IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポリ−メッド インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】避妊用医療器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 6/08 20060101AFI20230111BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20230111BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 15/18 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 31/191 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 15/16 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61F6/08
A61L31/12 100
A61L31/14 400
A61P15/18
A61K45/00
A61L31/06
A61K31/375
A61K31/191
A61K33/26
A61P15/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527698
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 US2020059968
(87)【国際公開番号】W WO2021096926
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/934,090
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/019,884
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR
(71)【出願人】
【識別番号】516228958
【氏名又は名称】ポリ-メッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】テイラー マイケル スコット
(72)【発明者】
【氏名】ゲアーク ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】グラヴェット デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ソリアーニ アンナ パオラ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア カイル
【テーマコード(参考)】
4C081
4C084
4C086
4C098
4C206
【Fターム(参考)】
4C081AC06
4C081BA16
4C081BB06
4C081CA16
4C084AA17
4C084MA70
4C084ZA81
4C086AA01
4C086BA18
4C086HA11
4C086NA20
4C086ZA86
4C098AA06
4C098EE23
4C206AA01
4C206DA02
4C206NA20
4C206ZA86
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、少なくともポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊用医療器具であって、上記ガイドは対称であってもよく、及び/又は1つ又は複数の平面状表面を有してもよく、上記器具は任意選択で少なくとも1つの活性剤を投与し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、前記射出成形ガイド及び前記多孔性バリア材料の両方が前記ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、避妊器具。
【請求項2】
前記バリア材料は、メッシュである、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項3】
前記バリア材料は、繊維性である、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項4】
前記バリア材料は、円形又は実質的に円形である、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項5】
前記バリア材料は、約40mm~約60mm、例えば約45mm~約53mmの直径を有する、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項6】
前記射出成形ガイドは、対称である、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項7】
前記射出成形ガイドは、複数の平面状表面を備える、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項8】
前記射出成形ガイドは、複数の平面状表面を備え、かつ2つの平面状表面の交差によって形成される隅角部を有し、任意選択で、前記射出成形ガイドは、ある角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有し、前記角度は、45度~135度の角度、例えば約90度の角度である、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項9】
前記射出成形ガイドは、非繊維性及び無孔性のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項10】
前記射出成形ガイドは、前記ポリマーリング内に完全に埋め込まれており、前記多孔性バリア材料は、前記ポリマーリング内に部分的に埋め込まれている、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項11】
前記射出成形ガイドは、コーティングされていない、及び/又はサイジングポリマーを含有しない、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項12】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料に固定されている、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項13】
前記射出成形ガイドは、ある組成を有し、前記組成は前記射出成形ガイドの全ての場所において一定である、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項14】
前記射出成形ガイドは、生分解性である、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項15】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料の縁部に沿って存在する、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項16】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料の縁部に近接して存在する、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項17】
前記射出成形ガイドは。前記多孔性バリア材料内に延在している、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項18】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料上に3D印刷されている、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項19】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料上に射出成形されている、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項20】
前記ポリマーリングは、弾性ポリマーを含む、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項21】
前記ポリマーリングは、前記多孔性バリア材料を取り囲んでいる、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項22】
前記ポリマーリング内に存在する生物活性剤を更に含む、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項23】
前記ポリマーリング内に存在する第一鉄化合物を更に含む、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項24】
前記ポリマーリング内に存在するグルコン酸第一鉄又はその水和物を更に含み、任意選択で、前記ポリマーリング内に存在するアスコルビン酸も更に含む、請求項1に記載の避妊器具。
【請求項25】
請求項1に記載の避妊器具を含むキットであって、潤滑剤、殺精子ゲル、殺精子フィルム、避妊ゲル、及びアプリケータ―のうちの少なくとも1つを更に含む、キット。
【請求項26】
避妊器具を形成するための構築物であって、前記射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える、構築物。
【請求項27】
前記バリア材料は、メッシュである、請求項26に記載の構築物。
【請求項28】
前記バリア材料は、繊維性である、請求項26に記載の構築物。
【請求項29】
前記バリア材料は、円形である、又は実質的に円形である、請求項26に記載の構築物。
【請求項30】
前記バリア材料は、約40mm~約60mm、例えば、約45mm~約53mmの直径を有する、請求項26に記載の構築物。
【請求項31】
前記射出成形ガイドは、対称である、請求項26に記載の構築物。
【請求項32】
前記射出成形ガイドは、前記射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する、請求項26に記載の構築物。
【請求項33】
前記射出成形ガイドは、複数の平面状表面を備える、請求項26に記載の構築物。
【請求項34】
前記射出成形ガイドは、2つの平面状表面の交差によって形成される隅角部を有し、任意選択で、前記射出成形ガイドは、ある角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有し、前記角度は、約45度~約135度、例えば約90度の角度である、請求項26に記載の構築物。
【請求項35】
前記射出成形ガイドは、非繊維性であり、かつ任意選択で無孔性である、請求項26に記載の構築物。
【請求項36】
前記射出成形ガイドは、120℃超の融点を有する、請求項26に記載の構築物。
【請求項37】
前記射出成形ガイドは、コーティングされていない、請求項26に記載の構築物。
【請求項38】
前記射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない、請求項26に記載の構築物。
【請求項39】
前記射出成形ガイドは、前記射出成形ガイドのそれぞれの場所において単一組成を有する、請求項26に記載の構築物。
【請求項40】
前記射出成形ガイドは、生分解性である、請求項26に記載の構築物。
【請求項41】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料の縁部に沿って存在する、請求項26に記載の構築物。
【請求項42】
前記射出成形ガイドは、前記バリア材料の縁部に近接して存在する、請求項26に記載の構築物。
【請求項43】
前記射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している、請求項26に記載の構築物。
【請求項44】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料上に3D印刷されている、請求項26に記載の構築物。
【請求項45】
前記射出成形ガイドは、前記多孔性バリア材料上に射出成形されている、請求項26に記載の構築物。
【請求項46】
避妊器具の形成方法であって、
a.射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程;
b.前記構築物をダイに入れる工程;
c.前記ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、前記少なくとも1つのピンが前記射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;及び
d.溶融ポリマーを前記ダイ内に射出してポリマーリングを形成する工程であって、前記射出成形ガイド及び前記多孔性バリア材料の各々は前記ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、工程、
を含む、方法。
【請求項47】
前記構築物は、前記射出成形ガイドを前記多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記構築物は、
a.射出成形プロセスによって射出成形ガイドを形成する工程;
b.前記射出成形ガイドを前記多孔性バリア材料の上に固定する工程
を含む方法によって提供される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
避妊器具の形成方法であって、
a.射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程;
b.前記構築物を、加熱したダイに入れる工程;
c.前記ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、前記少なくとも1つのピンが前記射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;
d.2剤型熱硬化性ポリマーの混合物を前記ダイ内に射出してポリマーリングを形成する工程であって、前記射出成形ガイド及び前記多孔性バリア材料の各々は、前記ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、工程;
e.前記2剤型熱硬化性ポリマーの混合物が液体状態から固体状態へ変化するように、前記2剤型熱硬化性ポリマーの混合物を金型内で硬化させる工程;及び
f.成形された製品を前記ダイから取り出す工程、
を含む、方法。
【請求項50】
前記構築物は、前記射出成形ガイドを前記多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、2019年11月12日に出願された米国特許仮出願第62/934,090号、及び2020年5月4日出願された米国特許仮出願第63/019,884号の利益を主張するものであり、これらの各出願は、あらゆる目的でその全体が本願に援用される。
本開示は、避妊用医療器具に関し、特に、リングと、射出成形ガイドと、バリア材料とを含む膣内医療器具を開示する。
【背景技術】
【0002】
有効な避妊用医療器具又は医薬品は、世界中で生殖力のあるヒトから所望されている。避妊用医療器具の成功率は、避妊法の有効性に依存するだけでなく、ユーザーの嗜好、当該避妊法の医療器具又は医薬品の可逆性;ユーザーにとっての利便性、及びユーザーによるコンプライアンスにも依存する。有効な避妊法(医薬品又は医療器具を含む)に対するニーズは、極めて重要なニーズであり続けている。妊娠の50%は予定外であり、世界では2分に1人の女性が妊娠及び出産関連の問題で死亡していると推定される。
ホルモンベースの避妊薬は、広く使用されているが、ユーザーの全身に作用することが現在わかっており、様々な心血管状態を有する個体には禁忌である。従って、活性剤の局所投与をもたらし、従来の器具及び方法よりも使用が容易である、新規かつ改善された避妊用医療器具を提供することが望ましい。従って、妊娠を防止するために、1種以上の活性剤を局所投与するための、生体適合性、非侵襲性で、費用効果が高く、可逆性かつ簡便な避妊用医療器具を提供する必要がある。本開示は、このニーズを満たすための避妊用医療器具及び関連器具並びに方法を提供する。
【発明の概要】
【0003】
簡単に述べると、本開示は、避妊用医療器具、そのコンポーネント、避妊用医療器具及びそのコンポーネントの製造方法及び使用方法、並びに当該器具に含有される組成物を開示する。1つの態様では、本開示は、多孔性バリア材料と射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、上記射出成形ガイドは、任意選択でバリア材料に固定されており、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料は、各々、多孔性バリア材料を取り囲むポリマーリング内に少なくとも部分的に包埋(encase)されていてもよく、一実施形態では、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に包埋されており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に包埋されている、避妊器具を提供する。従って、一態様では、本開示は、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドと、ポリマーリングとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドはポリマーリング内に全体的に包埋されており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に包埋されている、避妊器具を提供する。射出成形ガイドは、射出成形プロセスの間に2本以上のピンが射出成形ガイドに均等に係合し得るように、対称であってもよい。射出成形ガイドは、複数の平面状表面、例えば、3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8つの平面状表面を有してもよい。射出成形ガイドは、ポリマーリング構造内に少なくとも部分的に包埋されており、一実施形態では、射出成形ガイドはポリマーリング構造内に包埋されている。例えば、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、当該射出成形ガイドは複数の平面状表面を備え、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々はポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれており、任意選択で、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれている、避妊器具を提供する。別の例として、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、当該射出成形ガイドは断面で見たときに対称な外観を有し、従って断面図の左側は断面図の右側の鏡像であり、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々はポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれており、任意選択で、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれている、避妊器具を提供する。
【0004】
任意選択で、避妊器具は、本明細書に開示される特徴を更に特徴とし、例えば、以下の特徴の1つ以上を更に特徴とし得る:バリア材料は、メッシュである;バリア材料は、繊維性メッシュである;バリア材料は、繊維性である;バリア材料は、円形である;バリア材料は、実質的に円形である;バリア材料は、ある直径、例えば、約40mm~約60mm、例えば約45mm~約53mmの直径を有する;射出成形ガイドは、非繊維性である;射出成形ガイドは、射出成形に使用する温度を超える融点、例えば、120℃超の融点を有する;射出成形ガイドは、射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する;射出成形ガイドは、ある角度(任意選択で45度~135度の角度、例えば85~95度、例えば90度の角度)で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有する;射出成形ガイドは、ポリマーコーティングを有する;射出成形ガイドは、コーティングされていない;射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない;射出成形ガイドは、サポートリング全体を通して単一組成を有する;射出成形ガイドは、生分解性である;射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に沿って存在する;射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に近接して存在する;射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している;射出成形ガイドは、バリア材料上に3D印刷されている;射出成形ガイドは、バリア材料上に射出成形されている;リング構造は、弾性ポリマー、例えば、シロキサンを含む;避妊器具は、ポリマーリング構造内に存在する生物活性剤を包含する;避妊器具は、ポリマーリング構造内に存在する第一鉄化合物を含む;避妊器具は、ポリマーリング構造内に存在するグルコン酸第一鉄又はその水和物を含む;避妊器具は、各々ポリマーリング構造内に存在する第一鉄化合物及びアスコルビン酸を含む。本開示の避妊器具の上記及びその他の特徴並びに任意選択事項を本明細書に記載する。
【0005】
1つの態様では、本開示は、本明細書に記載の避妊器具を含むキット、例えば上記の避妊器具を含むキットを提供し、当該キットは、潤滑剤、殺精子ゲル、殺精子フィルム、避妊ゲル、及びアプリケータ―のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0006】
1つの態様では、本開示は、本開示の避妊器具の形成に使用できる構築物を提供する。構築物は、射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を含み、射出成形ガイドは複数の平面状表面を有する。任意選択で、構築物は、本明細書に記載の特徴、例えば、以下の特徴のうちの1つ以上を更に特徴とし得る:バリア材料は、メッシュである;バリア材料は、繊維性メッシュである;バリア材料は、繊維性である;バリア材料は、円形である;バリア材料は、実質的に円形である;バリア材料は、約40mm~約60mm、例えば約45mm~約53mmの直径を有する;射出成形ガイドは、非繊維性である;射出成形ガイドは、射出成形に使用する温度を超える融点、例えば、120℃超の融点を有する;射出成形ガイドは、射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する;射出成形ガイドは、ある角度(例えば、85~95度などの約45度~約135度の角度、例えば90度の角度)で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有する;射出成形ガイドは、コーティングされていない;射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない;射出成形ガイドは、単一組成を有する;射出成形ガイドは、生分解性である;射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に沿って存在する;射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に近接して存在する;射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している;射出成形ガイドは、バリア材料上に3D印刷されている;射出成形ガイドは、バリア材料上に射出成形されている。
【0007】
1つの態様では、本開示は、本開示の構築物及び避妊器具を形成する方法を提供する。例えば、本開示は、避妊器具の形成方法を提供し、当該方法は、(a)射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程であって、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備える、工程;(b)上記構築物をダイに入れる工程;(c)ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、当該少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;及び(d)溶融ポリマーをダイ内に射出して、射出成形ガイドを包埋するリング構造を形成する工程、を含む。別の例として、本開示は、構築物を形成する方法を提供し、当該方法は、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む。更に別の例として、本開示は、構築物を形成する方法を提供し、当該方法は、射出成形ガイドを、任意選択で出成形プロセスによって、形成する工程と;次いで、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に固定する工程とを含む。更なる例として、本開示は、避妊器具を形成する方法を含み、当該方法は:(a)射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程であって、射出成形ガイドは対称であり、複数の平面状表面を備える、工程;(b)構築物をダイ(任意選択で加熱したダイ)に入れる工程;(c)ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、当該少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;(d)2剤型熱硬化性ポリマーの混合物をダイ内に射出してポリマーリングを形成する工程であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々はポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、工程;2剤型熱硬化性ポリマーの混合物が液体状態から固体状態へ変化するように、2剤型熱硬化性ポリマーの混合物を金型内で硬化させる工程;及び(f)避妊器具をダイから取り出す工程、を含む。
