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特表2023-501528KRAS G12C阻害剤化合物の改善された合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】KRAS G12C阻害剤化合物の改善された合成
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20230111BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C07F5/02 F
C07D471/04 118Z
A61K31/496
A61P35/00
C07F5/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527130
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020060421
(87)【国際公開番号】W WO2021097212
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/935,502
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ,アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ビーバー,マシュー
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
4H048
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB11
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH04
4C065JJ02
4C065KK09
4C065LL08
4C065PP03
4C065PP12
4C065PP15
4C065QQ02
4C065QQ05
4C086AA04
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB26
4H048AA01
4H048AA02
4H048AB84
4H048AC90
4H048VA11
4H048VA20
4H048VA22
4H048VA77
4H048VB10
(57)【要約】
本開示は、KRAS G12C変異癌の治療のための化合物、例えば化合物9の合成に有用である、2,2’,2’’-(1,3,5,2,4,6-トリオキサトリボリナン-2,4,6-トリイル)トリス(3-フルオロフェノール)などの中間体化合物を調製するための改善された効率的でスケーラブルなプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式6A:
【化1】
の化合物。
【請求項2】
組成物であって、式6A:
【化2】
の化合物を含む組成物。
【請求項3】
式6A:
【化3】
の化合物を製造する方法であって、構造:
【化4】
を有する化合物を含む混合物を少なくとも1つの溶媒とともに酸と反応させることを含む方法。
【請求項4】
前記酸は、BBrである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの溶媒は、ジクロロメタンである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溶媒は、ヘプタンである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物は、約-20℃に冷却される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記構造:
【化5】
の化合物を製造する方法は、構造:
【化6】
を有する化合物を試薬、第1の塩基、第2級アミン塩基、触媒及び酸と混合することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の塩基は、n-ブチルリチウムである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2級アミン塩基は、ジイソプロピルアミンである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒は、トリエチルアミン塩酸塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記試薬は、ホウ酸トリエチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記酸は、HClである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記式6Aの化合物は、式7:
【化7】
を有する化合物を生成するために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
式7
【化8】
の化合物を製造する方法であって、式6A
【化9】
の化合物を式6
【化10】
の化合物とPd(dpePhos)Cl及びKOAcの存在下で反応させる工程を含む方法。
【請求項16】
前記式6Aの化合物は、式9:
【化11】
を有する化合物を生成するために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記式9の化合物を少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と混合して、医薬組成物を形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年11月14日に出願された米国仮特許出願第62/935,502号明細書の利益を主張するものであり、その出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、KRAS G12C変異癌の治療のための化合物の合成に有用である、構造
【化1】
を有する式6Aの化合物などの中間体化合物を調製するための改善された効率的でスケーラブルなプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
KRAS遺伝子の変異は、膵癌、肺腺癌、結腸直腸癌、胆嚢癌、甲状腺癌及び胆管癌においてよく見られる。KRAS変異は、NSCLCの患者の約25%でも観察され、いくつかの研究は、KRAS変異がNSCLCの患者の負の予後因子であることを示している。近年、V-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルスの癌遺伝子相同体(KRAS)変異は、結腸直腸癌における上皮増殖因子受容体(EGFR)標的治療に対する耐性を付与することが見出されており、したがって、KRASの変異状態は、TKI治療の処方前に重要な情報を提供することができる。総合すると、膵癌、肺腺癌又は結腸直腸癌の患者、特にKRAS変異を特徴とするこのような癌を有すると診断された患者及び化学療法後に進行した患者を含む患者のための新しい医学的治療が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、以下の化学構造:
【化2】
を有する化合物の改善された調製に関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
略語:本明細書では、下記の略語を使用することができる。
【0006】
【表1】
【0007】
【表2】
【0008】
【表3】
【0009】
本発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」及び類似の指示対象の使用は、別段の指示がない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書中に別段の指示がない限り、その範囲内に入る別個の各値に個別に言及する簡潔な方法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎず、別個の各値は、あたかも個別に本明細書に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で提供されるあらゆる例又は例示的表現(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく説明することを意図し、別段の主張がない限り、本発明の範囲に対する限定ではない。本明細書のいかなる表現も、特許請求されていない要素を本発明の実施に不可欠のものとして示していると解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル及び2-エチルブチルを含むが、これらに限定されない直鎖状及び分枝状のC~C炭化水素基を指す。Cm~nという用語は、アルキル基が「m」~「n」個の炭素原子を有することを意味する。「アルキレン」という用語は、置換基を有するアルキル基を指す。アルキル(例えば、メチル)又はアルキレン(例えば、-CH-)基は、独立して選択される例えばハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アルキルアミノ、C1~8アルキル、C2~8アルケニル、C2~8アルキニル、-NC、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアルキル、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールの1つ以上、典型的には1~3つで置換することができる。「ハロアルキル」という用語は、特に、アルキル基の少なくとも1つ、例えば1~6つ又は全ての水素がハロ原子で置換されているアルキル基を指す。
【0011】
「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、それぞれ二重結合又は三重結合をさらに含むアルキル基を示す。
【0012】
本明細書で使用する場合、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。「アルコキシ」という用語は、-ORと定義され、Rは、アルキルである。
【0013】
本明細書で使用する場合、「アミノ」又は「アミン」という用語は、互換的に-NR基を指し、各Rは、例えば、H又は置換基である。いくつかの実施形態では、アミノ基は、さらに置換されて、アンモニウムイオン、例えばNR を形成する。アンモニウム部分は、特に「アミノ」又は「アミン」の定義に含まれる。置換基は、例えば、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミド又はカルボキシレートであり得る。R基は、例えば、ハロ、シアノ、アルケニル、アルキニル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、尿素、カルボニル、カルボキシレート、アミン及びアミドから選択される1つ以上、例えば1~4つの基でさらに置換され得る。「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」基は、アミン又はアミノ基に類似の基を互換的に指すが、C(O)、例えば-C(O)NRをさらに含む。
【0014】
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、C6~14単環式若しくは多環式の芳香族基、好ましくはC6~10単環式若しくは二環式の芳香族基又はC10~14多環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル及びテルフェニルが挙げられる。アリールは、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分的に不飽和又は芳香族である、C10~14二環式及び三環式の炭素環、例えばジヒドロナフチル、インデニル、インダニル又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)も指す。別段の指示がない限り、アリール基は、非置換であるか、又は例えばハロ、C1~8アルキル、C2~8アルケニル、C2~8アルキニル、-CF、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアリール、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールから独立して選択される1つ以上、特に1~4つの基で置換され得る。
【0015】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、単環式又は多環式の非芳香族炭素環式環を指し、多環式環は、縮合、架橋又はスピロであり得る。炭素環式環は、3~10個の炭素環原子を有することができる。考えられる炭素環式環としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル及びシクロノニルが挙げられる。
【0016】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、合計で3つ以上(例えば、3~12、4~10、4~8又は5~7つ)の原子を含有し、その1~5つ(例えば、1、2、3、4又は5つ)の原子は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される、単環式又は多環式の(例えば、二環式の)飽和又は部分的に不飽和の環系を意味する。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピロリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロピリジニル、オキサシクロヘプチル、ジオキサシクロヘプチル、チアシクロヘプチル及びジアザシクロヘプチルが挙げられる。
【0017】
別段の指示がない限り、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、又は1つ以上、特に1~4つの基で置換され得る。いくつかの考えられる置換基としては、ハロ、C1~8アルキル、C2~8アルケニル、C2~8アルキニル、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアル、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、1~3つの芳香環を含有し、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4つ(例えば、1、2、3又は4つ)のヘテロ原子を芳香環中に含有する、単環式又は多環式の環系(例えば、二環式)を指す。特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~20、5~15、5~10又は5~7つの原子を有する。ヘテロアリールは、1つの環が芳香族であり、他の環が飽和、部分不飽和又は芳香族である、C10~14の二環式及び三環式の環も指す。ヘテロアリール基の例としては、以下に限定されないが、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キアゾリニル、チアジアゾロピリミジル及びチエノピリジルが挙げられる。別段の指示がない限り、ヘテロアリール基は、非置換であるか、又は1つ以上、特に1~4つ又は1つ若しくは2つの置換基で置換され得る。考えられる置換基としては、ハロ、C1~8アルキル、C2~8アルケニル、C2~8アルキニル、-OCF、-NO、-CN、-NC、-OH、アルコキシ、アミノ、-COH、-CO~Cアルキル、-OCOC~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10ヘテロシクロアル、C~C10アリール及びC~C10ヘテロアリールが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用する場合、Bocという用語は、構造
【化3】
を指す。
【0020】
実施形態
実施形態1
本開示の一実施形態では、本開示は、式6A
【化4】
の化合物を含む。
【0021】
実施形態2
本開示の別の実施形態では、本開示は、組成物であって、式6A:
【化5】
の化合物を含む組成物を含む。
【0022】
実施形態3
本開示の別の実施形態では、本開示は、式6A:
【化6】
の化合物を製造する方法であって、構造:
【化7】
を有する化合物を含む混合物を少なくとも1つの溶媒とともに酸と反応させることを含む方法を含む。
【0023】
実施形態4
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態3の方法であって、酸は、BBrである、方法を含む。
【0024】
実施形態5
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態3の方法であって、少なくとも1つの溶媒は、ジクロロメタンである、方法を含む。
【0025】
実施形態6
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態3の方法であって、少なくとも1つの溶媒は、ヘプタンである、方法を含む。
【0026】
実施形態7
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態3の方法であって、混合物は、約-20℃に冷却される、方法を含む。
【0027】
実施形態8
本開示の別の実施形態では、本発明は、実施形態3に記載の方法であって、構造:
【化8】
の化合物を製造する方法は、構造:
【化9】
を有する化合物を試薬、第1の塩基、第2級アミン塩基、触媒及び酸と混合することを含む、方法を含む。
【0028】
実施形態9
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態8の方法であって、第1の塩基は、n-ブチルリチウムである、方法を含む。
【0029】
実施形態10
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態8の方法であって、第2級アミン塩基は、ジイソプロピルアミンである、方法を含む。
【0030】
実施形態11
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態8の方法であって、触媒は、トリエチルアミン塩酸塩である、方法を含む。
【0031】
実施形態12
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態8の方法であって、試薬は、ホウ酸トリエチルである、方法を含む。
【0032】
実施形態13
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態8の方法であって、酸は、HClである、方法を含む。
【0033】
実施形態14
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態3の方法であって、式6Aの化合物は、式7:
【化10】
を有する化合物を生成するために使用される、方法を含む。
【0034】
実施形態15
本開示の別の実施形態では、本開示は、式7:
【化11】
の化合物を製造する方法であって、式6A:
【化12】
の化合物を式6:
【化13】
の化合物とPd(dpePhos)Cl及びKOAcの存在下で反応させる工程を含む方法を含む。
【0035】
実施形態16
本開示の別の実施形態では、本開示は、実施形態3の方法であって、式6Aの化合物は、式9:
【化14】
を有する化合物を生成するために使用される、方法を含む。
【0036】
実施形態17
本開示の別の実施形態では、本開示は実施形態16の方法であって、式9の化合物を少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と混合して、医薬組成物を形成することをさらに含む方法を含む。
【0037】
本開示の化合物
本明細書で提供されるのは、以下でより詳細に論じる構造を有するKRAS阻害剤である。
【0038】
本明細書に開示される化合物は、本明細書に開示される化合物の1つ以上の原子が、同じ原子番号を有するが、通常、天然に見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されている、全ての薬学的に許容される同位体標識化合物を含む。開示される化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばそれぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iが挙げられる。これらの放射性標識化合物は、例えば、作用部位若しくは作用様式又は薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を明らかにすることにより、化合物の有効性の決定又は測定を促進するのに有用であろう。本開示の特定の同位体標識化合物、例えば放射性同位体を組み込んだものは、薬物及び/又は基質の組織内分布の試験に有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわちH及び炭素-14、すなわち14Cは、取り込みの容易さ及び検出手段の準備ができている点でこの目的に特に有用である。
【0039】
