(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ラスプ用のブローチハンドルおよび前記ハンドルを備える外科用デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526131
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 IB2020060286
(87)【国際公開番号】W WO2021090151
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102019000020576
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ラウデ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルドーニ,マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】トロンベッタ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ,エルメーテ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL08
4C160LL27
4C160LL70
(57)【要約】
ラスプ用のブローチハンドル(1)は、ハンドル(1)の第1の部分(11)とハンドル(1)の第2の部分(12)との間に第1の軸(A1)に沿って延びる近位部分(10)と、第2の部分(12)に接続されたハンドル(1)の第3の部分(21)とハンドル(1)の第4の部分(22)との間に第2の軸(A2)に沿って部分的に延び、第4の部分(22)に接続されたハンドル(1)の第5の部分(23)とラスプ(50)に接続可能な前記ハンドル(1)の第6の部分(24)との間に第3の軸(A3)に沿って部分的に延びる遠位部分(20)と、を備える。ハンドル(1)の第6の部分(24)は、ラスプ(50)に接続するための接続面(2)を有し、法線が法線軸(N)に沿って延びてハンドル(1)とラスプ(50)との間の接続軸(Z)を規定し、第1の凸角(α)は、第1の軸(A1)と第2の軸(A2)との間に規定され、第2の凸角(β)は、第3の軸(A3)と法線軸(N)との間に規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラスプ用のブローチハンドル(1)であって、
-前記ハンドル(1)の第1の部分(11)と前記ハンドル(1)の第2の部分(12)との間に第1の軸(A1)に沿って延びる近位部分(10)と、
-前記第2の部分(12)に接続された前記ハンドル(1)の第3の部分(21)と前記ハンドル(1)の第4の部分(22)との間に第2の軸(A2)に沿って部分的に延び、前記第4の部分(22)に接続された前記ハンドル(1)の第5の部分(23)とラスプ(50)に接続可能な前記ハンドル(1)の第6の部分(24)との間に第3の軸(A3)に沿って部分的に延びる遠位部分(20)と、を備え、
前記ハンドル(1)の前記第6の部分(24)は、前記ラスプ(50)に接続するための接続面(2)を有し、前記接続面(2)は、法線軸(N)に沿って延在して前記ハンドル(1)と前記ラスプ(50)との間の接続軸(Z)を規定する法線を有し、
第1の凸角(α)は、前記第1の軸(A1)と前記第2の軸(A2)との間に規定され、第2の凸角(β)は、前記第3の軸(A3)と前記法線軸(N)との間に規定され、
前記第1の軸(A1)、前記第2の軸(A2)、前記第3の軸(A3)および前記法線軸(N)は、同一の配置平面上にある、ブローチハンドル(1)。
【請求項2】
前記第1の角度(α)および前記第2の角度(β)は、反対方向に向けられたそれぞれの凸状を有する、請求項1に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項3】
前記第2の軸(A2)および第3の軸(A3)が一致する、請求項1または2に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項4】
前記第1の角度(α)および前記第2の角度(β)が、前記第2の軸(A2)および前記第3の軸(A3)によって規定される正反対の半平面に向けられたそれぞれの凸状を有する、請求項3に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項5】
ラスプ用のブローチハンドル(1)であって、
-前記ハンドル(1)の第1の部分(11)と前記ハンドル(1)の第2の部分(12)との間に第1の軸(A1)に沿って延びる近位部分(10)と、
-前記第2の部分(12)に接続された前記ハンドル(1)の第3の部分(21)と前記ハンドル(1)の第4の部分(22)との間に第2の軸(A2)に沿って部分的に延び、前記第4の部分(22)に接続された前記ハンドル(1)の第5の部分(23)とラスプ(50)に接続可能な前記ハンドル(1)の第6の部分(24)との間に第3の軸(A3)に沿って部分的に延びる遠位部分(20)と、を備え、
前記ハンドル(1)の前記第6の部分(24)は、前記ラスプ(50)に接続するための接続面(2)を有し、前記接続面(2)は、法線軸(N)に沿って延在して前記ハンドル(1)と前記ラスプ(50)との間の接続軸(Z)を規定する法線を有し、
第1の凸角(α)は、前記第1の軸(A1)と前記第2の軸(A2)との間に規定され、第2の凸角(β)は、前記第3の軸(A3)と前記法線軸(N)との間に規定され、
