(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】可変排気量エンジンのエンジン性能及び排出量を改善するための燃焼レシピの最適化
(51)【国際特許分類】
F02D 13/06 20060101AFI20230111BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20230111BHJP
F02D 41/34 20060101ALI20230111BHJP
F02D 41/40 20060101ALI20230111BHJP
F02D 17/02 20060101ALI20230111BHJP
F02D 21/08 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F02D13/06 B
F02D13/06 D
F02D43/00 301A
F02D43/00 301M
F02D43/00 301N
F02D43/00 301P
F02D43/00 301D
F02D43/00 301J
F02D41/34
F02D41/40
F02D13/06 C
F02D17/02 D
F02D17/02 N
F02D17/02 R
F02D21/08
F02D21/08 301A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526327
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021054025
(87)【国際公開番号】W WO2022125179
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511001747
【氏名又は名称】トゥラ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TULA TECHNOLOGY,INC.
(71)【出願人】
【識別番号】522175783
【氏名又は名称】カミンズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CUMMINS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】セラーノ,ルイス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シクイ ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーク,ベンジャミン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブラフマー,アヴラ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジャスティン アール.
【テーマコード(参考)】
3G092
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AA02
3G092AA14
3G092AA17
3G092AA18
3G092BA01
3G092BA10
3G092BB10
3G092CA04
3G092CB04
3G092CB05
3G092DB02
3G092DB03
3G092DC01
3G092DC09
3G301HA01
3G301HA02
3G301HA06
3G301HA11
3G301HA13
3G301HA21
3G301LA01
3G301LB01
3G301LB11
3G301MA11
3G301MA18
3G301MA24
3G384AA01
3G384AA03
3G384AA07
3G384AA13
(57)【要約】
所望のトルク出力を生成するときに可変排気量内燃機関の点火比を移行するためのシステム及び方法。第2の点火比への移行中及び移行後、燃焼レシピが確認及び使用され、所望のトルク出力を生成するように可変排気量内燃機関のシリンダを動作させる。レシピは、好ましくは、少なくとも第1の点火比で使用された以前の燃焼レシピの以前の充填物に対して、第2の点火比で動作するエンジンのために最適化される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変排気量内燃機関の動作を制御するための方法において、
第1の点火比において及び第1の燃焼レシピの第1の充填物を使用して、所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関のシリンダを動作させることと、
前記所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させるための第2の点火比及び第2の燃焼レシピの第2の充填物を確認することと、
前記所望のトルク出力を生成するために、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させることと
を含み、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物の使用に対して、前記第2の点火比で動作する前記可変排気量内燃機関のために最適化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、
(a)新気、
(b)排気ガス再循環(EGR)、
(c)前記新気の圧縮、
(d)前記新気の冷却、又は
(e)(a)~(d)の任意の組合せ
の1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を確認することは、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)新気、(b)EGR、及び(c)前記新気の圧縮、並びに/又は(d)前記新気の冷却の1つ又は複数の量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピを確認することは、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の充填物の質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物に含まれる新気の質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物中において提供されるEGRの質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物中において提供される圧縮新気の度合いを調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物中において提供される新気の冷却の度合いを調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、
前記可変排気量エンジンが前記第2の点火比で動作しているとき、空気ガススプリングとして前記シリンダのいくつかの作動サイクルを動作させることと、
前記空気ガススプリングとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することと、
前記シリンダの前記周期的な再充填に起因して起こる1つ又は複数の追加の吸入事象を考慮するように前記第2の燃焼レシピの第2の充填物を調整することと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法において、前記空気ガススプリングは、低圧排気スプリング(LPES)又はエアスプリング(AS)の何れかであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法において、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の酸素モル分率を増加させるためにEGR比を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の冷却の量を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法において、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の圧縮を増加させることにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減することをさらに含み、前記充填物の前記増加された圧縮は、前記充填物の酸素モル分率の増加をもたらすことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の方法において、点火される選択されたシリンダに提供される燃料の量を、前記シリンダに提供される充填物中の圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減することをさらに含み、前記燃料の量の前記低減は、過度な煙状態を回避することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の方法において、点火される選択されたシリンダに提供される充填物に含まれるEGRの量を、前記充填物中の圧縮空気の度合いが低過ぎる場合に低減することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の方法において、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させている間、燃料噴射パラメータを調整することをさらに含み、前記燃料噴射パラメータの前記調整は、
(a)燃料噴射が通常開始するときより前に燃料噴射の開始を早めること、
(b)燃料の2つ以上のパルスの分割噴射、又は
(c)(a)と(b)との両方の組合せ
の1つ又は複数を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載の方法において、
(a)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない有効低減排気量で動作している間、一連の作動サイクルにわたり、少なくとも1つのシリンダが点火され、休止され、且つ点火されるか又は休止されるかの何れかである、スキップファイアモード、
(b)前記可変排気量エンジンの前記シリンダを点火させるか又は休止するかの何れかの決定が、(i)点火機会ごとに、又は(ii)エンジンサイクルごとに動的に行われる、動的スキップファイアモード、
(c)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない低減排気量で動作している間、1つ又は複数のシリンダの第1のグループが継続的に点火され、及び1つ又は複数のシリンダの第2のグループが継続的に休止される、可変排気量モード
の1つで前記可変排気量エンジンを動作させることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
複数のシリンダを有する可変排気量内燃機関と、
エンジンシステムコントローラと
を含むエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
第1の点火比において及び第1の燃焼レシピの第1の充填物を使用して、所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させることと、
前記所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させるための第2の点火比及び第2の燃焼レシピの第2の充填物を確認することと、
前記所望のトルク出力を生成するために、前記第1の点火比及び前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物の使用から、前記第2の点火比及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の使用に前記可変排気量内燃機関の前記シリンダの動作を移行することと
を行うように構成され、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物の使用に対して、前記第2の点火比で動作する前記可変排気量内燃機関のために最適化されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のエンジンシステムにおいて、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、
(a)排気ガス再循環(EGR)、
(b)新気、
(c)前記空気の圧縮、
(d)前記新気の冷却、又は
(e)(a)~(d)の任意の組合せ
の1つを含み、前記エンジンシステムコントローラは、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の(a)~(e)の何れかの量及び/又は度合いを定義するように構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項20】
