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特表2023-5015512つの部分から成るガラス製反応器、製造方法及び分析方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】2つの部分から成るガラス製反応器、製造方法及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/03 20060101AFI20230111BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20230111BHJP
   C03C 27/06 20060101ALI20230111BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01N21/03 Z
C03C15/00 Z
C03C27/06 101A
C03C23/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527207
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020081592
(87)【国際公開番号】W WO2021094290
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】102019217466.3
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505469573
【氏名又は名称】エルペーカーエフ レーザー ウント エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】マルテ・シュルツ-ルーテンベルク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ファン・アールスト
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ・ヴォラー
【テーマコード(参考)】
2G057
4G059
4G061
【Fターム(参考)】
2G057AA04
2G057AA12
2G057AC01
2G057BA01
2G057BA03
2G057BB01
2G057BD03
2G057BD04
2G057CB03
4G059AA01
4G059AB06
4G059AC01
4G059BB14
4G059BB16
4G061AA15
4G061AA20
4G061CA02
4G061CC03
4G061CD02
4G061DA24
4G061DA32
(57)【要約】
本発明は、ガラス製の反応器を製造するための方法と、当該方法で得られるガラス製の反応器とに関する。当該方法は、1.第1のガラス板を透過する波長のレーザービームを、第1のガラス板の表面に照射するステップと、2.第1のガラス板の厚さ全体にわたって延在する凹部を形成するために、第1のガラス板をエッチングするステップと、3.第2の板を第1のガラス板の表面に接続するステップと、を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガラス板(1)に凹部(2)として形成された、複数のガラス製の反応器を製造するための方法であって、
1.前記第1のガラス板(1)を透過する波長のレーザーパルスを、前記第1のガラス板(1)の、それぞれ凹部(2)が反応器として形成されるべき場所に照射するステップと、
2.場所に沿った前記凹部(2)の形成に十分である時間的長さにわたって、前記第1のガラス板(1)をエッチングするステップであって、前記第1のガラス板(1)の厚さ全体にわたって延在する深さを有する前記凹部(2)が形成されるまでエッチングが行われ、第2の板(6)が前記第1のガラス板(1)の表面に接続されるステップと、を有している方法において、
接続が、フリットガラス(10)を前記第1のガラス板(1)の表面(4、5)に、若しくは、前記第2の板(6)の表面に塗布した後に加熱することによって、又は、陽極接合によって、又は、単に前記第1のガラス板(1)を前記第2の板(6)に面して配置した後に加熱することによって行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記凹部(2)の深さが少なくとも30μmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凹部(2)が、第1の表面(4)の平面で測定された少なくとも2の深さの直径に対するアスペクト比を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ1の後、かつ、ステップ2の前に、前記第1のガラス板(1)の表面(4、5)がエッチングレジスト(8)でコーティングされ、前記エッチングレジスト(8)は、エッチングの後かつ前記第2の板(6)との接続の前に除去されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の板(6)が、ガラス、ケイ素、サファイア、セラミック、金属から構成されているか、又は、ガラス、ケイ素、サファイア、セラミック、金属の少なくとも2つの層から構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のガラス板(1)に、前記凹部(2)が形成されるべき場所で、複数の互いに離間した位置において、レーザービームが照射されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
位置(12)の部分において、レーザーパルスが、より小さい深さで、前記第1のガラス板(1)内の第1の厚さ部分(20)に照射され、位置(13)の部分において、レーザーパルスが、より深く、前記第1のガラス板(1)内の隣接する第2の厚さ部分(21)に照射され、エッチングの際に、前記第1の厚さ部分にわたって延在する凹部(2)が形成され、前記第2の厚さ部分(21)にわたって延在する、部分壁(22)によって離間した部分凹部(2’)が形成されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記位置が、最大で10μmの間隔を置いて配置されており、少なくとも3つの前記位置が、互いに少なくとも20μm離れていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
レーザービーム及び/又はレーザーパルスの焦点位置が、前記レーザービーム及び/又は前記レーザーパルスが、前記第1のガラス板(1)の厚さ全体にわたっては延在していない厚さ部分においてのみ、前記第1のガラス板(1)に進入するように設定されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のガラス板(1)の前記凹部(2)が形成されるべき場所において、レーザービームが、周方向が閉じられた経路に照射されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
周方向が閉じられた経路に照射されるレーザービームが、並んで照射されるレーザービームパルスによって形成されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のガラス板(1)の少なくとも一方の面が、ステップ2の前に、エッチングレジスト(10)でコーティングされることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
エッチングが、エッチングレジスト(10)でコーティングされた表面に隣接して、凹部の周りを取り囲む斜角面(9)が形成されるまで行われることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項14】
