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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】変性ジエン共重合体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 36/04 20060101AFI20230111BHJP
   C08F 12/08 20060101ALI20230111BHJP
   C08F 12/12 20060101ALI20230111BHJP
   C08F 279/02 20060101ALI20230111BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20230111BHJP
   C08C 19/02 20060101ALI20230111BHJP
   C08L 95/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C08F36/04
C08F12/08
C08F12/12
C08F279/02
C08L9/00
C08C19/02
C08L95/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526107
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 IB2020000963
(87)【国際公開番号】W WO2021090068
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/932,216
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513240168
【氏名又は名称】ダイナソル エラストマーラ エス エー デ シー ブイ
【氏名又は名称原語表記】DYNASOL ELASTOMEROS, S.A. DE C.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(74)【代理人】
【識別番号】100214640
【弁理士】
【氏名又は名称】立山 千晶
(72)【発明者】
【氏名】モクテスーマ エスピリクエト、セルヒオ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ レイエス、ガブリエラ エリサベト
(72)【発明者】
【氏名】イバラ ロドリゲス、ヘスス エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス サモラ、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ビダレス、ホセ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス グアダラマ、ルイス アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】コロナ ガルバン、セルヒオ
(72)【発明者】
【氏名】セラーノ アビレス、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ハーディマン、クリストファー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J002AC02W
4J002AE00Z
4J002AE04Z
4J002AE05Y
4J002AG00X
4J002BK00Y
4J002DA036
4J002DE136
4J002DJ016
4J002EJ009
4J002EK008
4J002EN009
4J002EW009
4J002FD016
4J002FD027
4J002FD02Z
4J002FD039
4J002FD079
4J002FD148
4J002FD179
4J002FD349
4J002FD34Y
4J002GH00
4J002GJ01
4J002GJ02
4J026HA05
4J026HA06
4J026HA14
4J026HB05
4J026HB06
4J026HB14
4J026HC05
4J026HC06
4J026HC14
4J026HE01
4J026HE04
4J100AB02Q
4J100AB04R
4J100AB07R
4J100AS01P
4J100AS02P
4J100AS03P
4J100CA03
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA09
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA35
4J100GA01
4J100GA06
4J100HA03
4J100HG01
4J100HG02
4J100HG06
4J100HG08
4J100JA01
4J100JA03
4J100JA67
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を有する変性ジエン共重合体組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における各ブロックまたはセグメントが、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかが、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかが、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性された鎖内および/または鎖末端にあってもよく、任意選択で、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体から製造されるブロック共重合体であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の少なくとも2つを含むブロック共重合体を有する、変性ジエン共重合体組成物を提供する。本発明は、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスも提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)共役ジエン(CD)モノマー単位、非置換ビニル芳香族(UVA)モノマー単位、および置換ビニル芳香族(SVA)モノマー単位を含む共重合体であって、CDモノマーブロックがSVAモノマーブロックに結合した共重合体に加えて、またはそれ以外でCDモノマーとSVAモノマーとの共重合体を含んだセグメントを備える共重合体、または
(ii)CDモノマーとUVAモノマーとの共重合体と、CDモノマーとUVAモノマーとSVAモノマーとの共重合体との混合物
を含む変性ジエン共重合体組成物であって、
前記SVAモノマーは、前記変性ジエン共重合体組成物の最終用途に有用な鎖内または鎖末端反応部位を提供する、変性ジエン共重合体組成物。
【請求項2】
前記SVAモノマーは環置換ビニル芳香族モノマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
CDとSVAとの前記共重合体の構造は、前記CDモノマー単位と前記SVAモノマー単位とのランダム分布、テーパード分布、逆テーパード分布、または制御分布である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記CDモノマー単位、前記UVAモノマー単位、および前記SVAモノマー単位を含む前記共重合体は、構造[CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、前記共重合体のセグメントを示し、前記構造は、変化しない反応速度下でCDとUVAとSVAとの同時アニオン共重合によって決定される)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記共重合体は、多官能性開始剤または連結剤を用いて決定される構造X‐([CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA])nを有し、前記共重合体は前記共重合体鎖の少なくとも2つを含み、前記共重合体は完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記共重合体はブロック共重合体を含み、前記ブロック共重合体は構造UVA‐(CD‐UVA)‐SVA、UVA‐(CD‐SVA)‐SVA、SVA‐(CD‐UVA)‐SVA、またはSVA‐(CD‐SVA)‐SVAを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記(CD‐UVA)ブロックまたは前記(CD‐SVA)ブロックの構造は、前記CDモノマー単位および前記UVAまたはSVAモノマー単位のランダム分布、テーパード分布、逆テーパード分布、または制御分布である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
構造[UVA‐(CD‐UVA)]‐X、[UVA‐(CD‐SVA)]‐X、[SVA‐(CD‐UVA)]n‐X、または[SVA‐(CD‐SVA)]n‐X(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)を有する第2共重合体をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
反応器に溶媒を加えるステップと、
前記反応器に非置換ビニル芳香族(UVA)モノマーを加えるステップと、
前記反応器に置換ビニル芳香族(SVA)モノマーを加えるステップと、
前記反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
前記反応器に開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
前記CDモノマーとUVAモノマーとSVAモノマーとを同時に共重合し、それによってCDモノマー単位、UVAモノマー単位、およびSVAモノマー単位を含む共重合体生成物を形成するステップと
を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセス。
【請求項10】
前記共重合体生成物は、構造[CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、前記共重合体生成物のセグメントを示す)を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記共重合体は、多官能性開始剤または連結剤を用いて決定される構造X‐([CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA])nを有し、前記共重合体は前記共重合体鎖の少なくとも2つを含み、前記共重合体は完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記SVAモノマーは環置換ビニル芳香族モノマーである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
前記環置換ビニル芳香族モノマーは、o‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
(i)共役ジエン(CD)モノマー単位、スチレン(STY)モノマー単位、および環置換ビニル芳香族(P)モノマー単位を含む共重合体であって、CDブロックがPブロックに結合した共重合体に加えて、またはそれ以外でCDとPとの共重合体を含んだセグメントを備える共重合体、または
(ii)STY‐CD共重合体とSTY‐CD‐P共重合体との混合物
を含む変性ジエン共重合体組成物であって、
Pは、前記変性ジエン共重合体組成物の最終用途に有用な鎖内または鎖末端反応部位を提供する、変性ジエン共重合体組成物。
【請求項15】
CDとPとの前記共重合体の構造は、前記CDモノマー単位と前記Pモノマー単位とのランダム分布、テーパード分布、逆テーパード分布、または制御分布である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記共重合体は、構造[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、前記共重合体のセグメントを示し、前記構造は、変化しない反応速度下でCDとSTYとPとの同時アニオン共重合によって決定される)を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記共重合体は、多官能性開始剤または連結剤を用いて決定される構造X‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])nを有し、前記共重合体は前記共重合体鎖の少なくとも2つを含み、前記共重合体は完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記共重合体はブロック共重合体を含み、前記ブロック共重合体は、構造STY‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])(式中、該[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロックはCDとSTYとPとの同時アニオン共重合によって形成される)を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
極性変性剤によって変化した反応速度下で第2ブロックが形成される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記STYおよび/または前記Pを反応器に加えるときよりもゆっくりした速度で前記反応器に前記CDを加えている間に第2ブロック共重合体を形成し、それによって前記STYを前記反応器に加えるのと同じ速度で前記CDを前記反応器に加えるときよりもより多くのSTYおよび/またはPが[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロック共重合体に最初に組み込まれる逆テーパード構造を形成し、ここで、逆テーパードとは、第2ブロックにおけるCDモノマーとSTYおよび/またはPモノマーとのモル比が、STYブロックから遠い位置でのCDモノマーとSTYおよび/またはPモノマーとのモル比に対して、STYブロックから近い位置の方が低いことを意味する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記共重合体はブロック共重合体を含み、前記ブロック共重合体は構造P‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])を有し、前記PブロックはPのアニオン重合によって形成され、前記[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロックがCDとSTYとPとの同時アニオン共重合によって形成される、請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
極性変性剤によって変化した反応速度下で第2ブロックが形成される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記STYおよび/または前記Pを反応器に加えるときよりもゆっくりした速度で前記反応器に前記CDを加えている間に第2ブロック共重合体を形成し、それによって前記STYを前記反応器に加えるのと同じ速度で前記CDを前記反応器に加えるときよりもより多くのSTYおよび/またはPが[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロック共重合体に最初に組み込まれる逆テーパード構造を形成し、ここで、逆テーパードとは、第2ブロックにおけるCDモノマーとSTYおよび/またはPモノマーとのモル比が、Pブロックから遠い位置でのCDモノマーとSTYおよび/またはPモノマーとのモル比に対して、Pブロックから近い位置の方が低いことを意味する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記共重合体はブロック共重合体を含み、前記ブロック共重合体は構造STY‐(CD/STY)‐P、STY‐(CD/P)‐P、P‐(CD/STY)‐P、またはP‐(CD/P)‐Pを有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項25】
極性変性剤によって変化した反応速度下で(CD/STY)ブロックまたは(CD/P)ブロックが形成される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記STYまたは前記Pを反応器に加えるときよりもゆっくりした速度で前記反応器に前記CDを加えている間に(CD/STY)または(CD/P)ブロック共重合体を形成し、それによって前記STYまたは前記Pを前記反応器に加えるのと同じ速度で前記CDを前記反応器に加えるときよりもより多くのSTYまたはPがそれぞれ(CD/STY)または(CD/P)ブロック共重合体に最初に組み込まれる逆テーパード構造を形成し、ここで、逆テーパードとは、(CD/STY)または(CD/P)ブロックにおけるCDモノマーとSTYモノマーまたはPモノマーとのモル比が、第1STYまたは第1Pブロックから遠い位置でのCDモノマーとSTYモノマーまたはPモノマーとのモル比に対して、第1STYまたは第1Pブロックから近い方が低いことを意味する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記共重合体は、構造[STY‐(CD/STY)]n‐X、[STY‐(CD/P)]n‐X、[P‐(CD/STY)]n‐X、または[P‐(CD/P)]n‐X(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)を有する第2共重合体をさらに含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
前記共重合体は、トリブロック共重合体とカップリングされた共重合体との混合物を含み、前記トリブロック共重合体は構造STY‐CD‐Pを有し、前記カップリングされた共重合体は構造(STY‐CD)‐X(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項29】
前記共重合体はブロック共重合体を含み、前記ブロック共重合体は、構造STY‐(CD/P)‐P、P‐(CD/P)‐P、またはSTY‐(CD/P)‐STYを有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項30】
極性変性剤によって変化した反応速度下で(CD/P)ブロックが形成される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記Pを反応器に加える速度よりもゆっくりした速度で前記反応器に前記CDを加えている間に(CD/P)ブロック共重合体を形成し、それによって前記Pを前記反応器に加えるのと同じ速度で前記CDを前記反応器に加えるときよりもより多くのPが最初に(CD/P)ブロック共重合体に組み込まれる逆テーパード構造を形成し、ここで、逆テーパードとは、第1STYまたは第1Pブロックから遠い位置でのCDモノマーとPモノマーとのモル比に対して、(CD/P)ブロックにおけるCDモノマーとPモノマーとのモル比が、第1STYまたは第1Pブロックから近い方が低いことを意味する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
Pはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項33】
CDはブタジエンまたはイソプレンであり、Pはp‐メチルスチレンまたはp‐tert‐ブチルスチレンである、請求項14に記載の組成物。
【請求項34】
前記共重合体は、選択的に、部分的にまたは完全に水素化されているか、または、前記変性ジエン共重合体組成物は、ベール、流動性、粉末、エマルジョン、またはカプセル化された形態で提供される、請求項14に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも1つの瀝青またはアスファルトと、
可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、
請求項1~34のいずれか1項に記載の変性ジエン共重合体(MDC)組成物とを含有し、
前記MDC組成物を約0.5~約25重量パーセント含有する、瀝青またはアスファルト組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの乳化剤をさらに含み、前記瀝青またはアスファルト組成物が水中で乳化される、請求項35に記載の瀝青またはアスファルト組成物。
【請求項37】
可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、
請求項1~34のいずれか1項に記載の変性ジエン共重合体(MDC)組成物とを含有し、
前記MDC組成物を約0.5~約50重量パーセント含有する、接着剤またはコーティング組成物。
【請求項38】
可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、
請求項1~34のいずれか1項に記載の変性ジエン共重合体(MDC)組成物とを含有し、
前記MDC組成物を約0.5~約50重量パーセント含有する、シーラント組成物。
【請求項39】
ポリマー組成物と、
請求項1~34のいずれか1項に記載の変性ジエン共重合体(MDC)組成物とを含有し、
前記MDC組成物が前記ポリマー組成物に混合される、プラスチック組成物。
【請求項40】
反応器に溶媒を加えるステップと、
前記反応器にスチレン(STY)モノマーを加えるステップと、
前記反応器に環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
前記反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
前記反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
前記CDモノマーとSTYモノマーとPモノマーとを同時に共重合し、それによってCDモノマー単位、STYモノマー単位、およびPモノマー単位を含む共重合体生成物を形成するステップであって、Pはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される、ステップと
を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセス。
【請求項41】
前記共重合体生成物は、構造[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、前記共重合体生成物のセグメントを示す)を有する、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記共重合体は、多官能性開始剤または連結剤を用いて決定される構造X‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])nを有し、前記共重合体は前記共重合体鎖の少なくとも2つを含み、前記共重合体は完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい、請求項41に記載のプロセス。
【請求項43】
前記STYモノマー、前記Pモノマー、および前記CDモノマーは全モノマー混合物を形成し、前記STYモノマーは前記全モノマー混合物の5~49重量%であり、前記Pモノマーは前記全モノマー混合物の1~20重量%であり、前記CDモノマーは前記全モノマー混合物の50~94重量%である、請求項40に記載のプロセス。
【請求項44】
前記STYモノマー、前記Pモノマー、および前記CDモノマーは全モノマー混合物を形成し、前記STYモノマーは前記全モノマー混合物の5~24重量%であり、前記Pモノマーは前記全モノマー混合物の1~20重量%であり、前記CDモノマーは前記全モノマー混合物の66~94重量%である、請求項40に記載のプロセス。
【請求項45】
前記CDモノマーは、前記全モノマー混合物の70~80重量%である、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
前記CDモノマー、前記STYモノマー、および前記Pモノマーを変換が完了するまで共重合し、前記反応器にアルコールを加えてすべてのリビングポリマー鎖を停止させることをさらに含み、前記[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]共重合体のピーク分子量(Mp)は約90~200kg/molである、請求項40に記載のプロセス。
【請求項47】
反応器に溶媒を加えるステップと、
前記反応器に極性変性剤を加えるステップと、
前記反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
前記反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
前記STYモノマーまたは前記Pモノマーを重合し、それによってそれぞれSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
前記反応器にPモノマーを加えるステップと、
前記反応器にSTYモノマーを加えるステップと、
前記反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
前記CDモノマーと前記STYモノマーと前記Pモノマーとを共重合し、それによって([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックを形成し、最後にSTY‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])ジブロック共重合体またはP‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])ジブロック共重合体を形成するステップと
を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセス。
【請求項48】
前記STYモノマー、前記Pモノマー、および前記CDモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、第1STYまたはPモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約3~約20重量%である、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
前記([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックを形成するために用いるSTYモノマー添加物は、前記全モノマー添加物の約10~約40重量%である、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
前記([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックを形成するために用いるPモノマー添加物は、前記全モノマー添加物の約0.5~約15重量%である、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
CDモノマー添加物は、前記全モノマー添加物の少なくとも約40重量%である、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
第1ブロックの製造にSTYモノマーを用い、前記STYモノマー、前記Pモノマー、および前記CDモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、第1STYモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約5~約10重量%であり、第2STYモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約25~約30重量%であり、Pモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約0.5~約5重量%であり、CDモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約60~約70重量%である、請求項47に記載のプロセス。
【請求項53】
前記反応器にアルコールを加えてすべてのリビングポリマー鎖を停止させることをさらに含み、前記([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックのピーク分子量(Mp)は90~180kg/molである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項54】
前記STYモノマーを前記反応器に加えるときよりもゆっくりと前記CDモノマーを前記反応器に加える、請求項47に記載のプロセス。
【請求項55】
Pはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される、請求項47に記載のプロセス。
【請求項56】
前記CDモノマーはブタジエンまたはイソプレンであり、前記Pモノマーはp‐メチルスチレンまたはp‐tert‐ブチルスチレンである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項57】
反応器に溶媒を加えるステップと、
前記反応器に極性変性剤を加えるステップと、
前記反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
前記反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
前記STYモノマーまたは前記Pモノマーを重合し、それによってそれぞれSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
前記反応器に共役ジエン(CD)モノマーおよびPモノマーを加えるステップと、
前記CDモノマーと前記Pモノマーとを共重合し、それによってCD/P共重合体ブロックおよびリビングSTY‐(CD/P)ジブロック共重合体またはP‐(CD/P)ジブロック共重合体を形成するステップと、
前記反応器にPモノマーまたはSTYモノマーを加えて共重合を進行させ、それによってSTY‐(CD/P)‐Pトリブロック共重合体またはP‐(CD/P)‐Pトリブロック共重合体、またはSTY‐(CD/P)‐STYトリブロック共重合体を形成するステップと
を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセス。
【請求項58】
前記CD/P共重合体ブロックを製造するために前記Pモノマーを前記反応器に加えるときよりもゆっくりと前記CDモノマーを前記反応器に加え、それによって逆テーパード共重合体を形成し、ここで、逆テーパードとは、第1STYまたは第1Pブロックから遠い位置でのCDモノマーとPモノマーとのモル比に対して、CD/PブロックにおけるCDモノマーとPモノマーとのモル比が、第1STYまたは第1Pブロックから近い方が低いことを意味する、請求項57に記載のプロセス。
【請求項59】
前記CDモノマー、前記STYモノマー、および前記Pモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、CDモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約40~約80重量%であり、STYブロックまたはPブロックのためのSTY添加物またはPモノマー添加物はそれぞれ前記全モノマー添加物の約10~約50重量%であり、CD/P共重合体ブロックのためのPモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約1~約20重量%である、請求項57に記載のプロセス。
【請求項60】
前記STYブロックの製造にSTYを用い、前記CDモノマー、前記STYモノマー、および前記Pモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、CDモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約50~約70重量%であり、STYモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約20~約40重量%であり、Pモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約5~約15重量%である、請求項57に記載のプロセス。
【請求項61】
Pはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される、請求項57に記載のプロセス。
【請求項62】
前記CDモノマーはブタジエンまたはイソプレンであり、前記Pモノマーはp‐メチルスチレンまたはp‐tert‐ブチルスチレンである、請求項57に記載のプロセス。
【請求項63】
反応器に溶媒を加えるステップと、
前記反応器に極性変性剤を加えるステップと、
前記反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
前記反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
前記STYモノマーまたは前記Pモノマーを重合し、それによってSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
前記反応器にSTYモノマーまたはPモノマーおよび共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
前記CDモノマーおよび前記STYモノマーまたは前記Pモノマーを共重合し、それによって[(CD/STY)または(CD/P)]共重合体ブロックおよびリビング[STY‐(CD/STY)またはP‐(CD/STY)またはSTY‐(CD/P)またはP‐(CD/P)]ジブロック共重合体を形成するステップと、
前記反応器にカップリング剤を加え、前記リビング[STY‐(CD/STY)またはP‐(CD/STY)またはSTY‐(CD/P)またはP‐(CD/P)]ジブロック共重合体を部分的にカップリングし、それによって前記リビング[STY‐(CD/STY)またはP‐(CD/STY)またはSTY‐(CD/P)またはP‐(CD/P)]ジブロック共重合体およびカップリングされた[STY‐(CD/STY)]‐Xまたは[P‐(CD/STY)]‐Xまたは[STY‐(CD/P)]‐Xまたは[P‐(CD/P)]‐X共重合体(式中、Xは前記カップリング剤からの残留部分である)の混合物を形成するステップと、
前記反応器にPモノマーを加え、共重合を進行させ、それによって[STY‐(CD/STY)‐PまたはP‐(CD/STY)‐PまたはSTY‐(CD/P)‐PまたはP‐(CD/P)‐P]トリブロック共重合体およびカップリングされた[STY‐(CD/STY)]‐Xまたは[P‐(CD/STY)]‐Xまたは[STY‐(CD/P)]‐Xまたは[P‐(CD/P)]‐X共重合体の混合物を形成するステップと
を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセス。
【請求項64】
前記反応器にSTYモノマーまたはPモノマーおよび前記共役ジエン(CD)モノマーを加え、それによって逆テーパード(CD/STY)共重合体ブロックまたは逆テーパード(CD/P)共重合体ブロックを形成する前記ステップにおいて、前記STYモノマーまたは前記Pモノマーを前記反応器に加えるときよりもゆっくりと前記CDモノマーを前記反応器に加え、ここで、逆テーパードとは、第1STYまたは第1Pブロックから遠い位置でのCDモノマーとSTYモノマーまたはPモノマーとのモル比に対して、(CD/STY)または(CD/P)ブロックにおけるCDモノマーとSTYモノマーまたはPモノマーとのモル比が、第1STYまたは第1Pブロックから近い方が低いことを意味する、請求項63に記載のプロセス。
【請求項65】
前記STYブロックの製造にSTYを用い、前記CDモノマー、前記STYモノマー、および前記Pモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、CDモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約55~約85重量%であり、STYモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約20~約30重量%であり、Pモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約5~約10重量%である、請求項63に記載のプロセス。
【請求項66】
前記STYブロックの製造にSTYを用い、前記CDモノマー、前記STYモノマー、および前記Pモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、CDモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約60~約75重量%であり、STYモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約10~約40重量%であり、Pモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約1~約15重量%である、請求項63に記載のプロセス。
【請求項67】
Pはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される、請求項63に記載のプロセス。
【請求項68】
前記CDモノマーはブタジエンまたはイソプレンであり、前記Pモノマーはp‐メチルスチレンまたはp‐tert‐ブチルスチレンである、請求項63に記載のプロセス。
【請求項69】
反応器に溶媒を加えるステップと、
前記反応器に極性変性剤を加えるステップと、
前記反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
前記反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
前記STYまたはPモノマーを重合し、それによってSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
前記反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
前記CDモノマーを重合し、それによってCDポリマーブロックおよびリビング[STY‐CDまたはP‐CD]ジブロック共重合体を形成するステップと、
前記反応器にカップリング剤を加え、前記リビング[STY‐CDまたはP‐CD]ジブロック共重合体を部分的にカップリングし、それによって前記リビング[STY‐CDまたはP‐CD]ジブロック共重合体およびカップリングされた[(STY‐CD)‐Xまたは(P‐CD)‐X]共重合体(式中、Xは前記カップリング剤からの残留部分である)の混合物を形成するステップと、
前記反応器にPモノマーを加え、共重合を進行させ、それによって[STY‐CD‐PまたはP‐CD‐P]トリブロック共重合体およびカップリングされた[(STY‐CD)‐Xまたは(P‐CD)‐X]共重合体の混合物を形成するステップと
を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセス。
【請求項70】
前記STYブロックの製造にSTYモノマーを用い、前記CDモノマー、前記STYモノマー、および前記Pモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、CDモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約40~約60重量%であり、STYモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約30~約50重量%であり、Pモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約1~約20重量%である、請求項69に記載のプロセス。
【請求項71】
前記STYブロックの製造にSTYモノマーを用い、前記CDモノマー、前記STYモノマー、および前記Pモノマーは前記反応器への全モノマー添加物を形成し、CDモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約45~約55重量%であり、STYモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約35~約45重量%であり、Pモノマー添加物は前記全モノマー添加物の約5~約15重量%である、請求項69に記載のプロセス。
【請求項72】
Pはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される、請求項69に記載のプロセス。
【請求項73】
前記CDモノマーはブタジエンまたはイソプレンであり、前記Pモノマーはp‐メチルスチレンまたはp‐tert‐ブチルスチレンである、請求項69に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ジエン共重合体およびその使用、該変性ジエン共重合体を含む補強材料、ならびに該補強材料から製造される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
アニオン重合によって調製されるポリマーは、その意図された用途のために変性させてその特性を改善してもよい。長年にわたって多くの変性経路が開発されてきた。最も一般的な変性経路には、分子量、分子量分布、モノマー組成、ジエン微細構造、モノマー配列長分布、立体化学、モノマー添加順序およびシークエンシング、線状、ラジアル、櫛形、アーム状、分岐または高分岐構造を有するポリマーを合成するための、リビングアニオンと多官能性種との反応による鎖カップリング、ならびに上記の変性の組み合わせが含まれる。より精巧な変性経路には、エンドキャッピング反応または官能性開始剤による化学官能基の導入、線状、ラジアル、櫛形、アーム状、分岐または高分岐構造を有するポリマーを直接合成するための、多官能性開始剤による重合、残留二重結合の水素化、および上記の変性の組み合わせが含まれる。
【0003】
モノビニル芳香族モノマーと共役ジエンモノマーとに基づくエラストマーは、感圧接着剤(PSA)、スプレー接着剤、コンタクト接着剤、パネル用マスチック、建築用マスチック、シーラント、およびコーティングとして広く使用されている。イソプレン含有エラストマーは、低コストで容易に粘着性を付与することができるため、ホットメルト感圧接着剤(HM‐PSA)に好ましい。ブタジエン含有エラストマーは、剛性および凝集力をもたらすことができるため、一般に建築用接着剤またはラミネート接着剤に好ましい。これらのエラストマーの水素化型は、高い耐候性のため、シーラントに好ましい。
【0004】
アニオン重合によって調製されるポリマーは、接着剤、シーラント、およびコーティング、タイヤ、ならびに他の産業用エラストマーとしてそれ自体で有用な場合がある。しかしながら、アニオン重合によって調製される多くのスチレン/ブタジエン系ポリマーは相溶性および/または反応性が低く、テーピング用、ラベリング用、梱包用、建築用、および位置決め用の接着剤の最終用途のための感圧および非感圧のホットメルトおよび溶剤系接着剤における成果は限定的であった。高分子量スチレン/ジエン系ポリマーは、通常は、各最終用途に、凝集力および、接着性と凝集性との間の適切なバランスをもたらすために、接着剤、シーラント、およびコーティングとして有用なブレンドまたは混合物に配合されるが、アニオン重合によって調製されるポリマーの低濃度、低分散性および高粘度に関連する問題があり、これは、配合物に、揮発性有機化合物(VOC)の高排出、長い加工時間、および低い生産効率をもたらす。
【0005】
また、アニオン重合によって調製されるポリマーは、アスファルト、プラスチック、およびゴムなどの様々な材料の特性を変更するために使用してもよい。たとえば、アニオン重合によって調製されるポリマーは、アスファルトの相溶化剤および補強剤として使用してもよい。アニオン重合ポリマーを、舗装および屋根材などの最終用途のアスファルト改質に用いた場合に、低濃度、低分散性、および高粘度に関連する同様な問題が生じている。
【0006】
しかしながら、多くの用途において、加工性と補強性能とのバランスを改善するように、低粘度ジエン共重合体の固有の加工特性と、特定のモノマー部分の潜在的反応性とを組み合わせることが、依然として強く望まれている。変性ジエン共重合体組成物を調製し、すべてのリビング重合によって、最終用途におけるそれらの組成物の反応性をさらに高めるための経路を見出すことが望ましい。したがって、接着剤成分、シーラント成分、コーティング成分、アスファルト改質材料、瀝青変性材料を含むさまざまな材料および他の基材との加工性、分散性、反応性、および/または相溶性がよい、テープ、ラベル、コンタクト接着剤、スプレー式接着剤、シーラント、およびコーティング、ならびに道路舗装、屋根材、屋根板、および防水膜のためのアスファルト/瀝青変性およびエマルジョンなどの広範囲の最終用途のための、特定の補強要件、生産効率、および環境に優しい規制を満たすのに適した、変性ジエン共重合体組成物を調製するための方法を開発することも望ましいと考えられる。
【0007】
驚くべきことに、今回、接着剤、シーラント、コーティング、タイヤ、プラスチック変性、およびアスファルト/瀝青変性ならびにそれらの道路舗装、屋根材、屋根板、および防水膜のためのエマルジョンなどの様々な用途のための調整された相溶性および反応性を実現し、かつ加工性と補強性能との改善されたバランスを実現するための、新規変性ジエン共重合体組成物が見出された。新規変性ジエン共重合体組成物は、テーピング用、ラベリング用、梱包用、建築用、および位置決め用の接着剤の最終用途のための感圧および非感圧のホットメルトおよび溶剤系配合物に有用である。さらに、新規変性ジエン共重合体組成物は、低粘度で反応性のホットメルト接着剤組成物に有用であり、特に、高い耐熱性、低エネルギー加工性、および、溶剤系配合物と比較して揮発性有機化合物(VOC)の低排出を示すスプレー式コンタクト接着剤に有用である。より具体的には、新規変性ジエン共重合体組成物は、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位と、短い分散時間、低い混合温度、低粘度、低いVOCレベル、および優れた貯蔵安定性などの加工容易性の利点と、高い耐熱性、高い凝集力、高い剪断抵抗、高い耐タック性、高い耐剥離性、高い弾性応答、広い性能等級、高い延性、高い浸透性、高温特性と低温特性との間の適切な妥協点、および自己回復挙動などの優れた補強の利点と、を有する用途を提供する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、変性ジエン共重合体組成物、変性ジエン共重合体組成物を作製するための方法、変性ジエン共重合体を含むポリマーのブレンドおよび混合物、変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーのブレンドおよび混合物を含む補強材料、ならびに補強材料から製造される物品を提供する。
【0009】
本発明は、(i)共役ジエン(CD)モノマー単位、非置換ビニル芳香族(UVA)モノマー単位、および置換ビニル芳香族(SVA)モノマー単位を含む共重合体であって、CDモノマーブロックがSVAモノマーブロックに結合した共重合体に加えて、またはそれ以外で、CDモノマーとSVAモノマーとの共重合体を含むセグメントを含む共重合体、または(ii)CDモノマーとUVAモノマーとの共重合体と、CDモノマーとUVAモノマーとSVAモノマーとの共重合体との混合物であって、SVAモノマーが、変性ジエン共重合体組成物の最終用途に有用な鎖内または鎖末端反応部位を提供する混合物を含む、変性ジエン共重合体組成物を提供する。SVAモノマーは、好ましくは環置換ビニル芳香族モノマーである。CDとSVAとの共重合体の構造は、CDモノマー単位とSVAモノマー単位とのランダム分布、テーパード分布、逆テーパード分布、または制御分布である。
【0010】
CDモノマー単位、UVAモノマー単位、およびSVAモノマー単位を含む共重合体は、構造[CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、共重合体のセグメントを示し、構造は、変化しない反応速度(reaction kinetics)下でCDとUVAとSVAとの同時アニオン共重合によって決定される)を有する。
【0011】
一実施形態では、共重合体は、多官能性開始剤または連結剤を用いて決定される構造X‐([CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA])nを有し、共重合体は、その共重合体鎖の少なくとも2つを含み、共重合体は、完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい。
【0012】
別の実施形態では、共重合体はブロック共重合体を含み、ブロック共重合体は、構造UVA‐(CD‐UVA)‐SVA、UVA‐(CD‐SVA)‐SVA、SVA‐(CD‐UVA)‐SVA、またはSVA‐(CD‐SVA)‐SVAを有する。(CD‐UVA)ブロックまたは(CD‐SVA)ブロックの構造は、CDモノマー単位およびUVAまたはSVAモノマー単位のランダム分布、テーパード分布、逆テーパード分布、または制御分布である。部分カップリングによって、共重合体は、構造[UVA‐(CD‐UVA)]‐X、[UVA‐(CD‐SVA)]‐X、[SVA‐(CD‐UVA)]n‐X、または[SVA‐(CD‐SVA)]n‐X(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)を有する第2共重合体をさらに含んでもよい。
【0013】
本発明は、
反応器に溶媒を加えるステップと、
反応器に非置換ビニル芳香族(UVA)モノマーを加えるステップと、
反応器に置換ビニル芳香族(SVA)モノマーを加えるステップと、
反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
反応器に開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
CDモノマーとUVAモノマーとSVAモノマーとを同時に共重合し、それによってCDモノマー単位、UVAモノマー単位、およびSVAモノマー単位を含む共重合体生成物を形成するステップと、
を含む、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスを提供する。SVAモノマーは、好ましくは環置換ビニル芳香族モノマーである。環置換ビニル芳香族モノマーは、好ましくはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される。
【0014】
このプロセスからの共重合体生成物は、構造[CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、共重合体生成物のセグメントを示す)を有する。
【0015】
多官能性開始剤または連結剤を用いる場合、共重合体は、構造X‐([CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA])nを有し、共重合体は、好ましくはその共重合体鎖の少なくとも2つを有し、共重合体は、完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい。
【0016】
本発明は、(i)(i)共役ジエン(CD)モノマー単位、スチレン(STY)モノマー単位、および環置換ビニル芳香族(P)モノマー単位を含む共重合体であって、CDブロックがPブロックに結合した共重合体に加えて、またはそれ以外でCDとPとの共重合体を含むセグメントを含む共重合体、または(ii)STY‐CD共重合体とSTY‐CD‐P共重合体との混合物であって、Pが、変性ジエン共重合体組成物の最終用途に有用な鎖内または鎖末端反応部位を提供する混合物を含む、変性ジエン共重合体組成物を提供する。CDとPとの共重合体の構造は、CDモノマー単位とPモノマー単位とのランダム分布、テーパード分布、逆テーパード分布、または制御分布である。
【0017】
一実施形態では、変性ジエン共重合体組成物は、構造[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、共重合体のセグメントを示し、構造は、変化しない反応速度下でCDとSTYとPとの同時アニオン共重合によって決定される)を有する共重合体を含む。下記の実施例1は、好ましい実施形態を提供する。多官能性開始剤または連結剤が用いられる場合、共重合体は、構造X‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])nを有し、共重合体は好ましくはその共重合体鎖の少なくとも2つを含む。共重合体は、完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい。環置換ビニル芳香族モノマーPは、好ましくはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択される。定義では、α‐メチルスチレンは環置換ビニル芳香族モノマーPではない。
【0018】
本発明は、ブロック共重合体を含み、ブロック共重合体が構造STY‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])を有し、[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロックがCDとSTYとPとの同時アニオン共重合によって形成される、共重合体を提供する。第2ブロックは、好ましくは極性変性剤によって変化した反応速度下で形成される。また、好ましくは、STYおよび/またはPを反応器に加えるときよりもゆっくりした速度で反応器にCDを加えている間に第2ブロック共重合体を形成し、それによってSTYを反応器に加えるのと同じ速度でCDを反応器に加えるときよりもより多くのSTYおよび/またはPが[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロック共重合体に最初に組み込まれる逆テーパード構造を形成する。逆テーパードとは、第2ブロックにおけるCDモノマーとSTYモノマーまたはPモノマーとのモル比が、STYブロックから遠い位置でのCDモノマーとSTYおよび/またはPモノマーとのモル比に対して、STYブロックから近い位置の方が低いことを意味する。本出願人の米国特許出願公開第20170210841号は、逆テーパード構造に関するさらなる情報を提供しており、その出願は参照によって組み込まれる。以下の実施例2は、好ましい実施形態を提供する。