請求項18又は19に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の(a)~(e)の何れかをそれぞれ調整するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のエンジンシステムにおいて、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を調整することは、
(f)前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)又は(b)の何れかの質量を調整すること、
(g)前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)又は(b)の何れかの相対的な比率を調整すること、又は
(h)(f)と(g)との両方
を意味することを特徴とするエンジンシステム。
【請求項22】
請求項18乃至21の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、インタークーラをさらに含み、及び前記エンジンシステムコントローラは、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物に含まれる新気の冷却の度合いを制御するために前記インタークーラを制御するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項23】
請求項18乃至22の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、
(a)EGRと新気とを混合するように構成されたミキサ、
(b)前記EGRと前記新気とを混合するように構成されたスロットル、及び
(c)(a)と(b)との両方
の1つをさらに含むことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項24】
請求項18乃至23の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
休止された作動サイクル中に空気バネとして前記シリンダの1つ又は複数を動作させることと、
前記空気バネとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することと、
前記空気バネとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することに関連付けられた追加の吸入事象を補償するために、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を調整することと
を行うようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項25】
請求項18乃至24の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記空気バネは、低圧排気スプリング(LPES)又はエアスプリング(AS)の何れかであることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項26】
請求項18乃至25の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の酸素モル分率を増加させるためにEGR比を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項27】
請求項18乃至26の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の冷却の量を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項28】
請求項18乃至27の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、充填物の酸素モル分率を増加させるために、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される前記充填物の圧縮を増加させることにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項29】
請求項18乃至28の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、過度な煙状態を防ぐために、選択された点火シリンダに提供される燃料の量を、充填物中において前記シリンダに提供される圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項30】
請求項18乃至29の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火シリンダに提供される充填物に含まれるEGRの量を、前記充填物中において提供される圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項31】
請求項18乃至30の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
(a)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない有効低減排気量で動作している間、一連の作動サイクルにわたり、少なくとも1つのシリンダが点火され、休止され、且つ点火されるか又は休止されるかの何れかである、スキップファイアモード、
(b)前記可変排気量エンジンの前記シリンダを点火させるか又は休止するかの何れかの決定が、(i)点火機会ごとに、又は(ii)エンジンサイクルごとに動的に行われる、動的スキップファイアモード、
(c)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない低減排気量で動作している間、1つ又は複数のシリンダの第1のグループが継続的に点火され、及び1つ又は複数のシリンダの第2のグループが継続的に休止される、可変排気量モード
の1つで前記可変排気量エンジンを動作させるようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項32】
請求項18乃至31の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記可変排気量エンジンは、
(a)ディーゼルエンジン、
(b)ガソリンエンジン、
(c)圧縮点火エンジン、
(d)火花点火エンジン
の1つであることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項33】
請求項18乃至32の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させている間、燃料噴射パラメータを調整するようにさらに構成され、前記燃料噴射パラメータの前記調整は、
(a)燃料噴射が通常開始するときより前に燃料噴射の開始を早めること、
(b)燃料の2つ以上のパルスの分割噴射、又は
(c)(a)と(b)との両方の組合せ
の1つ又は複数を含むことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項34】
内燃機関ICEを動作させる方法において、
出力トルクを生成するように第1の点火比及び第1の燃焼レシピで前記ICEを動作させることと、
前記出力トルクを生成するように前記ICEを動作させるための第2の点火比及び第2の燃焼レシピを確認することと、
前記第1の点火比及び前記第1の燃焼レシピから、前記第2の点火比及び第2の燃焼レシピに前記ICEの前記動作を移行することと、
前記第2の点火比及び前記第2の燃焼レシピを使用して、前記出力トルクを生成するように前記ICEを動作させることと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、
前記ICEが、前記第2の点火において及び前記第2の燃焼レシピを使用して動作している時間の少なくとも一部中に起こることが予想されるシリンダ再充填事象の数を確認することと、
前記確認された数のシリンダ再充填事象を補償するために、前記第2の燃焼レシピの少なくとも1つの構成要素をスケーリングすることと、
前記数のシリンダ再充填事象を補償するためにスケーリングされた前記少なくとも1つの構成要素を用いて、前記第2の点火比及び前記第2の燃焼レシピを使用して、前記出力トルクを生成するように前記ICEを動作させることと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の方法において、前記ICEが、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピを使用して動作している間、休止された点火機会中に空気ガススプリングとして前記ICEの1つ又は複数のシリンダを動作させることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、前記1つ又は複数のシリンダは、前記休止された点火機会中、以下のタイプの空気ガススプリング:
(a)低圧排気スプリング(LPES)、
(b)高圧排気スプリング(HPES)、
(c)エアスプリング(AS)、又は
(d)(a)~(c)の任意の組合せ
の1つとして動作されることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項35に記載の方法において、前記確認された数のシリンダ再充填事象の各々は、休止された点火事象中、燃焼が起こらない間にシリンダのチャンバに充填物を吸入することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項35に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピの前記少なくとも1つの構成要素の前記スケーリングは、前記確認された数のシリンダ再充填事象を補償するために、前記第2の燃焼レシピの充填物体積を増加させることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項34乃至39の何れか1項に記載の方法において、
前記ICEが前記第2の点火比で動作しているとき、空気ガススプリングとして前記ICEのシリンダのいくつかの作動サイクルを動作させることと、
前記空気ガススプリングとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することと、
前記シリンダの前記周期的な再充填に関連付けられた1つ又は複数の追加の吸入事象を考慮するように前記第2の燃焼レシピの第2の充填物を調整することと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項34乃至40の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピ及び前記第2の燃焼レシピは、
(a)新気、
(b)排気ガス再循環(EGR)、
(c)前記新気の圧縮、
(d)前記新気の冷却、又は
(e)(a)~(d)の任意の組合せ
の1つをそれぞれ含むことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項34乃至41の何れか1項に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピは、前記第1の燃焼レシピに対して、(a)新気、(b)EGR、(c)前記新気の圧縮、及び/又は(d)前記新気の冷却の1つ又は複数の量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項34乃至42の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの第2の充填物の質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項34乃至43の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの第2の充填物に含まれる新気の質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項34乃至44の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの第2の充填物中において提供されるEGRの質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項34乃至45の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの第2の充填物中において提供される圧縮新気の度合いを調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項34乃至46の何れか1項に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの第2の充填物中において提供される新気の冷却の度合いを調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項34乃至47の何れか1項に記載の方法において、選択された点火機会について