である位置Eにおいて、遠位プランジャ頂部105は、プランジャロッド104から解放される。
【0033】
図2は、解放可能な接続部215を備える、第2の実施形態によるプランジャロッド204を示す。解放可能な接続部215は、遠位端頂部205の近位底面213上に配置された遠位頂部破壊手段216を備える。近位シャフト破壊手段217は、細長い近位端シャフト206の遠位端プレート207上に配置される。
【0034】
遠位頂部破裂手段216および近位シャフト破壊手段217は、それぞれ、2つの偏心して配置された遠位頂部リブ225aおよび近位シャフト近位シャフトリブ225bをそれぞれ備える。遠位頂部破壊手段216および近位シャフト破壊手段217は、3つ以上の偏心して配置された遠位頂部リブ225aおよび近位シャフトリブ225bを備え得る。遠位頂部リブ225aおよび近位シャフト近位シャフトリブ225bは、それぞれ、底面213および遠位端プレート207の直径に沿って直線的に配置される。近位シャフトリブ225bは、遠位頂部リブ225aに対して、軸2000により近い、中心に配置される。
【0035】
遠位頂部リブ225aは、2つの遠位リブ突出部223aをそれぞれ備え、近位シャフトリブ225bは、2つの近位リブ突出部223bをそれぞれ備える。遠位頂部リブ125aと近位シャフトリブ125bとは、遠位リブ突出部223aおよび近位シャフト突出部223bを通じて互いに接続される。突出部は、本明細書では破壊円錐とも称される。遠位リブ突出部223aおよび近位シャフト突出部223bは、遠位頂部リブ225aおよび近位シャフトリブ225bから半径方向に延在する。
【0036】
リブ225a上の遠位リブ突出部223aは、中心を向いている。近位シャフト突出部223bは、遠位頂部リブ225aおよび近位シャフトリブ225bが直線的に配置される同じ直径に沿って、横方向を指す。各遠位リブ突出部223aは、対応する近位リブ突出部223bに接続される。対応する遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bは、それらが互いに対向するように、互いに長手方向の高さに配置される。接続された遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bは、遠位頂部リブ225aと近位シャフトリブ225bとの間に砂時計形状接続を形成する。
【0037】
遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bによって形成される砂時計形状接続部は、弱化溝224を備えてよい。
図2では、溝224は、砂時計形状接続部のノードに位置している。溝224は、圧縮破壊中の破壊を加速し、シャープな/明らかな破壊を可能にするであろう。
【0038】
遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bは、異なる直径および長さを有してよい。遠位頂部リブ225aと近位シャフトリブ225bとの間のより小さい距離は、圧縮破壊が生じる前の遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bの粘弾性変形および/または剪断を防ぎ、従って、遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bのより効果的な/明らかな圧縮破壊を防ぐ。遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bは、軸2000に沿って遠位頂部リブ225aおよび近位シャフトリブ225b上に直線的に配置され、3つ以上の遠位リブ突出部223aおよび近位リブ突出部223bを使用することを可能にする。
【0039】
位置Dに示すように破壊が生じると、遠位リブ225aは、遠位リブ破壊面235を有し、近位シャフトリブ225bは、近位シャフトリブ破壊面236を有する。遠位リブ破壊面235は、中心を向いている。近位シャフトリブ破壊面236は、横方向を向いている。
【0040】
図3は、第3の実施形態によるプランジャロッド304を示す。プランジャロッド304は、遠位端頂部305および細長い近位シャフト306を有する。解放可能な接続部315は、