【0019】
本発明は、構造P‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])を有するブロック共重合体であって、PブロックがPのアニオン重合によって形成され、[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロックがCDとSTYとPとの同時アニオン共重合によって形成されるブロック共重合体を提供する。CDとSTYとPとの同時アニオン共重合、特にブタジエンとスチレンとp‐メチルスチレンとの同時アニオン共重合が、共役ジエンと容易に共重合して、最初に共役ジエンとPモノマーとのセグメント(テーパードセグメントであってもよい)を生成し、次いでCDモノマー単位、Pモノマー単位、およびSTYモノマー単位のそれぞれを含むテーパードセグメントを生成し、すべてのCDモノマーが消費された後、STYモノマー単位とPモノマー単位とのテーパードセグメントを形成し、最後にPモノマー単位の単独重合体セグメントを形成することは、驚くべきかつ予想外の発見であった。この構造は各モノマーの相対濃度によって異なる場合があり、この構造が見いだされた実施例を以下に示す。
【0020】
第2ブロックは、反応速度を変化させる極性変性剤の存在下で形成されてもよい。さらに、STYおよび/またはPを反応器に加えるときよりもゆっくりした速度で反応器にCDを加えている間に第2ブロック共重合体を形成し、それによってSTYを反応器に加えるのと同じ速度でCDを反応器に加えるときよりもより多くのSTYおよび/またはPが[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]ブロック共重合体に最初に組み込まれる逆テーパード構造を形成してもよく、ここで、逆テーパードとは、第2ブロックにおけるCDモノマーとSTYおよび/またはPモノマーとのモル比が、Pブロックから遠い位置でのCDモノマーとSTYおよび/またはPモノマーとのモル比に対して、Pブロックから近い位置の方が低いことを意味する。
【0021】
本発明は、構造STY‐(CD/STY)‐P、STY‐(CD/P)‐P、P‐(CD/STY)‐P、またはP‐(CD/P)‐Pを有するブロック共重合体を提供する。ブロック共重合体は、好ましくは極性変性剤の存在下で形成され、好ましくは逆テーパード構造を形成する。共重合体は、好ましくは、以下の実施例3に教示されているように、部分カップリングを用いて形成される。この場合、共重合体は、構造[STY‐(CD/STY)]n‐X、[STY‐(CD/P)]n‐X、[P‐(CD/STY)]n‐X、または[P‐(CD/P)]n‐X(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)を有する第2共重合体をさらに含む。
【0022】
本発明は、トリブロック共重合体とカップリングされた共重合体との混合物も含み、トリブロック共重合体が構造STY‐CD‐Pを有し、カップリングされた共重合体が構造(STY‐CD)n‐X(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)を有する共重合体を提供する。以下の実施例5は、この組成物を得る方法を教示し、好ましい実施形態を開示する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、構造STY‐(CD/P)‐P、P‐(CD/P)‐P、またはSTY‐(CD/P)‐STYを有するブロック共重合体を提供する。好ましい実施形態において、(CD/P)ブロックは逆テーパー状であるが、通常のテーパード分布、ランダム分布、または制御分布も、様々な用途を有する場合がある。実施例6は、この構造を生成する特定の実施形態を示す。共役ジエンモノマーCDは好ましくはブタジエンまたはイソプレンであり、環置換ビニル芳香族モノマーPは好ましくはp‐メチルスチレンまたはp‐tert‐ブチルスチレンである。共重合体は、選択的に、部分的にまたは完全に水素化することができる。変性ジエン共重合体組成物の最終生成物は、好ましくはベール、流動性、粉末、エマルジョン、またはカプセル化された形態である。
【0024】
本発明の変性ジエン共重合体組成物には、アスファルト、接着剤、シーラント、およびプラスチックにおけるものを含めて、多くの最終用途がある。最終用途の1つには、少なくとも1つの瀝青またはアスファルトと、可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、上記変性ジエン共重合体(MDC)組成物のいずれか1つと、を含み、約0.5~約25重量パーセントの該MDC組成物を含む、瀝青またはアスファルト組成物がある。乳化剤を使用することもでき、瀝青またはアスファルト組成物は水中で乳化させることができる。
【0025】
他の最終用途には、可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、上記の変性ジエン共重合体(MDC)組成物のいずれか1つと、を含み、約0.5~約50重量パーセントの該MDC組成物を含む、接着剤またはコーティング組成物がある。
【0026】
本発明は、可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、上記の変性ジエン共重合体(MDC)組成物のいずれか1つと、を含み、約0.5~約50重量パーセントの該MDC組成物を含む、シーラント組成物を提供する。
【0027】
本発明は、ポリマー組成物と、上記の変性ジエン共重合体(MDC)組成物のいずれか1つと、を含み、該MDC組成物がポリマー組成物に混合される、プラスチック組成物を提供する。
【0028】
本発明に記載の変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するための好ましい実施形態は、
反応器に溶媒を加えるステップと、
反応器にスチレン(STY)モノマーを加えるステップと、
反応器に環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
CDモノマーとSTYモノマーとPモノマーとを同時に共重合し、それによってCDモノマー単位、STYモノマー単位、およびPモノマー単位を含む共重合体生成物を形成するステップであって、Pがo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択されるステップを含む。共重合体生成物は、構造[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P](式中、フォワードスラッシュ(/)はその略語によって示されるモノマー単位の共重合体を示し、閉じられた括弧対([])は、共重合体生成物のセグメントを示す)を有する。特定の実施形態については、実施例1を参照のこと。
【0029】
多官能性開始剤または連結剤を用いて、構造X‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])nを有する共重合体を得ることができ、共重合体は共重合体鎖の少なくとも2つを含む。共重合体は、完全にまたは部分的に多重開始されるかまたは連結されてもよい。
【0030】
一実施形態では、STYモノマー、Pモノマー、およびCDモノマーは全モノマー混合物を形成し、STYモノマーは全モノマー混合物の5~49重量%であり、Pモノマーは全モノマー混合物の1~20重量%であり、CDモノマーは全モノマー混合物の50~94重量%である。好ましくは、STYモノマーは全モノマー混合物の5~24重量%であり、Pモノマーは全モノマー混合物の1~20重量%であり、CDモノマーは、全モノマー混合物の66~94重量%である。好ましい実施形態において、CDモノマーは全モノマー混合物の70~80重量%である。CDモノマー、STYモノマー、およびPモノマーは、好ましくは変換が完了するまで共重合し、その後アルコールを反応器に加えてすべてのリビングポリマー鎖を停止させるが、好ましくは、この[CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P]共重合体のピーク分子量(Mp)は約90~200kg/molである。
【0031】
変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するための他のプロセスは、
反応器に溶媒を加えるステップと、
反応器に極性変性剤を加えるステップと、
反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
STYモノマーまたはPモノマーを重合し、それによってそれぞれSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
反応器にPモノマーを加えるステップと、
反応器にSTYモノマーを加えるステップと、
反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
CDモノマーとSTYモノマーとPモノマーとを共重合し、それによって([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックを形成し、最後にSTY‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])ジブロック共重合体またはP‐([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])ジブロック共重合体を形成するステップと、を含む。特定の実施形態については実施例2を参照のこと。STYモノマー、Pモノマー、およびCDモノマーが反応器への全モノマー添加物を形成し、好ましくは、第1STYまたはPモノマー添加物は、全モノマー添加物の約3~約20重量%である。好ましくは、([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックを形成するために用いるSTYモノマー添加物は、全モノマー添加物の約10~約40重量%である。([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックを形成するために用いるPモノマー添加物は、好ましくは全モノマー添加物の約0.5~約15重量%である。CDモノマー添加物は、好ましくは全モノマー添加物の少なくとも約40重量%であり、より好ましくは全モノマー添加物の少なくとも約50重量%であり、最も好ましくは全モノマー添加物の少なくとも約60重量%である。
【0032】
好ましくは、第1ブロックの製造にSTYモノマーを用い、STYモノマー、Pモノマー、およびCDモノマーが反応器への全モノマー添加物を形成し、第1STYモノマー添加物が全モノマー添加物の約5~約10重量%であり、第2STYモノマー添加物が全モノマー添加物の約25~約30重量%であり、Pモノマー添加物が全モノマー添加物の約0.5~約5重量%であり、CDモノマー添加物が全モノマー添加物の約60~約70重量%である。好ましくは、反応器にアルコールを加えてすべてのリビングポリマー鎖を停止させる。([CD/P]‐[CD/P/STY]‐[STY/P‐P])共重合体ブロックのピーク分子量(Mp)は、好ましくは90~180kg/molである。
【0033】
変性ジエン共重合体組成物を製造するための他のプロセスは、
反応器に溶媒を加えるステップと、
反応器に極性変性剤を加えるステップと、
反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
STYモノマーまたはPモノマーを重合し、それによってそれぞれSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
反応器に共役ジエン(CD)モノマーおよびPモノマーを加えるステップと、
CDモノマーとPモノマーとを共重合し、それによってCD/P共重合体ブロックおよびリビングSTY‐(CD/P)ジブロック共重合体またはP‐(CD/P)ジブロック共重合体を形成するステップと、
反応器にPモノマーまたはSTYモノマーを加えて共重合を進行させ、それによってSTY‐(CD/P)‐Pトリブロック共重合体またはP‐(CD/P)‐Pトリブロック共重合体、またはSTY‐(CD/P)‐STYトリブロック共重合体を形成するステップと、を含む。特定の実施形態については、実施例6を参照のこと。
【0034】
一実施形態では、CD/P共重合体ブロックを製造するためにPモノマーを反応器に加えるときよりもゆっくりとCDモノマーを反応器に加え、それによって逆テーパード共重合体を形成し、ここで、逆テーパードとは、第1STYまたは第1Pブロックから遠い位置でのCDモノマーとPモノマーとのモル比に対して、CD/PブロックにおけるCDモノマーとPモノマーとのモル比が、第1STYまたは第1Pブロックから近い方が低いことを意味する。極性変性剤およびゆっくりした添加が反応速度を変化させ、極性変性剤なしおよび、CDモノマーの迅速な投入でCD/Pブロックを形成するのと比較して、CD/Pブロックが形成されるときに、初期のより高い濃度のPモノマー単位をもたらすことが見いだされた。
【0035】
CDモノマー、STYモノマー、およびPモノマーが反応器への全モノマー添加物を形成し、好ましくは、CDモノマー添加物が全モノマー添加物の約40~約80重量%であり、STYブロックまたはPブロックのためのSTYモノマー添加物またはPモノマー添加物がそれぞれ全モノマー添加物の約10~約50重量%であり、CD/P共重合体ブロックのためのPモノマー添加物が全モノマー添加物の約1~約20重量%である。
【0036】
初期ブロックの製造にSTYモノマーを用いる場合、CDモノマー、STYモノマー、およびPモノマーが反応器への全モノマー添加物を形成し、好ましくは、CDモノマー添加物が全モノマー添加物の約50~約70重量%であり、STYモノマー添加物が全モノマー添加物の約20~約40重量%であり、Pモノマー添加物が全モノマー添加物の約5~約15重量%である。
【0037】
また、本発明は、
反応器に溶媒を加えるステップと、
反応器に極性変性剤を加えるステップと、
反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
STYまたはPモノマーを重合し、それによってSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
反応器にSTYモノマーまたはPモノマーおよび共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
CDモノマーおよびSTYモノマーまたはPモノマーを共重合し、それによって[(CD/STY)または(CD/P)]共重合体ブロックおよびリビング[STY‐(CD/STY)またはP‐(CD/STY)またはSTY‐(CD/P)またはP‐(CD/P)]ジブロック共重合体を形成するステップと、
反応器にカップリング剤を加え、リビング[STY‐(CD/STY)またはP‐(CD/STY)またはSTY‐(CD/P)またはP‐(CD/P)]ジブロック共重合体を部分的にカップリングし、それによってリビング[STY‐(CD/STY)またはP‐(CD/STY)またはSTY‐(CD/P)またはP‐(CD/P)]ジブロック共重合体およびカップリングされた[STY‐(CD/STY)]‐Xまたは[P‐(CD/STY)]‐Xまたは[STY‐(CD/P)]‐Xまたは[P‐(CD/P)]‐X共重合体(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)の混合物を形成するステップと、
反応器にPモノマーを加え、共重合を進行させ、それによって[STY‐(CD/STY)‐PまたはP‐(CD/STY)‐PまたはSTY‐(CD/P)‐PまたはP‐(CD/P)‐P]トリブロック共重合体およびカップリングされた[STY‐(CD/STY)]‐Xまたは[P‐(CD/STY)]‐Xまたは[STY‐(CD/P)]‐Xまたは[P‐(CD/P)]‐X共重合体の混合物を形成するステップと、を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセスも提供する。
【0038】
反応器にSTYモノマーまたはPモノマーおよび共役ジエン(CD)モノマーを加えて逆テーパード(CD/STY)共重合体ブロックまたは逆テーパード(CD/P)共重合体ブロックを形成するステップにおいて、STYモノマーまたはPモノマーを反応器に加えるときよりもゆっくりとCDモノマーを反応器に加えることができることを示す特定の実施形態については、実施例3を参照のこと。
【0039】
初期ブロックの製造にSTYを用いる場合、CDモノマー、STYモノマー、およびPモノマーが反応器への全モノマー添加物を形成し、好ましくは、CDモノマー添加物が全モノマー添加物の約55~約85重量%であり、STYモノマー添加物が全モノマー添加物の約20~約30重量%であり、Pモノマー添加物が全モノマー添加物の約5~約10重量%である。より好ましくは、CDモノマー添加物が全モノマー添加物の約60~約75重量%であり、STYモノマー添加物が全モノマー添加物の約10~約40重量%であり、Pモノマー添加物が全モノマー添加物の約1~約15重量%である。
【0040】
本発明はさらに、
反応器に溶媒を加えるステップと、
反応器に極性変性剤を加えるステップと、
反応器にスチレン(STY)モノマーまたは環置換ビニル芳香族(P)モノマーを加えるステップと、
反応器にリチウム開始剤を加えて反応を開始させるステップと、
STYまたはPモノマーを重合し、それによってSTYブロックまたはPブロックを形成するステップと、
反応器に共役ジエン(CD)モノマーを加えるステップと、
CDモノマーを重合し、それによってCDポリマーブロックおよびリビング[STY‐CDまたはP‐CD]ジブロック共重合体を形成するステップと、
反応器にカップリング剤を加え、リビング[STY‐CDまたはP‐CD]ジブロック共重合体を部分的にカップリングし、それによってリビング[STY‐CDまたはP‐CD]ジブロック共重合体およびカップリングされた[(STY‐CD)‐Xまたは(P‐CD)‐X]共重合体(式中、Xはカップリング剤からの残留部分である)の混合物を形成するステップと、
反応器にPモノマーを加え、共重合を進行させ、それによって[STY‐CD‐PまたはP‐CD‐P]トリブロック共重合体およびカップリングされた[(STY‐CD)‐Xまたは(P‐CD)‐X]共重合体の混合物を形成するステップと、を含む、変性ジエン共重合体(MDC)組成物を製造するためのプロセスを示す。
【0041】
初期ブロックの製造にSTYモノマーを用いる場合、CDモノマー、STYモノマー、およびPモノマーが反応器への全モノマー添加物を形成し、好ましくは、CDモノマー添加物が全モノマー添加物の約40~約60重量%であり、STYモノマー添加物が全モノマー添加物の約30~約50重量%であり、Pモノマー添加物が全モノマー添加物の約1~約20重量%である。より好ましくは、初期ブロックの製造にSTYモノマーを用いる場合、CDモノマー添加物が全モノマー添加物の約45~約55重量%であり、STYモノマー添加物が全モノマー添加物の約35~約45重量%であり、Pモノマー添加物が全モノマー添加物の約5~約15重量%である。実施例5は特定の例を提供する。
【0042】
上記のすべてのプロセスについて、Pは好ましくはo‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジン、イソプロペニルナフタレン、および4‐n‐プロピルスチレンからなる群から選択され、より好ましくはp‐メチルスチレンまたはp‐tert‐ブチルスチレンから選択される。実施例は、p‐メチルスチレンを用いて実施された。上記のすべてのプロセスについて、CDモノマーは好ましくはブタジエンまたはイソプレンである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A】本発明の変性ジエン共重合体MDC Aの各共重合体ブロックまたはセグメントについての、変性C‐B‐A共重合体鎖に沿ったモノマー分布[pMS]、[S]、および[B]を示す図である。
図1】ホットメルト感圧接着剤のブルックフィールド粘度および軟化温度に対する変性ジエン共重合体MDC1~9中のp‐メチルスチレン濃度の影響を示す図である。
図2】変性ジエン共重合体MDC1~9中のp‐メチルスチレン濃度の増加に伴う、ホットメルト感圧接着剤のブルックフィールド粘度に対する温度の影響を示す図である。
図3】10rad/秒および3℃/分でのDMAによる、変性ジエン共重合体MDC10~13を含むホットメルト感圧接着剤の粘弾性スペクトル(G)を示す図である。
図4】10rad/秒および3℃/分でのDMAによる、変性ジエン共重合体MDC10~13を含むホットメルト感圧接着剤の粘弾性スペクトル(タンデルタ)を示す図である。
図5】ホットメルト感圧接着剤の補強性能に対する変性ジエン共重合体MDC10~13中のp‐メチルスチレン濃度の影響を示す図である。
図6】3重量%での、ポリマー改質アスファルトのブルックフィールド粘度および軟化温度に対する変性ジエン共重合体MDC1~9中のp‐メチルスチレン濃度の影響を示す図である。
図7】3重量%での、ポリマー改質アスファルトの補強性能に対する変性ジエン共重合体MDC1~9中のp‐メチルスチレン濃度の影響を示す図である。
図8】8重量%での、ポリマー改質アスファルトの補強性能に対する変性ジエン共重合体MDC10~13中のp‐メチルスチレン濃度の影響を示す図である。
図9】11重量%での、ポリマー改質アスファルトの補強性能に対する変性ジエン共重合体MDC1~9中のp‐メチルスチレン濃度の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、変性ジエン共重合体組成物、変性ジエン共重合体組成物を作製するための方法、変性ジエン共重合体を含むポリマーのブレンドおよび混合物、変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーのブレンドおよび混合物を含む補強材料、ならびに補強材料から製造される物品を提供する。本明細書で引用したすべての文献は、参照によってその全体が組み込まれる。
【0045】
本発明の一態様は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されていてもよい、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0046】
本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよい、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0047】
本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよい、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0048】
本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0049】
本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されていてもよく、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0050】
さらに、本発明は、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されていてもよい変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体と、
多官能性開始剤および/またはカップリング剤および/または連結剤で変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体から製造されるブロック共重合体であって、変性A‐B‐CもしくはC‐B‐A共重合体の少なくとも2つまたは変性A‐BもしくはC‐B共重合体の少なくとも2つを含むブロック共重合体と、を含み、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、または、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0051】
また、本発明は、
多官能性開始剤および/またはカップリング剤および/または連結剤から製造される変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含むブロック共重合体であって、変性A‐B‐CもしくはC‐B‐A共重合体の少なくとも2つまたは変性A‐BもしくはC‐B共重合体の少なくとも2つを含むブロック共重合体、を含み、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含み、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されていてもよく、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、または、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0052】
さらに、本発明は、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されていてもよい変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体、および/または、
多官能性開始剤および/またはカップリング剤および/または連結剤で変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体から製造されるブロック共重合体であって、変性A‐B‐CもしくはC‐B‐A共重合体の少なくとも2つまたは変性A‐BもしくはC‐B共重合体の少なくとも2つを含むブロック共重合体、を含む、新規変性ジエン共重合体組成物であって、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、または、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供し、
新規変性ジエン共重合体組成物は、接着剤、シーラント、コーティング、タイヤ、プラスチック変性、およびアスファルト/瀝青変性ならびにそれらの道路舗装、屋根材、屋根板、および防水膜のためのエマルジョンなどの様々な用途のための調整された相溶性および反応性を実現し、かつ加工性と補強性能との改善されたバランスを実現し、新規変性ジエン共重合体組成物は、テーピング用、ラベリング用、梱包用、建築用、および位置決め用の接着剤の最終用途のための感圧および非感圧のホットメルトおよび溶剤系配合物に有用であり、新規変性ジエン共重合体組成物は、低粘度で反応性のホットメルト接着剤組成物に有用であり、特に、高い耐熱性、低エネルギー加工性、および、溶剤系配合物と比較して揮発性有機化合物(VOC)の低排出を示すスプレー式コンタクト接着剤に有用であり、より具体的には、新規変性ジエン共重合体組成物は、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位と、短い分散時間、低い混合温度、低粘度、低いVOCレベル、および優れた貯蔵安定性などの加工容易性の利点と、高い耐熱性、高い凝集力、高い剪断抵抗、高い耐タック性、高い耐剥離性、高い弾性応答、広い性能等級、高い延性、高い浸透性、高温特性と低温特性との間の適切な妥協点、および自己回復挙動などの優れた補強の利点と、を有する用途を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0053】
本発明の他の態様は、適切な極性変性剤および/または共開始剤および/または助触媒の存在下または非存在下のいずれかで、リビング重合条件下で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の形成を含む、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスであって、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントの反応は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを使用して単独重合体または共重合体のいずれかを形成することを含み、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、単独重合体および共重合体は、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中のすべてのモノマーの、反応器への初期および/または同時添加によって形成されるか、または変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントに対応するモノマーの、反応器への順次添加によって形成され、
少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位での、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかの変性は、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの、反応器への間欠的添加または投入によって制御されてもよく、または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントに対応するモノマーの、反応器への初期、同時または順次添加によって制御されてもよく、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、または、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0054】
さらに、本発明は、適切な極性変性剤および/または共開始剤および/または助触媒の存在下または非存在下のいずれかで、リビング重合条件下で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の形成と、
多官能性開始剤で完全にまたは部分的に重合を開始させるか、かつ/またはカップリング剤または官能化剤で完全にまたは部分的に重合を停止させるか、かつ/または連結剤で完全にまたは部分的にリビング鎖を結合させる、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体から製造されるブロック共重合体の形成と、を含む、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスであって、ブロック共重合体は変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の少なくとも2つを含み、任意選択で、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体において第1ブロックまたはセグメントAまたはCが形成された後に多官能性開始剤を添加し、任意選択で、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体において第2ブロックまたはセグメントA‐BまたはC‐Bが形成された後にカップリング剤および/または連結剤を添加し、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントの反応は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを使用して単独重合体または共重合体のいずれかを形成することを含み、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、単独重合体および共重合体は、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中のすべてのモノマーの、反応器への初期および/または同時添加によって形成されるか、または変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントに対応するモノマーの、反応器への順次添加によって形成され、
少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位での、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかの変性は、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの、反応器への間欠的添加または投入によって制御されてもよく、または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントに対応するモノマーの、反応器への初期、同時または順次添加によって制御されてもよく、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、または、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0055】
本発明のさらなる実施形態は、溶媒と、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の第1AまたはCブロックまたはセグメント、または第1‐第2A‐BまたはC‐Bブロックまたはセグメント、または第1‐第2‐第3A‐B‐CまたはC‐B‐Aブロックまたはセグメントのいずれかに対応する少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む初期モノマー混合物とを反応器に加えて初期反応混合物を形成し、任意選択で、極性変性剤および/または共開始剤および/または助触媒を加え、初期反応混合物中の極性変性剤および/または共開始剤および/または助触媒の量は20重量%よりも少なく、
反応器に開始化合物を加え、初期モノマー混合物をリビング重合させて、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の、少なくとも3kg/molのピーク分子量および/または少なくとも30のモノマー単位数を有する対応する第1Aブロックまたはセグメント、または多くても30kg/molのピーク分子量および/または多くても300のモノマー単位数を有する対応する第1Cブロックまたはセグメント、または対応する第1‐第2A‐BまたはC‐Bブロックまたはセグメント、または対応する第1‐第2‐第3A‐B‐CまたはC‐B‐Aブロックまたはセグメントを形成し、
任意選択で、第1AまたはCブロックまたはセグメントが形成された後に多官能性開始剤を加えて、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中のBブロックまたはセグメントを部分的に開始させ、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む第2モノマー混合物を加えて、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の、少なくとも3kg/molのピーク分子量および/または少なくとも30のモノマー単位数を有する対応する第2Bブロックまたはセグメント、または対応する第3CまたはAブロックまたはセグメント、または対応する第2‐第3B‐CまたはB‐Aブロックまたはセグメントを形成し、
任意選択で、第2Bブロックまたはセグメントが形成された後にカップリング剤および/または連結剤を加えて、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中のA‐BまたはC‐Bブロックまたはセグメントを部分的にカップリングおよび/または連結し、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む第3モノマー混合物を加えて、多くても60kg/molのピーク分子量および/または多くても600のモノマー単位数を有する対応する第3Cブロックまたはセグメント、または少なくとも3kg/molのピーク分子量および/または少なくとも30のモノマー単位数を有する対応する第3Aブロックまたはセグメントを形成し、それによって6kg/mol~1,500kg/molのピーク分子量を有する変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を形成し、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、
任意選択で、カップリング剤または、カップリング剤および/または官能化剤の組み合わせを加えて、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を完全にまたは部分的に連結し、かつ/または官能化して、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の少なくとも2つを含むブロック共重合体を形成し、それによって線状ブロックまたはマルチブロック共重合体、ラジアルカップリングブロックまたはマルチブロック共重合体、マルチアームカップリングブロックまたはマルチブロック共重合体、またはそれらの混合物を形成することを含む、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスであって、
少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位での、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかの変性は、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの、反応器への間欠的添加または投入によって制御されてもよく、または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントに対応するモノマーの、反応器への初期、同時または順次添加によって制御されてもよく、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、または、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位および/または少なくとも1つの官能化剤で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物は、
約6kg/mol~約1,500kg/molの変性ジエン共重合体組成物のピーク分子量と、
約8kg/mol~約2,500kg/molの変性ジエン共重合体組成物の重量平均分子量と、を特徴とし、
変性ジエン共重合体組成物中の、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む任意の単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのピーク分子量は少なくとも約3.0kg/molであり、
変性ジエン共重合体組成物中の、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび任意選択で少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む任意の単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのピーク分子量は多くても約60kg/molであり、
新規変性ジエン共重合体組成物中の、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つの単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーのピーク分子量は約0.1kg/mol~約60kg/molであり、
新規変性ジエン共重合体組成物中の、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つの単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族のモノマー単位数は約1単位~約600単位であり、
変性ジエン共重合体組成物中のビニル芳香族モノマーの合計量は約5重量パーセント~約85重量パーセントであり、
ビニル構成の合計量は、変性ジエン共重合体組成物中の共役ジエン単位の総量に対して約5重量パーセント~約90重量パーセントである。
【0057】
本発明の他の態様は、変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物、変性ジエン共重合体組成物またはポリマーブレンドのいずれかを含む補強材料、ならびに変性ジエン共重合体を含む混合物を提供し、
ポリマーブレンドまたは混合物は、極性プラスチック、極性エンジニアリングプラスチック、および非極性プラスチックから選択される少なくとも1つのポリマーを含む本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含み、さらなる実施形態では、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含むポリマーブレンドまたは混合物は、線状、ラジアル、マルチアーム、テーパード、ランダム、ブロック、ジブロック、トリブロック、もしくはマルチブロック共重合体またはそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの市販のポリマーまたはエラストマーを含み、例としては、限定するものではないが、(S‐S/B)、(S‐S/B)n‐X、(S‐S/I)、(S‐S/I)n‐X、(S‐S/I/B)、(S‐S/I/B)n‐Xなどの逆テーパード熱可塑性エラストマーを含むSIS、SBS、SEBS、SEPS、SIBS、SI/BS、SEPEBS、SEP/EBS、SBR、SIR、SIBR、SEBR、SEPR、SEPEBRと、様々なサイズ、組成、および/または微細構造のブロック、セグメント、またはアームを有するハイブリッドポリマーと、を含み、本発明の別の実施形態では、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含むポリマーブレンドまたは混合物は、エチレンモノマー、置換エチレンモノマー、アクリレートおよびメタクリレートモノマー、置換アクリレートおよびメタクリレートモノマー、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルモノマーに基づく少なくとも1つのポリマーまたは共重合体を含み、本発明の他の実施形態では、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含むポリマーブレンドまたは混合物は、バイオモノマーに基づく少なくとも1つのポリマー、またはバイオモノマーおよび/または生分解性モノマーに基づく少なくとも1つの共重合体、またはバイオモノマーおよび/または生分解性モノマーと油性モノマーとの組み合わせに基づく少なくとも1つの共重合体またはターポリマーを含み、少なくとも1つのポリマーと変性ジエン組成物との密着をもたらすために混合ステップが必要な場合があり、
変性ジエン共重合体組成物または、変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物のいずれかを含む補強材料は、接着剤、シーラント、コーティング、タイヤ、プラスチック変性、およびアスファルト/瀝青変性ならびにそれらの道路舗装、屋根材、屋根板、および防水膜のためのエマルジョンなどの様々な用途のための調整された相溶性および反応性を実現し、かつ加工性と補強性能との改善されたバランスを実現し、新規変性ジエン共重合体組成物は、テーピング用、ラベリング用、梱包用、建築用、および位置決め用の接着剤の最終用途のための感圧および非感圧のホットメルトおよび溶剤系配合物に有用であり、新規変性ジエン共重合体組成物は、低粘度で反応性のホットメルト接着剤組成物に有用であり、特に、高い耐熱性、低エネルギー加工性、および、溶剤系配合物と比較して揮発性有機化合物(VOC)の低排出を示すスプレー式コンタクト接着剤に有用であり、より具体的には、新規変性ジエン共重合体組成物は、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位と、短い分散時間、低い混合温度、低粘度、低いVOCレベル、および優れた貯蔵安定性などの加工容易性の利点と、高い耐熱性、高い凝集力、高い剪断抵抗、高い耐タック性、高い耐剥離性、高い弾性応答、広い性能等級、高い延性、高い浸透性、高温特性と低温特性との間の適切な妥協点、および自己回復挙動などの優れた補強の利点と、を有する用途を提供する。
【0058】
本発明の他のさらなる態様は、新規変性ジエン共重合体組成物から製造される組成物および物品と、新規変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物と補強される材料との混合物から製造される補強材料と、補強材料から製造される物品と、を提供する。本発明の他の態様は、新規変性ジエン組成物と、接着性を強化した材料から製造される、特定の基材および物品に対して強化された接着性を有する他のブロック共重合体とのそのブレンドとを提供する。新規変性ジエン組成物は、様々な接着剤、アスファルト、シーラント、コーティング、タイヤ、およびプラスチックの用途のための、相溶性、加工性および補強性能の所望のバランスを実現する。変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物の特定のタイプは、ゴムおよびプラスチックにおける補強剤、粘度調整剤、流動調整剤、加工助剤、および衝撃改質剤として用いてもよい。
【0059】
いくつかのさらなる実施形態では、本発明は、適切な極性変性剤および/または共開始剤および/または助触媒の存在下または非存在下のいずれかで、リビング重合条件下で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の形成を含む、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスであって、リビング重合条件は、アニオン重合、カチオン重合、開環重合、および制御ラジカル重合(CRP)などの例を含むがこれらに限定されない様々な重合法、またはニトロキシド媒介重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、および可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を含むがこれらに限定されないリビングラジカル重合(LRP)から選択され、
リビング重合法は、構造、分子量および分子量分布の制御を可能にするだけでなく、t‐ブチルメタクリレート、e‐カプロラクトン、イソブチレン、エチレン、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど、それらの置換体および/または官能化体、ならびにそれらの混合物などの例を含むがこれらに限定されない、重合が可能なモノマーのタイプにも汎用性が高く、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントの反応は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび/またはリビング重合法のいずれかによって重合が可能な少なくとも1つの他のモノマーを使用して単独重合体または共重合体のいずれかを形成することを含み、共重合体のいずれかは、テーパー状の、逆テーパー状の、ランダムな、または制御された分布構成を有し、単独重合体および共重合体は、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中のすべてのモノマーの、反応器への初期および/または同時添加によって形成されるか、または変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントに対応するモノマーの、反応器への順次添加によって形成され、
少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位またはリビング重合法のいずれかにより重合が可能な少なくとも1つの他のモノマーの少なくとも1つの単位での、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかの変性は、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの、反応器への間欠的添加または投入によって制御されてもよく、または、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーまたはリビング重合法のいずれかによって重合が可能な少なくとも1つの他のモノマーおよび、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントに対応するモノマーの、反応器への初期、同時または順次添加によって制御されてもよく、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位、またはリビング重合法のいずれかによって重合が可能な少なくとも1つの他のモノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、またはさらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位または、リビング重合法のいずれかによって重合が可能な少なくとも1つの他のモノマーの少なくとも1つの単位で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位またはリビング重合法のいずれかによって重合が可能な少なくとも1つの他のモノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供する、変性ジエン共重合体組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0060】
好ましくは、本発明は、極性変性剤または添加剤の非存在下で公知のリビングアニオン重合法を用いて製造される新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。極性変性剤または添加剤の非存在下での炭化水素溶媒中での一般的なアルキルリチウム開始剤による共役ジエンとモノビニル芳香族モノマーとの共重合は、テーパード、段階的またはグラジエントジブロック共重合体構造として一般に知られている、共重合体鎖に沿って組成的不均一性を有する興味深いタイプの構造を生成する。共役ジエンモノマー(1)とモノビニル芳香族モノマー(2)とに対応するカルバニオン鎖末端の安定性が同様であるにもかかわらず、モノマー反応性比間に比較的大きな差(すなわち、r1>10およびr2<0.1)が認められる。共役ジエンモノマーに対してモノビニル芳香族モノマーの単独重合が速いことが観察されるのとは対照的に、共重合の初期段階では、比較的反応性が低い共役ジエンモノマーが、ほぼ使い果たされるまで共重合体鎖に優先的に組み込まれ、組成が段階的に変化するジエンリッチテーパードブロックBを形成し、次いで最終段階で、モノビニル芳香族モノマーの大部分が末端ブロックAを形成する。
【0061】
B‐(B/A)‐A
さらに、炭化水素溶媒中、極性添加剤の非存在下での共重合の間、組成が急激に変化する小さく鋭く急な界面‐(B/A)‐を形成する明確な中間段階が生じ、これは、2つの大型のAブロックとBブロックとの間の共重合体鎖内の移行部として機能する。同じ組成および分子量を有する純粋なジブロック共重合体よりも低いテーパードジブロック共重合体の溶融粘度は、鎖内および鎖間反発を弱めて異なる隣接ブロック間の混合を向上させる、この小さな界面の存在に起因する。上記の条件下でのアルキルリチウム開始剤による共役ジエンとモノビニル芳香族モノマーとの共重合は、主にモノマー反応性比の大きな差に起因して、モノマー単位の統計的にランダムな配置(すなわち、r1r2~0.5)に向けた傾向で挙動するため、ブロックBと界面‐(B/A)‐は、いずれも、その瞬間の相対モノマー濃度に直接依存する、共重合体鎖に沿った組成的なずれ(ドリフト)を示す。そのため、モノビニル芳香族モノマーの初期の比較的低い濃度は、孤立した芳香族単位としてジエンリッチテーパードブロックBにほぼランダムにかつ主に組み込まれる。これに反して、モノビニル芳香族モノマーの中間の比較的高い濃度は、残留孤立ジエン単位を含む芳香族リッチセグメントに急速になるであろう長い芳香族配列として、小さく鋭く急な界面‐(B/A)‐に統計的にかつ主に組み込まれる。
【0062】
本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含むアルキルリチウム開始剤による重合の、予想外の驚くべき速度論的挙動に基づく新規変性ジエン共重合体組成物であって、本発明の好ましい実施形態において、炭化水素溶媒中、極性変性剤の非存在下でのブタジエン(1)とスチレン(2)とp‐メチルスチレン(3)との重合の相対モノマー反応性比は、r1=18.8、r2=0.5、およびr3=0.07であると計算され、相対モノマー反応性比に基づいて、最初に‐(ブタジエン/スチレン)‐間で、次いで‐(スチレン/p‐メチルスチレン)‐間で、小さく鋭く急な界面を有するテーパード(ブタジエン/スチレン/p‐メチルスチレン)段階的ブロック構造が予想され、予想外の驚くべき速度論的挙動は、スチレン(STYまたはS)の共重合体鎖への組み込みの開始以前であっても、p‐メチルスチレン(pMS)は、重合の開始時点からポリマー鎖への組み込みを開始し、ブタジエン(BDまたはB)とのみ共重合して第1Cブロックまたはセグメント([ブタジエン/p‐メチルスチレン]または[BD/pMS]または[B/pMS])を形成し、次いで、極めて広く拡大した界面が、ブタジエンリッチなだけでなく、スチレン組み込みよりもp‐メチルスチレン組み込みのほうが多いターポリマー組成物である第2Bブロックまたはセグメント(‐[ブタジエン/p‐メチルスチレン/スチレン]‐または‐[BD/pMS/STY]‐または‐[B/pMS/S]‐)を形成し、ブタジエンモノマーが枯渇した後、スチレンの組み込みが増加し、スチレンリッチな共重合体が、p‐メチルスチレンと、スチレンモノマーが使い果たされた後にポリマー鎖にゆっくりと組み込まれる少数の末端p‐メチルスチレンモノマー単位との第3Aブロックまたはセグメント([スチレン/p‐メチルスチレン‐p‐メチルスチレン]または[STY/pMS‐pMS]または[S/pMS‐pMS])を形成し、変性C‐B‐A共重合体中の共重合体ブロックまたはセグメントがテーパー状の分布構成を有する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0063】