前記遠位部分(20)は、前記ハンドル(1)の前記第4の部分(22)と前記第5の部分(23)との間に、前記第2の軸(A2)および前記第3の軸(A3)に対して横方向の傾斜軸(S)に沿って延びる傾斜部分(25)を備える、ブローチハンドル(1)。
【請求項6】
前記第1の角度(α)および前記第2の角度(β)は、前記第2の軸(A2)および前記第3の軸(A3)が存在する横断面に対して反対方向に向けられたそれぞれの凸状を有する、請求項5に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項7】
前記第1の角度(α)が90°から180°の範囲の値、好ましくは135°に等しい値を有する、請求項1から6の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項8】
前記第2の角度(β)が125°から165°の範囲の値、好ましくは150°に等しい値を有する、請求項1から7の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項9】
前記第6の部分(24)は、前記遠位部分(20)の展開部分(26)を規定する前記法線軸(N)に沿って延びる、請求項1から8の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項10】
前記接続面(2)が、前記ラスプ(50)と結合するように構成された少なくとも1つの相互結合要素(4)を有し、前記少なくとも1つの相互結合要素(4)は、前記法線軸(N)に平行な主の展開方向に沿って延びるピンである、請求項1から9の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項11】
-前記ラスプ(50)に可逆的に結合するように構成された連結要素(5)と、
-前記連結要素(5)に接続されたレバー機構(6)であって、前記ハンドル(1)のキャビティ(7)内に配置され且つ結合位置と分離位置との間で前記法線軸(N)に平行な結合方向に沿って前記接続面(2)を介して前記連結要素(5)を移動させるレバー機構(6)と、を備える請求項1から10の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項12】
前記第1の部分(11)に配置され且つ衝撃要素によって打たれるように構成された当接ヘッド(3)を備える、請求項1から11の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項13】
把持および/または当接要素(8)を備え、前記把持および/または当接要素(8)は、前記第2の部分(12)および前記第3の部分(21)にまたがるように配置され、ユーザによって把持されるように、および/または衝撃要素によって打たれるように構成される、請求項1から12の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)。
【請求項14】
大腿管の準備のための外科用デバイス(100)であって、
-請求項1から13の一項または複数に記載のブローチハンドル(1)と、
-ラスプ(50)であって、大腿骨管(C)の準備のために大腿骨(F)内への当該ラスプ(50)の挿入軸(Y)と一致する主の展開軸(X)に沿って延びるラスプ(50)と、を備え、前記ラスプ(50)は、前記接続軸(Z)に沿って前記接続面(2)で前記ハンドル(1)に接続されており、
前記ラスプの凸状傾斜角(γ)は、前記ラスプ(50)の前記主の展開軸(X)と前記ハンドル(1)の前記第3の軸(A3)との間に規定される、外科用デバイス(100)。
【請求項15】
前記第1の角度(α)および前記ラスプの傾斜角(γ)は、反対方向に向けられたそれぞれの凸状を持つ、請求項15に記載の外科用デバイス(100)。
【請求項16】
前記ラスプの傾斜角(γ)が90°から135°の範囲の値、好ましくは105°に等しい値を有する、請求項15または16に記載の外科用デバイス(100)。
【請求項17】
前記第1の軸(A1)、前記第2の軸(A2)、前記第3の軸(A3)、前記法線軸(N)および前記ラスプ(50)の前記主の展開軸(X)は、前記デバイス(100)の同一の配置平面内にある、請求項15から17の一項に記載の外科用デバイス(100)。
【請求項18】
前記近位部分の凸状傾斜角(δ)は、前記ラスプ(50)の前記主の展開軸(X)と前記ハンドル(1)の前記第1の軸(A1)との間に規定され、前記凸状傾斜角(δ)は、0°から45°の範囲の値、好ましくは30°に等しい値を有する、請求項14から17の一項に記載の外科用デバイス(100)。
【請求項19】
前記ハンドル(1)は、前記ハンドル(1)の前記第1の部分(11)に配置され且つ衝撃要素によって打たれるように構成された当接ヘッド(3)を備え、
前記当接ヘッド(3)は、本質的に平面の当接表面(3a)を有し、その結果、凸状当接角(ε)が、前記当接表面(3a)の法線と前記主の展開軸(X)との間に規定され、前記凸状当接角(ε)は、0°から50°の範囲の値、好ましくは45°に等しい値を有する、請求項14から18の一項に記載の外科用デバイス(100)。
【請求項20】
前記ハンドル(1)の前記遠位部分(20)および前記ハンドル(1)の前記近位部分(10)が互いに接合されており、前記ハンドル(1)の前記遠位部分(20)は、前記ラスプ(50)に接合されており、その結果、前記外科用デバイス(100)は、二重の湾曲部を有する、請求項14から19の一項または複数に記載の外科用デバイス(100)。
【請求項21】
互いに接続され且つ一体で作られたハンドル(1)およびラスプ(50)を備える、大腿管を準備するための外科用デバイス(100)であって、
