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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】土壌湿潤剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/14 20060101AFI20230111BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20230111BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20230111BHJP
   A01N 43/707 20060101ALI20230111BHJP
   C09K 17/18 20060101ALI20230111BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C09K17/14 H
A01P13/00 ZBP
A01N43/40 101F
A01N43/707
C09K17/18 H
C08L71/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527748
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020082152
(87)【国際公開番号】W WO2021094594
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】1916527.3
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン マリー ナイト
(72)【発明者】
【氏名】ローラ エリザベス ウェザーヘッド
【テーマコード(参考)】
4H011
4H026
4J002
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BA05
4H011BB09
4H011BC03
4H011BC06
4H026AA07
4H026AA09
4H026AB01
4J002CH02W
4J002CH02X
4J002CH02Y
4J002EH156
4J002EH157
4J002EW047
4J002FD206
4J002FD207
4J002GA00
(57)【要約】
ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステル、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーと、アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル及び/又はアルコキシル化グリセリドから選ばれた相容化界面活性剤とを有する土壌処理製剤。この製剤は、必要に応じて、農薬活性物質及び/又は栄養剤を含む。本発明の土壌処理組成物は、土壌の保水性の向上及び/又は土壌のコンディショニングにおいて使用するのに適している。この製剤の製造方法及びこの製剤による土壌の処理方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む土壌処理製剤:
(i)脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均で5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステル、
(ii)エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、及び
(iii)アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択された相溶化界面活性剤。
【請求項2】
ソルビタンの前記エトキシル化脂肪酸モノエステルが式(I)の化合物である、請求項1に記載の製剤:
【化1】
上式中、
i)Sorbは、ソルビタンから4つのヒドロキシルH原子を除去することによって得られた残基を表し、
i)EOは、エチレンオキシ又はプロピレンオキシ残基を表し、
ii)n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立に、0~10、好ましくは0.5~5の平均値を表し、
v)合計n1+n2+n3+n4は、5~25、特に8~12である平均値を有し;
vi)R、R、R及びRは、それぞれ独立に、H又はアシル基-C(O)-Rを表し、ここで、RはC~C13ヒドロカルビル基、より通常はC~C13ヒドロカルビル基、特におよそC11のヒドロカルビル基、特にアルキル又はアルケニル基、特に直鎖アルキル又はアルケニル基である。
【請求項3】
前記エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーが、1,500~15,000の範囲内の平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記相溶化界面活性剤が、アルコキシル化脂肪アルコール又はアルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記相溶化界面活性剤が、C~C30脂肪鎖を有し、1~30個のオキシアルキレン基を含むアルコキシル化脂肪アルコールである、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記相溶化界面活性剤が、下記一般式のアルコキシル化アルコールである、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤:
【化2】
上式中、
は、4~30の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の炭化水素基であり、
AOは、オキシアルキレン基であり、
xは1~30の範囲内の整数を表す。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の土壌処理製剤の製造方法であって、以下を混合することを含む前記方法:
(i)脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均で5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステル、
(ii)エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、及び
(iii)アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択された相溶化界面活性剤。
【請求項8】
植生及び/又は土壌への施用に好適な農薬製剤であって、希釈された請求項1~6のいずれか一項に記載の土壌処理製剤と、必要に応じて少なくとも1種の農薬活性物質及び/又は栄養素を含む、農薬製剤。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の土壌処理製剤を施用することを含む、土壌を湿潤化及び/又は調整する方法。
【請求項10】
土壌の保水性を改善するための及び/又は土壌のコンディショニングのための、以下を含む土壌処理製剤の使用:
(i)脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均で5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステル、
(ii)エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、及び
(iii)アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択された相溶化界面活性剤。
【請求項11】
土壌を処理して湿潤させる及び/又は前記土壌をコンディショニングする方法であって、希釈された請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤を前記土壌に施用することを含む方法。
【請求項12】
脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステルと、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーとを含む土壌処理製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬活性製剤において使用するための成分であって、それが施用される土壌における湿潤性、再湿潤性及び水分保持性を維持及び改善するための成分に関する。本発明はまた、かかる製剤を使用して作物を処理する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
土壌は、本来、本質的に疎水性であることがあり、これは、土壌が長時間乾燥したままであったり、あるいは、高い有機物含量を有する場合に、しばしば増幅される。土壌の疎水性は、水溜りの形成や表面流出を引き起こすことがあり、芝草や畑作物の場合には、植物の根圏への水の浸潤(infiltration)と供給の制限により植物の成長に直接的な影響を及ぼすことがある。土壌の質及び物理化学的特性は、土壌断面にわたる水の浸透(penetration)及びパーコレーション(percolation)に直接影響を及ぼし得る。
【0003】
これを克服するために、疎水性土壌の湿潤化のために、土壌への界面活性剤及びポリマーの施用が一般的な商慣行になっている。アニオン系湿潤剤の施用は、疎水性土壌への水の浸潤を増加させるのに有利であることが何十年も前から知られている。典型的には、これらの材料は、使用率と作物被害及び植物毒性を妨げることとのバランスをとることに苦慮してきた。
【0004】
非イオン性湿潤剤の用途は過去10年間で増加し、現在では芝草やアメニティ用途への施用が一般的である。
【0005】
土壌湿潤性を提供するが、様々な農薬作物用途のために農薬材料との任意の組み合わせが可能な多機能な湿潤剤組成物を提供することは依然として有益である。
【0006】
農薬成分、特に出芽前除草剤は、しばしば土壌に直接施用されるが、土壌は、本来、疎水性基質であり、水と都合よく相互作用しない。土壌の疎水性の性質は、灌注に基づく施用物の浸透及び浸潤を制限することがある。かかる好ましくない相互作用の結果、表面流出や土壌中の水のパーコレーション及び分布の減少をもたらしうる。農薬製品及びそれらの希釈物は、通常、水系製剤として施用されるため、土壌処理の必要性が浮き彫りになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、必要に応じて農薬活性物質(agrochemical active)との組み合わせで、それ自体で又は農薬組成物の一部として使用することができる土壌処理製剤の使用を提供しようとするものであり、ここで、化合物は所望の土壌湿潤性及び土壌保水性を提供することができる。本発明はまた、前記化合物を含む農薬濃厚物(aglochemical concentrates)及び希釈製剤の使用を提供しようとするものである。
【0008】
本発明は、疎水性土壌中への水の浸透を高めることに関し、土壌の湿潤化と、土壌の再湿潤化、水分の保持、及び土壌帯を通じた水のパーコレーション/フィルトレーションの改善を含む。水が流れるためには、土壌が十分に湿潤していることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、以下を含む土壌処理製剤が提供される:
(i)脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均で5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステル、
(ii)エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、及び
(iii)アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択された相溶化界面活性剤(compatibilising surfactant)。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の土壌処理製剤の製造方法であって、以下を混合することを含む方法が提供される:
(i)脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均で5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステル、
(ii)エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、及び
(iii)アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択された相溶化界面活性剤。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、植生及び/又は土壌への施用に好適な農薬製剤であって、希釈された第1の態様の土壌処理製剤と、必要に応じて少なくとも1種の農薬活性物質及び/又は栄養素を含む農薬製剤が提供される。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様の土壌処理製剤を施用することを含む、土壌を湿潤化及び/又はコンディショニングする方法が提供される。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、土壌の保水性を改善するため及び/又は土壌のコンディショニングのための、以下を含む土壌処理製剤の使用が提供される:
(i)脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均で5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステル、
(ii)エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、及び
(iii)アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択された相溶化界面活性剤。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、土壌を処理して湿潤させる及び/又は前記土壌をコンディショニングする方法であって、希釈された第1の態様の製剤を前記土壌に施用することを含む方法が提供される。
【0015】
本発明の第7の態様によれば、脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均5~25である、ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステルとエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーとを含む土壌処理製剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の土壌処理製剤は、土壌の物理的性質、特に湿潤性能及び保水性を改善するために使用することができる。この土壌処理製剤は、ダメージを受け、不十分な湿潤能力を有するやせた土壌を改良するために使用することができる。この土壌処理製剤は、不十分な地表をより使いやすくするため、及び土壌をピーク状態に維持するため、並びに土壌パーコレーションを改善するために使用することができる。この土壌処理製剤は、地表の水湿潤能力、水の保持及び/又は取込み能力を改善するために使用されてもよい。この土壌処理製剤の使用は撥水性の土壌における水の取込み/湿潤速度を著しく高めることが見出された。この組み合わせは、意外にも、当該技術分野で以前に達成されたものと比べて、疎水性土壌及び植物成長培地に対して、湿潤速度(水の浸潤)の向上と、パーコレーションの均一性の改善を示すとともに、様々な農薬材料との相溶性を提供する安定濃厚物である。
【0017】
本発明の土壌処理製剤は、農作物、芝草、種子に対して、また、植物成長培地の製造に使用することができる。この土壌処理製剤は、例えば、土壌又は砂に対して使用することができる。
【0018】
本開示で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば・・・など(such as)」又は「を包含する(including)」という用語は、より一般的な主題をさらに明確にする例を紹介することを意味する。特に明記しない限り、これらの例は、本開示に示される用途を理解するための助けとしてのみ提供されており、どんなことであれ限定することを意図するものではない。
【0019】
置換基中の炭素原子の数を説明する場合(例えば、「C~Cアルキル」)、この数は、任意の分枝基に存在するものを含む、置換基に存在する炭素原子の総数を指す。さらに、例えば、脂肪酸中の炭素原子の数を説明する場合、これは、カルボン酸に位置するもの及び任意の分枝基に存在するものを含む炭素原子の総数を指す。
【0020】
ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステルは、脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度は平均で5~25である。
【0021】
ソルビタンのエトキシル化脂肪酸モノエステルは、好ましくは式(I)の化合物である:
【化1】
上式中、
i)Sorbは、ソルビタンから4つのヒドロキシルH原子を除去することによって得られた残基を表し、
i)EOは、エチレンオキシ又はプロピレンオキシ残基を表し、
ii)n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立に、0~10、好ましくは0.5~5である平均値を表し、
iii)合計n1+n2+n3+n4は、5~25、特に8~12である平均値を有し、
iv)R、R、R及びRは、それぞれ独立に、H又はアシル基-C(O)-Rを表し、ここで、RはC~C13ヒドロカルビル基、より通常はC~C13ヒドロカルビル基、特におよそC11のヒドロカルビル基、特にアルキル又はアルケニル基、特に直鎖アルキル又はアルケニル基である。
【0022】
ソルビタン残基は、4つのヒドロキシルH原子を除去することによって得られ、除去されたH原子の各々が基(AOn1)、(AOn2)、(AOn3)及び(AOn4)で置換されることにより形成されたエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステルであると理解されるべきである。
【0023】
好ましくは、R、R、R及びR基の平均2.8~3.2個がHであり、R、R、R及びR基の平均0.8~1.2個がアシル基-C(O)-Rである。
【0024】
本発明の化合物において、式(I)中の残基「Sorb」に対応する、分子のコアにあるソルビタン残基は、典型的には、主に、1,4-アンヒドロソルビトール、1,5アンヒドロソルビトール及び3,6-アンヒドロソルビトールの残基が混在するものである。
【0025】
この混在するものは、典型的には、いくらかの1,4,3,6-ジアンヒドロソルビトール(iso-ソルビド)を含んでいてもよいが、iso-ソルビドエステルからのエトキシル化生成物はあまり有用ではないことがあるので、iso-ソルビドが存在する場合には、iso-ソルビドの割合は通常比較的低い。
【0026】
対照的に、20-エトキシレートソルビタンエステルは、典型的には、約15以上のHLB値を有する親水性界面活性剤である。これらのより高度にエトキシル化されたポリソルベートは、Tween(登録商標)20(ソルビタンモノラウレート20-エトキシレート)のように、アジュバントとして、及び乳化剤として、農薬製剤に広く使用されている。
【0027】
ソルビタンのエトキシル化脂肪酸モノエステルの脂肪酸の炭素鎖長は、好ましくは10~14であることができる。より好ましくは、この炭素鎖長は約12である。
【0028】
全エトキシル化/プロポキシル化度は、平均で、好ましくは5~25であることができる。より好ましくは、全エトキシル化度は、平均で約10であることができる。
【0029】
本発明のエステル及び本発明において使用されるエステルは、望ましくはモノエステルである。この一般的なタイプのエトキシル化ソルビタンエステル化合物において、名目上のモノエステルは、エトキシル化エステルのソルビタンエステル前駆体を生成させるために使用されるソルビトールと脂肪酸のモル比がおよそ1:1なのでそのように呼ばれるが、わずかに過剰、例えば、5~10モル%過剰の脂肪酸を使用することが一般的である。
【0030】
環化反応(本開示に記載)は、ソルビトール残基及びiso-ソルビド残基を含む生成物に加えて、ソルビタン残基を有するものをもたらす。さらに、「モノエステル」(及び対応するエトキシル化誘導体)は、小さな割合の、未エステル化ポリオール(ソルビトール/ソルビタン/iso-ソルビド)残基を含む化合物と、かなりの割合の、主にソルビタンのモノ-及びジ脂肪アシルエステルであるが、適度な割合のiso-ソルビドに基づくものと小さな割合のソルビトールに基づくものを含み、主にソルビタンに基づくある程度のトリ-及びより高次のエステルとを含む。これは、大半の割合のトリ-及びより高次のエステルを多く含むソルビタンの名目上の「トリエステル」とは対照的である。もちろん、エトキシル化後の個々の化合物の範囲はさらに大きくなる。
【0031】
最初のエステル化では、アシル残基の大部分はソルビトール又はソルビタン中の第1級ヒドロキシル(ソルビトールの1-又は6-位に相当)と反応するが、その後の処理でトランスエステル化によりアシル基の位置が大きくランダムになると理解することができる。エトキシル化/プロポキシル化は、さらなるエステル交換を引き起こし、アシル位置をさらにランダムにする。
【0032】
式(I)の化合物の文脈において、化合物がモノエステルであるとは、一般的に、中間体ソルビタンエステル(合成についてはさらに以下を参照)を生成させるために使用される脂肪酸及び(通常)ソルビトールの相対(モル)量がモノエステルを生成させることにほぼ対応することを意味する。
【0033】
したがって、望ましくは、式(I)により表される本発明の化合物中のソルビタンの各1モルに対して、一般的に平均して0.8~1.2個のアシル残基置換基がソルビタン上に存在する。すなわち、式(I)を参照すると、0.8~1.2個の基R、R、R及びRが式-C(O)-Rのアシル基であり、それに対応して2.8~3.2個の基は水素原子である。しかしながら、上述したように、1つより多くのアシル基を有するエステルも通常、合成された生成物中に存在する。
【0034】
式(I)におけるアシル基-C(O)-Rに対応する、本発明の化合物中の脂肪酸残基は、C~C14、特にC10~C14、より具体的にはおよそC12の脂肪酸残基である。実際に入手可能なテクニカルグレードの脂肪酸に適用した場合、これらの範囲は平均炭素鎖長を表す(任意の個々の材料については、したがって非整数であってもよい)。一般的に、かかる混合物中の個々の脂肪酸の鎖長は、望ましくは、平均値から2炭素原子以内であろう。かかるアシル残基の特に有用な供給源は、テクニカルグレードのラウリン酸であり、これは、典型的には、主にC~C14の鎖長を有する脂肪酸の混合物であるヤシ油から誘導される。
