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特表2023-501482飲料分注装置のための飲料容器冷却システム
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  • 特表-飲料分注装置のための飲料容器冷却システム 図1
  • 特表-飲料分注装置のための飲料容器冷却システム 図1A
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  • 特表-飲料分注装置のための飲料容器冷却システム 図6A
  • 特表-飲料分注装置のための飲料容器冷却システム 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】飲料分注装置のための飲料容器冷却システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B67D1/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526786
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 NL2020050708
(87)【国際公開番号】W WO2021096355
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】2024209
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591211799
【氏名又は名称】ハイネケン サプライ チェーン ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Heineken Supply Chain B.V.
【住所又は居所原語表記】Tweede Weteringplantsoen21 1017 ZD Amsterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペトルス・ヨハンネス・ファン・ヘイルスヴェイク
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB01
3E082CC01
3E082EE05
(57)【要約】
飲料容器の接触冷却のための冷却システムが提供される。本システムは、冷却要素と、冷却要素に熱伝導的に接続され、容器と熱伝導接触となるように構成される冷却接触体と、冷却接触体と容器との間の接触領域を示すセンサ値を有するセンサ信号を提供するように構成されるセンサモジュールと、センサ信号に応答して冷却要素の動作を制御するように構成される処理ユニットとを備える。接触領域、または冷却接触体と飲料容器との間の接触の質のための他の指標は、一方では、飲料容器とその中に含まれる飲料との間、他方では、冷却接触体および冷却要素への熱エネルギーの伝達率を決定する。この動作の方法を伴う冷却システムは、提供されるエネルギーの効率的な使用を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の接触冷却のための冷却システムであって、
冷却要素と、
前記冷却要素に熱伝導的に接続され、前記容器と熱伝導接触となるように構成される冷却接触体と、
前記冷却接触体と前記容器との間の接触領域を示すセンサ値を有するセンサ信号を提供するように構成されるセンサモジュールと、
前記センサ信号に応答して前記冷却要素の動作を制御するように構成される処理ユニットと
を備える、冷却システム。
【請求項2】
前記処理ユニットは、切り替えモードにおいて動作するように前記冷却要素を制御するように構成され、前記冷却要素が動作するように命令されている第1の時間間隔が、前記センサ値に依存する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記処理ユニットは、前記センサ値によって示されるような減少する接触領域に伴って、前記第1の時間間隔を増加させるように構成される、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記処理ユニットは、
第1の要件が満たされるまで、前記冷却接触体から熱エネルギーを引き出すように前記冷却要素を第1のレベルで動作させ、
第2の要件が満たされるまで、前記冷却要素を前記第1のレベルより低い第2のレベルで動作させる、または、前記冷却要素をスイッチオフする
ように構成され、
前記第1のレベルで前記冷却要素に提供されるエネルギーの量は、前記センサ値によって示される前記接触領域が減少するにつれて増加させられ、
前記第1のレベルで前記冷却要素に提供されるエネルギーの量は、前記センサ値によって示される前記接触領域が増加するにつれて減少させられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記センサモジュールは、前記容器と前記冷却接触体とのうちの少なくとも一方の温度を感知するように構成される温度センサを備え、
前記処理ユニットは、時間に伴う前記センサ値の変化に基づいて、前記冷却要素の動作を制御するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記処理ユニットは、
第1の要件が満たされるまで、前記冷却接触体から熱エネルギーを引き出すように前記冷却要素を第1のレベルで動作させ、
第2の要件が満たされるまで、前記冷却要素を前記第1のレベルより低い第2のレベルで動作させる、または、前記冷却要素をスイッチオフし、
前記第2のレベルにおける前記冷却要素の動作、または、前記冷却要素をスイッチオフすることと、前記第2の要件に達することとの間の時間期間を決定し、
前記決定された時間期間に基づいて、前記第1の要件を決定する
ように構成される、請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記第1の要件は、
前記冷却要素に提供されるエネルギーの量、
時間の長さ、
前記センサモジュールによって感知される温度
のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記第2の要件は、
時間の長さ、
温度
のうちの少なくとも1つである、請求項6または7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記第1の要件は、前記冷却要素が動作させられている時間期間であり、
前記第2の要件は、温度であり、
前記第1の要件としての前記時間期間は、前記決定された時間期間が減少するにつれて増加させられ、
前記第1の要件としての前記時間期間は、前記決定された時間期間が増加するにつれて減少させられる、請求項6から8のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記冷却システムの周りの周囲空気の温度を決定するための周囲温度センサをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記センサモジュールは、前記容器と前記冷却接触体との間の接触領域を示す値を有する信号を提供するように構成される接触センサを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記接触センサは、