【0008】
本開示は、避妊器具、避妊器具の形成に有用な構築物、及び当該避妊器具の形成及び使用に関連する方法の様々な態様及び実施形態を提供し、これらの様々な態様及び実施形態を組み合わせて、本開示の避妊器具、構築物、及び関連方法を記載し得る。例えば、一態様では、避妊器具は、ポリマーリング構造と、射出成形ガイドと、多孔性バリア材料とを備え、ポリマーリング構造のポリマーはシリコーンを含み、ポリマーリング構造は更に、グルコン酸第一鉄、アスコルビン酸、グリシン及びポリ(グリコール酸)の粒子を含む。当該器具は更に、シリコーンリング構造内に包埋されているのは、ラクチドがポリマーの約70%(w/w)超、例えば、80%(w/w)を占めるラクチド/トリメチレンカーボネートポリマーを含む射出成形ガイドであり、当該ガイドは射出成形に使用される温度を超える融点を有する、と説明できる。当該器具は更に、射出成形ガイドは少なくとも1つの平面状表面を有する、と説明できる。当該器具は更に、ポリマーリング構造内に部分的に埋め込まれた多孔性バリア材料を含み、当該バリア材料はリング内径を完全に横断する、と説明できる。当該器具は更に、バリア材料は、少なくとも部分的にラクチド/トリメチレンカーボネートポリマーで形成された繊維性マルチフィラメントメッシュを含むことができ、当該ラクチドは、ポリマーの70%超(w/w)、又は80%(w/w)超を占める、と説明できる。避妊器具は更に、約40mm~約60mm、例えば、約45m~約53mmの外径を有する、と説明できる。当該器具は更に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)で汚染されておらず、任意選択で細菌性エンドトキシンレベルが20EU以下である、と説明できる。当該器具は更に、その性能特性に関して説明でき、例えば、一態様では、避妊器具は、模擬膣液中に置いたときに、第一鉄イオンを少なくとも35日間放出する。一態様では、本開示は、本明細書に記載の態様及び実施形態を有する避妊器具を含有するキットを提供し、当該キットにおいて、避妊器具は包装され、任意選択で取扱説明書を有する。
【0009】
本開示は、以下の例示的かつ非排他的な実施形態を提供する。実施形態は便宜上番号が付されている。
1)ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々はポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、避妊器具。
2)バリア材料は、メッシュである、実施形態1に記載の避妊器具。
3)バリア材料は、繊維性である、実施形態1に記載の避妊器具。
4)バリア材料は、円形又は実質的に円形である、実施形態1~3に記載の避妊器具。
5)バリア材料は、約40mm~約60mm、例えば約45mm~約53mmの直径を有する、実施形態1~4に記載の避妊器具。
6)射出成形ガイドは、対称である、実施形態1~5に記載の避妊器具。
7)射出成形ガイドは、複数の平面状表面を備える、実施形態1~6に記載の避妊器具。
8)射出成形ガイドは、複数の平面状表面を備え、かつ2つの平面状表面の交差によって形成される隅角部を有し、任意選択で、射出成形ガイドは、ある角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有し、上記角度は、45度~135度の角度、例えば90度の角度である、実施形態1~7に記載の避妊器具。
9)射出成形ガイドは、非繊維性及び無孔性のうちの少なくとも1つである、実施形態1~8に記載の避妊器具。
10)射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれている、実施形態1~9に記載の避妊器具。
11)射出成形ガイドは、コーティングされていない、及び/又はサイジングポリマーを含有しない、実施形態1~10に記載の避妊器具。
12)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料に固定されている、実施形態1~11に記載の避妊器具。
13)射出成形ガイドは、ある組成を有し、当該組成は射出成形ガイドの全ての場所において一定である、実施形態1~12に記載の避妊器具。
14)射出成形ガイドは、生分解性である、実施形態1~13に記載の避妊器具。
15)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料の縁部に沿って存在する、実施形態1~14に記載の避妊器具。
16)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料の縁部に近接して存在する、実施形態1~14に記載の避妊器具。
17)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している、実施形態1~16に記載の避妊器具。
18)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料上に3D印刷されている、実施形態1~17に記載の避妊器具。
19)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料上に射出成形されている、実施形態1~17に記載の避妊器具。
20)ポリマーリングは、弾性ポリマーを含む、実施形態1~19に記載の避妊器具。
21)ポリマーリングは、多孔性バリア材料を取り囲んでいる、実施形態1~20に記載の避妊器具。
22)ポリマーリング内に存在する生物活性剤を更に含む、実施形態1~21に記載の避妊器具。
23)ポリマーリング内に存在する第一鉄化合物を更に含む、実施形態1~21に記載の避妊器具。
24)ポリマーリング内に存在するグルコン酸第一鉄又はその水和物を更に含み、任意選択で、ポリマーリング内に存在するアスコルビン酸も更に含む、実施形態1~21に記載の避妊器具。
25)実施形態1~24に記載の避妊器具を含むキットであって、潤滑剤、殺精子ゲル、殺精子フィルム、避妊ゲル、及びアプリケータ―のうちの少なくとも1つを更に含む、キット。
26)実施形態1~24のいずれかに記載の避妊器具などの避妊器具を形成する構築物であって、射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える、構築物。
27)バリア材料は、メッシュである、実施形態26に記載の構築物。
28)バリア材料は、繊維性である、実施形態26~27に記載の構築物。
29)バリア材料は、円形である、又は実質的に円形である、実施形態26~28に記載の構築物。
30)バリア材料は、約40mm~約60mm、例えば約45mm~約53mmの直径を有する、実施形態26~29に記載の構築物。
31)射出成形ガイドは、対称である、実施形態26~30に記載の構築物。
32)射出成形ガイドは、射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する、実施形態26~31に記載の構築物。
33)射出成形ガイドは、複数の平面状表面を備える、実施形態26~32に記載の構築物。
34)射出成形ガイドは2つの平面状表面の交差によって形成される隅角部を有し、任意選択で、射出成形ガイドは、ある角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有し、上記角度は、約45度~約135度、例えば約90度の角度である、実施形態26~33に記載の構築物。
35)射出成形ガイドは非繊維性であり、かつ任意選択で無孔性である、実施形態26~34に記載の構築物。
36)射出成形ガイドは、120℃超の融点を有する、実施形態26~35に記載の構築物。
37)射出成形ガイドは、コーティングされていない、実施形態26~36に記載の構築物。
38)射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない、実施形態26~37に記載の構築物。
39)射出成形ガイドは、射出成形ガイドのそれぞれの場所において単一組成を有する、実施形態26~38に記載の構築物。
40)射出成形ガイドは、生分解性である、実施形態26~39に記載の構築物。
41)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料の縁部に沿って存在する、実施形態26~40に記載の構築物。
42)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に近接して存在する、実施形態26~40に記載の構築物。
43)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している、実施形態26~42に記載の構築物。
44)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料上に3D印刷されている、実施形態26~43に記載の構築物。
45)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料上に射出成形されている、実施形態26~43に記載の構築物。
46)実施形態1~24のいずれかに記載の避妊器具などの避妊器具の形成方法であって、
a.射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程;
b.上記構築物をダイに入れる工程;
c.ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、当該少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;及び
d.溶融ポリマーをダイ内に射出してポリマーリングを形成する工程であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、工程、
を含む、方法。
47)構築物は、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される、実施形態46に記載の方法。
48)構築物は、
a.射出成形プロセスによって射出成形ガイドを形成する工程;
b.射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に固定する工程
を含む方法によって提供される、実施形態46に記載の方法。
49)実施形態1~24のいずれかに記載の避妊器具などの避妊器具の形成方法であって、
a.射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程;
b.上記構築物を加熱したダイに入れる工程;
c.ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、当該少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;
d.2剤型熱硬化性ポリマーの混合物をダイ内に射出してポリマーリングを形成する工程であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、工程;
e.2剤型熱硬化性ポリマーの混合物が液体状態から固体状態へ変化するように、2剤型熱硬化性ポリマーの混合物を金型内で硬化させる工程;及び
f.成形された製品をダイから取り出す工程、
を含む、方法。
50)構築物は、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される、実施形態49に記載の方法。
【0010】
本明細書の上記及び追加の特徴並びにそれを得る方法が明らかになるであろう。本発明は以下のより詳細な記載を参照することで最も良く理解されるであろう。本明細書に開示されている全ての参照文献は、参照により、それぞれ個別に組み込まれているかのように、その全体が組み込まれる。
【0011】
「発明の概要」は、以下の「発明を実施するための形態」で更に詳細に記載されている特定の概念を単純な形で紹介するために提供されている。他に明記されていない限り、この「発明の概要」は特許請求される主題の重要な又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものでもない。
1つ以上の実施形態及び態様の詳細を、以下に記載する。1つの例示的実施形態又は態様に関して例証又は記載された特徴は、他の実施形態又は態様の特徴と組み合わされてもよい。従って、本明細書の記載の種々の実施形態又は態様のいずれかを組み合わせて、本開示の更なる実施形態を提供できる。実施形態及び態様の特徴は、必要に応じて、本明細書で識別された種々の特許、出願及び刊行物の概念を採用して、また更なる実施形態を提供するように、変更できる。その他の特徴、目的、及び利点は、記述、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。
本開示の例示的な特徴、その性質及び種々の利点は、添付の図面及び以下の種々の実施形態の詳細な説明から明らかになろう。非限定的及び非包括的実施形態を、添付図面を参照して記載する。その際、特記のない限り、様々な図を通して、同様の標識又は参照番号は、同様の部分を指す。図中の要素の大きさ及び相対的位置は、必ずしも正確な縮尺で描かれているとは限らない。例えば、図面の可読性を改善するために、様々な要素の形状が選択され、拡大され、配置されている。描かれた要素の特有の形状は、図を容易に認識するために選択されたものである。下記の添付図面を参照して、1つ以上の実施形態を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書に開示される例示的な避妊用医療器具の平面図であり、射出成形ガイド(1)と、多孔性バリア材料(2)と、リング構造(3)とを示している。
図2】本明細書に開示される例示的な避妊用医療器具の一部、より具体的には、図1で「A」において識別された部分の概略側面図であり、射出成形ガイド(1)と、多孔性バリア材料(2)と、リング構造(3)とを示している。
図3図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H及び図3Iは各々、本明細書に開示される例示的構築物の多孔性バリア材料(2)上に提供された例示的射出成形ガイド(1)の概略部分の断面を示す。
図4】本明細書に開示される例示的避妊用医療器具の多孔性バリア材料(2)上に提供された例示的射出成形ガイド(1)の概略を示す。
図5図5A及び図5Bは各々、本明細書に開示される例示的避妊用医療器具の多孔性バリア材料(2)上に設けられた例示的射出成形ガイド(1)の概略を示す。
図6図6A図6B及び図6Cは、例示的構築物の概略を示し、図6Aは構築物の平面図を示し、図6Bは、図6Aの構築物を図6Aの線Bから見た全断面図を示し、図6Cは、図6Aの構築物の部分断面図、特に図6BにおいてCで示された領域内に含まれる断面の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示されているのは、避妊用医療器具(避妊器具とも称される)、当該避妊器具の製造及び使用方法、及び当該避妊器具の製造に有用な構築物である。1つの態様では、本開示は、バリア材料と、射出成形ガイドと、リング構造とを含む避妊器具を提供する。例えば、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、避妊器具を提供する。バリア材料は、精子のバリア材料通過を遅延させることができるが、膣液のバリア材料通過を妨げない。一態様では、バリア材料は多孔性、又は少なくとも部分的に多孔性であり、精子のバリア材料通過を遅延させるが、膣液は多孔性バリア材料を通過できるような孔径を有する。ポリマーリングは、避妊器具が生体内、特に膣管内で、固定された位置を維持することを容易にする。射出成形ガイドは、避妊器具の効率的な製造を促進する。任意選択で、避妊器具は生物活性剤を更に含み、更に任意選択で、賦形剤、pH調節剤、酸化防止剤、防腐剤、及び生物活性剤の放出を調節する放出修正剤のうちの1つ以上を含む。任意選択で、生物活性剤は組成物の一成分であり、当該組成物は精子が子宮頸部に入る可能性を低減するよう機能する。1つの態様では、本開示は、バリア材料と、射出成形ガイドと、ポリマーリングとを含む避妊器具の製造方法を提供し、当該方法は、避妊器具のポリマーリング部分を射出成形することによってポリマーリングを形成する工程を含み、射出成形は射出成形ガイドを利用する。別の態様では、本開示は、避妊器具を膣管に挿入する工程を含む、避妊を達成する方法を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、バリア材料と射出成形ガイドとを含む構築物を提供し、構築物は避妊器具の前駆体として機能でき、避妊器具の一部となり得る。別の態様では、本開示は、構築物を調製する方法を提供し、更に、当該構築物を使用して避妊器具を調製する方法も提供する。1つの態様では、構築物は、射出成形機内のキャビティ(任意選択で、金型又はダイと呼ばれる)内に入れられ、その際、射出成形機の2本以上のピンが構築物の射出成形ガイドと係合し、ピンは、ポリマーリングの射出成形の間、構築物を金型内の所望の場所に配置及び/又は固定する役割を果たす。1つの態様では、射出成形ガイドは対称な形状を有し、その結果、チャンバ内の構築物が当初置かれていた場所に関係なく、ピンが射出成形ガイドと均一に係合する。換言すると、複数のピンが均一に金型内に延びて射出成形ガイドと係合するとき、複数のピンの各々は射出成形ガイドと等しく係合し、例えば、複数のピンのうちの1本は、複数の係合ピンの他のどのピンと比べても、更に金型内に延びて射出成形ガイドと係合する必要がない。この射出成形ガイドの対称性は、本開示の避妊器具の効率的な製造を促進する。
【0015】
図1は、射出成形ガイド(1)と、多孔性バリア材料(2)と、本明細書でポリマーリングと呼ばれることもあるリング構造(3)とを備える本開示の例示的避妊器具の概略平面図を示す。射出成形ガイド(1)は、実際にはリング構造(3)内に埋め込まれているが、図1の描画では、リング構造(3)内の射出成形ガイド(1)の位置をリング構造(3)内の破線で示している。図1に示すように、射出成形ガイド(1)は、避妊器具の上から見たときに環状リングの外観を有する。
【0016】
図2は、図1に示す例示的避妊器具の部分側面図の概略、特に、図1で領域「A」として識別された領域の部分側面図を示し、この部分側面図は、例示的射出成形ガイド(1)の一部の断面と、多孔性バリア材料(2)の一部の断面と、リング構造(3)の一部の断面とを含む、避妊器具の断面を示す。図2に示すように、例示的射出成形ガイド(1)は、部分的断面で見たときに、複数の平面状表面を含むL字形(この場合、5つの平面状表面)を含み得る。従って、本開示の射出成形ガイドは、環状リングの外観を有し得る(上から見たとき)とともに、複数の平面状表面を含み得る(断面で見たとき)。一実施形態では、射出成形装置は、多孔性バリア材料に隣接して位置するベース面を有し、当該ベース面は平面状表面であり、図2に示すように、ベース面は任意選択で多孔性バリア材料の開口部の中へ延び得る。
【0017】
本開示の避妊器具は、射出成形ガイドと接触し、かつ任意選択で射出成形ガイドに固定されたバリア材料を含む構築物から調製されてもよく、任意選択で当該構築物を備えてもよい。構築物は、本開示の避妊器具を形成するための本開示の方法に特に有用である。当該方法において、リング構造は、バリア材料と射出成形ガイドとを備える構築物に追加される。
【0018】
1つの態様では、構築物は、キャビティ(金型又はダイ又はチャンバとも呼ばれる)内に置かれ、キャビティは、ポリマー射出成形プロセスの間に溶融ポリマーを受け取ることができる。溶融ポリマーは、リング構造を形成するように、金型内に射出される。この射出成形プロセスの間、力が加えられた溶融ポリマーが金型内に射出されている間にバリア材料及び射出成形ガイドの両方が動かないように、構築物は所定の場所にしっかりと保持されていることが望ましい。このために、構築物が金型内に置かれた後、複数の可動ピンを射出成形ガイドの表面と接触させる、例えば、各ピンの平坦面を射出成形ガイドの平坦面に対して押し当て、ピンが射出成形ガイドを金型内の固定位置に留めるようにする。従って、射出成形ガイドは、当該ガイドが射出成形ダイの中心にあることを可能にする構成を有する。射出成形ガイドは、射出成形ダイのピンがメッシュではなく射出成形ガイドに直接接触することも可能にできる。これは、ピンがメッシュ内に置かれたときに起こる、メッシュに対する有害な機械的衝撃を低減する。バリア材料は金型の底と射出成形ガイドとの間に保持され、任意選択で射出成形ガイドにしっかりと固定されていることから、ピンが射出成形ガイドを金型内に固定すると、バリア材料は金型内の所定の位置に固定されるようになる。ピンを射出成形ガイドに接触させた後、溶融ポリマーが、射出成形ガイドの周りを囲むように金型内に射出され、射出成形ガイドを少なくとも部分的に包埋する。冷却すると溶融ポリマーは、本開示の避妊器具のリング構造を形成する。
【0019】
1つの態様では、リング構造は、バリア材料と射出成形ガイドとを備える構築物に加えられる。当該方法において、構築物は、加熱された又は加熱可能なキャビティ(金型又はチャンバとも呼ばれる)内に置かれ、当該キャビティは、射出成形プロセスの間、2剤型熱硬化性ポリマーの混合物を受容できる。液体ポリマー混合物は、リング構造を形成するように、金型内に射出される。この射出成形プロセスの間、力が加えられた液体ポリマー混合物が金型に射出されている間にバリア材料及び射出成形ガイドの両方が動かないように、構築物は所定の場所にしっかりと保持されていることが望ましい。このために、構築物が金型内に配置された後、1セットの可動ピンを射出成形ガイドの1つ以上の表面(例えば、平面状表面)と接触させ、各ピンの表面を射出成形ガイドの表面に対して押し当て、ピンが射出成形ガイドを金型内の固定位置に留めるようにする。従って、射出成形ガイドは、射出成形ガイドが射出成形ダイ内の所定の場所に配置され、ポリマーリングを形成する射出成形プロセスの間に所定の場所にしっかりと保持されることを可能にする構成を有する。射出成形ガイドは、好ましくは、この射出成形プロセスを容易にする対称な形状を有する。射出成形ガイドは、射出成形ダイのピンがメッシュではなく射出成形ガイドに直接接触することも可能にし得る。これは、ピンがメッシュと係合したとき、すなわち、メッシュと接して置かれたときに起こる、メッシュに対する有害な機械的衝撃を低減する。バリア材料は金型の底と射出成形ガイドとの間に保持され、任意選択で射出成形ガイドにしっかりと固定されていることから、ピンが射出成形ガイドを金型内に固定すると、バリア材料は金型内の所定の位置に固定されるようになる。ピンを射出成形ガイドに接触させた後、液体ポリマー混合物が、射出成形ガイドの周りを囲み、射出成形ガイドを少なくとも部分的に包埋し、任意選択的に射出成形ガイドを完全に包埋するように、金型内に射出される。液体ポリマー混合物は、加熱された金型内に、指定温度で、当該液体ポリマー混合物が硬化(架橋としても知られる)して固体ポリマー形態になるような時間保持され、当該固体ポリマーは、本開示の避妊器具のリング構造を形成する。次いで、形成された避妊器具を金型から取り出す。
【0020】
リング構造は、望ましくは、本開示の避妊器具の外縁部を形成する。つまり、ポリマーリングは、多孔性バリア材料の周辺を囲み得る。従って、構築物及び避妊器具の両方において、射出成形ガイドは、望ましくはバリア材料の外縁部又はその近くに位置する。バリア材料及び射出成形ガイドの各々の外縁部は、図1に示すように、円形として記載できる。任意選択で、バリア材料は、実質的に円形である。
一実施形態では、射出成形ガイドの外縁部は、バリア材料の外縁部と一致する、すなわち、面一である。図2に示す別の実施形態では、射出成形ガイドの外縁部は、バリア材料の外縁部のわずかに内側にあり、例えば、実施形態において、1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10mmのバリア材料が、射出成形ガイドの外縁部を越えて延びている。別の実施形態では、射出成形ガイドの外縁部は、バリア材料の外縁部をわずかに越える、又はバリア材料の外縁部の外側にあり、例えば、実施形態において、1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10mmの射出成形ガイドがバリア材料の外縁部を越えて延びている。
【0021】
バリア材料
本開示のバリア材料は、精子のバリア材料通過を遅延させることができるが、膣液がバリア材料を通る能力を実質的に妨げない。
バリア材料は、1種以上のポリマーを含むことができる。本開示の器具に使用できるポリマーは、非吸収性、吸収性、又はこれらの組み合わせであってもよい。好適な吸収性及び非吸収性ポリマーは、本明細書で後述する。一態様では、バリア材料は金属を含むことができる。例えば、メッシュはワイヤーメッシュであってもよい。1つの態様では、メッシュはステンレス鋼メッシュである。
バリア材料は、円形であってもよく、従って直径を有し得る。一実施形態では、バリア材料の直径は、約40~60mmの範囲内である。バリア材料は、少なくとも40mm、例えば、少なくとも41mm、又は少なくとも42mm、又は少なくとも43mm、又は少なくとも44mm、又は少なくとも45mm、又は少なくとも46mm、又は少なくとも47mm、又は少なくとも48mmの直径を有し得る。バリア材料は、60mm未満、例えば、59mm未満、又は58mm未満、又は57mm未満、又は56mm未満、又は55mm未満、又は54mm未満、又は53mm未満、又は53mm未満、又は52mm未満、又は51mm未満の直径を有し得る。実施形態では、バリア材料は、上記の最小直径のいずれかから上記の最大直径のいずれかまでの選択された範囲内の直径、例えば、約45mm~約53mmの範囲内の直径を有する。バリア材料は、実質的に平坦であり、その直径はバリア材料の厚さよりもはるかに大きいと説明できる。一態様では、バリア材料は、非円形であってもよい。バリアメッシュは、長方形、正方形、五角形、六角形、七角形、又は八角形であってもよい。
避妊器具の物理的バリア材料は、編物メッシュ又は織物メッシュであり得る。編物メッシュ又は織物メッシュは、1本以上の繊維又は糸(yarn)を含むことができる。実施形態では、バリア材料は、多孔性メッシュ、連続気泡発泡体、多孔性不織材料、及び多孔性フィルムから選択される形態を有する。一実施形態では、バリア材料は、多孔性である。一実施形態では、バリア材料は、メッシュである。一実施形態では、バリア材料は、繊維性である。一実施形態では、バリア材料は、繊維から形成されたメッシュである、すなわち、繊維性メッシュである。
【0022】
