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特表2023-501687カーボンナノチューブ(CNT)-金属複合体を含むリチウム電池の性能改善方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ(CNT)-金属複合体を含むリチウム電池の性能改善方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20230111BHJP
   H01M 6/16 20060101ALI20230111BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230111BHJP
   H01M 4/06 20060101ALI20230111BHJP
   H01M 4/64 20060101ALI20230111BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20230111BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20230111BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230111BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20230111BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M6/16 C
H01M10/052
H01M4/06 X
H01M4/64 A
H01M50/417
H01M10/0569
H01M4/38 Z
H01M10/058
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528142
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 IL2020051160
(87)【国際公開番号】W WO2021095029
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/935,656
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522188897
【氏名又は名称】トルテック ナノ ファイバーズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522188901
【氏名又は名称】ヘフェツ,メイア
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(74)【代理人】
【識別番号】100207022
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 弘之
(72)【発明者】
【氏名】ヘフェツ,メイア
(72)【発明者】
【氏名】メイタヴ,アリエ
(72)【発明者】
【氏名】スルジク,イワン
(72)【発明者】
【氏名】ロシュ ホデシュ,エリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスト フリッド,ユリア
(72)【発明者】
【氏名】アルバート,モール
(72)【発明者】
【氏名】コザチケヴィッチ,スタニスラフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルペリン,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】テネンバウム サハール
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H024
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS10
5H017EE06
5H017HH01
5H017HH03
5H021EE04
5H024AA12
5H024CC02
5H024CC04
5H024CC12
5H024DD09
5H024DD15
5H024EE03
5H024FF18
5H024HH01
5H024HH04
5H024HH13
5H029AJ12
5H029AK05
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029BJ02
5H029BJ12
5H029BJ14
5H029DJ04
5H029DJ07
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ19
5H050AA15
5H050BA05
5H050BA16
5H050CA11
5H050CB12
5H050DA04
5H050HA01
5H050HA04
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの金属リチウム層と少なくとも1つの支持層とを備えたアノード、少なくとも1つのカソード/対電極、前記アノードと前記の少なくとも1つのカソード/対電極との間に配置された少なくとも1つのセパレーター、および電解質を含む装置およびデバイスを形成する方法を提供し、この装置は、80%以上のリチウム利用効率を提供するように構成され、前記の少なくとも1つの支持層の重量は同じ寸法の銅支持層の重量の30%未満である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.i)厚さ10~500μmの少なくとも1つの金属リチウム層と、ii)少なくとも1つの支持層とを備えたアノード;
b.対電極およびカソードの少なくとも1つ;