図2に示す実施形態と同様である。解放可能な接続部315は、近位底部プレート313上に偏心して配置された2つの遠位頂部リブ325aを有する遠位頂部破壊手段316を備える。近位シャフト破壊手段317の2つの近位シャフトリブ325bは、遠位頂部307b上に偏心して配置される。近位シャフトリブ325bは、遠位頂部リブ325aに対して横方向に配置される。遠位頂部リブ325aおよび近位シャフトリブ325bは、軸3000に沿って延在する。
【0041】
遠位頂部リブ325aおよび近位シャフトリブ325bは、それぞれ底面313および遠位端プレート307bの中心直径に沿って直線的に配置される。近位シャフトリブ325bは、遠位頂部リブ325aに対して、軸3000により近い中心に配置される。
【0042】
遠位頂部リブ325aは、遠位リブ突出部323aをそれぞれ備え、近位シャフトリブ325bは、近位リブ突出部323bをそれぞれ備える。遠位頂部リブ325aと近位シャフトリブ325bとは、遠位リブ突出部323aおよび近位シャフト突出部323bを通じて互いに接続される。遠位リブ突出部323aおよび近位シャフト突出部323bは、遠位頂部リブ325aおよび近位シャフトリブ325bから半径方向に延在する。
【0043】
リブ325a上の遠位リブ突出部323aは、中心を向いている。近位シャフト突出部323bは、遠位頂部リブ325aおよび近位シャフトリブ325bが直線的に配置される同じ直径に沿って、横方向を向いている。各遠位リブ突出部323aは、対応する近位リブ突出部323bに接続される。対応する先端のリブ突出部323aおよび近位リブ突出部323bは、それらが互いに対向するように互いに長手方向の高さに配置される。接続された遠位リブ突出部323aおよび近位リブ突出部323bは、遠位頂部リブ325aと近位シャフトリブ325bとの間に砂時計形状接続部を形成する。
【0044】
遠位リブ突出部323aおよび近位リブ突出部323bによって形成される砂時計形状接続部は、弱化溝324(
図3の位置Dの拡大図に示される)を備えてよい。溝224は、砂時計形状接続部のノードに位置している。溝324は、円錐323間のシャープな破壊を容易にする。
【0045】
遠位頂部リブ325aおよび近位シャフトリブ325bは、六角形であり、非対称である。この実施形態の利点は、圧縮破壊の挙動を最適化することが容易であることである。
【0046】
使用位置A-Dは、
図3に示されており、位置Cでは、拡大図は、任意の溝324がある場合とない場合の第3の実施形態を示している。位置Dでは、近位シャフト破壊手段317は、遠位頂部破壊手段316から解放され、近位シャフトリブ325bは、空洞314内に押し込まれている。圧縮破壊が確立すると(位置D)、プランジャロッド304は、バレル302から引っ込められてよい(位置E-
図3には示されていない)。破壊が生じると、遠位リブ325aは、遠位リブ破壊面335を有し、近位シャフトリブ325bは、近位シャフトリブ破壊面336を有する。遠位リブ破壊面335は、中心を向いている。近位シャフトリブ破壊面336は、横方向を向いている。
【0047】
プランジャロッド404の第4の実施形態が、
図4に示されている。プランジャロッド404は、遠位プランジャ頂部405および細長い近位シャフト406を有する。解放可能な接続部415は、
図2に示す実施形態と同様であり、遠位端頂部405の近位底部プレート413上に偏心して配置された2つの遠位頂部リブ425aを有する破壊手段416を備える。近位シャフト破壊手段417の2つの近位シャフトリブ425bは、遠位端頂部407b上に偏心して配置される。
【0048】
遠位頂部リブ425aおよび近位シャフトリブ425bは、軸4000に沿って延在する。各遠位頂部リブ425aは、2つの遠位リブ突出部423aを備える。各近位シャフトリブ425bは、2つの近位リブ突出部423bを備える。遠位リブ突出部423aおよび近位リブ突出部423bは、遠位頂部リブ425aおよび近位シャフトリブ425bおよび軸4000から実質的に垂直に延在する。
【0049】
