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特表2023-501666NT-814の重要な中間体である6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンを作製するための新規な化学的方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】NT-814の重要な中間体である6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンを作製するための新規な化学的方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/04 20060101AFI20230111BHJP
   C07D 213/75 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 5/28 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230111BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C07D498/04 112T
C07D213/75 CSP
A61K31/5383
A61P5/28
A61P15/08
A61P17/08
A61P17/14
A61P19/10
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528104
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2020081476
(87)【国際公開番号】W WO2021094247
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】19209562.8
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521047546
【氏名又は名称】カンディー セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・シュルスナー
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ・ギッツォーニ
(72)【発明者】
【氏名】ロン・ローレンス
【テーマコード(参考)】
4C055
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA39
4C055CA02
4C055CA53
4C055CB02
4C055DA08
4C055FA01
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072EE07
4C072FF08
4C072GG01
4C072HH02
4C072HH07
4C072JJ03
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB22
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086NA20
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA97
4C086ZB26
4C086ZC03
(57)【要約】
本発明は、化合物2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N-{4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-[(7S,9aS)-7-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル]-3-ピリジニル}-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物A)の製造において有用な化合物2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物IX)を生成する新規な方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(IX):
【化1】
を調製する方法であって;
前記方法が、次のステップi)塩基の存在下で4-クロロ-5-ニトロピリジン-2(1H)-オンを4-フルオロ-2-メチルフェニルボロン酸とパラジウム錯体の触媒により反応させて、4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(III):
【化2】
を得るステップを含む方法。
【請求項2】
・前記パラジウム錯体が、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ホスフィンパラジウム錯体から選択され;
・前記塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、リン酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシドまたはその混合物から選択され;
・ステップi)が、非環状および環状エーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリルまたはそれらの混合物から選択される有機溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップi)の後に、
ii)ステップi)で得られた4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(III)をPOCl3と反応させて2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(IV):
【化3】
を得るステップが続く、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップii)の後に
iii)前記2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(IV)を接触水素化により還元して、式(V)の6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミン:
【化4】
またはその塩を得るステップが続き、
・前記接触水素化が、パラジウム炭素または白金炭素から選択される触媒の存在下で行われ、
・前記化合物(IV)の塩が、マレイン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩またはメタンスルホン酸塩、好ましくは塩酸塩から選択される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップiii)の後に、
iv)ステップiii)で得られた6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩(V)を、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド(VI)と反応させて、式(VII)の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド:
【化5】
を得るステップが続き、
ステップiv)が、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ルチジンまたはその混合物から選択される有機塩基の存在下、ジクロロメタン中、0~5℃の温度で行われる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップiv)の後に、
v)ステップiv)で得た2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(VII)を、式CH3X(VIII)のハロゲン化メチル(ここで、Xは塩素、臭化物またはヨウ素から選択されるハロゲンである)と炭酸セシウムの存在下で反応させて、化合物(IX)を得るステップが続き、
ステップv)が、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ルチジンから選択される有機塩基または炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシドまたはその混合物から選択される無機塩基で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の中間体(IX)を調製する方法であって、前記方法が、次のステップ:
i)塩基の存在下で4-クロロ-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(I)を4-フルオロ-2-メチルフェニルボロン酸(II)とパラジウム錯体の触媒により反応させて、構造(III)の4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン:
【化6】

を得るステップと、
ii)ステップi)で得られた4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(III)をPOCl3と反応させて、2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(IV):
【化7】

を得るステップと、
iii)2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(IV)を接触水素化により還元して、式(V)の6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩:
【化8】

を得るステップと
iv)ステップiii)で得られた6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩(V)を2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド(VI)と反応させて、式(VII)の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド:
【化9】

を得るステップと
v)2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(VII)を、炭酸セシウムの存在下、式CH3X(VIII)のハロゲン化メチルと反応させて、化合物(IX)を得るステップと
を含む方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法から得られる化合物(IX)。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法から得られる化合物(IX)の、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-((7S,9aS)-7-(ヒドロキシメチル(hydroxylmethyl))ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物A):
【化10】
の製造における使用。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法に従って調製される、化合物(IX)から得られる化合物A。
【請求項11】
ホットフラッシュ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症、月経時の大量出血、腺筋症または子宮筋腫から選択される性ホルモン疾患の治療に用いるための、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法に従って調製された、化合物(IX)から得られる化合物A。
【請求項12】
化合物(V)の塩:
【化11】
であって、前記塩が、マレイン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩またはメタンスルホン酸塩から選択される、化合物(V)の塩。
【請求項13】
式(VII)の化合物:
【化12】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物Aの製造に有用な化合物IXを生成するための新規な方法に関する。本発明はまた、この方法により調製される化合物IX、および化合物Aの製造におけるその使用にも関する。本発明はまた、化合物III、化合物IV、化合物Vの塩、化合物VII、およびそれらの薬学的に許容される塩をはじめとする、この方法によって調製される新規な中間体、ならびに化合物IXまたは化合物Aの製造におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、国際公開第2007/028654号に初めて開示された。
【0003】
化合物Aは、無水結晶形でも公知である。したがって、無水結晶形としての化合物A(例、無水結晶形1)が国際公開第2011/023733号に記載されている。
【0004】
化合物Aまたはその無水結晶形1をはじめとするその薬学的に許容される塩は、とりわけ、ホットフラッシュ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症、月経時の大量出血、子宮筋腫または腺筋症をはじめとする性ホルモン疾患の治療に有用である。国際公開第2016/184829号を参照されたい。
【0005】
化合物Aまたはその薬学的に許容される塩、およびその無水結晶形1を調製する方法は、国際公開第2007/028654号および国際公開第2011/023733号にそれぞれ開示されている。これらの方法は、化合物XIの反応により化合物Aまたはその無水結晶形1を生成する。
【0006】
化合物IXを調製する方法は、国際公開第2005/002577号、国際公開第2006/013050号、および国際公開第2002/016324号、ならびに欧州特許第3067349号および欧州特許第3141541号に開示されている。しかし、これらの方法は、一般に収率が低く、コストが高いか、または市販されていない材料を使用するため、結果として化合物Aを合成する全体的なコストに影響を及ぼす。
【0007】
したがって、化合物Aを生成するために有用な化合物IXを調製するための改善された方法が必要とされている。本発明はこの必要性に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/028654号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2011/023733号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2016/184829号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005/002577号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/013050号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2002/016324号パンフレット
【特許文献7】欧州特許第3067349号明細書
【特許文献8】欧州特許第3141541号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一部の態様では、本発明は、次のステップ:
(i)化合物Iを化合物IIと反応させて化合物IIIを形成するステップ;
(ii)化合物IIIを反応させて化合物IVを形成するステップ;
(iii)化合物IVを反応させて化合物Vまたはその薬学的に許容される塩を形成するステップ;
(iv)化合物Vまたはその薬学的に許容される塩を化合物VIと反応させて化合物VIIを形成するステップ;および
(v)化合物VIIを化合物VIIIと反応させて化合物IXを形成するステップ
のうちの1つまたは複数を含む、化合物IXを調製する方法を提供する。
【0010】
一部の態様では、本発明は、化合物IXの製造における、化合物I、化合物III、化合物IV、化合物V、化合物VII、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0011】
一部の態様では、本発明は、化合物III、化合物IV、化合物VII、またはそれらの塩から選択される中間体を提供する。
【0012】
一部の態様では、本発明は、化合物Vの塩を提供する。
