(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ビーム照射システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20230111BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20230111BHJP
H01J 37/16 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61N5/10 D
G05B19/042
A61N5/10 H
H01J37/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526231
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 CN2020125767
(87)【国際公開番号】W WO2021088746
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】201911083860.5
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417207
【氏名又は名称】中硼(厦▲門▼)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Therapy System Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2060 Wengjiao West Road, Haicang District Xiamen, Fujian Provance, 361026 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】黄永▲銀▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲韋▼霖
【テーマコード(参考)】
4C082
5C101
5H220
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC07
4C082AE01
4C082AG03
4C082AP11
4C082AT03
5C101AA39
5C101BB05
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5C101GG20
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5C101KK04
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5H220CX01
5H220HH03
5H220JJ02
5H220JJ12
5H220JJ26
(57)【要約】
本発明は、ビーム照射システム及びその制御方法を提供する。該ビーム照射システムは、第1の照射室及び第2の照射室と、ビームを生成し、第1の照射室又は第2の照射室にビームを射出するビーム生成装置と、第1の照射室に対応し、ビーム生成装置が第1の照射室にビームを射出するように制御することができる第1のサブ制御モジュール、及び第2の照射室に対応し、ビーム生成装置が第2の照射室にビームを射出するように制御することができる第2のサブ制御モジュールを含むシステム制御モジュールと、ビーム生成装置とシステム制御モジュールとの間に接続されたビーム制御モジュールであって、第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールのうちの一方は、ビーム制御モジュールが第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールのうちの他方で占用されない場合にビーム制御モジュールによりビーム生成装置を制御することができるビーム制御モジュールとを含み、同一のビーム照射システムがそれぞれ複数の照射室を制御することが実現される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の照射室及び第2の照射室と、
ビームを生成し、前記第1の照射室又は前記第2の照射室にビームを射出するビーム生成装置と、
前記第1の照射室に対応し、前記ビーム生成装置が前記第1の照射室にビームを射出するように制御することができる第1のサブ制御モジュール、及び前記第2の照射室に対応し、前記ビーム生成装置が前記第2の照射室にビームを射出するように制御することができる第2のサブ制御モジュールを含むシステム制御モジュールと、
前記ビーム生成装置と前記システム制御モジュールとの間に接続されたビーム制御モジュールであって、前記第1のサブ制御モジュールと前記第2のサブ制御モジュールのうちの一方は、前記ビーム制御モジュールが前記第1のサブ制御モジュールと前記第2のサブ制御モジュールのうちの他方で占用されない場合に前記ビーム制御モジュールにより前記ビーム生成装置を制御することができるビーム制御モジュールとを含む、ことを特徴とするビーム照射システム。
【請求項2】
前記ビーム制御モジュールは、前記ビーム生成装置のデータを取得し、前記システム制御モジュールとデータ交換を行うことができ、前記ビーム生成装置は、前記システム制御モジュールに接続され、データ交換を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のビーム照射システム。
【請求項3】
前記第1の照射室及び前記第2の照射室内に被照射体支持アセンブリ及び照射放射監視アセンブリが設置され、前記システム制御モジュールは、前記被照射体支持アセンブリ及び前記照射放射監視アセンブリのデータを受信し、前記被照射体支持アセンブリの運動を制御することができる、ことを特徴とする請求項1に記載のビーム照射システム。
【請求項4】
前記システム制御モジュールは、データ連携共有モジュールを更に含み、前記第1のサブ制御モジュール及び前記第2のサブ制御モジュールは、それぞれ前記データ連携共有モジュールに接続され、データ交換を行い、更に、前記第1の照射室及び前記第2の照射室の照射データをそれぞれ記憶し、前記データ連携共有モジュールは、前記第1のサブ制御モジュールと前記第2のサブ制御モジュールとの間に前記第1の照射室及び前記第2の照射室の照射データを共有する、ことを特徴とする請求項1に記載のビーム照射システム。
【請求項5】
前記ビーム制御モジュールは、前記データ連携共有モジュールにより前記システム制御モジュールに接続され、前記データ連携共有モジュールとデータ交換を行い、前記第1の照射室及び前記第2の照射室は、前記データ連携共有モジュールに接続され、データ交換を行い、前記第1のサブ制御モジュール及び前記第2のサブ制御モジュールは、前記データ連携共有モジュールにより前記ビーム制御モジュール、前記第1の照射室及び前記第2の照射室を制御する、ことを特徴とする請求項4に記載のビーム照射システム。
【請求項6】
前記ビーム生成装置は、荷電粒子生成部、ビーム輸送部、第1の中性子ビーム生成部及び第2の中性子ビーム生成部を含み、前記ビーム制御モジュールは、前記荷電粒子生成部が荷電粒子を生成するように制御するとともに、前記ビーム輸送部が前記荷電粒子生成部で生成された荷電粒子を前記第1の中性子ビーム生成部又は前記第2の中性子ビーム生成部に選択的に輸送するように制御することができ、前記第1の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、前記第1の照射室に照射され、前記第2の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、前記第2の照射室に照射される、ことを特徴とする請求項1に記載のビーム照射システム。
【請求項7】