本明細書に記載の吸収性及び非吸収性ポリマーを、バリア材料の形成に好適な繊維に成形することができる。繊維は、押出プロセスによって、ポリマーから製造できる。押出プロセスは、ポリマーを流動可能な温度まで加熱する工程と、次いで、当該ポリマーを、画定された形状及び大きさの開口部に通す工程とを含み得る。繊維は、円、楕円、正方形、長方形、不定形、二葉状又は三葉状であり得る。
任意選択の実施形態では、繊維は、5μm~600μmの断面寸法を有し得る。一態様では、繊維断面寸法は20μm~300μmである。モノフィラメント繊維は単繊維である。モノフィラメント繊維を含む糸は、モノフィラメント糸と呼ぶことができる。モノフィラメントの好ましい断面寸法は、40μm~400μmである。モノフィラメントのより好ましい断面寸法は、80μm~200μmである。
【0023】
1つの態様では、2本以上の繊維からマルチフィラメント糸を形成でき、この糸をバリア材料の形成に使用できる。1つの態様では、糸は、2~100本の繊維を含み得る。好ましい態様では、糸は、30~90本の繊維を含み得る。一態様では、糸は、86本の繊維を含み得る。別の態様では、糸は、43本の繊維を含み得る。最終的な糸は、2本以上の糸を撚り合わせることで作製できる。一態様では、撚ろうとする糸の各々の繊維の数は同じである。例えば、繊維数43のマルチフィラメント糸を、第2の繊維数43のマルチフィラメント糸と撚り合わせて、86本の繊維を含む諸撚糸を形成できる。別の態様では、撚ろうとする糸の各々の繊維の数は、異なっている。例えば、繊維数43のマルチフィラメント糸を、第2の繊維数35のマルチフィラメント糸と撚り合わせて、78本の繊維を含む諸撚糸を形成できる。諸撚糸は、2~200の総フィラメント数を有し得る。一態様では、総フィラメント数は、40~120である。一態様では、諸撚糸は、86本の繊維を有する。マルチフィラメント糸は、同じ組成の繊維から製造することができ、又は2種以上の異なる組成の繊維を用いて製造することもできる。この場合、混紡糸が得られる。1つの態様では、糸は、吸収性であり得る。別の態様では、糸は、非吸収性であり得る。別の態様では、糸は、吸収性の繊維と非吸収性の繊維とを含むことができる。
マルチフィラメント糸は、繊維を撚ることなく作製できる。一態様では、糸は、フラット糸であり得る。1つの態様では、糸は、撚糸であり得る。1つの態様では、糸は、1インチ当たりの撚り数(TPI)が1~7であり得る。好ましい態様では、糸は、2~6TPIを有し得る。1つの態様では、糸は、平均で2TPI、3TPI、4TPI、5TPI、又は6TPIを有し得る
任意選択で、1本又は複数の繊維は、バリア材料の形成に使用する前に、繊維を延伸することによって配向されてもよい。
【0024】
一態様では、糸は、テクスチャード加工され得る。テクスチャード加工糸は、種々の撚糸技術、機械及び熱硬化技術を使用して製造され、当該技術は、糸をより厚く柔軟にし、場合によっては伸長能力を糸に付与する、捲縮効果を生じる。一態様では、糸は、撚られ、その撚られた構成で熱硬化され、その後、解撚されてもよい。その場合、糸は、伸縮性及び毛羽感を糸に付与するらせん形状であると想定される。一態様では、糸は、捲縮され得る。糸は、予め定められた形状のチャンバ内に緊密に充填され、次いで、この制限構造内で熱硬化される。制限構造から取り出されると、糸は、伸縮可能な形態をとる。一態様では、糸は、わな糸(ループヤーン)であり得る。わな糸は、エアジェットテクスチャード加工又は空気テクスチャー加工として知られる技術で、マルチフィラメント糸を加圧空気の噴射に曝すことによって製造される。上記の糸の各々は、本開示の構築物又は避妊器具のバリア材料に使用される。
【0025】
一態様では、バリア材料の糸は、ステープル糸の形態であり得る。ステープル糸は、比較的短い繊維を用いて、当該繊維をカーディングし、次いで延伸及び紡糸して、糸を作ることで形成される。高度に整列した繊維が望ましい場合、カーディングした繊維をコーミングして、繊維を更に整列させることができる。ステープル糸は、同じ組成の繊維から製造することも、2種以上の異なる組成の繊維を用いて製造することもできる。この場合、ステープル糸が得られる。1つの態様では、ステープル糸は、吸収性であり得る。別の態様では、ステープル糸は、非吸収性であり得る。別の態様では、ステープル糸は、吸収性の繊維と非吸収性の繊維とを含むことができる。一態様では、糸は、摩耗糸(abraded yarn)であってもよい。
繊維又は糸のデニールは、9000メートルの繊維又は糸のグラム単位の質量として測定される。モノフィラメント繊維又はマルチフィラメント糸の場合、バリア材料の形成に使用される繊維又は糸のデニールは、1~800であってもよい。1つの態様では、繊維又は糸のデニールは、30~300である。別の態様では、当該デニールは、50~250である。繊維又は糸を特徴づける別の方法は、フィラメント当たりのデニールを使用することである。フィラメント当たりのデニール(DPF)は、糸のデニールを、糸を構成するフィラメントの数で除算することで計算される。一態様では、バリア材料の形成に使用される糸又は繊維のDPFは、1~25である。別の態様では、当該DPFは、2~10である。
【0026】
バリア材料の繊維は、染料を更に含んでもよい。1つの態様では、染料は、押出プロセスの間に繊維又は糸に組み込むことができる。別の態様では、染料は、完成した繊維又は糸の上にコーティングとして適用され得る。別の態様では、染料は、材料を染色することによって、繊維又は糸に組み込むことができる。染色プロセスは、繊維又は糸を染料の溶液に浸漬し、染料を繊維又は糸の中に拡散させることによって達成され得る。使用可能な染料の例としては、限定するものではないが、D&CバイオレットNo.2、(フタロシアニナト[2])銅、ロッグウッド抽出物、D&CグリーンNo.5、D&CグリーンNo.6、酸化クロム-コバルト-アルミニウム、FD&CブルーNo.2、及びD&CブルーNo.6が挙げられる。
【0027】
1本又は複数の繊維の押出の後、繊維からバリア材料を形成する前に、スピン仕上げ剤を繊維に適用することができる。スピン仕上げ剤は、潤滑剤、酸化防止剤又は帯電防止剤として作用できる。スピン仕上げ剤としては、限定するものではないが、グリセリン、ポリ(エチレングリコール)ジオレエート Esterol 244、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸アルキル、アルコールエトキシレート又はアルキルフェノールエトキシレート、ステアリン酸ブチル、アルキルポリオキシエチレンカルボキシレートエステル、ポリアルキレングリコール(200)モノラウレート、ポリアルキレングリコール(600)モノイソステアレート、エトキシ化プロポキシ化ブチルアルコール、POE(5)ラウリルカリウムホスフェート、POE(30)ヒマシ油、Lurol 1187(Goulston Inc.,700 N.Johnson Street,Monroe,N.C.28110)、Lurol PT-6A、LUROL FR-L987、LUROL PS-14135、LUROL PS-11158、LUROL PS-662、LUROL SF-14974、LUROL PS-9725、LUROL-SF-13191、LUROL SF-15361、LUROL SF-15704、LUROL SF-15628、PS-662、PS-13460、LUROL PP-912、Lurol(登録商標)SF-563、Lurol(登録商標)SF-565、Lurol(登録商標)SF-567、Lurol Pl 801(Goulston)、Lurol PT-L216(Goulston)、Stantex 6457(Pulcrachem)、Esterol PF-790(Bozzeto GmbH)、Estesol TXB(Bozzetto Group)、及びFilapan CTC(Boehme)が挙げられる。SYNALOX(商標)50-30B及びSYNALOX(商標)50-50BなどのDow社のスピン仕上げ剤も使用できる。一態様では、スピン仕上げ剤は、Lurol PT-6Aである。一態様では、スピン仕上げ剤は、グリセリンである。
【0028】
1つの態様では、バリア材料は、編物メッシュである。編物メッシュは、1つ以上の非吸収性繊維若しくは糸、1つ以上の吸収性繊維若しくは糸、又はこれらの組み合わせを含み得る。たて編又はよこ編を使用して、編物メッシュを製造できる。たて編みバリアの場合、従来の公知のたて編み装置及び技術を使用できる。このような装置及び技術は、David J Spencer著「Knitting Technology,A comprehensive handbook and practical guide」(第3版、2001 Woodhead Publishing Limited and Technomic Publishing Company Inc,ISBN 185573331)に記載されており、その内容を参照により援用する。トリコット編機を、バリア材料の編成に使用できる。トリコット機は、2、3、又は4枚のおさ(筬)を有することができる。好ましい態様では、当該編機は2枚のおさを有する。ラッセル編機を、バリア材料の編成に使用できる。
バリア材料の編物メッシュの構造は、任意の所与の糸について、1インチ当たりのコース数及び1インチ当たりのウェール数、並びに特定のニットデザインに関して規定できる。1つの態様では、編物バリアの1インチ当たりのコースは4~80の範囲である。別の態様では、1インチ当たりのコースは10~40である。別の態様では、1インチ当たりのコースは20~40である。1つの態様では、バリア編物メッシュは、1インチ当たりのウェールが9~44である。別の態様では、バリア編物メッシュは、1インチ当たりのウェールが15~35である。別の態様では、編物バリアメッシュは、1インチ当たりのウェールが15~25である。
【0029】
編物バリアメッシュの編成パターンとしては、限定するものではないが、ロックニット、リバースロックニット、トリコット・ジャージー、トリコット・サテン、ハーフトリコット、2バートリコット、シャークスキン、又はクイーンズコードパターンが挙げられる。別の態様では、編成パターンは、マーキゼットである。バリア材料は、Surgical Mesh(72 Grays Bridge Road Unit D1,Brookfield,Connecticut,06804,USA)製の部品番号PETKM2002、PETKM2004、PETKM2006、PETKM2007、PETKM2008、PETKM2009、PETKM3002、PETKM3003、PETKM7002、PETKM14002、PPKM301、PPKM302、PPKM403、PPKM404、PPKM405、PPKM406、PPKM407、PPKM409、PPKM501、PPKM502B、PPKM503,PPKM505、PPKM506BS、PPKM601、PPKM603、PPKM604、PPKM605、PPKM606、PPKM607BS、PPKM608B、PPKM801、PPKM802 AND PPKM 807)のものと類似の編成パターンを有する。一態様では、バリア材料は、Apex Mills(168 Doughty Boulevard,Inwood,NY 11096,USA)製の部品番号RJ27、XT34、XA90、TG77、TF40、RG90、RG26、RG06、RF99、RB88、RB61AF、PR95、PQ15、NZ74、NX91、NT55、NP61、NK50A、NK47A、NJ85、ND29、ND27、NB63、N98、LF2、AROWLN、NZ11、RC08、PV57のものと類似の編成パターンを有する。
一態様では、バリア材料は、1インチ当たりのコースが約38の編物材料で、2枚おさトリコット編みパターンを有する。
【0030】
避妊器具のバリア材料は、製織プロセスを用いて製造することもできる。一態様では、織物バリアのタテの打ち込み本数は4~40本の範囲である。別の態様では、タテの打ち込み本数位は5~20本である。織物バリア材料は、ヨコの打ち込み本数が2~44本であってもよい。別の態様では、織物バリア材料は、ヨコの打ち込み本数が3~20本であってもよい。任意選択で、織物バリア材料は、同じ材料のヨコ糸及びタテ糸を有してもよい。しかし、1つの態様では、ヨコ糸材料とタテ糸材料は異なる。一態様では、織物バリアの製造に使用される材料は、吸収性、非吸収性又はこれらの組み合わせであり得る。バリア材料の製織パターンは、Surgical Mesh社(72 Grays Bridge Road Unit D1,Brookfield,Connecticut,06804,USA)の部品番号PETWM707001、PETWM757501のものと同様であってもよい。
バリア材料は、メルトブローンプロセスを用いて製造されてもよい。このプロセスによると、熱可塑性ポリマー顆粒は、溶融されて、押出機に通される。次いで、溶融ポリマーは、加熱ガスの出口を1つ以上有するノズルブロックに通される。押出機のノズル先端を通った後、ポリマーは圧縮加熱ガスによって、繊維状に延伸される。繊維は、ガス透過性メッシュベルト上に吹き付けられ、メルトブローン繊維の形成が完了する。使用可能なガスとしては、限定するものではないが、空気、窒素、アルゴン、又はこれらのガスの2種以上の組み合わせが挙げられる。
メルトブローンプロセスを用いて製造されたバリア材料は、単一のポリマーを含むことができ、又は2種以上のポリマーを含むこともできる。一態様では、2種のポリマー顆粒を同時に押出機に投入して、2種以上のポリマーのブレンドを含む繊維を有する単一のバリア材料が製造される。別の態様では、バリア材料は、積層構造を有する。一実施形態では、積層構造は、メルトブローン材料の第1層を作製し、その後、第1層の上に第2層を吹き付けることで、メルトブローン繊維の第2層を形成することによって製造できる。これは、二層積層構造を形成する。三層積層構造を形成するため、第3層を第2層に適用するように、このプロセスを繰り返すことができる。二層積層構造の2つの層は、同じポリマー組成を有することができ、又は2つの層が異なるポリマー組成を有することもできる。三層積層の場合、層は、同じポリマー組成、異なるポリマー組成、又は2つの層が同じポリマー組成かつ第3の層とは異なるポリマー組成を有してもよい。
【0031】
メルトブローン層は、編物、織物、又は不織物であるポリマーメッシュ上に形成できる。一態様では、二層積層構造は、メッシュ層を覆う又はメッシュ層と相互貫入するメルトブローン層を用いて作製できる。別の態様では、三層積層構造は、2つのメルトブローン層の間に挟まれたメッシュを用いて作製できる。別の態様では、第2のメルトブローン層を第1のメルトブローン層の上に適用して、メッシュベース層の後に2つのメルトブローン層が続く三層積層構造を得ることができる。一態様では、メッシュとメルトブローン層とは、ポリマー組成が同じである。別の態様では、メッシュとメルトブローン層とは、ポリマー組成が異なる。
メルトブローン層の気孔率及び孔径は、ノズル直径、押出温度、圧縮ガス温度、ポリマー押出速度、圧縮加熱ガス流量、ノズルの回収メッシュからの距離、及び回収メッシュの速度の組み合わせによって制御できる。積層構造について、層の細孔はほぼ同じサイズであり得る。一態様では、積層の細孔は異なり得る。
【0032】
避妊器具のバリア材料は、スパンボンドプロセス、不織布カーディングプロセス、不織布エアレイドプロセス、不織ウェットレイドプロセスを用いて製造できる。別の態様では、プロセスの組み合わせを、バリア材料の製造に使用できる。例えば、バリア材料は、メルトブロープロセス及びスパンボンドプロセスを用いて製造してもよい。メルトブローンプロセスとスパンボンドプロセスとを使用して、スパン-メルト-スパン積層構造を製造してもよい。上記のプロセスのうちの1つを用いて製造した材料の機械的特性は、接合(ボンディング)プロセスを用いることで改善され得る。サーマルボンディング、ソニックボンディング、ケミカルボンディング又はメカニカルボンディングが、好適な選択肢である。サーマルボンディングプロセスとしては、限定するものではないが、フラットボンディング、ポイントボンディング、又はスルーエアーボンディングが挙げられる。フラットボンディングの場合、フラットカレンダーの形態の材料に熱と圧力をかける。フラットボンディングは、特定のパターンがエンボス加工された加熱したロールを適用する。次いで、ローラーのパターンが繊維と接触した箇所で、繊維同士が接合される。スルーエアーボンディングプロセスは、加熱したドラムに布地を通すことで、布地全体に接合を生じる。
【0033】
1つの態様では、バリア材料は、電界紡糸(エレクトロスピニング)プロセスを使用して製造される。このプロセスでは、ポリマーの溶液を、ノズルを通してポンプ輸送し、コレクションプレート上に回収する。このプロセスは、ノズルとコレクションプレートとの間の大きな電位差で作動する。コレクションプレート上の材料は、0.2~50μmの範囲の繊維を有する不織メッシュの形式である。一態様では、コレクションプレートは、回転するドラムであり得る。一態様では、ドラムは、約10rpmから最大約500rpmの速度で回転できる。一態様では、回収ドラムの速度を上げることで繊維を整列させることができる。回転速度が大きいほど、得られる繊維の整列の度合いが高くなる。1つの態様では、ドラムは、約500rpmを超え約1000rpmまでで回転できる。
一態様では、電界紡糸材料は、2種以上のポリマー溶液のブレンドを使用して製造できる。別の態様では、上記材料は、別の異なるノズルを通してポンプ輸送した2種以上の別々のポリマー溶液を使用して製造できる。電界紡糸されたバリア材料は、1種以上の吸収性ポリマー、1種以上の非吸収性ポリマー、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0034】
1つの態様では、バリア材料は、フィルム形態で製造され、当該フィルムは、フィルムが水を通すことができるように、フィルム内に一連の穴又は開窓(fenestrations)を有する。フィルムは、例えば、溶媒キャスティング、押出又は機械的圧縮によって作製されてもよい。フィルム内の穴は、フィルムに機械的穿孔、孔のレーザードリル加工によって、又はフィルムから溶出して多孔性構造を残すポロゲンの使用によって、導入されてもよい。使用できるポロゲンとしては、限定するものではないが、塩化ナトリウム、スクロース、又はフィルムの製造に使用されるポリマーに対する非溶媒に可溶性のポリマーが挙げられる。開窓は、フィルムのスタンピング又はローラー切断開窓によって導入されてもよい。フィルムベースのバリア材料は、1種以上の吸収性ポリマー、1種以上の非吸収性ポリマー、又はこれらの組み合わせを含み得る。
1つの態様では、バリア材料は、2種以上のバリア材料を一つに積層することによって作製される。一態様では、積層に使用される複数のバリア材料は、同じプロセスを使用して製造される。別の態様では、積層に使用される複数のバリア材料は、異なるプロセスを使用して製造される。例えば、編物メッシュをメルトブローンメッシュと共に積層することができる。異なる製造プロセスを使用したバリア材料の任意の組み合わせを一つに積層して、避妊器具又はその前駆体構築物を含む最終的なバリア材料を形成できる。
【0035】
1つの態様では、避妊器具又はその前駆体構築物に使用されるバリア材料は、多孔性材料を含む。バリア材料は、水がバリア材料を通過できるような多孔性を有する。別の態様では、バリア材料は、Marquesら(Marques,M.R.C.,Loebenberg,R.,&Almukainzi,M.(2011)Dissolution Technologies,18(3),15-28)の定義による模擬膣液が通過できるものである。一態様では、水溶液は、少なくとも50mL/分の流量でバリア膜を通過できる。一態様では、バリア材料は、バリア膜を通る水が2ガロン/分/平方フィート~500ガロン/分/平方フィートの流量を有する。一態様では、バリア材料は、バリア膜を通る水が10ガロン/分/平方フィート~300ガロン/分/平方フィートの流量を有する。一態様では、バリア材料は、バリア膜を通る水が50ガロン/分/平方フィート~250ガロン/分/平方フィートの流量を有する。バリア材料は、ある範囲の孔径を有し得る。孔径は、孔の片側と孔の反対側との間の短い幅の距離で測定され、50μm~500μmであり得る。一態様では、平均孔径は、80μm~300μmである。一態様では、平均孔径は、90μm~250μmである。一態様では、孔径は、測定した孔径の相対標準偏差が10%未満の均質であり得る。一態様では、孔径は、測定した孔径の相対標準偏差が10%超の不均質であり得る。
【0036】
バリア材料に、製造後処理を施すことができる。この処理としては、限定するものではないが、洗浄、熱処理、表面処理、コーティング及び滅菌が挙げられる。
【0037】
バリア材料は、ポリマーに対する非溶媒で洗浄できる。メッシュの洗浄に使用される溶媒は、非水性溶媒、水性溶媒、又は水性溶媒と非水性溶媒との組み合わせであり得る。非水性溶媒としては、限定するものではないが、メタノール、エタノール、2-イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルtert-ブチルエーテル、トルエン、シクロヘキサン及びヘキサンが挙げられる。水性溶媒としては、限定するものではないが、水、脱イオン水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、塩基性水溶液、水酸化ナトリウム溶液、酸性水溶液及び塩酸溶液が挙げられる。
バリア材料は、バッチプロセスで、又は連続プロセスを用いて、洗浄できる。洗浄工程を使用して、粒子状物質、不純物、繊維潤滑剤、スピン仕上げ剤、押出助剤、又はこれらの組み合わせを除去できる。一態様では、バリア材料は、バッチプロセスにおいて、イソプロピルアルコールで洗浄できる。洗浄工程は、所望の仕様に適合するまで1回以上繰り返すことができる。一態様では、バリア材料は、残留する繊維潤滑剤又はスピン仕上げ剤を、インビトロ細胞アッセイにおいて非細胞毒性であるレベルまで減少させるため、イソプロピルアルコールで少なくとも2回洗浄される。一態様では、洗浄プロセスは、繊維潤滑剤又はスピン仕上げ剤含有量を、未洗浄のバリア材料と比較して、少なくとも50%(w/w)減少させることができる。別の態様では、洗浄プロセスは、繊維潤滑剤又はスピン仕上げ剤含有量を、未洗浄のバリア材料と比較して、少なくとも90%(w/w)減少させることができる。一態様では、最終的なバリア材料中の残留繊維潤滑剤又はスピン仕上げ剤は、約4%(w/w)未満、約3%(w/w)、約2%(w/w)、約1%(w/w)又は約0.5%(w/w)であり得る。好ましい態様では、最終的なバリア材料中の残留繊維潤滑剤又はスピン仕上げ剤は、約0.2%未満(w/w)であり得る。一態様では、最終的なバリア材料中の残留繊維潤滑剤又はスピン仕上げ剤は、約0.01%(w/w)を超え約0.2%(w/w)未満であり得る。一態様では、最終的なバリア材料は、繊維潤滑剤又はスピン仕上げ剤を含まない。
洗浄後、バリア材料に、空気乾燥、ガスの気流下で乾燥、加熱ガスの気流下で乾燥、真空下で乾燥、真空下で加熱乾燥、又は上記の組み合わせを行うことができる。
【0038】
バリア材料に、熱処理を施すことができる。バリア材料は、熱硬化又はアニールで処理することができる。熱硬化プロセスの場合、バリア材料を、当該材料のガラス転移温度(Tg)よりも高温である時間加熱する。次いで、材料を室温まで冷却する。熱硬化プロセスは、バリア材料の安定性を高め、例えば、バリア材料の熱安定性を高める場合があり、及び/又はバリア材料の物理的安定性を高める場合がある。一実施形態では、熱硬化プロセスは、バリア材料の機械的安定性を高める。バリア材料の熱硬化は、熱硬化していないバリア材料と比べて、バリアの寸法形状の変化の割合を低下させる。バリア材料の熱硬化を変更するために使用できるパラメータとしては、温度、特定の温度への曝露時間、熱硬化中及び冷却中にバリア材料に加えられる張力、熱硬化に使用される環境の湿度、熱硬化し使用される媒体が挙げられる。一態様では、熱硬化媒体は、加熱空気であり得る。一態様では、熱硬化媒体は、非溶媒液体であり得る。一態様では、熱硬化媒体は、加熱された面であり得る。熱硬化プロセスは、連続プロセス又はバッチプロセスで実施できる。連続的に熱硬化を実施するために、テンターフレームを使用できる。バッチプロセスでバリア材料を熱硬化するために、ピンフレームを使用できる。一態様では、バリア材料は、加熱した一組のカレンダーローラーに当該材料を通すことで熱硬化できる。カレンダーローラーを通過する間にバリア材料に加えられる圧力は、調節可能である。バリア材料の気孔率も、バリア材料を、加熱したカレンダーローラーに通すことで変更できる。
【0039】
射出成形ガイド
一態様では、射出成形ガイドは、リングコンポーネントの射出成形の前に、バリア材料に取り付けされない。しかし、一態様では、射出成形ガイドはバリア材料に固定されて構築物を形成し、当該構築物は、リングコンポーネントの射出成形の前に、射出成形装置のダイの中に置かれる。射出成形ガイドがバリア材料に固定されている場合、リングコンポーネントの射出成形の間に射出成形ガイドがバリア材料と接触した状態を維持するため、射出成形ガイドの表面全体がバリア材料に固定されていてもよく、又は一態様では、表面全体よりも少ない、例えば、表面の1つ以上の部分のみがバリア材料に固定されていてもよい。
射出成形ガイドは、固体、非繊維性、又は繊維性の層であってもよい。1つの態様では、射出成形ガイドは非繊維性である、射出成形ガイドは、ポリマーを含んでもよく、任意選択で、全体がポリマーから形成されてもよい。1つの態様では、射出成形ガイドは、熱可塑性ポリマーを含む。一態様では、射出成形ガイドは、熱硬化性ポリマー、例えば、ヒートセット(heat set)ポリマーとしても知られる熱硬化(heat cured)ポリマーを含み、これは2種類の相互反応性ポリマーを混合して(熱硬化性混合物)、いわゆるヒートセット(heat set)ポリマーを形成することで形成されたものである。1つの態様では、射出成形ガイドは非繊維性であり、熱硬化ポリマーを含む。
射出成形ガイドがバリア材料に取り付けられて構築物を形成する場合、射出成形ガイドは、バリア材料の外縁部に向かってバリア材料に取り付けられてもよく、又は取り付けられる。射出成形ガイドは、バリア材料が容易に射出成形金型の中心に置かれ、避妊器具のリング部分の成形中に所望かつ所定の位置に保持されるように、バリア材料に取り付けられる。
射出成形ガイドは、種々の断面形状を有することができる。射出成形ガイドの断面形状としては、限定するものではないが、正方形、長方形、L字形、T字形 オフセットT字形、U字形、V字形、部分V字形、半球、又は不定形が挙げられる。断面において、正方形又は長方形の形状を有する射出成形ガイドは4つの隅角部を有し、L字形の形状を有する射出成形ガイドは6つの隅角部を有し、T字形の形状を有する射出成形ガイドは8つの隅角部を有することとなる。一態様では、射出成形ガイドは、バリア材料の片側のみでバリアに取り付けられ得る。別の態様では、射出成形ガイドは、バリア材料の両側でバリアに取り付けられ得る。射出成形ガイドは、バリア材料の表面の一部を覆っていてもよく、この場合、射出成形ガイドで覆われていないバリア材料の部分は、本明細書の記載による多孔性である。