c.前記アノードと、前記対電極およびカソードの少なくとも1つとの間に配置された少なくとも1つのセパレーター;および
d.電解質;を含み、
80%以上のリチウム利用効率を提供するように構成され、前記の少なくとも1つの支持層の重量が同じ寸法の銅支持層の重量の30%未満であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記の少なくとも1つの支持層がカーボンナノチューブ(CNT)系層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記の少なくとも1つの金属リチウム層が、前記CNT系層の各面上にある2つの金属リチウム層を含むことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブ(CNT)系層の厚さが1~50μmであることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記の少なくとも1つの金属リチウム層の厚さが25~500μmであることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、厚さがそれぞれ25~500μmである2つの金属リチウム層を含み、かつ、それらの間に厚さ1~50μmの前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記の対電極およびカソードの少なくとも1つが、2つの対電極または2つのカソードを含むことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記の少なくとも1つのセパレーターがポリプロピレンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記電解質がEC:DMC(1:1)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記リチウム利用効率が88%以上であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ10~500μmであり、厚さが1~5μmである前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ25~35μmであり、厚さが2~4μmである前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記リチウム利用効率が89~96%であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
装置の形成方法であって、
a.i)厚さ10~500μmの少なくとも1つの金属リチウム層と、ii)少なくとも1つの支持層とを備えたアノードを形成するステップ;
b.前記アノードと対電極およびカソードの少なくとも1つとの間に少なくとも1つのセパレーターを配置して、前記の対電極およびカソードの少なくとも1つから前記アノードを分離するステップ;および
c.電解質を提供するステップ;を含み、
これによって80%以上のリチウム利用効率を提供する装置を提供し、前記の少なくとも1つの支持層の重量が同じ寸法の銅支持層の重量の30%未満であることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記の少なくとも1つの支持層がカーボンナノチューブ(CNT)系層を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記の少なくとも1つの金属リチウム層が、前記CNT系層の各面上にある2つの金属リチウム層を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記カーボンナノチューブ(CNT)系層の厚さが1~50μmであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記の少なくとも1つの金属リチウム層の厚さが25~500μmであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記装置が、厚さがそれぞれ25~500μmである2つの金属リチウム層を含み、かつ、それらの間に厚さ1~50μmのカーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記の対電極およびカソードのうちの少なくとも1つが、2つの対電極または2つのカソードを含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記セパレーターが、前記の2つの対電極または2つのカソードと前記アノードとの間に配置された2つのセパレーターを含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記の2つのセパレーターがポリプロピレンを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記電解質がEC:DMC(1:1)を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記リチウム利用効率が88%以上であることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ20~40μmであり、厚さが1~5μmである前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ25~35μmであり、厚さが2~4μmである前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含むことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記リチウム利用効率が89~96%であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ-金属複合製品およびその製造方法に関し、具体的には、リチウム金属バッテリーの性能を改善する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極の重量と単位重量あたりのエネルギー供給の両方において、多くの電力装置が非効率的である。安全上の危険は、リチウムバッテリー全般の、特に金属リチウムを含むバッテリーのさらなる重要な問題である。
