(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】多層スポークを有する非空気式タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 7/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B60C7/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526813
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020056280
(87)【国際公開番号】W WO2021096643
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイドナー、ロス ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC31
3D131CC03
3D131LA28
(57)【要約】
非空気式タイヤは、環状内側リングと、環状外側リングと、環状内側リングから環状外側リングまで延在する支持構造と、を含む。支持構造は、多層構造を含む。多層構造は、スキム層と、スキム層内に埋め込まれた複数のコードと、スキム層の表面の少なくとも一部分を覆う外側保護層と、を含む。外側保護層は、スキム層よりもオゾン曝露に対してより大きい耐性を有する。非空気式タイヤを作製する方法は、スキム層内に埋め込まれた複数のコードを有するスキム層の表面の少なくとも一部分に外側保護層を適用することによって、多層構造を形成することを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気式タイヤであって、
環状内側リングと、
環状外側リングと、
前記環状内側リングから前記環状外側リングまで延在する支持構造と、を備え、前記支持構造が、
スキム層と、
前記スキム層内に埋め込まれた複数のコードと、
前記スキム層の表面の少なくとも一部分を覆う外側保護層と、を含む、多層構造を含む、非空気式タイヤ。
【請求項2】
前記支持構造が、複数のスポークを含み、前記多層構造が、前記複数のスポークのうちの少なくとも1つのスポークの少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項3】
前記支持構造が、相互接続されたウェブを含み、前記多層構造が、前記相互接続されたウェブの少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項4】
前記外側保護層が、前記スキム層よりもオゾン曝露に対してより大きい抵抗を有する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項5】
前記外側保護層が、前記スキム層の前記表面の大部分を覆う、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項6】
前記外側保護層が、前記スキム層の前記表面全体を覆う、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項7】
前記支持構造が、前記環状内側リングと前記環状外側リングとの間に波状スポークを含み、前記多層構造が、前記波状スポークの少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項8】
前記支持構造が、複数の別個の支持要素を含み、これらの各々が、前記環状内側リングから前記環状外側リングまで延在し、前記複数の別個の支持要素が、前記タイヤの回転軸に対して円周方向に離間されており、前記多層構造が、前記複数の別個の支持要素のうちの少なくとも1つの支持要素の少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの支持要素が、連続的なループである、請求項8に記載の非空気式タイヤ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの支持要素が、非連続的なである、請求項8に記載の非空気式タイヤ。
【請求項11】
前記支持構造が、複数の結合された支持要素を含み、これらの各々が、前記環状内側リングから前記環状外側リングまで延在し、前記複数の結合された支持要素が、隣接する結合された支持要素がインターフェースに当接する状態で前記タイヤの回転軸に対して円周方向に配置され、前記多層構造が、前記インターフェースの少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項12】
前記複数のコードが、前記複数のコードの前記コードのうちの少なくとも1つが延在する方向に対して垂直に取られた前記多層構造の断面の厚さに対して画定された複数の層内に配置されている、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項13】