【0013】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物IXを提供する。
【0014】
一部の態様では、本発明は、次のステップ:
(vi)本明細書に開示される方法により調製される化合物IXを化合物Xと反応させて化合物XIまたはその薬学的に許容される塩を形成するステップ;
(vii)化合物XIまたはその薬学的に許容される塩を反応させて化合物Aの薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を形成するステップ;
(viii)化合物Aの薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を反応させて化合物A(例、形態1)を形成するステップ
のうちの1つまたは複数を含む、化合物Aを調製する方法を提供する。
【0015】
一部の態様では、本発明は、ステップ(i)~(viii)のうちの1つまたは複数を含む、化合物Aを調製する方法を提供する。
【0016】
一部の態様では、本発明は、化合物Aの製造における、化合物III、化合物IV、化合物V、化合物VII、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0017】
一部の態様では、本発明は、化合物Aの製造における、本明細書に開示される方法により調製される化合物IXの使用を提供する。
【0018】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aを提供する。
【0019】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aと、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aまたはその医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、性ホルモン疾患を治療または予防する方法を提供する。
【0021】
一部の態様では、本発明は、性ホルモン疾患を治療または予防する際に使用するための、本明細書に開示される方法により調製される化合物A、またはその医薬組成物を提供する。
【0022】
一部の態様では、本発明は、性ホルモン疾患を治療または予防する際に使用するための薬物の製造における、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aの使用を提供する。
【0023】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aまたはその医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、状態を治療または予防する方法を提供する。
【0024】
一部の態様では、本発明は、薬物として使用するための、本明細書に開示される方法により調製される化合物A、またはその医薬組成物を提供する。
【0025】
一部の態様では、本発明は、治療に使用するための薬物の製造における、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aの使用を提供する。
【0026】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書では、文脈上明らかに示されている場合を除いて、単数形には複数形も含まれる。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、適した方法および材料は以下に記載されている。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照により組み込まれる。本明細書で引用された参考文献は、特許請求される発明の先行技術であると認められるものではない。矛盾する場合は、本明細書が定義も含めて優先される。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、特に、化合物IXを調製するための新規かつ効率的な方法の発見に基づく。この方法は、化合物Aの製造に適した品質(例えば、高純度)で化合物IXを生成することができ、工業規模で容易に拡張可能であり得る。
【0029】
定義
本明細書において、「化合物A」は、2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N-{4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-[(7S,9aS)-7-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル]-3-ピリジニル}-N,2-ジメチルプロパンアミドを指し、以下に示される化学構造を有する。
【化1】
(化合物A)。
【0030】
本明細書において、化合物Aの「形態1」は、2θ角が4.3±0.1、7.9±0.1、9.8±0.1、10.7±0.1、10.8±0.1、13.3±0.1、14.0±0.1、15.1±0.1度で生じ、それぞれ20.4、11.1、9.0、8.3、8.2、6.6、6.3および5.9オングストローム(Å)の格子面間隔(d-spacing)に対応する、化合物Aの無水結晶形(「形態1」)を指す。
【0031】
本明細書において、「化合物I」は、4-クロロ-5-ニトロピリジン-2(1H)-オンを指し、以下に示される化学構造を有する。化合物Iは、例えば、Leapchem、RennoTech Co.、Ltd.、Chemieliva Pharmaceutical Co.、Ltd.、またはAlchem Pharmtech、Incから商業的に入手可能であることが理解される。
【化2】
(化合物I)。
【0032】
本明細書において、「化合物II」は、4-フルオロ-2-メチルフェニルボロン酸を指し、以下に示される化学構造を有する:
【化3】
(化合物II)。
【0033】
本明細書において、「化合物III」は、4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オンを指し、以下に示される化学構造を有する:
【化4】
(化合物III)。
【0034】
本明細書において、「化合物IV」は、2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジンを指し、以下に示される化学構造を有する:
【化5】
(化合物IV)。
【0035】
本明細書において、「化合物V」は、6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンを指し、以下に示される化学構造を有する:
【化6】
(化合物V)。
【0036】
本明細書において、「化合物VI」は、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリドを指し、以下に示される化学構造を有する。化合物VIおよびその調製方法は、米国特許出願公開第2015/0011510号、およびJournal of Organic Chemistry、71(5)、2000-2008(2006)に記載されている。
【化7】
(化合物VI)。
【0037】
本明細書において、「化合物VII」は、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミドを指し、以下に示される化学構造を有する:
【化8】
(化合物VII)。
【0038】
本明細書において、「化合物VIII」は、ハロゲン化メチルを指し、CH3X(式中、Xはハロゲンである)の化学構造を有する。一部の実施形態では、Xは、Cl、l、Br、またはIである。一部の実施形態では、XはCl、Br、またはIである。一部の実施形態では、化合物VIIIは、CH3Cl、CH3Br、またはCH3Iである。一部の実施形態では、化合物VIIIは、CH3Cl、CH3Br、またはCH3Iである。
【0039】
本明細書において、「化合物IX」は、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミドを指し、以下に示される化学構造を有する:
【化9】
(化合物IX)。
【0040】
本明細書において、「化合物X」は、(7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)オクタヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン]という、以下に示される化学構造を有する化合物を指す:
【化10】
(化合物X)。
【0041】
本明細書において、「化合物XI」は、N-(6-((7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N,2-ジメチルプロパンアミドという、以下に示される化学構造を有する化合物を指す:
【化11】
(化合物XI)。
【0042】
本開示は、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩および溶媒和物を含み、前記化合物の立体異性体、立体異性体の混合物、すべての異性体の多形を含むことが理解される。
【0043】
本明細書において、「塩」または「薬学的に許容される塩」という用語は、無機酸または有機酸から調製された本発明による化合物の任意の塩を指す。本発明の化合物の適した塩または薬学的に許容される塩には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの無機酸で形成される酸付加塩、ならびに、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファー硫酸、イセチオン酸(isothionic)、ムチン酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、サッカリン酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィニリック酸(sulfinilic)、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えばベンゼンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸などの有機酸で形成される酸付加塩が含まれる。
【0044】
本明細書において、「溶媒和物」という用語は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含む溶媒付加形態を指す。一部の化合物は、結晶性固体状態の溶媒分子の固定モル比を捕捉して溶媒和物を形成する傾向がある。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物である。溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1つまたは複数の水分子と1分子の物質の組合せによって形成され、水はH2Oとしてその分子状態を保持している。
【0045】
本明細書において、「化合物A」という用語は、本明細書で別段の指示がない限り、化合物Aの任意の形態、例えば遊離塩基および薬学的に許容される塩を含むことが意図される。遊離塩基および薬学的に許容される塩には、無水形態および水和物などの溶媒和形態が含まれる。無水形態および溶媒和物には、非晶質および結晶形が含まれる。
【0046】
本明細書において、化合物Vの「塩」という用語は、化合物Vの塩、溶媒和物および水和物を含むことが意図される。
【0047】
本明細書において、「治療」または「治療すること」は、疾患の臨床症状の進行を緩和、阻止、部分的に阻止または遅延させること、あるいは疾患を治癒することを目的とした患者の管理およびケアを示すことが意図される。治療される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0048】
本明細書において、「予防」または「予防する」という用語は、そのような疾患、状態または障害の症状または合併症の発症を軽減または除去することを説明する。
【0049】
本明細書において、「ホットフラッシュ(hot flushes)」という用語は、「ホットフラッシュ(hot flashes)」という用語および「血管運動症状」という用語と交換可能であり、同じ意味を有することが意図される。
【0050】
本明細書において、「含む」という用語には、「のみからなる」場合が含まれる。
【0051】
1つまたは複数の要素に関して「含む」、「有する」、「含まれる」または「含有する」などの用語を使用する本発明の1つまたは複数の態様の本明細書中の説明は、別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、その1つまたは複数の特定の要素「からなる」、「から本質的になる」または「を実質的に含む」同様の態様または本発明の態様に対する支持を提供することが意図される(例えば、特定の要素を含むと本明細書に記載される組成物は、別段の記載がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、その要素からなる組成物も記載するものとして理解されるべきである)。
【0052】
本明細書において、「室温」という用語は、約15℃から約25℃までの温度範囲を指す。
【0053】
本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」という用語ならびに同様の参照語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。例えば、「化合物」という語句は、特に明記しない限り、本発明または特定の記載された態様の様々な「化合物」を指すものと理解される。
【0054】
本文脈において、「純度」という用語は、HPLC-MSなどのクロマトグラフィー法によるか、または定量的1H NMR(内部標準品に対して測定)により求めた生成物の面積比を示す。
【0055】
本文脈において、「変換」という用語は、ある反応における基質の変換の程度を示す。
【0056】
本明細書において、「医薬組成物」という用語は、本発明の化合物を被験体への投与に適した形態で含有する製剤である。一部の実施形態では、医薬組成物は、バルクまたは単位剤形の状態である。単位投与形態は、例えば、カプセル剤、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器の単一のポンプまたはバイアルをはじめとする多様な形態のいずれかである。単位用量の組成物中の有効成分(例、開示される化合物またはその塩、水和物、溶媒和物もしくは異性体の製剤)の量は、有効量であり、関与する特定の治療に応じて変化する。当業者は、患者の年齢および状態に応じて、投与量を日常的に変化させることが必要であることがあることを理解するであろう。投与量は、投与経路にも依存する。多様な経路が企図され、それには経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、頬側、舌下、胸膜内、くも膜下腔内、鼻腔内などが含まれる。本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が含まれる。一実施形態では、活性化合物は、無菌条件下で、製薬上許容される担体、および必要とされる任意の防腐剤、緩衝液、または噴射剤と混合される。
【0057】
本明細書において、「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症なくヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している、妥当な利益/リスク比に見合った化合物、アニオン、カチオン、材料、組成物、担体、および/または剤形を指す。
【0058】
本明細書において、「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、一般に安全で無毒であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないものでない医薬組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、それにはヒト用の医薬用途だけでなく獣医学用途にも許容される賦形剤が含まれる。本明細書および特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容される賦形剤」には、1つおよび複数のそのような賦形剤が含まれる。
【0059】