遠位頂部リブ425aと近位シャフトリブ425bとは、遠位リブ突出部423aおよび近位シャフト突出部423bを通じて互いに接続される。遠位リブ突出部423aおよび近位シャフト突出部423bは、遠位頂部リブ425aおよび近位シャフトリブ425bから半径方向に延在する。
【0050】
リブ425a上の遠位リブ突出部423aは、中心を向いている。近位シャフト突出部423bは、遠位頂部リブ425aおよび近位シャフトリブ425bが直線的に配置される同じ直径に沿って、横方向を向いている。各遠位リブ突出部423aは、接触領域418で、対応する近位リブ突出部423bに接続される。対応する遠位リブ突出部423aおよび近位リブ突出部423bは、互いに対向するように互いに長手方向の高さに配置される。接続された遠位リブ突出部423aおよび近位リブ突出部423bは、遠位頂部リブ425aと近位シャフトリブ425bとの間に砂時計形状接続を形成する。
【0051】
破壊が生じると、遠位リブ425aは、遠位リブ破壊面435を有し、近位シャフトリブ425bは、近位シャフトリブ破壊面436を有する。遠位リブ破壊面435は、中心を向いている。近位シャフトリブ破壊面436は、横方向を向いている。
【0052】
遠位頂部リブ425aおよび近位シャフトリブ425bは、それぞれ、底面413および遠位端プレート407の中心直径に沿って直線状に配置される。近位シャフトリブ425bは、遠位頂部リブ425aよりも軸4000の近くに配置される。
【0053】
この実施形態では、突出部423は、三角柱のような形状である。この結果、接触領域418は、細長い幅426を有する。解放可能な接続部415のこの実施形態は、細長い幅426のために良好な安定性を有する。接触領域418は、細長いシャフト406に対向する補強部427をさらに備えてよい。接触領域418は、遠位端頂部405に対向する溝424をさらに備えてよい。
【0054】
図5は、第5の実施形態によるプランジャロッド504を示す。遠位端プレート507bおよび近位底部プレート513は、偏心して配置された2つの遠位頂部リブ525aおよび近位シャフトリブ525bをそれぞれ備える。
【0055】
各遠位頂部リブ525aは、遠位リブ突出部523aを備える。各近位シャフトリブ525bは、近位リブ突出部523bを備える。遠位頂部リブ525aと近位シャフトリブ525bとは、遠位リブ突出部523aおよび近位シャフト突出部523bを通じて互いに接続される。遠位リブ突出部523aおよび近位シャフト突出部523bは、遠位頂部リブ525aおよび近位シャフトリブ525bから半径方向に延在する。
【0056】
リブ525a上の遠位リブ突出部523aは、中心を向いている。近位シャフト突出部523bは、横方向を向いている。各遠位リブ突出部523aは、接触領域518で、対応する近位リブ突出部523bに接続される。対応する遠位リブ突出部523aおよび近位リブ突出部523bは、互いに対向するように互いに長手方向の高さに配置される。
【0057】
図1-4に示される実施形態とは対照的に、この実施形態における遠位リブ突出部523aおよび近位シャフト突出部523bは、互いに直線的に対向していない。代わりに、接触領域518は、遠位リブ突出部523aと近位軸突出部523bの側縁部の間の重なりによって形成される。遠位リブ突出部523aの中央に対向する各側縁部は、近位リブ突出部523bの中央に対向する側縁部に接続される。
【0058】
2つの遠位頂部リブ525aは、軸5000に対して、および近位シャフトリブ525bに対して、偏心して配置される。位置Cの拡大図に示されるように、遠位頂部リブ525aは、近位シャフトリブ525bに対して中心に配置される。さらに、プランジャロッド504の上部拡大図に見られるように、遠位リブ525aも近位シャフトリブ525bに対して水平方向に変位しており、水平方向は縦軸5000に対して垂直である。従って、遠位頂部リブ525aおよび近位シャフトリブ525bは、底面513および遠位端プレート507bの直径に沿って直線的に配置されない。
【0059】
好ましくは、接触領域518は小さく、0.2mm2などである。接触領域518における重なりは、バレル502内のプランジャロッド504の回転中の安定性を提供する。