C‐B‐A
または、[BD/pMS]‐[BD/pMS/STY]‐[STY/pMS‐pMS]
または、[B/pMS]‐[B/pMS/S]‐[S/pMS‐pMS]
好ましくは、本発明は、炭化水素溶媒中、極性変性剤の非存在下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含むアルキルリチウム開始剤によるリビングアニオン重合の、予想外の驚くべき速度論的挙動由来の新規微細構造および組成特性を組み込んだ変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、新規微細構造および組成特性は、少なくとも1つの共役ジエンモノマー(CD)および少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマー(SVA)を含む第1Cブロックまたはセグメントと、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマー(UVA)を含む第2Bブロックまたはセグメントと、少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む第3Aブロックまたはセグメントとを含み、Aブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少数の末端モノマー単位で鎖末端修飾され、変性C‐B‐A共重合体中の共重合体ブロックまたはセグメントは、テーパー状の分布構成:
C‐B‐A
または、[CD/SVA]‐[CD/SVA/UVA]‐[UVA/SVA‐SVA]
を有し、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む任意の単独重合体または共重合体は、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供し、
新規微細構造および組成特性は、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における反発を最小化し、相溶性を最大化するのに寄与し、これにより界面混合を促進し、靭性および破壊強度を向上することが可能であり、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の新規微細構造および組成特性は、新規変性ジエン共重合体組成物に向上した加工性および低粘度をもたらし、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の新規微細構造および組成特性は、様々な接着剤、アスファルト、シーラント、コーティング、タイヤ、およびプラスチックの用途のための相溶性、加工性および補強性能を向上し、
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物は、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位を有する様々な用途を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0064】
さらに、本発明は、炭化水素溶媒中で、公知のリビングアニオン重合法および少なくとも1つの極性変性剤または添加剤の存在を用いて製造される新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。炭化水素溶媒中、極性変性剤または添加剤の非存在下でのアルキルリチウムによる一般的な共役ジエンとモノビニル芳香族モノマーとの共重合は、通常は、低いビニル構成量(1,2‐付加ジエン微細構造)を有するテーパードジブロック共重合体をもたらす。極性変性剤または添加剤が、アルキルリチウム開始剤による共役ジエンとモノビニル芳香族モノマーとの共重合中に、ランダム化剤および微細構造変性剤として同時に作用することは公知である。モノマー反応性比間の比較的大きな差は、極性添加剤の濃度の増加に伴って減少し、それによって共重合挙動は統計的挙動からランダム挙動に徐々に変化し、モノマー配列長分布はテーパードジブロックからランダムジブロックへと変化し、次いで完全にランダム共重合体構造へと変化する。このランダム化効果は、通常は、ビニル構成量を増加させる対応する微細構造変性効果を伴う。両効果とも、極性変性剤または添加剤の濃度に直接依存し、さらに変性効果は、重合温度に逆依存するが、各効果の程度および具体的な挙動は、特に極性添加剤のタイプおよび特定の特性に依存する。不利な条件を克服し、モノマー配列長分布および/または1,2‐ジエン微細構造に対する相乗的または所望の差別化効果を得るために、極性変性剤または添加剤を組み合わせることが可能である。
【0065】
別の実施形態では、本発明は、炭化水素溶媒中、少なくとも1つの極性変性剤の存在下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含むアルキルリチウム開始剤によるリビングアニオン重合の、予想外の驚くべき速度論的挙動由来の新規微細構造および組成特性を組み込んだ変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、
新規微細構造および組成特性は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む第1Cブロックまたはセグメントと、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む第2Bブロックまたはセグメントと、少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む第3Aブロックまたはセグメントとを含み、Aブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少数の末端モノマー単位で鎖末端修飾され、変性C‐B‐A共重合体中の共重合体ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーおよび少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーの、CおよびBブロックまたはセグメントへの組み込みが増加した、テーパー状のかつ/またはランダムな分布構成を有し、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む任意の単独重合体または共重合体は、相溶性を調整し、かつ/または加工性を高めるために鎖に沿って少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖内変性されていてもよく、さらなる変性に利用可能な末端反応性部位を提供するために、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で鎖末端修飾されていてもよく、またはその両方であってもよく、単独重合体または共重合体のいずれかにおける少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位は、架橋に利用可能な部分を有する新規変性ジエン共重合体組成物を提供し、
極性変性剤の濃度の増加によって、重合挙動は統計的挙動からランダム挙動に徐々に変化し、モノマー配列長分布はテーパードジブロックからランダムジブロックへと変化し、次いで完全にランダムターポリマーへと変化し、このランダム化効果は、重合される共役ジエンモノマー単位のビニル構成を増加させる対応する微細構造変性効果を伴い、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の単独重合体および/または共重合体ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの増加した量の極性変性剤の存在下で重合され、単独重合体および/または共重合体ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む増加した数のモノマー単位で変性されてもよく、
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物は、増加した、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位を有する接着剤、アスファルト、シーラント、コーティング、タイヤ、およびプラスチックの用途などの様々な用途を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを含む変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中の各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されていてもよい変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体を含む新規変性ジエン共重合体組成物であって、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む組成およびビニルジエン微細構造の両方における段階的変化を有する、少なくとも1つの逆テーパード分布または少なくとも1つの制御分布共重合体ブロックまたはセグメントを含んでもよく、少なくとも1つの逆テーパード分布または少なくとも1つの制御分布共重合体ブロックまたはセグメントは、米国特許出願公開第2017/0210841号または米国特許出願公開第2003/0176582号(これらは参照によって本願に組み込まれる)に記載されているように、少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを重合している間に、少なくとも1つの極性変性剤の存在下、制御された供給速度で重合混合物に少なくとも1つの共役ジエンモノマーを加えることによって調製してもよく、所定時間、所定の投入速度での少なくとも1つの共役ジエンモノマーの反応器への投入は、その瞬間の相対モノマー濃度を制御するように行われ、この重合ステップは、事前設定された滞留時間の間の等温モード、またはピーク温度までの準断熱モードのいずれかで行ってもよく、
変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つの末端単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントを含み、
任意選択で、第2Bブロックまたはセグメントが形成された後、かつ少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つの末端単独重合体または共重合体CまたはAブロックまたはセグメントを形成する前に、カップリング剤および/または連結剤を加えて、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体中のA‐BまたはC‐Bブロックまたはセグメントの少なくとも2つを部分的にカップリングし、かつ/または連結し、
少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つの末端単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントは、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位を有する接着剤、アスファルト、シーラント、コーティング、タイヤ、およびプラスチックの用途などの様々な用途を提供する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0067】
本開示を通して、挙げた分子量は、線状標準ポリスチレンを用い、ASTM D 3536に従ってゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定する。すべての分子量(MpおよびMw)は、1000(k)(すなわち、kg/mol)の単位で表されており、GPCによって標準ポリスチレンに対して算出されている。また、組成および微細構造は、重クロロホルムを用いる核磁気共鳴によって測定される。ブロッキングビニル芳香族の特徴付けは四酸化オスミウムを用いる分解酸化によって行う。本発明の新規変性ジエン共重合体組成物は、約6kg/mol~約1,500kg/mol、好ましくは約6kg/mol~約1,000kg/mol、より好ましくは約6kg/mol~約500kg/molのピーク分子量を特徴とする。本発明のいくつかの実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物の重量平均分子量は、約8kg/mol~約2,500kg/mol、好ましくは約8kg/mol~約2,000kg/mol、より好ましくは約8kg/mol~約1,500kg/molである。他の実施形態では、変性ジエン共重合体組成物中の、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む任意の単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのピーク分子量は、少なくとも約3.0kg/mol、好ましくは少なくとも約6.0kg/mol、より好ましくは少なくとも約8.0kg/molである。他のいくつかの実施形態では、変性ジエン共重合体組成物中に少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含み、任意選択で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む任意の単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのピーク分子量は、多くても約60kg/mol、好ましくは多くても約45kg/mol、より好ましくは多くても約30kg/molである。本発明のさらなる実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物中の、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つの単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメント中の少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーのピーク分子量は、約0.1kg/mol~約60kg/mol、好ましくは約1.5kg/mol~約45kg/mol、より好ましくは約3.0kg/mol~約30kg/molである。本発明のさらなる他の実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物中の、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つの単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメント中の少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの単位数は、約1単位~約600単位、好ましくは約15単位~約450単位、より好ましくは約30単位~約300単位である。さらなる実施形態において、新規変性ジエン共重合体組成物中のビニル芳香族モノマーの合計量は、好ましくは約5~約85重量パーセント、より好ましくは約5~約70重量パーセント、よりさらに好ましくは約5~55重量パーセントである。さらに、ビニル構成の合計量は、新規変性ジエン共重合体組成物中の共役ジエン単位の総量に対して、好ましくは約5~約90重量パーセント、より好ましくは約5~約75重量パーセント、よりさらに好ましくは約5~60重量パーセントである。本発明は、好ましい分子量、組成、およびビニル構成範囲内に入る変性ジエン共重合体組成物に限定されない。
【0068】
アニオン重合性モノマーから製造されてもよい変性ジエン共重合体組成物の例は、限定するものではないが、当該特性のいずれか、それらの混合物および組み合わせにおける、様々な組成、微細構造、サイズ、および、対称または非対称ブロックを含むブロック数の、スチレン(S)などの非置換ビニル芳香族モノマー、p‐メチルスチレン(pMS)などの置換ビニル芳香族モノマーならびにブタジエンおよび/またはイソプレン(D)などの共役ジエンモノマーの、単独重合体および/または共重合体および/またはターポリマーブロックまたはセグメントから製造される、テーパード、ランダム、逆テーパード、制御分布、ブロック、マルチブロック、線状、ラジアル、マルチアーム、ミクトアームまたはハイブリッドエラストマーおよび熱可塑性エラストマーを含む。当該エラストマーおよび熱可塑性エラストマーの例は、限定するものではないが、D/pMS‐[D/S/pMS]m‐S/pMS、(D/pMS‐[D/S/pMS]m‐S/pMS)n‐X、X‐(D/pMS‐[D/S/pMS]m‐S/pMS)n、(D/pMS‐[D/S/pMS]m)n‐X‐(S/pMS)n、S‐[S/D]m‐pMS、(S‐[S/D]m‐pMS)n‐X、(S‐[S/D]m)n‐X‐(pMS)n、(S‐[S/D]m)n‐X‐(D/pMS)n、S‐D‐pMS、(S‐D‐pMS)n‐X、(S‐D)n‐X‐(pMS)n、(S‐D)n‐X‐(D/pMS)n、pMS‐[pMS/D]m‐S、(pMS‐[pMS/D]m‐S)n‐X、(pMS‐[pMS/D]m)n‐X‐(S)n、(pMS‐[pMS/D]m)n‐X‐(D/S)n、pMS‐D‐S、(pMS‐D‐S)n‐X、(pMS‐D)n‐X‐(S)n、(pMS‐D)n‐X‐(D/S)n、D/pMS‐D‐S/pMS、(D/pMS‐D‐S/pMS)n‐X、(D/pMS‐D)n‐X‐(S/pMS)n、(D/pMS‐D)n‐X‐(D‐S/pMS)n、S/pMS‐D‐D/pMS、(S/pMS‐D‐D/pMS)n‐X、(S/pMS‐D)n‐X‐(D/pMS)n、(S/pMS‐D)n‐X‐(D‐D/pMS)n、D/pMS‐D‐D/pMS、(D/pMS‐D‐D/pMS)n‐X、(D/pMS‐D)n‐X‐(D/pMS)n、(D/pMS‐D)n‐X‐(D‐D/pMS)n、(D/pMS‐D)n‐X‐(D)n、(D)n‐X‐(D‐D/pMS)n、(S/pMS‐D)n‐X‐(D)n、(D)n‐X‐(D‐S/pMS)n、(pMS‐D)n‐X‐(D)n、(D)n‐X‐(D‐pMS)n、(pMS‐D)n‐X‐(D/S‐S)n、(pMS‐D)n‐X‐(D/S‐S)n、およびそれらの混合物(式中、mは、1または1を超える整数であり、Xは、カップリング剤または連結剤または多官能性開始剤のいずれかの残基であり、nは2~約30の整数である)ならびに、それらの水素化、選択的水素化、および/または部分的水素化されたカウンターパートを含む官能化および誘導体化型を含む。
【0069】
新規変性ジエン共重合体組成物は、第1反応器中、カップリング剤および/または連結剤および/または多官能性開始剤で調製した変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の部分カップリングおよび/または部分連結によって、および/または部分多重開始によってin situで得られたポリマーブレンド(a)であってもよく、第1反応器中、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の全カップリング、全連結、および/または全多重開始によって得られたマルチアーム、分岐、ラジアル、または線状高分子(b)であってもよく、第1反応器中、重合された変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体(c)であってもよく、第2反応器中、所望の比率で(b)と(c)とを混合することによって調製される、(a)と同様のポリマーブレンド(d)であってもよい。変性ジエン共重合体組成物は、本発明の変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのいずれかの重合の終了時に適切な量のカップリング剤または連結剤を反応器に加えて、分子間でカップリングまたは連結された所望の様々な構造:(A‐B‐C)n‐Xまたは(C‐B‐A)n‐X、(A‐B)n‐Xまたは(C‐B)n‐X、(A)n‐Xまたは(C)n‐X(これらは、線状、ラジアル、分岐、および/またはマルチアームブロック共重合体であってもよい)を形成することによってin situで調製したブレンドであってもよい。部分カップリングまたは部分連結は、リビングポリマーに対するカップリング剤または連結剤の化学量論比を制御することによって実現される。カップリング剤は、カップリング残基Xを結合させることによってリビングポリマー鎖を停止させる。連結剤は、リビングポリマー鎖と結合し、同様なまたは分子内の異なるポリマー鎖の連結残基Xからのさらなる重合(すなわち、ミクトアームまたはハイブリッド):(A‐B)n‐X‐(C)nまたは(C‐B)n‐X‐(A)n、(A)n‐X‐(B‐C)nまたは(C)n‐X‐(B‐A)n(これらは、線状、ラジアル、分岐、および/またはマルチアームブロック共重合体であってもよい)を可能にする。変性ジエン共重合体組成物は、また、アルキルリチウムなどの一般的な単官能性開始剤と組み合わせた適切な多官能性開始剤を用いて本発明の変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのいずれかの重合を開始させて、所望の多重開始された分子間で異なる構造:X‐(A‐B‐C)nまたはX‐(C‐B‐A)n、X‐(A‐B)nまたはX‐(C‐B)n、X‐(A)nまたはX‐(C)n(これらは、線状、ラジアル、分岐、および/またはマルチアームブロック共重合体であってもよい)を形成することによってin situで調製したブレンドであってもよい。部分開始は、単官能性開始剤に対する多官能性開始剤の化学量論比を制御することによって実現される。多官能性開始剤はリビングポリマー鎖を開始させ、開始残基Xからの多重リビングポリマー鎖のさらなる重合を可能にする。新規変性ジエン共重合体組成物の線状、ラジアル、分岐、およびマルチアーム変性(A‐B‐C)n‐Xまたは(C‐B‐A)n‐X、X‐(A‐B‐C)nまたはX‐(C‐B‐A)n共重合体は、多官能性開始剤またはカップリング剤または連結剤分子あたり2~30アニオン重合ポリマー鎖(n=アーム数)を有していてもよく、または約2~約60アニオン重合ポリマー鎖(n=平均アーム数)の多分散混合物であるか、または、おおよそ多官能性開始剤、カップリング剤、または連結剤の官能性および/または多分散性の程度までであってもよい。変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体は、約6kg/mol~約1,500kg/molのピーク分子量を有していてもよい。新規変性ジエン共重合体組成物は、好ましくは約8kg/mol~2,500kg/molの重量平均分子量を有するポリマーブレンドであってもよい。本発明のいくつかの実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物中のビニル芳香族モノマーの合計量は、好ましくは約5~約85重量パーセント、より好ましくは約5~約70重量パーセント、よりさらに好ましくは約5~55重量パーセントの範囲にわたる。本発明の他の実施形態では、ビニル構成の合計量は、新規変性ジエン共重合体組成物中の共役ジエンモノマー単位の総量に対して、好ましくは約5~約90重量パーセント、より好ましくは約5~約75重量パーセント、よりさらに好ましくは約5~60重量パーセントの範囲にわたる。本発明は、好ましい分子量、組成、およびビニル構成範囲内に入る変性ジエン共重合体組成物に限定されない。
【0070】
アニオン重合ポリマーは、米国特許第3281383号および米国特許第3753936号(その全体が参照によって本願に組み込まれる)に記載されているような、当該技術分野で公知の任意の適切な方法によって製造することができる。これらの方法において、アニオン重合ポリマーは、アニオン重合性モノマーと、開始剤としての有機リチウム化合物とを接触させることによって製造される。これらの化合物の好ましいクラスは、式RLi(式中、Rは1~20炭素原子を含む脂肪族、脂環式、および芳香族ラジカルからなる群から選択される炭化水素ラジカルである)で表すことができるが、より高分子量の開始剤を使用することもできる。多くのアニオン重合開始剤が周知であり、市販されている。ブチルリチウムなどの単官能性有機リチウム化合物は、よく使用される開始剤の例である。これらの開始剤の具体例には、メチルリチウム、エチルリチウム、tert‐ブチルリチウム、sec‐ブチルリチウム、n‐ブチルリチウム、n‐デシルリチウム、イソプロピルリチウム、エイコシルリチウム、シクロヘキシルリチウムなどのシクロアルキルリチウム化合物、およびフェニルリチウム、ナフツルリチウム、p‐トルイルリチウム、1,1‐ジフェニルヘキシルリチウムなどのアリールリチウム化合物が含まれる。保護された極性官能基で置換された単官能性有機リチウム化合物も、アニオン重合の開始剤として使用してもよい。
【0071】
開始剤の量は、アニオン重合ポリマーの所望の分子量に応じて変化する。係数100/(モノマーのMW)で補正した、モノマー1モルあたりRLi開始剤約0.09~25.0ミリモルを加えることによって、数平均分子量約4kg/mol~1,000kg/molを得ることができる。
【0072】
また、多官能性有機リチウム開始剤を開始剤として用いて、開始剤1分子あたり2~約30アニオン重合ポリマー鎖(アーム)の所望の官能性範囲を有する線状、分岐、およびラジアルまたはマルチアームブロック共重合体を調製してもよい。多官能性有機リチウム開始剤は、1,3‐ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5‐トリイソプロペニルベンゼン、1,3‐ビス(1‐フェニルエテニル)ベンゼン、1,3,5‐トリス(1‐フェニルエテニル)ベンゼン、1,3‐ジビニルベンゼン、1,3,5‐トリビニルベンゼンなどのポリビニル化合物への単官能性有機リチウム化合物の化学量論量の直接付加反応によって容易に調製される。高い官能性を有する多官能性有機リチウム開始剤を調製するために、オリゴマーポリビニル化合物を使用してもよい。ブチルリチウムなどの単官能性有機リチウム化合物は、上記の付加反応によく使用される開始剤の例である。これらのよく使用される開始剤の具体例には、tert‐ブチルリチウム、sec‐ブチルリチウム、およびn‐ブチルリチウムが含まれる。また、保護された極性官能基で置換された単官能性有機リチウム化合物を用いて、多官能性有機リチウム開始剤を調製してもよい。多官能性有機リチウム化合物は、多官能性有機リチウム化合物でアニオン重合を部分的に開始させるために、多官能性有機リチウム化合物同士で混合もしくは組み合わせてもよく、かつ/または単官能性有機リチウム化合物と混合または組み合わせてもよい。部分開始は、単官能性開始剤に対する多官能性開始剤の化学量論比を制御することによって実現される。
【0073】
アニオン重合は、通常は、重合反応の早期終了を防止するために、高度に精製した試薬を用い、真空下または不活性雰囲気下、比較的低温で不活性炭化水素溶媒中で行われる。アニオン重合反応は、様々な有機溶媒中で行ってもよい。適切な溶媒の例は、限定するものではないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、キシレン、メチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、およびそれらの混合物を含む。シクロヘキサンは、アニオン重合における溶媒としての使用に特に適している。
【0074】
アニオン重合は、通常は、約-100℃~150℃、好ましくは-75℃~75℃の範囲の温度で行われる。通常、50~90重量%、好ましくは70~85%の反応溶媒を用いて反応ゾーンの内部の粘度を制御する。アニオン重合の一般的な滞留時間は、反応温度および開始剤レベルに応じて、0.1~5時間、好ましくは0.2~2時間の間で変化する。
【0075】
当該技術分野で公知であり、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を調製するために使用してもよい極性添加剤は、限定するものではないが、エーテル、3級アミン、およびアミノエーテルなどのルイス塩基、第Ia属アルカリ金属アルコキシド、ルイス塩基置換アルカリ金属アルコキシド、多官能性極性添加剤、たとえばアミン‐エーテル、エーテル‐アルコキシド、アミン‐アルコキシド、それらの2成分混合物、3成分混合物、および組み合わせを含む。これらの適切なエーテル極性添加剤の具体例は、単官能性、多官能性、およびオリゴマーアルキルおよび環状エーテル、たとえばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジ‐n‐プロピルエーテル、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)、1,2‐ジメトキシエタン、ビス‐テトラヒドロフラン、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)、それらの組み合わせなどを含む。これらの適切な3級アミン極性添加剤の具体例は、単官能性、多官能性、およびオリゴマーアルキルおよび環状3級アミン、たとえばジメチルエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’‐テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N,N’,N’,N’’‐ペンタメチルジエチルトリアミン、ビス[2‐(N,N‐ジメチルアミノ)エチル]エーテル、それらの組み合わせなどを含む。適切なアミノエーテルの具体例は、ビス[2‐(N,N‐ジメチルアミノ)エチル]エーテル、テトラヒドロフルフリル‐N,N‐ジメチルアミンなどである。これらの適切な第Ia属アルカリ金属アルコキシド(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウム塩)の具体例は、単官能性、多官能性、およびオリゴマーアルキルおよび環状金属アルコキシド、たとえばナトリウムtert‐ブトキシド、ナトリウムtert‐アミレート、ナトリウムメントレート、カリウムtert‐ブトキシド、カリウムtert‐アミレート、カリウムメントレート、それらの組み合わせなどを含む。適切なルイス塩基置換アルカリ金属アルコキシドの具体例は、ナトリウムジエチレングリコールモノエチルエーテル、ナトリウム1,3‐ビス(ジメチルアミノ)‐2‐プロパノレート、ナトリウム2‐[2‐(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノレート、およびナトリウム2‐{[2‐(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ}エタノレートなどである。
【0076】
適切な極性添加剤の量は、全反応混合物の0.0005~50重量パーセントの範囲にあり、好ましくは全反応混合物の0.0005~20.0重量パーセントの範囲にある。より好ましい範囲は、全反応混合物の約0.0005~約10.0重量%である。最も好ましいルイス塩基はTMEDA、THF、およびDTHFPである。好ましい組み合わせは、2つのアルカリ金属アルコキシド(たとえば、リチウムおよびナトリウム、リチウムおよびカリウム)を組み合わせたものである。より好ましい組み合わせは、2つのルイス塩基を組み合わせたもの(すなわち、エーテル1つと3級アミン1つ)である。最も好ましい組み合わせは、ルイス塩基1つとアルカリ金属アルコキシドとを組み合わせたものである。最も好ましい組み合わせは、ルイス塩基2つとアルカリ金属アルコキシド1つとを組み合わせたものである。極性添加剤または極性添加剤の組み合わせの好ましい濃度は、極性添加剤(1つまたは複数)のタイプ、ならびに、新規変性ジエン共重合体組成物の所望のモノマー配列長分布、微細構造、および特性によって異なる。一方で、所望の特性は、変性ジエン共重合体組成物の目的とする用途によって異なる。
【0077】
本発明の変性ジエン共重合体組成物の構築に使用するための適切な共役ジエンは、限定するものではないが、1,3ブタジエン、イソプレンまたは2‐メチル‐1,3‐ブタジエン、2‐エチル‐1,3‐ブタジエン、ピペリレンまたは1,3‐ペンタジエン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、2,4‐ヘキサジエン、1,3‐ヘキサジエン、1,3‐シクロヘキサジエン、3,4‐ジメチル‐1,3‐ヘキサジエン、1,3‐オクタジエン、4,5‐ジエチル‐1,3‐オクタジエン、β‐ミルセンまたは7‐メチル‐3‐メチレン‐1,6‐オクタジエン、β‐ファルネセンまたは7,11‐ジメチル‐3‐メチレン‐1,6,10‐ドデカトリエン、それらの異性体混合物および組み合わせを含む。また、本発明の変性ジエン共重合体組成物のためのこれらの適切な共役ジエンモノマーは、限定するものではないが、バイオソースおよび/またはバイオベース共役ジエンモノマー、C1‐C18アルキルまたはアルコキシ、シクロアルキルおよび/または芳香族基から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換共役ジエンモノマー、保護され官能化された共役ジエンモノマー、それらの異性体混合物および組み合わせを含む。
【0078】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物の構築に使用するための適切な非置換および置換ビニル芳香族モノマーは、限定するものではないが、スチレンおよびスチレン誘導体、たとえば3‐メチルスチレン、p‐メチルスチレンまたは4‐メチルスチレン、ビニルトルエン、α‐メチルスチレンまたはアルファ‐メチルスチレン、α,4‐ジメチルスチレン、t‐ブチルスチレン、o‐クロロスチレン、2‐ブテニルナフタレン、4‐t‐ブトキシスチレン、3‐イソプロペニルビフェニル、4‐ビニルピリジン、2‐ビニルピリジンおよびイソプロペニルナフタレン、4‐n‐プロピルスチレン、それらの異性体混合物および組み合わせを含む。また、本発明の変性ジエン共重合体組成物のためのこれらの適切な非置換および置換ビニル芳香族モノマーは、限定するものではないが、バイオソースおよび/またはバイオベース非置換および置換ビニル芳香族モノマー、ヒドロシリル化モノマーおよびヒドロシラン官能性モノマーを含むがこれらに限定されない保護され官能化された非置換および置換ビニル芳香族モノマー、それらの異性体混合物および組み合わせも含む。C1‐C18アルキルまたはアルコキシ、シクロアルキルおよび/または芳香族基から選択される少なくとも1つの置換基を有する置換ビニル芳香族モノマーには、限定するものではないが、新規変性ジエン共重合体組成物のための適切な化合物である、アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ビニルナフタレン、アルキル置換ビニルナフタレン、1,1‐ジフェニルエチレン、1,4‐ジイソプロペニルベンゼン、1,4‐ビス(1‐フェニルエテニル)ベンゼンなどを含む様々な化合物がある。
【0079】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、線状、分岐もしくはラジアル、またはマルチアーム共重合体を調製するために、新規変性ジエン共重合体組成物を全カップリングまたは部分カップリングする。部分カップリングとは、全リビングアニオン重合ポリマー鎖末端の一部をカップリング剤とカップリングさせることを意味する。カップリング剤は、望ましくは2~30アニオン重合ポリマー鎖(アーム数)をカップリングするが、より多くの数の鎖をカップリングすることが可能なカップリング剤を用いてもよい。全カップリングまたは部分カップリングステップに使用するために適切なカップリング剤は、限定するものではないが、ハロゲン化スズ、ハロゲン化ケイ素、スズアルコキシド、ケイ素アルコキシド、アルキル置換スズおよび三ハロゲン化ケイ素、アルキル置換スズおよび二ハロゲン化ケイ素、ヘキサハロジシラン、ヘキサハロジシロキサン、官能化スズ化合物、官能化ケイ素化合物、アルコキシシラン化合物、アルコキシ置換ケイ素およびハロゲン化スズ、アルコキシアルキルシラン、エポキシシラン化合物、アミノおよび/またはアミンシラン化合物、イソシアナトシラン化合物、メタクリレートシラン化合物、アクリレートシラン化合物、硫黄シラン化合物、フルオロシラン化合物、フルオロアルキルシラン化合物、スルファニルシラン化合物、メルカプトシラン化合物、スルフィドシラン化合物、スルフィドスズ化合物、ならびに米国特許第3281383号、米国特許第7517934号、および米国特許第8883927号に示されているような官能化オリゴマー化合物、多官能性化合物、前述の化合物の混合物または組み合わせを含む。米国特許第3281383号、米国特許第7517934号、および米国特許第8883927号の全開示は参照によって本願に組み込まれる。他の適切なカップリング剤は、シロキサン、多官能性エポキシド、エステル、エポキシ化油、およびポリアルケニル化合物を含む。ポリアルケニルカップリング剤は、たとえば、米国特許第3985830号、米国特許第4391949号、および米国特許第4444953号、ならびに加国特許第716645号に開示されている。適切なポリアルケニルカップリング剤は、ジビニルベンゼン、好ましくはm‐ジビニルベンゼンを含む。四塩化ケイ素、四塩化スズ、m‐ジビニルベンゼン、エポキシ化油、および官能化オリゴマー化合物は適切なカップリング剤の具体例であり、四塩化ケイ素および四塩化スズが、本願に特に適している。新規変性ジエン共重合体のポリマー鎖に特定の官能基を結合するために、クロロプロピルトリアルコキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、トリメチルスズクロリド、トリメトキシスズクロリド、トリエチルスズクロリド、トリエトキシスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、トリオクチロキシスズクロリドなどのトリアルキルスズクロリドおよびトリアルコキシスズクロリド、を含むがこれらに限定されない官能化ケイ素およびスズ化合物を使用してもよい。全カップリングまたは部分カップリングは、リビングポリマーに対するカップリング剤の化学量論比を制御することによって実現される。部分カップリングによって、所望の特性を有するポリマーブレンドを提供してもよい。多分散性、官能性、非対称性などを実現するために、重合中に、カップリング剤、カップリング剤の組み合わせまたはカップリング剤の混合物を順次に、部分的に、間欠的に、または継続的に加えてもよい。好ましい組み合わせは、ハロゲン化ケイ素およびケイ素アルコキシドなどの、2つのケイ素カップリング剤を組み合わせたものである。より好ましい組み合わせは、ハロゲン化ケイ素およびスズアルコキシドなどの、ケイ素化合物とスズ化合物とを組み合わせたものである。最も好ましい組み合わせは、ケイ素化合物と官能化オリゴマー化合物とを組み合わせたものである。最も好ましい組み合わせは、ケイ素化合物とスズ化合物と官能化オリゴマー化合物とを組み合わせたものである。
【0080】
カップリング剤の具体例は、ツェリンスキー(Zellinski)によって米国特許第3281383号に開示されている、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリイミン、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリ無水物、ポリエステル、ポリハロゲン化物などから選択することもできる。官能化オリゴマーカップリング剤化合物は、たとえばメタクリレート、アクリレート、芳香族、オレフィン、不飽和ジカルボン酸無水物、アクリロニトリルなどのモノマーに基づいてもよく、エステル、カルボン酸、無水物およびエポキシから選択される少なくとも1つの官能基で、または少なくとも2つを含む多官能性オリゴマーで、場合によっては、ディーター(Deeter)らによって米国特許第7517934号に開示されているように、少なくとも3つ以上の官能基で官能化されていてもよい。ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、およびポリケトン化合物などのカップリング剤のさらなる例は、限定するものではないが、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(n‐プロピルアクリレート)、ポリ(i‐プロピルアクリレート)、ポリ(n‐ブチルアクリレート)、ポリ(s‐ブチルアクリレート)、ポリ(i‐ブチルアクリレート)、ポリ(t‐ブチルアクリレート)、ポリ(n‐アミルアクリレート)、ポリ(i‐アミルアクリレート)、ポリ(イソボミルアクリレート)、ポリ(n‐ヘキシルアクリレート)、ポリ(2‐エチルブチルアクリレート)、ポリ(2‐エチル‐ヘキシルアクリレート)、ポリ(n‐オクチルアクリレート)、ポリ(イソオクチルアクリレート)、ポリ(n‐デシルアクリレート)、ポリ(メチルシクロヘキシルアクリレート)、ポイ(シクロペンチルアクリレート)、ポリ(シクロヘキシルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n‐プロピルメタクリレート)、ポリ(n‐ブチルメタクリレート)、ポリ(i‐プロピルメタクリレート)、ポリ(i‐ブチルメタクリレート)、ポリ(n‐アミルメタクリレート)、ポリ(n‐ヘキシルメタクリレート)、ポリ(i‐アミルメタクリレート)、ポリ(s‐ブチルメタクリレート)、ポリ(t‐ブチルメタクリレート)、ポリ(2‐エチル‐ブチルメタクリレート)、ポリ(2‐エチル‐ヘキシルメタクリレート)、ポリ(n‐オクチルメタクリレート)、ポリ(イソオクチルメタクリレート)、ポリ(メチル‐シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(シンナミルメタクリレート)、ポリ(クロチルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(シクロペンチルメタクリレート)、ポリ(2‐エトキシ‐エチルメタクリレート)、ポリ(イソボミルメタクリレート)、およびそれらの共重合体、混合物、またはそれらの組み合わせを含む。カップリング効率を上げるために、アニオン重合プロセスにおいてカップリング促進剤として金属アルキル化合物を使用してもよい。金属アルキル化合物の例として、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリ‐n‐プロピルアルミニウム、トリ‐n‐ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ‐n‐ヘキシルアルミニウム、およびトリオクチルアルミニウムがある。米国特許第8883927号にロジャス・ガルシア(Rojas Garcia)らによって開示されているように、トリエチルアルミニウムが好ましい。
【0081】
適切な官能化シリコンおよびスズ化合物、ならびにシランカップリング剤の具体例は、米国特許第6229036号、米国特許第8053512号、およびPCT特許出願第WO2018/091955号に示されているものなどである。米国特許第6229036号、米国特許第8053512号、およびPCT特許出願第WO2018/091955号の全開示は、参照によって本願に組み込まれる。スルファニルシランの例には、(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(CH3)3、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(CH3)2、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]3‐Si(CH3)、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(OEt)2、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]4‐Si、(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(OEt)3、(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(C2H5)3、(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(CH3)3、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(CH3)2、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(OMe)2、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]4‐Si、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]3‐Si(OMe)と、硫化ケイ素変性剤および硫化スズ変性剤、ならびに、ニトリル、アミン、NO、アルコキシ、チオアルキル、メルカプタン、モノスルフィド、ジスルフィド、およびテトラスルフィド化合物などの官能化および修飾型を含むがこれらに限定されない、同様なC1‐C100直鎖または分枝鎖、アルキルまたはアルコキシ、またはシクロアルキルまたはシクロアルコキシ、またはフェニルまたはベンジル置換スルファニルシラン化合物と、がある。適切なシランカップリング剤の具体例は、3‐メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、ビス‐(3‐トリアルコキシシリルプロピル)‐ジスルフィド、ビス‐(3‐トリアルコキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、3‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TMSPD)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TESPD)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド(TMSPT)、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド,ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、エトキシシランおよびクロロシランのそれらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせである。他の適切な官能化シリコンおよびスズ化合物、ならびにシランカップリング剤は、限定するものではないが、変性ジエン共重合体組成物のポリマー鎖に鎖内ヒドロシリル化反応を行い、主鎖に官能基および/または他のポリマー側鎖のいずれかを結合するために使用することができるシラン官能化シリコンまたはスズ化合物を含む。
【0082】
本明細書で提供される方法のさらなる実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物は、全連結または部分連結され、ポリマー鎖を結合して、組成、微細構造、サイズ、ビニル構成などの様々な特性の少なくとも1つを有する少なくとも1つのポリマー鎖(分子内)を含む、リビング特性を保持し、かつ、残りのモノマーまたは新たなモノマーを重合させてミクトアーム、ハイブリッドおよび/または非対称新規変性ジエン共重合体組成物を調製することができる、線状、分岐もしくはラジアル、マルチアーム、または構造にグラフトした共重合体が調製される。部分連結とは、全リビングアニオン重合ポリマー鎖末端の一部が連結剤で連結されることを意味する。連結剤は、望ましくは2~30アニオン重合ポリマー鎖(アーム数)を結合させるが、より多くの数の鎖を連結することが可能な連結剤も使用してもよい。全連結または部分連結ステップに使用するための適切な連結剤は、限定するものではないが、1,3‐ジイソプロペニルベンゼン、1,4‐ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5‐トリイソプロペニルベンゼン、1,3‐ビス(1‐フェニルエテニル)ベンゼン、1,4‐ビス(1‐フェニルエテニル)ベンゼン、1,3,5‐トリス(1‐フェニルエテニル)ベンゼン、1,3‐ジビニルベンゼン、1,4‐ジビニルベンゼン、1,3,5‐トリビニルベンゼンなどのポリビニル化合物を含み、さらにアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、およびシクロアルコキシなどの少なくとも1つの置換基を有する置換ポリビニル化合物も含む。高い官能性を有する連結剤として、オリゴマーポリビニル化合物を使用してもよい。
【0083】
マグネシウム、亜鉛、およびアルミニウムを含むIIa属、IIb属およびIIIa属の様々な金属の有機金属化合物は、アルキルリチウム開始剤と混合する場合、重合速度調整剤として使用することが可能である。適切な重合速度調整剤の具体例には、ジブチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、およびそれらの組み合わせがある。重合速度調整剤を使用して、重合の温度プロファイルを制御してもよい。重合速度調整剤は、事前設定された滞留時間の間の等温モード、またはピーク温度までの準断熱モードのいずれかで、重合ステップの制御に寄与する。
【0084】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物は、さらなる修飾されやすい反応性部位と、光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位とを有する、様々な接着剤、シーラント、コーティング、アスファルト、タイヤ、およびプラスチックの用途を提供する。新規変性ジエン共重合体組成物のさらなる修飾されやすい反応性部位は、米国特許第9803034号、米国特許第5162445号、米国特許第4704438号、米国特許第4306049号、および米国特許第4145490号、ならびに欧州特許第0842201号(その全体が参照によって本願に組み込まれる)に記載されている、当該技術分野で公知の任意の適切な方法で処理することができる。新規変性ジエン共重合体における置換ビニル芳香族モノマーのさらなる変性は、メタル化、ハロゲン化、スルホン化、アルコキシシラン変性、ヒドロシリル化などの重合後の反応によって行ってもよい。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位のメタル化と、それに続く極性モノマーの表面開始グラフト重合は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)、開始剤としてsec‐ブチルリチウム(sec‐BuLi)を用い、約-10℃~約10℃の反応器の温度で少なくとも60分間行ってもよく、または、溶媒としてトルエン、開始剤としてtert‐ブチルリチウム(tert‐BuLi)および2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐メチルフェノキシ)ジイソブチルアルミニウム(Al(BHT)(iB)2)を用い、約-10℃の反応器の温度で少なくとも60分間行ってもよい。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位のメタル化は、N,N,N’,N’‐テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)で活性化したアルキルリチウム化合物を用いる反応によりリチウムで行い、メタル化した誘導体を、次いで求電子試薬を用いる反応によって様々な官能化誘導体に変換してもよく、メタル化は、メチル化スチレンコモノマー単位の1級および3級ベンジル炭素原子だけでなく、その芳香族環炭素原子においても生じる。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位のメタル化は、アルキルリチウム化合物と重アルカリ金属のアルコキシドとを組み合わせて、有機合成および高分子化学においてメタル化反応を行うのに非常に反応性が高い、「超強塩基」と呼ばれている試薬を形成することによって行ってもよい。ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、およびクメンなどの芳香族炭化水素のメタル化のために、アルキルリチウムおよびカリウムアルコキシドから形成される超強塩基試薬を加えることによって、対イオンがリチウムではなく重アルカリ金属であるメタル化した種が形成されることは周知である。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位のメタル化は、炭化水素溶媒の溶液中、超強塩基で行ってもよい。アルキルリチウム化合物と、より原子量の大きい1つまたは複数のアルカリ金属アルコキシドとを相互作用させることによって形成される超強塩基は、対イオンがより原子量の大きいアルカリ金属(Na、K、Rb、Cs)であり、スチレン系コモノマーのパラアルキル炭素部位に限局したメタル化した種を形成する。超強塩基は、共重合体のアルキルスチレン量に対して1:1~2:1のモル比で存在する。メタル化した共重合体は、求電子試薬と接触させて、共重合体主鎖に対する芳香族基ペンダントのパラアルキル基のベンジル炭素原子に共有結合させた、求電子試薬によって運ばれた官能基を有する誘導体に変換され、パラアルキル、メタアルキル、および/またはオルトアルキルであるアルキルスチレンも使用できる。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位は、求核試薬の存在下、温和な条件下で反応性が高いベンジル臭素原子を提供するために臭素化してもよい。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位は、スルホン化し、塩素化および臭素化などの他の求電子置換反応を行ってもよい。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位に対するこれらの反応は、ポリスチレンと比較してより容易に起こる場合がある。スルホン化は、得られたスルホン化された材料が水溶性になるような程度まで継続することができる。もちろん、スルホン酸基は、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリによって中和して、中性材料にしてもよい。スルホン化を行うために、塩化スルホニル、クロロスルホン酸、および三酸化硫黄または硫酸(発煙硫酸)などのスルホン化剤を使用してもよい。メチル側鎖のハロゲン化は、フリーラジカル条件下、たとえばペルオキシドの存在下で、または光照射下で、または紫外線照射下でハロゲン化試薬を用いて行うことができる。有機金属基は、フリーデルクラフツ触媒の存在下、トリメチル塩化スズ、塩化ジメチルホウ素またはトリメチル塩化鉛などの有機金属ハロゲン化物の反応によって挿入することができる。新規変性ジエン共重合体におけるアルキル置換ビニル芳香族単位は、ラジカル開始剤としての少量のペルオキシドの存在下で、加工装置(通常は押出機)中、アルコキシシランで、通常はビニルトリメトキシシラン(VTMS)で溶融グラフトを行ってもよい。通常、約2%のシランが用いられ、開始剤としてジクミルペルオキシドが用いられる(5~15重量%)。