【0040】
本開示の構築物及び避妊器具の射出成形ガイドは、任意の簡便な手段によって作製されてもよい。例えば、射出成形ガイドは、射出成形によって作製されたプラスチック部品であってもよい。射出成形ガイドが、独立して、バリア材料から作製される場合、射出成形ガイドは、例えば接着剤を使用して、バリア材料に固定される。別の例として、射出成形ガイドは、3D印刷によって作製され、その後バリア材料に固定されてもよい。3D印刷、押出、溶媒キャスティング又は射出成形のいずれも、射出成形ガイドの製造の好適な手段である。1つの態様では、射出成形ガイドは、熱可塑性ポリマーを含む。1つの態様では、射出成形ガイドは、熱硬化性ポリマーを含む。1つの態様では、射出成形ガイドは、非繊維性であり、熱可塑性ポリマーを含む。1つの態様では、射出成形ガイドは非繊維性であり、熱硬化性ポリマー、例えば、熱硬化した(heat cured)ポリマーを含む。
上記のように、射出成形ガイドを別途製造し、その後、射出成形ガイドをバリア材料に固定するように、バリアに取り付けることができる。形成された射出成形ガイドは、接着剤を使用してバリアに取り付けることができる。使用できる接着剤としては、限定するものではないが、溶剤系接着剤、コンタクト接着剤、ホットメルト接着剤、2剤型接着剤、又はシアノアクリレート接着剤などの反応性接着剤が挙げられる。一態様では、溶剤系接着剤は、アセトン又はジクロロメタンに溶解したポリエステルであり得る。一態様では、ポリエステルは、ラクチド残基を含むポリマーであり得る。一態様では、ポリエステルは、ε-カプロラクトン残基残基を含むポリマーであり得る。形成された射出成形ガイドは、超音波溶着プロセス、レーザー溶着プロセス、エンブロイダリプロセス又はホットスタンププロセス(射出成形ガイドの1つの表面が加熱され、バリアにプレスされる)を使用してバリアに取り付けることができる。
【0041】
一実施形態では、射出成形ガイドは、バリア材料上に直接3D印刷される。3D印刷プロセスは、任意選択で溶融繊維フィラメント(FFF)式3D印刷を利用してもよい。この実施形態では、バリア材料は多孔性であってもよく、その結果、3D印刷プロセスで使用される溶融ポリマーは、ある程度、バリア材料の開口部に流れ込むこととなる。冷却すると、3D印刷ポリマーは硬化し、バリア材料の一部を包埋する。この方法で、射出成形ガイドは、物理的にバリア材料に固定されるようになる。この実施形態では、射出成形ガイドの形成に使用されるポリマーの融点は、バリア材料の形成に使用される材料の融点よりも実質的に高くてはならず、さもなければ、バリア材料は、3D印刷プロセスの間に望ましくない溶融を起こし得る。
しかし、射出成形ガイドの形成に使用されるポリマーの融点は、低すぎてはならず、さもなければ、避妊器具のリング構造の形成に使用される溶融ポリマーが構築物に添加されたときに、射出成形ガイドが、射出成形プロセスの間に変形するほど十分に温められる場合がある。一実施形態では、射出成形ガイドは、熱可塑性で、射出成形に使用される温度を超える融点を有する。実施形態では、射出成形ガイドの形成に使用されるポリマーの融点は110℃超であり、又は120℃超であり、又は130℃超であり、又は140℃超であり、又は150℃超であり、又は160℃超であり、又は170℃超であり、又は180℃超であり、又は190℃超であり、又は200℃超である。一実施形態では、射出成形ガイドは架橋ポリマーから作製され、従って融点又は軟化点を有さない。架橋ポリマーは、熱硬化プロセスによって形成されてもよく、当該プロセスでは、2種の多官能かつ相互反応性の反応物質、例えば反応性ポリマーを組み合わせ、次いで熱又は触媒の追加などによって互いに反応させる。1つの態様では、射出成形ガイドは、融点又は軟化点を有さない。
【0042】
一実施形態では、射出成形ガイドは、ガイドの構造の全体にわたって均質な組成を有する。換言すると、ガイドは、ガイドの全ての場所で同じ組成を有する。一実施形態では、ガイドはコーティングを含有又は具備せず、例えば、ガイドはサイジングポリマーを有さない。一実施形態では、射出成形ガイドは、糸又はマルチフィラメントスレッドを含有又は具備しない。一実施形態では、射出成形ガイドは、非繊維性であると言える。一実施形態では、射出成形ガイドは、非降伏又は非圧縮表面を有してもよく、その結果、圧力が表面に加えられたときに、任意の感知可能な程度まで移動又は降伏又は圧縮しない。一実施形態では、射出成形ガイドは弾性ポリマーから形成されていない、すなわち、非弾性である。一実施形態では、射出成形ガイドは、無孔性として記載できる。
【0043】
一実施形態では、射出成形ガイドは、均一な断面を有する。換言すると、射出成形ガイドの直径に沿った任意の場所から見た射出成形ガイドの断面は、同じ外観を有する。この特徴は、サポートリングの形成前に、構築物が金型内に置かれたときに、射出成形ガイドの表面と接触するピンは、射出成形ガイドの表面と接触するために、全て同じ距離を移動し得るという点で有利である。射出成形ガイドが不均一な断面を有する場合、全てのピンが射出成形ガイドの表面と接触するためには、いくつかのピンは他のピンよりも遠くへ移動しなければならない場合がある。
【0044】
本開示の射出成形ガイドの例示的な部分断面図を図2図3A図3I図4図5A及び図5Bに示しており、図中、特徴部1は射出成形ガイドであり、特徴部2は多孔性バリア材料である。図6Aは、射出成形ガイド1と多孔性バリア材料2とを備える本開示の構築物の平面図を示す。一実施形態では、本開示の構築物は、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料からなる、又は本質的になる。図6Aは、図6Aに示す構築物を横断する線Bを示す。図6Aの構築物を、線Bに沿った断面で見たとき、構築物の全断面を図6Bに示しており、該図は、多孔性バリア材料2と、図6Bで1R及び1Lとして標識されている2つの射出成形ガイド1を示す。図6Aの構築物を部分断面図で見たとき、図6Cの概略図に示すように、2つの射出成形ガイド1のうちの1つだけが見え、これは、図6Aの構築物の一部、より具体的には、射出成形ガイド1Rの輪郭を示す図6Cの領域Cで囲まれた部分である。
射出成形ガイドを、射出成形ガイドの直径に沿う場所での完全断面で見たとき、射出成形ガイドは環状の形状を有し、従ってリングの形態であり得ることから、完全断面は、射出成形ガイドの内径で分離された(図6Bの特徴部2参照)2つの形状(例えば、図6Bの特徴部1R及び1L参照)を示す。便宜上、これらの2つの形状のうち1つだけが、図2図3A図3I図4図5A図5B及び図6Cの各々に示されており、これらの図は、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の部分的断面を示す。環状の射出成形ガイドの直径に沿う場所での完全断面で見たときに均一な断面を有するという点で、射出成形ガイドが対称であるとき、完全断面は、環状射出成形ガイドの内径を表す距離で分離された2つの相補的形状を示し、射出成形ガイドのどの直径が断面用に選択されたかに関わらず、これらの相補的形状は外観及び大きさが同一である。相補的形状は、互いに環状射出成形ガイドの中心点を反射点とする鏡像であってもよく、換言すると、1つの形状(例えば、図6Bの半球1L)は、もう1つの形状(例えば、図6Bの半球1R)の鏡像である。図6B図6Aの構築物の完全断面を示し、図6C図6Aの構築物の部分的断面を示す。対称な射出成形ガイドは、対称面を有し得る。すなわち、射出成形ガイドの図に、射出成形ガイドを2つの鏡像関係にある半分部分に切断する面を描くことができる。対称な射出成形ガイドは、対称線、すなわち、射出成形ガイドの中心を通り、射出成形ガイドを同じ半分部分に分ける軸又は仮想的な線を、特に図1又は図6Aのように射出成形ガイドを上から見たときに、有し得る。
【0045】
図2に示すように、一実施形態では、射出成形ガイドはL字形の断面を有し得る。L字形の断面は、直角に接して隅角部を形成する2つの平面状表面を提供するという点で有利である。構築物が金型内に置かれ、ピンが移動して射出成形ガイドと接触したとき、各ピンの表面は、射出成形ガイドが2つの平面状表面から形成された隅角部を有するときに射出成形ガイドと接触し得る。この方法は、ピンと射出成形ガイドとの間に特に強固な接続をもたらし、それによりリング構造を形成するポリマーが金型内に射出されている間に構築物が移動する可能性を小さくする。本開示の態様では、射出成形ガイドは複数の平面状表面、例えば、2つ、又は少なくとも2つ、3つ、又は少なくとも3つ、4つ、又は少なくとも4つ、5つ、又は少なくとも5つ、6つ、又は少なくとも6つの平面状表面を備える。一実施形態では、本開示の射出成形ガイドは、任意選択で直角に交差して隅角部を形成する、少なくとも2つの平面状表面を備える。
図3は、本開示の射出成形ガイドの8つの例示的断面形状を示す。図3A図3B図3G及び図3Hでは、射出成形ガイドはL字形の断面形状を有する。図3D図3E及び図3Fでは、射出成形ガイドはT字形の断面形状を有する。図3Cでは、射出成形ガイドは、U字形の断面形状を有する。図3A図3Iとを比較すると、射出成形ガイドは同じ断面形状を有する。しかし、図3Aでは、射出成形ガイドの外縁部がバリア材料の他の縁部と一致するのに対し、図3Iでは、バリア材料の外縁部は射出成形ガイドの外縁部を越えて延びている。一態様では、射出成形ガイドは、バリアの外周と面一となるように配置できる。一態様では、射出成形ガイドは、射出成形ガイドの縁部とバリアの外周との間に空間があるように配置できる。
図3A~3Iに示す構築物の各々において、射出成形ガイドは複数の平面状表面を有する。図3Aにおいて、射出成形ガイドは6つの平面状表面を有し、そのうち2つは直角に接して1つの隅角部を形成している。図3Bにおいて、射出成形ガイドは6つの平面状表面を有し、そのうち2つは直角に接して1つの隅角部を形成している。図3Cにおいて、射出成形ガイドは8つの平面状表面を有し、そのうち3つは直角に接して2つの隅角部を形成している。図3Dにおいて、射出成形ガイドは8つの平面状表面を有し、そのうち4つは直角に接して2つの隅角部を形成している。図3Eにおいて、射出成形ガイドは8つの平面状表面を有し、そのうち4つは直角に接して2つの隅角部を形成している。図3Fにおいて、射出成形ガイドは8つの平面状表面を有し、そのうち4つは直角に接して2つの隅角部を形成している。図3Gにおいて、射出成形ガイドは6つの平面状表面を有し、そのうち2つは直角に接して1つの隅角部を形成している。図3Hにおいて、射出成形ガイドは6つの平面状表面を有し、そのうち2つは直角に接して1つの隅角部を形成している。図3Iにおいて、射出成形ガイドは6つの平面状表面を有し、そのうち2つは直角に接して1つの隅角部を形成している。射出成形ガイドの特徴としての隅角部の存在は、ピンが射出成形装置の隅角部をプレスして金型内の構築物の安定性の増進をもたらすことから、有用である。一実施形態では、射出成形装置は、多孔性バリア材料に隣接して位置するベース面を有し、当該ベース面は平面状表面であり、図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H及び図3Iに示すように、ベース面は任意選択で多孔性バリア材料の開口部の中へ延びない場合があるが、図3A図3B図3C図3D図3E図3F図3G図3H及び図3Iに示す形状のいずれかのベース面は、任意選択で多孔性バリア材料の中へ延び得る。
【0046】
一態様では、L字形の射出成形ガイドは、L字形の長辺部分をベース面としてのバリアに取り付けることができる。一態様では、L字形の射出成形ガイドは、L字形の短辺部分をベース面としてのバリアに取り付けることができる。一態様では、L字形の長辺部分がバリアに取り付けられ、L字形の短辺部分がバリアの外縁の近くであることができる。一態様では、L字形の長辺部分がバリアに取り付けられ、L字形の短辺部分がバリアの内側部分の近くであることができる。一態様では、L字形の短辺部分がバリアに取り付けられ、L字形の長辺部分がバリアの外縁の近くであることができる。一態様では、L字形の短辺部分がバリアに取り付けられ、L字形の長辺部分がバリアの内側部分の近くであることができる。一態様では、L字形の射出成形ガイドのL字形状は、隅角部で接続する2本の等サイズの腕を有し、これら2本の腕のうちの1つはベース面を提供する。
一態様では、バリアに取り付けられたL字形の長辺部分、すなわちベース面は、約2mm~約10mmの長さを有する。一態様では、バリアに取り付けられたL字形の長辺部分は、約3mm~約7mmの長さを有する。一態様では、バリアに取り付けられたL字形の長辺部分は、約0.2~約2mmの高さを有する。一態様では、バリアに取り付けられたL字形の長辺部分は、約0.3~約1mmの高さを有する。一態様では、L字形の短辺部分は、約0.2~約1.5mmの高さを有する。一態様では、L字形の短辺部分は、約0.3~約1mmの高さを有する。一態様では、L字形の短辺部分は、約0.5~約4mmの高さを有する。一態様では、L字形の短辺部分は、約0.7~約2.5mmの高さを有する。一態様では、L字形の射出成形ガイドのL字形状は、隅角部で接続する2つの等部分を有し、各部分は約2mm~約10mmの長さを有する。
【0047】
本開示の構築物及び避妊器具は、各々バリア材料及び射出成形ガイドを含む。上述のように、一態様では、射出成形ガイドは、バリアの片側のみに取り付けることができる。しかし、別の態様では、射出成形ガイドは、バリア材料の両側に取り付けることができる。この後者の態様を図4に例証する。図4は、本明細書に開示される例示的避妊用医療器具のバリア材料(2)の上に設けられた例示的射出成形ガイド(1)の概略を示し、射出成形ガイド(1)は、バリア材料の上部及び底部の各々に固定されている。
【0048】
一態様では、射出成形ガイドは、2つの平面状表面の交差によって形成される隅角部を有する。任意選択で、射出成形ガイドは、例えば、85~90度、又は約90度の角度で互いに交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有し、例えば、約45度~約135度、又は約80度~約100度の角度を形成する。従って、上で論じたように、本開示の射出成形ガイドは隅角部を含んでもよく、隅角部で2つの平面状表面は直角に接する。しかし、一態様では、本開示の射出成形ガイドは、接して約90度の角度以外の角度を形成する2つの平面状表面を有し得る。例えば、図5A及び図5Bに示すように、本開示の射出成形ガイドは、交差して、90度超、例えば100度、又は100度超の角度を形成する2つの平面状表面を含み得る。1つの態様では、2つの平面状表面は、交差して、90度未満、例えば約45度の角度を形成する。
一連の図6A図6B及び図6Cに例証するように、射出成形ガイドは、平面状表面のみを有する必要はない。一連の図6A図6B及び図6Cに例証するように、射出成形ガイドは、図6B及び図6Cにおいて特徴部1R及び1Lの輪郭が示すように、曲面を有し得る。射出成形ガイドの曲面は、図6BAに示すように射出成形ガイドが対称である場合に、射出成形機のピンと均一に係合し得る。従って、1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドは断面が対称であり、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の両方がポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、避妊器具を提供する。
【0049】
一態様では、射出成形ガイドは、内径及び外径を有する環状リングとして記載できる。一態様では、射出成形ガイドの内径は約42mm~約46mmである。一態様では、射出成形ガイドの外径は約45mm~約53mmである。一態様では、射出成形ガイドは非円形であってもよい。バリアメッシュは、長方形、正方形、五角形、六角形、七角形、又は八角形であってもよい。
【0050】
射出成形ガイドは、本明細書に記載の1種以上のポリマーを含み得る。一態様では、射出成形ガイドは、吸収性ポリマーを含み得る。別の態様では、射出成形ガイドは、非分解性ポリマーを含み得る。一態様では、射出成形ガイドは、70%(w/w)超のラクチド残基を含む吸収性ポリマーを含む。一態様では、射出成形ガイドは、80%(w/w)超のラクチド残基を含む吸収性ポリマーを含む。
一態様では、射出成形ガイドは、約70%(w/w)~約90%(w/w)のラクチド残基と、10%(w/w)~30%(w/w)のトリメチレンカーボネート残基とを含む、吸収性ポリマーを含む。一態様では、射出成形ガイドは、80%(w/w)超のラクチド残基を含み、かつトリメチレンカーボネート残基も含有する、吸収性ポリマーを含む。一態様では、本開示は、75%(w/w)超のラクチド残基を含む吸収性ポリマーを含むメッシュ上に3D印刷された射出成形ガイドを提供する。一態様では、本開示は、L字形の断面を有し、射出成形ガイドの外縁部とメッシュの外周とが面一であるように取り付けられた、射出成形ガイドを提供する。
一態様では、バリア材料及び射出成形ガイドは、両方とも吸収性ポリマーを含み得る。一態様では、バリア材料及び射出成形ガイドは、両方とも非吸収性ポリマーを含み得る。一態様では、バリアは吸収性ポリマーを含むことができ、射出成形ガイドは非吸収性ポリマーを含むことができる。一態様では、バリアは非吸収性ポリマーを含むことができ、射出成形ガイドは吸収性ポリマーを含むことができる。
一態様では、射出成形ガイドは、ポリプロピレンを含むバリア材料上に3D印刷されたポリプロピレンを含む。射出成形ガイドは、L字形の断面を有し、射出成形ガイドの外縁部とバリア材料の外周とが面一であるようにバリア材料取り付けられる。一態様では、バリア材料は、編物ポリプロピレンメッシュを含む。
【0051】
一態様では、射出成形ガイドは80%(w/w)超のラクチド残基を含む吸収性ポリマーを含み、当該射出成形ガイドは、80%(w/w)超のラクチド残基を含む吸収性ポリマーも含むメッシュの形態のバリア材料の上に3D印刷される。任意選択で、射出成形ガイドは、L字形の断面を有し、射出成形ガイドの外縁部とメッシュの外周とが面一であるようにバリア材料に取り付けられる。
一態様では、射出成形ガイドは、約70%(w/w)~約90%(w/w)のラクチド残基と、10%(w/w)~30%(w/w)のトリメチレンカーボネート残基とを含む、吸収性ポリマーを含む。かかる射出成形ガイドは、任意選択で、75%(w/w)超のラクチド残基を含む吸収性ポリマーを含むメッシュの形態のバリア材料の上に3D印刷される。任意選択で、射出成形ガイドは、L字形の断面を有し、射出成形ガイドの外縁部とメッシュの外周とが面一であるようにバリア材料に取り付けられる。
【0052】
ポリマーリング
本開示の避妊器具は、バリア材料の外縁部を取り囲むポリマーリングを備える。ポリマーリングは、本明細書でマトリックスと呼ばれることもあるポリマー材料から形成される。マトリックスに好適なポリマーとしては、限定するものではないが、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリウレタン及びシリコーンが挙げられる。
マトリックスとして使用されるポリウレタンポリマーとしては、限定するものではないが、ポリエーテルウレタン、シリコーン-ポリカーボネート-ウレタン(TSPCU)、シリコーン-ポリエーテル-ウレタン(TSPU)、ポリカーボネート-ウレタン及びセグメント化ポリウレタンが挙げられる。
マトリックスとして使用されるポリエチレン酢酸ビニルポリマーは、任意選択で、約15%(w/w)~約50%(w/w)の酢酸ビニル含有量を有する。使用できるポリエチレン酢酸ビニルポリマーとしては、限定するものではないが、約16%~約20%の酢酸ビニル、約25%~約35%の酢酸ビニル及び約35%~約50%の酢酸ビニルを含有するポリマーが挙げられる。使用できる市販のポリエチレン酢酸ビニルポリマーとしては、限定するものではないが、Evatane 18-150(Arkema,France)、Evatane 28-40(Arkema,France)及びEvatane 38-41(Arkema,France)が挙げられる。
【0053】
リングコンポーネントの形成に使用できるシリコーンは、2剤型シリコーン組成物から形成できる。1つの態様では、リングコンポーネントの製造に使用されるシリコーンは、ポリシロキサンである。ポリシロキサンは、一般構造-[Si(R2)-O]-を有し、式中、Rとしては、限定するものではないが、水素、メチル、エチル、フェニル、ビニル、トリフルオロプロピル又はこれらの組み合わせが挙げられる。ポリシロキサンは、線状ポリマー、分岐状ポリマー、又はこれらの組み合わせであり得る。一態様では、2剤型液体シリコーンゴムを、リングコンポーネントの製造に使用できる。2剤型シリコーン組成物を合せて混合し、付加硬化、縮合硬化、又はこれらの組み合わせを用いて硬化又は架橋することができる。適切な組成物を選択することで、特定のポリシロキサンを約20℃~約50℃で硬化できる。これは一般に室温加硫と呼ばれる。特定のポリシロキサン組成物は約51℃~約130℃で硬化できる。これは一般に低温加硫と呼ばれる。特定のポリシロキサン組成物は130℃超で硬化できる。これは一般に高温加硫と呼ばれる。2剤型組成物又は混合物の成分は、高温の適用によって硬化又は架橋される場合、熱硬化性と呼ばれ得る。付加硬化組成物は、特定のポリシロキサン配合物の硬化を促進するための白金触媒又は過酸化物化合物を含み得る。
使用できる過酸化物化合物としては、限定するものではないが、ジクミルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,4-ジクロロ過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサン又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
一態様では、リング構造の形成に使用できる2剤型シリコーン組成物の第1剤は、ビニル基を含むことができる。一態様では、2剤型組成物の第2剤は、ヒドリド基を含むことができる。
【0055】
リングコンポーネントの製造に使用できるシリコーンとしては、限定するものではないが、Silastic(登録商標)Q7-4535、Silastic(登録商標)Q7-4550、Silastic(登録商標)Q7-4565、Silastic(登録商標)Q7-4720、Silastic(登録商標)Q7-4735、Silastic(登録商標)Q7-4750、Silastic(登録商標)Q7-4765、Silastic(登録商標)Q7-4780、Silastic(登録商標)C6-135、Silastic(登録商標)C6-150、Silastic(登録商標)C6-165、Silastic(登録商標)C6-180、Silastic(登録商標)C6-350、Silastic(登録商標)7-6830、Silastic(登録商標)Q7-4840、Silastic(登録商標)Q7-4850、Silastic(登録商標)Q7-4750、Silastic(登録商標)7-6840、Silastic(登録商標)7-4860、Silastic(登録商標)7-6860、Silastic(登録商標)7-4870、Dow Corning(登録商標)C6-530、Dow Corning(登録商標)C6-540、Dow Corning(登録商標)C6-550、Dow Corning(登録商標)C6-560、Dow Corning(登録商標)C6-570及びSilbione(登録商標)Biomedicalシリコーン(Elkem)が挙げられる。一態様では、使用されるシリコーンは、Silastic(登録商標)Q7-4840である。一態様では、使用されるシリコーンは、Silastic(登録商標)Q7-4850である。一態様では、使用されるシリコーンは、LSR M140である。
【0056】
シリコーンのコポリマーも使用できる。このようなポリマーの例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)含有ブロックコポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ジメチルブロックシロキサン)-ブロック-ポリ(アクリル酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート-g-ジメチルシロキサン)、ポリ(2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート-g-ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)-ブロック-ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(ジメチルアクリルアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)が挙げられる。
リング構造の形成に使用されるシリコーンは、弾性リングコンポーネントを形成するために硬化させてもよい。硬化温度及び硬化時間は、使用する特定のシリコーン配合物に応じて変動する。例えば、硬化温度は、室温(15~25℃)~150℃で変動し得る。一態様では、硬化温度は85~140℃の範囲内である。好ましい態様では、硬化温度は110~135℃の範囲である。硬化時間は、数秒から数時間の間で変動し、使用される特定のシリコーン配合物及び使用される硬化温度に依存する。一態様では、硬化時間は、1分~5時間の範囲である。一態様では、硬化時間は、1~5分の範囲である。一態様では、硬化時間は1~5分の範囲であり、硬化温度は115~140℃の範囲である。
【0057】
リング構造の硬度は、デュロメーターを使用して、標準的なショアスケールで測定できる。リングは、約ショアA20~約ショアA80のデュロメーターを有する。一態様では、リングデュロメーターは、ショアA30~ショアA60である。別の態様では、リングデュロメーターは、ショアA40~ショアA50である。別の態様では、リングデュロメーターは、ショアA40~ショアA46である。
【0058】
リングコンポーネントは、内径と外径とを有する。内径は、約35mm~約50mmであり得る。一態様では、内径は、約38mm~約45mmであり得る。一態様では、内径は、約38mm~約42mmであり得る。1つの態様では、リングコンポーネントは、約40mmの内径を有する。別の態様では、リングコンポーネントは、約35mm、約36mm、約37mm、約38mm、約39mm、約41mm、約42mm、約43mm、約44mm、約45mm又は約46mmの内径を有する。