【0035】
本発明の化合物及び本発明において使用される化合物は、対応する既知の化合物-ポリソルベートについて当該技術分野で一般的に知られている方法によって製造することができる。特に、それらは、一群として一般的に知られているソルビタンエステル類から、通常、塩基性触媒下でのエチレンオキシドとの反応によって製造することができる。塩基性触媒は、水酸化ナトリウムもしくはカリウム又はナトリウムもしくはカリウムメトキシドによって提供することができる。エトキシル化反応は、典型的には、150~180℃の温度及び400~650kPa(ゲージ)の圧力で実施することができる。
【0036】
本発明の化合物を製造するエトキシル化反応の出発物質として使用されるソルビタンエステル類は、一般的に知られており、それら自体は、ソルビタンへのソルビトールの脱水環化とエステル化によって、ソルビトールを適切な脂肪酸と反応させてソルビタンエステルを形成することで製造することができる。適切な脂肪酸は、炭素鎖長が8~14、好ましくは10~14、より好ましくは約12である。
【0037】
ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステルの分子量(質量平均)は、好ましくは400~2,700、より好ましくは500~2,000、特に550~1,800、さらに好ましくは550~1,600の範囲内である。
【0038】
ソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステルのHLBは、好ましくは4~25、より好ましくは5~20、特に好ましくは5~18の範囲内である。
【0039】
ソルビタンエステルの好ましい具体例は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(8)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(12)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(16)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(15)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(10)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(15)ポリオキシプロピレン(5)ソルビタンモノラウレートから選択することができる。
【0040】
相溶化界面活性剤は、アルコキシル化脂肪アルコールもしくはアルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、及び/又はアルコキシル化グリセリドから選択される。好ましくは、アルコキシル化脂肪アルコール又はアルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステルである。より好ましくは、アルコキシル化脂肪アルコールである。
【0041】
アルコキシル化脂肪アルコールは、C~C30脂肪鎖を有し、1~30個のオキシアルキレン基を含むものから選択することができる。
【0042】
一実施形態では、コアジュバントは、下記一般式のアルコキシル化アルコールである:
【化2】
上式中、
は、4~30の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の炭化水素基であり;
AOは、オキシアルキレン基であり;
xは1~30の範囲内の整数を表す。
【0043】
オキシアルキレン基(AO)は、式-(C2yO)-(式中、yは2、3又は4から選択される整数である。)の基から選択することができる。好ましくは、yは2又は3である。
【0044】
オキシアルキレン基AOは、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、又はオキシテトラメチレンから選択することができる。好ましくは、オキシアルキレン基は、オキシエチレン(EO)及び/又はオキシプロピレン(PO)から選択される。
【0045】
オキシアルキレン鎖がホモポリマーである場合には、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのホモポリマーが好ましい。より好ましくは、エチレンオキシドのホモポリマーが特に好ましい。
【0046】
1つより多くのオキシアルキレン基が存在し(すなわち、xが2以上の場合)、少なくとも2つが同じオキシアルキレン鎖の一部である場合、オキシアルキレン基は、当該オキシアルキレン鎖に沿って同じでも異なっていてもよい。本実施形態では、オキシアルキレン鎖は、異なるオキシアルキレン基のブロック又はランダムコポリマーであることができる。
【0047】
製剤の粘度を低下させることが必要である場合、アルコキシル化脂肪アルコールの異なるオキシアルキレン基のブロック又はランダムコポリマーが特に好ましい。
【0048】
各オキシアルキレン鎖中のオキシアルキレン基の数(すなわち、各パラメータxの値)は、1~30の範囲内である。好ましくは、2~25の範囲内である。より好ましくは、3~10の範囲内である。さらに好ましくは、4~7の範囲内である。
【0049】
~C30ヒドロカルビルは、好ましくは、C~C30アルキル又はC~C30アルケニルから選択することができる。
【0050】
本開示で使用される「アルキル」という用語は、他に定義しない限り、4~30個の炭素原子を含む直鎖、分枝、又はそれらの組み合わせである飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、アルキルは、それぞれ6~24個の炭素原子を含む。より好ましくは、炭素原子数8~22である。最も好ましくは、炭素原子数10~20である。
【0051】
アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、又はそれらの分枝異性体から独立に選択することができる。
【0052】
アルキル基は、好ましくは、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、又はそれらの分枝異性体から選択することができる。
【0053】
本開示で使用される「アルケニル」という用語は、他に定義しない限り、少なくとも1つ又は複数、好ましくは4つ以下の二重結合を有する炭化水素基を意味する。アルケニル基は、直鎖、又は分岐した部分、又はそれらの組み合わせであることができる。
【0054】
アルケニル基は、それぞれ4~30個の炭素原子を含んでいてもよい。好ましくは、アルケニルは、それぞれ5~26個の炭素原子を含む。より好ましくは、炭素原子数10~24である。最も好ましくは、炭素原子数16~22である。
【0055】
アルケニル基の例は、エチル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセネニル、ヘンイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル、又はそれらの分枝異性体から独立に選択することができる。
【0056】
アルキル基は、好ましくは、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、又はこれらの分枝異性体から選択することができる。
【0057】
より好ましくは、Rは、脂肪アルコールから誘導されたものであることができ、脂肪アルコールの残基であることができる。
【0058】
が脂肪アルコールから誘導される場合、Rは、脂肪アルコールの残基であるアルコキシ基(R-O-)を表す。
【0059】
本開示で使用する「脂肪アルコールの残基」という用語は、その部分が実際に特定の化学種から得られたかどうかに関わらず、反応スキーム又はその後の製剤もしくは化学製品における、脂肪アルコール生成物である部分を意味する。「脂肪アルコール残基」は、脂肪アルコールが特定の反応に参加したときに生じる部分を指す(すなわち、残基は脂肪アルコキシ基R-O-である)。したがって、脂肪アルコール残基は、各脂肪アルコールから「誘導」される。この部分は、本質的に特定の脂肪アルコール以外の種との反応によって、例えば、不飽和脂肪アルコールの塩化物、エステル又は無水物との反応によって得られることが分かった。
【0060】
脂肪アルコールは、好ましくはC~C30脂肪アルコール、より好ましくはC~C24脂肪アルコール、特にC10~C22脂肪アルコール、更に好ましくはC10~C16脂肪アルコール、特にC12脂肪アルコールから選択することができる。
【0061】
脂肪アルコールは、直鎖又は分枝脂肪アルコールから選択することができる。脂肪アルコールは、飽和又は不飽和脂肪アルコールから選択することができる。
【0062】
不飽和脂肪アルコールが存在する場合、これらは、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素二重結合を含む不飽和脂肪アルコールから選択することができる。特に好ましいものは、1~3個の範囲内の炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪アルコールである。最も好ましいものは、モノ不飽和脂肪アルコール残基である。脂肪鎖の炭素-炭素二重結合は、シス配置又はトランス配置のいずれで存在してもよい。
【0063】
好ましくは、使用される脂肪アルコール残基は、直鎖飽和脂肪アルコールから誘導される。
【0064】
特に好適な飽和及び不飽和脂肪アルコールは、カプリルアルコール、ペラルゴンアルコール、カプリンアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコシルアルコール、もしくはベヘニルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、又はエルシルアルコールから選択することができる
【0065】
特に、不飽和及び飽和C10~C16脂肪アルコールが好ましい場合がある。脂肪アルコールは、好ましくは、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、又はミリスチルアルコールから選択することができる。
【0066】
本発明の文脈において有用性を有する好適な非イオン性アルコキシレートは、ラウリルアルコール(4EO)エトキシレート、ラウリルアルコール(5EO)エトキシレート、ラウリルアルコール(6EO)エトキシレート、オレイル(3EO)エトキシレート、オレイル(5EO)エトキシレート、又はオレイル(10EO)エトキシレートから選択することができる。
【0067】
アルコキシル化脂肪アルコールの分子量(質量平均)は、好ましくは、120~1,760、より好ましくは160~1,200、特に200~800、さらに好ましくは250~600、特に300~400の範囲内である。
【0068】
代わりの一実施形態では、可溶化剤は、アルコキシル化脂肪アルコールリン酸エステル、好ましくはリン酸C10~C30モノ-及び/又はジエステルから選択することができる。
【0069】
リン酸モノエステルは、好適には、式R-O-P-(=O)(OH)の化合物を含むか、式R-O-P-(=O)(OH)の化合物から実質的になるか、又は式R-O-P-(=O)(OH)の化合物からなる。リン酸ジエステルは、好適には、式R-O-P-(=O)(OR)(OH)の化合物を含むか、式R-O-P-(=O)(OR)(OH)の化合物から実質的になるか、又は式R-O-P-(=O)(OR)(OH)の化合物からなる。
