(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】放射線医学的撮像方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20230111BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61B6/02 300F
A61B6/02 301D
A61B6/00 350D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528120
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2019001291
(87)【国際公開番号】W WO2021094806
(87)【国際公開日】2021-05-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518284905
【氏名又は名称】イオス・イメージング
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ブシェ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・デソート
(72)【発明者】
【氏名】フリスティナ・キルギゾフ
(72)【発明者】
【氏名】オードリー・ルムシュ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・モリショー-ボーシャン
(72)【発明者】
【氏名】ハミド・ウアマラ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA09
4C093FA18
4C093FA59
4C093FA60
4C093FF21
4C093FF50
(57)【要約】
本発明は、互いに直交する撮像方向を有する2つの放射線源が垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20)の垂直走査を実行するステップを含む放射線医学的撮像方法に関し、前記放射線医学的方法が、少なくとも1つの動作モードを含み、この動作モードでは、正面スカウトビューが、前記正面スカウトビュー内の特定の骨の局在(21)を識別するために作成され、前記正面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方(11)が、患者の厚さと、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記識別された特定の骨の局在(21)とに応じて、前記垂直走査中に患者(20)によって受け取られる全体的な放射線量を低減することと、正面画像について、前記垂直走査方向(Z)に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在(21)の局所画像コントラストを増加させることとの間の妥協を改善するように、同時に、好ましくは同期的に、かつ自動的に実行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する撮像方向を有する2つの放射線源である、1つの正面放射線源および1つの側面放射線源を、垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20)の垂直走査を実行するように垂直にスライドさせるステップを含む放射線医学的撮像方法であって、
前記放射線医学的方法が、少なくとも1つの動作モードを含み、この動作モードでは、
正面スカウトビューが、前記正面放射線源によって前記垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20)の予備的な垂直走査を実行すること(1)によって作成され、
前記正面スカウトビューが、前記正面スカウトビュー内の特定の骨の局在(21)を識別するために処理され(2、3)、
少なくとも前記正面放射線源の駆動電流強度(11)が、患者の厚さと、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記識別された特定の骨の局在(21)とに応じて、前記垂直走査方向(Z)に沿って変調され、
前記正面放射線源の駆動電圧強度(11)が、患者の厚さと、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記識別された特定の骨の局在(21)とに応じて、前記垂直走査方向(Z)に沿って変調され、
前記正面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方(11)が、
前記垂直走査中に患者(20)によって受け取られる全体的な放射線量を低減することと、
前記正面画像について、前記垂直走査方向(Z)に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在(21)の局所画像コントラストを増加させることと
の間の妥協を改善するように、同時に、好ましくは同期的に、かつ自動的に実行される、
放射線医学的撮像方法。
【請求項2】
互いに直交する撮像方向を有する2つの放射線源である、1つの正面放射線源および1つの側面放射線源を、垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(30)の垂直走査を実行するように垂直にスライドさせるステップを含む放射線医学的撮像方法であって、
前記放射線医学的方法が、少なくとも1つの動作モードを含み、この動作モードでは、
側面スカウトビューが、前記側面放射線源によって前記垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(30)の予備的な垂直走査を実行すること(1)によって作成され、
前記側面スカウトビューが、前記側面スカウトビュー内の特定の骨の局在(31)を識別するために処理され(2、3)、
少なくとも前記側面放射線源の駆動電流強度(11)が、患者の厚さと、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記識別された特定の骨の局在(31)とに応じて、前記垂直走査方向(Z)に沿って変調され、
前記側面放射線源の駆動電圧強度(11)が、患者の厚さと、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記識別された特定の骨の局在(31)とに応じて、前記垂直走査方向(Z)に沿って変調され、
前記側面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方が、
前記垂直走査中に患者(30)によって受け取られる全体的な放射線量を低減することと、
側面画像について、前記垂直走査方向(Z)に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在(31)の局所画像コントラストを増加させることと
の間の妥協を改善するように、同時に、好ましくは同期的に、かつ自動的に実行される、
放射線医学的撮像方法。
【請求項3】
互いに直交する撮像方向を有する2つの放射線源である、1つの正面放射線源および1つの側面放射線源を、垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20、30)の垂直走査を実行するように垂直にスライドさせるステップを含む放射線医学的撮像方法であって、
前記放射線医学的方法が、少なくとも1つの動作モードを含み、この動作モードでは、
正面スカウトビューおよび側面スカウトビューが、前記正面放射線源および側面放射線源によって前記垂直走査方向に沿って立っている患者の予備的な垂直走査を実行すること(1)によって作成され、
前記正面スカウトビューおよび側面スカウトビューが、前記正面スカウトビューおよび側面スカウトビューの両方内の特定の骨の局在(21、31)を識別するために処理され(2、3)、
前記正面放射線源および側面放射線源の両方の駆動電流強度(11)が、患者の厚さと、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記識別された特定の骨の局在(21、31)とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、
前記正面放射線源および側面放射線源の両方の駆動電圧強度(11)が、患者の厚さと、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記識別された特定の骨の局在(21、31)とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、
前記正面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方、ならびに前記側面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方が、
前記垂直走査中に患者(20、30)によって受け取られる全体的な放射線量を低減することと、
正面画像および側面画像について、前記垂直走査方向(Z)に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在(21、31)の局所画像コントラストを増加させることと
の間の妥協を改善するように、同時に、好ましくは同期的に、かつ自動的にすべて実行される、
放射線医学的撮像方法。
【請求項4】
前記識別された特定の骨の局在(21、31)が、患者の脊椎を含み、好ましくは患者の脊椎である、請求項1から3のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項5】
前記正面放射線源の前記駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方(11)が、前記正面画像および/または前記側面画像について、一定であり、前記垂直走査方向(Z)に沿った前記撮像位置の大部分に共通であり、好ましくは前記垂直走査方向(Z)に沿ったすべての前記撮像位置に共通であるが、正面画像および側面画像についてそれぞれ2つの異なる値を取ることができる信号対ノイズ比の値に達するようにも実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項6】
前記正面画像および/または側面画像の各々について、前記信号対ノイズ比の値が、撮像されるべき異なる患者(20、30)の臓器ごとに一定であり、予め決定される、請求項5に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項7】
患者の脊椎の正面画像について、前記標準信号対ノイズ比の値が、50と70との間に含まれる検出器ピクセルごとに受信されるX線光子の数に対応し、放射線医学的撮像方法のオペレータが、好ましくは、手動コマンドを介して、この標準値から少なくとも+もしくは-20%、より好ましくは少なくとも+もしくは-50%逸脱する可能性を有し、
および/または患者の脊椎の側面画像について、前記標準信号対ノイズ比の値が、20と40との間に含まれる検出器ピクセルごとに受信されるX線光子の数に対応し、前記放射線医学的撮像方法のオペレータが、好ましくは、手動コマンドを介して、この標準値から少なくとも+もしくは-20%、より好ましくは少なくとも+もしくは-50%逸脱する可能性を有する、
