(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】流体製品分配装置
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A61M11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527183
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 FR2020052054
(87)【国際公開番号】W WO2021094683
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイエ マチュー
(72)【発明者】
【氏名】エスピノーサ ディエーゴ
(57)【要約】
【課題】分配ヘッドと異なる形態の鼻との適合性が高い流体製品点鼻装置を提供する。
【解決手段】分配オリフィス(21)を有する分配ヘッド(20)と、分配ヘッド(20)内に挿入されて固定される中空インサート(60)と、を備えた流体製品点鼻装置において、分配ヘッド(20)は、縮径した近位端部分(220)を有し、当該近位端部分(220)は軸方向長さが5mmよりも長く、その最大外径が8mm未満、その壁厚が1.1mm未満、分配ヘッド(20)は、内側側壁を有し、内側側壁は、第1の近位円筒形セクション(25)および、第1の近位円筒形セクション(25)の直径よりも大きい直径を有する第2の遠位円筒形セクション(26)を有し、インサート(60)は、その外壁上に、全周にわたって延在する第1の近位半径方向突起(65)を有し、第1の近位半径方向突起(65)は、第1の近位円筒形セクション(25)と緊密かつ気密に協働する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品点鼻装置であって、
流体製品を収容するリザーバー(10)と、
分配オリフィス(21)を有する分配ヘッド(20)と、
前記分配オリフィス(21)を通して、前記流体製品の少なくとも一部を分配するためのストッパー/ピストン(50)と、
前記分配ヘッド(20)内に挿入されて固定される中空インサート(60)と、を備え、
前記リザーバー(10)は、作動前に前記ストッパー/ピストン(50)によって密閉されており、
前記インサート(60)は、作動中に、前記ストッパー/ピストン(50)を穿刺して、前記リザーバー(10)を前記分配オリフィス(21)に接続するカニューレ(40)を支持し、
前記分配ヘッド(20)は、縮径した近位端部分(220)を有し、
当該近位端部分(220)は軸方向長さが5mmよりも長く、有利には6mmよりも長く、その最大外径が8mm未満、有利には7mm未満であり、その壁厚が1.1mm未満、有利には0.7~1.0mmであり、
前記分配ヘッド(20)は、内側側壁を有し、
前記内側側壁は、前記第1の近位円筒形セクション(25)および、前記第1の近位円筒形セクション(25)の直径よりも大きい直径を有する第2の遠位円筒形セクション(26)を有し、
前記インサート(60)は、その外壁上に、全周にわたって延在する第1の近位半径方向突起(65)を有し、
前記第1の近位半径方向突起(65)は、前記第1の近位円筒形セクション(25)と緊密かつ気密に協働することによって、 前記分配ヘッド(20)において前記インサート(60)を確実に気密に固定する
ことを特徴とする流体製品点鼻装置。
【請求項2】
前記インサート(60)は、組み立てられた状態で、その前面で前記分配ヘッド(20)の底壁に当接し、
当該当接は、前記インサート(60)と前記分配ヘッド(20)との間の唯一の軸方向接触を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項3】
前記近位端部分(220)は、わずかに円錐形であり、
前記近位端部分(220)は、前記分配オリフィス(21)において、6mm未満、有利には5mm未満の外径を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項4】
前記近位端部分(220)は、
軸方向について、少なくとも5mm、好ましくは6.15mmの距離(L1)にわたって延在し、
その遠位端におけるその外径(D1)は、6mm未満、特に5.7mmであり、
その近位端におけるその外径(D1´)は、前記分配オリフィス(21)において5mm未満、特に4.6mmである
ことを特徴とする請求項3に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項5】
前記近位端部分(220)は、
軸方向について、少なくとも5mm、好ましくは12.5mmの距離(L2)にわたって延在し、
その遠位端におけるその外径(D2)は、7mm未満、特に6.6mmであり、
その近位端におけるその外径(D2´)は、前記分配オリフィス(21)において5mm未満、特に4.6mmである
ことを特徴とする請求項3に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項6】