外径は、約45mm~約70mmであり得る。一態様では、外径は、約45mm~約65mmであり得る。一態様では、外径は、約52mm~約58mmであり得る。
一態様では、リングコンポーネントは、約55mmの外径を有する。別の態様では、リングコンポーネントは、約50mm、約51mm、約52mm、約53mm、約54mm、約56mm、約57mm、約58mm、約59mm又は約60mmの外径を有する。
1つの態様では、リングコンポーネントは、R加工された外縁部及びR加工された内縁部を有する。リングコンポーネントのR加工された外縁部は、約1.5mm~約3.0mmの半径を有し得る。一態様では、リングコンポーネントのR加工された外縁部は約1.8mm~約2.2mmの半径を有し得る。リングコンポーネントのR加工された内縁部は、約1.8mm~約3.5mmの半径を有し得る。一態様では、リングコンポーネントのR加工された内縁部は、約2.2mm~約2.8mmの半径を有し得る。
【0059】
吸収性及び非吸収性ポリマー
1つの態様では、バリア材料、射出成形ガイド及び/又はリング構造のうちの1つ以上は、非吸収性ポリマーから形成される。非吸収性ポリマーという用語は、本明細書で使用するとき、生体への導入後、組織によって、完全に又は部分的に、分解され吸収されることが完全に又は実質的に不可能なポリマーを指す。非吸収性ポリマーは、本明細書において、非吸収性、非生体吸収性、非生体安定性、非生体再吸収性、非生分解性、非再吸収性、非分解性、不溶性、不生体内受食性、又は非自然溶解性と呼ばれる。これらの用語の各々は、互換可能に使用できる。
【0060】
例えば、1つ以上の非吸収性ポリマーを使用して、バリア材料の形成に使用され得る繊維を形成してもよい。バリア材料はメッシュ構造を有してもよく、メッシュは非吸収性ポリマーから形成されてもよい。バリア材料は、非吸収性ポリマーから形成されるフィルムであってもよい。メッシュに製造できる可撓性繊維を形成することが可能な任意の非吸収性ポリマーを使用できる。
【0061】
非吸収性ポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、及びフルオロポリマーが挙げられる。ポリオレフィンとしては、限定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらのコポリマーが挙げられる。非吸収性ポリエステルとしてはとしては、限定するものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリ-1,4-シクロへキシレン-ジメチレンテレフタレート(PCDT)が挙げられる。非吸収性ポリアミドとしては、限定するものではないが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン4、ナイロン11、ナイロン6,10及びアラミド(例えば、Nomex及びKevlar)が挙げられる。非吸収性ポリウレタンとしては、限定するものではないが、Spandex、Lycra、ポリカーボネート-ウレタン、シリコーン-ポリカーボネート-ウレタン、ポリエーテル-ウレタン、シリコーン-ポリエーテル-ウレタンが挙げられる。非吸収性フルオロポリマーとしては、限定するものではないが、登録商標TEFLON(商標)(E.I.DuPont de Nemours&Co.)で販売されているものなどのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)及びポリフッ化ビニリデンが挙げられる。本開示での使用に好適なその他の非吸収性ポリマーとしては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル-メチルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル-塩化ビニルコポリマー、アクリロニトリル-塩化ビニリデンコポリマー、再生セルロース(例えば、レーヨン(登録商標))、ポリスルホン、繊維ガラス、アクリルポリマーが挙げられる。一実施形態では、非吸収性ポリマーは、当該ポリマーが対象者の体内に配置されたときに有害反応を引き起こさないという点で、医学的に許容可能である。一実施形態では、非吸収性ポリマーはポリエチレンである。別の実施形態では、非吸収性ポリマーはポリプロピレンである。
【0062】
繊維、メッシュ、及びフィルムの構築に使用できる任意の吸収性ポリマーを、避妊器具のバリア材料の製造に使用できる。本明細書で使用するとき、宿主の中に置かれた後に、完全に又は部分的に、のいずれかで分解するポリマーを、吸収性、生体吸収性、生体再吸収性、生分解性、再吸収性、自然溶解性非、受食性又は生体内受食性、可溶性又は生体可溶性と呼び得る。これらの用語の各々は、互換可能に使用できる。使用できる吸収性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステル-カーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル-エステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、シルク、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
1つの態様では、バリア材料、射出成形ガイド及び/又はリング構造のうちの1つ以上は、吸収性ポリマーから形成される。好適な吸収性ポリマーとしては、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン及びモルホリンジオンの群から選択される少なくとも1つのモノマーの重合から得られるポリマーが挙げられる。これらのモノマーの重合は、1つの開始剤基、2つの開始剤基、3つの開始剤基、4つの開始剤基、又は4を超える開始剤基を有する開始剤化合物によって開始できる。使用できる開始剤基としては、限定するものではないが、ヒドロキシ基、アミン基及びチオール基が挙げられる。単一の開始剤基を有する開始剤としては、単一のヒドロキシルを有する任意の化合物が挙げられる。単一ヒドロキシルアルコールの例としては、脂肪族アルコール及び芳香族アルコールが挙げられる。アルコールの例としては、限定するものではないが、メタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノールグリコール酸、乳酸及びメトキシポリエチレングリコールが挙げられる。単一の開始剤基を有する開始剤としては、単一のアミンを有する任意の化合物が挙げられる。単一アミン化合物の例としては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。アミンの例としては、限定するものではないが、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、及び4-(N,N-ジメチル)アミノピリジンが挙げられる。2つの開始剤基を有する開始剤としては、ジオール及びジアミンが挙げられる。ジオールには、脂肪族ジオール及び芳香族ジオールが含まれる。ジオールの例としては、限定するものではないが、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ドデカンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、及びポリエチレングリコールが挙げられる。3つの官能基を有する開始剤としては、限定するものではないが、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、N-2-アミノエチル-1,3-プロパンジアミン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、及びペンタエリスリトールモノステアレートが挙げられる。4つ以上の腕を有するポリマーを製造するために使用される開始剤としては、限定するものではないが、ペンタエリスリトール、グルコース及びジペンタエリスリトールが挙げられる。
【0064】
避妊器具のバリア材料の製造に使用できる多軸ポリマーは、米国特許第6462169号明細書、同第6794485号明細書、同第7129319号明細書及び同第7070858号明細書に記載されており、これらの各々の全体を本願に援用する。
【0065】
ポリエステルポリマーの製造に使用できる触媒としては、限定するものではないが、スズ系触媒、アルミニウム系触媒、亜鉛系触媒及びビスマス系触媒が挙げられる。使用できるスズ系触媒としては、限定するものではないが、2-エチルヘキサン酸スズ(II)が挙げられる。使用できるアルミニウム系触媒としては、限定するものではないが、アルミニウムイソプロポキシド、及びトリエチルアルミニウムが挙げられ、使用できる亜鉛系触媒としては、限定するものではないが、乳酸亜鉛が挙げられ、使用できるビスマス系触媒としては、限定するものではないが、サブサリチル酸ビスマスが挙げられる。
【0066】
別の態様では、吸収性ポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであり得る。ランダムコポリマーは、2種以上の異なるモノマーを反応混合物に添加し、混合物を重合させることによって製造できる。ブロックコポリマーは、最初に1種以上のモノマーを添加して当該モノマーを重合させ、次いで、第1のモノマーのうち少なくとも1つと異なる第2のモノマーを初期ポリマーに添加して、更に重合させることによって製造できる。この結果、得られるポリマーでは、類似の単位のブロックが、第1の単位とは異なる類似の単位のブロックに連結している。
1つの態様では、吸収性ポリマーは、50%(w/w)以上のラクチド残基を含み得る。別の態様では、吸収性ポリマーは、60%(w/w)以上のラクチド残基を含み得る。別の態様では、吸収性ポリマーは、70%(w/w)以上のラクチド残基を含み得る。別の態様では、吸収性ポリマーは、80%(w/w)以上のラクチド残基を含み得る。50%(w/w)以上のラクチド残基を有する。かかる吸収性ポリマーは、本明細書においてラクチドポリマー又はラクチドコポリマーと呼ばれる場合がある。
ラクチドポリマーは、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、1,5-ジオキセパン-2-オン及び/又はモルホリンジオンの重合からの残基も含有し得る。1つの態様では、吸収性ラクチドポリマーは、トリメチレンカーボネート残基を含有する。別の態様では、ラククチドポリマーは、トリメチレンカーボネート残基のブロックとラクチド残基のブロックとを含有する。1つの態様では、ラクチドポリマーは、添加ラクチド対トリメチレンカーボネートの比が88:12(モル比)で製造できる。
【0067】
吸収性ポリマーの製造に言及すると、1つの態様では、重合に使用される開始剤はヒドロキシル系開始剤である。1つの態様では、開始剤はジオールである。別の態様では、開始剤は1,3プロパンジオールである。1つの態様では、1,3プロパンジオールは、トリメチレンカーボネートの重合を開始するために使用される。1つの態様では、開始剤は、トリオールである。別の態様では、開始剤は、トリメチロールプロパンである。1つの態様では、トリメチロールプロパンは、トリメチレンカーボネートの重合を開始するために使用される。重合が実質的に完了すると、反応混合物にラクチドを添加して、ポリラクチドのブロックで終端しているトリメチレンカーボネート系のコアを有する三軸又は線状ポリマーを製造する。
【0068】
別の態様では、吸収性ポリマーは、ポリジオキサノン残基を含む。
別の態様では、吸収性ポリマーは、ポリ乳酸を含む。ポリ乳酸は、L-ラクチド、D-ラクチド、D,L-ラクチド又はこれらの組み合わせから合成できる。
吸収性ポリマーを更に参照すると、1つの態様では、吸収性ポリマーは、ラクチド、トリメチレンカーボネート(TMC)及びε-カプロラクトンの残基のコポリマーを含む。1つの態様では、コポリマーはブロックコポリマーである。1つの態様では、ブロックコポリマーは、トリメチレンカーボネート残基の第1のブロックと、ラクチドの残基及びε-カプロラクトン残基を含む第2のブロックとを有する。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも70%の添加ラクチドモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加ラクチドモノマーは、全添加モノマーの総質量の70%~90%である。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも10%の添加TMCモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加TMCモノマーは、全添加モノマーの総質量の10%~20%である。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも3%の添加ε-カプロラクトンモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加ε-カプロラクトンモノマーは、全添加モノマーの総質量の3%~15%である。1つの態様では、重合に使用される開始剤は、ヒドロキシル系開始剤である。1つの態様では、開始剤はジオールである。別の態様では、開始剤は1,3プロパンジオールである。1つの態様では、1,3プロパンジオールは、トリメチレンカーボネートの重合を開始するために使用される。1つの態様では、開始剤はトリオールである。別の態様では、開始剤はトリメチロールプロパンである。1つの態様では、トリメチロールプロパンは、トリメチレンカーボネートの重合を開始するために使用される。重合が実質的に完了すると、反応混合物にラクチド及びε-カプロラクトンを添加して、ラクチド-co-カプロラクトンコポリマーのブロックで終端しているポリ(トリメチレンカーボネート)系のコアを有する三軸又は線状ポリマーを製造し得る。
【0069】
吸収性ポリマーを更に参照すると、1つの態様では、ポリマーは、グリコリド、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの残基のコポリマーを含む。1つの態様では、コポリマーはブロックコポリマーである。1つの態様では、ブロックコポリマーは、トリメチレンカーボネート残基の第1のブロックと、グリコリドの残基及びε-カプロラクトンの残基を含む第2のブロックとを有する。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも45%の添加グリコリドモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加グリコリドモノマーは、全添加モノマーの総質量の45%~65%である。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも20%の添加TMCモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加TMCモノマーは、全添加モノマーの総質量の20%~30%である。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも15%の添加ε-カプロラクトンモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加ε-カプロラクトンモノマーは、全添加モノマーの総質量の15%~30%である。1つの態様では、重合に使用される開始剤は、ヒドロキシル系開始剤である。1つの態様では、開始剤はトリオールである。別の態様では、開始剤はトリメチロールプロパンである。1つの態様では、トリメチロールプロパンは、トリメチレンカーボネートをごく少量含むモノマーの重合を開始するために使用される。重合が実質的に完了すると、ごく少量のグリコリドを含むモノマーを反応混合物に添加して、グリコリド系末端グラフトのホモポリマー又はコポリマーブロックで終端しているトリメチレンカーボネート系のコアを有する三軸ポリマーを製造する。
【0070】
吸収性ポリマーを更に参照すると、1つの態様では、ポリマーは、ラクチド、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの残基のコポリマーを含む。任意選択で、ポリマーはグリコリドを含んでもよい。1つの態様では、コポリマーはブロックコポリマーである。1つの態様では、ブロックコポリマーは、ポリ(トリメチレンカーボネート)の第1のブロックと、ラクチドの残基を含む第2のブロックとを有する。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも35%の添加ラクチドモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加ラクチドモノマーは、全添加モノマーの総質量の30%~45%である。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも10%の添加TMCモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加TMCモノマーは、全添加モノマーの総質量の10%~40%である。1つの態様では、コポリマーは、全添加モノマーの総質量の少なくとも30%の添加ε-カプロラクトンモノマーを用いて製造できる。好ましい態様では、添加ε-カプロラクトンモノマーは、全添加モノマーの総質量の30%~40%である。1つの態様では、重合に使用される開始剤は、ヒドロキシル系開始剤である。1つの態様では、開始剤はトリオールである。別の態様では、開始剤はトリメチロールプロパン又はトリエタノールアミンである。1つの態様では、トリメタノールアミンは、トリメチレンカーボネートをごく少量含むモノマーの重合を開始するために使用される。重合が実質的に完了すると、ごく少量のラクチドを含むモノマーを反応混合物に添加して、ラクチド系末端グラフトのホモポリマー又はコポリマーブロックで終端しているポリ(トリメチレンカーボネート)系のコアを有する三軸ポリマーを製造する。
【0071】
吸収性ポリエステルとしては、ポリヒドロキシアルカノエートが挙げられる。好適なポリヒドロキシアルカノエートの例としては、限定するものではないが、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)(P(3HB-co-4HB))、ポリ[3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート](P(3HB-co-3HH))及びポリ[(R)-4-ヒドロキシブチレート]ポリ(4-ヒドロキシブチレート)(P(4HB)が挙げられる。
一態様では、バリア構築物は、バリア材料と射出成形ガイドとを含む。
【0072】
生物活性剤
リング構造は、生物活性剤を含み得る。生物活性剤は、殺精子活性を有する薬剤、ホルモン、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗原虫剤、抗ウイルス剤、及びこれらの混合物であってもよい。1つの態様では、リング構造は、殺精子剤である組成物を含む。別の態様では、リング構造は、ホルモンを含む。別の態様では、リング構造は、抗微生物剤を含む。別の態様では、リング構造は、抗菌剤を含む。別の態様では、リング構造は、抗真菌剤を含む。別の態様では、リング構造は、抗原虫剤を含む。別の態様では、リング構造は、抗ウイルス剤を含む。任意選択で、リング構造は、上記の作用剤のうちの2つ、例えば、殺精子剤とホルモンとを含む。
殺精子活性を示す作用剤としては、限定するものではないが、ノノキシノール-9、オクトキシノール-9、塩化ベンザルコニウム、コール酸ナトリウム、銅、第一鉄化合物、及び第一鉄化合物とアスコルビン酸との組み合わせが挙げられる。使用できる第一鉄化合物としては、グルコン酸第一鉄、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、フマル酸第一鉄、乳酸第一鉄、酢酸第一鉄、シュウ酸第一鉄、アスコルビン酸第一鉄、これらの組み合わせ並びにこれらの水和物が挙げられる。
【0073】
ホルモン剤としては、限定するものではないが、レボノルゲストレル、エチニルエストラジオール、17βエストラジオール、酢酸ノメゲストロール、エトノゲストレル、プロゲステロン、ネストロン、ネストロン、エナント酸ノルエチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、及びエストラジオールシピオネートが挙げられる。
抗ウイルス剤としては、限定するものではないが、アシクロビル、ブリブジン、シドホビル、クルクミン、ダピビリン(Dapirivine)、デスシクロビル、1-ドコサノール、エドクスジン、フラメイクロビル(Frameyclovir)、フィアシタビン、イバシタビン、イミキモド、ラミブジン、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、及びこれらの塩又はエステルが挙げられる。クルクミン、アシクロビル、ファムシクロビル、ダピビリン、及びバラシクロビルは、好ましい抗ウイルス剤である。
【0074】
抗真菌剤としては、限定するものではないが、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルフェネシン、シクロピロクスオラミン、クロトリマゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルトリマゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ニフロキシム、チオコナゾール、テルコナゾール、ウンデセン酸、及びこれらの塩又はエステルが挙げられる。
【0075】
抗菌剤としては、限定するものではないが、アクロソキサシン、アミフロキサシン、アモキシシリン、アンピシリン、アスポキシシリン、アジドシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、バロフロキサシン、ベンジルペニシリン、ビアペネム、ブロジモプリム、セファクロル、セファドロキシル、セファトリジン、セフカペン、セフジニル、セフェタメト、セフメタゾール(Cefinetazole)、セフプロジル、セフロキサジン、セフチブテン、セフロキシム、セファレキシン、セファロニウム、セファロリジン、セファマンドール、セファゾリン、セフラジン、クロルキナルドール、クロルテトラサイクリン、シクラシリン、シノキサシン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、ダノフロキサシン、ダプソン、デメクロシクリン、ジクロキサシリン、ジフロキサシン、ドキシサイクリン、エノキサシン、エンロフロキサシン、エリスロマイシン、フレロキサシン、フロモキセフ、フルクロキサシリン、フルメキン、ホスホマイシン、イソニアジド、レボフロキサシン、マンデル酸、メシリナム、メトロニダゾール、ミノサイクリン、ムピロシン、ナジフロキサシン、ナリジクス酸、ニフイルトイノール(Nifuirtoinol)、ニトロフラントイン、ニトロキソリン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、パニペネム、ペフロキサシン、フェノキシメチルペニシリン、ピペミド酸、ピロミド酸、ピバンピシリン、ピブメシリナム、プルリフロキサシン、ルフロキサシン、スパルフロキサシン、スルバクタム、スルファベンズアミド、スルファシチン、スルファメトピラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジミジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルアミド、スルファソミジン、スルファチアゾール、テマフロキサシン、テトラサイクリン、テトロキソプリム、チニダゾール(Timidazole)、トスフロキサシン、トリメトプリム及びこれらの塩又はエステルが挙げられる。
【0076】
抗原虫剤としては、限定するものではないが、アセタルソール、アザニダゾール、クロロキン、メトロニダゾール、ニフラテル、ニモラゾール、オミダゾール、プロペニダゾール、セクニダゾール、シネフンギン(Sineflngin)、テノニトロゾール、テミダゾール(Temidazole)、チニダゾール、及びこれらの塩又はエステルが挙げられる。
【0077】
リング構造への生物活性剤の初期投入量は、約1%(w/w)~約50%(w/w)である。一態様では、リング構造への生物活性剤の初期投入量は、約5%(w/w)~約30%(w/w)である。一態様では、リング構造への生物活性剤の初期投入量は、約5%(w/w)~約15%(w/w)である。
避妊器具、特にリング構造は、第一鉄化合物及びアスコルビン酸を含み得る。一態様では、避妊器具は、グルコン酸第一鉄及びアスコルビン酸を含み得る。一態様では、避妊器具は、グルコン酸第一鉄二水和物及びアスコルビン酸を含み得る。一態様では、グルコン酸第一鉄二水和物の投入量は約5%(w/w)~約15%(w/w)である。一態様では、グルコン酸第一鉄二水和物の投入量は約5%(w/w)~約15%(w/w)であり、アスコルビン酸の投入量は4%(w/w)~約12%(w/w)である。一態様では、避妊器具は、アスコルビン酸のグルコン酸第一鉄二水和物に対するモル比は、1超、1.5超、1.8超及び2超である。
一態様では、避妊器具、特にリング構造は、約400mg~1000mgのグルコン酸第一鉄二水和物を含み得る。一態様では、避妊器具は、約400mg~700mgのグルコン酸第一鉄二水和物を含み得る。別の態様では、避妊器具は、約450mg~550mgのグルコン酸第一鉄二水和物を含み得る。一態様では、避妊器具は、約400mg~700mgのグルコン酸第一鉄二水和物と250mg~500mgのアスコルビン酸とを含み得る。別の態様では、避妊器具は、約450mg~550mgのグルコン酸第一鉄二水和物と約350mg~約450mgのアスコルビン酸とを含み得る。
【0078】
避妊器具は、1種以上の賦形剤を含み得る。賦形剤は、避妊器具が置かれる隣接局所環境のpHを調節する機能、器具からの初期溶出液の酸性度を媒介する機能、膣粘液と相互作用して粘液粘度を上昇させる機能、酸化防止剤として作用する機能、防腐剤として作用する機能、又は生物活性化合物の放出を調節する機能を有し得る。
【0079】
