(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】積層造形によって製造された物体を処理するため装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/379 20170101AFI20230111BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20230111BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230111BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230111BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230111BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230111BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230111BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20230111BHJP
B22F 12/88 20210101ALI20230111BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20230111BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20230111BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20230111BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20230111BHJP
【FI】
B29C64/379
B29C64/264
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y80/00
B33Y50/02
B33Y40/20
B22F12/88
B22F12/90
B22F10/28
B29C64/245
B29C64/106
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528090
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020082278
(87)【国際公開番号】W WO2021094615
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322011841
【氏名又は名称】ジェネラ・プリンター・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】スタンドルマン、クラウス
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AP01
4F213AP14
4F213AR15
4F213AR20
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL43
4F213WL55
4F213WL56
4F213WL76
4F213WL85
4F213WW02
4F213WW21
4F213WW39
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体(4)を加工するための装置(1)であって、構築プラットフォーム(2)のためのホルダ(3)を備え、装置(1)は、ホルダ(3)によって保持された構築プラットフォーム(2)上に配置された物体(4)を構築プラットフォーム(2)から分離するための分離装置(5)を備える装置、並びに方法及び装置の使用。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築プラットフォーム(2)のためのホルダ(3)を備える、放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体(4)を処理するための装置(1)であって、前記ホルダ(3)によって保持された構築プラットフォーム(2)上に配置された物体(4)を前記構築プラットフォーム(2)から分離するための分離装置(5)を備えることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記分離装置(5)は剪断装置(6)を備え、前記剪断装置(6)は分離エッジ(7)を備え、前記装置(1)はまた、前記ホルダ(3)と前記剪断装置(6)との間の相対運動のための駆動装置を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記剪断装