(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ポリフェノールが豊富な高タンパク質のミセルカゼイン含有栄養液及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/19 20160101AFI20230111BHJP
A23J 3/10 20060101ALI20230111BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230111BHJP
A23C 9/152 20060101ALI20230111BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230111BHJP
【FI】
A23L33/19
A23J3/10
A23L33/105
A23C9/152
A23L5/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022526690
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020081778
(87)【国際公開番号】W WO2021094384
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508335831
【氏名又は名称】アーラ フーズ エーエムビーエー
【氏名又は名称原語表記】Arla Foods amba
【住所又は居所原語表記】Sonderhoj 14,8260 Viby J,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー,マルセラ
(72)【発明者】
【氏名】レイ,コリン
【テーマコード(参考)】
4B001
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B001AC06
4B001AC99
4B001BC01
4B001BC04
4B001BC07
4B001BC08
4B001EC05
4B001EC53
4B001EC99
4B018LB08
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD08
4B018MD20
4B018MD21
4B018MD42
4B018MD48
4B018MD52
4B018MD59
4B018MD71
4B018ME14
4B018MF03
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4B018MF09
4B035LC06
4B035LE03
4B035LG01
4B035LG04
4B035LG15
4B035LG31
4B035LG32
4B035LG44
4B035LK19
4B035LP21
4B035LP44
(57)【要約】
本発明は、ポリフェノールが豊富な高タンパク質のミセルカゼイン含有栄養液及びその製造方法に関する。本発明は、特に、低減された粘度及び低温ゲル化の低減された傾向を有するこのような高タンパク液を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
- 8~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む栄養液。
【請求項2】
150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する、請求項1に記載の栄養液。
【請求項3】
150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲の重量比を有する、請求項1又は2に記載の栄養液。
【請求項4】
前記ポリフェノールは、フラボノイド、フェノール酸、スチルベノイド、タンニン及びリグナンからなる群から選択される1つ又は複数の化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項5】
前記ポリフェノールは、3~12個のフェノール性水酸基、より好ましくは4~10個のフェノール性水酸基、さらにより好ましくは少なくとも5~8個のフェノール性水酸基、より好ましくは6~7個のフェノール性水酸基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項6】
前記ポリフェノールは、1つ又は複数のスチルベノイドを含むか又はさらに1つ又は複数のスチルベノイドからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項7】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及び/又はII
【化1】
(式中、R
3、R
4、R
5及びR
6は、水素、水酸基又は-O-β-D-グルコピラノシドから独立して選択され、但し、R
3、R
4、R
5及びR
6の少なくとも2つが水酸基である)
に従う1つ又は複数のポリフェノールを含むか又はさらに当該1つ又は複数のポリフェノールからなる、請求項6に記載の栄養液。
【請求項8】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式I(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドを含むか又はさらに式I(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドからなる、請求項7に記載の栄養液。
【請求項9】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式II(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドを含むか又はさらに式II(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドからなる、請求項7に記載の栄養液。
【請求項10】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びII(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドを含むか又はさらに式I及びII(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドからなる、請求項7に記載の栄養液。
【請求項11】
タンパク質の総量は、8~24%w/w、より好ましくは10~22%w/w、さらにより好ましくは12~21%w/w、最も好ましくは少なくとも14~20%w/wの範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項12】
総タンパク質に対して70~84%w/w、より好ましくは総タンパク質に対して75~83%w/wの量のミセルカゼインを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項13】
総タンパク質に対して85~100%w/w、より好ましくは90~99%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して93~98%w/w、最も好ましくは95~97%w/wの量のミセルカゼインを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項14】
6.0~8.0、より好ましくは6.2~7.5、さらにより好ましくは6.4~7.1、最も好ましくは6.5~7.0の範囲のpHを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項15】
20℃の温度及び145s
-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項16】
無菌であり、好ましくは包装された無菌栄養液である、請求項1~15のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の栄養液の固形分と、最大で10%w/wの量の水とを含む栄養粉末であって、好ましくは、請求項1~16のいずれか一項に記載の栄養液を乾燥させることにより、例えば噴霧乾燥又は凍結乾燥により、入手可能である、栄養粉末。
【請求項18】
栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 8~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む液体混合物を形成するステップ、
b)任意選択的に、前記液体混合物を適切な容器に充填するステップ
を含む方法。
【請求項19】
ステップb)の前記充填を伴う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体混合物は、熱処理を受ける、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
- 少なくとも8%w/wの量のタンパク質、及び
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン
を含む栄養液の、
- 低温ゲル化を低減又は防止すること、
- 低温増粘を低減又は防止すること、及び/又は
- 好ましくは滅菌熱処理の直後の粘度を低減すること
のための、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
乳タンパク質を含有する栄養製品は、乳タンパク質の好ましいアミノ酸組成及び消化率により、一連の興味深い利点を有する。
【0002】
米国特許第5683984A号は、経管栄養法に適したタンパク質、脂質及びミネラルの経腸組成物を開示しており、タンパク質として天然のミセルカゼインを採用している。組成物は、天然のミセルカゼインを取得し、それを糖質、脂質及びミネラルと組み合わせることによって調製される。ミセルカゼインの分散液は、ミルク、特にスキムミルクを精密濾過することによって得ることができ、得られたミセルカゼイン濃縮水に糖質とミネラルとが分散され、得られた分散液に脂質が添加され、次に混合物が均質化及び滅菌される。精密濾過された濃縮水は、分散液を得るためにダイアフィルター処理され得る。
【0003】
国際公開第2013/129912A1号は、栄養補給剤として又は完全栄養としてのいずれかで栄養を提供するための液体経腸組成物の提供を開示しており、それは、少量の液体中の高タンパク質含有量、特に液体組成物100ml当たり6~20gのタンパク質において、特に主要なタンパク質源としてのミセルカゼインを含む。組成物は、乳酸をさらに含み、6~8の範囲のpHを有する。
【0004】
国際公開第2011/112075A1号は、6~20g/100mlのミセルカゼインの含有量及び約6~8のpHを有する医療用乳製品に関する。国際公開第2011/112075A1号は、リン酸、クエン酸、可溶性リン酸塩、可溶性クエン酸塩又はそれらの混合物の群から選択される1つ又は複数のキレート化剤の使用により、このような乳製品の粘度及び透明度を互いに独立して制御できることを示唆する。フィチン酸塩、クエン酸塩又はオルトリン酸塩の添加後、製品の粘度がより高くなり、粘度は、リン酸塩の濃度及び種類に依存することが見出された。ヘキサメタリン酸の添加は、ゲル形成をもたらす。対照的に、粘度に顕著な影響を与えることなく、高濃度のウリジン一リン酸が添加され得る。
【0005】
O’Connell et al (Effects of phenolic compounds on the heat stability of milk and concentrated milk.”, Journal of Dairy Research, vol. 66, 1 January 1999, pages 399-407)は、例えば、没食子酸エピガロカテキンなどのフェノール化合物が豊富な脱脂乳及び濃縮脱脂乳の熱凝固時間の研究を開示している。使用された濃縮脱脂乳は、225gの固形分/Lを含有していた。しかしながら、濃縮脱脂乳のタンパク質含有量は、文献から直接及び明確に導き出されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
本発明者らは、高タンパク質の栄養製品の製造が加工の困難さによって制限されることを見出し、これは、乳タンパク質が顕著な量のミセルカゼインを含有する場合に特に明白である。冷蔵温度での高粘度のゲル様構造の形成は、課題であり、中間タンパク質製品の処理及び/又は保存中に望ましくない目詰まりをもたらすこともある。低温での高粘度のゲル様構造の形成は、高いミセルカゼイン含有量を有する液体栄養飲料製品でも問題であり、製品が冷蔵されている場合、消費者に欠陥製品の印象を与えることもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、処理中又は処理前に液体に異なるポリフェノール化合物を組み込むことにより、低温増粘又はゲル形成の問題を解決できることをさらに発見した。
【0008】
「低温ゲル化」、「冷温増粘」、「低温増粘」又は「低温ゲル形成」という用語は、冷蔵雰囲気の温度、好ましくは約5℃において、典型的にはこれらの温度での貯蔵時に発生する増粘、すなわち粘度の増加又はゲル形成を指す。
【0009】
したがって、本発明の一態様は、6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
- 8~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む栄養液に関する。
【0010】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の栄養液の固形分と、最大で10%w/wの量の水とを含むか又はさらに本明細書に記載の栄養液の固形分と、最大で10%w/wの量の水とからなる栄養粉末に関する。
【0011】
さらに、本発明の一態様は、栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 8~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む液体混合物を形成するステップ、
b)任意選択的に、液体混合物を適切な容器に充填するステップ
を含む方法に関する。
【0012】
別の態様は、上記の方法によって入手可能な栄養液に関する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
- 少なくとも8%w/w、より好ましくは10%w/wの量のタンパク質、及び
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン
を含む栄養液の、
- 低温ゲル化を低減又は防止すること、
- 低温増粘を低減又は防止すること、及び/又は
- 好ましくは滅菌熱処理の直後の粘度を低減すること
のための、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図の概要
【
図1】ポリフェノール化合物とタンパク質との間の重量比が0(対照)、0.06及び0.10である、11%w/wのMCIを含有する栄養液の、異なる剪断速度における5℃での粘度を示す。
【
図2】ポリフェノール化合物とタンパク質との間の重量比が0(対照)、0.06及び0.10である、12%w/wのMCIを含有する栄養液の、異なる剪断速度における5℃での粘度を示す。
【
図3】ポリフェノール化合物とタンパク質との間の重量比が0.01及び0.03である、13%w/wのMCIを含有する栄養液の、異なる剪断速度における5℃での粘度を示す。
【
図4】ポリフェノール化合物とタンパク質との間の重量比が0(対照)、0.06及び0.10である、11%w/wのMCIを含有する栄養液の、5℃での経時的な粘度の発現を示す。
【
図5】ポリフェノール化合物とタンパク質との間の重量比が0(対照)、0.06及び0.10である、12%w/wのMCIを含有する栄養液の、5℃での経時的な粘度の発現を示す。
【
図6】ポリフェノール化合物とタンパク質との間の重量比が0.01及び0.03である、13%w/wのMCIを含有する栄養液の、5℃での経時的な粘度の発現を示す。
【
図7】異なる温度での熱処理及び熱処理なしの、栄養液の粘度に対する影響を示す。
【
図8】ポリフェノール化合物を含有する栄養液の、5℃での経時的な粘度の発現及び熱処理あり対熱処理なしの効果を示す。
【
図9】0.06のポリフェノール化合物とタンパク質との間の重量比を有する、MPCベース及びMCIベースの栄養液の粘度を比較したものであり、ポリフェノール化合物を含有しないMPC対照も含まれる。
【
図10】R
1が水素又は水酸基であり、R
2が水酸基又は没食子酸基である、カテキン化合物の分子構造を示す。
【
図11】特定のスチルベノイド化合物の分子構造を示し、式中、R
3、R
4、R
5及びR
6は、水素、水酸基又は-O-β-D-グルコピラノシドから独立して選択され、但し、R
3、R
4、R
5及びR
6の少なくとも2つが水酸基である。
【
図12】カテキンとタンパク質との間の異なる重量比での、熱処理直後における熱処理栄養液の粘度を示し;栄養液は、ミセルカゼイン単離物を基準にして12、15、18及び20%w/wのタンパク質を含有した。
【
図13】カテキンとタンパク質との間の異なる重量比での、熱処理直後における熱処理栄養液の粘度を示し;栄養液は、乳タンパク質単離物を基準にして12、15、18及び20%w/wのタンパク質を含有した。
【
図14】カテキンとタンパク質との間の異なる重量比で5℃において6か月間保存した後の熱処理栄養液の粘度を示し;栄養液は、ミセルカゼイン単離物を基準にして12、15、18及び20%w/wのタンパク質を含有した。
【
図15】カテキンとタンパク質との間の異なる比率で5℃において6か月間保存した後の熱処理栄養液の粘度を示し;栄養液は、乳タンパク質単離物を基準にして12、15、18及び20%w/wのタンパク質を含有した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本発明の一態様は、6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
- 8~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む栄養液、好ましくは熱処理及び/又は無菌栄養液に関する。
【0016】
本発明に関連して、「栄養液」という用語は、食品として適切であり、少なくともタンパク質及び水を含有する液体に関する。栄養液は、好ましくは、栄養的に完全であり得、これは、全てのマクロ及びミクロ栄養素を含有し、成人の栄養要求を満たすことを意味する。代わりに、これも好ましくは、栄養液は、栄養的に不完全であり得、これは、それが完全であるためのマクロ栄養素及び/又はミクロ栄養素の少なくともいくつかを欠いているが、それでもなお栄養補助食品として有用であることを意味する。
【0017】
本発明に関連して、「無菌」という用語は、問題になっている無菌組成物又は製品が生存可能な微生物を含有せず、したがって、室温での保存中に微生物の増殖がないことを意味する。例えば、液体又は粉末などの滅菌された組成物は、無菌である。
【0018】
本発明に関連して、「熱処理」又は「熱処理された」という用語は、問題になっている物質が、少なくともいくらかの微生物の減少を提供するのに十分な期間、少なくとも70℃に加熱される処理に関する。
【0019】
本発明に関連して、「ミセルカゼイン」及び「カゼインミセル」という用語は、異なるカゼイン種並びにカルシウム及びリン酸塩などのミネラルを含む、ミセル様構造の形態のカゼインに関する。「天然ミセルカゼイン」という用語は、ミルク中に見出されるカゼインミセルに関し、例えば、超遠心分離又は精密濾過により、典型的にはカゼインミセルを保持するがホエータンパク質の通過を可能にする孔径を有する精密濾過膜を使用することにより、ミルクから単離される。0.05~0.3ミクロンの孔径を有する精密濾過膜が好ましい。栄養液のミセルカゼインは、典型的には、例えば、ポリフェノールとの相互作用に起因して及び任意選択的に本発明の方法の一部を形成し得る熱処理に起因して、天然カゼインミセルと比較してわずかに改変される。好ましくは、Bobe et al, (Separation and Quantification of Bovine Milk Proteins by Reversed-Phase High-Performance Liquid Chromatography; Bobe et al; J. Agric. Food Chem. 1998, 46, 458-463)で概説されるように、ミセルカゼインの量は、典型的には、超遠心分離によるカゼインミセルの分離により、好ましくは30℃で1時間の初期平衡化と同温度での100,000gで1時間の遠心分離と、引き続くHPLCによる分離カゼイン量の定量により測定される。
【0020】
本発明に関連して、「ポリフェノール」という用語は、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも150g/モルの分子量を有する分子に関する。ポリフェノールには一連の異なるサイズがあるが、本発明では、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールが特に好ましい。
【0021】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液のポリフェノールは、150~1000g/モルの範囲の分子量を有し、さらにより好ましくは、ポリフェノールは、200~500g/モルの範囲の分子量を有する。
【0022】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0023】
本発明に関連して、「A」と「B」との間の「重量比」という用語は、「Aの重量」を「Bの重量」で除した比に関する。例えば、
- 栄養液中の150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量が0.50g/100gであり、
- 栄養液中の総タンパク質の含有量が10g/100gであれば、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、0.50/10=0.05である。
【0024】
150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、好ましくは、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0025】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、0.002~0.20、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0026】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0027】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、150~1000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0028】