前記ラスプ(50)は、大腿管(C)の準備のために大腿骨(F)内への前記ラスプ(50)の挿入軸(Y)と一致する主の展開軸(X)に沿って延び、
前記ブローチハンドル(1)は、
-前記ハンドル(1)の第1の部分(11)と前記ハンドル(1)の第2の部分(12)の間に第1の軸(A1)に沿って延びる近位部分(10)と、
-前記第2の部分(12)に接続された前記ハンドル(1)の第3の部分(21)と前記ハンドル(1)の第4の部分(22)との間に第2の軸(A2)に部分的に沿って、且つ前記第4の部分(22)に接続された前記ハンドル(1)の第5の部分(23)と前記ラスプ(50)に接続可能な前記ハンドル(1)の第6の部分(24)との間に第3の軸(A3)に部分的に沿って延びる遠位部分(20)と、を備え、
第1の凸角(α)は、前記第1の軸(A1)と前記第2の軸(A2)との間に規定され、前記ラスプの凸状傾斜角(γ)は、前記ラスプ(50)の前記主の展開軸(X)と前記ハンドル(1)の前記第3の軸(A3)との間に規定され、
前記第1の軸(A1)、前記第2の軸(A2)、前記第3の軸(A3)およびラスプの前記主の展開軸(X)は、同一の配置平面上にある、外科用デバイス(100)。
【請求項22】
互いに接続され且つ一体で作られたハンドル(1)およびラスプ(50)を備える、大腿管を準備するための外科用デバイス(100)であって、
前記ラスプ(50)は、大腿管(C)の準備のために大腿骨(F)内への前記ラスプ(50)の挿入軸(Y)と一致する主の展開軸(X)に沿って延び、
前記ブローチハンドル(1)は、
-前記ハンドル(1)の第1の部分(11)と前記ハンドル(1)の第2の部分(12)との間に第1の軸(A1)に沿って延びる近位部分(10)と、
-前記第2の部分(12)に接続された前記ハンドル(1)の第3の部分(21)と前記ハンドル(1)の第4の部分(22)との間に第2の軸(A2)に部分的に沿って、且つ前記第4の部分(22)に接続された前記ハンドル(1)の第5の部分(23)と前記ラスプ(50)に接続された前記ハンドル(1)の第6の部分(24)との間に第3の軸(A3)に部分的に沿って延びる遠位部分(20)と、を備え、
第1の凸角(α)は、前記第1の軸(A1)と前記第2の軸(A2)との間に規定され、前記ラスプの凸状傾斜角(γ)は、前記ラスプ(50)の前記主の展開軸(X)と前記ハンドル(1)の前記第3の軸(A3)との間に規定され、
前記ハンドル(1)の前記遠位部分(20)は、前記第2の軸(A2)と前記第3の軸(A3)に対して横方向である傾斜軸(S)に沿って、前記ハンドル(1)の前記第4の部分(22)と前記第5の部分(23)との間に延びる傾斜部分(25)を備える、外科用デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラスプハンドルおよび前記ハンドルを備えた、大腿管を準備するための外科用デバイスに関する。
【0002】
本発明は、整形外科の分野、特に、損傷した骨部分および軟骨が除去されて人工補綴部品と交換される関節形成術または股関節置換術の分野での用途を見出す。
【0003】
人工股関節は、機能しなくなった自然の関節に取って代わり、大腿骨と寛骨臼の両方に影響を与える。
【背景技術】
【0004】
損傷した関節を手術する必要がある場合、頭部と頸部とからなる大腿骨の上部が通常取り除かれる。大腿骨が収容されている寛骨臼部分は寛骨臼カップで覆われ、その後、いわゆる補綴ステムが大腿管内に適用される。
【0005】
損傷した大腿骨頭は取り除かれて補綴デバイスと交換され、補綴デバイスは、大腿骨の骨髄管に挿入されるステム、例えば金属ステムと、大腿骨頭を備える関節ユニットとを備える。ステムの一端は、実際には、外科医によって特別に準備された大腿骨髄管内に収まるように特別に作られている一方で、他端は、大腿骨の自然の頭部と非常によく似た頭部を有し、当該頭部は、補綴寛骨臼カップの内側に配置されるのに適している。
【0006】
大腿管内に補綴ステムを受け入れるために大腿管を準備をするために、大腿骨頭の最初の切除の後、外科医は切断された大腿骨部分をラスピングするためのステップに進む。
【0007】
通常、ラスプを備えた器具はラスピングのために使用され、「鎌状ナイフラスプ」またはより単純に「ラスプ」とも呼ばれ、鎌またはサイの角に似た形状を持ち且つラスプを大腿管に徐々に挿入してラスピング動作を実行するためにハンマーで繰り返し叩かれる外科用デバイスの把持ハンドルに接続されている。
【0008】
最小のラスプから始めて、外科医は大腿管の準備を進め、大腿管が挿入されるステムのサイズに対応するまで、ラスプのサイズをゆっくりと増大させる。
【0009】
この技術は、これまでのところ、人工股関節全置換術の最も侵襲性の低い技術の1つである。
【0010】
しかしながら、出願人は、手術ステップ中に発生するいくつかの欠点に気づいた。
【0011】
患者が仰向けになっている状態で、過伸展で手術する脚を配置し、大腿骨頭を切断した後、大腿骨を正しくラスピングして大腿管を準備するために、外科医は、大腿骨の骨髄管にラスプを正しく挿入するべく、切断された大腿骨頭と少なくとも部分的に大腿骨とをその自然なシートから露出させるために大腿骨を回転させる必要がある。
【0012】
この作業は、非常に繊細であり且つ外科医の特別な注意を必要とすることに加えて、大腿骨を潜在的な外傷および外部汚染にさらし、患者の表皮を広範囲に切開することを必要とする。
【0013】
しかしながら、外科医が手術部位をよく見ることができ且つ外科用デバイスのハンドルに接続されたラスプを大腿骨の骨髄管に挿入できるように、大腿骨を部分的に露出させる必要がある。
【0014】