重水素、すなわちHなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性が高まることから生じる一定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の延長又は必要投与量の減少)を得ることができ、このため、一部の状況ではこの置換が好ましい。
【0040】
11C、18F、15O及び13Nなどの陽電子放出同位体での置換は、基質の受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮像法(PET)試験において有用であり得る。構造(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られた従来の技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、下記の調製及び実施例に記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0041】
本明細書に開示される同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られた従来の技術により、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、付帯の実施例及びスキームに記載されているものと類似の方法により調製することができる。
【0042】
本明細書に開示される化合物のあるものは、光学異性体及び配座異性体(又はコンフォーマー)を含む立体異性体(すなわち原子の空間的配置のみが異なる異性体)として存在し得る。本明細書に開示される化合物は、両方が純粋な個々の立体異性体調製物及びそれぞれを多く含む調製物、並びに両方がそのような立体異性体のラセミ混合物、並びに当業者に知られる方法に従って分離され得る個々のジアステレオマー及びエナンチオマーとして全ての立体異性体を含む。さらに、本明細書に開示される化合物は、それらの化合物の全ての互変異性型を含む。
【0043】
本明細書に開示される化合物のあるものは、分子の他の部分との立体相互作用の結果として、分子中の単結合の周りの回転が妨げられるか、又は非常に遅くされる場合に生じる、配座立体異性体であるアトロプ異性体として存在し得る。本明細書で開示する化合物は、両方が純粋な個々のアトロプ異性体調製物として、それぞれを多く含む調製物として又はそれぞれの不特定混合物として全てのアトロプ異性体を含む。単結合の周りの回転障壁が十分に高く、且つ立体配座間の相互変換が十分に遅い場合、異性体種の分離及び単離が可能であり得る。例えば、以下に限定されないが、以下の基
【化15】
などの基が回転の制限を示し得る。
【0044】
用語「一水和物」は、約1つの会合した水分子を有する化合物9の塩を意味する。当業者は、会合する水分子の正確な数が温度、圧力及び他の環境的影響の変化により常にわずかに変動し得ることを認識している。会合する水分子の数の全てのわずかな変動は、本開示の範囲内であることが企図される。
【0045】
用語「二水和物」は、約2つの会合した水分子を有する化合物9の塩を意味する。当業者は、会合する水分子の正確な数が温度、圧力及び他の環境的影響の変化により常にわずかに変動し得ることを認識している。会合する水分子の数の全てのわずかな変動は、本発明の範囲内であることが企図される。
【0046】
用語「共結晶」は、周囲温度(20℃~25℃、好ましくは20℃)で2種以上の化合物を含む結晶物質を意味し、これらの化合物の少なくとも2種は、弱い相互作用により一緒に保持され、これらの化合物の少なくとも一方は、共結晶形成者であり、他方は、化合物5である。弱い相互作用は、イオン性でも共有結合性でもない相互作用として定義され、例えば水素結合、ファンデルワールス力及びπ-π相互作用が挙げられる。
【0047】
用語「非晶質形態」又は「非晶質」は、長距離秩序を欠いており、したがって明瞭なX線回折ピーク(すなわちブラッグ回折ピーク)を示さない物質を意味する。非晶質物質のXRPDパターンは、1つ以上の非晶質ハローによって特徴付けられる。
【0048】
用語「非晶質ハロー」とは、非晶質物質のX線粉末パターンにおけるほぼベル形状の最大値である。
【0049】
「実質的に純粋な」という用語は、約95%超、特に約99.5%超、より特に約99.8%超、さらにより特に約99.9%超の純度を有する化合物9の固体形態を指す。
【0050】
用語「患者」は、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ及びヒトなどの動物を意味する。特定の患者は、哺乳類である。患者という用語は、男性及び女性を含む。
【0051】
「治療すること」、「治療する」又は「治療」などの用語は、予防的(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))治療及び緩和治療を含む。
【0052】
用語「賦形剤」は、あらゆる薬学的に許容される添加物、担体、希釈剤、アジュバント又は有効活性成分(API)以外の他の成分を意味し、これらは、典型的には、製剤化及び/又は患者への投与のために含まれる。
【0053】
医薬組成物、投与及び投与経路
また、本明細書では、本明細書に開示される化合物を例えば希釈剤又は担体などの薬学的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物も提供される。本発明における使用に好適な化合物及び医薬組成物は、化合物を、その意図された目的を達成するのに有効な量で投与することができるものを含む。化合物の投与について、以下でより詳細に説明する。
【0054】
好適な医薬製剤は、投与経路及び所望の投与量に応じて当業者が決定することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1435-712(18th ed.,Mack Publishing Co,Easton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。製剤は、投与された薬剤の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビボクリアランス速度に影響を及ぼし得る。投与経路に依存して、好適な用量は、体重、体表面積又は器官サイズに応じて算出され得る。適切な治療用量を決定するために必要である計算のさらなる微調整は、特に、本明細書に開示した投与量情報及びアッセイ並びに動物又はヒトの臨床試験で得られる薬物動態データに照らして、必要以上の実験を行わずに当業者によって日常的に行われる。
【0055】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」という語句は、動物又はヒトに投与された場合、有害な、アレルギー性の又は他の不都合な反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのそのような賦形剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が治療用組成物と適合しない場合を除いて、治療用組成物中でのその使用が考えられる。補助的な活性成分も組成物に組み込むことができる。例示的な実施形態では、製剤は、コーンシロップ固形分、高オレインベニバナ油、ココナッツ油、大豆油、L-ロイシン、第三リン酸カルシウム、L-チロシン、L-プロリン、L-リシンアセテート、DATEM(乳化剤)、L-グルタミン、L-バリン、第二リン酸カリウム、L-イソロイシン、L-アルギニン、L-アラニン、グリシン、L-アスパラギン一水和物、L-セリン、クエン酸カリウム、L-トレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L-ヒスチジン、L-メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L-グルタミン酸、L-シスチン二塩酸塩、L-トリプトファン、L-アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m-イノシトール、硫酸第一鉄、パルミチン酸アスコルビル、硫酸亜鉛、L-カルニチン、アルファ-トコフェリルアセテート、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、混合トコフェロール、パントテン酸カルシウム、硫酸銅、チアミン塩化物塩酸塩、パルミチン酸ビタミンA、硫酸マンガン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、葉酸、ベータ-カロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノン、ビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3及びシアノコバラミンを含み得る。
【0056】
化合物は、薬学的に許容される塩として医薬組成物中に存在することができる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」には、例えば、塩基付加塩及び酸付加塩が含まれる。
【0057】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属又は有機アミンなどの金属又はアミンとともに形成され得る。化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される陽イオンとともにも調製され得る。好適な薬学的に許容される陽イオンは、当業者によく知られており、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウム及び第四級アンモニウム陽イオンを含む。炭酸塩又は炭酸水素塩も可能である。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄などである。好適なアミンの例としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインが挙げられる。
【0058】
薬学的に許容される酸付加塩としては、無機酸又は有機酸の塩が挙げられる。好適な酸塩の例としては、塩酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩が挙げられる。他の好適な薬学的に許容される塩は、当業者によく知られており、例えばギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸又はリン酸との;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸若しくはホスホ酸又はN-置換スルファミン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボニン酸、ニコチン酸若しくはイソニコチン酸との;及び天然のタンパク質の合成に関与する20個のアルファアミノ酸、例えばグルタミン酸若しくはアスパラギン酸などのアミノ酸との及びまたフェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1,2-ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2-スルホン酸、ナフタレン1,5-ジスルホン酸、2-若しくは3-ホスホグリセリン酸、グルコース6-リン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)又はアスコルビン酸などの他の酸有機化合物との塩が挙げられる。
【0059】
本明細書で開示した化合物を含有する医薬組成物は、従来法において、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0060】
経口投与のために、好適な組成物は、本明細書で開示した化合物と、当技術分野でよく知られる担体などの薬学的に許容される賦形剤とを組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような賦形剤及び担体は、治療される患者による経口摂取のために、本発明の化合物が錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、本明細書に開示した化合物を固体賦形剤とともに添加する工程、任意選択により、得られた混合物を粉砕する工程、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、必要に応じて好適な補助剤を加えた後、顆粒混合物を処理する工程により得ることができる。好適な賦形剤としては、例えば、充填剤及びセルロース調製物が挙げられる。必要に応じて崩壊剤を加えることができる。薬学的に許容される成分は、様々なタイプの製剤についてよく知られており、例えば結合剤(例えば、天然又は合成ポリマー)、滑沢剤、界面活性剤、甘味料及び香味剤、コーティング剤、保存剤、染料、増粘剤、アジュバント、抗微生物剤、抗酸化剤並びに様々な製剤タイプのための担体であり得る。
【0061】
治療有効量の本明細書で開示した化合物が経口投与される場合、組成物は、典型的には、固体製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤若しくはトローチ剤)又は液体製剤(例えば、水性懸濁剤、液剤、エリキシル剤若しくはシロップ剤)の形態である。
【0062】
錠剤形態で投与される場合、組成物は、ゼラチン又はアジュバントなどの機能性固体及び/又は機能性固体担体をさらに含有することができる。錠剤、カプセル剤及び粉末剤は、約1~約95%の化合物、好ましくは約15~約90%の化合物を含有することができる。
【0063】
液体又は懸濁液の形態で投与される場合、水、石油又は動物若しくは植物起源の油などの機能性液体及び/又は機能性液体担体を加えることができる。組成物の液体形態は、生理食塩水溶液、糖アルコール溶液、デキストロース若しくは他の糖類溶液又はグリコールをさらに含有することができる。液体又は懸濁液の形態で投与する場合、組成物は、約0.5~約90重量%の本明細書に開示した化合物、好ましくは約1~約50%の本明細書に開示した化合物を含有することができる。考えられる一実施形態では、液体担体は、非水性又は実質的に非水性である。液体形態での投与では、組成物は、投与の直前に溶解又は懸濁する迅速溶解性固体製剤として供給され得る。
【0064】
治療有効量の本明細書で開示した化合物を静脈、皮膚又は皮下注射によって投与する場合、組成物は、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態である。pH、等張性、安定性などを十分に考慮した、このような非経口的に許容される溶液の調製は、当技術分野の範囲内である。静脈、皮膚又は皮下注射のための好ましい組成物は、典型的には、本明細書で開示した化合物に加えて等張性ビヒクルを含有する。そのような組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中の遊離塩基又は薬理学的に許容される塩の溶液として投与するために調製され得る。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びこれらの混合物中並びに油中で分散液を調製することもできる。保存及び使用の通常の条件下において、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために任意選択により保存剤を含有することができる。
【0065】
注射用組成物は、無菌の注射用溶液、懸濁液又は分散液を即時に調製するための無菌の水溶液、懸濁液又は分散液及び無菌の粉末を含むことができる。全ての実施形態において、形態は、無菌でなければならず、且つ容易な通針性が存在する程度までの流動性がなければならない。それは、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、任意選択により保存剤を含めることにより、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に耐えなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であり得る。考えられる一実施形態では、担体は、非水性又は実質的に非水性である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の実施形態において必要とされる化合物の粒径の維持及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸及びチメロサールなどによってもたらすことができる。多くの実施形態では、等張化剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中での使用によってもたらすことができる。
【0066】
無菌の注射剤は、上で列記した種々の必要な他の成分とともに、必要量の活性化合物を適当な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、塩基性分散媒体及び上で列挙した成分からの必要な他の成分を含有する無菌のビヒクルに、滅菌された様々な活性成分を組み込むことによって調製される。無菌の注射剤を調製するための無菌の粉末の実施形態では、好ましい調製方法は、活性成分に任意の追加の所望の成分を加えた粉末が予め滅菌濾過したその溶液から得られる、真空乾燥技術及び凍結乾燥技術である。
【0067】
徐放性又は持続放出性製剤は、消化管内の体液と接触している活性化合物の制御された放出を行い、及び血漿中の活性化合物に関して実質的に一定且つ有効なレベルを提供するためにも調製され得る。例えば、放出は、溶解、拡散及びイオン交換の1つ以上によって制御することができる。さらに、徐放性アプローチは、消化管内の可飽和経路又は制限経路を介した吸収を増強し得る。例えば、化合物は、この目的のために、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方の混合物と、任意選択により好適な界面活性剤とのポリマーマトリックスに包埋され得る。これに関連して、包埋とは、ポリマーのマトリックス中に微粒子を組み込むことを意味し得る。制御放出製剤は、既知の分散液又はエマルションコーティング技術による分散微粒子又は乳化微小液滴のカプセル化によっても得られる。
【0068】
吸入による投与では、本発明の化合物は、好適な噴射剤を使用して、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提供の形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの実施形態では、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。吸入器又は注入器で使用するための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤化することができる。
【0069】
本明細書に開示した化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射又は連続注入による)非経口投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、保存剤を添加した単位剤形(例えば、アンプル又は多用量容器)で提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションなどの形態を取ることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有することができる。
【0070】
非経口投与のための医薬製剤には、水溶性形態の化合物の水溶液が含まれる。さらに、化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油又は合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有することができる。任意選択により、懸濁液は、化合物の溶解度を増加させ、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする好適な安定剤又は薬剤も含有し得る。代わりに、本発明の組成物は、使用前に好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)で構成するための粉末形態であり得る。
【0071】
本明細書で開示した化合物は、坐薬又は停留浣腸(例えば、従来の坐薬基剤を含有する)などの直腸用組成物中で製剤化することもできる。先述した製剤に加えて、化合物は、デポ剤として製剤化することもできる。このような長時間作用の製剤は、(例えば、皮下又は筋肉内)注入又は筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルションとして)又はイオン交換樹脂で製剤化することができるか、或いは難溶性誘導体、例えば難溶性の塩として製剤化することができる。
【0072】
特に、本明細書で開示した化合物は、デンプン若しくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形態において、又は単独で若しくは賦形剤との混合物のカプセル剤若しくはオビュール剤において、又は香味剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤若しくは懸濁液の形態において経口、口腔内又は舌下投与され得る。このような液体製剤は、懸濁化剤などの薬学的に許容される添加剤を用いて調製することができる。化合物は、非経口的に、例えば静脈内、筋肉内、皮下又は冠動脈内に注射することもできる。非経口投与では、化合物は、溶液を血液と等張にするために、他の物質、例えば塩又はマンニトール若しくはグルコースなどの糖アルコールを含有することができる無菌水溶液の形態で最もよく使用される。