【0085】
本発明のさらなる実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物は、その変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の少なくとも1つのブロックに少なくとも1つの適切な官能化剤を反応させて、少なくとも1つの官能基を結合するかまたは修飾することによって、鎖末端または鎖内をさらに官能化してもよい。官能化反応は、重合中または重合後に行ってもよい。適切な官能基は、限定するものではないが、エポキシ、アミン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルデヒド、アクリレート、メタクリレート、エステル、アミド、イソシアネート、無水物、ヒドロシラン、アルコキシシラン、アルコキシスズ、メルカプタン、芳香族ジチオエステル、トリチオカルボネート、ジチオカルバメート、キサンテート、それらの混合物および組み合わせを含む。新規変性ジエン共重合体のポリマー鎖に特定の官能基を結合するために、クロロプロピルトリアルコキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、トリメチルスズクロリド、トリメトキシスズクロリド、トリエチルスズクロリド、トリエトキシスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、トリオクチロキシスズクロリドなどのトリアルキルスズクロリドおよびトリアルコキシスズクロリド、を含むがこれらに限定されない適切な官能化シリコンおよびスズ化合物を使用してもよい。変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の少なくとも1つのブロックまたはセグメント中の少なくとも1つの共役ジエン単位および/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族単位を修飾するための適切な官能化反応は、エポキシ化、スルホン化などを含む。
【0086】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物は、バッチプロセス、プログラムされたバッチプロセス、および/またはセミバッチプロセスで重合される。当業者が認識するように、記載されている変性ジエン共重合体組成物の合成は、記載されている滞留時間および化学量論量条件に達するのに必要な温度、溶媒比、および流動流速で操作されるプロセスを含む反応設定で行うことができる。
【0087】
用途
本発明の他の態様は、変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物、変性ジエン共重合体組成物またはポリマーブレンドのいずれかを含む補強材料、ならびに変性ジエン共重合体を含む混合物を提供し、
ポリマーブレンドまたは混合物は、極性プラスチック、極性エンジニアリングプラスチック、および非極性プラスチックから選択される少なくとも1つのポリマーを含む本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含み、さらなる実施形態では、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含むポリマーブレンドまたは混合物は、SIS、SBS、SEBS、SEPS、SIBS、SI/BS、SBR、SIR、またはそれらの任意の組み合わせなどの、線状、ラジアル、テーパード、ランダム、ブロック、またはマルチブロック共重合体から選択される市販のエラストマーを含み、本発明の他の実施形態では、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含むポリマーブレンドまたは混合物は、EVA、EPおよびEPDMエラストマーならびにポリイソブテンから選択される少なくとも1つの共重合体を含み、本発明の別の実施形態では、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物を含むポリマーブレンドまたは混合物は、バイオモノマーまたはバイオモノマーに基づく任意の共重合体および/または生分解性モノマーまたは、油性モノマーとの組み合わせに基づく任意のポリマーを含み、ブレンドおよび混合物中の他のポリマーと新規変性ジエン共重合体組成物との密着をもたらすために混合ステップが必要な場合があり、重合後の反応によって新規変性ジエン共重合体組成物がさらに変性される前後に混合ステップが行われてもよく、
変性ジエン共重合体組成物または、変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物のいずれかを含む補強材料は、接着剤、シーラント、コーティング、タイヤ、プラスチックおよびゴム/エラストマー変性、およびアスファルト/瀝青変性ならびにそれらの道路舗装、屋根材、屋根板、および防水膜のためのエマルジョンなどの様々な用途のための調整された相溶性および反応性を実現し、かつ加工性と補強性能との改善されたバランスを実現し、新規変性ジエン共重合体組成物は、溶剤系マスチックおよびシーラントを含む、テーピング用、ラベリング用、梱包用、建築用、および位置決め用の接着剤の最終用途のための感圧および非感圧のホットメルトおよび溶剤系配合物に有用であり、新規変性ジエン共重合体組成物は、低粘度で反応性のホットメルト接着剤組成物に有用であり、特に、高い耐熱性、低エネルギー加工性、および、溶剤系配合物と比較して揮発性有機化合物(VOC)の低排出を示すスプレー式コンタクト接着剤に有用であり、より具体的には、新規変性ジエン共重合体組成物は、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位と、短い分散時間、低い混合温度、低粘度、低いVOCレベル、および優れた貯蔵安定性などの加工容易性の利点と、高い耐熱性、高い凝集力、高い剪断抵抗、高い耐タック性、高い耐剥離性、高い弾性応答、広い性能等級、高い延性、高い浸透性、高温特性と低温特性との間の適切な妥協点、および自己回復挙動などの優れた補強の利点と、を有する用途を提供する。
【0088】
別の実施形態では、本発明は、約120~約200℃の混合条件および約30~約150rpmの混合速度で、バッチインテンシブミキサーまたは二軸異方向回転ミキサー(continuous intensive mixer)または2軸スクリュー押出機を用いてブレンドまたは混合物を均一に混合するように新規変性ジエン共重合体組成物と少なくとも1つの他のポリマーとを混合してマスターバッチを形成し、任意選択で、ペレタイザーを用いて小片に切断し、次いでマスターバッチを、様々な用途のための特定の配合物の成分/添加剤の残りの部分と混合することを含む、ブレンドおよび混合物中の他のポリマーと新規変性ジエン共重合体組成物とを混合するためのプロセスであって、
混合が、新規変性ジエン共重合体組成物の置換ビニル芳香族単位に対して重合後の反応を行うための反応条件下で行われてもよいプロセスを提供する。
【0089】
本発明の他のさらなる態様は、新規変性ジエン共重合体組成物から製造される組成物および物品と、新規変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物と補強される材料との混合物から製造される補強材料と、補強材料から製造される物品と、を提供する。本発明の他の態様は、新規変性ジエン組成物と、接着性を強化した材料から製造される、特定の基材および物品に対して強化された接着性を有する他のブロック共重合体とのそのブレンドとを提供する。新規変性ジエン組成物は、様々な接着剤、シーラント、コーティング、アスファルト、タイヤ、およびプラスチックの用途のための、相溶性、加工性および補強性能のよりよいバランスを実現する。変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物の特定のタイプは、ゴムおよびプラスチックにおける補強剤、粘度調整剤、流動調整剤、加工助剤、および衝撃改質剤として用いてもよい。
【0090】
新規変性ジエン共重合体組成物は、修飾されやすい反応性部位と、光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位とを有する、様々な接着剤、シーラント、コーティング、アスファルト、タイヤ、およびプラスチックの用途を提供する。新規変性ジエン共重合体組成物ならびに、新規変性ジエン共重合体組成物および他の適切なポリマーを含むポリマーブレンドまたは混合物の光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋は、米国特許第8703860号、米国特許第7799884号、米国特許第7432037号、米国特許第6926959号、および米国特許第4306049号、ならびに欧州特許第0097307号(その全体が参照によって本願に組み込まれる)に記載されているような、当該技術分野で公知の任意の適切な方法で製造することができる。本発明の新規変性ジエン共重合体組成物は、特定のエネルギー源の方法論を含むがこれらに限定されない公知の方法を用いて架橋してもよい。適切なエネルギー源は、電子線照射、紫外線照射、および/または加熱を含む。新規変性ジエン共重合体組成物を架橋するために架橋促進剤を使用してもよく、詳細は、米国特許第6803014号(参照によりすべてが本願に組み込まれる)に記載されている。適切な架橋促進剤の例は、限定するものではないが、アゾ化合物、アクリレートまたはメタクリレート化合物、有機ペルオキシドおよび多官能性ビニルまたはアリル化合物、たとえば、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グルタルアルデヒド、エチレングリコールジメタクリレート、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジプロパルギル、ジプロパルギルモノアリルシアヌレート、ジクミルペルオキシド、ジ‐tert‐ブチルペルオキシド、t‐ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t‐ペロクト酸ブチル、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、tert‐ブチルペルアセテート、アゾビスイソブチルニトライトなど、およびそれらの組み合わせを含む。架橋促進剤は、変性ジエン共重合体の全濃度の全重量に対して0.01~5重量パーセントの量で新規変性ジエン共重合体に投入される。適切なフリーラジカル開始系は、新規変性ジエン共重合体組成物を架橋するために使用してもよく、限定するものではないが、アゾ化合物、アルキルまたはアシルペルオキシドまたはヒドロペルオキシド、ケトペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカルボネート、およびペルオキシケタール、またはそれらの混合物を含む。新規変性ジエン共重合体組成物を架橋するために使用してもよい適切なアルキルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アシルペルオキシド、ペルオキシエステル、およびペルオキシケタールの例は、限定するものではないが、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジ‐t‐ブチルペルオキシド、クミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t‐ブチルヒドロペルオキシド、メチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジブチルペルオキシルシクロヘキサン、ジ(2,4‐ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソブチルペルオキシド、t‐ブチルペルベンゾエート、およびt‐ブチルペルアセテート、またはそれらの混合物を含む。ラジカル開始剤または開始剤系は、変性ジエン共重合体組成物の全重量に対して約0.001~約2.0重量パーセントの総量で使用してもよい。新規変性ジエン共重合体組成物は、186キログレイの線量に暴露させる電子線照射によって架橋してもよい。本発明の新規変性ジエン組成物を架橋するために使用してもよい光重合開始剤は、限定するものではないが、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α‐メチロールベンゾイン、α‐メチロールベンゾインメチルエーテル、α‐メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、およびα‐t‐ブチルベンゾイン、それらの混合物または組み合わせを含む。光重合開始剤または開始剤系は、約0.1~約10重量パーセントの量で使用してもよい。2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール、p‐メトキシフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3‐(3’,5’‐ジ‐t‐ブチル‐4’‐ヒドロキシ)フェニルプロピオネート]、ヒドロキノン、t‐ブチルカテコール、t‐ブチルヒドロキシアニソール、および4,4’‐ブチリデンビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチル)フェノールなどの熱重合防止剤、UV吸収剤、ハレーション防止剤、および光安定剤、それらの混合物または組み合わせを含むがこれらに限定されない感光性組成物によく使用される添加剤を、本発明の新規変性ジエン共重合体組成物に加えてもよい。本発明の新規変性ジエン共重合体組成物の硬化または架橋に使用してもよい適切な活性エネルギー線は、粒子ビーム、電磁波、またはそれらの組み合わせであってもよい。粒子ビームの例は、電子線(EB)およびα線を含み、電磁波の例は、紫外線(UV)、可視光線、赤外線、y線およびX線を含む。電子線(EB)および紫外線(UV)が特に好ましい。電子線は、電圧0.1~10MeVで加速され、1~500kGyの線量で照射される。紫外線源として、照射波長が200~450nmのランプを使用してもよい。本発明の新規変性ジエン共重合体組成物の架橋は、約205℃の温度で長くても8分間、約1.5重量パーセント(ポリマーに対して)の量でジクミルペルオキシドなどの化学架橋剤を用いて行ってもよい。この方法に有用な高温開始剤は、110℃超で半減期10時間を有する開始剤である。通常は、ジ‐クミルペルオキシド、ジ‐t‐ブチルペルオキシド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、および3,3‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブチレートである。一般に、高温開始剤は、0.5~2重量パーセントの量で用いられる。硬化または架橋は、一般に約175°~250℃で約1~5分、好ましくは約200°~230℃で約2~4分で達成される。
【0091】
所望の商業用途の中で、本明細書で提供される新規変性ジエン共重合体組成物には、感圧接着剤、非感圧接着剤、ホットメルト接着剤、ホットメルトマスチック、溶剤系マスチック、およびシーラントを含む、接着剤、シーラント、およびコーティングとしての使用に適しているものがある。また、変性ジエン共重合体組成物は、アスファルトおよびポリマーブレンドにおける相溶化剤または補強剤として使用するために設計されてもよい。本明細書で提供される相溶化剤または補強剤から利益を得る可能性のあるアスファルトは、道路舗装、屋根材、およびシーラント用途によく使用されるものを含む。舗装用途は、道路建設のためのアスファルトコンクリートの製造に使用するためのアスファルトセメント/バインダーの補強だけでなく、チップシール、再シール、再舗装、およびリサイクルを含む道路の修復、補修、および整備のための材料の変性も含む。屋根材用途は、屋根板の補強だけでなく、屋根の防水加工、補修、および整備のための材料の変性も含む。また、ゴムおよびプラスチックにおいて補強剤、粘度調整剤、流動調整剤、加工助剤、および衝撃改質剤として特定のタイプの変性ジエン共重合体組成物を用いてもよい。非極性プラスチックは、変性ジエン共重合体組成物から利益を得る可能性のあるプラスチックのタイプである。限定するものではないが、非極性プラスチックは、ポリオレフィン、ポリスチレン、およびそれらの共重合体を含む。
【0092】
当業者が認識するように、新規変性ジエン共重合体組成物の最適な特徴および特性は、目的とする用途によって異なる。変性ジエン共重合体組成物のいくつかの例示的な用途を下記に示す。これらの用途は、例示目的でのみ提供されるものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0093】
接着剤、シーラント、およびコーティング
高分子量エラストマーは、通常は、接着性と凝集性との間で、各用途に凝集力および適切なバランスをもたらすために、接着剤、シーラント、およびコーティングとして有用なブレンドに配合される。モノビニル芳香族モノマーと共役ジエンモノマーとに基づくエラストマーは、感圧接着剤、スプレー接着剤、コンタクト接着剤、パネル用マスチック、建築用マスチック、シーラント、およびコーティングとして広く使用されている。イソプレン含有エラストマーは、低コストで容易に粘着性を付与することができるため、ホットメルト感圧接着剤に好ましい。ブタジエン含有エラストマーは、剛性および凝集力をもたらすことができるため、一般に建築用接着剤またはラミネート接着剤に好ましい。これらのエラストマーの水素化型は、高い耐候性のため、シーラントに好ましい。接着剤、シーラント、およびコーティング製品とエラストマーとの配合が成功するために必要な性能特性は、以下のものである。すなわち、a)エラストマーとの粘着付与樹脂の相溶性、b)凝集力および剪断抵抗のための連続エラストマー相形態、c)粘着性発現およびエネルギー散逸のための柔軟で低モジュラスのエラストマー、d)歪エネルギーの散逸を増加させるためにエラストマーのゴム相のガラス転移温度(Tg)を上昇させる適切な粘着付与樹脂。
【0094】
従来技術の高分子量ポリマーは、これらのブレンドの溶融粘度および溶液粘度を著しく増加させることによって、接着剤、シーラント、およびコーティング配合物の加工特性に悪影響を及ぼす。従来技術におけるポリマー組成物および/または構造の変性は、加工特性を改善し、接着剤、シーラント、およびコーティング用途の配合物のコストを引き下げるために使用されているが、しばしば性能特性が不利に変性されている。所望の商業用途の中で、本明細書で提供される新規変性ジエン共重合体組成物には、感圧接着剤、非感圧接着剤、ホットメルト接着剤、ホットメルトマスチック、溶剤系マスチック、シーラント、およびコーティングを含む、接着剤、シーラント、およびコーティングとしての使用に適しているものがある。低溶融粘度および低溶液粘度の発現は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、および溶剤系接着剤に特に重要である。本発明者らは、新規変性ジエン共重合体組成物の添加が、接着剤、シーラント、およびコーティング製品の所望の性能特性に著しく影響を及ぼすことなく、配合物に顕著な加工特性をもたらすことを見出した。新規変性ジエン共重合体組成物を含む接着剤、シーラント、およびコーティング配合物は、コスト効率および/または生産速度に影響を与えることなくはるかに低い温度で加工して、凝集力などの補強特性を維持すること、または、凝集力などの補強特性を改善するために、より高い含有量のビニル芳香族モノマーおよび/またはより高分子量の他のポリマーとブレンドし、コスト効率および/または生産速度に影響を与えることなく、一般的な処理温度を維持することを可能にする場合がある。驚くべきことに、これらの新規変性ジエン共重合体組成物で調製したホットメルト感圧接着剤は、様々な樹脂との高い相溶性、高い凝集力、および高い剪断抵抗を示す。さらに驚くべきことに、新規変性ジエン共重合体組成物の相溶性は、樹脂および/または他のポリマーの相溶性と対応させるために調節して、高い配合柔軟性と、よりよい全体的性能とをもたらしてもよい。さらに、新規変性ジエン共重合体組成物を含む接着剤、シーラント、およびコーティング配合物は、優れた凝集力と極めて高い剪断抵抗および温度抵抗性などのより優れた補強特性をもたらすために、硬化または架橋してもよい。本明細書で提供される相溶化剤または補強剤は、市販のブロック共重合体とカプセル化しブレンドして、接着剤ブレンドの相安定性および加工特性を改善することができることも見いだされた。新規変性ジエン共重合体を含む接着剤組成物は、接着剤またはコーティング組成物がバッキングまたは基材に塗布される大部分の用途に使用することができる。基材は、フィルム、テープ、シート、パネルなどの形態が可能であり、紙、布、プラスチック、不織繊維(たとえば使い捨て吸収性衣類)、金属、ホイル、天然ゴム、合成ゴム、木材および木材複合材などの材料から製造されることが可能である。新規変性ジエン共重合体を含む本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物の基材への塗布は、ローラー、スロットオリフィス、スプレー、または押出被覆などの任意の慣用法を用いて達成されてもよい。
【0095】
このような用途のいくつかにおいて、適切な対照として従来技術のエラストマーが配合された接着剤と比較して、改善された特性を組成物に付与するために、新規変性ジエン共重合体組成物または市販の共重合体とのその混合物の約10~70重量パーセント、望ましくは15~55重量パーセント、より望ましくは18~45重量パーセントが、粘着付与樹脂、可塑剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、充填剤、加工助剤、安定剤、および酸化防止剤などの他の従来の接着剤配合成分/添加剤と混合される。適切な粘着付与剤の例は、ポリマーと相溶性がよい、高低の軟化点を有する樹脂を含む。これらは、限定するものではないが、水素化樹脂、ロジンエステル、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、インデンクマロン樹脂、および脂肪族炭化水素樹脂を含む。いくつかの例示的実施形態では、組成物中の粘着付与樹脂の量は、約20~70重量パーセントの範囲にわたる。伸展油として一般に公知の可塑剤は、鉱物油、パラフィン系油、およびナフテン系油を含む。いくつかの例示的実施形態では、組成物中の可塑剤の量は、約5~35重量パーセントの範囲にわたる。熱酸化プロセスおよびUV酸化プロセスを抑制するために、酸化防止剤を使用してもよく、通常は、約0.05~3重量パーセントの量で接着剤組成物に加える。酸化防止剤の例は、フェノール化合物、亜リン酸エステル、アミン、およびチオ化合物を含む。
【0096】
別の実施形態では、変性ジエン共重合体組成物を含む新規ホットメルト接着剤、シーラント、またはコーティング組成物は、最初に変性ジエン共重合体と少なくとも1つの粘着付与樹脂とのマスターバッチを室温で均一に混合し、次いで、約120~約200℃の混合条件および約30~約150rpmの混合速度でバッチインテンシブミキサーまたは二軸異方向回転ミキサーまたは2軸スクリュー押出機を使用して混合し、任意選択で、ペレタイザーを使用して小片に切断し、次いでホットメルト接着剤、シーラント、またはコーティング配合物の成分/添加剤の残りの部分とマスターバッチとを混合することを含むプロセスによって調製されてもよい。
【0097】
本発明のホットメルト接着剤組成物に、粘着付与樹脂、可塑剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、充填剤、加工助剤、安定剤、および酸化防止剤などの従来の接着剤配合成分/添加剤を加えて、所望の微調整した性能の、本格的な完成配合物を提供してもよい。適切な粘着付与剤は、限定するものではないが、水素化または炭化水素樹脂、ロジンエステル、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、インデンクマロン樹脂、および脂肪族炭化水素樹脂などの、ポリマーと相溶性がよい、高低の軟化点を有する樹脂を含む。いくつかの例示的実施形態では、本発明のホットメルト接着剤組成物中の粘着付与樹脂の量は、約20~70重量パーセントの範囲にわたる。伸展油として一般に公知の可塑剤は、鉱物油、パラフィン系油、およびナフテン系油を含む。いくつかの例示的実施形態では、組成物中の可塑剤の量は、約5~35重量パーセントの範囲にわたる。熱酸化プロセスおよびUV酸化プロセスを抑制するために、酸化防止剤を使用してもよく、通常は、約0.05~4重量パーセントの量で接着剤組成物に加える。酸化防止剤の例は、フェノール、亜リン酸エステル、アミン、およびチオ化合物を含む。また、配合物中のブロック共重合体のミッドブロックおよび/または末端ブロックと相溶性がよい本発明の接着剤は、通常は、粘着付与樹脂または粘着付与樹脂の組み合わせの約20重量%~約70重量%を含み、好ましくは約20重量%~約65重量%、より好ましくは粘着付与剤樹脂または粘着付与樹脂の組み合わせの約20重量%~約60重量%を含む。約25℃超の環球(Ring and Ball)軟化点を有する粘着付与剤が好ましい。線状、分岐またはラジアル、マルチアーム、ミクトアーム、ハイブリッド、非対称であってもよく、部分的または完全に連結されてジブロック/トリブロック共重合体のブレンドを形成してもよい本発明のホットメルト接着剤組成物は、任意の市販のブロック共重合体、マルチブロック共重合体、テーパードブロック、またはランダム共重合体の約2重量%~約25重量%を含んでもよい。例は、限定するものではないが、スチレン‐b‐イソプレン‐b‐スチレン(たとえばSISおよびSIS/SIおよび(SI)n‐X/SI)、スチレン‐b‐ブタジエン‐b‐スチレン(たとえばSBSおよびSBS/SBおよび(SB)n‐X/SB)、スチレン‐b‐イソブチレン‐b‐スチレン(たとえばSIBSおよびSIBS/SIBおよび(SIB)n‐X/SIB)、スチレン‐b‐イソプレン/ブタジエン‐b‐スチレン(たとえばS‐I/B‐SおよびS‐I/B‐S/S‐I/Bおよび(S‐I/B)n‐X/S‐I/B)、スチレン‐b‐エチレン/ブチレン‐b‐スチレン(たとえばSEBSおよびSEBS/SEBおよび(SEB)n‐X/SEB)、スチレン‐b‐エチレン/プロピレン‐b‐スチレン(たとえばSEPSおよびSEPS/SEPおよび(SEP)n‐X/SEP)、スチレン‐ブタジエンランダム共重合体(たとえばSBRおよび(SBR)n‐X)、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0098】
さらに、本発明の様々な接着剤、シーラント、またはコーティング組成物は、当業者に公知の他の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤は、限定するものではないが、顔料、充填剤、蛍光性添加剤、フローおよびレベリング添加剤、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤、レオロジー調整剤、安定剤、光増感剤、および酸化防止剤を含んでもよい。好ましい添加剤は、感知できる吸収を対象波長において示さない添加剤である。顔料および充填物質の例は、限定するものではないが、二酸化チタン、疎水性非晶質乾式シリカ、非晶質沈降シリカ、カーボンブラック、およびポリマー粉末を含む。フローおよびレベリング添加剤、湿潤剤、および消泡剤の例は、シリコーン、炭化水素、フッ素含有化合物、非シリコーンポリマー、およびコポリアクリレートなどの共重合体を含む。
【0099】
本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、従来の方法によって調製されてもよい。例として、新規変性ジエン共重合体、粘着付与樹脂、および他の所望の成分は、押出機、Zブレードミキサー、または他の従来の混合装置を用いて、高温(たとえば約150℃の温度)でブレンドしてもよい。有利には、本発明の変性ジエン共重合体で調製した新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、コスト効率および/または生産速度を犠牲にすることなく、凝集力などの補強特性を維持しながら、はるかに低い温度でブレンドおよび塗布してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物において、反応性加工技術を使用して、変性ジエン共重合体の重合後に反応および/または架橋を行ってもよい。
【0100】
新規変性ジエン共重合体組成物は、修飾されやすい反応性部位と、光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位とを有する、接着剤、シーラント、およびコーティング用途を提供する。反応性部位は、新規変性ジエン共重合体組成物の架橋を直接行ってもよく、かつ/または塗布時に、より適切な温和な条件下で架橋を促進するためのさらなる官能化が可能であってもよい。米国特許第8703860号、米国特許第7799884号、米国特許第7432037号、米国特許第6926959号、米国特許第5804663号、および米国特許第4306049号、ならびに欧州特許第0097307号(その全体が参照によって本願に組み込まれる)に記載されているような、当該技術分野で公知の任意の適切な方法によって、本発明の変性ジエン共重合体組成物を含む新規反応性接着剤、シーラント、およびコーティング組成物を製造し、硬化させることができる。変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物のいずれかを含む補強材料は、接着剤、シーラント、およびコーティングなどの様々な用途のための調整された相溶性および反応性を実現し、かつ加工性と補強性能との改善されたバランスを実現する。新規変性ジエン共重合体組成物および、他の適切なポリマーとのそのポリマーブレンドおよび混合物は、溶剤系マスチックおよびシーラントを含む、テーピング用、ラベリング用、梱包用、建築用、および位置決め用の接着剤の最終用途のための感圧および非感圧のホットメルトおよび溶剤系配合物に有用である。新規変性ジエン共重合体組成物は、低粘度で反応性のホットメルト接着剤組成物に有用であり、特に、高い耐熱性、低エネルギー加工性、および、溶剤系配合物と比較して揮発性有機化合物(VOC)の低排出を示すスプレー式コンタクト接着剤に有用である。より具体的には、新規変性ジエン共重合体組成物は、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位と、低い混合温度、低い塗布温度などの加工容易性の利点と、高い耐熱性、高い凝集力、高い剪断抵抗、高い耐タック性、高い耐剥離性などの優れた補強の利点と、を有する接着剤、シーラント、およびコーティング用途を提供する。
【0101】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規接着剤組成物は、放射線硬化性であってもよく、これらは、フリーザグレードテープおよびラベルなどの高機能テープおよびラベルならびに自動車用接着剤のための感圧接着剤と、医療用途などの湿った表面への接着剤用途と、を含むがこれらに限定されない様々な最終用途が可能である。放射線硬化性接着剤組成物は、高い耐熱性、高剥離値、特に0℃を下回る温度での改善された低温特性、湿った表面への改善された接着性、および/または改善された耐溶媒性および耐可塑剤性を示すように配合することができる。本発明の新規接着剤組成物は、変性ジエン共重合体組成物と組み合わせて、少なくとも1つの第2ポリマーをさらに含んでもよい。第2ポリマーは、粘着性および耐熱性などの接着剤特性に寄与してもよく、第2ブロック共重合体、均質なエチレン/α‐オレフィンインターポリマー、非晶質ポリアルファオレフィン、エチレンのインターポリマー、またはそれらの混合物から選択されてもよい。有用な市販の第2ブロック共重合体の例は、限定するものではないが、Solprene(登録商標)、Calprene(登録商標)およびCalprene(登録商標)Hブロック共重合体、Kraton(登録商標)DおよびGシリーズブロック共重合体、Europrene(登録商標)Sol Tブロック共重合体、Vector(登録商標)ブロック共重合体、ならびにその他を含む。エチレンの適切な共重合体の例は、エチレン/ビニルアセテート(EVA)、エチレン/メチルアクリレート()、エチレンn‐ブチルアクリレート(EnBA)、およびそれらの混合物である。新規変性ジエン共重合体組成物および第2ブロック共重合体は、高い耐熱性および高い剪断抵抗などの接着剤特性にさらに寄与するために、より感放射線性および硬化性になるように、少なくとも1つの共役ジエン単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメント中に高いビニル構成単位を有していてもよい。本発明の変性ジエン共重合体を含む新規接着剤組成物のための好ましい第2ブロック共重合体は、高い剪断接着破壊温度(SAFT)および/または高い環球軟化点温度(TRBSP)などの高い耐熱性を維持しながら粘着性を改善するために、約25重量%未満のスチレン含有量を有する少なくとも1つのスチレン‐イソプレン‐スチレン(SIS)ブロック共重合体を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規接着剤組成物は、有利には、約160℃で約10,000cP未満のブルックフィールド粘度、好ましくは、約160℃で約8,000cP未満のブルックフィールド粘度、より好ましくは、約160℃で約6,000cP未満のブルックフィールド粘度、よりさらに好ましくは、約160℃で約4,000cP未満のブルックフィールド粘度を有していてもよく、これにより、より低い塗布温度で、すなわち、約150℃以下の塗布温度で、好ましくは約140℃以下の塗布温度で、より好ましくは約130℃以下の塗布温度で、接着剤組成物を塗布することが可能となる。組成物は、さらに低い温度でも低粘度を示すことが可能であり、最も好ましい実施形態において、接着剤組成物は、約120℃で十分に流動性をもつことが可能であり、これによって、熱に敏感な基材へのコーティングに対応でき、接着剤組成物の熱分解の防止に役立ち、加工時間窓が広くなる。変性ジエン共重合体組成物を含む本発明の新規接着剤組成物は、組成物が、良好な粘着性、高い剪断接着破壊温度(SAFT)および/または高い環球軟化点温度(RBSPT)などの改善された耐熱性、および改善された耐可塑剤性を示すような方法で配合することができる。好ましくは、剪断接着破壊温度(SAFT)および/または環球軟化点温度(RBSPT)は、約150℃を下回らず、より好ましくは、約177℃を下回らず、静的剪断は、接着剤組成物の硬化後、約24時間を下回らない。ループタックは、通常は少なくとも約2.0ポンドインチであり、好ましくは約3.0ポンドインチ以上であり、より好ましくは、約4.5ポンドインチ以上である。永久(permanent grade)感圧接着剤のために、180°剥離値は、通常は少なくとも約2.5ポンド/リニアインチ(pli)であり、好ましくは少なくとも約3.0ポンド/リニアインチ(pli)であり、より好ましくは少なくとも約4.0ポンド/リニアインチ(pli)以上である。変性ジエン共重合体組成物を含む本発明の新規接着剤組成物は、様々なフィルム、不織布、紙料、板紙、プラスチック、金属、塗装基材、ガラス、革、ゴムなどの様々な基材に結合されてもよい。本発明の接着剤組成物は低臭性であり、高機能テープおよびラベル用の感圧接着剤、特に窓ラベルおよびライセンスプレートタブなどの自動車用途、滅菌可能医療用途、フリーザ用ラベル、起伏のある容器用の収縮性ラベル、フックループテープ、研磨製品、道路マーキングテープ、フォーム接合、エアーフィルタへの結合ゴムガスケットおよび位置決め接着剤などとしての使用を含む様々な用途に使用することができる。さらに、感圧および非感圧接着剤組成物は、いずれも、使い捨ておむつ製造および木質フローリング接着剤などのフィルム接着および不織布製造用途に用いることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、変性ジエン共重合体組成物を含む本発明の新規接着剤組成物は、水素化されていてもよくかつ架橋、誘導体化などのさらなる化学反応を行ってもよい、エポキシ、アミン、ヒドロキシ、アクリレート、メタクリレート、シラン、メルカプタンなどの任意の適切な末端鎖末端および/または鎖内官能基を有していてもよい、低分子量で室温で液体のポリマーである変性ジエン共重合体を使用してもよい。これらは、VOCの放出の低下のために、溶媒の非存在下で液体で配合および塗布し、UV硬化によって実現することができる硬化プロセス時に高分子量にしてもよい。エポキシおよびヒドロキシル官能性水素化粘着付与樹脂を含む水素化液体変性ジエン共重合体組成物と少量の光開始剤との混合物を含むシンプルな配合物は、優れた感圧接着剤特性を示す場合がある。感圧接着剤配合物は、グリーン強度、引張強度を増加させ、ホットメルト接着剤の便利な処理およびコーティングを強化するために、特定の高分子量固体ポリマーで変性し強化することができる。固体変性剤として、低スチレンSEBSポリマーおよびSEPSポリマーだけでなく、エチレンと高級αオレフィンとの線状低密度共重合体を使用してもよい。液体変性ジエン共重合体組成物および低スチレンSEBSポリマーを含む本発明の新規接着剤組成物は、約120℃で完全に溶融することが可能である。硬化型接着剤は、様々な粘着性値、剥離値、剪断値を示し、時間または温度とともに、最小限の剥離接着の増加を示す。本発明の水素化変性ジエン共重合体組成物とともに使用してもよい適切な粘着付与樹脂は、限定するものではないが、Regalit(商標)R‐9100、Regalite(商標)R‐125、およびArkon(商標)P‐90を含む。Regalite(商標)R‐9100およびR‐125は、イーストマン社(Eastman)製の完全水素化粘着付与樹脂である。Arkon(商標)P‐90は、アラカワ社(Arakawa)製の完全水素化粘着付与樹脂である。
【0104】
一般に、有用な粘着付与剤または粘着付与樹脂は、ウッドロジン、トール油、ガムロジンはもちろん、ロジンエステル、天然および合成テルペンならびにこれらの誘導体を含むがこれらに限定されないロジン誘導体などの再生可能資源に由来するか、または炭化水素樹脂などの石油系樹脂のいずれかである。有用な炭化水素樹脂の例は、限定するものではないが、α‐メチルスチレンおよび他のスチレン系モノマー系樹脂、分岐および非分枝鎖C5樹脂、C9樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)系樹脂ならびにこれらのスチレン系および水素化変性を含む。有用な粘着付与剤には、通常は、約25℃で液体のものから、最大約150℃までの環球軟化点を有するものまでがある。好ましくは、本発明の接着剤組成物は、ポリジエンブロックと相溶性がよい少なくとも1つの粘着付与剤を含む。本発明のいくつかの実施形態では、粘着付与剤は、好ましくはロジン誘導体であり、特に水添ロジン系粘着付与剤および水素化スチレン化テルペン樹脂である。有用な市販の粘着付与剤は、限定するものではないが、たとえば、Regalite(登録商標)R 91、Regalite(登録商標)R R101、Regalite(登録商標)R S100、Regalite(登録商標)R S260、Regalrez(登録商標)1018、Regalrez(登録商標)Regalrez(登録商標)3102、Regalrez(登録商標)6108、Regalrez(登録商標)5095、Zonatac(登録商標)105 LiteなどのZonatac(登録商標)Liteシリーズ、Escorez(登録商標)5300シリーズ、Foral(登録商標)AX、Foral(登録商標)85、およびForal(登録商標)105を含む。
【0105】
本発明のホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物に添加してもよい適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂のさらなる具体例は、限定するものではないが、任意の相溶性樹脂またはそれらの混合物、たとえば(a)天然または変性ロジン、たとえば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水添ロジン、二量化ロジンおよび重合ロジン、(b)天然または変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル、たとえば、ペールウッドロジンのグリセロールエステル、水添ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水添ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステル、(c)天然のテルペンの共重合体およびターポリマー、たとえば、スチレン‐テルペンおよびαメチルスチレン‐テルペン、(d)約80°~150℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂、同じく水素化ポリテルペン樹脂、(e)フェノール変性テルペン樹脂およびその水素化誘導体、(f)約70°~135℃の軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂、同じく水素化脂肪族石油炭化水素樹脂、(g)脂環式石油炭化水素樹脂およびその水素化誘導体、(h)脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族共重合体およびそれらの水素化誘導体、ならびに(i)脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族ポリエステルポリオールおよびそれらの水素化誘導体、を含む。本明細書で使用する粘着付与剤は、ポリテルペン、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、および脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族を含む。また、脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族共重合体およびそれらの水素化誘導体。さらに、本発明のホットメルト接着剤組成物に、適切なポリエステルポリオール粘着付与樹脂であってもよい少なくとも1つの末端ブロック粘着付与剤または粘着付与樹脂を約30重量%まで組み込むことが望ましい場合がある。末端ブロック粘着付与剤または粘着付与樹脂は、イーストマン・ケミカル・カンパニー社(Eastman Chemical Company)から市販されている材料などの混合C9石油蒸留ストリームに基づく主として芳香族の樹脂か、またはビニルトルエン、スチレン、α‐メチルスチレン、クマロン、またはインデンの単独重合体または共重合体などの芳香族モノマーの純粋なまたは混合したモノマーストリームに基づく樹脂である。また、イーストマン・ケミカル・カンパニー社からKristalexおよびPlastolynという商品名で入手できるα‐メチルスチレンに基づくものがある。存在する場合、少なくとも1つの末端‐ブロック粘着付与剤または粘着付与樹脂は、一般に、約1~約30重量%、好ましくは約25重量%未満の量で用いられる。いくつかの実施形態では、本発明のホットメルト接着剤組成物に加えてもよい従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂の好ましい例は、限定するものではないが、イーストマン・ケミカル・カンパニー社製のPiccotac(商標)9095、Piccotac(商標)8095、Piccotac(商標)1095‐N、Foral(登録商標)85、Regalite(商標)R1100炭化水素樹脂、およびKristalex(商標)1120炭化水素樹脂を含む。
【0106】
本発明のホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物に加えてもよい適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂のさらなる具体例は、限定するものではないが、高機能ポリエステルポリオール粘着付与樹脂、たとえば脂肪族/芳香族または脂環式/芳香族ポリエステルポリオールおよびそれらの水素化誘導体を含む。高機能ポリエステルポリオール粘着付与樹脂は、バージンおよび/または再生熱可塑性ポリエステル、再生グリコールおよび/または脂肪族ジオール、ならびに二量体脂肪酸および/または脂肪族ジカルボン酸および/または芳香族ジカルボン酸から製造されてもよい。高機能ポリエステルポリオール粘着付与樹脂は、約60~100%のグリーン含量(Green content)を有していてもよい。高機能ポリエステルポリオール粘着付与樹脂は、25~800mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価、好ましくは14~112mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有していてもよい。高機能ポリエステルポリオール粘着付与樹脂は、約50~200℃の環球軟化点温度を有していてもよい。高機能ポリエステルポリオール粘着付与樹脂は、米国特許出願公開第2015/0344622号に記載されているプロセスによって調製されてもよく、米国特許出願公開第2017/0066950号に記載されている組成物であってもよい。米国特許出願公開第2015/0344622号に開示された全開示および米国特許出願公開第2017/0066950号に開示された全開示は、参照によって本願に組み込まれる。高機能ポリエステルポリオール粘着付与樹脂は、レジネート・マテリアルズ・グループ社(Resinate Materials Group)から市販されている。
【0107】
好ましい実施形態において、変性ジエン共重合体組成物のみ、または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物を含む本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、脂肪族樹脂、芳香族変性炭化水素樹脂、ロジンエステル樹脂、それらの混合物および組み合わせを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂を使用してもよい。本発明の新規変性ジエン共重合体組成物は、接着剤、シーラント、およびコーティングなどの様々な用途のための調整された相溶性および反応性を実現するために変性ジエン共重合体組成物のみ、または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物のいずれかを含む補強材料を調製するのに有用な場合があるだけでなく、脂肪族樹脂、芳香族変性炭化水素樹脂およびロジンエステル樹脂を含むがこれらに限定されない、適切な従来の粘着付与剤もしくは粘着付与樹脂、または適切な従来の粘着付与剤もしくは粘着付与樹脂の混合物および組み合わせのいずれかとの、完全な相溶性、部分的な相溶性、限定的な相溶性、または不相溶性のいずれかをもたらすように、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における各ブロックまたはセグメントの相溶性を調節することが可能な場合もある。さらに好ましい実施形態では、変性ジエン共重合体組成物のみ、または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物を含む本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における各ブロックまたはセグメントの相溶性は、少なくとも1つの第1の適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂との完全な相溶性、部分的な相溶性、限定的な相溶性、または不相溶性のいずれかをもたらすように調節され、少なくとも1つの第2の適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂は、変性ジエン共重合体組成物とブレンドまたは混合したポリマー中の各ブロックまたはセグメントとの完全な相溶性、部分的な相溶性、限定的な相溶性、または不相溶性のいずれかをもたらし、少なくとも1つの第1の、および少なくとも1つの第2の適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂は、限定するものではないが、脂肪族樹脂、芳香族変性炭化水素樹脂、およびロジンエステル樹脂を含む、本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物。最も好ましい実施形態では、変性ジエン共重合体組成物のみ、または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物を含む本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物であって、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における各ブロックまたはセグメントの相溶性は、少なくとも1つの第1の適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂との完全な相溶性、部分的な相溶性、限定的な相溶性、または不相溶性のいずれかをもたらすように調節され、少なくとも1つの第1の適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂は、また、変性ジエン共重合体組成物とブレンドまたは混合したポリマー中の各ブロックまたはセグメントとの完全な相溶性、部分的な相溶性、限定的な相溶性、または不相溶性のいずれかをもたらし、少なくとも1つの第1の適切な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂は、限定するものではないが、脂肪族樹脂、芳香族変性炭化水素樹脂、およびロジンエステル樹脂を含む、本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物。
【0108】
完全な相溶性は、変性ジエン共重合体組成物のみ、または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物を含む本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物の全塗布温度範囲において、特定のブロックまたはセグメントに対する変性効果を有する補強材料を提供する。部分的な相溶性は、変性ジエン共重合体組成物のみ、または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物を含む本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物の塗布のための、低温ではなく高温で特定のブロックまたはセグメントに対する変性効果を有する補強材料を提供する。限定的な相溶性は、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体におけるブロックまたはセグメントおよび/または変性ジエン共重合体組成物とブレンドまたは混合してもよいポリマー中のブロックまたはセグメントにおいて、最高濃度までおよび/または部分まで特定のブロックまたはセグメントに対する変性効果を有する補強材料を提供する。不相溶性は、変性ジエン共重合体組成物のみ、または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物を含む本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物の全塗布温度範囲において、特定のブロックまたはセグメントに対する変性効果のない補強材料を提供する。新規変性ジエン共重合体組成物は、少なくとも1つの適切な粘着付与剤または粘着付与樹脂との、かつ/またはブレンドまたは混合物中の少なくとも1つの適切なポリマーとの調整および/または調節された相溶性を有し、特性を操作して加工性および補強性能に対する驚くべき予想外の効果を得るための設計ツールを有する、本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物に加えてもよい好ましい有用な市販のポリマーの例は、限定するものではないが、Solprene(登録商標)、Calprene(登録商標)、およびCalprene(登録商標)Hブロック共重合体、Kraton(登録商標)DおよびGシリーズブロック共重合体、Europrene(登録商標)Sol Tブロック共重合体、Vector(登録商標)ブロック共重合体、ならびにその他を含む。いくつかの実施形態では、本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物に加えてもよい好ましい有用な従来の粘着付与剤または粘着付与樹脂の例は、限定するものではないが、イーストマン・ケミカル・カンパニー社製のPiccotac(商標)9095、Piccotac(商標)8095、Piccotac(商標)1095‐N、Foral(登録商標)85、Regalite(商標)R1100炭化水素樹脂、およびKristalex(商標)1120炭化水素樹脂を含む。