、前記ICEの選択されたシリンダに提供される充填物の酸素モル分率を増加させることをさらに含み、前記増加された酸素モル分率は、前記選択されたシリンダの冷却によって生じる、前記選択されたシリンダの点火遅延を軽減することを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項34乃至48の何れか1項に記載の方法において、選択された点火機会について、前記ICEの選択されたシリンダに提供される充填物の冷却の量を低減することをさらに含み、前記充填物の冷却の前記低減された量は、前記選択されたシリンダの冷却によって生じる、前記選択された点火機会中の点火遅延を軽減することを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項34乃至49の何れか1項に記載の方法において、選択された点火機会について、前記ICEの選択されたシリンダに提供される充填物の圧縮を増加させることをさらに含み、前記充填物の前記増加された圧縮は、前記充填物の増加された酸素モル分率をもたらすことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項34乃至50の何れか1項に記載の方法において、点火される前記ICEの選択されたシリンダに提供される燃料の量を、前記選択されたシリンダに提供される充填物中の圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減することをさらに含み、前記燃料の量の前記低減は、過度な煙状態を軽減することを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項34乃至51の何れか1項に記載の方法において、点火機会中に点火される前記ICEの選択されたシリンダに提供される充填物に含まれるEGRの量を、前記充填物中の圧縮空気の量が低過ぎる場合に低減することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項34乃至52の何れか1項に記載の方法において、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピを使用して前記ICEのシリンダを動作させている間、燃料噴射パラメータを調整することをさらに含み、前記燃料噴射パラメータの前記調整は、
(a)燃料噴射が通常開始するときより前に燃料噴射の開始を早めること、
(b)燃料の2つ以上のパルスの分割噴射、又は
(c)(a)と(b)との両方の組合せ
の1つ又は複数を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項34乃至53の何れか1項に記載の方法において、前記ICEは、
(a)前記ICEが、前記ICEの総排気量より少ない有効低減排気量で動作している間、一連の作動サイクルにわたり、少なくとも1つのシリンダが点火され、休止され、且つ点火されるか又は休止されるかの何れかである、スキップファイアモード、
(b)前記ICEの前記シリンダを点火させるか又は休止するかの何れかの決定が、(i)点火機会ごとに、又は(ii)エンジンサイクルごとに動的に行われる、動的スキップファイアモード、
(c)前記ICEが、前記ICEの総排気量より少ない低減排気量で動作している間、1つ又は複数のシリンダの第1のグループが継続的に点火され、及び1つ又は複数のシリンダの第2のグループが継続的に休止される、固定点火パターン、又は
(d)選択された点火比で動作している間、前記ICEの個々のシリンダが点火と休止との間でローテーションする、ローテーション点火パターン
の1つ又は複数のモードで動作することが可能な可変排気量ICEであることを特徴とする方法。
【請求項55】
複数のシリンダを有する可変排気量ICEと、
エンジンシステムコントローラと
を含むエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
要求トルクを確認することと、
第1の燃焼レシピの第1の充填物を使用して、第1の点火比において、前記要求トルクを生成するように前記可変排気量ICEの前記シリンダを動作させることと、
前記要求トルクを生成するように前記可変排気量ICEの前記シリンダを動作させるための第2の点火比及び第2の燃焼レシピの第2の充填物を確認することと、
前記要求トルクを生成するために、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物を使用した前記第1の点火比から、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用した前記第2の点火比に前記可変排気量ICEの前記シリンダの動作を移行することと、
前記第2の点火比及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記要求トルクを生成するように前記可変排気量ICEを動作させることと
を行うように構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項56】
請求項55に記載のエンジンシステムにおいて、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、
(a)排気ガス再循環(EGR)、
(b)新気、
(c)前記空気の圧縮、
(d)前記新気の冷却、又は
(e)(a)~(d)の任意の組合せ
の1つをそれぞれ含み、前記エンジンシステムコントローラは、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の(a)~(d)の何れかをそれぞれ調整するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項57】
請求項55又は56に記載のエンジンシステムにおいて、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を調整することは、
(f)前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)又は(b)の何れかの質量を調整すること、
(g)前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)又は(b)の何れかの相対的な比率を調整すること、又は
(h)(f)と(g)との両方
を伴うことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項58】
請求項55乃至57の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、インタークーラをさらに含み、及び前記エンジンシステムコントローラは、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物に含まれる新気の冷却の度合いを制御するために前記インタークーラを制御するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項59】
請求項55乃至58の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
休止された作動サイクル中に空気バネとして前記シリンダの1つ又は複数を動作させることと、
前記空気バネとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することと、
前記空気バネとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することに関連付けられた追加の吸入事象を補償するために、必要に応じて前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を調整することと
を行うようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項60】
請求項59に記載のエンジンシステムにおいて、前記空気バネは、低圧排気スプリング(LPES)又はエアスプリング(AS)の何れかであることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項61】
請求項55乃至60の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の酸素モル分率を増加させるためにEGR比を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項62】
請求項55乃至61の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の冷却の量を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項63】
請求項55乃至62の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、充填物の酸素モル分率を増加させるために、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される前記充填物の圧縮を増加させるようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項64】
請求項55乃至63の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、過度な煙状態を防ぐために、選択されたシリンダに提供される燃料の量を、充填物中において、前記選択されたシリンダに提供される圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項65】
請求項55乃至64の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火シリンダに提供される充填物に含まれるEGRの量を、前記充填物中において提供される圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項66】
請求項55乃至65の何れか1項に記載の方法において、前記エンジンシステムコントローラは、
(a)前記可変排気量ICEが、前記可変排気量ICEの総排気量より少ない有効低減排気量で動作している間、一連の作動サイクルにわたり、少なくとも1つのシリンダが点火され、休止され、且つ点火されるか又は休止されるかの何れかである、スキップファイアモード、
(b)前記可変排気量ICEの前記シリンダを点火させるか又は休止するかの何れかの決定が、(i)点火機会ごとに、又は(ii)エンジンサイクルごとに動的に行われる、動的スキップファイアモード、
(c)前記可変排気量ICEが、前記可変排気量ICEの総排気量より少ない低減排気量で動作している間、1つ又は複数のシリンダの第1のグループが継続的に点火され、及び1つ又は複数のシリンダの第2のグループが継続的に休止される、可変排気量モード、又は
(d)選択された点火比で動作している間、前記可変排気量ICEの個々のシリンダが点火と休止との間でローテーションする、ローテーション点火パターン
の1つで前記可変排気量ICEを動作させるようにさらに構成されることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項55乃至66の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記可変排気量ICEは、
(a)ディーゼルエンジン、
(b)ガソリンエンジン、
(c)圧縮点火エンジン、
(d)火花点火エンジン
の1つであることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項68】
請求項55乃至67の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択されたシリンダの選択された点火機会について、燃料噴射を制御するようにさらに構成され、前記燃料噴射の前記制御は、
(a)燃料噴射が通常開始するときより前に前記燃料噴射の開始を早めること、
(b)燃料の2つ以上のパルスの分割噴射、又は
(c)(a)と(b)との両方の組合せ
の1つ又は複数を含むことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項69】
請求項55乃至68の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
前記可変排気量ICEが、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して動作している時間の少なくとも一部中に起こることが予想されるシリンダ再充填事象の数を確認することと、
前記確認された数のシリンダ再充填事象を補償するために、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の少なくとも1つの構成要素をスケーリングすることと、
前記数のシリンダ再充填事象を補償するためにスケーリングされた前記少なくとも1つの構成要素を用いて、前記第2の点火比及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記要求トルクを生成するように前記可変排気量ICEを動作させることと