【0070】
は、好適には、C10~C30ヒドロカルビル基、好ましくはアルキル基である。Rは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のものであることができるが、好ましくは飽和のものであり、より好ましくは直鎖状のものである。Rは、好ましくはC12~C24、より好ましくはC14~C20、特に好ましくはC16~C18、とりわけC16のヒドロカルビル基、特にアルキル基である。リン酸ジエステル中の各R基が同一である必要はなく、従って、リン酸ジエステルは非対称に置換されていてもよい。
【0071】
本発明において使用されるリン酸エステルは、当該技術分野で知られているように、脂肪アルコール、例えば、式R-OHの脂肪アルコール(式中、Rは上で定義したとおりである。)を、リン酸化剤、例えば、ポリリン酸、五酸化リン、オキシ塩化リン又は三塩化リンなどと反応させることによって、好適に形成することができる。一実施形態において、五酸化リンが好ましい。この反応は、モノ-、ジ-及びトリ-エステル生成物の統計的混合物を生じることができ、その割合は、例えば、出発物質の割合を変えることによって、所望のエステル比、例えば、モノエステルジエステル比を生じるように制御することができる。好適な直鎖脂肪アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ココイルアルコール、テトラデカノール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコールが挙げられる。好適な分枝脂肪アルコールとしては、イソステアリルアルコール、イソテトラデカノール、イソセチルアルコール、イソアラキジルアルコール、イソベヘニルアルコール及びイソリグノセリルアルコール;ネオアルコール(neo-alcohols)、例えば、ネオカプリンアルコールなど;及び/又はアンチイソアルコール(anti-iso alcohols)が挙げられる。直鎖脂肪アルコールが好ましく、特にセチルアルコール及び/又はステアリルアルコール、特にセチルアルコールが好ましい。
【0072】
本発明による組成物中の脂肪アルコール成分は、好適には式R-OHにより表されるものであり、ここで、Rは好ましくはC12~C24、より好ましくはC14~C22、特にC16~C20、とりわけC16~C18のヒドロカルビル基、特にアルキル基である。ヒドロカルビル基は、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のものであることができるが、好ましくは飽和のものであり、より好ましくは直鎖状である。好適な直鎖脂肪アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ココイルアルコール、テトラデカノール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコールが挙げられる。好適な分枝脂肪アルコールとしては、イソステアリルアルコール、イソテトラデカノール、イソセチルアルコール、イソアラキジルアルコール、イソベヘニルアルコール及びイソリグノセリルアルコール;ネオアルコール、例えば、ネオカプリンアルコールなど;及び/又はアンチイソアルコールが挙げられる。直鎖脂肪酸が好ましい。
【0073】
相溶化界面活性剤の分子量(質量平均)は、好ましくは800~15,000、より好ましくは1,000~8,000、特に好ましくは1,200~5,000、さらに好ましくは1,500~3,000の範囲内にある。
【0074】
相溶化界面活性剤のHLBは、好ましくは2~30、より好ましくは3~35、特に好ましくは3~24の範囲内にある。
【0075】
相溶化界面活性剤中のエチレンオキシドの百分率は、好ましくは5~80、より好ましくは8~70、特に10~65、さらに好ましくは12~60の範囲内にある。
【0076】
相溶化界面活性剤の好ましい具体例は、ポリオキシエチレン(60)アーモンド油、ポリオキシエチレン(5)C9-C11アルコール、ポリオキシエチレン(6)トリデシルアルコール、ポリオキシエチレン(5)イソトリデカノール、及びポリオキシエチレン(5)アルキルエーテルホスフェートから選択することができる。
【0077】
代わりの一実施形態では、相溶化剤は、アルコキシル化グリセリドから選択することができる。
【0078】
アルコキシル化グリセリドは、モノ-、ジ-又はトリグリセリドから誘導されたものであることができ、1~30個のオキシアルキレン基を含む。オキシアルキレン基は、アルコキシル化脂肪アルコールについて説明したようなものであることができる。
【0079】
エチレンオキシド-プロピレンオキシド(EO/PO)コポリマーは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されたポリアルキレンオキシドブロックコポリマー(1種又は2種以上)から選択された非イオン性界面活性剤であることができる。本開示で使用される「コポリマー」という用語は、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)から選択された2種の成分を有するポリマーを含むことが理解されるであろう。
【0080】
コポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーから選択することができ、好ましくはブロックコポリマーである。
【0081】
エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー(PEG/PPG)としては、例えば、プロピレンオキシドの縮合生成物上にエチレンオキシドを付加することによって得られたストレートブロックポリマーグリコール類が挙げられる。また、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマーとしては、エチレンオキシドの縮合生成物上にポリプロピレンオキシドを付加することによって形成されたリバースブロックコポリマーが挙げられる。エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーは、例えば、アルキル基によって、好ましくはC1~C5アルキル基によって、より好ましくはメチルによって、末端がキャップされていてもよい。
【0082】
エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーは、好ましくは1,000を超える、より好ましくは1,500~15,000、特に1,200~8,000、とりわけ1,500~3,000の範囲内にある平均分子量を有する。
【0083】
エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーは、好ましくは、(i)10~80質量%、特に10~50質量%、特に15~35質量%の範囲内、例えば、約20質量%のエチレンオキシド含有量、及び/又は(ii)20~90質量%、特に50~90質量%、特に75~85質量%の範囲内、例えば、約80質量%のプロピレンオキシド含有量を有する。
【0084】
好ましくは、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーは、式(EO)-(PO)-(EO)を有し、x及びzはそれぞれ独立に、1~15、好ましくは2~10、より好ましくは3~8、特に4~7、特に5~6の範囲内にあり、例えば、5.5である。x及びzは同じであっても異なっていてもよい。yは好ましくは10~50、好ましくは20~40、特に30~35の範囲内にあり、例えば、33である。好ましくは、エチレンオキシド-プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマーは、約2400の平均分子量を有する式(EO)5.5-(PO)33-(EO)5.5を有する。
【0085】
エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーの好ましい具体例は、PEG-PPG-PEGポリマー、40%EO PPG サイズ4、PEG-PPG-PEGポリマー、10%EO PPG サイズ6、PEG-PPG-PEGポリマー、20%EO PPG サイズ6、PEG-PPG-PEGポリマー、50%EO PPG サイズ10、PEG-PPG-PEGポリマー、10%EO PPG サイズ12から選択することができる。
【0086】
ポリソルベート、相溶化界面活性剤、及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーを組み合わせて、最終用途製剤に形成するのに適したプレブレンド又は濃厚製剤を提供する。
【0087】
プレブレンド中に含まれるポリソルベートの量は、20質量%~60質量%であることができる。より好ましくは、30%~50%の範囲内である。さらに好ましくは、35%~45%の範囲内である。
【0088】
プレブレンド中に含まれる相溶化界面活性剤の量は、1質量%~20質量%の範囲内であることができる。より好ましくは、4%~15%の範囲内である。さらに好ましくは、5%~12%の範囲内である。最も好ましくは、プレブレンドの総量に対する百分率で、8%~12%の範囲内である。
【0089】
プレブレンド中に含まれるエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーの量は、30質量%~70質量%の範囲内であることができる。より好ましくは、40%~60%の範囲内である。さらに好ましくは、45%~55%の範囲内である。
【0090】
濃厚製剤は、他の成分を含まないか、又は他の成分を少量しか含まないように製剤化されたものであることができる。好ましくは、濃厚製剤の少なくとも90質量%、より好ましくは93質量%、さらに好ましくは95質量%、最も好ましくは98質量%が、ポリソルベート、相溶化界面活性剤、及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーから構成される。
【0091】
代わりの一実施形態では、脂肪酸の炭素鎖長が8~16であり、全エトキシル化度が平均で5~25であるソルビタンのエトキシル化/プロポキシル化脂肪酸モノエステルと、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーとを含む土壌処理製剤が提供される。前記濃厚製剤は、他の成分を含まないか、又は他の成分を少量しか含まないように製剤化されたものであることができる。好ましくは、濃厚製剤の少なくとも95質量%がポリソルベート及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーから構成され、より好ましくは98質量%がポリソルベート及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーから構成される。
【0092】
本発明の実施において、本発明の湿潤組成物は、濃厚物として、又はより好ましくは希釈された水性の最終用途製剤として使用するために、本発明による濃厚物を水中に分散させることによって施用することが可能である。
【0093】
一実施形態において、したがって、本発明の湿潤組成物は、農薬/栄養剤/土壌コンディショナーの有無にかかわらず、水の浸潤を促進するために、土壌への散布液に使用することができる。
【0094】
したがって、濃厚物は、施用のために水及び任意に他の土壌コンディショナー及び肥料で希釈されるか、タンク混合物に添加されるか、又はタンク混合物への添加のために内蔵アジュバント(活性剤又は栄養素を含む)に形成されてもよい。