置(6)を移動させるように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記ホルダ(3)を移動させるように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記装置(1)は、前記物体(4)を前記構築プラットフォーム(2)からはぐ及び/又は剥離するための停止部を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記装置(1)は、分離の間に前記物体(4)に作用する力を捕捉するように構成された力センサ(9)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記力センサは、前記分離装置(5)に接続され、前記分離装置(5)によって及ぼされる力を捕捉するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記力センサ(9)は、前記ホルダ(3)に接続され、前記ホルダ(3)によって及ぼされる力を捕捉するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記力センサ(9)は、力信号に基づいてプロセスパラメータを出力するための、及び/又は任意選択で駆動装置を制御するための処理ユニット(10)に接続されていることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記力センサ(9)は、歪みゲージを備える、請求項6から9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記装置(1)は、前記分離装置(5)を使用して前記構築プラットフォーム(2)から分離された物体(4)が分離後に収集ユニット(13)内に収集されるように配置された前記収集ユニット(13)を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記収集ユニット(13)は重量センサ(14)に接続され、前記重量センサ(14)は、前記収集ユニット(13)によって収集された物体(2)の重量を捕捉するように構成されることを特徴とする、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記収集ユニット(13)はアクチュエータ(15)に接続され、前記アクチュエータ(15)は、前記収集ユニット(13)のレセプタクルを、少なくとも1つの空間方向(17)において分離されるべき物体(2)に近づけるように構成されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記分離装置(5)は、前記構築プラットフォーム(2)の不均一性及び/又は位置決めエラー及び/又は不正確な位置若しくは配向を補償するように適切に取り付けられることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記ホルダ(3)によって保持された構築プラットフォーム(2)上に配置された物体(4)が、前記分離装置(5)によって前記構築プラットフォーム(2)から分離される、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(1)を使用して、放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体を処理する方法。
【請求項16】
前記分離装置(5)は剪断装置(6)を含み、前記剪断装置(6)は分離エッジ(7)を含み、前記装置(1)はまた、前記ホルダ(3)と前記剪断装置(6)との間の相対運動のための駆動装置を含み、前記物体(2)は、前記駆動装置の作用下で前記分離エッジ(7)を使用して前記構築プラットフォーム(2)から剪断されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記装置(1)は力センサ(9)を備え、前記構築プラットフォーム(2)からの前記物体(4)の分離の間に、前記物体(2)に作用する力が、前記力センサ(9)を使用して捕捉されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記ホルダ(3)と前記剪断装置(6)との間の相対運動のための駆動装置が、前記力センサ(9)からの力信号に基づいて制御されることを特徴とする、請求項16に従属する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体を処理するための装置の使用であって、前記装置は、構築プラットフォームを移動させるための駆動装置を含む搬送装置を含み、前記装置は、前記構築プラットフォームから前記物体をはぐ及び/又は持ち上げるための停止部を含み、前記物体は、前記構築プラットフォーム上の前記駆動装置の作用下及び前記停止部の作用下で、前記構築プラットフォームからはがれる及び/又は持ち上げられることを特徴とする、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体を処理するための装置であって、構築プラットフォームのためのホルダを備える装置と、そのような装置及びより一般的な装置の特定の使用を使用して、放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体を処理するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線によって硬化可能な液体物質から三次元物体を層状に構築するための装置及び方法は、3D印刷、積層造形又はラピッドプロトタイピングという用語でも知られている。当該物質は、常温常圧(温度20℃、絶対圧力101.325 kPa)で液体であってもよい。一般に、前記物質はまた、同じ条件で非液体であってもよい。本開示は、放射線によって硬化可能な物質の特定の集合状態に限定されない。この物質は、放射線による硬化後に集合の固体状態をとる。具体的には、本発明は、熱硬化性ポリマー又は「樹脂」からステレオリソグラフィーによって製造された物体を処理するための装置及び方法に関する。
【0003】
適切な波長及び強度の電磁放射線によって層状に硬化される物質、例えば感光性樹脂の断面情報は、一般に、マスク投影法又はレーザ源によって作成される。そのような印刷プロセスを可能にする生成的製造機械では、層の断面を露光するために、ピクセル制御DLP(digital light processing)、MEMS(微小電気機械システム)、LC(液晶)ディスプレイ、LEDディスプレイ又は制御可能なレーザが主に使用される。それによって、露光は、液体、感光性物質から固体層を生成する。この層はキャリアに付着し、キャリアを持ち上げることによって、基準面から取り外される又は除去される。その後の全ての製造ステップにおいて、基準面から取り外された硬化層は、キャリアとして機能する。このようにして、感光性物質から三次元物体が連続的に描画又は形成される。
【0004】
印刷プロセスが成功した後、作成された三次元物体は、引き続き後処理されなければならない。一連のステップは、「後処理」という総称として知られている。後処理が成功裏に実行された後、物体は、依然として構築プラットフォームから分離されなければならない。これは現在、機械のユーザによって手動で行われている。例えば、物体が上を向くように、構築プラットフォームをひっくり返す。構築プラットフォームは固定されなければならず、ユーザはスパチュラを用いてプラットフォームから物体を手動で分離しなければならない。ユーザは常に滑り落ち、怪我をし、構成要素を損傷する可能性がある。生産プロセスはまた、ユーザが構成要素を手動で取り外すまでの期間の間停止し、これは、特に一晩実行される構築プロセスにおいて生産性を低下させる。ユーザによって加えられる分離力は、材料のタイプに応じて変化することがある。構成要素は、材料のタイプ及び/又は形状に応じて容易に壊れることがある(非常に脆い)。
【0005】
AT 516324 B1は、光硬化性材料から物体を製造するための機械及び特別な構築プラットフォームに関する。この構築プラットフォームは、構成要素が付着する個々のピン又は歯を形成するXY方向の溝を有する。構成要素は、ある種のスクレーパを介して分離され、スクレーパを用いて、構成要素は、追加のツールなしに手動で構築プラットフォームから折り取ることができる。
図8a及び8bも参照されたい。
【0006】
印刷面の上に物体を作製する積層造形のための異なるタイプのプロセスに関して、EP 3 392 026 A1は、印刷面からパーツを解放するために印刷面にわたって移動するように支持されたパーツ除去ブレードを示している。同様の出願として、CN 207105641 Uは、作業台上の製品を自動的に切断して削り落とすために使用されるブレードを示している。
【0007】
より具体的には、金属、セラミック又はポリマー粉末を固めることによって生成される積層構築された3次元の物に関連して、US 2019/283161 A1は、ワイヤカット放電加工機(EDM)又は帯鋸を使用することによって、構築された物を基板プレートから分離することを開示している。EP 3 608 084 A1は、構築された物を通して垂直に切断してそれらを構築プレートから分離する分離要素、例えば帯鋸刃を示している。
【0008】
層状に形成された物体を分離するための既知の装置及び方法は自動化されておらず、それに基づく分離プロセスの個々のステップのいかなる監視又は制御も可能にしないので、改善された完全に自動化された分離装置が必要とされている。特に、印刷プロセスの完全な自動化を可能にする分離装置において、形成されるべき物体は、ユーザが製造プロセスに介入する必要なしに本質的に出力される。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、例えば層状に形成された物体の分離、ひいては自動的な取り外しを可能にする、冒頭に示したような装置及び方法を作成することである。