を行うようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項70】
請求項55乃至69の何れか1項に記載のエンジンシステムにおいて、前記可変排気量ICEが、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して動作している間、休止された点火機会中に空気ガススプリングとして前記可変排気量ICEの1つ又は複数のシリンダを動作させることをさらに含み、前記1つ又は複数のシリンダは、前記休止された点火機会中、
(a)低圧排気スプリング(LPES)、
(b)高圧排気スプリング(HPES)、
(c)エアスプリング(AS)、又は
(d)(a)~(c)の任意の組合せ
の1つとして動作されることを特徴とするエンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月11日に出願された米国特許出願公開第17/119,321号明細書及び2021年8月26日に出願された米国特許出願公開第17/412,668号明細書の優先権を主張するものであり、それらは、両方ともあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、可変排気量制御エンジンに関し、より具体的には、エンジン性能を改善し、燃料消費量を低減し、後処理システム温度を制御し、且つ排出量を低減するために、排気ガス再循環(EGR)の量、新気の量及び/又は新気の圧縮の度合いを含む燃焼レシピの吸気充填物部分を最適化するための様々な戦略に関する。
【背景技術】
【0003】
動作中、内燃機関(以下では、場合により簡潔にするために単に「エンジン」と呼ばれる)は、所望のトルク要求を満たすための「燃焼レシピ」を必要とし、「燃焼レシピ」は、(a)噴射パルスの数及び各パルスの噴射タイミングの開始などの燃料噴射戦略と、(b)燃焼時に1シリンダ当たりの所望のトルク出力をもたらすガスの混合物(例えば、「充填物」)との組合せを含む。本明細書で説明される様々な実施形態では、所定の燃焼レシピの充填物は、ガス混合物(すなわち吸気充填物)に関連する部分に対して参照され、それは、典型的には、EGRの一部及びターボシステムによって様々な度合いで圧縮される可能性がある新気を含む。所定の点火シリンダに対する吸入行程中、特定の充填物が吸入行程中にシリンダの作動チャンバに吸入される一方、吸入及び/又は圧縮行程中に燃料が噴射される。圧縮点火エンジンでは、作動チャンバ内の温度及び圧力単独により、典型的には、圧縮行程の終了時又は動力行程の開始時に燃焼が起こる。火花点火エンジンでは、燃焼を開始するために、この場合にもやはり典型的には圧縮行程の終了時又は動力行程の早期に火花が使用される。
【0004】
所定のエンジンの構成に応じて、燃焼レシピの充填物は、異なり得る。例えば、ターボシステム及びEGRシステムを備えるブーストエンジンでは、燃焼レシピは、典型的には、(a)EGR弁の位置によって制御される、EGRシステムからの再循環排気ガスと、(b)ターボシステムによって圧縮されても又は圧縮されなくてもよい新気との混合を含む。ターボ及び/又はEGRシステムを有さないエンジンでは、燃焼レシピは、圧縮空気及び/又は再循環排気ガス構成要素のそれぞれを含まない。
【0005】
現在の可変排気量制御エンジン(スキップファイア制御を含む)での問題は、エンジンが所定のトルク出力を生成しながら、異なるスキップファイア比のために充填物を調整する能力の欠如である。すべてのシリンダを点火させた状態(すなわち点火比FF=1)で200ニュートンメートル(Nm)のトルクを生成する6シリンダエンジンを考慮する。そのようなシナリオ下では、燃料噴射及び充填物の量は、各シリンダがおよそ33.33Nmのトルク(例えば、6×33.33=200)を生成するようにそれぞれ較正される。同じエンジンを同様の200Nmのトルク条件下で動作させるが、点火比が1/2であれば、3つのシリンダのみが点火する。その事例では、点火シリンダの各々は、66.66Nmのトルク(例えば、3×66.66=200)を生成する必要がある。可変排気量エンジンの1シリンダ当たりの燃料は、簡単に制御することができるが、効率及び排出量の観点から最適な性能を提供するため、燃焼レシピの対応するガス混合部分も変更しなければならない。
【0006】
従って、エンジンが所定のトルク出力を生成しながら、点火比移行を受けて燃焼レシピの充填物を最適化するシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、エンジンが所望のトルク出力を生成しながら、点火比移行を受けて使用される燃焼レシピの充填物を最適化する方法及びシステムに関する。方法及びシステムは、第1の点火比において及び第1の燃焼レシピの第1の充填物を使用して、所望のトルク出力を生成するように可変排気量内燃機関のシリンダを動作させることと、所望のトルク出力を生成するように可変排気量内燃機関のシリンダを動作させるための第2の点火比及び第2の燃焼レシピの第2の充填物を確認することと、所望のトルク出力を生成するために、第2の点火比において及び第2の燃焼レシピの第2の充填物を使用して、可変排気量内燃機関のシリンダを動作させることとを伴う。好ましいが、非排他的な実施形態では、第2の充填物は、少なくとも第1の燃焼レシピの第1の充填物の使用に対して、第2の点火比で動作するエンジンのために最適化される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明及びその利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、最もよく理解することができる。
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の非排他的な実施形態によるエンジンシステムである。
【
図2】
図2は、本発明の多くの非排他的な実施形態による、異なる点火比及び異なる動作シナリオに対する充填物燃焼レシピの最適化を示すための例示的な表である。
【
図3】
図3は、本発明の多くの非排他的な実施形態による、異なる点火比及び異なる動作シナリオに対する充填物燃焼レシピの最適化を示すための例示的な表である。
【
図4】
図4は、本発明の多くの非排他的な実施形態による、異なる点火比及び異なる動作シナリオに対する充填物燃焼レシピの最適化を示すための例示的な表である。
【
図5】
図5は、本発明の多くの非排他的な実施形態による、異なる点火比及び異なる動作シナリオに対する充填物燃焼レシピの最適化を示すための例示的な表である。
【0010】
図面では、同様の参照番号は、場合により、同様の構造要素を指定するために使用される。また、図の描写は、概略的なものであり、原寸に比例しないことも理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、所望のトルク出力を生成しながら、ある点火比から第2の点火比に移行するとき、可変排気量エンジンに対する燃焼レシピの充填物を最適化することに関する。エンジンシステムの構成に応じて、燃焼レシピの最適化は、所望のトルク出力を満たすために、必要に応じて燃料の量を調整することと、1シリンダ当たりの所望のトルク出力に対して必要に応じて充填物を変更することとを含む。一般に、充填物は、典型的には、(a)排気ガス再循環(EGR)と、(b)ある度合いの圧縮の新気との混合物を含む。所定の点火比に対して燃焼レシピを最適化することは、第1の点火比から第2の点火比への移行に対して、燃焼レシピの充填物の構成要素(a)及び(b)の質量流量及び/又は割合を修正することを伴う。第2の点火比に対して燃焼レシピの充填物を最適化することにより、エンジン性能を改善することができ、燃料消費量を低減することができ、後処理システム温度を制御することができ、有害な排出物を低減することができる。
【0012】
エンジン制御
図1は、エンジンシステム10を示し、エンジンシステム10は、燃焼が起こる複数のシリンダ14を有する可変排気量内燃機関12(場合により簡潔にするために単に「エンジン」と単純に呼ばれる)を含む。また、エンジンシステム10は、エンジンコントローラ16、メモリ18、吸気用空気マニホールド20、任意選択の吸気スロットル24、排気マニホールド26、排気ガス再循環(EGR)システム28、ターボシステム30、後処理システム32及び任意選択のミキサ34も含む。示される実施形態では、エンジン12は、6つのシリンダ14を含む。示されるようなエンジン12は、単なる例示であり、より少ない又はより多いシリンダ14を含み得ることを理解すべきである。
【0013】
エンジンシステム10の動作は、主に、エンジンコントローラ16によって制御される。エンジンコントローラ16の責任は、これに限定されないが、点火比(「FF」)制御信号22を提供することによって可変排気量方式でエンジン12を動作させること、燃料制御信号36を燃料コントローラ38に提供すること、スロットル24を制御するためのスロットル制御信号40を提供すること、EGRシステム28を制御するためのEGR制御信号42を提供すること、ターボシステム30を制御するためのターボ制御信号43を提供すること、ミキサ34を制御するための任意選択のミキサ制御信号45を提供すること及びインタークーラシステム49を制御するための冷却制御信号47を提供することを含む。新気の量が吸気スロットル24を介して制御される実施形態では、ミキサを制御するためのミキサ制御信号45は、不要であり得る。
【0014】
エンジンシステム10を含む車両(図示せず)の動作中、エンジンコントローラ16は、制御信号22を通して、車両のドライバが決定する所望のトルク要求を満たすために、エンジン12が異なる点火比で動作するようにコマンドを出す。また、エンジンコントローラ16は、燃料コントローラ38が燃料制御信号36を通してエンジンのシリンダ14に提供する燃焼レシピの燃料の量の制御も行う。さらに、以下でさらに詳細に説明されるように、エンジンコントローラ16は、
(a)EGR制御信号42を通して得られるEGRシステム28からのEGRの量、
(b)ターボ制御信号43及び吸気スロットル制御信号40を通して得られるターボシステム30からの圧縮空気の量又は度合い、
(c)冷却制御信号47を通して得られるインタークーラ49によるターボシステム30からの圧縮空気の冷却の度合い
の1つ又は複数を制御することにより、異なる点火比に対して、吸気マニホールド20に提供される燃焼レシピの充填物を制御するようにさらに構成される。
【0015】
それに従い、エンジンコントローラ16は、EGRシステム28、ターボシステム30及び/又はインタークーラ49を制御することにより、所定の燃焼レシピの充填物及び/又は温度を調整することができる。従って、EGR及び新気の割合及び/又はボリューム(新気の量若しくは圧縮の度合いを含む)並びに新気の温度をすべて制御することができる。
【0016】
EGRシステム
EGRシステム28は、排気マニホールド26からミキサ34への排気ガスの流量を調整可能に制御するEGR弁44を含む。また、EGRシステムは、任意選択により、ミキサ34に提供する前に高温排気ガスを冷却する排気ガス冷却器46も含む。さらに、任意選択の排気ガス冷却器バイパス弁48は、再循環排気ガスの一部又はすべてが排気ガス冷却器46を迂回できるようにする。動作中、エンジンコントローラ16は、EGR弁44を全開と全閉との間の様々な位置に調整するEGR弁制御信号42を生成する。その結果、炭化水素及び/又はNOx排出量を軽減又は低減する目的で、再循環してミキサ34を介してシリンダ14に戻る排気ガスのボリュームを制御することができる。
【0017】
再循環EGRは、燃焼に不活性なガス又は少なくとも新気より酸素濃度が低いガスでシリンダ14への新気吸気ストリームを希釈する傾向がある。排気ガスは、燃焼により発生した熱の吸収材として機能し、シリンダ14内のピーク温度を低減する。その結果、典型的には、NOx排出量が低減する。例えば、圧縮点火ディーゼルエンジンでは、排気ガスは、燃焼前の混合物内の酸素の一部を取り替える。窒素と酸素の混合物が高温にさらされたときに主にNOxが形成されるため、より低い燃焼温度及び作動チャンバ内の酸素の量の低減により、発生するNOxの量が低減する。しかし、過剰な量の排気ガスが存在する場合、点火シリンダ14内での完全な燃焼が起こらない可能性がある。その結果、非燃焼炭化水素が増加し得る。
【0018】
ターボシステム
ターボシステム30は、タービン50及びコンプレッサ52を含む。動作中、タービン50は、EGRシステム28によって再循環されない排気マニホールド26からの高温排気フローによって回転する。次に、タービン50の回転により、コンプレッサ52が駆動し、新気吸気が圧縮され、ターボシステムの出力側においてその圧力がブーストされる。任意選択の実施形態では、ターボシステム30は、流れる排気ガスから抽出されるパワーの量を制御するためのウェイストゲート又は可変ベーン若しくはジオメトリタービン(
図1には図示せず)を含み得る。量又は圧縮の度合いは、一般に、ターボ制御信号43を通してエンジンコントローラ16によって決定付けられる。
【0019】