前記荷電粒子生成部は、加速器、加速器放射監視アセンブリ及び加速器補助機器を含み、前記ビーム制御モジュールは、前記加速器、前記加速器放射監視アセンブリ及び前記加速器補助機器のデータ情報を受信し、前記加速器が荷電粒子を生成するように制御することができる、ことを特徴とする請求項6に記載のビーム照射システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のビーム照射システムの制御方法であって、
第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射命令を受信するステップと、
ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にある場合、前記第1のサブ制御モジュールが前記第1の照射室照射命令に基づいて前記ビーム制御モジュールの制御権を取得して、前記ビーム制御モジュールによりビーム生成装置が前記第1の照射室にビームを射出するように制御するステップと、
前記ビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、前記第1のサブ制御モジュールが前記ビーム制御モジュールの制御権の解放を待つステップと、
前記第1のサブ制御モジュールが前記ユーザの入力した前記第1の照射室照射停止命令を受信するステップと、
前記第1のサブ制御モジュールが前記第1の照射室照射停止命令に基づいて前記ビーム制御モジュールの制御権を解放するステップとを含む、ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した前記第1の照射室照射命令を受信する前、又は前記ビーム制御モジュールの制御権が前記第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、
前記第1のサブ制御モジュールが前記ユーザの入力した第1の照射室準備命令を受信するステップと、
前記第1のサブ制御モジュールが前記第1の照射室準備命令に基づいて前記第1の照射室が照射前の準備作業を完了するように制御するステップとを更に含む、ことを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記システム制御モジュールは、前記第1のサブ制御モジュール及び前記第2のサブ制御モジュールに接続されたデータ連携共有モジュールを更に含み、前記第1のサブ制御モジュール及び前記第2のサブ制御モジュールは、それぞれ前記データ連携共有モジュールにより前記ビーム制御モジュールに接続され、前記制御方法は、
前記第1のサブ制御モジュールが、前記データ連携共有モジュールが前記ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあるか占用されている状態にあるかを判断した判断結果を受信するステップと、
前記第1のサブ制御モジュールが前記判断結果に基づいて前記ビーム制御モジュールの制御権を取得するか否かを決定するステップとを更に含む、ことを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項11】
第1の照射室及び第2の照射室と、
ビームを生成し、前記第1の照射室又は前記第2の照射室にビームを射出するビーム生成装置と、
前記第1の照射室に対応し、前記ビーム生成装置が前記第1の照射室にビームを射出するように制御することができ、前記第1の照射室の照射データを記憶する第1のサブ制御モジュール、前記第2の照射室に対応し、前記ビーム生成装置が前記第2の照射室にビームを放射するように制御することができ、前記第2の照射室の照射データを記憶する第2のサブ制御モジュール、及び前記第1のサブ制御モジュールと前記第2のサブ制御モジュールとの間に前記第1の照射室及び前記第2の照射室の照射データを共有するデータ連携共有モジュールを含むシステム制御モジュールとを含む、ことを特徴とするビーム照射システム。
【請求項12】
前記ビーム生成装置と前記システム制御モジュールとの間に接続されたビーム制御モジュールを更に含み、前記第1のサブ制御モジュールと前記第2のサブ制御モジュールのうちの一方は、前記ビーム制御モジュールが前記第1のサブ制御モジュールと前記第2のサブ制御モジュールのうちの他方で占用されない場合に前記ビーム制御モジュールにより前記ビーム生成装置を制御することができる、ことを特徴とする請求項11に記載のビーム照射システム。
【請求項13】
前記ビーム生成装置は、前記システム制御モジュールに接続され、データ交換を行い、前記ビーム制御モジュールは、前記ビーム生成装置のデータを取得し、前記データ連携共有モジュールにより前記システム制御モジュールに接続され、前記データ連携共有モジュールとデータ交換を行い、前記第1の照射室、前記第2の照射室、前記第1のサブ制御モジュール及び前記第2のサブ制御モジュールは、それぞれ前記データ連携共有モジュールに接続され、データ交換を行い、前記第1のサブ制御モジュール及び前記第2のサブ制御モジュールは、前記データ連携共有モジュールにより前記ビーム制御モジュール、前記第1の照射室及び前記第2の照射室を制御する、ことを特徴とする請求項11に記載のビーム照射システム。
【請求項14】
前記第1の照射室及び前記第2の照射室内に被照射体支持アセンブリ及び照射放射監視アセンブリが設置され、前記システム制御モジュールは、前記被照射体支持アセンブリ及び前記照射放射監視アセンブリのデータを受信し、前記被照射体支持アセンブリの運動を制御することができる、ことを特徴とする請求項11に記載のビーム照射システム。
【請求項15】
前記ビーム生成装置は、荷電粒子生成部、ビーム輸送部、第1の中性子ビーム生成部及び第2の中性子ビーム生成部を含み、前記ビーム制御モジュールは、前記荷電粒子生成部が荷電粒子を生成するように制御するとともに、前記ビーム輸送部が前記荷電粒子生成部で生成された荷電粒子を前記第1の中性子ビーム生成部又は前記第2の中性子ビーム生成部に選択的に輸送するように制御することができ、前記第1の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、前記第1の照射室に照射され、前記第2の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、前記第2の照射室に照射され、前記荷電粒子生成部は、加速器、加速器放射監視アセンブリ及び加速器補助機器を含み、前記ビーム制御モジュールは、前記加速器、前記加速器放射監視アセンブリ及び前記加速器補助機器のデータ情報を受信し、前記加速器が荷電粒子を生成するように制御することができる、ことを特徴とする請求項11に記載のビーム照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーム照射の技術分野に関し、具体的には、ビーム照射システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビーム照射システムの多くは、同一の制御モジュールを利用して単一又は複数の照射室を制御するものであり、このようなビーム照射システムは、簡単で操作しやすいため、ビーム照射の技術分野に広く応用される。
【0003】
しかしながら、このようなビーム照射システムの制御モジュールのハードウェア及びソフトウェアが単一であり、制御モジュールが点検状態にあるか又はソフトウェアやハードウェアが故障する場合に照射室に照射することができいため、ビーム照射システムを十分に利用することができない。
【発明の概要】
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本発明の実施例は、ビーム照射システム及びその制御方法を提供することにより、同一のビーム照射システムにおける複数のサブ制御モジュールがそれぞれ複数の照射室を制御することを実現し、単一の制御モジュールが点検状態にあるか又はソフトウェアやハードウェアが故障する場合に照射することができないことを回避する。
【0005】
