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特表2023-501462全身性エリテマトーデスにおけるI型インターフェロン阻害
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】全身性エリテマトーデスにおけるI型インターフェロン阻害
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230111BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P37/02
A61P43/00 121
A61K31/573
A61K39/395 N
A61K9/08 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526517
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2020081770
(87)【国際公開番号】W WO2021094378
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/933,672
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/031,848
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/089,345
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】バーリリンド,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】アブレウ,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ピネダ,リリア
(72)【発明者】
【氏名】トゥマラ,ラジ
(72)【発明者】
【氏名】アスカナセ,アンカ
(72)【発明者】
【氏名】リシェ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】モランド,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ブルース,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ブロホーン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フュリー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ペ,サンチョル
(72)【発明者】
【氏名】タナカ ヨシヤ
(72)【発明者】
【氏名】ワース,ビクトリア
(72)【発明者】
【氏名】フォレンホーフェン,ローナルト ファン
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンバーグ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ビタル,エド
(72)【発明者】
【氏名】カーレンバーグ,ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】カルヤニ,ルバナ
(72)【発明者】
【氏名】カルニアン,ケネス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076CC07
4C076DD46
4C076DD51
4C076DD67
4C076FF11
4C084AA17
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA06
4C084ZB07
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB17
4C085CC23
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA06
4C086ZB07
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、全身性エリテマトーデス(SLE)の処置のための方法及び組成物に関する。詳細には、本開示は、対象にI型IFN受容体阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全身性エリテマトーデス(SLE)の処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、前記対象に、I型インターフェロン(IFN)受容体(IFNR)阻害剤の治療的に有効な量を投与することを含み、前記IFNR阻害剤は、前記対象においてSLE疾患活性を引き下げる、方法。
【請求項2】
対象においてSLE疾患活性を引き下げる前記IFNR阻害剤の能力は、第III相治験において実証されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは:
a.前記対象におけるBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答、
b.前記対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアの、処置前の前記対象のCLASIスコアと比較した引下げ、
c.前記対象の圧痛関節数及び関節腫脹数の、処置前の前記対象の圧痛関節数及び関節腫脹数と比較した引下げ、
d.前記対象が、処置後に1 BILAG-2004 Bスコアの最大値を有すること、
e.前記対象が、処置後にC若しくはそれよりも良いBILAG-2004スコアを有すること、
f.前記対象に、処置前と比較した、少なくとも1つの患者報告アウトカム(PRO)の改善があること、並びに/又は
g.処置前の前記対象のフレア率と比較した、前記対象のSLEフレア率の引下げ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記IFNAR阻害剤の投与の前と後に、前記対象のBILAGスコアを測定することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記BICLA応答は、少なくとも52週間、前記対象において持続される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記IFNAR阻害剤の投与の前と後に、前記対象においてPROを測定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記PROは、前記対象の慢性疾病治療-疲労の機能評価(FACIT-F)、Short Form 36健康調査バージョン2(SF-36-v2)、メンタルコンポーネントサマリ(MCS)、及び/又はSF-36、フィジカルコンポーネントサマリ(PCS)スコアを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記BICLA応答は、前記対象のBILAG-2004 A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
処置前の前記対象のCLASIスコアと比較して前記対象のCLASIスコアを引き下げることは、処置前の前記対象のCLASI-Aスコアと比較した前記対象のCLASI-Aスコアの引下げを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象において前記SLE疾患活性を引き下げることは、前記対象において抗dsDNAレベルを引き下げることを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含み、処置前の前記対象に投与されたOCS用量と比較して、前記対象に投与されるOCS用量を引き下げることを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記OCSは、プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はメチルプレドニゾロンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置の少なくとも4週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
SLE疾患活性を引き下げることは、処置の少なくとも8週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前の前記対象における圧痛関節数及び関節腫脹数の値と比較した、前記対象における圧痛関節数及び関節腫脹数の少なくとも50%の改善を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、全身性エリテマトーデスレスポンダー指数(SRI)4スコアの改善を含まない、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象においてSLR疾患活性を引き下げることは、処置の52週後に、全身性エリテマトーデスレスポンダー指数(SRI)4スコアの改善を含まない、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記対象のCLASIスコアの前記引下げは、処置の少なくとも8週目までに達成される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象のCLASIスコアの前記引下げは、処置の12週後に達成される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前の前記対象のCLASIスコアと比較した、前記対象のCLASIスコアの少なくとも50%の引下げを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置の12週後の前記対象のCLASI-Aスコアの引下げを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象は、処置前のCLASI-Aスコアが≧10である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置の24週後に、前記対象のBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良いことを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、前記対象が、処置の24週後に1 BILAG-2004 Bスコアの最大値を有することを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前の前記対象のBILAGベースの年率換算したフレア率と比較した、前記対象のBILAGベースの年率換算したフレア率の引下げを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、前記対象においてフレアを予防することを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
フレアは、1ヵ月以前の前記対象のスコアと比較した、≧1の新しいBILAG-2004 Aドメインスコア又は≧2の新しい(悪化)BILAG-2004 Bドメインスコアと定義される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前のフレア率と比較した、前記対象におけるフレア率の引下げを含み、処置前の前記対象に投与されるOCS用量と比較して、前記対象へのOCS用量投与を引き下げることを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
処置について前記対象を選択することを含み、前記対象は、活動性SLEを患っていることについて選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
処置について前記対象を選択することを含み、前記対象は、中程度から重度のSLEを患っていることについて選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象は、OCS処置に非応答性であるSLEを患っていることについて選択される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記対象は成体である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
自己免疫疾患を患っている対象においてOCS用量を引き下げる方法であって、前記対象に、I型IFN受容体阻害剤の治療的に有効な量を投与することと、前記対象に投与されるOCS用量を、処置前の前記対象に投与されたOCS用量と比較して引き下げることとを含み、前記IFNR阻害剤は、前記対象において疾患活性を引き下げる、方法。
【請求項34】
自己免疫を有する対象においてOCS関連器官損傷を予防する方法であって、前記対象は、処置前にOCSを受けており、前記対象に、I型IFN受容体阻害剤の治療的に有効な量を投与することと、前記対象に投与されるOCS用量を、処置前の前記対象に投与されたOCS用量と比較して引き下げることとを含み、前記IFNR阻害剤は、前記対象において疾患活性を引き下げる、方法。
【請求項35】
前記対象は、処置の開始時に、≧10mg/日のOCS用量を受けている、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記OCSは、≦7.5mg/日に引き下げられる、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記OCS用量は、0mg/日に引き下げられる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも12週間、OCS用量の前記引下げを持続させることを含む、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象は、OCS関連器官損傷がある、請求項33~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記OCSは、プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はメチルプレドニゾロンを含む、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記自己免疫疾患はSLEである、請求項33~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記自己免疫疾患は、中程度から重度のSLEである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象は、OCS処置に非応答性であるSLEを患っていることについて選択される、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記I型IFN受容体阻害剤は、静脈内に投与される、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記I型IFN受容体阻害剤は、IFNAR1に特異的に結合する抗I型インターフェロン受容体抗体又はその抗原結合断片である、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記抗体はモノクローナル抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗体はアニフロルマブである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
300mgアニフロルマブを投与することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
アニフロルマブは、30分間にわたって静脈内(IV)注入される、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
アニフロルマブは、4週毎に、30分間にわたってIV注入される、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項51】
アニフロルマブは、単回用量バイアルから投与される、請求項46~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
アニフロルマブは、150mg/mLの濃度にて溶液により提供される、請求項46~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
アニフロルマブは、4週毎に投与される、請求項46~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
アニフロルマブは、少なくとも52週間投与される、請求項45~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
請求項1~54のいずれか一項に記載の処置の方法に使用される医薬組成物であって、前記I型IFN受容体阻害剤を含む医薬組成物。
【請求項56】
請求項55に記載の使用のための医薬組成物であって、150mg/mLの濃度にてアニフロルマブを含む医薬組成物。
【請求項57】
請求項56に記載の使用の医薬組成物であって:
a.150mg/mLアニフロルマブ;
b.50mMリジンHCl;
c.130mMトレハロース二水和物;
d.0.05%ポリソルベート80;
e.25mMヒスチジン/ヒスチジンHCl
を含み、
5.9のpHである、医薬組成物。
【請求項58】
請求項1~54のいずれか一項に記載の方法に使用される単位用量であって、300mgのアニフロルマブを含む単位用量。
【請求項59】
請求項1~54のいずれか一項に記載の方法に使用されるキットであって:
a.請求項54に記載の単位用量と、
b.前記単位用量を含有するガラスバイアルと
を含むキット。
【請求項60】
前記単位用量の投与のための説明書を含む、請求項59に記載の方法に使用されるキット。
【請求項61】
前記説明書は、4週毎の前記単位用量の投与を条件として述べている、請求項60に記載のキット。
【請求項62】
前記説明書は、前記対象が中程度から重度のSLEを患っていることを条件として述べている、請求項60又は61に記載のキット。
【請求項63】
対象における処置の患者報告アウトカム(PRO)に及ぼす、SLEについての処置の効果を評価する向上した方法であって、前記対象のBICLA応答を測定することを含み、前記BICLA応答は、前記対象における処置の患者報告アウトカム(PRO)の改善に対応する、向上した方法。
【請求項64】
前記PROは、前記対象の慢性疾病治療-疲労の機能評価(FACIT-F)、Short Form 36健康調査バージョン2(SF-36-v2)、メンタルコンポーネントサマリ(MCS)、及び/又はSF-36、フィジカルコンポーネントサマリ(PCS)スコアを含む、請求項63に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全身性エリテマトーデス(SLE)の処置のための方法及び組成物に関する。詳細には、本開示は、SLEの処置を必要とする対象に、I型IFN受容体阻害剤、場合によってはアニフロルマブを投与することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、重大な罹患率及び死亡率を引き起こす自己免疫疾患である。熱心なSLE治験活動にも拘わらず、最近60年で、1つの薬剤、ベリムマブしか、規制当局の承認を受けていない。多くの要因が、SLEにおける薬剤開発の失敗に関与しており、治験設計の課題、異種患者集団、及びロバストなエンドポイントの不足が挙げられる。
【0003】
SLEの臨床症状として、全身病徴、脱毛症、発疹、漿膜炎、関節炎、腎炎、脈管炎、リンパ節腫脹、脾腫、溶血性貧血、認知機能不全、及び他の神経系障害が挙げられるが、これらに限定されない。これらの疾患徴候は、疾病の重大な負荷を生じさせて、身体機能の低下、失業、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(QoL)の低下、及び寿命の10年の短縮に至る虞がある。入院、並びに慢性経口副腎皮質ステロイド(OCS)又はグルココルチコイドが挙げられる薬物、及び他の免疫抑制処置の副作用の増大は、SLEにおける疾病負荷を増す。
【0004】
SLEの処置は、標準的治療の有効性が限られており、且つ忍容性が不十分であるため、困難である。SLEの処置に現在用いられる治療法は全て、周知の有害作用プロファイルがある。新しい標的療法、特に、副腎皮質ステロイド及び細胞毒性剤の必要性を低減し得る剤を同定することが医学的に必要とされている。
【0005】
SLE用の処置を見出す困難
新しい薬剤の臨床開発は、成功確率が低い、長くてコスト高のプロセスである。臨床開発に入る分子について、最終的に10%未満しか健康規制当局によって承認されない。さらに、生物学的治療薬、とりわけモノクローナル抗体の臨床開発は、小分子薬剤よりも迅速でないか、又は安価でない。生物学的治療薬の早期の臨床開発は、小分子についてよりもかなり長い。
【0006】
第II相治験は、注目する疾患を患っている少人数のボランティアにおいて行われる。ボランティアは、安全性、薬物動態、及び薬力学を試験するように設計される。第II相治験は、薬剤有効性の予備証拠を提供し得る。しかしながら、参加者が少人数であること、及び第II相治験における主な安全性への懸念により、通常、有効性を確立する力が制限される。第III相治験が、臨床候補の有効性及び安全性を実証するのに必要とされる。批判的に言えば、第II相にて見込みを示した多くの臨床候補が、第III相に続かない。第I相治験に入る新規の治療薬の90%超が、主に有効性又は安全性の不備のため、臨床開発中に消えていく。第II相の成功後の第III相での成功の可能性は、50%未満である
【0007】
薬剤開発のプロセスは、SLEについて、特に困難である。これは、SLEが、慢性関節リウマチ(RA)及び強直性脊椎炎等の疾患と比較して、とりわけ複雑であり、且つ十分に理解されていない疾患であるからである。SLEの遺伝学の、発明者らの理解が初歩的であるだけでなく、ほとんどの臨床症状の病因の、発明者らの洞察はなお、他の疾患と比較して、比較的限られている。
【0008】
SLEの複雑性は、新しい治療薬の開発を望む人々に、不均質性が広範囲にわたる患者集団の問題を提示している。これにより、例えば採用基準並びにプライマリエンドポイント及びセカンダリエンドポイントの選択に関して、SLEにおける治験についてのプロトコール設計がさらに困難となる。各患者において疾患経過を予測することは、さらに困難である。これは、不可避的に、治験の検定力を引き下げるバックグラウンドノイズを増大させる。高いプラセボ応答速度により、試験される新しい薬剤が有効性シグナルを示すことができる範囲が制限されて、治験を実施且つ解釈することがさらに困難となる。
【0009】