ターボチャージャシステム30からの排気フローは、後処理システム32に続き、後処理システム32は、排気ガス中の有害汚染物質を除去する。次いで、排気ガスは、任意選択の排気スロットル(図示せず)を流れ、次いで排気管を出て大気中に流出することができる。
【0020】
インタークーラ
任意選択の実施形態では、ターボシステム30のコンプレッサ52の出力は、インタークーラ49の方に方向付けることができる。インタークーラ49内では、給気冷却器バイパス弁54が提供され、給気冷却器バイパス弁54は、圧縮空気が給気冷却器56に流れ込めるようにするか、又はバイパス58を介して給気冷却器56を迂回できるようにすることを調整可能に行えるようにする。給気冷却器56は、圧縮空気の温度を下げ、これを受けて、より多くの空気がエンジン12を通して送り出され、最大トルク出力が増加する。可変弁60は、吸気スロットル24に提供される冷却された及び/又は冷却されていない圧縮空気の量を制御する。自然吸気エンジンと比較すると、エンジン12のシリンダ14に提供されるブースト又は圧縮した空気の供給は、さらなるパワーの生成を可能にする。より多くの空気と共に、それに比例してより多くの燃料をシリンダ14内に入れることができ、その結果、より大きいトルク出力がもたらされる。
【0021】
代替のエンジンシステムの実施形態
図1に示される実施形態では、エンジンシステムは、EGRシステム28、ターボシステム30、インタークーラ49、吸気スロットル24及びミキサ34を含む。代替の実施形態では、EGRシステム28、ターボシステム30、吸気スロットル24、インタークーラ49システムの各々は、任意選択であることを理解すべきである。従って、ミキサ34の必要性も任意選択であり、一般に、EGRシステム28とターボシステム30との一方又は両方が存在しない実装形態では不要である。
【0022】
代替のエンジンの実施形態
示されるようなエンジン12は、単なる例示であり、これらに限定されないが、2、3、4、5、8、10、12又は16個のシリンダなど、より少ない又はより多いシリンダ14を含み得ることを理解すべきである。
【0023】
エンジン12は、圧縮点火エンジン、火花点火(SI)エンジン、火花点火と圧縮点火を組み合わせたエンジン又は異なる技術で空気燃料混合物に点火するエンジンであり得る。
【0024】
エンジン12は、総排気量又は1つ若しくは複数の低減排気量で選択的に動作することが可能ないかなるタイプのエンジンでもあり得る。
【0025】
可変排気量の一実施形態では、エンジン12は、従来の可変排気量方式で制御することができ、1つ又は複数のシリンダ14のグループ又はバンクは、エンジン12の有効排気量を総排気量に満たない量まで低減するために、選択的に停止することができる。エンジン12の6つのシリンダ14では、例えば、2つ、3つ又は4つのシリンダのグループを選択的に停止する一方、残りのシリンダを起動又は点火させることができる。点火シリンダの数及び休止シリンダの数は、本明細書で提供される例に対してそれぞれ1/3、1/2及び2/3などの点火比によって表される場合が多い。
【0026】
スキップファイアエンジン制御
スキップファイアエンジン制御は、内燃機関の有効排気量を変化させるための公知の手法である。スキップファイア動作中、シリンダのいくつかの点火機会では点火され、シリンダの他の点火機会では休止される。異なる点火密度又は点火比(例えば、1/8、2/7、1/3、1/4、1/2など)でエンジンを動作させることにより、異なる有効低減排気量でエンジンを動作させることができ、有効低減排気量は、すべてエンジンの総排気量(すなわち点火比が1)に満たないものである。スキップファイアの変形形態(動的スキップファイアと呼ばれる場合が多い)では、シリンダの点火又は休止の決定は、(a)点火機会ごとに、又は(b)エンジンサイクルごとに動的に行われる。
【0027】
スキップファイアエンジン制御は、選択された点火機会中、あるシリンダ14の点火の選択的な休止を企図する。従って、総排気量に満たない所定の有効エンジン排気量の場合、特定のシリンダ14は、ある点火機会中に点火し、次の点火機会中に休止し、次いで次の点火機会中に選択的に休止されるか又は点火されることを次々に行うことができる。全体的なエンジンの観点から、スキップファイア制御は、場合により、休止及び点火シリンダの異なるパターンを有する一連のエンジンサイクルをもたらす。また、点火シーケンスは、点火比又は点火密度として表すこともでき、何れも全点火機会に対する点火した点火機会の割合を示す。
【0028】
スキップファイアでは、従来の可変排気量エンジンよりはるかに微細又は精密なエンジン制御が可能である。比較として、1/3のような比は、スキップファイアエンジン制御を使用して実施することはできるが、従来の4シリンダ可変排気量エンジンで実施することはできない。例えば、本出願の譲受人によって提供される市販のスキップファイアコントローラは、17の異なる点火比を提供し、各々は、異なる低減された有効エンジン排気量を示す。
【0029】
スキップファイアエンジン制御では、多くの利点が実現される。第1に、休止シリンダでは、ポンピングロスが低減し、それにより燃料効率が向上する。第2に、エンジンの排気量が効果的に低減し、これは、車両の後処理システムを通過する排気ガスのボリュームが低減することを意味する。排気ガスフローを低減することにより、車両の後処理システムは、より高い温度で動作することができ、これを受けて変換効率が向上し、それにより有害な排出物の産出が減少する傾向が見られるようになる。
【0030】
スキップファイアエンジン制御については、米国特許第7,954,474号明細書、米国特許第7,886,715号明細書、米国特許第7,849,835号明細書、米国特許第7,577,511号明細書、米国特許第8,099,224号明細書、米国特許第8,131,445号明細書、米国特許第8,131,447号明細書、米国特許第8,616,181号明細書、米国特許第8,701,628号明細書、米国特許第9,086,020号明細書、米国特許第9,120,478号明細書、米国特許第9,200,587号明細書、米国特許第9,650,971号明細書、米国特許第9,328,672号明細書、米国特許第9,239,037号明細書、米国特許第9,267,454号明細書、米国特許第9,273,643号明細書、米国特許第9,664,130号明細書、米国特許第9,945,313号明細書、米国特許第9,291,106号明細書及び米国特許出願公開第13/886,107号明細書において説明されており、各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
スキップファイアエンジン制御のある実装形態では、エンジンの所定のシリンダを点火するか又は点火しないかの決定は、動的に行われ、これは、点火機会ごとに又はエンジンサイクルごとに行われることを意味する。換言すれば、一連の点火機会の各々の前に、点火機会で点火するか又は休止するかの決定が行われる。様々な実施形態では、点火シーケンスは、シグマデルタ又は均等にデルタシグマコンバータを使用して点火機会ごとに決定される。そのようなスキップファイア制御システムは、動的スキップファイア制御又は「DSF」として定義することができる。DSFのさらなる詳細については、各々があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,849,835号明細書、米国特許第9,086,020号明細書、米国特許第9,200,575号明細書及び米国特許第10,247,121号明細書を参照されたい。
【0032】
メモリ18は、揮発性又は不揮発性メモリを含むいかなるタイプのメモリでもあり得、(a)エンジン12を動作させるための点火比、(b)各点火比に対する燃焼レシピ、並びに(c)各点火比に対するEGR及び/又はターボ制御位置などの決定に有用なデータを格納するために使用される。そのようなデータは、表、実験データから導き出されたモデル、アルゴリズム又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0033】
燃焼レシピ制御の実施形態
本出願人は、所望のトルクを生成する可変排気量エンジンの異なる点火比に対して燃焼レシピの充填物を最適化することにより、エンジン性能の改善、燃料消費量の低減、後処理システム温度の制御、有害な排出物の低減を含む多くの利益を実現できることを見出した。以下の論考では、エンジンシステム10は、EGRシステム28、ターボシステム30、インタークーラ49及び吸気スロットル24を含むと想定される。従って、所定の燃焼レシピの充填物は、(a)EGR、(b)新気、(c)ある度合いまで圧縮及び/又は(d)冷却できる新気の混合物を含む。従って、燃焼レシピの充填物の最適化は、
(1)充填物中の互いに対する(a)及び(b)の何れかの相対的な比率を調整すること、
(2)充填物中の(a)又は(b)の質量を調整すること、
(3)充填物の新気の圧縮があれば、その度合いを制御すること、
(4)充填物中の新気の冷却があれば、その度合いを制御すること
の1つ又は複数を伴う。
【0034】
図2~5を参照すると、本発明の多くの非排他的な実施形態による、異なる点火比及び異なる動作シナリオに対する充填物燃焼レシピの最適化を示すための多くの例示的な表が示されている。これらの表の各々は、多くの例に関して以下でさらに詳細に説明される。
【0035】
例1
100ニュートンメートル(Nm)のトルクのエンジン負荷で動作する6つのシリンダ14を備えるエンジン12を考慮する。点火比が1(FF=1)の場合、各シリンダのトルク出力は、各々がおよそ16.67Nmである。同じエンジン負荷に対して点火比を2分の1(FF=1/2)に変更した場合、3つの点火シリンダ14は、各々がその出力を2倍にするか、又は各々がおよそ33.33Nm生成する必要がある。換言すれば、3つの点火シリンダの個々のトルク出力は、あたかも総エンジン負荷が200Nmであるかのようであるが、3つのシリンダ14のみが点火しているため、総トルクエンジン出力は、100Nmのままであり、本質的に同じである。
【0036】
ディーゼル又は他のタイプの圧縮点火エンジンでは、例えば、3つの点火シリンダの各々に提供される燃料の量は、所望の結果を達成するために本質的に2倍になる。しかし、1シリンダ当たりで使用される同じ燃焼レシピを使用して16.67Nmを生成することは、1シリンダ当たり33.33Nmのトルクが必要である場合に理想的ではない。この矛盾に対処するため、この実施形態は、3つの点火シリンダの200Nmのエンジン負荷に対する燃焼レシピを使用することを伴う。換言すれば、以下のステップが開始される。
1.100Nmの総エンジントルク出力に基づいて、1シリンダ当たりの燃料Xと、1シリンダ当たり16.67Nmですべてのシリンダ14を点火させた状態でのエンジン12に対する燃焼レシピYの充填物とが決定される。X及びYの値は、典型的には、格納場所(例えば、メモリ18など)に維持されるルックアップテーブル(LUT)(図示せず)から確認される。動作中、X及びYの理想的な値を得るため、LUTには、1シリンダ当たりの出力(例えば、16.67Nm)を使用してインデックスが付けられる。後者の事例では、Yは、上記で説明されるように、典型的には、(a)~(d)の各々に対するある割合、質量及び/又は度合いを含むことになる。
2.点火比を2分の1(FF=1/2)に変更した場合、3つの点火シリンダは、100Nmの総エンジントルク要求を満たすために、1シリンダ当たり33.33Nmのトルクを生成する必要があると決定される。1シリンダ当たり33.33Nmのトルクでは、すべての6つのシリンダを点火させた場合、総エンジントルク出力は、200Nmとなる。従って、FF=1/2での理想的な燃焼レシピを定義するための手法の1つは、以下の通りである。
a.上記で言及されるLUTから燃焼レシピに対する値Zを確認する。Zは、200Nmの総トルク出力を生成するときのエンジン12に対する燃焼レシピの充填物である。この場合にもやはり、Zは、(a)新気、及び(b)EGRの各々に対するある割合及び/又は質量、並びに(c)空気圧縮の度合い、及び(d)任意選択の冷却の度合いを定義する。
b.1シリンダ14当たりの燃焼レシピを達成するために、Zの値を6で除す。この事例では、除算により、33.33Nmの1シリンダ当たりのトルクのトルク出力が得られる。しかし、1/2の点火比では、100Nmの所望のトルク出力が達成される。
c.3つの点火シリンダ14の各々に対して、燃料を2倍(2×)にする。
【0037】
上記の例は、以下のチャートIにまとめられている。1行目では、点火比は、1(FF=1)であり、エンジンのトルク負荷は、100Nm又は6シリンダエンジンの場合には1シリンダ当たり16.67Nmである。1シリンダ当たりの燃料は、「X」であり、エンジンに提供される燃焼レシピの充填物は、「Y」であり、すべての6つのシリンダ14を点火させた状態での1シリンダ当たりの充填物は、Y/6である。2行目で定義されるように、点火比は、FF=1/2である。その結果、3つのシリンダのみが点火され、各々は、33.33Nmのトルクを生成する。この結果を達成するため、1シリンダ当たりの燃料の量は、2倍又は「2×」であり、1点火シリンダ当たりの充填物の量は、Z/6である。
【0038】