【0095】
土壌処理製剤は、水(又は水系液体)で希釈して、対応する最終用途の農薬製剤、典型的には散布用混合物を形成するように設計されている。
【0096】
農薬活性化合物は、植物/標的生物によって活性化合物が取り込まれるようにする製剤を必要とする。濃厚物(固体又は液体)が農薬活性物質及び/又はアジュバントの供給源として使用される場合、濃厚物は、典型的には、最終用途の製剤、典型的には散布製剤を形成するために希釈される。この希釈は、散布製剤を形成するために、濃厚物の総質量の1~10,000倍、特に10~1,000倍の水で行うことができる。
【0097】
前記土壌処理製剤は、約0.1質量%~約1質量%の農薬活性物質濃度をもたらす希釈組成物をもたらす使用のために希釈されてもよい。前記希釈組成物(例えば、散布製剤であって、施用量は10~500l・ha-1であることができる)において、農薬活性物質濃度は、散布される全製剤の約0.001質量%~約1質量%の範囲内であることができる。
【0098】
代わりの一実施形態では、土壌処理製剤は、散布用混合物としてではなく、灌注システムを使用して施用することができる。このようなシステムでは、例えば、芝生を灌漑するために、水の量をより多くすることができ、施用量は50~1000l・ha-1の範囲内であることができる。
【0099】
散布用混合剤は、植物又はそれらの環境に施用することが望まれるすべての成分を含む水性農薬製剤である。散布製剤は、所望の成分(水以外)を含む土壌処理製剤の単純な希釈によって、又は土壌処理製剤の希釈とさらなる個々の成分又は成分の混合物の添加の組み合わせによって構成され得る。典型的には、かかる最終用途混合(end use mixing)は、そこから製剤が散布されるタンクで、あるいは、散布タンクを満たすための保持タンクで実施される。かかる混合及び混合物は、典型的には、タンク混合及びタンク混合物と呼ばれている。
【0100】
スプレー製剤は、典型的には、中程度の酸性(例えば、約3)から中程度のアルカリ性(例えば、約10)までの範囲内のpH、特に中性に近い(例えば、約5~8)の範囲内のpHを有する。より濃厚な製剤は、同程度の酸性度/アルカリ度を有するが、それらはほぼ非水性であるあそれがあるため、pHは必ずしもこれの適切な尺度ではない。
【0101】
農薬製剤は、溶媒(水以外)、例えば、モノプロピレングリコール、植物油又は鉱油であることができる油、例えば、スプレー油などを含むことができる。かかる溶媒は、界面活性剤アジュバントのための溶媒として、及び/又は、保湿剤として含まれることができ、例えば、特にプロピレングリコールである。使用される場合、かかる溶媒は、典型的には、界面活性剤アジュバントの質量基準で、5質量%~500質量%、望ましくは10質量%~100質量%の量で含まれる。かかる組み合わせは、塩、例えば、塩化アンモニウム及び/又は安息香酸ナトリウムなど、及び/又は、特にゲル抑制助剤としての尿素を含んでもよい。
【0102】
希釈された土壌処理製剤タンクミックスは、土壌に散布されてもよいし、葉面散布剤として使用されてもよい。
【0103】
この土壌処理製剤又は希釈された土壌処理製剤は、所望により他の成分を含んでもよい。これらの他の成分は、下記のものから選択することができる:
・結合剤、特に、容易に水に溶解して高い結合剤濃度で低粘度の溶液を与える結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース;アラビアゴム;糖、例えばスクロース又はソルビトール;デンプン;エチレン-酢酸ビニルコポリマー、スクロース及びアルギネートなど、
・希釈剤、吸収剤又はキャリア、例えば、カーボンブラック;タルク;珪藻土;カオリン;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウム;トリポリリン酸ナトリウム;四ホウ酸ナトリウム;硫酸ナトリウム;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、及びケイ酸ナトリウム-ケイ酸アルミニウム混合体;安息香酸ナトリウムなど;
・崩壊剤、例えば、界面活性剤、水中で膨潤する材料、例えば、カルボキシメチルセルロース、コロジオン、ポリビニルピロリドン、及びミクロクリスタリンセルロース膨潤剤;塩、例えば酢酸ナトリウム又はカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はセスキ炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、及びリン酸水素二カリウムなど;
・湿潤剤、例えば、アルコールエトキシレート及びアルコールエトキシレート/プロポキシレート湿潤剤など;
・分散剤、例えば、スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物及びアクリル酸コポリマー、例えば、ポリアクリル酸骨格にキャップドポリエチレングリコール側鎖を有する櫛型コポリマーなど;
・乳化剤、例えば、アルコールエトキシレート、ABAブロックコポリマー、ヒマシ油エトキシレートなど;
・消泡剤、例えば、ポリシロキサン消泡剤、典型的には製剤の0.005質量%~10質量%の量で;
・粘度調整剤、例えば、市販の水溶性又は混和性ガム、例えば、キサンタンガム、及び/又はセルロース系材料、例えば、カルボキシ-、メチル-、エチル-又はプロピル-セルロースなど;及び/又は
・防腐剤及び/又は抗微生物剤、例えば、有機酸又はそれらのエステル若しくは塩、例えば、アスコルビン酸系のもの、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ソルビン酸系のもの、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸系のもの、例えば、安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸メチル及び4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、プロピオン酸系のもの、例えば、プロピオン酸ナトリウム、フェノール系のもの、例えば、ナトリウム2-フェニルフェネート;1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン;又はホルムアルデヒド自体もしくはパラホルムアルデヒド;又は、無機材料、例えば、亜硫酸及びその塩、典型的には製剤の0.01質量%~1質量%の量で。
【0104】
また、本発明の土壌湿潤剤製剤又は土壌湿潤剤は、所望により、農薬活性物質又は栄養剤を含んでもよい。
【0105】
農薬活性物質は、好ましくは固相の農薬活性物質であることができる。固体の農薬活性化合物は、本発明において、融点(標準圧力で)が20℃を超える、植物処理に慣用されているあらゆる物質を意味すると理解されるべきである。固体の農薬活性化合物は、不溶性活性成分、すなわち、水への溶解度が、添加後の濃厚物中にかなりの固体内容物が存在するようなものである活性成分も含む。
【0106】
農薬活性物質とは、殺生物剤を意味し、殺生物剤は、本発明の文脈において植物保護剤、より具体的には、医薬、農業、林業、蚊の駆除などの分野で使用される様々な形態の生物を殺すことができる化学物質である。また、いわゆる植物生長調節剤も殺生物剤のグループに含まれる。
【0107】
本発明の農薬製剤での使用に適する殺生物剤は、典型的には2つの下位群に分けられる:
・殺菌剤(fungicides)、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、殺軟体動物剤、殺ダニ剤及び殺鼠剤を包含する農薬(pesticides);及び
・殺菌剤(germicides)、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤及び抗寄生虫剤を包含する抗微生物剤。
【0108】
特に、殺虫剤、殺菌剤又は除草剤から選択された殺生物剤を好ましく使用することができる。
【0109】
「農薬(pesticide)」という用語は、有害生物を予防、破壊、忌避又は軽減することを意図した任意の物質又は物質の混合物を指すと理解されるであろう。農薬は、昆虫、植物病原体、雑草、軟体動物、鳥類、哺乳類、魚類、線虫(回虫)や、食物についてヒトと競合したり、所有物を破壊したり、病気を広めたり、迷惑をかけたりする微生物を包含する有害生物に対して使用される化学物質又は生物学的製剤(例えば、ウイルス又はバクテリアなど)であることができる。以下の例では、本発明による農薬組成物に好適な農薬が示される。
【0110】
除草剤は、不要な植物を死滅させるために使用される農薬である。選択的除草剤は特定の標的を死滅させ、望ましい作物は比較的無害のまま残す。これらのいくつかは、雑草の成長を妨げることにより作用し、多くの場合植物ホルモンに基づく。荒廃地を切り開くために使用される除草剤は非選択的であり、接触する全ての植物を死滅させる。除草剤は、農業で、及び景観の芝生管理で広く使用されている。これらは、高速道路や鉄道のメンテナンスのための総植生管理((total vegetation control)TVC)プログラムで施用される。森林、牧草地システム、及び野生生物の生息地として確保された地域の管理には、より少ない量が使用される。
【0111】
好適な除草剤は、アリールオキシカルボン酸、例えば、MCPA、アリールオキシフェノキシプロピオネート類、例えば、クロジナホップ(clodinafop)、シクロヘキサンジオンオキシム類、例えば、セトキシジム(sethoxydim)、ジニトロアニリン類、例えば、トリフルラリン(trifluralin)、ジフェニルエーテル類、例えば、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、ヒドロキシベンゾニトリル類、例えば、ブロモキシニル(bromoxynil)、スルホニル尿素類、例えば、ニコスルフロン(nicosulphuron)、トリアゾロピリミジン類、例えば、ペノキススラム(penoxsulam)、トリケチオン類、例えば、メソトリオン類(mesotriones)、又は尿素類、例えば、ジウロン(diuron)を含む群から選択することができる。
【0112】
特に好ましい除草剤は、発芽前除草剤から選択することができる。本開示で使用される場合、「発芽前除草剤」は、新しく発芽した苗が出現する前に作用する除草剤を意味する。
【0113】
発芽前除草剤は、トリアジン系除草剤(例えば、アメトリン(ametryn)、アトラジン(atrazine)、メトリブジン(metribuzin)、テルブチラジン(terbuthylazine)、プロメトリン(prometryn)、プロパジン(propazine)、シマジン(simazine)、トリエタジン(trietazine)、デスメトリン(desmetryn)、テルブトリン(terbutryne)、テルブメトン(terbumeton)及びシアナジン(cyanazine))、トリフルラリン(trifluralin)、シデュロン(siduron)、インダジフラム(indaziflam)、イソキサベン(isoxaben)、ジチオピル(dithiopyr)、ベネフィン(benefin)、ペンジメタリン(pendimethalin)、プロジアミン(prodiamine)、フルフェナセット(flufenacet)、ジフルフェニカン(diflufenican)、及びアクロニフェン(aclonifen)から選択することができる。本発明が特定の用途を見出すことができる発芽前除草剤は、トリフルラリン、シデュロン、イソキサベン、ジチオピル、ベネフィン、ペンジメタリン、プロジアミン、アトラジン、フルフェナセット、ジフルフェニカン、メトリブジン及びアクロニフェンから選択することができる。