本発明の実施例の第1の態様において、本発明の実施例に係るビーム照射システムは、第1の照射室及び第2の照射室と、ビームを生成し、第1の照射室又は第2の照射室にビームを射出するビーム生成装置と、第1の照射室に対応し、ビーム生成装置が第1の照射室にビームを射出するように制御することができる第1のサブ制御モジュール、及び第2の照射室に対応し、ビーム生成装置が第2の照射室にビームを射出するように制御することができる第2のサブ制御モジュールを含むシステム制御モジュールと、ビーム生成装置とシステム制御モジュールとの間に接続されたビーム制御モジュールであって、第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールのうちの一方は、ビーム制御モジュールが第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールのうちの他方で占用されない場合にビーム制御モジュールによりビーム生成装置を制御することができるビーム制御モジュールとを含む。
【0006】
本発明の一実施例において、ビーム制御モジュールは、ビーム生成装置のデータを取得し、システム制御モジュールとデータ交換を行うことができ、ビーム生成装置は、システム制御モジュールに接続され、データ交換を行う。
【0007】
本発明の一実施例において、第1の照射室及び第2の照射室内に被照射体支持アセンブリ及び照射放射監視アセンブリが設置され、システム制御モジュールは、被照射体支持アセンブリ及び照射放射監視アセンブリのデータを受信し、被照射体支持アセンブリの運動を制御することができる。
【0008】
本発明の一実施例において、システム制御モジュールは、データ連携共有モジュールを更に含み、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、それぞれデータ連携共有モジュールに接続され、データ交換を行い、更に、第1の照射室及び第2の照射室の照射データをそれぞれ記憶し、データ連携共有モジュールは、第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールとの間に第1の照射室及び第2の照射室の照射データを共有する。
【0009】
本発明の一実施例において、ビーム制御モジュールは、データ連携共有モジュールによりシステム制御モジュールに接続され、データ連携共有モジュールとデータ交換を行い、第1の照射室及び第2の照射室は、データ連携共有モジュールに接続され、データ交換を行い、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、データ連携共有モジュールによりビーム制御モジュール、第1の照射室及び第2の照射室を制御する。
【0010】
本発明の一実施例において、ビーム生成装置は、荷電粒子生成部、ビーム輸送部、第1の中性子ビーム生成部中性子ビーム生成部及び第2の中性子ビーム生成部を含み、ビーム制御モジュールは、荷電粒子生成部が荷電粒子を生成するように制御するとともに、ビーム輸送部が荷電粒子生成部で生成された荷電粒子を第1の中性子ビーム生成部又は第2の中性子ビーム生成部に選択的に輸送するように制御することができ、第1の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、第1の照射室に照射され、第2の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、第2の照射室に照射される。
【0011】
本発明の一実施例において、荷電粒子生成部は、加速器、加速器放射監視アセンブリ及び加速器補助機器を含み、ビーム制御モジュールは、加速器、加速器放射監視アセンブリ及び加速器補助機器のデータ情報を受信し、加速器が荷電粒子を生成するように制御することができる。
【0012】
本発明の実施例の第2の態様において、本発明の実施例に係るビーム照射システムの制御方法は、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射命令を受信するステップと、ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にある場合、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室照射命令に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得して、ビーム制御モジュールによりビーム生成装置が第1の照射室にビームを射出するように制御するステップと、ビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、第1のサブ制御モジュールがビーム制御モジュールの制御権の解放を待つステップと、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射停止命令を受信するステップと、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室照射停止命令に基づいてビーム制御モジュールの制御権を解放するステップとを含む。
【0013】
本発明の一実施例において、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射命令を受信する前、又はビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、上記制御方法は、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室準備命令を受信するステップと、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室準備命令に基づいて第1の照射室が照射前の準備作業を完了するように制御するステップとを更に含む。
【0014】
本発明の一実施例において、システム制御モジュールは、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールに接続されたデータ連携共有モジュールを更に含み、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、それぞれデータ連携共有モジュールによりビーム制御モジュールに接続され、上記制御方法は、第1のサブ制御モジュールが、データ連携共有モジュールがビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあるか占用されている状態にあるかを判断した判断結果を受信するステップと、第1のサブ制御モジュールが判断結果に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得するか否かを決定するステップとを更に含む。
【0015】
本発明の実施例の第3の態様において、本発明の実施例に係るビーム照射システムは、第1の照射室及び第2の照射室と、ビームを生成し、第1の照射室又は第2の照射室にビームを射出するビーム生成装置と、第1の照射室に対応し、ビーム生成装置が第1の照射室にビームを射出するように制御することができ、第1の照射室の照射データを記憶する第1のサブ制御モジュール、第2の照射室に対応し、ビーム生成装置が第2の照射室にビームを放射するように制御することができ、第2の照射室の照射データを記憶する第2のサブ制御モジュール、及び第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールとの間に第1の照射室及び第2の照射室の照射データを共有するデータ連携共有モジュールを含むシステム制御モジュールとを含む。
【0016】
本発明の一実施例において、ビーム照射システムは、ビーム生成装置とシステム制御モジュールとの間に接続されたビーム制御モジュールを更に含み、第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールのうちの一方は、ビーム制御モジュールが第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールのうちの他方で占用されない場合にビーム制御モジュールによりビーム生成装置を制御することができる。
【0017】