今日使用されている外科用デバイスのハンドルは基本的に真っ直ぐであり、ハンドルの展開軸とそれに接続されているラスプの展開軸との間に形成される角度はほぼ平角に等しい。したがって、この構造は、すべての手術ステップで部分的にしか操作できず且つ大腿骨にラスプを挿入する際に好ましくない実質的に真っ直ぐな外科用デバイスを規定する。このため、デバイスが到達できない大腿管の少なくとも一部を露出させることが不可欠である。
【0015】
現在知られているデバイスを使用して、人工股関節全置換術のために実行しなければならない外科的ステップは、大腿骨頭の切断を伴い、その後に、脚を過伸展させ、続いて脚を回転させるステップが続く。続いて、専門用語で「大腿骨解放(femoral release)」として知られるステップが実行され、これは、大腿骨が自然なシートから出てくることを含む。この操作は、大腿骨の上部を創傷に向かって移動させることを含む。この時点で、外科医は、既知のハンドルを使用して大腿管内にラスプを挿入することにより、大腿管のラスピングを進めることができる。
【0016】
大腿骨解放ステップは、患者の身体的構造に特にストレスの多いステップであり、また、より長い外科手術時間を暗示する。さらに、この操作により、患者の痛みが増し、ひいては回復時間が長くなる可能性がある。
【0017】
「大腿骨解放」ステップは、現在知られている外科用デバイスに不可欠である。大腿骨がその自然なシートから取り外されない場合、ラスプを支える外科用デバイスのハンドルの本体が骨盤骨に干渉するからである。一方、大腿骨解放により、患者の軟組織との相互作用/衝突が回避される。
【0018】
現在使用されている外科用デバイスの大腿骨軸に対する傾斜は、患者の骨盤および腹部に干渉し、したがって、デバイスのラスプを受け入れるには、大腿骨を少なくとも部分的に外側に露出させる必要がある。
【0019】
既知のデバイスの構造はまた、腹部脂肪層が過剰な患者に対する手術の場合に問題である。これらの場合、実際には、デバイス自体と患者の皮膚との相互作用が非常に起こり得、患者の皮膚に結果として生じ得る外傷を伴う。
【発明の概要】
【0020】
これに関連して、本発明の根底にある技術的タスクは、従来技術の上記の欠点の1つまたは複数を克服する、ラスプ用のブローチハンドルおよび前記ハンドルを備える外科用デバイスを提案することである。
【0021】
特に、本発明の目的は、ラスプに接続するための最適化された形状を備えたハンドルを提供し、大腿管の準備のための手術ステップの効率および有効性を改善することである。
【0022】
本発明の追加の目的は、外科医が快適に使用でき且つラスプを大腿骨に迅速且つ容易に挿入することを可能にする、大腿管を準備するための外科用デバイスを提案することである。
【0023】
最後に、本発明の目的は、手術時間を短縮し且つ骨構造に特に外傷を与える、または患者自身の軟組織にストレスを与える手術ステップを回避する、大腿管の準備のための外科用デバイスを提案することである。
【0024】
特定された技術的タスクおよび目的は基本的に、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載された技術的特徴を含む、ラスプ用のブローチハンドルおよび大腿管の準備のための外科用デバイスによって達成される。
概要
第1の態様では、本発明は、ラスプ用のブローチハンドルであって、
-ハンドルの第1の部分とハンドルの第2の部分との間に第1の軸に沿って延びる近位部分と、
-第2の部分に接続されたハンドルの第3の部分とハンドルの第4の部分との間に第2の軸に沿って部分的に延在し、ハンドルの第4の部分に接続されたハンドルの第5の部分とラスプに接続可能なハンドルの第6の部分との間に第3の軸に沿って部分的に延在する遠位部分と、を備える。
【0025】
特に、第1の軸、第2の軸、第3の軸および法線軸は同一の配置平面上にある。
【0026】
あるいは、近位部分は、第2の軸および第3の軸に対して横方向である傾斜軸に沿って、ハンドルの第4の部分と第5の部分との間に延びる傾斜部分を備える。
【0027】
有利には、ハンドルの第6の部分は、ラスプに接続するための接続面を有し、法線が法線軸に沿って延びハンドルとラスプとの間の接続軸を規定し、第1の凸角は、第1の軸と第2の軸との間に規定され、第2の凸角は、第3の軸と法線軸との間に規定される。
【0028】
したがって、本発明によるハンドルは、二重の凸状を有し、その結果、第1および第2の凸角の値を適切にサイジングすることにより、患者の形態学的および生理学的特性に最適化されたハンドルを外科医に提供することが可能であり、これにより、ラスプ挿入操作およびラスピング自体がより効率的になる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、本発明によるハンドルと、大腿管の準備のためのラスプであって、大腿骨内へのラスプの挿入軸と一致する主の展開軸に沿って延びるラスプとを備える、大腿管を準備するための外科用デバイスもある。ラスプの主の展開軸とハンドルの第3の軸との間にラスプの凸状傾斜角が規定されるように、特に、ラスプは、ラスプに接続するための接続軸に沿ってハンドルの接続面でハンドルに接続される。
【0030】
したがって、二重の凸状のおかげで、外科用デバイスは、使用中に患者の腹部および骨盤に干渉することを回避することを可能にする形状を有する。
【0031】
特に、本発明によるデバイスを使用することにより、ラスプがハンドルの遠位部分に対して傾斜しているので、大腿骨をその自然のシートであって、実際にラスプが楽に到達できるシートから引き抜く必要なしに、大腿骨の骨髄管をラスプで擦ることが可能であり、したがって、大腿骨への挿入に必要な切開のサイズを制限する。