請求項5または6に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項8】
前記正面画像および/または側面画像が、少なくとも、前記垂直走査方向(Z)に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在(21、31)の局所画像コントラストを増加させる第1のステップを受けた後、前記駆動電流強度変調および駆動電圧強度変調(11)から生じる画像アーティファクトを取り除くために、患者の身体の輪郭のすぐ外側に位置する領域の均質化によって正規化される、請求項1から7のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項9】
前記正面画像および/または側面画像が、正規化された後、コントラスト強調ステップを受ける、請求項8に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項10】
前記識別された特定の骨の局在(21、31)が、もしあるなら、たとえば、患者の身体の骨格の一部の金属補綴のような、または、たとえば、前記放射線医学的撮像方法を実行する前に患者の身体上の定位置に置かれた金属保護物のような金属部分を除外する、請求項1から9のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項11】
電流強度(11)と電圧強度(11)の両方の変調が、
患者の厚さがより大きい場合、電流強度と電圧強度の両方を同時に増加させ、
患者の厚さがより小さい場合、電流強度と電圧強度の両方を同時に減少させ、
電流強度の変動率が電圧強度の変動率よりも遅い、
請求項1から10のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項12】
前記電流強度変調(11)が、一定値において前記垂直走査速度も最大化するように最大化される、請求項1から11のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項13】
前記動作モードが、放射線医学的撮像方法のオペレータによって手動でオンまたはオフのいずれかに切り替えられ得る、請求項1から12のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項14】
前記動作モードが、大柄な患者および/または肥満の患者の垂直走査専用である、請求項1から13のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項15】
前記動作モードが、小児患者の垂直走査専用である、請求項1から14のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項16】
前記電流強度変調率が、ミリ秒あたり5mAの所定のしきい値、好ましくはミリ秒あたり2mAの所定のしきい値、より好ましくはミリ秒あたり1mAの所定のしきい値を超えない、請求項1から15のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項17】
前記電流強度変調が、少なくとも20mAから300mA、好ましくは10mAから400mAの範囲である、請求項1から16のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項18】
前記電圧強度変調が、少なくとも60kVから100kV、好ましくは50kVから120kVの範囲である、請求項1から17のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項19】
前記垂直走査速度値が、少なくとも8cm/秒から20cm/秒、好ましくは4cm/秒から30cm/秒の範囲である、請求項1から18のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項20】
前記正面スカウトビューおよび/または側面スカウトビューの各々が、前記正面画像および側面画像の各々を作成する前に、前記正面画像および側面画像の各々と比較して低減された全体的な放射線量を用いて垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20、30)の予備的な垂直走査を実行すること(1)によって作成される、請求項1から19のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項21】
前記低減された全体的な放射線が、前記全体的な放射線量の10%未満、好ましくは前記全体的な放射線量の5%未満である、請求項20に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項22】
前記スカウトビューにおけるピクセルが、撮像ゾーンを作成するために、好ましくはN×Nピクセルのゾーンによって、より好ましくは少なくとも10×10ピクセルのゾーンによって一緒に集められる(2)、請求項1から21のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項23】
前記画像または前記撮像ゾーンが、前記厚さプロファイルを計算し、前記垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20、30)の前記特定の骨の局在(21、31)を識別するために使用される角点を識別するために処理される(3)、請求項1から22のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項24】
前記画像または前記撮像ゾーンが、前記厚さプロファイルを計算し、前記垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20、30)の前記特定の骨の局在(21、31)を識別するために、ニューラルネットワークによって処理される、請求項1から22のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項25】
前記2つの放射線源が、垂直走査方向(Z)に沿って立っている患者(20、30)の骨盤、脊柱、脊椎、または全身の垂直走査を実行するように垂直にスライドする、請求項1から24のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項26】
2つの放射線検出器が、それぞれ、前記2つの放射線源に関連付けられ、前記2つの放射線検出器が、各々が、画像コントラストを向上させるために、前記放射線検出器の感知表面において受ける放射線量にかかわらず自動的に画像濃度のバランスを取る自動画像処理機能に関連付けられた2つの光子計数検出器(PCD)である、請求項1から25のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項27】
2つの放射線検出器が、それぞれ、前記2つの放射線源に関連付けられ、前記2つの放射線検出器が、2つのマルチエネルギー計数検出器であり、好ましくは2つのエネルギー分解光子計数検出器(ERPCD)である、請求項1から26のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【請求項28】
放射線がX線である、請求項1から27のいずれか一項に記載の放射線医学的撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者によって受け取られるより低い放射線量を望みながら、依然として良好な品質の患者の身体画像を取得することを望む放射線医学的撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型立体放射線撮影システムは、CT(コンピュータ断層撮影(Computed Tomography))走査と比較して最大50または最大100もの線量低減で、また、従来のCR(コンピュータ放射線撮影(Computed Radiography))またはDR(直接放射線撮影(Direct Radiography))システムと比較して単一ビュー画像に対して最大10の線量低減で、脊柱または骨盤などの骨格の解剖学的部分の3D再構成のために正面画像および側面画像を同時に作成する興味深い能力を実証した。
【0003】
しかし、このシステムは、AEC(自動露出制御(Automatic Exposure Control))を持たず、したがって、患者走査のパラメータは、オペレータが患者の解剖学的構造において視覚的に行うことができる評価に従ってオペレータによって手動でのみ選択されていた。オペレータは、小、中、大の3つの可能な解剖学的サイズ間からのみ選択することができた。X線ビームのスペクトル特性(kVおよびフィルタ)および強度は、プロトコル(全身、脊椎全体、骨盤...)の選択および患者のサイズ(小、中、または大)に従って、簡単な表を参照して調整された。このシステムは、オペレータがパラメータを選択するのに役立つ興味深いものであったが、主な欠点は、オペレータの視覚的のみの選択に関連していた。
【0004】
この欠点は、標準的な2D放射線医学についても知られており、自動露出期間を可能にするために、いくつかの自動露出制御(AEC)が開発された。この種のAECは、患者と検出器(フィルム、CR、DR)との間に置かれた、通常は放射線透過性の電離箱である線量計セルにおいて線量目標に到達するとすぐに露出を停止することができる。この種のAECは、いくつかの欠点も有していた。第1の欠点は、典型的には3つの可能性の中からの患者のプロトコルおよびサイズにおける交差した選択によって通常は選択される、スペクトル(kV、フィルタ)に関するオペレータの選択に再び関連する。この種のAECの第2の欠点は、画像を取得するために使用される検出器の種類に関連していた。フィルムが使用されている限り、明るすぎるまたは暗すぎる画像濃度を提供する露出過多または露出不足の影響は、フィルム上で明らかに目で見えるので、この種のAECは、正しい結果を提供することができた。したがって、AECの線量目標は、ある種のフィルムに対して標準的な期待濃度を得るように設定され得る。しかしながら、コンピュータ放射線撮影(CR)および直接放射線撮影(DR)のキャプタが放射線医学用の普及した2D検出器になり始めると、これらの検出器およびそれらの自動画像処理は、線量に関係なくほぼ同じ種類の画像濃度を提供することができ、唯一の違いは、画像におけるノイズであるので、オペレータは、明るいまたは黒い画像濃度を見て露出過多または露出不足をもはや単純に検出することができなくなったので、他の問題が発生した。オペレータは、画像におけるノイズに従って線量目標を適切に設定するのにいくつかの困難があり、異なる種類またはサプライヤのCRまたはDR検出器モデルの使用も、良好な結果を得るための顕著な困難の原因であった。
【0005】
IEC62494-1は、AECの線量目標を露出指数目標(EIT(Exposure Index Target))として定義するために、ノイズと、したがって画像の信号対ノイズ比(SNR(Signal to Noise Ratio))とに依存する露出指数(EI(Exposure Index))を使用することを提案した。IEC62494-1は、デシベルDI=10*log10(EI/EIT)において表される露出指数目標に対する到達した露出指数の比として偏差指数(DI(Deviation Index))を定義することも提案した。
【0006】