SLE用の有効な治療薬を開発する困難は、他の適応症用の治療薬と比較して、治験におけるこの分野での治療薬のさらに高い失敗率を導く。円板状狼瘡及びSLEでの使用にヒドロキシクロロキンが承認されてからおおよそ50年において、米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration:FDA)及び欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)によって承認されたSLE用の新しい処置は、1つ(ベリムマブ)しかない。しかしながら、ベリムマブはどこでも承認されているわけではなく、理解(uptake)は控え目であった。SLEを処置するのに現在用いられている多くの剤、例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸は、当該疾患について承認されていない。さらに、これらの薬剤は全て、狼瘡の全ての徴候について、文書で十分に裏付けられた安全性問題があり、全ての患者において有効であるわけではない。抗マラリア剤(例えばヒドロキシクロロキン)及び副腎皮質ステロイドを用いて、関節痛、関節炎、及び発疹を抑えてもよい。他の処置として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);発熱、関節痛、及び関節炎用の鎮痛薬;並びに光過敏症を最小にする局所用日焼け止めが挙げられる。多くの場合、疾患が中程度又は重度の対象の、長期罹患率を引き起こし、且つ早期の心血管死亡率に寄与し得るOCSを完全に漸減させることは、困難である。長期に用いられる5~10mgのプレドニゾンのさらに少ない1日用量が、白内障、骨粗鬆症、及び冠状動脈疾患のような副作用のリスクの増大をもたらす。
【0010】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、一般的に、SLEの患者において、関節痛、軽度の関節炎、筋肉痛、漿膜炎、及び発熱の症候的な管理に用いられている。NSAIDは、少しの免疫抑制特性もない。NSAIDは、短い期間しか用いることができず、腎障害の、高血圧の、そして心臓病を既に罹患している患者に適していない。NSAIDは、体液鬱滞、腎障害、及び間質性腎炎を引き起こす虞がある。
【0011】
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの特定の阻害剤である。MMFは、新規のプリン合成を損なう。イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼは、活性化されたリンパ球にとって必須の経路である。このように、MMFは、Tリンパ球増殖及びBリンパ球増殖の双方を阻害して、抗体合成を引き下げる。MMF(1日あたり2~3g)又は標準的な静脈内シクロホスファミド治療を6ヵ月間受けるように無作為に割り当てられた、活動性腎炎を患っている370人のSLE患者の無作為化盲検マルチセンター国際治験では、MMFの有効性は、研究前の標準治療であったシクロホスファミドに類似していた。しかしながら、有意に異なる応答が、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、及びラテンアメリカ人の個体に見られた
【0012】
このように、SLEの処置のための新規の治療薬の開発は、極めて困難であると立証された。第II相で見込みを示したが、以降の相又は第III相治験において有効性及び/又は安全性を示せずに消えていった臨床候補の例が多く存在する。
【0013】
タバルマブ
タバルマブ(LY2127399)は、可溶性且つ膜結合性のB細胞活性化因子(BAFF)に結合するヒトIgG4モノクローナル抗体である。タバルマブの有効性及び安全性は、中程度から重度のSLEを患っている2人の患者(ILLUMINATE-1及びILLUMINATE-2)による、52週、第III相、マルチセンター無作為化二重盲検プラセボ対照治験において評価した。プライマリエンドポイントは、52週目にSLEレスポンダー率5(SRI-5)応答を達成した患者の割合であった。
【0014】
ILLUMINATE -1(NCT01196091)において、プライマリエンドポイントは満たされなかった。また、主要セカンダリ有効性エンドポイント(OCS節約効果(OCS sparing)、重篤なフレアまでの時間(time to severe flare)、最後の24時間での最も激しい疲労(worst fatigue))は、タバルマブ生物活性の薬力学的証拠(抗dsDNA、総B細胞、及び免疫グロブリンの有意な低下)にも拘わらず、統計学的有意性を達成しなかった
【0015】
プライマリエンドポイントは、より高い用量群(2週毎に120mgタバルマブ)のILLUMINATE -2(NCT01205438)において満たされた。しかしながら、OCS節約効果が挙げられるセカンダリエンドポイントは満たされなかった。ILLUMINATE-1及びILLUMINATE-2に従って、タバルマブ開発は、小さい効果の大きさ、及び他の主要臨床エンドポイントを満たせないことを考えると、保留された。
【0016】
ブリシビモド
ブリシビモドは、ヒトIgG1 IgのN末端Fc断片に融合する4つのBAFF結合ドメインで構成される融合タンパク質である。SLEの処置用のブリシビモドは、第II相の結果が有望であったが、第III相で失敗した。
【0017】
第II相二重盲検無作為化プラセボ対照治験(PEARL-SC)において、血清学的に活動性のSLEを患い、且つSELENA-SLEDAIスコアが≧6ポイントである患者を、ブリシビモド又はプラセボの3つの異なる用量に無作為に割り振った(NCT01162681)。24週目に、最も高い用量群(200mgを1週間に1回)は、SRI-5応答速度がプラセボ群よりも有意に高かった
【0018】
しかしながら、疾患活性が持続的に高い(SELENA-SLEDAI≧10ポイント)血清陽性SLE患者に行った、以降のプラセボ対照第III相無作為化二重盲検研究(CHABLIS-SC1)において、プライマリエンドポイント(SRI-6)は満たされなかった(NCT01395745)。また、セカンダリエンドポイント(SRI-4及びSRI-8)には達しなかった10
【0019】
アタシセプト
アタシセプト(TACI-Ig)は、BAFF及びAPRILの双方を中和する完全ヒト組換え融合タンパク質である。SLEの処置用のアタシセプトの有効性を、2つの第II/III相プラセボ無作為化対照治験(APRIL-LN及びAPRIL-SLE)において評価した。APRIL-LN治験は、SLE腎炎の患者において、アタシセプトに対する腎応答を、プラセボプラス標準治療(新たに開始されたMMF及びグルココルチコイド)と比較した。治験は、重篤な有害事象が報告された後に中断された。
【0020】
APRIL-SLEにおいて、BILAG A又はBILAG Bドメインスコア由来の、新しいフレアを呈した患者の割合の有意な低下と定義されるプライマリエンドポイントは、より低い用量(75mg)アームにおいて、満たされなかった(NCT00624338)。より高い用量(150mg)アームによる患者の処置は、重篤なAEに起因して中断された11
【0021】
アベチムス
アベチムス(LJP 394)は、トリエチレングリコール骨格に結合された4つの合成オリゴデオキシヌクレオチドを含み、当該オリゴヌクレオチドの97%超は、dsDNAに由来する。薬剤は、抗dsDNA抗体を中和するように設計された。SLE患者における二重盲検プラセボ対照研究において、患者における、DNAエピトープに対する抗体の親和性が高いLJP 394による処置は、腎フレアまでの時間を長引かせて、腎フレア数を低下させた12。しかしながら、プライマリエンドポイントが腎フレアまでの時間である、より高い用量のアベチムスを用いる以降の第III相治験(NCT00089804)において、研究及び更なる薬剤の開発は、中間分析が有効性を示さなかった際に中断された13
【0022】
リツキシマブ
リツキシマブは、キメラ抗CD20モノクローナル抗体である。リツキシマブは、慢性関節リウマチ及びANCA脈管炎が挙げられるいくつかの自己免疫疾患において、有効な処置である。狼瘡腎炎における少人数の非対照治験により、リツキシマブは、狼瘡腎炎の患者においても潜在的に有効であり得ることが示唆された。リツキシマブの有効性及び安全性が、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)及び副腎皮質ステロイド(LUNAR)と付随して処置された狼瘡腎炎の患者における無作為化二重盲検プラセボ対照第III相治験において評価された(NCT00282347)。リツキシマブ療法は、処置の1年後の臨床アウトカムを改善しなかった14
【0023】
中程度から重度のSLEを患っている患者におけるリツキシマブの有効性及び安全性は、マルチセンタープラセボ無作為化対照第II/III相治験(EXPLORER)において評価された。研究は、活動性SLEがベースライン(1≧の新BILAG Aスコア又は≧2のBILAG Bスコアと定義される)の患者を、リツキシマブ又はプラセボに無作為に割り振った。プライマリエンドポイントは、52週目に完全奏効(CCR)、部分奏効(PCR)、又は応答なしを達成したリツキシマブ対プラセボ処置患者の割合であった。プライマリエンドポイントは満たされず、52週目のリツキシマブ及びプラセボアームにおける完全奏効率及び部分奏効率が類似した。また、最初の中程度の、又は重度のフレアまでの時間、及びHRQOLの変化の差異は、有意でなかった15
【0024】
アバタセプト
アバタセプトは、抗原提示細胞の表面上のCD80/86に結合して、T細胞活性化に必要とされるCD-28を介してシグナル伝達をブロックするCTLA-4融合タンパク質である。前臨床研究において、アバタセプトは、狼瘡のNZB/NZWマウスモデルにおいて免疫調節活性を有することが実証された16。非腎臓SLEの処置用のアバタセプトが、第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照治験において評価された17(NCT00119678)。プライマリエンドポイントは、ステロイド漸減の開始後のBritish Isles狼瘡評価群(BILAG)指数のA/Bのスコアに従う新しいフレア(裁定した)を有する患者の割合であった。プライマリエンドポイント及びセカンダリエンドポイントは満たされなかった。
【0025】
エプラツズマブ
エプラツズマブは、成熟B細胞の表面上のCD22に結合することによってB細胞活性を調節するモノクローナル抗体である。エプラツズマブは、最初に、第II相治験にてSLEを処置する有効性を実証したが、第2のフォローアップ第IIb相治験又は以降の第III相治験において確認されなかった。
【0026】
2つの第IIb相治験は、中程度から重度のSLEを患っている患者(ALLEVIATE 1及び2)において、BILAGベースのプライマリエンドポイントにより、エプラツズマブの有効性を評価した。臨床有効性に向けての傾向が観察され、プライマリエンドポイントは、プラセボよりもエプラツズマブで処置された患者の方が多く満たした。また、エプラツズマブ処置は、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQOL)及び平均グルココルチコイド用量の改善を導いた18
【0027】
別の第IIb相治験(EMBLEM)において、中程度から重度のSLEを患っている患者は、5つのエプラツズマブ用量又はプラセボの1つに無作為に割り振られた。12週目のBICLA応答(プライマリエンドポイント)は、プラセボよりもエプラツズマブの全ての用量で大きかったが、効果は統計学的に有意でなかった。
【0028】
以降のマルチセンター第III相治験EMBODY 1及びEMBODY 2(中程度から重度のSLEを患っている患者)において、48週目のプライマリ有効性エンドポイント(BICLA応答)は満たされなかった。セカンダリエンドポイント、例えば総SLEDAI-2Kスコア、PGA、又は平均グルココルチコイド用量において、有意差は見られなかった19
【0029】
PF-04236921
PF-04236921は、可溶性IL-6(SLE患者において上昇するサイトカイン)に結合するモノクローナル抗体である。PF-0436921の有効性は、活動性SLEの患者(BUTTERFLY)の第II相RCTにおいて評価された(NCT01405196)。患者は、8週毎に皮下にPF-04236921 10mg、50mg、若しくは200mg、又はプラセボを受けるように無作為に割り振られた;200mgの用量アームが、3人の死亡のため、早くに中断された。プライマリ有効性エンドポイントは、24週目のSRI-4応答であり、BICLAをセカンダリエンドポイントとした。プライマリエンドポイントは満たされなかった20
【0030】
I型IFN阻害及びアニフロルマブ
I型インターフェロン(IFN)は、自然免疫と適応免疫との重大なリンクを形成するサイトカインであり、遺伝的感受性データによってSLEに関係していると示されており、大部分のSLE患者においてインターフェロン刺激遺伝子発現を上方制御する21
【0031】
SLEを処置するためにI型IFN経路を標的化する試みは、以前に成功しなかった。ロンタリズマブは、ヒト化IgG1抗インターフェロンα(抗IFN-α)モノクローナル抗体である。中程度から重度のSLEを患っている患者におけるロンタリズマブの有効性及び安全性に対する第II相研究が、予め形成された(ROSE)(NCT00962832)。活動性SLEの患者は、4週毎の750mg静脈ロンタリズマブ又はプラセボ(パート1)、及び2週毎の300mg皮下ロンタリズマブ又はプラセボ(パート2)に無作為に割り振られた(2:1)。この治験のプライマリエンドポイント及びセカンダリエンドポイントは、全ての患者において満たされたわけではなかった22。したがって、ロンタリズマブの開発は中断された。
【0032】
シファリムマブは、抗インターフェロン-αモノクローナル抗体である。シファリムマブの有効性及び安全性は、中程度から重度の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を患っている成体の第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照研究において評価され(NCT01283139)、プライマリエンドポイント及び一部のセカンダリエンドポイントは満たされたが、処置効果は控え目であった。さらに、補体レベル及び抗dsDNAレベルは、シファリムマブによって有意に影響されなかった。
【0033】
アニフロルマブ(MEDI-546)は、IFNARに結合するモノクローナル抗体である。第II相治験において、アニフロルマブは、中程度から重度のSLEを患っている患者において、プラセボと比較して、疾患活性を引き下げた23。その後、SLEを処置するアニフロルマブの安全性及び有効性は、2つの第III相治験、TULIP I及びTULIP IIにおいて評価された。しかしながら、TULIPIは、そのプライマリエンドポイントを満たさなかった24,25
【0034】
結論
現在利用できる治療よりも有効性及び安全性プロファイルが良好なSLE治療についての大きなアンメットニーズがある26,27。先に記載されるように、多数の、且つ広範囲の様々な生物製剤が提案されて、治験にかけられてきたが、これらの治験は、中枢研究において臨床的意味があるエンドポイントを満たさなかった。多くの候補治療薬の第II相での最初の将来性(promise)が、以降の中枢第III相治験において有意な、且つ意味がある臨床効果に変換されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
したがって、例えば第III相二重盲検無作為化プラセボ対照治験における、臨床的利益を立証した、SLEのための安全且つ有効な処置が必要とされている28。本発明は、処置安全性及び有効性が実証された、SLEのための安全且つ有効な処置を提供することによって、上記の問題の1つ以上を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、全身性エリテマトーデス(SLE)の処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象に、I型インターフェロン(IFN)受容体(IFNR)阻害剤の治療的に有効な量を投与することを含み、IFNR阻害剤は、対象においてSLE疾患活性を引き下げる、方法に関する。対象においてSLE疾患活性を引き下げるIFNR阻害剤の能力は、第III相治験、特に二重盲検無作為化プラセボ対照治験において、実証することができた。
【0037】
本発明は、アニフロルマブのTULIP II第III相二重盲検無作為化プラセボ対照治験の驚くべき結果に基づく。TULIP-2は、驚くべきことに、そのプライマリポイント及びセカンダリポイントを満たした。プラセボと比較して、アニフロルマブ処置は、広い範囲の総合及び組織特異的疾患活性尺度の全体にわたる、有意に大きな向上率を、そして低い疾患活性の達成及び維持、副腎皮質ステロイド漸減、並びにフレア率引下げに向かう傾向をもたらした。TULIP IIは、10年超前のベリムマブプログラムについての治験以来、SLEにおける最初の成功した第III相治験である。TULIP IIは、そのプライマリエンドポイントを満たした。それだけでなく、アニフロルマブは、驚くべきことに、特にSLEの処置について承認されている唯一の生物製剤ベリムマブと比較して、SLE患者において早期の、且つ持続する効果を有することも実証された。さらに、アニフロルマブの投与により、SLE疾患活性の悪化なしに、SLE患者におけるOCS用量の漸減が可能となった。ベリムマブによる処置は、OCS漸減を支持しない29
【0038】
成功したTULIP II治験は、先のTULIP I治験(NCT02446912)の失敗のより早期の報告に続く。TULIP-1は、そのプライマリエンドポイント((SRI)4)を満たせなかった。しかしながら、TULIP Iデータの分析は、BICLA応答を含む事前指定したセカンダリエンドポイントにおけるアニフロルマブの有効性を実証した。TULIP-1データの入念な分析の後に、且つTULIP-2治験データの盲検解除の前に、本発明者らは、プロトコール補正において、TULIP-2についてのプライマリアウトカム尺度を、SRI4からBICLAに変えた。BICLAは、SRI4と対照的に、徴候の重症度ではなく、狼瘡徴候に関連する疾患活性の存在を反映する。BICLAの使用により、疾患徴候のより完全な分解(resolution)を必要としない、インクリメンタル応答の評価が可能となった。
【0039】
本発明の方法において、対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、以下の1つ以上を含み得る:
・対象におけるBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答、
・対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアの、処置前の対象のCLASIスコアと比較した引下げ、
・対象の圧痛関節数及び関節腫脹数の、処置前の対象の圧痛関節数及び関節腫脹数と比較した引下げ、
・対象が、処置後に1 BILAG-2004 Bスコアの最大値を有すること、
・対象が、処置後にC又はそれよりも良いBILAG-2004スコアを有すること、
・対象に、処置前と比較した、少なくとも1つの患者報告アウトカム(PRO)の改善があること、
・処置前の対象のフレア率と比較した、対象のSLEフレア率の引下げ。
【0040】
方法は、IFNAR阻害剤の投与の前と後に、対象のBILAGスコアを測定することを含んでもよい。BICLA応答は、少なくとも52週間、対象において持続し得る。方法は、IFNAR阻害剤の投与の前と後に、対象においてPROを測定することを含んでよい。PROは、対象の慢性疾病治療-疲労の機能評価(FACIT-F)、Short Form 36健康調査バージョン2(SF-36-v2)、メンタルコンポーネントサマリ(MCS)、及び/又はSF-36、フィジカルコンポーネントサマリ(PCS)スコアを含んでよい。
【0041】
BICLA応答は、対象のBILAG-2004 A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げを含んでよい。
【0042】
処置前の対象のCLASIスコアと比較して対象のCLASIスコアを引き下げることは、処置前の対象のCLASI-Aスコアと比較した対象のCLASI-Aスコアの引下げを含んでもよい。対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、対象において抗dsDNAレベルを引き下げることを含んでよい。対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含んでよい。方法は、処置前の対象に投与されたOCS用量と比較して、対象に投与されるOCS用量を引き下げることを含んでよい。
【0043】
OCSは、プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はメチルプレドニゾロンを含んでよい。
【0044】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置の少なくとも4週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含んでよい。
【0045】
SLE疾患活性を引き下げることは、処置の少なくとも8週目までのBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答を含んでよい。
【0046】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前の対象における圧痛関節数及び関節腫脹数の値と比較した、対象における圧痛関節数及び関節腫脹数の少なくとも50%の改善を含んでよい。
【0047】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、全身性エリテマトーデスレスポンダー指数(SRI)4スコアの改善を含まなくてよい。
【0048】
対象においてSLR疾患活性を引き下げることは、処置の52週後に、全身性エリテマトーデスレスポンダー指数(SRI)4スコアの改善を含まなくてよい。
【0049】
対象のCLASIスコアの引下げは、処置の少なくとも8週目までに達成され得る。
【0050】
対象のCLASIスコアの引下げは、処置の12週後に達成され得る。
【0051】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前の対象のCLASIスコアと比較した、対象のCLASIスコアの少なくとも50%の引下げを含んでよい。
【0052】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置の12週後の対象のCLASI-Aスコアの引下げを含んでよい。
【0053】
対象は、処置前のCLASI-Aスコアが≧10であってよい。
【0054】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置の24週後に、対象のBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良いことを含んでよい。
【0055】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、対象が、処置の24週後に1 BILAG-2004 Bスコアの最大値を有することを含んでよい。
【0056】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前の対象のBILAGベースの年率換算したフレア率と比較した、対象のBILAGベースの年率換算したフレア率の引下げを含んでよい。
【0057】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、対象においてフレアを予防することを含んでよい。
【0058】
フレアは、1ヵ月以前の対象のスコアと比較した、≧1の新しいBILAG-2004 Aドメインスコア又は2≧の新しい(悪化)BILAG-2004 Bドメインスコアと定義されてよい。
【0059】
対象においてSLE疾患活性を引き下げることは、処置前のフレア率と比較した、対象におけるフレア率の引下げを含んでよく、方法は、処置前の対象に投与されるOCS用量と比較して、対象へのOCS用量投与を引き下げることを含む。
【0060】