【0073】
獣医学的使用では、本明細書で開示した化合物は、通常の獣医学的な実践に従い、適切に許容される製剤として投与される。獣医は、特定の動物に最も適した投与計画及び投与経路を容易に決定することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、KRAS関連障害の治療において、本明細書で開示した化合物を単独で又はそのような疾患の治療のために従来使用されている別の薬剤若しくは介入と組み合わせて使用する、そのような治療に必要な全ての成分は、キットにパッケージ化することができる。具体的には、本開示は、本明細書で開示した化合物、並びに前記薬剤の送達可能な形態を調製するための緩衝液及び他の成分を含む薬剤、並びに/又はそのような薬剤を送達するための器具、並びに/又は本明細書で開示した化合物との併用療法で使用される任意の薬剤、並びに/又は薬剤とともにパッケージ化された疾患の治療のための説明書のパッケージ化されたセットを含む、疾患の治療介入で使用するキットを提供する。説明書は、印刷された紙又はコンピュータ可読の磁気若しくは光学媒体などの任意の有形媒体に固定されるか、又はインターネットを介してアクセス可能なワールドワイドウェブのページなどのリモートコンピュータのデータソースを参照する説明書であり得る。
【0075】
「治療有効量」は、治療される対象の現存する症状を治療するか、その発症を防止するか又は軽減するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書で提供する詳細な開示に照らして十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、「治療有効用量」は、所望の効果をもたらす化合物の量を指す。例えば、好ましい一実施形態では、本明細書に開示される化合物の治療有効量は、KRAS活性を対照と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%又は少なくとも90%減少させる。
【0076】
投与される化合物の量は、治療される対象、対象の年齢、健康、性別及び体重、併用治療(存在する場合)の種類、苦痛の重症度、所望の効果の性質、治療の様式及び頻度並びに処方医師の判断に依存し得る。投与の頻度は、動脈の酸素圧力に対する薬力学的効果にも依存し得る。しかしながら、最も好ましい投与量は、必要以上の実験を行うことなく当業者によって理解され、決定できるように、個々の対象に合わせて調整することができる。これには、通常、標準用量の調節(例えば、患者が軽量体重である場合の用量の低減)が含まれる。
【0077】
個々のニーズは、様々であるが、化合物の有効量の最適範囲の決定は、当技術分野の技術の範囲内である。本明細書で同定される病態及び障害の治癒的又は予防的治療におけるヒトへの投与のために、例えば、本開示の化合物の典型的な投与量は、約0.05mg/kg/日~約50mg/kg/日、例えば、少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.08mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg又は少なくとも0.5mg/kg及び好ましくは50mg/kg以下、40mg/kg以下、30mg/kg以下、20mg/kg以下又は10mg/kg以下とすることができ、これは、例えば、約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)~約5000mg/日(50mg/kg×100kg)であり得る。例えば、化合物の投与量は、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約5mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.07mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.09mg/kg/日~約3mg/kg/日、約0.05mg/kg/日~約0.1mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約1mg/kg/日、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約5mg/kg/日、約1mg/kg/日~約3mg/kg/日、約3mg/日~約500mg/日、約5mg/日~約250mg/日、約10mg/日~約100mg/日、約3mg/日~約10mg/日又は約100mg/日~約250mg/日であり得る。このような用量は、単回用量で投与され得るか又は複数回用量に分割され得る。
【0078】
KRAS G12C阻害剤を使用する方法
本開示は、RAS媒介性細胞シグナル伝達を阻害する方法であって、細胞を、有効量の、本明細書に開示される1種以上の化合物と接触させることを含む方法を提供する。RAS媒介性シグナル伝達の阻害は、当技術分野で知られる多様な方法によって評価し、実証することができる。非限定的な例としては、(a)RASのGTPアーゼ活性の減少;(b)GTP結合親和性の減少若しくはGDP結合親和性の増加;(c)GTPのKoffの増加若しくはGDPのKoffの減少;(d)pMEK、pERK若しくはpAKTのレベルの減少など、RAS経路下流のシグナル伝達分子のレベルの減少;及び/又は(e)Raf(これに限定されない)を含む下流のシグナル伝達分子へのRAS複合体の結合の減少を示すことが挙げられる。上記の1つ以上を決定するために、キット及び市販のアッセイを利用することができる。
【0079】
本開示は、G12C KRAS、HRAS又はNRASの変異の影響で生じる病態(例えば、癌)を含むが、これに限定されない疾患状態を治療するために本開示の化合物又は医薬組成物を使用する方法も提供する。
【0080】
いくつかの実施形態では、癌を治療する方法が提供され、この方法は、有効量の、本明細書に開示される化合物を含む前述の医薬組成物のいずれかを、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異によって媒介される。様々な実施形態において、癌は、膵癌、結腸直腸癌又は肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、胆嚢癌、甲状腺癌及び胆管癌である。
【0081】
いくつかの実施形態では、本開示は、障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、前記方法は、対象がKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異を有しているかどうかを決定することを含み、対象がKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異を有していると決定された場合、対象に、治療有効用量の、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0082】
開示される化合物は、足場非依存性の細胞増殖を阻害し、したがって腫瘍転移を阻害する可能性を有する。したがって、別の実施形態では、本開示は、腫瘍転移を阻害する方法を提供し、この方法は、有効量の、本明細書に開示される化合物を投与することを含む。
【0083】
KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異は、血液悪性腫瘍(例えば、血液、骨髄及び/又はリンパ節を冒す癌)でも確認されている。したがって、特定の実施形態は、血液悪性腫瘍の治療を必要とする患者への、開示される化合物(例えば、医薬組成物の形態で)の投与を対象とする。このような悪性腫瘍としては、白血病及びリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本開示の化合物は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)及び/又は他の白血病などの疾患の治療に使用することができる。他の実施形態では、化合物は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫の全てのサブタイプなどのリンパ腫の治療に有用である。様々な実施形態では、化合物は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞悪性腫瘍の治療に有用である。
【0084】
腫瘍又は癌がG12C KRAS、HRAS又はNRASの変異を含むかどうかの決定は、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、KRAS、HRAS又はNRASタンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、又は推定KRAS、HRAS又はNRASの変異体タンパク質の特性を評価することにより行うことができる。野生型ヒトKRAS、HRAS又はNRASの配列は、当技術分野において知られている(例えば、受託番号NP203524)。
【0085】
KRAS、HRAS又はNRASのヌクレオチド配列における変異を検出する方法は、当業者に知られている。これらの方法としては、以下に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシークエンシング、変異体アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、直接シークエンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型判定アッセイ、高解像度融解アッセイ及びマイクロアレイ分析が挙げられる。いくつかの実施形態では、試料は、リアルタイムPCRにより、G12C KRAS、HRAS又はNRASの変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在すると、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの実施形態では、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの変異は、KRAS、HRAS又はNRASの遺伝子中の特定の領域(例えば、エクソン2及び/又はエクソン3)の直接シークエンシング法を使用して同定される。この手法は、配列決定された領域において起こり得る変異を全て同定する。
【0086】
KRAS、HRAS又はNRASタンパク質における変異を検出する方法は、当業者に知られている。これらの方法としては、変異体タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)、タンパク質の電気泳動及びウエスタンブロット並びにペプチドの直接シークエンシングを使用する、KRAS、HRAS又はNRASの変異体の検出が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
腫瘍又は癌がG12C KRAS、HRAS又はNRASの変異を含むかどうかを決定する方法には、様々な試料を使用することができる。いくつかの実施形態では、試料は、腫瘍又は癌を有する対象から採取される。いくつかの実施形態では、試料は、新鮮な腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、凍結された腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である。いくつかの実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞(CTC)試料である。いくつかの実施形態では、試料を処理して細胞溶解物にする。いくつかの実施形態では、試料を処理してDNA又はRNAにする。
【0088】
本開示は、哺乳動物の過剰増殖性障害を治療する方法であって、前記哺乳動物に、治療有効量の、本明細書に開示される化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法にも関する。いくつかの実施形態では、前記方法は、急性骨髄性白血病、青年期の癌、小児副腎皮質癌、AIDS関連癌(例えば、リンパ腫及びカポジ肉腫)、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、非定形奇形腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形腫、胚芽腫、胚細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頸癌、小児癌、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、肝外非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚芽腫、CNS癌、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼の癌、骨線維性組織球腫、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、心臓腫瘍、肝臓癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、島細胞腫、膵神経内分泌腫瘍、腎臓癌、喉頭癌、口唇癌及び口腔癌、肝臓癌、上皮内小葉癌(LCIS)、肺癌、リンパ腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌、中線管癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、多発性骨髄腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、口腔癌、口唇及び口腔癌、口腔咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、移行細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、胃癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、T細胞リンパ腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行細胞癌、絨毛性腫瘍、小児の異常癌、尿道癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌又はウイルス誘発癌などの癌に罹患した対象の治療に関する。いくつかの実施形態では、前記方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))などの非癌性過剰増殖性障害の治療に関する。
【0089】
いくつかの実施形態では、治療方法は、肺癌の治療を対象とし、この方法は、有効量の上記化合物(又はそれを含む医薬組成物)のいずれかを、それを必要とする対象に投与することを含む。特定の実施形態では、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)であり、例えば腺癌、扁平上皮細胞肺癌又は大細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、肺癌は、小細胞肺癌である。本開示の化合物により治療可能な他の肺癌としては、腺管腫瘍、カルチノイド腫瘍及び未分化癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本開示は、G12C変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を、そのタンパク質を有効量の本開示の化合物と接触させることにより調節する方法をさらに提供する。調節により、タンパク質の活性を阻害又は活性化することができる。いくつかの実施形態では、本開示は、G12C変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質を、有効量の、溶液にした本開示の化合物と接触させることにより、タンパク質の活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、目的のタンパク質を発現する細胞、組織又は器官を接触させることにより、G12C変異型KRAS、HRAS又はNRASタンパク質の活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、齧歯動物及び哺乳動物(例えば、ヒト)を含むが、これらに限定されない対象におけるタンパク質の活性を、その対象に有効量の本開示の化合物を投与することにより阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、調節のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。いくつかの実施形態では、阻害のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を超える。
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を、前記細胞におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と前記細胞とを接触させることにより阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、組織におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を、前記組織におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と前記組織とを接触させることにより阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、器官におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を、前記器官におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と前記器官とを接触させることにより阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、動物におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を、前記動物におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と前記動物とを接触させることにより阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、哺乳動物におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を、前記哺乳動物におけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と前記哺乳動物とを接触させることにより阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトにおけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を、前記ヒトにおけるKRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性を阻害するのに十分な量の本開示の化合物と前記ヒトとを接触させることにより阻害する方法を提供する。本開示は、KRAS、HRAS又はNRAS G12Cの活性によって媒介される疾患の治療を、そのような治療を必要とする対象において行う方法を提供する。
【0092】
併用療法
本開示は、他の経路を調節することが知られている薬剤若しくは同じ経路の他の構成成分又は標的酵素が重複するセットが本開示の化合物若しくはその薬学的に許容される塩と併用される、併用療法の方法も提供する。一態様において、このような療法としては、相乗的又は相加的な治療効果をもたらすための、本開示の1種以上の化合物と、化学療法剤、治療抗体及び放射線治療との併用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
現在、多くの化学療法薬が当技術分野で知られており、本開示の化合物と併用することができる。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤及び抗アンドロゲン剤からなる群から選択される。非限定的な例は、化学療法剤、細胞毒性剤並びにGleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩)、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Venclexta(商標)(ベネトクラクス)及びAdriamycin(商標)、(ドキソルビシン)などの非ペプチド小分子、さらには化学療法剤のホストである。化学療法剤の非限定的な例としては、チオテパ及びシクロホスファミド(Cytoxan)(商標)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチルオロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロシクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソ尿素;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトロフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル;レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0094】