【0032】
したがって、本発明は、関節損傷のリスクを制限し且つ可能な限り最高レベルの無菌性を確保することによって、股関節手術をスピードアップすることを可能にする。
【0033】
本発明の別の態様によれば、互いに不可逆的に接続された、すなわち一体に形成されたブローチハンドルおよびラスプを備える、大腿管を準備するための外科用デバイスが提供される。
【0034】
ラスプは、大腿管の準備のために大腿骨内へのラスプの挿入軸と一致する主の展開軸に沿って延びる。
【0035】
ハンドルは、近位部分と遠位部分を備える。
【0036】
近位部分は、ハンドルの第1の部分とハンドルの第2の部分との間に第1の軸に沿って延びる一方、遠位部分は、第2の部分に接続されたハンドルの第3の部分とハンドルの第4の部分との間に第2の軸に部分的に沿って、且つ第4の部分に接続されたハンドルの第5の部分とラスプに接続されたハンドルの第6の部分との間に第3の軸に部分的に沿って延びる。
【0037】
有利には、第1の凸角は、第1の軸と第2の軸との間に規定され、ラスプの凸状傾斜角は、ラスプの主の展開軸とハンドルの第3の軸との間に規定される。
【0038】
第1の軸、第2の軸、第3の軸およびラスプの主の展開軸は、同一の配置平面上にある。あるいは、ハンドルの遠位部分は、第2の軸および第3の軸に対して横方向の傾斜軸に沿って、ハンドルの第4の部分と第5の部分との間に延びる傾斜部分を備える。
【0039】
参考のために本明細書に含まれる従属請求項は、本発明の種々の実施形態に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の追加の特徴および利点は、添付の図に示されているように、ラスプ用のブローチハンドルおよび当該ブローチハンドルを備える、大腿管の準備のための外科用デバイスの1つの好ましいが排他的ではない実施形態の指示的、したがって非限定的な説明からより明らかになるであろう。
【
図1A】本発明によるラスプ用のハンドルおよび大腿管の準備のための外科用デバイスの第1の実施形態の概略側面図である。
【
図1B】
図1Aのハンドルおよびデバイスの比較概略側面図である。
【
図2】
図1Aに示されているデバイスの分解概略斜視図である。
【
図3】ラスプが患者の大腿骨に挿入される手術ステップ中の
図1Aのデバイスの概略側面図である。
【
図4A】本発明による、ラスプ用のハンドルおよび大腿管の準備のための外科用デバイスの第2の実施形態の正面概略図である。
【
図4B】本発明による、ラスプ用のハンドルおよび大腿管の準備のための外科用デバイスの第2の実施形態の側面概略図である。
【
図4C】
図4Bのハンドルおよびデバイスの比較概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
添付の図を参照すると、参照番号100は全体として、大腿管を準備するための外科用デバイスを示し、外科用デバイスは、これ以降、単にデバイス100で示される。
【0042】
デバイス100は、ラスプ用のブローチハンドル1(これ以降、単にハンドル1)と、ハンドル1に接続されたラスプ50とを備える。
【0043】
図3を参照すると、ラスプ50は、大腿管Cであって、その内部に図示されていない補綴ステムを取り付けることができる大腿管Cを準備するために、患者の大腿骨Fの骨髄管内に挿入軸Yに沿って挿入されるように設計されている。
【0044】
特に、大腿骨頭を切断するステップの後、手術手順は、脚の過伸展を伴い、患者の大腿骨Fは、ラスプ50の挿入のために切断された大腿骨頭を外科医に十分に露出させるように、体の外側に向かって予防的に余分に回転される。
図3に示される例では、大腿骨はその自然な位置に対してそれ自身の軸周りに約90°回転されている。
【0045】
添付の図に示されているラスプ50は、大腿骨F内へのラスプの挿入軸Yと一致する主の展開軸Xに沿って延びる。
【0046】
ラスプ50は、好ましくは、大腿骨Fの骨髄管内にラスプ50を繰り返し挿入する間にラスピング作用を発揮するように構成された、図示されていないいくつかの表面隆起を備える。
【0047】
添付の図に示されているラスプ50は、好ましくは、基本的に頂部が平面で切断されたピラミッド形状を有し、準線は、主要な部分で、主の展開軸Xと一致する湾曲したまたは断片化された軌道をたどり、「鎌」の形状を規定する。言い換えれば、頂部が平面で切断されたピラミッドの準線は、ハンドル1との接続ゾーンでずれている。
【0048】
本発明が関係するハンドル1は、近位部分10および遠位部分20を備える。
【0049】
特に、「近位」という用語は、外科医に最も近いハンドル1の部分を指すことを意図し、一方、「遠位」という用語は、外科医の体から最も遠い部分を指すことを意図している。
【0050】
したがって、添付の図を参照して、「近位部分」10という用語は、使用中に、患者の体から最も遠くに配置されるハンドル1の部分を指すことを意図し、一方、「遠位部分」20という用語は、使用中に、患者の体に最も近く配置されるハンドル1の部分を指すことを意図している。特に、近位部分10は、外科医が把持するハンドル1の部分を規定し、一方、遠位部分20は、ラスプ50に接続された、または接続可能なハンドル1の部分である。
【0051】
特に
図1Aおよび4Bを参照すると、近位部分10は、第1の軸A1に沿って、ハンドル1の第1の部分11とハンドル1の第2の部分12との間に延びる。
【0052】
遠位部分20は、
-第2の部分12に接続されたハンドル1の第3の部分21とハンドル1の第4の部分22との間に第2の軸A2に部分的に沿って、