本明細書において、「被験体」という用語は、「それを必要とする被験体」という用語と交換可能であり、どちらも疾患を有するかまたは疾患を発症するリスクが高い被験体を指す。「被験体」には、哺乳動物が含まれる。哺乳動物は、例えば、ヒトまたは適切な非ヒト哺乳動物、例えば霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジまたはブタであり得る。被験体は、鳥または家禽であってもよい。一実施形態では、哺乳動物はヒトである。それを必要とする被験体は、刷り込み障害を有すると以前に診断または識別された者であり得る。それを必要とする被験体は、刷り込み障害を有する(例えば、刷り込み障害を患っている)被験体であってもよい。あるいは、それを必要とする被験体は、人口全体と比較してそのような障害を発症するリスクが高い者(すなわち、人口全体と比較してそのような障害を発症する素因がある被験体)であり得る。それを必要とする被験体は、難治性または抵抗性の刷り込み障害(すなわち、治療に応答しないかまたはまだ応答していない刷り込み障害)を有し得る。被験体は、治療開始時に抵抗性を示す場合もあれば、治療中に抵抗性を示す場合もある。
【0060】
本明細書において、「A、B、またはCの1以上」、「1以上のA、B、またはC」、「A、B、およびCの1以上」、「1以上のA、B、およびC」、「A、B、およびCからなる群から選択される」、「A、B、およびCから選択される」などの表現は、同義的に使用され、特に明記しない限り、いずれも、A、B、および/またはCからなる群からの選択、すなわち、1つまたは複数のA、1つまたは複数のB、1つまたは複数のC、またはそれらの任意の組合せからの選択を指す。
【0061】
本明細書で引用されるすべての刊行物および特許文書は、そのような各刊行物または文書が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物および特許文書を引用することは、そのいずれかが関連する先行技術であることを認めるものではなく、その内容または日付に関する承認を成すものでもない。本発明はここで書面によって説明されたが、当業者は、本発明が多様な実施形態で実践することができること、ならびに前述の説明および以下の例が例示を目的とするものであり、後に続く特許請求の範囲を限定するものではないことを認識するであろう。
【0062】
化合物IXを調製する方法
本発明の発明者らは、化合物IX:
【化12】
を調製するための新規で効率的な方法を見出した。この方法は、次のステップ:
(i)化合物I:
【化13】
を、化合物II:
【化14】
と、パラジウム触媒および塩基の存在下で反応させて、化合物III:
【化15】
を形成するステップ;
(ii)化合物IIIを塩素化剤と反応させて化合物IV:
【化16】
を形成するステップ;
(iii)化合物IVを接触水素化により還元して化合物V
【化17】
またはその塩を形成するステップ;
(iv)化合物Vまたはその塩を2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド(化合物VI)と反応させて化合物VII:
【化18】
を形成するステップ;
および
(v)化合物VIIをメチル化剤(例、化合物VIII(例、CH3Cl、CH3Br、またはCH3I))と反応させて化合物IXを形成するステップ
のうちの1または複数を含む。
【0063】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)を含む。
【0064】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(ii)を含む。
【0065】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(iii)を含む。
【0066】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(iv)を含む。
【0067】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(v)を含む。
【0068】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(v)の2つ以上を含む。
【0069】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(v)の3つ以上を含む。
【0070】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(v)の4つ以上を含む。
【0071】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(v)を含む。
【0072】
一部の実施形態では、この方法は、スキームAに示される1つまたは複数のステップを含む。
【0073】
【化19】
スキームA
ここで、Xは、塩素、臭素またはヨウ素から選択されるハロゲンである。
【0074】
一部の実施形態では、化合物IXは、既知の方法(例、国際公開第2005/002577号および米国特許出願公開第2002/0022624号に記載される方法)と比較して同等またはそれ以上の収率で、高い純度で形成される。
【0075】
本明細書に開示される方法は、他の利点の中でも、アリールカップリングのために活性化された基(例、Cl)が化合物Iに既に存在するために、以前に開示された方法におけるヨウ素化反応の必要性が軽減される、市販の化合物Iでの鈴木アリールカップリングを提供することが理解される。
【0076】
ステップ(i)
鈴木カップリングに適したパラジウム触媒には、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、または[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドが含まれる。
【0077】
一部の実施形態では、パラジウム触媒は、パラジウム(0)錯体、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
【0078】
一部の実施形態では、ステップ(i)において、パラジウム触媒(例、パラジウム(0)錯体)と化合物Iのモル比は、約0.05から約0.20(例、約0.05から約0.10)の範囲である。
【0079】
ステップ(i)において適した塩基には、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、リン酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシド、またはカリウムt-ブトキシドが含まれる。
【0080】
一部の実施形態では、ステップ(i)において、塩基は炭酸カリウムである。
【0081】
一部の実施形態では、ステップ(i)は、溶媒(例、有機溶媒)の存在下で実施される。
【0082】
適した溶媒としては、環状エーテル(例、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、または1,4-ジオキサン)、トルエン、ジメチルホルムアミド、NMP、アセトニトリル、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0083】
一部の実施形態では、ステップ(i)において、溶媒は、1,4-ジオキサン中である。
【0084】
一部の実施形態では、ステップ(i)は、約20℃~約100℃の温度で実施される。
【0085】
一部の実施形態では、ステップ(i)は、パラジウム触媒(例、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)、塩基(例、炭酸カリウム)、および溶媒(例、1,4-ジオキサン)の存在下、約88℃~約100℃の温度で実施される。
【0086】
ステップ(ii)
一部の実施形態では、塩素化剤はPOCl3である。
【0087】
一部の実施形態では、ステップ(ii)は、溶媒(例、有機溶媒)の存在下で実施される。
【0088】
一部の実施形態では、ステップ(ii)において、溶媒は、非プロトン性溶媒である。
【0089】
一部の実施形態では、ステップ(ii)において、溶媒は、エーテル(例、テトラヒドロフラン)、ハロ炭化水素(例、ジクロロメタン)、N,N-ジメチルホルムアミド、またはジメトキシエタン、またはそれらの混合物である。
【0090】
一部の実施形態では、ステップ(ii)において、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、またはそれらの混合物である。
【0091】
一部の実施形態では、ステップ(ii)は、約20℃~約75℃の温度で実施される。
【0092】
ステップ(iii)
適した水素化触媒には、パラジウム炭素または白金炭素が含まれる。
【0093】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、水素化触媒は、好ましくは白金炭素である。
【0094】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、水素化触媒と化合物IVの重量比は、約0.05~約0.5(例、約0.2~約0.3)の範囲である。
【0095】
一部の実施形態では、ステップ(iii)は、溶媒の存在下で実施される。
【0096】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、溶媒は、アルコール、エーテル、エステル、炭化水素、またはこれらの混合物である。
【0097】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、溶媒はエステル(例、酢酸エチル)である。
【0098】
一部の実施形態では、ステップ(iii)は、ほぼ室温で実施される。
【0099】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、化合物Vは分離される。
【0100】
本発明者らは、(V)を酸と反応させて反応混合物から化合物(V)の塩を直接形成することにより、化合物(V)を良好な純度および収率で分離する非常に簡便な方法を見出した。
【0101】
化合物Vの適した塩には、マレイン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩、またはメタンスルホン酸塩が含まれる。
【0102】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、化合物Vの塩酸塩が分離される。
【0103】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、化合物Vの塩酸塩は、少なくとも約97.5%の純度および少なくとも約72%の収率で分離される。
【0104】
適した酸には、ハロゲン水素酸、マレイン酸、リン酸、酢酸、フマル酸、サリチル酸、硫酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、またはメタンスルホン酸が含まれる。
【0105】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、酸はハロゲン水素酸(例、塩化水素、臭化水素、またはヨウ化水素)である。
【0106】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、酸は塩化水素である。
【0107】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、塩化水素は、塩化水素ガスとして添加される。
【0108】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、塩化水素は有機溶媒(例、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノール)、またはエーテル(例、1,4-ジオキサン))に溶解されるか、または塩化水素は水溶液に溶解される。
【0109】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、化合物Vの塩酸塩は、反応混合物に塩化水素の水溶液を添加し、続いて非プロトン性溶媒(例、アセトニトリル)を添加することによって得られる。
【0110】
一部の実施形態では、ステップ(iii)において、化合物Vの塩酸塩は、反応混合物に1,4-ジオキサン中の塩化水素を添加することによって得られる。
【0111】
ステップ(iv)
一部の実施形態では、ステップ(iv)は、有機塩基(例、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、または2,6-ルチジン)の存在下で実施される。
【0112】
一部の実施形態では、ステップ(iv)は、溶媒(例、ジクロロメタン)の存在下で実施される。
【0113】
一部の実施形態では、ステップ(iv)は、約0℃~約5℃の温度で実施される。
【0114】
一部の実施形態では、ステップ(iv)において、化合物VIは、溶媒中の化合物Vまたはその薬学的に許容される塩と有機塩基の混合物に添加される。
【0115】
一部の実施形態では、ステップ(iv)において、化合物V、化合物VI、および有機物は溶媒中で同時に混合される。
【0116】
一部の実施形態では、ステップ(iv)において、化合物VIIは高純度で形成され、さらに精製されることなく次のステップで使用される。
【0117】
一部の実施形態では、ステップ(iv)において、化合物VIは、溶媒(例、ジクロロメタン)中の化合物Vの薬学的に許容される塩(例、化合物Vの塩酸塩)と有機塩基(例、ピリジン)の混合物に添加される。
【0118】
ステップ(v)
一部の実施形態では、化合物VIIIは、CH3Cl、CH3Br、またはCH3Iである。
【0119】
一部の実施形態では、ステップ(v)において、メチル化剤は硫酸ジメチルである。
【0120】
一部の実施形態では、ステップ(v)は、塩基の存在下で実施される。
【0121】
一部の実施形態では、ステップ(v)において、塩基は、有機塩基(例、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、または2,6-ルチジン)である。
【0122】
一部の実施形態では、ステップ(v)において、塩基は、無機塩基(例、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシド、またはカリウムt-ブトキシド)である。
【0123】
一部の実施形態では、ステップ(v)において、塩基は炭酸セシウムである。
【0124】
一部の実施形態では、ステップ(v)は、溶媒(例、DMF、アセトニトリル、またはエーテル)の存在下で実施される。
【0125】
化合物Aを調製する方法
一部の態様では、本発明は、次のステップ:
(vi)本明細書に開示される方法により調製される化合物IXを化合物Xまたはその薬学的に許容される塩と反応させて化合物XIまたはその薬学的に許容される塩を形成するステップ;
(vii)化合物XIまたはその薬学的に許容される塩を反応させて化合物Aの薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を形成するステップ;
(viii)化合物Aの薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を反応させて化合物A(例、形態1)を形成するステップ
のうちの1つまたは複数を含む、化合物Aを調製する方法を提供する。
【0126】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(vi)を含む。
【0127】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(vii)を含む。
【0128】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(viii)を含む。
【0129】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(vi)~(viii)のうちの2つ以上を含む。
【0130】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(vi)~(viii)を含む。
【0131】
一部の態様では、本発明は、ステップ(i)~(viii)のうちの1つまたは複数を含む、化合物Aを調製する方法を提供する。
【0132】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)を含む。