【0060】
プランジャロッド504が前方位置に押し込まれ、過剰負荷が加えられると、
図5の位置Dの拡大図に示されるように、遠位リブ突出部523aと近位リブ突出部523bとは、互いに係合解除し、近位シャフトリブ525bは、空洞514内に押し込まれる。
【0061】
破壊が生じると、遠位リブ525aは、遠位リブ破壊面535を有し、近位シャフトリブ525bは、近位シャフトリブ破壊面536を有する。遠位リブ破壊面535および近位シャフトリブ破壊面536は、中心軸5000に面する。
【0062】
図6は、実施形態番号3(
図3)による解放可能な接続部615を備えるプランジャロッド604を示し、ワッシャは、Oリングシール603である。遠位プランジャ頂部605は、
図3に示されるようにワッシャによって覆われていないので、この実施形態では、圧縮破壊は、互いに直接接触するポリプロピレン(PP)などの、2つの固体および硬質ポリマーを用いて行われる。バレル602の遠位端610は、位置CおよびDにおいて遠位プランジャ頂部605の頂面629と直接接触する。これは、破壊円錐623のよりシャープでより明らかな破壊をもたらす。Oリングシール603は、エラストマー、例えば合成ゴムまたはシリコーンなどの、減衰材料で製造される。Oリングシール603は、本明細書に開示される実施形態のいずれか他のものと組み合わせられてよい。
【0063】
図7は、第3の実施形態によるプランジャロッド704を示し、シリンジ700は、追加のロック機構730をさらに備える。プランジャ頂部705は、上面729からワッシャ703を通って延びる端部突出部731を備える。シリンジ700の遠位頂部711は、端部突出部731上に配置された保持部分733と係合するように構成された内部保持壁732を備える。解放可能な接続部715は、
図3および
図6に示すものと同じタイプのものである。
【0064】
ロック機構730の追加は、圧縮破壊および引張破壊の両方を可能にする特徴を備える自動無効シリンジ700を作り出す。
図7の位置Aに見られるように、保持部分733は、バレル702の遠位端710およびシリンジ700の遠位頂部711の近位に位置する。端部突出部731上の保持突出部733が、保持壁732を通過して押されると、係止機構が作動する。これは、位置Cの拡大図に示されている。位置Dでは、両方のロック機構730が係合し、解放可能な接続部715は、解放されている。位置Eでは、ロック機構730は作動するが、解放可能な接続部715は、依然として無傷である。解放可能な接続部715が、圧縮中に破壊しない場合、保持部分733は、位置Fの拡大図に示されるように、保持壁732に係合し、プランジャ頂部705は、位置Gに示されるように、プランジャロッド704から解放される。
【0065】
追加のロック機構730は、本明細書に開示される実施形態の任意の他の解放可能な接続部115、215、315、415、515、615、815と組み合わせられてよい。
【0066】
図7Bでは、
図7のシリンジ700のさらなる実施形態が示されている。シリンジ700’は、
図7に示されるのと同じタイプのプランジャロッド704’および追加のロック機構730’を有する。遠位プランジャ頂部705’は、頂面729’からワッシャ703’を通って延びる端部突出部731’を備える。シリンジ700’の遠位先端711’は、端部突出部73上に配置された保持部分733’と係合するように構成された内部保持壁732’を備える。解放可能な接続部715’は、
図3、
図6および
図7に示すものと同じタイプのものである。
【0067】
さらに、ワッシャ703’は、中央開口部737’を有する。遠位プランジャ頂部705’は、ワッシャ703’の前記の中央開口部737’を通って延びる隆起したソケット738’を有する。中央開口部737’は、例えば、射出成形によってまたは打ち抜き(punching)によって形成されてよい。ソケット738’の直径は、中央開口部737’の直径と同じ範囲内にあるか、またはわずかに広い。ソケット738’の直径が中央開口部737’の幅よりも大きい場合、ソケット737’は、圧力嵌めによって開口部738’に嵌め込まれてよい。