【0003】
バッテリー、キャパシタ、および燃料電池などの電源の設計を改善するための努力があったものの、多くの市販のシステムは依然として非効率的である。
【0004】
一次リチウムバッテリーは金属リチウムのアノードを有する。一次リチウムバッテリーには、(a)ボビン電池群と(b)ジェリーロール電池群の2つの主要設計バージョンがある。ボビン電池群は低レートで使用される反面、ジェリーロールは中レートから高レートで使用される。
【0005】
一次リチウムバッテリーの市販化学物質には、Li/SO,Li/SOCl,Li/SOCl,Li/MnO,Li/FeS,Li/CFなどの様々な化合物がある。
【0006】
リチウム/酸化マンガン系の放電反応は以下のとおりである:
システム:Li/Mn0
全体反応:Li+Mn(+4)→LiMn(+3)
アノード:Li-e→Li(+1)
カソード:Mn(+4)+e→Mn(+3)
放電中にリチウムアノードは酸化を受ける。これは、金属が溶液中のイオンに変わることを意味する。リチウム金属の理論容量は2,080mAh/c.c.であるため、対応する容量0.2mAh/cmのリチウム電池を放電すると、リチウムアノードの厚さが(0.2mAh/cm当たり)1μm減少する。
【0007】
表1は、1,500mAhの2つの市販のLi/MnO CR123A電池の電極設計である。
【0008】
【表1】
【0009】
表2 様々な既存の電池の比較
【表2】
【0010】
アノードの容量がカソードの容量を45%程度超過していることが分かる。その理由は、放電中にリチウムが益々薄くなり、電極に沿って実際の電流密度が不均一であるため、スタック/ジェリーロールの不均一な圧縮によって、リチウムが末端の端子タブから分離されたり、より高い電流密度で放電される他のアノードの領域から分離されたりすることがあるという事実に関連している。容量損失の他に、電極に沿って部分的に分離されたリチウムの不規則性が時折のスパークを引き起こして電池を発火させて安全上の危険を伴う恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、改善されたリチウムバッテリーに対する満たされていない要求が依然としてある。さらに、改善されたリチウムバッテリーを製造するための安全な製造方法に対する要求が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも1つのリチウム層と少なくとも1つの支持層とを含むアノード、少なくとも1つのカソード、前記アノードと前記の少なくとも1つのカソードとの間に配置された少なくとも1つのセパレーター、および電解質を含む装置およびデバイスの形成方法を提供し、この装置は、80%以上のリチウム利用効率を提供するように構成され、前記の少なくとも1つの支持層の重量が同じ寸法の銅支持層の重量の30%未満である。
【0013】
本発明の目的は、カーボンナノチューブ(CNT)-金属複合基板の具現を通じて、金属リチウムのアノードを備えたリチウムバッテリーの性能と安全性を改善することにある。
【0014】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、CNT-金属複合基板を含んだ改善された製品が提供される。
【0015】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、CNT-金属複合基板を含んだ軽量化された製品が提供される。
【0016】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、集電と物理的な統合のためのCNT-金属複合基板を含んだ改善された製品が提供される。
【0017】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、引張強度が高いながらも、軽量、伝導性で、薄い基板の複合材料を含んだ改善された製品が提供される。
【0018】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、集電用CNT-金属複合基板を含んだ軽量化された製品が提供される。
【0019】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、CNT-金属複合基板を含んだ製品の改善された製造方法が提供される。
【0020】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、集電用CNT-金属複合基板を含んだ製品の改善された製造方法が提供される。
【0021】
本発明の幾つかの態様の目的は、効率的な集電のための方法と装置を提供することにある。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態では、軽量化、効率的な電流収集のための改善された方法および装置が提供される。
【0023】
本発明の他の実施形態では、高効率の集電を提供するための方法とシステムが記載される。
【0024】
本発明のさらなる実施形態では、軽量高効率の集電のための方法と装置が提供される。
【0025】
実施形態
1.a.i)少なくとも1つの金属リチウム層と、ii)少なくとも1つの支持層とを備えたアノード;
b.対電極およびカソードの少なくとも1つ;