伝導性測定センサ、
圧力センサ
のうちの少なくとも1つである、請求項11に記載の冷却システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の冷却システムを備える、飲料分注システム。
【請求項14】
容器内の液体を接触冷却によって冷却する方法であって、
液体を含む容器が、冷却システムの接触面に当てて受け入れられ、
前記接触面と前記容器との間の冷却エネルギー伝達率が決定され、
前記冷却システムへの冷却エネルギー供給は、前記冷却エネルギー伝達率に基づいて、前記冷却システムの制御ユニットによって制御される、冷却する方法。
【請求項15】
前記冷却エネルギー伝達率は、
前記接触面を第1の時間期間にわたって冷却するステップと、
前記接触面の冷却を第2の期間にわたって一時的に打ち切り、前記容器の温度を少なくとも1つの第1のセンサで測定するステップであって、前記第2の期間の継続時間は、冷却を打ち切ることと、前記第1のセンサで測定される前記容器の所定の温度に到達することとの間で測定される、ステップと
によって決定され、
前記冷却エネルギー伝達率は、前記第2の期間の前記継続時間として定められる、請求項14に記載の冷却する方法。
【請求項16】
前記第1のステップおよび前記第2のステップを少なくとも1回繰り返すステップ
をさらに含み、
各第2の期間について、冷却エネルギー伝達率が定められ、
連続的な冷却エネルギー伝達率同士が比較され、
少なくとも2つの先行する第2の期間にわたっての前記冷却エネルギー伝達率が増加する場合、つまり、前記第2の期間の継続時間が増加している場合、次の前記第1の期間にわたる前記冷却システムへの冷却エネルギーの供給を減少させ、
少なくとも2つの先行する第2の期間にわたっての前記冷却エネルギー伝達率が減少する場合、つまり、前記第2の期間の継続時間が減少している場合、次の前記第1の期間にわたる前記冷却システムへの冷却エネルギーの供給を増加させる、請求項15に記載の冷却する方法。
【請求項17】
前記容器の温度は、好ましくは接触センサが前記接触面から熱的に絶縁されている状態で、前記容器の外面と接触している温度センサを用いて測定される、請求項14から16のいずれか一項に記載の冷却する方法。
【請求項18】
前記容器内の液体の残りの体積が、測定または計算され、前記冷却システムへの冷却エネルギーの供給が、少なくとも前記残りの体積についての閾値未満において、液体の前記残りの体積に基づいて制御される、請求項14から17のいずれか一項に記載の冷却する方法。
【請求項19】
前記冷却システムへの冷却エネルギーの供給は、前記容器内の液体の対流が、前記接触面の後続の冷却および非冷却によって開始および/または維持されるように制御される、請求項14から18のいずれか一項に記載の冷却する方法。
【請求項20】
コンピュータ読取可能媒体であって、命令を含み、前記命令は、電子処理ユニットによって実行されるとき、前記電子処理ユニットを備える請求項1から12のいずれか一項に記載の冷却システム、前記電子処理ユニットを備える請求項13に記載の飲料分注システムを、前記処理ユニットに制御させることを可能にし、または、前記電子処理ユニットに、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な態様および実施形態は、液体分注組立体における実施のための冷却システムに関する。本発明は、液体のための容器の接触冷却のための冷却システムであって、特に、容器と、分注されるためにその容器に含まれる液体とを接触冷却するための冷却システムに関する。一態様は、このような冷却システムを備える飲料分注システムに関する。別の態様は、液体容器、特に飲料容器を接触冷却するための方法に関する。さらなる態様は、炭酸飲料をプラスチック容器から分注するための飲料分注組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、分注されるべき液体を含む容器と、容器が少なくとも部分的に挿入され得る装置とを備える液体分注システムを開示している。装置は、容器と、その容器に含まれる流体とを、接触冷却によって冷却するための接触面を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/009065号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
知られている組立体の代替となる飲料分注組立体を提供することが好ましい。より具体的には、使用するのが比較的容易である飲料分注組立体を提供することが好ましい。そのため、製造および保守するのが比較的容易である飲料分注組立体が提供され得る。そして、特許請求されているような分注組立体に適する容器を提供することが好ましい。本発明の一態様および実施形態は、容器が使用できる分注組立体であって、使用中に、例えば飲料を購入する一般人および個人などの使用者にとって心地良い外観を提供し、使用するのが容易であり、ならびに/または、特に冷却および分注においてエネルギー効率の良い組立体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様が、飲料容器の接触領域のための冷却システムを提供する。システムは、冷却要素と、冷却要素に熱伝導的に接続され、容器と熱伝導接触となるように構成される冷却接触体と、冷却接触体と容器との間の接触領域を示すセンサ値を有するセンサ信号を提供するように構成されるセンサモジュールと、センサ信号に応答して冷却要素の動作を制御するように構成される処理ユニットとを備える。
【0006】
接触領域は、冷却接触体と容器とが互いに対して物理的に触れるために物理的接触を行う領域であり、熱エネルギーの伝達を可能とし、具体的には、容器から冷却接触体への、および、冷却接触体から容器への、熱エネルギーの伝達によって可能とする。このような接触領域は、点接触、線接触、またはより大きな領域であり得る。当業者は、数学的な理論において、線および点が領域を有していないと理解するが、このような接触は実際には比較的小さい領域を有する。したがって、接触領域は、具体的な物体の表面ではなく、冷却接触体と容器とが互いと物理的に接触しているときに定められる領域である。
【0007】
接触領域、または冷却接触体と飲料容器との間の接触の質のための他の指標は、一方では、飲料容器とその中に含まれる飲料との間、他方では、冷却接触体および冷却要素への熱エネルギーの伝達率を決定する。接触領域が小さい場合、または、接触の質が容器および/または飲料から冷却接触体への熱エネルギーの適切な伝達を妨げるような場合、冷却要素の動作が、この問題に対処するために調整される。この動作の方法を伴う冷却システムは、冷却システムに提供されるエネルギーの効率的な使用を可能にする。
【0008】
さらに、この冷却システムは、容器の変化する品質の問題に対処する。プラスチック容器は、ブロー成形過程を用いて形成され得る。ブロー成形は、製造者が制御することができる、知られている過程であるが、ある点において、制御するのが難しい力ずくによる過程であり、これは容器の形に変化をもたらす可能性がある。これはさらに、接触冷却体が提供できる容器の相補的な形がほとんどの実施形態において固定されるため、接触の質の変化をもたらす。