接続が、ペースト状のフリットガラス(10)を前記第1のガラス板(1)の表面(4、5)に印刷技術を用いて塗布すること、前記第2の板(6)を塗布された前記フリットガラス(10)に面して配置すること、及び、配置された前記第1のガラス板(1)と前記第2の板(6)とを、前記第1のガラス板(1)と前記第2の板(6)との間に塗布された前記フリットガラス(10)と共に加熱すること、によって行われることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第1の導体経路(15)が、前記第1のガラス板(1)の前記第2の板(6)と反対側の表面(4)に塗布され、第2の導体経路(16)は、引き続いて前記第1のガラス板(1)に接続される前記第2の板(6)の前記第1のガラス板(1)に対向する表面に塗布されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の導体経路(16)が、前記第2の板(6)に形成された溝の内側に形成されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項17】
前記凹部(2)の内壁の少なくとも一部を覆う導体経路が、前記第1のガラス板(1)に塗布されていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
レーザービームが、前記第1のガラス板(1)の第1の表面(4)に照射され、接続の際に、前記第2の板(6)が、前記第1のガラス板(1)の前記第1の表面(4)とは反対側の第2の表面(5)に面して配置されていることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第3の板(18)が、前記第3の板の厚さ全体にわたって延在する第3の凹部(23)を有し、前記第3の凹部(23)で、前記第1のガラス板(1)の前記凹部(2、2’)に合わせて、前記第1のガラス板(1)の第1の表面(4)と接続されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の板(6)に、第2の凹部(19)が形成され、前記第2の板(6)は、前記第2の板の第2の凹部(19)で、前記第1のガラス板(1)の前記凹部(2)に隣接して、前記第1のガラス板(1)に接続されることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
特に請求項1から20のいずれか一項に記載の方法に従って得られる、ガラス製の凹部として形成されている反応器であって、前記反応器は、第1のガラス板(1)において少なくとも30μmである前記凹部の深さと、前記第1のガラス板(1)の第1の表面(4)の平面において測定された、深さの直径に対する少なくとも2のアスペクト比とを有しており、前記凹部(2)は、壁によって囲まれており、前記壁の端面は、共通の平面に配置されていると共に、前記第1のガラス板(1)の前記第1の表面(4)を形成しており、前記第1の表面(4)からは、前記凹部(2)は除かれている、反応器において、
前記凹部(2)は、前記第1のガラス板(1)の厚さ全体にわたって延在しており、前記反応器の底部(3)を形成する第2の板(6)は、フリットガラス(10)を前記第1のガラス板(1)の表面(4、5)に、若しくは、前記第2の板(6)の表面に塗布した後に加熱することによって、又は、陽極接合によって、又は、単に前記第1のガラス板(1)を前記第2の板(6)に面して配置した後に加熱することによって、前記第1のガラス板(1)の表面(4、5)と接続されていることを特徴とする、反応器。
【請求項22】
前記第2の板(6)が、前記第2の板の前記第1のガラス板(1)に対向する表面上に導体経路を有しており、前記導体経路は、前記凹部(2)によって囲まれた領域内にまで延在しており、前記第1のガラス板(1)と前記第2の板(6)との間には、溶融後に凝固した前記フリットガラス(10)が配置されていることを特徴とする、請求項21に記載の反応器。
【請求項23】
前記導体経路が、前記第1のガラス板(1)に接続された前記第2の板(6)の表面に形成された溝の内側に配置されていることを特徴とする、請求項22に記載の反応器。
【請求項24】
前記第1のガラス板(1)と前記第2の板(6)との間には、溶融後に凝固した前記フリットガラス(10)が配置されており、前記フリットガラスは、300nmから800nmの波長に関して不透過な染料を有していることを特徴とする、請求項21から23のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項25】
前記凹部(2)の底部(3)が、ガラスレンズを形成する凝固したフリットガラス(10)によって形成されており、前記フリットガラス(10)の全面が、前記第1のガラス板(1)に接続された前記第2の板(6)の表面上に配置されていることを特徴とする、請求項21から24のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項26】
第3の板(18)が、前記第3の板の厚さ全体にわたって延在する第3の凹部(23)を有し、前記第3の凹部(23)で、前記第1のガラス板(1)の前記凹部(2、2’)に合わせて、前記第1のガラス板(1)の前記第1の表面(4)と接続されていることを特徴とする、請求項21から25のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項27】
前記第2の板(6)が、第2の凹部(19)を有しており、前記第2の凹部は、前記第2の板(6)の厚さ全体にわたって延在しており、前記第2の板(6)は、前記第2の板の第2の凹部(19)で、前記第1のガラス板(1)の前記凹部(2)に隣接して、前記第1のガラス板(1)に接続されていることを特徴とする、請求項21から26のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項28】
前記第2の板(6)の第2の凹部(19)が、前記第1のガラス板(1)に隣接した表面の平面で測定した1μmから5μmの直径を有していることを特徴とする、請求項21から27のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項29】
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法に従って製造された、又は、請求項21から28のいずれか一項に記載の反応器である、反応器を供給するステップ、無細胞又は有細胞の試料を前記反応器内に設置するステップ、少なくとも1つの試薬を前記反応器に添加するステップ、及び、前記反応器の光学測定を行うステップを有する、試料を分析するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスに凹部の形状で成形されている、ガラスから成る反応器の製造方法に関する。ガラスに反応器が配列を成して成形されているところのガラスは、2つ以上の互いに接続されたガラス要素から構成されており、当該ガラス要素は、任意で互いに直接接続されているか、又は、ガラス要素の間に配置された接続層を用いて接続されている。当該方法は、多数の反応器の配列を形成し、当該配列は、ガラスに成形されており、例えば、それぞれ8×12の反応器の25×25のマス目の配列が成形されている。当該反応器は、第1のガラス板と、第1のガラス板に密に接続された第2のガラス板と、又は、さらに同じように接続されたガラス板とから構成され得るガラス板に、多数が形成されている。
【背景技術】
【0002】
当該方法は、塊状のガラスに機械的な作用を加えずに、反応器を形成する凹部を成形するので、反応器は例えば微小クラック等の機械的損傷を有さない、という利点を有している。当該反応器は、深さの直径に対する大きなアスペクト比を有している。さらなる利点は、反応器を製造するための方法が、少なくとも、反応器の横断面開口部が形成されているガラス表面の選択的なコーティングを行わずに、任意で、反応器が形成されるガラス表面のあらゆるコーティングを行わずに、進行し得ることにある。
【0003】