150~1000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、好ましくは、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0029】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、150~1000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、0.002~0.20、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0030】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- 150~1000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0031】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0032】
200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、好ましくは、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0033】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、0.002~0.20、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0034】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0035】
本発明では、いくつかの異なるポリフェノールが使用され得る。
【0036】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、フラボノイド、フェノール酸、スチルベノイド、タンニン及びリグナンからなる群から選択される1つ又は複数の化合物を含むか又はさらにフラボノイド、フェノール酸、スチルベノイド、タンニン及びリグナンからなる群から選択される1つ又は複数の化合物からなる。
【0037】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、フラボノイド及び好ましくはフラバン-3-ノールを含むか又はさらにフラボノイド及び好ましくはフラバン-3-ノールからなる。
【0038】
ポリフェノールは、好ましくは、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、及びガロカテキン3-没食子酸、及びエピガロカテキン3-没食子酸の1つ又は複数を含むか又はさらにカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、及びガロカテキン3-没食子酸、及びエピガロカテキン3-没食子酸の1つ又は複数からなる。
【0039】
本発明に関連して、「カテキン」という用語は、
図10の分子C若しくはD又はC及びD両方の混合物に関し、式中、R
1は、水素であり、R
2は、水酸基である。
【0040】
本発明に関連して、「エピカテキン」という用語は、
図10の分子A若しくはB又はA及びB両方の混合物に関し、式中、R
1は、水素であり、R
2は、水酸基である。
【0041】
本発明に関連して、「ガロカテキン」という用語は、
図10の分子C若しくはD又はC及びD両方の混合物に関し、式中、R
1は、水酸基であり、R
2は、水酸基である。
【0042】
本発明に関連して、「エピガロカテキン」という用語は、
図10の分子A若しくはB又はA及びB両方の混合物に関し、式中、R
1は、水酸基であり、R
2は、水酸基である。
【0043】
本発明に関連して、「カテキン3-没食子酸」という用語は、
図10の分子C若しくはD又はC及びD両方の混合物に関し、式中、R
1は、水素であり、R
2は、没食子酸基である。
【0044】
本発明に関連して、「エピカテキン3-没食子酸」という用語は、
図10の分子A若しくはB又はA及びB両方の混合物に関し、式中、R
1は、水素であり、R
2は、没食子酸基である。
【0045】
本発明に関連して、「ガロカテキン3-没食子酸」という用語は、
図10の分子C若しくはD又はC及びD両方の混合物に関し、式中、R
1は、水酸基であり、R
2は、没食子酸基である。
【0046】
本発明に関連して、「エピガロカテキン3-没食子酸」という用語は、
図10の分子A若しくはB又はA及びB両方の混合物に関し、式中、R
1は、水酸基であり、R
2は、没食子酸基である。
【0047】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、
- カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキン3-没食子酸の量の合計と、
- 総タンパク質と
の間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0048】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液の、
- カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.0005~0.15の範囲、より好ましくは0.001~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0049】
カテキン化合物の量は、分析13によって測定される。
【0050】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0051】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液の、
- カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.002~0.20の範囲、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0052】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、
- エピカテキン、エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の量の合計と、
- 総タンパク質と
の間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0053】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液の、
- エピカテキン、エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.0005~0.15の範囲、より好ましくは0.001~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0054】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- エピカテキン、エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0055】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液の、
- エピカテキン、エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.002~0.20の範囲、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0056】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、
- エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の量の合計と、
- 総タンパク質と
の間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0057】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液の、
- エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.0005~0.15の範囲、より好ましくは0.001~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0058】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0059】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液の、
- エピガロカテキン及びエピガロカテキン3-没食子酸の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.002~0.20の範囲、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0060】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、エピガロカテキン3-没食子酸(EGCG)と総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0061】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液のエピガロカテキン3-没食子酸と総タンパク質との間の重量比は、0.0005~0.15の範囲、より好ましくは0.001~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0062】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液のエピガロカテキン3-没食子酸と総タンパク質との間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0063】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液のエピガロカテキン3-没食子酸と総タンパク質との間の重量比は、0.002~0.20の範囲、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0064】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキン3-没食子酸は、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの総計で栄養液中に存在する。
【0065】
本発明の他の好ましい実施形態では、EGCGは、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの量で栄養液中に存在する。
【0066】
サンプルのポリフェノールの総量は、分析14に従って測定される。
【0067】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、エピガロカテキン-3-没食子酸(EGCG)を含むか又は本質的にエピガロカテキン-3-没食子酸(EGCG)からなる。
【0068】
栄養液は、例えば、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの量のEGCGを含み得る。
【0069】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、ジアリールヘプタノイドを含むか又はさらにジアリールヘプタノイドからなる。有用なジアリールヘプタノイドの例は、クルクミンであり、ポリフェノールがクルクミンを含むか又はさらにクルクミンからなることが好ましい場合がある。
【0070】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ジアリールヘプタノイド、好ましくはクルクミンは、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの量で存在する。
【0071】
本発明の他の好ましい実施形態では、ポリフェノールは、スチルベノイドを含むか又はさらにスチルベノイドからなる。有用なスチルベノイドの例は、レスベラトロールであり、ポリフェノールがレスベラトロールを含むか又はさらにレスベラトロールからなることが好ましい場合がある。
【0072】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液のポリフェノールは、1つ又は複数のスチルベノイドを含むか又はさらに1つ又は複数のスチルベノイドからなる。
【0073】
1つ又は複数のスチルベノイドは、好ましくは、式I及び/又はII
【化1】
(式中、R
3、R
4、R
5及びR
6は、水素、水酸基又は-O-β-D-グルコピラノシドから独立して選択され、但し、R
3、R
4、R
5及びR
6の少なくとも2つが水酸基である)
に従う1つ又は複数のポリフェノールを含むか又はさらに当該1つ又は複数のポリフェノールからなる。
【0074】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4及びR5は、水酸基であり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、トランスレスベラトロールと称される。
【0075】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4及びR5は、水酸基であり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、シスレスベラトロールと称される。
【0076】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4及びR5は、水酸基であり、R6は、水素基である。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスレスベラトロールと称される。
【0077】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4、R5及びR6は、水酸基である。この特定のスチルベノイドは、トランスピセタノールと称される。
【0078】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4、R5及びR6は、水酸基である。この特定のスチルベノイドは、シスピセタノールと称される。
【0079】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4、R5及びR6は、水酸基である。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスピセタノールと称される。
【0080】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R5及びR6は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドである。この特定のスチルベノイドは、トランスアストリンギンと称される。
【0081】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R5及びR6は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドである。この特定のスチルベノイドは、シスアストリンギンと称される。
【0082】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R5及びR6は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドである。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスアストリンギンと称される。
【0083】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3及びR5は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドであり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、トランスピセイドと称される。
【0084】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3及びR5は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドであり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、シスピセイドと称される。
【0085】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3及びR5は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドであり、R6は、水素基である。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスピセイドと称される。
【0086】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、スチルベノイド、好ましくはレスベラトロールは、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの量で存在する。
【0087】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液の、
- 式I及びIIに従うスチルベノイドの合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.0005~0.15の範囲、より好ましくは0.001~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0088】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- 式I及びIIに従うスチルベノイドの合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0089】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液の、
- 式I及びIIに従うスチルベノイドの合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.001~0.20の範囲、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0090】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、式I及びIIに従うスチルベノイドは、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの総計で栄養液中に存在する。
【0091】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液の、
- シスレスベラトロール及びトランスレスベラトロールの合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.0005~0.15の範囲、より好ましくは0.001~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0092】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- シスレスベラトロール及びトランスレスベラトロールの合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0093】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液の、
- シスレスベラトロール及びトランスレスベラトロールの合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.001~0.20の範囲、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0094】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、シスレスベラトロール及びトランスレスベラトロールの合計は、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの総計で栄養液中に存在する。
【0095】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液の、
- トランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.0005~0.15の範囲、より好ましくは0.001~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0096】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液の、
- トランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0097】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液の、
- トランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.001~0.20の範囲、より好ましくは0.003~0.15の範囲、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲である。
【0098】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、トランスレスベラトロールは、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの量で栄養液中に存在する。
【0099】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、少なくとも3つのフェノール性水酸基、より好ましくは少なくとも4つのフェノール性水酸基、さらにより好ましくは少なくとも5つのフェノール性水酸基及びより好ましくは少なくとも6つのフェノール性水酸基を含む。
【0100】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールはpH7.0で非荷電である。
【0101】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、レスベラトロール、クルクミン及び/又はエピガロカテキン3-没食子酸を含む。
【0102】
例えば、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、レスベラトロール及びクルクミンを含む。本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、レスベラトロール及びエピガロカテキン3-没食子酸を含む。本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液は、クルクミン及びエピガロカテキン3-没食子酸を含む。本発明のなおさらに好ましい実施形態では、栄養液は、レスベラトロール、クルクミン及びエピガロカテキン3-没食子酸を含む。