中間局所環境のpHを調節する化合物としては、限定するものではないが、アスコルビン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸及びグリコール酸などの酸、アンフォラインなどのポリ-アミノ及びポリカルボン酸混合、グリシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン(phenylanaline)、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンなどのアミノ酸、及び分解時に酸性化合物を放出するポリ酸、例えば、ポリグリコール酸、カルボキシル含有ポリグリコリド、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、及びポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート、メトキシポリエチレングリコール-ポリグリコリドなどのグリコール酸ジブロックコポリマー、及びポリグリコリド-ポリエチレングリコール-ポリグリコリドなどのグリコール酸トリブロックコポリマーが挙げられる。pHを調節できる化合物の投入量は、約1%(w/w)~約20%である。一態様では、pHを調節できる化合物の投入量は、約2%(w/w)~約10%である。一態様では、pHを調節できる化合物の投入量は、約2%(w/w)~約6%(w/w)である。
【0080】
器具からの初期溶出液の酸性度を媒介する化合物としては、限定するものではないが、グリシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンなどのアミノ酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩及びこれらの水和物、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム並びに炭酸水素ナトリウムが挙げられる。初期溶出液の酸性度を媒介できる化合物の投入量は、約1%(w/w)~約20%である。一態様では、初期溶出液の酸性度を媒介できる化合物の投入量は、約2%(w/w)~約10%(w/w)である。一態様では、初期溶出液の酸性度を媒介できる化合物の投入量は、約2%(w/w)~約6%(w/w)である。
酸化防止剤として作用する化合物としては、限定するものではないが、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム、α-トコフェロール又はビタミンE、グルタチオン、リポ酸、尿酸、β-カロテン、レチノール、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ジヒドロキシ安息香酸、及び没食子酸プロピルが挙げられる。酸化防止剤化合物の投入量は、約0.5%(w/w)~約20%である。一態様では、酸化防止剤化合物の投入量は、約1%(w/w)~約10%(w/w)である。一態様では、初期溶出液の酸性度を媒介できる化合物の投入量は、約1%(w/w)~約6%(w/w)である。
防腐剤として作用する化合物としては、限定するものではないが、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、ブチルパラベン、コロバラベン(chorobaraben)バラベン、メタクレゾール、クロロクレゾール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、フェノール、安息香酸、ソルビン酸、安息香酸ナトリウム及びブロニドール(bronidol)が挙げられる。防腐剤の投入量は、約0.05%(w/w)~約5%である。一態様では、防腐剤の投入量は、約0.1%(w/w)~約2%(w/w)である。一態様では、防腐剤の投入量は、約0.1%(w/w)~約1%(w/w)である。
放出調節剤として作用できる化合物としては、分解性ポリマー、スクロース、塩化ナトリウム、及びデキストロース(ブドウ糖)が挙げられる。使用できる分解性ポリマーとしては、限定するものではないが、ラクチド、グリコリド、ε-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、及びパラ-ジオキサノン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される環状モノマーから誘導されるポリエステルが挙げられる。更に、ポリエステルは酸末端基を有するように合成できる。例えば、低分子量ポリマーの合成の間の開始剤としてグリコール酸を用いて、酸末端基を与えることができる。ポリエステルは、ポリマーに酸末端を提供するための、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などの酸含有ヒドロキシル開始剤の開環重合によって形成できる。ポリエステルは、材料を微細粉末に粉砕して、ミクロ微粒子を生成することによって処理され得る。次いで、粒子状物質を、リングコンポーネントの形成前にリング配合物に組み込むことができる。
【0081】
一態様では、ポリエステルはポリグリコール酸である。一態様では、ポリエステルはポリグリコール酸であり、その開環重合は、グリコール酸を使用して開始される。一態様では、ポリグリコール酸は、微粉化されてポリグリコール酸の粒子を形成する。一態様では、ポリグリコール酸粒子は、20μm未満、15μm未満、10μm未満、8μm未満又は5μm未満の平均直径(体積質量)を有する。
一態様では、ポリエステルはポリ(グリコール酸-co-乳酸)コポリマーである。一態様では、ポリエステルは、ポリ(グリコール酸-co-乳酸)コポリマーであり、その開環重合はグリコール酸を使用して開始される。一態様では、ポリ(グリコール酸-co-乳酸)コポリマーは、微粉化されてポリ(グリコール酸-co-乳酸)コポリマーの粒子を形成する。一態様では、ポリ(グリコール酸-co-乳酸)コポリマー粒子は、20μm未満、15μm未満、10μm未満、8μm未満又は5μm未満の平均直径(体積質量)を有する。
【0082】
一態様では、放出調節剤は、避妊器具から模擬膣液へ放出される生物活性剤のミリグラム単位の量を、放出調節剤を含まない避妊器具と比較して、7日間のサンプリング期間に1.1倍超に増加することができる。
一態様では、放出調節剤は、避妊器具から模擬膣液へ放出される生物活性剤のミリグラム単位の量を、放出調節剤を含まない避妊器具と比較して、7日間のサンプリング期間に1.5倍超に増加することができる。
一態様では、放出調節剤は、避妊器具から模擬膣液へ放出される生物活性剤のミリグラム単位の量を、放出調節剤を含まない避妊器具と比較して、7日間のサンプリング期間に2倍超に増加することができる。
一態様では、放出調節剤は、避妊器具から模擬膣液へ放出される生物活性剤のミリグラム単位の量を、放出調節剤を含まない避妊器具と比較して、7日間のサンプリング期間に1.1分の1を超えて減少することができる。
一態様では、放出調節剤は、避妊器具から模擬膣液へ放出される生物活性剤のミリグラム単位の量を、放出調節剤を含まない避妊器具と比較して、7日間のサンプリング期間に1.5分の1を超えて減少することができる。
一態様では、放出調節剤は、避妊器具から模擬膣液へ放出される生物活性剤のミリグラム単位の量を、放出調節剤を含まない避妊器具と比較して、7日間のサンプリング期間に2分の1を超えて減少することができる。
放出調節剤の投入量は、約1%(w/w)~約20%である。一態様では、防腐剤の投入量は、約2%(w/w)~約10%(w/w)である。一態様では、防腐剤の投入量は、約2%(w/w)~約6%(w/w)である。
【0083】
1種以上の活性剤又は賦形剤を、リング構造の形成前にリングマトリックスに配合することができる。これらの材料は、物理的混合、溶媒の使用、又は融点を超えるポリマーへの直接組み込みによって、組み込むことができる。2剤型シリコーン配合物の場合、生物活性剤又は賦形剤は、2剤のうちの1つ又は2剤の両方に組み込むことができる。一態様では、少なくとも1つの生物活性剤及び少なくとも1つの賦形剤が、silasticシリコーン配合物のA剤及びB剤の両方に添加される。一態様では、使用されるシリコーン配合物は、Dow社のSilastic Q7-4840である。一態様では、Silastic Q7-4840のA剤及びB剤は、グルコン酸第一鉄とアスコルビン酸とを含む。別の態様では、Silastic Q7-4840のA剤及びB剤は、グルコン酸第一鉄と、アスコルビン酸と、pHを調節できる化合物とを含む。一態様では、pHを調節できる化合物はグリシンである。別の態様では、Silastic Q7-4840のA剤及びB剤は、グルコン酸第一鉄と、アスコルビン酸と、第一鉄イオンの放出を調節できる化合物とを含む。一態様では、第一鉄イオンの放出を調節できる化合物は、ポリグリコール酸である。一態様では、Silastic Q7-4840のA剤及びB剤は、グルコン酸第一鉄と、アスコルビン酸と、グリシンと、ポリグリコール酸とを含む。
【0084】
前述のように、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)を、避妊器具のリング構造のマトリックスとして使用できる。一態様では、EVAは、1%~60%の範囲の酢酸ビニル含有量を有し得る。好ましい態様では、酢酸ビニル含有量は約2%~50%である。生物活性剤又は賦形剤は、溶媒系プロセス若しくはホットメルトプロセス、又はこれらの組み合わせによりEVAに組み込むことができる。溶媒系プロセスの場合、EVAを好適な溶媒に溶解又は膨潤することができる。好適な溶媒としては、限定するものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン(MEK)又はメタノール、並びにこれらの組み合わせ、及びこれらの溶媒の1つ以上を含む溶液が挙げられる。1種以上の生物活性剤及び1種以上の賦形剤を、配合物に加えることができる。1つの態様では、配合物は、溶媒キャストによりフィルム状とし、当該溶媒を蒸発させて、EVAと、1種以上の生物活性剤と、1種以上の賦形剤とを含む材料を製造できる。別の態様では、溶媒を、フィルム状にキャスティングせずに除去できる。EVAと、1種以上の生物活性剤と、1種以上の賦形剤とを含む組成物を、粉砕又はペレット化して、粒子状組成物を製造することができる。この混合物を、次いで、ホットメルト押出して、生物活性剤と賦形剤とを含む材料を形成することができる。材料が冷却された後、当該複合混合物をペレット化できる。一態様では、EVAと、1種以上の生物活性剤と、1種以上の賦形剤とは、物理的に合せて混合される。この混合物を、次いで、ホットメルト押出して、生物活性剤と賦形剤とを含む材料を形成することができる。材料が冷却された後、当該複合混合物をペレット化できる。ペレット化した材料を、次いで、避妊器具のリング部分の射出成形に使用できる。一態様では、EVA材料は、グルコン酸第一鉄を含み得る。別の態様では、EVA材料は、グルコン酸第一鉄及びアスコルビン酸を含み得る。別の態様では、EVA材料は、グルコン酸第一鉄、アスコルビン酸及びグリシンを含み得る。別の態様では、EVA材料は、グルコン酸第一鉄、アスコルビン酸、グリシン及びポリグリコール酸を含み得る。
【0085】
本開示の避妊器具において、射出成形ガイドは、任意選択で以下の例示的特徴の1つ以上を特徴とし得る:(a)非繊維性である、(b)無孔性である、(c)コーティングされていない、(d)サイジングポリマーを含有しない、(e)多孔性バリア材料に固定されている、(f)ある組成を有し、当該組成は射出成形ガイドの全ての場所において一定である、(g)生分解性である、(h)多孔性バリア材料の縁部に沿って、又は近接して存在する、(i)多孔性バリア材料内に延在している、(j)多孔性バリア材料上に3D印刷されている、(k)多孔性バリア材料上に射出成形されている、(l)120℃未満の温度で軟化せず、一方で、ポリマーリングは任意選択で例示的な+-+以下の1つ以上を特徴とする。(a)弾性ポリマーを含む、(b)生物活性剤を含む、(c)第一鉄化合物を含む、(d)グルコン酸第一鉄又はその水和物を含む、(e)第一鉄化合物及びアスコルビン酸を含む、(g)グルコン酸第一鉄及びアスコルビン酸を含む。
【0086】
製造
本開示の避妊器具は、当該器具のリングコンポーネントを、バリア材料と射出成形ガイドとの組み合わせの上に射出成形することによって製造されてもよい。バリア材料及び射出成形ガイドは、構築物を形成するように、合せて固定されてもよい。避妊器具の構築物コンポーネントは、金型内に置かれる。金型を閉鎖し、リング材料が、構築物コンポーネントの外縁部分の上に射出成形される。一態様では、リングコンポーネントは、1種以上の生物活性剤を含むシリコーンを含み得る。本明細書に記載の2剤型シリコーン配合物の場合、加熱された金型への導入の直前にA剤とB剤を混合する。混合シリコーンを、加熱された金型内に射出し、ある時間にわたり硬化させる。次いで、金型を開放し、形成された避妊器具を金型から取り出す。シリコーンの硬化速度は、金型温度の上昇又は低下によって制御できる。一態様では、射出成形ガイドはバリア材料に取り付けられている。一態様では、構築物の平坦面は金型のサポートピンと接触し、バリア構築物が適切な位置を確実に維持し、射出成形プロセスが再現可能な方法で起こることを確実とする。
【0087】
一態様では、本開示は、避妊器具を形成する方法を提供し、当該方法は、:(a)射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える、構築物、例えば、本明細書に開示される構築物を提供する工程であって、射出成形ガイドは対称であり、任意選択で、複数の平面状表面を備える、工程;(b)構築物を、加熱したダイに入れる工程;(c)ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、当該少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;(d)2剤型熱硬化性ポリマーの混合物、例えば、本明細書に開示される2剤型硬化性ポリマーを、ダイ内に射出して、ポリマーリングを形成する工程であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、工程;(e)高温、例えば、120~125℃などの100℃を超える温度を、2剤型熱硬化性ポリマーの混合物に適用し、2剤型熱硬化性ポリマーの混合物が液体状態から固体状態へ変化するように、2剤型熱硬化性ポリマーの混合物を金型内で硬化させる工程;及び(f)避妊器具をダイから取り出す工程、を含む。任意選択で、構築物は、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される。任意選択で、構築物は、射出成形ガイドを射出成形プロセスによって形成する工程と、当該射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に固定する工程とを含む方法によって提供される。
【0088】
一態様では、本開示は、避妊器具を形成する方法を提供し、当該方法は、(a)射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程であって、射出成形ガイドは対称であり、任意選択で、複数の平面状表面を備える、工程;(b)上記構築物をダイに入れる工程;(c)少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの平面状表面に接触するように、ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を調節する工程;及び(d)溶融ポリマーをダイ内に射出してポリマーリングを形成する工程であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれている、工程、を含む。
任意選択で、構築物は、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される。任意選択で、構築物は、射出成形ガイドを射出成形プロセスによって形成する工程と、当該射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に固定する工程とを含む方法によって提供される。
【0089】
一態様では、リングコンポーネントは、1種以上の生物活性剤を含む膣内生体適合性の熱可塑性ポリマーを含み得る。熱可塑性材料は、射出成形機のホッパーに導入される。次いで、当該材料は、熱可塑性材料が加圧下で流動できる温度まで加熱される。加熱された熱可塑性材料は、次いで、加圧下で金型内に射出される。金型は、冷却され、次いで開放されて、避妊器具が取り出される。一態様では、使用される熱可塑性材料は、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)である。一態様では、熱可塑性材料はポリウレタンである。
【0090】
一態様では、金型は、設計されたリング構造からはみ出した射出成形材料のバリア材料内への浸出(バリ)を最小限に抑えるように設計される。
避妊器具は、約4g~約8gの質量を有し得る。一態様では、避妊器具の質量は、4.5g~6.5gである。別の態様では、避妊器具の質量は、5.0g~6.0gである。避妊器具の外径は、約45mm~約70mmであり得る。一態様では、外径は、約45mm~約65mmであり得る。一態様では、外径は、約52mm~約58mmであり得る。1つの態様では、避妊器具の外径は、約55mmの外径を有する。別の態様では、避妊器具の外径は、約50mm、約51mm、約52mm、約53mm、約54mm、約56mm、約57mm、約58mm、約59mm又は約60mmである。
任意選択で、弾性リングコンポーネントの二次元表面積は、避妊器具の二次元表面積の約40%~約55%である。任意選択で、露出したバリアコンポーネントの二次元表面積は、避妊器具の二次元表面積の約45%~約60%である。
【0091】
一態様では、避妊器具は、リングコンポーネントと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを備え、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、リングコンポーネント内に少なくとも部分的に埋め込まれ、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備え、リングコンポーネントはポリマーから形成され、ポリマーリングと同一の場合がある。1つの態様では、避妊器具は、リングコンポーネントと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドと、1種以上の生物活性剤とを含み、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、リングコンポーネント内に少なくとも部分的に埋め込まれ、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備える、リングコンポーネントはポリマーから作製され、ポリマーリングと同一の場合がある。1つの態様では、避妊器具は、リングコンポーネントと、バリアコンポーネントと、1種以上の生物活性剤とを含む。別の態様では、避妊器具は、リングコンポーネントと、バリアコンポーネント、1種以上の生物活性剤と、1種以上の賦形剤とを含む。別の態様では、避妊器具は、リングコンポーネントと、射出成形ガイドに取り付けられたバリアコンポーネントと、1種以上の生物活性剤とを含む。別の態様では、避妊器具は、リングコンポーネントと、射出成形ガイドに取り付けられたバリアコンポーネントと、1種以上の生物活性剤と、1種以上の賦形剤とを含む。一態様では、バリア材料に取り付けられた射出成形ガイド部分は、リングコンポーネント内に埋め込まれている。別の態様では、避妊器具は、リングコンポーネントとバリアコンポーネントとを含む。別の態様では、避妊器具は、リングコンポーネントと、バリアコンポーネントと、1種以上の賦形剤とを含む。
【0092】
一態様では、避妊器具は、シリコーンリングコンポーネントと、吸収性メッシュバリアコンポーネントと、グルコン酸第一鉄二水和物と、アスコルビン酸とを含む。一態様では、吸収性メッシュは、ラクチド及びトリメチレンカーボネート残基を含む。一態様では、避妊器具は、シリコーンリングコンポーネントと、ラクチド及びトリメチレンカーボネート残基を含む吸収性メッシュバリアコンポーネントと、グルコン酸第一鉄二水和物と、アスコルビン酸と、グリシンと、ポリグリコール酸粒子とを含む。
【0093】
一態様では、避妊器具は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを備え、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれており、任意選択で、射出成形ガイドは多孔性バリア材料に固定されている。一態様では、避妊器具は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを備え、射出成形ガイドはポリマーリング内に全体的に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、任意選択で、射出成形ガイドは多孔性バリア材料に固定されている。避妊器具は、射出成形ガイドが多孔性バリア材料に固定されている構築物から作製できるが、避妊器具の作成後のある時点、例えば包装中に、射出成形ガイドが多孔性バリア材料に固定されなくなることが起こる場合がある。ただし、射出成形ガイドは、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれ、任意選択で全体的に埋め込まれた状態を維持する。従って、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれており、任意選択で、射出成形ガイドは多孔性バリア材料に固定されている、避妊器具を提供する。上記の態様において、射出成形ガイドは、射出成形ガイドが多孔性バリア材料に固定されているか否かにかかわらず、対称であること、及び任意選択で複数の平面状表面を備えることで特徴づけられ得る。例えば、一態様では、避妊器具は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含み、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれており、射出成形ガイドは多孔性バリア材料に固定されており、射出成形ガイドは対称であり、かつ任意選択で複数の平面状表面を備える。別の例として、一態様では、避妊器具は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを備え、射出成形ガイドはポリマーリング内に全体的に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、射出成形ガイドは多孔性バリア材料に固定されており、射出成形ガイドは対称であり、かつ任意選択で複数の平面状表面を備える。別の例として、一態様では、避妊器具は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを備え、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料の各々は、ポリマーリング内に少なくとも部分的に埋め込まれており、射出成形ガイドは多孔性バリア材料に固定されておらず、射出成形ガイドは対称であり、かつ複数の平面状表面を備える。別の例として、一態様では、避妊器具は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを備え、射出成形ガイドはポリマーリング内に全体的に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、射出成形ガイド多孔性バリア材料に固定されておらず、射出成形ガイドは対称であり、かつ任意選択で複数の平面状表面を備える。
【0094】
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドは対称であり、かつ複数の平面状表面を有し、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、複数の平面状表面のうちの少なくとも2つは互いに交差して隅角部を形成する、避妊器具を提供する。
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドは対称であり、かつ複数の平面状表面を有し、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、射出成形ガイドは複数の隅角部を備え、複数の隅角部の各々は複数の平面状表面のうちの2つの交差によって形成される、避妊器具を提供する。
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドは対称であり、かつ複数の平面状表面を有し、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、射出成形ガイドは複数の隅角部を備え、複数の隅角部の各々は複数の平面状表面のうちの2つの交差によって形成され、射出成形ガイドの断面は、L字形及びT字形から選択される2つの形状を含む、避妊器具を提供する。
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドは、複数の平面状表面を備える対称な環状リングであり、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、複数の平面状表面の少なくとも2つは互いに交差して隅角部を形成する、避妊器具を提供する。
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドは対称であり、かつ複数の平面状表面を有し、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、射出成形ガイドは複数の隅角部を備え、複数の隅角部の各々は複数の平面状表面のうちの2つの交差によって形成され、射出成形ガイドの断面は互いに相補的な2つの形状を含む、避妊器具を提供する。
【0095】
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、ポリマーリングは多孔性バリア材料を取り囲み、バリア材料はメッシュであり、射出成形ガイドは対称である、避妊器具を提供する。射出成形ガイドは、以下のうちの1つ以上を特徴とし得る:(a)非繊維性である、(b)無孔性である、(c)コーティングされていない、(d)サイジングポリマーを含有しない、(e)多孔性バリア材料に固定されている、(f)ある組成を有し、当該組成は射出成形ガイドの全ての場所において一定である、(g)生分解性である、(h)多孔性バリア材料の縁部に沿って、又は近接して存在する、(i)多孔性バリア材料内に延在している、(j)多孔性バリア材料上に3D印刷されている、(k)多孔性バリア材料上に射出成形されている、(l)120℃未満の温度で軟化しない。