走査型放射線撮影システムを考慮すると、患者と検出器との間に置かれた線量計セルを使用する標準的な2D放射線撮影のためのAECの公知の方法は、様々な理由のためほとんど互換性がない。第1の理由は、走査速度および走査領域のサイズのみに関連する露出時間を変更することが非常に困難であるか、不可能でさえあることに関連し、2Dシステムについて、AEC線量計セルは、患者に対して移動せず、したがって、2Dシステムのこの静的な測定は、露出目標に達するとすぐに露出を停止することができる。第2の理由は、患者の身体における診断に関連するROI(関心領域(Region of Interest))の非常に小さい部分のみ、典型的には全画像の1ラインのみに依存する走査型放射線撮影システム用のそのような線量計の視野である。関連するROIのそのような小さい部分の使用は、露出指数目標に近い関連するROIにおける露出指数を得るため、および十分な信号対ノイズ比(SNR)を得るためにショットのパラメータを処理するために必要な先験的情報を提供する機会をほとんど持たない。
【0007】
放射線医学的垂直走査型撮像の技術分野以外の第1の従来技術によれば、患者ベッド上に横たわっている患者の水平走査方向に沿った螺旋状の経路を実行する、米国特許出願第2011/0026668号における非常に高い放射線量を発する回転放射線源に基づくコンピュータ断層撮影方法が知られている。この放射線源は、電流強度と電圧強度の両方によって駆動される。電流強度は、時間単位、たとえば、1秒において放射線源によって放射される放射線量に関連する。電圧強度は、放射線源によって放射される各光子のエネルギーに関連する。所与の特定の横たわっている患者のそのような水平走査を実行するために、電圧強度は、水平走査方向に沿って放射された放射線量に適合するように変調され、または電流強度は、とにかく非常に高く、立っている患者の垂直走査におけるよりも少なくとも50倍高い放射される放射線量と、水平方向に沿って患者の厚さとに適合し、水平方向に沿った患者の厚さに対する全体的な画像コントラストを改善するように、水平走査方向に沿って変調される。
【0008】
一実施形態において、横たわっている患者に沿った放射線源の角度位置のみに依存し、横たわっている患者に沿った放射線源の水平位置に依存しない電圧強度変調が、横たわっている患者に沿った放射線源の水平位置に依存する電流強度変調とともに実行される。
【0009】
別の実施形態において、横たわっている患者に沿った放射線源の角度位置のみに、および横たわっている患者に沿った放射線源の水平位置に依存する電圧強度変調が、横たわっている患者に沿った放射線源の水平位置に依存する電流強度変調なしで実行される。
【0010】
しかし、この第1の従来技術のどの実施形態においても、電圧強度と電流強度の両方は、この水平方向に沿って、すなわち、横たわっている患者に沿った放射線源の水平位置に依存して同時に変調されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願第2011/0026668号
【特許文献2】PCT/IB2016/000273
【特許文献3】PCT/1B2017/000986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記の欠点を少なくとも部分的に軽減することである。
【0013】
より具体的には、本発明は、
患者によって受け取られる放射線量を低減することと、
患者の身体または患者の臓器の画像品質を改善することと
の間の妥協を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、立っている患者の垂直走査において、放射される放射線量がコンピュータ断層撮影においてははるかにより低い場合、この放射される放射線量を依然として低減すると同時に、放射される放射線粒子の量を変調することと、各々の放射される放射線粒子の固有エネルギーを変調することの両方によって、前記垂直操作方向に沿った患者の厚さの変動に応じて、前記垂直方向に沿って画像コントラストを異なるように改善することを同時に探すという課題を解決することを提案する。
【0015】
それによって、患者の身体の厚さの厚い領域において依然として十分な放射される放射線量を維持しながら、放射される放射線量が患者の身体の厚さの薄い領域において低減され、最小に保たれるだけでなく、各々の放射される粒子の固有エネルギーも患者の身体の撮像領域における厚さの値に適合され、それによって、全体的に放射される放射線量を改善することだけでなく、局所的に画像コントラストを改善することにもつながる。
【0016】
低減される放射される放射線量と、向上される画像コントラストとの間のそのような妥協は、前記垂直走査方向に沿った各高さにおいて異なる可能性があり、または少なくとも前記垂直走査方向に沿った患者の身体の可変の厚さとともに頻繁に変化する。
【0017】
さらに、この局所的な画像コントラストは、
第1の従来技術におけるように、患者の全体的な厚さに全体的に依存するだけでなく、
スカウトビューにおいて識別された特定の骨の局在において導かれる患者の局所的な厚さの両方に依存して
強化される。
【0018】
この目的は、互いに直交する撮像方向を有する2つの放射線源である、1つの正面放射線源および1つの側面放射線源を、垂直走査方向に沿って立っている患者の垂直走査を実行するように垂直にスライドさせるステップを含む放射線医学的撮像方法によって達成され、前記放射線医学的方法が、少なくとも1つの動作モードを含み、この動作モードでは、正面スカウトビューが、前記正面放射線源によって前記垂直走査方向に沿って立っている患者の予備的な垂直走査を実行することによって作成され、前記正面スカウトビューが、前記正面スカウトビュー内の特定の骨の局在を識別するために処理され、少なくとも前記正面放射線源の駆動電流強度が、患者の厚さと、前記垂直走査方向に沿った前記識別された特定の骨の局在とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、前記正面放射線源の駆動電圧強度が、患者の厚さと、前記垂直走査方向に沿った前記識別された特定の骨の局在とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、前記正面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方が、前記垂直走査中に患者によって受け取られる全体的な放射線量を低減することと、正面画像について、前記垂直走査方向に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在の局所画像コントラストを増加させることとの間の妥協を改善するように、同時に、好ましくは同期的に、かつ自動的に実行される。駆動電圧強度は、駆動テンション強度の同義語である。
【0019】
この目的は、互いに直交する撮像方向を有する2つの放射線源である、1つの正面放射線源および1つの側面放射線源を、垂直走査方向に沿って立っている患者の垂直走査を実行するように垂直にスライドさせるステップを含む放射線医学的撮像方法によっても達成され、前記放射線医学的方法が、少なくとも1つの動作モードを含み、この動作モードでは、側面スカウトビューが、前記側面放射線源によって前記垂直走査方向に沿って立っている患者の予備的な垂直走査を実行することによって作成され、前記側面スカウトビューが、前記側面スカウトビュー内の特定の骨の局在を識別するために処理され、少なくとも前記側面放射線源の駆動電流強度が、患者の厚さと、前記垂直走査方向に沿った前記識別された特定の骨の局在とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、前記側面放射線源の駆動電圧強度が、患者の厚さと、前記垂直走査方向に沿った前記識別された特定の骨の局在とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、前記側面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方が、前記垂直走査中に患者によって受け取られる全体的な放射線量を低減することと、側面画像について、前記垂直走査方向に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在の局所画像コントラストを増加させることとの間の妥協を改善するように、同時に、好ましくは同期的に、かつ自動的に実行される。
【0020】
この目的は、互いに直交する撮像方向を有する2つの放射線源である、1つの正面放射線源および1つの側面放射線源を、垂直走査方向に沿って立っている患者の垂直走査を実行するように垂直にスライドさせるステップを含む放射線医学的撮像方法によっても達成され、前記放射線医学的方法が、少なくとも1つの動作モードを含み、この動作モードでは、正面スカウトビューおよび側面スカウトビューが、前記正面放射線源および側面放射線源によって前記垂直走査方向に沿って立っている患者の予備的な垂直走査を実行することによって作成され、前記正面スカウトビューおよび側面スカウトビューが、前記正面スカウトビューおよび側面スカウトビュー内の特定の骨の局在を識別するために処理され、前記正面放射線源と側面放射線源の両方の駆動電流強度が、患者の厚さと、前記垂直走査方向に沿った前記識別された特定の骨の局在とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、前記正面放射線源と側面放射線源の両方の駆動電圧強度が、患者の厚さと、前記垂直走査方向に沿った前記識別された特定の骨の局在とに応じて、前記垂直走査方向に沿って変調され、前記正面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方、ならびに前記側面放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方が、前記垂直走査中に患者によって受け取られる全体的な放射線量を低減することと、正面画像および側面画像について、前記垂直走査方向に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在の局所画像コントラストを増加させることとの間の妥協を改善するように、同時に、好ましくは同期的に、かつ自動的にすべて実行される。
【0021】
同期的は、
駆動電流強度変調および駆動電圧強度変調が、正面画像および側面画像について、完全に同期している、すなわち、互いに同相であること、
正面画像についての駆動電流強度が、側面画像についての駆動電流強度と、場合によっては時間シフト(交差散乱効果を低減するために、一方が他方に対して垂直方向においていくつかのラインだけ進んでいるかまたは遅れている)を伴って同期していること、
正面画像についての駆動電圧強度が、側面画像についての駆動電圧強度と、場合によっては時間シフト(交差散乱効果を低減するために、一方が他方に対して垂直方向においていくつかのラインだけ進んでいるかまたは遅れている)を伴って同期していること
を意味する。
【0022】
好ましい実施形態は、本発明の任意の先行する目的とは別々に、または部分的に組み合わせてもしくは完全に組み合わせて一緒に採用され得る以下の特徴のうちの1つまたは複数を備える。
【0023】
好ましくは、前記識別された特定の骨の局在は、患者の脊椎を含み、好ましくは患者の脊椎である。
【0024】
実際、患者の脊椎は、患者の体内で詳細に分析するのに最も興味深い特定の骨の局在であり、したがって、電圧強度変調と電流強度変調の両方を駆動するために使用される。