方法は、処置について対象を選択することを含んでよく、対象は、活動性SLEを患っていることについて選択される。方法は、処置について対象を選択することを含んでよく、対象は、中程度から重度のSLEを患っていることについて選択される。対象は、OCS処置に非応答性であるSLEを患っていることについて選択されてよい。
【0061】
対象は、成体であってよい。対象は、成人であってよい。対象は、中程度から重度のSLEを患っている成人であってよい。対象は、活動性SLEを患っている成人であってよい。
【0062】
また、本発明は、自己免疫疾患を患っている対象においてOCS用量を引き下げる方法であって、対象に、I型IFN受容体阻害剤の治療的に有効な量を投与することと、対象に投与されるOCS用量を、処置前の対象に投与されたOCS用量と比較して引き下げることとを含み、IFNR阻害剤は、対象において疾患活性を引き下げる、方法に関する。
【0063】
また、本発明は、自己免疫を有する対象においてOCS関連器官損傷を予防する方法であって、対象は、処置前にOCSを受けており、対象に、I型IFN受容体阻害剤の治療的に有効な量を投与することと、対象に投与されるOCS用量を、処置前の対象に投与されたOCS用量と比較して引き下げることとを含み、IFNR阻害剤は、対象において疾患活性を引き下げる、方法に関する。
【0064】
対象は、処置の開始時に、約≧10mg/日のOCS用量を受けていてよい。OCSは、約≦7.5mg/日に引き下げられてよい。OCSは、≦7.5mg/日に引き下げられてよい。OCS用量は、約0mg/日に引き下げられてよい。OCS用量は、0mg/日に引き下げられてよい。方法は、少なくとも12週間、OCS用量の引下げを持続させることを含んでよい。
【0065】
対象は、OCS関連器官損傷があってよい。OCSは、プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はメチルプレドニゾロンを含んでよい。自己免疫疾患は、SLEであっても、中程度から重度のSLEであってもよい。対象は、OCS処置に非応答性であるSLEを患っていることについて選択されてよい。
【0066】
I型IFN受容体阻害剤は、静脈内に投与されてよい。
【0067】
I型IFN受容体阻害剤は、IFNAR1に特異的に結合する抗I型インターフェロン受容体抗体又はその抗原結合断片であってよい。抗体は、モノクローナル抗体であってよい。抗体は、アニフロルマブであってよい。
【0068】
方法は、300mgアニフロルマブを投与することを含んでよく、場合によってはアニフロルマブは、30分間にわたって静脈内(IV)注入される。アニフロルマブは、4週毎に、30分間にわたってIV注入されてよい。アニフロルマブは、単回用量バイアルから投与されてよい。アニフロルマブは、150mg/mLの濃度にて溶液により提供されてよい。アニフロルマブは、4週毎に投与されてよい。アニフロルマブは、少なくとも52週間投与されてよい。
【0069】
また、本発明は、本発明の処置の方法に使用される医薬組成物に関し、医薬組成物は、I型IFN受容体阻害剤を含む。
【0070】
また、本発明は、SLEの処置用の薬剤の製造における医薬組成物の使用に関し、医薬組成物は、I型IFN受容体阻害剤を含む。
【0071】
医薬組成物は、150mg/mLの濃度にてアニフロルマブを含んでよい。
【0072】
医薬組成物は、以下を含んでよく:
・150mg/mLアニフロルマブ;
・50mMリジンHCl;
・130mMトレハロース二水和物;
・0.05%ポリソルベート80;
・25mMヒスチジン/ヒスチジンHCl
ここで、医薬組成物は、5.9のpHである、
【0073】
また、本発明は、本発明の方法に使用される単位用量に関し、単位用量は、300mgアニフロルマブを含む。
【0074】
また、本発明は、本発明の方法に使用されるキットに関し、キットは、以下を含む:
・本発明の単位用量、及び
・単位用量を含有するガラスバイアル。
【0075】
キットは、単位用量の投与のための説明書を含んでよい。説明書は、4週毎の単位用量の投与を条件として述べてよい。説明書は、対象が中程度から重度のSLEを患っていることを条件として述べてよい。
【0076】
また、本発明は、対象における処置の患者報告アウトカム(PRO)に及ぼす、SLEについての処置の効果を評価する向上した方法であって、対象のBICLA応答を測定することを含み、BICLA応答は、対象における処置の患者報告アウトカム(PRO)の改善に対応する、向上した方法に関する。PROは、対象の慢性疾病治療-疲労の機能評価(FACIT-F)、Short Form 36健康調査バージョン2(SF-36-v2)、メンタルコンポーネントサマリ(MCS)、及び/又はSF-36、フィジカルコンポーネントサマリ(PCS)スコアを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1図1は、TULIP-1における経時的なプライマリ有効性アウトカム及び選択したセカンダリ有効性アウトカムの図である。図1A図1Fは、TULIP-1における経時的なプライマリ有効性アウトカム及び選択したセカンダリ有効性アウトカムを示す。図1A及び図1Bは、プライマリエンドポイント:SRI(4)応答があった患者のパーセンテージを示す。図1C及び図1Dは、ベースラインにてCLASIスコアが≧10の患者において、ベースラインからのCLASI活性スコアの引下げが≧50%の患者のパーセンテージを示す。図1E及び図1Fは、BICLA応答があった患者のパーセンテージを示す。
図2図2は、TULIP Iにおける経時的なBICLA応答及びI型IFNGSの図である。図2A図2Bは、TULIP-1における経時的なBICLA応答及びI型IFNGS抑制を示す。図2Aは、52週目まで持続するBICLA応答の開始までの時間のカプラン-マイヤープロットを示す。BICLA応答が52週目まで持続しなかった患者は、研究処置の中断の日又は52週目のいずれか早い方にて打ち切られる(censored)。図2Bは、ベースラインにてI型IFNGSが高い(倍率変化>2)患者の中での、各来院時のベースラインI型IFN薬力学的(21-遺伝子)サインの中央値パーセンテージを示す。
図3図3は、OCS引下げの図である。図3A及び図3Bは、ベースラインでの副腎皮質ステロイド投薬量が≧10mg/日の患者における、40週目から52週目までの≦7.5mg/日の目標への持続経口副腎皮質ステロイド投薬量の引下げを示す。図3Aは、事前指定した制限薬物規則を非応答の判定に用いた結果を示し、図3Bは、補正した制限薬物規則による分析を示す。
図4図4は、TULIP Iにおける抗dsDNA抗体及びC3濃度の図である。図4A図4Bは、TULIP-1における、ベースラインにて抗dsDNA抗体が高い患者における抗dsDNA抗体の経時的なベースラインからの変化(図4A)、及びベースラインにてC3が低い患者におけるC3濃度(図4B)を示す。
図5図5は、TULIP-2についての経時的なプライマリ有効性アウトカム及び主要セカンダリ有効性アウトカムの図である。図5A図5Cは、TULIP-2についての経時的なプライマリ有効性アウトカム及び主要セカンダリ有効性アウトカムを示す。図5Aは、プライマリエンドポイント:BICLA応答があった患者のパーセンテージ(95% CI)を示す。図5Bは、ベースライン投薬量がプレドニゾン≧10mg/日又は等価物の患者の中で、40~52週目まで持続する≦7.5mg/日へのOCS投薬量引下げがあった患者のパーセンテージ(95% CI)を示す。図5Cは、ベースラインにてCLASIスコアが≧10の患者の中で、ベースラインからのCLASI活性スコアの引下げが≧50%の患者のパーセンテージ(95% CI)を示す。
図6図6は、TULIP-2における持続BICLA応答の時間経過及びフレアまでの時間の図である。図6A図6Bは、TULIP-2における持続BICLA応答の時間経過及びフレアまでの時間を示す。図6Aは、52週目まで持続するBICLA応答の開始までの時間を示す。図6Bは、第1のフレアまでの時間を示し、フレアは、以前の来院と比較した、≧1の新しいBILAG A項目又は≧2の新しいBILAG B項目と定義される。双方のアウトカムを、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
図7図7は、IFNGS及び抗dsDNA抗体の図である。TULIP-2における、ベースラインにて抗dsDNA抗体が高い患者におけるIFNGS(図7A)の、そして抗dsDNA抗体(図7B)の経時的なベースラインからの変化。図7Cは、ベースラインにてC3が低い患者におけるC3濃度を示す。
図8図8は、早期の時点でのBICLA応答の図である。図8A図8Cは、TULIP-1(図8A)、TULIP-2(図8B)、並びにTULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータ(図8C)における、早期の時点にてBICLA応答があった患者のパーセンテージを示す。
図9図9は、TULIP-1、TULIP-2、並びにTULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータにおける、BICLA応答が開始から52まで持続した患者のパーセンテージの図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;IFNGS、インターフェロン遺伝子サイン;OCS、経口副腎皮質ステロイド;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000。TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、制限薬物規則は、TULIP-2プロトコールに従った。ハザード比及び95% CIは、共変量としての処置群及び階層化因子(スクリーニング時のSLEDAI-2K、1日目のOCS投薬量、及びスクリーニング時のI型IFNGS試験結果)にCox回帰モデルを用いて推定される。
図10図10は、全ての時点でのBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;IFNGS、インターフェロン遺伝子サイン;OCS、経口副腎皮質ステロイド;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000。早期の時点にて、TULIP-1及びTULIP-2におけるP値は、それぞれ、0.207及び0.238(4週目)、0.020及び0.004(8週目)、並びに0.054及び0.029(12週目)であった。TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、制限薬物規則は、TULIP-2プロトコールに従った。レスポンダー率は、階層化因子(1日目のOCS投薬量、SLEDAI-2K、及びI型IFNGS試験結果、双方ともスクリーニング時)に階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出される。プールした分析において、追加的な階層化因子が研究のために加えられる。垂直なバーは、95%信頼区間を示す。
図11図11は、BICLA応答があった患者のパーセンテージの図である。図11A図11Cは、TULIP-1(図11A)、TULIP-2(図11B)、並びにTULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータ(図11C)における、開始から52週目まで持続するBICLA応答があった患者のパーセンテージを示す。
図12図12は、持続するBICLA応答までの時間の図である。図12A図12Cは、TULIP-1(図12A)、TULIP-2(図12B)、並びにTULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータ(図12C)における、開始から52週目まで持続するBICLA応答までの平均時間を示す。
図13図13は、MCP及びPCRの図である。図13A図13Cは、TULIP-1(図13A)、TULIP-2(図13B)、並びにTULIP-1及びTULIP-2からのプールしたデータ(図12C)における、52週目まで持続する主要奏効又は部分奏功を24週目に達成した患者のパーセンテージを示す。IFNGS、インターフェロン遺伝子サイン;MCR、主要奏効;OCS、経口副腎皮質ステロイド;PCR、部分奏効;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000。TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、制限薬物規則は、TULIP-2プロトコールに従った。レスポンダー率は、階層化因子(1日目のOCS投薬量、SLEDAI-2K、及びI型IFNGS試験結果、双方ともスクリーニング時)に階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出される。
図14図14は、プールしたTULIPについてのデモグラフィックサブグループによるBICLA応答の図である。BMI、肥満度指数;BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95% CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図15】人種によるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル。aプラセボアーム及びアニフロルマブ300mgアームの双方からの8人の患者は、TULIP-1のミッシングデータがあった。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95% CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。プールしたTULIPデータは、最終確認の対象となる。
図16図16は、地理的領域によるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル。各地理的領域内の国々は、スライド7に定義されている;世界のその他の地域についての処置差異(95% CI):TULIP-1、-6.7(-65.3、51.9);TULIP-2、66.7(6.6、100.0);プール、26.9(-15.1、69.0)。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95% CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図17図17は、スクリーニング時のSLEDAI-2KによるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95% CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図18図18は、ベースライン経口副腎皮質ステロイド投薬量によるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル;OCS、経口副腎皮質ステロイド。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95% CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図19図19は、I型IFN遺伝子サイン状況(スクリーニング)によるBICLA応答の図である。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;CI、信頼区間;CMH、コクラン-マンテル-ヘンツェル;IFNGS、I型インターフェロン遺伝子サイン;qPCR、定量ポリメラーゼ連鎖反応。I型IFNGSを、全血からの4-遺伝子qPCRベース試験を用いる中央ラボスクリーニングによって高又は低と分類した。TULIP-1データを、事前指定した制限薬物規則を組み込んで分析した。処置推定値の差異及び関連95% CIを重み付けして、階層化CMHアプローチを用いて算出した。
図20図20は、TULIP-2及びTULIP-1において、プラセボと比較した、アニフロルマブで処置した患者においてBILIAG-2004を用いて評価したフレアの図である。BILAG:British Isles狼瘡評価群。注:フレアは、以前の月の来院と比較した、1≦の新しいBILAG-2004 Aドメインスコア又は2≦の新しい(悪化)BILAG-2004 Bドメインスコアと定義した。
図21図21は、TULIP-2及びTULIP-1における最終のフレアまでの時間の図である。BILAG:British Isles狼瘡評価群。注:フレアは、以前の月の来院と比較した1≦の新しいBILAG-2004 Aドメインスコア又は2≦の新しい(悪化)BILAG-2004 Bドメインスコアと定義した。第1のフレアまでの時間は、第1のフレアのデータマイナス治験薬の第1の投与の日付として導き出される。患者にフレアがなかったならば、フレアまでの時間は、曝露時間の終了後に打ち切られる。
図22図22は、TULIP治験における52週目までの年率換算したフレア率の図である。
図23図23は、TULIP治験における52週目までの、1つの、2つの、又は3つ以上のSLEフレアを有する患者のパーセンテージの図である。BILAG:British Isles狼瘡評価群;SLE、全身性エリテマトーデス。フレアを、以前の来院に対する1≦の新しいBILAG-2004 A器官ドメインスコア又は2≦の新しいBILAG-2004 B器官ドメインスコアと定義した。
図24図24は、アニフロルマブ及びプラセボを受けたSLE患者:TULIP-1及びTULIP-2のプールしたデータにおける、時間による、CLASI-A応答を達成した患者のパーセンテージの図である。CLASI、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数;CLASI-A、CLASI活性スコア;n、分析における患者数;N、処置群内の患者数;NA、該当なし;OCS、経口副腎皮質ステロイド。応答は、ベースラインCLASI-Aが10≦の患者について、ベースラインからのCLASI活性スコアの50%≦引下げと定義される。レスポンダー率は、階層化因子(スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコア、1日目のOCS投薬量、スクリーニング時のI型IFN遺伝子サイン試験結果、及び研究(TULIP-1及びTULIP-2))に階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出される。名目上のP値が、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001と示される。
図25図25は、アニフロルマブ及びプラセボを受けたSLE患者:TULIP-1及びTULIP-2における、52週目まで持続するCLASI-A応答までの時間の図である。CLASI、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数;CLASI-A、CLASI活性スコア;n、分析における患者数;N、処置群内の患者数;NA、該当なし;OCS、経口副腎皮質ステロイド。応答は、ベースラインCLASI-Aが10≦の患者について、ベースラインからのCLASI活性スコアの50%≦引下げと定義される。ハザード比及び95% CIを、共変量としての階層化のある処置群(スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコア、1日目のOCS投薬量、研究、及びスクリーニング時のI型IFN遺伝子サイン試験結果)にCox回帰モデルを用いて推定した。
図26図26は、50%及び75%の応答閾値:TULIP-1及びTULIP-2でのベースラインCLASI-Aによる12週目のCLASI-A応答の図である。
図27図27は、CLASI-A皮膚応答:アニフロルマブ(300mg)による処置後のある患者の例の図である。CLASI-A、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性スコア。応答は、ベースラインCLASI-Aが≧10の患者について、CLASI-Aの、ベースラインからの≧50%引下げと定義される。合計で、5つの場所からの13人のアニフロルマブ処置患者が、皮膚写真撮影に参加した;2人の患者は、12週目にCLASI-A応答があった。
図28図28は、BICLAレスポンダー対非レスポンダーにおけるフレア及び経口グルココルチコイド使用の図である。図28Aは、52週目までのBILAG-2004フレアが≧1の患者を表す。エラーバーは95% CIを表す。図28Bは、ベースライン経口グルココルチコイド投薬量を問わない、全ての患者におけるベースラインから52週目までの経口グルココルチコイド1日投薬量のLS平均変化を表す。エラーバーは95% CIを表す。図28Cは、経口グルココルチコイドをベースラインにて≧10mg/日受けた患者の中で、≦7.5mg/日への持続する経口グルココルチコイド投薬量引下げを達成した患者を表す。持続経口グルココルチコイド投薬量引下げは、40~52週目まで持続される≦7.5mg/日の経口グルココルチコイド用量と定義した。エラーバーは95% CIを表す。図28Dは、ベースライン経口グルココルチコイド投薬量を問わない、全ての患者についての52週目までの経口グルココルチコイドAUCを表す。エラーバーはSDを表す。A~Dにおいて、率の差異、CI、及び名目上のP値を、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。AUC、曲線下面積;BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;BILAG、British Isles狼瘡評価群;CI、信頼区間;LS、最小二乗;SD、標準偏差。
図29図29は、BICLAレスポンダー対非レスポンダーにおける52週目のPRO応答の図である。患者は、FACIT-F(図29A)(ベースラインから52週目までの>3.4の改善と定義される);SF-36 PCS(図29B)(ベースラインから52週目までの>3.4のPCSドメインの増大と定義される);及びSF-36 MCS(図29C)(ベースラインから52週目までの>4.2のMCSドメインの増大と定義される)の応答があった。図28A図28Cにおいて、エラーバーは95% CIを表す。応答率、CI、及び名目上のP値を、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。図28Dは、PtGAスコアの、ベースラインから52週目までのLS平均変化を表す。エラーバーは95% CIを表す。LS平均差異、CI、及び名目上のP値を、混合モデル反復測定を用いて算出した。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;FACIT-F、慢性疾病治療-疲労の機能評価;MCS、メンタルコンポーネントサマリ;PCS、フィジカルコンポーネントサマリ;PRO、患者報告アウトカム;PtGA、患者のグローバル評価;SF-36、Short Form 36健康調査。
図30図30は、BICLAレスポンダー対非レスポンダーにおけるSLEDAI-2K及びPGAの、ベースラインからの変化の図である。SLEDAI-2K(図30A)及びPGA(図30B)の、ベースラインから52週目までの変化。エラーバーは95% CIを表す。LS平均差異、CI、及び名目上のP値を、混合モデル反復測定を用いて算出した。BICLA、British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価;BILAG、British Isles狼瘡評価群;CI、信頼区間;LS、最小二乗;PGA、医師のグローバル評価;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000。