【0114】
殺菌剤とは、菌類を化学的に防除するものである。殺菌剤は、庭や作物で菌類が広がるのを防ぐために使用される化学化合物である。また、殺菌剤は、菌類感染と闘うために使用される。殺菌剤には、接触性又は浸透性のいずれかであることができる。接触性殺菌剤は、菌類の表面に噴霧されたときに菌類を殺す。浸透性殺菌剤は、菌類と接触する前に、植物により吸収され、活性物質が再分配されなければならない。
【0115】
本発明による好適な殺菌剤の例は、以下の種を包含する:(3-エトキシプロピル)水銀臭化物、2-メトキシエチル水銀塩化物、2-フェニルフェノール、8-ヒドロキシキノリンスルフェート、8-フェニル水銀オキシキノリン、アシベンゾラル(acibenzolar)、アシルアミノ酸系殺菌剤、アシペタックス(acypetacs)、アルジモルフ(aldimorph)、脂肪族窒素系殺菌剤、アリルアルコール、アミド系殺菌剤、アンプロピルフォス(ampropylfos)、アニラジン(anilazine)、アニルド系殺菌剤、抗生物質系殺菌剤、芳香族系殺菌剤、オーレオフンギン(aureofungin)、アザコナゾール(azaconazole)、アジチラム(azithiram)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、多硫化バリウム、ベナラキシル(benalaxyl)-M、ベノダニル(benodanil)、ベノミル(benomyl)、ベンキノックス(benquinox)、ベンタルロン(bentaluron)、ベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)、塩化ベンザルコニウム、ベンザマクリル(benzamacril)、ベンズアミド系殺菌剤、ベンザモルフ(benzamorf)、ベンズアニリド系殺菌剤、ベンズイミダゾール系殺菌剤、ベンズイミダゾール前駆体系殺菌剤、ベンズイミダゾリルカルバメート系殺菌剤、ベンゾヒドロキサム酸、ベンゾチアゾール系殺菌剤、ベトキサジン(bethoxazin)、ビナパクリル(binapacryl)、ビフェニル(biphenyl)、ビテルタノール(bitertanol)、ビチオノール(bithionol)、ブラストサイジン(blasticidin)-S、ボルドー液(Bordeaux mixture)、ボスカリド(boscalid)、架橋ジフェニル系殺菌剤、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ブピリメート(bupirimate)、ブルゴーニュ液(Burgundy mixture)、ブチオベート(buthiobate)、ブチルアミン(butylamine)、多硫化カルシウム、カプタホール(captafol)、キャプタン(captan)、カルバメート系殺菌剤、カルバモルフ(carbamorph)、カルバニレート系殺菌剤、カルベンダジム(carbendazim)、カルボキシン(carboxin)、カルプロパミド(carpropamid)、カルボン(carvone)、チェシャント混合物(Cheshunt mixture)、キノメチオナート(chinomethionat)、クロベンチアゾン(chlobenthiazone)、クロラニホルメタン(chloraniformethan)、クロラニル(chloranil)、クロルフェナゾール(chlorfenazole)、クロロジニトロナフタレン(chlorodinitronaphthalene)、クロロネブ(chloroneb)、クロロピクリン(chloropicrin)、クロロタロニル(chlorothalonil)、クロルキノックス(chlorquinox)、クロゾリネート(chlozolinate)、シクロピロックス(ciclopirox)、クリムバゾール(climbazole)、クロトリマゾール(clotrimazole)、コナゾール系殺菌剤、コナゾール系殺菌剤(イミダゾール類)、コナゾール系殺菌剤(トリアゾール類)、酢酸銅(II)、炭酸銅(II)、
【0116】
塩基性銅殺菌剤、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅(II)、硫酸銅(II)、硫酸銅、塩基性クロム酸銅亜鉛、クレゾール、クフラネブ(cufraneb)、クプロバム(cuprobam)、酸化第一銅、シアゾファミド(cyazofamid)、シクラフラミド(cyclafuramid)、環状ジチオカルバメート系殺菌剤、シクロヘキシミド(cycloheximide)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、シモキサニル(cymoxanil)、シペンダゾール(cypendazole)、シプロコナゾール(cyproconazole)、シプロジニル(cyprodinil)、ダゾメット(dazomet)、DBCP、デバカルブ(debacarb)、デカフェンチン(decafentin)、デヒドロ酢酸、ジカルボキシイミド系殺菌剤、ジクロフルアニド(dichlofluanid)、ジクロン(dichlone)、ジクロロフェン(dichlorophen)、ジクロロフェニル(dichlorophenyl)、ジカルボキシイミド系殺菌剤、ジクロゾリン(dichlozoline)、ジクロブトラゾール(diclobutrazol)、ジクロシメット(diclocymet)、ジクロメジン(diclomezine)、ジクロラン(dicloran)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、ジエチルピロカーボネート(diethyl pyrocarbonate)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、ジフルメトリム(diflumetorim)、ジメチリモール(dimethirimol)、ジメトモルフ(dimethomorph)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ジニコナゾール(diniconazole)、ジニトロフェノール系殺菌剤、ジノブトン(dinobuton)、ジノカップ(dinocap)、ジノクトン(dinocton)、ジノペントン(dinopenton)、ジノスルホン(dinosulphon)、ジノテルボン(dinoterbon)、ジフェニルアミン(diphenylamine)、ジピリチオン(dipyrithione)、ジスルフィラム(disulphiram)、ジタリムホス(ditalimfos)、ジチアノン(dithianon)、ジチオカルバメート系殺菌剤、DNOC、ドデモルフ(dodemorph)、ドジシン(dodicin)、ドジン(dodine)、ドナトジン(DONATODINE)、ドラゾキソロン(drazoxolon)、エジフェンホス(edifenphos)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、エタコナゾール(etaconazole)、エテム(etem)、エタボキサム(ethaboxam)、エチリモール(ethirimol)、エトキシキン(ethoxyquin)、エチル水銀2,3-ジヒドロキシプロピルメルカプチド、酢酸エチル水銀、臭化エチル水銀、塩化エチル水銀、リン酸エチル水銀、エトリジアゾール(etridiazole)、ファモキサドン(famoxadone)、フェナミドン(fenamidone)、フェナミノスルフ(fenaminosulph)、フェナパニル(fenapanil)、フェナリモール(fenarimol)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、フェンフラム(fenfuram)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、フェニトロパン(fenitropan)、フェノキサニル(fenoxanil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)、フェンプロピジン(fenpropidin)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、フェンチン(fentin)、フェルバム(ferbam)、フェリムゾン(ferimzone)、フルアジナム(fluazinam)、フルジオキソニル(fludioxonil)、フルメトベル(flumetover)、フルオピコリド(fluopicolide)、フルオルイミド(fluoroimide)、フルオトリマゾール(fluotrimazole)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、フルスルファミド(flusulphamide)、フルトラニル(flutolanil)、フルトリアホール(flutriafol)、フォルペット(folpet)、ホルムアルデヒド、フォセチル(fosetyl)、フベリダゾール(fuberidazole)、フララキシル(furalaxyl)、フラメトピル(furametpyr)、フラミド系殺菌剤、フラニリド系殺菌剤、フルカルバニル(furcarbanil)、フルコナゾール(furconazole)、フルコナゾール-cis、フルフラール(furfural)、フルメシクロックス(furmecyclox)、フロファネート(furophanate)、グリオジン(glyodin)、グリセオフルビン(griseofulvin)、グアザチン(guazatine)、ハラクリネート(halacrinate)、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン、ヘキサクロロフェン(hexachlorophene)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ヘキシルチオホス(hexylthiofos)、ヒドラルガフェン(hydrargaphen)、
【0117】