【0010】
この目的のために、本発明は、請求項1に定義された装置、請求項15に定義された方法、及び請求項19に定義された使用を提供する。有利な実施形態及び展開が、従属請求項に明記されている。
【0011】
本発明によれば、装置は、ホルダによって保持された構築プラットフォーム上に配置された物体を構築プラットフォームから分離するための分離装置を備える。ホルダは、ここでは、何かが固定されることができるか、又は何かを(特定の点で)保持する任意の装置を意味すると理解される。したがって、装置は、それ自体が、構築プラットフォーム又は取り外し可能な構築プラットフォームのためのレセプタクル、特にカップリングを備えることができる。装置の動作の間及び物体の分離の間、物体は、構築プラットフォームから吊り下げられてもよい。すなわち、ホルダは、ホルダによって保持された構築プラットフォームから吊り下げられた物体を支持するのに適することができる。分離装置は、物体を構築プラットフォームから引き離す重力の下で物体を構築プラットフォームから分離するように構成することができる。
【0012】
分離装置は剪断装置を備えることができ、剪断装置は分離エッジを備え、装置はホルダと剪断装置との間の相対運動のための駆動装置も備える。駆動装置は、1つ又は複数のモータ、例えば電気モータによって形成されることができる。駆動装置は、例えば物体に対する分離エッジの迎え角を変更するために、例えば分離エッジの対向する端部において異なるように制御することができる。
【0013】
駆動装置は、剪断装置を移動させるように構成されることができる。
【0014】
駆動装置は、代替的に、ホルダを移動させるように構成することができる。
【0015】
装置は、構築プラットフォームから物体をはぐ及び/又ははがすための停止部を備えることができる。
【0016】
装置は、分離の間に物体に作用する力を捕捉するように構成された力センサを備えることができる。この文脈において、力センサは、力又は力に関連するパラメータを捕捉又は確認し、それから力を導出又は検出することができる(間接的な力測定に対応する)任意のセンサであると理解される。本発明は、特定の物理的測定原理に限定されない。力センサは、例えば、少なくとも1つの空間方向における分離力又は物体に対する分離装置の力(又はその逆)を捕捉するために配置することができる。特に、力センサを使用して、ホルダと分離装置との相対配置に応じて力を捕捉し、任意選択で記録することができる。本発明の範囲内で、複数の力センサ、例えば分離エッジの対向する端部にそれぞれ1つの力センサを設けて、位置に依存して力を捕捉することができる。
【0017】
力センサは、分離装置に接続することができ、分離装置によって加えられる力を捕捉するように構成することができる。力は、例えば、分離されるべき物体、構築プラットフォーム上の別の障害物、又は構築プラットフォーム自体に及ぼされることができる。分離装置が抵抗を有さないケースは、自由移動に対応し、力センサによっても捕捉又は検出される。
【0018】
力センサは、ホルダに接続することができ、ホルダによって加えられた力を捕捉するように構成することができる。力は、例えば、ホルダの駆動装置によって、又は物体に、及びそこから構築プラットフォームを介してホルダに加えることができる。力センサは、特に、構築プラットフォームの構築領域の平面における分力を捕捉するように構成することができる。ホルダが抵抗を有さないケースは、自由な動きに対応し、力センサによって捕捉又は検出もされる。
【0019】
力センサは、力信号に基づいてプロセスパラメータを出力するため、及び/又は任意選択で駆動装置を制御するための処理ユニットに接続することができる。後者のケースでは、処理ユニットは、ホルダと剪断装置との間の相対運動のための駆動装置の制御装置である。一般に、処理ユニットは、力センサに接続され、力センサによって捕捉された力信号を処理するように構成される。相対運動のための駆動装置の制御のケースでは、駆動装置によって提供される供給は、力センサの力信号に応じて適合させることができる。この適合は、例えば、期待値との比較に基づいて行うことができる。例えば、分離装置及び/又はホルダの供給速度、供給加速度及び/又は処理時間を適合させることができる。複数のモータを含む駆動装置のケースでは、個々のモータは、力信号に応じて異なるように制御されてもよく、例えば、交互に、力閾値を超えて、又は(例えば、複数の力センサを用いて)空間分解能がある力信号に基づいて個々に制御されてもよい。期待値は、任意選択的に、時間、供給の関数として、及び/又は統計的に知ることができ、又は物体のモデルに基づいて計算することができる。
【0020】
力センサは、歪みゲージを備えることができる。
【0021】