また、好適な化学療法細胞コンディショナーとして挙げられるのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するために作用する、例えばタモキシフェン、(Nolvadex(商標)、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン及びトレミフェン(フェアストン)を含む抗エストロゲンなどの抗ホルモン剤;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ルプロリド及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;並びにクロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどのプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。
【0095】
所望するなら、本開示の化合物又は医薬組成物は、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツマブ、17-N-アリールアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラジン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍、抗腫瘍性ハーブ、アパジクオン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダール、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞サイクル非特異的抗腫瘍剤、ジクロロ酢酸、ジスコーダーモリド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エクセアテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、フォスフェスロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメクソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルヴェン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントン、ルトテカン、マフォスファミド、ミトゾロミデ、ナフォクシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポーパウ、ピクサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパチタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダール、テガフル-ウラシル、テモダール、テセタキセル、トリプラチン・テトラ硝酸塩、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスティン、ヴァディメザン、ヴィンフルニン、ZD6126又はゾスキダルなどの一般に処方されている抗癌薬と組み合わせて使用することができる。
【0096】
本開示は、哺乳動物の異常な細胞成長を阻害するか、又は過剰増殖性障害を治療するために、放射線療法と組み合わせて、本明細書で提供する化合物又は医薬組成物を使用する方法にさらに関する。放射線療法を施すための手法は、当技術分野で知られており、それらの手法は、本明細書に記載の併用療法で使用することができる。この併用療法における本開示の化合物の投与は、本明細書に記載のようにして決定することができる。
【0097】
放射線療法は、外部ビーム療法、内部放射線療法、組織内照射、定位放射線手術、全身放射線療法、放射線療法及び永続的若しくは一時的組織内小線源療法(これらに限定されない)を含む、数種の方法の1つ又はこれらの方法の組み合わせによって施すことができる。本明細書で使用する用語「小線源療法」は、腫瘍若しくは他の増殖性組織疾患部位の、又はその付近で身体に挿入された、空間的に制限された放射性物質によって送達される放射線療法を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At-211、I-131、I-125、Y-90、Re-186、Re-188、Sm153、Bi-212、P-32及びLuの放射性同位体)への曝露を含むことが意図されているが、これらに限定されない。本開示の細胞コンディショナーとして使用するための好適な放射線源は、固体及び液体の両方を含む。非限定的な例として、放射線源は、固体源としてのI-125、I-131、Yb-169、Ir-192などの放射性核種又は光子、ベータ粒子、ガンマ線若しくは他の治療線を放出する他の放射性核種であり得る。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えばI-125若しくはI-131の溶液から作製される流体でもあり得るか、又は放射性流体は、Au-198、Y-90などの固体放射性核種の微小粒子を含む好適な流体のスラリーを使用して製造され得る。さらに、放射性核種は、ゲル又は放射性のマイクロスフィアとして具体化することができる。
【0098】
本開示の化合物又は医薬組成物は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、抗増殖剤、解糖阻害剤又はオートファジー阻害剤から選択される1つ又は複数の物質の一定量と併用することができる。
【0099】
MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害剤などの抗血管新生剤は、本開示の化合物及び本明細書に記載の医薬組成物とともに使用することができる。抗血管新生剤には、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ及びベバシズマブが含まれる。有用なCOX-II阻害剤の例として、アレコキシブ、バルデコキシブ及びロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号パンフレット、国際公開第96/27583号パンフレット、欧州特許出願公開第0818442号明細書、欧州特許第1004578号明細書、国際公開第98/07697号パンフレット、国際公開第98/03516号パンフレット、国際公開第98/34918号パンフレット、国際公開第98/34915号パンフレット、国際公開第98/33768号パンフレット、国際公開第98/30566号パンフレット、欧州特許第606046号明細書、欧州特許第931788号明細書、国際公開第90/05719号パンフレット、国際公開第99/52910号パンフレット、国際公開第99/52889号パンフレット、国際公開第99/29667号パンフレット、国際公開第1999007675号パンフレット、欧州特許第1786785号明細書、欧州特許第1181017号明細書、米国特許出願公開第20090012085号明細書、米国特許第5863949号明細書、米国特許第5861510号明細書及び欧州特許第0780386号明細書に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に援用される。好ましいMMP-2及びMMP-9阻害剤は、MMP-1を阻害する活性をほとんど又は全く有していないものである。より好ましくは、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわちMAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12及びMMP-13)に対してMMP-2及び/又はAMP-9を選択的に阻害するものである。本開示で有用なMMP阻害剤のいくつかの特定の例は、AG-3340、RO32-3555及びRS13-0830である。
【0100】
本発明の化合物は、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチム、ARGLABIN、亜ヒ酸、BAM002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA3030(Dong-A)、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジラゼップ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンアルファ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフォルニチン、エミテフル、エピルビシン、エポエチンベータ、エトポシドリン酸塩、エキセメスタン、エクシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、フドラビンリン酸塩、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブゾガミシン、ジメラシル/オテラシル/テガフルの組み合わせ、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児アルファフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、イミキモド、インターフェロンアルファ、ナチュラル、インターフェロンアルファ-2、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-N1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ、天然のインターフェロンベータ、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンガンマ、天然インターフェロンガンマ-1a、天然インターフェロンガンマ-1b、インターロイキン-1ベータ、イオベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC9018(Yakult)、レフルノミド、レノグラスティム、レンチナン硫酸塩、レトロゾール、ロイコサイトアルファインターフェロン、リュープロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスティム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスティム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球生成促進タンパク質、NSC 631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガスパーガゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペントサンポリサルフェートナトリウム、ペントスタチン、ピシバニル、ピラルビシン、ウサギアンチチモサイトポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンアルファ-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボディメント、レニウムRe 186エチドロネート、RIIレチナミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153 Sm)レキシドロナム、サルグラモチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、ストロンチウム-89塩化物、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-ヨウ素131、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、トリプトレリン、腫瘍壊死因子アルファ、ナチュラル、ウベニメックス、膀胱癌ワクチン、丸山ワクチン、黒色腫ライセートワクチン、バルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN、ジノスタチンスティマラマー又はゾレドロン酸;アバレリクス;AE941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta)、APC8015(Dendreon)、セツキシマブ、デシタビン、デクスアミノグルテチミド、ジアジコン、EL532(Elan)、EM800(Endorecherche)、エニルウラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01(Amgen)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17イムノゲン、HLA-B7遺伝子治療(Vical)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM862(Cytran)、インターロイキン2、イプロキシフェン、LDI200(Milkhaus)、レリジスチム、リンツズマブ、CA125MAb(Biomira)、癌MAb(日本薬品開発株式会社)、HER-2及びFc MAb(Medarex)、イディオティピック105AD7MAb(CRC Technology)、イディオティピックCEA MAb(Trilex)、LYM-1-ヨウ素131MAb(Techniclone)、多型性上皮ムチンイットリウム90MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL 0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルホス酸、SRL 172(SR Pharma)、SU 5416(SUGEN)、TA 077(Tanabe)、テトラチオモリブデート、タリブラスチン、トロンボポエチン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、癌ワクチン(Biomira)、メラノーマワクチン(New York University)、メラノーマワクチン(Sloan Kettering Institute)、メラノーマ腫瘍崩壊物ワクチン(New York Medical College)、ウイルス性メラノーマ細胞溶菌液ワクチン(Royal Newcastle Hospital)又はバルスポダールなどの他の抗癌薬との併用療法でも使用され得る。
【0101】
本開示の化合物は、VEGFR阻害剤とともにさらに使用され得る。以下の特許及び特許出願に記載の他の化合物は、併用療法において使用することができる:米国特許第6,258,812号明細書、米国特許出願公開第2003/0105091号明細書、国際公開第01/37820号パンフレット、米国特許第6,235,764号明細書、国際公開第01/32651号パンフレット、米国特許第6,630,500号明細書、同第6,515,004号明細書、同第6,713,485号明細書、同第5,521,184号明細書、同第5,770,599号明細書、同第5,747,498号明細書、国際公開第02/68406号パンフレット、同第02/66470号パンフレット、同第02/55501号パンフレット、同第04/05279号パンフレット、同第04/07481号パンフレット、同第04/07458号パンフレット、同第04/09784号パンフレット、同第02/59110号パンフレット、同第99/45009号パンフレット、同第00/59509号パンフレット、同第99/61422号パンフレット、米国特許第5,990,141号明細書、国際公開第00/12089号パンフレット及び同第00/02871号パンフレット。
【0102】
いくつかの実施形態では、併用薬は本発明の組成物を少なくとも1種の抗血管形成剤と組み合わせて含む。薬剤は、インビトロで合成により調製された化学組成物、抗体、抗原結合領域、放射性核種並びにそれらの組み合わせ及び抱合体を含むが、これらに限定されない。薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、毒素であり得るか、又はより一般的には、その標的を阻害又は刺激(例えば、受容体若しくは酵素の活性化又は阻害)するように作用し得、それにより細胞死を促進するか又は細胞成長を停止し得る。
【0103】
例示的な抗血管形成剤としては、ERBITUX(商標)(IMC-C225)、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害剤(例えば、キナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体及び抗原結合領域)、AVASTIN(商標)又はVEGF-TRAP(商標)などの抗VEGF剤(例えば、VEGF又は可溶性VEGF受容体若しくはそのリガンド結合領域に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)及び抗VEGF受容体薬(例えば、それに特異的に結合する、抗体又は抗原結合領域)、Vectibix(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)などのEGFR阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、抗Ang1及び抗Ang2剤(例えば、それら又はそれらの受容体、例えばTie2/Tekに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)及び抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が挙げられる。本開示の医薬組成物は、特異的に結合し、増殖因子の活性を阻害する1種以上の薬剤(例えば、抗体、抗原結合領域又は可溶性受容体)、例えば受容体「c-met」に特異的に結合する肝細胞増殖因子(HGF、散乱因子としても知られる)のアンタゴニスト及び抗体又は抗原結合領域なども含むことができる。
【0104】
他の抗血管形成剤としては、Campath、IL-8、B-FGF、Tekアンタゴニスト(Cerettiら、米国特許出願公開第2003/0162712号明細書;米国特許第6,413,932号明細書)、抗TWEAK剤(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域又は可溶性TWEAK受容体アンタゴニスト;Wiley、米国特許第6,727,225号明細書を参照されたい)、インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗するADAMジスインテグリンドメイン(Fanslowら、米国特許出願公開第2002/0042368号明細書)、特異的に結合する抗eph受容体及び/若しくは抗エフリン抗体又は抗原結合領域(米国特許第5,981,245号明細書;同第5,728,813号明細書;同第5,969,110号明細書;同第6,596,852号明細書;同第6,232,447号明細書;同第6,057,124号明細書及びそれらの特許ファミリーのメンバー)及び抗PDGF-BBアンタゴニスト(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)並びにPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域及びPDGFRキナーゼ阻害剤(例えば、それに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が挙げられる。
【0105】