-第4の部分22に接続されたハンドル1の第5の部分23とラスプ50に接続可能なハンドル1の第6の部分24との間に第3の軸A3に部分的に沿って、延びる。
【0053】
「軸」A1、A2、A3という用語は、主の展開方向を指すことを意図していることに留意されたい。
【0054】
第6の部分24は、特に、ラスプ50に接続するための接続面2、好ましくは平面を有し、法線が法線軸Nに沿って延在し、ハンドル1をラスプ50に接続する接続軸Zを規定する。
【0055】
接続面2は、好ましくは、第6の部分24の自由端を規定する。
【0056】
有利には、第1の凸角αは、第1の軸A1と第2の軸A2との間に規定され、第2の凸角βは、第3の軸A3と法線軸Nとの間に規定され、その結果、
図1Aおよび4Bに示されるように、側面から見た場合、本発明によるハンドル1は、真っ直ぐな展開を有さない、すなわち、単一の主の展開軸に整列していない。
【0057】
特に、第1の凸角αは、近位部分10と遠位部分20との間の傾斜値を規定し、第2の角度βは、ハンドル1をラスプ50と接続する接続軸Zと軸A3との間の傾斜を規定する。
【0058】
添付の図に示されているように、「第1の角度α」という用語は、したがって、近位部分10と遠位部分20との間に配置された凸角を指し、「第2の角度β」という用語は、ハンドル1の遠位部分20に対して第1の角度αと反対の凸角を指す。言い換えれば、2つの角度α、βは、ハンドル1のボリュームに関して互いに反対である。
【0059】
図1Aおよび4Bを参照すると、第1の角度αは、好ましくは、90°から180°の範囲の値を有し、さらにより好ましくは、135°に等しい。
【0060】
図1Aおよび4Bを参照すると、第2の角度βは、好ましくは、125°から165°の範囲の値を有し、さらにより好ましくは、150°に等しい。
【0061】
角度αおよびβによって規定される2つの凸状の存在は、有利には、患者の腹部に干渉しないように便利に設計されたハンドル1を創出することを可能にし、同時に、切断された大腿骨Fの頭部の内部に、それをそのシートから抽出する必要なしに、ラスプ50を挿入することを可能にする。
【0062】
図1A、1B、4A、4Bおよび4Cでは、k1、k2、k3は、軸A1と軸A2の交点、つまりハンドル1の近位部分10と遠位部分20の間の理想的な分離点に原点「O」を持つデカルト参照系を示す。特に、
図1Aおよび4Bを参照すると、デカルトターン(Cartesian tern)k1、k2、k3は、k1が軸A1と一致するように、そしてk3が用紙に垂直になるように方向付けられている。
【0063】
これに関して、
図1Bおよび4Cは、k2が用紙の外側の方向に向けられるように方向付けられた側面図であることに留意されたい。
【0064】
したがって、この参照系によれば、近位部分10は、負の方向、したがって方向-k1に向けられた方向k1に沿って主に延在する。
【0065】
第1の角度αおよび第2の角度βは好ましくは、ハンドル自体に対して、または特に、ハンドルの遠位部分20に対して反対方向に向けられたそれぞれの凸状を有する。
【0066】
有利には、正反対の凸状により、遠位部分20が患者の体から離れるように延びて、腹部ゾーンの寸法が減少したハンドル1であって、衝突(percussions)(例えば、ハンマーブロー)をラスプ50に正しく伝達することを可能にするように、近位部分10が患者の体に対して傾斜を有するハンドル1を創出することが可能になる。
【0067】
実際、ハンドル1は、好ましくは、第1の部分11に配置され且つ衝撃要素、例えばハンマーによって打たれるように構成された当接ヘッド3を備え、そのために、大腿骨Fに対するハンドル1の近位部分10の傾斜は、外科医にとって特に人間工学的であり、当接ヘッド3に与えられた打撃を受けて、大腿骨F内のラスプ50の効果的な前進を可能にする。
【0068】
第1の軸A1および第2の軸A2および/または第3の軸A3が横方向であるという事実は、有利には、遠位部分20および近位部分10に対して2つの異なる傾斜があるハンドル1を創出することを可能にする。したがって、2つの凸状が互いに反対であるという事実により、実用的且つ人間工学的に使用できるハンドル1を創出することが可能である。
【0069】
図1A、1B、および2に示されるハンドル1の第1の実施形態を参照すると、第2の軸A2および第3の軸A3は、好ましくは一致し、その結果、遠位部分20は、軸A2、A3と一致する単一の主の展開方向に沿って、ハンドル1の第3の部分21とハンドルの第6の部分24との間に延びる。
【0070】
第1の実施形態によれば、第1の角度αおよび第2の角度βは、好ましくは、第2の軸A2および第3の軸A3によって規定される正反対の半平面に向けられたそれぞれの凸状を有する。
【0071】
特に、
図1Aおよび1Bに示されるように、軸A1、A2、A3およびNは、同一の配置平面、さらにより好ましくは、ハンドル1の対称平面上にあり、その結果、第1の角度αと第2の角度βによって規定される2つの凸状は、軸A2、A3によって規定される正反対の半平面上にある(つまり、半平面に向けられている)。
【0072】
したがって、
図1Aおよび1Bに示されている3つのk1、k2、k3のグループを参照すると、
軸A1、A2、A3、Nは、k1、k2を通過する平面内にあり、その結果、
図1Bに見られるように、遠位部分20は、k3に沿った主の展開成分を有さない。したがって、ハンドル1のオフセットは、k1、k2を通過する平面と比較して何でもなく、
遠位部分20は、+k1、+k2の方向にk1、k2を通過する平面内に延びる。
【0073】
一方、