装置は、分離装置を使用して構築プラットフォームから分離された物体が分離後に収集ユニット内に収集されるように配置された収集ユニットを備えることができる。
【0022】
収集ユニットは、重量センサに接続することができ、重量センサは、収集ユニットによって収集された物体の重量を捕捉するように構成される。捕捉された重量は、処理ユニットを使用して、予め規定された期待値又はモデルを使用して計算された期待値と比較することができ、偏差が大きすぎるとき、例えばエラーメッセージを出力することができ、又は物体の製造を繰り返すことができる。換言すれば、分離されるべき物体のレセプタクルは、分離された物体を受け入れるための高さ調節可能な堆積装置を設けることができ、この装置は、さらなる力センサを備えることができる。
【0023】
収集ユニットは、アクチュエータに接続することができ、アクチュエータは、収集ユニットのレセプタクルを、少なくとも1つの空間方向において分離されるべき物体に近づけるように構成される(すなわち、アクチュエータは、レセプタクルを有する物体に接近するように構成されてもよい)。その結果、分離された物体の落下の高さを減少させることができ、物体の線膨張に応じて任意に適合させることができる。
【0024】
分離装置は、構築プラットフォームの不均一性及び/又は位置決めエラー及び/又は不正確な位置若しくは向きを補償するために、適切な方法で取り付けることができる。例えば、剪断装置は、分離エッジが使用中に構築プラットフォームの構築領域に対して押圧されるように、ばねで留められた方法で取り付けられることができる。任意選択で、剪断装置は、構築プラットフォームの任意の旋回運動に追従することができるように、旋回可能に取り付けることができる。
【0025】
冒頭で述べたタイプの開示した方法では、ホルダによって保持された構築プラットフォーム上に配置された物体を、分離装置によって構築プラットフォームから分離することができる。
【0026】
分離装置は剪断装置を備えることができ、剪断装置は分離エッジを備え、装置はまた、ホルダと剪断装置との間の相対運動のための駆動装置を備え、物体は、駆動装置の作用下で分離エッジを使用して構築プラットフォームから剪断される。
【0027】
装置は、力センサを備えることができ、物体に作用する力は、構築プラットフォームからの物体の分離の間に力センサを使用して捕捉される。
【0028】
ホルダと剪断装置との間の相対運動のための駆動装置は、力センサからの力信号に基づいて制御することができる。
【0029】
放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体を処理するための装置の開示された使用において、装置は、構築プラットフォームを移動させるための駆動装置を含む搬送装置を含み、装置は、構築プラットフォームから物体をはぐ及び/又は剥離するための停止部を含み、構築プラットフォーム上の駆動装置の作用下及び停止部の作用下で、物体が構築プラットフォームからはがれる及び/又は剥離される。剥離するために、例えば、構築プラットフォームから離間され、物体と構築プラットフォームとの間の接触面にトルクを生じさせる停止部を使用することができる。
【0030】
本開示によれば、分離装置はブレードを備え、物体及び/又は構築プラットフォームに及ぼされる力はセンサを介して経時的に捕捉することができ、ブレードはアクチュエータ又は供給装置によって移動させることができ、コンテナはまた、例えば別個の物体の重量を捕捉することができ、さらなるアクチュエータによって高さを移動させることができるセンサを備えることができ、少なくとも1つのセンサは、力信号を捕捉するために制御装置と関連して使用することができ、したがって供給速度及び/又は加速度を最適化することができる。
【0031】
装置の任意選択の実施形態によれば、センサは、センサによって捕捉された力関連値を処理するように構成された処理ユニットに接続することができる。処理ユニットは、この目的のためにマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを備えることができる。さらに、処理ユニットは、力センサを使用して捕捉された力値を処理するためのデータ及び/又はプログラムコマンドを含むデータメモリに接続することができる。処理ユニットは、オペレータによる処理ユニットの操作のために、入力/出力装置、例えばタッチスクリーンに接続することができる。処理ユニットを設けることにより、物体の分離に必要な動作及び最適化を自動的に実行することができる。
【0032】
装置を適切に制御できるようにするために、センサは、処理ユニットを介して、ブレードの駆動ユニット又は供給ユニットと結合され、任意選択で、高さ調節可能な収集コンテナのためのセンサと、好ましくはブレードに接続され、力センサによって捕捉された力値に応じて制御されることができる少なくとも1つの駆動ユニットとに結合されるようにすることができる。したがって、力センサによって捕捉された力の値は、処理ユニットに送信され、そこで処理されることができる。