非特許文献1は、クロムから成るマスクと、その上にフォトレジストとを塗布した後のエッチングによる、ガラス板における直径20μmで深さ8μmの反応器の製造について記載している。
【0004】
特許文献1は、超音波が照射されるツール、及び、ツールとガラスとの間の研磨材を用いた、ガラス内での反応器の製造について記載している。
【0005】
特許文献2は、ガラス製の底部から成る、96個のウェルを有するマイクロタイタープレートについて記載しており、底部は紫外線を透過させ、フリットガラスによってガラス板と接続されており、ガラス板では、連続する凹部がウェルの側壁を形成している。
【0006】
特許文献3は、マイクロタイタープレートの底部における、フォトリソグラフィ方法を用いた表面構造の形成について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0211014号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1867612号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2011857号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Deutsch et al., Lab Chip, 2006, 69, 995-1000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、特に大きなアスペクト比を有する反応器を、総じて小さな容積でガラスに製造し、ガラス内の多数の当該反応器の配列を供給するために適した、代替的な製造方法を提供することにある。好ましくは、当該方法は、ガラスが光を照射された場合に、反応器内の細胞に対して高い光学コントラストを形成するような当該反応器の配列を供給するために適しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、本課題を請求項に記載の特徴で、特にガラス製の反応器を製造するための方法と、当該方法で得られるガラス製の反応器とで解決する。当該方法は、
1.第1のガラス板を透過する波長のレーザービームを、第1のガラス板の表面の、それぞれ凹部が反応器として形成されるべき場所に照射する、好ましくは点状に照射するステップと、
2.第1のガラス板の厚さ全体にわたって延在する凹部を形成するために第1のガラス板をエッチングするステップであって、好ましくは、深さが好ましくは少なくとも40μm又は少なくとも30μmであり、好ましくは第1の表面の平面で測定された少なくとも2、少なくとも4、少なくとも5又は少なくとも6の深さの直径に対するアスペクト比を有する凹部を、場所に沿って形成するために十分な時間的長さにわたって第1のガラス板をエッチングするステップと、
3.第1のガラス板のエッチングの後で、凹部を形成するために、第2の板を第1のガラス板の表面と接続するステップと、
を有しているか、又は、これらのステップから構成されている。
【0011】
この際、いずれのガラス板も、厚さよりも大きい横方向の広がりを有するガラスから成る物体であってよい。つまり、ガラス板は、その向かい合う表面を限定する、長方形、円形又は他の形状の外周を有し得る。
【0012】
反応器は、第1のガラス板内の凹部によって形成され、凹部は、第1のガラス板の第1の表面の平面に位置するまさに1つの開口部を有している。反応器の使用は、化学反応には限定されておらず、生化学的、生物学的及び物理学的プロセスも含んでいる。これは、動物細胞又は植物細胞又は酵母細胞であり得る各細胞、細菌、ウィルス、タンパク質等、又は、これらのクラスタを用いたプロセスであってよい。
【0013】
点状の照射は、レーザービームを、数マイクロメートル、例えば1μmから10μm、又は、5μmまでの大きさを有する点に集めることによって得られる。この際、レーザービームの焦点が、レーザービームの伝搬方向に沿った、ガウス分布を有する対応するレーザービームのレイリー長よりもはるかに大きい長さにわたって延在していると有利である。これは、例えば回折光学素子等の適した光学装置によって得られる。当該照射は、通過する照射であってよいか、又は、第1のガラス板の第1の表面に接する第1の厚さ部分まで、あまり深くは行われない照射であってよく、例えばレーザービームの焦点が、レーザービームの伝搬方向においてガラス板の厚さ全体にわたっては延在しないということによって行われる。レーザービームとガラス板の材料との相互作用は、焦点においてのみ生じるので、第1のガラス板の内側で相互作用領域を終わらせることが可能である。好ましくは、レーザービームは、レーザーパルスから構成されている。
【0014】
第2のガラス板を第1のガラス板の表面と接続する際、第1のガラス板の表面は、レーザービームが照射された第1のガラス板の第1の表面であるか、又は、第1の表面とは反対側の第2の表面であってよい。
【0015】
第1のガラス板の第1の表面と、エッチングレジストから成るコーティングが存在しない場合には、第1の表面の反対側の第2の表面とは、エッチングの際に、レーザーが第1のガラス板に照射された場所と、レーザービームが向かって放出された場所とにおいて、隣接する領域よりも明らかに速く腐食する。従って、第1のガラス板の第1の表面と、場合によっては第2の表面との領域は、例えばエッチングレジストから成るコーティングが存在しないので、点状のレーザー照射の場所から間隔を置いて、比較的ゆっくりと、同形に腐食する。従って、第1の表面は、凹部を除いて、凹部が第1のガラス板のガラス容積内に延在する際に始点となる平面に配置された表面部分によって形成される。凹部を除外した、共通の平面に配置され、第1の表面を形成する表面部分は、凹部の間に位置する壁の端面によって形成される。第1の表面とは反対側の第2の表面のコーティングが存在しない場合、凹部は、第2の表面を始点としても、レーザービームが点状に照射された、又は、通過した場所に沿って、ガラス容積内に延在し得る。この際、ガラス板の厚さの砂時計形状の縦断面を有する凹部が形成され得る。
【0016】
ステップ2では、エッチングが、第1のガラス板の厚さ全体にわたって延在する凹部の形成に十分な時間的長さにわたって行われるので、凹部の深さは、第1のガラス板の深さに相当する。
【0017】
任意で、ステップ1で点状に照射されたレーザービームは、当該レーザービームでステップ2において反応器を形成すべき凹部がエッチングされるが、第1のガラス板の第1の表面の平面において、反応器間の壁の厚さを含めて、反応器の内の1つの少なくとも又はまさに直径の距離を置いて配置されている。反応器の直径は、反応条件及びエッチングの継続時間によって設定可能である。なぜなら、エッチングは、照射されたレーザービームが第1のガラス板を通る際の直線路の周りに同心に行われるからである。反応器の間に配置された壁は、共通の平面で終端している。これらの壁の端面は、共通の平面に位置し、第1の表面を形成しているか、又は、共通の平面において第1の表面を形成しており、第1の表面は凹部によって中断されている。第1の表面は、好ましくは、凹部の横断面によってのみ中断される。
【0018】
レーザービームは、好ましくは、第1のガラス板上のレーザービームが照射される場所のいずれにおいても、例えば1064nmの波長を有し、好ましくは最大100ps又は最大50ps、好ましくは最大10psのパルス長を有するパルス状である。総じてレーザーは、レーザービームが当該場所の間で第1のガラス板に衝突しないように調整されている。好ましくは、レーザービームは、第1のガラス板の表面上に点状に、かつ、垂直に照射される。好ましくは、第1のレーザービームが照射された当該表面は、第1のガラス板の第1の表面を形成する。
【0019】
エッチングは、例えば1重量%から48重量%のフッ化水素酸、及び/又は、硫酸、及び/又は、塩酸、及び/又は、リン酸、及び/又は、硝酸、又は、水酸化カリウムを用いて、例えば140℃までの温度で行われる。
【0020】