【0109】
本発明のホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、任意選択で、特性が主に脂肪族であり、ブロック共重合体のミッドブロックと相溶性がよく、任意選択で配合物に含まれてもよく、変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体における芳香族が少ないブロックまたはセグメントとの相溶性がよくてもよい、従来の油希釈剤および/または他の液体希釈剤を含んでもよい。存在する場合、本発明の組成物は、通常は、約35重量%未満の量で液体可塑剤を含む。液体可塑剤を含む場合、接着剤、シーラント、またはコーティング組成物は、液体可塑剤の少なくとも約5重量%、より一般的には少なくとも約15重量%を含む。本発明のホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物に使用してもよい従来の油の例は、パラフィン系およびナフテン系石油系油、純度の高い芳香族フリーパラフィン系およびナフテン系食品工業用白色石油系鉱物油、およびポリブテン、ポリプロペン、ポリテルペン、ポリミルセン、ポリファルネセンなどの合成液体オリゴマーなどの液体粘着付与剤などの可塑剤を含む。合成シリーズプロセスオイルは、中分子量~高分子量の永続的に流体の液体モノオレフィン、イソパラフィンまたはパラフィンである高粘度オリゴマーである。また、ポリエチレンワックスなどのワックスを含んでもよい。ワックスは、一般に、少なくとも約2重量%、最大約5%までの量で含まれる。本発明のホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物に加えてもよい従来の油または液体可塑剤の好ましい例は、ニーナス社(Nynas)製の市販のナフテン系プロセスオイルであるNyflex223などの純度の高い高粘度ナフテン系プロセスオイルグレードを含む。いくつかのさらなる実施形態では、適切な可塑化油または伸展油は、オレフィンオリゴマーおよび低分子量ポリマーだけでなく、植物油および動物油ならびにそれらの誘導体を含む。用いてもよい石油由来油は、芳香族炭化水素をわずかな割合だけ含む比較的高沸点の材料である。あるいは、油は完全に非芳香族であってもよい。適切な従来のオリゴマーは、平均分子量約0.35kg/mol~約10kg/molを有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエンなどを含む。例は、限定するものではないが、ペトロカナダ社(Petrocanada)から入手できる鉱物油であるLuminol T350および、ウイトコ・コーポレーション社(Witco Corporation)から入手できるKaydol油を含む。他の市販の好ましい可塑剤は、限定するものではないが、エレメンタス・スペシャルティ社(Elementis Specialty)製のIsolene(登録商標)、Isolene(登録商標)75、およびIsolene(登録商標)400を含む。他のさらなる実施形態では、低い塗布温度で塗布でき、良好な低温性能と湿った表面への良好な接着力とを示す本発明の新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、ビニル芳香族ブロックと相溶性がよい少なくとも1つの可塑剤を含む。有用な市販のビニル芳香族ブロック可塑剤は、限定するものではないが、ハーキュリーズ社(Hercules)製のPiccolastic(登録商標)A5およびKristalex(登録商標)3070を含む。
【0110】
感圧性が望ましくない、ボトルラベリング接着剤、ラミネート接着剤、製本接着剤、および梱包接着剤に有用な本発明の変性ジエン共重合体を含む新規接着剤組成物は、本発明の放射線硬化性接着剤組成物に使用可能な配合物中にワックスを含んでもよい。ワックスは粘度を変性するためによく使用され、組成物の全重量に対して、最大約40重量%までの濃度で、好ましくは約10重量%~約40重量%で粘着性を減少させる。好ましいワックスは、最小量の不飽和を有するワックスであり、限定するものではないが、十分に少ない量のUV吸収成分を示すパラフィン45ワックスおよびパラフィン155Fを含む。接着剤組成物が、ワックスの曇り点よりも高い温度で硬化する場合は、他のワックスも有用な場合がある。
【0111】
放射線硬化性であってもよい本発明の変性ジエン共重合体を含む新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物には、限定するものではないが、ポリテルペン、ポリイソプレン、ポリミルセン、ポリファルネセンなどの合成液体エポキシ化オリゴマーなどの多官能性アクリレートおよびメタクリレート、多官能性エポキシド、反応性添加剤を含む適切なカップリング剤または架橋剤を配合することができる。本発明のいくつかの実施形態では、一般式XnSi(R’Y)4‐n(式中、R’はアルキレン鎖であり、YはCl、NH2、NR2、OH、OCOR、NCO、CH2=CH、SHなどの官能基であり、Xは加水分解されやすい官能基(Cl、OR、OCOR)である)を有する炭素官能性シラン(carbofunctional silane)を、カップリング剤および官能化剤として使用してもよい。アルキレン鎖R’は、通常、3つのメチレン基で構成される。炭素官能性シランの適切な例は、限定するものではないが、(メタクリルオキシプロピル)‐シラン、(アミノアルキル)‐シラン、および(3‐アミノプロピル)‐シラン、ならびに脂肪族または芳香族シラン、アミノシラン、エポキシシラン、および他の官能化シランを含む他の種類のシランを含む。本発明のさらなる実施形態では、本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物におけるカップリング剤および官能化剤として使用してもよい適切なシランカップリング剤は、限定するものではないが、3‐メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、ビス‐(3‐トリアルコキシシリルプロピル)‐ジスルフィド、ビス‐(3‐トリアルコキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、3‐メルカプトプロピルトリアルコキシシラン(MPTES)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TESPD)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TMSPD)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド(TMSPT)、それらの混合物および組み合わせを含む。好ましいシランカップリング剤の例は、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TESPD)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TMSPD)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド(TMSPT)、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、ならびにエトキシシランおよびクロロシランのそれらの誘導体である。他の適切なシランカップリング剤は、限定するものではないが、変性ジエン共重合体組成物のポリマー鎖に対して鎖内ヒドロシリル化反応によって架橋を行い、主鎖に官能基および/または他のポリマー側鎖のいずれかを結合するために使用することができるシラン官能化ケイ素化合物を含む。適切な官能化シリコンおよびスズ化合物およびシランカップリング剤の具体例は、米国特許第6229036号、米国特許第8053512号、およびPCT特許出願第WO2018/091955号に記載されているものなどである。米国特許第6229036号、米国特許第8053512号、およびPCT特許出願第WO2018/091955号の全開示は、参照によって本願に組み込まれる。スルファニルシランの例には、(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(CH3)3、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(CH3)2、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]3‐Si(CH3)、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(OEt)2、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]4‐Si、(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(OEt)3、(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(C2H5)3、(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(CH3)3、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(CH3)2、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(OMe)2、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]4‐Si、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]3‐Si(OMe)と、硫化ケイ素変性剤、硫化スズ変性剤、および、ニトリル、アミン、NO、アルコキシ、チオアルキル、メルカプタン、モノスルフィド、ジスルフィド、およびテトラスルフィド化合物などの官能化および修飾型を含むがこれらに限定されない、同様なC1‐C100直鎖または分枝鎖、アルキルまたはアルコキシまたはシクロアルキル、またはシクロアルコキシまたはフェニルまたはベンジル置換スルファニルシラン化合物と、がある。
【0112】
本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、限定するものではないが、ゴム、チオールエン、マレイミド、およびアクリレート系樹脂を含む光硬化配合物を含んでもよい。光硬化性配合物は、限定するものではないが、多官能性チオール、多官能性オレフィン、および光開始剤を含むチオールエン組成物を含む。光硬化性組成物に使用してもよい適切な架橋剤は、限定するものではないが、ポリチオールまたはポリ(マレイミド)架橋剤を含む。UV硬化性組成物のために、ポリチオールは、配合物中のゴムおよびポリチオールの全重量に対して、最大約10重量パーセント、好ましくは0.3~約6重量パーセント、より好ましくは約0.3~約1重量パーセントの濃度で含まれてもよい。もっとも反応性の高い1級チオールが好ましく、次に2級チオールが好ましく、最も反応性の低い3級チオールが次に好ましい。適切なポリチオールは、限定するものではないが、3‐メルカプトプロピオン酸、ペンタエリスリトールテトラチオールグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリメルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、エチレングリコールビス(3‐メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、それらの組み合わせおよび混合物を含む。
【0113】
放射線硬化性であってもよい本発明の変性ジエン共重合体を含む新規接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、光源で光開始剤を照射したときに架橋および/または重合開始ラジカルが生成するのに適切な光開始剤を配合することができる。適切な光開始剤は、限定するものではないが、有効な開始ラジカルが生成される経路に従って光開裂光開始剤およびH引き抜き光開始剤に分類される光開始剤を含む。H引き抜き光開始剤の水素供与源は、アミン、チオール、ポリブタジエンまたはポリイソプレンなどの不飽和ゴム、およびアルコールを含む。放射線硬化性組成物において、架橋は、電子放出または、中性子、α‐粒子などの高加速核粒子によって生成される紫外線照射および/または電離放射線への暴露によって行われる。光開始剤系に用いられる光吸収発色団は、光源の発光帯に可能な限り対応するように選択される。光開始剤に存在する発色団は紫外線および/または可視光照射に対して光開始剤系を感受性にして、それによって、このような光源への暴露による架橋を開始させること、かつ/または架橋に関与すること、が可能となる。H引き抜き光化学作用を生じる発色団化合物を含む適切な光開始剤は、限定するものではないが、キサントン、チオキサントン、4,4’‐ビス(N,N’‐ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンジル、キノン、キノリン、アントロキノン、フルオレン、アセトフェノン、キサントン、フェナントレン、およびフルオレノンなどのベンゾフェノンおよび関連芳香族ケトンを含む。適切な光開始剤は、通常は、配合組成物の約0.05重量%~約10重量%の量で、好ましくは約0.2重量%~約3重量%の量で、より好ましくは約0.5重量%~約1.5重量%の量で用いてもよい。配合物に有用な適切な光開始剤の特定の量は、放射線源、受けた放射線量、生産ライン速度、および基材上の接着剤、シーラント、またはコーティング組成物の厚さだけでなく、ポリマー組成物にも依存する。
【0114】
さらなる実施形態では、本発明の接着剤、シーラント、またはコーティング組成物組成物は、所望の量の架橋を達成するのに十分な時間、180~400nm、好ましくは200~390nmの波長を有する紫外線照射に暴露することによって、空気中または窒素雰囲気下で、紫外(UV)照射または電子線(EB)照射によって架橋してもよい。光開始剤の吸着波長に紫外光の発光波長を合わせることが重要である。暴露時間は、照射の性質および強度、用いる特定の紫外光開始剤および量、ポリマー系、フィルムの厚さ、環境要因、および放射線源と接着剤フィルムとの間の距離によって決まる。照射は任意の温度で実施されてもよいが、最も適切には室温で実施される。UV硬化組成物のために、1つまたは複数の光活性開始剤および/または光活性カップリング剤を、本発明の接着剤、シーラント、またはコーティング組成物に加えてもよい。本発明の接着剤、シーラント、またはコーティング組成物を硬化させるために、組成物に使用するために選択した特定の光開始剤に入射するときにフリーラジカルが生成するのに十分なエネルギーの化学線源を使用してもよい。光開始剤のために好ましい波長範囲は400~250nmである。適切な光硬化プロセスは、米国特許第4181752号および米国特許第4329384号(これらは参照によって本願に組み込まれる)に開示されている。適切な光開始剤の例は、限定するものではないが、アルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、およびそれらの置換誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどのケトン、およびそれらの置換誘導体、特にアルキル基が1~18炭素原子である4‐アルキルベンゾフェノン、ベンゾキノン、アントラキノンなどのキノン、およびそれらの代替誘導体、2‐イソプロピルチオキサントン、および2‐ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン、ならびに2,4‐ビス(トリクロロメチル)‐6‐(3’,4’‐ジメトキシフェニル)‐sym‐トリアジンなどの特定の発色団置換ハロメチル‐sym‐トリアジンを含む。アルファ開裂型光開始剤は、当該技術分野で公知である。市販例は、限定するものではないが、Irgacure 184およびDarocur 1173(いずれもチバガイギー社(Ciba‐Giegy)から入手できる)を含む。好ましいラジカル型光開始剤は、限定するものではないが、アシルホスフィンオキシド、ビスアクリルホスフィンオキシド、それらの組み合わせおよび混合物を含む。有用な市販例は、限定するものではないが、チバ社製のIrgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1800、およびIrgacure(登録商標)1850、ならびにBASF社製のLucirin TPOを含む。電子線(EB)照射硬化のために、本発明の変性ジエン共重合体を含む接着剤、シーラント、またはコーティング組成物と架橋するために光活性カップリング剤が不要な場合がある。また、本発明の組成物は、光開始剤を使用せずに、電子線(EB)照射によって硬化してもよい。組成物を架橋するために必要な線量は、特定の組成物に応じて異なる場合があるが、一般に約1~約20Mradであり、好ましくは約2~約10Mradである。電子線(EB)硬化のための適切なプロセスは米国特許第4533566号で見ることができ、その出願は参照によって本願に組み込まれる。放射エネルギー密度、したがって十分な硬化のための線速度は組成物に依存し、さらに重要なことには、硬化される接着剤フィルムの厚さに依存する。
【0115】
さらに感放射線性および硬化性であって、高い耐熱性および高い剪断抵抗などの補強性能特性にさらに寄与するために、少なくとも1つの共役ジエン単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメント中に増加したビニル構成単位を有する新規変性ジエン共重合体組成物および/または第2ブロック共重合体を含み、粘着付与樹脂、エクステンダー油および/または可塑剤などの一般的な配合物中に、石油由来ワックス、抗酸化物質、光増感剤(UV照射硬化型の場合)、および任意選択で、ビニル芳香族ブロックまたはセグメントと相溶性がよい樹脂などの、従来の成分の少なくとも1つをさらに含む、本発明の放射線硬化性ホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物を、電子線照射またはUV照射などの高エネルギー電離放射線への暴露によって硬化してもよい。架橋反応は、好都合には室温で達成されるが、露出面でのブロック共重合体架橋における干渉を防止するために、または露出面を保護するために、剥離紙または基材を通して照射することによって、不活性雰囲気下で、低下させた温度または上昇させた温度で行うことができる。電子線照射の適切な線量は0.5~8Mradであり、好ましくは約4Mrad~約8Mradであり、より好ましくは約6Mrad~約8Mradである。紫外線が企図される場合、接着剤組成物は、ブロック共重合体100重量部に対して紫外線増感成分(光開始剤)0.2~30重量部が配合される。必要な暴露時間は、照射強度、用いる紫外線増感化合物の量と特定のタイプ、および接着剤層の厚さなどに依存する。UV照射への暴露は、任意の公知の方法によって行ってもよい。適切な方法は、ホットメルトで得られた層中で、または溶媒コーティングによって得られた層中で、UV光源下、一定の速度で上述の試料を通過させることによって、試料をUV照射に暴露することである。光開始剤は、好ましくは、ブロック共重合体100重量部に対して1~10重量部の範囲の量で含まれてもよく、より好ましくは、1~5重量部の範囲の量で含まれてもよい。適切な化合物の例は、限定するものではないが、ベンゾフェノン、2,4,6‐トリメチルベンゾフェノン、4‐メチルベンゾフェノン、2,4,6‐トリメチルベンゾフェノンと4‐メチルベンゾフェノンとの共晶混合物(Esacure TZT)、および2,2‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニルエタン‐1‐オン(Irgacure 651)を含む。これらの化合物は、3級アミン(Uvecryl 7100)と組み合わせて使用してもよい。使用してもよいさらなる適切な化合物、2‐メチル‐1‐4‐(メチルチオ)‐フェニル‐2‐モルホリノプロパノン‐1(Irgacure 907)およびUvecryl P115。適切な混合物の例は、2‐イソプロピルチオキサントンおよび4‐イソプロピルチオキサントンおよび4‐イソプロピルチオキサントンの混合物15重量%と、2,4,6‐トリメチルベンゾフェノンおよび4‐メチル‐ベンゾフェノンの混合物85重量%との混合物(Esacure X15)である。光開始剤は、(i)ベンゾフェノン、(ii)ベンゾフェノンと、少なくとも1つの芳香環に直接結合されたカルボニル基を含む3級アミンとの混合物、(iii)2‐メチル‐1‐4‐(メチルチオ)フェニル)‐2‐モルホリノプロパノン‐1(Irgacure 907)、および(iv)2,2‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニルエタン‐1‐オン(Irgacure 651)からなる群から選択されてもよい。本配合物の好ましい使用は、感圧接着テープの調製およびラベルの製造での使用である。バッキングシートは、プラスチックフィルム、紙、または任意の他の適切な材料であってもよく、テープは、感圧接着テープの製造に用いられるプライマー、剥離コーティングなどの様々な他の層またはコーティングを含んでもよい。
【0116】
本発明の他の態様では、新規変性ジエン共重合体組成物は、照射硬化型ホットメルト感圧接着剤、照射硬化型シーラントおよび照射硬化型コーティング組成物、ならびに、硬化型接着剤、シーラント、および/またはコーティング組成物を含む製品に有用な場合がある。適切な光開始剤は、限定するものではないが、装飾用および耐摩耗性のコーティング、ラッカー、繊維強化複合材料、マイクロエレクトロニクスカプセル化、ダイアタッチ、光ファイバーコーティング、成形材料、UV硬化構造樹脂などを含む、感圧ホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物を調製するために使用してもよい。本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物の配合に使用するための適切なベース樹脂は当業者に周知である。有用なポリマーは、非晶質ポリオレフィン、エチレン含有ポリマー、およびゴム状ブロック共重合体、ならびにそれらのブレンドおよび混合物を含む。適切なベース樹脂は、アクリレート、エポキシド、シロキサン、スチリルオキシ、ビニルエーテル、および、他のモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよび/またはポリマー、ならびにそれらのハイブリッド、混合物、および組み合わせに基づいてもよい。本発明の接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、液体または固体オレフィン不飽和系、たとえばアクリレート、メタクリレート、マレイミド、スチレン系、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、不飽和ポリエステル樹脂、アルキル樹脂、ポリイソプレン、ポリブタジエン、およびチオールエン組成物を配合してもよい。
【0117】
本発明のホットメルト接着剤、シーラント、およびコーティング組成物は、また、任意選択で従来の抗酸化物質を含んでもよく、それらは約4重量%までの量で含まれてもよい。本明細書で使用される有用な安定剤または酸化防止剤の例は、限定するものではないが、高分子量ヒンダードフェノールと、硫黄およびリン含有フェノールなどの多官能性フェノールとを含む。ヒンダードフェノールは当業者に周知であり、そのフェノール性ヒドロキシル基のすぐ近くに立体的に嵩高いラジカルも含むフェノール化合物として特徴付けられてもよい。ヒンダードフェノールの典型的な例には、1,3,5‐トリメチル2.4.6‐トリス(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル‐テトラキス‐3(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート、4,4’‐メチレンビス(2,6‐tert‐ブチルフェノール)、4,4’‐チオビス(6‐tert‐ブチル‐o‐クレゾール)、2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェノール、6‐(4‐ヒドロキシフェノキシ)‐2,4‐ビス(n‐オクチルチオ)‐1,2,5‐トリアジン、ジ‐n‐オクタデシル3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジルホスホネート、2‐(n‐オクチルチオ)エチル3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンゾエート、およびソルビトールヘキサ3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネートが含まれる。本発明の組成物に加えてもよい従来の酸化防止剤の好ましい例は、BASF社製のIrganox 1010を含む。
【0118】
本発明の他の態様は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤、シーラント、またはコーティング組成物を含む補強材料組成物、および補強材料組成物から製造される物品を提供する。一実施形態では、物品は、新規ホットメルト接着剤、シーラント、またはコーティング組成物および基材を含む。別の実施形態では、基材は、プラスチックフィルム、エラストマー繊維、不織布材料、包装材料、または、靴底材料、家具材料、および製本材料などの構築材料を含む。本発明の物品は、限定するものではないが、女性用パッドなどの使い捨て不織布、おむつなどの使い捨て弾性物品、ならびに再配置可能/取り外し可能なテープおよびラベル、低/凝固点温度テープおよびラベル、ならびに自動車プロテクターフィルムなどの感圧接着剤物品を含む。別の実施形態では、本発明の新規ホットメルト接着剤は、また、たとえば使い捨て製品の製造のための構築用接着剤に有用であり、弾性取り付け用途での使用に特に適しており、有利には、低/凝固点温度でのラベルおよびテープ用途などの感圧最終用途に使用してもよい。本発明の新規ホットメルト接着剤は、したがって、弾性不織布の製造と、赤ちゃんのおむつ、トレーニングパンツ、成人失禁用ブリーフまたは下着などの製造に特に有用である。不織布は、おむつ、成人失禁用製品、および生理用ナプキンなどの使い捨て物品に商業的に使用されている。
【0119】
アスファルトまたは瀝青補強
高分子量エラストマーで変性されたアスファルトまたは瀝青は、通常は、未改質アスファルトバインダーよりも性能が改善された改質アスファルトバインダーを調製するために使用される。ポリマーの添加によって改善されるアスファルト製品の性能特性は、a)低温での柔軟性、b)高温での流動および変形に対する抵抗性、c)感温性、d)引張強度、e)高温での剛性率、f)アスファルト骨材接着力、g)表面摩耗に対する抵抗性、である。ポリマーによる変性で利益を得るアスファルト製品は、舗装バインダー、シールコート、高速道路ジョイントシーラント、防水膜、コーティング、パイプラインマスチック、パイプラインラッピングテープなどである。
【0120】
高分子量ポリマーにはアスファルトとは混和しない傾向があるため、ビニル芳香族および共役ジエンモノマーに基づくエラストマーによるアスファルト変性は、アスファルト製品の性能特性に悪影響を及ぼすアスファルト‐ポリマー分離をもたらす限定的な相安定性のために難しい。相安定性は、通常は、アスファルト‐ポリマーブレンドを架橋するか、またはポリマーとアスファルトとの相溶性を増加させるか、またはその両方によって改善されてきた。また、高分子量ポリマーは、アスファルト‐ポリマーブレンドの溶融粘度を著しく増加させることによって、改質アスファルトバインダーの加工特性に悪影響を及ぼす。従来技術におけるポリマー組成物および/または構造の変性は、加工特性を改善し、アスファルト‐ポリマーブレンドのコストを引き下げるために使用されているが、多くの場合、性能特性は有利には変性されない。
【0121】
本発明者らは、本明細書で提供される変性ジエン共重合体組成物のアスファルトへの添加が、従来技術の共重合体が配合された改質アスファルトと比較して、改質アスファルトの性能特性を低下させることなく加工特性を改善することを見出した。本発明の変性ジエン共重合体組成物は、低い溶融粘度および高い流動性、増加した分散性および相溶性、高いブレンド安定性、ならびに良好なエラストマーおよび熱可塑性特性を有するアスファルトブレンドを提供する。本発明は、短い分散時間、低い混合温度、低粘度、および優れた貯蔵安定性などの加工容易性の利点と、高い弾性応答、広い性能等級、高い延性と高い浸透性、高温特性と低温特性との間の適切な妥協点、および自己回復挙動などの優れた補強利点と、を示す変性ジエン共重合体を含むポリマー改質アスファルト(PMA)またはポリマー改質瀝青組成物(PMB)を提供する。本発明の変性ジエン共重合体組成物は、本発明の新規ポリマー改質アスファルト組成物における相溶化剤または補強剤として使用することができることも見いだされた。本発明は、限定するものではないが、道路舗装、屋根材、およびシーラント用途によく使用されるものを含む用途のための相溶化剤または補強剤効果から利益を得る可能性のある変性ジエン共重合体を含むポリマー改質アスファルトまたは瀝青組成物(PMAまたはPMB)を提供する。本明細書で提供される相溶化剤または補強剤は、改質アスファルトまたは瀝青ブレンドの相安定性および加工特性を改善するために、市販のブロック共重合体とカプセル化しブレンドすることができることも見いだされた。舗装用途は、限定するものではないが、道路建設用のアスファルトまたは瀝青コンクリートを製造するために用いられるアスファルトまたは瀝青セメント/バインダーの補強はもちろん、チップシール、再シール、再舗装、およびリサイクルを含む道路の修復、補修および整備のための材料の変性も含む。
【0122】
本発明は、また、短い分散時間、低い混合温度、低粘度、および優れた貯蔵安定性などの加工容易性の利点と、高い弾性応答、広い性能等級、高い延性と高い浸透性、および高温特性と低温特性との間の適切な妥協点などの優れた補強利点と、を示す変性ジエン共重合体を含む、ポリマー改質アスファルトまたは瀝青エマルジョン組成物(PMEまたはPMAEまたはPMBE)を提供する。また、本発明者らは、本発明の変性ジエン共重合体組成物で予め変性されたアスファルトまたは瀝青のエマルジョンは、道路の修復、補修および整備に用いるとき、凝集粒子へのアスファルトの接着力を改善することも見出した。
【0123】
舗装および/または屋根材用途に有用な本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含む新規アスファルトまたは瀝青組成物は、少なくとも1つのアスファルトまたは瀝青と、可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、を含んでもよく、ここでアスファルトまたは瀝青組成物は、約0.5~約25重量パーセントの少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物を含む。本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含む新規アスファルトまたは瀝青組成物は、少なくとも1つの市販のポリマーをさらに含んでもよい。新規アスファルトまたは瀝青組成物は、本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含み、変性ジエン共重合体組成物における共役ジエン単位は、選択的に、部分的に、または完全に水素化されている。新規アスファルトまたは瀝青組成物は、本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含み、変性ジエン共重合体組成物における単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのいずれかは、鎖末端で、鎖内で、または鎖末端および鎖内の両方で官能化されている。少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物と少なくとも1つの市販のポリマーは、両方とも、前駆体非水素化共重合体の完全、部分的または選択的水素化型であってもよい。少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物と少なくとも1つの市販のポリマーは、両方とも、前駆体非官能化共重合体の鎖末端、鎖内、または鎖末端および鎖内の両方の官能化体であってもよい。
【0124】
シーラントおよび/またはコーティング用途に有用な本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含む新規アスファルトまたは瀝青組成物は、少なくとも1つのアスファルトまたは瀝青と、可塑剤、充填剤、カップリング剤、架橋剤、光開始剤、流動樹脂、粘着付与樹脂、加工助剤、オゾン劣化防止剤、および酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤と、を含んでもよく、ここでアスファルトまたは瀝青組成物は、約0.5~約50重量パーセントの変性ジエン共重合体組成物を含む。本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含む新規アスファルトまたは瀝青組成物は、少なくとも1つの市販のポリマーをさらに含んでもよい。新規アスファルトまたは瀝青組成物は、本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含み、変性ジエン共重合体組成物における共役ジエン単位は、選択的に、部分的に、または完全に水素化されている。新規アスファルトまたは瀝青組成物は、本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含み、変性ジエン共重合体組成物における単独重合体または共重合体ブロックまたはセグメントのいずれかは、鎖末端で、鎖内で、または鎖末端および鎖内の両方で官能化されている。少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物と少なくとも1つの市販のポリマーは、両方とも、前駆体非水素化共重合体の完全、部分的または選択的水素化型であってもよい。少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物と少なくとも1つの市販のポリマーは、両方とも、前駆体非官能化共重合体の鎖末端、鎖内、または鎖末端および鎖内の両方の官能化体であってもよい。
【0125】
新規アスファルトまたは瀝青組成物は、舗装、屋根材、シーラントおよび/またはコーティング用途に有用な本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含み、新規アスファルトまたは瀝青組成物は少なくとも1つのアスファルトまたは瀝青を含み、少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物は、10~55重量%の全ビニル芳香族モノマー含有量および45~90重量%の全共役ジエンモノマー含有量を含む。
【0126】
本発明は、また、アスファルトを加熱してアスファルトを軟化させて熱している間にアスファルトを撹拌することと、アスファルトまたは瀝青に少なくとも1つの新規変性ジエン共重合体組成物を添加して分散させ、それによってPMAまたはPMB組成物を形成することと、を含み、PMAまたはPMB組成物は、任意選択で、長時間混合している間に高温に暴露するなどの熱処理によって架橋してもよく、PMAまたはPMBの熱架橋は、少なくとも1つの従来の架橋剤および/または少なくとも1つのシランまたはスズカップリング剤および/または少なくとも1つの官能化シランまたはスズカップリング剤の存在によって促進されてもよい、ポリマー改質アスファルトまたは瀝青(PMAまたはPMB)組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0127】
本発明は、また、アスファルトを加熱してアスファルトを軟化させて熱している間にアスファルトを撹拌することと、アスファルトまたは瀝青に少なくとも1つの新規変性ジエン共重合体組成物を添加して分散させ、それによって最初にPMAまたはPMB組成物を形成することと、少なくとも1つの乳化剤をさらに含み、次いで容器内の水を加熱することと、容器内で少なくとも1つの乳化剤を水に混合することと、容器に酸を添加し、それによって乳化剤水溶液を形成することと、乳化剤水溶液をPMAまたはPMB組成物と混合し、PMAまたはPMB組成物を水中で乳化することと、それによってポリマー改質アスファルトまたは瀝青エマルジョン(PMEまたはPMAEまたはPMBE)を形成することと、を含み、PMAまたはPMB残留物は、回収して試験してもよく、かつ/またはポリマー改質アスファルトまたは瀝青エマルジョンを表面に塗布し、水の蒸発が完了した後に表面に沈着させてもよく、乳化前に、任意選択で、PMAまたはPMB組成物は、長時間混合している間に高温に暴露するなどの熱処理によって架橋してもよく、PMAまたはPMBの熱架橋は、少なくとも1つの従来の架橋剤および/または少なくとも1つのシランまたはスズカップリング剤および/または少なくとも1つの官能化シランまたはスズカップリング剤の存在によって促進されてもよい、ポリマー改質アスファルトまたは瀝青エマルジョン(PMEまたはPMAEまたはPMBE)組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0128】
新規変性ジエン共重合体組成物は、修飾されやすい反応性部位および、光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位を有する、ポリマー改質アスファルトまたは瀝青(PMAまたはPMB)および/またはポリマー改質アスファルトまたは瀝青エマルジョン(PMEまたはPMAEまたはPMBE)用途を提供する。反応性部位は、新規変性ジエン共重合体組成物の架橋を直接行ってもよく、かつ/または適切な温和な条件下で架橋を促進するためのさらなる官能化が可能であってもよい。新規反応性ポリマー改質アスファルトまたは瀝青(PMAまたはPMB)および/またはポリマー改質アスファルトまたは瀝青エマルジョン(PMEまたはPMAEまたはPMBE)組成物は、米国特許第9115296号、米国特許第8703860号、米国特許第7432037号、および米国特許第4306049、米国特許出願第2012/0123028号、ならびに欧州特許第24596210号、および欧州特許第0097307号(それらのすべては参照によって本願に組み込まれる)に記載されているような、当該技術分野で公知の任意の適切な方法によって製造および硬化することができる。変性ジエン共重合体組成物または変性ジエン共重合体を含むポリマーブレンドおよび混合物のいずれかを含む補強材料は、かつアスファルト/瀝青変性およびそれらの道路舗装、屋根材、屋根板、および防水膜のためのエマルジョンなどの様々な用途のための調整された相溶性および反応性を実現し、かつ加工性と補強性能との改善されたバランスを実現し、より具体的には、新規変性ジエン共重合体組成物は、配合成分との調整された相溶性、修飾されやすい反応性部位、ならびに光硬化、熱硬化、および化学硬化架橋を可能にする架橋性部位と、短い分散時間、低い混合温度、低粘度、および優れた貯蔵安定性などの加工容易性の利点と、高い弾性応答、広い性能等級、高い延性と高い浸透性、高温特性と低温特性との間の適切な妥協点、および自己回復挙動などの優れた補強の利点と、を有する前述の用途と、を提供する。
【0129】
本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含む新規アスファルトまたは瀝青組成物は、硬化性であってもよく、これらは高機能道路舗装、屋根材、およびコーティング用途のためのポリマー改質アスファルトまたは瀝青(PMAまたはPMB)と、高品質性能用途のためのポリマー改質アスファルトまたは瀝青用途とを含むがこれらに限定されない様々な最終用途が可能である。硬化性PMAまたはPMB組成物は、以下の性能特性、すなわち、高い耐熱性、特に0℃を下回る温度での改善された低温特性、湿った表面への改善された接着力、改善された耐溶媒性および耐可塑剤性など、の少なくとも1つを示すように配合することができる。本発明の新規アスファルトまたは瀝青組成物は、少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物と組み合わせて少なくとも1つの第2ポリマーをさらに含んでもよい。少なくとも1つの第2ポリマーは、上記の性能特性のいずれかに寄与してもよく、かつ/または配合物の様々な加工または補強性能特性を改善してもよい。少なくとも1つの第2ポリマーは、限定するものではないが、第2ブロック共重合体、均質エチレン/α‐オレフィンインターポリマー、非晶質ポリアルファオレフィン、エチレンのインターポリマー、アルキルアクリレートまたはアルキルメタシレートのインターポリマー、それらの組み合わせまたは混合物、それらの官能化型および/または水素化型から選択されるものを含んでもよい。有用な市販の第2ブロック共重合体およびインターポリマーの例は、限定するものではないが、Solprene(登録商標)、Calprene(登録商標)、およびCalprene(登録商標)Hブロック共重合体、Kraton(登録商標)DおよびGシリーズブロック共重合体、Europrene(登録商標)Sol Tブロック共重合体、Vector(登録商標)ブロック共重合体、Elvaloy(登録商標)反応性エラストマーターポリマー(RET)、ならびにその他を含む。エチレンの適切な共重合体の例は、限定するものではないが、エチレン/ビニルアセテート(EVA)、エチレン/メチルアクリレート(EMA)、エチレン/n‐ブチルアクリレート(EnBA)、それらの組み合わせおよび混合物を含む。適切な官能化ブロック共重合体の例は、限定するものではないが、鎖末端、鎖内または鎖末端および鎖内の両方を官能化したブロック共重合体であって、少なくとも1つの適切な官能基を含む官能化したブロック共重合体を含む。適切な官能基は、限定するものではないが、エポキシ、アミン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルデヒド、アクリレート、メタクリレート、エステル、アミド、イソシアネート、無水物、ヒドロシラン、アルコキシシラン、アルコキシスズ、メルカプタン、芳香族ジチオエステル、トリチオカルボネート、ジチオカルバメート、キサンテート、それらの混合物および組み合わせを含む。新規変性ジエン共重合体のポリマー鎖に特定の官能基を結合するために、クロロプロピルトリアルコキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、トリメチルスズクロリド、トリメトキシスズクロリド、トリエチルスズクロリド、トリエトキシスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、トリオクチロキシスズクロリドなどのトリアルキルスズクロリドおよびトリアルコキシスズクロリド、を含むがこれらに限定されない適切な官能化シリコンおよびスズ化合物を使用してもよい。変性A‐B‐CまたはC‐B‐A共重合体の少なくとも1つのブロックまたはセグメント中の少なくとも1つの共役ジエン単位および/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族単位を修飾するための適切な官能化反応は、エポキシ化、スルホン化などを含む。エチレンの適切な官能化共重合体の例は、限定するものではないが、エチレン/グリシジルメタクリレート、エチレン/グリシジルアクリレート、エチレン/ビニルアセテート(EVA)/グリシジルメタクリレート、エチレン/メチルアクリレート(EMA)/グリシジルメタクリレート、エチレン/n‐ブチルアクリレート(EnBA)/グリシジルメタクリレート、それらの組み合わせおよび混合物を含む。C1‐C18アルキルアクリレートまたはC1‐C18アルキルメタシレートの適切な官能化インターポリマーの例は、限定するものではないが、C1‐C18アルキルアクリレートまたはC1‐C18アルキルメタシレート/ビニルアセテート(EVA)/グリシジルメタクリレート、C1‐C18アルキルアクリレートまたはC1‐C18アルキルメタシレート/メチルアクリレート(EMA)/グリシジルメタクリレート、C1‐C18アルキルアクリレートまたはC1‐C18アルキルメタシレート/n‐ブチルアクリレート(EnBA)/グリシジルメタクリレート、それらの組み合わせおよび混合物を含む。新規変性ジエン共重合体組成物および第2ブロック共重合体は、高い耐熱性および/または高温特性などの補強性能特性にさらに寄与するために、より硬化性および/または感放射線性になるように、少なくとも1つの共役ジエン単独重合体または共役ジエン共重合体ブロックまたはセグメント中に増加したビニル構成単位を有していてもよい。新規アスファルトまたは瀝青組成物のための好ましい第2ブロック共重合体は、高い環球軟化点温度(TRBSP)などの高い耐熱性を維持しながら加工性を改善するために、少なくとも約25重量%のスチレン含有量を有する少なくとも1つのスチレン‐ブタジエン‐スチレン(ハイブリッドおよび非対称ブロック共重合体などを含む線状SBSまたはラジアル/マルチアームSBn)ブロック共重合体を含む本発明の変性ジエン共重合体を含む。
【0130】
硬化性であってもよい本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルトまたは瀝青組成物には、限定するものではないが、ポリテルペン、ポリイソプレン、ポリミルセン、ポリファルネセンなどの合成液体エポキシ化オリゴマーなどの多官能性アクリレートおよびメタクリレート、多官能性エポキシド、反応性添加剤を含む適切なカップリング剤または架橋剤を配合することができる。本発明のいくつかの実施形態では、一般式XnSi(R’Y)4‐n(式中、R’はアルキレン鎖であり、YはCl、NH2、NR2、OH、OCOR、NCO、CH2=CH、SHなどの官能基であり、Xは加水分解されやすい官能基(Cl、OR、OCOR)である)を有する炭素官能性シランを、カップリング剤および官能化剤として使用してもよい。アルキレン鎖R’は、通常、3つのメチレン基で構成される。炭素官能性シランの適切な例は、限定するものではないが、(メタクリルオキシプロピル)‐シラン、(アミノアルキル)‐シラン、および(3‐アミノプロピル)‐シラン、ならびに脂肪族または芳香族シラン、アミノシラン、エポキシシラン、および他の官能化シランを含む他の種類のシランを含む。本発明のさらなる実施形態では、本発明のポリマー改質アスファルトまたは瀝青組成物におけるカップリング剤および官能化剤として使用してもよい適切なシランカップリング剤は、限定するものではないが、3‐メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、ビス‐(3‐トリアルコキシシリルプロピル)‐ジスルフィド、ビス‐(3‐トリアルコキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、3‐メルカプトプロピルトリアルコキシシラン(MPTES)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TESPD)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TMSPD)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド(TMSPT)、それらの混合物および組み合わせを含む。好ましいシランカップリング剤の例は、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)、ビス‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TESPD)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐ジスルフィド(TMSPD)、ビス‐(3‐トリメトキシシリルプロピル)‐テトラスルフィド(TMSPT)、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、ならびにエトキシシランおよびクロロシランのそれらの誘導体である。他の適切なシランカップリング剤は、限定するものではないが、変性ジエン共重合体組成物のポリマー鎖に対して鎖内ヒドロシリル化反応によって架橋を行い、主鎖に官能基および/または他のポリマー側鎖のいずれかを結合するために使用することができるシラン官能化ケイ素化合物を含む。適切な官能化シリコンおよびスズ化合物およびシランカップリング剤の具体例は、米国特許第6229036号、米国特許第8053512号、およびPCT特許出願第WO2018/091955号に記載されているものなどである。米国特許第6229036号、米国特許第8053512号、およびPCT特許出願第WO2018/091955号の全開示は、参照によって本願に組み込まれる。スルファニルシランの例には、(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(CH3)3、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(CH3)2、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]3‐Si(CH3)、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(OEt)2、[(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S]4‐Si、(EtO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(OEt)3、(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(C2H5)3、(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S‐Si(CH3)3、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(CH3)2、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]2‐Si(OMe)2、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]4‐Si、[(MeO)3‐Si‐(CH2)3‐S]3‐Si(OMe)と、硫化ケイ素変性剤、硫化スズ変性剤、および、ニトリル、アミン、NO、アルコキシ、チオアルキル、メルカプタン、モノスルフィド、ジスルフィド、およびテトラスルフィド化合物などの官能化および修飾型を含むがこれらに限定されない、同様なC1‐C100直鎖または分枝鎖、アルキルまたはアルコキシまたはシクロアルキル、またはシクロアルコキシまたはフェニルまたはベンジル置換スルファニルシラン化合物と、がある。
【0131】
本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルトおよび瀝青組成物は、限定するものではないが、ゴム、チオールエン、マレイミド、およびアクリレート系樹脂を含む光硬化配合物を含んでもよい。光硬化性配合物は、限定するものではないが、多官能性チオール、多官能性オレフィン、および少なくとも1つの適切な光開始剤を含むチオールエン組成物を含む。光硬化性組成物に使用してもよい適切な架橋剤は、限定するものではないが、ポリチオールまたはポリ(マレイミド)架橋剤を含む。UV硬化性組成物のために、ポリチオールは、配合物中のゴムおよびポリチオールの全重量に対して、最大約10重量パーセント、好ましくは0.3~約6重量パーセント、より好ましくは約0.3~約1重量パーセントの濃度で含まれてもよい。もっとも反応性の高い1級チオールが好ましく、次に2級チオールが好ましく、最も反応性の低い3級チオールが次に好ましい。適切なポリチオールは、限定するものではないが、3‐メルカプトプロピオン酸、ペンタエリスリトールテトラチオールグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリメルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、エチレングリコールビス(3‐メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、それらの組み合わせおよび混合物を含む。
【0132】
本発明の新規補強アスファルトまたは瀝青組成物は、道路舗装用途および屋根材/防水コーティング用途などの2つの特定の用途に使用してもよい。いくつかの実施形態では、加工および/または補強性能を改善するために補強アスファルトまたは瀝青を道路舗装用途に用いる場合、本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物の0.5~8部、好ましくは2~5部を、少なくとも1つのアスファルトまたは瀝青の99.5~92部、好ましくは98~95部と混合してもよい。他の実施形態では、加工および/または補強性能を改善するために、屋根材または防水コーティング用途に補強アスファルトまたは瀝青を用いる場合、本発明の少なくとも1つの変性ジエン共重合体組成物の3~25部、好ましくは6~16部を、少なくとも1つのアスファルトまたは瀝青の97~75部、好ましくは94~84部と混合してもよい。本発明の変性ジエン共重合体組成物に使用するための適切なアスファルトまたは瀝青は、限定するものではないが、自然石アスファルト、湖沼アスファルト、石油アスファルト、エアブローンアスファルト、クラックアスファルト、および残留アスファルトなどの、道路舗装および屋根材用途に広く使用されているEKBE PG70‐22アスファルト、EKBE PG64‐22アスファルト、または他のアスファルトを含む。
【0133】