前記インサート(60)は、その外壁上に、前記第1の近位半径方向突起(65)から軸方向に分離された第2の遠位半径方向突起(66)を含み、
前記第2の遠位半径方向突起(66)は、前記第2の遠位円筒形セクション(26)と協働して、前記インサート(60)が前記分配ヘッド(20)に挿入されたときの前記インサート(60)の案内と、組み立てられた位置におけるセンタリングと、を確実にする
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項7】
前記第2の遠位半径方向突起(66)は、軸方向寸法が1mm未満、有利には0.6mm未満である端面を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項8】
前記第1の近位半径方向突起(65)は、その軸方向寸法が1mm未満、有利には0.7mm未満である半径方向クランプ端面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項9】
前記インサート(60)は、その前面に、組み立てられた状態で、前記分配オリフィス(21)の直接上流に配置された噴霧プロファイル(62)を有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項10】
前記インサート(60)は、排出チャネル(61、61´、61´´)と、流体が排出チャネルから前記噴霧プロファイル(62)へ通過することを可能にする少なくとも1つの半径方向開口部(63)とを画定し、
前記排出チャネルは、前記半径方向開口部(63)において、近位チャネル部分(61)と、前記近位チャネル部分(61)の直径よりも直径が大きく、第1の半径方向肩部(68)によって後者に接続された中央チャネル部分(61´)と、前記中央チャネル部分(61´)の直径よりも直径が大きく、第2の半径方向肩部(69)によって後者に接続された遠位チャネル部分(61´´)と、を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項11】
前記カニューレ(40)は、前記中央チャネル部分(61´)に力嵌めされ、その近位端は、前記第1の半径方向肩部(68)に当接する
ことを特徴とする請求項10に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項12】
前記リザーバー(10)が、当該装置の単一の作動において分配される流体の単一用量を含む
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の流体製品点鼻装置。
【請求項13】
前記リザーバー(10)は、当該装置の2つの連続した作動で分配される2用量の流体を含む
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の流体製品点鼻装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品点鼻装置に関する。より詳細には、本発明は、1つ以上の鼻腔スプレーを介して薬用流体製品を使用者に分配するための流体製品点鼻装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の流体製品点鼻装置の欠点は、特に小児において、分配ヘッドと異なる形態の鼻との適合性に関するものである。
【0003】
さらに、この種の点鼻装置では、一般に、分配ヘッド内の分配オリフィスの上流に配置されたインサートによってスプレーが生成される。これらの部品は、成形の際に、収縮などの問題を引き起こす可能性がある。インサートを所定の位置に入れ、所定の位置に保持し、分配ヘッド内で密封することも、装置が誤作動する危険性があるため、複雑であることが知られている。特に、噴霧プロファイルはインサートと分配ヘッドの間で規定されるため、スプレーの特性は、組み立て条件に左右され、装置ごとに異なる場合がある。
【0004】
国際公開第2016001601号パンフレットには、
図2に示すような分配ヘッドを備える従来技術の装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の欠点を有さない流体製品分配装置を提供することである。
【0007】
より詳細には、本発明の目的は、装置の誤動作の危険性を回避または制限し、その堅牢性を改善する流体製品分配装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、製造及び組み立てが簡単で安価な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明は、流体製品を収容するリザーバーと、分配オリフィスを備える分配ヘッドと、前記分配オリフィスを通して前記流体製品の少なくとも一部を分配するためのストッパー/ピストンと、を備え、前記リザーバーは、作動前に前記ストッパー/ピストンによって密閉されて閉じられ、前記デバイスは、前記分配ヘッドに挿入され固定された中空インサートを備え、前記インサートは、前記ストッパー/ピストンを貫通し、したがって、作動中に前記リザーバーを前記分配オリフィスに接続するカニューレを支持する、流体製品分配装置を提供し、