c.前記アノードと、前記対電極およびカソードの少なくとも1つとの間に配置された少なくとも1つのセパレーター;および
d.電解質;を含み、
80%以上のリチウム利用効率を提供するように構成され、前記の少なくとも1つの支持層の重量が同じ寸法の銅支持層の重量の30%未満である装置。
【0026】
2.実施形態1に記載の装置であって、前記の少なくとも1つの支持層がカーボンナノチューブ(CNT)系層を含む装置。
【0027】
3.実施形態2に記載の装置であって、前記の少なくとも1つの金属リチウム層が、前記CNT系層の各面上にある2つの金属リチウム層を含む装置。
【0028】
4.実施形態3に記載の装置であって、前記カーボンナノチューブ(CNT)系層の厚さが1~50μmである装置。
【0029】
5.実施形態4に記載の装置であって、前記の少なくとも1つの金属リチウム層の厚さが10~500μmである装置。
【0030】
6.実施形態5に記載の装置であって、前記装置が、厚さがそれぞれ10~500μmの2つの金属リチウム層を含み、かつ、それらの間に厚さ1~50μmの前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含む装置。
【0031】
7.実施形態6に記載の装置であって、前記の対電極およびカソードの少なくとも1つが、2つの対電極または2つのカソードを含む装置。
【0032】
8.実施形態1に記載の装置であって、前記の少なくとも1つのセパレーターがポリプロピレンを含む装置。
【0033】
9.実施形態1に記載の装置であって、前記電解質がEC:DMC(1:1)を含む装置。
【0034】
10.実施形態9に記載の装置であって、前記リチウム利用効率が88%以上である装置。
【0035】
11.実施形態3に記載の装置であって、前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ10~500μmであり、厚さが1~50μmである前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含む装置。
【0036】
12.実施形態11に記載の装置であって、前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ25~35μmであり、カーボンナノチューブ(CNT)系層の厚さが2~10μmである前記カーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含む装置。
【0037】
13.実施形態12に記載の装置であって、リチウム利用効率が89~96%である装置。
【0038】
14.装置の形成方法であって、
a.i)少なくとも1つの金属リチウム層と、ii)少なくとも1つの支持層とを備えたアノードを形成するステップ;
b.前記アノードと対電極およびカソードの少なくとも1つとの間に少なくとも1つのセパレーターを配置して、前記の対電極およびカソードの少なくとも1つから前記アノードを分離するステップ;および
c.電解質を提供するステップ;を含み、
これによって80%以上のリチウム利用効率を提供する装置を提供し、前記の少なくとも1つの支持層の重量が同じ寸法の銅支持層の重量の30%未満である方法。
【0039】
15.実施形態14に記載の方法であって、前記の少なくとも1つの支持層がカーボンナノチューブ(CNT)系層を含む方法。
【0040】
16.実施形態14に記載の方法であって、前記の少なくとも1つの金属リチウム層が、前記CNT系層の各面上にある2つの金属リチウム層を含む方法。
【0041】
17.実施形態16に記載の方法であって、前記カーボンナノチューブ(CNT)系層の厚さが1~50μmである方法。
【0042】
18.実施形態17に記載の方法であって、前記の少なくとも1つの金属リチウム層の厚さが10~500μmである方法。
【0043】
19.実施形態18に記載の方法であって、前記装置が、厚さがそれぞれ10~500μmの2つの金属リチウム層を含み、かつ、それらの間に厚さ1~50μmのカーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含む方法。
【0044】
20.実施形態19に記載の方法であって、前記の対電極およびカソードの少なくとも1つが、2つの対電極または2つのカソードを含む方法。
【0045】
21.実施形態20に記載の方法であって、前記セパレーターが、前記の2つの対電極または2つのカソードと前記アノードとの間に配置された2つのセパレーターを含む方法。
【0046】
22.実施形態21に記載の方法であって、前記の2つのセパレーターがポリプロピレンを含む方法。
【0047】
23.実施形態15に記載の方法であって、前記電解質がEC:DMC(1:1)を含む方法。
【0048】
24.実施形態23に記載の方法であって、前記リチウム利用効率が88%以上である方法。
【0049】
25.実施形態24に記載の方法であって、前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ10~500μmであり、厚さが1~50μmであるカーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含む方法。
【0050】
26.実施形態25に記載の方法であって、前記の2つのリチウム層の厚さがそれぞれ25~35μmであり、厚さが2~4μmであるカーボンナノチューブ(CNT)系層をさらに含む方法。
【0051】
27.実施形態26に記載の方法であって、前記リチウム利用効率が89~96%±4%である方法。
【0052】
28.実施形態1に記載の方法であって、前記の少なくとも1つの支持層の重量が同じ寸法の銅支持層の重量の25、20または15%未満である方法。
【0053】