【0033】
駆動ユニットは、任意選択的に捕捉されたセンサデータに基づいて、少なくとも1つの軸においてブレードを移動させることを可能にすることができる。任意選択で、駆動ユニットは、主に直線運動によって少なくとも1つの物体を構築プラットフォームから分離するように設計される。駆動ユニットは、直線軸に接続され、したがってブレードが平面内で移動することを可能にする電気モータ、例えばステッピングモータを備えることができる。駆動装置はエンコーダを備えることができる。
【0034】
装置を制御できるようにするために、収集トレイに接続されたセンサ(例えば、力センサ又は秤量セル)を用いて、物体が構築プラットフォームからうまく分離されて収集トレイに収集されたかどうかを決定するために、力センサが処理ユニットを介して物体の元の情報(CADデータ;体積、材料密度、重量)を有するデータベースに結合されるようにすることもできる。
【0035】
少なくとも1つの歪みゲージ、いわゆる歪みゲージセンサ又は歪みゲージブリッジを使用して、費用効果の高い実装のために力値を決定することができる。力の値に関連する変数(例えば、モータ電流)を測定することによって、力の進行について結論を引き出すことができる。
【0036】
方法に関して、本開示によれば、センサが力センサであり、少なくとも1つの物体を構築プラットフォームから分離するための力及び/又は収集トレイ内の既に分離された物体の重量を、力センサを使用して捕捉することができるようにすることもできる。
【0037】
構築プラットフォームからの物体の力制御された分離を可能にするために、分離力を捕捉するために設けられた力センサは、少なくとも例えば0.01秒から60秒の時間間隔で又は連続的に制御ユニットによって読み取ることができ、必要に応じて目標値及び/又は最大値と比較される。
【0038】
分離装置のさらなる実施形態によれば、決定された力の値がデータベースからの分離力の目標値と比較され、その結果、最適な分離速度又は許容される力の値が、たとえば使用される材料に応じて決定されることができ、それによってブレード供給が行われるべきか否かが決定されることができる。これは、既に捕捉された信号からエラーを推測することができるので、同じ造形ジョブの複数の生産サイクルが実行されるときにも考えられる。
【0039】
加えて、構成要素及び/又は材料に依存する力信号の期待値は、形状及び/又は材料データから処理ユニットによって計算することができる。
【0040】
特に、捕捉された力信号を使用して、収集トレイ及び関連するセンサを用いて、データベースからのデータに基づいて1つの構成要素及び/又は複数の構成要素の分離を捕捉することができる。例えば、収集トレイ内で測定された重量は、各物体が構築プラットフォームから正常に取り外されると増加する。
【0041】
さらに、物体の高さに応じて、構築プラットフォームと収集トレイ/収集装置との間の距離は、持ち上げ移動を用いて、すなわち、分離があるときに物体の落下高さ又は物体と収集トレイとの間の距離を適合できるような方法で、設定されることができる。
【0042】
本方法のさらなる実施形態によれば、複数の分離のケースでは、分離された物体の数が、センサによって捕捉された力の値に応じて決定されることができる。
【0043】
さらに、構成要素分離の状態及び/又は構築プラットフォームの状態についての結論が、センサを使用して捕捉された力信号からなされることができる。力センサを用いて、分離プロセス後に、ブレードに作用する力と、ブレードの移動方向が反転されたときに発生する任意の追加の予期せぬ力信号とから、構築プラットフォーム上の残留物を推測することができる。
【0044】
本発明のさらなる実施形態では、ブレードは、構築プラットフォームに対して高さ補償又は公差補償を可能にするように取り付けることができる。これは、例えば、ブレードのばね取り付け又はばねで留められた吊り下げによって行うことができる。
【0045】
装置のさらなる実施形態によれば、衝突又は損傷を防止するために、ブレードの移動/位置決めの間に、捕捉又は決定された力の値が最大許容値と比較されることができる。
【0046】
特に、分離装置は、既知の構成要素データを用いて制御装置を介して最大許容分離力を指定することができ、この分離力は、分離プロセスの間に超えてはならない。分離プロセスは、反復的に実行することができ、これは、例えば、最大分離力に達したときにブレードが制御ユニットによって停止され、次いで、力が減少した後、すなわち、構築プラットフォームからの構成要素の少なくとも部分的な分離が生じたときに、供給が再び継続されることを意味する。速度ランプ及び/又は加速度ランプは、力の推移に応じて制御ユニットによって指定することもできる。したがって、分離プロセスを穏やかに行うことができ、構成要素への損傷を防止することができる。
【0047】