【0009】
具体的には、内部の柔軟な容器を備える容器は、困難をもたらす。このような容器について、外部容器外殻の形だけでなく、内部容器外殻としてのバッグの形、および、外部容器外殻と内部容器外殻との間の接触も、接触の質に関して困難をもたらす。これらの困難は、第1の態様による冷却システムによって対処される。
【0010】
第1の態様の一実施形態では、処理ユニットは、切り替えモードにおいて動作するように冷却要素を制御するように構成され、冷却要素が動作するように命令されている第1の時間間隔は、センサ値に依存する。この実施形態では、接触の質の指標は、冷却要素が熱エネルギーを冷却接触体から引き出すためにどれくらいの長さにわたって動作させられるかを決定するために使用される。
【0011】
第1の様態の別の実施形態では、処理ユニットは、センサ値によって示されるような減少する接触領域に伴って、第1の時間間隔を増加させるように構成される。接触領域が小さい場合、または、接触の質が低い場合、エネルギーは、より長い時間にわたって接触冷却体から引き出される。冷却要素の一定の出力によって、これは、より多くの熱エネルギーがより長い動作期間において引き出されることを意味する。これはさらに、より冷たい冷却接触体と、容器およびその飲料に対してより大きな温度勾配とをもたらすことができる。結果として、熱エネルギーが、拡散の法則により、飲料から冷却接触体へとより素早く流れることができる。
【0012】
さらなる実施形態では、処理ユニットは、第1の要件が満たされるまで、冷却接触面体から熱エネルギーを引き出すように冷却要素を第1のレベルで動作させるように、および、第2の要件が満たされるまで、冷却要素を第1のレベルより低い第2のレベルで動作させる、または、冷却要素をスイッチオフするように構成される。この実施形態では、第1のレベルで冷却要素に提供されるエネルギーの量は、センサ値によって示される領域が減少するにつれて増加させられ、第1のレベルで冷却要素に提供されるエネルギーの量は、センサ値によって示される領域が増加するにつれて減少させられる。
【0013】
この実施形態は、接触の質または接触領域の変化に基づいて、冷却要素の制御を可能にする。飲料が容器から引き出されるにつれて、容器の形が変化し得る。結果として、接触領域は変化する可能性があり、そのために、この実施形態は補償を提供している。
【0014】
また別の実施形態において、センサモジュールは、容器と冷却接触体とのうちの少なくとも一方の温度を感知するように構成される温度センサを備え、処理ユニットは、時間に伴うセンサ値の変化に基づいて、冷却要素の動作を制御するように構成される。冷却要素が動作していない、または低レベルで動作する間に、容器の温度が時間と共に比較的素早く減少する場合、容器(その内容物)から冷却接触体へのエネルギーの大きな流れがあるため、接触領域は大きくなると仮定される。このような場合、冷却要素の動作時間は短縮させることができる。
【0015】
冷却接触体の温度が時間と共に比較的素早く増加する場合、熱エネルギーが接触冷却体によって容器(容器における飲料)から素早く吸収されるため、接触領域は比較的大きくなると仮定される。このような場合、冷却要素の動作時間は短縮させることができる。
【0016】
またさらなる実施形態において、処理ユニットは、第1の要件が満たされるまで、冷却接触面体から熱エネルギーを引き出すように冷却要素を第1のレベルで動作させ、第2の要件が満たされるまで、冷却要素を第1のレベルより低い第2のレベルで動作させる、または、冷却要素をスイッチオフし、第2のレベルにおける冷却要素の動作、または、冷却要素をスイッチオフすることと、第2の要件に達することとの間の時間期間を決定し、決定された時間期間に基づいて、第1の要件を決定するように構成される。この実施形態は、先の実施形態の実用的な実施を提供する。
【0017】
第1の態様のまた別の実施形態において、センサモジュールは、容器と冷却接触体との間の接触領域を示す値を有する信号を提供するように構成される接触センサを備える。このような接触センサは、容器と接触冷却体との間の伝導性を感知するように配置されるセンサとして具現化され得る。
【0018】
第2の態様は、第1の態様またはその実施形態による冷却システムを備える飲料分注システムを提供する。
【0019】
第3の態様は、液体容器を接触冷却により冷却する方法を提供する。この態様では、液体を含む容器が、冷却システムの接触面に当てて受け入れられ、接触面と容器との間の冷却エネルギー伝達率が決定され、接触面への冷却エネルギー供給は、前記冷却エネルギー伝達率に基づいて、冷却システムの制御ユニットによって制御される。
【0020】
異なる容器にわたる形の変化と、接触面の固定された形とは、接触面と容器との間に、接触の変化、または接触の質の変化をもたらす可能性がある。これはさらに、容器(および、容器内の液体)と、冷却システムであって、具体的には冷却システムの接触面との間に、冷却エネルギー伝達率の変化をもたらす可能性がある。この問題に効率的に対処するために、冷却エネルギー供給は、接触の質を表す冷却エネルギー伝達率に基づいて制御される。
【0021】
第3の態様の一実施形態において、冷却エネルギー伝達率は、接触面を第1の時間期間にわたって冷却するステップと、面の冷却を第2の期間にわたって一時的に打ち切り、容器の温度を少なくとも1つの第1のセンサで測定するステップであって、第2の期間の継続時間は、冷却を打ち切ることと、前記第1のセンサで測定される容器の所定の温度に到達することとの間で測定される、ステップとによって決定され、冷却エネルギー伝達率は、第2の期間の前記継続時間として定められる。容器の温度が素早く上昇した場合、容器および/またはその内容物のほとんどは冷却面より高い温度になる。これは、冷却エネルギー伝達率が小さいことを意味する。
【0022】
第3の態様のさらなる実施形態は、前記第1のステップおよび前記第2のステップを少なくとも1回繰り返すステップを含む。この実施形態では、各第2の期間について、冷却エネルギー伝達率が定められ、連続的な冷却エネルギー伝達率同士が比較される。さらに、この実施形態では、少なくとも2つの先行する第2の期間にわたっての冷却エネルギー伝達率が増加する場合、つまり、第2の期間の継続時間が増加している場合、次の第1の期間にわたる冷却面への冷却エネルギーの供給が減少させられ、少なくとも2つの先行する第2の期間にわたっての冷却エネルギー伝達率が減少する場合、つまり、第2の期間の継続時間が減少している場合、次の第1の期間にわたる接触面への冷却エネルギーの供給が増加させられる。この実施形態は、この第3の態様の実用的な実施を提供する。
【0023】
第3の態様のさらなる実施形態では、これは類似の方法で第1の態様に適用されてもよく、容器の温度は、好ましくは接触センサが接触面から熱的に絶縁されている状態で、容器の外面と接触している温度センサを用いて測定される。容器の適切な温度、具体的には、容器の内容物の適切な温度も、その温度の制御も、目的であるため、それを示す温度値を開始点として使用することが好ましい。接触面の温度は異なり得るため、温度センサは好ましくは接触面から隔離される。