【0025】
代替的には、特定の骨の局在は、撮像される患者の身体の部分内の関心領域に応じて、垂直走査方向に沿って立っている患者の骨盤、腕、または脚でもあり得る。
【0026】
好ましくは、前記正面放射線源の前記駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方は、前記正面画像および/または前記側面画像について、一定であり、前記垂直走査方向に沿った前記撮像位置の大部分に共通であり、好ましくは前記垂直走査方向に沿ったすべての前記撮像位置に共通であるが、正面画像および側面画像についてそれぞれ2つの異なる値を取ることができる信号対ノイズ比の値に達するようにも実行される。
【0027】
好ましくは、前記正面画像および/または側面画像の各々について、前記信号対ノイズ比の値は、撮像されるべき異なる患者の臓器ごとに一定であり、予め決定される。
【0028】
好ましくは、患者の脊椎の正面画像について、前記標準信号対ノイズ比の値は、50と70との間に含まれる検出器ピクセルごとに受信されるX線光子の数に対応し、放射線医学的撮像方法のオペレータは、好ましくは、手動コマンドを介して、この標準値から少なくとも+もしくは-20%、より好ましくは少なくとも+もしくは-50%逸脱する可能性を有し、および/または患者の脊椎の側面画像について、前記標準信号対ノイズ比の値は、20と40との間に含まれる検出器ピクセルごとに受信されるX線光子の数に対応し、放射線医学的撮像方法のオペレータは、好ましくは、手動コマンドを介して、この標準値から少なくとも+もしくは-20%、より好ましくは少なくとも+もしくは-50%逸脱する可能性を有する。
【0029】
したがって、前記垂直走査方向に沿った、または前記垂直走査方向にすべて沿った、一定かつ最適化された信号対ノイズ比により、前記垂直走査方向に沿った異なる撮像位置における識別された特定の骨の局在の局所画像コントラストは、正面画像および/または側面画像内の実際に関心領域であったものについて、はるかに改善される。
【0030】
好ましくは、前記正面画像および/または側面画像は、少なくとも、前記垂直走査方向に沿った異なる撮像位置における前記識別された特定の骨の局在の局所画像コントラストを増加させる第1のステップを受けた後、前記駆動電流強度変調および駆動電圧強度変調から生じる画像アーティファクトを取り除くために、患者の身体の輪郭のすぐ外側に位置する領域の均質化によって好ましくは正規化される。
【0031】
実際、これらの駆動電流強度変調および駆動電圧強度変調のために、正面画像および/または側面画像においていくつかのアーティファクトが存在し、アーティファクトは、(患者のすぐ外側の)画像の空白部分におけるまたは患者の非常に薄い部分における重なり合う透明なグレーレベルおよび暗いグレーレベルのいくつかの交互の波であり、それらの画像を、放射線医学的撮像方法のオペレータにとって解釈するのに少し快適でなくするか、または少なくともオペレータにおけるいくらかのトレーニングを必要にしていた。
【0032】
好ましくは、前記正面画像および/または側面画像は、正規化された後、コントラスト強調ステップを受ける。
【0033】
したがって、一方で、これらの駆動電流強度変調および駆動電圧強度変調に由来する画像アーティファクトは、キャンセルされるが、これらの同じ駆動電流強度変調および駆動電圧強度変調によって改善されるコントラスト強調は、維持されるだけでなく、十分に活用される。
【0034】
好ましくは、前記識別された特定の骨の局在は、もしあるなら、たとえば、患者の身体の骨格の一部の金属補綴のような、または、たとえば、前記放射線医学的撮像方法を実行する前に患者の身体上の定位置に置かれた金属保護物のような金属部分を除外する。
【0035】
実際、患者の体内または身体の上に導入されたこれらの(患者の身体にとって)異物は、金属であり、したがって患者の身体の残りの部分よりもはるかにより多くの放射線およびX線を妨げるので、放射される線量のなんらかの非最適化につながる可能性があり、これらの異物に対応する高度について、放射される放射線に対するいくらかの露出過多またはいくらかの露出不足につながるリスクがある。第1に、駆動電圧強度が一定であり、さらに第2に、駆動電圧強度と駆動電流強度の両方が一定であるモードにおいて、金属の外れ値が排除されない場合、より多くのまたはすべてのパラメータが最大の厚さに対して選択され、それによって、必要とされるよりも高いまたははるかに高い放射線量が放射され、患者にとって非常に有害になるので、結果が悪化する可能性がある。
【0036】
好ましくは、電流強度と電圧強度の両方の変調は、患者の厚さがより大きい場合、電流強度と電圧強度の両方を同時に増加させ、患者の厚さがより小さい場合、電流強度と電圧強度の両方を同時に減少させ、電流強度の変動率は、電圧強度の変動率よりも遅い。
【0037】
したがって、患者の厚さが大きい場合、より多くのよりエネルギーの高い放射線粒子が、より多くの放射される放射線粒子と、各々の放射される放射線粒子のより高いエネルギーの両方のおかげで、放射される放射線量を増加させすぎることなく、その大きい厚さにもかかわらず患者の身体をより容易に通過し、すべての放射信号が大きい厚さの患者の身体によって吸収されることを回避する。
【0038】
一方、患者の厚さが小さい場合、より多くのよりエネルギーの低い放射線粒子が、より少ない放射される放射線粒子と、各々の放射される放射線粒子のより低いエネルギーの両方のおかげで、放射される放射線量を増加させすぎることなくその小さい厚さにも関わらず患者の身体によって吸収され、すべての放射信号が小さい厚さの患者の身体を通過することを回避する。
【0039】
好ましくは、前記電流強度変調は、一定値において前記垂直走査速度も最大化するように最大化される。
【0040】
したがって、同じレベルにおいて保たれた所与の放射される放射線量に対して、したがって前記垂直走査中に立っている患者によって受け取られる同じレベルにおいて保たれた所与の放射線量に対して、総垂直走査時間は、著しく短縮され、立っている患者が動く可能性と患者が動く影響とを低下させる利点を有し、それによって、正面画像および側面画像のぼやけのリスクおよび変形のリスクをいくらか低減し、それによって、これらの正面画像および側面画像の信号対ノイズ比をさらに向上させる。
【0041】
好ましくは、前記動作モードは、放射線医学的撮像方法のオペレータによって手動でオンまたはオフのいずれかに切り替えられ得る。
【0042】
したがって、放射線医学的撮像装置を動作するこの非常に有利な方法が利用可能であるが、この放射線医学的撮像装置のオペレータが、たとえば、この放射線医学的撮像装置を完全に手動で動作するために、それを取り除きたい場合、それは、キャンセルされ得る。本発明の有利な実施形態による放射線医学的撮像方法は、完全手動モード、変調なしのAECモード、変調ありのAECモードの3つの動作モードを提示する。
【0043】
好ましくは、前記動作モードは、大柄な患者および/または肥満の患者の垂直走査専用である。
【0044】
好ましくは、前記動作モードは、小児患者の垂直走査専用である。
【0045】
本発明による放射線医学的撮像方法は、患者の厚さが、平均的なサイズの患者の場合よりも特に薄く、または特に厚くなり得るという点でなお一層興味深い。これは、非常に患者特異的であるという本発明による放射線医学的撮像方法の能力を示している。もちろん、本発明による放射線医学的撮像方法は、標準的なサイズの患者に対しても非常に良好に機能する。
【0046】
好ましくは、前記電流強度変調率は、ミリ秒あたり5mAの所定のしきい値、好ましくはミリ秒あたり2mAの所定のしきい値、より好ましくはミリ秒あたり1mAの所定のしきい値を超えない。
【0047】
したがって、本発明による放射線医学的撮像方法は、比較的遅い電流強度駆動能力を有する比較的単純で安価な放射線源を用いても実行され得る。
【0048】
好ましくは、前記電流強度変調は、少なくとも20mAから300mA、好ましくは10mAから400mAの範囲である。
【0049】
したがって、本発明による放射線医学的撮像方法は、比較的限られた範囲の電流強度駆動能力を有する比較的単純で安価な放射線源を用いても実行され得る。
【0050】
好ましくは、前記電圧強度変調は、少なくとも60kVから100kV、好ましくは50kVから120kVの範囲である。
【0051】
したがって、本発明による放射線医学的撮像方法は、電圧強度駆動能力の利用可能な範囲を同時に十分に活用しながら、比較的限られた範囲の電圧強度駆動能力を有する比較的単純で安価な放射線源を用いても実行され得る。
【0052】
好ましくは、前記垂直走査速度値は、少なくとも8cm/秒から20cm/秒、好ましくは4cm/秒から30cm/秒の範囲である。
【0053】
したがって、本発明による放射線医学的撮像方法は、垂直走査速度能力の利用可能な範囲を同時に十分に活用しながら、比較的限られた範囲の垂直走査速度能力を有する比較的単純で安価な放射線源を用いても実行され得る。
【0054】
好ましくは、前記正面スカウトビューおよび/または側面スカウトビューの各々は、前記正面画像および側面画像の各々を作成する前に、前記正面画像および側面画像の各々と比較して低減された全体的な放射線量を用いて垂直走査方向に沿って立っている患者の予備的な垂直走査を実行することによって作成される。
【0055】
したがって、厚さプロファイルと、垂直走査方向に沿って立っている患者の身体の特定の骨の局在とに応じた、駆動電流強度の変調および駆動電圧強度の変調、ならびに場合によっては垂直走査速度の変調は、高品質の正面画像および側面画像を作成するのに十分な、限られているが完全な放射線量を用いて実行される立っている患者の身体の有効な正面画像および側面画像を結果として生じる垂直走査を実行する直前に決定され得る。スカウトビューは、放射された放射線への非常に限られた過剰露出を犠牲にして実行され得る。
【0056】
好ましくは、前記低減された全体的な放射線は、前記全体的な放射線量の10%未満、好ましくは前記全体的な放射線量の5%未満である。
【0057】
したがって、利益は、2倍であり、スカウトビュー実行中の過剰露出(+10%または+5%)が非常に制限されるだけでなく、受け取られる全体的な放射線量と画像コントラストの向上との間の妥協を最適化することも非常に効率的である。
【0058】
好ましくは、前記スカウトビューにおけるピクセルは、撮像ゾーンを作成するために、好ましくはN×Nピクセルのゾーンによって、より好ましくは少なくとも10×10ピクセルのゾーンによって、たとえば、撮像ゾーンを作成するために少なくとも20×20ピクセルのゾーンによって一緒に集められる。
【0059】
したがって、このスカウトビューを実行するために使用される放射された放射線量の非常に低いレベルにもかかわらず、スカウトビューについて、画像品質および画像コントラストが向上される。
【0060】
好ましくは、前記画像または前記撮像ゾーンは、前記厚さプロファイルを計算し、前記垂直走査方向に沿って立っている患者の前記特定の骨の局在を識別するために使用される角点を識別するために処理される。
【0061】
したがって、放射された放射線量の非常に低いレベルにもかかわらず、スカウトビューから、前記厚さプロファイルを計算し、前記垂直走査方向に沿って立っている患者の前記特定の骨の局在を識別することが、より簡単かつより効率的である。
【0062】