さらなる抗血管形成/抗腫瘍剤としては、以下のものが挙げられる:SD-7784(Pfizer、USA);シレンギチド.(Merck KGaA、Germany、EPO 770622);ペガプタニブ八ナトリウム、(Gilead Sciences、USA);アルファスタチン(Alphastatin)、(BioActa、UK);M-PGA、(Celgene、USA、米国特許第5712291号明細書);イロマスタット、(Arriva、USA、米国特許第5892112号明細書);セマキサニブ、(Pfizer、USA、米国特許第5792783号明細書);バタラニブ、(Novartis、Switzerland);2-メトキシエストラジオール、(EntreMed、USA);TLC ELL-12、(Elan、Ireland);酢酸アネコルタブ、(Alcon、USA);アルファ-D148 Mab、(Amgen、USA);CEP-7055、(Cephalon、USA);抗Vn Mab、(Crucell、Netherlands)DAC:抗血管新生剤、(ConjuChem、Canada);アンギオシジン(Angiocidin)、(InKine Pharmaceutical、USA);KM-2550、(Kyowa Hakko、日本);SU-0879、(Pfizer、USA);CGP-79787、(Novartis、Switzerland、欧州特許第970070号明細書);ARGENT technology、(Ariad、USA);YIGSR-Stealth、(Johnson&Johnson、USA);フィブリノゲンE断片、(BioActa、UK);血管新生阻害薬、(Trigen、UK);TBC-1635、(Encysive Pharmaceuticals、USA);SC-236、(Pfizer、USA);ABT-567、(Abbott、USA);メタスタチン、(EntreMed、USA);血管新生阻害薬、(Tripep、Sweden);マスピン、(Sosei、日本);2-メトキシエストラジオール、(Oncology Sciences Corporation、USA);ER-68203-00、(IVAX、USA);ベネフィン、(Lane Labs、USA);Tz-93、(株式会社ツムラ、日本);TAN-1120、(武田薬品工業株式会社、日本);FR-111142、(藤沢薬品工業株式会社、日本、JP02233610);血小板因子4、(RepliGen、USA、欧州特許第407122号明細書);血管内皮増殖因子アンタゴニスト、(Borean、Denmark);ベバシズマブ(pINN)、(Genentech、USA);血管新生阻害薬、(SUGEN、USA);XL 784、(Exelixis、USA);XL 647、(Exelixis、USA);MAb、アルファ5ベータ3インテグリン、第2世代、(Applied Molecular Evolution、USA及びMedImmune、USA);遺伝子療法、網膜症、(Oxford BioMedica、UK);エンザスタウリン塩酸塩(USAN)、(Lilly、USA);CEP 7055、(Cephalon、USA及びSanofi-Synthelabo、France);BC1、(Genoa Institute of Cancer Research、Italy);血管新生阻害薬、(Alchemia、Australia);VEGFアンタゴニスト、(Regeneron、USA);rBPI 21及びBPI由来抗血管新生剤、(XOMA、USA);PI 88、(Progen、Australia);シレンギチド(pINN)、(Merck KGaA、German;Munich Technical University、Germany、Scripps Clinic and Research Foundation、USA);セツキシマブ(INN)、(Aventis、France);AVE 8062、(味の素株式会社、日本);AS 1404、(Cancer Research Laboratory、New Zealand);SG 292、(Telios、USA);エンドスタチン、(Boston Childrens Hospital、USA);ATN 161、(Attenuon、USA);アンジオスタチン、(Boston Childrens Hospital、USA);2-メトキシエストラジオール、(Boston Childrens Hospital、USA);ZD 6474、(AstraZeneca、UK);ZD 6126、(Angiogene Pharmaceuticals、UK);PPI 2458、(Praecis、USA);AZD 9935、(AstraZeneca、UK);AZD 2171、(AstraZeneca、UK);バタラニブ(pINN)、(Novartis、Switzerland及びSchering AG、Germany);組織因子経路阻害剤、(EntreMed、USA);ペガプタニブ(Pinn)、(Gilead Sciences、USA);キサントリゾール、(Yonsei University、South Korea);遺伝子に基づくワクチン、VEGF-2、(Scripps Clinic and Research Foundation、USA);SPV5.2、(Supratek、Canada);SDX 103、(University of California at San Diego、USA);PX 478、(ProlX、USA);メタスタチン、(EntreMed、USA);トロポニンI、(Harvard University、USA);SU 6668、(SUGEN、USA);OXI 4503、(OXiGENE、USA);o-グアニジン、(Dimensional Pharmaceuticals、USA);モツポラミンC、(British Columbia University、Canada);CDP 791、(Celltech Group、UK);アチプリモド(pINN)、(GlaxoSmithKline、UK);E 7820、(エーザイ株式会社、日本);CYC 381、(Harvard University、USA);AE 941、(Aeterna、Canada);ワクチン、血管新生、(EntreMed、USA);ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤阻害薬、(Dendreon、USA);オグルファニド(pINN)、(Melmotte、USA);HIF-1アルファ阻害薬、(Xenova、UK);CEP 5214、(Cephalon、USA);BAY RES 2622、(Bayer、Germany);アンギオシジン、(InKine、USA);A6、(Angstrom、USA);KR 31372、(Korea Research Institute of Chemical Technology、South Korea);GW 2286、(GlaxoSmithKline、UK);EHT 0101、(ExonHit、France);CP 868596、(Pfizer、USA);CP 564959、(OSI、USA);CP 547632、(Pfizer、USA);786034、(GlaxoSmithKline、UK);KRN 633、(麒麟麦酒株式会社、日本);薬物送達系、眼内、2-メトキシエストラジオール、(EntreMed、USA);アンジネックス、(Maastricht University、Netherlands及びMinnesota University、USA);ABT 510、(Abbott、USA);AAL 993、(Novartis、Switzerland);VEGI、(ProteomTech、USA);腫瘍壊死因子-アルファ阻害薬、(National Institute on Aging、USA);SU 11248、(Pfizer、USA及びSUGEN USA);ABT 518、(Abbott、USA);YH16、(Yantai Rongchang、China);S-3APG 、(Boston Childrens Hospital、USA及びEntreMed、USA);MAb、KDR、(ImClone Systems、USA);MAb、アルファ5ベータ1、(Protein Design、USA);KDRキナーゼ阻害薬、(Celltech Group、UK及びJohnson&Johnson、USA);GFB 116、(South Florida University、USA及びYale University、USA);CS 706、(Sankyo、日本);コンブレタスタチンA4プロドラッグ、(Arizona State University、USA);コンドロイチナーゼAC、(IBEX、Canada);BAY RES 2690、(Bayer、Germany);AGM 1470、(Harvard University、USA、武田薬品工業株式会社、日本及びTAP、USA);AG 13925、(Agouron、現Pfizer、USA);テトラチオモリブデン酸塩、(University of Michigan、USA);GCS 100、(Wayne State University、USA)CV 247、(Ivy Medical、UK);CKD 732、(Chong Kun Dang、South Korea);MAb、血管内皮増殖因子、(Xenova、UK);イルソグラジン(INN)、(日本新薬株式会社、日本);RG 13577、(Aventis、France);WX 360、(Wilex、Germany);スクアラミン(pINN)、(Genaera、USA);RPI 4610、(Sirna、USA);癌療法、(Marinova、Australia);ヘパラナーゼ阻害薬、(InSight、Israel);KL 3106、(Kolon、South Korea);ホノキオール、(Emory University、USA);ZK CDK、(Schering AG、Germany);ZK Angio、(Schering AG、Germany);ZK 229561、(Novartis、Switzerland及びSchering AG、Germany);XMP 300、(XOMA、USA);VGA 1102、(Taisho、日本);VEGF受容体調節剤、(Pharmacopeia、USA);VE-カドヘリン-2アンタゴニスト、(ImClone Systems、USA);バソスタチン、(National Institutes of Health、USA);ワクチン、Flk-1、(ImClone Systems、USA);TZ 93、(株式会社ツムラ、日本);タムスタチン、(Beth Israel Hospital、USA);切断可溶性FLT1(血管内皮増殖因子受容体1)、(Merck&Co、USA);Tie-2リガンド、(Regeneron、USA);及びトロンボスポンジン1阻害薬、(Allegheny Health、Education and Research Foundation、USA)。
【0106】
オートファジー阻害剤としては、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制藻類毒素、cAMPのアナログ並びにアデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド及びビンブラスチンなどのcAMPレベルを上昇させる薬物が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ATG5(オートファジーに関与する)を含むが、これに限定されない、タンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAも使用され得る。
【0107】
癌の治療に用いることができ、且つ本開示の1つ以上の化合物と併用することのできる追加の薬学的に活性な化合物/薬剤としては、エポエチンアルファ;ダルベポエチンアルファ;パニツムマブ;ペグフィルグラスチム;パリフェルミン;フィルグラスチム;デノスマブ;アンセスチム;AMG102;AMG176;AMG386;AMG479;AMG655;AMG745;AMG951;及びAMG706又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0108】
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、化学療法剤と併用して投与される。好適な化学療法剤としては、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビンオレルビン)などの天然産物、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝し、自らのアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を取り除くL-アスパラギナーゼ)、抗血小板剤、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及びアナログ、メルファラン並びにクロラムブシル)などの抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、CDK阻害剤(例えば、セリシクリブ、UCN-01、P1446A-05、PD-0332991、ジナシクリブ、P27-00、AT-7519、RGB286638及びSCH727965)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及びアナログ並びにストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジニン(DTIC)、葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート)などの抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗剤、ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリンアナログ及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン及びレトロゾール)及び白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、トリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、ボリノスタット、LBH 589、ロミデプシン、ACY-1215及びパノビノスタット)、mTor阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス及びシロリムス)、KSP(Eg5)阻害剤(例えば、Array 520)、DNA結合剤(例えば、ザリプシス)、PI3Kデルタ阻害剤(例えば、GS-1101及びTGR-1202)、PI3Kデルタ及びガンマ阻害剤(例えば、CAL-130)、マルチキナーゼ阻害剤(例えば、TG02及びソラフェニブ)、ホルモン(例えば、エストロゲン)及び黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド及びトリプトレリン)などのホルモンアゴニスト、BAFF中和抗体(例えば、LY2127399)、IKK阻害剤、p38MAPK阻害剤、抗IL-6(例えば、CNTO328)、テロメラーゼ阻害剤(例えば、GRN163L)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237、細胞表面モノクローナル抗体(例えば、抗CD38(HUMAX-CD38)、抗CS1(例えば、エロツズマブ)、HSP90阻害剤(例えば、17AAG及びKOS 953)、P13K/Akt阻害剤(例えば、ペリフォシン)、Akt阻害剤(例えば、GSK-2141795)、PKC阻害剤(例えば、エンザスタウリン)、FTI(例えば、Zarnestra(商標))、抗CD138(例えば、BT062)、Torc1/2特異的キナーゼ阻害剤(例えば、INK128)、キナーゼ阻害剤(例えば、GS-1101)、ER/UPR標的化剤(例えば、MKC-3946)、cFMS阻害剤(例えば、ARRY-382)、JAK1/2阻害剤(例えば、CYT387)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、タラゾパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ(ABT-888))、BCL-2アンタゴニストを挙げ得る。他の化学療法剤としては、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスファミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、ナベルビン、ソラフェニブ又は前記の任意のアナログ若しくは誘導変異体を挙げ得る。
【0109】
本開示の化合物は、当業者によく知られた療法である放射線療法、ホルモン療法、手術及び免疫療法と組み合わせても使用され得る。
【0110】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、ステロイドと併用して投与される。好適なステロイドとしては、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセタート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾンプロピオネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド及び/又はそれらの塩及び誘導体を挙げ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本開示の化合物は、薬学的に活性な悪心を治療するさらなる薬剤と併用することもできる。悪心を治療するために使用され得る薬剤の例としては、ドロナビノール;グラニセトロン;メトクロプラミド;オンダンセトロン;及びプロクロルペラジン;又はそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0111】
本開示の化合物は、RAS-RAF-ERKシグナル伝達経路又はPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を中断又は阻害する追加の薬学的に活性な化合物と併用することもできる。そのような他の併用において、追加の薬学的に活性な化合物は、PD-1及びPD-L1のアンタゴニストである。本開示の化合物又は医薬組成物は、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、Mcl-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤並びにモノクローナル抗体、免疫調節イミド(IMiD)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAG1及び抗OX40剤を含む免疫療法、GITRアゴニスト、CAR-T細胞並びにBiTEから選択されるある量の1つ以上の物質と組み合わせても使用され得る。
【0112】
EGFR阻害剤としては、小分子アンタゴニスト、抗体阻害剤又は特異的アンチセンスヌクレオチド若しくはsiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。EGFRの有用な抗体阻害剤としては、セツキシマブ(Erbitux)、パニツムマブ(Vectibix)、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブが挙げられる。EGFRの小分子アンタゴニストとしては、ゲフィチニブ、エルロチニブ(Tarceva)及び最近ではラパチニブ(TykerB)が挙げられる。例えば、Yan L,et.al.,Pharmacogenetics and Pharmacogenomics In Oncology Therapeutic Antibody Development,BioTechniques 2005;39(4):565-8及びPaez J G,et.al.,EGFR Mutations In Lung Cancer Correlation With Clinical Response To Gefitinib Therapy,Science 2004;304(5676):1497-500を参照されたい。
【0113】
小分子EGFR阻害剤の非限定的な例としては、以下の特許公報に記載されているEGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤の薬学的に許容される全ての塩及び溶媒和物のいずれかが挙げられる:1992年12月30日に公開された欧州特許出願公開第520722号明細書;1993年10月20日に公開された欧州特許出願公開第566226号明細書;1996年10月31日に公開された国際公開第96/33980号パンフレット;1998年5月5日発行の米国特許第5,747,498号明細書;1996年10月3日公開の国際公開第96/30347号パンフレット;1997年8月6日公開の欧州特許出願公開第787772号明細書;1997年8月21日公開の国際公開第97/30034号パンフレット;1997年8月21日公開の同第97/30044号パンフレット;1997年10月23日公開の同第97/38994号パンフレット;1997年12月31日公開の同第97/49688号パンフレット;1998年4月22日公開の欧州特許出願公開第837063号明細書;1998年1月22日公開の国際公開第98/02434号パンフレット;1997年10月23日公開の同第97/38983号パンフレット;1995年7月27日公開の同第95/19774号パンフレット;1995年7月27日公開の同第95/19970号パンフレット;1997年4月17日公開の同第97/13771号パンフレット;1998年1月22日公開の同第98/02437号パンフレット;1998年1月22日公開の同第98/02438号パンフレット;1997年9月12日公開の同第97/32881号パンフレット;1998年1月29日公開の独国特許出願公開第19629652号明細書;1998年8月6日公開の国際公開第98/33798号パンフレット;1997年9月12日公開の同第97/32880号パンフレット;1997年9月12日公開の同第97/32880号パンフレット;1995年11月15日公開の欧州特許出願公開第682027号明細書;1997年1月23日公開の国際公開第97/02266号パンフレット;1997年7月31日公開の同第97/27199号パンフレット;1998年2月26日公開の同第98/07726号パンフレット;1997年9月25日公開の同第97/34895号パンフレット;1996年10月10日公開の同第96/31510号パンフレット;1998年4月9日公開の同第98/14449号パンフレット;1998年4月9日公開の同第98/14450号パンフレット;1998年4月9日公開の同第98/14451号パンフレット;1995年4月13日公開の同第95/09847号パンフレット;1997年5月29日公開の同第97/19065号パンフレット;1998年4月30日公開の同第98/17662号パンフレット;1998年8月4日に発行された米国特許第5,789,427号明細書;1997年7月22日に発行された同第5,650,415号明細書;1997年8月12日に発行された同第5,656,643号明細書;1999年7月15日に公開された国際公開第99/35146号パンフレット;1999年7月15日に公開された同第99/35132パンフレット;1999年2月18日に公開された同第99/07701パンフレット及び1992年11月26日に公開された同第92/20642パンフレット。小分子EGFR阻害剤の追加の非限定的な例としては、Traxler,P.,1998,Exp.Opin.Ther.Patents 8(12):1599-1625に記載のEGFR阻害剤のいずれかが挙げられる。