非空気式タイヤを作製する方法であって、
多層構造を形成する工程と、
前記多層構造を支持構造に組み込む工程と、
環状内側リングから環状外側リングに延在する前記支持構造を位置決めする工程と、を含み、多層構造を形成する前記工程が、
前記スキム層内に埋め込まれた複数のコードを有するスキム層の表面の少なくとも一部分に外側保護層を適用する工程であって、前記外側保護層が、前記スキム層よりもオゾン曝露に対してより大きい耐性を有する、適用する工程を含む、方法。
【請求項14】
前記外側保護層を適用する前記工程が、カレンダープロセス及び共押出プロセスのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記外側保護層を適用する前記工程が、液体状態における前記外側保護層の浸漬、塗装、又は噴霧のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多層支持構造を有する非空気式タイヤに関する。より具体的には、本開示は、多層スポークを有する非空気式タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイヤ構造は、タイヤが膨張していない又は十分に膨張していない状態で走行することを可能にするが、非空気式タイヤは膨張を必要としない。むしろ、非空気式タイヤは、複数のスポーク、ウェビング、セル、又は内側リングを外側リングに接続する他の片持ち支持構造を含む。いくつかの非空気式タイヤは、外側リングに装着されたトレッドと、内側リングに装着されたリムと、を含む。
【0003】
非空気式タイヤの片持ち支持構造は、動作中に様々な荷重条件を受ける。更に、汚れ、水、雪、砂、泥、又は他の破片は、片持ち支持構造と接触するか、又は片持ち支持構造上に蓄積し得る。支持構造は、望ましい構造的特徴を提供するように選択された材料で構成されているが、環境因子に曝露されるときに特定の材料が劣化する。したがって、有害な環境因子への曝露に耐えながら、タイヤの様々な荷重条件を受けることができる非空気式タイヤ用スポークが必要である。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、非空気式タイヤは、環状内側リングと、環状外側リングと、環状内側リングから環状外側リングまで延在する支持構造と、を含む。支持構造は、多層構造を含む。多層構造は、スキム層と、スキム層内に埋め込まれた複数のコードと、スキム層の表面の少なくとも一部分を覆う外側保護層と、を含む。
【0005】
別の実施形態では、非空気式タイヤは、環状内側リングと、環状外側リングと、環状内側リングから環状外側リングまで延在する支持構造と、を含む。支持構造は、第1のスキム層と、第1のスキム層内に埋め込まれた第1の複数のコードと、第1のスキム層の表面の少なくとも一部分を覆う第1の外側保護層と、を含む、第1の支持要素、及び第2のスキム層と、第2のスキム層内に埋め込まれた第2の複数のコードと、第2のスキム層の表面の少なくとも一部分を覆う第2の外側保護層と、を含む、第2の支持要素を含む。第1及び第2の支持要素は、インターフェースで結合される。
【0006】
更に別の実施形態では、非空気式タイヤを作製する方法は、多層構造を形成する工程と、多層構造を支持構造に組み込む工程と、環状内側リングから環状外側リングに延在する支持構造を位置決めする工程と、を含む。多層構造を形成する工程は、スキム層内に埋め込まれた複数のコードを有するスキム層の表面の少なくとも一部分に外側保護層を適用することを含む。外側保護層は、スキム層よりもオゾン曝露に対してより大きい耐性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面では、以下の詳細な説明と共に、特許請求される本発明の例示的実施形態を説明する構造が例解される。同様の要素は、同一の参照番号で特定される。単一の構成要素として示される要素は、多数の構成要素に置き換えられ得、多数の構成要素として示されている要素は、単一の構成要素に置き換えられ得ることが理解されるべきである。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が例解のために誇張されている場合がある。
【0008】
【
図1】先行技術で既知の変形していない非空気式タイヤの正面図である。
【0009】
【
図2】荷重にさらされたときに変形している
図1の非空気式タイヤの正面図である。
【0010】
【
図3】リムアセンブリを含む先行技術で既知の非空気式タイヤの正面図である。
【0011】
【
図4】多層波状スポークを含む、非空気式タイヤの一実施形態の正面図である。
【0012】
【
図5】多層線形スポークを含む、非空気式タイヤの別の実施形態の正面図である。
【0013】
【
図6】多層非線形スポークを含む、非空気式タイヤの更に別の実施形態の正面図である。
【0014】
【