【0103】
本発明は、高いタンパク質含有量を有する栄養液の製造及び容易な取り扱いを有利に可能にする。
【0104】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液のタンパク質の総量は、少なくとも10%w/w、より好ましくは少なくとも12%w/w、さらにより好ましくは少なくとも14%w/w、最も好ましくは少なくとも16%w/wである。
【0105】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液のタンパク質の総量は、8~24%w/w、より好ましくは10~22%w/w、さらにより好ましくは12~21%w/w、最も好ましくは14~20%w/wの範囲である。
【0106】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液のタンパク質の総量は、10~20%w/w、より好ましくは11~19%w/w、さらにより好ましくは12~18%w/w、最も好ましくは13~19%w/wの範囲である。
【0107】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液のタンパク質の総量は、10~25%w/w、より好ましくは12~24%w/w、さらにより好ましくは14~22%w/w、最も好ましくは16~20%w/wの範囲である。
【0108】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、以下を有する:
- 10~25%w/w、より好ましくは12~24%w/w、さらにより好ましくは14~22%w/w、最も好ましくは16~20%w/wの範囲のタンパク質総量、及び
- 0.002~0.2、より好ましくは0.005~0.15、さらにより好ましくは0.02~0.15、最も好ましくは0.04~0.15の範囲の、
- カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキン3-没食子酸の量の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比。
【0109】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、以下を有する:
- 10~25%w/w、より好ましくは12~24%w/w、さらにより好ましくは14~22%w/w、最も好ましくは16~20%w/wの範囲のタンパク質総量、及び
- 0.001~0.2、より好ましくは0.002~0.15、さらにより好ましくは0.004~0.10、最も好ましくは0.005~0.08の範囲の、
- 式I及びIIに従うスチルベノイドの量の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比。
【0110】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、栄養液は、以下を有する:
- 10~25%w/w、より好ましくは12~24%w/w、さらにより好ましくは14~22%w/w、最も好ましくは16~20%w/wの範囲のタンパク質総量、及び
- 0.001~0.2、より好ましくは0.002~0.15、さらにより好ましくは0.004~0.10、最も好ましくは0.005~0.08の範囲の、
- シスレスベラトロール及びトランスレスベラトロールの量の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比。
【0111】
本発明のなおさらに好ましい実施形態では、栄養液は、以下を有する:
- 10~25%w/w、より好ましくは12~24%w/w、さらにより好ましくは14~22%w/w、最も好ましくは16~20%w/wの範囲のタンパク質総量、及び
- 0.001~0.2、より好ましくは0.002~0.15、さらにより好ましくは0.004~0.10、最も好ましくは0.005~0.08の範囲の、
- トランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比。
【0112】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、総タンパク質に対して少なくとも75%w/w、総タンパク質に対してより好ましくは少なくとも85%w/w、さらにより好ましくは少なくとも90%w/w、最も好ましくは少なくとも95%w/wの量のミセルカゼインを含む。
【0113】
総タンパク質に対して少なくとも85%のミセルカゼインを含有する高タンパク質液は、特に低温ゲル化又は低温増粘を起こし易く、したがって150~5000g/モルの分子量を有するポリフェノール化合物の添加の効果が特に明白に現れる。
【0114】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、総タンパク質に対して85~100%w/w、より好ましくは90~99%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して93~98%w/w、最も好ましくは95~97%w/wの量のミセルカゼインを含む。
【0115】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、総タンパク質に対して70~84%w/w、より好ましくは総タンパク質に対して75~84%w/w、最も好ましくは総タンパク質に対して77~83%w/wの量のミセルカゼインを含む。
【0116】
栄養液は、ホエータンパク質も含有し得、非カゼインタンパク質の顕著な量がホエータンパク質であることが好ましい。
【0117】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ホエータンパク質は、ミセルカゼインではない総タンパク質の少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは、ミセルカゼインではない総タンパク質の少なくとも90%w/wを提供する。
【0118】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液のタンパク質は、乳タンパク質、すなわち乳又は例えばホエーなどの乳画分に由来する、タンパク質である。
【0119】
本発明の他の実施形態では、栄養液は、例えば、植物性タンパク質、卵タンパク質、カゼイネートの加水分解物、ホエータンパク質の加水分解物又はそれらの任意の組み合わせなどの非乳タンパク質も含む。
【0120】
栄養液は、タンパク質に加えて炭水化物を含有することが多い。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、少なくとも5%w/w、より好ましくは少なくとも7%w/w、さらにより好ましくは少なくとも10%w/w、最も好ましくは少なくとも15%w/wの炭水化物の総量を有する。
【0121】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、5~25%w/w、より好ましくは7~22%w/w、さらにより好ましくは10~20%w/w、最も好ましくは12~18%w/wの範囲の炭水化物の総量を有する。
【0122】
しかしながら、いくつかの用途では、炭水化物の含有量を低く保ち、例えば、液体のカロリー含有量が低減されることが好ましい。したがって、本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、最大で4%w/w、より好ましくは最大で2%w/w、さらにより好ましくは最大で0.5%w/w、最も好ましくは最大で0.1%w/wの炭水化物の総量を有する。
【0123】
特に、栄養液が、ラクトース不耐症を有する対象を意図する場合、栄養液は、ラクトースの含有量が非常に低いことも好ましい場合がある。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、最大で1%w/w、より好ましくは最大で0.1%w/w、さらにより好ましくは最大で0.01%w/w、最も好ましくは最大で0.001%w/wのラクトースの総量を有する。
【0124】
有用な炭水化物の非限定的例は、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、アラビノース、リボース、タガトース、スクロース、マルトース、マルトトリオース、マルトデキストリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、シアリルラクトース、牛乳オリゴ糖、母乳オリゴ糖及びそれらの組み合わせなどの食用の単糖、二糖、オリゴ糖及び/又は多糖類である。
【0125】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、最大で0.10モル/Lの還元性炭水化物、より好ましくは最大で0.03モル/Lの還元性炭水化物、さらにより好ましくは最大で0.01モル/Lの還元性炭水化物、最も好ましくは最大で0.003モル/Lの還元性炭水化物を含む。本発明者らは、低い還元炭水化物含有量が、栄養液又はそれから製造された粉末のメイラードベースの褐変を低減するか又は防止する傾向があることを観察した。
【0126】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、0.0001~0.10モル/Lの還元性炭水化物、より好ましくは0.001~0.03モル/Lの還元性炭水化物、最も好ましくは0.001~0.01のモル/L還元性炭水化物を含む。
【0127】
相対的に低い還元性炭水化物を含有する栄養液は、いくつかの好ましい実施形態では、炭水化物が主に非還元性炭水化物及び/又は2よりも大きい重合度を有する炭水化物、すなわちオリゴ糖又は多糖を含有する限り、例えば、5~25%w/w、より好ましくは7~22%w/w、さらにより好ましくは10~20%w/w、最も好ましくは12~18%w/wなどのかなりの量の炭水化物を含み得る。
【0128】
栄養液は脂質を含むことが多く、いくつかの栄養用途では脂質の存在が有利である。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、少なくとも2%w/w、より好ましくは少なくとも5%w/w、さらにより好ましくは少なくとも8%w/w、最も好ましくは少なくとも10%w/wの脂質の総量を有する。
【0129】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、2~20%w/w、より好ましくは5~18%w/w、さらにより好ましくは8~15%w/w、最も好ましくは10~14%w/wの範囲の脂質の総量を有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、栄養液の脂質の量は、栄養液の総エネルギー含有量に対して5~95%、好ましくは10~70%、より好ましくは20~40%の範囲であり得る。
【0131】
脂質の種類に関して、脂質が食品品質である限り、幅広い選択肢が可能である。脂質は、動物性脂質又は植物性脂質のいずれか又はその両方であり得る。豚脂又はバターなどの動物性脂質は本質的に等しいカロリー値と栄養価を有し、交換可能に使用され得るが、植物油は、それらの容易な入手性、容易な配合、コレステロールの不在、より低い飽和脂肪酸濃度のために、本発明の実施において非常に好ましい。一実施形態では、本組成物は、ナタネ油、コーン油及び/又はヒマワリ油を含む。
【0132】
脂質は、中鎖トリグリセリド(MCT、主に8~10炭素原子長)などの中鎖脂肪酸の供給源、長鎖トリグリセリド(LCT)などの長鎖脂肪酸の供給源及びリン脂質に結合したEPA又はDHAなどのリン脂質結合脂肪酸又は任意の2種類の供給源の組み合わせを含み得る。MCTは、代謝ストレスのある患者で、容易に吸収及び代謝されることから、有益である。さらに、MCTの使用は、栄養素の吸収不良のリスクを低減する。キャノーラ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、ココナツ油、パーム油、亜麻仁油、海産油又はコーン油などのLCT源は、LCTが人体の免疫反応を調節することが知られていることから、有益である。
【0133】
いくつかの実施形態では、脂質は、組成物の総脂肪に基づいて、30~60重量%の動物性、藻類性又は真菌性脂肪、40~70重量%の植物脂肪及び任意選択的に0~20重量%のMCTを含む。動物性脂肪は、好ましくは、少量の乳脂肪、すなわち総脂肪に基づいて6重量%未満、特に3重量%未満を構成する。特に、コーン油、卵油及び/又はキャノーラ油と、特定量の海産油との混合物が使用される。卵油、魚油及び藻油は、非植物性脂肪の好ましい供給源である。特に経口摂取される組成物の場合、オフフレーバーの形成を防ぎ、生臭い後味を低減するために、ドコサヘキサエン酸(DHA)が比較的少ない、すなわち総脂肪に基づいて6重量%未満、好ましくは4重量%未満の成分を選択することが推奨される。DHAを含有する海産油は、好ましくは、本発明による組成物中に、総脂肪に基づいて25重量%未満、好ましくは15重量%未満の量で存在する。他方、エイコサペンタエン酸(EPA)を含めることは、最大の健康効果を得るために非常に望ましい。したがって、別の実施形態では、EPAの量は、総脂肪に基づいて、4重量%~15重量%、より好ましくは8重量%~13重量%の範囲であり得る。EPA:DHAの重量比は、有利には、例えば、2:1~10:1など、少なくとも6:4である。さらに別の実施形態では、EPAの量は非常に低く、例えば、総脂質に基づいて、0.1~1重量%、好ましくは0.3重量%又は0.6重量%である。
【0134】
本発明による栄養組成物は、乳化剤も有益に含み得る。一般的に知られている乳化剤が使用され得、一般に、乳化剤は、前記栄養液中の脂質のエネルギー含有量に寄与する。
【0135】
本発明の他の好ましい実施形態では、例えば、スポーツ栄養のために、栄養液は、最大で1%w/w、より好ましくは最大で0.3%w/w、さらにより好ましくは最大で0.1%w/w、最も好ましくは最大で0.01%w/wの脂質の総量を有する。
【0136】
本発明による栄養液は、人の食餌を補うか又は完全な栄養サポートを提供するように設計され得る。したがって、本発明による栄養液は、ビタミン、ミネラル、微量元素及び/又は難消化性炭水化物の供給源などの1つ又は複数の栄養成分をさらに含み得る。好ましくは、本発明による栄養液は、栄養的に完全な栄養液である。
【0137】
本発明による栄養液は、様々なビタミン、ミネラル及び微量元素を含有し得る。
【0138】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、10~200mg/100mL、より好ましくは30~120mg/100mL、さらにより好ましくは50~90mg/100mL、最も好ましくは60~75mg/100mLの範囲の量のナトリウムを含む。
【0139】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、10~250mg/100mL、より好ましくは40~200mg/100mL、さらにより好ましくは120~175mg/100mL、最も好ましくは155~165mg/100mLの範囲の量のカリウムを含む。
【0140】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、10~200mg/100mL、より好ましくは50~150mg/100mL、さらにより好ましくは60~100mg/100mL、最も好ましくは75~85mg/100mLの範囲の量の塩素を含む。
【0141】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、50~700mg/100mL、より好ましくは150~500mg/100mL、さらにより好ましくは180~300mg/100mL、最も好ましくは200~220mg/100mLの範囲の量のカルシウムを含む。
【0142】
本発明者らは、150~5000g/モルの分子量を有するポリフェノール化合物が、比較的高いカルシウム含有量を有する栄養液の製造を可能にし、これは栄養の観点から有利であることが多く、栄養液が栄養的に完全でなければならない場合に必要であるという徴候を見た。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、150~700mg/100mL、より好ましくは170~500mg/100mL、さらにより好ましくは200~400mg/100mL、最も好ましくは240~300mg/100mLの範囲の量のカルシウムを含む。
【0143】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、5~100mg/100mL、より好ましくは10~25mg/100mL、さらにより好ましくは12~20mg/100mL、最も好ましくは14~18mg/100mLの範囲の量のマグネシウムを含む。
【0144】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、50~500mg/100mL、より好ましくは70~300mg/100mL、さらにより好ましくは90~200mg/100mL、最も好ましくは100~150mg/100mLの範囲の量のリンを含む。
【0145】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、0.1~20mg/100mL、より好ましくは0.5~10mg/100mL、さらにより好ましくは1~5mg/100mL、最も好ましくは2~3mg/100mLの範囲の量の鉄を含む。
【0146】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、0.1~10mg/100mL、より好ましくは0.5~5mg/100mL、さらにより好ましくは0.7~3mg/100mL、最も好ましくは1~2mg/100mLの範囲の量の亜鉛を含む。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明による栄養液は、全ての必要なビタミン、ほとんどのミネラル及び微量元素を提供する。例えば、本発明による栄養液は、好ましくは、治癒中の患者の組織修復に有益な亜鉛を栄養液100ml当たり6mg提供する。好ましくは、本発明による栄養液は(また)、栄養液100ml当たり25mgのビタミンCを提供し、より重度の治癒要件を必要とする患者を補助する。さらに、好ましくは、本発明による栄養液は(また)、栄養液100ml当たり2.25mgの鉄を提供する。鉄は、高齢患者の体液並びに循環器系の機能を維持するのに有益である。
【0148】
本発明は、本発明による栄養液が、FSMP(特殊医療目的のための食品)の法律レベルの範囲外のナトリウム及び/又はカリウムレベルを含有し得ることを示唆する。
【0149】
本発明による栄養液は、任意選択的に、フルクトオリゴ糖又はイヌリンなどの非消化性炭水化物(食物繊維)で強化され得る。本発明のいくつかの実施形態では、本発明による栄養液は、0.5g/100ml~6g/100mlの非消化性炭水化物を含む。食物繊維としては、DPが2~20、好ましくは2~10の非消化性オリゴ糖が挙げられる。より好ましくは、これらのオリゴ糖は、これらのDP範囲外の実質的な量(5重量%未満)の糖を含有せず、可溶性である。これらのオリゴ糖は、フルクト-オリゴ糖(FOS)、トランスガラクトオリゴ糖(TOS)、キシロ-オリゴ糖(XOS)、大豆オリゴ糖などを含み得る。任意選択的に、イヌリン、大豆多糖類、アカシア多糖類(アカシア繊維又はアラビアガム)、セルロース、難消化性デンプンなどの高分子量化合物も、本発明による栄養液に組み込まれ得る。セルロースなどの不溶性繊維の量は、好ましくは、本発明による栄養液の食物繊維画分の20重量%未満及び/又は0.6g/100ml未満である。カラギーナン、キサンタン、ペクチン、ガラクトマンナン及び他の高分子量(DP>50)の難消化性多糖類などの増粘多糖類の量は、好ましくは、低く、すなわち繊維画分の重量の20%未満又は1g/100ml未満である。その代わり、加水分解されたペクチン及びガラクトマンナンなどの加水分解された多糖類が、有利に含まれ得る。
【0150】
好ましい繊維成分は、例えば、ファイバーソル(登録商標)(耐性オリゴグルコース)、特に水素化ファイバーソル(登録商標)などの2~10の鎖長(DP)を有する難消化性オリゴ糖又は少量の高級糖類も含み得る(例えば11~20のDPを有する場合)フルクトオリゴ糖又はガラクトオリゴ糖などの2~10のDPを有するオリゴ糖の混合物である。このようなオリゴ糖は、好ましくは、繊維画分の50重量%~90重量%又は本発明による栄養液の0.5g/100ml~3g/100mlを構成する。他の適切な繊維成分としては、部分的にのみ消化性の糖類が挙げられる。
【0151】
特定の実施形態では、本発明による栄養液は、フルクト-オリゴ糖、イヌリン、アカシア多糖類、大豆多糖類、セルロース及び難消化性デンプンの1つ又は複数を含む。
【0152】
栄養液は、適切な食用酸及び/又は食用アルカリ化剤をさらに含有し得る。
【0153】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、例えば、リン酸、クエン酸、可溶性リン酸塩、可溶性クエン酸塩又はそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の非ポリフェノールキレート化剤を含む。
【0154】
本発明に関連して、「非ポリフェノールキレート化剤」という用語は、ポリフェノールの現在の定義によると、ポリフェノールではないキレート化剤を意味する。
【0155】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、リン酸、可溶性リン酸塩又はそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の非ポリフェノールキレート化剤を含む。
【0156】
一実施形態によれば、リン酸は、ウリジンモノリン酸、シチジンモノリン酸、オルトリン酸、イノシトールヘキサリン酸、ヘキサメタリン酸又はそれらの混合物からなる群から選択され、リン酸塩は、ウリジンモノリン酸、シチジンモノリン酸、オルトリン酸塩、イノシトールヘキサリン酸、ヘキサメタリン酸又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0157】
使用される場合、非ポリフェノールキレート化剤は、好ましくは、前記キレート化剤の1~120mEq/Lの量、好ましくは5~100mEq/L、より好ましくは10~80mEq/L、最も好ましくは20~60mEq/Lの量で添加されるべきである。
【0158】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、0.05~最大1.5g/100mLの量の乳酸量を含む。
【0159】
好ましくは、本発明の栄養液は、栄養液の0.05~1.0g/100ml、より好ましくは0.1~1.0g/100ml、最も好ましくは0.2~0.5g/100mlの量の乳酸を含む。
【0160】