図31図31は、CLASI-Aスコアがベースラインにて≧10の患者の中で、52週目にCLASI-A応答(ベースラインから52週目までの≧50%の引下げと定義される)があった患者の図である。応答率、CI、及び名目上のP値を、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。図31Bは、能動関節(active joint)(腫脹及び圧痛がある関節と定義される)、圧痛関節、及び関節腫脹についての、ベースラインから52週目までのLS平均関節数の変化を表す。エラーバーは95% CIを表す。LS平均差異、CI、及び名目上のP値を、混合モデル反復測定を用いて算出した。BICLA、BILAGベースの総合狼瘡評価;BILAG-2004、British Isles狼瘡評価群-2004;CI、信頼区間;CLASI-A、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性;LS、最小二乗。BICLAレスポンダーと非レスポンダー間のCLASI-A応答及び関節数。A,
【発明を実施するための形態】
【0078】
本開示は、全身性エリテマトーデス(SLE)の処置のための方法及び組成物に関する。詳細には、本開示は、SLEの処置を必要とする対象にアニフロルマブを投与することを含む方法に関する。
【0079】
本開示に従って利用される場合、他に指示がない限り、全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって広く理解されている意味と同じ意味を有すると理解されるものとする。文脈により他の意味が要求されない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。
【0080】
本開示を限定するものではないが、本開示のいくつかの実施形態が、説明の目的で本明細書中に記載されている。
【0081】
対象:
用語「対象」は、ヒト及び非ヒト動物、特に哺乳動物を含むことが意図される。対象は、成人患者であってよい。対象は、中程度から重度のSLEを患っている患者であってよい。
【0082】
処置
本明細書中で用いられる用語「処置」又は「処置する」は、治療処置及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)措置の双方を指す。処置を必要とする者として、SLEを患っている対象、及びSLEを患う傾向がある者又はSLEが予防されるべきである者が挙げられる。一部の実施形態において、本明細書中で開示される方法は、SLEを処置するのに用いることができる。
【0083】
投与
本明細書中で用いられる用語「投与」又は「投与すること」は、所望の効果を達成するのに適切なあらゆる経路によって、化合物を提供する、接触させる、且つ/又は送達することを指す。投与として、以下に限定されないが、経口、舌下、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、又は頭蓋内の注射)、経皮、局所、頬側、経直腸、経腟、経鼻、経眼、吸入を介した投与、及びインプラントが挙げられ得る。
【0084】
医薬組成物
本明細書中で用いられる用語「医薬組成物」は、対象に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘導することができる化合物又は組成物を指す。一部の実施形態において、本開示は、薬学的に許容される担体及び本開示の少なくとも1つの抗体の治療的に有効な量を含む医薬組成物を提供する。
【0085】
本明細書中で用いられる用語「薬学的に許容される担体」又は「生理学的に許容される担体」は、本開示の1つ以上の抗体の送達を達成又は増強するのに適した1つ以上の製剤材料を指す。
【0086】
抗原結合断片
用語「抗原結合断片」は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗原結合断片の例として、以下が挙げられる:Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片、及びscFv。
【0087】
全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、病因不明の慢性多臓器性身体障害性自己免疫リウマチ疾患である。全身性エリテマトーデスは主に、出産年齢の女性に影響を与え、最近の総説では、出産年齢における女性対男性比が約12:1であると報告されている。SLEの現在の発病率及び有病率に関する正確なデータは、大いに不足している。しかしながら、SLEは、非コーカソイドの集団においてより一般的であるという多数の指摘がある;例えば、米国(USA)において、SLEは、コーカソイドよりもアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、及びアジア系に多く見られる。結果として、SLE有病率は、国によって変動する。また、国内のSLE有病率の変動性は、人種的な遺伝的差異、複雑な社会経済因子、及び年齢に依存していると思われる;女性における疾患の発病率は、通常、15~44歳の間で最も高い。
【0088】
SLEの臨床症状として、全身病徴、脱毛症及び発疹、漿膜炎、炎症性関節炎、腎疾患、全身性脈管炎、リンパ節腫脹、脾腫、溶血性貧血、認知機能不全、並びに他の中枢神経系(CNS)障害が挙げられ得る。これらの疾患徴候は、疾病の重大な負荷を生じさせて、身体機能の低下、失業、健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)の低下、及び寿命の約10年の短縮を引き起こす虞がある。入院、並びに慢性経口副腎皮質ステロイド(OCS)が挙げられる薬物、及び他の免疫抑制処置の副作用の増大は、SLEにおける疾病負荷を増す。現時点では、円板状狼瘡及びSLEでの使用にヒドロキシクロロキンが承認されてから約50年において、ベリムマブだけが、食品医薬品局(FDA)によって承認されたSLE用の新しい処置である。その他の場合には、SLE(SOC SLE)の既存の標準治療処置は、適応外薬物からなる。全身性エリテマトーデス。
【0089】
SLEにおける疾患活性の異なるパターンが識別されている。SLE活性の3つのパターンが、Petri及び共同研究者によるコホート研究において明らかとなった:慢性活動性、再発寛解型、及び長い休止。慢性活動性パターンは最も頻繁なパターンであり、このSLEコホート研究に従って、総人年の約半分を表した。平均疾患活性は、慢性活動性疾患を患っている患者について中等度であった。このことは、大きな罹患率がこのサブセットにおいて起こることを示唆している。加えて、慢性活動性疾患を患っているほとんどの患者は、フォローアップの間、中程度又は重度の増悪のオーバレイがあった。疾患の第2の再発寛解型パターンは、4分の1を僅かに超える患者において起こり、平均疾患活性は、疾患寛解期間中に軽度になる傾向があった。最も一般的でないパターンは、長い休止であり、4分の1を僅かに下回る患者において起こった。
【0090】
適応外治療が近年向上してきたが、長期予測は不十分なままである。一般的な集団と比較して、SLEにおける全死亡率は増大し、標準化された死亡比(SMR;観察された死亡数の、予想された死亡に対する比率と定義される)は、9,457人の患者の大きな国際的コホートにおいて、70,000超の患者年に従って、2.4である。この研究において、死亡率は地理的領域によって変動し、女性、40歳未満の患者において(SMR=10.7、9.5~11.9 95%信頼区間[CI])、そして疾患期間が1年未満の患者において(SMR=5.4、4.7~6.3 95% CI)より大きかった。主要な死因は、循環系疾患(SMR=1.7、1.5~1.9 95% CI)、感染症(SMR=5.0、3.7~6.7 95% CI)、及び腎臓の原因(SMR=7.9、5.5~11.0 95% CI)であった。他のプロスペクティブ研究は、重度の疾患及び/又は活動性疾患を患っているSLE患者において、死亡率の上昇を報告した。
【0091】
SLEの処置において、特に中程度から重度の疾患の患者において、実質的にアンメットな医学的ニーズがある。円板状狼瘡及びSLEでの使用にヒドロキシクロロキンが承認されてから約50年において、ベリムマブだけが、FDAによって承認されたSLE用の新しい処置である。SLEを処置するのに現在用いられている多くの剤、例えば、アザチオプリン、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸は、当該疾患について承認されていない。他の利用可能な処置として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、発熱、関節痛、及び関節炎用の鎮痛薬;並びに光過敏症を最小にする局所用日焼け止めが挙げられる。抗マラリア剤(例えばヒドロキシクロロキン)及び副腎皮質ステロイドを加えて、関節痛、関節炎、及び発疹を抑えてもよい。多くの場合、疾患が中程度又は重度の対象の、長期罹患率を引き起こし、且つ早期の心血管死亡率に寄与し得る副腎皮質ステロイドを完全に漸減させることは困難である。さらに低用量のプレドニゾンが、長期処置として用いられるならば、副作用のリスクの増大をもたらす。
【0092】
治験
第2相/第II相/中枢研究
第II相研究は、有効性に関する予備データを集める。第2相研究において、研究者らは、当該疾患を患っている、又は薬剤が開発されている状態の一群の患者に、薬剤を投与する。典型的には数百人の患者が関係する当該研究は、薬剤が有益かを示すほどには十分に大きくない。その代わりに、第2相研究は、研究者に追加的な安全性データを提供する。研究者らは、これらのデータを用いて、リサーチクエスチョンを洗練して、研究方法を開発して、新しい第3相研究プロトコールを設計する。
【0093】
第3相/第III相/中枢研究又は治験
研究者らは、生成物が特定の集団に処置利益を提供するか否かを実証するための第3相研究を設計する。時折中枢研究として知られている当該研究に、300~3000人の参加者が関係する。第3相研究は、ほとんどの安全性データを提供する。以前の研究において、より一般的でない副作用が気付かれないままであったかもしれないことはあり得る。当該研究はより大きく、且つ期間がより長いので、結果は、長期の、又は稀な副作用を示す可能性が高い。EMA及びFDA等の規制機関は、通常、新しい薬物を承認する前に、生成物が安全であり、且つ少なくとも、利用できる薬物よりも(より良好でなければ)有効であることを実証する第III相治験を必要とする。第III相治験は、通常、たとえ成功した第II相治験に続くとしても、失敗して消えていく。
【0094】
CLASI(皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数)
CLASIは、疾患重症度、及び処置に対する応答を測定するのに用いられるツールである。CLASI活性スコアにおける4ポイント又は20%の低下が、一般的に、処置に対するレスポンダーとして対象を分類するためのカットオフとして見られる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のベースラインスコアと比較して、対象のCLASIスコアを少なくとも50%引き下げる。
【0095】
CLASIは、SLEの皮膚病変を評価するのに用いられる証明された指数であり、2つの別個のスコアからなる:第1のスコアは、疾患の炎症活性を要約する;第2のスコアは、疾患によってできる損傷の尺度である。活性スコアは、紅斑、スケール/肥大、粘膜病変、最近の脱毛、及び非瘢痕性脱毛症を考慮する。損傷スコアは、色素沈着異常、瘢痕化/萎縮/皮下脂肪組織炎、及び頭皮の瘢痕化を表す。対象は、色素沈着異常が少なくとも12ヵ月続いたかを質問される。この場合、色素沈着異常スコアは2倍になる。先のパラメータは各々、皮膚エリテマトーデス(CLE)にほとんどの場合関係していることで具体的に含まれる、13の異なる解剖学的位置において測定される。各領域において重度が最も高い病変が測定される。
【0096】
特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のCLASIスコアを、処置の少なくとも8週、12週、24週、36週、48週、又は52週目までに引き下げる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のCLASIスコアを、少なくとも8週目までに引き下げる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のCLASIスコアを、少なくとも12週目までに引き下げる。
【0097】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象に、アニフロルマブの治療的に有効な量を投与することを含み、処置は、プラセボを受けた患者と比較して、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)スコアを引き下げる、方法である。
【0098】
経口副腎皮質ステロイド
経口副腎皮質ステロイドとして、プレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びトリアムシノロンが挙げられる。
【0099】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象は、経口副腎皮質ステロイドで処置されており、対象に、アニフロルマブの治療的に有効な量を投与することを含み、処置は、対象における経口副腎皮質ステロイド投薬を、少なくとも≦5.5mg/日、≦6.5mg/日、≦7.5mg/日、又は≦8.5mg/日に引き下げる、方法である。特定の実施形態において、対象における経口副腎皮質ステロイド投薬の引下げは、少なくとも≦7.5mg/日に引き下げられる。特定の実施形態において、処置は、対象における経口副腎皮質ステロイド投薬を、≧10mg/日から≦7.5mg/日に引き下げる。
【0100】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象は、経口副腎皮質ステロイドで処置されており、対象に、アニフロルマブの治療的に有効な量を投与することを含み、処置は、対象における経口副腎皮質ステロイド投薬を、少なくとも≦5.5mg/日、≦6.5mg/日のプレドニゾン若しくはプレドニゾン等価用量、≦7.5mg/日のプレドニゾン若しくはプレドニゾン等価用量、又は≦8.5mg/日のプレドニゾン若しくはプレドニゾン等価用量に引き下げる、方法である。特定の実施形態において、対象における経口副腎皮質ステロイド投薬の引下げは、少なくとも≦7.5mg/日に引き下げられる。特定の実施形態において、処置は、対象における経口副腎皮質ステロイド投薬を、≧10mg/日から、≦7.5mg/日のプレドニゾン又はプレドニゾン等価用量に引き下げる。
【0101】
経口プレドニゾンの等価用量の例を表2に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
圧痛関節及び関節腫脹
関節腫脹数及び圧痛関節数は、左右の肩、肘、手首、中手指節関節(MCP)1、MCP2、MCP3、MCP4、MCP5、上肢の近位指節間(PIP)1、PIP2、PIP3、PIP4、PIP5関節、及び下肢の左右の膝に基づく。関節数評価用の能動関節は、圧痛及び腫脹がある関節と定義される。
【0104】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象に、アニフロルマブの治療的に有効な量を投与することを含み、処置は、プラセボを受けた患者と比較して、圧痛関節数及び関節腫脹数のベースライン値から、少なくとも50%の改善をもたらす、方法である。
【0105】
投薬レジーム
患者に投与されることになるアニフロルマブの用量は、対象のサイズ(体重、体表面、又は器官サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わることとなる。
【0106】
特定の実施形態において、対象は、アニフロルマブの1回以上の固定用量が投与され、用量は、150mg、200mg、250mg、300mg、又は350mgである。一部の実施形態において、対象は、アニフロルマブの1回以上の固定用量が投与され、用量は300mgである。
【0107】
特定の実施形態において、アニフロルマブは、2週の処置期間にわたって、4週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、8週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって、又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、アニフロルマブは、3週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、9週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって、又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、アニフロルマブは、少なくとも52週間投与される。
【0108】
特定の実施形態において、アニフロルマブは、毎週、2週毎に、4週毎に、6週毎に、8週毎に、10週毎に、又は12週毎に投与される。
【0109】
投与方法
インビボ投与に用いられる場合、本開示の製剤は滅菌されているべきである。本開示の製剤は、例えば滅菌濾過、放射線が挙げられる、種々の滅菌方法によって滅菌されてよい。一実施形態において、製剤は、予め滅菌された0.22ミクロンフィルタで濾過滅菌される。注射用の滅菌組成物は、“Remington:The Science&Practice of Pharmacy”,21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,(2005)に記載される従来の医薬慣行に従って製剤化することができる。
【0110】
一部の実施形態において、I型IFN阻害剤は、経口、経鼻、肺、局所(頬側及び舌下が挙げられる)、直腸、腟、及び/又は非経口投与等の特定の投与経路用に製剤化することができる。本明細書中で用いられる用語「非経口投与」及び「非経口的に投与される」は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与モードを指し、以下に限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0111】
一部の実施形態において、アニフロルマブは、経口、経鼻、肺、局所(頬側及び舌下が挙げられる)、直腸、膣、及び/又は非経口投与等の特定の投与経路用に製剤化することができる。本明細書中で用いられる用語「非経口投与」及び「非経口的に投与される」は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与モードを指し、以下に限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0112】
製剤
製剤は、単位剤型で示すことができ、薬学の技術において知られている何らかの方法によって調製することができる。本開示の製剤中の活性成分の実際の投薬量レベルは、対象にとって有毒でない、特定の対象、組成物、及び投与モードに所望される治療応答を達成するのに有効な活性成分の量(例えば「治療的に有効な量」)を得るように変えられてよい。また、投薬量は、連続注入によって(例えばポンプによって)投与することができる。また、投与される用量は、投与経路によって決めてもよい。
【0113】
医薬組成物は、約150mg/mLアニフロルマブを含んでよい。
【0114】
医薬組成物は、50mMリシンHClを含んでよい。
【0115】
医薬組成物は、130mMトレハロース二水和物を含んでよい。
【0116】
医薬組成物は、0.05%ポリソルベート80を含んでよい。
【0117】
医薬組成物は、25mMヒスチジン/ヒスチジンHClを含んでよい。
【0118】
医薬組成物は、pHが5.9であってよい。
【0119】
インターフェロン試験
I型IFNは、SLE疾患において重要な病因であると考えられ、この経路の阻害は、アニフロルマブによって標的化される。I型IFN発現と抗IFN治療に対する応答との関係を理解するために、対象の疾患がI型IFN活性化によって駆動されているかを知ることが必須である。しかしながら、標的タンパク質の直接測定が課題のままである。したがって、特定のmRNAマーカーセットに及ぼす標的タンパク質の過剰発現の作用を評価するための転写産物ベースのマーカーが開発された。これらのマーカーの発現は、全血中で容易に検出されて、罹患組織、例えばSLEの皮膚における発現との相関を実証する。SLE対象についての転写産物スコアの二峰性分布は、IFN試験高亜集団及び低亜集団の明確化(defining)を支持する。I型IFN試験は、国際公開第2011028933 A1号パンフレットに記載されており、この出願はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0120】
アニフロルマブ
アニフロルマブは、IFNAR1(α、β、及びωインターフェロンについての受容体)を標的化するモノクローナル抗体である。アニフロルマブに関連する開示を、米国特許第7,662,381号明細書及び米国特許第9,988,459号明細書において見出すことができ、これらの特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0121】
アニフロルマブは、高い親和性及び特異性でIFNARに結合するモノクローナル抗体である。抗体は、IFNARブロッキング(アンタゴニスト)抗体であり、受容体のリガンド、すなわちI型インターフェロン、例えばインターフェロン-α及びインターフェロン-βの活性をブロックする。ゆえに、アニフロルマブは、IFNARシグナル伝達の下方制御、及びそれ故のIFN誘導性遺伝子の抑制を実現する。
【0122】
【表2】
【0123】
ゆえに、アニフロルマブは、配列番号3、配列番号4、及び配列番号5のそれぞれHCDR1、HCDR2、及びHCDR3(又はその機能的変異体);並びに配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のそれぞれLCDR1、LCDR2、及びLCDR3(又はその機能的変異体)を含む抗体である。より詳細には、本明細書中で言及されるアニフロルマブは、配列番号1のVH及び配列番号2のVL(又はそれらの機能的変異体)を含む抗体である。
【0124】
本発明は、列挙されるCDR配列又は可変重鎖配列及び可変軽鎖配列(参照(アニフロルマブ)抗体)を有する、本明細書中で定義される抗体、並びにその機能的変異体を包含する。「機能的変異体」は、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原に結合する。機能的変異体は、参照抗体と比較した場合、標的抗原に対する親和性が異なってよいが、実質的に同じ親和性が好ましい。
【0125】
一実施形態において、参照(アニフロルマブ)抗体の機能的変異体は、対応する参照CDR配列と比較した場合、1つ以上のCDRでの配列変異を示す。ゆえに、機能的抗体変異体は、CDRの機能的変異体を含んでよい。
【0126】
用語「機能的変異体」がCDR配列の文脈において用いられる場合、当該用語は、CDRが、対応する参照CDR配列と比較した場合、多くとも2つ、好ましくは多くとも1つのアミノ酸差異を有しており、残りの5つのCDR(又はその変異体)と組み合わされた場合、参照(アニフロルマブ)抗体と同じ標的抗原に変異抗体が結合することを、好ましくは標的抗原に対して参照(アニフロルマブ)抗体と同じ親和性を示すことを可能にすることを意味する。
【0127】