【0068】
ソケット738’の遠位端面739’は、例えば
図7Bの位置C-Gの拡大部分に見られるように、ワッシャ703’と同じ長手方向レベルにある。遠位プランジャ頂部705’が遠位端710’に到達すると、ソケット738’の遠位端面739’およびバレル702’の遠位端710’は、互いに直接接触するようになる。ソケット738’および遠位端710’は、好ましくは、ポリプロピレン(PP)などの2つの固体および硬質のポリマーを含むので、
図6に示す実施形態について説明したのと同じように、プランジャロッド704’と遠位プランジャ頂部705’との間のよりシャープでより明らかな破壊が生じる。
【0069】
図3に示す実施形態と同様に、
図6、7および7Bの遠位プランジャ頂部605、705、705’とプランジャロッド604、704、704’との間に破壊が生じると、遠位リブ625a、725a、725a’は、遠位リブ破壊面635、735、735’を有し、近位シャフトリブ625b、725b、725b’は、近位シャフトリブ破壊面636、736、736’を有する。遠位リブ破壊面635、735、735’は、中央を向いている。近位シャフトリブ破壊面636、736、736’は、横方向を向いている。
【0070】
図8を参照すると、第8の実施形態によるプランジャロッド804が示されている。プランジャロッド804は、予め充填されたシリンジ800内に配置されるように設計され、細長い近位シャフト806および遠位端頂部805を備える。遠位端頂部805は、
図5の第5の実施形態と同様の解放可能な接続部815を通じて遠位端プレート807に接続された近位底部プレートを備える。バレル802は、好ましくはガラス製である。位置Aでは、バレル802の内腔808は、液体または薬剤で満たされる。シリンジ800は、針キャップ841で覆われた針840を備える。遠位プランジャ頂部805は、底部プレート813の遠位表面から延びるねじ山付き突出部845を備える。
【0071】
予め充填されたシリンジ800を取り付けるとき、好ましくは、ワッシャ803は、バレル802の開口部809に最初に挿入される。続いて、ねじ山付き突出部845をワッシャ803に通すことによって、プランジャロッド804が開口部809に挿入される。本実施形態における解放可能な接続部815は、損傷することなく、実装中のそのようなねじ切り(threading)に耐えるようになっている。
【0072】
解放可能な接続部815は、底面813および遠位端プレート807上に偏心して配置された遠位頂部リブ825aおよび近位シャフトリブ825bを、それぞれ、備える。底面813および遠位端プレート807は、それぞれ、2つの遠位頂部リブ825aおよび2つの近位シャフトリブ825bをそれぞれ備える。近位シャフトリブ825bは、遠位端プレート807bの直径に沿って直線的に配置される。遠位頂部リブ825aは、近位シャフトリブ825bに対して、軸8000により近い中心に配置される。遠位頂部リブ825aは、遠位リブ突出部823aをそれぞれ備える。近位シャフトリブ825bは、近位リブ突出部823bをそれぞれ備える。遠位リブ突出部823aおよび近位リブ突出部823bは、接触領域818で互いに接続される。接触領域818は、軸8000に沿っておよび軸8000を通って延びる接合面内に位置する。2つの遠位頂部リブ825aは、接合面に対して両側に配置される。2つの近位シャフトリブ825bは、接合面に対して両側に配置される。2つの形成された接触領域818は、遠位リブ突出部823aと近位リブ突出部823bとの間の中央横方向の重なりである。
【0073】
従って、
図8の解放可能な接続部815の構造は、重なって横方向の接続部である。接触領域818の中央横方向の重なりは、例えば、予め充填されたシリンジを組み立てて取り付けるときに、解放可能な接続部815が回転に耐えることを可能にする。プランジャロッド804が一方向に回転されると、遠位リブ突出部823aは、接触領域818で近位リブ突出部823bに押し付けられる。プランジャロッド804が反対方向に回転されると、近位リブ突出部823bは、接触領域818で遠位リブ突出部823aに押し付けられる。従って、解放可能な接続部815の構造は、時計回りの回転中にも反時計回りの回転中にも耐久性がある。好ましくは、接触領域818は最小であり、0.2mm