【0024】
また別の実施形態において、容器内の液体の残りの体積が測定または計算され、冷却面への冷却エネルギーの供給が、少なくとも液体の前記残りの体積についての閾値未満において、前記残りの体積に基づいて制御される。容器内の液体の量は容器の形を決定することができ、それによって、接触の質および冷却エネルギー伝達率が影響させられ得る。したがって、この因子を正確な温度制御のために考慮することが好ましい。
【0025】
第4の態様は、第1の態様による冷却システムを制御するためのアルゴリズム、第2の態様の飲料分注システム、または第3の態様による方法を含む、好ましくは非一時的な、コンピュータ読取可能媒体を提供する。
【0026】
本発明をさらに明らかにするために、本発明の実施形態が開示されており、図面を参照して以下において検討されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ブランド付き容器が蓋を通じて視認可能となっている、分注組立体を動作させる側からの、飲料分注組立体の後面図である。
図1A図1の組立体の側面図である。
図2A】後側面における、図1の組立体の斜視図である。
図2B】前側面における、図1の組立体の斜視図である。
図3A】本開示による分注組立体の後面図である。
図3B】本開示による分注組立体の断面側面図である。
図4】飲料を分注するための組立体の分注ユニットの分解図である。
図5】第3の態様の一実施形態としての流れ図である。
図6A】第1の温度の時間変化を描写する第1のグラフである。
図6B】第2の温度の時間変化を描写する第2のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において、本発明の実施形態は、あくまでも例として、示されて開示されている。これらの実施形態は、本発明の範囲をいかなる形においても限定するとして解釈または理解されるべきではない。本明細書において、同じまたは同様の要素は、同じまたは同様の符号によって示されている。本明細書において、本発明の実施形態は、炭酸飲料を参照し、特にビールを参照して検討されている。しかしながら、他の飲料が本発明において使用されてもよい。
【0029】
本明細書において、上方および下方、頂部および底部などへの言及は、異なると明確に定められていない場合、分注ユニットの通常の配向と見なされる。分注ユニットの後は、タップハンドルなどが、システムを動作させるために提供され、特には、ユニットに設けられた容器に含まれる飲料を分注するために動作させるために提供されている側として参照される。容器は、底部と、充填および/または分注のための口部を備える首領域とを有し得る。首領域は、容器の一体部であり得る、または、容器に組み付けられ得る。実施形態での使用の間、組立体の中の口部は、実質的に下方、上方、または側方を向くことができる。下方の配向は、例えば、特には図1といった図面において見られ、頂部、底部、上、および下は、指示の目的だけのために、矢印および適切な言葉によって示されている。これは、本開示またはその一部の蛇口装置が使用される必要がある配向を、必ずしも反映していない。容器について、通常の位置は、下を向く底部部分と、上を向く首部分とを伴い得る。本開示の蛇口組立体において、容器の底部は、上、下、および/または側方を向いてもよい。
【0030】
本開示では、例を用いて、重ねられる2つのプラスチックプリフォームを備えるプリフォームセットから一体にブロー成形されるバッグ入り容器(BIC:bag in container)が記載されており、これは、プリフォームのうちの一方が他方へ挿入され、その後、それらプリフォームは知られている手法でBICへと一体にブロー成形されることを意味するとして理解されるべきである。実施形態では、前記ブロー成形の前、閉鎖リングがプリフォームにわたって嵌められ、それらプリフォームを一体に接続し、プリフォーム同士の間の境界面または間空とも称され得る空間を閉じ、それによって、少なくともブロー成形の後、前記空間は、容器の首領域に設けられ、外側のプリフォームおよび/または容器の首領域の壁を通じて延びる、特には外方開口である1つまたは複数の開口を通じてのみ、環境と連通するかまたは連通することができる。前記少なくとも1つの開口は、プリフォームの製造の間であって、特にはプリフォームを射出成形する間に設けることができるが、ブロー成形の最中または後に、例えば、容器への打ち抜き、穿孔、または他の機械加工によって、後で設けられてもよい。
【0031】
本明細書において、蛇口組立体は、冷却装置と、空気などの加圧ガスを容器に供給するための圧力装置とを保持する筐体を備えることができる。容器は、好ましくはBIC式容器であるプラスチック飲料容器であり得る。システムは、筐体に適切に配置されるとき、好ましくは少なくとも部分的に透明な蓋である、容器に嵌まる蓋をさらに備える。蓋は、例えば、充填レベルが確認でき、容器のブランドが外部から見られるように、筐体および蓋を備える分注装置の中での容器の視認を提供する。
【0032】
本明細書において、蛇口組立体とも称され得る分注組立体は、容器の少なくとも一部であって、特には容器の肩部の少なくとも一部が、筐体における受部に導入されるように、容器が分注ユニットの筐体の上および/または中において「上下逆さま」の位置で配置できるように設計でき、首部分は、下を向く流出開口を備える。好ましくは、前記受部へと延びる容器の部分は、受部の壁と接触する部分の近くである、または少なくともその部分にあり、受部の壁は冷却され、特には能動的に冷却される。前記「上下逆さま」の位置において、これは、例えば、容器の肩部分の一部であり得る。「直立位置」において、肩部分は、例えば上方を向くことができ、それによって、底部部分は、特には冷却のために、受部に受け入れられ得る。横たわる位置または傾いた位置では、容器の側方部分が冷却のために受部に受け入れられ得る。
【0033】
本明細書において、受部の壁と、関連する容器の一部との間の距離に関して比較的近いとは、容器の前記一部および容器の内容物の効率的な冷却を可能にするだけの小さい距離として理解されるべきである。好ましくは、飲料は、冷却される壁の前記一部分の隣の容器の領域から分注される。好ましくは、冷却のための受部における壁の一部分が、これらの実施形態では、容器のより低い部分である。このような実施形態では、容器が部分的に空である場合であっても、容器の内容物が、受部の壁によって冷却される領域に少なくともあるという利点が得られ、その冷却される内容物は、流出開口の近くであって、特には流出開口に直に隣接する、または、飲料が分注される部分に少なくともある。したがって、受部の外部へ延びる容器の部分が冷却されない場合、または冷却されにくい場合であっても、分注される飲料の温度の制御が非常に良好に可能である。
【0034】