第1のガラス板は、例えばエッチングの前には、1000μmまで、好ましくは100μmから1000μmまで、例えば800μmまで、例えば300μmから500μmまでの厚さを有し、エッチングの後では、50μmから700μm小さい厚さ、例えば200μmまで小さい厚さを有し得る。
【0021】
凹部は、好ましくは例えば0°から15°の角度において、円錐形又は円錐台形になるように延在し、第1のガラス板の表面を始点として、その容積内に延在している。
【0022】
凹部が第1のガラス板を貫通し、第2のガラス板が第1のガラス板に接続されている、本発明に係る実施形態では、任意で第1のガラス板の第2の表面がエッチングレジストでコーティングされていてよい。この際、第1のガラス板の第2の表面は、その第1の表面と向かい合っており、レーザービームは第1の表面に向けられていたか、又は、レーザービームは第1の表面を通って、第1のガラス板に作用していた。任意で、エッチングレジストは、レーザービームの照射の後又は前に、第1のガラス板の第2の表面の全面に塗布されていてよい。
【0023】
任意で、総じて第1のガラス板はコーティングせずに、例えばマスク及び/又はエッチングレジストを用いずにエッチングされ得るので、当該方法は、ガラス板にエッチングレジストを塗布せず、かつ、ガラス板からエッチングレジストを除去せずに実施されるという利点を有している。総じて少なくとも第1のガラス板の第1の表面は、エッチングレジスト及びマスクを有さないままであり、エッチングレジストを用いずにエッチングされる。
【0024】
総じて任意で、第1のガラス板の凹部が形成されるべきあらゆる場所に、複数の互いに離間した位置において、例えば少なくとも3つ又は少なくとも10又は少なくとも30の位置において、レーザービームが点状に照射可能であり、レーザービームは、連続して又は同時に、好ましくは互いに対して平行に、かつ、第1のガラス板に対して垂直に照射される。これらの位置は、エッチングが第1のガラス板を、当該位置から離れた表面領域におけるよりも速く腐食させる場所を形成する。レーザーが照射された位置は、エッチングの際に、一定の速さでのガラスの腐食をもたらし、共に凹部を形成する。場所の領域に照射され、場所を形成する位置は、例えば1μmから10μmの間隔において配置されている。好ましくは、当該位置は、各場所の周りの、それぞれ凹部が形成されるべき領域内に配置されている。好ましくは、レーザービームが場所の周りに照射される位置、又は、場所を形成するために照射される位置は、1μmから10μm、例えば2μmから5μm、又は、3μmまでの間隔を有しており、当該間隔は、特に第1のガラス板の第1の表面の平面内で決定されている。
【0025】
総じて凹部は、個々のレーザーパルス又は複数のレーザーパルスによって形成され得る。個々のレーザーパルスの場合、凹部の直径は、特にエッチングの継続時間によって決定される。複数のレーザーパルスを用いた凹部の形成の場合、凹部の直径は、レーザービームが1つの場所のために照射され、第1のガラス板に進入する位置の数及び間隔によって決定される。第1のガラス板の容積内での凹部の深さは、エッチングの継続時間によって決定され得ると共に、レーザービームが一部のみ、第1のガラス板に進入するか、又は、第1のガラス板を完全には通過しないことによって決定される。
【0026】
任意で、凹部が形成されるべき各場所の周りで、好ましくは環状、長方形又は六角形の周方向が閉じられた経路に、例えば連続して照射されるレーザービームパルスによって形成されるレーザービームが照射される。この際、レーザービームパルスは、周方向が閉じられた経路上で第1のガラス表面に、例えば第1のガラス板の第1の表面上で決定された、3μmのレーザービームパルス間の間隔を置いて、照射され得る。従って、任意で、第1のガラス板に、各場所で、複数の互いに離間した位置において、レーザービームがそれぞれ点状に照射可能であり、当該位置の周りで、例えば連続して照射されるレーザービームパルスによって形成されるレーザービームが、周方向が閉じられた経路に沿って照射され得る。周方向が閉じられた経路に沿ったレーザービームの照射は、引き続き行われるエッチングの際に、第1の表面から延在し、周方向が閉じられた経路を取り囲む横断面を有する壁を備えた凹部が形成されるという利点を有している。
【0027】
総じて、レーザーパルスは、エッチングによって凹部が形成される場所を形成する位置において、様々な深さで第1のガラス板に照射され得る。例えば、レーザーパルスが、位置において第1のガラス板の厚さ内により深く照射され、より深く進入することが可能であり、他のレーザーパルスは、位置において第1のガラス板の厚さ内により小さい深さで照射され得る。後続のエッチングの際に、レーザーパルスがより深くガラス板内に照射された位置において、より深い、又は、より広い凹部が形成され、レーザーパルスがガラス板内により小さい深さで照射された位置では、より深さの小さい凹部の底部が形成される。総じて、位置の間隔に依存して、各位置において、凹形のくぼみが底部に形成され得る。底部と、底部内にさらなるより深い凹部を有する凹部は、底部を形成すべき位置の部分におけるレーザーパルスの第1のガラス板内へのより小さい深さでの照射によって、及び、底部を始点としてより深く第1のガラス板内に延在すべきさらなる凹部を形成すべき位置の部分におけるレーザーパルスの第1のガラス板内へのより深い照射によって、及び、引き続き行われるエッチングによって、形成され得る。凹部の底部を始点として第1のガラス板内により深く延在するさらなる凹部のより大きな直径のために、第1のガラス板内により深く照射されるレーザーパルスは、隣り合う位置において、例えば1μmから10μm、例えば2μmから5μm、又は、3μmまでの間隔で配置されていてよく、これによって、これらの位置では、エッチングが第1のガラス板により深く進入する。位置の一部においてレーザーパルスが第1のガラス板内により小さい深さで照射され、位置の一部においてレーザーパルスが第1のガラス板内により深く照射され得る場合、エッチングの際に、レーザーパルスがより小さい深さで照射された位置において、凹形のくぼみを有する底部が、より小さい深さで形成され、レーザーパルスがより深く照射された位置では、より深く第1のガラス板内に延在するさらなる凹部が形成される。
【0028】
例えばステップ1から3によって構成される方法のさらなる実施形態では、反応器は、第1のガラス板の厚さ全体にわたって延在する凹部によって形成され、第2の板は、第1のガラス板の表面と接続されている。第2の板は、反応器の底部を形成している。この際、第2の板は、第1のガラス板の第1の表面、好ましくは第2の表面と接続されていてよい。第2の板を、第1のガラス板の第2の表面に配置することによって、反応器が構成され、当該反応器は、その第1のガラス板の第1の表面の平面に位置する開口部から、第2のガラス板に向かって円錐形を形成しており、従って、何らアンダーカットを形成しない。第2の板は、好ましくは第2のガラス板であり、従って、他の材料から成る第2の板の代わりに、自由な選択で、総じて第2のガラス板とも称される。第2の板は、ガラス板であるか、又は、ケイ素、サファイア、セラミック、金属若しくはこれらから成る少なくとも2つの層を有しているか、又は、これらから構成されていてよい。
【0029】
この際、エッチングを第1の表面によってのみ作用させるために、第1のガラス板の第2の表面の全面がエッチングレジストでコーティングされていることが好ましい。第2の表面のコーティングによって、第1の表面から円筒形又は円錐形に、第2の表面の方向に延在する凹部の形成がもたらされ、第2の表面のエッチングによる剥離が防止される。当該実施形態では、総じてエッチングは、凹部が第1のガラス板の第2の表面の平面内に延在するまで、専ら第1のガラス板の第1の表面にのみ作用させられ得る。第2の表面をエッチングレジストでコーティングする際、エッチングが、第1のガラス板の厚さ全体にわたる凹部を形成し、凹部の壁は、第2の表面の平面に対して垂直に、又は、円錐形若しくは円錐台形の角度で立っており、好ましくは、凹部の壁から第2の表面に向かって、移行湾曲部及び/又は斜角面を有さないことが明らかになっている。当該実施形態では、エッチングによって、凹部が第2の表面の平面内に、円筒形状又は同じ角度で延在することがもたらされる。