【0133】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(ii)を含む。
【0134】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(iii)を含む。
【0135】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(iv)を含む。
【0136】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(v)を含む。
【0137】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(vi)を含む。
【0138】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(vii)を含む。
【0139】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(viii)を含む。
【0140】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(viii)の2つ以上を含む。
【0141】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(viii)の3つ以上を含む。
【0142】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(viii)の4つ以上を含む。
【0143】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(viii)の5つ以上を含む。
【0144】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(viii)の6つ以上を含む。
【0145】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(viii)の7つ以上を含む。
【0146】
一部の実施形態では、この方法は、ステップ(i)~(viii)を含む。
【0147】
一部の態様では、本発明は、化合物Aの製造における、化合物III、化合物IV、化合物V、化合物VII、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0148】
一部の態様では、本発明は、化合物Aの製造における、本明細書に開示される方法により調製される化合物IXの使用を提供する。
【0149】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aを提供する。
【0150】
一部の実施形態では、この方法は、スキームBに示される1以上のステップを含む。
【0151】
一部の実施形態では、この方法は、スキームAまたはスキームBに示される1以上のステップを含む。
【0152】
スキームB
【化20】
【0153】
調製された中間体および化合物。
一部の態様では、本発明は、化合物I、化合物III、化合物IV、化合物VII、またはそれらの塩、および化合物Vの塩から選択される中間体を提供する。
【0154】
一部の実施形態では、中間体は、本明細書に記載される方法により調製される。
【0155】
一部の実施形態では、中間体は、化合物IIIまたはその塩である。
【0156】
一部の実施形態では、中間体は、化合物IIIである。
【0157】
一部の実施形態では、中間体は、化合物IVまたはその塩である。
【0158】
一部の実施形態では、中間体は、化合物IVである。
【0159】
一部の実施形態では、中間体は、化合物Vの塩、好ましくはマレイン酸塩、リンゴ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、クエン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、ベシル酸塩およびメタンスルホン酸塩からなる群から選択される塩である、一部の実施形態では化合物Vの塩は塩酸塩である。
【0160】
一部の実施形態では、中間体は、化合物VIIまたはその薬学的に許容される塩である。
【0161】
一部の実施形態では、中間体は、化合物VIIである。
【0162】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物IXを提供する。
【0163】
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aを提供する。
【0164】
医薬組成物
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aと、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0165】
化合物Aを含む医薬組成物は、国際公開第2016/184829号、国際公開第2011/023733号、および国際公開第2007/028654号、および国際公開第2019/175253号に開示されている。
【0166】
医薬組成物は、投与の説明書とともに、容器、パック、またはディスペンサーに含めることができることが理解される。
【0167】
調製した化合物Aの使用
一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aまたはその医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、性ホルモン疾患を治療または予防する方法を提供する。
【0168】
一部の態様では、本発明は、性ホルモン疾患を治療または予防する際に、それを必要とする被験体において使用するための、本明細書に開示される方法により調製される化合物A、またはその医薬組成物を提供する。
【0169】
一部の態様では、本発明は、性ホルモン疾患を治療または予防する際に、それを必要とする被験体において使用するための薬物の製造における、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aの使用を提供する。
【0170】
一部の実施形態では、性ホルモン疾患は、良性前立腺肥大症(BPH)、転移性前立腺癌、精巣がん、乳がん、アンドロゲン依存性ざ瘡、脂漏症、多毛症、男性型脱毛症、または少年の思春期早発症である。
【0171】
一部の実施形態では、それを必要とする被験体は、男性である。
【0172】
一部の実施形態では、それを必要とする被験体は、女性である。
【0173】
一部の実施形態では、性ホルモン疾患は、子宮内膜症、思春期異常、子宮筋腫、子宮類線維腫、月経時の大量出血、機能性子宮出血、ホルモン依存性癌、例えば、(乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、または子宮がん)、ホットフラッシュ、アンドロゲン過剰症、男性型多毛症、多毛症、女性のアンドロゲン性脱毛症、アンドロゲン依存性ざ瘡、脂漏症、男性化、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、月経前不快気分障害(PMDD)、HAIR-AN症候群(アンドロゲン過剰症、インスリン抵抗性および黒色表皮腫)、卵巣莢膜細胞過形成(卵巣間質における黄体化した卵胞膜細胞の過形成を伴うHAIR-AN)、卵巣内アンドロゲン濃度の高いその他の症状(例、卵胞の成熟停止、閉鎖症、無排卵症、月経困難症、機能性子宮出血、不妊症)およびアンドロゲン産生腫瘍(男性化卵巣または副腎腫瘍)、または骨粗しょう症である。
【0174】
一部の実施形態では、性ホルモン疾患は、化膿性汗腺炎またはホットフラッシュである。一部の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aまたはその医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む、状態を治療または予防する方法を提供する。
【0175】
一部の態様では、本発明は、状態を治療または予防する際に、それを必要とする被験体において使用するための、本明細書に開示される方法により調製される化合物A、またはその医薬組成物を提供する。
【0176】
一部の態様では、本発明は、性的状態を治療または予防する際に、それを必要とする被験体において使用するための薬物の製造における、本明細書に開示される方法により調製される化合物Aの使用を提供する。
【0177】
一部の実施形態では、この状態は、過剰な体脂肪および/または過剰な体重の病理学的増加、糖尿病、疲労、易刺激性、認知機能低下、脱毛、乾燥肌、不眠症、睡眠障害および夜間覚醒、不安とうつ病、性的欲求の低下、膣の乾燥と痛み、結合組織の喪失と筋肉量の減少、骨量減少、尿の切迫感と排尿障害の症状、ホットフラッシュ、および寝汗から選択される、閉経周辺期、閉経期、または閉経後の症状である。
【0178】
一部の実施形態では、女性の閉経期の症状は、特定の種類の化学療法、例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾールおよびテストラクトンなどのアロマターゼ阻害剤;ロイプロリド、ブセレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、ナファレリンおよびトリプトレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモン受容体アゴニスト;ASP1701、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス(OBE2109)などのゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗薬;バゼドキシフェン、クロミフェン、シクロフェニル、タモキシフェン、オルメロキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェンおよびオスペミフェンなどの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);フルベストラント、ブリラネストラントおよびエラセストラントなどの選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD);アビラテロン、ケトコナゾールおよびセビテロネルなどのCYP17A1阻害剤;ならびに、アンドロゲン受容体遮断薬とガレテロンなどのCYP17A1阻害剤の併用によって引き起こされることがある。
【0179】
一部の実施形態では、男性更年期に関連する症状は、過剰な体脂肪および/または過剰な体重の病理学的増加、糖尿病、疲労、易刺激性、認知機能低下、脱毛、乾燥肌、不眠症、睡眠障害、夜間覚醒、不安とうつ病、性的欲求の低下、結合組織の喪失と筋肉量の減少、尿の切迫感と排尿障害の症状、ホットフラッシュおよび寝汗から選択される。
【0180】
一部の実施形態では、男性更年期の症状は、特定のアンドロゲン除去療法、例えば、ロイプロリド、ブセレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、ナファレリンおよびトリプトレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモン受容体アゴニスト;ASP1701、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス(OBE2109)などのゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗薬;酢酸シプロテロン、アパルタミド、ビカルタミド、ダロルタミド、エンザルタミド、フルタミド、ニルタミドなどの抗アンドロゲン薬(アンドロゲン受容体遮断薬);アビラテロン、ケトコナゾールおよびセビテロネルなどのCYP17A1阻害剤;ならびにアンドロゲン受容体遮断薬とガレテロンなどのCYP17A1阻害剤の併用によって引き起こされることがある。
【0181】
一部の実施形態では、この疾患は、糖尿病、心血管疾患、肥満症、過食、高血圧症、メタボリック症候群および炎症性疾患などの代謝性疾患から選択される「レプチン関連疾患」である。
【0182】
一部の実施形態では、この疾患は、体重過多に対する遺伝的感受性、代謝障害に関連する肥満症、または体重の減少が治療上の利益となる状態から選択される「体重関連疾患」である。
【0183】
一部の実施形態では、この疾患は、子癇、子癇前症、妊娠糖尿病、高血圧、つわり、妊娠悪阻、流産、骨盤帯痛、および早産から選択される「妊娠障害」である。
【0184】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、個別に行われた特定の文書の組み込みが本明細書中の他所で行われたにもかかわらず、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれると示されており、本明細書にその全体が記載されている場合と同じ程度まで(法律で認められている最大限の範囲まで)、参照によりその全文が組み込まれている。
【0185】
本明細書において言及された本開示の様々な態様、実施形態、実装および特徴は、別個にまたは任意の組合せで特許請求され得ることは当然理解される。
【0186】
本発明による実施形態
以下、本発明の実施形態が開示される。第1の実施形態は、E1と示され、第2の実施形態はE2と示され、以下同様である。
【0187】
E1 化合物IX:
【化21】
を調製する方法であって;
前記方法は、次のステップi)塩基の存在下で4-クロロ-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(化合物I)を4-フルオロ-2-メチルフェニルボロン酸(化合物II)とパラジウム錯体の触媒により反応させて、構造(III)の4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン:
【化22】
を得ることを含む。
【0188】
E2 前記パラジウム錯体が、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(palladum)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、ホスフィンパラジウム錯体、好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムから選択される、実施形態1による方法。
【0189】
E3 前記パラジウム錯体と化合物Iの比が約0.05~0.10の範囲である、実施形態1~2のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
E4 前記塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、リン酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシドまたはそれらの混合物、好ましくは炭酸カリウムから選択される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
E5 ステップi)が、20~100℃の範囲、好ましくは88~100℃の範囲の温度で行われる、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
E6 ステップi)が、非環状および環状エーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド、NMP、アセトニトリルまたはそれらの混合物から選択される有機溶媒中で;好ましくはジオキサン中で行われる、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
E7 ステップi)が、4-クロロ-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(化合物I)と、4-フルオロ-2-メチルフェニルボロン酸(化合物II)とを反応させて、4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(化合物III)を得ることを含み;炭酸カリウムの存在下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)により触媒され、1,4-ジオキサンを含む溶媒中、88~100℃の温度で行われる、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
E8 ステップi)の後に、