本発明の一実施例において、ビーム生成装置は、システム制御モジュールに接続され、データ交換を行い、ビーム制御モジュールは、ビーム生成装置のデータを取得し、データ連携共有モジュールによりシステム制御モジュールに接続され、データ連携共有モジュールとデータ交換を行い、第1の照射室、第2の照射室、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、それぞれデータ連携共有モジュールに接続され、データ交換を行い、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、データ連携共有モジュールによりビーム制御モジュール、第1の照射室及び第2の照射室を制御する。
【0018】
本発明の一実施例において、第1の照射室及び第2の照射室内に被照射体支持アセンブリ及び照射放射監視アセンブリが設置され、システム制御モジュールは、被照射体支持アセンブリ及び照射放射監視アセンブリのデータを受信し、被照射体支持アセンブリの運動を制御することができる。
【0019】
本発明の一実施例において、ビーム生成装置は、荷電粒子生成部、ビーム輸送部、第1の中性子ビーム生成部及び第2の中性子ビーム生成部を含み、ビーム制御モジュールは、荷電粒子生成部が荷電粒子を生成するように制御するとともに、ビーム輸送部が荷電粒子生成部で生成された荷電粒子を第1の中性子ビーム生成部又は第2の中性子ビーム生成部に選択的に輸送するように制御することができ、第1の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、第1の照射室に照射され、第2の中性子ビーム生成部で生成された中性子ビームは、第2の照射室に照射され、荷電粒子生成部は、加速器、加速器放射監視アセンブリ及び加速器補助機器を含み、ビーム制御モジュールは、加速器、加速器放射監視アセンブリ及び加速器補助機器のデータ情報を受信し、加速器が荷電粒子を生成するように制御することができる。
【0020】
本発明の実施例に係る技術的解決手段によれば、システム制御モジュールに第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールを設置し、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールがそれぞれ第1の照射室及び第2の照射室を対応して制御し、そして複数のサブ制御モジュールのうちのいずれか1つのサブ制御モジュールが、ビーム生成装置が対応する照射室にビームを射出するように制御することにより、同一のビーム照射システムにおける複数のサブ制御モジュールがそれぞれ複数の照射室を制御することを実現し、単一の制御モジュールが点検状態にあるか又はソフトウェアやハードウェアが故障する場合に照射することができないことを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例に係るビーム照射システムのモジュール概略図である。
【
図2】本発明の他の実施例に係るビーム照射システムのモジュール概略図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るビーム照射システムの機器配置概略図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るビーム照射システムの制御方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の他の実施例に係るビーム照射システムの制御方法のフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施例に係るビーム照射システムの制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例において使用する必要のある図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全的に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。
【0023】
なお、本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を行わない前提で得られる全ての関連実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0024】
本発明の実施例は、ビーム照射システム及びその制御方法を提供し、以下にそれぞれ詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施例に係るビーム照射システムのモジュール概略図である。
図1に示すように、ビーム照射システム100は、第1の照射室110、第2の照射室120、ビーム生成装置130、システム制御モジュール140及びビーム制御モジュール150を含む。
【0026】
ビーム生成装置130は、ビームを生成し、第1の照射室110又は第2の照射室120にビームを射出する。システム制御モジュール140は、第1の照射室110に対応し、ビーム生成装置130が第1の照射室110にビームを射出するように制御することができる第1のサブ制御モジュール141、及び第2の照射室120に対応し、ビーム生成装置130が第2の照射室120にビームを射出するように制御することができる第2のサブ制御モジュール142を含む。ビーム制御モジュール150は、ビーム生成装置130とシステム制御モジュール140との間に接続され、第1のサブ制御モジュール141と第2のサブ制御モジュール142のうちの一方は、ビーム制御モジュール150が第1のサブ制御モジュール141と第2のサブ制御モジュール142のうちの他方で占用されない場合にビーム制御モジュール150によりビーム生成装置130を制御することができる。
【0027】
本発明の実施例に係る技術的解決手段によれば、システム制御モジュールに第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールを設置し、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールがそれぞれ第1の照射室及び第2の照射室を対応して制御し、そして複数のサブ制御モジュールのうちのいずれか1つのサブ制御モジュールが、ビーム制御モジュールによりビーム生成装置が対応する照射室にビームを射出するように制御することにより、システム制御モジュールにおける第1のサブ制御モジュールが第1の照射室を制御するとともに、第2のサブ制御モジュールが第2の照射室を制御することとを実現し、第1のサブ制御モジュールが点検状態にあるか又はソフトウェアやハードウェアが故障するため、照射することができない場合、第2のサブ制御モジュールを用いて第2の照射室を制御することができ、更に単一の制御モジュールが点検状態にあるか又はソフトウェアやハードウェアが故障する場合に照射することができなくなり、正常な作業進捗に影響を与えることを回避する。また、サブ制御モジュールが照射室と一対一に対応して設置されて誤操作を回避し、いずれかのサブ制御モジュールが、対応する照射室に対する制御のみを実行することができ、いずれの場合も他の照射室に対する制御を実行することができないため、照射を必要としない照射室にビームを意図せずに射出することを回避し、システムの動作の安全信頼性を向上させ、理解できるように、各サブ制御モジュールは、同時に他の照射室に対する制御を実行することもできる。また、複数のサブ制御モジュール、例えば、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールが1つのビーム制御モジュール及びビーム生成装置を共用することにより、ビーム照射システムのコストを低減する。
【0028】