好ましくは、前記画像または前記撮像ゾーンは、前記厚さプロファイルを計算し、前記垂直走査方向に沿って立っている患者の前記特定の骨の局在を識別するために、ニューラルネットワークによって処理される。
【0063】
したがって、放射された放射線量の非常に低いレベルにもかかわらず、スカウトビューから、前記垂直走査方向に沿って立っている患者の前記特定の骨の局在を識別することが、より簡単かつより効率的である。
【0064】
好ましくは、前記2つの放射線源は、垂直走査方向に沿って立っている患者の骨盤、脊椎、または全身の垂直走査を実行するように垂直にスライドする。
【0065】
好ましくは、2つの放射線検出器は、それぞれ、前記2つの放射線源に関連付けられ、前記2つの放射線検出器は、各々が、画像コントラストを向上させるために、前記放射線検出器の感知表面において受ける放射線量にかかわらず自動的に画像濃度のバランスを取る自動画像処理機能に関連付けられた2つの光子計数検出器(PCD(Photon Counting Detector))である。
【0066】
したがって、放射線源によって放射される放射線信号に対する露出過多または露出不足は、放射線医学的撮像方法のオペレータによって手動で正しく評価することが困難である。さらに、光子計数検出器は、ガス検出器と比較して改善された直線性および信号対ノイズ比を示す。
【0067】
好ましくは、2つの放射線検出器は、それぞれ、前記2つの放射線源に関連付けられ、前記2つの放射線検出器は、2つのマルチエネルギー計数検出器であり、好ましくは2つのエネルギー分解光子計数検出器(ERPCD(Energy Resolved Photon Counting Detector))である。
【0068】
好ましくは、放射線は、X線である。
【0069】
立っている患者、または立った姿勢にある患者は、コンピュータ断層撮影におけるように横たわっている患者、または横たわった姿勢にある患者とは対照的に、体重を支える姿勢にある患者である。患者の立った姿勢に代わる別の患者の体重を支える姿勢は、患者の座った姿勢である。
【0070】
さらに、本発明のさらなる特徴および利点は、以下に列挙された添付図面を参照して、非限定的な例として与えられる本発明の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】放射線源の駆動電流強度変調を計算することを扱う、本発明の実施形態による放射線医学的撮像方法の一部の例を示す図である。
【
図2】角点の検出を介する、特定の骨の局在化の例であり、ここでは、骨盤および脚によって継続される脊椎を含む患者の全身を示す図である。
【
図3】ミリメートルにおいて表された患者の身長に沿った垂直位置の関数としての中央値信号パッチ値である対応するパラメータの例を示す図である。
【
図4】ミリメートルにおいて表された患者の身長に沿った垂直位置の関数としてのミリメートルにおいて表された対応する厚さプロファイルの例を示す図である。
【
図5】放射線源の駆動電流強度変調と駆動電圧強度変調の両方を計算することを扱う、本発明の実施形態による放射線医学的撮像方法の例を示す図である。
【
図6】正面画像と側面画像のそれぞれについて、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さの関数としてのキロボルトにおいて表された電圧変調の例を示す図である。
【
図7】正面画像と側面画像のそれぞれについて、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さの関数としてのミリアンペアにおいて表された電流変調の例を示す図である。
【
図8】正面画像と側面画像のそれぞれについて、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さの関数としての検出器ピクセルあたりの得られたX線光子の数(信号対ノイズ比を表す)の例を示す図である。
【
図9】正面画像と側面画像のそれぞれについて、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さの関数としてのμGy(マイクログレイ)における患者によって受け取られた放射線量の例を示す図である。
【
図10】角点検出ステップの後だが、角点フィルタリングステップの前の、フィルタリングされた正面スカウトビューの例を示す図である。
【
図11】角点検出ステップの後で、角点フィルタリングステップの後の、フィルタリングされた正面スカウトビューの例を示す図である。
【
図12】角点検出ステップの後だが、角点フィルタリングステップの前の、フィルタリングされた側面スカウトビューの例を示す図である。
【
図13】角点検出ステップの後で、角点フィルタリングステップの後の、フィルタリングされた側面スカウトビューの例を示す図である。
【
図14】ディープニューラルネットワーク検出ステップの後の、フィルタリングされた正面スカウトビューの例を示す図である。
【
図15】ディープニューラルネットワーク検出ステップの後の、フィルタリングされた側面スカウトビューの例を示す図である。
【
図16】定電流および定電圧モードにおける、一定の駆動電流強度および一定の駆動電圧強度の側面画像の例を示す図である。
【
図17】変調電流および定電圧モードにおける、変調された駆動電流強度および一定の駆動電圧強度の側面画像の例を示す図である。
【
図18】二重変調電流および変調電圧モードにおける、変調された駆動電流強度および変調された駆動電圧強度の側面画像の例を示す図である。
【
図19】放射線科医に表示される最終的な側面画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明は、走査型立体放射線撮影システムにAECシステムを提供するための解決策を提供することを目的とし、このAECシステムは、IEC62494-1に準拠している。このAECシステムは、参照により組み込まれ、同じ出願人EOS-Imagingによって所有されている、出願PCT/IB2016/000273およびPCT/1B2017/000986において説明されている走査型立体放射線撮影システムにおいて使用されるように設計される。
【0073】
好ましい実施形態において、この走査型立体放射線撮影システムの2つの検出器は、少なくとも2つのエネルギービンを有するエネルギー分解光子計数検出器(ERPCD)としても知られるマルチエネルギー計数検出器である。別の実施形態において、この走査型立体放射線撮影システムの2つの検出器は、光子計数検出器(PCD)としても知られるモノエネルギー計数検出器である。
【0074】
マルチエネルギーまたはモノエネルギーにおける光子計数検出器の使用は、2つの主な理由のため、ガス検出器と比較して有利である。第1の理由は、ERPCDまたはPCDの信号は、入射フラックスに対して線形であり、検出された光子の数に直接等しいのに対し、ガス検出器の信号は、強く非線形であり、この非線形性は、正確に修正するためにモデル化するのがかなり複雑であったという事実である。ERPCDおよびPCDにおいて、パイルアップ効果と呼ばれる高フラックスにおける非線形挙動が依然として存在するが、このパイルアップ効果は、画像較正ソフトウェアによってうまくモデル化および修正され得る。第2の理由は、ERPCDおよびPCDは、数カ月間新しい較正を必要とせずに非常に安定した挙動および感度を有し、ガス検出器は、安定であるには程遠く、毎日の較正を必要とし、その挙動および感度も、室温の変化に応じて数分で変動する可能性があるという事実である。PCDおよびERPCDの安定性、ならびに光子計数機能は、露出指数と信号対ノイズ比とを評価するために、検出器内の入射光子の計数信号を直接使用することを可能にする。信号対ノイズ比は、信号の二乗平均平方根に直接等しい。たとえば、ガス検出器などの他の種類のエネルギー積分型検出器は、この利点を示さず、SNRと、したがって露出指数とを評価するために、正確な較正を必要とする。
【0075】
本発明の実施形態による放射線医学的撮像方法は、モノエネルギー(ERPCDまたはPCD)におけるスカウトビューの使用に基づく。この走査型放射線撮影システムの1つの目標は、整形外科のための骨の撮像に特化しているので、その場合におけるスカウトビューは、選択されたプロトコルの軸骨格または骨を正確に見つけるために分析される。しかし、いくつかの他の用途について、たとえば、肺などの軟組織の臓器プロトコルが選択され得、その場合、スカウトビューは、臓器を見つけるために分析される。
【0076】
IEC62494-1の定義に従った診断のための関連するROIは、骨または臓器の探索固有のプロトコルに従ってスカウトビューにおける特性検出ポイントまたはランドマークのセットの上に配置されたほぼ脊椎のサイズ(直径4~5cm)の「パッチ」とも呼ばれる円形のサブROIのセットの結合によって定義される。この特性点の探索は、2つの異なる方法、すなわち、特定の角点探索アルゴリズム、またはトレーニング済みの姿勢検出ディープニューラルネットワークの使用とを用いて具体化され得る。
【0077】
次いで、患者の等価厚さが、各パッチにおいて評価され、特定の選択ルールのなんらかのプロトコルが、患者におけるZ(垂直)位置に応じた等価厚さの垂直ベクトルを提供する。等価厚さは、モノエネルギースカウトビューが使用される場合、単一材料PMMA[ポリ(メチルメタクリレート)]等価物において評価される。
【0078】
次いで、垂直の等価厚さベクトルは、特徴的な厚さを処理するために使用され、これは、最も可能性がある最大厚さの確実な検出である。次いで、特徴的な厚さおよび等価ベクトル厚さは、各パッチにおける露出指数を露出目標にできるだけ近づけるために、走査のパラメータを処理するために使用される。
【0079】
露出パラメータは、オペレータの選択に従っていくつかの異なるモードにおいて生成され得、
「一定露出モード」と呼ばれる第1のモードは、走査のために使用する最適な定数kV、mA、フィルタ、および走査速度を単に提供し、IEC60601-2-44の定義に従う一定フラックス露出制御を提供し、
「フレックス線量」と呼ばれる第2のモードは、2つのオプションで利用可能である。両方のオプションは、走査速度、選択されたフィルタ、および垂直軸に沿った露出の時間変調のベクトルを処理し、IEC60601-2-44の定義に従うZ軸露出制御を提供する。
【0080】
「フレックス線量」は、電圧またはテンション(kV)が固定され、電流(mA)がZ軸に沿って変調する第1のオプションを用いて使用され得、第2のオプションにおいて、電圧またはテンション(kV)と電流(mA)の両方は、垂直(Z)軸に沿って変調する。本発明による動作モードは、「フレックス線量」と呼ばれる第2のモードのこの第2のオプションである。「フレックス線量」と呼ばれる第2のモードのこの第2のオプションは、走査型放射線撮影システムのオートモードとも呼ばれる。
【0081】
本発明の実施形態によるこのオートモードの一般的な原理は、2D放射線医学検出器、たとえば、CR(コンピュータ放射線撮影)またはDR(デジタル放射線撮影)とともに使用される標準的な自動露出制御(AEC)とは異なる。標準的な放射線医学AECは、目標レベルに達するとすぐにX線放射を停止するために、2D検出器の入口レベルにおいて患者の背後にあるリアルタイム線量測定器を使用し、それは、5~10cmの側面サイズを有する典型的な正方形の形状を有する電離箱セルに基づいて露出時間を調整する。一般に、標準的な放射線医学AECデバイスは、たとえば、2D検出器の中央、左、または右におけるいくつかの異なるセルのうちの1つを使用する選択肢をオペレータに提供し、したがって、露出時間は、患者におけるセル領域の対応する部分においてのみうまく調整され、2D検出器の領域全体において完全に調整されるわけではない。さらに、標準的な放射線医学AECは、すべてのX線ショットパラメータを最適化することはできず、一般に、電圧(kV)を手動で選択し、形態学およびプロトコルの選択に基づいてフィルタを直接または間接的に選択する必要がある。