本発明の特定の実施形態において、本明細書で提供される変性ジエン共重合体組成物で調製したアスファルトまたは瀝青配合物の非常に低い粘度は、アスファルトまたは瀝青中への分散を改善することへの寄与に加えて、ポンピング能力を改善し、かつ/または、舗装、道路、屋根などの表面を含むがこれらに限定されない処理面へPMAまたはPMBを塗布するのに必要なエネルギーを減少させることによって、ポリマー改質アスファルトまたは瀝青ブレンド(PMAまたはPMB)の加工、取り扱い、および塗布も促進する。本発明の特定の他の実施形態では、本明細書で提供される変性ジエン共重合体組成物で調製したアスファルトまたは瀝青配合物の非常に低い粘度は、ポンピング能力を改善し、かつ/または必要なエネルギーを減少させ、かつ/または、PMAまたはPMBを水に乳化して、舗装、道路、屋根などの表面を含むがこれらに限定されない処理面へポリマー改質アスファルトまたは瀝青エマルジョン(PMEまたはPMAEまたはPMBE)を塗布するのに必要な乳化剤の量を減少させることによって、乳化プロセスのためのポリマー改質アスファルトまたは瀝青ブレンド(PMAまたはPMB)の加工、取り扱い、および塗布も促進する。これは、重要なコスト削減と、より環境にやさしいプロセスも意味する。本発明の変性ジエン共重合体組成物で変性されたアスファルトの軟化点温度は、高温での流動および変形に対するよりよい抵抗性をもたらすであろう。驚くべきことに、本発明の変性ジエン共重合体組成物で変性され、低いポリマー含有量で配合されたアスファルトまたは瀝青には、従来技術の市販のポリマーで変性されたアスファルトまたは瀝青と比較して同様な性能特性(TRBSP)およびより低い粘度をもたらすものがある。これは、重要なコスト削減と、省エネプロセスも意味する。
【0134】
本発明の特定のさらなる実施形態では、新規変性ジエン共重合体組成物は、1つまたは複数の以下の特性、すなわち、a)わだち掘れ係数または動的剪断剛性(G/sinδ)が1.0KPaの値を取る(AASHTO TP5に従って測定)温度として測定した、約50~100℃の最高塗布または使用温度、b)約40~130℃でのTRBSP(ASTM D36に従って測定)、c)道路舗装用途についての約30~75dmmの、または屋根材および防水コーティング用途についての約50~100の、25℃でのアスファルト針入度(ASTM D5に準拠)および、d)道路舗装用途についての約500~3000cPの、望ましくは1000~2000cPの、135℃での動粘度または、屋根材および防水コーティング用途についての約1000~6000cPの、望ましくは1500~4000cP(ASTM D4402に準拠)の190℃での動粘度、を有する、ポリマー改質アスファルトまたは瀝青組成物(PMAまたはPMB)を提供してもよい。
【0135】
本発明は、例示目的でのみ提供され、発明の範囲を限定するものではない以下の実施例を参照することにより、さらに説明される。
【実施例
【0136】
変性ジエン共重合体組成物(MDC)の調製
本発明で請求されているプロセスに従って新規変性ジエン共重合体組成物(MDC A)を調製した。新規変性ジエン共重合体組成物MDC Aは、アルキルリチウム開始剤によるリビング重合条件下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性C‐B‐A共重合体であって、変性C‐B‐A共重合体における各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む共重合体であり、共重合体は、テーパー状の分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されている、変性C‐B‐A共重合体を形成した。
【0137】
新規変性ジエン共重合体組成物MDC Aは、線状C‐B‐A共重合体についてのピーク分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、および多分散性(Mw/Mn)などの分子量および分子量分布特性と、全スチレン含有量、全p‐メチルスチレン含有量、ブロックビニル芳香族共重合体含有量、およびビニルC‐Bブロック含有量などの微細構造特性と、を測定するためのGPC法および1H NMR法によって特徴付けた。新規変性ジエン共重合体組成物MDC Aを調製し、1,3‐ブタジエン(B)とスチレン(S)とp‐メチルスチレン(pMS)とのアニオン共重合を制御するために用いられた一般的手順について以下に説明する。
【0138】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物MDC Aは、本発明の教示に従って、バッチモードで不活性窒素雰囲気下で操作される2リットル反応器システム中で調製した。反応器システムへの添加の直前に、溶媒およびモノマーは、アルミナおよびモレキュラーシーブを充填した1組のカラムに流すことによって十分に精製して、それらの含水率を最大5ppmまで減少させた。重合ステップのために、適切な量の精製された溶媒(すなわち、シクロヘキサン)を反応器に投入し、約60℃の標的初期反応温度(Ti)まで加熱した。Tiに到達した後に、最初に全モノマー混合物の約15重量%の非置換ビニル芳香族モノマー(STY)を添加し、続いて全モノマー混合物の約15重量%の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)を添加し、非置換および置換ビニル芳香族モノマーの総量を全モノマー混合物の約30重量%に一定に保ち、次いで全モノマー混合物の約70重量%の共役ジエンモノマー(BD)を添加した。反応混合物を約60.5℃のTiに安定させ、次いで反応器混合物中にn‐ブチルリチウムを直接添加して、モノマー混合物のアニオン重合を効率的に開始させ、リビングポリマーを形成した。開始剤の量は、所望の分子量を有するブロックまたはセグメントを形成して残留不純物を補うように、文献に記載されているように化学量論的に計算した。重合ステップは、約70.4℃のピーク温度(Tp)まで断熱的に進行させ、次いで重合時間約110分の変換を完了し、それによって、約108.6kg/mol(標的約110kg/mol)のピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性C‐B‐A共重合体を形成した。最後に、最終反応混合物に10mol%過剰の化学量論量の適切なアルコールを添加することによって残りのリビングポリマー鎖を停止させ、それによって新規変性ジエン共重合体MDC Aを得た。
【0139】
図1Aは、本発明の変性ジエン共重合体MDC Aの各共重合体ブロックまたはセグメントの変性C‐B‐A共重合体鎖に沿ったモノマー分布[pMS]、[S]、および[B]を示す。これは、共重合を通してアリコートを採取し、次いでNMRおよびGPC特徴付けを行うことによって可能であった。全体および個々のモノマー変換を重合時間に対して示している。これらはNMR組成およびGPC分子量に基づいて計算した。
【0140】
本発明は、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含むアルキルリチウム開始剤による重合の、予想外の驚くべき速度論的挙動に基づく新規変性ジエン共重合体組成物であって、本発明の好ましい実施形態において、炭化水素溶媒中、極性変性剤の非存在下でのブタジエン(1)とスチレン(2)とp‐メチルスチレン(3)との重合の相対モノマー反応性比は、r1=18.8、r2=0.5、およびr3=0.07であると計算され、相対モノマー反応性比に基づいて、最初に‐(ブタジエン/スチレン)‐間で、次いで‐(スチレン/p‐メチルスチレン)‐間で、小さく鋭く急な界面を有するテーパード(ブタジエン/スチレン/p‐メチルスチレン)段階的ブロック構造が予想され、予想外の驚くべき速度論的挙動は、スチレン(STYまたはS)の共重合体鎖への組み込みの開始以前であっても、p‐メチルスチレン(pMS)は、重合の開始時点からポリマー鎖への組み込みを開始し、ブタジエン(BDまたはB)とのみ共重合して第1Cブロックまたはセグメント([ブタジエン/p‐メチルスチレン]または[BD/pMS]または[B/pMS])を形成し、次いで、極めて広く拡大した界面が、ブタジエンリッチなだけでなく、スチレン組み込みよりもp‐メチルスチレン組み込みのほうが多いターポリマー組成物である第2Bブロックまたはセグメント(‐[ブタジエン/p‐メチルスチレン/スチレン]‐または‐[BD/pMS/STY]‐または‐[B/pMS/S]‐)を形成し、ブタジエンモノマーが枯渇した後、スチレンの組み込みが増加し、スチレンリッチな共重合体が、p‐メチルスチレンと、スチレンモノマーが使い果たされた後にポリマー鎖にゆっくりと組み込まれる少数の末端p‐メチルスチレンモノマー単位との第3Aブロックまたはセグメント([スチレン/p‐メチルスチレン‐p‐メチルスチレン]または[STY/pMS‐pMS]または[S/pMS‐pMS])を形成し、変性C‐B‐A共重合体中の共重合体ブロックまたはセグメントがテーパー状の分布構成を有する、新規変性ジエン共重合体組成物を提供する。
【0141】
C‐B‐A
または、[BD/pMS]‐[BD/pMS/STY]‐[STY/pMS‐pMS]
または、[B/pMS]‐[B/pMS/S]‐[S/pMS‐pMS]
実施例1
変性ジエン共重合体組成物(MDC)の調製
実施例1において、本発明で請求されているプロセスに従っていくつかの新規変性ジエン共重合体組成物MDC1~9を調製した。新規変性ジエン共重合体組成物MDC1~9は、アルキルリチウム開始剤によるリビング重合条件下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性C‐B‐A共重合体であって、変性C‐B‐A共重合体における各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む共重合体であり、共重合体は、テーパー状の分布構成を有し、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーを含む共重合体のいずれかは、少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーの少なくとも1つの単位で変性されている、変性C‐B‐A共重合体を形成した。
【0142】
新規変性ジエン共重合体組成物MDC1~9は、線状C‐B‐A共重合体およびブロックビニル芳香族共重合体の分解産物のピーク分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、および多分散性(Mw/Mn)などの分子量および分子量分布特性と、全スチレン含有量、全p‐メチルスチレン含有量、ブロックビニル芳香族共重合体含有量、およびビニルC‐Bブロック含有量などの微細構造特性と、を測定するためのGPC法、1H NMR法、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体法、25℃での5~25重量%スチレン溶液粘度法、および100℃でのムーニー粘度法によって特徴付けた。さらに、線状C‐B‐A共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量(Mp)およびp‐メチルスチレンモノマー単位数の計算は、絶対分子量の計算値、p‐メチルスチレンの質量分率、およびp‐メチルスチレンモノマーの分子量に基づいて行った。表1はMDC1~9の分析的特徴付け結果を示し、表2はMDC1~9の重合条件を示す。これらの新規変性ジエン共重合体組成物MDC1~9を調製し、1,3‐ブタジエン(B)とスチレン(S)とp‐メチルスチレン(pMS)とのアニオン共重合を制御するために用いられた一般的手順について以下に説明する。以下の表2で重合条件について用いる略語は、次のように定義される。STY=スチレン、BD=1,3‐ブタジエン、pMS=p‐メチルスチレン。
【0143】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物MDC1~9は、本発明の教示に従って、バッチモードで不活性窒素雰囲気下で操作される7.6リットル反応器システム中で調製した。反応器システムへの添加の直前に、溶媒およびモノマーは、アルミナおよびモレキュラーシーブを充填した1組のカラムに流すことによって十分に精製して、それらの含水率を最大5ppmまで減少させた。重合ステップのために、適切な量の精製された溶媒(すなわち、シクロヘキサン)を反応器に投入し、約55℃の標的初期反応温度(Ti)まで加熱した。Tiに到達した後に、最初に全モノマー混合物の約5~約24重量%の非置換ビニル芳香族モノマー(STY)を添加し、続いて全モノマー混合物の約1~約20重量%の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)を添加し、非置換および置換ビニル芳香族モノマーの総量を全モノマー混合物の約25重量%に一定に保ち、次いで全モノマー混合物の約75重量%の共役ジエンモノマー(BD)を添加した。反応混合物を約53.5~約56.1℃のTiに安定させ、次いで反応器混合物中にn‐ブチルリチウムを直接添加して、モノマー混合物のアニオン重合を効率的に開始させ、リビングポリマーを形成した。開始剤の量は、所望の分子量を有するブロックまたはセグメントを形成して残留不純物を補うように、文献に記載されているように化学量論的に計算した。重合ステップは、変換が完了するまで約10~約14分の重合時間の間、断熱的に進行させ、次いで最終ピーク温度(Tp)を約105.0~約117.4℃まで上昇させてもよく、それによって約120kg/molの標的付近のピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性C‐B‐A共重合体を形成した。最後に、最終反応混合物に10mol%過剰の化学量論量の適切なアルコールを添加することによって残りのリビングポリマー鎖を停止させ、それによって新規変性ジエン共重合体MDC1~9を得た。
【0144】
表1は、新規変性ジエン共重合体組成物MDC1~9の分析的特徴付け結果をリストしている。すべての分子量(MpおよびMw)は1000(k)(すなわち、kg/mol)の単位で表され、GPCによって標準ポリスチレンに対して計算されている。MDC1~9の変性C‐B‐A共重合体または[B/pMS]‐[B/pMS/S]‐[S/pMS‐pMS]の分子量および分子量分布は、ピーク分子量Mpが約114~約123kg/molであり、重量平均分子量Mwが約118~約125kg/molであり、多分散性Mw/Mnが約1.03~約1.04である。NMRで推定されたMDC1~9の特徴付け結果は、非置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全スチレン)が、全変性C‐B‐Aジエン共重合体に対して約5.0~約24.5重量%であり、置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全p‐メチルスチレン)が、全変性C‐B‐Aジエン共重合体に対して約1.0~約20.0重量%であり、ビニルC‐Bブロック含有量が、変性C‐B‐Aジエン共重合体中の全共役ジエンモノマー(BD)単位に対して約9.1~約9.5重量%である。MDC1~9の線状C‐B‐A共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量Mp計算値は約0.67~約13.5kg/molであり、線状C‐B‐A共重合体におけるp‐メチルスチレンモノマー単位数計算値は約6~約114単位である。MDC1~9の変性C‐B‐Aジエン共重合体の分解酸化によって得られたビニル芳香族共重合体のブロックの分子量および分子量分布は、ピーク分子量Mpが約13.2~約16.4kg/molであり、多分散性Mw/Mnが約1.13~約1.22であり、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体含有量(ブロックビニル芳香族)が、全変性C‐B‐Aジエン共重合体に対して約16.2~約18.7重量%である。MDC1~9のムーニー粘度ML1+4@100℃は約37.3~約46.9MUである。25℃、5重量%でのMDC1~9のスチレン溶液粘度は約7.81~約9.44cPである。25℃、25重量%でのMDC1~9のスチレン溶液粘度は約1,188~約1,689cPである。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
実施例2
変性ジエン共重合体組成物(MDC)の調製
実施例2において、本発明で請求されているプロセスに従っていくつかの新規変性ジエン共重合体組成物MDC10~13を調製した。新規変性ジエン共重合体組成物MDC10~13は、アルキルリチウム開始剤によるリビング重合条件下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性C‐B‐A共重合体であって、変性C‐B‐A共重合体における各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、共重合体は、テーパー状の分布構成を有する、変性C‐B‐A共重合体を形成した。
【0148】
新規変性ジエン共重合体組成物MDC10~13は、線状C‐B‐A共重合体およびブロックビニル芳香族共重合体の分解産物のピーク分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、および多分散性(Mw/Mn)などの分子量および分子量分布特性と、全スチレン含有量、全p‐メチルスチレン含有量、ブロックビニル芳香族共重合体含有量、およびビニルC‐Bブロック含有量などの微細構造特性と、を測定するためのGPC法、1H NMR法、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体法、25℃での5~25重量%スチレン溶液粘度法、および100℃でのムーニー粘度法によって特徴付けた。さらに、線状C‐B‐A共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量(Mp)およびp‐メチルスチレンモノマー単位数の計算は、絶対分子量の計算値、p‐メチルスチレンの質量分率、およびp‐メチルスチレンモノマーの分子量に基づいて行った。表3はMDC10~13の分析的特徴付け結果を示し、表4はMDC10~13の重合条件を示す。これらの新規変性ジエン共重合体組成物MDC10~13を調製し、1,3‐ブタジエン(B)とスチレン(S)とp‐メチルスチレン(pMS)とのアニオン共重合を制御するために用いられた一般的手順について以下に説明する。以下の表4で重合条件について用いる略語は、次のように定義される。STY=スチレン、BD=1,3‐ブタジエン、pMS=p‐メチルスチレン。
【0149】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物MDC10~13は、本発明の教示に従って、バッチモードおよび/またはセミバッチモードで不活性窒素雰囲気下で操作される7.6リットル反応器システム中で調製した。反応器システムへの添加の直前に、溶媒およびモノマーは、アルミナおよびモレキュラーシーブを充填した1組のカラムに流すことによって十分に精製して、それらの含水率を最大5ppmまで減少させた。第1重合ステップのために、適切な量の精製された溶媒(すなわち、シクロヘキサン)を反応器に投入し、約55℃の標的初期反応温度(Ti)まで加熱した。Tiに到達した後に、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)またはテトラヒドロフラン(THF)などの適切な極性変性剤を反応器に添加して効率的な開始を促進し、次いで全モノマー混合物の約5~約10重量%の置換または非置換ビニル芳香族モノマー(pMSまたはSTY)を添加した。反応混合物を約54.2~約58.7℃のTiに安定させ、次いで反応器混合物中にn‐ブチルリチウムを直接添加して、モノマー混合物のアニオン重合を効率的に開始させ、リビングポリマーを形成した。開始剤の量は、所望の分子量を有するブロックまたはセグメントを形成して残留不純物を補うように、文献に記載されているように化学量論的に計算した。重合ステップは、変換が完了するまで約6~約11分の第1重合時間の間、断熱的に進行させ、次いで第1ピーク温度(Tp1)を約55.6~約59.6℃まで上昇させてもよく、それによって約3.83~約7.35kg/molの標的付近のピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性Cブロックまたはセグメントを形成した。
【0150】
第2重合ステップのために、モノマー添加はプログラムバッチモードおよび/またはセミバッチモードで実施した。MDC10~13のためにすべてのモノマーの添加を同時に開始し、全モノマー混合物の約0~約5重量%の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)添加物および/または全モノマー混合物の約25~約30重量%の非置換ビニル芳香族モノマー(STY)添加物を約2分の所定の投入時間(dosification time)の間、約130g/分の特定の投入速度で反応器に急速に投入し、全モノマー混合物の約65重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加物を、約4~約5分の所定の投入時間の間、約60g/分の特定の投入速度で反応器にゆっくりと投入した。共重合体鎖に沿ったビニル微細構造(1,2‐付加)の形成の促進のために、極性変性剤(すなわち、ジテトラヒドロフルフリルプロパン)の量を全反応混合物の約0.001~約0.003重量%に調節した。次いで、この第2重合ステップは、変換が完了するまで約28~約34分の最終重合時間の間、断熱的に進行させてもよく、次いで最終ピーク温度(Tp2)を約88.5~約108.9℃まで上昇させてもよく、それによって変性B‐Aブロックを形成し、それによって約120kg/molの標的ピーク分子量Mpを有するリビング変性C‐B‐Aジエン共重合体を得た。最後に、最終反応混合物に10mol%過剰の化学量論量の適切なアルコールを添加することによって残りのリビングポリマー鎖を停止させ、それによって新規変性ジエン共重合体MDC10~13を得た。
【0151】
表3は、新規変性ジエン共重合体組成物MDC10~13の分析的特徴付け結果をリストしている。すべての分子量(MpおよびMw)は1000(k)(すなわち、kg/mol)の単位で表され、GPCによって標準ポリスチレンに対して計算されている。MDC10~13の変性C‐B‐A共重合体または[pMS]‐[B/pMS]‐[B/pMS/S]‐[S/pMS‐pMS]または[pMS]‐[B/S]‐[S]の分子量および分子量分布は、ピーク分子量Mpが約119~約126kg/molであり、重量平均分子量Mwが約122~約127kg/molであり、多分散性Mw/Mnが約1.02~約1.04である。NMRで推定されたMDC10~13の特徴付け結果は、非置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全スチレン)が、全変性C‐B‐Aジエン共重合体に対して約25.0~約35.0重量%であり、置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全p‐メチルスチレン)が、全変性C‐B‐Aジエン共重合体に対して約0~約10.0重量%であり、ビニルBブロック含有量が、変性C‐B‐Aジエン共重合体中の全共役ジエンモノマー(BD)単位に対して約12.0~約18.2重量%である。MDC10~13の線状変性C‐B‐Aジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量Mp計算値は約7.35~約7.66(すなわち、3.83+3.83)kg/molであり、線状変性C‐B‐Aジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンモノマー単位数計算値は約62~約64(すなわち、32+32)単位である。MDC10~13の変性C‐B‐Aジエン共重合体の分解酸化によって得られたビニル芳香族共重合体のブロックの分子量および分子量分布は、ピーク分子量Mpが約9.2~約16.4kg/molであり、多分散性Mw/Mnが約1.12~約1.30であり、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体含有量(ブロックビニル芳香族)が、全変性C‐B‐Aジエン共重合体に対して約21.9~約24.0重量%である。MDC10~13のムーニー粘度ML1+4@100℃は約74.1~約97.6MUである。25℃、5重量%でのMDC10~13のスチレン溶液粘度は約7.55~約8.39cPである。25℃、25重量%でのMDC10~13のスチレン溶液粘度は約956~約1,648cPである。
【0152】
実施例3
変性ジエン共重合体組成物(MDC)の調製
実施例3において、本発明で請求されているプロセスに従っていくつかの新規変性ジエン共重合体組成物MDC14~15を調製した。新規変性ジエン共重合体組成物MDC14~15は、アルキルリチウム開始剤によるリビング重合条件下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性A‐B‐C共重合体であって、変性A‐B‐C共重合体における各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、ブロック共重合体は、Bブロックの重合の完了後、かつCブロックの重合前にカップリング剤で変性A‐B共重合体から製造され、ブロック共重合体は変性A‐B共重合体の少なくとも2つを含む、変性A‐B‐C共重合体を形成した。
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
新規変性ジエン共重合体組成物MDC14~15は、ピーク分子量(線状A‐B‐C Mpおよびカップリングされた(A‐B)n‐X Mp)、カップリングされた(A‐B)n‐X含有量、カップリング度(カップリングされたMp/線状Mp)、重量平均分子量(Mw)、ならびに、線状変性A‐B‐Cおよびカップリングされた(A‐B)n‐X共重合体、およびブロックビニル芳香族共重合体の分解産物の多分散性(Mw/Mn)などの分子量および分子量分布特性と、全スチレン含有量、全p‐メチルスチレン含有量、ブロックビニル芳香族共重合体含有量、およびビニルC‐Bブロック含有量などの微細構造特性と、を測定するためのGPC法、1H NMR法、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体法、および25℃での5.23重量%のトルエン溶液粘度法によって特徴付けた。さらに、末端Cブロック単独重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量(Mp)およびp‐メチルスチレンモノマー単位数の計算は、絶対分子量の計算値、p‐メチルスチレンの質量分率、およびp‐メチルスチレンモノマーの分子量に基づいて行った。表5はMDC14~15の分析的特徴付け結果を示し、表6はMDC14~15の重合条件を示す。これらの新規変性ジエン共重合体組成物MDC14~15を調製し、1,3‐ブタジエン(B)とスチレン(S)とp‐メチルスチレン(pMS)とのアニオン共重合を制御するために用いられた一般的手順について以下に説明する。以下の表6で重合条件について用いる略語は、次のように定義される。STY=スチレン、BD=1,3‐ブタジエン、pMS=p‐メチルスチレン。
【0156】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物MDC14~15は、本発明の教示に従って、バッチモードおよび/またはセミバッチモードで不活性窒素雰囲気下で操作される7.6リットル反応器システム中で調製した。反応器システムへの添加の直前に、溶媒およびモノマーは、アルミナおよびモレキュラーシーブを充填した1組のカラムに流すことによって十分に精製して、それらの含水率を最大5ppmまで減少させた。第1重合ステップのために、適切な量の精製された溶媒(すなわち、シクロヘキサン)を反応器に投入し、約60℃の標的初期反応温度(Ti)まで加熱した。Tiに到達した後に、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)またはテトラヒドロフラン(THF)などの適切な極性変性剤を反応器に添加して効率的な開始を促進し、次いで全モノマー混合物の約17.5重量%の非置換ビニル芳香族モノマー(STY)を添加した。反応混合物を約59.6~約61.1℃のTiに安定させ、次いで反応器混合物中にn‐ブチルリチウムを直接添加して、モノマー混合物のアニオン重合を効率的に開始させ、リビングポリマーを形成した。開始剤の量は、所望の分子量を有するブロックまたはセグメントを形成して残留不純物を補うように、文献に記載されているように化学量論的に計算した。重合ステップは、変換が完了するまで約6~約7分の第1重合時間の間、断熱的に進行させ、次いで第1ピーク温度(Tp1)を約69.1~約71.4℃まで上昇させてもよく、それによって約10.0kg/molの標的付近のピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性Aブロックまたはセグメントを形成した。
【0157】
第2重合ステップのために、モノマー添加はプログラムバッチモードおよび/またはセミバッチモードで実施した。MDC14~15のためにすべてのモノマーの添加を同時に開始し、全モノマー混合物の約7.5重量%の第2非置換ビニル芳香族モノマー(STY)添加を約1分の所定の投入時間の間、約130g/分の特定の投入速度で反応器に急速に投入し、全モノマー混合物の約65~約70重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加物を、約4~約5分の所定の投入時間の間、約60g/分の特定の投入速度で反応器にゆっくりと投入した。これらのモノマー添加は、プログラムバッチモードおよび/またはセミバッチモードで行い、共重合体鎖に沿った組成およびビニル微細構造(1,2‐付加)が段階的に減少し、統計的に分布した逆テーパー状の[S/B]共重合体ブロックの形成の促進のために、極性変性剤(すなわち、ジテトラヒドロフルフリルプロパン)の量を全反応混合物の約0.017重量%に調節した。次いで、この第2重合ステップは、変換が完了するまで約24~約25分の最終重合時間の間、断熱的に進行させてもよく、次いで最終ピーク温度(Tp2)を約104.3~約106.8℃まで上昇させてもよく、それによって逆テーパードBブロックを形成し、それによって約100~約105kg/molの標的ピーク分子量Mpを有するリビング変性A‐Bジエン共重合体を得た。
【0158】
第3ステップのために、全反応混合物の約0.003~約0.004重量%の十分な量の四塩化ケイ素(SiCl4)などの適切なカップリング剤を反応器に添加してリビング変性A‐Bジエン共重合体を部分的にカップリングさせ、所望の比率の本発明のカップリングされたラジアル(A‐B)n‐X組成物(式中、Xはカップリング反応プロセスの残留部分である)に対するリビング線状A‐Bジエン共重合体を得た。
【0159】
最後に、全モノマー混合物の約5.0~約10.0重量%の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)を添加することによって残りのリビング線状A‐Bジエン共重合体を変性させた。最終的な重合ステップは、変換が完了するまで約10~約30分の重合時間の間、断熱的に進行させ、それによって約111kg/molの標的付近のピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性A‐B‐Cジエン共重合体を形成した。最後に、最終反応混合物に10mol%過剰の化学量論量の適切なアルコールを添加することによって残りのリビングポリマー鎖を停止させ、それによって新規変性ジエン共重合体MDC14~15を得た。
【0160】
表5は、新規変性ジエン共重合体組成物MDC14~15の分析的特徴付け結果をリストしている。すべての分子量(MpおよびMw)は1000(k)(すなわち、kg/mol)の単位で表され、GPCによって標準ポリスチレンに対して計算されている。MDC14~15の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体または[S]‐[S/B]‐[pMS]およびカップリングされた(A‐B)n‐Xまたは[S‐S/B]n‐Xの分子量および分子量分布は、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体のピーク分子量Mpが約115~約119kg/molであり、カップリングされたラジアル(A‐B)n‐XのMpが約357~約390kg/molであり、カップリングされたMp/直線Mpのカップリング度は約3.10~約3.30であり、カップリングされた(A‐B)n‐X含有量が35.7~約36.5%であり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体およびカップリングされたラジアル(A‐B)n‐Xの重量平均分子量Mwが約198~約210kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体およびカップリングされたラジアル(A‐B)n‐Xの多分散性Mw/Mn Mwが約1.36~約1.41である。NMRで推定されたMDC14~15の特徴付け結果は、非置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全スチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して約25.0重量%であり、置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全p‐メチルスチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して約4.6~約8.8重量%であり、ビニルBブロック含有量が、変性ジエン共重合体中の全共役ジエンモノマー(BD)単位に対して約27.8~約33.1重量%である。MDC14~15の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量Mp計算値は約3.25~約6.20kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンモノマー単位数計算値は約27~約52単位である。MDC14~15の変性ジエン共重合体の分解酸化によって得られたビニル芳香族共重合体のブロックの分子量および分子量分布は、ピーク分子量Mpが約11.8~約14.1kg/molであり、多分散性Mw/Mnが約1.11~約1.25であり、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体含有量(ブロックビニル芳香族)が、全変性ジエン共重合体に対して約21.2~約27.6重量%である。5.23重量%、25℃でのMDC14~15のトルエン溶液粘度は約8.95~約9.92cPである。
【0161】
実施例4
変性ジエン共重合体組成物(MDC)の調製
実施例4において、本発明で請求されているプロセスに従っていくつかの新規変性ジエン共重合体組成物MDC16~22を調製した。新規変性ジエン共重合体組成物MDC16~22は、アルキルリチウム開始剤によるリビング重合条件下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性A‐B‐C共重合体であって、変性A‐B‐C共重合体における各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、ブロック共重合体は、Bブロックの重合の完了後、かつCブロックの重合前にカップリング剤で変性A‐B共重合体から製造され、ブロック共重合体は変性A‐B共重合体の少なくとも2つを含む、変性A‐B‐C共重合体を形成した。
【0162】
【表5】
【0163】
新規変性ジエン共重合体組成物MDC16~22は、ピーク分子量(線状A‐B‐C Mpおよびカップリングされた(A‐B)n‐X Mp)、カップリングされた(A‐B)n‐X含有量、カップリング度(カップリングされたMp/線状Mp)、重量平均分子量(Mw)、ならびに、線状変性A‐B‐Cおよびカップリングされた(A‐B)n‐X共重合体、およびブロックビニル芳香族共重合体の分解産物の多分散性(Mw/Mn)などの分子量および分子量分布特性と、全スチレン含有量、全p‐メチルスチレン含有量、ブロックビニル芳香族共重合体含有量、およびビニルC‐Bブロック含有量などの微細構造特性と、を測定するためのGPC法、1H NMR法、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体法、25℃で5.23および25重量%のトルエン溶液粘度法、ならびに190および200℃でのメルトフローインデックス5kg法によって特徴付けた。さらに、末端Cブロック単独重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量(Mp)およびp‐メチルスチレンモノマー単位数の計算は、絶対分子量の計算値、p‐メチルスチレンの質量分率、およびp‐メチルスチレンモノマーの分子量に基づいて行った。表7はMDC16~22の分析的特徴付け結果を示し、表8はMDC16~22の重合条件を示す。これらの新規変性ジエン共重合体組成物MDC16~22を調製し、1,3‐ブタジエン(B)とスチレン(S)とp‐メチルスチレン(pMS)とのアニオン共重合を制御するために用いられた一般的手順について以下に説明する。以下の表8で重合条件について用いる略語は、次のように定義される。STY=スチレン、BD=1,3‐ブタジエン、pMS=p‐メチルスチレン。
【0164】
【表6】
【0165】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物MDC16~22は、本発明の教示に従って、バッチモードおよび/またはセミバッチモードで不活性窒素雰囲気下で操作される7.6リットル反応器システム中で調製した。反応器システムへの添加の直前に、溶媒およびモノマーは、アルミナおよびモレキュラーシーブを充填した1組のカラムに流すことによって十分に精製して、それらの含水率を最大5ppmまで減少させた。第1重合ステップのために、適切な量の精製された溶媒(すなわち、シクロヘキサン)を反応器に投入し、約50℃の標的初期反応温度(Ti)まで加熱した。Tiに到達した後に、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)またはテトラヒドロフラン(THF)などの適切な極性変性剤を反応器に添加して効率的な開始を促進し、次いで全モノマー混合物の約22.0重量%の非置換ビニル芳香族モノマー(STY)を添加した。反応混合物を約49.6~約50.8℃のTiに安定させ、次いで反応器混合物中にn‐ブチルリチウムを直接添加して、モノマー混合物のアニオン重合を効率的に開始させ、リビングポリマーを形成した。開始剤の量は、所望の分子量を有するブロックまたはセグメントを形成して残留不純物を補うように、文献に記載されているように化学量論的に計算した。重合ステップは、変換が完了するまで約3~約4分の第1重合時間の間、断熱的に進行させ、次いで第1ピーク温度(Tp1)を約55.8~約60.0℃まで上昇させてもよく、それによって約11.5~約14.5kg/molの標的付近のピーク分子量Mpを有する本発明のリビングA単独重合体ブロックまたはセグメントを形成した。
【0166】
第2重合ステップのために、モノマー添加はプログラムバッチモードおよび/またはセミバッチモードで実施した。全モノマー混合物の約68重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加物を、約4~約5分の所定の投入時間の間、約60g/分の特定の投入速度で反応器にゆっくりと投入した。共重合体鎖に沿ったビニル微細構造(1,2‐付加)の形成の促進のために、極性変性剤(すなわち、ジテトラヒドロフルフリルプロパン)の量を全反応混合物の約0.023~約0.029重量%に調節した。次いで、この第2重合ステップは、変換が完了するまで約23~約28分の最終重合時間の間、断熱的に進行させてもよく、次いで最終ピーク温度(Tp2)を約81.7~約88.3℃まで上昇させてもよく、それによってBブロックまたはセグメントを形成し、それによって約85~約110kg/molの標的ピーク分子量Mpを有するリビング変性A‐Bジエン共重合体を得た。
【0167】
第3ステップのために、全反応混合物の約0.0034~約0.0043重量%の十分な量のジメチルジクロロシラン((CH3)2SiCl2)などの適切なカップリング剤を反応器に添加してリビング変性A‐Bジエン共重合体を部分的にカップリングさせ、所望の比率の本発明のカップリングされたラジアル(A‐B)n‐X組成物(式中、Xはカップリング反応プロセスの残留部分である)に対するリビング線状A‐Bジエン共重合体を得た。
【0168】
最後に、全モノマー混合物の約10.0重量%の置換ビニル芳香族モノマーまたは非置換ビニル芳香族モノマー(pMSまたはSTY)を添加することによって残りのリビング線状A‐Bジエン共重合体を変性させた。最終的な重合ステップは、変換が完了して末端Cブロックまたはセグメントを形成するまで約10~約30分の重合時間の間、断熱的に進行させ、それによって約85~約110kg/molの標的ピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性A‐B‐Cジエン共重合体を形成した。最後に、最終反応混合物に10mol%過剰の化学量論量の適切なアルコールを添加することによって残りのリビングポリマー鎖を停止させ、それによって新規変性ジエン共重合体MDC16~22を得た。
【0169】
表7は、新規変性ジエン共重合体組成物MDC16~22の分析的特徴付け結果をリストしている。すべての分子量(MpおよびMw)は1000(k)(すなわち、kg/mol)の単位で表され、GPCによって標準ポリスチレンに対して計算されている。MDC16~22の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体または[S]‐[B]‐[pMS]およびカップリングされた(A‐B)n‐Xまたは[S‐B]n‐Xの分子量および分子量分布は、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体のピーク分子量Mpが約81~約114kg/molであり、カップリングされた(A‐B)n‐XのMpが約156~約217kg/molであり、カップリングされたMp/直線Mpのカップリング度は約1.79~約1.99であり、カップリングされた(A‐B)n‐X含有量が20.7~約24.4%であり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体およびカップリングされた(A‐B)n‐Xの重量平均分子量Mwが約99~約137kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体およびカップリングされた(A‐B)n‐Xの多分散性Mw/Mn Mwが約1.07~約1.10である。NMRで推定されたMDC14~15の特徴付け結果は、非置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全スチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して約22.0~約31.7重量%であり、置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全p‐メチルスチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して約7.1~約7.3重量%であり、ビニルBブロック含有量が、変性ジエン共重合体中の全共役ジエンモノマー(BD)単位に対して約38.2~約49.6重量%である。MDC16~22の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量Mp計算値は約3.65~約4.97kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンモノマー単位数計算値は約31~約42単位である。MDC16~22の変性ジエン共重合体の分解酸化によって得られたビニル芳香族共重合体のブロックの分子量および分子量分布は、ピーク分子量Mpが約11.4~約21.5kg/molであり、多分散性Mw/Mnが約1.00~約1.06であり、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体含有量(ブロックビニル芳香族)が、全変性ジエン共重合体に対して約28.0~約33.6重量%である。5.23重量%、25℃でのMDC16~22のトルエン溶液粘度は約4.45~約6.91cPである。25重量%、25℃でのMDC16~22のトルエン溶液粘度は約312~約1,056cPである。5kg、200℃でのMDC16~22のメルトフローインデックスは、約4.5~約51.3g/10分である。5kg、190℃でのMDC16~22のメルトフローインデックスは約1.2~約35.8g/10分である。
【0170】
実施例5
変性ジエン共重合体組成物(MDC)の調製
実施例5において、本発明で請求されているプロセスに従っていくつかの新規変性ジエン共重合体組成物MDC23~26を調製した。新規変性ジエン共重合体組成物MDC23~26は、アルキルリチウム開始剤によるリビング重合条件下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性A‐B‐C共重合体であって、変性A‐B‐C共重合体における各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかであり、ブロック共重合体は、Bブロックの重合の完了後、かつCブロックの重合前にカップリング剤で変性A‐B共重合体から製造され、ブロック共重合体は変性A‐B共重合体の少なくとも2つを含む、変性A‐B‐C共重合体を形成した。
【0171】
【表7】
【0172】
【表8】
【0173】
新規変性ジエン共重合体組成物MDC23~26は、ピーク分子量(線状A‐B‐C Mpおよびカップリングされた(A‐B)n‐X Mp)、カップリングされた(A‐B)n‐X含有量、カップリング度(カップリングされたMp/線状Mp)、重量平均分子量(Mw)、ならびに、線状変性A‐B‐Cおよびカップリングされた(A‐B)n‐X共重合体、およびブロックビニル芳香族共重合体の分解産物の多分散性(Mw/Mn)などの分子量および分子量分布特性と、全スチレン含有量、全p‐メチルスチレン含有量、ブロックビニル芳香族共重合体含有量、およびビニルC‐Bブロック含有量などの微細構造特性と、を測定するためのGPC法、1H NMR法、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体法、および25℃で5.23のトルエン溶液粘度法によって特徴付けた。さらに、末端Cブロック単独重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量(Mp)およびp‐メチルスチレンモノマー単位数の計算は、絶対分子量の計算値、p‐メチルスチレンの質量分率、およびp‐メチルスチレンモノマーの分子量に基づいて行った。表9はMDC23~26の分析的特徴付け結果を示し、表10はMDC23~26の重合条件を示す。これらの新規変性ジエン共重合体組成物MDC23~26を調製し、1,3‐ブタジエン(B)とスチレン(S)とp‐メチルスチレン(pMS)とのアニオン共重合を制御するために用いられた一般的手順について以下に説明する。以下の表10で重合条件について用いる略語は、次のように定義される。STY=スチレン、BD=1,3‐ブタジエン、pMS=p‐メチルスチレン。
【0174】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物MDC23~26は、本発明の教示に従って、バッチモードおよび/またはセミバッチモードで不活性窒素雰囲気下で操作される7.6リットル反応器システム中で調製した。反応器システムへの添加の直前に、溶媒およびモノマーは、アルミナおよびモレキュラーシーブを充填した1組のカラムに流すことによって十分に精製して、それらの含水率を最大5ppmまで減少させた。第1重合ステップのために、適切な量の精製された溶媒(すなわち、シクロヘキサン)を反応器に投入し、約60℃の標的初期反応温度(Ti)まで加熱した。Tiに到達した後に、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)またはテトラヒドロフラン(THF)などの適切な極性変性剤を反応器に添加して効率的な開始を促進し、次いで全モノマー混合物の約40.0重量%の非置換ビニル芳香族モノマー(STY)を添加した。反応混合物を約61.0~約66.4℃のTiに安定させ、次いで反応器混合物中にn‐ブチルリチウムを直接添加して、モノマー混合物のアニオン重合を効率的に開始させ、リビングポリマーを形成した。開始剤の量は、所望の分子量を有するブロックまたはセグメントを形成して残留不純物を補うように、文献に記載されているように化学量論的に計算した。重合ステップは、変換が完了するまで約3~約4分の第1重合時間の間、断熱的に進行させ、次いで第1ピーク温度(Tp1)を約72.3~約80.0℃まで上昇させてもよく、それによって約12.0kg/molの標的ピーク分子量Mpを有する本発明のリビングA単独重合体ブロックまたはセグメントを形成した。
【0175】
第2重合ステップのために、モノマー添加はプログラムバッチモードおよび/またはセミバッチモードで実施した。全モノマー混合物の約50重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加物を、約4~約5分の所定の投入時間の間、約60g/分の特定の投入速度で反応器にゆっくりと投入した。共重合体鎖に沿ったビニル微細構造(1,2‐付加)の顕著な形成のない効率的な開始の促進のために、極性変性剤(すなわち、ジテトラヒドロフルフリルプロパン)の量を全反応混合物の約0.0017重量%に調節した。次いで、この第2重合ステップは、変換が完了するまで約20~約22分の最終重合時間の間、断熱的に進行させてもよく、次いで最終ピーク温度(Tp2)を約95.4~約100.3℃まで上昇させてもよく、それによってBブロックまたはセグメントを形成し、それによって約48.0kg/molの標的ピーク分子量Mpを有するリビング変性A‐Bジエン共重合体を得た。
【0176】
第3ステップのために、全反応混合物の約0.0105~約0.0141重量%の十分な量の四塩化ケイ素(SiCl4)などの適切なカップリング剤を反応器に添加してリビング変性A‐Bジエン共重合体を部分的にカップリングさせ、所望の比率の本発明のカップリングされたラジアル(A‐B)n‐X組成物(式中、Xはカップリング反応プロセスの残留部分である)に対するリビング線状A‐Bジエン共重合体を得た。
【0177】
最後に、全モノマー混合物の約10.0重量%の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)を添加することによって残りのリビング線状A‐Bジエン共重合体を変性させた。最終的な重合ステップは、変換が完了して末端Cブロックまたはセグメントを形成するまで約10~約30分の重合時間の間、断熱的に進行させ、それによって約52.5kg/molの標的ピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性A‐B‐Cジエン共重合体を形成した。最後に、最終反応混合物に10mol%過剰の化学量論量の適切なアルコールを添加することによって残りのリビングポリマー鎖を停止させ、それによって新規変性ジエン共重合体MDC23~26を得た。
【0178】
表9は、新規変性ジエン共重合体組成物MDC23~26の分析的特徴付け結果をリストしている。すべての分子量(MpおよびMw)は1000(k)(すなわち、kg/mol)の単位で表され、GPCによって標準ポリスチレンに対して計算されている。MDC23~26の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体または[S]‐[B]‐[pMS]およびカップリングされた(A‐B)n‐Xまたは[S‐B]n‐Xの分子量および分子量分布は、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体のピーク分子量Mpが約47.5~約57.1kg/molであり、カップリングされたラジアル(A‐B)n‐XのMpが約116~約134kg/molであり、カップリングされたMp/直線Mpのカップリング度は約2.29~約2.64であり、カップリングされた(A‐B)n‐X含有量が60.2~約71.4%であり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体およびカップリングされた(A‐B)n‐Xの重量平均分子量Mwが約93.8~約109kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体およびカップリングされたラジアル(A‐B)n‐Xの多分散性Mw/Mnが約1.20~約1.45である。NMRで推定されたMDC23~26の特徴付け結果は、非置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全スチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して約36.2~約40.0重量%であり、置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全p‐メチルスチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して約1.9~約8.4重量%であり、ビニルBブロック含有量が、変性ジエン共重合体中の全共役ジエンモノマー(BD)単位に対して約11.7~約13.5重量%である。MDC23~26の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量Mp計算値は約0.66~約2.69kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンモノマー単位数計算値は約6~約23である。MDC23~26の変性ジエン共重合体の分解酸化によって得られたビニル芳香族共重合体のブロックの分子量および分子量分布は、ピーク分子量Mpが約7.70~約10.3kg/molであり、多分散性Mw/Mnが約1.06~約1.15であり、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体含有量(ブロックビニル芳香族)が、全変性ジエン共重合体に対して約37.5~約46.6重量%である。5.23重量%、25℃でのMDC23~26のトルエン溶液粘度は約3.56~約4.30cPである。
【0179】
実施例6
変性ジエン共重合体組成物(MDC)の調製