29.実施形態14に記載の方法であって、前記の少なくとも1つの支持層の重量が同じ寸法の銅支持層の重量の25、20または15%未満である方法。
【0054】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記の少なくとも1つのカーボンナノチューブ(CNT)マットが2つのカーボンナノチューブ(CNT)マットを含んでいる。
【0055】
また、本発明の一実施形態によれば、前記装置は、前記の少なくとも1つのCNTマットにコーティング/塗布された活物質をさらに含んでいる。
【0056】
また、本発明の一実施形態によれば、前記装置は、バッテリー、キャパシタ、および燃料電池から選択される電源である。
【0057】
さらに、本発明の一実施形態によれば、前記カソード/対電極の集電体がアルミニウム、金、白金、銅、およびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含んでいる。
【0058】
また、本発明の一実施形態によれば、支持基板へのLi金属結合/塗布のステップは、限定されるものではないが、物理的な方法、化学的な方法、接着、電気的な方法、非電気的な方法などの方法を含んでもよい。
【0059】
本発明は、好ましい実施形態に関する図面および以下の詳細な説明から、より十分に理解できるであろう。
ここで図面を詳細に具体的に参照すると、図示されている詳細は、例であり、本発明の好ましい実施形態の例証的議論のみを目的としており、本発明の原理および概念的側面の最も有用かつ理解容易な説明と考えるものを提供するために提示していることを強調しておく。この点に関して、本発明の基本的な理解のために必要とされるよりも詳細に本発明の構造的詳細を示そうとはするものでなく、図面と共に行われる説明によって、本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化され得るかが当業者に明らかになるであろう。
図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1A】リチウム-銅アノード(Li-Cu-Li)を形成する方法の概略図である。
図1B】本発明の一実施形態に係るリチウム-CNT支持アノード(Li-CNT-Li)を形成する方法の概略図である。
図1C】本発明の一実施形態に係るリチウム基準アノードを形成する方法の概略図である。
図1D】本発明の一実施形態に係るリチウム層の中央タブ付けおよび末端タブ付けの選択肢を示した図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る図1Aのリチウム-銅アノード(Li-Cu-Li)および2つの黒鉛対電極を含む装置を形成する方法の概略図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る図1Bのリチウム-CNT支持アノード(Li-CNT-Li)および2つの黒鉛対電極を含む装置を形成する方法の概略図である。
図2C】本発明の一実施形態に係る図1Cのリチウム基準アノードおよび2つの黒鉛対電極を含む装置を形成する方法の概略図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る図1Aのリチウム-Cu支持アノードを有する図2Aの装置の4つの電池の実験に基づく電圧-容量チャートである。
図3B】本発明の一実施形態に係る図1Bのリチウム-CNT支持アノードを有する図2Bの5つの電池の実験に基づく電圧-容量チャートである。
図3C】本発明の一実施形態に係る図1Cのリチウム基準アノードを有する図2Cの装置の5つの電池の実験に基づく電圧-容量チャートである。
図4】本発明の幾つかの実施形態に係る、図2AのLi-Cu-Li装置、図2BのLi/CNT/Li装置、および図2Cの基準Li装置の伝達容量グラフである。
図5A】本発明の幾つかの実施形態に係るLi-CNT-Liパウチ電池を形成する方法の概略フローチャートである。
図5B】本発明の幾つかの実施形態に係るLi-Cu-Liパウチ電池を形成する方法の概略フローチャートである。
図5C】本発明の幾つかの実施形態に係るCu箔-Li-Cu箔の基準パウチ電池を形成する方法の概略フローチャートである。
図6A】本発明の幾つかの実施形態に係るLi残渣が全て除去された(図2Aおよび図3AのLi-Cu-Li装置などの電池の放電後の)銅基板の写真である。
図6B】本発明の幾つかの実施形態に係るLi残渣が全て除去された(図2Bおよび図3BのLi-CNT-Li装置などの電池の放電後の)CNT基板の写真である。
図6C】本発明の幾つかの実施形態に係る(図2Cおよび図3CのLi-CNT-Li装置の電池の放電後の)Liアノードの元の幅と写真に示された最終幅とを比較した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
定義
本明細書では、リチウム利用効率は、電池の伝達容量を理論的に計算された最大値で割り100を乗じた百分率の値を意味する。
【0062】
本発明は、少なくとも1つのリチウム層と少なくとも1つの支持層とを備えたアノード、対電極およびカソードの少なくとも1つ、前記アノードと前記の対電極/カソードの少なくとも1つの間に配置された少なくとも1つのセパレーター、および電解質を含む装置およびデバイスを形成する方法を提供し、この装置は、80%以上のリチウム利用効率を提供するように構成され、前記の少なくとも1つの支持層の重量は同じ寸法の銅支持層の重量の30%未満である。
【0063】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、CNT系基板を含んだ改善された製品が提供される。
【0064】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、CNT系基板を含んだ軽量製品が提供される。