【0082】
オートモードは、必要な非常に低い線量のスカウトビュー(プレビューまたはスキャノグラムとも呼ばれる)に基づく。AECは、一定露出モードと、「フレックス線量」と呼ばれる変調モードとを提供し、これらは、それぞれ、一定フラックス露出制御およびZ軸露出制御として認定され得る。一定フラックス露出制御システムは、走査シーケンス全体にわたって使用されるべき最適な一定のX線フラックスを決定し、Z軸露出制御システムは、Z軸に沿って入射X線フラックスを調整する。患者が立ったまたは座った姿勢であるので、Z軸は、垂直である。
【0083】
図1は、放射線源の駆動電流強度変調を計算することを扱う、本発明の実施形態による放射線医学的撮像方法の一部の例を示す。
【0084】
本発明の実施形態による放射線医学的撮像方法は、垂直走査方向に沿って放射線源の電流強度変調および電圧強度変調を処理する方法を含む。
図1および
図5は、角点を使用する例示的な実装形態の機能ブロック図を示す。
【0085】
以下の連続したステップが実行される。
【0086】
ステップ1において、立っている患者のスカウトビューが、低減した放射線量を用いて取得される。スカウトビューは、オートモードを使用するために必要とされ、0.5mm厚の銅フィルタと非常に低い線量とを用いて取得される。このスカウトビューとメインショットとの間の患者線量比は、長軸および局在化プロトコルについては10%未満である。方法のこのステップ1は、患者に沿った垂直走査による低減した線量におけるスカウトビューの取得である。
【0087】
ステップ2において、スカウトビューの後処理が実行され、ここで、スカウトビュー内のピクセルは、較正および平均ビニングを伴う撮像ゾーンを作成するために、好ましくはN×Nピクセルのゾーン、たとえば、少なくとも20×20ピクセルのゾーンによって一緒に集められる。スカウトビューは、ここでは、ノイズを十分にフィルタリングし、推定される厚さにおけるより高い信頼性のレベルを得るために20×20の大きいビニングが適用されたほど、そのような低いレベルの線量において取得された。このステップ2は、検出器のゲイン較正を使用する均質性補正と、推定される厚さにおける高い信頼性のレベルを得るためにバイアスを導入することなく信号対ノイズ比を改善するためのフィルタの使用とを含むスカウトビュー画像の後処理であり、たとえば、20×20の平均ビニングが適切に適合される。
【0088】
ステップ3において、
図10から
図13に関してより詳細に説明されるように、角点が検出され、最初に、より高い放射線吸収の点が検出され、次いで、希望される特定の骨の局在、たとえば、患者の身体の脊椎のみを実質的に維持するために、検出された点の一部が、所定の規則に従ってフィルタリングされ、角点に連続性を与える。確認済みの軸骨格の骨を検出するために開発された角点検出アルゴリズムが、ビニングされた画像に適用される。次いで、検出された角点は、患者の向きに応じて正面画像および側面画像において異なるように選択される。選択された角点は、主に、下肢、骨盤、脊椎、頸部、および頭部で構成される軸骨格に従う。金属検出が実行されるステップ3において、対応する選択された角点を削除および除外するために、金属補綴または金属保護物の検出も使用されるのに対し、ステップ8においては、厚さに関して外れ値が選択されるだけである。このステップ3は、スカウトビューにおける特定の骨の局在の検出および金属部分の除去である。例として、角点検出を使用する方法の説明を使用するが、特定のニューラルネットワークを使用する別の実装形態も使用され得る。使用される角点検出方法は、スカウトビュー内の局所的な最大減衰点のセットを見つけるために、直径約5cmの典型的な椎骨サイズのスケールにおいて探索することからなる。次いで、検出された角点は、患者の向きに応じて正面画像および側面画像において異なるように選択される。選択された角点は、主に、下肢、骨盤、脊椎、頸部、および頭部で構成される軸骨格に従う。1つのZ高度(垂直走査方向に沿った1つのZ位置)において1つの選択された角点のみが存在するのに対し、1つのZ高度においていくつかの異なる検出された角点が存在する可能性がある。
図10から
図13は、それぞれ、患者の正面スカウトビューおよび側面スカウトビューにおける角点検出および選択を示す。
図10から
図13の左側は、検出された角点を示し、
図10から
図13の右側は、選択された角点を示す。
図14および
図15は、
図10から
図13と同じ患者に適用された限られた数のランドマークを含むニューラルネットワーク方法を使用する骨格検出の例を示す。例として、
図14および
図15において示されている限られた数のランドマークは、頸椎C2およびC7、胸椎T9、仙骨、ならびに下肢におい
て、左および右大腿骨骨頭、1/3の骨幹、滑車の中心、遠位脛骨および近位脛骨に対応する。角点の選択方法は、たとえば、乳房、生殖腺卵巣、または身体の他の感覚的な部分のための金属補綴または金属保護物を含む金属部分において検出された点を除去することもできる。金属部分は、ニューラルネットワーク方法を使用しても除去され得る。
【0089】
ステップ4において、角点から、信号プロファイルが、mmにおいて表される垂直位置の関数として取得される。このステップ4は、患者の垂直走査に沿った信号プロファイルの処理である。スカウトビュー画像の信号の中央値は、選択された角点を中心とする各円形パッチにおいて処理され、垂直走査参照における対応する角点の高度zに関連付けられる。パッチサイズは、直径約5cmの椎骨サイズとほぼ同様の領域を表す。結果として生じるzの信号プロファイル関数は、スパースであり、このスパース信号プロファイルの内挿および外挿は、オペレータによるオプションの選択のための走査領域のいくらかの下部および上部の拡張を含む、患者の必要な垂直走査の高さ全体における垂直高度zに応じた信号の完全な垂直プロファイルサンプリングを提供する。
【0090】
ステップ5において、先行する信号プロファイルから、患者の厚さプロファイルが計算される。実際、このステップ5は、患者の垂直走査に沿った厚さプロファイルの処理である。zの信号プロファイル関数の対数は、式1に従って対応するPMMA厚さ相当値を提供するために、較正二次多項式関数を使用して処理される。
【0091】
【0092】
mAs=mAscout view*time_per_line
MaxTickness=PMMAの600mm
多項式の係数a、b、およびcは、較正を使用して処理される。
【0093】
ステップ6において、オプションで、新しい上限および/または下限の走査限界が、放射線医学的撮像方法のオペレータによって手動で選択され得る。オペレータは、インターフェースソフトウェアにおけるスカウトビュー画像上の選択ツールを使用して、走査の高さを少しだけ増減することができる。
【0094】
ステップ7において、オプションで、患者の厚さプロファイルは、先行する新しい上限および/または下限の走査限界に従ってクロップされる。次いで、zの処理された厚さプロファイル関数は、患者に沿った垂直走査の上限および下限のオペレータ選択に従ってクロップされる。
【0095】
ステップ8において、金属補綴または金属保護物のような外れ値をフィルタリングすることがステップ3においてすでに行われた後、先行する厚さプロファイルから、特徴的な患者の厚さが計算される。このステップ8は、特徴的な厚さの処理である。単純に考えると、ステップ5において前に決定された厚さプロファイルの最大値は、患者が座っているとき、または脚を支持体上に置いているかもしくは腕を組んでいるときの患者の厚さを表していない。患者の代表的な厚さを定義するために、厚さプロファイルの導関数は、外れ値を除去するために平均および標準偏差を使用して統計パラメータを定義するために処理され、次いで、特徴的な厚さは、外れ値を考慮しない最大厚さとして定義される。
【0096】
ステップ9において、特定の骨の局在、たとえば、垂直走査方向に沿った患者の脊椎の正確な位置と、垂直走査方向に沿った、すなわち患者の身長に沿った患者の厚さの変化の両方に従って、画像取得パラメータが参照テーブルから取得される。実際、処理された特徴的なPMM等価厚さ、および選択されたプロファイルは、参照解剖学的パラメータテーブルに従って、画像取得パラメータ(
図1についてのみkVであり、
図5では、駆動電圧強度変調、フィルタ、走査速度が存在するので、使用されない)を取得するために使用される。ステップ9は、処理された特徴的な厚さと選択されたプロトコルとに従う画像取得パラメータのテーブルにおける選択である。パラメータセットは、たとえば、信号ターゲット、および参照kVを含む。オペレータが変調を無効にするが、AECを維持することを選択する場合、参照kV、mA、および速度は、患者の画像を取得するために使用され得、その場合、走査速度、および電流の一定値は、信号ターゲットと特徴的な厚さとに従って処理される。参照電圧(kV)は、定電圧(kV)による電流変調を用いて患者の画像を取得するためにも使用され得る。そうでない場合、変調が有効な場合、正面ビューおよび/または側面ビューの信号ターゲットのみが以下のステップ10または11において使用される。例として、脊椎検査のための信号ターゲットは、正面画像および側面画像について異なり、典型的には、それぞれ、正面ビューについては約60光子/ピクセルであり、側面ビューについては約30光子/ピクセルである。これらの値は、制限された許容範囲内で放射線科医によって調整され得る。
【0097】
ステップ10において、選択された動作モードに応じて、垂直走査方向に沿った一定で共通の信号対ノイズ比、すなわち垂直走査方向に沿った検出器ピクセルあたりのX光子の一定の目標数に達するために、電流強度の一定値、または好ましくは垂直方向に沿った電流強度の可変変調のいずれかが、垂直走査方向に沿った患者の脊椎の正確な位置と、垂直走査方向に沿った患者の厚さの変化の両方の関数として選択され、垂直走査方向に沿った検出器ピクセルあたりのX線光子のこの一定の目標数は、好ましくは、正面画像については、たとえば60、側面画像については、たとえば30と、異なる値を有する。オートモードの最後のステップは、ROIのすべてのパッチにおいて露出指数目標にできるだけ近く適合するための、走査する患者の身体部分に沿った画像の電流(mA)変調ベクトルの処理である。電圧(kV)値のセットおよびPMMA等価厚さの関数としての測定信号値間の関係を確立するために、行列が較正された。電流(mA)を決定するために使用されたアルゴリズムは、この行列内で2D補間を実行する。駆動電流強度を変調する方法についての相補的で詳細な説明は、2重の駆動電流強度および駆動電圧強度の変調を説明する際に
図5において見られ得る。
【0098】
図2は、角点の検出を介する、特定の骨の局在化の例であり、ここでは、骨盤および脚によって継続される脊椎を含む患者の全身を示す。
図2は、側面スカウトビューにおいて選択された角点の典型的な例を示す。
【0099】
一連の円は、全体的に垂直方向において患者の脊椎に従う。この一連の角点SPは、患者の身体の側面画像上にスポットされる。この患者の身体の側面画像は、患者の幅の関数として高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表されている。