実施例6において、本発明で請求されているプロセスに従っていくつかの新規変性ジエン共重合体組成物MDC27~28を調製した。新規変性ジエン共重合体組成物MDC27~28は、アルキルリチウム開始剤によるリビング重合条件下で少なくとも1つの共役ジエンモノマーと少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーと少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーとを反応させることを含む変性A‐B‐C共重合体であって、変性A‐B‐C共重合体における各ブロックまたはセグメントは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび/または少なくとも1つの非置換ビニル芳香族モノマーおよび/または少なくとも1つの置換ビニル芳香族モノマーを含む単独重合体または共重合体のいずれかである、変性A‐B‐C共重合体を形成した。
【0180】
【表9】
【0181】
【表10】
【0182】
新規変性ジエン共重合体組成物MDC27~28は、ピーク分子量(線状A‐B‐C Mp)、重量平均分子量(Mw)、および線状変性A‐B‐Cの多分散性(Mw/Mn)などの分子量および分子量分布特性と、全スチレン含有量、全p‐メチルスチレン含有量、ブロックビニル芳香族共重合体含有量、およびビニルBブロック含有量などの組成および微細構造特性と、を測定するためのGPC法、1H NMR法、分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体法、25℃で5.23のトルエン溶液粘度法、および190℃でのメルトフローインデックス5kg法によって特徴付けた。さらに、変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量(Mp)およびp‐メチルスチレンモノマー単位数の計算は、絶対分子量の計算値、p‐メチルスチレンの質量分率、およびp‐メチルスチレンモノマーの分子量に基づいて行った。表11はMDC27~28の分析的特徴付け結果を示し、表12はMDC27~28の重合条件を示す。これらの新規変性ジエン共重合体組成物MDC27~28を調製し、1,3‐ブタジエン(B)とスチレン(S)とp‐メチルスチレン(pMS)とのアニオン共重合を制御するために用いられた一般的手順について以下に説明する。以下の表12で重合条件について用いる略語は、次のように定義される。STY=スチレン、BD=1,3‐ブタジエン、pMS=p‐メチルスチレン。
【0183】
本発明の新規変性ジエン共重合体組成物MDC27~28は、本発明の教示に従って、バッチモードおよび/またはセミバッチモードで不活性窒素雰囲気下で操作される7.6リットル反応器システム中で調製した。反応器システムへの添加の直前に、溶媒およびモノマーは、アルミナおよびモレキュラーシーブを充填した1組のカラムに流すことによって十分に精製して、それらの含水率を最大5ppmまで減少させた。第1重合ステップのために、適切な量の精製された溶媒(すなわち、シクロヘキサン)を反応器に投入し、約60℃の標的初期反応温度(Ti)まで加熱した。Tiに到達した後に、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)またはテトラヒドロフラン(THF)などの適切な極性変性剤を反応器に添加して効率的な開始を促進し、次いで全モノマー混合物の約30.0重量%の非置換ビニル芳香族モノマー(STY)を添加した。反応混合物を約59.5~約63.1℃のTiに安定させ、次いで反応器混合物中にn‐ブチルリチウムを直接添加して、モノマー混合物のアニオン重合を効率的に開始させ、リビングポリマーを形成した。開始剤の量は、所望の分子量を有するブロックまたはセグメントを形成して残留不純物を補うように、文献に記載されているように化学量論的に計算した。重合ステップは、変換が完了するまで約4~約5分の第1重合時間の間、断熱的に進行させ、次いで第1ピーク温度(Tp1)を約65.8~約72.4℃まで上昇させてもよく、それによって約25.0kg/molの標的ピーク分子量Mpを有する本発明のリビングA単独重合体ブロックまたはセグメントを形成した。
【0184】
第2重合ステップのために、モノマー添加はプログラムバッチモードおよび/またはセミバッチモードで実施した。MDC27~28のためにすべてのモノマーの添加を同時に開始し、全モノマー混合物の約0~約5重量%の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の添加物を、約2分の所定の投入時間の間、約130g/分の特定の投入速度で反応器に急速に投入し、全モノマー混合物の約60重量%の共役ジエンモノマー(BD)添加物を、約4~約5分の所定の投入時間の間、約60g/分の特定の投入速度で反応器にゆっくりと投入した。共重合体鎖に沿ったビニル微細構造(1,2‐付加)の顕著な形成のない効率的な開始の促進のために、極性変性剤(すなわち、ジテトラヒドロフルフリルプロパン)の量を全反応混合物の約0.0017重量%に調節した。次いで、この第2重合ステップは、変換が完了するまで約24~約25分の最終重合時間の間、断熱的に進行させてもよく、次いで最終ピーク温度(Tp2)を約95.5~約104.0℃まで上昇させてもよく、それによって変性Bブロックまたはセグメントを形成し、それによって約122.0~約126.0kg/molの標的ピーク分子量Mpを有するリビング変性A‐Bジエン共重合体を得た。
【0185】
最後に、全モノマー混合物の約5.0~約10.0重量%の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)を添加することによってリビング変性A‐Bジエン共重合体をさらに変性させた。最終的な重合ステップは、変換が完了して末端Cブロックまたはセグメントを形成するまで約10~約30分の重合時間の間、断熱的に進行させ、それによって約130.0kg/molの標的ピーク分子量Mpを有する本発明のリビング変性A‐B‐Cジエン共重合体を形成した。最後に、最終反応混合物に10mol%過剰の化学量論量の適切なアルコールを添加することによって残りのリビングポリマー鎖を停止させ、それによって新規変性ジエン共重合体MDC27~28を得た。
【0186】
表11は、新規変性ジエン共重合体組成物MDC27~28の分析的特徴付け結果をリストしている。すべての分子量(MpおよびMw)は1000(k)(すなわち、kg/mol)の単位で表され、GPCによって標準ポリスチレンに対して計算されている。MDC27~28の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体または[S]‐[B/pMS]‐[pMS]または[S]‐[B]‐[pMS]の分子量および分子量分布は、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体のピーク分子量Mpが約127~約131kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体の重量平均分子量Mwが約128~約133kg/molであり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体の多分散性Mw/Mnが約1.02~約1.10である。NMRで推定されたMDC27~28の特徴付け結果は、非置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全スチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して約27.5~約27.7重量%であり、置換ビニル芳香族モノマーの合計量(全p‐メチルスチレン)が、全変性ジエン共重合体に対して10.0重量%であり、ビニルBブロック含有量が、変性ジエン共重合体中の全共役ジエンモノマー(BD)単位に対して約14.7~約16.6重量%である。MDC27~28の線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンのピーク分子量Mp計算値は約7.96~約8.22(すなわち、4.11/4.11)であり、線状変性A‐B‐Cジエン共重合体におけるp‐メチルスチレンモノマー単位数計算値は約67~約70(すなわち、35/35)である。MDC27~28の分解酸化によるブロックビニル芳香族共重合体含有量(ブロックビニル芳香族)は、全変性ジエン共重合体に対して約33.8~約36.8重量%である。5.23重量%、25℃でのMDC27~28のトルエン溶液粘度は約4.70~約6.83cPである。25℃でのメルトフローインデックス5kgは、約1.3~約1.5g/10分である。
【0187】
実施例7
テープおよびラベルのための接着剤用途
ホットメルト接着剤性能試験法
ホットメルト接着剤(コーティング前、バッキングなし)のレオロジー特性を試験するために、ティー・エイ・インスツルメント社(TA INSTRUMENTS)製ARG2レオメータを使用し、パラレルプレートジオメトリ(parallel‐plate geometry)および自動歪み調整モード(auto strain mode)で動的機械分析(DMA)法を行った。プレートの直径は8mmであり、ギャップは1.704mmであった。周波数は10rad/秒であり、加熱速度は3℃/分であった。最大歪みは1.0%に設定した。レオロジーデータは非常に再現性が高く、ガラス転移の不確実度は、おおよそ±0.5℃であった。レオロジー試験は、構造‐特性関係を予測し、最終的には接着剤性能を予測することを可能にする。これらには、ゴム状マトリックスのTgの尺度である第1タンデルタ最大(tan δ max)温度が含まれる。さらに、タンデルタ最大(tan δ max)ピーク高さは、どれだけのエネルギーを接着剤が散逸することができるかを示す。塗布温度で接着剤がどの程度対応しているかを定量化するために、室温(25℃)での貯蔵弾性率G’にも留意した。さらに、測定可能な速粘着性(quick tack)についてのダルキスト基準300,000PaをG’弾性率が満たす温度(すなわち、ダルキスト温度TD)も分析した。最後に、第3クロスオーバー温度を測定した。第3クロスオーバー温度(tanδ=1)は、貯蔵弾性率と損失弾性率とが等しい(たとえば同じ大きさの)ガラス質ポリスチレンドメインのTg付近の温度であり、したがって、タンデルタは1に等しい。第3クロスオーバー温度(tanδ=1)は、接着剤が流れ始めてその凝集力を失う温度(T3C)であり、これは、環球軟化点温度(RBSPT)および/または剪断接着破壊温度(SAFT)と関連付けることができる。
【0188】
【表11】
【0189】
【表12】
【0190】
ホットメルト接着剤の加工性および補強性能は、以下の標準化された方法によって測定した。a)PSTC‐6に準拠してローリングボールタック試験を実施した。この試験では、径11.1mmの一般的なスチールボールを、卓上傾斜台上を転がして2インチ×15インチのテープストリップ上に落とす。テープに沿ってボールが移動した距離を記録する。テープ上のボールの転がり落ち方が少ないほど、接着剤の粘着性は高い。傾斜部は、ケムインスツルメンツ社(Cheminstruments)製ローリングボールタック試験機(Rolling Ball Tack Tester)であった。b)ループタック試験は、ケムインスツルメンツ社製ローリングボールタック試験機により、PSTC‐16に準拠して実施した。クロスヘッド移動速度は5mm/秒であった。この試験では、1インチ×5インチのテープのループを用いた。グリップによって拘束されていないテープのフリーループは長さ75mmであった。検体の単位幅あたりの最大力を記録した。グリップの底部から基材表面までの初期の高さの測定値は50mmであった。最大移動は44mmであり、最大移動での滞留時間は1秒であった。c)PSTC 101(感圧テープの剥離接着に関する試験方法A‐180°の角度でのシングルコーティングテープの剥離接着(Peel Adhesion of Pressure Sensitive Tape Test Method A‐Single Coated Tapes, Peel Adhesion at 180° Angle))に準拠して、単位幅あたりの剥離エネルギーまたは剥離力を測定するための180°剥離試験を行った。万能試験機(UTM)を用い、5mm/秒のクロスヘッド移動速度で1インチ×12インチの寸法の長方形のストリップを試験した。d)ラップ剪断強度測定は、PSTCの方法に準拠して、23℃および-25℃で実施した。これらの試験は、2つの木材試験検体をコーティング後、所定時間、室温で標準的な力で押し合わせて接合した後、接着剤の室温および低/凝固点温度での凝集性または剪断特性を測定するために行った。1インチ×3インチの寸法の長方形の検体を、万能試験機(UTM)を用い、クロスヘッド移動速度5mm/秒で試験した。e)保持力測定は、ケムインスツルメンツ社製バンク剪断試験機(Bank Shear Tester)を用い、PSTC‐107の方法(180°での感圧テープの剪断接着(180° Shear Adhesion of Pressure Sensitive Tapes))に準拠して行った。これらの試験は、接着テープの室温での凝集性または剪断特性を測定するために行った。PSTC‐107に記載されている25mm×25mmの接触面の代わりに、PSATの0.5インチ×6インチの面を使用した。標準的な2kgのローラーを用いてPSATをステンレス鋼クーポンに付着させ、1kgの重量をテープから吊り下げた。接着剤が機能しなくなった時間(分)を保持力として記録した。f)ホットメルト接着剤の引張性能は、1インチ×1インチの末端タブおよび0.5インチ×0.5インチの中央ゲージ部分を有する、厚さ0.125インチ、長さ2.5インチのドッグボーン形状部分で測定した。これらを、空気圧グリップを備えたインストロン試験機(Instron Testing Machine)上で12インチ/分の速度で引っ張った。次いで、接着剤の引張破壊応力および破断伸びを記録した。g)ホットメルト接着剤の溶融粘度は、Brookfield Model RVT Thermosel粘度計上で27番スピンドルを用いて測定した。h)環球軟化点温度は、メトラー社(Mettler)のFP83 プロップポイント装置(prop Point Apparatus)を用いて測定した。
【0191】
変性ジエン共重合体組成物(MDC)のホットメルト接着剤
以下の手順に従って、本発明の変性ジエン共重合体組成物MDC1~9を含むいくつかのホットメルト接着剤配合物を調製した。実施例1の表1および表2に記載されている変性ジエン共重合体組成物MDC1~9を、下記の材料および量と混合した。各変性ジエン共重合体組成物MDCを、最初に、Piccotac 8095芳香族変性C5炭化水素樹脂などの相溶性粘着付与樹脂、Nyflex 223などの油、およびIrganox 1010などの抗酸化物質を、3ブレードプロペラ剪断撹拌機Eurostar Power Control‐Vic IKAを備えたジャケット付き混合ケトル中に入れることによってホットメルト接着剤配合物の成分/添加剤の残りの部分と混合し、そこで、約30分間、または混合物が溶融するまでの間、温度を約165℃~177℃まで上げた。混合物が溶融した後、温度を約150°~165℃まで下げ、混合物を最初に約250rpmで撹拌し、次いで、混合物中に変性ジエン共重合体組成物MDCを約5~10分間ゆっくりと添加し、その間、撹拌速度を約400rpmまで上げ、最後に、ポリマーの組み込みを促進してますます粘性の高い混合物にしながら、かつ、未溶融ポリマー粒子の凝集を回避しながら、約750rpmまで上げた。次いで、約750rpmでの混合と約170℃での加熱を、約120分間、または滑らかで均質な塊が認められるまでの間継続し、それによって、変性ジエン共重合体MDCおよび、ホットメルト接着剤配合物の成分/添加剤の残りの部分を含む本発明の新規ホットメルト接着剤組成物を得た。混合完了直後、新規ホットメルト接着剤組成物を、約160℃~約170℃の温度範囲でマイラー(Mylar)などの基材に塗布し、試験用プロトコルの仕様の範囲内の接着剤コーティング層を得た。
【0192】
変性ジエン共重合体組成物MDC1~9のホットメルト接着剤配合物は、ホットメルト接着剤配合物中の変性ジエン共重合体組成物の総量(すなわち、100.00phr)に対して、以下のゴムの百分率(phr)での量、すなわち、粘着付与樹脂Piccotac 8095 120.00phr、Nyflex 223油20.00phr、およびIrganox 1010 4.00phrからなる。
【0193】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9は、表13に示すように、実施例7に記載されている試験手順および方法論に従って動的機械分析(DMA)によって特徴付けた。構造‐特性関係を予測し、最終的に接着剤性能を予測するために、10rad/秒および3℃/分での動的機械分析(DMA)方法を実施した。ゴム状マトリックスのTgの尺度である第1タンデルタ最大(tan δ max)温度は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴ってゆっくりと上昇する。pMSを含まない対照は、約-27.6℃のTgを示し、MDC1~9では、1重量%のpMSを含むMDC1についての約-28.5℃のTgから、20重量%のpMSを含むMDC9についての約-19.2℃のTgまで上昇する。さらに、タンデルタ最大(tan δ max)ピーク高さは、どれだけのエネルギーを接着剤が散逸することができるかを示す。変性ジエン共重合体組成物を含むすべての新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9は、高いエネルギー散逸能力(変性ジエン共重合体組成物における、6.25重量%のpMSを含むMDC4についての約1.130から、20重量%のpMSを含むMDC9についての約1.199までのtan δ maxピーク高さ。これは、pMSを含まない対照についての約1.144のtan δ maxピーク高さを含む)を示す。塗布温度で接着剤がどの程度対応しているかを定量化するために、室温(25℃)での貯蔵弾性率G’にも留意した。変性ジエン共重合体組成物を含むすべての新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9は、25℃で約91,300~約281,000Paの低い貯蔵弾性率G’を示し、これはダルキスト基準(測定可能な速粘着性についての25℃でのG’が300,000Pa以下である)をはるかに下回っている。25℃での貯蔵弾性率G’は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って低下する。pMSを含まない対照は、25℃でのG’は約281,000Paであり、MDC1~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての25℃でのG’の約281,000Paから、20重量%のpMSを含むMDC9についての25℃でのG’の約231,000Paまで低下する。本発明の新規ホットメルト接着剤組成物の測定可能な速粘着性についてのダルキスト基準(25℃で最大でおおよそ300,000PaのG’)をG’弾性率が満たす温度(すなわち、ダルキスト温度TD(Dahlquist temperature))は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って明らかに低下する。pMSを含まない対照は、約24.7℃のTDを示し、20重量%のpMSを含むMDC9では、TDは約19.2℃まで低下する。最後に、第3クロスオーバー温度を測定した。第3クロスオーバー温度(tanδ=1)は、貯蔵弾性率と損失弾性率とが等しい(たとえば同じ大きさの)ガラス質ポリスチレンドメインのTg付近の温度であり、したがって、タンデルタは1に等しい。第3クロスオーバー温度(tanδ=1)は、接着剤が流れ始めてその凝集力を失う温度であり、これは環球軟化点温度(RBSPT)および/または剪断接着破壊温度(SAFT)と関連付けることができる。本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の第3クロスオーバー温度(T3C)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って低下する。pMSを含まない対照は、約72.3℃のT3Cを示し、MDC1~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての約69.2℃のT3Cから20重量%のpMSを含むMDC9についての約66.4℃のT3Cまで低下する。驚くべきことに、新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の粘弾性スペクトル(G’およびタンデルタ対温度)によって、本発明の変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って、接着剤性能は、ますます狭くなる(すなわち、14℃)温度性能アプリケーションウインドウを示すだけでなく、測定可能な速粘着性および高いエネルギー散逸能力を有する、ますます対応性が増す接着剤も示す場合があることが予測される。
【0194】
表13ならびに図1および図2に示すように、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の性能は、実施例7に記載されている試験手順に従って特徴付けた。ホットメルト接着剤MDC1~9のブルックフィールド溶融粘度を150℃、160℃、および177℃で測定した。ブルックフィールド溶融粘度は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って低下する。pMSを含まない対照は、150℃で約306,000cP、160℃で115,000cP、177℃で39,500cPのブルックフィールド溶融粘度を示し、MDC1~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての150℃での約103,000cP、160℃での57,813cP、177℃での29,133cPのブルックフィールド溶融粘度から、20重量%のpMSを含むMDC9についての、150℃での約53,812cP、160℃での37,500cP、177℃での24,063cPのブルックフィールド溶融粘度まで低下する。図1および図2は、変性ジエン共重合体組成物MDC1~9中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴ってブルックフィールド溶融粘度が低下することを示す。150℃、160℃、および177℃でのブルックフィールド溶融粘度の低減効果(すなわち、Δη≧‐40%)は、pMSを含まない対照と比較したとき、変性ジエン共重合体組成物中に1重量%のみのpMSを含むMDC1について大変顕著であり、20重量%のpMSを含むMDC9についてさらに顕著である。150℃でのブルックフィールド溶融粘度は、pMSを含まない対照についての約306,000cPから、1重量%のpMSを含むMDC1についての約102,000cPまで低下し、また20重量%のpMSを含むMDC9についての約53,812cPまで低下し、これは、最も低い測定温度(すなわち、150℃)での、MDC1についての約66%およびMDC9についての約85%という非常に大きな低下である。160℃でのブルックフィールド溶融粘度は、pMSを含まない対照についての約115,000cPから、1重量%のpMSを含むMDC1についての約52,438cPまで低下し、また20重量%のpMSを含むMDC9についての約37,500cPまで低下し、これは、中間の測定温度(すなわち、160℃)での、MDC1についての約55%およびMDC9についての約70%という非常に大きな低下である。177℃でのブルックフィールド溶融粘度は、pMSを含まない対照についての約39,500cPから、1重量%のpMSを含むMDC1についての約23,969cPまで低下し、また20重量%のpMSを含むMDC9についての約24,063cPまで低下するし、これは、最も高い測定温度(すなわち、177℃)での、MDC1およびMDC9の両方についての約40%という大きな低下である。すべての新規ホットメルト接着剤MDC1~9は、試験手順のための基材への塗布時に、改善された加工度を示した。驚くべきことに、pMSを含まない対照と比較したとき、ブルックフィールド溶融粘度の低減効果は最も低い測定温度(150℃)でより一層実質的である。低下したブルックフィールド溶融粘度は、同じ加工条件下でより高い生産速度およびコスト効率を可能にすることを考慮すれば、従来技術を超えた、新規ホットメルト接着剤MDC1~9の重要な加工性の利点であるだけでなく、同じ生産速度およびコスト効率についてのより低い加工温度を可能にすることを考慮すれば、より環境にやさしいプロセスである低エネルギー加工性の利点でもある。
【0195】
また、表13および図1は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の性能に関する以下の特徴付けを示す。図1において、環球軟化点温度(TRBSP)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴ってわずかに低下する。pMSを含まない対照は、約113.3℃のTRBSPを示し、MDC1~9では、1重量%のpMSを含むMDC1についての約108.3℃のTRBSPまで低下し、また20重量%のpMSを含むMDC9についての約98.5℃のTRBSPまで低下し、これは、DMA結果によって示される第3クロスオーバー温度(T3C)の低下と矛盾せず、TRBSPの約5~約15%(すなわち、5.0~14.8℃)の低下を示す。PSTC‐101の方法に準拠して単位幅あたりの剥離エネルギーまたは剥離力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の180°剥離試験は、大部分のMDCについて、pMSを含まない対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の少ない剥離力を示す。PSTC‐16の方法に準拠して単位幅あたりの最大力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC1~9のループタック試験は、大部分のMDCについて、pMSを含まない対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の低いループタック力を示す。PSTC‐107の方法に準拠して、接着剤が機能しなくなった時間(分)を測定するための、かつ室温での凝集性または剪断特性と関連する、ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の保持力測定は、大部分のMDCについて、pMSを含まない対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の非常に短い保持力時間を示す。万能装置の試験方法で引張破壊応力(kgf)および破断伸び(%)を測定するための、かつ室温での凝集性または剪断特性と関連する、ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の引張性能は、大部分のMDCについて、pMSを含まない対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の低い引張応力を示し、また、大部分のMDCについて、pMSを含まない対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の約700~約933%の歪み範囲を示す。
【0196】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の性能は、従来技術の組成物と比較して、低温(すなわち、150℃)でより一層実質的であり、高温特性が若干低いが(すなわち、5~15%低いTRBSP)、加工性における大幅な改善(すなわち、40~85%の大幅に低い溶融粘度)をもたらす。
【0197】
【表13】
【0198】
実施例8
変性ジエン共重合体組成物(MDC)のホットメルト接着剤
本発明の変性ジエン共重合体組成物MDC10~13を含むいくつかのホットメルト接着剤配合物を、実施例7に記載されている手順に従って調製した。実施例2の表3および表4に記載されている変性ジエン共重合体組成物MDC10~13を、下記の材料および量と混合した。
【0199】
変性ジエン共重合体組成物MDC10~13のホットメルト接着剤配合物は、ホットメルト接着剤配合物中の変性ジエン共重合体組成物の総量(すなわち、100.00phr)に対して、以下のゴムの百分率(phr)での量、すなわち、粘着付与樹脂Piccotac 8095 120.00phr、Nyflex 223油20.00phr、およびIrganox 1010 4.00phrからなる。
【0200】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13は、表14ならびに図3および図4に示すように、実施例7に記載されている試験手順および方法論に従って動的機械分析(DMA)によって特徴付けた。構造‐特性関係を予測し、最終的に接着剤性能を予測するために、10rad/秒および3℃/分での動的機械分析(DMA)方法を実施した。ゴム状マトリックスのTgの尺度である第1タンデルタ最大(tan δ max)温度は、B‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴うだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってより顕著に上昇する。対照は、約-27.6℃のTgを示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての約-20.6℃のTgから、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての約-9.2℃のTgまで上昇し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約-14.0℃のTgから、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての約-9.2℃のTgまで上昇する。さらに、タンデルタ最大(tan δ max)ピーク高さは、どれだけのエネルギーを接着剤が散逸することができるかを示す。変性ジエン共重合体組成物を含むすべての新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13は、同様なエネルギー散逸能力(変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物において、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11、およびCブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13の両方についての約0.847のtan δ maxピーク高さから、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10、およびCブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約0.850~0.939のtan δ maxピーク高さまでの範囲、これらは対照についての約1.144のtan δ maxピーク高さよりもわずかに低い)を示す。塗布温度で接着剤がどの程度対応しているかを定量化するために、室温(25℃)での貯蔵弾性率G’にも留意した。各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含む変性ジエン共重合体組成物MDC11、およびCブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13を含む新規ホットメルト接着剤組成物は、驚くべきことに、25℃で約610,000~約620,000Paの高い貯蔵弾性率G’を示し、これはダルキスト基準(測定可能な速粘着性についての25℃でのG’が300,000Pa以下である)のかなり上である。25℃での貯蔵弾性率G’は、Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴うだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってより顕著に増加する。対照は、25℃で約281,000PaのG’を示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10での25℃での約264,000PaのG’から、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11の25℃での約610,000PaのG’まで増加し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての25℃での約145,000PaのG’から、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての25℃での約620,000PaのG’まで増加する。同様に、本発明の新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の測定可能な速粘着性についてのダルキスト基準(25℃で最大でおおよそ300,000PaのG’)をG’弾性率が満たす温度(すなわちダルキスト温度TD)は、Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴うだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってより顕著に上昇する。対照は、約24.7℃のTDを示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての約20.2℃のTDから、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての約48.5℃のTDまで上昇し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約7.0℃のTDから、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての約48.5℃のTDまで上昇する。最後に、第3クロスオーバー温度を測定した。第3クロスオーバー温度(tanδ=1)は、貯蔵弾性率と損失弾性率とが等しい(たとえば同じ大きさの)ガラス質ポリスチレンドメインのTg付近の温度であり、したがって、タンデルタは1に等しい。第3クロスオーバー温度(tanδ=1)は、接着剤が流れ始めてその凝集力を失う温度であり、これは環球軟化点温度(RBSPT)および/または剪断接着破壊温度(SAFT)と関連付けることができる。本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の第3クロスオーバー温度(T3C)は、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って低下する。対照は約72.3℃のT3Cを示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての約88.9℃のT3Cから、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての約79.7℃のT3Cまで低下し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約91.1℃のT3Cから、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての約81.3℃のT3Cまで低下する。驚くべきことに、新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の粘弾性スペクトル(G’およびタンデルタ対温度)によって、B‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴うだけでなく、より顕著に、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によって、接着剤性能は、ますます狭くなる(すなわち、15~20℃)温度性能アプリケーションウインドウを示すだけでなく、ますます対応性のなくなる接着剤を示す場合があることが予測される。
【0201】
表14および図5に示すように、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の性能は、実施例7に記載されている試験手順に従って特徴付けた。ホットメルト接着剤MDC10~13のブルックフィールド溶融粘度を150℃、160℃、および177℃で測定した。ブルックフィールド溶融粘度は、B‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴うだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってより顕著に低下する。対照は、150℃での約306,000cP、160℃での115,000cP、および177℃での39,500cPのブルックフィールド溶融粘度を示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての、150℃での約1,120,000cP、160℃での354,000cP、および177℃での81,000cPのブルックフィールド溶融粘度から、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての、150℃での約83,400cP、160℃での56,625cP、および177℃での32,100cPのブルックフィールド溶融粘度まで低下し、MDC12~13では、150℃および160℃で、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての、150℃での約106,000cP、160℃での67,750cP、および、177℃での35,583cPのブルックフィールド溶融粘度から、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての、150℃での約93,750cP、160℃での62,750cP、および177℃での35,708cPのブルックフィールド溶融粘度にわずかに低下する。pMSを含まない類似のMDC10と比較したとき、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についてのブルックフィールド溶融粘度の低減効果は、177℃で大変顕著であり(すなわち、約60%)、pMSを含まない類似のMDC12と比較したとき、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13について、177℃での低下は認められない。新規ホットメルト接着剤MDC11およびMDC13は、試験手順のための基材への塗布時に、改善された加工度を示した。驚くべきことに、pMSを含まない類似のMDCと比較したとき、MDC11およびMDC13の両方にとって、ブルックフィールド溶融粘度の低減効果は最も低い測定温度(すなわち、150℃)でより一層実質的であるが、150℃でのMDC11については、極めて実質的である(すなわち、10倍低下)。低下したブルックフィールド溶融粘度は、同じ加工条件下でより高い生産速度およびコスト効率を可能にすることを考慮すれば、従来技術を超えた、新規ホットメルト接着剤MDC11およびMDC13の重要な加工性の利点であるだけでなく、同じ生産速度およびコスト効率についてのより低い加工温度を可能にすることを考慮すれば、より環境にやさしいプロセスである低エネルギー加工性の利点でもある。
【0202】
また、表14および図5は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の性能に関する以下の特徴付けを示す。環球軟化点温度(TRBSP)は、B‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴ってわずかに低下するだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってより顕著に低下する。対照は、約113.3℃のTRBSPを示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての約125.0℃のTRBSPから、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての約97.1℃のTRBSPまで低下し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約114.5℃のTRBSPから、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての約96.3℃のTRBSPまで低下し、これは、DMA結果によって示される第3クロスオーバー温度(T3C)の低下と矛盾せず、TRBSPの約15~約20%(すなわち、18.2~27.9℃)の低下を示す。PSTC‐101の方法に準拠して単位幅あたりの剥離エネルギーまたは剥離力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の180°剥離試験は、大部分のMDCについて、対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の少ない剥離力を示す。PSTC‐16の方法に準拠して単位幅あたりの最大力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC10~13のループタック試験は、Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴ってループタック力が増加するだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってより顕著に増加することを示す。対照は、約0.17lbfのループタック力を示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての約0.02lbfのループタック力から、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての約9.68lbfのループタック力まで増加し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約0.03lbfのループタック力から、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての約17.7lbfのループタック力まで増加する。本発明の変性C‐B‐Aジエン共重合体を含むホットメルト接着剤組成物は、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての、非常に高い(すなわち、ホットメルト感圧接着剤(HMPSA)についての一般的なループタック力の約2~3倍)約9.68lbfのループタック力と、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての、極めて高い(すなわち、HMPSAについての一般的なループタック力の約4~5倍)約17.7lbfのループタック力をもたらし、これは、pMSを含まないホットメルト接着剤組成物(各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10ならびにCブロック中に10重量%のSを含むMDC12)のゼロループタック力、および従来技術からの対照の低いループタック力と比較したとき、固有のかつ驚くべき接着剤性能である。PSTC‐107の方法に準拠して、接着剤が機能しなくなった時間(分)を測定するための、かつ室温での凝集性または剪断特性と関連する、ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の保持力測定は、B‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴って保持力時間が減少するだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってより顕著に減少することを示す。対照は、約20分の保持力時間を示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての約1,100分の保持力時間から、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての約306分の保持力時間まで減少し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約1,100分の保持力時間から、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての約566分の保持力時間まで減少する。万能装置の試験方法で引張破壊応力(kgf)および破断伸び(%)を測定するための、かつ室温での凝集性または剪断特性と関連する、ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の引張性能は、B‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)の量の増加に伴うだけでなく、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物のCおよびB‐Aブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換により伴う顕著な応力および歪みの変動を示す。対照は、約0.57kgfおよび850%の応力および歪みを示し、MDC10~11では、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のSを含むMDC10についての約3.42kgfおよび482%の応力および歪みから、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11についての約7.24kgfおよび693%の応力および歪みまでの変動を示し、MDC12~13では、Cブロック中に10重量%のSを含むMDC12についての約11.7kgfおよび970%の応力および歪みから、Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13についての約6.31kgfおよび851%の応力および歪みまでの変動を示す。
【0203】
【表14】
【0204】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC10~13の性能は、従来技術の組成物と比較して、高温特性が若干低いが(すなわち、15~20%低いTRBSP)、加工性における非常に大幅な改善(すなわち、177℃での約60%の非常に低い溶融粘度)をもたらす。驚くべきことに、各CおよびB‐Aブロック中に5重量%のpMSを含むMDC11、およびCブロック中に10重量%のpMSを含むMDC13などの本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物は、非常に高い(すなわち、ホットメルト感圧接着剤(HMPSA)についての一般的なループタック力の約2~3倍)ループタック、力および極めて高い(すなわち、HMPSAについての一般的なループタック力の約4~5倍)ループタック力(すなわち、約9~18lbf)を備えた固有のかつ驚くべき接着剤性能をもたらし、少ない剥離力、優れた保持力時間、高い引張破断強度、および一般的な破断伸びを備えた補強性能ももたらす。
【0205】
実施例9
変性ジエン共重合体組成物(MDC)のホットメルト接着剤
本発明の変性ジエン共重合体組成物MDC16~22を含むいくつかのホットメルト接着剤配合物を、実施例7に記載されている手順に従って調製した。実施例4の表7および表8に記載されている変性ジエン共重合体組成物MDC16~22を、下記の材料および量と混合した。
【0206】
変性ジエン共重合体組成物MDC16~22のホットメルト接着剤配合物は、ホットメルト接着剤配合物中の変性ジエン共重合体組成物の総量(すなわち、100.00phr)に対して、以下のゴムの百分率(phr)での量、すなわち、粘着付与樹脂Foral 85 178.00phr、Nyflex 223油50.00phr、およびIrganox 1010 4.00phrからなる。
【0207】
表15に示すように、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC16~22の性能は、実施例7に記載されている試験手順に従って特徴付けた。ホットメルト接着剤MDC16~22のブルックフィールド溶融粘度を150℃、160℃、および177℃で測定した。末端Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によるブルックフィールド溶融粘度は、変性A‐B‐Cおよび(A‐B)nXジエン共重合体組成物の2つのピーク分子量Mpにおいて同様である。MDC16~19では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC16およびMDC18の両方についての、150℃での約6,750および6,692cP、160℃での約4,670および4,550cP、177℃での約2,741および2,662cPのブルックフィールド溶融粘度から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC17およびMDC19の両方についての、150℃での約7,867および6,786cP、160℃での約5,262および4,450cP、177℃での約3,132および2,819cPのブルックフィールド溶融粘度までの範囲にわたり、MDC20~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC20についての、150℃での約25,250cP、160℃での約14,900cP、177℃での約8,008cPのブルックフィールド溶融粘度から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC21およびMDC22の両方についての、150℃での約22,900および21,575cP、160℃での約15,333および14,265cP、177℃での約9,090および8,275cPのブルックフィールド溶融粘度まで変動する。
【0208】