理解すべきものとして、「第1の」、「第2の」などは互いに区別するためだけであり、固定の順序を有することを限定するものではなく、固定の数を有することを限定するものではなく、本発明の実施例は、照射室及びサブ制御モジュールの数を具体的に限定しない。第1のサブ制御モジュールは、第1の照射室を直接的又は間接的に制御して準備作業及び正常作業時の調整作業等などを行うことができ、本発明の実施例は、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室を制御する方式及び具体的な制御内容を具体的に限定しない。第2のサブ制御モジュールは、第1のサブ制御モジュールの作用と類似し、ここでは説明を省略する。システム制御モジュールにおける第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、制御ソフトウェアと制御プログラムを実行する媒体とを含んでもよく、ユーザ入力インタフェース及びフィードバック表示画面を含んでもよく、更にプロセッサモジュール、データ収集モジュール、ビーム生成装置又は照射室などの機器接続ポートなどを含んでもよく、本発明の実施例は、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールの実現形態を具体的に限定しない。
【0029】
本発明の一実施例において、ビーム制御モジュール150は、ビーム生成装置130のデータを取得し、システム制御モジュール140に接続され、データ交換を行うことができる。いくつかの実施例において、ビーム生成装置130は、ビームエネルギー、ビーム電流、水温、気圧、フラックス、ビーム輸送状態、ビーム生成開始の時刻、及びビーム終了の時刻などのデータをビーム制御モジュール150に送信することができ、ビーム制御モジュール150は、これらのデータをシステム制御モジュール140に伝送し、システム制御モジュール140における第1のサブ制御モジュール141は、ビーム生成装置130が第1の照射室110にビームを射出する時の様々なデータを記憶し、第2のサブ制御モジュール142は、ビーム生成装置130が第2の照射室120にビームを射出する時の様々なデータを記憶し、また、第1のサブ制御モジュール141は、ユーザの入力したデータ又はビーム生成装置の履歴データなどをビーム制御モジュール150に伝送して、ビーム生成装置130が第1の照射室110にビームを射出するように制御し、第2のサブ制御モジュール142は、ユーザの入力したデータ又はビーム生成装置の履歴データなどをビーム制御モジュール150に伝送して、ビーム生成装置130が第2の照射室120にビームを射出するように制御することにより、ビーム制御モジュール150とシステム制御モジュール140との間のデータ交換を実現する。ビーム生成装置130は、システム制御モジュール140に接続され、データ交換を行い、ビーム生成装置130の上記データをシステム制御モジュール140に直接的に伝送するか又はシステム制御モジュール140によりビーム生成装置を直接的に制御してもよい。理解すべきものとして、ビーム制御モジュール150とシステム制御モジュール140とは、互いに同様のデータを伝送してもよいし、異なるデータを伝送してもよく、本発明の実施例は、両者の間に伝送されたデータが同じであるか否かを具体的に限定しない。ビーム制御モジュール150とシステム制御モジュール140とのデータ交換の具体的な内容は、ビーム生成装置130の状態データであってもよく、ユーザが第1のサブ制御モジュール141又は第2のサブ制御モジュール142に送信した制御命令のデータであってもよく、本発明の実施例は、ビーム制御モジュール150とシステム制御モジュール140とのデータ交換の内容を具体的に限定しない。
【0030】
本発明の実施例において、ビーム制御モジュールを設置することによりビーム生成装置からデータを取得することができ、そしてビーム制御モジュールがシステム制御モジュールに接続されるため、ビーム制御モジュールとシステム制御モジュールとの間のデータ交換が実現される。
【0031】
図2は、本発明の他の実施例に係るビーム照射システムのモジュール概略図である。
図2に示される実施例は、
図1に示される実施例の一変形例である。具体的には、
図1に示される実施例との相違点は、以下のとおりである。
図2に示される実施例におけるビーム照射システム200は、データ連携共有モジュール210を更に含み、第1のサブ制御モジュール141及び第2のサブ制御モジュール142は、それぞれデータ連携共有モジュール210に接続され、データ交換を行い、更に、第1の照射室110及び第2の照射室120の照射データをそれぞれ記憶し、データ連携共有モジュール210は、第1のサブ制御モジュール141と第2のサブ制御モジュール142との間に第1の照射室110及び第2の照射室120の照射データを共有する。
【0032】
いくつかの実施例において、ビーム照射システム200は、データ連携共有モジュール210により第1の照射室110におけるビームエネルギー、ビーム電流、照射時間、環境放射値、遮蔽扉の開閉状態、ガンマ強度、中性子強度、温度、湿度、患者のデータ、及び治療ベッドの位置などの照射データを第1のサブ制御モジュール141から第2のサブ制御モジュール142に伝送することにより、第2のサブ制御モジュール142がより速く、より安全で、より正確に第2の照射室120の被照射体を治療し、照射効果を向上させることができる。
【0033】
理解すべきものとして、データ連携共有モジュール210の具体的な形態は、単純なハードウェアであってもよく、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせのような他の形態であってもよい。例えば、プロセッサモジュール、データ収集モジュール、ビーム生成装置又は照射室などの機器接続ポートなどは、データ連携共有モジュール210に集積され、収集又は受信されたデータを第1のサブ制御モジュール、第2のサブ制御モジュールに伝送し、データ交換を行い、各ハードウェアインタフェースがデータ連携共有モジュールに集積されるため、第1のサブ制御モジュール、第2のサブ制御モジュールにおいて繰り返して設置する必要がなく、そして第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールを任意の制御ソフトウェアの形態又は制御を実行する媒体の形態に設定することにより、ビーム照射システムのコストを効果的に低減することができる。理解できるように、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールにそれぞれハードウェアインタフェースを設置し、データ連携共有モジュールにハードウェアインタフェースを設置せずにデータ交換のみを行ってもよく、本発明の実施例は、データ連携共有モジュールの具体的な形態を具体的に限定しない。照射データは、ビームエネルギー、ビーム電流、ガンマ強度、中性子強度、温度、湿度、患者のデータ、及び治療ベッドの位置などのデータであってもよく、照射時間、環境放射値、及び遮蔽扉の開閉状態などのデータであってもよく、本発明の実施例は、照射データのタイプを具体的に限定しない。ビーム制御モジュール150は、第1のサブ制御モジュール141及び第2のサブ制御モジュール142に直接的に接続されてもよく、データ連携共有モジュール210により第1のサブ制御モジュール141及び第2のサブ制御モジュール142に間接的に接続されてもよく、本発明の実施例は、ビーム制御モジュール150と第1のサブ制御モジュール141及び第2のサブ制御モジュール142との間の接続形態を具体的に限定しない。
【0034】
本発明の実施例に係る技術的解決手段によれば、データ連携共有モジュールを設置することにより、第1のサブ制御モジュールと第2のサブ制御モジュールとの間にデータの共有及び状態のインターワークが実現され、データの十分な利用に役立ち、そして、あるサブ制御モジュール内のデータが復元されにくい場合、データ連携共有モジュールにより他のサブ制御モジュールから照会して呼び出し、データの紛失による深刻な結果をもたらさない。
【0035】
本発明の一実施例において、ビーム制御モジュール150は、データ連携共有モジュール210によりシステム制御モジュール140に接続され、データ連携共有モジュール210とデータ交換を行い、第1の照射室110及び第2の照射室120は、データ連携共有モジュール210に接続され、データ交換を行い、第1のサブ制御モジュール141及び第2のサブ制御モジュール142は、データ連携共有モジュール210によりビーム制御モジュール150、第1の照射室110及び第2の照射室120を制御する。