ヒメキサゾール(hymexazol)、イマザリル(imazalil)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、イミダゾール系殺菌剤、イミノクタジン(iminoctadine)、無機殺菌剤、無機水銀殺菌剤、ヨードメタン、イプコナゾール(ipconazole)、イプロベンフォス(iprobenfos)、イプロジオン(iprodione)、イプロバリカルブ(isoprothiolane)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、イソバレジオン(isovaledione)、カスガマイシン(kasugamycin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、石灰硫黄合剤、マンカッパー(mancopper)、マンコゼブ(mancozeb)、マンネブ(maneb)、メベニル(mebenil)、メカルビンジド(mecarbinzid)、メパニピリム(mepanipyrim)、メプロニル(mepronil)、塩化第二水銀、酸化第二水銀、塩化第一水銀、水銀系殺菌剤、メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル-M、メタム(metam)、メタゾキソロン(metazoxolon)、メトコナゾール(metconazole)、メタスルホカルブ(methasulphocarb)、メトフロキサム(methfuroxam)、臭化メチル、メチルイソチオシアネート、安息香酸メチル水銀、メチル水銀ジシアンジアミド、メチル水銀ペンタクロロフェノキシド、メチラム(metiram)、メトミノストロビン(metominostrobin)、メトラフェノン(metrafenone)、メトスルホバックス(metsulphovax)、ミルネブ(milneb)、モルホリン系殺菌剤、ミクロブタニル(myclobutanil)、ミクロゾリン(myclozolin)、N-(エチル水銀)-p-トルエンスルホンアニリド、ナバム(nabam)、ナタマイシン(natamycin)、ニトロスチレン(nitrostyrene)、ニトロタル-イソプロピル(nitrothal-isopropyl)、ヌアリモール(nuarimol)、OCH、オクチリノン(octhilinone)、オフラセ(ofurace)、有機水銀系殺菌剤、有機リン系殺菌剤、有機スズ系殺菌剤、オリサストロビン(orysastrobin)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキサチイン系殺菌剤、オキサゾール系殺菌剤、オキシン銅(oxine copper)、オキスポコナゾール(oxpoconazole)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、ペフラゾエート(pefurazoate)、ペンコナゾール(penconazole)、ペンシクロン(pencycuron)、ペンタクロロフェノール(pentachlorophenol)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、フェニル水銀尿素、酢酸フェニル水銀、塩化フェニル水銀、ピロカテコールのフェニル水銀誘導体、硝酸フェニル水銀、サリチル酸フェニル水銀、フェニルスルファミド系殺菌剤、ホスジフェン(phosdiphen)、フタリド(phthalide)、フタルイミド系殺菌剤、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピペラリン(piperalin)、ポリカルバメート(polycarbamate)、高分子ジチオカルバメート系殺菌剤、ポリオキシン(polyoxins)、ポリオキソリム(polyoxorim)、ポリスルフィド系殺菌剤、アジ化カリウム、多硫化カリウム、チオシアン酸カリウム、プロベナゾール(probenazole)、プロクロラズ(prochloraz)、プロシミドン(procymidone)、プロパモカルブ(propamocarb)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロピネブ(propineb)、プロキナジド(proquinazid)、プロチオカルブ(prothiocarb)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、ピラカルボリド(pyracarbolid)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、ピラゾール系殺菌剤、ピラゾフォス(pyrazophos)、ピリジン系殺菌剤、ピリジニトリル(pyridinitril)、ピリフェノックス(pyrifenox)、ピリメタニル(pyrimethanil)、ピリミジン系殺菌剤、ピロキロン(pyroquilon)、ピロキシクロル(pyroxychlor)、ピロキシフル、ピロール系殺菌剤、キナセトール(quinacetol)、
【0118】
キナザミド(quinazamid)、キンコナゾール(quinconazole)、キノリン系殺菌剤、キノン系殺菌剤、キノキサリン系殺菌剤、キノキシフェン(quinoxyfen)、キントゼン(quintozene)、ラベンザゾール(rabenzazole)、サリチルアニリド、シルチオファム(silthiofam)、シメコナゾール(simeconazole)、アジ化ナトリウム、ナトリウムオルトフェニルフェノキシド、ナトリウムペンタクロロフェノキシド、多硫化ナトリウム、スピロキサミン(spiroxamine)、ストレプトマイシン(streptomycin)、ストロビルリン系殺菌剤、スルホンアニリド系殺菌剤、硫黄、スルトロペン(sultropen)、TCMTB、テブコナゾール(tebuconazole)、テクロフタラム(tecloftalam)、テクナゼン(tecnazene)、テコラム(tecoram)、テトラコナゾール(tetraconazole)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チアジフルオール(thiadifluor)、チアゾール系殺菌剤、チシオフェン(thicyofen)、チフルザミド(thifluzamide)、チオカルバメート系殺菌剤、チオクロルフェンフィム(thiochlorfenphim)、チメロサール(thiomersal)、チオファネート(thiophanate)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、チオフェン系殺菌剤、チオキノックス(thioquinox)、チラム(thiram)、チアジニル(tiadinil)、チオキシミド(tioxymid)、チベド(tivedo)、トルクロホスメチル(tolclofos-methyl)、トルナフテート(tolnaftate)、トリルフルアニド(tolylfluanid)、酢酸トリル水銀、トリアジメホン(triadimefon)、トリアジメノール(triadimenol)、トリアミホス(triamiphos)、トリアリモル(triarimol)、トリアズブチル(triazbutil)、トリアジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、トリアゾキシド(triazoxide)、トリブチル錫オキシド、トリクラミド(trichlamide)、トリシクラゾール(tricyclazole)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)、トリチコナゾール(triticonazole)、未分類の殺菌剤、ウンデシレン酸、ウニコナゾール(uniconazole)、尿素殺菌剤、バリダマイシン(validamycin)、バリナミド系殺菌剤、ビンクロゾリン(vinclozolin)、ザリラミド(zarilamid)、ナフテン酸亜鉛、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram)、ゾキサミド(zoxamide)、及びこれらの混合物である。
【0119】
殺虫剤は、あらゆる成長形態の昆虫に対して使用される農薬であり、昆虫の卵や幼虫に対して使用される殺卵剤及び殺幼虫剤も含む。殺虫剤は、農業、医療、産業及び家庭で使用される。
【0120】
好適な殺虫剤としては、以下のものから選択されるものを挙げることができる:
・塩素系殺虫剤、例えば、カンフェクロル(Camphechlor)、DDT、ヘキサクロロシクロヘキサン、ガンマ-ヘキサクロロシクロヘキサン、メトキシクロル(Methoxychlor)、ペンタクロロフェノール、TDE、アルドリン(Aldrin)、クロルダン(Chlordane)、クロルデコン(Chlordecone)、ディルドリン(Dieldrin)、エンドスルファン(Endosulphan)、エンドリン(Endrin)、ヘプタクロル(Heptachlor)、マイレックス(Mirex)及びそれらの混合物など;
・有機リン化合物、例えば、アセフェート(Acephate)、アジンホスメチル(Azinphos-methyl)、ベンスリド(Bensulide)、クロルエトキシホス(Chlorethoxyfos)、クロルピリホス(Chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(Chlorpyriphos-methyl)、ダイアジノン(Diazinon)、ジクロルボス(Dichlorvos)(DDVP)、ジクロトホス(Dicrotophos)、ジメトエート(Dimethoate)、ジスルフォトン(Disulphoton)、エトプロプ(Ethoprop)、フェナミホス(Fenamiphos)、フェニトロチオン(Fenitrothion)、フェンチオン(Fenthion)、ホスチアゼート(Fosthiazate)、マラチオン(Malathion)、メタミドホス(Methamidophos)、メチダチオン(Methidathion)、メチルパラチオン(Methyl-parathion)、メビンホス(Mevinphos)、ナレド(Naled)、オメトエート(Omethoate)、オキシデメトンメチル(Oxydemeton-methyl)、パラチオン(Parathion)、ホレート(Phorate)、ホサロン(Phosalone)、ホスメット(Phosmet)、ホステブピリム(Phostebupirim)、ピリミホスメチル(Pirimiphos-methyl)、プロフェノホス(Profenofos)、テルブホス(Terbufos)、テトラクロルビンホス(Tetrachlorvinphos)、トリブホス(Tribufos)、トリクロルホン(Trichlorfon)及びそれらの混合物など;
・カルバメート類、例えば、アルジカルブ(Aldicarb)、カルボフラン(Carbofuran)、カルバリル(Carbaryl)、メソミル(Methomyl)、2-(1-メチルプロピル)フェニルメチルカルバメート及びそれらの混合物など;
・ピレスロイド類、例えば、アレスリン(Allethrin)、ビフェントリン(Bifenthrin)、デルタメトリン(Deltamethrin)、ペルメトリン(Permethrin)、レスメトリン(Resmethrin)、スミスリン(Sumithrin)、テトラメトリン(Tetramethrin)、トラロメトリン(Tralomethrin)、トランスフルトリン(Transfluthrin)及びそれらの混合物など;
・植物毒素由来の化合物、例えば、デリス(Derris)(ロテノン(rotenone))、ピレツルム(Pyrethrum)、ニーム(Neem)(アザジラクチン(Azadirachtin))、ニコチン、カフェイン及びそれらの混合物など;
・ネオニコチノイド類、例えば、イミダクロプリドなど;
・アバメクチン類、例えば、エマメクチン;
・オキサジアジン類、例えば、インドキサカルブなど;
・アントラニルジアミド類、例えば、リナキシピルなど。
【0121】
殺鼠剤は、げっ歯類を殺すことを目的とした害虫駆除剤のカテゴリーである。好適な殺鼠剤には、抗凝血剤、金属リン化物、リン化物、カルシフェロール(ビタミンD)、及びその誘導体が含まれ得る。
【0122】
殺ダニ剤は、ダニを殺す殺虫剤である。抗生物質系殺ダニ剤、カルバメート系殺ダニ剤、ホルムアミジン系殺ダニ剤、ダニ成長制御剤、有機塩素系、ペルメトリン系及び有機リン系殺ダニ剤などがこのカテゴリーに属する。殺軟体動物剤は、蛾、ナメクジ及びカタツムリなどの軟体動物を駆除するために使用される殺虫剤である。これらの物質としては、メタアルデヒド、メチオカルブ(methiocarb)及び硫酸アルミニウムが挙げられる。殺線虫剤とは、寄生線虫類(蠕虫門)を殺すために使用される化学的な農薬の一種である。
【0123】
以下の例では、本発明による農薬組成物に好適な抗微生物剤を示す。
【0124】
殺菌消毒剤としては、活性塩素、活性酸素、ヨウ素、濃縮アルコール、フェノール系物質、カチオン性界面活性剤、強酸化剤、重金属及びそれらの塩、並びにpH1~13の間の濃厚な強い酸及びアルカリから選択されたものを含むことができる。好適な消毒剤(すなわち、ヒト又は動物の体、皮膚、粘膜、創傷などに使用できる殺菌剤)としては、希釈された塩素調製物、ヨウ素調製物、過酸化物、消毒添加剤を含む又は含まないアルコール、弱有機酸、フェノール系化合物及びカチオン活性化合物が挙げられる。