容器を受部に位置決めするとき、好ましくは少なくとも1つの線接触が、接触冷却のために容器と受部の壁との間に得られる。このような線接触は、例えば、容器および受部の形、ならびに容器の配向に依存して、例えば円の線、楕円の線、またな任意の線によって形成され得る。好ましくは、例えば、受部の内側へ延びる容器の肩部分、底部部分、または壁部分など、容器の比較的大きい部分にわたって、接触が確立される、または、少なくとも、受部の壁に対する容器の壁の密な近接が確立される。容器の関連する部分と受部との間の距離は、隣接する表面同士の間の最小距離として測定されるとき、受部において延びる容器の一部の高さまたは直径の少なくとも約1/4であり得る、受部の鉛直軸に沿っての高さ測定を有する受部の周囲表面領域の少なくとも一部にわたっての平均において、好ましくは0mmから1mmの間であり、より好ましくは0mmから0.5mmの間であり、さらにより好ましくは0mmから0.25mmの間である。例えば、上下逆さまの配向において、容器の肩部分の軸方向高さの少なくとも約4分の1は、前記受部へと延び、首部分に直接的に隣接して測定され得る。例えば、肩部分の前記高さの4分の1から全部との間である。
【0035】
図1および図1Aは、分注装置2と飲料容器3とを備える、本開示の飲料分注組立体1の例示の実施形態を示している。分注装置2は、例えば、ユニット、分注ユニット、蛇口装置、または同様の言葉で称されてもよい。分注装置2は筐体4を備える。筐体4には、容器3の少なくとも一部分6を受け入れるための受部5が設けられている。飲料容器3は、首部分7と、首部分7に隣接する肩部分8とを有する。首部分7には、少なくとも流出開口8Aと、少なくとも1つのガス入口開口9(例えば、図3参照)とが設けられている。開示されている実施形態では、容器は、ブロー成形されたプラスチック容器3であり得、好ましくはバッグ入り容器(BIC)式の容器である。容器3は、首部7と肩部分8の少なくとも一部とが受部5に受け入れられるように、首部分7および肩部分8が下方を向く状態で分注装置2に位置決めされる。これは上下逆さま配向と称される。肩部分8の一部10は、受部5の壁11の近くで延びる、および/または、壁11と接触して延びる。
【0036】
分注装置における容器3の配向は、容器の長手方向軸X-Xの配向に少なくとも基づいて定めることができ、前記軸は、上下逆さまの位置および上に真っ直ぐな位置において、実質的に鉛直に延び、横たわる位置においては実質的に水平に延び、傾いた位置では、水平方向と鉛直方向との両方を伴う角度を含む。上に真っ直ぐな位置において、容器の底部部分が下方を向くことができ、上下逆さまの位置では、容器の底部部分は上方を向くことができ、横たわる位置では、容器底部部分は側方を向くことができる。
【0037】
容器の異なる配向において、受部は異なるように成形され得る。上記で直接的に明示されているように、容器が横たわる場合、受部は桶として提供され得る。容器が横たわる位置にある他の実施では、受部は、容器を包囲する円筒として提供され得る。容器の見えることが好ましい場合、受部は、受部に配置されると容器を包囲するように配置される1つまたは複数のリングを用いて実施されてもよく、したがって、受部はリングによって支持される。容器の一部は、リング同士の間で視認可能であり得る。受部が有し得る任意の形に拘わらず、受部と容器との間に十分な熱伝導接触があることが好ましい。
【0038】
分注組立体1は、例として、容器3の一部13が筐体4の上方に延びるように、および、存在する場合、図1では目76によって象徴的に示されている平均的な大人についてのおおよその目の高さに蓋12があるように、バー74の上部75に配置される。バー74の上部75は、例えば、限定されることはないが、顧客に対して利用可能な前側において約100~130cmにあってもよい。蛇口組立体1をバー74に配置することで、少なくともバーにおいて立つかまたは座る顧客、好ましくは、バーにおいて立つかまたは座る顧客および、バーの後で立つ人員に対して視認可能であり、システムの視認性、特には容器の関連する一部13の視認性が、増加させられる。特に、ブランド22が容器の前記一部13に設けられた場合、これは、システム1の訴求力を増加させ、特に前記容器3内に閉じ込められた飲料の訴求性を増加させることになる。この訴求力が飲料の販売を増加させ、さらに、バーの訴求力を増加させることもできることが分かっている。好ましくは、蓋が容器の一部13にわたって提供され、蓋は、バー74の少なくとも前および後から、つまり、顧客およびバーの人員に対して、容器の一部13を見せるようにするのに十分に透明であり、好ましくは、約360度にわたって容器の一部13を見せるようにする。蓋12の頂部部分は、例えば不透明といった、より透明性のないものであり得る。
【0039】
容器3は、好ましくは実質的に樽または瓶の形とされ、前記首部分7および前記肩部分8を有し、本体部分23と底部部分24とをさらに有する。底部部分は任意の適切な形を有することができ、図示されている実施形態では、実質的に球形であり、より明確には実質的に半球形である。代替で、底部部分は、例えば花弁の形とされるといった、容器が前記底部部分24において立つことができるように成形されてもよい。
【0040】
図示されているような実施形態では、蓋12が容器3にわたって設けられ、容器3の一部13を包囲して受部5の外側に延びる。しかしながら、組立体は、実施形態では、蓋12なしで動作させることもできる。蓋12は、筐体4の外部で延びる容器3の一部13の外面に沿って、好ましくは実質的に一定の等しい距離で延びる内面14を有するように少なくとも延びるために、実質的にドーム形とできる。これは、蓋12の前記内面14と容器の外面部分との間に空間15を提供することができる。実施形態では、蓋は、実質的に球形である頂部16と、好ましくは実質的に円筒である本体部分17とを有し得る。蓋12は、容器3が蓋12の少なくとも一部を通じて観察できるように、好ましくは透明なプラスチックであるプラスチックから作られ得る。実施形態では、蓋12は、内側壁18Aおよび外側壁18Bと、それらの間で閉じられ、好ましくは、組立体が位置決めされる領域20、および空間15などの周囲から隔離された空間19とを有する二重壁とできる。実施形態では、空間19は、領域20および/または空間15の内側の圧力より低い圧力とでき、例えば、蓋12の伝熱を下げるために、吸引されて真空とされ得る。実施形態では、蓋12は、筐体の表面に、筐体の中に、および/または、筐体にわたって、蓋12が適切に配置されると、空間15が領域20から隔離されるように、筐体4のシール21に圧し掛かることができる、および/または、筐体4に圧し掛かるためのシール21が設けられ得る。実施形態では、これは、実質的に停滞した空気の層を前記空間15に提供することができる。他の実施形態では、ファンまたは同様の手段が、容器およびそこに含まれる飲料を冷却するために、前記空間15を通る好ましくは冷却された空気の空気流を提供するように設けられ得る。蓋は、部分的または全体的にガラスから作られてもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、容器3には、少なくとも筐体4の外部で延びる容器3の一部13において、ブランド22が設けられる。前記ブランド22は、容器3がその底部24において置かれるときにブランド22の少なくとも一部が上下逆さまの配向で提供されるように、好ましくは提供される。したがって、容器3が分注装置2において上下逆さまの位置で配置され、首部分7が下を向いているとき、ブランドは、可読性および視認性について適切な配向である。明確には、容器3が、上に真っ直ぐな配向、つまり、分注装置2において底部が下を向く配向での使用のために意図されている場合、ブランドは、可読性および視認性について通常の位置にあり得る。同様に、ブランドは、例えば下に横たわるといった別の配向での使用のために、容器において調整され得る。