理論によって拘束されることを望むものではないが、アニフロルマブがIFNARを標的化(例えば、ブロック又はアンタゴナイズ)するので、アニフロルマブは、I型インターフェロン(IFN)によって開始されるシグナル伝達をブロックすることによって疾患(例えばSLE)を処置すると考えられている。I型IFNは、(例えば、I型インターフェロン応答を調整することによる)炎症の重要なドライバーであることで、免疫系において重要な役割を果たすことが知られている。しかしながら、I型IFN-シグナル伝達の調節不全は、異常な(例えば異常に高い)レベルの炎症及び自己免疫に至る虞がある。I型IFNインターフェロンのそのような調節不全が、多数の自己免疫疾患において報告されている。
【0128】
例えば、参照(アニフロルマブ)抗体の変異体は、以下を含んでよい:
・配列番号3と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR1;
・配列番号4と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR2;
・配列番号5と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR3;
・配列番号6と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR1;
・配列番号7と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR2;
・配列番号8と比較した場合、多くとも2つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR3;
ここで、変異抗体は、アニフロルマブ(例えばIFNAR)の標的に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0129】
好ましくは、参照(アニフロルマブ)抗体の変異体は、以下を含んでよい:
・配列番号3と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR1;
・配列番号4と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR2;
・配列番号5と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する重鎖CDR3;
・配列番号6と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR1;
・配列番号7と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR2;
・配列番号8と比較した場合、多くとも1つのアミノ酸差異を有する軽鎖CDR3;
ここで、変異抗体は、アニフロルマブ(例えばIFNAR)の標的に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0130】
一実施形態において、変異抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのCDRにおいて総計多くとも5つ、4つ、又は3つのアミノ酸差異を有してよいが、CDR1つあたりのアミノ酸差異は、多くとも2つ(好ましくは多くとも1つ)しか存在しないことを条件とする。好ましくは、変異抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのCDRにおいて総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、CDR1つあたりのアミノ酸差異は、多くとも2つしか存在しないことを条件とする。より好ましくは、変異抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのCDRにおいて総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、CDR1つあたりのアミノ酸差異は、多くとも1つしか存在しないことを条件とする。
【0131】
アミノ酸差異は、アミノ酸の置換、挿入、又は欠失であり得る。一実施形態において、アミノ酸差異は、本明細書中に記載される保存的アミノ酸置換である。
【0132】
一実施形態において、変異抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのフレームワーク領域において総計多くとも5つ、4つ、又は3つのアミノ酸差異を有してよいが、フレームワーク領域1つあたりのアミノ酸差異は、多くとも2つ(好ましくは多くとも1つ)しか存在しないことを条件とする。好ましくは、変異抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのフレームワーク領域において総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、フレームワーク領域1つあたりのアミノ酸差異は、多くとも2つしか存在しないことを条件とする。より好ましくは、変異抗体は、対応する参照(アニフロルマブ)抗体と比較した場合、そのフレームワーク領域において総計多くとも2つ(より好ましくは多くとも1つ)のアミノ酸差異を有するが、フレームワーク領域1つあたりのアミノ酸差異は、多くとも1つしか存在しないことを条件とする。
【0133】
ゆえに、変異抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含んでよい:
・重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較した場合、多くとも14個のアミノ酸差異(各CDR中に多くとも2つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも2つのアミノ酸差異)を有し;且つ
・軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較した場合、多くとも14個のアミノ酸差異(各CDR中に多くとも2つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも2つのアミノ酸差異)を有し;
ここで、変異抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体(例えばIFNAR)と同じ標的抗原に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0134】
変異重鎖又は軽鎖は、参照重鎖又は軽鎖の「機能的等価物」と称され得る。
【0135】
一実施形態において、変異抗体は、本明細書中に記載される可変重鎖及び可変軽鎖を含んでよい:
・重鎖は、本明細書中の重鎖配列と比較した場合、多くとも7つのアミノ酸差異(各CDR中に多くとも1つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも1つのアミノ酸差異)を有し;且つ
・軽鎖は、本明細書中の軽鎖配列と比較した場合、多くとも7つのアミノ酸差異(各CDR中に多くとも1つのアミノ酸差異、及び各フレームワーク領域中に多くとも1つのアミノ酸差異)を有し;
ここで、変異抗体は、参照(アニフロルマブ)抗体(例えばIFNAR)と同じ標的抗原に、好ましくは同じ親和性で結合する。
【0136】
ゆえに、一実施形態において、I型インターフェロン受容体阻害剤は、アニフロルマブ又はその機能的変異体である。
【0137】
SRI(≧4の全身性エリテマトーデスレスポンダー指数)
対象は、以下の基準が全て満たされるならば、SRI(4)を達成する:
・SLEDAI-2Kにおける≧4ポイントのベースラインからの引下げ;
・BILAG-2004を用いるベースラインと比較した、1つ以上のBILAG-2004 A項目又は2つ以上の
BILAG-2004 B項目によって定義される、新しい罹患器官系なし;
・3ポイントPGA VASでの≧0.30ポイントの増大によって定義される、対象の狼瘡疾患活性におけるベースラインからの悪化なし。
【0138】
SRI(X)(X=5、6、7、又は8)が、以下の基準を満たす対象の割合によって定義される:
・SLEDAI-2Kにおける≧Xポイントのベースラインからの引下げ;
・BILAG-2004を用いるベースラインと比較した、1つ以上のBILAG-2004 A項目又は2つ以上の
BILAG-2004 B項目によって定義される、新しい罹患器官系なし;
・3ポイントPGA VASでの≧0.30ポイントの増大
によって定義される対象の狼瘡疾患活性において、ベースラインからの悪化なし。
【0139】
BILAG-2004、British Isles狼瘡評価群-2004
BILAG-2004は、臨床症状の重症度の変化を捕捉することができる9つの器官系(全身、皮膚粘膜、神経精神病学、筋骨格、心肺、消化管、眼、腎臓、及び血液学)による変換指数である。BILAG-2004は、設計による順序尺度を有しており、グローバルスコアを有していない;むしろ、直近の過去4週を、先行する4週と比較することによって、一見して異なる器官系の全体にわたる疾患活性を記録する。BILAG-2004は、医師の処置意図の根本方針(principle)に基づいており、疾患活性をAからEまでの5つの異なるレベルにカテゴリ化する:
・グレードAは、>20mg/日又は等価の免疫抑制薬及び/又はプレドニゾン用量を必要とする非常に活動性の疾患を表す
・グレードBは、より低い用量の副腎皮質ステロイド、局所用ステロイド、局所用免疫抑制薬、抗マラリア薬、又はNSAIDを必要とする中程度の疾患活性を表す
・グレードCは、軽度の安定した疾患を示す
・グレードDは、疾患活性がないことを暗示するが、系は以前に罹患していた
・グレードEは、現在又は以前の疾患活性がないことを示す
【0140】
BILAG-2004は、処置意図の根本方針に基づいて開発されたが、処置は、スコア化指数との関連を有していない。活動性の徴候の存在のみが、スコアリングに影響を与える。
【0141】
BICLA:BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)
BICLAは、疾患活性指数のエキスパートコンセンサスによって元々導き出された総合指数である。BICLA応答は、(1)エントリ時の疾患活性が中程度又は重度である全体系におけるベースラインBILAGスコアの改善の少なくとも1つのグラデーション(例えば、全てのA(重度の疾患)スコアが、B(中程度)、C(軽度)、又はD(活動性でない)に下がること、及び全てのBスコアが、C又はDに下がること);(2)新しいBILAG Aも複数の新しいBILAG Bスコアもなし;(3)ベースラインからの総SLEDAIスコアの悪化なし;(4)医師のグローバル評価における有意な悪化なし(≦10%);及び(5)処置失敗(非プロトコール処置の開始)なしと定義される。
【0142】
特に、対象は、以下の基準が満たされるならば、BICLAレスポンダーである:
・1の新しいBILAG-2004 A項目又は複数の新しいBILAG-2004 B項目によって定義される、全ベースラインBILAG-2004 Aの、B/C/Dへの引下げ、及びベースラインBILAG-2004 Bの、C/Dへの引下げ、並びに他の器官系におけるBILAG-2004悪化なし;
・SLEDAI-2Kにおける>0ポイントのベースラインからの増大として定義される、SLEDAI-2Kにおけるベースラインからの悪化なし;
・3ポイントPGA VASでの≧0.30ポイントの増大によって定義される、対象の狼瘡疾患活性におけるベースラインからの悪化なし;
・治験薬の中断も、評価前のプロトコール許可閾値を超える制限薬物の使用もなし
【0143】
特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のBICLA応答率を、処置の少なくとも8週、12週、24週、36週、48週、又は52週目までに改善する。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、対象のBICLA応答率を、少なくとも8週目までに改善する。
【0144】
特定の実施形態において、対象は、BICLA応答の改善を示す一方、対象は、全身性エリテマトーデスレスポンダー指数(SRI)4スコアの改善を示さない。
【0145】
特定の実施形態において、本明細書中で提供されるのは、全身性エリテマトーデスの処置を必要とする対象において全身性エリテマトーデスを処置する方法であって、対象に、アニフロルマブの治療的に有効な量を投与することを含み、処置は、プラセボを受けている患者と比較して、BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答率の改善をもたらす、方法である。BILAG応答率の改善は、統計学的に有意であり得る。BILAG応答率の改善は、多重性調整の後に、統計学的に有意であり得る。BILAG応答率の改善は、統計学的に有意であり得、統計学上の有意性は、p<0.05又はp<0.005によって決定される。
【0146】
患者報告アウトカム(PRO)
特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、MCRに終わる。特定の実施形態において、アニフロルマブを用いる処置は、PCRに終わる。
【0147】
SF-36-v2(急性)は、健康の8つのドメインを測定する多目的36項目調査である:身体機能、身体的健康に起因する役割制限、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会的機能、感情的な問題に起因する役割制限、及びメンタルヘルス。SF-36-v2(急性)は、これらの8つの健康ドメイン毎のスケールスコア、並びに身体的及び精神的な健康の集約尺度:フィジカルコンポーネントサマリ及びメンタルコンポーネントサマリをもたらす。
【0148】
FACIT-Fは、以前の7日にわたる疲労の影響を評価するための、対象が完成させる13項目のアンケートである。応答は、0(Not at All)から4(Very Much)に及ぶ。最終スコアは、応答の合計であり、0から52に及ぶ;スコアが高いほど、良好なQoLを示す(Yellen et al,1997)。スコアの>3ポイントの変化は、臨床的に意味があると考えられる。
【0149】
PtGAは、疾病状態及び健康状態が現時点で患者に影響を及ぼし得る全てを考慮する単一項目の質問である。患者は、この質問に答えるとき、以前の週を考えるべきである。応答は、100mm VASについて、非常に良いから非常に悪いに及ぶ。医師及び対象は、互いに独立して、PGA及びPtGAをそれぞれ完了しなければならない。
【0150】
主要奏功(MCR)は、24週目にBICLAスコアがC又はそれよりも良く、24~52週の間、新しいAスコアも新しいBスコアもなしで維持されるものを含む。部分奏功(PCR)は、24週目に1 BICLAスコアの最大値を含み、これは52週目まで、新しいAドメインスコアも>1の新しいBドメインスコアもなしで維持される。
【0151】
疾患活性の医師のグローバル評価(PGA)は、医師が、視覚アナログスケール(VAS)によって対象の乾癬性関節炎(PsA)のステータスを評価する評価を指す。対象は、現在の関節炎がどんな状態であるかに従って評価される。VASは、「非常に良い」から「非常に悪い」の口頭の記述子を主体としている。
【0152】
当該方法は、対象において、アニフロルマブの投与の前後にPROを測定することを含んでよい。PROは、対象の慢性疾病治療-疲労の機能評価(FACIT-F)、Short Form 36健康調査バージョン2(SF-36-v2)、メンタルコンポーネントサマリ(MCS)、及び/又はSF-36、フィジカルコンポーネントサマリ(PCS)スコアを含んでよい。
【実施例
【0153】
以下の実施例は、本開示の具体的な実施形態及びその種々の使用を例証するものである。これらは、説明する目的でのみ記載されており、決して本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0154】
実施例1:活動性全身性エリテマトーデスにおけるI型インターフェロン阻害
標準治療(SOC)処置にも拘わらず中程度から重度のSLEの成体のTULIP-1(NCT02446912)第3相二重盲検無作為化対照研究において、患者は、48週間、4週毎に静脈内に(2:1:2)プラセボ又はアニフロルマブ(150又は300mg)を受けた。プレドニゾン/等価物をベースラインにて≧10mg/日受ける患者について、経口副腎皮質ステロイド(OCS)を漸減させる義務的な試みを除いて、安定したSOCを続けた。プライマリエンドポイントは、52週目のアニフロルマブ300mgとプラセボとについてのSLEレスポンダー指数(SRI[4])応答率間の差異であった。また、安全性を評価した。
【0155】
患者は18~70歳であり、SLEについてのAmerican College of Rheumatology分類基準を満たした(Hochberg MC. Arthritis Rheum 1997;40(9):1725;Tan EM,et al.Arthritis Rheum 1982;25(11):1271-7)。要件は、≧6のSLE疾患活性指数2000(SLEDAI-2K)(Gladman DD,et al. J Rheumatol 2002;29(2):288-91)(発熱、狼瘡頭痛、又は器質性精神症候群に由来するポイントを除く)、≧4の臨床SLEDAI-2K(ラボ結果からのポイントを除く);≧1A項目及び/又は≧2B項目のBritish Isles狼瘡評価群(BILAG)-2004(Isenberg DA,et al.Rheumatology (Oxford) 2005;44(7):902-6)器官ドメインスコア(Yee CS,Cresswell L,et al.Rheumatology(Oxford)2010;49(9):1665-9);及び≧1(0~3のスケール)の疾患活性スコアの医師のグローバル評価(PGA)(Petri M,et al.N Engl J Med 2005;353(24):2550-8)を含んだ。患者は、抗核抗体又は抗二本鎖DNA(抗dsDNA)又は抗Smith抗体について血清反応陽性であり、以下の少なくとも1つによる安定した処置を受けていた:プレドニゾン又は等価物、抗マラリア薬、アザチオプリン、ミゾリビン、ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸、又はメトトレキサート。
【0156】
治験薬が臨床的利益を達成することができるような十分な時間、調査者らは、SLE疾患活性/非SLE活性の増大について、0週(1日目)から12週目まで、副腎皮質ステロイドの1回のバースト及び漸減を投与した。0週(1日目)から12週目まで、複数回のステロイドバースト及び漸減を受けた、又は先の基準のいずれかに違反した患者は、本研究において続けることができたが、疾患活性の以降の評価について、SLE活性の増大又は非SLEの原因のためにOCSバーストが投与されたか否かを問わず、非レスポンダーと考えた。12週から40週目まで、SLE活性の増大のための副腎皮質ステロイド用量の増大は許可しなかった。0週(1日目)用量を超えるステロイド用量を受けた患者は、本研究において続けることができたが、疾患活性の以降の評価について、非レスポンダーと考えた。OCSの増大は、40週目の後に許可しなかった(有害事象(AE)の管理、又は副腎不全についての予防処置を除く)。40週目の後にOCSの増大を受けた患者は、疾患活性の以降の評価について、非レスポンダーと考えた。
【0157】
8週目に始めて40週目まで続けて、≦7.5mg/日のOCS用量まで漸減するステロイドを、以下の基準の少なくとも1つが満たされない限り、ベースラインにて≧10.0mg/日のOCS用量で全患者において試みることを要した:
主要な器官系(腎臓、中枢神経系、心肺、脈管炎、発熱、血小板減少症、溶血性貧血、又は消化管活性)におけるベースラインと比較して悪化したSLEDAI-2K活性
全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000(SLEDAI-2K)に基づく新たな罹患器官系(血清学的異常(二本鎖DNA[dsDNA]抗体、低補体血症)を除く)
≧10の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性スコアによって反映される中程度から重度の皮膚疾患
≧8の圧痛関節及び/又は関節腫脹の能動関節数によって反映される中程度から重度の関節炎疾患
【0158】
スクリーニング時のI型IFNGS分類を、全血由来の分析的に証明された4-遺伝子(IFI27、IFI44、IFI44L、RSAD2)定量ポリメラーゼ連鎖反応ベースの試験により、中央ラボによって決定した(Furie R,Arthritis Rheum 2017;69(2):376-86;Yao Y,et al.Arthritis Res Ther 2010;12 Suppl 1:S6)。第2相薬物動態学的/薬力学的モデリング及び損益プロファイルに基づいて、アニフロルマブ300mgが、選択した治療投薬量であった;用量応答を解明するために、150mg投薬量を含めた。点滴を48週目まで4週毎に投与し、最終評価は52週目であった。
【0159】
プライマリ有効性評価は、アニフロルマブ300mg又はプラセボを受けて、52週目にSLEレスポンダー指数(SRI)(4)30応答を達成した患者のパーセンテージの差であった。SRI(4)応答は、SLEDAI-2Kの≧4ポイント引下げ、<1の新しいBILAG-2004 A器官ドメインスコア又は<2の新しいBILAG-2004 B器官ドメインスコア、<0のベースラインからのPGAの3ポイント増大と定義されるランドマーク評価であり、プロトコール許可閾値を超える制限薬物の使用もなく、治験薬の中断もない。
【0160】
主要セカンダリエンドポイントを、多重性について調整した。主要セカンダリエンドポイントは、IFNGS試験-高サブグループにおいて52週SRI(4)応答があった患者のパーセンテージ;ベースライン投薬量が≧10mg/日の患者の中での、40から52週目までの≦7.5mg/日への持続OCS投薬量引下げ;12週目の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)31活性の、ベースラインCLASIが≧10の患者における≧50%引下げ;及び24週SRI(4)応答;並びに52週目までを年率換算したフレア率(以前の来院に対する、≧1の新しいBILAG-2004 A器官ドメインスコア又は2≧の新しいBILAG-2004 B器官ドメインスコア)を含んだ32
【0161】
多重性について調整しない事前指定したセカンダリエンドポイントは、以下を含んだ:52週目のBILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA) 応答、52週SRI(5~9)のより高い閾値、ベースラインから52週目までの医師のグローバル評価(PGA)の変化、ベースラインから52週目までのSLEDAI-2Kの変化、BILAGグローバルスコアの変化、ベースラインから52週目までのCLASI活性スコアの≧50%引下げ、及び能動関節数の引下げ(ベースラインから52週目までの関節数の≧50%引下げ及び変化)。また、アニフロルマブ150mg群における52週目SRI(4)応答を評価した。
【0162】
安全性評価は、有害事象、ラボ評価、及びバイタルサインを含んだ。21-遺伝子アッセイは、I型IFNGSの薬力学的中和を評価した。抗dsDNA、C3、C4、CH50、及び抗薬剤抗体(ADA)を測定した。
【0163】
有効性分析は、無作為に割り振られて、研究処置の≧1用量を受けた患者を含んだ;患者は、無作為に割り振られた処置(修正した処置意図)に従って分析した。計画した有効性分析は、アニフロルマブ300mgをプラセボと比較した。プライマリエンドポイントは、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)検定を用いて、アニフロルマブ300mg及びプラセボ52週SRI(4)応答を、無作為化時に用いた同じ階層化因子と比較した。階層化因子について調整するために、CMH方法は、割合の階層別差異の階層全体にわたる加重平均を用いており、ここで、階層は、3つの因子の8つの考えられる組合せに基づいて定義される。主要セカンダリエンドポイントを、ネガティブ二項回帰モデルを用いて分析したフレア率以外、同様に分析した。重みを予め定めた加重Holm手順を用いて、プライマリエンドポイント及び主要セカンダリエンドポイントの全体にわたってファミリーワイズI型エラー率を0.05に調節した。この手順は、予め定義した重みに従って、0.05のアルファを分割し、そして最初の帰無仮説拒絶の後に、対応するアルファを、当該重みに比例して再利用する。