図7】インターフェースを含む多層スポークを含む、非空気式タイヤの更に別の実施形態の正面図である。
【0015】
【
図8】多層線形スポークの断面図を示す
図5の線8-8に沿って取られた
図5のスポークの部分的な断面図の表示でもある、多層波状スポークの断面図を示す
図4の線8-8に沿って取られた
図4のスポークの部分的な断面図である。
【0016】
【
図9】多層非線形スポークの断面図を示す
図6の線9-9に沿って取られた
図6のスポークの部分的な断面図である。
【0017】
【
図10】連続的なインターフェースを有する多層スポークの断面図を示す
図7の線10-10に沿って取られた
図7のスポークの一実施形態の部分的な断面図である。
【0018】
【
図11】非連続的なインターフェースを有する多層スポークの断面図を示す
図7の線10-10に沿って取られた
図7のスポークの別の実施形態の部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び
図2は、当該技術分野で既知の非空気式タイヤ10の一実施形態を例解する。非空気式タイヤ10は、リムアセンブリ、トレッド、及び多層スポークのうちの1つ以上と共に使用され得るタイヤの例示的な例解に過ぎない。これは、限定することを意図しない。
【0020】
例解された実施形態では、非空気式タイヤ10は、内部表面23及び外部表面24を有する略環状の内側リング20と、内部表面33及び外部表面34を有する略環状の外側リング30と、を含む。略環状の内側リング20及び略環状の外側リング30のうちの一方又は両方は、架橋ポリマー又は非架橋ポリマーで作製することができる。本開示において、「ポリマー」という用語は、架橋ポリマー又は非架橋ポリマーを意味している。いくつかの実施形態では、略環状の内側リング20及び略環状の外側リング30のうちの1つ以上は、金属(例えば、鋼、アルミニウムなど)で作製することができる。
【0021】
非空気式タイヤ10は、略環状の内側リング20及び略環状の外側リング30を接続する、相互接続されたウェブ40を更に含む。相互接続されたウェブ40は、略環状の内側リング20の外側表面24から略環状の外側リング30の内側表面33に、半径方向に延在する支持構造である。
【0022】
例解された実施形態では、相互接続されたウェブ40は、複数の略多角形の開口部50を画定する、ウェブ要素42、44の少なくとも2つの半径方向に隣接する層56、58を有する。代替的な実施形態では、複数のスポーク又は他のオープンセル型支持構造は、内側リング20を外側リング30に接続することができる。
【0023】
一実施形態では、略環状の内側リング20及び略環状の外側リング30は、相互接続されたウェブ40と同じ材料から作製される。略環状の内側リング20、略環状の外側リング30、及び相互接続されたウェブ40は、射出成形若しくは圧縮成形、キャスタブルポリマー、付加製造、又は当該技術分野において概して既知の任意の他の方法によって作製することができ、並びに、同時に形成することが可能であって、その結果、それらの取り付けは、内側リング20、外側リング30、及び相互接続されたウェブ40を含む材料の冷却及び硬化によって形成される。
【0024】
略環状の内側リング20の内部表面23は、タイヤ10が装着されるリムアセンブリ(図示せず)と係合するように構成される。トレッド層70は、略環状の外側リング30の外側表面34に取り付けられる。取り付けは、接着又は従来技術において通常利用可能な他の方法を用いて実施され得る。
【0025】
図2に示されるように、外側リング30は、振動を減少させ、タイヤ10の乗り心地を増加させるトレッド層70のフットプリント領域32の周囲及びフットプリント領域を含む領域48内で変形するように構成することができる。
【0026】
図3は、略環状の内側リング110と、略環状の外側リング120と、内側リング110と外側リング120との間に延在する可撓性の相互接続されたウェブ130と、を有する、当該技術分野において既知のタイヤ100の実施形態の正面図を例解する。可撓性の相互連結されたウェブ130は、多角形状の開口部140を画定する複数のウェブ要素135によって形成される。この特定の実施形態では、ウェブ要素135は、複数の六角形及び実質的に台形の形状を形成し、これは、外側の一連の交互の六角形及び台形の開口部と、内側の一連の交互の六角形及び台形の開口部と、を含む。
図1~
図3に示される幾何学形状は単なる例示であり、任意の幾何学形状が用いられ得ることが理解されるべきである。同様に、スポーク又は他の支持構造が、相互接続されたウェブを提供するために用いられ得る。
【0027】
図3は、加えて、略環状の内側リング110において、リムアセンブリ150上に装着されたタイヤ100を示す。リムアセンブリ150は、(矢印Aによって示されるように)回転軸155を中心に回転し得る。回転は、車両の車軸によって、又はタイヤ100を回転させるための他の手段によって付与することができる。トレッド170は、略環状の外側リング120に取り付けられる。トレッド170は、ゴム又は他のエラストマー材料から製造することができる。