【0030】
反応器は、例えば少なくとも40μm、少なくとも50μm又は少なくとも100μm又は少なくとも150μm、例えば250μmまで、又は、200μmまでの深さを有している。反応器は、例えば少なくとも10μm又は少なくとも30μm、例えば200μmまで、又は、1mmまでの直径を有し、総じて好ましくは、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも5又は少なくとも6の、深さの直径に対するアスペクト比を有している。第1のガラス板の凹部は、例えば第1のガラス板内部に1pLから1μLの容積を有している。
【0031】
第2の板、特に第2のガラス板の、第1のガラス板、好ましくは第1のガラス板の第2の表面との接続は、第1の板と第2の板とを直接重ねた後、例えば石英ガラスの場合、400℃から1200℃にまで加熱することによって行われ得る。この際、接続は、より長い接続プロセスの継続時間かつより低い温度で、又は、より高い温度かつより短い継続時間で行うことが可能であり、温度は、第1のガラス板及び第2のガラス板が依然として十分に寸法安定性を有している最高温度に依存する。代替的に、第1のガラス板及び第2の板よりも低い融点を有するフリットガラス、すなわちガラス粒子を含有するペーストが、第1のガラス板と第2のガラス板との間に配置され、ガラス板は、フリットガラスが軟化又は溶融する温度まで加熱することによって接続される。この際、フリットガラスが、好ましくは第1のガラス板の第2の表面か、又は、第2のガラス板の第1の表面に、例えばシルクスクリーン又は3D印刷を用いて塗布され、その後で第2のガラス板が第1のガラス板に接するように配置され、加熱が行われる。
【0032】
任意で、フリットガラスは、例えば光の波長領域において光を照射する際に用いた場合に、第2のガラス板よりも小さい透過率を有するガラス粒子の成分で着色されている。例えば、フリットガラス、特にフリットガラス内に含まれるガラス粒子は、酸化鉄、マグネタイト、二酸化チタン等の金属酸化物、アルミン酸コバルト等の混合酸化物、鉄クロムスピネル等のスピネル、又は、これらの内の少なくとも2つの混合物を含み得る。第1のガラス板に成形され、その底部が直接、着色されたフリットガラスを通じて第1のガラス板に接続された第2のガラス板によって形成される反応器は、光の照射と、分析のための光の検出とに際して、反応器に加えて第1のガラス板及び第2のガラス板の領域を通過する照射による相互作用が減少するという利点を有している。
【0033】
第1のガラス板が、レーザー照射の後で、エッチングレジストで第2の表面をコーティングされた後、エッチングされる場合、一般的に、円錐形の横断面を有する凹部が形成される。凹部が貫通するように形成されている実施形態に関して、典型的には第1のガラス板を貫通する凹部が所望の直径を有して形成されている場合、エッチングプロセスが中断される。この際、エッチングレジストの材料の選択に応じて、エッチングレジストの剥離と、いわゆるアンダーカットとが生じ得る。この際、凹部の周りにおける第2の表面の領域は、同様に、エッチング媒体によって腐食し、これによって、エッチングプロセスは、ガラス板とエッチングレジストとの接触面に沿って継続し、エッチングレジストはさらに剥離される。つまり、凹部の周りでは、第1のガラス板の厚さは減少し、移行湾曲部、アンダーカット又はバックテーパとも呼ばれる周方向の斜角面が、凹部に隣接して、第2の表面に形成される。後続の接続プロセスの際に、これは、第1のガラス板と第2の板との間における隙間の形成をもたらし得る。この隙間は、フリットガラスを含むペーストを塗布した後でフリットガラスを溶融させることによって、閉じられ得る。従って、このような場合、ガラス板のフリットガラスを用いた接続が特に有利である。このような斜角面は、第1のガラス板の第2の表面に面して配置され、第1のガラス板と接続される第2のガラス板の表面全面に、フリットガラスを配置する場合、フリットガラスによって埋められ得る。凹部から第1のガラス板の第2の表面に向かって延在する斜角面の場合も、フリットガラスは、この第2の表面に、例えば特にシルクスクリーンを用いて均等に塗布され、第2のガラス板は第2の表面に面して配置され得る。当該実施形態では、斜角面は、フリットガラスを受容することが可能であり、凹部の内法横断面を覆う反応器の底部は、第2の板のみによって形成される。従って、凹部の底部は、フリットガラスのペーストからは免れており、底部は、引き続き第2の板の表面によって形成される。代替的に、フリットガラスは、底部を同様に覆うことができる。これは有利であり得る。なぜなら、接続プロセスの際に、フリットガラスは溶融し、第2の板の上に配置され、それぞれ各反応器の底部を形成するガラスレンズの形成をもたらし得る表面張力を有するからである。この効果は、反応器の照明の際に有利であり得る。
【0034】
代替的に、第2のガラス板を陽極接合によって、第1のガラス板の第2の表面と接続することが可能である。この際、第1のガラス板の第2の表面及び/又は第2のガラス板の第1のガラス板に対向する表面は、例えばスパッタリングとも呼ばれる陰極スパッタリングを用いて、ケイ素でコーティングされ、第1のガラス板は、第2の板に接するように配置され、例えば300Vから500Vの電圧が印加され、任意で例えば400℃まで加熱される。これによって、両方のガラス板は、ガラスに含まれるイオン(例えばNa、K)及び酸素アニオンの拡散を用いて、互いに接続される。
【0035】
代替的に、ガラス板は、融着によって、好ましくは第1のガラス板の表面の内の1つと第2のガラス板の表面の内の1つとの接触と加熱と加圧とによる中間層を用いずに、接続され得る。
【0036】
同じ接続方法又は方法の組み合わせが、さらなるガラス板を第1及び/又は第2のガラス板と接続するために用いられ得る。
【0037】
一般的に、加熱は炉内で行われ得る。
【0038】
さらに一般的に、第2のガラス板は、化学的表面改質に対して第1のガラス板のガラスよりも高い反応性を有するガラスから構成されていてよい。例えば、第2のガラス板は酸化カルシウム-ナトロンガラスから、第1のガラス板はホウケイ酸ガラスから構成されていてよく、従って、反応器内に満たされた水性又は有機試薬は、特に反応器の底部を形成する第2のガラス板のガラスに付着する。付加的又は代替的に、第2のガラス板は、第1のガラス板とは異なるガラス組成で構成されていてもよく、例えば第2のガラス板は石英ガラス又は溶融石英から、第1のガラス板はホウケイ酸ガラスから構成されていてよい。
【0039】
任意で、第1のガラス板と接続される第2の板の表面に、導体経路を塗布してもよく、導体経路は、例えば、別々に並んで配置され、別々の接続面によって接続され、従って互いに別々に接触可能である。好ましくは、ガラス板の接続のために、ペースト状のフリットガラスがシルクスクリーンを用いて、第1のガラス板の表面に塗布され、第2のガラス板は、フリットガラスが塗布された表面に配置され、引き続いて加熱が行われる。
【0040】