i)ステップi)で得られた4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(化合物III)をPOCl3と反応させて2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(化合物IV)を得るステップが続く、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
E9 化合物IXを調製する方法であって、前記方法が、次のステップ:ii)ステップi)で得られた4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(化合物III)をPOCl3と反応させて2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(化合物IV)を得ることを含む方法。
【0196】
E10 化合物IXを調製する方法であって、前記方法が、次のステップ:ii)4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(化合物III)をPOCl3と反応させて2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(化合物IV)を得ることを含む方法。
【0197】
E11 ステップii)が、テトラヒドロフラン、ハロ炭化水素、例えばジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミドまたはジメトキシエタンを含む溶媒中で、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドまたはジメトキシエタンまたはそれらの混合物中で行われる、実施形態8~10のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
E12 ステップii)が、20~75℃の範囲の温度で行われる、実施形態8~11のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
E13 ステップii)の後に、前記2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジンの化合物(IV)を接触水素化により還元して式(化合物V)の6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩を得ることを含むステップiii)が続く、実施形態8~12のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
E14 化合物IXを調製する方法であって、前記方法が、次のステップiii)、ステップ(iii)で得られた2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(化合物IV)を接触水素化により還元して、式(化合物V)の6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩を得ることを含む方法。
【0201】
E15 化合物IXを調製する方法であって、前記方法が、次のステップiii)、2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(化合物IV)を接触水素化により還元して、6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミン(化合物V)またはその塩を得ることを含む方法。
【0202】
E16 前記接触水素化が、パラジウム炭素または白金炭素、好ましくは白金炭素から選択される触媒の存在下で行われる、実施形態13~15のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
E17 白金が、化合物IVに対して0.05~0.5重量;好ましくは化合物IVに対して0.2~0.3重量の量で存在する、実施形態13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
E18 ステップ(iii)が、アルコール、エーテル、エステル、炭化水素またはそれらの混合物中で、好ましくはエステル中で、さらにより好ましくは酢酸エチル中で行われる、実施形態13~17のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
E19 ステップ(iii)が室温で行われる、実施形態13~18のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
E20 化合物Vの塩が、マレイン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩またはメタンスルホン酸塩、好ましくは塩酸塩から選択される、実施形態13~19のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
E21 化合物Vの溶液を水溶液中またはジオキサン中で塩化水素ガスと反応させ、それに続いてアセトニトリルで処理した化合物Vを塩酸塩として得る、実施形態13~20のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
E22 ステップiii)の後に、iv):ステップiii)で得られる6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩の化合物Vを、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド(化合物VI)と反応させて、式(化合物VII)の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミドを得るステップが続く、実施形態13~21のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
E23 中間体(IX)を調製する方法であって、前記方法が、次のステップ:iv):ステップiii)で得られた6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩(化合物V)を、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド(化合物VI)と反応させて、式(化合物VII)の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミドを得ることを含む方法。
【0210】
E24 中間体(IX)を調製する方法であって、前記方法が、次のステップ:iv):6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミンまたはその塩(化合物V)を、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド(化合物VI)と反応させて、式(化合物VII)の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミドを得ることを含む方法。
【0211】
E25 ステップiv)が、有機塩基の存在下でジクロロメタン中で行われる、実施形態22~24のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
E26 ステップiv)が、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ルチジンまたはその混合物から選択される有機塩基の存在下で行われる、実施形態22~25のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
E27 ステップiv)が0~5℃の温度で行われる、実施形態22~26のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
E28 ステップiv)の後に、v):ステップiv)で得た2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(VII)を、炭酸セシウムの存在下で式CH3X(VIII)のハロゲン化メチルと反応させて化合物IX)を得るステップ(式中、Xは塩素、臭化物またはヨウ素から選択されるハロゲンである)が続く、実施形態22~27のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
E29 次のステップv):ステップiv)で得た2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(化合物VII)を、炭酸セシウムの存在下で式CH3X(VIII)のハロゲン化メチルと反応させて、式(IX)の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミドを得るステップ(ここで、Xは塩素、臭化物またはヨウ素から選択されるハロゲンである)を含む方法。
【0216】
E30 次のステップv):2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(化合物VII)を、炭酸セシウムの存在下で式CH3X(VIII)のハロゲン化メチルと反応させて、式(IX)の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミドを得るステップ(ここで、Xは塩素、臭化物またはヨウ素から選択されるハロゲンである)を含む方法。
【0217】
E31 ステップv)が、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ルチジンから選択される有機塩基中で、あるいは、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシドまたはその混合物から選択される有機塩基中で行われる、実施形態28~30のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
E32 ステップv)が、DMF、アセトニトリルまたはエーテルから選択される溶媒中で行われる、実施形態28~31のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
E33 化合物IXを製造する方法であって、前記方法が、
実施形態1~7のいずれか1つに記載のステップi)を実行し、それに続いて
実施形態8~12のいずれか1つに記載のステップii)を実行し、それに続いて
実施形態13~21のいずれか1つに記載のステップiii)を実行し、それに続いて
実施形態22~27のいずれか1つに記載のステップiv)を実行し、それに続いて
実施形態28~32のいずれか1つに記載のステップv)を実行すること
を含む方法。
【0220】
E34 実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法から得られる化合物IX。
【0221】
E35 化合物Aの製造のための、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法から得られる化合物IXの使用。
【0222】
E36 前記化合物IXが、実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、化合物IXから得られる化合物A。
【0223】
E37 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、化合物IXから得られる化合物Aを含む医薬組成物。
【0224】
E38 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、性ホルモン疾患の治療または閉経周辺期、閉経期、もしくは閉経後に関連する状態または症状の治療または予防に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0225】
E39 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、ホットフラッシュ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症、月経時の大量出血、腺筋症または子宮筋腫から選択される性ホルモン疾患の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0226】
E40 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、過剰な体脂肪および/または過剰な体重の病理学的増加、糖尿病、疲労、易刺激性、認知機能低下、脱毛、乾燥肌、不眠症、睡眠障害および夜間覚醒、不安とうつ病、性的欲求の低下、膣の乾燥と痛み、結合組織の喪失と筋肉量の減少、骨量減少、尿の切迫感と排尿障害の症状、ホットフラッシュ、および寝汗から選択される閉経周辺期、閉経期、または閉経後に関連する状態または症状の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0227】
E41 前記化合物IXが、実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、特定の種類の化学療法、例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾールおよびテストラクトンなどのアロマターゼ阻害剤;ロイプロリド、ブセレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、ナファレリンおよびトリプトレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモン受容体アゴニスト;ASP1701、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス(OBE2109)などのゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗薬;バゼドキシフェン、クロミフェン、シクロフェニル、タモキシフェン、オルメロキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェンおよびオスペミフェンなどの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);フルベストラント、ブリラネストラントおよびエラセストラントなどの選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD);アビラテロン、ケトコナゾールおよびセビテロネルなどのCYP17A1阻害剤;ならびに、アンドロゲン受容体遮断薬とガレテロンなどのCYP17A1阻害剤の併用によって引き起こされる閉経期に関連する状態または症状の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0228】
E42 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、過剰な体脂肪および/または過剰な体重の病理学的増加、糖尿病、疲労、易刺激性、認知機能低下、脱毛、乾燥肌、不眠症、睡眠障害および夜間覚醒、不安とうつ病、性的欲求の低下、結合組織の喪失と筋肉量の減少、尿の切迫感と排尿障害の症状、ホットフラッシュおよび寝汗から選択される、男性更年期に関連する状態または症状の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0229】
E43 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、特定のアンドロゲン除去療法、例えば、ロイプロリド、ブセレリン、ヒストレリン、ゴセレリン、デスロレリン、ナファレリンおよびトリプトレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモン受容体アゴニスト;ASP1701、エラゴリクス、レルゴリクスおよびリンザゴリクス(OBE2109)などのゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗薬;酢酸シプロテロン、アパルタミド、ビカルタミド、ダロルタミド、エンザルタミド、フルタミド、ニルタミドなどの抗アンドロゲン薬(アンドロゲン受容体遮断薬);アビラテロン、ケトコナゾールおよびセビテロネルなどのCYP17A1阻害剤;ならびにアンドロゲン受容体遮断薬とガレテロンなどのCYP17A1阻害剤の併用によって引き起こされる男性更年期に関連する状態または症状の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0230】