【0028】
図4~
図7は、異なるタイプの非空気式タイヤ200の例示的な実施形態を示す。簡素化のために、
図4~
図7の非空気式タイヤ200は、トレッド及びリムアセンブリなしで例解され、両方とも、
図3のタイヤ100に関して記載されたリムアセンブリ150及びトレッド170と実質的に同じであり得る。同様の構成要素には、同様の参照番号を使用する。
【0029】
図4は、略環状の内側リング210と、略環状の外側リング220と、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間に延在する波状スポーク230aと、を有する、非空気式タイヤ200の一実施例を示す。矢印240で表されるように、波状スポーク230aは、波状パターンで、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間で前後にスポーク材料のシート又はリボン250を巻回することによって形成することができる。
【0030】
図5は、略環状の内側リング210と、略環状の外側リング220と、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間に延在する複数の線形スポーク230bと、を有する、非空気式タイヤ200の一実施例を示す。例解された実施形態では、複数の線形スポーク230bが、実質的に半径方向に延在する。代替的な実施形態(図示せず)では、複数の線形スポークは、半径方向に対してある角度で延在する。かかる一実施形態では、複数の線形スポークは、互いに対して略平行である。代替的な実施形態では、複数の線形スポークは、発散角度で延在する。
【0031】
複数の線形スポーク230bは、線形スポーク202を、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間で固定することによって製造することができる。代替的に、複数の線形スポーク230bは、複数の線形スポーク230bの一体構成要素として、各線形スポーク202を提供するために形成、成形、又は製造され得る。
【0032】
図6は、略環状の内側リング210と、略環状の外側リング220と、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間に延在する複数の非線形スポーク230cと、を有する、非空気式タイヤ200の一実施例を示す。各非線形スポーク203は、楕円形状のループとして例解されるが、他の形状のスポーク(例えば、円形、長方形、台形、多角形、湾曲、波形、不規則的な形状など)が、更なる実施形態において用いられ得る。非線形スポーク203が、連続的なループとして例解されるが、非連続的な構造(例えば、U形状、V形状、S形状、円弧形状など)もまた用いられ得る。例解された実施形態では、各非線形スポーク203は、隣接するスポーク間に空間が存在するように、隣接するスポークから半径方向に離間される。複数の非線形スポーク230cは、各非線形スポーク203を、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間で固定することによって製造することができる。
【0033】
図7は、略環状の内側リング210と、略環状の外側リング220と、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間に延在する複数のスポーク230dと、を有する、非空気式タイヤ200の一実施例を示す。各スポーク204、205は、少なくとも2つの隣接する空隙206、208の間の構造として形成される。例解された実施形態では、各スポーク204、205は、隣接する円形空隙206、208間の構造であるが、更なる実施形態では、他の形状の空隙(例えば、楕円形、長方形、台形、多角形など)が用いられ得る。空隙206、208は、一体構成要素として複数のスポーク230dを提供するために、複数のスポーク230dに形成、成形、又は製造され得る。代替的に、複数のスポーク230dは、複数の連続的な構造(例えば、円形、長方形、台形、多角形など)又は非連続的な構造(例えば、U形状、V形状、S形状、円弧形状など)を、略環状の内側リング210と略環状の外側リング220との間に固定することによって製造することができる。
【0034】
例えば、