【0114】
抗体ベースのEGFR阻害剤としては、その天然リガンドにより、EGFR活性化を部分的又は完全に遮断することができる任意の抗EGFR抗体又は抗体断片が挙げられる。抗体ベースのEGFR阻害剤の非限定的な例としては、Modjtahedi,H.,et al.,1993,Br.J.Cancer 67:247-253;Teramoto,T.,et al.,1996,Cancer 77:639-645;Goldstein et al.,1995,Clin.Cancer Res.1:1311-1318;Huang,S.M.,et al.,1999,Cancer Res.15:59(8):1935-40;及びYang,X.,et al.,1999,Cancer Res.59:1236-1243に記載されるものが挙げられる。したがって、EGFR阻害剤は、モノクローナル抗体Mab E7.6.3(Yang,1999、前掲)、又はMab C225(ATCCアクセッション番号HB-8508)、又はその結合特異性を有する抗体若しくは抗体フラグメントであり得る。
【0115】
本開示のKRASG12C阻害剤は、MEK阻害剤と併用することができる。本開示の併用で使用することができる特定のMEK阻害剤には、PD-325901、トラメチニブ、ピマセルチブ、MEK162[ビニメチニブとしても知られている]、TAK-733、GDC-0973及びAZD8330が含まれる。本開示の併用でKRASG12C阻害剤と一緒に使用することができる特定のMEK阻害剤は、トラメチニブ(商品名:Mekinist(登録商標)、Novartis Pharmaceuticals Corp.から市販されている)である。別の特定のMEK阻害剤は、AMG1009089、1009089又はPD-325901としても知られているN-(((2R)-2,3-ジヒドロキシプロピル)オキシ)-3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)ベンズアミドである。本開示の併用で使用することができる別の特定のMEK阻害剤には、コビメチニブが含まれる。MEK阻害剤としては、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、ARRY-142886及びARRY-438162が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
PI3K阻害剤としては、ワートマニン、国際公開第06/044453号パンフレットに記載の17-ヒドロキシワートマニンアナログ、4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(GDC 0941としても知られ、国際公開第09/036,082号パンフレット及び国際公開第09/055,730号パンフレットに記載がある)、2-メチル-2-[4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル]プロピオニトリル(BEZ 235又はNVP-BEZ 235としても知られ、PCT公開国際公開第06/122806号パンフレットに記載がある)、(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(国際公開第2008/070740号パンフレットに記載がある)、LY294002(Axon Medchemから入手可能である2-(4-モルホリニル)-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-4-オン)、PI 103ヒドロクロリド(Axon Medchemから入手可能である3-[4-(4-モルホリニルピリド-[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノールヒドロクロリド)、PIK 75(Axon Medchemから入手可能であるN’-[(1E)-(6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル)メチレン]-N,2-ジメチル-5-ニトロベンゼンスルホノ-ヒドラジドハイドロクロリド)、PIK 90(Axon Medchemから入手可能であるN-(7,8-ジメトキシ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-c]キナゾリン-5-イル)-ニコチンアミド)、GDC-0941 ビスメシレート(Axon Medchemから入手可能である2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イルメチル)-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジンビスメシレート)、AS-252424(Axon Medchemから入手可能である5-[1-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メト-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン)及びTGX-221(Axon Medchemから入手可能である7-メチル-2-(4-モルホリニル)-9-[1-(フェニルアミノ)エチル]-4H-ピリド-[1,2-a]ピリミジン-4-オン)、XL-765及びXL-147が挙げられるが、これらに限定されない。他のPI3K阻害剤としては、デメトキシビリジン、ペリフォシン、CAL101、PX-866、BEZ235、SF1126、INK1117、IPI-145、BKM120、XL147、XL765、パロミド529、GSK1059615、ZSTK474、PWT33597、IC87114、TG100-115、CAL263、PI-103、GNE-477、CUDC-907及びAEZS-136が挙げられる。
【0117】
AKT阻害剤としては、Akt-1-1(Akt1を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.,385(Pt.2)、399-408);Akt-1-1,2(Ak1及び2を阻害する)(Barnett et al.(2005)Biochem.J.385(Pt.2)、399-408);API-59CJ-Ome(例えば、Jin et al.(2004)Br.J.Cancer 91,1808-12);1-H-イミダゾ[4,5-c]ピリジニル化合物(例えば、国際公開第05011700号パンフレット);インドール-3-カルビノール及びその誘導体(例えば、米国特許第6,656,963号明細書;Sarkar and Li(2004)J Nutr.134(12 Suppl),3493S-3498S);ペリフォシン(例えば、Aktの膜局在化を妨げる;Dasmahapatra et al.(2004)Clin.Cancer Res.10(15)、5242-52,2004);ホスファチジルイノシトールエーテル脂質類似体(例えば、Gills and Dennis(2004)Expert.Opin.Investig.Drugs 13,787-97);及びトリシリビン(TCN若しくはAPI-2又はNCI識別子:NSC 154020;Yang et al.(2004)Cancer Res.64:4394-9)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
TOR阻害剤としては、以下に限定されないが、AP-23573、CCI-779、エベロリムス、RAD-001、ラパマイシン、テムシロリムス、ATP競合的TORC1/TORC2阻害剤(PI-103、PP242、PP30及びTorin1を含む)が挙げられる。FKBP12エンハンサー中の他のTOR阻害剤;ラパマイシン及びその誘導体は、以下を含む:CCI-779(テムシロリムス)、RAD001(エベロリムス;国際公開第9409010号パンフレット)及びAP23573;ラパログ、例えば国際公開第98/02441号パンフレット及び国際公開第01/14387号パンフレットで開示されているもの、例えばAP23573、AP23464又はAP23841;40-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン、40-[3-ヒドロキシ(ヒドロキシメチル)メチルプロパノエート]-ラパマイシン(CC1779とも呼ばれる)、40-エピ-(テトラゾリル)-ラパマイシン(ABT578とも呼ばれる)、32-デオキソラパマイシン、16-ペンチニルオキシ-32(S)-ジヒドロラパマイシン及び国際公開第05005434号パンフレットで開示されている他の誘導体;米国特許第5,258,389号明細書、国際公開第94/090101号パンフレット、国際公開第92/05179号パンフレット、米国特許第5,118,677号明細書、米国特許第5,118,678号明細書、米国特許第5,100,883号明細書、米国特許第5,151,413号明細書、米国特許第5,120,842号明細書、国際公開第93/111130号パンフレット、国際公開第94/02136号パンフレット、国際公開第94/02485号パンフレット、国際公開第95/14023号パンフレット、国際公開第94/02136号パンフレット、国際公開第95/16691号パンフレット、国際公開第96/41807号パンフレット、国際公開第96/41807号パンフレット及び米国特許第5,256,790号明細書で開示されている誘導体;リン含有ラパマイシン誘導体(例えば、国際公開第05016252号パンフレット);4H-1-ベンゾピラン-4-オン誘導体(例えば、米国仮特許出願第60/528,340号明細書)。
【0119】
MCl-1阻害剤としては、AMG-176、MIK665及びS63845が挙げられるが、これらに限定されない。骨髄細胞白血病-1(MCL-1)タンパク質は、B細胞リンパ腫-2(BCL-2)タンパク質ファミリーの重要な抗アポトーシスメンバーの1つである。MCL-1の過剰発現は、腫瘍進行に密接に関係し、且つ従来の化学療法に対する耐性のみならず、ABT-263などのBCL-2阻害剤を含む標的治療に対する耐性にも密接に関係している。
【0120】
KRASG12C阻害剤は、本開示においてSHP2阻害剤と併用することもできる。本発明の併用で使用することができるSHP2阻害剤には、SHP099及びCA、Redwood CityのRevolutions Medicines社のRMC-4550又はRMC-4630が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
プロテアソーム阻害剤としては、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)及びオプロゾミブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
免疫療法としては、抗PD-1剤、抗PDL-1剤、抗CTLA-4剤、抗LAG1剤及び抗OX40剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
モノクローナル抗体としては、Darzalex(登録商標)(ダラツムマブ)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)及びEylea(登録商標)(アフリベルセプト)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
免疫調節剤(IMiD)は、イミド基を含有する免疫調節性薬物(免疫応答を調整する薬物)のクラスである。IMiDクラスには、サリドマイド及びその類似体(レナリドミド、ポマリドミド及びアプレミラスト)が含まれる。
【0125】
抗体を含むが、これに限定されない抗PD-1阻害剤としては、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、AMG 404及びニボルマブ(Opdivo(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗PD-1抗体及びそれらの使用方法は、Goldberg et al.,Blood 110(1):186-192(2007)、Thompson et al.,Clin.Cancer Res.13(6):1757-1761(2007)及びKorman et al.,国際出願第PCT/特開2006/309606号公報(国際公開第2006/121168A1号パンフレット)に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これらとしては、以下のものが含まれる:Yervoy(商標)(イピリムマブ)又はトレメリムマブ(CTLA-4に)、ガリキシマブ(B7.1に)、BMS-936558(PD-1に)、MK-3475(PD-1に)、AMP224(B7DCに)、BMS-936559(B7-H1に)、MPDL3280A(B7-H1に)、MEDI-570(ICOSに)、AMG557(B7H2に)、MGA271(B7H3に)、IMP321(LAG-3に)、BMS-663513(CD137に)、PF-05082566(CD137に)、CDX-1127(CD27に)、抗OX40(Providence Health Services)、huMAbOX40L(OX40Lに)、アタシセプト(TACIに)、CP-870893(CD40に)、ルカツムマブ(CD40に)、ダセツズマブ(CD40に)、ムロモナブ-CD3(CD3に)、イピリムマブ(CTLA-4に)。免疫療法には、遺伝子操作されたT細胞(例えば、CAR-T細胞)及び二重特異性抗体(例えば、BiTE)も含まれる。
【0126】
GITRアゴニストとしては、米国特許第6,111,090box.c号明細書、欧州特許第090505B1号明細書、米国特許第8,586,023号明細書、国際公開第2010/003118号パンフレット及び同第2011/090754号パンフレットに記載されたGITR融合タンパク質又は例えば米国特許第7,025,962号明細書、欧州特許第1947183B1号明細書、米国特許第7,812,135号明細書;米国特許第8,388,967号明細書;米国特許第8,591,886号明細書、欧州特許第1866339号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、同第2013/039954号パンフレット、同第2005/007190号パンフレット、同第2007/133822号パンフレット、同第2005/055808号パンフレット、同第99/40196号パンフレット、同第2001/03720号パンフレット、同第99/20758号パンフレット、同第2006/083289号パンフレット、同第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号明細書及び国際公開第2011/051726号パンフレットに記載された抗GITR抗体などのGITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価の抗GITR抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本明細書に記載の化合物は、治療される病態に応じて、本明細書で開示した薬剤又は他の好適な薬剤と組み合わせて使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の1種以上の化合物は、上記の他の薬剤と同時投与されることになる。併用療法で使用される場合、本明細書に記載の化合物は、第2の薬剤と同時に又は個別に投与される。この併用投与は、同じ投与形態の2種の薬剤の同時投与、個別の投与形態の同時投与及び個別の投与を含み得る。すなわち、本明細書に記載した化合物及び上記薬剤のいずれかを同じ投与形態で一緒に製剤化し、同時投与することができる。代わりに、本開示の化合物及び上記の薬剤のいずれかを同時に投与することができ、ここで、両方の薬剤は、個別の製剤中に存在している。別の代替形態では、本開示の化合物に続いて上記の薬剤のいずれかを投与し得るか又はそれとは逆の順序で投与し得る。個別の投与プロトコルのいくつかの実施形態では、本開示の化合物及び上記の任意の薬剤は、数分間の間隔、又は数時間の間隔、又は数日の間隔で投与される。
【0128】
本開示の一態様は、別々に投与され得る薬学的に活性な化合物の組み合わせによる疾患/状態の治療を企図していることから、本開示は、別々の医薬組成物をキット形態で組み合わせることにさらに関する。このキットは、2種の別々の医薬組成物:本開示の化合物及び第2の医薬化合物を含む。キットは、これらの別々の組成物を収容するための容器(例えば、分割されたボトル又は分割された金属箔の袋)を含む。容器の別の例としては、注射器、箱及びバッグが挙げられる。いくつかの実施形態では、キットは、個別の成分の使用のための説明書を含む。キット形態は、個別の成分が好ましくは異なる投薬形態(例えば、経口及び非経口)で投与される場合、異なる投与間隔で投与される場合又は組み合わせの個々の成分の滴定が処方する医療専門家により所望される場合に特に有利である。
【0129】
本明細書で引用される全ての特許及び他の刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
以下に示すプロセスは、本開示の具体的な実施形態を説明する。これらのプロセスは代表的なものであることを意味し、いかなる方法においても特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0131】
関連する合成プロセス
以下の中間化合物、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(4-メチル-2-(2-プロパニル)-3-ピリジニル)-4-((2S)-2-メチル-4-(2-プロペノイル)-1-ピペラジニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンは、本開示の代表的な例であり、本発明の範囲を限定するものと解釈されることを意図していない。
【0132】
化合物9及び関連する中間体の合成は、2018年5月21日に出願された米国特許出願公開第15/984,855号明細書(米国特許出願公開第2018/0334454号明細書、2018年11月22日)に記載されており、この出願は、2017年5月22日に出願された米国仮出願第62/509,629号明細書の優先権を主張し、且つ利益を主張するものであり、これらの両方の出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(4-メチル-2-(2-プロパニル)-3-ピリジニル)-4-((2S)-2-メチル-4-(2-プロペノイル)-1-ピペラジニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを、以下のプロセスを用いて調製し、そのプロセスでは、最終生成物の異性体をキラルクロマトグラフィーにより単離した。
【化16】
【0133】
工程1:2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミド(中間体S)。ジクロロメタン(48mL)中に2,6-ジクロロ-5-フルオロ-ニコチン酸(4.0g、19.1mmol、AstaTech Inc、Bristol、PA)を混合した混合物に塩化オキサリル(2M溶液(DCM中)、11.9mL、23.8mmol)、続いて触媒量のDMF(0.05mL)を加えた。反応物を室温で終夜撹拌し、その後、濃縮した。残渣を1,4-ジオキサン(48mL)に溶解し、0℃に冷却した。水酸化アンモニウム溶液(28.0~30%NHベース、3.6mL、28.6mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで濃縮した。EtOAc/ヘプタンの1:1混合物で残渣を希釈し、5分間撹拌し、その後、濾過した。濾過された固体を廃棄し、残りの母液を半分の体積まで部分的に濃縮し、濾過した。濾過された固体をヘプタンで洗浄し、減圧オーブン(45℃)中で一晩乾燥させて、2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミドを得た。H NMR(400MHz,DMSO-d):δ ppm 8.23(d,J=.9Hz,1H)8.09(br s,1H)7.93(br s,1H).m/z(ESI,+veイオン):210.9(M+H).