E44 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、糖尿病、心血管疾患、肥満症、過食、高血圧症、メタボリック症候群および炎症性疾患などの代謝障害から選択される「レプチン関連疾患」の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0231】
E45 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、体重過多に対する遺伝的感受性、代謝障害に関連する肥満症、または体重の減少が治療上の利益となる状態から選択される「体重関連疾患」の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0232】
E46 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、子癇、子癇前症、妊娠糖尿病、高血圧、つわり、妊娠悪阻、流産、骨盤帯痛、および早産から選択される「妊娠障害」の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物A。
【0233】
E47 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、性ホルモン疾患の治療または閉経周辺期、閉経期、もしくは閉経後に関連する状態または症状の治療または予防に用いるための、中間体(IX)から得られる化合物Aを含む医薬組成物。
【0234】
E48 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、性ホルモン疾患の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物Aを含む医薬組成物。
【0235】
E49 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、閉経周辺期、閉経期、もしくは閉経後に関連する状態または症状の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物Aを含む医薬組成物。
【0236】
E50 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、ホットフラッシュ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症、月経時の大量出血、腺筋症または子宮筋腫から選択される性ホルモン疾患の治療に用いるための、化合物IXから得られる化合物Aを含む医薬組成物。
【0237】
E51 前記化合物IXが実施形態1~33のいずれか1つの方法に従って調製される、化合物IXから得られる化合物A、および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または希釈剤を含む医薬組成物。
【0238】
E52 化合物III。
【0239】
E53 化合物IV。
【0240】
E54 化合物Vの塩。
【0241】
E55 化合物VII。
【0242】
E56 化合物Aの調製における式(III)、(IV)、(V)または(VII)の化合物の使用。
【0243】
実施例
本発明は、以下の非限定的な実施例によって説明される。以下の実施例は、例示のみを目的としており、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0244】
以下の手順では、各出発物質の後に、説明への参照が通常提供される。これは単に熟練した化学者を補助するために提供されている。出発物質は必ずしも言及されたバッチから調製されなくてもよい。
【0245】
本明細書において、これらの方法、スキームおよび実施例で使用される記号および慣例は、現代の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryで使用されているものと一致している。
【0246】
具体的には、実施例および明細書全体にわたって以下の略語が使用されてよい。
g(グラム);mg(ミリグラム);
L(リットル);mL(ミリリットル);
M(モル);mM(ミリモル);
kg(キログラム)mol(モル)
w/w(重量/重量)MS(質量分析);
mmol(ミリモル);RT(室温);
min(分);hまたはhrs(時間);
NMP(N-メチル-2-ピロリドン)THF(テトラヒドロフラン);
DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);
DME(1,2-ジメトキシエタン);DCM(ジクロロメタン);
DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)MS(質量分析);
HPLC(高速液体クロマトグラフィー);
特に明記しない限り、すべての温度は℃(摂氏)で表される。特に記載のない限り、すべての反応は、不活性雰囲気下、室温で行われた。
【0247】
別段の記載がない限り、実施例では:
1H-QNMR
定量的NMRは標準的な1HNMRにより実施されたが、生成物アッセイの推定を可能にするために内部標準を利用した。
HPLC
純度は逆相HPLCで測定される。アセトニトリル有機修飾剤を含む酸性化水性移動相を使用するC18固定相が使用される。溶出はグラジエントモードで実施される。
【0248】
実施例1
4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(化合物III)の調製
【化23】
冷却管と真空/窒素ラインに接続された三口フラスコに、4-クロロ-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(39.0g、223mmol、Leapchemから市販されている)、(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ボロン酸(39.6g、257mmol;例えばSigma Aldrichから市販されている)、炭酸カリウム(92.6g、670mmol)および1,4-ジオキサン(480 mL)を充填した。排気し、窒素で3回バックフィルした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12.9g、11.2mmol)を窒素流下で添加し、得られる混合物を穏やかな還流(内部温度99℃)で18時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。沈殿物をジオキサン(300mL)で洗浄し、濾液を捨てた。次に、沈殿物をMeOH(2×200mL)で洗浄し、濾液を回収し、真空中で濃縮し、乾燥させて、標記化合物を暗黄色の固体として得(78.0g、314mmol、収率141% w/w)、1H-QNMRによる純度は60%であった。この化合物をさらに精製することなく次のステップに使用した。1H NMR(d-DMSO)δ/ppm 8.88(s,1 H),6.96~7.06(m,3 H),.44(s,1 H),2.03(s,3 H,-CH3).
【0249】
実施例2
2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(化合物IV)の調製
【化24】
4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン-2(1H)-オン(78.0g、60% w/w、0.19mol)を、窒素下、三口フラスコ中のDME(600 mL)に懸濁した。POCl3(0.10kg、61mL、0.65mol)を滴下し(反応はわずかに発熱し、温度は40℃に上昇した)、続いてDMF(14g、15mL、0.19mol)を滴下した。得られる混合物を70℃(内部温度)で18時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(600mL)をゆっくりと注入した(発熱し、氷水浴で冷却した)。pHを固体Na2CO3で中和し、混合物を分液漏斗に移し、EtOAc(2×600mL)で抽出した。有機層を回収し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、標記化合物を褐色の固体として(46.2g、173mmol、収率91% w/w)、86%の純度(HPLC)で得た。1H NMR(CDCl3)δ/ppm 9.05(s,1 H),7.34(s,1 H),6.97~7.08(m,3 H),2.13(s,3 H,-CH3);
【0250】
実施例3
6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミン塩酸塩(化合物V)の調製
【化25】
水素化Parr装置用のフラスコに白金炭素を充填した(5.4g、5% w/w、1.4mmol)。EtOAc(400mL)をN2流下で添加し、続いて2-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-5-ニトロピリジン(23.0g、80% w/w、69 mmol)を添加した。フラスコをParr装置に移し、3バールの水素下、室温で機械的に撹拌した。48時間後、HPLC-MSにより反応がそれ以上進行していないことが示されたため、さらに白金炭素(2.7g、5% w/w、0.7mmol)を添加した。混合物を3バールのH2下で96時間撹拌したが、HPLC-MSで変換の進行は示されなかった。さらなる白金炭素(2.7g、5% w/w、0.7mmol)を添加し、反応物を3.5バールのH2下で24時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をEtOAc(200mL)に溶解し、得られた溶液を0℃に冷却した。HClのジオキサン中4N溶液(55mL、220mmol)をゆっくりと添加し、溶液を室温で18時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、得られた褐色の固体をアセトニトリル(220mL)に懸濁した。懸濁液を撹拌しながら加熱還流した。室温まで冷却した後、固体を濾過により回収し、乾燥させて、標記化合物を灰白色の固体として(13.6g、49.7mmol、収率72% w/w)、95.7%の純度(HPLC)で得た。1H NMR(d-DMSO)δ/ppm 9.95(s,2 H,-NH2),8.54(s,1 H),7.23~7.43(m,3 H),7.13(s,1 H),2.15(s,3 H,-CH3);
【0251】
実施例4
2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(化合物VII)の調製
【化26】
【0252】
調製1
窒素ラインに接続された三口フラスコに、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパン酸(30.56g、95% w/w、96.7mmol)およびDCM(400mL)を充填した。この溶液を、氷水浴で0℃に冷却した。塩化オキサリル(13.5g、9.31mL、106mmol)をゆっくりと添加し、続いてDMF(1.41g、1.5mL、19.3mmol)を添加して、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリドを、いくらかの固体粒子を含有する淡黄色の油として得た(34.5g、106mmol、収率110% w/w)。この材料はそのまま次のステップで使用した。
【0253】
実施例3(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミン塩酸塩(化合物V))(27.0g、97.9mmol)を、ピリジン(139g、0.14L、1.76mol)を含有する三口フラスコに0℃およびN2下で少量ずつ添加した(わずかに発熱した)。2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド(34.5g、95%、103mmol)のDCM(20mL)中の懸濁液を0℃で滴下し、得られた混合物を室温で18時間撹拌した。混合物をEtOAc/水(各700mL)で希釈し、分液漏斗に移した。有機層を回収し、水および食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、標記化合物を、静置すると固化した橙色の油として(52.5g、100mmol、収率102% w/w)、93%の純度(HPLC)で得た。この化合物をさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0254】
調製2
2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパン酸(15.3kg)およびDCM(11.0L/kgの2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパン酸)を負荷した。-5/5℃に冷却した後、DMF(0.01L/kgの2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパン酸)を負荷し、温度を10℃よりも低く保ちながら塩化オキサリル(1.02mol/mol)を添加した。用いた添加容器をDCM(1.0L/kgの2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパン酸)ですすぎ、反応混合物を20/25℃に加温し、少なくとも2時間撹拌した。
【0255】
反応完了後、反応混合物を2.0L/kgの2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパン酸に濃縮した。次に、DCM(2.0L/kgの2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパン酸)を添加し、N2下で保存した2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド溶液を次のステップで用いた。
【0256】
実施例3(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-アミン塩酸塩(化合物V))(11.9kg)およびDCM(2.7L/kgの実施例3)を負荷した。-5/5℃に冷却後、温度を10℃よりも低く保ちながらピリジン(3.00mol/molの実施例3)を添加した。次に、DCM中の2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルプロパノイルクロリド溶液を、温度を10℃よりも低く保ちながら添加した。添加容器をDCM(0.3L/kgの実施例3)ですすいだ。反応混合物を20/25℃に加温し、18時間以上撹拌した。
【0257】
反応完了後、反応混合物を10℃に冷却し、温度を20℃よりも低く保ちながら水(8.0L/kgの実施例3)を添加した。20/25℃でさらに30分間撹拌した後、層を分離し、水層をDCM(4.0L/kgの実施例3)で再抽出した。
【0258】
合わせた有機層を水(2×5.0L/kgの実施例3)で洗浄し、真空濃縮して2.7L/kgの実施例3にした。次に、温度を35~45℃に保ちながらヘプタン(8.5L/kgの実施例3)を添加し、2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(0.005 w/wの実施例3)を播種用に充填した。
【0259】
播種した混合物を1時間以上40℃で熟成し、得られたスラリーを真空濃縮して10.0L/kgの実施例3とした。追加のヘプタン(2.0L/kgの実施例3)を35/45℃で添加した。スラリーを2時間以上かけて10/20℃まで冷却し、10/20℃で2時間以上保持した後、遠心分離ステップを進めた。
【0260】
スラリーを遠心分離し、ケークをヘプタン(2.0L/kgの実施例3)で洗浄した。
【0261】
湿潤生成物を真空下45℃以下で乾燥させて、19.9kgの標記化合物(収率=88.1%)を99.87%の純度で灰白色固体として得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ 8.99(s,1 H),8.36(s,1 H),7.98(s,1 H),7.74(s,2 H),7.43(s,1 H),7.00-6.95(m,2H),6.90-6.85(m,1 H),1.98(s,3H),1.44(s,6H).