図7において破線で表現されるように、複数のスポーク230dは、第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209を、第1の円形ループ207がインターフェース221、222で第2の円形ループ209と接触する状態で、略環状の内側リング間210と略環状の外側リング220との間に固定することによって形成され得る。第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209は、1つ以上の機械的締結具(例えば、ボルト、クランプ、ブラケット)、接着剤(例えば、糊、溶接、ろう付け、又は加熱、若しくは他の結合方法を含み得る化学結合プロセス)のうちの1つ以上によって、インターフェース221、222でともに結合される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209を結合する方法は、第1の円形ループ207の材料を第2の円形ループ209の材料と融着させて、連続的な境界としてインターフェース221を形成し得る。代替的に、いくつかの実施形態では、第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209を結合する方法は、非連続的な境界としてインターフェース222を形成し得る。多層スポーク204、205のインターフェース221、222が連続的又は非連続的であるかどうかにかかわらず、追加の材料215が、任意選択的に、第1の円形ループ207と第2の円形ループ209との間に追加されて、間隙を充填し、多層スポーク204、205に追加の支持を提供し得る。
【0036】
一方で
図4~
図7は、スポークを有する非空気式タイヤを示すが、非空気式タイヤは、相互接続されたウェブなどの他の支持構造を有し得ることが理解されるべきである。例えば、相互接続されたウェブは、下部の組のスポーク及び上部の組のスポークによって形成され得、各組のスポークは、上に示されるか、又は説明された実施形態のうちの1つと同様である。
【0037】
図8は、多層波状スポーク230aを示す、
図4の線8-8に沿って取られた非空気式タイヤ200の一部分の断面図を示す。多層波状スポーク230aは、スキム層355内に埋め込まれた複数のコード300を含む。複数のコード300の各コード301、302、303、304、305は、多層波状スポーク230aに構造的支持体及び補強材を提供するために、金属(例えば、鋼、真鍮、真鍮めっき鋼)で構成され得る。複数のコード300のうちの1つ以上が構成され得る材料の他の例としては、ポリマー材料、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)などの熱可塑性ポリマー樹脂、ナイロン、レーヨン、天然綿、又は他のタイヤ補強材料が挙げられる。スキム層355は、コード301~305に接着するように配合されたゴム化合物であり得る。例えば、スキム層355は、真鍮めっき鋼コード301~305に接着するように配合されたコバルトを含む、ゴム化合物であり得る。スキム層355が構成され得る、複数のコード300に接着するように配合されたゴム化合物の他の例としては、ポリマー強化材料の場合、レゾルシノールホルムアルデヒドラテックス化学物質が挙げられる。多層波状ウェブスポーク230aは、外側保護層325を更に含む。外側保護層325は、スキム層355に当接し、オゾン劣化に対する耐性が改善された状態の多層波状スポーク201を提供する。すなわち、スキム層355に対して、外側保護層325は、スキム層355よりもオゾンへの曝露により良好に耐える材料特性を有するように配合される。外側保護層325は、タイヤ側壁化合物、ベニヤ化合物、エチレンプロピレンジエンモノマー(ethylene propylene diene monomer、EPDM)ゴム、ネオプレン、ブチルゴム、水素化ジエンゴムなどの合成ゴム、又はオゾンへの曝露に耐えるように配合された他の化合物を含み得る。
【0038】
非空気式タイヤ200の片持ち支持構造(すなわち、波状スポーク230a)は、動作中に様々な荷重条件を受け、したがって、かかる荷重を受けるために構成される。例えば、スキム層355内に埋め込まれた複数のコード300は、かかる荷重を受けるように構成され得る。更に、空気、道路の汚れ、水、雪、砂、泥、又は他の破片が、波状スポーク230aと接触するか、又は波状スポーク230a上に蓄積し得る。複数のコード300及びスキム層355を含む、波状スポーク230aが、望ましい構造的特徴を提供するように選択された材料で構成される一方で、特定の材料は、環境因子(例えば、オゾン)に曝露されるときに劣化する。特に、スキム層355は、オゾンへの曝露には好適ではない場合がある。前述のように、スキム層355は、コード301~305に接着するように配合される。かかる配合物は、コード301~305への良好な接着性を提供しながら、スキム層355をオゾン曝露からの劣化の影響を受けやすい状態にし得る。理論に拘束されるものではないが、スキム層355を、オゾン耐性をより高めるように再配合することは、複数のコード300に対するスキム層355の接着特性を低減させると考えられる。それゆえ、スキム層355よりもオゾン耐性が高い外側保護層325を有して、スキム層355は、複数のコード300に好適に接着し、外側保護層325は、スキム層355及びコード300をオゾン及び他の環境因子への曝露から好適に保護する。
【0039】