図2を参照すると、望の補正値を得るために補正係数kがどのようにZを補正するかを示す表200が示されている。表200は、3つの行を含み、1/7~1の範囲の多くの点火比を列記する1行目と、燃焼レシピ補正比を含む2行目と、同じシリンダ負荷ですべてのシリンダを点火させたもの(FF=1)と比較した点火比が1より少ない(FF<1)点火シリンダの所望の充填物の量の割合(すなわちチャートIの最右列の最後の2つのセルの割合であり、FF及びkは、それぞれ表200の1行目及び2行目で指定されている)を提供する3行目とを含む。
【0039】
エアスプリング(AS)タイプの空気バネ
多くのスキップファイアエンジン制御の実装形態では、エンジン12の休止シリンダ14は、エンジンを通して空気を送り出すように動作するか、又はいくつかの異なるタイプの空気バネ(低圧排気スプリング(LPES)、高圧排気スプリング(HPES)若しくはエアスプリング(AS)など)の1つとして動作することができる。これらのタイプの空気バネについてのさらなる詳細は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,6195,84号明細書(TULA整理番号P064)を参照されたい。
【0040】
エンジン12のシリンダ14がASタイプの空気バネとして動作するとき、シリンダ14は、ある作動サイクルで点火し、同じ作動サイクルで排気し、次いで直後の作動サイクル中にシリンダ14に充填物が吸入される。燃料は、噴射されず、その結果、次の作動サイクルにおいて燃焼が起こらない。排気弁は、次の作動サイクルでは、閉じた状態に維持される。その結果、シリンダ14の作動チャンバ内は、比較的高い圧力のままである(例えば、圧縮中におよそ1気圧以上)。比較的高いシリンダ内圧力では、オイルがチャンバ内に吸い込まれる可能性が低い。
【0041】
しかし、可変排気量エンジンでは、所定のシリンダは、一連の点火機会にわたってASタイプの空気バネとして動作することができる。休止するサイクルが多過ぎる場合、シリンダ内圧力が下がり過ぎて、クランク室から作動チャンバ内にオイルが吸い込まれ得る。停止シリンダの作動チャンバ内に入ったオイルは、エンジンの損傷及び/又は排出量の増加を引き起こす可能性があり得る。一連の作動サイクルにわたって所定のシリンダを休止できる状況は、固定点火比パターンとローテーション点火比パターンとの両方を含む。
【0042】
固定及びローテーション点火比
固定点火パターンは、内燃機関が同じ点火比で動作している間に休止が連続して起こるものである。例えば、6シリンダ内燃機関では、分母が2、3又は6であるすべての点火比(例えば、1/6、1/3、1/2、2/3、5/6)は、固定点火パターンである。以下のチャートIIでは、1/2(休止-点火-休止-点火パターン)の例示的な固定点火比で動作する6シリンダエンジンに対する点火パターンが描写されている。チャートから明らかであるように、シリンダ1、3、5は、継続的に休止される一方、シリンダ2、4、6は、継続的に点火される。
【0043】
ローテーション点火比では、個々のシリンダは、ある点火比で動作している間、点火と休止との間でローテーションする。この場合にもやはり、同じ6シリンダエンジンに対して、分母が5又は7の点火比は、ローテーション点火比である。以下のチャートIIIでは、2/5(休止-点火-休止-休止-点火)の例示的なローテーション点火パターンで動作する同じ6シリンダエンジンのシリンダ点火パターンが示されている。チャートIIIから明らかであるように、すべてのシリンダが点火と休止との両方を行う。
【0044】
さらに、所定の点火比に対して、いくつかのシリンダが固定パターンを呈する一方、他のシリンダは、ローテーションパターンを呈するため、一部の点火比は、「ハイブリッド」と見なされることに留意されたい。そのようなハイブリッドの点火比は、この場合にもやはり、例示的な6シリンダエンジンに対して1/4及び3/4を含む。以下のチャートIVは、FF=1/4(休止-休止-休止-点火)の点火比のハイブリッド性質を示す。この例から明らかであるように、シリンダ1、3、5が固定点火パターンを呈する一方、シリンダ2、4、6は、ローテーションパターンを呈する。同様に、3/4の点火パターンもハイブリッドであるが、シリンダの特定の固定及びローテーションパターンは、異なる。
【0045】
一連の作動サイクル(例えば、2つ以上の一連のサイクル)にわたってASタイプの空気バネとして動作するシリンダ14の作動チャンバ内にオイルが吸い込まれることを防ぐための公知の戦略は、点火比が固定であるか、ローテーションであるか又はハイブリッドであるかにかかわらず、その圧力が過度に低くなる前にシリンダを周期的に「再充填」することである。再充填は、一般に、休止された作動サイクル中に吸気弁を開いて、充填物を吸入できるようにし、シリンダを「再充填」することを伴う。典型的には、燃料が噴射されないため、燃焼が起こらず、シリンダが停止したままである一方、そのシリンダ内圧力が増加し、オイルが作動チャンバに入ることを防ぐ。休止シリンダを再充填するための戦略についてのさらなる詳細は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、同一出願人による2020年8月27日に出願された「Recharging Management for Skipping Cylinders」という名称の米国仮特許出願第63/071,295号明細書を参照されたい。
【0046】
以下の例では、再充填戦略は、固定点火パターンとローテーション点火パターンとの両方に対して使用される。再充填では、吸入事象は、点火事象より多い。それに従い、以下で提供される例の各々では、充填物体積は、再充填に必要な追加の充填物を考慮して増加される。
【0047】
例2-エアスプリング及び固定点火比
図3を参照すると、固定点火パターンでASタイプの空気バネとして動作するシリンダを再充填するための追加の吸入事象を考慮に入れた表300である。表300は、3つの行を含み、1/7~1の範囲(小数値としても表される)の多くの点火比を列記する1行目と、1行目の分数/少数の点火比の各々に対する吸入割合(少数として表され、点火シリンダと再充填シリンダの両方に対して必要とされる吸入の数を定義する)を示す2行目と、補正係数を示す燃焼レシピ補正比を含む3行目とを含む。
【0048】
この例では、休止シリンダ14は、1(FF=1)以外のすべての点火比に対してASタイプの空気バネとして動作するため、1以外のすべての固定点火パターン比に対して、シリンダの再充填が必要となる可能性がある。各シリンダ再充填事象では、充填物は、問題のシリンダ14に吸入される。その結果、所定の燃焼レシピのより大きい量の充填物が必要である。充填物体積を増大することにより、点火シリンダの燃焼に必要とされる充填物が利用可能である一方、休止シリンダの再充填中、吸入事象に対して追加の充填物が使用される。
【0049】
図3の例では、再充填は、あらゆる既定数のエンジンサイクルにわたって各シリンダに対して実行されると想定される。この特定の非排他的な実施形態では、既定数のエンジンサイクルは、21である。既定数のエンジンサイクルは、決して21に限定されず、それより高いか又は低くてもよいことを理解すべきである。燃焼の充填物の質量又は量は、この例では、21のすべての連続する休止サイクルで起こる再充填を考慮して相応に調整する必要がある。この特定の例では、1/6又は0.167の点火比において、吸入割合は、0.206とわずかに高い。従って、より高い吸入割合は、1/6の点火比での点火シリンダ事象の数のみならず、再充填事象の数も考慮する。従って、燃焼レシピ補正比の充填物は、この点火比に対して上方調整される。
【0050】
図3の例では、エンジン充填フロー補正値は、1/4、1/3、1/2、2/3、5/6の追加の点火比に対して同様の方法で上方調整されることに留意されたい。しかし、1/7、1/5、2/7、2/5、3/7、4/7、3/5、5/7、3/4、4/5、6/7、1.0の点火比に対して、これらの比では、所定のシリンダが21のエンジンサイクルにわたって連続して休止される可能性がないため、同様の補償は行われない。
【0051】
図3の表において提供される特定の値は、単なる例示であり、決して限定するものと解釈すべきではないことを理解すべきである。他の実施形態では、異なるエンジンに対して、これらの値は、異なる可能性が高く、特定のエンジンに対して収集された実験データに基づいて得られる可能性が高いであろう。
【0052】
例3-エアスプリング及びローテーション点火比
ASタイプの空気バネでの問題は、シリンダ14の燃焼チャンバの壁内で温度変動が起こる傾向があることである。圧縮中、シリンダ内の充填物が加熱され、次いで後続の膨張中に冷却される傾向がある。いくつかの一連の作動サイクル中、シリンダ14の壁は、チャンバ内の内部温度が後続の点火に対して理想的とは言えない温度までかなり冷却される場合がある。冷却されたシリンダは、少なくとも2つの理由で燃焼において問題になる。第1に、より冷たい温度は、特に点火において熱及び圧力に依拠する圧縮点火タイプのエンジンにおいて、燃焼を遅らせる傾向がある。第2に、シリンダ14内に噴射された燃料の気化が妨げられ、それにより、燃料は、シリンダの壁に衝突することが多くなり、それにより燃焼中のすす及び他の粒子の排出量レベルがより高くなる。
【0053】
ASタイプの空気バネとして動作している間、かなりの又は過度なシリンダ冷却を回避するため、本出願人は、ある点火比に対して点火の直前に再充填を実行することを提案している。例えば、1/7の点火比では、所定のシリンダ14は、6つの一連のエンジンサイクルにわたって休止し、ASタイプのスプリングとして動作させた後、第7のエンジンサイクル中に点火させることができる。前述の冷却を回避するため、再充填は、シリンダ14を点火させる第7のエンジンサイクルの直前の第6のエンジンサイクルで実行される。例えば、1/7の点火比でのシリンダ16の点火/休止/再充填シーケンスは、(休止-休止-休止-休止-休止-再充填-点火)である。同様に、1/5の点火比の場合、同じシリンダ14のシーケンスは、(休止-休止-休止-再充填-点火)である。これらの両方の例では、点火事象は、1回のみあるが、吸入事象は、2回ある。その結果、燃焼レシピの充填物の量は、点火と再充填との両方を考慮して調整する必要がある。
【0054】
図4を参照すると、ASタイプのスプリング及びローテーション点火パターンとして動作するシリンダを再充填するための追加の吸入事象を考慮に入れた別の表400が示されている。あるローテーションパターンでは、ASタイプの空気バネとして動作するシリンダを2回以上休止することは、一般的である。上記で述べられるように、2回又は一連の休止後、再点火事象前にシリンダを再充填することにより、燃焼の質を向上させることができ、従って潜在的な不完全な若しくは不安定な燃焼又はさらに不点火を回避することができる。
【0055】
表400は、3つの行を含み、1/7~1の範囲(小数値としても表される)の多くの点火比を列記する1行目と、1行目の分数/少数の点火比の各々に対する吸入割合(少数として表される)を示す2行目と、再充填に必要な所望の充填物の量を示す燃焼レシピ補正比を含む3行目とを含む。
【0056】
表400の点火比は、2つのグループに分類することができる。
グループ1:4/7、3/5、5/7、3/4、4/5、6/7、1の点火比。これらの点火比では、2つの連続するエンジンサイクルにわたり、シリンダ14が複数回休止される可能性がない。従って、これらの比に対して再充填を実行する必要がない。吸入事象に対して余分な充填物の必要がないため、吸入割合と燃焼レシピ値とは、同じである。
グループ2:1/7、1/5、2/7、2/5、3/7の点火比。これらの点火比では、2つ以上のエンジンサイクル中にシリンダ14を休止することができる。結果的に、これらの比に対して再充填を実行する必要がある。その結果、吸入割合は、点火比より高く、燃焼レシピの充填物は、上方調整又は補正される。
【0057】
例4-エアスプリング及び点火遅延
上記で述べられるように、複数の休止にわたってASタイプの空気バネとして休止シリンダ14を動作させることは、シリンダ内の充填物が冷却されるため、圧縮点火エンジンでの後続の点火時の燃焼に悪影響を及ぼす。その結果、後続の点火中、点火は、遅れて起こるか又は全く起こらない(すなわち不点火)可能性がある。点火が遅れるか又は点火しないことで、シリンダによって生成されるトルクの量が最大限に満たないか、又はトルクがほとんど若しくは全く生成されないことになる。
【0058】
ディーゼルエンジンなどの圧縮点火エンジンでは、この点火遅延は、燃料噴射の開始と燃焼の開始との間の時間として特徴付けられる。低温シリンダ14の点火遅延を低減するため、上記で論じられるような再充填の他に又はそれに加えて、多くのステップを使用することができる。
【0059】
Sandia National Laboratoriesによって発表された“The Influence of Charge Dilution and Injection Timing on Low-Temperature Diesel Combustion and Emissions”,by Kook,S.,C.Bae,P.C.Miles,D.Choi,L.M.Pickett,SAE Technical Paper 2005-01-3837,doi:10.4271/2005-01-3837”,2005という名称の論文では、ディーゼルエンジンの点火遅延を計算するための式が提案されている。