【0042】
例えば図1図1A図3、および図3Aに示されている実施形態では、筐体4は、受部5の壁11の少なくとも一部分27を冷却するための冷却装置26を備える。同様に、他の実施形態には、同じまたは同様の冷却装置が提供され得る。受部5および冷却装置26は、例えば、上下逆さまの配向においての容器3の少なくとも肩部分8、例えば上に真っ直ぐな配向における底部部分、または、横たわる位置もしくは傾いた位置における本体形成部分の側面の少なくとも一部といった、容器3の一部分6の接触冷却のために好ましくは設計される。例示の実施形態から明らかであるように、これは、飲料が分注される、例えば首部分7に近いなどの受部に近い領域における飲料を少なくとも冷却することになり、したがって、この飲料は所望の温度で冷却される。好ましくは、この部分は、最も冷却された飲料が自然にこの領域に向けて流れるように、使用中に容器の下方端にある。受部の冷却は、圧縮機に基づく冷却装置、圧に基づく冷却装置、角氷による冷却、液体による冷却、または、技術的に知られている同様のシステムなど、任意の適切な手段によって提供され得る。例を用いると、圧縮機に基づく冷却装置26が、有利な実施形態として記載される。
【0043】
図示されているような実施形態における容器3には、飲料の分注のための分注回路35を少なくとも備える分注ユニット34が設けられている。筐体4は、分注回路35を開けるおよび/または閉じるために、分注回路35に接続するための、および/または、分注回路35と協働するための蛇口29を備える。分注回路は、好ましくは使い捨ての回路であり、これは、例えば1つだけの容器3または限られた数の容器との使用といった、限られた使用のために設計および意図されていることを意味するとして理解されるべきである。好ましくは、分注ユニット34は、容器3に飲み口が付けられ得るように設計され、そのあと、分注ユニット34および/または分注回路35は、ユニット34および/または容器3への損傷なしで再び取り外すことはできない。
【0044】
好ましい実施形態では、蛇口29は、分注ユニット2に設けられた弁31であって、特には、分注回路35の端に設けられた弁を開けるおよび/または閉じるための動作機構30を備える。分注回路35は、プラスチックから作ることができ、図示されているように曲げることができるように、柔軟であり得る。弁31は、分注回路35と一緒に配置および取り外しされるように、つまり、交換されるように、蛇口回路35に固定的に接続されている。弁31は、筐体4の外部に延びる注ぎ口32を、注ぎ口32が分注される飲料のための接触の最後の位置になるように有することができる。使い捨てであるこのような弁31を提供することによって、飲料とさらなる分注組立体1との間の接触が防止され得る。したがって、分注組立体の洗浄は、より少ない頻度で洗浄される必要がある。
【0045】
代替で、限定されることはないが、蛇口回路を閉じるように絞るための手段など、分注回路35を開けるおよび/または閉じるための他の手段が提供され得る。永久的な弁が、容器に配置するときに蛇口回路35が接続され得る蛇口装置2の一部として使用できる。代替または追加で、蛇口配管が永久的または半永久的であってもよく、容器であって、特には検討されているようにアダプタ38が、前記蛇口配管に接続され得る。
【0046】
例えば、図3Aおよび図3Bから見られるように、受部5は、例えば、上下逆さまの位置での肩部分8の少なくとも一部、または、上に真っ直ぐな位置での底部部分によって、容器3が前記受部5の壁11によって支持され得るように、例えば半球形といった実質的にボウルの形とされ得る。好ましくは、接触冷却のための近い接触においてである。受部5の下端には、窪み36が、容器を上下逆さまの位置で使用するとき、首部7に設けられている分注ユニット34またはその少なくとも一部によって、または、特には、ガス回路を接続するために上に真っ直ぐな位置における容器3の入口開口9である底部部分24に接続された、または接続されるこのようなユニット34によって、容器の首部分7を受け入れるために、設けられ得る。実施形態では、窪み36は、首部7および/または分注ユニット34が窪み36の底部37に圧し掛からないようになり得る。上に真っ直ぐな位置を用いる実施形態では、例えば、ガス回路コネクタがこのような窪みに位置決めされ得る。
【0047】
検討されているように、冷却システム26が筐体4に設けられ、ここでは、圧縮機および蒸発器に基づく冷却システムとして示されており、その冷却システムは、受部5の壁11または少なくともその関連する部品を冷却するために、壁11および可及的に窪み36に近接して延びる、または、壁11および可及的に窪み36の内側で延びる冷却回路95などを有する。冷却装置26は、少なくとも、出口開口の近く、つまり、首部7および可及的には肩部分8における飲料が、所望の温度になるように、または、所望の温度にできるだけ近くなるように、壁11を所定の温度で維持するように、または、少なくとも壁を冷却するように、好ましくは設計される。飲料および使用者の好みに応じて、この温度は、例えば、限定されることはないが、例えば約6℃といった約4~9℃に、好ましく設定できる。他の温度または温度範囲が設定されてもよい。
【0048】
例えば図3Bにおいて見られるように、容器の肩部分8は、受部の壁11に密に嵌まることができ、肩部分における内側の容器3Bは、外側の容器の内面に沿って具合よく嵌まることができる。したがって、壁11と容器3の肩部分との間の接触冷却は、驚くべきことに、非常に効果的であることが判明している。
【0049】
受部5が異なるように成形され、図3Bによって描写されているものと異なる種類の容器に嵌まり得ることは、留意されている。
【0050】
容器3は、プラスチックから、具体的には有機ポリマから、好ましくは主に製造される。このような材料は、ある度合いまで柔軟性があり、そのため、圧力の影響の下で変形することができ、具体的には、容器3の内側の環境と外側の環境との間での圧力の差の変化の下で変形することができる。さらに、容器3は、容器3の内側、容器3の外側、またはそれら両方での温度の変化により変形する可能性がある。これは、容器3が、受部5によって保持されている容器3の全体の部分にわたって、受部5の壁11との直接的な接触にない可能性があることを意味する。結果として、容器3およびその内容物から受部5および冷却システム26への熱エネルギーの伝達は、最適ではない可能性がある。
【0051】
容器3から受部5および冷却システム26への熱エネルギーの伝達は、容器における飲料の冷却に影響を有するが、冷却効率にも影響を有する。冷却の効率は、容器と受部の壁11との間の接触の質を考慮することで向上させることができる。
【0052】
壁11と容器3との間の接触の質は、一方においての、壁11と容器3とが接触している実際の領域と、他方においての、互いと接触し得る容器3と壁11との可能な最大の領域との間の割合として、定めることができる。
【0053】