非空気式タイヤ200に関する多層スポーク201~205の追加の特徴は、1つ以上のスポーク201~205のうちの1つ以上の特徴が、本開示の範囲から逸脱することなく、非空気式タイヤ200用の多層スポークを提供するために単独で又は組み合わせて提供することができることを理解して、
図8~
図11に関して説明される。それゆえ、1つ以上の多層スポーク201~205のうちの1つ以上の特徴が、
図3~
図7に関して考察された、スポーク構造130、230a、230b、230c、230dのうちの1つ以上を提供するために、単独で、又は組み合わせて提供することができる。同様の特徴には、同様の参照番号を使用する。したがって、本開示の非空気式タイヤ200用の多層スポーク201~205は、様々なタイヤ荷重条件を受けることができ、一方でまた有害な環境因子への曝露に耐えることができる。
【0040】
図8を参照すると、多層波状スポーク230aは、スキム層355を完全に囲み、それゆえ環境に関して、スキム層355のいずれの外側表面を覆う、スキム層355を取り囲む外側保護層325を含む。
図4の線8-8に沿って取られた多層波状スポーク230aの一部分201の断面図を示す、
図8の断面図はまた、
図5の線5-5に沿って取られた多層線形スポーク202の断面図の例解でもある。簡素化のため及び限定ではなく、
図4及び
図5における多層スポーク230a、230bの特徴は、
図5の多層線形スポーク202に関して特徴が同じ又は同様の様式で適用されることを理解して、
図4の多層波状スポーク230aの一部分201に関して
図8において説明される。加えて、
図8に関して示され、かつ説明された断面は、上に示されるか、又は説明された非空気式タイヤのための支持構造のいずれかに適用され得ることが理解されるべきである。
【0041】
図8に示されるように、外側保護層325は、スポーク201の第1の側面上でスキム層355に当接し、環境に曝露された外側表面311を有する、第1の外側保護層310と、スポーク201の第2の側面上でスキム層355に当接し、環境に曝露された外側表面321を有する、第2の外側保護層320と、スポーク201の第3の側面上でスキム層355に当接し、環境に曝露された外側表面331を有する、第3の外側保護層330と、スポーク201の第4の側面上でスキム層355に当接し、環境に曝露された外側表面341を有する、第4の外側保護層340と、を含む。別個の保護層310、320、330、340として示されているが、外側保護層325は、スキム層355の外側表面311、321、331、341を囲む単一の連続的な保護層として提供することができる。
【0042】
4つの側面を有するスキム層355を備えて長方形の断面として例解されるが、多層スポーク201は、スキム層355が1つ以上の側面を含むように、他の形状の断面(例えば、三角形、四角形、台形、多角形、円形、楕円形など)を画定し得る。外側保護層325は、スキム層355を環境から保護するために、スキム層355の1つ以上の側面の少なくとも一部分上に提供される。例えば、いくつかの実施形態では、外側保護層330及び340は、任意選択的に省略され得、この場合、スキム層355の一部分は、環境に曝露され得る。このような場合、理論に拘束されるものではないが、スキム層355の比較的大きい表面積を外側保護層310、320で環境から保護しながら、スキム層355の比較的小さい表面積を環境に曝露させることは、様々なタイヤ荷重条件を受けながら、一方でまた有害な環境因子への曝露に耐えることができるスポーク構造230aを提供することができる。それにより、別様に明記しない限り、外側保護層325は、本開示の範囲から逸脱することなく、いくつかの実施形態では、スキム層355の少なくとも一部分を覆うことができ、他の実施形態では、スキム層355全体を覆うことができることが理解されるべきである。
【0043】
複数のコード300がスキム層355内に埋め込まれている様式は、限定することを意図するものではなく、様々な製造技術で達成することができる。同様に、特に明記しない限り、外側保護層325は、様々な様式でスキム層355に適用され得る。例えば、複数のコード300、スキム層355、及び外側保護層325は、ローラがスキム層355及び複数のコード300をともに圧縮して、スキム層355内に複数のコード300を埋め込む、カレンダープロセスによって製造することができる。複数のコード300のスキム層355内への埋め込みの前に、埋め込みと同時に、又は埋め込みに続いて、ローラは、外側保護層325及びスキム層355を圧縮して、スキム層355の外側表面上に外側保護層325を提供し得る。代替的に、スキム層355、複数のコード300、及び外側保護層325のうちの1つ以上は、複数のコード300が内部に埋め込まれ、外側保護層325がスキム層325の外側表面を覆う、スキム層325を製造するために共押出され得る。
【0044】