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、ポリマーリングは多孔性バリア材料を取り囲み、バリア材料はメッシュであり、射出成形ガイドは対称である、避妊器具を提供する。ポリマーリングは、以下のうちの1つ以上を特徴とし得る:(a)弾性ポリマーを含む、(b)生物活性剤を含む、(c)第一鉄化合物を含む、(d)グルコン酸第一鉄又はその水和物を含む、(e)第一鉄化合物及びアスコルビン酸を含む、(g)グルコン酸第一鉄及びアスコルビン酸を含む。
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、ポリマーリングは多孔性バリア材料を取り囲み、バリア材料はメッシュであり、射出成形ガイドは対称であり、平面状表面を備える、避妊器具を提供する。射出成形ガイドは、以下のうちの1つ以上を特徴とし得る:(a)非繊維性である、(b)無孔性である、(c)コーティングされていない、(d)サイジングポリマーを含有しない、(e)多孔性バリア材料に固定されている、(f)ある組成を有し、当該組成は射出成形ガイドの全ての場所において一定である、(g)生分解性である、(h)多孔性バリア材料の縁部に沿って、又は近接して存在する、(i)多孔性バリア材料内に延在している、(j)多孔性バリア材料上に3D印刷されている、(k)多孔性バリア材料上に射出成形されている、(l)120℃未満の温度で軟化しない。
【0096】
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、ポリマーリングは多孔性バリア材料を取り囲み、バリア材料はメッシュであり、射出成形ガイドは対称であり、平面状表面を備える、避妊器具を提供する。ポリマーリングは、以下のうちの1つ以上を特徴とし得る:(a)弾性ポリマーを含む、(b)生物活性剤を含む、(c)第一鉄化合物を含む、(d)グルコン酸第一鉄又はその水和物を含む、(e)第一鉄化合物及びアスコルビン酸を含む、(g)グルコン酸第一鉄及びアスコルビン酸を含む。
【0097】
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、ポリマーリングは多孔性バリア材料を取り囲み、バリア材料はメッシュであり、射出成形ガイドは対称であり、かつ複数の平面状表面を備える、避妊器具を提供する。射出成形ガイドは、以下のうちの1つ以上を特徴とし得る:(a)非繊維性である、(b)無孔性である、(c)コーティングされていない、(d)サイジングポリマーを含有しない、(e)多孔性バリア材料に固定されている、(f)ある組成を有し、当該組成は射出成形ガイドの全ての場所において一定である、(g)生分解性である、(h)多孔性バリア材料の縁部に沿って、又は近接して存在する、(i)多孔性バリア材料内に延在している、(j)多孔性バリア材料上に3D印刷されている、(k)多孔性バリア材料上に射出成形されている、(l)120℃未満の温度で軟化しない。
1つの態様では、本開示は、ポリマーリングと、多孔性バリア材料と、射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、射出成形ガイドはポリマーリング内に完全に埋め込まれており、多孔性バリア材料はポリマーリング内に部分的に埋め込まれており、ポリマーリングは多孔性バリア材料を取り囲み、バリア材料はメッシュであり、射出成形ガイドは対称であり、かつ複数の平面状表面を備える、避妊器具を提供する。ポリマーリングは、以下のうちの1つ以上を特徴とし得る:(a)弾性ポリマーを含む、(b)生物活性剤を含む、(c)第一鉄化合物を含む、(d)グルコン酸第一鉄又はその水和物を含む、(e)第一鉄化合物及びアスコルビン酸を含む、(g)グルコン酸第一鉄及びアスコルビン酸を含む。
【0098】
包装
避妊器具は、保護包装に入れることができる。保護包装は、機械的損傷、光、吸湿、病原体、塵埃、粒子状物質又はこれらの組み合わせから避妊器具を保護できる。保護包装は、一次包装と呼ぶことができる。使用される包装材料は、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、Ovantex(登録商標)、ホイル又はこれらの組み合わせを含むことができる。高密度ポリエチレン包装は、Tyvek(登録商標)パウチの形態であり得る。一態様では、避妊器具は、ヒートシールされたTyvek(登録商標)パウチ内に包装できる。一態様では、避妊器具は、ヒートシールされたホイルパウチ内に包装できる。一態様では、ホイルパウチはアルミニウムホイルを含み得る。一態様では、避妊器具は、吸湿材、酸素吸収材、又は吸湿材と酸素吸収材の両方と共に包装することができる。一態様では、包装された器具の包装内の環境は、10%未満の酸素を含み得る。一態様では、包装された器具の包装内の環境は、5%未満の酸素を含み得る。一態様では、包装された器具の包装内の環境は、1%未満の酸素を含み得る。一態様では、包装された器具の包装内の環境は、20%未満の湿度を含み得る。一態様では、包装された器具の包装内の環境は、10%未満の湿度を含み得る。一態様では、包装された器具の包装内の環境は、1%未満の湿度を含み得る。
【0099】
一態様では、包装された避妊製品は、乾燥剤、脱酸素剤、又は乾燥剤と脱酸素剤の両方を含み得る。乾燥剤又は脱酸素剤は、避妊器具と共に一次包装に包装され得る。乾燥剤又は脱酸素剤は、一次包装内で避妊器具を収容するホイル内に包装され得る。
一態様では、器具を収容する保護包装は、ヒートシールプロセスを使用して封止される。一態様では、保護包装は、再封可能なホイルパウチを含み得る。一態様では、再封可能なホイルパウチはアルミニウムホイルを含み得る。
避妊器具は、二次包装材料内に包装できる。二次包装は、一次包装内に包装された避妊器具を収容できる。二次包装は、セルロース系材料を含み得る。二次包装は、ボール紙を含み得る。二次包装は、ボール箱を含み得る。一態様では、ボール箱は、パーティクルボード製ボール箱を含み得る。
包装された避妊器具は、本発明の避妊器具と、一次包装コンポーネントと、二次包装コンポーネントとを含み得る。一態様では、包装された避妊器具は、更に取り扱い説明書一式を含む。
一態様では、包装された避妊器具は、シリコーンリングと、バリア材料と、シリコーンリング内のグルコン酸第一鉄と、シリコーンリング内のアスコルビン酸と、ホイル製一次包装と、二次包装のボール箱と、取り扱い説明書一式又は処方情報と、を含む避妊器具を含み得る。
【0100】
避妊器具は、無菌であり得る。避妊器具は、アルコール溶液の使用、器具をエチレンオキサイド、電離放射線、オートクレーブ処理、紫外線放射又は乾熱に曝露することによって、滅菌できる。使用できるアルコール溶液としては、限定するものではないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びこれらの水溶液が挙げられる。使用される電離放射線としては、γ線及び電子ビーム放射が挙げられる。滅菌に使用される電離放射線の線量は、20kGy超、25kGy超、30kGy超、35kGy超又は40kGy超である。好ましい態様では、放射線は25kGy超である。エチレンオキサイドを使用して滅菌された避妊器具の場合、最終的な避妊製品は、残留エチレンオキサイド及びエチレンクロロヒドリンレベルに関するISO 10993-7に準拠する。一態様では、残留エチレンオキサイドレベルは、患者に移行するエチレンオキサイドの1日平均用量が2mg/日となるようなレベルである。一態様では、残留エチレンオキサイドレベルは、患者に移行するエチレンオキサイドの1日平均用量が0.1mg/日となるようなレベルである。別の態様では、残留エチレンオキサイドレベルは、患者に移行する最大エチレンオキサイド用量が最初の24時間で4mg未満となるようなレベルである。別の態様では、残留エチレンオキサイドレベルは、患者に移行する最大エチレンオキサイド用量が最初の30日間で60mg未満となるようなレベルである。一態様では、残留エチレンクロロヒドリンレベルは、患者に移行するエチレンクロロヒドリンの1日平均用量が2mg/日となるようなレベルである。一態様では、残留エチレンクロロヒドリンレベルは、患者に移行するエチレンクロロヒドリンの1日平均用量が0.4mg/日となるようなレベルである。別の態様では、残留エチレンオキサイドレベルは、患者に移行する最大エチレンオキサイド用量が最初の24時間で9mg未満となるようなレベルである。別の態様では、残留エチレンオキサイドレベルは、患者に移行する最大エチレンオキサイド用量が最初の30日間で60mg未満となるようなレベルである。
【0101】
避妊器具は、非滅菌形態であり得る。一態様では、非滅菌避妊器具は、USP<1111>に準拠する。非滅菌避妊器具は、102以下の総好気性微生物数(cfu/g又はcfu/mL)を有し得る。非滅菌避妊器具は、101以下の総真菌数(total combined yeasts/molds count)(cfu/g又はcfu/mL)を有し得る。非滅菌避妊器具は、102以下の総好気性微生物数(cfu/g又はcfu/mL)及び101以下の総真菌数(cfu/g又はcfu/mL)を有し得る。非滅菌避妊器具は、緑膿菌、黄色ブドウ球菌又はカンジダ・アルビカンスで汚染され得ない。
避妊器具は、細菌性エンドトキシンで汚染され得ない。一態様では、汚染された避妊器具は、1器具当たり20EU以下の細菌性エンドトキシン汚染レベルを有する必要がある。
【0102】
リングは、膣内への避妊器具の配置を促進するためのアプリケータ―に挿入することができる。アプリケータ―はポリマーを含み得る。アプリケータ―に好適なポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル又はこれらのブレンドである。アプリケータ―は、2種以上の異なるポリマーを含み得る。一態様では、アプリケータ―はポリプロピレン製である。一態様では、アプリケータ―は、アプリケータ―のコンポーネント間の摩擦を低減する潤滑剤を含み得る。好適な潤滑剤としては、限定するものではないが、ジメチコン(demethicone)、液状ポリジメチルシロキサン、脂肪酸アミド、ポリエチレングリコール、グリセリン、シリコーン油、プロピレングリコール又はこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、アプリケータ―は、更に染料を含む。染料は、緑、青、バイオレット、ピンク、オレンジ、黄、赤、紫、又は白の色を付与し得る。
国際公開第2016156403号に記載のアプリケータ―を、本発明の避妊器具に使用でき、参照により本明細書に援用する。
【0103】
使用前に、避妊器具を一次包装から取り出さなければならない。避妊器具は、膣に挿入できる。避妊器具は、ユーザーが、寝た状態、しゃがんだ状態、又は片足を上げて立った状態で、挿入できる。避妊器具は、膣の下部と子宮口との間の物理的バリアとして作用するように膣内に置かれる。避妊器具は、月経周期の1日目に膣に挿入できる。避妊器具は、月経周期の2日目~5日目に膣に挿入できる。避妊器具は、1本以上の指を使用して膣に挿入できる。避妊器具は、アプリケータ―を使用して膣に挿入できる。一態様では、避妊器具は、ISO10993試験によって評価したときに、生体適合性である。一態様では、避妊器具の使用は、膣からの半定量的培養を使用して評価したときに、生殖器内細菌嚢を有意に変更しない。
【0104】
一態様では、避妊器具は、膣内に置かれ、膣のpHは、性交後6時間までを除き、pH4.6を維持する。避妊器具は、第一鉄イオン及び/又は第一鉄塩を膣内に放出する。性交前の膣液で測定したグルコン酸第一鉄は、100μg/g膣液を超える。一態様では、性交前の膣液で測定したグルコン酸第一鉄は、500μg/g膣液を超える。別の態様では、性交前の膣液で測定したグルコン酸第一鉄は、1000μg/g膣液を超える。
模擬膣液内に置いたとき、避妊器具は、7日当たり少なくとも5mgのグルコン酸第一鉄を少なくとも35日間放出する。一態様では、模擬膣液内に置いたとき、避妊器具は、7日当たり少なくとも10mgのグルコン酸第一鉄を少なくとも35日間放出する。模擬膣液内に置いたとき、避妊器具は、7日当たり少なくとも2mgのアスコルビン酸を少なくとも35日間放出する。一態様では、模擬膣液内に置いたとき、避妊器具は、7日当たり少なくとも5mgのアスコルビン酸を少なくとも35日間放出する。
【0105】
キット
本開示は、容器内に収容された、本明細書に開示される避妊用医療器具を含むキットを含む。キットは、任意選択で、潤滑剤、殺精子ゲル若しくはフィルム、避妊ゲル及び/又はアプリケータ―のうちの1つ以上を更に含む。キットは、取り扱い説明書を更に含んでもよい。
【0106】
例示的実施形態
本開示は、以下の番号付与した実施形態を提供し、当該実施形態は、例示的なものにすぎず、本明細書に開示される様々な態様及び実施形態において提供される実施形態を網羅するものではない。
1)多孔性バリア材料と射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、当該射出成形ガイドは複数の平面状表面を備え、射出成形ガイドはポリマーリング構造内に包埋されており、任意選択で、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料は互いに固定されている、避妊器具。
2)バリア材料は、メッシュである、実施形態1に記載の避妊器具。
3)バリア材料は、繊維性である、実施形態1~2に記載の避妊器具。
4)バリア材料は、円形である、実施形態1~3に記載の避妊器具。
5)バリア材料は、実質的に円形である、実施形態1~3に記載の避妊器具。
6)バリア材料は、約45mm~約53mmの直径を有する、実施形態1~5に記載の避妊器具。
7)射出成形ガイドは、非繊維性である、実施形態1~6に記載の避妊器具。
8)射出成形ガイドは、3つの平面状表面を備える、実施形態1~7に記載の避妊器具。
9)射出成形ガイドは、6つの平面状表面を備える、実施形態1~7に記載の避妊器具。
10)射出成形ガイドは、8つの平面状表面を備える、実施形態1~7に記載の避妊器具。
11)射出成形ガイドは、120℃超の融点を有する、実施形態1~10に記載の避妊器具。
12)射出成形ガイドは、射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する、実施形態1~11に記載の避妊器具。
13)射出成形ガイドは、85~95度の角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有する、実施形態1~12に記載の避妊器具。
14)射出成形ガイドは、コーティングされていない、実施形態1~13に記載の避妊器具。
15)射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない、実施形態1~14に記載の避妊器具。
16)射出成形ガイドは、サポートリング全体を通して単一組成を有する、実施形態1~15に記載の避妊器具。
17)射出成形ガイドは、生分解性である、実施形態1~16に記載の避妊器具。
18)射出成形ガイドは、非生分解性である、実施形態1~16に記載の避妊器具。
19)射出成形ガイドはバリア材料の縁部に沿って存在する、実施形態1~18に記載の避妊器具。
20)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に近接して存在する、実施形態1~18に記載の避妊器具。
21)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している、実施形態1~20に記載の避妊器具。
22)射出成形ガイドは、バリア材料上に3D印刷されている、実施形態1~21に記載の避妊器具。
23)射出成形ガイドは、バリア材料上に射出成形されている、実施形態1~21に記載の避妊器具。
24)リング構造は、弾性ポリマーを含む、実施形態1~23に記載の避妊器具。
25)リング構造は、シリコーンを含む、実施形態1~24に記載の避妊器具。
26)リング構造は、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)を含む、実施形態1~24に記載の避妊器具。
27)ポリマーリング構造内に存在する生物活性剤を更に含む、実施形態1~26に記載の避妊器具。
28)ポリマーリング構造内に存在する第一鉄化合物を更に含む、実施形態1~27に記載の避妊器具。
29)ポリマーリング構造内に存在するグルコン酸第一鉄又はその水和物を更に含む、実施形態1~27に記載の避妊器具。
30)各々ポリマーリング構造内に存在する第一鉄化合物及びアスコルビン酸を更に含む、実施形態1~27に記載の避妊器具。
31)各々ポリマーリング構造内に存在するグルコン酸第一鉄又はその水和物及びアスコルビン酸を更に含む、実施形態1~27に記載の避妊器具。
32)実施形態1~31のいずれかに記載の避妊器具を含むキットであって、潤滑剤、殺精子ゲル、殺精子フィルム、避妊ゲル、及びアプリケータ―のうちの少なくとも1つを更に含む、キット。
33)ポリマー製アプリケータ―を更に含む、実施形態32に記載のキット。
34)1組の使用説明書を更に含む、実施形態32~33に記載のキット。
35)避妊器具を形成するための構築物であって、当該構築物は、射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備え、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備える、構築物。
36)バリア材料は、メッシュである、実施形態35に記載の構築物。
37)バリア材料は、繊維性である、実施形態35~36に記載の構築物。
38)バリア材料は、円形である、実施形態35~37に記載の構築物。
39)バリア材料は、実質的に円形である、実施形態35~37に記載の構築物。
40)直径又は最も離れた2つの縁部間の距離が約45mm~約53mmである、実施形態35~39に記載の構築物。
41)射出成形ガイドは、非繊維性である、実施形態35~40に記載の構築物。
42)射出成形ガイドは、120℃超の融点を有する、実施形態35~41に記載の構築物。
43)射出成形ガイドは、射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する、実施形態35~42に記載の構築物。
44)射出成形ガイドは、85~95度の角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有する、実施形態35~43に記載の構築物。
45)射出成形ガイドは、コーティングされていない、実施形態35~44に記載の構築物。
46)射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない、実施形態35~45に記載の構築物。
47)射出成形ガイドはサポートリング全体を通して単一組成を有する、実施形態35~46に記載の構築物。
48)射出成形ガイドは、生分解性である、実施形態35~47に記載の構築物。
49)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に沿って存在する、実施形態35~48に記載の構築物。
50)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に近接して存在する、実施形態35~48に記載の構築物。
51)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している、実施形態35~50に記載の構築物。
52)射出成形ガイドは、バリア材料上に3D印刷されている、実施形態35~51に記載の構築物。
53)射出成形ガイドは、バリア材料上に射出成形されている、実施形態35~52に記載の構築物。
54)避妊器具の形成方法であって、
a.射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程であって、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備える、工程;
b.上記構築物をダイに入れる工程;
c.ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、当該少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;及び
d.溶融ポリマーをダイ内に射出して、射出成形ガイドを包埋するリング構造を形成する工程、
を含む、方法。
55)構築物は、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される、実施形態54に記載の方法。
56)構築物は、
a.射出成形プロセスによって射出成形ガイドを形成する工程;
b.射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に固定する工程
を含む方法によって提供される、実施形態54に記載の方法。
57)避妊器具は、実施形態1~31のいずれかに記載の避妊器具である、実施形態54~56に記載の方法。
58)構築物は、実施形態35~53のいずれかに記載の構築物である、実施形態54~56に記載の方法。
【0107】
従って、本開示は、例えば
1)射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える避妊器具であって、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備え、射出成形ガイドはポリマーリング構造内に包埋されている、避妊器具。
2)バリア材料は、メッシュである、実施形態1に記載の避妊器具。
3)バリア材料は、繊維状である、実施形態1に記載の避妊器具。
4)バリア材料は、円形である、実施形態1に記載の避妊器具。
5)バリア材料は、実質的に円形である、実施形態1に記載の避妊器具。
6)バリア材料は、約45mm~約53mmの直径を有する、実施形態1に記載の避妊器具。
7)射出成形ガイドは、非繊維性である、実施形態1に記載の避妊器具。
8)射出成形ガイドは、120℃超の軟化点を有する、実施形態1に記載の避妊器具。
9)射出成形ガイドは、射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する、実施形態1に記載の避妊器具。
10)射出成形ガイドは、90度の角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有する、実施形態1に記載の避妊器具。
11)射出成形ガイドは、コーティングされていない、実施形態1に記載の避妊器具。
12)射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない、実施形態1に記載の避妊器具。
13)射出成形ガイドは、サポートリング全体を通して単一組成を有する、実施形態1に記載の避妊器具。
14)射出成形ガイドは、生分解性である、実施形態1に記載の避妊器具。
15)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に沿って存在する、実施形態1に記載の避妊器具。
16)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に近接して存在する、実施形態1に記載の避妊器具。
17)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している、実施形態1に記載の避妊器具。
18)射出成形ガイドは、バリア材料上に3D印刷されている、実施形態1に記載の避妊器具。
19)射出成形ガイドは、バリア材料上に射出成形されている、実施形態1に記載の避妊器具。
20)リング構造は、弾性ポリマーを含む、実施形態1に記載の避妊器具。
21)ポリマーリング構造内に存在する生物活性剤を更に含む、実施形態1に記載の避妊器具。
22)ポリマーリング構造内に存在する第一鉄化合物を更に含む、実施形態1に記載の避妊器具。
23)ポリマーリング構造内に存在するグルコン酸第一鉄又はその水和物を更に含む、実施形態1に記載の避妊器具。
24)各々ポリマーリング構造内に存在する第一鉄化合物及びアスコルビン酸を更に含む、実施形態1に記載の避妊器具。
25)実施形態1に記載の避妊器具を含むキットであって、潤滑剤、殺精子ゲル、殺精子フィルム、避妊ゲル、及びアプリケータ―のうちの少なくとも1つを更に含む、キット。
26)避妊器具を形成するための構築物であって、当該構築物は、射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備え、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備える、構築物。
27)バリア材料は、メッシュである、実施形態26に記載の構築物。
28)バリア材料は、繊維性である、実施形態26に記載の構築物。
29)バリア材料は、円形である、実施形態26に記載の構築物。
30)バリア材料は、実質的に円形である、実施形態26に記載の構築物。
31)バリア材料は、約45mm~約53mmの直径を有する、実施形態26に記載の構築物。
32)射出成形ガイドは、非繊維性である、実施形態26に記載の構築物。
33)射出成形ガイドは、120℃超の軟化点を有する、実施形態26に記載の構築物。
34)射出成形ガイドは、射出成形ガイドの周辺の全ての場所において均一な断面を有する、実施形態26に記載の構築物。
35)射出成形ガイドは、90度の角度で交差する2つの平面状表面によって形成される隅角部を有する、実施形態26に記載の構築物。
36)射出成形ガイドは、コーティングされていない、実施形態26に記載の構築物。
37)射出成形ガイドは、サイジングポリマーを含有しない、実施形態26に記載の構築物。
38)射出成形ガイドは、サポートリング全体を通して単一組成を有する、実施形態26に記載の構築物。
39)射出成形ガイドは、生分解性である、実施形態26に記載の構築物。
40)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に沿って存在する、実施形態26に記載の構築物。
41)射出成形ガイドは、バリア材料の縁部に近接して存在する、実施形態26に記載の構築物。
42)射出成形ガイドは、多孔性バリア材料内に延在している、実施形態26に記載の構築物。
43)射出成形ガイドは、バリア材料上に3D印刷されている、実施形態26に記載の構築物。
44)射出成形ガイドは、バリア材料上に射出成形されている、実施形態26に記載の構築物。
45)避妊器具の形成方法であって、
a.射出成形ガイドに固定された多孔性バリア材料を備える構築物を提供する工程であって、射出成形ガイドは複数の平面状表面を備える、工程;
b.上記構築物をダイに入れる工程;