第1のガラス板が第2のガラス板と、これらのガラス板の間に位置する溶融フリットガラスから成る層を用いて接続されている実施形態において、任意で、第1のガラス板上には第1の導体経路が、第1のガラス板に対向する第2のガラス板の表面には、第2の導体経路が塗布されていてよい。第1の導体経路は、好ましくは第1のガラス板に形成された凹部の少なくとも一部を覆っており、任意で、第1の導体経路は、第1の表面の全面と、少なくとも凹部の一部とを覆っている。第2の導体経路は、反応器の底部を形成する領域に沿って延在し、好ましくは、第2のガラス板の、第1のガラス板から突出する部分に配置された接触面に接続されている。第1の導体経路及び第2の導体経路は、スパッタリング又は印刷によって塗布可能であり、第1の導体経路は例えばエッチングの後で、第2の導体経路は第2のガラス板の第1のガラス板との接続の前に塗布され得る。第1の導体経路と第2の導体経路との絶縁は、溶融フリットガラスから成る層によって形成され、当該層は、第1のガラス板と第2のガラス板との間に配置され、特に、第1のガラス板と第2のガラス板とが互いに接する領域にのみ、又は、凹部が第1のガラス板に形成されている領域を除いて、配置される。任意で、第2のガラス板には、くぼみが形成されていてよく、このくぼみの内に、第2の導体経路が配置されている。このようなくぼみは、第1のガラス板に対向する第2のガラス板の表面に沿って延在することができる。このようなくぼみは、例えば第2のガラス板をこのようなくぼみの経路に沿って照射した後で、例えばエッチング前に同時に照射されるパルス状のレーザービームを用いて、例えばエッチングによって、第2のガラス板内に形成されていてよい。代替的に、くぼみを、フォトリソグラフィでエッチングマスクを形成した後、エッチングを行い、エッチングの後でエッチングマスクを除去して形成することが可能である。このようなくぼみは、例えばV字形又はU字形の横断面を有する溝として形成されていてよい。導体経路のための材料は、例えば印刷方法を用いて、例えばくぼみ内に導入可能である。好ましくは、導体経路は、金、銀、銅等の金属、又は、これらの内少なくとも2つから成る混合物から構成されている。
【0041】
第1のガラス板に形成された凹部は、上側厚さ部分において、上側厚さ部分に隣接する、少なくとも2つの部分凹部に分割された下側厚さ部分よりも大きな横断面を有することが可能であり、下側厚さ部分は、第2の板に隣接し、例えば第2の板と直接、又は、溶融かつ凝固したフリットガラスから成る層を用いて接続されている。当該実施形態では、第2の板に隣接する少なくとも2つの部分凹部の末端の横断面開口部は、第2の板によって覆われる。上側厚さ部分にわたって延在する凹部は、少なくとも2つの部分凹部を覆っている。下側厚さ部分にわたって延在する部分凹部の間には、第1のガラス板から下側厚さ部分にわたって一体的に形成された部分壁が配置されている。これらの部分壁は、部分凹部の周りで互いに離間している。当該部分壁は、部分壁の領域において最大で第1のガラス板の上側厚さ部分にのみ進入するレーザーパルスの照射と、第1のガラス板を完全に貫通する部分凹部の領域におけるレーザーパルスの照射と、後続の第1のガラス板のエッチングと、によって形成される。エッチングの際に、第1のガラス板の第1の表面に隣接する上側厚さ領域において、1つの凹部が形成され、当該凹部は、少なくとも2つの部分凹部の領域にわたって延在している。部分凹部の長手方向中心軸は、例えば10μmから100μmの間隔で配置されていてよい。当該部分壁は、部分凹部の間で下側厚さ部分にわたって延在しており、当該部分凹部は、第2の板に隣接する第1のガラス板の第2の表面の平面において、例えば1から50の直径を有し得る。上側厚さ部分は、ここでは、第1の厚さ部分とも呼ばれ、下側厚さ部分は、第2の厚さ部分とも呼ばれる。上側厚さ部分と下側厚さ部分とは、第1のガラス板の第1の表面を始点として、互いに独立して、例えば元の第1のガラス板の厚さの少なくとも20%又は少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%、例えば80%まで又は70%まで又は60%まで延在している。この際、下側厚さ部分は、上側厚さ部分よりも大きい程度で、第1のガラス板の厚さ内に延在している。総じて、これらの厚さ部分は、第1のガラス板の厚さ全体にわたっては延在していない。例えば、第1の厚さ部分、及び、特に第2の厚さ部分は、凹部の領域におけるエッチングの後で、第1のガラス板の厚さの少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも15%又は少なくとも20%が、凹部と第2の表面との間で存在し続けるように予め決定され得る。
【0042】
第1のガラス板の第2の板と向かい合う第1の表面には、第3の板が配置され、第1のガラス板と接続されていてよい。第3の板は、第3の凹部を有しており、第3の凹部は、第3の板の厚さ全体にわたって延在しており、適切に、特に位置合わせされて、第1のガラス板の凹部の上に配置されている。この際、第3の凹部は、第1のガラス板の凹部の直径と同じか、又は、より大きい直径を有し得る。任意で、第3の凹部は、それぞれ第1のガラス板の2つ以上の凹部にわたって延在し得る。第3の凹部は、例えば第1のガラス板の凹部を充填するためのホッパーとして用いるのに適している。第3の凹部は、例えば第3の板の内部に、0.01μLから10μL、例えば0.1μLから3μLの容積を有し得る。
【0043】
総じて、特に第3の板を第1のガラス板に配置する際、第1のガラス板の凹部はそれぞれ、その長手方向中心軸の20μmから200μmの間隔を置いて配置されていてよい。形成の際、総じて、第1のガラス板を貫通するレーザーパルスが、凹部又は部分凹部の長手方向中心軸の間隔を置いて照射される。第1のガラス板の凹部は、第1のガラス板の第2の表面の平面において、例えば5μmから200μmの直径を有し得る。
【0044】
第3の板は、例えば厚さが少なくとも100μm又は少なくとも300μm、例えば2000μmまで又は1000μmまでのガラス板であってよい。第3の凹部は、例えば少なくとも0.2mm又は少なくとも0.5mm、例えば3mmまで又は2mmまで又は1mmまでの内径を有し得る。第3の板は、陽極接合を用いて、第1のガラス板と第3の板との間における溶融かつ凝固したフリットガラスから成る層を用いて、例えばシルクスクリーンを用いて塗布されるか、又は、融着を用いて、第1のガラス板と接続され得る。
【0045】
任意で、第2の板が、特に第2のガラス板の実施形態で、第2の板が第1のガラス板に形成された凹部を覆っている領域において、第2の凹部を有することが可能であり、第2の凹部は、第1のガラス板の凹部よりも小さい直径を有している。第2の凹部は、第1のガラス板に対して開かれた止まり穴であるか、又は、第2の板の厚さ全体にわたって延在していてよく、これによって、より大きな粒子のための保持装置を形成する。第2の凹部は、第2の板に、第1のガラス板内への凹部の形成に関して記載された方法によって形成され得る。第2の凹部は、円錐形に構成されていてよく、好ましくはそのより小さい直径は、第1のガラス板に対向し、第1のガラス板と接続された第2の板の表面の平面内に位置している。第2の凹部は、例えば第2の板の第1のガラス板に対向する表面の平面において、1μmから50μmの直径を有し得る。好ましくは、第2の板の凹部は、反応器に含まれている細胞の直径よりも5倍から10倍小さい直径を有している。例えば、7μmから15μmの細胞直径に対して、凹部は1μmから3μm、特に1μm又は1.5μmから2μmの直径を有している。例えば、第2の凹部の長手方向中心軸は、10μmから100μmの間隔を置いて配置されていてよい。好ましくは第2のガラス板である第2の板は、好ましくは50μmから500μm、例えば150μmまで又は100μmまでの範囲の厚さを有している。
【0046】
当該実施形態では、第2のガラス板の凹部の底部は、凹部の容積の近接場照明のために設けられた微細構造を有することが可能である。このような微細構造は、例えば細く高いガラス先端の形状を有してよく、照明のための光導波路として機能し得るか、又は、各細胞若しくは細胞の集合に、その場所又は位置において影響を与え得る。このような構造は、例えば凹部が、レーザーパルスが密集して照射された多数の位置のエッチングを通じて形成されることによって形成され得る。凹部の中央に各レーザーパルスが放出される場合、エッチングプロセスの後、ガラス先端は凹部内に残存している。総じて、当該方法では、凹部が、隣り合った位置でのレーザーパルスの照射と、引き続き行われるエッチングとによって形成可能であり、当該位置は、互いにそれぞれ同じ最大10μmの間隔を置いて、例えば1μmから5μm、又は、3μmまでの間隔を置いて配置されており、共に場所を形成し、少なくとも2つ又は少なくとも3つの位置は、より大きな間隔で、例えば10μmから30μm、例えば15μmから20μmの間隔で配置されている。比較的大きな間隔を置いて配置されているレーザーパルスの少なくとも2つ又は3つの位置は、自身の間に、例えばレーザーパルスが同じ間隔で放出されている領域を有しているか、又は、エッチングの際にガラス先端が残存したままである領域を包囲している。