他の例では、外側保護層325は、スキム層355を液体状態の外側保護層325に浸漬すること、外側保護層325を塗装又は噴霧などの直接適用を使用して液体状態のスキム層355に適用すること、又は埋め込まれたコード301~305を有するスキム層355の製造中、(固体又は液体状態の)外側保護層325を、スキム層355に接着することのうちの1つ以上によって、スキム層355に適用され得る。更に、5つのコード301~305が例解されているが、多層スポーク201は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数の複数のコード300を含むことができることが理解されるべきである。
【0045】
いくつかの実施形態では、複数のコード300は、複数の層内に配置され得る。
図9は、2つの層内に配置された複数のコード300を有する多層非線形スポーク203を例解する
図6の線9-9に沿って取られた非線形スポーク203の断面図を示す。第1の層は、コード301a~305aを含み、第2の層が、コード301b~305bを含む。第1の層のコード301a~305aは、第2の層のコード301b~305bと位置合わせされるが、他の実施形態では、コード301a~305a、301b~305bは、互いに対してオフセットされ得る。加えて、複数のコード300のうちの1つ以上のコードは、本開示の範囲から逸脱することなく、接触し得る(例えば、巻回されるか、編組されるか、重複するか、又は別様に絡み合わされ得る)。加えて、
図9に関して示され、かつ説明された断面は、上に示されるか、又は説明された非空気式タイヤのための支持構造のいずれかに適用され得ることが理解されるべきである。
【0046】
例解された実施形態では、複数のコード300は、半径方向に延在する。代替的な実施形態では、複数のコード300は、本開示の範囲から逸脱することなく、軸方向、円周方向、又は半径方向に対してある角度で付勢された他の方向に延在し得る。複数のコード300は、多層スポーク201~205と同じ方向に延在し得、又は多層スポーク201~205が延在する方向に対して異なる方向に延在し得る。
【0047】
複数のコード300は、スキム層355に対して構造的補強を提供することが意図され、したがって、スキム層355内に埋め込まれたコード301a~305a、301b~305bの任意の組み合わせ、配向、又は構成が、多層スポーク201~205の任意の組み合わせ、配向、又は構成である際、本開示の範囲内である。
【0048】
図10は、
図7の線10-10に沿って取られた連続的なインターフェース221を含む、多層スポーク204の断面図を示す。
図10に関して示され、かつ説明された断面は、上に示されるか、又は説明された非空気式タイヤのための支持構造のいずれかに適用され得ることが理解されるべきである。一例では、第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209(
図7を参照)は、連続的なインターフェース221を有する多層スポーク204を形成するためにともに結合され得る。連続的なインターフェース221によって、隣接する第1及び第2の円形ループ207、209のスキム層355は、互いに当接し、
図7に関して説明された結合方法のうちのいずれか1つ以上に従ってともに結合されることを意味する。
【0049】
例えば、かかる構成は、第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209が、それぞれの内径上に外側保護層325を含み、それぞれの外径上に外側保護層を含まないときに生じる。
図10内に例解されるように、第1の円形ループ207は、その内径上に外側表面351を有し、及びその外径上に外側保護層がない、外側保護層350を含む。同様に、第2の円形ループ209は、その内径上に外側表面381を有し、及びその外径上に外側保護層がない、外側保護層380を含む。それゆえ、ともに結合されるとき、(そのスキム層355が曝露された)第1の円形ループ207の外径は、(そのスキム層355が曝露された)第2の円形ループ209の外径に当接する。各円形ループ207、209のそれぞれの当接スキム層355は、連続的なインターフェース221を画定し、外側表面351、381を有するそれぞれの外側保護層350、380は、スキム層355を環境への曝露から保護する。
【0050】
図11は、
図7の線10-10に沿って取られた非連続的なインターフェース222を含む、多層スポーク205の代替的な断面図を示す。
図11に関して示され、かつ説明された断面は、上に示されるか、又は説明された非空気式タイヤのための支持構造のいずれかに適用され得ることが理解されるべきである。第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209(
図7を参照)は、非連続的なインターフェース222を有する多層スポーク205を形成するためにともに結合される。非連続的なインターフェース222によって、隣接する第1及び第2の円形ループ207、209のスキム層355は、第1及び第2の円形ループ207、209が、