【0262】
実施例5
2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミドの調製(化合物IX)
【化27】
【0263】
調製1
窒素ラインに接続された三口フラスコに、実施例4の調製1(52.0g、95%、95mmol)、DMF(300mL)および炭酸セシウム(62g、0.19mol)を充填した。得られた混合物を0℃に冷却した後、ヨウ化メチル(14g、6.3mL、0.10mol)を5分間にわたり滴下した。得られた混合物を室温に戻し、18時間撹拌した。反応混合物を水(600mL)に注入し、EtOAc(2×600mL)で抽出した。有機層を回収し、水および食塩水で連続して洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。溶媒を真空中で蒸発させ、残渣を乾燥させて暗褐色の固体を得た。この固体をヘプタン(500mL)に懸濁し、30分間撹拌した。懸濁液を濾過し、淡褐色の固体を回収し、真空中で乾燥させた。褐色は、生成物をEtOAc(200mL)に溶解し、シリカのショートパッドで濾過することにより除去された。濾液を回収し、真空中で濃縮して標記生成物を淡黄色の固体として(34.1g、64mmol、収率67% w/w)、96.7%の純度(HPLC)で得た。
【0264】
調製2
調製2からの実施例4(2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-メチル-プロパンアミド(化合物VII))(19.9kg)、Cs2CO3(1.19kg/kgの実施例4)およびDMF(5.0L/kgの実施例4)を負荷した。-5/5℃に冷却後、温度を10℃よりも低く保ちながらヨウ化メチル(1.10mol/molの実施例4)を添加した。添加容器をDMF(0.8L/kgの実施例4)ですすいだ。反応混合物を20/25℃に加温し、18時間以上撹拌した。
【0265】
反応完了後、反応混合物を10℃に冷却し、温度を20℃よりも低く保ちながら水(12.0L/kgの実施例4)および酢酸エチル(12.0L/kgの実施例4)を添加した。20/25℃でさらに15分間撹拌した後、層を分離し、水層を酢酸エチル(12.0L/kgの実施例4)で再抽出した。
【0266】
合わせた有機層を水(12.0L/kgの実施例4)およびNaClの20重量%溶液(5.0kg/kgの実施例4)で洗浄した。真空下で(2.0L/kgの実施例4)まで蒸留した後、ヘプタン(9.0L/kgの実施例4)を35/45℃で添加した。このスラリーを40℃で2時間以上撹拌し、2時間以上かけて10/20℃まで冷却し、10/20℃で2時間以上熟成させた後、遠心分離を進めた。
【0267】
スラリーを遠心分離し、ケークをヘプタン(2.0L/kgの実施例4)で洗浄した。
【0268】
湿潤生成物を真空下45℃以下で乾燥させて、14.2kgの標記化合物を白色固体(収率=69.4%)として、99.99%の純度で得た。1H NMR(DMSO-d6 δ 8.32(s,1H)、8.03(s,1H)、7.74(broad s,2 H)、7.55(s,1H)、7.30-7.00(broad+d,3H)、2.90-2.40(broad m,3H)、2.15(broad m,3H)、1.70-1.20(broad m,6 H)。
【0269】
実施例6
N-(6-((7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物XI)の調製の方法
【化28】
【0270】
調製1
温度計、冷却管および窒素に接続された三口フラスコに、実施例5(2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物IX))(643mg、1.21mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(218mg、2.66mmol)およびビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(0.16mmol、62mg)を充填した。(7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)オクタヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン(380mg、1.45mmol)のトルエン溶液を添加し、反応混合物を85℃で18時間撹拌した。混合物を冷却し、セライトで濾過した。混合物を冷却し、セライトで濾過した。濾液を回収し、分液漏斗に移し、水および食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を褐色がかった固体として得た(610mg、0.8mmol、収率67% w/w)。
【0271】
調製2
(7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)オクタヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン
(7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)オクタヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジンジオキサレート塩(1.26mol/molの調製2からの実施例5)、トルエン(20.0L/kgの実施例5)およびNaOH 1N(20.0L/kgの実施例5)の溶液を負荷した。この混合物を75℃に加熱し、5分以上撹拌した。層を30分以上沈降させ、底部の水層を捨てた。有機層を25℃に冷却し、水(10.0L/kgの実施例5)を添加した。混合物を10分以上撹拌し、層を15分以上沈降させ、底部の水層を捨てた。
【0272】
有機層を真空下で8.0L/kgの実施例5に濃縮し、トルエン(4.0L/kgの実施例5)を添加し、真空下で再び蒸留して8.0L/kgの実施例5にした。カール・フィッシャー(KF)測定用の試料を採取した。KFで合格した場合、追加のトルエン(8.0L/kgの実施例5)を添加した。合格しなかった場合、トルエンを再び添加し(4.0L/kgの実施例5)、8.0L/kgの実施例5までの蒸留ステップを繰り返した。
【0273】
別の反応器において、調製2からの実施例5(2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N-(6-クロロ-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物IX))(3.2kg)、ナトリウムtert-ブトキシド(1.75mol/molの実施例5)およびパラジウムビス(トリ-t-ブチルホスフィン)(0.10mol/molの実施例5)を負荷した。(7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)オクタヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン遊離塩基/トルエン溶液を負荷し、移送ラインをトルエン(2.0L/kgの実施例5))ですすいだ。反応混合物を85℃に加熱し、4時間以上撹拌した後、試料採取して反応の完了を確認した。
【0274】
反応混合物を25℃に冷却し、NaHSO3の20重量%溶液(8.7L/kgの実施例5)を負荷した。混合物を60℃に1時間以上加熱し、再び25℃に冷却した。バッチをK100紙で濾過した後、フィルターおよび移送ラインをトルエン(1.0L/kgの実施例5)で洗浄し、層を25℃で30分以上沈降させ、底部の水層を捨てた。5重量%のL-システイン溶液(10.0kg/kgの実施例5)を有機層の上方に負荷した。混合物を60℃に1時間以上加熱し、再び25℃に冷却した。バッチをK100紙で濾過し、フィルターおよび移送ラインをトルエン(1.0L/kgの実施例5)で洗浄した後、10重量%のNaCl溶液を添加し、層を15分以上撹拌し、25℃で30分以上沈降させた。最後に、底部の水層を捨てた。5重量%のL-システイン溶液(10.0kg/kgの実施例5)を有機層の上方に負荷した。混合物を60℃に1時間以上加熱し、再び25℃に冷却した。バッチをK100紙で濾過し、フィルターおよび移送ラインをトルエン(1.0L/kgの実施例5)で洗浄した後、10重量%のNaCl溶液を添加し、層を15分以上撹拌し、25℃で30分以上沈降させた。最後に、底部の水層を捨てた。有機層をNaHCO3の5重量%溶液で洗浄し、NaClの2重量%溶液で2回洗浄した。
【0275】
得られた有機層を真空下で4.0L/kgの実施例5に濃縮した。トルエン(7.0L/kgの実施例5)を充填し、溶液をKF分析用に採取した。
【0276】
バッチを40℃に加熱した後、4M HCl/ジオキサン溶液(1.03kg/kgの実施例5)およびトルエン(9.0L/kgの実施例5)を35/45℃で添加した。溶液を40℃で30分間以上保持し、真空下で10.0L/kgの実施例5に濃縮した。トルエン(9.0L/kgの実施例5)を負荷し、再び蒸留して10.0L/kgの実施例5にした。この最後の操作をもう1回繰り返し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー分析用に採取した。
【0277】
バッチ温度を25℃に調整し、内部温度を20/30℃に保ちながらn-ヘプタン(7.0L/kgの実施例5)を添加した。スラリーを20/30℃で4時間以上保持した後、遠心分離ステップを進めた。
【0278】
スラリーを遠心分離し、ケークをn-ヘプタン(4.0L/kgの実施例5)で洗浄した。
【0279】
湿潤生成物を真空下35℃で乾燥させて、4.4kgの標記化合物(収率=88.2%)を、97.4%の純度で淡褐色の固体として得た。
【0280】
NMR分光計:Varian Agilent Mercury Vx 400(16スキャン、sw 6400Hz、25℃)。
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 11.66(bd,1 H),8.02(s,1 H),7.95(s,1 H),7.74(bd,2 H),7.36-6.93(m,8 H),6.83(s,1 H),4.97(bd,1 H),4.62(m,1 H),4.50(d,11.8 Hz,1 H),4.44-4.10(m,7 H),4.08-3.69(m,3 H),3.60(d,12.8 Hz,1 H),3.45(d,11.8 Hz,1 H),3.30(d,9.7 Hz,1 H),3.19(t,10.7 Hz,1 H),3.05(m,1 H),2.30-1.90(m,4 H),1.57-1.12(m,6 H).