【0164】
SRI(4)応答率を、以前に記載されるCMH分析戦略を用いて、アニフロルマブ150mg対プラセボについて比較した。連続変数であるアウトカムを、反復測定を用いて、そしてベースライン値、処置群、来院、来院による処置相互作用(treatment by visit interaction)、及び階層化因子について調整して、モデル化した。
【0165】
制限薬物を指定している規則を予め定義して、有効性エンドポイントに組み込んだ。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)使用に基づいてレスポンダーを分類するのに用いた最初の規則は、たとえNSAID使用が、一年間の治験において一時的であったか、早期であったとしても、プロトコールの意図、及び、全てのバイナリ応答エンドポイントについての非レスポンダーとして、新しいNSAIDを用いた、又はNSAID投薬量の増大があった、不適切に分類された患者と、首尾一貫しなかった。当該規則は、研究実施に少しの影響も与えなかった(すなわち、医学的決定、患者の処置、又はデータ収集に影響を与えなかった;データの分析にのみ影響を与えた)。盲検解除後に、一群のSLEエキスパート及びスポンサーは、全ての制限薬物規則の臨床的な適応性を評価して、修正した。主要な分析を、補正した制限薬物規則を用いて繰り返した(事後)。これを、元々の分析と並べて示す。52週目まで持続する第1のBICLA応答までの時間を探究する追加的な事後分析を、Cox比例ハザードモデルを用いて実行した。
【0166】
元々の制限薬物規則は、新しい開始を示し、又は、1日後の抗マラリア薬及び/若しくは免疫抑制剤の用量の増大は、以降の全ての有効性評価について、非応答(NR)分類に至った。副腎皮質ステロイドについて、以下の基準を用いた:
【0167】
プロトコール定義最大量を上回る投薬量は、何時でも、常に、以降の全ての有効性評価について、受取り後NRとの分類に至った。
【0168】
処置の最初の12週の間に複数回のステロイドバーストを受け、又はバースト及び漸減を定義する基準のいずれかに違反した患者を、バースト(SLE又は非SLE活性)の理由に関係なく、以降の有効性評価について、NRと分類した。
【0169】
12週から40週目まで、1回のステロイドバーストを、非SLE病徴を処置するのにのみ許可した。この基準に違反する患者は、以降の有効性評価について、NRと分類した。
【0170】
40週目の後の投薬量の増大は、以降の有効性評価について、NRとの分類に至った。
【0171】
患者は、NSAIDについての以降の全ての有効性について、NRと分類した。
【0172】
事後分析に用いた修正薬物規則の全体的な意図は、薬物規則を、治験の初期における臨床的に適切な使用とアラインすることであり、より厳密な解釈が、プライマリエンドポイントにより近づいた。この修正は、臨床的に適切な薬物使用が、治験の初期に、52週目に非レスポンダー(NR)との分類に至るのを妨げることとなる一方、患者が52週目に有効性評価を混乱させ得る薬物をとったならば、52週目にNRと分類されることとなることを確実にした。抗マラリア薬及び/又は免疫抑制剤について、投薬量の増大(又は新しい開始)は、何時でも、治験期間の間、NRインピュテーションに至った。経口副腎皮質ステロイドについて、以下の基準を用いた:
【0173】
プロトコール定義最大投薬量を超える投薬量は、何時でも、常に、受取り後NRとの分類に至った
【0174】
1回のステロイドバースト及び漸減を、12週目の前に許可した;これを超えると、以降の12週の間にNRとの分類に至った
【0175】
一般に、ベースラインを超える投薬量は、12週から40週目まで許可しなかった;ベースライン投薬量を超えると、治験の残りについて、NRとの分類に至った
【0176】
40週目の後に、40週投薬量よりも大きな投薬量、又は中等度から高度に強力な局所用副腎皮質ステロイドの使用が、NRとの分類に至った
【0177】
NSAIDについて、52週目の新しいNSAIDの14日以内の開始、及び52週目評価の前の日の報告された使用が、52週目の来院にて、NRとの分類に至った。50週目よりも前のNSAID使用は、NRとの分類に至らなかった。
【0178】
457人の患者を無作為に割り振った(アニフロルマブ300mg、n=180;150mg、n=93;プラセボ、n=184)。52週目でのSRI(4)到達は、アニフロルマブ300mg(36.2%、65/180)及びプラセボ(40.4%、74/184;P=0.41)について、類似していた(図1A;表1)。同様に、高IFNGS患者における24週目のSRI(4)、及びSRI(4)について、アニフロルマブ群及びプラセボ群は異ならなかった。ベースラインOCSが≧10mg/日の患者において、≦7.5mg/日への持続投薬量引下げが、アニフロルマブ300mgについて41.0%(42/103)、そしてプラセボについて32.1%(33/102)達成された(差異8.9[95% CI:-4.1、21.9])。CLASI活性がベースラインにて≧10の患者において、12週目のCLASIの≧50%引下げが、アニフロルマブ300mg患者の41.9%(24/58)で、そしてプラセボ患者の24.9%(14/54)で達成された(差異17.0[95% CI:-0.3、34.3])。年率換算したフレア率は、アニフロルマブについて0.60、そしてプラセボについて0.72であった(率の比0.83[95% CI:0.60、1.14])。British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答が、アニフロルマブ300mgを受けた患者の37.1%(67/180)対プラセボについて27.0%(49/184)で達成された(差異10.1[95%信頼区間(CI):0.6、19.7])
【0179】
【表3】
【0180】
【表4】
【0181】
【表5】
【0182】
IFNGS試験高亜集団(375/457、研究集団の82.1%)において、52週目のSRI(4)応答は、アニフロルマブ300mg(35.9%、53/148)及びプラセボを受けた患者について、類似していた(39.3%、59/151;差異-3.4[95% CI:-14.4、7.6])。
【0183】
無作為化時にプレドニゾン又は等価物≧10mg/日を受けた患者の、プラセボ群(32.1%、33/102)よりも数値的に大きなパーセンテージのアニフロルマブ300mg群(41.0%、42/103)が、40から52週目まで持続される目標(≦7.5mg/日)へのOCS投薬量引下げを達成した(差異8.9[95% CI:-4.1、21.9])(図3A及び図3B)。CLASI活性スコアがベースラインにて≧10の患者の、12週目の≧50%引下げが、アニフロルマブ300mg群において41.9%(24/58)対プラセボ群において24.9%(14/54)で達成された(差異17.0[95% CI:-0.3、34.3])(図1C、表1)。24週目のSRI(4)結果は、52週目の結果に類似していた。BILAGベースの年率換算したフレア率は、アニフロルマブについて、プラセボよりも数値的に低かった(それぞれ0.60対0.72;率の比0.83[95% CI:0.60、1.14])。
【0184】
疾患改善の補助セカンダリ尺度を、表1のより低い部分に示す。BICLA応答(厳しい総合グローバル疾患尺度)が、52週目にて、アニフロルマブ300mg群(37.1%、67/180)において、プラセボ群(27.0%、49/184;差異10.1[95% CI:0.6、19.7];図1E、表1)よりも数値的に多くの患者によって達成された。SRI(4)応答は、処置群の全体にわたって類似するようであったが、より高いSRIの閾値は、アニフロルマブを僅かに支持した(表1)。SLEDAI-2K及びBILAGグローバルスコアは双方とも、ベースラインから52週目まで、アニフロルマブ群において、プラセボ群よりも大きな数字で表される変化があった(表1)。同様に、アニフロルマブ群において、プラセボ群におけるよりも、PGAスコアの数値的により大きな改善が起こった(ベースラインからのLS平均変化はそれぞれ-1.11[SE=0.053]及び-0.89[SE=0.052]、差異-0.22[95% CI:-0.36、-0.08])。また、アニフロルマブを支持する、数字で表される差異が、CLASIの補助尺度(supporting measures)及び他の2つの関節数尺度について観察された(表1)。
【0185】
アニフロルマブ150mg群において、52週SRI(4)応答は、プラセボに類似していた(それぞれ37.6%[35/93]及び40.4%[74/184];差異-2.6[95% CI:-14.7、9.6])。アニフロルマブ150mg群についての付加的な有効性アウトカムを表2に表す。
【0186】
【表6】
【0187】
【表7】
【0188】
事前指定したSRI(4)分析において、元々の制限薬物規則は、新しい、又は増大したNSAID使用のため、研究集団のおおよそ8%を非レスポンダーと分類した。事後補正制限薬物規則を用いると、これに基づいて非レスポンダーと分類した患者の数が減少した(表1、右側のパネル)。プライマリエンドポイント、SRI(4)の達成は、当該規則の下で数値的により高かったが、アニフロルマブとプラセボ間の応答率の差異は、類似したままであった(アニフロルマブ300mg 46.9%;プラセボ43.0%;差異3.9[95% CI:-6.3、14.1];図1B、表1)。IFNGS高サブグループにおける24週目のSRI(4)応答及び52週目のSRI(4)について、類似したパターンが生じた。
【0189】
無作為化時に≧10mg/日のプレドニゾン又は等価物を受けた患者において、≦7.5mg/日への持続OCSS引下げを達成したのは、アニフロルマブで処置した患者(48.8%、50/103)の方が、プラセボで処置した患者(32.1%、33/102;差異16.7[95% CI:3.5、29.8];表1;図3)よりも多かった。患者の予め定義したサブセットにおけるCLASI応答は、アニフロルマブ(43.6%、25/58)で処置した人々において、プラセボを受けた人々よりも頻繁であった(24.9%、14/54;差異18.7[95% CI:1.4、36.0];図1D、表1)。
【0190】
SRI(4)応答は、処置群の全体にわたって類似していたが、SLEDAI-2K応答のより高い閾値を組み込む修飾SRIを用いて、アニフロルマブとプラセボ間でより大きな差異が観察された(表1)。例えば、SRI(7)応答が、アニフロルマブ処置患者の29.0%対プラセボを受けた患者の17.6%で達成された(差異11.5[95% CI:2.4、20.6])。BICLA応答を達成したのは、アニフロルマブ(46.1%)で処置した患者の方が、プラセボで処置した患者(29.6%;差異16.4[95% CI:6.7、26.2];図1F、表1)よりも数値的に多かった。持続BICLA応答の到達までの時間の差異は、アニフロルマブを受けた患者の、52週目まで持続する応答を達成する見込みが、プラセボを受けた患者よりも93%高い(ハザード比1.93;95% CI:1.38、2.73;図2A)ことを示唆している。また、皮膚及び関節の応答についての補助エンドポイントは、アニフロルマブ群において、数値的により大きな改善があった(表1)。例えば、患者の予め定義されたサブセットの≧50%関節数改善は、アニフロルマブ(53.0%、37/70)で、プラセボ(32.3%、22/68;差異20.7[95% CI:4.7、36.7])よりも一般的であった。
【0191】
アニフロルマブ300mgを受けた、ベースラインでのI型IFN薬力学的サインが高い(倍率変化>2)患者において、IFNGSの中和が、処置の初期に見られて(12週目のベースラインサインの中央パーセンテージ、12.6%[中央絶対偏差=6.5]、すなわち、IFNGSの87.4%抑制)、52週目まで維持された(図2B)。IFNGS中和はプラセボで観察されず、そして最小抑制が、アニフロルマブ150mgで観察された。抗dsDNA及びC3レベルは、アニフロルマブ300mg処置により、正常に向かった(表3;図4A図4B)。ベースラインにてADAネガティブであり、且つベースライン後に(post baseline)何時でもADAポジティブであった患者のパーセンテージは、処置群の全体にわたって小さく、且つ類似していた(アニフロルマブ300mg、5/164患者[3.0%];プラセボ、7/171患者[4.1%])。持続的にADAポジティブ(ベースラインにてADAネガティブ、且つ最初のポジティブ試験から最後のポジティブ試験までの≧16週による≧2評価にてADAポジティブと定義した)であった患者の数は、アニフロルマブ300mg群において3/164(1.8%)、そしてプラセボ群において4/171(2.3%)であった。
【0192】
アニフロルマブ300mg及び150mg群(それぞれ161/180、89.4%、及び79/93、84.9%)における方が、プラセボ群(144/184、78.3%)におけるよりも大きな患者パーセンテージで、少なくとも1つの有害事象があった。重篤な有害事象の頻度は、処置群の全体にわたって類似しており、優勢である事象はなかった。
【0193】
【表8】
【0194】
【表9】
【0195】
アニフロルマブ第2相MUSE治験におけるその広い用途及びポジティブなアウトカムが理由で、SRI(4)を、TULIP-1プライマリエンドポイントとして選択した。TULIP-1において、SRI(4)応答速度は、プラセボ群とアニフロルマブ群との間で異ならなかった;しかしながら、別の複合エンドポイント、BICLAを含む他のエンドポイントの結果は、アニフロルマブの臨床的利益を示唆している。SRI(4)及びBICLAは同じ構成要素を含むが、これらの複合エンドポイントは、それぞれが、異なる状況において最適であり得る33。SRI(4)は、項目のスコアが変わる前の徴候の完全解消を必要とするSLEDAI-2Kに基づく。したがって、SRI(4)は、たとえそのような改善が臨床的に意味があるとしても、器官ドメイン内の部分的解消を捕捉することができない34。対照的に、BICLAは、器官ドメイン内の段階的変化を登録するBILAG-2004の改善に基づいているので、改善の検出により高感度である。例えば、SLEDAI-2K皮膚粘膜ドメインにおける発疹は、2ポイントの重みを有する。これにより、たとえ患者が発疹の完全解消を経験するとしても、単独で、この徴候に基づいて、SRI(4)応答を達成することは不可能となる;対照的に、BICLAは、CLASIがそうするように、発疹の部分的解消又は完全解消を応答として捕捉する。BICLAとSRI間の別の差異は、BICLAが臨床的改善のみを反映するが、SRI(4)応答が、単独で、血清学的改善により達成され得るということである。血清学に及ぼす影響は、より直接的に抗体産生細胞を標的化する治療により観察される可能性が高い。
【0196】
アニフロルマブ処置中のOCS使用を引き下げる潜在性は、TULIP-1の特に重要なアウトカムである。OCSは一般的に、より長い期間及びより高い投薬量により増大する使用と関連する広範な重篤有害作用にも拘わらず、SLE管理に用いられている35。現在の研究において、ベースラインでの高い投薬量OCS(≧10mg/日のプレドニゾン又は等価物)をとっていたアニフロルマブ処置患者の48.8%は、プラセボ(補正した制限薬物規則を用いる)を受けた患者の32.1%と比較して、≦7.5mg/日の目標までの持続投薬量引下げを達成することができた。皮膚疾患及び関節疾患が、TULIP-1集団におけるベースラインにて反映されるように、最も一般的なSLE徴候の1つであり、そしてデータは、アニフロルマブによる処置が、これらの徴候の双方を改善し得ることを示唆している。ベースライン皮膚疾患活性がより大きい(CLASI≧10)患者のうち、アニフロルマブ処置患者は、CLASI活性スコアの≧50%引下げを、プラセボ処置患者よりも多く達成した(補正した薬物規則を用いて、それぞれ44%対25%)。同様に、ベースライン関節疾患活性がより大きい(≧8関節腫脹及び≧8圧痛関節)患者の中で、アニフロルマブ処置患者は、関節腫脹数及び圧痛関節数の≧50%低下を、プラセボ処置患者よりも多く達成した(補正した薬物規則を用いて、それぞれ53%対33%)。
【0197】
治験は、そのプライマリエンドポイント、SRI(4)を達成しなかったが、アニフロルマブ300mgは、BICLA、皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)、関節数、並びに副腎皮質ステロイド漸減が挙げられる複数の他のグローバルエンドポイント及び器官特異的エンドポイントに到達する際に、プラセボと比較して、数字で表される改善をもたらした。
【0198】
実施例2:活動性全身性エリテマトーデスにおけるアニフロルマブの有効性及び安全性
TULIP-2第3相無作為化二重盲検プラセボ対照治験は、標準治療(SOC)処置にも拘わらず中程度から重度のSLEを患っている患者において、48週間の4週毎の静脈アニフロルマブ300mg対プラセボ(1:1)の有効性及び安全性を評価した。52週ICLA応答がプライマリエンドポイントであった。SOCは、経口副腎皮質ステロイド(OCS)を、エントリ時にプレドニゾン等価物を≧10mg/日受けた患者について≦7.5mg/日にまで漸減させる義務的な試みを除いて、安定していた。
【0199】
患者は、18~70歳であり、SLEについてのAmerican College of Rheumatology分類基準を満たした36。患者は、SLEDAI 2000(SLEDAI-2K37スコア≧6(発熱、狼瘡頭痛、又は器質性精神症候群に起因するポイントを除外する)及び臨床SLEDAI-2Kスコア≧4(ラボ結果由来のポイントを除く)によって測定して、SLEが中程度から重度であった。また、患者は、≧1器官における疾患活性が重度であり、又は≧2器官における活性が中程度であり(BILAG-2004によって測定した38)、器官ドメインスコアが≧1A項目又は≧2B項目であり39、そして0(なし)から3(重度の疾患)の視覚によるアナログスケールでの疾患活性の医師のグローバル評価(PGA)が≧1であった。スクリーニング時に、患者は、抗核抗体、抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体、又は抗Smith抗体について血清反応陽性であった。そして、SLEについての、以下の少なくとも1つによる安定した標準治療(SOC)処置を受けていた:プレドニゾン又は等価物、抗マラリア薬、アザチオプリン、ミゾリビン、ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸、又はメトトレキサート。スクリーニング時のI型インターフェロン遺伝子サイン(IFNGS)分類を、全血由来の分析的に証明された4-遺伝子(IFI27、IFI44、IFI44L、RSAD2)定量ポリメラーゼ連鎖反応ベースの試験により、中央ラボによって決定した40。活動性の重度の狼瘡腎炎又は神経精神病学的SLEの患者は、除外した。
【0200】
治験薬が臨床的利益を達成することができるような十分な時間、調査者らは、SLE疾患活性/非SLE活性の増大について、0週(1日目)から12週目まで、副腎皮質ステロイドの1回のバースト及び漸減を投与した。0週(1日目)から12週目まで、複数回のステロイドバースト及び漸減を受けた、又は先の基準のいずれかに違反した患者は、本研究において続けることができたが、疾患活性の以降の評価について、SLE活性の増大又は非SLEの原因のためにOCSバーストが投与されたか否かを問わず、非レスポンダーと考えた。12週から40週目まで、SLE活性の増大のための副腎皮質ステロイド用量の増大は許可しなかった。0週(1日目)用量を超えるステロイド用量を受けた患者は、本研究において続けることができたが、疾患活性の以降の評価について、非レスポンダーと考えた。OCSの増大は、40週目の後に許可しなかった(AEの管理、又は副腎不全についての予防処置を除く)。40週目の後にOCSの増大を受けた患者は、疾患活性の以降の評価について、非レスポンダーと考えた。
【0201】
8週目に始めて40週目まで続けて、≦7.5mg/日のOCS用量まで漸減したステロイドを、以下の基準の少なくとも1つが満たされない限り、ベースラインにて≧10.0mg/日のOCS用量で、全患者において試みることを要した:
・主要な器官系(腎臓、中枢神経系、心肺、脈管炎、発熱、血小板減少症、溶血性貧血、又は消化管活性)におけるベースラインと比較して悪化したSLEDAI-2K活性
・全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000(SLEDAI-2K)に基づく新たな罹患器官系(血清学的異常(二本鎖DNA[dsDNA]抗体、低補体血症)を除く)
・≧10の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性スコアによって反映される中程度から重度の皮膚疾患
・≧8の圧痛関節及び/又は関節腫脹の能動関節数によって反映される中程度から重度の関節炎疾患
【0202】
プライマリ有効性評価は、アニフロルマブ300mg又はプラセボ群における、52週目にBICLA応答を達成した患者のパーセンテージ間の差異であった。BICLA応答は、(i)全ての重度又は中等度のベースライン疾患活性(BILAG-2004 A又はB)の、より低いレベル(それぞれB/C/D又はC/D)への引下げ、及び他の器官系における悪化(≧1の新しいBILAG-2004 A又は≧2の新しいBILAG-2004 B項目と定義した)なし;(ii)SLEDAI-2Kによって測定される疾患活性の悪化なし(ベースラインからの増大なし)の確認;(iii)ベースラインからのPGAの<0.3ポイントの増大;(iv)プロトコール許可閾値を超える制限薬物の使用なし、並びに(v)治験薬の中断なしの全てと定義する。SRI(4)応答ではなくBICLA応答を、盲検解除前のプロトコール補正のプライマリエンドポイントと指定した。これは、その測定基準特性、及び以前のアニフロルマブ治験における処置アーム間の首尾一貫した識別が理由である。
【0203】
主要セカンダリエンドポイントを、多重性について調整した。主要セカンダリエンドポイントは、a)ベースラインにてIFNGS試験-高である患者の52週目でのBICLA応答;b)ベースライン投薬量が≧10mg/日の患者の中での、40週から52週目までの、≦7.5mg/日への持続OCS投薬量引下げ;c)ベースラインでの中程度から重度(CLASI≧10)の皮膚活性の患者の中での、12週目での皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)31の≧50%引下げ;並びにd)ベースラインにて≧6の関節腫脹且つ≧6の圧痛関節の患者の中での、52週目での関節腫脹数及び圧痛関節数の双方の≧50%引下げを達成した患者のパーセンテージを含めた。また、52週目までの年率換算したフレア率(以前の来院と比較した、≧1の新しいBILAG-2004 A又は≧2の新しいBILAG-2004 Bスコア)32が、主要セカンダリエンドポイントであった。
【0204】
多重度について調整しなかった探査エンドポイントは、SRI(4)~SRI(8)応答、最初のフレアまでの時間、及び持続BICLA応答の開始までの時間を含んだ。
【0205】