式中、X
O2は、吸気充填物におけるO
2のモル分率であり、P及びTは、充填圧力及び温度である。τ
idは、点火遅延である。
【0060】
上記の方程式に基づいて、1つの選択肢は、EGR弁44を調整することにより、EGRシステム28からのEGR比を低減することである。そうすることにより、充填物中の酸素(O2)モル分率が増加し、点火遅延が短縮される。しかし、EGR比を低減することにより、O2モル分率が増加し、NOx排出量が増加し得る。結果的に、理想的には、過度なNOx排出量をもたらさないが、点火遅延を低減する最適化されたEGR値が使用される。
【0061】
図5を参照すると、別の表500が示されている。この表では、1行目は、エンジン12に対する1/7~1の範囲の多くの点火比を列記する。2行目は、列記された点火比の各々に対するEGR比補正を示す。この特定の例では、以下の通りである。
(a)1/6、1/3、2/3、5/6、1の点火比の場合、これらの比は、点火前に休止がないため、EGR補正が不要である。それに対して、常に同じシリンダが点火される一方で同じシリンダが休止される。
(b)1/7、1/5、1/4、2/7、2/5、3/7、4/7、3/5、5/7、3/4、4/5、6/7の点火比の場合、あるシリンダ14は、休止中に点火が散在する。その結果、過度なNOx排出量を生成することなく点火遅延を低減するため、EGR比を低減するか又は最適な量を重視することが有利である。
【0062】
別の選択肢は、インタークーラ49の空気冷却器56によって実行される冷却の量を低減することである。これは、ターボチャージャシステム30からのある程度の好ましい量の圧縮空気が給気冷却器56を迂回するように、エンジンコントローラ16が制御信号47を通して弁54を調整することによって達成される。最終結果は、吸気マニホールド20に導入される圧縮空気の温度が、冷却された場合より高い温度であることである。その結果、シリンダに吸入された点火寸前の充填物は、燃焼チャンバ内のより冷たい温度を部分的に補償し、点火遅延の低減に役立つ。
【0063】
さらなる別の選択肢は、ターボチャージャシステム30を通して空気のブースト又は圧縮を増大することである。さらなる圧縮により、吸気マニホールド20に戻される充填物中により多くの空気及びより多くの酸素が存在する。この場合にもやはり、追加の酸素又はモル酸素(O2)モル分率は、点火遅延を低減する傾向がある。
【0064】
さらなる別の選択肢では、シリンダ14に燃料を噴射するとき、複数の又は分割した燃料噴射を使用することができる。複数のパルスにより、燃料は、通常より早く噴射することができ、それによってより優れた燃料の加熱及び気化が可能になり、その結果、より早く且つより均一な燃焼が起こる。さらなる別の選択肢では、単一の噴射を使用することができるが、単一の噴射の開始は、直ちに始められ、それによってより優れた燃料の加熱及び気化が可能になり、この場合にもやはり燃焼が改善される。
【0065】
最後に、ある状況では、ERG値を増加させ、充填物中の酸素及び/又は新気の量を希釈することが有利であり得る。例えば、ターボチャージャ30による過度なブーストが原因で例えば充填物中に過度な量の酸素が存在する場合、点火のタイミングを制御し、且つ/又は排出量をよりよく制御するために、EGRを制御方式で増加することが有益であり得る。
【0066】
上記の少数の例では、エアスプリングタイプの空気バネが関与することに留意されたい。これは、決して必須要件ではないことを理解すべきである。LPES又はHPESなど、他のタイプの空気バネを使用することができる。LPESでは、シリンダの作動チャンバ内の圧力が比較的低い。従って、ASタイプの空気バネと同様に、LPESタイプの空気バネでは、同様の再充填戦略を使用することができ、これは、再充填事象に対して同様の燃焼レシピ補正係数を使用できることを意味する。HPESでは、シリンダの作動チャンバ内の圧力は、典型的には、AS又はLPESタイプの空気バネより高い。しかし、他のタイプの空気バネのように、シリンダ内圧力は、一連の休止にわたって減衰し得る。HPESタイプの空気バネでは、この場合にもやはり、再充填事象に対する補正係数を含む燃焼レシピと共に同様の再呼吸戦略を使用することができる。
【0067】
例5-低い点火比
ある低い点火比では、エンジン12を通して送り出される空気の量が低減し、従って後処理システム32に提供される排気量が低減する。従って、排気フローを動力源とするターボチャージャシステム30は、制限を受け、ゆっくり回転し、その結果、吸気マニホールド20に提供される空気の圧縮又はブースト不足となり得る。従って、点火シリンダ14は、所定のシリンダ負荷に対して理想的なものよりも、利用可能な充填物が少ない可能性がある。例えば、1/5などの低い点火比では、燃焼レシピの所望の充填物は、V1であり得るが、ターボチャージャシステム30による低レベルのブーストが原因で達成できない可能性がある。その結果、点火比が一定に保たれると想定すると、V1より低い別の値V2に充填物を低減する必要があり得る。その事例では、いくつかの状況において、シリンダ14に提供される燃料の量も低減しなければならない可能性がある。例えば、1/5の点火比では、シリンダが受け取る燃料の量は、典型的には、すべてのシリンダを点火させた場合(すなわちFF=1)にシリンダ14が受け取る量の5倍である。ターボチャージャシステム30の制限が原因で燃焼レシピの理想的な充填物が達成できない場合、空燃比(AFR)は、容認できない量の煙又は粒子の排出をもたらす閾値を下回って低下し得る。そのようなシナリオが起これば、典型的には、燃料の量が低減し、その結果、AFRは、閾値を上回った状態を保つ。代わりに、点火比を増加させることができ、その結果、総空気吸気充填物が増加し、その結果、総排気フローが相応に増加する。さらなる総排気フローにより、ターボチャージャシステム30は、より高いレートで回転することができ、その結果、高度の圧縮が生じる。
【0068】
例6-EGR制限
ターボチャージャシステム30の制限が原因で燃焼レシピの所望の充填物が低減され、及び/又は燃料の量が低減される状況では、EGRのレベルを調整することも有利であり得る。ターボチャージャシステム30の制限が原因で燃焼レシピの所望の充填物を低減する必要がある場合、EGRは、高過ぎる可能性があり、NOx及び粒子排出量間の準最適なトレードオフをもたらし得る。これらの状況下では、EGR比は、再評価することができる。EGRが過剰である場合、エンジンコントローラ16は、EGRシステム28の弁44の位置を調整し、EGRの量を適切に低減することができる。
【0069】
チャートI及び表200~500で提供される値は、単なる例示であり、決して限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。それに対して、チャートI及び表200~500(その中で提供される値を含む)は、エンジンごとに及び/又は異なる動作条件下でかなり異なり得る及び違う可能性が高くなることを理解すべきである。
【0070】
さらに、表200~500及び/又はチャートIは、メモリ18などの格納場所で維持できることに留意されたい。代わりに、表200~500及び/又はチャートIに含まれるこれらの値は、エンジンコントローラ16により、オンザフライで計算するか又は他の任意の方法で利用可能にすることがきる。
【0071】
追加の実施形態
ごく少数の実施形態のみ詳細に説明してきたが、本出願は、本明細書で提供される本開示の趣旨又は範囲から逸脱しない範囲において、他の多くの形態で実装できることを理解すべきである。
【0072】
任意選択の実施形態では、空気吸気をブーストするために、スーパーチャージャ又はツインチャージャを使用することもできる。ターボチャージャとスーパーチャージャとの主な違いは、スーパーチャージャがエンジンによって機械的に駆動される(クランクシャフトに接続されたベルトによる場合が多い)一方、ターボチャージャが、エンジンの排気ガスによって駆動されるタービンを動力源とすることである。機械的に駆動されるスーパーチャージャと比べて、ターボチャージャは、より効率的であるが、応答性が低い傾向がある。ツインチャージャは、スーパーチャージャとターボチャージャとの両方を備えるエンジンを指す。
【0073】
本出願は、主に、自動車での使用に適した6シリンダ内燃機関に関連して説明されている。しかし、本明細書で説明される本出願は、燃焼のタイプに関係なく、いかなるタイプの内燃機関でも使用できること及び/又はシリンダの数に関係なく、1、2、3、4、5、6、8、10、14個のシリンダを含むいかなるエンジン若しくは本明細書で具体的に記載されるより多い若しくは少ないシリンダを備えるエンジンで使用できることを理解すべきである。加えて、内燃機関は、いかなるタイプの可燃燃料も使用することができ、これらに限定されないが、ガソリン、ディーゼル、エタノール、メタノール、天然ガス又はそれらの任意の組合せを含む。その上、内燃機関は、様々なタイプの燃焼及び/又は燃料充填物に依拠し得、これらに限定されないが、圧縮点火、火花点火、層状燃料充填物、均一な燃料充填物及び部分的に均一な充填物を含む。加えて、本明細書で説明されるエンジンの何れも、事実上、いかなるタイプの車両(車、トラック、機関車、船、ボート、建設機器、航空機、オートバイ、スクータなどを含む)に対して使用することができ、事実上、内燃機関におけるシリンダの点火に関与する他のいかなる用途に対しても使用することができる。
【0074】
従って、本実施形態は、限定ではなく、例示と見なすべきであり、本明細書で与えられる詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で変更することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変排気量内燃機関の動作を制御するための方法において、
第1の点火比において及び第1の燃焼レシピの第1の充填物を使用して、所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関のシリンダを動作させることと、
前記所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させるための第2の点火比及び第2の燃焼レシピの第2の充填物を確認することと、
前記所望のトルク出力を生成するために、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させることと
を含み、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物の使用に対して、前記第2の点火比で動作する前記可変排気量内燃機関のために最適化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、
(a)新気、
(b)排気ガス再循環(EGR)、
(c)前記新気の圧縮、
(d)前記新気の冷却、又は
(e)(a)~(d)の任意の組合せ
の1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を確認することは、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)新気、(b)EGR、及び(c)前記新気の圧縮、並びに/又は(d)前記新気の冷却の1つ又は複数の量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項
1に記載の方法において、前記第2の燃焼レシピを確認することは、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の充填物の質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項
1に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物に含まれる新気の質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項
1に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物中において提供されるEGRの質量を調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項
1に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物中において提供される圧縮新気の度合いを調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項
1に記載の方法において、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物中において提供される新気の冷却の度合いを調整することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項
1に記載の方法において、
前記可変排気量エンジンが前記第2の点火比で動作しているとき、空気ガススプリングとして前記シリンダのいくつかの作動サイクルを動作させることと、