【0134】
工程2:2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド。THF(20mL)中に2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミド(中間体F、5.0g、23.9mmol)を含有する氷冷スラリーに塩化オキサリル(2M溶液(DCM中)、14.4mL、28.8mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。得られた混合物を75℃で1時間加熱し、その後、加熱を停止し、反応物を半分の体積まで濃縮した。0℃に冷却した後、THF(20mL)を加え、続いて2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(中間体B、3.59g、23.92mmol)のTHF(10mL)溶液をカニューレで滴下した。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、塩水と飽和塩化アンモニウム水溶液との1:1混合物で反応を停止させた。混合物をEtOAc(3×)で抽出し、有機層を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミドを得た。この材料をさらに精製することなく以下の工程において使用した。m/z(ESI、+veイオン):385.1(M+H)
【0135】
工程3:7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン。氷冷した2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド(9.2g、24.0mmol)のTHF(40mL)溶液にKHMDS(1M溶液(THF中)、50.2mL、50.2mmol)をシリンジでゆっくりと加えた。氷浴を除去し、得られた混合物を室温で40分間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出した。有機層を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~50% 3:1 EtOAc-EtOH/ヘプタン)により精製して、7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 12.27(br s,1H),8.48-8.55(m,2H),.29(d,J=4.8Hz,1H),2.87(quin,J=6.6Hz,1H),1.99-2.06(m,3H),1.09(d,J=6.6Hz,3H),1.01(d,J=6.6Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ:-126.90(s,1F).m/z(ESI,+veイオン):349.1(M+H)
【0136】
工程4:4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(4.7g、13.5mmol)及びDIPEA(3.5mL、20.2mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液にオキシ塩化リン(1.63mL、17.5mmol)をシリンジにより滴下した。得られた混合物を80℃で1時間加熱し、次いで室温に冷却し、濃縮して、4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。この材料をさらに精製することなく以下の工程において使用した。m/z(ESI、+veイオン):367.1(M+H)
【0137】
工程5:4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸(S)-tert-ブチル。氷冷した4,7-ジクロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(13.5mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液にDIPEA(7.1mL、40.3mmol)、続いて(S)-4-N-Boc-2-メチルピペラジン(3.23g、16.1mmol、Combi-Blocks、Inc.、San Diego、CA、USA)を加えた。得られた混合物を室温まで温め、1時間撹拌し、次いで冷飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200mL)及びEtOAc(300mL)で希釈した。混合物をさらに5分間撹拌し、層を分離し、水層をさらなるEtOAc(1×)で抽出した。有機層を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~50% EtOAc/ヘプタン)により精製して、4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-シクロプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸(S)-tert-ブチルを得た。m/z(ESI、+veイオン):531.2(M+H)
【0138】
工程6:4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸(3S)-tert-ブチル。1,4-ジオキサン(80mL)中に4-(7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸(S)-tert-ブチル(4.3g、8.1mmol)、トリフルオロ(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)ホウ酸カリウム(中間体Q、2.9g、10.5mmol)、酢酸カリウム(3.2g、32.4mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの錯体(661mg、0.81mmol)を混合した混合物を窒素で1分間脱気した。脱酸素水(14mL)を加え、得られた混合物を90℃で1時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、半飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、EtOAc(2×)及びDCM(1×)で抽出した。有機層を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~60% 3:1 EtOAc-EtOH/ヘプタン)により精製して、4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸(3S)-tert-ブチルを得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 10.19(br s,1H),8.38(d,J=5.0Hz,1H),8.26(dd,J=12.5,9.2Hz,1H),7.23-7.28(m,1H),7.18(d,J=5.0Hz,1H),6.72(d,J=8.0Hz,1H),6.68(t,J=8.9Hz,1H),4.77-4.98(m,1H),4.24(br t,J=14.2Hz,1H),3.93-4.08(m,1H),3.84(br d,J=12.9Hz,1H),3.52-3.75(m,1H),3.07-3.28(m,1H),2.62-2.74(m,1H),1.86-1.93(m,3H),1.43-1.48(m,9H),1.35(dd,J=10.8,6.8Hz,3H),1.26-1.32(m,1H),1.07(dd,J=6.6,1.7Hz,3H),0.93(dd,J=6.6,2.1Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ:-115.65(s,1H),-128.62(s,3H),1(s,3H).m/z(ESI,+veイオン):607.3(M+H)
【0139】
工程7:6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(4-メチル-2-(2-プロパニル)-3-ピリジニル)-4-((2S)-2-メチル-4-(2-プロペノイル)-1-ピペラジニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。トリフルオロ酢酸(25mL、324mmol)を4-(6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸(3S)-tert-ブチル(6.3g、10.4mmol)のDCM(30mL)溶液に加えた。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣をDCM(30mL)に溶解し、0℃に冷却し、DIPEA(7.3mL、41.7mmol)及び塩化アクリロイル(0.849mL、10.4mmol)のDCM(3mL;シリンジで滴下)溶液で順次処理した。反応物を0℃で10分間撹拌し、次いで半飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、DCMで抽出した(2×)。有機層を一緒にして無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:0~100% 3:1 EtOAc-EtOH/ヘプタン)により精製して、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-(4-メチル-2-(2-プロパニル)-3-ピリジニル)-4-((2S)-2-メチル-4-(2-プロペノイル)-1-ピペラジニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンを得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 10.20(s,1H),8.39(d,J=4.8Hz,1H),8.24-8.34(m,1H),7.23-7.32(m,1H),7.19(d,J=5.0Hz,1H),6.87(td,J=16.3,11.0Hz,1H),6.74(d,J=8.6Hz,1H),6.69(t,J=8.6Hz,1H),6.21(br d,J=16.2Hz,1H),5.74-5.80(m,1H),4.91(br s,1H),4.23-4.45(m,2H),3.97-4.21(m,1H),3.44-3.79(m,2H),3.11-3.31(m,1H),2.67-2.77(m,1H),1.91(s,3H),1.35(d,J=6.8Hz,3H),1.08(d,J=6.6Hz,3H),0.94(d,J=6.8Hz,3H).19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ ppm -115.64(s,1F),-128.63(s,1F).m/z(ESI,+veイオン):561.2(M+H)
【0140】
化合物9及び関連する中間体の別の合成は、2018年11月16日に出願された米国仮特許出願に記載されており、この出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【化17】
【0141】
代表的な合成プロセス
本開示は、以下の工程を含み、ボロキシン中間体の合成及び利用は、AMG 510(化合物9)の製造における新規且つ進歩性を有する工程である。
【化18】
【0142】
原材料
【0143】
【表4】
【0144】
工程1a
【化19】
【0145】
【表5】
【0146】
ジクロロメタン(167kg)及びDMF(592g)に2,6-ジクロロ-5-フルオロ-3-ピリジンカルボン酸(25kg;119.1mol)を溶解した溶液に、内部温度を15~20℃に維持しながら、塩化オキサリル(18.9kg;148.9mol)を加えた。追加のジクロロメタン(33kg)を濯ぎとして加え、反応混合物を2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、次いで内部温度を0±10℃に維持しながら、水酸化アンモニウム(40.2L;595.5mol)によりクエンチした。得られたスラリーを90分間撹拌し、その後、濾過により生成物を回収した。濾過された固体をDI水(3×87L)で洗浄し、乾燥させて、2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミド(化合物1)を得た。
【0147】
工程1b
【化20】
【0148】
【表6】
【0149】
反応器A内において、2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチンアミド(化合物1)(16.27kg;77.8mol)のジクロロメタン(359.5kg)溶液に、温度≦25℃を75分間維持しながら、塩化オキサリル(11.9kg;93.8mol)を加えた。次いで、得られた溶液を40℃±3℃に加熱し、3時間エージングした。真空を使用して、溶液を蒸留し、溶液が撹拌機の下になるまでジクロロメタンを除去した。その後、ジクロロメタン(300kg)を加え、混合物を0±5℃に冷却した。清浄な乾燥した反応器(反応器B)に2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-アミン(アニリン化合物2A)(12.9kg;85.9mol)、続いてジクロロメタン(102.6kg)を加えた。内部温度を20~25℃に維持しながら、KF分析で溶液が乾燥(限界≦0.05%)するまでさらなるジクロロメタンで置き換えながら、真空蒸留によりアニリン溶液を共沸乾燥した。ジクロロメタンにより、溶液の体積を約23L体積に調節した。その後、乾燥したアニリン溶液を反応器Aに加えた(添加を通して0±5℃の内部温度を維持した)。その後、混合物を23℃に加熱し、1時間エージングした。溶液を清浄な反応器中に仕上げ濾過し、DCM溶液として2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-((2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)カルバモイル)ニコチンアミド(化合物3)を得、直接次の工程で使用した。
【0150】
工程2
【化21】
【0151】
【表7】
【0152】
20~25℃の内部温度を維持しながら、2,6-ジクロロ-5-フルオロ-N-{[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]カルバモイル}ピリジン-3-カルボキサミド(尿素(化合物3))(15kg含有;38.9mol)のジクロロメタン溶液を、真空蒸留を用いて2-MeTHFに溶媒交換した。反応器容積を40Lに調節し、その後、追加の2-MeTHF(105.4kg)を加えた。5~10℃を維持しながら、ナトリウムt-ブトキシド(9.4kg;97.8mol)を添加した。内容物を23℃に温め、3時間撹拌した。その後、内容物を0~5℃に冷却し、DI水60Lの溶液として塩化アンモニウム(23.0kg;430mol)を加えた。混合物を20℃に温め、DI水(15L)を加え、さらに30分間エージングした。撹拌を停止し、層を分離した。水層を除去し、有機層にDI水(81.7L)を加えた。濃HCl(1.5kg)と水(9L)の混合物を調製し、その後、pHが4~5と測定されるまで反応器にゆっくりと加えた。層を分離し、2-MeTHF(42.2kg)を用いて水層を逆抽出した。2つの有機層を一緒にし、10%クエン酸溶液(75kg)、続いて水(81.7L)と飽和NaCl(19.8kg)の混合物で洗浄した。その後、有機層を飽和重炭酸ナトリウム(75kg)で洗浄し、水性物の目標pH≧7.0を達成した(必要に応じて洗浄を繰り返した)。有機層を塩水(54.7kg)で再び洗浄し、次いで硫酸マグネシウム(5kg)で乾燥させた。混合物を濾過して硫酸マグネシウムを除去し、濾過ベッドを2-MeTHF(49.2kg)で濯いだ。一緒にした濾液及び洗浄液を40Lの体積まで真空蒸留した。濃縮溶液を55℃に加熱し、ヘプタン(10~12kg)を曇り点までゆっくりと加えた。2時間かけて溶液を23℃に冷却し、その後、2時間かけてヘプタン(27.3kg)を加えた。生成物スラリーを20~25℃で3時間エージングし、その後、濾過し、2-MeTHF(2.8kg)とヘプタン(9kg)との混合物で洗浄した。生成物を窒素及び真空を用いて乾燥させ、7-クロロ-6-フルオロ-1-(2-イソプロピル-4-メチルピリジン-3-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(rac-ジオン(化合物4))の固体を得た。
【0153】
工程3
【化22】
【0154】
【表8】
【0155】
窒素雰囲気下において、(+)-2,3-ジベンゾイル-D-酒石酸(2.0当量)とともに、化合物4(1.0当量)の2-メチルテラヒドロフラン(7.0L/kg)撹拌懸濁液を容器に加えた。2-MeTHFは、キラルであるが、ラセミ混合物として使用される。2-MeTHFの異なるエナンチオマーは、共結晶中にランダムに組み込まれる。得られた懸濁液を75℃に温め、完全な溶解が観察されるまで(≦30分)、75℃でエージングした。得られた溶液を75℃で第2の容器中に仕上げ濾過した。仕上げ濾過した溶液に、内部温度を65℃より高く維持する速度でn-ヘプタン(2.0L/kg)を加えた。その後、溶液を60℃に冷却し、結晶の種(0.01kg/kg)を加え、30分間エージングした。得られた懸濁液を4時間かけて20℃に冷却し、その後、HPLCによるキラル純度分析のためにサンプリングした。懸濁液にn-ヘプタン(3.0L/kg)を加え、その後、窒素雰囲気下において20℃で4時間エージングした。懸濁液を濾過し、単離した固体を(2:1)n-ヘプタン:2-メチルテトラヒドロフラン(3.0L/kg)で2回洗浄した。この物質を窒素及び真空下で乾燥させて、M-ジオン:DBTA:Me-THF複合体(化合物4a)を得た。