【0047】
第2のガラス板に凹部を有する反応器を形成するための実施形態では、第2のガラス板のエッチングが、例えば第2の表面と間隔を置いて位置している第2のガラス板のガラス容積内に凹部の所望の深さを得るために十分な時間的長さにわたって、又は、第2のガラス板が依然として閉じられた第2の表面を有することができる時間的長さにわたってのみ実施される。この際、任意で、反応器の底部は、放物線状又は円錐形の横断面を有する凹形のくぼみを有し得る。このような凹形のくぼみは、レーザービームが点状に照射された各位置に形成され得る。好ましくは、このような凹形のくぼみは、数マイクロメートルの、例えば1μmから5μmの横断面開口部と深さとを有している。
【0048】
第2の板が第2の凹部を有している実施形態は、特に第1の板の凹部を細胞、特にヒト又は動物の細胞の培養容器として用いるために適している。凹部内で細胞を培養するための方法では、培養媒体及び/又は試験されるべき試薬等の液体が、第2の凹部を通って移動可能であり、例えば第1のガラス板の凹部に導入されるか、又は、当該凹部から排出され得る。例えば、媒体内の細胞懸濁液は、第2の板の向かい側の方向から、又は、凹部の開かれた横断面開口部内に入って、第1のガラス板の凹部に充填可能であり、媒体は第2の凹部を通って流出する。媒体内の細胞培養液は、完全血、又は、緩衝液若しくは培養媒体で培養された細胞であってよい。当該実施形態は、例えば媒体内の細胞懸濁液に関して、フィルタとして用いるために適している。当該方法では、媒体、例えば培養媒体又は緩衝液は、第2の板の自由表面と接触するか、当該表面に沿って流れることが可能であり、これによって、第2の凹部を通じた媒体の交換が発生し、例えば第2の凹部を通って移動する代謝産物が排出される。
【0049】
本発明は、さらに、ガラス内の反応器に光が照射され、反応器から発せられる光が検出される分析方法と、当該分析方法におけるガラス製の反応器の使用と、に関する。
【0050】
この際、分析のための光が、好ましくは略垂直に第2の板に、第1のガラス板とは反対側の第2のガラス板の表面、又は、第1のガラス板に対向する第2のガラス板の表面に照射され得る。
【0051】
凹部、特に第1のガラス板の第1の表面から容積内に円錐形に延在する凹部は、例えば可視光線を照射した場合、その壁面で、凹部の底部に対して明らかなコントラストを形成することが明らかになっている。従って、光検出に際して、凹部の外周が記録され、凹部の底部に対するコントラストにおいて、特に暗色の環として描出され得る。
【0052】
本発明はさらに、本発明に係る製造方法に従って製造された、又は、本発明に係る反応器である反応器を供給するステップ、例えば血漿等の無細胞の試料、又は、完全血若しくは完全血から分離された細胞等の有細胞の試料、又は、組織材料であり得る、患者の試料等の試料を、事前に、同時に又は後で、反応器内に設置するステップ、少なくとも1つの試薬を反応器に添加するステップ、及び、分析するステップを有する分析方法に関する。
【0053】
任意で、少なくとも1つの試薬が、1回又は連続して複数回、異なる量で複数の反応器に添加され得る。当該試薬は、例えば薬剤作用物質であってよく、分析は、作用物質の試料への作用の測定を含み得る。任意で、当該方法は、例えば細胞培養条件下(37℃、5%CO雰囲気、静止状態又は運動状態)での、1つ又は複数の培養ステップを含み得る。
【0054】
分析は、例えば、シークエンシングのための試薬を添加した後、任意で細胞の溶解の後での反応器内でのDNA及び/若しくはRNA及び/若しくはタンパク質のシークエンシングの間若しくは後における、反応器の光学的測定、又は、例えば試薬として添加された、好ましくは色素でマーキングされた抗体等の結合分子との反応後における、タンパク質の決定であってよい。好ましくは、分析は、例えば有細胞の試料の場合、転写されたRNA及び/又は翻訳されたタンパク質の、作用物質が添加された試料と比較した、特に作用物質が添加されていない試料に関する決定を含んでいる。任意で、当該分析方法は、反応器からの試料の一部の除去を含むことが可能であり、さらに任意で、除去された分の試料を、さらなる本発明に係る反応器又は本発明に従って製造された反応器に注入することを含み得る。反応器への試料及び/又は試薬の添加は、例えば試料の液滴の運動によって、及び/又は、試薬の液滴の運動によって行われ得るものであり、液滴は、例えば流体ジェットの一部として形成され、移動する。これは、例えば、電磁放射の作用によって、音波又は超音波の照射によって、電界の印加によって、又は、加圧によって行われる。液滴の形成は、インクジェット印刷法又はピペッティングとして知られている。代替的に、例えばレーザー転写印刷等のレーザーに基づく印刷方法を用いることも可能である。好ましくは、試料及び/又は試薬の添加は、計量装置と反応器とを接触させずに行われる。
【0055】
導体経路が凹部に配置されている実施形態において、凹部の容積を分析するための方法では、電圧が印加可能であり、導体経路の間で、容積内に存在する電気パラメータが測定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、2つのガラス板から成るガラス製反応器の実施形態を概略的に示す図である。
図2】第1のガラス板の第1の表面の上面図において、本発明に従って製造された反応器の光学的分析を概略的に示す図である。
図3a】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、さらなる実施形態を概略的に示す図である。
図3b】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、さらなる実施形態を概略的に示す図である。
図4a】第2のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、実施形態を概略的に示す図である。
図4b】第2のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、実施形態を概略的に示す図である。
図4c】第2のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、実施形態を概略的に示す図である。
図5a】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、導体経路を有する実施形態を概略的に示す図である。
図5b】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、導体経路を有する実施形態を概略的に示す図である。
図6a】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、さらなる複数の部分から成る実施形態を概略的に示す図である。
図6b】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、さらなる複数の部分から成る実施形態を概略的に示す図である。
図6c】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、さらなる複数の部分から成る実施形態を概略的に示す図である。
図7】第1のガラス板の表面に対して垂直な横断面において、さらなる実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は第1のガラス板1を示しており、第1のガラス板1内では、凹部2が厚さ全体にわたって延在しており、底部3が、第1のガラス板1の第2の表面5に密に接続された第2のガラス板6によって形成される。
【0058】