(a)前記分配ヘッドは、近位端部分が縮径しており、軸方向長さが5mmよりも長く、有利には6mmよりも長く、最大外径が8mm未満、有利には7mm未満であり、壁厚が1.1mm未満、有利には0.7~1.0mmであって、
(b)前記分配ヘッドは、第1の近位円筒形セクションと、前記第1の近位円筒形セクションの直径よりも大きい直径の第2の遠位円筒形セクションとを含む内側側壁を備え、前記インサートは、その外壁上に、全周にわたって延在する第1の近位半径方向突起を有し、前記第1の近位半径方向突起は、前記第1の近位円筒形セクションと気密に協働することによって、前記分配ヘッドにおける前記インサートの密封固定を確実にする。
【0010】
有利には、前記インサートは、組み立てられた状態で、その前面が前記分配ヘッドの底壁と当接し、この当接によって、前記インサートと前記分配ヘッドとの間の唯一の軸方向接触を形成する。
【0011】
有利には、前記近位端部分はわずかに円錐形であり、前記近位端部分は、前記分配オリフィスのレベルで、6mm未満、有利には5mm未満の外径を有する。
【0012】
第1の有利な変形例によれば、前記近位端部分は、少なくとも5mm、好ましくは6.15mmの軸方向距離L1にわたって延在し、その遠位端でのその外径D1は、6mm未満、特に5.7mmであり、その外径は、その近位端、前記分配開口部のD1´は、5mm未満、特に4.6mmである。
【0013】
第2の有利な変形によれば、前記近位端部分は、少なくとも10mm、好ましくは12.5mmの軸方向距離L2にわたって延在し、その遠位端でのその外径D2は、7mm未満、特に66mmであり、その外側前記分配オリフィスのレベルでのその近位端での直径D2´は、5mm未満、特に4.6mmである。
【0014】
有利には、前記インサートは、その外壁上に、前記第1の近位半径方向突起から軸方向に分離された第2の遠位半径方向突起を備える。前記第2の近位半径方向突起は、前記第2の近位円筒形セクションと協働することによって、前記分配ヘッドへ挿入する際に、前記インサートを確実に誘導するとともに、組み立てられた位置にセンタリングする。
【0015】
有利には、前記第1の近位半径方向突起は、半径方向クランプを提供する端面を有し、その軸方向寸法は、1mm未満、有利には0.7mm未満である。
【0016】
有利には、前記第2の近位半径方向突起は、軸方向寸法が1mm未満、有利には0.6mm未満である端面を有する。
【0017】
有利には、前記インサートは、その前面に、組み立てられた状態で、前記分配オリフィスのすぐ上流に配置された噴霧プロファイルを備える。
【0018】
有利には、前記インサートは、排出チャネルと、流体が排出チャネルから前記噴霧プロファイルへ通過することを可能にする少なくとも1つの半径方向開口とを画定し、排出チャネルは、前記半径方向開口部における近位チャネル部分と、前記近位チャネル部分の直径よりも直径が大きく、第1の半径方向肩部によって後者に接続された中央チャネル部分と、前記中央チャネル部分の直径よりも大きい直径を有しており、2番目の放射状の肩部によって後者に接続された遠位チャネル部分を備えている。
【0019】
有利には、前記カニューレは、前記中央チャネル部分に圧力嵌めされ、その近位端は、前記第1の半径方向肩部に当接するようになる。
【0020】
有利には、前記リザーバーは、装置の単一の作動で分配される流体製品の単一用量を含む。
【0021】
変形例では、前記リザーバーは、装置の2つの連続した作動中に分配される2回分の流体製品を収容する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、非限定的な例として与えられる以下の詳細な説明から、および添付の図面を参照して、より明確になる:
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、有利な実施形態における流体製品分配装置の概略断面図であって、作動前の休止位置を示す。
【
図2】
図2は、分配ヘッドおよび従来技術に係るインサートの詳細断面図である。
【
図3】
図3は、
図2の図と同様の図であって、本発明の有利な実施形態による分配ヘッドおよびインサートを示す。
【
図6】(a)および(b)は、分配ヘッドの2つの有利な代替実施形態の詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
用語「近位」および「遠位」は、分配オリフィスに対するものである。用語「軸方向」および「半径方向」は、装置の縦方向中心軸に対して相対的である。用語「上流」および「下流」は、作動中の流体の流れの方向に関連する。用語「上部」および「底部」は、
図1に示されるデバイスの直立位置に対する相対である。
【0025】
図1および
図3~