有効性分析は、無作為に割り振られて、研究処置の≧1用量を受けた全ての患者を含んだ。プライマリエンドポイントは、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)検定を用いて、アニフロルマブ群及びプラセボ群についての52週目のBICLA応答率を、無作為化についてと同じ階層化因子(SLEDAI-2K、ベースラインでのOCS投薬量、及びI型IFNGS)と比較した。レスポンダーの生の数を、応答パーセンテージ、及びCMHを用いて調整されるCIと一緒に報告する。主要セカンダリエンドポイント及び他の応答エンドポイントを、ネガティブ二項回帰モデルを用いて分析したフレア率以外、同様に分析した。重みを予め定めた加重Holm手順を用いて、プライマリエンドポイント及び主要セカンダリエンドポイントの全体にわたってファミリーワイズI型エラー率を0.05に調節した。重みを、推定される力及び相対的臨床重要性:ベースラインIFNGSが高い患者におけるBICLA(0.8)、OCS引下げ(0.06)、CLASI応答(0.06)、関節数の引下げ(0.06)、及びフレア率(0.02)に基づいて選択した。他の事前指定した探査アウトカムは、多重度について調節しなかった。52週目まで持続するBICLA応答の開始までの時間、及びフレアまでの時間を、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
【0206】
52週目のBICLA応答は、アニフロルマブ300mg(47.8%、86/180)の患者の方が、プラセボの患者よりも多く達成した(31.5%、57/182;差異16.3[95%信頼区間[CI]:6.3,26.3;P=0.001])(表4)。BICLA応答を経時的に探究して、アニフロルマブで処置した、数値的により大きな割合の患者が、評価した全ての時点にてBICLAを達成し(図5A)、そして持続BICLA応答が、アニフロルマブ処置患者において、より以前に達成された(図5A)。
【0207】
【表10】
【0208】
【表11】
【0209】
IFNGS試験-高亜集団(301/362、患者全体の83.1%)において、52週目のBICLA応答率は、アニフロルマブ群における方が、プラセボ群におけるよりも大きかった(差異17.3[95% CI:6.5、28.2]、調整P=0.002])(表4)。無作為化時にプレドニゾン又は等価物≧10mg/日を受けた患者の中で(47.0%、170/362)、≦7.5mg/日への持続引下げを達成した患者の割合の差異が見られた(アニフロルマブ51.5%、45/87;プラセボ30.2%、25/83;差異21.2[95% CI:6.8、35.7]、調整P=0.014)(表4;図5B)。ベースラインでの少なくとも中程度に活動性の皮膚疾患(CLASI≧10)の患者の中での、12週目の≧50%CLASI引下げは、アニフロルマブ処置患者(49.0%、24/49)による方が、プラセボ処置患者(25.0%、10/40;差異24.0[95% CI:4.3、43.6]、調整P=0.039)によるよりも多く達成された(図5C)。52週目に関節腫脹数及び圧痛関節数の双方において≧50%低下を達成した、ベースラインにて≧6の関節腫脹及び≧6の圧痛関節の患者のパーセンテージは、アニフロルマブ(42.2%、30/71)群及びプラセボ(37.5%、34/90)群について類似していた(差異4.7[95% CI:-10.6、20.0]、調整P=0.55)。BILAGベースの年率換算したフレア率は、アニフロルマブについて、プラセボについてよりも数値的に低く(それぞれ0.43対0.64;率の比0.67[95% CI:0.48、0.94])(調整P=0.081)、最初のフレアまでの時間の探査分析は、アニフロルマブを支持した(ハザード比、0.65;95% CI:0.46、0.91)(図6B)。
【0210】
52週目のSRI(4)応答は、アニフロルマブ群(55.5%、100/180)における方が、プラセボ群(37.3%、68/182;差異18.2[95% CI:8.1、28.3])におけるよりも数値的に大きかった(表4)。SRI(5~8)のより高い閾値の各々について、アニフロルマブを支持する、数字で表される差異が観察された。
【0211】
アニフロルマブ(150/180、83.3%)を受けた、ベースラインにてI型IFNGS試験-高であった患者において、IFNGSの中和が、処置の初期に達成されて(12週目での中央パーセンテージ中和=88.0%)、52週目まで維持された(表5;図7)。IFNGS中和は、プラセボ処置において観察されなかった。抗dsDNAがベースラインにて異常な患者の中で、レベルは、アニフロルマブ処置により正常化に向かう傾向があった。ベースラインにて補体レベルが異常な(低い)患者の中で、数値的により大きな増大が、アニフロルマブにおいて観察された。ベースラインにてADAネガティブであったアニフロルマブ処置患者では、少数の人だけが、何時でも、ベースライン後にADAポジティブであった(1/170患者[0.6%])。
【0212】
有害事象が、159/180(88.3%)人のアニフロルマブ処置患者及び153/182(84.1%)人のプラセボ処置患者について報告された。
【0213】
【表12】
【0214】
実施例2.早期の持続応答
2つの第3相治験での活動性全身性エリテマトーデス(SLE)患者におけるアニフロルマブ処置による早期の持続応答
【0215】
背景
SLEにおける第3相TULIP-2及びTULIP-1治験において、I型インターフェロン受容体抗体アニフロルマブによる処置により、52週目にBICLA応答があった患者のパーセンテージが、プラセボに対してより高くなり、差異は、それぞれ16.3%(プライマリエンドポイント;P=0.001、95% CI 6.3~26.3)及び16.4%(セカンダリエンドポイント;95% CI 6.7~26.2)であった。
【0216】
目的
アニフロルマブに対するBICLA応答の時間経過をより十分に理解するために、発明者らは、TULIP-2及びTULIP-1において、応答を経時的に、プラセボと比較して調査した(到達から52週目まで持続したものを含む)。また、主要奏功(MCR)及び部分奏功(PCR)を、代替のアウトカム尺度として評価した。特に、TULIP-1、TULIP-2、及び早期の時点にてプールしたTULIPデータ、52週目まで持続する応答の開始までの時間、並びに主要奏効及び部分奏功における、アニフロルマブに対するBICLA応答をプラセボに対して経時的に比較すること。主要奏効は、24週目に全てのBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良く、52週目まで、24~52週の間、新しいAスコアも新しいBスコアもなしで維持されるものと定義される。部分奏功は、24週目に1 BILAG-2004 Bスコアの最大値と定義され、これは52週目まで、新しいAスコアも>1の新しいBドメインスコアもなしで維持される。
【0217】
方法
TULIP-2及びTULIP-1無作為化二重盲検プラセボ対照治験は、標準治療処置を受けていた中程度から重度に活動性のSLEを患っている患者において、52週にわたってアニフロルマブ(300mg Q4W)の有効性及び安全性を評価した。到達から52週目まで持続するBICLA応答の開始までの時間を、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。MCRを、24週にて全てのBILAG-2004スコアがC又はそれよりも良く、24~52週の間、新しいAスコアもBスコアもなしで維持されるものと定義した。PCRを、24週目にてBILAG-2004 Bスコアが1≦の、52週目まで新しいAドメインスコアも>1の新しいBドメインスコアもなしで維持されるものと定義した。TULIP-1について、BICLA応答率及びBICLA応答の開始までの時間を、補正した制限薬物規則を用いて分析した;MCR及びPCRを、事前指定した分析プランを用いて分析した。
【0218】
結果
早期の時点から、プラセボに対して、アニフロルマブによるより多くのBICLAレスポンダーが存在した(図9図11図12)。持続BICLA応答の開始までの時間は、アニフロルマブを支持した(図11図12)。持続BICLA応答があった患者のパーセンテージ、並びにPCR及びMCRがあった患者のパーセンテージには、アニフロルマブを支持する、数字で表される差異が存在した(図13)。全体として、TULIP-2及びTULIP-1における各180人の患者が、プラセボアームにおける182人及び184人の患者とそれぞれ比較して、アニフロルマブを受けた。TULIP-2における最初の3つの評価(4、8、及び12週目)にて、プラセボ(21.3%、21.6%、及び31.8%)と比較して、アニフロルマブで処置した患者の数値的により大きなパーセンテージ(それぞれ、26.8%、35.3%、及び42.9%)を、BICLA応答があったと分類した。類似した傾向が、TULIP-1において、アニフロルマブ(23.3%、34.2%、及び36.5%)対プラセボ(18.3%、23.2%、及び27.5%)で観察された。開始から週52まで持続するBICLA応答の開始までの時間は、TULIP-2(HR 1.55、95% CI 1.11~2.18)及びTULIP-1(HR 1.93、95% CI 1.38~2.73)の双方において、アニフロルマブを支持した。TULIP-2において、アニフロルマブで処置した86人(47.8%)の患者は、BICLA応答が、プラセボ群における57人(31.3%)の患者と比較して、開始の時間から52週目まで持続した。TULIP-1において、アニフロルマブ処置アームにおける85人(47.2%)の患者は、BICLA応答が、プラセボ群における55人(29.9%)の患者と比較して、開始の時間から52週目まで持続した。TULIP-2及びTULIP-1において、MCRが、プラセボを受けた患者の10.9%及び15.8%と比較して、それぞれアニフロルマブで処置した患者の20.8%及び22.1%において観察された。PCRが、プラセボ群における38.4%及び40.2%と比較して、それぞれアニフロルマブ処置患者の46.8%及び45.4%において観察された。
【0219】
結論
迅速であり、且つ耐久性のあるBICLA応答は、中程度から重度の活動性のSLEを患っている患者にとってのアニフロルマブの臨床的利益を支持する。2つの第3相研究において、より大きな割合の患者は、プラセボと比較して、アニフロルマブ処置により、開始から52週目まで持続するBICLA応答を達成した。アニフロルマブは、TULIP研究の全体にわたって52週目まで維持されるBICLA応答の開始までの時間の、数値的に有望な差異をもたらした。また、MCR及びPCRも、アニフロルマブを支持した。これらのデータは、活動性SLEの患者のアニフロルマブ処置に由来する臨床的利益の持続性を支持する。
【0220】
実施例3:患者サブグループにおける有効性
目的
TULIP-1及びTULIP-2において、患者のプロトコール定義サブグループにおける52週目まで、そしてプールしたTULIP-1及びTULIP-2データの全体にわたって、アニフロルマブに対するBICLA応答をプラセボに対して比較すること。ベースライン特徴を表6及び7に示す。
【0221】
結果
TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPデータにおいて、事前指定したサブグループの全体にわたって、アニフロルマブによるロバストなBICLA応答率が52週目に観察された。デモグラフィック(図14図16)、ベースライン疾患活性(図17)、ベースラインOCS投薬量(図18)、ベースラインI型IFNGS試験状況(図19)の、効果の大きさに及ぼす実質的な影響はなかった。アニフロルマブに対する応答率は、IFNGS試験-高患者及び低患者において、類似していた(図19)。
【0222】
【表13】
【0223】
BMI、肥満度指数;IFNGS、I型インターフェロン遺伝子サイン;OCS、経口副腎皮質ステロイド;SD、標準偏差;SLEDAI-2K、全身性エリテマトーデス疾患活性指数2000;qPCR、定量ポリメラーゼ連鎖反応。
【0224】
【表14】
【0225】
実施例4:フレア評価
背景
アニフロルマブ処置は、第3相TULIP-2及びTULIP-1治験において、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者における、British Isles狼瘡評価群(BILAG)-ベースの総合狼瘡評価(BICLA)応答率の改善をもたらした。また、年率換算したフレア率は、プラセボと比較して、アニフロルマブで処置した群の間でより低かった
【0226】
目的
TULIP-2及びTULIP-1データを分析して、52週の処置の間、SLEフレアの数及び最初のフレアまでの時間に及ぼすアニフロルマブの効果を評価した。
【0227】
方法
無作為化二重盲検プラセボ対照TULIP-2及びTULIP-1治験は、標準治療処置にも拘わらず中程度から重度のSLEを患っている患者において、52週目に評価したプライマリエンドポイントにより、48週間の4週毎の静脈アニフロルマブ300mg対プラセボの有効性及び安全性を評価した。フレアを、以前の月の来院と比較した、≧1の新しいBILAG-2004 A又は2≧の新しい(悪化する)BILAG-2004 Bドメインスコアと定義した。最初のフレアまでの時間を、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。年率換算したフレア率を、ネガティブ二項回帰モデルを用いて分析した。
【0228】
結果
TULIP-2(アニフロルマブ、n=180;プラセボ、n=182)及びTULIP-1(アニフロルマブ、n=180;プラセボ、n=184)において、プラセボ群(TULIP-2:42.3%、n=77;TULIP-1:43.5%、n=80;図20)と比較してより少人数の患者が、アニフロルマブ群において≧1のBILAG-2004フレアを経験した(TULIP-2:31.1%、n=56;TULIP-1:36.1%、n=65)。アニフロルマブを支持する結果を、双方の治験の全体にわたって、最初のフレアまでの時間(TULIP-2:ハザード比[HR]0.65、95%信頼区間[CI]0.46~0.91及びTULIP-1:HR 0.76、95% CI 0.55~1.06;図21)、及びBILAGベースの年率換算したフレア率(TULIP-2:調整した率の比0.67、95% CI 0.48~0.94及びTULIP-1:率の比0.83、95% CI 0.60~1.14)において観察した。年率換算したBILAGフレア率(対以前の来院)は、TULIP-2におけるプラセボ群と比較して、アニフロルマブ群において有意により低かった(図22)。少人数の患者が、TULIP-1、TULIP-2、及びプールしたTULIPにおいて、プラセボ群(それぞれ、43.5%、42.3%、及び42.9%;図23)と比較して、アニフロルマブ群(それぞれ、36.1%、31.1%、及び33.6%)において、以前の来院に対して≧1のBILAGフレアを経験した。
【0229】
結論
2つの第3相試験の全体にわたって、発明者らは、プラセボと比較した、アニフロルマブ処置による、フレアの総数及び年率換算したフレア率の引下げ、並びに最初のフレアまでの時間の延長を観察した。これらの結果は、疾患活性を引き下げ、且つフレアを減らして、SLEの患者に利益を与えるアニフロルマブの潜在性を支持している。TULIP治験の結果は、疾患活性を引き下げるだけでなく、OCS漸減(SLEの患者の長期管理に不可欠である属性)の存在下でフレアを引き下げるアニフロルマブの能力を支持している。
【0230】
実施例5:BICLAの理解
背景
BILAGベースの総合狼瘡評価(BICLA)は、器官系内で部分的な改善及び完全な改善の双方を登録する、SLE疾患活性の証明された総合グローバル尺度である。BICLAを、アニフロルマブの第3相TULIP-1及びTULIP-2治験におけるエンドポイントとして用いた。本研究は、処置に拘わらず、TULIP-1及びTULIP-2において、SLEのBICLA応答と臨床/ラボ評価との関係を調査した。
【0231】
方法
これは、無作為化二重盲検TULIP-1及びTULIP-2治験の事後分析であった。標準治療にも拘わらず中程度から重度の活動性のSLEを患っている患者を、無作為に割り振って、アニフロルマブ(150又は300mg IV Q4W)又はプラセボを48週間受けさせて、52週目のプライマリエンドポイントを評価した。BICLA応答を、以下の全てによって定義した:ベースラインBILAG-2004 A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げ、並びにあらゆる器官系における悪化なし;SLE疾患活性指数2000(SLEDAI-2K)スコアの悪化なし;医師のグローバル評価(PGA;範囲0~3)における≧0.3ポイントの悪化なし。経口副腎皮質ステロイド(OCS)投薬量引下げの維持を、40週目までに達成されて、52週目まで維持された≦7.5mg/日のOCS投薬量と定義した。皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性(CLASI-A)応答を、CLASI-Aがベースラインにて≧10の患者についての、CLASI-Aスコアの、ベースラインからの≧50%引下げと定義した。
【0232】
結果
ベースライン特徴は、通常、BICLAレスポンダー(N=318)及び非レスポンダー(N=501)において、匹敵した。全体として、アウトカムの改善が、BICLAレスポンダーにおいて、BICLA非レスポンダーに対して観察され、これは、ベースラインから52週目までのSLEDAI-2Kにおける数値的により大きな改善を含んだ(-7.4[SD:3.64]対-4.2[4.28])。より大きな平均OCS1日用量引下げが、ベースラインから52週目まで、BICLAレスポンダーにおいて、BICLA非レスポンダーに対して観察され(-5.4[SD:6.84]対-1.7[8.08])、そしてOCS投薬量引下げの維持が、52週目にて、より多くのBICLAレスポンダーによって、BICLA非レスポンダーに対して(79.2%対19.1%)達成された。CLASI-Aスコアの引下げが、52週目にて、より多くのBICLAレスポンダーによって、BICLA非レスポンダーに対して(92.0%対23.2%)達成された。平均抗dsDNAレベルのより大きな引下げが、ベースラインから52週目まで、BICLAレスポンダーにおいて、BICLA非レスポンダーに対して観察された(-46.1[SD:335.69]対15.8[450.92]);また、数字で表される改善が、補体タンパク質、C3及びC4について観察された。
【0233】
結論
BICLA応答は、SLE治験において臨床的に意味があるプライマリエンドポイントとしてその値を強化する、SLEの複数の臨床的尺度及びラボ尺度の改善と関連する。2つの第III相治験におけるI型IFN阻害剤アニフロルマブによる、SLEの対象の処置は、SLEの複数の臨床的尺度及びラボ尺度の他の改善と関連する、患者におけるBICLA応答をもたらした。
【0234】
実施例5:CLASIによって測定される皮膚疾患の重症度の早期の持続引下げ
背景
皮膚は、SLEにおいて2番目によく巻き込まれる器官であり、患者の最大85%が皮膚疾患を経験している。皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)は、活性スコア(CLASI-A)が0(軽度)から70(重度)に及ぶ、皮膚疾患重症度を測定するための証明された指数である。CLASI-Aは、紅斑、スケール/肥大、粘膜病変、最近の脱毛、及び非瘢痕性脱毛症についての尺度を含む。SLE患者の第3相TULIP-1及び2治験において、ベースラインにてCLASI-Aが≧10の、より大きな割合の患者が、アニフロルマブにより、プラセボと比較して、12週目でのCLASI-Aの≧50%引下げを達成した。発明者らはさらに、TULIP-1及び-2からのプールしたデータを用いて、アニフロルマブの、皮膚特異的SLE疾患活性に及ぼす効果を評価した。
【0235】
方法
TULIP-1及び-2は、標準治療処置にも拘わらず中程度から重度の活動性のSLEを患っている患者において、アニフロルマブ(48週間、4週毎の300mg IV)の有効性及び安全性を評価する52週無作為化二重盲検プラセボ対照治験であった。TULIP-1及び-2を、TULIP-2プロトコール通りに制限薬物規則を用いて別々に分析して、双方の治験由来のデータをプールした。発明者らは、アニフロルマブを受けている患者において、プラセボに対して、皮膚応答を経時的に比較した。CLASI-A応答を、CLASI-Aが≧10の患者についての、ベースラインからのCLASI-Aスコアの≧50%引下げと定義した。CLASI-A応答までの時間を、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
【0236】
結果
合計で360人の患者が、アニフロルマブ及び366の容認されているプラセボを受けた。ベースラインにて、平均(SD)CLASI-Aスコアは8.1(7.41)であった;患者の95.9%(696/726)は、ベースラインCLASI-Aが>0であり、そして27.7%(201/726)は、ベースラインCLASI-Aが≧10であった。ベースラインCLASI-Aが≧10の患者のサブグループにおいて、CLASI-A応答(≧50%引下げ)が、アニフロルマブを受けた患者の36.0%(38/107)について、プラセボを受けた患者の21.7%(21/94)に対して、8週目までに達成された(差異14.3;95% CI 1.8%、26.9%) (図24)。アニフロルマブを支持する結果が、TULIP-1(ハザード比[HR]1.91;95% CI 1.14、3.27)及びTULIP-2(HR 1.55;95% CI 0.87、2.85)において、52週目まで持続されるCLASI-A応答までの時間において観察された(図25)。ベースラインCLASI-Aが>0の患者のサブグループのより多くの患者数が、TULIP-1及び-2の双方において、アニフロルマブにおいて12週目までに、プラセボ群に対して、CLASI-A応答(≧50%引下げ)を達成した(名目上のP<0.05)(図26);類似した効果が、TULIP-1及び-2の双方において、ベースラインCLASI-Aが≧10の患者のサブグループにおいて観察された(名目上のP<0.05)(図26)。アニフロルマブ(300mg)による処置後の一患者の例を図27に示す。
【0237】
結論
アニフロルマブ処置は、CLASIによって評価されるように、皮膚活性がベースラインにて軽度から重度の患者のサブグループにおいて、皮膚特異的SLE疾患活性における、迅速であり、且つ耐久性のある改善と関連した。これらの発見は、中程度から重度に活動性のSLEを患っている患者において皮膚疾患活性を引き下げるアニフロルマブの能力を実証している。
【0238】
実施例6:BILCAの臨床関連性
背景
British Isles狼瘡評価群ベースの総合狼瘡評価(BICLA)は、全身性エリテマトーデス(SLE)治験における処置応答の証明されたグローバル尺度である。臨床診療とのBICLAの関連性を理解するために、BICLA応答と、ルーチンのSLE評価と、患者報告アウトカム(PRO)との関係を調査した。
【0239】
BICLAを、SLE治験に用いた疾患活性指数のエキスパートパネルレビューに従って開発した。BICLA応答は、BILAG-2004によって評価される、ベースラインにて影響される全てのドメインの改善(他のBILAG-2004ドメインの悪化なし、SLEDAI-2K及びPGAの双方のベースラインに対して悪化なし、非プロトコール処置の開始もプロトコール許可閾値を超える使用もなし、並びに治験薬の中断なし)を必要とする。ゆえに、SRIと対照的に、BICLAにおける有効性のドライバーは、BILAG-2004であるが、悪化は、BILAGに加えて、SLEDAI-2K及びPGAにより評価される。BILAG-2004ベースのBICLAは、器官系を等しく重み付けして、不活性疾患と、部分的な改善及び完全な改善と、疾患活性の悪化との区別をするが、SLEDAI-2KベースのSRIは、器官系に重み付けを割り当てて、改善を捕捉するのに関わる器官系における疾患活性の完全解消を必要とする。
【0240】