【0125】
特に好ましいものとして、アゾール系殺菌剤(アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール(diclobutrazole)、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェナリモール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルルプリミドール(flurprimidol)、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール-cis、ヘキサコナゾール、イマザリル、イマザリルスルフェート、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ヌアリモール、オクスポコナゾール、パクロブトラゾール(paclobutrazole)、ペンコナゾール、ペフラゾエート、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、ユニコナゾール、ボリコナゾール(voriconazole)、ビニコナゾール(viniconazole)、ストロビルリン系殺菌剤(アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン)、SDH殺菌剤、クロロニコチニル系殺虫剤(クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、イミダクロプリド、チアメトキサム(thiamethoxam)、ニテンピラム(nitenpyram)、ニチアジン(nithiazin)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム、チアクロプリド(thiacloprid))、殺虫性ケトエノール類(スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラメート(spirotetramate))、フィプロール類(fiproles)(フィプロール(fiprole)、エチプロール(ethiprole))及びブテノライド類(butenolides)や、ピメトロジン(pymetrozine)、フルオピコリド、N-(3’,4’-ジクロロ-5-フルオロ-1,1’-ビフェニル-2-イル)-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド及びN-{2-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル]エチル}-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミドの部類からの活性化合物が挙げられる。特に好ましいものとして、除草剤、特にスルホニル尿素類、トリケトン類及び除草性ケトエノール類、ならびにセーフナー(safeners)も挙げられる。
【0126】
本発明は、特に、出芽前除草剤を含む製剤に適用されることが想定される。
【0127】
栄養素は、農薬活性物質に加えて、又は農薬活性物質の代わりとして存在することができる。かかる製剤において、栄養素は、典型的には、乾燥形態にある。
【0128】
栄養素は、固相栄養素であってもよいし、溶液の形態で存在してもよい。固体栄養素は、本発明において、融点(標準圧力で)が20℃を超える物質を意味すると理解されるべきでる。固体栄養素はまた、不溶性栄養素成分、すなわち、水への溶解度が、添加後の濃厚物中に有意な固体含有量が存在するような栄養素成分を含むであろう。
【0129】
栄養素は、植物の成長を促進又は改善するために望ましい又は必要な化学元素及び化合物を指す。好適な栄養素は、一般的に、多量栄養素又は微量栄養素として記載される。本発明による濃厚物に使用するのに好適な栄養素は、あらゆる栄養化合物である。
【0130】
微量栄養素は、典型的には、微量金属又は微量元素を指し、しばしば低用量で施用される。好適な微量栄養素は、亜鉛、ホウ素、塩素、銅、鉄、モリブデン、及びマンガンから選択される微量元素を含む。微量栄養素は、可溶性の形態にあっても、不溶性固体として含まれていてもよく、塩であっても、キレート化されたものであってもよい。
【0131】
多量栄養素は、典型的には、窒素、リン及びカリウムを含むものを指し、硫安などの肥料、及び水質調整剤などが挙げられる。好適な多量栄養素としては、肥料や、他の窒素含有化合物、リン含有化合物、カリウム含有化合物、カルシウム含有化合物、マグネシウム含有化合物、及び硫黄含有化合物、並びに水質調整剤などが挙げられる。
【0132】
好適な肥料としては、窒素、リン、カリウム又は硫黄などの栄養素を提供する無機肥料が挙げられる。肥料は、比較的低濃度で希釈製剤に含まれていてもよく、あるいは、より濃縮された溶液として含まれてもよく、非常に高いレベルでは固体肥料と溶液を含んでもよい。
【0133】
栄養素の含有は、個々の栄養素に依存し、また、微量栄養素は、典型的には、低濃度で含められるのに対し、多量栄養素は、典型的には、高濃度で含められることが想定される。
【0134】
本明細書に記載される特徴の全ては、任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかと組み合わされることが可能である。
【実施例
【0135】
本発明がより容易に理解されるように、例として、以下の記載を参照されたい。
【0136】
記載した全ての試験及び物理的特性は、本明細書に特に記載がない限り、又は、参照した試験方法及び手順に特に記載がない限り、大気圧及び室温(すなわち25℃)で決定されたものであることが理解されるであろう。
【0137】
アジュバント組成物の性能を決定するために以下の試験方法を使用した。
【0138】
・キャンバスディスク(Canvas Disk)試験(CDT)
指定されたキャンバスディスク(Cotton swatches ISO 8022)を、設定された距離(ビーカーの上面領域から約5cm)から、600mLガラスビーカー中の400mL界面活性剤溶液(異なる界面活性剤溶液を使用、0.2、0.4及び0.5%w/v)の表面に当たるように落下させた。
【0139】
次に、ディスクが溶液中に沈降するまでの時間をウェッティング時間として記録した(単位:秒又は分)。この方法は、毛管上昇試験に対する検証のために行った。
【0140】
・リウェッティング
一連の毛管上昇実験により、ブレンドの再湿潤性能(又は残留活性)を試験した。土壌プラグ(50℃で予備乾燥)を、界面活性剤ブレンドの0.2%w/v水溶液(40mL)中に置き、溶液が土壌プラグに吸収されるまでの時間を記録した。実験終了後の土壌プラグをオーブン(54℃)内に一晩置いて乾燥させた。
【0141】
乾燥後、上記と同じ条件で、合計10回まで毛管上昇試験を繰り返した(本明細書では、リウェッティング1、リウェッティング2などと呼ぶ)。
【0142】
最後のウェッティング時間の後、400mlの脱イオン水を土壌プラグの上(芝生側を上)にゆっくりと注ぐことによって、土壌プラグを洗浄した。土壌プラグをオーブン内に放置して乾燥させ、翌日、毛管上昇実験を以前の湿潤実験と同様に再評価した。
【0143】
試験には、以下の化合物を使用した。
P1 - ポリオキシエチレン(12)ソルビタンモノラウレート
P2 - ポリオキシエチレン(8)ソルビタンモノラウレート
P3 - ポリオキシエチレン(16)ソルビタンモノラウレート
P4 - ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(15)ソルビタンモノラウレート
P5 - ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(10)ソルビタンモノラウレート
P6 - ポリオキシエチレン(15)ポリオキシプロピレン(5)ソルビタンモノラウレート
P7 - ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート
P8 - ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート
P9 - ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート
P10 - ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート
【0144】
C1 - ポリオキシエチレン(5)C9-C11アルコール
C2 - ポリオキシエチレン(60)アーモンド油
C3 - ポリオキシエチレン(6)トリデシルアルコール
C4 - ポリオキシエチレン(5)アルキルエーテルホスフェート
C5 - ポリオキシエチレン分枝トリデシルホスフェート
C6 - ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル
C7 - ポリオキシエチレン(7)C12-C15アルコール
C8 - ポリオキシエチレン(2.5)C9-C11アルコール
C9 - ポリオキシエチレン(10)C9-C11アルコール
【0145】
A1 - PEG-PPG-PEGポリマー、10%EO PPG サイズ6
A2 - PEG-PPG-PEGポリマー、20%EO PPG サイズ6
【0146】
キャンバスディスク試験結果
いくつかの製剤を調製し、キャンバスディスク試験に供した。結果を以下の表1に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
試験した製剤は全て良好なウェッティング時間を提供する。
【0150】
2成分安定性結果
安定性を確認するために、2つの成分からなる製剤も多数調製した。結果を以下の表2に示す。
【0151】
【表3】
【0152】
試験した全ての製剤は良好な安定性を示した。
【0153】
リウェッティング試験結果
多くの製剤を調製し、リウェッティング試験に供した。結果を以下の表3に示す。
【0154】
以下の製剤をリウェッティング試験で使用した。
T19 - P1(40質量%)+C1(10質量%)+A1(50質量%)
T20 - P4(40質量%)+C1(10質量%)+A1(50質量%)
T21 - P1(25.5質量%)+C2(24.5質量%)+A1(50質量%)
T22 - P4(25.5質量%)+C2(24.5質量%)+A1(50質量%)
【0155】
【表4】
【0156】
試験した製剤は全て良好なリウェッティング時間(秒単位で表示)を提供する。
【0157】
タンクミックス相溶性
公式のASTM E1518法を使用してタンクミックス相溶性を評価した。この方法は、水性タンクミックスにおける農薬の物理的な適合性を、ダイナミックシェーカー方式で評価するものである。タンクミックス相溶性には、表1に示したとおりの製剤T3を使用した。相溶性試験の結果を以下の表4に示す。
【0158】
【表5】
【0159】
この製剤は、様々な活性剤とのタンクミックスとして良好な相溶性を示した。
【0160】
表1にある他の多くの製剤についても、タンクミックス相溶性を試験した。
【0161】
【表6】
【0162】
表4及び表5から分かるように、分離及び凝集が観察されなかったので、良好な相溶性が製剤について観察された。
【0163】
本発明は、例としてのみ記載された上記実施形態の詳細に限定されるものではないことが理解されるべきである。多くの変形が可能である。
【国際調査報告】