【0100】
図3は、ミリメートルにおいて表された患者の身長に沿った垂直位置Zの関数としての中央値信号パッチ値である対応するパラメータPの例を示す。
図3は、患者の垂直走査に沿った対応する完全にサンプリングされた信号プロファイルを示す。選択された角点は、
図2において、直径約5cmの円形パッチを表す円形ドットによって側面スカウトビュー上に示されている。
【0101】
図4は、ミリメートルにおいて表された患者の身長に沿った垂直位置Zの関数としてのミリメートルにおいて表された対応する厚さプロファイルthの例を示す。
図4は、
図2に示す側面プロファイルにおける特徴的な厚さの決定を示す。
【0102】
患者の厚さプロファイルは、
図4上にプロットされている。mmにおいて表される患者の厚さthは、同様にmmにおいて表される垂直位置Zの関数として表される。
【0103】
図5は、放射線源の駆動電流強度変調と駆動電流強度変調の両方を計算することを扱う、本発明の実施形態による放射線医学的撮像方法の例を示す。
【0104】
同じ原理は、第1のステップにおいて、走査する患者の身体の部分に沿った厚さに応じてコントラストを改善する電圧(kV)変調ベクトルを処理し、第2のステップにおいて、ROIのすべてのパッチにおいて露出指数目標にできるだけ近く適合するように電流(mA)変調を処理するために電圧(kV)変調オプションを伴う「フレックス線量」に対して使用され得る。ステップ11において実行される同時の電圧(kV)変調および電流(mA)変調が存在し、ステップ1から10は、
図1に関して前に説明した対応するステップ1から10と同様である。
【0105】
このステップ11において、選択された動作モードに応じて、垂直走査方向に沿った一定で共通の信号対ノイズ比、すなわち垂直走査方向に沿った検出器ピクセルあたりのX線光子の一定の目標数に達するために、垂直走査方向に沿った等価な患者の厚さ(骨は、より多くの放射線を減衰させ、したがって、それらは、軟組織と比較して、それらの実際の厚さよりも優れた厚さに相当する)を得るために、垂直方向に沿った電圧強度の可変変調および電流強度の可変変調が、垂直走査方向に沿った患者の脊椎の正確な位置と、垂直走査方向に沿った患者の厚さの変化の両方の関数として選択され、垂直走査方向に沿った検出器ピクセルあたりのX線光子のこの一定の目標数は、好ましくは、正面画像については、たとえば60、側面画像については、たとえば30と、異なる値を有する。
【0106】
ステップ11は、垂直走査方向に沿った放射線源の電流強度変調および電圧強度変調の処理である。ステップ5において処理された厚さプロファイルは、厚さの電圧関数の特定の関係を使用して電圧変調プロファイルを処理するために使用され、この関係は、解剖学的部分に応じて、正面画像と側面画像で同じである可能性があり、または異なる可能性がある。
図6は、たとえば、全脊椎プロトコルに使用される関係を示す。厚さ関係のこれらの電圧関数は、体内の骨領域のコントラストを最適化し、線量を最小化するように決定される。コントラストは、低電圧(kV)においてより良好であることが知られているが、低電圧(kV)の使用は、身体の厚い部分において受け取られる線量と比較して、検出器においていくらかの信号を提供する有用な線量を見ると効率的ではない。選択は、より低い電圧(kV)につながるよりよいコントラストと、より高い電圧(kV)につながるより効率的な線量使用との間の妥協によって導かれる。処理された電圧プロファイルは、最適な走査速度と電流プロファイルとを処理するために使用される。厚さプロファイル、電圧プロファイル、ならびに参照電流および走査速度に対する電圧および厚さに関する期待される信号を表す2Dテーブルは、信号ターゲットに達するために参照走査速度において必要とされる電流プロファイルを処理するために使用される。次いで、電流プロファイルは、特定の走査速度に比例して調整され得る。たとえば、参照走査速度に対して走査速度を2倍にするために、電流プロファイルを2倍にすることが必要とされる。所与の走査速度に対して許容される最大出力電力、最大電流プロファイルを有する線源は、最大電力と電圧プロファイルの比によって推定され得る。最適な走査速度は、より高い許容電流プロファイルを見ると見出される。
【0107】
オートモードの最後のステップは、ROIのすべてのパッチにおいて露出指数目標にできるだけ近く適合するための、走査する患者の身体部分に沿った画像の電圧(kV)変調ベクトルおよび電流(mA)変調ベクトルの処理である。電圧(kV)変調ベクトルと電流(mA)変調ベクトルの両方は、2倍の電圧および強度ベクトル内で組み合わされ得る。
【0108】
電圧(kV)値のセットおよびPMMA等価厚さの関数としての測定信号値間の関係を確立するために、行列が較正された。電流(mA)を決定するために使用されたアルゴリズムは、この行列内で2D補間を実行する。
【0109】
電圧(kV)および電流(mA)は、垂直走査に沿った患者の推定厚さに従ってX線フラックスを最適化するために、一定AECモードにおいては対応する特徴的な厚さに関するスカラー値としてのみ、または「フレックス線量」モードにおいては1つもしくは2つの変調ベクトルとして処理され得る。「フレックス線量」モードは、患者の最大厚さのみに基づいた定電流(mA)モードと比較して、長軸プロトコルに対して重要な線量低減を可能にする。
【0110】
オートモードの全体的な目標は、一定モードにおいて患者の走査領域の最大厚さ位置において一定かつ反復可能な信号レベルに到達すること、ならびにさらに、患者の走査される軸骨格に沿って、両方のモードについて患者の形態および厚さに関係なく、一定かつ反復可能な信号レベルに到達することである。
【0111】
図6および
図7は、「フレックス線量」モードにおける全脊椎プロトコルについての等価PMMA厚さに応じた電圧(kV)および電流(mA)の標準的な関係のシミュレーションを示す。
【0112】
図6は、それぞれ、正面画像および側面画像について、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さthの関数としてのキロボルトにおいて表された電圧変調Vの例を示す。
【0113】
正面曲線Fについて、電圧は、約10cmから約30cmのすぐ下までの範囲の等価患者厚さに対して、約60kVから約120kVまで規則的に上昇し、次いで、約30cm未満から40cmまたは50cmまでに対しては約120kVにおいて一定に保たれる。
【0114】
側面曲線Lについて、電圧は、約10cmから約30cmのすぐ上までの範囲の等価患者厚さに対して、約60kVから約120kVまで規則的に上昇し、次いで、約30cm未満から40cmまたは50cmまでに対しては約120kVにおいて一定に保たれる。F曲線の増加は、L曲線の増加よりも急である。
【0115】
図7は、それぞれ、正面画像および側面画像について、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さthの関数としてのミリアンペアにおいて表された電流変調Iの例を示す。
【0116】
正面曲線Fについて、電流は、約10cmから約40cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約30mAから約400mAまで規則的に増加し、次いで、約40cmから約50cmまでに対しては約400mAにおいて一定に保たれる。
【0117】
側面曲線Lについて、電流は、約10cmから約40cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約20mAから約400mAまで規則的に増加し、次いで、約40cmから約50cmまでに対しては約400mAにおいて一定に保たれる。F曲線の増加は、平均して、L曲線の増加と同様である。
【0118】
図8は、正面画像と側面画像のそれぞれについて、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さthの関数としての検出器ピクセルあたりの得られたX線光子の数S(信号対ノイズ比を表す)の例を示す。
【0119】
正面曲線Fについて、検出器ピクセルあたりのX線光子の数は、約10cmから約35cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約60においてむしろ一定であり、次いで、約35cmから約50cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約60から約10に急激に減少する。
【0120】
側面曲線Lについて、検出器ピクセルあたりのX線光子の数は、約10cmから約40cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約27においてむしろ一定であり、次いで、約40cmから約50cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約27から約10に急激に減少する。F曲線の急峻性の減少は、L曲線の急峻性の減少に類似しているが、より大きい等価患者厚さ範囲に及ぶ。
【0121】
図9は、正面画像と側面画像のそれぞれについて、センチメートルにおいて表された患者の等価厚さthの関数としてのμGyにおける患者によって受け取られた放射線量Dの例を示す。
【0122】
正面曲線Fについて、患者によって受け取られる放射線量は、約10cmから約30cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、最初に、約0から約500マイクログレイまでゆっくりと増加し、次いで、約30cmから約40cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約500マイクログレイから約3000マイクログレイにはるかにより急激に増加し、その後、約40cmから約50cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約3000マイクログレイにおいてほぼ一定のままである。
【0123】
側面曲線Lについて、患者によって受け取られる放射線量は、約10cmから約33cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、最初に、約0から約700マイクログレイまでゆっくりと増加し、次いで、約33cmから約40cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約700マイクログレイから約3500マイクログレイにはるかにより急激に増加し、その後、約40cmから約50cmまでの範囲の等価患者厚さに対して、約3500マイクログレイにおいてほぼ一定のままである。L曲線は、ゆっくりと増加する第1の段階において、F曲線よりもゆっくりと増加するが、次いで、L曲線は、急激に(または急速に)増加する第2の段階において、F曲線よりも速く増加する。
【0124】
「フレックス線量」モードは、すべてのパッチ、特に長軸プロトコルにおいて、露出指数目標と比較して露出指数精度において一定モードよりも優れた結果をもたらすことができる。さらに、mA(5kV/msに対して1mA/msに制限され、msは、ミリ秒)のみよりも速い変調を得ることができ、したがって、患者の身体における厚さの速い変化に密接に適合するのにより優れており、たとえば、電流(mA)変調が現在は最小10mAに制限されている、X線管のいくらかの発電機電流(mA)変調制限を克服することもできるので、「フレックス線量」モードの電流(mA)変調のみのオプションと比較した電圧(kV)変調および電流(mA)変調のオプションは、露出指数目標と比較して露出指数におけるより優れた精度を得ることができる。電圧(kV)変調の同時使用の別の改善点は、露出指数目標により適合するのと同時に、局所的な厚さに対するコントラストも最適化することである。