【0281】
実施例7
2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N-{4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-[(7S,9aS)-7-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル]-3-ピリジニル}-N,2-ジメチルプロパンアミド二塩酸塩モノ-イソプロパノール溶媒和物(化合物XII)
【化29】
実施例6(N-(6-((7S,9aS)-7-((ベンジルオキシ)メチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル)-4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリジン-3-イル)-2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物XI))(4.4kg)、活性炭Norit DARCO G60(0.10kg/kgの実施例6、イソプロパノール(22.9L/kgの実施例6)、水(2.5L/kgの実施例6)およびHCl 35重量%(4.0mol/molの実施例6)を、水素化装置に負荷した。混合物を50℃に加熱し、30分以上撹拌した。次に、Pd/C 10%(0.20kg/kgの実施例6)をイソプロパノール(20.4L/kgの実施例6)中でスラリー化し(slurred in)、水素化装置に負荷し、追加のイソプロパノール(8.9L/kgの実施例6)ですすいだ。水素化条件を設定し(2.00BarG、50℃)、水素消費が観察されなくなるまで維持した。
【0282】
反応が完了したら、バッチをSUPRAdisc(商標)カートリッジを備えたVeladisc(登録商標)フィルターハウジングで濾過し、イソプロパノール(9.0L/kgの実施例6)と水(1.0L/kgの実施例6)の混合物で洗浄した。
【0283】
濾液を真空濃縮して3.5L/kgの実施例6にした。イソプロパノール(10.0L/kgの実施例6)を添加し、再び蒸留して3.5L/kgの実施例6とした。イソプロパノール(10.0L/kgの実施例6)を添加し、再び蒸留して3.5L/kgの実施例6とした。イソプロパノール(8.5L/kgの実施例6)を添加して、KF分析用に試料を採取した。
【0284】
KF分析が仕様基準に合格した場合、ジオキサン/HCl 4M(2.00mol/molの実施例6)を20/30℃で添加し、混合物を65℃に30分以上加熱した。次に、バッチを60分以上25℃に冷却し、イソオクタン(5.0L/kgの実施例6)を20/30℃で30分以上添加した。スラリーを25℃で5時間以上保持した後、遠心分離ステップを進めた。
【0285】
スラリーを遠心分離し、ケークをイソプロパノール(2.0 L/kgの実施例6)とイソオクタン(2.0L/kgの実施例6)の混合物で洗浄した。
【0286】
湿潤生成物を真空下35℃で乾燥させて、3.5kgの標記化合物(収率=82.1%)を、99.3%の純度でベージュ色の固体として得た。
【0287】
NMR分光計:Varian Agilent Mercury Vx 400(16スキャン、sw 6400Hz、25℃)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 11.34(bd,1H)、8.02(s,1H)、7.96(bd s,1H)、7.22-7.00(m,3H)、6.91(s,1H)、4.68(bd s,1H)、4.49(bd,1H)、4.20(t,12.2Hz,1H)、4.07-3.90(m,3H)、3.84(m,1H)、3.77(hept.,6.1Hz,1H)、3.64(d,12.6Hz,1H)、3.43(m,2H)、3.28(m,1H)、3.16(m,2H)、約2.58(bd,2H)、2.41-2.00(m,5H)、1.60-1.10(m,6H)、1.03(d,6.1Hz,6H)。
【0288】
実施例8
無水結晶形としての2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N-{4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-[(7S,9aS)-7-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル]-3-ピリジニル}-N,2-ジメチルプロパンアミド(化合物A)
【化30】
実施例7(2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N-{4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-[(7S,9aS)-7-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル]-3-ピリジニル}-N,2-ジメチルプロパンアミド二塩酸塩モノ-イソプロパノール溶媒和物(化合物XII))(3.4kg)、メチル-t-ブチルエーテル(以降、MTBE)(15.0L/kgの実施例7)およびNaOH 2.5N(4.9L/kgの実施例7)を負荷し、40℃に加熱し、10~30分間撹拌した。層を40℃で30分以上沈降させ、底部の水層を捨てた。
【0289】
L-システイン9重量%の水溶液(1kgの実施例7あたり5.0Lの水+実施例7あたり0.5 w/wのL-システイン)を有機層の上部に加え、40℃で60分以上撹拌した。層を40℃で30分以上沈降させ、底部の水層を捨てた。
【0290】
水(5.0L/kgの実施例7)を有機層の上部に加え、40℃で15分以上撹拌した。層を40℃で60分以上沈降させ、底部の水層を捨てた。
【0291】
水(5.0L/kgの実施例7)を有機層の上部に加え、40℃で15分以上撹拌した。層を40℃で60分以上沈降させ、底部の水層を捨てた。
【0292】
有機層を大気圧で2.5L/kgの実施例7に濃縮した。イソオクタン(8.3L/kgの実施例7)を50/55℃で1時間以上添加し、溶液を軽い真空下で蒸留して4.0L/kgの実施例7にした。水およびMTBEの除去を制御するために試料を採取した。
【0293】
イソプロパノール(0.8L/kgの実施例7)を添加し、完全に溶解するまで65/75℃で撹拌した。溶液を45/55℃に冷却し、濾過して異物を除去した。イソオクタン(4.5L/kgの実施例7)を添加し、バッチを70℃に30分以上加熱した。この溶液を50℃に冷却し、2-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-N-{4-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-[(7S,9aS)-7-(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1-c][1,4]オキサジン-8(1H)-イル]-3-ピリジニル}-N,2-ジメチルプロパンアミド(0.008% w/wの実施例7)のイソオクタン(0.07L/kgの実施例7)およびイソプロパノール(0.01L/kgの実施例7)中のスラリーを播種した。このシードを50℃で3時間以上熟成させ、温度を50/55℃に保ちながら追加のイソオクタン(4.2L/kgの実施例7)を3時間以上かけて添加した。このスラリーを50℃で8時間以上保持し、5時間以上かけて0℃に冷却し、3時間以上熟成させた後、遠心分離ステップを進めた。
【0294】
スラリーを遠心分離し、ケークをイソオクタン(2×3.3L/kgの実施例7)で洗浄した。
【0295】
湿潤生成物を真空下50℃で乾燥させて、2.34kgの標記化合物(収率=82.7%)を得た。この生成物をふるいにかけて塊を除去し、2.26kgの標記化合物を99.8%の純度で白色粉末として得た。
【0296】
NMR分光計:Varian Agilent Mercury Vx 400(16スキャン、sw 6400Hz、25℃)。
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 8.02(s,1 H),7.85(s,1 H),7.74(bd,2 H),7.22-6.92(m,3 H),6.61(s,1 H),4.70(m,1 H),4.21(bd,1 H),4.09(bd,1 H),3.75(m,3 H),3.55(td,11.3 Hz,2.2 Hz,1 H),3.40(bd,1 H),3.15(t,10.5 Hz,1 H),3.02(d,11.3 Hz,1 H),2.63(d,11.3 Hz,1 H),ca.2.5(bd,2 H),2.31-2.00(m,7 H),1.58-1.10(m,6 H).
【国際調査報告】