図2は、第1のガラス板1の上面図において、凹部2を示しており、凹部2の壁は、底部3に対して強い光学コントラストを形成しているので、壁は、底部3の周方向の境界として明確に図示される。例えば生体細胞Zである粒子は、照明が底部3を通るように向けられた場合に、特に細胞Zを例えば蛍光染料等の色素によってマーキングした場合に、底部3に対して良好なコントラストをもって視認され得る。
【0059】
図3a)は第1のガラス板1を示しており、その第2の表面5の全面には、例えばプラスチックフィルムのエッチングレジスト8が、UVで分解される接着剤を用いて、ガラス板1に対して垂直にレーザーパルスを照射し、引き続いてエッチングを行うことによってコーティングされている。エッチングは、レーザーパルスの光路の周りに左右対称に凹部2を形成しており、従って、長手方向中心軸7は、レーザーパルスの元の光路に沿って位置している。エッチングは、第1の表面4を始点とし、エッチングレジスト8まで延在する円錐台形状の凹部2を形成する。この際、凹部2の周りを取り囲む斜角面又はアンダーカット9は、第2の表面に沿って、又は、第2の表面5とエッチングレジスト8との間に形成される。
【0060】
図3b)は、凹部2として第1のガラス板1内に形成され、第1のガラス板1の厚さ全体にわたって延在するガラス容器を示している。凹部の底部3は、第2の板6の表面全体に塗布され、斜角面9の領域も埋めるフリットガラス10によって形成される。
【0061】
図4は、それぞれ第2のガラス板6と一体的に形成された凹部2の実施形態を示している。これは、例えば1μmから10μmの間隔を有し、従ってエッチングによってまさに凹部2が形成される場所を形成する複数の位置における、第2のガラス板の第1の表面24へのレーザーパルスの照射を示している。この際、エッチングによって、凹部2の底部3の各位置12に、それぞれ凹形のくぼみ12が形成されていてよい。
【0062】
図4a)に示されているように、第1の表面24に対して垂直に底部3から凹部2内に突出するガラス先端11が、レーザーパルスが照射される少なくとも3つの位置12が、比較的大きい間隔を置いて、例えば20μmの間隔を置いて配置されている場合に、エッチングに際して形成される。この際、レーザーパルスが照射された各位置12は、エッチングの際に、底部3に凹形のくぼみを生じさせる。
【0063】
図4b)は、各位置13に照射され、第2のガラス板6の厚さ内により深く進入するレーザーパルスが、エッチングの際にさらなる凹部14を形成し、凹部14は、レーザーパルスがより小さい深さで第2のガラス板6内に照射された他の位置12におけるくぼみよりも深く第2のガラス板6内に延在することを示している。レーザーパルスが第2のガラス板6に進入する深さは、焦点位置の設定及び/又はレーザーパルスのパルスエネルギーの強度によって予め決定され得る。
【0064】
図4c)は、より深く第2のガラス板6に進入するレーザーパルスの、隣り合って配置された位置13における照射が、当該位置においてエッチングの際に、さらなる凹部14を形成し、凹部14は、その底部3がエッチングの際に、レーザーパルスが第2のガラス板6内により小さい深さで照射されている他の位置12によって形成される凹部よりも深く、第2のガラス板6の厚さ内に延在していることを示している。
【0065】
図5a)及び図5b)は、第1のガラス板、本図ではその第1の表面4上に、第1の導体経路15が塗布されており、第2の板6は、その平らで第1のガラス板1に対向する表面に載置された第2の導体経路16を有している実施形態を示している。第1の導体経路15及び第2の導体経路16は、例えばスパッタリング、加圧、又は、化学的分離若しくは電気的分離、又は、これらの組み合わせによって塗布されていてよい。第1及び第2の導体経路15、16の内の一方は、全面で塗布されていてよく、それぞれ他方の導体経路15、16は、凹部2の横断面を横断する離間した経路の形状で構成されていてよい。第1のガラス板1と第2の板6との間に配置された、軟化の後で凝固するフリットガラス10から成る層は、これら両方の板1、6を接続し、第1の導体経路15を第2の導体経路16から離間させるので、これらの導体経路は、凹部2に含まれた液体と、互いに間隔を置いて接触する。任意で、総じてフリットガラス10から成る層は、専ら第1のガラス板1と第2の板6との間に配置されていてよく、凹部2の領域を自由にするか、又は、フリットガラス10から成る層は、第1の導体経路15の層厚にわたって、凹部2内に、第2の導体経路16から距離を置いて、又は、第2の導体経路16に接するまで延在し得る。
【0066】
図5a)は、第2の導体経路16が、好ましくはレーザーパルスを溝の経路に沿って照射した後でエッチングを行うことによって、第2の板6内にくぼみとして形成された溝17内で延在する実施形態を示している。
【0067】
図5b)は、第2の導体経路16が第2の板6の平らな表面に配置されている実施形態を示している。
【0068】
図6a)は、少なくとも2つ、本図の場合10の凹部2の配列を示しており、当該凹部2の長手方向中心軸7は、互いに同じ間隔を有して配置されている。凹部2は、第1のガラス板1の厚さ全体にわたって延在する壁によって囲まれている。この際、凹部2は、第1のガラス板1の第1の表面4から第2の表面5に向かって円錐形を成している。凹部2の横断面開口部は、第2の表面5の平面において、第2の板6によって覆われる。
【0069】
図6b)は、第3の板18が、第1のガラス板1の第1の表面4と接続されている実施形態を示しており、第3の板18は、その厚さを貫通する第3の凹部23を有しており、第1のガラス板1に形成された少なくとも2つ、図7b)では10の凹部2を覆っている。第1のガラス板内の凹部2の長手中心軸の間隔は、例えば10μmから100μmであり得る。
【0070】
図6c)は、第1のガラス板1が、部分凹部2’が形成される場所において、その厚さ全体を貫通するレーザーパルスで照射され、この間に、最大で上側厚さ部分20にわたって延在するレーザーパルスで照射された後で、第1のガラス板1に凹部がエッチングによって形成されている実施形態を示している。上側厚さ部分20は、第1のガラス板1の第1の表面4から部分凹部2’に接するまで延在しており、部分凹部2’の間では、レーザーパルスが最大で上側厚さ部分20の深さまで照射された場所において、部分壁22が取り残される。第1の厚さ部分20に向かい合う部分凹部2’の末端の横断面開口部は、第1の板1に接続された第2の板6によって覆われている。
【0071】
図7は、第2の板6が、第1のガラス板1に形成された凹部2の領域に第2の凹部19を有している実施形態を示している。第2の凹部19は、任意で第2の板6の厚さの一部まで延在するか、又は、本図に示されているように、第2の板6の厚さ全体にわたって延在し得る。第2の凹部は、第1のガラス板1に接続された第2の板6の表面の平面において、例えば細胞Zの直径よりも5倍から10倍小さい直径を有している。第2の板6は、その厚さ全体を貫通する第2の凹部19と共に、細胞Z等のより大きな粒子のための保持装置を形成する。
【0072】
好ましい実施形態に対応して、図7では、第2の凹部19が円錐形を成しており、第2の板6の第1のガラス板に対向する表面の平面において、より小さい直径を有している。
【符号の説明】
【0073】
1 第1のガラス板
2 凹部
2’ 部分凹部
3 底部
4 第1の表面
5 第2の表面
6 第2の板
7 長手方向中心軸
8 エッチングレジスト
9 斜角面、アンダーカット
10 フリットガラス
11 ガラス先端
12 照射されたレーザーパルスの位置
13 より深く照射されたレーザーパルスの位置
14 さらなる凹部
15 第1の導体経路
16 第2の導体経路
17 溝
18 第3の板
19 第2の凹部
20 上側、第1の厚さ部分
21 下側、第2の厚さ部分
22 部分壁
23 第3の凹部
24 第2の板の第1の表面
25 第2の板の第2の表面
Z 細胞
図1
図2
図3a)】
図3b)】
図4a)】
図4b)】
図4c)】
図5a)】
図5b)】
図6a)】
図6b)】
図6c)】
図7
【国際調査報告】