説明が、高さ、水平、垂直、上部、底部、上方又は下方という用語に言及するとき、これらの用語又は他の場所若しくは方向の指定は、装置の使用位置において理解されるべきである。
【0048】
装置に関する説明の一部の繰り返しを避けるために、方法に適用可能である限り、方法の説明に関して装置の先の説明も参照されたい。
【0049】
開示された方法は、構築プラットフォームから、放射線によって硬化可能な液体物質、例えば光硬化性樹脂から層状に構築された少なくとも1つの物体を自動的に分離し、任意選択で収集するために使用される。
【0050】
3D印刷プロセスによって形成された物体は、例えば、構築プラットフォームに付着する。生成的に製造された物体が、その意図された目的のために使用される場合、それを最終的に使用するために、構築プラットフォームから分離されなければならない。物体は、現在、スパチュラを用いてユーザ自身によって構築プラットフォームから除去される。材料及び形状に応じて、スパチュラは、感触に従ってユーザによって適用される。構成要素の分離は、ユーザの経験及び感覚に応じて成功するか、又は成功しないかもしれない。
【0051】
本方法の任意選択の実施形態によれば、力センサを使用して捕捉された力は、力センサに接続された処理ユニットにおいて力の期待値と比較され、少なくとも1つの方法パラメータが、捕捉された力値と期待値との間の差に応じて設定される。方法パラメータの値は、力センサによって捕捉することができる。特に、力センサを使用して捕捉された力値を力の期待値及び/又は期待値の範囲と繰り返し比較することによって、方法パラメータを分離力の目標値に設定又は調節することができる。方法パラメータは、処理ユニット自体によって設定されることができるか、又はそれによって制御されることができる。
【0052】
例えば、力の期待値は、少なくとも1つの方法パラメータに応じて処理ユニットによって計算又は指定することができる。したがって、方法パラメータの特定の値に対して、又は複数のプロセスパラメータの複数の特定の値に対して、期待される力値を処理ユニットによって計算することができる。処理ユニットはまた、1つ以上の方法パラメータの一連の特定の値に対する力の一連の期待値を計算することができる。計算は、例えば、構成要素重量、構成要素の接着面及び/又は使用される材料を使用して、シミュレーションソフトウェアによって実行することができる。したがって、センサを備える収集ユニットと組み合わせて、構築プラットフォームからの成功した分離、とりわけ完全な分離及び/又は不完全な分離を、構成要素の重量を介して検出又は捕捉することができる。
【0053】
あるいは、分離プロセスの過程における力の値の相対的及び/又は絶対的変化を使用して、前述のプロセス変数を制御することもできる。
【0054】
任意選択で、構築プラットフォーム上に生成された構成要素の数を、センサを使用して捕捉された分離力及び/又はセンサを用いて収集トレイによって捕捉された重量から決定することができ、したがって、成功した構築プロセスについて結論を引き出すことができる。これにより、3Dデータに対応する印刷処理が成功裏に及び完全に行われたかどうかを決定することができる。期待される力の値が生じるべき座標は、分離力とエンコーダを有する直線軸との組み合わせによって決定することができる。これが対応する点で生じない場合、この点に物体が存在しないか、及び/又は物体が構築プラットフォームから少なくとも部分的に取り外されているかのいずれかである。このケースの場合、分離力の第1の値は、期待された以外の点で生じる。
【0055】
本発明は、図面を参照して、好ましい、非限定的な例示的実施形態を使用して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体を処理し、分離装置を使用して構築プラットフォームから物体を分離するための本発明による装置を概略的に示す図である。
【
図2A】
図2Aは、分離プロセスを概略的に示す図であり、
図2Aでは分離装置が物体に接触している。
【
図2B】
図2Bは、分離プロセスを概略的に示す図であり、
図2Bでは物体が部分的に剪断されている。
【
図2C】
図2Cは、分離プロセスを概略的に示す図であり、
図2Cでは物体が完全に剪断されている。
【
図3】
図3は、物体が収集ユニットに収集される瞬間における
図1による装置を概略的に示す。
【
図4】
図4は、
図1に対してわずかに修正され、構築プラットフォームからの物体の完全な取り外しを検出する光バリアを有する装置を概略的に示す。
【
図5】
図5は、すでに進行しているがまだ完全には完了していない、構築プラットフォームからの物体の分離プロセスについての、
図1による力センサの力信号の例示的な時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
【
図6】
図6は、
図4による光バリアの信号のダイヤグラムを概略的に示す。
【
図7A】
図7Aは、力信号に基づく適応速度制御のダイヤグラムを概略的に示す。