乳酸の量は、製品のタンパク質含有量に関連し得る。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、乳酸の量は、最大で250mg/gタンパク質である。より好ましくは、乳酸の量は、栄養液全体のタンパク質1グラム当たり1~200mg、好ましくは2.5~100mg/gタンパク質、より好ましくは5~75mg/gタンパク質、最も好ましくは栄養液のタンパク質1グラム当たり10~75mgの乳酸である。
【0161】
代わりに、本発明の栄養液は、栄養液全体の400mg/gミセルカゼインまでの量の乳酸を含み得る。より好ましくは、乳酸の量は、4~300mg/gタンパク質、より好ましくは10~200mg/gミセルカゼイン、最も好ましくは栄養液のミセルカゼイン1g当たり20~100mgの乳酸である。
【0162】
好ましい実施形態では、本発明の栄養液は、好ましくは、栄養液中に最大で1g/100mLの量で、好ましくは1mg~500mg/100mLの量で、より好ましくは5mg~400mg/100mLの量で、より好ましくは10mg~300mg/100mLの量で、最も好ましくは15mg~100mg/100mLの量でクエン酸塩を含む。熱安定性及び貯蔵寿命を延長するために、本発明の栄養液中に一定量のクエン酸塩を含めることが有益であり得る。
【0163】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、クエン酸と乳酸との組み合わせを含む。その総計は、好ましくは、最大で2.5g/100mLであり、より好ましくはこの総計は、0.05~2g/100mL、より好ましくは0.1~1.5g/100mL、さらに好ましくは0.25~1.0g/100mL、最も好ましくは0.3~0.75g/100mLである。
【0164】
乳酸とクエン酸の両方が存在する場合、乳酸の重量量はクエン酸の重量量を好ましくは1.1~20倍、より好ましくは2~18倍、より好ましくは3~15倍又は最も好ましくは4~12倍上回る。このような比率では、液体栄養組成物の粘度は低く保たれるが、クエン酸の存在によって影響を受ける貯蔵寿命及び熱安定性などの他のパラメーターは十分なレベルに保たれる。
【0165】
本発明のいくつかの実施形態では、非ポリフェノールキレート化剤及び乳酸の両方が好ましい場合がある一方、本発明者らは、栄養液が本明細書に記載のポリフェノール化合物を含有する場合、驚くべきことにそれらが必要ないことを見出した。
【0166】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、最大で0.1gの乳酸/100mL、より好ましくは最大で0.04gの乳酸/100mL、さらにより好ましくは最大で0.01gの乳酸/100mL、最も好ましくは最大で0.001gの乳酸/100mLを含有する。
【0167】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、最大で5mEq/L、より好ましくは最大で1mEq/L、さらにより好ましくは最大で0.4mEq/L、最も好ましくは最大で0.1mEq/Lの量で非ポリフェノールキレート化剤を含有する。
【0168】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、リン酸、クエン酸、可溶性リン酸塩、可溶性クエン酸塩から選択される非ポリフェノールキレート化剤の総量を最大で5mEq/L、より好ましくは最大で1mEq/L、さらにより好ましくは最大で0.4mEq/L最も好ましくは最大で0.1mEq/Lの量で含有する。
【0169】
本発明は、高固形分栄養液にとって特に有用である。
【0170】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、9~50%w/wの範囲;より好ましくは10~40%w/wの範囲、さらにより好ましくは12~35%w/wの範囲、さらにより好ましくは16~30%w/wの範囲の全固形分含有量を有する。
【0171】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、20~50%w/wの範囲;より好ましくは24~48%w/wの範囲、さらにより好ましくは28~45%w/wの範囲、さらにより好ましくは30~43%w/wの範囲の全固形分含有量を有する。これらの実施形態は、栄養的に完全な栄養液にとって特に有用である。
【0172】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、1~3kcal/g、より好ましくは1.5~3.0kcal/g、さらにより好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量を有する。
【0173】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、最大で1kcal/g、より好ましくは最大で0.8kcal/g、さらにより好ましくは最大で0.5kcal/gのエネルギー含有量を有する。
【0174】
栄養液は、好ましくは、少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも60%w/w、さらにより好ましくは少なくとも65%w/w、最も好ましくは少なくとも70%w/wの水分含有量を有する。
【0175】
さらにより高い水分含有量が好ましい場合があり、したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、少なくとも75%w/w、より好ましくは少なくとも80%w/w、さらにより好ましくは少なくとも85%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの水分含有量を有する。
【0176】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、50~91%w/wの範囲;より好ましくは60~90%w/wの範囲、さらにより好ましくは65~88%w/wの範囲、最も好ましくは70~84%w/wの範囲の水分含有量を有する。
【0177】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~8.0、より好ましくは6.2~7.5、さらにより好ましくは6.4~7.1、最も好ましくは6.5~7.0の範囲のpHを有する。本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~8.0、より好ましくは6.0~7.5、さらにより好ましくは6.0~7.1、最も好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有する。
【0178】
本発明者らは、カテキン化合物とタンパク質との組み合わせが、例えばpH7.3で栄養液を強烈に赤色に着色し、pHを低下させることによって強度を低下させ得ることを見出した。本発明者らは、総タンパク質に対してカゼインの量を増加させることによって色の問題が低減され得るという徴候も見た。
【0179】
本発明の利点は、ポリフェノールが存在する場合、栄養液の製造直後の粘度が大幅に低下することである。この発見により、栄養液の製造が容易になり、飲用により適したものになる。粘度を比較的低く保つ技術的解決策に対する必要性は、高タンパク質飲料を製造するために、さらにより具体的には高タンパク質、高カロリー飲料を製造するために特に顕著である。
【0180】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、20℃の温度及び145s-1の剪断速度において最大で400cPの粘度、好ましくは最大で200cP、より好ましくは最大で100cP、さらにより好ましくは最大で50cP、最も好ましくは最大で30cPを有する。
【0181】
例えば、栄養液は、20℃の温度及び145s-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有し得る。
【0182】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、5℃の温度及び145s-1の剪断速度において最大で400cPの粘度、好ましくは最大で200cP、より好ましくは最大で100cP、さらにより好ましくは最大で50cP、最も好ましくは最大で30cPを有する。
【0183】
例えば、栄養液は、5℃の温度及び145s-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有し得る。
【0184】
本栄養液の有利な特徴は、それが低温ゲル化又は低温増粘の傾向がなく、液体のままであり、したがって低温での長期保存後でも飲用可能であることである。
【0185】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、5℃で63日間の保存後、5℃の温度及び145s-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有する。
【0186】
液体サンプルの粘度は、分析2に従って測定される。
【0187】
栄養液は、無菌栄養液であることが特に好ましく、より好ましくは熱滅菌された栄養液である。
【0188】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は包装された無菌栄養液であり、好ましくはすぐに飲める飲料である。
【0189】
無菌栄養液は、好ましくは、常温保存可能であり、これは、25℃で少なくとも2ヶ月、より好ましくは少なくとも6ヶ月の貯蔵寿命を有し、25℃での貯蔵中に少なくとも2か月間、より好ましくは少なくとも6か月間ゲルを形成しないことを意味する。
【0190】
一般に栄養液、特に無菌栄養液は、好ましくは、限られた量の不溶性タンパク質物質を含有するが、これはそのような不溶性タンパク質物質が、時間経過と共にその容器の底に沈殿し、望ましくないタンパク質沈降物層を形成する傾向があるためである。
【0191】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、最大で20%、より好ましくは最大で10%、さらにより好ましくは最大で5%、最も好ましくは最大で1%の不溶性タンパク質物質含有量を有する。栄養液が検出可能な不溶性タンパク質物質を含まないことが、さらにより好ましい。
【0192】
本発明者らは、望ましくないタンパク質分解を回避するために、好ましくは、栄養液、特に無菌栄養液のプラスミン含有量が、低くあるべきであることを見出した。
【0193】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液、特に無菌栄養液のプラスミンとプラスミノーゲンの複合活性は、最大で8000マイクロユニット/mL、好ましくは最大で5000マイクロユニット/mL、さらにより好ましくは最大で3000マイクロユニット/mLである。
【0194】
本発明に関連して、1単位(U)のプラスミン活性とは、クロモザイムPL(Tosyl-Gly-Pro-Lys-4-ニトロアニリド酢酸塩)を基質として使用し、25℃、pH8.9で毎分1ミクロモルのP-ニトロアニリンを生成し得るプラスミン活性である。
【0195】
本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液、特に無菌栄養液のプラスミンとプラスミノーゲンの複合活性は、最大で2,500マイクロユニット/mL、好ましくは最大で1000マイクロユニット/mL、さらにより好ましくは最大で500マイクロユニット/mLである。栄養液、特に無菌栄養液のプラスミンとプラスミノーゲンの複合活性は、最大で100マイクロユニット/mL、好ましくは最大で50マイクロユニット/mL、さらにより好ましくは最大で10マイクロユニット/mLであることがさらに好ましい場合がある。
【0196】
栄養液は好ましくは均質であり、これは、少なくともポリフェノール化合物及び乳タンパク質、好ましくは全ての成分が完全に混合されており、視覚的、すなわち目視検査したときに栄養液全体に均等に分布していることを意味する。
【0197】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、包装された栄養液であり、すなわち適切な容器内に包装されている。栄養液は、無菌の包装された栄養液であることが特に好ましい。
【0198】
適切な容器の好ましい例は、例えば、ボトル、カートン、ブリック及び/又はバッグである。
【0199】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、本明細書に記載の方法によって入手可能である。
【0200】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0201】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0202】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0203】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0204】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0205】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0206】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0207】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0208】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0209】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0210】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0211】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0212】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0213】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 0.4~1.5kcal/g、より好ましくは0.5~1.0kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0214】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70~84%w/w、より好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0215】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有し、
- 10~20%w/w、より好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも85~99%w/w、より好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、
- 1.6~3.0kcal/g、より好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量
を含み、栄養液は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する。
【0216】
さらに、本発明の一態様は、本明細書で定義される栄養液の固形分と、最大で10%w/wの量の水とを含み、場合によりさらにこれらからなる栄養粉末に関する。
【0217】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養粉末は、少なくとも90%w/w、より好ましくは少なくとも94%w/w、さらにより好ましくは少なくとも95%w/w、最も好ましくは少なくとも96%w/wの量の本明細書で定義される栄養液の固形分を含む。
【0218】
好ましくは、栄養粉末は、最大で6%w/w、より好ましくは最大で5%w/w、最も好ましくは最大で4%w/wの量の水を含む。
【0219】
栄養粉末は、いくつかの異なる方法で製造され得るが、本明細書に記載の栄養液は、例えば、噴霧乾燥又は凍結乾燥によって乾燥することによって入手可能である。
【0220】
さらに、本発明の一態様は、栄養液、好ましくは熱処理及び/又は無菌栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 8~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む液体混合物を形成するステップ、
b)任意選択的に、液体混合物を適切な容器に充填するステップ
を含む方法に関する。
【0221】
本発明に関連して、「150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源」という用語は、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するもう1つのポリフェノールを含有する供給源に関し、その供給源は、好ましくは、供給源の全固形分に対して少なくとも1%w/wの150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量を含有する。
【0222】
本発明に関連して、「乳タンパク質源」という用語は、乳タンパク質を提供する組成物に関する。本内容において「乳タンパク質」は、少なくともミセルカゼインを含有し、ホエータンパク質及び/又はカゼインをさらに含有し得る。
【0223】
本発明に関連して、「液体混合物」という用語は、上記の乳タンパク質源及びポリフェノール源を含む食用水性液体に関する。
【0224】
栄養液に関連して記述される組成的特徴及び組成的実施形態は、液体混合物に等しく適用される。
【0225】
熱処理が適用されない本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は、ステップa)から得られる液体混合物である。
【0226】
しかしながら、本発明の他の好ましい実施形態では、栄養液は、熱処理を受け、好ましくは滅菌された液体混合物である。
【0227】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、方法は、ステップb)の充填を伴う。
【0228】
しかしながら、本発明の他の好ましい実施形態では、方法は、ステップb)なしでステップa)を含む。このような実施形態は、例えば、栄養液が他の食品の製造に使用される中間製品である場合に有用である。
【0229】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、熱処理を受ける。
【0230】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、
- 充填前に熱処理、好ましくは滅菌熱処理を受けるか、又は
- それが容器内に充填された後、熱処理、好ましくは滅菌熱処理を受けるか、又は
- 液体混合物の供給源及び任意選択的成分を含有する2つ以上の無菌組成物を無菌的に混合することによって形成される。
【0231】
熱処理された液体混合物は、熱処理された栄養液であることが好ましい。
【0232】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物のポリフェノールは、150~1000g/モルの範囲の分子量を有し、さらにより好ましくは、ポリフェノールは、200~500g/モルの範囲の分子量を有する。
【0233】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0234】
150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、好ましくは、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0235】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0236】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、150~1000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0237】
150~1000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、好ましくは、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0238】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物の、
- 150~1000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0239】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.0001~0.2の範囲の重量比を有する。
【0240】
200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の重量比は、好ましくは、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲である。
【0241】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比は、0.005~0.20の範囲、より好ましくは0.01~0.15の範囲である。
【0242】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、ジアリールヘプタノイドを含むか又はさらにジアリールヘプタノイドからなる。有用なジアリールヘプタノイドの例は、クルクミンであり、ポリフェノールがクルクミンを含むか又はさらにクルクミンからなることが好ましい場合がある。
【0243】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ジアリールヘプタノイド、好ましくはクルクミンは、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの量で存在する。
【0244】
本発明の他の好ましい実施形態では、ポリフェノールは、スチルベノイドを含むか又はさらにスチルベノイドからなる。有用なスチルベノイドの例は、レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールであり、ポリフェノールが、レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールを含むか又はさらにレスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールからなることが好ましい場合がある。
【0245】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物のポリフェノールは、1つ又は複数のスチルベノイドを含むか又はさらに1つ又は複数のスチルベノイドからなる。
【0246】
1つ又は複数のスチルベノイドは、好ましくは、式I及び/又はII
【化2】
(式中、R
3、R
4、R
5及びR