2などである。
【0074】
解放可能な接続部815’は、偏心して配置された遠位頂部リブ825aおよび近位シャフトリブ825bを備える。遠位頂部リブ825aは、底面813上に配置され、近位シャフトリブ825bは、遠位端プレート807b上に配置される。解放可能な接続部815について説明したのと同じように、遠位頂部リブ825aと近位シャフトリブ825bとは、重なり合う仕方で互いに接続される。解放可能な接続部815’は、例えば、バレル802の小径を有するシリンジに適している。解放可能な接続部815について説明したのと同じように、遠位頂部リブ825aと近位シャフトリブ825bとの間の重なりは、解放可能な接続部815’をプランジャロッド804の回転に耐えるようにする。
【0075】
図8の遠位プランジャ頂部805とプランジャロッド804との間に破壊が生じると、遠位リブ825aは、遠位リブ破壊面835を有し、近位シャフトリブ825bは、近位シャフトリブ破壊面836を有する。
【0076】
図1-8に示される実施形態は、自動無効シリンジの製造コストを最小限に抑える。構造は、圧縮破壊による破壊に依存し、プランジャロッドとシリンジバレルとの間の相互作用に依存しないので、本明細書のプランジャロッドは、既存のシリンジ(実施形態1-6)または既存の予め充填されたシリンジ(実施形態8)と共に使用することができる。第7の実施形態は、内部保持凹部732の形成を必要とする。しかしながら、そのような特徴は、射出成形中に容易に製造される。本明細書の開示の設計は、引張破壊またはばね負荷シリンジのための特徴を備えた現在のシリンジよりも単純である。従って、製造コストは、従来のシリンジまたは従来の予め充填されたシリンジと同じレベルまたはそれ以下に低下させることができる。
【0077】
加えて、新しい設計は、高速実装プロセスを可能にする良好な安定性を提供する。さらに、本明細書に開示されるプランジャロッドは、変化する材料特性を有する、医療デバイスに適した異なるポリマーから製造されてよい。ポリマーの脆性および衝撃強度は、プランジャロッドの挙動に影響を及ぼす。従って、薬剤でバレルを満たすためのプランジャロッドの引き出し中の強度のおよび圧縮破壊の最適化の可能性は、広い。
【0078】
本明細書の全ての実施形態は、各実施例について説明したよりも少ないまたは多いリブを含備えてよい。さらに、各リブは、前記のリブから延在するより少ないまたはより多い突出部を備えてよい。軸に近接して位置すると記載されたリブは、近位の細長いシャフトの遠位端プレートまたは遠位プランジャ頂部の近位底面のいずれかに、配置されてよい。リブは、様々な寸法、すなわち、異なる長さおよび幅を有してよい。突出部は、変化する形状および寸法を有してよい。
【0079】
さらに、本発明は、主に、いくつかの実施形態を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記に開示されたもの以外の他の実施形態も、添付の「特許請求の範囲」によって定義されるように、本発明の範囲内で等しく可能である。
【0080】
「特許請求の範囲」において、「備える/備えている」という用語は、他の要素またはステップの存在を排除するものではない。さらに、個別に列挙されているが、複数の手段、要素、または方法ステップは、例えば、単一のユニットまたはプロセッサによって、実施されてよい。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは、場合によって有利に組み合わされてよく、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能および/または有利でないことを、意味しない。加えて、単数の言及は、複数を排除するものではない。“a”,“an”,“first”,“second”等の用語は、複数を除外するものではない。「特許請求の範囲」中の参照符号は、単に明確な例として提供されるにすぎず、いかなる方法によってもクレームの範囲を限定するものと解釈してはならない。
【国際調査報告】