また、表15は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC16~22の性能に関する以下の特徴付けを示す。環球軟化点温度(TRBSP)は、変性A‐B‐Cおよび(A‐B)nXジエン共重合体組成物の2つのピーク分子量Mpにおける末端Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によりわずかに低下する。MDC16~19では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC16およびMDC18の両方についての約88.9および89.6℃のTRBSPから、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC17およびMDC19についての約73.5および73.8℃のTRBSPまで低下し、MDC20~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC20の両方についての約104.2℃のTRBSPから、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC21およびMDC22の両方についての約85.6および86.5℃のTRBSPまで低下し、これは、TRBSPの約15~約20%(すなわち、15~20℃)の低下を示す。PSTC‐101の方法に準拠して単位幅あたりの剥離エネルギーまたは剥離力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC16~22の180°剥離試験は、変性A‐B‐Cおよび(A‐B)nXジエン共重合体組成物の2つのピーク分子量Mpにおける末端Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換により剥離力がわずかに低下することを示す。MDC16~19では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC16およびMDC18の両方についての約7.0および11.1lbfの剥離力から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC17およびMDC19の両方についての約5.9および5.6lbfの剥離力まで低下し、MDC20~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC20の約6.4lbfの剥離力から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC21およびMDC22の両方についての約5.3および5.0lbfの剥離力まで低下する。PSTC‐16の方法に準拠して単位幅あたりの最大力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC16~22のループタック試験は、変性A‐B‐Cおよび(A‐B)nXジエン共重合体組成物の2つのピーク分子量Mpにおける末端Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によるループタック力の変動を示す。MDC16~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC16およびMDC18の両方の約6.8および10.9lbfのループタック力から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC17およびMDC19の両方についての約8.5および6.9lbfのループタック力への変動を示し、MDC20~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC20についての約7.1lbfのループタック力から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC21およびMDC22の両方についての約6.1および5.4lbfのループタック力への変動を示す。PSTC‐107の方法に準拠して、接着剤が機能しなくなった時間(分)を測定するための、かつ室温での凝集性または剪断特性と関連する、ホットメルト接着剤組成物MDC16~22の保持力測定は、変性A‐B‐Cおよび(A‐B)nXジエン共重合体組成物の2つのピーク分子量Mpにおける末端Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換による保持力時間の変動を示す。MDC16~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC16およびMDC18の両方についての約1,077および393分の保持力時間から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC17およびMDC19の両方についての約762および1,263分の保持力時間への変動を示し、MDC20~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC20についての約1,114分の保持力時間から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC21およびMDC22の両方についての約218および336分の保持力時間への変動を示す。PSTC‐6の方法に準拠してボール移動距離(インチ)を測定するための、ボールの転がりが悪いほど接着剤の粘着性が高く速粘着性性能が優れている、ホットメルト接着剤組成物MDC16~22のローリングボールタック試験は、変性A‐B‐Cおよび(A‐B)nXジエン共重合体組成物の2つのピーク分子量Mpにおける末端Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によるローリングボールタック距離の変動を示す。MDC16~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC16およびMDC18についての約1.9および9.0インチのローリングボールタック距離から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC17およびMDC19の両方についての約2.4および4.6インチのローリングボールタック距離への変動を示し、MDC20~22については、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC20についての約2.2インチのローリングボールタック距離から、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC21およびMDC22の両方についての約2.6および1.5インチのローリングボールタック距離への変動を示す。万能装置の試験方法で引張破壊応力(kgf)および破断伸び(%)を測定するための、かつ室温での凝集性または剪断特性と関連する、ホットメルト接着剤組成物MDC16~22の引張性能は、変性A‐B‐Cおよび(A‐B)nXジエン共重合体組成物の2つのピーク分子量Mpにおける末端Cブロック中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換により応力および歪みの変動を示す。MDC16~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC16およびMDC18の両方についての約5.33kgf、7.41kgfおよび1,629%、1,365%の応力および歪みから、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC17およびMDC19の両方についての約5.44kgfおよび5.94kgf、ならびに1,265%および1,299%の応力および歪みへの変動を示し、MDC20~22では、末端Cブロック中に10重量%のSを含むMDC20についての約7.18kgfおよび1,813%の応力および歪みから、末端Cブロック中に10重量%のpMSを含むMDC21およびMDC22の両方についての約9.70kgfおよび10.7kgf、ならびに1,424%および1,437%の応力および歪みへの変動を示す。
【0209】
【表15】
【0210】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC16~22の性能は、従来技術の組成物と比較して、高温特性が若干低下した(すなわち、15~20%低いTRBSP)、同様な加工性をもたらす。驚くべきことに、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ホットメルト接着剤組成物MDC16~22は、接着剤と凝集性との優れたバランスと、高い剥離力と、高いループタック力と、良好ないし優れた保持力時間と、優れたローリングボールタックと、良好ないし優れた引張破断強度および破断伸びと、を備えた優れた接着剤性能をもたらす。
【0211】
実施例9a
変性ジエン共重合体組成物の反応性ホットメルト接着剤(仮想)
本発明の変性ジエン共重合体組成物MDC3を含む新規反応性ホットメルト接着剤配合物を、実施例7に記載されている手順に従って調製するであろう。実施例1の表1および表2に記載されている変性ジエン共重合体組成物MDC3を、下記の材料および量と混合するであろう。
【0212】
変性ジエン共重合体組成物MDC3の新規反応性ホットメルト接着剤配合物は、ホットメルト接着剤配合物中の変性ジエン共重合体組成物の総量(すなわち、100.00phr)に対して、以下のゴムの百分率(phr)での量、すなわち、粘着付与樹脂Piccotac 8095 178.00phr、Nyflex 223油50.00phr、Irganox 1010 4.00phr、および光開始剤としてのIrgacure 819 4.00phrからなるであろう。反応性ホットメルト接着剤配合物は、7.5Mradの電子線(EB)照射への暴露によって硬化するであろう。
【0213】
本発明の変性ジエン共重合体MDC3を含む新規反応性ホットメルト接着剤組成物MDC 3R HMAの性能は、実施例7に記載されている試験手順に従って特徴付けられるであろう。反応性ホットメルト接着剤MDC 3R HMAのブルックフィールド溶融粘度を150℃、160℃、および177℃で測定するであろう。変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってブルックフィールド溶融粘度は低下するであろう。pMSを含まない対照は、150℃で約19,500cP、160℃で5,600cP、177℃で3,200cPのブルックフィールド溶融粘度を示し、5重量%のpMSを含むMDC3では、150℃で約6,500cP、160℃で2,800cP、177℃で1,650cPのブルックフィールド溶融粘度まで低下するであろう。新規反応性ホットメルト接着剤MDC 3R HMAは、試験手順のための基材への塗布時に、改善された加工度を示すであろう。驚くべきことに、pMSを含まない対照と比較したとき、ブルックフィールド溶融粘度の低減効果は、最も低い測定温度(150℃)でより一層実質的であろう。低下したブルックフィールド溶融粘度は、同じ加工条件下でより高い生産速度およびコスト効率を可能にすることを考慮すれば、従来技術を超えた、新規ホットメルト接着剤MDC 3R HMAの重要な加工性の利点であるだけでなく、同じ生産速度およびコスト効率についてのより低い加工温度を可能にすることを考慮すれば、より環境にやさしいプロセスである低エネルギー加工性の利点でもあるであろう。
【0214】
硬化プロセス後の、本発明の変性ジエン共重合体MDC3を含む新規反応性ホットメルト接着剤組成物MDC 3R HMAの性能は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換により、環球軟化点温度(TRBSP)が顕著に上昇するであろう。pMSを含まない対照は、約95℃のTRBSPを示し、5重量%のpMSを含むMDC3は、約155℃のTRBSPまで顕著に上昇するであろう。PSTC‐107の方法に準拠して、接着剤が機能しなくなった時間(分)を測定するための、かつ室温での凝集性または剪断特性と関連する、100℃での反応性ホットメルト接着剤組成物MDC 3R HMAの保持力測定は、pMSを含まない対照を含む反応性ホットメルト接着剤組成物についての100℃での保持力(すなわち、12時間)より顕著に長い、MDC 3R HMAについての約27時間の保持力時間を示すであろう。PSTC‐101の方法に準拠して単位幅あたりの剥離エネルギーまたは剥離力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC1~9の180°剥離試験は、pMSを含まない対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の、MDC 3R HMAについての約4.5lbfの剥離力を示すであろう。PSTC‐16の方法に準拠して、単位幅あたりの最大力(lbf)を測定するための、ホットメルト接着剤組成物MDC 3RのHMAループタック試験は、pMSを含まない対照を含むホットメルト接着剤組成物と同等の、MDC 3R HMAについての約5.0lbfのループタック力を示すであろう。
【0215】
本発明の変性ジエン共重合体MDC3を含む新規反応性ホットメルト接着剤組成物MDC 3R HMAの性能は、低温(すなわち、150℃)でより一層実質的であり、加工性における非常に大幅な改善(すなわち、約50~65%低い溶融粘度)をもたらすであろう。硬化プロセス後の新規反応性ホットメルト接着剤組成物MDC 3R HMAは、pMSを含まない従来技術の組成物と比較して、高温特性(すなわち、約60%高いTRBSP)および100℃での保持力(すなわち、約120%長い時間)において大変顕著な増加を示すであろう。
【0216】
実施例10
舗装および屋根材のためのポリマー改質アスファルトにおける用途
ポリマー改質アスファルトの性能試験法
ポリマー改質アスファルトの性能は、性能等級(PG)に従ってアスファルトを等級分けするための、米国全州道路交通運輸行政官協会(AASHTO)の規格に従って評価することができる。米国試験材料協会(ASTM)の規格も、アスファルトの評価に用いられる。ポリマー改質アスファルトにおいて評価される特性には、以下のものがある。a)アスファルトが軟化して対象の塗布には適さなくなる温度を示す、ASTM D36に準拠して測定される環球軟化点温度(TRBSP)。軟化点温度は、R&B装置としても知られる環球装置を使用して測定してもよい。b)ASTM D5に準拠して25℃で測定される針入度。これは、特定の時間、重み付き針またはコーンがアスファルトに沈みこむ距離であり、改質アスファルトの剛性に関連するパラメータである。c)ASTM D4402に準拠して測定される動粘度。これは、アスファルトの安定定常流に関連する特性である。動粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して測定してもよい。d)ASTM D113に準拠して測定されるレジリエンス。これは、アスファルト材料の弾性を測る特性である。e)AASHTO TP5に準拠して測定されるわだち掘れ係数。これは、様々な温度でのG/sinδ(式中、Gは複素弾性率であり、δは位相角である)として定義される。わだち掘れ係数は、高温での改質アスファルトの性能を決定するのに有用であり、高温での反復負荷により、または元の設計で許容された最大値をはるかに超える負荷を舗装が受けるときに、経時的に発生しうる永久的な変形に対して舗装がいかに抵抗力があるかを示す。そのため、より高温でのより高いわだち掘れ係数は、アスファルト材料がより大きな変形に耐えることができることを示す。f)AASHTO規格に準拠して測定される上限温度。これは、わだち掘れに耐える適切な剛性をアスファルトが保持し得る最高温度に関連する。上限温度は、様々な温度でのわだち掘れ係数を測定することによって決定される。g)AASHTO規格に準拠して測定される下限温度。これは、熱分解に耐える適切な柔軟性をアスファルトが保持し得る最低温度に関連する。下限温度は、様々な温度でのわだち掘れ係数を測定することによって決定される。h)相分離指数として測定される相分離。これは、測定前に垂直位置で撹拌せずに30℃で凝固させ163℃で48時間経時変化させた、配合されたアスファルトを含む円筒プローブの頂部と底面とで測定したR&B軟化点温度TRBSP間の差である。これは、ポリマー改質アスファルトブレンドまたは混合物中のアスファルトリッチ相とポリマーリッチ相との相溶性の尺度を提供する、エラストマーを含むアスファルトの変性における重要な要素である。
【0217】
変性ジエン共重合体組成物(MDC)のポリマー改質アスファルト
以下の手順に従って、本発明の変性ジエン共重合体組成物MDC1~9を含むいくつかのポリマー改質アスファルト配合物を調製した。実施例1の表1および表2に記載されている変性ジエン共重合体組成物MDC1~9を、下記の材料および量と混合した。各変性ジエン共重合体組成物MDCを、配合物の総量に対して、道路舗装配合物については3重量%のポリマー含有量で、屋根材配合物については8重量%および11重量%のポリマー含有量で、ポリマー改質アスファルト(PMA)におけるアスファルト改質剤またはアスファルト補強剤として評価した。トリゴナル高剪断ミルを用い、ホットミックスおよび高剪断率プロセスによってPG70‐22ニートアスファルト(neat asphalt)(EKBE)およびPG64‐22ニートアスファルト(EXBE)を改質した。最初にニートアスファルトを熱し、窒素雰囲気下で、撹拌せずに、またはアスファルトの過熱および酸化を防止するために大変ゆっくりした撹拌で、アスファルトが軟化するまで約120℃まで温度を上げた。アスファルトが軟化したら、加熱を継続して温度を約190℃+/-5℃まで上げ、ミキサー撹拌速度を約3,000rpmまで上げた。190℃に到達したら、変性ジエン共重合体組成物MDCを、約10g/分の速度でアスファルトにゆっくりと投入した。MDCをアスファルトに添加したら、補強剤としてのMDCの有効で完全な分散のために、混合を約180~約240分間継続した。道路舗装配合物については、ポリマーに対して約2.0重量%の量で従来の架橋剤(すなわち、硫黄)を加えてアスファルト‐ポリマー相安定性を促進させ、次いで、同じ温度および撹拌速度条件で約60分間混合を継続した。全ての配合物において確実に同じレベルの分散が実現されるように、ツァイス社(Zeiss)製顕微鏡Axiotecy 20Xモデルを用い、蛍光顕微鏡法によって、アスファルト中のMDCの分散をモニターした。
【0218】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~9の性能を、表16、表17、および表18、ならびに図6図7、および図9に示す。ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9を、実施例10に記載されている試験手順と、以下の特定の条件および装置とで特徴付けた。3重量%配合物についての115℃、125℃、135℃での動粘度および8重量%、11重量%配合物についての160℃、190℃での動粘度は、ブルックフィールド粘度計RDVS‐II+モデルを使用して、ASTM D4402に準拠して測定した。環球軟化点温度(TRBSP)は、ASTM D36に従って測定した。針入度は、コーラー社(Koheler)の針入度計K95500モデルを使用して、25℃、10秒、100グラムでASTM D5に従って測定した。ねじりモードにおける25℃での弾性回復は、AASHTO‐TF31Rに準拠して測定した。25℃での弾性回復および25℃での延性は、伸び計を使用して測定し、相分離は、経時変化後に、TRBSP差によって測定し、最高塗布温度(最高使用温度)は、わだち掘れ係数または動的剪断剛性(G/sinδ)が1.0kPaの値を取る温度として、AASHTO TP5に従って測定した。ここで、Gは複素弾性率であり、sinδは、パール・フィジカ社(Paar Physica)のレオメータMCR‐300‐SPモデルを使用した位相角であり、AASHTO SUPERPAVE性能等級PGは、これらのレオロジー測定に基づいて決定した。低温剛性(すなわち、亀裂抵抗)は、ベンディングビームレオメータを使用して測定した。冷間曲げ温度は、BDA曲げ試験機を使用して測定した。
【0219】
表16ならびに図6および図7は、配合物の総量に対して3.0重量%での変性ジエン共重合体、および配合物中の全ポリマー量に対して2.0重量%の架橋剤での道路舗装用途の配合物を用いて調製される新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の特徴付けを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC3~9および対照はPG70‐22アスファルト(EKBE)に配合し、MDC1~2はPG64‐22アスファルト(EKBE)に配合した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~9の動粘度は、115℃、125℃、および125℃で測定した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC3~9の動粘度は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換が増加しても同様である。pMSを含まない対照は、115℃で約4,740cP、125℃で2,380cP、135℃で1,257cPの動粘度を示し、MDC3~9では、115℃で約3,880cP、125℃で2,060cP、135℃で1,106cPの動粘度から、115℃で約5,556cP、125℃で2,725cP、135℃で1,462cPの動粘度までの範囲にわたる。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の動粘度は、PG64‐22アスファルトではより低く、115℃で約2,560cP、125℃で1,414cP、135℃で833cPの動粘度から、115℃で約2,741cP、125℃で1,500cP、135℃で879cPの動粘度まで変動する。驚くべきことに、MDC3‐9の動粘度は、115℃で約3,880~約5,556cP、125℃で約2,060~約2,725cP、135℃で約1,106~約1,462cPの範囲にわたり、MDC1~2の動粘度は、115℃で約2,560~約2,741cP、125℃で約1,414~約1,500cP、135℃で約833~約879cPの範囲にわたり、これらの大部分は、道路舗装用途に望ましい135℃での約3,000cPの最高動粘度をはるかに下回っている。新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の低い動粘度により、調製が容易となり、チップシール用途などの道路舗装の修復および整備のためのポリマー改質アスファルトエマルジョン組成物(PMAEまたはPME)の加工性を高めるのに適したものとなる。低下した動粘度は、同じ加工条件下でより高い生産速度およびコスト効率を可能にすることを考慮すれば、新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の重要な加工性の利点であるだけでなく、同じ生産速度およびコスト効率についてのより低い加工温度を可能にすることを考慮すれば、より環境にやさしいプロセスである低エネルギー加工性の利点でもある。
【0220】
また、表16ならびに図6および図7は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の性能に関する以下の特徴付けを示す。環球軟化点温度(TRBSP)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴ってわずかに上昇する。pMSを含まない対照は、約64℃のTRBSPを示し、MDC3~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての約63℃のTRBSPから、20重量%のpMSを含むMDC9についての約67℃のTRBSPまで上昇し、これは、MDC3~9については、TRBSPが約5%(すなわち、3~4℃)上昇することを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の環球軟化点温度(TRBSP)は、PG64‐22アスファルトではより低く、1重量%のpMSを含むMDC1についての約59℃のTRBSPから、2.5重量%のpMSを含むMDC2についての約60℃のTRBSPまで上昇する。針入度指数も、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴ってわずかに上昇する。pMSを含まない対照は、約41dmmの針入度指数を示し、MDC3~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての約40dmmの針入度指数から、20重量%のpMSを含むMDC9についての約45dmmの針入度指数まで上昇し、これは、MDC3~9についての約10~約20%(すなわち、4~8dmm)の針入度指数の上昇を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の針入度指数は、PG64‐22アスファルトではより低く、1重量%のpMSを含むMDC1、および2.5重量%のpMSを含むMDC2の両方について、約45dmmの同じ針入度指数である。25℃での延性は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って低下する。pMSを含まない対照は、25℃で約27cmの延性を示し、MDC3~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての25℃で約28cmの延性から、20重量%のpMSを含むMDC9についての25℃で約19cmの延性まで上昇し、これは、MDC3~9についての約30%(すなわち、9cm)の25℃での延性の低下を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の25℃での延性は、PG64‐22アスファルトではより高く、1重量%のpMSを含むMDC1についての25℃で約62cmの延性から、2.5重量%のpMSを含むMDC2についての25℃で約66cmの延性まで増加する。ねじれによる25℃での弾性回復は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動する。pMSを含まない対照は、ねじれによる25℃での約31%の弾性回復を示し、MDC3~9では、ねじれによる25℃での約24%の弾性回復から、ねじれによる25℃での約30%の弾性回復の範囲にわたり、これは、MDC3~9について、約20%(すなわち、25℃での6~7%の弾性回復)までのねじれ変動による25℃での弾性回復を示す。PG64‐22アスファルトを含むポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2のねじれによる25℃での弾性回復は、ねじれによる25℃での約28%の弾性回復から、ねじれによる25℃での約36%の弾性回復まで変動する。伸び計による25℃での弾性回復は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動する。pMSを含まない対照は、伸び計による25℃での約63%の弾性回復を示し、MDC3~9では、伸び計による25℃での約61%の弾性回復から、伸び計による25℃での約69%の弾性回復まで変化し、これは、MDC3~9についての約15%(すなわち、25℃での7~8%の弾性回復)までの、伸び計での変動による25℃での弾性回復を示す。PG64‐22アスファルトを含むポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の伸び計による25℃での弾性回復は、MDC1およびMDC2の両方について、伸び計による25℃での同じ弾性回復を示す。相分離は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動する。pMSを含まない対照は、約2.3%の相分離を示し、MDC3~9では、約0.1%の相分離から約5.1%の相分離まで変化し、これは、MDC3~9についての約5.0%の相分離までの相分離範囲を示す。PG64‐22アスファルトを含むポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の相分離は、約0.3%の相分離から約1.6%の相分離まで変動する。最高使用温度(TG/sinδ=1.0kPa)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って上昇する。pMSを含まない対照は、約80.6℃のTG/sinδ=1.0kPaを示し、MDC3~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての約79.7℃のTG/sinδ=1.0kPaから、20重量%のpMSを含むMDC9についての約83.4℃のTG/sinδ=1.0kPaまで上昇し、これは、MDC3~9についての約5%(すなわち、4~5℃)のTG/sinδ=1.0kPaの上昇を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の最高使用温度(TG/sinδ=1.0kPa)は、PG64‐22アスファルトではより低く、1重量%のpMSを含むMDC1についての約75.5℃のTG/sinδ=1.0kPaから、2.5重量%のpMSを含むMDC2についての約75.3℃のTG/sinδ=1.0kPaまで同様である。AASHTO SUPERPAVE性能等級(PG PMA)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って上昇する。pMSを含まない対照は、約76~16のPG PMAを示し、MDC3~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての約76~16のPG PMAから、20重量%のpMSを含むMDC9についての約82~16のPG PMAまで上昇し、これは、MDC3~9についての約1PGレベル(すなわち、6℃)のPG PMAの上昇を示す。大部分のMDC3~9についてのポリマー改質アスファルト組成物のAASHTO SUPERPAVE性能等級(PG PMA)は、対照が、PGアスファルト(すなわち、70‐76)に対して約1PGレベル上昇するのと比較して、より顕著に、PGアスファルト(すなわち、70‐82)に対して2PGレベル上昇する。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2のAASHTO SUPERPAVE性能等級(PG PMA)は、PG64‐22アスファルトでは低下し、MDC1およびMDC2の両方について、約70‐22の同じPG PMAを示す。図6および図7は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC3~9の性能が、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換についての約5~約10重量%の明確かつ最適な範囲を有することを示す。MDC3~9中のpMSの明確かつ最適な範囲は、6.25重量%のpMSを含むMDC4についての135℃での約1,462cPの最大ピークを示す動粘度、7.5重量%のpMSを含むMDC5についての約67℃の最大ピークを示す環球軟化点温度(TRBSP)、6.25重量%のpMSを含むMDC4についての約47dmmの最大ピークを示す針入度指数、6.25重量%のpMSを含むMDC4についての約18cmの最小ピークを示す25℃での延性、および7.5重量%のpMSを含むMDC5についての約69%の最大ピークを示す伸び計による25℃での弾性回復、に増強効果を示す。
【0221】
【表16】
【0222】
道路舗装用途のために配合された本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の性能は、従来技術の組成物と比較して、高温特性が若干上昇した(すなわち、5%高いTRBSP)、同様な加工性をもたらす。驚くべきことに、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~9は、PMA PG82‐16に、アスファルト性能からの例外的な上昇による優れたPMA性能と、約5~約10重量%のpMSの明確かつ最適な範囲とをもたらす。ここで、25℃での動粘度、環球軟化点温度、針入度指数、延性、および伸び計による25℃での弾性回復についての望ましい性能の最高および最小ピークは、約6~約8重量%のpMSを示す。
【0223】
表17は、配合物の総量に対して8.0重量%での変性ジエン共重合体の屋根材用途の配合物を用いて調製される新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の特徴付けを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC3~9および対照はPG70‐22アスファルト(EKBE)に配合し、MDC1~2はPG64‐22アスファルト(EKBE)に配合した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~9の動粘度は、160℃および190℃で測定した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC3~9の動粘度は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換が増加しても同様である。pMSを含まない対照は、160℃で約1,215cP、190℃で441cPの動粘度を示し、MDC3~9では、160℃で約1,314cP、190℃で436cPの動粘度から、160℃で約1,393cP、190℃で481cPの動粘度までの範囲にわたる。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の動粘度は、PG64‐22アスファルトではより低く、160℃で約849cP、190℃で318cPの動粘度から、160℃で約955cP、190℃で368cPの動粘度までの範囲にわたる。驚くべきことに、MDC3~9の動粘度は、160℃で約1,314~約1,393cP、190℃で約436~約481cPの範囲にわたり、MDC1~2の動粘度は、160℃で約849~約955cP、190℃で約318~約368cPの範囲にわたり、これらの大部分は、屋根材用途に望ましい160℃で約8,000cP、190℃で6,000cPの一般的な動粘度をはるかに下回っている。新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の大変低い動粘度により、調製が容易となり、より高いポリマー濃度を有するポリマー改質アスファルト組成物およびマスターバッチまたは濃縮物用途の加工性を高めるのに適したものとなる。低下した動粘度は、同じ加工条件下でより高い生産速度およびコスト効率を可能にすることを考慮すれば、新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の重要な加工性の利点であるだけでなく、同じ生産速度およびコスト効率についてのより低い加工温度を可能にすることを考慮すれば、より環境にやさしいプロセスである低エネルギー加工性の利点でもある。
【0224】
また、表17は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の性能に関する以下の特徴付けを示す。環球軟化点温度(TRBSP)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換が増加しても同様である。pMSを含まない対照は、約74℃のTRBSPを示し、MDC3~9では、約73℃のTRBSPから約77℃のTRBSPまでの範囲にわたり、これは、MDC3~9については、TRBSPが約5%(すなわち、4℃)上昇することを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の環球軟化点温度(TRBSP)は、PG64‐22アスファルトではより低く、約69.1℃のTRBSPから、約71.2℃のTRBSPまでの範囲にわたる。針入度指数は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動を示す。pMSを含まない対照は、約76dmmの針入度指数を示し、MDC3~9では、6.25重量%のpMSを含むMDC4についての約68dmmの針入度指数から、20重量%のpMSを含むMDC9についての約97dmmの針入度指数までの変動を示し、これは、MDC3~9についての約25~約40%(すなわち、21~29dmm)の針入度指数の変動を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の針入度指数は、PG64‐22アスファルトではより低く、1重量%のpMSを含むMDC1についての約63dmmの針入度指数から2.5重量%のpMSを含むMDC2についての約70dmmの針入度指数まで上昇する。25℃での延性は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動する。pMSを含まない対照は、25℃での約6cmの延性を示し、MDC3~9では、25℃での約5cmの延性から25℃での約7cmの延性までの範囲にわたり、これは、MDC3~9についての25℃での約10%(すなわち、1cm)の延性の変動を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の25℃での延性は、PG64‐22アスファルトではより高く、25℃での約9.0cmの延性から、25℃での約11.8の延性までの変動を示す。BDA冷間曲げ温度(TBDA)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動を示す。pMSを含まない対照は、約-9℃のTBDAを示し、MDC3~9では、約0℃のTBDAから約-15℃のTBDAまでの範囲にわたり、これは、MDC3~9について、約60~約90%(すなわち、6~9℃)のTBDAの変動を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2のBDA冷間曲げ温度(TBDA)は、PG64‐22アスファルトではより低く、約-9℃のTBDAから約-12℃のTBDAまでの変動を示す。
【0225】
【表17】
【0226】
屋根材用途のために配合された本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の性能は、従来技術の組成物と比較して、高温特性が若干上昇した(すなわち、5%高いTRBSP)、同様な加工性をもたらす。驚くべきことに、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~9は、25℃でのより低い剛性(すなわち、より高い針入度指数)および同様な延性を有するPMA性能をもたらす。
【0227】
表18は、配合物の総量に対して11.0重量%での変性ジエン共重合体の屋根材用途の配合物を用いて調製される新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の特徴付けを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC3~9および対照はPG70‐22アスファルト(EKBE)に配合し、MDC1~2はPG64‐22アスファルト(EKBE)に配合した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~9の動粘度は、160℃および190℃で測定した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC3~9の動粘度は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換が増加しても同様である。pMSを含まない対照は、160℃で約2,626cP、190℃で901cPの動粘度を示し、MDC3~9では、160℃で約2,616cP、190℃で893cPの動粘度から、160℃で約2,845cP、190℃で1,010cPの動粘度までの範囲にわたる。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の動粘度は、PG64‐22アスファルトではより低く、160℃で約1,650cP、190℃で653cPの動粘度から、160℃で約1,811cP、190℃で698cPの動粘度までの範囲にわたる。驚くべきことに、MDC3‐9の動粘度は、160℃で約2,616~約2,845cP、190℃で約893~約1,010cPの範囲にわたり、MDC1~2の動粘度は、160℃で約1,650~約1,811cP、190℃で約653~約698cPの範囲にわたり、これらの大部分は、屋根材用途に望ましい160℃で約8,000cP、190℃で6,000cPの一般的な動粘度をはるかに下回っている。新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の大変低い動粘度により、調製が容易となり、より一層高いポリマー濃度を有するポリマー改質アスファルト組成物およびマスターバッチまたは濃縮物用途の加工性を高めるのに適したものとなる。低下した動粘度は、同じ加工条件下でより高い生産速度およびコスト効率を可能にすることを考慮すれば、新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の重要な加工性の利点であるだけでなく、同じ生産速度およびコスト効率についてのより低い加工温度を可能にすることを考慮すれば、より環境にやさしいプロセスである低エネルギー加工性の利点でもある。
【0228】
また、表18および図9は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の性能に関する以下の特徴付けを示す。環球軟化点温度(TRBSP)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴ってわずかに低下する。pMSを含まない対照は、約82.5℃のTRBSPを示し、MDC3~9では、5重量%のpMSを含むMDC3についての約81.4℃のTRBSPから、20重量%のpMSを含むMDC9についての約75.3℃のTRBSPまで低下し、これは、MDC3~9については、TRBSPが約8%(すなわち、6~7℃)低下することを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の環球軟化点温度(TRBSP)は、PG64‐22アスファルトではより低く、約72.5℃のTRBSPから、約73.5℃のTRBSPまでの範囲にわたる。針入度指数は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動を示す。pMSを含まない対照は、約66dmmの針入度指数を示し、MDC3~9では、約67dmmの針入度指数から約123dmmの針入度指数までの変動を示し、これは、MDC3~9についての約80%(すなわち、56~57dmm)の針入度指数の変動を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の針入度指数は、PG64‐22アスファルトではより低く、約62dmmの針入度指数から、約65dmmの針入度指数までの変動を示す。25℃での延性は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動を示す。pMSを含まない対照は、25℃での約6cmの延性を示し、MDC3~9では、25℃での約5cmの延性から25℃での約8.3cmの延性までの範囲にわたり、これは、MDC3~9についての25℃での約20~約30%(すなわち、2~3cm)の延性の変動を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2の25℃での延性は、PG64‐22アスファルトではより高く、25℃での約13.0cmの延性から、25℃での約20.8cmの延性までの変動を示す。BDA冷間曲げ温度(TBDA)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換の増加に伴って変動を示す。pMSを含まない対照は、約-3℃のTBDAを示し、MDC3~9では、約-12℃のTBDAから約-3℃のTBDAまでの範囲にわたり、これは、MDC3~9について、約300%(すなわち、9℃)のTBDAの変動を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~2のBDA冷間曲げ温度(TBDA)は、PG64‐22アスファルトではより低く、約-15℃のTBDAから約-18℃のTBDAまでの変動を示す。図9は、本発明の変性ジエン共重合体およびPG70‐22アスファルトを含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC3~9の性能が、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換についての約5~約10重量%の明確かつ最適な範囲を有することを示す。MDC3~9中のpMSの明確かつ最適な範囲は、6.25重量%のpMSを含むMDC4および7.5重量%のpMSを含むMDC5についての約-12℃の最小ピークを示すBDA冷間曲げ温度(TBDA)、7.5重量%のpMSを含むMDC5についての約79.3℃の環球軟化点温度(TRBSP)、7.5重量%のpMSを含むMDC5についての約123dmmの最大ピークを示す針入度指数、および6.25重量%のpMSを含むMDC4についての約8.3cmの最大ピークを示す25℃での延性に低減効果を示す。
【0229】
【表18】
【0230】
屋根材用途のために配合された本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC1~9の性能は、従来技術の組成物と比較して、高温特性が若干上昇した(すなわち、8%低いTRBSP)、同様な加工性をもたらす。驚くべきことに、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト組成物MDC1~9は、約5~約10重量%のpMSの明確かつ最適な範囲によって、優れたPMA性能をもたらす。ここで、25℃でのBDA冷間曲げ温度、環球軟化点温度、針入度指数、および延性についての望ましい性能の最高および最小ピークは、約6~約8重量%のpMSを示す。優れたPMA性能は、望ましい高温および低温特性、良好な被加工性、よりよい柔軟性または改善された耐欠損性、ならびにより少ない剛性を備えた屋根材塗布を提供する。
【0231】
実施例11
屋根材のためのポリマー改質アスファルトにおける用途
変性ジエン共重合体組成物(MDC)のポリマー改質アスファルト
本発明の変性ジエン共重合体組成物MDC10~13を含むいくつかのポリマー改質アスファルト配合物を、実施例10に記載されている手順に従って調製した。実施例2の表3および表4に記載されている変性ジエン共重合体組成物MDC10~13を、下記の材料および量と混合した。
【0232】
本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト組成物MDC10~13の性能は、表19および表20ならびに図8に示す。ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC10~13は、実施例10に記載されている試験手順および特定の条件および装置で特徴付けた。
【0233】
表19および表20は、配合物の総量に対して8.0および11.0重量%での変性ジエン共重合体の屋根材用途の配合物を用いることによって調製される新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC10~13の特徴付けを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC11およびMDC13ならびに対照はPG70‐22アスファルト(EKBE)に配合し、MDC10およびMDC12はPG64‐22アスファルト(EKBE)に配合した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10~13の動粘度は、160℃および190℃で測定した。ポリマー改質アスファルト組成物MDC11およびMDC13の動粘度は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換があっても同様である。PMA配合物中の8.0重量%のポリマーでの動粘度については、pMSを含まない対照は、160℃で約1,215cP、190℃で441cPの動粘度を示し、MDC11およびMDC13では、160℃で約1,200cP、190℃で395cPの動粘度から、160℃で約1,385cP、190℃で473cPの動粘度までの範囲にわたる。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の動粘度は、PG64‐22アスファルトではより低く、160℃で約882cP、190℃で333cPの動粘度から、160℃で約1,020cP、190℃で343cPの動粘度までの範囲にわたる。PMA配合物中の11.0重量%のポリマーでの動粘度については、pMSを含まない対照は、160℃で約2,626cP、190℃で901cPの動粘度を示し、MDC11およびMDC13では、160℃で約2,533cP、190℃で821cPの動粘度から、160℃で約2,608cP、190℃で842cPの動粘度までの範囲にわたる。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の動粘度は、PG64‐22アスファルトではより低く、160℃で約2,028cP、190℃で756cPの動粘度から、160℃で約2,109cP、190℃で798cPの動粘度までの範囲にわたる。驚くべきことに、PMA配合物中の8.0および11.0重量%のポリマーの両方についてのすべての動粘度は、屋根材用途に望ましい160℃で約8,000cP、190℃で6,000cPの一般的な動粘度をはるかに下回っている。新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC10~13の大変低い動粘度により、調製が容易となり、より一層高いポリマー濃度を有するポリマー改質アスファルト組成物およびマスターバッチまたは濃縮物用途の加工性を高めるのに適したものとなる。低下した動粘度は、同じ加工条件下でより高い生産速度およびコスト効率を可能にすることを考慮すれば、新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC10~13の重要な加工性の利点であるだけでなく、同じ生産速度およびコスト効率についてのより低い加工温度を可能にすることを考慮すれば、より環境にやさしいプロセスである低エネルギー加工性の利点でもある。
【0234】
また、表19および表20ならびに図8は、本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC10~13の性能に関する以下の特徴付けを示す。環球軟化点温度(TRBSP)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によってわずかに低下する。PMA配合物中の8.0重量%のポリマーでの環球軟化点温度(TRBSP)については、pMSを含まない対照は、約74.0℃のTRBSPを示し、MDC11およびMDC13では、約73.0℃のTRBSPから、約74.0℃のTRBSPまで低下し、これは、TRBSPが約2%(すなわち、1℃)低下することを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の環球軟化点温度(TRBSP)は、PG64‐22アスファルトでは変動し、約72.6℃のTRBSPから、約79.7℃のTRBSPまでの範囲にわたる。PMA配合物中の11.0重量%のポリマーでの環球軟化点温度(TRBSP)については、pMSを含まない対照は、約82.5℃のTRBSPを示し、MDC11およびMDC13では、約78.2℃のTRBSPから約79.0℃のTRBSPまで低下し、これは、TRBSPが、約4~5%(すなわち、3~4℃)低下することを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の環球軟化点温度(TRBSP)は、PG64‐22アスファルトでは同様であり、約81.5℃のTRBSPから約81.8℃のTRBSPまでの範囲にわたる。針入度指数は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によって低下する。PMA配合物中の8.0重量%のポリマーでの針入度指数については、pMSを含まない対照は、約76dmmの針入度指数を示し、MDC11およびMDC13は、両方とも約38dmmの針入度指数まで低下し、これは、約50%(すなわち、38dmm)の針入度指数の低下を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の針入度指数は、PG64‐22アスファルトでは変動し、約37dmmの針入度指数から、約49dmmの針入度指数までの変動を示す。PMA配合物中の11.0重量%のポリマーでの針入度指数については、pMSを含まない対照は、約66dmmの針入度指数を示し、MDC11およびMDC13は、両方とも約36dmmの針入度指数まで低下し、これは、約45%(すなわち、30dmm)の針入度指数の低下を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の針入度指数は、PG64‐22アスファルトでは変動し、約34dmmの針入度指数から、約46dmmの針入度指数までの変動を示す。25℃での延性は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によって増加を示す。PMA配合物中の8.0重量%のポリマーでの25℃での延性については、pMSを含まない対照は、約6cmの25℃での延性を示し、MDC11およびMDC13では、約19cmの25℃での延性から約20cmの25℃での延性まで増加し、これは、約200%(すなわち、13~14cm)の25℃での延性の増加を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の25℃での延性は、PG64‐22アスファルトでは低下し、約14.0cmの25℃での延性から、約16.8cmの25℃での延性までの増加を示す。PMA配合物中の11.0重量%のポリマーでの25℃での延性については、pMSを含まない対照は、約6cmの25℃での延性を示し、MDC11およびMDC13では、約17.5cmの25℃での延性から、約22.8cmの25℃での延性まで増加し、これは、約200~300%(すなわち、11.5~16.8cm)の25℃での延性を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12の25℃での延性は、PG64‐22アスファルトではより高く、約24.5cmの25℃での延性から、約35.0cmの25℃での延性まで増加する。BDA冷間曲げ温度(TBDA)は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換によって変動を示す。PMA配合物中の8.0重量%のポリマーでのBDA冷間曲げ温度(TBDA)については、pMSを含まない対照は、約-9℃のTBDAを示し、MDC11およびMDC13では、約-9℃のTBDAから約-18℃のTBDAまでの範囲にわたり、これは、約0~100%(すなわち、0~9℃)のTBDAの低下を示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12のBDA冷間曲げ温度(TBDA)は、PG64‐22アスファルトでは低下し、両方について、約-15℃のTBDAの低下を示す。PMA配合物中の11.0重量%のポリマーでのBDA冷間曲げ温度(TBDA)については、MSを含まない対照は、約-3℃のTBDAを示し、MDC11およびMDC13では、両方について約-3℃のTBDAを示す。ポリマー改質アスファルト組成物MDC10およびMDC12のBDA冷間曲げ温度(TBDA)は、PG64‐22アスファルトでは低下し、約-18℃のTBDAから、約-21℃のTBDAの低下を示す。図8は、変性ジエン共重合体組成物中の置換ビニル芳香族モノマー(pMS)による非置換ビニル芳香族モノマー(S)の置換についての、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物の、ブロックC中の約5重量%のpMSおよびブロックB‐A中の約5重量%のpMSという明確かつ最適な分布を有するポリマーの8重量%での新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC11の性能を示す。MDC11中のpMSの明確かつ最適な分布は、約-18℃の最小ピークを示すBDA冷間曲げ温度(TBDA)、約74℃の環球軟化点温度(TRBSP)、約38dmmの最小ピークを示す針入度指数、および約20cmの最大ピークを示す25℃での延性に低減効果を示す。
【0235】
屋根材用途のために8重量%および11重量%のポリマーで配合された本発明の変性ジエン共重合体を含む新規ポリマー改質アスファルト(PMA)組成物MDC10~13の性能は、従来技術の組成物と比較して、高温特性が若干低下した(すなわち、0~5%低下したTRBSP)、同様な加工性をもたらす。驚くべきことに、新規ポリマー改質アスファルト組成物MDC11は、変性C‐B‐Aジエン共重合体組成物の、ブロックC中の約5重量%のpMSおよびブロックB‐A中の約5重量%のpMSという明確かつ最適な分布を有するポリマーの8重量%での優れたPMA性能をもたらし、ここで、望ましい性能の最高および最小ピークは、BDA冷間曲げ温度、環球軟化点温度、針入度指数、および25℃での延性について示す。優れたPMAの性能は、望ましい高温および低温特性、良好な被加工性、ならびによりよい柔軟性または改善された耐欠損性を備えた屋根材塗布を提供する。
【0236】
【表19】
【0237】
【表20】
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】