総合SLE評価は、臨床診療においてルーチン的に用いられない。ゆえに、このように評価される処置応答の関連性は、臨床医によって認識されない場合がある。したがって、発明者らは、BICLA応答と、実際の臨床診療において意味がある他のSLE疾患尺度(フレア、経口グルココルチコイドの毎日の投与及び持続される経口グルココルチコイド漸減、PRO、医学資源利用、並びにグローバルな器官特異的疾患の臨床的尺度及びラボ尺度が挙げられる)との関係を調査した。これらの関係を、処置群割当てを問わずに、アニフロルマブの第3相TULIP-1及びTULIP-2治験からのプールしたデータを用いて、BICLAレスポンダーとBICLA非レスポンダーとの間で評価した。
【0241】
方法
患者及び研究設計
これは、第3相無作為化プラセボ対照二重盲検52週TULIP-1及びTULIP-2治験からのプールしたデータの事後分析であった。手短に言えば、資格がある患者は、18~70歳であり、SLEについてのAmerican College of Rheumatology修正分類基準を満たし(13)、そして標準治療処置にも拘わらず、血清反応陽性が中程度から重度のSLE患っていた。活動性の重度の狼瘡腎炎又は神経精神病学的SLEを患っている患者は、除外した。患者を、無作為に割り振って、標準治療処置に加えて、48週間、4週毎にプラセボ又はアニフロルマブの静注を受けさせた(TULIP-1:プラセボ、アニフロルマブ150mg、又はアニフロルマブ300mg[2:1:2];TULIP-2:プラセボ又はアニフロルマブ300mg[1:1])。プライマリエンドポイントを、52週目に評価した。他の処置は、経口グルココルチコイドを漸減させるプロトコール決定意図に由来する人々以外は、治験の全体を通して安定していた。ベースラインにて≧10mg/日の経口グルココルチコイドを受けている患者について、経口グルココルチコイドを≦7.5mg/日に漸減させる試みを、8週~40週の間に要した;また、漸減を、ベースラインにて<10mg/日の経口グルココルチコイドを受けている患者について容認した。安定した経口グルココルチコイド投薬量を、40週~52週の間に要した。
【0242】
研究エンドポイント及び評価
BICLA応答を、以下の全てと定義した:全てのベースラインBILAG-2004 A及びBドメインスコアの、それぞれB/C/D及びC/Dへの引下げ、並びに≧1の新しいBILAG-2004 Aドメインスコア又は≧2の新しいBILAG-2004 Bドメインスコアによって定義した他のBILAG-2004器官系における悪化なし;SLEDAI-2Kスコアにおける(ベースラインからの)増大なし;PGAスコアの増大(ベースラインからの≧0.3ポイント)なし;治験薬の中断なし;及びプロトコール許可閾値を超える制限薬物の使用なし。プールしたデータを、レスポンダー/非レスポンダーを分類するために、TULIP-2制限薬物分析規則に従って分析した。
【0243】
臨床アウトカム尺度を、52週目のBICLAレスポンダーとBICLA非レスポンダーとの間で、処置群割当てに関係なく比較した。結果を、著者間のコンセンサスによって同意された、臨床関連性の階層で示す。アウトカム尺度として、52週目までの、フレアを有する患者のパーセンテージ(以前の来院と比較した、1≧の新しいBILAG-2004 A又は2≧の新しいBILAG-2004 Bドメインスコアと定義した)、年率換算したフレア率、持続経口グルココルチコイド漸減を達成した患者のパーセンテージ(ベースラインにて≧10mg/日を受けた患者において、40週目までに達成され、且つ52週目まで持続される、≦7.5mg/日のプレドニゾン又は等価物への経口グルココルチコイド投薬量引下げと定義した)、及びベースラインから52週目までの1日経口グルココルチコイド投薬量の変化が挙げられる。慢性疾病治療-疲労の機能評価[FACIT-F]における応答(>3ポイント改善と定義した)、Short Form 36健康調査バージョン2[SF-36-v2][急性]フィジカルコンポーネントサマリ[PCS]及びメンタルコンポーネントサマリ[MCS]における応答(PCSにおける>3.4の、そしてMCSにおける>4.6の改善と定義した)、及び患者のグローバル評価[PtGA]におけるベースラインからの変化)が挙げられるPROの変化を、ベースラインから52週目まで評価した。また、医学資源利用(ヘルスケア来院、救急部[ED]使用、及び来院)を評価した。BICLAレスポンダーとBICLA非レスポンダーとの間で比較した他の指数は、SLEDAI-2K、PGA、関節(能動関節、関節腫脹、圧痛関節)数の、ベースラインから52週目までの変化、並びに皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数活性(CLASI-A)応答(ベースラインにてCLASI-Aスコアが≧10の患者の中での、CLASI-Aスコアの≧50%引下げと定義した)を含んだ。血清学(抗二本鎖DNA[抗dsDNA]抗体並びに補体C3及びC4)を評価した;抗dsDNA抗体レベルを、「ポジティブ」(>15U/mL)又は「ネガティブ」(≦15U/mL)と分類して、補体レベルを、「異常」(C3、<0.9g/L;C4、<0.1g/L)又は「正常」(C3、≧0.9g/L;C4、≧0.1g/L)と分類した。また、有害事象(AE)を評価した。
【0244】
統計分析
TULIP-1研究及びTULIP-2研究の類似した設計により、結果をプールすることができた。サンプルサイズを、TULIP-1及びTULIP-2について選択して、十分に安全なデータベースサイズを得、そして主要セカンダリエンドポイントを評価した。TULIP-1及びTULIP-2において、180人の対象/アームは、それぞれ>99%及び88%の力を与えて、0.05の両側アルファ(2-sided alpha)を用いる仮説(プライマリエンドポイントの差異なし)を拒絶した。レスポンダー対非レスポンダー率を、スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコアの階層化因子(<10又は≧10)、ベースライン経口グルココルチコイド投薬量(<10mg/日又は≧10mg/日)、及びスクリーニング時のI型IFNGS試験状況(試験-低又は試験-高)を含む、階層化コクラン-マンテル-ヘンツェルアプローチを用いて算出した。また、研究をモデルに含めた。全てのレスポンダー分析について、患者は、評価の前に、プロトコール許可閾値を超える制限薬物を用いたならば、又は治験薬を中断したならば、非レスポンダーと考えた。BICLAレスポンダーとBICLA非レスポンダー間のベースラインから52週目までの推定変化の比較を、スクリーニング時に用いたベースライン値、群、来院、研究、及び階層化因子について効果を固定した混合反復測定モデルを用いて評価した;来院による群(group-by-visit)の相互作用期間を用いた。そして来院は、モデルにおいて、反復変数であった。最初の来院について次期繰越しした最近の観察をミッシングデータに用いて、ミッシングデータを帰属させた;ミッシングデータがある以降の来院は、帰属させなかった。レスポンダー分析について、変数のあらゆるコンポーネントを、ミッシングデータにより導き出すことができなければ、患者は、その来院について非レスポンダーと分類した。
【0245】
結果
治験集団
データを、TULIP-1における457人の患者及びTULIP-2における362人の患者についてプールした(N=819)。双方の治験の全体にわたって、360人の患者は、アニフロルマブ300mgを受け、93人の患者はアニフロルマブ150mgを受け、そして366人の患者はプラセボを受けた。処置群割当てに関係なく、318人のBICLAレスポンダー及び501人のBICLA非レスポンダーが52週目に存在した。患者デモグラフィック及びベースライン臨床的特徴を、全般的に、BICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーの全体にわたってバランス調整した(表8及び表9)。大部分の患者は女性であり(92.5%、レスポンダー;93.0%、非レスポンダー)、平均(標準偏差[SD])年齢は、レスポンダーについて41.5(11.67)歳、そして非レスポンダーについて41.7(12.13)歳であった。BICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーの類似した割合は、白人(67.0%対65.9%)、黒人/アフリカ系アメリカ人(14.2%対12.6%)、又はアジア人(9.1%対11.0%)であった。
【0246】
全体として、アウトカムの改善が、BICLAレスポンダーにおいて、BICLA非レスポンダーに対して観察された。
【0247】
【表15】
【0248】
【表16】
【0249】
【表17】
【0250】
フレア
BICLAレスポンダーが、BICLA非レスポンダーよりも多く、52週の処置期間にわたってフレアフリーであった(76.1%対52.2%)。このことは、BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも少人数しか、52週の期間にわたって≧1フレアを経験しなかったことを意味する(23.9%対47.8%;差異-23.9%;95%信頼区間[CI]-30.4~-17.5-;名目上のP<0.001)(図28A)。少人数の患者しか、1、2、又は≧3フレアを経験せず、年率換算したフレア率は、BICLAレスポンダーについて、BICLA非レスポンダーよりも低かった(率の比[RR]0.36、95% CI 0.29~0.47;名目上のP<0.001)(表10)。
【0251】
【表18】
【0252】
経口グルココルチコイド使用及びステロイド節約効果
類似したパーセンテージのBICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーが、ベースラインにて、経口グルココルチコイドをあらゆる投薬量にて、且つ≧10mg/日にて受けていた。BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーに対して、ベースラインから52週目までの1日経口グルココルチコイド投薬量の引下げがより大きかった(最小二乗[LS]平均差異-4.29mg/日、95% CI -5.37~-3.20、名目上のP<0.001)(図28B)。ベースラインにて≧10mg/日の経口グルココルチコイドを受けていた患者での、≦7.5mg/日への持続経口グルココルチコイド投薬量引下げのセカンダリエンドポイントの達成は、BICLAレスポンダーによる方が、非レスポンダーによるよりも多かった(79.2%対19.1%;差異60.1%、95% CI 52.1%~68.1%、名目上のP<0.001)(図28C)。52週目までの平均(SD)累積経口グルココルチコイド用量は、BICLAレスポンダーにおいて、BICLA非レスポンダーよりも31.3%低かった(2159.20[1661.39]mg対3140.81[3081.19]mg)(図28D)。
【0253】
PRO
FACIT-F、SF-36 MCS、及びSF-36 PCSスコアは、ベースラインにて、BICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーについて、類似していた(表11)。FACIT-Fの改善は、BICLAレスポンダーにおいて、非レスポンダーにおけるよりも多く報告された(55.6%対15.7%;差異40.0%、95% CI 33.6%~46.3%、名目上のP<0.001)(図29A)。同様に、BICLAレスポンダーの方が、非レスポンダーよりも多く、予め定義した閾値を上回る改善が、SF-36 PCS(57.9%対12.8%;差異45.1%、95% CI 38.9%~51.3%、名目上のP<0.001)及びSF-36 MCS(42.6%対12.3%;差異30.3%、95% CI 24.1%~36.5%、名目上のP<0.001)にあった(図29A図29C)。
【0254】
【表19】
【0255】
PtGA
PtGAスコアは、ベースラインにて、BICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーについて類似していた。ベースラインから52週目までのPtGAスコアの改善は、BICLAレスポンダーの方がBICLA非レスポンダーよりも大きいことが報告された(LS平均差異-11.1、95% CI -14.9~-7.3、名目上のP<0.001)(図29D)。
【0256】
医学資源利用
52週の治験の間に、BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも少人数しかヘルスケア来院がなかった(62.5%対70.7%;差異-8.3%、95% CI -14.9%~-1.6%、名目上のP=0.015)(表12)。BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーと比較して、少人数しか救急部(ED)来院を必要とせず(11.9%対21.8%;差異-9.9%、95% CI -15.2%~-4.5%、名目上のP=0.001)、そして少数のED来院は、SLE活性の増大に関連していた(2.6%対24.0%;差異-21.4%、95% CI -35.3%~-7.5%、名目上のP=0.003)。同様に、BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも来院が少なく(4.5%対14.4%;差異-10.0%、95% CI -14.3%~-5.7%、名目上のP<0.001)、来院は、BICLAレスポンダーでは、BICLA非レスポンダーの38.5%と比較して、SLE活性の増大に関連していなかった(差異-38.5%、95% CI -58.8%~-18.2%、名目上のP<0.001)。
【0257】
【表20】
【0258】
【表21】
【0259】
SLEDAI-2K及びPGA
平均(SD)SLEDAI-2K及びPGAスコアは、ベースラインにてレスポンダーと非レスポンダーとの間で類似していた(表1)。ベースラインから52週目まで、BICLAレスポンダーについて、BICLA非レスポンダーについてよりも、総SLEDAI-2Kにおいて(LS平均差異-3.5、95% CI -4.1~-3.0、名目上のP<0.001)(図30A)、そしてPGAスコアにおいて(LS平均差異-0.59、95% CI -0.67~-0.51、名目上のP<0.001)(図30B)大きな改善が観察された。
【0260】
CLASI活性
全体的に、BICLAレスポンダーの32.4%及びBICLA非レスポンダーの25.5%は、ベースラインCLASI-Aが≧10であった(表1)。これらの患者の間で、BICLAレスポンダーは、52週目でのCLASI-Aにおいて、≧50%引下げを、BICLA非レスポンダーよりも多く達成した(92.0%対23.2%;差異68.8%、95% CI 59.2%~78.3%、名目上のP < 0.001)(図31A)。
【0261】
関節数
平均(SD)能動関節数(腫脹及び圧痛のある関節と定義した)は、ベースラインにて、BICLAレスポンダー及び非レスポンダーにおいてそれぞれ6.1(5.22)及び6.9(5.97)であった。平均(SD)関節腫脹数は、それぞれ6.5(5.27)及び7.4(6.08)であり、圧痛関節数は、それぞれ9.8(6.94)及び11.1(7.85)であった。ベースラインから52週目まで、関節数は、BICLAレスポンダーの方がBICLA非レスポンダーよりも、能動関節(LS平均差異-1.9、95% CI -2.4~-1.4、名目上のP<0.001)、圧痛関節(LS平均差異-3.6、95% CI -4.4~-2.8、名目上のP<0.001)、及び関節腫脹(LS平均差異-2.1、95% CI -2.7~-1.6、名目上のP<0.001)(図31B)について、多く改善した。
【0262】
血清学
BICLAレスポンダーとBICLA非レスポンダー間の等しいパーセンテージの患者が、ベースラインにて抗dsDNA抗体ポジティブであった。ポジティブからネガティブへの抗dsDNA抗体状況の改善が、類似したパーセンテージのBICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーにおいて観察された(5.0%対4.4%)(表13)。
【0263】
【表22】
【0264】
【表23】
【0265】
ベースラインポジティブ抗dsDNA又は異常補体C3若しくはC4の患者のみを、分析に含める。変化パーセンテージ、差異、CI、及び名目上のP値を、ベースライン値、群、来院、研究、及び階層化因子についての効果が固定されている反復測定モデルを用いて算出した。群による来院(visit-by-group)の相互作用期間を用いて、群の全体にわたる様々な関係を説明した。来院は、モデルにおいて、反復変数であった。パーセンテージは、ミッシングデータにより、100%に等しくない。
【0266】
類似した割合のBICLAレスポンダー及び非レスポンダーの、ベースラインでのC3及びC4レベルが異常であった。ベースラインから52週目までの補体レベルの変化パーセンテージは、BICLAレスポンダーと非レスポンダーとの間で、C3(LS平均差異2.82、95% CI -4.185~9.819、名目上のP=0.429)について、又はC4(LS平均差異-9.63、95% CI -25.174~5.910、名目上のP=0.223)について異ならなかった(表13)。BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも多く、C3(10.4%対7.0%)及びC4(7.5%対4.8%)を異常から正常に改善した。
【0267】
安全性
AE頻度は、BICLAレスポンダーとBICLA非レスポンダーとの間で類似していた(83.6%及び85.2%)(表14)。軽度のAE及び中程度のAEが、類似したパーセンテージのBICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーによって報告されたが、BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも少人数しか、重度のAEを経験しなかった(3.8%対9.4%)。BICLAレスポンダーにおいて中断(DAE)に至るAEは、BICLA非レスポンダーにおける8.2%DAEと比較して、存在しなかった。BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも少人数しか、重篤なAEを経験しなかった(5.0%対19.0%)。BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも少人数しか、重篤な非日和見感染がなかった(2.2%対6.8%)。帯状疱疹の患者のパーセンテージは、BICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーにおいて、インフルエンザ(1.9%対2.0%)又は悪性腫瘍(0.6%対1.0%)の患者のパーセンテージのように、類似していた(4.7%対3.6%)。
【0268】
【表24】
【0269】
結論
BICLAは、器官ドメイン活性の変化に基づいて、レスポンダー又は非レスポンダーとして患者を分類する二分SLEアウトカム尺度である。BICLAは主に治験状況において用いられるので、本研究の目的は、患者及び医師に関連するアウトカムに関するBICLA応答の有意味性を評価することであった。TULIP-1及びTULIP-2治験に登録した819人の患者から得た、プールしたデータの事後分析において、BICLA応答は、広範なSLE評価、主要なPRO、及び医学資源利用尺度の全体にわたる臨床アウトカムの改善と有意に関連した。
【0270】
フレアは、グルココルチコイド用量の増大があってもなくても、SLEの患者に有意なリスクを引き起こす。長期的に見て、疾患フレア、及び経口グルココルチコイド使用は双方とも、器官損傷につながった。これはそれ自体、死亡率リスクを増大させる。また、フレアは、健康関連クオリティ・オブ・ライフの引下げと関連し、フレア重症度及び経口グルココルチコイド使用は、ヘルスケアコストと相関する。したがって、主要なSLE処置の目標は、フレアを予防すると同時に、経口グルココルチコイド曝露を最小限にすることであり、これが今度は、医学資源利用を引き下げると期待される。発明者らは、BICLAレスポンダーの疾患フレアが少ないほど、1日経口グルココルチコイド用量が低くなることを観察した。より大きいパーセンテージのBICLAレスポンダーが、目標用量への持続経口グルココルチコイド引下げを達成した。また、非レスポンダーよりも少ない人数しか入院及びED来院(SLE活性の増大に関連するものを含む)をしなかった。また、グローバルな組織特異的疾患活性のより大きな改善が、PGA、SLEDAI-2K、CLASI-A、及び関節数によって測定されるように、非レスポンダーに対してレスポンダーにおいて観察された。疾患活性及び経口グルココルチコイド曝露における患者アウトカムの改善が、ヘルスケアコストの引下げと関連することが示されているので、BICLAレスポンダーは、BICLA非レスポンダーよりも低いヘルスケアコストしかかかり得ない。
【0271】
また、発明者らは、BICLAレスポンダー及びBICLA非レスポンダーにおいて、有害事象を評価した。より低いフレア率、医学資源利用の引下げ、並びにより少ない、BICLA応答と関連するSLE関連ED来院及び入院と合致して、SAEは、BICLA非レスポンダーに対してBICLAレスポンダーにおいてより少なかった。治験薬の中断により、いかなる理由であれ、患者は、定義によってBICLA非レスポンダーと分類したが、注目すべきは、BICLA非レスポンダーは、AEに起因する中断傾向が、BICLAレスポンダーよりも大きかった。
【0272】
PROを、ほぼ全てのSLE治験に組み込んだ。しかしながら、分析は多くの場合、臨床アウトカムとPROとの間で不一致をもたらした。これは、疾患活性及び疾病の患者認識が、疲労及びクオリティ・オブ・ライフによってかなり影響されて、疾患活性の公式尺度の結果によって捕捉されないためである。TULIP治験において、BICLAレスポンダーは、SF-36健康調査のフィジカルコンポーネント及びメンタルコンポーネント、並びに疲労のFACIT評価を含む、証明されたPROの改善があった。SLE患者において一般的な病徴である疲労は、日常生活に干渉し、BICLA応答患者の半分超が、TULIP治験において、疲労の改善を経験した。PtGAスコア及びPGAスコアは、改善における一致を、そしてBICLAレスポンダー間で、非レスポンダーよりも大きな改善の程度を示した。発明者らの結果は、BICLA応答が、SLEの患者の肉体的且つ精神的な幸福感の全般的な改善に変換することを実証している。
【0273】
また、2つの第2b相治験(シファリムマブ及びアニフロルマブ)、及びベリムマブの2つの第3相治験からのプールしたデータにおける、SRI(4)応答の、臨床アウトカムに対する相関の調査は、非レスポンダーと比較して、SRI(4)レスポンダーにおける臨床アウトカムの改善を実証した。血清学的アウトカムの変化は、TULIP治験においてBICLAレスポンダーとBICLA非レスポンダーとの間で有意に異ならなかったが、SRI(4)応答は、ベリムマブ第3相治験において、抗dsDNA抗体及び補体C3レベル(C4レベルではそうでない)の有意な改善と関連した。この不一致は、2つの評価した薬剤の異なる作用機序の反映であり得、且つ/又はBICLAの改善を測定するBILAG-2004が、そのスコアリング系に血清学を含まないためである。
【0274】
データは、治験エンドポイントとしてのBICLAの価値を、そしてBICLA応答が、毎日の実施における臨床医及び患者の双方の優先事項に共感する、広範な他のアウトカムの改善と相関することを確認する。
【0275】
【表25】
【0276】
参考文献
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【配列表】
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【国際調査報告】