【0125】
すべての
図10から
図18において、スカウトビューについては、スカウトビュー画像がビニングされた(20×20の元の正方形ピクセルの各ゾーンが新しいピクセルに収集されたことを意味する)後、水平軸および垂直軸に沿ったスケールは、mmであり、スカウトビュー後に撮影された正面画像および側面画像には、そのようなビニングはない。
【0126】
図10から
図13は、ここでは患者の脊椎である関心ゾーンにおける画像コントラストを強化するために、患者の脊椎(または患者の脚の一方が続く患者の脊椎)に焦点を合わせ、他の骨を除外するために、フィルタリングの前と後の両方で角点検出のステップを使用する正面画像および側面画像を示す。
【0127】
このフィルタリングステップは、おそらくほぼ軸骨格、ここでは、脊椎および脊椎に続く一方の脚において位置する角点のみを選択することを目的とする。
【0128】
図10は、角点検出ステップの後だが、角点フィルタリングステップの前の、フィルタリングされた正面スカウトビューの例を示す。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。
【0129】
図11は、角点検出ステップの後で、角点フィルタリングステップの後の、フィルタリングされた正面スカウトビューの例を示す。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。
【0130】
骨21~25は、患者20内にスポットされる。患者20は、mmにおいて表される患者の幅に対して、mmにおいて表される患者の高さZに関してプロットされる。
【0131】
正面画像フィルタリングステップのための規則は、以下の通りである。
【0132】
Z(垂直位置)値ごとに、最大の厚さを有する角点が選択される。
【0133】
最大の厚さを有する角点に対応する場合であっても、金属部分が除外される(金属部分は、患者の体内のその近傍での非常に急な減衰または吸収に対応する)。
【0134】
フィルタリングが患者20の正面画像内で実行された場合、以下の通りである。
【0135】
脊椎21、左脚23、および右脚22の小さい部分のみを残す。
【0136】
一方、腕24、肩25、および右脚33の大部分は、フィルタリングされ、それによって除外されている。
【0137】
図12は、角点検出ステップの後だが、角点フィルタリングステップの前の、フィルタリングされた側面スカウトビューの例を示す。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。
【0138】
図13は、角点検出ステップの後で、角点フィルタリングステップの後の、フィルタリングされた側面スカウトビューの例を示す。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。
【0139】
骨31~35は、患者30内にスポットされる。患者30は、mmにおいて表される患者の幅に対して、mmにおいて表される患者の高さZに関してプロットされる。
【0140】
側面画像フィルタリングステップのための規則は、以下の通りである。
【0141】
Z(垂直位置)値ごとに、患者の背中に最も近い角点が選択される(ここでは、患者が左側を向いているので、側面画像の右における角点に一層対応するが、患者が右側を向いていた場合、側面画像の左における角点に一層対応する)。
【0142】
最大の厚さを有する角点に対応する場合であっても、金属部分が除外される(金属部分は、患者の体内のその近傍での非常に急な減衰または吸収に対応する)。
【0143】
側面画像の右側を向いている患者の脊椎よりも遠い、患者の背中に近すぎるいくつかの孤立した角点、たとえば、臀部または背中の肉の部分におけるような軟組織ゾーンにおいて失われたいくつかの孤立した角点を依然として除外する。
【0144】
フィルタリングが患者30の側面画像内で実行された場合、以下の通りである。
【0145】
脊椎31および左脚32のみを残す。
【0146】
一方、腕33および34、ならびに顎25は、フィルタリングされ、それによって除外されている。
【0147】
電圧強度変調および電流強度変調は、較正され得る。
【0148】
最初に、電圧利用可能範囲(50~140kV)をカバーする段階的な電圧変調を用いて、固定電流値を有する画像が撮影される。
【0149】
次いで、取得された画像は、較正ソフトウェアによって検出器を均質化し、その非線形性を補正することによって補正される。
【0150】
次いで、電圧ステップ値ごとに信号が測定され、これらのステップの値は、放射線の放射後の発生器のフィードバック測定ファイルから得られる。
【0151】
次いで、補間によって、mAによる進化曲線f(kV)の積として(また、検出器の所与の参照取得周波数に対して)信号を与える進化曲線f(kV)が決定される。fは、たとえば、垂直軸における電流および水平軸における電圧によって割ったピクセル検出器あたりの受け取られたX線光子の数として表され得、また、垂直方向にmAによる40~120の光子数の範囲、および水平方向に80~130kVの範囲において直線で、水平方向にmAによる10~40の光子数の範囲、および水平方向に50~80kVの範囲においてより漸進的かつスムーズに開始したものであり得る。
【0152】
正面または側面のいずれかの特定の画像も修正され得る。
【0153】
駆動電圧強度変調および駆動電流強度変調のプロファイルが、スカウトビューから計算される。
【0154】
次いで、計算された変調プロファイルを用いて画像が取得される。
【0155】
次いで、取得された画像は、較正ソフトウェアによって検出器を均質化し、その非線形性を補正することによって補正される。
【0156】
次いで、撮影された画像の各ラインjにおいて、このラインjにおいて発生器によって有効に送られた電圧kV(j)および電流mA(j)の値を識別するために、放射線の放射後の発生器のフィードバック測定ファイルが使用される。
【0157】
次いで、画像が正規化され、撮影された画像の各ラインjの信号が、積[f(kV(j))*mA(j)]によって除算される。
【0158】
図14は、ディープニューラルネットワーク検出ステップ後のフィルタリングされた正面スカウトビューの例を示す。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。
【0159】
ディープニューラルネットワークによってプロットされたランドマーク41を有する正面画像上に表された患者40が存在する。
【0160】
図15は、ディープニューラルネットワーク検出ステップ後のフィルタリングされた側面スカウトビューの例を示す。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。
【0161】
ディープニューラルネットワークによってプロットされたランドマーク51を有する側面画像上に表された患者50が存在する。
【0162】
図16は、定電流および定電圧モードにおける、一定の駆動電流強度および一定の駆動電圧強度の側面画像の例を示す。
図16は、変調が無効にされた場合における擬人化ファントムの横方向走査を表す。
【0163】
患者60が、側面画像上に表されている。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。たとえば、約350mAにおいて、垂直走査方向Zにすべて沿って一定の駆動電流強度61が存在する。たとえば、約120kVにおいて、垂直走査方向Zにすべて沿って一定の駆動電圧強度62が存在する。患者60の側面画像は、平均的な品質である。
【0164】
図17は、変調電流および定電圧モードにおける、変調された駆動電流強度および一定の駆動電圧強度の側面画像の例を示す。
図17は、変調が有効にされているが、固定電圧(kV)を用いる場合における擬人化ファントムの横方向走査を表す。
【0165】
患者70が、側面画像上に表されている。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。たとえば、約10mAと約350mAとの間で変化する、垂直走査方向Zにすべて沿って駆動電流強度変調71が存在する。たとえば、約120kVにおいて、垂直走査方向Zにすべて沿って一定の駆動電圧強度72が存在する。患者70の側面画像は、患者60の側面画像と特に同様の品質であるが、より低い放射線量を用いて撮影され、垂直走査方向に沿った各位置において適切なレベルの信号を得るように調整される。
【0166】
図18は、二重変調電流および変調電圧モードにおける、変調された駆動電流強度および変調された駆動電圧強度の側面画像の例を示す。
図18は、電圧および電流に対して変調が有効にされている場合における擬人化ファントムの横方向走査を表す。
【0167】
患者80が、側面画像上に表されている。この患者の身体の画像は、患者の幅の関数としての高度Z(垂直走査方向に沿った高さ)に関してプロットされ、患者の厚さthは、図の平面に対して垂直であり、高度と幅wの両方は、mmにおいて表される。たとえば、約10mAと約350mAとの間で変化する、垂直走査方向Zにすべて沿って駆動電流強度変調81が存在する。たとえば、約50kVと約120kVとの間で変化する、垂直走査方向Zにすべて沿って駆動電圧強度変調82も存在する。患者80の側面画像は、患者70の側面画像よりも著しく良好な品質であり、患者60の側面画像よりもはるかに良好な品質であるが、患者80の側面画像はまた、患者60の側面画像よりも低い放射線量を用いて撮影される。
【0168】
図16の画像と比較すると、
図17および
図18に示す画像では、患者の外側の画像の空白または空隙部分が、適用された変調プロファイルに対応して変調されていることがわかる。次いで、画像は、画像の放射線科医の分析を損なうことを回避するために、画像内の空白部分のこの変調を除去するために、減衰を伴わない除外された信号を用いて正規化によって補正される。次いで、復調された画像は、放射線科医に提示される前に、標準的なコントラスト強調に従う。
【0169】
図19は、放射線科医に表示される最終的な側面画像の例を示す。
図19は、たとえば、放射線科医に提示されるときの復調とコントラスト強調処理とを含む電圧および電流変調を用いて取得された横方向走査画像を示す。この最終的な側面画像は、非常に良好な品質である。
【0170】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されている。しかしながら、本発明の範囲内で多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0171】
20 患者
21 骨、脊椎
22 骨、右脚
23 骨、左脚
24 骨、腕
25 骨、肩、顎
31 骨、脊椎
32 骨、左脚
33 骨、腕
34 骨、腕
35 骨
40 患者
41 ランドマーク
50 患者
51 ランドマーク
60 患者
61 一定の駆動電流強度
62 一定の駆動電圧強度
70 患者
71 駆動電流強度変調
72 一定の駆動電圧強度
80 患者
81 駆動電流強度変調
82 駆動電圧強度変調
【図】
【国際調査報告】