6は、水素、水酸基又は-O-β-D-グルコピラノシドから独立して選択され、但し、R
3、R
4、R
5及びR
6の少なくとも2つが水酸基である)
に従う1つ又は複数のポリフェノールを含むか又はさらにそれからなる。
【0247】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4及びR5は、水酸基であり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、トランスレスベラトロールと称される。
【0248】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4及びR5は、水酸基であり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、シスレスベラトロールと称される。
【0249】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4及びR5は、水酸基であり、R6は、水素基である。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスレスベラトロールと称される。
【0250】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4、R5及びR6は、水酸基である。この特定のスチルベノイドは、トランスピセタノールと称される。
【0251】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4、R5及びR6は、水酸基である。この特定のスチルベノイドは、シスピセタノールと称される。
【0252】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R4、R5及びR6は、水酸基である。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスピセタノールと称される。
【0253】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R5及びR6は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドである。この特定のスチルベノイドは、トランスアストリンギンと称される。
【0254】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R5及びR6は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドである。この特定のスチルベノイドは、シスアストリンギンと称される。
【0255】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3、R5及びR6は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドである。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスアストリンギンと称される。
【0256】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式Iに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3及びR5は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドであり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、トランスピセイドと称される。
【0257】
本発明の他の好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式IIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3及びR5は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドであり、R6は、水素基である。この特定のスチルベノイドは、シスピセイドと称される。
【0258】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びIIに従うスチルベノイドを含むか又はさらに当該スチルベノイドからなり、式中、R3及びR5は、水酸基であり、R4は、O-β-D-グルコピラノシドであり、R6は、水素基である。スチルベノイドのこの特定の混合物は、シス/トランスピセイドと称される。
【0259】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、スチルベノイド、好ましくはレスベラトロールは、ポリフェノールの総量に対して少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの量で存在する。
【0260】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、少なくとも3つのフェノール性水酸基、より好ましくは少なくとも4つのフェノール性水酸基、さらにより好ましくは少なくとも5つのフェノール性水酸基及びより好ましくは少なくとも6つのフェノール性水酸基を含む。
【0261】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、レスベラトロール、クルクミン及び/又はエピガロカテキン3-没食子酸を含む。
【0262】
例えば、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、レスベラトロール及びクルクミンを含む。本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物は、レスベラトロール及びエピガロカテキン3-没食子酸を含む。本発明のさらなる好ましい実施形態では、液体混合物は、クルクミン及びエピガロカテキン3-没食子酸を含む。本発明のなおさらに好ましい実施形態では、液体混合物は、レスベラトロール、クルクミン及びエピガロカテキン3-没食子酸を含む。
【0263】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノール源は、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸の1つ又は複数を含む。エピガロカテキン3-没食子酸は、植物抽出物を含むか又はさらに植物抽出物からなる。
【0264】
好ましくは、ポリフェノール源は、エピガロカテキン3-没食子酸を含む。より好ましくは、ポリフェノール源は、エピガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキンを含む。さらにより好ましくは、ポリフェノール源は、エピガロカテキン3-没食子酸、エピガロカテキン及びエピカテキンを含む。
【0265】
植物抽出物は、茶葉若しくはカカオ豆又はそれらの組み合わせからのポリフェノール抽出物であることが特に好ましい。
【0266】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノール抽出物は、茶葉から、好ましくは白茶、緑茶若しくは紅茶又はそれらの組み合わせからのものである。
【0267】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ポリフェノール源は、少なくとも20%w/w、好ましくは少なくとも40%w/w、より好ましくは少なくとも60%w/w、さらにより好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wのカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸、ガロカテキン3-没食子酸及びエピガロカテキン3-没食子酸の総量を含む。
【0268】
本発明の他の好ましい実施形態では、ポリフェノール源は、少なくとも20%w/w、好ましくは少なくとも40%w/w、より好ましくは少なくとも60%w/w、さらにより好ましくは少なくとも80%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wのエピガロカテキン3-没食子酸の総量を含む。
【0269】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、乳タンパク質源は、液体ミセルカゼイン単離物、ミセルカゼイン単離物粉末、液体乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質濃縮物粉末、液体脱脂乳、脱脂粉乳、液体ホエータンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物粉末及びホエー粉末の1つ又は複数を含む。
【0270】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、乳タンパク質源は、液体ミセルカゼイン単離物、ミセルカゼイン単離物粉末又はそれらの組み合わせを含むか又は本質的にそれからなる。
【0271】
本発明は、高いタンパク質含有量を有する栄養液の製造及び容易な取り扱いを有利に可能にする。
【0272】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物のタンパク質の総量は、少なくとも10%w/w、より好ましくは少なくとも12%w/w、さらにより好ましくは少なくとも14%w/w、最も好ましくは少なくとも16%w/wである。
【0273】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物のタンパク質の総量は、8~24%w/w、より好ましくは10~22%w/w、さらにより好ましくは12~21%w/w、最も好ましくは14~20%w/wの範囲である。
【0274】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物のタンパク質の総量は、10~20%w/w、より好ましくは11~19%w/w、さらにより好ましくは12~18%w/w、最も好ましくは13~19%w/wの範囲である。
【0275】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、総タンパク質に対して少なくとも75%w/w、総タンパク質に対してより好ましくは少なくとも85%w/w、さらにより好ましくは少なくとも90%w/w、最も好ましくは少なくとも95%w/wの量のミセルカゼインを含む。
【0276】
総タンパク質に対して少なくとも85%のミセルカゼインを含有する高タンパク質液は、特に低温ゲル化又は低温増粘を起こし易く、したがってポリフェノール化合物の添加の特に明白な利点を有する。
【0277】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、総タンパク質に対して85~100%w/w、より好ましくは90~99%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して93~98%w/w、最も好ましくは95~97%w/wの量のミセルカゼインを含む。
【0278】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物は、総タンパク質に対して70~84%w/w、より好ましくは総タンパク質に対して75~84%w/w、最も好ましくは総タンパク質に対して77~83%w/wの量のミセルカゼインを含む。
【0279】
液体混合物は、ホエータンパク質も含有し得、非カゼインタンパク質の顕著な量がホエータンパク質であることが好ましい。
【0280】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ホエータンパク質は、ミセルカゼインではない総タンパク質の少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、さらにより好ましくは少なくとも70%w/w、最も好ましくは、ミセルカゼインではない総タンパク質の少なくとも90%w/wを提供する。
【0281】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物のタンパク質は、乳タンパク質、すなわち乳又は例えばホエーなどの乳画分に由来する、タンパク質である。
【0282】
本発明の他の実施形態では、液体混合物は、例えば、植物性タンパク質、卵タンパク質、カゼイネートの加水分解物、ホエータンパク質の加水分解物又はそれらの任意の組み合わせなどの非乳タンパク質も含む。
【0283】
液体混合物は、タンパク質に加えて炭水化物を含有することが多い。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、少なくとも5%w/w、より好ましくは少なくとも7%w/w、さらにより好ましくは少なくとも10%w/w、最も好ましくは少なくとも15%w/wの炭水化物の総量を有する。
【0284】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、5~25%w/w、より好ましくは7~22%w/w、さらにより好ましくは10~20%w/w、最も好ましくは12~18%w/wの範囲の炭水化物の総量を有する。
【0285】
しかしながら、いくつかの用途では、炭水化物の含有量を低く保ち、例えば、液体のカロリー含有量が低減されることが好ましい。したがって、本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物は、最大で4%w/w、より好ましくは最大で2%w/w、さらにより好ましくは最大で0.5%w/w、最も好ましくは最大で0.1%w/wの炭水化物の総量を有する。
【0286】
特に、液体混合物が、ラクトース不耐症を有する対象を意図する場合、液体混合物は、ラクトースの含有量が非常に低いことも好ましい場合がある。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、最大で1%w/w、より好ましくは最大で0.1%w/w、さらにより好ましくは最大で0.01%w/w、最も好ましくは最大で0.001%w/wのラクトースの総量を有する。
【0287】
有用な炭水化物の非限定的例は、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、アラビノース、リボース、タガトース、スクロース、マルトース、マルトトリオース、マルトデキストリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖及びそれらの組み合わせなどの食用の単糖、二糖、オリゴ糖及び/又は多糖類である。
【0288】
液体混合物は脂質を含むことが多く、いくつかの栄養用途では脂質の存在が有利である。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、少なくとも2%w/w、より好ましくは少なくとも5%w/w、さらにより好ましくは少なくとも8%w/w、最も好ましくは少なくとも10%w/wの脂質の総量を有する。
【0289】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、2~20%w/w、より好ましくは5~18%w/w、さらにより好ましくは8~15%w/w、最も好ましくは10~14%w/wの範囲の脂質の総量を有する。
【0290】
いくつかの実施形態では、液体混合物の脂質の量は、液体混合物の総エネルギー含有量に対して5~95%、好ましくは10~70%、より好ましくは20~40%の範囲であり得る。
【0291】
脂質の種類に関して、脂質が食品品質である限り、幅広い選択肢が可能である。脂質は、動物性脂質又は植物性脂質のいずれか又はその両方であり得る。豚脂又はバターなどの動物性脂質は本質的に等しいカロリー値と栄養価を有し、交換可能に使用され得るが、植物油は、それらの容易な入手性、容易な配合、コレステロールの不在、より低い飽和脂肪酸濃度のために、本発明の実施において非常に好ましい。一実施形態では、本組成物は、ナタネ油、コーン油及び/又はヒマワリ油を含む。
【0292】
脂質は、中鎖トリグリセリド(MCT、主に8~10炭素原子長)などの中鎖脂肪酸の供給源、長鎖トリグリセリド(LCT)などの長鎖脂肪酸の供給源及びリン脂質に結合したEPA又はDHAなどのリン脂質結合脂肪酸又は任意の2種類の供給源の組み合わせを含み得る。MCTは、代謝ストレスのある患者で、容易に吸収及び代謝されることから、有益である。さらに、MCTの使用は、栄養素の吸収不良のリスクを低減する。キャノーラ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、ココナツ油、パーム油、亜麻仁油、海産油又はコーン油などのLCT源は、LCTが人体の免疫反応を調節することが知られていることから、有益である。
【0293】
いくつかの実施形態では、脂質は、組成物の総脂肪に基づいて、30~60重量%の動物性、藻類性又は真菌性脂肪、40~70重量%の植物脂肪及び任意選択的に0~20重量%のMCTを含む。動物性脂肪は、好ましくは、少量の乳脂肪、すなわち総脂肪に基づいて6重量%未満、特に3重量%未満を構成する。特に、コーン油、卵油及び/又はキャノーラ油と、特定量の海産油との混合物が使用される。卵油、魚油及び藻油は、非植物性脂肪の好ましい供給源である。特に経口摂取される組成物の場合、オフフレーバーの形成を防ぎ、生臭い後味を低減するために、ドコサヘキサエン酸(DHA)が比較的少ない、すなわち総脂肪に基づいて6重量%未満、好ましくは4重量%未満の成分を選択することが推奨される。DHAを含有する海産油は、好ましくは、本発明による組成物中に、総脂肪に基づいて25重量%未満、好ましくは15重量%未満の量で存在する。他方、エイコサペンタエン酸(EPA)を含めることは、最大の健康効果を得るために非常に望ましい。したがって、別の実施形態では、EPAの量は、総脂肪に基づいて、4重量%~15重量%、より好ましくは8重量%~13重量%の範囲であり得る。EPA:DHAの重量比は、有利には、例えば、2:1~10:1など、少なくとも6:4である。さらに別の実施形態では、EPAの量は非常に低く、例えば、総脂質に基づいて、0.1~1重量%、好ましくは0.3重量%又は0.6重量%である。
【0294】
また、本発明による栄養液は、乳化剤を有益に含み得る。一般的に知られている乳化剤が使用され得、一般に、乳化剤は、液体混合物中の脂質のエネルギー含有量に寄与する。
【0295】
本発明の他の好ましい実施形態では、例えば、スポーツ栄養のために、液体混合物は、最大で1%w/w、より好ましくは最大で0.3%w/w、さらにより好ましくは最大で0.1%w/w、最も好ましくは最大で0.01%w/wの脂質の総量を有する。
【0296】
本発明による栄養液は、人の食餌を補うか又は完全な栄養サポートを提供するように設計され得る。したがって、本発明による液体混合物は、ビタミン、ミネラル、微量元素及び/又は難消化性炭水化物の供給源などの1つ又は複数の栄養成分をさらに含み得る。好ましくは、本発明による液体混合物は、栄養的に完全な液体混合物である。
【0297】
液体混合物は、様々なビタミン、ミネラル及び微量元素を含有し得る。
【0298】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、10~200mg/100mL、より好ましくは30~120mg/100mL、さらにより好ましくは50~90mg/100mL、最も好ましくは60~75mg/100mLの範囲の量のナトリウムを含む。
【0299】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、10~250mg/100mL、より好ましくは40~200mg/100mL、さらにより好ましくは120~175mg/100mL、最も好ましくは155~165mg/100mLの範囲の量のカリウムを含む。
【0300】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、10~200mg/100mL、より好ましくは50~150mg/100mL、さらにより好ましくは60~100mg/100mL、最も好ましくは75~85mg/100mLの範囲の量の塩素を含む。
【0301】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、50~700mg/100mL、より好ましくは150~500mg/100mL、さらにより好ましくは180~300mg/100mL、最も好ましくは200~220mg/100mLの範囲の量のカルシウムを含む。
【0302】
本発明者らは、ポリフェノール化合物が、比較的高いカルシウム含有量を有する栄養液の製造を可能にし、これは栄養の観点から有利であることが多く、液体液体が栄養的に完全でなければならない場合に必要であるという徴候を見た。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、150~700mg/100mL、より好ましくは170~500mg/100mL、さらにより好ましくは200~400mg/100mL、最も好ましくは240~300mg/100mLの範囲の量のカルシウムを含む。
【0303】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、5~100mg/100mL、より好ましくは10~25mg/100mL、さらにより好ましくは12~20mg/100mL、最も好ましくは14~18mg/100mLの範囲の量のマグネシウムを含む。
【0304】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、50~500mg/100mL、より好ましくは70~300mg/100mL、さらにより好ましくは90~200mg/100mL、最も好ましくは100~150mg/100mLの範囲の量のリンを含む。
【0305】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、0.1~20mg/100mL、より好ましくは0.5~10mg/100mL、さらにより好ましくは1~5mg/100mL、最も好ましくは2~3mg/100mLの範囲の量の鉄を含む。
【0306】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、0.1~10mg/100mL、より好ましくは0.5~5mg/100mL、さらにより好ましくは0.7~3mg/100mL、最も好ましくは1~2mg/100mLの範囲の量の亜鉛を含む。
【0307】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明による液体混合物は、全ての必要なビタミン、ほとんどのミネラル及び微量元素を提供する。例えば、本発明による液体混合物は、好ましくは、治癒中の患者の組織修復に有益である液体混合物100ml当たり6mgの亜鉛を提供する。好ましくは、本発明による液体混合物は(また)、液体混合物100ml当たり25mgのビタミンCを提供し、より重度の治癒要件を必要とする患者を補助する。さらに、好ましくは、本発明による液体混合物は(また)、100mlの液体混合物当たり2.25mgの鉄を提供する。鉄は、高齢患者の体液並びに循環器系の機能を維持するのに有益である。
【0308】