図4A、4Bおよび4Cに示されるハンドル1の第2の実施形態によれば、遠位部分20は、第2の軸A2および第3の軸A3に対して横方向である傾斜軸Sに沿って、ハンドル1の第4の部分22と第5の部分23との間に延びる傾斜部分25を備える。
【0074】
したがって、第4の部分22は、傾斜部分25によって第5の部分23に接続されている。
【0075】
言い換えれば、
図4Aを参照すると、第1の軸A1および第2の軸A2を通過する第1の平面P1は、第3の軸A3および法線軸Nを通過する第2の平面P2に対してオフセットされている、好ましくは平行にオフセットされている。言い換えれば、第1の平面P1と第2の平面P2との間に、方向k3に沿ってオフセットが存在する。
【0076】
したがって、
図4A、4Bおよび4Cに示されている3つのk1、k2、k3のグループを参照すると、
軸A1およびA2のみが、k1、k2を通過する平面P1内にあり、その結果、遠位部分20は、方向+k1、+k2にk1、k2を通過する平面内で部分的にのみ延びており、
傾斜部分25は、方向+k1、+k2、+k3に延在して、k1、k2を通過する平面に対してハンドル1のk3に沿ったオフセットを規定する。好ましくは、さらに、第1の角度αおよび第2の角度βは、ハンドル自体に対して、特に、第2の軸A2、第3の軸A3および傾斜軸Sが存在する平面に対して、反対方向に向けられたそれぞれの凸状を有する。
【0077】
有利なことに、
図4Aおよび4Bに示されるタイプの傾斜部分25を備えたハンドル1を使用して、大腿骨Fの骨髄管にラスプ50を挿入することにより、ラスプ50を挿入する前に必要である、大腿骨Fの余分な回転を低減することが可能になる。実際、傾斜の特質により、遠位部分20が患者の寛骨臼ゾーンに干渉することなく、大腿管にアクセスするためのアクセスゾーンに、より容易に到達することが可能になる。
【0078】
特に骨粗しょう症の患者では、患者の脚が強い余分な回転を受けると、大腿骨Fの骨折のリスクが非常に高くなる。
【0079】
通常、外科医は実際には、患者の足を掴んで当該足を床に向かって回転させて、ラスプ50を挿入するために大腿管にアクセスするためのアクセスゾーンを露出させるために必要な大腿骨Fの回転を得る。
【0080】
大腿骨Fは、いずれにせよ、膝関節での運動学的損失のために足の回転に正確に追従せず、その結果、例えば、大腿骨Fの大転子のレベルで90°の回転を得るには、90°を大幅に超える回転角で患者の足を回転させる必要がある。骨粗しょう症の患者は、しばしばこの回転に耐えられず、いずれにせよ、その結果、傾斜部分のないラスプ用のハンドルを使用して手術が行われる場合、得ることができる回転は必要に満たない。その結果、大腿管のアクセスゾーンは外科医にあまりさらされず、ラスプ50で到達するのが困難になる。対照的に、本発明が関係する傾斜部分25を備えたハンドル1のおかげで、傾斜部分25の存在は、患者の解剖学的構造、特に骨盤骨に干渉しないように遠位部分20の展開を部分的に逸脱することを可能にするので、実用的且つ効果的な態様で大腿管のアクセスゾーンに到達することが可能である。
【0081】
添付の図を参照すると、第6の部分24は、好ましくは、遠位部分20の展開部分26を規定する法線軸Nに沿って延びる。したがって、この場合、接続面2は、展開部分26の自由端に配置される。
【0082】
図2に見られるように、接続面2は、好ましくは、さらに、ラスプ50と結合するように構成された少なくとも1つの相互結合要素4を有し、さらにより好ましくは、相互結合要素4は、法線軸Nに平行な主の展開方向に沿って延びるピンである。
【0083】
特に、ピン4は、ラスプ50の結合シート51への挿入に適している。
【0084】
図2を参照すると、本発明によれば、ハンドル1は、好ましくは、
-ラスプ50に結合および分離するように構成された連結要素5と、
-連結要素5に接続されたレバー機構6であって、ハンドル1のキャビティ7の内部に配置され且つ結合位置と分離位置との間で法線軸Nに平行な結合方向に沿って接続面2を介して連結要素5を移動させるように構成されたレバー機構6と、を備える。
【0085】
言い換えれば、外科医は、レバー機構6を作動させることによって、連結要素5、例えばピンを接続面2から離れるように動かすことができ、これにより、これは、ラスプ50の結合シート52の内部に挿入され、結合シート52は、それを受け取り且つ結合位置でそれを内部に保持するのに適している。
【0086】
外科医は、レバー機構6を作動させることによって、ラスプ50を分離するために、例えばそれをより大きなサイズに交換するために、連結要素5を接続面2を介して引き抜くことにより、連結要素5を結合シート52から取り外して解放することができる。
【0087】
添付の図を参照すると、ハンドル1は、好ましくは、さらに、第2の部分12および第3の部分21にまたがるように配置され且つユーザによって把持されるように、および/または図示されていない衝撃要素によって打たれるように構成された把持および/または当接要素8を備える。
【0088】
把持および/または当接要素8は、好ましくは、突出したくさびの形状を有する。
【0089】
把持および/または当接要素8は、有利には、外科医が、ラスプ50に接続されたハンドル1の使用中に、大腿管C内にラスプ50を挿入/大腿管Cからラスプ50を取り出すためにハンドル1を快適に把持して、ハンドル1をハンマーで叩いて、ラスプが取り付けられている場合に管Cからのラスプの引き抜きを容易にすることを可能にする。
【0090】
図2を参照すると、本発明の追加の態様によれば、大腿管を準備するためのキットがまた、提供され、当該キットは、
-本発明が関連するハンドル1と、