前記空気ガススプリングとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することと、
前記シリンダの前記周期的な再充填に起因して起こる1つ又は複数の追加の吸入事象を考慮するように前記第2の燃焼レシピの第2の充填物を調整することと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法において、前記空気ガススプリングは、低圧排気スプリング(LPES)又はエアスプリング(AS)の何れかであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項
1に記載の方法において、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の酸素モル分率を増加させるためにEGR比を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項
1に記載の方法において、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の冷却の量を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項
1に記載の方法において、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の圧縮を増加させることにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減することをさらに含み、前記充填物の前記増加された圧縮は、前記充填物の酸素モル分率の増加をもたらすことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項
1に記載の方法において、点火される選択されたシリンダに提供される燃料の量を、前記シリンダに提供される充填物中の圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減することをさらに含み、前記燃料の量の前記低減は、過度な煙状態を回避することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項
1に記載の方法において、点火される選択されたシリンダに提供される充填物に含まれるEGRの量を、前記充填物中の圧縮空気の度合いが低過ぎる場合に低減することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項
1に記載の方法において、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させている間、燃料噴射パラメータを調整することをさらに含み、前記燃料噴射パラメータの前記調整は、
(a)燃料噴射が通常開始するときより前に燃料噴射の開始を早めること、
(b)燃料の2つ以上のパルスの分割噴射、又は
(c)(a)と(b)との両方の組合せ
の1つ又は複数を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項
1に記載の方法において、
(a)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない有効低減排気量で動作している間、一連の作動サイクルにわたり、少なくとも1つのシリンダが点火され、休止され、且つ点火されるか又は休止されるかの何れかである、スキップファイアモード、
(b)前記可変排気量エンジンの前記シリンダを点火させるか又は休止するかの何れかの決定が、(i)点火機会ごとに、又は(ii)エンジンサイクルごとに動的に行われる、動的スキップファイアモード、
(c)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない低減排気量で動作している間、1つ又は複数のシリンダの第1のグループが継続的に点火され、及び1つ又は複数のシリンダの第2のグループが継続的に休止される、可変排気量モード
の1つで前記可変排気量エンジンを動作させることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
複数のシリンダを有する可変排気量内燃機関と、
エンジンシステムコントローラと
を含むエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
第1の点火比において及び第1の燃焼レシピの第1の充填物を使用して、所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させることと、
前記所望のトルク出力を生成するように前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させるための第2の点火比及び第2の燃焼レシピの第2の充填物を確認することと、
前記所望のトルク出力を生成するために、前記第1の点火比及び前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物の使用から、前記第2の点火比及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の使用に前記可変排気量内燃機関の前記シリンダの動作を移行することと
を行うように構成され、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物の使用に対して、前記第2の点火比で動作する前記可変排気量内燃機関のために最適化されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のエンジンシステムにおいて、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物は、
(a)排気ガス再循環(EGR)、
(b)新気、
(c)前記空気の圧縮、
(d)前記新気の冷却、又は
(e)(a)~(d)の任意の組合せ
の1つを含み、前記エンジンシステムコントローラは、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の(a)~(e)の何れかの量及び/又は度合いを定義するように構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項20】
請求項
19に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物の(a)~(e)の何れかをそれぞれ調整するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項21】
請求項
20に記載のエンジンシステムにおいて、前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を調整することは、
(f)前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)又は(b)の何れかの質量を調整すること、
(g)前記第1の燃焼レシピの前記第1の充填物に対して、(a)又は(b)の何れかの相対的な比率を調整すること、又は
(h)(f)と(g)との両方
を意味することを特徴とするエンジンシステム。
【請求項22】
請求項
19に記載のエンジンシステムにおいて、インタークーラをさらに含み、及び前記エンジンシステムコントローラは、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物に含まれる新気の冷却の度合いを制御するために前記インタークーラを制御するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項23】
請求項
19に記載のエンジンシステムにおいて、
(a)EGRと新気とを混合するように構成されたミキサ、
(b)前記EGRと前記新気とを混合するように構成されたスロットル、及び
(c)(a)と(b)との両方
の1つをさらに含むことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項24】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
休止された作動サイクル中に空気バネとして前記シリンダの1つ又は複数を動作させることと、
前記空気バネとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することと、
前記空気バネとして動作する前記シリンダを周期的に再充填することに関連付けられた追加の吸入事象を補償するために、前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を調整することと
を行うようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項25】
請求項
24に記載のエンジンシステムにおいて、前記空気バネは、低圧排気スプリング(LPES)又はエアスプリング(AS)の何れかであることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項26】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の酸素モル分率を増加させるためにEGR比を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項27】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される充填物の冷却の量を低減することにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項28】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、充填物の酸素モル分率を増加させるために、選択された点火機会について、選択されたシリンダに提供される前記充填物の圧縮を増加させることにより、前記選択されたシリンダが冷却される1つ又は複数の休止された点火機会後、前記選択された点火機会中に点火される前記選択されたシリンダの点火遅延を低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項29】
請求項
28に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、過度な煙状態を防ぐために、選択された点火シリンダに提供される燃料の量を、充填物中において前記シリンダに提供される圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項30】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、選択された点火シリンダに提供される充填物に含まれるEGRの量を、前記充填物中において提供される圧縮空気の度合いが十分に低い場合に低減するようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項31】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、
(a)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない有効低減排気量で動作している間、一連の作動サイクルにわたり、少なくとも1つのシリンダが点火され、休止され、且つ点火されるか又は休止されるかの何れかである、スキップファイアモード、
(b)前記可変排気量エンジンの前記シリンダを点火させるか又は休止するかの何れかの決定が、(i)点火機会ごとに、又は(ii)エンジンサイクルごとに動的に行われる、動的スキップファイアモード、
(c)前記可変排気量エンジンが、前記可変排気量エンジンの総排気量より少ない低減排気量で動作している間、1つ又は複数のシリンダの第1のグループが継続的に点火され、及び1つ又は複数のシリンダの第2のグループが継続的に休止される、可変排気量モード
の1つで前記可変排気量エンジンを動作させるようにさらに構成されることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項32】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記可変排気量エンジンは、
(a)ディーゼルエンジン、
(b)ガソリンエンジン、
(c)圧縮点火エンジン、
(d)火花点火エンジン
の1つであることを特徴とするエンジンシステム。
【請求項33】
請求項
18に記載のエンジンシステムにおいて、前記エンジンシステムコントローラは、前記第2の点火比において及び前記第2の燃焼レシピの前記第2の充填物を使用して、前記可変排気量内燃機関の前記シリンダを動作させている間、燃料噴射パラメータを調整するようにさらに構成され、前記燃料噴射パラメータの前記調整は、
(a)燃料噴射が通常開始するときより前に燃料噴射の開始を早めること、
(b)燃料の2つ以上のパルスの分割噴射、又は
(c)(a)と(b)との両方の組合せ
の1つ又は複数を含むことを特徴とするエンジンシステム。
【国際調査報告】