【
図7B】
図7Bは、力信号に基づく適応速度制御のダイヤグラムを概略的に示す。
【
図7C】
図7Cは、力信号に基づく適応速度制御のダイヤグラムを概略的に示す。
【
図8】
図8は、構築プラットフォームからの構成要素の完全な分離を示す、力信号の時間プロファイルを有するダイヤグラムを概略的に示す。
【
図9A】
図9Aは、最大の予め定められた分離力を超えて分離プロセスが終了した
図2Aによる状況のダイヤグラムを概略的に示す。
【
図9B】
図9Bは、最大の予め定められた分離力を超えて分離プロセスが終了した
図2Aによる状況のダイヤグラムを概略的に示す。
【
図10】
図10は、剪断装置によって分離される複数の物体を有する構築プラットフォームを概略的に示す図である。
【
図11】
図11は、力センサによって捕捉された力信号の時間プロファイルを概略的に示す。
【
図12】
図12は、不完全な分離を示す残留物を有する構築プラットフォームを概略的に示す。
【
図13】
図13は、剪断装置の旋回可能及びばねで留められた取り付けを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
上記の説明及びそこで使用される用語を参照すると、図面に示される特定の例示的な実施形態の要素は、放射線によって硬化可能な液体物質から積層造形方法によって製造された物体4を処理するための装置1と、構築プラットフォーム2と、構築プラットフォーム2のための、すなわち構築プラットフォーム2を保持するホルダ3と、構築プラットフォーム2上に配置されて構築プラットフォーム2に付着している物体4を構築プラットフォーム2から分離するための分離装置5と、分離エッジ7を備える剪断装置6と、剪断装置6の移動方向8に沿ったホルダ3と剪断装置6との間の相対運動のための駆動装置(図示せず)と、力センサ9と、光バリア20と、例えば材料残留物の形態で構築プラットフォームに付着している汚染物質21である。
【0058】
構築プラットフォーム2は、ばねで留められて水平方向に変位可能に取り付けられ、力センサ9は、この吊り下げの撓みを捕捉することができる。力センサ9は、ホルダ3に接続され、ホルダ3によって及ぼされる力、より正確には、剪断装置6の駆動の力に対してばねで留められた取り付けによって加えられる反力を捕捉するように構成される。力センサ9は、処理ユニット10に接続されている(接続線11)。処理ユニット10は、力信号に基づいてプロセスパラメータを出力し、剪断装置6(接続ライン12)の駆動を制御することができる。力センサ9は、歪みゲージを備える。
【0059】
装置1は、収集ユニット13を備えている。収集ユニット13は、分離装置5を使用して構築プラットフォーム2から分離された物体4が分離後に収集ユニット13内に収集されるように配置される。物体4への損傷を回避するために、収集ユニット13の底部にパッドが設けられる。収集ユニット13は、重量センサ14に接続されている。重量センサ14は、収集ユニット13によって収集された物体4の重量を捕捉するように構成されている。収集ユニット13はまた、アクチュエータ15、例えばラック(すなわちリニアギア)に接続されている。アクチュエータ15は、収集ユニット13のレセプタクル16を、少なくとも1つの空間方向17において、分離されるべき物体4(又はそれを支持する構築プラットフォーム2)に持っていくように構成される。分離装置5は、構築プラットフォーム2の不均一性及び/又は位置決めエラー及び/又は不正確な位置若しくは向きを補償するために適切に取り付けられ、
図13のマウント18及びばね19を参照する。
【0060】
以下の用語を、ダイヤグラムにおいて使用する。FNは、力センサ9によって捕捉される力信号であり;Fbは、物体4又は構築プラットフォームに損傷をもたらすことなく剪断装置6によって加えられることができる適切な取り外し力であり;tcは、剪断装置6の物体4との最初の接触の時点であり;tsecは、秒の時間軸であり;LSは、光バリア20からの信号であり;tsepは、物体4が構築プラットフォーム2から完全に分離する時点であり;xmmは、ミリメートルの構築プラットフォーム2に対する剪断装置6の位置であり;vm/sは、構築プラットフォーム2に対する剪断装置の速度であり;Pはワットの電力である;Psepは、調整される特定の取り外し電力であり;tpeakは、最大力信号の時点であり;Fstopは、分離プロセスがエラーにより中断される最大許容力および力しきい値であり;terrorは、エラーが生じる時点であり;xstopは、エラーの時点における剪断装置6の位置であり;zは、(
図1に示すように)基準状態で構築プラットフォーム2の構築領域の平面に垂直であるデカルト座標であり;Δzは、z座標の距離;x及びyは、構築領域の平面の座標である。
【0061】
図示された図面において、それぞれの図面を説明する役割を果たさない装置の部分は、明確にするために省略されている。
【国際調査報告】