c.ダイ内の少なくとも1つのピンの位置を、当該少なくとも1つのピンが射出成形ガイドの表面に接触するように調節する工程;及び
d.溶融ポリマーをダイ内に射出して、射出成形ガイドを包埋するリング構造を形成する工程、
を含む、方法。
46)構築物は、射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に3D印刷する工程を含む方法によって提供される、実施形態45に記載の方法。
47)構築物は、
a.射出成形プロセスによって射出成形ガイドを形成する工程;
b.射出成形ガイドを多孔性バリア材料の上に固定する工程
を含む方法によって提供される、実施形態46に記載の方法。
48)溶融ポリマーは、2剤型熱硬化性ポリマーの混合物である、実施形態45に記載の方法。
【0108】
本明細書の別の箇所でも述べるように、本開示は、本開示の避妊用医療器具及び構築物、又は関連方法を記載するために、本明細書に記載の態様及び実施形態を組み合わせてもよいことを条件とする。例えば、本開示は、多孔性バリア材料と射出成形ガイドとを含む避妊器具であって、上記射出成形ガイドは複数の平面状表面を備え、射出成形ガイドは、弾性であって生物活性剤を含有するポリマーリング構造内に包埋され、射出成形ガイド及び多孔性バリア材料は互いに固定されており、バリア材料は、約45mm~約53mmの直径を有する円形メッシュであり、射出成形ガイドは全ての場所で均一な断面形状(プロファイル)を有し、当該断面は少なくとも3つの平面状表面を有し、射出成形ガイドはまた、射出成形に使用される温度を超える融点を有する、避妊器具を提供する。射出成形ガイドは、2つの選択肢として、3D印刷又は射出成形によって調製でき、非繊維性であること、コーティングされていないこと(例えば、射出成形ガイド内にサイジングポリマーは存在しない)、及び2種以上の異なる組成物のハイブリッドよりも単一組成物から形成されることで、更に特徴づけられる。射出成形ガイドは、円形又は実質的に円形のバリア材料の外縁部(すなわち外周)に沿って面一で存在するが、任意選択でバリア材料の外縁部に近接して存在してもよい。射出成形ガイドがバリア材料上に3D印刷される場合、射出成形ガイドの作製に使用される溶融材料は多孔性バリア材料内に沈むことがあり、その結果、射出成形ガイドは部分的に多孔性バリア材料内に延在し得る。この方法で、射出成形ガイドが多孔性バリア材料に固定されるようになり得る。射出成形ガイドが多孔性バリアとは別に射出成形される場合、射出成形ガイドは、接着剤等によってバリア材料に固定され得る。
【0109】
定義
本明細書で使用される場合、有機化合物を含む化合物の命名法は、一般名、IUPAC、IUBMB、又はCASの命名法についての勧告を使用して与えることができる。1つ以上の立体化学的特徴が存在する場合、立体化学に関するCahn-Ingold-Prelog規則を用いて、立体化学的優先順位、E/Z表記などを指定することができる。当業者は、命名規則を使用した化合物構造の系統的な縮小によって、又はCHEMDRAW(商標)(Cambridgesoft Corporation、U.S.A.)などの市販のソフトウェアによって、のいずれかにより名前を与えられた場合、化合物の構造を容易に確認することができる。
明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「ある」「1つの」「当該」(「a」、「an」及び「the」)は、特に文脈が明確に規定しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「官能基」、「アルキル」又は「残基」に対する参照には、2つ以上のそのような官能基、アルキル又は残基などが含まれる。
【0110】
組成物中の特定の要素又は成分の質量部に対する本明細書及び結論である特許請求の範囲における言及は、その質量部が示された組成物又は物品中の要素又は成分と、任意の他の要素又は成分との間の質量関係を示す。従って、2質量部の成分Xと5質量部の成分Yとを含有する化合物には、X及びYが2:5の質量比で存在し、X及びYは、化合物に追加の成分が含有されているか否かにかわらず、そのような比率で存在する。
【0111】
成分の質量%(wt.%又は%w/w)は、特段の記載のない限り、成分が含まれる配合物又は組成物の総質量を基準とする。
【0112】
本明細書で使用するとき、ある化合物がモノマー又は化合物として言及される場合、1つの分子又は1つの化合物として解釈されないことは理解される。例えば、2種のモノマーは、一般的に2種の異なるモノマーを指し、2つの分子を指すのではない。
本明細書でするとき、「任意選択の」又は「任意選択で」という用語は、後に説明される事象又は状況が発生する可能性も発生しない可能性もあり、記述には当該事象又は状況が発生する事例と発生しない事例とが含まれることを意味する。
本明細書で使用するとき、用語「約」、及び「おおよそ」は、当該量又は値が、指定された正確な値又は特許請求の範囲若しくは本明細書の教示に記載されたものと等しい結果又は効果をもたらす値であり得ることを意味する。すなわち、量、サイズ、配合、パラメータ、並びに他の数量及び性質は、正確ではなく、かつ正確である必要がなく、等しい結果又は効果が得られるように、許容差、換算係数、端数計算、測定誤差等、並びに当業者に知られている他の要因を反映して、所望に応じて、おおよそ、及び/又はより大きい若しくはより小さいものであってよいことが理解される。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量又は特徴は、そのように明示されているか否かに関わらず、「約」又は「おおよそ」である。「約」が定量値の前に用いられている場合、別途明記されていない限り、そのパラメータは、その特定の定量値自体も含むことが理解される。
本明細書で使用するとき、用語「対象」は、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類又は両生類などの脊椎動物であり得る。従って、本明細書において開示される方法の対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット又は齧歯類であり得る。当該用語は、特定の年齢又は性別を意味しない。従って、成体及び新生児の対象、並びに胎児が、雄又は雌に関わらず、包含されることが意図される。一態様では、哺乳類の対象はヒトである。患者は、疾患若しくは障害に苦しんでいる、又は避妊を要求する対象を指す。用語「患者」は、ヒト及び獣医学的対象を含む。
本明細書で使用するとき、用語「投与すること」及び「投与」は、開示される避妊組成物を対象に提供する任意の方法を指す。
【0113】
本明細書で使用するとき、用語「含む」、「備える」、「含むこと」、「備えること」、「包含する」、「包含すること」、「含有すること」、「特徴とする」、「有する」、「有すること」、又はこれらの任意の他の変形は、非限定的な包含を扱うことを意図する。例えば、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明記されていない、又はかかるプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の、他の要素を含み得る。
移行句「からなる」は、特許請求の範囲に明記されていない任意の要素、工程、又は構成成分を排除し、材料に通常付随する不純物を除いて、列挙された材料以外の材料を含むことに対して請求項を閉鎖する。
語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく請求項の本文の節内で現れるとき、この語句はその節の中に示される要素のみを制限するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外されるわけではない
移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、規定された材料又は工程、並びに特許請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。「から本質的になる」は、「からなる」形式で記載されたクローズドクレームと、「含む」形式で記載された完全オープンクレームとの間の中間の位置を占める。適切なレベルの本明細書の定義による任意選択の添加剤、及び少量の不純物は、用語「から本質的になる」によって、組成から除外されない。
組成物、プロセス、構造、又は組成物、プロセス、若しくは構造の一部が、本明細書で「含む」などの非限定的な用語を用いて記載されている場合、特記のない限り、当該記載は、当該組成物、プロセス、若しくは構造の要素、又は当該組成物、プロセス、若しくは構造の一部「から本質的になる」又は「からなる」実施形態も包含する。
【0114】
「ある」「1つの」(冠詞「a」又は「an」)は、本明細書に記載される組成物、プロセス又は構造の様々な要素及び構成要素に関連して用いられる。これは、単に便宜上のもの、かつ組成物、プロセス又は構造の一般的意味を与えるためのものである。かかる記載は、要素又は構成要素の「1つ又は少なくとも1つ」を包含する。更に、本明細書で使用するとき、単数形の冠詞は、複数が除外されることが特定の文脈から明らかでない限り、複数の要素又は構成要素の記載も包含する。
用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びに他の数量及び性質が、正確ではなく、かつ正確である必要がなく、許容差、換算係数、端数計算、測定誤差等、並びに当業者に知られている他の要因を反映して、所望に応じて、おおよそ、及び/又はより大きい若しくはより小さいものであってもよい。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の数量又は特徴は、そのように明示されているか否かにかかわらず、「約」である。
【0115】
用語「又は」(若しくは)は、本明細書で使用するとき、包括的である。すなわち、句「A又はB」は、「A、B、又はA及びBの両方」を意味する。より具体的には、条件A又はBは、以下のいずれかで満足される:Aが真(又は存在している)かつBが偽(又は存在していない)、Aが偽(又は存在していない)かつBが真(又は存在している)、A及びBが共に真(又は存在している)。排他的な「又は」は、本明細書において、「A又はBのいずれか」及び「A又はBのうちの1つ」などの用語で表記される。
【0116】
更に、本明細書で記載される範囲は、別途明記されない限り、その終点を包含する。更に、量、濃度、又は他の値又はパラメータが、1つの範囲、1つ以上の好ましい範囲、又は上方の好ましい値と下方の好ましい値とのリストとして与えられる場合、これは、そのような対が別々に開示されるかどうかに関係なく、任意の上方の範囲限界若しくは好ましい値と、任意の下方の範囲限界若しくは好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を特異的に開示するものと理解されるべきである。本発明の範囲は、範囲を規定するときに挙げられた特定の値に限定されない。
材料、方法又は機械が、「当業者に既知の」、「従来の」又は同様の語句と共に本明細書に記載される場合、この用語は、本願を出願した時点で従来技術である材料、方法及び機械が本記載によって包含されることを意味する。現在は従来技術ではないが、同様の目的のために適切であると当該技術において認識されることになる材料、方法及び機械も包含される。
特記のない限り、全ての百分率、部、比等の量は、質量によって定義される。
【0117】
本明細書に包含される全ての特許、特許出願及び参考文献は、参照によってその全体が本明細書に明確に援用される。
当然、上記は本開示の好ましい実施形態のみに関連すること、及び本開示に記載の本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、多数の修正又は変更を加えてもよいことは、理解されるべきである。
本開示を、本明細書に含まれる実施例によって更に例証するが、当該実施例は、本開示の範囲をいかなる形でも限定すると解釈されるべきではない。それどころか、本明細書の記載を読んだ後、本開示の精神及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者が想起できる様々な他の実施形態、修正、及びその等価物を用いることができることは、明白に理解されるべきである。
【実施例
【0118】
実施例1
Lactoprene(登録商標)8812ポリマーの合成
ラクチド及びトリメチレンカーボネートを含む多軸ポリマーを、米国特許第7,048,753号に従って合成した。合成に使用したラクチド対トリメチレンカーボネートの比は88:12であった。次いで、ポリマーを粉砕して、より小さい粒径にした。
【0119】
実施例2
マルチフィラメント糸-43への押出
Lactoprene(登録商標)8812ポリマーを、Novatecポリマー乾燥機に入れ、110℃で約1時間45分乾燥した。次いで、ポリマーを、各穴の内径が12milの43穴ダイに入れ、マルチフィラメント糸を押出した。押出した糸に、スピン仕上げ剤(Lurol(登録商標)PT-6Aスピン仕上げ剤)を適用した。次いで、押出した糸を、1組のゴデットの上で配向させた。次いで、糸が80~100のデニール(g/9000m)及び20~40%の伸びを有するまで、糸をゴデット上で再配向させた。
【0120】
実施例3
マルチフィラメント糸-86への押出
Lactoprene(登録商標)8812ポリマーを、Novatecポリマー乾燥機に入れ、110℃で約1時間45分乾燥した。次いで、ポリマーを、各穴の内径が25milの86穴ダイに入れ、マルチフィラメント糸を押出した。押出した糸に、スピン仕上げ剤(Lurol(登録商標)PT-6Aスピン仕上げ剤)を適用した。次いで、押出した糸を、1組のゴデットの上で配向させた。次いで、糸が80~100のデニール(g/9000m)及び20~40%の伸びを有するまで、糸をゴデット上で再配向させた。
【0121】
実施例4
モノフィラメント糸への押出
Lactoprene(登録商標)8812ポリマーを、約1.75mmの最終直径を有するモノフィラメントに押出した。
【0122】
実施例5
編物メッシュ
ラクチド-co-TMCポリマーマルチフィラメント糸(実施例2)を、SSM巻取り機及びLIBA GE203A高速整経機を用いて、巻取り、双糸に整経した。この双糸を、LIBA Racop 4-O、9ゲージ、4枚おさ編機を用いてメッシュ状に編成した。おさ2及び3を編成に使用した。編機は、38コース/インチ及び、2枚おさトリコットパターン用にセットアップした。
【0123】
実施例6
編物メッシュ清浄化
メッシュ(実施例5)を、約68cmの長さに切断して、メッシュパネルを提供した。このメッシュパネルを、ガラスジャーの中に入れた。次いで、ジャーの上から約1インチ以内まで、ジャーにイソプロピルアルコール(IPA)を満たした。ジャーを封止し、次いで、最高速度に設定したジャーローラーミルの上に10~20分間置いた。メッシュパネルをジャーから取り出した。この洗浄プロセスを、新たなIPAを用いて繰り返した。洗浄後、メッシュパネルを少なくとも60分間自然乾燥した。次いで、メッシュパネルを、完全真空下で2時間乾燥した。
【0124】
実施例7
残留スピン仕上げ剤
実施例10の構築物のメッシュ中の残留スピン仕上げ剤(Lurol(登録商標)PT-6Aスピン仕上げ剤)を、HPLC分析を用いて分析した。実施例10の構築物から得たLactoprene 8812メッシュのサンプル約800mgを、40mLのガラスシンチレーションバイアルに入れた。約2.5%(v/v)のシクロヘキサンを含有するイソプロパノール溶液約8mLを、サンプルに加えた。サンプルをオービタルシェイカーの上に4時間置いた。次いで、サンプルを、繊維の大部分が沈降するまで静置した。サンプルから採取した溶液のアリコートを水で1:1に希釈した。希釈したアリコートを、C8カラム、水/アセトニトリル勾配、及びELSD検出器を用いてHPLCで分析した。希釈したアリコートは、2回分析した。すなわち、各サンプルについて測定を2回実施した。Lurol(登録商標)PT-6Aスピン仕上げ剤を用いて標準曲線を作成した。このプロセスを2回繰り返し、合計で3種の構築物を6回測定して分析した。スピン仕上げ剤の残留レベルを、表1に示す。
【表1】
【0125】
実施例8
編物メッシュの熱硬化
洗浄した実施例6のメッシュパネルをピンフレーム内に置き、フレーム内のメッシュに張力をかけた。メッシュパネルが入ったピンフレームを、約145℃に設定したオーブン内に約3分間置いた。冷却後、メッシュパネルをピンフレームから取り出した。このプロセスを、数種の異なるメッシュパネルを用いて繰り返した。熱硬化したメッシュパネルは、以下の特性を有した(表2参照)。表中、I.V.は溶解したメッシュの固有粘度を指す。
【表2】
【0126】
実施例9
バリアメッシュ上への射出成形ガイドの3D印刷
表3に識別された射出成形ガイド材料のフィラメントを、3Dプリンタに投入した。プリンタのプリントベッドを約100℃に加熱し、その後、プリントベッドを水平にした。次いで、プリントベッドを約50℃未満まで冷却し、バリア材料(メッシュ)をプリントベッドの上に置いた。バリア材料を、接着剤テープを用いてプリントベッドに固定した。次いで、プリントベッドの温度を約100℃まで上昇させた。次いで、射出成形ガイドをバリア材料の上に印刷した。印刷に続き、印刷した材料を、当該材料をアニールするための時間、プリントベッド上に保持した。次いで、プリントベッドを自然冷却し、バリア材料を安全に取り扱える温度(<50℃)までプリントベッドが冷却された後、バリア材料をプリントベッドから取り出した。印刷されたバリア構築物に関する情報を下の表3に示す。
【表3】
【0127】
実施例10
射出成形ガイドの3D印刷
Lactoprene(登録商標)8812ポリマーを使用して、L字形の射出成形ガイドをラクチド/TMC編物バリア材料の上に3D印刷した。編成パターンは、2ply/43カウント(86総カウント)の糸を使用したトリコット系パターンであった。
Lactoprene(登録商標)8812ポリマーのフィラメントを3Dプリンタに投入した。プリンタのプリントベッドを約100℃に加熱し、その後、プリントベッドを水平にした。次いで、射出成形ガイドを、プリントベッド上に印刷した。印刷に続き、印刷した材料を、当該材料をアニールするための時間にわたって、プリントベッド上に保持した。次いで、プリントベッドを自然冷却し、射出成形ガイドを安全に取り扱える温度(<50℃)までプリントベッドが冷却された後、射出成形ガイドをプリントベッドから取り出した。このプロセスを数回繰り返した。印刷された射出成形ガイドの特性を下の表4に詳細に示す。表中、I.D.は射出成形ガイドの内径を指し、O.D.は外径を指す。
【表4】
【0128】
実施例11
射出成形された構築物
実施例5で作成したメッシュ1枚を、おおよその金型のサイズに切断した。このメッシュを金型に挿入した。金型を閉じ、Lactoprene(登録商標)8812ポリマーを使用して、L字形の射出成形ガイドをメッシュ上にオーバーモールドした。得られたメッシュ構築物を金型から取り出し、構築物の外縁上の余分なメッシュを構築物からトリミングした。
【0129】
実施例12
グリシンの篩過
グリシンを、シリコーンに組み込む前に、篩過した。200メッシュ篩を、篩過回収皿の上に追加した。次いで、100メッシュ篩を、上記200メッシュ篩の上に追加した。約600gのグリシンを、100メッシュ篩の上に加えた。100メッシュ篩にカバーを載せた。上記の篩の組み合わせを、機械的篩振盪機に入れた。篩振盪機を10分間運転した。カバー及び100メッシュ篩を取り除き、200メッシュ篩上に回収されたグリシンをポリ袋に入れた。このプロセスを、十分な篩過グリシンが得られるまで繰り返した。次いで、ポリ袋をヒートシールし、保管した。
【0130】
実施例13
グルコン酸第一鉄の篩過
グルコン酸第一鉄を、シリコーンに組み込む前に、篩過した。140メッシュ篩を、篩過回収皿の上に追加した。次いで、100メッシュ篩を、上記140メッシュ篩の上に追加した。約600gのグルコン酸第一鉄を、100メッシュ篩の上に加えた。100メッシュ篩にカバーを載せた。上記の篩の組み合わせを、機械的篩振盪機に入れた。篩振盪機を10分間運転した。カバー及び100メッシュ篩を取り除き、140メッシュ篩上に回収されたグルコン酸第一鉄をポリ袋に入れた。このプロセスを、十分な篩過グルコン酸第一鉄が得られるまで繰り返した。次いで、ポリ袋をヒートシールし、保管した。
【0131】
実施例14
ポリグリコール酸粉末の製粉及び微粉化
末端カルボン酸基を有するポリグリコリドポリマー(固有粘度約0.13dL/g)を、Thomas Model 4 Wiley Millを用いて粉砕して粉末にした。このポリグリコリド粉末を、次いで、Fluid Energy Aljet Jet-O-Mizer(商標)マイクロナイザー(型式0101、2mmスクリーン)を用いて微粉化し、Schenck AccuRate(登録商標)Tuf-Flex(商標)定量供給機(型式102)を、当該供給機用のハーフピッチ供給スクリューを用いて構成した。プッシャー及びグラインダーノズル上に表示される送出圧力の読取り値が、各々約120psiになるまで、窒素圧力を調節した。ポリグリコリドポリマーを供給ホッパーに注入し、供給設定を2に調節した。マイクロナイザー及び供給機を稼働すると、ポリマーはマイクロナイザーを通過し、ポリマーが微粉化された。マイクロナイザーからの出力を、プラスチック容器に回収した。全てのポリマーを微粉化し、回収した後、回収容器を閉じ、装置を停止した。
【0132】
実施例15
医療グレードの2剤型白金硬化シリコーン(Silastic(登録商標)Q7-4840シリコーン)を使用して、リングのシリコーンコンポーネントを作製した。約3kgのSilastic(登録商標)A剤を、Jaygo混合装置のボウルに加えた。約330gのアスコルビン酸、441gのグルコン酸第一鉄、184gのグリシン及び184gの粉末化ポリグリコリドポリマーを、Silastic(登録商標)A剤に添加した。上記材料を約35分間混合し、その後、混合ボウルに真空を提供し、混合物を更に60分間混合した。混合を30分間停止し、混合物を自然脱気させた。次いで、混合物を、ゆっくりと更に20分間混合する。真空を開放し、混合物をプラスチックバケツに移した。次いで、プラスチックバケツを封止した。このプロセスを、約3kgのSilastic(登録商標)B剤を用いて繰り返した。
【0133】
実施例16
実施例15で得られたグルコン酸第一鉄及びアスコルビン酸を投入したSilastic(登録商標)A剤及びB剤を、液体シリコーンゴム射出成形装置に投入した。3D印刷した射出成形ガイドを有するバリア材料を、特注のステンレス鋼製金型に入れた。金型の上部を金型の下部に近づけ、金型にクランプ力をかけた。Silastic(登録商標)A剤とB剤をライン内で混合し、金型内に射出した。Silastic(登録商標)を、約180kNのクランプ圧、約120℃で、約2~3分硬化した。金型を開放し、形成された器具を金型から取り出し、室温まで自然冷却した。
【0134】
実施例17
リング(実施例16)を、Tyvekパウチに入れた後、当該パウチをヒートシールした。リングを、エチレンオキサイド(ETO)を使用して滅菌した。次いで、滅菌リングを、真空下で約7日間乾燥した。Tyvekパウチ内のリングを、次に、ラベル表示したホイルパウチに入れ、ヒートシールした。
【0135】
実施例18
ETO滅菌及び最終包装を行った完成した避妊器具の特性を測定した。避妊器具は、グルコン酸第一鉄、アスコルビン酸、グリシン及び硬化シリコーンリングの一部としてのポリグリコリド粒子を有するラクチド/TMCポリマー編物メッシュを含む。当該器具は、シリコーンリングコンポーネントの射出成形の前にメッシュに取り付けられたラクチド/TMCを3D印刷した射出成形ガイドを含む。避妊器具の外径及びリコーンリングコンポーネントの内径を、ノギスを用いて測定した。1つのリングにつき4回測定を実施し、3ロットのリングを評価した。結果を表5に示す。
【表5】
【0136】
器具の質量を、天秤を使用して測定した。表6を参照されたい。
【表6】
【0137】
メッシュの孔径は、編目の隙間の距離で測定した。顕微鏡を、4xに設定した対物レンズを用いてセットアップし、顕微鏡の光源を最大に設定し、追加の外部光源を、載物台の中央に焦点を合せた。使用したソフトウェアシステム(Motic Images plus 2.0)を、キャリブレーションスライドを使用して較正した。バリア材料が顕微鏡の焦点経路に置かれるように、避妊器具を載物台に載せた。画像の焦点を合せた後、Motic Images plus 2.0ソフトウェアに接続したデジタルカメラを使用して、バリア材料の3664×2748ピクセルの画像をキャプチャした。精度は0.01μmに設定した。孔径は、バリア材料の上層の編目の隙間の短い幅の距離として測定した。このプロセスを、各ロット内の各メッシュについて、少なくとも10回の測定を実施するまで繰り返した。表7を参照されたい。
【表7】
【0138】
メッシュリング完全性試験は、ボールバースト強度測定装置を使用して、シリコーンリングを拘束した状態で、避妊器具のメッシュ部分を設定距離にわたって変位した結果生じる力(N)を測定する。避妊器具を特注のボールバーストフレームに置き、その後、避妊器具のシリコーンリング部分がフレームにしっかりと保持されるように、フレームの上部を閉じる。ボールアタッチメントを、MTS社の機械試験機に取り付けられたロードセルに取り付けた。ボールアタッチメントを、避妊器具のバリア部分のすぐ上に来るまで下げた。次いで、ボールアタッチメントを避妊器具のバリアコンポーネントに対して押しつけることで、試験を開始した。ピーク負荷を測定した。表8を参照されたい。
【表8】
【0139】
圧縮変形又は曲げ力を、避妊器具について測定した。2枚の平板を、MTS Synergie 200機械試験機に取り付けた。避妊器具を底板上に縦に置き、次いで、上板を、板が器具に接して器具を所定の場所に保持するまで下げた。観察される負荷力0.25N未満となるはずである。次いで、上板を1mm/秒の速度で下方に動かし、総距離1インチとなるように試験を開始した。ピーク負荷力を、リングの3ロットの各リングについて測定した。表9を参照されたい。
【表9】
【0140】
実施例19
垂直方向透水性能試験
様々な編物メッシュ、及び射出成形ガイドを有する編物メッシュの構築物の垂直方向透水性能を評価した。それぞれの場合において、バリア材料は、トリコットパターンで編成されたラクチド/TMCコポリマーであった。垂直方向透水性能は、ASTM D 4491を使用し、コンスタントヘッドテストを用いて試験した。表10を参照されたい。
【表10】
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
【国際調査報告】