本発明は、本発明による栄養液が、FSMP(特殊医療目的のための食品)の法律レベルの範囲外のナトリウム及び/又はカリウムレベルを含有し得ることを示唆する。
【0309】
液体混合物は、適切な食用酸及び/又は食用アルカリ化剤をさらに含有し得る。
【0310】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、例えば、リン酸、クエン酸、可溶性リン酸塩、可溶性クエン酸塩又はそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の非ポリフェノールキレート化剤を含む。
【0311】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では液体混合物は、リン酸、可溶性リン酸塩又はそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の非ポリフェノールキレート化剤を含む。
【0312】
一実施形態によれば、リン酸は、ウリジンモノリン酸、シチジンモノリン酸、オルトリン酸、イノシトールヘキサリン酸、ヘキサメタリン酸又はそれらの混合物からなる群から選択され、リン酸塩は、ウリジンモノリン酸、シチジンモノリン酸、オルトリン酸塩、イノシトールヘキサリン酸、ヘキサメタリン酸又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0313】
使用される場合、非ポリフェノールキレート化剤は、好ましくは、前記キレート化剤の1~120mEq/Lの量、好ましくは5~100mEq/L、より好ましくは10~80mEq/L、最も好ましくは20~60mEq/Lの量で添加されるべきである。
【0314】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、0.05~最大1.5g/100mLの量の乳酸量を含む。
【0315】
好ましくは、本発明の液体混合物は、液体混合物の0.05~1.0g/100ml、より好ましくは0.1~1.0g/100ml、最も好ましくは0.2~0.5g/100mlの量の乳酸を含む。
【0316】
乳酸の量は、製品のタンパク質含有量に関連し得る。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、乳酸の量は、最大で250mg/gタンパク質である。より好ましくは、乳酸の量は、液体混合物全体のタンパク質1グラム当たり1~200mg、好ましくは2.5~100mg/gタンパク質、より好ましくは5~75mg/gタンパク質、最も好ましくは液体混合物のタンパク質1グラム当たり10~75mgの乳酸である。
【0317】
代わりに、本発明の液体混合物は、液体混合物全体の400mg/gミセルカゼインまでの量の乳酸を含み得る。より好ましくは、乳酸の量は、4~300mg/gタンパク質、より好ましくは10~200mg/gミセルカゼイン、最も好ましくは液体混合物のミセルカゼイン1g当たり20~100mgの乳酸である。
【0318】
好ましい実施形態では、本発明の液体混合物は、好ましくは、液体混合物中に最大で1g/100mLの量で、好ましくは1mg~500mg/100mLの量で、より好ましくは5mg~400mg/100mLの量で、より好ましくは10mg~300mg/100mLの量で、最も好ましくは15mg~100mg/100mLの量でクエン酸塩を含む。熱安定性及び貯蔵寿命を延長するために、本発明の液体混合物中に一定量のクエン酸塩を含めることが有益であり得る。
【0319】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、クエン酸と乳酸との組み合わせを含む。その総計は、好ましくは、最大で2.5g/100mLであり、より好ましくはこの総計は、0.05~2g/100mL、より好ましくは0.1~1.5g/100mL、さらに好ましくは0.25~1.0g/100mL、最も好ましくは0.3~0.75g/100mLである。
【0320】
乳酸とクエン酸の両方が存在する場合、乳酸の重量量はクエン酸の重量量を好ましくは1.1~20倍、より好ましくは2~18倍、より好ましくは3~15倍又は最も好ましくは4~12倍上回る。このような比率では、栄養液の粘度は低く保たれるが、クエン酸の存在によって影響を受ける貯蔵寿命及び熱安定性などの他のパラメーターは十分なレベルに保たれる。
【0321】
本発明のいくつかの実施形態では、非ポリフェノールキレート化剤及び乳酸の両方が好ましい場合がある一方、本発明者らは、液体混合物が本明細書に記載のポリフェノール化合物を含有する場合、驚くべきことにそれらが必要ないことを見出した。
【0322】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、最大で0.1gの乳酸/100mL、より好ましくは最大で0.04gの乳酸/100mL、さらにより好ましくは最大で0.01gの乳酸/100mL、最も好ましくは最大で0.001gの乳酸/100mLを含有する。
【0323】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、最大で5mEq/L、より好ましくは最大で1mEq/L、さらにより好ましくは最大で0.4mEq/L、最も好ましくは最大で0.1mEq/Lの量で非ポリフェノールキレート化剤を含有する。
【0324】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、リン酸、クエン酸、可溶性リン酸塩、可溶性クエン酸塩から選択される非ポリフェノールキレート化剤の総量を最大で5mEq/L、より好ましくは最大で1mEq/L、さらにより好ましくは最大で0.4mEq/L最も好ましくは最大で0.1mEq/Lの量で含有する。
【0325】
本発明は、高固形分栄養液にとって特に有用である。
【0326】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、9~50%w/wの範囲;より好ましくは10~40%w/wの範囲、さらにより好ましくは12~35%w/wの範囲、さらにより好ましくは16~30%w/wの範囲の全固形分含有量を有する。
【0327】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物は、20~50%w/wの範囲;より好ましくは24~48%w/wの範囲、さらにより好ましくは28~45%w/wの範囲、さらにより好ましくは30~43%w/wの範囲の全固形分含有量を有する。これらの実施形態は、栄養的に完全な栄養液にとって特に有用である。
【0328】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、1~3kcal/g、より好ましくは1.5~3.0kcal/g、さらにより好ましくは2.0~2.8kcal/gのエネルギー含有量を有する。
【0329】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物は、最大で1kcal/g、より好ましくは最大で0.8kcal/g、さらにより好ましくは最大で0.5kcal/gのエネルギー含有量を有する。
【0330】
液体混合物は、好ましくは、少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも60%w/w、さらにより好ましくは少なくとも65%w/w、最も好ましくは少なくとも70%w/wの水分含有量を有する。
【0331】
さらにより高い水分含有量が好ましい場合があり、したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、少なくとも75%w/w、より好ましくは少なくとも80%w/w、さらにより好ましくは少なくとも85%w/w、最も好ましくは少なくとも90%w/wの水分含有量を有する。
【0332】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、50~91%w/wの範囲;より好ましくは60~90%w/wの範囲、さらにより好ましくは65~88%w/wの範囲、最も好ましくは70~84%w/wの範囲の水分含有量を有する。
【0333】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、6.0~8.0、より好ましくは6.2~7.5、さらにより好ましくは6.4~7.1、最も好ましくは6.5~7.0の範囲のpHを有する。本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物は、6.0~8.0、より好ましくは6.0~7.5、さらにより好ましくは6.0~7.1、最も好ましくは6.0~7.0の範囲のpHを有する。
【0334】
本発明者らは、カテキン化合物とタンパク質の組み合わせが、例えばpH7.3で液体混合物を強烈に赤色に着色し、pHを低下させることによって強度を低下させ得ることを見出した。本発明者らは、総タンパク質に対してカゼインの量を増加させることによって色の問題が低減され得るという徴候も見た。
【0335】
本発明の利点は、ポリフェノールが存在する場合、液体混合物の製造直後の粘度が大幅に低下することである。この発見により、液体混合物の製造が容易になり、飲用により適したものになる。粘度を比較的低く保つ技術的解決策に対する必要性は、高タンパク質飲料を製造するために、さらにより具体的には高タンパク質、高カロリー飲料を製造するために特に顕著である。
【0336】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、20℃の温度及び145s-1の剪断速度において最大で400cPの粘度、好ましくは最大で200cP、より好ましくは最大で100cP、さらにより好ましくは最大で50cP、最も好ましくは最大で30cPを有する。
【0337】
例えば、液体混合物は、20℃の温度及び145s-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有し得る。
【0338】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、5℃の温度及び145s-1の剪断速度において最大で400cPの粘度、好ましくは最大で200cP、より好ましくは最大で100cP、さらにより好ましくは最大で50cP、最も好ましくは最大で30cPを有する。
【0339】
例えば、液体混合物は、5℃の温度及び145s-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有し得る。
【0340】
本液体混合物の有利な特徴は、それが低温ゲル化又は低温増粘の傾向がなく、液体のままであり、したがって低温での長期保存後でも飲用可能であることである。
【0341】
したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、5℃で63日間の保存後、5℃の温度及び145s-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有する。
【0342】
液体混合物は、無菌栄養液であることが特に好ましく、より好ましくは熱滅菌された液体混合物である。
【0343】
一般に液体混合物、特に無菌液体混合物は、好ましくは、限られた量の不溶性タンパク質物質を含有するが、これはそのような不溶性タンパク質物質が、時間経過と共にその容器の底に沈殿し、望ましくないタンパク質沈降物層を形成する傾向があるためである。
【0344】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、最大で20%、より好ましくは最大で10%、さらにより好ましくは最大で5%、最も好ましくは最大で1%の不溶性タンパク質物質含有量を有する。液体混合物が検出可能な不溶性タンパク質物質を含まないことが、さらにより好ましい。
【0345】
本発明者らは、望ましくないタンパク質分解を回避するために、好ましくは、栄養液、特に無菌栄養液のプラスミン含有量が、低くあるべきであることを見出した。
【0346】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物、特に無菌液体混合物のプラスミンとプラスミノーゲンの複合活性は、最大で8000マイクロユニット/mL、好ましくは最大で5000マイクロユニット/mL、さらにより好ましくは最大で3000マイクロユニット/mLである。
【0347】
本発明の他の好ましい実施形態では、液体混合物、特に無菌液体混合物のプラスミンとプラスミノーゲンの複合活性は、最大で2,500マイクロユニット/mL、好ましくは最大で1000マイクロユニット/mL、さらにより好ましくは最大で500マイクロユニット/mLである。液体混合物、特に無菌液体混合物のプラスミンとプラスミノーゲンの複合活性は、最大で100マイクロユニット/mL、好ましくは最大で50マイクロユニット/mL、さらにより好ましくは最大で10マイクロユニット/mLであることがさらに好ましい場合がある。
【0348】
液体混合物は好ましくは均質であり、これは、少なくともポリフェノール化合物及び乳タンパク質、好ましくは全ての成分が完全に混合されており、視覚的、すなわち目視検査したときに液体混合物全体に均等に分布していることを意味する。
【0349】
ポリフェノール源と乳タンパク質源を含む液体混合物は、いくつかの異なる方法で供給源と任意選択的成分とを組み合わせることによって形成され得る。
【0350】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、液体混合物の供給源及び任意選択的成分を含有する2つ以上の無菌組成物を無菌的に混合することによって形成される。例えば、第1の無菌組成物は、ポリフェノール源を含むか又はさらにそれからなり得、第2の無菌組成物は、乳タンパク質源を含むか又はさらにそれからなり得、好ましい場合がある。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第1の無菌組成物は、ポリフェノール源と1つ又は複数の任意選択的成分との混合物である。本発明のいくつかの好ましい実施形態では、第2の無菌組成物は、乳タンパク質源と1つ又は複数の任意選択的成分との混合物である。
【0351】
本発明の他の好ましい実施形態では、第1の無菌組成物は、ポリフェノール源と乳タンパク質源を含む混合物であり、第2の無菌組成物は、1つ又は複数の任意選択的成分を含む。
【0352】
なおさらに、無菌組成物は、無菌的に混合されて、例えば第3の無菌組成物、第4の無菌組成物及び第5の無菌組成物などの液体混合物を形成し得る。このようなさらなる無菌組成物は、典型的には、1つ又は複数の任意選択的成分を含むか又はさらにそれからなる。
【0353】
本発明の他の好ましい実施形態では、組み合わせは、全ての供給源と他の任意選択的成分とを直接組み合わせ、引き続いてこれらを混合することを伴う。
【0354】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、ステップa)の組み合わせは、いくつかの供給源と他の任意成分のプレブレンドを作製し、引き続いてプレブレンドを残りの供給源及び/又は任意選択的成分と混合することを伴う。
【0355】
少なくともポリフェノール源と、カゼインミセルからなる乳タンパク質源と、好ましくは液体混合物の全成分が完全に混合され、液体混合物の異なる成分を均一な分散を確実にすることが一般に好ましい。
【0356】
さらに、ポリフェノール源のポリフェノール化合物と乳タンパク質源のカゼインミセルとが相互作用する時間、例えば数時間~1秒未満を与えることが好ましい。本発明者らは、好ましくは、加熱と組み合わせた均質化が、ポリフェノール化合物とカゼインミセルとの間の相互作用に有利に働くことを見出した。
【0357】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、本発明の方法は充填ステップを含まず、これらの実施形態では、方法から得られる栄養液は、典型的には、食品を製造するために使用される。
【0358】
しかしながら、本発明の他の好ましい実施形態では、本発明の方法は、液体混合物が適切な容器内に充填され、次に密封される充填ステップを含む。これは、栄養液が、例えば飲料製品など、消費者が消費する最終製品である場合に特に好ましい。
【0359】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、栄養液は飲料製品である。
【0360】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、充填は無菌充填であり、これは、好ましくは、無菌液体混合物を無菌容器内に無菌的に充填し、液体混合物が無菌のままであるように容器を無菌的に密封することを伴う。液体混合物の滅菌熱処理後に無菌充填が続くことが好ましく、例えば滅菌熱処理後、無菌充填前に無菌均質化を伴い得る。
【0361】
本発明の他の好ましい実施形態では、充填は必ずしも無菌的ではない。このような実施形態では、栄養液を収容する容器は、冷蔵温度(少なくとも6℃)に保たれるか、又はレトルトタイプの熱滅菌を受けることが好ましい。
【0362】
本発明者らは、高濃度のミセルカゼインを含有する液体へのポリフェノール化合物の添加が、熱処理なしでも粘度及び冷却時ゲル形成傾向の低下をもたらすことを見出した。
【0363】
しかしながら、本発明のいくつかの好ましい実施形態では、この方法は、液体混合物を熱処理に供することを伴う。
【0364】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理は、液体混合物を70~180℃の範囲、より好ましくは100~170℃の範囲、さらにより好ましくは120~160℃、最も好ましくは140~150℃の範囲の温度に加熱することを伴い、これはUHT処理に典型的である。
【0365】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、熱処理の持続時間は、無菌液体混合物を提供するのに十分である。例えば、液体混合物は、無菌液体混合物を提供するのに十分な持続時間、100~180℃の範囲、より好ましくは140~160℃の範囲の温度に加熱されることが好ましいことが多い。
【0366】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は充填前に熱処理され、好ましくはこの熱処理後に均質化される。
【0367】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、充填後、好ましくは容器の密閉後に熱処理される。この熱処理様式は、レトルト熱処理と称されることが多い。
【0368】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、液体混合物は、熱処理後であるが、充填前に均質化を受ける。これらの実施形態では、熱処理された液体混合物の汚染を回避するために、無菌条件下で均質化を実施することが好ましい。これは、周囲温度で長い貯蔵寿命を有するすぐに飲める飲料である栄養液を製造するために、特に有利である。
【0369】
代わりに又は加えて、液体混合物は、熱処理前に均質化を受け得る。
【0370】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量の合計と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0371】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0372】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0373】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0374】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0375】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0376】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0377】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- 200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの量と、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0378】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールであるレスベラトロールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0379】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールであるレスベラトロールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0380】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)クルクミンを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- クルクミン
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0381】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する栄養液を製造する方法であって、
a)クルクミンを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- クルクミン
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップ
を含み、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有し、液体混合物の形成は、任意選択的に、少なくとも1つの均質化ステップを伴い、栄養液は、ステップa)によって得られる液体混合物である、方法。
【0382】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールであるレスベラトロールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0383】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールであるレスベラトロールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロール
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- レスベラトロール、好ましくはシス/トランスレスベラトロール又はトランスレスベラトロールと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0384】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)クルクミンを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることによって
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して70~84%w/w、好ましくは75~83%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- クルクミン
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0385】
6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する、熱処理された無菌栄養液を製造する方法であって、
a)200~500g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
- 10~20%w/w、好ましくは12~18%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して85~99%w/w、好ましくは90~98%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- クルクミン
を含む、6.0~7.5、より好ましくは6.0~7.0のpHを有する液体混合物を形成するステップであって、前記液体混合物は、0.005~0.2、より好ましくは0.01~0.15の範囲の、
- クルクミンと、
- 総タンパク質と
の間の重量比を有する、ステップ、
b)液体混合物を無菌的に無菌容器内に充填し、容器を無菌的に密封するステップ
を含み、液体混合物は、ステップb)前に滅菌熱処理、それに続く無菌均質化を受け、栄養液は、ステップb)から得られる包装された滅菌液体混合物である、方法。
【0386】
本発明のさらなる一態様は、本明細書に記載の方法に従って得られる栄養液に関し、好ましくは、方法によって入手可能な前記栄養液は、本明細書で定義される栄養液である。
【0387】
本発明のさらなる態様は、6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
- 少なくとも8%w/wの量のタンパク質、及び
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン
を含む栄養液の、
- 低温ゲル化を低減又は防止すること、
- 低温増粘を低減又は防止すること、及び/又は
- 粘度を低減すること
のための、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの使用に関する。
【0388】
低下した粘度は、好ましくは、栄養液が製造された直後(すなわち最大で1時間後)の粘度である。
【0389】
低温増粘及び/又は低温ゲル化の低減又は防止は、好ましくは、冷蔵温度、より好ましくは約5℃において、好ましくはこれらの温度での貯蔵時に低減又は防止される。
【0390】
本発明について、特定の実施形態を参照して上で説明した。しかし、上述した以外の他の実施形態も本発明の範囲内で等しく可能である。それが特に明記されない限り、本発明の異なる特徴及び様々な実施形態及び態様のステップは、本明細書に記載されるもの以外の方法で組み合わされ得る。
【実施例】
【0391】
実施例
分析方法
分析1:総タンパク質の測定
総タンパク質(真のタンパク質)の含有量は、国際公開第2018/115520号の実施例9.2に従って測定する。
【0392】
分析2:粘度の測定
粘度の測定は、ペルチェ温度調節器を備えた応力制御レオメーターPhysica MCR 301(Anton Paar、Graz、Austria)を使用して実行する。レオメーターを外部水浴(F12、Julabo GmbH、Seelbach、Germany)に接続することにより、温度を5℃又は20℃に維持する。全ての測定は5℃又は20℃で実施し、サンプルは、剪断及び測定の開始前にレオメーターの測定温度で5分間平衡化する。使用する形状は、同心円筒測定システム(直径:27mm)である。
【0393】
全てのサンプルを定常流動試験に供する(11分間にわたる0から1000s-1までの剪断速度勾配)。特に明記されていない限り、剪断速度145s-1での粘度が、粘度値として記録される。
【0394】
粘度は、センチポアズ(cP)単位で提示される。測定されたcP値が高いほど、粘度はより高い。
【0395】
分析3:不溶性タンパク質物質
液体サンプルの不溶性タンパク質物質の量は、次の手順を使用して、22℃において5分間3000gで遠心分離することにより、サンプルから除去されるタンパク質の量として定量化する。
・およそ20gのサンプルを22℃に調整して平衡化し、遠心分離管に入れ、引き続いて3000gで5分間22℃において遠心分離する。
・サンプル遠心分離前(Ptotal)と遠心分離後(P3000g)の上清中の総タンパク質を分析1により測定する。
【0396】
サンプルが粉末の場合、10gの粉末を90gの脱塩水に懸濁し、22℃で1時間穏やかに撹拌しながら水和させる。およそ20gの水和サンプル(例えば、懸濁された粉末サンプルの液体サンプル)を上記のように分析する。
【0397】
不溶性タンパク質物質の百分率は、次のように計算される。
【数1】
【0398】
分析4:灰分の測定
食品の灰分は、NMKL 173:2005「灰分、食品中の重量測定」に従って測定する。
【0399】
分析5:溶液の全固形分の測定
溶液の全固形分は、NMKL 110第2版、2005(全固形分(水)-ミルク及び乳製品における重量測定)に従って測定され得る。NMKLは「北欧食品委員会(Nordisk Metodikkomite for Naringsmidler)」の略語である。
【0400】
溶液の含水量は、100%から全固形分(%w/w)の相対量を差し引いて計算され得る。
【0401】
分析6:pHの測定
全てのpH値は、pHガラス電極を使用して測定し、25℃に正規化する。
【0402】
pHガラス電極(温度補償付き)は、使用前に慎重にすすぎ、校正する。
【0403】
サンプルが液体の場合、pHは25℃の溶液中で直接測定する。
【0404】
サンプルが粉末の場合、10グラムの粉末を90mlの脱塩水に室温で激しく撹拌しながら溶解する。次に、溶液のpHを25℃で測定する。
【0405】
分析7:カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン(ICP-MS法)量の測定
カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム及びリンの総量は、国際公開第2018/115520号の実施例9.5に従って測定する。
【0406】
分析8:乳糖の総量の測定
乳糖の総量は、ISO 5765-2:2002 (IDF79-2:2002)“Dried milk, dried ice-mixes and processed cheese - Determination of lactose content - Part 2: Enzymatic method utilizing the galactose moiety of the lactose”に従って測定する。
【0407】
分析9:炭水化物の総量の測定
炭水化物の量は、シグマアルドリッチ全炭水化物アッセイキット(カタログ番号MAK104-1KT)を使用して測定し、炭水化物が加水分解されてフルフラールとヒドロキシフルフラールに変換され、それらは、490nmで分光光度的にモニターされるクロマゲンに変換される。
【0408】
分析10:脂質の総量の測定
脂質の量は、ISO1211:2010 (Determination of Fat Content - Roese-Gottlieb Gravimetric Method)に従って測定する。
【0409】
分析11:総タンパク質に対するカゼイン含有量の測定
カゼインの量は、ISO17997-1:2004, Milk - Determination of casein-nitrogen content - Part 1: Indirect method (Reference method)に従って測定する。
【0410】
分析12:総タンパク質に対するホエータンパク質含有量の測定
サンプルのホエータンパク質の量は、総タンパク質の量からカゼインの量を引いたものとして計算される。
【0411】
分析13:個々のカテキン化合物の総量の測定
個々のカテキン化合物の総量の測定は、Ferruzzi et al (“Analysis of catechins from milk-tea beverages by enzyme assisted extraction followed by high performance liquid chromatography”;Food Chemistry; Volume 99, Issue 3, 2006, Pages 484-491)に従って実施する。
【0412】
測定がタンパク質を含まないサンプルに関連する場合、酵素消化は省略され得る。
【0413】
分析14:ポリフェノールの総量の測定
ポリフェノールの総量は、Chavez-Servin et al (Total phenolic compounds in milk from different species. Design of an extraction technique for quantification using the Folin-Ciocalteu method;Small Ruminant Research 160(2018)54-58)に従って、総フェノール化合物(TPC)の分析を使用して、測定する。
【0414】
実施例1:MCIベースの液体の即時粘度に対するポリフェノールのレベルの増加の影響を実証する
目的:
本実施例の目的は、製造直後に11%(w/w)のMCIベースのタンパク質を含有する水性液体の粘度に対する、EGCGのレベルの増加の影響を実証することであった。
【0415】
材料:
- 0.1ミクロン濾過膜を使用して50℃で脱脂乳を精密濾過/透析濾過し、引き続いて精密濾過保持液を濃縮及び噴霧乾燥することによって得られたミセルカゼイン分離物(MCI)粉末。MCI粉末の化学組成は、表1に示されている。
緑茶からのEGCG抽出物(粉末形態)>94%純度のEGCG(Sunphenon EGCg、Taiyo GmbH、Schwelm、Germany)
水
アジ化ナトリウム、NaNO3(Merck、Darmstadt、Germany)
【0416】
【0417】
方法:
液体サンプルは、MCI粉末を室温で水に添加し、11%、12%又は13%(w/w)のタンパク質含有量の最終的な液体サンプルを提供することによって調製した。0.02%のアジ化ナトリウムも添加した。また、ポリフェノールであるEGCGを(対照サンプルを除く)最終液体サンプルのEGCGと総タンパク質との間の所望の重量比(0.01、0.03、0.06又は0.10)となるように添加した。
【0418】
この時点で、液体サンプルをUltra Turrex T25(IKA Labortechnik、Staufen、Germany)を用いて、速度設定4(19,0001/分))で5分間混合した。この混合物を試験管(高さ約2/3まで充填)内に注ぎ入れ、90℃に設定した温水浴(Haake A10、Thermo Scientific、Waltham、USA)に合計3分間入れた。時間が来たら、試験管を水浴から取り出し、氷で満たされたバケツに入れて急冷した。約10分後、全ての試験管の内容物をビーカー内に注ぎ入れ、高圧ホモジナイザー(Rannie、SPX Flow、USA)内で600MPaにおいて5分間均質化した。サンプルは清浄なビーカー内で保存し、カバーして冷蔵庫(5℃)に入れて、測定の準備が整った。
【0419】
全てのサンプルは、およそ6.7のpHを有した。
【0420】
粘度測定は、分析2に従って5℃で実施した。全ての測定は、液体サンプルの調製後30分以内に実施した。
【0421】
結果:
図1、2及び3は、本実施例で調製した3つの異なる液体の粘度値と剪断速度の関係を示す。
図1は、11%のタンパク質含有量(w/w)を含むMCI液体の粘度流動曲線から得られた結果を示す。図は、ポリフェノールを添加していないMCI液体に相当する対照(丸)、0.06のEGCG/タンパク質比を有するMCI液体に相当する四角形及び0.10のEGCG/タンパク質比を有するMCI液体に相当する三角形を示す。調査した全ての剪断速度において、EGCGを含有する両方のサンプルの粘度は、対照サンプルよりも大幅に及び驚くほど低かった。対照サンプルとポリフェノール含有サンプルとの間において、粘度は、(145s
-1で)14.5cPから4.7cPに半分未満になった。また、かなり驚くべきことに、(全ての剪断速度で)粘度レベルの違いは、2つの異なる量のEGCG間で著しく異ならなかった(5.19cP及び4.72cP、しかし、EGCG/タンパク質比は、0.06から0.10にほぼ2倍になった)。
【0422】
図2は、12%(w/w)のタンパク質を含有するサンプルの粘度曲線対剪断速度の関係を示す。0.06のEGCG/タンパク質比を有するサンプルは四角形で示され、0.10のEGCG/タンパク質比を有するサンプルは三角形で示される。これらのサンプルの粘度値は、
図1に提示される値よりも高いが、これは単に、これらのサンプルがタンパク質を1%多く含有するためであり、したがって、11%MCIが12~14cPの粘度を示した一方、12%MCIの対照サンプルは18~22cPの範囲の粘度を示した。他方、ポリフェノールを含有するサンプルは、
図1に示したように、全ての剪断速度で粘度の著しい低下を示した。例えば、145s
-1の剪断速度では、ポリフェノールを含まない対照サンプルが22.5cPの粘度を有した一方、0.06のEGCG/タンパク質比を有するサンプルは6.86cPの粘度を有し、0.10のEGCG/タンパク質比を有するサンプルは6.11cPの粘度を有した。また、上記と同様に、EGCG/タンパク質比を0.06から0.10に増やしても、粘度の低下に大きい違いはなかった。
【0423】
最後に、
図3は、2つの異なるレベルのポリフェノール(今回は0.01及び0.03のEGCG/タンパク質比)を含む13%のタンパク質含有量で製造された液体の結果を示す。驚くべきことに、13%のタンパク質と3%のEGCGを含有するサンプルの粘度は、タンパク質含有量がより少なく(11及び12%)、ポリフェノールレベルがより高い(0.06及び0.10%)上記のサンプルと非常によく類似した粘度を示した。しかしながら、0.01のEGCG/タンパク質比を含有するサンプルは、全ての剪断速度でわずかにより高い粘度を示した。しかしながら、いずれのポリフェノールレベルも、13%のタンパク質を含有する液体サンプルのバルク粘度を低減できた。
【0424】
結論:
本実施例は、高タンパク濃度域の粉末から製造されたMCI液体へのポリフェノール添加が、製造直後に前記液体の粘度を下げることができることを実証する。この効果はかなり劇的であり、広範囲のポリフェノール濃度で証明されている。
【0425】
本発明者らは、EGCGを使用して得られる効果が、以下の構造的に関連する化合物を使用しても得られるという徴候を見てきた:単独、組み合わせ及び/又はEGCGとの組み合わせのいずれかのカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸。本発明者らはさらに、EGCGを使用して得られる効果が、例えばレスベラトロールなどの分子量が150~5000g/モルの範囲である他のポリフェノールタイプを使用しても得られるという徴候を見た。
【0426】
実施例2:MCIベースの液体の粘度に対する冷蔵の影響の実証
目的:
本実施例の目的は、冷蔵温度で保存した場合の高タンパク質MCIベースの液体の粘度変化を実証することであった。
【0427】
材料及び方法:
使用したサンプルは、実施例1に示したものであった。それらには、異なる濃度のポリフェノールの存在の有無にかかわらず、11%、12%及び13%(w/w)のタンパク質含有量で製造されたMCI液体が含まれた。
【0428】
実施例1に記載されるように、サンプルの調製が終了した後、液体を約3℃の冷蔵庫内で最大63日間保存した。設定された時点で、サンプルを冷蔵庫から取り出し、必要な量のサンプル(約4mL)をレオメーターに入れ、粘度流動試験を実行した。次に、残りのストックサンプルは即座に冷蔵庫に戻した。
【0429】
粘度測定は、実施例1に記載された方法論に従って実行した。
【0430】
結果:
図4、
図5及び
図6は、それぞれタンパク質含有量11%、12%及び13%(w/w)のMCI液の5℃で実施された粘度流動曲線から得られた、剪断速度145s
-1におけるサンプルの異なる粘度を示す。
【0431】
図4は、EGCGなし(対照)、0.06のEGCG/タンパク質比(縞模様バー)、0.10のEGCG/タンパク質比(市松模様バー)で、タンパク質含有量11%(w/w)で調製されたMCIサンプルを液体調製後0日~63日間の冷蔵の時間の関数としてプロットして示す。対照サンプル(黒色バー)は、MCI液体の粘度が、調査された時間の長さ全体を通して着実及び継続的に増加し、約14cPから始まり、35日後に95cP超に増加することを明確に示す。冷蔵温度での63日間の保存では、ビーカー内でサンプルが固化し、粘度の測定が不可能になったため、サンプルを測定できなくなった。
【0432】
他方、ポリフェノールを含有するサンプル(縞模様バー及び市松模様バー)は、非常に異なる様式で挙動した。0.06又は0.10のEGCG/タンパク質比を含有するいずれのサンプルも、調査期間全体を通して粘度の識別可能な増加を示さなかった。サンプルの初期粘度はそれぞれ5.19cPと4.72cPであったが、およそ2か月の保存後に7.38cP及び5.32cPにのみ増加した。実際、63日後、対照サンプルが固体になり、測定できなくなったとき、EGCG含有サンプルは依然として非常に液体であり、(実施例1に示すような)調製から30分以内に測定された元のサンプルと非常に類似した粘度であった。ここでも、保存の場合、0.06と0.10のEGCG/タンパク質比を有するサンプルは、63日間全体を通して液体の粘度に大きい違いはなく、いずれのサンプルも10cP未満の粘度でpH値がおよそ6.7であった。
【0433】
図5は、今回、対照(EGCG添加なし、黒色バー)、0.06のEGCG/タンパク質比(縞模様バー)、0.10のEGCG/タンパク質比(市松模様バー)で、12%(w/w)のタンパク質含有量で調製したMCIサンプルを示す。
図4の場合と全く同じように、対照サンプルは粘度が上昇し、5日後にサンプルは、冷蔵庫から取り出した後、室温でおよそ1時間放置しないとレオメーターに流し込めないほどの粘度になった。実際、35日間の冷蔵では、このサンプルは既にゲルになった。
【0434】
ここでも、上記の11%タンパク質サンプルの場合と同様に、ポリフェノールを含有するサンプルは、いずれも液体のままであり、冷蔵庫での保存期間全体を通してほぼ一定のpHを示した。ここでもそれらの粘度は互いに非常に類似しており、常に10cP未満の粘度を示したが、これは、サンプルの測定温度(5℃)と高タンパク質含有量(12%)を考えると非常に驚くべきことであった。
【0435】
最後に、
図6は、13%(w/w)のタンパク質含有量で調製されたMCIサンプルの145s
-1で測定された粘度を示す。この図は、2つのサンプルを示しており、1つは0.01のEGCG/タンパク質比を有し、もう1つは0.03のEGCG/タンパク質比を有する。0.03のEGCG/タンパク質比を有する液体サンプル(水平ライン)は、前の2つの図と全く同様に、液体の粘度は、測定された45日間全体を通して及び冷蔵庫温度で保存された後も比較的一定であることを示した。最初の10日間に約7cPから約12cPにわずかに増加するようであるが、この時間後、粘度は、平坦域に達する。ここでもかなり驚くべきことに、このサンプルは、45日間の測定中に完全に液体のままであった。0.01のEGCG/タンパク質比を有する液体サンプルは、わずかに異なって挙動した。粘度への影響は、0.03のEGCG/タンパク質比を有するサンプル(
図3の例1にも示されている)よりも劇的ではなく、粘度は45日間全体を通して増加した。ここでも、最初の10日間に最も大きい変化が見られ、10.5cPから23.9cPになった。45日後、粘度は32.1cPに変化したが、これは、変化率が大幅に低下し、サンプルが依然として非常に液体の形態であることを示す。
【0436】
結論:
本実施例は、例えばEGCGなどのポリフェノールのMCI液体への添加が、製造直後の前記液体の粘度を低下させるだけでなく、低温ゲル化と顕著な低温増粘を防ぎ、ポリフェノールを添加しないサンプルが固体ゲルになったずっと後も、サンプルを液体形態に保つことができたことを実証する。本実施例は、高タンパク質MCI液体に添加された場合にポリフェノールが有し得る、低温ゲル化又は低温増粘に対する驚くべき安定化効果を示す。冷蔵温度でのゲル化は、広範囲のポリフェノール濃度で抑制された。
【0437】
本発明者らは、EGCGを使用して得られる効果が、以下の構造的に関連する化合物を使用しても得られるという徴候を見てきた:単独、組み合わせ及び/又はEGCGとの組み合わせのいずれかのカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸。
【0438】
本発明者らはさらに、EGCGを使用して得られる効果が、例えばレスベラトロールなどの分子量が150~5000g/モルの範囲である他のポリフェノールタイプを使用しても得られるという徴候を見た。
【0439】
実施例3:加熱温度が即時粘度に与える影響を実証する
目的:
本実施例の目的は、異なるタンパク質濃度を有し、異なるEGCGポリフェノールのレベルを含有するMCI液体の加熱温度が、製造直後のMCI液体の粘度にどのように影響するかを実証することであった。
【0440】
材料:
実施例1の材料を実施例3でも使用した。
【0441】
方法:
液体は、以下に概説するプロセスを使用してパイロットプラントの構成で調製した。
【0442】
【0443】
手短に言えば、水を60℃に加熱し、乾燥成分を添加した(ステップ1及び2)。これらは、対照サンプル用のMCI粉末のみ又はMCIとポリフェノール(粉末形態でも)で構成され、最終タンパク質含有量は14%(w/w)、最終EGCG/タンパク質比は0.06であった。混合物を混合して均質化し(ステップ4及び5)、異なる温度に加熱し(ステップ6~9)、再度均質化し(ステップ10~13)、最後に瓶詰めした。
【0444】
加熱後にポリフェノールを添加した特定の例では、MCIのみを含有するサンプル手順をステップ9まで変更せずに維持し、その後、ポリフェノールを添加し、高圧ホモジナイザー(Rannie、SPX Flow、USA)を用いて600mPaで5分間、研究室で均質化ステップを実行した。次に、飲料を瓶詰し、冷蔵庫内で保存し、測定の準備が整った。
【0445】
加熱温度(ステップ2でポリフェノール粉末をMCI粉末と一緒に添加した場合)は、110℃、125℃及び143℃であった(ステップ7)。加熱後にポリフェノールを添加した場合(「加熱なしPP」サンプルと称される)、MCIは143℃に加熱した。
【0446】
粘度測定:
粘度測定は分析2に従って5℃で実行し、サンプルはパイロットプラントの製造が終了してから2時間以内に測定した。
【0447】
結果:
図7は、異なる処理ステップを経た5つのサンプルの剪断速度の関数としての粘度流動曲線を示す。全てのサンプルは、およそ6.7のpH値を有した。対照試料(丸)は、MCIのみを含む液体を表3.2に示すようなプロセスで143℃に加熱したものに相当する。それは、81cP~160cPの範囲で最高粘度を有した(対照曲線のプロットは右側のy軸を使用していることに注意されたい)。EGCGを含有する143℃に加熱されたサンプルは、