実際の接触領域は、壁11または容器3にわたって分散された圧力センサを用いて測定でき、作動させられた圧力センサの量に基づいて、実際の接触領域と可能な最大の接触領域との間の割合が決定できる。
【0054】
接触の質を決定するための他の選択肢は、容器3と壁11との間に電圧を加え、容器3から壁11への電流、または、壁11から容器3への電流を測定することによるものである。容器3と壁11との間の接触の抵抗は、接触の領域に比例する。容器3と壁11との間の可能な最大の接触領域の状況における抵抗が分かっている場合、実際の接触領域は、実際の電流および電圧に基づく実際の抵抗から推定できる。この任意選択の実施において、容器3および壁11のうちの少なくとも一方は、この目的に適する導電性被覆で覆われてもよく、完全に金属の被覆は好ましいとされない可能性があるが、伝導性/抵抗性を有する様々な被覆が利用可能であることは、留意されている。
【0055】
先に検討されている選択肢であれば、追加のセンサが、接触の質を決定するために必要とされる。容器3の温度を感知するための温度センサ42(図3B)を使用することによって接触の質を決定することも可能である。代替で、温度センサ42は、受部5の壁11の温度を感知するために使用されてもよい。
【0056】
温度センサ42が容器3の温度を感知するように配置される場合、温度センサ42は、壁11から好ましくは隔離され、容器3の壁との接触を確保するために壁11から突出する。任意選択で、温度センサ42は、容器3の壁が受部5にできるだけ良好に嵌まり、壁11との良好な接触を確保するのを邪魔しないように、柔軟に吊るされてもよい。
【0057】
温度センサ42が壁11の温度を感知するために配置される場合、温度センサ42は、容器3が受部5に設けられる場合に容器3に接触することができないように設けられる。他の実施では、温度センサ42が壁11および容器3の第1の方の温度を感知し、追加の温度センサが壁11および容器3の第2の方の温度を感知するように、設けられる。
【0058】
接触の質が良好である場合、熱エネルギーは、容器3から壁11へと比較的素早く伝達され、続いて冷却システム26へと素早く伝達されることになり、これは、容器3、および容器3に提供された飲料の素早い冷却をもたらすことになる。
【0059】
飲料がより冷たくなるにつれて、容器温度を感知する温度センサ42は、時間に伴って温度上昇率の低下を感知することになる。この実施では容器温度を感知する温度センサ42は、冷却システム26を用いて冷却されている受部5の壁11の近くで、容器3の壁に接して配置される。そのため、受部5の壁の近くに位置付けられた飲料の感知された温度は、容器3におけるより高い場所における飲料の温度より低くなる。冷却システム26がスイッチオフされるとき、熱エネルギーは容器における飲料からもはや引き出されず、飲料における温度分布は平衡へと移ることになる。結果として、温度センサ42に近い飲料の温度が上昇することになる。
【0060】
熱力学の基本的な原理のため、冷却システム26がスイッチオフされた後に温度が上昇する速さは、飲料における温度勾配に依存する。容器3における飲料の瞬間的な平均温度が比較的低い場合、温度の上昇は、容器3における飲料の瞬間的な平均温度が比較的高い場合よりも低い速さになる。
【0061】
容器3における飲料の温度は、例えば、低い接触の質により、容器3と受部の壁11との間の接触の領域が比較的小さいため、測定の前の冷却が十分でなかった場合、比較的高い。この方法では、温度上昇の速さは接触の質を示している。領域の接触が好ましいが、接触は、実際には、線接触であり得る、または点接触ですらあり得る。
【0062】
接触の質が低い場合に期間が長くなり、接触の質が高い場合、冷却システム26がスイッチオンされている期間が短くなるように、冷却システム26がスイッチオンされる時間期間を変えることが好ましい。
【0063】
冷却システムの動作は、第3の態様の実施を描写している流れ図500と併せて、さらに明らかにされる。手順は、飲料分注組立体1に含まれる処理ユニットによって制御され得る。このような処理ユニットは、この任務を遂行するように配置されたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、PLD、FPGA、または他の電子的もしくは電気的な計算モジュールであり得る。流れ図500の様々な部分は、以下のようにまとめることができる。
502 手順を開始する
504 容器を受け入れる
506 初期冷却
508 初期要件は満たされたか?
510 冷却システムをスイッチオフする
512 容器温度を感知する
514 時間を記録する
516 要件は満たされたか?
518 温度上昇時間を得る
520 冷却システム動作時間を計算する
522 決定された時間にわたって冷却システムを動作させる
【0064】
手順は、システム全体が初期化される端子502において開始する。手順は、容器3を受部5において受け入れることで、ステップ504へと続く。ステップ506において、処理ユニットは、冷却を開始するために冷却システム26を動作させる。図6Aにおいて、これは第1のグラフ600において見ることができる。第1のグラフは、時間に対する温度を描写している。左側には、初期冷却ステップが見て取れる。
【0065】
ステップ508において、処理ユニットは、容器3における飲料を冷却するための予め決定されていた目的が遂行されたかどうかを確認する。このような予め決定されていた目的は、温度センサ42または他のセンサを用いて感知される容器3または壁11の温度であり得る。
【0066】
容器3が受け入れられ、冷却動作が第1の時間にわたって開始される場合、任意選択で、基準は予め決定された長さの時間である。これは、容器3が、例えば15℃以上、18℃以上、20℃以上、または25℃以上といった比較的高い温度を有するように感知される場合、特に有利である。これは、具体的には容器3に貯蔵された飲料の奥深くといった、容器3の奥深くの冷却を可能とする。追加または代替で、感知された温度(センサ42を用いて感知される)が、新たな容器3を受け入れた後の最初の冷却動作の実行の間、例えば-1℃以下、0℃以下、1℃以下、2℃以下、または3℃以下といった、予め決定された温度以下になると、流れ図500によって描写された手順のさらなるステップが実行されるだけである。
【0067】
予め決定された基準が満たされた場合、冷却システム26はステップ510においてスイッチオフされる。続いて、処理ユニットは、ステップ512において、感知された温度を得ることを開始し、ステップ514において、時間を記録する。
【0068】
ステップ516において、感知された温度がカットオン温度以下であるかどうかが確認される。カットオン温度に達していない場合、処理ユニットは感知された温度の監視を続け、時間を記録する。カットオン温度に達している場合、または、時間期間の経過など、他の基準が満たされる場合、手順はステップ518へと続き、時間期間が、冷却システム26をスイッチオフすることと、カットオン温度に達することとの間で得られる。この時間期間は、容器3と受部5の壁11との間の相対的または絶対的な接触領域、接触線、および/または接触点を示す接触品質の例である。検討されているように、接触の質は他の方法で決定されてもよい。
【0069】