図5を参照しながら、本発明の有利な実施形態を示す。
【0026】
この実施形態では、分配される流体製品、典型的には液体を収容するリザーバー10が、分配ヘッド20を形成する本体の内側に配置される。分配ヘッド20は、軸方向に向けられた分配オリフィス21を備える。分配オリフィス21は、ユーザーが装置を作動させる間に、前記分配ヘッド20から1回分の流体を分配するように機能する。
【0027】
分配ヘッド20は、その近位軸方向端部に前記分配オリフィス21を含むノーズピース細長部22と、半径方向フランジ23を介して前記ノーズピース22に接続される側部本体24とを備える。ノーズピース22の内側壁は、第1の近位円筒形部分25と、第1の近位円筒形部分25の直径よりも大きい直径の第2の遠位円筒形部分26とを含む。
【0028】
中空インサート60は、分配オリフィス21の上流で分配ヘッド20内に配置され、前記中空インサート60は、排出チャネル61、61´、61´´を画定し、分配ヘッド20の底壁と協働して、前記分配オリフィス21のすぐ上流に噴霧プロファイル62を画定する。インサート60の近位端の近傍に配置された少なくとも1つの半径方向開口部63は、流体が排出チャネル61から噴霧プロファイル62に通過することを可能にする。排出チャネルは、前記半径方向開口部63に近位チャネル部分61を備える。また、排出チャネルは、近位チャネル部分61の直径よりも大きい直径の中央チャネル部分61´を含み、第1の半径方向肩部68によって後者に接続される。最後に、排出チャネルはまた、中央チャネル部分61´の直径よりも大きい直径の遠位チャネル部分61´´を含み、第2の半径方向肩部69によって後者に接続される。その外壁上で、インサート60は、全周にわたって延在する第1の近位半径方向突起65と、同様に全周にわたって延在することができ、かつ第1の近位半径方向突起65から軸方向に分離する第2の遠位半径方向突起66とを備える。
【0029】
中空カニューレ40は、前記排出チャネル61、61´、61´´に挿入され、固定され、前記カニューレ40は、その遠位端に穿孔器先端41を備える。有利には、前記カニューレ40は、前記中央チャネル部分61´に圧入され、その近位端は、前記第1の半径方向肩部68に当接する。したがって、カニューレ40のインサート60への挿入が容易になり、第1の半径方向肩部68がその組立位置を画定し、力嵌めが中央チャネル部分61´に限定される。
【0030】
図の例では、リザーバー10は、ストッパー/ピストン50によって閉鎖され、装置の単一の作動によって分配される流体製品の単一用量を収容する単一の開口部を含む、中空かつ閉じた本体によって形成される。
【0031】
作動中、リザーバー10は、分配ヘッド20に対して、したがってカニューレ40に対して軸方向上方に変位される。したがって、ストッパー/ピストン50は、穿孔されるためにカニューレ40の先端41に押し付けられ、これにより、リザーバー10内に収容された流体製品の全部または一部を排出することが可能になる。
【0032】
また、本発明は、リザーバーが、装置の2つの連続した作動の間に分配される少なくとも2つの用量の流体を含む、デュアルまたはマルチ用量タイプの装置に適用され得ることが留意されるべきである。
【0033】
アクチュエーター手段30は、装置を作動させることができるように設けられている。
【0034】
図1の実施形態では、アクチュエーター手段30は、分配ヘッド20に対して移動可能なアクチュエーター本体31を備えている。前記アクチュエーター本体31は、前記リザーバー10と協働して、分配ヘッド20に対して、分配オリフィス21に向かって軸方向に移動する。
【0035】
装置の動作を以下に詳細に説明する。
【0036】
従来の方法では、ユーザーは、分配ヘッド20上に形成された半径方向フランジ23上に2本の指を掛け、親指で前記アクチュエーター本体31の遠位軸方向底壁32を押圧する。このような作動中、リザーバー10は、分配オリフィス21に向かって軸方向に押され、その結果、カニューレ40は、ストッパー/ピストン50を穿孔する。すると、リザーバー10の内容物が分配オリフィス21に接続されるので、ユーザーがアクチュエーター本体31を押圧することによって、リザーバー10内のストッパー50を移動させると、流体製品が分配される。
【0037】
図面に示されていない別の実施形態では、リザーバー10は、1つの開口部のみを含む中空かつ閉じた本体によって形成する必要はなく、両端が軸方向に開いている中空の円筒によって形成してもよい。したがって、シリンダーは、第1のストッパーによって近位端で閉じられ、第2のストッパーによって遠位端で閉じられ、前記2つのストッパーの間に画定される量の流体が分配される。ユーザーが装置を作動させると、上述したように、ユーザーはアクチュエーター本体を軸方向に押して、分配オリフィスに向かって軸方向にスライドさせる。これにより、第2のプラグがリザーバー内で移動する。しかしながら、流体は非圧縮性であるので、第2のストッパーが移動することによって、第1のストッパーが、固定されているカニューレに向かって移動する。したがって、第1のストッパーがカニューレによって穿孔され、リザーバーの内容物が分配オリフィスに分配され、第2のストッパーがピストンとして働く。