【0065】
本発明の幾つかのさらなる実施形態では、CNT系基板を含んだ製品の改善された製造方法が提供される。
【0066】
本発明がリチウム一次バッテリーおよび/または再充電可能リチウムイオンバッテリー(LIBまたはLB)を含むが、これらに限らず、他のバッテリー/電極タイプまたは前述のいかなるデバイスにも適用することができる。典型的な金属リチウム電池は、リチウム負極(アノード)と、通常は硫黄系/酸化物からなる正極(カソード)とを含む。負極(アノード)は金属リチウムからなる。正極(カソード)は、通常、アルミニウム集電体上に支持された硫黄系/酸化物の活物質からなる。
【0067】
活物質は、化学エネルギーを供給する集電体上に堆積された物質を意味する。
【0068】
アノードの活物質はリチウムであってもよく、カソードの活物質は硫黄系または酸化物であってもよい。
【0069】
負極および正極は、セパレーターの材料で包まれ、ジェリーロールまたはスタックとなるように巻回または積層されて、円筒形、角柱形、またはパウチ形の容器に挿入される。通常、電極は外部接点を提供するようにタブ付けされ、電解質がセルに加えられた後、セルが封止され電気化学形成がなされる。
【0070】
ここで図1Aを参照すると、図1Aは、本発明の一実施形態によるリチウム-銅アノード110を形成する方法100の概略図である。アノード110は銅(Cu)層102を含んでいる。銅(Cu)層102は、支持層と銅タブ112と略矩形の伝導性銅層とを形成する形状に切断されている。この銅層は、当該技術分野で公知の方法で2つの周辺リチウム(Li)層104および106と結合されてLi-Cu-Liサンドイッチアノード110を形成する。
【0071】
図1Bは、本発明の一実施形態に係るリチウム-CNT支持アノード160を形成する方法150の概略図である。
【0072】
アノード160は、略矩形のカーボンナノチューブ(CNT)層の形状に切断され、銅タブ158でタブ付けされたCNT層152を含む。CNT層は、当該技術分野で公知の方法にて2つの周辺リチウム(Li)層154および156と結合されてLi-CNT-Liサンドイッチアノード160を形成する。
【0073】
図1Cは、本発明の一実施形態に係るリチウム基準アノード170を形成する方法の概略図である。
【0074】
リチウム基準アノード170は、1つ以上の銅箔層を含んでも、含まなくてもよく、典型的には銅タブ158を含む。リチウム基準アノード170は、周辺の2つのセパレーター202、204と2つの対電極またはカソード230とに結合され、カソードのそれぞれは、典型的には、活性カソード材料210とアルミニウム集電体220とを含む。
【0075】
図1Dは、他の選択肢190として中央の銅タブ192によるリチウム層104の中央タブ付けを示す。さらに他の選択肢として、末端のタブ194を有するリチウム層104を用いる末端タブ付けもある。前述の容量損失と安全上の危険を回避するために、薄い銅箔の上にリチウムを巻いてもよい(図1A参照)。銅は、リチウム箔の機械的完全性を保証する。しかしながら、銅支持体は、重量をかなり増大させて電池の比エネルギーを下げる。
【0076】
図2Aは、本発明の一実施形態に係る図1AのLi-Cu-Liサンドイッチアノード110と2つの対電極230、230とを含む装置250を形成する方法200の概略図である。2つのセパレーター202、204が前記サンドイッチアノードに接合/圧着された後、アルミニウム集電体220上に活性カソード材料又は活性カソード被膜の層210を各々含む2つの対電極230が前記セパレーターの他の面上に前記アノードから追加される。
【0077】
図2Bは、本発明の一実施形態に係る図1BのLi-CNT-Liサンドイッチアノード160と2つの対電極230、230とを含む装置260を形成する方法240の概略図である。2つのセパレーター202、204がLi-CNT-Liサンドイッチアノードに接合/圧着された後、アルミニウム集電体220上に活性カソード材料又は活性カソード被膜の層210を各々含む2つの対電極230がセパレーターの他の面に前記アノードから追加される。
【0078】
図2Cは、本発明の一実施形態に係る図1Cのリチウム基準アノード170と2つの対電極230、230とを含む装置270を形成する方法270の概略図である。
【0079】
2つのセパレーター202がリチウム基準アノード170に接合/圧着された後、アルミニウム集電体220上に活性カソード材料又は活性カソード被膜の層210を各々含む2つの対電極230がセパレーターの他の面に前記アノードから追加される。
【0080】
実際の電池においては、リチウムに対する対電極がAl C.C.上のカソードである。
【0081】
本発明の概念を証明するための特定の実験においては、黒鉛の対電極を使用した。図3A-Cおよび図4は実験で得た電池の結果を示す。
【0082】
実施例
3つの電池グループ:両側の銅箔から支持されたリチウムアノードを有するグループA(図3A);両側のCNTマットから支持されたリチウムアノードを有するグループB(図3B);いかなる支持もされていないリチウムアノードを有するグループC(図3C)を構成した。;全てのグループの対電極は、設計パラメータ内で最大のリチウム放電/消費を保証するために、リチウム電極の容量を上回る追加の容量を有する黒鉛電極である。
【0083】
図3Aは、本発明の一実施形態に係る図1AのLi-Cu-Liサンドイッチアノード110の実験に基づく電圧-容量のグラフであり、装置250(+電解質、パウチに収容)を用いた4つの実験の結果を示す。-0.5Vの電圧に達する(過放電に移行して電解質の酸化が始まる)まで、蓄積容量を記録し続けながら、電池250に対して5mAの電流で定電流分極を行った。Li/Cu/Li電池から取り出された容量範囲は、約250-260mAh以上であり、90-93%程度のLi利用率をもたらした(図4参照)。