【0036】
本発明の実施例において、ビーム制御モジュールがデータ連携共有モジュールによりシステム制御モジュールに接続するように構成されるため、ビーム制御モジュールは、データ連携共有モジュールとデータ交換を行うことができることにより、ビーム制御モジュールに記憶されたビーム生成装置のデータをデータ連携共有モジュールに伝送することができ、データ連携共有モジュールもシステム制御モジュールにおける第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールにそれぞれ記憶された第1の照射室及び第2の照射室の照射データをビーム制御モジュールに伝送できることにより、単一の制御モジュールが故障するため、他の照射室を用いる必要がある場合に、様々なデータを改めて設定する必要があることを回避し、ビーム照射システムの使用者の作業効率を向上させやすく、そしてシステム制御モジュールにおける第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、データ連携共有モジュールによりビーム制御モジュール、第1の照射室及び第2の照射室を制御することができ、また、第1の照射室及び第2の照射室がデータ連携共有モジュールに接続され、データ交換を行うように構成されるため、第1の照射室と第2の照射室のデータ共有が実現され、第1の照射室と第2の照射室のデータを十分に利用しやすい。
【0037】
図3に示すように、本発明の一実施例において、ビーム生成装置130は、荷電粒子生成部131、ビーム輸送部132、第1の中性子ビーム生成部133及び第2の中性子ビーム生成部134を含み、ビーム制御モジュール150は、荷電粒子生成部131が荷電粒子を生成するように制御するとともに、ビーム輸送部132が荷電粒子生成部131で生成された荷電粒子を第1の中性子ビーム生成部133又は第2の中性子ビーム生成部134に選択的に輸送するように制御することができ、第1の中性子ビーム生成部133で生成された中性子ビームは、第1の照射室110に照射され、第2の中性子ビーム生成部134で生成された中性子ビームは、第2の照射室120に照射される。荷電粒子生成部131がビーム輸送部132に接続され、ビーム輸送部132がそれぞれ第1の中性子ビーム生成部133と第2の中性子ビーム生成部134に接続されることより、第1の中性子ビーム生成部133で生成された中性子ビームを第1の照射室110に照射するか又は第2の中性子ビーム生成部134で生成された中性子ビームを第2の照射室120に照射する。
【0038】
理解すべきものとして、ビーム生成装置130は、荷電粒子生成部131、ビーム輸送部132、第1の中性子ビーム生成部133及び第2の中性子ビーム生成部134を含むが、これらに限定されず、第1の中性子ビーム生成部133が第1の照射室110に対応し、第2の中性子ビーム生成部134が第2の照射室120に対応し、第3の照射室が存在する場合、更に第3の中性子ビーム生成部を増加させて第3の照射室に対応させてもよく、中性子ビーム生成部の数が照射室の数に対応し、本発明の実施例は、中性子ビーム生成部の数を具体的に限定しない。1つの荷電粒子生成部を設置して荷電粒子を各中性子ビーム生成部に輸送し、システムコストを効果的に低減することができ、理解できるように、ビーム生成装置が複数の荷電粒子生成部を含んでもよく、荷電粒子を各中性子ビーム生成部に輸送して、複数の照射室で同時に複数の中性子ビームを生成して照射することができる。
【0039】
本発明の実施例において、ビーム生成装置内に荷電粒子生成部、ビーム輸送部、第1の中性子ビーム生成部及び第2の中性子ビーム生成部を設置することにより、中性子ビームを生成して第1の照射室又は第2の照射室に正確に照射する。荷電粒子生成部と第1の中性子ビーム生成部又は第2の中性子ビーム生成部との間にビーム輸送部を設置することにより、ビーム輸送部は、ビーム制御モジュールの制御命令に基づいて該荷電粒子を第1の中性子ビーム生成部又は第2の中性子ビーム生成部に選択的に輸送できることにより、第1の中性子ビーム生成部又は第2の中性子ビーム生成部が荷電粒子で照射された後に中性子ビームを生成する。
【0040】
本発明の一実施例において、荷電粒子生成部131は、加速器1311、加速器放射監視アセンブリ1312及び加速器補助機器1313を含み、ビーム制御モジュール150は、加速器1311、加速器放射監視アセンブリ1312及び加速器補助機器1313のデータ情報を受信し、加速器1311が荷電粒子を生成するように制御することができる。
【0041】
理解すべきものとして、加速器補助機器1313は、加速器の運転の前提条件を提供する任意の補助機器を含んでもよく、本発明の実施例は、加速器補助機器1313のタイプを具体的に限定しない。加速器放射監視アセンブリ1312は、加速器1311又は加速器補助機器1313の動作を監視する任意のアセンブリを含んでもよく、本発明の実施例は、加速器放射監視アセンブリ1312のタイプを具体的に限定しない。
【0042】
本発明の実施例において、荷電粒子生成部内に加速器補助機器を設置することにより、加速器の正常な運転に前提条件を提供しやすく、加速器運転の効率及び正確性を向上させる。また、加速器放射監視アセンブリを設置することにより、加速器及び加速器補助機器に対する監視を実現し、人員の使用を減少させ、加速器補助機器の異常状況をタイムリーに発見しやすく、加速器の異常停止による損失を減少させ、加速器のメンテナンス時間及びメンテナンスコストを低減する。
【0043】
本発明の一実施例において、第1の照射室110及び第2の照射室120内に被照射体支持アセンブリ111、121及び照射放射監視アセンブリ112、122が設置され、システム制御モジュール140は、被照射体支持アセンブリ及び照射放射監視アセンブリのデータを受信し、被照射体支持アセンブリの運動を制御することができる。
【0044】
本発明の実施例において、第1の照射室及び第2の照射室内に被照射体支持アセンブリを設置することにより、第1の照射室又は第2の照射室内の被照射体を適切な位置に調整しやすく、被照射体を快適なリラックスした状態にすることができ、より良好な照射効果を達成しやすく、第1の照射室及び第2の照射室内に照射放射監視アセンブリを設置することにより、第1の照射室及び第2の照射室内の作業状態に対する監視を実現し、ユーザが第1の照射室及び第2の照射室内に出現する状況に基づいてタイムリーに調整することができ、作業効率を向上させる。
【0045】
図4は、本発明の一実施例に係るビーム照射システムの制御方法のフローチャートである。
図4に示すように、該ビーム照射システムの制御方法は、以下のステップS410~S450を含む。
【0046】
S410では、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射命令を受信する。
【0047】
いくつかの実施例において、ユーザは、ビーム照射システムの操作画面において第1の照射室に照射することを選択することができ、すなわち第1の照射室照射命令を生成する。他のいくつかの実施例において、ユーザがビーム照射システムの操作画面において直接的に入力した「第1の照射室に照射する」命令は、すなわち第1の照射室照射命令である。本発明の実施例は、第1の照射室照射命令の生成プロセスを具体的に限定しない。
【0048】
S420では、ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にある場合、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室照射命令に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得して、ビーム制御モジュールによりビーム生成装置が第1の照射室にビームを射出するように制御する。
【0049】