【0038】
上述したように、本発明は、デュアルドース型の装置にも適用することができる。この構成では、リザーバーの内容物は、2回の連続した作動で分配される。国際公開第2014/147329号パンフレットには、二重用量デバイスの例が記載されている。
【0039】
本発明によれば、分配ヘッド20およびインサート60は、特定の形状および寸法を有し、これらの部品の成形および組立、ならびに装置の動作の信頼性を向上させる。
【0040】
分配ヘッド20のノーズピース22は、直径が減少した近位端部分220を含む。この近位端部分220は、有利には、わずかに円錐形である。この近位端部分220は、5mmより大きい、有利には6mmより大きい軸方向長さを有する。この近位端部分220は、8mm未満、有利には7mm未満の最大外径を有する。分配オリフィス21の高さにおいて、前記近位端部分220は、有利には、6mm未満、有利には5mm未満の外径を有する。
図6(a)の変形例では、前記近位端部分220は、軸方向に沿って、少なくとも5mm、好ましくは6.15mmの距離L1にわたって延在する。遠位端におけるその外径D1は、6mm未満、好ましくは5.7mmである。分配オリフィス21の近位端におけるその外径D1´は、5mm未満、好ましくは4.6mmである。
【0041】
図6(b)の変形例では、前記近位端部分220は、軸方向に沿って、少なくとも10mm、好ましくは12.5mmの距離L2にわたって延在する。遠位端におけるその外径D2は、7mm未満、好ましくは6.6mmである。分配オリフィス21の近位端におけるその外径D2´は、5mm未満、好ましくは4.6mmである。
【0042】
前記端部220の壁の厚さは、1.1mm未満、有利には0.7~1.0mmである。この実施形態は、特に、過剰な厚さに関連する変形の危険性を低減したり、および収縮の危険性を低減したりすることによって、分配ヘッド20の成形精度を改善する。
【0043】
インサート60が分配ヘッド20に組み立てられると、インサートの前面に配置された噴霧プロファイル62が分配ヘッド20の底壁に当接するまでその内部に挿入される。これは、インサート60と分配ヘッドとの間の唯一の軸方向接触である。したがって、
図2に示す従来技術の装置とは異なって、もはや二重軸接触はない。この二重接触は、特に、インサートの製造公差および分配ヘッドの製造公差に起因して、装置ごとに異なる噴霧プロファイルを生成する恐れがある。本発明およびその特異な軸方向接触によれば、当該軸方向接触は常に同じ形状になり、その結果、常に同じ噴霧特性を有することが保証される。
【0044】
組み立てられた位置では、第1の近位半径方向突起65は、ノーズピース22の第1の近位円筒形部分25と緊密かつ気密に協働し、分配ヘッド20におけるインサート60の気密な固定を確実にする。第2の近位半径方向突起66は、ノーズピース22の第2の近位円筒形部分26と協働する。この協働により、インサート60は、分配ヘッド20内に挿入されるときに案内され、組み立てられた位置でセンタリングされ、したがって、密封も締着もしないことが保証される。
【0045】
第1の近位半径方向突起65は、第1の近位円筒部25と半径方向クランプする端面を有する。この第1の近位半径方向突起65の軸方向寸法は、1mm未満、有利には0.7mm未満、好ましくは0.63mmである。したがって、クランプ面が大幅に低減されるので、分配ヘッド内のインサート60の組み立てが容易になり、インサートと分配ヘッドとの間のクランプ面が通常5mmよりも大きい
図2の従来技術の装置と比較して、低い挿入力しか必要としない。したがって、組立中にインサートを損傷する危険性が低減される。
【0046】
第2の遠位半径方向突起66は、その軸方向寸法が1mm未満、有利には0.6mm未満、好ましくは0.53mmである端面を有する。したがって、組立中に、前記第2の遠位半径方向突起66と第2の遠位円筒部26とが接触した場合であっても、接触面の寸法が小さいので、組立工程が変更されることはない。
【0047】
したがって、本発明によれば、分配ヘッドおよびそのインサートの製造および組み立てが単純化され、より信頼性があり、費用がかからず、装置をより堅牢にし、再現可能な性能を保証する装置を提供することができる。
【0048】
当然ながら、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲を逸脱することなく、他の変形例も想定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示に係る流体製品点鼻装置は、1つ以上の鼻腔スプレーを介して薬用流体製品を使用者に分配する装置として有用である。
【符号の説明】
【0050】
10…リザーバー
20…分配ヘッド
30…アクチュエーター手段
40…中空カニューレ
50…ストッパー/ピストン
60…中空インサート
【国際調査報告】