図7に長破線の三角形で示される。調査した全ての剪断速度で液体の粘度の劇的な低下があり、145s
-1の剪断速度で対照の139cPから13cPに低下した。これは、粘度が1桁低くなることに相当する。かなり驚くべきことに、これもEGCGを含有する110℃及び125℃に加熱されたサンプルでも同じ結果が観察された(それぞれ
図7のひし形と十字形)。全ての粘度が低剪断で14cPから高剪断で11cPの範囲であるため、これらの3つのサンプル(EGCGと一緒に143℃、125℃及び110℃に加熱されたMCI)間に識別可能な違いはなかった。加熱温度は、EGCGの粘度抑制能力に対して大きい影響を有していないようである。
【0448】
点線の四角で示される加熱後にポリフェノールを添加した(したがってポリフェノールは加熱ステップを経ていない)サンプルの場合、対照を十分下回る、EGCGが加熱されたサンプルと同じ範囲の粘度の低下が観察された。これはかなり予想外のことであり、タンパク質と一緒に熱処理されなくても、ポリフェノールは粘度を制御できるようである。
【0449】
結論:
本実施例は、粉末から製造されたMCI液体に、一連の異なる処理温度でのポリフェノールを添加すると、製造直後の液体の粘度を下げることができたことを実証する。かなり驚くべきことに、サンプルが曝された加熱温度は、液体のバルク粘度に影響を与えていないようであった。さらに、ポリフェノールを加熱後に添加した場合、すなわちポリフェノールが加熱ステップを経ていない場合でも、サンプルの粘度は、EGCGが加熱ステップを経ているサンプルの粘度と非常によく類似していた。ポリフェノールは、熱処理が行われた後に添加された場合又は熱処理が行われなかった場合でも、高タンパク質液体を安定化させることができた。
【0450】
本発明者らは、EGCGを使用して得られる効果が、以下の構造的に関連する化合物を使用しても得られるという徴候を見てきた:単独、組み合わせ及び/又はEGCGとの組み合わせのいずれかのカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸。本発明者らはさらに、EGCGを使用して得られる効果が、例えばレスベラトロール及び/又はクルクミンなどの分子量が150~5000g/モルの範囲である他のポリフェノールタイプを使用しても得られるという徴候を見た。
【0451】
実施例4:冷蔵後の粘度に対する加熱温度の影響を実証する
目的:
本実施例の目的は、冷蔵温度で長期間保存された場合、実施例3で調製及び提示されたいくつかのMCIベースの液体の粘度の変化を調査することであった。
【0452】
材料及び方法:
調製後、瓶詰めされた液体は約3℃で冷蔵庫内に保存した。130日間の保存後、サンプルを冷蔵庫から取り出し、必要な量のサンプル(約4mL)をレオメーターに入れて、5℃で分析2に従って粘度流動試験を実行した。
【0453】
結果:
図8は、145s
-1の剪断速度で示された、異なるサンプルの粘度を示す。黒色バーが液体の調製直後(時間0)に測定された粘度に相当する一方、格子バーは冷蔵温度で130日間の保存後に測定された粘度に相当する。実施例3で既に見たように、ポリフェノールを添加していない対照サンプルは、ポリフェノールを含有するサンプルに対応するものよりもはるかに高い「時間0粘度」を有し、これらのサンプルは全て、それらを調製するために使用される加熱温度に関係なく、非常に類似した初期粘度を有する。130日間の保存後、対照サンプルは固体ゲルになり、粘度を測定できなかった。他方、どの温度でサンプルが加熱されたかに関係なく、EGCGを含有する全てのサンプルは依然として液体であり、粘度は16.7cP~21.4cPの範囲、pHはおよそ6.7であった。EGCGが加熱ステップ後に添加され、したがって加熱されていないサンプルでも、保存安定性は損なわれていない。
【0454】
結論:
本実施例は、ポリフェノールを添加したMCI液体の調製の加熱温度が、液体の冷蔵後の粘度の変化に影響を与えていないようであったことを実証する。さらに、加熱後にポリフェノールを添加した場合でも、2ヶ月超にわたって保存した後のサンプルは、依然として液体であった。
【0455】
本発明者らは、EGCGを使用して得られる効果が、以下の構造的に関連する化合物を使用しても得られるという徴候を見てきた:単独、組み合わせ及び/又はEGCGとの組み合わせのいずれかのカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸。本発明者らはさらに、EGCGを使用して得られる効果が、例えばレスベラトロールなどの分子量が150~5000g/モルの範囲である他のポリフェノールタイプを使用しても得られるという徴候を見た。
【0456】
実施例5:MPCベースの液体の粘度に対するポリフェノールの添加の影響を実証する
目的:
本実施例の目的は、MPC(粉乳濃縮物)をから製造された高タンパク液体にポリフェノールEGCGを添加することの、液体のバルク粘度に対する影響を実証することであった。
【0457】
材料:
実施例1の材料に加えて、乳タンパク質濃縮(MPC)粉末(Fromaquik A 86/5、総タンパク質82%、乳糖2.5%、脂肪2.0%、およそ80:20のカゼインとホエータンパク質との間の比率及び総タンパク質に対しておよそ80%のミセルカゼインの含有量)を使用した。
【0458】
方法:
サンプルは、実施例1で説明した方法論に従って調製した。それらは、14%(%w/w)のタンパク質含有量と0.06のEGCG/タンパク質比を有するMCI液体並びに14%(%w/w)のタンパク質含有量を有し、EGCGを含まないか、又は0.06のEGCG/タンパク質比を有するMPC液体を含んだ。
【0459】
粘度測定は、分析2にも記載されている方法論に従って5℃で実行した。
【0460】
結果:
図9は、2つのMPCベースの液体の結果を示しており、1つは0.06のEGCG/タンパク質比を有し(白丸)、もう1つはEGCGなし(黒丸)である。この図は、0.06のEGCG/タンパク質比を有するMCIベースの液体(黒色三角形)で得られた結果も示す。
【0461】
この図から、EGCGが確かに高タンパクMPC液体の粘度を低減することは非常に明らかである。低減はかなり劇的であり、145s-1での約41.8cP(対照)から15.2cP(0.06のEGCG/タンパク質比)に低下する。
【0462】
結論:
本実施例の結果は、EGCGの存在が製造直後のMPCベースの液体の粘度も低減することを明確に示した。さらに、低減をMCI液体について得られたものと比較した場合、ポリフェノールは、いくらか同程度の粘度の低減を有するように見えることが認められた。
【0463】
本発明者らは、EGCGを使用して得られる効果が、以下の構造的に関連する化合物を使用しても得られるという徴候を見てきた:単独、組み合わせ及び/又はEGCGとの組み合わせのいずれかのカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキン3-没食子酸、エピカテキン3-没食子酸。本発明者らはさらに、EGCGを使用して得られる効果が、例えばレスベラトロールなどの分子量が150~5000g/モルの範囲である他のポリフェノールタイプを使用しても得られるという徴候を見た。
【0464】
実施例6:熱処理された高タンパク質栄養液とそれらの即時及び長期粘度
目的:
本実施例の目的は、12~20%w/wの濃度のタンパク質を含有する栄養液の6か月の保存後における、粘度の低減と低温ゲル化/増粘の傾向の低減を実証することであった。
【0465】
材料及び方法
以下の材料を使用して、いくつかの異なる熱処理された高タンパク質栄養液を調製した。
- 表6.1に示す化学組成のMCI粉末。
- 表6.1に示す化学組成の乳タンパク質濃縮粉末、MPC、商品名Fromaquik A 86/5、(Fayrefield、Switzerland)。
- 純度94%を超えるEGCG粉末、Taiyo GmbH、Schwelm、Germanyから、Sunphenon EGCgの商品名で購入された。
- 粉末形態のレスベラトロール粉末、99%を超えるトランスレスベラトロール、商品名resVida、(DSM Nutritional Products、Switzerland)から購入された。
- アジ化ナトリウム、NaN3(Merck、Darmstadt、Germany)
- 水
【0466】
【0467】
3つの異なる調製方法に従って、栄養液を調製した。
ケースA:対照栄養液の調製
ケースB:熱処理後にEGCGを添加した栄養液の調製
ケースC:熱処理前にEGCGを添加した栄養液の調製
【0468】
ケースA:対照栄養液
適当量のMCI又はMPC粉末を室温で水に添加し、最終的な総タンパク質濃度を12%、15%、18%又は20%(w/w)にした。栄養液をUltraTurrexT25(IKA Labortechnik、Staufen、Germany)を用いて、速度設定4(19,0001/分)で5分間混合した。次に、この混合物を高圧ホモジナイザー(Rannie、SPX Flow、USA)で250MPaにおいて10分間均質化した。この時点で、HT122卓上UHT(OMVE Netherlands B.V.、De Meern、The Netherlands)を使用して、収集したサンプルをUHT処理した。表6.2に、使用した設定を示す。
【0469】
【0470】
UHT処理後、アジ化ナトリウムを0.02%(w/w)の濃度で添加した。この時点で、最初の均質化と同じ設定で、サンプルをもう一度均質化した。最後に、サンプルを滅菌済みのプラスチックボトル内に注ぎ入れ、栓をしてさらに使用するまで冷蔵庫に入れた。この場合(ケースA)、対照サンプルであるため、ポリフェノールは使用しなかった。
【0471】
ケースB:UHT後
この場合、プロセスの最初のステップで必要な量のポリフェノールをタンパク質粉末と一緒に添加し、タンパク質とポリフェノールの両方を均質化してUHT処理した。プロセスの残りの部分は、上記のケースAと全く同じ方法論に従う。ケースBは、UHTプロセスがポリフェノールの添加後だったことを示す。
【0472】
ケースC:UHT前
処理方法は、ケースAに準じたが、パイロットホールでのUHT処理後、栄養液が研究室に戻ったら直ぐに、EGCG粉末をNaN3と一緒に添加し、2回目の均質化ステップと引き続く瓶詰めがそれに続いた。これは、EGCGがUHTプロセスを通過していないことを意味する。これは細菌学的観点からは許容不可能であることは明らかであるが、この演習の目的は、加熱がタンパク質/EGCG混合物の安定性に影響を与えたかどうか、又は単にポリフェノールの存在が安定性を変更するのに十分であったかどうかを判断することであった。
【0473】
実験設計
表6.3は、この実施例で試験したEGCG/タンパク質の組み合わせを示す。ポリフェノールの添加後にUHTを実施した場合(ポリフェノールをタンパク質と一緒に加熱したケースB)とEGCGの添加前にUHTを実施した場合(EGCGをUHT処理しなかったケースC)の両方の実験セットを示す。特定の実験を反復した回数も示す。ポリフェノール濃度は総タンパク質1グラム当たりのポリフェノールグラムで示される一方、タンパク質の濃度は栄養液の重量に対する総タンパク質の百分率で示されることに留意されたい。
【0474】
【0475】
分析
栄養液のpHは、瓶詰めステップの直前に分析6に従って測定し、さらに冷蔵下で3か月間及び6か月間保存した後に測定した。
【0476】
分析2に従った栄養液の粘度測定は、調製の30分後、さらに冷蔵下で1、2、3、4、6、10、12及び24週間保存した後に実施した。
【0477】
結果
pH:
栄養液のpHは、ケースB液体とケースC液体の両方に関して、実験中は6.5~7.0の範囲、典型的には6.6~7.0の範囲に留まった。
【0478】
粘度:
先行する実施例で観察されたように、EGCGの添加は、栄養液の製造直後と引き続く5℃での保存中の両方で、粘度の顕著な低下をもたらした。この効果は、ケースBとケースCの両方の栄養液で観察された。
【0479】
図12及び13は、製造直後のMCIベース及びMPCベースの栄養液の粘度変化を示す。タンパク質濃度が高くなると、粘度の低下がさらにより顕著になること、さらにEGCGの事前の添加なしに、(使用された機器内で)18%及び20%のタンパク質の熱処理液を製造することは不可能であったことに留意されたい。
【0480】
図14及び15は、冷蔵(5℃)下で6か月間保存した後の、MCIベース及びMPCベースの栄養液の粘度変化を示す。保存中に顕著な低温増粘/ゲル化が観察され、低温増粘/ゲル化の傾向はタンパク質含有量と共に増加した。しかしながら、ここでも、液体がEGCGを含有する場合、粘度、したがって低温増粘/ゲル化のレベルが低下し、タンパク質濃度が高くなると低下がより顕著になることに留意されたい。
図13及び14から直接見ることは困難であるが、12%のタンパク質を含有する液体でも、EGCGの添加によって顕著な影響を受けた。EGCG/タンパク質比がわずか0.005の場合、6か月の保存後の12%MCI栄養液の粘度は、約220cPから約120cPに低下し、6か月の保存後の12%MPC栄養液の粘度は、約160cPから約110cPに低下した。
【0481】
結論:
適当量のポリフェノールを使用することで、12%、15%w/w、18%w/w又は20%w/wのタンパク質を含有するUHT処理栄養液を簡単に製造し得ることが実証された。これらの栄養液における低温増粘/ゲル化の発生は、カテキンの添加によって大幅に低減するか又はさらに回避された。熱処理直後の液体の粘度は、さらに大幅に低下した。本発明者らはさらに、カテキンを使用して得られる効果が、例えばレスベラトロールなどの分子量が150~5000g/モルの範囲である他のポリフェノールタイプを使用しても得られるという徴候を見た。
【0482】
実施例7:レスベラトロールを含有する熱処理された高タンパク栄養液
目的:
本実施例の目的は、レスベラトロールを含有する栄養液の粘度の低下及び低温ゲル化/増粘の傾向の低下を実証することであった。
【0483】
材料及び方法:
実施例7は、15%w/wのタンパク質を含有する栄養液を用いて、実施例6と同じ手順を使用するが、カテキンの代わりにレスベラトロールを使用して、実施された。レスベラトロールは粉末形態で添加した(resVida、(DSM Nutritional Products、Switzerlandから購入した;99%を超えるトランスレスベラトロールを含有する)。
【0484】
栄養液は、以下の実験設計に従って調製した。
【0485】
【0486】
結果:
液体のpHは、実施例6と同様のプロセス中に安定したままであった。
【0487】
0.03のレスベラトロール/タンパク質比を有する栄養液は、熱処理直後の粘度(MCIとMPCの両方でおよそ20~22cP)が、対照(MCIでおよそ60cP、MPCでおよそ70cP)に比べて低下した。0.06のレスベラトロール/タンパク質比を有する栄養液は、熱処理直後になおさらに低い粘度を有した(MCIとMPCの両方でおよそ16~18cP)。
【0488】
先に見たように、15%タンパク質の対照は、冷却保存中に急速に冷間ゲル化したが、カテキンと同様に、レスベラトロールの添加は、低温ゲル化を防いで冷蔵中の栄養液の低温増粘のレベルを低下させた。0.03のレスベラトロール/タンパク質比を有する栄養液は、6か月の冷却保存後も依然として液体であり、およそ50cP(MCI)及び80cP(MPC)の粘度を有した。0.06のレスベラトロール/タンパク質比を有する栄養液も6か月の冷却保存後に液体であり、およそ80cP(MCI)及び100cP(MPC)の粘度を有した。興味深いことに、レスベラトロール/タンパク質比を0.03から0.06に増加させても、粘度低下の恩恵はない。
【0489】
結論:
レスベラトロールを添加すると、MCI又はMPCに基づく15%w/wタンパク質を含有するUHT処理栄養液を簡単に製造し保存し得ることが実証された。これらの栄養液における低温増粘/ゲル化の発生は、レスベラトロールの添加によって大幅に低減するか又はさらに回避された一方、レスベラトロールを含まない対照は、5℃での保存中にゲルになった。熱処理直後の液体の粘度は、さらに大幅に低下した。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
-
10~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含
み、且つ150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.002~0.2の範囲の重量比を有する、栄養液。
【請求項2】
150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.00
3~0.
15の範囲
、さらにより好ましくは0.005~0.10の範囲、最も好ましくは0.007~0.10の範囲の重量比を有する、請求項1に記載の栄養液。
【請求項3】
150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.005~0.15の範囲、より好ましくは0.007~0.10の範囲、さらにより好ましくは0.01~0.06の範囲、最も好ましくは0.02~0.04の範囲の重量比を有する、請求項1又は2に記載の栄養液。
【請求項4】
前記ポリフェノールは、フラボノイド、フェノール酸、スチルベノイド、タンニン及びリグナンからなる群から選択される1つ又は複数の化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項5】
前記ポリフェノールは、3~12個のフェノール性水酸基、より好ましくは4~10個のフェノール性水酸基、さらにより好ましくは少なくとも5~8個のフェノール性水酸基、より好ましくは6~7個のフェノール性水酸基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項6】
前記ポリフェノールは、1つ又は複数のスチルベノイドを含むか又はさらに1つ又は複数のスチルベノイドからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項7】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及び/又はII
【化1】
(式中、R
3、R
4、R
5及びR
6は、水素、水酸基又は-O-β-D-グルコピラノシドから独立して選択され、但し、R
3、R
4、R
5及びR
6の少なくとも2つが水酸基である)に従う1つ又は複数のポリフェノールを含むか又はさらに当該1つ又は複数のポリフェノールからなる、請求項6に記載の栄養液。
【請求項8】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式I(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドを含むか又はさらに式I(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドからなる、請求項7に記載の栄養液。
【請求項9】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式II(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドを含むか又はさらに式II(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドからなる、請求項7に記載の栄養液。
【請求項10】
前記1つ又は複数のスチルベノイドは、式I及びII(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドを含むか又はさらに式I及びII(式中、R
3、R
4及びR
5は、水酸基であり、及びR
6は、水素基である)に従うスチルベノイドからなる、請求項7に記載の栄養液。
【請求項11】
タンパク質の総量は
、10~22%w/w、さらにより好ましくは12~21%w/w、最も好ましくは少なくとも14~20%w/wの範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項12】
総タンパク質に対して70~84%w/w、より好ましくは総タンパク質に対して75~83%w/wの量のミセルカゼインを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項13】
総タンパク質に対して85~100%w/w、より好ましくは90~99%w/w、さらにより好ましくは総タンパク質に対して93~98%w/w、最も好ましくは95~97%w/wの量のミセルカゼインを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項14】
6.0~8.0、より好ましくは6.2~7.5、さらにより好ましくは6.4~7.1、最も好ましくは6.5~7.0の範囲のpHを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項15】
20℃の温度及び145s
-1の剪断速度で2~400cP、好ましくは4~200cP、より好ましくは5~100cP、さらにより好ましくは6~50cP、最も好ましくは7~30cPの範囲の粘度を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項16】
無菌であり、好ましくは包装された無菌栄養液である、請求項1~15のいずれか一項に記載の栄養液。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の栄養液の固形分と、最大で10%w/wの量の水とを含む栄養粉末であって、好ましくは、請求項1~16のいずれか一項に記載の栄養液を乾燥させることにより、例えば噴霧乾燥又は凍結乾燥により、入手可能である、栄養粉末。
【請求項18】
栄養液を製造する方法であって、
a)150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールを含むポリフェノール源、乳タンパク質源及び任意選択的に他の成分を組み合わせることにより、
-
10~25%w/wの総タンパク質含有量、
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン、及び
- 150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノール
を含む液体混合物を形成するステップ
であって、前記液体混合物は、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの総量と、総タンパク質との間の、0.002~0.2の範囲の重量比を有する、ステップ、
b)任意選択的に、前記液体混合物を適切な容器に充填するステップ
を含む方法。
【請求項19】
ステップb)の前記充填を伴う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体混合物は、熱処理を受ける、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
6~8の範囲のpHを有する栄養液であって、
- 少なくとも8%w/wの量のタンパク質、及び
- 総タンパク質に対して少なくとも70%w/wの量のミセルカゼイン
を含む栄養液の、
- 低温ゲル化を低減又は防止すること、
- 低温増粘を低減又は防止すること、及び/又は
- 好ましくは滅菌熱処理の直後の粘度を低減すること
のための、150~5000g/モルの範囲の分子量を有するポリフェノールの使用。
【国際調査報告】