具体的には、第1のサブ制御モジュールは、第1の照射室照射命令を受信すると、ビーム制御モジュールの制御権の状態を照会し、ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあると照会する場合、ビーム制御モジュールの制御権を取得する命令をビーム制御モジュールに送信し、ビーム制御モジュールは、ビーム制御モジュールの制御権を取得する命令を受信すると、ビーム制御モジュールの制御権を第1のサブ制御モジュールに渡すことにより、第1のサブ制御モジュールは、ビーム制御モジュールによりビーム生成装置が第1の照射室にビームを射出するように制御する。
【0050】
S430では、ビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、第1のサブ制御モジュールがビーム制御モジュールの制御権の解放を待つ。
【0051】
具体的には、第1のサブ制御モジュールは、第1の照射室照射命令を受信すると、ビーム制御モジュールの制御権の状態を照会し、ビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にあると照会する場合、ビーム制御モジュールの制御権を一時的に取得することができず、一定の時間間隔でビーム制御モジュールの制御権の状態を照会してもよく、照会結果が、ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあることになる場合にビーム制御モジュールの制御権を取得することができる。
【0052】
S440では、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射停止命令を受信する。
【0053】
いくつかの実施例において、ユーザは、ビーム照射システムの操作画面において第1の照射室に対する照射を停止するオプションをクリックすることにより、第1の照射室照射停止命令を生成することができ、他のいくつかの実施例において、ユーザは、第1の照射室に対する照射を停止する命令、すなわち第1の照射室照射停止命令を直接的に入力してもよく、他のいくつかの実施例において、第1のサブ制御モジュールは、被照射体が目標位置からずれるか又は照射室の作業が完了したことを検出した場合に第1の照射室照射停止命令を自動的に生成してもよく、本発明の実施例は、第1の照射室照射停止命令の生成プロセスを具体的に限定しない。
【0054】
S450では、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室照射停止命令に基づいてビーム制御モジュールの制御権を解放する。
【0055】
具体的には、第1のサブ制御モジュールは、第1の照射室照射停止命令に基づいてビーム制御モジュールに対する制御を停止し、ビーム制御モジュールが作業を停止すれば、ビーム制御モジュールに対する制御権を完全に解放する。
【0056】
本発明の実施例に係る技術的解決手段によれば、複数のサブ制御モジュールのうちのいずれか1つのサブ制御モジュール、例えば、第1のサブ制御モジュール又は第2のサブ制御モジュールが、ビーム制御モジュールによりビーム生成装置が対応する照射室にビームを射出するように制御することにより、システム制御モジュールにおける第1のサブ制御モジュールが第1の照射室を制御するとともに、第2のサブ制御モジュールが第2の照射室を制御することを実現し、第1のサブ制御モジュールが点検状態にあるか又はソフトウェアやハードウェアが故障するため、照射することができない場合、第2のサブ制御モジュールを用いて第2の照射室を制御することができ、更に単一の制御モジュールが点検状態にあるか又はソフトウェアやハードウェアが故障する場合に照射することができなくなり、正常な作業進捗に影響を与えることを回避する。また、複数のサブ制御モジュール、例えば、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールが1つのビーム制御モジュールを共同に制御することにより、ビーム照射システムのコストを低減する。
【0057】
本発明の一実施例において、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射命令を受信する前、又はビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、上記制御方法は、ステップS460及びS470を更に含む。
【0058】
S460では、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室準備命令を受信する。
【0059】
いくつかの実施例において、ユーザは、ビーム照射システムの操作画面において第1の照射室が準備作業を行うように選択してもよく、すなわち第1の照射室準備命令を生成する。他のいくつかの実施例において、ユーザがビーム照射システムの操作画面において直接的に入力した「第1の照射室が準備作業を行う」命令は、すなわち第1の照射室準備命令である。本発明の実施例は、第1の照射室準備命令の生成プロセスを具体的に限定しない。第1の照射室準備命令は、ベッド位置のセットアップ又は被照射体の位置決めなどの具体的な内容の命令を含んでもよく、本発明の実施例は、第1の照射室準備命令のタイプを具体的に限定しない。
【0060】
S470では、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室準備命令に基づいて第1の照射室が照射前の準備作業を完了するように制御する。
【0061】
第1のサブ制御モジュールは、第1の照射室に直接的に接続されて第1の照射室準備命令に基づいて第1の照射室が照射前の準備作業を完了するように制御してもよく、第1の照射室に間接的に接続されて第1の照射室準備命令に基づいて第1の照射室が照射前の準備作業を完了するように制御してもよく、本発明の実施例は、第1のサブ制御モジュールと第1の照射室との直接的又は間接的な接続方式を具体的に限定しない。準備作業は、ベッド位置のセットアップ又は被照射体の位置決めなどを含んでもよく、本発明の実施例は、準備作業の内容を具体的に限定しない。
【0062】
本発明の実施例において、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射命令を受信する前、又はビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、第1のサブ制御モジュールは、受信されたユーザの入力した第1の照射室準備命令に基づいて第1の照射室が照射前の準備作業を完了するように制御することにより、第1の照射室に照射する前に準備作業が完了するため、ビーム照射システムの使用率及びビーム照射システムを操作するユーザの作業効率を向上させる。
【0063】
図5は、本発明の他の実施例に係るビーム照射システムの制御方法のフローチャートである。システム制御モジュールは、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールに接続されたデータ連携共有モジュールを更に含み、第1のサブ制御モジュール及び第2のサブ制御モジュールは、それぞれビーム制御モジュールに接続され、上記制御方法は、ステップS510及びS520を更に含む。
【0064】
S510では、第1のサブ制御モジュールが、データ連携共有モジュールがビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあるか占用されている状態にあるかを判断する判断結果を受信する。
【0065】
具体的には、データ連携共有モジュールは、ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあるか占用されている状態にあるかを判断し、ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあるか占用されている状態にあるかを判断した判断結果を第1のサブ制御モジュールに送信し、第1のサブ制御モジュールは、該判断結果を受信する。
【0066】