-少なくとも1つのラスプ50であって、大腿管Cの準備のために大腿骨F内への当該ラスプ50の挿入軸Yと一致する主の展開軸Xに沿って延び、接続軸Zに沿って接続面2でハンドル1に可逆的に接続可能であるラスプ50と、を備える。
【0091】
特に、キットは、好ましくは、患者の大腿骨Fの寸法に適した寸法のプロテーゼのステムを受け入れるように大腿管を適合させるべく大腿管Cを準備するために大腿管をラスピングすることができるように、異なるサイズの複数のラスプ50を備える。
【0092】
また、本発明の一部は、
-本発明によるハンドル1と、
-ラスプ50であって、好ましくは、上記のタイプのラスプ50と、を備えるデバイス100であって、
ラスプの凸状傾斜角γが、ラスプ50の主の展開軸Xとハンドルの第3の軸A3との間に規定される、デバイス100である。
【0093】
言い換えれば、ラスプの凸状傾斜角γは、(第5の部分23と第6の部分24との間に延びる)遠位部分20の端部ゾーンの主の展開方向とラスプ50の主の展開方向との間の角度を規定する。
【0094】
特に、
図1A-3に示されるデバイス100の第1の実施形態では、ラスプの凸状傾斜角γは、遠位部分20の主の展開方向、すなわち軸A2、A3と、ラスプ50の主の展開方向Xとの間の角度を規定する。
【0095】
特に、ラスプの傾斜角γおよび第2の角度βは両方とも、遠位部分20を通過する。
【0096】
さらに、第1の角度αおよびラスプの傾斜角γは、好ましくは、ハンドル1自体に対して、またはハンドルの遠位部分20に対して、反対方向に向けられたそれぞれの凸状を有する。
【0097】
有利なことに、二重の凸状は、患者の腹部に干渉することなく、大腿骨Fに容易且つ効率的に挿入することができるデバイス100を創出することを可能にする。
【0098】
ラスプの傾斜角γは、好ましくは90°から135°の範囲の値を有し、さらにより好ましくは105°に等しい。
【0099】
第1の実施形態によれば、第1の軸A1、第2の軸A2、第3の軸A3、法線軸Nおよびラスプの主の展開軸Xは、好ましくは、デバイス100の同一の配置平面上にある。
【0100】
近位部分の凸状傾斜角δは、0°から45°の範囲の値であり、さらにより好ましくは30°に等しく、好ましくは、ラスプの主の展開軸Xとハンドルの第1の軸A1との間に規定される。
【0101】
有利なことに、近位部分の傾斜角δの値(
図1A)は、外科医がデバイス100を使用するときに適切な人間工学を保証することを可能にする。
【0102】
当接ヘッド3は、好ましくは、本質的に平面の当接表面3aを有し、その結果、凸状当接角ε(
図1A)は、当接表面3aの法線と主の展開軸Xとの間に規定され、当該角度は、0°から50°の範囲の値を有し、好ましくは45°に等しい。
【0103】
法線軸Nと当接表面3aの法線は、好ましくは平行である。
【0104】
当接表面3aは、好ましくはわずかに球形であり(すなわち、それは無限になる傾向がある曲率半径を有する)、したがって、外科医は、ラスプ50を挿入するときに球状カップの中央部分を打つ可能性が高く、力を分散させることなく、最適な打撃をラスプに伝達する。
【0105】
有利なことに、当接角εの値は、ハンドル1に加えられた推力がラスプ50に適切に伝達されることを確実にすることを可能にする。
【0106】
外科用デバイス100は、好ましくは、堅いシステムであり、その結果、近位部分10、遠位部分20およびラスプ50は、互いに対して移動することができず、上記の角度は変更され得ない。
【0107】
添付の図を参照すると、ハンドル1の遠位部分20とハンドル1の近位部分10は、好ましくは互いに接合されており、遠位部分20は、ラスプ50に接合され、その結果、外科用デバイス100は、二重の湾曲部を有する。
【0108】
また、本発明の一部は、添付の図には示されていないデバイス100であり、当該デバイス100では、ハンドル1およびラスプ50は単一の部品でできている。
【0109】
ハンドル1および/またはデバイス100および/または本発明が関連するキットを使用して、記載された2つの実施形態に従って大腿管を準備するための手術方法は、したがって、
-寛骨臼ゾーンと大腿骨頭のゾーンが見えるように、前面で患者の足を切断して軟組織を分離するステップと、
-大腿骨頸を切断して患者の体から大腿骨頭を取り外すステップと、
-寛骨臼補綴カップのために寛骨臼カップを準備するべく寛骨臼カップを削る(milling)ステップと、
-寛骨臼補綴カップを配置するステップと、
-患者の脚を過度に伸ばし、患者の脚を外側に回転させるステップと、
-ラスプ50を挿入して、最終的な補綴ステムを挿入するために必要なサイズが得られるまで、大腿骨髄管をラスピングするステップと、
-最終的な補綴ステムを挿入するステップと、を含む。
【0110】
最後に、補綴ヘッドは最終的なステムに挿入され、ヘッドは寛骨臼カップの内側に係合され、脚を再び回転させてその自然な位置に戻す。
【0111】
これらの手順には、大腿骨解放、つまり、大腿骨をその自然なシートから取り外し、大腿骨の上部を創傷に向かって移動させることは含まれない。
【0112】
本発明は、提案された目的を達成し、従来技術で訴えられた欠点を克服し、患者の生理学的必要性に適応するように適切に設計することができるラスプ50用の用途の広いハンドル1を提供する。本発明はまた、大腿管Cを準備するための外科用デバイス100を提供し、これは、患者への外傷および脱臼を回避することによって、侵襲性および手術時間を低減する。
【0113】
特に、デバイス100は、大腿管へのアクセス領域を摘出することを回避することを可能にし、より安全に動作する。
【国際調査報告】