図7に関して説明された結合方法のうちのいずれか1つ以上に従ってともに結合されるとき、互いに当接しないことを意味する。
【0051】
例えば、かかる構成は、第1の円形ループ207及び第2の円形ループ209が、それぞれの内径及び外径上に外側保護層325を含むときに生じる。
図11内に例解されるように、第1の円形ループ207は、その内径上に外側表面351を有する外側保護層350及びその外径上に表面361を有する外側保護層360を含む。同様に、第2の円形ループ209は、その内径上に外側表面381を有する外側保護層380及びその外径上に表面371を有する外側保護層370を含む。それゆえ、ともに結合されるとき、第1の円形ループ207の外側保護層360の表面361は、第2の円形ループ209の外側保護層370の表面371に当接する。各円形ループ207、209のそれぞれのスキム層355は、それゆえ、当接する外側保護層360、370によって分離され、それにより、非連続的なインターフェース222を定義する。外側表面351、381を有するそれぞれの外側保護層350、380は、スキム層355を環境への曝露から保護する。
【0052】
少なくとも本明細書に開示される理由で、本開示の非空気式タイヤ200用の多層スポーク201~205は、様々なタイヤ荷重条件を受けることができ、一方でまた有害な環境因子への曝露に耐えることができる。
【0053】
「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲まで、「含む(comprising)」という用語が特許請求項で移行句として採用される際の解釈と同様に包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が採用される範囲において(例えば、A又はBなど)、「A、又はB、又はAとBとの両方とも」を意味することが意図されている。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、「A又はBの両方ではなく一方のみ」という用語が採用されるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包括的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を追加的に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、「と直接接続する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0054】
本出願をその実施形態の記述によって例解し、またその実施形態をかなり詳細に説明てきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形式でも限定することは、出願人らの本意ではない。追加の利点及び改良が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広い態様における本出願は、図示及び説明される、特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例解的な実施例に限定されない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような詳細からの逸脱がなされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気式タイヤであって、
環状内側リングと、
環状外側リングと、
前記環状内側リングから前記環状外側リングまで延在する支持構造と、を備え、前記支持構造が、
スキム層と、
前記スキム層内に埋め込まれた複数のコードと、
前記スキム層の表面の少なくとも一部分を覆う外側保護層と、を含む、多層構造を含む、非空気式タイヤ。
【請求項2】
前記支持構造が、複数のスポークを含み、前記多層構造が、前記複数のスポークのうちの少なくとも1つのスポークの少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項3】
前記外側保護層が、前記スキム層よりもオゾン曝露に対してより大きい抵抗を有する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項4】
前記支持構造が、複数の別個の支持要素を含み、これらの各々が、前記環状内側リングから前記環状外側リングまで延在し、前記複数の別個の支持要素が、前記タイヤの回転軸に対して円周方向に離間されており、前記多層構造が、前記複数の別個の支持要素のうちの少なくとも1つの支持要素の少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【請求項5】
前記複数のコードが、前記複数のコードの前記コードのうちの少なくとも1つが延在する方向に対して垂直に取られた前記多層構造の断面の厚さに対して画定された複数の層内に配置されている、請求項1に記載の非空気式タイヤ。
【国際調査報告】