S520では、第1のサブ制御モジュールが判断結果に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得するか否かを決定する。
【0067】
具体的には、判断結果がビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあることである場合、第1のサブ制御モジュールは、該判断結果に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得することができると決定し、判断結果がビーム制御モジュールの制御権が占用されている状態にあることである場合、第1のサブ制御モジュールは、該判断結果に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得することができないと決定する。
【0068】
本発明の実施例に係る技術的解決手段によれば、第1のサブ制御モジュールは、データ連携共有モジュールがビーム制御モジュールの制御権が解放状態にあるか占用されている状態にあるかを判断した判断結果を受信し、判断結果に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得するか否かを決定することより、データ連携共有モジュールによるビーム制御モジュールの制御権の正確な判断を実現し、第1のサブ制御モジュールがビーム制御モジュールの制御権を取得することに役立つ。
【0069】
図6は、本発明の一実施例に係るビーム照射システムの制御システム600のブロック図である。
【0070】
図6に示すように、制御システム600は、処理アセンブリ610を含み、1つ以上のプロセッサと、処理アセンブリ610で実行可能な命令、例えばアプリケーションプログラムを記憶する、メモリ620に代表されるメモリリソースとを更に含む。メモリ620に記憶されたアプリケーションプログラムは、それぞれ1組の命令に対応する1つ以上のモジュールを含んでもよい。また、処理アセンブリ610は、命令を実行して、上記ビーム照射システムの制御方法を実行するように構成される。
【0071】
制御システム600は、制御システム600の電源管理を実行するように構成された1つの電源アセンブリと、制御システム600をネットワークに接続するように構成された1つの有線又は無線ネットワークインタフェースと、1つの入出力(I/O)インタフェースとを更に含んでもよい。制御システム600は、メモリ620に記憶されたオペレーティングシステム、例えばWindows Server(登録商標)、Mac OS X(登録商標)、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)、FreeBSD(登録商標)などに基づいて動作することができる。
【0072】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、記憶媒体における命令が上記制御システム600のプロセッサによって実行されると、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射命令を受信するステップと、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室照射命令に基づいてビーム制御モジュールの制御権を取得し、ビーム制御モジュールの制御権が解放状態にある場合、第1のサブ制御モジュールが、ビーム制御モジュールによりビーム生成装置が第1の照射室にビームを射出するように制御し、ビーム制御モジュールの制御権が第2のサブ制御モジュールによって占用されている状態にある場合、第1のサブ制御モジュールがビーム制御モジュールの制御権の放出を待つステップと、第1のサブ制御モジュールがユーザの入力した第1の照射室照射停止命令を受信するステップと、第1のサブ制御モジュールが第1の照射室照射停止命令に基づいてビーム制御モジュールの制御権を解放するステップとを含むビーム照射システムの制御方法を上記制御システム600に実行させることができる。
【0073】
当業者であれば理解できるように、本明細書で開示される実施例と組み合わせて説明された各例のモジュール及び方法ステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせにより実現することができる。これらの機能がハードウェアの形態で実行されるか又はソフトウェアの形態で実行されるかは、技術的解決手段の特定の応用及び設計上の制約条件によるものである。当業者であれば、各特定の応用に対して、説明された機能を異なる方法で実現することができるが、このような実現は本発明の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0074】
当業者であれば明確に把握できるように、記述の便宜及び簡潔化を図るために、上記説明された方法の具体的な作業過程については、前述の実施例におけるビーム照射システムを参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0075】
本願に係るいくつかの実施例において、開示されたビーム照射システム及びその制御方法は、他の方式で実現されてもよいことを理解されたい。例えば、以上説明されたビーム照射システムの実施例は、例示的なものに過ぎず、例えば、上記モジュールの区分は、論理上の機能の区分に過ぎず、実際に実現する場合に他の区分方式も可能であり、例えば、複数のモジュール又はアセンブリは組み合わせられてもよく、他のシステムに集積されてもよく、又はいくつかの特徴を無視してもよく、実行しなくてもよい。また、表示又は検討される相互結合、直接結合又は通信接続は、いくつかのインタフェースにより実現されてもよく、モジュール又はアセンブリ間の間接結合又は通信接続は、電気的、機械的、又は他の形態であってもよい。
【0076】
分離部材として説明された上記モジュールは、物理的に分離されたものであってもよいし、ではなくてもよく、モジュールとして表示された部材は、物理ユニットであってもよいし、ではなくてもよく、すなわち同じ場所に位置してもよいし、複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の需要に応じて、その一部又は全部のユニットを選択して本実施例の技術案の目的を達成することができる。
【0077】
上記機能は、ソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売又は使用される場合に、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本発明の技術的解決手段の本質、又は従来技術に寄与する部分又は該技術手段の一部は、ソフトウェア製品の形態で実現されてもよく、該コンピュータソフトウェア製品は、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ又はネットワーク装置などであってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法の全て又は一部のステップを実行させるいくつかの命令を含む記憶媒体に記憶されている。前述の記憶媒体は、USBフラッシュメモリ、リムーバブルハードディスク、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスクなどのプログラムチェックコードを記憶可能な様々な媒体を含む。
【0078】
なお、本発明における各技術的特徴の組み合わせ方式は、本発明の特許請求の範囲に記載の組み合わせ方式又は具体的な実施例に記載の組み合わせ方式に限定されず、本発明に記載の全ての技術的特徴は、相互に矛盾しない限り、いかなる方式で自由に組み合わせるか又は結合することができる。
【0079】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の構想及び原則内に行われた全ての修正、等価置換などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】