【0084】
図3Bは、本発明の一実施形態に係る図1BのLi-CNT-Liサンドイッチアノード160の電圧-容量の実験に基づくグラフであり、装置260(+電解質、パウチに収容)を用いた5つの実験の結果を示す。-0.5Vの電圧に達する(過放電に移行して電解質の酸化が始まる)まで、電池に対して、5mAの電流で定電流分極を行った。Li/CNT/Li電池から取り出した容量範囲は、約250-270mAh以上であり、89-96%程度のLi利用率をもたらした(図4参照)。
【0085】
図3Cは、本発明の一実施形態に係る図1Cのリチウム基準アノード170の電圧-容量の実験グラフであり、装置270(+電解質、パウチに収容)を用いて5つの放電実験を行った。-0.5Vの電圧に達する(過放電に移行して電解質の酸化が始まる)まで、蓄積容量を記録し続けながら、電池に対して5mAの電流で定電流分極を行った。基準電池から取り出した容量範囲は、約130-220mAh以上であり、48-79%程度のLi利用率をもたらした(図4参照)。
【0086】
図3Cから分かるように、蓄積された容量の分散と標準偏差は、図3BのLi/CNT/Li電池と図3AのLi/Cu/Li電池250よりも基準電池270において遥かに大きかった。これは、基準電池に比べて、アノード110を有する電池250とアノード160を有する電池260とではリチウムを遥かにうまく使用/利用できるということを意味する。これは、先行技術に比べて本発明の電池に経済的な長所および環境的な長所の両方をもたらす。また、本発明の電池は、先行技術の電池に比べて過量リチウムに対する要求がより少ない。このような節減量は、総余剰リチウムの12-100%、12-30%、或いは12-50%であり得る。
【0087】
図4は、本発明の幾つかの実施形態に係る、図2AのLi-Cu-Li電池250、図2BのLi/CNT/Li電池260、および図2Cの基準Li電池270の伝達容量のグラフである。
【0088】
リチウム利用効率
リチウムの理論的な最大容量は、3,830mAh/g=2,070mAh/ccである。実際の利用は、様々な要因によって左右される。対電極の容量がリチウムの容量を超える電池にてリチウム利用率が測定される。
【0089】
したがって、リチウム利用率=伝達容量/理論容量;
リチウム利用効率%=伝達容量/理論容量×100。
【0090】
CNT基板または銅基板またはバックボーンを使用すると、短絡、スパーク、リチウム分解を最小化して電池の安全な使用を高めることができる。しかし、CNT基板は、表3の実施例において電池に顕著な重量利点(遥かに軽量)をもたらす。純リチウムアノードを用いた場合、追加の容量を支持する銅やCNTなしにリチウムの物理的完全性を保証するのにさらに30-100%のリチウムが必要となる。したがって、電極の厚さに関して銅支持体またはCNT支持体を用いると、アノードの厚さを減らすことができ、それによって、より長い電極の巻回/ジェリーロールが可能となり、それに対応して容量を増大させることができる。しかし、銅は厚さ/体積の増加に関して明らかな利点はあるが、リチウム支持体として銅を使用することは、重量の増加をもたらして比エネルギーに悪影響を及ぼす。
【0091】
リチウム支持基板としてCNTマットを使用すると、機械的一体化による支持は銅と同じであるが、重量に及ぼす影響は最小化される。また、柔らかいリチウムにCNTマットが押し込まれるため、厚さへの影響も最小化される。
【0092】
本発明の幾つかの実施形態に係るLi-CNT-Liパウチ電池260(図2B)の形成方法500の概略フローチャートである図5Aについて説明する。
【0093】
カーボン-ナノチューブ(CNT)マット製造のステップ502において、幾つかの気体成分が反応器に注入される。反応器は、900~1600℃の炉の内部にある。前記気体成分として、前記条件下で気体状である炭素源、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、およびこれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。他の気体成分として、フェロセンなどの触媒や触媒前駆体などがある。ヘリウム、水素、窒素、およびこれらの組み合わせなどのキャリアガスが一般的に使用される。場合によっては、この工程を浮遊触媒CVD(化学気相蒸着)工程ともいう。
【0094】
特定の理論に束縛されるものではないが、触媒は、ガスから炭素原子を抽出する際の活性化エネルギーを低下させ、カーボンナノチューブは、ナノ粒子の形態であり得る触媒の上端にて核の形成を開始する。管状反応器の中へさらに入ると、CNTは伸長され、この伸長は、エアロゲル状物質の形態で臨界質量が形成されるまで続き、形成された臨界質量は反応器を出る。エアロゲル状物質は、左右へと動く回転ドラム上に収集される。回転ドラムの回転速度と他の工程条件および持続時間が、カーボンナノチューブマットの最終的な厚さと特性を決める。CNTマットの典型的な厚さは10-150μmである。
【0095】
アノード形成ステップ504において、図1Bのリチウム-CNTマット-リチウムのサンドイッチが形成され、銅タブ158を追加してLi-CNT-Liサンドイッチアノード160を形成する。
【0096】
その後、アノード分離ステップ506において、Li-CNT-Liサンドイッチアノードの各面上に1つずつ2つのセパレーター202が追加される。
【0097】
パウチ形成ステップにおいて、サンドイッチLi-CNT-Li電池265を形成するために、それぞれのセパレーターの外側に1つずつ2つの周辺対電極230(図2B)が先に追加され、続いて前記サンドイッチ電池がパウチ267内へ導入される。
【0098】
電解質提供ステップ510において、電解質268を前記パウチ内に添加して機能性Li-CNT-Liパウチ電池269を製造する。