ステップ520において、得られた温度上昇時間、または他の接触の質の因子に基づいて、冷却システム26が続く冷却ステップでスイッチオンされている時間期間が得られる。ステップ522において、処理ユニットは、ステップ520において決定された時間期間の間に動作させるように冷却システム26を制御する。続いて、手順は、冷却システムをスイッチオフすることで、ステップ510へと戻るように分かれる。
【0070】
検討されているように、冷却システム26の動作時間は、温度がカットオン温度まで上昇する時間が増加するにつれて減少する。これは、図6Aにおける第1のグラフ600に描写されている。
【0071】
温度がカットオン温度まで上昇する時間が減少することも可能である。このようなことは、周囲温度が上昇する場合である可能性があり、これは図6Bにおける第2のグラフ610に描写されている。周囲温度の上昇の影響は、追加的または代替で、出力が処理ユニットに提供される周囲温度センサを用いて周囲温度を得ることによって考慮されてもよい。
【0072】
容器3における飲料の量を減少させることで、容器3は変形することができる。このような変形は、容器と受部5の壁11との間の接触領域の減少をもたらす可能性がある。小さい接触領域であれば、小さい量の熱エネルギーが、単位時間当たりに容器3における飲料から受部5へと伝達されることになる。先に検討されているような冷却アルゴリズムの適用によって、冷却装置26のオン時間が短くなることを意味している。それでもなお、少量の飲料は、具体的には、より多くの冷却が必要とされ得るより高い周囲温度において、温度が素早く上昇することになる。
【0073】
この矛盾に対処するために、容器3における飲料の量は、冷却装置26がスイッチオンされている時間を決定することに対して考慮されてもよい。容器3における飲料の量は、予め決定された容器について通常は前もって知られている初期の容量を得ることで、および、容器に残った飲料の量を決定することで、決定され得る。容器に残った飲料の量は、いくつかの方法で決定できる。例えば、飲料分注組立体1には、分注回路35を通じて流れる飲料の量、または容器の外へと流れる飲料の量を決定するために配置される流量計が設けられ得る。
【0074】
追加または代替で、弁31が開けられている時間が決定されてもよい。弁31の流量は分かっており、満タンの容器3が受部に設置されているため、弁31が開いていた全体の時間の長さを決定することで、容器3を出て行った飲料の量が決定できる。最初の量が分かっていれば、容器3に残されている飲料の量が決定できる。他の実施形態では、追加または代替で、飲料が中にある容器3の重量が決定され得る。空の容器3の予め決定された重量が分かっていれば、容器に残されている飲料の量が決定できる。
【0075】
容器3に残されている飲料の量、センサ42を用いて測定された容器3の温度、飲料の目標温度、および、冷却装置26の冷却出力に基づいて、容器3における飲料の目標温度を得るために冷却装置26がスイッチオンされる必要がある時間の長さが決定され得る。また、飲料の種類が考慮されてもよく、いくつかの飲料は他の飲料より大きい熱容量を有する。
【0076】
ある実施形態では、温度センサ42によって感知される容器3の温度は、実質的に飲料と同じ温度になると仮定される。他の実施形態では、感知された温度が補正され、感知された温度は、飲料の実際の温度より1℃または2℃だけ高くまたは低くなると仮定され得る。飲料分注システム1の周囲温度は、このステップにおいて考慮されてもよい。
【0077】
これにより、冷却装置26がスイッチオンされている時間が決定され、続いて、流れ図500によって描写されている手順を用いて決定された時間と比較される。冷却について、好ましくは、冷却のための最も長い時間間隔が適用される。
【0078】
冷却装置26がスイッチオンされている時間を決定するために容器3に残されている飲料の量を考慮する先に記載されているルーチンは、予め決定された量の飲料のみが容器に残されているときに用いられてもよい。その理由は、比較的多くの量の飲料が容器に残されていると、容器3における全体の量の飲料を完全に冷却するために必要とされる長い冷却が、受部の壁11の低すぎる温度をもたらし、これが分注回路35における飲料の凍結を結果的にもたらす可能性があるためである。したがって、冷却装置26の作動についての最大時間を定めることが好ましいとされ得る。このような実施形態では、先に記載されているような2つのアルゴリズムによって決定された冷却時間のうちの最も長い冷却時間が選択され、選択された冷却時間と最大冷却時間とから、最短の冷却時間が選択される。
【0079】
本発明は、本明細書において先に明確に開示および検討された実施形態に決して限定されない。限定されることなく、図示および記載された実施形態の一部の組み合わせを含め、本発明の多くの変形が可能である。例えば、少なくとも1つの開口9が異なる位置に設けられてもよく、少なくとも1つの開口9は、例えば、閉鎖リング47を通じて、好ましくは実質的に径方向外方へ、例えば内面またはリングの壁を通じて、容器同士の間の空間へと延び、アダプタ38は、前記少なくとも1つの開口9と適切に連通するためのリングへと延び得る。容器には、首における1つだけの開口、またはいくつかのこのような開口が設けられてもよい。実施形態では、容器は単一の壁の容器とでき、ガスは、例えばCO2または窒素ガス(N2)といった、飲料へと直接的に挿入され得る。実施形態では、容器は、蓋の中の空間を加圧することで圧縮可能であり得る。実施形態では、閉鎖リング47とアダプタ38とは一体にされてもよい。それらは、閉鎖体として容器3に直接的に接続でき、アダプタとして適切であり得る。実施形態では、分注アダプタおよびアダプタは、互いと、および/または、閉鎖リングと、一体にされてもよい。容器における弁の代わりに、例えば、アダプタおよび/もしくは分注アダプタによって穿孔することができる穿孔可能閉鎖体、または、蛇口装置との協働のためのアダプタおよび/または分注アダプタと置き換えることができる取り外し可能な閉鎖体といった、異なる閉鎖体が使用できる。
【0080】
限定されることはないが、開示されているような本発明の要素のすべての組み合わせを含め、これらの修正および多くの他の修正が、提示されているような本発明の範囲内で、本明細書において同じく開示されていると見なされている。
【符号の説明】
【0081】
1 飲料分注組立体、蛇口組立体、飲料分注システム
2 分注装置、蛇口装置
3 飲料容器
4 筐体
5 受部
6 容器3の一部分
7 首部分
8 肩部分
8A 流出開口
9 ガス入口開口
10 肩部分8の一部
11 受部5の壁
12 蓋
13 容器3の一部
14 蓋12の内面
15 空間
16 頂部
17 本体部分
18A 内側壁
18B 外側壁
19 空間
20 領域
21 シール
22 ブランド
23 本体部分
24 底部部分
26 冷却装置、冷却システム
27 壁11の一部分
29 蛇口
30 動作機構
31 弁
32 注ぎ口
34 分注ユニット
35 分注回路、蛇口回路
36 窪み
38 アダプタ
42 温度センサ
95 冷却回路
X-X 長手方向軸
図1
図1A
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】