【0156】
工程4
【化23】
【0157】
【表9】
【0158】
容器Aに向けて、リン酸水素二ナトリウム(21.1kg、2.0当量)をDI水(296.8L、6.3L/kg)に懸濁させた懸濁液を、溶解が観察されるまで(≧30分)撹拌した。容器Bに向けて、M-ジオン:DBTA:Me-THF複合体(組成物4a)[46.9kg(M-ジオンについて補正して25.9kg、1.0当量)]をメチルtert-ブチルエーテル(517.8L、11.0L/kg)に懸濁させた懸濁液を15~30分間撹拌した。容器Aから得られた溶液を容器Bに加え、その後、混合物を3時間超撹拌した。撹拌を停止し、分離のために二相混合物を30分超放置した。下部の水相を除去し、その後、メチルtert-ブチルエーテル(77.7L、1.7L/kg)で逆抽出した。有機相を容器B中で一緒にし、硫酸マグネシウム(24.8kg、0.529kg/kg)で乾燥させた。容器Bから得られた懸濁液を3時間超撹拌し、その後、容器Cに濾過した。容器Bにメチルtert-ブチルエーテル(46.9L、1.0L/kg)リンス液を加え、その後、容器Cに濾過した。容器Cの内容物を10℃に冷却し、その後、真空下で35℃までゆっくりと加温しながら蒸留した。320~350kg(6.8~7.5kg/kg)のメチルtert-ブチルエーテルが回収されるまで蒸留を続けた。容器Cの内容物を20℃に冷却した後、n-ヘプタン(278.7L、5.9L/kg)を1時間かけて加え、その後、真空下で35℃までゆっくりと加温しながら蒸留した。190~200kg(4.1~4.3kg/kg)のメチルtert-ブチルエーテルとn-ヘプタンとの混合物が回収されるまで蒸留を続けた。容器Cの内容物を20℃に冷却した後、2回目のn-ヘプタン(278.7L、5.9L/kg)を1時間かけて加え、その後、真空下で35℃までゆっくりと加温しながら蒸留した。190~200kg(4.1~4.3kg/kg)のメチルtert-ブチルエーテルとn-ヘプタンとの混合物が回収されるまで蒸留を続けた。容器Cの内容物を20℃に冷却した後、3回目のn-ヘプタン(195.9L、4.2L/kg)を1時間かけて加え、その後、GCによる溶媒組成分析のためにサンプリングした。容器Cの懸濁液を1時間超撹拌し続けた。懸濁液を濾過し、その後、容器Cからのn-ヘプタン(68.6L、1.5L/kg)リンス液で洗浄した。単離された固体を50℃で乾燥させ、試料を貯蔵適合性のために提出した。7-クロロ-6-フルオロ-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(M-ジオン)の化合物5Mを得た。
【0159】
上で強調した第1世代のプロセスでは、200+kgのrac-ジオン出発物質(化合物4)で規模の対応ができた。このプロセスでは、結晶化に熱力学的に安定なrac-ジオン結晶形態(これは、低い溶解度を示す)の種を加えることは、バッチの失敗を引き起こすであろう。本発明者らのその後の研究に基づき、本発明者らは、ヘプタン添加スケジュールを調節することによる、DBTA当量の増加及び種の添加温度の低下がプロセスの頑健性を改善することを見出した。改良された方法は、熱力学的に安定なrac-ジオン結晶形態の存在に対して抵抗性があり、アトロプ異性体分離の成功を促進する。その後のバッチは、大規模製造のために、改善されたプロセスを組み込むであろう。
【0160】
工程5
【化24】
【0161】
【表10】
【0162】
注記:全てのL/kg量は、M-ジオン投入に対するものであり、全ての当量は、効力により調整した後のM-ジオン投入に対するものである。
【0163】
M-ジオン(化合物5M、1.0当量)及びトルエン-1(10.0L/kg)を容器Aに加えた。得られた溶液を、5.0L/kgの溶媒が除去されるまで、真空下において45℃で共沸蒸留によって乾燥させた。その後、容器Aの内容物を20℃に冷却した。
【0164】
容器Cに、内部温度を20±5℃未満に維持しながら、トルエン-3(4.5L/kg)、塩化ホスホリル(1.5当量)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン-1(2.0当量)を加えた。添加終了後、容器Cを30±5℃に加温した。次いで、容器Aの内容物を、内部温度を30±5℃に維持しながら、4時間にわたって容器Cに移した。容器Aをトルエン-2(0.5L/kg)で濯ぎ、容器Cに移した。容器Cの内容物を30℃でさらに3時間撹拌した。容器Cの内容物を20±5℃に冷却した。(s)-1-boc-3-メチルピペラジン(1.2当量)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン-2(1.2当量)の酢酸イソプロピル-1(1.0L/kg)溶液を容器Dで調製した。バッチ温度を20±5℃に維持しながら容器Cに容器Dの溶液を加えた(注記:発熱が観察される)。移送終了後、容器Dを追加のジクロロメタン(1.0L/kg)で濯ぎ、容器Cに移した。容器Cの内容物を20℃でさらに60分間撹拌した。次いで、重炭酸ナトリウムの溶液[水-1(15.0L/kg)+重炭酸ナトリウム(4.5当量)]を、添加を通して内部温度を20±5℃に維持しながら、1時間にわたって容器Cに加えた。容器Cの内容物を少なくとも12時間撹拌し、その時点でピパゾリン(化合物6)生成物を撹拌濾過乾燥機で濾過することにより単離した。ケーキを水-2及び-3(5.0L/kg×2回、それぞれ撹拌しながら15分間洗浄)並びに酢酸イソプロピル-2及び3(5.0L/kg×2回、それぞれ撹拌しながら15分間洗浄)で洗浄した。ケーキを窒素下で12時間乾燥させた。
【0165】
アセトン再スラリー(任意):
ピパゾリン(化合物6)及びアセトン(10.0L/kg)を容器Eに加えた。懸濁液を50℃に2時間加熱した。水-4(10.0L/kg)を容器Eに1時間かけて添加した。水の添加が完了したところで、混合物を1時間かけて20℃に冷却した。容器Eの内容物を濾過して生成物を単離し、ケーキを1:1のアセトン/水混合物(5.0L/kg)で洗浄した。ケーキを窒素下で12時間乾燥させた。
【0166】
工程6
【化25】
一般的注記:全ての当量及び体積は、ピパゾリンの投入量に対して報告される。
【0167】
【表11】
【0168】
注記:全てのL/kg及びkg/kg量は、ピパゾリンの投入量に対するものである。
【0169】
反応器Aにピパゾリン(化合物6、1.0当量)、脱気2-MeTHF(9.0L/kg)及び酢酸カリウム(2.0当量)の脱気水溶液(6.5L/kg)を加える。得られた混合物を75±5℃に加温し、次いでPd(dpePhos)Cl(0.003当量)を2-MeTHF(0.5L/kg)中に含有するスラリーを加える。触媒添加の2時間以内に、新たに調製したボロキシン(化合物6A、0.5当量)の湿潤脱気2-MeTHF(4.0L/kg、KF>4.0%)溶液を1時間超にわたって、しかし2時間に満たない間に添加し、添加が完了した後、湿潤2-MeTHFの追加部分(0.5L/kg)で濯ぐ。反応完了後(典型的にはボロキシン添加完了後、1時間未満で、ピパゾリン残存が<0.15面積%未満)、0.2wt%(0.002kg/kg)のビアリールシードを0.02L/kg湿潤2-MeTHF中のスラリーとして添加し、得られたシード床を60分間超エージングする。ヘプタン(5.0L/kg)を75±5℃で2時間かけて添加する。次いで、バッチを2時間かけて20±5℃に冷却し、さらに2時間エージングする。その後、スラリーを濾過し、ケーキを1×5.0L/kgの水、1×5.0L/kgの1:1 iPrOH:水、続いて1×5.0L/kgの1:1 iPrOH:ヘプタンで洗浄した(再懸濁洗浄:ケーキを撹拌機によって再懸濁し、硬化後、濾過する)。次いで、ケーキ(ビアリール、化合物7)を真空下において窒素スイープで乾燥させる。注記:反応が失速した場合、触媒及びボロキシンの追加が必要である。
【0170】
工程7 Pd除去のための炭濾過
【化26】
一般的注記:全ての当量及び体積は、粗ビアリールの投入量に対して報告される。
【0171】
【表12】
【0172】
注記:全てのL/kg及びkg/kg量は、粗ビアリールの投入量に対するものである。
【0173】
清浄な容器Aに粗ビアリール(1当量)を加え、DCM(10L/kg)を添加する。内容物を22±5℃で60分間超撹拌し、溶解を観察する。容器Aからの粗ビアリールをバッグフィルター及びカーボンフィルターに流束≦3L/分/m以下で通し、清浄な容器Bに濾液を回収する。DCMリンス液(1L/kg)を容器Aに加え、カーボンフィルターを通して容器Bに回収する。
【0174】
容器Bの濾液から、IPC Pd含量のための溶液試料を採取する。試料を固体に濃縮し、ICP-MSによって分析する。IPC:Pd≦25ppm(ビアリールに対して)。
a.Pd含有量が第1又は第2のIPC試料でビアリールに対して25ppmを超える場合、3L/分/m以下でカーボンフィルターに溶液を通し(2回目)、1L/kgのDCMで濯ぎ;IPCのための濾液をサンプリングする。
b.3回目のIPC後、Pd含有量が25ppmを超えたままである場合、新しいカーボンディスクを設置し、調整する。ビアリール濾液を新しくしたカーボンフィルターに通し、1L/kgのDCMで洗浄する。IPCのためにサンプリングする。
【0175】
蒸留し、適切な濃度に再充填する。4L/kg以下のDCMに濃縮することによって回収した濾液の蒸留の準備をし、工程7のBoc脱保護反応に移す前に、5.25±0.25L/kgのDCMに達するように再充填する。
【0176】
工程7
【化27】
一般的注記:全ての当量及び体積は、粗ビアリールの投入量に対して報告される。
【0177】
【表13】
【0178】
注記:全てのL/kg及びkg/kg量は、ビアリールの投入量に対するものである。
【0179】
反応器Aに(3S)-4-{6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリミジン-4-イル}-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(ビアリール)(1.0当量)、ジクロロメタン(5.0L/kg)を添加し、TFA(15.0当量、1.9L/kg)は、内部温度を20±5℃に維持するためにゆっくりと加える。反応物を20±5℃で4時間撹拌した。
【0180】
反応器Bに炭酸カリウム(18.0当量)、水(20.0L/kg)及びNMP(1.0L/kg)を加えて、均質な溶液を形成した。装置の最大許容速度で撹拌しながら、A中の反応混合物を30分かけて(約0.24L/kg/分の速度)、B中の炭酸カリウム溶液に移した。混合物を20±5℃でさらに12時間撹拌した。
【0181】
得られたスラリーを濾過し、水(2×10L/kg)で濯いだ。湿潤ケーキを24時間乾燥させて、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-4-[(2S)-2-メチルピペラジン-1-イル]-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(Des-Boc、化合物8)を得た。
【0182】
工程8
【化28】
一般的注記:全ての当量及び体積は、Des-Bocの投入量に対して報告される。
【0183】
【表14】
【0184】
注記:全てのL/kg及びkg/kg量は、Des-Bocの投入量に対するものである。
【0185】
Des-Boc(化合物8、1.0当量)及びNMP(4.2L/kg)を窒素下で容器Aに入れ、Tr<25℃を維持するためにTFA(1.0当量)をゆっくり加える。完全な溶解が観察されるまで(約0.5時間)、混合物を25℃でエージングする。次いで、溶液を、0.45ミクロンフィルターを通して容器B中に仕上げ濾過し、NMP(0.8L/kg)で洗浄する。濾液と洗浄液とを合わせ、次いで0℃に冷却する。得られた溶液に、温度を10℃未満に維持しながら、塩化アクリロイル(1.3当量)を添加する。次いで、反応混合物を、IPCが完了するまで(約1.5時間)、5±5℃でエージングする。
【0186】
水性リン酸二ナトリウムクエンチ液の調製:
リン酸二ナトリウム(3.0当量)及び水(15.0L/kg)を容器Cに入れる。完全な溶解が観察されるまで、混合物を25℃でエージングする。溶液を45±5℃に温める。水(0.4L/kg)中にAMG 510シード(0.005当量)を含有するスラリーを調製し、温度を45±5℃に維持しながら容器Cに添加する。
【0187】
温度を45±5℃(約1時間)に維持しながら、容器B中の反応混合物を容器C(クエンチ溶液)に移す。容器BをNMPの一部(0.5L/kg)で洗浄する。生成物スラリーを45±5℃で2時間エージングし、3時間かけて20℃に冷却し、20℃で少なくとも12時間エージングし、濾過し、水(2×10.0L/kg)で洗浄する。生成物を窒素及び真空下で乾燥させて、粗AMG 510(化合物9A)を得る。
【0188】
工程9
【化29】
一般的注記:全ての当量及び体積は、粗AMG 510の投入量に対して報告される。
【0189】
【表15】
【0190】
注記:全てのL/kg及びkg/kg量は、粗AMG 510の投入量に対する。
【0191】
反応器Aに6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(粗AMG 510)(1.0当量)、エタノール(7.5L/kg)及び水(1.9L/kg)を加えた。混合物を75℃に加熱し、清浄な反応器Bに仕上げ濾過した。溶液を45℃に冷却し、ミルで粉砕した真正のAMG 510シード(0.015±0.005kg/kg)を加え、得られたスラリーを30分間エージングした。内部温度を40℃超に維持しながら、5時間かけて水(15.0L/kg)を添加し、混合物をさらに2時間エージングした。
【0192】
混合物を3時間かけて20℃に冷却し、8時間エージングし、その後、固体を濾過によって回収し、エタノール(2.5L/kg)及び水(5.0L/kg)の混合物を使用して洗浄した。真空及び窒素を使用して固体を乾燥させ、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン(AMG 510、化合物9)を得た。
【0193】
化合物6A ボロキシンの合成:
リチオ化/ホウ素化
【化30】
【0194】
【表16】
【0195】
反応器AにTHF(6体積)、第2級アミン塩基であるジイソプロピルアミン(1.4当量)及び触媒、例えばトリエチルアミン塩酸塩(0.01当量)を加えた。得られた溶液を-70℃に冷却し、第1の塩基であるn-BuLi(2.5M(ヘキサン中)、1.5当量)をゆっくりと加えた。添加完了後、3-フルオロアニソール(1.0当量)のTHF(6体積)溶液をゆっくりと加え、-70℃に5分間保持した。同時に又はその後、試薬B(EtO)(2.0当量)をゆっくり加え、-70℃に10分間保持した。反応混合物を酸(2N HCl)でクエンチした。クエンチした反応混合物をMTBE(3×4体積)で抽出した。一緒にした有機相を1.5~3の総体積に濃縮した。ヘプタン(7~9体積)を滴下し、混合物を0~10℃に冷却し、3時間撹拌した。混合物を濾過し、ヘプタン(1.5体積)で濯いだ。固体を窒素下において<30℃で乾燥させ、(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)ボロン酸を得た。
【0196】
脱メチル化:
【化31】
【0197】
【表17】
【0198】
注記:全てのL/kg及びkg/kg量は、(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)ボロン酸投入量に対するものである。
【0199】
反応器にジクロロメタン(溶媒、4.0L/kg)及び酸(BBr(1.2当量))を加え、-20℃に冷却する。この溶液に、ジクロロメタン(4.0L/kg)中に(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)ボロン酸(1.0当量)を懸濁させた懸濁液を、温度を-15~-25℃に維持しながら、BBr/DCM混合物に添加した。HPLCによってモニターしながら[≦1%(2-フルオロ-6-メトキシフェニル)ボロン酸]、反応を約2時間進行させた後、水(3.0L/kg)中に逆クエンチした。次いで、沈殿した固体を濾過によって単離し、フィルター上において水(3.0L/kg)でスラリー化した後、脱液した。濾液を重炭酸ナトリウムの添加によりpH4~6に調整した。底部有機相を分離し、得られた水層をジクロロメタン(溶媒、5.0体積)で洗浄し、濃塩酸の添加によってpH=1に調整した。得られた固体を濾過により単離し、ケーキを水(2×5.0L/kg)で洗浄した。
【0200】
再スラリーによる精製(必要)
粗固体を合わせて反応器に加え、20℃で5%EtOH/水(5.0L/kg)により1時間超スラリー化した。次いで、精製した生成物を濾過により単離し、水(2×3L/kg)で濯いだ後、窒素/真空下で<30℃においてフィルター上で乾燥させて2,2’,2’’-(1,3,5,2,4,6-トリオキサトリボリナン-2,4,6-トリイル)トリス(3-フルオロフェノール)(ボロキシン、化合物6A)を得た。
【0201】
上の記述は、単に本発明の例示であり、開示された使用に本発明を限定することを意図するものではない。当業者にとってルーチンである変形形態及び変更形態は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内及び性質内であることが意図される。言及した全ての参考文献、特許、出願及び刊行物は、あたかも本明細書に書かれているかのように参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】