【0099】
これから、本発明の幾つかの実施形態に係るLi-Cu-Liパウチ電池の形成方法の概略フローチャート550である図5Bについて説明する。
【0100】
銅基板取得ステップ552において、銅基板を図1Aに従って購入/製造し、サンドイッチアノード形成ステップ552において、2つのリチウム層を前記銅基板に結合してLi-Cu-Liサンドイッチアノード110(図1A)を形成する。
【0101】
その後、2つのセパレーター202をアノード分離ステップ556においてLi-Cu-Liサンドイッチアノードの各面上に1つずつ追加する。
【0102】
パウチ形成ステップ558において、まず2つの周辺対電極230(図2A)を各セパレーターの外側に1つずつ追加してサンドイッチLi-Cu-Li電池250を形成した後、前記サンドイッチ電池をパウチ257内に導入する。
【0103】
電解質提供ステップ560において、電解質258を前記パウチ内に加えて機能性Li-Cu-Liパウチ電池259を製造する。
【0104】
これから、本発明の幾つかの実施形態に係るLi基準パウチ電池579の形成方法570の概略フローチャートである図5Cについて説明する。
【0105】
リチウム基板170取得ステップ572において、リチウム基板を製造または購入できる。
【0106】
タブ付けステップ574において、1つ以上の銅タブ172を追加して基準Liアノード170(図1C)の製造を完了できる。
【0107】
アノード分離ステップ576において、前記基準アノードの各面上に1つずつ2つのセパレーター202が追加される。
【0108】
基準パウチ形成ステップ578において、各セパレーターの外側に1つずつ2つの周辺対電極230を追加して基準装置270(図2C)を形成する。その後、前記基準装置がパウチ267内に導入される。
【0109】
電解質提供ステップ580において、電解質268を前記パウチ内に追加して機能性基準Liパウチ電池299を製造する。
【0110】
図6Aは、本発明の幾つかの実施形態に係る、Li残渣が除去された、(図2AのLi-Cu-Li電池等の電池中で使用された後の)銅基板602の写真600である。
【0111】
図6Bは、本発明の幾つかの実施形態に係る、Li残渣が除去された、(図2BのLi-CNT-Li電池等の電池中で使用された後の)銅タブ624付きのCNT基板622の写真620である。
【0112】
図6Cは、本発明の幾つかの実施形態に係る、セパレーター656から撮影された、Liアノードの元の幅652と最終幅653とを比較したLiアノード654の写真650である。
【0113】
実施例
リチウムの厚さを1μm減らす度に容量を0.2mAh/cmずつ増やすことができる。よって、上記の電池を参照すると、6-10μmの銅支持体を使用すると、リチウム容量が37.5mAh/cmではなく26-28mAh/cmでカソードとバランスをとることができ、リチウムの厚さを約50μm減らす、または銅の厚さを計算に入れた全体の厚さを約40μm減らすことができる。したがって、180μmのリチウムアノードの代わりに、全体の厚さが50μmのリチウム-銅アノードを用いても、性能は同じであり、安全性を著しく高めることができる。
【0114】
表3は、示された寸法を有する内部ジェリーロールを有する特定の円筒形電池について、純Liを用いた一次Li金属電池の重量と、銅支持体を備えたLiを用いた一次Li金属電池の重量と、CNT支持体を備えたLiを用いた一次Li金属電池の重量とを比較したものである。
【0115】
【表3】
【0116】
*重量-ケースを除いた全ての要素を含む:
要素に含まれたもの
-電解質
-カソード+Al C.C.
-セパレーター
-アノード
a)50%の追加容量で純Li
b)6/10μmのCu C. C.上の、カソード容量に比べて5-7%の追加容量のLi
c)CNT C.C.上の、カソード容量に比べて5-7%の追加容量の複合リチウム。
【0117】
3つの型のリチウムアノードを含んだLi一次電池で行った実験によると、電池を含んだLi-CNTの性能がLi-10μm銅を含んだものの性能と同じであることが明らかになった(図4参照)。過量のリチウムの無い他の2グループと同じ厚さの純リチウムを含んだ電池は、容量が最大50%超減少して著しい容量の偏差を示した。
【0118】
このようなフローチャートと図面は、単なる例であり、限定的なものと見なされてはならない。一部のステップは、その順が変更されたり省略されたりすることができ、図5A~Cの一部または全部が様々に組み合わされることもできる。
【0119】
本発明の幾つかの実施形態によれば、リチウム層およびCNT層を含むデバイスが提供され、前記デバイスは、少なくとも10、15、20、25または30mAh/cmの容量を伝達し、CNT層はないが容量は同じであるデバイスの95%、90%、85%、80%、または75%未満の厚さを有するように構築および構成されている。
【0120】
本発明の幾つかの実施形態によれば 、リチウム層およびCNT層を含むデバイスが提供され、前記デバイスは、 少なくとも10、15、20、25または30mAh/cmの容量を伝達し、CNT層はないが容量は同じであるデバイスの95%、90%、85%、80%、または75%未満の重量を有するように構築および構成されている。
【0121】
本発明は、その適用に際し、本明細書に含まれる説明に記載された詳細にも、図面に示された詳細にも限定されないものと理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践および実施することができる。当業者は、添付の特許請求の範囲で定義される範囲を逸脱しない範囲で、前述した本発明の実施形態に様々な修正および変更を適用できることを容易に理解するであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
【国際調査報告】